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山口哲夫君 おっしゃっていることとやっていることがまるっきり違うんですよね、残念ながら。
口ではそうおっしゃるけれ
ども、実際にはどうかというと、自治体の財政を健全化させるために合理化せい合理化せいと言って、もう
患者は二の次にして、
病院をいかにして黒字にさせるかということだけを先行するんですよ。それは人を減らしたりしていけば赤字を解消できるでしょう。しかし、それじゃ何のための公立
病院かというふうに言いたくなるんですよね。ですから、公立
病院の果たす役割で一番大事なものは何なのか、その辺にひとつ
重点を置きながらこれからの
地方交付税の中での自治体
病院に対する対策ということについては真剣に
考えていただきたい。特にこの点強調しておきたいと思うんです。
それで、もうちょっと具体例を出して、いかに重要かということを
お話ししてみたいと思うんです。
長野県というのは、なかなか
医療活動を熱心にやっていて、そして
医療費の方も結構低い地位にあるんですね。で、専門家の方から聞いてみましたら、ここは農協を中心とする厚生連なんか九つ
病院があるんですけれ
ども、昭和二十年代から予防活動に非常に
重点を置いてきているんですね。保健婦の数なんかも全国で三番目に多いんですね。それで、社団法人の長野県
国保地域
医療推進協議会では、百七十名のお医者さんと看護婦さんが一緒になって、地域
医療の活動に昭和四十六年ころから物すごい努力をしているのですね。それから、諏訪中央
病院なんかは地域
医療活動に非常に熱心ですし、それから佐久総合
病院の予防活動もこれは大変活発なんです。まさに
厚生省が言っている
医療・保健・福祉を一体化させてその地域の健康を守っている、こういう今までの努力の成果というものがあるわけですね。これなんかを見ますと、公立
病院が中心になって非常に血の出るような努力をみんなで重ねてやっているんですね。
それから、新潟県の大和町なんかもそうですね。ゆきぐに大和総合
病院なんというのは、これは、町立
病院を中心にして健診センターとか特老ホームとかそういうのが一体になって無医地区に一日置きに診療に行ったり、町内にある二カ所の村落には四人から五人のチームを組んで一週間に一回巡回診療なんかやっているんですね。恐らくそういうことの成果として出てきたと思うんですけれ
ども、
医療費への効果が、例えば、一般
患者の
医療なんかは、新潟県平均
医療費一人当たり十一万六千円が大和町の場合には十万八千円に下がっている、退職者
医療の場合でも新潟県の平均が二十万五千円のところが大和町は十三万五千円に減っているというふうに、
医療費がぐっと減ってきているんですね。
広島県の西城なんかもそうです。西城
病院なんというのは、これは労働組合が中心になりまして、地域の健康を守るために公立
病院が中核となってもっと健診制度を実行しようじゃないかということで、誕生日健診なんていうのを組合が提案いたしまして、そして
病院と一緒になって努力をして今まで大変な活動を続けてきている。その結果を見ますと、これも住民一人当たりの一般
医療費というのは、五十七年から六十年までの四年間を見ても広島市とかほかの方から見ると、やはり
医療費の伸び率というものが抑えられているんですね。それから、
老人医療費を見てもそうですよ。西城の総合
病院を中心とした努力というものがあって、
老人医療費四年間を見ましてもほかの方より伸びが非常に低いんですね。
こういうように公立
病院が中核となってその地域の保健・福祉活動と一体になってやってきたとこは非常に大きな成果を上げつつあるということが言えるんです。そういうことから
考えたら、この公立
病院の果たす役割の重要性というのは、これは
国民健康保険の
事業を本当に進めていくためにも非常に大事な役割を担っている、そんなふうに思いますので、ぜひひとつその点を
配慮しながらこれからの公立
病院に対する助成というものを特に
考えてほしい。さっき厚生
大臣が、重要な地位を占めている、こういうふうにもおっしゃっているんですから、
厚生省も自治省も十分ひとつ対策を講じてほしいことを強く要望しておきたいと思います。
それで、今度は少し具体的に要請しておきたいと思うんですけれ
ども、例えば、僻地
医療なんかを見ておりますと、医者の確保に非常に苦労しているんです。私も自治体で医師の確保には随分苦労した方ですけれ
ども、僻地に行きますと大変な苦労をしているんですね。
例えばある町に行きますと、北海道ですよ、九州からお医者さんを呼ぶんですね。一人一カ月の月給が百万円ですよ。そのほかに、そこの教室に百万円くらい出すんですね。そして、何か手術するということになると、そこの大学の方から来ていただかなくちゃならない。スタッフの費用を全部町が持つわけですね。これは
市町村にとっては大変な負担です。しかし、住民の健康を守るためにはどうしてもやらざるを得ない。そんな深刻な
実態というのが特に僻地と言われる地域の
医療の
実態なんです。
そういうことを
考えながら、
病院財政に対する補助金あるいは交付税措置をもう少し
考えてもいいんではないだろうかというように思いますけれ
ども、いかがでしょうか。