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1988-04-14 第112回国会 参議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大木  浩君     理 事                 下条進一郎君                 前田 勲男君                 福間 知之君                 市川 正一君     委 員                 小島 静馬君                 中曽根弘文君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 松浦 孝治君                 松尾 官平君                 向山 一人君                 青木 薪次君                 梶原 敬義君                 高杉 廸忠君                 伏見 康治君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   田村  元君    政府委員        農林水産省食品        流通局長     谷野  陽君        農林水産技術会        議事務局長    畑中 孝晴君        水産庁次長    木村 邦雄君        通商産業大臣官        房長       棚橋 祐治君        通商産業大臣官        房総務審議官   山本 幸助君        通商産業大臣官        房審議官     末木凰太郎君        通商産業大臣官        房審議官     安藤 勝良君        通商産業省産業        政策局長     杉山  弘君        通商産業省立地        公害局長     安楽 隆二君        通商産業省機械        情報産業局長   児玉 幸治君        工業技術院長   飯塚 幸三君        工業技術院総務        部長       山本 貞一君        特許庁長官    小川 邦夫君        中小企業庁計画        部長       田辺 俊彦君        中小企業庁指導        部長       村田 憲寿君        運輸大臣官房審        議官       金田 好生君        運輸大臣官房審        議官       橋本 昌史君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        建設大臣官房審        議官       青木 保之君    事務局側        常任委員会専門        員        野村 静二君    説明員        経済企画庁調整        局産業経済課長  柴崎 和典君        大蔵省主計局主        計企画官     杉井  孝君        農林水産省構造        改善局農政部農        政課長      野田 哲也君        農林水産省構造        改善局計画部地        域計画課長    東   諄君        建設大臣官房政        策課長      西谷  剛君        建設省建設経済        局建設業課長   村瀬 興一君        自治省財政局指        導課長      二橋 正弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出) ○産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 福間知之

    福間知之君 名前の長い法律でございますが、一昨年の五月にこの法律が制定されておるわけですが、その当時民間活力を発揮するということは中長期的な我が国経済の発展を支えるかぎであるというふうな位置づけが行われました。いわゆる経済社会活性化ということが全国各地民活プロジェクトをもちまして推進に当たるという、そういう大きな課題となったわけでございますが、このプロジェクトの候補というものがその後百を上回るほど相次いで打ち上げられたのであります。  しかし、それらのプロジェクトの中で認可されたものは数えるほどしかないというふうに聞いておるのですが、これは一体どういうことなのか。また、認可に至らなかった主な理由というものは一体何なのかをお伺いしたいと思います。
  4. 田村元

    国務大臣田村元君) 民活法プロジェクトは、現在各省合わせて十八件が認定に至っておりますが、この法律制定時の予定に比べまして進捗がおくれておりますのは、まず一つには、一昨年来の円高の急激な進展を契機として、本法が施行されました六十一年度から六十二年度上期にかけて製造業中心として全般的に著しく投資マインドが低下した。これらに引きずられて各地での民活プロジェクト構想具体化を遅延させたということが一つあります。  それから二番目に、民活プロジェクト我が国におきましては初めて手がけられるプロジェクトタイプでございます上に、ほとんどの場合地方自治体及び民間共同による第三セクター方式実施されております。また、多数の関係者が参加するものでございますから、プロジェクトフィージビリティースタディーのみならず、その資金構成や多数の関係者間での分担比率等の詰めに膨大な作業を必要として、これが意外に時間がかかったことがあります。そういうことが理由であると考えられます。  例えば幕張メッセの例を見ますと、具体化までにこういうような手順というもので時間を要しておるわけです。五十五年に幕張の埋立地が完成した。五十八年六月に千葉新三角構想、県の長期計画が作成されて、フィージビリティースタディー調査実施、マスタープランの作成。六十年に三セク設立準備会の発足。六十一年四月に三セク設立。六十一年五月に整備計画認定。六十二年十二月に工事の着手というように随分時間がかかったわけでございます。  それから、今後の問題でございますけれども、全般的な施設投資マインドの高まりに加えまして、これまで検討準備の進められてまいりましたプロジェクト構想が順次煮詰まってきていること。それからさらには、昨年スタートしました例 のNTT株売却収入を原資とした無利子融資という助成策の強化をてことして、民活プロジェクトは今後いよいよ本格段階を迎えるものと期待いたしております。  また、これらを側面から支援するべく、通産省としましても各地プロジェクトについて指導助言を行うなど、民活プロジェクト促進に鋭意努めてまいる所存でございます。
  5. 福間知之

    福間知之君 円高の影響はともかくとして、後段の御説明でかなり具体化に時間を要する膨大な作業が必要だと、こういうお話でございますが、もちろん一般的にはわかります。しかし、個々の具体的なプロジェクトによって必ずしもそう今の幕張メッセのように数年もかかるということではないんじゃないかと、こういうふうに思うんです。  そこで、民括法に基づくプロジェクトの承認というに当たっては、一体何を基準に考えたらいいのか、考えて行っているのかということ。例えばそれを具体的に先般承認されたばかりの恵庭リサーチビジネスパークに例をとって、この構想段階から具体的なひとつ説明をお聞きしたいと思います。
  6. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) 今先生指摘になりました恵庭リサーチビジネスパークの例で申し上げますと、この恵庭リサーチビジネスパーク民活法第二条第一項に列挙されております民活特定施設の第一号でございまして、通称リサーチコアと言われておりますけれども、日本語としては研究開発企業化基盤施設ということで、地域産業、そのエリアの産業高度化に資するための開放型の試験研究施設とかあるいは技術者研修施設とか交流施設研究開発型の企業育成施設と、そういう四つの主要な施設を一群として整備する、そういうものでございまして、こういうものを民活法対象としてリサーチコアを広めていきたいということでございます。  この恵庭リサーチビジネスパークは、リサーチコアとしては五番目に認定をしたものでございまして、ことしの一月から札幌通産局とそれから本省におきましていろいろヒアリングをやってまいりました後、三月四日に実際の認定申請を受理いたしまして、正式な審査をした後、四月四日に認定した、こういうことになっておるわけでございます。  さて、今先生指摘の、どういうことをこの審査の場合あるいは認定の場合に考えたかということでございますが、このリサーチコア整備計画ま、リサーチコア整備事業を行う者が整備計画を作成するわけでございますが、それがこの法律の条項に適しているかどうか、それからまた法律予定しております通産省で作成いたしました細目の指針に照らして適切であるかどうか、そういうことを審査するわけでございます。  具体的に申し上げますと、リサーチコア機能とか立地とか規模とか配置とか運営などが先ほど申しました基本指針に照らして適当かどうかということでございましたり、それからまた、これも法律に書いてございますリサーチコア整備事業者あるいは事業整備実施時期、整備事業を行うための必要な資金額調達方法、そういうものが的確に事業として遂行できるということになるのかどうかということが主なことでございます。  例えば、今機能と申し上げましたけれども、恵庭リサーチビジネスパークをつくった場合に本当にそのやろうとすることが地元のニーズに量的にも質的にも対応するものであるかどうかということでございますが、恵庭市周辺には工業集積自然科学系大学、あるいは公設試験所集積といったものが、既に例えば先端企業二百二十五社、それから自然科学系大学八校、公設試験所二十施設というようなことでございまして、主にバイオテクノロジーやエレクトロニクス関連産業支援機能を強化していったらいい地域ということで、そういう研究開発拠点として整備したいということでございます。この点は、機能についてはかなっているということに考えたわけでございます。  それから、規模につきましても、民活法助成するものはある程度規模以上のしっかりしたものであるということが指針で決まっておりまして、先ほど申しました四つのパッケージの要素となる施設開放型試験研究施設でありますれば、例えば千五百五十三平米を予定しているということで要件を上回っておりますとか、人材育成施設交流施設研究開発型企業育成支援施設についてもそれぞれ専用延べ床面積というものが一定規模以上になっているということで要件を満たしているわけでございます。  それから、資金調達面につきましても、出資金調達先というのが公共セクター、すなわち北海道それから恵庭市、開発銀行から八・三億円、民間セクターから六・七億円ということで調達を受けるということになっておりまして、これも公共セクターのウエートが三分の一以上ある等々のことで、しっかりしている。  そしてまた、もう一つ重要な資金収支計画でございますが、これがどうなるかということは重要なんでございますけれども、事業をやっていった後、一応単年度で黒字化するのが六年後、それから累積欠損が全部解消するのが十四年間ということでございますので、こうした公共的性格を持った事業といたしましては妥当な整備計画と考えられるのではないか等々を審査いたしまして認定をしたということになっております。
  7. 福間知之

    福間知之君 詳しい説明は大変結構なんですが、限られた時間でございますので、恵庭リサーチビジネスパークというのは非常に私は重要性があると思うし、今後の事業に対しまして一つのモデルケース的な意味もあるので、できたら今おっしゃられたようなことを参考資料として後ほどちょうだいできればありがたい。極力少し御答弁を短縮してお願いしたいと思います。  ところで、今のお話の中でも多少財源的な話もありましたけれども、この特定施設整備事業に対しまして予算措置補助金が出されることになっておりますが、この補助金制度というのはどういうものになっているのかということが一つ。  それから、先ほども触れましたけれども、なかなか遅々としてその具体化が進みにくいという、時間がかかり過ぎるというふうな気配を感ずるわけです。そこで、民間能力活用特定施設緊急整備費補助金が六十一年度から計上されておるわけですけれども、その予算年度別のあるいは各省庁別内容をお伺いしたいわけです。  加えまして、この予算がどういうふうなプロジェクトに対して幾ら支出をされたかということについて説明を願いたいのであります。
  8. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 御指摘民活施設整備に関します補助金剛度は、六十一年度補正予算で、当時の経済情勢にかんがみまして民活施設整備を前倒しをするという観点から設けられたものでございます。具体的には事業費の中で土地の取得費造成費、こういうものを除きましたいわゆる上物の整備に必要とされます事業費の五%相当分を、原則としてその三分の二を国が、三分の一を地方公共団体が負担をするということで事業主体に交付する制度でございます。  それぞれ六十一年度及び六十二年度着工分について、着工から三年度分の事業費対象にということで制度成立をいたしたわけでございますが、先ほど来の御質問の中にございましたように、施設整備事業のスタートがおくれておりまして、六十一年度補正予算予算を計上いたしましたが、実際には残念ながら予算の執行を見ずに終わりました。六十二年度につきましては、総額で約八千四百五十万円ほど、内訳は通産省が四千六十万円程度運輸省が九十万円強、郵政省が四千三百万円というようなことで支出をする予定になっております。  なお、申し上げましたように、六十二年度までの着工分ということでスタートした制度でございますが、施設整備がおくれておることから、六十三年度予算要求に際しまして、六十三年度着工分についても補助対象に加えるという制度改正を行って今日に至っているところでございます。  なお、六十三年度予算額は、各省庁合わせまして総額で三十二億四千八百万円を計上いたしているところでございます。
  9. 福間知之

    福間知之君 今のお話の中で、後段補助金予算支出実績というのはかなり乖離がありますね。六十三年度の今のお話じゃ三十二億ですか、計上されるけれども、さあ果たしてどれだけ実績として支出されるのか疑問が感じられます。  そこで当面のこの法律審議、この成立を通じてさらに促進を図ろうということではあるわけですけれども、今六十一、二年の話がありましたけれども、今年度はさらに対象になる物件、省庁もふえるんでございますか。
  10. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 今回御提案を申し上げております法律改正の中では、新しく農水省関係施設が追加されますほか、従来の通産、運輸、郵政、建設各省対象施設についても、先ほど申し上げた農水省の部分を含んで十一の施設対象にということでお願いをしているところでございます。
  11. 福間知之

    福間知之君 大蔵省にちょっとお聞きをしたいんですが、NTT融資の問題で、これは結論的に言うと非常に消化難を起こしているというふうに見られるんですけれども、売却収入活用したいわゆる無利子融資制度のうちで民活向けは六十二年度中に約二十五件、予算額の一二%に当たる七十億程度にとどまっておりまして、結局五百億円以上を使い残す見通しだと言われております。こういうふうな事態になったその理由は一体何か。  使い残したものは翌年度に繰り越すと聞いておりますが、六十三年度新規財源と合計すると約一千五百億円の融資枠となる模様であります。果たしてこれがすべて消化できるのかどうか。その見通しについてお伺いをしたい。  あわせて、この無利子融資制度につきましては、十五年間の融資期間の後回収をし、国庫に戻す、その後国債の償還財源に充てられると聞いております。しかし、融資対象公共事業性格が近い、いわゆる低収益のものが多いだけに、例えば貸し倒れの場合、貸し手が弁済するために融資審査が極めて慎重になっている、こういうふうに聞いております。一体審査体制はどういうふうになされておるのか、何を基準審査されるのか。  以上について大蔵省にお伺いをしたい。
  12. 杉井孝

    説明員杉井孝君) 先生指摘のように、NTTCタイプの無利子貸し付けにつきましては、開銀等を通じまして融資を行っているものでございまして、これは六十二年度の下期から始まった制度でございます。かように、本制度が発足いたしましてからまだ余り時間がたっておりませんし、そういう関係もございまして、制度内容についての周知が必ずしも徹底していなかった。あるいは新たに第三セクターとしての事業主体を形成して行うものにつきましては、時間的に対応が非常に難しくて、年度内に貸し付けを行い得たのは、既に進行中のプロジェクトに限られたというような事情、あるいはまた先ほどお話がありましたように、民活法リゾート法のように特定施設認定地域指定といった法律的な手続に時間を要しているものがございまして、そういったいろいろな事情もございまして、六十二年度予定しておりました貸付財源の一部につきましては翌年度に繰り越すことになろうかと思います。  六十三年度につきましては、その繰り越した分も含めまして融資の枠ができるわけでございますが、六十三年度につきましては、現在開銀等におきまして企業審査あるいは融資相談に応じているプロジェクトが多くございまして、それらが本格的な実施段階に入るということもございますし、あるいは御審議願っておりますように、六十三年度予算におきましては貸付対象事業が大幅に拡充されるといった面もございますので、円滑な貸し付けが六十三年度においては行われるものと期待しているところでございます。  それから、お尋ねの審査の点でございますが、これは先ほども申し上げましたように、開銀あるいは北東公庫沖縄公庫を通じまして貸し付けが行われるわけでございますので、これはそれぞれの政府関係金融機関において審査が行われる。その場合におきまして個別事業ごとの具体的な融資審査は、民活事業等に関します融資審査につきまして、豊富なノーハウを持っております開銀等がそういう意味審査を行うことになるわけでございまして、この審査につきましては通常の融資の場合と同機の体制のもとで公益性あるいは採算性といった点にも留意いたしまして、適切に行われていると聞いております。
  13. 福間知之

    福間知之君 前段のお話は、これは大蔵省側としては受動的、受け身で提出されたものを判断するという以外にないわけですが、今年度はかなり出てくるだろうと、こういうお話ですが、それを私たちは期待もしておるわけです。  後段審査なんですけれども、これも一般論抽象論で私も申し上げざるを得ないんですが、具体的に、個々にそれぞれ余り厳しい審査をやればしぼんでしまうよと、こういうことが言いたいわけですから、そういうことのないように、ここのところでは具体的に申し上げるわけにまいりませんので、要望をしておきたいと思います。  それから、国で考えるこの民活というのは、最近は内需の拡大とか景気の均衡という時代の要請の中で、しかも財政上の制約ということもこれあり、民間資金をかなり頼りにする、大規模プロジェクト等事業を推進するという上で、そうならざるを得ないわけですが、これに対して自治体とか地域民間活力活用ということを展開されていく場合に、対象範囲もさることながら、その形態、あるいは住民経済団体も金を出し合って参加するところのいわゆる第三セクター、あるいは民間企業への一括依頼型さらには民間主導型、そのほか公設民営とか住民ボランティア中心型などさまざまな形態が出てきておるようであります。こうした比較的小さいプロに対しましても広く民活ということから、やはり助成をすべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。  本法律助成対象を限定しておるわけですが、その理由はどこにあるのか。あるいは政令指定にできなかった要因というものについて説明を願いたいのであります。  さらに、先ほど申したようないわゆる幅の広い草の根的な民活についてもほかの制度において助成措置が受けられるようにすることも一つの考えではないかと思うんですけれども、いかがですか。
  14. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) まず、第一点の対象施設法律上なぜ限定したか、政令指定方式というのがとれなかったのかという点についてでございますが、この民活法対象施設につきましては、これからの新しい経済社会基盤になるような施設を、公共的な性格を持つものではありながら、民間能力活用して整備をするという全く新しい手法として始めたわけでございますが、民間能力だけではなかなか実際には動きませんので、政府としてもいろいろ財政的に問題のある中ではございますが、先ほど来御指摘補助金税制面、さらには無利子融資といったようないろいろなインセンティブも与えるということにしております。それだけにまた施設範囲についてはこれを極力限定したい、こういうねらいが立法当初はあったんであろうかと思うわけでございます。  ただ、法律ができましてから、実は昨年も施設対象お願いいたしましたし、また今回もお願いをすると、こういうような事態になっておりまして、一方では政令指定方式でもう少し機動性を持たせたらどうかと、こういうような御意見があるのも十分承知をいたしているわけでございます。今回の法律改正の際にはこの点についても検討をいたしましたが、やはり政令に委任するとなりますと、その委任の範囲というのはある程度法律上明確にせざるを得ない。そういう意味からその限界というものがなかなか引きにくいというような技術的な問題もありまして、今回は見送らせていただいたというようなことでございます。  それから、御質問の第二点は、対象施設については地方民活草の根民活ということでいろいろ あり得るんじゃないか。特に小規模地域住民中心としたボランティア型の施設整備というものもあり得るけれども、そういうものについては対象にならぬかということでございますが、この点につきましては、ただいま申し上げましたような趣旨からいたしますと、そういったものすべてを対象にするということはなかなか難しいことではあろうかと思います。ただ、大都市圏地方とではおのずから対象施設規模その他も違ってまいりますので、これを全国一律にということではなかなか地域民活施設整備、実情にそぐわないという面が出てきていることも事実でございます。  特に、現在税制上の対象施設については事業規模が十億円以上のものという限定がつけられておりまして、これでは対象にならないというものも幾つか出てきておりまして、私どもこの金額の最低限度というものについては見直しができないかということで財政当局とも御相談をしたわけでございますが、残念ながら今回は実現に至りませんでした。ただ、御案内のように国土庁が今国会に出しております多極分散型国土形成促進法案対象地域において整備されます氏活対象施設につきましては、その整備費の十億円以上の限度というのが五億円以上というふうに引き下げられておりまして、こういった面では幾分とも地方の御要請に応ずることができるようになっているんではないかと考えられますが、今御指摘の点はこれからも私ども一つの大きな政策課題であると考えておりまして、積極的に取り組んでいく所存でございます。
  15. 福間知之

    福間知之君 杉山局長の話はわかりますが、その後段のいわゆる十億円以上ということにひっかからない、むしろそこが政令指定都市以外のところで数は圧倒的に多いわけです。したがって、他の制度でそういうものに助成ができるような工夫をする必要があるんじゃないかとお聞きをしましたら、今国土庁所管の多極分散型国土形成促進法ですか、国会にかかっていますね。それは基準が五億円以上になっているということですが、それぐらいのものですかね。もう少し知恵を出して、何かほかに該当する法律はないんですか。
  16. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 残念ながらただいま申し上げました国土庁が今国会に提出いたしております法案以外には名案かないわけでございますが、繰り返すようになりますが、他の法律の力をかりることもさることながら、むしろ民活法体系の中でできるだけ弾力的に事業費基準等も引き下げられないかというのが私どもの年来の考え方でございますし、地方からの御要請も強いように承っておりますので、今回は残念ながら実現できませんでしたが、今後の問題として全力を挙げて取り組んでいくようにいたしたいと考えております。
  17. 福間知之

    福間知之君 次に、助成措置一つでありますところの税制について伺いますが、今回の改正によりまして追加される施設用の家屋あるいは土地等に課せられる地方税についての減税措置は、特別土地保有税、事業所税の非課税、軽減でありまして、不動産取得税、固定資産税の軽減措置は講ぜられていないことになっております。昨年追加されました施設につきましても、インテリジェントビルや国際ビジネス交流基盤施設等につきましては、立法時にとられました地方税の減免措置が講ぜられなかったのであります。こういうふうに施設によって軽減措置に差がある理由は何かということについてお伺いします。
  18. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) お尋ねの点につきましては、確かにそういうような状態になっております。この点につきましては、私ども何とか制度の充実を図りたいと考えていろいろ財政当局等に要求もいたしておりますが、現在までのところ実現を見るに至っておりませんので、引き続いて先ほど来の対象限度の引き下げの問題とあわせてこれからの政策課題として力を入れてやらせていただきたいと思います。
  19. 福間知之

    福間知之君 局長、ぜひそれはお願いをしておきたいと思うんです。今の税制の大きな問題とは別にいわゆる民活推進という立場で申し上げておりますので、ぜひひとつこれは引き続いて努力をしていただきたいと思います。  次に、所管官庁の民活プロジェクトへの人的な介入の可能性という側面についてお伺いします。  地方民活の場合に、それを推進する観点に立てば、先ほど申した税、財政上の支援措置等財源問題もさることながら、地域振興といった観点からプロジェクトの企画、実施、運営の各段階で民間のメリット、例えば効率性や採算性、さらに自由な発想などを最大限に発揮し得るような人材を欲しがっております。こうした場合にそれぞれの所管省庁としてどういうふうに対処されるのか。言いかえますと、一歩踏み込んで対応するのかどうかということを具体的な事例があれば御説明を願いたいと思います。
  20. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 確かに御指摘のような点につきまして、地方では施設整備について人材が不足をしている、こういった面についての中央の協力を求める声が大きいのも事実でございまして、こういった点につきましては、既に廃止はされておりますが、いわゆる金丸民活懇におきましても大きな検討のテーマということで、そういった点について中央が地方に対する助力をすべきであるというような結論が出されていたように思います。  ただ、そうした結論は出ておりますが、私ども通産省の場合におきましても、現在のところこういった人的な面において地方に対して直接どういう面の御協力ができるかということになりますと、残念ながら甚だ限られておる状況にございます。むしろ、間接的ではございますが、私ども幾つかの施設整備につきましては、これを専門の団体に調査の形で委託をいたしまして、どういうような施設整備をしたらいいのか、また地方でそういう施設整備をする場合にどういう点について注意をしていったらいいのかというようなことについての専門家の意見をレポートの形にいたしまして地方にお配りをして参考に供している、こういうようなことがございますが、こういった点につきましてはこれからも力な入れていきたいと思っているところでございます。  六十三年度予算におきましては、自治体の人材育成のための委託費というものもごくわずかでございますがこのために計上もさしていただいておりますが、まだこの点では不十分のそしりを免れませんので、これから大いに努力をいたしていきたいと考えております。
  21. 福間知之

    福間知之君 これもまた後の問題に残るわけでございまして、せっかく少しの予算も組まれたようですから御努力を願いたいと思います。  次に、社会資本整備における民活枠の設定の余地があるのかどうかという点についてお聞きをします。  広い地域に影響を与える大きな規模プロジェクトというものは、国全体の社会資本の整備や当該地域全体の開発の方向と密接な関係にあると思われます。今回いわゆる四全総の計画が発表されたのでありますが、本計画において一定部分は民活にゆだねるなど、民活の役割分担について一考をする余地があるのではないかと思います。特に多額に上る余資を抱える民間側としましては、長期的な視点から地域開発のあり方あるいは開発の方向など基本的な事柄について明らかにしてくれれば対応の余地があり得るという立場が多いわけでありますが、政府はこの点についてどうお考えでございますか。
  22. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 先ほども御答弁申し上げましたように、この民活法自体がこれからの新しい経済社会発展の基盤となる施設民間の活力を利用して整備していくということをねらっているものでございますが、こういった考え方は特にまた最近になって強くなっているように思われます。四全総におきましても魅力ある国土の均衡ある発展というテーマを掲げておりますが、こういった中でいわゆる社会資本の整備につきまして特に民間の活力を利用すべき旨明示をいたしているところでございます。  そういった中で、各地域の開発全体のマスター プランができます際に、地域の総意を集めて、その中で施設整備についてそれぞれ官、民の役割分担を適切に位置づけていく、そしてその中で民間活力によって整備するものはこれだということをはっきりさせていくというようなことが必要であろうかと思われます。 これからの各地域地域開発計画の策定に当たって、その点について四全総で指摘をしているような方向で民間活力活用といったものが大いに図られていく、こういうことを期待いたしたいと考えております。
  23. 福間知之

    福間知之君 ところで、この民活対象施設の中に教育、文化施設などの追加の余地があるのじゃないかと思うんですが、地域経済の活性化、振興という立場からはやはり公共事業的な性格のものに重点的投入を行うことになるんでしょうが、その際あわせて地域の特徴を生かして産業の振興やあるいはその地域の人々の余暇対策といいますか、施設などに教育、文化を含む環境整備ということが必要ではないかと思うんですけれども、これらの施設について民酒の対象にしていくということが必要だと思うんですけれども、これは文部省、文化庁、お呼びをしていませんけれども、通産の方で御答弁を願いたいと思います。
  24. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 地域住民のための教育施設、文化施設等を民活法対象施設として整備促進できないかと、こういう御提案でございます。民活法上の対象施設については、法律上限定列挙をいたすことになっておりますが、その大きな枠といたしましては、経済社会基盤の充実に資する施設という枠がはまっているわけでございます。もちろんこういう枠の中で整備される施設につきまして、例えば国際会議場のような施設、または見本市場のような施設が、それが住民の文化向上のための事業の用に使われるというような間接的な効果も期待できますが、より純粋に教育、文化に関連する施設というものを民活法対象としてやれないかということにつきましては、残念ながら私ども、現時点ではかなり限界があるように思われるわけでございます。  ある程度多目的用途に使われるようなもの等、法律の弾力的な運用ということで可能なものが出てまいりますれば、それはその時点におきまして具体的な事例に徴して、この法律対象施設とすることができるかどうか、改めて検討をしてみたいと考えておりますが、現在までのところ、私どもの方にそういった点についての具体的な要望がまだ寄せられていない状況にあるわけでございまして、今後具体的な御要望がありました場合には弾力的に考えていきたいと思っております。
  25. 福間知之

    福間知之君 ぜひ積極的というか前向きというか、そういう姿勢で対応をしてもらいたいと思うんです。  かつて我々も視察をあちらこちらしてさましたけれども、また、個人的ないろんな行事で地方へ飛び回ることがありますけれども、いわば高度成長時代に各部道府県、市町村、特に市町村でかなり立派な文化会館とかいう施設を建設されているところを見ております。ちょっとこの町には不つり合いなほど立派だなと、ある意味では東京や大阪の部会よりも新しくてしょうしゃな文化会館などというものがあるところが結構あるんですね。しかし、その後経済情勢の変化、地方財政の窮迫というようなことでやや沈滞化しましたが、やっぱり複合的な目的、多目的といいますか、そういう知恵を出して、これからはつくっていくようにすべきだと思うんです。  経済基盤整備確立といいましても、それがまさに文化を抜きにした経済という発想で国際的にも批判されているわけなんですから、まず隗より始めよで、せっかくの民活プロで地域経済の活性化を図っていこうというわけですから、ぜひ前向きに私は対処願うことはこれは非常に地域住民にとっても関心のあるところですから、国の政治としてはやっぱり大事な問題じゃないかと、こういうふうに思っておるんで、要望を特にしておきたいと思うんです。  次に、建設省にちょっとお伺いをしますが、この民活に対する規制緩和の問題です。  国や自治体を通じました開発に係るいろんな規制の緩和や合理化ということは、民間の参加へのインセンティブとして不可欠であることは言うまでもありません。特に開発許可審査を迅速化することや、開発指導要綱の行き過ぎを是正すること並びに容積率の見直しなどを行うことが特に必要だと思われるのであります。これらの手直しが一部行われさえすれば実施可能となるというような場合、特別な措置が講じられてもいいと思うのですが、建設省のお考えはいかがですか。
  26. 西谷剛

    説明員(西谷剛君) 御指摘いただきましたように、開発関係の諸規制を緩和、合理化すること、これは民活のために大変重要なことだと存じております。このため建設省としましては、これまで、今おっしゃっていただきましたが、都市計画上の線引き制度の見直し、あるいは開発許可手続の迅速化、宅地開発指導要綱の行き過ぎの是正、あるいは特定街区やら総合設計制度によって容積率を割り増すというような措置などを通じまして規制の緩和を図ってきているところでございます。  今後とも優良なプロジェクト促進するという基本的視点に立ちまして、一層規制の緩和、合理化について見直しを進めてまいりたいと存じております。
  27. 福間知之

    福間知之君 ところで、昨年なり一昨年、この法案が国会で審議された過程で建設省が説明されましたプロジェクトについて、その後の整備状況はどのように進捗しておりますか。
  28. 青木保之

    政府委員青木保之君) 六十一年時点で把握いたしておりました十一プロジェクトのうち、幕張メッセと横浜国際平和会議場につきましては、特定施設認定されておるわけでございます。幕張メッセは六十二年度に工事に着手され、横浜国際平和会議場につきましては六十三年度中に工事に着手されることになっております。その他のプロジェクトにつきましては、特定施設整備に先立ち基盤施設整備が必要でございます。五地区について土地区画整理事業等の事業を進めておるところでございます。  それから、六十二年度におきまして、構想段階のものとして御説明申し上げましたものが十カ所と、こういうふうに申し上げておりましたわけでございますが、現在二地区で基盤整備に着手をしておるところでございます。残りの八地区につきましては、基盤施設の計画の具体化を図っているというところでございます。  特定施設につきましては、いずれの地区につきましてもまだ計画内容が確定しておりませんので、今後の課題ということになっておるわけでございます。
  29. 福間知之

    福間知之君 最近の新しい施設の申し入れ、あるいは対応はどのようになされていますか。
  30. 青木保之

    政府委員青木保之君) 特にございません。
  31. 福間知之

    福間知之君 これから積極的に出てくるというふうに期待もしているわけですけれども、その場合に建設省として規制の緩和ということについては特に留意を願って対応をしていただきたいと思います。  次に、この民活プロジェクトの推進と既存の計画との調整といいますか、そういう面でお聞きをしますが、プロジェクトの計画策定あるいは事業推進に関する地方公共団体あるいは民間等からの相談業務につきまして十分な努力をされてきたかどうか少し疑問を感ずる点があるわけです。  例えばある高速道路のわきに民活でもってインターチェンジをつくって、その周辺に各種産業施設をレイアウトするという計画を立てたという場合、だが、その土地の転用に当たって農水省の側から農振地域理由に農地転用はできない。地元経済界の希望の火を消してしまうということがあるわけですが、こういう場合にどういうふうに、何を優先して決断をすべきかということについてお伺いをしたいことが一つ。  また、これまでも実際に民活プロジェクト構想段階において関係省庁との事前調整が不可欠なものとされておりますが、他省庁との折衝等について事業者が何回も何回もあちこちで陳情するよう なことは大変ロスだと思うんです。これは一度で処理されるということが望ましいんですけれども、それぞれの役所は、悪く言えば、申請に来た場合にけちをつけるのが役所の仕事だというふうにも言われかねない。こういう欠陥があるように伺うんですけれども、そんなことはございませんか。  それから、かつて内閣官房特命事項担当室というようなものがあったんですが、これは先ほどの金丸副総理の時代だと思うのですけれども、複数の省庁関係するプロジェクトに対しまして、窓口として今申した内閣官房特命事項担当室というのが当たってきたんですけれども、十分に機能しないままに廃止されてしまいました。その理由は一体なぜなのか。それにかわる省庁間の連絡調整の窓口は一体どうするのか、御説明を願いたいと思います。
  32. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 幾つかお尋ねがございました。  まず最初に、民活施設整備に際して農振地域計画、その他他計画との調整はどうするのかという問題でございますが、これにつきましては民活特有の話ということではございませんで、恐らく社会資本、公共施設整備につきましては他の分野でも当然問題になってくることではないかと考えるわけでございます。こういった点につきましては調整それ自身を否定するということはなかなか難しいと思いますが、その調整のために多くの時間をかけてということになると、これは非常に問題になることであろうかと思います。  こういった点につきまして二番目のお尋ねでございますが、他省庁との間の調整について相当時間がかかる、こういった点について何か工夫を凝らす必要があるんではないか、こういう御質問に対するお答えになるわけでございますが、今私ども民活関連省庁は課長クラスでございますが連絡会というものを持っておりまして、そこで民活関係省庁の間の連絡調整は実質的にほとんど処理をする、こういうことでやってきているわけでございます。ただ、計画の認定につきましては、これまでのところ大体普通一カ月から二カ月という範囲内で処理をいたしておりますが、例えば関係する地元自治体の財政との問題等で他の関係省庁との調整に時間がかかった例で、半年ぐらい計画認定まで時間がかかったというようなケースが一、二あるわけでございますが、こういった点につきましても、今後できるだけ期間を短縮して調整が速やかにできるようにしたいと思っております。  また、地方公共団体との間の連絡調整というものをうまくやる必要があるんではないか、こういった点につきましては、この法案ができます段階から特に都道府県との間で協議会をつくっておりまして、年数回開催するのを常例といたしております。こういった機会を通じまして地方公共団体との間の連絡調整を十分に図ってまいりたいと思っております。  それから、お尋ねの金丸民活懇談会が廃止されたけれども、なぜ廃止になったのかということでございますが、この金丸民活懇は、民活プロジェクト促進のために当面どういう対応を政府としてすべきか。その中で、具体的には東京都の臨海部の開発計画を初めとして、幾つかのプロジェクトの推進について関係者からの御意見を伺うということでスタートをしたわけでございますが、これにつきましては一応報告をまとめて当初の目的は達成をしたということで廃止になった次第でございますが、この問題のアフターケアにつきましては国土庁が窓口としてこれに当たるということが廃止の際に定められておりまして、その後は国土庁を中心としてこの問題の処理に当たってきているところでございます。
  33. 東諄

    説明員(東諄君) 先生指摘の農振法の運用でございますけれども、一定の要件を満たす場合につきましては除外を今までも認めてまいっておりますし、民間プロジェクトにつきましては具体的にその計画の位置づけ等がなされました場合には円滑に対応いたしてまいりたいと思います。 今後ともそういう方針で対応いたしてまいりたいと思っております。
  34. 福間知之

    福間知之君 ちょうど農水が答弁に立たれましたので、農水にちょっとお聞きをします。  今回農水省は、民活対象施設としまして名乗りを上げておられますが、その理由についてお伺いをしたいのであります。つまり、少し皮肉なことを申しますと、これまで農水省の行政というのは、我が国の農林水産業というのは国際的に見て極めて経営基盤が脆弱であるということを理由に、いわゆる名立たる補助金行政、これを展開してきたのであります。すなわち、民間活力のないことを理由にしてきたことから見て、本来民活ということは考えられないではないか、なじまないのじゃないか。そのあたりをいささか疑問視するわけですけれども、ひとつ明快に答えてもらいたい。  それから、補助金削減下における民活関連事業費補助基盤につきまして、これが弱体化しているという問題についてお伺いしまずが、他の産業に比較しまして経営基盤が弱いとされる農林水産業界であるだけに、民活プロジェクトとして順調なスタートを切るためには、やはり相当な後押しがないとやっていけないだろうと思います。  最近、補助金行政の見直しが行われ、農水省はその矢表に立っているときだけに、果たして民活関連プロを促進するに必要な基盤整備助成ができる用意があるのかどうか。このあたりの準備は十分に自信があるのかどうか。関係者が安心して民活に取り組めるということになるのだろうか。この点についてお伺いをしておきたいと思います。  それからもう一点、農水省ですが、十一号のイ及びロ施設の区分の仕方についてであります。  今回農水省は、十一号ロ施設について、通産省とともに主管することになっております。この施設は卸及び小売業の業務の効率化を図るためのものでありますが、例えば野菜だけの卸共同流通ターミナルというのはいわゆる市場を想定すればいいのか、またその際、商品を輸送する機能も含まれるというふうなことであるならば、十一号のイ施設とその目的がダブることになりますが、この十一号のイ及びロ施設民活プロジェクトと所管区分はどのようになさるお考えなのか、実務的な面を含めて御説明を願いたい。
  35. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、農林水産省といたしましては、農林漁業の振興あるいは食糧等の安定的な供給のために諸般の施策を進めてきたわけでございます。その場合に、ただいま御指摘がございましたように、補助金というのは大変有力な手段として用いられてきたことは事実でございます。  ただいまの御質問で、それとの関係はどのようなものがあるのかというお尋ねでございますが、従来農業あるいは生鮮食料品の流通等につきまして補助金行政の対象といたしてまいりましたものは、地方公共団体あるいは農業者の共同の団体、こういうのが補助事業対象となってきておるわけでございます。  しかしながら、農林水産省所管の分野におきましても、いろいろな経済的社会的活動の多様化が進んできておるわけでございまして、例えば食料品につきましても、生鮮食料品中心から加工食品のウエートが大変高まってきておる、こういうようなことがございます。また、試験研究につきましても、従来国あるいは地方公共団体という公的な機関がほとんどそのすべてを担っておったわけでございますけれども、近年種苗その他の点につきまして、民間の活力を活用していかなければならない、あるいは加工流通技術につきましても同様の問題があるわけでございます。  私どもといたしましては、従来からの農業者を中心とする施策につきましては、従来からの施策を活用、展開をしてまいります一方、ただいま申し上げましたようないろいろな多様化される分野につきまして、第三セクター等で実施をすることがふさわしいものにつきまして、民間活力の導入の方式につきまして新しい道を開いていただきまして、これを実施してまいりたい、その両々相ま って施策の効果的な展開を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、ただいま、農林漁業関係基盤が弱いからこういう問題につきましていろいろ後押しをする必要があるのではないか、こういう御指摘でございますが、私どもといたしましてもいろいろな技術的な面その他につきましてこれらのプロジェクトが円滑に実施をされていくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。  次に、十一号のイ及びロの問題でございますけれども、御指摘のように、生鮮食料品につきましては、その物的流通のほかに価格形成、こういう観点から中央卸売市場の制度があるわけでございます。大変多数の生産者と多数の流通業者との間を非常に短い時間で、生ものでございますから短い時間で結び、かつ値づけを透明性のある制度実施をする、これが中央卸売市場の制度でございまして、生ものにつきましては私どもはこのような制度が今後とも重要であるというふうに考えております。  一方、先ほど申しましたように、食料品につきましても加工食品のウエートが大変高まってきておりまして、これらにつきましての流通の合理化というものの重要性が非常に強まっているわけでございまして、これらにつきまして今回の民活プロジェクトの中で効率的な運営を図れるものを見出していきたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。  なお、十一号のイの施設との関係でございますけれども、もちろん物的流通には輸送というものが伴うわけでございますけれども、これは私どもの所管の分だけではございませんで、イ及びロの施設の区分けの際に、法律に書かれておりますように、イの施設につきましては専ら輸送問題を取り上げられる、ロにつきましては品ぞろえその他の卸機能、小売のバックヤード的な機能、こういうものを中心に取り上げていく、こういうことで整理をされておるわけでございまして、この趣旨に沿って実施をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 福間知之

    福間知之君 時間が参りましたのでやめたいと思いますが、農林水産省関係につきましては当委員会に御出席いただくのは非常に珍しいわけでありますけれども、民活という観点から矮小化して農林水産の問題を考えるというよりは、今日本の国民全体が国内外の情勢の中で日本の農水業というものについて何はともあれ関心が高まってきておりますし、貿易摩擦問題もその一つでございますけれども、そういう意味で我々も勉強をしていかなきゃならぬなと思っている次第でございます。  最後に、経企庁にこの民活行政の内容についてお伺いします。  民活の施策の展開が急がれはするものの、各地域の実情や要望等を踏まえまして適宜見直しが必要なこともまた事実であります。また逆に、中央の施策の動向や他地域の類似のプロジェクト、それとの調整あるいは経験等が情報として交流されることが必要だと思います。  ちなみに、六十三年度の経企庁の新規予算の中で民間活力企画推進に必要な経費、何億かと思ったらたった六百四十万円、これが認められたところでございますが、その内容はどういうものなのか。金額が少ないだけに効果的に活用するお考えがあると思うんですけれども、行政内容として国内各地で競合するプロジェクトの調整あるいは各種プロジェクトのコンサルタント、こういうことを行われるわけですか。
  37. 柴崎和典

    説明員(柴崎和典君) 経済企画庁におきましては、かねてより経済対策等を通じまして民活の推進を図ってまいったところでございます。六十三年度におきましては民活の推進体制を強化しようということで、一つは組織の面で民間活力活用企画官を設置いたしました。予算面では先生指摘のような民間活力企画推進に必要な経費ということで六百四十万円程度の計上が認められておるわけでございます。この予算は一言で言いますと調査研究のための予算ということでございます。  どんな調査研究を行うのかということでございますけれども、今後細目を詰めていかなければいけないと思いますけれども、大きな柱としましては民活の内需拡大あるいは地域経済のインパクトの分析あるいは民活誘導施策あるいは民活のいろんな新たな分野への展開、導入、さらには民活を推進していく上で規制緩和は避けて通れませんので、この規制緩和の検討、このようなものを中心にいたしまして総合的な調査、分析、検討を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  したがいまして、今先生の御質問プロジェクトの調整ですとか、あるいはコンサルタント機能みたいなもの、こういうものを通じて発揮できないかということでございますが、こういう性格予算でございますので、直ちにそういうようなことにいくのはなかなか難しい面もあるわけでございますけれども、いずれにしましてもこのような検討結果を効果的に活用いたしまして、かつまた関係各省と緊密な連絡をとらせていただきまして民活の効率的な推進を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  38. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 民活法に入る則に、新型間接税の問題について通産大臣のお考えを伺い、意見を申し上げたいと思います。  きのうから新聞やテレビによりますと、自民党税調の方で商工団体の皆さんの意見を聞かれておるようでございまして、特にこの中では慎重論はありますが、その内容としては実質的にはこれは困る、こういう御意見のようでございます。まあひとつ通産行政一番おわかりの、特に中小小売店等が非常に苦しむわけですから、通産大臣としてはひとつ早々と、これはおれも反対だと、もっと慎重にやろうと、こういうお考えを伺いたいし、そういうように努力していただきたいんですが、いかがでございましょうか。
  39. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は率直に言って、大型間接税と言っていいのかどうか、間接税そのものに対して別に反対じゃないんです、いろいろと見方はあるでしょうけれども。例えば、中小企業者の中にも間接税というものが薄く広ければむしろそれに見合う大型減税というものが実行されれば消費を刺激して逆にいいんじゃなかろうかと思うという意見もあれば、それは困るという意見もあるし、それはやり方の問題だと思うんです。  例えば、まあいろいろと私意見を聞きますが、キャピタルゲインとかあるいはお医者さんとか弁護士さんに対する税制というものは不公平税制です。まずここらをきれいにしてから間接税論議をやったらどうだと、いわゆる租税特別措置法等をまず整理したらどうだという意見が非常に強くあることも承知しております。と同時に、また所得税とか法人税とかあるいは相続税とかというような直接税が過酷であり過ぎる。平たく言えば、月給もらうのにも源泉徴収であんなに天引きされるよりまずょこせと、買うときには払うからまずよこしてくれと、あんなあこぎな天引きで持っていくのは困るというような労働階級の意見も相当強くあることも事実でございます。  でございますから、私はこういう問題について、これが正しいんでこれが正しくないというふうに体系的に決めつけるのはいかがであろうか。やはりそれはやり方の問題ではなかろうか、このように思います。間接税は悪なり、直接税は善なりという考え方もちょっと行き過ぎだし、さりとて間接税でなきゃだめだというのもちょっと極端過ぎるし、それはやはりどのようにバランスをよくするか、内容をどのようにするか、特に零細企業に対して、あるいは逆進性の問題についてどういうふうに考えるかというような、きめ細かい配慮というものがどのようになされるかということの方がむしろ大きな問題、大切な問題じゃなかろうかというふうに思います。  私から余り税制について詳しいここを申し上げることは、私も意見がないわけではありませんけれども、これは今ちょっと微妙なときでございまして、私が下手なことを言いますと与党も野党も皆怒らせるおそれが生じますので、せっかくの御質問で、しかも突然の御質問だったものですから、私の偽らざる気持ちをちょっと申し上げてお きました。
  40. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 答弁は要りませんが、チェーンストア協会の清水さんあたりが言っているのは、十兆円ぐらいの大幅な所得税減税をするならばそれは条件として認めてもいいんじゃないかというような慎重論、そういう言い方をしております。それから特に、中小零細の商店街の皆さんというのはなかなかもう売り上げが伸びなくて間接税を価格に転嫁できない、こういう実態があるわけでございまして、その辺をよく、業界の声というのは、私は特に中小零細の立場で耳をかしていただきたいと思います。  次に、本論に移りまして、民括法の関係ですが、一昨年と昨年と、この民活法制定に当たりましては私も議論をさしていただきました。要するに言われていることは、民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法、いわゆる民活法というのは、「近時の技術革新、情報化及び国際化の進展等の我が国経済社会を取り巻く内外の環境の急速な変化に対応して、経済社会基盤の充実に資するような新しい施設整備民間事業者能力活用して促進するための各般の措置を講ずることを目的として一昨年制定され、」云々と、こう書かれております。それで、この説明によりますと、今回対象十一施設を追加する、その中には国際交流研修施設等を追加し、民間事業者による整備促進を図る必要がある云々ということで説明を受けておるわけです。  言われている内容については、私どもは最初からその内容については理解ができるわけであります。しかし、この実態は一体どのようになるのか。これらがいろいろとでき上がった結果、それからまた十年、二十年先になったら一体どういう役割を果たしているのか。うまくいっているのか、いっていないのか。赤字でまた手直しをしなきゃならないようになるのか。そういうところが非常にわかりにくいんですね。  それから国民経済、あるいは地域社会に対してどのような影響を、果たしてこんなに力を入れているが及ぼしていくのだろうか。こういう点について、どうも理解というか、この点に対して読みにくいわけです。この点について最初にお伺いをいたします。
  41. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) この法律によります施設整備というものが、これから長い期間にわたってどういうような影響を持ってくるのか、またそれを整備することによって地元地方にどういう影響があるのか、こういうお尋ねでございますが、まず施設整備に当たりまして私どもが、民間活力の利用を中心としながらも、その後補助金制度をつくりましたり、NTTの株式の売り払い代金によります無利子融資制度を創設するなど手厚い対応を加えてまいりましたのは、当初の見込みと若干異なりまして、やはりこの施設整備することによる事業主体の収支採算というものがかなり厳しいということがその後わかってきたからでございます。  当初予定しておりました百近い施設整備が行われるということも、現時点で計画の認定に至りましたのがまだ十八施設ということでございます。その後の経済状況等の変化はございますが、まだ思うに任せておりません。やはり長期的な収支採算という点が一つの大きなポイントであろうかと思うわけであります。  施設中心として整備をいたしますので、それの利用料を中心として収入を得るということになってまいりますと施設が完成したからといって直ちに採算がとれるというものではない。そういった点での収支採算がこれから果たして当初予想どおりにうまくとれるものかどうか。また特に、同様な施設が幾つかできてまいりますとその間の競争といったような問題も起こってまいります。 こういった問題につきましては、これからも時々の変化に応じて私どもとしては十分検討を続けていかなければならないことかと思っております。  ただ、地域に対する影響ということから見ますと、かなり大きなものがあるのではないかと思われるわけでございます。まだ現在まで認定をいたしました十八プロジェクトというのは大都市近郊の施設中心でございまして、地方施設というのはそんなに多くはございませんが、事業規模にいたしますとかなりのオーダーのものになるわけでございます。  例えば幕張メッセにいたしますと全体合わせて約四百億円を超えるような計画になってまいりますし、地方認定済みの民活プロジェクトの中で、例えば久留米のテクノ・リサーチ・パークと申しますのは事業費が二十五億円ということになっております。大都市近傍といえども四百億円を超える事業が行われ、地方で数十億円単位の事業が行われるということは、その経済的な効果というものも相当大きなものがあると思いますし、また問題は、その施設整備によってその後にもたらされる経済的な効果であろうかと思います。  テクノ・リサーチ・パーク等にいたしますと、そこでいわゆるベンチャービジネス等がこれから巣立っていって地方経済の振興のベースになっていくということでございますので、とりあえずの経済的効果は別といたしまして、むしろその後の施設の効果が出てまいりますことによる地方振興への効果、これは相当大きなものがある。またそこが私ども、収支採算の面で問題があるためでございますけれども、手厚い助成政府としてもしているその理由になろうかと思うわけでございます。
  42. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、今御説明がありましたこれまで認定をした十八の施設について、民間オンリーでやっているものと第三セクターのものとあるんじゃないかと思うんですが、その内訳についてお尋ねをいたします。
  43. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) これまで認定をいたしております十八のプロジェクトのうち、事業主体に対して地方公共団体が出資を行っているいわゆる第三セクターによる部分が十三プロジェクトございまして、残りの五つのプロジェクトにつきましては事業主体民間事業者のみの出資ということになっております。
  44. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その場合に、民間オンリーの場合と第三セクターの場合と、今の段階でなかなか判断しにくいと思うんですが、どっちがぐあいよくいきそうなんですか。これは感じとしてお伺いします。
  45. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) これは地元の事情によりましてまちまちでございまして、やはり民間の出資だけではやれない、むしろ相当地方公共団体から積極的な支援をしてもらわないといけないということで第三セクターベースになっているものが大半だという状況であろうかと思うわけでございます。  ただ、御質問は恐らく地方公共団体等の公的な資金が入ってくると、民間でやる場合に比べて運営その他の面で効率が悪くなるのではないかというあるいは御心配があるのかと思われますけれども、そういった点につきましては、まだ事業実施に着手して間がない状況でございますので、私どもも一概にどちらがうまくいっているということはなかなか申し上げられない状況にはございますが、地方公共団体中心として第三セクターベースの場合に、言われておりますような弊害が出ないように運営面ではできるだけうまくやっていただきますと同時に、むしろ役員等につきましても民間の数が多くなる、そういう格好でできるだけ民間主体の運営が行われることを期待したいものだと、かように考えております。
  46. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 地方財政の問題等について後から少し申し上げますけれども、非常に厳しいわけでございますが、どうもこの法律のねらいとするところはどちらかといいますと、私ども一昨年の段階では第三セクター方式よりも民間に主体性を持たしたやり方にウエートを置くような、そういう感じのことと受け取ってきたんです。しかし、今局長の答弁にありますように第三セクターの方が非常に多いと、これからもやっぱり多いんじゃないかと思うんですね。この点についてはいかがでしょうか。
  47. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 確かに民間活力を利用するということになりますと、事業主体におきましても民間中心、また第三セクターになる場合でもできるだけ民間出資の部分が多いということが望ましいと思われるわけでございますが、大体第三セクターでやっておりますところを眺めてみましても、出資金の中で地方公共団体の占めます割合というのはそんなに大きくない。むしろ民間の出資が過半数以上という例が多いようでございまして、そういう意味では第三セクターといえどもその主体は民間であるという原則は貫かれておるように思っております。
  48. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほど千葉県の幕張メッセの例が出まして、これは昨年の五月二十六日の本委員会におきます杉山産業政策局長の答弁によりますと、総事業費は四百四十億円、うち三百四十億円を県が負担をして、残り百億円は事業主体であります株式会社日本コンベンションセンターが負担する。そして第三セクターであります日本コンベンションセンターについては、資本金の十六億円のうちの五七・五%を公的セクターが負担をして、残りの四二・五%を民間が出資をすると、こういう答弁があります。  同僚の本岡議員の質問や主張は、これは民間民間といっても、経営者だけ民間の経営者を頭に持ってくるんであって、実際は土地も金も、しかも第三セクター、要するに日本コンベンションセンターという第三セクターもこれもわずか四二・五%しか民間は株を持っていない。全部要するに官でやっているじゃないか。これは一体、民活民活と言うけれども、まさにいいところだけ、大企業の経営者になるのか資本家になるのかわかりませんが、民間の人がぽっといいところに乗ってくるのではないか、そういう強い指摘が去年の本委員会の改正案のときに出されておるわけですが、私もどうも民活そのものも何かわかりにくいんですが、こういうやり方というのは民活とは言いながらやはりどうも民活の当初の考え方から大分離れているような気がするんです。  私は、いいところだけただ民間の経営者が来て少し金を入れて大きな顔をして、そして地域を支配していくというようなやり方に対しては反対なんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  49. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) ただいま御指摘のとおり、昨年本法律の改正案を提出いたしましたときに、当時の本岡委員から幕張メッセを例に引いてお尋ねがございまして、私の方からは幕張メッセの場合の特殊事情を御説明申し上げたわけでございます。  ただ先ほども御答弁いたしましたように、資本金のうちの地方公共団体出資ということで見ますと、幕張メッセのような場合はむしろ例外に属するわけでございまして、これまで計画の認定をいたしているプロジェクトの中では、例えばかながわサイエンス・パークにつきましては四十五億円の資本金のうち県及び市合わせまして十一億円でございますし、久留米のリサーチ・パークにつきましては資本金五億四千万円のうち県、市合わせまして一億二千万円、こういうような状態でございます。ほかの、つくば研究支援センター、千里ライフサイエンスセンター等々につきましてもむしろ民間の出資の方が中心になっているように思われます。幕張メッセの場合にはむしろそういう意味では例外の部に属する極めて特殊な事情がある。  そして、またこの件につきましては、当時そういう地方公共団体の出資が過半に及ぶということから、計画認定に当たりまして自治省との間でも相当協議に時間をかけてやった、こういうような経過があるわけでございますが、極めて特殊な例であろうかというふうに私どもは考えております。
  50. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私はこの民活法ができるときに多分質問したと思うんですが、要するに東京一極集中とか、首都圏、大都市周辺における民活法の適用というか、そういう施設をつくる場合には、やはりそれはある程度事業採算性等も、人が多いわけですからうまくいくはずですから、そこは思い切って民間の財力とかあるいは能力を引き出すために民間主体にやって、できるだけ地方自治体や政府は金を出さぬ。しかし、地方はそうは言っても、人口の少ない、過疎が進んでいるところでそんなに簡単にいかないから、やっぱり地方の場合はもう少し国が国土の均衡ある発展という観点からは力を入れてほしいと、こういう意味のことをずっと主張したんです。  先ほど福間委員の質問で、局長大蔵省との折衝のぐあいやあるいはこれからの考え方もお伺いをしたから御答弁は要りませんが、私はやっぱり使い分けてほしいし、できるだけ大都市周辺においては民間に金を出させるようなそういう方向で、この施設もこれからどんどん出てくるわけですから指導していただきたい。  そこで、今いろいろ久留米やあるいはその他の例が出ましたから、ちょっと私がすぐ近くで見てきた我が地元の大分県の例を少し申し上げてみたいと思います。  大分県では、通産省は既に御承知だと思うんですが、町の中心部に工業高校が移転して、その跡の三万二千五百四十一平米という遊んでいた土地をソフトパークにしようということで県が力を入れて、そしてこれを分譲形式とそれから賃貸形式と土地信託の三つの形で、いわば民活法の先取りみたいな形でこの法律ができる前に大体できたわけです。  土地を分譲する場合に、約半分の一万七千七百三十平米、約五千三百七十三坪を坪二十五万円で六つの企業に販売をした。その六つの企業、一つは電子計算センター、それから大分情報システム、ファコミック、それから富士通大分システム・ラボ、それからあと二つ、電子計算の専門学校ですね、これが二つ入っておるんです。そういうように、土地を売って一つはやっている。  それから、賃貸部門というのは、これは第三セクター方式で県と市と民間で金を出し合って、そこにソフトパークビルという建物を建てて、財団法人、社団法人が五つぐらい入ってやっておる。  それから、土地信託の部門では、中央信託銀行に県が運営を依頼して、そこでソフィアプラザセンタービルというのをつくりまして、NTTやNEC、それから大分交通、リクルートなど十社が入ってやっているわけです。  だから、地方自治体がここに思い切って金をかけたという形じゃなくて、要するに地方自治体は金がないものですから、ずっと誘導してきて運営をして、比較的うまくいっていると思うんです。県が負担した造成費や何かした部分というのはほとんど土地を売ったり何やらして回収をしているような状況なんですね。  これは民活法ができる前ですから、一切この法律からの補助あるいは融資等はないわけなんです。いわばこういうようなものをどんどん全国的に参考にしながら、通産省の方もあるいは各省もいろいろとやっていこうというんでしょうが、地方に行きますと、なかなか地方自治体も金かないものですからね、第三セクターの場合も、金を幾ら出してくれといって県が頭割りにしてくる。地方自治体というのは、そんな金がないのに何でもかんでも県が言ってくるということで、大分裏では摩擦が起こっているんですね。そういう状況というのが大体地方民活のやり方というか、もう限度はそういうところではないかと思うんですね。感想があったらひとつ聞かしていただきたいと思うんです。  それから、大分市がコミュニティーセンターというのをつくりました。これは自治省が詳しいと思うんですが、このコミュニティーセンターというのは、市の中心部に土地を買いまして、その買った土地の上に多目的のビルをつくりました。  相当大きなビルなんですが、一階に図書館があり、それから観覧席のあるホールをつくる。それから、二階、三階には会議ができるような部屋をたくさんつくる。あるいは柔剣道場があったり、バレーボールやバスケットボール、そういうものができるような体育館があったりする。そういう多目的ホールなんですね。一年間に百六十万人既 に入っている。わずか人口四十万の市ですが、非常に高い利用率です。  土地ぐるみ約七十億、建物が五十二億。全国から調査に来ておりますけれども、これで国のいろんな関係で、文部省とかあるいは自治省から出た補助が約四億ちょっとなんです。五億以下ぐらいなんですね。これは市が直営でやっているんです。  ですから、私は民活のあり方というのは、直営でやっても非常にうまくいくところと、民活でやらなければならないところといろいろあると思うんですが、そういう直営でやってもいいようなところは何でもかんでも民活にやらせないで、こういうのは公共団体でやったらいいというやつについてまで民活範囲に繰り入れるのはどうかなと、大分のコンパルホールを見ておりまして、そう思うんです。  私どもが地方に行きますと、あっちこっちに小さな公民館がありますよね。もしあの公民館が、どこか地元の金持ちのボスが経営する公民館であれば、地域住民というのは、なかなかそんなやつにまで頭を下げて何で入るかと、こういうことになる。だから、やっぱり公民館というのは、地方に行けばいっぱいあるんですが、利用されると思うんです。  だから、何でもかんでも民活民活というような物の考え方というのは、一時的に日本の財政が厳しい行革のときに今言われた手法としてとったわけでありますが、これからはもう少し公的部門でやるものは公的部門でやる、どうしてもここは民間部門でやるものはやるというような考え方に立って指導していただきたいと思うんです。  二つの例を出して私の考えを申し上げましたけれども、もし通産省答弁されることがありましたら、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  51. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 二つの具体的な例を挙げてお話がございました。  最初の大分ソフトパークの問題につきましては、実は私自身もこの計画がこれほど具体化する前だったと思いますが、現地を見せていただいたことがございます。そのときには、先生がおっしゃるソフトパークセンタービルというものでございましょうか、これはもう既にできておりました。  これと民活との関係につきましては、地元からのお話もございまして、ある程度私どもも検討さしていただいたわけでございますが、私企業に分譲して私企業の施設が建つ分、これはもう当然のことながら対象にはなり得ないわけでございまして、ソフトパークセンタービルその他公共の利用に供されるような部分については、例えばリサーチコアに入らないかとか、場合によったら情報センター、ニューメディアセンターとしての機能が考えられないかということを検討させていただいたわけでございますが、残念ながら現時点におきましては、整備指針との関係からいって、対象として認定することはできない。こういう結論に達せざるを得なかったという事情があるようでございます。  それからもう一つのコミュニティーセンターホールでございますが、多目的の用途ということでございますが、これはおっしゃいますように市が中心になってやると、こういうようなことでもございますので、今回の民活法との関係については、地元からの直接のお話もございませんでしたので、私どもが検討するという段階にはなっておりません。ただ、先ほど来の先生の御質問の中でお話がございますように、地方の場合にはやはりある程度民主体ということではなくて、官が主体になって行わざるを得ない部分があるのではないかと、この御指摘はまことにごもっともでございまして、こういった点につきましても、民活法の運用でできるだけ考えられるものは考えていきたいと思っているわけでございます。  今回、国土庁の方でまた新しい法案等の提出もされております。そして、あくまでも先ほどの御答弁の中でも申し上げましたように、民活法対象施設は社会経済の基盤となる施設と、こういうことになっておりますので、どちらかといいますと市民ホールのようなものについては、直接この民活法対象にすることは非常に難しいように思いますし、先生お話しのように他省庁から若干の補助金も出ているようでございますから、むしろそういうものについては既存の制度をもう少し充実していく、そういう方向で考えるべき話なのではないかなと、こういうような感じを今お話を承っておりながら抱いた次第でございます。
  52. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。  もう答弁要りませんが、この民活法というのは、要するに中途半端なんですね。民と官の、どっちにどうなのかというのが非常に中途半端なところがありますけれども、これからもやはり私は歩きながら中身をよくしていかないと、気がついたときにはどこに行っていたかと、こうなるような気がしますので、しっかり指導していただきたいと思います。  それから次に、民活法関係につきましては、十年間の時限立法でございますが、昨年一部改正法案が出まして、またことし一部改正法案が出まして、これはこれから毎年毎年こういう形になるのかどうなのか。いいものなら変えていかなきゃならないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  53. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 今回十一の施設の追加をお願いをいたしまして、法律ができましてから二年度目、三年度目に相次いで法律改正お願いする、こういうような事態になったわけでございます。  提案理由の中でも申し上げておりますように、今回特に追加希望が出てまいりましたのは、NTTの株式の売り払い代金の無利子融資制度、これが非常に施設整備については大きな支援措置として評価をされた結果であろうかと思うわけでございます。  こういうような事態にこれからもなる可能性もございますし、もう少し施設の追加というのを弾力的にできないか。そのためには法律で限定をするということではなくて、政令で指定できないかということも、実は今回の改正に当たっていろいろ考えてみたわけでございますが、政令に委任するとなりますと、その限界というものはやはり法律にはっきり書かなければいけない。そうすると、その限界を書きますためには、これからどんなものが出てくるのかというようなこともおよそ見当をつけないといかぬわけでございますが、この辺が非常に難しいというようなこともございまして、やはり残念ながら、従来のように各地でそういうプロジェクトの計画が行われました段階で御相談をいただき、それに応じて必要な場合に法律で追加をしていく、こういうプロセスをとらざるを得ないのではないかなと、とりあえず現段階ではそういうような判断に立ち至っているわけでございます。
  54. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、よくフィージビリティー調査という、可能性があるかないか、その見きわめをする調査ということのようでございますが、何かそういうコンサルタント会社が東京にあって、そういう調査を依頼されて料金を取ってやっている。どんな会社があるのですか。その料金というのは高いのかどうなのかですね。
  55. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 実は私どもも詳細を承知しているわけではございませんが、とりあえず頭に浮かぶものということで考えてみますと、地方での各種の民活事業等についてのフィージビリティースタディー、これを依頼に応じて実施できるような組織といたしましては、例えば各種のシンクタンク、野村総研でございますとか三菱総研ですとかというものがございますし、またこういった立地問題というのを専門にやっております工業立地センターというようなものもございます。こういったところで御依頼に応じてフィージビリティースタディー実施が可能かと思うわけでございます。  ところで、実際にフィージビリティースタディーをやる場合にどの程度の金がかかるのか。これも調査の濃密によりましてかなり変わってくる かと思いますが、恐らく私どもの感じでは、一件当たり金額にいたしますと一千万から二千万、そのぐらいの金額である程度フィージビリティースタディー調査というものが実施可能ではないかなというふうに考えております。
  56. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間がなくなりましたので次にいきますが、久留米のテクノ・リサーチ・パークについてお尋ねをいたしますが、もう概略でいいんですが、その進捗状況とそれから財源の問題等で自治省おられましたら、ちょっとやっぱり財源の問題でそう簡単にはいかないぞと、こういう問題もあったようでございますので、その辺の問題について通産省と自治省に伺います。
  57. 安楽隆二

    政府委員安楽隆二君) それでは私の方から、久留米テクノ・リサーチ・パークの概要を極めて簡単に申し上げます。  これは久留米・鳥栖テクノポリス建設のために産学官が一体となりましてバイオテクノロジーとかメカトロニクス、素材の分野を中心研究開発、企業化を推進することを目的としているリサーチコアでございまして、これを建設するということになったわけでございます。これは第三セクターである株式会社の久留米リサーチパークが、総事業費の約二十五億円の規模でございまして、うちその特定施設分というのが十二億円でございますが、これで施設整備するものでございまして、六十三年の三月に着工いたしまして六十四年の三月に竣工し、四月から運営の開始となっております。
  58. 二橋正弘

    説明員(二橋正弘君) 久留米テクノ・リサーチ・パークにつきましての県及び市町村の財政支援でございますが、ただいまお話ございました第三セクターに対します出資といたしまして、福岡県及び久留米市において資本金総額の約四分の一に当たります一億六千万円の出資をいたしております。それから、この民活のいわゆる施設整備補助金につきましては、国からの助成に対応いたしまして県で二千万円の助成をいたしております。それから、そのほかに久留米市は市有地の一部をこの事業の敷地に提供いたしておるところでございまして、先ほどお話のございますように県、市ともに非常に厳しい財政状況の中で財源の捻出をしながら、以上申しましたようなこのプロジェクトに対する財政支援を行っているという状況でございます。
  59. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それは自治省の方としても、久留米のリサーチパークのこの事業の進め方については滞りなく進むと、今のところは問題ないわけですね。
  60. 二橋正弘

    説明員(二橋正弘君) 私ども、主務大臣からこのプロジェクトの計画認定に当たりまして協議をいただいておりまして、その過程でただいま申しましたような地方公共団体財政支援策を講ずるということで一応スタートいたしております。現段階ではこの計画に従って進んでいくものというふうに考えておるところでございます。
  61. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 通産大臣、地方自治体の財政というのは、行革が言われ出しまして特に補助金の補助率のカットの問題等が進みまして非常に財政が厳しい。この前の一般質問のときに私は言いましたからもう時間の関係で繰り返しませんが、非常に厳しいんですね。ですから、もう御答弁は要りませんが、悲鳴を上げておりますから、やはり早急に補助率のカットやなんかというのは取り除いてやらなきゃあちこちに支障が出てくる、そういう可能性がありますので、御指導を賜りたいと思います。  次に、民活のやり方ですが、金丸民活懇といいますか、六十二年六月の民間活力活用推進懇談会がまとめました資料を読ませていただきまして、大都市とそれから地方とのやり方に対してちゃんと考えてやらなきゃいけないよ、問題があるよということを指摘されております。福間委員が繰り返し質問されましたから私も多くを言うことはないと思うんですが、通産省は十分この点は心してかからないと、簡単にはいかないんです。  例えば、我が大分県で言いますと、百二十万の中でみんなが物をつくったり売ったりして商売やってもどうしようもありません。しかも、子供たちはみんな中央に進むから学費なんか十何万送る。地方に落ちる金なんかはそうないんですからね。だから、そこのところもひとつ十分に配慮をしてもらって、実際にやる以上は生きた政策であってほしいと思いますから頑張っていただきたいと思います。  最後に、全くもうこれと関係ございませんが、通産大臣にひとつ答えていただきたいし、これから考えていただきたいんですが、大分県というのは、大分から熊本にかけましてずっと火山が走っておりまして、温泉がどんどん出ているわけです。今大変な温泉ブームです。私どもの別府市なんというのは入湯税というのを取っておりまして、一人一泊二日で百五十円か宿泊者から必ず取るわけですね。だけれども、今温泉ブームでありますけれども、浴室あたりというのは旧態依然としたところが多いわけです。もっと自然の石を入れるとかあるいは浴室にヒノキを使うとか、あるいはまた非常に自然の中で温泉に入れるか、そういうようなことを考えた場合に、今ホテルにしても旅館にしても赤字のところが多いものですから改良資金というものがなかなかないんです。だから、少なくとも三年据え置き、十年返還ぐらいの長期低利のそういう資金融資する。  これはもちろん九州だけでなくて、全国そういうところに行けばそれこそ民活や内需は拡大をしますし、また疲れた人が労働再生産をするために週末には温泉に入って疲れをとってまた労働に参加をすると、こういう点からも非常に無限の意義があるわけでございまして、そういうようなものが実際に具体的に検討をされないか、そういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  62. 田村元

    国務大臣田村元君) リゾート法で承認された地域、これは温泉保養施設などはNTTの無利子融資とかそれから開銀あるいは中小企業金融公庫の政策金融なんかの助成対象ということになっておるわけでございます。また、承認されていない地域につきましても、温泉を含めまして地域活性化のために中小企業金融公庫などによります各種の政策金融というものが行われております。  今おっしゃったとおりで、温泉というものは、私も大分県に関しては割合によく知っておる一員でございますけれども、今おっしゃいました中身の条件ということについてはまた検討しなきゃならぬでしょうし、基本的には今おっしゃいましたようなことをリゾート法自体も志向しておるわけでございますが、今後いろいろ温泉のみならずあらゆる面で総合的に検討検討を重ねていく、また実施して、それに対してまた至らざるところはそれを埋めていくということでございましょうが、温泉という問題につきましては特に十分検討するように私から産政局長等によく言っておきます。
  63. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう大臣からそのような答弁がありましたから、余り屋上屋を重ねますと変なことになるかもわかりませんし、きょうは観光関係などで運輸省の方もいらっしゃいますが、私が言っている内容についてその辺に対する事務方の理解がされているかどうか、そこが心配ですが、事務方としてひとつこの点について何かホットな対応というものを早くやってもらいたいような気がするんです。
  64. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 基本的には、ただいま大臣からお答えを申し上げたようなことで私ども積極的に対応してまいりたいと思います。  ただ、リゾート法その他での助成ということになりますと、対象になる施設につきましてある程度の限定が出てまいりましたりいたしますから、先生お考えのプロジェクトというものが具体的にどういうものであるか詳細にお聞かせをいただきまして、それに応じて現在どういう手段で助成がそれに対応できるようになっているか、これについてはまた改めて御説明を申し上げたいと存じます。
  65. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最後ですが、要するに旅館、施設の中に温泉がずっと無数にあるわけですね。それが旧態依然とした、まあ温泉が出ればいいわ、温 泉に入れるよと、こういうようなことなんですが、その中の施設をもっと自然を取り入れたりなんかして清潔にするような形で、三年据え置き、低利の三%以下ぐらいで、この際そういう資金を必要に応じて借り手があればやりますよ、使いませんかと、こういうようなことを私は大まかな構想なんですが持っておるんです。それは入湯税なんかで逆に別府市あたりは年間三億五千万の入湯税が入るんですね。別府市あたりはしたがって、そういう設備をやるのに一%だけ利子補給しようと、ことしは何かそういう提案を市が考えているようなんですが、今そんな時期じゃないかと思うんです。  これから国際経済摩擦や、あるいはレジャーが言われているときに、やはりずっと日本列島は温泉がありますから、そこにひとつ着目をして、内需拡大と働く人の疲労をとる、そういうところでひとつ大臣、前向きにひとつ大臣の任期中にやっていただきたいと思うのです。どうぞよろしくお願いします。  終わります。
  66. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は私の県にはほとんど温泉がないもんですから、思い至らなかった点もございますが、今段々お話しを承っておりまして、なるほどなという感じを受けておりますが、今ここでちょっと杉山君と話をしておったんですが、一遍よく検討をして、その上で報告するようにと今申したところでございます。しばらく検討させていただきたいと思います。
  67. 大木浩

    委員長大木浩君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  68. 大木浩

    委員長大木浩君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  69. 伏見康治

    ○伏見康治君 今まで同僚委員の方々がたびたび質問なすったことではありますが、話の順序として、民活法と呼ばれているこの法案を生み出した背景、それからその趣旨といったようなものをちょっと説明していただきたいと思います。
  70. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 民活法趣旨でございますが、これからの国際化、情報化等という、これまでと違った環境条件のもとで必要とされます経済社会のいわゆる基礎的、基盤的なインフラとでも言うべきような各種の施設整備、これを民間事業者能力活用して整備をしていこう、そのために必要な限度において政府としても特別の助成措置を講ずる、こういうことから立案され制定されたものというふうに理解をいたしております。
  71. 伏見康治

    ○伏見康治君 そういうことなんだろうと思いますが、非常に似たような性格で、つまり民間活力を利用するという意味で多分一年おくれてリゾート法というのができたと思うんですが、それと同じようなねらいが多分にあるようにも思うんですが、それの異同をどう考えるか説明してください。
  72. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) まずリゾート法との違いでございますが、リゾート法の方は、総合的な雇用ができるような施設地域というものを整備しようということでございます。またその採用されております手法につきましては、都道府県のつくりました計画を認定するということで対象地域を限定いたすことにいたしております。すなわち、限定された地域整備される施設について助成をするということでございます。  民活法の方は先ほど申し上げましたようなことでございますので、趣旨において若干違いがございますのと、手法におきましてリゾート法のように地域を限定するということをいたしておりませんから、いわば特定施設であれば全国どこにつくられるものであっても対象になる、そういう面での違いがございます。  ただ、実際の施設について見ますと、それぞれ民活法対象施設でありながらリゾート法対象になるようなものもございますけれども、それは事業者の方が民活法対象でその施設単体を整備されようと考えますと民活法の方に申請をされてまいりますし、他の施設と相まって総合的な保養地域の形成を図る場合にはリゾート法の方で計画の認定申請が出てくる、こういうことになろうかと思うわけでございます。
  73. 伏見康治

    ○伏見康治君 リゾート法を取り扱うお役所は国土庁なんですか。
  74. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 国土庁も入っておりますが、国土庁以外に通産省も入っておりますし、関係省庁が五、六省庁ございます。
  75. 伏見康治

    ○伏見康治君 民活法案が出る時点で、商工委員会の調査室がお出しになったものを拝見いたしますと、心配しなくちゃならぬ点が幾つか挙げられているわけですが、そのうちの大きなものを挙げますと、複雑なる許認可行政、それから用地の取得難、それから採算性への不安、少なくとも大きいのを三つ挙げますとこういうことになっているんですが、こういうことに対してはどういうふうな考え方で臨まれているんでしょうか。
  76. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 御指摘の三つの条件、すなわち各種の複雑な許認可が絡むという、恐らくこの問題は氏活施設整備のみならず、何か大規模施設整備をやろうと思うと必ず起こってくる問題かと考えます。こういった点につきましては、それぞれ他の法律で必要とされております許認可については、各担当省庁においてできるだけ民活施設整備の緊要性という観点から弾力的なお取り扱いがされることが必要かと思いますし、そういう方向でお願いをしたいと考えるわけでございます。  それから二番目に用地の問題でございまして、これについても、これまで具体化されました施設整備につきましてはほぼ自治体等が保有をしております用地をそのまま買い受けないしはもらい受けて使うという格好でやっているものが多うございます。もし改めて一般の民有地等を買収しようというケースになりますと、用地取得という点では多くの困難が出てまいると思いますし、また最近、問題視されております土地の値上がりとの関連等も出てくるかと思いますが、幸いなことに大体、事業実施主体、これまでの十八施設の中では十三施設までが第三セクター方式をとっておりますので、そういう観点から地元の公共団体の所有している用地等の利用が可能になってきております。  それから三番目に採算性の問題でございますが、これは確かに大きな問題でございまして、私ども承知しております限りにおきましても、単年度での収支採算が黒字になりますのは短いもので六年、長いものになりますと十年ぐらいかかりますし、その間にたまりました累積赤字を消して全体で収支が黒字になるというような状態が、現在計画されておりますプロジェクトで見ますと、早いもので十年、遅いものでは十六年ないし十七年というものもございます。  こういった長期にわたらないと収支採算がとれないということから、実は政府助成の面におきましても、民間がおやりになる仕事でございますけれども、補助金でございますとかNTTの売却代金の無利子融資のような、これまでに余り例を見なかったかなり手厚い措置が講じられているわけでございます。
  77. 伏見康治

    ○伏見康治君 今の三点のそれぞれについて意見があることはあるんですが、例えば許認可行政でいろいろな煩雑な手続が必要だというのは、この問題ばかりでなくて、国の行政のあり方一般として許認可というものはできるだけ簡素なものに整理すべきだと思うんですが、そういう意味でこれがむしろ簡素化する一つの突破口にでもなればいいのではないかと私は考えます。  それから用地取得というのは、公共団体が、市なら市が持っている土地を使わさしていただければ一番いいんですが、しかし、持っている土地が 変な格好をしていてちょっと買い足せば大変よくなるとかいうような場合があり得るわけですから、全部を、民有地を買い上げるというのはなかなか大変でしょうけれども、少し補足するといったような点は大いにお考えになるべきだというふうに考えます。  最後に採算性について、私の非常に乏しい経験から申し上げますと、京都の北の方の宝ケ池に国際会議場がございますのですが、建物は国のもので運営は民間団体がやっているという形ですね。私が学術会議の会長のときに、それを国際会議場として毎年三回ぐらい使わさしていただいたので非常におなじみなんですが、その館長に会いますと、いつでも訴えられることは要するに採算がとれないということでございまして、国際会議というのは夏場は相当多数ございますけれども、冬場になりますとほとんど数カ月にわたって何にも行事がないというようなことになるわけですね。ですが、雇っておられる方には給料を出さなくちゃならぬしというようなことで、非常な赤字続きで困られている。  その館長さん、結局どういうことをしたかというと、つまり国際会議場と銘打っているけれども、国際会議以外のことにいわば転用なすって、例えばつい最近亡くなった桑原武夫さんの喜寿の祝いなんていうのは国際会議場で行われたのを覚えております。そういう非常にいいことに利用されるのはいいんですけれども、だんだん下落してまいりまして、例えばファッションの展示場に使うとかというようなこともなすっているのを拝見したことがあるんですけれども、採算性ということを考えるというと、当初の目的だけに使っていたんではとてもそろばん勘定に合わない。それ以外のものにやっぱり進出していただかなければどうにもならないというケースがしばしば起こると思うんですが、そういう意味で、初めにこれこれの目的でつくったんだからということでその目的にとらわれますと非常にやりにくいことになるんですが、そこをもう少し融通をきかせて臨機応変に処置していくという態度が極めて必要だろうと思います。  特に民活、つまりお役所の仕事ではなくして、民間の方のお仕事を政府がむしろお手伝いするというような意味でなけりゃならないと思うんですが、そういう意味合いから申しますと、当初の目的、後にいろんなプロジェクトが書いてございますが、そういうプロジェクトにとらわれ過ぎるというのはどうかと思うんですが、その点に関してはどうでしょうか。
  78. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) おっしゃるように、採算の見地から考えますと整備の目的以外の用途に使用するということもあり得ると思います。私どもそういうことを一切してはならないということを申し上げるつもりはないわけでございますが、ただ、あくまでもこの法律によります施設整備政府のかなり手厚い助成を受けて行われ、しかもその目的が経済社会基盤となる施設整備ということになっておりますから、主たる目的が失われるというようなことであっては困ると思いますが、そうでない限りにおいては弾力的にやっていただくことも必要だと思います。  おっしゃるような採算性の面から考えますと、施設整備されただけでは十分ではございませんで、それをどう使っていくか、いわばソフトの開発ということが必要になってくると思います。私ども各種の計画につきましては一応それが完成された後に当初の目的どおりの採算に乗るように、その利用の問題についてはできるだけ知恵を出していただきたい。また、私どももジェトロその他の関係機関でその点でお手伝いすることがあれば、これはやらしていただくということを申し上げておりますが、そういうことで、採算の見地から、主たる目的が失われない限りにおいてはぜひ多目的に使われる場合にも私ども弾力的に考えさせていただきますし、そういうことを含めて、また事業主体の方におかれてはソフトの面の開発をぜひお願いしたい、こういうふうに考えております。
  79. 伏見康治

    ○伏見康治君 許認可行政について、先ほどもちょっと申し上げたんですが、ほかの省の方の御意見を伺いたい。  建設省は建物をつくるときの容積率とか、建ぺい率とかいったような、いろいろな認可の条件があるようですが、こういうものはどういうふうに弾力性を持たせるか。
  80. 西谷剛

    説明員(西谷剛君) 建設省では、民活プロジェクトを推進するために都市計画上の規制あるいは建築規制、これを弾力化いたしまして民間プロジェクトを支援するということが非常に重要なことかと思っております。  これまでも都市計画上の線引き制度の見直し、これは市街化区域を拡大するということでございまして、市街化区域になりますと原則として開発許可が要らないというようなこと、あるいは市街化調整区域ですと開発許可が要りますけれども、その許可要件あるいは許可手続を迅速化するというようなことをやっております。また、一定の優良なプロジェクトでございますと、一般の容積率、つまり体積でございますけれども、建築物の体積をさらに上乗せする、容積率の割り増しと呼んでおりますが、こういったことも講じてきております。  今後とも特に優良なプロジェクトにつきまして一層規制の見直しというものを進めたいと考えております。
  81. 伏見康治

    ○伏見康治君 次に農水省、似たようないろいろな法律がありますけれども、それはどういう方針でおやりになるか。
  82. 野田哲也

    説明員(野田哲也君) 私どもでは、農地法で農地が農地以外に転用されるときには許可制度をとっておりますけれども、民間活力活用によりまして経済の発展を図っていくということが現在の緊急な課題でございますことにもかんがみまして、この農地の転用制度の運用につきましても、数次にわたりましてその許可基準の緩和でありますとか、事務処理の簡素化、迅速化を図ってきているわけでございまして、こういう形で民間活力活用するプロジェクトの推進に対応してまいりたい、こう考えております。
  83. 伏見康治

    ○伏見康治君 まあ何年か先の採算性とか、そういう条件を考えるとやっぱり大都会の近くにつくりたくなるということじゃないかと思うんです。  それからもう一つ、こういう新しい情報化にしても国際化にしても相当高度の頭脳を使って計画を立てなければならない。したがって民活というときに、民間の方にそういう頭脳を持った人がたくさんいるといったようなことを考えるのはなかなか難しい、特に地方へ行くとそうだと思うんです。それで、とかく結果において大都市にこの話は全部集中してしまって、竹下さんの考えるような地方へできるだけいいものを持っていこうという、そういう基本方針と何かそぐわないような感じがするんですが、その辺のところはどうお考えになっているんでしょうか。
  84. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 確かに、これまで計画が具体化したものにつきましては大都市近傍での施設整備が多うございますが、それでも私ども心強く思っておりますのは、これまで認定をいたしました十八の計画の中では地方における施設整備というものも四件であったと記憶いたしておりますがございます。確かに採算の問題その他を考えますと、大都市近辺での施設整備の方がとかく先行しがちでございますが、こういったことから地方での施設整備がおくれるということも問題でございますので、私ども実は地方での施設整備につきましては、無利子融資につきましても、融資の比率を都市近傍で行われる施設整備の場合に比べて融資比率を高めるというようなことでの地域の負担軽減ということも考えておりますし、これからもそういう方向でいろいろとまた対応策を考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  85. 伏見康治

    ○伏見康治君 そうすると、融資率というか、そういう国の金銭的な援助というものは相当弾力的に相手によっていろいろ変わり得る、一律な比率的なものでないと理解してよろしいわけですか。
  86. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 無利子融資につきましては五〇%を原則といたしますが、都市近郊で行われる場合には二五%、場合によっては二七・五%というような差を設けておりまして、したがって、地域で行われます施設整備につきましては五〇%まで無利子融資が受けられるということでございますから、これは採算性の面ではかなりの寄与をするんではないかというふうに考えております。
  87. 伏見康治

    ○伏見康治君 それでもう一つ伺いたいのは、補助率、どういう種類のお金に対して補助を与えるのか。何か建物の何%かを出すとかというようなお話も承っているんですが、その補助というのはどういうたぐいのものであるかを伺わさしていただきたいと思います。
  88. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 昭和六十一年度補正予算におきまして、民活施設整備についての補助制度が創設されたわけでございますが、これは施設整備をできるだけ前倒しをして緊急に行わせるという目的から、当初は昭和六十一年度及び六十二年度事業実施に着手した計画につきまして補助をする。また、その補助の対象は、事業費の中から土地取得費及び土地造成費等を除きましたいわば上物の建設費、これにつきましてその建設費の五%相当額、これを原則国が三分の二、地方公共団体が三分の一の割合で負担をして、総額五%相当分の補助をする、こういうことで始めたわけでございます。  昨年末の予算編成の段階におきまして、当初は今申し上げました六十二年度までに着工したものについてということになっておりましたものを、施設整備がまだ必ずしも進展をしていない状況にかんがみまして、六十三年度着工分についても補助の対象にするということで財政当局の御了解をいただいたところでございます。なお、それぞれ着工しました年度から三年度分にわたって支出される先ほど申し上げました土地取得費造成費を除いた事業費の五%相当分についての補助ということになっております。
  89. 伏見康治

    ○伏見康治君 よく伺っていなかったものだから、先ほど五〇%とか二〇%とかいうお話がありましたね。あれは何のことでしたっけ。
  90. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) ただいま申し上げましたのは、政府及び地方公共団体から事業者に対しての補助金でございますが、先ほど説明をいたしましたのは事業費に対する融資でございます。したがいまして、これは無利子ではございますが、一定の期間たちましたら返済をしていただくということになっておるわけでございます。
  91. 伏見康治

    ○伏見康治君 それにしても、少なくとも五%という国のお金を直接投資なさるのは専ら建物なんですね。いわばハードウエアの部分にお出しになっているんですが、しかし田舎に行けば、田舎という言葉は悪いかもしれませんが、大都会を離れていけばいくほどそこに知恵者はどうしても少なくなるわけで、つまりいろんな計画なりあるいはある仕事をやっていく上でも、要するに地方へ行くと頭脳が足りないということになると思うんですね。  ですから、本当に地方に行って必要なのはそういうハードウエアというよりは、むしろソフトウエアの方が本当は欠けていて、それを補ってあげなければいけないんではないかという感じが極めて強いんですが、そういう方向で何か援助をなさるという、そういう方針はあるんですか、ないんでしょうか。
  92. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) ソフトウエア、ハード面の助成以外のソフトの面の助成と申しまして二つあり得るかと思います。一つは、そのつくり上げましたハードウエアをどうやってうまく使っていくかという面でのソフトウエアでございまして、それにつきましては、先ほど採算性の問題のときに御答弁申し上げましたように、主として施設整備をやりました事業者でお考えをいただくわけでございますが、例えば国際会議場とか展示場というような施設でございますと、私ども所管のジェトロ等がそういう展示事業とか国際会議事業ということについてはノーハウを持っておりますし、また海外に組織も持っておりますから、そういうところの蓄積というものを利用をしていただくということは可能であろうかと思います。そういう面での御協力を申し上げられるというのが一つでございます。  それからもう一つは、ハードウエアの整備そのものについても、計画の段階で必ずしも地方の場合にはうまくプランニングができないんではないか、そういう点について何か政府としてやるべきではないか、こういう御指摘もございます。そういったことから私ども、六十三年度予算におきましては、いわば民活対象施設整備のための人材育成という観点から、若干ではございますが予算を用意し、講習会、研修会という格好で地方民活施設整備のためのソフトウエアの向上ということにもお手伝いをしたいと考えております。  まだまだいずれにいたしましてもこの二つの点での対応は不十分だと思いますので、今後ともそういった面についてできるだけの施策の充実を考えてまいりたい、こう思っております。
  93. 伏見康治

    ○伏見康治君 伺うところによると、六十一年度のこの民活法のための予算、それから六十二年度もそうじゃなかったかと思うんですけれども、何か使い切れなかったというお話があるんですが、その数字がどうなっているか、またその原因はどこにあったかというようなこと。
  94. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 民活補助金につきましては、六十一年度補正予算の際に制度の創設をしていただきましたが、残念ながら六十一年度中に補助金の交付を執行することについては、これはできませんでした。六十二年度に入りましてからようやく総額四千万円ほどでございますが年度中に補助金支出をすることができるようになりました。  来年度はむしろ事業がいよいよ本格化してまいります。と申しますのは、事業の当初の段階では土地の取得、造成、またその以前には若干の仕事として施設整備のための設計というようなことがございますが、これは金額的にごくわずかでございますから、初期の段階では補助金対象になるようなものが非常に少のうございますが、計画が上物の建設に入りますとそこで急速に補助対象経費の額が膨らんでまいりますので、六十二年度は相当大きな額の補助金支出ができるものと、こういうふうに期待をしているところでございます。
  95. 伏見康治

    ○伏見康治君 その六十一年度予算は結局幾らで、いわば使い残しが幾ら、それから六十二年度はその数字がどうなっているかということ。
  96. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 六十一年度は三十五億円の予算計上をいたしましたが、今申し上げましたように年度内の支出はゼロでございました。六十二年度予算で十五億円を計上いたしましたが、これに対して実際支出されることになりますのは先ほど御答弁いたしました四千万円ということでございます。六十三年度は十四億円を予算で計上いたしております。
  97. 伏見康治

    ○伏見康治君 私の了解では、使い切れなかった予算というのは請求すれば次年度で使えるんですか。そのままじゃなくて何割かにして使えるんですか。そのルールを教えてください。
  98. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) この予算につきましては予算上繰越明許の措置をとっていただいておりますので、おっしゃいますように当該年度に使えなかったものにつきましては次年度で繰り越し使用が可能なように措置をされております。今御答弁申し上げましたように、六十一年度予算については使用ゼロでございまして、六十二年度に繰り越されましたが、繰り越されましたものを含めましても全体の使用の実績は四千万円ほどということで、この点は非常に当初の見込みと大幅に違ってまいりまして、まことに申しわけなく思っております。
  99. 伏見康治

    ○伏見康治君 そうすると、六十三年度予算総額は三十五億と十五億を足したものですか。
  100. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 六十二年度は、六十一年度からの繰り越しを含めまして予算上使用可能な補助金の額は四十六億一千万円余りになっており ます。そのうち先ほど申し上げましたように年度内に交付されますのが四千万円程度ということになりますので、六十三年度には、昨年度から十四億九千万円余りが繰り越されることになりまして、六十三年度の当初要求十三億九千万円余りと合計をいたしまして、全体で二十八億九千万円余りが六十三年度において使用可能な補助金の額ということになる計算になっております。
  101. 伏見康治

    ○伏見康治君 随分昔の話で、参考にならないということになるのかもしれませんが、私が大阪大学教授でありましたもう三十年近く前の話です。関西地方に原子炉をつくろうというわけで、京都大学と大阪大学がタイアップして原子炉をつくるための準備的な予算を取ったわけです。最初は京都大学の所有しておられました宇治の火薬庫の跡地に原子炉をつくるつもりだったんですが、それが土地の方の猛反対に遭いまして立ち往生いたしまして、それ以来新しい土地を求めてあちらこちら探して歩いて、最後に、御承知のように大阪府の南の方にございます熊取町にようやくその敷地を見つけることができたわけですが、その最後のところに到達するまでに実に五年間かかりました。したがって、当初予算なんてものはどっかへ吹っ飛んでしまっているわけですが、そのときに京都大学の事務局長予算が使えなかったということに対して非常な責任を感じられまして、我々はとめたんですけれども、責任を負って辞職されてしまったわけなんです。  それで、一遍つけた予算を使えないということは、私のそのときの経験から申しますとお役人にとっては非常に重大な、何か失敗であったということになるのではないかと思うんですが、そういう感覚はこの三十年ばかりの間にすっかりなくなったんでしょうか、どうなんでしょうか。
  102. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 先ほどもおわび申し上げましたんですが、これだけ財政的に苦しい状況の中で多額の予算を計上していただきながら、それが年度内に執行できず、翌年度に繰り越しましてもまだ完全に使用できない状況にあるということについては非常に申しわけなく思っておる次第でございます。  先ほどその理由等について申し述べさせていただきましたけれども、当初の見込みが若干過大であったのかなということで、今になって反省をしている状況でございますが、これからは今までのような多額の使用残を出していくということはぜひ避けていきたい、こういうふうに考えております。
  103. 伏見康治

    ○伏見康治君 全く新しいことを始める際にはいろいろエラーが起こることは当然なので、予算が使えないといっても私自身はそれほど悪いことだとは思わないんですが、ただ経験から学ぶということは必要だと思うんですね。ある計画をお立てになって、それが実際上使えなかったということは、その計画の立て方がまずかったというふうに理解すべきだと思うんですが、それが六十三年度も本質的には変わらないというのはちょっとおかしいんではないかと思う。つまり、六十一年度、六十二年度の経験を生かした何か変更があってしかるべきだと思うんですが、そういうことはお考えにならなかったのかどうか。
  104. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 先ほど年度ごとの予算の要求額については申し上げましたようなことですが、六十三年度はほぼ六十二年度の当初要求額と同じ額の予算を計上いたしております。ここらあたりは、本来でございますと事業がだんだんふえてまいりますから各事業支出が累積をいたしてきまして補助金の額としては大きくなってしかるべきところかと思いますけれども、実際の進行状況を考えますと必ずしも前年度予算をさらに上回るような予算を組まなければならぬということではございませんので、その意味におきましてはかなりこれからの計画の進捗をにらみましてかた目の数字を予算に計上をしたつもりでございまして、これまでの二年間の経験というものをそこに反映させていただいたつもりでおるわけでございます。
  105. 伏見康治

    ○伏見康治君 過去の経験に倣って再び誤りを犯さないようにしていただきたいと思うんですが、私は、基本的にはこういう新しいことを始めるときの事前調査といいますか、要するに何か準備不足ということがあったというのは否めないと思うんですね。これは一般的に申しましてハードウエアには大蔵省はお金を出すけれども、そういう事前調査的なことには大蔵省が金を出し渋るというところに私は原因があるんじゃないかと思うんですね。  大学関係でいろんな研究施設なんかをつくるときにいつも私は実は大蔵省の悪口を言っているわけです。大蔵省は唯物論者だと言っているわけです。と申しますのは、例えば研究設備をつくるとその研究設備を入れる建屋がどうしても必要になりますが、その建屋というものが私たちの要求する以上に立派なものをつくっていただく。 中に入れた研究設備というのは要するに研究の材料でございますから、三年か四年使ってデータをとってしまえばそれはそれでおしまいになるわけですね。だのに建屋の方は五十年も百年ももつような建屋ができているわけです。大蔵省のそういうことに対するセンスは少し時代おくれではないか。昔まだ世の中がのどかな、そういうソフトウエア的なものは頭の中だけで済んでしまってお金の問題にならない時代というのは確かにあったと思うんですが、大蔵省をいつまでも唯物論者にしておくのは私は間違いだと思うんですね。  ちょうど大臣がおいでになったんですが、途中からお聞きになってわからないかもしれませんが、とかくハードウエアには予算がつきやすくて、事前調査的なソフトウエアといったようなものにはつきにくいということがあると思うんですが、それに対して何か御意見ありますか。
  106. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) ちょっと実際の問題について私からお答えをさせていただきまして、後ほど大臣から御答弁をしていただきます。  確かに計画がおくれております背景には、先ほども御答弁申し上げましたように地方におきます計画の作成に当たる人材が乏しい、そういう意味でのソフトウエアが少ないということもあるようでございます。ただ、先ほど来御質問のありました予算の執行状況が悪いことにつきましては、実はその責任の一端は私どもにありまして、私どもの方は地元の自治体に、この計画はいつごろから事業着手をされますかと聞きますと、地元の方はいついつからと、こう比較的楽観的にお話しになります。それを、そんなに簡単にできないでしょうと、私どもの方で言うだけの材料がないものでございますし、また非常に早くやっていただくというのは結構なことでございますから、一応各地方公共団体からお話のございましたようなスケジュールで着工をするということで予算を組みますと、実は計画が熟さずにおくれていく、こういうのが実態でございます。  そういう背景には、今申し上げた地方における人材不足というようなこともあると思いますが、新しい事業でありますだけにいろいろ地元との交渉、出資をする民間企業等との交渉等、細かい問題があっておくれているようでございますが、ソフトウエアの問題も看過できませんので、今年度から地方公共団体等におきます民活プロジェクトのプランニングに関する能力向上を図るための研修会のようなものについての予算も取っておりますので、そういう面から若干なりとも地方のお役に立つようにしたいと考えておるのが現状でございます。
  107. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は大変申しわけございませんが、今まで衆議院の本会議に出ておったものでございますから、御質問の御趣旨が正確にはちょっと私わかりませんけれども、これは民活プロジェクトということよりむしろ一般論としてお聞きいただきたいと思います。  私は、大蔵省、特に主計局、次いで理財局でございましょうが、非常なふんまんを感じることもあれば、なかなかよく読んでいるなと感心することも実はございます。ただ、これは主計局ももちろんでございますが、それに対応する各省庁ももっと真摯であるべきではなかろうかという感じもいたすのであります。  ただ、予算措置というものを伴うポリシーということになりますと、全部ではございませんけれども、その多くは各省庁の立案であるといえどもその決定権は財政当局にある。一つまみの大蔵省の人々が、日本の政策を左右するというと言い過ぎかもしれませんけれども動かしていく。例えば、公共事業に関しては関係省庁も、あるいは大変失礼な言い方でありますが、与党といえども発言権がほとんどない。公開財源といえども、それはシーリングの関係でもう逆算しての話でございますから、だからこれを動かすわけにもいかないというようなこともございます。  でございますが、だからといって今度は大蔵省が野放しにするわけにもまいらぬだろうと思いますから、やはり各省庁がぎりぎりのところで、しかも一たん要求して、それに財政当局が対応してくればそれは責任を持ってやり遂げてみせるという、それなりの十分の準備も要るんじゃなかろうかというふうに思います。  今杉山君は、この杉山君というのは大変正直で率直な人でございますから、あえて自分たちの責任という言葉を使っておりましたけれども、こういうことでお互いに切磋琢磨していくということはいいことだろうと思いますが、特にそういう点においては私は所管大臣、いわゆる担当大臣という存在が非常に重要なあるいは微妙な立場になる。その大臣の考え方あるいは行動力というものが大きく左右することも間々あり得るということから、責任の重大さを痛感しておる次第でございます。
  108. 伏見康治

    ○伏見康治君 いや、私自身が大蔵省から予算をもらうときにさんざん苦労いたしましたものですから、それのうっぷんを今晴らしているところもございます。とにかく大蔵省は唯物論者で、なぜ唯物論者なのかというと、物ならば後に残る、ソフトはすぐ消えてしまうという、そういう返答なんですね。これは打ち破っていただかなければいけない常識だと思うんです。むしろこれからはソフトウエア、頭の方がずっと物を言う時代だと思いますので、ひとつ大蔵省を大臣、説得してください。  それで、もう一つ伺いたいのは、この民活法でいろいろなプロジェクトのテーマを掲げていただいて、そして六十三年度また新たなるテーマが何項目かつけ加わったというのを伺っておりまして、そのテーマの一つ一つはよくお考えになった立派なものだと思うんですが、しかしこういう内容のことを法律に書くということは、ほかの法律の場合と比べてみて、何かそぐわないような感じがするわけです。  つまり、こういう一つ一つの個別のプロジェクトのテーマといったようなものは、私の常識では何か政令事項であって、国会で必ずしも議論しなくてもいいものではないか。国会はつまりその根本を議論すべきであって、あとの細かいことは行政当局にできるだけお任せする。ふだん言っていることとちょうど逆なんでして、言いにくい点があるんですけれども、つまりふだんはなぜ国会に相談しないのかと言って怒っている方が多いと思うんですが、この件に関しては、私は政令事項をどうしてこんなふうにたくさん載せてしまったのかという疑問を禁じ得ないわけでして、その説明をしていただきたい。
  109. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 法律を最初につくりました段階では、経済社会基盤となるような施設の中でも特に重要なものについて政府がある程度助成をした上で民間の活力で整備をしていただく、そういう意味で、恐らく限定をするその意向が強くて法律でわざわざ対象施設を特定するというような形をとったのではないかと考えているわけでございます。  その後の推移を見ますと、昨年の国会でも追加をお願いをいたしましたし、また今回も十一の施設の追加をお願いをするということで、国会の御審議を煩わすということについてもいかがなものか。おっしゃるように、政令指定ということで弾力的に追加するという道を開いていくということは考えられないだろうかということで、内閣法制局とよく御相談もいたしたわけでございます。  やはり法制的に法律の委任を受けて政令施設を限定するということになりますと、どの範囲のものに絞るかというある程度委任をするに当たっての限定と申しますか、境界をはっきりさしておかなければいけない。そうしたときに、この多種多様にわたります施設というのを経済社会基盤整備に資する施設というだけで政令に委任してしまっていいかというような実は法律技術的な問題等もございまして、とりあえずは従来どおり法律で追加指定をお願いするということになったわけでございます。  ある程度施設の追加というものが行われてきておりまして、その範囲というものがおのずから煮詰まってくるということになりますと、今回は名案はございませんでしたけれども、あるいは政令に委任をする際の書き方等でも何か知恵が出てくる可能性もございますので、この問題は引き続いて検討課題とさしていただきたい、かように考えております。
  110. 伏見康治

    ○伏見康治君 また来年もとにかく恐らく法律を改正なさるんでしょうから、その改正のときに、単に項目をつけ加えるという意味の改正ではなくして、根本的に根幹のところだけにとどめていただくといったような改正をしていただきたいと思います。  そして、あとのいわばイグザンプルはイグザンプルとして議論をすべきだと思うんですね。そして、いろんなテーマの中に、私は私自身の考えるテーマが幾つか思い浮かぶんですが、こんなことをしたらよかろうといったようなテーマが浮かぶわけですが、これは全くの思いつきみたいなお話で、シリアスにとっていただかない方がいいんですが、例えば分析センターなんというのをつくっていただけないだろうかという感じかいたします。  と申しますのは、いろんな分野で分析業務というものがたくさんございまして、それがあっちにもあり、こっちにもありということで、総合的にやったらばいいんではないかと思うことが、本当にばらばらに行われていると思うんです。公害問題のたぐいもございますし、それから厚生省関係の食品の分析もございますし、チェルイブイリの事件があれば放射能の検査もいたしますし、そういう分析業務というものが至るところに散らばって、それぞれその目的に応じてつくられているおそれがある。そういうものをもし総合的に一つのセンターで処置したらばいいんじゃないかなというような感じかするんですが、これは思いつきで申し上げているだけです。  それともう一つ、これは民活法に直接関係はないんですけれども、大臣がおいでになったので、前回質問してちょっと足りないところ、つまり秘密特許の問題をちょっと議論したいんですけれども、いろんな意味で秘密特許を、日本の特許制度に異質的なものを受け入れるということが、今後日本の特許制度に対していろんな影響を及ぼすはずだと思うのですが、その影響についてどういうふうにお考えになるか。そして、その影響に対してどうしたらば悪影響を逃れることができるかといったようなお考えを聞かせていただきたい。
  111. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 先般実施に入りましたこの五六年協定でございますが、かねがね御指摘がございますように、特許公開の原則に対する例外をなすではないかという点が御指摘の影響という趣旨になろうかと思います。  ただ、私どもは、この例外という点でございますが、一般的に秘密特許制度をつくるんではなくて、この五六年協定に盛り込まれているような極めて限定的な形での例外であるということでございますので、影響皆無ということではございませんが、この限定的な例外である現行の枠組みでの実施である限り、それはやむを得ないことではないかと、このように理解しておるわけでございます。
  112. 伏見康治

    ○伏見康治君 初めいろいろ御説明を伺っている段階では、アメリカさんから出てくる秘密特許を日本が預かるといったような形の話だけであった と思いますが、つまり協定特許というんでしょうか、それに対して最後の段階で準協定特許という言葉が新しく出てきたと思うのですが、この準協定特許というものは何であるかちょっと説明していただけますか。
  113. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 協定出願は、アメリカで秘密扱いになっておるものを日本に出願された場合でございますが、準協定出願と申しますのは、そのもとの協定出願の発明内容を公にしてしまうことになるような日本での出願、こういうことでございます。それで、その準協定出願の実務的な理解の仕方は、このもとの協定出願の発明内容を知らされた者が出願する特許出願であって、その出願の中身がもとの協定出願の内容を公にしてしまうものである場合、そういう内容が準協定出願でございまして、これは決して今回新たにそういう準協定出願を実施に当たって拡大して取り込んで実施をしたということではございませんで、五六年協定及びその議定書において、その考え方があらかじめ予定されておったものでございます。
  114. 伏見康治

    ○伏見康治君 協定、出願というと、これはとにかくアメリカ側が直接言ってきたものですね。それから、準協定というのはそのもとはアメリカにあるのかもしれないけれども、とにかく直接特許庁へ言ってくるのは防衛庁が言ってくるものですね。  そこで伺いたいのは、秘密というのは一般的にいつも困ることがあるんですが、アメリカで秘密にすることをクラシファイと言うわけですが、学者仲間で一体何がクラシファイされて何がディクラシファイされるんですかと聞いたことがあるんですが、そうしたら、何がクラシファイされるかということがクラシファイされているという返答であったわけです。  つまり秘密というものはそういうふうにしなければ守れないわけで、何が秘密であるかということを言ってしまったら秘密の大部分は出てしまうわけですね。ですから、私は防衛庁が準協定特許なるものを秘密のままで特許庁に押しつけてくるときに、その本当の中身は言わないと思うんですよ。ですから、特許庁としては恐らく全く受け身で、本当は秘密でも何でもないものを秘密と言われて受け取るのかもしれないですね。というのは、太平洋戦争中に軍人さんとつき合ってつくづく思ったんですが、そのころは特許庁に兵隊さんがたくさん入っておりまして、あれも秘密だ、これも秘密だといって大変困った御経験が皆さんおありになるはずだと思うんですが、秘密というものはそういう力を持っているわけですね。  そういう傾向に対して、特許庁としてはどういう対抗策がおありになると考えていますか。
  115. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) この準協定出願であるかないかという判断は特許庁が責任を持って行うわけでございます。その場合に、今先生が御指摘ありましたように、防衛庁が関与をすることがあるだろうという御指摘でございますが、それは判断そのものを防衛庁にお任せするということではございませんで、防衛庁に所要の協力は求めますけれども、この準協定出願であるかの判断は特許庁が責任を持って判断をする、そういう体制で行うことにしておりまして、この点につきましては防衛庁とも考え方にそごはないと考えております。
  116. 伏見康治

    ○伏見康治君 今度の特許法のいわば性格が相当変わってくるはずだと思うんですが、その際にできるだけ普通の意味の特許に影響を与えないような配慮をずっとしてこられたと思うんですね。その一こまとして、今言われたような準協定特許あるいは協定特許と呼ばれているようなものができるだけ影響を及ぼさないためには、それの性格をできるだけはっきりさせる方がいいと思うんですが、御説明の中にありましたように五六年ごろから始まった日米防衛協定的なものの中から生まれた概念でございますので、こういう話というものは防衛目的のためであるということをむしろはっきりとつけていただくべきだと思うんです。  一番問題になるのは、日本の特許はあくまでもシビリアン、民生用のものであるという建前、そこに防衛的な要素が入ってくるならば、むしろ防衛という衣裳をはっきりさせていただきたい。 それが民生にも半ば使えますといったような顔をして民生の中にもしのさばり出すと、特許制度に対する重大な影響を与えることになると思いますので、何かちゃんとした、これは防衛目的のためですというレッテルを張っていただきたいと思うんですが、どうお思いになりますか。
  117. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) まず、仕組みそのものといたしまして、この協定及び議定書において、協定出願及び準協定出願は防衛目的のものに限ると明定しております。そして、防衛目的のもとで、しかも防衛目的であればすべてということではありませんで、アメリカ政府から日本国政府に防衛目的で提供されたものに限ると、そういうことで制度上防衛目的であるということはまず明確になっております。  実務的にも通常の出願と防衛関係の協定及び準協定出願との混同が出ないようにということでございますが、先ほど申し上げましたように準協定出願のまず明解な割り振りとしては、協定出願の発明内容を開示されている人に着目しましてその人が使うものに限る。したがって、協定出願の内容を開示されていない人は一切防衛目的のこれらの諸制度関係ないというところで、まず截然と実務的に分けるという措置をとっておるところでございます。
  118. 伏見康治

    ○伏見康治君 もう時間がなくなってしまいましたので、最後に一つだけ。  とにかく秘密的なものを日本側が受け取るわけですから、その秘密を取り扱う方々がもし秘密を漏らした場合に罰則規定というものがいろいろ新たに設けられるのじゃないかと思うのですが、それを簡単に説明していただいて私の質問を終わります。
  119. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) もともと通常の特許関連資料が秘密性、つまり公開までは秘密資料になっておるということから特許庁職員には守秘義務がかかっております。これは当然でございますが、協定出願の中にも秘密保護法の対象になるものも含まれ得るということでございますので、そういったものを扱う特許庁職員につきましては秘密保護法の適用があるというふうに考えております。したがいまして、その適用の範囲が二千三百人という特許庁職員の広い範囲に広がらないように、最小限の人員でこの関連の業務を処理するように措置したいと考えておるところでございます。
  120. 市川正一

    ○市川正一君 本法は、一九八六年五月に制定されて二年たちました。 その間に二回の法改正と二度にわたる助成措置の拡充が実施されております。まことに異常、異例と言わざるを得ません。なぜこんなに頻繁に改正をしなければならぬのですか。
  121. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 法律改正は今回を含めて二度お願いをしているわけでございますが、二度の改正は、国際化、情報化といった経済情勢の変化に対応いたしますこれからの新しい経済社会基盤となる施設として整備しなければならないものが法律制定当時想定したもの以上にふえてきた、それを対象施設として整備を進める必要が出てきたということでお願いをしたわけでございます。  また助成措置の改正、二度にわたってとおっしゃいましたのは、恐らく一度目は六十一年度補正予算お願いをいたしました民活施設に対する補助金制度の導入をお指しになっているんだろうと思いますし、二度目はいわゆるNTTの株式の売り払い代金の無利子融資制度のことをおっしゃっているんであろうと考えるわけでございますが、前者につきましては、いわゆる円高デフレというような状況のもとにありました中での内需振興策の一環としてせっかく成立さしていただきました民活法による施設整備というものをできるだけ前倒しをして促進をする、それが内需拡大につながると、こういう観点からお願いをして制度をつくっていただいたわけでございます。  NTTの無利子融資の問題につきましては、これらの施設整備がかなり収支採算的に長期にわたらないと採算がとれない事業であり、これまでの円高デフレ下で全般的に設備投資が低迷している中におきまして事業実施に踏み切っていただくためには思い切ったインセンティブをとらないといけない、また特に地方において施設整備のためには大都市周辺以上に積極的な助成が必要である、そういう観点からたまたまNTTの売却代金の利用という問題が出てまいりましたので、その対象民活施設整備というものも加えていただいている、こういうことで二度にわたる助成措置の拡充を行った次第でございます。
  122. 市川正一

    ○市川正一君 二度と言うけれども、二年足らずの間に二度なんですよ。その都度同じことを聞かされるし、またこれからも聞かされそうなんですが、現在認定されているプロジェクトは十八件と承知しております。この対象プロジェクトの認可状況と助成措置の拡充とがどういう関連を持って推移しているのかを伺いたいと思います。
  123. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 現在まで整備計画認定をいたしましたプロジェクトの数は十八でございます。  助成措置との関係でございますが、六十一年度に創設をいたしました補助金制度、これにつきましては、実は当初の計画以上に事業実施スタートがおくれておりますので、むしろせっかく制度は創設をいたしましたが、計画の認定になるものが当初予定した以上に少なかったというのが私どもの判断でございます。  また、二度目の助成措置の導入でございますが、それは、認定促進につながるということもさることながら、これまで地方でアイデアとしてはありましたが、実際の計画として出てきていなかったような、今回追加をお願いしておりますような幾つかの施設整備が現実の問題として持ち上がってきた。そういう意味では、二度目の無利子融資制度の導入というのは大きな効果があったものと思われますし、むしろおくれておりました計画も、これから今年度においてはかなりの数出てくることが予想されておりますので、おくればせながら計画の認定の面でもこれからその効果が出てくると、こういうふうに考えております。
  124. 市川正一

    ○市川正一君 私なりに今の時期と関連して整理してみると、去年の九月までは四件でした。ことしの三月までに十四件、こうなっています。つまりNTTの無利子融資制度の創設、そして、ことし三日末までに認定されたプロジェクトに対する五%の事業費補助制度対象になることを期待した駆け込み申請、駆け込み認定がここからうかがえるんです。  法律制定当時は約百件のプロジェクトが予想されていると、こういうふうに私ども聞いておりました。ところが、実績ほ十八件。その真の原因は、今局長いろいろおっしゃいましたけれども、私は、経団連が昨年七月に行った提言、ここにその全文がございますけれども、「民間活力プロジェクトは、初期段階において苦しい採算を余儀なくされがちであり、これへの支援措置を拡充、強化すべきである」、こういうふうに、言うならば揺さぶりをかけておる、ここに私は真の原因があると思うんですが、大企業が要求するような助成措置を拡充していかないと事業は進展しないので、その都度毎年のようにこういう法改正、助成措置の拡充が行われておる、そういうふうに見ることはこれは間違いですか。
  125. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 民活施設整備について、採算性の点で極めて長期にわたらないと採算がとれない、そういう意味で、昨年の前半のような状況のもとにおきまして、なかなか事業実施に踏み切れなかった。そのために整備促進する立場からは、さらに積極的な助成を求めるという声があったことは事実でございますし、私どもも実はそういう観点から必要とされる施設整備を早急に進める。そのためにNTTの無利子融資制度等を財政当局お願いをしてつくっていただいたわけでございます。  おっしゃいますように、事業実施に関連するところに大企業があるからという意味でまいりますと、大企業助成のためではないかという御批判もあるいはあろうかと思いますが、むしろ施設整備されることによる地域経済への影響、その他の効果を考えますと、むしろ一概に大企業に対する助成促進強化というような御批判のみというのはいかがなものであろうかと考える次第でございます。
  126. 市川正一

    ○市川正一君 それでは伺いますけれども、五%の補助金制度は八六、八七年度中に事業化したプロジェクトに対して三年間、事業費の五%を補助するもので、ことし三月末までの、言うならば時限的措置であったわけですね。当然これは打ち切るわけでしょうね。
  127. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) おっしゃいますように、補助金制度は当初六十一、六十二両年度着工したものに限って三年間にわたる事業費対象にということで考えたわけでございますが、六十一年度におきましては、実際に補助金支出することができませんで、六十二年度においてわずか四千万円程度ということで、当初の見込みに比べて事業着工が大幅におくれておりましたので、昨年の予算編成の段階で、この制度についてはもう一年だけ延ばして、せっかく努力をしながら六十二年度中に着工に至らなかったものについても、六十三年度一年間について延ばしていただければ適用対象になり得るということで、六十三年度着工までということで一年間だけ延長させていただいております。
  128. 市川正一

    ○市川正一君 おかしいじゃないですか。大臣がおらぬので、ちょっと話が進めにくいんだけれども。  去年の本法の改正のときに、ここに本委員会の会議録がありますが、私の質問に対してあなた、杉山産業政策局長はこう答えているんです。「今の補助金五%はあくまでも早期着工をしていただいたプロジェクトに対する政府としての助成ということでございますから、これはもう二年度内の着工のものだけについてでございます。」、こういうふうにはっきりと私の質問に対して本制度の延長はございませんというふうに否定しているじゃないですか。この答弁はその場限りのものですか、はっきりしてほしい。
  129. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 確かに昨年の改正の際には、私から今御指摘のような趣旨の御答弁を申し上げました。昨年のちょうど今ごろであったと思いますが、その段階では六十一年度は無理でございましたが、六十二年度としてはかなりのものが出てくるというふうに予想いたしておったわけでございます。  残念ながら、総額で四千万円程度補助金の交付しかできない、こういうような事態になってまいりまして、実際の着工が六十三年度にずれるというものがかなりその後の状況の推移の中で出てくることがわかりましたので、当初見通しを間違ったという意味におきましては甚だ申しわけないことでございますが、昨年の十二月の段階で一年間だけこの制度着工の延長をしていただいたと、こういうことでございます。
  130. 市川正一

    ○市川正一君 納得できぬのです。あなたはさらにこうも述べているんですよ。「したがいまして、現在のような制度補助金をさらに延長するという構えではございません。」。これほどあなたたんかを切っているじゃないですか。だから、私はそれを信じて矛をおさめたんです。いいですか。ところが、さっき——大臣がおらぬのでこれ困るんたけれども、杉山君は正直で率直な人やと、そう言うて今どこかへ行っているらしいですけれども、ええかげんなことを言うてもろうたら困るんですよ。だから、私、大臣にね、あなたが正直で率直なと言うた人がこんなうそついているんやけれども、これどないしてくれるんやと言うて聞くつもりやけれども、ちょっとおらぬのでしようがない。あなたの責任でこれどういうふうに、去年私が聞いたこととの関連を決着づけるのか、ちょっと整合性と責任をはっきりしてほしいんです。大臣にかわってでもいいから。
  131. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) ただいまの御答弁と重複するようでございますが、昨年のちょうど今ごろ の段階では制度として二年限りということでスタートをしたものでございますので、そういうような御答弁を申し上げましたが、先ほど来申し上げましたように、その後の情勢の推移の中で、六十二年度中に本来着工に入るべきものがおくれておりまして、六十三年度着工がずれ込まざるを得ないというものがかなり出てきましたので、そういうものにつきましては、一年間についてさらにこの制度を延長いたしまして、助成対象とさせていただくということを十二月の段階になって財政当局と改めて話をいたしました。  したがいまして、私が御答弁申し上げました時点とこの制度の延長をいたしました時点との間には半年以上の時間の経緯がございますので、その時間の経緯の中での状況変化に基づくものということでお許しをいただきたいと思うわけでございます。
  132. 市川正一

    ○市川正一君 ただ、その情勢の変化だけじゃなしに、あなたがやっぱりさっき見通しを誤ったということをおっしゃったから、したがって、そういう見通しの誤りと、私の質問に対する答弁という点ではまことに申しわけないと、そういう意味ですか。
  133. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 十数億円の予算を計上していただきながら、わずか支出が四千万円程度にとどまってしまったということを含めまして、私どもの見通しに大きな差があったわけでございますから、見通しが十分的確でなかったという意味におきまして、その的確でなかった見通しに基づいて御答弁を申し上げたということで、その後の状況が御答弁とは違ったような状況になったということにつきましては責任を感じております。
  134. 市川正一

    ○市川正一君 大臣もおりませんし、杉山局長は新聞辞令によれば次期通産事務次官に擬せられているお方だというふうに伺っておりますので、今回はここらあたりでとどめますけれども、要するに民活プロジェクトが進捗しないということで、結局どうなるかというと、財界、大企業の要求あるいは揺さぶりに応じて次々と助成措置を拡充する、延長する。プロジェクト具体化してくれば対象施設を次々追加していく、まさに至れり尽くせり、おんぶにだっこじゃないですか。  ところが、中小企業の方はどうか。八二年度以降、毎年減額に次ぐ減額で、今年度は八二年度に比べて二二%も減っておる。円高に苦しむ輸出型産地での倒産、廃業、転業、休業は三千件を超える深刻な事態になっておるのに、緊急経営安定対策はこの三月で打ち切っておる、そうでしょう。大企業に役立つ民活法の措置は増強しておる。全くバランスを欠いていると思うんです。大臣は山場を越えてお越しになったので、どうもタイミングが合わぬのですが、局長どうですか。そういうアンバラの結果になっているというふうに思いませんか。
  135. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 先ほどの御答弁の中でも申し上げましたが、事業実施が大企業に関連があるという意味で市川先生の方からは大企業助成、こういうようなお話がございますが、この施設の中にはリサーチコアのように、いわゆる中小ベンチャービジネスがこれから利用できるというような施設もございますし、また、施設ができることによる直接、間接の地元経済、中小企業への影響というものも非常に大きいものがあると私どもは考えているわけでございます。  したがいまして、そういう意味からこの対象施設を追加するとか、助成施設を拡大したということが大企業のためであるということはいかがなものかというふうに先ほども申し上げたわけでございますが、中小企業について先生指摘の点につきましては、これは私責任者ではございませんが、制度の延長をしなかったことにつきましては、それにかわる新しい制度をつくったというようなことで、十分それで対応できるという判断のもとにやったわけでございますので、そういう意味で特に中小企業政策の上から問題があるということではないように考えております。
  136. 市川正一

    ○市川正一君 大問題ですよ。  具体的に聞きますが、今度のこの民活の三大プロジェクト一つである横浜市のみなとみらい21を例にして伺いたいんですが、このプロジェクトは、通産、郵政、建設、運輸など各省が競合するプロジェクトで、現在認定されているのは国際見本市場、それから国際会議場、この二施設であります。しかし、今後基盤整備が進められれば、マルチメディアセンターあるいはテレポート、インテリジェントビルなど、さらには今回の改正で総合地域管理基盤施設も本法の助成対象である特定施設になるなど、さらに拡張されていくと思うのですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  137. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) まだこのMM21の構想につきまして、先生おっしゃったような具体的な問題について、私ども整備計画認定に至るような段階のものとは承知をいたしておりませんが、もし地元でこれからさらに詳細に御検討になりましてこの法律対象施設に該当するようなものを整備するという話になり、その段階で認定の申請がございますれば、基本指針に照らして適正なものであれば私どもこれを認定する所存でございます。
  138. 市川正一

    ○市川正一君 結局、今後大企業が必要とするものについては次々と指定していく。先ほど政令に委任すべきではないかという同僚の御意見がございましたが、私はそれは極めて危険だというふうに考えております。その点では、大蔵あるいは法制局が政令方式に反対しているのはそれなりの根拠を持っていると思うんですが、問題はこの法律が大企業本位、そこから出てきていろいろ大企業が注文する、揺さぶりをかける、それに対応して次々と指定していく、その都度法改正をやっていくということの持っている矛盾、そういう本質が今回のまた法改正としてあらわれているというふうに私は思うのでありますが、このMM21計画というのは一体どこがプランニングしているんですか。
  139. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) MM21事業につきましては、事業全般の企画、調整、進行、管理につきましては横浜市が当たっている、こういうふうに私どもは承知をいたしております。ただ、民活法の指定施設整備それ自身につきましては、株式会社横浜国際平和会議場、これが事業実施主体として当たっている、こういうふうに承知をいたしております。
  140. 市川正一

    ○市川正一君 もっと正確、詳細に調べてお答え願いたかったんですが、第三セクター方式の推進主体である株式会社横浜みなとみらい21、これが中心で、さらに内訳を調べてみると、今の株式会社横浜みなとみらい21に加えて、地域冷暖房供給は、みなとみらい21熱供給株式会社。国際会議場の建設、運営を行う株式会社横浜国際平和会議場。それから映像情報システムの事業主体は、株式会社メディアシティー横浜。さらに輸送部門を担当するみなとみらい21新線会社、こういう五つの第三セクターが既に動き始めております。この第三セクターは三菱地所などの大企業が中心になってプロジェクトを構成し推進している。  その結果、市民の間からは、どんな計画がどのように進行しているのかさっぱりわからない。果たして自分たちが使えるのかどうかもわからないという批判の声が高まっております。そして、MM21というのは、みなとみらい21ではなしに、三菱未来21あるいは三菱もうける21という言葉さえ言われております。それには理由と根拠があるんです。この計画地区の中心に三菱重工業の工場跡地がありますが、三菱重工業は工場移転の際にその跡地をMM21用地として売却し、市のあっせんで工業用地を入手いたしましたが、この土地売買で約四百五十億円もの売買差益を得ておるんです。  また、この計画の推進主体である株式会社横浜みなとみらい21の役員リストをここに持ってまいりましたが、役員十六人のうち六人までが三菱地所の社長伊藤達二氏を初めとする三菱関係者です。さらに三菱地所は、区画整理事業の本年度完成に伴って二十五街区に地上七十五階、二百九十五メートルのオフィス、ホテル、ショッピング、 文化機能を備えた四十二万平米のビルを建設しようとしております。まさに三菱グループのための計画といっても過言ではないと思うんです。  ところで、今状況説明をいたしましたが、この七十五階建てのビルは、インテリジェント機能を持たせれば本法の助成対象になるんですか、どうですか。
  141. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) インテリジェントビルについて、もし具体的な計画が決まり、施設整備計画認定申請が出てまいりますれば、先ほど御答弁申し上げましたように、私どもの整備に関する基本指針に照らしてそれに合致しているものであれば認定をいたしますが、まだ計画の詳細を私ども承知いたしておりませんので、この段階で該当するかどうかということを申し上げるのは差し控えさせていただければと思います。
  142. 市川正一

    ○市川正一君 そういう方式をとればまさにひさしを名義に母屋をつくっていくという手口になっていくんです。  建設省に伺いますが、この三菱地所が建設するビルは、三万八千平米の敷地に四十二万平米の建物を建てるということになりますが、現在の基準では建設できるんでしょうか。
  143. 青木保之

    政府委員青木保之君) 私ども、この三菱地所が計画しております現在のビルについて、現時点でどういうような具体的な計画があるか聞いておるわけではございません。構想が発表されたということは承知しておりますが、具体的な内容は承知いたしておりませんが、現在みなとみらい21の地区内の用途地域及び容積率につきましては商業地域の四〇〇%ということになっております。したがいまして、今おっしゃられましたような大きさのものであれば、そのままでは無理ではないかというように感ずる次第でございます。
  144. 市川正一

    ○市川正一君 無理やとすると、それならどういうことになるんでしょうか。建築基準の規制緩和ということに相なるんですか。
  145. 青木保之

    政府委員青木保之君) みなとみらい21地区の土地につきましては、現在申し上げましたように全域商業地域の四〇〇%になっておりますが、これは現在当該地域につきまして具体的な土地の利用の計画というものがまだ固まっておらないわけでございます。これから区画整理事業その他土地の基盤整備が進み、施設の計画、土地の利用をどういうふうにしていくかということが決まりました段階で、容積率等につきましても詳細に具体的に検討をし、変更を期していく、こういうことになろうかと存じます。
  146. 市川正一

    ○市川正一君 結局、今最後に変更という言葉を使われたけれども、用途、容積の変更をせざるを得ないということになってくるわけです。  そうしますと、こういうふうに三菱グループのための規制緩和は容認し、事業を推進していく。しかし、地元の中小商工業者や市民生活はどうなるかということを私は対比的に指摘せざるを得ぬのです。  例えば、今ここに面積が四万七千平米のショッピングビルが計画されております。既に八五年にはMM21地区内に六万八千四百平米という日本一の売り場面積を持つそごうが出店いたしたために、横浜市の調査をここに持ってまいりましたけれども、経営が苦しくなったという周辺の商店が二〇%に及んでおります。そこへ今度のこの計画が進みますと、地元商店街にさらに大きな被害を与えることは明らかだと思いますが、通産省はそうは思わぬですか。
  147. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 今先生お示しのような計画がもし実際に動き出すということになりますと、特に地元中小小売商との関係でまいりますれば、恐らく大規模店舗法等による届け出制の対象になる可能性があるんだろうと思いますので、そういう法律を通じて地元中小企業との利害調整が図られるということになるように思われます。  したがって、今の段階で私どもこれについてどうこうということではなくて、計画が具体化した段階で、大規模店舗法の調整を必要とし、それによる届け出がなされれば、そのルールに従って地元中小企業との調整を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  148. 市川正一

    ○市川正一君 いずれにしてもその影響を認めざるを得ぬわけです。  さらに聞きますが、MM21は就業者数が約十九万人、居住者一万人という計画になっています。これだけの都市機能を集中させると社会資本の投入はどれぐらい必要になると試算なすっているんでしょうか。
  149. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 残念ながら、その点につきまして私ども承知をいたしておりません。
  150. 市川正一

    ○市川正一君 やはり私はこれだけの大きな計画が進むんですから、ちゃんと研究してほしい、調べてほしい。横浜市の計算によりますと、公共負担が三千三百億だと、こう言っております。しかしこれは極めて控え目です。既に横浜市は八三年度から八七年度の五カ年だけで千五十億円も負担しております。八七年度だけでも約四百億です。  私がここに持ってまいりましたのは経済白書です。七二年の経済白書を見ますと、都心にビルが建って千人の勤める人、就業者がふえると新規の社会資本が三十四億円かかるというふうに試算をしております。経企庁に伺ったところ、GNPデフレーターは二・〇三倍だが、土地が関係すると二倍ないし三倍になるというふうに言っておりました。これに基づいて機械的に計算すると、就業者が千人ふえることによって六十八億から百二億かかることになります。したがって、MM21計画の場合に十九万人でありますから、新規の社会資本は一兆三千億から一兆九千億必要になる、膨大な負担が地元にかかってくるんです。  横浜市の公共施設を見てみますと、全国十一大都市の中で一人当たりの都市公園面積は十一位です。下水道の普及率は八位です。道路舗装率は八位、小学校一校当たりの児童数は十一位、図書館の十万人当たりの数は九位、病院十万人当たりの病床数は十一位という状況です。  今度の民活法は、特定施設への助成措置しかとられていないので、MM21中心事業実施によってますますこういう市民生活に密着した分野への公共投資がなおざりにせざるを得ない。今、通産省にこの社会資本投入はどれぐらいかとお聞きしても、わしゃ知らぬというふうにおっしゃる。これは全く私は無責任やと思う。こういう状況についてはよく調査研究をしてほしいと思うんですが、いかがですか。
  151. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 今先生指摘のような、社会資本の整備の額について私ども承知していない、これは申し上げるまでもございませんが、今回の民活法対象施設となりますのはMM21の事業の中でも国際会議場と見本市場だけでございます。そういったものについて、法律上は施設整備の基本方針との関連で適正であるかどうかというだけの判断でございます。むしろそういった他の事業をあわせて全体としての事業の地元への影響、それに対する関連公共投資の問題といいますのは、恐らく地元であります横浜市、さらには神奈川県といったところがこの問題について責任を持って解決される地位にあるんではないかと思いますし、先ほど先生指摘になりましたみなとみらい21につきましても、横浜市、神奈川県というのは出資者としても参加をしているわけでございますから、こういうところでそういう問題について十分御研究になっていると思います。  ただ私どもも、おっしゃるように直接法律の問題としてそこまでの判断をすることを求められているわけではありませんが、そういった点について私どもなりにもやはり承知をしておく必要があるかと思いますので、御指摘の点についてはおくればせながら我々としても地元その他から情報を集めてこれから勉強してみたいと思っております。  それからもう一つ、関連事業費が多くなるじゃないかという御指摘でございますが、実はこの民活法一つのねらいはそういう施設整備するとともに、それに関連した他の事業費とあわせて地元経済に大きな影響が出てくるということも想定をしているわけでございますし、特に横浜市のような都市近郊ではそういう点についてはあるいは 負担増になるという御批判があろうかと思いますが、地方等におきましてはむしろそれをきっかけとして地域経済の活性化が図られる、こういう効果も当初から期待をしておったということを申し上げておきたいと思うわけでございます。
  152. 市川正一

    ○市川正一君 時間が参りましたので結びの発言をさせていただいて終わりたいと思いますが、今局長は横浜市とか自治体の方に問題を触れられましたけれども、しかし考えてみると、自治体への補助金カットは三兆二千五百億円も全国規模ではなっています。横浜市はどうかというと、三年間に三百三十二億円もカットされているんです。一方、民活関連公共事業プロジェクト関係予算はどんどんつけるけれども、生活関連予算はつかない。そうなれば結局、市民生活部門はなおざりにされていかざるを得ないということを指摘して、私の質問を終わらしていただきます。
  153. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、この法案には一応賛成することになっているんですけれども、ただ、この際少し基本的な問題をディスカスしてみたいし、来年あるいはまた改正案が出てくるんだろうと思うんですけれども、そのときにぜひ御考慮をいただきたいという点を二、三、時間の許す限りディスカスしたいと思うんです。  まず、先ほど三菱の悪口を大分言われましたけれども、私は実は三菱の出身でございまして、そういう点では日ごろは非常に仲のいい仲間なんですが、ちょっと市川先生とは私意見を異にしているんですけれども、まあそれはおきまして、私はずっと企画畑だったんです。それでプロジェクトの企画をずっと何年もやっていたんですね。そういう感覚でこの法案を見ますと、私が企画担当で民間側だと、ちょっとこれには参加する気にならないんですね。役所から声をかけられても、県庁あるいは市役所なんかのつき合いがありますから、しようがないから一応つき合う。しかしうちだけじゃ困る、ほかのところも引っ張り込んでということなんです。  さて、そういうことで、このプロジェクトに参加して、果たしてだれが経営責任を持つんだろう、果たしてうまくいくのかということになりますと、まずだめだと思うんですね。こう言っちゃ悪いですけれども、第三セクターで、県庁だとか市役所の役人とか通産省のお役人でも、お役人がまずこんな経営なんかやれるわけがない。そうすると、民間が本気になってやらなきゃ絶対だめなんです。ところが残念なことには、こういう仕組みでは民間が本気になれないんですよ。それじゃうまくいかない。去年十四億かの予算組まれたけれども四千万しかない、当然だと思うんですね。ことしも多分また同じようになりますよ。それはよっぽど特殊なプロジェクトは別ですけれどもね。  そこで、一体どうしてそういうふうになるのかといいますと、失礼ですけれどもお役人がプランされたらこういうふうに実に見事にきれいにできるんです。これはしかし盆栽みたいなものでしょうね。余り実際的に役に立たない。例えば出資というのがありますね。五%補助金ですか。そんな五%ぐらいもらったってどうしようもないんですよ。かえってそんなものをもらったために、金を出されて金にならない。こんな金で口を出されるのがよっぽど邪魔になるわけですよ。このNTTの無利子融資をしていただくというのは、これはまあ非常にいいと思いますよ。  しかし私は、仮に自分がプランナーの立場にあった場合、むしろこんなはした金と言ったらなんですけれども、補助金だとか出資なんか要らないから、民間が銀行から借りる金の、最終的にこのプロジェクトがもしもうまくいかなくなったら政府は最終的には銀行借り入れを保証しましょうということであれば、こは民間としては非常にありがたいですね。というのは、銀行から金を借りようと思うと担保を入れなきゃいかぬわけですよ。土地までいかなくても、国債だって何だって入れなきゃいかぬですね。そういうことを考えると、なかなか採算が厳しいけれども、もしも政府が保証していただけるんなら非常にフィージブルになるプロジェクトが多いんじゃないかと思うんですが、そういう考えはいかがでしょう。
  154. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) むしろ補助金というようなものよりは債務保証という方が利用しやすいのではないか、こういうお話でございます。実は私ども、民活法の中では、制定当初から事業に対する必要な借り入れについて産業基盤整備基金において債務保証ができるという制度を設けてあるわけでございますが、これまでのところ計画認定に至りました事業が十八件ということで少ないせいもありますが、まだ実際の債務保証についてはお申し込みが一件もないというような状況でございます。  資金調達は今のような状態でございますから比較的楽でございますが、むしろ長期にわたってお金が寝るというようなことがございますのでその金利負担が大変である。そういう意味で、今回始めさしていただきました無利子融資制度というのが非常に評判がいいのではないかと思うわけでございますが、もちろん民間独自で民間借り入れができるということでございましたら、わざわざ債務保証制度を利用していただくまでもないわけでございますが、必要な場合には御利用いただけるような制度というものは既に用意をさしていただいているところでございます。
  155. 木本平八郎

    木本平八郎君 通産省は、これは輸出の方で貿易保険やっておられますね。あれは私非常に画期的だと思うんですよ。例えば、前にも申し上げましたけれども、アメリカのジャンボをブラジルに売る、そのときに日本の商社が関与していれば貿易保険を引き受けてやる、そのためにブラジルは飛行機を買えるということになるわけですね。こんなことを世界で引き受けているというのは日本だけだと思うし、逆に言えば、これだけの経済大国になって黒字国という立場から世界に貢献するという意味で非常にいいわけですね。ただ、保険料が非常に高くてなかなか実際には働かないというなにがあるんですけれども。  私は、今後日本の政府は保証とか保険とかというものをやっぱり中心にしていって、補助金とかそういうやり方はやめていった方がいいんじゃないか。保証だと今度はリスクはありますけれども、そのリスクが実際実現するかどうかというのはまた確率がありますからね。ある意味じゃ支払い準備金みたいな考えでいいわけですから。そういう点で私は、この第三セクターの方もできるだけそういうふうに持っていく。  そして私は、これいつも言うんですけれども、そのときにその第三セクターの社長さんその他から個人保証をとるわけですね。それから理事か取締役に名前を出されている知事さんとか市長さんからみんな個人保証をとっといて、この会社がもしもうまくいかなくなったら、政府は債務履行はするけれども、そのかわり知事さんや市長さんの勲章を全部取り上げちゃうということにするわけです。また勲章の問題になるんですけれども、そうすれば必死になってやっぱり取り組むわけですね。まあ勲章なんてどうってことないじゃないかなんて思っているのは我々クラスで、あの辺になると勲章なんか非常に大事らしいですからね。そうすれば一生懸命やる。一生懸命にやられれば私は一遍に採算に合うと思うんですよ。  問題は、したがって先ほどから申し上げているようにだれが一生懸命になるかなんですよ。だれも一生懸命にならなきゃどんなものだってだめなんです。そういう点はどういうふうにお考えですか。
  156. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) おっしゃるように、やはり事業実施主体それ自身が事業実施に責任を持ち、事業が円滑に行えるような体制ができているということが一番肝心だろうと思います。そういう意味におきまして、私ども計画の認定をいたします場合には、基本指針の中に、むしろ民間事業者能力活用して、民間の経験を生かして経営に当たれるような体制ができているということを基本的な要件にもいたしております。政府助成というものもそれなりにやらしていただいておりますが、金も出すけれども口も出すということで あってはいけないわけでございますが、むしろ助成助成にして、経営の方は民間中心に責任を持ってやっていただく、こういうことが必要ではないかと思います。  それから、御指摘のように直接的な助成というのはできるだけ避けて、むしろ間接的なリスク補てんというものを中心にすべきではないか。これについては一般論としては確かにそういうような御意見が特に最近ふえてきているように思いますし、御指摘の貿易保険の問題につきましても、発展途上国への資金還流をさらに促進するという観点から、現状のままでいいのかどうかということについては省内でも今検討をいたしている状況にございます。
  157. 木本平八郎

    木本平八郎君 したがって、繰り返しますけれども、今後ひとつ再検討いただきたいのは、だれかが必死になってこのプロジェクトに取り組む、社長さんでなくてもだれでもいいんですけれども、そういうふうにしていただきたい、しむけていただきたいということを繰り返しお願いしたいと思うんです。  それからもう一つ民活ということでこれはあちこちでも言われているんですけれども、一番大事なことはやはり許認可とか諸規制あるいは行政指導みたいなものをできるだけ除く、そうすれば民間の活力というのは出てくるんです。今民間活力を阻害しているのは私は許認可だと思うんです。これは先ほど伏見先生からもそういうふうな話がありましたけれども、したがって、これならこれで総括的に許可をとれれば、プロジェクトに指定されればもう自動的に、例えば農地法だとかなんとか手続なしに、なしというか届け出だけで全部さっといくような、そのために各省のすり合わせやるのにまた一年も二年もかかったんじゃ困りますけれども、こういう法律をつくるからにはそういうふうな態勢で臨んでいただくのがまず大事じゃないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
  158. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) おっしゃるとおり、施設整備が早急に進むためには、本法に基づく手続のほかに関連する他の諸法令によります手続が迅速に進むということが必要だと思います。また、一般論といたしましては規制緩和ということが行われれば民間事業機会というのはそこに自然的に発生をしてくるはずだということも確かにそのとおりだろうと思いますし、こういう点につきましては、新しい行革審においても今最大の問題として規制緩和問題が取り上げられて具体的な検討が行われておりますし、答申が出ました場合には、通産省に関する限りその答申の方向に従ってできるだけ不必要な規制というものが見直されていくということが必要であろうし、そういう方向で御協力をしたいと考えております。
  159. 木本平八郎

    木本平八郎君 通産省というのは一番許認可が少ないんで、余り許認可については関心ないかもしれないんですけれども、ここに出てくる省庁はほとんどか許認可官庁ばかりなんですな。だから、こういう官庁は日ごろから御自身も政策官庁に変わるんだとおっしゃっているわけですから、そういう点でこの際、通産省が担当になっているわけですから、各省庁に許認可をできるだけ緩和しろということを御指導じゃないけれども、慫慂していただきたいと思うわけです。  それでは次に、ちょっと絡むような質問になって担当の方に申しわけないんですけれども、まず初めに通商産業関係として国際交流研修施設ということがありますんで、これをちょっと例に取り上げて、こういうプロジェクトの考え方というものについて質問したいんです。  これは、具体的にはまだ申請も何も出ていないんですけれども、一応の構想として、はっきり企業の名前を入れて、三井不動産が葉山の辺に持っている百五十ヘクタールぐらいの土地がある、このうち二十ヘクタールを神奈川県が無償で借り入れてこれを第三セクターに貸す。第三セクターが六十三年度中に着工して、六十五年度中に 一部オープンにこぎつけたいと、ここに絵も出ているわけです。これはこれでいいんですけれども、先ほどから申し上げていますように、この仕組みなんですけれども、何で三井不動産が無償で提供するんなら、第三セクターがいきなり借りてやらないんだろうかということです。  それから、これは契約だとか何かいろいろありますけれども、こういう法律に基づいてやるわけですからそれでいいんじゃないかと思うんですが、もっと極端なことを言えば、三井不動産が仮に、自分の土地があるのでこれをこういうものに提供して自分の方で運営したいと言ってやってもいいんじゃないか。 これまた大企業がという批判があるかもしれませんけれども、僕は大企業だって国のためにあるいは世界のためになるんなら大いにやってもらった方がかえっていいと思うんですけれども、どうしてこういう仕組みになるんでしょうね、一たん県が借りてやるというような。
  160. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 今回の対象施設の追加でお願いした中で、今お話のございました研修施設につきましては、その動機がおっしゃるようないわゆる湘南国際村構想にあることは事実でございますが、ただその構想の内容といたしまして、今御指摘になりましたような土地の所有と貸借関係というような具体的な事業の細部まで私ども承知をいたしておりません。  この法律の適用対象になるために第三セクターでなければならぬということではございませんで、御案内のとおり民間企業が単独でおやりになることももちろん結構なわけでございますが、なぜそういうような形態をとるようになっているのか、この辺はまた新しく計画の申請がこの法律改正ができました後で出てきましたような段階で少し聞いてみたいと考えております。
  161. 木本平八郎

    木本平八郎君 この今の湘南村の構想はまだ具体化していないんですけれども、ここに十八プロジェクトあるわけですね。それで、まだそのほかにもいろいろ追加で出てくるものがあるらしいんですが、ちょっとここで問題を原点に戻して、なぜ第三セクターなのか、一体第三セクターというのはどういうメリットがあって、どうして第三セクターの方がベターなのか。今民間だけでもいいとおっしゃったけれども、第三セクターというのはどういうメリットがあるんでしょうね。
  162. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 法律上は第三セクターでなければいかぬということでないことは今申し上げたとおりでございますが、第三セクターということになると、実は私どもの方も若干安心をするような感じが確かにあるわけでございます。  その辺はなぜかということで考えてみますと、やはりこういう法律助成もして整備をしていただくということになりますと、そこに相当な公共性がなければいけないということは当然あるんだろうと思いますし、その公共性の判断ということは、私ども国の立場でやるよりは、むしろ地元でその計画に深く携わっておられる地方公共団体の御判断というのが相当大きなものとなるのかなと、そういうことで考えますと、そういう判断をされた上で、公共性が強いということで地方自治体が出資をされる第三セクター方式ということになりますと、私ども直接の判断をするだけではなくて、地域の自治体もそういう判断をしておられるということで、ますます私どもの判断が正しいというような感じになるんじゃないかなと思うわけでございます。そういう意味で、第三セクターということになりますと何となく安心するわけでございます。  その一方では、むしろ事業主体の方の経営陣に関係のところからの人が入ってむしろうまくいかないんではないかという御心配もあるわけでございますが、そういった点の弊害が出ないような形でありますと、第三セクターという方が何となくいいような感じを受けているわけでございますが、別に第三セクターでなくて民間単独でおやりになっていただくということでももちろん結構でございますし、それは個々の計画を立案される地元の御判断が第一になるんじゃないかというふうに思います。
  163. 木本平八郎

    木本平八郎君 今のお話を聞いていて、そのとおりだと思うんですけれども、ただ何となく安心だというふうになお話を聞いていますと、失礼な 言い方ですけれども、猿が毛繕いしてお互いに安心しているという感じかするわけですね。  それで、やはり基本に戻りますと、公共性の問題と採算性の問題と二つなんですね。これは二律背反とは思わないけれども、どこかでサドルポイントを探らざるを得ない。その結果がこういう形になって生まれてきたんだと思うんですね。しかし、公共性ということであれば当然官がやるか、それとも地方公共団体がはっきりこれは採算を無視してやらなきゃいかぬわけですね。税金でやらなきゃいかぬわけです。採算がとれるんならやはりもう民間にやらした方が効率がいいことは確かなんですね。そこの中間点をとったらいかにもいいようなんですけれども、両方とも特徴がなくなってしまうという可能性も十分にあるわけです。  私が一番恐れるのは、こういうプロジェクトがそういうことでマイナスのところだけ残っちゃって、いいところだけがさっと消えちゃうんじゃないかということを非常に心配するわけなんです。したがって、このプロジェクト全部が全部第三セクターはおかしいとは思いませんけれども、あるものははっきり官の方に向ける、あるものは完全に民間に責任を持ってやらせる。  民間にやらせるということについては皆いろいろ御不安があるようなんですけれども、私なんか民間の感覚からいきますと、こういうふうにきちっと法律で決まっていて、プロジェクト内容から目的から営業種目からそういうものが全部決まっていますと、そんなに民間でおかしなことをする余裕がないわけですね。しかも、こういうようなものに関与しようというのは、相当プライドを持っている企業ですから、自分だけの営利を追求しようなんと思うのはこういうところに出てこないですよ。もっともっともうかる仕事がいっぱいあるわけですからね。だから、大企業性悪論では私はやっぱりいけないと思うし、その辺は性善説に立って御指導いただかなきゃいかぬじゃないかと思うんです。そういうことで、この中ではっきり官がやるべきこと、それから民がやるべきだということをまず御検討いただいた方がいいんじゃないかと思うんです。  それから、先ほど伏見先生が言われましたように、こういうもので一番大事なのはソフトウエアなんですよ。どういうふうに経営するかということですね。どういうふうにしてイベントを引っ張ってくるか。外国へ行って引っ張ってきて、ここで何か学会を開くとかなんかやらなきゃいかぬわけですよ。それをだれがやるかということなんですね。したがって、今そういう引受会社みたいなものもできていますね。そういうものをうまく使うということ、あるいはそういう会社にこれを運営させるということの方がいいと思うんです。  例えば、建物だけはこういう第三セクターがつくるか官がつくるかは別として、運営はそういうところに、一年じゃ困るかもしらぬけれども、二、三年の契約で、入札制で一番有利な条件を出すところにやらす。そうすると必死になって世界じゅうから探してくるんですよ。金融センターがそうですけれども、日本はもう世界的な規模になってきておるわけですから、こういう需要は世界を対象にして考えなきゃいかぬわけですね。そういうふうになった場合に、私が先ほどから申し上げているように、お役人さん方がおられると邪魔になるんですね。出張旅費がかかるとか、何だかんだ言われるんで、したがって私は純粋民間にした方がいいと思うんですけれども、そういうふうな運営というものを中心にしてプロジェクトのプロモーターというか、経営主体を考えるという点はいかがですか。
  164. 杉山弘

    政府委員杉山弘君) 効率的な運営という観点から、できるだけ民間主体でやるべきじゃないかという御指摘は確かにそのとおりであろうと思います。  ただ、現実の問題として第三セクターが多いといいますのは、本来民間だけでやりたいと思うけれども、もともとその周辺の関連事業のみならず、その施設整備事業本体についても民間だけではなかなか踏み切れない。やはり地元自治体等々と一緒になってやった方がいいという民間側の御判断もおありなんじゃないかと思います。  また、こういった施設整備というのは地域経済の振興のためにもなるわけでございますから、地方の公共団体が参加されますことは議会等を通じてそういうことについての必要性についての議論等も当然付随して行われることもあるわけでございますし、広く地元の関心を高めていただくという意味においても必要なことではないかと思います。ただ、第三セクターでなくてはならぬということではないわけでございますから、むしろ民間だけで十分おやりになれるし、その方が効率がいいということであれば、むしろそういうことで事業を選択していただけるものというふうに私どもは考えております。
  165. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、ぜひこういうプロジェクトを成功してもらいたいと思うから申し上げているんですが、二兎を追う者は一兎をも得ずということがありますし、あれもこれも求めるとアブハチ取らずになるということがありますので、とりあえずファーストステージはこれならこれという目的をぱっと得られるように努力していただきたいと思うわけです。  最後に、ちょっと建設省にお伺いしたいんですが、このプロジェクトが十八、一応ここにあるんですけれども、こういうものの建設工事になりますと、国際入札になるのかどうかという点をまずお伺いしたいんです。
  166. 村瀬興一

    説明員(村瀬興一君) 今の点についてお答え申し上げます。  前提といたしまして、我が国の建設市場は内外無差別でございます。工事をやります場合には建設業法に基づく許可をとった上でやっていただかなきゃいけませんが、公共工事でございますと指名競争入札という手続でございますが、民間、あるいは第三セクター民間だと思いますが、そういう民間の方々が発注される場合には、基本的にはその民間の発注者の御判断で、例えば随契でも結構でございますし、国際競争入札をおやりになろうということであればそれでも結構でございます。基本的には随意であるということであろうと思います。
  167. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、このプロジェクトが純然たる民間、一応株式会社になっていて民間形態はとってるんですけれども、外国から見た場合、これが果たして民間事業だというふうに認定されるでしょうかね。  今アメリカだとか外国が日本の建設あるいは土木を市場開放しろとやかましく言っているんですね。建前はフリーになっていても、実際は入れない、参入できないというところに非常に問題があるわけですね。こういうものは外国では少なくとも半官半民というふうな受けとめ方をするんじゃないんですかね。いかがでしょうか。
  168. 村瀬興一

    説明員(村瀬興一君) 今回日米交渉を行いまして、三月末に一応参入問題について決着をいたしたわけでございます。  今先生がおっしゃいましたようなお話と関連する話といたしまして、実はかなり長い時間議論した問題として、羽田空港のターミナルビルの問題がございました。これは純粋の民間会社がおやりになる事業でございますが、アメリカ側は、公共事業として空港の敷地の中で行うものであるから、純粋民間という日本側の主張はおかしいんではないかということをしきりと言っておりましたが、最終的には、その点はアメリカ側も公共事業として公共事業と同様の手続をそのターミナル会社に政府が強制することはできないんだという日本側の主張を理解したわけでございます。  ただ、日本政府といたしましては、そのターミナル会社の社長さんが公明正大な調達手続で内外無差別に調達を行うという旨の声明を出されておりますが、その声明について日本政府として全面的に支持して、そういうことをほかの事業主体にもお勧めするということはございますが、外国企業が半官半民といいますか、この手のものについて公共工事と同じであるというふうに主張するということはないものというふうに考えておりま す。
  169. 木本平八郎

    木本平八郎君 日本側がないものと考えるのは当然だと思うんですけれども、国際的な常識からいうと、こういう例えば政府補助金も出ていれば、無利子の融資も出ているわけですね。それから、産業基盤整備基金の保証があったり、地方公共団体が参加していたり、これは公共性のあるものだと認定するのは当たり前なんですよ。私が言いたいのは、これは必ず私は問題になってくると思うんですね。  したがって、一応これは原則としては国際入札にするのが望ましい、しかしながら各事業体でいろいろな都合があれば、それはそういう随契でもやむを得ないというふうな、少なくとも政府の態度はそういう姿勢を示しておかないと、後でこれはやっぱり私は問題になってくる。だから、随契といえば外国企業と随契したっていいわけですね。  それからもう一つは、やはり日本の建築費というのは、質はいいかもしれぬけれども、値段が高いんですよ。これは我々の今住宅の問題も、土地代が高い高いって、何か土地代にみんな罪をおっかぶせられているけれども、建築費だってもう世界で一番高いんですね。そういうことがあるから、できるだけこういうチャンス、しかもこれ採算が非常に苦しいものだから、建築費もできるだけ安くなるような方式を講じないと、建設業界というのは非常に体質がおくれているわけですから、特にそういう点を注意して指導していただかないといけないんじゃないか。そうしないと、先ほどから申し上げているように、それはうまくいかないという可能性もありますんで、建設はあらゆる努力をしてコストを下げるということをぜひ建設省にもお願いしたい。  そういうことをお願いしまして、一応私の質問を終わります。
  170. 大木浩

    委員長大木浩君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  172. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の改正案に対し、反対の討論を行います。  反対理由の第一は、本改正案が内需拡大、地域経済の活性化の名のもとに、専ら大企業だけへの優遇措置を拡大するものであるからであります。  今回追加される施設は、昨年の改正で追加した財界、大企業が進める国際化、情報化の国際的拠点づくりのマルチメディアセンター、テレポート、インテリジェントビルなどのインフラ部分に当たる管理基盤施設まで、対象施設として拡大するものであります。さらに、国民の共用財産であるNTT株の売却益を無利子で融資が受けられる特定施設を拡大するなど、大企業の利益確保を保証する以外の何物でもないことは明らかであります。  その第二は、本改正案が財界、大企業の主導のもとでプロジェクトが推し進められ、自治体と住民に新なた負担と犠牲を押しつけるからであります。  民活法は、自治体に特定施設整備のための資金の確保、周辺地域における公共施設整備を義務づける一方、大企業などへの地方税の減免税などの優遇措置をとらされるために、特定施設がふえればふえるほど、大企業のために巨額の負担と犠牲が自治体と住民にしわ寄せられることになります。  みなとみらい21、東京湾臨海部副都心構想、幕張メッセなどの大型プロジェクトでは、道路、上下水道、公園などのインフラ整備のために巨額な負担が強いられており、その結果、みなとみらい21の横浜市の例が示しているとおり、今でさえおくれている生活基盤整備がなおざりにされていくことは明白であります。  その第三は、民活法で支援する特定施設は、大企業の中枢機能の集中、研究所などの首都圏一点集中をもたらし、地方と大都市の格差を一層拡大するものであるからであります。  その結果、大都市での狂乱地価に拍車をかける一方、異常円高で破壊的打撃を受けている地方との地域間格差をますます広げざるを得ないことになります。そのことは、地域活性化に役立つと言われたリサーチコアは、三十八プロジェクト対象があるにもかかわらず、この二年間にわずか五件しか認定されていない事実を見ても明らかなところであります。  かくのごとく本改正案は、二年間に二度の法改正、二回の助成措置の創設などによって大企業への優遇措置を拡大するものであり、断じて認められないことを明らかにし、反対討論を終わります。
  173. 大木浩

    委員長大木浩君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 大木浩

    委員長大木浩君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 大木浩

    委員長大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  177. 大木浩

    委員長大木浩君) 次に、産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案及び地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案について趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣
  178. 田村元

    国務大臣田村元君) 産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  二十一世紀を間近に控えた今日、世界経済は技術革新による産業社会の変革の新たな局面を迎えております。とりわけ、エレクトロニクス、新素材、バイオテクノロジー等の先端的分野における技術革新の進展には目覚ましいものがあり、内外の産業社会の変革に大きな影響を与えております。技術革新は、経済社会の発展の原動力であり、我が国経済が今後とも一層の発展を遂げていくためには、みずから創造的な技術開発の積極的な推進を図っていくことが不可欠であります。  一方、国際経済社会に目を転じますと、折からの貿易摩擦等の影響もあり、我が国が海外の基礎研究に多くを依存し、その成果を活用して経済的成功をおさめてきたといういわゆる技術ただ乗り論等の批判があります。我が国としましては、こうした国際的批判にこたえるとともに、技術革新による世界経済の発展のためにその国際的地位にふさわしい役割を担っていくことが必要であります。このため、我が国みずから先導的分野における技術開発を積極的に推進し、技術開発を通じた国際社会への積極的貢献を図ることが喫緊の課題となっております。  本法律案は、このような我が国産業技術をめぐる内外の諸情勢にかんがみ、新エネルギー・産業技術総合開発機構に産業技術に関する研究開発、研究基盤施設整備、国際的な共同研究に対する助成等の業務を国際的に協調しつつ総合的、計画的かつ効率的に行わせるための措置を講ずること等により、産業技術の向上と産業技術の分野における国際交流の進展を図り、もって国民経済の国際経済環境と調和のある中長期的な発展に寄与する ことを目的として立案されたものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、新エネルギー総合開発機構に産業技術に関する研究開発を行うこと、機構みずからが高度な産業技術に関する研究開発に必要な相当の規模施設及び設備を整備して研究者等の共用に供すること、こうした研究基盤施設整備して研究者等の共用に供するために必要な資金を供給するための出資を行うこと、外国の研死者が参加する研究開発に対する助成を行うこと等の業務を追加し、同機構の名称を新エネルギー・産業技術総合開発機構に改めることであります。  第二は、通商産業大臣が新エネルギー・産業技術総合開発機構に右に述べた新規業務を行わせるための基本方針を定め、これを機構に指示するとともに、公表するものとすることであります。  第三は、産業基盤整備基金の業務に、新エネルギー・産業技術総合開発機構の出資に係る研究基盤整備会社が行う民間からの資金の借り入れを円滑化するために、当該資金についての債務保証の業務を追加することであります。  第四は、新エネルギー総合開発機構の根拠法である石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律につきまして、同機構の目的規定に新規業務に係る目的を追加する等、新規業務の追加に必要な改正を加えることであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  179. 大木浩

    委員長大木浩君) 次に、地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案について趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣
  180. 田村元

    国務大臣田村元君) 地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近時の円高等による産業構造調整の進行や海外直接投資の増加によって、従来、工場の立地による雇用や所得の創出に大きく依存してきた地域経済は、現在、大きな影響を受けているところであります。  他方、経済の高度化、ソフト化の急速な進展により、我が国産業活動においては、従来からの直接生産部門、すなわち工場に比し、研究所やソフトウエア業等のいわゆる産業の頭脳部分のウエートが、著しく増大しつつあります。しかしながら、今後の成長が大きく期待できるこうした産業の頭脳部分は、大都市圏、特に東京へ一極集中する傾向にあります。  このような状況のもとで、地域経済の発展を図り、地域住民の生活の向上と国民経済及び国土の均衡ある発展を実現していくためには、このような産業の頭脳部分を地域において集積させることにより、地域産業高度化を図っていくことが喫緊の課題となっております。また、このような方向は、さきに閣議決定いたしました第四次全国総合開発計画においても明らかにされているところであり、同計画が目標とする多極分散型国土の形成に大きく寄与するものと考えられます。  このような課題に対応するため、今般、本法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、産業の製品もしくは役務の開発力、生産、販売もしくは役務の提供に関する技術または経営の能率が向上することを産業高度化ということとし、産業高度化に特に寄与すると認められる事業特定事業ということといたします。  第二に、本法による措置が講じられる地域は、産業集積程度が著しく高い地域以外の地域であること、特定事業集積により、地域産業高度化が期待できること、必要な人材の確保が可能であること等の要件に該当する地域といたします。  第三に、主務大臣は、特定事業集積促進する措置を講じようとする地域の設定、特定事業集積の目標の設定等に関する指針集積促進指針として定めることといたします。  第四に、都道府県は、集積促進指針に基づき、集積促進地域の区域、特定事業集積の目標、業務用地等の施設整備等に関し集積促進計画を作成し、主務大臣の承認を受けることができることといたします。  第五に、地域振興整備公団の業務に、集積促進地域における特定事業の用に供する業務用地の造成、産業高度化に資する研究開発、研修等を行う施設整備に対する出資等の業務を追加することといたします。  第六に、産業基盤整備基金の業務に、集積促進地域において特定事業を行う者に対する債務保証の業務を追加することといたします。  第七に、特定事業を営む者に対し、その取得資産についての特別償却、特別土地保有税の非課税、事業所税の減免措置の税制上の優遇措置を講ずるほか、地方公共団体の行う不均一課税に対する減収補てん措置等を講ずることといたします。  その他、集積促進計画を達成するために必要な資金の確保、施設整備、国の援助、農地法等による処分についての配慮等必要な規定を設けることといたします。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  なお、この際一言ごあいさつを申し上げます。  今夕、私は四極貿易大臣会合に出席のためカナダに出発をいたします。本日の審議日程作成の際、これを御配慮いただきまして、まことにありがとうございました。心から感謝を申し上げます。  この際の四極貿易大臣会合は、非常な困難に当面することと思いますし、また波乱に富むことと思います。国益を背中にしょって私は懸命の努力をいたし、よってもって日本の国際社会における地位の向上と、そうして国民にとっての幸せ、繁栄を一層助長するように、一生懸命に諸外国に対応してまいる所存でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。(拍手)
  181. 大木浩

    委員長大木浩君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十四分散会