○田英夫君 私は、ひとつ
大臣にもぜひお考えいただきたいと思いますのは、南北両方の現状を、さっき
大臣も御答弁されましたけれ
ども、よく情報をとってと、おっしゃったとおりだと思うんですね。どうも北は不可解な国だという声が
外務省の中にもあるようですし、ある意味で事実だと思いますよ、それは。それからいろんな学者の方や政治家の方の中にもある。しかし、場合によってはそれがややオーバーに言われている面がかなりあるんじゃないだろうか。特に突きとめていくと、最後は韓国の一部の当局側から出ているというような場面もあると思うんですね。
これも
日本の
新聞に報道されたことですけれ
ども、北朝鮮は今や経済が非常に苦しくなり、特に農業が崩壊をして一日二食主義を
政府が奨励しているというような
新聞記事がかなり大きく、一カ月か二カ月前でしたけれ
ども、
日本の有力な
新聞に出ておりました。内容を見てみると、昨年台風で段々畑が、無理やりに段々畑をつくっていたもので崩壊して、トウモロコシを初め穀物が非常に打撃を受けた、それが直接の原因だというようなことが書いてありました。ところが北朝鮮には段々畑というのは、私が行った限りではありませんね。こういうところがあれだけ大きく報道されると、知らない人はそうだろうと思うだろうと思います、これは
一つの例として申し上げるんですけれ
ども。
この点は北は非常にうまくやったと思いますが、
日本の支配
時代はげ山だった山に松の木を植えて、これもう緑ですね。そして傾斜地は果樹園にして、その下のところを、緩いところを畑にしている。平地は田んぼにしている。これは北の中をあちこち板門店まで行き、また北部の方も行きました。段々畑というのは見た記憶がないんですけれ
ども。私は農業の専門家ではありませんから詳しくわかりませんけれ
ども、そういう報道が出てくるような、そういう何といいますか、ためにするといいましょうか、あるいはオーバーなというか、そういう北情報がかなり多いだろうと思います。しかし、一方でもっとやはり北朝鮮というところは国際社会に門戸を開くべきだと私も思いますね。いかにも不思議な、不可解な国だという印象を持たれている。それは事実だと思います。ですから金永南
外相にそのことを直言したこともあります。しかしなかなか変わらない。これは体制の問題なのかもしれません。しかし、
日本が朝鮮半島の緊張緩和を求めていくとすれば、こういうところをやはり打開してもらわなければできないことじゃないだろうか。
逆に韓国はまた大変
日本とはある意味でサイクルが同じといいましょうか、方程式が同じですから、我々
日本の側からすれば韓国の方のいろんなことは理解しやすいと思いますけれ
ども、北の方はどうも方程式が違うという気がするんですよ。ところが、方程式が同じだから韓国のことは理解しやすくて理解する人が多い。しかし、意外に理解されていないのは、北に対してという意識が非常に強いために、反共というこのことについては
日本の我々が全く理解できないほど強烈ですね。これは
外務省の専門の皆さんはよく理解しておられるでしょうけれ
ども、この点は驚くべきものがある。こういうようなことを、ある意味で言えば双方の特異性というものを理解しないといけないんじゃないだろうか。
しかし、私が残念ながら客観的に見て、
日本の政治あるいは学者、
政府も含めまして、そういうところと比べて、
アメリカの方がこの問題については理解が深いんじゃないだろうか、こう思いますね。
アメリカの国務省の朝鮮問題の専門家という人たちと歴代、ハビブ氏あたりからずっと会ってきますと、あるいはブルッキングス
研究所というような、これは民主党のシンクタンクですが、そういうところの学者の人たちとかそういうところと会っていますと、今申し上げたような特異性というところをかなり最近は正確に把握しつつあるんじゃないだろうか。
一つの例として、エドワード・ケネディ
上院議員が、最近、大韓航空機事件といってもこれは最近のではなくて、例の
ソ連に撃墜された大韓航空機事件について、
上院の航空
委員長にあてた書簡を出しておりますが、それは簡単に言えば、あれは
アメリカと韓国の
政府が仕組んで
ソ連のあの地域の防空体制といいましょうか、そういうものを乗っ取ろうとしたのではないかと、その点についてもっと
政府は情報を隠匿すべきではない、
議会はこれをもっと調べなさい、そのことを要求すると、こういうことを言っているわけですね。
その中に実は
日本のことも触れていまして、
日米両国政府によって公表された交信記録も捏造されたと信じられる理由もありますという部分まで、まあこれはケネディ氏の書簡ですけれ
ども、その底流にあるのはエドワード・ケネディという人は韓国の特異な部分というところについてかなり突っ込んで理解をしている。彼はもちろん韓国へ何度も行っておりますが、そういうようなことを含めて考えますと、私はさっきチャンスだと申し上げたんですけれ
ども、ぜひ
政府もそうした両方のことを理解しながら、オリンピックというにしきの御旗が立っている間に何らかの行動をしていただきたい、こうお願いをするわけです。
最後にひとつ
大臣の御感想をお聞きしたいと思います。