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説明員(
菴谷利夫君)
文部省の
審議官の
菴谷でございます。同じく
官房審議官の
前畑審議官それから
調査統計課長の
渡部三名で出席させていただいております。どうぞよろしくお願いします。
それでは、
文部省からは
資料をお出しいたしていますように三点について御
説明申し上げることになっておりますので、
資料に即して御
説明いたしたいと思います。
第一点は
女子教育職員の
育児休業制度についてでございます。それから第二点が父母、
家庭の支出する
教育費、第三点が
育英奨学事業ということでございますが、まず第一点、
育児休業制度について御
説明を申し上げます。
資料は一ページでございます。この
制度は、ここに
根拠法を書いてあります、長い名前の
法律ですが、
教育関係の
学校の
女子教育職員それから
医療・
社会福祉施設の
いろいろ看護婦さん等専門的な方々の
育児休業について定めたものでございます。この
趣旨は、国公立の幼稚園から
高等学校まで、あるいは盲
学校、
聾学校、
養護学校、こういう
学校の
女子の
教育職員、それから
医療・
社会福祉関係も同様と思いますが、そういう
職員の職務の
特殊性、それに関連しまして
人材確保の
困難性、これに着目をいたしまして
育児休業制度というものを新設したということでございまして、そういうことによって、
学校でいいますと
教育の円滑な実施を
確保するということがこの
法律の
目的になっております。
そこで、
制度の
概要でございますが、お
手元の
資料にありますように、
一つは本人からの
申請に基づきます。さらに一歳までの間でいわゆる
育児休業期間が定められます。
申請に基づきまして
事情を勘案して
任命権者がその
期間を定める、こういうことになっております。
それから、この
休業期間中は
仕事をしないわけでございまして、そういうことでございますので給与は支給されません。ただし、この
制度によりまして
共済組合掛金相当額の
育児休業給というものを支給する、こういうふうになっているわけでございます。それから、その
休業期間中どう扱われるかでございますが、
勤務日のうちの二分の一
相当をいわゆる
退職手当とか次の
昇給等に換算していく、こういうふうになっております。
それから、その
女子教育職員が休んでいます間そこに穴があきます。授業など必要なことは行わなければいけませんので、それに対して代替の
教育職員を臨時的にその
育児休業期間の間に任用する、こういう
制度も
法律上定められております。
対象となる具体的な
職員につきましては、その表にありますように、
学校につきましては上の欄、
医療・
福祉施設等についてはその下の欄に書いてあるとおりでございます。
次に、
資料の二ページの「3
育児休業許可状況」、これは
公立学校について取り出しておりますが、六十年度に実績があったものをそこに示してございます。
まず、下の欄の(2)
年度別の
状況をちょっと見ていただきますと、五十一年から発足したわけでございますが、
最初はなれないこと等もあったのでございましょう、五十二年度の表では五割を切っておるということでございましたが、だんだん上がってまいりまして、六十年度の最近のものでは
学校種別に全体が上がっておりますが、全体
平均でちょうどこの数字、右の上の方に書いてあります数字の
真ん中、八七・一%の方々が
申請をし許可されておるというものでございます。
それで、それの最近の内訳を上の(1)で少し区分けしておりますが、該当者、これは
申請をしていい者といいますか、する資格のある人でございます。これが六十年度、約三万人強でございました。そのうち実際に
申請をなされた人が二万六千人強でございまして、許可件数の計の欄を見ていただきますと全員許可にもちろんなっております。全体で八七・一%の方が
申請をし、そのまま許可されておるということでございます。
それで、これは約八七%でございますが、そのほかの方々は、これはいろいろ想像も入りますけれども、両親などがおられて、そちらの方で養育をされているということから
申請を出してきていないという方がかなりいるのではないか。したがって、今日ではこの
制度はほぼ休む必要がある方については大体利用されているということで、定着してきているものと考えられているわけでございます。
次に、ページをめくっていただきまして、二番目の
教育費について申し上げます。
まず「(1)
学校段階別保護者等の
教育費負担の
状況(年額)、この表でございます。
文部省では毎年、小中
高等学校などのいわゆる初等中等
教育の諸
学校について、
子供を
学校へ出しておられる保護者の
教育費負担の
状況を
調査いたしております。「保護者が支出した
教育費調査」という名前でございます。それからまた大学、短大等につきましては、学生の学費とそれから生活費、これを一年ごとに調べるということで「学生生活
調査」を行っております。その
二つの
データをもとに学生、生徒一人頭どのくらい出しておるのだろうかというものをここに示したものでございます。
これもごらんになっていただけば数字はおわかりになるわけでございますが、公立、私立の幼稚園、私立がちょっと余計かかっております。公立の高校と私立高校で見ましても私立がかかっておる、大学についても同様、こういうふうになっておりまして、数字は一々申し上げませんが、ここにあるとおりでございます。
幼稚園から高校までは「
学校教育費」という区分け、これは(注)に書いてありますが、直接使うもの、それから「
家庭教育費」といって
家庭などでいろいろ補助的に使うもの、それからけいこごと等にそれぞれの個人の考え、趣味で出しておるようなけいこごと学習費といったようなものが「
家庭教育費」ということで書いてあります。それから
学校給食をやっている
学校段階については「
学校給食費」というものも特別に出しております。
それから、大学
関係は費目の表示が違いまして「学費」と「生活費」、こういうふうになっておりまして、それが(注)の4と5に書いてありますが、内訳としては授業料、その他直接必要とするもの、それから「生活費」としては食費や住居費云々というようなもので分かれておるわけでございます。その合計が数字として出ております。
こういうことで数字が出ておりますが、例えば大学についてちょっと申し上げますと、大学が、それぞれ国立が約百万強、私立が百四十万強でございますが、
家庭からどのくらい仕送りしているかということになりますと、国立ではこのうち約七一%、七十三万三千円くらい、私立大学は八一%に
相当しまして百十五万円くらいというふうに、私学の方が親御さんが少し余計仕送りをしているという状態になっております。率も高くなっております。それが三ページの表でございます。
それから、次の四ページをめくっていただきますと、そこに「(2)保護者が支出した
教育費の推移」というのがございます。それから(3)は「学生生活費の推移(学生一人当たり)」、いずれも推移でございまして、便宜五十三年度、五十五、五十七、五十九、二カ年置きに行っておりまして、学生生活費の方はなかなか
調査が難しいということから五十九年度までの結果が出ておりまして、六十一年度についてはまだ整理中ということになっておりますので年度が
一つ足らないということでございます。
それで、それぞれ
左側の欄が実額でございまして、単位は千円、それから年度比較を実質的に行うために五十三年度を一応
右側の欄で一〇〇といたしまして、それぞれいわゆる消費者物価指数の総合指数で割り落として実質で比較するということを行いまして、その指数を参考までに書いてあります。そうしますと、上の(2)の方では「
家庭教育費」という欄がそれぞれの
学校にありますが、小中では「
家庭教育費」が指数で上がっておる。それから公立の
高等学校につきましては「
家庭教育費」と「
学校教育費」と両方が上がっておる、こういう
状況でございます。
なお、私立高校については、最近
調査を始めましてうまい比較ができませんので実額だけ挙げてあるということでございます。
それから、大学の方は下の方にありますが、これは今度は「学費」と「生活費」とありますが、「学費」の方が
年度別に見ますと少しずつ上がっております。「生活費」はそれほどでもない、こういう状態になっておるのが実勢でございます。
六十一年度につきましては、小中等については
調査しましたが、対前年度、六十年度との比較でいきますと二%程度の、最近では非常に伸びとしては低くなっておるという点を申し添えておきたいと思います。
次に、五ページをごらんいただきたいと思いますが、これは「全国勤労者世帯における消費支出に占める
教育費及び
教育関係費の比率(世帯主年齢別)」ということで、これは
子供一人ではなくて世帯主で見てどのくらいの率で消費支出の中で
教育費関係を支払っているかということでございます。これは
文部省で
調査をしたことはございません。総務庁の
調査をお借りして書いてあります。
教育費というのは授業料、入学金、寄附金云々という直接使うもの、それから
教育関係費というのは、今言った
教育費に加えまして何となく生活で必要になってきそうなものということで、給食費とか学生服とか云々というものが並んでいるわけでございます。その両方を挙げておりますが、割合で見ますと、やはりだんだん年齢が高くなって、仮に二人いますと、中高、高大、あるいは大大というような
子供を持つようになるほど経費が、比率がかかっておるというのがはっきりわかるわけでございます。
次に、六ページに移らせていただきまして、これは今まで
文部省の方で
データで調べましたものを、例えば一人に直しますと、幼稚園に入り大学を卒業するまでに一体どのぐらいかかるだろうかというものを
一つの仮定の計算をしたものでございます。一応年限はそれぞれ
制度で決まってい最短年限で出るとしまして、五十九年度に出てきた
データをそのまま一挙に足したものでございまして、今後順々にかかっていく、そういう実態ではございません。幼稚園は私立、あと小中高は公立、大学は国立または私立、こういうふうにやっ
てみますと、十八年間かかりまして、五十九年度のいわゆる価格でいきますと一人四百四十六万円というのが大学国立の場合、私学の場合は六百十七万円というのが一応の参考までの数字で出てくるものでございます。
以上が
教育費について御参考までに提示しました
資料でございます。
次に、三番目の育英奨学
制度について簡単に申し上げます。
七ページの
資料でございます。
我が国の
育英奨学事業の
現状でございますが、まず御承知のような
日本育英会というものが国の設置した特殊法人として事業を行っております。そのほかに、この表の上にありますように地方公共団体と社団、財団の公益法人、それから
学校法人、いわゆる
学校その他ということでいろいろやっておりまして、育英会以外でも三千八十二団体があるわけでございます。五十九年の
状況でございます。この
調査は毎年行うにはちょっと複雑でございますので、四年に一回ということになっております。五十九年という古い数字でございまして恐縮ですが、ことしの三月一日現在において新しい
調査を行うという予定になっておりますので、ちょっと古くて恐縮でございます。
奨学生数はどうなっておるかといいますと、
日本育英会が一番大きくて、合計欄にありますように三十九万五千人強、全体の六二%
相当、それから民間の各団体などは二十四万人で三八%程度、こういうふうになっているわけでございます。全体で六十三万八千人強の奨学生がいるということでございます。
それから奨学金の総額でございますが、これは一番下の(3)の欄でございまして、合計で見ますと、大学から高校まで合わせて千百十七億、これは
日本育英会全体の事業費の七五%、民間が二五%程度で三百六十八億、合計で千四百八十六億の奨学事業が行われているというものでございます。
それから、次のページに参りまして
育英奨学事業の
概要、六十二年度でございますが、この表は月額をまず表示しております。六十二年度にありますように、それぞれ
学校段階によっていろいろかかります。一番かかりますのは大学院というようなことで差をつけておりますが、月額を表示してありますが、六十二年度予算ではそれぞれ増加額という右の欄にありますような額を予算上増額しまして若干ずつ改善を図ったというものでございます。
それから九ページは六十二年度の事業費総額でございまして、六十二年度は千四百九十五億、対前年度百二十七億増ということになっております。人員では、貸与人員、この比較増減の欄の下を見ていただきますと九千五百人余りの増で、六十二年度四十四万人ということになっております。
なお、ここに第一種、第二種というふうな(注)に奨学金の種類を書いてありますが、
日本育英会の場合は
昭和十八年からずっと事業をやっておりましていろいろな大勢の奨学生を出してきましたが、その間約三百九十三万人、奨学金総額では一兆三千億というような累計になりますが、各分野でいろいろ御活躍いただいております。それで、だんだんと高等
教育の規模も拡大し人員もふえてきましたので、五十九年度には
制度改正を行いまして、いわゆる事業の一層の
充実を図るという観点から、従来やっておりました無利子貸与
制度の
整備を図るとともに、若干低い率で有利子の貸与
制度を導入するなどの
制度上の
整備を図りまして奨学生の拡充も図っていくということにしたわけでございます。これは臨時行政
調査会の答申にも即して行ったというものでございます。
それから次のページ、六十三年度事業の
概要でございますが、これは今、国会に予算案を出さしていただいている内容でございますので「案」として表示しておりますが、貸与人員では約二千九百人の増、内訳は大学院を中心とするものということでございます。
それから、十一ページへ行きまして、総額では六十三年度案千五百六十三億、六十七億の増、人員ではさっき言いましたものなどを含めて三千三百人の増、四十四万四千人という規模を予定しておるわけでございます。
一応、
概要でございますが、以上のとおりでございますので、よろしくお願いいたします。