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1988-03-31 第112回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野 鉄造君     理 事                 真鍋 賢二君                 松岡滿壽男君                 安恒 良一君                 中野  明君     委 員                 伊江 朝雄君                 坂元 親男君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 二木 秀夫君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 穐山  篤君                 小山 一平君                 田渕 勲二君                 小笠原貞子君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  石原慎太郎君    政府委員        警察庁交通局長  内田 文夫君        運輸大臣官房長  棚橋  泰君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部長        兼内閣審議官   井山 嗣夫君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省国際運        輸・観光局長   中村  徹君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省貨物流通        局長       中島 眞二君        運輸省海上技術        安全局長     間野  忠君        運輸省海上技術        安全局船員部長  野尻  豊君        運輸省港湾局長  奥山 文雄君        運輸省航空局長  林  淳司君        海上保安庁次長  大塚 秀夫君        建設省道路局長  三谷  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    説明員        外務大臣官房領        事移住部外務参        事官       田辺 敏明君    参考人        首都高速道路公        団理事長     淺井新一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (運輸省所管)     ─────────────
  2. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  予算委員会から委嘱がありました昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管を議題といたします。     ─────────────
  3. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日、首都高速道路公団理事長淺井新一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 安恒良一

    安恒良一君 まず政府側にお願いしておきますが、百分間で六件ぐらいいろいろなことを聞きたいと思います。私も簡単に聞きますので、お答えをできるだけ簡潔に要領よくお願いします。  まず最初に、トラック運送業における増車あり方についてちょっとお聞きしたいんですが、現在は、増車申請があったらどういう形で増車は認められていますか。
  7. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) トラック増車申請につきましては、申請が出ました場合、区域のトラック事業の場合でございますが、最近は非常に需要も伸びてまいっておりますことから、特に景気の悪い状態の場合以外は、公示しました一定の基準に従って、その基準を満足しておれば直ちに増車を認めるという一般的な方針でやっております。
  8. 安恒良一

    安恒良一君 そこでちょっと大臣その他にお聞きしたいんですが、実は佐川急便、問題を起こしまして、これは異例のことですが、全国特別査察を行いました。九州の例だけ挙げますと、査察が行われ処分決定をされていないのに、例えば九州佐川急便は六月三十日に申請を受け付けています。ところが処分決定は六十二年の八月三十一日です。以下、時間がありませんから九州の事例を全部申し上げませんが、私はこういうやり方というのは問題があるんじゃないか。そして増車を認めたのはなるほど十二月十七日に申請どおり四十になっていますが、違反内容がたくさんあるわけです。その違反内容改善されたかどうかということも確められているかどうかというのが非常に心配。  例えば一つの例を挙げますと、いわゆる鹿児島佐川急便の場合には、十月九日に受け付けて、そして十月十五日に十八車両を認可している。ところがここは違反がいろいろありまして、いわゆる処分内容は五十二車両ですね。事業計画の変更とか点呼、乗車記録整備点検等々たくさんの違反をしているわけですね。そういうものが、違反の事実が直ったか直らないかというのは、わずか九日に受け付けて十五日で点検ができるはずがないと思うんです。  ですから、私はひとつこのような、今宅配便等増車申請が出ていることはよく知っていますし、その増車申請を認められることも結構だと思います。思いますが、少なくともこんな重要な違反を起こしたところについては、その違反をした中身が直っているかどうかということをやっぱり確認をした上で増車を認めると、これが普通じゃないか。例えばタクシーなんかはちょっとした違反をしても、増車申請が出ますと半年から一年タクシーを待たしてあります。トラックだからといって簡単に私はやるべきでないと思いますが、こういう点について、これは起こったことはやむを得ません、今後いわゆるトラック運送業から増車申請が出た場合、ここに書いているようないろんな違反指摘をされた場合のあり方については変える必要があると思いますが、どのように変更されますか。
  9. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) ただいま御指摘佐川グループにつきましては、九州運輸局管内につきましては増車基準公示されておりまして、増車の許認可は各府県にございます陸運支局所管になるわけでございますけれども、そこで公示をいたしておりまして、その中に法令の遵守状況という項目がございまして、九州の場合には処分終了後一カ月以上は経過していることということがございました。  そこで、ただいま例にお挙げになりました鹿児島佐川急便につきましては、五月二十九日の処分でございまして、実際に車両使用停止処分が終了いたしましたのは七月の三日でございます。その後処分の事由となりました違法、違反状況につきましては改善報告を求め、かつ、職員が現場に臨みまして改善状況確認いたしまして、個々の処分の原因になった事項についての改善確認をしたわけでございますが、御指摘のとおり増車につきましての申請が十月の九日にございまして、十月十五日に認めておるわけでございます。  そこで、九州の場合の基準は、今申し上げましたように処分終了後一カ月ということにいたしておりますけれども、この佐川グループにつきましては、安恒先生の御質問を契機にして、当時の橋本大臣の御指示により、全国的に一斉に監査を行いまして、それぞれ違反状態について厳しい処分をしたわけでございますので、そういう事柄の重要性に鑑みますと、今回の増車処分は、公示基準には適合していますけれども、やはり適切さを欠く面があったと思います。これについては改善措置を講じたいと思っております。
  10. 安恒良一

    安恒良一君 特に査察中であんた、処分がまだ決定されてないんですよ。そのときに大体増車申請が出たら、私だったら、おたくはまだ特別査察中であります、処分決定できていませんと、そういうときに増車を持ってこられるのは遠慮してもらいたいと、こういう指導をするのが当たり前ですよ。何か法律どおりやっているからいいじゃないかと言わんばかりの言い方をしよるけれども、そんなばかなことない。大臣特別指示において警察まで九州の場合に入っているんですよ、警察権力まで。そういうところに、まだ処分が決まらないのに、申請があったらほいこらほいこら受け付けておる。そして処分が出た後一カ月たてばそれでいいじゃないかということは私は行政として誤りだと。  ですから、こういう点について、今後このようなあり方を改めてもらいたいと思いますが、大臣どうですか。
  11. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 先般この問題について安恒委員から御指摘を受けたことを局長から報告を受けました。私業務の詳しい内容についてつまびらかにいたしませんけれども、違反についてチェックをする方と増車申請を受理する窓口とそれぞれ違うのではないかと思いますが、いずれにしろ、それはやっぱり横にまたいで連絡をとりながらきちっとした行政処分、判断をしなくちゃいけないと思います。やっぱり、一月たちましたからということでは済まないという気がしまして、局長からそれじゃ大臣大体どれくらいが妥当だと思われますかと聞かれたんで、私はやっぱり最低半年は要るんじゃないかということを申しました。  そういう点で、先般開催されました地方運輸局長会議で、この種の事案については六カ月以上の期間を置くように改善方指示しました。近く通達によってこれを徹底するつもりでございます。
  12. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひ通達をきちっと出して――、私は増車を認めてはいかぬとは言っていないんで、増車すべきものはすべきだ、しかし、正すべきものを正さないで中途半端に増車をしていくということはまた過ちを起こすことになりますから、ぜひ変えていただきたい。  次の問題に入ります。  地方バス補助制度についてお聞きしたいんですが、昭和六十四年度で現行補助制度の期限が来ますが、この扱いはどうする考えでしょうか。どのようにこれを扱っていかれる考えか、お聞かせください。
  13. 熊代健

    政府委員熊代健君) 御指摘のように、地方バス補助につきましては、バスマイカーの普及によりましてかなり苦しい経営になったことを踏まえまして、昭和四十一年から離島バス補助ということから始まっております。昭和四十七年に現在の原型のような形になりまして、その後御指摘のように、予算補助でありますので財政当局とのお約束で一応五年間ずつで区切って、その後はかなり改善をしつつ現在に至っております。  御指摘のように、六十年度から六十四年度までは現在の地方バス補助ということになっておりまして、運輸省といたしましては、モータリゼーションあるいは過疎化の進展といったような状況が特に変化がない限り、予算補助ではございますけれども、この制度地方のいわゆる最後の公共的な足の確保という観点から六十五年度以降につきまして、またその時点で再度見直すことになりますけれども、基本的には情勢変化がない限り継続をする、次の五年間の補助要綱をつくってやるということで財政当局お話をしていきたい、このように思っております。
  14. 安恒良一

    安恒良一君 六十三年度は、運輸大臣を初め担当局長皆さん方の大変な御尽力で、おかげで初めて百億十六万円ですか、百億の大台を超えて過疎地域バス確保に大変な御協力をいただいているという点は、やはり過疎バス地域に住んでいる国民はもちろんのこと、そこで働いている労働者従業員も含めて喜んでいる。しかし、もう依然として、やっぱりバス離れ傾向に有効な対応策がなかなかないわけですね、これはお互いに一生懸命頭を使っても。そうは言いながらも、やはりここにされている第三種生活路線補助や第二種、こういうものは地域活性化からいっても重要な役割を私は持っていると思います。  ですから、局長から今後さらに五年間延長して存続だということでありますが、どうぞ現行制度改善を図りつつ、よりすぐれた制度の確立に向けて、さらに運輸省の方も研究を進めてもらいたい。まあ私は私なりに、今のいわゆるこの補助金補助がいいのかどうか、法律補助がいいのかといろんな議論を何回かこの委員会でもしたところでありますが、それをせっかちに今結論を求める気はありません。しかし、いずれにしましても、やはり私は現行制度改善を図りつつ、より立派な制度ができるように、しかも今の制度を存続するようにということを強く要望したいと思いますが、大臣の御決意をお聞かせください。
  15. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 多極分散型の国家をつくるというのは内閣の大眼目でございますし、そのためには地方活性化というのは欠かすことはできませんし、また、そのためにバス路線確保というのは大事な要件だと思います。  委員が御指摘のような努力を、今後も続けていくつもりでございます。
  16. 安恒良一

    安恒良一君 それとちょっと関係するんですが、今度は、大都市では国際化時代ということで大都市機能多様化が進んでいます。そこで公共交通もこれに柔軟な対応を求められているからやっていかなきゃならぬと思いますが、まあ鉄道部門はかなり深夜まで運行が続けられているわけですね。ところが、最近になりますとバスの深夜運行、終夜運行という国民ニーズが高まってきておりますし、やはり我々はこういうものにも当然こたえていかなきゃならぬと思います。  ですから、いずれ深夜バスとか、場合によれば終夜運行ということに、これはそこに携わっている者としては踏み切らざるを得ない傾向にあるわけですが、こういうものについての需要予測運輸省としてどうされているのか。また、今後どういう対応運輸省としてする方針をお持ちなのか。いわゆる大都市におけるいわゆる国際化といいますか、都市機能多様化のもたらすこの交通機関の問題についてちょっと考え方を聞かせていただきたい、特にバスについて。
  17. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生指摘のように、大都市、特に最近では東京におきまして都市機能の活動がかなり深夜、場合によっては一晩じゅう続くというようなことがございます。これらに対しましては、基本的に我々としましては先生指摘のように、まず電車を需要に見合って終電を延長する、それから次の段階として、その端末を中心にやっておりますバスの終バスの時刻を延長してまいる。さらに、御承知のように深夜にわたりますと深夜割り増し賃金といったような問題もございまして、御指摘のような深夜バスというのが運賃を通常の運賃よりも高く負担していただくということでやっておりますが、六十二年度におきましては、全国で百五十一系統、年間で約百五十万人の輸送人員が先ほど申し上げました深夜バスという形で行われている輸送をしております。  さらに、その後の状況でございますが、これは東京と大阪あるいは名古屋といったところ、多少違っております。東京運輸局等におきまして二十三時時点で帰宅している率がどうであるとかいったような基礎的な調査に基づきまして、逐次、今申し上げたような線での延長を図る。ただ単純に外国が真夜中でも動いているからこちらも二十四時間動かせと、こういうわけにはまいらないと思いますので、需要予測という点になりますと、その鉄道なりバスなりの需要と実際に動かれる人がかなり違ってくる場合があります、ハイヤーを御利用になったり、マイカーを御利用になったりと。  そういうことで、非常に需要予測としては難しいんでございますが、さっき申し上げたような基礎的なデータを積み重ねながら逐次先ほど申し上げたような時間帯の延長を図っていくということで対応してまいりたいというふうに思っております。
  18. 安恒良一

    安恒良一君 私も、需要予測は難しいというのはわからぬわけじゃありませんが、やはりこれからこれを単に東京だけじゃなくて首都圏、それから関西圏とか中京圏とかそういう大都市周辺でやるとすれば、ある程度やはり運輸省中心になって関係省庁とも協力をされて、僕はやっぱりある程度需要予測というものを立てられる必要があるんじゃないか。そういう中で漸次このバスの深夜運行へというふうに移行をしていかなければあれじゃないかと思いますから、ぜひともこの際、いわゆる国民ニーズにこたえるためのバスの深夜運行需要予測について、運輸省は今度は政策局もおつくりになっているわけですから、政策省になったとおっしゃっているんですから、ぜひ一遍需要予測をやっぱりどのようにして立てるかということも研究されて需要予測をしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  19. 熊代健

    政府委員熊代健君) 御指摘のようなことを我々としてもやらなきゃいかぬと思いますが、なかなか難しい問題を抱えていると思いますので、今後地方運輸局等とも相談しまして検討は進めてまいってみたいと思います。
  20. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひお願いしておきます。  次に、今度はリニア整備新幹線の問題について聞きたいんですが、これは大臣自身がこのリニアに関心を持たれまして、西ドイツに行かれたですね。それからまた、いろんなやや不規則発言もこの問題でありまして、そんなことが影響して今や各地域においてもこのリニアモーター開発地域に導入の意欲が非常に高まってきているんです。  ところが、これは、これから少し聞きたいのは整備新幹線との関係、もうごっちゃになると大変でありますから、そこで、まず最初大臣リニア開発実用につきどのような考え方をお持ちであるか。また、いつごろこういうものが実用化されるとお考えになっているのか、大臣にまず所見を聞きます。
  21. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 講釈するわけでございませんけれども、人間の意識というのは、新しい技術にともするとおくれがちでございまして、実は気づいてみましたら日本マグレブ低温超電導技術はかなりのところまできております。これは立地条件によってはもうすぐ実用可能性がございまして、既に外国などからの引き合いがあります。  しかし、今御指摘のように新幹線ということの兼ね合いになりますと、距離が長くなり、また日本の地形からいっても、途中トンネルというものの必要が当然ございますし、その種の実験は今の実験線ではできませんで、これからまたそれを延ばすなり、新しい場所を構えてしなくてはなりません。ですからその調査費として一億八千万つけたわけでありますけれども、しかし一方、平たんな直線に近い四、五十キロの立地ならばこれは再来年ぐらいから優に実用に供するというところまで来ております。  しかし、これは新幹線とはかかわりのない条件でありますが、いずれにしろ、一方で整備新幹線、いろいろ今政府与党との連絡会議検討しておりますけれども、それがどういう順位で、どういうタイムスパンで着手されるかということとの兼ね合いだと思いますが、いずれにしろ、新幹線という長距離運送に今のマグレブリニアを供するためには、これからさらに数年の実験が必要だと思っております。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 実は大臣発言に対して、整備新幹線との関連で、六十三年度にリニア調査費を計上されましたが、これは、整備新幹線着工に非常に熱心な動きがある、だからちょっとこれをリニアの方に振り向ける、要求を拡散させる、こんな意図があったのではないかと。これ新聞が書いているわけですよ、私は必ずしもそうは思いませんけれども。ですから、整備新幹線着工との関係では、今大臣少し言われましたが、もう一遍、整備新幹線リニアについての関係についての大臣真意を承りたい。  というのは、実は私もある程度大臣と同じような考えを持ちまして、この委員会の中で、例えば九州の福岡から鹿児島まで、いわゆる新幹線をつくる経費リニア経費、時間等からいって、新幹線ができ上がったころにまたリニア実用になったら国費のむだ遣いじゃないかということを一遍聞いたことがある、橋本運輸大臣に。当時国鉄、運輸省当局は一斉に、とてもそんな二十一世紀まで間に合うものじゃありませんと、整備新幹線は。そういう長距離のやつですよ。そういう御議論がここであったわけですね。これはもう議事録あるわけですから。大臣がかわった途端に、今度はリニア新幹線にかわるようなことになってきますと、国民は大変戸惑うわけですね、自民党の内閣は一貫しているわけですから。  ですから、整備新幹線着工ということとこのリニアについての運輸大臣真意はどうでしょうか。
  23. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 新幹線に使用し得る、つまりトンネルの中のすれ違いというものの技術を克服した形でのリニア技術は、私は、正確なことは申せませんけれども十年以内には完成されると思います。また、それを急がなくてはならぬと思います。  しからば、その整備新幹線がどういう順序でどれだけの時間帯で着工されるかということになりますと、それとの兼ね合いになってくるわけでありまして、少なくとも現時点では、整備新幹線リニアを適用するという形で私たち考えておりません。ただ、予想外にこの技術が早く開発され、また整備新幹線着工がそれに合うような形で、おくれるというんでしょうか、その時間帯の中で決められるならば、また路線の態様によってはリニアということもあり得るかもしれませんけれども、現時点では私たち整備新幹線についてリニアを適用するという発想で事を考えてはおりません。
  24. 安恒良一

    安恒良一君 それではちょっと整備新幹線の方のことについて聞きたいと思うんです。  整備新幹線着工については、六十三年八月をめどに、政府与党整備新幹線建設促進検討委員会結論を得るということで、そして検討委員会の中に二つ部門を設けられました。いわゆる二つ専門委員会ですね。すなわち、着工優先順位決定する専門検討委員会、それから財源問題等専門検討委員会、こういうものが設けられて進められているということでありますが、本当に六十三年、ことしの八月までに結論が出るんでしょうかどうでしょうか。その点について見通しをお聞かせください。
  25. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生の御指摘のとおり、六十三年度予算編成に当たりまして政府与党の間で申し合わせが行われまして、その中で、今の先生お話のとおりの二つ専門委員会を設けて、その上部委員会にそれを上げて、それで結論を出すということになっておりまして、その申し合わせ内容の中に六十三年八月までに結論を得るということを定めております。  私どもの方としましては、この申し合わせを完全に実現するべく最大限の努力をしたいと考えております。
  26. 安恒良一

    安恒良一君 いや、完全に実現すべくと言うけれども、それじゃ、それぞれの委員会でやらなきゃならぬことについて決まっていますが、もうあしたから四月一日ですね。四月一日の御答弁ならエープリルフールということでこれは化かされもしようが、きょうは残念ながら三月三十一日ですから、そんな抽象的なことでは――ここに建設をするための専門委員会検討すべき前項がたくさん出ているんですが、あなたがおっしゃったように八月までに出すというならば、その二つ検討委員会でどこまで検討が進んでいるか中身を言ってみてください。
  27. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいままでのところ、まずは、一番上部委員会が一月に発足いたしまして、それで二月に優先順位委員会を一回、それから三月になりまして、二十九日でございますがもう一度いたしました。したがいまして、優先順位の方の専門委員会は既に二回行われておりまして、政府与党のメモの中に書いてございます検討事項のうち、建設費の問題とか、需要予測の問題とか、他の交通施設の状況の問題とか、そういったあたりにつきまして議論をいたしたところでございます。  それから、もう一つの財源問題等検討委員会の開催は、三月に一度開催されておりまして、今までのところの議論を踏まえました内容につきまして今一番最初の御説明をしたところでございます。今後は月に一遍程度の、最低そのくらいの専門委員会をそれぞれ開いて検討を進めていきたいと思っております。  それからもう一つ、優先順位専門委員会の方につきましては、政府与党の間のレベルだけではございませんで、交通関係の学識経験者を中心とします懇談会を発足いたすことを先日の三月の専門委員会決定いたしております。  現在のところはそのような状況でございます。
  28. 安恒良一

    安恒良一君 時間がありませんから、これはまた運輸の一般のときゆっくり聞きましょう。できもしないことをべらべらべらべら項目だけ挙げられたって、ここに項目は皆もらっていますし書いてある。私が聞いていることは、その項目の中身をどこまでどう議論しているかと聞いておる。あなたはこれも検討しています、あれも検討していますと言うが、こんなことは時間がもったいないから、きょうはこれはやめます。  大臣、私は、やっぱり時間がかかるならかかっていっていいんですよ。何もね、八月までと決められたから、やむを得ないからと、私から聞かれたからここに書いてある項目を読み上げよるだけです。こういうことも検討しています、ああいうことも検討していますと。私が聞いていることは、検討した結果どこまで議論が進んでどうなっているかと聞いているんですが、まあいいです。この問題は、きょうこれやっておったら、ほかの問題がたくさんありますから、このことはさておいておきましょう。しかし大臣、恐らく私は、今のような状況では、八月までに結論が出るというのはなかなか困難だと思いますよ、率直に言って。大臣ですから蛮勇をお振るいになるのかもわかりませんけれども、なかなかちょっとこれはそうはいかないでしょう。優先順位一つにしても、優先順位を決める委員会はできたけれども、じゃ、どこからかということになると、これはもう大変な騒ぎですからね。与野党こぞっていろいろあるわけですから、率直に言って。  そこで次に、議論を進めるために、そういう状況の中で、もう一つ今度新しく中央新幹線という問題が出てきていますね。JR東海は、これは場合によればリニアでもいいじゃないかと、いわゆる長距離実用線として、熱心な動きをJR東海の会社自体が打ち上げている。また、通過する山梨県なり三重県からも、ひとつリニアでもいいじゃないかと、こんな動きが出てきているわけですね。ところが、中央新幹線建設する場合には、全国新幹線整備法に基づくことにはならないわけですね。この全国新幹線整備法との手続をどうするのかということについて――というのは整備計画五線がありまして、これは今後順位を決めていこうと、こういうことになっているわけです。そのほかにここに今中央新幹線というのが出てきて、しかもそれには場合によればリニアでもいいじゃないかという意見がかなりJR東海の方も打ち上げているし、地元側からも出ている。そうすると、これとの関係について、例えば整備計画の五線よりも早く着工すると、こういうようなことが全国新幹線整備法によらないでできるんでしょうか、どうでしょうか。その場合、例えば民営鉄道建設しているようなやり方でこういうものは建設をするということにされるんでしょうか。そこらの、整備新幹線の方の五線の方はかなりもたもたしていますが、一方においては現在のいわゆる新幹線東京―大阪がもうパンク状態だと。その中で何とかしなきゃならぬということで、JR会社自身もかなり意欲を持って言っているわけです。そこらの考え方についてお考えを聞かしてください。
  29. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生指摘のとおり、整備新幹線全国新幹線鉄道整備法の中で、整備新幹線だけでございませんが、新幹線鉄道につきましてはどういうやり方をするかということがきちんと定められているわけでございます。それで、先生のただいま御指摘の中央新幹線は、御存じのとおり、基本計画路線と言っておりますが、まだ基本計画をつくっただけの段階でございます。それで、先ほどから御議論いただいております整備新幹線は、その基本計画をつくった後に整備計画をつくって進めていくという段階にまで達している新幹線でございます。したがいまして、基本計画路線である中央新幹線につきましては、整備計画をつくった新幹線をどのようにするかということの結論が出た後の段階の問題として行われるものだと思っております。  それで、もう一つの御質問の関係で、一般の鉄道新幹線との関係の手続といいますか、その進め方の関係でございますが、私どもは、一般に鉄道鉄道事業法に従って免許を受けて建設するという、そういう形になっておりますけれども、この新幹線鉄道に関しましては、特に基本計画から始まって国が強く関与していく法律体系をとっておりますので、全国新幹線鉄道整備法が優先した形で新幹線についてはその手続が進められていくべき問題だと考えております。
  30. 安恒良一

    安恒良一君 そこで今度は大臣に少しお聞きしたいんですが、まあお役人の答弁というのはそんなことになるだろうと私は予測しておったんですがね。ところが、一方においては非常に今の東海道新幹線がパンク状態にあるということで、国民ニーズが一つありますね。それから整備新幹線の方は、財源問題であるとか着工優先順位であるとか、在来線との取り扱いということで難問題ばかり控えて、やっておるやっておると言いながら、ずるずるずるずる後に行きよるわけですね。八月までにとても、これは私、大臣とかけをしてもいいと思いますが、八月までに結論が出るとは私は思いません。しかし、既に福島―山形間においては在来線の改良による新幹線の直接乗り入れ工事が行われていますね、在来線の。これもやっはり地元住民のニーズにこたえています。一方、大臣は、リニアについてかなり意欲的に促進の気球をばあんと大臣はあっちこっちで上げられるわけですね。  ですから、私はやっぱり、これだけニーズ多様化してきているんだと。だから、もう一遍運輸省も、今言ったような三つの問題ですね、整備新幹線の五線のあり方、中央新幹線に対する要望、一方においては急速にリニア開発が進んできている。そういう中で、例えば整備新幹線だけでなくて、僕は地域の要望に弾力的に対応するということを考えなきゃならぬところへ来ているんじゃないだろうか。今まで決められたことは、まず整備新幹線を小田原評定をしながらいつまでもいつまでも議論を続けていっている、一方においてはパンクしそうな路線も出てきている、一方においてはリニア開発が急速に進んできていると、こういう状況ですからね。私は、それらを含めてどうするかということをここらではっきり運輸省としての方針をお出しにならぬと、これみんな迷いますよ、国民は。このままだったら。その当該地域は特に迷いますね。  ですから私はこういう点について、例えば今大臣のお気持ちと国鉄担当総括審議官の言っていることは大分違うんですよ、気持ちは。これ、聞いているとね。率直なことを言って。ですから、そこらの問題を含めて私はニーズ多様化している。だから、もう一遍ここらで大臣として対応方針を――今言った問題がありますね、いわゆる整備新幹線五線の問題がある。それから中央新幹線の問題がある。一方、あちらこちらの地域からは、今度はリニアに対する強い要望が北海道でも出ている。あそこからもここからもたくさん出ていると、こういうことですね。それから、在来線を拡幅して新幹線を一部乗り入れていこうというやり方もしている。いろいろ、トンネルも開通した、橋も今度開通すると、こういうふうに状況がかなり多様化してきていますから、ここらで運輸省としては一遍やはり今言ったような大きな観点から、意欲的に、国民が迷わないように、こういうふうにしていくんだと筋道をきちっとおつけになるお気持ちはありませんか。大臣どうですか。
  31. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) おっしゃるように、行政が社会の進捗状況にそぐわないのでは困りますし、いろいろな可能性、交通手段に関してもいろんな開発がやはり出てまいりました。そういうものを考え合わせて、できるだけロスの少ない、そういう行政の進め方をしていきたいと思っております。
  32. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひ、今までの計画は計画でございますから、私はそれを全部御破算にせいなんと言っているわけじゃないんです。しかし、これだけやはりニーズ多様化した時代において、一つの方針が決まっているからそれをやっておけば無難だと。これはお役人としてはそれがあるんです。私がいつも言うように、日本の役人はフランスの役人と同じように非常に優秀なんです。優秀なんですが、しかし一方においては、パーキンソンの法則で、自分の権限が少なくなることと部下が少なくなることには絶対抵抗するわけです。それからいま一つは、大体決められた方針をやっておけば無難に自分が担当の間だけは何とか過ごせると、これがあるわけです。  しかし、一方においては、これだけ国際化が進んで、交通に対するニーズもいろいろなことが出てきていますからね。そうすると、やはりもう一遍今までの方針をこの際謙虚に振り返ってみる必要がある。そして、改めるところは改めるし、追加すべきものは追加する。これが運輸省がいわゆる今までのような現場中心行政官庁じゃなくて政策官庁になったんだと、こう言って、大々的ないわゆる組織変更も何年か前にされたわけですから。組織変更はされているんですが、どうもまだそれが運輸省全体としてそういうことが私は軌道に乗っていないと思うんです。  だから、ぜひ大臣のもとにおいて、私が全般的に今言ったようなことについて、これはやっぱり検討してみる必要があると思いますが、ぜひ大臣やっていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  33. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) おっしゃるように、行政の基本方針がもし時代の進み方にそごを来しているならば、それを思い切って変えるのも私は政治家の責任だと思います。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 では、この問題は終わりたいと思います。  それでは、参考人、お待たせをいたしました。  まず私は、首都高速公団の問題についてこの運輸委員会で取り上げ、また幸い御賛同を得まして、参議院の運輸委員会としてみんなで調査に行きまして、この調査は非常に有効だったと思います。そこで、きょう少しお聞きをしたいのは、その調査の結果、これは首都高速公団だけを責めてもなかなか問題は解決できないなと、どうしても警察当局運輸省それから建設省を含めての協力がないとできないということを私はあの一日がかりの運輸委員会調査の中で考えたわけです。そんな観点から、少し首都高速公団の問題についてお聞きをしたいと思います。  実は、ここで取り上げた経緯は、御承知のように料金値上げで国民の怒りが一挙に爆発をした。料金だけ上げる、混雑緩和を全然しないじゃないか、さらに利便性がないじゃないかというようなことで、この委員会で取り上げられた。これは私だけ取り上げたわけじゃなく予算委員会の中で他党からもいろんな問題が出たところです。  そこで、まず公団の理事長にお聞きをしたいんですが、前に運輸委員会で取り上げた以降、今申し上げたような渋滞の緩和、それからいろいろの利用者のニーズにこたえるための諸要望事項、こういうような問題について、簡単で結構ですから、我々も調査しているからわかっておりますから、項目別にいって、この点とこの点はここまで改善ができた、この点についてはこれから改善をする、それからその改善をするに当たって、公団だけの力ではやはりどうしても不十分な点があるから、こういう点は、例えば建設省の御協力を得たいとか、警察当局協力を得たいとか、運輸省協力を得たいと、こういうことを整理して、理事長からお答えを願えれば幸いだと思います。
  35. 淺井新一郎

    参考人淺井新一郎君) お答えいたします。  先日は、委員会で御調査をいただきまして大変ありがとうございました。  先生の御質問の点でございますが、その後いろいろ進めておりまして、渋滞対策としては、抜本対策としての中央環状線の整備とか、出路の増設等の促進に鋭意努めておるわけでございますが、当面の渋滞対策として、また利用者サービスの改善という観点から既にやっておりますものは、御承知のように、用賀それから永福、志村、箱崎といったようなところの公衆電話の設置、トイレの設置というようなことをやっております。そのほか図形情報板等につきましても当面必要な箇所については設置いたしておるところでございます。  今後実施いたしますものとしては、図形情報板それから街路情報板、情報ターミナル、それから路側放送等の増設を図ってまいりたいということと、公衆電話、トイレ等についてはさらにこれらの施設の充実を予定いたしておりまして、これらを積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 公団の理事長ですから、建設省や警察に対する要望はおっしゃいませんでしたが、まああなたの口から言いにくいんでしょうから、私から漸次聞いていくことにしましょう。  まず、公衆便所問題一つとらえましても、なるほど、問題を提起してからつくっていただいて、便利になりました。ところが、今利用する者のニーズの中で一番なのは、いわゆる環状線、この環状線の中にトイレがないと、こういうことなんです。それでこれは、私はなぜ環状線につくらないのかと事情を聞いたら、交通安全の観点からなかなか警察との間にお話がつかないんですと、こういうことを言われていますが、私は、環状線の中においても車が一時待避できる場所があるわけですから、それは今箱崎につくったような大々的なのはとてもつくる土地はありません、しかし私は、簡易のつくり方があるだろうと。ただ問題は、そこを利用するのが余り多過ぎますと車がはみ出る、はみ出たところは高速で走っているから事故と、こういうことで警察当局はなかなかうんと言われないんじゃないかと思いますが、私はそこらの問題について、きょうは交通局長も来ていただいていますから。私は、今日の渋滞の中で、やっぱりあの環状線の間に簡易便所が全然ないなどということは、結局、テレビにも出ましたね、ビニール袋を持って車の中で用を済ませるということなんですよ。私は安全ということはよくわかりますよ。交通安全も必要なことですが、建設省と警察庁と道路公団との間にもう少し知恵を働かしておやりになったらどうか、この点が一つ。これは建設省と警察と両方に聞きます。  それからもう一つ。いろんな掲示板も大分できてきました。ところが、私が一番強く要望したのは、入ってしまってから渋滞だと、こう出てももう遅いんですよ。なかなかおりられませんからね。だから、入る前に渋滞がわかれば、今は入り口閉鎖という方式をとっていますが、それ以外にも、私はドライバーみずからが判断して、乗らないと思うんですよね。だから入る前の方向掲示板をつくったらどうかということも注文しておったんですが、これもなかなか警察の方がうんとおっしゃっていただけないと、こういうことがありますが、そういう点についての何らかの方法を警察としてはお考えにならないのかどうかということ。  まず、その二つについて、ひとつ警察とそれから建設省のお考えを聞かしてください
  37. 内田文夫

    政府委員(内田文夫君) お答えいたします。  まず、トイレの関係でございますけれども、先生おっしゃるとおり、環状線の中があれだけ渋滞をしていて、トイレなりそういう施設が当然必要だという認識においては全く同じでございます。現実問題として、警察で反対をしているというそういう事実はございませんで、この環状線外では、ことしの二月ですか、四カ所できたわけですが、これは公団から協議がありまして、我々もその協議で動いているわけでございます。今お話しの環状線につきましては、現在私ども協議を受けておりません。どこに設置するということとか設置の点についてお話は伺っておりません。私どももお話があれば前向きで検討いたしたいと思っております。もちろん安全の問題といいますか、そこから出入りする場合、やっぱり少しでも安全にということで、例えば隅切りをどうするかとか、そういう問題については協議しなければいかぬと思っておりますが、基本的にトイレの設置に反対をしているとか、特に安全についてここに大きいものをつくれと言っているとか、そういう事実は全くございません。  それからもう一点、信号板の関係でございますけれども、現在まで、入路の周辺に高速道路の案内といいますか、そういう標識はいろいろ立っているわけでございます。私の承知しておりますのは、東京で何か百八十八カ所立っているということを聞いておりますが、確かに渋滞を早く知るという表示が現在ない。これはそういった渋滞表示というものが整備され始めたのは最近だということもあろうかと思います。我々といたしましても、現在これだけ渋滞をしていますと、高速道路に乗る前に、外で渋滞の状態がわかる、さらに言えば、今度は高速の上から下へおりる場合に、下の道路がどう込んでいるかということも整備されなきゃいかぬ時期に来ていると感じておるわけでありまして、そういった意味で、現在、そういった調整ができなくておくれているという問題はないと思うんです。現在、むしろ前向きに、お互いにそういうものを整備していこうということでお話しをしているところでございます。
  38. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) まず、トイレの問題でございますが、確かに御指摘のように、環状線には今トイレがございませんで、簡易便所を設置するということの必要性につきましては、十分認識しております。現在、首都公団で、例えば先ほど御指摘のありました避難場所を利用するとか、いろんなことがございますけれども、何かほかの場所、例えば管理所なんかを利用してできないかとかというようなことで、いろいろ具体的に設置場所等を検討しているところだそうでございます。私どもも、できるだけ早くそれができるように指導してまいりたいというふうに考えております。もちろんその際警察当局ともいろいろ御相談をしながらやっていくと、こういうことになろうかと思っております。  それから渋滞対策でございます。  渋滞対策につきましても、これはいわゆる高速道路だけではございませんで、一般有料の、あるいは普通の道路の情報の問題等にも絡むと思いますが、いずれにいたしましても、首都高速道路公団と警察の方との渋滞情報、こういうものについては協議が進んでおりまして、交通管理者と一体となりまして渋滞情報とかあるいは道路情報の提供の拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。  現在、渋滞状況を示す可変情報板は百十六カ所、それから入路の開閉を示します街路情報板は百八十八カ所設置されております。御指摘のございました、利用者の利便を図るための、入路の手前でいち早く本線の渋滞状況を提供する街路情報板でございますが、これも積極的に設置していく方針でございます。  それからなお、ちょっと違う観点から、首都圏の交通情報ということで、道路交通情報センターにおいても適宜ラジオ、テレビ等でいろいろ情報を流していただいております。
  39. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、これ所管は、率直に言って主として建設大臣になって、運輸大臣は何か料金を値上げするとき相談にあずかるだけ。しかし一応これは建設大臣運輸大臣の共管になっているわけです。きょうは建設大臣がお見えになっていませんから、今ちょっとお聞きをしますと、警察の方は、いや相談さえあればおれの方は協力するんだ、まだ相談を受けていないと、こう言うわけですね。建設省は建設省と。公団の総裁は、我々が調査に行ったときのあれは、やはり安全性の観点から非常に難しい、こう言われています。今そのことの食い違いをここで私は取り上げる気はありません、こんなことをやったって意味のないことですから、食い違っておったことを。  そこで私は、やっぱり建設大臣お話しくださいまして、建設省、警察庁、運輸省、それからいわゆる公団、この間のやはり連絡会議等を持たれて有効的な解決をしていただきたい。例えば、今言ったように一日に約百万台近く乗っているわけですね。乗る前に混雑かわかれば、乗らない人も出てくるのです。乗ってしまってから百何カ所どこ方面渋滞と書いてあったってもう遅いんですよ。だから私は、乗る前にそういうものが、情報板があればドライバー自体が考えますからね。乗って六百円取られるよりも取られぬ方がいい、こう思いますから、そういうもの等をですね。  それからいま一つ、私がぜひそういう連絡をやってほしいと思っているのは、今度は、乗ってしまって、込んでいるから途中でおりようと思ってもなかなかおりられぬ。その口をつくるのにどれだけかかるかということをこの前公団に聞きましたら、三年かかるとおっしゃった。一つのいわゆるエリアをつくるために。避難路といいますか、進入口とか出ていく口をつくるのに三年かかる。なぜ三年かかるかと聞いたら、まず一年は、おり口ができますと車がそこからどんどんおりますから、公害があるから、地域住民の賛成を取りつけるのに約一年かかる。それから工事がこれまた二年かかる、東京都で。一つの進入口をつくるだけで三年かかっておったのじゃ、いつになったら混雑が緩和するかわからぬわけです。  ですから私は、これはやはり大臣が積極的に建設大臣と話をされて、場合によれば自治大臣関係すると思うのです、これは東京都の問題がありますから。そこらで今いろいろ出ているこのニーズについて調整をして、もう少しテンポを早める。この前値上げして、大騒ぎになって、やっととりあえずトイレができた、方向板がなんぼかできたということですが、それを毎日毎日約百万台に近い車が利用しているわけですから、そういうような問題について、きょう私はここで警察のおっしゃったこと、建設省のおっしゃったこと、いろいろ承りました。公団側も聞いておられたと思いますから、やはり警察側も積極的に相談があれば協力する、こう言っておるわけですからね、建設省も積極的に協力しようと、こう言っておられるわけですから、ですから、あなたたちの悩みは大分解決したんじゃないかと思います。それがために私はわざと三省に並んでいただいてこれを聞いているわけですから。個別に聞くよりもいいと思って。  ですから、最後に大臣、やはり首都高速道路公団の渋滞緩和なりいろんな利用者からのニーズが出ていますが、そういうものについては、やはり本来からいうと建設大臣が一番ウエートをお持ちですが、やっぱり運輸大臣も、料金認可については運輸省の大きなあれになっていますから、今言った関係省の連絡会議でもつくられて事態の解決に当たっていただきたいと思いますが、大臣の所感を聞かせてください。
  40. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 私自身も通勤に首都高速道路を使っておりますけれども、本当に時間帯によっては当てになりませんで難渋しております。環境庁におりましたときに、関西の四十三号線の問題のときに、現場で関係者を集めまして、あの場合にはそういうことが初めてであったので、瞬間的に事が決まりましたけれども、今までこの問題に関してどういうレベルでどういう協議があったかは存じませんが、あるならあるでそれをさらに促進する、なければそういう機会をつくって、本当に可及的速やかにこの問題を、まあ完璧な解決は難しいと思いますけれども、できるだけ改善するように努力をいたします。
  41. 安恒良一

    安恒良一君 大体公団に行っておられるのはみんな、建設省と運輸省と大蔵省と東京都からあそこの理事さんは行っておるんです。天下りで皆行っておるんです。中心建設省が多いようですけれども、各省からも、公団の方に理事さんはそれぞれ派遣をしてこれをやっておるわけですから。私たち調査の結果、これは公団だけに任せておったらとても大変だなと。今言ったように、どうしても国を挙げてこの問題の解決に御努力を願わないと、公団だけで努力しても解決ができないと思いましたから、ぜひその方向でやっていただきたいと思います。  次の問題にいきます。  そこでこれは運輸省警察建設省にもお聞きしたいのですが、この調子で車がだんだんふえていきますと、東京や大阪は都市機能それ自体を喪失することになるわけです。これは高速道路だけじゃありません、一般道路も含めてですね。そして私はそれなりに諸外国を研究しますと、それぞれ、例えばニューヨークはニューヨーク方式、パリはパリ方式、ロンドンはロンドン方式、モスコーはモスコー方式、それからシンガポールはシンガポール方式ということで、いろいろな方式で車の渋滞を解消するためのいろいろな知恵を働かせている。それぞれの特徴ある知恵を働かせている。ところが日本だけは――私大分この問題を取り上げてきたんです。何か方法を考えなきゃいかぬじゃないかと。いわゆるマイカーがどんどんふえてくるばかりですからね。やはり大都市におけるマイカーが、マイカーというのは乗用車、トラックを含めて言っているんですよ。マイカーがどんどんふえてくる。一方でもう高速道路はもちろんのこと下も、高速が込むときは下も全く込んでいますからね、全然身動きならぬという状態が続くんですが、これらの車の制限について諸外国ではいろいろな英知を働かせてやっているわけです。日本だけは、幾ら私がこれを国会で取り上げても全然積極的にお取り組みにならないんです。  こういう点について、今後運輸省として、また警察庁として、このままで行くとますます都市機能を喪失してしまう。もちろん都市の分散とか多極化とか、こんなことは別ですよ、それは。そういう点について、今後どういうふうに対処していこうというお考えをお持ちか、考え方を聞かせてください。
  42. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) 大都市の道路混雑問題が重要な問題であることは運輸省としてもよく認識をしておりまして、このためにいろいろな対策を講じているところでございます。  まず、大都市の道路混雑解消のためには、大量の通勤、通学輸送のための交通量の負担が道路に生ずることを極力抑制する必要があると思います。また、道路交通におきましても、輸送効率の悪い自家用車から公共交通機関への転換を極力推進をしていく必要があると考えております。  こういう観点から、運輸省といたしましては、地下鉄の整備など鉄道輸送力の増強、都市バスのサービスの向上等、大量公共交通機関の整備に努めているところでございます。  次に、道路混雑解消のためには、物流活動に伴う貨物自動車の使用の合理化を進める必要があると考えておりまして、このような見地から、自家用車から営業車への転換、協同一貫輸送の促進、物流拠点施設の適正配置、VANなどの情報ネットワークの整備等を進めているところでございます。
  43. 内田文夫

    政府委員(内田文夫君) 御指摘のとおり、首都圏の交通渋滞というのは大変大きな問題でございまして、殊に警視庁、一線で実際に交通関係をやっている者としては、むしろ被害者といいますか、大変苦労をいたしておるわけでございますけれども、我々として、都市の交通機能確保ということを大変深刻に受けとめているところでございます。したがいまして、諸外国における規制等もいろいろ勉強をしたりいたしておるわけでございますけれども、やはり我が国の都市形態の問題とか道路整備の状況とか、いろんなことを考えていきますと、それをそのまま持ってくるというわけにはなかなかいかないんだろうと思うわけでございます。殊に、広域にわたって恒常的な乗り入れ禁止だとか、そういう規制をやるということになりますと、都市生活の問題、それからそういった物流の問題とか、大変影響が大きくて、実際には実施が困難なんだろう、こう思っておるところであります。  そこで我々といたしましては、間接的になるわけでございますけれども、路線バスの優先対策とか駐車規制、禁止の問題だとか、生活ゾーンの規制とか、そういったことによりまして総量を極力抑えていくということで対策を講じております。かつ、管制センターによります交通量の円滑化処理ということを行ってきているわけでございますが、いろんな対策を講じましても、先生おっしゃいますように、現状に大変問題点があるということは御指摘のとおりでございまして、引き続き、各種対策に努力をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  44. 安恒良一

    安恒良一君 今おっしゃったようなことでは、私は、本当に進んでいるんだろうか。例えば今交通局長は駐車規制の問題を言われていますが、本当に真剣に駐車問題にお取り組みになっているだろうかどうかというのは疑わしい。  なぜかというと、弁慶橋から一番奥まで、私どもの清水谷宿舎と麹町宿舎があるんですね。わずかあの間の駐車違反について、私は何回となく問題を提起した。というのは、清水谷に私はおりますが、我々ここから出ていこうと思っても、もう両わきに駐車してありまして、中一車線しか通れない。これは非常に危険なんです。ひどいやつになると出入り口にまで車を置いておるやつがおるわけですからね。たったあれだけのわずかなところの駐車違反について、何回となくお願いをしたんですよ、政府委員室を通じて。そうすると、お願いしますとね、一日、二日は、丸の内ですか麹町ですか、来てやっていますけれども、後もうほったらかしですね。そしてどうも聞きますと、常習的な駐車違反の人は余り捕まらぬ。たまたま取り締まりをやった日だけ一時利用した人が捕まっているというような話すら実は聞くわけです。  ですから私は、例えば駐車違反なら駐車違反についても、まあ日本は駐車場がございませんからね。運転手さんが乗っていて一時駐車されているもの、これは動かせるんですよ。ところが、そのまま放置してあるやつ、道路を駐車場と心得て、しかも明確にここには駐車してはいけませんというところに堂々と置いてあるやつを見逃す手はないと思うんですよ。やっぱりまず駐車違反なら駐車違反をきちっとやれば、相当私は道のスペースがあいてくると思います。  今交通局長は、なかなか基本的な計画は難しいから、とりあえずおれたちのやれるやつとして、駐車違反の問題もやっている、バスの優先レーンもつくっている、公共交通へ誘導と、こう言っておられますけれども、じゃ、そのバスの優先レーンがどれだけふえているのか。年々、そういう大都市において専用レーンがふえているのか。これも、こういうところで聞くとやっておるやっておるとおっしゃいますが、具体的な実績として専用レーンがどれだけふえたのか。私は、前はよく予算委員会のときに聞いたんですが、このごろは聞く意欲を失ってきたんです、余り進みませんから。そういう点について、今交通局長からたまたま当面の対策として、優先レーンの問題、専用レーンの問題なり駐車違反の取り締まりの問題なりをやっておるとおっしゃいましたが、本当に実効あるようにおやりになっているんでしょうか、どうでしょうか。それと、今後どうされるんですか。
  45. 内田文夫

    政府委員(内田文夫君) 確かに先生指摘のとおり、いろいろ問題があるわけでございますけれども、やはり根本的には車をとめるスペースがないと申しましょうか、これは東京都の場合、一日のある瞬間をとらえて、そのときの路上の駐車台数というのは十八万台あるわけです。そのうちのいわば十六万台は違法駐車だと。それは瞬間でございますが、一日の延べにすると相当な数になる。警視庁も一生懸命取り締まりをしているわけでございまして、実際に検挙しているだけで一日千二百台ぐらいの検挙をいたしております。しかし、それは全体の数から見れば確かに微々たるものだと思います。  そこで、あるところで取り締まります、終わるとすぐまた次が来てとまっている。我々も大変苦労するわけでございます。警視庁も苦労しているわけですが、例えば青山地区を一つ取り上げましても、あそこでとまっていると、それは違反であるし、確かにそれが渋帯の大きな原因になっていることは事実なんです。そうすると、そこでとまっているドライバーの方は、それじゃどこへとめますか、お巡りさん、駐車場を教えてくださいと。ところがないんですね、あの周辺には。とめるところは全くない。そういうような問題が根本的にはある。それだけ実際の駐車の需要がある。しかしとめる場所が、本当にその何分の一というぐらいしかないというのが根本的な問題であり、しかもその中で取り締まりに当たる警察官の数というものは限定をされております。人がここ数年ふえておりませんし、大変限定された中でやらなければならないということで、いわゆる危険性の高い、人に大変迷惑をかけている、そういったものを重点的にやっていくということ。  それから先ほど先生がおっしゃいました弁慶橋、あそこへ常時人を配置してやるというだけのやはり人の問題。したがって、時々回って警告をし、あるいは検挙をする。例えば弁慶橋のあの間の四百メートルを取り上げましても、昨年現場で警告したのが約千三百五十件ばかり、それから反則キップを切ったのが百二件、レッカー移動したのが四十三件と、こういうことをやっております。また、あそこにとまっている車を見てみますと、夜になると様子がやや違うかもしれませんが、昼間はドライバーが、運転する人が乗っている車が半分ぐらいある。したがって、警察官が行けば半分ぐらいは動いてしまう、いなくなるとまた戻ってくる、こういうことを繰り返しているのが現状ではなかろうか、こう思うわけであります。
  46. 安恒良一

    安恒良一君 いずれにしても、私はやっぱり運転手さんが乗らぬで置いておるやつはレッカー車で、今あなたが言われたようにレッカー車で持っていった数なんか非常に少ないと思うんです。やはり駐車場に入れるよりもあそこに置いておった方が安う上がる、こう思っておるのがようけおるわけですから、私はやっぱり、今あなたがおっしゃったように、駐車場が全体的に不足していますから、これはやっぱり運転手さんが乗っておっての一時的な駐車というのは、駐車場をつくらぬ限り根本的に解決しないと思うんです、それは率直なことを言って。しかし、運転手さんがおりてだれもいないまま置きっ放しにしてあるというのは私はよくない。  特にあそこにはホテルが二つある。そのときからもう問題になっておったわけですね。ホテルがあそこに二つ建って、駐車をどうするのかということを解決しないと大変になりますよということを実は私は当時申し上げたことがある。例えばホテルの入り口一つについても頭を使ってやっておかないと大変なことになるぞと言ったんですが、ホテルをつくるのは自由ですからね、とうとうできてしまって、結果的に今言ったような現象が出ている。これは一つのわかりやすい例で出しているんですが。  ですから、私はそういう点については積極的に、やはり今おっしゃったように駐車違反なら駐車違反というものをやっぱりきちっと取り締まるものは取り締まる。さらに路線バスのための専用レーンなり優先レーンをつくるものはつくる。こういうことは、これは今の行政としてできることなんですからやってもらいたい。  そこで私、これで時間をずっと費やすわけにいきませんので、これまた大臣にお願いしておきたいのは、日本の場合、人の住める面積における自動車の保有台数の割合というのはアメリカの十倍なんです。人の住める面積ですよ、アメリカの十倍です。ですから、どうしてもこういう問題が起きてくるわけですね。それが特に大都会に集中しています。例えば首都圏なら首都圏日本の人口の大体三〇%ぐらいが集中している。さらに車の保有台数になると、日本の車の保有台数が今五千万台ちょっと超えた、それから運転免許を持った国民が、ペーパードライバーを含めて六千万人おる、こういうこと。それが首都圏とか関西圏とか、こういうところへ集中するわけです。  どうしてもやはり運輸省を含めて、今やっていることはいわゆる公共交通への誘導とかいろいろなことを言われましたけれども、やっぱり抜本的に、諸外国検討しているやり方、例えばニューヨークならニューヨークの場合は、ある一定のところまで自家用で入ってくる、それから先は地下鉄やバスに乗りかえていくというやり方を積極的にやっていますね。モスコーならモスコーへ行きましたら、モスコーにおいては、いわゆる一定以上の車、大型トラック等を含めての昼間進入についての規制をしているとか、それからパリに行きましたら、大臣も御承知だと思いますが、パリはもう徹底的な一方通行をやるとか、その他、時間がありませんからマレーシアの方式とかロンドン方式とか言いませんけれども、やっぱりいろんな工夫はしているんですよ。だから日本もここまで来たら、大都市圏における交通渋滞のための政府としての何らかの工夫をしなきゃならぬところに来ているんじゃないか。  実は、私は予算委員会でも一遍、建設大臣、それから環境庁の長官、何人かの大臣にずっと質問したことがあるんです。そして大臣の意見がいろいろ分かれたから総理に聞いたら、いや安恒先生、実は今あなたから指名された五人の大臣の答え方がこのように多様化しておりますから、ちょっと私が一本の方式を言うわけにいかぬと、その当時はうまく逃げられたんですけれどもね、その当時の総理がそういうように。しかし、もう僕は考えなきゃならぬところに来ているんじゃないか。今言ったような、狭い国土の中でこれだけの渋滞というのは、一時警視庁が計算をされて、東京都における渋滞が国民経済にどんな影響を与えるかという統計が一遍出たことがあります、ずっと昔だったと思いますがね。ですから、やはりこれは運輸大臣中心になられて、建設大臣とか関係大臣いろいろありますからね、自治大臣も含めて。何かの方法を考えないと、恐らく都市機能自体が麻痺をしてしまう。  こういう点について、大臣のお考えを聞かしていただきたい。
  47. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 私も外国のそういう施策、幾つか存じておるものもありますけれども、その中で、日本に適用できるもの、東京に適用できるもの、できないものあると思いますが、いずれにしろ本当に極限状況に近くなってまいりましたので、各省庁またいでこういうものを積極的に協議する、そういう機会をぜひ持ちたいと思っております。
  48. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひ大臣、これは勇断を振るっていただきたい。なぜかというと、日本の自動車産業というのは非常に大きい産業ですから、雇用面にも関係しますね。ですからある大臣は、いや安恒さん、それをやると自動車の売れ行きで雇用に影響を与えるから、できないということを言った人もありますが、今や日本の自動車産業の力というのは、もうアメリカがびっくりするほどの力を今日持ってきているわけです。ですから、それらを含めて多面的な角度から一遍検討すべき時期に来ている。このまま政治が何もしないでじっと見ておくということはいけない。  例えば交通事故一つにしても、非常な御努力願っておっても一万人に近い交通事故死が起こっている。しかも、あれは御承知のように交通事故を起こして二十四時間以内の死亡者の統計であって、二十四時間たった後死亡しておる人についての統計にはあれは入っていないんです。そうすると、負傷者ということになると大体年間で今五、六十万人ですね。六十万人ぐらい、負傷者が。死亡者が大体一万人をちょっと切っていると。一時交通戦争ということで、ベトナムにおけるアメリカの兵隊の戦死よりもいわゆる交通事故で死ぬ人が多いということで大問題になって、総理府に交通対策室等が設けられて、その後一生懸命努力しておっても一万人をちょっと切った台から交通事故の死亡者がなかなか減らないというのが今の現状なんです。  そんなことを考えると、ある程度これは勇気の要ることです、そういうことは。今言ったことは、政治としてもかなり勇気の要ることですが、積極的に勇気を持って関係大臣がお考えになるところに私は来ていると思いますが、ぜひそれをやっていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  49. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 承知いたしました。
  50. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 淺井参考人、御苦労さまでした。
  51. 安恒良一

    安恒良一君 それでは次に、この前やりましたJRの経営問題と債務処理、この途中で、雇用のところで時間がなくて終わったんですが、この問題について伺います。  その後、JR各社がどういう経営状態になっているかということ、きょうで一年が終わります。それの大体収支見込み、それから来年度、六十三年度ですか、この四月一日以降の収支見込みも既に新聞に発表されました。いずれも当初考えておったよりも、大変な労使の努力その他があって経常利益が相当見込めることは間違いないわけですね。新聞にも発表されたし、私がこの前挙げた数字よりも少し、一部ではもっと利益が出そうだ。  そこで、私、まずお聞きしたいんですが、経常利益が相当見込めるということですから、これは非常に結構なことです。ところが、一方において巨額の長期負債が手つかずに残っています。ですから、国鉄、鉄建公団等の施設に係る長期債務のうち、旅客、貨物会社の承継した五兆九千億円について、経常利益の好調から、例えば六十二年度要償還額については、全額現金でこれを償還しますかどうか、その点について聞かしてください。
  52. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) JR会社が国鉄から承継しました長期債務は、現実に承継しましたのは本州の旅客三会社と貨物会社でございますが、それの六十二年度におきます要償還額を申し上げますと、東日本会社が三千二億でございます。それから東海会社が三百三十六億でございます。それから西日本会社が千三億でございます。貨物会社が百十七億。合計で四千四百五十八億に上ることとなります。これにつきましては、予定どおりこの六十二年度にその償還をするということでございます。
  53. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、要償還額のうち、償還額及び利子のうち、財投による借りかえ、それから自己調達資金による借りかえ、現金償還する部分、それぞれ分けてお答えください。
  54. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生の御質問のうち、財政投融資によります借りかえの金額が今手元にございますので、それを申し上げます。  東日本会社が千五十七億でございます。それから東海会社が百八十八億、西日本会社が三百八十九億、貨物会社は二十億、合わせまして千六百五十四億に上ります。  それで、その他の借りかえの問題につきましては、ちょっと今手元にその数字がございませんので、後ほど御説明するようにいたします。
  55. 安恒良一

    安恒良一君 それではやむを得ませんから、これは質問通告はしておったんですけれども、自己調達資金による借りかえと、それから現金償還にする分を分けて、後から資料をいただきたいと思います。  それはなぜかというと、旅客、貨物会社の承継する債務については、これはずっと将来まで抱えていくことは間違いありませんね、決められた金額については。そうすると、私は現金償還が行われないとこれは減っていかないと思うんですよ、借りかえやあれだけでは。そこはどうですか。
  56. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生の御指摘のとおり、この長期債務を借りかえで全部やっていくということになれば、当然減っていかないということでございます。
  57. 安恒良一

    安恒良一君 ですから、私は、経営が非常に順調だということであるならば、やはり現金償還というのをふやしていって利子分を減らしていかないと、これ、借りかえ、書きかえをやっておったら、いつまでもその債務は残る。というのは、当初予測しておったよりも利潤を上げた、民間会社だったら、当初予測しておるよりも利潤を上げますと、まず長期債務をどんどん償還していくんですよ、長期債務を。そしてその利払いを節約すると、こういうやり方を、これは民間会社の会計手法としては当然やるわけですから、例えばJRでも、きょうで一年が終わるんですが、そこで締めてみたら当初よりも利潤が上がった。こうなるとやはり現金償還をしていく、そしてできるだけ身軽になっていく。まあ一遍にはできませんよ、これだけの大きなあれですから。少しでも僕は身軽になっていくというやり方をやっぱりやらなきゃいかぬと思いますから、そのことを申し上げておきます。  そういう点は、そういう指導をされていくわけですね。
  58. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 会社の長期債務の償還原資といたしまして、資金繰り上の問題としてその利益の一部が充てられるということは当然のことだと思います。  それから、御質問の趣旨が、会社の利益をもっていわゆる繰り上げ償還、そういうことを行うということでございますと、これは貸してくれた債権者の立場もございますものですから、一方的に会社の方の意思だけでは物事が進まないということになるのではないかと思います。  いずれにいたしましても、長期債務の処理の問題につきましては、会社が経営上の戦略として会社自身の判断で考えていく話ではないかと考えております。
  59. 安恒良一

    安恒良一君 もちろん民間会社になったことですから会社が考えることですが、いわゆる国鉄が民営になりましたけれども、長期債務というものについては、これはこれから入ります清算事業団、引き継ぎ等含めて国民負担ということが出てくるわけですから、その限りにおいては、やはりそこらはまだ株は国が全部、一〇〇%持っているわけですから、会社が決められる決められぬということじゃなくて、積極的なやはり指導をして、国民の負担をできるだけ軽減をすると、このことの姿勢がないと私はいけないと思うんです。  そこで次にいきますが、長期債務の処理の大どころは、清算事業団が引き継いだ債務だと思います。そこで、六十二年度の要償還額及び利子に対してどのような処理をするのか。それから財投による借りかえ、自己調達資金等による借りかえ、それから現金償還分等に分けてひとつ説明してください。
  60. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 清算事業団の六十二年度の債務の償還とそれから利子につきましては、償還額は六千五百三十一億でございます。それで、六十二年度利子が九千七十億でございますので、その利子と両方合わせますと一兆五千七百十億、こういう形で六十二年度の認可予算の中には計上してございます。  それで、それに対しまして清算事業団の方としてどのように対応していくかという問題につきましては、収入の面につきましてはいわゆる自主財源というのが新幹線保有機構から入る収入がございますし、それから固定資産売却、土地が中心でございますが、そういう収入、そういうものを充てるのと、それから、そのほか政府補助金として約千六百億強の金額を入れておりますので、そういう自主財源分を充て、さらに足りない分は財投なり民間借入金なりで借り入れをしてつないでいくという形になると思います。  借りかえ分の問題につきましては、今ちょっと資料を出しましてからまた御答弁申し上げます。――財投の借りかえ分は、資金運用部等からの借入金が二千二百八十三億、政府引受債が三十一億、それから政府保証債が六百八十億、その財政投融資分の借りかえは今申し上げた金額でございます。そのほかに縁故債といたしまして三千五百億、それから借入金が十五億ほどございます。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、今聞いた中で、大臣、これからあれなんですが、私はまだ初年度で、政府は二年後に本格的な債務の償還のための財源調達を決めるとしていますが、ですから本格的な議論はこれからだと私も思います。しかし、例えば用地売却が地価高騰で結果的に凍結になってしまっていますね。これ、清算事業団が売りたいと思っても売れないわけですから、凍結で。一般会計からは千六百億程度のいわゆる繰り入れ、今言われたとおりですね、約千六百億。  そうすると、こういうことをやっていますと、債務及びその利子から発生する孫利子の対策分しかならないんじゃないか、この金額では。だからこれ、何とかしないと清算事業団というのはまた債務処理が非常に困難になってくる。庶民的にわかりやすく言うと、またさらに借金がたまっていくんじゃないかとこんな心配を実はするわけなんですよ、一番大きい債務を抱えている清算事業団の。そういうところについて、まあ政府としては二年後に本格的なことをやると、こういうことを言っていますけれども、ちょうど一年たってしまって一般会計からの繰り入れが大体千六百億程度だということにこれなっているわけですが、せっかくJRは分割・民営化をしたわ、ところが清算事業団の方の借金はまただんだんたまっていって、それがいつか国民にツケがくるということになるとこれはなかなか大変なことだと思いますが、そこらの見通し並びに今後の対策はどうされるつもりですか。
  62. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいまの先生の御指摘の中にございましたように、ことしの一月に閣議決定をいたしまして、清算事業団の長期債務の償還につきましての償還の基本方針を定めてございます。その中で、まずは清算事業団の長期債務につきましては、先ほど申し上げましたような土地の売却収入とか新幹線保有機構からの収入とかそういった自主財源をできるだけ充てて、それで国民負担の軽減のために努めるということでございますけれども、先生の御指摘のように、やはりそれだけでは、今後の本格的な財源措置といいましょうか、本格的な措置にはならないわけでございます。  それで、本格的な措置につきましては、雇用対策とかそれから土地売却のある程度のおおよその見通しがつくという段階で、本格的な措置のための新たな財源措置、それを決めるということを閣議決定いたしております。それまでの段階は、当面財政事情の許す範囲内で、清算事業団の資金繰りなりなんなりにつきましての助成を行っていくという考え方でございまして、先ほどの国からの補助金千六百五十億程度の数字につきましては、国鉄時代から引き継ぎました一種の過去債務というのでございましょうか、そういうものが生む利子が、さらに利が利を生むような状態になることをとどめるために、自主財源とそれから国の補助金を入れますとどの程度になるかということを考えまして、それで三年間程度で今計算しておりまして、年間千六百億強ぐらいの金額を入れていけばそういう利が利を生むという状態はストップできる、こう考えておりまして、その次の段階は先ほど御説明いたしましたような償還基本方針に従いまして本格的な財源措置をとっていく、こんなようなことで考えております。
  63. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、だからこそ私は、この前と二日間にわたったんですが、JRの経営状態と債務処理ということで、例えば今も言われた要素の中に、清算事業団におられる、新しい就職口が見つからぬで困っている人がたくさんいる、こんな問題、それからこれを早く再就職させるという問題等、それから土地の問題についても、これは土地の高騰につながったらいけませんからね、大都市周辺はどうしても抑えられて、しかしそれ以外のところの処分をどうするかという問題等を含めて、幸いJR各社は一年たって一応順調な滑り出しをした、そして来年度も何とか順調にいきそうだ。残るところは何かというと、これはやっぱり清算事業団なんですよ。清算事業団をどうするか。このことは雇用問題でも重大な問題でもありますと同時に、これ下手すると国民に対するツケがますます、またこれは大きくなってくる、こういうことになりかねないですね、これは。この運営いかんによっては。ですからここは、一方において労使の努力等によって経営が非常に順調に滑り出したといういい時期ですから、私は一つの正念場だと思う。  こういう問題について、担当大臣としてこれは十分な方針をお立てにならないと、今やっておられることは当面の手当てだけなんですよ、これは。千六百億余りをこうやっていくというのは、本当の過去債務の当面の手当てだけなんですから。しかしもう二年目に入るわけですから、二年目に入るならば、この際やっぱり抜本的に、清算事業団の問題をどうしていくのか、債務の問題を含めてどうしていくのかということをお決めになる時期に来ていると思いますが、大臣のお考えなり、今後どうされようとするのか。
  64. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 事業団に関して申しますと、前内閣のときに起きました土地の高騰という不測の事態が絡みまして売るに売れないという二律背反の中で苦吟しているわけでございますけれども、御指摘のように、これがさらに国民に対して大きな負担にならないような、そういう新たな財源の措置についても、これから鋭意検討していこうと思います。
  65. 安恒良一

    安恒良一君 余り答えになっていませんけれども、これ以上大臣を責めても無理でしょうから、宿題にしておきますから、十分お考えをお願いしたいと思います。  あと、最近発表されました航空運賃の値下げの問題、それから青函トンネルの問題等ございますが、四十分までということですから、またこれは一般のときに改めてやらしていただくということで、これで終わりたいと思います。
  66. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  67. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  68. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 三月一日に運輸大臣の所信表明をお伺いいたしたわけでありますけれども、改めて運輸行政が広範多岐にわたる、非常に幅が広くしかも奥行きの深い行政であり、また国民生活に、あるいは国土の形成に非常に重要な役割を担っておる行政であるということを感じた次第でありますが、せっかくの機会でありますから、いろいろと伺った感想なり所感を、激励の意味を込めて申し上げて、また御所感等があればお伺いいたしたいというふうに思うわけであります。  申すまでもなく、現在の経済社会情勢、高齢化社会、高度技術社会、情報化社会あるいは国際化という大きな環境の変化に遭遇しておりまして、その中で、まず何といいましても経済構造調整、さらに産業構造の調整、その中でいかに内需を拡大していくか、民間活力の活用、こういう分野でも運輸行政が資する部分が非常に大きいわけであります。さらに、東京一極集中の中におきまして、多極分散型国土づくり、このいわゆる新全総、三全総と引き続いて地方分散の思想を掲げながら現実はやはり一極集中に現在のところなってきつつあるわけでありますけれども、こういう多極分散国土づくりにつきましても、非常に運輸行政の関与する分野が大きいわけであります。  さらに、我が国は現在GNP国民一人当たり一万九千ドル、まさに経済大国になったわけでありますけれども、それぞれの生活実感から見ると、さまざまな分野におきまして生活大国とは言いがたい、いわゆる生活小国ではないか。これをやはり生活大国に持っていかなければならない。その中ではやはり生活にもう少しゆとりが必要である。いわゆるレジャーの問題、レクリエーションの問題、労働時間の短縮の問題、非常にすそ野の広い分野でありますが、そういう大きな政策課題というものがあるわけであります。  当然、運輸行政におきましても、そういう大きな社会経済情勢の変化にどう対応していくのか、さらに、今申し上げましたような当面の二十一世紀に向けての大きな政策課題にどのように挑戦していくのか、こういうことが非常に重要な時期になってきておるんだと思います。先般来、安全確保の面から、いわゆる許認可官庁としての非常に重要な役割もあります。さらに、港湾を中心として建設関係、国土の建設につきまして建設事業という大きな問題も控えておる。しかし同時に、今運輸省に求められているのはやはり政策官庁としての脱皮だというふうに思うわけであります。そのように大きな政策課題に向けて挑戦しているという意欲というものが、大臣の所信表明の中でほのかには見えるわけでありますけれども、どうも若干希薄な部分があるんじゃないかということが気になるわけであります。  ただ、先日の質疑でも石原運輸大臣がお答えになっておりましたが、非常に簡潔に文章をまとめておられるということでありますからそれはやむを得ない部分があると思うんですけれども、まず一点、「四全総にも示された」と、「にも示された定住と交流による多極分散型国土形成を基軸とし、」というような表現は、どうも何か、真っ正面から四全総に取り組むという印象が薄いという感じがこれは否定できないような気がいたすわけであります。せっかく運輸行政につきましては国民の期待も大きいし、これから大いなるロマンと夢を持って取り組んでもらわなければいけない省庁であると思うわけでありますから、大臣の処女作の「太陽の季節」じゃないですが、運輸の季節に向けて、大いにひとつ皆さん方頑張っていただきたい、このように思うわけであります。  まず第一点は今申し上げました四全総の問題が若干気になるということと、それから、言葉を云々するわけじゃないですが、最初に、「我が国の社会・経済は、国際化技術革新、情報化の進展等」、「等」と書いてありますからこれはいいんですが、普通ここでは高齢化という言葉が一つ入るのが通例だろうと思うわけでありますが、運輸行政も高齢化社会に向けていろいろな取り組みが当然必要なわけであります。この高齢化の問題、さらに、ひところ地方の時代ということがもてはやされたわけでありますが、現実には非常に厳しい状況に置かれている。私も地方自治体の長としてその時代頑張った記憶があるのですけれども、地方における文化というもの、やはりそういう文化の保存、継承、さらにはそれを創造していく、こういう営みが地域の中で自然になされていかなければ、本当の意味での多極分散というものはできてこないわけでありまして、せっかく文化大国を目指して石原運輸大臣が誕生された、運輸大臣の所信表明の中で、この文化という字が一字もないというのはまことに残念のような気がしないでもない。  そういう感想を一つ申し上げておきたいと思うんですけれども、大臣の方で御意見でもございましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 言いわけを繰り返すわけではございませんけれども、できるだけ簡潔にしようと思いまして、決してそのような言葉がむだと思って切ったわけではございませんけれども、いささか表現の及ばなかった点も多々ございます。またこれから先の御質問を受けながら、足りない部分を、運輸省としての見解を示していきたいと思っております。
  70. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 先ほど運輸の季節ということを申し上げましたが、ことしは青函トンネルも開通いたしまして北海道が陸続きになった。さらに本四架橋も完成するという、我が国の交通体系の整備にとりましては画期的な年でございます。大臣のその点につきましての所見、いろいろな角度から質問もあると思いますけれども、改めて石原運輸大臣の御所感を伺いたいというふうに思います。
  71. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 日本人が開拓しました高度の技術の所産として世界最長の海底トンネルがつながり、また、最長のつり橋が四国と本州を結んだわけでございまして、これによって、北海道にしろ四国にしろ、島としての隔絶感が一掃されたわけで、私もトンネルを抜ける一番列車に乗りましたが、「雪国」の小説じゃありませんけれども、トンネルを抜ければ北海道であります。海を渡るのと違って非常に旅そのものがステディーな感じがいたしまして、北海道の人の安心感、また四国の方々の充実感、殊さらのものがあると思います。  これによって国土の均衡のある発展、開発が促進されると思いますし、橋あるいはトンネルで結ばれた隣接した経済圏が、経済活動だけではなくて種々の業種の新しい核の地域として発展するということで、四全総にうたわれました多極分散という国土の形成のために大きなアクセルになると改めて痛感いたしました。
  72. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 国土の一体化という面では、確かに我が国は狭い国土だとは申しながら、海岸総延長が大体三万三千八百九十キロほどあるわけでありますから、地球一周に近いぐらいであります。島嶼の数も六千ぐらいあるわけです。だから、そういう海に固まれ、海岸線が長い、さらに島が多いということをやはり前提とした国土づくりがなされなければならない。そういう中で、我が国のすぐれた技術によってこういう一体化が進みつつあるということは非常に私はすばらしいことだというふうに思うわけであります。  一体化という点では、四国と九州がまだ実はつながっておりません。それと、本土と四国が三本の橋でつながるわけでありますけれども、本土の西端に位置する我が山口県の方から四国へのルートというものが実はないんです。佐藤総理時代にどうにか大島という島には橋がかかったわけでありますが、そこから先が延びていない。そういう点では、昔から西瀬戸圏というのは文化とかあるいは産業、いろんな面で交流のあった地域でありまして、それをやはり有効に活用していくという面からしますると、せっかくそういう努力を今まで皆さん方続けてこられてその成果が上がりつつある段階ではありますけれども、やや画竜点睛を欠くような部分がないことはないような気が実はいたすわけであります。  当面、四国と九州とを直接結びつけるようなこの間の連絡鉄道建設、こういうものについてどのように取り組んでいかれるのか、その辺をお伺いをいたしたいと思います。
  73. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) お答え申し上げます。  全国新幹線鉄道整備法に基づきます新幹線につきまして、基本計画という既に定まったものがございまして、十二の新幹線路線を計画してございます。その中に四国新幹線という鉄道路線がございまして、大阪から大分まで、主要な経過地といたしまして徳島市、高松市、松山市付近、こういう基本計画がございます。  それで、その四国新幹線の一環といたしまして、四国と九州を結ぶ豊予海峡の鉄道トンネルにつきまして、日本鉄道建設公団が四十九年度から、地形、地質等から見た海底鉄道トンネル技術可能性について検討をしているところであります。それで、ただいま申し上げましたようにこの海底トンネルは四国新幹線の一部として検討されているものでございますので、その取り扱いにつきましては、基本計画のみが決定されております他の十一線と同様に、整備計画が決定されておりますいわゆる整備五新幹線の見通しをつけた後の問題であると、かように認識いたしております。
  74. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 先ほど前段で、東京一極集中の問題にも触れさしていただいたわけでありますけれども、やはり国土の均衡ある発展という立場からいいまして、多極分散型国土づくりのために運輸部門が果たすべき役割は非常に大きいものが私はあると思う。  いずれにいたしましても、情報と交通のネットワークをどういうふうに的確に配置していくかということが大きな決め手になるわけでありますから、そういう問題につきまして、今まで運輸行政としては実際どういう取り組み方をしてきたのか、また、今後具体的にどういう施策を推進していかれようとするのか、その基本的なところをお伺いいたしたいと思います。
  75. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。  運輸省におきましては、昭和五十六年に運輸政策審議会の答申、「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向」という答申をいただきました。この答申に基づきまして交通体系の整備に努めてきたところでございます。  まず、幹線旅客交通体系につきましては、この答申に盛り込まれております考え方は、長距離にあっては航空、中距離にあっては新幹線中心とする鉄道、近中距離にありましては都市間の高速バス等、このような、各交通機関の特性に応じながら相互補完的に組み合わせた形での高速交通体系の整備をこれまで行ってきたわけでございます。  今後の施策といたしましては、これら高速交通機関の一層の活用を図るべく、来年度予算におきましては、新幹線とそれに接続する在来幹線との直通運転を行う幹線鉄道活性化事業のモデルプロジェクトに着手をすることにしておりますとともに、コミューター空港及びヘリポートの整備を行うなど、幹線輸送に対しますフィーダー輸送の充実を図ることにしております。  また、御承知のとおり、整備新幹線につきましては、整備新幹線建設促進検討委員会におきましてその優先順位財源問題等結論を本年八月までに出すということになっていることは御高承のとおりでございます。  以上が幹線交通の問題でございますが、地域の中の交通体系につきましても、私ども重要であると考えております。この点につきましては、各地方運輸局に置かれております地方交通審議会の答申を得て、その答申に従って地域の実情に応じた地方鉄道バス等の輸送機関を整備しておりまして、これを有機的に組み合わせた形の交通体系の整備に努めているところでございます。今後とも活力に満ちた快適な地域づくりを推進していくために、これに必要な地域交通対策を推進をしてまいりたい、かように考えております。
  76. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 枝術が進展していく中で、非常にスピード化が進んできているわけですけれども、航空機関係の安全性を勘案した場合に、最終的にはマッハ二・七ぐらいのスピードまでいくんじゃないか。そうすると、東京―ロンドンが三時間ぐらい、それから東京―香港が五十分ぐらい。そうなってくると、東京―大阪の間が三時間かかるというのはちょっとやはり時間がかかり過ぎるという、一つのバランス感覚が当然交通体系の中に出てくると思うんですね。現在、いろんな交通というものが非常にアンバランスになってきている。私自身も、広島空港、宇部空港まで飛行機に乗って一時間半、おりてから自動車で二時間ぐらいかかるわけですからね。どうもしっくりこないなという感じがするわけです。  そうすると、東京―ロンドンが三時間になれば、やっぱり東京―大阪は一時間ぐらいでつないでいく。これにはリニア開発ですね。それから、例えば目と鼻の先の離島まで船で三十分、一時間かかる。しかし、リニア船を開発していけば、これは百八十キロぐらいのスピードが出るという話でありますね。そういういろんな問題があるわけであります。そういう技術開発の成果というものはやはり交通体系の中に積極的に、もちろん安全性の問題はありますが、これを十分勘案した上で取り入れていくことが必要であります。  特にリニアモーター中心としてそういう技術開発が重要になってくるわけですけれども、運輸部門技術開発の見通し、それからもう少し私は国も積極的にこういうものに対しては推進をすべきだというふうに思うんですけれども、その辺のお考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  77. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。  まず、交通機関の高速化のための技術開発の見通しでございますが、この委員会でも大臣から御答弁申し上げておりますように、超電導磁気浮上リニアモーターカーの研究開発につきましては、財団法人鉄道総合技術研究所が超電導磁気浮上方式のリニアモーターカーの営業用車両のプロトタイプ車両を用いまして宮崎実験線において走行実験を行っているところでございます。御高承のとおりでございます。  今後の見通しとしましては、単線の短距離システムにつきましては実用化のための主要な技術開発のめどが立っておりますが、さらに機器の機能向上等のための技術開発、新実験線における確認試験等が必要だと考えております。  また、長距離システムにつきましては、変電所の渡り制御装置、高速分岐装置等の技術開発がさらに必要でございまして、その後新実験線における各種試験を行い、実用化を目指すことにいたしております。この超電導磁気浮上方式は先端技術でございまして、そういう観点から、また、超高速走行を目標としているため実験設備も大きいと、そのようなことを考えまして、国が開発費の補助を行っているところでございます。  それから今委員がお触れになりました船の方の技術開発でございますが、船の方にも超電導磁気推進船を導入すべきではないかというお話がございますが、船の方は、現状におきましては幾つかの新しい船、高速の船が開発されているのは御高承のとおりです。例えばホバークラフト、水中翼船、ジェットフォイイル、高速フェリー、こういうような船で、かなり高速艇が導入されている現状にございます。ただ、一般的にこういう高速艇の問題点は、需要規模が余り大きくない離島航路などにおきましては高い運賃負担になってしまうということで、その経済性の改善が課題でございます。今後、こういう面に重点を置いた研究を推進をしていく必要があると思います。  さらに、超電導技術を船舶技術に応用した超電導電磁推進船につきましては、まだ研究がスタートしたばかりでございまして、現在、財団法人の日本造船振興財団が基礎的な研究を実施をしているところでございますが、解決すべき問題が数多く残されておりまして、まだこの点につきましては実用化のめどは立っておりません。  鉄道と船舶につきましての技術開発の見通し及び現状は以上でございます。
  78. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 特に今お触れになりました地域交通問題の中で、離島ですね、離島が非常に我が国には多いわけです。ですから、住民の足とも言えるそういう離島の航路を維持していくということは非常に重要だし、しかもやっぱりスピード化を図っていく。もちろんこれは医療関係はヘリコプターであるとか、そういうものとの併用も必要だろうと思うんです。けれども、そういう中で特にスピードアップをするためには、今触れられたリニア船、もちろん採算性の問題はありますけれども、それによって高速化を進めていくという角度から、やっぱり離島を有効に活用していくんだと。離島というのは寂しいもので、例えば若い者が漁業で残るたってお嫁さんも来てくれないというようなイメージから、もっと積極的なイメージをつくり出していくためにも、まずそういう交通手段というものを発達さしていくということが一番決め手になるだろうというふうに思いますので、その点につきましては、さらにひとつ御努力を願いたいというふうに思うわけであります。  二十九日に質疑をするという予定であったんですが、日にちがずれてしまいましたが、国際線の運賃の問題ですけれども、四月分からオーストラリア、中国向けが二〇%から一〇%ほど値下げをする、そういう方向が決まったようでありますけれども、最近の円高の中で、日本発と外国発の国際航空運賃が非常に格差が出てきておる。二、三年前に、運輸省のテン・ミリオン計画というんですか、今大体六百万人ぐらい外国に旅行に行っている、二百万人ぐらい国内に入ってくる、それを一千万人体制に持っていくんだということで、そういう華々しい計画を打ち上げられたわけでありますけれども、実際はどうも、国内でもそういう感じがしないでもないんですが、よく税とか所得の不公平感とかいう言葉がありまして、さらに最近はストックですね、サラリーマンの中ではどうもストックについての不公平感が出てきておるわけですが、この運賃問題もどうも国民サイドから見てわかりにくい部分だという感じがしないでもないですね。  例えば、片道運賃で見ますと相当な格差が出てきておるわけですね。例えば東京―ニューヨークで見ますと、日本発で二十六万五千、向こうから帰ってくると十六万五千、指数が六三。東京―香港では、こっちから立ちますと十万三千八百円、向こうから帰りますと三万八千八百円、三七というような指数になるわけです。こういう方向別の格差が非常に大きいわけですけれども、そういう格差というものが実際どういうメカニズムで出てくるのか。格差の実態というのは一体どうなのか。その辺についてひとつお示しをいただきたいと思うんです。
  79. 林淳司

    政府委員(林淳司君) まず、ただいま先生指摘の、国際線航空運賃の方向別格差の実態でございますけれども、主なところで見てみますと、これは日本発往復運賃、これを一〇〇といたしまして、それに対して相手国発の往復運賃を、その国の通貨に対してある一定の日の為替相場で円に換算をしたというものと比較をしておるわけでございますが、数字で申し上げますと、三月十七日、この日がちょうど一ドル百二十八円でございますけれども、これで換算をいたしてみますと、全体的に見まして、アジア地域の格差が非常に大きいわけでございます。  主なものを申し上げますと、例えば東京―香港につきましては、東京発の往復を一〇〇といたしますと香港発の往復は四三というふうに、半分以下という実態でございます。さらに、韓国線でソウル―東京というものを見てみますと、一〇〇に対して同じく五三ということで半分程度、それからバンコク、これは五六とか、あるいは北京、これが五八というふうなことで、東南アジア、あるいはその他のアジア地域との間の格差が非常に大きいわけであります。あと、例えば太平洋線で申しますと、アメリカの西海岸につきましては、日本が一〇〇とすると七八というような指数になっております。それからヨーロッパにつきましては、ヨーロッパの主要国は日本一〇〇に対して八〇前後という二割程度の格差があるということでございます。それが格差の実態でございます。  そこで、こういう方向別格差がどうして生ずるのか、そのメカニズムでございますけれども、国際航空運賃につきましては、昭和四十八年からいわゆる変動相場制に移ったわけでございますが、それ以前の固定相場制の時代におきましては、基軸通貨でございますドルまたはポンド建てで国際航空運賃が設定をされておりました。そして、各国発の運賃は、そのドルあるいはポンドに固定レートを掛け合わせまして額を出しておったということでありまして、したがって、このやり方でありますと全く方向別格差は出ないという状況であったわけであります。ところが、昭和四十八年にいわゆる変動相場制に移行したわけであります。そこでこの方式をとりますと、例えばドルにリンクをさせますと、日本の円建ての運賃というのは毎日毎日運賃が変わってしまうというようなことで、運賃の整合性という面から非常に問題が出るということで、国際的にいろいろと協議が行われまして、その時点で、変動相場制移行の時点以降は発地国の通貨建て、これで運賃を設定するということが国際的に合意をされたわけでございます。そういうやり方によりまして、その後国際航空運賃がそれぞれの発地国の通貨建てで設定をされてきたということでございまして、それに伴いまして、その後の各国の物価上昇等を反映してそれぞれ独立して各国は運賃改定を行って現在に至っておる。  それからさらに、こういう発地国の通貨建て主義のもとにおきましては、為替変動それから今申し上げました運賃改定、こういうものに伴いまして発着の航空運賃の間に相対的にどうしても差を生じてしまうということでございまして、それが不可避的な現象となって現在に至っておるということでございます。特に、昭和六十年の九月のG5以来円高が急激に進行したということで、それ以前の時点におきましては日本発の運賃外国運賃を比較した場合にそれほどの格差はなかったわけでございますが、あるいは時期によっては日本発の方が安いという時代もあったわけでございますが、特に昨今のような大幅な円高の局面におきましては、非常にその格差が大きくなってきておるというのが実態でございまして、メカニズムとしては、変動相場制に移行した後、運賃設定のメカニズムとして発地国通貨建て運賃主義が採用され、それで為替変動に伴ってそれが格差となって発生をしたというのが実態でございます。
  80. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 そのまま放置しておくと利用者の公平感を損なうおそれがあるというわけでありまして、それに対する改善策をとりあえず二十九日に発表されたと思うんです。対策のまず第一段階という感じがするわけですけれども、今後どのような改善方策を考えておられますか。
  81. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生指摘ございましたように、今回非常に円高が進みまして、しかも百二十円台という為替レートがかなり長期間にわたって続いておる、こういう実態を踏まえまして、従来から格差是正は、例えば昭和六十一年、六十二年、この二年間で約七回にわたりまして是正措置を講じてきたわけでございますけれども、さらに一層の格差是正を図る必要がある。これはおっしゃるように利用者の公平感の確保という問題もございます。さらに、長期的には日本の航空企業の国際競争力という問題にもなるわけでございまして、そういう点から考えて一段と格差是正を進める必要がある、こういう認識を持ちまして、今回、主として先ほど申しましたように東南アジアあるいはその他のアジア地域、こういうところが非常に格差が大きいわけでございますので、そこを重点に、最高一〇%程度の値下げということを中心に、さらに太平洋線あるいは欧州線あるいはオセアニア線全線にわたりまして一連の格差是正措置をとることにしたわけでございます。  私どもといたしましても、これで十分だというふうな認識は必ずしも持っておりません。これからやはり円高の推移の状況等を十分見きわめまして、さらにこういう是正措置というものについて努力をしてまいる必要があるというふうに考えております。
  82. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 最近の急激な円高、原油安、それに伴いまして差益還元問題が予算委員会等でも活発に議論されておるわけでありますけれども、現在のところ、差益還元は大体三十兆円ぐらいだろう、その還元率が六九・六%であるというのが企画庁あたりの数字のようであります。電力・ガス事業におきましては、数次にわたる料金の値下げという形での還元が行われておるわけですけれども、航空企業にも当然やはり円高等のメリットが生じてきておるわけでありましょうから、これを利用者に還元して航空運賃の値下げ、そういうものを行っていくことが必要ではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  83. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 確かに、今先生指摘のように、航空の分野におきましても、昨今の円高等に伴いまして、主として油でございますが、燃油費の低減によるメリットを受けているということは事実でございます。ところが一方におきまして、航空運賃昭和五十七年以降約六年間にわたって据え置かれてきておるという事実もございまして、その間輸送力の増強あるいは人件費の増というふうなことで、一般的な費用増というものもございます。  ちなみに数字で若干申し上げますと、円高が急激に進んだのは先ほど申しましたように昭和六十年の後半からでございますけれども、昭和五十九年というのが割と為替が安定をしていた年だと思います。そこで昭和五十九年から昭和六十一年、この二年間に大きく円高が進みまして、一方またこの間に油の単価も非常に大きく下がっております。この二年間の比較で見てみたわけでございますが、その間に、円高あるいは今の原油安、そういうことに伴います節約費用と申しますか費用減が、これ航空三社全部合わせまして、油の関係で千四百億、その他の航空機材の償却費その他もございますからそれらの円高等、すなわち原油安も含めましてそういうことに伴う経費減と申しますか、これが合計二千百億円程度ございます。  それに対しまして、一方国際線につきましてはいわゆる外貨建て運賃収入というのがあるわけでございまして、これについてはこの二年の間に相当大幅な為替差損が逆に生じておるという実態でございます。それがこの二年間で約千億ございます。そこで、二千百億から千億を引いて大体千百億程度、これがこの二年間の円高に伴う収支面の影響と。いわばそれだけ経費が節約されたということになるわけでございます。一方、この二年の間の人件費の増、その他輸送力増強に伴う経費増というふうな費用の増加、これが約二千億ございます。そこで航空企業といたしましては、先ほどの円高等によるメリット千億というものを、この二千億の費用増の一部に振り向けるという形で対処をしてきた。一方、この二年間にかなり需要が回復してきております。その関係需要増が約八百億ございます。したがいまして、二千億の費用増に対しまして先ほどの円高あるいは原油安ということで千億のメリットをこれに充て、かつまた、需要増に伴う収入増八百億を充てるということで、差し引きますと、五十九年に対して六十一年は若干収支が悪化をしておりますけれども、六年間運賃を据え置いてきたという中で、まあある意味では、消極的な意味ではございますけれども、利用者に負担をそれだけ転嫁せずに済んできたということでございました。五十九年から六十一年にかけての収支の状況はそういう状況でございます。  ただ、これについては、やはりこれから円高がどういうふうに推移していくか、それから航空企業の収支状況、これは主として今後は需要増、需要の動向というものになると思いますけれども、そういうものを十分見きわめながらこれらの運賃水準というものについての検討をしていく必要があるというふうに考えております。  一方また、そういう円高の問題につきましては、国際線については、先ほど申しましたように昭和六十一年以降しばしば国際線航空運賃の格差是正ということもやってきておりますし、それからまた国際、国内を通じて割引運賃の導入ということも相当積極的に行ってきております。そういう意味での、ある程度利用者への費用負担の軽減という施策をやってきておるわけでございまして、これについても今後さらに積極的に進めていく必要があるというふうに思っております。
  84. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣の所信表明の中で、言葉の繰り返しというのは本当に見事なほどはないんですね、これは。そういう面では完璧なんです。ただその中で、「コミューター」という言葉と「ヘリポート」という言葉が二回出てきているのです。それと「レクリエーション」。それを重要視しておられるのかなとも思うのですけれども。  そのコミューター航空の問題ですけれども、実は、五十九年の予算委員会で、細田運輸大臣に私は御質疑を申し上げたことがあるんですが、そのときにやはり、コストの問題と採算性の問題だという御答弁であったんですが、現在、都市間コミューターとしては、広島を中心としまして松山、それから大分と、先ほどちょっと触れましたいわゆる西瀬戸経済圏で実験が行われておるわけであります。この地域の中での輸送手段としてのコミューター、これを普及させていこうという試みであるわけでありますけれども、今後、この問題につきましてどのような施策を推進していかれるのか。聞くところによりますと、搭乗率が二八・五%と、六二%が採算ラインというところから見ますと非常に厳しい状況じゃないかという感じがするんですけれども、これにつきましての御所見を伺いたいと思います。
  85. 林淳司

    政府委員(林淳司君) コミューター航空の問題でございますけれども、これにつきましては、先生指摘のように、現在西瀬戸地域でいわゆる西瀬戸エアリンクという形で運航が行われておるわけでございますが、搭乗率が三〇%前後ということで非常に悪いわけでございます。さらに、コミューター航空につきましては、一般的に通常の定期便に比べてコストがどうしても高くつく。やはり搭乗人員が少ないわけでございますから、非常にコストが高くつくという問題がございます。基本的にその採算が、通常の定期便に比べると非常に厳しいというのが実態でございます。  一方また、コミューター航空につきましては、新しい輸送手段ということで地域の要望も非常に強いという点がございます。  私どもといたしましては、それらを踏まえまして、航空審議会の中に、地域航空輸送問題小委員会というのをつくりまして、このコミューター航空についてのあり方というものをことしの夏ごろをめどに御答申をいただきたいということで今審議をいただいているところでございます。とりあえずその中間報告もあるわけでございますが、やはり基本的には地域関係者あるいはその運航に当たる事業者、それがそれぞれ地域の特性に応じていろいろな工夫をしていく必要がある。そういう地域の主体的な取り組みというものを前提といたしまして、国としても一定の支援を行うことが適当であろうと、こういうことでございまして、具体的な支援措置としては、昭和六十三年度予算案におきまして、新しく地方公共団体が設置するコミューター空港につきまして新たな助成制度を創設したわけでございます。  具体的には、建設費の四〇%、これをいわゆるNTTのBタイプという形で無償貸し付けを行っていくということでございまして、そういう制度を新しく創設するということにいたしました。六十三年度の予算としては、その無償貸し付け資金として五億円を計上しておるというのが現在の状況でございます。
  86. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 コミューターの場合ですと、大体一つの空港をつくるのに五十億円ぐらいの費用だというふうに聞いておるんですけれども、地方空港が大体一つつくるのに二百億から五百億ということから見まするとそれほどのコストではないと思うんですね。それから、例えば新幹線あたりも一キロ当たり大体五十億円前後ぐらいかかるわけですし、この前視察しました首都高速あたり、あれは高いところで一キロ当たり二百七十億ですか、そういう感覚からいくと、地方に対する分散をしていくのだということであれば、やはりこういうせっかく芽を出しているコミューター航空、あるいは将来はまたヘリポート構想も進んできておるわけでありますが、ヘリポートあたりも、ヘリポートだけでいきますと、大体五億か十億ぐらいでできるはずなんですね。その辺についても積極的な助成をぜひやっていくべきだというふうに考えておりますので、その点につきまして、今後ともひとつ積極的なお取り組み要望をいたしたいというふうに思います。  それから、週休二日制の普及等、ゆとりある社会の実現が内外から強く期待をされておるわけでありまして、労働省では「ツイン・ホリデー」というような歌までつくりまして、週休二日制のキャンペーンをいたしておるわけでありますけれども、余暇活動の場として、海洋空間をもっと有効に活用すべきじゃないかというように思うんです。運輸省の方も、コースタルリゾート構想ですか、こういうまことにすばらしいパンフレットができておるわけなんです。このとおりになればいいんですけれども、こういうことにつきましての御見解をひとつ伺いたいというように思います。
  87. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) 今松岡先生がおっしゃいましたとおり、国民の自由時間がふえますと、それをどこで使うかということでございますが、海との触れ合いの中で余暇活動を楽しむという傾向がだんだん強まってきております。これを受けまして在来型の海洋レクリエーションに加えまして、最近、ボート、ヨット、モーターボート等のスポーツタイプの海洋性レクリエーションが年々盛んになってきております。  私ども運輸省におきましては、この需要がふえてきましたことに適切に対応するために、まず、港湾その他の海域におきます環境保全を図る一方で、親水緑地、親水護岸等の整備を積極的に進めることにしております。また、公共マリーナを中心として海洋レクリエーションの基盤となる施設の整備の推進をしているところでございます。  他方、このように海洋レクリエーションを振興する反面、安全対策にも配慮をすることにしておりまして、この面では、モーターボート等の検査制度を通じました船舶の安全性の確保ですとか、これを操船する人の知識及び技能水準の確保、それから万が一事故が起こったときの救難体制の整備等に努めているところでございます。  また、今年度新たに設けました制度としましては、船舶整備公団を活用いたしまして、船が余っておりますので、余剰船舶を港あるいは海岸に係留するということで、係留船へ改造して活用するという構想や、NTTの無利子貸付制度を活用しました海上浮体施設の建設、あるいは港湾の関係で港湾文化交流施設の整備、あるいは民間マリーナの整備等、各般の施策を講ずることにいたしております。  このような総合的な施策を講じながら、できるだけ国民が海で自由時間を活用できるという環境を整備してまいりたいと考えております。
  88. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 最後に、沖合人工島構想でございますけれども、狭隘な国土の中で人工島をつくっていく。まことに壮大な実験であり、民族の夢とロマンを感じるような構想だというように思うんです。しかし実態的には、まだ過去のそれぞれの地域におきますいわゆる臨海工業地帯を中心とする売れ残り団地なんかも二万六千ヘクタールぐらい残っておるわけでありますけれども、そういうものとはまた別に、新しい角度から二十一世紀に向けてこういう壮大な構想が国内で何カ所か生まれてきておるわけであります。  現状がどのように進捗しておるのか、あるいは今後の取り組みにつきましてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  89. 奥山文雄

    政府委員(奥山文雄君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、国土の狭い我が国におきまして、海洋の開発利用というのは大変重要な課題であることは申し上げるまでもございません。この観点から、運輸省におきましては、新しい国土の創造と海域の総合的利用を目的としまして沖合に人工島をつくり、それを推進してまいるということを手がけてまいってきておるわけでございます。実際には、例えば横須賀、清水、下関などの海域におきまして調査を実施してきてございます。  昭和六十三年度におきましては、この具体的なプロジェクトをつくり上げるために、その計画の内容であるとか事業制度、採算性などにつきまして、もう少し細かい詰めを行って実現へ結びつけていきたいということから、沖合人工島事業化推進調査というものを取り上げてまいりたいと考えておるところでございます。これによりまして事業制度の確立等に努めてまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
  90. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 沖合人工島問題につきまして、運輸大臣にお考えがございましたら最後に伺って私の質問を終わりたいと思います。
  91. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 日本のこういう土木に関する技術というのは、恐らく世界で最も進んでいると思われますし、その技術利用することで国土の新しい利用可能性というのは開発されると思います。  そういう意味で、日本は非常に狭小な国土で、また海岸に山が迫っていて、非常に利用面積が少ないということからすれば、環境問題を深刻に引き起こさないように対処しながら、こういったプロジェクトがその地域地域地域性を勘案しながら積極的にこれから進められていく可能性が大だと思います。また、そのためにいろいろ調査等、努力していくつもりでございます。
  92. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ありがとうございました。
  93. 野沢太三

    ○野沢太三君 新東京国際空港について二、三お伺いをし、御要望を申し上げます。  関係者の並み並みならない御努力によって誕生した新空港でございますが、国際化時代の波に乗りまして、順調に扱いの数量が伸びております。ことしでちょうど開業十年目になるわけでございますが、いただきました資料で見ると、六十二年度でございますが、発着回数で、一日当たり二百五十二回、一・四倍になっております。また航空旅客で見ると一日当たり三万九千人、一・七六倍。さらに貨物で見ると一日当たり二千七百九十一トン、二・四倍というような形で、大変活用をされておるわけでございますが、しかし、一方、それに伴う設備の拡充、増強がなかなかついていかないということもあって、大変手狭になっているように見られます。  ただいまのところ、乗り入れをしております国の数、あるいは航空会社の数、さらには今乗り入れ希望をしております国数がどの程度あるか、航空局長さんから一言お願いします。
  94. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在、成田空港に乗り入れをしておりますのは三十四カ国の航空会社で、全部で四十三社でございます。そのほか、現在我が国に乗り入れ希望をしております国が、三十九カ国ございます。
  95. 野沢太三

    ○野沢太三君 ターミナルの機能自身も、大変狭くなっておりまして、地下部分の、いわゆる成田空港駅のコンコースまで利用するというような状況かと思います。現在の旅客数千四百二十四万人と伺っておりますが、これは限界と考えられております千三百万人、これをもう相当凌駕しておるわけでございますが、この容量不足に対応する施策はどのようなことを考えていらっしゃるか、お願いします。
  96. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生指摘のとおり、成田空港は現在非常に混雑をしておる状況にございまして、能力の限界に近づきつつあるという状況でございます。これを抜本的に解消するためには、やはり成田空港の完全空港化ということが必要でございまして、そのために、一昨年の十一月来いわゆる第二期工事というものに着手をいたしまして、現在それを鋭意進めているところでございます。昭和六十五年度には概成をしたいと、こういうことで努力をしておるところでございます。  ただ当面、六十五年度概成までの間、やはり混雑の状況がさらに進むと思われますので、これを緩和するために既にサテライトの方で、まあ主としてこれはトランジットでございますが、トランジット客の待合室を増設した、さらに手荷物の取扱施設を既に改良した、あるいは駐車場の増設といったものも行っております。さらに、現在国鉄清算事業団が保有しております地下駅施設というものを利用いたしまして、現在のターミナルビルの地下に団体用の待合室の整備を進めるということで、現在その準備を鋭意進めておるということでございまして、そういうことによってとりあえず何とか対応していきたいというふうに考えております。
  97. 野沢太三

    ○野沢太三君 都心から、どのルートをとっても七十キロ前後かかるということで、利用するお客様も大変いろいろと不自由をしておるわけでございますが、現在のアクセスの分担を伺いますと、乗用車、貨物自動車等で約二〇・八%、バスが六〇%、鉄道が一四・二%、あと乗り継ぎで五%、合計一〇〇%、こういう状況であるということですが、箱崎等の混雑を考えますと、もう少し鉄道利用改善したらどうか、かように考えるわけでございます。  既にこれまで運輸省におかれましては、この成田新幹線当時の計画されました施設、ルートの活用を考えてお勉強をしていただいておりますが、もう少しこれは追加投資をすれば使える部分があるわけでございますので、この点につきまして早急に御検討いただき、対策を講じていただきますれば、成田空港が大変使いやすくなると考えられます。  これにつきまして、大臣、御所見がありましたらひとつお願いしたいと思います。
  98. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) これは焦眉の問題でございまして、鉄道を使っての成田までの輸送、幾つかの案が考えられますけれども、いずれにしろ、どれをとるか、ともかく早急にこれが実現するように検討をしたいと思っております。
  99. 野沢太三

    ○野沢太三君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  続きまして、去る二十九日に東京都で発表いたしました臨海部副都心の開発計画というのがございます。これは十三号地あるいは晴海、豊洲等を含みました第二副都心の建設という考え方でございますが、居住で六万人、就業十一万人、面積が四百四十八ヘクタールということで、これは大変なプロジェクトになるわけでございますが、これにやはり交通アクセスをつけるということが必須であると考えられるわけでございます。  既に新交通システム等の計画も推進しておられますが、これは、過去、京葉線をここへ貨物としてつくろうということで、一部施設が既にでき上がっております。これを旅客運転に転用、活用することによりまして、大量交通機関がおのずから整備できると、こういったことも考えられるわけでございますが、これについて、運輸大臣、御所見をお願いしたいと思います。
  100. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 東京は飽和で極限状況になっておると思いますけれども、それを緩和するために新しい副都心を想定して開発しているわけでございますが、これが完成しますと、あっという間にそこで生活を含めて業務が展開しまして、どうも他の例を見ましてもアクセスがおくれがちでございます。  この副都心を十全に活用するために、まずアクセスとそれからもう一つは水の問題だと思いますけれども、こういった可能性をできるだけ早く取りつけるために、急いで案を検討しようと思っております。
  101. 野沢太三

    ○野沢太三君 最後に、常磐新線の促進方について御要請を申し上げたいと思います。  常磐線の混雑というのは、今東京都の各方面別に見た場合、一番混雑がひどいと言われております。私も千住で乗りおりしておりますが、身の危険を感ずるような状況がございまして大変心配をしておるわけです。既にJRや営団等でも運転間隔を詰める、あるいは編成両数を増加させる等の施策を講じていただいておりますが、焼け石に水、まあここ数年しかもたないだろうと言われております。これにつきましては、既に関係の自治体等が発起しまして、ひとつ第三セクターで常磐新線を進めようかという話もあったわけでございますが、工事費の大幅な値上がり等も見込まれまして、何としてもこれは、しっかりした法的な裏づけ、根拠、財源がなければ難しいのではないかと見られるに至っております。どうかひとつその意味で、用地の先買い権とかあるいは都市計画に伴う公共減歩の可能性を開くとか、さらに、地下深部を通る場合に私権制限をして無料で通過できるような措置を講ずるとか、さらには特定都市鉄道整備積立金に準ずるような財源措置等を講じていただく立法等の御研究、御検討を早急にしていただくことが常磐新線への道を開くと考えられるわけでございます。  これにつきまして大臣、御所見がございましたらお願い申し上げます。
  102. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 実は私、つい先日所用がありまして松戸へ行きまして、常磐新線の通過予定地というんでしょうか、を通りましたが、中くらいの団地が非常に乱立しておりまして、それがアクセスなしに、まさに陸の孤島でございます。あそこら辺の不便、本当に思うに余るものがあります。また、筑波学園都市も、これから先その可能性を一〇〇%引き出すためにも、やはり新しい通勤線はどうしても必要だと思います。  いろんな障害がございますが、それを克服するために、やはり委員指摘のように何らかの立法措置もすべきではないかと思っておりますが、これも本当に急いで検討しなくてはならない、特に国土庁あたりからも強い要請がございまして、焦眉の問題としてとらえて、努力するつもりでございます。
  103. 野沢太三

    ○野沢太三君 どうかひとつよろしくお願い申し上げます。  これで質問を終わります。
  104. 中野明

    中野明君 お尋ねをしますが、先日も修学旅行の事故のことで触れたんですが、また、昨日午後六時過ぎに、上越線のパノラマ展望車が火災事故を起こした。乗客はみんな無事であったということで一安心でございますが、その状況をちょっと御報告いただきたい。
  105. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の事故の件でございますが、昨日十八時五分ごろに、JR東日本の上越線で、高崎発長岡行きの臨時急行列車、これは三両編成で行っておりますが、それが越後中里と岩原スキー場前駅、その間におきまして、最後部の車両の床下から発煙しているのを車掌が発見いたしました。現場に停車をいたしまして、乗客を避難誘導することをいたしました。それとともに、地元の消防の応援を得まして消火に当たりましたが、そのうちの一両が焼損いたしました。  その列車の乗客は全部で八十名、このほかに赤ちゃん、まあ幼児の方が二名でございますけれども、全員無事避難させましたために負傷者は出ておりません。  それから、その原因につきましては現在調査中でございますが、徹底した原因の究明をするようにということを私どもの方からも指示いたしております。原因が判明し次第、必要な対策をとるようにいたしたいと思っております。
  106. 中野明

    中野明君 これは過去、五十二年に同じような事故が起こっているように私聞いておるんですが、その状況。  そのときに原因究明はあったんじゃないかと思うんですが、その辺はどう関連をお考えになっていますか。
  107. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 私の今手元にございますのは、五十三年度以降の件数がございますけれども、先生指摘の五十二年の状況は、ちょっと今私自身資料を持っておりませんので、後ほど御説明するようにいたします。
  108. 中野明

    中野明君 同じ車両火災で、しかもエンジン火災ということで、今回とほとんど同じだということを報じられておるわけです、五十二年度に。ですから、そういうことが過去にあって、そして同じ状態で事故を起こしておるということになると、そのときの原因究明が確かでなかったか、それとも今度の、要するに車両を新しくつくってそして今イベント列車として運転しているわけですけれども、その整備が、そこのところがなおざりになっておったのか。その辺もございまして、これは人の事故が起こっていないからまあまあ事故ということで済むわけですけれども、子供さんも乗っておるし、赤ちゃんも乗っているということになると、人身事故が起こっておったらこれはまた大騒ぎになっておるはずですね。だから、その点をもうちょっときちっと調査をしてやっていただきたいものだなと、このように思うんです。  先ほどおっしゃられた五十三年というのはどんな事故だったんですか。
  109. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 五十三年度以降若干の事故がございますが、この私の今手元にあります五十三年度の資料によりますと、基本的には貨物列車に車掌の乗る車両がついているわけでございますが、その中での石油ストーブの不完全燃焼といいましょうか、それによる事故が五十三年の事故として二件ございます。それからもう一件は、交通渋滞によります踏み切りの中に自動車が入ってきたことによる事故というのが五十三年度の三件の事故でございます。
  110. 中野明

    中野明君 いずれにしても、早急に原因究明をしていただいて、二度と再びこういう事故が起こらぬように、これ、五十二年に起こった事故と同じ状態だという報道が出ております。そうすると、これは要するに整備の不手際なのか、あるいは不注意なのか、そういう点が問題になってくるわけで、一遍起こったことを、同じ事故を二度と起こさないということが原則でしょうから、ぜひこれはお願いをしておきたいと思います。  では、ほかの問題に入りたいと思います。  先ほど同僚委員からも質疑が出ておりましたが、成田空港の問題について、ちょっと私も気になることがありますのでお尋ねをしておきます。  今、成田の新東京国際空港の完全空港化に向けて整備をなさっているわけですけれども、この現状。現在どうなっておるのか。どの程度まで進んでいるのか。その辺をまず最初にお聞きします。
  111. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 成田空港の完全空港化に向けまして、現在、第二期工事を進めているわけでございますが、現在進めております工事の概要について申し上げます。  一昨年の秋に、将来のエプロン地区におきまして本格的な造成工事に着手をいたしました。そして、B滑走路、C滑走路地区にも工事区域を拡大いたしまして、現在買収済みの用地のほぼ全域で工事を行っているという状況でございます。  六十三年度におきましては、建設事業費六百四十六億円をもちまして、第二旅客ターミナルビルの整備、構内道路、駐車場の整備、滑走路等いわゆる基本施設の整備、これらを進めていくということで現在計画をしておるところでございます。
  112. 中野明

    中野明君 特に航空輸送需要の増加は、現用施設の標準的処理能力を超える状態となりつつあると、このように私どもも思うわけですが、運輸当局として、この状況をどのように把握して認識をされておりますか。
  113. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生指摘のように、成田空港の昭和六十二年の発着回数、これは九万二千回でございます。それから取扱旅客数、これは千四百二十四万人ということでございまして、いずれも前年に比べて非常に大きな増加を示しております。こういう状況というのは、現在の旅客ターミナルビルというのは既に処理能力の限界に達しておるというふうに私どもは考えております。  滑走路につきましても、まあ十一万回というのが一応の能力でございますが、六十二年の九万二千回というのは、ピーク時というものを考慮いたしますと処理能力の限界に近づきつつあるということでございまして、このまま推移いたしますと増便の要請にも応じられないという事態が来る可能性が強いというふうに思っております。
  114. 中野明

    中野明君 そうすると、もう大体限界に近づいているんじゃないかということでありますが、既に御承知のように、成田空港の混雑のピーク時には大変な状態になっているということはもう新聞の読者欄にもたびたび登場してくるわけです。それで、もう荷物を運ぶ手押し車を待つのに三十分かかったとか、あるいはカウンターは八割程度しかオープンされておりませんで、クルーカウンターに至っては使用されたのを一度も見たことがないとか、こういうふうに苦情が相次いでおりますし、カウンターの奥行きも広げて、もうちょっと何とかしてもらいたいというようなこと、第二空港のターミナルができるまで、これ何とかしなきゃならぬのじゃないかということなんですが、その辺はどう掌握しておられますか。
  115. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 御指摘のように、特にピーク時の混雑状況というのは非常に厳しい状況でございまして、先ほど申しましたように、六十二年の取扱旅客数千四百二十四万人でございますが、年末年始とかあるいは夏休みといったような繁忙期につきましては、一日当たりの取扱旅客数が六万人というふうなことで非常に混雑をしておるという状況でございます。発着回数もやはりピークには一日三百回に達することもあるということで、かなりの混雑状況でございまして、私どもとしては、完全空港化に至るまでの間、いわゆる暫定的に現在のターミナルビルというものについての改造、さらに地下駅スペースの利用計画の推進というふうなことで対応していく必要があるというふうに考えております。
  116. 中野明

    中野明君 これね、ただじっとしているだけではなしに、空港公団の方も随分気を遣ってやっておると私どもも承知はしておるわけですけれども、このピーク時の混雑というのは異常です。私たちが空港を見せてもらいに行ったときはちょうどピークはずれていましたのでなかなかその実態がつかめないけれども、夏休みとかそんなときにはこれはもう大変な混雑でしょうし、また空港へ行くまでの道路で検問があったりなんかしますと随分待たされる。外へ飛んで出るときにはかなりスムーズにいくんですけれども、それまでが大変だ。そして帰ってきてからまた出入国の手続ですね、これに大変な時間がかかって待たされるということで、非常に評判が悪いわけです。その上、この間も指摘しましたように、テン・ミリオン計画でどんどんどんどん行け行け行け行け言うているわけでしょう。それで、日本の国から海外旅行するのにはやっぱり成田がもう大半だと思いますね。成田それから大阪でしょう。そのほかはもうごく少数であって、主力は成田ということになります。そうすると、何とか応急にでも手を打ってあげなければ、片方ではもうどんどんどんどん奨励をして、そしてその気になって行ってみれば渋滞でどうもならぬ混雑だと。こういうことで、せっかくの計画もおざなりになるということでありますので、その点何とかしてもらいたいなという要望はもう連日耳にするわけです。  それで、先ほどお触れになっておりましたが、あの幻の新幹線駅というものは今どういう利用の仕方をしておられるのですか。そのままほっておいたんではおかしいんですが、ただ団体の旅客の待合室程度でしか使っていないんですか、それとも何もしていないんですか、その辺。
  117. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在、この成田の地下駅は清算事業団の保有になっておるわけでございまして、現在は利用されていないわけでございますが、先ほど来申し上げておりますような大変な混雑状況でございますので、この地下駅のスペースを何とか利用したい、いわゆるターミナルとしての機能の一部をここで分担をしてもらうということで現在計画を進めておるわけでございます。  具体的には、この地下にございます鉄道地下駅のコンコースの一部、約四千平方メートルでございますが、これを活用いたしまして、団体の到着旅客、それから送迎客用の待合室、それから各種のサービス施設というものを整備する。そして、到着ロビーとしての機能を拡充するということによって混雑緩和を図りたいというふうに思っております。  これにあわせまして、到着ロビー、それからターミナル前面のバスの乗降場、それからタクシーレーンといったものの改修を行いまして、地下の団体用の待合室から手荷物カートのままバス乗り場へ移動できるというエスカレーターも計画しておりますし、旅客サービスの向上に、そういう点でもいろいろ配慮をしておるわけでございます。  これらの計画は昭和六十三年度内には完成させたいということで予定いたしておりまして、これが完成いたしますと、現在の到着ロビーの混雑は相当程度緩和されるというふうに考えております。
  118. 中野明

    中野明君 それは清算事業団の持ち物ということになっているんですね。そうすると、それは使用料というんですか、そういうのはどういうふうに考えておられますか。
  119. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これにつきましては、やはり適正な使用料を支払う必要があるというふうに考えておりまして、現在、清算事業団と空港公団との間でその辺のいろんな話し合いが行われている段階でございます。
  120. 中野明

    中野明君 ぜひそれは、せっかくでき上がったものですから、活用をするということでお願いをしたいと思います。  それで、これも同僚委員から質問が出ておりましたが、大事な問題ですので私も、予算委員会その他でも取り上げられております航空運賃の格差の問題です。  特に外国の航空運賃との格差というのは、余りにも大きな差があり過ぎて、国民として納得がいきにくい、そういう感じがいたします。それで、運輸省としても、倍増計画とともに格差是正ということでかなり努力はなさっていると思うんですが、先ほどの質問で大体お答えはわかりましたんですが、その運賃の計算をめぐる問題で、FCUというんですか、運賃構成単位、これの廃止がIATAで決まって、運賃計算には相場の動きに応じた新計算方式を採用することになっていると、このように承知をしているんですが、その時期と、どのような効果があらわれると思われるんですか、それちょっと聞きます。
  121. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 昭和六十四年、来年の七月に導入を予定しておりますIATAの新しい新通貨制度でございますが、これは、国際的な連帯輸送を行った場合の航空企業間の精算の単位として用いております、先生今御指摘のFCU、いわゆる運賃構成単位と呼んでおりますが、これは廃止するということでございます。そして、そのかわりに新しい指標でもって連帯輸送の場合の運賃精算を行うということで、その新しい指標については現在IATA内部で協議が行われている段階でございます。  また同時に、方向別格差の問題につきましてIATAが一種のモニター機能を持つということで、具体的にはSDR、このレートによりまして各国の通貨変動をモニターをする。そしてその変動幅が二十日以上プラス・マイナス三%を超える場合、そういう場合にはIATAの事務局から関係国の航空企業に対しまして方向別格差を是正するように勧告をする、こういう内容でございます。  来年の七月からこれは実施されるわけでございますが、これが実施をされますと、いわゆるFCUというものが非常にこれ誤解を招くわけでございますが、そういう誤解は完全に払拭されるということと、それからIATA事務局の勧告によりまして、方向別格差の是正という問題に一層拍車がかかるであろうというふうに私どもとしては考えております。
  122. 中野明

    中野明君 それで、国内でも方向別の格差があるということになるわけですが、これについてもう一つ問題になるのは、やはり前運輸大臣もそのつもりで交渉するように努力しておられたと思うのですが、一〇%の通行税ですね、これを廃止するということを努力しておられるということを聞いているんですが、これは運輸大臣、どういうようにお考えになりますか。
  123. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 海外旅行をテン・ミリオン計画ということで運輸省としても督励しているわけでございますし、またこの時代に、飛行機で旅行するということが一種のぜいたくと考えられるという、その価値観でしょうか、それもいささか時代に合っていないというような気がいたします。そういう意味で、これは通行税を何とかして廃止していただくように、私たちもこれから御協力いただきまして努力するつもりでございます。よろしくお願いいたします。
  124. 中野明

    中野明君 これは国内の通行も一緒ですね。
  125. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 国内でございます。
  126. 中野明

    中野明君 それからもう一つ、国内の運賃の見直し計画を言われておるわけなんですが、それについて、見直しが出てきたときにはどうされますか。
  127. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 国内航空運賃水準の見直しの問題の御指摘だと思うんですが、これにつきましては、一つ昨年行いましたのは、北海道方面の運賃がどちらかというと割高であるという御指摘が非常に強かったわけでございまして、それを受けまして、東京から北海道の道東四地域の間の路線につきまして、経路変更に伴いますコスト減というものを、これ一路線千円でございますが、それの値下げを昨年の十二月に行ったということがございます。  さらに、全般的な国内航空運賃の水準の問題でございますけれども、現在の航空会社の収支状況というものにつきましては、ここ二、三年かなり厳しい収支状況でございます。六十二年度はかなり改善されると思いますが、そのような収支状況をもう少しよく見きわめ、会社の合理化努力というものも十分踏まえながら、その収支状況を見きわめた上で、その水準の問題についてはいろいろ検討したいと思っているわけでございますけれども、基本的には、水準を見直す場合には遠距離逓減を基本といたしまして、路線距離でありますとかあるいは使用機材、それから需要の程度、そういう三つの要素を基本的には勘案しまして、同じような、ただいま申し上げた三つの要素が同じような態様の路線についてはできるだけ同じようなレベルの運賃が設定されるというふうな形で、整合性のある運賃体系の形成を図るということが適当であろうということでございまして、全路線について調整を図り得るそういう状況が出た場合には、その機会をとらえて適切に対応していきたいというふうに考えております。
  128. 中野明

    中野明君 それで、ここでちょっと大臣考え方をお聞きしておきたいんですが、きょうも日本航空はストをしていますね。それで旅客に多大の迷惑がかかっているということです。それにはそれなりの理由があると思います。完全民営になって初めてのストなんです。飛行機に乗って旅行するという人はかなり急用の人もおるし、そういうことを考えますので、この際、ストについて大臣としての考え方をお聞きしておきたいと思います。
  129. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 御案内のように、今回のストは、新しい機種の乗員配置の問題が理由のようでございますけれども、過去に例のない理由のようですが、いずれにしろ、多数の国民の皆さんに御迷惑をかけることになるわけで、大変残念であると思っております。  ただ、これはあくまでも民営化されました日航の労使の問題でございますから、まあ口を狭むのは差し控えますけれども、大変残念でございます。
  130. 中野明

    中野明君 一日も早い解決、妥結を私たちも望んでいるわけですが、飛行機にしても何にしても、旅行する人が人質にとられるということは非常に私も残念なことだと思います。当事者はそれなりの理由を持ってやっているんですから一概に言えないということもありますけれども、もっとほかの方法で交渉の材料にならぬかなといつも私は思っております。その点で大臣の見解をお聞きしたわけです。  それでこの海外旅行、テン・ミリオン計画でこれからどんどん海外旅行はふえるわけなんですが、この海外旅行でも国内旅行でもそうなんですけれども、特に海外旅行は見知らぬ初めての国、そういうところへも行かれるわけでして、この海外旅行のトラブル問題ですね、これもよほど事前によく徹底をし、また対策も指導しておかなければならない、このように私も思うわけです。それで、外務省ですかね、これは。昨年一年なら一年でよろしいんですが、急にこれ円高で海外旅行がどっとふえたわけなんですが、この海外旅行のトラブルを調査されておると思うんですが、状況を教えてください。
  131. 中村徹

    政府委員(中村徹君) 海外旅行のトラブルにつきましては、これは旅行業者がいろいろあっせんいたしました旅行につきまして、旅行中の条件が違っておったとかあるいは手荷物が紛失したとか、そういった種々の苦情につきまして、社団法人日本旅行業協会がそういう苦情処理の窓口になっております。そこへ申し出られました件数は、六十一年度で合計三百二十件になってございます。
  132. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) ただいまの御質問にお答えいたします。  今我々の方に統計が出ておりますのは、六十一年度及び六十二年度前半でございますが、六十一年度につきまして申し上げますと、海外で何らかのトラブルに遭った事例、約四千件ございます。それに比べまして六十二年度前半、これはぐっとふえまして、前半だけで約三千件というふうな大きな数になっております。しかも、これはあくまでも大使館やあるいは総領事館に届け出があったものについての統計でございますので、実際にはこれより多いトラブルが発生しているんじゃないかと、こう考えております。
  133. 中野明

    中野明君 死者とかけが人とか、それは数字が出ておりますか。
  134. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 昭和六十一年度について申し上げますと、死者が合計で百一名、それから負傷者が百三十七名というふうな数字が出ております。
  135. 中野明

    中野明君 それは何年の統計ですか。
  136. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 六十一年度でございます。
  137. 中野明

    中野明君 六十二年はもっとふえているんじゃないかと、このように思います。新聞報道でも一年で二百三十九人とかというように伝えられております。あるいは行方不明が四十四人とか、大変な数にこれからもなってくるわけです。  こういう点について、私もこの間の中国の問題でちょっと気になったんですけれども、このテン・ミリオン計画の中で、海外における日本語の話せるお医者さんの資料がこれについているわけなんですが、世界じゅう合わせて四百十八人で、これは共産圏は入っていないんじゃないかという気がするんですが、四百十八人というふうに載っているわけですが、これはどうなんですか。中国はこの中に入っていないんですか、どうですか。
  138. 中村徹

    政府委員(中村徹君) ただいま先生のおっしゃられた海外における日本語の話せる医師として私どもが把握しておりますのは、国際観光振興会とか保険会社で把握している数字を、一応私どもが知り得る資料という意味でここに整理したわけでございまして、これ以上に日本語の話せる医師がいるかどうか。日本語の話せる医師がいる可能性はもちろんあるわけでございますので、実際にはこの数を上回っていると思われます。  ただいまお話のありました中国につきましては、私どもは把握いたしておりません。
  139. 中野明

    中野明君 それで、中国には日本からも医者が応援に行ったわけですが、これは日本語が話せるという意味じゃなしに医療の方があるんでしょうけれども、やはり中国でも日本語の話せる医者というのは少ないんじゃないかなという感じは受けたわけですが。
  140. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 先生も恐らく御案内だと思いますけれども、中日友好病院がございますし、日本と中国との間でいろいろ医療協力などをやっております。したがいまして、そういう医療協力に携わっている先生方の中には、何人かの方は当然日本語を、あるいは我々以上によく御理解されるような先生方もいるんじゃないかと思います。  それから私ども外務省で、そういう海外に旅行されます人たちのことを考えまして、「海外安全ハンドブック」、こういうものをつくっておりますが、この中で、まだ資料は完璧でありませんけれども、例えばどこどこの場合であれば日本語の話せる先生がいる病院があるというようなことも記載してございます。
  141. 中野明

    中野明君 せっかく運輸省のこれにも載っているわけですけれども、これでは非常に少ないですわね。ですからもっとこれ以上の人がおるならおるということをちょっと注ででも書いておかないと、一人しかおらぬ、しかもゼロというようなところも――これには出ていませんけれども、ゼロのところもあるんでしょうし、そんなところへ行ってもしけがでもしたり病気にでもなったときにということで、そういう点で、せっかくこれだけのものをつくられるんですから、ぜひ改めて出しておいてもらいたい、こういうように思います。  それから、トラブル問題のもう一つの点は、海外旅行が奨励されて、また円高でどんどんふえてくるわけなんですが、これにつけ込む悪質な旅行業者に対するチェック、これもぜひやってもらいたい、こう思うわけです。無登録業者の実態、これを何とかしてくれという声も我々も時々耳にするわけです。あるいは新聞なんかを見ても、誇大広告というんですか、新聞広告でも、確かにそれで行けるのかもしれませんけど、とにかく安いですね。それでホテルもついている。去年でしたか私たちもシンガポールへ行ったときに、パック旅行で三泊四日でホテルつきで九万円で、若い女の子が五、六人あるいは七、八人がグループになって来ている。こんなのもあるわけです。それが順調にいっているときはいいんですけれども、もし事故に遭うとかあるいはトラブルが発生したときに、責任は一体どうなるんだろうかということを含めて、この無登録業者の実態というものもやっぱり把握して、そして新聞広告をするときでも、登録番号なら登録番号を新聞に載せさせるとか、そういう方法をしてトラブルに巻き込まれないような措置をとってあげる方法がないものだろうか、そういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
  142. 中村徹

    政府委員(中村徹君) ただいま先生指摘のように、海外旅行の場合には安全性が非常に大事でございますので、無登録業者が非常に質の悪い旅行を提供するという可能性があるわけでございまして、無登録業者の取り締まりといいますか、無登録業者をなくすような方向で我々も努力しているところでございます。これは旅行業協会を通じていろいろな情報を集めるようなやり方もとっておりますし、それから私どもで実はきょうから始めております安全等の対策研究会というような場を通じまして、関係者からよく情報をとり、無登録業者による海外旅行をする方に被害が生じないようにこれからも努力してまいりたいと思っております。
  143. 中野明

    中野明君 とにかくいろいろなことが起こってくるものですから私たちも気にするわけです。とにかく安いということは一つの魅力になって飛びつくんですけれども、それが無登録業者であって、トラブルに巻き込まれたときにそれは知らぬというのじゃ、それこそ旅行した人は大迷惑をこうむる。こういう事態がありますので、ぜひこれは何かの方法で、あるいはまた広告に出しておって、実際はそれよりも高い金を取られたとか、そういう約束違反というんですか、そういうことも時々耳にするわけです。  ですから、そういう点について運輸省の監督はどこまで行き届くのかなと思っておるんですけれども、何かいい方法はないものだろうか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  144. 中村徹

    政府委員(中村徹君) 無登録業者につきましては、もちろん法律違反でございますので、これに対する取り締まりをやっていかなければいけないわけでございますけれども、現実の問題として、刑事的にこれを解決するというのはなかなか難しい面もあるかと思いますので、我々細かく情報を収集することによりまして、そのような無登録業者による事業が生じないように常々の努力をしてまいるというのが一番の近道ではないかと思います。  それから、海外におきまして実際にトラブルに巻き込まれたようなケースにつきましては、在外公館においてももちろん力になっていただけることと思いますが、国際観光振興会の各事務所におきましても、そのようなトラブルについての対応策をとるように常々指導をいたしておるところでございます。
  145. 中野明

    中野明君 外務省の方も、トラブルがあったときの受け入れ態勢というものは整えておられると思うんですけれども、その点、もう少し詳しくお話をいただきたい。
  146. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 在外でトラブルがありました場合、もちろん在外大使館及び総領事館に在留邦人ないし海外におられる邦人の方たちの面倒を見る領事がおります。そういう人たちに一報をいただくなり、あるいは我々の方で気がつけば、例えばの話ですけれども、病気になったときの場合なんかであれば病院を紹介するなり、あるいは差し入れまでするというようなこと等、いろいろな面倒は常時見てきているつもりでございます。  我々の方といたしましても、今後ともますます海外に出られる方が多くなるわけでございますので、そういうふうな海外におられる在留邦人の方々の面倒を見られるように、人的にも財政的にももっと強化して、万全な体制ができるように努力していきたい、こう考えております。
  147. 中野明

    中野明君 この問題の最後として運輸大臣にお尋ねをしておきますが、恐らくこれからも円高の傾向で、百二十円台で今推移しているわけですが、どんどんまだ行くでしょう、海外に。ところが今私が質問しましたように、成田空港の問題にしても限界がきているような気もいたします。あるいはトラブル問題、あるいは無登録の業者の問題、いろいろございますが、その点について、まとめて大臣の所見を聞かせていただきたいと思います。
  148. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 海外だけではなくて、国内もそうでございますけれども、これから観光旅行というのは日本人の新しいライフスタイルの中で非常に大事な意味を持ってくると思いますが、ハードの面でもソフトの面でもなかなかおくれている部分が多いようで、これを回復するために運輸省としてもこれから多角的な検討をしていくつもりでございます。
  149. 中野明

    中野明君 時間が中途半端になりますので、これをやるとまた時間が超過したらいけませんので、以上で終わります。
  150. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 JRの関連事業について、以下伺っていきたいと思います。  会社法第一条の附帯事業というものはなぜ認可が要らないのでしょうか。そしてまた、この事業の規模は全く関係がないのでしょうか。
  151. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 会社法の第一条に、鉄道事業などの本業に附帯するそういう事業の問題が規定されてございます。それで、この附帯事業と申しますものは、旅客鉄道事業を行うに当たって通常随伴すると考えられる附帯的な事業だということでございますので、本来鉄道を使う旅客の便利さの向上のための事業でございまして、それが例えば駅の構内での必要な物品の販売だとか食堂車の経営とか、そういったようなことになるものでございますので、本来必要な事業だと考えているわけでございます。そういうことで特にほかの事業を行う場合に考えられるような運輸大臣の認可という、そういう制度をとっていないということでございます。したがって、規模の問題につきましては会社の判断に任しているという次第でございます。
  152. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、具体的に伺っていきます。  今全国のJRの計画で、駅ビルを開発事業として大きく改造していく計画がございます。そのうち上野駅、延べ面積二十万平米、六十階の超高層ビルです。中身はホテル、デパート、宴会場などでございます。それから大井町、延べ面積二万二千平米です。これまた七階の高層ビル。これはデパートでございます。それから札幌駅の高架になった地下、ここで大型店舗、延べ面積五万四千平米でございます。これらはいずれも認可は要るんですか、要らないんですか。
  153. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生が御指摘になりました各事業につきましては、私どもは附帯事業と考えておりますので、大臣の認可は要らないということでございます。    〔委員長退席、理事中野明君着席〕
  154. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 認可が要りません――先ほど認可なぜ要らないかと言ったとき、鉄道事業に必要な仕事をするから要らないとおっしゃったんです。今言ったような六十階の大型のホテルだとかそれからデパート、これが附帯事業と言えるのかということですね。  それでは、もしそれも附帯事業だということで認可も要らないということになれば、どんな大きな規模でどんなすごいのが建とうと、何をやっても自由にできるということになると思うんですが、いかがですか。
  155. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 附帯事業という限りは何をやってもいいというわけではございませんで、一定の性質上の制約があるわけでございます。  それで、若干詳しく御説明いたしますと、一般的に附帯事業というのは、本来業務に対して従なるものであって、本来の業務を営む上で必要であるとかあるいは有用であるとか、そういうように本来業務と関連性を持つものであるというふうに理解をしておるわけでございます。そういうことでない業務になりますれば、それは附帯事業として認可が要らないでできるという話ではないと、こういうことでございます。
  156. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 あくまでも鉄道事業という本来業務に必要な事業は附帯事業として認めるということなんですよね。だからホテルだとかデパートは鉄道事業に本来必要な附帯事業というところまで拡大すれば、私が言ったようにホテルができる、宴会場ができる、何でもできる。何でもできない、制約があると言われるなら――認可を受けなくてもできるわけだから、じゃ、できないというものは何がありますか、逆に言えば。
  157. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 例えば、鉄道の駅から離れたところでデパートを行うとか、そういうふうな話になってきますと、直接旅客との関係が説明できるかどうかという問題になるのではないかと思います。
  158. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国鉄の駅から離れていたら認可が要りますね。これは一条の三項のところに、「その他の事業を営むことができる。」ということがあって、これが認可ということになりますよね。私が言ったのは、駅のど真ん中、駅を改造してそこにホテルだの何だのということが認可なしで自由にできるというところが私は問題だと思うんですよね。だからこれは大事なことだ。駅構内敷地だったら何でも自由にできるじゃありませんか。今おっしゃった、できないというのは駅から離れているときだということでしょう。  じゃ、角度を変えて聞きますと、今の会社法一条三項です、「その他の事業」を、今おっしゃったように離れたところでホテルやなんかやると、その事業は何のために認可事業になるのですか。ホテルが離れていたら、何のために認可事業になるんですか。    〔理事中野明君退席、委員長着席〕
  159. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 附帯事業の場合は、当然その鉄道を使います旅客のために必要な事業という性質が強いわけでございます。それで、鉄道を使って旅行される方々が、必要なものを買うとかあるいは泊まらなければならないとか、そういうようなことで、本来旅行に伴う有用性ということを求める事業でございますから、それは鉄道だけですべての旅行者のニーズが満たされるというわけでございませんので、そこは鉄道と一緒にやっていく、そういう必然性がもともとあるのではないかと考えているわけです。  しかし、附帯事業ではない事業の問題になりますと、鉄道を経営するということと別個の判断で経営者が行う話になってまいりますから、本来、それ以外の事業をやるのが旅行者のために役立つとか役立たないとかいう問題とは別の問題になってきますので、そうしますと、そういう事業をわざわざやる必要があるかどうかということにつきましては、鉄道事業に対してその経営に著しい支障を生ずるのかどうかというような観点をチェックする必要があるのではないかと考えておるわけでございます。
  160. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは矛盾だわ。離れているところは鉄道事業に直接関係ない人も利用するから、だから認可にしなきゃならぬとおっしゃったわけだよね。それから、鉄道のその上の開発事業としてやるところは、直接鉄道利用者が使うから、だから認可しなくてもよろしいと言うのね。そうしたら、駅開発ビルというのは、鉄道利用した人ばっかり泊まるのかといったら、そうじゃないでしょう。さっき言ったように、上野には六十階のビルが建って千百室の部屋があったら、何も上野駅をおりた人だけが入るというか、泊まるわけじゃないんですわ。宴会場も商店も入るわけでしょう。そうしたらそれも鉄道事業、上野駅に関係ない人だって自由に入れるじゃないですか。だから、あなたが言った説明じゃだめですよね。  だから、具体的に言えば、デパートを考えてみますよ。同じデパートだけれども、一つの方は駅の開発事業で、駅の構内で、その上に建ったデパートは認可が要らない、規模も関係がない、大きいのをつくろうがどんどんつくってよろしい。ホテルでも。そうして、離れているところは認可しなければならないと。おかしいですよね。同じホテルにしたって、認可するのとしないのという矛盾が出てくるじゃないですか。そして、それは一番便利な駅の開発事業で、駅の構内を使ってやられる。そこが認可が要らないで、そして規模も制限がなし、自由にできるということよね、認可が要らないということは。これはもうまさに無責任。無責任というのは、その駅の上に建った、認可なしでどんどんやられた建物の中の営業なんかが、もしか何かの事があった、そんなときには鉄道事業に影響が出てくるんじゃないか。それと全く関係がありません、運輸省は一切知りませんということになるわけでしょう。だから、そこはもう非常に大きな盲点だということになるわけです。  それじゃ大臣、伺いますけれども、附帯事業で大きな駅の開発ビル、これは認可要りません、どんどんつくってくださいと。そこでもし損失が出たらどういうことになるんですか、運輸省として。損失が出たときには責任はどうなるんですか。
  161. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 鉄道事業とその他の事業との会計につきましては、基本的には区分して経理するということを考えております。したがいまして、鉄道事業以外の事業の場面におきまして損失が出た場合、それは通常の会社、鉄道事業者に限らず通常の会社がその自己の責任において処理するという形になると思います。
  162. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 区分はしても会計が全く別の別会社じゃないということですよ。そこのところはしっかり考えてください。単なる、会計は別にしているけれども一つのどんぶりなんだから、損したときは、運輸省、大きなことになるんですよ。その辺のところを私は言いたい。  それでは、先ほど言いました上野と大井、札幌駅、これがどれぐらいの事業収入というふうになっているのか。わかっていたらお知らせください。
  163. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 現在のところ、その三カ所でどんなような駅ビルをつくっていくかということにつきましては、詳細はまだはっきり決まっていないということだそうです。
  164. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 詳細に決まっても、認可事項でないから運輸省としては直接わからないわけだね、これ。それを見て認可するというわけじゃないから。これは大変なことですよ、自由に何でも勝手にできるなんといったら大問題になる。  そこで私の方も、これらの問題を一つずつ具体的に、私が調べてもわからないから、これは専門家、資格を持った専門家の人に試算してもらったんです。  上野の場合、ホテルが千百室、利用率を六割と見て年間収入四十億、利益はその売り上げの四割で十六億です。そしてお店がずっと入ります。月テナント料、あの辺の時価で言うと少なくとも坪六万円、年間利益が百四十五億。そうすると年間の利益は、ホテルとテナント合わせて百六十億の利益になります。じゃ、支出は何だ。建設費です。建設費は、JRさんの説明では、七百億のうちの七割は、保証金ですね、権利金、これで賄えると説明なすっている。七百億の七割賄える。そうすると、残りの三割、二百億が借入金になるわけですわ。二百億借りた。さっき言ったように年間百六十億利益が上がるわけですから、そうすると、これは遅く見積もっても三年から五年で二百億くらい返せるわけですよね。それを返しちゃったら後はもうかる一方だ、こういうことなんです。  なぜこんなもうけがあるだろうかとそのからくりを見るならば、ここは簿価で言うと坪六千二百円ですね。ところが時価で言うと六千万円という時価なんです。だから、本来なら土地の代金を今の価格で買うとすると数千億の返済が必要だ。返済に二十五年はかかるだろうと言われる。だけれども、今言ったように時価二兆円のものを二億の簿価で譲り受けるんだから、こういうふうにもうかるという大変ないいもうけの材料になっているわけです。  それから大井町、これは大臣の地元だ。これはJRデパートというのが建つわけです。年間の売上高、これはJRのおたくの計画で八十五億三千二百万。利益を一割と見て年八億五千三百万。権利金、保証金というものは、時価二百万で三千坪もらいますと六十億保証金が入るわけです。建設費は、JRさんの建設費の計画は七十七億。七十七億の建設費から権利金として六十億もらうと借り入れなければならないのは十七億。十七億なんだけれども、利益はさっき言ったように八億五千三百万入るんだから、これまた三年後には返済可能。その後はどんどんふえる、もうけだけが残るということですよね。専門家に言わせると、JRさんの言う売上高というのはこれは最低。実際はこの二倍になるだろうと。そうなると一年半で返済できる。なぜこんなうまい話になるのかというと、ここも千二百七十一坪時価で買ったら二百億のものが、さっき言ったような簿価で買えるんだから、これも普通なら返済に二十五年はかかるだろうというのがわずか一年か二年で返せる。こういう同じ例です。  それから札幌はどうだ。札幌は市がお金を八割、八六%出して、駅の上、高架化になりました。そして仕事も全部札幌市がやってくれました。その下をJRが大きな店舗にするわけなんですね。札幌市の簿価でいったら八千百円なんです。札幌、私の地元、時価は一千万です。そうしますと、JRの、おたくの計画で、年間売り上げというものは約二百十億になります。この利益率一〇%、二十一億でしょう。保証金として坪百五十万から二百万と計算いたしますと九十億から百二十億入ってくるんですわ。そうすると、建設費なんというのは上も柱も札幌市が出してくれた。ちょっと下をやるというだけで権利金がこれだけ入ってくる。百億から入ってくるとすると、これはまた大きなもうけになる。なぜこういうことになるかというと、さっき言ったように、時価でいったら三千億ですわ、土地が。それを簿価で、おたくの方から出していただきました簿価で二億円でもらえる。三千億の土地を二億円でもらえるんだったら、これはもう商売としたらこんないい商売ないですよ。  こういうふうに次々と全国にこれが建っていっちゃったら大変なことになるというわけなんですね。そこで、これは専門家に私は意見を聞いた、調べてもらったんです。こんなに利益を上げたら結構でございますと。それじゃ、その利益でもってJRはその利益を還元してくださって運賃路線維持に活用されるのでしょうか、されないのでしょうか。その辺をお答えください。
  165. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 今先生の御指摘になりました事業内容の問題でございますが、先ほど御答弁いたしましたように、私ども詳細に承知しているわけではございませんので、それにつきまして特に具体的にどうこうということをちょっと申し上げる立場にはございませんけれども、ただ、国鉄からJRになったときのその仕組みの考え方を御説明いたしたいと思います。  国鉄がJR会社になったときの国鉄の資産の承継に関しましては、特に土地の問題が今御指摘でございますけれども、その土地につきましては、鉄道事業用、そういう本来事業用に使う事業用資産をできるだけ事業に必要最小限度のものに限りまして、それにつきましては、本来鉄道のために使っていくのに必要なところでございますから簿価で承継するということを考え、その他の資産、例えば典型的な関連事業の資産のような問題につきましてはそれは時価で承継するということでその承継計画をつくったわけでございます。  それで、承継をされた資産をJR各社がどのように有効に活用していくかというのは、これから先の問題としてはJRの基本的には経営陣の一つの経営判断として行うことでございますけれども、もともと鉄道事業を廃止するとかそういうようなことではございませんで、そこの承継した資産を用いて本来事業に使いながら、それを有効活用するということでございますので、その点、しかも附帯事業であれば本来鉄道利用するお客さんのために非常に有用な事業、そういう蓋然性の高い事業でございますから、そういう事業を有効活用してやるということ自身は経営にとって必要なことではないかと考えております。
  166. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこ大事なところなんですよね。これでJRがそういうデパート、ホテルつくりました。上野では一年に百六十億ですか、すごい利益が上がります、年間利益。これが鉄道事業に還元されるのかされないのかということなんです。法的に見て、運輸省令で見て還元されるのかされないのか、そこが大きな問題ですよ。還元されるなら話は別。
  167. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 法律的に申し上げますると、先ほど御説明しましたように、鉄道事業と附帯事業その他の事業というのは区分して経理してございますから、それ自身が附帯事業の方で大変な利益を上げたことを鉄道事業に還元するというそういう必然性というのは直ちには出てこないわけでございます。ただ、同じ会社の経営者が考えることであると仮定いたしますと、そこはその経営者の判断で将来の問題としてはいろいろな場面があるのではないかと思います。
  168. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、経営者が出さないよと言ったら出さなくてもいいわけだ。
  169. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 基本的には鉄道事業とその他の事業ということは分けて考えていきたいと考えております。
  170. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 何だかきれいな言葉でおっしゃったけど、基本的には分けていきたい。そして出すか出さないかは経営者の頭次第だというと、出さなくても済むということになるんですわ、わかりやすく言えばね。  だから、問題はそこなんです。安い土地、国民の財産をもらって、そして物すごいものを建てて、そうしてもうかったら、出すか出さないかはそのときの経営者の判断。そんな判断なんかしませんよ。これ、鉄道事業法でいっても私鉄と同じになるんですわね、今度のJRの運賃ということは。そうしますと、やっぱりもうかったときはもうかったということで鉄道に還元されないというところが問題なんですよ。  それで、あなた上手におっしゃったし――いや、ちょっとごまかされるものね。それで私もここが一番問題だと思って、実は分割・民営化になるときに、六十一年の四月二日に私は三塚さんに聞いたんだわ。そのときは東京駅の例を出しまして、東京駅で既に三菱地所なんかがもう高層建築の構想を出していたから、だからこれでどんどん大きなビルを建ててそしてもうけるということは困るんじゃないか、間違っているんじゃないか、国民の財産をそんなもうけのために使われたら困るんじゃないかと言ったら、そうしたら三塚さんはこう言ったんです。長期債務の国民負担をお願いしている以上、共有財産であるから、鉄道事業施行上必要なぎりぎりのものは鉄道会社にお持ちいただくと。そうですね。鉄道事業に必要なぎりぎりなものはお持ちいただくというわけです。これはホテルやなんか上に建ったの、これ、鉄道事業にぎりぎりですか、ぎりぎりだなんて言えないじゃないですか。それから棚橋さん、棚橋さんはきょう来ていないですが、棚橋さんもこう言いましたよ。事業用に必要な最小限のものは簿価で渡すと、こう言われたのね。鉄道事業に必要なものは最小限簿価で渡すとこうおっしゃる。そしてまた棚橋さんは、ある程度将来の鉄道の施設の展開に必要なもの、これに可能性の余地を残しておくと。鉄道施設を展開するのになぜ六十階のビルが必要かと私は言いたいところですよね。そして三塚大臣はこう言ったんです。多角的な運用で収益を上げて、それが鉄道経営にプラスになるように考えているんだとおっしゃった。これはまともな考えですわね。もしやってもうかったら。だけれども、実際にはこれはさっきおっしゃったように、会計を別にされちゃって、経営者の考え方次第。あなたそう言ったけれども。これは全然別なの。もうかったときには何ぼでももうかる、鉄道事業に何ら返ってこないという、ここのところが今大問題。JRの正体ここに見たりと私は言いたいんだわ。  国民のみんながJRの分割・民営、賛成した人いますよね。それは何だといったら、分割・民営やっていろんなことをやってもらって、鉄道が残って鉄道事業が守られると思って賛成したんですよね。ところが、そのいい土地をただみたいにもらって、大きいのを建てて、もうけはがっぽり取っちゃって、鉄道の方は知りませんと言う、結果的にね。これはまさに、国会の場でうそとペテンで私をだまかしたことになる。私はだまされてもいいけど、国民みんなだまされて黙っちゃいませんよね。これが分割・民営の正体だと私は言わざるを得ないんですわ。そういうことをちょっと大臣後で感想を伺いたいと思うの。ひどいじゃないですか。  そこで今何が起こっているかといったら、上野。上野地域地元六十軒で二千五百室持っているんです。それで、この六十階の上野のビルが建ったら千百室のホテル。約半分ですよね。これができちゃうということになると大変なことになる。そして、JR東日本、初め千室、八百室と言っていたのを千百室と、今度はちょっと多く言っている。これは何だといったら、千百室だと言っていて、それでじゃあ少し譲歩しましょうみたいに格好つけて、八百室にするんでしょうね。だから、こういうことで地元は怒っているんです。こんなことじゃもうたまらないよと怒っている。  それから大井でも調べてみたら、周辺の商店街の連合体である大井商店連合も、この計画ではのめないと、危機感を感じて今大変運動が起こっているということなんです。  そこで私は最後にお伺いしたいんだけれども、こういう中小企業なんかを圧迫してはいけない、そういうことをしてはいけないというのでみんなの要請が非常に多くて第十条が入ったわけですよね、会社法第十条「中小企業者への配慮」というのが入ったわけですわ。そうするとこの第十条の規定は、こういう場合にはどういう役割を果たすのですかということですね、一つは。それから次は、中小関連関係業者と十分話し合うように、運輸省としてまだ計画知りませんなんていうそんな無責任なことじゃなくて、十分話し合いをするように、JRに指導してください。それから……
  171. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 小笠原君、時間が過ぎています。
  172. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、これで終わりです。  一方的にJRから運輸省は聞くだけじゃなくて、当事者である商店街との話し合いを受けていただきたい。これが私の要求大臣の御感想も含めてお願いします。
  173. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生種々の問題の御指摘がございましたので、すべてお答えできるかどうかわかりませんが、まずは鉄道事業とその附帯事業、その他の事業というのを切り離すことの関係のことで、これは私鉄の場合においても同じやり方をしております。  それで、一番最初先生指摘になったのは、関連事業などで赤字が出たときにどうなるかということの関係で申しますと、そこを切り離して考えておきませんと、関連事業で赤字が出たことにより本業の鉄道運賃改定をするとか、そういうような必然関係が出てくるということは非常にまずいのではないかと考えているわけでございます。  それから、今の他の事業者に対するいろいろな会社法の十条の関係は、会社法の十条で「中小企業者への配慮」ということで、「同種の専業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、又はその利益を不当に侵害することのないよう特に配慮」するということがその会社の責務でございますので、それで、その営む事業について特に制限をしているわけではございませんので、基本的にはこの十条が働いてまいるということになるかと思います。私どもも、この十条の趣旨にかんがみまして、JR各社がその他の事業を行う場合の関係の中小企業者との関係につきましては、具体的にできるだけ関係の事業者の方々と調整を図るようにということを現に指導しております。今後もしていくつもりでおります。
  174. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣いかがお聞きですか。もうかったときは配慮、損したら知らない、こんないい話はないね。どうなんですか、御確答を。
  175. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 小笠原委員指摘の点につきましては、JRの誕生成立の推移からしまして、私の前々任者であります三塚大臣の所見のとおりだと思います。  それから附帯事業に関しましては、あくまでも地域の方々と話し合いの上で行わるべきだと思います。現に私の地元であります大井町も、私も介在いたしましたが、周りの商店街の方々と合議しまして、そこにたしかテナントである企業が入りますけれども、その企業をみんなで選んだ推移がございます。
  176. 田渕哲也

    田渕哲也君 前回は整備新幹線の問題についてお伺いをしましたけれども、それに関連をしまして、若干質問をしたいと思います。  先ほども総合交通体系につきまして大臣の方から、長距離は航空、それから中距離は新幹線と、そういった御説明もあったわけでありますけれども、総合交通体系というのは、やはり国民の足として一番最適な機関というものが国民ニーズに応じてでき上がっていくというのがいいわけでありまして、また、それがひいては交通に投資する資源の効果的な配分につながる、このように考えるわけですけれども、この総合交通体系をどのような手法でつくり上げるのかという点についてお伺いをしたいと思います。
  177. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。  望ましい総合交通体系でございますが、これは各交通機関がおのおのその特性を発揮することによりまして、国民生活あるいは国民経済上のニーズに的確に対応できる交通サービスを提供し得るような交通体系であるというふうに私どもは考えております。  そこで、各種の交通機関の発達した今日、このような交通体系の形成は、できる限り交通機関の間の競争と利用者の自由な選択、この二つのことが反映されることを原則といたしまして各交通機関の特性が生かされるように形成されることが望ましいと考えております。しかしながら、過疎地域等における交通の維持のための措置ですとか、あるいは地域間の交通の利便性に関する地域格差の是正措置、このような社会的公正を確保するという見地からの政策措置に対する要請も最近強まってきておりますので、これらの要請にも十分留意をしながら、前に申し上げた原則ができるだけ生かされるような形で配慮される必要があると考えております。
  178. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、基本的には各交通機関間の適正な競争によって、またそれに対する国民の選択というものによって総合交通体系が自然に形成される、それで足りない部分を政治で補っていく必要がある、そういうふうに解釈していいわけですね。
  179. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) そのようにお考えいただいていいと思います。
  180. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、国鉄民営化というのはそういう意味で交通政策について非常に大きな転換をもたらしたという気がするわけです。  大臣は、国鉄民営化の意義というものをどのように考えておられますか。
  181. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) かつての国鉄、いろいろな問題がございまして、それが結果として国民に非常に過大な負担をかけたわけでございますから、それを解消し軽減するために民営化によって合理的な経営を行おうということで着手されたわけでありまして、それが現在、一年たちましたけれども、収入もふえ、国民の評価もいただいているということで、私は成功だったと思いますし、民営化の意義がそれによってあかされたと思っております。
  182. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、国鉄の経営の破綻の原因ということも、国会でもいろいろ論議されてきた問題ではありますけれども、昔は国鉄が最も有力な交通機関であった。国鉄以外余りなかった、鉄道以外。ところが、交通機関というものが多様化して、航空機もできる、自動車もできるというようなことが、私は国鉄を破綻に追い込んだと思うんです。これは、交通機関多様化にいわゆる鉄道政策というものが適合していなかった、したがってああいう状態を招いたと思うんですけれども、その意味で民営化というのは、それまでは鉄道政策が交通政策の非常な大宗を占めるものであって、したがってナショナルミニマムも含めて、これ全部鉄道に背負わされてきたと思うんです。ところが、交通機関多様化すると、ナショナルミニマムということも鉄道だけでそれを達成しなくてもいい、ほかの交通機関もそういうものをやっぱり鉄道と同じように分担し合わなければならない。そういう中で総合交通政策をつくるには、やっぱり政治が鉄道だけに過度に介入する、あるいは特定の交通機関だけに過度に介入するということが総合交通体系を形成する上で非常にひずみをもたらす、そういった問題が国鉄経営の破綻をもたらしたと思うんですね。そういった意味で私は、国鉄の民営化というのは、やはり交通機関多様化にマッチした政策であるし、また、それが交通政策の発想の転換をもたらしておると思うんです。  ただ、ここで問題になるのが、やっぱり整備新幹線建設についての基本的な考え方だと思うんです。自民党は既に、整備新幹線建設費は公費負担、公共事業方式でやるということを決められておりますけれども、さっき言った国鉄民営化によってもたらされた交通政策の転換、転換というか現状へのマッチ、適合ということから見て、これはちょっと問題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいまの先生の御指摘は、自民党の方で公共事業方式ということを一度お決めになられた、その方式を採用するとすれば、国鉄の民営化の考え方とぶつかる点が出てくるのではないかという御指摘ではなかろうかと思いますけれども、ただいま先生も御高承のとおり、整備新幹線の取り扱いにつきましては、政府与党の間で委員会をつくりましていろいろな角度から詰めている段階でございます。それで、財源の問題に一番絡む問題かと思いますが、今の公共事業方式ということ自身は。そういう財源の問題も当然その検討委員会の中で検討している段階でございますので、その中で適切な結論を出していく話になるのではないかと考えております。
  184. 田渕哲也

    田渕哲也君 これはむしろ自民党からお答えいただくべき問題かもわかりませんが、やっぱり私は、公共事業方式を交通機関建設に当たって採用することそのものがもう絶対悪いとは言いません。ただ、総合交通体系の形成が、交通機関の適正な競争によって国民の選択によって形成されるという基本に立つならば、鉄道だけにこういう手法を当てはめるということをほかのことを度外視して決めるというのは問題ではないか。全体の総合交通体系をどうつくるかという観点から物を考えた上でそういう結論が出てくるならそれは一つの方法だと思うんですけれども。じゃ、航空機とかあるいは高速自動車道とかそういうものとの関連を度外視して、整備新幹線だけ建設費は公費負担というのがぽこんと出てくるというのは若干おかしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  185. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 国鉄が民営化されたのはごく最近のことでございますし、整備新幹線を含めた高速鉄道網という構想はその以前からも運輸省にはありましたし、また、自民党もこれを支持してきたものでございまして、ちょっとそこら辺で時間的な食い違いみたいなものがございまして、公共事業方式というものを党の方では決定したわけですけれども、これもかなり大づかみな決定で、ですからそういう時間的な食い違いというものを埋めるために、今やっております検討委員会でも、あくまでもJRの意向をそんたくする、それからまた関係地方公共団体の意見もそんたくするという条項が入っているわけで、そこの時間的な誤差の食い違いというものは、そこでJRにとっても埋めていかれると思っております。
  186. 田渕哲也

    田渕哲也君 JRと相談するとか地方公共団体と相談するというのは、私は実はそれともちょっと違うと思うんです。まず総合交通政策を考える上で問題ではないか。自民党自体が交通政策を考える上で問題ではないかということを申し上げておるわけであります。  それから次に、今度は民間企業として発足したJRとの関係考えてみますと、政治圧力によって整備新幹線をごり押ししようというのはやはり問題だと思うんですね。  新聞の記事の中にも、安倍幹事長とJR東日本の住田社長とのやりとりが載っております。これがこのとおり本当かどうかわかりませんけれども。整備新幹線の事業見通しなどを報告するため自民党本部を訪れたJR東日本の住田社長を温厚な安倍幹事長が厳しくしかりつけた。君は新幹線をつくらせたくないのか、まあこういうことでしかりつけたというのがありますけれども、これも、民間企業として独立したJRに対して少しやり過ぎではないかという気がしますが、大臣としては、どうお考えでしょうか。
  187. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 安倍幹事長と住田社長のやりとりの詳細は、私存じておりません。ですから、これについて具体的に言及することはできませんが、ただ、一般論として申し上げれば、いかなる政治家、政治が、JR各社の個別の経営事項に介入するということは、好ましくないと思います。
  188. 田渕哲也

    田渕哲也君 それともう一つは、やはり整備新幹線をやる時期というものが非常に問題だと思います。私はまず、やっぱりJR各社が民営化されてこれからどう一本立ちするかというよちよち歩きのときです。それで、今はまだJRの経営も完全に独立しておるわけではありません。株も国が全部持っておるわけですから。自主的なことをやれと言ったって――政治の場から言えば、やっぱり発言をしなければならないこともあるわけですし、その権利もあると思うんですけれども。したがって私は、せっかく民間会社としてJRができたんだから、JRの経営の自主性が確立するという時期までは少なくとも待たなければいけないのではないか。そうでないと、JRの意見を聞いても、本当に自主性が確立された中で出てきた意見かどうか疑わしい。それには、本当は株式も大部分はもう民間に払い下げるという時期が来なければ、それはなかなかできないのではないか。どうしても政治圧力で整備新幹線がつくられるということは避けがたい。そうすると、かつての国鉄の二の舞を踏む可能性もある、このように考えるわけです。  それからもう一つ、時期が早過ぎるというのは、旧国鉄の長期債務の処理がまだ全く目鼻がついていない。国の財政的な見地からしても、少なくとも旧国鉄の長期債務の処理がある程度めどがつく、そういう段階でないと、将来まだ非常に危険性もある新たな投資に国費をつぎ込むとかそういうようなことは、これはちょっとやるべきではないのではないか、これが第二点です。  それから第三点は、先ほどからも論議されておりますけれども、リニアモーターカーなどの次世代の鉄道技術革新の推移を見きわめなくてはいけないと思うんです。大臣の言によりますと、もう十年後には実用化されると言われているわけです。整備新幹線をつくっても完成は昭和七十年、そのころにはもうリニアモーターカーの実用化のめどが立っておるわけですね。そういう時期に慌てて整備新幹線をつくるというのは、非常に問題ではないかという気がします。  この以上三点から見て、時期が尚早ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  189. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生指摘のまず第一点目、JRが一本立ちしていない、あるいは一本立ちするまでは待つべきではないかという御指摘関係でございますが、私ども、昨年の四月に国鉄が民営化され、清算事業団が全株を持っておりますが、一つの民間会社として各JRが発足して、民間の手法で民間的な判断を行いながら今仕事をしていると認識しております。したがいまして、そのJRの御意見を伺うということは、JRが自主的な意見を出していただけるものと確信いたしております。  それから第二点目の、国鉄の長期債務の処理との関係の問題でございますけれども、確かに先生指摘のとおり、清算事業団において約二十五兆円ぐらいの長期債務の処理の問題が残っております。それで、今の計算ですと、自主財源を入れましても十三兆強、十四兆弱の国民負担の問題ということがまだこれからの問題として残されているということは事実でございます。これは国鉄改革の際の残された最大の問題だと考えておりますが、その処理の考え方の問題と、整備新幹線をどうしていくかという問題とは別の問題ではないかと思っております。それは、整備新幹線の問題はあくまでも交通政策としてどのような鉄道が必要であるか、こういう観点の問題がまず第一の問題ではないかと思っております。もちろん、その結果、せっかく民営化して独立したJRに対して、その経営に悪影響を与えるようなことは、基本的には私どもはそういうことはしないという立場をとっておりますが、政策論の問題としては、別個の問題ではないかと判断いたしております。  それから第三点の、リニアとの関係の問題につきましては、先ほども運輸大臣の方から御答弁申し上げましたように、リニア開発につきましては、まだ技術開発上のいろいろな問題が残されているわけでございますので、整備新幹線の判断につきましては、現在リニアを使うというふうな考え方を持っていない、こういう考えでございます。
  190. 田渕哲也

    田渕哲也君 第二点に私が申し上げたのは、国の財政的見地から見てまだ長期債務が残っておる。そのうち、政府の試算によっても大体十四兆は新たな財政措置を講じないといかぬと言われておりますね。それがどうなるか決まらぬ先に、さらに、もし自民党の言われるように全額公費負担となれば、五十九年度の計算でも五兆余りのものをつぎ込まなければならぬ。そういうことは非常に問題ではないか。国の財政的見地から見て時期尚早ではないかということを申し上げたわけであります。  それから第三点のリニアモーターカーの場合は、そういうことは考えておりませんというのが非常に問題であって、もう十年ほど先に実用化の見通しがつくならば当然考えて、検討した上で、どういう方式でやるかということを考えなければならないと思うんですね。できたときにはもう時代おくれというようなことは、全くむだ遣いということになるわけであります。  そういう点で私は、新幹線建設の前提というか、前の段階で、まだまだ考えなければならないことが多過ぎるのではないかという気がするわけです。大臣はどうお考えですか。
  191. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 御指摘の点、とても大事な問題を含んでいると思います。ですから、そういうことも含めて、財源問題等それから優先順位、この中には収支見込みその他JR、地方公共団体の意見もしんしゃくしての討議が行われるわけでございまして、そういう問題についても十分検討の末に事の決着を図るつもりでおります。
  192. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほど安恒委員の問題提起されたことに関しまして、ニーズ多様化というのがあります。例えば中央新幹線に対するニーズというものがもう出てきておる。あるいはあちらこちらでリニアモーターカーを交通機関に導入しようというようなプロジェクトも考えられておる。そして大臣は、そういうものに対応するためにロスの少ない行政をやる必要があると。問題は、このロスの少ない行政をやる手法というものについてどうお考えですか。
  193. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 日本の私企業の経営合理感覚というのは非常に鋭くて、私は、評価さるべきものがあると思います。ですから、国鉄も各JRに民営化されたわけでありますし、そういう手法を駆使して経営に努力されると思いますけれども、先ほど委員もおっしゃいましたように、私は、自由競争の原理というものは、結局ロスを省いた合理的な交通体系というものを相互規制し合いながら、ある部分は淘汰もしながらつくっていくのではないかと思っております。
  194. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、国鉄の民営化の意義というのは、ただ単に分割して小回りがきくようにして、それから人減らしをして、効率的な運営をやって、そして膨大な赤字が出ていたのを採算に乗るようにするだけではないと思うんですね。やっぱり民間会社としての活力というか、創意工夫というか、あるいは競争による努力というか、そういうものをフルに発揮させることにあると思うんです。そういう意味では私は新幹線というのは、やはりだれが考えても次の二十一世紀の鉄道というものは新幹線なんです。どういう方式で変えるかは別にしても、やっぱり鉄道が航空機とか自動車とかと競争しながらシェアを伸ばしていくためには、そういう新しい技術がどうしても必要である。したがって、そういうものをどう取り入れるかというのは、民営化されたJR各社にとってはまさに一番大事な死活問題。これが今企業基盤が整わない時期に、政治のごり押しでどんどん進められるというのは、私は、JRにとってはもうやりきれないことではないかと思うんですね。その意味で、やはり民営化された会社の創意工夫、技術革新、そういったものをフルに発揮させてこそ、国民のために最も経済的で役に立つものができると思うんです。  もちろん、政治の介入が全く要らぬというわけではありません。特にナショナルミニマム、これは採算を度外視してもやらなければならない点はあります。これはあくまでミニマムでありまして、そういう線は政治がやっぱり守っていかないといけない。それともう一つは、新技術の導入とか新しい膨大な投資に対しては、やっぱり企業は石橋をたたいて渡る。だからなかなか踏ん切りがつかないという面がありますから、それに対して政治がインセンティブを与える、あるいは援助をする。それは必要だと思いますけれども、やっぱり主体的な役割は、民間企業の創意、努力、そういうものに任せていくべきではないかと考えますけれども、大臣のお考えをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  195. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 今度の検討委員会も、あくまでもJRの意向というものをそんたくするということをたてまえにしておりますから、これを無視して事を進めるわけにはとてもまいりません。それは財源問題に関しましても各JRがそれぞれの条件を申し出ておりますが、それがさらに財源の検討委員会議論されて、かなわないという財政的な状況があればこれは事が進まないということになるわけですから、要するにJRの主体性というものを政治が無視して事を進めるというようなことはあり得ませんし、また、そのための歯どめは、組織として検討委員会の運営の仕組みとしてもきちっとかかっていると私は思います。
  196. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) これをもって昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会