運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-03-02 第112回国会 参議院 環境特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二日(水曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松尾 官平君     理 事                 石井 道子君                 曽根田郁夫君                 田渕 勲二君     委 員                 青木 幹雄君                 石本  茂君                 梶木 又三君                 佐藤謙一郎君                 関口 恵造君                 原 文兵衛君                 宮崎 秀樹君                 粕谷 照美君                 安永 英雄君                 渡辺 四郎君                 沓脱タケ子君                 近藤 忠孝君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  堀内 俊夫君    政府委員        公害等調整委員        会委員長     勝見 嘉美君        公害等調整委員        会事務局長    稲橋 一正君        環境政務次官   杉元 恒雄君        環境庁長官官房        長        安原  正君        環境庁長官官房        会計課長     窪川  功君        環境庁企画調整        局長       森  幸男君        環境庁企画調整        局環境保健部長  目黒 克己君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        環境庁水質保全        局長       渡辺  武君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (公害対策及び環境保全基本施策に関する件)  (昭和六十三年度環境庁関係予算に関する件)  (昭和六十三年度各省庁環境保全関係予算に関する件)  (公害等調整委員会事務概要等に関する件)     ─────────────
  2. 松尾官平

    委員長松尾官平君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、去る一月、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。田渕勲二君。
  3. 田渕勲二

    田渕勲二君 委員派遣報告を申し上げます。  去る一月十一日、十二日の両日、瀬戸内海環境保全等に関する実情調査のため、松尾委員長初め、石井曽根田の両理事、渡辺、広中、沓脱山田の各委員と私田渕の八名で、岡山県及び大阪府へ行ってまいりました。  日程の第一日は、岡山県庁において県の公害環境行政概況説明を聴取しました。この後、本州四国連絡橋公団児島工事事務所において、本州四国連絡橋児島—坂出ルート建設状況及び環境保全対策等説明を聴取するとともに、船で現況を視察いたしました。  第二日は、関西国際空港建設状況環境対策等について、大阪府及び関西国際空港株式会社から説明を聴取するとともに、泉佐野市に赴き空港建設工事海域での作業状況を視察いたしました。  以下、これらの調査のうち主要な点について報告をいたします。  まず、本州四国連絡橋児島—坂出ルート建設状況について申し上げます。  世界にその技術を誇るいわゆる瀬戸大橋は、昭和五十三年十月に、約一兆二千億円の予算規模をもって着工されましたが、工期九年三カ月を経て本年一月にほぼ完成をいたしております。その橋の構造は、瀬戸中央自動車道と本四備讃線の鉄道とを併用するというものでありますが、千七百二十三メートルの南備讃瀬戸大橋を初め六つの橋で結ばれる全長九千四百メートルにも及ぶ規模のものとなっております。  視察当日、初めての列車走行試験が行われておりましたが、この後、実際に近い試運転を経て、四月十日には待望の全面開通をする運びとなっております。  瀬戸大橋建設に当たっての環境保全対策といたしましては、瀬戸内海国立公園中心とした自然景観保全、植生の保護等に十分留意するとともに、橋と周囲自然景観とが調和するよう、線形、構造、色彩の検討切り土盛り土のり面緑化構造物周辺修景等について環境庁等関係機関と協議の上、適切な措置を講じてきているとのことであります。  殊に、工事に当たっては、自然公園法に基づく環境庁建設同意の条件に対応いたしまして、鷲羽山地区通過方法を当初のオープンカット工法から、地形改変の少ない複断面形式トンネル工法に変更いたしております。また、櫃石島橋及び岩黒島橋については、当初のトラス橋を美観に配慮して斜張橋へと橋梁形式の変更を行う等の措置を講じております。  さらに、工事中及び供用開始後の環境調査のための環境管理計画に基づき、海域を含む沿道地域の動物、植物の自然環境大気質、騒音振動水質等生活環境についてモニタリング調査を行い環境保全を図ることとしております。  このような諸対策の結果、現在のところ環境影響評価において設定した環境保全目標のすべてを達成しているとのことであります。  ところで、船で瀬戸大橋とその海域を視察いたしましたところ、採石、切り土等によって変形した島々裸地など、自然破壊の状態が注目されました。公団側は、構造物周囲及び工事によって生じた裸地等については、地区ごと修景緑化計画を作成し、植栽等により緑化を進めているとのことでありますが、これらの島々自然景観への復元措置が望まれるところであります。また、将来にわたって、瀬戸大橋と調和した瀬戸内海や沿岸全体の自然が破壊されることのないよう、その環境保全のための施策が必要であると感じた次第であります。  岡山県におきましては、瀬戸内海などすぐれた自然景観が大規模開発等によって損なわれる可能性が大きいことから、総合的な観点から景観の形成、保全を図るべく、現在、制度化に向けて準備を進めているところであります。  次に、関西国際空港建設状況について申し上げます。  昨年一月に着工されました関西国際空港は、大 阪湾南東部泉州沖約五キロメートルの海上に、第一期計画として面積五百十一ヘクタールの空港島を建設して、三千五百メートルの滑走路整備しようとするものであります。本空港は二十四時間運用で、年間の離着陸回数約十六万回、六千八百五十万人と百十万トンの貨物の輸送能力を有する国際空港として、昭和六十七年度末の開港を予定しております。  本空港建設に当たっての環境対策につきましては、埋立免許に先立ち、慎重に環境アセスメント実施したほか、知事と地元八市五町の長で構成する関西国際空港環境監視機構を設置して、工事に伴う環境面社会経済面への影響監視しております。また、昨年六月には、府と会社共同総合環境センターを設置して、りんくうタウン整備事業土砂採取事業とともに総合的な環境監視データ公開を行う体制整備したほか、同八月には、環境保全対策として、空港島のほぼ全周囲にわたって汚濁防止膜を設置するなど、環境保全に万全を期しております。  当空港建設及び運用環境に及ぼす影響についての予測結果では、航空機騒音は、離着回数のピーク時でもWECPNL七十——これは加重等価平均感覚騒音レベルというのでありますが、それ以上の地域はすべて海域にとどまり、大阪湾周辺地域では環境基準を超えることはないとのことであります。また、水質海域水象海域生物のほか、大気質、景観等に及ぼす影響は少ないとの説明がありました。  現在、空港島の基礎工事が行われておりますが、水深が大きく、軟弱地盤の改良のための大量急速施行大量資材の投入といった工事の特色の中で、その進捗率は、護岸工事が五七%、埋立造成工事が七%となっております。このほか、道路、鉄道併用連絡橋三・八キロメートルの工事も一三%の進捗率となっております。  なお、日の出から日没までとなっている作業時間を、工事促進等のため会社側が午後八時まで延長できるよう大阪府に対して申請を行っておりましたが、既に砂利運搬船の転覆による人身事故発生していることから、特に工事安全対策が望まれるところであります。  関西国際空港は、二十四時間世界に開かれた我が国玄関口として、また地元大阪国際文化都市への飛躍のためのかけ橋となるものとして大きな期待が寄せられておりますが、この新空港が真に地域と共存共栄できるものとなるよう、今後とも環境保全には万全を期していくべきであると強く感じた次第であります。  以上、報告を終わります。
  4. 松尾官平

    委員長松尾官平君) これをもって派遣委員報告は終了いたしました。     ─────────────
  5. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 次に、公害対策及び環境保全基本施策について、堀内環境庁長官から所信を聴取いたします。堀内環境庁長官
  6. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 第百十二回国会における参議院環境特別委員会の御審議に先立ち、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  改めて申すまでもなく、良好な環境人類のみならず、すべての生物の生存の基盤であり、これを人類の共有の財産として後世に引き継いでいくことは、我々の世代に課せられた大きな責務であります。  我が国は、戦後の高度経済成長の過程において、深刻な公害発生と自然の改変を経験いたしました。その後、環境保全を求める強い社会的要請もと政府、民間の強力な環境保全への取り組みの結果、我が国環境状況は全般的には改善を示しつつあるものと言うことができます。  しかしながら、大都市圏における窒素酸化物による大気汚染湖沼内湾都市内中小河川水質汚濁等なお今後一層の努力を要する各種課題もまた残されており、これらはいずれも我が国の急速な都市への人口の集中と都市型生活様式普及に密接に関連しておりますことから、特に経済活動国民生活の全般にわたっての取り組みが必要となっております。  また、近年の技術革新進展に伴い新たな環境汚染のおそれも指摘されております。他方で、国民生活の質の向上を求め、快適な生活環境や自然との触れ合いを望む声もとみに高まっているところであります。  さらに、人類社会経済活動拡大に伴い、成層圏オゾン層破壊熱帯林の減少といった地球的規模環境問題への対応がまさに人類共通課題となっております。  このように、環境問題は今後ますます多様化、複雑化してまいるものと考えられます。私は、このような状況に適切に対応してまいるための環境行政の方向として、人間環境とのかかわりを環境のもたらす恵み環境に対する配慮、人間環境との触れ合いという三つの視点からとらえて、各般の施策を総合的に推進してまいる必要があると考えております。  私は、このような基本的な考え方に立ち、特に次のような事項に重点を置いて、環境行政の積極的な推進に最大限の努力を図ってまいります。  第一に、人間にさまざまな恵みをもたらす環境環境資源として総体的にとらえ、その恵みを将来にわたって享受していくため、環境資源保全と適切な利用の推進を図ることであります。特に近年、大規模開発事業が数多く構想されております東京湾地域を初めとする三大都市圏における広域的な環境管理指針策定を進めるとともに、地域における快適で良好な環境づくりを支援いたします。また、環境影響評価の適切な実施さき制度改正を行いました公害防止事業団活用などによる環境保全事業推進環境教育等を通じての住民の自主的な活動普及等多角的な手法活用を図ってまいります。  第二に、いわゆる先端技術進展、多様な化学物質使用等による新たな環境汚染可能性に対する的確な対応であります。  このため、先端技術環境に及ぼす影響についての調査有害化学物質の総合的な管理手法検討環境中の残留実態調査等実施します。また、環境庁の有する総合調整機能の一環として、調整費活用により関係省庁施策促進を図ってまいります。  第三に、環境基準達成維持に向けての各種公害対策の強力な推進であります。  大気汚染対策のうち、最大の課題となっております大都市圏における窒素酸化物対策につきましては、ディーゼル車等排出ガス規制強化や低公害車普及等発生源対策をさらに進めますとともに、輸送共同化など自動車交通の抑制・分散対策推進等を図るため地方公共団体助成を行う等各種対策強化に努めてまいります。  水質保全につきましては、東京湾を初めとする内湾・内海の水質改善のための水質総量規制推進湖沼水質保全特別措置法に基づく総合的対策等に加え、特に近年の水質汚濁の大きな原因となっております生活雑排水対策につきましては、関係省庁との協力もと下水道整備促進とともに、合併処理浄化槽普及促進等に積極的に取り組んでまいります。  このほか、交通騒音等各種公害対策監視測定体制整備等を積極的に推進いたします。  第四に、自然環境保全と自然との触れ合い増進であります。  森林・樹木の象徴的存在であり、ふるさとのシンボルとも言うべき巨樹・巨木林の全国的な賦存状況調査、新たに国立公園に指定いたしました釧路湿原生態系保全のための調査等我が国に存する自然を体系的に保全していくための各種調査実施します。  また、国民の余暇の拡大自然志向の高まりにこたえ、国立国定公園から身近な自然地域まで、自然の質に応じた自然との触れ合い増進を図るとともに、そのための施設整備を進めてまいります。  野生生物保護につきましては、我が国国際的責任を果たすべく、さき施行されました絶滅のおそれのある野生動植物譲渡規制等に関す る法律の適切な実施を図るとともに、野生生物の総合的な保護管理対策推進いたします。  第五に、総合的な環境保健施策推進であります。  昨年の公害健康被害補償制度改正により、公害健康被害補償予防協会に設けられることとなりました基金活用した健康被害予防事業や、大気汚染と健康との継続的な監視体制づくり等健康被害未然防止に力を入れた施策を進めますとともに、健康被害救済にも引き続き万全を期してまいります。  公害健康被害補償制度につきましては、健康被害予防事業を安定的かつ確実に実施するため、公害健康被害補償予防協会に対し政府から出資を行うとともに、補償給付に要する費用の一部について自動車重量税収引当措置を延長するため、公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしたところであり、その早期の可決成立をお願いするものであります。  また、水俣病対策につきましては、認定業務の一層の促進等に努めてまいります。  第六は、国際的視野に立った環境政策推進であります。  環境開発に関する世界委員会報告に示された環境保全持続的開発基盤であるという理念を踏まえ、地球環境保全に積極的に取り組みます。  中でも、フロンガスによる成層圏オゾン層破壊問題に関しては、オゾン層保護のためのウィーン条約及びモントリオール議定書を締結することにつきまして、今国会において承認をお願いすべく政府部内において準備を進めているところであり、諸外国との協調により成層圏オゾン層保護を図る観点から、政府として所要法律案を今国会に提出することといたしております。このため環境庁におきましても関係省庁との連携のもと準備を進めているところであります。また、国立公害研究所中心成層圏オゾン層測定研究を進めてまいります。  これに加えて、国連環境計画等国際機関を通じての国際協力開発途上国環境保全に関する取り組みへの協力等につきましても、環境保全に関する我が国技術と経験を生かして積極的な貢献を図ってまいります。  私は、真の豊かさとは、経済発展の成果を国民生活に生かすとともに、清らかな水や大気、豊かな自然といった環境恵みを享受すること、そして、これらを生かして潤いと安らぎのある地域社会をつくり出していくことにあるのではないかと考えるものであります。  私は、環境行政に課せられたこのような重要な使命を深く認識し、国民に対し開かれた環境行政国民の信託にこたえる環境行政推進を目指して全力を傾注してまいる所存でございます。  以上、私の所信の一端を申し述べました。  本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、何とぞ、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
  7. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 次に、昭和六十三年度環境庁関係予算及び昭和六十三年度各省庁環境保全関係予算について、順次説明を聴取いたします。安原官房長
  8. 安原正

    政府委員安原正君) 昭和六十三年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  昭和六十三年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は四百六十八億三千六百三十万円であり、これを前年度の当初予算額四百七十三億八百四十一万五千円と比較すると四億七千二百十一万五千円の減額となっております。  予算要求額の主要な項目について御説明申し上げます。  まず、公害対策について申し上げます。  第一に、環境保全企画調整等については、環境資源を生かした真の豊かさを実感できる快適な町づくりを支援するための情報整備計画策定先端技術進展化学物質使用拡大対応した環境保全施策推進のほか、環境教育環境影響評価及び公害防止計面策定推進に必要な経費など、合わせて六億六千百六十八万円を計上しているところであります。  第二に、公害による健康被害者救済等については、従来に引き続き、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、公害健康被害補償予防協会に設けられる基金活用した健康被害予防事業や総合的な環境保健施策推進するほか、水俣病認定業務促進することとし、これらの経費として二百二十二億六千四百五十五万円を計上しております。  第三に、公害防止事業団については、事業団事業運営に必要な事務費等助成費として三十七億五千百二十二万円を計上しております。  第四に、大気汚染等防止については、窒素酸化物対策として自動車排出ガス規制、低公害車普及推進等を進めるほか、オゾン層保護対策としてフロンガス等監視科学的調査研究推進を図ることとしております。  また、未規制大気汚染物質対策騒音振動及び悪臭対策についても一層の推進を図ることとし、これらの経費として六億九千七百八十四万円を計上しております。  第五に、水質汚濁防止については、東京湾環境保全に努めるほか、水質総量規制推進生活雑排水対策湖沼地下水質保全等対策推進するための経費として七億三千百四十一万円を計上しております。  このほか、地盤沈下防止及び廃棄物対策費として九千三百七十二万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億四千四百四十七万円をそれぞれ計上しております。  第六に、公害監視等設備整備については、地方公共団体監視測定体制等整備助成するために必要な経費として七億八千六百三十五万円を計上しております。  第七に、公害防止等に関する調査研究推進のための経費については、総額三十三億千二百十九万円を計上しております。  この内訳としては、まず、国立試験研究機関等公害防止等試験研究費として二十三億四千三百六十一万円を環境庁において一括計上するほか、環境保全総合調査研究促進調整費として一億五千万円を計上し、関係省庁が所管する各種環境保全に関連する調査研究総合的調整を図ることとしております。  次に、光化学スモッグ公害による健康被害大気汚染水質汚濁自然保護等に関する調査研究費についても八億千八百五十七万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしております。  第八に、国立公害研究所国立水俣病研究センター及び公害研修所に必要な経費として四十五億三千五百二十二万円を計上しております。  次に、自然環境保全対策及び施設整備について申し上げます。  第一に、自然環境保全対策及び自然公園等維持管理等については、自然環境保全基礎調査を初めとする調査研究実施するとともに、国立公園等保護管理強化を図ることとしております。  また、野生生物保護対策のため、重要生息地選定調査実施するとともに、国設鳥獣保護区の管理強化等を図ることとしております。これらに必要な経費として、合わせて十六億五千六十六万円を計上しているところであります。  第二に、自然公園等施設整備については、必要な施設整備費として、二十六億二千四百八十三万円を計上しております。  以上、昭和六十三年度環境庁関係予算案概要につきまして御説明申し上げました。
  9. 松尾官平

  10. 森幸男

    政府委員森幸男君) 各省庁昭和六十三年度環境保全経費等概要について御説明いたします。  まず、歳出予算について御説明いたします。  昭和六十三年度における環境保全経費総額は 一兆二千八百四十八億円であり、前年度の当初予算に比べ千九百六十九億円、一八・一%の増となっております。  これを事項別に見ますと、各種基準等の設定のために十億円、監視取り締まり強化のために四十五億円、公害防止事業助成のために七十四億円、公害防止関係公共事業等推進のために一兆八百三億円、公害防止調査研究推進のために二百四十四億円、公害被害者保護対策等の充実のために二百三十四億円、自然保護対策推進のために一千三百六十六億円、その他として七十三億円が計上されています。  主要な項目については、次のようになっています。  まず、環境保全経費全体の八四%を占める公害防止関係公共事業等のうちでは、建設省等に計上されている下水道事業費八千十三億円、公共用飛行場周辺及び防衛施設周辺における騒音防止対策等経費として運輸省、防衛施設庁に一千三百五十億円、さらには、厚生省、運輸省等に計上されている廃棄物処理施設整備費八百四十五億円などがあります。  また、公害被害者保護対策等のうちでは、環境庁公害健康被害補償対策等経費二百二十三億円、自然保護対策のうちでは、建設省等公園事業費一千二十七億円、環境庁自然公園等施設整備費二十六億円などがあります。  次に、公害防止関係財政投融資概要について御説明いたします。  昭和六十三年度における公害防止関係財政投融資は、貸付規模等において、総額一兆六千百六十億円を予定しており、前年度の当初計画額に比べ一千五百七十八億円の増となっております。  機関別の主な内訳としては、公害防止事業団事業規模で六百億円、日本開発銀行が貸付規模で七百億円を予定しているなどのほか、地方公共団体下水道整備廃棄物処理等事業推進するため、地方債計画において一兆四千四百二十六億円を予定しております。  このほか、中小企業金融公庫環境衛生金融公庫、北海道東北開発公庫中小企業事業団等において産業公害防止対策等所要の融資を引き続き行うこととしております。  最後に、環境保全関係税制改正措置について御説明申し上げます。  まず、今国会への提出を予定しておりますオゾン層保護のための所要法律案成立後その施行とあわせてフロンガス対策に係る税制措置新設を予定しております。また、窒素酸化物対策に係る税制措置新設・拡充を図るとともに、公害防止事業団の新規の建設譲渡業務については、従来業務同様、課税の特例措置を適用することとなっております。  また、公害防止施設に係る課税の特例措置については、見直しを行った上で適用期限を延長することとなっております。  以上をもちまして、昭和六十三年度の各省庁環境保全経費等説明を終わります。
  11. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 次に、公害等調整委員会の事務の概要等について説明を聴取いたします。勝見公害等調整委員会委員長
  12. 勝見嘉美

    政府委員(勝見嘉美君) 公害等調整委員会昭和六十二年中に行いました公害紛争の処理に関する事務及び昭和六十三年度総理府所管一般会計公害等調整委員会予算案について御説明申し上げます。  まず、公害紛争の処理に関する事務の概要について申し上げます。  昭和六十二年中に、当委員会に係属しました公害紛争事件は合計四十六件で、その内訳は、水俣病に関する調停事件三十七件、大阪国際空港騒音被害に関する調停事件一件、仙台湾における養殖ノリ被害等調停事件一件、スパイクタイヤ粉じん被害等調停事件二件、森浦湾における養殖真珠被害責任裁定事件二件、東京都世田谷区上馬における道路騒音等被害責任裁定事件一件、壱岐における養殖真珠被害原因裁定事件一件及び大阪国際空港騒音調停申請事件の調停条項に係る義務履行の勧告申し出事件一件であります。  これに対して、昭和六十二年中に事件が終結しましたものは、二十九件であります。このうち、二十八件は水俣病に関する調停事件であり、水俣病と認定された患者四十三人に対するチッソ株式会社の損害賠償について、患者個々人ごとに具体的な支拡い金額等を定める調停を成立させたものであります。他の一件は、大阪国際空港騒音被害に関する調停事件であり、申請人は申請を取り下げております。  その他の係属中の事件につきましては、目下手続を進めているところであります。  次に、公害苦情の実態について申し上げます。当委員会調査によれば、昭和六十一年度において、全国の地方公共団体に寄せられた公害に関する苦情の総件数は、約六万五千件となっております。この苦情件数は、四十七年度の約八万八千件をピークに以後減少傾向を示したものの、六十一年度は、五十八年度及び五十九年度と同様若干の増加を示しております。  これを公害の種類別に見ますと、騒音に関する苦情が最も多く、二九%となっております。次いで、悪臭一九%、大気汚染一四%、水質汚濁一一%の順であり、これらで全体の約四分の三を占めております。  これらの苦情につきましては、都道府県または市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会といたしましては、これらの地方公共団体に対し、公害苦情相談指導者研修会等の実施、苦情処理に必要な情報の提供、あるいは個別の事案についての指導、助言等を積極的に行っているところであります。  続きまして、昭和六十三年度の公害等調整委員会予算案について、その概要を御説明申し上げます。  昭和六十三年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、公害等調整委員会予算要求額は四億三千八百四万円であり、これを前年度の当初予算額四億二千四百九十七万七千円と比較いたしますと、一千三百六万三千円の増額であり、その増加率は、三・一%であります。  次に、予算要求額内訳について御説明申し上げます。  第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理及び公害の因果関係の解明に必要な調査並びに職員基本給等の人件費を含む一般事務処理のための経費として四億一千百五万五千円を計上しております。  第二に、公害紛争の処理について、都道府県等と連絡協議するための経費として四百三十八万四千円を計上しております。  第三に、公害苦情の実態調査及び公害苦情の処理を担当する地方公共団体の職員に対し指導、研修、情報提供等を実施するための経費として二千二百六十万一千円を計上しております。  以上が、昭和六十二年中に公害等調整委員会が行ってまいりました公害紛争の処理に関する事務及び昭和六十三年度の公害等調整委員会予算案の概要でございます。  よろしくお願い申し上げます。
  13. 松尾官平

    委員長松尾官平君) 以上で所信及び説明の聴取を終わります。  なお、以上をもちまして本日の議事は終了いたしますが、委員会散会後お隣の理事会室におきまして、現在いろいろと問題になっておりますオゾン層とフロンガスに関するビデオを放映いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十二分散会