○田英夫君 そこで、きょうの本論の在日米軍の労務費の
特別協定の問題なんですけれ
ども、
先ほど来の同僚
委員の御質問、やりとり、大変重要な問題だけに興味深く伺ったんでありますが、特に吉岡
委員が言われた
安保条約、在日米軍の駐留ということについて再検討しているかという、すべきではないかという前提で質問されたようですが、結論的に私もそういう
考えがあります。そういう感じがしてならないんです。
さっきも、旧ですが、日米
安保条約が最初に結ばれたときの経緯な
どもお話に出ておりましたけれ
ども、当時と今と明らかに国際情勢の基本が完全に変わりつつある。これは私の持論ですけれ
ども、つまり朝鮮
戦争に端的に見られるように、資本主義か社会主義かというイデオロギーを背景にして、当時の
世界というのは自由陣営と社会主義陣営、東西対立、こういう構造が極めて明確にあったわけですね。
そこで、私は実は亡くなった吉田茂
総理大臣に昭和三十七年、つまりサンフランシスコ平和条約、
安保条約が結ばれて十年目のときに、既に引退をしておられた吉田さんを大磯のお宅にお訪ねをして、
新聞記者として
お話を伺ったことがあります。そのときの吉田さんの
お話は非常に今も頭の中に焼きついて残っているんですが、二時間ぐらいいろんな当時のことを、既に好々爺のような感じで、談笑のような形で話してくださったんですが、私があのときに全面講和か単独講和かという
議論が国内で二分していたときに、なぜ吉田さんは単独講和という結論を選ばれたんですかというような
意味のことを質問しましたら、突然往年のワンマン
総理の表情になられて、田君、ばかなことを聞くなと言われたんです。
要するにあのときに全面講和などということはあり得なかったじゃないか、つまり東西対立のいずれにつくかという選択しかないので、敗戦国の
日本がすべての国と全面的に講和条約を結んでいい子になろうということはあり得ないじゃないかという
意味のことを言われて、それから後はまた笑いながら当時のことを話されたわけです。それが当時のつまり
世界の構造だったと思いますね。
そういう中で、さっきも
お話が出たような
安保条約が結ばれてきた、その是非、善悪は別にしまして。しかしそれに比べると、その当時の
状況に比べて今
世界はどうかということを
考える時期に来ているんじゃないか。つまり今
世界はそうした厳しいイデオロギーを背景にした東西対立の
状況と言えるかどうか。
もちろん米ソの間に対立状態があり、同時に、しかし一方ではINF合意のようなことがあるということ、したがって完全に対立が解消したとはもちろん言いがたいわけでありますけれ
ども、あのころのような、朝鮮
戦争直後のあのときの雰囲気と現在の国際情勢は構造的にもう変わってきているというふうに
考えるべきではないか。そのときになぜこの在日米軍の労務費を
日本側がさらに負担をするというような方向に、つまり米ソの軍事的対立の一方の側に
日本が加担をするといいましょうか、このアメリカの側の財政の一部を負担するということですから、そういうことをやる必要があるのかというそういう根本的なところを
考えるべきじゃないか。
今までの惰性で来ているならともかく、私の印象では、今はむしろ
世界の構造が東西対立ではなくなりつつあるという
状況の中では、日米
安保条約をよりもっと軍事的でないものにしていくという必要があるんじゃないだろうか、そういう時期に来ているんじゃないだろうかという感じがするわけですね。そこでこういうことをお尋ねするんです。
大臣としてはさっきもお答えありましたけれ
ども。