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1988-03-28 第112回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十八日(月曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      松本 英一君     梶原 敬義君  三月二十八日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     松本 英一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 赤桐  操君                 梶原 敬義君                 太田 淳夫君                 上田耕一郎君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      粕谷  茂君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  奥野 誠亮君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     中田 一男君        北海道開発庁計        画監理官     大串 国弘君        北海道開発庁予        算課長      筑紫 勝麿君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁長官官房        会計課長     佐々木 徹君        国土庁長官官房        水資源部長    大河原 満君        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        国土庁地方振興        局長       森  繁一君        国土庁防災局長  三木 克彦君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官事務代        理        中嶋 計廣君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省河川局長  萩原 兼脩君        建設省道路局長  三谷  浩君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部日本鉄道建設        公団本州四国        連絡橋公団監理        官        荒井 正吾君        運輸省航空局飛        行場部関西国際        空港課長     相原  力君        自治省行政局行        政課長      秋本 敏文君        自治省財政局調        整室長      嶋津  昭君    参考人        住宅金融公庫総        裁        河野 正三君        北海道東北開発        公庫総裁     吉岡 孝行君        住宅都市整備        公団理事     倉茂 周明君        住宅都市整備        公団理事     渡辺  尚君        住宅都市整備        公団理事     佐藤 和男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管北海道開発庁国土庁)、建設省所管住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫) ○道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十六日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。     ─────────────
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ここで御報告をいたします。  去る三月二十五日、予算委員会から、本日及び三十一日の二日間、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省所管総理府所管のうち国土庁北海道開発庁並び住宅金融公庫北海道東北開発公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  4. 村沢牧

    委員長村沢牧君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日、住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び住宅都市整備公団役職員をそれぞれ参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 村沢牧

    委員長村沢牧君) それでは、予算概要について政府から説明を求めます。越智建設大臣
  7. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 建設省関係昭和六十三年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入二百一億四千百万円余、歳出三兆六千八百十六億三千六百万円余、国庫債務負担行為四千三百九十八億七千八百万円余でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出四兆二千二百七十一億四千八百万円余、国庫債務負担行為四千六百七十九億五千百万円余を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計予算について御説明いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも三兆千六百三十七億八千九百万円余、国庫債務負担行為二千九百三十一億七千七百万円、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも三千八百六十一億千五百万円を予定いたしておりますが、歳入については、臨時的な措置として揮発油税収入の一部直接組み入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆四千二百一億四千二百万円余、国庫債務負担行為三千十三億九千四百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも千七百九十五億八千四百万円を予定いたしております。  都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも千四十一億三千四百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも百十億一千万円を予定いたしております。  次に、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出二百五十億四千二百万円余、国庫債務負担行為三百八億九千万円を予定いたしております。  以上のほかに、大蔵省所管産業投資特別会計計上日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法第二条第一項に該当する事業のうち、建設省所掌事業に要する無利子貸付金は、歳出二千六百十一億七千八百万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、都市対策住宅宅地対策国土保全水資源対策道路整備等各般にわたる施策推進してまいる所存であります。  第一は、都市対策であります。  全国的な都市化進展経済社会の変化に的確に対応した都市整備推進するため、昭和六十三年度においては、予算額一兆五千三百六十八億三千九百万円余のほか、財政投融資資金五千九百八十四億八千二百万円で、下水道公園、街路、都市高速道路等都市基盤施設計画的に整備するとともに、民間活力活用しつつ市街地再開発事業土地区画整理事業等により都市開発を積極的に推進することといたしております。  第二は、住宅宅地対策であります。  国民居住水準向上住環境の改善を図るため、昭和六十三年度においては、予算額八千二百六十六億四千七百万円余のほか、財政投融資資金五兆五千二百六十一億千八百万円で、住宅宅地対策を積極的に推進することといたしております。  まず、住宅対策については、すべての国民が良好な住環境のもとに安定したゆとりある生活を営むに足りる住宅を確保することができるようにすることを基本目標として、公庫住宅公営住宅改良住宅公団住宅等建設省所管住宅合計六十五万千七百二十戸の建設を行うとともに、住宅需要多様化に対応した住まいづくり地域に根差した住まいづくり住環境整備等施策推進することといたしております。  次に、宅地対策については、住宅都市整備公団等公的機関による宅地開発事業計画的な推進政策金融等による優良な民間宅地開発推進を図ることといたしております。  第三は、国土保全水資源対策であります。  まず、治水対策及び水資源開発については、近年の都市化進展等に伴う激甚な水害、土砂災害多発渇水被害の頻発に対処するため、昭和六十三年度においては、予算額一兆三千四百六十五億七千八百万円余で、河川ダム砂防等事業水資源開発推進することといたしております。  また、海岸保全対策については、津波等に対する海岸域保全海岸環境整備を図るため、予算額三百十八億四千九百万円で、事業推進することといたしております。  さらに、急傾斜地崩壊対策等については、予算額三百六十六億六千八百万円で、急傾斜地崩壊対策事業及び雪崩対策事業推進することといたしております。  特に、急傾斜地崩壊による災害の発生を防止するため、新たに、昭和六十三年度初年度とする総投資額八千億円の第二次急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定することといたしております。  第四は、災害復旧であります。  昭和六十三年度においては、予算額四百六十六億七百万円を予定し、被災河川等早期復旧等を図ることといたしております。  第五は、道路整備であります。  道路整備については、交流ネットワーク強化等により、多極分散型国土形成地域社会活性化を促すとともに、内需主導型の産業構造への転換に資するため、総投資額五十三兆円の第十次道路整備五カ年計画を策定し、同計画初年度として、予算額三兆七百六十五億千三百万円のほか、財政投融資資金二兆四千八百六十四億円で、高速自動車国道から市町村道に至る道路網計画的な整備推進することといたしております。  特に、交通安全対策については、第四次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画の第三年度として、事業推進を図ることといたしております。  また、民間活力活用し、東京湾横断道路、明石海峡大橋及び伊勢湾岸道路建設推進するとともに、新たに来島大橋の建設に着手することといたしております。  第六は、官庁営繕であります。  昭和六十三年度予算額は、一般会計二百六億七千万円余、特定国有財産整備特別会計二百五十億四千二百万円余で、合同庁舎等建設実施することといたしております。  引き続きまして、政府関係機関である住宅金融公庫昭和六十三年度予算概要を御説明いたします。  住宅金融公庫借入金及び債券限度額は、五兆八百七十一億四千六百万円を予定し、収入支出予算は、収入二兆三百七十七億八百万円余、支出二兆千三百五十一億五千九百万円余を予定し、住宅五十四万五千戸等について総額五兆九千五百三十七億五千万円の貸付契約を行うことといたしております。  以上をもちまして、昭和六十三年度建設省関係一般会計予算及び特別会計予算並びに住宅金融公庫予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、奥野国土庁長官
  9. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 総理府所管のうち、国土庁昭和六十三年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千三百三十八億三千二百万円余を予定しておりまして、前年度予算に比べ四十四億四千百万円余の増となっております。  さらに、大蔵省所管産業投資特別会計計上日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法第二条第一項第二号に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出三百十九億四千五百万円余を予定いたしております。  次に、昭和六十三年度予算重点について御説明いたします。  第一に、国土計画推進についてであります。  第四次全国総合開発計画を強力に推進し、もって本計画目標とする多極分散型国土形成を図るとともに、国土総合開発事業調整費活用等による公共事業等調整推進すること等とし、予算額百二十一億六千万円余を予定しております。  第二に、総合的土地対策推進についてであります。  最近の地価高騰に対処し、地価の安定と適正な土地利用促進を図るため、監視区域制度積極的活用等国土利用計画法の的確な運用を行うこと等とし、予算額三十六億一千八百万円余を予定しております。  また、最近の地価動向にかんがみ、地価公示等整備拡充することとし、予算額二十億四千六百万円余を予定しております。  さらに、第三次国土調査事業十カ年計画に基づき、地籍調査等国土調査推進することとし、予算額八十億八千万円余を予定しております。  第三に、総合的な水資源対策推進についてであります。  水需給の安定を図るため、全国総合水資源計画等に沿い、水資源開発推進水資源有効利用促進等総合的な水資源対策を積極的に推進することとし、予算額七百億五千万円余を予定しております。  なお、水資源開発公団については、前述の予算額のうちの六百九十七億三千万円余の補助金等財政投融資資金等と合わせて三千百八十三億六千三百万円余の資金により、ダム、用水路の建設事業等を引き続き計画的に促進することとしております。  第四に、大都市圏整備推進についてであります。  大都市地域における良好、安全な都市環境整備大都市圏の秩序ある発展を図るため、新しい大都市圏整備計画等実施を積極的に推進するとともに、政府機関等の移転、東京大都市圏における業務核都市等育成整備筑波研究学園都市育成整備、関西文化学術研究都市建設等推進することとし、予算額六億五千七百万円余を予定しております。  第五に、地方振興推進についてであります。  まず、人口地方定住と活力ある地域社会づくり促進するため、新しい地方開発促進計画に基づく振興施策推進するとともに、地方都市整備農村総合整備等推進を図るほか、総合保養地域テクノポリス地域、新産業都市等整備推進することとし、予算額九億八千百万円余を予定しております。  次に、立地条件に恵まれない過疎地域山村地域豪雪地帯半島地域離島奄美群島及び小笠原諸島における生活環境整備産業振興のための諸施策等推進することとし、予算額千六百十七億二千二百万円余を予定しております。  第六に、災害対策推進についてであります。  最近の災害状況等にかんがみ、震災対策強化火山対策土砂災害対策等推進及び防災情報収集伝達システム充実強化等災害対策の総合的な推進を図ることとし、予算額九億一千四百万円余を予定しております。  第七に、地域振興整備公団事業についてであります。  地域振興整備公団については、十七億三千三百万円の国の一般会計補給金財政投融資資金等と合わせて千百九十一億五千六百万円の資金により、地方都市開発整備、工業の再配置及び産炭地域振興のための事業を引き続き実施するとともに、産業のソフト化等新たなニーズに対応した事業推進することとしております。  以上をもちまして、昭和六十三年度国土庁予算概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  10. 村沢牧

  11. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) この機会に、昭和六十三年度北海道開発予算につきまして、その概要を御説明申し上げさせていただきます。  北海道は、国土の五分の一を占め、かつ、大きな潜在的発展力を有する地域であります。  北海道開発は、我が国における人口産業の望ましい配置を実現し、それにより我が国の長期的安定的な発展を図ろうとする重要な施策であります。  昭和六十三年度は、第五期北海道総合開発計画初年度に当たる年であり、計画の着実な第一歩を踏み出すとともに、経済的に厳しい局面に立たされている北海道にとって、その産業構造転換を図る重要な時期になっております。  昭和六十三年度北海道開発庁予算につきましては、これらの点を踏まえて、厳しい財政事情のもとではありますが、その内容の充実に特段の考慮を払っているところであります。その予算額は、昭和六十三年度総理府所管一般会計予算のうち、歳出予算六千八百七十九億三千九百万円余、国庫債務負担行為二百四十一億七千九百万円であります。  このほか、大蔵省所管産業投資特別会計社会資本整備勘定計上されております北海道開発事業関係予算が、九百三十四億二千六百万円となっており、これを合わせた歳出予算は七千八百十三億六千五百万円余であります。  次に、歳出予算のうち、主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、国土保全事業経費に充てるため、一千三百四十六億九千百万円を計上いたしました。  これは、石狩川などの重要水系及び災害多発地域中小河川重点を置いた河川改修土砂害対策等実施都市開発の著しい地域における総合治水対策事業等推進、今後の水需要の増大や洪水調節に対処するための多目的ダム等建設、急傾斜地における崩壊対策実施国有林民有林を通じて、森林の公益的機能拡充強化を図るための治山事業推進、並びに海岸事業推進のための経費であります。  第二に、道路整備事業経費に充てるため、二千六百三十六億三千二百万円を計上いたしました。  これは、新たに指定された高規格幹線道路整備に着手するほか、一般国道不通区間の開削を推進し、交通安全施設等整備及び防災震災対策事業重点的に進めるとともに、都市道路都市周辺のバイパス、連続立体交差等事業促進するための経費であります。なお、この道路整備事業経費及び後に述べます生活環境施設整備事業経費の中には、冬の生活充実企業立地促進等に資するため、快適な冬の生活環境づくりふゆトピア事業促進するための経費を含んでおります。  第三に、港湾空港整備事業経費に充てるため、六百十七億九百万円を計上いたしました。  これは、室蘭港及び苫小牧港の特定重要港湾石狩湾新港その他の重要港湾整備推進するとともに、地域開発の拠点となる地方港湾整備促進するための経費、並びに新千歳空港建設及びその他の空港建設整備実施するための経費であります。  第四に、生活環境施設整備事業経費に充てるため、七百七十七億七千五百万円余を計上いたしました。  これは、下水道都市公園等事業推進するための経費公営住宅建設及び関連公共施設整備を進めるための経費、並びに離島における環境衛生施設等整備を進めるための経費であります。  第五に、農林漁業基盤整備等事業経費に充てるため、二千二百八十六億九千七百万円を計上いたしました。  これは、高生産性農業の確立を図り、畑作経営安定的発展稲作経営の安定、生産性向上を図ること等のための土地改良事業経営規模の拡大による地域農業振興農業経営の安定を図るための農用地開発事業畜産基地建設等のための特定地域農業開発事業、二百海里体制に対応して沿岸漁業等振興を図るための漁港施設整備及び沿岸漁場整備開発事業、並びに造林、林道の事業実施するための経費であります。  以上が、北海道開発庁予算概要であります。  引き続き、昭和六十三年度北海道東北開発公庫予算について、その概要を御説明申し上げます。  北海道東北開発公庫は、国土資源に恵まれ、開発可能性の大きい北海道及び東北地方における産業振興開発促進するため、民間金融機関と協調して、良質な産業資金を供給することを業務といたしております。  昭和六十三年度事業計画は、NTT株式売却収入活用した無利子貸付枠百九十八億円を含め、一千六百四十八億円を予定しております。  これらの原資といたしましては、政府出資金五十億円、政府借入金五百七十七億円、債券発行による収入六百億円を予定し、残りの四百二十一億円は、自己資金等で調達することといたしております。  なお、出融資対象業種として、新たに高度栽培施設整備事業を加えるほか、特別金利につきましては、バイオインダストリーを振興するため地域生物技術企業化促進事業を新たに適用対象とするとともに、NTT利子貸し付けにつきましても新たに対象事業を加える等、出融資機能を拡充することといたしております。  以上をもちまして、昭和六十三年度北海道開発庁予算並びに北海道東北開発公庫予算の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  12. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で政府からの説明聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 赤桐操

    赤桐操君 私は、昭和六十三年度予算の中の建設関係予算との関連で、以下若干の御質問を申し上げてまいりたいと思います。  まず、昭和六十年の第百二国会におきまして成立をいたしました国の補助金等整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律、及び昭和六十一年、第百四国会成立をいたしました国の補助金等臨時特例等に関する法律、以上国の高率補助補助金カットの件でありますが、これによるところの昭和六十年度以来の建設予算削減について、その後の経過を明らかにしていただきたいと思います。
  14. 牧野徹

    政府委員牧野徹君) ただいまおただしの件でございますが、それぞれの年度について、その年度事業費ベースにして、それで五十九年度のもとの——もとのといいますか、ときの補助率あるいは負担率ベースに各年度国費縮減額をお答えすればよろしゅうございますか。
  15. 赤桐操

    赤桐操君 はい、結構です。
  16. 牧野徹

    政府委員牧野徹君) そういう前提でお答え申し上げますと、六十年度補助負担率引き下げによる国費縮減額合計で、建設省関係でございますが、千八百二十億円でございます。それから六十一年度は三千九百八十一億円でございます。それから六十二年度は五千二百三十八億円でございます。それから六十三年度は、ただいま御審議をいただいておるわけでございますが、仮にこの予算成立したとして同様の計算をいたしますと、その縮減額は、見込みでございますが六千二百十一億円と相なっております。
  17. 赤桐操

    赤桐操君 六十二年度はそんなものじゃないでしょう。もっと大きいんじゃないですか。
  18. 牧野徹

    政府委員牧野徹君) ただいま申し上げましたように、六十二年度事業費ベースにして、それについて五十九年度の国庫補助負担率で計算した場合と、六十二年度に現実に適用された補助負担率で差額を計算いたしますと、私どもの計算では、建設省関係分ですよ、五千二百三十八億円、こうなっております。
  19. 赤桐操

    赤桐操君 この国庫補助の負担率の引き下げによって地方自治体に与えた影響でありますが、これは私ども千葉県下におきましてもかなり大きな影響が出ているんですが、全国的にはどんな状況になっているか、自治省関係、明らかにしていただきたいと思います。
  20. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) お答えいたします。  補助金のカットに伴う影響額は、建設省予算で今官房長がお答えしたとおりでございますが、地方財政対策として考える場合には、カットされた国費をもちまして事業費を確保しているわけでございますので、それに要する増加する地方負担額も合計しておりますので、今のお答えに対しまして、事業費確保分といたしまして、六十年度で私どもの考えております普通会計分といたしまして九百億円、六十一年度で一千二百億円、六十二年度で二千億円を足していただきたいと考えております。
  21. 赤桐操

    赤桐操君 六十三年度はどんな見込みですか。
  22. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 六十三年度も六十二年度とほぼ同様でございますので、二千億プラス二割増加といたしますと二千四百億程度になろうかと存じます。
  23. 赤桐操

    赤桐操君 千葉県あたりにおける状況を私も最近いろいろ聞いておるのでありますが、六十年次は、第一年でありましたから、全体の地方財政に与えた影響は八十億ちょっとくらいだったようでありますが、六十三年度の県予算ができ上がりましたけれども、この内容を見てみると大体二百九十億、三百億近いですね、影響されている内容は。問題は、どんなふうにこれを穴埋めしなければならないか、地方財政全体をどういうふうにしていかなければならないか、大変大きな影響が出てきているようであります。要するに、国の公共関係の事業がこのように大きく削減されてくるというと、地方はこれに相当する額の負担増を賄っていかなければならぬわけであります。  こういうように、補助金のカットに伴う地方の負担増加はかなり大きいのでありますが、それぞれどんなような措置でこの負担増加に対する補てんがなされているのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  24. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 今ほどの補助率をカットされた分につきましては、臨時財政特例債というのを一〇〇%許可しておりまして、臨時財政特例債の元利償還に当たりましては、その元利償還金の一〇〇%を交付税の基準財政需要額で措置する、こういうふうになっております。先ほど私の方からお答えしました拡大分につきましては、これは各個別の地方団体はどれが減額された国費をもって交付された補助金であるかわからないわけでございますので、マクロの形で地方財政対策全体といたしまして調整債を許可するという形で補てんをすることにいたしております。
  25. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしても、これは起債を起こさなければ処置がつかないわけでありますから、将来はいろいろ地方交付税などで見るといたしましても、大変私はそれらの地方自治体の立場というものは苦しいと思うんです。最初の六十年次におきましては一〇%カットということで、行政全体から見ても、一応今年限りということでありましたから私どももやむを得ないと判断したのでありますが、その後六十一年、六十二年、六十三年と続いてきているわけでありまして、これは私は大変大きな問題になってきていると思うのでございます。  六十四年以降は一体どうなるのかということにここでなるのでありますが、六十四年度以降の状況について建設大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  26. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 六十三年度までは、ただいま自治省の方からお答えがございましたように、財政措置をいたしておりますので、六十四年以降の問題でありますけれども、いいことを言えば、これは補助金を戻すことがいいけれども、全体の中の事業量と補助金と、要は財政事情によって今後協議をしていかないと決まらない、こういうふうに思います。  建設省といたしましては、事業量は絶対確保していかなければならない。でございますから、財政事業が許せば補助金をできるだけ多くもとに戻す、このことがいいことは御案内のとおりでありますけれども、全体の事業量と補助率との問題を勘案していくということになりますと、各省間で今後折衝をしていかなければならない、こういうふうに考えております。
  27. 赤桐操

    赤桐操君 これは補助金が一律カット、一括削減という結果になったのでありますが、補助金制度というのは戦後四十年の長い間にわたりまして制定をされてきたものでありまして、少なくとも大変それぞれの経過の中で理由があってつくられてきたものであります。これが六十年度以降削減対象となったものは実に七十項目に及んでいるわけでありまして、大変私は重大な問題を残したと思っております。  こうした補助金のものにつきましては、四十年間、特に昭和二十九年以降これが制度化されたと思うのでありますが、いずれも衆参両院のそれぞれの委員会で真剣に論議がなされて、少なくとも補助金というものについてはそれぞれの必要に応じてつくられてきたものなんですね。しかも、これはそれぞれの常任委員会、特別委員会等で論議されてきて積み上げられてきたものだと思うんです。それが安易に削減や整理をされるということはしたがって許されないことだと私は考えておるのであります。ましてや、この前の昭和六十年次、六十一年次におけるところの各常任委員会における審議を避けてこれを特別委員会で一括審議をいたしておるのであります、そのときの審議は。特に昭和六十年次の論議につきましては、これは私は大変言語道断だったと思っております。  特にこのときの状況を申し上げるというと、約七十項目に及ぶ各項目がこの特別委員会で論議をされたのでありますが、各項目にわたる審議をするということは相当時間を要するものでありまして、したがってこれは十日や十五日でできるはずのものではないのであります。これがちょうど四月から五月にかけて二月間にわたったと思います。しかし、最終的には強引な可決決定ということでもって通されたわけであります。  当時の情勢を思い起こしましても、これは私は当時の特別委員会で主張をいたしましたが、その当時の状況は、まだ法案が成立していないわけでありますから、七十項目に及ぶところのこれらの諸法律というものは現行法規として生きているわけです。ですから、財政法五条からいったって、四月五日に予算成立すれば六日には配算されなきゃならぬ。そうすれば四月、五月の二カ月分は当然現行法規で行われるべきものだったと思うんです。こういうものも全部無視されて、最終的に五月の末の強行採決によって行われたその結果によって、四月一日にさかのぼって六十年度措置がなされた、こういう経過になっております。  このときいろいろ附帯決議その他がございましたが、とにかくこのときの条件の大きな問題は、百二国会では、一年限り、これはもうこの次は出さない、こういうわけであります。ところが百四国会では、六十一、六十二、六十三年、三年間のものが提出されてまいりまして、これも三年限り、こういう暫定的なものとして附帯決議、決議がなされているはずであります。したがって私は、六十四年以降においてはこの補助金のカットに関しては、この法律は当然廃止さるべきものだ、このように考えておるわけであります。  さきの衆議院の予算委員会におきましても既に自治大臣が言明をされているように聞いております。これは当然廃止すべきものだと考えている、そしてもとに戻すべきだ、こういうことを主張されておったように思いますが、建設大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  28. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 過去のいきさつは先生がおっしゃったとおりの審議の状態でありました。これは承知をいたしております。また、衆議院の予算委員会において自治大臣の答弁も一緒に聞いておりました。でございますから、一番望ましいことを言えば、私どもの今後の社会資本、これの充実のための予算を十分いただければ、補助金は多い方がいいことは建設省として当然であります。しかし、財政事情やいろいろなことで事業量の確保ができないときにさあどうするかという問題がございますので、ただいまここで明言するということはちょっと差し控えさせていただきたい。今後折衝をいたします。  また、建設省だけでなしに、各省にまたがる、特に農林省あるいは運輸省その他の省にもまたがる部分がたくさんございますので、十分論議をしてまいりたい、かように思っている次第であります。
  29. 赤桐操

    赤桐操君 大臣、自治省はかなり強腰で大蔵省との折衝に入っているようでありますけれども、建設大臣も少し気合いをかけていただいて、自治省と一緒になってひとつ頑張っていただかないとこれは復元されないと思います。また延長されるのじゃないかと私は考えているんです。大臣の今後の一層の御健闘を願いたいと思っております。  それから、この補助金カットと並行して機関委任事務の合理化や国から地方への権限の移譲が大きくこのときも論議されまして、それぞれの附帯決議となって残されていると思います。建設省としては、国と地方のこれらの見直しの問題はどんなふうに取り組んでこられておるか、この点を伺っておきたいと思います。
  30. 牧野徹

    政府委員牧野徹君) ただいまの点でございますが、建設省といたしましては、従来、臨調あるいは行革審等で明確にお示しいただいた移譲等につきましてはすべて措置済みでございます。
  31. 赤桐操

    赤桐操君 自治省の方ではこれはどんなふうになっておりますか。まだ相当問題が残されておりますか。
  32. 秋本敏文

    説明員(秋本敏文君) 機関委任事務の整理でございますとか、あるいは地方公共団体に対する権限の移譲の問題につきまして、いろいろこれまでにも御指摘があることは十分私どもも承知いたしております。  政府におきましても、御指摘がありました後に、昭和六十一年に、例えば機関委任事務につきましては、地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律というようないわゆる一括法を制定いたしまして、このときは三十四の法律、五十項目について整理をするというようなことをしております。ただ、地方公共団体の方から見ますると、これらの措置においてはまだまだ不十分である、こういうふうに見られておりますので、私どもといたしましても、今後とも各省庁の御理解、御協力をいただきながらあらゆる機会に努力をしてまいる必要がある、こういうふうに考えております。
  33. 赤桐操

    赤桐操君 自治省の方に続いて、きょうは大臣がいらっしゃらないからあれですけれども、やはりこの補助金カット問題で非常に強く出てきたのは権限の移譲の問題であったと思うんです。こうした問題については、建設省関係にもかなりいろいろあると思いますけれども、特にこの際自治省の方にもお願いをしておきたいと思いますが、権限移譲の問題についてはこれからのやはり私は大きな課題だと思うんです。特に、一極集中を排除して、東京都のいろいろ対策をこれから考えなきゃならないということが今大きな課題になっておりますが、これは率直に申し上げて、東京だけではなくて、いわゆる大都市圏に集中するこれからの状態を考えてみるときには、それを避けるためにはどうしても越えなきゃならない問題だろうと思うのであります。  このいわゆる権限移譲の問題は、補助金カットの問題でかなり強く論議がされましたが、さらにこれからの自治体との関係では最大の課題になってくるだろう、こういうように思っておるわけでありまして、自治省関係でもさらに御検討おきをいただきたいと思います。  それから続いて私は、関連公共施設費の整備促進費の問題でお伺いをいたしたいと思います。  一定規模の住宅団地の造成に伴いまして、関連公共施設整備促進費の補助については、昭和五十三年以来この制度が設けられ今日に至っておるわけでありますが、その後の状況をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  34. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) この事業制度は、五十三年度に創設をされまして、五十三年度国費予算額は三百億円、以後五十四年度に六百億円に増額され、五十五年度は九百億円となりまして、五十六年度は一千億円。以後、財政シーリングの関係もありまして一千億が五十九年度まで続きまして、六十年度にはこれは一千五十億円に増額いたしまして、以後その同額で続きまして、六十三年度予算案におきましても一千五十億円となっております。
  35. 赤桐操

    赤桐操君 この促進費の予算額の推移を見ますると、五十三年で三百億。今お話しのように五十五年まで三百億円ずつ上積みされて、五十六年が半分です。そしてこの数年間は一千億円台で大体低迷しておるという状況、足踏み状態となっております。六十三年の予算額もこれは一千五十億ということになっておるようでありまして、対前年当初比ということになりまするというと、補正後のものと比較するとむしろ減少しているでしょう、これは。六十三年度は昨年度より減少しているんじゃないですか。こういうふうになってきているわけであります。  要するに、三百億ずつ毎年積み上げられてきたものが途中でこういう形に変化してきているわけでありますが、今後の予算化の見通しについてはどのようにお考えになってますか。
  36. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 御指摘にありましたように、六十二年度は特別に補正におきまして増額をしていただきまして、補正の金額は千二百十一億余になっておるわけでありますけれども、六十三年度は千五十億円となっております。関連公共施設費につきましては、宅地開発の重要な事業でございますので、この充実につきましては引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  37. 赤桐操

    赤桐操君 私は、少なくとも毎年三百億ずつ積み上げてきたその経過から見て、こういうように一千億程度で足踏みをしているというような状態にはならないと思ったんです、この予算は。もっと順調に上積みされるべきものだったと考えているんですが、こういう形になってしまったのはどういう理由なんですか。
  38. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 当初は、御指摘にもありましたように順調に推移をしてまいったわけでありますけれども、五十七年度からのゼロシーリング、引き続きますマイナスシーリングで同額に抑えられてきた経緯は確かにございます。この金額によりまして、関連公共の方の要望に対するおこたえの方としましては、この数年間ほぼ九割という形でもって御要望にこたえることができている状況でございまして、なおこれに足りない分につきましてもこれは通常の方の公共事業の方の優先配分等をお願いしてございまして、そちらの通常事業との関連などを十分配慮することによりまして適切な対処に努力してまいりたいと考えております。
  39. 赤桐操

    赤桐操君 局長、これはもうこの程度で十分だという意味なんですか。
  40. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) これが十分という意味ではございませんですけれども、要望のほぼ九割にこたえることができているというこの数年の状況から考えれば、十分というわけではこれはございませんですけれども、まあ物すごく足りないという状況でもないわけでございまして、通常事業との関連等も配慮いたしますれば、適切な事業執行には足りていないというほどでもないと考えております。
  41. 赤桐操

    赤桐操君 なかなかいろいろな言い回しがあるものですな。そんな言い回ししちゃっていいのかね。私はちょっとおかしいと思うけれども、まあいいでしょう。  それではちょっと伺いますが、大規模な宅地開発事業の中で関連公共施設整備費の占める割合というのは我が国では大変大きいのでありますけれども、最近はどの程度になっておりますか。
  42. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 私ども昭和五十九年に宅地開発事業についてアンケート調査を実はいたしたものが比較的新しいものとしてあるわけでございますけれども、これによりますと、宅地開発の総コスト、これが大体一平方メートル当たり五万三千円くらいかかっております。この全体の事業費に対する割合でございますけれども、事業費の見方いろいろ実はあるんですけれども、まず一つ、素地の取得費、それから造成費、それから国、公共団体の負担を含めたトータルの公共公益施設整備費、これを合計したものを私ども宅地開発総コストと申し上げておりますけれども、こういったものに占めます割合は、今の比率は大体公益施設も含めまして七三%ということに相なっております、五十五年度で。五十九年度ではこれが六八%ということで、大体七割程度がいわゆる広い意味での公共公益施設にかかわる事業費が先ほど申しましたような総コストに占める割合でございます。  これを見方をちょっと変えまして、いわゆる公譲価格といいましょうか、宅地の原価、こちらに占める割合で見てまいりますと、この原価というのは、総コストから国、公共団体の負担分を除きまして、あるいはまた片方で金利、諸経費を加えたもの、これを宅地原価と申し上げさしていただきますけれども、この割合は五十五年度で四三%、五十九年度で三九%、こういう状況になっております。
  43. 赤桐操

    赤桐操君 団地のいわゆる公共負担分、こうしたものの占める割合というのは、これは今お話があったような数字になるのかどうか、ちょっと私の認識と違いますが、大体大規模団地の造成というのは、もう一度伺いますけれども、有効宅地面積の比率はどの程度になっているんですか、逆に伺いますが。
  44. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 有効宅地率でございますけれども、先ほど申しました私どもの調査をもとに御答弁させていただきますと、民間事業の場合も住宅都市整備公団事業の場合もほぼ五六、七%という状況が平均的に推移しております。
  45. 赤桐操

    赤桐操君 これは全国の状況でしょうからそういうことになると思いますが、首都圏の場合はそうならないでしょう。例えば私のところの千葉県の状況を申し上げますと、これは県の指導要綱でもう明確になっておりますけれども、市街化調整区域では、例えば六十一年の資料で申し上げるというと、十ヘクタールから二十へクタール未満については住宅団地については六〇%以下、それから二十ヘクタールから四十ヘクタール未満については五五%以下、四十ヘクタール以上になると五〇%以下ということになっているんですね。ですから、大規模団地になるともう五〇%程度のものがほとんど公共負担分としてかけられてくる。こういうようになっているように私は認識しているんです。これは千葉県だけでなくて恐らく埼玉でもそうだろうと思うし、神奈川でもそうだと思うんですよ。東京の状態は私よくわかりませんけれども。  そういうような東京を中心とした周辺各県の状況は大体似たような形でもって指導されていると思うのであります。したがって有効宅地面積というのは大体もう半分しかない、こういうように私は認識しているんですがね。
  46. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 確かに、先ほど申しましたアンケート調査等をもとにして御答弁さしていただきますと、全体的には先ほどのような傾向でございますけれども、首都圏においては例えばこの資料で言いますと六二・五%というふうにいささか高目でございます。住宅公団等の公的団地について見てまいりますと、例えば五十七、八年当時かなり高い数字にあった傾向にございます。指導要綱等について私ども是正指導、要請をお願いしておりますけれども、こういった経過を踏まえてと期待したいわけですけれども、最近はこれが少しく下がる傾向が見え始めてきた、こんなような状況と感じております。
  47. 赤桐操

    赤桐操君 私が申し上げた千葉県の数字というのは六十一年次における数字でありますから、六十一年、六十二年、ことし三年ですからここ二、三年の状況でそうなっているわけです。一時はもっとひどくて大規模の場合においては四〇%くらいにまで、四二%から三%ぐらいまで有効宅地率が落とされていた時代もあったんです。これは数年前くらいの状況だったと思うんです。そういうように大変特に首都圏関係では私はかなり厳しい指導要綱のもとに行われていると思うのであります。したがって私が言いたいことは、公共負担分は受益者負担として大きく宅地開発の中の原価計算に繰り入れられてきているんだ、こういうことを申し上げているわけなんです。  そこで、促進費がこれを緩和するために大変いろいろ大きな役割を果たしていただいておるわけでありますが、毎年この促進費の予算が完全に消化されているのかどうなのかということを私も気にしております。今のお話によるというと、要望九〇%という話でありますから、一〇%ぐらい残っているというふうになると思うのでありますけれども、この理由はどういう理由なんですか。
  48. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅宅地開発を進めていくに当たりまして必要となります関連公共施設につきましては、通常事業の方で既に計画的に御処理されているものにつきましてはそれに沿って進められておりますが、そのほかに関連公共の役割としましては、宅地開発などの計画が具体化するにつれまして緊急に必要となります道路等の公共施設、それから宅地開発地域内で処理しなければいけない施設、そういうものを対象にするわけでございます。  そういう観点から、この数年間一千億という国費オーダーでもって推移をしてきまして、この数年間の状況を見まするとおおむね要望の九割ということでございますので、通常の方にお願いをしているもの以外として関連公共の方で分担すべきものは現在の時点ではその程度の量というところが、十分ではございませんですけれども、事業を適切に執行していく上ではまあまあの量ということでありまして、そういう観点で国費は千五十億円、こういう予算設定をしているところであります。
  49. 赤桐操

    赤桐操君 これは、地方自治体のいろいろ実際にやっておる人たちの意見が私どもの耳に入ってくるんですけれども、非常に手続が面倒だ、手もかかるし人もかかってどうにもならないという意見がかなりあるように思うんです。そういうような意味でもって地方自治体が、欲しいけれどもまあ面倒だからということで敬遠している向きがあるんじゃないでしょうか。
  50. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) この事業の手続としましては、通常の補助事業の申請手続は通常のそれぞれの公共施設部門になされるわけでありますが、そのほかに手続としてつけ加えておりますのは、住宅宅地事業計画書の申請を求める、こういうことがございまして、この点は、住宅宅地開発関連する緊急に出てくる仕事を主体にする関係上、住宅宅地開発関連部局との調整上これはどうしても必要な手続でございまして、手続自体としてはそれほど煩瑣なものではないわけであります。もちろん本省に上がってまいりましたときは、本省の中でそれぞれ公共施設部門と住宅宅地部門との協議というのは、本省の中での仕事としては結構時間がかかりますですけれども、地方公共団体に対する事務量の付加という形では特段のことはないと考えておりますものですから、そういう事務手続が複雑であるがゆえにこれが嫌われているということは、これは絶対ないと考えております、毎年要望の方が多いわけでございますので。  しかしながら、確かに事務手続は通常のものよりは少しふえるわけでございますので、その点につきましては簡素化の観点から努力を続けてみたいと考えております。
  51. 赤桐操

    赤桐操君 特に私ども千葉県下では、かなり町が大きく発展をしている地域があるんです。とまってしまっているところじゃなくて発展している地域がある。そういうところはいろいろな形でもって現場の仕事は相当ふくそうしておるわけですね。だからそういうところの声としては一つや二つではなくて現実にありますよ。この手続その他については、よりこの制度が有効に使われていくためにはなお一層の検討を必要とするのではなかろうかと思いますので、この際ひとつ申し上げておきたいと思うわけであります。  それから、使用状況についてはいろいろあると思いますが、公共と民間に分けておわかりでしたら伺っておきたいと思います。
  52. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 六十二年度の分で御説明をいたしますと、公的開発部門が国費ベースで六百五十三億で五四%でございましたが、民間開発部門が五百五十九億で四六%でございまして、それで合わせて一〇〇。この五カ年問の平均シェアとしましては、公的開発が五九・六で民間開発が四〇・四ということでございますので、最近の傾向からいいますとやや民間開発のシェアがふえている、こういう状況でございます。
  53. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  私は、この予算化については、ちょうど十年前、五十二年の予算委員会を中心として、この委員会やあるいはまたそれぞれの関係委員会で論争が重ねられてきたのでありまして、当時は大変この機運が、私ども社会党の立場はもちろんでありますが、各党ともこの問題に対して相当大きな論議を展開しておった時代であります。昭和五十三年度予算において初めて三百億が計上されたわけでありますけれども、その当時の住宅局長の御説明によりますると、あるいはまたその他の関係の建設省側の皆さん方の御説明によりまするというと、今後毎年三百億ずつ上積みをされていくことになる、こういう説明でありました。なるほど五十四年、五十五年は三百億ずつ上積みされる、五十六年は半額ということで、五十七年からは頭打ちになっておるわけなんですね。ですからそのとおりに二、三年は推移したのであります。  私がこれを予算委員会建設委員会で論争の中で要求しておった額は、この数字ではなかった、これは一けた違うんじゃないか、こういうように私は話を聞いたときに申し上げたのでありますが、最初の項目として設定されるについて三百億というのはこれは大変大きなとうとい数字なんだ、こういう説明をいただきまして、しかもこれは三百億ずつ上積みされていくのでこれからさらに大きく膨れ上がっていくことになりますからその点は御心配ないでしょう、こういう説明を受けたことを記憶しております。これは当時の説明だったんです。これは長谷川さんが建設大臣、それから村山さんが大蔵大臣のころであったと思いますが、そのときの産物であったと思います。  私はそういう意味でその後ずっと三百億ずつ上積みされていくものと思っておりました。そしてこの促進費が大きく公共負担分へのこれは一つの緩和策として影響を持つものであろう、こう期待をして見詰めておったわけでありますが、その後残念ながら五十七年からは頭打ちになっている、こういうわけであります。  これは私は率直に申し上げますが、ちょうど五十六年、五十七年ごろから概算要求をめぐりまして対前年比ゼロというゼロシーリングの時期に入っておったわけであります。五十八年度は五%減のマイナスシーリング、五十九年度においては一般経常費で一〇%減、投資的経費でもって五%減という、大変私どもあっと言うような政策が打ち出されたわけであります。これが中曽根内閣時代の予算編成の方針として貫かれてきたわけでありますけれども、このとき私は、予算委員会においてもあるいはまたその他の委員会においても、大蔵委員会等でも主張いたしましたが、経常費の削減についてはこれはできる限りしなけりゃならぬと思うけれども、投資的経費の五%減というのはこれは逆じゃないのか、少なくとも今日外需にのみ頼ってはならない、日米の関係が相当悪化している、こういう状況の中で内需の拡大を求められているときにこの五%減というのは逆ではありませんかということを主張したことを思い起こすのであります。  少なくとも私は、このころ名目成長率程度のものはこれは計上すべきであったと思うんですね。その中で、こういったいわゆる投資的経費の中の大きな意味を持つこのような促進費等については、三百億ずつないしは五百億というように大きく伸ばしていくべきだったと思う。そういう形のものが今日まで続いたとするならばもう二千億ぐらいのものになっておったでしょう。こうなればそれは確かに公的な部門においても民間の部門においてもまさに大きな役割を果たすものになるだろうと思うのでありますが、一千億程度ではこれはやっぱり、今局長の御答弁では、大体要望を満たしているというお答えがあったのでありますけれども、私はそういうふうには理解しておらない。現実の本当に見ていかなきゃならない予算の配分の仕方ではないと私は考えている。  そういう意味で、これはやはりもうちょっと本格的に建設省としても考えて、対大蔵の折衝なり、あるいはこれを政治問題化していくべきものであろうと私は考えておるんですが、この点いかがですか、大臣。
  54. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいま政府委員が答弁をいたしましたが、以前の三百億ずつ増額していく、このことについては今お聞きをいたしましたが、極力努力をいたしております。  ただ、先ほどもお話がございましたが、宅地開発をできるだけやっていただきたい、こういう気持ちが我が方ではございますけれども、地方公共団体によっては、やはり以前と同じように開発を抑える嫌いも実はございまして、その点逐次お願いをしております。でございますから、この公共施設整備促進費がもし足りない場合は、道路なり下水なり、あるいは要綱や条例で公園の設置を義務づけておるところもございますが、ありがたいことですが、そういう施設については一般の方から回してでもそのことは十分やっていくつもりであります。  促進費の増額については今後努力をいたしますが、とりあえずは、もし足りない場合には今の一般の方から道路あるいは公園下水道、これの費用を回していきたいと思います。道路にいたしましても、非常に熱心なところは市道に認定をして申請してくる場合もございますから、そうやっていただく方が我が方はありがたい。もう市道に受け取っていただいて開発を進めていく、こういうことがありがたいと思いますので、当然そういう場合には一般の市町村道の補助金、この方で賄っていく、こういうことでありますので、宅地開発には御迷惑をかけないように進めてまいりたいと思います。
  55. 赤桐操

    赤桐操君 私は、今申し上げている私の基本的な考え方をお話ししておく必要があると思うのでありますが、私は率直に申し上げて、日本の住宅政策とヨーロッパ、特にフランスや西独などの住宅政策との間に大きな基本的な差があると思うんです。その差はいろいろありますけれども、違いはそれぞれ両国とも事情が違うんですからたくさんありますが、一番基本的な問題は二つあると思うんです。  一つは、今申し上げた公共負担分の受益者負担と称するこのやり方です。これはヨーロッパにはないです、こんなやり方は。  それからもう一つは、金利の問題だと思うんです。大体、一時期におきましては七%台から八%台の住宅金融の貸付金利がついておったと思います。ところがヨーロッパの各国では一ないし三%です。これは、ただ私が書類やあるいはまたその他の文書や何かでだれかが見てきたことを聞いたんではないのでありまして、私自身がかつて西ドイツあるいはフランスの政府当局者、西独では建設次官初め住宅局長、それからフランスでは住宅局長、それぞれ会って資料もいただき、現実に政策として聞いてきたわけです。ですから、これはやはり私はきちんと政府筋の方でも受けとめてもらわなければならないと思っているんです。  この二つが一番大きな差です。ですから、金利を安くし公共負担分がゼロになるところまで持っていくことができるならば、これは私は日本の住宅政策は本物であろう、こう思うのであります。そういう観点に立って今私は関連公共促進費、これについてはもっと増額すべきじゃないかということを申し上げておるわけでありますから、そのようにひとつ受けとめていただいて、今後の一層の御努力を願いたいと思います。
  56. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お説のとおりであります。  先生の言っておられることは、宅地開発の場合に、一つには、公共施設に持つべきものは十分持って、開発の宅地に対する価格の引き下げ、もう一つは、金融でできるだけ低利で安い宅地なり住宅が供給できるようにと、この趣旨は十分わかります。私もそのとおり進めてまいりたいと思っております。そこで、今の公共施設整備促進費で間に合わないような場合には、一般の費用を注ぎ込んででもこの宅地開発についてはできるだけの協力をしよう、こういうことであります。
  57. 赤桐操

    赤桐操君 次に、公共賃貸住宅の供給の促進問題について少しく伺っておきたいと思うのであります。  いろいろ土地の大変大きな狂乱地価の関係で、勤労者階級、特に国民の皆さん方も大変な被害を受けておるわけでありますが、最近労働界が明らかにしたアンケート調査を見ますると、最近の地価の高騰で、首都圏に住むサラリーマンの四割強がマイホームの入手が難しくなったと感じている。さらにまた、そのうち三割程度は断念せざるを得ない、こういうことを言っておるわけであります。この調査が明らかにいたしておるように、労働界全体、勤労者全体は、住宅というものが大変遠くなってしまった、こういう感じを持っているようであります。これは金融界の一部も明らかにしておるわけであります。同じようなことを言っておる。要するに、一生まじめに働いても家が手に入らない、こういう時代になってしまったということではないでしょうか。  そこで、この状態から脱却しなければならぬわけでありますが、そのために地価対策その他もやっておるわけでありますが、最近の公的住宅の供給戸数というものと六十三年度建設計画との関係、こうしたものについて明らかにしてもらいたいと思うのであります。何といっても公的住宅の供給をこれからは大きく促進しなければならない時代に入ってきているように思うのでありますが、そういう意味合いでひとつ詳細おわかりでしたら説明いただきたいと思います。
  58. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 最近の公的賃貸住宅の実績でありますが、五十六年に、実績戸数としては公営、公団賃貸、公社賃貸を含めまして五万二千戸、以後五万台の数字をずっと維持してまいりまして、六十二年度の見込みでは、計画ベース六万戸に対しまして五万一千六百九十七戸の見込みでございます。  なお、六十三年度建設計画といたしましては、公営四万八千戸、公団賃貸九千五百戸、公社住宅二千五百戸、合わせまして六万戸、こういうことでございます。
  59. 赤桐操

    赤桐操君 伸びているのは大体公庫住宅が伸びているわけでありますが、この公庫融資の点ついて、大都市圏の多くの勤労者が断念せざるを得なくなっているということは大変重大な問題でありまして、公的賃貸住宅の供給をふやさなければならぬわけでありますが、そうした中で、今のお話にも出ておりましたが、公団住宅が少し少ないと思うんです。公団の賃貸住宅の建て方が少ない。ことしが二万五千戸程度ですか。
  60. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公団住宅全体としましては、六十二年度、六十三年度それぞれ計画戸数二万五千戸でございます。
  61. 赤桐操

    赤桐操君 これは私はこの倍くらいに持っていくことが必要ではないでしょうか。  率直に申し上げて、低い家賃で、少ない家賃で過ごせるならば若いときからそんなに家を持とうという気はないと思うんですよ、現実に。ところが公団の家賃も相当払わなければ入れない、それならば少し我慢して無理しても自分の持ち家が持てるならその方がいい、こういうところから持ち家というものに大きく動いていくということは私は健全じゃないと思うんです。やはり住宅というものの考え方が少しおかしいじゃないか。不必要なそういうときに、自分の年齢からいっても、人生全体の計画の中から考えていってみても、無理なそういうことをする必要のないときにそういう欲をかいて無理をさせる、これは社会全体の一つ誤ったあり方ではないか。  住宅というものはそういうようなものではない。少なくとも、諸外国でもやっておりますけれども、住宅といえば大体公的な賃貸が中心ですよ。例えばフランスなんかにしても、HLMがやった社会住宅は三百万戸を超えているわけです、今日まで。我が国では残念ながらそこまでいってないわけですよね。そういう状態から比較いたしましても、日本の取り組みの仕方がおかしいと思うんです、これは。ですから、それを解決していく主体はどこに求めるかといえば、これは公営あるいは公団、こうしたところに求める以外にないと思うんです。特に公団の役割が大きくなってこなければならぬはずであります。  そういう意味合いで、公団が一番当初は分譲よりもこちらの方に重点がかかったと思うのでありますが、最近はニーズも高いということで分譲もおやりになっているようでありますが、やはり賃貸にあくまでも公団は大きな比重を持つべきである。賃貸住宅の中で、例えば部屋数が少ないとか、あるいはまた居住水準全体の問題があるというならばそれを高めていく、そして高めていきながら賃貸料については低くしなきゃならぬ、こういう一つの使命を果たしていかなきゃならないのが住宅公団の任務だろうと私は思うんです。そういう意味合いから、少なくとも今の状態ではちょっと少な過ぎるんじゃないか。これは少なくとも計画からしても現在の倍ぐらいのものを持つのが当然じゃないだろうか、こう思うんですが、いかがですか。
  62. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅対策は、持ち家、借家の需要動向に応じまして的確な供給に努めているところでございまして、公団住宅につきましてもそのような方針でもって対処しておるところであります。  御指摘の中にございました、分譲住宅にウエートがかかっている時期もあったというような御指摘がありましたですけれども、例えば五十六年で見ますると、計画といたしまして総数で三万戸を公団計画しておりましたけれども、そのときの賃貸住宅は三千戸でございました。そのときにまた分譲住宅は一万九千戸、そういう数字でございます。その他が賃貸用特定分譲住宅でございます。その後賃貸住宅の需要が大都市を中心に高まってまいりましたので、賃貸住宅のウエートをふやしてまいりまして、六十三年度ベースの案では二万五千戸中賃貸住宅は九千五百戸までふえまして、そのかわりに分譲住宅の方は、三万戸の一万九千戸時代から六十三年度二万五千戸中六千五百戸と急激に減少させておりまして、その余は賃貸用特定分譲住宅。したがいまして、賃貸住宅にウエートを置いて現在事業を進めているところでございます。
  63. 赤桐操

    赤桐操君 これは行革審の土地対策検討委員会ですか、この中でも五月に提出する最終報告の中に盛り込まれるようでありますが、この中では、特に中堅所得層向けの公的賃貸住宅の供給に重点を置くということも出ておりますね。これをやるのはやはり公団だと思うんです。だから、そういう方針でこれからの対策を公団住宅の一つの政策として考えていくべきだと思うのであります。特に多様化といいますか、ニーズが広がってきているということも事実でありますので、そういう意味合いから住宅都市整備公団の役割が大変大きくなってくると思いますが、公団側のひとつお考えをこの際伺っておきたいと思います。
  64. 倉茂周明

    参考人倉茂周明君) 先生御指摘のとおり、私ども住宅都市整備公団、どういうことを重点にやるかということにつきましては、先生御指摘のように、賃貸住宅を中堅階層者向けに供給するということが公団住宅の大きな役割というふうに考えておりまして、また建設省からもそのように御指導いただいているところでございます。  しかしながら、賃貸住宅建設につきましてはいろいろな難しい点もございまして、大変恐縮ながら、二万五千戸の公団全体の事業量の計画に対しましても、それがこのところ十分に達成できない状況になっております。今後とも、保有地の活用あるいは借地特別借り受けという六十二年度から認められております制度を活用し、あるいは国公有地等も使わせていただく、さらには既存の賃貸住宅の建てかえ等を進めていくというようなことで、できるだけ計画どおり賃貸住宅の供給を促進してまいりたいというふうに考えております。
  65. 赤桐操

    赤桐操君 中堅層の所得に対してどの程度の家賃負担を考えておられますか。
  66. 倉茂周明

    参考人倉茂周明君) 賃貸住宅の家賃につきましては、初年度家賃で、第三分位中位の勤労者の所得に対しましておおむね一六から一七%程度の率になるように計画をいたしておるところでございます。
  67. 赤桐操

    赤桐操君 土地の上昇がこれからもあると思うのでありますが、そうした中で公団が使命を果たしていくためには、あるいはまたこういった中堅層の勤労者が期待するような形のものにつくり上げていってもらうためには、やはり家賃の問題を下げていってもらうほかはないと思うんですね。この場合の一体家賃の抑制策、これは建設省としてはどういうふうに考えていますか。
  68. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公団住宅の分譲価格でありますとか家賃、これの低廉化を図りますために、住都公団に対しまして一般会計から毎年利子補給をしているところでありまして、この利子補給は従来の慣例によりまして補正でもって対応することにしておりまして、六十二年度につきましては、六一分決算を見込みまして利子補給分が千七百九十億円の利子補給をいたしましているほか、住宅部門といたしましては、六十二年度には再開発関連等に伴う補助金を六十九億補給しておりますから、国庫から出ておりますのは住宅関連部門で千八百五十九億は六十二年度支出しているところであります。  なお、六十三年度につきましては、補助金ベースが八十六億住宅部門に予定しておりまして、利子補給につきましては、六二決算を待ちまして六三の補正でもってお願いしたいと考えております。
  69. 赤桐操

    赤桐操君 きょうは私の持ち時間が大体いっぱいになりましたのでこれで終わりたいと思いますが、私は、公的なこうした部門に対しては、公共負担分については思い切った対策を国自体がとらなければ家賃は下がらない、こういうように思っております。そういう意味合いで、次回においてはこの問題を中心にいろいろひとつ論争したいと思いますから、御検討願いたいと思います。  以上で終わります。
  70. 梶原敬義

    梶原敬義君 国土庁長官並びに建設大臣の所信表明及び予算概要説明を読ませていただきましたが、その中で共通して指摘をされているのは、「国土の均衡ある発展」並びに「東京一極集中の是正」、第四全総に従って「多極分散型国土形成」、これをそれぞれうたい上げられて基本にあるわけでございます。まさに私は今緊急の課題だと考えております。したがいまして、この点につきまして以下質問をさせていただきます。  最初に国土庁の方にお尋ねしますが、神奈川県の長洲知事が昭和五十二年に地方の時代を提唱いたしまして、今年はちょうど十年になります。その間に御承知のように地域間格差が非常に広がりまして、そういう状況の中で大分県の平松知事は、私は大分県ですが、こう言っているんです。地方の時代は終わった、地方試練の時代だ、こう言っております。ところがそれに対して、対応するように熊本県の細川知事は、地方試練の時代は終わったんだ、今や地方反乱の時代だ、こう指摘をしているわけです。また、マッキンゼー社の上級コンサルタントマネージャーであります茂木敏充氏は、昭和六十三年二月号の中央公論に論文を出しておりますが、「都会の不満 地方の不安」と題する論文の中で、「同じ日本の中に、首都圏「先進国」と地方「後進国」という、外国ほどにも違う二つの地域社会が生まれた、その不均衡は対外貿易不均衡以上に大きい」、こう述べております。私も九州の東海岸におりましてまさにそのとおりだと思うわけでございます。  したがって、その辺の問題について、最初に過疎過密の状況について一体どのようになっているのか、ワーストテンを県ごとに、あるいは過疎率、これを最初にお尋ねをいたします。
  71. 森繁一

    政府委員(森繁一君) 現在の過疎法の規定によりますと、この十五年間で人口減少率が二〇%以上、それから財政力指数が三カ年平均で〇・三七以下、こういうところがいわば過疎の団体になっておるわけでございます。全国で現在のところ千百五十七ございます。  それが各県別にそれぞれ分かれておるわけでありますが、県内の総市町村数でもって過疎の市町村数を割り返した数の比率で申し上げますと、一番高いのが鹿児島県でございまして、これが七六%でございます。その次が大分県でございまして七五・九%。以下、北海道、島根、高知、宮崎、愛媛、広島、熊本、徳島、こういう順番になっております。それから今度は県レベルの人口の移動の状況を見てまいりますと、昭和三十五年から六十年までを比較してみますと、最も人口減少の甚だしかったのが島根県でございまして、これが一〇・六%の減少になっております。二番目が長崎県でございまして九・五%。以下、鹿児島県、佐賀県、秋田県、山形県、高知県、徳島県、岩手県、熊本県、こういう順番になっております。  以上でございます。
  72. 梶原敬義

    梶原敬義君 両大臣、国土の均衡ある発展あるいは多極分散型国土形成、こういうことでございますが、今まで、第四全総ができるまでに、第三全総までいろいろ努力をしてきたけれども結局効を奏せず、こういうような状況になったのだ、これは共通認識に立てると思います。  それから、時間の関係がございますから私から少し状況に関する経済指数を、過疎過密に関するこの問題を申し上げますと、雇用の一つの指標であります有効求人倍率を見ますと、九州、北海道、関東、東海、これを比較してみますと、昭和六十年度における九州の有効求人倍率は〇・三五、六十一年が同じく〇・三五、昭和六十二年は少し上がりまして〇・四〇。これは経済対策が効を奏したのだと思うんです。北海道は、昭和六十年が〇・三九、六十一年が〇・四〇、六十二年が〇・四四。関東は、六十年が〇・九〇、六十一年が〇・七九、六十二年が〇・九二。東海が一番いいわけですが、昭和六十年が一・二七、六十一年が一・〇九、六十二年が一・一二。こういうように九州、北海道を中心にして非常に雇用状況も厳しい。職がない。学校は出たけれども就職するところがないというのが、この茂木さんの指摘じゃないが、そうなっておるんです。  それから毎勤統計によりますと、都道府県産業大分類別常用労働者一人平均月間給与額、これの若干比較をしてみますと、東京が昭和五十七年三十四万九千八百十九円、これが昭和六十一年に四十万五百七十一円。北海道はこれに対応して二十六万九千四百七十二円が三十万七千四百四円。少し上がっております。私の大分県で見ますと、昭和五十七年が二十四万三千九百六十七円、六十一年が二十五万八千八百七十五円。非常に厳しい鹿児島は、昭和五十七年が二十一万六千二百二十六円、六十一年が二十四万七千四百八十一円。東京の四十万五百七十一円に比べまして二十四万七千四百八十一円、こういう大変厳しい状況になっております。  また、昭和六十三年度の都道府県の予算に占める法人二税、事業税、住民税の伸びから見ますと、東京が三九・二%、千葉が三六・六%、茨城三二・一%、その他神奈川、秋田、埼玉が三〇%を超えております。逆に一けた台の伸びを示したのが五県ありまして、福井が最低で三・九%、愛媛が五・八%、大臣のところです。それから鹿児島が八・九%、あと大分、奈良、こうつながっておるんです。こういう大きな格差がやっぱり見えております。  それから文部統計によりますと、時間がありませんから首都圏を申しますと、短大と大学に圧倒的に地方から学生が上って、親の金をもらってこちらでお金を消費しているわけです。だから地方はますます財政が厳しくなるわけですが、短大では東京が七万六千三百八十六名、大学が五十七万七百十九名、これは昭和六十一年だったと思います。一方、神奈川、埼玉、千葉の方にもやはり集中をしております。  こういうような状況を見ますと、中央と地方の地域間格差が特に問題になるのは、三大都市といいますか、東京を中心とした首都圏、名古屋、大阪、ここから遠い地方、便利の悪いところに限って過疎がどんどん進み、あるいは経済の格差も非常に広がっております。企業の進出といいましても、そういう便利の悪いところに、工場再配置ということをうたわれておりますが、なかなかそう簡単には行かないんですよ。テクノポリスの問題もありますが、非常に現実にはテクノポリスの問題が出ておる。多くを申し上げませんが、そういう状況になっております。  そこで私は、九州の特に東海岸、どの数字にも出てきます大分、宮崎、鹿児島それから北九州にかけて、このどうしようもない状況についてひとつ説明をしまして、具体的に積極的な両大臣の答弁を要求したいと思います。  私はちょっと今地図を持ってまいりましたけれども、これは九州の地図でございます。こっちが北九州、国東半島、それから大分市を中心にしまして西鹿児島まで鉄道沿線の道路を書いてあります。国鉄を分割・民営化してJR九州を独立した会社にした場合には、永久に新幹線はもう東九州には無理ではないか。それから複線化が今小倉から大分までほとんど複線化されておりますが、まだ一部山香町と杵築の間十数キロが複線化しておりません。この複線化が、大分から県南を通りまして宮崎、鹿児島に抜ける間の複線化の可能性というのはもうほとんど皆無になるんじゃないか、JR九州、独立採算、個別な会社になりますから。その指摘をいたしましたが、その状況について運輸省の方に状況を後から聞きます。  それから、先に説明だけしますと、道路でございますが、御承知のように高速自動車道はもう一つもないんですね。それで九州横断道、今かかっておりますが、これも延び延びになっていつできるかなかなか見当がつかない。それから、四全総と同時に東九州高速自動車道、計画はあるけれども、これは一体紀元二〇〇〇年までにできるかどうか、これもまだなかなかはっきりしない。それから、後で大臣にお尋ねしますが、豊予海峡、愛媛県と大分の間の海峡にトンネルをつくるという計画がかつてあったが、これは一体どうなっているのか。かけ声はいいけれども、これはなかなか実現の可能性がない。この点についてただいまから質問をしてまいりたい。  第一点、運輸省にお聞きしますが、JRのこの複線化の状況、この点については一体どのようになっておりますか。
  73. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) お答え申し上げます。  日豊本線の複線化の状況でございますが、日豊本線の小倉から大分間約百三十キロございますが、そのうち十三キロ程度が単線でございまして、残りが複線化されております。単線区間は立石—中山香というところが五キロ、それから杵築—日出というのが八キロ残っておる状態でございます。
  74. 梶原敬義

    梶原敬義君 大分市以南の複線化の計画、これは地元の強い要求があるんですが、これは一体どういうことになるんですか。
  75. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 大分市以南は大分—宮崎間約三百三十キロございますが、現在すべて単線でございまして、複線化の区間はございません。  なお、複線化の計画につきましては、日豊本線の小倉—大分間につきまして、先ほど申し上げました単線区間につきまして複線化の計画はございます。なお、具体的な進め方になりますと、JR九州が経営の判断により行うこととされておりますので、今後の輸送状況等を勘案いたしまして計画実施されることになると思います。  大分から以南の複線化の計画については、現在見込みはございません。
  76. 梶原敬義

    梶原敬義君 十三キロについては、国鉄がJRに移行する過程の中ではこれは承継事項として、経営の判断というより、国民に対して約束した事項じゃないですか。
  77. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 御指摘のとおり計画自身は確かに承継されております。したがいまして、計画は消えたわけでもございませんので、今後進めるべき路線として残っておるというふうに認識しております。
  78. 梶原敬義

    梶原敬義君 しかし、そうなっておったとしても、これはあくまでJRの経営判断、こういうことですか。承継しながら、それで済む問題ですか。
  79. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) JRの今後の投資につきましては、国鉄の改革のときの委員会の答申によりまして、今後の投資はJRの経営判断により基本的に行うということにされております。運輸省は、地元の要望等十分あることを承知しておりますが、JRの判断を尊重して地元の御要望を聞きつつ進めるという姿勢でございます。
  80. 梶原敬義

    梶原敬義君 しかし、承継事項として位置づけて国民に発表しているのに、それはやりたくなきゃいつまでもやらぬでいいということになるの、経営判断で。それとは違うじゃないか。
  81. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 言葉の説明が不十分で大変申しわけございませんが、計画といたしまして旧国鉄がこの複線計画を持っておりまして、それを今後も進めたいということは運輸省としても認めておるわけでございます。具体的にどうするかについては、基本的にJRが今後計画を進めるということを基本にいたしまして、それを運輸省が応援するということになっておりますので、国がまずJRの経営判断に先駆けてどうこうという姿勢は現在なくなっております。
  82. 梶原敬義

    梶原敬義君 しかしこれは約束ごとで、承継事項として当時約束したことですから、この分については国は指導する、やっぱり承継したという責任があるんじゃないですか。何を言っている。
  83. 荒井正吾

    説明員(荒井正吾君) 旧国鉄の承継された計画につきまして、運輸省は十分これまでのいきさつ等を勘案いたしまして努力してまいりたいと思います。
  84. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、国土庁長官、判断をしていただきたいんですが、大分から宮崎にかけましては全くもう複線化計画がないというわけです。この間の中国の上海の向こうで列車事故もあれは単線の上で結局出会ってやっているんですよね。それはもう単線のところを汽車に乗った者じゃないとわからぬけれども、危ないものですよ。どっか信号を見間違えれば上りと下りは衝突するんです。それはみんな真剣にやっているから今のところそういう事故は少ないんでしょうけれども、そういう危険性があると同時に、大変時間がかかるんです。下りの汽車を待つためにはどっかで待つ。お互いに待ち合う。それが積もり積もって、もう本当に国鉄というか軌道の効用を果たさない。  したがって、要望ですが、今運輸省はそういうような考え方なんです。そういうことしか答弁できない。だから、大分から宮崎、鹿児島にかけての日豊線については、国土の均衡ある発展、多極分散型の国土形成というなら、大臣ひとつ前向きに閣議等で議論をしてもらいたいと思うんですが、ちょっと長官の感じだけ。
  85. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 国鉄が民営化されてJRになりました。そうなりますと、地域発展やみずからの発展につながっていくわけでございますから、国鉄時代よりもJRになって地域発展に格段の関心も払うし努力もするようになるんじゃないか、私はこう思います。  同時に、地域の地方団体にいたしましてもあるいは経済団体にいたしましても、国鉄当局にいろいろの意見を言うよりも民営化されたJRに言う方が影響力がはるかに大きくなるんじゃないだろうか、こう思うわけでございまして、地域とJRが一体になってその発展に取り組んでいく姿勢が格段に強まっていくんじゃないか。また日本全体におきましても、大変経済力の豊かな国になってきたわけでございますので、やはり均衡ある国土発展、それぞれの地域が適切に利用されるような国土形成していかなきゃならない、そういう配慮が強まっていくんじゃないだろうかなと思うわけでございまして、私は今までとは違った明るい展望が開けていくんじゃないかという期待を持っているものでございます。
  86. 梶原敬義

    梶原敬義君 御答弁は要りませんが、テレビか何かで放送されておりましたが、JR東海とそれからJR東日本、これはよそより物すごく利益を出しているというわけですね。だからNTTと同じように——NTTももうかっているところは一部なんですね。しかし地方に電話線を引き電話機を設置してやっております。JR九州になりますと、九州株式会社ですから、採算がとれぬから、それは余りもうからぬから、もうこれから設備投資はやらぬのです。だから、田舎の者は東京なんかに集まって電車や何かに乗っているんだから、やっぱりもうかった一部は地方に少し還元をする、こういうNTTばりの考え方がないと、北海道や九州は独立採算でやって幾らやろうとしても財力がない、株式会社ですから。これはいつまでたっても複線化はもうできません。だからそこはぜひ国の方でもう少し考えていただきたいと思います。  それから、建設大臣、大分駅の高架の問題です。  多極分散型国土形成といえば、まさに大分市あたりを一体どうするかということになるんですが、ちょうど市街地を真っ二つに日豊線が割っておりまして、汽車が通るときは遮断機がおりて、みんな車も人も待ってそして行くわけです。最近JRになりまして列車の本数もちょっとふやしたんです。地元の新聞の切り抜きを持ってきておりますが、「相次ぐ列車の増便 開かずの踏切で不便」、こういう世論調査の結果等が出てきておる。だんだんそういう状況になってきた。  こういう場合に、高架の問題にはやっぱりたくさん金がかかります。建設省が中心になってこれはやる仕事でございますが、地元の県あるいは市の強い要望があるんです。この要望が速やかに上がってくれば、これは建設省としてもこういう時期こそ速やかに対応して駅の高架を進める、そういう時期に来ているんですが、非常にもう要望も強いんですが、この点いかがでしょうか。
  87. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 大臣の御答弁の前にいきさつをちょっとお話しさせていただきます。  先生御承知のように、大分駅周辺の連続立体交差は、四十八年に調査に着手しまして、五十五年度まで連続立体交差関連事業をいろいろ調査してまいってきたわけでございます。昭和五十年には国の補助対象にも取り上げられたわけでございます。その後、大分県が施行主体になるわけでございますが、大分県は、大分市にとって大変重要な課題であるということは十分考えておるわけでございますけれども、何としても膨大な事業費を、国の補助があっても地元の負担もございますので、どういうふうに確保するのか。それから、先生御承知だと思いますけれども、駅周辺に、今清算事業団が持っていると思いますけれども、そういった土地がたくさんある。そういったものとの関連でまとめて再開発的なものをやったらどうか、あるいは工事期間中の交通処理の問題、あるいは場合によったら民間活力を入れたらどうかと、種々問題がございまして、ただいま総合的に検討しているとお聞きしているところでございます。  そういうことでございますので、現在のところまだ事業化の具体的な要望は建設省の方へは出てまいってございません。建設省としましては、県からそういった連続立体交差の事業化についての要望、あるいは場合によったらその周辺を含めた再開発事業等も含めた要望が参りますれば、当然その段階で十分検討して前向きに対応してまいりたいと考えている次第でございます。
  88. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 事実関係はただいま都市局長からお答えをいたしました。  立体交差、各所で非常に要望が強いのであります。今六十六カ所実はやっております。これ非常に金がかかりまして、地元の問題等も、国の補助だけ、助成だけをしましても、地元負担の関係もございまして非常に難しい。私どもは、かかったら早く効果があらわれるように早く完成さす、こういう気持ちもございます。そういう事情でございますけれども、今お話しのございましたように、申請が出てくれば積極的に検討をしてみたいと思います。
  89. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、検討してみたいという、ちょっと弱いんですがね。  きのう地元の大分県のある代議士の励まし集会かなんかに大臣がヘリコプターで大分に来られておったらしいんです。豊予海峡をずっと見られて、そして大臣の演説を聞いた人からお話を聞いたんだが、建設省予算で私の範囲で使える予算がまだある、市町村長さん言ってきなさいよということを一つは言われた。それからきょうの新聞に出ておりますが、地元の新聞ですが、四国からヘリコプターに乗り豊後水道の上を通って大分にやってきた、西瀬戸経済圏の発展のためにも豊予海峡トンネルは必要だし、努力したい、また大分県の道路網整備も一生懸命やらせていただきたい、こういうような意味のことを言って、今にも豊予海峡トンネルはもうできそうなイメージをみんな受けて、そして道路の問題や、こういう国土の均衡ある発展あるいは多極分散型の国土形成という点からすると、非常に県民は熱いものを大臣のお話で承った。  今大臣が言われました、ちょっと検討してみたいと、非常にトーンが下がったんですけれども、ちょっと納得できぬのですが、どうなんですか。
  90. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 昨日、私もこの豊予海峡の問題は非常に関心を持っておりますので、ヘリコプターで大分に渡りました。それから九州横断道路についても非常に要望が強い。知事さん初め、これは福岡あるいは長崎、皆非常に強いものですから、この点についても上から低く飛びまして視察をしてまいりました。  豊予トンネルの問題につきましては、十四キロでありますから、十四キロの間を橋でいかないものかということで上から飛んでみたのであります。実は、今まで何回も海上からは見ておりましたが、上から見たのは初めてでございますが、あそこは水深が御承知のように深いので、十四キロの途中へ橋台をつくるというのはなかなか難しいという話も聞きまして、ああなるほどそうかな、こういうふうに感じた次第であります。  横断道路につきましては、大分から別府、湯布院、大分工事が進んでおります。非常に旧の国道は悪いが、実に立派になりつつあるな、こういうふうに思ってうれしく思ったような次第であります。  そういうことの中で、知事さんから非常に強い要望、御承知であろうと思いますが、西瀬戸経済圏というので、平松知事さんあるいは私の方の愛媛の伊賀知事、皆さんが非常に熱心にやっておられる。そういうことでお話をいたしまして、何とか前進をさせたいものだと。実は四全総の中においても、長期的視点から本州、四国、九州との広域的な圏域の形成を図るための交通体系について検討する、こういうふうにうたわれておりますので、ひとつ何とか、いろいろ事情はありましょうけれども、今後調査でも国土庁の方にもお願いし進めてまいりたいものだ、こういうお話をいたしました。  今の駅の高架については触れておりません。ダウンしたというのは、やはり地元の負担もこれあり、先ほど都市局長からお話しいたしましたように、長い期間調査をして、地元は要望が強いのでしょうけれども、負担の問題等も、これは負担といいますのは国、県で九割ですか、九〇%までこちらが持つわけであります、立体交差については。そういう制度になっておりますし、多額の費用がございますので、今申し上げたように六十六カ所ですか、これを進めておりますので、着工すれば早く供用できるようにしたい、こういう意味のことを申し上げた次第であります。  大分について、私がもうやらないというようなことではございませんから、ひとつお互いにおくれておりますところは大いに努力をして、均衡ある発展に寄与したい、こういう考えであります。
  91. 梶原敬義

    梶原敬義君 くどいようですが、大臣、都市局長が言いましたように、東九州の状況というのは、先ほど過疎の状況がずっと出ていましたように、その一環としてやっぱり多極分散型の都市形成で非常に要望が強いわけですから、地元から上がってくれば、それは先ほど局長言いましたように速やかな対応をする、このくらいは言ってもらっていいんじゃないでしょうか。
  92. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいまお話し申し上げましたように、地元がきちっと整備をして計画して上がってくれば速やかに検討をいたして、できるものならタイアップしていきたいと思います。ただ、昨日行ったときに知事さんからその話が、道路とこの豊予海峡の話が非常に強い要望がございましたので、そういうことを申し上げたんですが、地元から申請が来ればできるだけ早く事業を進めたい、かように思います。
  93. 梶原敬義

    梶原敬義君 豊予海峡の問題は、きのうの新聞の記事によりますと、平松知事が建設大臣に要請しているのは、大分、愛媛など西瀬戸経済圏の各県が建設に賛成している、本州と北海道、四国がトンネルや橋で結ばれ、次は九州と四国の番だ、したがって調査調整費をつけてほしいと、こういう要請を大臣にしているようなんです。調査調整費、この問題がやっぱり当面の糸口に、切り口になるわけですから、この点についてはひとつもう少し突っ込んだ御回答をいただきたいんです。
  94. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 調査調整費につきましては、国土庁の方で現在検討さしていただいております。まだ時期的に六十三年度の調査事項を決定する時期に至っておりませんので、なお財政当局との協議等も残っておりますので、もう少し時間がかかると思いますが、前向きに検討さしていただいております。
  95. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは今からやったからといってそう簡単にいけるものでもないし、水深百九十メーター、非常に厳しさはあると思うんですが、しかしあそこが接続できれば日本国土というのは全部、まあほとんど陸つながりになるわけですから、ひとつこの問題については国土庁長官、あるいは大臣は愛媛県ですから、お二人が任期の間に目鼻をつけていただきたいと思うんですが、今度の予算に間に合うんですか。いかがでしょうか。
  96. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今局長から御答弁申し上げたとおりでございます。
  97. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) これは、予算編成当時に実は平松知事さん、愛媛の知事さん、国土庁の方にもお願いいたしましたし、私の方にも随分陳情がございました。そこで、実は今まで調査をしておりますのが鉄建公団で調査を進めておる、これが実情であります。鉄建公団がせっかく調査をずっと進めてこれまでのいろんな記録を持っておるであろう、こう思いますので、その後のいろいろの調査、これは国土庁の方にもお願いして進めてまいりたい、こういう気持ちでおります。  実は、愛媛側の、私の地元の方のことを余り申し上げるのはどうかと思っておりましたが、三崎半島に国道百九十七号線というのがありまして、この改修は実に立派にできておりますので、昨日はそれも実は見たいと思いましてあのルートを飛んだわけであります。でございますので、まあ調査をしてもすぐ決定されるようなものではございません。大規模なプロジェクトになりますが、今北海道とは隧道で連絡いたしますし、四月十日には本州と四国ということでございますから、その次は九州と四国でないか、こういう話をいたしましたが、そういうふうに今も思っております。  以上であります。
  98. 梶原敬義

    梶原敬義君 奥野大臣、具体的にお話がなかったんですが、大臣、先ほど言いましたように、本当に地域の状況というのをよく御賢察の上、思い切った対応を考えていただきたいと思います。  それから道路の問題です、東九州の道路の問題。道路状況について私は先ほど大まかに言いましたが、建設省の方で、私が言ったところが間違っているのかどうなのか、そこをひとつ説明をしていただきたいと思います。
  99. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) 先生の御質問は二つございまして、一つは九州横断道の進捗状況、もう一つはいわゆる東九州自動車道のことだと思いますが、順次説明さしていただきます。  九州横断道でございますけれども、これは長崎と大分を結んでおりまして、二百四十四キロでございます。そのうち長崎の多良見と大村の間、それから武雄と朝倉の間、この間の八十八キロが供用済みでございます。  大分県に関係します部分についてちょっと説明をさしていただきますと、朝倉インターから日田のインター、これは二十二キロございますけれども、現在工事中でございまして、六十年代の中ごろの供用を予定して今積極的に工事を進めております。それから日田のインターから湯布院のインターの四十六キロ、これは七十年代初頭の供用を目標に設計協議、それから幅ぐいの設置を進めております。それから湯布院と大分の間、この間三十九キロございますが、用地買収、それから工事中でございますが、六十年代中ごろの供用を予定しております。いずれにしても、早急の完成を目指して今工事を進めているところでございます。  それから東九州自動車道でございます。この間は、国道で申しますと十号線がございます。国道十号線は非常に込んでおりますが、それにつきましていろいろな改修をやっております。  主として申し上げますと、まず北九州と大分の間を結ぶ道路、これは国道十号線でございますが、この道路の改修につきましては、北九州と大分の上の字を取りまして北大道路と、こういうようなことを言っておりますが、これについてはいろいろな各種の事業を行っております。六十二年度末でございますが、この間で、国道十号線の曽根バイパスと主要地方道の豊前—万田線、これ両方合わせまして十五キロぐらいございますが、これは供用済みでございます。それから十号の苅田の拡幅、中津のバイパス、大分南バイパス、これは一部区間が供用済みでございます。六十三年度予算がお認めいただければ、国道十号の苅田拡幅あるいは行橋バイパス、それから椎田道路、豊前バイパス、中津バイパス、宇佐道路、宇佐—別府道路、それから大分南道路並びに九州横断自動車道、大分インターまで、こういうものにつきまして昭和六十年代の中期を目標事業推進してまいりたいというふうに考えております。
  100. 梶原敬義

    梶原敬義君 東九州自動車道は。
  101. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) 東九州自動車道につきましては、四全総におきまして、交流ネットワーク構想推進のために高規格幹線道路ということで提唱されまして、建設省で二十一世紀の望ましい国土構造形成の方向を踏まえまして一万四千キロの高規格幹線道路計画を策定したわけでございます。その中で東九州自動車道を位置づけております。さらに、東九州自動車道につきましては、昨年九月の国幹道法の改正によりまして、国土開発幹線自動車道の予定路線ということで追加をいたしました。延長が四百三十キロございます。本路線につきましては、地域開発状況、交通需要、それから周辺道路の整備状況等を総合的に勘案しつつ、昭和六十三年度から高規格幹線道路調査を進めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  102. 梶原敬義

    梶原敬義君 東九州縦貫自動車道は、二十一世紀に向けてのことですから、当面の問題の解決にはならないわけですね。したがって、大分から宮崎に抜ける十号線は、大分市内からというのは片道一車線なんですね。大変混雑をして、働く人たちも毎日ラッシュの中でいらいらしておるんですね。特に大分市内から犬飼の間というのは大変なんですね。  きのう大臣が大分にお見えになって、予算もあるから言ってこいとある代議士の応援でそう言ったんです。だからこんな問題は縦貫道を待っていたって解決する問題じゃない。当面こんなところは、今計画があるようですが、これはもっと急いでやってもらいたい。予算委員会委嘱審査の会でこんな小さい話をしてもまずいんだけれども、やっぱりしかしそれは一つ一つが国の姿勢というのがそういうところにあらわれていますからね。これはいかがですか。
  103. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) 大分と宮崎間の、特に大分と犬飼の間の今のお話でございます。  これは確かに先生御指摘のように、現道が二車線でございまして、また大変交通量も多いわけでございます。特に大分市の流入部と申しますか、ここと、それから十号、五十七号、三百二十六号のおのおのの国道が合流いたします犬飼交差点、こういうところが非常に混雑が激しいわけでございます。これに対処するために、まず大分市内への流入部でございます大分市の大字三吉から同上戸次間、この間十・七キロございますが、大分南バイパスとして昭和五十年度から事業に着手しておりまして、このうちバイパスの七・三キロのうち米良の有料道路と大字中判田の三・九キロの暫定二車線あるいは現道の拡幅、これは三・四キロございますが、そのうち大分市の中判田から下戸次の一・八キロ、こういうところの四車線の供用を図ってまいったわけでございます。  それから犬飼交差点、先ほど言いましたように大変込んでおりますが、その緊急対策といたしまして、昭和五十九年度から右折車線の設置等の改良を着手しております。これは本年度中に整備を完了することとしております。  それから大分南バイパスの終点から犬飼の交差点に至る区間、この区間につきましては、昭和五十八年度から調査に着手しておりまして、昭和六十二年度に路線計画を取りまとめたところでありまして、今後早期事業化が図れるよう努力をしてまいりたいということでございます。
  104. 梶原敬義

    梶原敬義君 国土庁長官、今東京一極集中というのがこれは流れは大変なものです。そしてその流れを変えるために、やはりおくれた地域においては、特に北海道、九州、こういうところについてはまた別な考え方をしないと、今までと同じようなやり方を継続したんでは、もう気がついたときには遅かったということになるわけです。だんだんそういう状況になってきている。だから思い切った集中したお金の使い方をしてもらいたいと思うんです、同じように一律でやるんではなくですね。  特に、過疎地域、過疎市町村を回ってみて何が要求が強いかというと、確かに今農業も厳しい、働く場がない、だから工場でも誘致をしてくれないかという要求が非常に強い。これは自治省がまとめたアンケートの中でも非常に強いんですね。しかし交通の便利は、軌道は悪いし道路はない。そういう状況の中で、しかも原材料の輸送、製品の輸送には運賃がかかる、そういうハンディはやっぱりありますから、そのハンディを克服するために社会資本の投資もそういう地域については特別重点的にやってもらわないと解決ができないと思うんです。解決ができているなら、先ほど国土庁から説明がありましたように、ああいう地域のああいう過疎現象というのは解決されているはずなんです。今までみんな一生懸命努力をしている。  非常におもしろい現象になっているのは、大分県の知事は、過疎ナンバーツー、ワーストツー。それから北海道の知事も、非常に何か一村一品とかいろんな地域おこしを頑張っている。それから島根県の竹下総理はふるさと論。悪い地域から出ている皆さん方で頑張っている人が皆何か問題提起をしているんです。それはやっぱり悪いからやっているわけです。  したがって、工場誘致の関係も、東京の周辺にいろいろコンビナートがありますね、ああいうところはもっといろんな対策をしてやって、そうして地方の新産都でも、宮崎県の日向なんかは新産都市指定にしておりますが、工場はペンペン草が生えていますよ。大分の新産都も、非常に好調だと言っておりますけれども、最近はもう工場も来ぬからゴルフ場でもつくろうかというところもあるわけで、立派な土地に、そうして時期を待とうか、こういうことなんです。  そういう意味では、農業、観光を振興すると同時に、地方には工業の再配置も必要でしょう。そのためには、先ほど言いましたように、鉄道網とかあるいは道路とか、こういうものがもっと必要なんです。だから平面的ではなくて、少し思い切った、六十三年の予算には間に合わぬでしょうから、来年は重点的に力を入れるような、そういう決意を両大臣から聞いて終わりたいと思うんですが、いかがでしょう。
  105. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘になりましたように、九州あるいは北海道、雇用の機会に恵まれていない、日本の経済発展地域的に偏っている、そのとおりだと思います。また、そのためにも多極分散型の国土形成促進法案を国会に御審議いただきたいと考えておるわけでございます。そのためには、何といいましても交通、情報通信の体系を整備してまいりまして、どの地域におきましても相当な経済活動が営まれるようにしていかなきゃならない。既に通信のごときは遠距離通信の値段が格段に引き下げられたわけでございますけれども、なお一層通信や情報について、そしてまた交通体系についても努力をしていかなきゃならないと思います。  今度の法案の中には、特に高速交通体系の整備を図りたいということをうたい上げているわけでございますけれども、道路につきましては高規格幹線道路の閣議決定も行われたわけでございまして、さらに今豊予トンネルのことをおっしゃっておりましたが、これも新幹線の基本計画の路線に四国新幹線として入っておったものでございました、大阪から淡路、四国、大分に至るもの。しかし、技術的な問題もございまして、たしか四十九年から五十八年、十年間にわたって十九億円ぐらいのお金を投じて調査されたわけでございますし、近くその調査結果も出てくるわけでございます。さらに航空の問題もございます。コミューター空港整備していこうじゃないかということになっておりますし、ヘリコプターの基地もつくっていこうじゃないかということになっておりますし、リニアモーターカーなんという問題も出てきているわけでございますので、やはり地域格差をなくしていくということがそれぞれの地域が均衡とれた発展をしていく場合の基本的な課題じゃないか、こう思っておりますので努力をしていきたいと思います。  やはり財政が悪かったものでございますから、公共投資が抑えられてきた。数年間大体前年同額できたと思うのであります。そのために、この数年間、地域間の一人当たりの所得の格差がせっかく縮まってきたのに若干開いてまいってきております。やはりこれは公共投資が一番影響しているんじゃないか。これから発展させるところは、今も御指摘になりましたように、思い切って社会資本整備のために恒久的な財源を投入していかなきゃいけないんじゃないか、こう思っているわけでございます。そういう認識も十分持っておりますので、努力をしていきたいと思います。  しかし、悪いことばかりおっしゃいましたけれども、この数十年日本は大変なよい国土になってきたんじゃないか。私が官界にずっと働いてまいりました当初は、ナショナルミニマムを各地域においていかに確保していくかということが重点でございました。今日ではどこに参りましても小学校も中学校も高等学校も整備されておりますし、道路にいたしましても舗装がどんどん進んできておりますし、大変よくなってきておると思うのであります。一人当たりの所得もやはり地域間の格差がどんどん縮まってきたと思うのであります。この数年の問題だろうと思うのであります。おっしゃいましたとおりに、これからは本当にどの地域も均衡ある発展が営まれるような快適な国土づくりに努力していける、そういう時代を迎えているんじゃないか。  せっかくそういう時代を迎えたわけでございますから、国土庁も積極的にそれが実現されるように努力をしていきたい、そのための法案提出にもなっていることを御理解いただきたいな、こう思います。
  106. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先般も労働大臣から強い要請がございました。求人倍率の低いところはぜひとも傾斜配分をしてもらいたいというお話がございました。  先生が言われます北海道、確かに不況であります。しかし、開発がおくれておりますのは、北海道は道路の改良率は割に高いのですが、あとはおくれております。そして日本海側、島根、鳥取、あの方面ですね、あるいは九州もそうでございますが、四国もおくれておる。どうしておくれておるかといいますと、実は高速自動車道が、先ほど道路局長から説明いたしましたように、県庁所在地に行かないところは、六十年半ばまでに開通しないところは鳥取、島根、愛媛、高知であります、県庁所在地。でございますから、何とかそれを早くできないものか、こういうことで努力をいたしております。  そういうことで今進めておりますが、要は開発のおくれておるところ、それから不況地帯、こういうところに公共事業重点的に配分する、こういうつもりで進めておる次第であります。
  107. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後一時三十三分開会
  108. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、梶原敬義君が委員辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。     ─────────────
  109. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  110. 志村哲良

    ○志村哲良君 本朝、三大臣から六十三年度予算概要についての説明をお伺いいたしました。私は、限られた時間でございますので、これに関連をいたしまして、建設省国土庁にそれぞれ問題を絞って若干の質問をさせていただきたいと存じております。よろしくお願いをいたします。  奥野大臣が緊急な御用事がおありと承っておりますので、先に国土庁からひとつお願いをいたします。  私が本日お伺いいたしたいと思っております問題の一つは、日本の建設市場への米企業の参入の件でございます。他の一つは、東京への一極集中の排除と多極分散型国土形成の問題についてであります。  実は私は、これらの問題が惹起し、また国政の重要な課題となっておりますその根源は同じところにあると考えておりますものでございますので、初めに私自身の、何と申しますか復習といいますか確認と申しますか、そのような意味を込めまして若干の問題に触れてみたいと考えております。  一九四四年、アメリカのニューハンプシャー州ブレトンウッズで開催されました世界通貨会議におきまして、新国際金融機構についての協定が調印され、四五年には国際通貨基金、IMFと世界銀行が設立されまして、いわゆるブレトンウッズ体制が確立されたわけでありました。さらに四七年には、この体制を補完いたすための国際貿易機構といたしましてガットの発足を見たわけであります。これらを契機といたしまして、ドルが世界の基軸通貨としての地位を確立いたしましたし、これにアメリカの軍事力を加えまして世にいわゆるパックスアメリカーナの確立が見られたのであろうと考えるものでございます。  ところが、その後六〇年代には、核軍備などにおきましてソビエトに追い越された模様でございますし、さらに七一年にはパックスアメリカーナの基幹的なシステムであります金ドル本位制の停止が行われ、さらに八〇年代に至りますと、アメリカの大幅な国際収支赤字にもかかわらず、ドルが基軸通貨であるということによりまして、時としてドルの割高などをももたらしてまして、競争力の弱化を招くというような結果を招来したものであろうと考えております。そのような状況の中におきまして、パックスアメリカーナにも揺れと申しますかあるいは機能の不全と申しますか、いずれにいたしましても何がしかの変化が見られたことは私は疑う余地はないものであるような思いがいたしております。  反面、このような状況の中におきましても、経済環境の変化の中で、世銀の姉妹機関であります第二世銀などと呼ばれます国際開発協会、IDAも設立されましたし、ガットにおきましても第二ケネディ・ラウンド、東京ラウンドあるいはアジア・ラウンド、最近におきますウルグアイ・ラウンド等々の国際的な協力体制もまた設置されたことは周知のことでございました。  竹下総理大臣は、このたびの予算委員会などにおきましても、討議が八六年九月の例のプラザ合意と呼ばれますG5の話し合いのことに及びますと、これは後世史家の批判をまつのみでありますというように慎み深く答弁をなさっておられますが、私はかねがね、あの円高を招く一つの端緒にもなりましたプラザ合意は、人類の知恵と国際協力、さらには政治そのものが経済に大きなインパクトを与えた特筆さるべき成果ではなかったかと実は存念をいたしておるものでございます。現に円高は、それがプラザ合意以来テンポが若干速過ぎた嫌いはございましたために、一面で輸出関連産業などに一時期深刻な打撃を与えたことは事実ございました。ではございますが、反面、内需振興主導による新しい機構の構築がこのために進み、国際的にも国内的にも長期の安定軌道に向かう一つの重要な転機となったこともまた私は争う余地のない事実であろうと考えるものでございます。  このような点に思いをいたしますと、経済摩擦もパックスアメリカーナの揺れの中で起こったと考えるべきでしょうし、例えば外国企業の日本の建設事業への参入問題も多極分散型国土形成の課題も、この揺れの中で起こってきたものであると断じてよいのではないかと考えるものでございます。もちろん、それではありましても、現在依然としてドルは基軸通貨であり、アメリカの経済は強力であります。ただ、さまざまな条件の中で諸般の問題が起こっているということには正しい認識が必要ではないかと思うことがしきりでありますし、遠い将来の展望をかけまして、現在の施策がやがては新しい世界秩序の構築にもつながるものであることを私は願うこと切でございます。  次に、具体的な問題に関してお伺いをいたします。  さきに申しましたように、多極分散型国土形成は、長期的な視野に立ちますときにはまさに新しいふるさと創生に通ずる私は道であろうし、長期的な視野に立ちますときには新しい国際秩序の確立にもつながる方策ではないかと実は考えるものでございます。その長い道程の最初の一歩といたしまして、一省庁一機関が提起されておるのではないかと存ずるものであります。率直に申して、ところが何かもう一つ国民にアピールするところに欠けているような気がどうもしないではないものでございます。この問題を適切に進めていただきますことは国民、特に地方の時代を渇望いたします国民に大きな夢を与えてくれることであると私は信じております。  政府機関の移転に関しましても、各地において熱い歓迎の意が表明されておるのでございます。これに関しましても、単なる省庁の便宜ではなく、多極分散はもちろんのことでございますが、多極分散という重要な施策の基本的な方策に基づくという点でこれが進められることを私は期待いたしておるものでございますが、それらに関しましての基本的な考え方、七月には移転機関を閣議決定するということも伺っておりますが、検討のスケジュールはいかが相なっておるかというようなこと。さらには移転に伴う数々の問題等もあろうかと思われますので、これらについてお伺いをいたしたいと思っております。  実は私のふるさとは山梨でございます。御承知のように霊峰富士をいただいておりますこの景観はまことに得がたいものもございますし、県民の多くが何がしかの機関が来ていただくことを本当に心から期待いたしております。  これは私事でございますが、申し上げましたようなことに関して大臣の御所見をぜひお伺いいたしたいと存じます。
  111. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 志村さんが冒頭に所見をお述べになりました。私はこれを伺っておって、日本という国は危機に直面するたびに挫折することなく、勇気を奮って新しい展開の道を求めながら発展をし続けてきたんだというふうに受けとめたわけでございました。  全国総合開発計画をつくりながら、そして常に均衡ある発展を図るんだと言いながら、なかなかその道が達成されませんでした。今回は東京一極集中が地価の暴騰ということではね返ってしまいました。そこで多極分散型の国土形成ということに弾みがついたんじゃないかな、こう思うわけでございます。そのためには首都機能一括移転ぐらいのことは考えなきゃならないという発想も生まれてきたんだ、こう思うわけでございます。  私たちは、今までどおりの姿勢ではなかなか国土の均衡ある発展は図れない、何か手法を講じなければならない。そのためにあえて多極分散型国土形成促進法案というものを国会に提出させていただいたわけでございました。そのためには東京から諸機能の分散を図っていかなければならない、民間のいろんな機能も分散を図っていく、それには政府みずからが範を垂れなければならない。といって、首都機能の一括移転ということになりますと、国民全体の問題でございますから、国民の間に十分に議論が熟してきて、それを見きわめた上でありませんと政府としての判断を下すことは適当ではない、こう考えるわけであります。  しかし、そういう考え方である以上は、首都機能が一括移転しても、それについていく必要のない政府関係機関はたくさんあるじゃないか、それはこの際原則として全部二十三区の外に移転させようじゃないか、こういうことを決めたわけでございます。そのための今関係省庁間の意見調整をやっているわけでございまして、三月いっぱいに各省の政府関係機関につきまして、移転できる、できない、その事情はどこにある、そういう細かい聞き取りをしているわけでございます。ぜひ四月中にはどの政府関係機関は移転すべきだというような結論を出したいなと思っておるわけでございまして、その結論を踏まえまして各省との話し合いをさらに具体的に進めていきたい、こう考えているわけでございます。  そうなりますと、どこへ移転するのか、受け皿の整備をどうするのか、あるいは人数がどれくらいになるだろうからそれに対応してどういうことが必要になってくるのか、跡地をどう考えたらいいのか、いろんな問題があるわけでございますので、そういう問題を含めまして七月中に閣議決定をしたい。そうしますと、八月いっぱいに各省が大蔵省予算要求するわけでございますけれども、政府関係機関の移転に関する予算もあわせて要求できるじゃないかな、こう考えておるわけでございます。その間に、法案の御承認をいただいた場合には改めて政府関係機関移転の方針も閣議決定させていただくということになるわけでございまして、そういうことも受けましてきちんとした体制を七月中には整えたいな、こんな思いでおるところでございます。
  112. 志村哲良

    ○志村哲良君 どうもありがとうございました。  それでは次に建設大臣にお伺いいたします。  現在、日米の間には幾つかの解決を急がれる問題があると私は考えておりますが、その中で両国の間におきます経済摩擦の象徴的なものといたしまして、公共事業における米企業の参入問題と牛肉、オレンジの自由化の問題が挙げられるのではないかと実は考えております。  けさほどのニュースによりますと、公共事業の参入問題に関しましては、双方の努力によりまして、何か本日中には最終決着のめどがついておるというようなことをけさのニュースでは実は拝聴いたしました。大変喜ばしいことでありますし、小沢官房副長官初め日本側の交渉団の大変な御努力に深い敬意を表するものではございます。  ただしかし、私は非常に率直に申しまして、さらに結果をも見ずにこのようなことを発言いたしますことは非礼のそしりを実は免れないかというようなじくじたるものもございますが、私はどうもこの最終決着が図られるというニュースを拝聴いたしながらも、この道は例の六〇年代の繊維輸出、七〇年代の耐久消費財、さらには八〇年代の先端技術関連の輸出あるいは現在の農産物輸入問題等々、私たちがいつか歩んできたそんな道に似通ったものであるような気が実はしてならないものでございます。もちろん、年月を経過いたしますその中で主観的な条件あるいは客観的な条件等に変化があることは申すまでもないことだとは存じます。それにいたしましても、このような懸案の解決に当たりまして何がしかの思い——何がしかの思いってまことにどうもあいまいでお聞き取りづらいかと存じますが、何がしかの思いがどうも絶えず残りますし、このたびの参入問題に関しましても、私は、いつかは大臣に大変な御努力を願う中でさらに抜本的な解決に踏み込んでいただかなくてはならないのではないかと、実はそのような思いがいたしてならないのであります。  まことに漠然といたしてお聞きづらいかと存じましたが、大臣の御感想を伺えたらと思います。
  113. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 御承知のように、公共事業の問題につきましては一昨年から日米間でいろいろ言われております。ことし一月に竹下総理が訪米をいたしました首脳会談の中で、我が日本の方は内外無差別という基本でありますが、アメリカは非常に要望が強い。その中で、日本の今の制度の中では工事の実績というのを非常に重く見ております。しかし、そのことばかりを言っておりますとなかなか解決がつかない。でありますから、外国での実績も見よう、こういうことで、これは習熟の意味で見ようということでお話をされました。  その後いろいろやっておりまして、我が日本で一回、アメリカで一回交渉を進めましたけれども、なかなか妥協に至らない。そうしたところで今回小沢副長官が特使としてアメリカに行っております。もちろん、外務省、我が建設省、運輸省も皆行っておりますが、この前もちょっと申し上げたと思うんですが、話し合いでございますから両方が譲り合わないと話がつかない、こういうふうに思います。そこで小沢副長官おいでになるときにも打ち合わせをいたしました。今鋭意御努力をいただいておるようであります。報道関係ではもう妥協の方向に向かっているというふうなことでございますが、公式にはまだそこまで言ってきておらないのが実情であります。私どもは、これでひとつでき得れば円満に妥結すればいいがなと、こういうふうに望んでおるのであります。  ただ、今アメリカ側を見ますと、日本と習慣も違うことはもちろんでございますけれども、どうも政治の方が先で、企業そのものが余り熱心でないというように率直に受けとめております。でございますから、ひとつこの際妥協をし、本当にアメリカ企業が参入したいということならもうちょっと熱心に営業活動といいますか、そういうこともやっていただかないと、政治の場だけでやっておるのもどうかなというふうに率直に受けとめておる次第であります。  いずれにいたしましても、この際円満な解決ができまして、今後これを機会に日米双方、こちらだけ入れて向こうの方は御承知のように拒否される、これでは困りますので、両方が円満にいくように進展が図られることを望んでおるような次第であります。
  114. 志村哲良

    ○志村哲良君 ただいま大臣の御答弁の中にも幾つかは含まれていたかと存じますが、さらに具体的な点に関してお伺いをいたします。  建設市場の開放とか公共事業の開放とか、最近とみに話題を呼んでおることでございますが、一体我が国の制度は外国の企業に対して事実はどのような状況に置かれてあるのか。一部で言われるように本当に閉鎖的であるのかどうかというようなことに関して建設省の御意見を伺いたいと思います。
  115. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 日本の建設市場は、公共事業も民間事業もともに制度としては内外無差別ということになっておるわけでございます。現に我が国で外国系企業が実際に仕事をやっておるわけでして、公共、民間合わせまして六十一年度の数字を見ますると約七百七十億円の実績を上げております。既に開放は行われている、こう考えておる次第でございます。  ところで、ただいま大臣からも御答弁ありましたように、公共事業につきましては率直に申しまして国内の実績を非常に重視する、こういったことがありますために外国企業は参入しにくいという現実もこれは否定できない、こんな状況でございます。こういったために、現在の日米間の交渉は、外国に対して閉鎖しているということでなくて、現実に入りにくいことに対する具体の改善措置として現在の交渉がなされておる、こういった次第でございます。
  116. 志村哲良

    ○志村哲良君 ただいまの局長の御答弁の何がしかの実績ということは、逆に、これは私存じませんよ、アメリカ側では実績がなくちゃ資格が取れない、資格がなくちゃ実績がとれないという矛盾の中に置かれておるというようなことを言っている向きもあるやに伺っておりますが、これらはいずれ次の問題でまとめてお伺いをいたしたいと存じます。  アメリカ企業に本日はこうして絞ってお伺いをいたしておりますが、我が国建設市場におきまして米国の企業は一体どのくらいの受注実績を持っておるのか、またアメリカにおいて我が国の企業はどれほどの実績を上げておるのか、これらをお伺いいたしたいと思います。
  117. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) アメリカの企業あるいはアメリカ系企業について御答弁さしていただきますと、私どもが承知している範囲では、昭和六十一年度で実は米系の大臣許可の業者が八社、知事許可の業者が三社ございまして、合わせて十一社、これの実績を見てまいりますと約五百四十億円の実績を上げているようでございます。そのうち官公庁発注分は四十六億円、これは主として設備関係が中心になりますけれども、四十六億円という実績を上げております。  一方、我が国建設業者が米国においてどういう実績を上げているかということでございますけれども、建設省の調査によりますと、同じ六十一年度で約三千六百億円ということになっております。その内容は、建設業者みずからが開発投資を行ったもの、あるいは日系の企業の発注にかかわるもの、これが実は九二%とほとんどを占めておりまして、米国の民間発注工事は百七十億円、官公庁発注工事は百億円、こんな状況になっております。
  118. 志村哲良

    ○志村哲良君 関西空港株式会社は多数の外国企業から取引の申し出を受けており、既に百三十社ほどの申し出があったと伺っております。東京湾横断道路株式会社も関西空港株式会社と同様外国企業からの取引の申し出を受けておるとは伺っておりますが、一体どの程度の申し込みがあるのか、お伺いをいたしたいと思います。また、その内容はいかなるものかということも伺いたいと思います。
  119. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) 東京湾横断道路株式会社におきましても昨年の七月から取引希望業者の申し受けを受け付けております。現在外国企業からの申し出は全体で二十八社でございます。うち米国企業は三社でございます。二つ、工事部門とそれからコンサル部門に分かれますが、工事部門では外国企業が全体で二十社でございまして、そのうち米国企業は一社でございます。コンサルタント部門では外国企業が全体で九社でございまして、米国企業がそのうち二社でございます。なお、一社は工事とコンサル両方に申し出ておりますので、コンサル九社、工事二十社でございますが、全体としては二十八社、こういうことでございます。
  120. 志村哲良

    ○志村哲良君 ただいまの御答弁にありました関西空港の場合と東京湾の横断道路の場合では大変な数の違いが、外国企業からの申し込み、違いがあるように伺いましたが、一体その理由はどんな点にあるんでしょうか。
  121. 相原力

    説明員(相原力君) 関西国際空港の外国企業からの取引の申し出件数につきまして、私の方からまず御説明させていただきたいと思います。  ただいま先生から百三十件ほどの申し出ということがございましたが、関西国際空港株式会社におきましては、六十一年の一月より、具体的な発注契約を行うに際しまして、指名競争招請社の選定の参考とするために取引希望企業の申し出を受け付けておりました。このときに外国企業からは百三十社ほどあったわけでございます。ただ、二年ほど経過いたしましたもので、これを今回更新いたしてございまして、ことしの一月二十日より新たに取引希望の申し出を受け付けてございます。これによりますと、三月二十六日土曜日現在でございますが、外国企業からは九十四社から取引希望の申し出がなされております。このうちアメリカの企業、米国企業は四十八社というふうに聞いております。  以上でございます。
  122. 志村哲良

    ○志村哲良君 勉強する暇が少なかったものですから、数等ではまことにあいまいな点があって失礼をいたしました。  これも私も全く定かではないんですが、聞くところによりますと、アメリカの総合請負業者の協会ですか、アソシエーテッド・ゼネラル・コンストラクターズ・オブ・アメリカ、AGCですか、いわゆる我々が日本でゼネコンと呼んでおります組織は、メンバーが約八千四百社ほどもあり、賛助会員も含めますと三万二千社にも及ぶものだというようなことを伺っております。ところがこのAGCの皆さんは、日本のマーケットへの進出に関しましてはほとんど何の希望をも出しておられないというように私どもは伺っておりますが、建設省はこれらの状況をどのように把握なさっておられますか。その内容がおわかりになったらお知らせをいただきたいと思います。
  123. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) アメリカ企業からの具体的な動きというものについて、特に今おっしゃったようなゼネコン的な企業からの動きを私ども実は具体的に承知できていない面がございます。こういったことを踏まえてでございますが、今のAGCの意向でございますが、そういった意味で、私どももまだ正式には実は聞いておりませんからはっきりしたことは申し上げにくいわけでございますけれども、AGCのメンバーと接触した我が国の業界の方々、こういった方々からの御報告を伺っていますと、そういった趣旨のことをしばしば耳にいたしております。  こういったことを考えましてどう我々は理解したらいいかということですが、やはり海外進出につきましては、基本的には個々の企業が判断する、個々の企業の経営方針にかかわる、こういった側面があるわけでございましょうし、それだけにさまざまな判断が働くと思いますが、一般的に建設業というのは、現地で大変大勢の労働力を雇わなければならない、あるいはまた下請との関係もいろいろと事情もある、こういったようなことからしますと、企業人としてはいろいろな問題意識を持つ、こんなことは当然あり得ると思います。そういった中で、先生今おっしゃったような、余り関心がないというふうな企業も結構あるんじゃないか、こんなふうな感じはいたしております。  そういった意味で、私ども今回の交渉の中でどう考えていくかということでございますけれども、あくまでもこれは日本の市場に参入する意思と能力がある外国企業、こういった人たちが我が国の公共事業などに習熟しやすいようにということで現在交渉が進められている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  124. 志村哲良

    ○志村哲良君 今の御説明で意思と能力という、これは意思がなくちゃ全くできませんでしょうが、能力に関しましては私はその内容が問題になろうかと実は考えるものであります。  現に、アメリカの大手エンジニアリングの企業約二十社ほどで組織をされております全国建設業者協会、ナショナル・コンストラクターズ・アソシエーションというのですか、NCAという団体は、日本の建設市場につきまして、一つは入札制度の問題、殊に指名入札制度の問題でございますが、あるいは建設業許可資格審査の問題、これが先ほど局長の御答弁にありました、日本での経験を深め、経験を深めるためには資格がなくては取れない、経験を重ねることができないというような点で矛盾しておるんじゃないかというようなことをこのNCAの諸君は盛んに言っておる。これは私の伺ったところです。さらに、日本における下請業者の問題が、内容的には我々日本の既存の業者にほとんど下請が把握されておるので、実際にこういうところが進出してきても困難があるというようなことを指摘しておると実は伺っておりますが、これらの実情はいかがでございますか。
  125. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先生お話しのように、NCAの関係者が日本の入札制度とか建設業の許可制度について批判をしているということについて、私どもは米国内の報道だとか関係者の方々からのお話によって承知しているという実は程度でございまして、直接私どももそういったことを意見交換等の場で確認しているわけでもありませんので、ちょっとはっきりしたことは申し上げにくいわけでございますけれども、いずれにしましても、我が国の制度や業界の実態につきまして正しい認識を持っていないということからそういう批判もあり得るところと、こういうふうに思える次第でございます。  私ども、これまでの日米交渉を通じまして、我が国の制度につきましてはかなりの理解が深まっているんじゃないか、こういうふうに受けとめておりますが、これからますます我が国経済の国際化が進んでいく中で、今先生おっしゃったようなことも含めますと、一層の周知を図っていく必要がある、こんなふうに考えております。  資格と許可というお話が先ほど来出ておりますが、建設業については、資格をめぐって特に制約を設けているものでもございません。これは冒頭申しましたように、内外無差別で扱っているわけでございます。そういった意味で、資格というものが非常にこれまた誤解されているのかなと、こんなふうにも思いますけれども、特にまた申し上げたいことは、建設業でないいわゆるコンサルティングの業務、こういったものにつきましては日本の場合建設業法上の許可も要らない、こういったふうになっているわけでございます。いずれにしましても、それらの点いろいろと気になる点もございますので、私どもとしては交渉によって理解が深まるとは思いますけれども、今後引き続きまたいろいろと周知方を努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  126. 志村哲良

    ○志村哲良君 先ほどの東京湾横断道路の問題にもありましたし、能力と意思というお話に実は関係しておることでありますが、どうも私も全くこれはわからないのです。本当に希望しておるのは、このNCAと今のお話にもありました二十社ほどのこの大きなエンジニアリングの企業が希望し、我々が通常ゼネコンと呼んでいるような企業が日本でいわゆる仕事をしたいんだというような形の意思を持っておるんじゃないんじゃないかというようなことですが、どうもまことに方々で私も教えていただいても判然としないのですが、そこいらはいかがでございますか。
  127. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) 先ほど工事関係の申し出の総数を二十社と申し上げました。そのうち韓国の業者が十一社でございます。アメリカは一社でございます。その折に、この制度を、去年七月十六日に東京湾横断道路株式会社が、この会社は当然ながら民間会社でございますから、契約方式については元来自由な立場でありますが、事業の公共性ということで契約の公正と公平を確保するために、発注は原則として指名競争ということで、契約登録制度ということで実は公示をいたしまして提出をしていただいた結果がそういうことになったわけでございます。  先ほど申し上げましたように、工事関係は二十社でございまして、そのうちアメリカは一社で、どういう工種を希望するかというアンケートをとりましたんですが、建築ということで載っておりまして、ほかは出ておりません。
  128. 志村哲良

    ○志村哲良君 これは私の調査というほどではございませんですが、把握、了解しております内容とは若干違うように、実は今の御返事で納得することができました。  一つは、これは御質問、お伺いをする前に本当は教えていただかなくちゃならぬことだったのかもしれませんが、コンストラクターだとか、CMですか、コンストラクションマネジメントだとか、伺いましたらコンストラクターというのは日本のいわゆる業者なんで、コンストラクションマネジメントというのがCMといって本当にエンジニアリングから見るものだというようなことを実は教えられておりましたら、つい先ごろ、きょうこの質問をと思いましたら、いやそうじゃないんだと。本当のそういう向こうの大きなNCAの中枢に位するものは、トータル・エンジニアリング・マネジメント・サービスというのが本当の名前なんだ。CMというとこれは設計などは含まれていないんだと教えていただく方もありましたし、まことにもって正体が不明なままに考えたり御質問をしたりするというのが実は率直に申しまして私の現状でございます。  そのような非常に分明ならざる、これは国情の違い、言語の違い、風俗や習慣の違い等々ももちろんあるからには違いありませんが、何か摩擦のごく身近な要因の一つには、建設業者なりその取り扱い内容なりの理解の違いも、これはちょっと余分なことですが、あるような気がしてならないわけでございますが、いかがでございますか。
  129. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 私ども、今回の交渉を通じましてしみじみ感じますのは、ただいま先生がおっしゃったこと全くそのとおり感じさせていただいておるところでございます。  例えばの話、今のお話にもありますが、コントラクターという言葉一つとりましても、私どもは建設業者というふうに理解し翻訳するわけでございますが、アメリカで言うコントラクターということになりますと、今先生いみじくもおっしゃいましたように、デザインだとかエンジニアリングだとか、非常に広範なものを含んでいる。そういった意味で、どうも建設業あるいは建設業者というふうに言っている概念が基本的にいろいろと違うなと。これは国情の違い、制度の違いというのもあろうと思います。それからさらにまた、ついででございますが、例えば公共事業、こういったことをめぐりましても大変受けとめ方、認識が違うなというようなことなど、そういう意味で両国間の文化、歴史等の違いからくるギャップがあることはおっしゃるとおりだと思っています。  私どもは、そういった中でございますが、一つやはり公共事業というものについて見たときに、今先生おっしゃったように、アメリカの求めているような範囲を公共事業で翻訳してみたらどうなっているか、こういうことになりますと、やはりかなりのものは日本の場合には国とか公団とかというところに入り込んでいる。例えばエンジニアリングあるいはデザイン等々の問題につきましては、そういう入り込んでいる部分がこちらもあるし、アメリカの場合には全部ひっくるめてコントラクターの世界に入っているというふうな違いがあるわけでして、ここらを一つずつほぐしながら協議をさしていただいているというのが現状でございます。
  130. 志村哲良

    ○志村哲良君 以上お伺いいたしました状況の中で、今回、先ほど大臣の御答弁をお伺いしまして、まだニュースほどには我々が楽観できないような思いもいたしますが、もし一応決着が図られたといたしましても、冒頭に申し上げましたように、農産物の輸入問題などにも見られますように、どうも解決なるものが、決着なるものが最終的なものには絶えずならないような、先ほど申し上げました繊維の輸出のころからの、六〇年代からの経緯を見ましても、これが懸念が持たれてならないものでございます。  現にアメリカにおきましては、我が国を主要な標的といたしまして包括貿易法案が既に両院で可決を見ております。保護貿易主義的色彩の濃い米通商法三〇一条の発動も予断を許さないような状況にあると聞き及んでおります。また、一九八八年度アメリカ合衆国包括歳出法修正条項一〇九条、通称対日建設業報復条項とか言われておりますが、これは既に大統領の署名をも終えて発動の運びとなっておると伺っております。  さらに、これはまことにどうも真偽のほどは存じませんし、多分に誇大であるような思いもいたしますが、先ほども申し述べましたNCAが大きな影響力を持っておるとうわさのありますフォートニー・スターク法案とか申す、日本の建設業界にとっては致命的とも言われるような法案の提出を一部では画策しておる人士、画策と言っては言葉がちょっと不穏当かもしれませんが、これを考えておる人士もなきにしもあらずであるというようなことをも伺っておる実は現状でございます。  いずれにいたしましても、今後の展開にはまだ決して楽観を許さない不透明な部分が多分にあるような思いが実はしてならないものでございます。  これはどうも事前に御通告、御連絡しておりませんで、まことに失礼ですが、若干時間がございますので、これらのいわゆる報復法案等に関しまして、建設省のお見通し等がございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  131. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 御承知のとおり今交渉を行っております。  お説のように、建設業といいますけれども、今向こうでいろいろ言っておりますのは、運輸省からおいででありますけれども、飛行場のターミナルビル等のことが盛んに出ております。いわゆる道路とか橋梁という話は非常に少ないようであります。でございますけれども、小沢特使がそのすべてのものを解決してくださる、合意に達すれば非常にありがたいと、かように思っております。でございますから、根本的に解決することが一番望ましいことでございますけれども、私ども率直に言って、今後もうそのままでしばらく一つも物議がないというところになかなか至らないのでなかろうかと心配をいたしております。私いつも言っておりますように、交渉事でございますから、できるだけ両者が譲り合って妥結をする、これが根本だと思う次第でありますけれども、なかなか今回解決してもまた何か言ってくるのでなかろうか、こういう心配も実はしておるような次第であります。  いずれにしても、私どもの方はせっかく、今回第三回目でございます。もちろん今までは事務的な折衝でありますけれども、事務、政治的な解決を含めて円満な解決が図られ、これが持続していくように、そうしないと私の方もちょっとわかりにくい、率直に言ってわかりにくい。政治の場ではいろいろ言っておりますけれども、さて今のように東京湾横断道路にいたしましても申し込みが非常に少ない。でございますから、ビジネスからいってなかなか企業と政治とがかけ離れておるんじゃないかというような節もございますので、そういうことを解決していただいて、私の方もできるだけ円満にやっていきたい。ただし、円満にやるといいますことは、先ほども申し上げましたように相互主義アメリカも余りきついことをやられますと、こちらは譲ったが向こうはきついことをやるというのでは話にならない。両方解決をして円満にやっていく、このことが大事だ、かように思う次第であります。  それから、農産物の問題のお話がございましたが、あす農林大臣が行かれるようでございますから、それはその方で、まだ交渉は今からでございましょうから努力をしていただきたい。建設関係の問題につきましては、もちろん建設省もプロジェクトを出しておりますが、運輸省さん、これを取り巻いて小沢副長官が大いに御活躍いただいて、円満な解決ができますように期待をいたしておるような次第であります。
  132. 志村哲良

    ○志村哲良君 実は私が先ほど申し上げましたのも、もし仮にこの報復法案のようなものが通るというようなことが起こりましたら、私は日米の前途はまことに暗たんたるものがあるのではないかという懸念をいたします。また、この中で小沢特使初め交渉団の皆様方の大変な御努力を本当に敬意を持って見守っている次第でございます。同時に、どうもこれは御本人を前において申し上げるとちょっと照れくさいんですが、予算委員会等で大臣の御答弁などを絶えず拝聴いたしておりまして、まことに説得力に富んでおりますので、いずれは抜本的な解決に向かってと冒頭に申し上げたのはそのことでございます。  アメリカの制裁などが全面的に通ったということは、今申し上げましたが、場合の一つの仮定は、今これも不確かな点もございますが、私の承知しておる、つかんでおる状況の中で、アメリカ側の要求を、殊に先ほどのNCAなんかですが、全面的に受け入れるようなことが起こるといたしましたならば、例えばフィージビリティースタディーから、環境アセスメントから、設計管理から、機器の選定はもとより商品の規格の問題、例えば日本のJIS規格がございますが、外国には外国の規格、それぞれ持っております。これらの問題の混同が起こることも予想されるような気がいたしますが、これらにすべて変革が迫られることは、私は冒頭に申し上げました、仮定でございますが、もし全面的に我々がアメリカの要求を受け入れたらこんなことが起こってくるんじゃないかというような実は懸念を持っております。  現に、きのうでしたかの新聞で、二十六日には労働省の外国人労働者問題研究会は、外国人の雇用に関し、専門・技術職の枠の拡大に関する報告書を出しておられます。さきに述べましたように、もし全面受け入れが行われました場合には、私は建設業界におきましては単純労働者の禁止が現実的には非常に困難になるんではないか、運用面でま、というような懸念も実は持つものでございます。もしこのようなことが起こったといたしましたならば、現在西ドイツが大変に苦心をいたしておりますような問題にまで波及しかねないという実は不安を持っておるものでございます。  これらについて建設省の御意見を伺いたいと思います。
  133. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) お話の中で大変大事なことを二点、三点と御指摘いただいているわけでございます。  特に、米国企業が非常に日本の建設プロジェクトの中で設計だとかエンジニアリングの分野に高い関心を持っておるということは、先ほど来申し上げている点でございますけれども、事この点に関してあえて申し上げさせていただきますと、我が国の公共事業におきましては、こういった設計とかエンジニアリングあるいは環境アセスメントなどなど、これはいずれも発注者みずから行う、こういった仕掛けに公共事業の場合しっかりとできているわけでございます。今回のこの公共事業交渉におきましても、基本的にこういった我が国の制度、この枠組みは尊重していただくということが私どもの大前提になっているわけでございまして、そういった意味で、そういった現実の制度というものを踏まえた可能な範囲内で柔軟な対応をとるという観点での交渉が積み重ねられている次第でございます。  そういった意味で、もう一遍繰り返しますと、発注者みずから行う体制というものも含めて全部オープンに出すということについては、なかなかこれは日本として応じにくい分野ではなかろうか、こんなふうに考えている次第でございます。  それからもう一点、外国人労働者の問題、確かに先生おっしゃるとおり、私ども建設業を預かる立場としても非常に大きな関心を持っております。基本的には、単純労務者問題というのはいろいろと御議論もあるところでございますけれども、我が国の単に建設業のあり方という問題を越えて、日本の政治、経済、文化、そういう面にわたる非常に広範な問題を含んでいる、こういう認識に立っておりまして、建設省としましてはこの辺は極めて慎重に対応していく必要がある、こういう認識で終始している次第でございます。
  134. 志村哲良

    ○志村哲良君 ただいまの御答弁を伺って非常に安心をいたしましたが、冒頭に申し上げましたパックスアメリカーナの腕の中で起こっておるこのたびの問題であろうと私は理解をいたしております。  私は決して役所の肩を持つ、あるいは業界の肩を持つ、そんなことではなしに、もし仮に今お話にありましたような、環境のアセスからすべてのことを民間が把握するようなそんな事態が起こったといたしましたならば、我々が本当に長い間いろいろな苦しみや悲しみ、これを織りまぜながら築き上げてきましたこの伝統、このことによってまた我々が発展してきたこのすべてを根こそぎ失うような実は不安を感じてならないものでありましたが、ただいまの御答弁を伺って安心いたしました。  また、くどいようになりますが、これらの根深い問題を含んだ建設業界への外国企業の介入問題でございます。本当に大臣にさらに一層の御努力をいただいてこの問題が円満に解決されますことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  135. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは最初に、公団住宅家賃値上げの問題について、せんだっても新聞等でいろいろと報じられておりましたし、先日の当委員会におきましても論議が行われたようでございます。現在住宅都市整備公団で検討中で、近く建設大臣に値上げの申請をしたいということでございますが、その状況及び考え方、主な内容などを最初にお聞きしておきたいと思うんです。
  136. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) なるべく簡潔に申し上げたいと思います。  まず状況でございますが、前回の改定、つまり五十八年のときの国会審議の中で建設委員長からの要望事項がございました。そういった趣旨を踏まえまして、公団では、総裁の私的諮問機関でございます基本問題懇談会、この中の家賃部会で今後の家賃の改定のあり方について意見を聞くという形で進めてまいったわけでありまして、その結果を去る三月十五日に基本問題懇談に報告いたしたところでございます。その線に沿いまして、今月末には六十三年度の改定について建設大臣に承認申請を行いたいというふうに考えております。  次に考え方でございますが、これはもう申し上げるまでもありませんが、公団住宅というのは国の財政援助を伴った施策住宅でございます。言ってみれば、広く国民全体の資産であるということでありまして、したがいまして、経済事情等の変動に即して適時適切に賃貸住宅相互間の不均衡是正あるいは維持管理経費の確保等のために家賃改定を行っていかなければならないと考えております。  それからその主な内容ということでございますが、これはまだ申請をしておりませんので、基本問題懇談会に報告したところに従ってごく要点を申し上げたいと思います。  まず改定の期日でございますが、六十三年の十月一日にお願いしたいと思っております。  それから見直し対象となる住宅でございますが、いろいろ除外例ございますけれども、基本的に、管理開始年度の翌年度から起算して三年以上を経過した住宅を対象としたい。  それから算定方法でございますが、従来、御存じのとおり、公営限度額方式に準じた方式によってやってきたわけですが、それを基本としながらも、立地等による均衡をより適正にするための一定の補正を加えさせていただきたい。当然激変緩和措置もその中に入るわけでございますが、従来のとおり算定額と現行家賃の二分の一を加算することにしたいということでございます。  それから今申し上げました激変緩和でございますが、今申し上げました点に加え上限額を設定したいというふうに考えております。  それから特別減額措置、これは生活保護世帯等、老人、母子、そういった世帯に対する特別措置でございますが、これは従来どおり実施してまいりたい。  それから増収額の使途でございますが、これも従来どおり主として維持管理経費等に充て、その他を新規の、高家賃ということになりますのでその抑制に充てたいということでございます。  それから家賃の改定に伴う敷金でございますが、これにつきましても、元来その敷金の性格等を考え、改定後家賃の三カ月分にお願いしたいというふうに考えております。  以上であります。
  137. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 公団住宅が値上げ承認申請を出されますと、これは五十三年、五十八年、それに続いて三回目となるわけでございますが、公団住宅は、その性格からいいましても都市勤労者等あるいは中堅所得者層を対象とする公的住宅、こういう位置づけがありますし、また公団はたくさんの住宅を管理する日本一の大家さんですから、その家賃の変更というのは社会的に見ても非常に影響が大きい、こう思うわけです。  したがって、前二回の値上げの際も当委員会におきましては集中審議が行われましたし、委員長政府公団に対する申し入れも行われた、そういう経緯がございます。特に、前回値上げのときの当委員会の申し入れは、手続的にもルールづくりを要望するなど慎重に対処することを求めているわけですが、今回の検討に当たりましてはそれを十分尊重されているでしょうか。
  138. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほど申し上げましたように、建設委員長の要望事項等を踏まえまして、基本問題懇談会の中の家賃部会に居住者の代表も参加していただきまして、慎重に御意見等を伺い、取りまとめを行ってきたというふうに考えております。  なお家賃部会の中に、これはかなり専門的、技術的な面もございますので、専門部会というのをつくっていただきまして、そこで二十数回にわたって慎重な議論を重ね、その結果を家賃部会に報告し、そこで四回でございますが、非常に活発な御意見等がございましたが、伺い、それを取りまとめて基本問題懇談会に報告したということでございまして、私どもといたしましてはまさにそういった御趣旨を踏まえて慎重に検討してまいったというふうに考えております。
  139. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣にお伺いしておきたいんですが、公団は今月末ですか、もう月末ですね、承認申請を出すということでございますが、申請を出された場合には、これまでの国会での論議等を踏まえまして慎重に対処される、こういうお考えでございますか。
  140. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今お話しのとおり申請はまだいただいておりませんが、申請がありましたなれば、よく説明を聞きまして慎重に対処してまいるつもりであります。
  141. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 値上げの内容につきましては、正式に申請をされましたらまた国会でも別に論議の機会があろうと思いますので、本日は立ち入りませんけれども、値上げについての基本的な考え方についてお尋ねをしておきたいと思うんです。  その値上げの必要性につきましては先ほどお話がありましたが、住宅相互間の家賃の不均衡是正と適切な維持管理、こういうことを挙げられているわけですが、具体的にどういうことなのか、それを説明していただきたいと思うんです。
  142. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) これはいろんな観点から検討したわけでございますが、過去二回、五十三年、五十八年と一斉改定をお願いいたしました。その際にいわゆる激変緩和措置、先ほども申し上げましたが、算定額と現行家賃の二分の一にする、あるいは頭打ちをするというようなこともあった結果、例えば六十一年度の新規供給住宅について見ますと、平均家賃でありますが、平方メートル当たり千円以上になっている。もちろんこれは古さとかそういうものがございますのでいろいろ勘案しなければいけませんが、一方、三十年代あるいは四十年代に管理開始されました既存の賃貸住宅、これにつきましては、もちろん地域によって異なるわけでございますが、平方メートル当たり五百円程度ということになっておるわけでございます。先ほど申しましたような事情、つまり設備水準とか古さとかいろいろございますが、やはりアンバランスがあるというふうに考えているわけでございます。  それから維持管理費でございますが、これは申すまでもないことでありますが、住宅は古くなると維持管理費が累増してまいります。それから水質の関係でありますとか、そういったような社会経済的な変動から新たな修繕をしなければならないというようなものも出てまいります。公団はこういったことに対処するために、経常的な修繕をやっておるほかに、例えば外壁の塗装でありますとか屋根の防水、それから給水、排水、いわゆる管でございますが、そういったものの取りかえ、あるいはテレビの、昔は赤トンボのように各戸が全部出しておったわけですが、今はもうそれできませんで、やはり共聴アンテナということになるわけでございます。そういったことを計画的にやってきておるわけでございます。  そういったことを考えますと、やはり維持管理費を適切に確保していくということは、先ほど冒頭に申し上げました国民的資産を適切に管理していくということからもぜひとも必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  143. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 不均衡の是正の中でも、古い住宅の家賃が安くて最近の住宅が高いということになりますと、むしろ最近の住宅の家賃というものがサラリーマンを対象とする公益的家賃としては異常に高くなっていることが問題じゃないかと思うんですが、最近の、これはまあ分譲住宅の方ですが、一億円の分譲住宅、あるいは賃貸でも大川端の方では十八万円、こういうことが言われているわけです。  これでいきますと、一般勤労者にとりましては住宅公団はますますこういう遠い存在となってしまうような感じもするわけですね。それは一部にすぎないと言われるかもしれませんけれども、やはり公団住宅としての役割というものを再考する必要があるんじゃないかと思いますけれども、その点どうですか。
  144. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 私どもの住宅都市整備公団は、大都市圏におきまして良質な住宅を中堅勤労者の皆様方に適切な対価で供給するということが非常に大きな役割でございます。そういうことで国からの利子補給をいただいたり、あるいは、これは全面的に適用したのは昭和四十九年度からでございますが、傾斜家賃制度の導入等によりまして、発足以来今日まで、いわゆる第三分位中位、そのときそのときでございますが、その方々の実収入の一六、七%の負担になるような形で、この場合は賃貸住宅でございますが、供給をしてまいってきたわけでございます。昭和六十二年度、これはまだ十二月までの数字でございますけれども、申し上げますと、平均の初年度家賃、賃貸住宅でございますが、七万四千七百円。負担率でいきますと、先ほどの計算で一六%。それから同じく分譲住宅の場合でございますと、平均価格が三千万円ということになっておるわけでございます。  そのようにいろいろ努力しているわけでございますが、一方やはり社会経済情勢が大きく変わってきております。例えば利便性の高い都心への居住ニーズが非常に高まっているということもございます。それから再開発に伴ってそれを事務所ビルだけにするということもできない。つまりそれに伴う住宅供給ということも必要である。それからこれは公共団体からの強い要請もあるわけですが、計画的な町づくりを行っていかなければならない。さらには三世代同居に対応する大型住宅でありますとか、そういったようなことがどうしても一方で求められるということでございます。かつまた、地価が非常に高いということもありまして、御指摘のような高価格化の避けられない状態もあるわけでございます。  ただ、実績で申し上げますと、先ほども先生ちょっと申されましたが、例えば賃貸住宅で申しますと、十三万円以上の家賃となる、これは初年度家賃でございますが、住宅は、首都圏で申し上げますが、六十一年度は百二十二戸、全体に対して二・三%の供給であった。それから六十二年度、これは十二月末まででございますが、同じく一・六%。それから分譲住宅について申し上げますと、五千万円以上の住宅というのが、分譲住宅ですが、首都圏で六十一年度では〇・七%、それから六十二年度、十二月末まででございますが、一・五%といったような状態でございます。我々決してそういう高いものがいいと思っているわけではございませんで、いろいろ努力をしておるところでございます。  私どもといたしましては、今後とも、大都市地域都市勤労者の住宅あるいは宅地の需要にこたえるために、さまざまな工夫をしながら可能な限り低廉な価格の住宅あるいは宅地を供給してまいりたいというふうに考えております。
  145. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣も予算委員会で我が党の同僚委員の質問に対しまして、一億円の分譲住宅、こういった質問がございましたが、何かいろいろとおっしゃっているようでございます。やはり公団の、先ほど参考人の方のお話の中にも第三分位の中位の方々の所得の一七%に見合うような住宅を提供したいということでございます。それがいろいろな条件で高くなったのだろうと思いますが、東京の、先ほど申し上げましたが、大川端でも家賃が十八万円以上、これは相当な希望者もあるようでございますけれども、そういう公団住宅の使命としてのあり方、それについてどのようにお考えになりますか。
  146. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今もお話がございましたように、公団住宅については、中堅サラリーマンに最も適した住宅の供給、こういうことであります。  実際問題として、御承知のように地価が非常に上がりまして、なかなか首都圏では非常に難しいのでございますけれども、極力そういうふうにやるように指示をいたしております。これは分譲の場合も賃貸の場合もやはり対象を中堅サラリーマンということでやっております。都内で実際に土地が高い、そしてまた分譲の場合は大阪であったわけでございますけれども、地元の要望等もこれありでこういうことになったと思いますが、今後極力中堅サラリーマン向きの分譲あるいは賃貸、これをやってもらうように指示をいたしておる次第であります。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 伝えられるところによりますと、今回の値上げの検討に関しましては、値上げを三年ごとに行う、また立地条件等によって家賃額の補正を行う、こういうことを聞いておりますが、前二回の改定と異なった観点に立って進められているようでございます。こうした点を見ますと、何か民間の家賃決定に近づいているような感じがするわけですけれども、公団には個別原価主義という原則がありますし、また先ほどからも論議しておりますが、公団住宅の使命という問題もありますが、こうした問題についてはどう考えておられるか、その点お聞きしたいと思います。
  148. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) まず、三年、五年の話でございますが、これは基本問題懇談会に御報告申し上げました内容の中に、今後の改定の周期については三年としたいということが書いてあるわけでございます。これにつきましては、家賃計算の要素の一つに、固定資産税の評価額でございますが、これを活用といいますか、使っておるわけでございますが、その見直し周期が三年ごとであるということで、その周期と異なる場合にはいろんなバランスが崩れるというような問題もございます。そういうことで基本的にはこれに合わせることにしたいということでございます。それから居住者の御負担という面から見ましても、一度に値上げ幅が大きくなるということよりは、いわゆるなだらかな値上げといいますか、その方がよろしいんではないかということからそのような考えに立ったわけでございます。  それから、一定の補正を行うということを申し上げました。原価主義と異なるのではないかという点でございます。  公団の家賃の改定につきましては、これは施行規則の五条でございますが、経済事情の変動あるいはその不均衡、こういったときに大臣の承認を得て変更することができるという規定がございまして、それに基づいて今回申請を行おうとするものでございます。したがいまして、そういう意味で直ちに原価主義でなければならないということではないのではないかというふうに考えております。ただ、従来からとっております公営限度額方式、これに準じた方式によってやることをまず基本としていることは御理解いただきたいと思います。補正につきましては、公団賃貸住宅相互間の立地条件等のアンバランス、これをより適切に補正しようとするものでありまして、そういう意味からいいますと、いわゆる民間家賃の決定方法といいますか、民間家賃に近づけるということではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど、家賃値上げに関しましては、入居者の所得に対する家賃負担率が古い住宅については低いということが説明として言われましたけれども、やはりここで留意しなければならないのは、古い住宅の入居者には老齢の方が多いということを考えなければならないと思うんです。改定に当たりましては入居者の実際の負担能力等も十分把握する必要があると思いますが、その点はどうでしょうか。
  150. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 確かに古い団地の場合にはそういう傾向があると思います。ただ、先ほどから出ておりますように、公団の使命というものが、大都市圏都市地域において中堅勤労階層、その方々に適切な家賃あるいは価格の住宅を提供するということでございます。そういうことで三分位中位の値を使わさせていただいておるわけでございます。ただ、御指摘のように確かに古い住宅の場合には入居者の年齢が高いということもあるかと思います。そうではありますが、今家賃を見てみますと、やはり負担率においては古い住宅についてはかなり低くなっているという現実もあると思います。そういった実情を把握すべきではないか、まことにごもっともな御指摘ではあると思いますが、実際の所得がどうかということになりますと、これは公団といたしましては実際的にあるいは技術的にも非常に困難な問題があるわけでございまして、直ちにそれを把握してつまびらかにするというのがなかなか難しいというのが実情でございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。  さはさりながら、先ほどから申し上げておりますように、家賃の改定に当たりましては激変緩和措置、これは中身は幾つか申しました。それから生活保護世帯あるいは老人世帯、母子世帯、身障者世帯、こういった方々に対する特別措置、これは一定額、これは申請主義でございますが、家賃が一定額以上になる場合には、そこから先は減額する、免除するということでございます。そういった措置を講ずるなど、公団が与えられました条件、あるいは現在あります制度というのがあるわけでございますが、その中でできる限りの配慮をするように努力しているところでございます。  ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても、家賃改定には慎重に対処する必要があろうかと思います。  いずれにしましても、間もなく申請が出されて当委員会でも審議が行われると思いますが、公団が申請をされた場合には直ちに必要な資料を当委員会に提出していただきますことを建設省及び公団に要望して、質問を終わりたいと思います。
  152. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 申請が公団からありましたら、御要望に応じまして必要な資料は提供いたします。
  153. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 当委員会から申請後に当公団の家賃の改定につきましての資料要求がございました場合には、委員会の御意向を踏まえつつ、当公団として可能な限り対応したいというふうに考えております。
  154. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 公団の質問終わります。どうもありがとうございました。  それでは、あとはちょっと水の問題について基本的な問題をお聞きしておきたいと思うんです。  ことしは暖冬と言われまして、日本列島の多くの地域で雪が少なかった、あるいは雨不足で降水量が少なくて、ダムの貯水量も減少して、各地でことしの夏にかけましてまた水不足が心配されているという状況でございますけれども、これからの夏に向けての水の需給の見通し、対策等について、これは国土庁ですか、お聞かせいただきたいと思います。
  155. 大河原満

    政府委員(大河原満君) お答え申し上げます。  昨年の秋からことし三月にかけまして、先生御指摘のように、全国的に少雨傾向でございました。特に西日本を中心に降雨の少ない地域が広がってきております。この結果、木曽川とか豊川、四国の吉野川等で渇水が発生しておりまして、現在でも豊川それから吉野川では取水制限が行われております。  夏に向けての水需給の見通しのお尋ねでございますが、これにつきましては、何分にも今後の降雨の状況によるわけでございますが、仮に平年どおりの降雨量が期待できるものといたしますれば、過去の例から見まして、ほぼ賄えるのではないかというふうに見通しております。いずれにしましても、今後の降雨状況が非常に重要な要素でございますので、この降雨状況を注意深く見守りながら、早目の対応を心がけていきたいと思っております。  それからことしの渇水に対しまする処置でございますが、国土庁といたしましては、関係省庁の御協力を得ながら対応していかなければいけないわけでございますが、水資源有効利用という観点から節水のPRに努めまして、関係方面の協力を得るとともに、渇水状況によりましては、関係省庁間の渇水対策協議会等の場を活用いたしまして、渇水情報の有効、円滑な伝達に心がけまして、適切な対応を行えるよう努力してまいりたいと思っております。
  156. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 降雨状況を見守っていきたいということでございます。水は天からのもらい物ということで、天候状況によって左右されざるを得ないということになろうかと思いますが、それでは非常に困るのではないかと思うんです。国土庁としましては、近年の、ここ何年間でしょうか、気象状況、降雨量が非常に減少傾向にあるという状態も十分に把握をしていらっしゃると思うんです。近年、これはことしに限らず去年もそうでしたけれども、最近はずっと全国各地で渇水状況が今のところ連続してきているわけですし、そのために国民生活に重要な影響が出てくる場合もあるわけです。  近年頻発しております水不足の原因はどこにあるか、これは十分に把握されておると思いますが、その中で水資源開発のおくれが指摘されている、こういうことも言われております。そうなりますと、開発を担当しているところの建設省等の怠慢ということも指摘されるんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
  157. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  私どもも、渇水の発生は主として少雨現象が直接の原因と考えておるわけでございますが、御指摘のように、水源地域対策等の困難性が一部ございまして水資源開発がおくれているダムがあるということもやはり認識をいたしております。ただ、私どもの認識といたしましては、どうしても非常に大きなもので名の高いものがそういうおくれているということがとかく話題になるわけでございますが、全体として眺めてみますと、毎年十ないし十二ぐらいのダムは全国で完成をしているわけでございますし、おおむね計画的に進んでいるのではないかという判断を持っているわけでございます。  いずれにいたしましても、特に地域住民の方の御理解をいただきまして、これからも十分な水源地域対策をしながら計画を進めていかなければいけない、そういうふうに考えておるところでございます。
  158. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いずれにしましても、水はもう人間の生活に欠くことができないものでございますし、世界各国の歴史を見ましても、高度に発達した都市が、水の不足からその都市が滅亡していくのが歴史の繰り返しでございます。また生活が高度化すればするほど水の需要が増大する。こういう関係から見ますと、特に大都市では水の安定供給ということが非常に重要な課題になってくるわけです。  国土庁は昨年の十月に、四全総計画に合わせまして、二十一世紀を目標とした全国総合水資源計画、ウォータープラン二〇〇〇ですか、それを策定されましたけれども、それによりますれば今後の水の需給の見通しはどうなっているか、説明していただきたいと思うんです。
  159. 大河原満

    政府委員(大河原満君) 水需給の今後の見通しについてのお尋ねでございますが、先生御指摘ございました昨年十月に国土庁で策定いたしました全国総合水資源計画におきましては、年間の水の需要量が、都市用水と農業用水とを合わせまして、昭和五十八年に八百九十二億トン、年間八百九十二億立方メートルであったものが、昭和七十五年には年間百六十四億立方メートル程度増加いたしまして千五十六億立方メートル程度になるものというふうに予測をしております。  また、こういった需要量の増加のほかに、現在不安定取水というのがございます。これは河川に特定のダム等の水源処置のなされていないものでございまして、河川に水のあるときだけ取水できるというそういった不安定取水がございますが、そういったようなものを解消すること。それから地下水を利用しているものがあるわけでございますが、これを河川取水に切りかえる、転換をするといったようなものを含めますと、需要の増加量が年間に約二百十九億トン、二百十九億立方メートルになるものというふうに見込んでおります。  こういった需要の増加量に対しまして、資金の確保、あるいはいろいろ困難がございますが、水源地域対策、そういった多くの課題を解決しながら、いわゆるダムなどの水資源開発施設の建設促進いたしまして、それからまた水資源有効利用等を図りまして、年間二百三十億立方メートルの供給を達成するというような計画をしております。この結果、七十五年におきましてはおおむね従来の計画基準に基づきます水需給のバランスをとれるのではないかというふうに想定しております。  以上でございます。
  160. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今の計画では七十五年には需給バランスが大体とれるぞというお話でございますが、水は具体的には主として河川から取水をするわけですから、水の需給は河川流域という地域別に見る必要があろうかと思うんですが、その場合、水需要が多くてしかも現在もう既に需給が逼迫している大都市がやはり問題ではないかと思うんですが、東京、大阪、名古屋、北九州、そういうところの将来の水の需給関係には問題はないんでしょうか。
  161. 大河原満

    政府委員(大河原満君) 大都市周辺水需給の見通しでございますが、これも全国総合水資源計画におきまして地域別にいろいろ検討をされております。  関東臨海地域では、昭和五十八年現在、年間、都市用水と農業用水の合計量が約八十四億トンでございますが、昭和七十五年にはこれが十九・八億トン増加いたしまして、百三・九億トン程度に増加するというふうに予想されております。さらに、先ほど申し上げました不安定取水等の解消を含みますと需要増加量が四十一億トン程度になろうかと思います。それから近畿臨海地方でございますが、この地域では昭和五十八年に年間六十二億トンであったものが、七十五年には七十四・五億トンと約十二・五億トンの増加というふうに見込まれております。これも先ほどの不安定取水量の解消を含めますと需要増加量は約二十二億トンというふうに増加するものと思われます。それから名古屋でございますが、東海地域では同じく需要量が年間二十九億トンほど増加いたします。同じく北九州地域では、年間需要量が十二億トン程度増加するというふうに見通しております。  これに対しまして供給の増加でございますが、地域ダム計画建設省初め各省でいろいろ努力されておるわけでございますが、関東臨海地域では供給量の増加を四十二億トン達成しよう、それから近畿臨海でも年間二十二億トンの増加に努める、それから東海地域では同じく三十二億トンを増加させる、それから北九州地域では年間十三億トン増加するというふうに計画をしております。こういうことでございますから、おおむね従来の計画基準に基づきまして水需給のバランスをとることが可能であるというふうに想定をしております。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在水資源の一部として地下水が相当量使用されておりますけれども、地下水のくみ上げについては地盤沈下等の問題が各地で発生しております。早急に必要な対策を進めなければならないと思うんですが、地下水の利用実態及び水源の転換等についてのお考えはどうでしょうか。
  163. 大河原満

    政府委員(大河原満君) 地下水の利用実態でございますが、地下水の利用実態は、個々の使用者がおのおの取水施設を設置いたしまして直接取水しているということが多いために厳密な取水量の把握というのはなかなか難しいわけでございますけれども、国土庁で現在つかんでおります実態では、年間の地下水取水量はすべての水使用量の約六分の一程度、特に都市用水について見ますと約三〇%を占めているというふうに推計をしております。  御指摘の地盤沈下状況でございますが、かつて非常に深刻な状況だったわけでございますが、近年、筑後・佐賀平野等の一部地域を除きまして全国的にはややおさまってきているのではないかというふうに見ております。  その対策のお尋ねでございますが、地盤沈下対策といたしましては、既に昭和六十年に濃尾平野及び筑後・佐賀平野を対象にいたしまして地盤沈下防止等対策要綱を策定いたしまして、地下水の採取規制、それから地下水を使用している方々の水源転換、工業用水とかほかの水源ですね、そういったようなものに転換をするということ。それから地下水使用の合理化といったような総合的な対策を推進してございます。関係省庁それから地方公共団体と連携を密にいたしまして、今後とも地下水取水の適正化、水源転換促進というようなことを講じてまいりたいと思っております。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 水の需要は将来もふえてくると思いますが、また先ほどお話がありました不安定取水を解消したり、今のお話の地下水を河川取水に切りかえていく、そういった需要の増加要因というものも加わってまいりますと新たに開発をする必要があるわけですけれども、開発を要する量というのはどの程度になっているんでしょうか。また、そのためにダム建設、そういった施設の新たな増設というのはどの程度必要なのでしょうか。
  165. 大河原満

    政府委員(大河原満君) まず、全国的な水需要の増加量についてお答え申し上げますと、先ほどの全国総合水資源計画におきましては、昭和五十八年から昭和七十五年までの間に都市用水あるいは農業用水の需要を合わせまして年間百六十四億トン程度増加すると予測しているわけでございますが、それにさらに先ほどの不安定取水の解消とか地下水からの河川取水への転換、そういったものを含めますと年間二百十九億トンの需要量増加というふうになろうかと思います。  これに対しまして、供給を確保するためにはいろいろ長期的な視点に立っての水資源開発計画的、先行的に進めなければいけないわけでございますが、ダムの位置とか地域間のバランス等もいろいろございまして、年間二百三十億トンの供給増を達成すれば水需給のバランスがとれるというふうに見通しております。
  166. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これまでのいろんな状況を見ておりますと、いろんな施設の整備というのはこれはお金が非常にかかるものですから非常におくれがちでございますが、こういったものが確実に行われて供給は確保される、そういう確信はおありですか。
  167. 大河原満

    政府委員(大河原満君) いろいろ水資源開発には難しい問題がございまして、先ほど河川局長の方からもちょっと出ておりましたんですが、水源地域対策というのが一つはあるわけでございます。水没される方々のいろいろな痛みといったようなものを和らげながら事業促進していかなければいけない。それからまた、非常に予算的にも多額の経費が要るわけでございますので、いろいろ委員会の先生方の御支援を得ながらひとつ対応してまいりたいというふうに考えております。
  168. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かにおっしゃるとおり、全国総合水資源計画に基づきまして見てみましても、昭和七十五年までに必要な水を供給するためには膨大な予算が必要でございますが、現在の予算額などから見まして、この必要な費用というものは建設省として確保できるんでしょうか、どうでしょうか。
  169. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  ただいま水資源部長がお答えをいたしましたように、量で一年当たり大体二百二十億トンぐらいの開発ということでございますが、まず私ども建設省の方がそのうちのどのくらいを分担するかということでまいりますと、多分百五十億トン前後のものを私ども建設省の方が分担するようなことになる気がいたします。そのほかに農林省とか利水各省が仕事をおやりになります。そのためにまずダムを三百四十事業ほど完成させる必要がございます。  御質問の予算の点でございますが、それだけのダムを完成させるために今年度以降どのくらいのお金が要るかということでございますが、これは実は私ども洪水調節のためのものとあわせて仕事をしておりますので、洪水調節のために要する費用、それから利水のために要する費用、つまりあわせましてダム建設費用と言うておりますが、それが約十九兆円程度と考えられます。今御審議いただいております六十三年度予算のうち、こういうダム建設に要します費用が大体六千三百億、あるいは六千四百億程度でございますので、これをもとにいたしまして昭和七十五年、二十一世紀初頭まで伸びを試算してみますと大体総額は十九兆円でございますが、伸びを計算してまいりますと年々大体一三%ぐらい伸びないといかぬ勘定になります。多少難しい部分がございますが不可能な範囲ではないという判断を私どもしておるわけでございます。
  170. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 予算の面では不可能な点はないというお答えでございますが、大臣も来年の予算を頑張ってください。
  171. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 予算獲得には大いに努力をいたします。  この際お願いでありますけれども、ダム地点の話が交渉がなかなか難しいので、その点についても国民の皆さんの御協力、これをいただかないとできませんので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
  172. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その点についてお聞きしようと思ったら先にお答えがあったわけでございますが、確かにダム建設につきましては、そこにお住みになってみえる住民の皆様方の痛み、苦しみ等もございますし、なかなかそう一遍にできないわけでございます。私どもの地元の徳山ダムでも、長年の歳月を経て今水資源公団等で建設が進められているということでございます。  その次にお聞きしたいことは、ダムによる水開発としまして、建設省では最近異常渇水に対して水備蓄容量を持つ渇水対策ダム事業を進めるということでございますが、これは従来のダムと違う点があるんでしょうか。
  173. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  従来のいわゆる利水のためのダム開発と申しますのは、新しい水利用に対しまして新しくダムをつくりまして、不足する分を補給することで新たな水資源開発を行うという趣旨のものでございます。  ただいま私どもが考えております渇水対策ダムと申しますのは、そういうことで一応計画上はつじつまが合うわけでございますが、異常渇水になりましたときに、異常渇水になってしまえばもうどうなってもしようがないという考えは成り立たないわけでございますので、そういう異常渇水になりましたときにも、やはり社会生活を維持しますためにはどうしても最小限必要な生活用水なり都市用水というのが要るわけでございまして、そういう異常渇水時に補給ができるために御指摘のような水備蓄ダムというものを考え始めておるわけでございます。ダムの構造そのものが基本的に違うということではございませんが、そういうもともと計画の中の新しい水開発か、異常渇水のときに緊急に流す分を確保しておくかということで、従来の考え方と大分違ってきておるわけでございます。
  174. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それともう一つ、山間部の小規模生活ダムというのがございますね、これはどういうような役割を果たすものですか。
  175. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをいたします。  小規模生活ダムでございますが、私ども今までにも大変数多くのダムをつくっているわけでございまして、大きなダムから小さなものまでいろいろつくっているわけでございますが、最近特に山間部でございますとか半島部におきまして、小さな川でございますが、やはりきめの細かい利水対策、もちろん治水対策も同様でございますが、必要だという声が大変起こってきておるわけでございます。そういうものに、小回りのきくというと言葉が悪うございますが、きめ細かく対応いたしますために、六十三年度から御指摘の小規模生活ダム事業という名前をつけまして、同じ河川総合開発事業の補助の中でやっていこうかと考えておるわけでございます。
  176. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これにつきましては、新年度に全国九カ所事業化することにしているという報道もありますが、その点は大体もう決まっているんですか。
  177. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 新年度事業でございますので、財政当局といろいろ下相談をしている段階でございますが、御指摘のように大体九カ所ほどまず手をつけられたらと現在のところ考えております。
  178. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、先ほど節水のPRというお話がございました。供給を図ることはもちろん重要ですけれども、そういった水利用の合理化あるいは節水ということも必要ではないかと思いますが、既に工業用水は回収水の利用が進んでいることも承知しておりますけれども、ビルなどの雑用水の再利用を含めた水の再利用はどのようになっているのか、その点は把握していますか。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕
  179. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 雑用水の再利用についていろいろなとらえ方があろうかと思いますけれども、私どもの方では下水の処理水の再利用について御説明さしていただきたいと思います。  下水道で処理されている水は、処理された後に放流されている水は年間で今七十四億トンぐらいございます。一日当たりに直しますと大体二千万トンでございます。この二千万トンの中で有効利用をされているものは十四万トン、二千分の十四というごく限られた量でございます。この十四万トンの内訳は、工業用水としてパルプ工場等で再利用されているのが約四万トン、それからビルの水洗用等で再利用されているのが一万トン、それから農業用水とか修景用水等で約九万トンぐらい再生利用されております。これは下水の処理場から出る水の利用のデータでございます。
  180. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 我々の党は、節水型社会を促進しようということで、第百七国会に中水道の整備促進に関する法律案というのを国会に提案したわけですが、その中で、水需給が逼迫する等の地域での大規模建築物等の建築には中水道の設置を義務づけるとともに、促進のための助成、税の優遇等を盛り込んでいるわけですけれども、やはり水資源の合理的な使用を進めるために中水道を促進しようとすれば法的な整備が不可欠じゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  181. 大河原満

    政府委員(大河原満君) 先生御指摘のとおりに、ダム等の水資源開発建設を進めていくことも重要でありますが、それが一番基本的な問題だと思いますが、御指摘のように雑用水、四省庁で雑用水と言っておりますが、そういった水利用の促進を図りながら水資源の合理的な使用を積極的に進める必要があるというふうに国土庁でも考えております。  このため国土庁といたしましては、雑用水利用を一層促進を図るために、関係省庁と連携をとりながら雑用水の利用にかかわりまする指針を早い時期に策定しようということで努力をしております。また、そういった雑用水利用のための税制、金融上の優遇措置等の適正な運用を図っていくというところでございます。
  182. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは前の委員会のときにも大臣にそのことをちょっとお話ししておいたことがあろうと思うんですが、中水道になったりあるいは雑用水になったり、名前は所管の官庁によっていろんな要望があるようでございますし、できるだけ早くこの点につきましては、国土庁なら国土庁が中心になって、もうこれは水資源の問題につきましては大変な問題になってくるんじゃないかという気もしますので、速やかにしかるべき処置をやっていただきたい、このことを要望しておきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  183. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘いただいたこと、大変大事なことだと考えておりますので、十分検討を重ねて結論を得るようにしたいと思います。
  184. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕
  185. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きょうは、マンション問題について質問したいと思います。  民間分譲マンションは今全国で百七十万戸を超えて、東京では五十五万戸という数字が出ています。今後も新規に毎年十数万戸ふえていくだろうという推定なんですが、東京の場合、都心部では港、新宿、中央、文京、渋谷、千代田、この六つの区では世帯数の三〇%以上がマンションという状況で、港、新宿なんというのは四二%マンション居住者ということになっているんです。それがかなり年数がたってきて、そろそろ大規模修繕という時期に入ってきておりますし、建えかえが必要なマンションが首都圏の場合今後十年間に十万戸という推定もあるわけです。そこへ東京の地価暴騰ですから、地上げなんというのも行われ始めまして、結局マンションを区分所有者を追い出して全部買い上げて建てかえ計画なども生まれているという状況で、さまざまな問題が生まれ始めています。  マンションの管理組合の連合組織が、御存じと思いますが、六十一年四月に生まれました。略称全管連、全国マンション管理組合団体連絡会議と言いますが、この全管連が一月の末に全国の第六回目の代表者会議を開いて、声明を二月九日付で建設省、法務省、総務庁、警察庁、それから国会に議席を持つ各政党の政審会長など、あるいはマスコミに全部提出しまして、これも建設大臣のところに行っていると思うんです。きょうは、この要求に盛り込まれている問題、それに関連する問題を、時間が余りございませんけれども、お伺いしたいと思うんです。  この第一の要望は買い占め問題です。非常に多発している、社会問題になっている、これについて建設省は調査し措置をしてほしいという要望です。この全管連に加盟しているマンション管理組合連絡協議会が、この三月十二日、今月です、マンション買い占め問題でシンポジウムを開いている。マンション管理新聞の三月二十五日付、出たばかりの新聞にこのシンポジウムの状況が載っています。  例えば都心のAマンション、これはAというので具体名わかりませんが、売り主が建て主で管理者だ。それでもう十四年間管理の帳簿もない。最近建てかえ計画しているので、売り主による買い占めが行われている。この人が、そこに住んでいる人が問題提起をしているんですね。それで、買い占めをやるためにもう修繕やらないというんですね。修繕やらないでぼろぼろになると買い戻しが安くなるので、そういうことがねらわれているという訴えが出ています。  それから、女優の馬渕晴子さん、これはライオンズマンション赤坂で、これは国会の近くですが、このライオンズマンション赤坂のケースは新聞でもかなり報道されているので有名ですが、馬渕さん自身がこのシンポジウムに出てきて、総戸数四十九戸のうち二十六戸が地上げ屋の区分所有となっている、好意派も含めると五分の四地上げ勢力だというんですね。それで守る会ができて、今訴訟もしている。管理組合も、いろいろ問題が生まれてきて、馬渕さんの住居は電気供給の妨害を行っている。去年の暮れ理事会の知らせが届いた。大規模補修工事ということで、どうも立ち退き画策のようだという訴えが出ているんですね。  これはこのシンポジウムで出ている二、三の例ですけれども、やはり地価暴騰でこういうマンションの地上げ行動、買い占め問題が大きな問題になっている。恐らく数は多いと思うんですね。だから全管連も、第一項目に買い占め問題が出ているんですが、建設省として、このライオンズマンション赤坂などの例も含めて実態調査、それからこういう区分所有者の権利を守るための措置、どういうことをお考えになっておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  186. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先生お話しのような事例が新聞等でしばしば報道されていることについては私どもも承知いたしているわけでございますけれども、基本的に、宅建業者が個々の取引を行うことについて建設省あるいは都道府県の立場で一々調べるということはなかなかこれはいたしにくいところでございまして、そういった意味で調査ということについていささか難しいんじゃないか、このように思っておる次第でございます。ただ、そういった行為の過程で、いわゆる悪質なおどしなどなどの行為があった場合、これについては私どもも宅建業法の定めるところによりましてしっかりと対処してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  187. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、悪質な具体的問題は私どもも一層調査して取り上げていきたいと思います。  この要望の第二はマンションの管理業者の問題なんです。この管理業者及びその団体にいろんな問題が生まれている。この要望の中には、総務庁による実態調査で多くの問題点が指摘されている、だから対応を改善するよう要望するということになっているので、この総務庁の実態調査、これを次に取り上げたいと思います。  総務庁の近畿管区の行政監察局が行ったもので、去年の十一月に公表されている。これを読んでみますと、なかなかなるほどいろんな問題が多いなということを思うんですけれども、まず管理のトラブル実態を調査の結果が分析しておりますが、一番多いのは何かというと、管理業者の管理費などの出納、保管管理、これが非常に不適切で、これが三二・三%、十事例ある。一番多いのは、管理費を管理業者が預っていて倒産してなくなっちゃったとか、持ち逃げされたとか、調べてみたら修繕積立金が非常に少ないことがわかったとか、そういう例が一番多いです。三割を超えているんですね。やはりこれは非常に重大な問題だと思うんです。さらに、なぜこういうことが起きるのか、どこを改善すれば防止できるかと思うと、いろんな問題があるんです。  まず第一は、建設省のマンション関係でかなりの施策をこれまでもおやりになっている。例えば、標準管理委託契約書、こういうものも提示されているし、管理業者の登録も行われている。管理業務の処理準則も提示され、管理規約の提示も行ってきた。こういうことをずっと建設省としてはおやりになってきているんですね。ところがそれがほとんど周知徹底してない、ほとんどみんなが知らないということがこの調査の結果明らかになっています。例えば、一番主体であるべき管理組合がこの標準管理委託契約書を知っているか。三十五の組合のうち知らないが約七割近いんです、六八・六%が全く知らないんです。それから管理業者の登録制度を知っておるか、これも六五・七%、三十五組合のうち二十三組合が知らない。だから、業者の登録制度をつくられても、それがあることさえ知らないというそういう状況になっておるんですね。  それで、せっかくこの標準契約書を示しておられるけれども、さあ総務庁が調べてみた。そうしますと、例えば第二条、これは当然のことなんだけれども、マンションの敷地及び建物の所在地や面積を書けとなっているでしょう。それを書いてないところがあるというんですよ、契約書に。だから場所もわからぬ。それから多いのは、例えば費用の事前承認について規定しない。これは第七条。これは年度についてどういう費用がかかるか見積書を出せ、それを組合が承認してということ、これは非常に大事ですわね。ところがこの七条、この規定がないのがやっぱり七割近いんですが、六六・七%、十六組合もある。等々等々、結局建設省が示した二十二条のこの標準契約書、ちゃんとなっていたのは一つもなかったという状況なんですね。こういう状況だと、なるほどこれはトラブルが起きますわ、知らないんだから。せっかく建設省がいいことをやろうとしていてもね。  なぜこういうことになっているかということで建設省に幾つかお伺いしたいんだが、こういうものの周知徹底をどうも建設省は、管理組合の方は余り力を入れないで、業者の方、高層住宅の管理業の組織がありますね、高住協と言いますけれども、そういうところに一生懸命通達はするけれども、肝心の管理組合の方にはどうも力を入れてないんじゃないか、そういう感じがするんですが、この周知徹底についてこういう現状をどう改善するのかお伺いしたいと思います。
  188. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) マンション管理がこれからの大きな問題であることは御指摘のとおりでありまして、このために建設省といたしましても管理組合に対しましていろいろの指導をしております。御指摘の中にもありましたように、標準管理規約あるいは標準管理委託契約書等のモデルをつくりまして、それの解説書等を含めましたパンフレットを作成し配布もいたしまして、地方公共団体を通じて指導する一方、また六十年には財団法人マンション管理センターを設立いたしまして、そこを通じまして先ほどお話し申し上げましたような内容の普及に努めているところでございます。
  189. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 口ではそうおっしゃいますけど、登録業者は二百十ある。ところがこれを見ると未登録業者というのはほぼ同数あるだろうというんですね。だから、本当に業者全体に周知徹底するというのもなかなか大変なんですね。これは登録か未登録かまではこの調査に出ていないけれども。  トラブルのもう一つは、管理者にいろいろ言ってもうまくやってくれないとか、管理者がちゃんとやってくれないというトラブルが非常に多いんですよ。これを調べてみると、このあれには、業者が管理者に対して研修を何もしてない、これが三四・六%、三割以上が何の研修もしてない。企業の定年退職者を雇っているのだけれども、マンションの管理を任せるのに何の教育も一日もしないでいきなりやらせるというのが三割もあるという状況ですからね。だから私は、業者に対する徹底も、未登録業者が半分あるというんですから、それも相当努力が要りますね。それから管理組合に対する徹底も相当大事だと思うので、例えば「今週の日本」という政府の広報物がありますわね、私たちの家にも新聞に挟み込んで入ってくるけれども、ああいうものなども利用してもっと徹底するとか、マンションが百七十万戸もあるわけだから、そういう努力もぜひひとつしていただきたい、そう思うんです。  それから、周知徹底が非常に不足だということがまず基本問題としてあるんですけれども、その次に、今取り上げた登録問題の、閲覧の問題点があります。  近畿管区の行監局は、「今後の検討課題」ということで四項目を挙げているんですが、第一に登録制度問題、登録簿の閲覧問題を書いてあるんです。「登録簿等の閲覧については、マンション管理組合の便宜を図るため、都道府県等地域の行政機関において対応する方策を検討」してほしい。なぜかといいますと、地方自治体はマンション管理について関与する仕組みになっていないんです。だからマンション問題を行政の範囲と考えていないというんですよ。そういう点で、登録の名簿も建設省の本省にしかない、だから地方自治体にはないというんですよ。そうすると、管理組合が、どの業者を本当に登録していてしっかりしたものかというのを調べようと思っても、建設省は各都道府県に名簿だけ送っているそうですけれども、名簿の名前だけ見たんじゃわからないんですよ。  単に名簿を送るだけじゃなくて、建設省の業者登録規程の第十一条には、「登録簿並びに第四条第三項、第七条第一項及び第八条第一項に規定する書類」、これはこの中にいろいろ、これを見ればいろいろ詳しい中身がわかるわけですが、その「写しを公衆の閲覧に供するものとする。」となっているわけだから、単に業者の名簿を都道府県に移すだけじゃなくて、都道府県など自治体で、この十一条に規定されているような中身がはっきりわかるようなものを、登録名簿を、単なる名簿だけじゃなく中身のわかるそういうものを自治体に備えつけて、管理組合がそれを見ようと思えば東京まで来なくても見ることができるようにすべきだと思うんですが、ぜひそれを要望したいと思います。
  190. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 御答弁に当たりましてちょっと一言お断りさせていただきたいと思いますのは、総務庁の近畿管区行政監察局のいわゆる報告でございますけれども、これは現在まだ総務庁においてその内容を検討されている段階ということで、現在までのところ正式に私どもに通知が参っておりません。したがいまして、個々の内容については所見を差し控えさせていただきたいと思いますが、ただいま先生おっしゃったように、建設省としましてもこのマンション管理については、大変重要な課題である、こういう認識で一連の施策を講じております。  ただ、申し上げたいことは、例えば業者登録制の実施、これは六十年から実施しているとか、あるいは事務処理準則の策定、これも六十二年からということで、率直に言ってまだ日が浅うございます。そういった中で、登録の状況等も、まだまだ私どもこれから積極的にやっていただかなきゃならぬという認識でおる、いわばその過程にある段階でございますので、何としてもこの登録をひとつ大いに普及していただきたい、いこうじゃないか、こういう構えで今努力しているときでございます。そういったことがしっかりとできますならば、今しばしば先生お引きいただいていますけれども、準則に基づくいろいろな手続、指導、こういったことが出てくるわけでございますが、いずれにしても、こういった手続に乗っけるためにも登録というものをとにかく進めたい、またそのために、またそのことに関連して周知方を図るということも大変大事なことと思っています。  今お話しのように、建設省に閲覧できるような体制をとっておりますけれども、公共団体レベルではなかなかそれがまだ十分できてないという面もございます。私どもその書類は公共団体の方に、県の方にお送りは申し上げておりますけれども、個々の組合がそれに接するとなるといろいろと御不便もあろうかと思います。そういった中で、県の方にもいろいろとまた機会を通じましてこういった面での御努力を要請してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  191. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 都道府県、大都市の場合には市だとか区段階まで名簿並びに資料が届くようにぜひやっていただきたいと思います。  次は、全管連が昨年もまた今回も強く要望している問題で、預金の名義問題です、これは御存じだと思いますけれども。業者が、管理組合の管理費並びに修繕積立費などが結局全部業者任せになっているために自分の名義で預金しているという事態があるんですね。この近畿の調査によりますと管理費で五七・七%、十五業者だから約六割近いんですよ。これが管理費を業者の名義で預金している。修繕積立金の場合は三割、七業者が業者の名義で預金している。管理組合の名義じゃないんですよ、業者の名義なんです。それから通帳と印鑑を六五・四%、十七業者が管理費については全部保管しておる。それから修繕積立金については四五・四%、十業者が通帳、印鑑とも保管しておるという実情になっているんですね。だからこれは危ないわけですよ。これは何でこんなことになっているんだろうというふうに思いますがね。  全管連が去年の七月に当時の建設大臣天野光晴殿に出した要望書がこの問題です。これは、建設省住宅管理業務処理準則というのがあって、その処理準則の第六条にこう書いてあるんですね。「登録を受けた者は、管理組合から預託を受けた金銭又は有価証券を、管理組合以外の名義を用いて他の者に預託してはならない。」、名義を使っちゃいけない。ところがただし書きというのがあるんです。「ただし、管理委託契約に別段の定めをしたときは、この限りでない。」、こういうただし書きというのがあるために、契約書にこのただし書きが生かされる危険があるというので、全管連から要望書が出たんです、このただし書きを外してほしいと。そうでないと利息も取られちゃう、流用も行われる、倒産した場合どうなるんだ等々、非常に危険なことが起きるというんですね。監察局の調査を見ますと、ところがただし書きさえ使ってない、何の定めもないのに勝手にこういうことをやっているというんですね。自分の名義でかなりの業者が預金して通帳も印鑑も持っている。その方が支払いその他には便利だということでやられているらしいんですけれども、これは非常に危険なわけですね。トラブルの三割、一番多いのがこういう管理その他の保管問題についてのトラブルだというんだから。  これはどうですか、今度も要望が出ているんだけれども、このただし書きですね、これは削るという要望を受け入れた方が合理的だと思うんですけれども、いかがでしょう。
  192. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 御指摘にありましたように、中高層分譲共同住宅管理業務処理準則におきまして、第六条で、「管理組合以外の名義を用いて他の者に預託してはならない。」ということを本則として述べまして、ただ、ただし書きといたしまして、「管理委託契約に別段の定めをしたときは、この限りでない。」ということにしておりまして、原則はやはり管理組合の名義でもって運用していくことが望ましいことと考え、このように指導しておりますけれども、管理組合総意としまして別段の定めをしたときはやはりそういう道も開けることが必要と考えましてこのただし書きがついてございますので、この規定自身は現在のところこれを変えることは考えておりませんけれども、実際の運用におきましては管理組合名義でやるように強く指導してまいりたいと考えております。
  193. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全管連の言い分によりますと、ちゃんと契約にそういうふうに書いてある場合は、ただし書きの場合はね、というふうに言うんだけれども、実際に入居したばかりで、管理組合が生まれたばかりで契約書をつくるときに、それはもう言われたとおりこういう契約だというので判を押しちゃうので、そんなこと知らぬというんですよ。だからやはりそういうものがあると悪用される危険があるというので、これはひとつ実態もお調べになって、今全国の調査もおやりになっているそうですから、実態もお調べになって、まずいことが起きないようにやっていただきたいと思います。  幾つかの問題をずっと取り上げてまいりましたけれども、最後の問題として大規模修繕や建てかえ問題についてお伺いしたいと思います。  これは前にも私この問題を取り上げたんですが、まず設計図書の移管問題。大規模修繕をやろうと思うと設計通知が必要になってきます。ところが管理組合が管理してない場合が少なからずある。管理組合が望んだ場合設計図書も提供できるようにしたらどうかということの要望があり、私も質問をしました。ただ、以前の答弁は、管理事務所などで閲覧できるようになっている、だから余り実際上不便がないと、そう言われているんです。建設省昭和五十一年十二月十一日に、取引条件の明確化その他の通達をお出しになりました。通達の中に「工事竣工図の交付等について」という項目があって、一戸建て住宅の場合と共同住宅の場合に分かれている。一戸建て住宅の場合には、この図書を当該購入者に交付せよということになっている。共同住宅については、管理事務所、営業所その他適当な場所において購入者が閲覧できるようにすればいいことになっていて、区別されているわけですね。これがどうも私に対する答弁の法的な根拠のようなんですけれども、しかし現実には、こういうことだけではもう非常に不便になったり実情に合わないような状況が出てきているんですね。  それで、全国で管理組合も非常にしっかりしたものが確立されてきているわけであります。図書を管理して閲覧に供し得る状況、そういう管理組合もあるわけなので、管理組合からの要望があった場合交付できるように指導するということが当然だと思うんです。実際に設計図書の交付を受けているケースも生まれているんですね。特に自主管理やっている場合なんか、大規模修繕をやろうとしたらどうしても図書が必要なんですね。ですから、昭和五十一年というもう十年前のこういう古い通知にとらわれないで、やはり管理組合の要望にこたえて再検討してそういう道を開いてほしいと思うんですが、この点質問いたします。
  194. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先生にはその辺の御質問を以前もいただき、今回またということになるわけでございますが、私ども基本的には、やはり閲覧体制というものをとることで十分な対応ができるんじゃないか、こういう認識をまず今でも持っておる次第でございます。  それから、もっときめ細かく配付をということになりますと、これは戸建て住宅の場合と違って大変膨大な資料になるというこういった現実も考え、また本当に皆さんが組合という立場でもってごらんいただくというのが現実的じゃないかと思いますならば、今のような制度というかやり方で、基本的にはこれを改めねばならぬという事情はちょっと今念頭にないのですけれども、そんなことで当面はこの辺の徹底を図っていくこと、これを重視してまいりたいと思っています。
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大臣、お聞きのとおり、なかなか前向きの答弁が出てこないんですけれども、私はやや保守的過ぎると思うんですよ、建設省の態度は。いろいろな問題が起きてきているのだから、早く前向きに検討して、実態に合った、また居住者の要望に合った、それから管理業者の実情に合った施策を前向きに打ち出して、また具体的に指導していただかないと、これはいろいろ問題が起きてくる。  例えば建てかえ問題、もう時間がございませんので余り聞けないけれども、今後十年間に十万戸建てかえが起きるんでしょう。公団の建てかえもこれ大問題で私も質問しましたけれども、公団以上に民間マンションの建てかえ問題というのはさまざまな問題が生まれますよ。  ここに、民間の日本住宅総合センターのマンションの建てかえ事業に関する基礎調査というのがあって、これはメンバーを拝見すると、建設省住宅局の各課の課長補佐さんや、かなり参加されていますよね、専門家。民間じゃこういうものをやっているわけだ。これにはいろんな問題がやっぱり提起されている。自己負担による有償建てかえがふえるという傾向がある。長期的傾向から各種の社会的援助体制を整備していく必要があるだろう。こうなってきますと、自己資金でさあ建てかえをやるとなると大変ですよ、東京でマンション建てかえ。じゃ高齢者はどうするんですか。低所得者はどうするんですか。区分所有法六十二条があるけれども、実際には全員一致でないとなかなか難しいと書いてありますよ。そうするとこれどうするんだという問題とかね。案外借家人が多いんですって、マンションでも。区分所有者が人に貸しているケースがあるんですな。公的資金対策、税制優遇措置。建てかえの間どこへ住んでいるか、一時移転対策とか、さまざまな問題点が生まれてくるんですよ。  私は、今までの質問はまだ建てかえ問題、大規模修繕まで余りいかなかったけれども、現に住んでいる管理組合と業者の間で起きているトラブルをどうするか、そこで起きている問題点について幾つか出したんだけれども、抽象的には前向きのお答えが出たけれども、ずばり出されないで、どうも十年前の通達などにいまだにこだわられている面があるんですね。  私は、やはりこれは非常に大きな問題なんで、建てかえ問題にも前向きに対応する研究、これをぜひしていただきたい。もう局長は結構ですから、最後に建設大臣に基本的な姿勢ですね、このマンション問題、大きな問題が生まれているので、ぜひ前向きに、しかもスピーディーな研究と措置をおとりになるように、ひとつ決意をお伺いして終わりたいと思います。
  196. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生いろいろお話がございましたが、管理組合の組合員の構成、これはやはり管理組合は、共同住宅にしてもその構成員が、自分の財産ですから財産はひとつ守ってもらいたい、こう思うんですよ、財産をね。そうしなきゃ、建設省も指導はいたしますけれども、指導しても組合員、構成員が、例えば預金にいたしましても使い込みにいたしましても、それを監視できるような制度をきちっとつくっていただかないと、これは全部建設省が掌握するわけには私はいかない、こう思うんですね。預金にしても、標準のお示しはしておりますけれども、その構成員の中で監査もいたしますし、そういうものをきちっと見守ってもらわないといけない、こう思います。  それからもう一点は、確かに建てかえもたくさんございますが、先生、追い出し追い出しということをよく使われますけれども、これはもう話し合いで——今のときに追い出しなんかということではなかなかできないとこう思うんです、話し合いをして円満に、建てかえも必要でございましょうから建てかえをする。  それから、いろいろ書類の関係でありますが、当時の設計図とかいろんなものが必要であろうと思うんですが、それはやっぱり購入のときにそういうことの話し合いをして保管をしてもらわないと基本的にこの問題は解決しない。それは管理組合なら管理組合で、部数がたくさん要るから、必要であるならば管理組合で保存する。こういうことで、自分の家はどういうことで設計をされ、どういう経過で建設されておるか、そういうことを、やっぱり保管していなければ、それを建設省でといっても、なかなか建設省もたくさんございますから、それまではちょっとやりにくいと思うんです。指導の方は、標準をお示しし、そういうふうにしなさいという指導はいたします。いたしますけれども、やっぱり管理組合自体、また管理組合を構成しておる組合員自体がそういうことにひとつ努めていただきたい、かように思います。  それから、宅建業者のよくないのは十分取り締まってまいりますし、今回、そういう悪質な業者がなくなるように宅建業法の改正案を御提案申し上げておりますので、よろしく御審議のほどをお願いいたしたい、かように思う次第であります。
  197. 山田勇

    ○山田勇君 建設行政全般にわたってお伺いをいたします。時間の制約もあり、幾つかの問題点についてお尋ねをいたします。  経済大国と言われる我が国としては、現在の経済的な余力を活用することにより、諸外国には例を見ない高齢化、情報化また国際化など社会経済に対応した基盤をつくり、質の高い生活のできるような社会をつくっていかなければならないと考えます。  しかしながら、現在の土地利用の状況を見ますと、資産としての性格が重視される余り地価の高騰を招き、生活基盤である住宅の取得をますます困難なものとし、資産格差、すなわち持つ者と持たざる者との格差を大きくするなど、多くの問題を生じさせています。東京など大都市においては、新規供給の住宅価格は年収の八倍から十倍となっており、もはや勤労者にとってウサギ小屋と言われる狭い一戸建て住宅すら高ねの花となっていることは周知の事実であり、このことがひいては公共事業の進捗や経済面での効果も削られ、内需拡大という国内、国外からの要請にも応じられないというおそれもあるわけです。  この問題の原因は、無数の土地法制と土地税制があるにもかかわらず、土地の利用と所有との基本理念があいまいで、法制度の相互間の体系的な整合性や統一性を欠いている。そのため実効が上がっていない。この点にあるのではないかと私は考えるのですが、どのような御見解をお持ちでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  198. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今お話しのように、経済大国になりましたけれども、社会資本充実が非常におくれております。これは道路、下水道河川あるいは公園、また住宅に至っては、お話にございましたように、大都市圏では非常に地価が高騰いたしました。今は落ちついておるようでございますけれども、これをぜひとも引き下げていかないといけない、この政策を進めていかないといけない、こういうふうに思う次第であります。また、率直に言いまして、一戸建て住宅、持ち家というのが大都市圏では非常に難しくなりました。でございますから土地の値下がり、これをどうしてもやっていかなければならない。もう一点は、交通機関を大いに進めまして距離を近くする、通勤距離を近くする、こういう政策を進めていかなければならない。これは全く先生の仰せのとおりであります。
  199. 山田勇

    ○山田勇君 地価の高騰、この現状を是正するためには、まず土地というものが国民全体のために合理的に利用されること、また社会的に公共的なニーズに基づいて、公共福祉の優先という国民の共通意識の確立、それとともに地価抑制のための立法措置も必要であります。また一方では、都市計画に基づいた土地利用適正化を図ることも重要であり、その対策として大都市地域における土地の高度利用を促進する。このため、優良なプロジェクトなどを対象とした用途地域の見直しや、地域の実情や都市施設の整備に合わせた容積率の見直しなど、必要な規制緩和措置計画的に講じていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、大都市中心部においては、都市計画法に基づく最低高度利用地域、低さ制限でしょうね、この導入も検討すべきだと考えますが、この点はいかがでしょうか。
  200. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 最初の土地の有効利用促進するための用途地域の見直し、容積率の緩和等でございますけれども、先生御指摘のように、都市施設の整備状況等あるいは社会経済的な変化等に応じまして、的確に容積率、用途地域の見直しをすべきだと考えております。そういうふうな観点から、スポット的な見直しは別としまして、一般的には都市計画上おおむね五年ごとに全体を、容積率、用途地域の見直しをやっております。  例えば、昭和六十年以降では、十一大都市で見ますと、九都市につきましては既に完了しまして、あと二都市、東京都の区部と神戸市が残っております。これも六十三年度じゅうに見直しの完了を予定しているところでございます。こういった問題につきましては、過日の首都圏の知事のサミットにおきましても、私どもの建設大臣から円滑な見直しをするようにというふうにお願いしているところでございまして、今後とも社会実態に合った、あるいは都市施設整備に見合った見直しを進めてまいりたいと考えているところでございます。  それからもう一つは、大都市の中心部におきましてのいわゆる低さ制限の問題でございますけれども、確かにもう少し高度利用するという観点からは低さを制限するというふうな考え方もあろうかと思います。現に、都市計画上低さを制限といいますか、これ以上高くしろという感じの制度としましては、先生御承知のように高度地区というふうなものと高度利用地区という制度がございます。しかしながら、先生がおっしゃった大都市中心部とかごく限られたところはいいんですけれども、一般的にその低さ制限、いわゆるもっと高くしろということを義務づけてしまいますと、先生御承知のように東京なんかにおきまして零細の敷地が大分ある、そういうところにも低さ制限をそのままやっちゃいますと鉛筆ビルが非常に建ってしまう。あるいは地域のニーズ以上に高度利用を強制しますと、経済的に過度の負担を課すというふうな問題等がございます。  そういうことでございますので、私どもとしましては、例えば東京なら東京におきまして都市の再開発のマスタープラン、都市開発方針と申しますけれども、そういったものをつくりまして、現につくっておりますけれども、それで計画的、重点的に高度利用を図るべき地域、そういう地域を抽出いたしまして、そこで高度利用地区とか再開発促進区域とかを積極的にそういうところを指定してまいりまして、あわせて、そのままではなかなかいけませんので、街路等も整備する必要がございますので、市街地再開発事業等、優良な再開発事業等を一緒にやるという方向で推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  201. 山田勇

    ○山田勇君 今後二十一世紀に向けて、我が国国土の基盤づくりを急ぎ、これを充実したものとして、生活先進国づくりということのために一層の努力が必要であると考えますが、建設大臣に所見を伺いまして、次の問題に移ります。
  202. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 確かに先生のおっしゃるとおり、やはり経済大国になったわけでありますから、二十一世紀を目指して潤いのある生活ができるようにそういう国土建設していく。このためには、住宅はもちろんでありますけれども、道路とか街路とかあるいは公園、下水、こういうものを大いに前進させていく、こういうことであります。
  203. 山田勇

    ○山田勇君 さて、関西新空港建設関連して、米国企業の建設市場への参入問題は二年以上にわたっており、小沢官房副長官の渡米など、現在も交渉中でありますが、対米交渉妥結の見通しはどうなっていますか。あす二十九日に決着という新聞の報道もありますが、その点あわせて御所見を伺いたいと思います。
  204. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) この件につきましては、先生いみじくもおっしゃいましたように、ただいま交渉中の段階でございます。しかも大詰めを迎えて非常に大事な時期に差しかかっておりますが、小沢官房副長官を初め日米双方大変熱心に、しかも率直に今現在意見交換が進められております。建設省としましても、日米両国にとって何とか建設的な合意がなされますように今見守っている、こういう状況でございます。
  205. 山田勇

    ○山田勇君 外国企業の建設業許可条件を緩和する考えであるのか、また米国以外の企業にも何らかの便宜を与えるのか、この点をお聞かせください。
  206. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 我が国建設業法は内外無差別の制度になっております。したがいまして、外国企業であるからといって差別的に優遇することもないし、また逆に冷遇することもない、こういったものでございます。  その中で、ちょっと補足さしていただきますと、許可の要件といたしまして、経営業務管理責任者とかあるいは専任技術者、これに関する規定があることは先生御案内のとおりだと思いますけれども、この業法におきましては学歴とか実務経験などが決められております。こういった規定を実際動かしていくときに、該当しない者というのがとかく考えられますが、特に外国企業の場合にはそういった人が多かろうと思いますけれども、これについては個別に建設大臣が特別に認定する、こういう制度ができております。しかし、これは何も外国企業のためだけでなくて、日本の企業に向けても適用されるものでございますので、そういった意味も含めまして内外無差別でやらしていただいているし、また今後ともそうさせていただきたいと思います。  それから、今回この交渉がまとまったときには第三国についてどうかという御質問でございます。  この件は、今現在日米間で交渉しているわけでございますけれども、公共事業にかかわります一連の新しいルールというものが決められた場合には、米国以外の第三国に対してもいわゆる相互主義という前提のもとで適用されることになるものと考えております。
  207. 山田勇

    ○山田勇君 それに伴う雇用問題等々は、建設同盟がこの間から急遽シンポジウムを開いたりフォーラムを開いたりして、また外国企業といいましょうか、外国人雇用問題についてはまた日を改めて質問したいと思います。  NTT株式売却益も加わって、六十三年度公共事業費は対前年度比では大幅にふえているわけですが、大臣、この公共事業の執行に当たってはどのような方針で臨むのか、前年度までのような前倒しをお考えになっているかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
  208. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 昨年、御承知のように補正で大分事業量がふえました。心配をいたしておりましたが、今年度は暖冬で事業が非常に進捗しておるようであります。それで、予算をできるだけ早く成立さしていただいて、前倒しとか後送りとかいうことなしに平準化をしていきたい。  平準化のためには、実際の事業そのものの平準化をいたしますと、四月に大分の契約をしないと、すぐ仕事というわけにもいきませんので、なるべく早く契約をして平準化していく。これは一つには、資材の方に、昨年は鉄鋼とか木材が非常に急騰いたしましたので、今は落ちついておりますけれども、こういうことがないように、それから先ほどのお話にございましたように、労務者の問題がございますが、この労務者も平準化していく、こういうつもりで、できるだけ早く契約を進める方向で実施したい、かように思っております。要は平準化する、こういう心持ちで進めておる次第であります。
  209. 山田勇

    ○山田勇君 このNTT株売却益の活用事業概要建設省所管事業についてお尋ねをいたしますが、これは先ほど同僚議員の質問とも重複するところがあります。これは都市開発等々に寄与していくということでございますので、御答弁の方は結構でございます。  NTT株売却益の利用については、その収入があるうちはよいわけですが、着実な社会資本充実、公共事業推進のためには恒久財源の確保ということが重要な課題であると考えますが、建設省としてはどのように対処するつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
  210. 牧野徹

    政府委員牧野徹君) 先生お話しのとおり、NTT株式の売却益が公共事業の方にいつまで使えるかというのは、一応ただいまのところは、六十四年度まで売り切って六十五年度予算までということになっておるようですが、それにつきましても今後どういう扱いになっていくのか必ずしも確定はしておりません。ただいずれにせよ、それが永久に続く財源ではございません。一時的な財源は御指摘のとおりだと思います。  一方、私どもの担当いたします住宅社会資本整備は、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、まだまだということでございますから、私どもの役目としては、五カ年計画なりなんなりに基づいて長期的に計画的、着実に住宅社会資本整備を進めていくことだ、このように思っております。そこで、やはり私どもとしては基本的にNTT財源を大いに活用できる間はするわけでございますが、仮にそういうものがなくなった場合にでも所要の財源を確保できるように全力を挙げてまいりたい、かよう考えております。
  211. 山田勇

    ○山田勇君 最後の質問になると思いますが、ことしも暖冬で雪不足ということでまた渇水の心配があるわけですが、これも先ほど同僚の太田先生の方からいろいろ水資源についての問題等を提起しておりました。僕は、安全と空気と水というのはわりかた日本人というのは安易に考えているところがあります。  これは余談でございますが、ホノルル島の土地、住宅、そういうものが一斉に値上がりしたのは、あれ以上の開発は無理だからです。それはなぜ無理かというと、まだ土地はあっても、水が絶対量足りないということを皆知っております。ですから、今の既存のホテルだとか持っている土地というのはもう活発に動いているわけですね。これ以上の開発はホノルルとしてはできない。それは水さえあればもっといろんな開発をし、あれほどの地価の高騰というのは招かなかったのではないかと思います。  そういうことで、非常に水資源ということはもっと真剣に考える時期が来たんではないか。だから、今もお話しをしていたんですが、公共整備というような形でどんどん下水道はやるということになればそれだけ水洗の需要がふえてくる。今まで考えられなかったような思わぬ水というものが多く要るようになります。そういう点から考えまして、先ほど来御答弁をいただきましたとおり、水資源について最後に大臣の御所見を伺いまして質問を終わります。
  212. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お説のとおり、水の問題、特に大都市、こういうところは大変であります。特に気象によって大いに違ってくる、ですから水資源開発をしなければならない、こういう姿であります。ことしも非常に雪が少ない、御承知のとおりであります。今月に入りまして降雨量がかなりありまして、中部地方では制限をしたりいたしておりましたが、きょうでどうも解除できるようであります。四国はまだなかなかのようであります。  さて、首都圏でありますが、首都圏も大変利根川水系、心配をいたしております。ほぼ前年並みぐらいなところまで貯水量がございますけれども、今電力会社にお願いをして、少し電力の方を制限してもらって湛氷をしておる、こういう状況であります。今からの雨の問題、これを見守らなければなりませんけれども、もう御迷惑がなるべくかからないように短期的にはやりたい、こう思います。長期的にはやはりダムをもっともっと開発していく、このことであろうと思う次第であります。予算、それから地域の方々に御協力をいただいて水源の開発に努力をしてまいりたい、かように存ずる次第であります。
  213. 青木茂

    ○青木茂君 まず、買いかえ特例の原則廃止問題、これについて御質問をしたいと思うわけでございます。  確かに買いかえ特例、売った家より高いものを買っても税金がかからないというので、ビル需要が都心から始まりまして、地価高騰が首都圏それから全国に波及したというこの買いかえ特例の矛盾はわかるんですけれども、先祖伝来のものを父母から相続して三十年以上居住というのには例外が認められて、サラリーマンなんかが孜々営々として働いて得た住居を売って、よりいい家に住みたいという希望はこれでどうもスローダウンしてしまった。そういう意味において、僕はどうもサラリーマンの夢が買いかえ特例廃止で砕かれたと思うんですけれども、これに対して建設省住宅建設促進政策と矛盾するところはないかどうか、まずこの点をちょっと伺いたいんです。
  214. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 今回の居住用財産の買いかえ特例制度につきましては、御指摘の中にもございましたように、地価の高騰が周辺に波及しているその大きな一因になっているという指摘を受けまして今回の改正になったわけでありますが、改正に当たりましても居住の安定確保ということにも配慮がなされております。  新しく改正された案につきましても、三千万円の控除の適用、この場合は、その前に取得価額は事前に控除がなされまして、キャピタルゲインにつきまして三千万円の控除が働き、かつその後におきましても低率分離課税という制度を新たに組み込まれたところであります。このような配慮がなされておりますので、地方におきましては一般 勤労者にとりましては大きな影響はないと考えておりますけれども、大都市におきましても一般勤労者にとりましてはさほど大きな影響は住宅建設促進する観点からもないのではないかと考えておる次第であります。
  215. 青木茂

    ○青木茂君 そうですかね。僕は、二百平米以下ぐらいの小さないわゆる庶民の住宅にはこの制度を残して、大きく買いかえ特例でもうけようとしたのに対してはこれは確かに抑えるというぐらいの思いやりがあってもいいと思うし、それから取得価額というやつは、あれは全部証拠書類そろえて持っていればいいんですけれども、そうでないと買った値段の五%ぐらいに抑え込まれちゃうんですよね。そういう点についてかなり影響があるような気がしますけれども、どうですかね。
  216. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 取得価額の見方にもよるんだろうと思うんですけれども、これがかなり古い時点、親あるいは祖父母から相続あるいは遺贈を受けたような場合ですと、これは三十年以上居住することによりまして例外措置、従来の買いかえ特例制度が使えるわけであります。そうなりますると、最近の比較的近い時点でもし買ったとなりますれば、取得価額もかなりの額に上っているわけですから、そういうことを考えれば、それがまず控除され、さらに三千万円の控除となりますと、一般勤労者の取得する住宅ぐらいですと致命的な影響ということはそれほど考えなくてもよろしいんじゃないかと考えております。
  217. 青木茂

    ○青木茂君 しかし、大都市圏においてはもう何千万という金が大きな金でなくなってきてしまっているわけなんですよね。だからそういう意味におきまして、私はどうも一つの病気を治すために体全体を殺してしまうようなのは余り感心はしていないということです。  それともう一つ、住宅取得税制がございます。これの所得制限の上限が一千万から三千万へ飛躍的にふえましたね。三千万ということになると、所得制限は青天井というのか、制限がないのと一緒なんですけれども、これらが住宅取得促進に対してプラスに働きますか、マイナスに働きますか。
  218. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 今回、住宅取得促進税制のかなり大幅な拡充が図られたわけでありますけれども、これは住宅居住水準向上、こういうことを促進するためにひとつやろうということが一点。それから、内需主導型の経済構造への転換ということで住宅投資の役割が重く見られまして、そういう観点から大幅な拡充が行われたところでありますが、それに伴いまして住宅の規模の上限を二百平方メートルというのを撤廃いたしまして、それとあわせまして所得の上限制限というのを一千万から三千万に広げたところであります。  この一千万を広げたことによりますと、現在住宅投資が行われている金額のうち約一割が所得金額が一千万を超えている方々によって投資されている。六十二年の経済見通しの実績としまして、民間住宅投資十九・四兆ですか、経済企画庁の方で数字を出しておりますけれども、約一割がこの部分。となりますと、ここに何らかのインセンティブを与えるということはかなりの住宅投資の促進になろうか、こういう判断もありまして広げたところであります。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕  なお、御参考までに申し上げますと、外国にも取得促進税制、こういういろいろの制度が、類似のものがございますけれども、外国におきましては所得の上限制限はしておりません。しかしながら、確かに高額所得者に対して無制限にするということはこれは一つの問題でありますので、逆にこの税制を適用するに当たりましては、控除の対象になります限度額、ローン残高、これを二千万円に限定しておりますから、どのように税額控除が大きくなっても年当たり二十万円で打ちどまりになりますので、そういう観点からは一つの配慮がなされていると考えております。
  219. 青木茂

    ○青木茂君 例えば前回の所得税法改正の目玉と言われました配偶者特別控除、あれの所得制限が八百万で消えちゃうんですよね。それに比べますとこの三千万というのは非常に大きいわけなんですね。一方が八百万、他方が三千万。そうすると少し高所得者優遇になり過ぎてしまって、むしろ高所得者がいい家をじゃかじゃか建てる、また土地高騰の第二次の引き金になるというような状況にならないかというような気がしないでもない。しないでもないけれども、これは別に議論をする問題でもないでしょう。しかしながら、これは建設行政だけではないんですけれども、すべて行政というのは、高所得者に対する優遇よりも中堅以下の庶民に対する優遇の方がやはり優先をしなければならないという基本的なプリンシプルというものは、これから何をおやりになるにおいても踏まえていただきたいと思うわけでございます。  それから第三点といたしまして、例の今度の目玉みたいなものだけれども、親孝行ローンというのができましたね。あれは制度そのものは非常に結構だと思いますけれども、ただ、せっかくつくっても金利面で五・一%ですか、これは高いん です。せっかくつくっても、一種の思いやりなんだから、金利を公庫としては一番高いところへ設定するというのは、これは矛盾だと思うんですよね。別にこれを四・数%にしたところでそんなに大きく公庫収入に影響するわけでもないと思いますから、これをとにかく公庫として普通の金利水準に下げるようなことを、今さらしようがないにしても、一体建設省大蔵省に対していちゃもんをつけたのかどうかということなんです。
  220. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公庫の金利につきましては、住宅の今現在規模別に金利を設定しております。住宅建設促進という観点から申し上げれば、規模にかかわりなく低金利が望ましいところでありますけれども、現在厳しい財政状況がありまして、かつ公庫につきましても毎年利子補給が約三千四百四十億円、さらに六十三年度末ではたしか五千億の繰り延べ額が片や計上されているという非常に厳しい状況でございます。そういうことも考えまして規模別金利制というのがとられまして、現在では基準金利口四・五%のものにつきましては、規模が百二十五平方メートルまで、次に四・八%という中間金利口につきましては百五十五平方メートルまでの住宅、それ以上の大型住宅は二百二十平方メートルまででありますが、これは財投並み金利ということで、財政に負担のかからない五・一%という金利を設定しておるのであります。  今回親孝行ローンという制度を創設いたしましたが、これにつきましては、融資を受ける者が自分の住宅以外にもう一つ、親族の居住ということですけれども、もう一つの住宅を手当てするということで、そういうことを勘案しますど、バランスといたしましては大型住宅の金利を一つ参考にせざるを得ない、こういうこともございまして、五・一%というところを設定したわけでございます。
  221. 青木茂

    ○青木茂君 それは規模別で言えばそのとおりなんですけれども、親孝行ローンという、せっかく非常に一種の思いやり的なものを設定したんだから、余り規模別、平米、そういうものにとらわれずに僕は金利面でも思いやりを示すということがどうも本当の行政姿勢じゃないかと思うんですけど、少し何というのかな、理屈に走り過ぎる点があるんじゃないですか。
  222. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 親孝行という倫理観から申し上げますと、これは非常に重要なことであろうと思うんですけれども、現在のまた住宅対策の観点から見ますと、自己の居住の用というのに今第一優先がかかっておりまして、そこに法律上も縛られておりまして、そこで今回親族の居住ということで二番目の住宅まで今度は手を広げたところでございます。住宅対策の面から見ますと、最初に住宅を取得することがまず第一というようなこともございますので、倫理観の方から申し上げれば、これは大いに重要なことでございますけれども、住宅対策のことも兼ね考えまして、総合的判断として五・一をとらしてもらったわけでございます。
  223. 青木茂

    ○青木茂君 むしろ政治そのものに倫理観の面からの施策というものが大変必要なんで、実は日本、これは建設行政だけじゃございませんけれども、全体的にそういうものがないところに私は庶民の、国民の不満というのか、不信というのか、そういうものが集まってくるんじゃないかという気がして仕方がないと思うわけなんです。  もう一つ、庶民感覚からいたしますと、日本の住宅政策というものは少し持ち家建設に走り過ぎまして、低所得者は借家たらざるを得ない面がございますね。そうすると、この借家の問題につきましては、どうも民間の、今度は民間も含めますけれども、民間の賃貸住宅は水準が低いんですよね。はっきり言ってしまえばぼろ家が多いということで、さっき話題が出ましたように、大きな問題をつくっておりますね。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 だから、居住環境が非常に良好であって家賃も適正だ、そういう賃貸住宅建設促進することが私は重要な課題だと思うんですよ。  今度の建設省の新設住宅着工数ですか、これを見ますと非常に高水準ですね。高水準だけれども、借家建設にはウエートが置かれているとは思わないんですよ。なるほど数はふえました。数はふえましたけれども、床面積が少しずつ減っているような感じがあるわけなんですよ。だからそういう意味におきますと、住宅税制というものは少し持ち家政策に偏り過ぎているんじゃないか。この点を反省してみることがこれから必要だ。何か政策のウエートが上へ上へというのか、高所得高所得へ行っちゃって、低所得低所得へ向かわないような感じがいろいろな点で見えるという点、この私どもの疑問に対してはどうなんですかね。
  224. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅対策の進め方につきましては、国民の需要動向、持ち家でありますとかあるいは借し家に対する需要動向、これをしっかりつかまえまして、それに即応して持ち家対策、借家対策を進めていくことはこれは基本の方針だと考えております。  その際、もちろん御指摘にもありましたように、適正な住費負担あるいは居住水準の質も考慮して進めていくということもございますので、現行の第五期の住宅建設五カ年計画におきましては、住宅建設必要戸数中の借家系の割合を第四期の五カ年計画から八・一ポイント高めまして、総量としては三六・七%という数字でもって、その計画に基づきまして現在公営住宅公団住宅等の公共賃貸住宅、それから土地所有者によります良質な民間賃貸住宅の供給、この促進に努めていっているところでございます。
  225. 青木茂

    ○青木茂君 それは非常に結構なんですけれども、最近民間なんかにおきまして、いわゆるワンルームマンションが非常にふえて、一種のこれは節税対策みたいなことで、小さな借家は非常に多いけれども、本当に夫婦子供二人が住めるような借家が少ない。少ないがゆえに家賃が高いというような現象が、これは首都圏だけの問題ではなしにかなりの地方で起きている。だから、借家対策にもう少し重点を置いていただかないと、庶民が安心して住める安定した家というものがなかなか難しいんじゃないか。だから、細かいことはいいですけれども、今まで持ち家政策に偏り過ぎた。これは重要ですよ、持ち家政策もちろん重要だけれども、借家政策というものにより一層のウエートを置いていただきたい。  そして、大臣も、借家というものについて何かひとつ、この点を優遇しよう、夫婦子供二人が住めるような家をできるだけ安く借りられるという点について、この点はひとつやってみようというようなあれはございませんか。
  226. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お説のように、低所得者には公営住宅、それから中堅所得者、サラリーマンには持ち家というのはやはり進めてまいりたいのですけれども、大都市圏では地価の問題で非常に難しいから、公団でできるだけ賃貸住宅を進めていく。そして、値下がりをしっかりやりますが、いつ下がるか、そのときにはまた持ち家ということで御努力いただきたい。  こういうことで、持ち家政策、借家政策ではなしに、実際問題として、地方の都市等では結婚いたしますとやはり別に親と住みたい。しかし、ある程度子供が大きくなったりしてまいりますとまた実家に帰っていくというケースもありますので、賃貸住宅は非常に大事でありますから大いに進めてまいります。しかし、持ち家政策をもうストップしたということではなしに、これも進めていきたい、かように存ずる次第であります。
  227. 青木茂

    ○青木茂君 だんだん値段を下げてくださるそうですから、それはひとつ御期待をしております。  よく思いやり予算という言葉がありまして、あれはとにかく駐留アメリカ軍の負担部分を日本が肩がわりするという意味の思いやり。この問題を論議する場じゃございませんから、それはもういいんですけれども、庶民に対する思いやりというものが政策の各所に出ないといけない。だから私は、庶民というのはやはり年収五百万以下ぐらいの、オールサラリーマンとは申しませんけれども、サラリーマンを中核とする大衆だと思うんですね。これに対する思いやりというものが、どうもこの六十三年度予算を見てみましても目玉がないということにやはり不満を持っておるということをつけ加えたいと思うんですけれども、その基本的な考え方について、大臣どう思われますか。
  228. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お説のとおりであります。  建設省といたしましても、今の住宅の問題で各都道府県からあるいは市町村から公営住宅等の要望も来ておりますが、ほぼ要望のとおりできる予定であります。そういうことで、低所得者の賃貸住宅も大いに進めていこう、こういうことであります。  ただ、先ほどもいろいろ御議論ございましたが、公団で少し家賃の高い、あるいは分譲でちょっと高いのがありまして印象が非常に悪いんですけれども、今後は低所得者、中堅サラリーマン、これを対象に進めていくように指導をしてまいりたいと考えております。
  229. 青木茂

    ○青木茂君 ちょっと問題を転換させますけれども、今非常に大きな問題になっている日本とアメリカの問題ですが、これどうなんですかね。建設市場全体の中でいわゆる公共投資というのか行政投資というのか、そういうものの占める割合はどれぐらいなんでしょうか。
  230. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 六十二年度について建設省が推計いたしているところでは、我が国建設投資は五十八兆六千億円、これは総額でございます。このうち政府投資が二十三兆二千億円、民間投資が三十五兆四千億円ということでございますので、おおむね四割程度が政府投資、こういうことになろうかと思います。
  231. 青木茂

    ○青木茂君 非常に巨大なマーケットは、今の円相場は幾らですかね、一ドル百二十六円でもいいですけれども、それで仮に計算するとどれぐらいになりますか。
  232. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 為替レートが動いていますので、とりあえず私ども例えば百二十五円ということで計算させていただきますと、ただいまの五十八兆六千億円というのは四千六百九十億ドル、こういう数字になろうかと思います。したがいまして、先ほど申しました政府投資でございますけれども、これが千八百六十億ドル、こうなっております。
  233. 青木茂

    ○青木茂君 民間、政府合わせて約五千億ドルの巨大な市場、これはアメリカ側がよだれを流すのはやむを得ないと思うんですよ。  そこで、次に伺いたいのですけれども、日本の建設業、日本の業界がアメリカでどれぐらいの仕事をもらっていますか。
  234. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 我が国建設業者が米国において受注している数字、六十年度、六十一年度を申し上げさせていただきますと、六十年度が二千八百四十億円余り、六十一年度が三千五百九十五億円程度、こういう状況でございます。
  235. 青木茂

    ○青木茂君 逆の場合はどうですか。日本がアメリカにどれぐらい出していますか。
  236. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 私ども建設省で掌握している範囲で申し上げさせていただきますけれども、六十一年度でアメリカの建設業者が日本で受注した額というものは約五百四十億円でございます。ついででございますが、そのうち官公庁発注分は四十六億、こういう数字でつかんでおります。
  237. 青木茂

    ○青木茂君 その差がかなり大きいものだから——私は何もアメリカの国会議員じゃないんだから、アメリカの意向を代弁しようという気は毛頭ございません。ございませんけれども、つまり日本側のいろいろな理屈というものは非常に細かい理屈だけれども、アメリカ側の理屈というのは単なる今の数字の比較でくるわけですよ。これがちょっと平行線的にずれてきているということで、なかなかこれは難しい問題で、まとまりにくい問題だと思うけれども、これをまとめたら日本の外交手腕というのは物すごいものだと思います。  アメリカ側の日本の建設市場への参入の希望というものは、おれはこれだけ日本にマーケットを与えているじゃないか、日本はこれだけしかくれていないじゃないかという単純な数字の問題で、日本の方がアメリカ側を納得させることが果たしてできるんだろうかという疑問は持っていますけれども、大臣どうですか。
  238. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 皆さんにもお答えをいたしましたが、確かに数字的に言いますと、今局長からお答えしたとおりであります。しかし、一つには、ビジネスの問題でいきますと、これがいい悪いは別として、日本の業者というのは非常に熱心でありますけれども、アメリカはそれほどまでにない。これはもう実感であります。もう一点は、確かにアメリカで日本と合弁等で向こうへ投資したところの事業が非常に多い、そういうこともあります。  いずれにしても、円満に解決ができることを望んでおりますし、今そうしたことで努力をしているという状況であります。
  239. 青木茂

    ○青木茂君 おっしゃるとおりだと思います。ただ、日本側の論理というのは、よほど長い時間をかけて説明しなければならない論理である。ところがアメリカの数字の比較というのは、もうぽんとわかる論理なんですよ。そういう意味において、この日米の問題が国際世論でどちらに味方するかということを我々は大変心配をしなければならない。この問題を中心にしてまた日本が国際的な孤児になってしまう。さっき申し上げたように、何もアメリカの議員じゃないんだから、我々は国益を守らなければならない。ただ、その国益を守るのが、国益でなくて本当は何か私益の集合を守ろうとする形になってしまって、本当の意味の国益が世界から拒否されていくというようになりますとゆゆしい事態だ。ここのところを十分お考えをいただきたい。  この問題に対して大臣の御所見を伺って、時間が参りましたから終わりにいたします。
  240. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生がおっしゃるとおりでありまして、そういう面から、日本の今の制度そのものに対しても、プロジェクトを限ってアメリカ企業にも習熟をしてもらって、今後この日本の制度にひとつ入り込んでいただこう、こういうことでありますので、そういうことで努力をいたしております。
  241. 青木茂

    ○青木茂君 よろしくお願いします。  国土庁長官、お呼び立てして何も聞かぬで申しわけございませんでした。  終わります。
  242. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 本日の委嘱審査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  243. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案及び農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。越智建設大臣
  244. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  現行の第九次道路整備五カ年計画は、昭和六十二年度をもつて終了することとなりますが、我が国の道路は、道路交通の進展に比し、その整備のおくれが目立つなど今なお質、量ともに不十分な状況にあります。今後、多極分散型国土形成地域社会活性化等の緊急課題に対応するとともに、国民生活充実を図るなど、国民道路整備への要請に的確にこたえつつ、道路整備の立ちおくれに適切に対応するためには、緊急かつ計画的な道路整備推進する必要があります。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、昭和六十三年度初年度とする道路整備五カ年計画を策定して、道路を緊急かつ計画的に整備することとし、このため、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、昭和六十三年度初年度とする新たな道路整備五カ年計画を策定することといたしました。  第二に、道路整備五カ年計画に合わせて、昭和六十三年度初年度とする奥地等産業開発道路整備計画を策定するため、奥地等産業開発道路整備臨時措置法の有効期限を昭和六十八年三月三十一日まで延長することといたしました。  その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。  次に、ただいま議題となりました特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、昭和四十八年に、三大都市圏の特定の市の市街化区域に所在する農地に対して固定資産税の課税の適正化を図るに際し、これとあわせて、その宅地化を促進するために必要な措置を講ずることを目的として制定されたものであり、特定市街化区域農地の宅地化促進のための事業の施行、資金に関する助成、租税の軽減等をその内容としております。これらの措置の適用期限は、同法のほか、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法、租税特別措置法及び地方税法により、当初、それぞれ昭和五十年度までとされておりましたが、各法の一部改正により現在は、昭和六十二年度まで延長されております。  しかしながら、特定市街化区域農地の宅地化の動向及び今後の三大都市圏における宅地需要を考えますと、昭和六十三年度以降においてもこれらの措置を引き続き適用し、特定市街化区域農地の宅地化の促進を図ることが必要であると考えられるのであります。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  前述のとおり、特定市街化区域農地固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法に基づく措置につきましては、同法のほか、他の法律によりそれぞれの適用期限が定められておりますが、この法律案におきましては、同法の附則において適用期限が定められている土地区画整理事業の施行の要請及び住宅金融公庫の貸付金利の特例措置につきまして、その期限をそれぞれ三カ年延長し、昭和六十六年三月三十一日までとするとともに、住宅金融公庫の貸付金利の特例措置に係る金利について現行の法定金利を上限として政令に委任することとしております。  なお、前述の他の法律により適用期限が昭和六十二年度までとされている措置につきましては、別途今国会に提案されているそれぞれの法律の改正案において、その適用期限を三カ年延長することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、農地の所有者等による居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに、市街化区域の水田を主とした農地の宅地化に資することを目的として、昭和四十六年に制定されたものであります。  この臨時措置法の適用期限は、当初昭和五十年度までとされておりましたが、過去四回の改正により、現在は昭和六十二年度まで延長されております。  これまで、この臨時措置法により、農協資金等を積極的に活用した農地所有者等による賃貸住宅の供給が行われてまいりましたが、三大都市圏など都市地域においては、良質な賃貸住宅の供給の促進を図ることがなお大きな課題であり、この臨時措置法は、今後とも住宅政策上重要な役割を有しておりますので、その適用期限の延長を図る必要があると考えております。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次にその要旨を申し上げます。  この法律案におきましては、農地の所有者がその農地を転用して行う賃貸住宅建設等に要する資金の融通について、政府が利子補給金を支給する旨の契約を結ぶことができる期限を三カ年延長し、昭和六十六年三月三十一日までとするとともに、昭和六十六年三月三十一日において現に賃貸住宅建設するために宅地造成に関する工事が行われている土地に建設される賃貸住宅に係る融資につきましては、その期限を昭和六十八年三月三十一日まで延長することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  245. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会