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政府委員(川崎
雅弘君) ただいま
基本的な方向につきまして
大臣から御答弁を申し上げましたが、私の方から
先生の御
指摘のございました点につきましてやや技術的に御説明を補足さしていただきたいと存じます。
まず、
先生御
指摘のように、地震にはプレートテクトニクスといいましょうか、大陸のプレート間の運動がもたらします大型の地震と言われるもので、いわゆる別の言葉では海溝型の地震というのがございます。それともう
一つは、
先生が御
指摘になりましたマグニチュード七クラスのいわゆる内陸型あるいは人間活動の中心での真下で起こるという
意味で直下型地震というふうな区別をしておるわけでございますが、
先ほど御
指摘のように、私
どもの海洋
科学技術センターが保有します「しんかい二〇〇〇」でも、海溝型の地震の源になるいわゆるプレートの移動
状況については、相模トラフで現に肉眼で観測することができておりますし、それから地震予知の観測
強化地域にこの東海地区が指定されており、非常に網目の濃い観測網が現在つくられております。その結果、現在の段階ではこの海溝型地震といいましょうか、M八クラスと言っておりますが、このような地震についてはある程度予知が可能ではなかろうかというようなことから、気象庁に現在地震予知のための判定
会議が設けられて現在日々活動をしておる
状況でございます。
一方、マグニチュード七クラスになりますと、いわゆる平野部の直下型地震でございまして、現在のところ観測の網の目が比較的薄うございます。それからもう
一つは、いわゆる
経済活動が非常に活発でございますので、予兆と見られるような細かい地殻の変動あるいは地殻の滑りといいましょうか、位置が少し相対的にずれるというようなことを細かく観測をしていくことが
一つは困難になっておるため、データが十分蓄積されていない。そのようなこともございまして、なかなかこの内陸型について現時点での予知というのが可能かどうかは学者間でもいろいろ
意見が分かれている
状況でございます。
しかし、私
どもといたしましては、被害の大きさから考えますと、このようなものが大変重要な私
どもの生活に
影響を与えるものと考えておりまして、
昭和六十二年度から初年度として二億五千万円をつぎ込みまして、この直下型地震についての
メカニズムをまず探るための研究に
関係省庁と力を合わせて取り組むことにいたしておりますし、また、より精緻な観測をするために、これも在来から国立防災
科学技術センターにおいてやっております深井戸、これは三千メートルぐらいの地底に
設置をするものでございますが、そういうものでの観測をやっております。
しかし、これだけでは到底だめでございますので、特に今年度からは
一つは
アメリカと
協力をいたしまして、
アメリカの上げました人工衛星を使いまして、精密な位置のずれを測定するためのポイントをそれぞれ観測網を張るということにしております。
科学技術庁では、本年十カ所にその側位をするための地点を設けております。このシステムは、訳が難しゅうございますが、グローバル・ポジショニング・システムと言っておりまして、地球の位置測定システムというようなシステムでございます。
それから、もう
一つの
方法といたしましては、
一つ非常に深い井戸の中に幾つかのセンサーを組み込みましたいわゆるボアホール型の複合観測装置というようなものを開発をいたしまして、これを深井戸の中に埋めることによっていわゆる多面的な地震予知に関連をする情報を得るようなシステムをつくるという技術開発を現在行っておるところでございますが、これは一たん掘りました後埋め込んでしまいますので、いわゆるその機器、センサーの寿命というようなものをどのように
評価するかというあたりが開発の大きいポイントになっております。
いずれにしても、今申しました二つのいわゆるハイテクを駆使して、
経済活動のいわゆる動乱要因はございますけれ
ども、それを克服して予知に必要な基礎的なデータをこれから
努力して積み重ねていく以外予知への展望は開けないものと思っておりまして、
努力をいたしておるところでございます。何とぞ御
理解のほどをお願い申し上げます。