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政府委員(木戸脩君) 先生おっしゃられたフィリピン、インドネシア等、中国以外の地域についての孤児
調査の問題でございます。
私
ども、戦前から海外に残留している方あるいは帰ってこられない方々につきましては、従来から未帰還者
調査というのを行っているわけでございます。それとともに、戦前海外に在留していた人たちの肉親捜しというのもこの未帰還者
調査の一環として従来から受けているわけでございまして、これは
厚生省が直接あるいは在外公館を通じて未帰還者
調査というのに応じているわけでございまして、フィリピン、インドネシア等の国につきましても、従来から未帰還者
調査ということで
日本大使館あるいは援護局に直接肉親捜しの依頼というのはあったわけでございます。
ところで、なぜフィリピンについて今回このようないわゆる孤児
調査を行ったかということでございます。
幾つかございますが、一つは、六十年から六十二年にかけて
日本人の孤児がフィリピンにまだいるという情報が寄せられたということが一つございます。それから、外務省が国際協力
事業団に委託いたしまして
昭和六十一年に日系人の
実態調査報告書というものを作成をさせたわけでございますが、その報告書によりまして、現地の日系人会から残留孤児とか日系二世の
実態調査を
日本政府として行ってほしいという強い要望があったわけでございます。
私
どもといたしましては、フィリピンその他南方地域につきましては早くから国交がございますので、事改めて中国のような訪日
調査というようなものを行う必要はないというふうに
考えていたわけでございますが、日系人会から一般的な日系二世、残留孤児を含めた日系人の
実態調査を行ってほしいというたっての要望がございましたので、いわば外務省の一般的な日系人の
実態調査あるいは保護対策というものも兼ねまして共同で
調査を行ったわけでございます。
なお、
厚生省固有の事情といたしまして、実はフィリピンではさきの大戦で五十二万人の戦没者がございましてまだ毎年遺骨収集をフィリピン政府あるいは日系人会の協力を得て行っているわけでございますが、この残存遺骨の
状況調査というのもやる必要があった、こういうことから今回担当課長をわざわざ二名派遣して
調査を行ったわけでございます。
しかしながら、今回の
調査結果でも、いわゆる残留孤児という方は見当たりませんでした。また、各種の現地の情報から総合的に判断をいたしましても、今後の見通しでも出てくる数というのは、あらわれましても大変少ないのではないかというふうに
考えられるわけでございます。
それから、中国残留孤児とフィリピン等の残留孤児とどこが異なるかというと、一番大きな問題は、やはり同じ戦争の犠牲者であるという点は同じでございますけれ
ども、やはり戦後の事情が違うわけでございまして、中国以外は比較的早くから国交が回復をしていた。また、
厚生省としていろいろ遺骨収集とか慰霊巡拝等のことでフィリピン、インドネシア等の国は訪れておりましたので、そういう面においては情報網というものはあったわけでございます。そこが違うわけでございます。
それから、フィリピン以外の他の地域はどうするのかということでございます。私
どもとしましては、一般的にどこの地域であろうと海外から肉親を捜してほしいという依頼がございますれば未帰還者
調査とともに
調査をいたすつもりでございます。しかしながら、中国について行っているような訪日
調査というような大規模な、いわば政府で向こうの政府と共同してこれから
調査をやるというようなことは
考えていないわけでございます。