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1988-04-28 第112回国会 参議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      山田  勇君     橋本孝一郎君  四月二十八日     辞任         補欠選任      井上 吉夫君     二木 秀夫君      植木 光教君     野沢 太三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 植木 光教君                 遠藤  要君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 野沢 太三君                 二木 秀夫君                 赤桐  操君                 太田 淳夫君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 橋本孝一郎君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君    政府委員        国土庁土地局長  片桐 久雄君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     中嶋 計廣君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        国土庁土地局地        価調査課長    森   悠君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法案内閣提出衆議院送付) ○都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十七日、山田勇君が委員辞任され、その補欠として橋本孝一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法案を議題といたします。  前回、法案趣旨説明は聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 赤桐操

    赤桐操君 最近の土地上昇状況につきましては、一応の頭打ちの情勢が報ぜられておりますけれども、これは東京の一部、一地域は確かに下落をし、鎮静化と言うことができると思いますが、三大都市圏あるいはその周辺等におきましてはかなりやはりこの一年間顧みると上昇をしていると思うのであります。これは私の千葉県なんかの状況を見ましてもそういうことが言えると思います。  大体見ますると、全国平均で二一%を超えるという状態でありまするし、かつての狂乱地価の時代に次ぐ高騰ぶりだ、こういうように思えるのであります。特に住宅地につきましては、三大都市圏等におきましては六八%、商業地が六一%、こういう状況でありまするから、これはまさに最高状態に置かれていると言っても過言ではないと思います。こういう主要な都市圏とそれから全国的な一般の地域との間というのは上昇状態にも大変な差がありまして、三大都市圏を除いた地域では二%強ということでありまするから、その格差が大分あるということが言えると思います。こういう状況の中で今宅地供給の問題が論議されているわけでありますけれども、これは私は、東京状況地方に移っていく、三大都市圏状況地方に移っていく、こういう状態が現在続けられるとするならばこれから大変大きな問題があると思うのであります。  そこでまず、公的な供給状況とそれから民間供給状況、こうしたものを公的、民間の別でひとつ御説明を願いたいと思うのであります。同時にまた、土地開発着手状況等を示す開発許可面積、あるいはまた土地区画整理事業等認可面積、こういったものについての最近の情勢についてまず最初に伺っておきたいと思います。
  5. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 最近の宅地供給動向でございますが、一番新しい手元にある資料で見ますると、昭和六十一年度は全国で一万四百ヘクタールという状況でございます。ちなみに四十六年、七年、八年という当時におきましては、大体二万三千ヘクタール前後の供給がなされておりましたので、その半分あるいはそれ以下の水準に落ち込んでいるというのが現状でございます。  それから、その間において供給主体別の内訳はどうだろうかということでございますが、おおむね公的供給が三割、民間供給が七割という状況でございまして、六十一年度で申しますと、公的供給が三千ヘクタール民間供給が七千四百ヘクタール、こういう状況に相なっております。  それから二つ目の御質問でございます区画整理事業あるいは開発許可という、いわゆる宅地供給先行指標動向でございますが、率直に申し上げまして開発許可は最近低下傾向にございます。区画整理事業認可状況でございますけれども、最近上昇の機運にありますが、総じまして先行的な指標は落ち込む傾向にある、こんな状況でございます。
  6. 赤桐操

    赤桐操君 今の御説明でもあるように、開発関係供給状況は非常に低下をしてきておる。これは私ども手元にある資料で見ましても、四十年代の後半をピークにしていずれも減少傾向をたどってきていると思います。  こういうように停滞してきている要因でありますが、この要因を明確にしておかないと、そしてまた本格的に掘り下げたその焦点をつかまえないというと、これからの本当意味における対策にはなってこないだろうと思うのでありますが、要因をどういうように把握しておられるのか。
  7. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 宅地供給停滞あるいは区画整理なり、特に開発許可状況の低迷、こういったことはいろいろの要因によると思われますけれども、私ども基本的な事柄として幾つかの大事な点を認識しております。  その一つは、やはり農家等土地所有者土地保有志向が極めて高い。土地を持っていようという意識が非常に高い、こういう点でございます。御参考までに、六十二年の五月に私ども農家土地保有についての意識アンケート調査をやってみました。この結果を見ますると、今後十年間以上引き続き農業用地として継続したいので転売する意思がないという方が六割を占めているという状況がまず一点ございます。  それから二つ目には、開発に要します期間が総じまして非常に長期化する傾向にございます。このことはいわば開発事業を行う側から見ると採算性が非常に悪くなっている、こういった点が否めないところでございます。  これも若干参考的に数字を申し上げさせていただきますと、用地を保有していた期間が十年以上の長きにわたった団地、一ヘクタール以上のものでございますけれども、その団地がどのくらいの状況になっているかということをちょっと見てまいりますと、昭和五十二年当時は、宅地供給した団地の中で四%くらい、十年以上用地を保有していた期間が、というものが四%であったわけですが、六十年になりますと何とこれが三六%というふうに、非常に用地を抱いたままの期間が長引いているという傾向が率直に鮮明に出ている。こういった点が事業者からすれば非常に採算性を悪くしている、こういった点があると思います。  それからもう一つ大事なことは、一部の地方公共団体におきまして開発を抑制しようという姿勢が今日ある。あるいは場合によっては強まっている地域もある。こういった状況がございます。  大きく言ってこの三つ要因というのが、非常に宅地供給停滞あるいは開発許可停滞というところに直接的に響いているんじゃないかと思っております。
  8. 赤桐操

    赤桐操君 三つの点が明らかにされているわけでありますが、特に第一点の農地をなかなか手放さないということは大変重大な問題だと思うんです。特に市街化地域における農地というのは、やがてこれはもう宅地になるんだという前提で建設省もあるいはまた関係それぞれの団体も今日まで来たと思うのでありますが、それがなかなか手放さない。要するに素地の取得が困難だという状況なんですね。特に農地というのは今、今日までの経過の中で八〇%が農地になっているでしょう。そうすると、ほかのものを利用しても結局は二〇%ぐらいしか使えないことになるんです。八〇%ということになると、これは農地のいかんによって、いかに建設省供給計画を立てられても乗っていかないということになるんじゃないでしょうか。  これを提供してもらうためにいろいろとあの手この手対策を立てているようでありますけれども、どうも今までの経過の中では功を奏していないというのが実態ではないかと思うんです。それならばほかにもっと求める意欲を持って建設省はかかるのか、かからないのか、この辺のところを少しまず大前提として伺っておきたいと思います。
  9. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 御指摘のように、市街化区域内農地宅地化転用状況というのは、率直に申しまして余り目立った動きがない、はかばかしくない、こんな認識を持っております。  現行の宅地並み課税制度ができましたのは先生も御案内のとおり昭和五十七年度でございますが、その当時いわゆる三大都市圏におきまして布存していた農地というものは六万七千二百ヘクタールと承知しております。それが六十一年度でどうなったかと申しますと、五万九千七百ヘクタールということで、四年間で七千五百へクタール減少を見ております。いわば農地以外に転用されたということになるわけですが、年間平均で大ざっぱに言って千九百ヘクタール減少率で言うとおおむね三%前後、こんなような状況になっております。  今おっしゃったように、この農地というものについて今後どう宅地化促進するかということが大変大事な課題と私ども認識しておるところでございまして、一方で、長期的に農業本当にやっていこうという意欲のある方も当然これはあるわけです。また市街化区域内農地のあり方についてはいろいろと御議論もあるというふうには承知しておりますが、私ども、長期的に本当に営農をしてきておるという農地についてはできる限りいわゆる逆線引きをしていこうということで、先般第二回目の線引き見直しでもこれをかなりの程度やらしていただいているという側面が一つあります。これはいわば市街化区域から外すというものでございますので、今先生の御指摘宅地化促進とはどっちかというと逆を向いている話でございますので、そういった意味で、基本的には市街化区域内の農地宅地化というものは今後とも非常に力強く進めたいというのが基本的姿勢でございます。  そのためには、言うなれば土地区画整理事業あるいは土地区画整理事業的な事業、こういったものを積極的に進める、あるいは先般もお認めいただきました農地所有者賃貸住宅に対する助成措置を続けて、賃貸住宅供給を援助するということが当然これからの大きな課題と思っておりますが、私どもとしては、これだけで果たして今後、今先生おっしゃったように十分に功を奏するかという点についてはいろいろの課題があろうと思います。  そういった中で、ただいまちょうど土地臨調の方でもいろいろと御議論なされているわけでございまして、私どもとしてはこれらの動向も見ながら建設省としての具体施策をさらに勉強さしていただきたいと思っておる次第でございます。
  10. 赤桐操

    赤桐操君 特に、私はこの間以来いろんな資料をいただいてきておりますが、市街化区域内の住宅用地向け農地転用面積の推移の状態は、五十年代の半ばころからかなりダウンしているように思うんです。これは三大都市圏が特に顕著に出ておりまして、全国的にはもうちょっと後になってから下がってきているようでありますが、数年前からかなりダウンしてきているように思うわけであります。  そこで問題は、そういうようにいろいろダウンをしてきているし、かなり難しい状態に置かれているわけでありますが、同時にまた、転用面積状態がかなり縮小されてきているんじゃないでしょうか。特に、宅地供給を積極的に推進しようということでやっていきましても、市街化区域の中の農地宅地への転用面積が、かなりいろいろとその後の経過を見ていると変化が出てきているように思うんですが、この点はどうなんですか。
  11. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お説のとおり、五十年代前半を見てまいりますと、三大都市圏転用された面積というのは年平均大体五千ヘクタール前後という状況でございました。特に四十九年、いわば宅地並み課税が導入されました直後の四十九年なんというときには三大都市圏で七千ヘクタール以上のものが転用されているわけでございますが、それが最近では、先ほどまとめて申し上げましたけれども、六十一年度実績では千百ヘクタール、あるいは六十年度でも二千ヘクタール、五十九年度では千八百ヘクタール、こういうような状況でございまして、先生指摘のように、いわゆる大きく転用するという傾向が非常になくなってきて、際立って転用の規模というものが小さくなってきている。これは一つやはり気になる点でございます。
  12. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、第二次宅地需給長期見通しというのが出されているわけでありますが、これは六十一年度から六十五年度までが前半になるわけでありまして、ことし三年目に入るわけですが、こういった需給関係ですね、これからの見通しをどんなふうに具体的に実現していくようになるのか、この点を少しこれからの展望を含めて御説明願いたいと思います、三大都市圏状況ですが。
  13. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 建設省におきましては第二次宅地需給見通しを六十一年から七十年の十カ年計画でつくっておるわけでございますが、この内容を全国ベースでちょっと申しますと、前期、いわゆる六十一年から六十五年の五カ年で五万九 千二百ヘクタールという数字を持っております。後期で五万五千七百ヘクタールということでございますので、十カ年間では十二万ヘクタール近くのものを予定しているわけでございますが、その中で三大都市圏ではどうかという点につきましては、前期で二万七千六百ヘクタール年平均で五千五百ヘクタールに単純計算すればなります。後期で二万五千七百ヘクタール、こういうふうに見ております。  これに対しまして、先ほど来出ておりますように、供給動向はどうだろうかということを見ますると、全国で一万四百ヘクタールと申し上げましたが、三大都市圏では五千百ヘクタールという状況でございまして、前期計画の五年間、年平均五千五百へクタールと比較しましても年平均で四百ヘクタールからの落ち込みが六十一年度については出ている、あるいは六十年度においても同様の数字が出ているということでございまして、傾向としてこの長期需給見通しというもののラインに届いていないということについて大きな懸念を持っている次第でございます。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 今の御説明なんですが、そういうぐあいになかなかいかないんでしょう。だから大変なんだろうと思うんです。それであの手この手でいろいろやるわけなんですが、今回の大都市地域における優遇措置でそれが果たしてもう一歩前進できるというようにその御説明で納得できるとは思わないんですけれども。  そこで、私はこれはいわゆる民間がやるものと公的機関がやるものと大別できると思うんですけれども、先ほどの局長の御説明でも公的機関関係は約三〇%程度であって、これがやはり低減の傾向にある、こういう説明なのでありますが、公的機関本当は今その役割を果たさなきゃならないと思うんです、実を言えば。民間自力建設ではなかなか、民間デベロッパーが持つものを供出して行う、あるいはまた新しい土地を買って開発を行っていくということが困難な今の状況にかわるいろんな条件が整っていない。こういう悪条件の中でやるということであるならば、今こそやはり公団等中心とする公的なそれぞれの機関役割を果たしていくべきだと思うんですが、公的機関役割を果たす、そういう比重のかけ方については政策的に特別のお考えが今あるんですか。
  15. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) まず、宅地需給長期見通しの中での公的開発の位置づけでございますけれども、私ども、先ほど来出ていますように、十カ年間の宅地供給量十二万ヘクタール近くのもののうち三大都市圏で五万三千三百ヘクタールを実は予定いたしておりますが、この五万三千三百ヘクタールについては公的供給民間供給と大きく二つ政策が分かれております。その分かれている公的供給につきましてほぼ一万五千ヘクタール弱、一万四千九百ヘクタール、これをまず公的供給によって果たそう、こういう考えでおるわけでございます。  そういった中で、今先生おっしゃったように、今後の宅地供給施策の中で公団等役割が大変重いという認識を持っておるところでございます。そういった観点から現在、今十カ年間と申しましたけれども、当面五カ年間のレベルで見たときに、私どもは従来よりも八割程度増しの積極的な公的宅地供給を進めたいということで現在具体推進体制をとっております。公団の方です。住宅供給公社についても同じように、これは五年じゃなくて四カ年レベルの比較でございますが、以前の七割増しくらいに上げたいということで、いわゆる公団供給公社ともども七割から八割増しの従前よりもふやした供給を進めていきたいということで指導をいたしているわけでございますが、とりわけ、その関連で私どもとしては具体にこれを供給していくための裏づけとして公的宅地供給プログラム、これを現在策定中でございます。こういったものを急ぎながら関係事業主体についての積極的な指導をさらに進めていきたい、こういう構えでおります。
  16. 赤桐操

    赤桐操君 公的宅地供給プログラムというのは大体いつごろできるんですか。
  17. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 昨年十月十六日の緊急土地対策要綱におきまして決められたことでもありまして、ことしの春をめどにということになっております。私どもとしては、連休をとうとう超えてしまいますけれども、現在ほぼ概成をしております。何とか連休明け、五月中にはこれをまとめたいということで現在具体の詰めを急いでおるところでございます。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 私は本委員会でも前の審議の中で述べたと思うのでありますが、民間自力建設公的機関関係とが、日本の場合はヨーロッパの各国と比較すると逆転しているんですよね。これは国の本当政策ではないんです。国の本当政策というのは公的建設政策だと思うんです。もちろん金融公庫いろいろ融資その他等、各援助をしながら国はやっております。これも政策一つだと思いますが、本当にその中で比重を大きくしていかなきゃならないのは、公団等中心とするあるいは供給公社等中心とする役割だろうと思うんです。ところが日本の場合はそれが逆になっちゃっている。これを広げていけば民間自力建設はそれほど争ってやらなくても済むわけですね。比重を置かなくても済む。今の政府考え方の中では、うまくないという考えがあるのかどうか知りませんが、業界その他との関係もあると思いますけれども、私はやっぱり筋というものをきちんとやっていかないと民間自力建設もあるいは宅地供給もできなくなる時期が来ると思うんです。もうその時期が来ていると思うんです。  土地はこのままでいけば私はおさまらないと思う。ですから、どだいこういうものはやっぱり需給バランスというものが私はまず大前提になると思うので、需給バランスを整えるということになるならば公的建設でもって安い住宅を、良質のものを供給する。三大都市圏が十分にそれを供給している、ある程度余裕を持っているということになるならば、これは争ってローン地獄までやりながら苦労する必要はないと思うんです。若いときから何も家を一軒取得してという考え方にはならないと思うんです。  一番大きな問題はその中で土地の問題なのであって、これを供給する割合をもっと大きくしていく。その中で、これは私的な民間関係には無理ですけれども公的機関に対してやるべき仕事だと思うんですが、国公有地払い下げということについてもっと本気になるということはできないんですか。私はしばらく大蔵の方でいろんなこういう問題の状況等を見てきましたけれども理財局のいわゆる国有地管理部門ではまだ今日私は相当のものを管理していると思うんです。そういうものを放出させるということで今回本格的に取り組んでいくならば、三大都市圏では相当の余裕が出てくるのではないか。今建設省がやっているような形でもって三〇%を完全に達成できたということにして結構だと思いますが、しかし私は三〇%じゃ足らないと思う。これを五〇%くらいまで何とかして持っていくという必要があるんじゃないか。六〇、七〇まで諸外国のように持っていくことは今にわかには困難だと思いますが、もうあと一〇%伸ばす、一五%伸ばすということは、これは国有地払い下げ国公有地払い下げで可能だと思うんです。三大都市圏では特に多いと思うんです。  そういう意味で、そういう方法をここに加えていくという政策的なものはお考えにならないのかどうなのか。そういうようなことについては余り御説明を今まで聞いていないんですけれども、私どもは不思議に思っているんですが、何でこれを建設省と大蔵省の間で話がつかないんだろうか、また建設省は積極、能動的にこういう問題に取り組んでいかないんだろうか、こういうように私は実は大変不思議に思っているんですけれども、この点いかがなものですかね。
  19. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃるとおり、日本のこれからの住宅政策あるいは宅地政策、両方共通して言えることでございますが、公的役割はますます重要視しなきゃならぬという認識は私ども基本的には持っております。その中におきまし て、特に宅地の件でございますが、私ども先生おっしゃったように、欧米先進諸国並みのことはともかくとして、もっと強めようという課題意識片方で持ちながら、一方でやはり民間の力、民間のすぐれた技術力企画力資金力、こういったものを使っての宅地供給というものが現実として非常に大事な部門だ、こういう認識に立って、長期見通しでも大体三割くらいが公的供給に依存する部分、こう我々描いておるわけでございます。その間において、じゃ公的供給具体的には公団等でございますが、国公有地をどうするかという具体の御指摘でございます。  私ども建設省としましても、国公有地等について許されるものはできるだけ公団等事業用地にお願いしたいという構えで臨んでいるところでございます。特にこの問題はしかし地元公共団体等の事情、具体的に言うと、都市計画上どういう町づくりをするかというような観点も大事なところでありますし、片方宅地供給政策上どう見るかということもまた大事な問題であります。そういったこととして、私ども個別具体のどこについてどうということを今申し上げる立場にないわけでございますが、今後の構えとして、おっしゃるようなことについては大きな関心を払って強めていきたいと考えておるところでございます。
  20. 赤桐操

    赤桐操君 私は率直に申し上げますが、昭和四十七年が宅地供給最高ピーク時であったと思うんです。後は下がりっ放しなんですね。昭和五十九年も下がってきている。六十年も下がってきている。ピーク時から見たら半分以下になってしまっているわけです。この状態でこれからも続けていくのか、政府のこういった政策で上がるのかということになると思うんですが、ちょっと今の状況では、土地がどんどん値上がっちゃっているわけですね。こしらえても私は売れないものになっちゃうと思う、自力建設では。  そういう状況にまで来ている中でどういうぐあいにこの線を上げていくのかということになると、これはまことに寂しいものを感ずるんですけれども局長本当に自信があるんですか、これは。
  21. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 率直に申し上げて、胸張って自信があると言うことはできないところでございます。ただ、申し上げられることは、現在のように、一万ヘクタール程度全国レベルでございますが、三大都市圏でも五千ヘクタール程度に落ち込んだ、これは何とか我々の当面持っています第二次宅地供給計画、このラインまでは達成を引き上げたい、こういうことを当面のターゲットに置いているところでございまして、おっしゃるように、これを飛躍的にふやすということについては非常に困難な問題があるというふうに考えているところでございます。  それであるだけに、何も宅地供給、実は私どもが推し進めている宅地供給というのは新規に住宅用地として活用する宅地のことを申し上げているわけでございますので、既存の宅地の活用、いわゆる再利用、あるいは別途御審議いただいているような工場跡地等の活用の政策展開などなどありますし、今先生おっしゃったような国公有地の活用の問題も当然あり得るわけでございますが、総じまして、いわゆる新規供給ベースでかつてのようなことはこれは現実に非常に困難であろう。しかし我々としては、十カ年計画で持っております宅地需給見通しのラインまで何としても持っていきたい、こういう構えで取り組みたいと考えております。
  22. 赤桐操

    赤桐操君 その気持ちはよくわかるんですけれども、実際問題として大変これは今の状況の中では困難な問題がたくさんあるんじゃないかというように私は感じて申し上げているわけなんです。  もう一つは、土地価格が三大都市圏では上がってきている。冒頭申し上げてまいりましたが、周辺地区にまで今及んできている。こういうことになってくると、土地が下がるという状況よりも、今鎮静化はしているけれども、全体的にはその情勢地域に伸びてきているわけですから、逆に全国的には上がってきているというように思っていかなければならないだろうと思うのであります。いろいろの策を講じながら、団地をつくったり職住の関係とかいろいろの総合的な町づくりをやるわけなのでありますが、私は基本的に我が国の政策の中で一つ大きな問題があるんじゃないかと思うんです。今例えば、民間のデベロッパーがどのくらい保有しているかよく私はわかりませんが、かなり保有しているんじゃないでしょうか。それを吐き出させるということも一つ大きな目的があってこういう法律を制定しようとしていると思うんですけれども民間デベロッパーが現在保有している土地、それを吐き出させる効果を果たして今度の新法に求めることができるのかどうなのか、この点はいかがなんですか。
  23. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 民間デベロッパー土地保有状況、実は三大都市圏について私どもいろいろと調べておりますが、その中で東京圏だけで申しますと、大体四千五百ヘクタールくらいが掌握している数字でございます。というのは、ちょっとコメントが要るんですけれども、いわば一ヘクタール、二ヘクタールというような細かいものは私ども掌握し切っておりませんが、五ヘクタール以上の規模で持っているという土地が四千五百ヘクタールという状況でございます。  問題は、これについてどう評価していくかということについては、個別具体の検証は我々これからせにゃいかぬわけですが、基本的な構えとして、今回御審議をお願い申し上げているこの優良宅地促進緊急措置法、これははっきり言ってこの土地一つの大きな対象として念頭に置いていることは間違いございません。  と申しますのは、先ほど来出ておりますように、素地の価格が非常に上がっている、取得が非常に困難になっているという一方で、民間のデベロッパーがこういう用地を持っている、それを活用しないまま、あるいは活用できないままに今日ある。これについて何とかいわゆる現実的な価格でもって宅地供給に結びつけるということの施策として、今回の新しい認定制度というものを入れた法案の御提案を申し上げているわけでございまして、これがどの程度になるか、あるいはまたこれ以外に私どもが掌握していない用地というものも当然あり得るわけでございますので、明確な数字は申し上げることはできませんけれども、私どもこれからの新規の大規模開発の半分近くのものは念頭に置いて、こういう優良認定制度というものを積極的に使って事業促進に努めたい、こういう姿勢でございます。
  24. 赤桐操

    赤桐操君 素地の値上がりというのは私は大変歴史的な経過があると思うんです。特に日本の三大都市圏団地が集中してきているわけです。団地一つできるたびに私は住宅地の価格が上がっていると思うんです。だから、それが次から次と団地ができていけば、その前の団地の価格が次にできる団地の価格をプッシュすることになってきているのではないだろうか。そういう連鎖反応で次々とこの価格が上がってきている。これが一番根底にある地価上昇の原因ではないかというように私は考えるんです。そこへ銀行と業者が一緒になって土地をあおって買収し金もうけをするというのが今回の大変過熱した現象だったと思うのでありますけれども、これはいろいろ政府の各種施策でもって一応は鎮静化の方向をとっているようであります。  それじゃ基本的に一体この上昇した状態を下げることができるかできないか、さらにまたこれからはそういうような状態を起こさないように済ませる方法はないかどうかということが本当に真剣に論議されないと、私は土地対策あるいは素地の対策というのは出てこないと思うんです。素地が値上がってしまっていれば、民間デベロッパーがどんな努力しても、今の開発の手法でいくならば、つくり上げてもこれはできない相談になる、要するに商売にならないだろうと思うんです。  そういう意味で、基本的な問題をひとつ私はきょうは、幾つもあると思うんですけれども、伺っておきたいと思いますが、素地の価格というものが団地ができるたびに上がっていくという現象を静かに分析してみる必要があると思うんで す。  私の手元に実はこういう二冊の本があるんですけれども、これは「不動産鑑定評価基準」という、これを中心とした本の古いやっと新しいやつが二つあるんです。この新しい方はことしの三月に専門家の方が書いたものなんです。それからこれは建設省が監修した昭和四十五年にできたものでありますから、私は申し上げる必要もないと思いますけれども、こういう二冊の本がある。  この中で明らかにされているんですけれども、いわゆる土地の評価というものですね。公示価格だとかいろんな売買の基準になるものは、土地鑑定士が鑑定して出した評価額というものが恐らく私はそれらの基本的なものになっていると思うんですけれども、この評価を出すに当たって少し納得できないものが数字的にあるように思うんです。これは私の考え方が間違っているかどうか知らないんですけれども、そういうように感じているものですから率直に申し上げます。  鑑定士が鑑定する場合においてはまず素地価格というのが出てくる。それからその次に造成工事費というのがそこに重なっている。さらにまた開発負担金というのがここに加わっている。附帯費用と称するもの、これはいろいろあるようですが、そういうものが入ってくる。こうしたものが全部重なって一つ土地の評価額というものが出てくるというように説明されているんです。これは最近の新しい本のやつなんですが、古い方ので見ますとこの点が若干違っているわけですね。原価法というものが出ておりまして、この中では、昭和四十四年から五年の当時、今から十数年前のころの状態を見るというと、この中に開発負担金というのは入っていないんです。これが入り出したのは最近なんです。しかも鑑定評価の中で堂々とこれが出てきている。これは私は大変大きな問題じゃないかと思っているんです。  例えば、今一定の団地ができ上がっていきますね。土地代がかかります。この開発の申請を行って認可が出てきます。大体今の状態を見ていると公的負担分というのが約半分でしょう。それで有効宅地面積というのが大体半分以下になっている。四六%から八%くらい、よくいって五〇%、大体そういうことですね。五〇%以内ということになっているようであります。そうすると、五〇%ないしは五〇%を超えるものが公的負担分ということになってくるわけですね。  そこで具体的にその内容を見てみると、土地というのは、素地でもって開発認可が出たときには有効宅地宅地費というのは倍になっちゃっているわけです。これはもう倍になってしまう。そこへもっていって、造成費その他はかかりますが、加えて負担金と称するもの、これはいろいろあるようでありますけれども、公園から道路からあるいは緑地、学校の敷地に至るまで出させられる。こういうことになりますと、それは開発者負担ではなくて入居する人に対する、エンドユーザーに対するところの負担金なんですね。これは申し上げるまでもないと思うんです。この負担金と称するものは一体何だろうかということになると、これはでき上がったものは全部それぞれ市町村に採納するわけですから、これは率直に申し上げて本来は国や市町村団体がつくるものでしょう。税金で賄われるのが本来の筋だと思うんです。ところがこれが開発負担金と称して学校の敷地に至るまで出さなければならない、それ以上負担しなければならない、こういうことになってきているのが今日の私は状況だと思うんです。  そうすると、そういうものを全部含めて、道路から学校から公園から、あるいはまた下水道に至るまで全部含めたものを土地評価の中に含めてしまう。そうするとこれで一定の価格ができ上がって販売をされていく。それが一つの評価額となるわけですね、鑑定士の。そうすると、その隣の土地が今度できてきますが、これは野っ原の中ではそういう積算でもって評価ができると思いますが、今度次にその隣に団地ができる、あるいはその団地と同じような条件で他の地域にそれが近隣にできてくることになれば、この鑑定士は近傍類似価格としてこの価格を基準にすると思う。そうすると、この鑑定士を基準にしてほかがまた出してくるようになる。その中にはすべて道路から学校から公園から下水道に至るまでみんな入るわけですね。しかも造成費だけではなくて金利の負担まで入っているわけです。そういうもの全部入ってしまったものが言うなれば鑑定基準の中から出されてくるところの評価額になる。  こういうようになりますと、この評価額とは一体何だろうかということになりはしませんか。私はこの方式に基本的に問題があるように思うんですけれども局長はどうお考えになりましょうか。
  25. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 不動産鑑定評価方法の技術的な詳細な点は、国土庁の方が御専門でございますので国土庁から御答弁をお願いしたいと思います。  今のその物の考え方をめぐっての先生の御質問でございますが、おっしゃるとおり、いわゆる宅地開発に伴ういろいろなコスト、これについてエンドユーザーにかなり転嫁されているんじゃないか、このことについては現実そのとおりだと私どもも認めざるを得ません。  その際に、これはそもそもどうあるべきかという問題がやっぱり我々としては一つの大きな問題でございまして、例えば土地区画整理事業一つ例にとりましても、現在いわゆる公共減歩というのが三割程度あります。これはどういうことかというと、素地を宅地として転換し利用度を高めるという一つのプロセスとして、公共施設については必要ないわゆる足元的施設をみずから負担しようというふうな制度が現実にあることも事実でございます。そういったことを考えますと、根幹的な公共施設あるいは公益施設というのはしかるべき負担が別途なされる必要があると思いながらも、一方で、専ら当該宅地の利用向上のための施設については相応の負担をいただくのもこれは一つの合理性があるんじゃないか、こういったことはやっぱり私ども基本的に考えている点でございます。  そういった中で、今おっしゃったいろいろなことで感じますことは、現実にどうかということになりますと、これははっきり言いまして、必ずしも理想的でない、行き過ぎたと思われるものも多々あると認めざるを得ません。これについての是正指導というのは我々強力にやってまいりますが、いずれにしても考え方として、公共公益施設の負担はすべていわゆる外に出してエンドユーザーに向けるべきでないというふうな考え方については、私どももちょっと必ずしもそう割り切れない点があるところでございます。  問題は、そういったことででき上がった宅地の評価と近傍の土地のいわゆる公示価格を出す場合の評価の仕方、これにつきましては御専門の国土庁の方から御答弁させていただきたいと思います。
  26. 森悠

    説明員(森悠君) 不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行います場合には、先生指摘のように、不動産鑑定評価基準というものに基づいて行っておるわけでございます。この不動産鑑定評価基準では、具体的には、不動産の価格を決定すると考えられます三つの側面から検討を行うということになっておりまして、一つは近傍類地の取引価格等をもとに価格を求める、これが取引事例比較法と言われているものでございます。もう一つは、近傍類地の地代等をもとに価格を求める方法、これは収益還元法と言われております。それからもう一つ、同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額から価格を求める方法、これが原価法と言われているものでございます。こういった鑑定評価の三方式を適用して求められる価格を最終的には総合的に判断して鑑定評価額を求めるというわけでございます。  それで、今御指摘開発負担金でございますが、これが問題になりますのは、今の三方式のうちの原価法を適用する場合になるわけでございます。新規造成宅地の鑑定評価におきましても、この原価法だけではなくて、取引事例比較法とか収益還元法、これも類似の不動産はございますので、適 用して最終的には鑑定評価額を決定しておるわけでございますが、原価法の適用に当たって、当該宅地の造成に伴って必要とされる公共公益施設等にかかる負担金、これを原価の算定に含めているということについては御指摘のとおりでございます。これは、原価法の考え方が、同様の宅地造成を行うのにどれだけの経費を要するかという観点から不動産の価格を試算してみるというものでございますので、そのような負担が現実に一般的に必要とされるという場合におきましては、これは鑑定評価上もこれを経費といいますか費用の中に算入して考えざるを得ないということになるわけでございます。
  27. 赤桐操

    赤桐操君 道路やあるいは下水道や公園や学校は、これはエンドユーザーが金を出しているんだけれども、自分たちのものではないんですよ。この団地はほかの人を通しませんというわけにいかないんです。これは公共公益施設なんですから全部通るんです。どんな自動車が通っていっても、どの人が通ってもこれは差し支えないことになっているんですね。しかしその開発負担金と称するものはエンドユーザーが負担しているわけです。本来はこれは入れるべき筋合いのものではないんじゃないですか。入れるべき筋合いのものでないものを入れているんです、現実には。今便法として入れて評価しておりますということにすぎないんじゃないですか。四十四年から五年のころの中にはこれはどこにも入っていないんですよ、私も調べてみているけれども。その後これが入るようになってきているんです。だから本来は入るべきものではなかったのだ。しかし、そうかといって、入って計算されていることは事実であるし、それを入れたまま売買されている以上は価格としてこれは見なきゃならないという現実的な矛盾の中で鑑定士が入れてきているんじゃないかと思うのです。  これは、率直に言うなれば、大体エンドユーザーに持たせるべきものでないものをエンドユーザーに持たせている。そこに問題の焦点があるわけなので、これが解決しなければならない現実的な課題だろうと私は思うんですが、この点どうですか。
  28. 森悠

    説明員(森悠君) 不動産の鑑定評価と申しますのは、現実の不動産の取引市場あるいは宅地造成等につきましては、現実にどういった形で費用が負担されているかといったような、そういった現実を踏まえて一般的な価格を出すというものでございます。  この開発者負担金につきましても、現実に宅地造成をする方が負担をせざるを得ないという形になっております以上は、これを費用といいますかコストに算定して価格を求めざるを得ないわけでございます。鑑定評価基準上は、明確な表現ではございませんけれども、当該土地の造成、埋め立て等に要する標準的な建設費プラス発注者が直接負担すべき通常の附帯費用という表現になっておりまして、通常の附帯費用の中に開発者負担金を負担させられるのが一般である場合にはこれを含めて考えることができるのではないかと考えております。
  29. 赤桐操

    赤桐操君 例えば、団地ができ上がりましたけれども、この団地の一坪幾らという原価についてはこういう構成ででき上がりました、監督官庁に届け出して、その内訳は全部こういうようになっております、それでしかじかの結果こういう価格になります、そしてまたそれを監督官庁が見てきちんとチェックをする、そういう社会情勢、システムの中であればそれは入れるものを入れても間違いないと思うんです。正直に入れた方がはっきりすると思うんです。しかし今の段階はそうじゃないでしょう。今日の価格設定はそうでないわけです。結局需要と供給の中で決まっていくことになるわけです。しかも、団地の価格設定が行われるとき、そういう需要と供給で行われるわけなんだけれども、鑑定士というのは国の権威ある資格を持った人ですから、この人がこれを公式に認めているということになってそれを価格に入れて、今度その隣に団地ができたとき、近所に団地ができたときはこれが近傍類地価格になってまた上がっていくんですよ。このときの素地はこの場合の素地と違ってくるんですよ。大変な大きな差が出てくるわけだ。倍々ゲームでこれが上がっていくことになる。だから私は、三大都市圏、特に大きな都市圏のところで団地が造成されている地域で地価の上昇が行われてきている、これを阻止することは今のシステムだったら不可能だろう、こういうふうに思うんです。  これは政策的な問題になってきますから、技術的にその鑑定方法がいいとか悪いとかの問題じゃないと思うんです。今の鑑定士のやり方でいいと建設省がお考えになるとすると、あるいは国土庁がお考えになるとすると、今のような結果になってくるんですよ。鑑定士が出したものは、これはまさに国の資格を持った、国家試験を通って大変な権威を持つ人です、鑑定士というのは。今何人もいません。この人が出した価格が、しかもこういうのが全部入っているわけです。それが売買での基本になっているんです。そうすると、隣に今度土地ができたときにまたこれが基盤になりますから上がっていくことになる。  私が言いたいのは、まだ素地である以上はこの土地とは違うんですよ。でき上がった土地と素地とはこれは違うんです。ところが、素地ができ上がった土地に匹敵するような値上がりをするわけですね。これは私は、一番根本になるのは鑑定士の鑑定評価のあり方に一つはある、こういうように言わざるを得ないと思うんです。  それで、これがいいとか悪いとかの問題は考え方の問題になると思いますが、現実に結果的に、我が国の三大都市圏、主要な都市圏団地をつくって、そういう職住の関係等を考えながら、国民のニーズに従ってやっているところほどどんどん土地が上がっている。これは一つの私は見方であると思うんですが、局長は否定されますか、肯定されますか。
  30. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 不動産鑑定評価というものが、今担当課長から御説明させていただきましたように、やはり現実の取引あるいは現実の価格、こういったものにどうしても引っ張られるというか、これを基本にいろいろと作業をなさるということからすれば、今先生がおっしゃったような問題、指摘されましたようなことが現実に出てくるということは、これはある意味では否定し得ない部分だというふうに思います。  そこで問題は、政策的な問題として、先生がおっしゃったように、そういったものに引っ張られて素地が上がってしまう、これを評価することについてどうだということについては、ちょっと私も今にわかに答弁する能力ございませんが、何といいましても、要するに大きな費用負担、造成等を加えてでき上がった土地というものが素地の価格に反映するということは、そのことだけをとってみたときには、やはり問題があり得るところだ、こんなように思うわけです。  ただ、一般的に、公共事業をやった場合でも、おっしゃるように宅地開発をやった場合でも、近隣の土地利用価値というものを引き上げる効果があることは否定できないところでございますので、そういった面から、ずばり素地は素地のままで従前どおりの固定的な評価で行うべきだということについては、私必ずしも先生おっしゃるとおりとはなかなか申し上げにくい感じを持っているところでございます。
  31. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、今一坪、簡単な数字で二十万の評価が出たと仮定しますね。これは、今のような開発負担金を取ってしまいますと、造成から何から全部取ってしまうというと、目の子勘定ですけれども大体半分になるでしょう。有効宅地面積は半分以下で公共負担分が半分以上なんですから、素地でもって倍になっているわけですから、そこへいろんなものが全部重なっていくわけだから大変な相場になっちゃう、二十万になっちゃったわけですから。これをそれじゃ、ここで出ているところの、鑑定士が言うところの開発負担金と称するものを一項取ったと仮定しますとこれは半分になっちゃうんです。  だから、この開発負担金と称するものをどうするかということになるんです。これを入れて評価すれば二十万になる。そうするとその近傍類似価格が、今局長は、それは道路もできるし便利になるからそこの素地の価値は上がりますよと。それは上がるでしょう。しかし倍にも三倍にもなりませんよ、これは。私はそれはおかしいと思うな、そういう評価の仕方、付加価値というものをつけるということは。やっぱりこの近傍類似価格というもの、いわゆる交通上の便利あるいはまたいろいろ使用上の便宜、そうしたものを評価する付加価値というものは限度があると思うんです。  土地は商品ではないんですよ。財産ではあるが、国民の財産として保障されなければならぬけれども、商品ではないと思うんです、私の頭の中では。皆さんはどう思っているか知らない、私は商品にすべきでないと考えている。そういう観点から今私は主張しているわけだけれども、その中でこういう考え方は出てこないんです。とするならば、ここでもって二十万の土地が十万になるんですよ、これは大ざっぱな話ですけれども。それだったならば、これを何らかの方法で考えなければ、これは倍々ゲームでいったら大変なものになるでしょう。今現実にそうなってきているんです。諸外国ではこれをやらないんですよ。  私は、パリの郊外三十キロ、ちょうど千葉から船橋くらいのところですね、横浜まで行かないでしょう、浦和まで行かないでしょう。そういうところにエブリーという町ができ上がってきております。人口五十万の都市として、五十万都市をパリの郊外三十キロから四十キロのところに五カ所ぐらいつくる、そしてこれを衛星都市としてやっていこうというのが、パリ市とそれからフランス政府との間の合意で行われている、事業主体でやっている仕事です、これはもう有名な話ですけれども。私はここへ二回行ったんです。でき上がらないときに一遍行って、でき上がってきてから一遍行ったんです。それを見ようと思って私は行ったんです。  そのときの私の説明で、日本の場合との比較の中で、私の頭の中では、いわゆる開発負担金ですね、その当時私は受益者負担という言葉で言ったんですが、パリ大使館で働いていた、建設省から出向で向こうへ行っておった専門の方が通訳に当たったんですから間違いないと思います。これは専門語で話したはずです。その方の説明でいろいろ話してもらったんですが、これを納得するのに三十分ぐらいかかった。向こうから逆に質問されまして、私が答弁して、それは必要ないだろうと言われたんです。簡単にやられた。何のために税金を払っているんだと、この一言でさっともう片づけられたんです。  これが現実ですよ。開発負担金と称するものはヨーロッパ諸国では考えられない、こんなものは。それが日本の国では受益者負担と称して、今や鑑定士の評価基準の中に入っちゃったんです。これは私は大変重大な問題だと思うんですよ。  私はそういう意味で今声を大にして言っているわけですけれども、どう考えてみても、こういうことでやっていけば土地価格は次から次と上がっていきます。しかも、三大都市圏では団地をつくらなければ集中する人口のさばきようがない、集中する機能に携わる人の問題解決にならないということですから、団地をつくることになるんです。その団地のつくり方のいわゆるシステムが、土地の扱い方がこういうようになっている以上は、しかも鑑定士と称する、国家試験を通ってきている大変な権威ある資格を持った人の鑑定のあり方の中にこれが入っている。しかも、これはもう近傍類似価格として一括して評価されることになるんです、隣の素地を評価するときには。そういうようになってきたんではとめどがないではないんでしょうか。これに対する何らかの措置が必要になってきておりませんかということを今提起しているんです。  私の基本的な考え方と、あるいは建設省や皆さん方の考え方に基本的な物の考え方の差があるのかもしれぬ、住宅政策についてあるいは土地問題についての。しかし、こういう私のような考え方も国民の中にはたくさんあるということを政治問題として取り上げなきゃならぬ段階に来ていると思うんです。私は、このままでいけば民間自力建設も不可能になるだろうと思うんです。  私は、一昨々年の予算委員会で中曽根総理と質問という形で話をいたしました。総理に私は質問するよりも、今総理が掲げている緊急八大政策の中の住宅政策について私の考え方を総理に十分理解してもらおう、こういう考え方で私は一昨々年の予算委員会でやった。約四十分くらい、私の手持ち時間全部費やしてやったんです。総理の答弁は一回か二回しかなかった。  そのときに私が主張したことは、住宅をお建てになることは、我が国は自力建設中心だから、あなたの考え方でおやりになることは結構だと思うけれども、建てた家が売れなければ、つくった宅地が売れなければ、この八大政策の中の一番根幹になっておる住宅政策は実現しないことになりますよ。それでは政策にならないでしょう。これを実現する方法が二つある。一つは、国民の皆さん方の懐が豊かになってくればこの自力建設はどんどん成功するでしょう。まずでき上がったものを買うでしょう、あるいは自力建設で建てるでしょう。これがまず一つの方法だ。しかし、それは国民の所得の増大になることであるから、きょうはこの問題は別にいたしましょうと。それでもう一つの方法で論議したい。それは安くする以外手がないと思う。その安くする方法の中に、このいわゆる関連公共の問題、それからまた開発負担金の問題、こうしたものについて大体話したわけです。総理は、検討し、勉強いたしますと、例によって答弁されました、最終的には。  その後どうなったか私は余り聞いておりませんけれども、その後しばらくたってから、地方に過度な負担はさせないようにという通達が建設省から出たということを確認いたしました。その年の恐らく八月だったと思いますけれども、出たということを確認しております。そういうことでもって地方は今かなり自粛してきているということも現実だと思います。自粛しても今率直に言って私が申し上げたような程度なんです。そうするとこれはいつまでたったって、この問題について建設省本当に腹を決めて、政府が腹を決めてこれに対する何らかの対策をとらなければ無理じゃないかな、こういうふうに私は思うんです。  例えば、公団とか住宅供給公社とかそうした政府施策を実施する直接部隊、この部隊が行っていく場合の公的負担の問題の扱い方と、民間自力建設によって、売買が簡単に行われるわけですから、公的な機関のやつは売買しないわけですから、それとこれとは違うという基本的なものがあると思いますから一概に私は言わないけれども、少なくとも今のような状態でまるっきり全部エンドユーザーに負担させるというやり方でもってこのまま進んでいき、そのすべてのものを負担させられたものが評価額になっていくというやり方でやっていくならば、これは私はちょっと住宅政策あるいは宅地対策というものは成り立ってこないんじゃないか、結局は自力建設も不可能になるんじゃないかな、こう思っておるんです。  政策上の問題として、私はもう一遍ひとつ局長本当の腹を言ってもらいたいと思うんです。政府の直接実施部隊や地方自治体の実施部隊がどうするこうするについては、これはその場合と民間自力建設とは違うと思いますけれども対策は変えてもいいと思うけれども、今の状態のままで進めていくということでいいのかどうなのか。  私は端的に申し上げますが、直接公団とかあるいは公的機関が行うものについては、公的負担の問題については全額国が持つべきだと思うんです。それから民間自力建設についても、これは私は少なくとも常識として、恐らくどちらの家庭でもみんなやっていると思いますが、道路の工事が行われ下水の工事が行われるときは自分の家の側だけは負担しますね。そしてそこと、これについては国なり県なりあるいは市なりが負担していると思うんですよ。だから、そういう状態等が今日 まで行われた慣習であるとするならば、少なくとも民間自力建設といえども公的負担についても限度があるだろう、こういうことを私は主張したいと思うんですけれども、いかがですか、この点は。
  32. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生の大変洞察的な幅広い御観点からの御発言、私どもも拝聴させていただいて一々うなずく点も多いわけでございますが、そういった中で、事務的なことでかみ合わなくて恐縮でございますけれども、基本的には私は先生のような見方というのはよくわかる気持ちでおります。  ただ、まず一点、宅地開発に当たってかかった費用はすべて公共公益にかかわるものはエンドユーザーに負担させるべきでないということについては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、足元施設的な部分、これはそういった負担があっても不合理じゃないんじゃないか。言うなれば宅地原価に入っていくということは当然——当然と言っては失礼でございますけれども、許容されるんじゃないか、こういったふうな気持ちがやっぱり私まだ残るところがございます。それは、ちょっと先ほど例を引き合いに出しましたけれども土地区画整理事業一つとりましても、そういった公共減歩という格好で地主さんたちがそれぞれ負担して土地利用転換と土地の利用価値の向上ということをやるという一つ考え方、これはそもそもの合理性を持っているものと私どもは思っているわけです。  問題は、それが過度に行き過ぎる、言うなれば本来公共が、もっと言えば国もつき合って出すべきものまでも便宜的にデベロッパー負担という格好でエンドユーザーに転嫁されておる、これについては私どもも非常に問題は深刻であり重大である、こういうふうに考えて、この是正については本当に一生懸命やっているし、今後ともやらなきゃいかぬと思っておるわけです。  それからもう一つ、先ほど来ちょっと出ています地価公示、鑑定評価の関係でございますが、ちょっと私気になりますのは、でき上がった宅地の評価額、それがそのまま近傍の素地に反映するということはやっぱり基本的におかしい話でして、端的に言いますと、今回の私ども法案で言いますならば、調整区域において、例えば五ヘクタール以上の開発許可を行って宅地ができる。その評価と、その近隣にある土地は相変わらず調整池城であるわけでございますので、言うならば関係法令等による土地利用の規制というものがかかっている。ここのところは単に原価がどうとか造成コストがどうとかいうことで見るものでなくて、諸制度の枠組みというものが当然鑑定評価の前提に入っているものと私ども理解いたしております。ここが全く無視されて安易に、先生おっしゃったようないわゆる利用価値あるいは取引事例あるいは原価主義という格好でストレートに引っ張られるというのは、これはやっぱり基本的におかしいと私も思う次第でございます。またそんなことはないものと思っております。
  33. 森悠

    説明員(森悠君) 最後の点でございますが、これは鑑定評価基準におきましてもあるいは現実の不動産鑑定士の評価活動におきましても、造成後、つまり完成後の宅地と近辺の造成以前の素地というものはもう全く価格形成要因と異なるわけでございまして、これを同一水準で評価するということはございません。
  34. 赤桐操

    赤桐操君 いや、そういう意味で僕は言っているわけじゃないんだ。近傍類似価格という考え方の中にはこの開発負担金やなんかはもう入っているでしょうというんです。だって、今でき上がったもの、一つ団地ができたときには、その積算方式は何か知らぬけれども、この開発負担金が入っているじゃないですか、現実に。書いているじゃないですか、ここに。出ていますよ、この中に。そうすると、近傍類似価格と言ったときには開発負担金が入っているわけですよ。開発負担金が入ったものが近傍類似価格である。  この近傍類似価格と素地との関係ということになれば、当然近傍類似価格のこの価格が素地に反映しているんじゃないですか。それはまるっきりイコールにはなりませんよ。当たり前だ、こっちは造成していないんだから。造成されない土地とでき上がった土地で違いがあるのは当たり前だけれども、一番最初にでき上がった団地の素地の価格とそれから近傍類似価格と称する素地の価格を比較したときにどうなるかといったら、とてもじゃないがある程度の付加価値を加えたような価格ではないですよ、現実に。これはもう現実に出てきている公示価格や何か見たってわかるじゃありませんか。そういうように私は考えている。それは、あなたの今言っていることは私が言っていることとちょっと違うから、訂正しておきたいと思います。
  35. 森悠

    説明員(森悠君) 素地の価格が、近傍で造成された宅地があった場合にそれに影響を受けて上がるということは、これは先ほどの建設省局長の答弁にもありましたように、周辺が市街地として熟成度が高まってくる、あるいは関連の公共公益施設も従前に比して整備されているといったようなことで、素地自体の価格というものが上がってくることはあり得ると思います。  それから、現実の造成後の取引価格水準が、その中に開発負担金も含んだ形で形成されているではないかという御指摘については、そういうケースが非常に多いだろうと思います。
  36. 赤桐操

    赤桐操君 鑑定士の問題については私が今指摘申し上げたようなわけでありまして、問題を現実に残しているということは確かだと思うんです。このままの状態でいってはやはりいろいろの問題を将来に引き起こすだろう、こう思いますので、鑑定士のいわゆる評価の問題までさかのぼって深めた検討を建設省自体としてお考えいただきたい、このことをひとつ提起しておきたいと思うんです。今この場でどうのこうの言うわけにはまいらない大変難しい問題ですから、私もそう簡単には考えておりませんが、検討をしていただけるようにこの際ひとつ提起をしておきたいと思うわけであります。  続いて、今のこの問題との関連になりますが、関連公共の問題で御質問いたしたいと思いますが、この法案の中では「国及び関係地方公共団体は、認定計画に基づく宅地開発事業の実施に関連して必要となる公共施設の整備の促進に努める」、こういうように述べられているわけでありまするから、かなり関連公共についても考えていくんだろうと思うのでありますけれども、これはどんなふうにこの適用を受けることになるんでしょうか。
  37. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) これはもう先生御案内のとおりで、繰り返しみたいになって恐縮でございますけれども、いわゆる宅地開発関連の公共施設の整備というもののためには、一般会計において、一部道路特会に計上することも含めて、宅地開発関連事業促進費というものを予算上持っております。当然これは、こういった優良認定を行います宅地について我々は積極的に、重点的に考慮していく、こういうことは一つ構えとしてありますが、これにとどまらずに、関連事業というのは何も団地の中ばかりでなくて、既成市街地との関連等々も含む非常に広範囲にわたるものであります。そういった観点から、通常費予算もこういった事業の合理的な促進のために重点的に効率的に投入してまいりたい、こういう姿勢でございます。
  38. 赤桐操

    赤桐操君 端的に伺うのですけれども、きちっと開発申請を行ってできてくる団地が幾つもありますね。この周辺にたくさんあります。そういう団地におけるところの補助よりも、今度の法律によって行われる方が手厚く行われるということになるんですか。なるならばどのくらい手厚くなるんですか。
  39. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) いわゆる補助率をどうするとかいうことについては、別に手厚いどうこうは考えておりません。  問題は、先ほど来先生おっしゃっているように、いわゆる団地関連の公共施設というものがかなり現実の姿としてデベロッパー負担に転嫁されている、エンドユーザーに転嫁されておる、こういっ たことも十分に念頭に置かなきゃならぬということから、要するに投入の仕方というものについて重点化を図りたいという考え方でございます。その際に、くどいようですが、通常費も含めて対応を考えていきたい、こういう考えで御提案を申し上げている次第でございます。
  40. 赤桐操

    赤桐操君 最近の状況は私は余り広くはわかりませんが、感ずるところでありまするけれども、いろいろこれは統計や数字の上で見ていることでありまするから違いがあるかもしれませんが、いわゆる住宅関連の促進事業と称するもの、これについては大変長い期間行われてきているわけであります。また金額も今それぞれ一千億を超える状態になっておりますけれども、この補助率というのは最近下がってきておりませんか。この点ちょっと伺いたいと思うんです。
  41. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) いわゆる補助率ということについては、先生もう御専門ですから恐縮ですけれども、一般の補助率が、いわゆる補助率是正といいましょうか、カットといいましょうか、暫定的に引き下げられていることはこれは現実にありますが、それと連動して動いていることは事実でございます。問題は、もう一つの側面である需要に対してどうかというようなことも考えましたときに、従来の充当の姿よりも低めているということは今日ではないという状況にございます。
  42. 赤桐操

    赤桐操君 需要に対して従来よりも低めているということを私は言ったんです。低くなっていませんか、こういうことを言ったわけです。これは後で御検討いただけば結構でありまして、それは個々のことを私は言っているんではなくて、図らずも今局長の御説明にもありまするように、補助率の削減の影響を受けている、こう今言われておりますね。補助率の削減の影響を受けたということになれば、五十四、五十五、五十六と三百億ずつ積んできて、本当は五十六年で千二百億円にならなきゃいけないのが、五十六年で千億でとまっちゃってずっと今日まで来ている。それで千五十億に六十年度はなっている。六十一年度が実行で千五十九億ですか、六十二年度で実行で千二百十一億ということにようやくなってきているということでしょうかね。  これができたころの昭和五十三年度、この当時のいわゆる関連公共費の将来展望という中で明らかにされた内容は、毎年三百億ずつ積算をいたします、こういう説明だったと思うんです。私はそのときに、三百億程度では公共団体が使うという立場に立ったって足らないんじゃないのか、ましてやそれぞれの自力建設の方にまで、私的建設まで持っていくということになるならば、これはもうとても問題にならない数字じゃないかということを私は当時の住宅局の方に話したと思うのであります。そうしたらそのときの説明は、毎年三百億ずつ積み上げられていくことになるので決してそういうことはないと思うということでありました。それで私はそうかと、三百億ずつ積み上げていくんだったならば、場合によっては、また必要によって五百億あるいは六百億の積み上げということもできるということで、この促進事業については将来ひとつ大きく盛り上げていくべきものだということで私は理解したわけであります。しかし、その後五十六年、五十七年、このころからぴたっとこれはもうとめられてしまった、こういう状況なんです。  それで、今のように、恐らくこれは補助率全体も引き下がってきているんでしょう、国庫補助率全体がカットされていますから。そういう意味でこれも下がってきているんじゃないかと思いますけれども、六十三年度からはシーリングが解かれたんでしょう。だとするならば、ここで三百億の積み上げを行って、あるいは五百億の積み上げを行ってもらって、そしてここでひとつ本格的にもとのペースに戻すべきじゃないか、このおくれを取り戻すべきじゃないか、そしてこのいわゆる促進事業関連公共費を少しでも多くそれぞれの地方に配分するという必要があると私は思うんですが、この点はいかがですか。
  43. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 関連公共施設の全体の金額につきましては、先生指摘ございましたように、五十六年に百億ふえまして一千億になった以後一千億で停滞をいたしまして、六十年度に五十億をふやして現在は千五十億、こういうふうになっておるわけであります。  これの要望に対します比率は、一千億にとどめられておる五十六年から五十九年に至りましてはこの要望に対する比率が少しずつ下がってまいりまして、五十六年では九二・八%対応できたところ、年々下がりまして五十九年には八六・六%の状況になったわけであります。その後、六十年度に五十億をふやしたということ、もう一方で、通常費におきまして優先的にそういうものを御処理いただいている、採択をしていただいているということもありまして、その後持ち直しまして、六十年度では九一・五%の査定率というか、御要望にこたえる率になっておりますけれども、六十三年度におきましては九五・四%というところに回復をしているところであります。しかしながら、この関連公共施設というのは弾力的に緊急に対応できるという極めていい特色がございますので、通常費とは違ったいい特色がございますので、通常費の優先配分の支援も受けながらこれの拡充には今後大いに努力をしていかなければならないと考えております。
  44. 赤桐操

    赤桐操君 道路特会の方から昭和六十年から入っているようでありますね。一般会計と道路特会を合わせて六十年からは一千五十億ということになってきているように思うんです。道路特会は道路特会の本来の任務があると思うんですよ。道路の方だから関連公共として宅地開発の方に使うんだという理屈でやっているんだろうと思うんですけれども、私はこれは誤りだと思いますよ。道路特会は本来の道路特会として道路の延長に大きく力を注ぐべきだと思います。目的税ですよ、これははっきり。だから、私は予算編成の仕方や金の使い方にはいささか納得できないものがある、このことをきょうは指摘しておきたいと思うんです。  それで、本来の姿に戻して、毎年三百億から五百億ずつ積んでいく、こういう形をとるべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。大臣、お答えいただけませんか。
  45. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先ほど来いろいろ問答を聞いておりまして、実際問題として、この法案を御提出いたし御審議をいただいておるわけなんですが、三大都市の近郊でできるだけ優良な宅地開発しようという目的で、先生の御趣旨のように、できるだけ国が助成できるものは助成をする、税制の問題は税制でできるだけの措置をして優良宅地開発していこう、こういう趣旨であります。  先生お話しの問題、非常に難しい問題ですが、できるだけ助成をいたします。といいますのは、例えば道路にいたしましても、道路の助成をいたしましても、それの裏負担、恐らくほとんどが市町村道になるわけであります。市町村道の認定を先にしておれば、市町村からこれの補助をしてくれということで市町村が受け持ってくれる。ところが今の補助率でやっておりますと、その差というものはどうしても、関連といいますか、先ほどの鑑定の問題ですが、関連費に加わるわけであります。こちらを満度に助成いたしても、公園にしてもしかりであります。公園で土地は三分の一、それから上の造成工事については半分、二分の一という、二分の一であったと思うんですが、そういう助成になりましても、やはり土地の三分の二、それから工事費の半分、二分の一、これというものはどうしても宅地造成者が負担する、それがはね返る、こういうことになってくるわけであります。  でございますから、私の方はそのことを、道路にしてもあるいは公園にいたしましても下水道——下水道も、特に一般的に言いますと、今ある下水道につなぎ込めないところがほとんどです、調整区域になりますと、そうするとたくさんの金をかけて合併しておるというようなことになりますので、そういう負担がたくさん要るわけであります。でございますから、そういう負担をできる だけ少なくしてできるだけ安くということで進めていきたい、こういうふうに思います。  またもう一点は、非常に開発の許可がおくれまして、先生先ほどの御質問にありましたが、その間の金利というものの負担がやはり地価にはね返ってくる。でございますから、今まで各部局で審議をしておりましたのは、並行的にやってできるだけ早くこれをやってもらう、こういうことで進めていきたいというふうに思います。でございますから、これは一般的に言って、公団にいたしましても住宅公社にいたしましても、あるいは民間にいたしましても、できるだけ早く処理して金利負担を少なくして、また開発に要する公共施設についてはできるだけ助成もしていく。  これは御質問にはございませんけれども、初めにあったか、学校等はやはりそこでやっていただいて、宅地に持っていくというのは私は基本的に無理だと思っておりますので、こういう指導もして、要は優良な宅地といいますのは、環境もいいし、価格も適当な、どちらかといったら安い、こういうことで努めていこう、こういうことの目的でこの法案を提出しておる次第であります。  先生がいろいろ御質問されました点は、今までにそういうことが多かった、全部の市町村がそうではございませんけれども、ほとんどの市町村が先生の言われるような手法でやっておる、こういうふうに思いますので、そういうことのないように、助成のできるものはできるだけ助成をしていく、そうして安く優良な宅地供給してもらうということに努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  46. 赤桐操

    赤桐操君 余り納得できないんですけれども、了承しましょう。よくわからない点がありますが、これは難しいようですから。  一つ最後に私要望しておきますが、私が指摘した予算額等の中で、一般会計と道路会計の関係だけは、これは私の考えで申し上げたわけでありますけれども建設省の方でも十分ひとつ検討していただくべきだろうということだけ申し上げておきたいと思います。そういうことで一応これは終わりにしてまいりたいと思います。  それから、今指導要綱のことについて見ているわけですけれども、率直に言って大変時間がかかるんですね。それで同時にまた、いろいろなものが国の方の指導よりももっとプラスアルファが各それぞれの県市町村ではたくさん行われてきている。  先ほど局長説明にもありましたが、宅地の造成、それとまた土地の買収といいますか、取得といいますか、そういうものがなかなか困難な理由の中の一つとして、地方自治体が余り歓迎しないという向きが今日なおある。こういうことでありますけれども、結局私は、今大臣のお話の中にもありましたが、裏負担やいろいろ地方自治体にかぶさるものがたくさんあるということになりますと、これはやはり地方の立場にしてみれば、財政上から見てもこれはなるべくもう来てもらいたくない、こういうことになると思うんですよ、現実の問題として。工場などもたくさんあって工業地帯があるとか、あるいはまた新しい将来展望を持っている、地域開発を控えた地域であるというならばそれほど敬遠しないと思いますけれども、大体一般の市町村であれば敬遠するのは普通だと思うんです。  そういう意味では、そういうことのないようにするのには、ただ指導要綱をもっと簡単にしろということだけでは通らないと思うのであって、それに対する裏づけがなければこれはやはり敬遠いたしますよ。敬遠されないような措置を講じながら、指導要綱の均一化といいますか、統一といいますか、これを考えるべきじゃないんでしょうか。例えば千葉県下におきましても、いわゆる住宅の密集地域、集中していく地域と、さほどそうでもない地域と分かれていますが、それぞれでやはり指導要綱にかなりの差があるようであります。これはやはり結果的に住民負担になっていくことになりますから、そのことはもう一歩掘り下げて検討していただくべき内容ではないか、こう思います。  その次に、特に先ほど大臣が言われた事業認定に至るまでの期間ですね、これが非常にかかっているように思う。最近それぞれ各界からのいろんな印刷物が出ていますけれども、そういうところでもこのことが強く指摘されているのでありますが、こうしたものをもう少し短縮していくべきだろうと思うのであります。  そういう指導要綱の問題、あるいは事業認定に至るまでの期間、こうしたものについての対策についてどのようにお考えになりますか。今後の対策を強化されますか。
  47. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど先生から関連公共事業費の御発言をいただきましたが、根っこにおいて、こういった関連する公共施設の整備をどういう負担でどういうプライオリティーでやっていくかというような事情も一つあろうかと思います中で、おっしゃるように、各公共団体指導要綱というものを持っている。これがいろいろと問題を醸しているわけでございます。  ちょっとついででございますが、全国規模で申し上げてみますと、全国で現在千百九十九の市町村がこういう指導要綱を持っているということになっております。その中に幾つかの行き過ぎのものがある。特に東京圏におきましても大体七割ぐらいの市町村が指導要綱を持っている。あるいは先生おっしゃった千葉県におきましても八十市町村のうち五十七という七一・三%の市町村が持っている。こういったものが出てきているゆえんというものの中に、今先生おっしゃったような問題等も当然含まれているという背景はそれなりによく理解できますが、問題はこれの行き過ぎの問題です。この行き過ぎを是正するということで、私どもこの数年来、五十八年以降非常に具体的な指導、要請を行ってまいっておりまして、幸いにしてというか、六十二年四月までで四百三十四の市町村でもって何らかの是正措置をしていただいております。  その是正が特に進んでいるものを申し上げさせていただきますと、特に道路について、例えば区画街路は六メートル幅員以上のものを求めていたとか、あるいはまた洪水調整池をお願いしたいがなという実態がありますけれども、その洪水調整池を公園と兼用するというふうに、一つの公共施設を多目的に併用するというようなことを大分進めていただいています。そういう面での是正はかなり進んでおりますが、一方でまだ、周辺の地域住民の同意をとってこいとか、あるいはまた公益施設、今も大臣御答弁申し上げましたけれども、小中学校の用地をただで出せとか、こういうふうな要綱を持っているところも結構ありまして、こういった問題はいわゆる行き過ぎの最たるものというふうに我々も考えているところで、これを何とか是正するように強く要請しています。  そういった中で、私どもとしては、個別の町村の問題も含めて相談、要請できるように建設省に相談室をつくってもおりますし、さらにまた技術的な指針、これを徹底するということをやっております。こういったことについては今後とも引き続き私どもこの法律をお認めいただいた暁には精力的にさらに進めていきたい、こういう構えでいるわけでございます。  それからもう一点、期間の長期化の問題です。この裏には今申しましたような指導要綱をクリアしなければいかぬという面で大変時間がかかっているということが一つあることも否めないところでございます。特にまた公共施設の関係では、将来管理者である市町村というのは、引き継ぐか引き継がないかというようなことも含めて非常に同意を出してくれないというような問題が結構時間がかかっている。さらにまた、関係法令の許認可事務との調整が必要だというようなことで、いろいろなこれも是正方の指導をお願いしております。特に、これも大臣からお話しさせていただきましたけれども、とりわけ、事前審査等の段階でも横断的に各組織が一緒になって相談に乗り、審査する、こういう体制づくりをまずやっておりますが、加えまして私どもとしては、標準的な事務 処理期間というものを設定して、ある一定の期間で処理ができないような場合には申請者に対して遅延の理由を説明してやる、いわばそういう格好の中で是正指導を緊密にやっていくというようなこともやらしていただいております。  こういったことが一つありますし、さらに、えてして開発等の場合には開発審査会にかけなきゃいかぬ。これも県においては定例的にやっているというようなところも少なくないわけでございますが、随時開いていただくというお願い、あるいはまた提出書類等についてもできるだけ簡素化する、あるいは設計図面も標準化するというようなことなどやっているわけでございます。  こんなことの成果と言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、最近の状況で、五ヘクタール以上の事前協議が三カ月以上かかっているというようなものが大分減ってまいりまして、六十一年の実情では大体八四%くらいが三カ月未満でもって事前協議が処理されているという状況にはなってまいっております。そうは言っても、そんなにまだすっきりしていないという面もあるわけでございますので、これをもっともっとひとつ指導をしていきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、優良宅地認定という一つの新しい制度を入れていただくからには、私ども、こういったことを個別団地ごとに関係公共団体との緊密な連携調整という一環として、今申し上げたようなことも具体的に反映させて努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  48. 赤桐操

    赤桐操君 それではひとつ具体的にもうちょっと伺いたいと思うのでありますけれども、この中では金融の助成というのが出ているんですが、これは具体的にはどういうようなものになるのか。それから、全体が五ヘクタールまでなってきているわけでありますから、そういう点で金融公庫やあるいは開発銀行等がこれからも今までのような形でいくのかどうなのか、その辺もちょっと伺っておきたいと思います。
  49. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 金融の助成として一番私ども現実的に具体的に考えていますのは金融公庫の融資でございます。これにつきましては、一般的な融資に加えまして、例えば用地の取得費に対して金融公庫から現在は三〇%の融資を行っていますが、これを二〇%引き上げて五〇%まで融資の比率を上げよう、あるいは造成につきましても従前五〇%で一般的にはやっておりますが、これを六〇%まで引き上げた融資をやろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  50. 赤桐操

    赤桐操君 例えば開発銀行の融資実績なんか見ますと、四十六年から五十二年までの間は件数もかなりやっておりますよ。ところが、五十三年、四年以降になりますとずっと扱い件数が減ってきているんです。こういう状況になってきているんですけれども、これはもっと減っていってしまうんじゃないですか、この状態は。開発銀行の融資のあり方についても再検討の時期に来ているように思うんですが、この点はどうなんですか。
  51. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 宅地造成について、民間事業というふうに限って御答弁させていただきますが、御案内のとおり住宅金融公庫の融資、これは五ヘクタール以上というものを対象にして行っております。それからその一方で、日本開発銀行の融資というものが当然のように民間金融機関との協調融資という格好の中で三十ヘクタール以上の宅地開発を対象にして行われております。  最近の傾向を見てまいりますと、確かにこのところ融資の実績が開発銀行の場合六十億前後で推移しているという状況でございますので、もっともっとという御発言の趣旨も私どもそれなりに理解いたし、気にしているところでございますが、ただ開発銀行の融資の問題につきましては、六十三年度から融資条件を見直しまして、いわゆる調整区域の開発についても融資しよう、こういうふうな努力もいたしております。  そういった中で、今後どういうふうになっていくか。もっと積極化するんじゃないかというふうに期待を持っておりますが、いずれにしましても、開発銀行の場合にはどちらかというと、いわゆる住宅地のみならず総合的複合開発、これに伴ういわゆる利便施設などなどについても積極的に融資するという構えでございますので、私どもの今度の優良宅地開発事業を進めていく過程でも、いわゆるベッドタウンだけでなくて複合開発をということが一つの大きな課題になっております中で、開銀の融資というものも相応の期待がなされるところ、こういうふうに考えている次第でございます。
  52. 赤桐操

    赤桐操君 それから税制の問題なんですけれども、素地を提供した者の特別控除額が千五百万円ということになっているようであります。ところが、居住用財産を譲渡した者については先般の改正で特別控除を三千万まで認めることになっている。これどうなんですか、三千万ぐらいにしたらいかがなものですか、思い切って、中途半端なことをやらないで。そうすると税制の面でもかなりの優遇策だ。なるほどこの新しい法律は優遇政策だ、こういうふうに思うんですが、この程度じゃ余りぴんとこないんじゃないですか。
  53. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃるように、今回の法案で幾つかの税制上の特例措置をお願いしているわけでございます。  ちょっと繰り返させていただきますと、大きく言って二つの税制というものを準備していますが、一つは素地提供者に対する譲渡所得についての特例措置です。その中に、今先生がおっしゃいましたように、いわゆる千五百万控除という特例措置も認めているわけでございますが、この千五百万控除については、確かにおっしゃるように、地価が上昇する中でこの千五百万は五十年に引き上げが行われて以来据え置かれているという経緯がございます。私どもとしてもこれを何とか引き上げたいということでこれまでも要望申し上げておりますが、今後ともこれは引き続き、今先生の御発言の御趣旨を十分踏まえながら検討させていただきたいと思っています。
  54. 赤桐操

    赤桐操君 ちょっと細かな問題で恐縮なんですが、法案の中に出ているんですが、四条一項に規定する中で、三号で、事業区域のうち住宅の区域の占める面積基準、これは政令で定めることになっておりますが、政令ではどのくらいに決まるんですか。大体もう方針は決まっておりますか。
  55. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今回の優良宅地法の最大の眼目は何といいましても住宅地供給ということになるわけでございますので、私ども優良宅地の認定に当たりましてもこれは非常に重要なポイントと考えています。これは具体的には政令で決めることになるわけですけれども、今私ども考えていますことは、事業区域面積から公共施設の用に供する土地を差っ引いた部分の最低二分の一以上は住宅用地に当てるということを政令要件に考えております。全体から公共施設用地を差っ引いたもの、道路、公園等の用地はこれは先取り的に差っ引きますから、残りの半分以上は、最低でも半分は住宅用地に向ける、こういう考え方でございます。
  56. 赤桐操

    赤桐操君 全部じゃないんですか。公共面積を抜いてあと残ったものが全部住宅用地になる、こういうことではないんですか。二分の一でいいんですか。
  57. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 当然そういうことに、おかしいなとお思いかと思いますが、優良宅地というか、今後の住宅地開発を進めるに当たってどういう姿勢でいくかという点が実はこの法案の背景に我々踏まえなきゃならぬ大きなものがあります。  それはどういうことかというと、やはり公共団体開発抑制姿勢、先ほど先生おっしゃったように、団地お断りというふうな構えの中には、言うならベッドタウンだけでは嫌だ、こういう公共団体の意向と実情がございます。ですから、私どももまたこれからの町づくりというものは当然のように、ただ住まいの家があるというだけでは不十分であるという観点から、団地の規模にもよりますけれども、相当程度のいわゆる業務機能というものは入れていく必要があるものが幾つか出てくるはずだ。もちろんこれが五ヘクタール等の小さ いというか、全体の中では最低限の規格に合うようなものが、すべてとは申しませんけれども、大きな団地等にとっては当然そういうことが考えられるとなりますと、今申しましたように、最低でも半分は住宅地供給しなきゃいかぬ。したがって、半分あれば十分だということではなくて、むしろ半分以上のものを当然目指しながら、必要な複合機能という観点から必要なものとして認めるけれども、逆にそれが半分以上ではだめだ、こういうふうな考え方で臨みたいという考えです。
  58. 赤桐操

    赤桐操君 もう一度ちょっとさかのぼりますが、優遇税制の措置については千五百万という特別控除があるようでありますが、この点と、それからもう一つ、他のいわゆるセンター施設敷地関係、そうしたものに対する措置等もあるようでありますが、こうしたものについてはどういうように考えていくんですか。
  59. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほどちょっと御答弁申し上げましたけれども、この法案での税制上の特例措置というのは二つあるわけでして、一つは素地提供者に対する税制上の特例です。これについては、従来実は住宅地開発のみに認められた特例制度というのがあるわけですが、それを、先ほど申しましたように、今回の優良宅地法では複合的開発も目指している部分がありますので、複合開発も含めて適用しようという税制があるわけでございます。その一つが、優良宅地造成のために土地を譲渡した場合の長期譲渡所得課税の特例でございまして、例の一律二〇%課税というのでございます。それから二つ目には、今先生おっしゃっているように一千五百万の特別控除。それから三つ目には、大規模な住宅地造成、今回対象になるような造成にかかわる土地の交換等を行う場合の課税の繰り延べ措置、これが土地の譲渡サイドの課税特例でございます。  それからもう一つは、居住者の日常生活に不可欠ないわゆるセンター施設、こういったものを早期に立地させて何とか早く町を熟成させようという観点から、国税として五年間、このセンター施設について五年間二四%増の割り増し償却を行う、あるいは地方税につきましてはその用地について特別土地保有税を非課税とする、こんなような内容のものを考えているわけでございます。  以上、大別して二つの税制を特例措置として準備さしていただいている次第であります。
  60. 赤桐操

    赤桐操君 終わります。
  61. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 午前はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会     ─────────────
  62. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  63. 馬場富

    ○馬場富君 大臣がおくれてみえるようですから、久しぶりの局長関係の質問をしてみます。  最初に、まず本法案が、現在の国会の審議の中で土地関係が五本出されておりますけれども、その中で、優良な宅地開発に税制上の恩典を与えるという問題の法案で、実質まとまった法案としてはこれが一本だけです。あとは改正案やそういうものばかりなんです。やはり今国会の中の土地対策法案としてはこれが最高のものだというふうに私は思っているんです、政府が出した法案の中では。これはそのものずばりですから、だからこれに対してはある程度まで、効果云々はともかくも、私は適切な答弁をひとつお願いをしたい、こう思ってこれから質問に入ります。  まず最初に国土庁に、六十三年の土地公示価格についての傾向性と、全国東京圏と、そして東京圏の住宅地の一年間の上昇率をひとつ説明してもらいたいと思うんです。
  64. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 六十三年の地価公示の結果でございますけれども、これは六十二年の一月一日から六十三年の一月一日までの一年間の動きを示すものでございます。これによりますと、まず全国全用途の平均で申しますと二一・七%の上昇率というふうになっているわけでございますけれども、このうち、地域別に見ますと東京圏が六五・三%の上昇率ということになっている次第でございます。
  65. 馬場富

    ○馬場富君 私の聞いておるのは、全国平均東京圏、そして東京圏の住宅地は平均でどのぐらいの値上がりをしているか。
  66. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 東京圏の全用途平均が先ほど申しましたように六五・三%でございますけれども、その中で住宅地につきましては六八・六%ということになっております。
  67. 馬場富

    ○馬場富君 そうしていきますと、高値安定したというけれども、やはり一年間でかなり上がっておるということになるわけです。その中で、一時的に十月—一月の三カ月の変動率で、東京都全体の中で住宅地の価格が一・一%下落したということが報道されておりますが、これはどういう原因によりますか。
  68. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 私どもの地価公示の地点の中で代表的な地点につきまして昨年の第四・四半期、十月一日から六十三年の一月一日の三カ月間の動きを調査した結果によりますと、東京都内の動きでございますけれども、マイナス一・一%という動きを示しているわけでございます。  この要因といたしましては、私どもが監視区域の実施ということでいろいろ行政指導をやっておるとか、それから金融機関土地関係の融資についていろいろ自粛の指導をやっている。それからまた、昨年の十月一日から超短期重課制度という譲渡所得についての特別の措置を実施した。こういうようないろんな対策が功を奏したのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  69. 馬場富

    ○馬場富君 だから、それは結局宅地供給関係なしに、その間東京都の宅地は、後から聞きますけれども、急激に宅地供給がふえたわけじゃないんです。宅地供給は要するに横ばいなんです。今回十月から一月まで一時的に一・一%マイナスになったのは、それは今あなたのおっしゃったとおり、不動産業者やそういうものに対する金融に対してにらみをきかした結果であって、政府が行った土地供給対策でふえたからではないわけですが、この点建設省はどのようにとらえてみえますか。
  70. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃったように、先般の地価公示を見る限り大変東京圏の地価が上がっているということは私ども宅地供給の側面からも非常に注目して見ているところでございます。その間において、今言われましたように、昨年の第四・四半期以降、特に先般また国土庁から発表されました一—三月期の状況を見ていましても、やや鎮静化というか下落の傾向が見られるということは大変好ましいことというふうにまず基本的には考えます。  とは言うものの、やはりまだ地価水準そのものが非常に高いということを考え合わせますと、何とかこれを供給面での努力というものも重ね合わせながら、これをもっと現実的に引き下げる方向への努力というものの必要性を改めて痛感している次第でございます。
  71. 馬場富

    ○馬場富君 建設大臣もこの前土地委員会で、まあよその委員会でも質問しましたが、繰り返し土地供給対策は急ぐと言っているんです。土地供給がないから、需給のアンバランスがあるから結局地価が高騰したと言っておるんですけれども、この十月から一月までの間に少なくとも一・一%落ちたということの原因の中には、土地供給によるものではないということだけははっきりしているわけですよ。政府が地上げ屋やそういうものに対してにらみをきかしたから一応おさまったということで、それはちょっと利用価値の薄いところが下がったという程度で、土地供給が多くなったから値が下がったんじゃないですよ。大臣も、この答弁でもそうだが、本会議での答弁でも繰り返し言っておるのは、土地供給が少ないと言っているんです。今回の法案は、土地供給を多くするため のいわば民間に対する助成なんですね。そういう点からいきますと、これはちょっと手の打ち方が変じゃないかと思う。全国的にはこの法が生きる方法もあるけれども東京圏内に限っては、手の打ち方としてはこれは適切な手の打ち方ではないと私は思うんです。  例えば、宅地供給量は四十七年をピークとして、四十七年まではどんどん宅地供給上昇したんですが、四十七年以降は下がってきておるんです。そういう下降の一途をたどっておるわけでありますから、現在の供給量が四十七年当時の半分にも満たない状況だが、この原因はいずこにあるかお尋ねします。
  72. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お話しのように、最近の宅地供給動向を見てまいりますと、一万ヘクタール余りという水準であるわけでして、四十年代の後半、特に四十六、七、八年あたりが二万三千ヘクタール前後の高い水準を確保していたのがいわば半分以下になったということはお話しのとおりでございます。  こういったことが現実に起こっている理由としては幾つかのことがあると思いますけれども、私ども基本的に着目していますことは、まず一つは、農家の方等の土地保有意識というのが非常に強い、これがまず第一点否めないところとしてある、こう思っております。私ども昨年にちょっと調査した結果を見ましても、農家の方の六割以上の人たちが、十年以上今後とも農地を保有したままで手放したくない、こういったような意識調査もはっきり出ています。こういった点が一点あるというふうに考えております。  それからもう一つは、宅地開発というものの事業の進捗等の現実を見ますると、非常に長期化しているということのために、もちろん金利もかかるなどなどありますしするが、いずれにしても企業の採算性が非常に悪くなってきている、これが大きな要因として、特に供給者側の事情として非常にきいているんじゃないか、こういうふうに思われます。  それからもう一つ、全体を通じての基本的な雰囲気でございますが、大都市圏等中心にします地方公共団体においては、人口がどんどんふえること、あるいは人口だけがふえることに対する拒否反応といいましょうか、開発に対する抑制姿勢が強い。  この辺のところが、幾つか要因がありましょうけれども、主たる要因として指摘できることではないだろうかというふうに認識している次第でございます。
  73. 馬場富

    ○馬場富君 最近宅地供給量は減る一方であったわけですけれども昭和六十一年度のときは二百ヘクタールと若干ではあるが上昇していますね。この理由はどこにあるか、どういうふうにつかんでいますか。
  74. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お話しのように、六十年の宅地供給量は一万二百ヘクタールでございました。それが六十一年度が一万四百ヘクタールということで二百ヘクタールほどふえております。この内容をちょっと見てまいりますと、実はこの内訳として、民間供給は百ヘクタール六十、六十一と減っております。一方で公的供給が三百ヘクタール増加しております。差し引き二百ヘクタールの増加ということになるわけですが、その大半は住宅都市整備公団、これの供給が大変大きくあずかっておる、こういう実態でございます。
  75. 馬場富

    ○馬場富君 だからここがポイントなんです。東京都はもう土地が高くなってきておるでしょう。この法案民間でございますけれども宅地供給には限度が来ておるということです。昨日私質問しましたのは、もう東京都内のこれだけ上がり切った土地において、宅地供給は幾ら法案をつくってみたところで進まないという現実だと思うんです。だから民間任せではだめなわけで、民間任せではもう限界が来ておる、宅地供給は。  そういう点で、結局六十一年で伸びたのは公的ですね、住都公団とか、そういうところが公的にやったから伸びたんです。そうでしょう。だから、この東京都の解決というのはいわゆる政策しかないと思うんです。もう民間に任せるようなことでは宅地供給はできないですよ。それはほかの目的のものに使う供給はできても、宅地供給ということについてはもう公的機関が扱う以外に私はないと見ておるんですが、その点はどうですか。
  76. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃるとおり、住宅あるいは宅地、どちらも通じての話になりますけれども公的供給役割というのはいささかも軽んじてはならない、むしろ非常に重いという認識先生と私どもも同様でございます。  ただ、宅地供給についてちょっと申し上げさせていただきますと、はっきり言いまして、これまでずっと見てまいりますと、供給の七割程度民間の力というか、民間供給であったという実態がございます。今後これをドラスチックに変えることが現実的かということになりますと、私どもは今後十年ぐらい先を見ても、あるいは十数年先を見ても、民間供給というものに対する期待、民間の果たすべき役割というものはやはり依然として大きい、こういうふうに考えている次第でございまして、決して民間に任せるということでなくて、公の役割はまず基本に考えなきゃならぬということは大前提にいたしまして、あわせまして民間供給というものについても大きく期待しよう、こういう構えであります。
  77. 馬場富

    ○馬場富君 それでは、本案が何のためにこの国会に提出されたか、本法案の中に示しておる優良宅地というのはどういうことなのか、これをはっきり示していただきたいんです。
  78. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 優良宅地というのは、法案でもちょっと明記してありますように、大変宅地需要が深刻な、要するに大都市地域、これにおきまして、一つの都道府県とか都県の区域を超えて広域的に供給するにふさわしい宅地、これを優良宅地と私ども基本的に概念いたしております。  その上に立ちまして、今度は宅地のいわゆる品位といいましょうか、その計画の内容、公共施設の配置のあり方、こういったものを含めて、全体として技術的な面でもそこそこの優良性というものを担保することが当然必要であると考えておりますが、大前提、基本としてはこの広域的な地域の中におきましての広域的な観点からの供給すべき土地として優良である、こういう考え方に立っているものでございます。
  79. 馬場富

    ○馬場富君 しからば、優良宅地の中であなた方が描いておられる住宅宅地の位置づけというのはどういうふうに見ておりますか。
  80. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほどちょっと最近の供給が落ち込んでいる要因を申し上げましたが、地方公共団体開発抑制姿勢というものが率直に申し上げて現実にあります。こういったことがよって来るゆえんというものはいろいろありましょうけれども、やはり住宅、ベッドタウンだけでは受けとめる地元としては優良と思わない、認識しない、こういった現実もあります。  私どももまた、これからのいわゆる住宅対策考える上で、住む場としてただ家があればという町づくり、ニュータウンづくりというものだけではなくて、優良性というものは、やはりそこに住み、働き、憩うというふうな要素というものが大きな課題だろう。そこに住む者の立場、これを受けとめる公共団体の事情といったものを総合的に考えますと、優良宅地という概念の中には、単に住宅というだけではなくて、そこに業務機能等の複合機能をあわせ持った姿というものが一つの優良のポイントになるんじゃないかというふうに考えて御提案申し上げた次第でございます。
  81. 馬場富

    ○馬場富君 今都内で起こっておる現実をよく見なさい。何が不足しておるかというと住宅なんです。オフィスの需要はどんどん広がっているけれども、それは価値観が全然違いますよ。審議の中で、建設省が違っておるのはどういうところかというと、住宅と例えば店舗とか事務所というのはいわゆる付加価値が全然違うんですよ。外国等ではこの点は明確にされておるわけです。住宅を守るという制度があるんです。  日本は悲しいかな、これはもう明治以来の日本土地対策に対する特異性というか、そういうものがあるわけですよ、所有権と利用権の問題がありますから。これは急激に改造しようとしてもなかなか難しいでしょう。だけれども、ほうっておけないのは、それよりもまず優先して憲法で保障されておるのは住む権利なんですよ。人々が住む権利です。自分たちのねぐらですよ。住む権利は私は憲法の基本的人権の中の一つだと思うんです。そういうものが脅かされておる。東京土地高騰の中で一番問題なのは、住むことができなくなった、サラリーマンの人たちが住む土地がなくなった、そこにポイントがあるんじゃないでしょうか。  外国でもほかのものの競争は随分あるんですよ。事務所とかそういうものについてはかなり自由競争させておる国もある。だが住宅地だけは絶対に競争させない、こういうものを持っております。  だから私は、東京土地高騰がもたらした一つ日本人への警告は、幾ら明治以来の特異性があったとしても、住む住宅についての問題だけは何よりも優先して考えていかなければいかぬという法律なり制度がこの時期につくられなかったとしたら、私は土地の高騰というのは我々国民に与えておる警鐘だと思うんです。こんなに土地が高くなっちゃったというのは、日本土地政策の特異性がいっぱいあるんだ。中でも我々が住む住宅というものについての守り方が弱いんだ。私はこのことだけはこの問題の中で少しでも善処しなければ国民に相済まぬことだと思うんですが、局長、どうお考えでしょうか。
  82. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 我が国の土地制度なり都市制度なり、あるいはもっと言えば住宅制度、住宅施策というようなものなどなど、諸外国に比べますとおっしゃるように非常にさまざまにそれぞれの国が持っている。そういった中で、日本の制度いろいろと見方があろうかと思います。  ただ、私ども率直に申し上げて、住む権利、全く先生おっしゃっているとおりだと思います。しかしまた、そのほかのもろもろの働く権利などなど、諸調整をしながら日本の制度が組み立てられ活用されていく、こういった中でございますので、今後のいわゆる立法論というかあり方という議論は、ちょっと私も拝聴させていただくしかありませんけれども、現在までのところ、住宅はほかの何物にもまさって他の土地利用をすべて排除するというふうな制度、政策は現在実はでき上がっていない。言うなれば、複合する土地利用計画土地需要、土地利用というものをいろいろなメカニズムの中で総合調整して、一つの適正な利用なり町づくりをしていこうというのが我が国の現行の法体系の基本ではなかろうかというふうに考えておるわけです。  そういった中で、私ども今回御提案を申し上げておるのは、先生指摘のように、その面から見ればいささか基本に触れていないという御批判はあろうかと思いますけれども、私どもは、現行制度の中で何とかやっぱり宅地供給の重要性というものを、特に新規供給の側面に焦点を当てて今回の御審議をお願い申し上げたという次第でございます。
  83. 馬場富

    ○馬場富君 民活による宅地供給の推進は全国的に悪いとは言っていませんよ。今東京のような異常高騰になってきたときに、この政策で、民活の法律の趣旨でもって東京都に土地供給することはまず不可能であろう。そういう点で、東京都の問題というのは、異常高騰地域、大都市ですね、名古屋もありますし大阪もありますけれども、そういうところについては僕は一考しなきゃいかぬということを言っておるわけです。だから、そういう困難な中でも公共については実施すべきだということなんです。  先ほどから申し上げておるように、明治以来の日本の特異性というのは、所有権が強いがために利用権も強い。これをすぐ変えろということはなかなか私は難しいと思うんですよ。そこで考えられるのは何かということを、我々は一歩前進するために、国民を理解させる運動——国際化を迎えて、世界もこういう土地対策になっておる、日本だけが利用について公共が優先できぬような制度では将来発展性がないということを国民に理解させる運動が必要だと思うんです。  もう一つは、それであっても東京の問題は間に合わないんです。教育やいろんな制度について、いわゆる利用権のあり方について日本人の頭を切りかえなきゃいかぬということが一つあると思うんですが、これは時間がかかる。だから東京の問題についてはそれでは間に合わぬ。そういう点で、この東京の問題については、住宅を守るということについて何がしかは前進させなきゃいかぬじゃないか。  局長、この法案によってどのくらいの予算を見込んでみえるか。
  84. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 予算の前に、実は先生に誤解をされてはなりませんので全体の構えをちょっと申し上げさせていただきますと私ども先生と全く同じように、今日の東京圏を初めとする大都市地域宅地需給の厳しさというものは同じように認識しているわけでございます。  そういった中で、六十一年から七十年までの宅地供給というものをどれだけやっていこうかという考え方でございますが、十カ年間で私ども大都市圏で五万三千ヘクタールくらいの供給を必要であればやっていきたい、こう考えておるわけです。それを、公共か民間かという御議論ありますが、やはり私どもは公共、民間それぞれが適切に分担し合いながら、とにかくあらゆる手だてを尽くしてこの際積極的な供給策に取り組みたい、こういう考え方でおるわけでございまして、数字的には公共で大体三割くらいのものはカバーしていきたい、残りの七割くらいは民間の分野に期待したいし、これを推進していきたい、こういう構えでございます。それは決して公共を軽視する、民間を軽視するという問題ではなくて、それぞれを適正に活用し進めていきたい、こういう考え方であるわけです。  それで、公共のものについて予算はどうかということでございますが、公共というと、先生も御案内のとおり住宅都市整備公団住宅供給公社、こういったものが事業主体としてはまず考えられます。これについては、直接的には、予算的には御案内のとおりでございますが、財投事業の積極的確保、拡充、こういうことを最大の軸として私ども事業を進めたい。  それはあくまでも予算的、財源的な側面でございまして、私どもこの十カ年間を展望しての宅地供給を進めるための最大のポイントは何かというと、予算の問題もさりながら、やはりこういったものを促進する構え、体制の整備、枠組みの設定整備、こういったことが今一番急がれるんじゃないか。今先生いみじくもおっしゃいましたが、国民個人個人の土地所有に対するあるいは土地利用に関する認識を切りかえなきゃならぬ、あるいは啓蒙しなきゃならぬというお話がございました。実は現実は、私ども宅地供給にあずかっている者としては、個人個人の側面もさりながら、これを受けとめる地方公共団体意識というものがまず一つ大きな問題としてあります。ここらを含めて何とか国と地方公共団体、これが一緒になって取り組んでいく構えをここでしっかりとつくって公共、民間通じての推進体制を組んでいきたい、これが率直に申し上げて本法案を御提案申し上げている最大のポイントでございます。
  85. 馬場富

    ○馬場富君 いや、私が言っているのは、この法律の計画が実施されるについては、予算規模というのは大体どのくらいの規模で考えて組まれたものかということを聞いているんですよ。施策の中に減税もいろいろあるんですよ。どのくらいの予算、枠組みで組まれたんですか。
  86. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) シビアな議論をさしていただきますと、認定というのは事業者からの申し出を待って認定するということになっていまして、言ってしまえば、これから私ども、法を御制定いただきますと個別具体の認定作業に入らしていただくということでございます。したがって、今回のこの認定でどれだけ出てくるかということが最大のポイントになりますので、予算的にどうかとい うことを申し上げる資料を今ちょっと持ち合わせておりません、はっきり言いまして。  ただ、先ほど申しましたように、公的供給促進という面で予算は当然必要になります。それから民間開発につきましても、この優良認定という場で出てくるものについては、今先生ちょっとおっしゃいましたが、法律で準備しているような公共施設の整備などを初めとしていろいろの措置を講じようというわけですから、これに伴う広い意味での関連公共事業の整備、先ほども赤桐先生から御質問ありましたが、何も関連公共事業整備促進費のみならず、一般通常費も含めて私どもは必要なものは積極的に計上して取り組んでいきたいというのがただいまお答えできる限度でございまして、数字的にはちょっともうしばらく作業を待たしていただきたいと思います。
  87. 馬場富

    ○馬場富君 数字的なことは今示せなきゃ後からでいい。これは措置法ですから、措置法については予算規模がなければおかしいですよ。だからそれは一遍後でまた教えてもらいたいと思います。  この法律が、五ヘクタール以上の土地に限って、そういうものに対しての対策だというふうに当局の説明によって聞いておるわけです。これはかつて土地委員会でも聞きましたが、大臣ちょうど見えましたが、首都圏サミットで大臣が提案されまして、それで神奈川県や地方都市は基本的には渋々認めたけれども、余りにっこりしなかったという話も私聞いておるんです。それは何かといえば、住宅だけ押しつけられるのはかなわぬということで、あなた先ほど答弁したでしょう、そういうようなことがあったわけですね。いろんな施設も一緒に欲しいと。それはごもっともだと。そうするとまたいろんな都市基盤整備等の費用もかかるでしょう。  そういうことで、大変周辺都市では余りにっこりしていないという状況なんですけれども、これはいよいよ法律をつくって建設省認可したら、地方にどうですかという、まあ大臣はあのとき随分確信を持った答弁をされた。周辺は納得しちゃって、あしたでもこれを推進して供給してくれるようなことをおっしゃったが、東京の五十キロ圏内にある業者が持っている土地、これを使わしてほしいということで、法律ではできることになっているけれども地方が実施について拒んでおったというのが一つは問題点でしょう。だから今回これを法律にしてきたわけです。各都道府県に、建設省はいいと認めるがどうかという、私はそういう法律にとっているわけですけれども、どうですか、それは。
  88. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今先生首都圏サミットのことをお話しされましたけれども、私どもこの首都圏サミットというのは、はっきり申し上げまして、住宅地供給をめぐって建設大臣が関係の県知事さん、政令市長と一堂に会して理解を深め合うという会合を持てたということは、ある意味では大変画期的であり、ありがたいことである、こう思っております。そういった会議を持って、それじゃ今先生おっしゃったように、一〇〇%それぞれの知事さんなり市長さんが、わかりました、すぐにもやりましょうというふうになったかというと、それははっきり言いましてそんなには現実は安易なものではございません。ただ、言えますことは、この問題の深刻さ、重要性というものについてそれぞれの知事さん、市長さんが御自分のお立場を超えて非常に深い御認識をいただけた、こういったことで先般の大臣の御答弁もあったわけでございます。  そこで今のお話の二点目でございますが、これを今回、じゃ建設大臣は一方的に認定してという御趣旨におとりになるというお話でございますが、私ども決してそういう性質のものではないだろうと思っております。やはり国が、いわば国の立場で一方的に、これは優良宅地であるから進めるぞといって進むものではございません。しかも、今までの経緯の中でそれぞれの公共団体等におきます御事情もあります。そういった国の広域的な視点からの物の見方と公共団体の事情というものを同じテーブルに着いて具体に調整していこうという枠組みを準備させていただくのが今回の法律でございますので、私ども今後この法律の運用についてゆめゆめそこは間違いのないようにさせていただくつもりでございます。
  89. 馬場富

    ○馬場富君 首都圏サミットで提案されたあの条件はこの法案の中にほとんど入りますと、だから首都圏サミットで提案されたものを解決するための実施法なんでしょう。どうなんですか。
  90. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生冒頭おっしゃったように、最近の地価の動向をみてまいりますと、素地が非常に上がっている、これは私ども全く同感でございます。そういった中で、全く新規にこれから土地を取得してこれから優良宅地開発を進めるという分野も大変大きくありますし、期待しなきゃならぬと思いますが、一方で、既にまとまった格好で保有され、しかもそれが先ほど申しましたような優良宅地として期待される土地については積極的にこれを現実化しようじゃないか、していただきたい、こういう意味合いを実は持っております。  それは、今おっしゃったように、首都圏サミットで私ども開発業者の団体等を通じてヒアリングした結果では、三十一地区二千六百ヘクタールというものが、図上ではありますが、一つの有力な候補として認識いたしておりますということは大臣の方からもお話しさせていただきました。しかし、それは必ずすべてこれは認定をして、しゃにむに進めていくぞというようなところまでは言える筋でもありませんし、申してもおりません。これは挙げて、今回この法律が御成立いただいた後において私どもは個別具体に点検をし、関係公共団体等との調整をしていく必要があるべきものというふうに考えているわけでございます。
  91. 馬場富

    ○馬場富君 予算委員会のときにも大臣に質問しましたけれども、五ヘクタールの今の業者の持っておる土地というのは大体五十キロ圏外ですよ。それはそれで一つ施策としては結構なことです。地方自治体が認めてやっていくことは結構ですけれども、先ほど御説明になったいわゆる住宅以外のほかの施設も一緒に欲しい、住宅だけではもらいたくないという意見が報道等でも首都圏サミットのときも出たわけですよ。業者が持っておる五ヘクタール以上の土地開発がすぐできれば、法律ではできるが地方自治体が制限しておるためにできないというんだから、ぜひ理解してやってほしいと大臣はサミットで提案したわけでしょう。地方住宅だけじゃなくてほかのものも持ってきてくれというから、住宅だけではなくてほかのものも建てるようにして、そういうものを進めていこうと今おっしゃいましたね。  だから、地方自治体の求めておる、この法案の中に出てくる住宅以外のもの、じゃ住宅以外のものとはここでどういうものを考えているのかお示し願いたい。
  92. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 私ども俗に、複合機能を持った都市づくりというか団地開発というふうに申し上げています。その複合機能というのは、住宅住宅以外のものと大きく言って分けられますが、住宅以外のものとしては、その場所によってそれぞれのニーズ、適性があろうかと思いますが、言ってしまえば、俗に言えば業務機能、こういうことに相なります。率直に言って、その中に工場が入るかということになりますと、私ども今回法案で対象にして考えていますのは大体五十キロ圏域の中でございますから、工場などは余り積極的に考える必要はないんじゃないか。むしろ研究所を初めとする事務所等のそういった業務機能を中心考えていくことになるんだろうと思っております。
  93. 馬場富

    ○馬場富君 僕はその案のことについて、大臣が首都圏サミットで提案された、五十キロ圏内に民間の会社等が所有しておる五ヘクタール以上の土地開発してほしいということを、私はそのものを反対するわけじゃないですよ。だから、それは非常に遠いということも一つあるんですね。それから、本当に低廉な住宅と、首都圏の通勤に一時間も二時間もかけなきゃならぬようなことはどうかという問題についてのことでこの問題は論議し ておるんです。  だから、五十キロ圏というと、この間もヘリコプターでずっと回ったんですよ。そうしていきますと、この前首都圏サミットで提案された地域というのは大体通勤が二時間コースなんですよ、もしそこに住宅開発をしたとしても。そこに住宅開発を行った場合、通勤時間の短縮化を進める交通体系というものがきちっとかみ合わぬというと、これはあなたたちが言う良好な住宅にならないという結果になる。その点はどうなんですか。
  94. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今先生の御指摘に全く私どもも同感であります。おっしゃるように、幾ら立派な宅地ができても通勤に使えないというんでは結局住むにふさわしくない、こういうことになるわけでございまして、私ども概念としては、九十分通勤圏ということを頭に置いてこの認定の基準を考えていこうというふうに思っています。それはもちろん、いろんな将来の交通体系が整備された暁の話ではなくて、現状を前提にして何らかの改善、例えば道路を整備するというようなことなどを入れることによってその圏域に入るというのが一つの分岐点ではなかろうかと思っているところでございます。
  95. 馬場富

    ○馬場富君 この間も空中視察をやったときに見た人のほとんどの意見だったと思うのは、例えば千葉ニュータウンそれから多摩ニュータウンも見ました。あそこあたりが五十キロ圏です。あれを取り巻く大宮の向こうあたりまでがいわゆるサミットで建設大臣が提案された土地地域ですけれども、その地域は今あなたがおっしゃったように九十分圏です。もう少しやるんならまとめて、またその開発に連携を持たせる、そういうことによって交通体系をしっかり持ってやらなければ、これはやってもよき住宅にはならぬぞというのが見た人の意見なんです。私もそのとおりに思って見てきたんです。だから、開発を予定しているんなら交通体系というものを考えてそして対処されるということ。  もう一つは、優良な宅地供給宅地というのは、ほかの機能のこともあなたが今おっしゃったとおり理解しますけれども住宅ということにポイントを置いてそして進めなければ、その策というのは無策になってしまう。ほかのものが建ってしまったんでは何にもなりはしない。だから今遠くへ遠くへ追いやられておるわけです。  土地転がしが正常になったと言っておるけれども、そんなものは上辺なんですよ。もっともっと局長、あなたも実態調査しなきゃだめですよ。それは今土地そのものはもうほとんど、小さなアパートやそういうものがどんどん開発が進んでいるし、土地の値段は抑えられていますよ。ところが建っておる住宅そのものが共同住宅である。分譲マンションの中に、外は住宅でも中身は事務所や、ひどいのはスナックをやる。それは住宅金融公庫だって指摘しておるじゃないですか。最近は急速にそれが進んでおる。そういう状況で、住んでいた人が追いやられていっておるんです。それはみんな結局通勤者、サラリーマンの人たちです。  そういう人たちが、九十分とおっしゃっていますが、九十分なんという計画というのは殺人的な私は計画だと思うんです。少なくとも一時間以内です。毎日毎日会社へ二時間もかかってきて、往復四時間ですよ。そして仕事をやっている。大臣、そういうことをお考えになったら、あなたどう思われますか。往復四時間ですよ。それでなお会社に勤めて、そういう通勤だけでもすごい労働じゃないですか。そんなことを考え政策というのを立てていいかどうかということです。どうですか、大臣。
  96. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先ほど来の先生の御質問に首都圏サミットの問題がございましたが、これは一つには開発を積極的にやってもらいたい。やってもらいたいといいますのは、二十ヘクタールであったのが五ヘクタールになりましたけれども、それを実際に五ヘクタール開発を許可するという条例をつくっていない。二十ヘクタールそのままになっておる。これを五ヘクタールでもひとつやってもらいたいというのが第一点。それから第二点は、開発をできるだけ早くやってもらいたい、期間を早くやってもらいたい、これが一つ。それからもう一つは、公団等が建設しました賃貸住宅を、その県の職場に通っている人を八割、二割しか東京都内は入れないとか、これで競争率がうんと違いますので、それを緩和してもらいたい。主に言いますとこの三つでお願いをしたのであります。  その後、五ヘクタールにつきましてはほぼ御了解をいただいて、ただその中に、先生もお話しのように、でき得れば事務所、事業所も一緒に来てもらいたいということがございました。でございますから、それをとってということでもありませんけれども、もちろん大きい二十ヘクタールにしても十ヘクタールにしても、それだけの団地ができれば病院も必要でしょうし、郵便局も必要でしょうし、あるいは銀行も必要であろう、また一般的な事務所も必要であろう。しかし、この開発によって少なくても五〇%以上はぜひとも宅地にしてもらわなければ、五〇%がもう最低限度でして、一〇〇%してもらうことが一番いいんですけれども、なかなか調整区域内等でやりますと、今の病院とかそういうものも実際にその場にできないものですから、そういうふうにいたしております。そういうことによって、この法律によってひとつ誘導をしていこう。  今も局長からお答えいたしましたが、でき得れば先生の言われるように一時間範囲という通勤距離が一番望ましい、もっと短い方がいいんですけれども、そういうつもりであります。しかし、最大限は一時間半までぐらいでなかろうか、こういうお答えをしたわけですけれども、望ましいことはもっと短い方がいい。最高まあ一時間半、こう言われたんですが、できるだけ通勤時間が短い方がいい。それには、団地とともに先生の言われる交通体系の整備も図っていかなければならない。そして、これだけで宅地が十分確保できるかといいますとなかなか難しいので、後お願いをいたします再開発法等も改正をいたしまして、工場跡地等も住宅地を含めて再開発をしていこう、こういうことで全般的に宅地、特に住宅用の宅地を多く供給しよう、こういうことで臨んでおる次第であります。
  97. 馬場富

    ○馬場富君 私きのうも例を出したんですが、サラリーマンや庶民が住める住宅というのは家賃に限定があります。民間なんかで競争の面からのものとしては到底そういう住宅は難しい。きのうも私は大川端の例を出したんです、あの佃島。あれが東京都で五万二千円、三DKで。今つくっております。それから住宅公団が十七万。それから三井の住宅が建設を同じ場所でやっておって二十九万九千円です。これは一つの例ですけれども、幾らこれができたとしても、二十九万、三十万という家賃を、開発してつくったとしても、それは大概の人たちは住むことができない。ある人にこの間も聞いたら、入る人だってある、それは入る人だってあるだろう。家賃を稼ぐだけのために生活費が一切終わってしまうんじゃないか。夫婦共稼ぎの人が入っていますという意見もあったから、冗談じゃないぞと言ったんです。人間というのは家賃以外に使わなきゃいかぬ経費があるじゃないか。家賃はその一部じゃないか。どれだけでいいかといったらほんの一部じゃないか。  そういう状況のもとに三十万円も家賃がするような家をたとえつくってみたところでどうしようもないと思いますよ。それはサラリーマン層の救済のためや住むための住居じゃないです。最近どんどん東京都内なんかに建っている住宅マンション、よく売れていますよ。だが、それは本当に住むための住宅でなくて投機のために買っている人が随分あります。全国の金持ちの目が東京に今集中しているんです。東京のマンションに集中しているんです。結局投機に使われているんです。そういうことを考えていったら、幾らつくったってそれは切りがないんです。だから私は、あなた方の政策の面が悪いというんじゃなくて、やるならやるできちっと、住宅をつくるなら今のサラリーマンの人たちが住めるような家賃でつくるという条 件をきちっと持ったものを計画しなきゃ、私はこんなもの意味はないと思うんです。  それで、先日も言ったのは、それは遠いから、環七の中に、いわゆる市街化の中の農地、それからもう一つは、一種住専と二種住専の問題を考慮する、一種住専の解決ができればこれは宅地供給ができるんじゃないかという案を出したんです。それは緑の保全という問題もありますよ。あるけれども、まだ東京都内をそうやって開発していけば、外の問題を解決するよりも、四千ヘクタールぐらいは活用できる土地があると言われておるんです。だからここに目をつけたものをひとつ考えなきゃいかぬ。それじゃ何をやるかといいますと、住宅政策の発動しかないんじゃないですか。今緊急対策東京都内を解決するのに民活なんかを考えていたら私はだめだと思うんですよ。第一番に優先するのは住宅政策の強力な発動ですよ。  それは何かといえば公共ですよ。住宅をつくるにしても、先ほど話したように、東京都の住宅は佃島で五万二千円の家賃でつくれるんです。それは国の補助なんかあるからそうなるんですよ。公団は結局財投でやるから十七万円。民間資金は二十九万ですよ。もうはっきり下回っているじゃないですか。東京の中で通勤距離を短くしていくためにもう政策発動しかない。それは公共で解決するものを表にぼんと出さなきゃいかぬ。僕は真剣に考えたらこれしかないと思うんです。そしてそこにやっぱり力を持たして、権限を持たしてやっていく施策しか私は解決策はないと思うんです。だから、公営住宅を多くつくるということと、それから公団については、もう少し住宅の建て方、いわゆる補助の仕方というものを財投だけじゃなしに何か手がないかと、これですよ。それからもう一つは、住宅公団にもう少し権限を持たして、国ができればいいが、国がなかなか実施するということは難しいです。都がすぐに宅地をつくることは難しい。だから、国なり都なりが行っている、そういう土地整備ができる公団にもう少し権限と予算を与えて、そしてそういうものを全面的に開発していく。  今この厳しい東京都の住宅の中でいろんな投資が行われておるけれども、しっかりとまだ何としても守られておるのは、いわゆる政策発動による公営、公共住宅だけは維持されていますよ、住宅として。あとのところはずたずたです。もう住宅が事務所になり、あるいはほかの店舗になり、さまざまです。もう見てきてください、この周辺を。そういう状況ですよ。だから私が今言っておるのは、そこに焦点を置いた問題でなきゃならぬと。  きのうの質問の中でもシンガポールのことも言いましたけれども、大臣わかっておるようなわかっておらぬような答弁でしたが、私が言いたいのはそこですよ。所有権と利用権を改めようとしたって特異性のあるものはすぐ直らない。だから公が前へ出るしかないじゃないですか。公が前へ出て、そして公の事業として住宅づくりをし土地開発をしていく。こういう政策を強行に東京の場合出していけば、そこの中で順次国民の中にも、持っておるものと使うものは多少別だろうなという認識もだんだん出てくるんじゃないですか。そのモデルを公共で、建設省が示す政策の中でやるべきじゃないですか。御意見をお伺いします。
  98. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 昨日本会議で御質問がございまして、わかったようなわからぬようなというお話でございますが、わかっております、御説明が少なかったと思いますけれども。シンガポールでやっておりますのは、国自体で住宅をやっておる、そのことはよくわかっておりますし、土地というものの国民の意識がちょっと違っておりまして、我が日本土地の所有者の意識というものは非常に、何といいますか、私有権というものが強い、かように思います。また、一つには、宅地は確かに私有であっても有効に利用するという考え方になってもらえば非常にありがたいんですけれども、全部が全部とは言いませんけれども、いろいろ言っておっても、値上がりを待つというような、これは税制の問題もありまして、税金にたくさん取られるということと、値上がりを待つということで、常々私が申し上げておりますように、本当農地で営農を行うというのなら逆線引きしてでもやったらどうかということをいつも言っておるんですが、そういうことであります。  それから今の家賃の問題ですけれども、何分類というふうなこともあれですけれども、実際は月給の二〇%ぐらいまででということを大まかな目標にいたしております。そういたしますと、一番いいことはお説のように公営住宅をたくさん建てる。それから我が方が直接指示をしてやってもらっております公団住宅も十分供給をしていく。しかも、これは土地が非常に高くなりましたから、有効に土地を利用して安い家賃にしていく。安い家賃にして、多少高層化しても土地代というもののウエートが少なくなるようにもっていかないといけないんではないか、こういうふうに思っております。  それから、マンション等で本来の住宅に利用しないで他のことをやっておるでないか。確かにそういうこともございます。ございますが、少なくとも公団につきましては、十分その点を注意して、そういうことならもう出てもらうとかいうふうに進めていきたい。民間の方も、住宅として建てたのでございますが、これは銀行から金が出ておったり、こちらから金を出しておるものについては、金融公庫から出しておるもの等については十分こちらでよく調査して処理をしていきたいと思いますが、民間から金が出ておる部分を建設省が直接というのもなかなか難しい問題は御承知のとおりでありますが、そういうことによって、いずれにしても、この法案と次の再開発法の改正と両方相まって宅地供給を進めていかないといけない、こういうふうに思っておりますので、御理解をいただき、ひとつ御協力をいただきたい、かように思う次第であります。
  99. 馬場富

    ○馬場富君 だから私は、シンガポール方式、大臣よくわかってないと思うんですよ。大臣は先ほどから何回もおっしゃってますが、私もわかりますよ、日本人であれば。土地の所有権と利用権のために、非常に所有権が強いために利用権が理解しにくいというこの日本の特異性というのをすぐ直せと言っておるんじゃないです。これはかなり国民的なコンセンサスが必要ですよ。これは時間がかかるんですよ。  だけど、先ほど私も申し上げましたように、なぜ建設省住宅政策が大事かというと、先ほどの大川端、佃島ですよ、すぐ近くですよ、あそこで東京の都営住宅が五万二千円でできるんじゃないですか。これは土地の問題と、所有権と利用権の問題は全然関係ないじゃないですか。やればできるという証拠を教えておるじゃないですか。もう一つは、公団は十七万ですよ。これをもう少し下げる施策考えられぬか。財投だけに任せずに皆さんの方で考慮すればできるんじゃないか。そういうところに予算をつけてやったらどうだということですよ。あんな近い、銀座から十分か十五分で行けるところで五万二千円の住宅が実際できておるじゃないですか。これを政策発動というんじゃないですか。それが今日本の中に一割しかないんです、公団、公営は、全住宅の中で。住宅金融公庫が三割です。住宅金融公庫も必要ですが、住宅金融公庫はどっちかというとどうしても民営との関係が入りますから、ここでも完全なコントロールがなかなか難しいわけですよ。  先ほどの潜り入居でも、住宅金融公庫の中には随分潜り入居があるんです。ところが公団、公営についてはないから守れるんじゃないですか。また安いものができるんじゃないですか。それを緊急対策のときに建設省が何よりも先にその政策を強行に実施してこそ東京都民が納得するし、建設省はやったなということに私はなると思うんですよ。何も難しい問題じゃなくて、実際できておるじゃないですか。そういうことを多くやるようにしていったらどうですか。それは予算が要りますよ。要りますが、そういうものに重点的にやれと私は言っておるんです。大臣の意見をお伺いして終わります。
  100. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 確かに大川端の問題、 昨日も御質問ございますし、今もお話のとおり、五万数千円と十七万数千円という違いがございます。できるだけ公営住宅をたくさんやってもらうように努力いたしますし、また公団の方についても財政支出をできるだけやっていくようにいたします。  しかし、基本的には、御承知のとおり公営住宅については低所得者、それから公団住宅については中堅勤労者、こういうことになっておりますので、低所得者に厚くという精神になりますと助成が違ってくると思いますのと、もう一点は今の床面積等のこともこれありいたしますが、いずれにしても、先生の言われるように、低所得者の公営住宅もちろんであります、どんどんやっていきますし、また公団住宅についても助成をふやしていく。また金利についてもできるだけ低金利ということで、また建てる方法についても高層化するとか宅地の有効利用というようなことも考えて、家賃ができるだけ安くなるように努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  101. 馬場富

    ○馬場富君 建設大臣にもう一問。  大臣、今まで言うことはもう言いました。だが、東京都内に、この中心部を控えて、とにかく四千ヘクタールほど我々の調べたところについては、公共を発動していけば、政策を発動していけば住宅になる土地があるんですよ。緑の保全とかそういうものを保ちながらもできる土地があるんですよ。だからそういうところに最優先的に、今私がお話し申し上げた公営住宅なり公団住宅——公団住宅が財投だけで足らなければ何か少しでも安くなる方法を考えて、それから土地供給についても、公団が国にかわって土地を十分供給するだけの資格があるわけですから、そういうところに権限を持たしたような、例えば公共用地払い下げ等についてはそこに優先的に住宅宅地にさせる、まず東京都内についてはそれを優先させるというようなことで対策考えていかれればできるんじゃないかと思いますが、そこに目をつけてほしいということをひとつ提言したい。
  102. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 国公有地、これにつきましては常に考えておりますし、いろいろ具体的にもお願いをしておるところであります。でございますから、第一番に、国鉄跡地を地方公共団体公団とに適当な価格でぜひもらいたいということも言っておるのですが、この問題もなかなか清算事業団の問題等これあり、話がまだ詰まってないということであります。地価の抑制と一石二鳥で住宅用地にということで努力はしております。今の国鉄跡地だけでなしに国有地、公有地等についてもそういう方向で進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  103. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この法案は、三大都市圏の近郊整備地帯等における大規模宅地開発について建設大臣が優良宅地開発の認定制度をつくるというもので、赤桐委員、馬場委員の質問で幾つかの大きな問題点が浮かび上がったと思うんです。  午前中の赤桐さんの質問に答えて局長は、東京圏で大体四千五百ヘクタールが念頭にあると言われました。その内訳ですけれども、これは民間デベロッパーが持っている土地で五ヘクタールから二十へクタール未満、それから取得した時期は例の列島改造ブームのときのものが多いのではないかと思いますが、ひとつ内訳をまず聞かせてください。
  104. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ちょっと御答弁申し上げる前に、正確を期して繰り返さしていただきますと、四千五百ヘクタール民間デベロッパーが持っている四千五百ヘクタールが念頭にあるというふうに上田先生今おっしゃいましたけれども、あるいは私が申し上げたというふうにおっしゃいましたが、ちょっと正確を期するために申しますと、私どもとしては五ヘクタール以上の開発というのは、当然開発許可によって出てくる土地が主でございます。十カ年間の長期展望として私どもは、開発許可で大体一万四千ヘクタールを賄っていく必要があるだろう、その半分くらいは五ヘクタール以上の秩序ある開発ということをまず基本に据えたこれからの宅地供給政策を組んでまいりたい。その中で優良認定の部分というのは大変大きな役割を果たす。その際に、一方で申し上げさせていただきたいのは、今お話しのように、民間デベロッパーが所有している土地、これも調べたところでは四千五百ヘクタールというのが図上では持っていますが、これをさらに逐次点検して、適正なものについては優良認定ということも当然考える、こういう趣旨で申し上げました。  そこで、今その四千五百ヘクタールのお尋ねでございますが、まず面積の方で見てまいりますと、十六ヘクタール以下のものが二地区、二十ヘクタール。それから十六から三十三ヘクタールが九地区、二百二十六ヘクタール。三十三から百、これが三十一地区、千七百六十三。それから百から三百、これが七地区、八百五十九。それから三百ヘクタール以上、これが三地区、千六百三十四というのが、私どもがいわゆるヒアリング調査等を通じて掌握しているものでございます。  それじゃこの保有期間、逆に言えば取得期間はどうかということですが、何年のいつということはちょっと正確にはわかりませんが、この四千五百について期限が長い方からいきますと、二十年以上保有しているもの、これが十七地区、千二百ヘクタール。それから十五年から二十年になるもの、これが二十九地区、二千八百ヘクタール。それから十年から十五年が一地区、三十八ヘクタール。それから五年から十年、三地区、三百三十九。それから五年未満というのが二地区、九十ヘクタール。こういったような状況で保有されているという事実は把握いたしております。
  105. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 四千五百ヘクタール、ほぼ市街化調整区域にある土地なんですか。
  106. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) この大体九割程度が市街化調整区域に所在いたしております。
  107. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長が午前中の答弁で、地方自治体の、例えば東京の場合七割が宅地開発指導要綱を持っている、非常に厳しい、行き過ぎもあるという話をされましたよね。自治体は乱開発を抑えるためにどこでもそういうものを住民要望に基づいて制定してきたわけで、どうもこの法案というのは、いろいろ言っているけれども、行き過ぎ是正ということを口実にして、民間デベロッパーが列島改造ブームのとき以来大変買い占めて、市街化調整区域の土地ですね、もう十年、二十年持っている土地、これを新しいシステムで、建設大臣の認定で利用できるようにしようというところにずばりと言えば本質があるとしか思えないんです。  それで、都市計画法では二十九条で開発行為に対する知事の事前許可制度が決まっている。三十三条では細かくその基準が決まっていて、この場合は許可しなきゃならぬとなっている。何も建設大臣の新しい認定制度を持ち込まなくても、基準に該当する開発なら進むようになっているわけですね。なぜ屋上屋を重ねるようなこういう特別な立法が必要なんですか。
  108. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど来出ておりますような御質問、御意見の中でもお答え申し上げていますが、大都市圏宅地需給の厳しさ、こういった中での供給の必要性というものは、私ども、かなり広域的な観点、いわゆる東京圏なら東京圏という広がりの中で厳しく認識して、また必要性を考えているところでございます。ところがこれを受けとめる公共団体においてはどうかというと、必ずしもそういう受けとめ方、見方というものはないというのも現実側面あるわけでございまして、そういった中で今回の認定というのは、先ほど来申し上げていますように、一つの圏域を越えての広がりの中での供給促進する必要がある土地、これを優良土地というふうに見ていこう、こういうものでございます。まあ言ってしまえばそれに尽きるものでございます。  今先生おっしゃった都市計画の体系での権限あるいは事務処理ルール、こういったものとの関係は、いささかも公共団体の固有の権限を侵す、あるいは機関委任事務として持っている権限を侵すというものでは本来あり得ないわけでございます。また、先ほど来申していますように、宅地開発 を受けとめる公共団体の実情それから意向、こういったものを踏まえますと、一方的にこれをどうこう言って片がつくものではないという現実を踏まえて、私どもは、よくひとつ国と公共団体がテーブルについて一緒になって認識を深めて考えていこう、こういう一つの仕組みを準備させていただいているというものでございます。
  109. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 都市計画法の三十四条で、市街化調整区域の開発行為について許可してならない場合等々厳しく決まっているわけですね。それで、この中の第十項の意味、「開発区域の面積が政令で定める面積を下らない開発」、それから「当該都市計画区域における計画的な市街化を図るうえに支障がないと認められるもの」ということになってて、知事はあらかじめ開発審査会の議を経てやることになっているわけですね。ですから、地方自治体の場合にはこういうふうに調整区域についてもきちんと決まっているわけですよ。  今の話を聞くと、いや何も侵すわけじゃない、ただ、国が地方自治体とよく話し合ってやるんだというわけですね。それじゃ、地方自治体が今までの法律できちんとやるようになっている仕組みがあるのに何で国が話し合うのか。もし地方自治体が反対ということになったらそれじゃどうするんですか。
  110. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃるとおり、都市計画法では一連の許可手続が決まっております。建設大臣はまたこれを預かる主務主管大臣でございます。そういった意味合いにおいても、私ども今回御提案しているこの法案は、都市計画法等に基づく知事の機関委任事務とはいえ、持っている権限あるいは固有の権限、こういったものを無視しあるいは軽視して宅地開発が進められるものとは決して思っておりません。  そういった中で、私ども今回御提案しているのは、くどいようですけれども、この宅地開発というものをめぐりましての国からの期待感と、これを受けとめる地方自治体の物の見方というものについてなかなかギャップがあるということもこれは地域によっては事実でございまして、そういった中で一つの必要性に関する理解を深め合うということをこの法律制度によってやりたいというものでございます。それだけに私ども、この法案先生よくごらんいただいているとおり、手続面でも非常に慎重に手続を踏んでいるところでございまして、申請から始まって認定に当たりましても公共団体の意向を無視、軽視するというものは一切ありません。  その間において、公共団体が反対だと言われた場合の対応でございますが、私どもは国の立場、建設大臣の立場としてはこれに対する理解を深める努力を当然やる立場にあります。しかし、それでもなおかつどうしても反対だというものについては、事の性質上、また制度の仕組みからしてもこれを認定するということは考えられないところでございます。
  111. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 馬場委員も先ほど質問をしましたが、一月二十一日に首都圏サミットがあったわけですね。新聞でも大きな報道があります。これを見ますと、例えば五ヘクタール以上の土地住宅開発を認めているのは東京都だけ。神奈川県は二十ヘクタール以上、それも大学、短大の設置に限って。住宅開発については埼玉は都心から五十キロ以北だけと決めてある。千葉県は研究所、大学等のセット開発なら認めるがほかはだめ。茨城は認めてない。そういうのが自治体がこれまでずっと体制の中で決めてきたあれなんですね。それに対して、先ほど大臣も言われたような要望が先だというわけでしょう。それで三十一地区、約二千六百ヘクタールということを先ほど言いましたよね。  非常におかしいのは、一月二十一日に首都圏サミットで、これは画期的だと言われたけれども、極めて異常なことですよね。知事と政令市長さんを集めて要望する。それで今法律が出てきているわけでしょう。法律はまだ通ってもいないのに、先取りですよ。一月二十一日に、さあ五ヘクタール以上を開発してくれと、国と自治体との話し合いを大臣を先頭に始めている。それで事業者からはヒアリングをして、やりたいというのが三十一地区、二千六百ヘクタールあった。事業者とヒアリングをしてその要望を、まだ法律もできていないのに、自治体の長を集めて自治体の方針と違うものをさあやってくれというのを始めたということになるじゃありませんか。とんでもないやり方だと思うんだな。それで、自治体からいろいろ問題が出ているのを、今度は法律を通すと。法的権力をもって話し合いをやろうというものではないか。行き過ぎ是正是正といって、結局助かるのは今まで土地を抱えていた民間デベロッパーですよ。自治体はこれを許可されると、道路から下水道からそういう社会資本の整備の負担を猛烈に受けてくるということになる。  私は非常におかしな法律だと思いますが、いかがですか。
  112. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先生の言われますことと私ども考えておりますことは全然違うわけであります。基本的に違います。私どもは、この法律は中堅並びに低所得者の住宅を確保しよう、これが目的であります。でございますから、何もデベロッパーのこととかそういうことではございません。  ちょっと話が長くなりますけれども先生、今人間の生活で一番困っておるのは住宅じゃないんでしょうか。衣食住の中で衣も食も十分であります。住が貧困であります。でございますから、住宅政策を大いに力を入れてやっていこう、こういうことであります。  そして、東京都を初め近郊の知事さんあるいは市長さんにお集まり願ってお願いいたしましたのは、この法律もさることながら、以前から二十ヘクタールであったのを五ヘクタールに下げておりました。でございますから、五ヘクタールのところでもひとつ開発を進めるようにしてもらえないか、こういうお願いをしたのであります。  一方、現実の問題として、農地等は減反をいたしまして草ぼうぼうのところがたくさんあるわけなんです。これはもう御承知のとおりなんですね。ですから、そこが優良なところはどんどん開発をして住宅用地を確保しよう、こういうことが目的でお願いをした。それだけではありません、先ほどもお答えいたしましたが、公団が建てましても、その県の方に八割、東京都の人は二割ですよ。ですから競争率がうんと違うわけなんです。これも緩和してもらえないかというお願いをしたわけであります。でございますから、五ヘクタール以上の開発、それから今の住宅の区分、地元と東京都の方の区分、これも緩和してもらえないか、こういうお願いをいたしました。そういうことで、ある程度はお聞きいただいて徐々にそのようになってきております。これは私も以前に予算委員会でも答弁いたしましたが、即効薬のようにきょう言ったからあすから変わるというものではありませんが、徐々にそういうふうになってきておる、こういうことであります。  でございますから、この目的は、とにかく住宅用地を確保しよう、住宅用地をできるだけ供給しよう、こういう目的の法律でございますから、何も業者がどうこうということではございません。業者だけでなしに、公団がやりましょう、あるいは住宅供給公社がやりましょう、全部この法律は網羅をしておりますので、何も先生の言われる企業の利益、こういうことではございません。  それからもう一つは、距離の問題もあるわけなんですが、人口急増地区は、先ほど言いましたように事務所とかそういうものを一緒に持ってきてもらいたい、こういうことですが、中には、過疎地は、とにかく住宅でも結構ですからぜひともお願いしたい、こういう地区もあるわけなんです。例えば埼玉等では一部御承知のような過疎地もございまして、距離の問題もありますので、どんどん開発をやってもらいたい、こういうところもありますので、それは交通の問題もございますからよく検討しないといけないんですが、いずれにしてもこの法律の目的は、中堅あるいは低所得者向けの宅地を、ひいては住宅を確保しよう、こういう 目的ですから、目的が全然違いますから、そのことだけ御了解をいただきたい。御了解をいただけぬかと思いますけれども、はっきりとここで私は申し上げておきたい、こう思う次第であります。
  113. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今大臣が、例えば公団の入居者の八割を県内にというのを変えてほしいということに触れましたけれども、なぜそういうふうになるかというと、建てれば社会資本を投資しなきゃいかぬでしょう。せっかく県民の税金を使うんだから、だから東京の人たちのために県民の税金を使うんじゃなくてということでああいう縛りが出てくるわけなんですね。  一つお伺いしたいのは、例の土地臨調、新行革審の土地対策検討委員会が、五月の二十五日に最終報告を出して、六月に答申が出るわけなんですが、けさの新聞に、我々がずっと主張してきたことなんですけれども、都心部にオフィスを持つ企業に社会資本整備のための費用を何らかの形で負担してもらう制度の導入が決まったと。これは前から報道ありましたけれども、最終的に決まったという報道が朝日に載っているんです。目的税という言葉もあるけれども、基金だとか受益者負担金ということなんだが、私はこれは非常に必要だと思うんですよ。やはり地方自治体の財政負担を緩和するためにも、また東京一極集中を是正するためにも必要なことで、これについてはどうですか。建設大臣、賛成ですか、こういう方向。
  114. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) まだ答申をいただいておりませんので、新聞で見ましたけれども、よく吟味してみます、よく論議して。今からのことであります。これまだ賛成とも反対とも、中身をよく吟味しないと、今からのことでございますから、必要なことはやりますし、それが国民の多くの方の喜ばないようなことはやりません。でございますから、今からよく検討をさせていただきます。
  115. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 国民は喜ぶんですよ。これにも書いてあるけれども、財界が反対するんですよね。四全総の原案にあったのを変えたのも財界ですからね。これは大臣慎重な答弁だったということを確認しておきます。  次に、デベロッパーを何ももうけさせるわけではないとおっしゃった。ちょっとお伺いしますが、この首都圏サミットで三十一地区が要望したというんですが、これはどことどこなんですか。公表していただけますか。
  116. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 答えから申し上げますと、我々が図上で調べた結果では、三十一地区、二千六百ヘクタールというのが一応その可能性があるというふうに認識していますということはその場で申し上げていますが、何県のどことどことどことか、どこの何へクタールとかというふうなものは一切申し上げておりません。というのは、まだ私どもそこまで申し上げるほどの確信を持った典型ができておりません。これは挙げてこの法律が制定、施行されました後に私ども個別に具体に検討させていただきます。
  117. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大臣、埼玉の例を挙げられました。私ども埼玉県に行っていろいろ調べてきました。埼玉では県議会の答弁でどことどこかもう出ているんですよね。三カ所です。北本市朝日地区、三十ヘクタール、飯能市宮沢地区、六十四ヘクタール、下畑地区、約三十九ヘクタール。県議会の答弁で、埼玉県側の態度は、このうち北本市の朝日地区、飯能市の宮沢地区、住宅開発は困難だと言っている。下畑地区については住都公団開発なのでこれは検討したいというのが県側の態度なんです。  時間も余りありませんので少し飛ばざるを得ないんですが、非常に問題が多い。例えば飯能市の場合は西武資本が宅地開発を進めてきたところで、これは西部に水がないところで、入間川にダムができて、それで最近シアンの問題が大分大問題になっていることは御承知のことだと思うんです。だからここは水の問題その他その他でいろんな問題があるわけですね。そういうところに勝手に建設省にさあやれやれと言われても、県としては当然なかなかうんと言えない。関係自治体としては、今までいろいろ苦労してきているのに一体どうなっているんだろうと思うのは当然だろうと思うんですよ。  さて、デベロッパーがこの三地区について幾らで購入したか、それも調査してきました。北本市朝日地区は、これは問題のところですが、フジタ工業、十アール三百五十万円から四百五十万円、昭和四十六年から四十九年、やはり列島改造の時期です。この時期に買ったものです。飯能市宮沢地区、西武鉄道、三十万円から四十万円、十アールですよ。これは三十年ごろから買ったというんですね。そうすると幾らになるかというと、一平米当たり北本市朝日地区で三千五百円から四千五百円、飯能市宮沢地区では何と一平米当たり三百円から四百円で、まあ昭和三十年というのはこういうことでしょう。そのぐらいで手に入れた土地なんです。もちろんその後金利はあります。金利はありますけれども、地価暴騰でやっぱりここも大変な価格になっている。  公示地価を調べてみました。北本市の調整区域内宅地は六十三年度公示地価で一平米当たり四万九千円。一般の住宅地では十五万円前後だ。飯能市の調整区域内宅地は六十三年度公示地価で三万四千円。区画整理済みの住宅地で二十万円台という状況なんです。こうしますと、条件の違いはいろいろありますよ、いろいろありますけれども、調整区域内の農地混在地区の住宅地と比べても北本市の例でざっと十倍なんです。それから飯能市宮沢地区では何と百倍になります。さらにここを大規模な宅地開発を行えば当然その数倍の価格になるだろうと思うんです。  こういう土地を抱えてデベロッパーは今まで開発をできなかったのだから、もうどうにもならなかったけれども、今度の法律がもし成立し、法律の成立の前から皆さん方はこの埼玉には三地区行っているわけです。新聞を見ますと、三地区合わせて百三十三ヘクタールを埼玉には要望と書いてある。この三地区計算しますときっちり百三十三になりますからね。それで県議会で明らかにしているから、そういうところをもうあなた方はヒアリングの結果埼玉県に要望しているわけですね。  この法律がもし通ってそしていきますと、それで宅地開発が認められるということになるとどうなるかというと、西武鉄道の場合、飯能市宮沢地区で六十四ヘクタールの半分がもし二十万円で売れれば六百億円ということになるんです。結局大手デベロッパーがいろいろ思惑買いで安く手に入れた土地、売れないで困っていた、彼らとしては困ったんでしょう。それで建設省がヒアリングをすると、いやこれはぜひやりたい、ああそうかということで、首都圏サミットを開いて、さあ埼玉この三つやってほしいということを要望したんでしょう。それで埼玉はこのうち一つ、住都公団の場合は検討するけれども、あの二つは反対だという態度をとっているというわけなんで、こうしますと、あなた方、我々も埼玉のケースしか調べられませんでしたけれども、ほかのところでも建設省がこの法案に託してやろうとしていることは、私が今申し上げたようなこと以外にないのではないか。  大手デベロッパーのために、この代弁者として、宅地開発指導要綱が行き過ぎだ、行き過ぎだということで、せっかく今まで乱開発を防止するために宅地開発指導要綱をつくってきていたのにそれを是正しろという口実で、こういう大手デベロッパーのための彼らの新しいもうけを保証するための宅地開発を結局進めていく。進めていった結果、地方自治体はその結果余儀なくされる学校、道路、下水道あるいは交通等々の社会資本の負担をますますかぶることになるという結果にしかならないと思いますけれども、この埼玉の三つのケースについてお答えいただきたいと思います。
  118. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほども申しましたように、そういう個別具体のことはまだ申し上げる段階ではないだけに、サミットでもいささかも出ておりません。  ただ、経過として私ども調べたところ、三十一地区、二千六百ヘクタールというようなものは正 直言ってリストは持っております。それはくどいようですが、全く図上で点検したものであり、またそれ以上のいささかの予断も持ったものではございません。そういった状況を県の担当者に渡しているということは事実あります。しかし、それだけのものでございまして、私どもはあくまでも今回御提案申し上げている法律は、この法律の持つ手続をしっかりと踏む中で、冒頭申し上げましたように、建設大臣というか国の目で広域的な視野で見て、優良な宅地供給を急ぐべき宅地の候補地というふうに認められるものならば、それはだれが持っている土地であろうとも認定の対象にしていく、この域を今出ないものでございます。  そういった格好で、所有がどうであるか、効果がどうであるかということよりも、むしろこの現下の厳しい宅地需給関係の中で、当面急いで宅地を安定的に供給するための方策として我々は整々とした仕事の進め方をしてまいりたいと思っております。
  119. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先ほどのことで、私が慎重であったといいますが、慎重も慎重でないもない、今から検討をいたします、いずれにしても土地臨調から出てきてもおりませんので、今から検討をしますというので、慎重でも何でもございませんのではっきりと……。  それから今のお話でございますが、私が埼玉の話をいたしましたが、特に決まった地域のこと一切話は出ておりません。どこが持っておろうと、どこが持っていなくても、要は埼玉県の方から、私の方から要請したんじゃない、埼玉県は、開発がおくれておるようなところ、先ほど私が言いましたように、過疎になるような地帯についてはやってもよろしいが、非常に急増地区のようなところは余り好まないという気持ちであった、こういう話であります。  それで先生から、とらぬタヌキの皮算用で随分もうけるような話がございましたが、私は、別にもうけるとかもうけないとかいうことよりも、宅地供給が実際にできていくことを望んでおる。そういうことでございますから、どの土地であってもそれが優良宅地になる、また非常に交通の問題もございますので、通勤距離の問題もございますので、そのとおりいくのかいかないのか知りませんが、そういう特定の土地でなしに、全般的に開発のおくれておるようなところは来てください、来てくださいということを市町村も言っている、こういう話を申し上げたのであります。でございますから、埼玉の特定地区を指して申し上げたわけではございませんので、今から全般的に開発が可能なところ、優良宅地ができるところ、それが中堅あるいは低所得者のために住宅用地に供せられるところ、こういうところを開発していこう、こういう話であります。
  120. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今大臣は、具体的な土地は言っていないと言われたけれども局長は担当者にリストを渡したと先ほどはっきり言われた。これは新聞によりますと、建設省が挙げた三十一地区、約二千六百ヘクタールのうち一番多いのは神奈川県、十五地区、一千四百二十八ヘクタール、次いで千葉県、六地区、五百五十五ヘクタール東京都、六地区、四百二十五ヘクタール、埼玉県、三地区、百三十三ヘクタールなどともうはっきり出ているんですね。そういうことの事実もあり、報道もされ、担当者に渡しているのに、埼玉の具体的な地区なんか言っていないと。これは聞こえませんね、そういう言い方は。  最後に、大臣は、宅地本当住宅に困っている人に渡したいからやっているんだということを言われた。それなら、こういう民間デベロッパーが抱えてどうにもならなくなっている土地が活用できるんなら、取得価格プラス金利などで自治体に提供させる、自治体の構想と整合性のとれた計画の中で、馬場委員も先ほど強調しておりましたけれども、県営住宅とか公共住宅賃貸住宅を建てる、安い良質な公共賃貸住宅をつくるように努力することこそ政府建設省の責任だと思うんです。そういう決意がおありかどうか、最後にお伺いして質問を終わります。
  121. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先ほどから言っております埼玉の問題です。くどいようですが、はっきりしておきますけれども、首都圏サミットで申し上げたのは、こういう地区もありますということは示したかもわかりませんけれども、全般的なところで五ヘクタール以上をぜひ開発をやらせてくれないかということと、しかもその開発の手続を早くやってくれないか、くどいようですが、そういうことを申し上げた。もう一つ公団住宅の話でございます。主な項目はこの三点ですから、これは間違いのないようにひとつ申し上げておきます。  それから、土地の買収価格と金利を入れて地方自治体にということでございますが、今のこの制度の中では、これはどうしろということは率直に言って言えません。  ただ、私が申し上げておりますのは、国公有地等については地方公共団体並びに住都公団に適当な価格でいただきたい、こういう話をしております。そのほかの民間のを幾らで渡せとかなんとかいう、今の経済の中ではそういうことはなかなかできない、こう思います。しかし、よくないところはこれは自然の法則で幾ら開発しても売れないんじゃないですか。そうでしょう。良好なところ、それは良好なというのは、土地そのものも良好であるし、環境もよく、しかも通勤時間等、いろいろな要素を含めてよければ売れますけれども、よくなかったら売却できない、幾ら開発しても。これは自由経済の原則で、従わなければいけない。したがって、市町村へ幾らの価格でこれを譲渡しろとか、そういうことは今の制度では言えない、このことをはっきり申し上げておきます。ただ、たくさん宅地ができて供給が多くなれば自然に下がってくるんじゃないでしょうか。これはもう原理原則がそうなっておりますので間違いない、私はそれを進めていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  122. 青木茂

    ○青木茂君 先日のこの委員会で、最後になってくると用意した質問の九割方は前に出ちゃったというぼやきをしたんですけれども、今回はもう九七%ぐらい前で出てしまいましたから、同じことを伺って同じお答えをいただくのも何か芸がない感じがいたします。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕  したがって、第一問は、これちょっと通告外で申しわけございませんけれども、私が一方的にしゃべりますからお許しいただきたいと思います。ただ確認しておきたいのは、局長が、この前もそうだし、きょうもそうなんですけれども、家賃ですね、これは一般論でも今度できる団地でもいいですけれども、一般論として、大体可処分所得の二割以内ぐらいにはおさめたいというようなお話が出たわけですけれども、これはそうなんですか、目標は。
  123. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 家賃のお答えについてはたしか住宅局長からされた経緯があると思いますが、私ども考えています今回のこの優良宅地法による供給宅地というものは、京浜地区の中堅勤労者の年俸というのは大体七百万円くらいというものを仮に頭に置いた場合に、五年ないし六年以内でもって適正な規模の土地を取得し、そこそこの家が建つというものを一つの念頭に置いて考えていますということは、私はかつて御答弁申し上げました。
  124. 青木茂

    ○青木茂君 年俸七百万というと、一般的なサラリーマンではとてもこれは無理なんで、七百万というと大企業の課長以上クラスになってしまうんですよ。大体サラリーマンの八四、五%は五百万以下にはまっちゃいますから、大変これは難しいと思うんです。普通のサラリーマンの上限というのが年収五百万程度なんですね。五百万程度で四人家族で今度できる家へ入って家賃二〇%だと、こうきますと、家賃二〇%取られてしまうと何か生活ができないような感じが出てきてしまうんです。  家賃二〇%で、普通の家計調査あたりからの標準値を出してきてエンゲル係数を仮に二五%と見ます、本当はもうちょっと高いんでしょうけれど も、エンゲル係数を二五%と見て、家具備品だとか光熱水道費だとか、家賃以外の住居費を一〇%と見て、被服、教育、交際、教養娯楽、交通通信、保健医療、こういうものを五%ずつと踏めば、いわゆるサラリーマンの小遣いというのは一〇%しかとれません。そうすると、三十万掛ける一〇%ですから三万円です。三十日で割れば千円です。昼食代を含めて一日千円でやれったってこれは随分無理な話ですし、貯蓄に至っては五%しかとれません。三十万の五%といったら一万五千円です。そうすると、一年間に直しても将来に備えて十八万円しか貯蓄がとれないというようなデータが自然に出てくるわけです。  だから私は、年俸の多い少ないはともかくとして、国が世話をする住宅というものの家賃二〇%を目標にしたらあとの生活ができない。貯蓄一万五千円、年十八万ではとても将来不安ですし、一人前のサラリーマン一日千円で何とかしろといったって、これは実際はできません。そういう状況がある。だから家賃目標は下げなければいけないということだけは申し上げておきたい。二〇%を上限としたら無理だということです。それだけ通告外で申し上げておいて、次にこの法律そのものへ入ります。  この法律、非常にいい法律だと思いますよ。思いますけれども、非常に中央の規制が強いというのかな、一種の中央主導型ですね。これはどうなんですか、政治全般の流れから見て、総理の言うふるさと創生論というのとむしろ逆に流れているんじゃないかという感じがする。これはもっと私は地方に自主性を持たせた方がうまくいくんじゃないかと思うんですけれども、これは大臣、御所見どうですか。
  125. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 確かに地方に権限といいますか、持ってやっていただくことがいいと思うんですが、先ほど来何回も言っておりますように、実際問題として今まで開発というのを非常に抑えておる習性があるわけなんですね。どうせやらないのならもうやむを得ないと思うんですが、やるとなれば、スピーディーにやっていただいたら金利負担とかそういうことで大分助かる、こう思うんですよ。始めてから土地開発をやろうと思いますと、結局買収して、買収が終わればあと手続なんですが、手続で時間がかかるということが大変なんですね。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 でございますから、一つには早く開発をする。そしてしかも、優良なところを認定すれば、税制なりあるいは今の公共施設等を含めてできるだけの助成をして安く供給する、こういうことの誘導策といいますか、そういうことでやっていく。  でございますから、結局一つ土地開発するにいたしましても、市町村の都市計画審議会ですか、それから都府県等の審議会、こういうものの議を経ますが、それまでの期間がいろいろなところで大変なんです。ですからそれを並行的にやって、早くやって早く宅地供給してもらおう、しかも優良なところは、くどいようですが助成もして早く出してもらおう、こういうことで一つの誘導策でございますから、地方公共団体に押しつけるという意味ではございませんので、やろうということになったら早くやってくださいよ、しかもできるだけひとつ御協力をいただけませんか、こういうことの誘導策というつもりであります。
  126. 青木茂

    ○青木茂君 誘導策という意味で了解をしましたけれども地方がやりたがらないのはそれなりのやっぱり何か理由があると思うんですよ。その理由を分析してみて、できるだけ地方自治体が率先してこういう仕事をやるような誘導もまたこれ必要だと思います。  もう一つ、私ちょっと奇異に感じたのは、これは三大都市圏ですよね。北九州とか北海道の札幌周辺だとか、ああいうところはなぜ入らなかったんでしょうか。
  127. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) およそ宅地問題、住宅問題ということになりますと大小いろいろの事情が、厳しさの事情は違うとは思いますが、全国的にあることは私どもも承知いたしております。  そういった中で、今回とりたててこの三大都市圏というものを御提案申し上げていますのは、先ほどもちょっと出ていましたけれども、最近の地価公示の例を一つとってみましても、大変にやっぱり東京圏、大阪圏、名古屋圏、とりわけ東京圏というところの地価問題、それがよって来るゆえんである宅地問題、これが非常に深刻であるということを一点踏まえまして、それに対する緊急対策として今回御提案申し上げたというものでございますので、今回はあえて三大都市圏に絞らしていただいております。くどいようですけれども、ほかの地域について土地対策なり住宅対策は無用であるということを意識しているわけでは決してございません。緊急措置としての必要性をここに絞ったということでございます。
  128. 青木茂

    ○青木茂君 今地価はドミノ現象的にやはり地方へ波及しておりますから、僕は機先を制する意味でも札幌だとか北九州だけは入れた方がいいんじゃないかと思いますけれども、まあこれ決して忘れてはいらっしゃらないということだから、置いておきます。  それから、せっかくいい法律をつくってもそれが実現しないとこれは何にもならぬわけなんです。ここでちょっと気になったのは、新都市基盤整備事業というのがありますね、これが実績ゼロなんですよね。これはどういうわけだろうか。人口五万以上の都市をまとめてつくろうというやつですね、それが実績ゼロ。せっかくやろうとして需要がなかった。これは意味がないような気がするが、これはどういうわけで実績ゼロというようなひどい数字が出ちゃったんでしょうか。
  129. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お話しのように、昭和四十七年に新都市基盤整備法という法律ができております。これは、その当時、これからの都市整備、ニュータウン開発、言ってしまえば今で言う複合的な市街地整備ということに対する一つの新しい仕組みとしてできた法律でございますが、この法律の要件が御案内のとおり五万人以上というふうな規模要件を想定しています。これは面積にしますと大体百七十ヘクタール以上くらいになりましょうか。そういったことで非常に大規模団地、こういったものが念頭にあった法律でございます。  こういったことから、その経過を見てまいりますと、最近二十年間の日本大都市圏宅地開発政策を見ていましても、確かに一時期、大都市志向の時代がありました。ところが、最近、素地の問題あるいは公共団体の受けとめる意識の問題などなどいろいろな制約要件の変化の中で、こういう百七十ヘクタールに及ぶような大規模なものというのはなかなか現実に動かない、適地がなかなか見つからないということがやっぱり最大の原因ではないだろうかと思っております。非常にこの制度の仕組み、ねらい目は私ども立派なものと思っておりますけれども、現実はそういう経過の中で実績は残念ながらゼロと、御指摘のとおりでございます。
  130. 青木茂

    ○青木茂君 今度できるものが、つくってやってはみたが実績ゼロになっちゃったということがないように、これは十分御留意をいただきたいんですけれども、仮に実績ゼロになるかなと思うような理由として、これは何も建設省だけの問題じゃないんだけれども、いろんな規制、許可認可をもらうのに、もらう方としてはこんなに書類をつくらなきゃならぬわけです。それが非常に民間活力を阻害して、期間も長くなるしコストも高くなってエンドユーザーにはね返るという問題がどうしてもございますから、これは私の方のお願いとして、とにかく幾らお役所仕事とはいうものの、私は兵庫県へ行って見せてもらいました。書類がこれぐらいあるんですよ、一つの許可をもらうのに。これじゃ民間はかわいそうだという点がございますから、よろしくどうぞお願いをしたいと思います。  とにかく、そういう面倒な手続をいろいろしまして、何かメリットがなければ土地を提供する方も提供しないだろうし、またデベロッパーの方も余りややこしければもう敬遠だと、こういうこと になるんでしょう。  そこで今度は、土地を譲渡する者というのかな、譲渡する者のメリットというのはやはり減税だろうと思いますけれども、どれぐらいの一体これは減税になるのか。例えば一億円なら一億円と仮定をいたしまして、そして他の所得なしという非常にアバウトな仮定を置いて、どれぐらいの規模の減税になるか、ちょっと教えてください。
  131. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ただいま先生から減税にかかわる御質問でございますが、これは幾つかの仮説、仮定を置かないとなかなか御答弁しにくいものですから、今先生おっしゃったように、とりあえず個人が土地を売った場合の譲渡所得税に関する減税を申し上げたいと思います。  これについては、所有期間が五年を超えている土地、これをひとつ前提に置かせていただきます。それから譲渡所得が一億円であったという場合、しかも他の所得がないという非常に純粋な格好でもってちょっと私ども試算させていただきましたところ、以下のようになるというわけでございまして、これは先生御専門でございますが、要するに、以下私が申し上げることのいずれかを適用するというふうになるわけでございます。  一つは、優良住宅地の造成等のための土地等を譲渡した場合の課税特例を選択した場合、言うなれば例の四千万、従来四千万円を境にして二〇%あるいは超の部分を二分の一総合課税、あの部分でございますが、優良宅地譲渡の場合には一律今度は二〇%ということになったわけです。これでいきますと、現行税制が二千三百七十二万五千円というものであるのに対しまして、千九百八十万円に軽減される、こういう計算ができます。  それからもう一つは、千五百万控除特例、これを選択した場合でございますが、これは同じように、二千三百七十二万五千円となる税額が千九百八十七万五千円という格好で軽減されまして、都合大体四百万ぐらい軽くなるんじゃないかと思います。  それからもう一つは、実はちょっとこれと違うんですが、大規模な住宅地造成事業にかかる今回の対象にしておるような事業でございますが、こういった土地等の交換などの場合の課税の特例があるわけでございます。要するに、施行地区内に従前土地を持っていた人が、新しく造成済みの宅地の中で土地を交換していただく、こういった場合、これは言うなれば交換によって取得した価格の範囲内で、これが譲渡がなかったものとする特例という措置をとりますと、いわば課税が繰り延べされて、当面はゼロである、こういうことでございます。
  132. 青木茂

    ○青木茂君 第三のケースはこれは非常にまれなケースだと思います。それと、二〇%分離課税の問題と千五百万控除、ともに計算結果は似ていますね。大体四百万円弱ぐらいの減税と申しますか、税負担が減るわけですね。土地を持っている人が四百万の税負担が減ることによって、土地供給が、それはないよりはいいですけれども促進されるであろうかという点には若干疑問が残ります。  もう一つ、集合住宅をつくりますと、中にセンター施設がいろいろ必要になってくると思うんですよ。そのセンター施設をスムーズに入れてくる、嫌がらずに入ってもらえるようにするためには、例えば不動産取得税であるとか国定資産税であるとかそういうものの軽減措置がこの法律の中に盛り込まれたならば、何か錦上花を添えるような格好になるんじゃないかと思うんですけれども、これについては法案には一言も触れられていないわけなんですけれども、その点いかがでしょうか。
  133. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃるとおり、これからのこういう開発をやっていく場合におきまして、ショッピングセンターなどのいわゆるセンター施設、これの適正な時期での立地というものは大変大事な問題でございます。今回のこの法案を出すに当たりまして、私どもその面での税制特例として、いわゆるセンター施設につきまして国税、地方税での若干の措置を考えさせていただいております。それはまず、国税の面で言うと割り増し償却、五年間二四%の割り増しをしたいということとあわせまして、地方税で特別土地保有税を非課税にするということにいたしています。  そこで、今先生おっしゃった不動産取得税あるいは固定資産税の点でございますが、これはやっぱりあればそれにこしたことはないというように率直に思いますけれども、私どもまたそういった意識は持っておりますが、この辺になりますと、他の類似の税制とのバランス、総合的に見なきゃならぬというふうな実情もこれありまして、今回は御提案するに至っていないというのが実態でございます。
  134. 青木茂

    ○青木茂君 建設省としてはあるにこしたことはないと。どうなんですか、これから大蔵省、自治省にこういうものを少し要求してみる、だめもとで拒否されればしようがないんだけれども建設省の立場としては僕は要求してもいいと思うんです。これで完全に引き下がってしまうのか、繰り返し繰り返しひとつ予算要求をやってみるのか、ここら辺はどうなんですか。これは大臣の問題かな。
  135. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃるとおり、土地あるいはこういう宅地開発にかかわるいろいろな意味での税制というのは私どもたくさんの課題意識を持っております。そういった中で、今回御提案申し上げているこの町づくりについて、やはりこれも今後の私ども認定作業をやっていく中で大変これが大事であるということも現実出てくる可能性を認識していまして、その間において必要に応じて自治省等関係省庁にも私ども要望させていただきたいと思っております。
  136. 青木茂

    ○青木茂君 やはり一つの大きなものをつくるという場合には、環境とのバランスということが非常に重要だ。開発ということと環境破壊ということは裏表の関係がありまして、なかなかその両者が両立するということは大変難しいことなんですけれども、これを推進する、あるいはきょうここに法案として提出される前に、この環境とのバランスという問題について、例えば都市計画審議会であるとか自然環境保全審議会であるとか、そういうものに御相談になったというのか、意見を徴したということはあるんですか。
  137. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今回のこういう制度を立案する過程におきまして、私どもかつて住宅宅地審議会の方から一つ考え方について御答申をいただいています。そういった経過がありましたので、この法案考えるに当たりましても御説明申し上げて報告いたしております。了承もいただいております。ただ、その場では、特に今先生おっしゃった環境との関係というのは直接的には取り上げておりません。これは住宅宅地審議会はそれをやるところでは必ずしもないわけでございます。  ただ、申し上げたいことは、一般的にこういう都市計画にかかわる事業、それ以外の一般的な大規模な公共事業もそうでございますが、私ども非常に環境との関係は十分に慎重に配慮しているところでございます。とりわけ今のこの課題になります宅地開発というものになりますと、当然これは都市計画法によります開発許可という手続を踏むことになります。また踏むことが前提になっております。そうすると、この開発許可は、先生も御案内のとおり、都市計画法では環境との調和ということを非常に重視しておりまして、具体的には開発許可基準におきまして、開発区域におきます植物の生育の確保に必要な樹木の保存だとかあるいは表土の保全などの措置がもう既に決められているわけでございますので、その準則に従って的確に処理していく中で環境との調和は十分図られると考えているところでございます。
  138. 青木茂

    ○青木茂君 最後に大臣にお伺いをいたしますけれども、今お聞きのように、とにかく土地を提供してもらわなきゃいけないわけだから、その土地提供が、今四百万弱の減税だということなんだけれども、もう少し広げてみて、基本的に言って、どうも宅地供給が公的なものも民的なものも少し停滞ぎみなんですよ。思い切って土地供給促進させるには今後一体どういう方途というものがあ るだろうか。建設大臣としての抱負を伺って終わりにします。
  139. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 土地提供の問題でありますけれども、率直に言って、農地を対象にいたしますと、農家は今からの農業というものを非常に心配いたしております。でございますから、土地を手放すということをそれほど嫌っておるとは思わない、まあ場所によりますけれども。といいますのは、例えば道路をつけましても、道路を私の部落の方へ回してくれ、私の部落の方へ回してくれという話が、非常に道路の引っ張り合いですね、こういうことがある。これはなぜかといいますと、道路ということになって税が御承知のように三千万までは免除されるわけですね。そういうことによって道路というものが地域的にいいますと農村では非常に引っ張り合いになるんです。でございますから、その点からいうと税制というものが、土地は手放してもいいけれども税金になってしまうという思想と、この際売っておけば税金を逃れるといいますか、そういうことで、先生の言われる税の問題は非常に大事でございます。  でございますから、やはり将来はいろいろ土地取得についての税制の問題を考慮して、考慮といいますか、税制の問題はよく大蔵とか自治とかこういうところと折衝を進めていって出しよいようにしていこう。  第一番は何といっても土地の取得、これが第一番であります。次はお話にありますように手続の問題。これはもう実際にやるとなりましたらなかなか、農水省の出先とか環境庁の出先とかというそこへ行き来しておるのに、率直に私は申し上げますけれども、これが役所仕事であろうかと。これはもうそのことが全部土地代にはね返ってくるわけなんです、金利で。ですから、とにかく早く手続を完了する、こういうことに努めていく。ですからとにかく早く事業にかかれるようにしていく。事業にかかった場合には、できるだけ公共につきましては政府も、地方自治団体に言うのは無理だと思いますけれども政府としても助成をしていく、こういうことによって優良な宅地を早く供給してもらう、こういうこと、これは公団、公庫、民間を含めて、要はたくさん出ればいいわけですから、進めていく、そういうふうに努めてまいりたい、かように思う次第であります。     ─────────────
  140. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 委員異動について御報告いたします。  本日、井上吉夫君及び植木光教君が委員辞任され、その補欠として二木秀夫君及び野沢太三君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  141. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  143. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法案に反対の討論を行います。  本法案は、三大都市圏の近郊整備地帯等における大規模な宅地開発について、建設大臣が優良宅地開発と認定する制度を創設し、その開発推進を図ろうとするものであります。  反対の第一の理由は、本法案地方公共団体の自主的、計画的な町づくりに重大な支障をもたらすことです。  建設大臣の優良宅地開発認定は、地方公共団体に圧力をかけて開発許可に関する地方公共団体の権限に干渉し、特定の開発計画を押しつけようとするものです。勤労者の住宅難をもたらした最大の原因である内外の大企業の東京への集中は野放しにしたまま、そのしわ寄せを周辺部の自治体、住民に押しつけるやり方には賛成できません。それが地域の実情に応じた自主的、計画的な町づくりを困難にし、地方公共団体に大きな負担を押しつけることになるのは明白です。  第二の理由は、大企業の土地買い占めを免罪し、巨額の利益を与えるだけであり、勤労者の手の届く住宅を何ら保障するものではないことです。  本法案の対象となる土地の多くは、列島改造の時代を中心に、大企業が市街化調整区域内で買い占めたものであり、人口急増の抑制、乱開発の防止などの必要から開発不能となっていたものです。本法案は、こうした土地に建設大臣のお墨つきを与えて開発を許し、大企業を救済するものと言わざるを得ません。今日の都心部を中心とする地価高騰をさらに周辺部にまで拡大し、土地を買い占めた大企業に地価高騰による莫大な利益を与えることは明白です。一方、供給される宅地が一般勤労者の手に届く価格に抑えられる保障は全くありません。  異常な地価高騰を抑え、勤労者の住宅難を解決するには、大企業の東京一極集中を抑制し、既存の住宅を次々と破壊している悪質な地上げ、買い占めを規制するとともに、大企業が保有する有休地を適正な価格で地方公共団体等に提供させ、良質、低廉な公共賃貸住宅の大量供給を推進すること、関連公共施設整備のための地方公共団体の財政負担を軽減することなどこそが緊急かつ重要であることを強調して、私の反対討論を終わります。
  144. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  146. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川君。
  147. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は、ただいま可決されました大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及びサラリーマン新党・参議院の会の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、地価の高騰等により、大都市地域中心住宅宅地問題が深刻化している現状にかんがみ、国民が適正な価格で良質な住宅宅地を取得することが可能となるよう、住宅宅地対策を積極的かつ強力に推進すること。  二、良質で適正な価格の宅地供給促進するため、低利融資等の助成措置の強化に努めるとともに、宅地開発関連公共公益施設の整備の促進について特段の配慮を行うこと。  三、大都市地域における宅地問題の緊要性にかんがみ、国と地方公共団体が緊密な連絡・調整を図り、宅地開発事業促進に努めるとともに、宅地供給を的確かつ計画的に実施するよう、民間及び公的宅地開発事業者を十分指導すること。  四、大規模な宅地開発が、周辺地域の急激な地価上昇をもたらさないよう、地価対策に十分配慮すること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  148. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  149. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 多数と認めます。よって、 小川君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、越智建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。越智建設大臣。
  150. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。  ここに本法案審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表しごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。
  151. 村沢牧

    委員長村沢牧君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  153. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。越智建設大臣。
  154. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) ただいま議題となりました都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、都市環境の整備改善、住宅・事務所の供給促進等の要請が高まっておりますが、これらに対処するためには、市街地の計画的な再開発を一層推進することが重要であります。  特に、産業構造の転換、物流・交通体系の変化等に伴い、都市内においてまとまりのある空閑地等が大量に発生しており、このような区域について一体的かつ総合的な市街地の再開発を誘導することが重要な課題となっております。  そこで、市街地再開発事業につきまして施行区域要件の緩和及び権利変換手続の特則の拡充等を行うとともに、再開発地区計画に関する都市計画を新設し、その区域内における建築物に関する制限の特例を設けるため、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず、都市開発法の改正についてであります。  第一に、市街地再開発事業の施行区域内の耐火建築物の割合の算定に当たり、容積率の低いものは耐火建築物に含めないこととするとともに、耐火建築物に含めないこととされている建築面積の小さいものの範囲を拡大することにより、施行区域要件を緩和することとしております。  また、地方公共団体等の施行する市街地再開発事業について、権利変換手続の特則を拡充するとともに管理処分手続の特則を新設することとしております。  第二に、土地の利用状況の変化が顕著であること、十分な公共施設がないこと等の条件に該当する土地の区域で、一体的かつ総合的な市街地の再開発を実施することが適切であると認められるものについては、都市計画に再開発地区計画を定めることができることとしております。  再開発地区計画に関する都市計画には、区域の整備及び開発に関する方針、道路・公園等の公共施設の配置及び規模並びに再開発地区整備計画を定めるものとしております。この再開発地区整備計画には、必要に応じて、地区施設の配置及び規模、建築物の用途、形態、敷地等に関する事項その他土地利用に関する事項を一体的に定めることとしております。  第三に、再開発地区計画が定められた区域内において建築行為等を行おうとする者は、市町村長に届け出なければならないものとし、市町村長は必要があると認めるときは勧告ができることとしております。  第四に、再開発地区計画の区域のうち再開発地区整備計画が定められていない区域内の権利者は、建築物、公共施設等の整備に関する事項を内容とする協定を締結した場合には、再開発地区整備計面を定めるべきことを要請することができることとしております。  次に、建築基準法の改正についてであります。  再開発地区計画に容積率の特例が定められている区域内において、その計画の内容に適合する建築物で、特定行政庁が支障がないと認めるものについては、容積率をその特例の範囲内のものとすることができることとしております。  また、再開発地区計画の区域内の建築物について、特定行政庁の許可により斜線制限を緩和することができることとするとともに、用途の制限の例外許可についての特例を設けることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  155. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会