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1988-03-23 第112回国会 参議院 環境特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十三日(水曜日)    午後二時三十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松尾 官平君     理 事                 石井 道子君                 曽根田郁夫君                 田渕 勲二君     委 員                 青木 幹雄君                 石本  茂君                 佐藤謙一郎君                 関口 恵造君                 宮崎 秀樹君                 柳川 覺治君                 粕谷 照美君                 安永 英雄君                 渡辺 四郎君                 広中和歌子君                 沓脱タケ子君                 近藤 忠孝君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  堀内 俊夫君    政府委員        環境庁長官官房        長        安原  正君        環境庁企画調整        局長       森  幸男君        環境庁企画調整        局環境保健部長  目黒 克己君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        環境庁水質保全        局長       渡辺  武君   事務局側        常任委員会専門        員        菊池  守君    説明員        沖縄開発庁振興        局振興第三課長  江口  肇君        水産庁海洋漁業        部遠洋課長    小野登喜雄君        通商産業省貿易        局輸入課長    川嶋  温君        運輸省航空局監        理部航空事業課        長        圓藤 壽穂君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害対策及び環境保全基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 松尾官平

    委員長松尾官平君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策及び環境保全基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 田渕勲二

    田渕勲二君 それでは私から、大臣所信に対し、環境行政基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。  大臣所信の中で、戦後のいわゆる高度成長期の過程で我が国が深刻な公害発生と自然の改変を経験した、そして環境保全への取り組みの結果、環境状況は全般的に改善を示しつつある、こういう認識を示されたわけです。しかし、大臣所信にもありますとおり、特に大都市圏窒素酸化物大気汚染あるいは湖沼、海域、都市の中小河川の水質汚濁等非常に多くの課題がまだ残されておる。しかし、残されているというよりは、むしろ私は現在の環境というものは極めて複雑で、しかも深刻になっているんじゃないかとさえ思うわけです。昭和四十二年に公害対策基本法が生まれましてもう二十数年たっているんですが、そのころよりもむしろ私が申し上げたような深刻さというものはまた違った性格で重要な課題になっている、このように私は思うのでありますけれども、これに対する大臣認識をお伺いしたいと思います。
  4. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 御指摘のとおり、最近の空気汚れ、水の汚れというものは非常に深刻な状態にあると私は認識しております。ただ、戦後の我が国高度成長期環境が非常に悪くなったときがございます。また、環境庁もそのためにできたわけでございますけれども公害発生という予想もしなかったような事態が相次いでまいりました。  ただ私は、第二次オイルショックごろに一つ節目があったように思います。それまで高度成長によって、いわゆる石油公害といっていいのか、石油を大量に使うために大気汚染し、水があるいは湖沼が、あるいは内海汚染をしてきたわけでございます。ちょうど十年ほど前、私ども記憶に新しいのは、石油有限時代が来るということが大変な議論になった時代がございます。あと三十年もすれば石油はなくなると、これはもう真剣にこの議会でもいろいろ言われたのであります。そういうことで、石油を使わないようにしよう、できるだけ石油を少なくしようと、十年ほど前に。そういうときに初めて私は、環境一つ節目があったように思います。  ところが、今言われたように最近は、円高である、あるいは石油が幾らでも安く入る、こういうような環境になってきたために、やはり石油の量が十年前のような厳しさがない。言いかえると、この環境全体のいわゆる社会環境が非常に危険な状態だ、だからこれを野放しにすると大変なことが起きる、そういう意味で私は今日環境問題を深刻にとらえておるわけでございます。したがって、これの対策については私は本当に今重要なときだという認識をしております。
  5. 田渕勲二

    田渕勲二君 なるほど長官もそういう認識に立っておられるということが所信表明を聞きましてもわかるんでありますけれども、しかし大臣所信表明でうたっている行政の方向というのは、かつて出されました環境保全長期構想、こういう中に盛られていることが表明の骨子になっているんですね。  この環境保全長期構想の中身をよく読ましてもらうと、四、五十年代のいわゆる今も長官言われた石油公害というかそういうものを中心にした公害から、そういう公害重症状態から治癒状態、こういう状況に入ってきている。こういう前提に立って、長官所信の中にもありますように、公害ということよりはむしろ快適な環境の創造、こういうように非常に耳ざわりはいい言葉ですけれども、そういう環境行政へ脱皮をしよう、こういう印象を私は受けるわけです。  しかし、先ほども申し上げたように、大変複雑なしかも形を変えた、石油公害とは異なる社会的な非常に大きな影響を持つような環境破壊、こういうものが非常に進んでおる、こういう認識も今おっしゃったわけです。それはわかるんでありますけれども、しかし長官のこの所信を聞きますと、その中にじゃどういう手だて、対策があるのかということをよく読ましてもらうと、やっぱり従来の手法どおりに問題の並列あるいは調査研究あるいは努力、こういう非常に抽象的な言葉で終わってしまう、締めくくられているわけです。こ の辺について大臣としては、これらの環境保全のための重点課題というか、重心をどこに置いてこれからの環境行政をやろうとするのか、これをもう一つお願いしたいと思います。
  6. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 私は、まずきれいな空気にすることが一つの重要問題であろうかと思います。大気汚染は、今なおNOx等横ばい状態でございます。しかし、かつていわゆる四日市裁判が行われた当時のように、硫黄酸化物大気汚染というものはもう非常になくなってまいりました。しかし、窒素酸化物影響はもう横ばいで、極端に言うと昨年度等は一昨年よりもまだ悪くなっているというようなデータが出ております。私も非常に心配をしております。しかし私ども、実際の問題としてこの内容を調べてみますと、いわゆるガソリンを使っている車、それからディーゼル車いわゆる軽油を使っている車ということに大きく現在NOx影響で見る限りあるわけでございます。  ちょうど十三年ほど前、軽油を使っている普通の自家用車、タクシー等いわゆる車の状態を見ますと、排気抑制が非常に進められてきて、十三年ぐらい前の統計を見ますと、一割程度にまで抑えられてまいりました。これはマスキー法等影響もあって、かえって日本アメリカへ輸出しやすくなったんですけれども、そういう抑制をしてきた。同じレベルでこれをガソリン車ディーゼル車で比べてみますと、私の計算では、一方の方が一割ぐらいまで抑制されたのに対して、四三から五〇%前後ぐらいの抑制でございます。しかも最近では、大型の車が宅急便なんかもう家庭のつじつじまで入ってきます。これらはほとんどいわゆる軽油をもとにしたディーゼル車でございます。こういうディーゼル車排気規制が普通のガソリン車に対しては非常におくれておると思います。したがって、この規制をすべきだということから、来年度から三カ年かけて一五%ないし二〇%の規制に踏み切ることにいたしました。  そのほか、私ども考えると、ただ環境庁だけでこれは言っておったのではなかなか今日のこの深刻なNOx問題の解決は進まないということで、通産省あるいは警察庁、また運輸省あるいは建設省、こういう四省と、それから首都圏が一番深刻な問題でございますから、首都圏あるいは神奈川県、大阪府という大都市の自治体から出てもらう、あるいは大学の先生方専門家に出てもらうというような検討委員会を私の方で段取りいたしまして、そうして各方面からいわゆる自動車の通過抑制をやるとかいろんな面から総合的にこれらの抑制をやる。これは過日新聞でも出ておりましたからあるいは先生方も十分御存じいただいておるかもわかりませんが、そういうようなことをもってこのNOxを何とかして環境基準以下にぐっとはるかに抑えたいという施策を現在進めつつあるわけであります。  その次は、水の問題でございます。  いわゆる大都市中小河川汚れが目立っておる。また湖、閉鎖性の強い湖等がもう大変な汚染状態である。あるいは伊勢湾、瀬戸内海東京湾が一番きついわけですが、内海汚れが最近特に目立っておる。それらの原因は、今までであると大きな工場からの廃液、有害なものが流れておった時代がありますけれども、こういう管理のしやすいところについての規制はほとんど行われてきた。そういう状態から前のことを思うとよくなったという一面があるわけでございますが、それにかわって、いわゆる家庭雑排水が今度は汚す主役を演じるようになってきたわけであります。  特に一つの例で、私もさきにテレビの対談に出たときにも言っておるのですけれども、油一つ捨てる場合に、捨ててその周りを水洗いして流す、それをちゃんと紙でふいて水洗いする、わずかそれだけの差で極端に言うと常識的に言えばふろおけ三百三十杯ぐらいの水で薄めないときれいにならないというぐらい本当は水量が要るわけなんです。ところが、日常生活ではややもすると、年輩の方々はそういうことを注意されておるけれども、若い方においては簡単にできるだけ便利にというようなことから、もうみんなで汚しておると言ってもいい状況でございます。  したがって、これらの対策をやるにはもう下水道を普及させれば一番いいわけで、下水道をどんどんと推進していく。私も、環境庁関連予算アメリカなんかは下水道環境庁にあるわけですから、建設大臣にもこいつはうんと進めてほしいということを閣議でも申しましたし、さらに予算最終決定のときには大蔵大臣予算のお願いをした後で特別にこの話を持っていったり、あるいは公園を多くつくってほしい、そういう重点施策を特に強調いたしまして、大蔵大臣が今度の予算説明の中に私の言ったそのままを載せられておるということで私は違った意味で感動しておるわけでございますけれども、そういうふうなほかに、厚生省では新たに家庭雑排水をいわゆる合併槽にして流すとか、今まで便所の方はみなやるんですけれども、普通の棚元の水というのは割合にそのままにされておる。だから下水道がおくれるという状態のところは先に合併槽を普及させていくとかいうようなことで、今の主たる水の汚れというのは不特定多数の家庭雑排水が主力を占めておるというデータも出ておりますから、そういうことで水をきれいにしていこうということで一生懸命にやっておるわけでございます。  さらに、今御指摘ありましたけれども、国際的に眺めると、熱帯雨林の問題であるとかいろんな問題がある中で、特にオゾン層特定物質によっての破壊のおそれがあるというような本当に恐ろしい問題が今日言われておるわけでございます。そういうことに対する調査研究は、私の方も国立公害研究所でちょうどこの月いっぱいでオゾン層を調べるレーザーレーダーを、これは世界最新のものを備えつけて、そして四月の終わりごろから観測に入ろうというぐらいまでその研究費も今度の予算皆様方にお願いしておるわけでございますが、いわゆる調査検討、そして状態を調べるということを私たちみずからするとともに、さらに皆さん方に新しい法律としてお願いするいわゆるオゾン層破壊する特定物質、フロンガスあるいはハロンというような物質についての生産抑制をする、あるいは大気中へ出さない、抑制するとか、そういうようないろんな方策を講じてきておるところでございます。
  7. 田渕勲二

    田渕勲二君 いや本当に御丁寧な長い答弁をいただいて恐縮なんですが、私、時間がだんだんなくなって非常に気になってくるので、長官答弁はできるだけ、重点課題と言ったらこれこれということでひとつお願いします、非常にうんちくを傾けられますと時間がございませんので。  そうすると、今いろいろ長官から非常に重点課題がたくさん言われたわけですが、確かに環境行政というのは各省庁予算にまたがるとはいえ、環境庁自体の持つ予算というものも私はかなりのものでなきゃならぬと思って見ておるんですが、これは今回もわずか五百億足らず予算を持つ省庁という非常に寂しい省庁なんですが、それがまた再び対前年でマイナスになりまして、これで六年連続のマイナス予算、こういうことになっているわけですね。しかもこの五百億足らず、今度は四百六十八億三千六百万ですか、これだけの予算の中で環境保健施策、いわゆる健康被害予防事業あるいは公害被害者というものに使うのが二百三十億、半分近いというような、こういう予算で果たして長官がいろいろ言われ、またこれから意欲的にやろうとされているこの環境行政がやれるのかどうか。私はこの六年間の推移を見ると、環境行政というのはもう年々縮小してきておるんじゃないか、こういう感じを実は持つんですが、ひとつ簡明に、率直に長官のお考えを聞きたいと思います。
  8. 安原正

    政府委員安原正君) ただいま田渕委員から御指摘のとおり、過去数年の予算について見ますと、六十二年度を除きましてマイナス予算となっておるところでございます。ただ、六十三年度について見ますと、減少率は一%でございまして、何とか努力した結果、前年度にほぼ近い予算額を確保しているところでございます。  確かにこのように環境庁予算は限られたものでございますが、この中で、先ほども御言及がありましたように、私どもがつくっております環境保全長期構想に基づくもろもろの重要施策を何とか円滑に実施していけるように重点的、効率的な配分に心がけておるところでございまして、国民の健康あるいは環境保全に支障はないものと考えておる次第であります。
  9. 田渕勲二

    田渕勲二君 それじゃ次に人員の問題について、ちょっと環境庁職員定員の問題に触れてみたいんですが、それほど非常に多くの課題を抱えている環境庁にしては、この定員の数が年々これまた行政改革で少なくなってきているんですが、一つには、環境庁職員の、いわゆる第六次定員削減計画というものがあるんですが、これで見てまいりますとこの削減率が一一九・五%ですね。極めて少人数の官庁でありながら、こういう非常に高い一二〇%近い削減率を達成している。達成しているというのか、やっている。一番高いところは農水省で一二〇・二〇%、三番目は厚生省で一一八・一九%、こういうようにそれでなくてとも少ない人数でやっている環境庁がこうした実績を残しているということについて一つ私は問題がある、こう思うんです。それが一つ。  それからもう一つ国立公害研究所というのがありますね。これは長官も言われましたように、非常にこれからの大気汚染初め有害化学物質の解明あるいは成層圏のオゾン層研究に非常に重要な役割を果たすべき研究所であるんですが、この研究所も当初の計画でまいりますと四百九十一名になっていますね、総計が。ところが、現在は実際には二百五十名しかいない、こういうような体制で、人員もそういう体制になっておる。今いろいろと大臣が言われましたこの所信実現のために私は十分な体制ではないというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  10. 安原正

    政府委員安原正君) 御承知のような状況でございますので、政府全体としては行革を推進していくことにしておるわけでございます。  その中で、定員の問題でございますが、先生御案内のとおりに定員削減計画というのを五年間につきまして決めまして、その計画を何とか達成するように各省庁において行政努力を行っておるという状況でございます。その定員削減の率でございますが、現在実施になっておりますのは六十一年八月に閣議決定になりました第七次定員削減計画でございます。六十二年度から五年間ということになっておりますが、この政府全体の定員削減率は五%でございますが、当庁の削減率は四・四二%となっておるわけでございます。各省庁とも決められた定員削減計画に基づきまして行政努力をするということで何とか削減を実施しているわけでございます。また、一方で新しい行政ニーズが出てまいりますのでその対応をしなければならない、そのための要員が要るわけでございまして、各年度におきまして必要な増員要求を行い、それの実現努力をしているわけでございます。  そこで、ちなみに先生がお触れになりました第六次の計画でございますが、これは五十七年から六十一年まで五年間実施されたわけでございますが、その間におきまして定員削減を五十四人実施しておりますが、一方、新規行政需要に対応するための増員の確保に努めまして——失礼しました、定員削減は五十人でございますが、新規行政需要に対応すべく五十四人の増員を確保しているわけでございます。したがいまして、第六次計画期間中ではネットでは四人ではございますが純増となっております。それから、最近の六十二年度について申しますと、定員削減は八人に対しまして十一人の増員ということで、差し引きネット三名の増員。それから、今御審議を願っています六十三年度予算におきましては、やはり削減は八名でございますが、十一人の増員が予定されておるわけでございまして、ネット三人の増員というような状況になっておるわけでございます。私どもとしましても、環境行政推進を図るため関係省庁の御理解を得まして、何とか必要な要員は今後とも確保してまいりたいと考えております。
  11. 森幸男

    政府委員森幸男君) 先生の今お話しの二番目の点で、国立公害研究所について私の方からお答え申し上げたいと思いますが、若干古くなりますが、昭和四十九年三月に国立公害研究所が設置されるに先立ちまして、環境庁に置かれておりました国立公害研究所設立準備委員会というところで国立公害研究所のあり方について検討を行いました。その中で、先ほど先生がお話にございましたように、この研究所組織定員といたしまして、十部四百九十一人という体制提案があったということでございます。環境庁といたしましては、この提案にも配慮しながら、この公害研究所の設置及びその後の体制整備ということに努めてきたところでございます。  現在、国立公害研究所組織定員は、先ほど官房長から申し上げましたように、厳しい状況のもとではございますが、十部、この十部は先ほど準備委員会の方からの提案とこの数は同じでございます。それから定員で申しますと、二百五十人ということになっております。こういう体制で、現在環境行政推進のための必要な研究に取り組んでいるというのが現状でございます。  で、国立公害研究所研究体制整備につきましては、今後とも、先生指摘のように重要な任務を持っておりますだけに、さらに努力をいたしてまいりたいと考えておりますが、同時に、行政効率化人事増抑制というような要請もございますので、環境行政上重要な研究テーマを適切に設定するなど、効率的な研究推進されるように今後とも意を用いてまいりたい、かように考えております。
  12. 田渕勲二

    田渕勲二君 もう時間がありませんからそれ以上追及しませんが、やっぱり当初の定員として計画された四百九十一名というものには根拠があって出されたと思うんですが、それにひとつ今後とも最大の努力を具体的にしていただきたいということを御要請を申し上げておきます。  私が今予算なり人員なりというものをいろいろ申し上げてお尋ねをしたということは、私も冒頭の質問に申し上げたように、日本環境庁の機構なりあるいは予算なり、こういうものがどうも当初の環境庁発足の当時と比べると縮小傾向にあるのではないかという私は気がしてならないものですからお尋ねをしているわけですが、例えばアメリカ環境保護庁というのがありますが、これとの比較をいたしましても、アメリカ環境保護庁は、自然保護にかかわる業務は米国では内務省の所管になっておる、それを除いてみましても、定員が一万四千名。片や日本は九百名。予算米国では四十六億ドル、六千七百億円。日本は四百七十三億円と。日本環境庁の十倍以上、こういう陣容と予算というものを持ってやっておるわけですね。  しかも、アメリカの場合には他省庁に対してもどんどん物を言っている。そういう非常にアメリカ環境行政というものは目覚ましいものがあるんですが、それと比較をすると、どうも日本環境庁行政というものは我々が見て非常に不満だと、こういう私は感じをしながら申し上げているわけなんです。  そこで私は、やはりこれからの環境庁環境行政というものをもっともっと拡充していかなければならぬという立場から申し上げると、環境庁姿勢というものはもっと積極さが欲しいんです、積極さが。したがって、今いろいろ問題になっている例えば放射性廃棄物問題でも、これは科学技術庁の確かに所管でありますけれども、これに対して環境庁はどう考えるかというようなこともぜひ口を出してもらいたいし、あるいは国土庁が所管する国土の開発計画にも厳しい注文をつけてもらいたい。こういう環境保全上の重要なことは役所の縄張りを越えてどんどん発言をしていくことが国民から環境庁が支援される、支持されるもとになる、このように私は考えるわけなんです。この点、長官いかがでしょうか。
  13. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 非常にありがたい御提案で、私も心からうれしく思います。ただ、皆さん方環境庁非常に弱いというふうな認識でござ いますけれども、私は閣内へ入ると意外に環境庁というものの行うスタンスをみんな気を使っているということが現実でございます。特に、先ほど予算面でもおっしゃったけれども環境庁予算はなるほど四百六十八億余りでございますけれども環境庁関係する予算というものが一兆二千六百億ほどございます。それらについては、例えば下水道もそうでございますが、あるいは公園等環境庁が直接タッチする予算関係がございます。アメリカ比較されると、庁、省によっていわゆる外へ、建設省へ行っているということで、環境庁自体予算は少なく見えるけれども環境庁影響を持つ予算というものは割合多いわけなんです。しかも、今度の予算の伸びは、内需の関係もあったけれども、私どものいわゆる環境庁が間接的に関係の深い予算が二割余りも今度は伸びておるわけなんです。そういう意味からいうと、先生指摘いただいて御心配いただいておるけれども、そんなに後退した状態ではありませんし、また閣議等で、例えば道路五カ年計画というのが一つあっても、必ず環境庁長官発言ということはこれは許されるんです。そして、私は、これについてグリーンベルトを考えるとか、公害を十分注意せいとか、大都市圏大気汚染された地域については特に気をつけよとか、いろんな発言をしております。また、それに対して建設大臣はそうしますという答えを必ずやって閣議で決定してしまうんです。そういうことは環境庁、まあ庁の場合皆そうなんですけれども、総監督的な立場で各省庁、特に運輸省とか通産省とか建設省とか厚生省、こういうふうなところに非常に大きな影響力を持っているのは事実でございます。しかしながら、今先生指摘のように、国民全体から言うたら環境庁弱い立場じゃないか、予算面から見てもと、そういう面もありますから、私はこれから今御指摘の線に沿うて一層頑張っていきたい、こういうふうに思う次第であります。
  14. 田渕勲二

    田渕勲二君 それじゃ最後に具体的な考えをちょっと聞いてみたいんですが、いわゆる環境保全長期構想というものの視点が公害行政からいわゆる環境行政、こういうものに転換をしていくという時期だと思うんですね。  そこで、公害対策基本法というのがありますね。これは二十年たっているんですが、これ長官いかがですか、公害対策法じゃなくて環境保全基本法、環境保全の法律に変えてしまう。名称も変え中身も変える、こういう考えはございませんか。
  15. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 私も入ってみてびっくりしたのは、公害対策基本法、ありますね。これの議長というのは、主宰者は総理大臣なんですね。私はその並びの、もちろん何名か、外務大臣なんかは抜けておりますけれども関係閣僚全部委員に入っておるわけです。それで総理大臣、だから環境庁長官は総理大臣の仕事をしているんだ、かわりにしているんだというような重みのある法律でございますから、今突然先生こういう御提案いただいたので私も戸惑うておるんで、私が入閣した当初、一番先に調べて、当然私がそれの議長だと思っておると総理大臣になっておる。はあ、なるほど非常に重いものだな、日本の総理大臣を議長にするような、そうしてほとんどの閣僚がそのメンバーになるような重いものだなという受けとめ方をしたわけでございますので、今先生の御提案いただくと、何か私はすぐに御返答申し上げるにはちょっと時間が必要かと思いますので、自分の今の公害対策基本法に対する所管というような意味での答え方しかできないことが残念でございますが、そういうことで受けとめていただきたいと思います。
  16. 田渕勲二

    田渕勲二君 それは私なぜ申し上げたかというと、公害が起きたものに対してそれを対策すると。もちろん公害の事前対策もありましょうが、それよりはむしろ環境保全という、公害が出る前に一歩出たそういう法律ができていいんじゃないかという考えを持っているものですから申し上げたのであって、十分ひとつ御検討いただきたいと思います。  それでは、続きまして自然環境保全と利用ということについて、大臣所信の中にある点について申し上げてみたいんですが、「自然環境保全と自然との触れ合いの増進」ということが強調されておりますが、この中で特に巨樹・巨木林及び釧路湿原等の調査の実施と「自然との触れ合いの増進」、そのために施設を整備する、こういうようになっているんですが、これも結局よく読んでみると「調査」と「整備」のみで、自然環境の保護、保全をどのようにしようとしているのか。整備したり、あるいはそれを調査したりということは書いてあるんだけれども、保護し保全するにはどのようにしてやるのか、こういうような自然環境の保護、保全に対する具体的な考え方というのがどうも見えないんですが、その辺いかがでしょうか。
  17. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 私も先生と同じように、一体何するのかと初め実は思いました。率直にそういうことで、だから一体こんなことやったらしてもせぬでもいいじゃないか、管理すると言うたって、そんなの当たり前のことじゃないかと、いろいろ私も疑問点をぶつけて討論し合いました。ここに一番私がなるほどなと思ったのは、基礎的な調査研究ということが非常に大きなウエートを持っています。これは例えば自治体がいろんな問題でこういうふうにしようと思う、こういう保全をしようというときには、私どもがそれに対して調査研究した結果、こうする方がいいだろう、ああする方がいいだろうということで我が国環境保全をいわゆる地方自治体とともにやっていけるというような大事な役割をしておるということで私は認識しておるところでございます。
  18. 田渕勲二

    田渕勲二君 近年、自然との触れ合いの要求というのが非常に高まっていると思うんですね。それは私もよく理解をしますが、したがって最近リゾートの開発構想というのがありまして、現在、全国七十カ所ですか、というのが立候補しているというか、リゾート開発構想の中に入ってきていると思うんですが、いわゆる自然公園と言われるものの中には国立公園、国定公園あるいは都道府県立自然公園、こういうものがあるんですが、こういうリゾート開発構想というものと、そういう各国立、国定あるいは県立の自然公園、こういうものとの調和というか、そういうものがないとリゾート開発構想に押されて非常に公園影響を受ける、こういう実は私は心配があるんです。したがって、環境庁では昨年九月に、長官の諮問機関である自然環境保全審議会の中に自然公園の利用のあり方委員会ですか、検討委員会ですか、こういうものを設置されたと思うんですが、これらの中で話し合われている内容といいますか、検討項目あるいは検討実績、それをいつごろまでに答申されるのか、この辺の経過についてお話をお聞きしたいと思います。
  19. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今お話のございました自然環境保全審議会の中に設けられました小委員会は、必ずしも昨今言われておりますリゾート構想に対する対応のみをテーマにするものじゃございませんが、余暇社会と申し上げてよろしいか、あるいは高齢化社会、つまり、かなり中高齢の方が自然の中で時間を使うという時代がこれから来るというようなこともございまして、かなりじっくりとそういうことの国立公園の利用のあり方を検討していただこうということで昨年九月に御指摘のように発足したわけでございます。  現在まで四回ほど会合をいただいておりますが、実はなるべく余り枠にはまった議論ではなくて、先生方の自由な懇談の中から少し議論の方向を見出したいということで、今月末にも第五回目を予定しておりますが、今のところ必ずしも審議の項目をお役所的に立てることはやらないでやっております。ただ、そうは言いましても、やはりせっかくの委員会でございますので、四月以降は少し項目を決めて御議論をいただこうと思っておりまして、またこれも小委員の先生方の御意向ではございますが、遅くとも六十三年度中、つまり来年の春までには何らかの形での結論をいただきたいと思って、現在私どもなりにお求めのありま した必要な資料などを提供して開いていただいているという状況でございます。
  20. 田渕勲二

    田渕勲二君 それじゃ、これに関する最後の質問ですが、堀内長官は非常に率直にお答えをいただきますので率直にお答えいただきたいんですが、今申し上げたように自然環境の保護と利用という両方の問題がありますが、この場合に、これは両立しないですね、利用する側と保護する側と。その場合に、長官ならどちらを重点に行政やられますか。
  21. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 環境庁長官としては当然保全の方にスタンスを置くべきだと思います。じっと考えてみると、政府内でも私が何ぼやかましい言うてもこれはやかましい言い足らぬということが保全の立場だろうと思いますので、私はあくまで保全という立場にスタンスを置いてやっていきたいと考えます。
  22. 田渕勲二

    田渕勲二君 ぜひひとつそのスタンスでお願いをしたいと思います。  そこで、ちょっと観点が変わるんですが、きょうの読売新聞の朝刊の社説を私読んでおったら、宍道湖の保全に対する社説があるんです。私は今ずっと質問申し上げてきたスタンスで申し上げれば、宍道湖のいわゆる淡水化問題について今非常に沸き立っているわけですね。従来どおりせっかく大変な投資をしたんだから続けるべきだというのと、いや、今日の減反政策なんかで昔の経緯は知らないというようなことで、もうやめるべきだというようなことで、私も現地をことしの一月の十日過ぎに視察をして見てきた一人なんですけれども、そういう宍道湖問題で、これは特にまた竹下総理のおひざ元でもあるんですが、社説にこういうふうに言っておるわけですね。この宍道湖の淡水化問題で一切環境庁が何の意見も言っていない。これはもう環境そのものの問題なんですからね。だからこれは農水省とか建設省とか非常に、どうだこうだ、ああだこうだと言っていますが、これに対して国としてどっちにどうするかという決断をする場合に参考にしなきゃならぬのは環境庁の意見じゃないかと僕は思うんですがね。そのことをきょうくしくもこの読売の社説に書いてあるんですよ。環境庁は物を言ってこない。ぜひこの際ひとつ物を言っていただきたい、こういう意味に私は受け取るんですが、環境庁としてこの宍道湖問題に対してどういう御見解をお持ちか、ひとつこの辺で明らかにしてもらいたいと思います。
  23. 渡辺武

    政府委員渡辺武君) お答えいたします。  先生指摘のように、きょうの新聞を私も読ませていただきましたが、宍道湖・中海の工事といいますか、事業は大分前から行われておりまして、御指摘のように、最近初めてやる事業でありますとアセスだとかあるいは公有水面埋立法に基づきまして、埋め立てをする場合には一定規模以上の埋め立てにつきましては法律上環境庁長官の意見を聞くということが制度化されておりますので、そのような機会にいろいろ御意見を申し上げておるわけでございますが、この件につきましては、新聞にもそう書いてございましたけれども、そのような制度ができる前でありますので、御意見を申し上げるという機会はなかったわけでございます。  だけれども言ったらどうかと、こういう御趣旨かと思いますが、私たちのスタンスといたしましては、当然のことでございますが、宍道湖・中海につきましても、これが湖ということで閉鎖性のところでございまして、環境汚染されやすい状況にあるということで、その水質の保全に非常に重大な関心を今持ってきているところでございます。  ただ、現在この淡水化のための、水質の状況をより正確に知るための限定的淡水化試行というものをやるかやらないかということで両県が地元の調整に入っておるという段階等でありますので、今ここでということはなかなか非常に難しい状況だと思いますのが一つと、やはり地元の人たちの御意見、御意向というのが何にも増して必要な基本的な条件であろうかと思いまして、そのような地元の御意向がどのような方向にまとまっていくかということを現状においては見守ってまいりたいというのが考え方でございます。
  24. 田渕勲二

    田渕勲二君 それは見守っていくということしかお答えできないのかもしれませんけれども、これは何もきのうきょう始まったことじゃなくて、環境を中心にして地元と建設省、農水省なんかがいろいろやっているわけですから、これは環境問題以外の何物でもないと思うんですよ。そういう意味環境庁としては、やっぱりせっかくのこうした機会なんですから、環境庁でひとつ大臣を中心に御検討願って、環境庁としての見解をぜひひとつ宍道湖問題に出していただくというようにお願いをしておきます。  続きまして、時間がなくなってくるんですが、ちょっとゴルフ場のことについて質問したいんです。  最近非常にゴルフ場の造成ラッシュが始まっているんです。これは既成のゴルフ場は千五百幾つ、しかも今造成計画が五百五、六十あると言われておるんですね。しかも、これはかなり国立公園、国定公園あるいは都道府県立自然公園などにも及んでおりまして、非常に現在問題になっております。例えば、今さら私が申し上げるまでもないんですが、ゴルフ場をつくることによってどのような環境破壊が行われているかということはもう時間がありませんから申し上げませんけれども、いずれにしても、農薬の被害であるとか、あるいは水質の問題であるとか、こういうことがゴルフ場の造成で起きますし、ゴルフ場を造成することによってあるところでは保安林を解除してまで造成をしたり、あるいは森林を伐採して根こそぎ倒してしまう、こういうような環境保全とは極めて矛盾するゴルフ場造成ラッシュが続いておるんでありますけれども、これに対するひとつ大臣の御所見はいかがでしょうか。
  25. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) ゴルフ場自体の問題は私ども所管でもないので特別コメントを差し控えたいと思いますが、これが事国立公園とかかわってくるとか、国定公園とかかわってくるとか、自然公園とかかわってくるとかいうことになると、また別の問題でございます。国立公園にはちゃんと法律もあるんだし、それを審議会を通して、これは一木一草たりとも合理的な見解が必要でございますから、簡単に国立公園をどうこうするということはできるはずは私はないと思います。また、国定公園については実際都道府県に管理を依頼しておりますから、これも実態としてちゃんと管理しておりますし、それらの使用については当然環境庁と十分協議するわけでございますから、これらの問題を変更していくとか、それはゴルフ場とか関係なしにでもほかの施設であってもこれらをどうこう変更するということはこれはもう重大な問題でございますので、そういう意味からいうと、まず先生の今、直接環境庁にかかわる自然保全という立場からいうと御懸念をいただかなくてもいいんじゃないか、こういうふうに思います。
  26. 田渕勲二

    田渕勲二君 長官長官が許可をしたり所管をする公園というのは非常に限定されているんですよ、環境庁長官の指示がなかったらできないようなところは。もう大半が環境庁の手を放れまして、いわゆる都道府県知事の認可であるとか、あるいは届け出であるとか、時間がないから余り詳しく一々条例申し上げませんけれども、御存じの方はいっぱいいらっしゃると思うんですが、そういう県条例でできるとか、届け出でできるというような自然公園、ここにどんどんゴルフ場ができる。こう見てまいりますと、環境庁長官が目を光らしているところならいいんですけれども、知事の許可であるとか、あるいは知事権限に任しておきますと、ゴルフ場というのは非常にお金の入るものなんですね、長官御存じのとおり。いわゆる娯楽施設利用税だとか、固定資産税というものが莫大に入ってくる。それだと知事に権限を任せるようなところはどんどん開発されるということになると、これはまるで猫にかつおぶしの番をさしているようなもので、幾らでもゴルフ場という のはできてくるんじゃないか、このように思いますがゆえに、環境庁としてもこれを何とか歯どめをかける方法がないか、これを実は私はお聞きをしたかったんです。  だから、そういう一つの方法として私がいろいろ調べてみますると、自然公園法の施行令第二十五条の撤廃、こういうものも含めて一つの歯どめをかけることによってこうした自然破壊につながるゴルフ場の造成ラッシュに待ったがかけられないものかどうか、このように考えまして質問申し上げたんですが、この辺について環境庁の御所見があればお伺いします。
  27. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいま大臣から申し上げましたように、国立公園の特別地域あるいは国定公園の特別地域では現在ゴルフ場をむしろ認めないという原則ができております。これは先生わずかではないかと御指摘ありましたが、国立公園で申し上げますと二百五万ヘクタールのうちの約七割、百四十四万ヘクタール、国定公園でも百二十万ヘクタールになりますので、大体全国で都道府県の条例で規制しているところを入れますと三百三十万ヘクタールぐらいはゴルフ場がつくれないところでございます。  ただ、先生がその次にお触れになりました、施行令の二十五条によりまして都道府県知事限りで届け出を受け付けている地域があるではないか、これが今私が申し上げました特別地域以外の普通地域と言われるところでございますが、これについては実績としてもそうたくさんじゃございませんが、ゴルフ場ができてきておるわけでございます。  それで、御指摘の趣旨はあるいはこの普通地域について県知事に権限をおろしているのをやめればゴルフ場の歯どめがかかるんじゃないかという御指摘かと思いますが、現在ではこの普通地域に大規模なゴルフ場を認めている例もございませんし、また知事が国立公園の仕事、国定公園の仕事をこういう形で委託して受けておりますことは、実際問題としても、それからまた知事といえどもやはり自然保護行政理念としている立場でのきちんとした仕事をしていただいておりますので、私は率直に申し上げまして施行令第二十五条の撤廃論は当たらないのではないかと考えておるところでございます。
  28. 田渕勲二

    田渕勲二君 時間の関係でそれ以上追及しませんが、いずれにしても異常な状況が今ゴルフ場造成ラッシュとなってあらわれておりますので、やはり環境庁としても沈黙しているんじゃなくて、十分ひとつその点は環境破壊につながるようなことはさせないような行政をお願いしたいと思っております。  続きまして、新石垣空港の建設の問題についてお尋ねをいたします。  まず、大臣に率直にお聞きしますけれども、新空港に隣接をしている石垣島の白保のサンゴ礁、これは御存じだと思いますが、このサンゴ礁に影響を与える新空港建設、これはどのようなサンゴ礁に影響を与えるか、こういうことについての大臣のひとつ御認識をお聞きをしたいと思います。
  29. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 石垣島の空港問題で私が御質問を受けるのは参議院でこれが初めてなんです。いろいろ当然聞いているようにも思うんですけれども、衆議院でこの間、東中さんが分科会で私に直接聞いてくれたんです。みんなそれについての見解を私に聞いているように思っているんですけれども、石垣島と関係なしに聞かれるものだからそういう話をしておる。だから、私は、先生から御質問をいただいたこの機会に石垣島の空港問題について私の態度を明確にしておきたいと思います。  これは政府の決定しておる手続というものがあるわけなんです。それによると、石垣島における空港問題についての環境アセスメントは現在沖縄県が準備をしておるというのが段階でございます。そういう段階でございますので私ども環境庁としては一切コメントはしておりません。むしろ、その結果を見て私どもがこれらに対応するわけでございますから、今準備しておる、それも政府の決定した手順に従うてやっているわけでございますから、私どもはそれを見守っておるというのが本当は環境庁の正式な立場でございます。
  30. 田渕勲二

    田渕勲二君 これは、御存じのように二月二十六日に衆議院の予算委員会で石原運輸大臣が見解を述べておられるんですね。それは、空港建設は白保サンゴ礁に絶対に好ましくない変化が起きる、できれば他の候補地がほかにないではない、あるいは石垣の観光にとっても元も子もなくなる事態だというような答弁をして、見直しを示唆されたような見解表明があったわけですね。これは後で訂正か何かされたとかされないとか聞きましたが、人間、最初に物を言うときは一番正直に物を言うのであって、後で訂正になろうが思い違いであろうがそれは別にして、こういう見解を運輸大臣がおっしゃったということはそれなりにやはり一つの見識を持っておっしゃったと思うんです。これに対する今の環境庁長官の、今の公式発言と非公式発言との関連があるんですが、その点はいかがでしょうか。この見解について環境庁長官のお考えを率直にひとつ、公式でなくて結構ですからおっしゃってください。
  31. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 今先生がおっしゃった予算委員会でその前に私が質問を受けておるんです。私の受けたのは、IUCNの決議案に対する私の考え方はどうかという質問を受けたから私はそれに答えた。石垣島のことと関係ないですわね。IUCNの決議に対する私の所感、こういうふうに聞かれたから言うた。それについて運輸大臣が答えた。そういう状態であったわけなんです。したがって私は、運輸大臣のお考え方に対する私のコメントを申し上げるというのは適切でないと自分は今考えております。
  32. 田渕勲二

    田渕勲二君 これはなぜこの新空港の建設を進めるのか、しかも現在ある石垣島の現在の空港の延長にとどまらず、新しい空港を白保の海上を埋め立ててやるかということについて、こういう見解があるんですね。それは、いわゆる時限立法の沖縄振興開発特別措置法というものがありまして、この高率補助があるうちに地元に金を落とそう、こういう意図があるんじゃないか。したがって、地元の公共事業としてこういう高率補助があるうちに何とか新空港の建設をやってしまおう、こういう考えのもとにこうしたものが非常に強行されようとしているということをおっしゃるわけですが、この辺についてどうでしょうか、大臣のお考えは。
  33. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 実は私、自然保護局長としてそのような報道といいますか読んだことないんでございますが、あるいは現空港の拡張との比較でのそういう議論かと思うんでございますが、現空港の拡張については騒音問題とか用地問題などでどうしても制約が大きいということは、非公式ではございますけれども、県からの説明は聞いております。そのような意味で、私どもが聞きます限り、そのような事情があるとは思えないというのが率直なところでございます。
  34. 田渕勲二

    田渕勲二君 それはそうおっしゃるでしょうね。しかし実際は、現空港の拡張に比べて白保の海上埋め立ては約三倍の工費がかかるわけですから、それだけの公共事業の金が落ちるということが優先をしてそうした計画になってきているというように我々は受け取らざるを得ないわけですが、今長官がおっしゃったように、アセスメントを沖縄県がやっている段階だから、今直ちにその結論を言うんじゃなくて、そのアセスの結果を見た上で判断をしよう、こうおっしゃっていますから、それはそれなりに一つのお考えがあるんでしょうが、しかし既にこれは国際的な問題にもなっておりまして、衆議院の予算委員会でも出たと思うんですけれども、コスタリカで開かれたIUCN、いわゆる国際自然保護連合の決議というものもございますし、さらにまた我が党の委員長も名を連ねておりますが、また自民党では鯨岡さんも要請書に名を連ねて、竹下総理大臣要請がされておりますけれども、この情勢について大臣は御存じでございましょうか。
  35. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) ここに私と同じ宿舎の 方もおいでになると思うんですけれども、先日私どもの宿舎で衛星放送を受けられるように全部かえてくれたんですが、ちょうどその日だったわけです。珍しいものだから、私は、普通テレビをつけるとNHK出るんですけれども、そのとき五チャンネルにしてくれておったから、五チャンネルが偶然にテレビに映っておった。ちょうどそのときに、英語でしゃべっておったんですけれども、小渕とかなんとか言うもんだから気になってふっと横を見ると、あなたの方の委員長さんの顔が大きくクローズアップして出ていました。それで、鯨岡さんも横にちょっと小さく出ておったけれども、三人ほど何か総理官邸に行かれる光景が出ておった。これは世界に英語で紹介しておるんですが、明くる日の新聞を見るとそういうふうなのが小さい記事に出ておって、日本では余り大きく取り上げられてないけれども世界ニュースとしては大きな取り上げ方をしているんだなと思って私はびっくりしておって、じっと聞いてみると、今のように、IUCNの決議を持っていかれておるということなんで、あ、おれに関係あるんじゃないかというような感じで見ておった。その後、先ほども委員会での話があったもんだから、私もこれは尊重する、私ども応援してもらっておるんだというような意味答弁をしたいきさつがございます。したがってここで、さきに予算委員会で答弁した気持ちそのままでございます。
  36. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ちょっと大変急な質問で恐縮でございますが、関連で、今石垣の飛行場問題で大臣から答弁があったわけでございます。私は、ここでさっきから述べておりますように、環境庁の役割とは一体何なのかということをもう一回やっぱりしっかり踏まえなければ、さっき長官がおっしゃったように総理大臣の仕事しておるんだ、ですから、環境行政というのは、例えば公害を防止するあるいは予防する、その仕事は環境庁の仕事でありますけれども公害発生源の、関係する省庁で言うと、例えば車であれば通産が関連しますし運輸が関連します、あるいは排ガス問題であれば建設省が信号機をつけたりあるいは交差点をつくったり何かします。そういう関係の部分で、公害行政公害をなくしていくという立場から見れば、そういう各省庁間の連携といいますか、そのイニシアはやっぱり環境庁が握らなければ、縦割り行政の弊害というふうに国民から指摘をされておりますけれども、そのことはやっぱり永遠に続くと思うんですね。  今長官がおっしゃった例えば石垣島の問題でも、地元の沖縄県にアセスメントの問題でお任せをしておるんだ、しかしこれは各先生方にもたくさん地元から来ておると思うんですけれども、石垣市自身は、市議会も満場一致、それから商工会も、それから青年会、市を挙げて全部飛行場をつくってくださいという誘致運動がある。これは地域の活性化のためにやる。こういう視点のもとに非常に強い要望があっておるわけですね。そうしますと沖縄県自身は、やっぱり石垣市にそういう強い要求がある、地域活性化のためにはやっぱり必要だというふうになれば、サンゴの問題そのものよりは地域活性化の方に私は頭が走ると思うんですよね。ですから、環境庁としては自然保護の立場からあのサンゴ礁についてはどういうふうな見解を持っておるのかというのをやっぱりひとつ出さなきゃいけないんじゃないかというのをさっきから田渕委員が言っていたのが一つです。  それから、先般二月の十九日ですか、現地でいわゆる環境をめぐるシンポジウムがありました。地元の飛行場建設賛成の皆さん方の声に押されて流会しました。国際的なシンポジウムなんです。これは私は、やっぱり外国の皆さん含めて、一体日本行政はどうなっておるんだという不信を持たれたと思うんです。  ですから、そういう観点からも、やはり私がさっきも言いましたけれども一つの例で公害問題挙げて言いましたけれども、石垣問題だって、例えば運輸、建設、農水と、ちょっと考えただけでも三つの省庁があるわけですね。そういう関係の部分でどこでどう調整をするかというのは、長官がやっぱりリーダーシップを握らなければ、その中で絶対に自然保護の立場からここはだめだという結論を出せば、おのずから地域が移転したり他の地域を探すと思うんです。ところが、やっぱりいまだに明確な方針が政府自身でも出ていない、環境庁も示していない。ですから、地元の皆さんというのは、地域活性化のためにはぜひとも必要だというやっぱり運動が高まってくるわけです。そういう中にシンポジウムが入ってくる。私はやっぱり不必要な混乱が起きてくるんじゃないか。だから、そういうものを防ぐためにも、行政の責任として環境庁が私はリーダーシップをとってもらいたい。そういう気がしてならないわけですから、この部分だけひとつ環境庁長官の御意見をお聞きしたいと思います。
  37. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 先生のおっしゃることはよくわかりますし、私もそうありたいと思いますが、現在の制度の上で、先ほども申しておりますように、政府の手順というものが決まっておるわけなんです。それで、今先生がそういうふうにおっしゃると、沖縄県自体の環境アセスメントを、何かまあ全体の空気がひとつ足りないともう決めてかかっておっしゃっていますけれども、これはやっぱり別なんです。環境影響がどういうふうに出る、出ないということは正確にやっぱりデータ出てくるわけです。そんなややこしいやり方だったら我々すぐわかるわけない。だから、これは聞いたんだけど、きのうもちょうど衆議院の方でやったんだけれども、例えば建設省が事業をやることでも建設省内でアセスをやるという一つの段階の決まりもあるんです。そうすると、建設省がやるんだからもう仕事が主だろう、そのアセスなんていうのはこれはもういいかげんに言いわけの程度だろうとみんな思ってしまうんですが、やっぱりそうじゃないんです。アセスはアセスできちっとやるわけなんです。そうじゃないと、道路をつくってから後、周辺の人々がこれじゃ困るんじゃないか、あれじゃ困るんじゃないかということになってくるわけですから、やっぱり機関機関でやることはきちっとしておるわけです。だから、我々としてはそれを信用しないともうやりようがありませんので、そういう意味でひとつ御理解を得たいと思います。
  38. 渡辺四郎

    渡辺四郎君 ちょっと一言だけいいですか。  私は、長官のおっしゃるとおり手続、ルールはわかっておるわけです。しかし、あそこのサンゴについて、国際的にもほかにないんだlー私は三宅島にもあると思っておりますけれども、ところが今国際的にあそこしかないんだというふうに学者の皆さんたくさんそう言っておる。そういう自然を保護する立場から環境庁としてはどうかということだけを、これは飛行場建設と関係なくてもいいんです。絶対に必要だというようなことを私は長官としては言えないことはないと思うんです。飛行場建設とは別問題です。そういうのをやっぱりやるのが自然保護を守っていく立場からは環境庁としては大きな役割があるんじゃないかということをお聞きしたかったわけであります。またこれはあと一般質問の中でやりましょう。
  39. 田渕勲二

    田渕勲二君 私はNOx汚染対策を実は用意しておったんですが、もうほとんど時間がなくなってしまいましたので、ほんの一、二点だけにとどめてみたいと思うんです。  これは三月十七日ですか、環境庁が自動車交通対策計画という三カ年計画を出されたのを私は新聞で読んだんですけれども、これは特に環境基準の達成状況の悪い京浜、阪神地域のNOx低減のための自動車交通対策、こういうのを発表されたわけです。それによりますと、計画の最終年度の六十五年度には、六十年度に比べて自動車の排出するNOxを京浜地区で一四・七%ないし一九・五%、阪神地区では一二・三%ないし一六・五%削減できる、こういうように言われています。その結果、環境基準を達成できるのはどうかといいますと、京浜の一般環境大気測定局五十一局中四十六局、これは九〇%。それから自動車排出ガス測定局三十八局中十八局、これは四七%。阪神でも、一般大気局三十八局中三十六局がクリアできる、 こういうようになるというように私どもとしては聞いておるんですが、これは言いかえますと六十五年度には一〇〇%環境基準が達成できない、こういうことを言っておることになるんですけれども、これは非常に遺憾だと思うんですが、こういう一つ計画に基づいて環境基準を達成する手だて、なぜ完全にこれが達成できないのか、この辺の事情についてひとつ説明をしていただきたいと思います。
  40. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  ただいま先生からお話ございましたのは、窒素酸化物低減のための大都市自動車交通対策計画策定推進検討会というところで二年間かけまして、自動車交通対策というところにウエートを置いていろいろ検討し、将来推計を行った結果でございます。そういう意味で大体先生お話しなさいましたような数字でございまして、申し上げましたように自動車交通対策、人流なり物流なり交通流に対していろんな手法等を講じてやればこの程度まで減らすことができるのじゃなかろうかということの見積もりをやりまして、それで六十五年度推計をいたしたということでございます。でございますから、基本になりますのは、いわゆる自動車交通対策をベースに置いて、それ以外に固定発生源については現状据え置き、それからそういうようないろいろな仮定を置きまして、おっしゃられましたように、六十五年度においてそれぞれの地域の環境基準の達成状況を大ざっぱに予測といいますか、試算をしてみたらこういう形になりますよということでございます。そういうことでございますが、依然といたしまして、先生からお話しございましたように、それぞれの地域におきまして環境基準が未達成の状況にあるということの推計になっているわけでございます。  そういうことで、じゃどうなるのかということでございますけれども、現在のところ、申し上げましたように自動車交通対策の方策をいろいろ考えてこうなりますよと、それから固定発生源についてはそのままで置いて計算をしておるということでございまして、先ほど大臣からもお話しございましたように、六十三年から六十五年にかけてのディーゼルを中心とした単体規制といいますのは六十五年前後あるいはそれ以降に効果が増してくる、効果が出てくるというような問題もあるわけでございますし、それからまた、この発表の段階にも述べてございますけれども、いわゆる局地汚染対策ということで交差点の立体化とか、右折専用車線を設けることによって部分的にはかなり効果が上がるというような報告等もございますので、そういうものをこれからどういう形で組み合わしていくかということによりまして環境基準の達成の将来推計をこれからまたきちっとやっていかなければならないだろうというぐあいに思っているわけでございます。現在のところはいろいろな方策をそれぞれの分野で工夫をしまして、いろいろ概算といいますか、予測をしておるという一つの事例について先般取りまとめて発表いたしたところでございます。
  41. 田渕勲二

    田渕勲二君 この計画の中にもありますが、これを達成するのにはいわゆる低公害車の普及であるとか、あるいは宅配などを中心にした配送システムの改善、これは当然施設なんかが必要でありますね。あるいはマイカーの抑制、こういうように非常にお金のかかることが裏づけになっているんですね、やろうとすれば。それに対する具体的な予算であるとかあるいは計画、こうしたものの裏づけというんですか、それに対する、長官なんかも非常に意欲的におやりになろうと思うんですが、こういう計画を出した裏づけというものはきちっとあるものなんでしょうか、いかがでしょうか。
  42. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) ただいま先生からお話しございましたように、計画の中にはかなり道路に直接かかわるもの、あるいは民間の方々の意識の開発につながるもの、あるいは事業主等が共同してやっていくようなもの、いろいろあるわけでございますので、そういう面では予算的といえますものにつきましても、それぞれの関係省庁等が、例えば道路の関係でございますと関係省庁建設省の方で予算化をいたしまして、そういう面での立体交差化等をやっていただくことになると思います。それから民間等あるいは地方公共団体がやられますものにつきましては健康被害補償法の改正に伴います基金によります助成等ということについても考えてまいりたいというようなことがございまして、役所がつくるような全体的な予算という形にはならないわけでございます。そういう面で、それぞれの関係省庁が持っている予算あるいは基金等の活用といいますものによりまして、いろいろここで掲げられております事業の実施の推進を図ってまいりたいと思っております。基本的には、先生御案内のとおりこれには各省庁が入っておりますし、それから関係の都府県も入っておるわけでございますので、そういう面でもそういう実施責任あるいはそれをサポートするところというのは全部入った委員会で検討したものでございますので、そういう面でこれから一緒になってこの計画の達成に向けて努力してまいりたいというぐあいに思っております。
  43. 田渕勲二

    田渕勲二君 最後に、長官の決意も含めてお聞きをしていきますけれども、私がいろいろ質問の中で申し上げましたように、自然環境保全の問題は非常に多くの重要課題を持っているんですね。今の石垣島の空港建設とサンゴ礁の保護問題であるとか、あるいは宍道湖の保全問題、あるいは前回私も取り上げました絶滅のおそれのある野生動植物の保護の問題、あるいはNOx汚染対策とか、あるいはまた今これからのこの国会で問題になります成層圏のオゾン層の保護問題、こういう本当に数え上げれば切りがないぐらい自然保護環境保全の諸問題が山積していると思うんです。きょうの答弁にもありましたように、長官も非常に意欲的で環境行政やろうとされる姿が全部じゃないですが間々見えるんですね。そういう非常に骨のある長官が在任中にひとつ、環境庁というものがだんだん予算マイナスになる、人は少なくなるというようなことじゃなくて、環境庁がうんと言わなきゃ通産省も建設省も動けないぞというような監督官庁的な行政官庁に育ててもらいたい、こういうことを私は念ずるがゆえにいろいろ申し上げてきたんですけれども、それに対する今後のひとつ環境庁の抱負を一言最後に環境庁長官からお伺いして質問を終わります。
  44. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) ただいま先生が御指摘になりました、いわゆる人間が人間らしい生活をするために、大気をきれいにするとか、水をきれいにするとか、そういうようなことのほかに、自然環境保全に力を入れる、あるいは地球規模の環境について、相当今経済力が来ておるのだから、日本もそれなりの環境の非常にすぐれた点も持っておるんだから、そういう点は技術的にどんどんと世界に貢献するとか、あるいは我々のできることは進んで地球環境保全のために力を入れるとか、いろんな問題御指摘どおりでございます。これらの多角的な問題について私どもが、もう毎日毎日がちょっと油断すれば悪くなるばかりでございますから、そういう意味で、毎日毎日努力を積み重ねていくということによって私たちがいい環境を子々孫々にまで残すように努めたいと考えております。
  45. 広中和歌子

    広中和歌子君 冒頭、田渕委員環境庁に対し、より多くの予算を、そして他省庁へのもっと大きな発言力を、そういう発言をなさいましたけれども、それに対して心からサポート、支持するものでございます。それに対して長官は、環境庁関係予算は各省庁にまたがって一兆円を超え、しかも非常に発言力もあるのだというお答えで、大変に頼もしく、御期待しているところでございます。  重点課題の第一としてきれいな空気を挙げられ、その中でNOxによる汚染の改善がおくれていることを指摘され、そしてその主たる原因がディーゼル車によるものであるということを認識されたことは、私も前回の委員会でそのことを主張し、何か対策をとられるべきだと思っておりましたので、大変に心強く思ったわけでございます。 そのとき、一五%から二〇%の規制というようなことをおっしゃいましたけれども、具体的におっしゃっていただけませんでしょうか。これは質問通告してないんですが、長官発言でございましたものですから、ぜひ伺わせていただきたいと思います。
  46. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 六十三年から六十五年の三カ年にかけまして、車の種類に応じましてそれぞれ規制をかける形になってございます。例えばディーゼルトラックの一・七トン以下の副室式でございますれば、六十三年からの規制をかけまして、前の数値から比べますと三〇%減という形になります。それから直接噴射方式でございますと一・七トンから二・五トンの重量の車につきましては同じく六十三年規制でございまして、今までの規制から比べますと二〇%減になるということでございます。それから直接噴射方式の二・五トン以上の車でございますと、これは車の大きさによりまして六十三年あるいは六十四年、六十五年とばらばらの規制ではございますけれども、前の規制から比べますと一五%減の規制ということで、車の種類あるいは重量等に応じましてそれぞれの規制値を定めまして六十三年から六十五年の三カ年にわたって規制が実施されるということでございます。
  47. 広中和歌子

    広中和歌子君 具体的に言いますと、その規制を通らない車は販売されないと。一たん道路上にある車、道路にある車はどうなんでございましょうか。
  48. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) おっしゃられるとおりでございます。  六十三年の十二月から規制されます車につきましては、六十三年十二月以降の新規の発売の車につきましては原則としてこの基準に適合しなきゃならないという形になろうかと思います。ただ、その前からの生産過程にあります車につきましては、その後一年ないし一年半は前の規制の数値のままで生産されることはできるわけでございますけれども、そこから新たに生産ルートという形で乗っける場合におきましては、この新しい規制値が適用されなきゃならないという形になろうかと思います。それからまた輸入車につきましては、また二年半ぐらいの猶予を置いて日本に輸入される車につきましてはこの規制値を適用しなきゃならないということで、輸入車はちょっと別格扱い。それから国内で生産される車については、新規に生産ルートに乗っかる車と継続生産ルートに乗っかる車ということでちょっと規制の時期は異なりますけれども、一応そういう形で新しい車につきましてはこの規制値が全部適用されなきゃならないという形になるわけでございます。
  49. 広中和歌子

    広中和歌子君 すばらしい第一歩だろうと私は期待しております。  次に、ワシントン条約に関連して質問さしていただきます。  ワシントン条約が発効されて十二年、批准後七年目、そして昨年の十二月やっと国内法の整備ができたわけでございます。しかし、本年に入りまして民間の監視団体、野生動植物国際取引調査記録特別委員会——トラフィック・ジャパンの調査によりますと、ペットショップなど九十七店のうち十八店で同法が販売を禁じている十種百二十点を見つけて報告されております。で、環境庁自身はどのような調査をなされましたんでしょうか。
  50. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 御指摘のように、絶滅のおそれのある動植物の国内規制法が昨年十二月一日から施行されたわけでございます。トラフィック・ジャパンの方でデータをお出しになりましたのは、確かにことしに入ってからの発表でございますが、実はざっくばらんに申し上げますと、法が施行されました十二月と同時に調査をなさったわけでございますので、私ども一部新聞報道にいかにも国内法のスタートが無視されたような感じがあったんでございますが、決してそうでないと思っておりまして、トラフィック・ジャパンともよく話し合っておるんでございますが、法律が施行されてすぐの時点でどんな状態かという意味でもございます。  ただ、それはそれといたしまして、先生の今の御質問にお答えいたしますと、私どもは実は末端の機関としては各地の行政監察局にございます環境調査官などを相談窓口にしたり、あるいは都道府県庁の応援も得たりしておるわけでございますが、実際は調査といいますよりも環境庁に上がってまいります登録の申請とか許可の申請がある意味での一時的なデータになるわけでございまして、これにつきましては丸二カ月で二千六百四十八件の登録申請がございました。スタートとしては私どももう少し多いものが来るかと思ったんでございますが、実はこの登録といいますのは、持っていれば必ずすぐ登録をしなきゃならないんじゃございませんで、持っていたサボテンとか動物を人に譲り渡すときに登録証が要るわけでございますので、この二カ月の間に何らかの都合で自分が人に譲りたいというようなケースが二千六百件であったかと思っておりますので、まあまあの滑り出しと思っております。現在そのほとんどの登録を終えておりまして、次のサイクルに入っているわけでございますが、その過程で確かにトラフィック・ジャパンから示されたデータに基づいて私どもが直接そのペットショップにお電話を差し上げまして、まだ手続が済んでいないふうだがということをいわば行政指導をさせていただいた例が数件ございますが、現在では、例えばペットショップの組合などでもこの制度は周知されておりますので、現時点で何と申しますか国内法を無視したような陳列が堂々と行われているケースはまずなくなっているんじゃないか。またその後、実はそれがある意味では不幸なことでございますが、警察の取り調べの対象になったりしておりますものですから、私どもはやはり国内法の効果といいますか、スタートの実効はかなり上がっているんじゃないかというふうに考えております。おっしゃいますように、環境庁調査という形での全国調査データは現在持っておりません。
  51. 広中和歌子

    広中和歌子君 環境庁、通産省ともに全国のペットショップの調査を定期的になさるということが必要ではございませんでしょうか。そうしない限り、既にもう密輸入大国という汚名が課されているわけですけれども、それを返上できないと思うのでございますけれども大臣はいかがお考えでございましょうか。新聞によりますともういろいろ、例えば「ジャコウまた不正輸入」、それからゴリラ、いろんな新聞報道があるわけでございます。
  52. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) その間の事情だけ申し上げたいと思います。  まず、輸入の問題は後ほど通産省から御答弁があろうかと思いますが、これは昨年の夏からの、国内法以前からの強化によりましてかなり私は実効が上がっていると思います。ただ、そういう網が強くなったにかかわらず、また国内法ができたにかかわらず、おつしゃいますように、ごく最近も直接の密輸と見るか、あるいは手続上の問題がある輸入と見るかは別としまして、幾つかの事例があることは事実でございますが、先ほど私が御答弁申し上げましたように、国内法の施行という点ではかなり関係方面に周知されております。  それから、私ども努めてペットショップの組合でございますとか、そういったいろんな業種のつながりの組合にも直接出向いて御指導いただいたり、それからまた、この問題では全国にあります水族館、動物園というものも割合学術的な知識もございまして、またPR効果がありますので、そういうところとは常時会合を持つというような形で、私どもは国内法の趣旨の徹底にはかなり努力をしていると思いますし、効果が上がっていると思っておりますので、特に改めて全店を調査するということは、行政の能力から申し上げましてもちょっと無理があるのではないかと考えております。
  53. 広中和歌子

    広中和歌子君 日本ではワシントン条約に違反して持ち込まれた動植物を処理する規定が明確化されていない、そういうふうに聞いているんですけれども、罰金が科せられるとか、そのようなことがあるのかどうかということと、それから二月 二日の朝日新聞において、チンパンジーの放棄説得に二年余りもかかり、国が飼育料を肩がわりしたという記事が載っていたわけですけれども、不正に持ち込まれ、税関で発覚しても没収する制度がない、動植物を保護するためには説得して任意放棄させるほか手がないという事態があるようでございますけれども、この任意放棄の規定についてはどういう現状になっているのか、お伺いいたします。
  54. 川嶋温

    説明員(川嶋温君) ワシントン条約に基づきまして管理当局といたしまして貿易関係を担当しているところでございますけれども、ワシントン条約、手続にのっとっていない動植物が入ってまいりますと税関段階でストップをされまして、現在の手続ですと任意放棄、放棄を自由意思という前提ではございますけれどもしていただくという体制になっております。ただ、任意放棄ということではございますけれども、通関できない、国内に持ち込めないわけでございますので、要は任意という言葉がやや語弊があるような実態でございまして、すべてのものについて放棄をしていただくというのが実態になっております。
  55. 広中和歌子

    広中和歌子君 ともかくそうした任意放棄というのでしょうか、放棄された動植物はどのくらいの数に達して、そしてそういう動植物はどういうふうに扱われているのか、お伺いいたします。
  56. 川嶋温

    説明員(川嶋温君) 現在正確な統計がございませんけれども、これまで条約加盟以来生きているものについて申し上げますと数百件のものが任意放棄をされ、件数にいたしますとやはり数千件のものが任意放棄をされていると理解しております。それで、放棄をされますと国有財産になりまして、したがって私どもの物品といたしまして国で管理をするという体系になっているわけでございます。現在のところは税関の方で処理してもらっているという状況でございます。
  57. 広中和歌子

    広中和歌子君 生きている動物ですよね。そうすると何か動物園でもつくっていらっしゃるんですか。
  58. 川嶋温

    説明員(川嶋温君) ちょっと言葉足らずで大変失礼いたしました。  生きている動物につきましては、税関で任意放棄をなされますと私どもは動物園、日本動物園水族館協会、日動水と申しておりますけれども、こちらの方に連絡をいたしまして、そちらの方の好意で引き取り先を決めていただいて、そちらの方に持ち込んで適正に保護をしていただく、動物園で保護をしていただくという形になっております。先ほど申し上げましたのは、生きていないものについては税関の方に処理していただいているということでございます。大変失礼いたしました。
  59. 広中和歌子

    広中和歌子君 そういう中で、なるべく禁止されたものは日本に入ってきてほしくないわけなんですけれども、ともかく条約の趣旨からして、附属書Iの種類は全部留保なんかもどんどん撤廃するような方向に行くべきだと思いますし、それから非常に輸入量の多い、輸入量というか、入ってくる量が多いII、IIIも少なくとも原産国で輸出を禁止しているものは輸入規制するべきだろうと私はこの前も主張しているし、今もそうなんですけれども、新たに環境庁長官になられました長官はどのようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  60. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 大臣答弁の前にちょっと事務的な点を。  二つの問題を一緒におっしゃったと思うのでございますが、一つは、留保のいわば対象品目を減らせないかという点と、もう一つは、実はこの国内法で政令を決めますときに、今おっしゃいましたように条約の第一のグループは、ほぼというか、留保を除いては規定したわけでございますが、それのIIのグループについても、例えばいろんな国で輸出を禁止しているものは政令に入れてはどうかという御議論、これは制定当時からあったことは事実でございますが、るる申し上げませんが、やや輸入手続と国内法の関連で私どもが手続的な結論が出せずに、必ず次の機会には見直したいということで御了解を得ているわけでございます。その二つについての大臣に対する御質問かと思いますが、第二の点はなお時間をかけて少し検討させていただきたいと思っております。
  61. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) この問題は国内の事情からいうたら非常に難しい問題があるけれども、これは国際的な要請ですから、我が国としてもできるだけ条約の完全な状態に早くしたいと環境庁としては思っております。ただ、各省とも関係省庁皆ございますので十分相談をしていかなければならないと思いますが、環境庁としては一日も早く国際的に通用するような日本になるようにこういう問題から解決しなきゃならないという考えでございます。
  62. 広中和歌子

    広中和歌子君 この前、昨年国内規制にかかわる法律を審議しました際に私は、国内規制もそれは一歩前進だろうとは思いますけれども、どちらかというと苦肉の策であったような気がいたします。むしろ外為法の例外品目として輸入自由化がされておりませんところの農産物などと同様な取り扱をし、つまり水際で輸入規制をするべきである、そのように主張し、また今もその主張を変えてないわけでございますけれども環境庁長官、ぜひ通産省の方に働きかけていただけないものか、そのようにお伺いいたします。
  63. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) これはむしろ大蔵省の関係になってくるんじゃないか、税関の問題になると。そういうように各省にいろいろ関係もございますので十分協議していかなきゃならない。しかし、根本からいうと、もう早く留保的なものをやめるようにしなきゃならぬわけなんですから、そういう方向で私は努力していきたいと思っております。
  64. 広中和歌子

    広中和歌子君 大いに期待いたします。  今度は具体的に鯨についてお伺いいたします。  鯨についてなぜ私が質問するかといいますと、あるアメリカ人の女性に、日本が捕鯨を続けているということは国際的なスキャンダルであるから、国会議員であるならぜひ発言してほしい、そのようなことで、それで私も思い立ったこともございます。  鯨は附属書Iに属し、そのうち六種類が留保されておりますが、現在の捕獲高はどのくらいでございましょうか、水産庁にお伺いいたします。
  65. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) お答えいたします。  商業捕鯨の中断直前の捕獲実績でございますが、我が国における南氷洋におきますミンククジラの捕獲頭数は千九百四十一頭でございまして、そのほかに我が国日本近海でも捕鯨をやっておりまして、例えばニタリクジラ、これにつきましては三百十七頭、それからマッコウクジラ、これにつきましては百八十八頭、それからミンククジラ、これにつきましては三百四頭でございます。
  66. 広中和歌子

    広中和歌子君 いつとおっしゃいましたか。
  67. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) 商業捕鯨が中断する直前で、結局商業捕鯨を継続してきた最後の年、こういうことでございます。
  68. 広中和歌子

    広中和歌子君 ということは、現在はこのような多くの鯨をとっていない、このように解釈してよろしゅうございますか。
  69. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) 現在は南氷洋におきまして調査捕獲を実施してございます。
  70. 広中和歌子

    広中和歌子君 じゃ、調査捕鯨の目的でとっている数は何頭でございましょうか。
  71. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) 一九八二年に実はIWCは商業捕鯨の全面禁止を決定したわけでございますが、そのときに、同時にIWCでは一九九〇年までに鯨資源の包括的評価の見直しをするということが決定されまして、実は私どもことしから調査を開始してございまして、ことしは調査の予備調査ということでございまして、三百頭以内で達成していく、こういうことで今進めつつあるところでございます。
  72. 広中和歌子

    広中和歌子君 調査捕鯨をしている国はほかにどのような国がございますでしょうか。
  73. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) 現在調査をしている国は日本とアイスランド、それから一昨年ですか、韓国がございました。それからさらに、ことし改 めてノルウェーが調査に出るということを聞いております。
  74. 広中和歌子

    広中和歌子君 それらの国では三百頭調査のためにとるのでございますか。そして、なぜ調査のために三百頭もの数をとらなくちゃならないのか、その必要性を御説明いただきたいと思います。
  75. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) 三百頭の根拠でございますが、実は本調査計画というのは、南氷洋におけるミンククジラの年齢従属的自然死亡係数というものを調査するために行う。それで、そのためには八百二十五頭のミンククジラをとる必要があるというのが統計的に出てきております。  ことしの調査は、先ほど申し上げましたような予備調査でございます。なぜ予備調査をやるかといいますと、実は昨年IWCの年次会議で我が国調査計画に対しまして科学委員会で種々の疑問点が提出されました。その疑問点の一つに答えるために実は予備調査計画を実施するということになっているわけです。その頭数は予備調査計画でございまして、果たして資源の実態を反映したランダムサンプリングができるかどうかということでございまして、できるだけ少ない方がいいだろう、かように考えまして三百頭以内ということにしているわけでございます。
  76. 広中和歌子

    広中和歌子君 じゃ、調査の目的でとった鯨はまた海に戻してあげるんですか。
  77. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) 調査でとった鯨を海に戻しても余り意味がございません。IWCの条約上は、調査で得た鯨製品というものは、これは有効に利用しなさいというふうに書かれてございます。したがいまして、私どもとしましては、調査で得たものはできるだけ国民の皆さんに販売し、その得た金は調査のために使っていきたい、かように考えているわけでございます。
  78. 広中和歌子

    広中和歌子君 調査捕鯨に参加している人、これはだれがとっているんですか。つまり、実際につかまえるわけですから、まさか水産庁の方がなさるわけじゃないですよね。そうすると、今まで捕鯨に従事していらっしゃった方がなさっておるわけでございますか。そしてその方が調査捕鯨の目的でとられた鯨を処理なさっているんですか。
  79. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) 実は調査の事業主体は日本鯨類研究所という公益法人でございます。しかしながらその公益法人は南氷洋の地理にも明るくはございませんし、また実際に鯨をとることもできません。そこで船をお借りしまして、それでそういった技術を生かしながら調査をやっているところでございます。
  80. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、なぜ調査捕鯨に参加しなくちゃならないのか、また調査捕鯨そのものが必要なのか、ちょっと理解に苦しむんですけれども、国として鯨の捕獲を調査捕鯨も含めて禁止する、そういうおつもりがあるのかどうか、長官いかがでございますか。
  81. 小野登喜雄

    説明員小野登喜雄君) 現在の国際的な鯨の保護と有効利用を図る機関としまして国際捕鯨委員会というのがございます。この国際捕鯨委員会には我が国を初め欧米諸国等四十一カ国が参加して、毎年年次会議を開いて、その保存と有効利用について検討してきてございます。我が国としましては、鯨というのは何百年にもわたりまして国民の食糧となってきております。こういった鯨資源を保護しながら、保存しながら有効に利用していくことは我々に課せられた課題ではないだろうか、かように考えております。
  82. 広中和歌子

    広中和歌子君 捕鯨をしてきた国というのは日本だけではございませんで、いろんな国がございまして、例えばアメリカのマサチューセッツ州のボストンに近いところなんというのは、捕鯨で栄えた町があり、セーラムとかリンとかマーブルヘッドとかいろいろな町があるわけでございますけれども、捕鯨は過去のものとして博物館をつくったりして、つまり、そういうふうにして転業しているわけでございますね。  確かに捕鯨は日本にとって大変な、多くの人がそれで生活をしてきたということは理解できるわけでございますけれども、やはり産業構造の変化ということが例えば工業、物を生産する分野にも起こっているわけでございまして、農業、漁業の分野でもやはり時代の波というものはあるんじゃないか。特にこの鯨に関しましては、国際世論もありますし、そしてまた日本はワシントン条約に入って、一たんお約束している、そういう中でございますので、やはり留保品目であるところの鯨捕鯨に関しましてはもうちょっと国際的な視点の中で対応をなさってもよろしいんじゃないか、そんなような気がするわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  83. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 先生のように世界的な立場で眺めておいでになると、当然の私は考えだと思いますし、私も環境庁長官である限り、先生と同じ立場でこれは主張しなければならない立場でございます。ただ、関係省庁もございますので、十分調整を今後とりつつ、できるだけ早い機会にワシントン条約の完全実施を目指したいと思います。
  84. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  石垣島問題というのは、何か急に持ち上がったような問題というか、国会で質問が集中しているようでございますのですけれども、私もこれについて質問させていただきます。  空港建設に関して石垣島の住民、そして沖縄県の人々、大いに賛成しているわけでございますけれども、石垣島の周辺に生えているところのブルーサンゴについてその学術的な希少価値、そしてまた観光資源としての価値、そういうものについて住民は十分に知らされていたのかどうか、そういったものを十分に踏まえた上で空港建設に賛成であったのかどうか、そのことについて沖縄開発庁いかがですか。
  85. 江口肇

    説明員(江口肇君) ブルーサンゴ、青サンゴでございますが、青サンゴが空港の予定地周辺に群生しておりまして、この問題につきましては、県が当初計画をつくりまして環境アセスメントの手続の中で準備書ということで公表いたしました中にも青サンゴの記述がございますし、また地域の住民の方々はその青サンゴがあるということは十分承知されているというように理解しております。
  86. 広中和歌子

    広中和歌子君 それを承知の上での決定であるわけでございますね。  国際自然保護連合、IUCNの報告によりますと、石垣島というのは観光地として栄えていこう、発展していきたいそのようなお気持ちが非常に強いということが言われているけれども、もしこのブルーサンゴが空港建設によって破壊をされるようなことがあったら何のための空港建設か、つまり観光に来なくなるんではないかと、そんなふうに言われているんですけれども、そういうようなことも考慮されたんでしょうか。
  87. 江口肇

    説明員(江口肇君) 新石垣空港計画を進めるに当たりまして、事業者であります沖縄県は、周辺海域にございます青サンゴの群生の保護など環境保全との調和を図るために、関係住民からアセスメントに関する意見を聞くなり十分な調査を実施するなり、またさらに計画変更を行うなど慎重に対応してきております。現在、変更計画案に対しまして、改めて環境アセスメントを行うために準備書を作成中でございまして、これをもとに新空港の工事中及び工事後の環境保全について万全の措置をする考えであるというように聞いております。沖縄県では、青サンゴ群生のような貴重なものにつきましては、残るものは残し、また周辺のサンゴ礁への影響については最小限にとどめるように配慮をしているところでございまして、県が保全することとしております青サンゴ群生等のサンゴにつきましては、観光資源的価値としてではなくて、学術的価値として残そうとしていると承知しております。  また、沖縄は美しい海とかサンゴ礁とか、そこにすむ魚類等の生物が一体となりまして沖縄の観光資源として魅力をつくっているということは私どもも十分承知しておりますが、八重山地域を訪れます観光客は、ダイビングを目的とするほか、 各種のマリンスポーツとか、また亜熱帯気候や独特の景観を味わうというようなことを目的に、観光客の層あるいは目的は多種多様でございます。  観光客がよく訪れる場所もいろいろございまして、幾つか挙げますと、石垣島では川平湾とか底地などのビーチ、それから西表では仲間川などの亜熱帯樹林、それから竹富島とか周辺の離島、それからサンゴ礁を見る場所につきましても竹富島とか小浜島とか黒島などの周辺が中心であるというように聞いておりまして、今問題の白保でございますが、ここを訪れる観光客は現在のところ非常に少ないというように聞いております。また一方では、観光客が少なかったために白保のサンゴが残っているという意見もあると承知しております。  新空港の建設は、観光振興を促進するためであることも主要な目的の一つでございますが、今申し上げましたことから白保地区での新空港建設の問題を必ずしも空港建設と観光資源の保全との二者択一の問題というように私どもはとらえていないということを御承知いただきたいと思います。
  88. 広中和歌子

    広中和歌子君 この前、我々環境特別委員会で関西新空港を見にいったんですけれども、あそこの埋め立てでも文句が出まして、つまり、海全体が汚染されるというので非常に大きな幕を張ったりして非常に大変な工事なんですね。あそこには特別にサンゴも何もないわけですけれども、それでも大変な気の使いようなんです。サンゴに至ってはどのような結果になるか、少なくともこのIUCNの報告ではほとんど絶滅してしまうんじゃないかと。  それからもう一つここで主張しているのは、現在ある飛行場で、ローカルな、那覇から飛行機が飛んでくるわけですけれども、それで十分ではないかということなんですけれども、現在、運輸省の方にいらしていただいておりますのでちょっと質問させていただきますけれども、大体どのくらいの観光客が既に那覇経由で訪れていらっしゃるんですか。
  89. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 石垣空港でございますか。
  90. 広中和歌子

    広中和歌子君 はい。
  91. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 石垣空港の発着の旅行者数でございますけれども、六十一年度の数字でございますが七十二万六千三百十一人でございます。これは石垣—那覇、それから石垣—宮古、石垣—与那国、石垣—波照間、石垣—多良間、これの合計の数字でございますか。
  92. 広中和歌子

    広中和歌子君 羽田からの直行便が出ますともっと観光客がふえるというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  93. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 現在、石垣空港の滑走路は千五百メートルでございます。航空機の離陸の際の重量にはおのずから制限がございます。したがいまして、石垣一—那覇というような路線、非常に短い路線でございますと燃料の搭載量は少なくて済むということでございますので、こういう路線につきましては、例えばボーイング737、こういう機材でも十分旅客輸送あるいは貨物輸送が可能であるわけでございます。ところが、石垣と大阪とか、あるいは石垣と東京、こういう先生指摘のような直行路線を結ぶということになりますと燃料搭載量が非常に大きくならざるを得ない。この結果、搭乗旅客数が相当制限される。例えて申しますと、東京路線でございますと、夏と冬で違いますけれども、夏でございますと、普通ボーイング737でございますと百三十人乗りでございます。これが八十七人しか乗れない、貨物は一切積載できない、こういうことに相なりまして、事実上ジェット機が飛べない、直行路線が開設できない、こういう事態になるわけでございます。したがいまして、現在の滑走路では御指摘のような直行便を開設するということは非常に困難でございます。もちろんその直行便を開設することになりますれば、それは観光客を初めとして非常に多くの航空旅客が乗るというふうに推定することはできると思います。
  94. 広中和歌子

    広中和歌子君 それは石垣島が例えばサンゴの資源なども含めて非常に魅力的な場所として存続し得るということも条件になっているんじゃないかと思いますけれども、例えばハワイなんか見ますと、ワイキキ、あそこに大きなジェット機が来ましてそこから分散して小型機でいろいろな島に行きますよね。本当に余り汚染されていない、自然がそのまま残ったような島にするために直行便をつくってないんじゃないか。ハワイ周辺にはいろいろな島がございますよね、島の名前知りませんけれども。いろんな島に行くのに、一たん例えばアメリカ日本からワイキキに着いて、そこからまた別の飛行機に乗って小さな島に行くわけですよ。ですからちょうど今沖縄の那覇と石垣島と同じような関係だろうと思うんですけれども、あえて直行便にする必要がなぜあるのか。そしてまた、那覇と石垣島の間は何便ぐらい飛んでいるんでございますか。
  95. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 那覇—石垣は現在、季節によって違いますけれども七便から十二便、この間の便数がございます。直行路線を設けますと、これは相当やはり時間的に短縮される。乗りかえの必要がないということだけじゃなくて、運賃もかなり乗り継ぎによって高くなっているという面もございますので、石垣—東京路線を開設することによってそういう運賃も安くなる、こういう効果はあろうかと思います。
  96. 広中和歌子

    広中和歌子君 石垣島の経済的な発展を考えるんだったらむしろ料金の点を考えたらいいんじゃないかと思うんでございます。私ちょっと飛行機の料金を調べましたら、大体が東京から沖縄まででも高いのに、それからさらにまた石垣島まで一万何千円かかかるわけですよね。一方、例えば羽田—ソウルとか羽田—台北、羽田—沖縄、ああいうところへのエコノミ—クラスとかスペシャル便、それから食事ホテル代込み、そういうものがむしろ羽田から石垣島とかなんかに行くよりも安くなっている。そういうようなことで経済的に競争力がないということもあるんで、むしろこの際、そういうふうな島を助けるという意味であれば、もっと料金を安くするというような方策が考えられるんじゃないでしょうか。料金の認可というのは運輸省のお力だと思いますけど、いかがでしょうか。
  97. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 先生指摘の羽田—那覇の運賃につきましては、現在三万七千三百円でございまして、これをキロメーター当たりに直しますと二十一・九円の賃率になるわけでございます。これを例えばほかの東京—札幌ということで申しますと、これは二十八・四円、それから東京—福岡ということで申しますと二十六・二円というようなことで、非常に沖縄の運賃は安くなっております。  さらに、先生指摘の成田からソウルとか、そういう外国に行く運賃でございますけれども、これも片道の普通のエコノミークラスの運賃で申しますと、成田—ソウル間で四万八千三百円、賃率で申しますとキロメーター当たり三十一・一円ということで、むしろ羽田—那覇の方がはるかに安い。もちろん先生指摘のように、旅行社が非常に安い運賃とかホテル代込みのそういうものを設定しておるという例はございますけれども、通常の運賃の比較で申しますとこれはむしろ羽田—那覇というのは非常に優遇されておる、非常に安い運賃になっておるということでございます。これは着陸料につきましても相当軽減しておりまして、那覇に着陸する航空機につきましては相当着陸料の軽減を図っておる。その結果として今申しましたように賃率も安くなっているということでございます。
  98. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 広中君、時間ですのでよろしく。
  99. 広中和歌子

    広中和歌子君 ガソリン代が安くなっている中で、飛距離よりもむしろ手数料というんでしょうか搭乗のときの手間とか、そうしたものが航空料金に影響するんじゃないかと思いますんで、距離が長くなれば割安になる、そういうような航空料金の定め方をぜひこれから考えていただきたいことが一つと、それから石垣島のアオサンゴのこと でございますけれども、これはやはり日本の中に残された幾つかの貴重な資源、そういう観点からぜひ環境庁として特別の御配慮を賜りますように、先ほど冒頭でおっしゃいましたように、ぜひ各省庁に働きかけ、コンセンサスをとっていただきたい、そのようにお願いする次第でございます。  どうもありがとうございました。
  100. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それではまず長官にお伺いをいたしますが、環境庁基本姿勢についてきょうは前段でも大分御意見がたくさん出ております。  私は、所信表明を拝見いたしましたり、あるいは昨今の環境庁のいろいろなコメントを拝見しておりまして、どうやら環境庁というのは三本の柱があったのが抜けてきたなと。一つは被害者の救済、そして公害規制、自然環境保全という三つの柱があったんですが、これが例えば所信を見ましても全く後退をしている。被害者の救済というのが抜けてきている。  まあそのことが気になり出していろいろとちょっと資料も見てみたんですが、例えばこれは新長官に聞くというところで、これは新聞に発表されているんですが、公害の未然防止と自然環境保全環境行政の二つの柱だと。先般、公害健康被害補償法が改正され、今後の環境庁の仕事の基礎ができたというふうにお述べになっておられたり、あるいはこれはたまたま拝見をしたんですが、「フォト」二月十五日号で、土屋先生のお嬢さんとの対談を拝見いたしましたが、これも非常に端的に言っておられるんですが、「環境行政は、公害が起こらないようにする、自然環境を良好に保全するという二つの重要な使命があります。」、こういうふうに言われております。  ことしの長官所信表明も拝見をいたしましたが、これもそういうことであって、所信の第五の項に「総合的な環境保健施策推進であります。」というふうにお述べになっておられるんですが、これも被害者救済ということが力点がなくなって、健康被害補償予防協会が設けられることになったので、健康被害の予防事業というふうになっておりました。  私はこれを拝見をいたしまして、これはえらいことになってきたなということに思いをいたしました。まず最初に、被害者救済の項目、柱、これがなくなってきているんだけれども、これについて被害者救済についての長官所信というんですか御見解、それを最初に聞いておきたいと思います。
  101. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 被害者救済というものは環境行政の原点だと思っております。また今まで省で皆やっておったわけです、厚生省でできておったわけですが、環境庁というものが生まれたのは、これはやっぱり補償制度というか、そういうことをしなければならない、そういうところから出発して、庁の性格を持ったものだと思っておりますから、まさに原点だという考えは変わりありません。しかしながら、いろいろな環境の変化というものが常にあるわけでございますから、私ども施策が今日で見ればそれらを乗り越えてきて、まだ乗り越えてない問題は所信表明でも残しておりますけれども、いろいろな環境の変化というものに対応してきたという意味でそのようにまとめたものと受けとめていただきたいと思います。
  102. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで私は、被害者の救済という柱がなくなったという点は非常に重大な問題を含んでいるなということを感じる。というのは、これは長官もいみじくもおっしゃったように、環境庁が設置されたのは、これはもう御承知のように四日市裁判、イタイイタイ病の裁判、水俣病の裁判、こういう裁判の勝利、あるいは我慢のならないような激甚公害、こういう国民の大変大きな世論の中で、これは各省庁にばらばらになっておるというふうな状況ではどうにもならないということで公害対策基本法の経済条項、経済との調和条項というのを削減をして基本法が改正をされて環境庁ができたといういきさつから見まして、特に環境庁設置の原点というのはそこから出発している、その点はやっぱりきちんと踏まえてもらわないと大変だなというふうに思うんです。  特に被害者救済というのは、救済をしていく側はいろいろと金の制約やら加害企業の圧力やらいろいろあるものだから、被害者に対してあれこれいろんな圧力を加えておりますけれども、実際の被害者というのは、全く本人は何の罪とがもないんですね。企業の営利活動によってたれ流された毒ガスあるいは毒水によって健康や命がむしばまれていっているわけで、こういう人たちを、加害者が救済の責めを負う加害責任、汚染者負担の加害責任、いわゆるPPPの原則というのがきちんと据わって確立をされて発足をしてきたという点を、これはきちんと踏まえておかなかったら大変だなという心配をまず感じているわけです。もし、この公健法が改正をされたということによって環境庁がこのPPPの原則を緩めるというようなことになってくれば、これはもうまさに汚染者負担、PPPの原則が形骸化をされるということになれば、企業活動、巨大開発あるいは乱開発というのが野放しになることはもう明らかですね。だから、そういう点で明らかにこれは公害行政が大きく後退するに違いない、そういう心配を非常に強く感じるものであります。  もっと言えば、こんなにああだからこうだから言うて、先ほどからの論議を聞いていても歯がゆいような思いがしますよね。ああだこうだというふうに言って、いわば私ども聞いていたら本当に足袋の裏から足をかいているか、言い逃れをしているかということで、環境庁本来の責務というものが果たされないというふうになってくるということになれば、これはもう環境庁の存在価値、これが疑われるというふうになるんではないかというふうに思うんです。  そういう点で多くのことを申し上げたいんですけれども、きょうは制約された時間でございますので、私はそういうことを前提に申し上げておきながら、公害健康被害補償法の改正後の動き、こういう問題に関連をしてお伺いをしたいと思っているんです。  既に衆議院でもいろいろと質疑がやられておりますから詳しく申し上げなくてもよいわけですけれども、あの法律改正で、二月末日までで、三月一日からは新規認定患者が打ち切られるということになったわけでございますが、二月末に認定申請をされた患者さんというのはどのくらいありますか。
  103. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 申請者数についてでございますが、六十二年四月から十一月ぐらいまでは私ども正確な数字を現在把握をいたしておりますが、その後の数字につきましては私ども把握をしておらないのでございます。  ただ、傾向といたしまして申請者の数は四月から十一月までは例年並みで推移をしているのでございます。その後の申請者の数は増加の傾向を示しているというふうに聞いておるのでございまして、現在申請を締め切ります六十三年二月末現在、これの速報値を集計中というところでございます。
  104. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私に言わせれば、法律を打ち切ったんだからすぐにこういう被害者の動向、患者の動向というものをキャッチするというのが責務だ、不勉強ですよ、そんな。つかんでおりませんなんというようなことを、しかもそれはあんた認定患者数をつかめと言うておるんじゃないんだ、申請者数が幾らかと聞いているんです。電話一本かけたってわかるじゃないですか、そんなこと。一体きょうは三月何日ですか、二十三日でしょう。二月末で打ち切っているんですよ。何日かかっている。それでつかんでおりません、これはもう法律を打ち切ったからあとは野となれ山となれという態度じゃないですか。許せませんよこんなこと、実際。  私どもがつかんでいる数字では、これは二月だけです、二月だけの申請者数が約八千三百人。大阪市の実態を見ますと、これは大阪市では千六百七十一人です。大阪市で千六百七十一人といいますと、千六百人というのは大体平年度の一年分で す、こういう形になっております。これはこれで公害病はなくなったとか、公害患者は切り捨てで予防をやったらよろしいなんというようなことは言えないなということを私は思うんです。  これは少々ふえていますけれども、ふえて当たり前だと思うんですよ。大体今まで認定患者が十万人余りおりますけれども、しかし潜在患者というのはその二、三倍だということは、これは医師や医学者や関係学者の常識なんです。だから、いよいよもう申請できなくなるんだということになってたくさん急に寄ったと思いますよね。こういう状況というのはこれは大変だなと思うんです。よくぞよくぞ打ち切ったなということのあらわれの一つだと思いますが、御見解どうですか、長々言わんといてください。
  105. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) できるだけ簡潔にお答え申し上げたいと思います。  この増加の傾向につきましては、この申請が打ち切られる、今後補償給付の申請が行えなくなるという状況のもとである程度の申請者の増加があるということは私ども当然予想をいたしておるところでございます。  それからまた、今先生がおっしゃいました数値等一部につきましては、これは新聞報道等を介して私ども承知はしておりますけれども、全体、総体としての数がどうということをここで申し上げられなかったので、先ほどのようにお答え申し上げたわけでございます。  なお、これに対しましては、私どもは、先々国会でも大変御議論をいただきましたように、大気汚染以外の原因によってもぜんそく患者等が起こる、発病するということで、申請者が多いということであるからといって現在の大気汚染がぜんそく等の主たる原因だというふうには私ども考えていないのでございまして、この答申の趣旨からいいましても今回の地域指定解除は合理的で妥当だろうという考え方に変更はないのでございまして、どうぞ御理解を賜りたいと思っておる次第でございます。
  106. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなもの理解できぬ。何を言うとんのやあんた。衆議院で言っているように、ダニやら猫の毛でぜんそく起こりますという話でしょう。それは田舎でペットでぜんそくも出ているというような話やったらよろしい。公害激甚地の中で起こっている現象を言っているんです。あんたは無理やりに法律を改正さしたから、打ち切ったから無理無理なことしか言わぬのですな。部長の話は全然かみ合わぬ。現に申請者がふえている。  それから、大気汚染の実態はどうなったか、どういう状態か。たまたま去年の十二月、環境庁が発表された全国大気汚染測定結果、これよくなっていますか。これはもう時間がないからたくさん言えないけれども、自動車排ガスの測定局では、何ぼでしたかな、日平均値〇・〇六ppm、年平均値〇・〇三ppmを超している、そういうところが東京で七九%、横浜で八八%、大阪で六五%です。一般環境大気測定局でもやっぱりふえているんです。こういう状況というのは非常に深刻だと私は思うんです。あなた方は、これで大気環境汚染はどうなっていると思います。さっき長官は、横ばいか、測定によっては、昨年の測定ではちょっと悪うなっているとおっしゃっていましたが、どういうふうに理解していますか。
  107. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答え申し上げます。  六十一年度におきます全国の環境基準の達成率の状況につきましては、六十年度と比べますと若干悪くなっておるという結果が出てまいっております。特にそれは先生お話ございましたように、東京なり大阪等大都市において一般環境大気測定局あるいは自動車排ガス測定局におきまして前年と比べれば若干悪くなるという結果になっておるわけでございますが、この中身につきまして少し御説明申し上げたいと思うわけでございますが、最近五年間の非達成局の状況について動向を分析いたしてみますと、一般環境大気測定局、自排局とも合わせまして各年度の気象要因等によりまして達成、非達成が左右されるような、いわゆるボーダーラインといいますか、環境基準のぎりぎりの線にあるところが全体の六割を占めている状況にございます。  それから、比較的気象要因による変動の少ない年平均値について見ますと、悪化傾向にある測定局も一部にはございますものの、改善または横ばいの傾向にあるものがそれぞれ五割、三割ということでございまして、それから特に毎年非達成となっておりますような汚染濃度の高い測定局では、改善傾向を示しておるのは六割、横ばいのものを含めましても七割ということでございまして、全般的な環境基準の達成の割合から見ますと六十一年度は悪いわけでございますけれども、過去五年間の推移を見ますと、その中におきましては若干ながらも改善なり横ばいの傾向を示しておるというぐあいに受けとめておるところでございます。これには自動車排出ガスの規制が順次効果を上げてまいっておりますこと、あるいは主要な固定発生源の排出量が減少傾向にあることなどが反映しているものというぐあいに受けとめておるところでございます。そういうことで、六十一年度に特に悪化した主な要因といたしましては、冬季に風の強い西高東低の気圧配置の出現頻度が例年に比べて少ないという特異な気象条件の影響があるというぐあいに思っておるところでございます。  いずれにしましても、環境基準の早期達成に向けましていろんな対策を講じて努力してまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  108. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大体環境庁、風任せですな、今言うたように。西高東低の風が少なくてとおっしゃる。風任せみたいなのはあかぬ。自然現象の中で人間は生活をしているんです。風が吹いて、汚染された大気が吹き散らされるときも、こもるときも、人間は生活しているんです。だから、環境基準というのはあらゆる事象の中で達成をされなかったら、クリアされなかったら人間の生活というのは守れない。そういう立場に立ってもらわないとだめですよ。  で、これは法律を改正したのはSO2がうんとよくなったからだと。法律はSO2しか指定物質にしていなかった。しかし、あの法律をつくるときに既にNO2あるいは浮遊粉じん等については問題になっていたんです。その後の改善努力の結果、あるいは公害汚染源の変化の結果、今日ではSO2はなるほど下がりました。しかし、SO2にかわってNO2は既に、横ばいと言ったけれども、六十一年度の結果を見たら悪くなっている。悪くなり方だってひどいよ、実際。私細かく言うつもりないので資料は全部持ってこなかったですけれども、例えば東京北区宮堀の自動車排ガス測定局です。年平均値が〇・〇五五ですよ、〇・〇五五ppm。環境基準は〇・〇三ppmです。それから大阪の出来島小学校でも年平均値が〇・〇五四ppmです。それはこんなもの、環境基準値の最高をはるかにオーバーしているという状態が出ている。私は、環境庁はNO2についてはわざわざ五十三年に環境基準を〇・〇二から〇・〇六へ緩めたんですよ、日平均値。そのときに六十年度までに全国で基準値の達成をする、こういうて公約をしたんだけれども、去年六十一年度の測定結果が、NO2ですね、総量規制をかけている地域—東京都や大阪、神奈川、ここでも公約は守られていないというんです。そういう結果になっている。公害なくなったなんて言えないです。それから浮遊粉じん、浮遊粒子状物質だって自動車の排ガス測定局では七二プロが未達成だと。こういう状態公害はなくなったなどと言えないです。だからこれは、いよいよ打ち切りだということになったら、知った人だけでもせめてということで申請に行くというのは当たり前なんです。  そのことで論議をしている余裕がないので次に進みますが、そういう実態を踏まえて、ですからあの法律改正後自治体はどういう対応になってきているか。結局これらの状況というのは見ちゃおれない、市民の被害者の実態を見たら見てはおれ ないということで、地方自治体がそれぞれ独自の施策を始め出しています。  これは幾つかを申し上げたいと思いますが、大阪市でも要綱を発表いたしまして、四月一日から、大阪市は全市域が指定地域でございますから、指定地域全域、四疾病で十五歳末満というふうなことを決めています。十五歳末満じゃ困るんだけれども、しかし何にもしないというわけにいかない、見ちゃおれないと。それから吹田でも、これは旧指定地域内で公害四疾病で年齢制限なし。それから豊中市も、これは五年の時限の規則だそうですけれども、五年間、期限つきだそうですけれども、やっぱり旧指定地域全域と公害四疾病、年齢制限なしというのが新設されております。東京都は前から全都、四疾病、十八歳末満というのをやっていますね。それから、川崎市が全市で気管支ぜんそくだけで二十歳未満、今度八八年にやってたのを改定した。名古屋も、これは条例で全市で公害四疾病、年齢制限なし、これは三年の時限。東海市は、これは全然制限なしということでつくられてきています。これは環境庁と違うのは、地方自治体は被害者の実態、汚染の実情というのが肌でわかりますからね。だからほっておけないということで、こういうふうに手を打たれてきているわけです。  私は、これはそれでも大変だなと思うのは、何で大変かというと、これはみんな公費でやるんですね。PPPの原則じゃない。離れてしまう。公費で、公費負担で十分不十分はありますけれども、結局環境庁が原点を放棄して切り捨ててしまったから、しようがないから、とにかく何とか少しでも救済しようというふうなことがやられようとしている、あるいはやられている。大阪市の場合は、私も行って聞きましたけれども、四月一日の実施だけれども政府の打ち切りが二月末ということであれば三月一日にさかのぼって対応をいたしますということを市長が言っていました。そういう状況になっているわけです。だから、被害者は救済されるけれども、それじゃ公害の健康被害者が汚染者の原則、PPPの原則という立場に立って救済されていくのかというとそうじゃなくなっている。こういうことがすぐに出てきたわけですね。そういう点が大変問題だと思っているわけです。  残り時間がたくさんありませんから、一つ申し上げておきたいのは、そういう中で被害者、患者の大変な不安というのが広がっております。それの幾つかをちょっと申し上げておきたいんですが、例えば一つは、被害者というのがどんどん高齢化しているんですね。だって、SO2時代の被害者がずっと続いているんだからもうどんどん死んでいますし、残っている人たちは高齢化しています。それで新たに子供たち、児童生徒、子供、そういう子供たちの発症というのがふえてきているわけです。高齢者が一番怖がっているのは、今の認定患者でもいつ打ち切られるかという不安が非常に強いんですね、これは。それはそうなんですよ。新たに認定を受けられるか受けられないかという人はまだその不安も何もわからない。現在認定されている高齢者は大変な不安を抱えています。  なぜそういうふうな不安を抱えているのかといいますと、これは調べてみて驚いたんですが、確かに心配するはずだなと思ったのは、今の健康被害補償法に基づく認定のランクをずっと患者数別に、これは環境庁の資料ですけれども、見てみましたら、特級とか一級、二級というのはほんのわずかです。三級の方が一番新しいデータでは五二・八%、等級外がこれが三四・七%、合わせて八七・五%が三級ないしは等級外ですね。そういうことになると、三級の人が一つランク下げられたら等級外で医療費給付だけになります。等級外の人が切り捨てられたら、これは医療費給付も切り捨てられる。そういうことになるでしょう。そのことで大変な不安が広がっています。  なぜそういうふうに不安が広がるかというもう一つの原因がありますね。これは制度上打ち切りの促進がやられるんではないかという不安がもう一つある。  これは御承知のように、この間の新しい改正された法律によって、健康被害補償制度の改正で協会に基金をつくるという制度がありましたね。あの基金の金のつくり方をあのときに大分問題にいたしましたが、あれによりますと、六十二年度八百七十億を五年間ぐらい出してもらって、六十二年度の八百七十億というのは予算ベースですね。そして、新規患者がことしの三月以降はなくなるわけだから、これは補償給付の金が減っていきますね。その減った分を基金に積み立てていくという制度にしたでしょう。だから、早いこと五百億に積み立てよう思ったら、たくさん打ち切ったらお金が早く積み上がるという制度になっている。だから、おたくの勘定では何年で五百億に、満額にしようと思っているのか知りませんが、まあ五年なのか七年なのか八年なのか知りませんけれども、初めは少々削って積み立てる、翌年はそれをさらに積み立てる、その翌年はどんと積み立てるというふうになっていくことは、この制度から言うてもう当然だと思うんですね。そのことが患者の打ち切りにあらわれてくるおそれを、これは被害者の方々知ってますからね、非常に不安を感じておりますけれども、この点については運用についてどうしますか。これはもう危険ですよ。
  109. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 先生非常に詳しいし、医学者であるんだから、専門家でありますから、段々の話を聞かしていただいている。私はこの制度を容認する側に立っておりますし、先生否定する側に立っておりますから、話の流れ全然違いますけれども、個々におっしゃっている点は私はなるほどと、一つ一つの問題としてはなるほどと聞いております。  そして、最後におっしゃった問題、私も深刻に受けとめております。これは制度二つ残すわけですから、もう先生十分わかっておるわけですから、だから基金を積み立てるのを六年ないし八年という予想をしておりますけれども、たとえ九年になってもいいから、私は今先生のおっしゃっている既被認定者、補償制度の認定者に対しては、これはやっぱり守る立場で私はやっていくようにしたいと思います。
  110. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 御理解をいただいて大変ありがたいと思いますが、少なくとも制度上の姿で認定患者をやむなく次から次へ打ち切っていくということが定着しないような、こういうやはり配慮というのが、制度があるんですから、非常に心配をされていますので、そういう点をひとつ、長官がおっしゃっていただいたから御信頼を申し上げますので、ぜひそれはやっていただくようにお願いしたい。  それからもう一つ、患者さんの不安の中で、はあなるほどなと思ったんです。例えば子供のぜんそくなんかはちょうど中学生、中学校卒業する前後になったら治るんですね。治る人が多いんです。だから、ことしの九月の切りかえの時期に治りましたいうて認定をやめますね。二年ほどして、あるいは一年ほどして発病する、再発するというときには、これは新規認定患者をしないということになっておりますから、この場合はどうなるんだろうか。これは子供は心配しない、親が心配してますね。こういう点については全く再発の場合に道が閉ざされるというんではなしに、まあ十年も十五年もたって再発とも言えませんから、一定のやはり期間を設けて、そういった点は見直していくということが必要ではないんだろうかな。これは私医者の立場からもそういう感じがいたしますので、これはひとつぜひ検討していただきたいと思いますが、検討の用意をお持ちいただけるかどうか、それをお伺いします。
  111. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 御指摘の点につきましては、前回法律改正のときにも私ども再々お答え申し上げたことでもございます。今、先生が御指摘の点につきましても、もちろん医学の立場もございますし、それから患者さんは大変気の毒な状況にある方もあられるわけでございますが、ただ問題は、先生が最初におっしゃいましたPPPの原則によります因果関係ということについての論 議が非常にあったわけでございまして、その点から私どもやはりはっきりした因果関係が言えないということからこの補償を打ち切る、こういう論理で私どもきたわけでございますし、またこれが法律改正の合理的かつ公正にするという趣旨でございました。したがいまして、私ども先生のただいまの御提案等につきましても、これは現在の時点では私ども検討することは考えておらないのでございまして、今後の一つの勉強と申しますか、そういうような感じではなかろうかなというふうに考えておるところでございます。
  112. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 あんたは何が何でも打ち切るという立場できたんだから、今ごろ見直すってよう言わぬでしょうけれども、私は、PPPの原則とあんた今ごろ言うんなら、四十八年に健康被害補償法ができてからこの十五年ほどの間に、打ち切りをしてしまうまでの間にNO2も浮遊粉じんも問題がもう既に提起されていたのに、これをどうしてきちんとPPPの原則で指定物質に入れるというふうな努力をしてこなかったか。これは、私、環境庁の怠慢だと思います。だって、あの法律が施行されるときに既に問題になっていた。それを、今はもうSO2だけですからPPPの原則で関係ありませんねという逃げ方はひきょうです。  だから、私冒頭に申し上げたように、実は石垣の話もちょっと聞こうと思ったけれども、私の持ち時間もう余りないんで、例えば石垣のあのアオサンゴの問題にしろ、あるいは人体被害の大気汚染の問題にしろ、私は環境庁が、加害者、例えば自然破壊なら自然破壊がされるおそれがある、人間の場合には健康被害を受けるおそれがあるという場合に、これはもう率先して明らかにしていく、そして環境庁としての見解をきちんと立てていくという立場というのがなければ、これはせっかく環境庁ができたのに意味がなくなると思う。だって、考えてみなさいな、水俣病だってそうでしょう。何も環境庁ができてからあれは発見されたのと違うんです。三十年も前からわかっていたけれども規制ができなかったから何万という人たちに被害が出ていまだに未解決、そうでしょう。イタイイタイ病だってそうですよ。そういうことを二度と繰り返してはならないということで実はやられてきたと思うんです。その辺は心して環境庁やっていただかないと、とにかく加害者も被害者も国民だというようなことを言って、そんなこと言うてしもうたらもう環境庁要らぬことになる。それは雑排水の問題だとか、そんな問題は確かにあります。それはお互いに、ちゃんと環境庁国民生活の指導をしてそういった点を改善させていくなり、あるいは下水道の普及によってそういった点の心配のないような施策をやるなりということを並行してやらなくちゃならないと思いますけれども、しかし、企業活動や大開発によって自然破壊がなされる、あるいは人体被害を与える、だって、そういうことをやっぱり規制をするという立場をお持ちにならなかったら話にならぬですよ。空気の都合で、風向きの都合で六十一年度悪うなったなんて言うんじゃ困りますね。だって、大阪にまだまだどんどん高速道路つくるんですよ、この上に。東京だってそうですよ。だから、それは本当にそういう立場というのは大事だと思うんですよ。  で、私さっきちょっと長官が言うのを気になって聞いておったんだけれども、ちゃんとアセスメントやるんだからとおっしゃっていましたね、アセスをやるんだから見たらわかるんだと、ごまかされへんやとおっしゃった。で、建設省が仕事をやる場合に、建設省のアセスは信用ならぬと言われる。私は当たり前だと。アセスメント法をつくろうということで十年かかってついにできなかった。なぜできなかったか、そういう経過がわかっているんです。そしたら、建設省が仕事をするのに、事業主体がアセスメントをやったら、こんなものいいかげんになるだろうと周りが思うのは当たり前なんです。そういうことにならぬようにちゃんとアセスメント法をつくるということが大切であったわけですね、問題は。そういうことになっておらない。だから国民の信頼が得られない。やはり環境庁の権威も立ち切れないというところへ私は来ていると思うので、ぜひそういう立場では原点に立って環境行政はぜひ進めていただきたい。  まあ石垣島の問題についても、ああいう問題は、国際的にも提起をされてきたということになれば、これはアセスメントはアセスメントをやったらよろしい。しかし、環境庁として独自に調査をしてみるというようなことができないんだろうか。そういうことも思います。これはもう御答弁結構ですが、本来の環境庁の原点に立ち戻って仕事を進めていただくということを特に強く要請をして、時間になりましたので終わります。
  113. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会