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1988-02-26 第112回国会 参議院 外交・総合安全保障に関する調査会国際経済・社会小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年二月二十六日(金曜日)    午後一時六分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     小委員長        矢田部 理君     小委員                 大木  浩君                 下稲葉耕吉君                 中西 一郎君                 真鍋 賢二君                 山内 一郎君                 志苫  裕君                 中西 珠子君                 上田耕一郎君                 関  嘉彦君                 青島 幸男君    事務局側        第一特別調査室        長        荻本 雄三君     ─────────────   本日の会議に付した案件国際経済社会問題に関する件  (経済協力あり方について)     ─────────────
  2. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) ただいまから外交総合安全保障に関する調査会国際経済社会委員会を開会いたします。  国際経済社会問題に関する件を議題といたします。  本日は、経済協力あり方について各小委員に御発言をいただくことになっております。  なお、お述べいただく意見はあくまで各会派所属の小委員の個人の意見ということでとり行いたいと存じます。  それでは、順次御発言願います。
  3. 下稲葉耕吉

    下稲葉耕吉君 ただいまお話いただきました件につきましては、実は昨年の九月二十五日の当小委員会におきまして私は私なりに意見を申し上げたわけでございまして、大方それに尽きておりますので、いろいろお取りまとめいただく場合の基本にしていただきたいと思うのでございますが、先般、小委員長より項目的にまとめられて事項を示されましたので、それに従いまして、重複する面もございますけれども簡明に意見を申し上げたいと思います。  まず、「経済協力理念目的及び諸原則について」ということでございますが、経済協力理念といたしましては大きく分けて二つであろうと。一つは人道的、道義的立場からするものであり、もう一つ国際的、相互依存立場から行われるべきである、このように思います。南北間の格差は大きいわけでございますし、途上国貧困飢餓等を看過し得ないという立場からするものが一つ。  それからもう一つは、開発途上国の安定と発展世界全体の平和と繁栄に不可欠である、それに貢献することがひいては我が国の平和と繁栄にも役立つということではなかろうかと思うのでございます。それが一応理念として私なりに考えているところでございます。  「目的及び諸原則」ということでございますが、LLDCに対する無償援助による緊急な対応というふうなことがもちろん必要な場合もあるわけでございます。しかし、経済協力目標といたしましては、開発途上国自助努力支援するということが目的に置かるべきでございまして、民生の安定、福祉向上に貢献し、国民基本的な生活条件向上重点を置くべきであるというのが一つ。それから二番目には、もちろんのことでございますが、主権尊重内政不干渉原則を守るということ。三番目には、軍事的用途に充てられる経済協力はやるべきでない、そういうふうなことではなかろうかと思いますが、要するに、これらの目的に沿った相手国の真のニーズにこたえるものであることということではなかろうかと思うのでございます。  それから、次の項目が「国の責任実施体制について」ということでございます。「国の責任」という言葉の意味が必ずしもよくわかりませんが、「実施体制」に中心を置いて意見を申し述べたいと思います。  御承知のとおり、現在ODA関係省庁は、昭和六十三年度予算の段階におきましては十六省庁にも及んでおります。  ODA予算は、昭和六十三年度一般会計では七千十億、事業予算で一兆三千四百八十七億円にも達しようとしております。ODA政府日本代表して行っているものでございまして、政府としてODA理念を確立し、長期的展望に立った目的原則にのっとった統一的、効率的な運用というものが必要であろうと、こういうふうに思うのでございます。  ただいま申し上げましたように、ODA飛躍的増加にもかかわらず、そしてまた昭和四十年代から行われているわけでございますが、内閣総理大臣諮問機関である対外経済協力審議会の数次にわたる答申にもかかわりませず、ODA関係実施体制整備はまことに微々たる状態であるというふうに思います。  以上のような援助大型化多様化複雑化に対応いたしまして総合的、効率的に援助行政推進するために、援助行政一元化に向けて積極的に検討を進めるべきでございますが、とりあえず関係閣僚会議を設置するなどして援助行政一元化を図るべきであろう、このように思います。  さらに、援助実施業務に当たる関係省庁関係政府機関あるいは在外公館在外事務所、さらに現場等充実強化を図るとともに、他面一層の合理化効率化のために、相互に権限及び事務の委譲や大幅な外部委託等も行うべきであると思います。また、大学及び開発関係研究機関などにおける途上国研究地域専門家育成強化などの体制整備も図るべきであると思います。  それからその次に、「協力現状実施方法等にかかわる問題点改善事項について」ということでございますが、まずODAの量、質の向上に一段と努力すべきである、これは当然のことだろうと思います。  まず量の問題に触れてみますと、ODAの対GNP比〇・七%の目標国連総合で一九七〇年に採択された合意が初めてでございますが、さらに一九八〇年十二月五日でございましたか、国連の三十五回総会で採択されました「一九八〇年代のための国際開発戦略」にも引き続いて織り込まれているわけでございまして、その中でODAGNp比〇・七%目標達成していない先進国は本目標を一九八五年までに、遅くとも一九八〇年代までに達成するよう最善の努力を払う。その後可能な限り早く一%目標達成するということを内容にしているわけでございまして、日本はその達成の年次を留保はいたしておりますけれども、少なくとも国際的目標の〇・七%から現状はほど遠いわけでございますし、さらにまた、DACの平均〇・三六%もまだ下回っているわけでございますので、今申し上げましたような国際的な目標に向けて量的向上をさらに図るべきである。  それから質的な問題については、これは当然のことでございまして、しばしば当小委員会でも議論されているとおりでございまして、贈与比率、それからグラントエレメント、いずれもDAC加 盟国最下位であるというふうなことでございまして、無償援助中心とする質的な向上、あるいは円借款条件の緩和、アンタイド化の一層の推進等が必要であると思います。  また、次の問題ですが、国別分野別の真のニーズに合った援助計画充実政策対話強化など経済協力弾力化多様化推進をも行うべきでございます。そして、その裏づけとして事前調査拡充評価充実、アフターケアの充実などを図ることが大切であると思います。  次に、「国会行政府との関係」でございますが、国民代表である国会の場における議論は極めて重要でありまして、そしてまた、その国会意見尊重し、十分援助行政に反映されるべきであると思います。関係省庁が多岐にわたればわたるほど国会における論議は大切であり、重要でございますが、私は現状は必ずしも十分とは言えない。これは我々の責任でもあると思いますが、そういうふうに思います。  そこで、援助はこのような論議を踏まえまして適時適切に政府責任で行われなければならぬわけでございまして、評価も含め国別セクター別援助実績はできるだけ速やかに国会報告さるべきであると思います。  次に、「国民理解NGOとの関係について」でございますが、経済協力に関し国民理解と積極的な協力を得るために情報の公開に努力し、広報活動強化開発教育充実振興等をさらに推進すべきであると思います。現在、一般的に国民経済協力に関する協力というふうなものはおおむね理解を得られていると思うのでございますが、やはり今後情勢の推移によりまして必ずしも常に国民理解協力が得られるとは思いません。そういうふうなことにならないように国民理解協力を得るための、ただいま申し上げましたような諸方策を強力に推進する必要があると思います。  NGOにつきましては、自主性、主体性を尊重するとともに、政府として対NGO支援を飛躍的に強化すべきであると思います。  最後に、「立法措置必要性」ということでございますが、当委員会審議を通じまして、きょう各党から御意見の発表があるわけでございますが、そういうようなものを基礎にいたしまして、当委員会として各党合意を得られる事項があればそれを事項別整理いたしまして、その内容立法になじむものであれば立法化を考えるべきであろうと思います。しかしながら、その内容が必ずしも立法とまでいかないような内容でございますならば、過去において衆議院では外務委員会で三回ほど昭和五十三年四月、五十五年四月、五十六年三月、経済協力に関する委員会決議があるわけでございますが、残念ながら参議院では現在まで私の調べたところではございません。したがいまして、合意を得られる事項がそういうふうなことになじむといたしますならば、参議院としての決議、例えば経済協力憲章でございますか、これは仮称でございますけれども、そういうふうなものができればいいなと思います。そして、その憲章とまでいかないとするならば、合意事項については、この小委員会合意を得たものを親調査会に上げていただきまして、そこで議論していただいて調査会意見としてまとめていただければありがたいと、このように思います。  以上でございます。
  4. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) ありがとうございました。  それでは志苫裕君。
  5. 志苫裕

    志苫裕君 あらかじめ約束されております整理項目に沿って、後で記録を見ていただくときの便宜のために箇条的に申し上げますのでそのように記録の方の整理もお願いいたします。  ア開発協力理念目的及び諸原則について  理念目的です。  (1)ODA発展途上国における飢餓貧困の克服、経済的自立福祉向上及び国際的格差解消などの自助努力支援することが我が国国際的責務であることにかんがみ、国が直接または間接途上国政府民間組織、または国際機関に対して資金的、技術的、人的な協力を行い、もって社会正義に基づく諸国民との平和あるいは共存、互恵、信頼の関係発展させようとするものであります。  これについての諸原則を以下申し上げます。  (2)ODA実施に当たっては次の諸原則が確立されなければならない。  ①国民主権、平和、人権及び国際協調をうたう憲法精神にのっとること。  ②領土の保全、主権相互尊重内政不干渉、平等及び平和共存原則に従うこと。  ③軍備その他軍事的用途に用いられたり、国際紛争を助長することのないよう十分な措置が講じられること。  ④国際的に確立された人権精神基準に抵触または乖離してはならないこと。  ⑤最も貧しい国、すなわちLLDCと最も貧困な層に対して優先的順位が与えられること。  ⑥相手国政府あるいは国際機関民間組織との協調、特に対象地域あるいは分野住民との相互理解参加のもとに実施されること。これには対象地域住民生活や文化あるいは環境に及ぼす影響を配慮することが含まれる。  ⑦原則として情報が公開されること。以上が諸原則であります。  イ国責任実施体制について  まず、国の責任から申し上げます。  (1)国はODAの適正かつ効率的な実施のための体制整備するとともに、必要な資金の確保に努めること。  (2)国はODAに関する調査研究、人材の養成、訓練及びそれらに関する途上国からの受け入れなどを推進をしなければならぬ。  (3)国は国民国際協力に関する活動参加し、協力し、支援するように啓発と教育に努めなきやならぬ。  次に実施体制であります。  (4)以上の国の責務を遂行するため。  ①ODAを体系的、計画的に進めるため政府実施体制一元化する。このため国務大臣を長とする国際開発協力庁仮称ですが、を設置すること。  この点若干敷衍しますと、外交の一環であることから、外務省の外庁が望ましいのでありますが、これらは他の法制との関係検討課題になろうかと思います。  ②国際開発協力庁は、主として二国間協力を所管するが、必要な限度において貿易、金融、民間投資あるいは企業活動の調整を行う。  ③国機関として国際開発協力センターまたは研究所、これも仮称ですが、を設置し、ODAに関する調査研究情報の蓄積及び専門家養成などを行わせる。したがって、既存アジア研究所をこれに併合する。  ④ODA実施に必要な業務を行わせるために、既存国際協力事業団国際協力基金とを統合した新たな国際協力事業団、これも仮称ですが、を設置する。  ⑤国際協力事業団の運営に当たってはNGO学識経験者教育研究団体及び青年あるいは婦人、労働等団体で有意義と思われる代表者参加を求めるものとする。  ⑥政府及び国際協力事業団は、国際協力を行う地方公共団体あるいは営利を目的としない民間団体その他適当と認めるものに対してODA資金の一部、一定割合供与することができるものとする。  ウ ODA現状実施方法等にかかわる問題点改善事項について  現状問題点の多くは第一次意見において述べましたし、また既に今までの理念実施体制にかかわる事項については述べましたが、それ以外の諸点について以下付言をいたします。  (1)ODAを最も必要としている最貧国最貧層により多くの資源、すなわち資金技術、人などでありますが、配分されるべきである。したがって、当面国際基準GNP比〇・一五とされてい るんですが、それの達成を行うこと。  (2)グラントエレメント贈与比率DAC最下位にあることにかんがみて当面贈与比率六〇%、最終的には八〇%を目指すこと。  (3)ODAGNP比DAC基準の〇・七%にはるかに及ばず、向上のテンポも進んでおらない。したがって、現行中期目標を改定をして国際目標早期達成を目指すこと。  (4)案件の発掘と実施のプロセスが要請主義あるいは内政不干渉等を理由に密室化されておるため、しばしば腐敗や疑惑の温床となったりあるいはまた相手国民衆からも反発を招いたりしている。彼我双方での会計検査評価作業なども十分とは言えない。そこで我が国会計検査ODA条件に加えるなどして検査体制を整える。ODAに関して外国政府に対する不正行為は禁止する。評価委員会国会が委嘱をし、その報告を受ける。また相手国評価機構整備も求めて合同評価も行うなど透明度を高める。  (5)ODAが巨額に上り国民の税で賄われているにもかかわらず、具体的な計画実施について国会審議承認がなされていないことは、国会国民の負託にこたえられないのみならず国際協力分野での役割も十分に果たすことができない。また国会は、みずからによるODA案件調査評価を行う必要がある。  (6)国際的協力の本来の精神国民同士協力にある。その意味におけるNGO地方公共団体等による活動は他の先進諸国に比べて未発達であり、政府のこれらに対する支援活動保障体制も弱い。また、ODAに携わる技術者青年などの生活保障職業保障なども不十分であり、早急にそれらの体制の確立が求められる。  以上が問題点改善事項であります。  エ国会行政府との関係について  (1)政府ODAに関する中期及び年度計画を作成し、国会承認を受けなければならない。なお、計画の変更についてもこれは同様ですが、災害等の緊急の場合には、これは事後報告でよろしいという括弧書きです。  (2)中期計画は、発展途上国経済社会の動向と、ニーズ並びに我が国がこれまで行ってきたODA実績評価などをもとに、計画期間中の量的、質的水準目標を定める。その計画期間はおおむね五カ年とするという考え方です。  (3)年度計画は次の事項を定める。  ①当該年度において行おうとするODA対象国事業分野あるいはプロジェクト等実施条件細目等。  ②当該年度に開始される案件で二年以上にわたって実施されるものについては、その内容期間。  ③国際機関に対する出資、拠出等についてのその内容条件。  (4)政府計画作成基礎となった資料を添付するほか、国会審議に必要な資料を提出しなければならない。  オ国民理解NGOとの関係について  (1)ODAは単に政府外交行為に矮小化されてはならない。それはすぐれて国民自身による直接、間接国際協調行為であり、政府地方公共団体教育機関市民組織、ボランティアなどの重層的、多面的な創意と工夫がつぎ込まれるものでなければならない。  (2)国際的な開発協力におけるNGO活動は、途上国経済的、社会的諸問題を解決しようとする民衆自身努力代表するもので、政府間協力の限界を反映した資源配分代替チャネルとして国際的に承認されつつあることに留意すべきであろう。  (3)したがって、ODA資金NGOを通じても途上国供与されるよう配分されなければならない。具体的には、国際協力にとって有益で適当と思われるNGOへの資金供与あるいは民間企業等の行うNGOに対する資金拠出に対する減免税なども積極的に講じられるべきである。  (4)NGO活動に対する支援は、単に資金面だけでなく途上国への渡航、滞在に対する情報便宜供与、安全や職業、学業などの地位の保障の面でも行われるべきである。  (5)国民理解協力参加を求めるため、積極的な広報活動を行うとともに、学校教育において国際協力の課程を取り入れるべきである。  カ立法措置必要性について  (1)以上、ODAあり方について一次、二次にわたって諸般の意見を述べましたが、今日の国際経済社会におけるODA重要性と、既に世界二位となった我が国ODA予算の大きさ及び施策拡充強化要請にこたえるには、現行各省設置法等に基づく事務執行レベルでは不十分だ。したがって、この際改めてODA理念を明確にうたい、事務効率と公正を確保し、組織体制を整えて積極的な施策を展開するためには新たな立法措置が不可欠と考える。  (2)立法措置は、基本法と若干の実施法になるものと考えられますが、基本法には少なくとも次の事項が規定されるべきだと思います。  ①国際的な経済協力一般。例えば貿易均衡解消のための直接投資というのは、先進国同士でもありますが、そういうものと、理念目的にうたいましたような途上国に対する協力とを区別する意味国際開発協力と呼ぶことにして、したがって法の名称も仮称ですが国際開発協力基本法とする。  ②基本法に規定することが必要と思われる事項は述べましたけれども、これを要約しますと、(一)法律目的、(二)国際開発協力の定義、(三)国民及び国の責務、(四)国際開発協力の諸原則、これは数項目なんです。(五)国際開発協力計画、これには国会承認報告条項などが盛り込まれる。(六)国際開発協力庁、(七)国際開発協力事業団、(八)団体への資金供与等、(九)その他、幾つかの手続規定とか、あるいは不正行為の禁止などが盛り込まれるというのが意見であります。
  6. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) ありがとうございました。  続きまして中西珠子君。
  7. 中西珠子

    中西珠子君 私どもは、国際開発協力基本法案という名前で一応網羅的な、とにかく目的基本原則、それから開発協力、すなわちODA実施体制、そして国会の関与の仕方、すなわち予算審議においては計画を提出する。それから国会への報告を義務づける。その他民間との協力、すなわち民間専門家青年開発協力隊員の帰国後の再就職の問題、就職を促進して雇用を確保するというふうな点だとか、民間団体との資金協力の問題、また地方公共団体開発協力をやっている者に対する補助の問題、その他を一応網羅した形の、非常に不満足ではございますが法案をつくりまして、外務委員会継続審議になっている状況でございますので、それを全部またここで申し上げるということは差し控えたいと思いますが、大変簡潔に要約していただきましたものにつきまして少し敷衍して御説明さしていただきたいと思います。  とにかくこの法律が必要だということを考えましたのは、やはりODA国民から徴収された税金だとかその他の貴重な財源で賄われているということと、トランスペアレンシーが全然ない。また国会が余りにも関与していないというふうな現状を考えまして、どうしても開発協力基本法案というものが必要なのではないかということを考えて、大変まだ不満足な、不十分な状況ではございますが、お出しして援助行政一元化を図る。それから、海外経済協力基金と現在の国際協力事業団一つ実施機関として統合する。それによって非常に人員や経費の節減も図れるし、効率化も図れるのではないかというふうなことで一応御提案申し上げているわけでございます。  まず理念目的、このいただきました、整理したアですね、理念目的及び諸原則につきまして少し敷衍してお話し申し上げたいと思うわけでございます。  社会正義に基づいた恒久的な世界平和の達成、これは結局、日本世界に類のない平和憲法を持っているわけでございますし、また経済大国とな り世界最大債権国となった今日、やはり開発途上国経済的、社会的開発に向けての自助努力支援していくことが日本に期待されている国際的に果たすべき役割であり責務であると考えるわけでございます。  それで、社会正義に基づいたという非常に抽象的な言い方をしておりますけれども、これからの実施においてはどのようなことをやっていかなければならないかということを私の考えとして申し上げますと、やはり我が国ODAというのは最も貧しい国々、いわゆるLLDCというものに重点を置いていかなければいけないし、また、開発途上国の最貧困層が人間としての基本的ニーズを満たして、また人としての尊厳を保って開発の成果を基本的な人権として享受できるようなものにしていかなければならないと考えております。現在は、先ほども同僚委員から御指摘がありましたようにDAC加盟国最下位グラントエレメント贈与比率状況でもございます。また、技術協力におきましても下から数えた方が早いような状況にあるわけでございますし、もっともっと無償資金協力技術協力というものを強化していかなければならない。  そして政府は、ODA理念として人道的、道義的見地民生の安定、福祉の増進、国家間の相互依存関係などを挙げておられるわけでございますけれども、これにやはり基本的人権の擁護ということを加えるべきであると思います。基本的人権を例えば侵害している国に対しては援助を与えないというふうなことは、ほかの国、例えばカナダなどははっきりと援助決定基準一つとしているわけでございます。最近、昨年の五月にカナダ国会カナダの行っているODA調査を行いまして、そしていろいろ勧告をしたわけでございます。それに対して政府からの答弁も出ておりますが、カナダODA基本的人権を果たして被援助国が擁護しているかどうかということを大きな援助決定基準にするということをはっきりとうたっているわけでございます。  次に重要なことは、これは開発協力基本法案の中に既に基本原則として打ち出していることでございますが、軍事的用途に充てられたり国際紛争を助長するようないわゆる戦略援助というものを行ってはならない。そのほか基本原則といたしましては、主権尊重だとか、それから住民生活や環境への配慮をしなければいけないとか、軍事的用途への転用の防止ということもはっきりとうたっておるわけでございますが、そのほかに、現在第三世界の国々、殊にアフリカなどにおきましては貧困飢餓に苦しんでいる民衆ニーズを満たすための措置をとらないで、また教育とか保健とか福祉というふうな民衆にとって非常に重要な面での施策資金を投じないで、軍備拡大ばかりをやっている国が多い。そして、外貨の大半を武器の輸入に使っているような国があって、武器の輸入によって外貨がなくなってしまうから穀物の輸入ができなくなってしまうような国々が現存しているわけでございます。こういった開発途上国に対する援助は、全然行ってはならないとは申しませんけれども、非常に好ましくない。やはりそういった軍備拡大を行って外貨の大半を武器の輸入に使っているというふうな国に対しては、その援助の優先位を落とすというふうなことを考えたらどうかと思っております。  それから、基本原則の中に既にうたっているわけでございますが、環境破壊というものが日本のこれまでのODAにはつきまとっていたという批判が非常に国際的にもございまして、殊に貴重な植物資源が存在している熱帯林を破壊したという世界の環境団体からの非難もあるわけでございますが、こういった日本ODA途上国開発支援することによって環境を破壊してしまったり、また地域の住民生活基盤を喪失させてしまったりするということがないようにこれはもう絶対に配慮する必要があると考えております。  それから、依然としてまだ日本ODAが被援助国の支配層と日本の企業ばかりを潤しているという批判が後を絶たないわけでございますが、こういった批判をなくすということが非常に大事だと思いますし、また被援助国の草の根の人々が本当に生活が安定し、福祉の増進につながっていくようにしていくにはやはり途上国に多い文盲を撲滅することを助けるとか、途上国の貧しい人たちが現金収入をもっと得られるように、その現金収入が得られるように技能を身につけさせる職業訓練に重点をもっと置いていくとか、また一方、工業化を図るに当たっても近代的な省力化した装置産業をどんどん導入するというふうなことよりも、適正技術の移転だとか、労働集約的な産業の育成を助ける、そしてそれによって雇用機会をもっと増加させてあげる、そういった配慮がもっと必要なのではないかと考えております。  とにかく草の根の貧困層の人たちに援助が届かないということが大きな問題でありまして、またその貧困層の中で一番貧しいのは婦人であるということが言えると思うんです。私がこの中でたった一人の婦人でございますから婦人の立場を少しお考えいただきたいと思って申し上げるわけでございますが、開発途上国の女性の約八〇%が文盲でありまして、保健や衛生知識もないという状況でございます。開発途上国の母親にもう少し保健衛生の知識も与え、またプライマリー・ヘルス・ケアというふうな面での援助をふやせば、一日に四万人も死亡していると言われている乳幼児の死亡率の減少にも役立つのではないかと考えております。  ナイロビの世界婦人会議で採択されました紀元二〇〇〇年に向けての婦人の地位向上のための戦略の中でも、開発途上国の婦人が開発から取り残されているということが指摘されておりますし、やはり先進国が行う開発援助開発協力の中では、もっともっと婦人を対象にしたものをふやさなければいけない、また同時に婦人がもっと積極的に開発協力のいろいろな企画、立案、実施の面でも活躍していく必要があるということを指摘しているわけでございますが、日本におきましても、やはりODAのプロジェクトを婦人にもう少し目を当てたような企画、立案、実施ということをしてもらいたいというふうに考えております。  ODA日本が農業を機械化したり近代化したり、かんがいも機械導入もいろいろなことをして非常に農業の生産性が上がったというふうな事例もございますけれども、本当に豊かになった農民というのは一握りの農民であって、大多数、殊に農村の婦人は生活が一層惨めになったという事例もいろいろなところから報告されているわけでございます。ですから、婦人というものを対象としたODAのプロジェクトをふやしてもらいたいということもこれはぜひ皆様方にお考えいただきたいと思います。  それは実施の段階での改善というか、企画の段階での改善というか、両方だと思いますが、既に国の責任実施体制についてとか、それから一元化をした場合の機関についてとか、そういったことは私どもが提出しております国際開発協力基本法案の中にございますので繰り返して申し上げることは避けるわけでございますが、もう一つ申し上げたいことは、基本原則の中にも、被援助国に対して既に援助を行っている他の外国の政府だとか国際機関との協議を、プロジェクトを企画、立案する前に行わなければならないということを一つうたっているわけでございます。  これはやはり被援助国に対してほかの機関やほかのドナーカントリーの政府が行っているものとの重複を避けたり、またお互いに相互補完的な効果というものを考えることが非常に重要ではないかと思いますので、基本原則の中にそれを一つ入れたわけでございますが、今ODA資金が毎年毎年飛躍的に増加して一兆四千億に達するような現在、これを消化することに非常にせっかちになり過ぎるということで、粗悪なODAのプロジェクトが出てきたり、また十分な事前調査もなく行われるというふうな危険がないわけでもございませんので、日本だけでバイラテラルばかりやろうとしないでもう少し国際機関というものを、例えばWHOとかFAOとかILOというふうな、そ ういった国際機関の専門性を活用して国際機関とともにやっていく、国際機関資金を預けてともに日本と行うという、いわゆるマルチバイラテラル方式というものをもっともっと導入した方がいいのではないかと考えております。  それで、実施体制の問題につきましては法案の中にうたっておりますので繰り返して申しませんが、実施状況の改善という面ではどうしてもやはり調査機能の強化ということが大事ですし、人材の育成というものが絶対に大事だと思いますので、そういった面での強化を図るための御提案を申し上げておりますけれども、やはり一つのプロジェクトを考えるに当たっては被援助国のマクロ経済分析が必要ですし、またどのようなODAが本当にその被援助国経済社会発展を助けるかというふうな面でよく相手国政府途上国政府との政策対話というものをもっともっと強化してやっていかなければいけないというふうに考えております。  またプロジェクト実施中の評価というものも、プロジェクトの実施を改善するため、そして評価をフィードバックしていってより一層よきものにしていくためにも必要でありますし、事後の評価はもちろん第三者機関を入れた客観的な評価が必要なことは申すまでもないことでございます。  それから国会行政府関係につきましては、関係法案の中に入れておりますのでもう重複して申し上げません。  国民理解NGOとの関係につきましては、これは国民への情報公開は基本原則にうたっているとおりでございますが、もっともっとトランスペアレンシーを持ったODAをやっていくということが国民理解も得る一つの道であるし、もっともっと国民への広報活動、それから理解を得るための開発教育、これはもう小学校の段階、中学、高校、大学というもの、また社会教育の面でももっともっと開発教育というものが必要であると考えております。  それから立法措置必要性。これはもう既に法案も提出いたしておりまして、ただこれに必ずしも固執しているわけではございませんで、やはり開発協力をやっていく行政の一元化という面におきまして、この機構の問題がどうしても大事だと思うんでございますが、別個の独立した国際開発協力庁というものを一応総理府に置くということにしておりますのは、これは開発協力庁の長官を大臣にどうしてもすることができない、ほかの法制との関係でどうしてもできないと法制局に言われましたものですから、他の開発協力関係の官庁の力関係を考えますと、どうしても一元化していく上では、一元化をし総合調整をする権限を持った大臣というものが必要だと考えましたので、一応総理府に置くということにしているわけでございまして、この外交一元化という問題との間で非常にこれは悩みましたわけでございますので、この点につきましては皆様方とまたいろいろお話し合いの上どのような結論に達しますか、この小委員会で御審議願いたいと思っているわけでございます。  以上でございます。
  8. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) ありがとうございました。  次に、上田耕一郎君。
  9. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、我が国経済協力の歴史を大まかに振り返り、現在の特徴がどのように形成されてきたのか見た上で、先日示されました小委員長メモにできるだけ沿って、現状問題点を述べ、前回委員会で行いました政府開発援助の抜本的転換提案についての補充意見といたしたいと思います。  周知のとおり、我が国経済協力は、一九五〇年代の半ばから東南アジア諸国への賠償及び賠償支払い請求権を放棄した諸国への無償援助供与として開始され、日米安保条約第二条に規定された日米経済協力の具体化としての一九六一年の海外経済協力基金の設立、六五年以降の本格的な発展を迎えました。そして、我が国経済協力基本的性格は、この出発点から形成されました。財界の調査機関である日本経済調査協議会が一九六五年に出した報告書はこう述べております。  「日本経済協力援助ではなく輸出振興策にすぎない」との批判が強い事実にも窺われるとおり、わが国の経済協力は資本財輸出の促進のために大きな役割を果たしてきた。   賠償によって供与される生産物の大部分は資本財であるので、一部の重工業、例えば自動車工業、電気機械工業等の育成伸長に効果が比較的大きい。また国内滞貨となった商品が賠償によってはけ口を見出し、不況産業がこれを足場にして立ち直りをはかることもありうる。   また、わが国が平和憲法の下、その安全保障を主としてアメリカとの安全保障条約に委ね、巨額の軍備支出にわずらわされることなく財政資金経済目的に利用しつつ急速な経済発展をとげたことを考えれば、一九五〇年代末以来国際収支の悪化に悩みつつ自由諸国の援助の過半を担ってきたアメリカが、せめて援助問題についてはわが国の努力強化を望みたいと考えるのも、またその他の自由先進国がわが国の援助努力強化を期待するのも、それなりに理解に難くない。(「南北問題と日本経済」)  これに対しては何の説明も不要でしょう。経済協力を大企業の海外進出の地ならし役及びアメリカ世界戦略の補完役にしようという財界の考えがあけすけに述べられていますが、このような主張が公然となされる背景に、アメリカのベトナム侵略を柱とするアジア戦略とこれに追随する自民党政府の政策がありました。  一九六四年、アメリカは史上悪名高いトンキン湾事件をでっち上げて北ベトナムへの全面的侵略を開始する一方、日本に対し南ベトナムへの援助要請しました。当時の佐藤首相はこれに加担する姿勢を鮮明にし、六五年の日米首脳会談で発展途上国の政治的安定のための援助の増大を約束しました。こうして、六〇年代後半から、サイゴン政権はもちろんのことベトナム参戦国の韓国やタイ、反共独裁国のインドネシアやフィリピンへの援助が急速に強められたのであります。  七〇年代後半、パックス・アメリカーナの崩壊に直面し先進資本主義諸国はアメリカ中心協調基礎にした国際政治経済秩序の形成に移行しますが、自民党政府は、この中で国力、国情に見合った役割を果たすいわゆる総合安全保障路線をとり、経済協力費を急増させました。一九七八年以降、三年倍増、五年倍増、七年倍増の三次にわたる中期目標計画実施がそれであります。そして、この時点から我が国経済協力の二つの性格は、より意識的に強化されたのであります。  第一の特徴、大企業奉仕の面ではどうだったでしょうか。一九七七年、時の福田首相は日米首脳会談でASEANへの経済協力強化を約束し、実施しました。いわゆるASEANドクトリンであります。これは、我が国の原材料輸入・工業製品輸出型貿易政策を推進する上で最大限利用されました。つまり、天然ゴム、植物性油脂、ニッケル、銅、ボーキサイト、原油などの重要な資源保有国であるASEAN諸国への経済協力によって、原材料を確保する一方、これら諸国への工業製品輸出、資本進出を強めたのであります。  こうして、ASEAN五カ国向けODAは八五年で約三〇%のシェアを占めるに至っておりますが、最も援助を必要としている後発発展途上国LLDC四十カ国へのODAはわずか一三%にすぎず、そのGNPに占める割合は〇・〇六%にすぎず、DAC加盟十八カ国の中で十六位というありさまであります。資源もなく工業製品輸入の力も弱いLLDCへの援助はこのように冷淡です。大企業の利益本位の経済協力の実態はこのように赤裸々であります。  第二の特徴、アメリカの世界戦略の補完の面はどうでしょうか。先日の小委員会で指摘したとおり、一九七九年のソ連のアフガニスタン侵略に際し、日本政府はアメリカの要請に応じて、紛争周辺国、パキスタンなどへの援助を増大させました。一九八一年、時の鈴木首相は日米共同声明で「世界の平和と安定の維持のために重要な地域に 対する援助強化していく」と約束しましたが、これ以後、アメリカの肩がわり要求は露骨となり、アメリカが戦略重点国とするジャマイカ、タイ、パキスタン、トルコ、スーダン、エジプト、ペルシャ湾岸諸国など国名を挙げて援助をふやすよう要求するに至ったのであります。政府は、これに唯々諾々と従ったのであります。八一年春、アメリカからジャマイカを援助してほしいと要請され、どこにあるのその国、と戸惑いながらも約六十億円の有償援助を内定した事実はその典型であります。その後、ジャマイカがアメリカのグレナダ侵略に参画したことは周知のとおりです。こうして、今や我が国援助の半分がアメリカの戦略重点国に注ぎ込まれる異常な実態となっているのであります。一九八四年の日米諮問委員会がこの状態を高く評価したことは前回述べたとおりでありますが、本日の新聞報道によりますと、アーミテージ米国防次官補は、過大な防衛負担増を要求するよりも海外経済協力の増額を求めるべきだとして次のように述べています。「ひも付きでない日本の戦略援助増は、日米間に何の政治的な摩擦もひき起こさずに、世界の安定に絶大な効果をもたらすだろう」。日本ODAのかなりの部分がアメリカの肩がわりとなっていることは、極めて重大であると言わなければなりません。  しばしば指摘されている我が国ODAの低いグラントエレメントLLDCへの援助の低さなど、我が国経済協力の質の低さはまさにこの二つの特徴の集中的あらわれにほかなりません。  来年度予算に計上された経済協力費がアメリカを抜いて世界一となった今日、このようなゆがみを放置するならば、そのもたらす悪影響もそれだけ増大します。また、マルコス疑惑で明らかとなった汚職、腐敗の輸出も、関心の外に置かれ規制措置の見出せないまま放置されることとなるでしょう。七千億円を超える巨額な国の予算が、これを規制する法律もなく、国会の監視も受けることなく政府によって勝手に使われ、その結果今述べたような事態を招いたことは重大であります。まさに経済協力政策の抜本的転換は急務となっております。この立場から、以下、小委員長メモの項目に沿って発言いたします。  ア経済協力理念目的及び諸原則について  まず、経済協力理念についてであります。  私は、前回、経済協力基本法の制定を提案し、その中に盛り込むべき五原則の第一に経済協力目的の明記を挙げ、   経済協力は、発展途上国が自主的に飢餓貧困などの経済的困難を克服し、国民生活向上、自立的経済発展を図るのを援助することである。経済協力理念目的をあいまいにしたまま戦略援助や大企業利益優先の援助を進めてきた自民党・中曽根内閣の路線は抜本的に転換しなければならない。 と述べました。  参考人の室教授も指摘されたように、十年前まで政府は公式に経済協力理念を述べたことはありませんでした。八〇年十一月、対外経済協力審議会理念の定式化に取り組み、国際的一般理念としての①人道的・道義的考慮、②南と北の相互依存関係の認識、我が国独自の理念としての①平和国家としての責務、②高い対外経済依存度、③経済大国としての自覚、④非西欧国家としての近代化の歴史からの期待の四点を考慮した広い意味での安全保障の確保を挙げました。これを受けた外務省経済協力局は、政府の正式の見解ではないと断りながら、「経済協力理念」の中で、ODAは「日本の総合的な安全保障を確保するための国際秩序構築のコスト」であると位置づけました。その後今日に至るまで政府はこれを肯定も否定もしていないのでありますが、実際の行動ではこれを是認してきました。前に述べた八一年の日米共同声明以後の動きがこれを証明しております。  八四年六月、安倍外務大臣も出席して開かれたアフリカ大使会議の概要報告は、「近年、従来東寄りとされてきた国の中にも、経済困難克服のためには西側の援助が必要との認識から西側寄りの姿勢をとり始めている国が散見されるところ、かかる動きを助長すべきであるとの議論とともに、さらに事態の推移を客観的に見極める必要があるとの意見もあった。また、東側寄りの国であっても最貧国である場合や国と国とのコレクトな関係を保つためにはミニマムな援助は行う等関係はつないでいくべきであるとの意見もだされた」と、至極当然のごとく議論している様子を明らかにしています。外務省においては、既に経済協力は南北の論理ではなく、東西の論理を優先して考えるものに変質しているのであります。  そして、これがどういう事態を招いたか。  政府は、七八年の衆議院外務委員会で行われた主権尊重、互恵平等、内政不干渉原則の確立、国際紛争を助長するごとき経済協力は行わないとする決議に違反し、グレナダ侵略に加担したジャマイカやニカラグア侵略の拠点となっているホンジュラスへの援助をふやすという反国民的政策を進めてきたのであります。  もはや、これ以上政府の勝手な解釈に任せておくような仕組みは放置してはなりません。  イ国責任実施体制について  現在十五省庁に上っている援助担当機関一元化は、経済協力効率的に進める上から必要なことであります。ただ、これは我が国経済協力の正しい理念の確立、さらに、後で述べます民主的公開の原則の確立と切り離しては考えられない問題であります。国会決議にまで違反した実態を放置したまま一元化を図ることは、我が国経済協力のゆがみを一層強めることとなるでしょう。一元化の問題は、この意味基本法制定と同時に進められるべき課題であります。  ウ経済協力現状実施方法等問題点改善事項  まず、二国間援助について述べます。  この点について、本日は、公開の原則のもとでのODA案件実施事前調査実施段階、事後評価すべての段階におけるチェックの必要性について発言します。  事前調査における問題点については、一昨年のJICA汚職事件でその一端が明らかになりました。事前調査を請け負った企業はその後の本格調査には参加できない建前になっているにもかかわらず、事前調査参加したコンサルタント会社社員がJICA職員にわいろを贈って本格調査にも参加していたことが判明した事件であります。当時の新聞は、「いわば、民間の建設業者が、官庁の入札予定価格作りと入札双方に参加したような形」と書きました。まさにそのとおりであります。  プロジェクト借款案件におけるフィージビリティースタディーについて、多くの問題があることはこの委員会でたびたび指摘したとおりであります。  実施段階ではどうでしょうか。プロジェクト借款であれ、無償援助案件であれ、相手国での入札に対しては日本承認制がとられておりますが、実際はフリーパスとならざるを得ません。政府は、入札制度そのものが公正さを担保していると言いますが、それが当てにならないことはマルコス疑惑で証明済みであります。  事前調査実施段階を通じて行わなければならないことは、関係機関の運営の民主化であり専門家養成であります。  最も問題の大きいのは事後評価であります。周知のとおり、政府は最近まで事後評価をやりませんでした。その理由として政府は、途上国への内政干渉になるおそれがあるとか、案件に携わった企業秘密に抵触するなどを挙げてきました。しかし、本当の理由がここにないことは、八〇年当時、海外経済協力基金の管理職の一人が学術雑誌に個人の資格で発表した論文で次のように暴露しているのであります。   我が国援助行政においては、一部に事後評価実績はみられるものの、むしろ国会での対外援助に関する国政調査に対する防衛手段という配慮から、行政府および実施機関の双方で援助案件の事後評価を積極的に推進しようとする傾向は概して少ないように見受けられる。  国会における調査、すなわち国民の監視を逃れ るために事後評価をやらないなどとんでもないことであります。最近になって政府はやっと事後評価を行うようになったのでありますが、長年の国民の監視を忌避する姿勢は依然として残っております。外務省の経済協力評価報告書が、とても援助の教訓を引き出せるようなものではなく、全くおざなりなものであることもそのあらわれの一つですが、昨年十二月、外務省がまたもや相手国主権の抵触を理由にして会計検査院の検査を空振りに終わらせたことはその典型であります。  スウェーデンでは、国際開発庁が調査員を派遣し、援助プロジェクトでつくられた工場について原料供給から労働条件までつぶさに調査し、国民報告しております。これに比べ、我が国がいかにおくれているか明らかであります。途上国主権尊重は当然であります。同時に日本国民主権も守られなければなりません。途上国主権尊重を理由に日本国民の目をふさいだ結果が途上国の一部の支配者と日本の大企業を太らせている。この実態は日本途上国国民にとって絶対に許せないことであります。  民主的公開の原則を確立し、必要な調査と結果の公表を制度化することは、先日指摘した「要請主義」の悪用規制を進めるためにも重要であることを改めて強調するものであります。  次に、国際機関を通じての援助について述べます。  国際機関を通じての援助は、特定国の影響を受けず、途上国にとって中立性が確保される利点があると宣伝され、我が国においてもほぼ無批判の状態に置かれています。  しかし、途上国にとってこれはいささかもよい状態を意味するものではありません。それどころか、最近の世界銀行やIMFの行動は途上国に一層困難をもたらしています。確かに、世界銀行やIMFは特定国の意向を押しつけることはないけれども、アメリカを先頭とする日米欧出資国の大銀行のために借金取り立ての条件づくりをしているのであります。巨額の累積債務を抱えた途上国に対して融資するに当たり、IMFや世界銀行はコンディショナリティーという経済運営上の厳しい条件をつけておりますが、それらはほとんど福祉予算と補助金の削減、賃上げ抑制、物価統制の解除と金利の自由化など途上国国民に犠牲を押しつけるものとなっております。このようなコンディショナリティーは途上国の自主的な経済政策に対する乱暴な干渉であります。  このような緊縮政策を実施したらどうなるか。IMF支援による経済改革の実験場とみなされてきたアフリカのザンビアがその好例であります。ザンビアは八三年以来IMF、世界銀行のコンディショナリティーを忠実に実施し、国民にインフレ、低賃金、福祉削減を押しつけてきたわけですが、八六年に補助金を打ち切って主食のトウモロコシ消費価格を一気に一二〇%も引き上げ、実質賃金が六〇%も切り下げられるに至り、ついに国民の怒りが爆発しました。昨年五月カウンダ大統領は、IMFとの協調による経済再建策と決別することを宣言し、自主的政策に転換しました。現在、タンザニア、シエラレオネ、ナイジェリア、スーダンなどの国々でもIMF戦略に抵抗する動きが強まっていると伝えられておりますが、至極当然のことであります。この中で、日本政府がIMF、世界銀行の有力メンバーでありながらその戦略を無条件に支持していることは、重大であります。途上国国民生活よりも対外債務返済額の保障を優先するIMFや世界銀行のやり方をやめさせ、途上国の自立的経済発展を助けるという経済協力本来の方向に転換させるため、必要な行動を起こすべきであります。  エ国会行政府との関係  従来、ほとんど非公開、秘密主義で政府が勝手に行ってきたODAについて民主的、公開の原則を貫くことは極めて重要であります。第一回の意見表明で述べたように、計画及び予算国会審議実施国会承認制の導入、実施状況国会への報告の義務づけは、国民に対する責任上当然行わなければなりません。  オNGOに対する評価について  援助国政府や多国籍企業から独立し、草の根レベルで真剣に途上国との交流、経済協力を進める団体我が国においても増加し始めたことは心強いことであります。我が国NGO活動の歴史の浅さも反映し、中には安易かつ無責任な行動で迷惑をかけているようなものも出ているようではありますが、これらはNGOの正しい活動発展させていく中で社会的に正されていくべきものでありましょう。当委員会でも参考人から、乏しい資金で困難な活動を続けておられる状況報告されましたが、このようなNGOに対する補助金の制度を確立する必要があるでしょう。言うまでもないことではありますが、それはあくまでNGOとしての活動支援するものでなければなりません。補助金をえさに政府援助政策を補完させるようなことのないよう、そこにはしっかりとした仕組みが求められるわけでありますが、さしあたっては欧米で実施されているコファイナンシングシステムなどについて検討を急ぐべきであります。  カ基本法制定について  最後に、基本法制定問題について、前回提案したことではありますが、少なくとも基本法に当たっては、公開の原則海外経済協力基金国際協力事業団の運営の民主化、大企業の不当な行為の規制、軍事政権てこ入れや紛争介入的援助の禁止の五点を盛り込むべきことを改めて強調したいと思います。  なお、我が党におきましては、この立場からの法案を準備中であることを申し添え、補充意見を終わらせていただきます。
  10. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) ありがとうございました。  続きまして関嘉彦君。
  11. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 国際開発協力について、小委員長の指示された項目の大部分については昭和六十二年九月二十五日の本委員会において述べましたので、ここで述べることとは重複する点もあると思いますけれども、了承願いたいと思います。また、広義の開発協力は、民間企業、金融機関などの投融資、自発的団体援助活動貿易などをも含めて考うべきであるが、ここではODAに限定して述べることも前回と同じであります。なお、個々の問題については民社党の意見は固まっていない点もありますので、試案としてお聞き取り願いたいと思います。  ア開発協力理念目的原則  日本ODA予算は、GNP比率において諸先進国に比しなお低いとはいえ、本年度一般会計予算において七千十億円、事業規模で一兆三千億円に達し、しかも今後着実に増加の傾向にある。国内においてなすべき施策が山積しているときにこれだけの負担を国民に願う以上、なぜ発展途上国援助する必要があるか、その目的、理由などを明らかにして国民の納得を得る必要があります。  第一に、開発協力目的について明らかにすることが重要であります。その目的は、生存のための基本的必要品をも満たしていない人々はもちろん、文化的水準以下の生活を余儀なくされている発展途上国国民経済的、社会的、政治的に自立し、公正にして自由な国民として繁栄することにより、援助を必要としないごとき状態にまで発展する努力を助けることであります。そのためには発展基礎条件である物質的な下部構造、インフラストラクチャー、例えば道路、港湾、通信施設などの整備のみならず、国民一人一人の精神的、肉体的能力の発展、例えば知識、技能、健康などという主体的条件を助けることであります。経済協力という語を避け、開発協力という語を用いるのもそのゆえんであります。  それでは、以上のごとき開発協力をなぜ今の日本が行う必要があるのか。その第一の理由は、世界、特にアフリカのサハラ以南の地域、LLDCと呼ばれている地域では、毎日の食糧や最低限の住居にも事欠く人が多数いるということであります。衣食満ち足りた生活をしている日本人が、それらの人々の最低の生存維持のために側隠の情か ら救いの手を伸べることは、人間として、そして仁愛に富む日本人として当然の道徳的義務であります。そしてこの種の人道的援助は、相手国の政治体制のいかんを問わない。  しかし、援助必要性はこれのみにとどまりません。餓死状態は免れているとはいえ、なお人間らしい文化的生活からほど遠い状態の人々が世界には少なくありません。これらの人々を援助する理由は、それが日本の広義の国益になるからであります。というのは、第一に、経済貧困社会不安を招き、政治的不安定がしばしば内乱または戦争をもたらし、世界平和を脅かす原因となるからであります。所得水準が上がったから政治的に安定するというのは一面的でありますが、貧困が政治的不安定の一つの重要な原因であることは歴史の教えるところである。限られた自衛力しか持たず、平和の中でしか繁栄し得ない日本としては、世界平和の攪乱要因の一つである貧困の追放に協力することは、日本が平和に生きていくために当然支払うべきコストであります。特に、最近日本経済大国になったにかかわらず、国連の平和維持活動に武力協力もせず、いわゆるフリーライダーの非難の声も上がっているときに、武力にかわる経済力で世界平和に貢献することが何よりも日本の国益であります。  日本の国益になる第二の理由は、援助経済的効果であります。低開発国が経済的に発展することは、競争者として日本の産業を脅かす危険もあると言う人もあります。しかし、他方においてそれを上回る利益があります。すなわち、それらの国が購買力を増すことは市場の拡大をもたらし、貿易の増大は、世界貿易の拡大によってしかその繁栄を維持できない日本にとって最大の利益であるからであります。  以上は一般論を述べましたが、いかに援助が必要であるとはいえ、限られた資源で多くの国の援助の必要に応ずるためには、その優先順位をつけねばなりません。前述のLLDCへの最低の生存維持のための人道的援助が優先することはもちろんでありますが、それ以外の順位の基準は、日本の広義の安全保障を含む国益であります。日本の安全保障なくして日本の独立と繁栄とはあり得ない。すなわち、日本と地理的に近接している国、経済的、政治的に相互依存関係の強い国に発展するのが日本の国益上重要であります。その意味でそれらの国を優先させるのはやむを得ない。しかしそれのみにとどまらない。日本の独立が日本憲法体制、すなわち自由と民主主義の維持発展意味する限り、そして自由圏諸国とソ連共産圏諸国との対立が続く限り、自由陣営の安全保障日本のそれと不可分であります。したがって、自由陣営の安全保障にとり重要な国に対する援助も考慮していく必要があります。  しかしこのことは、日本に近接している国、日本にとり重要な地域に対しては無条件援助せよということではありません。途上国に対する援助は、その国の政府中心にして行わざるを得ないけれども、もしその援助が独裁政権の民衆への抑圧を強め、社会的不公正の拡大をもたらすことに使われるならば、それは結果において民衆援助国への不信を招き、逆効果となるでありましょう。もちろん、国民国家形成過程にある途上国に対し、人権保障ないし政治の民主化につき、ヨーロッパ先進国並みの基準を当てはめることは非現実的でありますが、可能な限り、自由にして民主主義の体制発展し得る方向で援助すべきであります。さらに、援助が政権の腐敗を助長し、援助国への被援助国の依頼心を助長するごときものであってはならないことは言うまでもありません。  イ国責任実施体制及びその次のウ現状問題点とその改善策を一緒にして述べます。  現在のODA予算は、国際機関への出資、拠出金を通ずる多国間援助と、被援助国への直接の援助すなわち二国間援助に分かれている。このうち、国際機関への出資金及び拠出金は大蔵省、二国間援助無償資金協力は外務、大蔵両省、技術協力は主として外務省が中心となり各省庁と協議しながら行っているが、有償資金協力特に円借款は、外務、大蔵、通産、経済企画の四省庁が協議し、それに農水、運輸などその他が参加して実施しています。予算も、各省庁に分散して計上される個々の事業項目の合計額として表示されています。  このように計画及び実施が各省庁に分散していることは、歴史的には理由のあることであろうし、縦割り行政を前提にして考えればそれぞれの合理性もあるだろうと思われる。各省庁とも現状のままで何ら不都合はないと称していますが、それは行政サイドとしてはそのとおりであるにせよ、日本の総合的国益、援助目的を効果的に達成するという点から見て、果たして現状が妥当なものであろうか。例えば借款により道路はつくったがそれを補修する人材が不足するため、道路の有効な活用が妨げられているというごとき話も聞きますが、それは、援助がばらばらに行われていることと関係があるのではないでしょうか。援助が前述のごとき理念に基づいて行われるためには、個々の計画を総合立案する主務官庁を定め、その計画実施の最終責任をそこに負わせる意味一元化することが必要であります。もちろん、日本の財政や国際金融政策に責任を持つ大蔵省、長期の経済計画を立案する経済企画庁、貿易や産業の利益を考慮する通産省、外交関係を重視する外務省がそれぞれの立場で発言権を持つことは当然でありますが、そのことと一元化とは何ら矛盾するものではありません。一元化により、援助行政の知識経験の集積という利益も得られると思われます。  一元化の方法としては、総理府の中に大臣を持つ独立の庁をつくる方法と、外務省の外局としてつくる方法とが考えられます。それぞれ一長一短があり、今後の検討にまちたい課題であると思います。  さらに援助が効果的に行われるためには、援助の事後評価を客観的に行い、それを今後の施策に生かしていくことが必要であります。現在、事後報告については、外務省が毎年「経済協力評価報告書」と政府開発援助についての詳細な評価書を、通産省は毎年「経済協力現状問題点」を出し、経済企画庁も時に応じて経済協力研究会としての報告を発表しています。それぞれ目的内容を異にするとはいえ、全部を総合して単一のものとして発表することが効果的であります。  事後評価内容については、客観的な第三者による評価が望ましいことはもちろんでありますが、単に個々のプロジェクトについての効果の分析のみでなく、各種の援助が被援助国全体の経済社会に対してどのようなエフェクティブネス、効用を持っているかの評価も期待したいと思います。これも主務官庁の一元化の問題と関連してまいります。  なお、ODA予算の量的拡大、グラントエレメント向上などの質的改善の必要性については、多くの人が指摘しているとおりで、ここで改めて強調するまでもないと思います。  エ国会行政府との関係について  現在、ODAに関する予算は、事項別に各省予算の中に表示されていますが、その内容は明記されていません。これでは行政府に対する国会のコントロールは不可能であります。先般のマルコス疑惑のときに問題となったごとき不信感を国民援助について抱くならば、援助の継続を国民承認しなくなるでありましょう。それを防ぐためには、国会のコントロールを確保するため、中期の被援助国別、事業別の援助計画を参考資料として国会に提出するとともに、その計画に基づく毎年度予算額について国会承認を得るようにすべきであります。余りに詳細な事業計画を提出することが事業遂行を硬直化することは理解できることでありますが、事業規模がわかる程度のことは示すべきであると思います。援助がどのような事業に向けられ、それがいかにして被援助国の自立に役立つと考えられているかを国民に示す必要がある。  また有償無償のプロジェクト事業の受注者が決 まったとき、それを関連入札参加者の氏名、受注金額などとともに発表することが、透明性を確保する上で必要である。契約成立時にこれらのことを日本政府として公表する旨をあらかじめ交換公文に書き込むことが望ましい。  オ NGOとの関係  従来開発協力は、大部分政府政府のレベルで行われてきたが、今後の援助が人づくりに重点を志向すべきであるとするならば、草の根ルートの技術協力、人材教育の拡大の点で、NGO活動の拡大が期待されます。NGOは本来政府から独立に活動する点に存在理由があるゆえ、政府がその仕事の内容にまで及ぶような補助金を交付することは慎むべきことでありますが、日本NGO団体の連絡会議支援であるとか、人材の養成、被援助国への資材搬入に対する便宜供与などに対する政府による間接援助は、NGOの本来の目的を阻害することにはならないと思われるので、その方面においての協力が望まれます。  なお、情報原則的公開の必要性についてはもちろんのことであります。  カ 立法措置必要性  開発協力資金が少ないときはいざ知らず、一般会計で七千億を超え、近く一兆円にも達しようとするとき、これだけの財政支出を行うためには、それを可能にし正当化する特別の根拠法として、例えば国際開発協力基本法のごときものを制定することが必要であります。もちろん法律によって余りに細かく規定することは行政の硬直化を招く上で好ましくありませんが、開発協力について、理念目的、組織、国会の統制などの枠組みを規定した法律を制定することは、国民理解を高める上においても必要であります。  キ その他  なお、これは現状問題点で述べるべきことかもしれませんが、特に強調するため改めて取り上げます。  今後ますますその重要性を増す開発協力を効果的に行うためには、その計画の立案と実施に当たるスタッフの充実が必要であります。特にその実施に当たるJICA、OECFの人数はそれぞれ九百数十人と二百数十人にすぎず、諸外国に比して著しく劣っております。これを一元化してそのスタッフを飛躍的に増加し、現場における調査実施活動充実するのでないと、単にプロジェクトの金額のみをふやしても、効果的な援助はできないと思います。また、開発協力の熱意のある青年協力隊や専門員も、民間人、特に海外における活動の経験を有する民間人の応募が容易にできるよう、基金の設定など特別の配慮が必要であります。  以上で終わります。
  12. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) ありがとうございました。  最後になりますが、青島幸男君。
  13. 青島幸男

    ○青島幸男君 せんだって意見開陳の機会を得まして、そこで私いささか御意見申し上げたんですけれども、基本的には私の考えはそれに尽くしておりまして、あえて付言することはないというふうに感じてはおりますけれども、四省庁の方々の御意見などを伺いましたし、それから皆様方同僚委員の御意見などもいろいろ拝聴いたしまして、なお痛感したことを二、三述べさせていただいて意見にかえる次第です。必ずしも小委員長メモに沿ってというわけにいかないかもしれませんが、その点お許しいただきたいと思います。  今や経済大国になりました我が国の海外援助というものは、その額からしても莫大なものになっておりますし、国際的にもますます注目を浴びていると思います。このやりようについては、これをどういうふうに行っていくかということが、つまり国際社会の中で、我が国はどういう考え方で仲間入りをしていこうとするか、つまり国の見識を疑われると申しますか、国家存立の基盤をいずれに置いておるかということをシビアに見つめられることでもあると思いますので、なかなかあだやおろそかにできるものではないというふうに痛感しておりますし、軽々に行ってはそれこそ何の役にも立たないどころかかえって我が国の国のありようなどを疑われるというようなことにさえなるような気がしますし、重大な問題として取り組んでいかなきゃならないものだというふうに痛感いたしました。  そのほかに、予算におきましての膨大な増額も行われておる折からして、国民の中にも非常に関心が高まりつつありまして、国民にわかりやすく明快にこれが行われなきゃならないということは、ますますその重要性を増してきたと思います。  そこで、あえて御意見と申しますか、考え方を申し述べますが、国民の中には何のためにこれをやらなきゃならないのかという不満もまだ残っているようなことであります。これは、つまりこれを行わなきゃならないことの理念を明確に国民の中に打ち出していない。これを高々と打ち上げて、国民にその意義を徹底して、参加することの意味合いを理解してもらうということがまず必要だというふうに考えます。これが一点です。  それからその次は、計画の立案から事業の終了の結果報告に至るまで、余りにも今まで立法府としての国会の関与が浅かった。これはやっぱり国会を通じて国民の目に明白に行き届くようにしていかなければ民主主義の国の礎としてのルールを損なうものになってしまうおそれがあるということから、どうしても国会の関与はもっと深いものになっていかなきゃならない。どういう手だてになるかは明確に今申し上げられませんけれども、もっと深い関与がなされるべきだというふうに感じました。  それからもう一つは、理解のありよう、あるいは手続の不明確化をますます増しておりますのが各省庁の複雑な縦割りのかかわり方でありまして、これを何とかしないことには国民理解はますます遠ざかってしまうでしょうし、国民理解が行われないというところに不満も疑念もわいてくるということを痛感しています。ですから、どういう形になるか明確には申し上げられませんが、法制化による一元化が緊急に求められることではなかろうかというふうに痛感いたしました。  以上、皆様方の御意見を通じて、私、付言すべきこととして三点を挙げまして意見にかえさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  14. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) ありがとうございました。  以上で一通り御発言をいただきましたが、ただいまの各小委員意見の開陳に対しまして、質疑のある方は順序は問いませんので、挙手をお願いいたします。どなたからでも、あるいはどなたに対してでも結構でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  15. 下稲葉耕吉

    下稲葉耕吉君 今の開陳に対する意見というよりは、小委員長にお尋ねしたいんですけれども、各小委員から今意見発表がございましたが、これから後の小委員会の運営について、何かお考えございましたらお伺いしたいと思います。
  16. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) 前回の世話人会で御相談申し上げてきたのでありますが、きょう出されました各小委員の補充的な意見を一度整理をさせていただきまして、項目ごとに整理をいたしますから、その整理ができましたら、今度は世話人会を中心にして、どういう共通項があるのか、どの点に違いがあるのか、どんな歩み寄りが可能なのかというようなことの作業を、しばらくの間続けさせていただければというふうに考えております。
  17. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私もその意見に賛成です。  今聞きましても、文書で見ないとちょっとはっきり概念をつかめなかったところなんかもありますので、アイウエオの項目ごとに大体各党の主張を文書化していただきたいと思います。それを見てほかの党に対する質問なんかもしたいと思っております。ちょっと聞いただけでははっきり概念がつかめなかったところがありますから。
  18. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私も関さんの意見に賛成なんだけれど、そうすると、世話人会で、つまり記録も とらないでやるのがいいのか、もう一度文書ができてから、記録もとっていろいろお互いに質問をまとめてきて、小委員会としてやるのがいいのか、そういう問題も出てくるような感じがしますね。
  19. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) いかがでしょうか、きょうの意見整理をしまして、整理ができたところで、その後の扱いをいかがすべきかは一度世話人会を開いた上で、また小委員会にするかあるいは引き続き世話人会で実質上詰めるかということは御相談したいと思います。
  20. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 自由討議というのは余りやったことがないでしょう。だから、一度これに基づく自由討議を小委員会でやってみるのも、新しい意味を持っていいんじゃないかなという感じがするんですが。
  21. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) ほかに御意見なり質疑がありましたら。
  22. 中西一郎

    中西一郎君 それも世話人会で御相談なさったらいかがでしょうか。
  23. 矢田部理

    ○小委員長矢田部理君) 特別質疑もなければこの程度で終わりたいと思いますが、次回、お話がありましたように、世話人会で今後の進め方については改めて御相談申し上げたいと思います。  以上で小委員会を終わりたいと思います。  本日はこれにて散会をいたします。    午後二時四十分散会