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1988-03-28 第112回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十八日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野 鉄造君     理 事                 真鍋 賢二君                 松岡滿壽男君                 安恒 良一君                 中野  明君     委 員                 伊江 朝雄君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 二木 秀夫君                 森田 重郎君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 穐山  篤君                 小山 一平君                 田渕 勲二君                 小笠原貞子君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  石原慎太郎君    政府委員        警察庁交通局長  内田 文夫君        運輸大臣官房長  棚橋  泰君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部長        兼内閣審議官   井山 嗣夫君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省国際運        輸・観光局長   中村  徹君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       清水 達夫君        運輸省貨物流通        局長       中島 眞二君        運輸省海上技術        安全局船員部長  野尻  豊君        運輸省航空局長  林  淳司君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    説明員        外務大臣官房領        事移住部外務参        事官       田辺 敏明君        大蔵省主計局共        済課長      山口 公生君        文部省初等中等        教育局高等学校        課長       森  正直君        労働省労働基準        局監督課長    松原 東樹君        建設省都市局土        地利用調整官   柳沢  厚君        建設省道路局高        速国道課長    玉田 博亮君        建設省道路局道        路経済調査室長  橋本鋼太郎君    参考人        本州四国連絡橋        公団理事     吉田  巌君        日本国有鉄道清        算事業団理事   山口 良雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (運輸省所管)     ─────────────
  2. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  去る三月二十五日、予算委員会より、三月二十八日及び同月三十一日の二日間、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  3. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日、日本国有鉄道清算事業団理事山口良雄君及び本州四国連絡橋公団理事吉田巌君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) それでは、本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 田渕勲二

    田渕勲二君 まず、運輸大臣からありました所信表明に関する件について、運輸大臣にお伺いをしたいと思うのであります。  きょうこれから私が質問をしようとする運輸産業分野での所信表明というものが、非常に希薄な感じがするわけです。特に陸上貨物輸送分野というのは非常に多くの問題点がございまして、きょう質問を申し上げますけれども道路運送秩序の問題とか、あるいは大臣も御存じのとおり、猛烈なスピードで昼夜の別なく、一般道路といわず高速道路といわず走り回っているトラックの大変な事故問題とか、こういうような大きな課題を抱えている分野で、今や鉄道にかわりまして物流のほとんどがトラックに依存しておるという公共性豊かな基幹産業であるにもかかわらず、冒頭に申し上げたように、どうも所信表明を見る限りでは明らかでないような気がするんですが、大臣として、これからの施策をどのようにお進めになるのか、ひとつ基本的な考えをまず冒頭にお伺いしたいと思います。
  7. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 所信表明はできるだけ簡潔にと思いましたので、テーマテーマに濃淡ができたのかもしれませんが、今委員が御指摘のように、日本物流というものの本当に大部分を分担している貨物輸送については、私は日本にとって致命的な意味合いを持つ大事な大事な機関だと思っております。  特に、国鉄のストが三木内閣のころありまして、あのときに鉄道輸送がとまってしまったんですけれどもトラック業者がそれを負担してくださいまして、物価に響かないような形で事が終わりました。それ以来、あれが一つの節になって日本トラック輸送というものの社会的な意味合いが定着したと思いますけれども、そういう意味でこれからの日本の発展のためにも非常に大事な部門だと思いますし、そこに滞積している問題の処理については、渾身の努力していくつもりでございます。
  8. 田渕勲二

    田渕勲二君 御説明によりましてよくわかるのでありますが、できるだけこれからの所信表明については、課題としては非常に多くの課題を持っておる分野でありますので、ひとつこれからは、 所信表明の中では、大臣の意のあるところは十分明らかにしておいてもらいたいと思います。  それでは具体的な質問に入りますが、私はきょうは主として陸上貨物輸送道路運送秩序にかかわる問題について質問いたします。  既に御承知のとおり、五十八年、今から五年前ですか、我が参議院で「貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する決議」が行われておるわけであります。さらにまた、それにさかのぼる五十四年には、二七通達と称する「自動車運転者労働時間等の改善基準」が出されておるわけであります。しかし、そうした努力なりあるいは施策が講じられておるにもかかわらず、もう一つこれらの秩序の問題が改善されていないわけなんです。それなり運輸省としても御努力があったと思うのでありますけれども、この決議に基づいてどのようにいろいろと施策を講じられたかということにつきまして、概略で結構ですから、この概略について御説明を願いたいということと、それから五十五年以降の道路運送秩序確立にかかわる行政処分内容違反内容、これにつきまして、ひとつ数字を挙げて御説明を願いたいと思います。
  9. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) ただいま御指摘のように、五十八年四月二十一日に参議院運輸委員会におきまして、「貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する決議」が行われました。当時、当運輸委員会におきましてのいろいろの御議論を踏まえての決議でございます。私ども、それ以後、輸送秩序確立につきまして施策を推進するに当たりましては、基本になるものと受けとめまして、これまで御指摘をいただいた項目につきまして、それぞれ施策を推進してまいったところでございます。  まず、監査の実施でございますが、厳正な監査を実施するということでの通達等を出し、毎年重点項目を定めましてこれを実施しておるところでございます。  それから過積載につきましては、過積載防止対策連絡会議を一層充実したものにするというとと。それから御指摘の二七通達につきましても、その遵守につきまして経営者側に対して研修などを通じて自覚を促すとか、そのほか各般の指導強化策を行っております。  また、何といいましても労働環境整備するということが大切でございますので、運輸事業振興助成交付金によります休憩施設整備に意を用いてきたところでございます。  また運賃につきましては、何といっても荷主の理解と協力を得ることが大切でございます。そういうことで、荷主懇談会を一層充実したものにするということ、あるいは荷主業界を所管いたします通産省や農水省への協力を要請し、荷主団体指導していただくということをいたしております。  また、やはり官労使一体となっての取り組みが大切だということで、この決議を踏まえまして、地方運輸局単位ごと地区物流政策懇談会というものを設置しまして、いろいろと情報交換あるいは今後の施策についての話し合いを地域実情に応じて行っていただいているところでございます。また、行政体制といたしましても、行政改革の背景の中でなかなか増員は困難でございますけれども、そういう中で貨物輸送監理官充実、あるいは主としてトラック協会におきます職員に対して委嘱しております貨物自動車輸送秩序改善指導員制度につきましても、この委嘱を当地の運輸局長名で行うとか、何とかこの指導員が働きやすい環境整備するというような施策を講じておるところでございます。  そういうことで、冒頭申し上げましたように、この決議の趣旨に従って我々も努力をしているところでございまして、今後ともこの決議をよりどころにしながら、輸送秩序改善努力してまいりたいと考えているところでございます。  続きまして、御質問のございました五十五年度以降の違反状況がどうかという点でございます。五十八年の決議を踏まえまして、監査の一層の充実強化を図っておるところでございますが、数字で申し上げますと、五十五年度から五十八年度にかけましては監査を実施いたしました事業者数は二千二百から二千七百件程度でございましたけれども、五十九年度以降はこの対象数をふやすことに努力してまいっております。五十九年度が三千二百件余り、六十年度が三千七百件余り、六十一年度は三千八百六十五件といったふうに対象をふやしてまいっております。御指摘のとおりなかなか違反が減らないというのが実情でございますが、監査の結果確認いたしました道路運送法等違反につきまして処分を行っておりますが、車両の使用停止などの行政処分を行いましたのが、例えば六十一年度では九百十五件ございます。そのほか警告とか勧告とか口頭注意が二千件余りございまして、両者合計いたしますと、二千九百三十五件ということに相なります。  そこで、違反内容でございますが、一事業者についても複数の違反がある場合もございますので延べということになりますが、これで見ますと、一番多いのが過積載防止違反でございまして、六十一年度の数字で申し上げれば千九百件ほどになっております。そのほか道路運送法によります事業計画変更を無認可で行った等の違反、これが二百八十七件。あるいは運輸規則関係で、運転者に対する点呼等が行われていないとか、乗務記録記録が不十分であるとかいうものがかなりございますが、私どもが非常に注目しておりますのは運輸規則過労防止の規定の違反でございまして、これが二百二十件となっておるところでございます。  最近のこういう監査結果に基づきまして、私どもといたしましては、六十二年度におきましては過労防止とそれから過積載運行防止を最重点監査項目として実施しているところでございます。そういうことで、今後とも輸送秩序改善に努めてまいりたいと考えております。
  10. 田渕勲二

    田渕勲二君 今局長から御答弁がありましたように、監査対象事業者が、六十一年で、三千八百六十五の事業者中既に二千九百三十五件に上る何らかの違反をした、改善命令が出されている。非常に膨大な数といいますか、四千足らずの事業者のうち三千近いのが違反をしている。大半違反をしている。それからまた、一番大きな事故のもとになっている過積載、過積み問題につきましても、三千八百中千九百というような状況なんですね。これは業者が大体全国で三万六千社あると言われているわけですから、これらを対象に全部調べ上げますと、ほとんどがこういう状況になっているんじゃないかということが容易にうかがえるわけであります。五十八年以来決議があり、あるいはいろいろ運輸省労働省、非常に御苦労を願ったと思うのでありますけれども、そういう改善が一向に進んでいないわけでございますね。違反がこれほど摘発される産業というのは珍しい産業じゃないかと思います。  こういう事態について、運輸大臣としてどのように考え、これからどのような手を打てば少しは改善するだろうとお考えになっておられるか、その点について、ひとつ大臣のお考えを聞きたいと思います。
  11. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 物流の基幹的な役割を担っておりますトラック運送違反状況は、今局長が御説明申し上げたとおりでございますけれども、やっぱり過載、それから長時間労働というものは、下手をしますと運転している方あるいは周りの市民の方の生命の安危にもかかわる問題でありまして、非常に深刻な問題としてとらえております。  ですから、こういったトラック輸送秩序確立というのは非常に重要な問題という認識で、運輸省としましても、輸送秩序確立のために関係省庁と緊密な連絡をとりながら最大の努力をしてまいるつもりでおります。
  12. 田渕勲二

    田渕勲二君 結局、こういった総体的な違反件数が非常に多いということと同時に、私が問題にしたいのは、やはり大半事故の引き金になっておるのは、トラックの過積み、過積載問題なんですね。これがなかなか取り締まれないというのが トラック産業の実態なのでありますけれども、私は六十一年、今から二年前の十一月の国鉄民営化委員会の席上で特にその点を私は指摘をしておったのでありますけれども、これに対しては、運輸省側は結局監視員が少ない、あるいは重量計が不足をしているとか、あるいはそういうようなことの予算が少ないということが言われたわけであります。私はそれに対して、宮澤大蔵大臣が御出席でしたので、重点的な予算配分を要請したところが、大臣も、そういう声が非常に高いので予算編成関係省庁十分協議をして検討したい、こういうように説明がございました。したがって、そういうお話があったわけで、その後の輸送秩序確立のための措置一つとして輸送監理官なり改善指導員なりという問題があるんですが、そういう人員であるとかあるいは取り締まり機械機材ですね、そういうものの予算が相当程度ついたものかどうか、それが実効を上げているかどうか、これについてひとつお伺いしたいと思います。
  13. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) まず、貨物輸送監理官でございますけれども、毎年三名から四名ずつの増員を図ってまいっております。そこで、昭和六十二年度当初におきましては全国で三十三名でございました。本局とそれから陸運支局配置をしておるわけでございますが、六十三年度におきましても全国で三名の増員を予定いたしております。そこで、具体的には北海道帯広支局、それから北見支局、それから関東運輸局千葉支局に一名ずつ配置することとなっております。全体としての員数はまだまだ少のうございますけれども、いろいろ定員のやりくりの中で毎年三ないし四名ずつの増員を図ってきているということでございます。  それから、主としてトラック協会職員委嘱しております輸送秩序改善指導員、これについても年々九名程度増員を図ってまいっております。同様にしまして、六十二年度当初では全国で百八十一名の配置でございましたが、六十三年度予算案におきましても九名の増員を図ることを予定しているところでございます。具体的には北海道において二名、東北の福島陸運支局管内において一名、関東東京支局管内において二名、それから中部運輸局愛知支局管内において一名、近畿運輸局の大阪支局管内において一名、中国運輸局広島支局管内において一名、四国運輸局愛媛支局において一名、合計九名の増員を予定しているところでございます。  この方々に対する予算措置でございますが、年々少しずつふやしてはまいっておりますけれども、ここでとりたてて申し上げるほどの金額ではございません。ただ、先ほどちょっと触れました運輸事業振興助成交付金制度がございます。これは昭和五十一年度におきまして、軽油引取税が引き上げられましたときに、営業車公益性にかんがみまして、引き上げ分のほぼ半額に当たる金額都道府県からの都道府県トラック協会に対する補助金として交付するという制度でございまして、その後曲折を経ましたけれどもこの制度が続いておりまして、現在御審議いただいております法律によりまして、昭和六十三年度以降におきましても五年の延長が図られることになっております。年間百四十億から百五十億ぐらいの規模になるわけでございますけれども、これを輸送秩序改善につきましても効果的に活用する。先ほど申し上げたトラックステーション整備を中心にしまして、これらの輸送秩序対策にもかなり充当していくということを今日までもしてまいっておりますし、また五年間延長されたということもございますので、計画的にそういう点を配慮いたしまして、できるだけ実効の上がるような体制整備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  14. 田渕勲二

    田渕勲二君 局長監理官というんですか、貨物輸送監理官、これ本当に毎年わずか三名か四名ぐらいしか増員しないんですね。四十七都道府県もあるのにやっと三十六名でしょう。こんなの本当は百名とか二百名とか程度の人を配置をして取り締まっていかないと、こういう事故というのは、これは私はもう百年河清を待つようなものじゃないかという気がするんですが、その辺、なぜ三名か四名程度ぐらいしか監理官の数がふえないのか。これは問題がどこにあるのですか。
  15. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) 現在の私どもの国の機関におきます増員につきましては、一方定員削減制度もございまして、なかなかそういう中で増員をしていくということは難しいのが実情であります。そういう中で、この輸送秩序改善のための輸送監理官につきましては、運輸省内におきましても大変重要なものであるという認識をいただいておりまして、外に対して要求が出ていくときも高い順位での要求をしていただいております。全体の運輸省増員、あるいは一方定員削減の中での厳しい環境の中で、御指摘のとおり三名ないし四名ということで少ないかもしれませんけれども、そういう環境の中で私どもとしては精いっぱい増員努力してきているところでありますし、また運輸省の中、あるいは査定当局においてもそれなりの評価をしていただいていると考えているところでございます。  なお、貨物輸送監理官という専門官はこういうふうに限られておるわけでございますが、貨物関係行政に携わっております地方職員は二百三十名ほどございます。もちろんこの輸送秩序関係だけではなくて、免許等の許認可の仕事とかいろいろあるわけでございますけれども、できるだけそういう職員輸送秩序関係の方にも活用するというようなことも努力をいたしまして、限られた体制でありますけれども、できるだけ効果を上げてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  16. 田渕勲二

    田渕勲二君 大臣にもお願いをしておきますけれども、今申し上げたように、実際にこういう輸送秩序指導する監理官の数が、一県一名もいないわけですね。それはもう予算関係に尽きると思うんですが、そういう事実認識に立たれるならば、これからの措置としてかなり大幅な増員計画というものをぜひひとつ実現をしていただきたいということを要望しておきます。  それに関連をして、最近一年間統計にあらわれている過蹟み違反取り締まり件数について聞きたいのですが、大型トラック違反件数、これをできれば運転者使用者別に、違反を犯した件数についてお聞きしたいということと、それから検挙した件数のうちの営業用白ナンバーですね、これがわかればひとつ教えていただきたいと思います。
  17. 内田文夫

    政府委員内田文夫君) 大体最近五年間を見ますと、おおむね年間十万件前後の取り締まり検挙をいたしているわけでございまして、昨年六十二年度の数字で見ますと全体で約九万九千件、正確に言いますと九万九千五百十二件という検挙をいたしております。そのうち大型車が四万二千五百三十八台、それから普通貨物が五万五千七百四十台。あと少し差がありますけれども、これは軽トラックが入っておるものですから、ごくわずかですが少し数字の違いがございます。  営業車自家用車を分けますと、営業車が四万五千九百二件、自家用が五万二千三百七十六件でございました。それを先生おっしゃられますように大型、普通と分けますと、大型の場合は営業用の方が多うございまして、先ほど言いました四万二千五百三十八件の中で、営業用が二万二千九百八十六、自家用が一万九千五百五十二、普通の場合には自家用の方が多うございまして、営業が二万二千九百十六、自家用が三万二千八百二十四、こういう数字になっております。
  18. 田渕勲二

    田渕勲二君 これはやっぱりこの傾向は毎年かわりませんね、大して。
  19. 内田文夫

    政府委員内田文夫君) 大体同じような傾向でございます。
  20. 田渕勲二

    田渕勲二君 そういうことで毎年統計を私も調べていますけれども、ほとんど、大体似たような数字が上がってきていまして、一向に大きく改善されていないという状況になるのであります。  そこで、こういう違反を取り締まる機材、私は重量計設置というのを非常に昔からいろいろ言 っているんですけれども重量計設置をしてそれを活用して取り締まるということについて、これは警察庁に一元化されているんですか。どうですか。
  21. 内田文夫

    政府委員内田文夫君) 警察庁が現在置いております重量計固定式と移動的に持って歩くものがございますけれども固定式が三百八基ございます。それから可搬式が七百四十九基というふうになっております。  今、先生一元化されているかというお話でございましたが、このほかに、これは道路管理者が、要するに道路保全といいましょうか、管理保全という観点から、例えば高速道路入り口、そういう周辺でつけるとか、あるいは大きな橋のそばでつけるとか、それはほとんど固定式のものが多いと思いますが、そういう重量計がございます。
  22. 田渕勲二

    田渕勲二君 それを取り締まっているのは警察なんですか。設置されている、例えばフェリーの入り口だとか高速道路だとか、いろいろ重量計設置されている箇所がありますが、それを管理して違反を摘発するのはどこなんですか。
  23. 内田文夫

    政府委員内田文夫君) 警察設置しておりますのはもちろん警察が管理しているわけでございますが、道路管理者等設置しております場合には、取り締まりを行う場合は共同をして行ってそこで検挙をするというようなやり方をとっております。そのほか、それぞれ設置者が独自に指導といいましょうか、そこで実際におろさせてやっているということも多々あろうかと思います。
  24. 田渕勲二

    田渕勲二君 これはどうなんでしょうか。スピード違反なんというのは全部警察で取り締まっているんですけれども、そういう見るからに、これは重量計にかからなくても過積みして、もう車がこうなっちゃっている状況で走っている、材木だとか鉄材だとかそれから砂利トラとかいうのが、我々が一目してもわかるようなのが、実はよく見えるんですね。こういうものに対して警察が、目撃をして、それをとめて調べるということは実際におやりになっているのか。それともおやりになる考えがあるのか。
  25. 内田文夫

    政府委員内田文夫君) 個々の場所において、そういう違反車両が多く通るというところにはそういったような固定式のものを置いたり、あるいはその地域を所管します警察署の可搬式のものを置いて取り締まりをいたしております。しかし、町の中で一件ずつそういう機械を持ってきて実際にはかるということが大変難しいという場合もあろうかと思うんです。したがって、現認したら全部取り締まりして検挙するということにならないかと思いますが、しかし、現認した場合に目分量で明らかに相当の違反をしているということになれば、そこで機械はなくても警告をする。機械で正確にはからなければなかなか検挙というものはできないものですから、警告をするということはあろうかと思います。
  26. 田渕勲二

    田渕勲二君 荷主の側も、またトラック事業者の中でも、過積みをしてもうけようという考えもありますから、そういう人たちは過積みをしても余り怖くないんですよね、取り締まりがそんなに強くないから。だから過積みはすればするほど得だと。過積みをして取り締まられると大変なことになるという、そんなに危機感がないんですよね。  やっぱりこういう認識を改めさして、過積みをしておると、捕まると大変だとか、あるいはまた捕まりそうだという認識トラック業者であるとか荷主にあれば、これはかなり減ると思うんですが、この辺のところ、取り締まりの仕方について、あるいは法令の整備について、これはぜひ何とかやっていかなきゃならぬ問題じゃないかなと私は常々思っているんですけれども、その辺、局長はどういうお考えでしょうか。
  27. 内田文夫

    政府委員内田文夫君) 先生おっしゃられますとおり、確かに過積載の問題につきましては、運転者検挙するというだけでは不十分であるわけでございまして、従来から背後責任といいましょうか、そういうものの追及ということに努力をいたしておるわけでございます。使用者がこれを下命した、容認したとかいうような場合のその処罰、あるいは法人の両罰規定とか、そういうものを活用いたしまして、これも毎年五千件前後ぐらいそういった追及をいたしております。  それから、荷主の場合は、直接その車両を管理しているという立場にないのでなかなか難しいわけでございますが、ただ、過積載するにつきましてそれを教唆するとか幇助したという事実が証明できれば、これは一般の刑法のいわゆる共犯の規定になるわけでございますが、教唆、幇助、こういうことでこれに対応をいたしておるわけであります。  そのほかに、五十三年十二月に改正施行されました道交法の中で、自動車の使用者等の義務を強化いたしまして、こういった使用者の背後責任が認められた場合には、一定の要件があるわけでございますが、そういった場合に自動車の使用制限をすることができるという規定が盛り込まれまして、その適用もいたしているところでございます。
  28. 田渕勲二

    田渕勲二君 これと関連をするのは、過積載問題と運賃の関係が非常に密接不可分な関係なんですね。結局、今申し上げたように、そういう認識、過積みをしてはならぬという意識というものが非常に薄いということと同時に、また事業者も過積みしないと飯が食えない、こういう背景があるんですね。この背景は何かというと、認可料金を正当に収受していない。いわゆる過当競争で結局は荷主に買いたたかれるという一面があると同時に、また事業者同士が運賃ダンピングで荷物の争奪戦を展開するというようなことなどがあって、この過積みというものが運賃の両面からなかなか減少しないということがあるんです。  だから、この認可料金というものを正当に収受させるためにはどうしたらいいか。大体認可料金なんというものは、鉄道の運賃でもそうですし、タクシーでもバスでも、あるいは飛行機でも、認可料金割って乗っている人はないと思うんですね。ところが、こういう貨物だけは幾らでも運賃ダンピングができる。できると言ってはおかしいですが、やられている。ここにやはり非常に多くの問題があるのでありまして、この認可料金を守らせる、認可運賃の義務化といいますか、こういうことに関して、運輸省としてどういう行政指導なり、また、これからのこうしたものを根絶するための手だてというものをお持ちであるのか、これについてお伺いしたいと思います。
  29. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) ただいま御指摘のとおり、トラックの場合の実勢運賃につきましては、私ども監査等を通じて認識しておりますところでは、認可運賃との乖離があるというのは現実でございます。御承知のとおり、現在トラック運賃につきましては、基準運賃に対して上が一〇%下が一〇%、それからさらにそれに加えまして、長期契約等につきましては一五%の割引とかというようなことで、全体といたしましては三五%あるいは四〇%の幅があるわけでございますけれども、私ども本省監査は路線について行うわけでございますが、その結果を見ましてもかなり下限を下回って収受しているということがございます。一部アッピングもあるわけでございますけれども、下回っているものの方が多いということでございます。  私どももこの認可運賃、道路運送法に基づいての認可運賃でございますので、その遵守方については、トラック事業者にこれを求めるということはいろんな機会を通じて行っているところでございますし、監査の結果そういう違反についてはそれぞれの処分を行うということを行っているわけでありますけれども、やはりトラック事業につきましては、経済活動そのものでございまして、企業間取引というものでなかなか運送事業者荷主との力関係という面で困難な面があるのは御指摘のとおりでございます。そういうことで、何といっても荷主の理解と協力を得る必要があるということから、五十八年のこの決議の機会に、決議をいただきましてから、荷主を所管しております通産省あるいは農水省の方から、荷主団体に対して も通達を出すなどして荷主側の指導を強化していただいているところでございます。また、それぞれの地域実情に応じて荷主の理解と協力を深めるということから、荷主懇談会というものを組織いたしまして、それぞれの地域において活動が行われたわけでございまして、六十一年中に全国で三百十八回の開催が行われているところでございます。そういうことで荷主の理解と協力を求めていくということが一つだと思います。  それからもう一つは、一昨年の暮れに公正取引委員会からの指摘もあったわけでございますけれども荷主がいわゆる優越的地位を背景としましてダンピングを強要するという形のもの等がある場合には、独禁法の十九条に言います不公正な取引方法を事業者は用いてはならないという規定がございますけれども、この規定に違反する場合がある。この不公正な取引方法の一つ項目といたしまして、「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」ということでございます。経済活動の一環として行われ、また企業闇取引でございますので一概には言えないかもしれませんけれども、そういう場合もあるわけでございます。したがいまして、やはり事業者の方が十分な自覚を持つということが前提になるのは当然でございますけれども事業者側においても、こういう独禁法の問題にもつながるということを十分認識してもらいまして、民間運賃の収受方について一層の努力をしてもらいたいということで私どもも働きかけをしているところでございます。  御指摘のとおりなかなか困難な問題でありますけれども、なかなか即効薬がないというのが実情でございます。私どもも、今申し上げたような各般の施策を通じまして、御質問の趣旨にできるだけ沿うよう努力してまいりたいと思っているところでございます。
  30. 田渕勲二

    田渕勲二君 結局、それらをいろいろ総括しますと、私は一つ道路運送法整備が必要じゃないかと思うんですね。この道路運送法というのは、「目的」にも明らかなとおり、事業の適正な運営と公正な競争確保、こういうように「目的」で定めてありますけれども輸送秩序のこうした混乱に対して、現行法というのは自動車運送事業の規制法規としては極めて実効性に欠けると思うんですね。したがって、こうした「自動車運送事業等運輸規則」というものがあるんですが、これに定める事業者の遵守義務、こういうものを道路運送法に規定する、こういう社会的規制を強化する法令整備というものが一つは必要ではなかろうかと私は思います。  それからもう一つは、営業用自家用の境界の明確化、それから事業区分、さらに認可運賃制度、そして事業免許の更新、こういった制度等につきましてもぜひ経済的規制を見直すということと同時に、必要な法令の整備が当然考えられてよいのではないか、このように私自身は思うのでありますけれども運輸省のお考えはいかがでしょうか。
  31. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) ただいま御指摘ございましたように、輸送の安全につきましては、道路運送法に基づきました省令の「自動車運送事業等運輸規則」において定めているところでございます。この中で、時代の変遷に応じましてかなり詳細に安全面の規制を行っているところでございまして、過積載につきましても、最近の状況にかんがみまして、運転者の義務あるいは事業者の義務、それから運行管理者の義務あるいはまた運行管理者に対する監督の義務といったことを規定しておるところでございます。そして、やや法律論で恐縮でございますけれども道路運送法におきまして第四十三条に基づきます行政処分がございます。車両の使用停止とか免許の取り消しとかいった処分でございますが、これはこの四十三条の規定にございますように、「この法律若しくはこの法律に基く命令」「に違反したとき。」ということになっておりますので、四十三条の規定の適用上は、この運輸規則違反は法律違反と全く同様に評価されるわけでございます。また、必要に応じて改善命令を出すということも道が開かれておるわけでございます。そういうことで、法律論として申し上げれば、省令で決めておりますけれどもその実効性は法律で定めている場合と変わりはないところでございまして、私どもとしては、現在の制度の有効活用を図る方向で対処してまいりたいと思っております。  しかしながら、ただいま御指摘のように、私ども、前の行革審において中期的課題として指摘されました事項の中でのトラックの事業区分の問題、それから複合一貫輸送を促進する観点からの規制の見直しについて検討を行っております。これらはいずれも現在の制度の基本の部分にも触れる場合があるわけでございますので、時間をかけて検討させていただいておるところでございますけれども、先生の御指摘の御趣旨、こういうことも念頭に置きながら、今後この法制度についても検討をしてまいりたいというふうに思います。
  32. 田渕勲二

    田渕勲二君 時間がありませんので先に進めさせていただきます。  次は、二七通達にかかわる問題でございます。これはトラック労働者の労働基準を決めた通達でありますけれども、これまた交通事故の原因になっておる過積載問題と並んで重要なのは過労問題なんですね。  そこで、五十四年に二七通達が実施されたんですけれども、これは大変なやはり違背状況があると思うんです、もう時間がありませんから一々その内容は聞きませんけれども。したがって、これは考えてみると、二七通達自体が守り得るような中身になっておるのかという反論が出てきているわけですね、今。だからこれはもう守っているふりして表面を取り繕っているにすぎないというのが業界の常識になっていると思うんですよ。だから、本来この二七通達というものがもっとわかりやすく、実際の実務に役立つというか、可能な、しかも単純なものにこの二七通達そのものをしていかないと、全事業者が守れるものではないというような声が、これは一部ですが、あります。  したがって、当然今労働時間の短縮時代に入りまして、もういよいよ各産業とも年間二千時間を切るような時代に入ってきたんですが、トラック労働者だけは、三千時間を超えているんですね。年間三千百何十時間やっているんです。またこれは一向に縮小される見通しが立っていません。  だから、確かに労働基準法が改正されて基準内時間というのが幾ら短縮されても、総労働時間は少しも変わらない、こういう状況になっているんです、トラックの場合。これを労働省なり運輸省は、トラック労働者の時短の進め方、これを一体どう考えているのか。あるいは現在検討作業を中基審でされておりますけれども、あんまり時間がありませんから詳しくはやりませんが、大体の流れですね、こういうものについて一つお伺いしたい。  それからもう一つ労働時間が短縮しない大きな原因というのは、トラック労働者のオール歩合です。歩合ですから稼げば稼ぐほどお金になるという状況ですから、労働時間という感覚は全くないんですね、時間感覚。だから、いかに労働時間短縮だという声を上げても、実際にはそれが守られていない、こういう賃金面における一つの大きな阻害要因がある、こういう点について、特に労働省のお考えをお聞きしたいと思います。
  33. 松原東樹

    説明員(松原東樹君) 御指摘のように、二七通達昭和五十四年に策定いたしまして以来、私ども重点的に貨物関係の監督指導をしてまいっておるところでございます。お話しのように、昭和六十一年におきましても約四千件ほどの事業場につきまして監督した結果、約半数近くのところで何らかの違背が生じております。今後、御指摘のように、法定労働時間を当面週四十六時間に短縮するわけでございますが、法定労働時間、所定労働時間を短縮しても、結果としてそれが時間外労働に回ってしまって実労働時間が変わらないということでは何にもならないということで、現在、中央労働基準審議会に自動車運転者労働時間問題小委員会設置いたしまして、関係の労使に参加して いただきまして、二七通達の問題を初めといたしまして、自動車運転者労働時間の規制の問題を議論していただいております。これは昨年の六月に設置いたしまして、小委員会の形で昨年末まで議論をしていただきまして、年末以来トラックそれからハイタク、それからバスと、三つの業態に部会を分けて設置して、現在、それぞれ三、四回ずつ議論をしていただいております。非常に問題が難しく、かついろんな環境の問題もございまして、まだ議論が集約できる状態にはなっておりませんけれども、昨年の労基法改正の際の参議院の社会労働委員会の附帯決議もこれございまして、できるだけ早い機会に議論をまとめていただきたいというふうに私ども関係委員の方にお願いをしておるところでございます。  最後の賃金の問題、確かに賃金と労働時間、非常に密接な関連を持つものでございますが、基本的には賃金の支払い形態あるいはその水準につきましては労使でお話ししていただくということが基本的なことかと思います。特に自動車の関係の賃金の形態につきましては、二七通達におきましても、非常に刺激性の強い、累進歩合制度は廃止することということに加えまして、保障給につきまして、労働時間に応じまして固定給とあわせて通常の賃金の六〇%は保障するようにという指導基準を設けまして、一応の指導はしておるところでございます。
  34. 田渕勲二

    田渕勲二君 この労働時間の問題を中基審の小委員会なんかでいろいろ論議されておるんですが、私の聞いておる範囲では、どうも事業者の側が、業界というかトラック業界、そういうものが、非常にやはり、余り賛成でない、こういう時間に関するようなことを取り決めるというのはね。これはどうしても体質がそういう体質なんでしょうが、その辺のところを労働省として、事業者に対する指導というか、そういうものをもっと強める必要があるのではないか。そうでないとなかなかこういうものは政労使で意見が一致しないと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  35. 松原東樹

    説明員(松原東樹君) こと一両年の労働基準法の改正の議論等を通じまして、業界全体としては、労働基準法を初めとしまして二七通達についても、この程度は守るべきではないか、こういう機運が生じてきているように受けとめておりますが、個々の事業者レベルにいきますと非常に競争が厳しい、あるいは荷主のニーズが非常に多様化して、それに対応するためにやむを得ずというようなこと等もございまして、なかなか守りにくいというような状況があることは事実でございます。  ただ私ども、二七通達の中身につきまして、ILO百五十三号条約等の関係もございまして、なかなかこれを守れるようにというふうに簡単に後退するわけにもいきませんので、なおその基準の中身あるいは履行確保のあり方等につきまして、先ほど申しました小委員会あるいは各作業部会で御議論を願っておるところでございます。
  36. 田渕勲二

    田渕勲二君 時間の関係でそれ以上は特に言いませんが、いずれにしても、こんな三千時間を超えているような産業というのは、建設業もそうかもしれませんが、特に物流の大宗をなしておるトラック産業が非常に長い労働時間を持っておる、しかも非常に複雑な賃金体系を持っておる、こういう産業でありますだけに、やはり労働省なり運輸省とも本腰を入れてひとつ指導に当たってほしいということを申し上げておきたいと思います。  次に、建設省にお伺いしたいと思います。  これは建設省の方に特に申し上げたいのは、二七通達があって、その二七通達を守るためには高速道路の要所要所に休養・休憩施設というものがなければ、何時間走行して何時間休憩するなんということはできないわけですね。だから我々は、二七通達を守るためにはどうしても高速道路上の営業用トラックに対して休養・休憩施設をつくってもらいたい、こういう要請がかなり建設省なりあるいは道路公団に行っていると思うのでありますけれども、まず一つは、東名、名神、ここは非常に深刻になっています、営業用トラックの施設がないということで。この休養・休憩施設設備の東名、名神における取り組み状況はどうなっているか、これをお伺いします。
  37. 玉田博亮

    説明員(玉田博亮君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、東名、名神高速道路につきましては、特にトラックの駐車スペースについてかなり問題があるという認識でございます。東名、名神高速道路上の休憩施設につきましては、昭和四十八年から逐次大型車の駐車スペースの拡充を進めてきております。供用当初、大型車の駐車升が千二百七十四台でございましたが、昭和六十一年度末の状況ではこれを二千七百五十二台、二倍強に拡充したところでございます。  しかしながら、御指摘のように、東名、名神高速道路におきましては、トラック交通量の増加により、依然駐車場が不足し、違法駐車等が目立つ、あるいは仮眠や時間調整のため長時間駐車が増加し、駐車場不足に拍車をかけている。このため、トラック対象とした専用の駐車場及び休憩施設が必要ではないかという御指摘を受けております。このトラック運転手専用の休憩施設高速道路上に設置することに関しまして、ただいま運輸省、建設省、日本道路公団それから全日本トラック協会、この四者が集まりまして、さまざまな角度からその可能性について検討を進めているという状況にございます。
  38. 田渕勲二

    田渕勲二君 それが官僚の答弁というのでしょうが、慎重に進めているとか検討しているとかというんですが、実際はこれはなかなか進捗していないと思うんです、我々いろいろお伺いしますと。特にトラック協会だとかあるいはその関係する労働団体が、運輸事業振興助成金というお金を使ってまで全国道路にどんどん今そういう施設をつくっているわけです、トラックステーションとか。しかし、実際に私たちが今当面どうしても早くつくってほしいというこの東名、名神のところにはどうも積極的に動いていないような気がするわけです。しかも、トラックステーションをつくりましても、その整備のための進入道路の所要財源措置、これも当然必要ですね。そういうものもどうもはかばかしくいっていない。いろいろ建設省、道路公団と交渉しても。  ぜひひとつ、これは来年度の予算ででも確実なものにしてもらいたいという要請が私のところにもわんさと来ているんですが、それについて建設省としては来年度に向けて具体的にどのようにされるのか、この委員会で明確にひとつお答え願いたいと思います。
  39. 玉田博亮

    説明員(玉田博亮君) 現段階におきましては、概算要求に盛り込めるというような具体的な段階まで検討が進んでいないのは事実でございます。この問題につきましては、関係する省庁の御意見も十分伺いながら、できるだけ早く方針を固めさせていただきたいというふうに考えております。
  40. 田渕勲二

    田渕勲二君 これ以上言ってもあなたの立場からは言えないと思いますが、いずれにしても、そういう要請が事業者あるいは労働団体から切実な問題として来ているわけですから、それをより具体的にひとつ実現するように御努力を願いたい、このように思います。  時間が参りましたが、最後に運輸大臣にお伺いをいたします。  今私の質問を通じまして、非常に多くの課題があることは既に御承知だと思います。今申し上げた休養・休憩施設であるとかあるいは過積載問題であるとかあるいは二七通達の過労問題であるとか、こういう問題は挙げて安全問題、これと非常に深くかかわっているわけですね、これについて、やはり運輸省としてはトラックの大事故を未然に防止するためには、こうした課題一つ一つやはり解決をしていかなきゃならぬと思うのでありますけれども、これに対する運輸省としての、運輸大臣としての毅然とした決意と基本方針、これを最後に締めくくっていただきたいと思います。
  41. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) トラック運送日本の社会にとりましてはまさに基幹事業でございまして、こういう時代のニーズに対応して業者の 方々が努力していただいているわけでございますけれども、まだいろいろ未整備な点もございまして、それを一刻も早く整備することできちっとした秩序確立に、運輸省だけでできることとできないことがございますので、関係省庁と積極的に協議しまして、事の解決、確立努力したいと思っております。
  42. 田渕勲二

    田渕勲二君 終わります。
  43. 安恒良一

    ○安恒良一君 きょうが委嘱審査、あしたが運輸事業一般、それから三十一日がまた委嘱審査、こんなことですから、時間がたっぷりありますので、運輸省全般についていろいろお聞きをしたい、こう思っているわけです。  そこでまず最初に、新しく運輸大臣になられました大臣に、一般の生産産業ですね、鉄をつくったり物をつくる、それと、運輸は人だけじゃない物や人を運びますが、運輸の中で特に中心は主として人を運ぶ鉄道、飛行機、いろいろあるわけです。これの違いについて運輸大臣はどうお考えになっておるか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  44. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 何と何の違いですか。
  45. 安恒良一

    ○安恒良一君 生産産業運輸産業の違い、特徴点について、運輸大臣としてどういう御認識をお持ちか、まずそれを聞かしてください。
  46. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 大変難しい質問でございますけれども、一種の文明論になるのかと思いますが、生産産業というのは物をつくり出していくその過程でストックをすることができますけれども、運輸事業というものはそういうことができませんで、つまりその時間性というのでしょうか、その場その場、その時その時のニーズに対応した業務を果たしていかなくてはならないという非常に難しい点があると思います。また、生産産業は、いろいろ合理化することで管理体制というものが強化されればいろいろ思い切った効率を上げることができますけれども、運輸業務の場合には、そういうものを急ぎ過ぎる、つまり業務の効率というもの、採算性というのでしょうか、を過度に追求すると、もう一つの安全という非常に大前提の問題に抵触してくるおそれもございます。  そういう点で、一般の生産産業と比べて非常に特異な難しい性格というものを持っている、そういう業務だと心得ております。
  47. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうすると、今大臣が言われたことを私なりに整理してみますと、運輸産業と一般の生産産業の違いは、生産産業は生産、ストック、消費、この三つの段階がありますね。運輸産業の場合は生産、その次のストックというのがきかないですね。消費が同時に行われる。ここがまず基本的に違っていると思う。これが一つ。  それから第二番目には、今大臣もおっしゃいましたように、運輸産業の場合に一番求められるのは何といっても安全ということ。もちろんこれは生産産業の場合も安全はあります。ありますが、運輸産業の場合、ちょっとした事故を起こすと、例えば中国の上海で起こった事故であれだけいたいけない高校生の生命が亡くなりました。ですからやはり安全ということが非常に、他の産業でも重要ですが、特に重要な産業である。  それから三つ目には、この安全を考えてまいりますと、どうしても私は、労働集約的産業だからそう簡単に――これまた大臣も合理化と簡単な言葉で言うが、そう簡単に、労働集約産業でありますから、他の産業のように、例えば機械化、オートメ化が進んだということの中からそう人手をやたらに減らすことができない、こういう産業の特徴があると思います。  そういうふうに大臣の今の御答弁を整理して私は申し上げたつもりですが、大臣の御認識とそれで一致するでしょうか、どうでしょうか。
  48. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 一致いたします。
  49. 安恒良一

    ○安恒良一君 基本認識が一致しましたから、それじゃ各項目についてお聞きをしたいと思います。  規制緩和の問題がいろいろ問題になっております。例えば今田渕さんも聞かれましたトラック運送業等について、トラックの運賃に上下をつけるとか、もしくは地域交通トラックについての監査方法とか、いろんなことが出ているんですが、私はどうも行革審の諸君は、今私が言ったような運輸産業の基本的な生産産業との違いというものがわかっていないんじゃないか。どうもあの行革審の中に、そういう運輸産業の特殊性のわかる人が余りおらないものですから、例えば一つの例を挙げますと、トラック運送業の規制緩和の問題なりタクシーの規制緩和の問題なり、いろんなことが新聞で言われている。これらの問題について――しかし一方やらなきゃならぬことはやらなきゃならぬと思います。ですから、規制緩和の進捗状況がどうなっているのか。  それから、今私が言ったようなところは運輸省としてはどうしてもやってはいけないことがあるわけですから、それに対しては毅然たる態度で関係審議会の方に意見を反映をしなきゃならぬと思いますが、これらの状況について運輸省考え方、さらに運輸大臣考え方を聞かしてください。
  50. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。  行革審で指摘をされております運輸省関係の許認可の整理についての実施状況でございますが、運輸事業の規制のあり方につきましては、安全の確保への要請などの運輸事業の特性ですとか、中小零細企業、労働集約性の高い事業が少なくないなどという実態に配慮いたしながら、まず第一には参入規制の重点を量的規制から質的規制に移行をさせるということ、第二に運賃の一層の多様化、弾力化等を図るなど、できる限り市場原理を導入すること、この二点によりまして、事業の活性化、サービスの向上に寄与することが必要であるということが指摘されておりまして、これに関連しまして、共管事項を含めまして百十四件の具体的な指摘事項があるわけでございます。  これら指摘事項についての実施状況を申し上げますと、百十四件に対して既に百十二件について所要の法令改正等によりまして措置をしているところでございます。  もう一つ指摘がございました今後の対応の方針でございますが、今御指摘がございましたように、運輸事業についてはその特殊性がございますので現在参入規制、運賃規制等の規制が行われておるところでございますが、これらは、運輸事業の特性から、利用者が必要な輸送サービスを安全かつ良好な状態で安定的、効率的に受けることができるようにするという運輸行政の目的を達成するためのものでございまして、このような規制は今後とも必要なものと考え、その適正な運営に努める所存でございます。  ただ、一方におきまして、運輸事業が経済社会情勢の変化に対応して利用者の利便を増進する良質なサービスの提供をする必要がございますので、そういうことが積極的にできるようにするとともに、国民負担の軽減を図るためにそのあり方を常に見直しをする必要があると考えております。
  51. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣にお答えしてもらう前に、特に今のところをはっきりしておかなきゃいかぬのは、参入規制、運賃規制等について、一方においては経済の流動性、財界の要望もあるということをちょっと局長答えられましたけれども、例えばトラック運送業ならトラック運送業、田渕さんからもいろいろこんなに問題があるじゃないかと指摘をされ、関係各省それぞれ今答弁したところですね。  ところが一方依然としてトラックについての参入規制なり運賃規制というものがちらほらいろいろ新聞に出てきますね。特に経団連を初め財界から出る。それで私もわざと第一問から聞いたのは、それは、なるほどアメリカで完全に自由化されているというシステムがあります。しかしながら、今ですら田渕さんが聞かれたようなトラック運送業の実態の中で、国会の我々が参議院でつけた附帯決議が完全に守られていない中で、ただ単に物をつくっている人を中心とする考え方で、いわゆるそういう問題について参入規制や運賃について幅を持たせるということ等が起こったらどん な現象になるか。今ですら大変な状況にある。ですから、私は、なるほど物を生産されている方々は、運賃コストというのは生産に対する一つの重要な要件ですからできるだけ下げたいという意向があることを否定しません。しかし、それには、運輸産業の場合には、今私が大臣に聞いたように、他の生産産業と非常に際立った違いがあるということ、これを常にきちっと考えておかないといけない。まあ運輸省の真意かどうかわかりませんけれども、時たま新聞にいろんなことが出るわけですね。運輸省は政策局になったんだ、だから、例えばタクシー問題一つをとらえても、何となく今の世の中の流れに迎合して、私はほっておくとこの参入規制や運賃規制等々が便宜的に緩和されはしないかなという、こういう心配を非常に実はしておる一人なんです。  このことは何も私だけじゃないですね。やはり運輸産業全体を知っている、これは与野党の皆さんの中にもそういう心配の声があるので、そこのところについて、やはり運輸産業の特殊性ということをきちっと踏まえて、こういう問題には、参入規制や運賃規制、さらに運輸省全体の政策についても運輸産業の特殊性ということを常に考えてやる。このことをひとつ大臣からはっきり言っておいてもらわないと、非常に、ここ半年ぐらい新聞報道その他いろいろ見ますと、運輸省がどっちの方に向きつつあるのかなと、こんな心配を時たまする場合があるわけですから、この点について考え方を聞かしてください。
  52. 中島眞二

    政府委員中島眞二君) 大臣の御答弁の前に、新行革審のお話が出ましたので、先般行革審のヒアリングがございまして私いろいろ説明をしてまいりましたので、その状況をちょっと御報告さしていただきたいと思います。  三月十七日に各省庁、今新行革審ではヒアリングを行っております。運輸省関係につきましては、現在物流事業だけが取り上げられております。そんなことで、二時間ほど時間をかけまして私どもの方から御説明をし、若干の質疑がございました。  その際私が強調いたしましたのはただいま安恒先生御指摘の点でございまして、私は、物流事業は労働集約的であることから長時間労働などの問題が生じやすいこと。それから経営基盤が弱い中小事業者が多いこと。さらに、道路などの公的な場における活動であるために、第三者を含め安全の確保が要請されるという特徴がありまして、長時間労働など労働条件の改善、中小事業者の体質強化、事故防止という難しい課題を抱えておりますけれども、いわゆる経済規制としては一定水準以上のサービスを安定的に確保するための規制ということでございますが、今、さきに申し上げたような困難な課題解決のための政策手段としても非常に有効に機能しているところであるし、今後もそういうことで機能させていく必要があるということを主張いたしました。  そういうことで、私どもは、現行の規制につきましてもそれなりの合理性、必要性というものがあることは十分御説明をしてまいりました。もちろん、新行革審の方々にはいろいろと御意見はあろうかと思いますけれども、今後その御意見も拝聴しながら、しかし、今言った規制の必要性、合理性も十分主張しながら、どういうことになっていくか、私どもとしては対処してまいりたいと思っているところでございます。
  53. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 時代が大きく変わろうとしているときでありまして、新しい社会の現象に行政がいろんな点で対応し切れない面があるとも思います。また、自由化、規制緩和の問題も、国それぞれの特徴がありますが、今運輸行政もそうだと思いますけれども、規制緩和の問題に関して問われているのは、つまりどこに国家的な利益を置くか。事業者の利益を優先するのか、それとも利用者の利益というものを担保するのかという選択の問題だと思いますが、いずれにしろ、先ほど委員も申されました、私も申しましたが、これが安全性を棄損することがあっては絶対ならないと思います。  ただ、アメリカと日本は事情が違いますけれども、アメリカの航空運賃の自由化など見ますと、非常にサービスが低下してよくこれで我慢できるなと日本人などは思いますが、しかし一方では非常に事故が減ったという事実もありまして、ただそれが日本の場合に同じ結果になってあらわれてくるかどうかということはまた日本の社会の特性もありましてお客様の価値観も違いますから、一概に言えないと思います。  ついでに申しますと、私は余り規制を何でもかんでもかけるというのは好ましいと思いません。また、日本の官僚統制国家、いい点も悪い点もありますけれども行政権が何でもかんでも縛っちゃうのは好ましいと思いませんが、たまたま運輸省関係あることでちょっと申しますけれども、私この間保安庁に督励をしましたのは、まさに自由化で始まっているスキューバダイビングというスポーツがございます。非常に潜在人口の多いところですけれども、これは異常に死者の多いスポーツで、去年も二十人を超す人が亡くなられました。一昨年は三十人を超す人が亡くなりました。これは勝手気ままな形で放置しているものですから、わけのわからぬライセンスが乱発されて、非常に商業主義で競争が激しくて、結局指導員ども実質的に資格のないような人で指導員の免許をとっているような人もありまして、これは人命を守るためにも、やはり保安庁で一つの資格に関する規制をしなければ、これからも犠牲がふえるんじゃないかということで検討をしつつありますけれども、こういう現象も一方にはあるということを踏まえながら、先ほど委員も御指摘になりましたけれども、最後にはやはり国民の安全というものにかかわってくる運輸事業の特性でありますから、それを絶対に損なわないような形で規制の緩和ということも考えるべきだと思っております。
  54. 安恒良一

    ○安恒良一君 今も貨物流局長からも答弁がありましたように、例えばトラック運送業にしましても、ハイヤー、タクシーにいたしましても、私と大臣の間で意見が一致いたしました上に、やはり一つつけ加えておかなきゃならなかったなと思うのは、中小零細企業の集まりだということがありますね。これは日本の場合には他の産業にもたくさん中小零細企業ありますけれども。それから、長時間労働というのも、非常にこれ特徴的なんですよね。大体日本労働時間というのが今二千百時間ちょっと切っているぐらいだと、平均ではですね。二千百時間を。ところが運輸産業というのは、大体二千二百時間をほぼみんな、ほとんどが超えているという状況にありますから、そういう点も考えて、私はぜひ今国民のニーズ、業界のニーズ、さらに運輸産業で働いている多くの労働者、そして安全というこの三つの観点から、新行革審におけるところの参入規制や運賃規制や、この規制緩和問題については私は慎重に対処してもらいたいということを申し上げておきます。  次に、きょうは時間が余りありませんから、JR問題について少し状況をお聞きをしてみたいと思います。  まず一つは、新聞報道等を見ますと、もう間もなく四月一日になりますから発足してちょうど一年になりますが、JR各社の収入が非常に好転をしているということがいろいろ報道をされています。これは決算は最終的には六月ぐらいにならないと一年分の決算はできないと思いますが、我々が国鉄国会で議論をしておったときに比べるとかなり各社の収入状況が好転をしているようでありますから、それらの具体的な数字等についてどうなっているのか、一番わかる最近の問題。さらに、もう既に三月の終わりになっていますから、初年度締めてみれば大体経常利益がこれぐらいになる、こういうことについてひとつ説明してもらいたい。
  55. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま私の手元にございますJRの収益に関します資料は、取扱収入の今年の一月末までの数字でございます。それを簡単に申し上げますと、取扱収入の一月末現在の数字で、旅客会社全体で言いますと、対前年比を申 し上げますと一〇六・〇、六%の増加という形でございます。それから貨物会社につきましては対前年九〇・二、つまり、対前年一〇%弱の減ということになっておりますが、これは貨物会社につきましては一昨年にダイヤ改正がございまして、それでその輸送力の方も相当落としておりますので、それとの関係で減という数字になるわけでございますけれども、JR各社が出しております六十二年度の事業計画というのがございますが、その中で貨物会社の想定しておりました本年度の数字との対比を考えていきますと、ほぼその目標を達成するような数字になっておりますので、JR旅客会社並びに貨物会社含めまして順調な経営を行っていると判断いたしております。  それで、先生の今の御質問の収支そのものでございますけれども、これは先生のお話にもございましたように、決算の数字を固めるべく今各社が作業をしておる段階でございますので、確たる数字自身を持っておりませんけれども、ただいまの収入の増加ということで考えてまいりますと、順調な数字が出てくるのではないかと考えております。
  56. 安恒良一

    ○安恒良一君 トータルで言われましたが、JR各社の収入状況、本年と対前年というものの累計比を、これはたくさんの数字じゃありませんから、北海道から各社別に言ってみてください。  それから、経常利益は大体次のようになるというふうに考えておいていいでしょうか。東日本が約六百億を超えるんじゃないか。東海が百三十億から百五十億円程度ではないか。西日本が八十億を超えるんじゃないだろうか。それから北海道は十五億円程度、九州が二十億から三十億円程度、四国が五億円を超える、経常利益がですね。大体こんなぐらいの決算になるんじゃないかなと、私は私なりの資料その他で判断をしているんですが、以上のようなことでいいでしょうか。
  57. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) まず御質問の第一点、私が先ほどトータルで申し上げました対前年度増の数字でございますが、これは各社別に申し上げますと、ことしの一月末までのところで、北海道は対前年一〇二・六、東日本が一〇六・五、東海が一〇四・九、西日本が一〇六・七、四国が一〇三・二、九州が一〇二・四。貨物は先ほど申し上げました九〇・二ということでございます。  それから、ただいまの決算の関係数字でございますが、私が先ほど御答弁申し上げましたように、今のところ確たる数値が固まっていないわけでございます。一部新聞報道でいろいろな数字が出されておりますけれども、必ずしもあの新聞報道のとおりではないのではないのかなというふうな感じがいたしております。大体各社とも先生の御指摘の数値に近いような形で報道されていると思いますが、東海会社に関しましては、若干先生の見通しは低目に見ておられるのではないかなという感じかいたします。
  58. 安恒良一

    ○安恒良一君 大体もう三月ですからね。あなたは国鉄担当総括審議官だからね。じゃ、僕が低目に見ておるというのなら、大体このくらいになるだろうという数字を言ってみてください。私も、あくまでもその決算は六月ごろになるだろうと。しかし、これから論争していくに当たって、おおむねの大体収入増というのが私が言った数字でほぼ間違いなければ間違いない。もしくは、東海については私は百五十億程度と言ったんですが、それがちょっと低目なら、大体皆さんが、もう専門家ですからね、ほぼこれぐらいになるんじゃないかと。それを聞かしてもらわぬと次の論争をなかなかしにくいです。聞かしてください。
  59. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先ほどから申し上げましたように、しっかりした数字を申し上げるという段階ではないんですけれども、先ほど先生御指摘になりました東日本会社の収支の見通しと先ほどおっしゃいました東海の見通しの、その間におさまってくるのではないかなというふうな感じでおります。
  60. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうすると、その間ということになると、僕の見通しよりかなり多くて三百億ぐらい出ると、こういうふうに見ておられるわけですね、間というと。東日本が六百億超える程度ですから。わかりました。  そこで、私は初年度の滑り出しが非常に順調だと思います。そこで、これは少し大臣にお聞きしたいんですが、この好調の原因は何だというふうに大臣はお考えですか。
  61. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 人間もともとサービス本能というものを持っているわけで、民営化に踏み切りまして、過去の国鉄の同じ職員の万々のそういう本能が非常に発揮されまして、みんなが一体となって新しい商品を開拓された。ダイヤの設定も含めて新しい商品、新しい企画を提供された。それから車両の改善、駅の施設の改善を含めてサービスが向上したということがお客さんの評価をいただき、また新しい信頼というものを取得したのだと思っております。
  62. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣が新しいサービスとかそれから社員の努力と、こんなことを言われました。私もその点は肯定をするものでありまして、否定するものではありません。しかし問題は、定員が大幅に割れているということですね。この点の定員が大幅に割れている現状はどうなっていますか。
  63. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま先生の御指摘職員の数の問題でございますけれども、先生御存じのとおり、私どもは、昨年の民営化の際に基本計画で予定しておりました職員数がございます。それはJRの各社全部足しまして二十一万五千人、これはその他のJR以外の承継法人も入った数字でございますけれども。二十一万五千人ということをあの当時予定しておりましたが、二月一日現在でJR各社は二十万三十人、そういう数字でございます。先ほどの二十一万五千に対応するJRだけの数字を申し上げますと、二十一万三千五百四十人というのが基本計画の数字でございます。それで現在員数が二十万三十人、こういう感じでございます。
  64. 安恒良一

    ○安恒良一君 トータルじゃなくて、要員の定員割れの各社の状況について、数字をちょっと説明してください。
  65. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) まずは、先ほど申し上げました基本計画をつくりましてから、六十二年度、今年度に入りましてJR各社の追加募集がございました。その追加募集がございました後、また若干の自然退職というんでしょうか、そういうこともございましたので、今申し上げた中で追加募集をした後、その後の数字と当初の基本計画との差を申し上げたいと思います。  それで、北海道は当初どおりであります。したがって差はゼロでございます。それから東日本会社は六千三百十六人のまだ余裕があります。東海につきましては三千七百十一人でございます。西日本につきましては千七百八十六人でございます。四国は四百三十二人。九州は予定どおりでございましてゼロ。それから貨物会社が四百六十一人。全部足しますと一万二千七百六人でございます。  これは、先ほど私が申し上げました二月一日の現在員数と基本計画との差には必ずしも一致しませんで、今の追加採用直後の数字との関係でございます。若干の差が出ると思います。
  66. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、ここのところをしっかり覚えておいてください。これは法案を成立させるときに、JRの定員はこれでやると、こういうことを与野党で十分議論をしてやった数字が、実はまだこんなに埋まっていないということが一つ。  そこで、要員の定員割れがなかったら各社の経理はどうなるでしょうか。ほぼこれぐらい経常利益が出るだろうということについておおむね意見が一致しましたが、例えば東日本に六千三百十六人、東海に三千七百十一人云々という数字がありましたが、もしもこの定員が充足されておったならば、これはいわゆる利益がどうなるのか。半減をするのか、それともマイナスになるのか。ここらの状況について、おおむね滑り出し順調、これだけの黒字が出ていると、こういうことでありますが、これが定員を満たしておったらこの経営はどうなっているでしょう。そこの見通しについて聞かしてください。
  67. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 職員が現在の状況であるか、それとも当初の基本計画どおりの状況であるかで変わってまいりますのは、まずは、職員が各自の労働に応じまして収入を上げるという、その収入面の方の効果と、それから人件費等の経費の面と、その両方あるわけでございます。  それで、収入面の方の話につきましては、今のところ採用されていないわけでございますからその辺のところは余りはっきりわかりませんけれども、そういう意味で人件費の方も単に推測という形になるかと思いますけれども、そういうことを前提に考えて、人件費だけの軽減額というようなことを大胆に考えてみますと、六十二年度の各社がつくっております事業計画がございますが、その事業計画の中の経費との比較で見ますと、東日本、東海、西日本及び四国の四社合計で約四百億程度と、こんなふうに考えております。
  68. 安恒良一

    ○安恒良一君 今言った数字は、私もまだ細かく計算していませんが、一遍計算して出してもらいたいんですが、東日本とか東海とか、それから西日本というのは、この定員を満たしておったらほぼ利益は半減するんじゃないでしょうか、私が言った経常利潤がこれぐらいあるだろうということが。それから、四国なんかは逆にこれは赤字になるんじゃないでしょうか。というのは、これだけの人を一年間雇用していますと、それだけの人件費がかかりますからね。  私はやっぱり国会の論議というのは、十分そういうことも綿密な議論をしておかなけりゃいかぬ。何かJR各社は、もうおれたちは民間になったんだから国会であんまり論議してもらう必要はないなんという生意気なことを言っている人があるけれどもね。株はまだ国が全部持っているんですからね、これは。株はまだ国が全部持っているんですから、どうしてもJR問題というものは、いわゆる株が売却をされ、そして清算事業団やJR各社に残っている負債、こういうものが全面的に返還をされて本当に一本立ちになった民間会社になるんだ。今のところ株は全部国が持っていますから、どうしても国政の場においてこのことについて我々は議論をせざるを得ないのであります。  そこで、今私が言ったところについても定員が割れていることは事実ですから、定員が割れなかったら経営状態はどうなっているかということについては一遍運輸省として数字なり考えを、今出せなければまだあしたも三十一日もありますから、それまででもいいんですが、そこのところはどうですか。
  69. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先ほど申し上げましたように、決算の数字自身の確たる数字はまだ決まっていないものでございますから、人件費の軽減がどのくらいになるかということの一応の予想を申し上げたわけでございます。  ですから、そういうことで会社の収支との関係、つまり経常利益その他利益との関係との対比というのは今現在のところでは確たるものがやりにくいという状況を御理解いただきたいと思います。
  70. 安恒良一

    ○安恒良一君 少なくとも、各社別に定員を満たしておった場合の人件費というのはどの程度要るかというのは、これはすぐ計算できますね。ですから、それを当面各社の利益から引かなきゃなりません。引きますと大体今言ったようなことに、今さっき非常に順調だ、これぐらいの数字だと言われていたのが半分ぐらいになるんじゃないかなと、これは私の見当ですが。ですから、そこらについては一遍ちょっと作業をしてもらいたいということを言っているわけですから、これはきょうじゃなくていいから、あしたでも三十一日でもいいから出してください。  そこで問題は、今度は清算事業団に今五千人余が残っていますね。その状況と、それからこれらの人についてどういうふうにして、一人の失業者も出さないという約束になっていますから、今後どうしていこうとされているのか。清算事業団に残っている職員の数。さらに、この人たちの雇用吸収を具体的にどうしようと――もう既に一年たちました。二年目にこれから入るんです。こういう人々に対する施策はどのように政府としておやりになる気でありますか。
  71. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 清算事業団に移られまして、さらに再雇用先を求めていかなきゃならない、つまり雇用先が未定の方々の数字でございますが、当初予定していましたよりも大幅に下回ることで清算事業団に去年の四月に移りまして、その時点で約七千六百人ぐらいであったかと考えておりますが、現在、現在と申しますのは三月一日現在の数字で、再就職先の未定の方々は全部で五千七十人程度の方がおいででございます。それで、この方々は基本的には北海道と九州、その両地区に固まっておいででございますので、この両地区の雇用状況が先生御存じのとおり大変厳しい状況でございますので、できるだけ本州その他全国的な規模でこの方々の再就職先を考えていかなければならない問題かと思っております。  現在そういう方向で清算事業団におきまして清算事業団職員の、御希望とかあるいはその方々の能力に応じました職業訓練とか職業指導を行っておりまして、そのような形で私どもも清算事業団を今後とも指導してまいりたいと考えております。
  72. 安恒良一

    ○安恒良一君 もうちょっと、委員会の論争ですから、私は二月一日現在の正確な資料を手元に持ってあなたに聞いているけれども、きょう私が数字を言ってくれと言っているのは、三月一日の数字が欲しいから僕は言っているわけです。ですから、アバウトなラフな話はしてもらいたくない。例えば清算事業団に移行するときには二万三千六百六十人、四月一日。事業団の本要員がどうなっているのか、退職前提の休職者の数がどうなっているのか、再就職内定者の数がどうなっているのか、さらに再就職未定者の数が三月一日でどうなっているのか。そしてそれが地方別にどうなっているのか。こういうぐらいのことはきちっとした話をして、それでどういうふうにするかという議論をしないといけないんです。アバウトな話じゃ困る。政府としては責任を持たなきゃいけないんでしょう。そして三月一日現在でこれだけの数が残った。私が聞いているのは、それをどうしようとするのかということを聞いているんですよ、一つは。就職率が非常に低い、北海道、九州の雇用状況が非常に悪化しているんだ、そんなことはだれでも知っているんだ。そういう状況の中であなたたちは責任を持って、例えばあなたが言われた数字が三月一日現在が五千七十人であるならば、この五千七十人をこれからどういうふうにはかしていこうとされているのか。  というのは、私から言わせてもらうと、清算事業団に行ってこれらの人は今何をやっているか。草をむしったり窓ガラスをふいたり、それからいわゆる自習ということをやっています。そしてもう五十代以上の人は、やめるべき人はほとんどやめているんです。そうすると、今残っているのは三十代、四十代。働き盛りです。そんな人間が一年間草をむしったり窓ガラスをふいたり自習ばかりしておって、どうなるんですか、人間が。国家の人材としても、こういう人々の活用について政府は真剣に考えなきゃならぬところに来ているんじゃないですか。一年間そんなことばかりやっているんですから、定年間際になって窓際族になって、朝から晩まで新聞ばかり見ておっても大概人間嫌になりますよ、これ。よく窓際族というのがありますな、民間会社で。定年間際になって、名前だけいい名前をもらって、毎日会社へ行って新聞を見て切り抜いておる。これでも大概人間はくさっていくんです。ところが働き盛りの人間がここにおるわけですから、この人たちをどういうふうにしようとされているのか。  これは清算事業団だけの仕事じゃないでしょう。やっぱり運輸省、政府としてですね、清算事業団と一緒になってこの働き盛りの人をどうしようかということについての考えを聞かしてもらわぬと、せっかく私が質問したのにそんなアバウトな話をされたんじゃだんだん腹が立ってくるから、僕が腹を立てないうちにきちっと言ってくだ さい。
  73. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 数字の話はまことに失礼いたしました。  まずは、六十二年四月一日の段階で清算事業団に移られた職員のうち、就職が内定していた方々が一万一千二百四十九名でございます。就職がまだ決まっていない方々は七千六百二十八名でございます。それで、合わせまして一万八千八百七十七名のその方々に対しまして、再就職が内定した方々には確実に就職していただく、未内定の方々につきましては就職先を探して新しく就職していただく、こういうことをやってきたわけでございます。  それで、ほぼ一年たちました――まだ一カ月残っておりますが、六十三年三月一日の段階で今の数字が、内定者の方は八千二百十五名、未内定者の方は五千七十九名でございます、三月一日で。合わせまして一万三千二百九十四名、こういうことになっております。この未内定者の五千七十九名の内訳としまして、北海道が二千六百九十二名、九州が千六百三十三名、残りが本州、四国の方でございますが、そのような状況でございます。したがいまして、この北海道と九州の方々に対しましてどのようにその就職先をお世話するかというところがこれからの清算事業団の就職対策につきましての重要なポイントであると私ども認識しておるわけでございます。  それで、現在までのところ、できる限りこういう方々の御希望に沿った線で再就職先をお世話申し上げているわけでございますが、どうしても本州方面での就職先の方が、再就職先の確保といいますかそういう口が多いわけでございますので、そちらに移っていただいてそれで就職していただく、こういうことでできるだけ対応していかなきゃならないので、清算事業団の関係の部署におきましてもそういうことを中心に職業指導を続けているわけでございますけれども、いろんな御希望がございますものですから、現在までのところ五千七十九名の方が依然として残っているという段階でございます。今後ともきめ細かく御希望に応じ、あるいはその方々の能力に応じて清算事業団のそういう再就職のあっせんの仕事を続けていきたいと、かように考えております。
  74. 安恒良一

    ○安恒良一君 全く抽象的でわかりません。  それでは、五千七十九人とあなたおっしゃったんですが、その人たちの一人一人の就職希望、例えば自分はどういう仕事につきたい、自分はその場合勤務地はここを希望すると、こういうのは最近になって調査されましたか、全部。きょうは清算事業団呼んでいませんが、清算事業団だけの仕事じゃないでしょう。政府、あなたたち自身がこの責任を持たれるわけでしょう。ですから国鉄総括審議官がそこにおいでになるわけですからね。そういうものはもう清算事業団だけに任せるのなら、国鉄総括審議官なんて要らなくなるわけですから、合理化しなきゃならぬことになりますけれども、まだ仕事がたくさん残っているから国鉄総括審議官というのがおいでになるし、また部長さんもおいでになるし、たくさんの職員もおいでになるわけですから。そうすると、もう一年もたったんですから、こういう人々の再就職について清算事業団と一緒になって、あなたはどういう方面に行きたいと思うのか、どういう仕事につきたいと思うのか、そんなことの具体的な聞き取り調査なんかはされたんですか。そうでないと、あなたが今言われたように、できるだけ御希望に沿うように努力しますということで、またこれずるずるずるずる一年がたっていく。  そしてそこで働いている有為な人材、率直に言って、かつて国鉄というのは、特にローカルではかなりエリートがそれぞれに入っているんですよ。優秀な人材が入っているんです。私は九州の出身ですが、国鉄に入れるということは、九州では、高校出であろうと大学出であろうと、やっぱりかなりエリートの諸君が国鉄に入ったことは事実なんですよ。そういう人々が今五千名ちょっと依然として残っているわけですから、そういう方々の今後をどうするかということについての、例えば一人一人に対する聞き取り調査等をやって、そしてそのことを考えるということがぜひとも必要なことだと思いますが、そういう点について、もう去年の四月から間もなく三月三十一日ですが、この一年間にそういうことはありましたか。
  75. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 清算事業団が、再就職先が未定の個々の方々に対しまして御希望をいろいろお聞きしているということは事実でございます。現在まだその数字自身を私手元に待っておりませんが、そういうことできめ細かく対応しているということを清算事業団からお聞きしております。それで、そのことに関連いたしまして清算事業団では、現在再就職先の未定者の方々に対しましていろいろな教育訓練を行っているわけでございます。  ちなみに、その教育訓練の実施状況を延べ人員で申し上げますと、今までのところ六千五百四名の方々に対しましていろいろな新しい就職先に関連します仕事につきましての教育訓練を行っているようなことをいたしていると聞いております。
  76. 安恒良一

    ○安恒良一君 きょうは十二時までしかありませんから、やむを得ませんから、今言われたようなやつはひとつ次回に数字を出してください。  そこで、最終的に私は大臣にお聞きしたいんですが、また努力をぜひしてもらいたいと思うのは、私たちもただ皆さん方を責めているだけじゃないんです。具体的に調査にも行きました。そして私は労働組合の諸君に対しても、有為な人材がこんな状態ではいけない、まだ本州は定員割れしている。だから、北海道や九州に残りたいという気持ちはわからぬわけではないが、やっぱり北海道、九州から出てきて本州のJRに就職するようにやるべきじゃないか。どうしても家庭の事情で北海道、九州を離れられぬというならば、北海道、九州は当分のところJRに定員割れはない。そこで新しい仕事につくしかないから、自分から率直に、自分はこういう方面に行きたいということを申し出て、そしてそれの職業訓練を受けたらどうか。こんなことを私たちは私たちなりに努力をしているんですよ、一生懸命になって。何とかしてこの人たちを一日も早く就職させなきゃならぬということでやっているわけです。  そこで私は大臣にお聞きしたいんですが、今、さっき申し上げたような東日本、東海、西日本、四国等に定員割れがございます。そこで、今私が言ったように、さらに五千何名も残っているんですからね。この人たちが、わかった、それじゃ北海道を離れよう、九州を離れてJR各社に就職したいと、こういう希望が出た場合に、大臣としては、この雇用吸収を図るべく積極的な御努力をお願いをしたいと思いますが、大臣、その点どうですか。
  77. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) JRが追加募集をする意向があるようでございまして、その際、本人の意向を確かめつつ検討していきたいと思っております。
  78. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、ぜひとも追加募集をやられる、それからまた、清算事業団の総裁もまた大臣としても、北海道や九州に残っている諸君に、できるだけ本州に、やっぱり同じJRで働けるんですから、こちらに来るようにという話を、そういう温かい話をされた方がいいと私は杉浦さんにも言ったんです。それはなぜかというと、率直に言って今残っている諸君は、やっぱり第一次選考の際に選別されたという意識を持っているんですね。みんな国鉄に残りたいと申し入れたことは事実なんです。それが、いや、あなたはといって外されたわけですね。だから、おれたちは差別されたという、心を閉ざしている。しかし私は、その諸君に対しても、いつまでも心を閉ざしておっても問題は解決しないぞ、本当に国鉄で働きたい、JRで働きたいというなら、家庭の事情が許すならやはり本州に来ないかと、こんな話を私は私なりに一生懸命やっているんです。私は私なりで一生懸命やっています。そういう状況です。  しかし、やはり心を閉ざしているところを解くためには、私は清算事業団の杉浦総裁の努力は必 要だろう。それから石原さんも、新しく運輸大臣になられて、前の大臣の時の問題ですが、現職の大臣ですから、やっぱり大臣もそういう気持ちを持ってもらって、私が何回も言うように二十代、三十代、四十代の有為な人材が、清算事業団というところでもう一年間、いろいろ学習を受けたといいながらこれはくさっていることは事実なんです。でありますから、そういう観点からぜひとも大臣としてその方面に全体が、私は新しい職場に行くのも一つの手だと思いますが、やはり自分たちがかつておった国鉄の中で、JRの中で、やはり今まで経験のある仕事を生かしていくというのが一番いい方法ではないかなと、私は個人的には実はそう思います。  そんな角度で過去一年間どもも一生懸命努力してきました。しかし、まだ私ども努力の足りない点もあって、依然として北海道、九州にこんなにたくさんの従業員が残っています。しかし私はせめてことし四月、新しい年度になったら早急にやっぱりこの問題にはそれぞれが力を合わせて取り組む。それぞれが力を合わせて取り組んで、いつまでも清算事業団にこういう人々がおるということは、私は国家経済の観点からいっても損失だと思います。そういう意味からお互いが積極的に、例えば追加募集があるからその際はということじゃなくて、そういうことにやはり大臣みずからが五千名ちょっと超えている人々の問題を解決するために全力を挙げて取り組んでもらいたいと思いますが、どうでしょうか。――大臣の決意を聞いているんです。
  79. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) きざなことを言うわけじゃありませんけれども、ゲーテの言葉に、人間はすべてのことに耐えられるけれども、唯一耐えられないものは安逸無為の日々を送ることだとありますけれども、まさにそのとおりだと思います。JRへの再就職も含めまして、いずれにしろ有効求人倍率は今非常に日本は高いわけでございますから、それらの方々が有為な人材として新しい職場で働かれるような努力運輸省としても最善を尽くすつもりでございます。  さっきちょっとメモを間違えましたが、JRに追加募集の意向があるというのは、ちょっと私間違えました。それも含めてJRと、そしてまた本人たちの意向をそれぞれ踏まえて検討するつもりでございます。
  80. 安恒良一

    ○安恒良一君 ぜひ大臣の方でJRに対して追加募集をするように御指導を、というのは、当時国鉄国会であの法案を通すときに、二十一万何千というのがお互いに約束になっています。ただし、議事録を見ていただくとわかりますように、それじゃ十年先も二十年先もその定員で行けという議論はしておりません。ですから私は、もう一年たったんですから、できるだけ早くこの追加募集その他についても考えていかないと、だんだん、株も売ってしまうわ、民間会社になってしまいますと、何言うとるか、おれの方の定員はおれの方で決めると、こんな議論になりますから、ですからその意味からいうと私は追加募集というのは早くやった方がいいと思うんです。もちろん私たちも、追加募集に対してそれができるようなことについては一生懸命私たちは私たちなりに努力をしてみたいと思います。  その点を申し上げて、まだちょっと時間が二、三分ありますが、切りがいいところで、これで終わります。そしてまた次回にやります。
  81. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  82. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  83. 野沢太三

    ○野沢太三君 まず冒頭に、去る二十四日の午後、中国の上海市付近で発生いたしました列車衝突事故でお亡くなりになりました方々に謹んでお悔やみを申し上げ、また、けがをなさった方々、御家族の皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。一日も早く原因を究明し、二度とこのような事故が発生しないよう対策が講じられますよう念願をいたす次第でございます。  冒頭お悔やみ申し上げましたが、ちょうどJRが発足以来間もなく一周年になろうとしております。昨年の今ごろは、改革法が通った後、大変な事務的な作業をしていただきまして、四月一日にJRの各社が新しく発足をするちょうど前夜というのが昨年の今ごろであったわけでございます。新しく生まれてくるJR各社に対する大きな期待、多少の不安、そしてまた百十五年の実績を持ってこられた国有鉄道に対する惜別の念と、こもごも入りまじる中で迎えた年度末でございました。以来一年間、JR各社の当事者の方々、そして御指導いただきました国の皆様、御協力をいただきました関係各社、そして何よりも御利用いただいたお客様、国民の皆様のおかげをもちまして、成績が大変順調に伸びているということは、まずもってお喜びを申し上げたいところでございます。  御利用者の皆様の評判を伺いましても、よくなった、相当よくなった、大分改善されたという声が圧倒的でございまして、まだまだ肩に力が入って、一部ぎくしゃくするというふうなこともなきにしもあらずではございますけれども、先般の世論調査におきましても大変うれしい結果が出ておるのは御承知のとおりでございます。  その一番端的なあらわれといたしまして、JR各社の収入がどうなっているかということにつきまして、先ほども関係委員からの午前の御質問にございますように、一月までの成績を見ますと、最高がJR西日本の対前年一〇六・七%収入が上がった。最低でも九州の一〇二・四%。まあ一月までは大変好調でございます。平均いたしましても対前年一〇六・〇%くらいの成績が上がっておる。ただ、貨物につきましては対前年では九〇・二%ということでありますから一〇%近く落ち込んではおりますが、これは発足と同時に行いました合理化によります落ち込みということで、予定の作戦と考えられるところでありまして、対目標ではほぼ予定どおりという点、まことにうれしいことでございます。  収入の面がこのように改善されたということは、景気が回復してきたという背景があり、またそれを裏づける内需型の経済への転換という国の施策が功を奏しまして、客貨の動きが出てきたという基礎があることはこれはもう言うまでもございませんが、何よりもまず職員が打って一丸となりましてやる気を起こして頑張った、これが大きいということは当事者であるJR各社のトップもおっしゃっておりますし、また関係の皆さんもそのような御判断をいただいておるわけでございます。即断はまだ禁物ではございますが、一応初年度がすべて黒字でいかれるということになりますれば、改革で考えました趣旨がほぼこれで生かされる、そしてまた、これを今後とも続けていくということがまず第一年目に足場として固まってきた、かように考えられるわけでございます。  このような各社の業績並びに営業努力、その他もろもろの問題につきまして、運輸省御当局、大変な御指導をちょうだいしたわけでございますが、こういった好成績を得られました事柄につきまして、運輸大臣の所感、感想等お聞かせいただければ幸いでございます。
  84. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) これはもう野沢委員指摘のように、大変成績も伸びまして、JRに踏み切りましてからの確固とした実績を上げつつあると我々も非常に高く評価しております。これからも綿密なダイヤ、あるいは駅、車両等の改善、サービスの改善、それから何といっても地域に密着した乗客優先の事業展開をしていってほしいと思いますし、どうかますます実を上げて、国鉄改革の趣旨というものにのっとった大きな成果を上げてほしいと思っていますし、また、そのための手助けも、運輸省としては渾身するつもりでございます。
  85. 野沢太三

    ○野沢太三君 JR各社が生き生きと活動を開始し、また好成績を上げておる。その裏には、国鉄時代にもろもろの問題点があったわけでございますし、それを清算事業団が肩がわりをいたしまして難しい問題の解決に当たっておる。これを忘れてはいかぬわけでございます。  私も、昭和三十一年に鉄道に入れていただいて、八年間は黒字のよき時代というのを経験したわけでございますが、昭和三十九年に赤字に転落してからは、まさに忍耐と挫折の連続であったというふうに言っても過言ではないと思います。三十年代には、東海道新幹線の建設を初めとする大変な前向きな動きの中で生き生きとみんなが働いておった。しかし、一たん赤字の泥沼に入ってそれからなかなか抜け出せないということは、これは職員の士気、あるいはモラル、それから前向きの施策に大変大きく響いたと、かように反省をしているわけでございます。  今回、改革によりまして国鉄自身の力ではどうにもならない事柄を切り離していただき、これについては国も国民の皆様も挙げて御協力をいただくということで取り組もう、この趣旨は振り返ってみてまことに適切であった、かように言えるかと思います。  ただ問題は、清算事業団に残されました大きな課題といたしまして、午前中も問題になりました雇用の確保、心ならずも鉄道を去らねばならなかった皆様に新しい職を見つけて差し上げる、この問題が一つ。さらには、膨大な累積債務、そしてそれを償還する方法としての土地の活用あるいは処分の問題。三つ目には、国鉄の共済年金の予想される赤字に対してどのように対応していくか。いずれもこれは一企業のできる問題ではない。これにつきましては今後とも相当国の方も、あるいは我々議会のサイドといたしましても、できる限りの御支援御協力を申し上げて、これらの問題がすべて見通しがつき、解決をした段階で、初めて国鉄改革は成功したというふうに考えられるわけでございます。その意味ではまず第一歩が踏み出された段階でございまして、今年度の好調というものは多分に運がよかった、あるいは追い風に恵まれたという要素が大きいかと思います。欠員の問題にしろあるいは円高による動力費、燃料費等の低減の問題にしろ、相当ついていたと言える部分もあろうかと思うわけでございます。しかし今後は思いがけない経済変動、さらには予想される税制改革等におきまして相当困難な事態も予想されるわけでございますので、これらに負けないような体質を、JRについては今からひとつしっかり固めていただく、これが肝要かと思います。  そしてまた、清算事業団の問題につきましても、我々が当初議論をいたしました段階では、相当大勢のいわゆる雇用の心配をしなければならなかった。しかし、それにつきましては思いもかけず大変な好結果を生んでおりまして、雇用につきましては現段階までに再就職の未内定者が五千七十九名に減っている。昨年スタートしたときの七千六百二十八に比べますと実に二千五百四十九人の減少であるわけでございます。この内訳については、JRの本州部分への配置転換、そのほか新しい分野への転出といった努力があるわけでございます。しかし、この残ります五千という数字は大変重みのある数字でございまして、今回の改革の中でも一番痛みの伴う問題が、生身の人間を動かすということで、この雇用問題であったかと思うわけでございます。これにつきましては、これまでも政府に雇用対策本部をつくっていただいて誠心誠意取り組んでいただいておりますが、引き続き御努力をお願いしたいところでございます。  ただ、私も現場を歩きましていろいろと耳にするわけでございますが、せっかく清算事業団の方で用意されました就職の話、あるいは雇用に対する職業訓練のお話、あるいは配置転換を伴うようなチャンスをお持ちかけいたしましても、なかなかこれが話し合いの土俵にのらないという悩みを聞かされるわけでございます。その意味で、どうか粘り強く、繰り返し繰り返し御理解をいただくよう御指導をお願いいたしたいと思うわけでございます。やはり、北風と太陽の話じゃございませんが、暖かい光、温かい気持ちで接していただくことによって、また心を開いて問題が前進をするということもあろうかと思います。改革の中で出てきましたお話として、この種の話を進めるためには冷静な頭と温かい心臓、これが大事ということを再三言われたわけでございます。その意味で、どうか今後とも引き続き雇用関係の開拓についての御努力をいただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。  事業団の抱えております二つ目の大きな課題は、事業団に残されました債務の中から七兆七千億を用地の売却で償還するという計画になっておるわけでございます。四月一日に事業団発足当時、国鉄からは八千百八十ヘクタール、建設公団から六百三十ヘクタール、合計八千八百十ヘクタールの用地を承継しておると伺っておるわけでございます。これに対しまして六十二年度はどの程度の売却あるいは譲渡等の実績が上がったか、ひとつ数字を、件数あるいは面積等でお知らせいただければ幸いであります。
  86. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 清算事業団が承継しました土地につきましては、六十二年度の事業計画の中では約三千億円の売却予定を組み込んでおったわけでございます。ところがその後、先生も御高承のとおり、地価問題等がございまして、それで「緊急土地対策要綱」という閣議決定をいたしました。その内容で、地価が異常に高騰している地域につきましては、当面売却を原則として見合わせるということを決めております。それともう一つは、現在、清算事業団の売却予定地につきましては地方公共団体等とのお話し合いをしているわけでございますが、そういう関係者との協議の進捗状況、その二つのことを勘案いたしますと、六十二年度では、先ほど申し上げました当初の三千億に対しまして千三百億程度が、売却が見込まれるのではないかと考えております。
  87. 野沢太三

    ○野沢太三君 都心の地価の高騰というのは異常な状況にございまして、この対策といたしましては、需給の緩和あるいは金融関係への指導、さらには監視区域等の設定によります土地転がしの規制等いろいろな施策を打ちまして、ただいま鎮静化の方向に向かっておるわけでございますが、事業団の用地の売却が地価高騰の引き金のように言われることにつきましては私はいささか別な意見を持っておるものでございまして、これは結果であって、これ自身が原因となるというようなものではないと考えるわけでございますけれども、しかし、周辺の土地価格に及ぼす二次的、副次的な要求もまた無視できないといたしますれば、これもまたやむを得ないかと思うわけでございますが、さらにこのまま放置いたしますと、事業団の抱えております債務が利息のために雪だるまのように膨れていくという心配があるわけでございます。  その意味で、六十三年度の予定についてはいかがになっておりますか。よろしくお願いしたいと思います。
  88. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 六十三年度につきましては、ただいま国会で御審議いただいております予算案との絡みにおきまして、清算事業団の売却予定は約三千億円を見込んでおります。
  89. 野沢太三

    ○野沢太三君 まあ三千億といいましても、東京、名古屋、大阪等のいわゆる大都市で売却がとめられるとしますと、なかなか達成が容易ではないと思うわけでございます。したがいまして、やはり何としても解決をしていくためには、東京、名古屋等の、あるいは大阪等の大規模用地の活用を図ることが何よりも大事というふうに考えるわけでございます。例えば汐留あるいは笹島等につきましてはある程度の用地活用策が今までも研究をされておるわけでございますが、このような用地の活用計画、利用計画につきましてはどのようになっておりましょうか。簡単に御説明をお願いしたいと思います。
  90. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 清算事業団の用地につきましては、先ほど先生御指摘のように、約七兆七千億の収入を自己財源として一応予定しておりま すけれども、これをできるだけ国民負担軽減の方向で極力努力をしたいと思っております。それでそのための貴重な資産だと考えておりますが、その中で、大規模用地の問題につきましては、東京駅とかそれから東京駅周辺の話とか、汐留などの話があるわけでございますが、その辺の土地の問題につきましてはその土地の活用計画を策定するとか、それから地価高騰地域におきましては地価を顕在化させない処分方法の検討、そういったようなことを急いでいるところでございます。  まずは東京駅周辺のお話につきましては、昨年の四月に、関係省庁関係機関との間で十分な連絡調整を図るために、東京駅周辺地区再開発に関する連絡会議というものを設置いたしました。それで、さらに昨年の七月には、広域的な観点から整備の基本方針ということを検討するために、学識経験者などから成ります東京駅周辺地区再開発調査委員会、そういう委員会設置いたしまして、現在、その調査検討を進めているところでございます。  それから汐留の開発の問題につきましては、国土庁と運輸省と建設省の三省庁から成る汐留駅周辺地区総合整備計画調査委員会という委員会をつくりまして、そこで検討をしてまいりましたのですが、昨年の八月にその結果が報告されております。それで、清算事業団におきましては、それを受けまして昨年の九月に、清算事業団に置かれております資産処分審議会というところに、汐留地区につきましての土地利用に関する計画策定を諮問いたしまして、それは現在資産処分審議会で検討が行われているというところでございます。  なお、地価を顕在化させない処分方法の問題につきましては、やはり昨年九月に資産処分審議会に諮問いたしまして、それが現在検討しているという段階でございます。
  91. 野沢太三

    ○野沢太三君 ぜひそのようなお勉強を急いでいただきまして、赤字が雪だるまで膨らんでいく、第二の国鉄が事業団で再現していくということでは困るわけでございますので、この点、時間との競争になろうかと思います。  なお、地価を顕在化させない処分方法につきましては、改革法の議論の中でも随分出たわけでございますが、ことに至りますと、やはりどうしてもこの方法を具体的に実現をしないことには汐留その他大規模な都心用地を活用するということが難しいといたしますれば、大変これは重みのある仕事ではないかと思います。運輸省だけでできないといたしますれば、建設省あるいは大蔵省そのほか関係の向きに対しても御協力を要請いたしまして、何としても早急に、単なる絵にかいたもちでは話にならないわけでございますので、一刻も早くこれが現実化するよう御努力をいただきたいと思います。  土地対策の決め手は、もろもろの規制強化等もございますけれども、基本的には需給の緩和であり供給の継続的かつ長期的な見通しを確保することが何よりも大事と言われるわけでございますので、どうかこの点につきまして、JR関係国鉄の旧用地とJRの持っております今の用地というのは大変貴重な土地でもあり、かつまた場所が大変いいところにあるということもございますので、これらにつきまして一層の御努力をお願いするものでございます。  話がごく具体的になるわけでございますが、先ほどもお話しのございました東京駅の周辺開発の問題につきまして、関係の省庁お集まりで勉強をしていただいておるわけでございます。間もなくその答申もいただけるというふうに伺っておるわけでございますが、ひとつ東京駅の問題について、御質問をさせていただきたいと思います。  ここに東京駅の写真がございますが、赤れんがの建物ということで大変皆さんから親しまれた駅でございます。東京に住んでいる方ならだれも知らない者はないということでございますが、これがいつできたかという故事来歴を調べてみますと、既に明治二十三年に、東京中央に大きな停車場を建設するような訓令が内務大臣から鉄道庁の長官に出た。明治二十三年というのは東海道線が全通した翌年でございます。そして明治三十九年に、有名な建築家である辰野金吾、葛西萬司両氏の手によって設計が始まりまして、大正三年に竣工を見たものでございます。  その後、大正十二年には関東大震災がございましたがこれは生き残りまして、昭和二十年五月の戦災によりましてドーム並びに三階部分が焼け落ちまして大変な被害を受けたわけでございますけれども昭和二十二年に丸屋根を今の角屋根の形で復旧をした。以来今日まで健在で残っておるわけでございます。  構造的には鉄骨のれんがづくりということでありまして、延べ床面積としては二万四千平米、長さが三百三十四メートル、奥行きが二十ないし四十メートル、日本の明治以来の近代建築の中でも有数な建物というふうに評価をされております。  古いだけが自慢というわけではなくて、乗降客等につきましても現在一日当たり六十七万八千人。利用客は百四十万人。列車は二千七百本も発着をしておりまして、東京駅を含む敷地というのは、二十三万二千平米という広大な敷地が一応確保されておるわけでございます。  これを今後とも保存をしてほしいという市民の皆様の声がほうはいとして今沸き起こってきておるわけでございますが、果たしてこれが残せるものか否かということについて、JR初め関係の皆様方に今検討をしていただいております。  関東大震災には生き残ったわけでございますけれども、その後の戦災その他によって相当な老朽劣化が見込まれているのではないかということで診断もしていただきました。その結果を伺いますと、構造的な耐力の評価といたしましては、現状のままでも中規模程度の地震には十分耐えられる。これ以上の上積や、あるいは荷重の増を伴うような改良を行いますと補強が必要になるということではございますが、れんがその他の耐久力等の試験をいたしましても、十分今後とも保存可能という報告が出ておるわけでございます。  目に見えないところ、すなわち基礎の部分というのは一体どうなっているかということでございますが、当時は松のくいを使いまして、これが大体一万八百本ほど使われておると言われておりますが、これにつきましても不同沈下等の兆しはございませんで、過日も一部掘り出して調べた結果でも、健全な状態にあると、こういうことでございます。  そういった状況にある東京駅でございますけれども、何しろ東京の一番中心地、玄関であるわけでございまして、ここをこのまま使うことが果たしていいかどうか、こういう議論も過去ずっと起こっては消え、起こっては消えと、こういう状況で来ておるわけでございます。私の記憶しておる限りでも、昭和三十三年、東海道新幹線に着手するときに、新しい東京駅を現在の地で改築して建てたらどうかと、こういったお話が十河総裁から出て、地上二十四階建てというような構想も出たことがございます。昭和三十五年には、それを含めて新東京駅の改良計画の案というのも発表され、昭和三十七年にはさらにそれを超高層ビルとして考えた場合に実現ができるかどうか、こういう勉強もしていただいております。その結果は別なところで生きてきまして、霞ケ関ビルその他の設計の考え方に反映されたと伺っておるわけでございます。また、昭和五十二年になりますと、当時の高木総裁と美濃部知事とがお話をしていただいて、丸の内本屋の高層ビル化の可能性についての御議論をしていただいております。このときには、日本建築学会の皆様が、駅舎の保存、現状の保存についての御理解をという要望が参りまして、以来そのままにきておるわけでございます。  先ほどのお話の東京駅周辺の再開発計画、これにつきまして、今関係省庁が詰めていただいております構想の内容、まだ詳細に伺ってはおりませんけれども、いずれにいたしましても、JRの今後の営業活動、さらには清算事業団自身の債務の償還、その他考えますれば何らかの形でこの地区の持っております開発のポテンシャルを十二分に引き出す必要がある。これを活用いたしまして、 将来の東京の顔として再生する必要があることは論をまたないだろうと考えるわけでございます。現に三菱地所も、丸の内の再開発計画ということで相当大きなプランをこの一月に発表しておるわけでございますけれども、東京駅はそれにも増して重要な位置であるとかように考えるわけでございます。  しかし、この東京駅は、建物としての価値だけではなく、同時に鉄道のターミナル機能の拡充の可能性というものが残っていないことには本来の効用を発揮しないわけでございます。将来北陸新幹線ができる、あるいは東北新幹線が延伸された等、その場合には、今計画されておるようなホームの数、線路の数では足りないんじゃないか、かように考えるわけでございますが、そういった点についての御検討はどのようになっておりますか、お話しをいただければ幸いでございます。
  92. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 東京駅の再開発問題につきましては、先ほど簡単に今行われている仕組みを御説明申し上げましたが、ただいまの先生の御指摘との関係で御説明いたしますと、まずは東京駅につきましての輸送計画の関連は、現在わかっている問題としましては、京葉線の都心乗り入れの話がございます。それから東北・上越新幹線の上野からのさらに東京までの延伸の計画がございますが、そのほかに長期的な話としては、ホーム増設ということも考えられると思っております。  それで先ほど御説明しました関係省庁連絡会議で、十月に「東京駅周辺地区再開発に関する基本的方針について」というのが決められたわけでございますが、その中におきましても、今の輸送との関係ということの視点が一つ入っておりまして、その基本方針の一番最初のところに、「東京駅が果たすべき鉄道輸送上の重要拠点としての大きな役割に鑑み、将来にわたり、その鉄道ターミナルとしての機能を阻害することのないよう留意すること。」、こういう考え方を最初に示しております。それで、私どもも今後ともこの考え方を踏まえまして、東京駅の周辺の再開発に対処してまいりたいと考えております。
  93. 野沢太三

    ○野沢太三君 ぜひとも交通ターミナルという基本的機能をまず確保した上で、さらに周辺が十分活用、開発ができますよう、皆さんでひとつお知恵を絞っていただきたいと希望するものでございます。  さてそこで、この赤れんがの丸の内駅舎でございますが、相当年月はたっているけれどもこのまま残すことも十分可能な健全度を有しておる、そしてまた、開発は今お話しのような形で、周辺を含めて考えれば開発も可能であると、この両立ができれば理想的であるわけでございますが、これにつきまして、運輸大臣、お考えございましたらよろしくお願いいたしたいと思います。
  94. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 先日も、前東大の教授で今武蔵学園学園長をしていらっしゃるんでしょうか、建築史の太田博太郎先生においでいただきまして、建築歴史学の観点から見ても、非常に建築美学として高い評価のできる建物なので、ぜひ残してほしいという御依頼がございました。私も子供のころからあの駅を眺めておりまして、非常に愛着もございますし、東京にいろいろ新しい建物が建っておりますけれども、これから数十年たって私たちの子孫に評価してもらう建物というのは余り数多くないんじゃないか。それに比べますと、東京駅というのは本当に歴史があそこにしみ込んでおりまして、歴史的にも文化的にも非常に由緒のある価値の高いものだと思います。合理的な目的のためにそういうものを壊すことも進歩かもしれませんけれども、必ずしも評価できることでもございませんし、私も、何かとにかくあそこに東京の古きよき象徴としての駅舎を残せればなと思っております。  ただ、先ほど野沢委員からも御指摘がありましたが、これからあそこに集約される社線もふえまして乗客もふえるという見込みの中で、駅のターミナルとしての機能を阻害することがあってはまたこれ困りますし、その兼ね合いで今その検討の委員会でいろいろ策を練っていただいているわけでございますけれども、何とかひとつ、あのすばらしい建物をあのまま残す形で、あの地域が新しい時代のために活用されれば望ましいと思っております。
  95. 野沢太三

    ○野沢太三君 大変ありがたいお話をいただいたわけですが、近代的な都市としての一番代表格とも言われるニューヨークのグランド・セントラル・ターミナル、これは昔の駅舎を残しながら、かつ周辺に近代的なビルをつくりまして保存しているというケースもあるわけでございます。どうかひとつそういった面で大いに知恵を絞っていただいて、東京の顔、心のふるさと東京と言えるような方針を打ち出していただければ幸いでございます。  しかし一方、今のお話で、ここを開発の拠点にしたいという希望もまた強いことは否めないわけでございまして、この部分が抱えております容積率、たしか九〇〇%くらいと伺っておりますけれども、これをそのまま寝かせておくということについては大変もったいない話と考えられるわけでございます。これを最大限有効に生かすためには、特定街区等の考え方を入れました都市計画の手法も入れて、みんなで知恵を絞っていかなきゃいかぬと思いますが、これにつきまして、建設省さんおりますか。――どのようにお考えか、ちょっとお話しをいただきたいと思います。
  96. 柳沢厚

    説明員(柳沢厚君) お答え申し上げます。  土地を高度に利用する必要のある地区で、先生御指摘のように歴史的な建造物を保存しなければならないというような場合には、その土地の所有者がその高度利用の機会を奪われてしまうわけでございますが、そういった場合の一般的な対応策としまして、保存すべき建築物の敷地に残っているというふうに考えられる容積を隣接の敷地に移転するという制度が都市計画にございまして、今御指摘のように特定街区という制度日本でもございますが、赤れんがの駅舎につきましても、調査委員会で保存するということになりますればこの制度が使えるものと考えております。
  97. 野沢太三

    ○野沢太三君 どうかひとつ、これまでの容積率にこだわらず、やはりこれだけのたたずまいとまた余裕を持っておるということからいたしましても、割り増しボーナスを積んでいただけるならば、大変これは東京のためにもまたこの保存の運動にも弾みがつこうかと思います。どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、清算事業団の抱えておりますもう一つ大事な問題でございますが、国鉄職員のOBの皆様の年金問題でございます。  今、日本鉄道共済組合と名前をかえておりますが、ここで扱っております問題は、これまで戦後営々として鉄道を支えてきた皆さんが退職をされ、生活の原資を主として年金に頼っておるわけでございますが、今これがどうなっておるかというのを六十二年度で見てまいりますと、見込みの数字でございますが、二十二万の現職の皆さんが四十六万のOBを支えておる。これだけで見ると二〇九%ということでありまして、一人で二人のOBを支えなきゃいかぬ、こういう状況に相なっておるわけでございます。そこで、年金会計での収入は、保険料等の収入が七千六百億、財政調整で今他の共済組合から御支援をいただいております交付金が五百億、これを合わせても八千百億ということでありまして、必要な支出八千九百億に対して実に八百億も不足をするということでございます。六十三年度の見通しについてもやはり七百億程度の不足が避けられないということであります。これに対してとりあえず六十四年度までは、先般、改革法の審議の中で御議論をいただきまして、積立金の取り崩しあるいは事業団会計からの繰り入れでしのいでいこうと、こういった御方針をいただいておるわけでございます。しかし昭和六十五年以降になりますと、年間三千億前後の不足が生ずるのではないかということで、この対応策が全くまだめどがついていない。四十六万のOBあるいはその家族は大変な不安を持ち、ひとつ何とかしてほしいということでいろいろとお話をちょうだいしておるわけでございます。  先般、昨年の十二月に、四閣僚の懇談会の諮問機関という意味で学識経験者による鉄道共済年金の懇談会の発足をしていただいたわけでございます。ここで議論をしていただいて対応策を打ち出し、それを立法化して対応しようと、こういうことかと伺っておるわけでございますが、この進捗状況等につきまして、大蔵省お見えでございましょうか、よろしくひとつお願いいたします。
  98. 山口公生

    説明員山口公生君) 今先生の御指摘なさったような経緯がございまして、ただいまは四閣僚懇におきまして六十五年度以降の問題を議論をしておるところでございます。  そこで、大変大きな赤字であるということと、それからやり方いかんによっては大変利害の錯綜する問題ともなりますので、有識者の方々に御参集いただきましていわゆる有識者懇談会を開かせていただいております。この有識者懇談会、これまでに既に二回会合しまして、近々また三回目を開く予定にしております。そこでは、私どもの方からいろいろこれまでの経緯だとかそれから現状はどうなっているとか、そういったことを逐次御説明申し上げながら、また一方で、委員の先生の方からいろんな御質問が出ております、それに対していろんなお答えを申し上げながら、徐々にその問題点についての御理解を深めていただいているところでございます。それで、この会合を重ねまして、私どもとしては、本年秋ごろまでを目途に何らかの方向を取りまとめていただければというふうに思っておるわけでございます。  以上でございます。
  99. 野沢太三

    ○野沢太三君 どうもありがとうございました。六十五年の対応といたしますと、もう六十四年の段階で予算措置をしなければならない、あるいはその前の段階で法律ができていないといかぬとなれば、今お話しいただきましたように、今秋までにある程度の結論をいただいて立法化の準備をしなければならないと、ぎりぎりのリミットであろうと考えるわけでございます。どうかその意味でこれがおくれることのないよう、そしてまた他の公的年金制度の全体の統合の問題、こういった大きな課題もあるわけでございますので、そういった問題との整合性、すり合わせ等につきましても御配慮をいただきまして、全体としてみんながひとしく乏しきを分かち合う、そういった中でこの問題が解決できることを念願をするものでございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  次の問題に移ります。  青函トンネルが去る三月十三日に開業をいたしました。五十三・八五キロメートル、文字どおり世界一のトンネルであり、また世界一の海底トンネルでございます。運輸大臣も御出席いただきまして青森でのテープカット、さらには初列車の前頭巡視をしていただきまして、つぶさにトンネルのできばえをごらんいただいたわけでございます。函館におきます祝賀会の席上でも、陸続きになりました喜びを昔私ども習いました国引きの神話に例えていただきまして、いよいよ北海道が地続きになり本州と一体になったというお話をいただいたわけでございます。  大変な喜びであったわけでございますが、この構想自体は既に大正時代からございまして、昭和の初期に調査が始まっておったわけでございますが、正式に記録に残る調査開始は昭和二十一年と伺っております。昭和二十八年にはこれが鉄道敷設法の別表に予定線として書き込まれる、こういうことに相なったわけでございます。技術的にはいけるという見通しがこの辺でもう既についておったということでございます。そして、たまたま昭和二十九年の九月、洞爺丸がほかの船を含め沈みまして、このときに千四百三十人の皆さんが犠牲になったわけでございます。大変な出来事であったわけでございますが、ちょうどこの一カ月半ほど前の二十九年八月二十二日に国民体育大会が札幌で催されまして、天皇、皇后両陛下が洞爺丸を御利用されて北海道へ渡っておられます。それで、このニュースは陛下の御心を大変痛められたと思われるわけでございまして、昭和三十年の元旦に詠まれた御歌の中に、「その知らせ悲しく聞きてわざはひをふせぐその道疾くとこそ祈れ」と歌われております。「わざはひをふせぐその道疾くとこそ祈れ」、まさにこれは青函トンネルの建設を促進するようにと期待をする国民の悲願を象徴して歌に詠まれたのではないかと拝察をするわけでございます。どうかこのトンネルが一層その効果を発揮されまして、昭和の三大ばかなどと言われないように活用をされることを願うものでございます。  このトンネルの完成のインパクトによりまして、六十一年の一月二十日にイギリスのサッチャー首相とフランスのミッテラン大統領がフランスのリールというところで会談をして、英仏トンネルの建設をやろうということを決めております。これは鉄道トンネルとして、車も積んで走れるようにということでありますが、工期七年、三百億フランということでスタートしようと決定をいたしまして、しかも民活方式でやろう、こういうことで既に動き出しております。日本の技術者も何人か行っておりますし、さらに資金の面でも日本協力が一番だと、こういったインパクトにこの青函トンネルがなったことは間違いがないわけでございます。さらにほかの地域、例えばスペイン―モロッコ間のジブラルタルの海峡トンネルの調査に対しても、既に何遍も技術協力が行われておるというわけでございます。また、日本と韓国を結ぶ日韓トンネルの調査も今内々進められておりまして、これについても技術的には明るい見通しがあると言われておる昨今でございます。  このようなトンネルでございますけれども、今旅客の大部分が飛行機という中で、果たしてどのようになるかと言われるわけでございますけれども、開業後の輸送実績につきまして、速報値がございましたら御報告をいただきたいと思います。
  100. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  三月十三日に津軽海峡線が開業したわけでございますが、開業後の十日間につきましての対前年の比較を申し上げますが、旅客で、上りが十日間の実績が約四万六千人、それから下りが約三万八千人、合計八万四千人というところでございまして、これは上りが九一%増、それから下りが九六%増、平均しまして九三%増というところでございます。  一方の貨物でございますが、貨物は、開業後の十日間で五万四千トン運んでございますが、これは対前年と比較いたしますと八・五%の減でございます。それで、八・五%の減の問題につきましては、お米とか野菜の出荷が前年同期に比して減少したことによるものだと推定いたしております。
  101. 野沢太三

    ○野沢太三君 まだこの数字だけで評価は難しいと思いますが、お客様は少なくとも倍近くにふえておるというのは事実でございますし、貨物についても、時間が四時間ないし五時間早くなったと伺っておりますし、乗りかえ、積みかえがないということからコスト面でも相当な競争力がついたと言われておるわけでございまして、どうか十分なる活用をお願いしたいと思います。  それからもう一点、開業後各種のトラブルが頻発しているということで新聞等にも報道されておりますが、これに対する対策について、いかがなものでしょうか。
  102. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 開業後のトラブルにつきましては、三月二十五日現在で二十二件発生いたしております。それで、そのうちの主なものは、火災検知器がございますが、その火災検知器の温度設定値が低かったということのために火災警報装置が動作したというものとか、それから車両及び地上施設の機器の故障、そういったようなものによるというふうに考えております。  それで、この問題につきましては、JR北海道では、私どもの出先であります北海道運輸局の要請を受けまして、三月十五日に輸送安定対策本部というものを本社に設け、それから函館には現地対策本部を設けておりまして、原因の究明とかその対策の実施に当たっております。それで、現在わかっていますところの問題につきましては対策が完了しているということでございます。今申し 上げましたその二十二件の内容は、そういうトラブルの発生原因は、いずれにしても一般に新しい機器を使うときによく見られますいわゆる初期故障的なものでございまして、現在の原因の究明とそれに対する対策を実施することによりまして早期に安定化すると、かように考えております。
  103. 野沢太三

    ○野沢太三君 ぜひひとつ、早々に問題を解明いたしまして、安定した輸送が確保できますよう、よろしくお願いしたいと思います。  青函トンネルにつきましては、有効利用の方法につきまして青函トンネル問題懇談会等をおつくりいただいて既に勉強しておるわけでございますが、これらの結論の採用、あるいは将来的に見てやはり新幹線を通すということが最も有効な活用方法であろうということは論をまたないことでございますので、これにつきましてもひとつ引き続き御検討を進めていただいて、このトンネルの価値が一層上がりますよう念願をするものでございます。  続いて安全問題について一、二申し上げたいと思いますが、山陰線の余部の鉄橋で、六十一年十二月二十八日に、列車が風にあおられて転落をしております。客車が七両ほど下に落ちまして、下にございます水産加工工場に落ちた結果、ここで六人の方がお亡くなりになり、また六人の方が負傷したという痛ましい事故がございます。これに対する鉄道総合技術研究所の調査が進んでおりますが、これによりますと、やはりある一定の風速が発生すると列車はひっくり返るということが実験等の結果でも明らかになっております。どうかひとつ、この貴重な体験を生かしていただきまして、今後とも同様な箇所で同じような事故が起こらないように工夫をしていただきたいわけでございます。風速計を適切に配置する、あるいはそれを信号と連動をさせる、そして適切なときに列車を停止できるようにと、こういった措置が要所要所でとられるということが必要かと考えるわけでございます。問題の究明については今まだ裁判等で争っておるようでございますが、この状況が明らかになり次第、早急なる対策を講じていただきたいものと考えるわけでございます。  それからオートマチック車の事故につきまして、私、前の運輸委員会でも早急なる措置、対応をお願いしたわけでございます。その後、大分勉強をしていただいたようでございますが、このオートマ車の事故対策について、その後の調査結果並びに対策をお話しいただければ幸いでございます。
  104. 清水達夫

    政府委員(清水達夫君) お答え申し上げます。  オートマチック車のその後の対策状況でございますが、まず一つ、誤操作防止対策といたしまして、自動車工業会に対しまして何らかの装置を検討するように指示しておりましたところでございますが、昨年の十二月末にキー・インターロック付のシフトロック装置並びに後退警報装置というものを六十四年以内に装着する、こういう方針を決めておりまして、この装置はAT車の誤操作防止上相当の効果が期待できるものと考えております。したがいまして、運輸省といたしましても、可能な限り早期にこの対策が講ぜられるよう各自動車メーカーを指導しておるところでございます。ただ、この装置は、設計製作上極めて精密かつ複雑な技術を必要といたしますため、信頼性を十分担保する必要もございますので、六十四年中を目途に対応させると、こういうことにいたしております。  それから、私どもの交通安全公害研究所におきます原因究明でございますが、これにつきましては、現在同研究所におきまして中間報告の取りまとめの最終段階の作業中でございまして、その内容につきましての詳細につきましては、私どもではまだ承知をいたしておりません。ただ、これにつきましても、これまでの実車実験等の結果からは、AT車の基本的性能及びその構造につきまして、急発進、急加速現象を引き起こす原因は確認されていないこと、また、これまでの検討結果を踏まえまして、車に載っております電子機器につきまして、フェールセーフ設計のあり方、あるいは信頼性向上のための品質管理のあり方等についての示唆が行われる可能性があるように聞いておるところでございます。
  105. 野沢太三

    ○野沢太三君 時間が参りましたが、ぜひひとつAT車の安全装置の普及並びにそれのドライバーへの徹底といった面で、さらに御努力をお願いしたいと思います。  成田空港のターミナル機能の拡充あるいはアクセスの改善等について御質問をしたかったわけですが、時間が参りましたので次回に譲らしていただきたい。林さんどうもありがとうございました。  またさらに清算事業団に、今行っております土屋付近のルート、あるいは湾岸線の旅客転用等の問題につきましては、また次の機会にやらせていただきます。山口さんどうもありがとうございました。
  106. 中野明

    中野明君 最初に、去る三月二十四日に発生いたしました高知学芸高校の上海市近郊での列車衝突事故、まことに痛ましい事故でございまして、本当に何と申し上げてよろしいか、二十七人が死亡、そして四十七人が重軽傷、こういうことで、当初は情報が非常にふくそうしまして、死人の数も間違ってみたり名前が間違ってみたりしたんですが、ようやく全貌が明るみに出ました。  それで、最初に外務省にお尋ねをするんですが、この事故によって死傷者は全体で何名になっているんですか、ちょっと教えてください。
  107. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) お答えいたします。  先生御指摘の上海市郊外で起きました列車の事故でございますが、まず最初に、我々外務省員といたしましても、特に今次事件により亡くなられました高校生の御遺族及びその関係者に対して、心より弔意を表したいと存じます。  先生御指摘のとおり、今回の事故におきましては、日本人の教師一名、それから前途有為な高校生二十六名、計二十七名の方が亡くなられましたし、また負傷者の方も、重軽傷を含めまして四十七名というふうな数になっております。
  108. 中野明

    中野明君 私がお尋ねしたのは、事故の全体です。負傷者が何名になっているか。
  109. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 大変申しわけありません。全体の数につきましてちょっと手元に資料がございませんので、大変申しわけないと思っています。
  110. 中野明

    中野明君 日本人といえあるいは中国人といえ、人命にこれだけの事故が起こっているわけですから、担当の外務省として、その人数の掌握すらできていないというのはいかがなものかと思うんですが、どうですか。
  111. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 外務省として全体的な人数はつかんでおりますが、たまたま私、大変申しわけございませんが、不用意で、持ってこなかったということでございます。後ほど改めて先生の方に、合計何名かということを御説明さしていただきたい、こう思っております。
  112. 中野明

    中野明君 外務省はそんなことじゃ困るですよ。大体頭の中で入っていなけりゃならぬと思うんですがね。  それはそれとして、昨日、二十七名のうち三遺体が遺骨になって、それからあとの二十四遺体が中国から帰ってきたわけです。本当に何と申し上げてよろしいか、悼みの言葉もございません。  そういうことで、この事故について、原因は大体どういうふうに掌握しておられますか。
  113. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 原因につきまして、中国側も今のところいろいろ二つの作業グループといいますか、列車事故処理グループ及び事故原因調査グループを設けて真相究明中でございます。先般浜田外務政務次官が中国に行かれましたときに、中国側のとりあえずの説明としては、ブレーキ系統に関連したものではないかという説明がございましたが、最終的なものにつきましては、今申し上げましたような二つのグループを設けて中国側が鋭意原因究明中と、こういうことでございます。
  114. 中野明

    中野明君 原因は一応二通りあるように聞いておりますけれども、それはいずれまた正式に回答 があると思います。  中国の鉄道事情、交通量の増加に比例して設備が非常に老朽化しておるという問題もありますし、ことしに入ってから既に五回大きな事故が発生をして、鉄道相が辞任をしたということも承知をしておりますが、この中国の鉄道事情というのは一体どのようになっておるのか、御説明をいただきたい。
  115. 中村徹

    政府委員(中村徹君) 中国の鉄道の現状につきまして、私どもとして正確に把握しているわけではございませんけれども、一応私どもの手元にある資料によりますと、一九八四年度の資料でございますけれども営業キロが五万二千キロ、そのうち複線区間が約九千二百キロ、それから電化区間が二千四百キロというような数字になっておると承知いたしております。
  116. 中野明

    中野明君 それはどうなんでしょうか。鉄道のキロ数もさることながら、技術的な問題とか、そういうことについて、我が国で言うたち大体何年ぐらいの状況と判断されておりますか。
  117. 中村徹

    政府委員(中村徹君) 私どももその辺のところは、詳しい正確な事情は承知しておりませんのでちょっとお答えいたしかねるわけでございますけれども、一般論として私どもが承知しておりますことは、軌道とか構造とか、そういう面は非常に進歩しているけれども、若干まだソフト面と申しましょうか、そういった面にはなお若干の問題があるというふうに承知しておりますが、詳しいこと、あるいは正確なことというのは、他国の事情でございますので、なかなかわからないというのが実態でございます。
  118. 中野明

    中野明君 運輸大臣ね、運輸省の海外旅行倍増計画、テン・ミリオン計画というのが出ております。その重要な柱の一つとして海外の修学旅行の促進ということが挙げられております。同時に、日本人の海外旅行の安全対策等の実施ということについても一つの柱として挙がっておるわけですが、このテン・ミリオン計画に当たって出ばなをくじかれたというか、そういう大変な事故なんですが、この点、運輸省としては具体的にどのように受けとめておられますか。
  119. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) おっしゃいますとおり、テン・ミリオン計画遂行中でございまして、その大きな柱に海外の修学旅行もうたっておりますが、今回のあの事故は、この計画にとっても本当に遺憾なことでございます。  中国に限らずそれぞれの国の交通機関には欠点なり欠陥なりウィークポイントもございます。過去にもほかの国で邦人の旅行者が集団で大きな事故に遭遇したこともございます。先ほど御指摘になりましたように、ことしに入りましてからこの事故を上回るような事故が即に一月に三回起こっておりまして、それで鉄道部長というんでしょうか、日本でいう、鉄道大臣が引責して辞任されたのに、しかる後日たたずしてまたこういう事故を起こしたということは、やっぱり私たち十分これからの旅行のプランにしんしゃくして、プランを立てるべき一つの条件といいましょうか、事実だと思います。
  120. 中野明

    中野明君 今の、鉄道事情にしても何にしても、外国のことだから詳しいことはわからない、まあそのような答弁があったわけですけれども、そんな状況のもとで、行け行けと言うて宣伝をするというのは、この計画そのものが一体どうなっているんだろうか、そういうふうに心配するわけですが、その点はどうなんでしょう。もっと状況が正確にわかっておられるのではないかと思うんですが、もう一度御答弁願います。
  121. 中村徹

    政府委員(中村徹君) 私どもがこういう公式の場で御答弁申し上げるほど正確な情報というものを得ているわけではございませんので、御答弁を差し控えさせていただいたわけでございますが、私どもといたしましても、海外旅行の安全につきましては、海外旅行倍増計画のやはり最も基本的な問題であり最も重要な柱であるというふうに考えておりまして、実はこの事故が起こる前に既に海外旅行安全等対策研究会というものを運輸省の局内につくりまして、関係事業者の方等にも集まっていただいて勉強をしようとしていたやさきでございまして、三月三十一日には第一回の会合を開く予定でございました。  実は、ある意味では、今回の事故でさらに安全対策の重要性というものを身にしみて痛感いたしたわけでございまして、特に力点を置いて海外の情報も集め、関係の方々にもお知らせするというようなことにも力点を置いて今後努力してまいりたい、かように考えております。
  122. 中野明

    中野明君 文部省は見えていますか。――文部省は、高校生を中心にして何とか海外体験というものをさせたいと。こういうことについて、我々も賛成でございますが、ことしの一月から公立学校にも海外旅行の解禁という方針を示しておられます。そのせいか海外の修学旅行が盛んになってきたというふうに考えておりますが、この事故に対して、文部省として、これまた大きなショックであろう、このように考えますが、今日までの経過と事故の対応について、文部省として。
  123. 森正直

    説明員(森正直君) 御説明申し上げます。  初めに、先生おっしゃいました生徒の修学旅行の実施についてでございますが、実は、これにつきましては、昭和四十三年十月に初中局長から一般的な、国内、国外の区別をしない修学旅行に伴う留意点について通達をいたしておりました。ただ、その当時は飛行機の利用ですとか海外旅行というものが余りなかったころでございまして、ところがその後御案内のようなことで飛行機の利用、海外旅行というのがだんだんふえてまいりましたので、先ほどおっしゃいましたように、本年一月、都道府県教育委員会指導担当の部課長会議を開きまして、そこでこの飛行機の利用、それから海外旅行の実施につきまして、特に教育的な意義を明確にしてくれとか、それから生徒の健康管理や安全の確保、殊に交通機関についての事前調査等十分に配慮してほしい。それからまた、海外旅行については保護者の理解を十分得るように、というような留意事項について改めてお願いしたわけでございます。それで、世上よく、ことしの一月から海外旅行を解禁したというふうに伝えられておりますけれども、文部省の姿勢といたしましては、実は以前から海外旅行は行われておりまして、ただ確かに一般の御認識のように、こういった中で一月にこういうことをお願いしましたので、海外旅行にゴーを出したというようなふうにとられるのは、それはやむを得ないことであったかと思います。  以上が背景でございまして、第二点の、今回の不測の大変悲惨な事故につきまして、私ども文部省としての対応状況を御説明申し上げますと、先ほどおっしゃいましたように、三月二十四日、事故が起きましてから私どもも直ちに文部省内に事務次官を本部長といたしまして、関係局長を本部員とする対策本部を設置いたしまして、迅速適切に方針を策定して実施を進めてきたつもりでございます。  事故の翌日、つまり三月二十五日でございますが、高知県の方に初中局の企画官、それから私の課の課長補佐を派遣いたしまして、現地の御要望等を遠慮なく国の機関の方へお伝えいただくようにというような役割を担わせて派遣いたしました。それがその後大変役に立ったと学校等からも感謝をいただいているわけでございますが、ただ、そうやって御要望をいただいた後、私どもの方から運輸省、外務省にお願いいたしましたところ、運輸、外務とも大変、私どもも感謝するぐらい全面的に迅速に協力いただきまして、恐らくこれ以上考えられないぐらい迅速適切に現地においても対応していただいたというふうに考えております。  それから、私ども文部省といたしましては、実は被災者について日本体育・学校健康センターというのがございまして、そちらで死亡者あるいは傷病者に対しての災害共済給付の制度がございまして、それにつきましても平常でございますと大変複雑な手続がございますけれども、対策本部の決定に基づきまして、この特殊法人に緊急指示を行いまして、最大限迅速な特例措置を講じるよう 措置いたしております。  それから、先ほどちょっと通達のことを申し上げましたが、この対策本部の決定によりまして、近くこの非常に悲惨な事故を契機として、改めて海外への修学旅行の実施の再点検ですとか、それから緊急事態が起こることを予測してのあらかじめのいろいろな体制への配慮ですとか、あるいはそもそも海外修学旅行の教育目的、意義そのものの再検討とか、そういったもろもろのことについて通達を発するような予定をいたしております。  大体、以上でございます。
  124. 中野明

    中野明君 それで、まだ中国に重傷者、そして重体というんですか、そういう人が残っておるんですが、特に二、三人が非常に危険であるというふうにも聞いておるんですが、外務省あたり、その辺どう掌握していますか。
  125. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) お答えいたします。  きのうの段階で、上海に重傷者等含めまして十一名の人が残っておりますが、きようその十一名の中から三名が帰ってくる予定になっております。したがって、残り八名になるわけですけれども、その中で三名はかなり重いというふうに聞いております。
  126. 中野明

    中野明君 日本からも医者が派遣されているということのようですが、ぜひこの方々、何としても一命を取りとめていただきたいなと、このように思いますので、全力を挙げてお願いしたいと思います。  それで、今回の場合、学校の方でも校長も非常に心配しておりましたが、この補償の問題がこれは大きく出てくると思います。それに先立ちまして、今回の場合の旅行業の約款でいきますとどのような扱いになっておるのか。その辺、運輸省お願いします。
  127. 中村徹

    政府委員(中村徹君) 旅行契約につきましては、先生御承知のとおり、いわゆる主催旅行契約、つまり旅行業者がみずから旅行計画を作成して旅行者を募集するという主催旅行と、それから手配旅行でございますが、旅行者が旅行計画を作成して、旅行者の委託によって旅行業者が手配をするいわゆる手配旅行、この二つがあるわけでございますが、修学旅行の場合には、すべて学校側の旅行計画に従って学校側の委託によって旅行業者が手配をする、いわゆる手配旅行になってございます。  手配旅行の場合の約款でございますが、標準旅行業約款によりますと、旅行業者の故意過失による場合は別として、運送等の事故についての補償責任は旅行業者にはなく、運送機関等が負うということになっております。
  128. 中野明

    中野明君 そうしますと、やはり補償ということについては、事故を起こした中国側の責任ということになるわけですが、中国で航空旅行でつい最近三名ほど日本人が亡くなっておりますが、その補償の交渉というのはどの程度進んでいるんですか。外務省わかりますか。
  129. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) 先生御高承のとおりと思いますが、一般に補償問題というものにつきましては、関係の人たちと相手国、例えば今の御質問の航空機の事故であるとすれば、中国民航との間での話し合いにまつということになっております。今までのところ、この点について具体的にどういうふうに話し合いが行われたかということについては、聞いておりません。
  130. 中野明

    中野明君 どうもちょっと、はっきりわかる人が来てくれればいいんですが……。  この航空機の場合の人身事故にしても、まだ今のところ具体的に何も進んでいないんじゃないかという気がするわけです。そのやさきのこの事故なんですが、外務省並びに運輸省あたり、どういうふうに交渉をするのか、その辺をちょっとお聞きしたい。
  131. 田辺敏明

    説明員(田辺敏明君) いずれにしましても、第一にやらなきゃならないのはその事故原因の究明であろうかと思います。それを踏まえた上で責任の所在がはっきりしてくるわけでございまして、その段階で具体的な補償問題ということに入るわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、補償問題というのは、第一義的には、御遺族を初めとする関係者の方たちと、今回の鉄道事故について言えば中国側の関係当局との間で行われる。ただ、外務省としても、この話し合いが円滑に行われるようにできるだけの助力、御協力はさせていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  132. 中村徹

    政府委員(中村徹君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、旅行業者の補償という形ではなく、鉄道が補償責任があると考えておりますので、これはやはり各御遺族あるいは負傷された方々とそれから鉄道部の間で補償を交渉をしなければならないと思いますが、これにつきましてはやはり外務省の方の御助力がなければなかなか話が円滑に進まないであろう、こういうふうに考えております。  また、これは私どもが直接お答えすることではなくて外務省さんのお答えすることだと思うわけでございますが、三月二十六日に浜田外務政務次官が国務院の陳秘書長と会談を持たれた際、陳秘書長から、補償問題は当然処理すべき事項であり、外交ルートでこれに当たりたいという御発言があったそうでございます。これは外務省のお立場として直接補償に当たるということではないと思いますけれども状況はそういうふうになっておりますので、私どもとしても十分これから外務省さんにもお願いをしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  133. 中野明

    中野明君 運輸省の言うことはようわかるんですけれども、外務省はどうもへっぴり腰というんですか、日本の父兄が交渉するにしても、やはり外務省が矢面に立ってあげなければ交渉のしようがないと思いますが、その辺、外務省としてもっと本腰を入れて――結局そうだから前の航空機の事故の問題にしてもあなた任せにしているんじゃないか、そういうような結果が出ているんじゃないかと思うんですが、その点大臣
  134. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) この場合には明らかに中国側に責任があるということはもう明瞭でございまして、その限りで、政府として責任を持って中国側が完全にその補償を通じて責任を履行することを要請するつもりでございます。
  135. 中野明

    中野明君 以上でこの問題は終わりたいと思います。  次の問題、先ほど青函トンネルのことで御質問が出ておりましたが、このトンネルができ上がって、しかも四国では四月十日に瀬戸大橋が開通する。そういうことで、日本の本州と北海道と四国が一本のレールで結ばれるようになったわけなんです。その点所管大臣として感想があればおっしゃってください。
  136. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 本州といえども世界地図の中では大きな島でありまして、その周りに北海道、四国、九州とそれぞれ島があったわけでありますが、この国土がトンネルと橋で一体になったということは、それぞれの島に住んでいらした方の隔絶感が払拭されまして、同時に、経済的にも交流が激しくなりまして、隣接したブロックとブロックとの経済交流、それが活性化して、日本の随所で新しい政治的なあるいは経済的な核が誕生して、四全総にうたわれております多極分散型の国土の形成のためにも格好な条件がそろったと思いますし、これから私たち、そこで結ばれました地域の発展に刮目してまいりたいと思っております。
  137. 中野明

    中野明君 それで、先ほども話が出ておりましたが、青函トンネルの事故ですね、これが大変多発をして、国民並びに利用者の皆さん方に大変な不安を抱かしておるということも事実なんですが、開通までに試運転もして、いろいろされたにもかかわらずなぜこのような事故が多発したのかということで、理由を見てみますと、電気機関車のエンジンの熱が設定した温度より高くなったとか、火災検知器が作動してしまったとか、無線装置のプラスとマイナスが反対に取りつけられたとか、電気機関車の電磁ブレーキにJR北海道がふなれであったとか、いろいろな運転状況を想定した訓練の不足とかデータ不足、JR各社間の連絡 不足など極めて初歩的な、人為的なミスが連続しておるように私も思うわけですが、試運転をしたときにそんなのは全然わからなかったのかどうか。その辺はどう思っておられますか。
  138. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先ほど御説明いたしましたとおり、私どもといたしましては、いわゆる初期故障というんでしょうか、そういったたぐいのものが中心かと思っております。  それで、試運転した場合にわからなかったかという御指摘でございますけれども、試運転の場合に旅客を満載して列車が走るとかそういうところまではいっておりませんものですから、その関係によって機関車の発熱の度合いが異なるとか、そういったような違いが出てきたというような形でお聞きしております。その辺の問題が火災検知器の温度設定値が低いとかそういったようなことに反映したわけでございますけれども、個々のこういうような問題につきましては、先ほども説明しましたように、原因の究明と対策ということを一斉点検を含めましてやってございますので、早いうちにその問題につきましての安定化が行われるものと思っております。
  139. 中野明

    中野明君 本当に原因ははっきりしているんですかね。もう一度御答弁。
  140. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先ほど申し上げました二十五日までの二十二件のいわゆる故障といいますか、それの内容は、火災検知装置の作動が九件とか、車両機械の故障が七件、その他ということになっておりまして、そのそれぞれにつきまして故障の部分につきましての点検をしておりますので、それで基本的にそれに対する対策をとっております。ですから、いわゆる初期故障というんでしょうか、そういったような範疇内の話ではないかと考えております。
  141. 中野明

    中野明君 どうか原因を徹底的に究明もしてもらいたいし、何かこう分割・民営になったために連携がよくないというような心配もしておる人もおるんですが、その辺は大丈夫なんですか。
  142. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) この二十二件の中で、救援列車を派遣してもらってそれで動かしたということが一つございますが、その場合のJR北海道とJR東日本との間の連絡体制という連絡の問題というのが生じましたが、この辺につきましてまだ明快にわかっておりませんが、今後ともその両社間の連絡体制ということを十分とっていただき、緊密に動作ができるようなそういう対策を打っていただいているというふうに伺っておりますので、同じようなことは起こらないと考えております。
  143. 中野明

    中野明君 それからいま一つ、JR北海道とJR東日本ですね、これと自治体消防との連絡体制が非常に悪いということで、青森駅とか函館駅というトンネル両端の指令基地への連絡ルートがうまくいっておらないというようなことをしばしば耳にするんですが、それが事故後の復旧に長時間を要していることを指摘したいわけなんですが、その辺はどうなんでしょう。うまくいくようにその後手を打たれたんですか、どうですか。
  144. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 青函トンネルの開業前の段階におきまして、JR北海道とそれから地元の消防機関とのいろいろな打ち合わせを行ってまいりました。それで、その打ち合わせの中で、例えばマニュアルを提出するようにとか、あるいは青函トンネルの中に入るためのかぎを渡すようにとか、いろんなことがございまして、そこにつきましての若干の打ち合わせのおくれとか、そういったようなことが当時ございましたが、現在は、消防用マニュアルの話はもう既に作成して消防機関に提出してございますし、両者間のいろいろな打ち合わせで残された問題については、ほぼ解決しているというふうに聞いております。
  145. 中野明

    中野明君 とにかく何か見切り発車されたんじゃないかというようなことも一部伝えられておりますが、何にしても、機械万能に依存をして、人的な連絡で十分なデータの確保とか復旧への体制などソフト面の体制がなおざりでは、今後大変な事故につながるおそれもあるわけですが、大臣として、ぜひ事故原因の総点検とそして防止のための体制、これについて万全の体制をとっていただきたい、このように思うんですが。
  146. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) おっしゃいましたように、十全の努力をいたしまして、どんな事故であろうとこれからそういうものが起こらないように、精いっぱい努力するつもりでございます。
  147. 中野明

    中野明君 次の問題ですが、本四架橋についてお尋ねをしたいと思います。  本四架橋も四月十日に開通式をやるわけですが、やっぱり青函トンネルの連日の事故に見られるようなことが起こるとこれは大変だというふうに私も心配をしておるんですが、この本四架橋の場合、まず運輸省として、これは車と鉄道が併用で使用するわけですから大変な企画であるわけですが、でき上がって、車は大体何台ぐらい通るように見込んでおられるのか。それで列車の本数は何本と見ておられるのか、その辺ちょっと。
  148. 吉田巌

    参考人吉田巌君) 本四公団でございますが、ただいまの御質問のうち、自動車交通量に関するものだけを御返事申し上げます。  自動車の交通量につきましては、御承知のように、第四次全国総合開発計画あるいは第十次道路整備五カ年計画等をもとにいたしまして予測をしておりまして、供用初年度の交通量を一日二万五千台と見込んでいます。
  149. 中野明

    中野明君 運輸省鉄道の方。
  150. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 鉄道の計画本数でございますが、旅客列車、往復で申し上げますけれども、快速列車とか特急列車とか全部入れまして一日二十九往復。それから、貨物は車扱いとコンテナを合わせまして一日四往復ということでございます。
  151. 中野明

    中野明君 それで一つだけちょっと気になるのは、トンネルと違って本四の場合は、つり橋というたわみのある、しかも長い橋を列車と車が高速で走り抜けるんですが、大変な技術が駆使されていると言われておるんですが、どういう工夫がなされておるか、その点。
  152. 吉田巌

    参考人吉田巌君) 長大つり橋に鉄道が通る、本格的な列車が通るというのは初めてのことでございまして、本四公団ができます以前、日本国有鉄道を中心にいたしましてこの問題に取り組みまして、二十年来の調査研究の結果、今先生御指摘問題点を解決するために、つり橋の端部でございますが、そこで起こる角折れあるいは温度の変化による伸び縮みを吸収するための緩衝げたというものを新しく開発いたしまして、列車の走行の安全確保に資しております。
  153. 中野明

    中野明君 大体何メートルぐらい沈むんですか。
  154. 吉田巌

    参考人吉田巌君) せんだって試運転列車を走らせまして、その総重量千トンいっておりますが、その場合において、たわみの量は約八十センチでございます。
  155. 中野明

    中野明君 それは車と一緒にした分ですか。それとも列車だけのことですか。
  156. 吉田巌

    参考人吉田巌君) 列車だけでございます。
  157. 中野明

    中野明君 そうすると、車と一緒に実験はしていないんですかね。
  158. 吉田巌

    参考人吉田巌君) 自動車に相当する荷重を準備をして、そして列車を走らせるということはやっておりませんが、列車の荷重は、今申し上げましたように、非常に大きな荷重を準備をいたしましてJRさんの方で準備をしていただきまして実験をしておりますので、予想される自動車交通量と列車の競合におけるたわみの問題におきましても、十分実験としては対応できておるというふうに思っております。
  159. 中野明

    中野明君 一日に二万五千台も通るんですからね。これは一緒に実験するのは無理かもしれないんですけれども、現在開通してないんですから。だけれども、もしもそれが一たびうまく作動しなかったときには大変な事故になるという心配を私どもも素人なりにするわけで、だからお尋ねをしているわけですが、何か八十センチも沈むというのですから、自動車と一緒にやったらもっとたくさん沈むんじゃないか。そのときにそれがうまく作動しなかったらどんなことになるんだろうとい うふうに我々素人なりに心配をしているわけですが、その点大丈夫なんですね。
  160. 吉田巌

    参考人吉田巌君) 御心配していただく面もございますが、八十センチといいますと非常に大きな数字に聞こえます。ただ、つり橋そのものは、千メートルという非常に大きなものでございますので、千メーターの真ん中でそういう数字になりますので、勾配の変化としては非常に小そうございます。したがいまして、試運転列車を運転されました運転士の方々に聞きましても、今先生が御心配になっておられますたわみによる変状といいますか、ちょっと沈んだぞとか、そういう意識はなくて、あえて申し上げますと非常に快適に走れたと、こういうふうに聞いております。
  161. 中野明

    中野明君 青函トンネルのときも、試運転中は非常に快適であったようでございます。ところが実際に通ってみるといろいろ、それこそ今までに既に二十二回起こっているというのですから、ちょっとその点気になったものですからお尋ねをしているわけです。せっかくの御努力ででき上がったものですから、多分技術的には大丈夫だろうというふうに私もそう思いたいと思います。  ここで一点だけ大臣、青函トンネルの表彰のときに、大臣が何かまた要らぬことを言うたとかどうとかいうて新聞に載っていたんですが、本四架橋というのは青函トンネルから比べたら大したことはないんだというような話をされたというふうに伝えられているんですけれども、その真意はどうだったんですか。
  162. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) いや、そういうことを言ったつもりではございません。ただ、青函トンネルの方が時間も非常にかかりましたし、たくさんの犠牲者を出しました。技術がまだ発展途上であったせいかもしれませんけれども。そういうものと比較して、本四架橋の方は比較的容易にでき上がったという印象がありましたので、そういう意味で私は比較して申し上げたんです。工事としてどっちがよいとか困難とかということを申したつもりはございません。
  163. 中野明

    中野明君 表現の仕方に工夫をしてもらわないといかぬと思うんですけれども、鉄建公団は運輸省の所管ですけれどもこっちは本四連絡橋公団といって運輸省関係のないところがやっているということもあったのかもしれませんけれども、本四架橋の方でも、とにかくやはりあれだけの工事、しかも車と列車の両方が通れるという非常に現在では世界の最高水準をいっているんでしょう。そういうのを比べて、これと比べたらこっちがようてこっちはいかぬというようなふうにとられるような発言というものは今後注意してもらいたい。そうしないと、どうせこれ完成したら四国の方でも表彰もされるでしょうし、そのときに何か気まずい思いをされたらいかぬと思って、あえて申し上げておきます。  それで、橋ができまして、二万五千台というふうに今お話があったわけですけれども、四国の島内の道路、これが、高速道路はもうごく一部分ですし、とてもまともに――現在は博覧会も両方で開かれて、そして架橋のフィーバーというようなぐあいに人気が出てきているわけなんですが、これが開通をして、そして橋を渡って四国へなだれ込んでこられたときに、今の道路事情では恐らく渋滞でどうもならぬのじゃないかと、このように私は心配をするわけです。そして恐らく東京の首都高速のように、高速道路じゃない、ちょっと待ってくれ、ここから先は一時間ほど待ってくれというような、そういう事態が起こるんじゃないか、こういうふうに心配をしているんですが、まず道路事情から説明してください。
  164. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) お答えいたします。  本四架橋の開通に伴いまして、これと一体となる四国内の幹線道路整備が重要であると考えて、現在も一生懸命整備を進めております。  本四連絡橋の児島―坂出ルートの開通の時点では、国道十一号坂出―丸亀バイパス、国道三百十九号の善通寺バイパス等、これらの整備に加えて、四国縦貫並びに横断自動車道の善通寺―土居インターチェンジ間四十九キロが開通しております。  従来四国におきましては、地形が極めて急峻で脆弱であったということ、そのほかにも本州、九州その他の地域に比べまして、海路、航空等の交通輸送が多かったことによりまして、どちらかといいますと道路交通がおくれていたということでございます。近年、極めて道路交通への依存度が大きくなってまいりましたので、今後必要の度合いに応じまして積極的に事業を進めていきたいと考えております。  特に高速自動車国道につきましては、六十年の三月に四国縦貫道が三島川之江―土居間十一キロ供用開始したのを皮切りに、現在は七十キロ供用しております。本州四国連絡橋につきましても、五十四年に尾道―今治ルートの大三島橋が供用開始して以来、今回児島―坂出ルートが開通しますと百七キロになります。それから一般道路につきましても、この整備状況は、国道、県道、市町村道全体の改良率が四国の場合昭和四十年には全国の約六割程度でございましたが、最近、昭和六十一年には約八割程度まで回復してきております。  そういう意味で、道路整備のおくれは今後解消されつつある傾向にあると思いますので、その方向で鋭意努力していきたいと考えております。  以上でございます。
  165. 中野明

    中野明君 高速道路がやっと去年からことしにかけてでき上がって七十キロですから、もうそれこそごく一部分ですね。ですから、縦断と横断のこの道路整備というのは緊急課題だと思うんですが、大体見通しは何年度を目標にしておられるんですか。
  166. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 四国の高速道路につきましては、現在建設省としては、計画として高規格幹線道路一万四千キロ、こういう計画を持っております。そのほかに従来から高速国道として七千六百キロの整備を進めてきておりますが、とりあえず現在進めております高速道路七千六百キロについては七十五年ぐらいに概成をしたいと考えております。  そのうち、特に現在整備を進めております四国縦貫道の徳島―脇間並びに土居―西条間、それから四国横断の高松―善通寺間、川之江―大豊間につきましては、第十次道路整備五カ年計画の終わりでございます昭和六十七年度までには整備したい、そのように考えております。
  167. 中野明

    中野明君 これは橋が目の前でできるのですが、果たしてそんな悠長なことで、私が心配しているように封鎖しなきゃならぬような事態が起こるんじゃないかとあえて忠告をしておきますが、六十七年度じゃなしに、建設大臣も六十五年度というふうにおっしゃったと思うのですが、その辺はどうなんですか。大豊―川之江間、六十五年度完成というようなことをおっしゃったように聞いておりますが。
  168. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 大豊―川之江間については現在事業を進めておりますので、第十次道路整備五カ年計画の最終年度であります六十七年度までに整備したいということでやっております。
  169. 中野明

    中野明君 たしか六十五年に完成するというようなことを高知へ来ておっしゃったようですが、高速道路開通のときに。どうですか。
  170. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) ただいま御説明いたしましたが、建設大臣の方からもなるべく早くしろと、それから地元の方についてもぜひもう少し早めてほしいという御要望を聞いております。その御要望を踏まえまして、五カ年計画の中でなるべく早くということで努力はしておりますが、現在の目標はその辺に置いております。  以上でございます。
  171. 中野明

    中野明君 そういうことをしていると、車が来たら渋滞でどうもならぬという事態を私は今から想像して肌寒い思いをしているわけですが、一日も早く完成をお願いしたいと思います。  それからJRなんですけれども、橋ができたということ、それはとりもなおさず距離が縮むとともに時間が短縮になるということが一つの大きなメリットなんですが、四国の島内におけるJRの状態というのは、これまたまことにお寒い状態で す。単線区間がほとんどです。それから電化区間も限られておりますが、ちょっとこの実情説明してください。
  172. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 私の今手元にありますのは六十二年四月一日現在の四国のJRの関係でございますが、営業キロが八百八十キロでございますけれども、そのうちの複線化キロが二十五・八キロ、複線化率二・九%、それから電化キロが六十七・七キロ、電化率七・七%、そのような状態でございます。
  173. 中野明

    中野明君 単線区間が大体九七%あるんじゃないかというふうに見込まれております。非電化区間がこれまた九二%。こんな状態でありますから、橋ができても時間を短縮するのになかなか骨が折れているという実情なんです。  この単線区間を改めるか、電化区間を広げるか、これについての計画はどうなんですか。
  174. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 昨年の四月にJR四国に民営化されたわけでございますが、これからの設備投資の問題につきましては、会社が自己の経営的な判断のもとにやるという原則でございますので、会社が今後判断して必要な電化なり複線化を行うということになるかと思います。
  175. 中野明

    中野明君 これは赤字の会社には違いないんですけれども、大分民営化されて状況も徐々によくなっているというような状況でございますし、ぜひ運輸省からも督励をして、せっかくの橋ができても余り時間が変わらぬということになってしまったら橋が無用の長物になってしまうおそれがありますので、最後にその点について大臣から決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  176. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) せっかくの橋ができたわけでございますから、青函トンネルも同じことでございますけれども、それが十全に活用されるような努力をこれからしていくつもりでございます。
  177. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今伺っていた中でも、トンネルだ、そして橋だと、毎日テレビを見ておりましても大変にぎやかなニュースが流されているわけでございます。ちょうどその中で分割・民営ということが行われまして満一年たったということでございます。分割・民営化して一年たって、JRが一体どうなんだろうかということを先ほどからもいろいろ伺っておりますと、東日本は六百億からの経常利益だ、北海道でも十五億からの経常利益だというようなことが言われているわけです。私はこの一年を総括してみて、今後JRはどうなっていくのだろうか。そして、JRを生み出した分割・民営ということが、一体利用者にとって、国民にとって、そしてまたそこで働く者にとって、分割・民営というのは一体何なんだろうか。その分割・民営の正体を私はこれからはっきりさせていかなければならない、そう思うわけです。スマートに利益も上げて順調に進んでいくと外見は見えるだろうそのJRが、調べてみたら実は醜悪な姿であったなんというのが、これから私の質問で出てくるはずなんです。そういう意味で、きょうは第一回目といたしまして、JRの正体を、住民の足を守るというその交通権にかかわる問題として、まずきょうは地方交通線問題について伺いたいと思います。  特定地方交通線がどんどん廃止されているということは大臣も御承知だろうと思います。一年たった今日の時点で、第一次、第二次、第三次を含めまして、廃止済みになった線は一体どれくらいか。廃止がもう合意されているという線はどれくらいなのか。そして、今後廃止に移っていくということになる路線は一体どれくらいなのか。その実情をお知らせいただきたいと思います。
  178. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 特定地方交通線は第一次から第三次までございますけれども、全部で八十三線でございます。キロ程で申し上げますと、八十三線、三千百六十キロメートル。これは今月の二十五日現在でございますが、そのうち六十三線、約二千八十キロメートルがバスまたは鉄道に転換済みでございます。したがいまして、残りの二十線になるわけでございますが、その二十線の約一千八十キロメートルが未転換という状態でございますが、その中で既に転換合意済みの線が七線ございます。転換合意、これは地元での協議会で御審議いただいた結論のことでございますけれども、それで転換合意済みが七線、転換の合意がまだ行われておりません線が十三線ということでございます。
  179. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、廃止済み、廃止合意済みというのを合計しますと、私の計算では、七十線で二千三百七十四キロ、足しますとそういう数字になりました。今後廃止される予定というのは今おっしゃった十三線ということで、数字としてはそういうふうにつかんでいますが、いいですか。今の、ちょっと違っていますけれども、まあ大したことはないと思いますが。
  180. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 今の線の数は先生おっしゃるとおりでございますけれども、転換の合意がまだ行われていません十三線につきまして、ちょっとキロ程が手元に出ておりませんので、至急それは調べまして直ちに答弁するようにいたします。
  181. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今後の予定、合意を見ていないのは私は入れていないんです。第一次、第二次、第三次で廃止済みと合意済みというのをきちっと分けて調べてありますので私の数字の方が正確だと思うんだけれども、まあそれがちょっとくらい違っても本質的な問題にはなりませんが、合計いたしますと、大体七十線で二千三百七十四キロが廃止済み、そして廃止が合意になっているというふうになっているわけですね。  二千三百七十四キロという数字考えますと、これは北海道から東京へ来て九州という、そこまで入りますね。日本列島を縦断して北海道から九州まで行っちゃうんですね。物すごい距離が廃止されるということです。この切り捨てということが、交通権を失わせていくというJRの一年後の実態だと言わざるを得ないと思うんです、切り捨てられているんだから。――首振ったって何たって、ないんだ、もう。こういうふうに切り捨てられているんです。  そこで、もう一つ問題は、例えば北海道で言いますと相生線、それから福岡の矢部線というのを具体的に出してみました。その数字を今資料で出そうと思ったんだけれども――資料が来たら差し上げますけれども、この数字を具体的に申し上げますと、北見の相生線というのがあるんです。その相生線の運賃を調べてみました。そうすると、JRにならない国鉄の時代は、この相生線の運賃は五百六十円だったんですわ。それが、JRになりました、そうしたら、通勤のパスというのが四万九百五百円になりました。そして通学というのが三万六千二百四十円になっているんですね。これは、運賃が五百六十円だったのが千百円と倍になった、こういうわけですわ。それで通勤が一万六千八百円なのが今言ったように四万九千五百円になりました。これ三倍になっている。それから通学も、三万六千二百四十円になったんだけれども国鉄時代には七千八十円だったということなんです。そうしますと、通勤のパスは三倍になっています。そして通学のパスは実に五倍になっていると言わざるを得ないわけです。    〔資料配付〕
  182. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それから今度は、矢部線というのが福岡にございます。これも通勤とそれから通学を調べてみました。国鉄時代には通勤の定期は一カ月八千百円でございました。それが現在は三万四千二百円。四・二倍になっております。それからそこの通学は、国鉄時代には五千七百六十円でしたが、それが現在は二万七千三百六十円。四・八倍という数字になってしまっているわけなんです。大変な値上がりになっているというのがその資料でおわかりいただけたと思うんです。  今二つ言いましたけれども、そのほかに、そこに書いてありますようにいっぱいございます。福島の日中線では四・四倍になった。大分・熊本の宮原線では四倍。渚滑線では三・五倍。兵庫の高砂線では三・四倍。このすごい倍率ですね、大きいのは五・一倍にもなっちゃったというこの数字をごらんになって、大臣はどんな御感想をお持ち でしょうか。
  183. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 特定地方交通線の対策につきまして、いろいろな対策が行われているわけでございますけれども、その中に転換交付金という一つの対策がございまして、先生御高承のとおり、一キロ当たり三千万円の転換交付金を支出することになっておりますが、その考え方は、その使途というんでしょうか、使い道でございますけれども、いろいろ地元で協議していただいて決めていただくんですが、その中に、国鉄時代の鉄道の運賃とそれから並行するバスなりその他の交通機関の運賃との差額を、できるだけ一遍に違いが出ないような、そういう対策にお使いになるところもございます。私どもの方といたしましても、バス転換になった場合の運賃負担が過重なものとならないようにすることは大事なことだと考えております。  それで、今申し上げましたその転換交付金で定期差額の補助という問題がその中でその使途としてございまして、やり方といたしましては、通勤・通学定期旅客で、引き続き代替の輸送機関を利用する方に対して交付されるものでございますけれども、その交付期間は、通常、通勤定期の場合が一年間、通学定期の場合は転換のときの在学生のその在学校の卒業までの間、そういうようなやり方でやっております。  それで、必要に応じて運賃負担の軽減を図ってまいりたいと考えておりますが、先ほど申し上げましたとおり、その転換交付金の使い方というのは、基本的には各特定地方交通線ごとにございます地元での地方公共団体が入りました協議会で、地元で御相談していただいて、何にそれを使うかを決めていただくということになっております。
  184. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私が質問をしているんですけれども、今いろいろおっしゃったことは私もわかっていて、これから質問の中身に入るんですわ。  私が聞いたのは、こんなに三倍だ、四倍だ、五倍だというような値上げになる通勤・通学パス、こういうことについて大臣にどういうふうな御感想をお持ちかと聞いたのに、大臣の感想をあなたが言うわけにいかないでしょう。だから、私の質問したようにお答えをいただきたい。難しいことじゃないんです。こんなに高くなって、それでも大したことはないとおっしゃるのか、大変だなとおっしゃるのか。難しく私は絡んでいくつもりじゃないんだから、大臣の御感想を素直にお答えいただきたい。
  185. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) これは、五倍になったら大変だと思います。
  186. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうふうに、私はお互いに大臣として政治家としてこの問題をと聞いているんですから、余り事務方は、聞かないのを先走りして答えないでください。  これは交通権の問題だけではなくて、前々から私たちは言っていたんだけれども、教育の問題においても非常に大変なんです。  例えば北海道の美幌高校を見ますと、国鉄時代の通学パスというのは七千七百四十円だったのが今度は三万五千百六十円と、これは大変なことですよね。これは、兄弟二人が家庭で通うとすると七万円の通学費になります。鹿児島の宮之城でも、バスに転換して一年になりますけれども、通学定期は一挙に三・三倍。各学校では対応に困って、生徒の減少を防ぐ――減少というのは、大変だから通わせられないということで減っていくわけですわね。その対策として、寄宿舎に入った方がバス通学よりも安いということで、いろいろ苦労しているわけですよ。  そうしますと、経済的に大変だ、高いというだけではなくて、教育を受ける権利、この教育を受ける権利も、私たちが事前に言っていたとおり、脅かされてきているということを、私は大臣ならわかってもらえると思う。本当に子供に教育を受けさせたいと思うわけですよね。先ほどいろいろごちゃごちゃ言われましたけれども、在学中の子供の卒業までは援助してくれるんです。新しく入った子供に援助してくれるんですか、してくれないでしょう。だから大変な負担になる。教育まで受けられなくなってしまうということについて、やっぱり私は大臣として、こういう問題からももうちょっと深刻に子供の立場も考えていただきたいと、そう思うわけなんです。教育権の問題としてどうですか。
  187. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 実際、バスに転換して通学の費用がこれだけかかれば、これはもう大変だと思います。子供を抱えている親は本当に、地方によって収入の水準も違うでしょうけれども、決してそう高い地方じゃないと思いますし、これは本当に子供の教育にも差し支えるような深刻な問題だと思います。
  188. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから本当に大変だということを真剣に考えてほしいんだわ。バス転換交付金三千万出して、そこで出しますみたいな話をしているけれども、在校生が卒業しちゃった後から入ってくれば、これはもう全然関係ないんですからね。通勤だってそうでしょう。通勤パスにも援助いたしますなんて、格好いいなと思って聞いたら、一年だけでしょう。一年たったらもらえない。そして三倍、四倍になっていく。これはやっぱり私は出してもらいたいと思う。そして、これがJRになった正体の具体的な問題の一つだということは、やっぱり私はみんなにわかっていただきたいと思うんです。  さて、そこで、第三セクターというのに転換したところも、バスに変わったところの状態と余り変わっていないんです。第三セクターになったその全体で自治体の負担はどれくらいになっていますか。自治体が出資しなければなりませんね。自治体の負担はどれくらい出していますでしょう。
  189. 熊代健

    政府委員熊代健君) 第三セクターで現在鉄道を引き受けて六十一年度決算が出ておりますのが三陸鉄道等十四社でございますが、その合計の資本金の総額は三十四億円、そのうち地方公共団体が出資を負担しているのが二十二億円でございます。
  190. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、第三セクターを抱えた地方自治体、今おっしゃいましたね、たしか二十二億という数字。これはもう大変なんですね。県で言っても八県から十県、市で言っても何十市町村、みんなこれ抱えている。決して豊かな市町村じゃありませんよね、今の財政。それが出資しなければならない。それだけではまだ済まないんですね。いろいろな基金をつくって、例えば兵庫の場合、三木線なんというのは運営基金三千万出すというような努力もしていますし、それから固定資産税相当分を自治体が持って支出しているということになるわけですよね。そうすると、第三セクター、自治体、それも大変だという、大変ずくめになってくるわけなんです。  ことしの二月にバスに転換しました、まだ一カ月たっていないんです、それは北海道の松前城があります松前線、ここは二・七倍になったんです。松前線というのは北海道を見ていただけばわかるんだけれども。それから鹿児島・熊本の山野線では四・三倍というふうになっております。この値上がり、一年で三倍、四倍、五倍なんという値上がりを見ていきますと、今後とてつもない値上がりに続いていくと言わざるを得ないわけです。  問題の重大性は、バス転換交付金というのをお出しになったり、それから欠損に対する補助金を出していただいているんですね、これをもらってもこういう値上げをしなければならないんですね。バス転換交付金をもらった、それからバスで欠損になった場合には欠損を補助してくださる、これを入れてもこんな値上げをしなければならないわけです。だから、補助金が五年間で切れちゃいます、五年たって補助金が切れたら一体どうなるかというのが大きな問題ですね。一番早いのを見ますと、五十八年十月に転換したのが北海道の白糠線というところなんです。この白糠線はもうことしの十月で補助金が打ち切りになるわけですね。そして、それに続いて五年の期限が切れるというところがこの後どんどん続いてくるわけですね。当然続いてくるわけです。そうすると、日本列島の北海道から九州までの長さを廃止しちゃっ た、そしてバスだ第三セクターだと移して努力はしたけれども補助金がなくなったら一体これらはどうなるんだということの問題ですよね。こういう問題について、政府としても運輸行政としてもどうあるべきかということをやっぱり真剣に考えなきゃ、切って、金がかからないようになって利益が上がればよろしいわというわけにはいかないと思うんですね。  そこで、何かそういう調べたものがないだろうかというふうにいろいろ考えたけれどもわからなくて、そういう資料がないかと思ったら、あったんですね、やっぱり。さすがは政府ですわ。どうなるかというその資料というのが私の手に入りました。  この資料を見てみますと、これは六十二年の三月です。四十一線、廃止になって、そして今第三セクターなどに移ったり、それからバス転換したというところの四十一線の調査したのがある。会社からどういう意見が出ているか、そして自治体からどういうふうにしてもらいたいと言っているか、そうしないと今後どうなるかというのをアンケートでとっているんです。これは国土庁で出していらっしゃるんですね。それで、国土庁にそういう資料がありそうだというので、資料を出してくれと言ったんだけれども絶対出さないですね。絶対出さないけれども、やっぱりちゃんと手に入るものですわ、こういうものは。  それで、私いただいて調べてみた。調べてみたら、びっくりしましたね、具体的にいろいろ書いてあるわけです。この中身は一体何なんだといったら、まず何をしなければならないかといいますと、例えば金を詰めていかなければならない。どこで合理化するか。人間はもう合理化しちゃった。ではどこで合理化するのかということを見ていって、これは安全の問題から大変だと思ったんです。  神岡鉄道、それから樽見鉄道、明知鉄道ですか、ここは第一に何で合理化して浮かすかといったら、修繕ですね。修繕のところを切り込んできているわけです。「改良」と書いてあります。改良、結構。では、この改良というのは何だといったら、お金をかけないというようなことになってくるわけですよね。それからもう一つは、不動産取得税、固定資産税、河川占用料などの減免をずっと続けてもらわないとこれからはやっていけません。それから駅設備、労務援助、基金援助などを、無利子貸付、低利貸付などしてもらわなければやっていけませんというのが神岡鉄道からの報告で出ております。  それから今度、阿武隈急行というのがございますが、この阿武隈急行は、この会社そのものがその資産を無償で、ただで借りているということ、無償貸与、借りているということが前提で経営計画が出されていてやってきているんだと。これを無償で借りるんじゃなくてただであげますよと、無償譲渡ということになるんですね。じゃ、もらえばいいじゃないかといったら、これがまた大変なんですね。もらうと自分の財産になってしまうから、だから無償譲渡に変更されると、経営基盤が脅かされ健全経営が困難になります。膨大な鉄道資産の固定資産税の負担が難しい。借りていれば負担しなくてもいいけれども、もらっちゃうと、ただだといっても固定資産税がかかります。また、災害があった、その災害復旧するときにはこれ自分の力でやらなければならない。こういうふうになってくるととてもやっていけない。だから、無償で借りていると同様のそういう効果を確保する法律措置を行ってもらわなければやっていけませんと、こういう報告が出ているわけなんですね。  そういうふうになってみますと、バスの方の問題も同じなんだけれども、補助の制度が継続できない、切られてしまうということになると、結局やっていけないからダイヤの見直しをしなきゃならない。そうするとお客さんは減っていく。そうすると第二の国鉄みたいになって、そしてとうとう廃止しなければならなくなりますというのが各社で出ているわけなんですね。それからバスでもやっていけなくなりますと、結局、やっていけないからこれは廃止しますと、こういうことになりますからね。こういうことになってしまうと、もう本当に初め廃止してしまって、そして、一遍に廃止しないけれども、残すけれども徐々にこれを廃止しなければならないということになってきているわけですよね。  こういうふうなことを考えますと、やっぱりここで特別の何らかの措置考えていただかなければそこに住めなくなる、そこの子供は学校に行けなくなるというふうな、こういう問題になってしまうわけなんです。この点について、このままでだんだん切られていって、ここはほっておいてしまっていいのか。それとも、こういう問題が具体的に一年で出てきたんだから、これを検討するという、そういう対策を考えていただけるのかどうか。大臣としては、きょうお聞きになってどうお思いになるか、お伺いしたいと思います。
  191. 熊代健

    政府委員熊代健君) 大臣にお答えいただく前に、転換後の事業体につきましては私の方で所管することになっておりますので、私の方から二、三お答えさせていただきたいと思います。  まず、先生御指摘の特定地方交通線は国鉄改革と直接の関係があるような御指摘でございますが、この問題は、昭和五十五年にいろいろ国鉄の再建計画をやった中の一つとして無利子の融資をするときに、特定地方交通線、すなわち鉄道特性が失われている部分についてはバスの方がコスト的に安いからバス転換を図ろうということで進んできた問題でございます。それから、第三セクターで鉄道として存続するという点につきましては、先ほど地方公共団体の出資の御説明をしましたけれども、これは特性としては鉄道の特性がないんだという路線でございますので、原則的にはバス転換していただく。しかし、地元の皆さんが鉄道として存続するというところにおいてそういうことが行われておるわけでございます。  御指摘のように、三木、北条といったようなところは、国鉄時代に比べますと相当赤字幅が減っておりますけれども、それでも赤字が続いておる。御指摘のように五年間、バスに比べまして二分の一の補助ということで行っておりますが、我々としてそれで事足れりということじゃなくて、できるだけ自立できるような方策を講じていただかなきゃいけないと思いますが、その点についても今後は問題になり得るというふうに考えております。  それからバスにつきましては、転換交付金のほかに五年間欠損補助を国としてやるということになっております。御指摘のような白糠線は一番早い時期に、今これは町営バスで肩がわりしているわけですが、これにつきまして五年間の期間が間もなく来る、その後の施策について検討願いたいという御要望は受けております。我々としては、基本的にはその五年間――付近にもそれと同様なバス路線はそれぞれあるわけでございます。モータリゼーションその他のせいで非常に厳しい状況にあるわけですが、一般の最終的な国民の足としてのバス事業につきましては、御承知のように地方バス補助制度というものをとっております。これに組み入れるべきだという議論が当然あると思いますが、これらについて我々としても十分検討はしなきゃいかぬ。ただ五年間で自立をしていただくという前提で進んでいるということは、それなりの御努力を我々としても願っていかなきゃいかぬ問題だとこのように思っております。
  192. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、最後に伺いたいんですけれども、五年間という約束は約束ですよね。だけど、五年たって、やっていけないという実情が出てきたわけでしょう。それでも約束だから五年で終わりますよという態度なのか。やっぱり五年たってそこのところはお客さんも減っていっちゃうと部落が消えちゃうというところもあちこちあるんですね、日本の中でも。子供が学校へ行けなくなるよ、病気の人たちは通えなくなるよと。そういうこともいたし方ありませんとおっしゃるのか。五年たった現在、これからまた毎年、もう五年たって切れていくところがありますわね。そう いうような問題を具体的に考えたときに、トンネルだ、橋だなんて華々しい陰で、どれだけ国民が、足を奪われて、教育権を奪われて苦しんでいるかということを考えたら、補助の継続ということも全く考えませんとおっしゃるのか。これも含めて検討しましょうとおっしゃるのか。私は当然検討するということはおっしゃっていただけると思うんだけれども、そのことをちょっと大臣から、そういう姿勢でいらっしゃるかどうか、きちんとお答えいただきたいと思うんです。
  193. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 国鉄の合理化というのは、最終的に国民の皆さんにかかってくる非常に膨大な負担を軽減するために行われた処置ではございます。これはこれで国民の利益というものを考えてやった必然的な処置だったと思いますけれども、その結果、また、限られた地方の方々にしろ、そういう形で生活環境が荒廃していく。教育を子供に施す機会も奪われかねない。やっぱり憲法が保障しています生存権というのでしょうか、あるいは二十五条の最低限の文化的な生活を享受する権利というものがその結果棄損されるようになっては困りますので、やはり最低限の国民の権利を守るために何らかの処置をこれから先も考えていかなくてはならないとは思います。
  194. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 当然のことですよね。よろしくお願いします。
  195. 田渕哲也

    田渕哲也君 まず初めに、整備新幹線関係予算、六十三年度も鉄建公団分として百五十億計上されておりますが、これは今までの推移を見ても、五十六年度からもうつけられておるわけですね、建設費。調査費は五十四年度からずってついておるわけです。特に建設費の場合は、予算はつけたけれども決算額はずっとゼロだ。つまり全く使われていない。このような予算の組み方というものについてどう考えられるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  196. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま先生の御指摘のとおり、整備新幹線の建設費とそれからそれに関連します調査費と、両方あるわけでございますけれども、これは、整備新幹線につきましては整備計画が既に決定されている問題でございますので、そこの今後の具体的なルートとか、そういったことを考えるための基本的な調査はそれぞれ続けていかなきゃならないということで、今までのところその調査費につきましては、できる限りの調査を行ってそれは実施しているところでございます。  一方、建設費の問題につきましては、それをどのように建設していくかということにつきましては、その建設の前提となるいろんな諸問題を解決していかなきゃなりませんものですから、例えば財源問題とかそういった大きな問題がございますので、その問題につきまして解決を図った上で、それで建設の前提となる諸条件の決定を見た上で建設を進めるという考え方でございますので、その点につきましての毎年度の予算計上につきましては、基本的には財投とか縁故債というような形で考えておりますけれども、執行されておりません。
  197. 田渕哲也

    田渕哲也君 予算を組むからには、例えば五十六年度にもう既に新幹線の建設費が国鉄関係四十億、鉄建公団四十億ついておるわけです。五十六年度に予算を組むというからにはその前提条件があるでしょうけれども、前提条件は五十六年度に解決するという見通しがあるから組んだわけでしょう。ところが、五十六年度は解決せずにゼロで、五十七年度も五十八年度も、後ずっと六十二年度まで同じ状態が続いているんです。こういう状態、こういう予算の組み方についてどう思われるかということを聞いておるわけです。大臣、どうですか。
  198. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 予算編成に当たりまして、基本的には、予算の編成を行うその年度に、今の建設費でございますれば建設を進めるということを前提として考えているわけでございますが、その建設をいざ行うという段階に至るまでには解決しなければならない諸問題がございまして、その諸問題は基本的に相当重要な問題でございますものですから、例としては先ほど申し上げました財源問題、だれがどのような形で財源を出していくかとか、それから並行する在来線をどうやって、どういうふうに考えていくかとか、そういう大問題がございますものですから、それをどのように解決していくかということの解決策が立った上で建設を進めるということにせざるを得ませんので、その点に時間を要しているというところでございます。
  199. 田渕哲也

    田渕哲也君 それはわかりますが、ただ、そういう状態が六年も七年も続いておることは異常ではないか。大体、六年も七年もかかってまだ前提条件が解決しないようなあやふやなものについて予算をつけておるというのは本来間違いであると思うんですが、どうでしょう。
  200. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 政府・与党間で、順次着工するという合意をしたわけでありますけれども、どうもやっぱり政策の方が先走りして、それを何か担保するというような形で、こういう形で予算がついたということは、私は決して自然ではないと思います。
  201. 田渕哲也

    田渕哲也君 六十三年度の予算編成に当たっての、整備新幹線の取り扱いについての政府・与党の申し合わせが昨年の十二月に行われております。具体的に、この申し合わせに従ってどのような手順、スケジュールで進めようとされるのか、お伺いをしたいと思います。
  202. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 整備新幹線建設促進検討委員会というものを設けまして、その下に二つの小委員会を構えました。一つは順位を検討する着工順位専門検討委員会、もう一つは財源の問題に関する財源問題等専門検討委員会を設けまして、既に何度か会合を持ちました。あしたも実は二度目の順位決定の委員会を行うつもりでおります。それによって、八月までに両方の問題についてめどをつけてというつもりでおります。
  203. 田渕哲也

    田渕哲也君 この政府・与党の申し合わせの文章をよく読んでみると、これは実におかしな文章だと思うんですね。まず1に、「東北・北陸・九州新幹線については、六十二年度予算編成時の政府・与党の申し合わせに従い、順次建設に着手をする。」そして、そのため「鉄建公団に対し百五十億円を計上する。」。そして3に、「建設の着手に当たっては、優先順位を定めることとし、その順位の順に着手する。」、これは当然のことだと思いますけれども、3の(2)に、「優先順位の決定に際しては、(イ)建設費(ロ)需要の予測(ハ)収支及び採算性の見通し(ニ)他の交通施設の状況(ホ)JR各社の経営の見通し(ヘ)並行在来線の廃止の可能性などを総合的に勘案し、関係地方公共団体及びJR各社の意見をきいて決定する。」。  私は、本来はこの3の(2)に書いてあることを検討した上建設の方針を決めるべきである。そしてやろうということになって初めて順位を、どれから先にするかということを決めるべきではないかと思うんです。まずやるということを前提にして順位を決める。まあやるにはそれは順位を決めなきゃなりません。順位を決めるために最も基本的な建設費とか需要予測とかそんなことを、それから検討するというのは本末転倒も甚だしい。しかも、財源問題あるいは並行在来線の廃止の具体的方向についても検討する。これは、財源問題をまず検討してどうして財源をつくるか、それから整備新幹線について建設費はどうだ、需要予測はどうだ、JR各社に対する経営の見通しはどうだ。いけるとなって初めて建設の方針を決定する。それから今度は財源の、一遍にたくさん金もつぎ込めませんから、どれを優先するかということになるのであって、これは一番後に来るものが一番先に来ているわけですね。  この政府・与党の申し合わせというのはおかしいと思われませんか、大臣
  204. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 整備計画路線でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、この整備新幹線は全国新幹線鉄道整備法に基づきます整備計画を既に決定しているわけでございます。そういう意味では整備新幹線を建設するという考え方が計画上成り立っているというとこ ろでございます。  それで、それを踏まえまして、具体的に実施するに当たりましては、具体的な諸要素を検討してそれで決めていかなければならないという問題かと理解しておりますので、ただいま先生御指摘の政府・与党の申し合わせというのは特に問題はないのではないかと思っております。
  205. 田渕哲也

    田渕哲也君 国鉄が昨年民営化されました。この新幹線の構想は民営化する前に既にあった構想ですね。四十五年に全国新幹線鉄道整備法ができてそれに基づいて作業がずっと進められている。そしてその整備の方針も決まったと言われるわけですけれども、その後で民営化という国鉄にとっては極めて大きな大転換があったわけです。それがこの整備新幹線の問題についてどういう影響を及ぼし、どのように整備新幹線の進め方をそれに適応させていかなければならないかということを考えぬといかぬ時期だったと思うんです。それが全く前に定められた方針に従ってずっとやっているからこういう矛盾が出てくるんじゃないかという気がするんですが、いかがでしょうか。
  206. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先生御指摘のとおり、昨年の四月に国鉄の民営化が行われたわけでございます。それで、整備新幹線の整備計画との関係におきましては、その場合、それぞれの会社の設備投資といいますか、基本的な鉄道の運営のあり方に相当大きな影響の出る問題でございますので、この整備新幹線の進め方の中にJR各社の意見を聞くという考え方を取り入れまして、それが先ほど先生おっしゃいました政府・与党の合意メモの中にもそのように記されているところでございます。
  207. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、この整備新幹線の取り扱いいかんによって、国鉄のせっかく民営化されたものが全くおかしなものになるおそれがある、骨抜きになるというか、また過去の国鉄の過ちを繰り返すことになりかねないと思うんですね。したがって特に大臣にはよく聞いていただきたいと思うんですけれども、JR各社がこれについて回答を昨年の十二月に出しておりますね。この回答の内容はどうなっておりますか。かいつまんで言ってください。
  208. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 昨年、これも政府・与党の間でつくっております財源問題等検討委員会というところにJR各社がそれぞれの自分の会社の分担する整備新幹線のことに関しましての意見を出しております。  それで、それぞれ会社ごとに若干ニュアンスの差があるわけでございますけれども、基本的には各社とも、長期的に見て鉄道施設の高速化というんでしょうか、都市間輸送の高速化ということについて将来的には考えていきたいということでございますが、それの実際の現実の建設に当たっては、これも各社ニュアンスの差はございますが、大ざっぱに申し上げますと、大体同じ方向の条件がついておりまして、基本的にはその建設費は全額公的負担でやる、その結果施設は無償貸与というような形にしてほしいとか、それから将来その設備を更新しなければならないような事態があったときは、それもまた全額公的負担でやっていただきたいという話、それと大規模災害復旧のようなときも公的負担でやってほしいということ、それからあとは固定資産税の関係につきましても大幅な減免措置、そういったものをとってほしい、このような条件をつけた上で、先ほど申し上げましたように、長期的には高速化が必要だという感じでの回答をいただいております。
  209. 田渕哲也

    田渕哲也君 今おっしゃった内容によりましても、基本的な考え方としては、新幹線を導入したりあるいは在来線の高速化を図る、こういったシステムチェンジは必要である。しかしこれはあくまでも長期的な鉄道経営の課題である。しかも大量性という特性が発揮し得る輸送需要が期待できるということが必要である。これはもう経営として当然の考え方だと思うんです。  これはいいとしても、条件として、各社共通して建設費は全額公費負担、あるいは施設の無償貸与、更新、大規模災害の復旧費の公的負担、こういうことを言っております。これは少なくとも民間企業の経営者としてこういう条件をつけるというのは、それはできませんと言うのと同じなんですね。民間企業体としては、それはできませんと言うのと同じなんです。ただ、ほとんどがこれは国鉄の人ですから、まだ完全に民間経営者としての意識じゃないでしょう。やっぱり政府とか自民党とか権力の方を向いていなきゃならない。だから、それはできませんとは言えないわけですよ。だからこういう条件をつけているわけですね。大臣はどう思われますか。
  210. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) JRは、こちらの問いに応じてJRなりの条件というものを回答してきたわけですから、私たちもそれを踏まえて、これから先も財源の問題を検討し、そのめどがついて、順位も決めて、いずれかの時点で着工という運びにならざるを得ない。JRがつけてきた条件なるものは、経営者からすればまさに理想的なものかもしれませんけれども、なかなか、実際かなえるのは非常に難しい問題をたくさん含んでいると思います。
  211. 田渕哲也

    田渕哲也君 経営者として理想的なことというよりも、私はこれは屈辱的な問題だと思うんですよ。民間の経営者だって、もうかればいいということで経営をやっているわけじゃないと思うんです。やはり自分の負担で投資をし、それを活用して利益を生み出し、それで企業は成り立っていく、それが経営のやりがいなんだ。人から全部金を借りて、おんぶにだっこでそれでもうけて、それでよしとする経営者はいないと思います。だから私は、こういう回答をすること自身、私は本気で回答したのなら経営者として失格であるし、恐らくこれは本気じゃない、これは断る口実だと思うんです。正面から断ったら政治的圧力で困るから、こういう条件をつけておるとしか思えないんですね。  しかし、仮に条件としてそれがのめるというならそれは結構です。しかし、のむかのまぬかこれは大問題ですね。全部公共事業として国の負担でやる。それなら、整備新幹線についてはまずそれができるかできないかを論議すべきでしょう。順位の論議じゃなくて、まず全額公費で負担できるかできないかを政治の場で論議をすべきです。全額負担してもやろうということなら。それから順位を決定すべきだと思うんですが、どうでしょうか。
  212. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、政府・与党間の合意が、六十三年度の予算編成に当たっての合意がございますが、その中で、財源問題を含めまして、優先順位だけではなくてもう一つ財源問題とか並行在来線廃止の具体的方策、そういったようなことを検討する専門委員会もつくっております。その中で、具体的にどのような財源措置をとっていくかということを今後検討していくことになっております。それで、その結論を八月までに出すという形に考えております。
  213. 田渕哲也

    田渕哲也君 そこがおかしい。検討するのはいいけれども、順位の問題と並行してやるというのはおかしい。財源問題を解決しなきゃ順位もくそもないでしょう。だから私は、この政府・与党の決定は非常におかしい。  これは、なぜこういうことになったかといういきさつはわかっていますよ。やっぱり新幹線をつくれつくれという圧力が強いから、何とかそれをなだめるためにちょっとでも予算つけておこう、やるということにしておこう。しかし肝心のことは全部先送りで、実際問題なかなかできない。こういう政治手法は、これは日本的なものかもしれませんけれども余りよくないんじゃないか。特に新幹線というのは、これはこれから極めて重要な、政府としてもあるいはJRとしても非常に重要な問題だと思うんです。それをこういう手法でやるというのは、私は誤るおそれがあるんじゃないか。日本が大東亜戦争にどんどん進んでいったときもそうですね。政府の中枢で決定する前に、蘆溝橋の事件から大陸へどんどん軍部が出ていったというようなのと同じような手法じゃないかと いう気がするんです。その結果方向を誤ってしまった。  私は、大臣というのはやっぱり政治責任が非常に重いわけでありますから、基本的な重要な手段あるいは手はずというものをぜひ誤らないようにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  214. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) それはおっしゃるとおりだと思います。しかし、先ほど総括審議官も申し上げましたように、東海道新幹線の成功も踏まえまして日本全体の高速鉄道網という構想ができ上がり、新幹線整備法というものができまして、またその途中で国鉄の問題があり、また経済動向などもありましてとんざした形になったわけでありますけれども、いずれにしろ、現況の中でうたい上げてきたこの政策をどうやって実現するかということで呻吟しているわけですけれども、やっぱり先立つものがあるわけで、それについての財源問題等検討委員会などでもかなり激しい議論が行われていますし、だれとは申しませんけれども、全額国庫負担してそれを私企業になったJRに貸与するということもいろんな問題があるんじゃないか、本質的な問題があるんじゃないかというような議論も出ておりまして、これから二つの検討委員会でかなり激しい突っ込んだ議論が行われると思いますし、また行われなくてはならないと思います。
  215. 田渕哲也

    田渕哲也君 このJRの回答の中にも需要見通しというのがありますが、これを見ましても、整備新幹線の中で開業時最も需要が多いと推定される北陸新幹線、これで一日平均二万二千七百人とされております。これは六十一年時点の東海道・山陽新幹線の約二割の規模である。それから東北新幹線の約半分。それから一番経営状態の苦しい上越について見てもそれの八割しかない。こういうことが挙げられておるわけです。それから輸送量が、開業当時は少なくても将来それによって地域が発展して輸送量がどんどんふえてくればいいんですけれども、この増加率というものを見ても、七十年から七十五年、この間の推移を見てもこれは極めて低いわけですね。東海道、山陽、東北に比べてはけた違い、大体上越並みの増加率しか見込めないということを言っているわけです。  やはり新幹線でも何でもそうですが、交通機関でも何でもそうですけれども、投資というものと需要のバランスというものを考えないということはあり得ないことだと思うんです。従来のような東海道、山陽、あのスケールの新幹線を持ってくるには、ちょっと整備新幹線は、どれをとっても牛刀をもって鶏を割くようなことになるんじゃないかという気がしますが、いかがでしょうか。
  216. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先生の今御指摘の投資と需要のバランスの問題でございますけれども、私どもの方といたしましても、投資に当たっての収支、採算性というのは当然考慮して、バランスのとれたような形を配慮するということが当然のことだと考えております。ただ、鉄道の建設に当たりましては、輸送需要の問題だけではなくて、輸送力が増強されるという便益のほかに、スピードアップ、遠くなる、地域地域の間を速達させるという、そういうような便益だとか、それからその鉄道ができることによりまする地域経済の活性化というんでしょうか、そういう地域に与える経済効果、そういったふうなことをいろいろ総合的に判断して考えていくべき問題かと考えておりますので、その辺の問題も踏まえまして、今度の新しい検討委員会の中で適切な結論を得られるように努力をしてまいりたいと思っております。
  217. 田渕哲也

    田渕哲也君 当然そのとおりだと思います。現在の需要と投資のバランスじゃなくて、将来にわたっての投資と需要のバランス。将来といっても新幹線の設備の耐久期間があるわけですから、百年も二百年も将来の先を考えても無意味なんで、やっぱり十年とか二十年とか三十年とか、そういう規模で考えていかないといかぬ。  ところが、整備新幹線をつくった場合に、その地域がどんどん発展して需要がどんどんふえていくという見通しはありますか。ほとんどないでしょう。回答書の中にもやっぱりそういうことで、増加率が極めて低いということを言っておるわけです。したがって、私はそういう面から考えると、現状の新幹線をそのまま整備新幹線に持っていこうというのは、投資と需要のアンバランスを生ずる。アンバランスを生ずるということは、たとえその金がどこから出ようとも国にとっては損失だということなんです。その会社が負担しなくても、国費で負担しようとあるいは地方自治体が負担しようとも、投資と需要、いわゆる費用と効果のアンバランスが生ずるということは国家にとってはマイナスであると思いますがいかがでしょうか。
  218. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先ほど私御説明しましたように、投資が行われたことによる輸送需要の増、そういう問題というのはもちろんいろいろとチェックする問題でございますが、それだけではなくて、鉄道投資に伴いますいろいろな経済効果があるわけでございまして、そういうような国民全体から考えた経済効果ということも含めて総合的に判断して鉄道投資ということは行われ、また必要な場合はそれに対します国の助成というようなことが行われているわけでございますので、そういう全体を考えながら今度の検討委員会の中で結論を得てまいりたいと考えております。
  219. 田渕哲也

    田渕哲也君 確かにその線の採算性だけを一〇〇%考える必要はないと思うんですね。やっぱりナショナルミニマムという考え方もあるし、それから地方の不便なところは多少採算が低くても、都市部の人たちの理解があれば、全体の税金をそっちに回すということもこれは構わないことだと思うんです。ただ、余りこれの乖離がひどくなると私は国民合意は得られなくなるんじゃないか。旧国鉄がそうだと思うんですよ、あれだって、赤字路線をどんどんつくったというけれども、やっぱり国鉄は国民みんなの足だというコンセンサスがあったからどんどん進められたけれども、しかしそれが余り乖離がひどくなって国鉄の赤字が雪だるま式にふえるようになると、国民の合意が得られなくなって民営化せざるを得なくなった、こういうことじゃないかと思うんですね。  だから問題はその程度の問題なんで、私は整備新幹線の場合はやっぱりそのアンバランスというものが国民の合意が得られる程度を超えるおそれがある。だからその問題はやっぱり十分そういう論議を深めた上で建設の針を決めるべき問題ではないかと思うんです。今ごろ優先順位でどこから先にするかというのをまず決めるなんというのはおかしいと思いますが、いかがでしょうか。
  220. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先ほどから御説明申し上げていますように、今度の新しい検討委員会はその下に専門委員会が二つございまして、優先順位の問題を扱う専門委員会とそれから財源問題とか並行在来線の問題を取り扱う専門委員会と二つございまして、両方とも八月末に結論を得るということで今考えているわけでございます。それで、先生の御指摘の問題もその両委員会で必ずカバーされる問題かと考えておりますので、適切な結論を得られるように努力してまいりたいと思っております。
  221. 田渕哲也

    田渕哲也君 結局、建設費それから設備更新費用さらに固定資産税の減免ということを言っておるわけですけれども、固定資産税の減免は別にしましても、建設費用、更新費用あるいは災害時の設備更新、こういうもので一体どれぐらいの費用がかかると推定されておりますか。
  222. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 建設費は、昨年までの財源問題等検討委員会におきます一つの政府試算というのがございまして、整備新幹線五線合計で五兆三千二百億ということになっております。現在この問題につきましては、若干この建設費を計算したとき以降の事情変更もございますものですから、先ほどから申し上げております新しい検討委員会におきまして、建設費の見直しをするべく努力しております。  それから設備更新の話は、基本的な鉄道のインフラ構造物といいましょうか、橋梁とか高架橋みたいな話につきましては、適切な修繕を行ってい きますれば相当長期にわたってその使用が可能ということと考えております。それで、そういう構造物のまた種類によってもその耐用年数というのでしょうか、そういうものが違ってくると思いますので、基本的には、更新費用の問題は将来の技術水準などもあわせて考えていかなきゃなりませんものですから、今の段階でそれを見積もるということは困難かと思っております。  それから固定資産税の問題につきましては、一応会社意見による試算値がございますけれども、それは会社意見では、現行並みの税額に比べて、各社が要望している減免措置では、七十年度におきまして五線合計で百五十億という程度の負担軽減を意見として言っております。
  223. 田渕哲也

    田渕哲也君 終わります。
  224. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会