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山本正和君 それじゃ、これは本
法案と直接関係はございませんが、それにちょっと関連しまして、
労働省に対して、
労働組合法の
改正ということでございますから
労働組合に関する幾つかの
事案について私の方から申し上げて、この機会に御要望しておきたいと思うのでございます。
不当労働行為、これは六十三年四月現在で相当な数に上っておりまして、もう解決したものあるいは解決見込みのものあるいは若干審理中断中のもの等含めまして、かなりな
案件に上っております。その中で、私いろいろ聞いてまいりまして、こんなことが今の時代にまだあるのかと思うような
内容がございます。
それは福岡県の
二つの例でありますが、
労働組合をつくろうなんというのは会社に逆らう者だ、会社を壊そうとするようなそんな者は
雇用しない、こう言って組合員であった臨時工の首を切って解雇した。組合員以外の人を今度アルバイトに採用する。会社を一遍つぶしてしまって現在おる人を全部解雇してしまって、そして実は違う形でもって経営をする。そのときにはもとの雇っておった人たちをアルバイトで採用して、それで働くなら働かしてやろう。要するに、何といいましょうか、
労働組合とか
労働者が
雇用主に対してさまざまな
要求をするというそういうことは、会社を大事にするのなら、君たちが会社で働こうとするならそういうふうな考え方を持つな、こういうことを放言する。これははっきりした事実でありますから、その地域では大変びっくりしたというようなことを言っているんですけれども、何とその企業が
我が国でも有名な大企業の子会社といいましょうか下請会社である。具体的に言いますと雪印乳業の下請ですけれども、こういうふうなことがまかり通っている。
労働組合というのは、これはまるで社会の犯罪集団だというふうな格好で経営者が物を言っているというふうな事例がございます。
さらに、これはかなり大きな建設関連の会社ですけれども、その社長がその会社の組合員に対していろんな議論をするときに、おれが
法律だ、工場内ではおれが憲法だ、こういうことを言って、組合がさまざまな問題で
労働者の権利とかなんとかということを言うときに、何を言っているんだという格好でやられてしまう。そしてさらに、もうどこへ行っても構わぬよ、どこへ行ってもらってもいいよと言って、
労働基準法など守っていては経営は成り立たないんだ、有給休暇を請求するならボーナスは払わぬぞ、こういうことを言う。あるいは、
労働組合員はすぐ有給休暇を請求したり権利を主張したりする、そんなことをするのなら会社はもう身売りするぞ、こういうことを言う。これはかなり大きな会社です。これは中小企業ですから大きいと言ってもしれているんですけれども、
地方ではやっぱりかなり大きな会社です。こんなことが行われております。こんなことが言われているわけですね。
これは、全国に中小企業は三百六十万ぐらいあるとこういうふうに言われていますから、その中の特別な例かもしれませんけれども、経営者の皆さんが、まだ昔の
労働組合ができていない時代、戦前の
我が国の親方と徒弟というふうな時代の中からなかなか抜け切らない、いわゆる近代的
労使感覚といいましょうかそういうものがないという
実態がございます。
私、そういうことを見ていまして、聞きまして思うのは、
労働組合法が制定されて以来、もう戦後四十年たつわけですけれども、
労働省は、大変な予算も人も使って随分経営者教育をおやりでございます。中小企業の経営者の方はまたいろんな意味で大変な御苦労をしているわけですけれども、
法律の範囲内で人を雇ってその人たちを大切にしながら経営を成り立たせていくということでまた大変な苦労が要るわけですけれども、その経営者に対する教育というものがまだまだどうしても必要なんじゃないかということを思うわけでございます。
そういうことから考えて、現在、
労働組合というものに対する認識を、特に中小企業が多いわけでありますけれども、そういう中小企業の経営者の方々に対してどういうふうな形で経営者教育をおやりになっているのか、現在の経営者教育の
実態あるいはそこでの問題点、そういうものがございましたら、
法案には直接関係がございませんけれどもお聞かせ願いたいと思います。