○渡辺四郎君 さっきちょっと申し上げましたけれ
ども、私自身が公務災害の
労働側の参与をしておった。私らみたいに組合をつくっておってもなおかつ再審請求まで行くということになりますと、相当なやっぱり日数、年月がかかるわけです。
労災の被災者の方々というのは
中小企業の
労働者が非常に多いということで、そういうことを知らないままに泣き寝入りに終わっていくという方だってたくさんおるわけです。そこらをだれかがかぎつけてあるいは聞きつけてそしてそこの遺族の方に
お話をするというような
手だてをしなければ、知らないままに済んでいくというケースがたくさん実はあるわけですから、そういうことはもう絶対にないように私はこれは
労働行政の上からもひとつぜひお願いをしておきたいと思うんです。
そこで、労災保険財政の問題について、私は心配する必要はないと思いますが、三月二十日の朝日新聞で、これは社会保険福祉協会が出した
内容ですか、「家族の負担重い在宅介護」、「慢性病では入院治療の二倍」ということが出ておりました。ところが、国家的な見地から見た場合あるいは労災保険財政そのものから見た場合には、病院で治療をなさるよりも奥さんの介護で在宅介護を受けてやった方が医療費も非常に少なくて済むというようなことでその対比が実は出されておるわけです。病院に入った場合、例えばこの方の場合一カ月で六十六万八千円入院費がかかっておる、在宅であれば五万八千円でよかったんだと。ところがあとの諸経費、介護費、そういうものをすべて足しますと患者の負担が、病院に入っておれば二十万七千円で済んだ、ところが自宅におって在宅介護でやれば三十四万四千円金が要るんだ、こういうことが出されておるわけです。これは医療費全般を厚生省としては何とか抑制をしたいという立場からでしょうが。
そういう点から、私は先ほどから申し上げておりますこの被災者の方から何十通という実は手紙をいただいておるわけです。そこで
大臣、ここでこの手紙を一通御紹介してみたいと思うんです、要約して書いてまいりましたから。これはちょうど予算案が
政府間で議論されておりましたちょうどナーシングホームの建設問題がマスコミに出る時期のころの手紙なんです。この方はさっき言いましたように
昭和三十三年の十月に事故に遭いまして、そして一級の認定を受けて現在も不自由な生活を続けておる方なんですけれ
ども、手紙の
内容はこう書いてあります。
被災後長い年月の入院治療を受け続けてきたが、当時の医学ではこれ以上症状好転は望めないとして治癒認定を受け、在宅療養を勧められたとき、何か不安は残るが、家族と一緒に生活ができることを喜んでいました。しかし、その後二十数
年間の在宅療養が続き、妻の介護にすがりきょうまで生き続けてきました。この間、幾度となく妻を介護から解放するために入院を
考えたけれ
ども、入院すれば家政婦さんをお願いしなければならない。家政婦さんの支払いは紹介料も含めて二十五万から三十万必要とも聞く。労災による介護手当は六十二年度で三万八千二百円。不足額を埋めるためには妻が働きに出て稼ぐ以外にない。しかし、妻の手で月二十五万から三十万稼げる働き場所もないし、せめて介護料を十万円に引き上げてほしい。そして、自宅療養を続け、家族と一緒の生活ができる喜びを味わわしてください。
その方が言っていますのが、やはり同じような意見です。自宅で奥さんの介護を受けながらやった場合、国家的に見た場合には医療費が要らずに、全体的にやはり少なくて済むんじゃないか、そういうことも言われております。
また今日まで介護一筋に尽くしてもらった妻に、私の死後、生活の保障のないことが一番の心の痛みです。現在、労災被災者の死後、配偶者に対する遺族年金の受給者は十人に一人ぐらい。ぜひ動けない私たち労災重度障害者の声を聞いてください。
これがこの方からの私に対する手紙です。何十通と持っております。
大臣もいただいたと思うんです。昔
労働省の事務次官をしておりました、今の福岡の桑原市長にもこの方はお手紙をやりました。恐らく
労働省の方にも来ておると思うんです。
そして、この方と同じ記者の仲間の一人がこういう手紙を多くの記者の皆さんに配っておるわけです。これもちょっと読んでみたいと思うんです。
○○君は人間が変わった。人世観も変わらざるを得ない運命の奇禍に遭遇したからであろう。彼からの手紙を読み、彼と電話で話をしても、自分の記憶にある彼ではなく、全く違った印象を受ける。それは、単に、歳月だけのなせる結果ではない。これが私の強い第一印象であった。
これは友達の記者の方の手紙です。そして、彼から仮名タイプでもらった最初の手紙から始まり、いろいろ事故の
状況なんかも書いております。そして、
当時、六歳と四歳の幼児を抱え、その日より奥様の全面介護に頼る生活が続き、○○君の心情もさることながら、奥様の心身の苦衷は察するに余りあるものがある。
○○君は、重度障害者の八五%がその妻の介護に依存をしているというふうに言っている。特に、本人死亡後の遺族補償と介護専念の人生を送ってくれた未亡人に対する年金、いわゆる二つの訴えを何とか我々記者たちの手で広げようではないか。
そして、二課題問題について、遺族年金の問題と介護手当の問題を書かれておるわけです。
彼が叫び続ける、障害者の立場を理解してもらいたい一心を貫こうとする信念の鬼とも言うべきであろう。そして、彼は、二課題の解決に時間がかけられない自分自身の命の限界をも感じ取っている。
政治には時として外交辞令の要素が多く、道遠しの感なきにしもあらず。しかし、
検討という名の問題先送りだけは避けてほしい。
これは、友達の記者が多くの全国の記者の皆さんにいわゆる報告ということで訴えておるわけです。
こういう点から、この記者の方も行ってお会いになっておるようですけれ
ども、
大臣、私は二つの手紙を紹介をしました。確かに
審議会の専門機関があると思うんです。しかし、そこに対して
労働省そのものの姿勢がどう動くかということが私はやはり非常に大きなウエートになると思うんです。ですから、労災による重度障害者の介護に専念してきた配偶者の方は、本人が亡くなった後は生活の
見通しがないわけですから、これについてはひとつぜひ
大臣も
努力をしていただきたい、そういうふうに実現する
方向で
努力をしていただきたいと思いますが、最後に
大臣の御所見をお伺いしたいと思います。