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1988-05-12 第112回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     山田  勇君  五月六日     辞任         補欠選任      野沢 太三君     植木 光教君      二木 秀夫君     井上 吉夫君  五月十二日     辞任         補欠選任      堀内 俊夫君     上杉 光弘君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 井上 吉夫君                 上杉 光弘君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 赤桐  操君                 太田 淳夫君                 上田耕一郎君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君    政府委員        国土庁防災局長  三木 克彦君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省河川局長  萩原 兼脩君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        大蔵省理財局国        有財産審査課長  川又新一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二十八日、橋本孝一郎君が委員辞任され、その補欠として山田勇君が選任されました。  また、五月六日、野沢太三君及び二木秀夫君が委員辞任され、その補欠として植木光教君及び井上吉夫君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回、本案の趣旨説明は聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 小川仁一

    小川仁一君 我が国都市、とりわけ大都市の現在の状況を見ると、その改善を進めなければならないという点で再開発が非常に重要な課題であるということは理解できます。しかし、この法案提案された基本的な考え方、その中に幾つか大事な問題が欠けているような感じがいたしますので、そういう点を指摘しながら質疑を進めてまいりたいと思います。  そこでまず、今回の改正案を出した都市状況背景、あるいはこの法案がこういう中で何をねらっておられるのかということについてお考えをいただきたいと思います。
  5. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生承知のように、非常に直接的な関係と申しますと、最近東京等大都市中心とする地価の急激な上昇が起こってまいったわけでございます。それで、いろいろな問題があったわけでございますけれども臨調等でもいろいろ検討されておるわけでございますけれども、その対応策一つといたしまして、業務用宅地あるいは住宅用宅地の大量な供給が必要ではないかという方向一つは示されておるわけでございます。それと同時に、貴重な土地高度利用を伴ったさらに有効利用をすべきではないかというふうなことが言われておるわけでございます。  こういったものに対応するためには、いろいろな制度対応していくわけでございますけれども、再開発の方もそういった目的にかなうように新しい工夫等もしなければいけないというふうなことで、それなりの対応ができることを考え制度化したいと考えたというのが第一点でございます。  それからもう一つは、地方におきまして特に最近の経済社会構造変化に伴いまして不況地域等が出てまいりますように、地方産業都市構造大分変化をしております。そういうふうなことに対応しまして、地方活性化を再開発というふうな形から、あるいは工場跡地の再利用というような形からどういうふうに支援できるかということもまた一つ政策課題だというふうな認識があったわけでございます。  概略しましてそういう二つの要請対応するということで今回の改正をお願いした次第でございます。
  6. 小川仁一

    小川仁一君 私、建設委員になって日が浅いものですから、都市開発法の四十四年からの提案趣旨というのを全部読ましていただいて考えさしていただきました。それによりますと、昭和四十四年ので見ますと、重立ったことは、「最近における都市への人口の集中による過密化と不合理な土地利用とによりまして、都市機能は低下し、都市環境悪化しつつあります」というのが一つのポイントでございます。五十年の一部改正の場合の趣旨説明前文は、「最近における都市化進展に伴い、大都市はもちろんのこと、地方都市におきましても、環境悪化災害の危険の増大市街地内の住宅不足等都市問題がますます深刻化しております。」という形になっております。五十五年の改正法提案理由を見ますと、「都市既成市街地における都市環境の未整備災害危険性職住遠隔化交通混雑等の問題は、依然として深刻な状況にあります」、こういうふうに書いております。  そこで今回の提案理由、やはり前文だけでございますが、ここではこういう深刻な傾向をちょっと趣を変えた感じで、「都市環境整備改善住宅事務所供給促進等要請が高まっております」、こういう形に、深刻化に対する対策というよりも、要請を受けて出ていくんだという姿勢に変わっております。そして、「特に、産業構造転換、物流・交通体系変化等に伴い、都市内に おいてまとまりのある空閑地等が大量に発生しており、」と。ここには都市問題に対しては非常に何といいますか見通しの明るい感じ状況の分析があるわけでございますが、この四提案から、その都度の状況変化、今私が読み上げたようなことで、特段今回の改正で強調しなきゃならないというのは、前三回分の深刻状況から、一つ要請を受けてやる、こういう形に変化していった理由というふうなものについてお話し願えればありがたいと思います。
  7. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生ただいま御指摘ございましたように、確かに提案理由説明さしていただいているのは、その時代時代要請というか、時代背景を伴いまして、アクセントの置き方、強調の仕方が異なっていることは事実でございまして、先生が御説明いただいたとおりだと思います。  ただ、基本的に、都市開発基本理念というのは、先生承知のように、「土地の合理的かつ健全な高度利用都市機能更新」というふうなことでございますから、法律のその基本理念から外れたようなことはとても許されるわけでございません。基調としては、「土地の合理的かつ健全な高度利用都市機能更新」ということをうたっているわけでございますけれども、以後の改正の時点におきましては、例えば住宅不足が顕著になってきたとかあるいは交通混雑がさらに顕著になってきたというふうなことに対応してそれぞれその改正項目が出てまいっておりますので、その改正点を強調するというか、そこを詳しく説明したような形で提案理由説明されているものと思うわけでございます。  したがいまして、今回の改正都市開発基本理念が当然土地の合理的な利用とか都市機能更新にあることはそれはもう当たり前のことでございますけれども、特にその中でもどういう側面に力点を置いて、あるいはどういう改正をしたかということになりますと、先生のおっしゃったように、産業構造転換とか、あるいは先ほど申しましたように昨今の地価上昇への一つ対応というふうなことを考え改正を御提案させていただいているということでございます。
  8. 小川仁一

    小川仁一君 法律改正一つ一つの一、二、三と書いた項目じゃなくて前文だけで私は物を言っているんですが、やっぱり前三回と今回とはトーンがぐっと変わっていますね。  そこでさらに精査してみますと、四十四年、五十年、五十五年と共通している課題として、都市環境悪化あるいは都市環境の未整備、こういうふうなことが前には指摘をされておる。今回は、都市環境整備改善要請が高まっている、こういう言い方なんです。ある意味で私は、前回までは深刻化に対する懸命な対策、今回の分は要請を受けてこちらがやるんだ、こういう非常に大きな認識の違いみたいな感じがしたわけなんですよ。あなたがおっしゃるように都市開発法案基本理念が変わってはいないというのであればそこは認識いたしますけれども、しかしどうしてももう一つ私の感じとぴんとこないものがあるので、もうちょっと御説明願いたいと思います。
  9. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生おっしゃるとおり、要請という言葉は、私どもとしましては時代要請というふうな意味で使わしていただいたつもりでございます。ただ、そうは言いましても、時代要請と申しましても、昨今の地価上昇とかそれから地方特定地域不況というのは、地元あるいは臨調とか国会等の御意見というものもございますから、そういうふうな国内の世論とかという点に対応してできるだけのことをやろうという気持ちがあったことは事実でございます。時代要請考えて書いたつもりでございますけれども、もし誤解があるようでしたら御理解願いたいと思います。
  10. 小川仁一

    小川仁一君 誤解しているつもりはありませんけれども、受けとめ方として、深刻化に対する対処、施策、そしてもう一つは、要請というものを受けて出ていくんだ、こういう出方では、基本姿勢の中の解釈に考え方の差があったとすれば、今回のこの改正というのはやや調子がよ過ぎるんじゃないか、そんな都市状況じゃない、こういうことを認識して申し上げたつもりでございます。  なお、これらを比較しながらもう一ついきますと、都市機能という課題が今までの前文に出ております。四十四年には「都市機能は低下し、」と書いてある。五十年は「都市問題がますます深刻化しております。」と言っている。五十五年は「依然として深刻な状況にあります」、こう言っているわけです。現在はといったら、私は土地対策特別委員会ができるほどより一層深刻な状況が出ていると思うんです。その解決部分を、あるいはその解決方向に向かって都市開発法の手直しが行われ、また都市開発法趣旨に基づいて前進しなきゃならない、発展していかなきゃならない、こういう時代認識になっている、こんなふうに考えるわけでございます。だから、一部改正もそういう大きな目的に沿ってなされたもの、こういうふうに理解してこれから質問を続けてよろしゅうございますか。
  11. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) アクセント表現の仕方はちょっと違った点があろうかと思いますけれども基本的な考え方先生のおっしゃるとおりだと私も認識しております。
  12. 小川仁一

    小川仁一君 さらにもう一つ都市問題で、五十年、五十五年等には「災害の危険の増大」「災害危険性」、こういったようなことが書かれております。この災害というのは具体的には何を指して災害危険性と言っているのか。例えば今都市公害が非常に大きな課題になっておりますが、こういうものはこの考え方の中に入っているのかどうか。そして、六十三年においては災害危険性というふうなものにどういうふうな具体的な方向性をお考えになっておられるのか。この視点についてお伺いしたいと思います。
  13. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発法の経緯、前の法律等から見ましても、災害防止を非常に大きく意識したのは、耐火建築物をふやそうという考えでありますから、やはり震災とか火災、耐火を非常に大きく意識して立法がなされたと思いますけれども先生のおっしゃるように、もっと現実的に見ますと、広い意味災害というのは皆入ってもしかるべきだと思うわけでございます。
  14. 小川仁一

    小川仁一君 道路問題が新しい都市災害、いわゆる公害視点になっております。この前も環境委員会等で調査したところによると、東京都内公害、特に排気ガス中心にする公害が非常に深刻化しております。許容量を超えている箇所が幾つもあるわけです。したがって、都市開発法の中で道路問題という問題を公害とのかかわりの中で考慮の対象に入れておられるかどうかお伺いしたいと思います。
  15. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 道路問題は、公共施設整備でございますから、当然再開発事業の主要な部分として考えておるわけでございます。
  16. 小川仁一

    小川仁一君 じゃその問題はまた後でお伺いすることにして、その次に「市街地内の住宅不足」「職住遠隔化」、こういう形で住宅不足というものが今までの趣旨説明の中で書かれておりますが、六十三年には住宅問題という言葉が入っていないんですね、趣旨説明の中に。まさか住宅問題を再開発対象にしないというはずは、当初の法律案が出たときの趣旨にないとは思いますが、六十三年では住宅等供給要請、こういうふうな表現にこの住宅問題が変わっているんです。  したがって、住宅問題についてどのような住宅を、だれを対象にした住宅を、そして今までの住宅政策に対する反省と、それから今後の住宅政策についてどのようにお考えになっているか。私たちにとって住宅というものは非常に大きな関心事でございますから、やや詳しく御説明を願いたいと思います。
  17. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 再開発を進めてまいります上で住宅対策は最も基本的な重要課題であると認識しております。特に現在のような土地状況におきましては、市街地住宅供給という面におきまして再開発はなお重要性を増しておると思っております。こういう中におきまして住宅対 策の推進を図ってきたわけであります。  従来各種の住宅政策を積み重ねてまいりまして現在に至っておりますけれども、こういう問題につきまして私感じておりますことを申し上げますと、国民居住水準向上を図ることをまず第一の目的にいたしまして、あわせまして、対外経済摩擦が激化する中で内需の拡大による我が国経済の安定的な成長を図っていくために住宅投資活性化が必要であるという認識が広まりまして、数次にわたります経済対策の中におきましても住宅対策を重点的な問題として取り上げられてきているところであります。  こういう中におきまして、まず住宅税制について見ますれば、住宅ローン残高民間ローン一%、公的ローン〇・五%相当額を三年間税額控除するという住宅取得促進税制昭和六十一年度に創設されまして、六十二年度にはこの控除期間を三年から五年に拡充をいたし、さらに本年度におきましては、公的ローンにつきまして残高の一%を控除するということと、あわせまして住宅床面積上限の撤廃あるいは増改築への適用等制度拡充を図ることができておるわけであります。  また、本年度改正によりまして減税額を見てみますると、平年度ベースで約四千五百億円の規模、これは普通歳入に占めます割合が平年度ベースで一・一%ということでございますので、アメリカ、イギリスには及びませんけれども、フランス、西ドイツと比肩しましてそれほど劣っていない水準に至っているところであります。  また、住宅金融の面で見ましても、住宅金融公庫貸付金利の引き下げでありますとか、あるいは貸付限度額引き上げ金利別規模区分引き上げ等貸し付け条件拡充改善を図ってきたところであります。さらに、建てかえ、リフォーム等に関します融資拡充を行いまして、国民住まいに関するニーズの多様化対応しまして、都市田園複合居住用住宅融資制度、また最長五十年の超長期ローン、さらには親孝行ローン等、新たな融資制度も創設したところであります。これら住宅金融税制改善住宅投資活性化住宅の質の向上に大いに貢献したものと考えておるところであります。  さらに、木造建築物につきましても、国民の間に強い志向がございますが、近年の技術開発進展を踏まえまして、昨年の通常国会におきまして建築基準法を一部改正していただきまして、準防火地域におきましても、防火性能を有する三階建ての木造建築物建築を可能とする等の制度改正を行ったところであります。木造建築物自由度を拡大したことによりまして、日本の伝統文化継承発展と豊かな住生活の実現に資するものと考えております。  今後の住宅政策重要課題は質の向上であると思っておりますが、その上で最大の障害は首都圏におきます高地価の問題であると考えております。住宅への支払いの大部分土地代に使わざるを得ないというようなことによりまして、良質な住宅ストック形成が困難になっていることは重要な問題であると考えております。住宅政策を担当する立場から申し上げますならば、土地の高価格家賃価格に直接反映しない方法など、家賃価格都市生活者にとって合理的なものとなるような格段の努力をこれから払っていかなければいけないと痛感しております。公団住宅を取り上げてみましても家賃価格につきまして議論があるところであります。しかし、視点を変えまして見てみますと、例えば長期的な立場に立って見ますれば、規模、設備、環境、立地その他で良質な住宅ストック形成あるいは都市空洞化防止のため、現時点では高価な印象ということは与えるかもしれませんけれども、そういう住宅供給することもまたやむを得ない側面があるとも考えることはできますが、しかしながら、勤労者住宅供給という観点から見ますればなお改善をしなければいけない点が多々あると考えております。  なお、住宅問題は東京等大都市だけの問題ではないと考えております。伝統を生かしながら個性と文化に満ちた美しい町と住まい全国津々浦々に実現する必要があると考えております。遺憾ながら現状におきましては、経済力に比しまして居住水準が立ちおくれているということにつきまして海外からも奇異な感じで見られているという点もございます。我が国民が豊かな住生活を世界に誇ることができるようになるよう今後とも力を尽くしてまいりたいと考えております。
  18. 小川仁一

    小川仁一君 今までの政策、それから今後の見通し等を非常に詳しくお聞きしまして、住宅政策方向性がわかりました。しかし、まだ一般勤労者住宅がどう確保されるかという課題は依然として残された課題ではないか、そう私は考えながら六十三年度提案理由を見ますと、「特に、」と言って、「まとまりのある空閑地等が大量に発生しており、」という認識を示しておられる。大変いいことなんです。このまとまりのある空閑地というのはどの規模のものをお考えになっておられるんですか。
  19. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生指摘のように、抽象的な表現は楽でございますけれども、実際に量的に把握するのは大変難しゅうございます。しかし、私ども地方公共団体へ依頼して調べていただいたものがございます。  それを御紹介さしていただきますと、全般的に、工場跡地とか鉄道の操車、ヤード跡地でございますね、そういうふうなもので土地利用転換が今後見込まれる、この辺は主観が入りますから、主観と客観を織りまぜたような言い方でございますけれども転換が見込まれる一ヘクタール以上の用途地域内の土地はどのくらいあるかということを調べていただいたわけでございます。それによりますと、全国で六百七十七地区、約六千ヘクタールほどあるというふうな実態がわかったわけでございます。用途別といいますか、そういうものがもし御入り用でございましたら説明さしていただきますけれども、全体ではそういうことでございます。
  20. 小川仁一

    小川仁一君 今言われた中に大量にという認識も入っているわけですね。そして、この大量のまとまりある地区という中に、旧国鉄清算事業団が持っている土地あるいは国公有地対象としてお考えになっておられるんですか。
  21. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) ただいまの六百七十七地区、約六千ヘクタールの中には、国公有地が五十一地区、三百二十四ヘクタール、旧国鉄用地は百七十四地区、千八十七ヘクタール入ってございます。
  22. 小川仁一

    小川仁一君 これらの土地に再開発事業の網をばっとかぶせてやっていくと私はかなり成功がうまくいくと思いますが、大蔵省所管国有地で今都市開発法対象として利用できるというふうにお考えになっているような土地がございますか。
  23. 川又新一郎

    説明員川又新一郎君) お答えいたします。  現在、国有地大蔵省が所管しているわけでございますが、その中で再開発用地に用立てられるものがあるかどうかという御質問でございますけれども国有地はそもそも国の用に供するというのが基本でございまして、長期的に見ましても国の用に供しないというもののうちから公用、公共用の用に供する、これを優先的に供するというのが私ども施策になっております。その中で具体的に都市開発用地としてどういうふうなものを使うかというのは、御要望がありました中から個別に検討するわけでございまして、現在都市開発用地としてどのようなものを考えておるかというふうなことは特別ないわけでございます。
  24. 小川仁一

    小川仁一君 国有地国民財産だということはわかるんですよ。国民財産だからこそ国民が困っているときにそれを有効に使うというのが私は財産を使う上で非常に大事なことだと思うんです。  そういう意味で、国有地に対して、大臣、これ大蔵大臣に言って、その土地のあいているところを再開発事業に使えと、こういうふうにお話をして、今大都市が本当に困っている住宅その他の方の再開発事業に使っていただくような折衝をこの法案が通ったらおやりいただけますか。そしてそ れを可能性あるものとして実現させていただけないでしょうか。
  25. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今大蔵省からお話がございましたが、今までもいろいろ、一番早い例は国鉄汐留跡地の問題であります。これは国鉄清算事業団が持っておりますので、価格の点で、私どもはぜひこれを再開発して、住都公団とかあるいは東京都とかこういうところで再開発をして、住宅あるいはそのほかの事務所にできるようにということでございますけれども価格の設定というのは非常に難しい、こういうこともございましてまだ話が進んでいないわけであります。そのほかいろいろ国公有地がございますが、これを徐々に——徐々にといっても非常に急ぐわけでございますから、できるだけ早く出してもらうように折衝を進めていきたい、かように思います。  もう一点は、今のは大都市東京都の問題でございますけれども、例えば鉄道等で、青函トンネルができまして函館の港付近、それから高松あるいは宇野、こういうところも地元から非常に再開発をして住宅その他にやってもらいたいという要望もございますので、こういうところを徐々に折衝してまいりたい、かように思う次第であります。
  26. 小川仁一

    小川仁一君 きょうは清算事業団をお呼びしていませんが、清算事業団にどこかを教えてくれと言ったら、一切教えるわけにはいきません、こういうごあいさつを受けました。いずれ土地特対でまた別な角度からやりますけれども。  確かに清算事業団等は負債を払わなきゃならないという一つ条件はあると思う。しかし、あれはそのことだけに固執するというと、逆に先ほど言われた価格の問題でどこにも手がつかなくなってくる、こういう問題があります。今の函館、宇野、高松にしても当然そういう範疇に入ると思う。それだけにそういうものに対しては強力な手段でもって再開発をする、こういうことをすることによって、建設省、再開発法をつくっていった、しかも今回改正をして一定の地区に網をかぶせてやっていくという方式が生きていくと私は思うんです。そういうことを非常に強く期待をしておきたいと思います。  さらに、特に再開発事業の中で住宅地の再開発というのがおくれているようでございます。市民にとって望ましいものはやっぱり住宅地の再開発でございます。これはさっき言った条件を含めて国の強力な財政援助というものがなければできないのではないか。言いなりの価格でもって一つの再開発をやったら、その再開発地域というものの住宅地にしても何にしてもえらい高いものになってしまいます。これじゃ庶民のものにはならない。こういう形で、最低でも再開発地内における緑地とか公共あるいは福祉の施設とか道路とかというものは、これは国の財政で面倒を見てやる、ここまで腹を据えないと実際は再開発というのは高ねの花になるという印象を持たれてしまうんですが、大臣どうですか、そこまで腹を据えて、再開発地域の公共部分は国が財政の面倒を見る、こういう折衝を今後政府部内でおやりいただけないでしょうか。
  27. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) その点につきましては、でき得る限りお説のようなことで進めてまいりたい、かように思います。  第一番は、国公有地を含めて素地をできるだけ安く手に入れる、その上で後の再開発についてはできるだけの財政援助をしていく、そして地価を安くしてその上に住宅ということで、できるだけ住宅が安価にできるように努力をいたしたい。なお、住宅につきましては、先ほど住宅局長からお話がございましたが、できるだけこの面にも援助をして安く上がるように努力をしていきたい、かように思っておる次第であります。
  28. 小川仁一

    小川仁一君 強力な財政的援助というものがなければ再開発法というものは一般市民からそっぽを向かれてしまう、そこが一番大きなポイントだということを申し上げておきたいと思います。  もう一つの観点は、都市の改造計画に当然この再開発というものはつながっていると思いますが、その都市全体の都市計画ビジョンといいますか、都市の再開発計画ビジョンが存在して、そして再開発地区というものはどうこれを有機的につなぐか、配慮するかということにならなければ、一カ所きれいな場所が一つできた、こういうことになってしまうと思うんです。したがって、当然それはお考えにはなっていると思いますが、一つの再開発地域を決定される場合に、他の地域、他の場所、それとどう関連を持たせるか、あるいはどう総合的に大きな地区全体を考えるかというふうな構想をお持ちになってやっておられると思いますが、そういうことについてお話を願い、もし具体的にこんなふうにやっていますという例があったらお知らせを願いたいと思います。
  29. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生のおっしゃる基本的な考え方、いわゆるその町全体の整備開発、保全の方針というものがあって、その中から再開発なり新開発が生まれてくるべきだということは当然のことだと思いますし、現行の都市計画法の体系でも一応そうなっております。その整備開発、保全の方針として都市計画が基本的にそれに従ってなされるわけでございますけれども、特に再開発に関しましては、五十五年の改正で再開発方針というふうなものを二十二の都市にとりあえず制度上義務づけまして、今先生がおっしゃいましたように、例えば東京都なら東京都全体をにらんで、その中でどこを重点的に再開発していくかという再開発方針というふうなものをつくることになったわけでございます。  現に東京におきましてはそういった基本方針ができておりまして、そういうふうな基本方針に基づきまして市街地開発事業とかあるいは区画整理事業とか、あるいは事業でなくて計画誘導の形をとる場合には地区計画とか、そういうふうなものでその地域を含めて所期の目標を達するような状態に持っていこうというふうな総合的な方針ができ上がっているわけでございます。
  30. 小川仁一

    小川仁一君 東京で見てみます。土地というものを、その地域に今まで生活してきた住民が住むということも含めて考えていかないと、例えば都心の三区みたいな状況になってしまうわけであります。ただ単に高度利用、ビルの開発、こういう形になりますとその地区から住民はいや応なしに追い出されてしまう。おわかりでしょう、港、千代田という地区、人口が年々減少して、何か千代田区は都会議員一人分の人口もいないとかというふうな状況になってしまっている。しかし昼間人口は非常に大きいんです。ですから、ここへ通勤するという労働者、住宅との距離、大変なものになっております。  どうかひとつ、再開発地域を一部だけに固定することなしに大きく、都なら都と話し合いをしながら、そこに昼間人口と夜間人口の差を少なくする、住宅をどうつくり出す、そのためには住宅を安くどう提供する、こういう問題まで含んだ再開発事業というものをやっていただきたい。今まではどちらかというと商業地区といいますか、事務所地区といったような開発中心だったので、今度は住宅ということを本当に強く意識してやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  31. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 建設省としましても当然おっしゃった方針、現下の住宅事情を考えましてそういう方針をとっておるわけでございますけれども、先ほど申しました東京都の再開発方針等で見ましても、例えば都心三区も再開発方針の促進地域とか特別な地域に数多く指定されておりますし、その中におきましては住宅にかなりウエートを置いた施策がとられているようにお聞きしております。
  32. 小川仁一

    小川仁一君 住宅開発について一つの見方といいますか、考え方を紹介すると、とにかくそこに住んでいれば、その土地を所有していれば自然に値上がりをする、こういう土地におられる人たちもあるわけであります。東京などは特にそうでございます。それを再開発によってオフィスビルなどというふうな形で再開発されますと市民は明らかに不利だという感情を持ってしまうわけであります。そういう人が多いように感じられます。また、地価が高騰しております、建築費が高いわ けでございますから、等価交換といいますか、あるいは権利の転換、こういうふうな問題がありましても、一戸建て住宅から逆に狭い中高層住宅に入る、そんなのは迷惑至極だ、こういったような市民感情もあるわけであります。  こういう状況をなくしてやるためには、住宅という問題に本当にウエートを置いて、現在住んでいる住宅に遜色のないような、しかも経費的にも現在住んでいる住宅よりも大きな経費がかからない、こういったような方策を一つ開発地域の中で行っていかなきゃならないのではないか、こう思うんですが、こういう方向性開発計画の中にあるんでしょうか。
  33. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発、特に法定の市街地開発事業につきましては、先生のおっしゃるような観点から、住宅の場合には特別に助成制度を強めたり、あるいは容積率等の場合に割り増し率を高めたり、そのほか金融政策上の問題とか各種優遇政策をやっておるわけでございます。それから再開発事業の中でも、できるだけ公営住宅とか公団住宅の用地を生み出すとか、あるいは既に居住している方々に対しては、再開発事業で言っています施設建築物にできるだけ移るとか、またそれで足りない場合には公営住宅とか再開発住宅にお世話申し上げるとか、そういうふうなことでできる限りの対応はしているつもりでございますけれども、今後ともそういう意味では現下の情勢から見ましてさらにできることはしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  34. 小川仁一

    小川仁一君 都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案の概要の御説明の際に、再開発地区計画制度による土地利用転換のイメージというのをいただきました。これを見ておりますと、現況が工場跡地、途中段階で計画がされ、そして完成する場合には超高層住宅、オフィスビル、ショッピングセンター、公園、店舗つき住宅、超高層住宅、遊歩道なんというふうに書いておられます。今私が申し上げたこういった中で、これは工場跡地ですが、この土地につくられたものは、昼間人口をどの程度に、一つのモデルとして考えたときに、夜間人口をどの程度にというふうに、これは何万人とは言いません、比率で結構ですから、お考えになっておられますか。例えば昼間人口を一〇〇としたら、夜間人口はこういうふうな高層住宅の中では五〇とか八〇とか三〇とかいうふうなお考えをされたことありますか。
  35. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これはまだこれから制度をつくっていただいて、先ほど申したようなところで、適地はありますけれども、その適地がこの制度に乗るかどうかというのは地権者の意向等もございますし、したがいまして、具体的なその場所をイメージしてつくった図ではなくて、本当のイメージ図でございます。ですから、ここで先生のように昼間人口、夜間人口までは実は想定しなかったわけでございますけれども職住近接というふうな関係もございまして、この絵でかいてあるような住宅につきましては、職住近接の意味で夜間人口、昼間人口のギャップをできるだけなくすような形のものを考えておりますけれども、数字としてはちょっと御勘弁願いたいと思います。
  36. 小川仁一

    小川仁一君 構想の中で夜間人口をなるべくふやすようにというふうな方向で物を考えてほしいという気持ちがあるからなんです。そして、夜間人口がふえてまいりますと、そこに至る交通網その他の整備についても一定の条件があればいい。もし夜間人口が少なくて昼間人口が圧倒的に多くなりますと、ここに対する交通の混雑あるいは道路網の整備、交通機関の整備という問題がさらに付加して出てくる、こういう感じがするわけなんです。ですから、できるだけ住宅中心にした夜間人口の増大ということを念頭に置いてやっていただきたい。  それから、もしそれが成立しませんというと、完成図の中のいわゆる市街地開発地区以外の周囲の道路等を拡幅しなければここの中における昼間人口が収容し切れなくなる、こういう問題があるんです。大きなビルとかあるいは大きな建物、あるいは再開発が行われますというと、その地区の人はよくてもその周辺の人が大変迷惑をするという事態が幾つもあるわけです。そこに至る道路の拡幅が出てくる。そうしますと、再開発地区でも何でもない周囲の人たちがそのために自分の土地を削られる、あるいは商売の幅を狭められる、人によっては立ち退きをさせられる。こっちとは関係なしに、道路のために非常に苦労する地帯が必ずこの周囲に出てくるわけです。現にここにも大きな道路ができているわけです。こっちにもだんだん広がっていく。  こういう課題がありますだけに、再開発の計画をなさるときは、周囲の道路あるいはその他公共的なものによって影響を受ける人たちに対する配慮、目配りというものが非常に大事になる。それを抜きにするとやっぱり再開発地域というのは孤立してしまう。こういうことになると思いますが、この点についてはどんなふうにお考えでございましょうか。
  37. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発の場合もそうでございますけれども、その他の何か都市の中でプロジェクトをやった場合にも同様なことが出てくるかと思います。  そこで、再開発地区計画、今度の制度も当然でございますけれども、再開発にかかわる重要な計画あるいは事業というのは、都市計画の中に位置づけて都市計画決定なり事業決定なりをやるというのが建前になっているわけでございます。申すまでもなく、都市計画ということになりますと、当然その公益的な観点も、あるいは当該市町村全体の立場も含めて、交通の問題で申しますと、交通のネットワークを考えた上で計画が決定されるわけでございまして、一定の地域にインパクトとなるような開発が行われた場合の他の地域への影響ということは、都市計画の際に当局も十分頭に入れて考えることでもございましょうし、また都市計画中央審議会等にお諮りする場合でも、全体の観点から審議がなされることだと思います。  それから都市計画の手続におきまして、各段階で計画の縦覧とか意見を徴取するとかいうふうな段階におきましても、地元それから周辺を含めて各方面からの意見が出されるというふうなこと、それがまた都市計画中央審議会の場で審議されるというようなことでございますから、全般的に、先生のおっしゃるように、一つの地域におけるプロジェクトが他の地域に悪影響を及ぼさないような配慮というのは、当該市なら市の全体でなされるという建前になっておりますので、実態上も建前だけでなくてそういう形の運用がなされるように私どもとしても指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  38. 小川仁一

    小川仁一君 今の点、各地でいろいろな問題が起きております。現に私もその対象の一人になっておりますし、お聞きすると幾つかの地区にもそういう課題がありますから、建前で指導するというのではなくて、持ってきたそういう計画に対してはきちっとした指導をお願いしておきたいと思います。  それから、今までの住宅開発、特にその付近に住んでいる借家人が開発事業の中で無権利状態に扱われているという実態があるわけであります。居住権は認めているけれども、実際問題としては土地の所有者との話し合いの中で借家人は全然自分の意見を用いられることも入れられることもない、最後には公共の福祉論というものの中で多数の意見の中で押しつけられてしまう、こういう状況があるわけであります。ですから、さっきのような工場跡地というふうな場合ではなくて、市街地開発の場合には借家人の存在というものを非常に大事に考えてほしいと思います。  だれでも自分の一戸建ては欲しい。いろいろな経済的状況の中でやむを得ずおうちを借りて住んでおられる人、こういう人たちの生活権というものを保護しなければ、再開発などというものは全く、場合によっては、人間を殺すという表現はオーバーでございますが、生活をだめにしてしまう状況までつくり出されてくるんじゃないか、こう思いますので、この点についてどういうふうな対策 を今までおとりになってきたか、お知らせ願いたいと思います。
  39. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 確かに再開発事業は、地域ぐるみあるいはそれぞれの居住している方々の生活態様をかなり変えてしまうという事業でございますから、法律制度上も、地主、借地人だけではなくて借家人に対する規定が特別に詳しく書かれておる次第でございます。  先生承知のことかと思いますけれども、再開発法におきましても、新しくできる施設建築物の中に従前の家主さんと一緒に移るか、あるいは施行者がつくります施設建築物の中に、どちらかに借家権が与えられることを保障しておりますし、また地区外に転出しようとすることがある場合には、そういった借家権に対する保障は当然のことながらなされている。さらに、従前の地域の中に残る方々でありましても、借家条件も変更になりますから、そういった場合に、争いが出た場合に施行者が仲裁に入って裁定するという方法もあります。そのほか非常に住宅に困窮する方々等につきましては、再開発住宅制度ということで再開発住宅を、公営住宅の一種でございますけれども、再開発住宅というのをつくってそこに入っていただく、あるいは一般の公営住宅をあっせんするというふうなことでかなり法的にも対応が講ぜられておりますし、法律以外におきましても当然そういった対策をきめ細かく実施していかないと再開発事業の全般的な同意が得られませんので、行政的にもきめ細かく対応している次第でございます。  今後ともそういった面の対応は可能な限り充実してまいりたいという方針で臨んでいる次第でございます。
  40. 小川仁一

    小川仁一君 話は変わりますが、建設省が保管しているといいますか、所有しているといいますか、管理している一ヘクタール以上の空き地がございますか。
  41. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 建設省所管であいているというところは、私の感じではないんじゃないかと思います。
  42. 小川仁一

    小川仁一君 さっきも言いましたけれども大蔵省だけじゃなしに各省庁が持っておられるところがあるんですね。今度の一機関の移転といったような形の中で、例えば文部省では外語大の跡地があくとか、あるいはそれぞれの省庁で所有されている空き地があるように見受けられるんです。これは大蔵省所管じゃないから大蔵省もこれを全部把握しているわけにはいかない。ひとつこういうものを建設省の方で、人の懐に手を突っ込むようで悪いと思いますけれども、御調査をいただいて、そしてそういうところへばっと都市開発法の網をかぶせて住宅をつくる。もう省庁の縄張りを越えないと住宅中心にした再開発ができないし、それから東京都の深刻化している都市問題も解決できないと思います。  大臣、どうですか。人の懐へ手を突っ込んで引き揚げてみる気はありませんか。そいつをやったら、その次に民間の所有地とかなんかも同じようにある程度行政的指導力でもっとできるんじゃないか。自分のところがやらないでおいてやってはやっぱり無理なんで、この点大臣いかがですか。
  43. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 十分調査をしてみまして、交渉をいたしてみます。  確かに先生言われるように、縄張りといいますか、これの難しい点も率直に言ってあるわけでありますけれども、政府は一つでありますから、国有地とかそういうところにまでも再開発をするということで検討をしてみたい、かように思う次第であります。
  44. 小川仁一

    小川仁一君 続いて、これまでの再開発事業実施状況について幾つか御質問を申し上げます。  まず、市街地開発事業の進捗状況というものをこの前いただきましたが、これについて、どういう理由でここがうまくいっていないとか、これはこういうふうな形でよくいったとかというふうなことを特徴的に御説明できる点があったら御説明願いたいと思います。
  45. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 市街地開発事業というのは、先生承知のように、都市の再開発と一般に言われた場合にはいろいろなニーズの再開発とかなんとかいっぱいあるわけでございますけれども、その中で特に市街地開発、法定再開発事業というのは、権利変換とかあるいは手法とかを伴ったかなり強制力を持った再開発事業でございます。ですから、その強制力を伴った法的な再開発事業に必要な要件とか手法とかありますからかなり面倒な場合も多かろうと思うわけでございます。  したがいまして、再開発法ができまして二十年を経過するわけでございますけれども、そういったかなり厳しい、きつい形の本格的な再開発事業を実施するといいましても、その前提となる地域の方々の意見とか地権者の意見とかいうふうなものを十分把握していかないと、実施しても途中でとんざするとかいろいろ問題が多いわけでございます。したがいまして、当初法律制度ができましてしばらくの間はそういった準備に期間もございまして箇所数も少のうございました。しかし、最初逐次ふえてまいりまして、現在におきましてはトータルでは三百二十二地区、継続中も含めまして事業が出てきておるわけでございます。毎年毎年、少しずつではございますけれども、新規の箇所数もふえてまいっておるというところでございます。これをもっともっと伸ばしていきたいというのが我々の考えでございまして、その一つの方策としましても今回の改正をお願いしている次第でございます。
  46. 小川仁一

    小川仁一君 私は、総務庁行政監察局の昭和六十年度定期調査、「都市開発法の一部を改正する法律の試行状況に関する調査結果報告書」というのをいただいて、かなり念入りに読ませていただきました。これは、私たちがここで建設省のことをいろいろ批判をしたり質問をしたりする以上に、同じ役所であったとしても、その立場でかなりきちんとした問題を指摘しているわけでございます。私たちはその指摘しているやつのもう一つ裏を読まないとわからない部分もございますけれども、それはそれとして、まずこれから今までの分を幾つか伺ってまいります。  五十年、五十五年の改正点を出して、その実施状況というものがあるわけでございますが、五十五年の改正で新たに義務づけられた都市開発方針の策定、こういうのがございますが、これはどの程度実施されておるでしょうか。
  47. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 都市開発方針につきましては、日本じゅう全部がつくれということでなくて、先生承知の、法で義務づけられた都市があるわけでございます。大都市東京とか大阪とかその他がございますけれども、それが二十二都市ございます。その中で東京都の区部、大阪市など十九の都市で策定済みでございます。未策定のところが三都市ございますけれども、これは地元住民の方々の合意形成というのに手間取っているために若干おくれておりますけれども、そのうちで船橋市につきましては現在都市計画決定の手続中でございます。残りの二都市、立川市と京都市でございますけれども、これにつきましても住民合意の形成を図りつつ早期に決定するよう指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  48. 小川仁一

    小川仁一君 確かに船橋、立川、京都の三市がいまだ策定していないようであります。一年前の行政監察局の報告では、その時点では十五都市しか策定されていない。どうしてでしょうね、こうおくれていった理由は。やっぱり住民合意ということが一番の大きな問題だったんでしょうか。
  49. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 制度自体に法的に住民の同意が要るという制度にはなってございませんけれども、やはり再開発事業は広範囲な影響を及ぼす事業でございますから住民の方々に基本的な御同意をいただかないといけないというふうなこともございまして、地方公共団体は苦労されまして住民との接触をしているわけでございます。それで、できるだけ住民の合意を得てスタートしたいということで現在も鋭意努力中でございまして、かなり今進んできておりますけれども、残さ れたところはさらにまだ今の段階では住民合意が十分でないということで、わずかながら残された地域があると御理解願いたいと思います。
  50. 小川仁一

    小川仁一君 非常にそれぞれの市としては住民というものを大事にして仕事を進めておられるということに、逆に、私はおくれているけれども敬意を表する。やはりその地区に対する開発策定計画というのは住民が一緒になってやらなければ意味がない、こういうことを考えますから、今後とも住民との合意という問題を皆さんの方で非常に大事にして指導していただきたいと思います。  また、こういう義務づけられない都市でも、都市開発基本的な精神に基づいて事業を策定しているというふうな地区があると思いますが、こういう都市幾つぐらいございましょうか。わかっていましたらお知らせ願いたいと思います。
  51. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 義務づけられた都市は二十二都市でございますけれども制度上その都市は義務づけられていなくても、義務づけられた都市の近くにある都市は一緒につくっていいということになっておりますので、そういう意味で、はみ出し部分はあり得ますけれども、純然たる二十二地域と関係なく新たに独自で再開発方針をつくっている都市は残念ながら今のところございません。建設省としましても機会あるごとに、二十二地区に限らず他の地方都市等におきましても再開発方針をできるだけつくるようにという指導をしておりますし、今後とも指導してまいりたいと思いますけれども、現在はまだそういったたぐいの都市は生まれておりません。ただ、作業を内々やっておるというところはございます。
  52. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ今度は関連して個人施行者制度について伺ってまいりますが、これは五十年の改正で創設されたわけでありますが、この制度に基づいて行われている再開発事業というのは、行監の資料で見ますと、六十二年三月三十一日現在で地区数五十、一七%ぐらいというふうな報告をされていますが、その後一年間で拡大をしているでしょうか。どうなっているでしょうか。
  53. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 六十三年の三月三十一日現在で申し上げますと、再開発事業の実施地区総数三百二十二でありますけれども、このうちで個人施行によって事業を実施しているものは六十地区、一八・六%であります。六十三年度につきましては、八十八地区で事業を実施する予定でありますけれども、このうち個人施行につきましては十八地区、二〇・五%の予定でございます。
  54. 小川仁一

    小川仁一君 これが進まないから今度の改正をやった、こういったような形で今度の改正意味をとらえるということもありますか。
  55. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) そういう観点もあろうかと思いますけれども、今回の改正はそこを直接ストレートにねらったものではございません。
  56. 小川仁一

    小川仁一君 この制度、面積、規模、空地率あるいは組合施行の事業よりも国庫補助を受ける要件が緩やかであるということも多く採用されるようでございますが、本来の再開発事業の持つ意味からいうと、個人施行よりももっと大きな総合的な再開発整備がされる方が必要だと思うんですよ。したがって、個人施行を拠点にして地域に拡大するような方式の指導というふうなものはなされておらないでしょうか。どうでしょうか。
  57. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 現在の既成市街地におきまして土地利用が相当細分化されております。土地の合理的利用の促進を図りまして良好な市街地形成を図っていきますためには、敷地の共同化を推進していくことが重要な課題となっております。  このためには、いろいろの側面からの再開発を実施していくことが必要でありますけれども、この個人施行の再開発事業もそういう意味におきましては大きな役割を果たしているところであります。もちろん統合的な大規模の再開発を実施することも重要でありますけれども、このように規模が小さくてもそういう有効な手段はまた引き続き促進する必要があります。しかしながら、御指摘趣旨にもございますように、この個人施行の再開発事業というのは、事業促進の観点から、地区の基準面積を組合施行の再開発などの場合に比べまして下げております。組合施行の場合は五千平方メートル以上の地区面積ということに対しまして千平方メートル以上というようなことで下げております。したがいまして、御指摘のように、これがばらばらに施行されることになりますと問題を起こす場合もまたあるわけでございまして、そういう点を懸念いたしまして、この実施に当たりましてはできるだけ面的整備事業、例えば土地区画整理事業等との同時施行、あるいは街路事業との、公共事業との一体施行ということも指導しているところでございまして、個人施行のおおむね六三%はそういう事業と一緒にされているところであります。  これらによらない場合につきましては、できる限り地方公共団体がつくりましたいろいろのマスタープラン、市によりまして基本計画と称しましたり、あるいは地区更新計画と称しているところもございますけれども、そういう計画をつくりまして、その計画に沿ってそれぞれ、部分的には小規模でも全体としては整合をとっている、こういう事業の推進を指導しているところでございまして、今後ともそういう面については力を入れていきたいと考えております。
  58. 小川仁一

    小川仁一君 次に、五十五年の改正の焦点の一つであった第三者施行制度、これは余り活用されていないような感じがいたしますが、実績と、活用されていなかったとすればどこに障害があったのかというふうな点について御説明願いたいと思います。
  59. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 地元の権利者と第三者の共同施行によります市街地開発事業につきましてはかなり実績がございますけれども、第三者のみによります施行につきましては、現在のところ四地区であります。御指摘のように数としては少ないわけであります。  これらの少ない理由考えましたとき、まず一つは、個人施行等の民間によります市街地開発事業は通常の場合、地元の権利者の指導によって実施されているということがまず基本であります。それから次に、財産あるいは権利の処分を第三者に任せるということにつきまして不安が大きいということもまた少ない理由一つ側面であろうかと思っております。さらにまた、第三者と地元の権利者との権利調整に問題がある、こういうことも指摘されているところであります。  しかしながら、第三者施行という点につきましては、事業のノーハウを持っておるとか事業資金の調達が大きくなるというようないろいろいい点もあるわけでございますので、こういうメリットを生かして促進がなされるよう指導してまいりたいと考えております。
  60. 小川仁一

    小川仁一君 次に、第二種事業について伺いますが、これは五十五年改正では対象の面積を三ヘクタール以上から一ヘクタール以上と引き下げて本来の開発を緩やかなものにしてしまったわけですが、結局余り利用されていない。行監の報告の二十九ページから三十ページの中にも指摘をされておりますが、これが活用されなかった、あるいは地方公共団体がこの二種事業に乗り気でなかった、こういう理由はどこにあったでしょうか。
  61. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生、行監もそうでございますけれども、活用されていないというふうな形でございますけれども、今全体の市街地開発事業は三百二十二地区、先ほど申しましたようにあるわけでございますけれども、この中で十一地区が第二種市街地開発事業でございます。  それで、これが少ないかどうかというふうな問題でございますけれども先生承知のように、第二種の市街地開発事業、これは収用までできるというふうな事業でございますけれども、それはできるところが非常に限定されております。どこでもできるということでなくて、まず市街地開発事業自体が、例えば耐火建築物が大変多いところではできないという一般的な、一種の場合でも施行できる要件があるわけでございますけれども、その上に二種の場合はさらに厳しくて、安全上、防災上極めて危険である地域または大震災に よる避難広場など重要な公共施設の整備を緊急に行う必要がある地域ということで、かなり地域自体が絞られているということでございまして、そういうことがまず第一でございます。  それから第二は、そういった事業でございますので、一般的に申しまして事業区域が非常に大きいわけでございます。それと同時に災害、防災等のことを考えておりますので大規模な公共施設の整備が必要だ、そういうことで関係権利者も大変多いというふうなことでございます。したがいまして、事業にも長時間かかりますし労力も要するというふうなことで、大変な事業でございます。  そういうことで第一種事業に比べまして少のうございますけれども、この事業をやっている地方公共団体は懸命にやっておりまして、嫌がっているというふうなことではなくて前向きに取り組んでおりますけれども、そういった事業でございますので、ただいまのところ実績としましては十一地区ということになっているわけでございます。将来的に必要性はまだまだあろうかと思いますので、私どももそういった事業への助成はさらに強めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  62. 小川仁一

    小川仁一君 第二種事業は市町村中心にやられるわけですから、地域の今言った問題もあって非常に困難であろうと思います。そこで、市町村、自治体をどういうふうに指導するかということ、それは国民なり地域の住民の心に食い入るような一つの説得といいますか説明といいますか、それともう一つはかなり大きな国からの財政援助、こういう課題がないというと大変な事業になりそうな気がするので、今後そういう面からの御指導、御援助をぜひおやりになった方がいいのではないか。  それから、五十年改正、五十五年改正、二度にわたって創設された制度、例えば五十五年改正での権利変換手続の特則適用範囲の拡大、特定施設建築制度、公共施設の管理者等による工事制度、こういったような制度は、やはり行監の報告によりますと、活用は皆無あるいはごくわずかというような表現をとっているようでございます。行監の三十一ページから三十二ページの読み方でございますが、これは現状どうなっておりますか。
  63. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 権利変換制度の特例というのはかなり利用されておると思います。ちょっと数字は後から調べさしていただきたいと思います。それから特定施設建築物の制度というのは七地区でございます。それから公共施設の管理者等による工事の特例というのは八地区でございます。地区数はそういうことでございまして、当初から申し上げておりますように、全体の再開発事業自体がただいま三百二十二でございますから、絶対数は確かに少ないように感じますけれども、こういった制度もこれからも活用さしていただきたいと思います。  それから、権利変換手続の特則につきましては七地区でございます。
  64. 小川仁一

    小川仁一君 市街地開発事業の採算問題なんですが、事業の中には採算がとれなくなって途中で事業化を断念したところもあるようでございます。このような事業がどの程度、またどのような手だてを講じて始末といいますか対策をしておるか、お伺いしたいと思います。
  65. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 市街地開発事業につきましては、多数の方々の権利の調整を行いながら実施していくということでございますので、この実施に当たりましては事前に十分な準備活動をしておくことが重要でございます。  このために、まず準備期間としまして行いますことは、準備組合制度というのを指導しておるところでございまして、準備組合をつくりまして十分なる意見の聴取あるいは計画の検討ということを進めていくわけでございまして、その場合に、権利者のうちの二分の一以上の同意が得られますとそこで初めて基本計画をつくることに対して国の補助を行う。この基本計画をつくりまして、そういうことを通じながらまたそれぞれの権利者の意見を調整していく、こういうことをやっていきまして、その後に全部の方々の御意見がまとまったところで組合設立の認可に至るわけでございます。したがいまして、この基本計画をつくっていく準備期間中に事業を断念したところはかなりございます。しかしながら、組合を設立、認可以後につきましては事業が断念されたところは現在ございません。そういうわけでございまして、この準備期間に十分なことを行う、こういうことを指導しているところでございます。  また、仮に、組合が設立されまして、その後におきまして事業継続が困難になった場合につきましては、公共団体によります事業代行制度というのがございますので、そのような形でもって処理がなされることになっております。
  66. 小川仁一

    小川仁一君 行監の報告書の百三十ページから三十一、三十二、三十三と具体的に記入されております。しかしそんなに多いわけでもありませんけれども、再開発事業自体が、先ほどから言っているように、地域の住民の納得、こういうものが十分得られないところからきているのではないかというふうにこの報告書を読みながら感じました。これは地域の住民の権利状態あるいは納得、そういうものを抜きにして押しつけるところに実は問題がある。建設省自身にそういう意図がなかったとしても各地方、地域の中で非常にそういう点が強く出ている。あるいは第三者が入った大きな資本、大手資本が入ったところ、それが少々の反対があっても多数決やなんかでびっと押していくから結果として整合性のとれたものができ上がらなかった。いろいろな問題が出てくると思いますので、特に強い力で押しつけるというふうな方式についてはやめてもらいたい。  それからもう一つは、駅前再開発のようなところはかなり順調に進んでおりますが、住宅地の開発というものが非常におくれておるような感じです。再開発地域の住宅地と商業地域の割合といいますか比率、おわかりでございましょうか。
  67. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生おっしゃるように、再開発事業を今まで行ってきたのは確かに駅前等に偏った感じでございます。  先ほどから先生おっしゃっておられますように、再開発事業自体は国、地方公共団体、公費による助成その他ございますけれども、何といいましても従前地、再開発する前の土地地価と、した後の効用増による土地利用増進、その差額で事業を賄うという面があるわけでございますので、なかなか再開発事業を行っても、既に市街化したところで、例えば駅前みたいなところで非常に地理的、位置的に有利なところ、あるいはまた保留床等にスーパーとかキーテナントのいいのが入ってくれる見込みがあるところ、そういったところでは事業の採算がわりかしめどがつきますので事業がしやすい。ところが純然たる住宅地あたりになりますと、そういった面でなかなか事業全体の成功と申しますか、採算面で苦しい面があるということで、どうしてもただいまのところそういった地域に、駅前等に集中しがちな現状にあることは事実でございます。  ただ、都市計画全体から申しまして、そういうところだけでいいということでは本来ございませんので、私どもとしましても、公共的助成等の拡充を含めまして、必要なところには再開発ができるような財政金融政策も含めまして対応考えていきたいと思っている次第でございます。  それで、御質問のぴたりのお答えではないと思いますけれども、駅前以外にも必要な地区におきまして再開発はあることはあるのでございまして、現在までの事業地区で見ますと、駅前以外の地区が約三五%というふうなことになっている次第でございます。
  68. 小川仁一

    小川仁一君 今度は具体的に実施されたところの例についてお伺いしますが、JR錦糸町駅北口の再開発でございます。ここでは容積率が六〇〇%から八五〇%まで膨らんだ。八五〇%という容積率は何を根拠にして出したのか、こういう疑問を感じますが、調べてみますと、容積率が次々上がっていったのは大手建設会社による再開発予定地の土地の買いあさりによる地価上昇というの が大きな影響をもたらして、逆に八五〇までの容積率に上げざるを得なかった、こういう状況もあります。地域の住民はこの結果環境悪化その他で非常な不安を持っている。  ですから、大手の土地買いあさりはもちろんいけないんですけれども、採算だけで物を考えていくということになるとまた地域の住民に不安を与える、こういう形になると思いますが、これについての建設省のお考えをお聞きしたい。
  69. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 錦糸町の駅の北口地区につきましては、昭和五十六年十月に墨田区から約八十七ヘクタールの広い地域につきまして錦糸町周辺基本構想というのが発表され、また昭和五十九年九月には錦糸町駅北口地区の再開発計画というのが発表されたことをお聞きしております。これは両方ともまだ構想計画でございまして、制度として再開発に乗ったわけではございませんけれども、そういった再開発構想の検討に当たりましては、関係の方々の意向を踏まえつつ、一方、副都心としての位置づけにふさわしい開発のあり方を中心として検討が行われてまいりまして、その過程におきまして必要な容積率の確保を含めまして計画案の見直しが行われてきたとお聞きしています。ここまでの段階ではこれは再開発事業というよりは事業のための前段階の構想段階でございまして、やっと本年の一月に都市計画決定されて最終案に至ったものと聞いております。  御指摘の容積率は、当該地区における建築物、建築敷地、公共施設の整備等の現状とこれからの見通しを十分考慮して決められたものでございますので、採算性という点もあったかもしれませんけれども、容積率そのものは、現状とそれからこれから事業によって例えば道路が広くなるというふうなことを見通した上で決められたものでございまして、この範囲内におきましては、容積率が高く設定されたからということで周辺環境悪化をもたらすということは言い得ないんじゃないかと考えている次第でございます。公共施設とのバランス上変更されたというふうに私ども考えるべきではないかと思っております。
  70. 小川仁一

    小川仁一君 建設省はそうおっしゃっていますけれども、新聞の報道は必ずしもそう書いてないんです。こんなふうな表現を使っている。「魔法のような容積率の見直し作業が行われる引き金となったのは、大手建設会社の土地買いあさりである。再開発予定地の地価は、異常に高騰し、パイの分配の基礎になる地権者の資産価値を引き上げてしまった。」、こういう分析もあるということですよ。あなたの分析とはやはり基本的に違うようであります。「快適な都市空間を作るはずの再開発が、皮肉にも周辺地域の環境悪化の不安を生み出した」。これは、非常に都市開発というものが大事な役割を持っていながら、実はそのことを悪用する大手の業者あるいは地権者等の手にかかりますと非常に住民を圧迫し、怖いものになってしまう。そういう部分の具体的な歯どめ策とか対策がなければ、再開発というのは何だったろうかという結果になってしまうんです。私はそういうことを指摘したくてこの一つの例を出したわけです。  その次、もう一つの例を出してみますが、赤坂六本木地区市街地開発事業、これはどのような地権者で構成されておったんですか。
  71. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) この地区の地権者の状況は、この地区のプロジェクトに取り組んだ以後変化をしておりますので、組合設立時の地権者で御説明いたしますと、時点的には五十七年の十一月でありますけれども土地所有者が三十三名、借地権者が九名、したがいまして地権者としましては四十二名、借家権者が九名、こういうことになっておりました。
  72. 小川仁一

    小川仁一君 この開発事業に対して大蔵省では、霊南坂宿泊所、霊南坂住宅、一・五ヘクタール、三・六ヘクタール、合わせて五・一ヘクタールの土地を売却して再開発に手助けをしたわけですが、国有地を売った理由並びに売却価格をお知らせ願いたい。
  73. 川又新一郎

    説明員川又新一郎君) お答えいたします。  お答えの前にちょっと申し上げたいのでございますが、売った土地の面積でございますが、委員は五・一ヘクタールと言われましたけれども、五千百九十平米でございます。  それから売却価格でございますが、建物を含めまして六十三億二千百万円でございます。  また、売却いたしました経緯及び理由でございますが、この土地を含めました当該地区市街地開発事業といたしまして五十四年の十一月に都市計画決定をされまして、それに基づきまして赤坂六本木地区市街地開発組合が結成されたわけでございます。これが五十七年の十一月に東京都知事の認可を受けて設立されたわけでございまして、その事業計画もまた知事の認可を受けておりまして、国といたしましては、その事業計画が適正である、国としてもこの再開発事業に協力すべきであるというふうに判断をいたしまして売却したわけでございます。
  74. 小川仁一

    小川仁一君 これは事業主体者が大手だから国有地を売ったということではなくて、非常に素直に、国有地を再開発事業対象になるときには大蔵省は出すものだというふうに私は理解をして今の答弁を受け取ります。  したがって、まだまだ大蔵省土地ございます。例えば筑波移転をした後の土地も残っているし、筑波移転地以外の跡地の処理状況という資料もいただいております。いい場所に幾つもありますから、ぜひ大蔵省、この赤坂六本木地区市街地開発事業対応するような再開発事業が出たときは出していただきたいし、出せるもの、こう考えていいですな、大臣大蔵省はそうなるだろうと。どうですか。
  75. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今後折衝をしてまいりたいと存じます。
  76. 小川仁一

    小川仁一君 しかし後を見てみますと、これは再開発でしょうが、建っているのは大きなビルとホテル、私なんかはこの前初めて一遍入ってみたというようなホテル。都市中心街の開発だからそうなるでしょうけれども、この地区に住んでいた人があるわけです。その地区に住んでいた人たちがそこにある住宅にどの程度入っているでしょうか、おわかりですか。
  77. 片山正夫

    政府委員片山正夫君) 先ほど地権者のときに御説明いたしました組合設立時、五十七年十一月時点でこの地区に居住している方々は地権者が二十六名、借家権者が五名でありました。その後地権者につきましては権利変換後二十六名の方々が権利を取得し、うち現在居住している方々は二十二名であります。また借家権者五名につきましては、移転補償等の措置を話し合いによりまして受けまして、円満に地区外に転出をしている、こう聞いております。
  78. 小川仁一

    小川仁一君 こういう実態を見ましても、その地区に大きなビルや大きなホテルをつくられた森ビル系統ですかの人たちはその後お仕事も繁栄しておられるだろうし、あるいは利益も得ておられるでしょうが、しかしそこへ住んでおった人たち、特に借家人は一人もその地区には住んでいない。地権者の方は住んでおられる方もある。  こうやってみますと、再開発法自体の中に、それだけが持つ性格ではないと思いますが、やっぱり基本的に考え直さなきゃならない幾つかの問題点がある。一つ地価の問題です。中曽根内閣の民活方式というのが意外に東京地価の高騰を招いてしまった。何かこの再開発事業も、今言ったような錦糸町とか赤坂六本木地区の再開発事業といったようなもので、中曽根民活に便乗して逆に地価高騰の一つのきっかけといいますか影響を与えてしまった。そして業者の思惑買いとか投機を誘発したような感じがして、建設省も大きな責任があるような感じがしますが、私の考え方に対していかがでございますか。
  79. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発事業そのものは、いわゆる従前地と従後の土地状況、それを改善させるわけでございますから、その利用状況の度合いの可能性の違いによりまして、従前の土地より、当該地域の地価より事業が行われた後のその地域の地価は当然効用増分はまず値上がりす る。その値上がりを前提とした事業であることも事実でございます。そういう面で、当該地域の効用増による値上がりは当然あるし、それはあっても別におかしい話ではないと思います。むしろ問題は、そういったことで土地利用増があるということ、大きなプロジェクトが行われるというふうなことを当て込んだような形で事前に動きが出たり、投機的な動きが出るというふうなこと、そういったことで地価への悪影響がないかというお話でございますれば、それは残念なことでございますけれども、従来そういったことがなかったとは申せない感じがいたします。  しからば、そういった例えば構想のような段階、あるいはうわさのような段階で土地の投機的な取引みたいなことが起こるのをどういうふうにして防いだらいいかというふうな話になりますと、これは制度的に再開発法、再開発制度の中ではなかなか防止できない。したがいまして、一般的に国土法の規制区域を、あるいは監視区域、そういったものを事前にかけておくとか、あるいは悪質な地上げ等については宅地建物取引業法の方で手当てするとかというふうな一般の対応でやるしかない。再開発事業は、先ほど錦糸町のところでも御説明さしていただきましたように、その出る前において、再開発法市街地開発事業に正式になるずっと前の段階においていろいろ思惑等が生ずるわけでございます。そういったものには再開発法自体ではなかなか対抗措置が講じられない。やはり一般的な対抗措置でございます国土法、あるいは場合によったら宅地建物取引業法、そういったもので対応するほかはないというふうな感じでございます。
  80. 小川仁一

    小川仁一君 再開発地域というとすぐ六本木が出てきたりJRの錦糸町が出てくる。高いビルが見える、立派なホテルがある、そんな印象だけで一般の国民が受け取ってしまうところに現在の再開発事業の問題点があると思うんです。そして、再開発事業自体が直接的な土地の高騰原因にならないとしても、やっぱりその周囲を含めて地価に対する影響が出てきております。むしろ再開発事業によって地価が下がっていく、再開発事業によって勤労者住宅が確保される、こういう方向が望ましい。建設省の皆さんも、こういう事業をつくっていながら、つくっている皆さんが入れるような住宅は再開発事業の中には出てこない可能性がある。むなしさを感じながらおやりになっているんじゃないかと思うんですが、そういう失礼なことは申し上げなくても、私は公務員賃金は詳しいものですからついそう言いたくなるわけなんです。  どうかひとつ、これからの再開発事業というものを住宅中心にして、今言った方向で物を考えていただきたい。そうでなければ、個々一つだけ存在している再開発事業というものは逆に土地高騰の原因にさえなってしまう。こんなふうな認識をしているわけですから、大臣、最後に締めくくりのごあいさつをいただきたいと思います。
  81. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生のおっしゃることを否定するわけじゃございませんけれども、再開発事業も、例えば亀大小とかおっしゃっておられますように、江東防災地区の再開発とか、住宅何千戸も新たにつくるとかいろいろございまして、六本木とか錦糸町も悪いとは私思いませんけれども、すべてああいうタイプでなくていろんなタイプがございますということだけ御認識をいただきたいと思います。
  82. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) いろいろ先生からの御論議をいただきました。その問答の中で、いろいろございますが、要は、例が錦糸町や六本木の話でございまして、これの一番の原因は地価の問題である、こう思います。しかし、この再開発法全国的に見、また東京都心部にいたしましても、もちろん住宅を主眼に置きますが、事務所の床面積等もやはり確保していかないと地価の下落につながっていかない、かように思います。でございますから、今度の改正によりまして、産業構造変化あるいは物流の変化、また工場の進出をしていただく、分散していただく跡地、こういうものの再開発を進めてまいりまして、住宅供給、床面積の供給事務所の床面積等を配慮して進めてまいりたい、かように思います。  また、いろいろお話ございましたが、確かに地権者とかあるいは借家人とか、こういうことにも十分配慮しなければならない。そういう大勢のところの押しつけというのを十分指導をしてまいりたい。そして、工場跡地等になりますと非常に人が、地権者が少ないわけですから早くできるのではないか。早急に何としてでも今の住宅を主体とする努力をいたしまして地価の下落に結びつけたい、かように思う次第であります。
  83. 小川仁一

    小川仁一君 終わります。
  84. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 午前はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  85. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  86. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、ただいま議題となっております法律案につきまして何点か質問させていただきます。  最初に、日本の都市、特に大都市ほど欧米諸国の都市に比較しまして道路、公園などの公共施設が貧弱である、こういうことが何点か指摘をされてきて、この委員会でも種々論議をされてきたところでございます。また、土地区画が狭かったり、あるいは木造老朽ハウスが多いために地震、火災等の災害に対してもろい点があるとか、あるいは都市の景観の問題、土地有効利用の問題、そういうところにいろいろな課題を持った地域が数多くあるわけでございます。そこで、今回議題となっております都市の再開発事業ということは、これは都市政策を進める上におきまして重要な課題だろうと私たちも認識をしているわけでございます。  今回の改正につきましては、再開発の一層の推進と産業構造転換等に伴うところの空閑地等の一体的、総合的再開発への誘導という観点から提案されている、このようにお聞きもし、承知もしているわけでございますが、都市開発法が制定されましてから二十年近く経過をするわけですが、その間の再開発事業の実績としての評価、及び今後の取り組みの姿勢について最初にお伺いしたいと思います。
  87. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 都市開発法が制定されまして約二十年、この間大変御努力をいただきました。御努力をいただきましたというのは、各都市、自治体、またその地域の方々、大変努力をいただきました。各都市とも、環境のいい、災害等に強い、こういう都市、また非常に近代化した都市、こういうことを望んでおると思うのであります。そういう面で大変御努力をいただき、それなりの成果を上げてきた、かように思います。午前中も御論議を伺いましたが、駅前等の再開発等大変よくなった地域が多い、かように思います。  ただ、今回お願いをいたしております法案は、午前中も御説明を申し上げましたが、産業構造あるいは物流、こういうものも変わってまいりましたし、大勢の方々でやります場合には非常に時間がかかるわけでありますが、少人数ですと非常にその点が早い、こういうこともございまして、緊急に、これも加えて、従前のものも当然従前のものとして進めていくのでありますけれども、新しい用地、素地等がありましたらそれを再開発して、宅地の供給に重点を置いて進めてまいりたい、かように思う次第であります。そういう点からお願いをしておるような次第であります。
  88. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 中身に触れますけれども、今回の改正の点としましては、施行地区要件の緩和として、耐火建築物扱いしないものの範囲を拡大するとか、あるいは公共団体施行の事業については権利変換の手続、また管理処分手続の特則を設けるなどとなっておりますけれども、これで市街地開発事業の大幅な拡大とかあるいは円滑な実施を図ることができるのかどうかということですが、具体的にどれくらいの事業の拡大を見込んでみえますでしょうか。
  89. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生指摘のように、施行区域要件の緩和によりまして、例えば極端な鉛筆ビルがたくさんあるような地域、あるいは工場跡地の低・未利用地での市街地開発事業の施行が可能になるという地区があろうかと思います。  それから権利変換手続の特則は、これは新しい再開発事業を掘り起こすというよりは、現在やっているような再開発事業の施行を円滑にする、それがオープンフロア、店舗等を再開発でつくる場合に、その床の共有化によりましてオープンフロアにした方が最近の商業、何といいますか、商売の状況から見まして非常にそれの方がいいというふうな傾向がございますので、共有化による例えばオープンフロアをつくる、そういった場合に今の制度ではできないわけでございます。今の制度は、一人一人に固有の建物を一つ一つ与えなきゃならぬとなっていますので、それを全員同意の場合に限定するわけでございますけれども、全員同意の場合には共有化のオープンフロアができるような仕組みをつくる。というのは、今やっている再開発を円滑にする道の一つを開いたということでございます。  そういうことでございますので、後の方は事業の円滑化のためでございますけれども、最初の方は、ねらいとしましては市街地開発事業をもう少しふやそうというねらいが確かにございます。その市街地開発事業は全体で、二十年たったわけでございますけれども、まだ三百二十二地区でございます。最近ふえてまいっておりますけれども、それがもう少しふえないか、できればもっと格段にふやしたいという欲望があるわけでございます。それで施行要件等もできるだけ法律の許される範囲内で緩和できないか、こういうふうなことでお願いして、それで先生おっしゃるとおりの緩和をお願いしておるわけでございます。  これで具体的に何地区と申されますと、大変明言するのは難しいのでございますけれども、ただ、東京都の区部でちょっと当たってもらったところ、現在東京都の区部で市街地開発事業が、構想といいますか、こんなところでいいんじゃないかという構想が三十九地区くらいある構想の中で、現行の要件で可能な地区が三十一地区ぐらい。八地区ぐらいが今回改正していただければ可能となる地区があるんではないかというふうなことがありますと、これは単純にやりますと二割くらいふえるんじゃないかと思われます。これは私どもの期待でございまして、現実にどれだけということは正確にはお答えできないのでございますけれども、目安としてお考えいただきたいということでございます。
  90. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今のお話だと、権利変換、オープンフロアをつくるということでありますが、これは全員合意のもと、当然そうでしょうね。今までは区分があったけれども、今度はその区分がなくなって共有していく。そのかわり、もしもその人が一部分権利を持っている、その人の権利の部分はどの部分ですよということはないんですね。オープンフロアだからなくなっちゃうわけですね。その場合に、その権利を売ろうというか、何というか、そういう売買をするときにはどういうふうにされるんでしょうか。
  91. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 見た目には公有のフロアになりますけれども、その共有につきましては持ち分がございますから、持ち分を売るということになろうかと思います。
  92. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 合意のもとで行われているから問題ないということですね。そうしますと、先ほどのは住宅ではなくて商業フロアが対象になっているわけですね。今ちょっと説明を聞きましたけれども、デパートで最近、通路も昔みたいにきちっとした区分けじゃなくて自由自在のフロアをつくっていろいろやっていますが、今後つくられる市街化地域における商業のフロアについては自由に転換できるということになるわけですね。
  93. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これは同意でもございますし、全員同意というのは関係者全員の同意がまず要ります。当事者間でも当然同意になりますから、しようと思えばできる道を開いたということで、しなくてはならないということでもございません。  ちなみに、この制度は組合施行の再開発には既に従来からあるわけでございますけれども地方公共団体の施行の再開発事業にもこれを導入しようというところが今回の改正趣旨でございます。
  94. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この都市の再開発につきましては、これを計画的に進めるために、昭和五十五年に都市開発の方針というのを大都市では策定することを義務づけられてきたわけです。また、昨年十月十二日の臨時行革推進審議会の「当面の地価土地対策に関する答申」においても、この都市開発方針の早期策定ということが言われておるわけですが、この状況はどのようになっておりますか。
  95. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 法で策定が義務づけられた都市は二十二都市でございますけれども東京都区部、大阪市など十九都市で既に策定済みでございます。残りの方も近々策定になろうかと、努力している段階でございます。
  96. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その再開発方針には、当該都市における再開発の目標とかあるいは再開発を促進すべき地区等を定めるとなっておりますけれども、その再開発が必要とされている地区数、面積はどのようになっていますか。
  97. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発方針においては、特に一体的、総合的に市街地の再開発を促進すべき地域は二号地区という形で定められておりまして、昭和六十三年三月現在、既に再開発方針ができた十九都市で三百十三地区、約九千五百ヘクタールが二号地区の指定がなされております。二号地区は特に再開発が重要なところでございますけれども、もう一つ一号地区という一般的に再開発した方がいいというところは、二百二十二地区で十二万一千七百ヘクタールでございます。
  98. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その再開発方針で定められた地区につきましては、実際に事業が行われませんと意味がなくなるわけですが、これらの事業化についてはどのようなスケジュールになっておりましょうか。
  99. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発方針で定められた地区におきましては、各地区状況地元の機運と申しますか、合意等を踏まえまして、市街地の再開発事業、あるいは土地区画整理事業かもしれませんけれども、あるいはまた都市防災不燃化促進事業、木造賃貸住宅地区総合整備事業等、再開発事業の中に各種の補助事業等も入れまして事業があるわけでございまして、そういったものの中からふさわしい事業手法を選択しまして逐次総合的、計画的に事業を実施していくということになるわけでございます。  わかりにくいと思いますので若干具体的に申しますと、これは東京都が今予定している話でございますので、その予定ということでお聞き願いたいと思います。先ほど申しました特に重要な二号地区東京都でも指定しております。二号地の中で、おおむね五年以内に事業を実施したいというふうな事業があるわけでございまして、その事業の中の例えば市街地開発事業、今回お願いしているこの法律の事業でございますが、それは四十三地区でやりたい。現に十三地区でやっているというところもございます。それから区画整理事業で三十地区ばかりやりたい。それから都市防災不燃化促進事業で三十七地区ばかりやりたい。それから木造賃貸住宅地区総合整備事業で十か十二ぐらいやりたい。こういうふうな考えを持っております。  そういう事業のほかに、計画で誘導していこうということで地区計画を三十から四十ぐらいで誘導したい。特定街区制度というものを活用したいのが六つか七つぐらいというふうなことで、それぞれ五年以内にどういうふうな形で事業をやって いくかという計画と申しますか、予定を持っていろいろ地元住民の意向等を徴しまして、この中で事業あるいは誘導方式というものを選び出して目的を達成していくというふうな手順になるわけでございます。
  100. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろんな事業の組み合わせということでお話があったわけです。  次に、再開発地区計画についでございますが、再開発地区計画は、産業構造変化等に伴う工場跡地等の空閑地、先ほど大臣からもお答えがございましたけれども市街地の再開発を一体的、総合的に誘導するために再開発地区計画にはどのような内容が定められて、その内容を実行するためにはどのようなことが担保されておりましょうか。
  101. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発地区計画の内容でございますけれども、抽象的には、土地利用転換の機運をとらえまして、良好な再開発を誘導するために、公共施設の整備を前提とした容積率等の規制の特例、それから地域の特性に応じた用途規制とか、壁面線の位置指定などの規制の強化を図るとともに、一体的に定める詳細な都市計画でございます。  若干具体的に申しますと、その内容は、まず第一に、土地利用に関する基本方針その他の対象区域の整備及び開発の方針でございます。二つ目は、地区の再開発に必要な公共施設の配置計画及び規模でございます。それから三つ目は、再開発地区整備計画と申しまして、細街路とか小公園等の地区施設の配置及び規模でございます。それに用途、容積率等建築物に関する事項でございます。この三つが内容でございます。  そこで決められました計画を担保するための措置としましては、まず第一に、再開発地区計画の区域内におきまして建築を行おうとする者は、市町村長にまず届け出なければならない。市町村長は、計画に適合した場合はよろしゅうございますけれども、適合しない場合は必要な勧告をすることができるというのが第一でございます。  それから第二には、地区整備計画に定められた建築物に関する事項につきまして、必要に応じましてその中で市町村が一定の項目を挙げまして条例で定めますと建築確認の基準とすることができる。したがいまして、そういう条例ができますと、建築する場合の確認の基準、若干厳しい基準がかかるということでございます。  それから第三は、開発許可を要する行為につきましては、予定建築物の用途、開発行為の設計が再開発地区計画に定められた内容に即したものであることが開発許可の基準に追加されるわけでございます。したがいまして、この地区内の開発許可は一般の開発許可にプラスアルファの開発基準が追加されるということでございます。  それから第四に、以上のような直接的な法的な規制手段のほかに、容積率の特例、これはインセンティブを与えることによって都市計画内容の実現を担保しようという、そういうふうなインセンティブ付与でございます。それが再開発地区整備計画の都市計画に適合して行われる良好な町づくりに限りそういったインセンティブが認められるということで、これも都市計画内容の実現のための強力な担保手段になると考えている次第でございます。
  102. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 午前中の同僚委員の御質問の中にもございましたけれども、この制度の適用については具体的に候補地というものを頭に浮かべながらこの改正に当たられたのではないかと思うんです。先ほども国鉄の跡地等の問題もございましたけれども、汐留とかあるいは名古屋の笹島であるとか、そういう跡地であるとか国公有地とか、そういうものも本制度の適用対象としてやはり考えておみえになるわけですか。
  103. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 午前中お答えしたのは地方公共団体に尋ねたところの資料でございますけれども、一ヘクタール以上で候補地と申しますか、候補に該当するような土地全国で六百七十七カ所、六千ヘクタールぐらいある、こういうお答えを申し上げましたのでございます。そのときの中身には先生がおっしゃるようなところも、一々確認しておりませんけれども、多分入ってはおると思います。全般に国公有地も一応調査対象の結果には踏まえておるわけでございます。  ただ、先ほど約六千ヘクタールと申しましたけれども、これは先生承知のように、全部集めてまいりますと東京の山手線の中ぐらいの面積で、相当膨大でございまして、これが全部この制度に乗っかるかどうかというのは、私たち乗っけていただければ乗っけたいわけでございますけれども、市町村等あるいは地権者等の意向というのは当然あるわけでございます。その中からできるだけ多くが生まれてくればという期待をしているわけでございます。
  104. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この再開発地区計画の活用によって、この法案を見ますと、区域内の建築物につきましては用途あるいは容積率、高さ、こういういろんな制限を緩和することになっているわけでございますが、そうなりますと、その周辺の環境とかあるいは公共施設整備状況、これは公園とか道路とかいろいろございますけれども、それとの調和ということが乱れてくるんじゃないかというおそれを持つ方もおみえになりますが、その点についてはどのように配慮されるのか。また、他の一般の地域の規制状況に比して著しい格差を生ずることにならないだろうか。その点についてはどのように対応されますか。
  105. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発地区計画における規制緩和、これは規制緩和がすべてあるというわけではなくて、公共施設の整備状況等に応じまして、また必要に応じてあるわけでございますけれども、そういうことをする場合には周辺の用途とか容積率等、土地利用状況とのバランスが当然考慮してなされるものだと思います。また、地区内及び周辺において整備される公共施設の整備水準に、容積率のことですから、基本的に公共施設の整備水準とのバランスも考えなきゃいかぬということで、総合的に勘案しまして、その周辺の方とのバランスあるいは周辺の方に迷惑ということにはならないものと思いますけれども、これはもともと首長さんが決めるものであるし、また都市計画として決めるということですから、都市計画審議会とかいうことの中で決められていきますから、手続的にもそういった段階でバランスというものは考慮される、チェックされるというふうに考えている次第でございます。
  106. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、東京湾岸部の問題ですが、これについては再開発ということでたくさんのプランが出ておるわけでございますが、高度経済成長期に形成されましたいわゆる重化学工業等を中心とする産業が数多く立地しておりましたので、それが構造改善に伴っていろんな再開発のプランの対象に今なっておるわけでございますが、この地域の有効活用をすれば相当の住宅とかオフィスというものの供給が可能であるということでいろんな案が出ているわけです。  東京都では、土地高度利用を促進せよという中曽根前首相のときの指示がございましたが、それによって今用途地域の見直しを進めているということを聞いておりますが、進行状況についてはどのように把握されておりますか。
  107. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生承知のように、用途地域というのは四年に一遍ぐらい経済、社会の状況に応じて都市計画の基礎調査をした上で必要な変更を、一般的に見直しをやっているわけでございます。  東京都につきましては、私ども一斉見直しというふうなことを言っているわけでございますけれども、それは昨年六月に見直しの方針とか基準が決められまして、これに基づきまして、地元の意向、各市部もございますし、各市の意向あるいは区部におきましては区の意向等を聞きながら、見直しの作業が現在進められて最終段階に入っているところと伺っております。今後は、この素案を都において取りまとめまして、必要な調整等を行い、おおむね六十三年度中には手続を終了する目途であるということを東京都からお聞きしております。
  108. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 湾岸部のいろんな問題点もあろうかと思いますけれども住宅、オフィス等の利用を促進しようとするならば、用途地域の大幅変更が必要でありますし、今回の改正によりますところの再開発地区計画の制度も積極的に採用する必要があるんじゃないかと思うんですが、その点はどのようにお考えですか。
  109. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 東京臨海部開発は、御承知のように、工場や倉庫用地、遊休化しつつあると言うとしかられるかもしれませんけれども、港湾機能の用地、鉄道用地等を中心としまして土地利用転換の動きが顕著になっておりますので、この改正のねらいとする、要するに土地利用転換が非常に激しく行われる見込みのある地域というふうなことで、この地域の中の相当が適用対象要件に該当するものが数多くあるんではないかと考えられます。具体にまだそれに当たったわけでございませんので、どの程度か、どこかということはちょっとまだここで明言できないわけでございますけれども、適用の可能性のある地域は数多くあるんじゃないかというふうに考えております。  ただ、いずれにしましても、根幹的な公共施設のネットワークというふうなものがまずできないと、この御提案して御審議していただく再開発地区というのは、大きくたってやっぱり大きな目から見れば一つの固まりにすぎないわけでございますから、東京臨海部のような非常に大きな地域には、もう一つ先に根幹的な公共施設のネットワークというものがあって、その中で位置づけがなされていくんじゃないかというふうに考えております。
  110. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 市街地開発事業につきましては、全国的にたくさんの企画がありましても、実施に至るにつきましては毎年数カ所にとどまっているということが言われておるわけでございます。また随分長期間にわたる場合もございます。  藤田邦昭さんという方のあれを見ますると、こういうことが書いてあったんです。なかなか進まない要因でございますけれども、その中の一つとしまして、初期における業務遂行の方式の未確立、特に費用弁償の裏づけの欠如が挙げられる。地元の熱心なリーダーの努力と社会奉仕に近いコンサルタントによって細々と初期計画の推進が行われている実情で、実施実現にほど遠く、特に組合施行の場合にこのケースが多い、こう言われているんですが、その点は建設省はどのようにお考えですか。
  111. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 市街地開発事業、確かに先生のおっしゃる初動資金とか準備組合の活動、コンサルタント、そういったものでいろいろ十分でない点があって、なかなかこれまで伸びてこなかった一つの要因であろうかと思います。こういったものへの対応というのは大変重要でございまして、それは認識しておるのでございますけれども、なかなか一つ一つ考えてみますと難しい面があるわけでございまして、こういった面につきましては、今後さらに検討してまいりたいと考えておるわけでございます。  特にコンサルタント業につきましては、現在、社団法人の再開発コーディネーター協会というのが昭和六十年に設立されまして、当面、再開発コーディネーターの育成とか資質の向上等をこの協会を通じて私どもも図ってまいりたいと考えておるわけでございます。協会も大分会員もふえてまいりまして、六十三年では七百三十人のメンバーを擁する、正会員、賛助会員、特別会員も含めまして七百三十人の組織になってまいりました。  確かに再開発というのは、掘り起こしといいますか、掘り起こしと言うと語弊があるのでございますけれども、非常に難しい事業で、権利関係がややこしい。と同時に、住民の皆様の生活態様をがらっと変えちゃうということで、非常に懇切丁寧に、また制度もわかりやすく御説明して納得いただかないとなかなか事業がまとまらないということもございますので、やはり専門家と申しますか、リーダーというか、要するにコーディネーターでございますけれども、コーディネーター業というのは非常に大事だと思います。今、協会が設立され大分御活躍いただておりますけれども、当面はこの協会を育成、私どもできるだけの御援助を申し上げたりしまして、そういうことでやってまいりたいと思います。  ただ、行く行くは、こういったコーディネーター業あるいはコーディネーター自体を制度的に明確な立場にしてあげればという考えもございますけれども、当面は一生懸命やっておられる協会をバックアップしていくということで対応してまいりたいと考えている次第でございます。
  112. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今いろいろとコンサルタントの皆さんのことにつきまして局長から御答弁いただきましたけれども、二つあると思うんです。  最初にお話がありましたように、組合施行の場合にこのケースが多いというお話ですが、なかなか難行する。基本計画できる前でございますから、どこがどうやるのか明確な区分がされていない段階ですから、やはり組合費からいろいろとかかったお金を立てかえていかなきゃならない。あるいは人手も足らないということでコンサルタントの方々がいろいろと仕事を頼まれるんでしょうけれども、そこでいろいろと考えていきたいというお話が今ございましたが、藤田さんのお話ですと、事業計画が円滑に動き出すまでのその初動に要する資金であるとか、あるいは準備組合の活動費だとか、あるいはコンサルタント費用、そういうものに対する国庫補助制度をつくってもらえないだろうかということが一つありますね。  それから、今お話がありましたように、コンサルタントの皆さん方が七百三十人集まって、今全国的に再開発コーディネーター協会というのを発足されてみえる。これはいろんなところが、コンサルタント業務ですから、大手の建設会社がそのコンサルタント役を買って出られたときもございますですね。あるいは不動産会社であるとか、それぞれがコンサルタントの業務をされておられるんですけれども、なかなかこれは実際はうまくいかないんだそうです。いろんな利益代表というような立場も見られたりなんかしてうまくいかない。ですから、独立をした、どこにも属さないコンサルタントの皆さんが総合コーディネーターとして仕事をまとめていかなければならない、こういうことがあるわけです。  実際、今お話がありましたように、協会でいろいろと研さんやら、あるいは資質の向上のための努力を重ねられているというお話も今承りましたし、建設省としてもこれを育成していきたいというお話を承りましたが、皆さん方が考えてみえるのは、コンサルタントとしての社会的な位置づけが十分にまだされてない、業務分担もはっきりされていない、あるいは報酬基準も明確でないということで、しかしその再開発事業の推進役としての仕事だけはやらなきゃならないということで、中には努力をして懸命にやってみえる方もお見えになります。そういうことで、コンサルタント業務としての明確な立場もはっきりしていただいて、いろんなそういう育成への努力もしてもらいたい。これが二つ目にあろうかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  113. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 初動資金とか準備組合活動費だとか、コンサルタント費に対する新しい補助はどうかという御指摘がまず一点あろうかと思います。新しい補助制度を設けるというのは昨今の情勢で大変難しい、厳しい情勢にございますけれども、補助のあり方を含めて、補助がいいのかその他がいいのかという問題も含めまして、今後の問題としてまず第一点検討さしていただきたいと思います。  それから二つ目は、コンサルタントの明確な立場制度的に明確という先生の御趣旨だと思いますけれども、これも行く行くは望ましいと思いますけれども、現段階ではコーディネーターの協会を通じまして育成に努めてまいりたい、将来の課題にさしていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  114. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 将来、遠い将来じゃなくて近々の対策として考えていただきたいということを申し 上げておきます。  次は、デベロッパーでございますが、この都市開発事業のデベロッパーとしましては、大手建設会社とか大手の不動産会社、あるいは公的デベロッパーとしては住都公団あるいは地方住宅供給公社等が活躍をしているわけでございます。特に、先ほどから申し上げました組合施行の事業につきましては、初期の資金難であるとかあるいは事務局の人材がないとか、そういうところをいろいろ考えますと、公団、公社によるいろんなバックアップというものが期待されているんじゃないかと思います。そういった意味で、公団あるいは公社においてそういう都市開発事業をいろいろと進めておみえになりますが、さらにその立場というのが要求されてくるんじゃないかと思いますが、その点についてはどのようにお考えになりますか。
  115. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 住宅都市整備公団とか地方住宅供給公社による市街地開発事業につきましては、先生お話しのように、再開発に関するノーハウ、資金力を生かしまして、再開発のモデルとしまして地域における民間による事業実施を促進する観点からも、従来よりその促進、推進を図っているところでございますけれども、具体に、住宅都市整備公団が参加組合員として事業に参加している地区数は、現在までのところ、完了が六地区、それから事業中のところが五地区になっております。  それで、個々に例示はいたしませんけれども、例えば代表的といいますか、非常に好ましい例としまして、住宅都市整備公団が、例えば音羽一丁目の組合施行の再開発区画整理事業に参加組合員として参画しまして、事業の企画推進面で組合に技術援助を行うとともに、公団による保留床取得により事業の採算性確保に寄与していたわけでございます。これが刺激になりまして、同地区の事業の刺激になりまして、周辺地区の権利者の再開発への機運も高まっておりまして、音羽二丁目地区で組合施行の市街地開発が現在行われているところでございます。  確かに、住宅都市整備公団等が参加組合員として参加しまして、そこで得た土地にみずからの住宅等を建てるというふうな意味があろうかと思いますけれども、そのほかただいま御紹介さしていただいたような例のように、難しい再開発事業をリードしていく、しかもそういった事業を完成させることによって他の事業を模範として誘発していくというふうな効果もありますので、こういった公団の役目というのを私どもとしてはできるだけバックアップして事業を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  116. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 市街地開発事業の実績というものを見てみますと、これは事業の採算を図るという制約条件があるわけでございますので、やはり大型量販店等とタイアップしていく必要が今までいろいろとありました。したがいまして、地域的に見ますと駅前であるとかあるいは商店街であるとか、そういう商業ペースで計画をされてしまっている面が今まで多いんじゃないかと思います、これは一方的な見方かもしれませんけれども。本当に再開発が必要であるが、しかし採算的に事業として成り立たない地区につきましては見送られてしまうという欠点が今まであると言われております。  今後は、都市の住環境改善という目的があるわけでございますから、住宅供給にやはり主眼を置く必要があるんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、事業の採算に乗らない地区の助成も拡充をしながらそういう住宅を確保する、    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕 勤労者の皆さん方も住宅を確保する、そういうことに主眼を置くような方向にこれは進めるべきじゃないか、こう思いますが、この点どういうふうにお考えでしょうか。
  117. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お説のように住宅は非常に大切であります。今までは、お説のように量販店とかあるいは商店街とか、こういうものの形成、これと同時に住宅、こういう傾向でありました。今からは、住宅だけということになるかどうかということは問題ございますけれども住宅を重点的に考えてこれの助成を強化していく、また税制等も十分考慮していく、こういう方向住宅を重点的に実施していくようにいたしたい、かように思う次第であります。
  118. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後になりましたが、大臣お見えになりますので、我が党がかねてから考えておりますことを一点申し上げてお聞き願いたいと思うんです。  いろんな総理府の調査によりましても、一戸建てを要望する国民の要求というのは高まっておるわけでございます。その反面また、国民共有財産というべき土地を確保する、活用していく、こういうことがあるのでございますが、この二つの目的がなかなか一致しないわけでございまして、反することが多い。この二つの目的を同時にかなえるためにということでいろいろと私ども考えさして、御意見も賜ってきたわけですが、住宅公団に前お見えになった方々のいろんなお考えを聞きますと、高層の代用土地の造成ということも考えられるんじゃないかということでございました。私ども党もいろいろと研究しましてその考え方を取り入れさせていただいておるわけでございますが、現在建設されております高層住宅とは次の二つの点で違っているわけです。  一つは、床だけを建設をして間取りなどは住む人が自分の好みで自由に設計できるようにしておく。それから、床は現在の住宅のように薄いものではなくて、二重床にして土地の機能を持つ厚い床にします。配管や配線を床の間にしておるわけです。配管や配線というのは自由に変更できるわけですから、したがってトイレや台所を自由に位置変更ができるようになっている。しかも、新婚でお金のないときは玄関と水回り、流しだけを取りつけて、子供が大きくなれば子供部屋をつくり、将来は二夫婦が住めるようにもすることができる。高層の代用土地は百年ぐらいでもびくともしない。間取り変更ぐらいは日曜大工でもできます、こういうことでございます。  これは、住宅公団でもフリースペース、フリープランですか、ということで一部取り入れられているようでございますけれども、コストの問題あるいは満足度の問題等いろんな問題がまだまだ日本ではあろうかと思いますが、この高層代用土地で、職住近接、勤労者に対する住宅供給をふやすことができるんじゃないかと考えているわけであります。特に、先ほどお話の出ました国有地の問題、あるいは旧国鉄土地、あるいは東京駅の空間、これは前々ですか、建設大臣お話になっておりましたが、そういうものの活用をして高層代用土地もつくることができるんじゃないか。  国としては、私たちの要望ですが、分譲住宅あるいは公庫住宅の資金をなるべくこういった国民共有の代用土地をつくるように向けられるべきじゃないか。そして、この代用土地を使用する人は使用税を払っていただくという形になりますと、現在のいろんなそういった予算を考えてまいりますと、それだけでも三十年間で一千万戸ぐらいの代用土地をつくることは可能ではないか、こういう試算もあるぐらいでございます。そういった点で、この高層の代用土地がつくられるようになればいろんな面の住宅の問題も解消されていく。土地の問題も、国民共有の財産としての土地の活用という方向になるのではないかと思うわけですが、一言御意見を承って質問を終わらせていただきたいと思います。
  119. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生の構想、非常に今後研究をしていかなければならない、かように思います。ただ、フリースペースの場合、住宅にしますと一戸一戸のところまではやっておかないと、内装等を自由にやるということはいいと思いますけれども、将来の紛争とかまた安全の問題いろいろありますからどうであろうかなと、こういうふうに思います。ただ、内部の造作とか間取り、そういうものについては、その趣味趣味に応じて、また用途用途に応じてやっていく、御自由にやられる、この構想はいいのでなかろうかと思います。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕  お話もありましたように、年寄りとかそれぞれの方で一戸建てを望む方もありますし、マンションを望む方もあります。もう一点は、午前中も御議論がございましたが、都市内の居住、この問題がドーナツ型で、おいおいどの都市でも周辺へ住居だけは出ていって、町中が空洞化しておる、こういうものをどうするかという問題もございますので、十分勉強をさしていただきたい、かように思う次第であります。
  120. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 再開発法は、五十年、五十五年と大幅な改正があって、なかなか複雑な手法がいろいろできているんですけれども、今度の法律は、趣旨説明を見ますと、先ほども大臣言われましたけれども、「特に、産業構造転換、物流・交通体系変化等に伴い、都市内においてまとまりのある空閑地等が大量に発生しており、」この区域において再開発を行うことが必要になっているというふうに書かれているんです。  この大量の空閑地というのが国鉄の跡地それから工場跡地だというお話なんですが、そうしますと、ここに書いてある産業構造転換というのは、円高ドル安に伴って海外直接投資がアメリカあるいはNICS等々非常に国内でもふえている。今後ますますふえようとしている。国内でも、東京から関東あるいは東北などへ移っているところなんかも東京都内でもう既にあらわれているんですけれども、そういう円高ドル安に伴う海外直接投資、これが一つ。先ほど局長は時代変化に伴う要請というのが次に出てくるんだと言われましたが、それが一つ。それからもう一つは、物流・交通体系国鉄跡地というと国鉄の民営化に伴う国鉄跡地問題。この二つが具体的な対象だ、そう理解していいんでしょうか。
  121. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 基本的には先生のおっしゃるとおりであると思いますけれども産業構造の変革というのは、最近の情勢としましては円高ドル安が端的でございますけれども、もっと基本的には、やはり我が国産業は重厚長大型になっておりますので、かつての造船、鉄鋼の跡地あたりも、最近の円高ドル安も大いに関係がございますけれども時代の流れとしてもう一つさきからあるんじゃないかという感覚を持っている次第でございます。その他の点につきましては、先生のおっしゃるのが一番大きなねらいだろうというふうに理解しております。
  122. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほどの答弁で、例えば東京の場合、東京の区部で三十九地区が再開発対象地になっていて、このうち三十一地区は現制度でやれるけれども、八地区はこの法律が通るとその対象になるのではないかという局長の答弁がありました。この中に余り国鉄跡地なんかは入っていないんじゃないかと思うんですが、例えば東京の場合、国鉄跡地、工場跡地でこの法律が通れば対象になるというようなのは、具体的に言うとどんなところが念頭にありますか。
  123. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 私の説明がまずくてちょっと混乱を招いているのかもしれないと思いますのですけれども、確かに一番大きなねらいは産業構造転換に伴う再開発地区計画等の創設がこの改正の柱でございますけれども、それともう一つ、二番目の感じとしまして、現在の再開発事業の施行要件を広げまして、現在行われている市街地開発事業対象をもう少し広げられないか、これは事業の方でございます。最初申しましたのは計画誘導の方でございます。事業の方の対象を広げられないかということで、施行地区要件を緩和して、事業がどのくらいふえるかということの例としまして、東京都でいろいろ考えているところを作業していただきましてやったわけでございます。それでございますので、重厚長大型の空き地のところは考えていない、その施行要件の拡大によって広がる方には考えていないと思います。  そうでなくて、再開発地区計画の方で誘導型の再開発をするところは、先生のおっしゃいましたように、重厚長大型の産業等で、あるいは鉄道ヤード跡地とか、そういったものを一番の対象考えているというふうに御理解願いたいと思います。
  124. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、区以外に、重厚長大型の工場が移ったとかあるいは国鉄跡地、例えば東京でどこというふうに具体的に念頭にあるところはないんですか。
  125. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 東京でとおっしゃいますと、まだ具体的に固まっておりませんけれども、これと同時に、予算制度として私どもが事業のバックアップ体制としまして予算要求しましてついている箇所は、例えば北九州市、大牟田市の駅周辺とか、それから調査地域としましては川崎の多摩川に面した地域、そういったところで考えております。当然東京の臨海地域を含むところも煮詰まってくれば出てくることを期待している次第でございます。
  126. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 施行要件の緩和の部分ですが、耐火建築物建築面積についても昭和五十年、五十五年の改正でかなり緩和されてきたんですね。  例えば三分の一なる対象範囲も、五十年の改正前はすべての耐火建築物と三階以上の非耐火建築物となっていたのに、五十年の改正で三階以上の非耐火建築物、二階以下の耐火建築物などが除外された。五十五年には百平米以下。今度の改正でさらに百五十平米以下。それから都市計画で定められた容積率の最高限度の三分の一未満の建築物、これも除外となりますね。こうどんどん要件を緩和してくると、一般の住宅、木造住宅なんか幾らあっても関係ない。商業地域では三階建ての耐火建築物でも計算に入らないでいいということにもなりかねないと思うんですね。庶民の住宅や中小企業の店舗、こういうものは余り再開発の障害にならないように取り払っていこうということになると思いますけれども、いかがでしょうか。
  127. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 確かに先生おっしゃいましたように、四十四年制定当時から五十年、五十五年にかけまして施行要件の拡大を図ってまいりました。これは基本的には私は、時代の流れあるいは都市構造変化、だんだん都市も立派になってまいっておりますし、そういった時代の流れとか都市整備が進んできた、あるいはさらに進めなきゃならぬという欲求の高まりが出てきたということに比例して出てきたものと理解しております。昨今、先生承知のように、東京の都心部、特に業務用地あるいはマンション用地等を中心とした地価上昇、これが全国的に波及するとかいって大変問題になったわけでございますけれども、そういった意味既成市街地高度利用というのをさらに進めなきゃいけないんじゃないかということで、各方面でいろいろな提案、意見等が出てきたわけでございます。  その中の大きなものとしましては、実態としましては法定容積率の三割か四割しかつかまえておらないわけでございますけれども、もっと東京の現在の容積率を高めたらどうか、それから容積率緩和をもっと一律にやったらどうかという意見もあったわけでございますけれども、我々都市サイドからは、容積率を一律に上げるというのは、やはり都市環境、インフラの整備のないところまで容積率を上げると大変問題があるとか、あるいは場合によったら地価の思惑的な取引をふやすというような弊害がございまして、そういった一律容積率の緩和はできない。もし土地高度利用をさらに進めるということになれば、非常に良好なプロジェクト、良好な事業に伴って容積率を上げるという方法が一番好ましいんではないかというふうなことでございます。  その良好な事業というものの一つが、代表的に言えるのはこの再開発事業ではないかと思うわけでございます。したがいまして、この市街地開発事業を法の許す範囲内でできるだけ広げられるところは広げるようにしまして、土地高度利用というふうなものの一助にできないかという発想は確かにございます。しかし、しからばとて、そこに居住している皆様方を他地域に追い出すというふうなことをねらいとしたものでは決してございませんで、住宅居住者のための手当て等も他の事業、特に民間の事業に比べましても、再開発事業の場合は既に居住している方への権利保護とい うのはかなり手厚くなっている事業でございますから、一般に任意に他地域に追い出されるというようなことがもしあるとすれば、それよりもこういった合法的な事業で、地権者保護のかなり厚い規定のある事業で市街地改善をしていくということがいいのではないかというような発想で地域拡大をお願いしているわけでございます。
  128. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この総務庁行政監察局の六十年度定期調査、「都市開発法の一部を改正する法律の施行状況に関する調査結果報告書」、これを私もきのう読んだんですけれども、この中には、こういう耐火建築物関係の建築要件、施行区域の緩和、これを要望するというようなことは一つもないですよ。何が問題で進んでいないかという分析はいろいろあるけれども、そんなの一つ要望として入っていないのにこういうものを入れてくる。私は、局長いろいろお答えがありましたけれども、私が先ほど批判したような問題点がここにあるということをこの調査報告書から見ても感ぜざるを得ません。  次に、今度の改正の目玉は再開発地区計画制度の創設で、これが先ほどの工場跡地国鉄跡地などが念頭にある部分だということですが、まずちょっとわからないのでお聞きするんですが、法案を見ますと、再開発地区計画、七条の八の二のところで条件が書いてあります。この四に「用途地域が定められている区域であること。」というのがある。工場跡地だとか国鉄跡地、当然工業地域になっていないわけですね。その用途地域をそのままここを再開発しようとすると、これは実際整備計画を立ててやっていくときにはやっぱり高度利用地区という指定が必要になってくるんですか。
  129. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 前段の方から御説明さしていただきますけれども、この用途地域が定められている地区というのは、市街化区域は原則として先生承知のように用途地域が定められておりますけれども、線引きしていない都市もございまして、そういうところは市街化区域に当たると申しますか、そういうところは用途地域が定められているところでございまして、そういう地域でやりたいという意思が一つあったわけでございます。  それともう一つは、この制度を、先生承知のように、ベースの用途地域というのを基本にして段階的に特例をその中から設けて移していこうということですから、ベースの用途地域がないとちょっと成り立ちませんので、一応用途地域であることというふうにしたのでございます。
  130. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、高度利用地区に指定するわけですか。
  131. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 高度利用地区は別にここには関係ございません。指定しても悪いということにはなりませんけれども
  132. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、この都市開発法で五十年の改正のときに第二種の手法がつけ加えられて、私も大分質問したんですけれども、第一種市街地開発事業についても第二種市街地開発事業についても、促進区域にするかあるいは高度利用地区内にあることということになっていますね。この場合は、高度利用地区にしないで、促進地域に並んで、高度利用地区指定しなくても、この再開発地区計画に指定して、そこで計画を立てて順々にやっていくときに整備計画をつくってやっていけばいいわけですか。
  133. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 制度がわかりにくくて申しわけございませんけれども、大きく分けまして、再開発法の中にいわゆる事業とする再開発事業、公的な再開発事業という系列と、今度新しく設けたのは誘導手法という系列をつくっているわけでございます。誘導の手法でございます。これは事業手法じゃございません。先生のおっしゃっていただいているのは、市街地開発促進区域というのはその事業計画の前で、事業を促進するための区域でございます。誘導計画でございますから、こちらは段階的誘導の手法でございますから、直接的にはかかわりがない。  それから高度利用地区も、再開発事業をやる場合には高度利用地区である必要があるわけでございますけれども高度利用地区というのは誘導の意味と事業のための要件と二つの要素が働きます。だから、市街地開発事業をやるためには高度利用地区でなければいかぬ。しかし、高度利用地区は必ずしも市街地開発事業をやらなくても、それだけで建築行為の誘導の役を果たすというふうに分かれておりまして、甚だわかりにくくて申しわけありません。
  134. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもわからぬのだな。法律では第一章の三が促進区域で、今度第一章の四に新しく再開発地区計画を入れるというわけですね。それは誘導なんですか。誘導していって、実際に事業をやる場合に整備計画をつくるわけでしょう。整備計画でつくっていくわけですな。つくっていくときには高度利用地区指定なしでもやっていけるんですか。ちょっとそこら辺どうでしょうか。
  135. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 誘導都市計画でございますから、再開発地区整備計画というかなり具体の計画でございますけれども、それに基づきまして、原則的にはその地権者、例えば工場の跡地あたりだと、工場の跡地が三つ四つあるとしますと、その人たちが共同でやるというならその人たちの事業になりますし、そういう方たちがその誘導の再開発地区整備計画に基づきまして事業をやっていくというのが通常でございます。  ただ、その場合に、その地域を、先生がおっしゃいました組合をつくって再開発事業をやろうというふうにすること自体を否定するものじゃありませんから、計画誘導の中に事業が入ってくることも可能性としてはあります。ただ、わかりやすく考えていただきますれば、こちらは事業と直接結びつかない、そういうことを現実に行えばいいという誘導手法を新しく考えたということでございます。
  136. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもわからぬな。いただいた資料で、土地利用転換のイメージといって誘導して、ちゃんとビルまで建っていますからね。それはこういう新しい事業手法を考えたのかなというと、そうでもなさそうで、組合をつくることを排除はしない。進めていって、事業主体は地方自治体あるいは民間デベロッパーあるいは個人事業、今までの手法でやっぱりやれるわけでしょう。じゃ、排除しないというのは、主な事業主体はどうなるの、これは。
  137. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 一般的には事業主体は、その地主である民間の任意事業というのを考えているわけでございます。
  138. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 市街地開発促進区域が五十年の改正で設けられて、これは似たような趣旨になると思うんです。これについて先ほど申し上げました調査結果報告書があります。五年以内に行われると想定したものが約四十カ所で、私も四十カ所の資料をいただきました。これの実施状況の報告を見ますと、これに詳しく書いてありますけれども対象二十四都市のうち指定されたものが九都市、十八地区のみだと。そのうち本来の趣旨に沿った指定というのは三地区のみと書いてある。東京の府中駅南口、荒川の町屋駅前の西、それから神戸市。四十カ所のうちたった三カ所だというんですな、この趣旨に乗ったものが。  なぜこういう状況になったのかということがこの報告書の中にまとめられているけれども、これは地方都市ではほとんどが個人施行で、既に機運が盛り上がって事業実施がほぼ確定した時期に指定されており、事業実施の促進に必ずしもつながっていないと、こう指摘されています。その理由として、要するに関係権利者の間の利害調整がつかなければ指定してもしようがないんだというのが自治体の声だと、そう書かれている。  今誘導というふうに言われたんだが、今度の再開発地区計画制度というのは、この促進区域よりもさらに事業の具体化が遠いものが対象になっていると思います。そうすると、促進区域の実施した結果の報告にある四十カ所のうちたった三つだというような状況、ひとつも促進につながらなかったというかなり厳しい報告になっているんで すけれども、今度の再開発地区計画制度ですね、促進区域制度以上に効果があるんだと、そういう確信は一体どこから出てくることになりますか。
  139. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 総務庁の御指摘はほぼ先生のおっしゃるとおりでございます。  確かにこの促進区域制度は、五年後に行政庁がかわってやらなきゃならぬという問題もありますし、現実に理想的な姿としてはあるんですが、現実の問題としてそこで再開発事業が確かにできるんだなという形になるまではなかなか指定できないというふうな、私ども何遍ももう少し早目に指定しろという指導通達はしていますけれども、なかなか地方公共団体も苦しい状態にあることはわかるわけでございます。そういうことでございますけれども、そういう意味で、非常に早目にその指定したのは三カ所であって、という意味で、ほかは全く効果がないというのもちょっと厳し過ぎるような感覚がするわけでございますけれども、確かに早目にやったのは三カ所ということは事実でございます。  それは別としまして、先生の御質問の新しい地域でございますけれども先生の御指摘のように、事業でどういうふうにフォローするかという点については、事業都市計画でないわけでございますから、従来の再開発促進区域制度よりそういう面ではまだ弱いということは、確かにそのとおりでございます。ただ、今度誘導型で考えておりますのは、地域を大規模な未利用地等、工場跡地とかヤード跡地とかロットの大きいものであって、いわゆる産業構造転換によって土地利用を大きく変えなきゃならぬというふうな地域を対象考えております。したがいまして、大臣から申し上げましたように、既に既成市街化して用途が混在し、土地区画が小さくなってしまって非常に複雑な状態のところをやろうというよりは、かなりロットの大きい、関係権利者も大して多くない、あるいは一人か二人の場合もあろうかと思いますけれども、そういうところが対象になることであろうし、またそういうところ以外にはなかなか実際に適用してもうまくいかないというふうに考えている次第でございます。
  140. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この調査結果報告書は昭和六十年度のものなので、先ほど大臣も言われた地価高騰問題というのは余り入っていないんですよね。だから最後の結果のまとめの中にもこの地価問題は入っていない。しかし、この二年ぐらいの間に東京中心地価高騰が恐るべきことになったわけです。そうすると、僕はこの問題をよく頭に入れて対策をとっていかないと再開発事業に予想外の困難が生まれると思う。  小川委員が先ほど取り上げました錦糸町駅北口の再開発問題、これは私どもの寺前委員が衆議院でも取り上げた問題なんですが、私も実態を調べて、もう余り時間がないので詳しくできませんけれども、非常な大問題が生まれているんです。これは、何よりも地価高騰で大企業が、あそこは民間地というのはほんの少しなんです、ほとんどが国鉄用地ですから。その民間地に大企業が買い占めに入ったわけですよ。清水建設、竹中工務店、フジタ工業等々十二も大企業が入った。フジタ工業なんというのはたった十坪買っているんですよ。十坪買って、これはやっぱり組合員になっておいた方が後で工事に参画できるというので、あの大不動産業者がたった十坪でも買うんですから。十二の大企業がここに入った。これは区もほとんど調べていない。そういうふうに始めたので地価暴騰が始まったわけですよ。  読売新聞がかなり詳しい連載をことしの四月に、「再開発の光と影 新副都心・錦糸町リポート」というので十回にわたる大連載をやりましたけれども、これを見ますと、地価暴騰のスピードというのは恐るべきもので、坪が二年前四百万円だったものが一年前に一千万円になった。今坪五千万円になった。わずか二年間で十倍を超える地価の暴騰が発生している。四百万円だったものが五千万円超えるんですからね。  そうなりますとどういう問題が起きるかというと、例えば地権者も、区の評価がこれでは困ると言い出すわけですよ。区の評価は八ランクに分かれている。一番安いところが坪九百三十六万円、一番高いところが千七百九十万円なんです。それが五千万円なんという値段がつくとこれはどうかということにもなってくる。それであすこの北口住民の会の方々も非常に要求が強くなっている。これは結局国鉄のための一種の合法的な地上げだ。もうかるのは旧国鉄清算事業団地価暴騰して、大分権利が生まれますからね。  その地価暴騰の結果どういう問題が生まれてくるかというと、とにかく最初の計画では採算がとれなくなるわけですよ。それで、先ほど小川委員も言いましたけれども、再開発ビルそのものが膨張していくわけです。五十九年の案では容積率六〇〇%、全体が十八万平米だったのが、現在八五〇%、一・四倍になって、二十八万五千五百平米、このぐらい膨大なものにしないと採算がとれないというので、何と最高九十五メートルのオフィスビルをあそこに建てるという計画になってしまったんです。そうなってきますと、もう住民は非常に、最初はなるほどよくなるかと思って賛成していったんだが、損をする。あすこ、狭い道路を少し広げるとはいっても、うんと広げて三十メートルですよ。そこに九十五メートルの壁のようなものができてしまうと一体どうなるんだ。住民に見せた図には、何とそういう九十五メートルのビルの影が北側にいくんじゃなくて南側に映る図を見せたんですって。太陽は北から上がるかというんで怒られちゃった。そういうことで日照被害は起きる、それから風の被害も起きるでしょう、それから電波障害がある。それからこれは交通渋滞が大変じゃないかということになって、住民が非常に問題を指摘しているという状況があそこで生まれているんです。  私、具体的にちょっと建設省の関係があるところなので一つ質問したいんですが、この錦糸町二丁目の土地百十五平米、ここに登記簿謄本も私持ってきているんですが、熊谷組が買収した。登記上の売買日は昨年十月三十一日なんです。これは、都が国土利用計画法の監視区域の対象面積百平米にしたのが十一月一日ですから、その前日ということになっているんですね。うまいもんです。ところがこの登記簿を見ますと、仮登記が昨年十一月十九日、本登記がことしの三月三日なんです。だから、実際にはこの国土法の改正後に取引をしたのに、売買日をちょっと繰り上げて十一月一日の前の日ということにした気配が極めて濃厚なんです。契約日をさかのぼって偽装したものだと思う。しかも、この土地はもともと百八十一平米の土地だったのを分筆して残りを青木建設に、この登記簿原本もとりましたけれども、売ったらしいですね。これは僕は非常に悪質な国土法逃れだと思う。  こういう地上げがあすこの土地価格を十数倍にしていって、この再開発そのものも非常な困難な、しかも住民が、町がよくなるどころか大変じゃないかといううめき声を高く上げなければならない一つの大きな問題になっていると思うので調査してほしいと思いますが、いかがですか。
  141. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今お話がいろいろございました。午前中も小川先生から錦糸町の問題あるいは六本木の問題のお話を承りました。確かに建設業者、ゼネコンも後の再開発に手をつけたいということで買ったのかもわかりません。その点はそうであるかもわかりません。しかし、仮登記をしておるということはおおむね話がついておったんじゃないか、こういうふうにも思います。  それはそれとして、私どもはやはり、全体的に言いますと、あらゆる手法を使って宅地の開発をし供給をしていかなければならない、かように思います。先ほども都市局長からお答えいたしましたが、例えば北九州にいたしましても大牟田にいたしましても、これは私も見ましたが、実際の地域が大変産業構造転換不況になっておる。再開発を契機にその地域の活性化をしよう、こういうことで非常に期待をしておる。東京都心部におきましても、産業構造そのものの転換によって、例えば造船所の跡地とかあるいはその他の産業の跡 地とか、また東北や各地へ移転をした跡地とかいろいろございますので、これをできるだけ早く再開発をして宅地の供給に努めていく、またこのことが全体的な地価の引き下げにつながる、こういうふうに思っております。  今の錦糸町の問題につきましては、違法性があるのかないのか検討をしてみたいと思います。  それから容積率の問題でありますけれども、ただ地価の問題だけで容積率を積み増しするというような考え方はいたしておりません。再開発をして有効に利用できれば積み増しをしていい、こういうふうに思いますけれども価格の面だけで容積率を積み増しするというようなことは考えておりません。もちろん道路であるとか下水あるいは水道その他のいろいろの公共施設の問題も勘案しないと、ただ上へ伸ばすだけということは考えておりませんので、そういう指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  142. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今度の法改正で、これは七条の八の三に入っていますけれども、この制度で、整備計画では容積率の最高限度を緩和すれば建築基準法の容積率制限の適用も除外できる等々となっているわけです。これは整合性ある町づくりを損なうおそれもここから生まれるわけで、私が先ほど指摘し今大臣も調べてみようと言われたんですが、そういう結局制限ができると地権者たちが非常に不安になるわけですね。そこへつけ込んで大企業が買いに入ってくるわけでしょう。だからどうしてもそこをきちんと押さえないと、皆さん方善意でよい町づくりを考えておられても、錦糸町のような実例になる具体的な危険があるわけです。  読売の連載、これは四月七日付ですけれども、これでは、大手建設会社十二社が民有地の三割を買い占めて五千万円前後になった。区議会の特別委員会でもこの問題がその日取り上げられて、区側は建設業者から土地取得の理由説明を求め、同時に土地を区に売る意思があるかどうかも確認するという異例の措置をとることを明らかにした。最近の問題なんですね。区も余りよく知らないうちにこういう状況になっていったわけなので、錦糸町の八五〇%という容積率は、法律改正後一五〇%の上乗せを最初に使ったところでもあり、非常に重要なモデルになると思いますので、ぜひ建設大臣、この問題、共産党はいつも大企業を調べろ調べろとばかり言うからというふうに軽く聞き逃さないで、これはあなた方が進めようと思っている都市開発が住民の参加で利益を守りながら進んでいくかどうか、本当に喜ばれる再開発になるかどうかということにもかかわる大問題なので、区もその意思があるわけなので、東京都や区とも連絡をとってぜひしっかり調査をしていただきたいと思います。
  143. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) よく検討をしてみます。ただ、違法性があるかどうかということで、違法性がなければこれはやむを得ないと思います。  ただ、先ほどもお答え申し上げましたように……
  144. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 違法性がなくてもちゃんと行政指導ができるわけですから。
  145. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) だからその行政指導の範囲でやれることはやります。  ただ、容積率のお話がございましたけれども、容積率は、ただ容積率をふやすということだけでなしに、全体的なアクセス関係も考慮してでないと、先ほど言いましたように、下水にいたしましても、そのために下水が流れないというようなことでは困りますので、道路、下水道あるいは水道ですね、水道が高い建物にして水圧が下がるというようなことでも困りますので、そういうあらゆる面を考慮して容積率というものは最終的には決めるものであります。ただ、やっておる方もいろいろ、自分の財産でございますから有効に利用しようとしておるかもわかりませんけれども、全体を見て配慮をしていく、こういうふうな考え方であります。  ただ、全体的に、再開発だけではございませんけれども、あらゆる手法を使って供給を進めていかないと、何にもしなかったら、何にもやらないでおったら高値安定になってくると思いますので、やはりそういうことを考慮して下落するような方策を立てていきたい、こういうふうに思います。
  146. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  147. 山田勇

    山田勇君 まず、改正法案の質疑に入る前に、去る五月三日から四日にかけて九州地方を襲った大雨による被災に関連してお尋ねをしておきます。  人命そのほかに被害が出ているわけですが、状況の把握についてどのようになっておりますでしょうか、国土庁の方にお伺いをいたしておきます。
  148. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 五月三日から四日にかけまして、熊本県、長崎県、宮崎県地方中心に大雨が降っております。熊本県の間谷山では、熊本県として累年第一位の一時間に百十一ミリの雨量を記録しております。この大雨によりまして各地に浸水、がけ崩れ等の被害が発生しております。  被害状況でございますが、七人の方が亡くなられ、負傷者二十二人、全半壊合わせまして九十棟、床上床下浸水合わせて九千三百棟というふうな被害が報告されております。  施設災害関係の被害でございますが、公共土木施設関係で約二百二十億円、メロン等の農作物、農地、農業用施設、林地荒廃等の農林関係で二百十億円の被害が報告されております。  交通関係では、鉄道で施設被害が発生したほか、二十一カ所で通行どめになっております。  電力関係では停電被害、通信関係では電話の故障が発生しておりますが、現在ではすべて復旧をいたしております。
  149. 山田勇

    山田勇君 今後の復旧について関係各機関と連携をとり、被害状況を早急に把握して的確な対策を講じ万全を期していただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  150. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 災害直後から被害状況の把握に努めまして、五月六日には関係十省庁によります災害対策関係省庁連絡会議を開催し、今後の対応策について協議をいたしたところでございます。五月九日には関係省庁の担当官を現地に派遣いたしております。  五月三日から四日にかけまして、長崎県及び熊本県の二市三町に対しまして災害救助法を適用しております。五月九日には、被害を受けた中小企業に対する政府系中小企業金融三機関の災害復旧貸し付けを発動いたしました。また五月十日には、住宅金融公庫の災害復興住宅資金の融資申し込みの受け付けを開始いたしております。  今後とも関係省庁と連絡を密にいたしまして、被害状況に応じ適切に対処いたしたいと考えております。
  151. 山田勇

    山田勇君 特に河川改修については、都市化進展などにより今後の梅雨どきにおける浸水がまた心配されるので、建設省としてもこれは十分配慮していただきたいと考えます。梅雨どきにまた河川が決壊するというようなこともあろうかと思いますので、その点建設省いかがでしょうか。
  152. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 私ども建設省といたしましても、河川の改修に関しましては五カ年計画に基づきまして計画的な施行をいたしておるわけでございますが、大変残念なことでございますが、安全度は大変まだ低いレベルにあるわけでございますので、ことしも梅雨に向けまして、既にあります施設につきましては整備点検等を十分に行いまして、間違いのないようにいたそうと思っておりますし、また水防体制等の整備点検も十分行い、また情報連絡等につきましても万全を期しますよう、そういうたぐいの出水対策を十分心がけていこうと考えておるところでございます。
  153. 山田勇

    山田勇君 さて、改正法案の質疑に移りますが、本法の改正による市街地開発事業の施行区域の要件の緩和によって事業の促進効果はどうなりますかということ。次に、権利変換手続の特則を設けることとしておりますが、これによる効果はどのようなものがございましょうか。
  154. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 施行区域の要件の緩和でございますけれども、これは耐火建築物に含めないこととされる建築面積の小さいものの範囲を百平米未満から百五十平米未満に引き上げるとか、小規模で効率の悪い鉛筆ビルが密集した十分な公共施設が確保されない地区の施行が可能になるというふうなことでございますけれども、こういったことに対しまして東京都の方でちょっと現実に試算してもらったところ、大ざっぱに申しまして従来より二割ぐらいふえるんではないか。従来も余り胸張って言えるほど多くないのでございますけれども、そういう試算が一応ございます。これを含めましてできるだけ市街地開発事業を一層ふやしていきたいと考えている次第でございます。  それからもう一つの権利変換計画の特則を設けることにさしていただいておりますのは、これは現在も第一種の市街地開発事業におきましては、例えば組合が行っている再開発事業と公共団体が行っている再開発事業がございます。組合の方にはこういう規定がございまして、全員が同意される場合には、少し平たく申しますと、全員同意でない場合より少し、皆さんが同意しているんですから緩めの、緩めのというか融通のきく権利変換ができるという規定でございます。そういう規定が新しく導入されることによりまして、従来からあります組合施行の場合でございますけれども、それが法律どおりにやっているのが五つに対しまして、全員同意型というのは百三十七もあるわけでございます。ですから、ちょっと融通をきかした再開発というのはかなり一般的に普及している。  公共団体施行でございますから、もともとこれは全員同意を初めから当てにした事業でございませんけれども、事業の施行段階でみんながやろうやという気持ちになりますと全員同意になることもある。もし全員同意ということが可能な場合には、全員同意の上で若干融通のきく、例えて申しますと、商店の場合に共同フロアをつくって、一つ一つ、一人一人分けて壁をつくって渡さなきゃいかぬ、それが全員同意の場合は壁をつくらなくても共有持ち分でいい、こういうふうなことになりますので、事業が円滑化できるということでございます。そういうことでございますから、事業がふえるというよりは円滑な施行ができるというのが二つ目の改正でございます。
  155. 山田勇

    山田勇君 再開発地区計画制度を設けるとしておりますが、これの都市計画法上の位置づけはどのように考えておりますか。また、従来の地区計画によらず再開発地区計画制度を新しく設けることの目的はどこにあるんでしょうか。
  156. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発地区計画制度を新しくお願いしているのでございますけれども、これは地域の特性に応じました再開発の実現を目的としまして、建築物と公共施設に関する事項を地区レベルで一体的かつ詳細に定めるものでございまして、公共施設の整備を前提としまして、容積率等の規制の緩和と良好な都市環境を確保するための制限の強化を両方含めまして良好な市街地を誘導する、これはそのものが都市計画でございます。したがいまして、都市計画法上の位置づけというふうなことは、従来の市街地開発事業土地区画整理事業等のいわゆる事業手法と相まちまして、良好な再開発を誘導するための計画誘導手法、そういうのを一つ付加させていただいたというのが一つでございます。  それから、そういうふうな意味で、計画誘導手法は、先生指摘のように従来から地区計画というのもございました、それと今度の再開発地区計画はどう違うかという御質問だと思いますけれども、これはいろいろ違いが——従来の地区計画は主として新しい市街地、再開発というイメージがないわけでございますけれども、その再開発版だとまず第一にお考えを願いたいというのが一つ。従来の地区計画におきましては、いろいろ違ったのはありますけれども、端的な違いは、公共施設整備をして容積率をおまけする——おまけするというか、緩和するというところは従来にはない制度でございます。そのかわり見合いの公共施設を整備するということのセットでございますが、そういう違いがございます。
  157. 山田勇

    山田勇君 この制度は、工場跡地鉄道ヤード跡地利用して地域の活性化を図ることを念頭に置いていると認識しておりますが、このような地域では支援措置があわせて講じられなければならないと思います。税制上の措置以外にどのようなことを講じようとしているのかお聞かせいただきたいと思います。
  158. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 本制度は、日本の場合に、先生承知のように、東京周辺と地方の場合といろいろ経済社会情勢が違いますので、この制度は二つを、ねらいを分けてちょっと考えているところがございます。この法律の計画制度自体はそういう分けた書き方はしておりません、一つの手法でしておりますけれども。しかし、先ほどからお話しの、例えば容積率の緩和というもの、公共施設の整備と一体に容積率の緩和、それがインセンティブになるのは主として東京とかそういう大都市でございまして、地方都市の場合に、先ほどから例で示させていただいた大牟田とか九州の場合、果たして容積率を上げるということがどの程度インセンティブかという問題がございます。  したがいまして、大都市地域におきましては容積率の緩和はかなりインセンティブでございますので、それを中心に誘導してまいりたい。しかし、地方都市におきましては、そういった容積率の緩和では余りインセンティブにならない場合もございますので、あわせまして都市活性化地区総合整備事業、これは予算措置でただいまのところございますけれども、そういった事業制度を起こしまして、調査費の補助とか施設整備費の補助、あるいは既存の施設の撤去費の補助とか、そういうふうな地域活性化のための、特に特定不況地域等につきましては事業補助制度をあわせて考えてまいりたいと思っている次第でございます。
  159. 山田勇

    山田勇君 再開発地区計画を策定する主体は市町村となっているわけですが、この際、地元なり跡地所有者の意向を十分に聞く必要があると思いますが、この点はどうですか。  また、市町村が計画策定に当たってその能力などが十分でない場合は、支援措置をどのように考えておりますか。宝の持ちぐされというようなことになっても困ると思いますが、工場跡地利用して地域の活性化を図るためには、都市活性化地区総合整備事業をあわせて効果的に運用する必要があると考えますが、この点はいかがでしょうか。
  160. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 再開発地区計画の策定に当たりましては、これが特に誘導型の再開発でございますこともありまして、御指摘のとおり、地元とか土地所有者等の関係権利者、こういった意向が十分反映しないとなかなか動かないという問題がございます。先生の御指摘の点大変重要だと思いますけれども、この再開発地区計画制度も、都市計画法に位置づける際に、先ほど申しました地区計画等というふうなことで、地区計画とこの点においては並びにしております。  それはどういうことかと申しますと、通常の都市計画も当然、案の作成に当たっては関係権利者の意見等を聞くわけでございますけれども、特に地区計画あるいは再開発地区計画につきましては、通常の都市計画の手続より以上にあらかじめ案の作成に当たりまして意見を求めるというふうな、原案の作成の段階でかなり意見を聞いていくというふうな、特別に関係者の意向を反映したシステムを採用しているわけでございます。法制度もともかくとして、運用におきましても当然地元土地所有者、さらに広くその地域の関係者等の意見を参酌してやってまいりたいと思うわけでございます。  また、市町村は既に地区計画に最近かなりなれてまいっておりますので、十分再開発地区計画についても対応できる能力を備えてまいっておると思いますけれども、ふなれなところもあろうかと思います。そういったものには、再開発法地方自治法にそれぞれ知事だとか大臣の援助の規定がございますけれども、当然のこととして積極的に 御指導してまいりたいと考えている次第でございます。  それからもう一つの、先ほどちょっと御説明申し上げました都市活性化地区総合開発整備事業を本年度は予算措置として二カ所とりあえず、北九州と大牟田を確保しておりますけれども、どうしても地方の中核都市、特に不況地域の中核都市のよみがえりの一つの手法に役立てていただくためには相当程度バックアップが必要だと思いますので、必要な予算の確保、あるいはさらに助成措置が必要かどうかということは引き続き検討さしていただきたいと思います。
  161. 山田勇

    山田勇君 次の質問で国としてのバックアップについていろいろお尋ねするつもりでしたが、今局長の方からそういう形で国としてもバックアップをしていかなければならないという御答弁がありましたので、最後に大臣の所見をお伺いします。  今後はますます都市開発の跡地利用などの要請が強まると考えますが、これは多極分散型の均衡ある国土づくり、その基盤の一つとも言えるのではないかと思うんですが、その点大臣の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。
  162. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生お説のように、第一番は多極分散、均衡ある発展、これが非常に大事であります。でございますから、政府といたしましても、政府自体の機関を移転しよう、それとともに各企業もでき得れば工場等は郊外へ移転してもらう、あるいは不況地域に移転をしてもらう、こういうことを進めてまいりたい。またそれと同時に、非常に産業構造変化いたしまして、今も話に出ました八幡であるとか大牟田であるとか非常に不況地帯もございます。こういうところの活性化もしてまいりたい。  東京の都心部につきましては、いろいろ議論がありますように地価が非常に高い。でございますからこの地価を引き下げなければならない。こういうことでありますので、できるだけ多極分散をしてその跡地を再開発する。また地方においても不況地域の再開発をする。こういうことで均衡ある発展をしてもらう。そのためにはあらゆる手法を使って、また国の助成も進めていく。こういうことで均衡ある発展のために努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  163. 青木茂

    ○青木茂君 法案質疑に入ります前に、感想というか考え方というか、ちょっと申し上げておきますけれども、私は、この委員会でもそうでしたし、また別の委員会でもそうだったんですけれども、天下りということをかなり厳しく眺めてきた。天下りというより、ああいうシステムがありますと、大過なく何とか生きていけば七十歳ぐらいまでは職が保証されるし、また退職金の二重取り三重取りもできて大変よろしい、だからそのルールに乗るためには余りミスをしてはいかぬ、いわゆる大善は要らないから大過なくというところで、行政の活力というものがどうしても欠けてくるんじゃないか。他面において、針の穴にラクダを通すよりはるかに難しい。あえてノンキャリアという言葉を使わせてもらうならば、そういう人たちが局長、次官になるなんというのはもう極めて難しい。その怨念というものがいろいろな形で噴出するんじゃないか。一昨日の問題あるいは住宅公庫の問題、ああいう贈収賄なんということを弁護しようという気は夢毛頭ございませんけれども、しかしながら、そういう行政の一つの習慣というものがああいうものに暗い影を落としているんじゃないかという気はいたします。  しかも、いわゆる天下り候補生というのかキャリア志向者というのか、そういうのがもう新規採用にまで浸透をしておるわけなんですね。その新規採用の人たちは、本当に塾だとか家庭教師だとかそういうあれでえらい純粋培養をされちゃって、ぽんと職場に出てくるんですよ。だから、例えばどこかの出張所に勤務を命ずと言ったら、よくわかりました、家へ帰ってママと相談してきますなんというのが出てくる。建設省は上がしっかりしておるから下もしっかりしておるだろうとは思いますけれども、そういうのがないとは言えない。そういう人たちが行政プランの第一次案をつくってくるわけなんですよ。そうなりますと、そこに本当に国民の今の苦しみというものを吸い上げて行政プランの中にどうこれを反映させていくかという前向きの迫力、活力、そういうものが僕は欠けてくるんじゃないかと思うんです。それが世界一の富裕国と言われながら、まじめに働いてまじめに努力する国民がこの首都東京住宅が持てないというパラドックスとなって出てくるんだということなんです。  ここらあたりから法案の中身に入っていくわけなんですけれども、僕は別にこの法案の性質が悪いとは言ってないけれども、そういう国民の苦しみというものを行政の中においていかにして救っていくかという迫力、野生味、そういうものがどうもこのプランに少し欠けているような感じがしてしようがないんです。この再開発プランだけでなしにいろいろな開発のプロジェクトがありますけれども、ストレートに国民の住居に対する、住宅に対する悩みというものを見詰めたものがないわけなんですね。  私はこれを実はいただいて見たんですけれども、この完成図、この完成理想図というものが、僕はこういうものをつくる人の一つの精神的バックボーンがあってこういうものができると思うんですよ。そうすると、余りにも大学の都市学科の卒業論文みたいで、夢はあるかもしれないけれども、私が言った、国民住宅に悩む、それへのストレートな切り込みというのがこのプランを見てどうも迫力が感じられないんです。例えばショッピングセンターとか公園まではそれは必要かもしれませんよ。必要かもしれませんけれども、何でここに劇場があるんだということですね。劇場ということが頭に浮かぶ精神構造が少しおかしいんじゃないのかという気がしないでもない。ここに家を建てればいいんじゃないかと、そういう感じがして仕方がないんですけれども、このプラン全体のイメージについて私の印象はそうだったということで、まず御感想を伺いたいんです。
  164. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 前段にございました天下りの問題は、やはり国民の信頼を得るような人材、これは天下りでも私はよろしい、しかし国民から非難を受けるような天下りはよくない。当委員会でもいろいろ御指摘をいただきましたので、その点については十分配慮をしてやってまいるという所存であります。  さて、今のお話でありますが、住宅にいたしましても都市にいたしましても、特に住宅ということになりますと潤いと安らぎということでありますので、劇場の御指摘がありましたが、劇場がいいか悪いかの問題はいろいろ見方によって違うでありましょうけれども、やはりすべての環境のいい町づくり、こういうことを念頭にこれ書いたものだ、かように思う次第であります。  都市構造が御承知のように変わりつつありますし、変わり目も急激な変化でございますから、例えばいろいろ議論もありました流通にいたしましても、その流通の中の輸送手段にいたしましても、鉄道輸送というものが非常に少なくなった、自動車がほとんどになった、こういう状況でありますし、いろいろ変わってまいりますので、それに対応したように進めていかなければならない。でございますから、再開発も従前やっておりましたことを今後も進めてまいりますけれども、これでは急激な変化に間に合わない。でございますから、今申し上げた工場跡地等の再開発でできるだけ早くやっていこう、こういう考え方で御提案申し上げておるような次第であります。  これはこれとしていろいろ御意見はございましょうけれども、構想としてはやはり潤いと安らぎのある都市、こういう面でこの論文、卒業論文でございますか、こういうことであろうというふうに思っておる次第であります。
  165. 青木茂

    ○青木茂君 潤いと安らぎは大変私もそのとおりだと思いますけれども、今東京なんかにおける住宅難は潤いと安らぎ以前の問題で、家そのものがないというところにあるわけですから、第一次の問題と第二次の問題は逆に考えてしまうとこれはいけない。  それから、これはお言葉を返すのでも何でもなしに、感想を申し上げますと、国民の信頼を得る天下りとそうでない天下りを前もって区別することは、これは神様でも難しいと思わざるを得ないんですけれども、それはそれとして……。  そこで、この再開発計画のお手本というのか、既に進んでいる問題で、臨海副都心のあれがございますね。あれの計画なんかを見まして、どうなんですか、あの計画では、昼間人口と夜間人口というお言葉が午前中あったけれども、これを就業人口と居住人口というふうに言いかえるとするならば、居住人口というのはどれぐらいあれでは見込まれておりますか。
  166. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) ただいまの質問の前に、先生の前の質問にちょっと弁解さしていただきますけれども、この絵そのものはこういうものをイメージしているんではなくて、今度の制度を御説明すると、用途地域の中でいろいろな操作がありますので、例えば劇場みたいなものがあった場合にどうか、住宅があった場合にどうかというふうな、例えば用途地域は、先生承知のように劇場なんかができない用途地域があります。そういうできない用途地域で、今度のこういった計画との関係でどうなるかということを御説明したいというために劇場を入れたり、説明用のイメージでございまして、こういうものが理想だと考えていることではないということを御理解願いたいと思います。  それからもう一つ、後からの御質問でございますけれども東京臨海部開発推進協議会が六十三年三月にまとめた構想によりますと、臨海部副都心の居住人口は六万人程度と見込んでおります。
  167. 青木茂

    ○青木茂君 今のこの絵ですね、ちょっと事前の説明不足でしたな。そういうふうには受け取れない。まあそれはいいわ。  居住人口六万人、これに対応する就業人口の見込みが、私の知るところでは十一万という数字が出ておるようですけれども、これは大体そんなものですか。
  168. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 同構想によりますと、基本計画によりますと、先生のおっしゃるとおり就業人口は十一万となっております。
  169. 青木茂

    ○青木茂君 私は、ああいう都心に近いところを開発するんだから、居住人口と就業人口の比がむしろ逆転した方が本当に国民住宅難にストレートに迫るというような意味を持ち得るんではないかと思ったんですけれども、これは既にしてしまったことですから、これから物を考えていくときに、住宅難解消という意味では、居住人口というものをできるだけふやしていくというような方向というものは、これからのビジョンとしていかがでしょうか。
  170. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これは基本的には、国の方針もございましょうけれども、その地元地方公共団体、特に東京の場合都心三区等の要望が強いわけでございますから、そういった要望の強い地域の意見というのはやはり重視して施策を進めていくべきだと考えます。
  171. 青木茂

    ○青木茂君 いろいろなプロジェクトを組む場合に、どうしてもプロジェクトというとすぐ何か目玉がなくてはいけないということで、国際会議場だとか、えらい世界的規模の展示場だとか、いろいろそれぞれのプロジェクトで考えてしまうわけなんですよ。みなとみらいでもそうだし幕張でもそうだし、この臨海副都心でもそうだし、そういうことが住宅というものを結果的には圧迫してしまう。首都圏においてそんな大きな国際会議場なんか一つあればいいんで、何も各地にある必要はない。  だから、プロジェクトならプロジェクトをつくる基本的な物の考え方の中に、派手さはあるけれども、世界一の富裕国の国民が首都に家を持てないという悲しみと怒りというものがどうも行政の中に、腹の奥底にないからそういうものが出てくるんではないかという気がして仕方がない。ひがみでしょうかね。
  172. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 感想みたいなお答えで申しわけございませんけれども住宅の必要性を否定するわけではないわけでございますけれども、これからの社会に通用して、情報化社会とか、あるいは生活が豊かになるし、いろいろなことを考えますと、国際化も進むということになれば、量的に十分かどうかということは別としまして、今いろいろ各地で行われているような方向というのもこれから将来を見た場合の方向ではないか、それも重要な仕事ではないかと考える次第でございます。
  173. 青木茂

    ○青木茂君 確かにそのとおりだと思いますよ。しかし、現状追認、ぴしゃっと何かアンビシャスがあるなら、そんなことじゃいかぬ、住宅つくらなきゃならないんだ、こうくるんだけれども、大過なく行政をやるためにはやはり現状追認というふうにいかざるを得ない。そこに私はどうも国民がいらいらしてしまう基本的な要因が出てくるんだと思うんですけれども、これは感想ですから、次へ行きます。  先ほど来から容積率の問題が非常に出ているんですけれども、不動産業界なんかで言いますと、容積率一〇〇%幾らになるかが土地売買の基準だという言葉すらあるわけですね。道路を狭んで二つの土地があって、他の条件が同じだとして、一方の方に容積率を二倍にしたら土地価格も二倍になる、そういう問題があるわけなんです。だから容積率を一律ということは、これは一般論ですけれども、特にこの法案というよりもむしろ一般論で考えた方がいいんですけれども、容積率をいじるということは地価高騰の再引き金にならないかどうか。僕はなるんじゃないかという心配が強くて仕方がないんですけれども、そこら辺のところはどうでしょうか。
  174. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 地価への問題というのはかなりいろんな要因があろうかと思いますけれども、端的に申しまして、一般的に一律に容積率というふうなものを引き上げるということは、市街地整備の上も好ましくないし、あるいは、もしそういうことをやれば投機的な取引を誘発しかねないというおそれがあろうかと思います。そういうこともございまして、私ども都市計画の立場からは一般的に一律な引き上げということは非常に困る。都市施設整備をちゃんとしまして、それに見合った形で容積率の引き上げということは土地有効利用からも必要だろうと考えているわけでございます。  そういうことで、もともと容積率の決め方は周辺の公共施設整備とのバランスで決まるわけでございまして、土地を持っている人の期待感で容積率を決めるということは当然ないわけでございますから、そこの持っている地域の公共施設のキャパシティー、能力が上がった場合に対応して引き上げるというのが当然の考え方だと思っております。
  175. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、現在この制度が適用されるという具体的な、ここらあたりだろうというような地域はお考えですか。
  176. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) こういう制度考えるに当たりましていろいろ地方公共団体にお尋ねしたところ、一ヘクタール以上で、再々お答えしておりますけれども、まとまった形の候補地みたいなのは全国に六百七十七カ所、六千ヘクタールぐらいあります。ただ、具体に制度が生まれておりませんので、この法律のどこで適用しようかということを確定したものはございません。  ただ、この法律と並行的に予算措置で、この法律が生まれたならばあるいは適用第一号になろうかなという感じのところは四つほど候補がございます。その一つは、既に事業の予算措置をしておるところが、北九州市の八幡地区と大牟田の駅周辺のところがございます。それから調査としましては、兵庫県の明石の大久保地区、それから川崎の多摩川の向こう側とかというところが調査の予算の対象になっております。そのほか、先ほど来議論がございましたように、例えば東京の臨港地域なんかでも、恐らくこの法律の書き方からの要件から探しますとここが出てこようかと思いますけれども、具体的な検討にはまだ入っておりません。
  177. 青木茂

    ○青木茂君 今まで大体そういうふうにほぼここだということがわかっているところには余り問題は起きないだろうけれども、これからここが指定されそうだ、それでその容積率もアップしそうだ、いろんな恩典もありそうだということが事前に余り早くわかりますと、そこにやっぱり買い占めというのか先行投資というのか、そういうものが入ってきてしまって、それが結果としては庶民以外の層に不当利益を与えることにもなりかねないという心配がどうもこの法案を見てあるわけですけれども、そういう危惧に対する担保というのか、防止策ですね、そういうものはお考えですか。
  178. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 容積率のおまけの方が目につきますけれども、当然これは、先ほどから申しましたように、容積率のおまけは公共施設の整備、これに見合った形で変えていくものでございます。こういった地域におきましては、まだ公共施設が、例えば工場が大きく、重厚長大の工場がどいたところというのはインフラがほとんどございません。そういうところが指定された場合は、都市計画的につくられる施設は別としまして、細部のかなり、例えば道路にしろ何にしろ、皆インフラが必要でございます。そういったインフラが必要なのを、相当部分はその土地所有者がみずから負担して、それに見合う範囲内で容積率の引き上げがある程度でございますから、新たにそこに第三者が入っていってもうかる仕組みには私はなっていないと思います。  ただ、それは私が考えるだけで、事実そういうことがあるというふうなことがございますれば、これはやはり国土法や何かの形で一般的にそういった取引をチェックするということしかないかと思いますけれども、容積率だけ言っておりますけれども、かなり厳しいその他の地区詳細計画がかかっておりますから厳しい制限がございます。計画どおりまたやらないとなりますと市町村長の勧告とか開発許可がおりないとかいうのがありますので、もうからない覚悟で入る方があるかもしれませんけれども、なかなかそう簡単にぬれ手にアワという形にはいかない仕組みに構成していると考えている次第でございます。
  179. 青木茂

    ○青木茂君 大体病気というのは、なりかけてから治療しようといってもなかなかこれは糖尿病やらなんか難しいんだ、成人病というのは。だからそうならないうちに、ならないだろうと思うけれどもなるかもしれないという態度でもって行政というものはないと、なってからじゃもうどうしようもないんですよ、民間の買い占めが入っちゃったら。だからそこら辺は十二分に御注意をいただきたいと思うわけなんです。せっかく一生懸命やったことで、また地価が上がっちゃって、また国民住宅であっぷあっぷするということになったらそれはもう大変なことなんだから、ならないとはお考えになっても、ならないと考えるから大丈夫だといって何の手も打たないということでは、後追いになったときの影響が非常に大きいということは、ならないにこしたことはないけれどもという前提を置きながら私は申し上げておきたいと思います。  時間が来ましたからあれですけれども大臣最後に、先ほど私が申し上げました、世界一の富裕国だと言われながら、本当にまじめに働いている国民が首都東京で家を持てないこのいらいらというものを建設行政としてはどういうふうに解消して国民の期待にこたえるか。これは大臣の一般論、大臣の感想、決意、どちらでも結構ですからお答えいただいて終わります。
  180. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今、地価の高騰によって大変勤労者、中堅以下の方に御迷惑をかけておるのは事実であります。でありますから、何としてでも地価の引き下げをやらなければ、家賃にいたしましてもあるいは譲渡価格にいたしましても下がらない。でございますから、あらゆる手法を使って地価の引き下げに努めたい、かように思います。  また、この法案そのものもそういう目的で、天下りといいますか、こちらから押しつけということでなしに、工場跡地等を利用して再開発ができるように、宅地ができるように、こういうことでありますので、今後も大いにあらゆる手法を使って努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  181. 青木茂

    ○青木茂君 終わります。     ─────────────
  182. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 委員異動について御報告をいたします。  本日、堀内俊夫君が委員辞任され、その補欠として上杉光弘君が選任されました。     ─────────────
  183. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  185. 小川仁一

    小川仁一君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、都市開発法の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものであります。  我が党は、昭和四十四年の本法律の制定、五十年、五十五年の二度にわたる改正においても、都市改造の必要性を重視し、都市開発法の建前は一応認めながらも、同時に、この法案利用する事業が、大手企業を利し、市民の生活を不安定にしている事実をも指摘してまいりました。  我が党の指摘したように、都市計画や町づくりの総合的な計画と無関係に再開発と称して行われる事業によって、都市の住環境悪化こそすれ、良好となったとは言いがたいのであります。  さらに、さきの中曽根内閣によって進められた規制緩和政策によって、都市の再開発土地高度利用ということをにしきの御旗にした全く無秩序な再開発となっていることを指摘せざるを得ません。その結果は、大都市における地価の暴騰であります。地価の暴騰は政府の無策によると批判する者もおりますが、事実経過は、中曽根内閣のいわゆる民活方式、行政改革に名をかりた規制緩和政策地価暴騰の原因であることは明らかであります。  もとより我が党は、都市への急激な人口集中の結果引き起こされた住環境悪化改善し、計画的な町づくりを進める都市の再開発事業重要性について否定するものではありません。しかし、住宅難、交通難、乱開発による緑地の減少、公共スペースの確保の困難性、防災上の困難性等の増大改善し、都市機能を回復する都市整備は、総合的観点から進めなければその効果は期待できません。この総合的政策を欠いた再開発は、逆に都市への人口、産業の過度の集中を生み出すという我が党の指摘のとおりの事態が進行しています。  本法律に基づいて進められてきた市街地開発事業の多くは、いわゆる駅前再開発であり、住宅地再開発は全くおくれています。再開発された地域は事務所やオフィスビルとなり、本来そこに住んでおられた多くの方々は結局外に出ていかざるを得ない例が数多く見受けられます。市街地開発事業がその事業費を保留床の売却によって生み出すという形をとっていること、言いかえれば採算がとれることが再開発の最も重要な前提となっていることにその原因があります。  このように、本来なされるべき都市整備都市機能改善とはほど遠い形で進められてきた都市開発法に基づく市街地開発事業が、今回の改正によって大きく方向転換し得るかといえば、それは期待しがたいと言わざるを得ません。  第一は、今回の法改正でも、またもや市街地開発事業の区域要件の緩和を行おうとしています。二回にわたる改正でも次々と区域要件を緩和してきておりますが、そのもたらす結果は、さきに述べたとおり、一層の無秩序な再開発を生み出す以外の何物でもありません。区域要件を緩和することによって事業化の意欲を引き出そうとするのではなく、公的資金の投入によってこそ市街地の再開発を行うべきものであります。  第二は、今回の改正によって新たに創設される 再開発地区計画についてであります。  再開発地区計画は、社会経済情勢の変化に伴い発生している工場跡地鉄道操車場跡地等のまとまりのある低・未利用地を再開発するものと説明されています。我が党は、このような得がたい土地については、土地所有者やデベロッパーによる開発に任せるのではなく、都市計画に組み込んで公的資金を投入しての責任ある再開発を行うべきであると主張してきました。今回の新たな制度の創設は、その意味では残念ながら全く不十分と言わざるを得ません。今回の改正によっても、従来我が党が主張してきた都市開発法基本的性格は何ら変わっていないと言えます。  私は、以上の点を理由として本改正案に反対し、討論を終わります。
  186. 福田宏一

    ○福田宏一君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案について賛成の討論を行います。  近年、都市における環境整備改善市街地住宅や業務施設の供給促進の要請が高まっておりますが、産業構造転換や物流体系の変化に伴い、既成市街地内に工場跡地や旧国鉄用地等のまとまった未利用地が多数発生しており、その一体的かつ総合的な再開発を誘導し、有効利用を図ることが緊急の課題となっております。  本法律案は、この当面の課題解決するため、市街地開発事業の施行区域の要件の緩和等を行い、再開発事業の施行を容易にするとともに、一体的かつ総合的な市街地の再開発が必要な区域に対する再開発地区計画の制度を創設し、区域内の建築物に対する制限の特例措置を講じ、市街地の計画的な再開発の一層の推進を図ろうとするものであります。  これにより、飛躍的な再開発の促進が期待され、大都市においては、不足している事務所床等の供給職住近接の市街地住宅供給が促進され、地価対策の効果も期待できるのであります。また、地方都市における地域活性化の拠点づくりが大いに進み、地域経済の振興が期待できるのであります。  以上のように、本法律案は、現下の要請にこたえ、まことに時宜を得た適切な措置であります。今後、本法律の施行にあわせ、市街地の再開発事業に対する行財政措置が強化され、都市の再開発が一段と進むことを期待いたしまして賛成の討論を終わります。
  187. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  本法律案は、市街地開発事業の施行区域の要件の緩和、再開発地区計画制度の創設と建築規制の緩和などを定めるものです。これらの目指すものは、大企業の利益に貢献する再開発、住民、中小零細企業を犠牲にした町づくりを進めようとすることです。  第一に、市街地開発事業の施行区域の要件において、百五十平方メートル未満の建築物と容積率の最高限度の三分の一未満の建築物を耐火建築物から除外することは、一般の住宅や多くの中小企業、商店などの存在を無視して市街地開発を進めようとするものであり、地域の実情に合った町づくりを阻害するおそれがあります。  第二に、再開発地区計画指定地域において、国鉄跡地を対象にすること自体、政府自身の凍結という方針にも背き、地価高騰に拍車をかけるものであります。しかも、建築基準法に定められている容積率制限、高さ制限、用途地域建築制限の適用を除外することは、都市計画法、建築基準法都市づくりの体系を崩すものであり、特に地価高騰のもとでは、大企業の土地買い占めの好餌となって、採算性のために地域のバランスを壊し、環境悪化の再開発を招くおそれが強いものであります。  地方公共団体等が施行する再開発の権利変換、管理処分について、地権者等の全員の合意のもとに特則を設けることは、より実情に応じた計画を可能にするものであり、賛成です。  よりよい町づくりを進めるためには、地域住民の声に沿った計画を実現できるような方策をこそ実施すべきであり、いたずらに条件を緩和し、事業主体や参加大企業の利益を高める方向で再開発の誘導、推進を図るやり方には反対であります。
  188. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  190. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、越智建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣
  192. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきましては、御審議をお願いして以来、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  193. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、土地区画整理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。越智建設大臣
  194. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいま議題となりました土地区画整理法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  土地区画整理事業は良好な市街地形成とともに、宅地の供給についても大きな役割を果たしてきたものでありますが、現下の状況を見ますと、市街地整備及び良好な宅地の供給の促進は以前にも増して強く望まれているところであります。  このような要望にこたえ、健全な住宅市街地の造成を促進するためには、土地区画整理事業をなお一層推進することが重要であります。このため、宅地の所有者または借地権者の発意に基づいて施行される事業について、個人施行者制度拡充するとともに、土地区画整理組合についての参加組合員制度を新設するほか、地方公共団体等が施行する事業において、宅地地積の適正化のための措置を拡充すること等が必要であることから、この法律案を提出することとしたものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、住宅都市整備公団等のほか土地区画整理事業を施行するために必要な資力、信用及び技術的能力を有する者であって一定の要件を満たすものは、宅地の所有者または借地権者以外の者であっても、これら地権者の同意を得ることにより、土地区画整理事業の個人施行者となることができるよう個人施行者制度拡充を図ることとしております。  第二に、土地区画整理組合が施行する事業において、住宅都市整備公団等の公的主体で定款で定められたものは、宅地の所有者または借地権者以外の者であっても、事業費の一部に充てるべき負担金を土地区画整理組合に支払うことにより、組合員となり、換地処分時に保留地に充てるべき土地の一部を取得することができる参加組合員制度を新設することとしております。  第三に、地方公共団体等が施行する土地区画整理事業において、小規模な宅地の所有者及びその宅地に隣接する宅地の所有者の申し出があった場合には、これらの宅地について、施行地区内の土地の共有持ち分を与えることができるものとする共有換地を認めることにより、小規模宅地に関する宅地地積の適正化措置を拡充することとしております。  第四に、土地区画整理組合の役員に係る規定の整備等所要の改正を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  195. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会