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1988-03-30 第112回国会 参議院 環境特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十日(水曜日)    午後三時十分開会     ─────────────    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     佐藤 昭夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松尾 官平君     理 事                 石井 道子君                 曽根田郁夫君                 田渕 勲二君                 高桑 栄松君     委 員                 青木 幹雄君                 石本  茂君                 梶木 又三君                 佐藤謙一郎君                 関口 恵造君                 原 文兵衛君                 宮崎 秀樹君                 柳川 覺治君                 粕谷 照美君                 安永 英雄君                 渡辺 四郎君                 広中和歌子君                 沓脱タケ子君                 佐藤 昭夫君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  堀内 俊夫君    政府委員        公害等調整委員        会事務局長    稲橋 一正君        環境庁長官官房        長        安原  正君        環境庁長官官房        会計課長     窪川  功君        環境庁企画調整        局長       森  幸男君        環境庁企画調整        局環境保健部長  目黒 克己君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君    説明員        文部大臣官房文        教施設部計画課        長        西口 千秋君        文部省高等教育        局医学教育課長  佐藤 國雄君        運輸省貨物流通        局陸上貨物課長  小幡 政人君        建設省道路局道        路環境対策室長  松浦  仡君        自治省税務局府        県税課長     小坂紀一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管公害等調整委員会環境庁))     ─────────────
  2. 松尾官平

    委員長松尾官平君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。堀内環境庁長官
  3. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) ただいま議題となりました公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  公害健康被害補償制度につきましては、昨年の制度改正により、ぜんそく等の疾病の補償対象地域である第一種地域指定を本年三月一日をもってすべて解除し、指定解除前に認定を受けた既被認定者については、従来どおり補償給付支給等を行うとともに、今後は、大気汚染の影響による健康被害を予防するための健康被害予防事業の実施等総合的な環境保健施策を積極的に推進することとしています。  今回の改正は、昨年の制度改正を踏まえ、健康被害予防事業を安定的かつ確実に行い、また、既被認定者に係る補償費用財源を確保するために、所要の改正を行うものであります。  次に、法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、政府から公害健康被害補償予防協会に対し出資を行うことであります。  昨年の制度改正を受けて、新たに実施することになりました健康被害予防事業財源については、公害健康被害補償予防協会基金を設け、その運用益によって賄うこととしております。  この基金については、大気汚染原因者等からの拠出金のほか、政府から出資された金額を充てることとしており、このために必要な規定の整備を行うものであります。  政府出資額は、昭和六十三年度において一億八千百万円とされております。  第二は、自動車重量税からの財源措置を引き続き延長することであります。  補償給付支給等に要する費用のうち二割分については、自動車に係る分として、制度発足以来、自動車重量税収入見込み額の一部に相当する金額を充ててきたところでありますが、この措置昭和六十二年度までの措置とされております。  既被認定者に関しては従来どおり補償を行うこととしているため、補償費用のうち自動車に係る分については、昭和六十七年度までの五カ年間、政府は、引き続き、自動車重量税収入見込み額の一部に相当する金額公害健康被害補償予防協会に対して交付することとするものであります。  この法律案施行期日は、昭和六十三年四月一日としております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 松尾官平

    委員長松尾官平君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 まず、長官お尋ねをしたいと思うんですが、去る二月二十九日、本委員会でも問題になっておりました水俣病裁判について最高裁判決が出されました。私は百九国会で六十二年八月十九日に前の長官にも水俣病問題についての救済を特に実はお願いを申し上げておったところです。と申し上げますのが、日本の三大公害一つというふうに言われてまいりましたが、もう既に二つの公害問題は大変な努力によって片づいておりますけれども水俣病関係だけがいまだに残っておる。特に今度の最高裁判決を見てみまし ても、いわゆる胎児に対する公害の問題とか、いわゆる人間の生命の問題、あるいは期限的な時効の問題なんかについても新たな判示が示されたわけです。そういう点等もありますし、そして今度の判決文にもありますが、最高裁が未曾有の公害事犯だということで御指摘をしておりますように、国、県あるいは加害企業についてかなり厳しい実は最高裁指摘もあるわけです。  そういう関係部分で、実は六十二年の三月に第三次訴訟として起こしておりました熊本地裁で、実は裁判の方では公害患者認定をした。ところが、その部分について行政の方でいろいろと審査をいたしまして、裁判認定された部分が却下になるというようなことでやりとりばっかりやっておりました。私が調べた数字を申し上げましたが、六十二年六月三十日現在で、熊本鹿児島県内だけでも認定患者は二千百六十五名、うち亡くなった方が八百、棄却が七千七百七名、保留が千三十七名で、未審査が四千百六十三名に上っておる。合計で一万五千七十二名で、亡くなった方が千三百十二名このうちにおるわけです。  そういう部分で、先ほどから申し上げましたように、熊本地裁で少なくとも司法公害公害病という認定をした患者方たちについては――特にあの熊本、御承知のとおり離島がたくさんあるもんですから、いろいろ治療を受けたいといっても、例えばはり、きゅう、マッサージあるいはあんま、そういう関係部分治療が非常に多くて、どうしても患者そのもの病院に出てこなければ治療が受けられない。とてもたくさんな交通費がかかる、そのために生活費を圧迫するから治療にも行けない、こういう点も実は声としてありましたから申し上げておったんです。  そういう中でいわゆる未処分者の四千四百五十四名の中の千九百八十一名が再申請をその当時しておったわけですから、その再申請部分について早くひとつ行政としての決定を下してもらいたい、こういう実はお願いを申し上げておったところです。ですから、冒頭申し上げましたが、去年の熊本地裁判決、そしてことしの二月の最高裁判決、同じ水俣病です、一貫の流れがありました。このくらいはっきりした公害病というのはないわけですから、そこらについてもうここでぜひ私は当面の措置と、それから長官にぜひお願いしたいのは、もう水俣病関係部分については長官の手でひとつ全面解決をするように御努力お願いを申し上げたいということについて御所見をお伺いしたいと思います。
  6. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 先に先生指摘の細かな部分についてまずお答えを申し上げます。  この三次訴訟判決水俣病認定された原告処分状況等でございますけれども先生指摘のように六十二年三月三十日の三次訴訟判決の後におきましては、原告に対します処分状況は、認定された人はございません、棄却された人が七人でございます。また、棄却されました七人はすべて特別医療事業該当者となっているのでございまして、そのうち六人につきましては特別医療事業を受けているのでございます。  これはもう先生承知のように、この特別医療事業と申しますのは、これは今先生の御指摘の範囲内のこの水俣病ではないとはっきりわかって棄却はされているけれども、なお病状が、類似のと申しましょうか、症状が一定要件のある者に対して医療費自己負担分について出すといったような形のものでございまして、今の先生お答えに当たるかどうかわかりませんが、少なくとも棄却された者の中で要件に該当する者についてはこのような状況でございます。  それから、この裁判との、司法との関係の問題でございますが、この判決が確定をいたしました者は除きまして、現在係争中の者につきましては、やはりこの裁判の結果と、それから私ども認定の結果とが必ずしも一致しない者があるのは先生承知のとおりでございます。しかしながら、この点につきましては、行政の方は、やはり医学を基礎としてという再々申し上げております観点からこの審査会審査をいたしまして、その審査の結果によってこの認定をいたしているものでございます。したがいまして、この係争中の者につきましては私どもは今の形で認定審査を継続してまいりたい、このように思っているところでございます。また、確定された者につきましては、またあの当時お答え申し上げましたように、現在検討中の者が若干名あることは事実でございます。
  7. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) ただいま裁判の話出ましたけれども環境庁としては当事者でもありませんので、これに対してコメントする立場にはございません。ただ、水俣病環境行政の原点だと私は認識しております。そのために、先ほど先生がお述べになりました問題、できるだけ早い機会に、まだ認定のされていない中途の人が千名近くおられますので、この業務の推進に対しては県と国とが一体になってできるだけ早くするようにということを指示しているところでございます。  御承知のように、水俣病こそ、これがあって初めて環境庁というものができたわけでございますから、私どもはこれの解決のためには今後とも一層努力をいたします。
  8. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 大臣の決意はぜひともお願いをしたいというふうに思います。  ちょっと政府の方にお尋ねしておきますが、認定患者は同ぼで、それについての処分状況をちょっと教えてください。
  9. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 六十三年二月末現在の認定患者等を申し上げますと、認定患者は二千八百七十八名でございます。それから、未処分で残っておりますのが四千七百四十五名でございます。そのうち再申請以上となっておりますのが二千百九十四名でございまして、現在のところ私ども認定促進のために六十一年度から月間二百五十人の検診と、それから二百人の審査体制整備等を行っておりますところでございますので、数字が急速に毎月動いているといったような状況でございます。
  10. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 じゃ、この問題はこれで終わりますが、長官もう御答弁は結構ですけれども、この水俣の場合は患者が亡くなって死体解剖した後から公害患者だったという認定が出ておるわけです、過去の例からも。ですから、患者皆さんがこの間私どもに言ってみえましたときに、多くの先生方にもお配りしたと思うんですけれども、三十二年の歳月は長過ぎる。それで、ずっとやはりその間、国が認定してからもう既に八年を経過をしたではないか、生きておるうちにひとつ何とか早く出してもらいたいというのが患者皆さん方の要求なんです。ですから、今の部長の方がおっしゃったようですから、ぜひひとつ審査の方も馬力を入れて、そしてやっぱり急いでいただきたい、これは最後お願いをしておきたいと思います。  それから次に、ちょっと時間を制約をされたものですから質問を少し変えていきたいと思います。  文部省に来ていただいておりますから、ちょっとお尋ねをしますが、環境行政と大いに関係があるものですから。一つは、三月二十五日の日に、私の方の社会党土井委員長出席をいたしましたが、「社会党に政策を提言する会」の皆さん、たくさんの人が全国からお見えになりまして、いろいろとアスベスト問題について大変な実は提言をいただいたわけです。それで、私も一人で参加をしておりましたが、その中で東京大学の問題が問題として提起をされました。文部省はこれを御存じかどうか、まずお聞きをしたいと思います。
  11. 西口千秋

    説明員西口千秋君) 先生ただいま御指摘いただいた事柄は、多分東大教養学部の第三体育館解体工事についてではないかと思いますが、実はこの建物昭和三十年代の初めに建てましたコンクリートブロック造平家建て柔剣道場でございます。経年で傷みも激しいものですから、取り壊しを行うということになりまして、古い図面、仕様書等を見まして、いわゆる吹きつけ石綿につきましてはないという確認がとれたわけでございますが、それ以外の仕上げ材アスベストが まざっているかどうかということが判明できないまま工事を発注したわけでございます。それで、解体工事の途中で天井仕上げ材アスベストが含まれておるということがわかりましたものですから、早速その時点工事を中止いたしまして、その後工法検討しまして、取り壊しを改めて進めていくということになっております。
  12. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そういう事実関係を知っておればあれですが、一つ抜けておりますのは、体育館の問題が最初じゃなかったわけでしょう。東京大学地震研究所の問題が最初に発端として起こりました。学内で問題になりました。環境安全委員会学内で設置をされまして、そして、この地震研究所の問題についていわゆる余りにずさんな撤去作業が行われておるというようなことで問題になりました。最終的にはこれは学校の方と学内関係皆さん協議の結果、最後はきれいに整地をされた部分まで検査をしてこの問題については片づいたわけです。これは六十二年の八月の問題なんです。  そういう事件が起きておりながら、今お話があったのはことしの二月二十二日のことです。ですから、建物天井にいわゆる石綿板が使われておるというようなことで、いわゆる地震研究所の問題やそういう問題を起こしておきながら、これも学内から問題が提起をされて、付近には保育所もあるわけです。そういう保育所関係方々、あるいは学生教職員皆さん方から指摘をされて初めて実はまたこの問題について取り組んだ。そして、今の工事を中止したというふうに言われておりますが、取り崩しておったそのアスベストの取り崩した部分については今どうされておられますか。
  13. 西口千秋

    説明員西口千秋君) まず、この工事につきましては昨年の九月に発注をしておったわけですが、実は代替施設である新しい体育館の完成を待って取り壊しをするということで、今まで取り壊し工事そのものがおくれておったわけでございます。それで、現在そのアスベストが含まれている天井材があったという時点で立入禁止の措置をしまして、全部シートをかけて静観している状態にしております。
  14. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 時間がないから急ぐようですけれども、このアスベスト問題を含めて環境問題も非常に難しい問題ですけれども、生産を許可するのは通産省だ、使うのは建設省関係で主に使っておる、そして取り崩しの場合は労働省関係が非常に労働者の安全のために関与する。取り崩した材料が放置をされれば風と一緒に空気にまざって環境庁所管になってくるというようなことで、非常に行政の中でも多岐にわたった実は問題なんです。ところが今おっしゃったように、取り崩して今置いてある部分についてシートか何かかぶせて現在置いてある。これは環境庁、そういうことで対応できますか、アスベストの外した部分を。そういう指導はしてないんですよ、労働省も。アスベスト取り扱いについては非常に厳しい実は取り扱いをして、労働省は今度、その二十五日の会議段階でも言いましたけれども、非常に厳しい措置をとっておるわけです。ですから、私が申し上げたいのは、東京大学というのは国立大学です。環境庁なり厚生省なり労働省が一生懸命になって労働者のいわゆる公害防止のためあるいは大気汚染防止のために民間皆さんを含めて一生懸命お願いをしておるという中で、文部省の直轄の国立大学がこういうずさんな撤去方法でやっていくということになりますと、非常にコストがかかるわけでしょう、あの撤去作業というのは。東大だけでも十万平方メートルあると言われておるわけです。コストがかかればやっぱり金をたくさん見なきゃいけない。今度の撤去作業だって、業者皆さんには全然注意はなかったという話じゃないですか。そういうことが今の労働省なり厚生省なり環境庁行政指導の中で許されていいのか。そこをやっぱり国の仕事としてやっておるものですから、まずもって範を示してもらわなければいけないという立場から私はきょう申し上げておるわけです。  ですから、今ある、覆いをかぶせて置いてありますアスベストのたまった部分、天気がよくて風が吹いたらどうしますか。あおられますよ。ガラスのくずが飛んで回ります。環境問題としてまた汚染が広がっていくでしょう。早急にこれは手当てをして、学内とも協議をして措置をすべきだ。中止はさせておりますけれども、そのまま放置されていることについて問題があるわけですから、ぜひひとつお願いしたいと思います。
  15. 西口千秋

    説明員西口千秋君) 先生お話はまことにごもっともなことだと存じております。私どももできるだけ早急に工事を再開するような形の中で、汚染の危惧のないような形の処理をしてまいりたいというふうに考えております。
  16. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 早急にと言いますけれども工事を中止して何日たちますか。いまだに放置されておるわけじゃないですか。そこがやっぱり一番問題があるというふうに私は言っておるわけです。これは直ちに撤去方法についてもぜひひとつお願いしたいと思います。
  17. 西口千秋

    説明員西口千秋君) これは確かに先生がおっしゃるように非常に大変な問題でございますので、学内環境安全センター東京大学施設部といろいろ協議をいたしまして、工法その他について三月九日にようやく合意ができたわけでございます。この後、問題は教養学部で、工事を再開するということについて教養学部との調整を図っておるところでございますが、できるだけ早急に再開するというふうに努力していきたいと思っております。
  18. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 もう申し上げませんが、大学自身予算が余りないようですから、文部省から予算をつけてでも安全な方法撤去してもらうように、労働省が出しましたのは、アスベストの吹きつけも、これはもう全面禁止という方向で労働省指導しておるわけですから、そういう各省の公害に対する対応は、少なくともやはり文部省ですから率先垂範してやっていただかなければいけないとお願いを申し上げておきたいと思うんです。  それからもう一つありました。新潟の国立大学附属病院問題。これは端的に申し上げますが、大学病院駐車場に今まで無料で駐車しておったのを、ことしの四月四日から有料駐車場にする。私も社会労働委員の一人ですけれども、今までの厚生省との例えば医療費改定問題を含めていろいろやりとりをする中では、いわゆる診療報酬以外の負担については一切取らないようにします、こういうのが診療報酬改定段階での議論の中心になるわけです。国会でもそういう確認をしておるわけです。ところが、附属病院駐車場有料にする。その理由が何かというと、いろいろ理由は書かれておりますけれども一つは、あそこは学生もたくさんおりますし、一般の方も預けるというようなことですから、例えば患者皆さんであれば証明書を出すとかなんとかすれば片づくわけです。  申し上げたいのは、もしもこういうことを許せば民間の開業医に直ちに影響していくわけです。そうしますと、今度だって、また医療費改定問題が出ております。歯科医療の問題だって、間もなく上げるというふうに言っているわけでしょう。それでなくても国民の医療費負担というのはふえておるわけです。それに診療費以外に駐車場なんかで負担金患者から取るということは許せないものですから、ぜひひとつ文部省指導新潟大学附属病院に対して再検討を求めるように指示をしていただきたいと思うんです。
  19. 佐藤國雄

    説明員佐藤國雄君) 先生指摘新潟大学附属病院でございますけれども新潟大学病院の方から私どもが聞いているところによりますと、構内の安全管理患者サービスの向上を図りたいということで、車を利用する方が患者さんだけならばいいんですけれども教職員、大学院の学生、それから衛生材料薬品等を持ち込む業者方々、そういう方々がおいでになりますし、また救急車やあるいは緊急な場合の公用の車等が入るためにいろいろと問題が出てきた。特に病院が市街地にございまして、先生指摘のように病院に 無関係な方の無断駐車がふえてまいりまして来院者駐車場の確保が困難になるということで病院本来の機能が果たせなくなってきてしまった。  こんなようなことから、従来から病院としてはバスなどの公共の交通機関をぜひともお使いいただきたいということでお願いをしてきたわけでございますけれども、今回お知らせという形で学内外の御理解を得ながら車の整理に要する最低限の費用をちょうだいいたしまして、それを整理費用として充てていく、こんなようなことを考えておるわけでございます。患者さんにつきましては、そういうことでございますので、三十分間については無料とさせていただいて、それ以後、ほかの方々については累進的に上がるんですけれども、それを上げないで一定の料金をちょうだいするということだけで御協力をぜひともお願いしたい、こういう形で言ってきております。  先生のきょうの御趣旨大学側に伝えてまいりたい、こう思っております。
  20. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 患者の方について三十分以内は確かに無料ということになっております。課長も一回行かれてみたらいいと思うんです。例えば今大学病院に入院をしようと思ったら、私も大変無理してお願いしておるんですけれども、なかなかCTの検査が受けられぬのですよ、たくさんつかえておって。大学病院に入院しようと思ったら、一週間ぐらい前からお願いをしないと入れないような状態なんです。診療だって、ずっと待合室で待たなければ診療は回ってこぬわけです、三十分は無料といいますけれども。  それじゃお聞きします。患者さんだけ無料にしたらどうですか。そういう指導をぜひともひとつしてください。
  21. 佐藤國雄

    説明員佐藤國雄君) これはなかなか難しい問題でございまして、たまたま市街地にあるためにそういう困難が出てきた病院がたくさんございまして、検討はさせていただきたいと思いますけれども、やはり場所というのが一つ重要な要素になってきているということも御理解をいただきたい、こう思っております。
  22. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ぜひひとつ大学の方にも連絡していただきたい。  それじゃ、本題に入っていきます。昨年のこの委員会で大変問題になりましたように、非常に長い時間審議をいたしまして、結果的には公害健康被害補償法がことしの二月いっぱいで切れまして、三月一日から新たな法律に改定になったわけです。それをとやかく、法律が通った後ですから申し上げるつもりはありません。  そこで、今度の、今の制度上から見た場合には、日本列島全体にはいわゆる大気汚染による公害地域はない、制度上から見れば。そして今後は一人も公害の新しい患者は発生しない、こういうふうに実はなったんです。ですから、長官お尋ねしたいのは、日本の大気汚染は本当に解消されたんだ、本当に日本列島全体に大気汚染はないんだというふうにお考えなのかどうか。制度から見ればそうなっておるものですから、長官にひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  23. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 大気汚染状況についてのお尋ねでございますので、私の方でその状況について御説明申し上げたいと思っています。  今先生御案内のとおりでございますが、特に二酸化窒素にかかわります環境基準の達成状況でございますけれども、六十一年度におきます全国の達成状況でございますが、全国での非達成局、いわゆる日平均値の年間九八%値が環境基準でございます〇・〇六PPmを超えている測定局という全国の非達成局は、全国的に見ました場合には一般測定局で三十四局二・六%、それから自動車排出ガス測定局におきましては七十局二四・八%の局が環境基準未達成の局でございます。そのうちに東京、神奈川、大阪などのいわゆる総量規制三地域におきます非達成局の割合が、一般環境測定局、自動車排出ガス測定局それぞれにおきまして、先ほど申し上げました三十四のうちに二十九局あるいは七十局のうちの五十二局がいわゆるその三大都市に集中しておるところでございまして、大都市地域におきまして非達成局が残されている状況にございます。  そういう面では二酸化窒素につきましても日本全国、環境基準を達成している状況ではなくて、私どもそういう面では大気汚染状況が完全にきれいになっているというぐあいに思っていないところでございまして、そういう面で今後とも環境基準達成のために精いっぱいの努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  24. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ですから、長官に僕はお聞きしたかったわけです。制度上というのは実は、制度上から見ればそういうことになっておりますよと、しかし、現実は今おっしゃったような状況があって、まだまだたくさんのやっぱり公害がある。特に排ガス問題を中心に現在もやっぱり問題になっておる。そういうことについてはお互いに私は意見の一致はすると思うんです、事実認識については。  ここを押さえてちょっと今からお聞きをしていきたいと思うんです。では環境庁の方にお尋ねしますが、昨年の十一月三十日現在で認定患者数が十万一千百四十三名というふうに委員会でお聞きをしたと思っておりますが、その数字は間違いなかったですか。
  25. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) ほぼそのとおりでございます。もう少し詳しく申し上げますと、六十三年の二月末現在の患者数、申請者数等々含めた全体的なことを申し上げますと、十一月末までのものにつきましては私ども詳細なものを持っているのでございまして、先回もちょっとお答え申し上げましたけれども、六十二年の四月から十一月ぐらいまでは大体ほぼ平年並みの状況申請者数が来ているところでございます。  それから、その後急速に伸びてきているということで一部新聞報道等、あるいは私ども部分的な地方自治体等から非常にふえているということは聞いておるのでございますが、少なくとも申請者数については今集計中でございますが、かなりの数がふえているというふうに聞いております。  また、お尋ね申請者だけではなくて、認定者についてでございますが、御承知のように六十一年度まではほぼこの認定者は大体九千人程度の者が認定を受けておりまして、そして新規に認定を受ける者が九千人程度の者が大体毎年ずっときておりまして、ほぼ六千人前後の者が制度から離脱をしていくといったような状況にあるのでございます。  それから、六十一年度について正確に申し上げますと、認定患者の現在の数が九万八千六百九十四名でございまして、六十二年度の十一月末現在でございますとそれが十万一千百四十三名、こういうような状況になっているのでございます。
  26. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私は一番最後のやつを十万一千百四十三名じゃないですかというふうに聞きました。一番最後数字がそれです。  ですから、今局長の方から先に回答がありましたけれども、なぜ私はここをお尋ねするかというとこれから後の予防事業関係財源との関係があるのです。そうしますと、これもたしか去年委員会かあるいは部屋でお聞きしたんですが、一人当たりの患者さんに対して年間、私の記憶では大体九十万前後ではないかというふうにお聞きをしておったわけですが、間違いありませんか。
  27. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 約百万円というふうに私ども承知をいたしております。もちろん個人差はございます。
  28. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 そうしますと、先ほど述べられたわけですが、二月末に急激に申請者が増加をしたというのがたくさん新聞にも出ておりますが、例えば、私は福岡の出身でありますが、福岡の大牟田市では今までの月平均の三十五倍から四十倍の患者の方の申請が出たわけですね。七百三十人以上から二月の月だけで申請が出ておる。それから北九州市でも、従来の例から見れば五、六倍の二百五十六人が新たに申請をしたという数字の報道があったわけです。そうしますと、四十数地域指定地域内で相当数の新たな申請者があった。し かし、この未申請者についてはなぜ申請をしないのかということについては、前の委員会の中でも各先生方からお話がありました。やはり就職の関係とか入学の関係あるいは結婚の関係とかがあって、悪くてもなかなか申請をしないでおるというお話もたくさんありましたが、やはりここで法律が切れるということになったものですから、一挙に申請が出たと思うんです。しかし、おおよそ認定患者がどのくらいになるかということをつかまなければこれから先の事業計画は非常に難しいんじゃないかという私は気がするわけです。いわゆる一人当たり年間百万円認定患者に対しては必要になってくるわけです。十三万人になった場合には百万であれば千三百億要るわけですね。十万人であった場合には一千億でいいわけです。そうしますと、今の法案で提起をされております日切れ法案の方の重量税の問題もありますし、国からの部分もありますけれども、その部分であの八対二という相対的な基金、この部分から五百億の基金を積んでいって、後の事業を計画をしていこうというのが去年提起をされた内容だったわけです。そうしますと、この患者の確定数字をおおよそつかまなければ事業計画が非常に困難を来すのではないか。  これは何でそういうことを申し上げるかといいますと、いわゆる協会が予防事業の計画を受け付けて環境庁の方に計画の認定を求めてくる。そこでの事業費の範囲をどこで決定することになるか、患者数が確定しない段階では困難ではないか。ですから、本当を言えば、一月で締め切って、それから一年経過をした後患者数は一体どうなったか、そこを見て後の予防事業計画を含めてすれば、こういう問題は起こらなかったんじゃないかと思うんです。そこらについてお考えを聞きたいと思うんです。
  29. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 基金のことの前に、予防事業の二十五億の計画ということについて申し上げますと、これにつきましてはほぼ現在の四十一指定地域状況等を見まして、むしろこの地域に住んでおられます住民全体の対応ということでこの予防事業を計画をいたしておるところでございまして、私どもほぼ十分という感じを持っておるのでございます。  ただ、先生指摘のこの賦課金の方につきましては、これはやはり私ども十分にこの予測をいたしながらこの六十三年度予算を組んでいるところでございます。これは当然のことであります。  また、先ほど御説明申し上げましたように、新規患者が九千人ずつ出ておりまして、そして六千人ぐらいずつ離脱をしているという状況でございまして、差し引き三千人分ぐらいが毎年増をしている、こういう状況であることを先ほど御説明申し上げたわけであります。それに対して、私どもも、ここで制度が打ち切りになる、また本委員会でもいろいろ御指摘いただいたように、私どももこの周知、広報を徹底をいたしましたために、一月、二月におきましては非常に申請者数がふえてきている、こういう現状にあるわけでございますけれども、私ども現在の考え方で予算を組んで十分であろうというふうに今のところは考えておるのでございます。  いずれにいたしましても、そういう点を勘案いたしまして、二月の末までにこの集計値をもちまして私ども検討してまいりたいと思っておるところでございますが、いずれにいたしましても予防事業の二十五億につきましては、私どもるる前回も御説明申し上げましたとおり、この四十一指定地域及びそれに準ずる地域において人口等を考えまして私どもはこの額でやれる、十分であるというように考えたわけでございます。
  30. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私、二十五億の事業の内容をとやかく申し上げたわけじゃなくて、いわゆる基金の五百億の利ざやとして二十五億を見込んだわけですね。この五百億の基金そのものが果たして目標どおりにいけるかどうか。試算として出たのが、去年は、第一案として出ておりましたのが、今おっしゃったように患者数が従来と同じレベルで、率として六%程度減少していくというのが一つ。それから、給付水準は毎年二%の率で上がっていくというようなことで、これで年間八百九十億程度であるから六十八年度からはいけるんだと、いわゆる基金の積み上がりの年度、五百億の。そうすると、二案の方がそうでなくて、これはいわゆるもう少し厳しく見た場合には七十年度までかかりますと。こういうふうな基金の積み上がり年度を示したでしょう。  私は、患者の数がふえていけばこの基金の積み上がり年度に狂いがないか。私の質問わからぬかもしれませんけれども、一人百万円かかるというんであれば、十万人おったのが例えば十三万人になった、あるいは十二万人になったといった場合には、当然補償費そのものはかかるわけですから、そうすれば基金に狂いがきはしないか。そうすると六年とか八年といったのを最初から見直す必要がありはしないか。それはきょうの日切れ法案との関連があるものですから、その関係お尋ねするんです。
  31. 森幸男

    政府委員(森幸男君) この点につきましては私の方からお答え申し上げたいと思いますが、この健康被害予防事業を実施するための基金は、先生も今お話しございましたように、大体六年から八年ぐらいかけて、これは推計の前提の置き方にもよりますけれども、そのくらいの期間をかけて総額五百億の規模に積み上げるということにいたしているわけでございます。  そこで、基金の積み上げの仕方でございますが、これは先生承知かと思いますが、この指定地域の解除の年度でございます今年度、昭和六十二年度の補償給付等の予算額を基準といたしまして、その後の各年度の補償給付金等の予算額との差額相当額を積み立てていく、要するに少なくなっていく差額分を積み立てていく、こういう仕組みになっているわけでございます。  そこで、今先生の御指摘認定患者数の動向ということがこれにどう影響するかということでございますが、認定患者数がふえますと、この補償給付等に影響を与えるということになるわけでございます。したがいまして、現在、基金の積み上がりの推計をいたしておる際に見込んでおります以上にこの認定患者数が増加するということになりますれば、基金積み上がりの計画に影響が生ずるということは考えられるわけでございます。  先ほど部長から申し上げましたように、本年二月末までの患者認定申請者数につきましては増加の傾向にあるというふうには聞いておりますけれども、現在、最終的にどのような数字になるかということは確定をしておりませんので、その具体的な影響の程度ということは、今の段階ではまだ把握し切れないところでございますが、認定患者数がある程度増加するということは、この基金の積み上がりの推計におきましてもある程度見込んでいたということもございまして、いずれにいたしましても基金をおおむね六年から八年で積み上げるというこれまで申し上げてまいりました見通しというのは、今先生お話もございましたが、そう大きく変わることはないのではないかと考えております。  なお、この認定患者数の動向ということとは別に、六十三年度から先ほどのような毎年二十五億円の事業費というものはこれは確保してまいりたい、かように考えております。
  32. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 私、今少しはわかりましたけれども、何かやっぱり基金を積んでいく中での問題として、結局八対二で徴収した金を協会に持っていくわけでしょう。結局この中から、今お話のありましたような差額を積んでいって五百億の基金を積むんだと、それで事業としてはこの利ざやの二十五億でやっていくんだと。ですから、個々の結局認定患者に対する補償費用がふえていけば、こちらに回る金の方が少なくなってくる。原則はそうですよ。認定患者の補償を削って基金の方に回すということは、これは絶対ないですよね。まず、それを聞いておきたいと思います。
  33. 森幸男

    政府委員(森幸男君) それは仰せのとおりでございます。  ですから、今先生お話しのとおり、例えば認定 患者数がふえた分だけその差額が少なくなるわけでございますから、そういう意味ではその基金の積み上がりに影響が、そういう意味での影響はあろうかと思います。
  34. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 補足をいたしますと、先生指摘の仮に二十五億基金の積み上がりで、先ほど局長からも御説明申し上げましたけれども、足りないような場合には借り入れをする等の措置を講じまして、私どもの方に二十五億は必ず毎年確保していく、こういう前提のもとに私ども申し上げているのでございます。  ちなみに二月末をもちまして患者数がマキシマムになるのは事実でございますが、それ以後は毎年、先ほど申し上げましたような形でいくとすれば、毎年この六千人ずつ離脱が出ていくわけでございますので、二月末をピークといたしまして、それ以後は毎年六千人ずつ減っていく、こういう考え方をいたしているところでございます。
  35. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 その数は、従来から九千人新規の認定患者が出ましたと、六千人が治癒なり亡くなったりして外れていく、だから新規の増は三千だというのはよく承知の上で、今申し上げましたように二月の末で集中的にふえましたから、そういう関係で私はこの全体的な計画が六年とか八年といったのが狂ってくるんじゃないかというふうに申し上げたわけです。  ですから、もう一回念を押してお聞きをしておきますが、例えば予防事業の方の金が不足をする、不足をするというのは借り入れしなければ不足をする、しかしやっぱり原則は、公害患者の既に認定されております、あるいは新たに認定される人がおるでしょう、二月末まで受け付けした中で、その方たちの補償、被害者補償にはもう一切、いわゆる削減をしたりそういうことは一切ないということはお約束できますね。
  36. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 先生指摘の点につきましては、従来からいろいろ御指摘いただいておる点でございます。少なくとも私どもが意図的に厳しく切っていくというようなことは私ども考えておりませんで、従来とも公正に審査をし、認定をしてまいりたい。認定と申しますのは認定の更新、こういう意味でございますけれども、三年ごとに切れてまいりますので、その辺のところは十分私ども公正に行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  37. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ぜひひとつお願いしておきたいと思います。  これはなぜかといいますと、東京の江東区で、去年も問題になったかもしれませんが、三級の認定を受けた患者の方が、ひどいということで、そして異議の申し立てをし、二級に認定がえになったわけですね。その後の医者の診断も、病状はやっぱり進行しておるという診断が出ておるのに、ことしまた、何の理由か知りませんけれども、三級に落とされた。こういう事実があるわけですね。ですから、勘ぐって言いますと、患者の補償費そのものを削減をするということで、そういう指導があるいはされておるんじゃないかというふうに地域ではそういうやっぱり疑ったお話もあるもんですから、だから私は念を押して実はお聞きをしたわけですが、そういうことは一切ないということははっきりしました。  問題はやっぱり、これからぜひ私はこの二つについては環境庁の方も指導していただきたいと思うんですけれども地域審査会、この中に、いわゆるこれは発生源企業の負担という補償ですから、非常に民事的な問題ですから、もう少しやっぱり弁護士さんとかそういう方たちをこの審査会の十五人の中に入れていただいて運用していただいた方が、よりそういう疑ったやりとりとか考え方というのは出てこないんじゃないか。やはり地方の審査会がより民主的に運営されるようにぜひひとつこれは今後指導していっていただきたいというふうにお願いしておきたい。  それから、飛ばしますが、保健事業関係、被害予防事業関係について少しお尋ねしてみたいと思うんですが、二月二十九日に切れましたが、その後、各自治体ではいわゆる自治の原則に従って、いわゆる住民自治ですから、地域皆さんからそういう声があれば首長としては受けざるを得ない、お話を聞いてもっともだということであれば実施をするわけです。それで結局、法律が切れた後、全国で自治体でかなりな部分で自治体独自として、いわゆる患者の救援なりあるいは補償の方法検討され実施をされておるところがあるというふうに聞いておりますが、環境庁はその部分掌握をしておりますか。
  38. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 今回の御指摘の公健制度の改正を契機にいたしまして、新たにいろいろな独自の制度をあるいは廃止するあるいはさらに設ける等々の自治体があることは私ども承知をいたしております。私どもが聞いている範囲では、新規の患者への医療費自己負担分の助成制度を新たに制定したり、あるいはまた拡充をするという自治体が旧指定地域四十一のうち五つあるようでございます。いずれも医療費自己負担分ということでございます。そういうような状況でございます。
  39. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 独自の措置をとったのは五つの自治体ですか。
  40. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 私ども承知している限りでは五つのものを承知しておるわけでございます。  ちょっと申し上げますと、大阪、吹田、豊中、東海、川崎といったようなところで、そのほかについてはあるいは進行中のところ、あるいはそうじゃないところ等あると思いますけれども、そのように承知をいたしております。
  41. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 それはぜひひとつ調査をしてもらいたいと思うんですが、例えば、北九州だって、あるいは千葉だってありますし、従来独自に認定患者以外に、いわゆるこっちの方の補償法にかからない部分ですね、今までの法律にかからなくて、市独自で例えば措置をしておったというようなものも含めて継続してずっとやっておるわけですね。ですから、予算的に見ても、例えば川崎の場合が一億一千二百万程度ですか、それから東海の場合が六百万ですか、こういうふうにいろいろ独自に自治体の金を出しながら実はやっておるわけです。  ここでぜひひとつお聞きをし確認をしておきたいと思うのは、ぜひこれはひとつ環境庁の方から、特に私は自治省というふうに言いたいわけですが、こういうふうに独自な措置をすれば、その自治体は金があり余っておる、だからということで、直ちにペナルティーをかけるような実は動きが過去あったわけです。ですから、この問題は、あんなに問題になりました法律を廃止をしていったわけですから、以前からも自治体独自措置を継続してきた部分もありますから、そういうことは一切ないように長官の方からも自治大臣の方にひとつぜひとも要請をしておいていただきたいと思うんです。
  42. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 先にちょっと御説明申し上げます。  地方自治体の制度の問題でございますが、御指摘のようなものがあることは事実でございますが、私ども環境庁といたしましては、従来の改正の経緯等もございまして、現在の大気の汚染が原因で個人に対して補償をするというようなものであれば合理的ではないので、私どもとしては望ましくないというふうに考えているのでございます。しかしながら、これは地方自治の本旨に基づきます地方自治体の独自の御判断でございますが、私どもとしては補償するというものについては望ましくないと思っているのでございますが、私どもが聞いております範囲では、例えば東京都のものでございましても従来のを聞いてみますと、これは大島等、島から三多摩の山の奥まで含めて、もう全地域のぜんそくの患者さんに対して、子供のぜんそく患者に対して補償するといったようなそのものでございまして、補償というものの実質的には福祉的なものなのでございます。また、先ほど申し上げました各市の場合も、いずれも私どもはこれは福祉的なものであろうというふうに判断をいたしておりまして、また事実、各 市の方もそのように言っているように私ども聞いているのでございます。  したがいまして、私ども先生の御指摘も含めまして、このような厳しいことについては、私どもペナルティーというようなことについては当然考えておらないのでございますけれども、望ましくないということについては、各地方自治体にもそれぞれの集まりのときに申し上げていることは事実でございますが、だからどうということは、先ほど来申し上げておりますように、地方自治の本旨でございますので、私どもそこまででとどめているところでございます。
  43. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 その最後の方の望ましくないというようなことは、私はやっぱり自治の侵害だと思うんですよ、住民自治ですからね。自治体という場合は住民と直接の関係があるわけでしょう。その中で、地域皆さんたちがこういう状況だ。自治体だって財源ゆったりないですよ。そういう厳しい財源の中から住民の生活を守る、命を守るという立場からその補償をやっておることですから、私は好ましくないということでなく、当然従来であれば国がしておったわけですから。そうでしょう、発生源負担でやっておったわけでしょうが。それをいろいろなところから話があってこういう結果になったわけですから、そこはもう好ましくないとかでなくて、場合によっては自治体でまたずっと盛り上がってきて裁判闘争だってまたできるわけでしょう。もう一回国に返ってくるかもしれませんよ。それは各自治体だって財政事情は非常に厳しいわけですから、一生懸命やっぱりお互いに議論しながら最小限に抑えておると思うんです。そこはひとつぜひ……。  いま一つ長官もう時間がありませんが、去年の九月十八日のこの委員会でも実は附帯決議をし、本会議の方でも満場一致で可決をしていただきましたが、ぜひ私は、議論をし、そして委員会で全体が確認をして決定した附帯決議、この附帯決議が附帯決議で終わらないように、これは私は環境庁そうしておると言っておるわけじゃありません。ほかのところの委員会でやった部分が本会議で附帯決議をしました。それが守られてない部分がある、国鉄問題です。ですから、そういうことでなく、少なくとも環境特別委員会で附帯決議で確認をした部分は、これは附帯決議が附帯決議で終わらないようにひとつ附帯決議を生かしていただきたいということを最後お願いを申し上げまして、そして今申し上げましたことを含めてひとつ長官の方から最後の御所見をお伺いしたいと思います。
  44. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) まず、附帯決議は守ります。当然のことでございます。  また、先ほど来議論、今先生のおしかりがあったけれども、ちょうど三月一日で終わったところでございますから、自治体との間にぎくしゃくいろいろあろうと思います。先生の御指摘よく私は理解しておりますので、いわゆるこの法律がなじむように努力をいたします。
  45. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは質問をさせていただきますが、健康被害の予防事業について主としてお話を承りたいと思います。  まず、公害健康被害認定をされた患者さんに対する補償給付費用分担は固定発生源から八、移動発生源側から二と今まで出ておるということでありますが、    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕 それから予防事業のための基金を五百億積み上げていくという御趣旨なわけですが、それも同じように八対二かと思っておりましたら、これは八対一が移動発生源側で、もう一つの一が国が負担をするというふうになっているようでありますが、国の方が八対一対一で一を負担するという何か根拠があるんでしょうか。もちろん、八対二ということ自体まあまあどういう割合で決められたかわかりませんが、それはそれとしまして、もう既成事実でございますから、八対一対一のその一が政府負担理由というか、根拠はどういうことなんでしょう、お伺いいたしたいと思います。
  46. 森幸男

    政府委員(森幸男君) お答え申し上げます。  今先生お話しございましたように、この公害健康被害に対する補償費用につきましては、これが民事責任を踏まえた上で行われるということでございまして、大気汚染の原因者がしたがいましてその費用負担するということにされているわけでございます。固定発生源のほか移動発生源につきましても、大気汚染の直接の原因者である自動車の保有者が先ほどお話ございました二割相当分を負担するということとしておりまして、このため、現行制度のもとでは自動車重量税収の一部をその部分に引き当てているということになっているわけでございます。  これに対しまして、基金への拠出につきましては、その性格上自動車保有者からの拠出に期待するということは徴収事務等現実問題として困難な面があるというような事情もございまして、関連事業者としての自動車メーカーに応分の負担を求めるということにしたものでございまして、このような事情を考慮してこの基金の積み上げに当たりましては国の出資とそれから関連事業者の拠出、自動車メーカーを初めとする関連事業者の拠出を合わせて全体の二割相当分を負担をするということにされたものでございます。
  47. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 はっきりわかったわけじゃないんですけれども、何か自動車を持っている人が汚染をしているのかエンジンの構造が原因になっているのかいろいろ考え方があろうかと思いますけれども、それは一応お話はわかりました。  ところが、この五百億を積み上げていく年限を前にはたしか七ないし八年というふうになっていたかと思うんですが、最近、これは衆議院の答弁でしたか、何か六ないし八年というふうに言われたかと思うんですが、一年早まったのはどういう計算というかどういう根拠でしょうか。
  48. 森幸男

    政府委員(森幸男君) この基金の積み上がりの問題につきましては、六十二年の補償給付等の費用を基準としてその後各年の補償給付費用との差額を積み立てていくということになるわけでございますが、これからの見通しをはじく際の前提になります患者数の実績データというものが今先生お話しの問題に影響をしてきているわけでございまして、当初の推計を六ないし八年の積み上がりということで申し上げておりましたものを修正いたしましたのは、推計を行った時点のその直近の患者データに置き直して推計したことによるということでございまして、さらに具体的に申し上げますと、七ないし八年というこの数字は、予算編成時にたしか申し上げておったかと思いますが、これは七ないし八年という従来申し上げました当初の推計は六十二年六月までのデータを使っていたものでございます。それから、今申し上げております六ないし八年というふうに申し上げておりますのは予算編成時の推計を前提といたしておりまして、これは六十二年八月末までのデータを使っております。その間のデータの違いによって今のような期間の差が出てきている、こういうふうに御理解いただければありがたいと思います。
  49. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 多分それだけだろうと思いますけれども、例のトータル一千八十億ですか、それは出てくると、そのときに離脱者の分だけ今度は減ってくると、それを積み上げていくということでしたので、七ないし八年というのを六年ということで一年早めるためにはたくさん余剰金が要ると、そういうことで何か認定更新に当たって患者さんに不利に働くかと、そんなことはないのかと。例えば、離脱者を多くすると、人為的にそういうことはないともちろん思いますけれども、そういう意識が働きやせぬかという若干の危惧がほんの若干あるわけです。そういうことはどうでしょうね。
  50. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) この患者の特に再認定といいますか、認定の更新に当たりましては、私ども従来と同じように公正にやってまいりたいと、このように思っているのでございまして、またそのように私ども指導をしているところでございます。
  51. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ところで、基金の拠出する分については、固定発生源側とは協定書が結ばれていま したね、合意書というのかな。ですから、それは間違いなく拠出されてくると思うんですが、移動発生源側、つまりこの場合自動車メーカーでしょうか、これとの間には合意書があるんでしょうかね。ないとすると、どういうことになるのかなと、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  52. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 基金五百億円のうち、百億円分は国と関連事業者とで積み上げるということになっておりまして、この点につきましては自動車工業会の方も了解をいたしているところでございます。このことにつきましては、既に自工会、自動車工業会でございますが、自工会におきまして三つの事項を正式に機関決定いたしているところでございます。  一つは、自工会は、昭和六十三年度以降の各年度ごとに会員企業からの拠出金を取りまとめて、一括して協会に拠出をいたしますということでございます。それから二つ目は、各年度の拠出額というのは、各年度の国の出資額とのバランス等を勘案して、環境庁協議して決めてまいります。三つ目は、国の出資金と自工会等関連事業者とによって、基金百億円分を積み上げますというようなことを、先ほど申しましたように決定いたしておりまして、その旨私ども連絡を受けているところでございます。こういう考え方に従いまして、昭和六十三年度の自工会の拠出は国と同額の一億八千百万円ということになっているわけでございます。  以上申し上げましたような経過から、環境庁といたしましては、基金の積み上げについて、ただいま申し上げましたような自工会を含む産業界の了解を得ておりまして、確実に積み上げることができると明確に申し上げたいと思います。
  53. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の、国のバランス等を考慮してというお話でしたけれども、バランスというのは同額なのか、国が多く出すようになれば減らすということはあるのかな、何かそういうことですね。同額でいくのか。つまり、ことしは一億八千万、同額ですね。それが今度来年は同額でいくのかどうか、来年はどうなるのか、それはどういうことですか。
  54. 森幸男

    政府委員(森幸男君) これは国の出資額とのバランス等を勘案してと、そういうふうになっておりますが、これは、先ほど申しましたとおり、六十三年度について申し上げますと、国が一億八千百万、それから関連事業者である自工会も一億八千百万、全く同額ということになっておりますので、国の額等は予算編成のルールと申しましょうか、毎年度決めていくということはございますけれども、一応六十三年度のそういう両者の拠出額というものが一つのめどになって進んでいくということをこれは私ども期待しているところでございます。
  55. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の患者認定更新に関連をするところで、先ほど更新に当たって患者には不利にならないようにきちっと留意する、これは当然のことですけれども、そういうお話を承りましたが、病院に相談窓口を設置するということがあるようですけれども、これは既に設置されているのか、これから設置されるのか、それから相談というのはどういうことが例えばあるか、こういったことを承りたいと思います。
  56. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 国公立の機関に相談の窓口を設置する件でございますが、    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕 これは四月の一日から、恐らく各地方自治体とも予算措置等ございますので、これはメニューの一つとして私どもこれを出しているんでございますが、それを行いますためには、予防事業を行って病院ともそれぞれ地方自治体がやる場合に相談をするのでございますが、この前提として、例えばぜんそくの専門外来といったような、多くの病院持っているのでございますけれども、そういうような専門の外来をまず充実強化するということで予防事業の中にメニューとして入っているのでございまして、そのメニューに運動いたしましてそういう充実強化をした外来を設けた病院にこの相談窓口をつくる、このように考えております。したがいまして、四月一日からどこそこがやるというような具体的なものについてはまだ私ども聞いておらないのでございますが、いわゆる地方自治体立病院等の中で熱心なところは恐らく一つや二つそういうことが具体的にすぐ挙がってくるんじゃなかろうかと思っているのでございますが、具体的にどこということについてはまだわかっておりません。  それから、仮にこの相談窓口を開いた場合には、恐らく、これも地方自治体の方々のやり方によると思いますけれども、保健所の保健婦さん等、いわゆる保健婦さんが来る場合もあれば、そこの当該病院の看護婦さん等が行う場合あるいは医師が行う場合等、いろいろなやり方があろうかと思っておるのでございます。
  57. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の病院ですけれども、そうすると今の何か手を挙げた病院というふうに聞こえたんですが、手を挙げる病院が非常に少ないときにはこちらからお願いをするのか、例えば指定をするのかというふうなことですね。それからもう一つは、そういう場合に助成金というような形がやはり考えられているのか、どんなものでしょうか。
  58. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 相談窓口をつくること、いわゆる相談事業そのものにつきましては、当然この予防事業の中に相談事業というのが入っておりますので、その中の範囲内で行われるものと思っております。  それから、専門外来と申しましょうか、ぜんそくセンターと申しましょうか、そういう医療機関の整備につきましても、医療機器あるいは簡単な外来の整備といったようなことにつきましては助成を行います。これいずれも地方自治体がそれぞれ手を挙げてくるような形に相なろうかと思うのでございます。
  59. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ところで、補償予防協会の新規事業についてですけれども、新規事業がいろいろと項目挙げてございますけれども、新規事業のための定員というのはどんなふうになっているでしょうか。
  60. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 健康被害予防事業を実施するためには、補償予防協会の中に特別な基金事業部というものを設置するという体制をまず組んだのでございます。そして、現在職員の定数七十でございますが、私ども、この七十名の中で、やはりこれはいわゆる政府としての定数削減といったようなところの中で、機械化をするとか、あるいは効率化をするとか、あるいは事業の進め方を非常に効率よく進めるようにする等々のことをいたしまして、協会の定員増を行うことが困難だという実情の中で、この定数の中で組織、定員等を振りかえまして対処したものでございます。私どもの聞いております範囲では、事業を効果的かつ円滑に恐らく十分行える、このように聞いているところでございます。特にコンピューター等機器の導入ということが非常に効果があるというふうに私ども聞いているところでございます。
  61. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そうすると、現在定員でコンピューター等新しい機器を導入して定員の不足を補おうというお話ですね。やっぱりそれなりに従業員の方々負担がふえるような気がいたしますね。しかし、わかりました。  ところで、低公害車の普及というのは非常に重要な政策課題かと思うんです。しかし環境庁は、いつでも政策官庁ではなくて指導側ですから、どこまでどうなっているのかお答えをというのは困るかもしれませんが、わかっている範囲で承りたいんですけれども一つは電気自動車とかメタノール使用自動車というのがございますし、それからディーゼル車の改良というのがあったと思うんですが、期待される低公害のそういった車が走るようになるのはいつころが目標年次になっているかちょっと承りたいと思います。
  62. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 電気自動車、メタノール自動車を低公害車と言っているわけでございますけれども、それについての普及の目的の年度あるいはその関係ということをお尋ねでございますが、私どもこの低公害車につきましては、何と かよい技術のものを早く開発していただきまして、そういう新しい技術を取り込んだ形での低公害車の普及をやっていかなければならないでしょう。現在の低公害車それぞれにつきましては現在の技術レベルでの制約があるわけでございますので、その制約の中において、できるだけそれぞれの使える分野で使ってまいりたいというようなことでいろいろ検討いたしているわけでございます。  先生のただいまのお尋ねにつきましては、実は私どもの中で低公害車の普及検討会というのを設けてございまして、この検討会におきまして、短期的あるいは中期的、長期的というような区分を設けて開発技術をどこまで目的とするか、あるいはそういう技術を導入された車であればどういう分野で使ってほしいかというようなことについての検討をただいまやっているところでございます。そういう面で、その検討会が早く取りまとめをしていただきましてまたそれは公表いたしたいと思っているわけでございますが、そういうことで先生お尋ねの普及の分野とか技術の進歩といいますものについては専門家の中で検討しておるということで御理解いただきたいと思っております。
  63. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 何だか目標年次がよくわかりませんでしたけれども、これは大臣にも聞いていていただきたいことですが、特にディーゼル車の排ガスというのが問題でございまして、もちろん炭化水素の系列のものは発がん性を持つということも考えなきゃいけない。  もう一つは、私は東京に住むようになりまして、どうしてこんなに急に今までと違って花粉症がふえたんだろうと思っておったところが、東京へ出てきましてから二、三年か三、四年たってから、学会発表でディーゼル車から出てくるカーボンの系統のものがアレルギーを促進させる作用があるという論文が発表されているんです。つまりディーゼル車が最も問題ではないか。ディーゼル車は、今の健康障害からいうと、花粉症そのものの原因は花粉ですけれども、どうして花粉症が東京でふえてきたんだろう、それにはディーゼル車の出す排ガス中のカーボンの系統が、実験的にそれを入れてやると入れてやらない人に比べてアレルギーが強くなるというんですね。  ですから、私はやっぱり何か理由がなきゃおかしい、東京の人だけが花粉症というのはちょっとおかしいではないかと思っておったんですが、そういうことを考えますと、緊急の問題としては花粉症に対する対策としてもディーゼル車の改良は急がねばならないのです。何か四%とか五%とか言っていますものね。それは大変だと思うんです。  それから、ついででございますから、花粉情報というのが出ますね。花粉情報が出て皆さんどうするんだろうかということですが、マスクをかけなさいと言っていますが、マスクなんかで済むものじゃないんです。確かに大きな花粉は取れるかもしれませんが、だめですね。というのは、私がアレルギーを持っておりまして、私は杉の花粉などというものではございませんで、北海道で、アカシアの花粉という、ちょっと聞いたところしゃれたような花にやられているわけでございまして、非常に若いときであります。ある日突然そうなったんです。それで、それから本当に年間二カ月ぐらい鼻水は出る、目はかゆい、若干微熱が出ましてどうにも仕事にならぬ。  ところがあるとき、エアクリーナーなんですけれども、会社の名前は宣伝になるといけませんからやめますけれども、電気集じんでやるのを実験をしてくれと来たんです。花粉と関係ないです、これ。クリーンルームをつくる。細菌の培養をするところは、みんなそれまでは紫外線燈かなんかつけまして空気を殺菌していたんです。しかしそれではだめなんですね、紫外線燈というのは裏側はだめなんですから。光線が当たらないところはだめですから。空気そのものの中から細菌やウイルスを除く必要があるわけです。それで、電気集じん装置のものを実験してくれと来たんですね。これは八千ボルトぐらいでございまして、静電気になるわけです。だから、エレクトロンが飛び出て微細粒子を全部たたきつけてしまうんですね。間違いなくゼロに近くなりますから。それで、ああっと思ったときにまた実験しました。これは大したいいなあといって気がついたのが花粉症なんです。ははあ花粉症、これで多分大丈夫じゃないか。それまでは、今もそうですが、抗ヒスタミン剤を使いましてアレルギーを要するに抑えようとするんですが、これ眠くなるんです。仕事にならないことは変わりありません。ですからこれはだめなんですね、言うなれば。  それで私は、よしきたというので、私の教授室を目張りしまして、そこの中へ入れて五分ぐらいつけて、こっちの部屋にいるとくしゃみが出てもう教室にいると話もしにくかったんですけど、今度は実験ですから、それでぱっと入りますと、五分もしますと目のかゆみがとれてくしゃみがなくなってもう大したいいんですね。もう理論どおりなんだから、あれはウイルスなんかよりははるかに大きなものですから、それは電気集じん機でたたいたらわけない。しかし普通のフィルターならだめなんです、通りますから。グラスフィルターぐらいでは多分通ります。そして、ウイルスのことは僕はできなかったので細菌学の教授に頼んだら、先生、ウイルスの方も大丈夫だというわけですよ。それで、しかし私は電車で通うのにその途中感作されますから、仕方がないから家庭用のやつを買いまして家に置いている。それから書斎に置いておいて勉強するときはそれをつけている。そのかわり全部目張りじゃないが、きちっとクローズドにいたします。それから寝るときに寝室へ来るとまたくしゃみが出るわけですよ。で、また寝室へそいつを今度持っていって、倹約をしまして一台を両方に使っている。そうしますと大丈夫なんですね。  それから、感作をされるまでの時間というのがあります。最初花粉に触れたらすぐくしゃみが出るんじゃないですね。やっぱり数十分かかりますよ、一時間以上かかると思うんです。ですから、私のところから大学へ通うのに四十分、電車で四十分の間はもつわけです。行ったらすぐ教授室へ行って、そのスイッチを秘書に入れさせておきますと、そこの部屋に入れば明快なんです。講義をする二時間はちょっときつかったように思いますが、一時間ぐらいはもつんですね。また戻るわけです。だから、講演に出たりするのは一時間ぐらいで片づければ間に合うんですよ。それで私はかなり自分の仕事の障害にならないでやれましたね。  それで、私は公害研究所に行ったときも副所長の部屋に実験に使うということで入れて私の実験にやりました。議員会館の事務所にもこれを入れました。ほかの人が何だったら来てごらんなさい、ここへ来たら快適だよと言って勧めているんですが、私が今まで見ているのは、薬でやるのはそれなりに危険もあるんですね。脱感作というのはちょっと危険がありましてね、まあ皆さんひょっとしたら御親戚にそういう方がおられるかもしれませんので、四%、五%といったらこの中で何人かおられますよね。  これは私の経験と実験的結果でございますが、高電圧の電気集じん機を使って、部屋は空気が入らぬようにぴしっといたしますと花粉はゼロになる、ばい菌もゼロになる、まことにクリーンな部屋になるわけです。ですから、そういうのが私は電車に乗ってこうやってくしゃみしている人なんか見ますと教えてやりたくなるぐらいなんです、これがあるといいですと。  大臣にこんなお話初めてかと思います。そのときの花粉はこれどうしようもないですものね、花粉をとめることできませんから。その日多いとか少ないとかというのは本来問題にならないです。もう何キロ離れておっても花粉がわずかに飛んできただけでくしゃみ出ますから、これは本当にだめですね。ですから、花粉情報があっても我々の日常行動、戸外活動はやっぱり難しい。そうすると、今のように感作される時間が少ないようにな るべくその期間は家にいるということになるんじゃないかと思うんです。転地療養というのが昔からありますが、海なんかへ行くと海の空気には花粉がありませんから。だから昼間はいいんですね。海から陸に向かって吹きます。夜になるとその反対になります。そのときはもうだめです。少しくどい話になりましたが、日常生活の衛生というのが一つの私の分野でございますので、今ちょっとお話をいたしました。だから、花粉情報というのは家にいなさいと言っているみたいに聞こえるんですが、今言ったようなそういう特殊な部屋を一つつくれば、この機械は消耗品じゃありませんので、それはずっと使えるわけです、洗えばいいんですね。  話が飛びました。しかし申し上げたかったのは、やっぱり東京の人が、花粉症が四%も五%もどうしてそんなにふえたのかというものの原因の一つに多分ディーゼル車の排ガスがありますから、だからこれは急いでもらいたい。その分だけ減りますから、急いでもらいたいということをちょっと申し上げて、少し長い、どうもレクチャーの癖がございまして申しわけありません。大変参考になると思うんです。  それで、こういうもののいろんな対策充実に向けて必要な費用をどうするかということで、広中委員がこの前のとき、目的税を考えてはどうだろうかということを言われたときに、環境庁側は検討いたしますという御返事だったと思っておりますが、これについてどのような検討を加えられているかちょっと伺いたいと思います。
  64. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 先生お話ございました広中先生の御指摘の点につきましては、重要な御指摘ということに受けとめておりまして、現在勉強を行っているところでございます。  この先生の御指摘趣旨は、交通公害防止するために必要な費用については公害を発生させる程度に応じて交通公害の原因者に適正な負担を求めるべきであるというぐあいに受けとめておるわけでございますが、こうしたような考え方をこのまま現実に当てはめる場合におきましては、まず公害の発生程度をどう評価するのか、あるいは徴税コストに比較して十分な効果があるかどうか、あるいは他の税金との課税対象上の重複は生じないか、さらには目的税が税制上好ましいのかというようなさまざまな税技術的な問題等も含めましていろいろな観点から検討を行うことが必要であるというぐあいに考えておるところでございます。そして、これに類した例も含めまして現在このような問題に対する諸外国の例につきまして実情の把握に努める等勉強を行っているところでございます。
  65. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、昨年九月十八日の当委員会における附帯決議の中で、認定患者認定更新で治癒者と判定された場合、制度離脱者というんですか、この人たちのフォローアップをしていくということが出ておりますけれども、どういう体制でフォローアップをされることになるのか承りたいと思います。
  66. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 制度離脱者のフォローアップの具体的なやり方でございますが、まず健康被害予防事業の一環といたしまして、まず再発防止ということで健康管理にとって非常に有用な知識の普及あるいは希望者、来る人に対する健康相談等を実施することにいたしておるのでございまして、これによりまして健康の保持増進ということを図ってまいりたいと思っているのでございます。  ただこの問題は、やはりフォローアップの問題でございますので、人権の問題といったようなこともこれはある程度考えながら十分配慮していかなければいけない問題でございますので、私ども、制度を離脱する場合に患者さん方にパンフレット等の知識の普及を行いまして、そういう方々がこのパンフレットをごらんになって、病状が悪化したりあるいは相談に行くところはどこに行ったらいいかとか、そういうようなことについて知識の普及に努めているのでございます。  例えば健康被害予防協会が作成いたしました手引を地方公共団体に委託しまして、それぞれの対象者に配付するとか、あるいは具体的な回復した後の健康管理のやり方といったようなことを、さっき申し上げましたスキームの中でやってまいりたい、このように思っておるのでございます。  なお、健康相談というのは一つのことでございますので、先ほど申し上げましたいろんな場所で行うわけでございますけれども、それも一まとめにいたしまして健康相談事業ということで予防事業の中で実施するのでございます。おおむね年一回希望する者に対して健康相談を行ってまいりたい。場合によってはそれに基づいて家庭訪問等といったようなものも考えているところでございます。  以上、大体そんなようなところで具体的にやってまいりたい、このように思っておるところでございます。
  67. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは大臣に承りたいと思いますけれども、去る八月三十一日の本会議でございましたが、私の質問に対しまして前総理中曽根さんが、著しく限度を超えるような段階に至れば再指定も辞すべきではないということをおっしゃっているんです、指定解除に関連してでございますけれども。まことに私は科学的な発言だと思いますが、大臣はこれをどのように受けとめていただけるかということであります。
  68. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 高桑先生の今の花粉情報の話を聞かしてもらっておって、空気汚染とか水の汚れというものは自然生態系に非常に影響あるんだなということをしみじみ思っておったところでございます。したがって、今のお話でも、環境というものは常に変わっておって、我々が予測できないような変化が起きつつあるかもわからない、そういう状態だから非常に難しい問題だなと思って聞かしてもらっておりました。  昨年の委員会でこの公健法改正のときに、中曽根総理がおっしゃった記録は、私も長官になってすぐちゃんと読みましたし、また現政府は同じ発言をそのまま踏襲しておりますので、現政府の、中曽根発言を踏襲している限り、私も当然その発言を踏襲しておると御理解いただきたい。ただ私はそういう事態が起きないように、これはもう全力をかけなきゃいかぬなという認識を持っております。
  69. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは時間も参りましたので、もう一つ大臣に伺いたいと思いますが、SOxの方の基準値は、どこの測定値においても基準値の半分ぐらいにもうなっております。それは確かですね。しかしNOxについてはそうではない。基準値をむしろ上回って、しかもだんだん悪くなっているんじゃないか。そして、それがほとんど同じレベルでいっているということは問題で、きょうは時間がありませんので、これに関することはいろいろとまた質問させていただきますけれども、このNOxを低減させるための対策、それからもっと一般的な形で環境保全のための研究をする必要がある。  私は環境庁というのは、さっきちょっと申し上げましたが、政策官庁ではなくて理論的なリーダーシップをとっていただくのが大事なセールスポイントだと思うんです。それには科学的なデータが長官、要るんですよね、科学的データなしで言ったって説得力ありませんから。科学的データというのは間違いなく研究なんですね。  ですから、環境庁が持っている世界に誇る国立公害研究所の研究費というものを私は常に注目をしてきております。この前の本会議でも文部省の科研費のことは聞いておりますので長官も御存じだと思うんですが、科学研究費は、六十一年度で四百三十五億、六十二年度四百五十億、六十三年度で四百八十八億というふうになっているんです。数字でおわかりのように、前年比ですと六十二年度で約四%、六十三年度八・四%、しかも大ざっぱに言って五百億の科研費で八%ふえておる。国立公害研究所の研究費は、六十一年度八億八千万、六十二年度七億九千万、六十三年度六億八千八百万。年次で七%、一〇%、一三%という ふうに下がっているんですね。これくらいNOxが下がってくれればありがたいわけですが、下がっているのは研究費でございまして、これはやっぱり科研費というものは、国もというか、文部省もというか、研究費はゼロシーリングではないということだと思うんです。ほかの条件とは違って研究費というのはますます金が要るんですよね。機器もよくなるし、それを維持していく金も要りますし、私は公害研究所を見ていると、いい機器が入るごとに、その運営のための維持費はどうなっていくんだろう。これは長官、面倒見なきゃだめですよ。ですから、そういうことを考えますと、科研費並みに平均年率一〇%ずつの上昇は要りますね。しかも、分母が五百億じゃないんですから、八億とか七億なんですね。ですから、私は歴代長官にいつも本当にお願いしているんですが、私は、堀内長官にひとつぜひ頑張って研究費は確保してもらいたいものだと思うんです。今度の指定解除に大きく関係していくのは、やっぱり公害の予防、環境の保全、これは国内だけじゃなくてグローバルな環境保全もございますから、そのために国立公害研究所は世界をリードするデータが必要だと思います。長官の本当に頑張るお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  70. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 非常にうれしい話を承りまして、私も全くそのとおりだと思っております。高桑先生のような方がもう何人かふえていただけたら、そうして応援していただける態勢ができたら、環境庁というよりも、日本の国民の健康からいうても将来のために非常にいいことじゃないか、私は心からそう思っておりますし、今後その趣旨に沿っての努力をいたします。
  71. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 終わります。どうもありがとうございました。
  72. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、健康被害予防事業についてお伺いをしていきたいと思います。  健康被害予防事業の基本的な性格なんですね、公害患者の切り捨ての産物なんですね。昨年の法律改正によって生まれてきたわけで、まさに公害認定地域の、指定地域の全面解除、公害患者切り捨ての産物で出てきた事業だと思うんです。だから、そういうところからいいますと、当然認定患者も、あるいは新規患者認定しないというわけですから、既認定の人たちも含めての健康回復に利用する事業であって当たり前と思うんですがね。ところが、実施要領等を拝見をしてみますと、既認定者とか認定を受けている者を除くとかいうふうなことが随所に明記をしてきておりますが、これどういうつもりでどういうことをやろうとするのかさっぱりわからないので、その点をまずお伺いをしておきたい。
  73. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 御指摘健康被害予防事業の対象として既認定者、これを除いているということでございますが、この既認定者の健康回復を図りますためには、先生承知のように、従来から公害保健福祉事業をずっと実施してきたのでございます。  中央公害対策審議会の答申にも述べられておりますように、基金事業として健康被害予防事業は従来の施策を補完するという形で行うということで、そういう性格で来たのでございまして、こういう趣旨から申し上げましても、転地療養事業とか、あるいはぜんそくキャンプ事業のように公害保健福祉事業とこの基金事業、こういうものは重なる部分もあるわけでございますが、従来、保健福祉事業でやっているものでございますので、そういうものについては、既認定患者についてはそちらの方でやる、こういうふうに私ども考えておるんでございまして、予防事業の方は基本的にはあくまでも地域の住民全般的なものに対して行うということでございます。  ただ、なお先生誤解ないように申し上げたいんでございますが、この既認定患者も、それから地域から出てきた新しく病気になった方々も、例えばプールなんかで一緒に水泳訓練やるなんというふうな、一緒に行いますようなものも、両方あるわけでございます。そういうときについては、私ども一緒にできるように、これはもちろん十分オーバーラップして当然現場はやるわけでございますから、当然のことと先生のおしかり受けるかもしれませんが、そのように私どもやろうと、こういうふうにしているのでございます。ただ、費用負担とか、そういうものにつきましては、それぞれ応分の財源から出して地方自治体がやるような仕組みになる、こういうようになっているところでございます。そういう原則からいっても、まずこの二つは分けて行いたい、これが私どもの考え方でございます。
  74. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、費用の区分はあるけれども、重複する事業は一緒にやっていく、そういうことでしょうね。実施要領見たら、しかしえろうきっちり書いていますよ、後で申し上げますがね。  予防事業の内容を見ますと、私、これは予防事業自身の内容から見たら環境改善事業でしょう。それから予防事業か、この基金事業ですね、基金事業の内容というのは、環境改善の事業の内容からいうたら低公害車の普及事業だとか、あるいは大気浄化の植樹事業だとか、それから緑地整備事業というようなことが並んでいますね。こんな事業というのはわざわざ患者を切り捨てて、基金つくって積み上げてやるというのは筋違いと違うかなと。本来、そういう事業というのは、これは環境庁一般行政としてそういうことをやっていくという筋合いのものであって、わざわざ患者を減らして、新規患者認定しない、指定地域は全面解除、それでお金を積み上げて、五百億こしらえて、そのうちの利息二十五億でやるというような、そんな性格の事業かな。これは環境庁独自で進めなければならない事業ではないか。むしろ、これは患者を中心にしての健康回復に利用するというのが軸になるべきではないんだろうかなというふうに思うんですが、それはどうですか。
  75. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 今考えられております環境改善事業の内容は、先生からお話あったとおりでございます。私ども環境改善事業は、先生お話にもございましたように、国なり地方公共団体におきまして、現在大気環境改善のために行われております施策をこの基金によりまして補完をし、さらにより効果のあるものとすることによりまして、いわゆる環境質自体を健康被害を引き起こす可能性のないものにするという意味でこの環境改善事業をやるわけでございます。そういう面で、この事業は新しい公健法の改正に伴いますこれからの対策ということでは十分意義があり、それぞれの自治体、それぞれの場所におきまして環境質自体を改善するというのに非常に有効な手段、対策であろうというぐあいに考えておるところでございます。
  76. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) この補完ということでございますけれども、この予防事業を実施いたしまして、これまで、今大気保全局長の方からも御説明申し上げましたようなものも含めまして、この予防事業の補完ということで始めたわけでございますけれども、この中身につきましては前国会でいろいろ御意見等があった上に、環境事業とか健康に関する保健事業とかいろいろなことでもって入ってきたものでございまして、これらを補完するということで中公審の答申等踏まえまして私どもこのような形にいたしたものでございます。
  77. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 さっぱりその説明ではようわからぬですね。大体低公害車の開発というようなこと、これは環境庁のやる仕事ですか。これは違うがな、通産省へ任せればよろしい、こんなもの。低公害車、何十万台か走っている中で三台か五台買うた、走らせてみた、それで、それの助成金に使うというあほな話ありませんよ。それで、公共建物だとか道路の沿道に大気汚染に強い木を植える、そんなもの環境庁やっていたら間に合いませんわ、二十五億そこらの金。これは話違うんじゃないか。やっぱり悪法だと私ども思っておりますが、公害患者切り捨てによって新たにできた基金制度というのは、これは新規認定患者をやらないんだから、法律が施行されるようになったからといってその日から患者が一人も出ないというよう なことはもうこれは事実上ないわけで、被害者の皆さんやあるいは現在の認定患者の健康回復を中心にしてそのお金を使うというなら理解がしやすい。ところが低公害車の開発だとか促進だとかあるいは緑地に金を使うって、こんなことわずかですからね。財源がうんとあれば話は別です。たった二十五億のお金をそんなものに使うというのはいかにもこの事業の性格としては基本的に性格がおかしいのじゃないかというふうに思うんですよ。そういうことになってしまっているからしようがないといっておられると思いますが、こんなの見たらどうも筋が通らぬなと思うんです。  それで、基金五百億の利息ですか、二十五億の事業量。そうすると、六十三年度はどないなりますの。何か予算関係を拝見すると二十五億になりませんね。国が一億八千百万円、自動車工業会から一億八千百万円、固定発生源分が十五億四千二百万円、合わせて十九億四百万かと思うんですが、六十三年度は二十五億円の仕事はこれ十九億でやるんですか、どうなんですか。
  78. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 健康被害予防事業は、今先生お話しのように、基金運用益財源として実施するわけでございまして、基金の積み上がりまでに六ないし八年ぐらい必要であろうということでございますが、指定解除後から所定の規模、年間二十五億円という事業を要するに六十三年度から実施することにいたしております。今先生お話がございましたが、六十三年度のこの拠出金の総額、お話にございました、全部足しますと十九億四百万円。このうち政府から出しておりますものは出資金でございまして、拠出金の額を見ますと十七億二千三百万ということに相なります。  それで、こういう額をまず事業費に充当をいたしてまいるわけでございますが、なお今お話しのように二十五億円という事業費の予定額に比べますと、そこで財源が不足するというのは御指摘のとおりでございますが、この不足分につきましては、協会が借り入れを行って六十三年度から二十五億円の事業費を確保するということで事業を行うこととしているわけでございます。  なお、借り入れをした分につきましては、その後の拠出金により返済をするということでございます。
  79. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 借り入れにしろ何にしろ二十五億はきっちりやる。そうでないと、それは新規事業で初年度から目標どおりやらぬというのは、本気でやるのかなとまた不安になるんですからね。その辺ははっきりしておいてもらいたい。  予防事業の話をいたしましたので、関連いたしまして健康被害予防事業について三点ほど聞きたい。  その一つは、健康相談事業ですね。この目的のところにこのように書いてあるんですね。「地域住民を対象として、慢性閉塞性肺疾患に関する相談・指導を行うことにより、当該疾患の予防並びに当該疾患に係る患者の健康の回復、保持及び増進に関する知識の普及及び意識の向上を図ることを目的とする。」。知識の普及までというのはようわかる。「意識の向上を図る」というのは何の意識の向上を図るんですかな、ちょっとそれ聞かせてください。
  80. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) これはなかなかお答えの仕方が難しいのでございますが、一般的な健康教育を行います場合には、これはもう先生承知のように当該の疾病に対する知識を持っていただくと同時に、その病気を治すためにこういうふうにしたらいいという知識以外に考え方でございますね、そういうふうなものをきちんとしていただきたい、こういう意味でこの「意識」というのが入っているというふうに、私どももう一般的な意味で、例えば具体的にどうこうということではなくて、大気汚染との関係とか、あるいはこの原因についているんな問題が言われているわけでございますから、そういうものを治すためにはやはりまずみずからが健康回復の努力をしなければいけないという大前提がございますので、そういうよつなものも含めながらやっていただきたいということで入っている言葉でございまして、具体的に言えばそういうような考え方のものになろうかと思っておるのでございます。
  81. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 さっぱりわからぬ。それだったら知識の普及でしょう。それを特別に「知識の普及及び意識の向上を図ることを目的とする。」と書いてある。何の意識かな。これはまさかぜんそくというのはダニやら猫の毛でもかかりますというような意識の向上ではないんでしょうね。そんなことを感じるような理解のしにくい文言ですね。これはきっちり全部書いていますわ。必要でないんだったら消しなさいよ、こんなの。知識の普及というのは非常に大事だと私は思う。意識の向上という点ではここはさっぱり理解ができませんし、今の御答弁でもよくわかりません。お答えありますか。
  82. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) やはり意識にはいろいろな意識があるわけでございまして、意識については国民の健康全体ということで、やはり自分の健康は自分で治すとか、あるいは今先生の御指摘のいろいろな原因に対しては生活全体について気を配るということもやはり必要でございましょうし、あるいは必要な場合にはもっと早く早期治療ということで来なければいけないわけでございますが、いかに知識がございましても来ない方もおられるわけでございますし、知識があっても実行されない方もあるわけでございます。したがいまして、そういう実行を伴ったものというふうにしていただくためには、やはり個人の方々の意識と申しますか、動機と申しましょうか、そういうようなものをつけていただくのが意識というふうに私個人は理解しているところでございます。また、大方ヘルスのこういう対策にかかわります職員は大体同じような意識で動いておるものと思っておるのでございます。
  83. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これわかりにくいですよね。意識の向上というより、むしろ知識の普及及び徹底とかいうんなら話はわかるんですが、何の意識の向上かなという感じがいたしますよね。  それから、もう一つは、その項の(3)のところに、「実施上の留意事項」というところに書いてあるんですが、それのイですね、ここにこういうふうに書いてあるんですね。「公害健康被害補償等に関する法律に規定する第一種地域指定を解除された地域を含む対象地域にあって、当該地域に居住し、地域指定の解除後法第四条第一項の規定に基づく被認定者でなくなった者に対するフォローアップを行う場合には、本事業において、制度離脱者については、年一回事業の実施について通知するとともに必要に応じ家庭訪問指導が行えるものとする。なお、この制度離脱者に対する措置の実施期間は、各対象者ごとに制度離脱後三年間とする。」。つまり、認定を打ち切ったら、三年間、年に一回ずつ家庭訪問をするか事業の実施について通知するというわけですね。これはどないするんですか。
  84. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 制度を離脱された患者さんたちは、ある意味では離脱の時点で、これは先ほど申し上げましたように、一つ患者さん方の人権というものもございますので、まずその患者さん方に制度離脱後こういうふうにしたらよろしいという具体的なものを手引と申しましょうか、まず資料をお配りいたします。その中の一つに、こういう機会を設けますのでそのときにはおいでください、こういう形でまずお知らせをいたします。その相談は、恐らくいろんな形の相談があろうかと思いますが、そのときに相談をお受けいたしまして、その受けた相談の内容によっては、もし必要とあればこれは御要望に応じて家庭訪問もする、こういう形になっているのでございます。  だから、したがって相談の内容は、例えばどういう医療機関へ行ったらいいかとか、あるいは健康管理をどういうふうにしたらいいかとか、具体的なものもございましょうし、それから先ほど申し上げましたような知識に関することもあろうかと思うのでございます。
  85. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 認定をされていた公害患者認定の見直しのときに離脱した、認定患者じゃなく なった、それはやっぱりあと三年間はフォローアップをするんだ、これは私大事だと思うんですよ。そのことはいいんだけれども、そういう患者さんであった人あるいは軽症になったのかもわからぬ、そういう方々をフォローアップして家庭訪問なりあるいは相談なりをしたら、当然のこととして患者さんは、検査をしてみてほしいあるいはこういう状態だからどういう治療をしたらよいんでしょうかということの相談が必ずあると思うんです。だから、せっかくフォローアップをなさるんなら、これは検査とかあるいは必要な医療についての補償というのを考えていく必要はありはしないんだろうか、その点はどうでしょう。
  86. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) このフォローアップの御指摘の点でございますけれども、やはり私ども補償ということは考えていないのでございます。やはり現行の、他の、厚生省関連等を含めました社会保障制度の中で対応していく、補償という、お金を出すという点についてはそういう中で対応していくことに相なろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、例えばぜんそく外来を充実しているとか、あるいはこういう医療機関があるというようなことはやはり御紹介申し上げる、そういうようなことはいたすことでございまして、当然今先生おっしゃいましたような補償ということはいたしませんけれども、それ以外の知識と申しましょうか、そういう指導と申しましょうか、そういうものについてはそこの相談で行う、このようにいたしたい、このように思っておるところでございます。
  87. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは実際に患者さんが、制度は打ち切られたけれども患者さんですわね、すっかり完全によくなったかどうかわからないですから、それで相談に乗ってくださるということになれば、これは検査はしてもらいたい、あるいはこういう症状があるんで医療を受けたいというのは必ず出てくると思うんですね。その場合に、相談はいたしますけれども、あとは病院はあそこへ行ったらよろしい、ここへ検査に行ったらよろしいという指導だけということになれば、せっかくフォローアップの制度をおつくりになっても、これは地域住民やあるいは認定が解除された後の方々にしても魅力ないですよ。行ったけれども、どこの病院へ行けという話だけだ、それだったらしようがないなということになるんです。せっかくフォローアップの制度を、これは私大事な点だと思うんですよ、いいところにお気づきだと思うんですが、それはとにかく、相談だけで、病院はあっちへ行け、こっちへ行け、相談受けたら病院を教えてくれる、検査のところを教えてくれるというだけであったら画竜点睛を欠くと思う。これは長官聞いておられてもうおわかりだと思うので後でまたまとめて聞きますけれども、その辺はもうちょっと色のつくやり方をせぬといかぬのではないかと思いますが、どうですか。
  88. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) そういう御指摘の点につきましては、例えば専門外来を強化するといったような、先ほどの医療施設を強化したところにこの専門外来のあるところに相談の窓口を置くのでございます。したがいまして、そういう場合もございますし、それから現行の保健所に置く場合もございます。先生承知のように、保健所の場合にはあるいは児童相談所といったようなところの場合には、そういう治療的なものなしでやはりそういうものを一般的にやっているのでございます。したがいまして、私どももそういう既存の保健所とかあるいは各種の相談所等と同じ形でやっていく。  ただ御指摘の点につきましては、これは医療機関で、先ほど申し上げましたように公的な医療機関の専門外来を置くところに相談窓口を置きますので、そういうところでは即治療が必要な者あるいは疑いということで検査が必要な場合にはそこでできるかと思います。また、専門的な病院がどこだということを御指導申し上げる今の通常のパターンで私どもは考えておるのでございますが、いずれにいたしましてもこの相談の内容に努めてまいりまして、既存の医療計画と申しましょうか、既存の医療の体制の補完という形でやってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  89. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは非常に矛盾があるんです。だって、公立医療機関だと書いてあったけれども、例えば私のいます西淀川は約十万の人口だけれども、国立病院もなければ市民病院も何もないです。電車かバスに乗って遠方まで行かなかったら国公立病院なんてないんです。それで公害激甚地ですわ。そこへ行けといったらそこへ行くまでの交通費がまずかかる、人手がかかります。行ったけれども医療費も何も面倒見てもらえない、検査料も皆取られる。こうなったら、フォローアップというのは、私はせっかくの効果が、実が上がりにくくなるなという点をまず一つ心配をいたします。この点はひとつぜひ、今後の実施段階もあることですから、検討していただきたい課題だなと思います。  それから、もう一つ聞いておきたいと思うのは機能訓練事業ですね。これはさっきもお話がありましたけれども、これも、本事業については対象地域に居住する気管支ぜんそくに罹患している十五歳末満の者、認定を受けている者を除く、これを対象として事業を行うと書いてあるんですな。ぜんそくにかかっている十五歳末満の子供で、認定を受けている者を除くと。これは水泳訓練教室とかぜんそくキャンプ事業だとかいうのが書いてある。これは同じ事業なら一緒にやりますと冒頭でおっしゃったからいいんだけれども、私はこの被害者の予防事業は年齢制限とかこれ非認定者に限るというようなことをわざわざ明記するという必要はないんじゃないか。だって、公害による健康被害というのは何も年齢によって受けるものではないわけですから、全年齢が受けている。発症しやすい年齢がどの年齢かということはありましてもね。それをこんな患者を削ってやるような事業に何で年齢制限つけるのかな。で、さっきも、一緒にやる事業だから一緒にやってもよろしいというんだったら、これはわざわざ書く必要ないと思うんですが、それははっきりしてください。
  90. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) これは従来から私どもがやってまいりました公害保健福祉事業、これの考え方、実績、経験等をもとにして組み立てているのでございますが、いずれにいたしましても、十五歳末満を効率的な運営という立場からこれを考慮しているのでございますが、特に小児の気管支ぜんそく、いわゆる十五歳以下の小児科が扱っているものに対する効果というものが非常にいいというように確立した定説と申しましょうか、そういうものが子供には非常に効く、こういうことがあるわけでございます。したがいまして、私ども十五歳末満ということで子供――子供と申しましょうか、学齢期と申しましょうか、そういう者に対するものということで限定をしているのでございまして、年齢制限についてはこの保健福祉事業と同じような考え方をとっているのでございます。  それから、そのほかの点につきましては、やはり方法が一緒であればやる場所は当然一緒でございましょうから、先ほど申し上げましたように同じような形でやっていく、こういうことでございます。
  91. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは年齢制限ということについても考えていただきたいなと思うんです。というのは、例えば私、どういう計画になっているかなと思って大阪市の、これは現在の公健法による保健事業と今度の新しい環境保健予防事業、両方の内容を調べてどんな計画になっておるのかなと思って調べてみたら、やっぱり水泳教室もこれは従来やってなかったんですね、認定患者に。今回この予防事業で水泳教室をやるというんで新たにことしからやるというふうなことを決めていますわ。それなら、こんなものは一緒にやったらいいなというふうに私は思っていたら、それはおやりになるというからよろしいわ。  ただ、全部こういう事業、キャンプ事業とかあるいは水泳事業とかいうようなのを年齢制限とか、あるいは同じ被害者で認定を受けた人と受け ていない人と一緒の事業をする場合に、差別的なというか、差別、区別になるようなやり方というのはやめるべきではないのかなと、こういうことを思うんです。なぜかといいますと、例えば今の制度でも、これは今日の健康被害補償法に基づく公害保健事業ですか、これややこしいんですな、同じような言葉で違うんですな、中身が。それによってもなかなか十分やれていないんですね、現行でも。認定患者が必ずしも十分やられていないわけですよ。だから、そういう人たちをも含めて一緒に十分やれるようにしていくということが大事だなと思っているんです。  私ずっと調べてみて思ったんですけれども、これは全地域調べる余裕がなかったんですが、例えば昭和六十年、六十一年、六十二年のこれ大阪市だけ調べてみたんですが、例えばリハビリテーション事業で一泊二日とか、あるいは転地療養事業だとかいうのをいろいろやっていますでしょう。それを見たら、患者数が一万九千、二万内外おって、せいぜい一泊二日でリハビリテーションに行って、和歌山の橋本の国民宿舎へ行ったのが年間六十三人とか五十九人とか、まあ二けたですわ。それから転地療養でも十五歳以上の人が百八十三人から二百三十二人というような、一年間に大体二百人内外ですね。小学生だって、これは三泊四日で高槻の日赤病院へ入院しているんですが、これだって百五十八人とか百六十七人です。未就学の子供さんに至ってはせいぜい十六人から十二人というような、二けたも十台というふうな状況なんです。これでは私は実績は必ずしも十分上がっていたというふうには思えない。  やむなく、だから民間ボランティアですね。お医者さんや看護婦さんや事務の人たちが公害患者さんたちを集めて、二泊三日あるいは三泊四日でサマーキャンプだとかグリーンスクールだとかいうのをやっていますわ。これは全くボランティアで、費用も全額自分持ちですよね。こういう積極的なところへは結構五十人や六十人行っているんですよ。そういうところへは少しも補助をしてあげないんですね、認定患者の場合でも。その場合には非認定の人も一緒に行っていますわ、体の弱い人たちね。行ってきたら非常に効果があるということはさっき部長がおっしゃったとおりなんで、こういうところも面倒を見ていく必要がありはしないか。行政だけで間に合わない。現にボランティアでやっているわけですから、その辺はひとつ考慮の必要がありはしないかと思いますが、どうですか。
  92. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 先生指摘の点でございますけれども、確かにぜんそくキャンプと私ども呼んでおりますものの中に御指摘のように未就学の、学齢期前の者あるいは学齢期の者等含めてあることは事実でございまして、そこに対しては、子供に対しては一口に言って定説としてある程度の効果がある、こういうことでやっているのでございます。したがいまして、それをやる場合にも、例えば未就学の子供の場合を考えてみますと、当然これは親も一緒に行かねばいけない。それから子供、保母、保健婦、医師、こういうふうな者がついて行っているのでございますが、私どもやはりこれにつきましてはそれぞれの地方公共団体が積極的にやっておられるわけでございまして、この地方公共団体が主催いたしますものに対して事業を補助する、こういう形をとってまいりたい、このように思っているのでございまして、やはりいろいろこの実行上の問題等々もあるやに聞いておりますので、できるだけ参加しやすいような形を検討しながら、このものにつきましてはやはり地方公共団体がやっていただくという点で御理解を賜りたいと思っているのでございます。
  93. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはいろいろ問題細かく言えばたくさんあるんですが、総じて、せっかくやる事業なんだから本当に認定患者の方にも役に立ち、あるいは認定を離脱した方にも、あるいは患者になったけれども認定をされていない被害者にもお役に立ちやすいようなやり方にやはり実施段階では十分検討していただきたいなというふうに思います。これは長官、細かいことですけれども、基本的な考え方をひとつ御意見だけいただいておきたいと思います。
  94. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 段々のお話を聞いておりまして、まことに理路整然としております。  全体の流れから申しますと、中公審で科学的知見が出て、それを政令にしてこうして作業をやっているし、環境庁の性格からいうと、各省のようなそういう流れになじまないところですから、いろいろ問題あろうと思います。特に、認定患者とこれからの予防、おっしゃるとおりだと思うんで、認定患者は早く治してやるというのが一番大事なことですから、そういうことも含めて、効果的な、一人でも早く病気を治すというのが、またかからないようにするということが一番根本でございますから、その根本の考えに沿うて十分こちらも検討したいと思います。
  95. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、最後一つ言うておきたいなとこの分野で思っておりますのは、結局転地療養や何やら言うても、大阪だったら長尾病院という療養所ですわな、国立の医療機関ですが、ここへ六泊七日行ったら、患者さんなんですな、転地ということじゃない。やっぱり転地療養というのは生活も気分も自由に開放されるという状況で、しかも空気のきれいなところでということがないと、病院の入院患者と同じように規制されるというふうな状況だけでは、これは必ずしも行った本人ももう一つすっきりしない。やっぱりこれはたくさんはつくれなくても、こういった世紀の大公害で、大気汚染で被害者がたくさん出ているわけですから、こういう人たちが本当に気軽に養生のできるというか、保養ができるというふうな保養所みたいなものを幾つかつくるというふうなことを考えてみてもよいのではないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  96. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) このぜんそく等患者さんの病気の本質から申しまして、大変精神的なもの、体質的なもの、突如として発作が起こるといったようなこと、あるいは救急的な措置、いろいろなものを考えますと、それからもう一つは、医学的な定説のある効果といったようなものを考えますと、ある程度の規律を持ち、しかもある程度の設備を持ち、ある程度の体制のある医療機関といったような、そういうようなものがやはり基本的には一番望ましいように思っているのでございまして、私ども従来の経験等から推しまして、ぜんそく等患者専用の保養所というようなものは、これは効率的なあるいは有効な運用という面から言いますと今申し上げたようなことから困難でございまして、私ども従来から行っておりますような既存の施設の利用で私どもは対処してまいりたい、このように考えているところでございます。
  97. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 目黒部長の話聞いておったら何でもかんでも皆一応やな。  それで、そんなこと言ったら時間がないんで、予防事業の基金の五百億の仕組みの話ですね。この間の委員会でも私お伺いをいたしましたが、この患者さんが減ると、その余った分を積み上げて五百億をつくるというこの仕組みが患者さんの大変不安のもとになっている、不安を呼んでいるという点はこの間も申し上げたとおりです。この約一千億の補償給付費の総額のうち五百億というんですが、その五百億のうちの百億は国と自工会、自動車ですね、半々持つんでしょう。固定発生源の四百億をこれは基金として捻出をしていくのに大体毎年どれだけ患者の減を見込んでいるのか、計画があるでしょうからちょっと計画の中身を伺いたいと思うんですが。
  98. 森幸男

    政府委員(森幸男君) この基金は六十二年度の補償給付費に係る予算額を基準として各年度の予算額との差額相当分を積み上げていくということは先生おっしゃるとおりでございます。ただ、これはあらかじめ積み上げ計画というようなものをつくって、そういうことで患者を減らしていくというような性格のものではございません。したがいまして、基金の積み上げの推計と申しますのは、過去の認定患者の離脱状況というものを基礎にいたしまして試算をしているわけでございま す。で、患者数が従来と同レベルの率、これは大まかに申しまして大体六%ぐらいかと思いますが、そのくらいで減少していった場合にはじいてみますと基金の積み上がりまでに大体六年間ぐらい必要ではないかという試算になりますし、また従来よりも三〇%ぐらい低い率で減少する、要するに減少の率が落ちるというような場合には基金の積み上がりまでに八年程度必要であろうと、こういう試算になっているわけでございまして、私ども六ないし八年というふうに申し上げているのは以上のような計算を前提にしたものでございます。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、その六%ずつ年に続いたら十万人だから六千人、そういくと六年間で四百億積み上がる。五百億というけど百億別だからね、財源が。それで、その三割ですか、その六%の半分ぐらい、いや、六%の半分だと八年と、こういうことですか。
  100. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 今申し上げました八年の方の基礎は、減少しておりました率が従来よりも低くなりまして、三〇%程度低い率で減少していく、こういう前提で計算をいたしますとこれが八年になるということでございます。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうことで減少していかなかったら、これは八年たっても四百億積み上がらない、これは見通しとしたらぐあい悪いなと思ったらどんどん切っていくということもあり得ますな、金の積み上げ方で。そこを心配する、患者さんが一番心配しているのは。だから、これは私やっぱり制度上の仕組みが非常にぐあいが悪いと思うんですよ。  この間も、先日の委員会では長官が十年かけても無理をしないでやっていくというふうにおっしゃっておられたので大変心丈夫に思っているんですが、仕組みが仕組みだけにこれはどうも金の積み上がりが少ないなということになったら無理をしないかなと、そういう心配がありますので、厳にこの点は無理をしないようにしてもらいたい。というのは、今までのいろいろなこともありますので、その点は長官、間違いありませんな。
  102. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 前回答弁したとおりであります。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、私この問題はどうも賛成できないなと思っていますのは、この公健法、公害健康被害補償法をつくるころに企画調整局の中にあった損害賠償保障制度準備室長橋本道夫氏ですね、あの方が「ジュリスト」だとかあるいは「環境研究」ですか、にいろいろと対談などが出ているんですね。それを読んでみますと、公健法がフル稼動をしたときに――つくるときの計画ですよ、この法律がフル稼働するときにはどうなるか、患者は七万五千人から十三万五千人程度になるであろう、ちょうど今十万を超しておるのですね。費用は一千億だという計画をやってきたということを述べておられる。ちょうどうまいこと勘定していたんやなというふうになるんですが、実はこの一千億というのは昭和四十七年度価格だということを橋本道夫氏が繰り返し述べておられます。  そこで、ちょっと調べてみたら、総務庁の消費者物価指数を見ますと、昭和四十七年を一〇〇といたしまして六十二年度で二四四・四です。これはちょうど狂乱物価やなんかでインフレのひどい時期を通っていますからそうなる。つまり、四十七年度の一千億というのは現在ではその指数によりますと二千四百億に相当するということになるわけですね。そうしますと、現在の補償費の総額が一千億ちょっとですから一千億以上値切られているという結果になっているわけですね、当初の計画から見たら。何でそういうことになったのかなということを考えてみますと、一つは、前回の委員会でも申し上げましたけれども患者さんの等級ランクが大変シビアですね。だから三級の人が五二・八、等級外という医療費給付のことだけの人が三四・七%、合わせて八七・五%という状況ですね。もう二級以上の人というのはわずかに一二%そこそこ、だから等級ランクが非常にシビアで、シビアなやり方がやられているということ。  もう一つは、昭和五十二年以来指定地域の拡大というのがストップをされてきた。そのことがやっぱりこういう当初の試算と比べて、患者さんの想定はほぼ同等だけれども補償給付費用というのは約半分以下だという結果になってきているなという点を見ますときに、これはやっぱり大問題だと思うんですね。私はこれはそういう立場から見たら、今もう一遍もとへ戻せというわけにいかぬので、むしろ四百億を積み上げるために患者さんを切り捨てて積み上げるというふうなこんな仕組みをやる前に、大体一千億ずつ、もうかっておったんだから、加害企業は。だから、そういう産業界に一遍に一千億ぽんと出してもらって、やって当たり前じゃないかというふうに思うんですが、その点の御見解どうですか。     ─────────────
  104. 松尾官平

    委員長松尾官平君) この際、委員の異動について御報告いたします。  ただいま、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     ─────────────
  105. 森幸男

    政府委員(森幸男君) この基金の規模につきましては、先ほど来何度か申し上げておりますように、年間二十五億円程度の事業費を確保するということで総額五百億というふうにいたしておるわけでございますが、この五百億の基金を一挙に積む、あるいは今先生一千億というような数字も出てまいりましたけれども、この五百億円にいたしましても極めて大きな額でございまして、やはり事業者負担の配慮あるいはそういうことを前提とした現実的な方法ということを考えて現在六ないし八年かけて積み上げていくということにいたしているわけでございます。
  106. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、それは制度がそういうふうに決まったんだからそれしか言いようがないと思うんですよ。しかし、制度発足の当初から見たら、こんなみみっちいやり方せぬでも一千億ぽんと出してもらったって何にも加害企業は腹は痛みはせぬ。もっとたくさん出さにゃいかんかつた。上手に行政指導してきたので二千四百億見るところが一千億で話が済んでおるということになっているわけですよね。これは答弁をもらってもそれ以上のことは言えないと思いますが。  それで次に、自動車重量税の問題について若干申し上げておきたいと思うんですが、これは今回国が一億八千百万円出すので自工会も国と同額出すということになったんですね。私は、これは初めてと違うか、自工会がこの制度に金を出したのは。違いますか。
  107. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 従来の公害健康被害補償制度費用負担、これは補償給付に関する分でございますが、これにつきましてはお話しのように自動車メーカーは出しておりません。
  108. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 自動車の重量税の二〇%の拠出、これまた今度五年間再延長ということで暫定措置の連続をやるわけですけれども、公健法成立の当初から、本来加害者、加害企業負担といういわゆるPPPの原則というものを当初からゆがめてきたんですね。ですから、私はこの法律が制定の当時から、筋の通らぬことをいつまでやるなと思っていたわけですが、さらに五年ということになるわけです。  法律指定物質がSO2だけ。SO2の汚染度は減ったということで指定地域の全面解除をやってきた。最初からNO2については寄与率二〇%ということで、お金の取り方のやり方のよしあしは別として、二〇%の寄与率で発足をしてきたわけですね。ところが、これはそういうこともあって、自動車の排ガス規制、五十三年規制もやっさもっさやってやっとやったわけです。しかし、一方ではNO2の環境基準は五十三年度に〇・〇二PPmを〇・〇六まで緩めたんですね。基準を緩めるということはやったけれども、これは公健法に、それでは寄与率二〇%となっておるNO2についての指定要件についてどうするのかということが、これはやっぱり具体的に対応しないままで金だけ取っているという格好になっているのはいか にも筋が通らぬと思うのですが、その点はどうなんですか。大変な矛盾だと思うのですよね。いかがでしょうか。
  109. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 今先生お話しの点は、固定発生源と移動発生源の負担割合がずっと八対二ということで今日まできているのが問題ではないかと、こういう御指摘と了解してよろしゅうございますか。
  110. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 わかってないのだったら言いましょう、そんなの自明の理だと思うて言わんかったんですけれども。初めから出発するのに八対二で移動発生源の汚染寄与率をちゃんと見込んで金を段取りしたわけでしょう。私どもがそれは自動車工業会から取るべきだと言うているんですけれども、それが自動車重量税から取るという暫定措置のままでずっときたというのが今日の現状でしょう。それなら、NO2が、排ガスの寄与率が二〇%もあるというのなら、何で公害健康被害補償法の指定物質をSO2だけで、ふえたからとにかく認定した、SO2が減ったから解除するということはやったけれども、NO2については、金は同じように取るけれども何らこの指定要件について具体的な検討をしてこなかったというのは一貫して矛盾があるのじゃありませんかと言うているわけだ。
  111. 目黒克己

    政府委員目黒克己君) 御指摘の点につきましては、この制度発足当初の御審議の中でも私どもの方からお答え申し上げているものも含まれていると思うのでございますが、NOxのいわゆる健康への影響あるいはそういうものの環境の中での健康への影響等々につきましては、これはやはり研究課題であるということで推移をいたしてきたものでございまして、先生指摘の点ではございますけれども、NOxがSOxと同じように健康影響がはっきり因果関係ができない、こういうようなところからやはりNOxについての基準というものはつくり得なかったのでございます。したがいまして、その点についてるるその後私ども検討をいたし、またそれぞれの調査等もいたしてきたわけでございますが、いずれにいたしましても、制度発足当初のNOxを、先生指摘のような形の現行の算定方法で一応私どもはこの国会あるいは関係各位の御了解を得まして制度をつくり上げて、今日まできたわけでございます。  御指摘の基準と申しましょうかにつきましては、やはり研究ということで推移をいたしてきたということでございます。
  112. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはやってこなかったのでまともに言えないと思いますが、全く筋が通らぬ矛盾がずっと続いているなということは率直に感じるんです。  しかも、NO2の環境基準が〇・〇六PPmに緩められたときに、あれは昭和五十三年でしたか、六十年までに環境基準を達成すると緩めた〇・〇六、それがいまだにできない。できないどころじゃなくて、大阪や東京、神奈川などのところではもう七六・五%も未達成だ。大阪に至ってはもう二年続きで環境基準をオーバーしているというような、こういうひどいことになっているわけですね。  この分野でもう少し質問をしたかったんですが、もう時間がありませんのでまとめたいと思っているんですがね。  これは、一方では公害患者は切り捨てにする。そして、一方では環境基準がこれだけ緩めた計画さえも達成できない。六十五年を目指す計画だって未達成ですね、あれは。私はこれ見てびっくりした。環境管理計画が、何年までにこれはクリアしますという計画が出てきて当たり前だと思う。ところが、六十五年までにはクリアできませんという計画を環境庁が認めているんですね。こういうことを見たときに、やっぱり長官、私先日の委員会で申し上げたように、環境庁、本当に公害というのは発生源でとめるという点でやはり取り締まりを強化しなければならない、規制を強化していかなければならない。そして、人体を含めて公害被害が出た場合には、これは加害者負担の原則を貫く、こういう原点に立って本当にシビアに進めていっていただきませんと、環境庁のできたときの理念と原点から大きく離れてしまうなという点を大変心配をしておりますので、その点について最後長官に御見解をお伺いをして終わりたいと思います。
  113. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 一つ一つお話、実に理路整然としておると先ほど申し上げておるとおりでございますが、もともとこの問題起きたとき、硫黄酸化物がいわゆる四日市で大量に発生したところから、その当時でも裁判結果等私も一生懸命読みましたけれども、そのためだという完璧な見解出てないですね。いろんな、ただ三倍もその地域だけ患者がふえておるんだから、実際問題やっぱり影響あるんじゃないかというようなところからこれ出発しておるだけに、今、先生おっしゃるようないろんな問題は僕は当然尾を引くし、問題も残ると思います。  ただ、現在の状態は硫黄酸化物の方が随分もう減ってきたという状態もある。そうして、いわゆるNOxと言われている問題がまだ横ばい状態だと、去年は特にふえたというような状態にあるわけですから、やっぱり根本はこれを克服しなきゃいかぬ。そのデータいろいろ出ておるんだけれども、一番根本の車が一年に二百万台もふえる。そうして、地域は今おっしゃっておる指定した地域に皆集結していっておるという予測できないような事態がいっぱい起きておるわけなんですね。  だから、私はやっぱり総合的に、いわゆる交通を取り締まる分野も、あるいはあらゆる各省の分野も総合的に環境庁調整しながら、そういう交通規制まで含めた問題を一方でやらなきゃならぬ。  しかしながらまた他方、今起きておるNOxの問題の中で、主に言うと、先ほど高桑先生のところで話が出ておったけれども、ディーゼル車の規制というものが、いわゆるガソリン車が十年余り前のことを思ったら一割ぐらい規制して世界一だというぐらいにまでやってるのだから、それを比較するとディーゼル車の方は四七%とか、そういうところにあるんだから、これをうんとやっぱり規制をこれから強化していくということがもう一番大事じゃないか。やはりそういうふうにすることがすべての問題点の解決の一番根本じゃないかという認識に立っておりますので、ディーゼル車、いわゆる軽油に対する公害という問題とこの三年間これはもう計画的に取り組んで、ただ効果出るのが、私の任期中に出たらそれ見ろと言えるのだけれども、出てくるのが三年以後になるから非常に残念だけれども、今までもそうやってきておるわけですけれども、とにかく大気汚染を何とか解決していく方向に頑張りたいという気持ちでございます。
  114. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  115. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。  まず最初に、認定患者に対する補償財源のうち、移動発生源に係る費用負担分について、自動車重量税収の一部を引き当てる措置についてであります。  本措置に反対する理由の第一は、本措置が暫定措置の六回目の延長に当たり、事実上これを恒久化するものだからであります。政府は、本制度の創設当初から、この措置が暫定措置であることを繰り返し説明してきました。にもかかわらず、今回もまた恒久的措置の確立をいたずらに回避して、本措置の自動延長を提案したことはまことに遺憾と言わざるを得ません。  第二は、本措置が、汚染原因者負担の原則からの逸脱であり、自動車メーカーを免罪して、一般会計から国費をもって肩がわりし、その負担をユーザーに転嫁するものだからであります。  第三は、本法律は硫黄酸化物のみを賦課対象物質としているのに、窒素酸化物を排出する移動発 生源の負担分を徴収するという論理矛盾を犯していることであります。我が党が、この矛盾を是正するためにも、窒素酸化物を早期に賦課対象物質に追加指定し、真の汚染原因者である自動車メーカーから正当に賦課金を徴収するよう、繰り返し要求してきたにもかかわらず、今日なお実行されていないのはまことに遺憾であります。  次に、健康被害予防事業に係る基金に対する資本金の出資についてであります。  本措置に反対する理由の第一は、そもそもこの基金が、窒素酸化物、浮遊粉じん等による複合大気汚染と毎年九千人に上る新規認定患者の発生という深刻な実態を無視し、指定地域の全面解除、新規認定打ち切りと引きかえに創設された政治的取引の産物だからであります。  第二は、本基金の積立財源のうち、固定発生源に係る四百億円は、既存認定患者の見直し更新時における制度離脱、等級ランクの切り下げにより浮いた金額を拠出するというものであり、まさに公害患者の切り捨てと犠牲の上につくられるものであります。  第三は、移動発生源に係る百億円は、当初大気汚染関係ある者として全額自動車メーカーから拠出させるはずであったにもかかわらず、自動車メーカーが出し渋った約五十億円を国が出資金で肩がわりしようとするものであり、自動車メーカーの責任の免罪以外の何ものでもありません。  第四は、国民に対する予防事業は、本来、国がその責任において本格的に取り組むべきであり、公害患者の犠牲の上につくられる本基金は、既存の認定患者のために役立てられるべきだということであります。  以上の理由により、本法案に対して反対であることを表明して討論を終わります。
  116. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  117. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  田渕君から発言を求められておりますので、これを許します。田渕君。
  118. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 私は、ただいま可決されました公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案に係る附帯決議案を提出をいたします。  案文を朗読いたします。    公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、昭和六十八年度以降における補償給付等に要する費用の徴収方法については、汚染原因者負担の原則にのっとった効果的な方策の確立に努めること。  二、我が国の最近の大気汚染は、二酸化窒素と大気中粒子状物質が特に注目される汚染物質であることにかんがみ、二酸化硫黄のみならず、これらの物質を大気汚染の要素として認め、前者については総量削減の実効性の確保のため地域の実情に応じた諸施策並びに交通対策等を推進し、後者については多岐にわたる発生源の把握とその対策の確立に努めること。  三、既被認定患者に対する認定更新等に当たっては、その保護に欠くことのないよう関係自治体の長に対し、適切な指導を行うとともに、治癒によって制度を離脱した者に対するフォローアップ事業についでも、再発の防止に役立つよう努めること。また、患者の健康回復を図るための公害保健福祉事業については、その充実、強化を図るとともに、国公立医療機関において、公害患者のための相談窓の設置に努めること。  四、健康被害予防事業を行うに必要な基金の積み上げに当たっては、大気汚染の原因者その他大気汚染に関連のある事業活動を行う者に、その社会的責任を踏まえて、基金への拠出を確実かつ十分に行わせるよう、適切な措置を講ずること。また、健康被害予防事業の実施に当たっては、公害健康被害補償予防協会の体制を強化するとともに、関係自治体の意見を尊重しつつ、予防医学等の知見を踏まえ新たに発症する慢性閉塞性肺疾患患者に配慮して効果的に実施すること。  五、複合大気汚染による健康影響を含む大気汚染対策については、国立公害研究所等において総合的な調査研究を推進し、一層充実強化するとともに、将来の健康被害の発生を防止するため、環境保健サーベイランス・システムを早急に構築して、必要に応じ、適切な措置を講ずること。なかんずく主要幹線道路沿道等の局地的汚染については、その健康影響に関する科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を早急に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害者認定要件を明確にするなど、被害救済の方途を検討すること。  六、大気汚染の発生源対策については、ディーゼル車・大型車を中心とした自動車排出ガス等の規制を一層強化するとともに、地域冷暖房の導入の促進等固定発生源からのばい煙に対する対策の強化及び助成の拡充に努めること。  七、大都市地域における大気汚染については、早急に二酸化窒素等の環境基準の達成を図るため、電気自動車、メタノール自動車等の低公害車の普及の促進のほか、適正な物流を図るための輸送の共同化、主要交差点の立体交差化など環境保全に配慮した交通体系の整備を含めて交通公害対策の総合的推進を図ること。これらの対策に必要な費用負担のあり方については、長期的見地から検討すること。   右決議する。  以上でございます。
  119. 松尾官平

    委員長松尾官平君) ただいま田渕君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 全会一致と認めます。よって、田渕君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、堀内環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。堀内環境庁長官
  121. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたします。
  122. 松尾官平

    委員長松尾官平君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  124. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 引き続きまして、去る三月二十五日、予算委員会から、三月三十日の一日間、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算の説明につきましては、去る三月二日の委員会におきまして既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  125. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 先日の大臣の所信に対する質疑の中で、我が党の田渕理事が予算についての質疑をいたしました。そのときの長官の御返答が私はち ょっと気になるものですから、それについて質問を最初にいたします。  本年度の予算は内需拡大型のものでありまして、前年度比で四・八%増であります。ところが、環境庁予算は総額四百六十八億三千六百万円で、対前年度比約一%の減であります。この指摘に対して長官は、環境庁予算そのものは少ないが、他の十四省庁において計上している環境保全費を合わせれば一兆三千億円にもなり、総体として決して少なくないと、こういうふうに御答弁をいただきました。その後何日もたってないわけですけれども、今でもそのお考えにお変わりはありませんでしょうか。
  126. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 御指摘のとおりでございますが、政府の仕組みから申しますと、環境庁という庁自体の性格というものがございます。その庁は、環境庁は我が国全体の環境をよくするということでございまして、各省庁にその仕事が皆あるわけでございますから、各省庁の仕事が促進でき大きくできるように、私の方は調整費等を有効に使ってそれを推進していくということの方が予算の上では大きな役割を果たしておると思います。したがって、私は今度も予算編成時もそういう話をしたり、あるいは閣議でもそういう関係の問題については意見を述べまして、そうして実際問題として環境庁の関連予算というものは一兆二千六百億ほどになるわけでございますけれども、これらは二〇%ぐらいの伸びを示しておる。したがって、環境庁の本来の使命からいうと十分伸びておるんじゃないかという考えを申し述べたわけであります。
  127. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、長官を尊敬はしているんですけれども長官のこういうお考えにはやっぱり納得がいかないところがあるわけであります。  我が国は、いろいろな環境保全経費を各省庁がそれぞればらばらに計上しているのと、これはまた田荊理事も指摘をされたわけですけれども、アメリカのように下水道、廃棄物、農薬、化学物質、放射能汚染などを含めて環境保護庁が一元的に掌握をしているのとでは、たとえ額は同じでもその適切な配分や執行、そして行政効果において大きな違いが出てくる、こういう認識に立っているからでございます。  それでは、一体各省庁の環境保全関係予算の編成に当たって環境庁というのは一体どういうふうな関与ができるのか、環境庁にお伺いいたします。
  128. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 先生お話しの環境庁の環境保全経費の見積もり調整という問題でございますが、これは環境庁設置法の四条に規定がなされておるわけでございまして、このような調整権限を踏まえまして、従来から関係省庁に対しまして、まず予算要求の前に環境保全経費の予算編成に係る基本方針を示すということと同時に、関係省庁からのヒアリングを実施してその調整を行っているところでございます。と同時に、これを取りまとめた段階予算の編成に当たっている大蔵省に対しても事務的にその内容を御連絡をし、その査定の中にそういう面の配慮をしていただくように取り計らってきているところでございます。
  129. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 確かに環境庁の設置法によりますと、環境庁は各省庁の試験研究費については配分計画を行うことができますね。しかし、それ以外の経費については見積もり方針の調整を行うことができるにすぎない、こう載っております。これに対して国土庁などというのは設置法で大規模な事業についての見積もり方針及び配分計画の調整を行うことができるようになっており、大変強い権限を持っているわけであります。私はこの環境保全関係予算の編成に係る環境庁の権限をもっと格上げをする必要があるのじゃないか、せめて国土庁並みにする必要があるのじゃないか、こういう意見を持っているものですからお伺いをするわけでございます。
  130. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 私どものやっております中で、今も先生お話にございました環境関係の研究費につきましては、いわゆる調整費という費目を持っておりまして、それを活用いたしまして関係省庁の研究活動の調整を行っております。それからもう一つ、国立の試験研究機関におきます環境研究につきましてその研究費を環境庁におきまして一括計上して、それを配分して関係の試験研究機関で研究を行っていただくというようなことも行っているわけでございますが、その他の経費につきましては先ほど申しましたようなことで見積もり調整という過程を通しまして、全体としての環境保全経費が充実するように、またバランスのとれた形で進むようにということで努力をしているところでございます。
  131. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 環境庁の理念は非常にいいと思うんですけれども、その理念に伴う予算というものがことしマイナス一%になったということはやっぱり国民の目から見ると環境庁の力が落ちているんではないか、一生懸命にやるということを抑えようとしているような内閣なんじゃないだろうか、こういうふうに見えるわけなんです。これについてどうお考えでございましょうか。
  132. 安原正

    政府委員(安原正君) 確かに御指摘のとおり、六十三年度予算では対前年度比一%の減額にはなっております。最近数年間を見ます場合、六十二年度においては増額になっておりますが、そういうことで減額の年が多いわけでございます。これは全体として御承知のとおり厳しい財政事情にある、そういうことでできるだけ予算を効率的に編成し、実行していくことによって行政目的を達成していく努力をしていかなければならない状況にあるわけでございます。そういう全体の中で予算編成が行われておりまして、環境庁予算が今申し上げたような状況にあるわけでございますが、私どもとしましては厳しい中でできるだけの予算を確保する努力はそれなりにしているつもりでございます。その結果として、減額にはなりましたけれども、ほぼ前年度の予算に近い金額を確保しているわけでございます。その限られた予算の中で私どもとして現在の状況のもとにおいて重点的に実施していくべき重要施策の遂行には支障がないように配慮をしているところでございます。そういうことで御理解を賜りたいと思います。
  133. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 御理解を賜りたいといったって、もうこれ以上出るわけないですから本当にもうしようがないかなと思うんですけれども、例えば文教予算にしましてもわずかですけれども〇・〇六%、一%じゃない、〇・〇六%伸びているんですよね。厳しい財政事情でもそういう点伸びているところもある中で、政府予算は四・八%伸ばしている。そして、軍事費なんというのは突出しているんじゃないですか。そういうことで考えてみれば、環境庁のこの予算というのはまことに残念な予算だと私は思うのですが、あなたの方で御理解くださいなんといってもそれは理解がなかなかいくものではありませんということを申し上げておきます。  きょうは全体で二時間の委嘱審査でございます。私は、二つのことについて質問しようと思っておりました。一つは、白保のアオサンゴ群落に関して、もう一つは、水質汚染に関してです。ちょっと問題をつくってみましたら、水質汚染というのはもう実にたくさんの問題がありまして、私に与えられた五十三分ではとても間に合いませんので、今は石垣島の白保のアオサンゴ群落に関する質問をいたします。  それで、先回も社会党の田渕理事、そして公明党の広中委員からこの問題については質問がありましたので、できるだけダブらないで質問をしたいと思っております。  まず最初に、環境庁は国際自然保護連合、これに加入をしていると思うのですけれども、一体、国際自然保護連合というのはどのような団体なのですか。また、学術的なレベルといいますと、どのような評価を国際的に得ているものなんでしょうか。
  134. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) IUCNと略称しております国際自然保護連合は、御案内かと思いますが、一九四八年、昭和二十三年に設置されたわけでございます。確かに日本で申し上げますと環境 庁が環境庁という役所で会員に入っておりますが、まず全体を申し上げますと、五百数十団体のうちに、いわるる民間団体が約三百九十団体ばかり入っております。それから、国によっては国ぐるみといいますか、国家会員として入っている国もございますが、日本の場合はむしろ国家が会員になるというよりも、環境庁という役所が入っておりまして、それに類するものがほかの国でも同じ国で幾つも機関が入っている場合がございますので百二十五ばかりございます。ですから、日本流に言うと、半官半民というよりむしろ私は民間を中心とする国際的な団体と申し上げてもいいんじゃないかと思っております。  それから、そういう団体の活動、これはお尋ねの件からそれるかもしれませんが、何をやるかという点では、もちろんねらいとするところは地球的と申しますか、世界的な自然なり自然資源の保護でございますが、やることは、いろんな国の政府とかあるいは民間団体をエンカレッジするという言葉を使ってありますが、バックアップしていくというようなことがうたわれております。  学術的な団体としてどう思うかという点ですが、そのような意味でこれはやはり私自身の理解は、IUCNそのものが国際的な学術団体という言い方はできないんじゃないかと思います。と申しますのは、日本から参加しております団体ももちろん環境庁のほかに幾つかあるわけでございますが、例えば国立公園協会でございますとか日本野鳥の会というような形で、必ずしも学者団体、有識者団体が入っているわけじゃございませんものですからそのように申し上げたわけでございます。  レベルというのは、そうであっても、もちろん学術的な面での行動や意見発表もあるわけでございますが、私は一概に評価するわけじゃございませんが、実は後ほどお尋ねがあるかと思いますが、今回このIUCNの中の「種の保存委員会」という委員会で調査をなさったレポートがございます。これは数日前私のところにもこの「種の保存委員会」の担当のエドワーズさんという方がお見えになりまして二百三十ページばかりの英文のレポートを置いて帰られたんでございますが、まだ全部私も読んでおりませんが、    〔委員長退席、理事石井道子君着席〕 これ自身も実は「種の保存委員会」、IUCNそのものでなさった調査ではございませんで、聞きますと、技術的な限界もあるので海洋生物連盟カナダ支部というところに委嘱をしたというふうに説明をしておられました。つまり、一定の経費を払ってそういうある種の団体に委嘱をなさるということから見ましても、IUCNそのものに調査機能とか学術機構、もちろんゼロじゃございませんが、そういったものがある関係ではないのかということで私自身も実は数日前のエドワーズさんに会った結果理解したところでございますが、そのような意味でもちろんこれは、このような団体はほかにございませんものですから、いわば国際的には自然保護をねらいとするこの種の団体としては一つの大きな勢力を持った団体というふうに理解しております。
  135. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大きな勢力を持った団体であるということは理解をしていると言いますけれども、その団体のそれでは勧告とか提言とかそういうようなものは重いものとして環境庁は受けとめるのか、その辺のところはどうですか。
  136. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 重く受けるか、軽く受けるかと言われましても、これはもちろん事柄の内容によります。  それから、今決議というお言葉をおっしゃいましたが、確かに今回の二月何日かでしたか、IUCNの総会では決議という形でもちろん提案され、また決定されたんですが、決議という言葉自体は総会の中での用語でございまして、実は決議の内容というのは勧奨したり要請したりという、それぞれ決議の種類によって、これ全体で百幾つかあったのでございますが、その中にいろんな決議の内容がございます。したがって、もちろんこれは今申しましたように、国際的に自然保護を理念とする実践活動としては唯一に近いというよりも、ほとんど唯一であると言っていいと思いますが、その意味では重要なものと受けとめております。  内容とするところにつきましては、決議の内容そのものにもいろんなニュアンスがあるわけでございますので、そのような意味では、決議だからこれが、例えば言葉はあれですが申し上げますと、ある会員を拘束するかしないかという議論になりますと、これは私は団体のあり方としてもいろんな議論ができるんじゃないかと思っております。
  137. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういうふうにお答えになりますとちょっと問題なんです。  コスタリカで開かれました総会で、空港建設計画を再考するように日本政府に求める決議を全会一致で採択をした。このことをどう考えるかという質問が二月二十六日の衆議院予算委員会であったと思うんです。環境庁、そのときの議事録ちょっと見てください。長官どうやって答弁しておられますか。
  138. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 予算委員会で、私はここでも申し上げましたけれども一般論として政府を激励する、応援するという、世界の団体の六百も入った大きな世界的なただ一つと言ってもいいのか、そういうような団体でございますから、私はその趣旨を尊重する、そして応援してもらっているという意味に私はとらえているという趣旨の答弁をいたしました。
  139. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 応援をしてもらっていると、一体何を応援してもらっているというように環境庁としては考えているんですか。  私、ここの決議文をこう見たんですけれども、「日本政府が白保サンゴ礁における全ての生物相に関する研究プログラムを履行し、サンゴ礁生態系の研究と管理を推進し、日本におけるサンゴ礁の一般状態をモニターし、サンゴ礁の破壊と劣化の原因を究明するよう慎んで提案する。」、こういうようなことも含めまして、大変厳しいことを、日本政府に頑張りなさいと言っているような感じがするんです。それは環境庁の姿勢を応援をしているんだというようにお考えなんでしょうか。
  140. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 一般的な見解を述べたわけでございます。
  141. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 昨年の八月に沖縄県は、新石垣空港建設の埋立予定地に隣接をしますこのアオサンゴ群落の価値を無視できなくなって、滑走路を二千五百メートルから二千メートルに縮小する計画変更をやりましたね。この計画を変更したという最大の理由はどこにあったんでしょうか。
  142. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) これは既に報道されておりますように、アオサンゴ群落、しかもそれはかなり大きなアオサンゴの群落が初めの計画の案で比べますとかなり近いところにある、それに対する影響を避けるためというふうに私どもは理解しております。
  143. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうすると、環境庁が沖縄県に対して計画を変更するように、こう申し入れたわけですか。
  144. 森幸男

    政府委員(森幸男君) この問題につきましては、かねてより環境保全の面に十分配慮するように沖縄県に対して私ども日ごろ言っておりましたことが、沖縄県の方におきまして考慮していただいたものというふうに思っております。
  145. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 昨年の八月十九日の国会におきますこの議事録、櫻井説明員がこう言っていらっしゃるわけです。「環境庁といたしましては、沖縄県がアオサンゴの保護等環境保全の観点から慎重に対応し、埋立法線の変更も含め、十分な検討を行うことを期待しているわけでございます。」というのは、これは期待をしているということは、接触があったということか、あるいは遠くから離れて沖縄のことを心配をしながら、こうやってもらいたいというふうに見ていたということなのか。その辺はどうなんですか。
  146. 森幸男

    政府委員(森幸男君) この問題につきましては、従来から大変大きな問題になっているという こともございまして、沖縄県の方から私どもの方にも必要に応じいろいろな御相談あるいは御連絡等をいただいておりましたので、そういう都度私どもの方から沖縄県の方に私どもの方の希望を伝えていた、こういうことでございます。
  147. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 じゃ、沖縄の方からしょっちゅう相談があった、こういうことでございますね。  私は、沖縄県のアセスメントは大変ずさんであったのではないだろうか、こういうふうに思うのですけれども環境庁、その間全然知らされなかったのですか。
  148. 森幸男

    政府委員(森幸男君) このアセスメントの、何と申しましょうか結果につきましての環境庁の対応というのは、そのアセスメントの結果が出た段階で私どもの方に参るわけでございますから、正式にはその段階で、私どもの方が意見を申し上げる場合にはそういうような対応をするわけでございますが、ただ実際問題といたしまして、県の方からいろいろ相談等がございます場合には、適切なアセスメントを実施するために必要な手続上の問題あるいは技術的な問題につきまして適宜助言を行っているというのが実態でございます。もちろん、その数値等についての中身ということよりも、今申しました事務的、技術的な点についての御指導と申しましょうか、そういうことを行っているということでございます。
  149. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 事務的、技術的というのは、一体どの程度のことを事務的であり、どういうものが技術的なのかということなんですが、六十一年十一月二十一日、新聞の「論壇」に琉球大学教授の鵜飼さんという方が投稿をしていらっしゃいます。そしてまた、皆さんよく御存じの宇井純さんという方がこれもやはり新聞にこの問題についてレポートを載せているわけであります。そのアセスに関しては、例えば、「サンゴ礁を埋め立てて、作られる空港には、数年間の工事期間、雨も降らず、潮の干満もなく、台風も来ないという前提で工事がなされることになっている。潮の出入りを計算に入れると、それだけで、県の計算の一千倍をこえる泥水が工事現場から排出され、南北数キロメートルのサンゴ礁は泥の海となって全滅してしまうのである。」、こういうことを宇井さんは言っていらっしゃいます。また、琉球大の鵜飼さんという方は、「埋め立て予定地の精密測量地図さえ作成されていないという、驚くべき事実が指摘されている。」、「漁業権確認訴訟が第二次漁業権訴訟で争われているが、その公判で県が提出する地図が毎回のように食い違い、裁判官から注意されるほどである。」と、こういうことを言っているんですね、アセスのつくられていく経過の中で。こういうことについては一切関係なしに、沖縄県がアセスをつくるのをじっと待って、出てくるまで環境庁は待っているということになるんですか。
  150. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 先ほども申しましたけれども、私どもが正式に御意見を申し上げるのは、やはりアセスメントが終わった結果、評価書ができて、それがこちらの方に、意見を運輸大臣から求められた段階で意見を申し上げるということでございますが、その前の段階でも、先ほど申しましたような技術的な事項についての御連絡、御指導というようなことはこれまでも行ってきているわけでございます。ただ、今先生お話しのような、その具体的な中身がどういうふうになっているかというようなことについては、そういう結果について今の段階ではまだいただいておりませんので、何ともここでコメントすることはできないことを申しわけなく思っております。
  151. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いただいてないのはいいんですよね。いただいていなくても、見ている人たちがそういうことをちゃんと書いているわけですね。それ、環境庁知りませんということはないと思うんですね。その辺はどうですか。
  152. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 今先生おっしゃるような内容につきましては、私ども詳細には事務当局の方も承知してないようになっております。
  153. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 まあ私もそれを見ていないわけですから何とも言えないわけですけれども、しかし、宇井純先生が「数年間の工事期間、雨も降らず、潮の干満もなく、台風も来ないという前提で工事がなされることになっている。」という、このような何というんですかね、びっくりするような条件をつくる沖縄県のやり方は、一体どういうものなんだろうか、私は大変疑問を感じないわけにはまいりません。  ところで、今沖縄県は計画変更後のやり直しアセスメントを準備中になって、何か四月から五月ごろに出されるということですけれども、今環境庁に対していろいろとお話し合いがありますでしょうか、相談がありますでしょうか。    〔理事石井道子君退席、委員長着席〕
  154. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 私どもの方も、今お話しのように、近い将来そういう新しい前提でのアセスメントを始めるというような話は伺っておりますけれども、あとは、先ほど来申し上げておりますような技術的なこと以外、詳細には承知しておりません。
  155. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうしますと、三月九日の衆議院の予算分科会で長官は、空港建設計画については、現在県がアセスの準備をしている段階だから意見を言うのはおかしい、アセスを完了してこちらへ上がってきた段階で答弁を、応対をする、こういうふうに答弁しています。今もそういう御説明であるわけですけれども、先日のこの委員会でも同じような発言をされたわけですが、そこで、こちらへ上がってきた段階というのは、具体的にどういう段階を指すんですか。
  156. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 私の聞いておるのは、まだアセスの準備段階だと聞いております。だから、見に行っていろんな意見があちらこちら、また専門家も御心配いただいておるアオサンゴ群を、東洋というのか世界的にも歴史的にも非常に大事なものだから、残せという世論がほうはいとして起きておるわけですから、そういう意味からいうていろんな意見出ておると思うんです。私も聞いております。そういう中ですが、だから沖縄県自体これは守らなきゃならぬと思っていると思いますが、そのアセスを準備しておるんで、その準備についての意見が決めるんじゃないかと私は思うんで、アセスを実際やった、まあやったということも聞いていないし、もうやりかけておるという状態も私は知りませんけれども、そういう準備をしておる段階なんだから、アセスをちゃんとやった上で私どもがこれを聞く、そうして、そのアセスに問題があるのかないのかというようなことが将来環境庁の問題になると思うのが現在の政府の仕組みですから、そういう線に従って私どもは対応するということでございます。
  157. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 まだ上がってこないと言われますけれど、この間のが余りにひどい状況でございますから、私は環境庁はうんと注目をしておく必要があるというふうに考えているわけであります。  で、主務大臣から意見を聞かれると、そのときに初めて環境庁長官は意見を言うことになっているわけですか。
  158. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 手続について申し上げます。  閣議決定に基づきます環境アセスメントというのがこれから行われるわけでございますが、それが終了いたしますと、公有水面埋立法の出願がなされることになるわけでございます。公有水面埋立法の手続の中で、五十ヘクタールを超えるものなど一定要件に該当する埋め立てについては、主務大臣から環境保全上の観点からの環境庁長官の意見を求められるということになっておりますので、その段階で正式に環境庁長官の意見を申し述べるということになるわけでございます。
  159. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、現在まで閣議アセスにかかった開発事業、こういうものの件数とか、それから主務大臣環境庁長官の意見を求めたというようなものは、何件ぐらいありますか。
  160. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 閣議決定に基づく環境影響評価手続が終了いたしました案件の数というのは、私ども環境庁が把握しているところによりますと、本年の三月十日現在で十五件でございます。そのうち主務大臣を通じて評価書が送付をさ れてきているものは九件でございます。この九件のうち環境庁長官の意見を求められた案件というのは、東京湾横断道路の一件でございます。
  161. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は今の報告を聞いてびっくりいたしましたね。これがアセスメント法制化断念の代償として鳴り物入りで始められた閣議アセスなんですね、閣議決定、この実態だというふうに思うわけですが、長官、これどうお考えになりますか。たった一件だけ長官に意見を求めてこられた。
  162. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) アセスメントという言葉ができて、そうしてこれの法案を通そうと国会で御審議いただくというときもあった、私ども議員の間にそういう時期もありまして、不幸にしてかどういうことか通らなかったということなんで、政府においての閣議決定でこれは行っておるわけで、そういう仕組みからいうと、いわゆる環境庁がやらなきゃならぬ問題、あるいは都道府県のアセスをやる問題とか、あるいは事業主体者がやる問題とか、いろいろ仕組みの中で分かれておる。そういう中で今の沖縄県の場合は、沖縄県のアセスが主になるというような仕組みになっておりますから、今そういう答え方しかできないわけでございます。政府がやらなきゃならぬ、あるいは環境庁自体がアセスを実施しなきゃならぬというような決まりになっている問題については、私どもが直接やるから、そのことに対する答えはここではっきりと言えるんですけれども、そういう仕組みの中でございますので、私どもの申し上げる限界がございますので、そういう意味で御理解をいただきたい。  ただ、仕組みが変わればいろいろな問題が出てくると思います。それはやっぱり政府国会の間で考えてもらわないと、現在の仕組みではそういうことになっておるわけですから、私がそれ以上の仕組みについてのコメントをできる立場でございませんので、そういうこともあわせて御理解をいただきたいと思います。
  163. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そこが問題なんですね。環境庁ができたときに、あるいはつくろうという動きのときに、国民が一体何を環境庁に希望したか。環境庁がつくられるということに本当に大きな期待を持っていた人たちにとってはそのつくられた仕組みというものが大変、何というんですか、残念な、力のない、自分たちの期待に反した環境庁になってしまった。私は、長官がその仕組みの中でしか答弁ができないとおっしゃるのは当然のことだというふうに思うわけでございますが、長官がそれしかできないということは当然のことでしょうけれども、私としてはそういうことでよろしいというわけにはいかないんですね。  それで、アセス法制化、あるいはまた閣議決定という、こういうものを改定する必要があるんじゃないかという意見を申し上げ、長官の御意見を伺いたいわけであります。  大体、主務官庁がそれぞれ取り仕切って行うアセスが全面的に信用できるものであったならば、私たちは環境庁は必要ない、こういうふうに思っているわけです。しかし大体において問題がある、悪い言い方をすれば、やましいところがあるから意見を聞いてこないのではないだろうか、こういう勘ぐりも出てまいります。私は、環境庁が要らないというふうに思っておりません。ぜひもっともっと強い環境庁になってもらいたい、こういうふうに思っているわけですが、閣議アセスが環境庁の口封じのための道具のようになっている、こういう実態を見ますと、やっぱりアセスの制度は法制化していかなければならない、こう思っております。また、百歩譲りましても、せめて環境庁長官の意見表明を必要要件にすると、閣議決定を改定していかなければならないというふうに思うわけでありますので、御意見を伺います。
  164. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 今おっしゃるように、アセスは法制化した方がいいという考え、私も同じでございます。現状についての私のコメントができないということを申し上げておるわけでございます。
  165. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 アセス制度の実態がこういうふうに環境保護にとって極めて無力であるという現状では、白保の世界的に貴重な価値を持つサンゴ群落を保全するには環境庁長官の勇断が強く求められる、こう思います。環境庁は独自に、早急にしかも現地調査を行って、環境庁設置法に基づく長官の勧告権を行使してその保全を図るべきである、こういうふうに考えるわけですが、今までに勧告権を行使したという例は幾つぐらい、そしてどのような内容についてありましたでしょうか。
  166. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  環境庁が各省に対しまして勧告いたしましたのは三件ございます。まず最初が、四十六年の十二月二十八日でございまして、「環境保全上緊急を要する航空機騒音対策について」ということでございます。この勧告の中身といたしましては、当面の指針を定めまして、それについて指針達成のために必要な措置を速やかに講ずるようにということで運輸大臣に出したものでございます。それから第二番目が、四十七年の十二月二十日でございまして、同じく運輸大臣に出したものでございますが、「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道騒音対策について」ということでございます。それから三番目が、五十一年三月十二日でございまして、運輸大臣に出したものでございまして、「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について」という三件でございます。
  167. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 今の報告を聞いていますと、この環境庁発足の早い時期ですね。その後、こういう勧告権運用していないんですね、行使をしていないんですね。昭和五十一年が最後でしょう。そうしますと、十二年間勧告権全然なし。この間環境状況というのはどんどんよくなってきているんですか。勧告権必要ないほど環境条件は改善をされているんですか。
  168. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) ただいま申し上げました三件につきましては、最初に申し上げました航空機騒音につきましては、その後四十八年の十二月に環境基準を定めまして、環境基準に向かって関係のところでいろいろ努力いたしてもらったところでございます。が、現状はなかなか難しい状況にございます。それから第二番目の新幹線鉄道騒音につきましても、五十年の七月に環境基準を定めてございます。この環境基準に基づきまして、現在、東海道新幹線あるいは上越、それから東北新幹線についての対策はいろいろ講じられておりますけれども、なかなか難しい状況にございます。それから新幹線鉄道振動につきましては、その後、この五十一年の先ほど申し上げました勧告の中に、いわゆる当面の指針値という形で示しているわけでございますが、現状の新幹線につきましては大体この指針値が守られている状況にございます。
  169. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私の質問の仕方がちょっとあやふやだったでしょうかね。私が考えておりますのは、環境庁設置法の第五条に「(長官)」というのがありまして、「長官は、環境の保全を図るため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し環境の保全に関する重要事項について勧告することができる。」と、こうあるわけですから、その三つ以外に勧告をしなければならないというような今までの条件はなかったと、こう考えていらっしゃるからこそ十二年間勧告権が行使されなかったというふうに思うんですね。これは大変私は問題だというふうに思いますが、この白保の問題について長官は勧告権を行使してその保全を図るべきだと思いますが、いかがですか。
  170. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) これは長官からお答えがあるかと思いますが、まずここにございます環境保全に関する重要事項の勧告でございます。これはかなり権限の裏づけ、どうしても相手省庁が聞かない場合には内閣総理大臣に具申をするという規定もございますので、少なくとも私どもがそういう勧告をする以上、どう申しましょうか、非常に明白なる根拠を持って他省庁に、言葉は、表現はおかしいかもしれませんが、迫れるものを持ってこれ勧告をしなきゃいけないと思うんでございます。漠然とした環境保全ではないというところで、まあ大臣のお考えをここで聞いたわけでは ございませんが、白保のサンゴ礁の問題について、今私が大臣お願いして勧告権を発令してもらうような、関係省庁がどこになるかという問題もございますが、そういうデータを私どもまだ事務的には持ち合わせていないというのが一つの御説明じゃないかと思います。
  171. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、白保のこのアオサンゴ群落及び周辺に国立公園、または自然環境保全地域、こういうものに指定する価値は十分あると思いますけれども、見解をお伺いいたします。
  172. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 率直に申し上げまして、そういう御指摘があることを全く理解できないとは申し上げませんが、実はこれは他省庁との関係ではなくて、地域指定の仕組みでございますけれども、従来は、少なくとも関係自治体が納得、同意をしたものを取り上げて指定をするということになっておるわけでございます。そのような意味から、今私がここで事務的にそういうことを検討してみたいと申し上げるにはいかにも現状で、特に沖縄県あるいは石垣市、地元においていろいろな議論がなされておる段階でございますので、ここでは事務的にも一応その考えを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。今のところはそのようなことを前提には考えておりません。  つけ加えて言いますれば、やはり先ほど来御指摘もございます、県が準備しておる新しい環境アセスメントの結果をどう見るかということがまずやはり急ぐべきであり、また基本的な課題ではないかというのが私どもの考えでございます。
  173. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 だからこそ私は最初にコスタリカにおける決議というのはどのくらいの重みを持つものなのか、あの自然保護団体というものはどれだけの力を持つものかということについて伺ったわけでありまして、その決議を環境庁は無視をしている。今、答弁を伺う限りでは私そんな感じがしてならないんですが、そういうことはありませんね。
  174. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 私が申し上げましたことが無視をしているような印象でお受け取りになったとすれば、私の説明に表現上不十分な点があったと思います。先ほど申しましたように、レポート自体は、二百三十ページの英文でございますので、私自身もじかに読みたいと思っております。ただ、せっかくの機会ですから説明させていただきたいんですが、その二百三十ページにわたるレポートの内容をアブストラクトで見ますと、サンゴのことだけのものではございませんで、あの島に観光客がどのくらい来るかとかそういった、何と申しますか、社会的な論点なども全部交えてございますものですから、サンゴ礁の学術的とおっしゃるような意味での価値についてはどのように取り上げておるか。私はあのアブストラクトを見た限りでは、例えばサンゴというのは本質的に西太平洋とかインド洋を中心に発達しているものですから、やはり石垣が非常に貴重だという言い方をされても、それは世界唯一という意味の貴重ではなくて、むしろ専門的に言えば北の方に寄ったところでは珍しいということになっておるわけでございます。  そんな意味で、私ども自身も、これは無視ではなくて、レポートそのものを正確に読む必要もあると思いますし、また関係省においてもこれは読んでいただいておるわけでございますが、そんな意味で、あそこにあります調査報告そのものが、先ほど言いましたように、委託を受けた海洋生物連盟のやったものがどういうことを意味しているかについては、もう少し私どもにもこのレポートを理解する機会をいただきたいと思います。決議と申しますのは、決してそのレポートを押しつけてきたんではなくて、調査もしているけれども、いわば総会の全体の気持ちとして、日本政府にぜひこういうことをリクエストしたい、ぜひお勧めしたいという意味での決議でございますので、調査報告の内容につきましては今のような状況でございます。
  175. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 日本政府も大変協力をしてくれてありがたいということもこの決議文の中に入っているわけですから、私は環境庁が大変努力をしたんだということは国際的に認められていると思うんですね。しかし、いま一歩の努力が足りないという私は判断なのであります。  最後に、このサンゴ礁保全についての長官の決意を伺いたいわけであります。今、北限にあるから大変貴重なんだ、こういう御答弁がありましたけれども、世界的にやっぱり価値のある白保のサンゴ礁を保全していくというのは、私は私どもの責務だというふうに思うのであります。長官は、世界の人々と後世の人々に恥じることがないように適切な判断を持っていただきたい、こういうふうに考えますけれども、御決意はいかがでしょうか。
  176. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) IUCNの全文は、先生が一番もう御存じでございますけれども、四つの項目になっております。その項目自体の問題は一般論として、このアオサンゴ群というものを保存したいということを沖縄県が一番思っているんじゃないか、私はそう想像するんです。沖縄県自体も、アオサンゴを残したいと思うから、二千五百メートル滑走路を五百メートル縮めるというのは、簡単に思うけれども、もう機種が全然変わってくるんだし、航続距離も変わるんですから、これを二千メートルに縮めるというのは大変なことだと思うんです。それ自体アオサンゴを、例えばアオサンゴのあれも、もともと近くじゃないんですね、相当離れておったのを、工事やっているときに土砂が入ったらつぶれはしないかとか、いろんなことを思って思い切って下げておるんだから、そういう経過から見ると沖縄県自体このアオサンゴを守ろうと私は思っていると思うし、また守らなければならないと私も思っております。
  177. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 終わります。
  178. 広中和歌子

    広中和歌子君 私がお尋ねしようと思った質問の多くは既に同僚委員によって質問されましたし、それに夜のやみもだんだん色濃くなり働く環境としては決して最良とも申せませんので、できるだけ質問を短くさせていただきます。  環境庁の独自の予算は少ないし、そしてまた権限の点でも余り大きな力があるとは言えないというような指摘があったわけでございますけれども環境庁としては、特定の公害防止するため、例えばNOxを減少さすためにその公害の発生源たる自動車関連の税金の一部を公害防止のために使うことを私は昨年九月の環境特別委員会で主張をしたわけですけれども、そのときの大蔵省の方の答弁では、目的税というのはぐあいが悪い、そういう御答弁であったわけでございます。こうした中で、環境庁に市民の立場に立った行政を期待できないんではないかなというような危惧を持つわけですけれども長官のお考えをお聞かせいただければと思います。
  179. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  先生から前のこの特別委員会におきまして同じような御提言を承っておりまして、私どもはいろいろの角度から勉強しなければならないということで勉強いたしているわけでございます。  先ほども御説明申し上げたわけでございますけれども、非常にいろんな問題があるということでいろんな角度から勉強しなきゃならないということでございまして、この先生の御提言を現実に当てはめる場合におきましては、先ほども申し上げたんでございますけれども公害の発生程度をどう評価するのか、あるいは徴税コストと比較しても十分な効果があるのかどうか、それから他の税金との課税対象上の重複を生じないか、さらに目的税が課税対象上の重複を生じないかというようなさまざまな問題、あるいは税技術的な問題等もあるわけでございますので、これに類しました例を含めまして現在諸外国におきますそういう目的税的なものを入れるについての実情の把握に努めているところでございます。こういう諸外国の実例を踏まえまして、十分勉強さしていただきたいというように思っているところでございます。
  180. 広中和歌子

    広中和歌子君 中公審の五十八年の答申によれば、公害対策費の財源は「公害の原因者が公害を発生させる程度に応じて負担するべき」と書かれ ているわけでございます。空気汚染公害についてはSOxは十年前から著しい改善を見たわけですけれども、NOxは横ばいである、これはこの委員会でさんざん指摘されたことでございますが、十年前、公害発生源であるSOxとNOxの比率を八対二と、そういうふうに寄与度を評価し、そして公害健康被害補償の負担もそのように決められたわけですが、このたびの公害健康被害予防事業への基金への出資がSOxとNOxでは八対一対一と、そのまま使っていらっしゃいますね。
  181. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 今先生指摘の問題は、二つ御指摘があったのかと思います。  まず最初の問題は、公害健康被害補償制度におきます補償費用負担の仕方という問題がございます。これは、患者補償費用の二割分につきましては自動車に係る負担分ということで、この制度の発足以来具体的には自動車重量税から財源措置を行ってきているわけでございまして、その比率が先ほどお話しのように八対二になっているわけでございます。  この比率でございますが、従来全国の固定発生源と自動車のSOxとNOxの排出量というものを基礎にいたしましてこの八対二という数字を決めましてこれまで推移をしてきているわけでございますが、患者の補償の問題につきましては、今後は補償を行う既被認定者指定解除前の大気汚染の影響を受けたものというふうに考えられるわけでございますので、従来から八対二ということの負担でやってきております関係から、今後とも引き続きこの八対二の負担割合を維持するのが適当でないかというような考え方で今回延長をいたしているところでございます。  それから、先生の御指摘の中にございましたもう一点の問題は、今回のこの新しい公健法施行に伴いまして始まります健康被害予防事業関係でございまして、この予防事業を実施するための基金を設けるわけでございますが、これは自動車メーカーが大気汚染の関連事業者という形で応分の負担を行うことになっているわけでございます。この比率につきましては、これは先ほども御答弁申し上げましたが、五百億積み立てようという目標の中の八割相当分の四百億を除きました百億、それをこの自動車メーカーと国の双方で負担をしていくということでございまして、ただ六十三年度の場合について申し上げますと、これは国及び自動車メーカー等の関連事業者が双方とも一億八千百万円ということで同額を見ているということでございますので、六十三年度につきましては八対一対一というようなことになっているわけでございます。
  182. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、あめとむちと言っては恐縮なんですけれども、やはりSOxみたいに努力をなさった部分と、それからそれほど対策としては十分になされていなかったNOxの関係、やはり負担は違ってもいいんではないか。二百億円今まで出していたわけですけれども、それをそのまま続けて出す必要があるんじゃないか、そんなふうに思うんです。自動車関係、今まで二百億円出していらっしゃいましたね。それをそのまま減るまでお出しになる必要があるんじゃないか。ですから、基金として五百億を超える目標になってもいいんではないか、そんなふうに思うんですけれども、お考えをお聞かせください。
  183. 森幸男

    政府委員(森幸男君) ただいま申し上げましたこの補償費用の方は賦課金という形で取っているわけでございますが、これが自動車重量税からの引き当てということになります。この自動車重量税自動車の保有者から徴収をするということになってございまして、それは自動車保有者が直接の大気汚染の原因者であるという立場でそういうことになってございます。  今回の基金におきましては、五千万台と言われております大変多数の個々のユーザーの方から拠出金を取るということが実際問題としてなかなか難しいということもございまして、今回は自動車メーカーから応分の負担をしていただく。その応分の負担ということで、これは先ほど申しましたことで繰り返しになりますけれども、一割相当分に見合う額を出していただくということになっているわけでございます。
  184. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、徴税の問題で重量税からそのまま持ってくるというのは決して難しいとも思えないんでございますけれども。  それから、道路関係予算ですね、非常に高額になっているわけでございまして、五兆七千億円、多くのお金が道路建設に使われるわけなんですけれども、新しく道路をつくるのはさておきましても、例えばもうちょっとその基金の方に自動車関係の税金から払ってもいいんではないか。先ほどからも徴税の難しさとおっしゃいましたけれども、既にいろいろな形で自動車関係の税金というのはあるわけでございまして、そこからほんの百億、二百億を引くことに関してユーザーの方、例えば私が車を持っていて、加害者であるのであれば決して文句を言わない種類のものだろうと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  185. 森幸男

    政府委員(森幸男君) この自動車重量税は道路整備ということを主たる目的とした目的税ということでございまして、あわせて環境保全のために使用できるという道が開かれておりますので、従来から公健制度にその一部を導入してきているわけでございます。したがいまして、自動車重量税の配分の問題ということになりますと、これは環境保全の面も含めた国全体の何といいましょうか、道路財源の捻出の仕方というようなことに絡んでくるかと思いますので、この辺はまた財政当局の方で種々御検討をいただくべき問題かと思います。
  186. 広中和歌子

    広中和歌子君 建設省の方においでいただいていますのでお伺いしますが、自動車による公害を減らすためにはさまざまな施策が立て得ると思うんでございますけれども、どのようなことをしていらっしゃるのか、そして道路関係予算はどのくらいか、そしてその何%ぐらいを公害対策関連の費用に充てていらっしゃるか、お伺いいたします。
  187. 松浦仡

    説明員(松浦仡君) 昨年度、六十二年度予算のときに御説明申し上げました中で、道路事業費の約二%を環境保全対策に充てているというふうに申し上げたわけでございますが、この二%といいますのは非常に狭い意味の環境保全対策ということで、例えば環境施設帯を整備したり、あるいは道路を緑化したり、騒音の大きいところに遮音壁を建てたりというような事業費でございます。これが全体の事業費の約二%ということになっておりまして、昭和六十三年度の予算で申し上げますと、道路予算が六兆六千八百億のうち、非常に狭い意味の環境保全対策に千三百五十億ということで、昨年よりは大分伸びておりますが、約二%を充てているということでございます。  そのほか環境保全対策といたしまして、交差点を立体交差にするとかあるいはアンダーパスにするといったような非常に広い意味の環境保全対策も含めますと、道路事業費の中で約六千億という事業費になりまして、道路事業費の中に占める割合としては九%ということになっております。
  188. 広中和歌子

    広中和歌子君 環境庁長官にお伺いいたしますけれども、前回の御答弁の中で、環境庁というのは御自分の予算は小さいけれども、多くの関連予算を持っていて影響力を与えることができる、調整役というふうにおっしゃいましたけれども、引き続き道路関係予算の中で公害を減らす形に使われるような積極的な調整役を買って出るおつもりでいらっしゃるか、お伺いいたします。
  189. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) おっしゃっている意味からいうと、私は当然のことだと思います。今まで道路をできるだけ急ぐために一生懸命やったけれども、日本じゅうもうこれで全部回っているわけだから、今度五カ年計画やる場合にはもう少し環境保全という立場で道路計画を進めなきゃいかぬという立場を強う私は持っておりますので、閣議でも新しい道路五カ年計画に対しては環境問題を一番大事にしてつくるようにという発言もしておりまして、また建設大臣は十分配慮いたしますという答えで、閣議決定になっておるんですから、建設省は当然その趣旨に沿ってやるべきで、 今までやった道路の中では、つくってから後問題点いっぱいあるんですよ。もうここへ来たらもう少し環境というものを、やっぱり人間の命大事なんだから、そういうことを考えるということが当たり前のことだと私は思っておる。  だから、この委員会、衆参両方とも通じて、もう終わりになってきておるけれども、私の気持ちから言えば、今の流れから見たら環境庁の権限もっと強うしてもいい、また予算をもっと大きくしてもいい、そういうようにする方が結局日本の国民のためじゃないかという思いを非常に強く持ってきておりますので、今後ともその線に沿うてやっていきたいと思っております。
  190. 広中和歌子

    広中和歌子君 運輸省の方にお伺いいたしますけれども、大型トラックによるトラック輸送の伸び率というものはどのようなものでございましょうか、それに比べて鉄道の方はどうでしょうか。
  191. 小幡政人

    説明員(小幡政人君) お答え申し上げます。  過去、五十七年から六十一年まで五年間についてちょっと数字を述べさせていただきますと、ベースは、実は貨物輸送のシェアをあらわす意味でより好ましいと思いますトンキロベースで申し上げますと、自動車につきましては五十八年度の実績が千九百三十五億トンキロということで、対前年度比で見ますと三%の増、それ以後、対前年比で申し上げますと、五十九年度は一〇四%、六十年度は一〇三%、六十一年度は一〇五%ということで、順調な伸びでございます。  一方、鉄道について見ますと、これは旧国鉄の数字でございますが、五十八年度が二百七十一億トンキロということでございまして、対前年度で見ますと九〇%、五十九年度が八四%、六十年度が九五%、六十一年度が九三%ということでございまして、毎年少しずつでございますが減らしてきております。
  192. 広中和歌子

    広中和歌子君 自治省の方に伺いますけれども、ガソリン税、それからディーゼル税でございますよね、地方税になっておりますけれども、ガソリン税は五十三円、ディーゼルの方は二十四円、軽油の方でございますけれども二十四円、なぜこのような差があるんでございましょうか。
  193. 小坂紀一郎

    説明員小坂紀一郎君) 確かに先生がおっしゃったような税率の格差がございます。  その原因でございますけれども、軽油引取税ができました経緯からちょっと申し上げないといけないわけでございますけれども、実は軽油引取税ができます前に既に揮発油税が国の道路目的財源としてございました。しかしながら、軽油を燃料として走っている車ももちろん存在していたわけでございます。それに加えて地方団体についても、これは地方道が整備されないと全体として道路整備があり得ないということで、地方団体に道路目的財源を与える必要があるということで、昭和三十一年に軽油引取税がつくられたわけでございます。このときに税率水準をどうするかということが問題となったわけでございますけれども、結論として、その当時の揮発油税、それから地方道路税がガソリンについてかかっておりますけれども、それを合わせましたガソリンの税負担の約半分ということにされたわけでございます。  その理由といたしましては、今申し上げましたように、それまでは軽油についてかかっていなかったということで、急激な負担を避けるべきであるという議論がまずありましたこと。それから、先ほどの先生の御主張とちょうど裏腹といいますか、違った角度になるわけでございますけれども、軽油を用いて走っております車、バス、トラックが大半でございました。そこで公共の料金あるいは国民経済に与える影響も十分考えるべきだということがございまして約半分の税率に設定をされたということでございます。
  194. 広中和歌子

    広中和歌子君 ともかくその当時の状況から大分違ってきておりまして、今運輸省の方からもお伺いしましたように、自動車の方はトラック輸送、そちらの方がどんどんふえていて、逆に比較的公害を出さない、いわゆる列車輸送というのが減っているわけでございます。やはりディーゼル、軽油の費用も安いということで、いわゆる普通の乗用車でもディーゼルを使おうなんという人もこういうような状況ですとふえるんじゃないかというふうに心配いたしますし、それから公害という視点で見ますと、NOxの寄与度というんでしょうか、少しずつ改善されている中で、ガソリンを使う自動車の方は、昭和四十八年を一〇〇とすると八%に減っている。ところがディーゼルの方では、悪いのですと四七%というふうに余り進歩していないんですね。こういう状況の中で、ぜひ私は、一種の罰則としてでもディーゼルの税金の方を高くして、そしてそれを環境庁の特別財源などになさって公害対策に使っていただく。環境庁の応援団を任ずるわけじゃございませんけれども、やはりある程度このようなことをしていただくことが必要なんじゃないかと思うんでございますけれども、いかがでございましょうか。
  195. 小坂紀一郎

    説明員小坂紀一郎君) 先ほど昭和三十一年創設当時の税率が半分ぐらいだということを申し上げましたが、その後何回か引き上げが行われまして、その差がだんだん小さくなっております。しかしながら、絶対額では二倍ぐらいの違いがございます。しかし、小売価格に占めます割合、すなわち税の負担水準ということからいいますと、最近の数字で申し上げますと、ガソリンが小売価格に対する税の割合というのは四二%、それに対して軽油の場合には三〇%ということで、接近はしてきているということを御認識をいただきたいと思います。  それから、今の公害対策に用いたらいいんじゃないかというお話でございますが、軽油引取税は御承知のとおり都道府県の重要な道路目的財源でございます。道路整備が進みましたけれども、まだまだ地方道については残念ながら整備の水準が低い。主要地方道でも五割ちょっとぐらいの舗装率にしかなってないということ、それに対して道路目的財源はこれまた四割弱ぐらいな見当でございまして、地方団体はそういう状態にかんがみて、もっと道路目的財源を充実してほしいという要望があるわけでございます。また、道路に関する費用ということで、目的財源ではございますけれども、先ほど建設省の方からお答えございましたように、道路に関する費用の中で、例えば騒音対策ですと遮音壁をつくるとか、あるいは大気対策ですと植樹帯というんでしょうか、それをつくるとか、その道路目的に関する費用の中で公害対策に充てられている部分もかなりあろうかというぐあいに思うわけでございます。
  196. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は地方の道路財源を減らしたい、そのように思っているわけでは絶対ございませんで、それはそのままお使いいただいた上で、例えば一リットルにつき一円なり二円なり三円なりという額を上げたといたしましても、トラック輸送業者にとりましては大した負担にはならないんではないか。その上げた部分だけを公害財源として使ったらいいんじゃないか。特にディーゼルの公害寄与度というのは、場所によりますけれども、大都市周辺の公害のひどいところでは二十対一というような非常なそういう数字も出ているわけでございまして、ぜひこれは御検討いただきたいと思います。  質問を終わります。どうもありがとうございました。
  197. 山田勇

    ○山田勇君 環境庁予算面から見た重点事項はどのようなものか、あわせて予算概要、環境保全のための事業費の確保についてお聞かせをいただきたいと思います。
  198. 安原正

    政府委員(安原正君) 昭和六十三年度の環境庁予算案の総額は四百六十八億三千六百万円でございます。この金額の中で重要施策を重点的に推進していくべく配分に工夫を加えているところでございます。  六十三年度における環境庁の重点施策の主なものを申し上げますと、第一は、環境資源の保全と適正な利用という観点からの東京湾の環境保全対策、それから快適で良好な地域環境づくりの推進でございます。  第二点目は、有害化学物質対策等の新たな汚染の可能性への対応でございます。  第三点は、環境基準の達成維持に向けての各種の公害対策を積極的に推進していくことでございます。  第四点は、自然環境の保全と自然との触れ合いの増進に努力するということでございます。  第五点目は、総合的な環境保健施策の推進を引き続き進めていくことでございます。  第六点は、国際的な視野に立った環境政策の推進でございます。  以上のような重点施策を積極的に推進していきたいと考えているところでございます。
  199. 山田勇

    ○山田勇君 大変結構な項目を並べられたわけですが、その中で環境教育といいますか、その視点からちょっとお話といいますか、質問をしたいと思います。  環境教育と自然との触れ合いといった面からですが、今日のように多様化、複雑化する環境問題に適切に対応するためには、国民一人一人が環境について考え、環境保全に取り組むことが大切であります。環境庁としては、こうした取り組みを支援するためにどのような施策を展開するのかお尋ねをいたしておきたいと思います。
  200. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 今先生お話にもございましたが、昨今の環境問題の状況を見てみますと、生活排水であるとか近隣騒音であるとか家庭生活に起因するものもございますし、あるいはまた自動車公害のような都市活動に起因するものが大変大きなウエートを占めてきているわけでございます。また、身近な自然との触れ合いの確保というようなことを含めまして、快適な環境の保全・創造というものを求める、そういう社会的なニーズというものも高まってきております。  こういうような環境問題の態様の変化というようなことにこれから行政が対応していくということになりますと、従来やっておりました規制行政というようなことを中心とした行政ももちろん必要でございますが、それとあわせて、今先生お話の中にもございましたが、国民一人一人がそれぞれ人間活動と環境との関係について深い理解と認識を持って環境に配慮した生活行動を行っていただくということが大変大切であろうと思いますし、また環境問題の発生をもたらしている経済社会活動というようなものに目を向けまして、例えば環境への負荷ができるだけ軽減するようにそのあり方を変革していくというようなことなども考えていくことが必要であろうということを私ども問題意識として持っているわけでございます。  そういう意味で、国民の皆様方に環境問題についての認識と理解を深めていただくための環境教育という問題につきましては、ひとつこれから本格的に取り組んでいこうというようなことで、先般来、この道の権威の方にも御参加をいただきましていろいろ御意見を拝聴してきたわけでございますが、ちょうど昨日その懇談会から報告書をいただいたところでございまして、その中に盛られておりますいろいろな問題、例えば情報提供あるいは実践活動を支援する方策というものをどういうふうに整備し充実していくかというような問題などにつきまして、今後行政立場でも真剣にこの辺を取り組んでこれを具体化させていきたい、かように考えております。
  201. 山田勇

    ○山田勇君 自然との触れ合いは、子供たちの情操教育の上からも極めて有意義なものと考えます。  今いろんな形で環境教育というものに取り組んでいかれる省としまして、僕はもう一遍原点に戻って、環境とは何かをもう一遍考えるべきだと思います。特にその中で、端的に言いますとごみだと思うんです。例えば、これは長官も近畿の御出身ですから御承知ですが、近畿自動車道があります。この近畿自動車道を通りますと、両脇にそれは空き缶の山が、大阪府なり各地方自治体が毎日のようにやるんですが、一日終えて夕方になりますと、それは空き缶がすごいものです。ああいうのを見て、子供に環境がどうだとか自然がどうだなんて、大人はもう絶対に言えないというので、いつも僕は嘆かわしく思ってその道路を通るんですが、これはもうすごいものがあります。  私ごとですが、毎年八月には、カナダのブリティッシュコロンビア州教育委員会予算を受けまして、六十人、小学生から高校生をカナダの自然の触れ合いをするための英語特別講座というようなものでキャンプを張りまして、ホテルとかそんなじゃらじゃらしたところに泊めないで、テントを張って、そして連れていくんです、十八日間ぐらい。そうしますと、何が一番子供が喜ぶかというと、長官、あのカナダロッキーの自然を見たときに、バスの中からウオーという声が、何を見てもきょうびの子供はあんまり感動しません。その子供があの山を見て、あのきれいな公園を見たときにウオーと、こう言うんです。僕は教育はそこだと思うんです。そうすると、キャンプを張った後、自主的に百人ぐらいの子供たちがずっと横になって公園をずっと歩いてごみを一つずつ拾っていくんです。そういうことは自然に子供の中から、ごみ落としたらあかんぞ、ちり紙捨てるなよというようなことで、子供同士がお互いに注意し合ってその公共的な公園をきれいにするというようなすばらしい触れ合いに毎年僕は触れ合っているんです。  そういう視点から、環境教育というのを環境庁の方は、もう一度、ごみだとかそういうものも取り上げながら、何か環境教育というものをもう一段御推進をしていっていただきたいと思います。  最後に、長官の御答弁をいただきまして質問を終わります。
  202. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 今の先生の話を聞いて、本当に私どもも何か向こうへ行ったような感じになってきまして、感動をいたしました。  きのう、ちょうどこういう質問と全く裏腹に、加藤一郎先生を座長にした専門家各界から出ていただいて環境教育懇談会というもので答申をいただいたところです。ところが、いろんなことになると新聞でもばっと出ますけれども、そんな重要なこと新聞が書けるものじゃないんですね。それくらいみんな意識が低いわけなんです。それがなぜ変わったかと僕が思うのに、この三十年くらいの変わり方を見ましたら、ちょうど二十年ほど前に環境庁ができた。その環境庁ができたときは、水俣病であるとかいろんな問題でできましたね。そうして、本当に私たちの生活が楽になったというのはこの二十年すうっと変わったわけでしょう。恐らく、我々の先祖が考えもできないような、田舎におっても町で暮らしているような状態にこの十年我々の生活がすっかり変わってしまった。ところが、変わり方がひどいものだから、それに対応する国民の生活ぶり、いわゆる公共性のある生活ぶりというものがちっとも変わってない。まして子供たちは、塾通いやっているとか、それは自然をたまに見たら本当に感動するのは当たり前だというような、社会全体が便利になった裏腹にゆがみができた。  だから、自然生態系も私は随分、今我々の頭は非常に狂っていると思います。今一体イチゴがあるとか柿があるとか、我々、柿があるといったら十月とか十一月としか思えない。そんなものが店頭にいっぱいあるんだから、みんな頭狂ってきますよ。だから、そういう中からいうと、みんなしてゆがめておるんじゃないか。しかし、もうここで、今おっしゃる原点に立ち返ると、これはやっぱり教育しっかりせにゃいかんですよ。もう僕は、いわゆる子供の教育、大人の教育、極端に言えば、胎児からもう教育しなければ、この世の中大変なゆがみ方になって、ひどい目に遭うのは、これからの人たちがもっとひどい目に遭っていく。そうなれば、やはり人間らしい生活のできる形を我々が子々孫々まで保存するために今我々もう一遍見直さなきゃならぬと、全く同感でございますし、そのために努力をいたしたいと思います。
  203. 松尾官平

    委員長松尾官平君) これをもって、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、 これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十一分散会