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1988-04-19 第112回国会 参議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      橋本孝一郎君     山田  勇君  四月十六日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     橋本  敦君  四月十八日     辞任         補欠選任      山田  勇君     関  嘉彦君  四月十九日     辞任         補欠選任      服部 安司君     木宮 和彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 木宮 和彦君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 赤桐  操君                 太田 淳夫君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君                 青木  茂君    衆議院議員        建設委員長    中村喜四郎君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  奥野 誠亮君    政府委員        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     中嶋 計廣君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省河川局長  萩原 兼脩君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        外務大臣官房書        記官       東郷 和彦君        大蔵省主計局主        計企画官     杉井  孝君        大蔵省主計局主        計官       武藤 敏郎君        大蔵省理財局特        別財産室長    能田 孝昌君        会計検査院事務        総局第三局建設        検査第一課長   阿部 杉人君    参考人        地域振興整備公        団総裁      茂串  俊君        地域振興整備公        団副総裁     升本 達夫君        地域振興整備公        団理事      坂井 清志君        住宅都市整備        公団総裁     丸山 良仁君        住宅都市整備        公団理事     京須  實君        住宅都市整備        公団理事     倉茂 周明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○半島振興法の一部を改正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、橋本孝一郎君が委員辞任され、その補欠として山田勇君が選任されました。  また、去る十六日、佐藤昭夫君が委員辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。  また、昨十八日、山田勇君が委員辞任され、その補欠として関嘉彦君が選任されました。     ─────────────
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日、地域振興整備公団及び住宅都市整備公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回、本案の趣旨説明は聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 小川仁一

    小川仁一君 住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案について御質問申し上げますが、この法案はNTT株売却収入によって行われる事業でございますので、最初大蔵省の方にお伺いしたいと思います。  NTT株売却収入産投特別会計の中に新しく社会資本整備勘定を設けて、従来の産業投資勘定と区別した理由をまずお聞きしたいわけであります。今までは財投や産投大蔵省理財局担当であったが、今回から一般会計を膨らまして、事業拡大方法として、これは予算査定対象にもなる、そして主計局担当だと、こういう形にも変わっているようでございますが、その点のいきさつ等について御説明を願いたいと思います。
  7. 杉井孝

    説明員杉井孝君) いわゆるNTT株式の売り払い収入の活用につきましては、かねてよりこれが国民共通財産であるということで国債償還に充てることを基本としておったわけでございます。その後経済情勢等関係から社会資本整備、いわゆるAタイプBタイプ民活分Cタイプを含めて社会資本整備を図る必要があるということで、そういう大原則を崩さない範囲内において無利子貸し付けを行って、最終的には国債償還財源に充てるという形で構想ができたわけでございます。  その場合、社会資本整備に充てるという観点で一元的にこれを管理する必要があるということで、産投特会社会資本整備勘定を設けまして、一般産投勘定と区分けをいたしまして、同じ特会の中で社会資本整備勘定ということを設けまし て、いわゆるAタイプBタイプCタイプ、これを一括してそこから支出するという形にしたわけでございます。
  8. 小川仁一

    小川仁一君 区別はわかったけれども、そうしなきゃならない理由というのがもう一つぴんとこないんですが、理由を明確にしていただけませんか。
  9. 杉井孝

    説明員杉井孝君) 今も申し上げましたように、最終的にはNTTの株式売り払い収入国債償還財源に充当されるわけでございます。こうした原資の性格にかんがみまして、NTT株売却収入という特定の歳入をもって特定の歳出に充てるということを制度的に明確にするために、特別会計で一元的に管理するのが適当であると考えた次第でございます。  この場合、投融資がその特別会計の目的である点、あるいはその投融資範囲が今回の無利子貸付制度と同様広範にわたる点において類似性を有することにかんがみまして、あるいはまた本制度時限的制度であることも踏まえまして、産業投資特別会計臨時勘定としていわゆる社会資本整備勘定ということで経理するのが適切であるというふうに判断した次第でございます。
  10. 小川仁一

    小川仁一君 続いて、NTT株売却収益による事業勘定なわけですから、NTT株の今後の売却計画とそれから収入予想、そしてこの勘定はいずれはなくなる、こんなふうに考えていいわけですか。
  11. 杉井孝

    説明員杉井孝君) 先生案内のように、政府保有NTT株式のうち、国債整理基金特会に帰属しております売却可能額は六十二年度末で六百五十万株となっておりまして、六十三年度におきましては、六十一年度、六十二年度と同様に百九十五万株の売却予定しているところでございます。  六十四年度以降のNTT株式売却につきましては、国会にも提出しております国債整理基金資金繰り状況等についての仮定計算におきましては、機械的な試算として六十四年度以降も百九十五万株ずつ売り払い、六十六年度に売却可能分すべての売却を終了する例を示しているところでございます。しかし、いずれにいたしましても、六十四年度以降の具体的な売却につきましては、各年度の予算編成過程におきまして、その時点時点財政状況でありますとか前年度までの売却結果等を勘案した上で処分限度数を決定いたしまして、国会の御審議をお願いすることとしているところでございます。
  12. 小川仁一

    小川仁一君 予算委員会宮澤大蔵大臣は、NTT株売却収益方法等によってこういう事業をすることに対して、表面的な事業を集中的に完成させる意味を持つというふうな意味の御答弁をされておられるわけです。そうしますと、まず六十四年度まで一区切り、六十四年度以降も六十六年まではまた百九十五万株ずつですか、それを売り払ってこの仕事へ充てるとなると、これはやっぱり公共事業の思い切った前倒し、こんなふうに考えていいわけですか。
  13. 杉井孝

    説明員杉井孝君) ある意味では、先生指摘のように、従来の公共事業、特にBタイプについて言いますとそういう効果が結果としてあるという点は御指摘のとおりだと思います。
  14. 小川仁一

    小川仁一君 景気浮揚内需拡大のために思い切った公共事業前倒し、これも私はわからないわけではありません。ただ、これは無利子制度でございます。したがって、この資金を利用する事業が特にA型等収益によって返還する、こういう形になっておりますだけに、実際に返せるかどうか。こういうことを言ってはそれをやられる事業にはちょっと失礼ですけれども、やっぱり問題が残るような感じがするんです。したがって、A型なんということを言わないでみんなB型にして建設省にどんとやった方が前倒しなりあるいは仕事をする上によかったのではないか、こう思っているわけです。ですから、A型というのを特に設けた理由というものをお知らせ願いたい。
  15. 杉井孝

    説明員杉井孝君) このNTTに関連します無利子融資制度につきましては、本来的には収益をもって返済に充てることを原則として考えているところでございます。そういう意味で、Aタイプのように特に緊急性があってしかも面的、一体的に開発を要し、開発益でもって返済いただくものをある意味では原則と考えているところでございます。なお、そういった事業というものがなかなか構想として出てこないという面もありまして、そういう意味から申しましてBタイプというような形を考えたところでございます。
  16. 小川仁一

    小川仁一君 実際にAタイプ仕事をして返還をする収益の見込みのある事業というふうなものに一体どんなふうなものを考えておられるのかということが一つ。六十二年度は道路整備に八十億、公園事業に三億を予算化しておられる。これは特に公園事業等Aタイプでどういう形で収益を上げて返還する計画があるのか。そしてまた、予算化された八十億と三億がどのように使われ、どのような実績を上げておられるのか。これは大蔵省やそれぞれ使用した事業団体からお伺いしたいと思います。
  17. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生案内のように、この制度は第百九国会においてまず最初に出てきたものでございまして、したがいまして、六十二年度の補正予算から予算がつき事業が始まったわけでございます。昨年制度化されたものは、一つは、道路公団地方道路公社等が行う有料駐車場とかパーキングエリア等整備事業、それからもう一つは、第三セクターが行います道路とか公園下水道等整備事業というのが六十二年度の補正で出てきたわけでございますけれども、こういった事業につきましては六十二年度補正予算におきましては八十三億円が一応計上されまして、当該予算額につきまして十五カ所全部実施計画は策定されております。これに基づきまして、事業進捗に応じまして資金需要の生じたものにつきまして、これは十二カ所三十三億円ほどの貸付決定を行ったところでございます。  もう少し具体的に、どういうふうな事業が六十二年度にあるかと申しますと、例えば総合駐車場整備事業としまして岡山市の表町地下駐車場整備、あるいは開発インター事業としまして千葉市の大木戸インターチェンジとか、それからお尋ねにございました公園関係としましては三重県の熊野灘臨海公園等があるわけでございます。もう一つお尋ね公園関係等につきましては、この事業償還は、テニスコートとかプールとかそういったものの収益金から償還していくというふうなことになるわけでございます。
  18. 小川仁一

    小川仁一君 公園事業というのは、公園内のいろいろなスポーツ施設等をつくるだろうとは感じましたけれども、なかなかこれを返すということは大変なことじゃないかなという心配を持ちます。特に、ことしはさらに千二百二十四億九千七百万円を予算化しているわけですね、Aタイプで。そして提案の資料を見ますと、宅地造成型関連仕事土地区画整理事業仕事、第三セクター施行事業仕事、こういうふうなのが出ていますが、この三つのうちのどこを一番の重点としておやりになるかということをお伺いしたいと思います。
  19. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今度新たに六十三年度から宅地開発関連ということで住都公団等に十四億八千九百万円というNTT・A型のお金を予定させていただいておりますが、どこがということにつきましては、現在調整中でございますけれども、私ども多摩ニュータウンあるいは兵庫の北摂ニュータウン、こういったところを重点的に現在考えておるところでございます。
  20. 小川仁一

    小川仁一君 住都公団とか地域公団等事業主体になるものが多いのではないかと思うんです、収益を考えると。それぞれの主体事業団体がどのような計画でどのように使用しようとしているかというふうな計画予算配分等があったら、二つの公団からお聞かせ願えればありがたいと思います。
  21. 京須實

    参考人京須實君) 住都公団は、六十三年度予算におきましてAタイプ資金宅地開発関連公共施設整備事業に係る資金といたしまして十四億八 千九百万円、また民活区画整理緊急促進事業に係る資金として十億円を借りる予定でございます。また、Bタイプ資金につきましては、道路公園等特定公共施設整備事業及び区画整理事業に係る資金として十三億七千九百万円を借りる予定でございます。
  22. 升本達夫

    参考人升本達夫君) 地域振興整備公団におきましては、六十三年度予算では特に御配慮いただいておりません。今後の事業進捗その他の状況を考え合わせまして、将来において使わせていただく機会があるのではないかと考えております。
  23. 小川仁一

    小川仁一君 地域公団予算配分がないようでありますが、このほかに道路公団その他にも一千二百億の予算配分されておると思いますが、建設省の方でそれぞれの事業主体配分がある程度おわかりでしたらお知らせ願いたいと思います。
  24. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 金額につきましてはまだ確定しておりません。これから決めてまいりたいと思っております。
  25. 小川仁一

    小川仁一君 いつごろまでにそれぞれの公団配分金額が決まるんでしょうか。
  26. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 私の答弁が不十分で申しわけございませんでした。道路公団、第三セクターが行う事業については、それぞれ候補についてはヒアリングをやっておりまして、例えば道路公団の行う事業としましては、表町の地下駐車場とか金沢自然公園パーキング場とか大木戸インターとか流山道路とかそういうふうな、第三セクターのものは西福岡海浜線とかいろいろあるわけでございます。まだそれに幾らというのは決まっておりませんけれども、できるだけ速やかに対応してまいりたいと考えております。
  27. 小川仁一

    小川仁一君 道路公団等開発インターチェンジという制度ができて、そちらの方にも回すようでございますが、これをひとつもう一度いろんな角度から考え直してみる必要性があるのではないかという感じが率直にいたします。というのは、今まで十五キロですか二十キロかの間隔でインターチェンジがあったわけでございますが、例えば岩手県の北上南の問題を見てみますと、これは左側に岩手中部工業団地、ここにおられる高橋清孝さんが議長で非常に苦労してつくり上げた大きな工業団地でございます。右側の方には、これは地域公団工業配置部門ですか、あれがつくった江刺団地というのがあります。まだ十分に企業が入っていません。これらの団地交通をスピード化して交通を便利にしようとすれば、当然そこにはインターチェンジがあってしかるべきと考えています。  ところが皆さんの方は、A型で開発インターチェンジということでその地区の人たちがやれと、こういうふうな形、これもわからないわけじゃありませんけれども、しかしこういうふうな、その県の政策的なものあるいは国の政策的なものとして一つ団地を設けて、ここに工業地帯をつくろうじゃないかという大きな計画があったときは、それぞれまだ来もしない企業に割りつけるわけにはいきません。じゃ、来ている企業だけでそれが負担できるかといったらこれも大変なことでございますから、こういうのは開発というよりは、いわゆるA型ではなしにインターチェンジを設ける、こういったような箇所が何も北上南だけではなしに幾つか全国にあると思うんです。  ですから、これからやる分はみんな開発インターチェンジなんだというふうな物の考え方で主張しては、国の非常に大きな政策あるいは多極分散ですか、ふるさと創生論なんというところまで考えてみますと、建設省、そういう形ではなしにおつくりになる箇所もあってもいいのではないかと思うんです。それは大臣どうでしょうか。
  28. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 高速自動車道インターについては最初地方公共団体、その地域方々、いろいろの意見を聞きまして、先生がお話しのように規格の上から何キロというようなところで設定をいたしております。その後産業構造都市化変更による、変更といいますか、変革によりまして大変希望が多いのであります。今百余り全国から要望が出ておる。これをどうしても賄うということになりますと大変でございますので、真にやむを得ないところは開発インターででもやらざるを得ない、地域方々が非常に要望が強いところは開発型インターチェンジでもやむを得ないのではなかろうか、こういう考え方で今進めておる。最初から計画にのってない分は後から、これは当然のことですけれども、後から非常に希望が強いところでは、無利子の金でひとつ御協力をいただけますかというようなことを今話しておる、これが実態であります。  もちろんインターはたくさんある方が地域には便利でありますし、考え方はわかるのでございますけれども、何しろたくさん申し込みがありまして、希望がたくさんあってもうどうにもならないというのが実態でございますので今のような考え方をいたしておるような次第でございますので、ぜひとも御協力をいただきたい。今の高速自動車道の料金にもはね返りますし、地域が本当に要望が後から出てきておるものについていろいろ話し合いをしておるというのが実態でございますので、よろしく御協力のほどをお願いいたしたい、かように思う次第であります。
  29. 小川仁一

    小川仁一君 大臣考え方はわかりましたけれども、私は開発インターチェンジそれ自体を否定しているんじゃないんです。ただ、国の政策とか県の政策で重点的な地域が存在しているなら、ここは将来の開発可能性でございますから、それを受け持つ企業とかというのはまだ少ししか存在していないという、こういう地帯というものは政策的な面から設置する場所があってもいいのではないかという考え方でありますから、この考え方大臣はむやみに否定はしないわけであろうと思いまして、そういうふうにお聞きをしておいてよろしゅうございますか。
  30. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) そのとおりであります。そのように私も十分お聞きをいたしておきます。  ただし、建設省といたしましても、インターチェンジをつくりますと、これに関連するまた地方道整備とか、本当にこれに対する道路網整備、かなりの投資をしなければならない、こういう実情もございますので、ここらの地元とひとつ話し合いをさしていただいてできるだけの御協力をいただく。また、それに伴って建設省といたしましても、国道にあります場合には国自体、それから地方道にありましては補助をいたしまして、インターができただけでよろしいというものではございませんので、それに伴う道路整備をしてその地域のお役に立ちたいというふうに思っておりますので、ぜひとも御協力をいただきたい、かように思う次第であります。
  31. 小川仁一

    小川仁一君 内需拡大公共事業の発展の立場から大所高所でお考えを願いたい、こう申し上げてこの問題を終わります。  NTTCタイプというものについて大蔵省にちょっとお伺いしますが、六十二年度第一次補正予算五百八十億円でございますが、これどのように利用されているでしょうか。また、貸付機関、いわゆる金融機関ですね、それぞれの機関にも金額が明らかにされていますが、実際その貸付機関を通してどのように利用されているか。事業内容と利用された金額等をお知らせ願いたいと思います。
  32. 杉井孝

    説明員杉井孝君) 先生指摘のように、六十二年度補正予算からNTTの無利子融資制度が始まりまして、民活対象にしますCタイプ貸付対象事業につきましては、いわゆる民活法の対象事業でありますとか、民間都市開発の推進に関する特別措置法に基づく事業でありますとか、あるいはテクノポリスあるいはニューメディア、テレトピアといったような八事業対象にして無利子貸し付けを行うということとしておるところでございます。  六十二年度貸付実績につきましては、現在計数を整理中でございまして、具体的なことを申し上げる段階に残念ながらございませんが、現在のところ、それぞれ機関ごとに申し上げますと、北海道東北開発公庫が約十億円、日本開発銀行が約四 十億円の貸付実績というふうに聞いております。合わせますと約五十億円の貸付実績であるというふうに聞いております。これは五百八十億円に比べますと少ないわけでございますが、先生案内のように、六十二年度の下期からこの制度が始まりましたので、プロジェクト立ち上がりが遅い、あるいは周知徹底が若干おくれたというようなこと、あるいは法律に基づく指定とか認定の作業がやはりおくれているというようなことによるものでございまして、今後はプロジェクト立ち上がりにつれて貸付実績が出てくるんではないかというふうに考えておるところでございます。
  33. 小川仁一

    小川仁一君 事業開始あるいは予算配分がおくれたから確かに仕事としては十分進んでいない、そうは思いますが、この金は無利子でそれぞれの貸付機関に預けているのではないですか。
  34. 杉井孝

    説明員杉井孝君) 先生指摘の五百八十億円に対しまして、今わかる範囲で申し上げた数字が約五十億円でございますので、その残り分につきましては、六十三年度に繰り越しましてこれを活用していくということになるということでございます。
  35. 小川仁一

    小川仁一君 私が聞いたのは、それはことしまた一千億やるようですが、これは銀行に無利子政府が預けているのではないかということを聞いたんです。
  36. 杉井孝

    説明員杉井孝君) 開銀とか北東公庫あるいは沖縄公庫に金が出ていく場合は、必要なプロジェクトに対する融資のある程度の申し込みがあって、それに応じて出ていくわけでございまして、今申し上げた繰越分というのは、産投特会社会資本勘定の中におきまして繰り越しが行われるということでございます。
  37. 小川仁一

    小川仁一君 わかりました。  そうなりますと、社会資本勘定の中でまた一千億ふえるわけですが、このCタイプというのは何か使い道がないような感じがするんです、これは素人の言い方だから大変失礼になりますけれども。ここに書いてあります対象事業を見ましても、建設省がやっておる他の事業、あるいは農水省がやっている事業、例えばリゾート関係仕事とかなんかみんな似たような仕事、かわりばえのない仕事がここへ並んでいるような感じがするんです。一千億に繰り越しが大体五百三十億、一千五百三十億ぐらいの金を寝かしておいているというのはちょっともったいないような気がするんです。これを建設省へ預けたら随分上手に国民のためにお使いになるんじゃないかと、こんな感じもいたしまして、Cタイプというのはもうおやめになったらいかがですか。  建設省の方でこういうのを利用さしていただいてBタイプに持ってきたら、まだ有効に使う場所があるような気がするんですが、大蔵省建設省の方からお考えを承りたい。
  38. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) Cタイプにつきましては、先ほど大蔵省からもお話がありましたように、制度ができた段階でちょっと実績が遅くなっていることは事実でございますけれども、建設省関係ではNTTのC型につきまして、現在までのところ例えば日立市の日立多目的ホール等に四億円とかいうふうに現実に貸し付けが行われております。また六十三年度には幕張メッセとかMM21あるいは前橋公園、別府北浜再開発、六甲アイランド、豊橋駅前地下駐車とか志摩の芸術村、それぞれ民活対象あるいは都市開発対象、リゾート法対象につきましてプロジェクトも出てまいっておりますので、六十三年はかなり進捗がなされるのではないか、建設省関係ではそういうふうに考えておる次第でございます。
  39. 杉井孝

    説明員杉井孝君) 先ほども申し上げましたように、発足して間もない制度でございますが、開銀等に対しましては地方公共団体あるいは民間の企業から数多くの融資相談が寄せられておるというふうに聞いております。したがいまして、それらが進む面が一つありますのと、もう一つは、本制度の発足を契機といたしまして、従来構想段階にありましたプロジェクトにつきましても、事業計画前倒しあるいはこれらに伴う事業主体設立の動きも活発化しつつある状況にあると考えられますので、こういった動きがさらに進展をいたしまして融資の方につながってくるというふうに期待しているところでございます。  それからまた、六十三年度予算におきましては、先ほど申し上げました八事業にそれぞれ多くの事業をさらに追加するとともに、新たな事業も三事業ほど追加することを予定しておりますので、それら両方相まちまして円滑な六十三年度の貸し付けが行われるんじゃないかというふうに期待しているところでございます。
  40. 小川仁一

    小川仁一君 これがよく利用されればいいのですけれども、十分各省庁と御連絡をとっていい事業をしてもらわないと、何だ大蔵省、自分で金を押さえておきたいからこんなことをやっているんじゃないかなんというふうなそしりを免れないおそれがありますから、思い切って各省庁と一緒になって有効な仕事にお使いを願いたい、こう思います。建設省の方も遠慮しないで、各プロジェクト等を指導して公共事業なり内需拡大にお使い願いたいと思います。それは私の注文でございます。  次は、話題を変えまして、地域振興整備公団にお願いをいたします。  どうも地域公団と簡単に言って申しわけございませんが、きのうはヘリコプターで実は東京から地域振興整備公団のつくった団地を見て歩きました。感想的に言うと、東京の五十キロ周辺地帯はみんな掘り起こされて赤土になって、そして非常に道路なども整備されない乱開発だなという感じ。そこの中で、整備公団がやっているところはさすがにきちっと整備をされて、何といいますか、整然とした団地形態をつくっておりまして、御苦労さまだと思いますが、現在行っている土地開発関連公共施設整備事業土地区画整理事業の主な点をひとつ御説明願いたいと思います。
  41. 升本達夫

    参考人升本達夫君) 当地域振興整備公団団地造成事業といたしましては、工業再配置関係部門におきまして中核工業団地造成事業、それから地方都市整備部門におきまして、いわゆるニュータウン造成事業等の事業を実施いたしております。  まず、中核工業団地造成事業でございますが、昭和四十八年度以降現在まで、全国二十二地区におきまして地方公共団体からの要請に応じ事業の推進を図ってまいっております。この二十二団地のうち十三団地につきまして譲渡を開始をいたしております。佐賀県の東部団地あるいは岡山県の勝央団地等の二団地の完成を含めまして、譲渡率は六十二年度末現在で約五五%という数字になっております。  それから地方都市関係、いわゆるニュータウン事業でございますが、現在全国で九カ所で事業を行っておりまして、このうち譲渡を開始いたしておりますのは長岡、賀茂等六カ所でございます。長岡以外の地域につきましては順調に分譲を実施いたしております。長岡につきましては、譲渡対象面積に対する分譲率は約七二%ということになっておりますが、全体のこれからの譲渡計画対象面積を含めた総面積に対する譲渡割合は約一四%という数字にとどまっております。長岡ニュータウンにつきましては六十四年度で現行の開発計画の期間が終了することとなっております。それまでに事業の完了を見ることは困難であろうかと思われますので、工期を延長していただきますとともに土地利用計画の見直しを行ってまいりたいと考えておる次第でございます。現在、新潟県、長岡市とともに協議を進めている、こういう段階でございます。
  42. 小川仁一

    小川仁一君 長岡ニュータウンはこの前視察で拝見をいたしました。非常に広い面積、大変御苦労しておられると思います。しかし、実際問題として一四%、いわゆる譲渡対象計画面積に対して譲渡した面積を、五十二ヘクタールを見ますと、本当に一四%しか売れていないというふうにお話があった、これは大変なことじゃないかなという感じが率直にいたします。  それから同じくいわきニュータウンについて も、今の計算でいきますと二二%しか譲渡が進んでいない。他のところは七〇あるいは六〇台の譲渡率でございますからうまくいっているんですが、この長岡といわき、時期を延長したというだけで始末がつきますか。何かいろいろな角度でそこを見直していかなければならない時期に来ているのではないか、こういう感じがするんですが、その辺についてのお考えがございましょうか。
  43. 升本達夫

    参考人升本達夫君) ただいまおただしのいわきニュータウンにつきましては、御指摘のとおり、総分譲率と申しますか、全体計画に対しては二二%でございますけれども、現在分譲を開始した宅地部分に対しましては一〇〇%の分譲実績を上げております。これはここ数年来だんだんしり上がりの好調を見ておるというふうに私ども認識いたしておりますので、若干時間をかしていただけばいわきニュータウンの完成はかなり実現が高いものではないかというふうに考えております。  それから長岡ニュータウンにつきましては、御指摘のとおり現在大変分譲率が低くございます。これは、先ほどちょっと御説明申し上げましたけれども、六十四年度で期間が切れることになりますけれども、これをさらに再延長いたしますときに全体の計画をかなり大幅に見直しをいたさねばならないと考えております。当初の見込みに反しまして、社会状況等から人口の増加率がかなり足踏み状態になっておるという母都市の状況等を反映して、売れ行きは必ずしもよくないというのが実態でございます。今後の計画変更に当たりましては、これからの社会需要等をよく見きわめまして、その需要に応じた土地利用を図ってまいらなければならないというふうに考えております。
  44. 小川仁一

    小川仁一君 せっかくすばらしいものをつくって、結果として利用されなかったということは、仕事をしておられる皆さんとしても実は非常につらい思いだろうと思います。長岡の場合はちょっとまた違った政治的なニュアンスもかつてはあったのじゃないか、こんなふうな感じもいたしますけれども、いずれにしてもきっちり新しい計画をお急ぎになった方がいいのではないかという感じがいたしますので、一言申し上げておきます。  さらに、地方都市開発事業ということで、盛岡の南地区都市開発事業計画調査の段階に入っているようですが、進捗状況についてお知らせ願いたいと思います。
  45. 升本達夫

    参考人升本達夫君) 盛岡南地区でございますが、盛岡都市圏の新たな都心地域整備いたしますとともに、定住促進に資することによりまして国土の均衡ある発展を図るプロジェクトといたしまして、昭和六十三年度当公団事業着手地区に予算採択をされたものでございます。  公団事業は、御承知のごとく、地元の県及び市からの要請を待って行うこととなっております。この要請を受けて事業実施基本計画を作成いたし、内閣総理大臣及び主務大臣の認可を得て正式に事業に着手する運びに至ることとなっております。この時期でございますが、御承知のとおり、大分現状は都市開発が進行しているということもございまして、用地の確保がなかなか難しいのではないかという感じも持っておりますので、若干の時間を要するかと思います。用地確保の見通しのついた時点で県、市からの御要請をいただいて実施に着手いたしたいと考えております。
  46. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、地域公団の方じゃなくて今度は住宅都市整備公団の方にお願いをしたいと思います。  住都公団の五十七年から六十一年までの事業年度経済諸表を見ますと、五十七年は欠損金がなかったんですが、家賃の第二次値上げをした五十八年から欠損金が出ておりまして、六十一年度では十二億三千百六十二万円の累積欠損金が計上されています。これはなぜこんなに欠損金が出たんですか。
  47. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 当公団の六十一年度末における繰越欠損金は、住宅都市整備勘定で今お話がございましたように約十二億円、それから鉄道・軌道勘定におきまして約二十二億円の欠損金が出ております。  この住宅都市整備勘定と申しますのは、中身を分けますと、住宅勘定、宅地勘定公園勘定等の勘定から成っているわけでございます。そのうち主体をなす住宅勘定及び宅地勘定につきましては赤字は出ておりません。ちなみに、六十一年度末の単年度では、住宅部門で四千四百万円の黒字、宅地部門で三億一千三百万円の黒字、こういう形になっております。  この十二億円の赤字は公園勘定から出ているものでございます。公園勘定並びに鉄道・軌道勘定につきましては、これは新公団になりました昭和五十六年の十月から新たに始めた事業でございます。したがいまして、五十七年の決算では赤字になっていないわけでございますが、その後赤字が出てきたわけでございます。どうして赤字が出るかと申しますと、公園にいたしましても鉄道・軌道にいたしましても初期投資が大きいわけでございまして、初期の段階には赤字が出るのは、これ当然と申しましては失礼でございますが、そういうことになるわけでございまして、長期的に見ますとこれは黒字になる、こういう形に相なっているわけでございます。私どもといたしましては、できるだけ早期に黒字になるように経営努力を続けてまいりたいと考えている次第でございます。
  48. 小川仁一

    小川仁一君 きのうも上から見ましたから、例えば鉄道勘定なんかの先行投資部分はわかるんです、これが開業すれば。しかし、こっちの住宅都市整備勘定の方の貸借対照表の中で出ている繰越欠損金、これは公園勘定というけれども、公園勘定で将来欠損金を少なくしていけるという方式がございますか。
  49. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 例えば一つの例でございますが、当公団では立川で昭和記念公園の中の有料施設、プール等をやっているわけでございます。まだ立川記念公園は完成しておりません。これが完成いたしますとプールに入る人間も多くなってまいりますが、まだ最盛期というわけにまいりません。それに比べまして、プールをつくるためには初期投資が相当要る、こういう形で赤字が出るわけでございます。  したがいまして、大体単年度黒字になるのが施設ごとにとりますと約六年、それから累積赤字が消えるのは大体十五年程度というように見ているわけでございます。したがいまして、新しい施設をどんどんつくってまいりますとその赤字分は将来にも残っていくという形になりますが、永遠に事業を続けるわけでございませんから、相当長期的に見ますと黒字になる、こういうことでございます。
  50. 小川仁一

    小川仁一君 永遠に事業は続けないんだろうけれども、住都公団はかなり長い間事業をやるでしょう。そうなると新しい事業が出てくる。そうすると累積赤字が拡大していくのではないかという心配を持つわけであります。したがって、あなたの方は六年ないし十五年でと、一つ一つはそれで済むでしょうが、次の事業がまた赤字が出てくる。こういう累積という問題がありますから、ひとつ十分な対処を考えておいてほしいと思います。そうしませんと、住都公団が終わったときには赤字だけで、はいさよならとやられたんじゃとてもかないませんから、その辺お願いしておきます。  次の問題なんですが、住都公団の光が丘パークタウンという団地、きのうも上から見てまいりました。非常によく整備されております。そこでちょっと大蔵省に伺いますが、この用地は旧米軍のグラント・ハイツの跡地でありますが、この処分、どんなふうにしておやりになりましたか。
  51. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 跡地の処理につきましては、東京都の過密解消ということを図るために都市の再開発を促進する、あるいはオープンスペースを確保するということを基本方針といたしまして、地元の地方公共団体ですとか住民の方々、あるいは当時の住宅公団等の関係者とも十分協議を行った上で、国有財産審議会に諮って決定したものでございます。その結果、跡地は公園ですとか学校ですとか住宅ですとか道路、こういったものの用途に供されているわけでございます。
  52. 小川仁一

    小川仁一君 それで住都公団、東京都に住宅用地として売却したわけでございましょうが、公団と東京都にそれぞれ売られた売却面積、それから平米当たりの価格について御説明を願いたい。
  53. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 処分は何回にも分けて行っておりまして、住都公団に処分いたしましたものは五十九万平米、トータルで三百五十二億円、それから東京都に公営住宅として処分いたしましたのが十四万六千平米、処分価格が二百三億円、こういうことになっております。
  54. 小川仁一

    小川仁一君 今聞いたのは、何回にも分けて毎年度ごとに売り出していますからその年度によって値段が違うということはわかるんです。最初に売ったのが四十六年ですね。四十六年と五十六年の平米当たりの単価をお知らせ願いたい。
  55. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 四十六年に処分いたしましたのは住宅公団に処分したわけでございますが、個別の契約の中身につきましては、住都公団さんの立場もあろうかと思いますので、住都公団さんの同意が得られればという、今まで国有財産処分一般についてそうでございますが、やはり私法契約ということでプライバシーという問題もございますので、相手方の同意が得られれば我が方としては公表をさしていただくということにしておるわけでございます。そういったことで、住都公団さんに対する処分価格の平米当たり単価について私の方から申し上げることは遠慮さしていただきたいと思います。その点よろしく御理解賜りたいと思います。
  56. 小川仁一

    小川仁一君 国有財産、国有地というのは国民のみんなの共有のものですからね。これはむしろ大蔵省が、住都公団の方は買い主ですが、大蔵省の方が、国民の財産をこれだけの単価で売りましたということを公表するのが筋じゃないでしょうか。私の感覚からいえばそういう感覚ですが、それとも、何か国会委員会に出せないということになりますと、法律的な根拠でもあればこれはまた別でございます。どうも大蔵省さんはこういう数字を出したがらないね。  この前予算委員会で間接税問題で質問して、逆進性の問題を計算してくれと言ったら出さなかった、計算も。そして、数字を持ってきて電卓あればできますと言うから、私が電卓で計算しましたけれども。またこの前この委員会でも、殺人事件に発展をした本間企画に対する融資問題についても、業者との癒着——癒着関係じゃない、信頼関係か、信頼関係を保つために公表できないと。もう何か私に含むところがあって聞いた数字を言わないのか、それとも大蔵省の体質というのがこういうふうな性格なのかわかりませんが、私は、家賃問題が次に控えておりますから、平米当たりの単価を発表してもらわないと家賃の適正かどうかという問題も討議できませんから、これは住都公団じゃなくて大蔵省からはっきり言ってもらわなければ、もうそれ以上進みません。
  57. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 先ほど申し上げましたように、確かに先生おっしゃるとおり、国有財産というのは国民共有の財産でございます。それは確かにそうなのでございますが、それを売買するという契約につきましては私法上のものでございまして、したがってその個々の契約につきましては、私どもは出さないと申し上げているのではなくて、相手方の同意が得られるならいつでもお示しいたします、こういうことを申し上げているわけでございますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  58. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、ちょっと住都公団と相談してください。
  59. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 当公団の家賃の決め方でございますが、御承知のように、建設費あるいは地代あるいは修繕費等を基準にして、原価を基準にして決めることになっております。しかしながら、一方におきまして周辺の当公団の家賃との均衡を図らなければならない問題があります。したがいまして、原価そのままで決めるという形にはなっていないわけでございます。そういうことになりますと、この用地の買収価額を公表するということは、原価に通ずる話でございますから、今までも当委員会等におきましてもお許しをいただきまして原価の公表はしていないわけでございます。
  60. 小川仁一

    小川仁一君 それは民間の人から買ったりなんかしたらそういうこともあり得るでしょうが、国民の共有財産である国の土地を売った値段が言えない、こういうことは私は納得できません、大蔵省さん。ぜひ明らかにしてもらいたい。
  61. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) もう一度繰り返しになりますが、例えば非常に安い土地に住宅を建てた場合あるいは高い土地を買った場合、それでも同じくらいの立地条件の場合ですと家賃は同じような家賃にしているわけでございます。この場合に原価を発表するということは、入居していただいている方々にとりましては、非常に安い土地を買ったんだから私のところは家賃が安くていいのに高いではないか、あるいは高い土地を買った場合には、高い土地であるのに家賃が、まけてもらっている方はいいわけでございますけれども、周りの人から見れば安過ぎるんではないか、こういうような議論になりますから、これは発表しないということで今までもお許しをいただいていたわけでございます。
  62. 小川仁一

    小川仁一君 私は、一般論の家賃の決定の方式を聞いているんじゃないですよ。国民の土地を民間へ売ったらともかく、公団という政府機関の中へ売ったんですから、売った価格を発表できないという理由が理解できない。法律的な根拠があったら私は引き下がります。それ以外は絶対、出してもらわないうちはこれからのあらゆる審議に、私自身の審議にですよ、家賃、地代その他の審議に対しても影響しますから、これは大蔵省で発表してください。大蔵省が国民の財産を売った値段が公表できないなんというそんな大蔵省じゃ国民の信頼を得ませんよ。明らかにしてください。
  63. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 大蔵省が処分いたしております国有財産は年間約二万件を上回っているわけでございます。先ほど申し上げましたように、確かに国有財産は国民共有の財産でございますけれども、やはりこれは私法上の契約なんだ、これが大前提でございます。したがって、それぞれの相手方さんの同意が得られればいつでもお示しをいたします、こういうことを申し上げているわけでございまして、相手方さんの同意が得られない場合は御遠慮さしていただかざるを得ないということで、過去の委員会等でもそういう御説明を申し上げて、御理解を願っているところでございます。
  64. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 委員長として丸山総裁にお伺いしますが、今までお許しをいただいて発表しなかったというんですが、どなたにお許しをいただいたんですか。だれの許しをいただいたんですか。
  65. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 明確には覚えておりませんが、今までの、例えば五十八年ごろのあるいは五十三年ごろの家賃改定のときの御審議の際に、原価を公表しろというお話が絶えず出たわけでございます。そのときに原価は公表できませんということでお許しをいただいているわけでございます。
  66. 小川仁一

    小川仁一君 住都公団大蔵省が相談をすれば出てくる可能性もあるわけです。何も私法上の契約だからといったって、国民の財産を売ったものに対して国民に発表しないと疑惑だけが残りますよ、不信感だけが。どれくらい安く売ったんだろうかとか、途中でポケットに入ったんじゃないかとか、原価を出さなければ当然出てくる疑惑です。それ国会の場で言えない。天下に公表しろなんというつもりはないですよ。国会の場で言えない。今までそうであったかもしれないけど、私は建設委員初めてだから、今回は絶対これ承服するわけにはまいりません。  委員長、ひとつこの問題、住都公団大蔵省と相談をした上で返事できるかできないか明らかにするようお勧めを願いたいと思います。
  67. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  68. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 速記起こしてください。
  69. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 国有地をお買いした問題でございますから、私人との売買の問題ではございませんから、大蔵省から発表願いたいと私存じます。
  70. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 住都公団さんの方で発表していいということであれば私の方で発表さしていただくわけでございますが、実はきょうはそういう個別の資料を持ってきておりませんで申しわけございません。御質問があると思っておりませんでしたので、またの機会にお示しをいたしたいと思います。
  71. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 私が資料を持っておりますからお答えいたします。  昭和四十六年の最初にお買いいたしましたのは平米当たり単価が三万八千円強でございます。それから先ほど御質問の五十六年にお買いいたしましたのが二十万弱でございます。  以上でございます。
  72. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 大蔵省能田特別財産室長、今の資料間違いないですね。いいですか。
  73. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 先ほど申し上げましたように、資料を手持ちしておりませんので、申しわけございません。
  74. 小川仁一

    小川仁一君 きのう質問通告はしてあるんですけれどもね。お答えになるつもりがなくて持ってこなかったのだろうと思いますから、いいです、それは。後でひとつきちんとした数字をお届け願いたいと思います。今後もこういうふうに大蔵省さん、別にそれを我々は公表して宣伝して歩くわけでもないですから、何か特別な秘密でない限りはお知らせ願う。我々がこれからいろんなものの意見やなんかを申し上げるときに役に立ちますから、ぜひお知らせおき願いたいと思います。  そこでさらに、都の方に売却した場合は国有財産特別措置法第三条に基づいて減額されていると思いますが、この減額システムと、それからこの土地、グラント・ハイツ売却の場合の減額の割合がおわかりでしたらお知らせ願いたい、大蔵省さん。
  75. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 国有財産の処分は時価売り払いというのが原則になっているわけでございますが、国有財産特別措置法の三条に減額措置ということがございます。例えば今おっしゃったような地方公共団体に対する公営住宅敷地の売り払いですとか、あるいは学校敷地の売り払い、こういったものについては減額をしているわけでございます。これはいずれも地方公共団体におきまして非常に公共性の強い用途に供するということから、国有財産特別措置法の三条で減額していいという規定が設けられているものでございます。
  76. 小川仁一

    小川仁一君 公団の方は時価で売却したわけですね。
  77. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 住都公団さんに対しましては時価で売り払いをしております。
  78. 小川仁一

    小川仁一君 公団の中でも、分譲に供する部分と賃貸にする部分、こう二つあります。賃貸の場合は、ここに入居する人たち、第三分位の下あるいは第二分位ぐらいの人たち対象にしてつくってあるわけでございますから、今後こういう場合には分譲部分と賃貸部分とを分けて、さっきのような都に減額して売ったような形で売却する方法はお考えになれないものでしょうか。
  79. 能田孝昌

    説明員(能田孝昌君) 減額売り払いと申しますのは、言ってみれば実質的に財政援助を与えるということに等しいものですから、先ほど申し上げましたように、地方公共団体が低額な所得者に対しまして低廉な家賃で賃貸するということを目的として建設する公営住宅に限って実は認めているわけでございます。  ところで、その国有地の売却というものは公用、公共用ということになっておりますので、賃貸住宅の用途への売却ということになりますと、地方公共団体以外では住都公団あるいは地方住宅供給公社が考えられるわけでございますが、住都公団に対して減額売り払いするということにつきましては、さらに公団と民間の家賃の格差を拡大するんじゃないか。そういうことになりますと不公平感を増大するんじゃないかということで、例えば入居者の制限といったことも考えざるを得ないのかな、そうなりますと問題もあるのかなというふうに考えられるわけでございます。地方住宅供給公社に対する減額売り払いにつきましても同様の問題が発生することになるんではないかなというふうに考えております。
  80. 小川仁一

    小川仁一君 公団の場合は公営住宅とは性格が違うということはわかりました。しかし、そうは言ってもやっぱり公団にも、例えば障害者部分とかいろんな部分の人たちが入っておって、そして家賃を上げる場合にも差をつけるとかという配慮をしている要素があるわけなんですよ。ですから私は、その住宅なりあるいは一つ考え方に基づく賃貸住宅なりというものを公団がつくるという形をとりながら公営住宅に対するような物の考え方を進めてもらうのが、今特に東京都等では必要ではないかという考え方で申し上げておきましたので、ひとつ私の考え方もいずれかの機会に御検討おき願いたいと思います。  しかし、またもう一つ、賃貸住宅へは、今のお話でありましたが、利子補給金というものがあるわけですね。六十二年度では、持ち家の補助である住宅金融公庫の補給金は三千四百四十億円、片や公団への利子補給は分譲住宅の方で千七百九十億円。住宅金融公庫の半分になっているわけですよ。建設省さん、六十三年度予算ではこれはどのような状況になっているか御説明願いたいと思います。
  81. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅都市整備公団につきましては、大都市圏におきます勤労者に対する住宅対策という観点から、賃貸住宅の家賃それから分譲住宅の割賦金を政策的に低廉にするために利子補給等を講じておるところでありまして、六十二年度におきましては千七百九十億円を計上しているところであります。六十三年度分につきましては、六十二年の決算を見まして算定することにしておりますので、現在決算作業中でございますので確定した数字は申し上げることはできないわけでありますけれども、この二、三年の傾向から見ますと、例えば六十年度に交付しましたのが千七百三十九億、六十一年度は千七百九十億でございますので、六十三年度としまして、見込みとしましては千八百億を若干上回るぐらいのものと考えております。  なお、金融公庫との額の違いは、全体の事業量の大きさの問題などもございまして、これを一概に多い少ないということの比較はできないところでありますけれども、全体の傾向から見ますと、例えば五十二年度と六十二年度における公庫と公団の補給金の伸びはおおむね三倍を超えているところで、基調を同じにしております。それからこの数年間の状況におきましては、公庫の方は財政シーリングの関係で繰り延べ措置を講じておりまして、三千四百四十億ということで打ちどまっておるような状況でございますけれども、公団につきましては決算を見まして予算を計上しておりますので、この数年の伸び率、例えば五十八年から六十二年度での補給金の伸び率を見ますと、公団につきましては四三%の伸び率、公庫につきましては二二%の伸び率ということで、そういう観点からは特段の大きな差はないと思います。
  82. 小川仁一

    小川仁一君 大蔵省さんありがとうございました。終わりました。  それで今度は、補給金じゃなくて政策コストというのがありますね。あれは賃貸住宅についてはずっと四%で、六十三年度もやはり変わりませんか。どのようにこれからこれを考えていくか御説明願いたいと思います。
  83. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公団住宅利子補給の算定の場合に、回収する際の利率の設定としましては、現在中層住宅につきましては四%、高層住宅につきましては三・五%でもって行っておるところでございますが、これの決め方としましては、低廉な家賃を確保する、分譲価格を低廉にする、そういう観点から、原資であります財投資金の利率の範囲内におきまして、これを適正家賃ということを目途に、原則としましては固定的に設 定しているところでございまして、先ほど御説明しましたように、四%、三・五%になっているところでございます。  これは公庫の金利の設定につきましては、財投資金の利率と連動いたしましてある基準に基づきまして金利を変えているところでありますけれども、住宅都市整備公団の回収金利につきましては、適正家賃を目指しましてそういう固定的な、原則固定的な考え方で設定しているところでございまして、財投の資金の利率が経年的にいろいろと変化しておりましてもこの数字を保っておる、こういう状況でございます。
  84. 小川仁一

    小川仁一君 東京の場合非常に激しい地価上昇がございますし、幾らか下がったといっても依然として高値安定、こういう中ですから、政策コストというのは、財投が、いわゆる借り入れコストが七・三%ぐらいのときでも四%、現在のように五%になったときも四%、こういうやり方というのは考え直されたらいいのではないか。住宅公団の方でも、公団住宅の値段が高いとか、家賃がとても俸給を取っている者じゃ入れないような十八万円といったような値段が出るとか、こういうふうな形を幾らかでもサラリーマン層に近づけていくためには政策コストを引き下げる努力というものはあっていいと思うんです。それはそんなに大きな影響はないと思いますよ。しかし、建設省なりあるいは当事者が非常にそういうことで努力をしているんだと、〇・五下げたにしても、そういう一つの誠意のあらわれといいますか努力のあらわれのような感じがするんです。  どうですか大臣政策コストを見直して幾らか下げていくという形をお考えになるわけにはいかないでしょうかね。
  85. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先ほど住宅局長からお答えをいたしましたが、確かに金利の方は安い方がいいことは当然であります。しかし、今政策金利として四%、高層の分が三・五%、こういうことで固定的にやっておる。一方公庫の方は今四・五%ですね。こういうことでございますので、ここらを考え合わせて、今のところ一般的に言って四%なり三・五%の金利であれば、公団の方もひとつもっともっと勉強をして努力していただいてやっていただくのがいいんじゃないかという感じであります。  率直に言って低い方がいいには決まっておりますけれども、公団、公庫の問題もありますし、低所得者の方を余計に厚くしていく方がいいんじゃないか、今の公庫では最低が四・五%でありますが。賃貸の問題と分譲の問題等もございますけれども、ここらはよくひとつ勉強さしていただきたい。今ここで私がこれを下げますとか、低い方がいいことは当然なんですけれども、ひとつ勉強さしていただきたい、かように思う次第であります。
  86. 小川仁一

    小川仁一君 低い方がいいという考え方、そういう考え方でこれから御努力いただくと思いますが、例えば政策コスト、賃貸住宅、中層一般市街地が四・〇、高層面開発市街地が三・五というような違いも出てきている。中層の方が高層よりも高い政策コストであっていいのかなと思ったり、これはどうしてそうならなきゃならないのかなと思ったり、いろいろありますが、いずれにしてもこれは五十八年からずっと同じコストになっていますよね。しかし、資金運用部からの借入金というのは七・三から五・〇までずっと二・三も下がっている。  この辺は御検討なさるようなお話でしたが、ぜひ一工夫されていいところではないか、こう思って申し上げた次第ですが、何かそれについてお話があれば承って、もう結構です。
  87. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公団住宅の家賃低廉ということで回収資金の利率を下げているところでございますけれども、これも経年的に見ますと、例えば五十年の当初におきましては五%という時代もあったわけでございまして、その後四・五あるいは四・〇、三・五というような体制になって現在に至っているわけであります。いずれにしましても、公団住宅の家賃を低くするということは重要な事柄でございますので、大臣も御答弁申し上げましたように、ひとつ勉強をさせていただきたいと存じます。
  88. 小川仁一

    小川仁一君 それじゃこれは終わって、次に、会計検査院の方おいでをいただいておりますが、五十八年度以降の住都公団に関する決算検査報告書について御説明を願いたいと思います。
  89. 阿部杉人

    説明員(阿部杉人君) 昭和五十八年度の決算検査報告におきましては、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項としまして「長期保有に係る道路等の移管予定施設を早期に移管するよう改善させたもの」というものを掲記しております。  五十九年度の決算検査報告では、会計検査院法三十四条の規定により是正改善の処置を要求した事項として、「事業完了後長期間保有している造成宅地の処分を促進するよう是正改善の処置を要求したもの」を掲記しております。  六十年度の決算検査報告におきましては、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項としまして、「宅地等造成工事における機械土工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの」を掲記しております。  また六十一年度の決算検査報告におきましては、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項としまして、「自らの居住の用に供するとして講入した分譲住宅の第三者賃貸等の防止を図るよう改善させたもの」について記載しております。本件につきましてやや詳しく説明いたしますと、本院が昨年、公団東京支社管内の団地について分譲住宅の使用状況等を調査いたしましたところ、一部におきまして、分譲住宅を購入した者がみずからの居住の用に供するという譲渡要件に違反いたしまして、第三者に賃貸したり譲渡したりなどしていた事例が見受けられました。このような事態が生じていますのは、譲り受け人に対します譲渡契約の内容の周知徹底及び譲渡後の分譲住宅の入居状況の把握が十分に行われていなかったこと、入居後の使用状況計画的な実態調査が行われていなかったことなどによるもので、速やかに第三者賃貸等の防止を図るための体制を整備する要があると認められましたので、公団指摘いたしましたところ、改善の処置がとられたものであります。
  90. 小川仁一

    小川仁一君 検査院の方、これだけですから。  それでその検査報告について、特に今詳しくお話があった六十一年度の検査報告が非常に大事な問題だと思いますが、とにかく住宅を購入することを何か節税とかなんとかという格好で買っているという状況が出てきています。会計検査院の調査は東京支社管内の十八団地だけであります。それ以外にも公団団地を持っておられるわけですが、同じような事例が他にございましたか。内部調査をしたことはございませんか。
  91. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) ただいま会計検査院からお話のございましたように、分譲住宅に対する国民の要望が非常に大きいときに、その分譲住宅を買われた方が賃貸に使うとかあるいは他に転売するというようなことの指摘を受けましたことはまことに遺憾に存じているところでございます。  したがいまして、当公団といたしましては、御指摘を受けましてから直ちに分譲住宅に係る契約関係の適正化等対策要領というものを定めまして、例えば譲渡条件の一層の周知徹底を図る、あるいは住民票等による入居状況の確認を図る、あるいは計画的な実態調査を行うというような措置を講じているところでございます。今先生の御指摘のようにまだ調査中でございまして、現実に会計検査院から御指摘を受けた以外にそういうものがあったという報告は受けておりませんが、これからも調査を進めまして、もし万一そういうものがありました場合には、買い戻しをする等の厳正な措置を講じてまいりたいと考えております。
  92. 小川仁一

    小川仁一君 検査院の報告は六十一年度決算検査報告ですから、まだ六十二年度はできていないわけでございますが、内部でやはり追跡調査をする等の形で、せっかく苦労してつくられた住宅が転売転売なんということで利益の対象になるよう な形を避けていただきたいということを強く要望をいたしておきます。  今こういったような形で住都公団にいろいろなお考えや問題点をお聞きしてお答えをいただいていますが、こういうやりとりをしながら住都公団のこれからの進め方について何かお話がございましたら、総裁一言お願いしたいと思います。
  93. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 申し上げるまでもないことでございますが、当公団は国の住宅政策及び都市政策を推進するための実施機関でございます。したがいまして、その目的は、国民のためになるべく良質でなるべく家賃の安い住宅の供給、あるいは価格の安い分譲住宅の供給、これが第一の使命でございます。しかしながら、現実に申しますと、最近では住宅事情は戸数的には充足されておりまして、これを良質なものにかえていく必要があるわけでございます。  したがいまして、二番目の問題といたしましては、現在六十八万戸抱えております賃貸住宅の質の向上あるいは建てかえ等を推進していく必要があると考えております。この点につきましては、既に昭和三十年代に建てられました十七万戸の賃貸住宅につきましては一昨年より事業にかかっているところでございます。また宅地の開発につきましても、今までは住宅が足りないということで専ら住宅中心の町づくり、いわゆるベッドタウンづくりをやっていたわけでございますが、職住近接を図るような観点から考えますと、単に住宅だけでなく、働く場所もあり、学ぶ場所もあり、憩いの場所もあるような総合的な町づくりをしなければならないと考えております。それと同時に、最も我が国の都市政策でおくれておりますのは都市の再開発でございます。きのうヘリコプターからごらんいただいたということでございますが、上空からごらんいただければおわかりのことと存じますが、これからの最大の問題は再開発ではなかろうかと考えております。  したがいまして、これらの問題に特に注意を払って今後の政策を進めてまいりたいと思いますが、その中でも現在六十八万戸を抱えております賃貸住宅につきましては、入居者の方々に気持ちよく住んでいただけますように修繕その他の管理にも配慮をしてまいりたいと思います。  以上がこれからの当公団の進むべき道だと私は考えております。
  94. 小川仁一

    小川仁一君 住宅問題のことはこれで終わりますが、大臣、さっき言った政策コストとかあるいは検査院からの指摘、私は六十一年度分だけを言いましたけれども、六十年、五十八年の問題はもう建設省おわかりになっていると思いますが、それらのことを含めて、住都公団に対するこれからの建設省としての一つの指導といいますか、そういうふうな考え方が何かございましたら一言お聞かせ願いたいと思います。
  95. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今総裁から御答弁申し上げましたが、総裁のお考え結構であります。  私が感じておりますのは、たくさんの住宅を管理しておるわけでございますから、管理体制を強化して、先ほどもお話ございましたように、転売するとかという問題については、契約のときに買い戻しをきちっとしておいて少なくとも転売をするようなことがないように、また賃貸の方にいたしましても転貸しをするようなことのないようにひとつぜひやってもらいたい、こういうふうに思うのであります。  また、中堅勤労者対象でございますから、分譲にいたしましても、時々指摘を受けておりますように、それなりの方々に販売ができるようなことで、率直に言って地価が上がりまして大変なことだと思いますけれども、極力そういうふうに努めてもらいたい、こういうふうに思います。ただ、今着工しておりますのがあるようでございますから、この分は家賃にいたしましても分譲価格にいたしましてもある程度やむを得ない。しかし、今後着工する分についてはやはり中堅勤労者対象になるように進めてもらいたい、こういうふうにお願いをしておるところであります。地価が非常に高騰いたしまして非常に事業がやりにくい、大変だろうと思いますけれども、最大限の努力をしてもらいたい、かように思う次第であります。  先ほど資金コストの話が出まして私御答弁を申し上げましたが、金利は安い方がいいことは当然でございますけれども、全体的なことでほかとの関係もありますし、運営、経営管理のあり方も含めて、ほかのものとの比較もして金利の問題も含めて検討をしてみたい、かように思う次第であります。
  96. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ検査院の方結構でございます。  次に、話題を変えまして、ちょっと皆さんには耳の痛い天下り問題について御質問を申し上げます。  この前青木委員からも問題がございましたが、今度政労協で天下り白書というのを出しました。もうごらんになっておると思いますが、私はこれを見てちょっとびっくりしているわけです。私も衆議院の内閣委員会にいたときから天下り問題をずっとやってまいりましたが、とにかく政府関係の特殊法人には六割以上の天下りの方がおられる。中には二つ三つ、さらにはそれの関係の会社にも行っているという方もあるようでございます。  私はこれを論ずるときに二つのことを前提にして物を申し上げたいと思います。一つは、有能な人にはやっぱり働いてもらいたいということです。このことは絶対否定しません。ただもう一つは、閣議の了解事項というのがございます。御存じと思いますけれども、昭和五十四年の閣議了解というのがありまして、それによりますと、「全特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。この目標を達成するため、主管省庁及び各特殊法人においては、法人の業務内容等に応じ、民間人等の起用について一層努力するものとする。」、私はこの二つの原則で特殊法人の役員の方々を選んでいただきたいと思うんです。特殊法人の役員というのは、総裁建設大臣が任命なさる、理事はそれぞれの公団総裁の方が任命なさるということに聞いていますが、それで間違いありませんか。
  97. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) そのとおりでございます。なお、理事につきましては総裁が任命いたしますが、そのときに建設大臣の承認が必要、そういう仕組みになっております。
  98. 小川仁一

    小川仁一君 大臣、まさか閣議了解事項をおわかりにならないわけではないでしょう。当時大臣でなかったと開き直られれば別ですけれども。こういうことを考えておやりになった結果がこうなってしまったのでしょうか。どうなんですか。
  99. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 五十四年の閣議了解は十分承知をいたしております。でございますから、その方針に沿って任命をいたしておるわけであります。  ただ、率直に申しまして、先生から御指摘もございましたが、非常に立派な人が多いわけでありますが、概して民間なりその公団から選任いたしますと、ユニーク性は大いにあるのでありますけれども、ちょっと間違うとまた問題が起こるような場合もございます。それから役人から任命した人は非常にその点はかたい、間違えやすくない、こういう点もございます。その両々相まって今の閣議了解の精神に沿ってやってきておるのが実情であります。要は、公団は国民のためでございますから、その精神に沿って閣議了解のもとに進めておる、これが実態であります。
  100. 小川仁一

    小川仁一君 そういう選定の仕方もあるかもしれませんが、私が申し上げました、有能な人には働いてもらう、一方閣議了解がある、この二つの事実だけはひとつきっちり踏まえておやり願いたいということをまず最初に申し上げておきます。  では、個人的な名前を申して大変失礼ですけれども、非常に特徴的なお二人の方があるんです。一人は、これはちょっと言いにくいんですが、南部哲也さん、建設省御出身、住宅公団理事を一九六七年の七月からおやりになり、同副総裁総裁団地サービス取締役社長、現在代表取締役会長。 退職金を勝手に計算してみますと八千万は超えるようでございます。こういうふうに、非常に長くお仕事をしておられる方もある。また、地域公団のかつて副総裁をやっておられた有賀さんという方もやっぱり日本住宅公団の理事から住宅都市整備公団の理事、副総裁団地サービス副社長、今社長。団地サービスというのは最後に落ちつく先のようでございますが、こういう方々、有能であってもちょっと目立ち過ぎると思いますが、そう思いませんか。いかがですか建設省さん。どちらも建設省にかかわる方でございますが。
  101. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今御指摘になられました方々は非常に有能な方だと思っております。しかし、幾ら有能であっても閣議了解がありますので、期限が参りますとかわっていただく、やはりかわった目で運営をしていただく、こういうふうに考えておりますので、そういうことにいたしております。  ただ、団地サービスというお話がございましたが、ここは実は株式会社でありますので、株式会社になりますと私の任命とか認可とか承認とかいう範疇にございませんので、別に責任逃れではございませんけれども、公団におられる間は非常に優秀でありますし、そういうことで進んでおるような次第であります。
  102. 小川仁一

    小川仁一君 非常に有能だからということを否定しておりませんが、しかし、世の中にはまだまだ若い層に有能な方もあるわけでございますから、有能性はその時代に応じた有能性でございましょうから、時代とともに次の有能な方がお仕事におつきになることも非常に大事じゃないか。  それからもう一つは、公団にしても何にしてもそこで採用されたプロパーの人たちが育ってきております。ここにも優秀な人たちがいます。以下申し上げるような団体になりますと、プロパーの人たちは大変がっかりなさるんじゃないかと思うんですが、資料で申し上げます。地域振興整備公団、これは現在の役員のうちいわゆる天下りと言われる人たちは何人おられますか。
  103. 茂串俊

    参考人(茂串俊君) 天下りというものがどういうものかということも実は難しい問題でございますが、現在地域振興整備公団の役員は御指摘のとおり十三人でございます。その十三人につきまして出身省庁などについて申し上げますと、内閣法制局、総務庁、経済企画庁、国土庁、大蔵省、各一人ずつでございます。それから通商産業省が三人、建設省が二人、自治省と会計検査院が各一人、それにプロパー役職員の出身者が一人でございます。以上で十三名でございます。
  104. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、プロパーは一人、十三人中十二人が各省庁から行っておられる。この人たちを私天下りと言っているんです、大変失礼ですけれども。そうすると、総裁、御感想をお聞かせくださいよ、さっきの閣議了解事項とのかかわりで。
  105. 茂串俊

    参考人(茂串俊君) 公団仕事でございますが、これは私どもの地域振興整備公団に限らないわけでありますけれども、その業務の性格は国の政策の実施機関でございまして、国と密接な連携を保ちながら業務を行う必要があるわけでございます。また、かたがたそれに加えまして、私どもの地域振興整備公団の場合には、現在の公団組織になってからまだ歴史が浅いこともございまして、そういう特殊事情も考えました上で、広く各省庁の適任者を含めて役員を選考しているというような事情があるわけでございます。
  106. 小川仁一

    小川仁一君 事情はわかりましたが、感想の方、閣議了解とのかかわりでの感想を聞かせてくれと、こう言っているんです。
  107. 茂串俊

    参考人(茂串俊君) ただいま申し上げましたような公団業務の性格からいたしまして、あくまでも適材適所ということで役員が選任されておるというふうに私は考えております。
  108. 小川仁一

    小川仁一君 そういう答弁だと、閣議了解事項は全然無視された、こう感じていいわけですね。
  109. 茂串俊

    参考人(茂串俊君) 先ほども申し上げましたとおり、当公団が現在の公団組織になりましたのがまだ歴史が浅いわけでございまして、そういった意味で専門的なそれぞれの業務につきまして適格性を持った方ということを基準にして選定をいたしました結果、現在のような姿になっておるということでございます。
  110. 小川仁一

    小川仁一君 あなたが任命しているんじゃないですか、選定していただいたなんて言っているけれども。私は有能な方を使うことは否定しないと言っているんです。しかし、一方に閣議了解がありますよと、こう言っているんです。だから、この観点からいったらどうなるかというのに、有能だからと開き直られるとこれはちょっと私も引っ込むわけにはいきませんからね。もう一遍言います。閣議了解事項との関連で言ったらあなたはどういうふうに感じますか。
  111. 茂串俊

    参考人(茂串俊君) 閣議了解に確かに常勤役員につきましては、「国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。」といういわば努力的な規定があるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、公団の設立が何と申しましても新しいわけでございまして、その意味公団の草創期に当たりましてこれを整々とした業務を行う、行わしめるというためには、やはり専門技術的な識見を持った、いわばそういった仕事をする役員にふさわしい人々をこれに充てるという必要性があるわけでございまして、そういった観点からただいまのような役員の選任の状況になっているわけでございます。
  112. 小川仁一

    小川仁一君 部長、次長、課長、課長補佐、職員、こういったような人たちは全体で何%おりますか。職員数と出向者、いわゆる天下りとは言わないかもしれないけれども、職員の数字を出してみていただきます。資料によりますと部長、次長は六一%、課長が六三%、課長補佐が五四・二%、一般職員が一七・〇%、こういうふうに出ていますが、この数字、余り変わりありませんか。
  113. 茂串俊

    参考人(茂串俊君) 私が手元に持っております資料からいたしますと、当公団の幹部につきまして、これを部長等と課長等という二つのグループに分けました上で比率が出ておるわけでございますが、それによりますと、本部の部長と本部における部長等相当職、これにつきましてはプロパー職員が三〇%を占めておりますし、それから課長等につきましてはプロパー職員が四四・四%、両方合計いたしますと全体の四〇・五%はプロパー職員によって占められておるというのがことしの四月一日現在の状況でございます。
  114. 小川仁一

    小川仁一君 職員数から役員数から含めて、いかに歴史が浅いといってもこれじゃ多過ぎる。  ついでに聞きますけれども、一つの役職が絶えず一つの省庁から来ているという役職はございますか。例えば経理とかあるいは企画とかというところがいつでも一つの省庁から来ている、こういう場所はございますか。
  115. 茂串俊

    参考人(茂串俊君) 申すまでもないことでございますが、人事、どういう人をどういう職に充てるかということは適材適所という観点から選んでいるわけでございまして、したがいまして、今お話しのような例えば経理という職種をとりました場合には、やはりその経理に専門的な知識を持ち、かつまた能力、識見を持っておるという人を充てるのがいわば人事の原則でございます。そういった意味で、結果としましては確かに一つの省庁からの出向者がその職に充てられるということもあろうかと思いますが、あくまでも人事の原則である適材適所という観点から私どもは各職種の、特に幹部の職種の人選を行っておるわけでございます。
  116. 小川仁一

    小川仁一君 住都公団の方は役員が現在何人で、いわゆる天下りは何人ですか。
  117. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 当公団につきましては、現在役員は十六名でございまして、各省庁から来られておる方が十一名でございます。したがいまして、プロパーが四名と地方公共団体が一名で五名という形になっておりますが、統合時、昭和五十六年の十月の段階では役員の数は十九名でございまして、行革で三名減らされて十六名になっているんですが、その十九名のときの内部登用は二 名で、各省庁からの退職者は十七名ということになっておりますから、先生の御期待にはなかなか沿いかねないと存じますけれども、相当改善の余地はあると私は考えております。
  118. 小川仁一

    小川仁一君 阪神高速道路公団と本州四国連絡橋公団、そこの役員とそれからいわゆる天下りとの関係建設省おわかりですか。
  119. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 首都、阪神、本四でございますか。
  120. 小川仁一

    小川仁一君 阪神と本州四国、二つです。
  121. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 本州四国は、役員数が八名でございまして、国家公務員からの直接就任者及び準ずる者の数は合計で五名でございます。それから首都公団は八人に対し四名、それから阪神高速道路公団は七名に対して二名、こういう数字でございます。
  122. 小川仁一

    小川仁一君 もう時間がなくなりましたから、本当はもう少しきっちりやるつもりでしたけれども、この辺でやめますが、総裁は○○省、副総裁は○○省、そして理事は○○省と○○省、枠はあるんですか。大臣どうなんですか。
  123. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 必ずしもそのとおりにはやっておりません。しかし、やはりそれなりの人が各省から来ておりますので、そういう例もございます。しかし、今私がやっておりますのは、必ずしも今のいわゆる天下りとプロパーなり、そのプロパーも見方で、例えば我が省の建設省から行っておって、理事ではなく行っておって、それを上げた場合にどう見るかという問題もございますので、そういう見方をして、よく閣議了解の線に沿ったように今努めております。でございますから、全体的に役所から行った者、理事でなくして行っておって理事に上がった者を含めますと多くなっておるというふうに思いますが、閣議了解の線に沿って今後とも努力をしていきたい、こういうふうに思う次第であります。
  124. 小川仁一

    小川仁一君 NTTの真藤総裁の例もあるわけです。決して各省から行ったから最適任者だというわけにはなり得ない、私はそう思うんです。もっとあらゆる層から有能な方を集めて国民のためになる住都公団とかあるいは地域公団というふうなものの役員をお決め願うようにしていただきたい。そうしないとやっぱり天下り、余りいい感じの言葉じゃありませんけれども、それが日常語になってしまうような国民からの批判、これに役所はたえられなくなるだろうという心配をいたしているわけであります。  ぜひひとつ、今までのいろいろなつながりもあるだろうし役職もあるいはいろいろあるだろうが、もう一つ言えば、実は国家公務員全体の定年とか、あるいはどなたかが事務次官になったときは同期はやめるとかといったような、いろいろな部内のシステムの問題もあわせて考えていかなければならないということは私もわかっておってあえてこういう失礼なことを申し上げたわけでございますけれども、閣議了解というのは生きておりますから、大臣が言われたように、ぜひその線で今後任命、推薦、そういうことをおやりになっていただきたいと申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  125. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  126. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、ただいま議題となっております法案につきまして、同僚委員に引き続きまして質疑を行わせていただきます。  最初大臣お尋ねしたいんですが、このNTT株式売却収入を活用して国民生活に緊要な社会資本整備を促進するということは、要求されておりました内需の拡大に相当効果があった、このようにも考えております。あるいは雇用の安定、最近随分雇用も改善されてきております。あるいは地域社会の活性化、これはまだまだいろいろな課題があろうと思いますけれども、そういう点から見ましても非常に重要であると私たちも考えまして臨時国会では賛成をしたわけでございますが、最初建設大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  128. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お話しのように、NTT株売り払い益を活用させていただく、非常にありがたい、かように思っております。六十三年度にいたしましても、この活用によって社会資本充実、いわゆる公共事業予算が大変伸びまして、非常にありがたいと思っております。これをうまく活用いたしまして、お説のように地域の活性化、また産業の振興、地域の発展、ひいては雇用の安定、こういう観点から、できるだけ不況地帯とかあるいは開発がおくれているところ、こういうところに予算を重点に配分いたしました。  ただ、心配なのは、もうたびたびお話がございますが、これがなくなったときにどうするかという後の財源の問題でございます。これで十分社会資本が充実したとは言えないのでございますから、後のこれに続く財源をどうするべきかという長期の計画でありますけれども、中長期的に見てまだまだ住宅にいたしましても、あるいは下水、公園にいたしましても道路にいたしましても、先進国から比べたら随分おくれておりますし、特に豊かさの実感がないと言われますけれども、特に下水、公園、こういうものを住宅とともに充実をしていかなければならないと考えておりますので、ただいまでは非常にありがたいと思っておりますが、ただ将来の財源について心配をいたしておる、こういうことであります。
  129. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回のこの無利子貸付制度の問題ですけれども、これは昨年の第百九国会で初めてつくられたわけです。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕 今回はその一層の拡充を図るために対象事業をいろいろ拡充するわけでございますけれども、建設省所管のNTT関連の法律改正は今回で最後になるんでしょうか。また来年度以降の改正事項というのはどういうものが考えられますか、あるとすれば。
  130. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生御承知のように、昨年は最初の年でございますので、緊急の経済対策の一環ということで早期に実現が可能と見込まれるものというふうなことで、都市開発及び道路整備と関連して第三セクターなり道路公団等が行う整備事業について措置をさせていただいたわけでございます。そういうふうに緊急経済対策で早期にというふうな意味に力点がありましたので、全般的になかなか網羅できなかった。ことしはちょっと時間がございますのでいろいろ検討させていただきまして、Aタイプの活用の可能性をもう少し幅広く検討させていただきまして、こういうものにできるんじゃないかということで対象を拡大させてきた、それでお願いしているわけでございます。  御質問の来年度以降というのは、一応ことし大分時間があって、現段階では可能性のあるもの、いいものというのは拾い上げたとは思っておりますけれども、経済社会情勢が変わりまして何か新しいことがあればまたお願いするということもないとは申しませんけれども、経済社会情勢でなければ大体ことしでかなり満足できるものになろうかというふうに考えておる次第でございます。
  131. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、建設省関係NTT株式の売り払い収入によりますところの無利子貸付金の昭和六十三年度予算における措置状況はどのようになっておりますか。
  132. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) NTTの無利子貸し付けにつきましては、国全体では先生御承知のように一兆三千億円の予算で、その内訳は、Aタイプが千二百二十五億円、Bタイプが一兆七百七十五億円、Cタイプが一千億円となっております。建設省関係Aタイプが一千十五億円、Bタイプが 七千三百六十四億円となっております。なお、Cタイプにつきましては各省別の内訳がまだ決まってございません。
  133. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大蔵省にお聞きしますけれども、無利子貸付制度の財源というのはNTT株式売却益の一部ですから、政府保有NTT株式政府が売れる間その売却益を国債償還に支障のない範囲内で活用するとされているから、かなり高値で株式が売れることが前提条件になっているんじゃないかと思うわけですけれども、貸付金制度の財源としてはいつまでどの程度が可能であると考えておられますか。
  134. 杉井孝

    説明員杉井孝君) 政府保有NTT株式のうち国債整理基金特会に帰属しております売却可能分というのは、六十二年度末で六百五十万株となっておりまして、六十三年度におきましては、先生案内のとおり、六十一年度、六十二年度と同様に百九十五万株の売却予定しているところでございます。六十四年度以降の話は確たることは申し上げられるような状況にはございませんが、先般国会に御提出いたしました国債整理基金資金繰り状況等についての仮定計算というものにおきましては、これは機械的に試算をしているわけでございますが、六十四年度以降もやはり同じように百九十五万株ずつ売り払いまして、六十六年度に売却可能分すべての売却を終了する例を示しているところでございます。なお、仮定計算におきましては、貸し付けの方の無利子貸付財源充当額につきましては、六十三年度以降六十六年度までこれまた機械的に一兆三千億円を仮置きして試算を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、六十四年度以降の具体的なNTT株式売却につきましては、各年度の予算編成過程におきましてその時点の財政状況あるいは前年度の売却結果等を勘案した上で処分限度数を決定いたしまして、国会の御審議をお願いすることとしているところでございます。また具体的な無利子貸付財源充当額につきましても、そのときどきの予算編成の過程におきまして経済情勢がどうなっているかとか、あるいは国の財政状況がどうなっているか、あるいは前年までの売却の動向あるいは国債整理基金資金繰りの関係等総合的に勘案して、その時点時点で対応をしていくべきものと考えておるところでございます。
  135. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど大臣からも、売却がすべて終わった後の財源の問題について非常に御心配もございました。確かに社会資本の充実ということはこれから要求をされることがますます大きくなると思いますので、その点大蔵省としてもお考えをさらに進めていただきたい、このことを要望したいと思います。  次に、内容にちょっと触れますけれども、このAタイプ事業に対する貸付金でございますけれども、これは事業主体収益によって償還する必要があるわけですね。例えば宅地開発で言えば、最終的に宅地の価格にこれが組み入れられて購入者の負担になるんじゃないか。そうなりますと、この制度はいわゆる関連公共施設の開発者負担、ひいては入居者負担、そういうものを公認することになるんじゃないか、こういう心配もあるわけですが、その点どのようにお考えですか。
  136. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今般の法律改正で住宅都市整備公団関係で十五億円弱のNTT—A型を予定させていただいておるわけでございますが、この対象事業として考えていますのは、いわゆる宅地開発に当たって必要となります公共施設について基本的には補助対象になり得るものを対象にして融資していこう、こういう考え方でございます。その限りにおいて、今先生おっしゃったように、本来一〇〇%の補助ができればそういった格好になるわけでございますが、この宅地開発事業が行われていく過程で、しかるべきときに有機的にこの公共施設整備ができているかということを見たときに、なかなかいろいろな事情の中で思うようにいかないという現実もございます。  そのために、現実は住都公団等においては財投資金を使って整備を行っておる。こういったことで金利がかかるお金を使っておるわけでございますが、今般はそれに対して何とか無利子のお金を使わしていただきたい、こういう考え方に立っておるものでございますので、基本的には最終ユーザーの負担ということにはなるわけでございますけれども、現在の制度よりもかなり改善されたものになるというふうに考えておる次第でございます。
  137. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 お話の中にありましたように、貸付金の融資率が補助率と同一ということにされているわけですが、やはり今お話があったように一〇〇%あるいはそれに近い数字にした方がやはり入居される方々にとってはプラスになるわけですけれども、今回融資率が補助率と同一にされた、それはどういうわけなんでしょうか。
  138. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) A型について、宅地開発のみならず一般的に貸付率は補助率と同一になっているわけでございますけれども、基本的には、今望月局長の方から答弁ございましたように、本来公共施設は国と地方公共団体の費用負担でやるべきです。ところが、事業が早期にやるとかいうふうなことでなかなか補助金もそこまで行き渡らない、財政需要の事情もあって行き渡らないような場合がある。そういうときにNTT—A型で、言ってみれば足りない分をA型という形で補足するということになるわけでございますけれども、そのとき、本来公共事業の費用負担というのは国が助成する分と地方公共団体等が持つ分とがあるわけでございますので、それにかわる形の融資を応急にする場合でも国が持つ割合と公共団体等が持つ割合とがやはりあると思うんです。このNTT—A型で貸しているのは、国が持つ割合を無利子で貸しているということになりますので、公共事業と同じ割合で無利子融資をするというふうな建前になっていると思うわけでございます。
  139. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また考え方によりましては、この利益回収型は事業によって収益を上げてそれによって返済する必要があるというわけですから、対象事業にもおのずから制約があろうと思うんですね。それとともに地域的にもその範囲が限られてくるんじゃないかと思うんです。このタイプの事業もいわゆる民活と同じような考え方、受益者負担の考え方としますと、地域的にも大都市周辺に限られてくるんじゃないか、こういう感じがするんですが、その点どうでしょうか。
  140. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生指摘のとおり、NTTのA型に特に限定して申しますと、開発利益で還元するわけでございますので、政策的にそうするということでなくて、やはり性格的に都市部に条件に適合したプロジェクトが多くありがちな性格を持っております。特に大都市の方に偏りがちな性格があることは事実でございます。  ちなみに前年度六十二年度分の貸し付けの実績を見ましても、三大都市圏で八件、その他の地域で七件。公共事業全体の配分比率から見ますと、NTT—A型は大都市圏に偏っているということはないんですけれども、比重が多いという状況にございます。ただ、大都市圏以外でも十五件のうち七件あるということでございますので、地方でも活用できる性格のものであることはまた事実でございます。先ほど大臣おっしゃられましたように、今後のことを考えますと、地域の活性化とか内需拡大というふうな配慮から地方の方にもできるだけ配分ができるような形で配慮して処理してまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、NTTのA型に関してはそういうことでございますけれども、さっきから申していますように、A型、B型、C型がございまして、金額的にはB型が一番多うございますけれども、この配分につきましては、建設省一般公共事業と同じように、六十三年度等につきましてはそれ以上に、一般以上に地方への厚目の配分といいますか、配分等を考慮しているところでございまして、NTT全体から見ますと、全体としては地方へ重点が置かれているというふうに言えるかと思うわけでございます。よろしく御了解願いたいと思います。
  141. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣、今お話がいろいろとござい ましたように、やはり大都市周辺であることは否めない事実じゃないかと思います。その他B型を加えていろいろと配慮をしているということでございますが、確かにB型の方が予算的には非常に多いわけでございますが、せっかくのこういった制度でございますので、やはり融資率につきましてはある程度地方については高目に見るとか、せっかくの制度でございますから、有効に活用された方がよかったんじゃないかなと思いますが、どうでしょうか。
  142. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 確かにAタイプBタイプも地方に重点的に配分いたしたい、かように思います。ただし、A型については、御議論がありますように、これは返してもらうものですから本当に返せる事業であるかどうかという審査が必要であります。これを無理して、もちろん無利子ですから、返した分は借入金が減ってくるわけですから、その点はありがたいのですけれども、それにしても期限内に返せないような事業に貸し付けるというのは非常に難しいのであります。  でございますから、今も局長からお答えいたしましたように、その点を配慮しながら、Bタイプを地方へ重点的に、Aタイプについては、いい貸し付けであれば、返せるという見通しがあればもちろん貸し付けをいたしますが、無理して返せないような状態になりますと困りますので、その点を配慮してやっておるということでございますので、御了解をいただきたいと思う次第であります。
  143. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは次の問題は、今回の改正につきましては公共的な建設事業の促進を図るための制度、このように理解をする上から、公共事業の執行について何点かお尋ねしておきたいと思うのです。  この中にも河川、砂防設備等の整備に関する事業ということでございますので、まず河川のことについてお伺いしますけれども、河川事業の改修率というのは大体どの程度に進んでおりましょうか。これは五カ年計画ももう七次に及んでいるわけでございますので、そういう実態を見ますとなかなか進捗をしていないという実態もあるわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  144. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  まず河川の改修率といいますか改修状況でございますが、昭和六十一年度の末、第六次の治水事業五カ年計画の終わりのところでございますが、大河川につきましては、当面の目標を戦後の最大の洪水ということで置きましてその達成率が五七%、中小河川につきましては、時間雨量五十ミリという雨に対して当面安全なようにという目標を置きまして二八%、御指摘のように低い状況になっておるわけでございます。  なぜかということでございますが、我が国が置かれております気象の条件、大変長い梅雨と大変しばしば台風が襲ってくるということがやはり第一でございます。また、人口や資産が集積されているところ、いわゆる都市がほとんど河川のはんらん区域の中にあるという国情、この辺から国土全体が大変洪水等によりまして被害を受けやすい条件にあるということでございまして、それを除きますために膨大な事業費と期間が要るというようなことから、結果おくれておるということになっておろうかと思っております。
  145. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 特に、今お話がありましたように、都市河川の整備というのは非常に立ちおくれているということが言えると思います。その都市河川につきましては、水質の浄化あるいは都市環境に資するための整備、そういうものも認められておりますけれども、抜本的な対策というのをやはり立ててしっかりやるべきだと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  146. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 御指摘のように、都市河川は、特に昭和三十年代の人口の都市への過度の集中によりまして流域が市街化したことで、同じ雨が降りましても逆に洪水が大きくなるというようなことから、大変他と比べまして立ちおくれているという評価をいただいたことがございます。ただ、その後二十年近く都市河川対策に意を注いできておりますので、大分立ちおくれた分が取り戻せておるのではないかと私どもは考えております。  同時に、都市の河川におきます水質の浄化とか環境にも意を用うべきではないかという御指摘でございますが、私ども五カ年計画を立てますときに、治水それから利水にあわせましていわゆる親水機能と申しますか、特に都市の中におきます環境整備に意を用いるべく治水、利水と並べて柱を立てておりまして、浄化対策ですとか水辺環境整備を意欲的にやっていくことにいたしております。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この中にもありますが、第三セクターで行う河川等の整備というのがございますけれども、やはりおくれている公共施設整備を推進するために民活は必要であろう、私たちもそういうことは言ったことがございますけれども、公共施設を何でも民活でやらせることは問題ではないかと思うんです。河川あるいは砂防設備あるいは地すべり防止施設、これは住民の生命とかあるいは財産を守る上で非常に重要でありますし、このような施設を民間事業者にやらせるということについて問題はないだろうか、これをお尋ねしたいと思うんです。
  148. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  A型事業を実施していただく事業主体でございますが、私どもは、地方公共団体の出資が十分含まれました第三セクターですとか、あるいは住都公団ですとか地方住宅供給公社等を頭に描いておりますので、事業主体がそういう意味で不安心と申しますか、そういうことはないと考えております。  また、実際に河川管理施設等をやっていただきます場合には、そもそもNTT—A型事業への採択前に審査があろうかと思いますし、また仮に河川法に基づいて実際やっていただくということになりますと河川法に基づきます事業審査がございましょうし、また私ども河川管理者が、できました河川管理施設等を受け渡していただく時点でも検査を多分さしていただくことになろうかと思います。そのようなことで、つくり上げられます施設について今御指摘のような不安が残るということはないのではないかと考えておりますし、またそのようなことがないように十分仕組みを考えていかなければいけないというふうに考えております。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 特に治水関連事業につきまして、民間活力を活用するために収益事業に関する占用が広範囲に認められて河川管理上支障を生ずることはない、またそういう問題が生ずるとこれは大変なことになろうと思うんですが、その懸念はないと、こういうふうにお考えですね。
  150. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 今回の事業で、おっしゃいますように河川敷地を占用される形の収益事業が出てこようかと思いますが、私どもといたしましては、在来からの河川敷地の占用に関します許可の考え方、これを基本的に変える気はないわけでございまして、NTTのA型事業と関連いたしますそういうたぐいの収益事業も、従来の占用許可の範囲の中で占用の許可を行わしていただくというふうに考えておりますので、特段管理上新しく支障が生ずるようなことになるということはないというふうに考えております。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、やはりここにあります下水道等整備に関してでございますが、この下水道事業についての普及率はどのようになっておりましょうか。都市の人口別の普及率というのはわかりますか。
  152. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 昭和六十一年度末の普及率は全体で三七%でございます。六十二年度末は推計で約三九%、二ポイントほど上がる見込みでございます。  人口の規模別普及率は、一般論としましては、都市規模が大きいところが一般的に普及率が高くて小さいところは低い傾向にございます。余り細かくはできませんけれども、大ざっぱに見ますと、人口規模百万人以上の政令都市の場合の平均 の普及率は八二%でございます。それから政令都市以外の一般都市の平均は三五%になっております。さらに市でなくて町村ではわずかに四%というふうなことになっております。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この下水道事業につきましては毎年一兆円以上の事業費を費やしているわけでございます。下水道事業に着手している自治体は全体の三分の一程度しかありませんし、また普及率も今お話しのとおり三十数%と低いわけですけれども、その点はやはり問題じゃないかと思いますけれども、その点はどうお考えですか。
  154. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 普及率がただいま申し上げたような状態でございますので、公共投資の中でも特に下水道等立ちおくれの著しいもの、あるいは生活関連の社会資本というのは精力的に重点的に事業を伸ばしているわけでございます。しかしながら、東京、大阪などを除きます多くの都市が下水道事業に着手しましたのは、先生御承知のとおり、そういった東京、大阪などを除きますと多くの都市が大体昭和四十年代から着手している。それからだんだん本格化してまいったわけでございますけれども、五十年代、特に後半に至りますと厳しい財政事情で公共事業全体が抑えられているというふうなこともございました。  財政的な理由はそういうことでございますけれども、もう一つ、都市の人口集中が大変急速にスピードが拡大してしまいまして、普及率で申しますと、分母と申しますか、普及しなきゃならぬ分母の方がどんどんふえてまいっておりますので、分子をいかにふやしてもなかなか普及率が上がらないという状態にもあったということも事実でございます。  それからもう一つは、日本の都市が下水道をどちらかというと置き去りにして市街化が進んでしまいましたので、後から下水道を追加的に投資するということになりますと、最初にやるよりはどうしても後追い的な、つまりお金がかかるというふうな条件の悪さもございます。そういったことでただいまのような状況でございますけれども、やはり基幹、根幹的な生活関連施設でございますので、第六次の長期計画、ただいまちょうど真ん中でございますけれども、それを当面完全に達成するように努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この下水道の普及は、五十年代になってから本格的に着手したということで普及率が低いことはわかりましたけれども、その下水道の普及を高めるためにいろんな努力がされていると思いますけれども、例えば簡易下水道を設置するとか、あるいは民間活力を活用するとか、あるいは汚泥を肥料にするとか、いろんな工夫を加えながらやはりこの下水道の普及を図っていくべきじゃないかと思いますが、その点はどのように対処されますか。
  156. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 下水道、既成市街地の例えば市街化区域内でも大分おくれておりますので、これを一生懸命重点的にやっておりますけれども、市街化区域外、あるいは場合によっては都市計画区域外におきましても、例えば観光地の自然保護のために下水が必要だとか、あるいは農山漁村の下水道が必要だとか、あるいは水源地保護のために必要だというふうなことも出てまいっております。こういったものに対処をするために特定環境保全公共下水道と称するものがございまして、これは千人以上を対象にしての下水道でございまして、そういったものをそれぞれ国立公園とか国定公園等のあるところ、あるいは湖沼、ダム周辺の地域とか山村漁村の集落において昭和五十年度からそういった事業を実施しているわけでございます。昭和六十三年度で申しますと、事業費が約二百七十七億円、百六十八カ所で実施しておるわけでございます。毎年、年度によって違いますけれども、新規に二十ないし三十カ所ぐらいふやしておるところでございます。  さらに、昭和六十一年度から、この特定環境保全公共下水道の一環でございますけれども、先ほど千人以上と申しましたが、閉鎖性の水域で上水道水源の上流にあるというようなところで特に重要なところは千人未満につきましても下水道を実施するというふうなことで、これを簡易な公共下水道と称しておりますけれども、そういったものも取り入れてまいっておるわけでございます。この簡易な公共下水道と申しますのは、現在までのところ四カ所でございますけれども、昭和六十三年度には十五カ所、事業費を約十二億円というふうなことで、こういったものも実施してまいりたいと思うわけでございます。  それからもう一つ先生指摘になりました下水道についての民活でございますけれども、先生御承知のように、下水道事業は非常に公共性の高い事業でございますと同時に、なかなかその収益といいますか、もうけになり得る範囲が非常に限定されて、収益性が余り強くないと一般的には言える事業ではないかと思います。そういうふうなことで、民間活力を導入するというのはなかなか難しい、一般論としては難しい事業でございます。そういうことで、六十二年度までは民活というものはほとんど余りなされてなかったわけでございますけれども、このたび、六十二年度の、制度としては六十二年度でございますけれども、予算としては六十三年度よりNTTのA型の貸し付けも導入してまいりたいと考えておるわけでございます。  そうは申しましても、先ほどのように公共下水道の性格からいって収益還元型というのはなかなか一般的にはなじみにくいことがございますので、非常に特定団地のようなところで、その団地の処分代金で返せるというふうな、あるいは住宅団地工業団地等でございますけれども、そういった非常に限られたところでございますので、全体として六十三年度、A型の下水道についての予算というのはそう多くはございません。  それからもう一つ、汚泥等の肥料等への利用でございますけれども、これは現在、全国の終末処理場の下水処理場から出ておる汚泥の中で、全体の量が二百十四万立米、霞ケ関ビルの四ないし五杯分ぐらい汚泥が出ているわけでございますけれども、その四分の三は陸上または海面で埋立処理されております。これに対しまして有効利用されている分につきましては三十二万立米でございまして、全処分量の一五%が有効に利用されている。有効と申しますのは、大部分が肥料に、緑農地利用と称する肥料に使われているわけでございます。限りはあると思いますけれども、今後とも積極的にこういった利用促進の道も考えてまいりたいと思います。さらに、建設資材への利用というふうなものも技術開発を進めて利用の拡大を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今のお話の中で、今回そのNTTAタイプを活用した下水道事業への予算というのは余り多くないというお話でしたけれども、効果はどうなんですか、多少でもあるんですか。どの程度の予算になっていますか。
  158. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 下水道事業におけるNTT—A型というのは、予算措置を考えているのは二種類あります。一つは、予算の項目でございますけれども、緊急都市開発関連下水道事業と称するものでございます。これは、都市開発に関連して整備が必要となる下水道につきまして、開発事業者である第三セクターに無利子の貸し付けを行いまして、当該下水道の緊急整備を図るものでございます。それから二つ目は、民活区画整理緊急促進事業でございまして、民間活力の活用による下水道施設の整備を図るために、組合等が施行する土地区画整理事業に無利子貸し付けを行い、下水道の緊急的整備を促進するものでございます。  昭和六十三年度におけるA型関連の下水道事業費は約三十億円予定しております。貸付金は十五億円になりますけれども、事業量で三十億円を予定しております。そうしますと、下水道の総事業費は現在約二兆三千三百億円でございますので、その中の三十億円と申しますと約〇・一%ぐらいになるわけでございますので、そういう意味では下水道の普及をこれによって大きくというふうにはちょっと言えないかと思うわけでございます。 ただ、必要なところにこういった資金を回すことによりまして、全体として下水道の普及を高めてまいりたいと考えている次第でございます。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣、河川、下水道事業で今ちょっと質問させていただいたわけでございますけれども、住宅、河川、下水道あるいはそういった社会資本の充実、国民生活を豊かにするための公共事業の推進、そういうことでこのNTT資金を積極的に活用するということで今いろいろと対応されているわけです。  先ほど大臣からお話がありましたように、じゃ終わった後どうなるんだという心配もいろいろあろうと思うんですけれども、そんなに大きな額じゃありませんね、国家予算全体から見れば。国家予算もそのころには多少膨らんできておりますし、やはり皆さん方の努力で、大臣等の御努力で、それがいろんな後年度へツケ回しになったりあるいは公共事業費の硬直化を招くということでなくて、財源的にはNTTが終わったってきちっと確保できるという体制を進めていただきたい。そうならないと私ちょっといけないんじゃないかなという感じもするわけですが、どうでしょうか。
  160. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) たびたび申し上げておりますように、この後の財源につきましては何としてでも、下水にいたしましても公園にいたしましても河川にいたしましても、社会資本は大変おくれておりますので、今のままでいきますと六十六年度まで今のベースでいけると思いますけれども、その後をやはり財源をきちっとしてやっていかないといけない、こういうふうに考えております。これは何としてでも我々はそれを確保していかないと我が国の社会資本の充実はあり得ない、こういうふうに思いますので、この点だけは、まだ今確たる、どれでやりますという財源が今見つかっておるわけではございませんけれども、財源を確保するんだ、こういうふうに思います。  一般的に言いますと、特定財源ももちろんでありますけれども、一般財源を多く入れてもらうように今後努めていきたい。その上で特定財源も含めて推進をしていきたい。まず一番の目標は、一般財源をたくさん組み入れる、投資する、こういうふうに考えておる次第であります。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 おっしゃるとおりだと思います。  それでは最後の問題になりますが、建設省は数年前から、高度情報化社会に対応した都市づくりを進めるということでインテリジェント・シティ構想、東京もそうでございますが、推進していると聞いているわけでございます。最近は産業、経済、社会、国民生活ともどもいろんな面で高度情報化の大きな流れの影響を受けて変化しつつあるんじゃないかと思うんです。建設省も二十一世紀に向けての都市づくりということをいろいろと研究されている。そうなりますと、この大きな流れというものにやはり適切に対応していく方途を考えなきゃならない。そういう意味でこのインテリジェント・シティ構想というのはあろうかと思うんですけれども、最初に、そのインテリジェント・シティ構想の内容と各指定地域における実施の現状はどうか、そこをちょっとお聞きしたいと思うんです。
  162. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) ただいま先生から御指摘ありましたように、これからの日本が国際化、情報化の波の中でさらに進展していくというふうなことでございまして、日本の都市もそれに相応したふさわしい都市をつくっていかなければいけないというふうなことが一つございます。それからもう一つは、日本の国土をバランスよく発展させるためにはどうしたらいいか。あるいは東京なんかで申しますと、東京圏をもう少し、余りに真ん中にばかり集中しないである程度バランスをとって発展させるにはどうしたらいいかというふうなこと、そういうふうなことから考えましても、広域的な交通網と並びまして情報ネットワークというふうなものもこれからどうしても広域的にバランスのとれた形で配置しなければいけないんじゃないかというふうなことは考えられるわけでございます。  ただ、情報に関しましては、よくいろいろフェース・ツー・フェースでやはり中央でなきゃいかぬとかいういろいろな異論もございますけれども、これから日本国全体が情報化していくということになれば、どうしても結果的には情報の機能も地方にかなり分散して重点的に配分していく必要があるのではないかと私どもも考えるわけでございます。そういう意味で、地方公共団体におきましても現在、モデル的ではございますけれども、市長さん初めその市が、当該市の情報化について大変意欲を持っておられるというふうなところの市がみずからインテリジェント化の構想を有しまして、その構想に従いまして、例えば都市施設、再開発事業とか区画整理事業とかいろいろの手法はございますけれども、そういった手法等との絡みにおいて都市整備を進めていくというふうな場合、そういった構想を持っている都市につきまして、その構想の熟度等を評価しまして、そういった都市をモデル都市として指定し応援していこうというふうな構想でございます。  実施状況は、昭和六十一年度に最初に指定を行ったわけでございまして、昭和六十一年度は岐阜市ほか二十二地域において指定を行いました。また昭和六十二年度は、名古屋市等の十四地域におきまして建設大臣指定を行ったところでございます。こういった市におきましては、現在それぞれが整備基本計画というふうなものの策定を進めているところでございます。進め終わったときに大臣の承認というふうな形をとりまして、そういった整備計画にのっとってやるもろもろの公共事業、都市づくり事業あるいは情報のための施設整備、そういったものに対してバックアップしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、今は各市それぞれ指定された地域でそれぞれの準備を進めているということでございますが、このインテリジェント・シティに指定されますと地元にとっていろいろなメリットがあると考えていいと思うんですが、それはどのようなメリットを考えてみえますか。
  164. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 具体的なメリットと申しますと、指定されますと、重点整備地区計画という地区計画その他もろもろのソフトの調査、どういうインテリジェント都市に持っていくかという調査がございます。こういった調査につきましては所管事業の調査費の中からこれを活用することによってバックアップしてまいりたいというのが一点でございます。  それからインテリジェント・シティの整備に関する例えば土地区画整理事業、再開発事業でもよろしゅうございますけれども、そういったものにつきましてはこれは予算採択等におきましてできるだけ重点的に予算配分をしてまいりたいというのが二つ目でございます。  それから、これは一定の条件がありますけれども、条件を満たす情報センターに対しまして建設費の助成をしたい、補助をしたいと考えております。  それからもう一つ開発銀行等の融資でございますけれども、インテリジェント・シティの重点整備地区内におけるインテリジェントビルに対しましては、融資に関しまして金利面の優遇措置がある等々でございます。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほどの局長さんのお話の中に、六十一年度に指定された地域ということで岐阜市ということもあったわけですが、岐阜市も最近国際化ということをいろいろと考えておりまして、未来博も建設省の後援をいただいていろいろと展開をしてやっておりますが、国際化にふさわしい都市の発展をということで、これは運輸省ですか、コンベンション・シティも決まったようでございます。岐阜市は日本の中心にも当たるところでございますし、大臣は今度名古屋までおいでくださるということでございましたけれども、岐阜にも一歩を進めていただいていろいろとごらんいただきたいと思うんです。  特に、私たち岐阜市に住んでいますと、岐阜の長良川は天井川で、大半の市街地が長良川の河底 よりも低いというところで生活されているわけでございますし、治水のために相当力を注いでいただいておりますけれども、今後とも地方の中核都市として発展していかなきゃならない、こういうことを考えますと、岐阜市にも相当応援をいただきたいと思うんです。その点どういうふうにお考えでしょうか。
  166. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 地域の問題でありますけれども、すべて各地域地域の特性を生かして進めてまいりたい、かように思っております。都市計画にいたしましてもあるいは住宅にいたしましても、これはまあ全般的でございますけれども、今のように変化が激しいのでございますから、ただ床面積だけが広いということではだめで、やはり今からのいろいろ情報化時代に各家庭も備えてやっていかなければならない。道路にいたしましても、例えば高速自動車道にいたしましても、その地方地方の木であるとかあるいは石であるとか、こういうものも利用して、潤いのあるといいますか、その地方地方の特性を生かしてやっていかなければならない。先ほどお話がございましたような河川にいたしましても、河川がゆとりのある空閑地として皆さんが親しまれる、その地方の人が親しんで河川を利用していただく、こういうことであります。  でございますから、特に東京一極集中から均衡ある発展ということになりますと、その地方地方の特性を生かして、都市にいたしましても河川にいたしましても道路にいたしましても進めていくように心がけていきたい。特におくれておるところについては重点的に進めていきたい。また、御承知のとおり産業構造が随分変わったりいたしますので、その点にも配意をして進めてまいりたい、かように思う次第であります。先生のところの県も私いろいろ見せていただいて前進させなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  167. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もう一点ですが、そのインテリジェント・シティに指定された地域には、やはりこのAタイプ融資というのはより多く配分されると考えてよろしいでしょうか。
  168. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先ほど、インテリジェント・シティに指定されるとどういうメリットがあるかというところで、例えば区画整理事業とか街路事業についての予算の重点配分等をしたいと申しましたけれども、いわゆるNTTのA型に別に限定されずに、一般的にベースの公共事業あるいはNTT—B型等を含めて、こういったインテリジェント・シティをバックアップするための予算の重点的な考え方というのもとってまいりたいと思うわけでございます。  なお、そのNTT—A型につきましては、プロジェクトが非常にこれにフィットするかという問題が当然出てくるわけでございますので、そういうフィットするものがございますれば、当然のことながらそういうものに積極的な貸し付けに取り上げてまいりたいと思っている次第でございます。
  169. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ最後に、東京港臨海部の開発構想の中で建設省は、このインテリジェント・シティ構想でウオーターフロントを機に都市機能整備を図るということでいろいろとお考えをまとめて勉強されているようでございますが、どの程度まで進んでいますか。
  170. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 東京港の開発その他で、これが将来インテリジェント化の最先端を行くような形で開発がなされるという方向に進んでいることは事実でございますけれども、ただいま御質問のインテリジェント・シティの指定はまだここではなされてございません。
  171. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 東京のウオーターフロント地域に、今東京瓦斯、東芝はございますけれども、インテリジェントビルがどんどん今計画されているようですが、IBMあるいは三井、三菱、住友その他が建設される予定だそうですが、中にはこういうことをおっしゃる方がみえるんです。  これは陣内さんという法政大学教授の方でございますが、情報化時代、インテリジェント時代というのは、このインテリジェントビルを見ますと機能性ということが前面に出ますので、新宿の副都心にあるようなビルの展望室、あるいはレストランとか、そういうものはどうしてもつくれない。そうなりますと、一般人たちが利用する部分がなくなっていくんじゃないか。人間の顔をした都市づくりということはよく言われますけれども、そういった面のない都市になるとか人間性を隔絶したような市街地がそれによってつくられるんじゃないだろうか、こういうお考えを持っている方もおみえになるようです。やはりこれからの二十一世紀の都市づくりは人間の顔をした都市ということで、その方が指摘されるような、インテリジェントビルと人間の顔をした都市づくりとを両方マッチさした方向で建設省としては構想を進めていただきたいなと思うんですが、その点どうでしょうか。最後に。
  172. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 確かにこの勉強会を建設省が始めた段階では、今先生指摘の業務用ビルのインテリジェント化ということを中心にやってまいっておりまたのですけれども、その議論の段階で御指摘のような点が大分指摘されましたし、また単体としてのビルをシティーとしてやる場合には、当然そういうふうな機能性以外に住みやすさとか安らぎとかそういうものとの調和が必要だということで、今インテリジェント・シティの方は別途研究会を関係市町村が設けまして、その安らぎと機能性を調和したようなものをつくろうということで勉強中でございます。もう一方の方では、技術的にもっと高度な情報ビルをつくろうという、まあ主として民間の方々を中心に勉強している。  二つの流れでやっておりますけれども、やはり地方公共団体がこのインテリジェント・シティという形でやる場合、あるいは我々が大都市の町づくりというふうなことでやる場合には、単に情報機能を高めるというだけで終わってしまってはつまらないと思いますので、そういう方面の検討もさらに進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  173. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  174. 橋本敦

    橋本敦君 私は、本法案に関連をいたしまして日米建設市場参入の問題について質問をしたいと思います。  この問題はもう既に明らかでありますけれども、この二年間経過をたどってまいりました。最初に米側は、関西国際空港への参入問題を要求してきた。その次には今度は大型公共事業、さらには関連する民間事業への参入、こういったことで次々と要求がエスカレートしてきた経過があるわけであります。しかも、そのアメリカ側の要求の中身も極めて問題でありまして、最初は米企業の参入の平等な機会、こういったことを主張していたようでありますけれども、実質的なねらいは、その後明らかになったように、米企業のレジスター、金銭登録機の音が鳴らなければ意味がないんだと、こういった方針を強引に公然と言うようになりまして、出発点の参入機会の平等から、さらに進んで実績の平等までその保証を要求するかのごとく受け取れる方向に強引に要求がエスカレートしたように見受けられるわけであります。  そこで、この問題の前提としてまずお聞きをしておきたいのでありますが、果たして日本の建設市場というのは外国企業の参入を拒否しているのかどうか、この点はどうなんですか。
  175. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今般の建設業の参入問題につきましていろいろの経過、あるいは経過の中での変遷といいましょうか、意見の変貌があったことも率直に認めざるを得ないわけでございますが、今御質問の日本の建設市場がどうかということにつきましては、制度的に我が国の制度は極めて開かれたものでございます。
  176. 橋本敦

    橋本敦君 つまりその点は端的に言うなら内外無差別で開かれているということですね。にもかかわらずこういう問題が起こってきて、今度の決着でいわゆるアメリカ側には特例措置を認めるという状況になってきた。開かれている上にアメリカ側に特例措置、こうなりますと、それは日本側 にとって正当な範囲を超えた譲歩、アメリカ側の強引な要求に屈したという意味において新たな問題を起こしはしないかという問題を私は懸念をするわけであります。  そこでまず第一の問題でありますが、今度公共事業プロジェクトについてはいわゆる特例措置ということで合意したわけでありますけれども、この特例措置というのは具体的に米企業に参入の機会を保証するということを含むんですか。
  177. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 三月の二十九日に実質的な決着を見た日米間の合意の主たるポイントでございますが、この中で公共事業につきまして申し上げさせていただきますと、日本の公共事業、先ほど申しましたように民間事業公共事業も含めて制度的には開かれたものであるわけでございますけれども、現実の問題として、日本の公共事業については、発注者であるそれぞれの主体がどういう業者を指名するかというふうな指名競争入札制度を前提としての運用の実情があるわけでございまして、そういった中でなかなか外国企業が入りにくい、こういった現実でございます。  そういったことを背景にいたしまして、今回の合意の内容というのは、米国企業が日本の公共事業手続に習熟できるように、そのことを目的として、七つの特定大型公共事業について指名基準あるいは各種情報の提供あるいは入札期間、こういったものについて特例措置を設けることとした、こういった内容のものでございます。
  178. 橋本敦

    橋本敦君 今答弁された習熟する機会を与えるということが趣旨だということです。したがって、その限りにおいては、習熟の機会ですからなじみやすいようにする、よく知る条件を与えるという程度であって、参入の機会を保証するとかあるいは特別の便宜を与えるとかいうようなものではないということはきっぱり言えるわけですか。
  179. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど先生キャッシュレジスターがというようなお話もされましたけれども、今回はあくまでもそういった手続上の特例を準備しようというものでございまして、その結果について、いわば本当に落札をするかどうかということについてまでの合意を持っているものではございません。
  180. 橋本敦

    橋本敦君 その問題はまだ問題が残るので後でさらに触れますが、こういった習熟する機会を与えるという意味においても特例措置を合意したということになるということで聞きますが、こういった特例措置は、日本以外によその国が例えばアメリカに対して特例措置をとっているようなところはありますか。これは外務省かもしれませんが、建設省おわかりでしたらお願いします。
  181. 東郷和彦

    説明員(東郷和彦君) お答え申し上げます。  よその国でそのような措置をとっている例はないと承知しております。
  182. 橋本敦

    橋本敦君 ですから、日本だけがアメリカに対して特例措置をとっていることが一つはっきりするんですね。  それからもう一つの問題は、そうすると日本がアメリカ以外の国にこういう特例措置を認めている国がありますか。これは確認のためですが、外務省どうですか。
  183. 東郷和彦

    説明員(東郷和彦君) 今回の合意は初めての合意でございまして、その意味でそれ以外の国に対して措置をとっている例はございません。
  184. 橋本敦

    橋本敦君 そこでもう一つの問題は、公共事業に関して指名入札制度という制度はあるにしても、基本的には内外無差別で開かれているというのが日本の建前ですが、しからば諸外国の公共事業についてはどういう状況になっているか、こういうことです。  建設省建設経済局建設振興課の金融専門官の松田一郎さんが「「指名競争入札制度」を検証する」という論文をお書きになって、欧米先進諸国の入札制度を検討されています。これは各国を検討されたんですが、その中で米国についてこう言っておられます。「連邦政府は公開入札制、州政府は五十州のうち何らかの事前資格審査制を採用しているものが四十州を超える。いずれの場合も、落札までの間に各種のボンドの取得が要求される。すなわち、連邦政府に限ってみても制度・形式上は公開入札であっても、ボンド会社による審査を経なければ入札資格が生じないという意味において、実態上は事前資格審査付き入札に等しい。」、こういうことをおっしゃっております。これは建設省間違いないんでしょうね。
  185. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 公共事業の入札制度、これは申し上げるまでもありませんけれども、各国それぞれの歴史、事情の中でできている制度でございまして、非常に単純に比較していくことはなかなか困難な現実でございます。そういった中で、私どもも改めて各国の状況等も精査しているところでございますけれども、今おっしゃったアメリカにつきましては、公開入札制度という建前の中で、いわゆるPQ、プリクォリフィケーションというんでしょうか、事前資格審査制度というような実態を持っておると思われるようなボンド制度、こういったものが大変大きな役割を果たしているという面が現実にあるようでございます。
  186. 橋本敦

    橋本敦君 日本の企業がアメリカの公共事業を入札する場合に、こういったいろんなアメリカの制度企業努力でクリアしながらやっているのが実情ですね。だから日本側として、日本の企業がアメリカの公共企業に参入しやすいようにこういったボンド制度による実質的な事前資格審査、これについて日本側の企業が参入しやすいような特別のオリエンテーションとか、あるいは特別措置とかいったものを要求したことはありますか、ありませんか。ありませんね。
  187. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今日まで長い歴史の中で日本の企業はそれぞれの分野で大変な努力と成果を上げておりますが、その間に政府として特段のそういう今おっしゃったようなことを要請したことはございません。
  188. 橋本敦

    橋本敦君 だからしたがって、今の経過からも明らかになったように、今度の特例措置というものはまさにアメリカのためにだけ特例措置を認めるという格好になっている。そういう意味で私は対等平等、そういった関係は大きく阻害されておると思うんです。  ちなみに、米国企業で日本の建設業の許可、これをとることについて特別の制約がありますか、ありませんか。そしてまた、アメリカの企業で日本の建設業の許可を得ている、それはどのくらいの数がありますか、ちょっと言ってみてくれますか。
  189. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど冒頭御答弁申し上げましたように、日本の制度は内外無差別ということでございますので、とりわけアメリカの企業が日本の建設業の許可をとるに当たって障害になるというものは基本的にはございません。そういった中で、現在までのところアメリカの企業で日本の建設業許可をとっているものはきょう現在で三社ございます。  なお、ついででございますけれども、出資比率五〇%以上のいわゆる米国系企業、こういったものが日本の建設業許可をとっておりますのが八社でございます。
  190. 橋本敦

    橋本敦君 今の答弁からも明らかになりましたように、この特例措置というものはアメリカ向けのまさしく特例であり、日本から見れば、正当に開放されている上にアメリカのこの要求を受け入れたという意味で、そのこと自体対米従属的な意味で問題をそもそも出発点から抱えてしまったと言わざるを得ないんです。  それで、その次の問題で伺いたいのでありますけれども、もう一つの問題は、民間企業プロジェクトへの問題であります。  今度の合意によりますと、これにつきましては内外無差別の調達方式、これを政府としても勧奨すると、こうなっているわけですね。この勧奨とは何かについて当委員会でも議論をされてきました。また衆議院でも議論があったように思います。この勧奨ということ、これはどう解釈すればいいのか。まず外務省に伺いますが、この勧奨というのは英文ではどういう意味のものとして合意されたんですか。勧奨、わかりませんか。
  191. 東郷和彦

    説明員(東郷和彦君) お答え申し上げます。  英文の最終的な詰めというのは目下まだやっている最中でございますが、この勧奨という言葉については英語ではエンカレッジ、まさに勧奨するという意味でございます。
  192. 橋本敦

    橋本敦君 ところが、勧奨するというまさにその意味だというこの意味がいろいろなんですよね。  大臣にお伺いしますが、この勧奨ということについて、大臣は三月三十日の当委員会の答弁で、「要は、あっせんするといいますか、紹介するといいますか、そういう範囲であろう、こういうふうに解釈をいたしております。」、こうおっしゃっているんですね。この民間七プロジェクトについて政府が勧奨するということは、今外務省はエンカレッジ、文字どおり勧奨だ。勧奨というのは具体的に何かというと、大臣は紹介とかあっせんとかだろうと、こうおっしゃる。これは特定してもらわないと議論の対象にならないんですが、この合意した勧奨というのは具体的に政府としてはどうするということなのか、もう一遍大臣はっきりお答えいただけますか。
  193. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 私が以前に答弁をいたしておりますのは、七プロジェクトについて勧奨と申したのではありません。七プロジェクトについては、先ほど局長がお答えいたしましたように、習熟する意味をこの七プロジェクトについて行う。勧奨というのは、そのうちの民間の部分について、民間は我々役所の方からどうせよということの命令ができない、その範疇にあるから勧奨という言葉を使っておる。その勧奨については、紹介をしあっせんをし、ひとつこういうアメリカ企業が申し出があるから検討をしてみてくれないか、こういうことの範疇でありますという意味答弁をしておりますので、七プロジェクトについて勧奨するということは私は一切、議事録は今持っておりませんけれども、言っていない。民間の部分についてまた……
  194. 橋本敦

    橋本敦君 民間ですよ。
  195. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) そうでしょう。七プロジェクトには民間があるものとないものとございまして、その民間の分についてのお話をここで申し上げた、これが正確な答弁でございます。でございますから、そういうふうに進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  196. 橋本敦

    橋本敦君 これはなかなか政府としてもはっきり答えにくい筋があるんですね。大臣おっしゃるように民間ですから、政府としてどうしなさいこうしなさいということを行政指導で言うというわけになかなかいかない筋のものですね。しかも、民間というのは、公開指名入札という公共事業と違いまして、随意契約でやってもいいわけですからね。だから、そういう民間のプロジェクトについて勧奨するということを政府がアメリカ側と合意したその勧奨というのは、政府にとってはアメリカのために何をしてやることなのか、そこのところなんですよ、私の聞きたいところは。大臣、私の質問の趣旨わかってくださるでしょう。政府として何をすることなのか、もう一遍はっきり言っていただけますか。
  197. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今の民間については、この前申し上げましたように、紹介をし、まあ見積もりでも結構ですし、入札でも結構ですし、あるいは随意契約でも結構、それは民間の事業主体が考えることで、そこへ紹介するといいますか、こういう企業が来てこう言っておるからひとつ検討をしてみてくれないか、この範囲をやる、こういうことでございますので、別にそのことが私はどうということはない、こういうふうに思っております。ですから、約束したとおり進めていく。  いずれにしても、公共事業にしてもあるいは民間のそういう事業にしても立派なものをつくらなければならない。また立派なものが安くできなくてはならない。公共事業はそういうことで指名競争入札をしておるわけですから、それに沿うようにお考えをいただく、その範囲のことを申し上げておる次第であります。
  198. 橋本敦

    橋本敦君 大臣そうおっしゃっても、あれだけの日米間の交渉の結果アメリカが合意した、日本政府が勧奨するという勧奨の中身は、大臣がおっしゃるように、民間七プロジェクトについてアメリカのこういう企業が知りたいと言っておるよ、紹介するよ、どうか、こういうことなら、政府がわざわざあっせん、紹介しなくても、プロジェクト自体はオープンにされているわけですから幾らでもできるんですよ。  しかも、こういうことを合意したその後の問題として、合意の内容には大臣御存じのように二年後のレビューということがありますね、二年後のレビュー。だから、まさにこういった公共事業については特例措置の進行ぐあい、それから民間プロジェクトについては今言った勧奨を含めた進行ぐあいについて、二年後に所期の目的を達しているかどうか日米間でレビューする、これが合意されているわけですね。今のようなことをわざわざ紹介したらいいとか、あっせんしたらいいとかというだけで、アメリカのこういう企業が民間七プロジェクトについて知りたいと言っているよとか、参加したいと言っているよとかいうのを紹介するという程度のことなら、なぜわざわざ日米間で二年後にその所期の目的を果たしたかどうかのレビューまでやらにゃならぬだろうか。これはもう疑問が起こりますよ。そんなことをアメリカ側は簡単に考えているんじゃない。所期の目的を果たしたかどうかということをレビューするということは、いいんですか、大臣がおっしゃるようにそんな単純なことを日本政府がやってくれたかどうかの問題じゃないと私は思うんです。  ここで言う所期の目的を達したかどうかのレビューをするというのは、具体的にどういうことをレビューするという合意をしたんですか。
  199. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今先生おっしゃった二年後のレビューの件でございますけれども、これは具体的にこのことについてとかあのことについてというものではなくて、今回の合意の基本的内容はあくまでも日本の、例えば公共事業について言いますならば、公共事業のいわゆる指名入札制度というものを前提としたそれへの参加について習熟するためということが基本でございますので、そういった一連の取り決めといいますか、特例措置がうまく作動したかどうか、言いかえるならば、日本市場へのアクセスを容易にし得たかどうか、米国企業は日本の制度を習熟し得たかどうか、あるいは習熟し得るに十分であったかどうか、こういったことをレビューする、こういうものであるわけでございます。  ちょっとくどいかもしれませんけれども、その結果どれを落札したかとか、どういう仕事を受けたかとかいうことまで含めてのものとは私ども理解いたしておりません。
  200. 橋本敦

    橋本敦君 今の答弁は非常に重要ですね。アメリカ側もそのことを当然そのこととして理解しているかどうかという問題が残るんですよ。今局長がおっしゃったような程度のことをレビューするというだけにすぎないなら、両国間の合意としてそんなに重い基本的なものを含んでいるということにはならないと私は思うんですよ。そうじゃなくて、この二年間のレビューというのは、所期の目的を達したかどうか。アメリカ側から見れば、実際に落札を含めてどれだけ公共事業プロジェクト、民間事業プロジェクトについてアメリカ企業が参入し、かつ仕事を得たかどうかという実績が上がったかどうかということが、これがアメリカ側から見れば当然レビューの対象になってくる。そこがまさにアメリカ側のスタンスだというふうに私は思いますよ。  例えば、これは私だけが言うんじゃありません。この問題の交渉経過について多くのいろんな見解や世論がありましたが、例えば朝日新聞の社説でも、「米国の要求は、当初「日本企業と平等な参入機会を与えてほしい」というものだった。それが、「実質的に仕事が得られるように保証してもらいたい」として、開放の原則よりも結果を求めるものに変わった。」、これはアメリカ側の態度の変化ですね。こういう「態度の変更は、開放を求めてもムリと判断したためかもしれない。」が、「竹下内閣は、これを受け入れた。」というように 新聞は表現をしている。このような趣旨を書いている社説はこれだけではありません。例えば東京新聞でも、「日本政府が「勧奨する」と明記したことを、米側が一定の受注契約の保証と受け取っていないか、心配である。」ということも言っておる。  だから、局長の今の答弁はそういうことは一切ないというんですが、この二年後のレビューにおいてアメリカ側は、所期の目的を達しなかったという意味において、もっともっと現実の受注がアメリカ企業に行われるようにさらに今の特例以上の特例を要求をしてこないという保証はないのではないか。局長どう考えますか。これは将来への見通しです。
  201. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) もともと先生は、先ほどのお話のように、我が日本がアメリカに従属しておるという物の考え方でありますから、ここで話が非常にかみ合いにくい、こう思います。  しかし、今現実の問題として、アメリカと日本との建設市場に参入しております、ただいまは別でありますけれども、参入しております工事量なりそういうものについてはインバランスがあることは事実であります。でございますから、先ほど私が申し上げましたように、民間を含めていろいろあっせんもいたします。そうして、確かに二年後にこのレビューがありますから、その点も考えてこの取り決めしたことを誠実に努力をしていきたい、こういうふうに思っております。  ただし、先ほども申し上げましたように、公共事業にいたしましても民間企業にいたしましても、よりよいものを安くという原則がありますから、相手国アメリカがそれに強い部分で参入をするとなれば結構でありますし、全部それが参入できないとしても、それはアメリカ企業の努力が足りない、こういうことで、その点をはっきりと二年間にしておかなければならない、こういうふうに考えております。決して私の方では拒否もしない、どうぞいらっしゃいということで話をして努力をいたします。しかし、日本の企業よりもアメリカの方がいいものが安いということであれば、今の国際化時代でございますから私は結構だと思いますし、ものが悪いとか高いとかいうことになれば、これはその理由をきちっと、幾ら二年後に見直しをしようと議論をしようと、きちっとその点をしておく、こういうことで我が政府は進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  202. 橋本敦

    橋本敦君 大分私の質問と大臣答弁とずれが出てしまっておるんですが、私は、日本の今の政治、外交、これアメリカに従属的だと思っていますよ。だからといって私が言っているんじゃなくて、先ほどから事実を指摘してきているでしょう。特例措置をアメリカに対してだけだということも建設省認めているでしょう。そして、アメリカの要求がどうであったかということは、私が言うんじゃなくて、客観的に新聞でも報道されているように、参入の平等から実際は受注の実績の平等まで要求するというふうにエスカレートしたんですから。これは局長もいろいろ経過があったとお認めのとおりです。そういうことの中で妥結された今回の特例措置なり勧奨というのは、アメリカ側から見れば、大臣局長がおっしゃるようなそんな簡単なものとは受け取っていないんじゃないかというように見られる心配があるので、私は日本政府の態度を厳しく追及しておるわけです。  この問題は、私がそう言うだけじゃなくて、新聞でもその問題を心配していることは今私が社説を引いてお示ししたとおりです。例えば日経新聞などは、アメリカ側に対して実効がある参入及び受注を事実上政府が保証するようなことになったら、それは国際カルテルではないか。それこそ大きなアンフェアを生ずるということまで懸念の意思を表明しておるんです。私は今大臣局長がおっしゃったような簡単なものではないというように思うんですが、大臣が今おっしゃったように、アメリカに対してどういう態度をとるか。私は最後にその点を質問しなきゃならぬと思うんですが、私はもっとはっきりと互恵、対等、平等の立場で物を言ってもらいたいという意味で言っているんですよ。内外無差別ということを原則的におっしゃる。しかも、内外無差別だと言いながら、今回のアメリカの要求を入れてアメリカだけに特例措置を認めるということにならざるを得なかったということも先ほどおっしゃったとおりです。  そこで一つ問題が残っておりますのは、アメリカのUSTR、つまり通商代表部が、去年の十二月三十日ですが、一九八八年度包括歳出法に関連をして日本に対して、日本が市場参入拒否国だという指定をしたでしょう。これによって、実際にワシントン地下鉄を入札した鹿島が取り消されるというような事態が起こっているんですよ。もしも対等、平等であり、そして今度の合意でも内外無差別ということがはっきりしているんだということならば、アメリカに対してこういう特例措置まで受け入れているのに、日本に対して市場参入拒否国に指定し続けておるのは、これは筋が通らぬじゃないか。まさに平等、互恵、対等の立場からいうなれば、市場参入の拒否国に日本を指定したこの指定は一日も早く取り消しなさいとアメリカに私は要求すべきだと思いますよ。この点は全然なぜ要求しないんですか。要求すべきでないんですか。大臣いかがですか。
  203. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) その点は外務省からお答えをいただいた方がいいと思いますけれども、その点は十分外務省の方から話をしてあるはずであります。私の方としては、先ほども申し上げましたように、この取り決めをしたことについては誠意を持って誠実にこれを行ってまいる、こういうふうに思っております。しかし、アメリカの方にももちろん参入の機会を与える、これは互恵といいますか、相互主義といいますか、この気持ちにはいささかも変わっておりませんので、そういうふうに進めてまいりたい、かように思っております。
  204. 橋本敦

    橋本敦君 日本が市場参入拒否国だということの指定をアメリカが取り消すべきではないかという、この点の大臣の見解を、外務省にも聞きますが、聞きたいんです。
  205. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) その点は外務省の方へお聞きいただきたい。外務省と建設省が違ったりいたしません。日本政府一つでございますので別に変わっておりません。
  206. 東郷和彦

    説明員(東郷和彦君) 御指摘の点につきましては、まず、昨年の末法律が成立した後直ちに外務大臣から先方のシュルツ長官に対しまして極めて遺憾であるという趣旨を伝えております。その後も機会をとらえまして日本側の見解をアメリカ側にしつこく伝えておるところでございます。
  207. 橋本敦

    橋本敦君 取り消し要求しているんですか。もう時間ありませんからそのことだけ。遺憾であるだけじゃだめです。取り消し要求しているかどうか。
  208. 東郷和彦

    説明員(東郷和彦君) 日本側はこのような措置を今回米側と合意いたしまして、したがって米側は日本側のやったことを十分評価すべきであり、このような法律でございますが、これは当然解除する努力をしてしかるべきであるということをアメリカ側に伝えております。     ─────────────
  209. 村沢牧

    委員長村沢牧君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、服部安司君が委員辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。     ─────────────
  210. 青木茂

    ○青木茂君 どうもこういう錯綜した法律案、我々はちょっと素人同然なんですけれども、NTT売却益というものを見るにつけまして、何か十年後の日本の政治のよくない図式を思い出してしようがないんですよ。つまり、十年後のこのNTTに相当するものを新型間接税と一応置いてみます。そうしますと、ちょうど今このNTTの株式売却収入があった、さあ思いがけない干天の慈雨のようなものが出てきた、これを本来の目的を外しちゃって、各省分捕り合戦になってどうかこうかやるというような図式が現在出ている。もし間接税なるものが水際でなくならずに十年後あっ たとしますね、そのころはもう税率は一〇%以上になっておる。さあこれは大財源であるということで分捕り合戦が出てきて、間接税なら間接税を入れた本来の目的はどこかにすっ飛んでしまって、各省縦割り行政の中の財源分捕り合戦で大変よくない結果が出てくるんじゃないか。その間に不公平は何も直っていないというようなことをこのNTT売却収入を見ると思い浮べるわけなんです。  それで、本題に入ります。NTT売却収入というものは本来は国債償還に充てるというのがまずメーンの目的ではなかったのか。これはどうなんですか、大蔵省。——これは要求しておいたよ。
  211. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 呼んであるそうですから、来てからにしますか。それまで待ちますか、来るまで。
  212. 青木茂

    ○青木茂君 きのう要求したつもりなんですが、そうなりますと少し困るんですけれども。  国債償還と今度の建設省予算、これの関連はどうなるんですか。これなら建設省でもわかるでしょう。
  213. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 間違うといけませんけれども、国債償還は、NTTの保有の株の中の二分の一を残しましてあとを四年間で売却していくわけです。それが百九十五万株になっているわけでございまして、そのうち国債償還に必要な振り向ける分を除いた余裕のあるところをNTTのA型、B型、C型に回していくというふうに理解しております。
  214. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、国債償還に影響を与えない範囲において一部使うという意味なんですかね。
  215. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 国債償還の年次計画全部を存じませんのではっきりしませんけれども、その年次年次で必要な分は一応国債償還に充てて、余裕のあるところを使っていくというふうに理解しております。
  216. 青木茂

    ○青木茂君 そこが私どもはよくわからぬですけれども、国債償還以外に余裕のある部分、そうすると国債償還に必要な範囲というものは、六十五年度赤字公債依存をゼロにする、ここが必要の範囲というふうに理解していいんでしょうか。ちょっと建設省無理ですか。
  217. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今の問題はやっぱり大蔵の財政当局に統一してやっておかないと、違うことが出ますとあれでありますので、私どもの範囲でひとつ御質問いただきたい、かように思う次第であります。
  218. 青木茂

    ○青木茂君 とにかく大蔵省は要求したつもりでおりますから、おかしいんだけれども、問題はそれじゃ後回しにしましてほかの問題に入ります。  一つは、貸付事業のB型、一番主力になる公共事業部分ですね、これは今は貸し付けでいくんだけれども、将来貸付金相当額というのはどうなるんですか。補助金なんかで充当するわけですか。
  219. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) B型につきましては将来補助金で補てんをしていく、こういうことであります。実際は私ども、後の財源がはっきりしない上にこれをやられたら大変だということで、今の財源問題に非常に頭を痛めておりますし、将来どうあるべきかということで、財源確保に一般財源、特定財源含めてこのことを考えてはっきりとしておかなければいけない、これをなるべく早く財源問題を検討しておくべきである、こういうふうに考えております。
  220. 青木茂

    ○青木茂君 補助金で将来貸付金相当額を埋めていくというと、とにかく財政的にツケを残すという意味では、私は建設国債と性格的にそう変わりはないんじゃないかと思うんだけれども、公共事業拡大予算建設国債によらずにNTTの株式売却益によったというのは、やっぱりいい財源があったから飛びついたと、こういうことですか。
  221. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) この問題もやっぱり主管は大蔵省ということでありますが、先生分捕り合戦と言いますが、見方ではそう見られるかもわかりませんけれども、今までの大体シェアがございまして、省で言いますと建設省、農水省、運輸省というように公共事業を持っておるところもシェアがございまして、多少重点重点で変わってはまいりますけれども、悪い意味の分捕り合戦というより、自分の受け持っておる仕事は非常に大事でございますから、その点を伸ばしていこうということでみんな努力をしておる。これはいい意味の財源獲得でございますので、物の分捕り、まあ見方によってはそう見られるかもわかりませんが、私の方は、各省ともそうでございますが、できるだけ事業を伸ばしていこう、自分の受け持っておる事業を伸ばしていこう、こういうことで努力をいたしておるということであります。
  222. 青木茂

    ○青木茂君 貸付金である以上はとにかく将来いつか償還金が返ってくるわけですね。この償還金はどういうふうにお使いになるおつもりですか。再貸し付けの財源かなんかにするおつもりですか。
  223. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) これも大蔵省の問題でございますが、私どもとしては、戻ってきたらもう一度貸して——ほかに財源があればいいんですが、ほかに財源がないと、もう一度貸してもらいたいという希望は、もちろん建設省の立場としてはそういうことになると思います。ほかの財源がありますかどうかということはまだちょっと先のことでございますし、今新しい財源がきちっとしておりませんので今お答えがちょっとできない、こういうことであります。
  224. 青木茂

    ○青木茂君 わかりました。だから、さっき一種の補助金、後から補助金で充当すると。そうすると性格的にどうも補助金の先食いのような感じがするんです。財源問題どうなるかわかりませんけれども、これを将来の公共事業費で埋めていく、償還していくと仮にするならば、そうすると将来の公共事業費を圧迫する格好にはならないでしょうか。
  225. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 財源の額の問題であります。でございますから、今のベースで伸びていくだけの事業はできまして、その上に今の返還財源があればいいわけでございますけれども、これは一般的なことですけれども、なかなかそううまくいかないのでないかというところで心配をしておる次第であります。
  226. 青木茂

    ○青木茂君 大臣がそのお気持ちなら結構ですよ。そううまくいかないどころか、かなりうまくいかないんじゃないかという感じがして、そのときに大混乱が起きるんではないかという危惧を私どもはしておるけれども、そうならないことを期待します。  ここで公共事業一般についてちょっとお伺いをしておきたいんですけれども、これも建設省のお立場でいいですが、建設省のお立場から見まして、公共事業というものの内需拡大と申しますか、内需の誘発効果というようなものをどれくらいお考えでございますか。
  227. 中嶋計廣

    政府委員(中嶋計廣君) 公共事業を実施いたしました場合に、短期的な効果と長期的な効果と二通りあろうかと思いますが、直截的に申しますと、一つには、公共事業を受注しました企業だけではございませんで、当該企業に資材を納入しているとかあるいは設備を納入しているという業界を含めまして、相当大きな効果があるというふうに考えられるわけでございます。これらを通じましてGNPを押し上げる、いわゆる内需誘発効果というのも相当大きゅうございますし、また新たな雇用を創出するといったような効果も期待できると考えている次第でございます。  それから長期的に見ますと、公共事業が実施されたことによりまして生活基盤でございますとかあるいは産業基盤が整備されるということになりますと、当該地域に新しい産業が展開をするとかあるいはまた新しい企業が立地をするということも期待ができるわけでございまして、これは多少時間はかかりますけれども、この面でも経済社会活動を活発化させるという大きな効果が期待できるというふうに考えている次第でございます。
  228. 青木茂

    ○青木茂君 ただ、四十年代あたりと比べまして、公共事業の内需誘発効果というものは五十年代から六十年代にかけて少し落ちているという研究試算もあるんですけれども、それはどうなんで すか。昔と一緒ですか、それとも落ちていますか。
  229. 中嶋計廣

    政府委員(中嶋計廣君) これは使いますモデルによりましていろんな数字が出てくるものでございますから、一概には申し上げにくいのでございますけれども、私どもとしてはそんなに落ちているということはないのではなかろうかというふうに考えております。これは使いますモデルによりましていろんな数字が出てまいりますので、ちょっと一概には申し上げにくいかと思います。
  230. 青木茂

    ○青木茂君 これは企画庁あたりの試算では、四十年代は二・三倍ぐらいあったけれども、五十年代には一・六倍ぐらいに下がってきて、そして六十年代に入ってきますと公共事業の大半が用地費に食われちゃって、どうももっと落ちているんじゃないかというような試算もあるわけなんですから、内需拡大イコール公共事業というその図式は今や再検討すべきときではないかと思います、端的に言ってしまえば。公共事業も大切ですよ、内需拡大の効果があることは事実なんだから。しかしながら、公共事業だけやっておればいいんだということでなしに、我々の自己PRをさしていただけば、減税も結構内需拡大効果はあるんだということを建設大臣の立場で認めてくださいよ。
  231. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) このこともひとつ大蔵省か経済企画庁で御検討をいただきたいと思いますが、今の公共事業が波及効果が多いし、内需拡大に大いに役立つということは、いろいろのデータを調べなければなりませんけれども、確かにある、こういうふうに思っております。  それから公共事業と民間との違いもございますが、全体の今の建設市場といたしまして、六十三年度も大体六十三兆五千億になっておりまして、その部分で土木が大体四〇%、建築が六〇%、こういうことになっております。公共事業全般でいいまして土地代二〇%ということでございますから、もちろん土地の用地の買収も必要でございます、それは波及効果が少ないこともわかっておりますけれども、公共事業の二〇%ですから、これは高くなっておりますけれども、そう全体的には変わっておりませんので、そういうふうに御了解をいただきたい、かように思う次第であります。
  232. 青木茂

    ○青木茂君 余り了解はできないんで、とにかく楽観論はいけません。  それから公共事業に関してもう一つ、これは小さなことですけれども、この際ちょっとただしておきたいんです。予算単年度主義というあの結果、特に小規模公共事業において、年度末になりますと道を掘ったり埋めたり、埋めたり掘ったりして大変国民のひんしゅくを買っているということが実はあるんです。与えられた予算は使わなければ損だ、次に響くと。ここら辺はもうぼつぼつ再検討すべき時期に入っているんじゃないかと思いますけれども、これはいかがですか。非常に小さいことですけれども。
  233. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 一つにはそういうお話もございますし、それよりもピークをなくしようということで、ことしも前倒しということではなしにひとつ切れ目のない事業化、したがいまして平準化をしていこう。平準化をしていきませんと、資材にいたしましてもあるいは労務者にいたしましても、ピークになりますと資材の高騰を招いたりあるいは労務者不足をしたりいたしますので、平準化しようということで、特に小さい工事も早目に出してやっていこう、こういうことで進めております。ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  234. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  235. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 速記を起こして。
  236. 青木茂

    ○青木茂君 今の大臣の御答弁ですけれども、今度は逆な心配が出てきますね。年度末に集中してやられるのも迷惑だけれども、一年ならしてしょっちゅう掘ったり埋めたりじゃ、これはまた困る。そこら辺のバランスというのはよくひとつお考えをいただきたい。  ちょっと問題が前後いたしましたけれども、大蔵省おいでになりましたから——しかし、時間が早くなりましたから了承はいたしますけれども、なるべくこういうことのないようにひとつお願いをしたい。  NTT売却益と国債償還との関係でございますけれども、これは大蔵省どういうふうに、国債償還がメーンですね、あくまで、そこら辺のところを。
  237. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 御指摘のとおり、NTT売却収入はあくまでも国債償還に充てるということが大前提となっておりますので、その国債償還に支障のない範囲内で、いわば国債整理基金の余裕金を社会資本整備に活用する、そういう考え方でございます。
  238. 青木茂

    ○青木茂君 国債償還に影響を与えない範囲内、これは非常に抽象的なんですけれども、このところまでは国債償還に影響を与えないんだという何かメルクマール的なものはお持ちですか。
  239. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) まずNTT売却益というものは一時的な収入だということ、それから株式市況等によりまして価格が変動するといったようなことがございますので、大原則といたしましては、実績が出たその上でそれを活用する。売却予定するその価格を活用するというのではなくて、六十三年度予算の例で申し上げますれば、六十二年度の売却実績をもとに、それを六十三年度にどう活用するかというのが大原則でございます。  さらに申し上げますれば、その今申し上げた例では、六十三年度の国債ネット償還額、すなわち売却翌年度の国債ネット償還額というものは国債整理基金に留保しておこう。さらに、旧債あるいは国債の買いオペ等の事態があり得るわけですので、ある程度の手持ち資金は確保するといったようなことで、国債償還に支障のないようにということを確保したいと考えております。
  240. 青木茂

    ○青木茂君 それでもまだ抽象的なんですけれども、とにかく大蔵省として六十五年度までに赤字国債依存をゼロにする、これはもう政府の大原則ですからね。この旗はおろしていないわけですね。
  241. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) そのとおりでございます。
  242. 青木茂

    ○青木茂君 そういたしますと、これからのNTT売却というものが、六十五年度の赤字国債依存体質をなくするということにもし支障が出そうな場合は、これはあくまでその六十五年度云々が中心になるわけですね。
  243. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) この赤字公債からの脱却と申し上げますのは、御承知のとおり、新しく特例公債を発行しないで財政のやりくりをしていくということでございます。したがいまして、それはそれで努力目標としてこれは最大限努力していくという大方針のもとで、国債償還につきましては、現在償還の大体の各年次割りが予想ついておるわけでございますけれども、それは少なくともこのNTT売却収入をもとにいたしまして支障のないようにやっていく、これは両方両立するような形でやっていくということでございます。
  244. 青木茂

    ○青木茂君 国債というのは国の借金だから、もう早く返すにこしたことはないわけですね。ですから、このNTT売却収入というものはとにかく国債、特に赤字国債を早く返すということが問題の中心だということだけは確認しておきたいんですけれども、よろしゅうございますか。
  245. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 国債償還ということで考えますと、実はこの赤字国債建設国債も国の借金という意味では同じでございますので、いずれにいたしましても、百六十兆に上る国債残高全体について償還計画を立てておるということでございます。毎年度の資金の調達につきましては、赤字国債建設国債を一応区分して考えるわけでございますけれども、償還につきましてはそこは同等に考えておるわけでございます。
  246. 青木茂

    ○青木茂君 それはそのとおりでよくわかりました。  じゃ次の問題に入ります。  今度のいわゆるAとCですけれども、元来国や地方公共団体がやるべき仕事を民間事業者と申しますか、それに無利子とはいえ貸付金でやらせる わけなんですね。国がやるべき仕事を民間事業者にとにかくやらせる、仮に国がどの程度かむにしたところで。これは少しおかしいんじゃないかという気がするんだけれども、その点は建設省、いかがですか。
  247. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 最初に、言葉の問題で恐縮でございますけれども、やるべきという言葉がいいのかどうかわかりませんが、公共事業でございますから国、地方公共団体がやり得る事業でございますけれども、そのやり得る事業の中でタイミングが、例えば開発事業が行われた、そのときに公共施設を整備するんですけれども、全部そこに国が助成するというタイミングが必ずしも合わないということで全部は持ち切れないというような場合、そういった場合が例えばあるわけでございます。  片や収益事業でございますから、開発する方としては、その保留地の処分金である程度返す能力がある、そういうものがマッチした場合に、そういった公共事業に対して無利子融資を導入して事業の早期実施と。それから開発者の方は、もし補助がなかったら有利子の金を借りなきゃならぬわけですから、開発費用をむしろ下げるというふうな両方の得があるというふうな意味で、そういうところへ導入したということでございます。
  248. 青木茂

    ○青木茂君 しかし、道路だとか公園だとか河川だとか下水道というようなものはやっぱり国がやるべきもののような気がしますね。  それじゃ最後の質問。私は、経済の潤いのある拡大のためには余り大都市集中の拡大ではどうかと思うんです。無利子貸付金制度ですね、とにかくAとCは収益を上げなきゃならないんだから、そうなると地域的にかなり分散が阻害されるというのか、やはり大都市集中になってしまう性格を基本的にこれは持ってるんじゃないか。それを国としてどういうふうにできるだけ各地に潤いがもたらされるようにするおつもりなのかということ。数字で幾つ大都市以外にやっているというような問題でなしに、基本的な問題としてどういうふうにお考えか、これを最後に伺って終わります。
  249. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) NTTの無利子貸し付けについては、一つはベースの公共事業が、一般公共事業がございますので、それにプラスされた形でNTTの無利子があるというふうにお考えいただきたいと思います。  そのNTTの無利子の中でA型、B型、C型と先生御承知のようになるわけでございます。先生のおっしゃられましたA型及びC型について言えば若干そういう嫌いが正直のところあるかと思います。ただ、A型でもC型でも、地方でもそういうものを生かしてやる事業がありますから、全く大都市偏重とは申せませんけれども、そういう嫌いはあろうかと思います。しかし、ベースの公共事業とB型につきましては、地方振興あるいは内需振興という形からかなりウエートを持って配分しておりますので、全体として見れば当然バランスはとれていると理解しております。
  250. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  252. 橋本敦

    橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  本法律案は、NTT株売却利益の活用に関する特別措置法で創設された無利子貸付金制度につきまして、開発利益吸収型の貸付対象事業をさらに拡大しようとするものであります。  この無利子貸付金制度は、NTT政府持ち株の売却益を財源とするものでありますが、我が党は、そもそも、日本電信電話公社を民営化し、その政府持ち株を売却すること自体が国民の共有財産を財界、大企業に売り渡すものとして根本的には反対してまいりました。  しかも、政府はもともとはNTT株売却益は国債償還財源に充てるとしていたものであるのに、無利子貸付金制度の拡大は、政府自身の政策的矛盾と言わざるを得ません。  さらに、この制度の基本的性格は、大企業中心の民活関連事業の推進を図るために、中小企業融資と比べてみましても、破格の優遇措置を与えるものであり、二重、三重に不当であります。  すなわち、本改正により、例えば従来宅地造成などを行う民間デベロッパーがみずからの負担で実施していた関連公共施設の整備を無利子貸し付け対象にするなど、第三セクターの看板を掲げた大企業に格別の特典を与えることになるものであります。  したがって、本改正の一部には、住宅都市整備公団や地方住宅供給公社に無利子貸付金を投入し、賃貸住宅等の原価を引き下げようとする面もありますけれども、全体としては大企業奉仕型の民活関連事業推進という基本性格が貫かれているものであり、賛成できません。  以上で私の反対討論を終わります。
  253. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  255. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、越智建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣
  257. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。     ─────────────
  258. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、半島振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提出者衆議院建設委員長中村喜四郎君から趣旨説明を聴取いたします。中村喜四郎君。
  259. 中村喜四郎

    衆議院議員中村喜四郎君) ただいま議題となりました半島振興法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  半島振興法は、産業基盤及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある半島地域の振興を図るため、昭和六十年六月議員立法により制定されたものであり、この法律に基づき十九地域が半島振興対策実施地域に指定され、六十二年七月には、これら十九地域に係る半島振興計画について、内閣総理大臣の承認が行われたところであります。  これにより、今後本格的に半島振興計画に基づく施策が実施されるわけでありますが、三方を海に囲まれているという地理的条件等により開発整備のおくれている半島地域の振興を図るためには、交通体系の整備が必要不可欠であります。  本案は、このような状況にかんがみ、半島地域の振興の根幹的施設であり、また、地域住民の要望の極めて強い道路交通施設の整備を促進する とともに、関係地方公共団体の財政負担の軽減を図るための措置を講ずることにより、半島振興のより一層の推進を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の内容について申し上げます。  第一に、国は、半島振興対策実施地域を循環する主要な道路または半島振興対策実施地域一般国道その他の交通施設とを連絡する主要な道路で、当該半島振興対策実施地域の振興のために特に重要と認められるものの整備に関する事業について、その円滑な実施が促進されるよう特に配慮することとしております。  第二に、半島振興対策実施地域における基幹的な市町村道、農道、林道及び漁港関連道の新設及び改築については、都道府県がかわって行うことができるものとし、その経費について後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の適用を受けることとしております。  第三に、国は、地方公共団体が実施する小型の航空機の用に供する公共用飛行場その他の航空運送の用に供する施設の整備に関する事業について、その円滑な実施が促進されるよう適切な配慮をすることといたしております。  以上が、本法律案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  なお、衆議院建設委員会におきましては、本法律案の起草に当たりまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の各会派の御熱心な御賛同を得て、全会一致をもって委員会提出の法律案とするに決したことを申し添えます。
  260. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。——御発言もないようでありますので、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  半島振興法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  261. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会