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神谷信之助君 直接該当しない者に、なぜ保険証が交付されなかったのか。どこの
報告か知りませんが、まさに事実とは全く違う。
この間、四月の二十六日でしたか、京都の市
会議員団がこの問題で交渉に行きました。私も立ち会いましたよ。そうしたら、京都からの
報告では、今
局長がおっしゃったようなことでした。冗談じゃないですよ。
確かに滞納しているんです。滞納は相当なものですね。五十八年以来の滞納があります。六十年だけが完納で、あとずっと滞納してきています。確かに滞納しているんですよ。しかし、本人は血便で、体が動ける間はええわといってもう病院にも行かぬと働いていた。それで、どうにもこうにもならぬので保険証をもらいたいというのであちこち友人やら親戚から借りてそれで金を持っていったら、これでは足らぬ、あんたはこれだけでは足らぬといって追い帰された。もらってないんですよ。それでとうとうどうにもこうにもならぬで病院へ行って、即日入院と言われ、そこでその病院のケースワーカーがついて、本人はもうくたくたになっていますから自動車に乗せて、本人が行かぬとわかりませんからそうして行ってやっと一期分の六万三千円をあちこちから借りたり病院も貸したりして持っていって保険証をもらった。そうすると今度は毎月二万円ずつ払え、今までの滞納を全部納めろと納付誓約書を書かされて、毎月二万円ずつ支払わなきゃならない。そのうちに、入院していますから仕事はできない。この人はおもちゃの卸屋さんですよ。勤めておったが十年ぐらい前に転職して、仕事を始めた。始めたころはよかった。ところがすぐ不況になって、営業不振になった。いわゆるコンピューターゲームがだあっと広がったときで、もうどうにもこうにもならぬ。卸屋ですから取引は手形でやらなきゃしょうがない。どんどんどんどん手形を現金化していくわけで、だからまさに自転車操業になる。働いているのは一人ですから。それで、子供は学校へとにかく行かさにゃいかぬ。そういう
状況だったんですね。
ところが
報告では保険証を取りに来いと言ったけれ
ども来なかった、と。そして、結局、手おくれだということで命をなくすという事態になっているんですよ。まさにひどい話じゃないですか。
これは、当時、六十一年十月二十八日の
衆議院の社労の
連合審査会で当時の斎藤
厚生大臣が「所得がなくて払えない方も悪質とみなすというようなことではございませんで、悪質滞納者とは、合理的な理由がなく故意に
保険料を滞納している者をいうわけでございまして、具体的には、災害とか失業、長期入院等の特別な理由がなく長期間滞納している者、また、かつ、財産の名義の変更などを行うなどして
保険料納付を回避する意図が明らかである者、こういう人たちを想定」しておりますと。だから意図的に滞納している者で、払いたくとも払えない人は悪質とみなさない、こういうのが当時の斎藤国務大臣の答弁ですけれ
ども、これと全く違うことが現実に行われているでしょう。
あなたの方の通達でいくと「相当程度の納付相談・
指導を続けても、なお滞納状態が続いているような、相当程度以上に滞納している者を
措置の対象とするものであること。一般的には、当該
年度の年額
保険料(税)の二分の一に相当する額以上の滞納額がある場合を、
措置の対象の目安とするのが適当である」と、こうなっています。だから、この人に対して出てこい出てこいと言うけれ
ども、行ったって金がないんだから払えないのはわかっているので行かない。そうすると「相当程度の納付相談・
指導」をやっても相手は言うことを聞かない、しかも滞納している、これは悪質だ、こうなってきているんでしょう。それで、かき集めて金を持っていっても、こんな額では足らぬのや、五万円以上持ってこなあかんと具体的に数字まで言っていますよ。こういう
状況になっている。
何ぼ通達で機械的にそうしたらいかぬのや、よく話を聞きなさいよとおっしゃっても、実際に窓口で担当している職員は一体どれだけおるんですか。一人の職員が一体何人を対象にしてこれの相談をやらなきゃいかぬ。だから、直接行っていろいろ話を聞くというようなことをやっていたんでは間尺に合わぬ。京都でも南区は対象者が多いですからね、こういう人たちが。だから、てんやわんやでとにかく仕事に追われますから、処理はしていかなきゃいかぬ。あなた方の方は、どれだけ早く滞納処理ができたかという点検はじゃんじゃんやるが、どれだけよく話をしましたか、直接面談をしましたか、どういう
状況ですかということは聞きもしないでしょう。中身はさっぱりわからない。そうして一片の通達で仕事をやろうとしても、あちこちで事実上の人殺しをやっていたそういう状態が起こっているんですよ。これはまさにそういうことではありませんか。
あなた方は保険制度やからとおっしゃる。確かに払う能力がある者は払わなきゃいかぬ。皆保険制度にしたときは、そうでしょう、
保険料を払えない人は想定していなかった。
保険料を払えない人は生活保護で処置をするわけです。ところが、
保険料を払える人を対象にして三十三年に出発したけれ
ども、事態はそうはいかぬ。生活保護をどんどん切り詰めますから差が出てくるんですよ。あるいは、商売をしている者は不況があったり景気がよかったり悪かったりする、あるいは病気をする、おやじ一人しか働けなきゃ病気をした者が払えるどころの騒ぎじゃない、そういう事態が続いているんですよ。
だから、
厚生大臣、これは前斎藤
厚生大臣の答弁の
趣旨からいっても、全く実態はそれを覆すような踏みにじるようなことが現に行われている。これは金沢でもそうですし、札幌でもそうでしょう。時間がありませんから幾つか言いませんけれ
ども、そういう事態が起こっているということを、
厚生大臣、あなた自身胸を痛める気持ちはありませんか。
厚生大臣の見解を聞きたいと思います。