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赤桐操君 そうしますと、今一坪、簡単な
数字で二十万の評価が出たと仮定しますね。これは、今のような
開発負担金を取ってしまいますと、造成から何から全部取ってしまうというと、目の子勘定ですけれ
ども大体半分になるでしょう。有効
宅地面積は半分以下で公共負担分が半分以上なんですから、素地でもって倍になっているわけですから、そこへいろんなものが全部重なっていくわけだから大変な相場になっちゃう、二十万になっちゃったわけですから。これをそれじゃ、ここで出ているところの、鑑定士が言うところの
開発負担金と称するものを一項取ったと仮定しますとこれは半分になっちゃうんです。
だから、この
開発負担金と称するものをどうするかということになるんです。これを入れて評価すれば二十万になる。そうするとその近傍類似価格が、今
局長は、それは道路もできるし便利になるからそこの素地の価値は上がりますよと。それは上がるでしょう。しかし倍にも三倍にもなりませんよ、これは。私はそれはおかしいと思うな、そういう評価の仕方、付加価値というものをつけるということは。やっぱりこの近傍類似価格というもの、いわゆる交通上の便利あるいはまたいろいろ使用上の便宜、そうしたものを評価する付加価値というものは限度があると思うんです。
土地は商品ではないんですよ。財産ではあるが、国民の財産として保障されなければならぬけれ
ども、商品ではないと思うんです、私の頭の中では。皆さんはどう思っているか知らない、私は商品にすべきでないと
考えている。そういう
観点から今私は主張しているわけだけれ
ども、その中でこういう
考え方は出てこないんです。とするならば、ここでもって二十万の
土地が十万になるんですよ、これは大ざっぱな話ですけれ
ども。それだったならば、これを何らかの方法で
考えなければ、これは倍々ゲームでいったら大変なものになるでしょう。今現実にそうなってきているんです。諸外国ではこれをやらないんですよ。
私は、パリの郊外三十キロ、ちょうど千葉から船橋くらいのところですね、横浜まで行かないでしょう、浦和まで行かないでしょう。そういうところにエブリーという町ができ上がってきております。人口五十万の
都市として、五十万
都市をパリの郊外三十キロから四十キロのところに五カ所ぐらいつくる、そしてこれを衛星
都市としてやっていこうというのが、パリ市とそれからフランス
政府との間の合意で行われている、
事業主体でやっている仕事です、これはもう有名な話ですけれ
ども。私はここへ二回行ったんです。でき上がらないときに一遍行って、でき上がってきてから一遍行ったんです。それを見ようと思って私は行ったんです。
そのときの私の
説明で、
日本の場合との比較の中で、私の頭の中では、いわゆる
開発負担金ですね、その当時私は受益者負担という言葉で言ったんですが、パリ大使館で働いていた、
建設省から出向で向こうへ行っておった専門の方が通訳に当たったんですから間違いないと思います。これは専門語で話したはずです。その方の
説明でいろいろ話してもらったんですが、これを納得するのに三十分ぐらいかかった。向こうから逆に質問されまして、私が答弁して、それは必要ないだろうと言われたんです。簡単にやられた。何のために税金を払っているんだと、この一言でさっともう片づけられたんです。
これが現実ですよ。
開発負担金と称するものはヨーロッパ諸国では
考えられない、こんなものは。それが
日本の国では受益者負担と称して、今や鑑定士の評価基準の中に入っちゃったんです。これは私は大変重大な問題だと思うんですよ。
私はそういう
意味で今声を大にして言っているわけですけれ
ども、どう
考えてみても、こういうことでやっていけば
土地価格は次から次と上がっていきます。しかも、三
大都市圏では
団地をつくらなければ集中する人口のさばきようがない、集中する機能に携わる人の問題解決にならないということですから、
団地をつくることになるんです。その
団地のつくり方のいわゆるシステムが、
土地の扱い方がこういうようになっている以上は、しかも鑑定士と称する、国家試験を通ってきている大変な権威ある資格を持った人の鑑定のあり方の中にこれが入っている。しかも、これはもう近傍類似価格として一括して評価されることになるんです、隣の素地を評価するときには。そういうようになってきたんではとめどがないではないんでしょうか。これに対する何らかの措置が必要になってきておりませんかということを今提起しているんです。
私の基本的な
考え方と、あるいは
建設省や皆さん方の
考え方に基本的な物の
考え方の差があるのかもしれぬ、
住宅政策についてあるいは
土地問題についての。しかし、こういう私のような
考え方も国民の中にはたくさんあるということを政治問題として取り上げなきゃならぬ段階に来ていると思うんです。私は、このままでいけば
民間自力建設も不可能になるだろうと思うんです。
私は、一昨々年の予算
委員会で中曽根総理と質問という形で話をいたしました。総理に私は質問するよりも、今総理が掲げている緊急八大
政策の中の
住宅政策について私の
考え方を総理に十分理解してもらおう、こういう
考え方で私は一昨々年の予算
委員会でやった。約四十分くらい、私の手持ち時間全部費やしてやったんです。総理の答弁は一回か二回しかなかった。
そのときに私が主張したことは、
住宅をお建てになることは、我が国は
自力建設が
中心だから、あなたの
考え方でおやりになることは結構だと思うけれ
ども、建てた家が売れなければ、つくった
宅地が売れなければ、この八大
政策の中の一番根幹になっておる
住宅政策は実現しないことになりますよ。それでは
政策にならないでしょう。これを実現する方法が
二つある。
一つは、国民の皆さん方の懐が豊かになってくればこの
自力建設はどんどん成功するでしょう。まずでき上がったものを買うでしょう、あるいは
自力建設で建てるでしょう。これがまず
一つの方法だ。しかし、それは国民の所得の増大になることであるから、きょうはこの問題は別にいたしましょうと。それでもう
一つの方法で論議したい。それは安くする以外手がないと思う。その安くする方法の中に、このいわゆる関連公共の問題、それからまた
開発負担金の問題、こうしたものについて大体話したわけです。総理は、検討し、勉強いたしますと、例によって答弁されました、最終的には。
その後どうなったか私は余り聞いておりませんけれ
ども、その後しばらくたってから、
地方に過度な負担はさせないようにという通達が
建設省から出たということを確認いたしました。その年の恐らく八月だったと思いますけれ
ども、出たということを確認しております。そういうことでもって
地方は今かなり自粛してきているということも現実だと思います。自粛しても今率直に言って私が申し上げたような
程度なんです。そうするとこれはいつまでたったって、この問題について
建設省が
本当に腹を決めて、
政府が腹を決めてこれに対する何らかの
対策をとらなければ無理じゃないかな、こういうふうに私は思うんです。
例えば、
公団とか
住宅供給公社とかそうした
政府の
施策を実施する直接部隊、この部隊が行っていく場合の公的負担の問題の扱い方と、
民間自力建設によって、売買が簡単に行われるわけですから、公的な
機関のやつは売買しないわけですから、それとこれとは違うという基本的なものがあると思いますから一概に私は言わないけれ
ども、少なくとも今のような
状態でまるっきり全部エンドユーザーに負担させるというやり方でもってこのまま進んでいき、そのすべてのものを負担させられたものが評価額になっていくというやり方でやっていくならば、これは私はちょっと
住宅政策あるいは
宅地対策というものは成り立ってこないんじゃないか、結局は
自力建設も不可能になるんじゃないかな、こう思っておるんです。
政策上の問題として、私はもう一遍ひとつ
局長の
本当の腹を言ってもらいたいと思うんです。
政府の直接実施部隊や
地方自治体の実施部隊がどうするこうするについては、これはその場合と
民間自力建設とは違うと思いますけれ
ども、
対策は変えてもいいと思うけれ
ども、今の
状態のままで進めていくということでいいのかどうなのか。
私は端的に申し上げますが、直接
公団とかあるいは
公的機関が行うものについては、公的負担の問題については全額国が持つべきだと思うんです。それから
民間自力建設についても、これは私は少なくとも常識として、恐らくどちらの家庭でもみんなやっていると思いますが、道路の工事が行われ下水の工事が行われるときは自分の家の側だけは負担しますね。そしてそこと、これについては国なり県なりあるいは市なりが負担していると思うんですよ。だから、そういう
状態等が今日
まで行われた慣習であるとするならば、少なくとも
民間自力建設といえ
ども公的負担についても限度があるだろう、こういうことを私は主張したいと思うんですけれ
ども、いかがですか、この点は。