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松岡滿壽男君 三月一日に
運輸大臣の所信表明をお伺いいたしたわけでありますけれども、改めて運輸
行政が広範多岐にわたる、非常に幅が広くしかも奥行きの深い
行政であり、また
国民生活に、あるいは国土の形成に非常に重要な役割を担っておる
行政であるということを感じた次第でありますが、せっかくの機会でありますから、いろいろと伺った感想なり所感を、激励の意味を込めて申し上げて、また御所感等があればお伺いいたしたいというふうに思うわけであります。
申すまでもなく、現在の経済社会情勢、高齢化社会、高度
技術社会、情報化社会あるいは
国際化という大きな環境の
変化に遭遇しておりまして、その中で、まず何といいましても経済構造調整、さらに産業構造の調整、その中でいかに内需を拡大していくか、民間活力の活用、こういう分野でも運輸
行政が資する部分が非常に大きいわけであります。さらに、
東京一極集中の中におきまして、多
極分散型国土づくり、このいわゆる新全総、三全総と引き続いて
地方分散の思想を掲げながら現実はやはり一極集中に現在のところなってきつつあるわけでありますけれども、こういう多
極分散国土づくりにつきましても、非常に運輸
行政の関与する分野が大きいわけであります。
さらに、我が国は現在GNP
国民一人当たり一万九千ドル、まさに経済大国になったわけでありますけれども、それぞれの生活実感から見ると、さまざまな分野におきまして生活大国とは言いがたい、いわゆる生活小国ではないか。これをやはり生活大国に持っていかなければならない。その中ではやはり生活にもう少しゆとりが必要である。いわゆるレジャーの問題、レクリエーションの問題、労働時間の短縮の問題、非常にすそ野の広い分野でありますが、そういう大きな政策課題というものがあるわけであります。
当然、運輸
行政におきましても、そういう大きな社会経済情勢の
変化にどう
対応していくのか、さらに、今申し上げましたような当面の二十一世紀に向けての大きな政策課題にどのように挑戦していくのか、こういうことが非常に重要な時期になってきておるんだと思います。先般来、安全
確保の面から、いわゆる許認可官庁としての非常に重要な役割もあります。さらに、港湾を
中心として
建設関係、国土の
建設につきまして
建設事業という大きな問題も控えておる。しかし同時に、今
運輸省に求められているのはやはり政策官庁としての脱皮だというふうに思うわけであります。そのように大きな政策課題に向けて挑戦しているという意欲というものが、
大臣の所信表明の中でほのかには見えるわけでありますけれども、どうも若干希薄な部分があるんじゃないかということが気になるわけであります。
ただ、先日の
質疑でも石原
運輸大臣がお答えになっておりましたが、非常に簡潔に文章をまとめておられるということでありますからそれはやむを得ない部分があると思うんですけれども、まず一点、「四全総にも示された」と、「にも示された定住と交流による多
極分散型国土形成を基軸とし、」というような表現は、どうも何か、真っ正面から四全総に取り組むという印象が薄いという感じがこれは否定できないような気がいたすわけであります。せっかく運輸
行政につきましては
国民の期待も大きいし、これから大いなるロマンと夢を持って取り組んでもらわなければいけない省庁であると思うわけでありますから、
大臣の処女作の「太陽の季節」じゃないですが、運輸の季節に向けて、大いにひとつ
皆さん方頑張っていただきたい、このように思うわけであります。
まず第一点は今申し上げました四全総の問題が若干気になるということと、それから、言葉を云々するわけじゃないですが、
最初に、「我が国の社会・経済は、
国際化や
技術革新、情報化の進展等」、「等」と書いてありますからこれはいいんですが、普通ここでは高齢化という言葉が一つ入るのが通例だろうと思うわけでありますが、運輸
行政も高齢化社会に向けていろいろな取り組みが当然必要なわけであります。この高齢化の問題、さらに、ひところ
地方の時代ということがもてはやされたわけでありますが、現実には非常に厳しい
状況に置かれている。私も
地方自治体の長としてその時代頑張った記憶があるのですけれども、
地方における文化というもの、やはりそういう文化の保存、継承、さらにはそれを創造していく、こういう営みが
地域の中で自然になされていかなければ、本当の意味での多
極分散というものはできてこないわけでありまして、せっかく文化大国を目指して石原
運輸大臣が誕生された、
運輸大臣の所信表明の中で、この文化という字が一字もないというのはまことに残念のような気がしないでもない。
そういう感想を一つ申し上げておきたいと思うんですけれども、
大臣の方で御意見でもございましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。