運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-03-09 第112回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十三年三月八日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月八日  本分科員委員会において、次のとおり選任さ  れた。       自見庄三郎君    田中 龍夫君       野田  毅君    林  大幹君       井上 一成君    東中 光雄君 三月八日  林大幹君が委員会において、主査選任された  。 ────────────────────── 昭和六十三年三月九日(水曜日)     午前九時二十一分開議  出席分科員    主 査 林  大幹君       自見庄三郎君    田中 龍夫君       野田  毅君    井上 一成君       松前  仰君    東中 光雄君    兼務 江田 五月君 兼務 緒方 克陽君    兼務 坂上 富男君 兼務 木内 良明君    兼務 坂口  力君 兼務 冬柴 鉄三君    兼務 山田 英介君 兼務 川端 達夫君    兼務 小渕 正義君 兼務 玉置 一弥君    兼務 岩佐 恵美君 兼務 児玉 健次君    兼務 藤田 スミ君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局審査部長 植木 邦之君         経済企画庁長官         官房長     保田  博君         経済企画庁長官         官房会計課長  安田  靖君         経済企画庁国民         生活局長    海野 恒男君         経済企画庁物価         局長      冨金原俊二君         経済企画庁総合         計画局長    星野 進保君         経済企画庁調査         局長      勝村 坦郎君         外務大臣官房外         務参事官    時野谷 敦君         通商産業大臣官         房長      棚橋 祐治君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業大臣官         房会計課長   牧野  力君         通商産業省通商         政策局長    村岡 茂生君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         通商産業省立地         公害局長    安楽 隆二君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         通商産業省生活         産業局長    鎌田 吉郎君         工業技術院長  飯塚 幸三君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       逢坂 国一君         資源エネルギー         庁石油部長   内藤 正久君         資源エネルギー         庁石炭部長   鈴木 英夫君         資源エネルギー         庁公益事業部長 植松  敏君         特許庁長官   小川 邦夫君         特許庁審査第一         部長      竹澤 正格君         中小企業庁長官 岩崎 八男君         中小企業庁小規         模企業部長   三上 義忠君  分科員外出席者         環境庁大気保全         局企画課高層大         気保全対策室長 後藤 博俊君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       南戸 義博君         環境庁水質保全         局企画課海洋汚         染・廃棄物対策         室長      岡澤 和好君         環境庁水質保全         局水質管理課長 小澤 三宜君         法務大臣官房審         議官      日野 正晴君         大蔵省主計局主         計官      永田 俊一君         厚生大臣官房ラ         イフサイエンス         室長      澤  宏紀君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部業務課長   羽生 次郎君         建設省河川局開         発課長     山内  彪君         建設省河川局水         利調整室長   田中 正章君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    小松原茂郎君     ───────────── 分科員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   井上 一成君     野口 幸一君   東中 光雄君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     松前  仰君   田中美智子君     佐藤 祐弘君 同日  辞任         補欠選任   松前  仰君     小川 国彦君   佐藤 祐弘君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     上坂  昇君   工藤  晃君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     小川 国彦君   東中 光雄君     岡崎万寿秀君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     野口 幸一君   岡崎万寿秀君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     井上 一成君   矢島 恒夫君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   田中美智子君     経塚 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   経塚 幸夫君     東中 光雄君 同日  第一分科員坂口力君、冬柴鉄三君、岩佐恵美君  、第二分科員坂上富男君、木内良明君、第三分  科員小渕正義君、玉置一弥君、第四分科員緒方  克陽君、第五分科員江田五月君、児玉健次君、  藤田スミ君、第七分科員山田英介君及び第八分  科員川端達夫君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十三年度一般会計予算  昭和六十三年度特別会計予算  昭和六十三年度政府関係機関予算  〔総理府経済企画庁)及び通商産業省所管〕      ────◇─────
  2. 林大幹

    林主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。  本分科会は、総理府所管経済企画庁並び通商産業省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和六十三年度一般会計予算昭和六十三年度特別会計予算及び昭和六十三年度政府関係機関予算総理府所管経済企画庁について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。中尾経済企画庁長官
  3. 中尾栄一

    中尾国務大臣 昭和六十三年度の経済企画庁関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁予算額は、四百三十五億六千二百万円余となっており、これは前年度予算額に比べて三億四千万円余の減額であります。  また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として、四千九百十億円を予定しております。  以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。  第一に、経済協力積極的展開を図るために必要な経費として、三百三十八億五千七百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、海外経済協力基金交付金三百三十七億五千百万円余であります。  海外経済協力基金につきましては、政府開発援助の第三次中期目標早期達成を図るため、事業規模として、七千四百億円を予定しております。  この資金としては、前述の交付金のほか、一般会計からの出資金が二千百十五億円、資金運用部資金等からの借入金が四千九百十億円、回収金等が三十七億円となっております。このうち、一般会計からの出資金大蔵省に計上されております。  第二に、物価政策及び国民生活政策推進に必要な経費として、三十七億五千八百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、生活関連物資の需給、価格動向調査監視、その他各省庁の所管する物価対策を機動的に実施するための経費十二億七千万円、国民生活センターの運営に要する経費十八億四千七百万円余であります。  第三に、経済構造調整政策推進内需持続的拡大国際的政策協調推進地域経済問題への対応促進、機動的な経済政策等実施のための調査分析等充実に必要な経費として、十四億五千八百万円余を計上しております。  以上、六十三年度における経済企画庁関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。  ありがとうございました。
  4. 林大幹

    林主査 以上をもちまして経済企画庁についての説明は終わりました。  別に質疑の申し出もありませんので、総理府所管経済企画庁については終了いたしました。  御苦労さまでした。
  5. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ありがとうございました。     ─────────────
  6. 林大幹

    林主査 次に、通商産業省所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。田村通商産業大臣
  7. 田村元

    田村国務大臣 昭和六十三年度通商産業省関係予算予算委員会分科会における御審議に先立って、一言ごあいさつを申し上げます。  今日の世界経済は、主要国間の対外均衡及びこれを背景とする不安定な為替株式市場、並びに発展途上国の累積債務問題といった課題が山積しており、依然として困難な局面に直面しております。こうした難局を打開していくため、経済大国たる我が国としては、その経済的地位にふさわしい積極的な役割を果たしていくことが強く求められております。  一方、我が国の景気は全体としては内需主導型により着実な回復局面にあるものの、輸出型中小企業等の景況には依然としてはかばかしくないものがあり、今後の為替レート動向によっては国内経済への深刻な影響も懸念されます。また、産業頭脳部分東京への一極集中による地域経済の不均衡発展といった問題も抱えております。  このような状況の中で、我が国が巨額の対外均衡を是正しつつ、二十一世紀に向けて新たな自律的発展への基盤整備を進めていくためには、持続的な内需拡大を図り、国際調和型産業構造への円滑な転換推進して、我が国潜在成長力を十分に発揮させていくことが不可欠であります。  私は、このような認識のもとに、特に次の七点を重点に全力を挙げて通商産業政策展開してまいる所存であります。  第一に、国際調和型産業構造への円滑な転換であります。第二は、国際社会への積極的な貢献であります。第三は、地域活性化であります。第四は、創造的飛躍を目指した技術開発推進であります。第五は、内外の環境変化に対応した中小企業施策展開であります。第六は、中長期的観点に立った資源エネルギー政策推進であります。第七は、快適でゆとりのある国民生活実現であります。  昭和六十三年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画の作成に当たっては、このような基本的方向に沿って、諸施策実現を図ることとした次第であります。  この結果、一般会計は、六千二百一億八千六百万円を計上しております。特別会計につきましては、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計四千八百七十四億七千百万円、電源開発促進対策特別会計二千九百三十九億七千二百万円、特許特別会計五百九十九億二千百万円等、当省所管の五つの特別会計にそれぞれ所要予算額を計上しているところであります。  また、財政投融資計画につきましては、財投規模ベースで五兆八千八百六十二億円を計上しております。  通商産業省関係予算及び財政投融資計画内容につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  8. 林大幹

    林主査 この際、お諮りいたします。  ただいま田村通商産業大臣から申し出がありました通商産業省関係予算重点事項説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 林大幹

    林主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────   〔参照〕    昭和六十三年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画について  昭和六十三年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  まず、昭和六十三年度における通商産業省一般会計予定経費要求額は、六千二百一億八千六百万円でありまして、前年度当初予算額六千五百六億一千三百万円に対し、四・七%の減少となっております。  財政投融資計画は、財投規模ベースで五兆八千八百六十二億円でありまして、前年度当初計画額五兆四千九百二十三億円に対し、七・二%の増加となっております。なお、この中には、産業投資特別会計からの出資六百三十七億円、同融資六十八億円が含まれております。  次に、重点事項別に、予算及び財政投融資計画概要につき御説明申し上げます。  第一は、地域活性化であります。  経済高度化ソフト化の流れの中で、研究開発情報処理等いわば産業頭脳部分東京圏一極集中する傾向にあり、地域経済活性化を図るためには、こうした産業頭脳部分地方分散促進することが急務となっています。  このため、地域中核的研究施設等整備を図るべく、地域振興整備公団に対し、産業投資特別会計から三十億円の出資を予定しているほか、日本電信電話株式会社株式売却益による無利子付け制度活用を予定しております。また、同公団産業支援団地整備を行うため、所要資金運用部資金を確保しております。  このほか、地域における民活プロジェクト推進を図るため補助金等として十四億六千八百万円を計上しております。  また、工業用水道事業につきましては、九十五億三千三百万円、他省庁計上分等を含めると百八十四億四千万円を計上しております。  第二は、創造的飛躍を目指した技術開発推進であります。  我が国技術開発能力を更に発展させ、国際社会への貢献を果たしていくためには、大規模研究施設等研究基盤整備、基礎的・先導的分野における研究開発充実国際研究協力強化を一体的に行う体制整備する必要があります。  このため、新エネルギー総合開発機構にこれらの業務を追加することとし、同機構に対する出資金補助金として合計四十八億九千百万円を計上するとともに、産業投資特別会計から二十五億円の出資を予定しております。さらに、研究施設整備については日本電信電話株式会社株式売却益による無利子付け制度活用を予定しております。  また、基盤技術研究促進センター事業内容の一層の充実を図るため、産業投資特別会計からの出融資二百六十億円を予定しております。  このほか、各分野における技術開発につきましては、超電導技術開発推進一般会計特別会計を合わせ三十四億二千九百万円、生体機能の解明に係る研究推進に四億二千三百万円、無人宇宙実験システム開発一般会計特別会計を合わせ三十八億五千六百万円、航空機分野における国際共同開発促進に四十四億一千七百万円、第五世代コンピュータ開発一般会計特別会計を合わせ五十七億二千九百万円をそれぞれ計上しております。  第三は、内需型産業ニューフロンティア拡大であります。  まず、新たな需要を創出する活力ある新規産業ニュービジネス)の育成を図るため、ニュービジネス情報流通市場整備等事業に六千万円を計上しているほか、ニュービジネス振興のため、日本開発銀行中小企業金融公庫において所要貸付規模を確保しております。  次に情報化につきましては、情報学校構想推進に八千四百万円、情報化未来都市構想推進に九千五百万円をそれぞれ計上するとともに、利用者の使い易さを目的としたコンピュータ機器システム開発のため、新たに一億二百万円を計上しております。また、ソフトウェア生産工業化情報化教育人材育成促進等を行う情報処理振興事業協会に対し、一般会計で十二億二百万円を計上しているほか、産業投資特別会計からの出資五十三億円を予定しております。  このほか、質の高い国民生活実現を図るため、二十一世紀マンション計画推進一般会計特別会計を合わせ六億八千万円を計上しております。  第四は、環境変化に対応した中小企業施策展開であります。  中小企業対策費につきましては、一般会計では、政府全体で一千九百五十二億円、うち当省で一千三百四十八億円を計上しております。  また、産業投資特別会計では、商工組合中央金庫中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫に対し合計で三百三十七億円の出資を予定しており、一般会計産業投資特別会計を合わせた中小企業対策予算政府全体で二千二百八十九億円となっております。  このほか、政府系中小企業金融機関につき所要貸付規模を確保し、政策金融拡充改善を図ることとしております。  具体的には、経済構造変化等の厳しい環境変化に直面している中小企業がこれに積極的に対応し、健全な発展を遂げられるよう、経営資源融合化による新分野開拓促進施策をはじめとする構造転換対策等を強力に実施することとしております。  まず、融合化促進対策として十二億四千万円を計上しているほか、特別貸付制度を創設するため、商工組合中央金庫に対し産業投資特別会計から所要出資を予定しております。また、業種に着目した事業転換対策に必要な経費として五十二億七千百万円を計上するとともに、深刻かつ集中的に影響を受けている地域等における中小企業振興に結びつく新産業発掘のためのフィージビリティ調査等に対する助成の創設等のために七億四千四百万円を計上しております。  また、親企業構造調整等により影響を受ける下請中小企業構造転換を円滑化するための措置を引き続き講ずるために十八億一千七百万円を計上するとともに、中小企業国際化対策として、海外直接投資円滑化等に十三億六千二百万円を計上しております。  次に、中小企業経営資源充実を図るため、人材養成対策として、大学校拡充整備等に三十億五千百万円を、情報化対策として、中小企業地域情報センター機能拡充強化等に三十七億三千七百万円を計上するほか、中小企業技術力向上対策として、地域技術活性化事業充実等に六十九億九千六百万円を計上しております。  さらに、中小企業経営基盤整備を図るため、金融対策として、中小企業金融公庫補給金二百八十二億二千二百万円、信用保証協会基金補助二十四億円を、組織化対策として、五十一億一千二百万円を計上しております。また、倒産防止対策として、倒産防止特別相談室設置等倒産防止対策充実を図ることとしております。  小規模企業対策及び中小小売商業サービス業対策につきましては、経営指導員の増員、記帳機械化等オンライン化推進事業創設等経営改善普及事業充実に四百四十八億八千七百万円、商店街活性化構想推進中小小売商業情報化推進するための未来型中小小売商業情報化実験プロジェクト事業実施等に十二億六千二百万円を計上するとともに、小企業等経営改善資金についても所要貸付規模を確保することとしております。  第五は、国際調和型産業構造への円滑な転換であります。  我が国対外均衡の着実な是正を図っていくためには、製品輸入拡大投資交流促進が喫緊の課題であり、このため、日本貿易振興会の行う総合的輸入促進産業協力等事業総額百三十八億四千二百万円を計上するとともに、日・EC産業協力センター事業に対し、五千二百万円の補助を行うこととしております。  また、日本輸出入銀行及び日本開発銀行においても、輸入促進投資交流のため所要貸付規模を確保しております。  第六は、国際社会への積極的な貢献と国際的な責務の履行であります。  まず、経済協力につきましては、発展途上国経済自立を図るため、外貨獲得産業育成を支援する「新アジア工業化総合協力プラン」の推進民間専門家派遣事業拡充発展途上国への資金還流促進をはじめとして、対前年度比七・四%の伸びを確保し、総額二百二十九億二百万円を計上しております。  また、貿易保険制度につきましては、保険引受限度額の引上げを行う等その充実を図ることとしており、この結果、貿易保険特別会計には五千三百九十三億六千六百万円を計上しております。  さらに、自由主義諸国の一員として戦略物資輸出規制の確実な実施を図るため、ココム等輸出管理体制拡充強化に一億五百万円を計上しております。  第七は、長期的観点に立った総合的な資源エネルギー政策推進であります。  まず、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計につきましては、エネルギー対策を計画的かつ着実に推進するための財源として、所要財源措置を前提に、二千九百六十億円を一般会計から繰り入れることとしております。その結果、本特別会計総額としては、他省庁分を含めまして四千八百七十四億七千百万円を計上しております。  本特別会計石炭勘定につきましては、第八次石炭政策実施するため、過剰貯炭対策生産規模縮小円滑化対策閉山対策保安対策等内容とする石炭鉱業合理化安定対策推進するとともに、鉱害対策及び産炭地域振興対策推進等を図るため、一千二百九十八億三千四百万円を計上しております。  また、石油及び石油代替エネルギー勘定につきましては、三千五百七十六億三千七百万円を計上しております。  なお、同勘定のうち、石油対策としては、石油探鉱投融資事業石油開発技術開発等石油開発に九百四十八億五千五百万円、国家備蓄推進、九十日民間備蓄の維持及びLPG備蓄推進等石油備蓄に二千百二十三億九千万円、石油産業体質強化対策流通対策等に二百二十三億二千九百万円、総額三千二百九十五億七千四百万円を計上しております。  他方、石油代替エネルギー対策としては、ソーラーシステム普及促進地域エネルギー開発利用促進等石油代替エネルギー導入促進対策に四十二億六千七百万円、石油液化技術開発石炭生産利用技術振興等技術開発に二百五億四千五百万円を計上する等、総額二百八十億六千三百万円を計上しております。  次に、電源開発促進対策特別会計につきましては、科学技術庁分を含めまして、二千九百三十九億七千二百万円を計上しております。  本特別会計電源立地勘定につきましては、電源立地を引き続き推進するため、電源立地促進対策交付金七百二十億六千六百万円、電源立地特別交付金百四十四億三千九百万円等総額で一千二百十三億二千三百万円を計上しております。  電源多様化勘定につきましては、水力、地熱エネルギー開発促進のための供給確保対策に百五十八億四千八百万円、石炭等火力発電実証試験等石油代替電源の導入促進対策に二十三億六千六百万円、石炭、太陽、地熱エネルギー等に係る技術開発に四百三十一億二千八百万円、核燃料サイクル技術開発関連、軽水炉改良技術確証試験等の原子力開発利用対策に二百六十五億五千百万円を計上しており、科学技術庁分を加えますと総額で一千七百二十六億四千九百万円を計上しております。  一般会計につきましては、資源の安定供給の確保を図るため、金属鉱業経営安定対策、内外探鉱開発推進等に六十一億五千七百万円を、また、備蓄をはじめとするレアメタル総合対策を推進するため、二十二億六千四百万円を計上しております。  以上のほか、総合的な資源エネルギー政策の着実な推進のため、日本開発銀行において、資源エネルギー枠四千二百四十億円の貸付規模を確保しております。  第八は、快適で安全な国民生活実現であります。  まず、訪問販売に係る取引の公正化等を図るため、消費者啓発事業に三千三百万円を計上しております。  また、成層圏中のオゾン層を破壊するおそれがあるとして世界的に問題とされているフロン等の国際的な規制に対応するため、新たに二千百万円を計上しております。  さらに、産業公害防止対策に三億六千二百万円、休廃止鉱山鉱害防止等工事に二十九億四千三百万円、化学物質安全確保対策に二億九千二百万円をそれぞれ計上しており、環境保全対策等の充実を図ることとしております。  以上のほか、通商産業省関係特別会計予算としては、特許特別会計につきまして、歳出予定額五百九十九億二千百万円、アルコール専売事業特別会計につきまして、歳出予定額二百五十五億六千二百万円を計上しております。  以上、昭和六十三年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明いたしました。     ─────────────
  10. 林大幹

    林主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明は終わりました。     ─────────────
  11. 林大幹

    林主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松前仰君。
  12. 松前仰

    松前分科員 今通産大臣の方から所信の表明がございましたのですが、その中に、地域活性化、中長期エネルギー対策というようなことを重点に考えていくということがあったわけでございますが、そういう点について、きょうは地元の問題でございますけれども、これは何も地元に限ったことでない、これからいろいろとあちらこちらで問題が起こってくるだろう、そのときに対処しなければいけないということがありますので、そういう点について御質問をしたいと思います。  問題はもう既に関係者の方々にお話ししてありますので、余り詳しくここで私が申し上げる必要はないと思いますけれども、大井川の水系の発電所の関係でございます。  簡単に申し上げますと、水利権を取ってから三十年経過したという発電所が、ことし、来年で七つですか。十個の発電所がありますけれども、そのうち九個は中部電力という形で、中部電力の関係が水利権という問題にひっかかってくる。ことし二つ水利権更新という形になるわけでありまして、この水利権更新ということで、地元といたしましてはこのまま水利権更新という形に持っていくわけにはいかないよということを言っている。もう御承知のとおりであります。反対運動が起こって、人間の鎖という形でもって、地元青年団が川をずっと鎖でつないだというようなこともあるわけでございます。  なぜそういうことになったかというと、お話ししてあるとおり、今まで三十年間やってきましたけれども、あそこで、恐らくダムができたからであろう、川の河床が上がってしまって、雨が降りますと洪水が起こる。川根三町と言っておりますけれども、榛原郡の川根町、本川根町、中川根町、ここに大井川を中心にした災害が起こっておったわけでございます。この災害、これがなかなか解決をすることができない。  なぜ解決できないかというと、どうも私が見ておりますのには、それぞれの管轄といいますか、大井川の水系についての管轄問題で責任を転嫁するというようなことでもって、なかなかやってくれるところがないということであったんじゃないだろうかと思っておるわけでございます。  そしてまた、ダムができたことによりまして昔の大井川が消えてしまった。しかもそのダムというのは、中部電力に話を聞きますと、ほぼ一〇〇%の水を横に流しておるわけですね。大井川に流していない。ほぼ一〇〇%の水を発電用に流してしまっているから、川には水は全然流れない。そうなりますと、今度は水の問題が起こっている。下の方に行きますと、最後のところに塩郷ダムというのがありますけれども、その下のあたりは、今度は水が井戸水ですから、井戸が出なくなってしまったというようなことも起こったりしておるわけであります。  とにかく、この大井川水域、川沿いにおいては、大雨が降るたびに水が出るということがずっとあったわけでございます。特に中川根町においては、その水の出るところへ国道が通っているということなんでございまして、そういうような状況でもって、その辺が改善されないでこれまで来た。そして水利権更新。何もされないということになったならば、これは地元は一体どう考えたらいいか。地元は人のためにやっているだけかというようなことになってしまって、非常に反対運動が起こっているわけです。  そういうことで、何とかしてやらなければいかぬということなんですけれども、現状はどうもはかばかしくないように聞いております。きょうは建設省も来ていらっしゃいますけれども、現在通産省はこの状況について、どういうふうにして水利権更新をしようと考えているのか、どういう対処を地元にするかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  13. 田中正章

    田中説明員 お答え申し上げます。  大井川に係ります中部電力の発電水利権につきましては、今年度末に期限が到来するものを初めといたしまして、御指摘のように順次更新の時期を迎えることになりますが、本年度末に許可期限が到来する大間発電所及び大井川発電所の水利権更新につきましては、中部電力より申請書の提出を受けまして、現在その内容審査しているところでございます。今後地元静岡県知事の意見聴取等所要の手続を経て判断し、処分してまいる考え方でございます。
  14. 松前仰

    松前分科員 わかりました。  今中部電力から出されていて、静岡県知事が審査するのですか。
  15. 田中正章

    田中説明員 建設大臣が審査をいたしますが、その審査手続の過程で静岡県知事の意見を聴取するという手続がございます。そういう意味でございます。
  16. 松前仰

    松前分科員 建設大臣が審査するわけなんですが、そうなると、建設省も通産省も中部電力が申請するということについては一切何もコメントはない、今何の対処もしないで、ただ申請の文書を出したということになりますかね。
  17. 植松敏

    ○植松政府委員 本件につきましては、今御説明がございましたように建設大臣の所管でございますけれども、申請が参りますと、私どもも審査の過程で協議を受けることになっております。  御承知のとおり、電気は国民生活の必需エネルギーでございますし、また産業活動にも重要なエネルギーでございます。そういう点で、電気の発電の過程でいろいろな電源がございますけれども、水力発電というのは重要な役割を果たしているということもまた事実でございます。  水力発電所の建設あるいは管理に当たりまして、特にダムの管理に当たって、水害が発生することのないよう電気事業者に対しましては万全の措置を講ずるよう従来から指導いたしておるところでございますし、またその運営に当たりましては、建設省を初め地元の静岡県等とも十分協議しながら万全の指導をいたしてまいっておるところでございます。不幸にしてたまたま大井川の上流等におきまして過去に中部電力の水力発電所が原因で水害等が発生をしたこともございます。こういったときには、当然中部電力が道路のかさ上げ等の所要の対策を講じておるところでございます。  本件は、恐らく今御指摘の塩郷ダムによる大井川の中流地域における土砂堆積等の問題であろうかと存じますが、この点につきましては、今回の水利権の更新とあわせて過去六十年以来二年間にわたりまして建設省、さらに静岡県、地元三町、それに中部電力等関係者が集まりまして検討会を開き、堆砂等の原因について、また水利権の更新について議論を重ねた結果が、昨年未に検討結果が出たようでございました。その検討の結果、従来よりも放流量をふやすというようなことも出ているようでございまして、それに基づきまして中部電力が現在申請をしておるというふうに承知いたしております。  したがいまして、それなりに地元関係者それぞれの中に不満があろうかと思いますが、それぞれの立場からの関係者の協議の結果まとまったものをベースにして申請が出ておるということでございまして、私ども協議を受けましたら、その辺の経緯も勘案しながら、関係機関とも相談をしながら慎重に対応していきたいと存じております。
  18. 松前仰

    松前分科員 塩郷の問題が出てまいりましたけれども、全般になんですけれども、顕著なのは塩郷ダムのようでございます。今のお話ですと四者ですか、協議をして、それで一応放流量をふやすというようなこともやるということなんですけれども、浸水の問題については、これはいただいたものなんですけれども、「塩郷ダムによる浸水等は認められないが」ということが書いてあるのですね。そういう結論を出しておるようなんですね。それで、「一般的な河川の治水対策を進める必要がある」、こういうことになっているのです。一般的な河川対策ということになりますと、これは建設省、県がやるとか、いろいろあるのですよ、これまためんどくさい話が。ただ、一級河川ですから国の問題になってきますから、県がこれをやらなければいけないということになるのだけれども、その辺、建設省どういうふうに考えていますか。
  19. 山内彪

    ○山内説明員 お答えいたします。  先生今おっしゃいましたように、大井川は一般的に土砂流出の多い河川でございますが、中流域におきます浸水被害につきましては、その原因としてダムの堆砂の影響と認められる箇所と一般的な河床の変動等による箇所があるものと考えております。この対策につきましては、そういったことでダムの設置者等原因者が認められるものにつきましては、従来より原因者側で改善措置をとるべく指導監督してきたところでありますが、今後ともそれに沿って適切な指導を行ってまいる所存でございます。それから、一般的な浸水被害と認められる箇所につきましては、今後とも公共事業として土砂排除、築堤等の治水対策を実施するよう県を指導してまいりたいと思っております。
  20. 松前仰

    松前分科員 今、ダムが原因と認められるのと一般的なのと両方あるというお話がありましたけれども、こういうお話をされるということになると、それぞれ大井川流域について、ここはダムが原因であってここは一般的な治水の問題であるというように、分けて考えることができると思うのですよ。上からいくと、千頭の方から被害が起こっていますからね。千頭から中川根、そして一番下の川根町、塩郷ダムの下というところまでずっと被害が起こっていますからね。これを全部分類をしてやっていらっしゃると思うのですよ。それを、この委員会では難しいと思いますけれども、後でいいですから、分類して出していただきます。よろしいですか。
  21. 山内彪

    ○山内説明員 お答えいたします。  そういうことで我々なりに現在検討しておりますので、県当局ともその辺の意思疎通が要るかと思いますが、よく相談して、御説明させていただきたいと思います。
  22. 松前仰

    松前分科員 ダムが原因と認められる箇所というものが出てくる場合には、これは中部電力の問題になってくると思いますけれども、一般的なものというのは、私はそう簡単には一般的とも言えないと思うけれども、そういうのはダムがあったってなくったって同じだ、必ずそういう被害が起こったのだというようなことになろうと思いますけれども、それはそれといたしましても、そういうつまらぬ論議をしてもしようがないのですが、いずれにせよ直してくれればいいというのが地元の考え方なんですね。これは地元から見れば、よくなってくれればとにかくいいのですよ。しかも、自分たちの犠牲の上に立った電力、それによってほかの人や工業が豊かになる、自分たちが犠牲になってそっちが豊かになるという形には絶対にしてもらっては困るわけなんです。  中部電力のあのダムがあそこに進出するといいますか、その一番最初の経緯を聞いておりますと、あそこにダムがたくさんできることによってあの流域は非常に活性化する、だからやらせてくれということで、それでやったわけなんですね。許したわけなんですよ。それで多少なりとも町が形成されてできてきたのでありますけれども、三十年もたちますとやはりこれが問題を起こしてくる。ダムというものはその当時では問題を起こすものだとは思っていなかったと思うけれども、しかし三十年という期限を切ったというのは、問題が起こるかもしれないから三十年で更新をしようということで決めたのですから、この三十年の更新時期というのはやはり見直しする必要があるということですからね。  ですから、今更新のために申請が出ているというけれども、これは大体建設省、建設大臣でしょうけれども、これがこのままでもって出てきて、どういうふうか内容はわかりませんけれども、もしこれだけ改善するというようなことが入っていないで更新だけぽっと出てきた場合には、許可するつもりですか。
  23. 山内彪

    ○山内説明員 お答えいたします。  浸水被害につきましては、その原因を究明の上、水利権更新にかかわる施設等が原因で浸水被害が生じていると認められているものにつきましては、必要な改善措置をとるよう指導してまいる考えでございます。  なお、今問題になっております大間発電所及び大井川発電所の水利使用に関しましては、既に一部中部電力の方で現在対策を実施中でございます。
  24. 松前仰

    松前分科員 一般的なお答えですけれども、今こういう答えが来ると思って期待していたのです。一般的な公共事業として対処するということですから、ダムは関係ないのだ、だから水利権更新のときにはそういう内容を含めなくてもいいのだ、こういうお答えを官僚的に言うかと思ったら、言わなかったので安心したのですけれども、しかしそういう考えは、恐らくどうしてもどこか出てくると思うのですね。一般的公共事業でやるのだということは、裏にはそれがあるわけなんで、水利権更新と関係ないんだ、こういうお話なんですね。  しかし、一番最初にダムをあそこに持ってくる、水利権というのは建設大臣の許可である、そしてその最初のときに地域の住民は、あそこがダムが来ることによってすごい活性化されるということを前提にやったわけなんですけれども、活性化ということは、あれが来ることによっていろいろな事業がはかどっていく、治水についてもどんどんはかどっていくというようなことを期待したわけです。ところが、それがそうではない、中電に全部お任せしちゃったということのようですね。これでは地元の住民としては納得いかないですよ。中部電力、全部やりなさいと言ったら、それは大変な、大井川の水域を全部中電にやらせるようなものになっちゃうわけですからね。国の権利を放棄するといいますか、そういうことになってしまう。  それから、ちょっとお聞きしますが、島田だか金谷だかから上は、あれは一級河川にもかかわらず国の直轄管理にはなっていないようですね、県の管理だとか。ですから、あっちの上の方の治水の問題については、これは直接国がやらぬで県がやるんだと言って前は逃げられたわけですね、おととしだか私が質問したときに。今でもそういうことなんですか。
  25. 山内彪

    ○山内説明員 お答えいたします。  今先生おっしゃいましたように、一級河川につきましては基本的には建設大臣管理でございますが、それを直轄で管理する区間と県知事に委任している区間がございます。現在、御指摘の中流部につきましては、県知事の方に管理を任せている区間でございます。
  26. 松前仰

    松前分科員 それで、そういうことで恐らくさっきの四者合同の話し合いというのも国が全然関与していないというような、名前が出てこなかったですから、しているはずなんだけれども出てきてないんですけれども、県がやるんだということで国は知らぬよという姿勢のようですけれども、それでは三十年たった今の節目なんで非常に重要な時期なんだから、国が責任を持ってあそこの水利権更新をできるように――まさか建設省は、ダムは要らないよと思ってないでしょうね。通産省はどうしても必要だって言っているんだけれども、何か余りひどいことを言うのならダムをやめろと言いたいのですかね。そうじゃないでしょう。やはりダムはあった方がいいわけですからね。  それならば、あそこの地域の住民に対して水害、災害等がなくなるような方向でもって努力をしてやるのが当然だろうと思うので、建設省、今もっと積極的に乗り出してもらいたいと思っているのですけれども、これから先建設省としては、もしいろいろな公共事業等が出てきた場合に、これはどういう対処の仕方をされますか。
  27. 山内彪

    ○山内説明員 お答えいたします。  現在公共事業実施すべきと考えている河川につきましては、既に従来から一部県の方で公共事業として土砂排除、築堤護岸等やっている経過もございます、今後とも国といたしましても県のそういった事業に対して十分指導してまいりたいと思っております。
  28. 松前仰

    松前分科員 指導というよりも、エネルギー対策という意味で国全体の周題になってくる。ですから、県を指導して県がやるとかやらぬとかいうような話でなくて、逆だと思うのですよ。県はどうしてもやってほしいというのに、建設省は困るよと言って予算を切っている方だと思うのだけれども、そうじゃなくて、とにかく建設省もっと積極的に乗り出してほしいというのが私のこれから言おうと思っていることなんです。  大体、ことし二つ、来年四つでしたか、水利権更新があるわけなんです。来年あたりになってくると非常に厳しいところが出てくる、問題になっているようなところが出てくるわけでございますけれども、そういうときに、来年あたりぐらいまでにあちこちの改修といいますか、川が安全になるような方向でもっていろいろな対策を講じていかないと、この住民の運動といいますか反対の動きというのは、これは非常に高まってくると私は思うのです。非常にこじれてしまったら話は変な方向にいきますので、そうではなくて、本当に地元の人たちがすっきりいけるようにやっていかなければならぬので、この一年間にいろいろな対策を講じてほしいと思いますよ。それを私はさっきリストが最初からあればこれこれと言いたかったのですが、ここでは時間がないので一々言いませんので、来年まで建設省で大井川水系の災害対策についてやる予定というものを出していただけませんでしょうか。
  29. 山内彪

    ○山内説明員 細部につきましては、県の方でいろいろ案をつくっていると思いますので、県当局と十分相談した上対処してまいりたいと思います。
  30. 松前仰

    松前分科員 県、県とさっきから言って、全部県に逃げていきますけれども、県にあなた方は委託しているからそういうことになるかもしれませんが、水利権更新という三十年ぶりの大イベントでございますから、おれは知らぬよじゃ済まされませんから、じっくり向こうの考え方を聞いて、そして足りないところは建設省の方から、もっとここをやらなければいかぬじゃないか、でないと水利権更新ができなくなっちゃう、おれたち許可の判こ押せないぞ、こういうことになりますので、ぜひともそこをお願いしたいと思います。  それから、通産省の方にお願いしたいのですけれども、通産省もエネルギーをとめてしまうということはしたくないわけで、中部電力だってせっかくあそこまでやってきて改善しながらやっていきたいと考えているのでしょうから。  ダムを取っ払ってしまえぐらいまで住民の人たちは言っているんですよね、あんなものは邪魔だと。ところが、取るといったってそうは簡単にいきませんので、何とか現状でもって技術的にうまく解決して問題がないようにもっていく必要があろうと思うので、その辺の指導といいますか、それで中部電力全部やれと言ったってこれはできないから、やはりこれは国の責任もあるわけですよ。責任といったら変ですけれども、ダムを最初につくったときには許可しているんですよね。三十年間でこんなにおかしくなるというような想像はしなかったと思うのですよ。おかしくなったものだから、これは一体どうするかということは、中電が悪いじゃないかと言っているだけではだめなんです。そうじゃなくて、通産省がもっと知恵を出して必要な対策を講じるんならば、ちゃんとお金を用意してやってやらなければいけないと思うのですね。その辺のお考えはどうでしょう。
  31. 植松敏

    ○植松政府委員 先ほどこの申請につきましてはお答えしたとおりでございますけれども、水力発電施設がございますところの特にダムをつくることによって環境が悪化するというのは大きな問題でございまして、私どもの方でも水力発電施設周辺地域交付金という制度を設けてございまして、これは、水力発電所ができました当初は固定資産税がたくさん入るので、地元の町村もそれなりに環境悪化緩和対策ができるのでございますが、だんだん償却が進みますと固定資産税収入が減るということから、ある程度古くなりました水力発電所につきまして交付金を交付することによりましてそれぞれその当該町村が環境悪化に対する緩和措置ができるようにいたしております。たまたまこれも六十二年度で期限が切れますところを延長いたしたという経緯もございまして、こういったものを活用しながら水力発電施設が設置されております周辺地域についての対策の一つとして考えてまいりたいと思っております。
  32. 松前仰

    松前分科員 周辺地域のものはそういう形でやっているかもしれぬ。十分じゃないとは思いますけれども一応やっているということなんでしょうけれども、中部電力に対してこれは全然何もやらないのですね。結局、最初に許可したときにはダムがこんなにいろいろ影響を及ぼすとは余り考えてはいなかった。ところが、ずっと三十年やってみると、いろいろ土砂の堆積や何やらあってだんだん問題が起こってくるということなんで、そうなると、中部電力が悪いよ、こう言っていられないわけですよ。最初に許可したところが責任を持たなければいけないね。  これは通産省が悪いとは言っていませんよ。これはその当時の技術がまずかったのでしょうね。もうちょっと考えが深くなかった。だが、今はもうそこまで考えられる。ですから、そういう経過でなったということについては、国がある程度やってやらなければいかぬ。中電だってお金がないのですから、全部やれと言ったってできやせぬのだから、中電に対して全責任を持って対策を講じなさいと言ったってできませんから、その辺は企業に対しても交付金だか何かこういう制度をつくってやる必要があるのじゃないか、そういうふうに思うのですけれども、今からちょっと難しいかもしらぬけれども検討してもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  33. 植松敏

    ○植松政府委員 制度ということになりますと、またいろいろ難しい問題があろうかと思いますが、たまたまこの地域につきましては、六十三年、六十四年にかけましてそれぞれ水利権の更新が行われるというときでもございます。それぞれそこでの水害の発生その他環境の悪化が中部電力の発電所が原因であるというような場合には、当然そういうことのないように対策を講じるよう指導してまいるつもりでございますけれども、放流量も含めましてまだいろいろ問題が多かろうと思います。私どもも、関係機関と十分相談をしながら、中部電力に対しても指導をしてまいりたいと思っております。
  34. 松前仰

    松前分科員 中部電力に指導指導と言うけれども、指導ということは中部電力が全部責任を持ってやりなさいというので、そうじゃなくて、それもあるけれども、国も今までずっとわからぬ問題が今出てきてしまったわけですから、これについて中部電力に責任を負わせるというわけにいかぬから、それは国が何か金を出してやるというような制度をつくるべきじゃないだろうかというように思うわけです。その辺の御意見を聞いたのでありますけれども、そこはもう時間がなくなっちゃったからまた御相談をさせてもらいたいと思いますが、検討してもらいたいと思いますね。  それは当然だと思います。これからいろいろ問題が起こってきますよ。天竜の問題にしても、あっちの方のダムなんかも大変な問題が起こって、大井川どころじゃないらしいですからね。そういうことで、ダムの水利権についてはこれからたくさん問題が起ころうと思いますので、地元が犠牲にならないような形で、地元の発展につながるような形で十分水利権更新がなされていくように強く要望したいと思います。  最後に、通産大臣にちょっとその辺の御意見を伺いたいと思います。
  35. 田村元

    田村国務大臣 先ほど来、通産、建設の担当官から御答弁しておりましたが、とにかく勉強させてみるということだと思います。
  36. 松前仰

    松前分科員 終わります。
  37. 林大幹

    林主査 これにて松前仰君の質疑は終了いたしました。  次に、冬柴鉄三君。
  38. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 私は、きょうは訪問販売の規制についてお尋ねをしたい、このように思っております。  昨日の夕刊に「訪問販売法 通産省が改正案」、このように一面トップで報じておりまして、若干遅かったかなとは思いますけれども、その御苦労を多としたい、このように思っております。  実は、私は昭和三十九年に大阪市で弁護士を登録いたしまして、一昨年、衆議院議員に当選させていただくまで、二十二年余り大阪市で弁護士一筋でやってきた男でございます。御存じのように、大阪は古くは明治不動産、あるいはサラ金も大阪から始まったようですし、それから問題の豊田商事も大阪、このようなことで非常に商売熱心といいますか、いろいろ知恵を絞るのですけれども、人の弱みにつけ込むというような商法も大阪から発祥しておる。したがいまして、大阪の弁護士はこういうものについて非常に熱心でございまして、手弁当で若い弁護士が被害者救済のために走り回っている、そういう実態がございます。今後も通産省として、こういう立法措置等をとられる場合いろいろな考え方があるとは思いますけれども、大阪弁護士会でそのような問題についてボランティア的にやっている多くの若い弁護士、こういう者の意見をぜひ反映をさせてやってほしい、こういうふうに考えます。  私も弁護士時代に豊田商事の事件も担当いたしました。霊感商法もやりましたし、それから北海道の山林原野販売、いわゆる詐欺まがい商法というものを手がけたこともございましたが、被害者、私どもの依頼者というのはほとんど御老人でございまして、民法の建前からいえば何ら売買契約に瑕疵がある、意思に瑕疵があるわけではないのに救済手段は非常に難しいわけでございます。そういう意味から、対等な立場に立っての商売ではないのだ、そういう認識がこういう場合必要だと思います。  そこで、この豊田商事の問題ですけれども、この会社が設立されたのがたしか五十六年四月でございます。そして会長の永野さんの刺殺場面がテレビに放映されるという非常にショッキングな事件が起こりましたのが、たしか六十年の六月十八日だったと思います。そして六十年七月一日には破産宣告がありましたから、約四年余りこの商売をやっているわけです。その間に債権届けをしたいわゆる被害者といいますか、これは二万七千八百名に上っております。しかも、実にその六割以上の人が六十歳以上の御高齢者なんですね。それに主婦とかあるいは障害者のような社会的な弱者と目される方々を加えますと、実に全体の八割以上がこういう方々に集中しているという事実がございます。また、平均被害額は四百万円以上にも達しておりまして、これら社会的に弱い立場にある方々にとっては、生活資金あるいは老後のためにせっかく蓄えていたお金を根こそぎ奪われてしまう、このような悲惨な事件でございまして、破産債権総額は、御存じのように一千百億円にも達したという空前の事件でございました。  この破産管財人になられました大阪弁護士会の中坊公平弁護士、私も非常に親しくしている者ですが、つい最近もお会いしたときにこの話を聞いたわけでございます。六十年七月一日に管財人に就任して以来一生懸命この事件処理に携わって、ようやく九%の配当が確保できたけれども、これ以上はもうどうにもならないということで非常に残念がっていました。そして、この金が訪販法のいわゆる指定商品には入っていませんでした。そのためにクーリングオフの制度も適用がありませんでしたし、いわゆる訪販法に基づくいろいろな措置を受けることができていませんでした。昨日の夕刊に「通産省が改正案」ということで、そのサブの見出しに「金など貴金属取引も規制」、このように大きく書かれていますけれども、豊田商事が何もかも終わってから二年半過ぎた今日、ようやく指定商品の中へ今から入れようとする改正がこの国会に提出をされようとしている。後追い行政という言葉がよくありますけれども、これはその典型ではないか、このように私は非常に残念に思うのですけれども、その点について通産大臣のお考えをお尋ねしたい、このように思います。
  39. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 先生御指摘のとおり、豊田商事事件は大変遺憾な事件だったと思います。時間の関係で端的に金の問題についてお答えさせていただきますが、訪問販売法では確かに金は対象になっておりません。御承知のように、実は訪販法は指定商品制をとっておりますけれども、指定商品として政令で何を指定できるかといいますと、法律の二条三項でございますけれども、「主として日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのに適する物品」を定めるということになっておりまして、日常使うもの、かつ定型的な条件で販売される、この二つがございます。  金につきましては、この法律制定の昭和五十一年当時も議論があったようでございますけれども、金は日常生活の用に供されるのかどうか、ちょっと投資的な感じの品物でございまして、そういった観点から、投資的な購入については、もし対策が必要であれば別の考え方の法体系になるのではないかと当時考えたようでございまして、そういった観点から、実は指定しないのじゃなくて、できない法律になっているわけでございます。昨日の報道にもありましたように、現在、法改正を準備しておりますが、これにつきましては近々に国会に提案させていただくわけでございますけれども、金につきましては、豊田商事事件を踏まえて考えまして、確かに日常生活で使うものではございませんけれども、非常に日常的に購入されるものであることは事実でございますので、今回の改正ではこれも指定できるようにしたいと考えております。
  40. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 確かに法律の仕組みはそうだったのですけれども、今やろうと思ったら法改正をしてできるわけですね。それがなぜ今までできなかったのか、こういうことを聞いているわけです。法律の仕組みがそうなっていることは私はよく存じています。その点どうでしょうか、大臣。
  41. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 繰り返すようで恐縮でございますけれども、金に関しましては一般の商品とちょっと違って、つまり投資でございますので、消費者の投資に伴うものは別建てという考え方だったわけでございます。     〔主査退席、自見主査代理着席〕
  42. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 それでは、訪問販売法という法律が制定された立法理由といいますか立法趣旨、時間が短いものですから簡単で結構です、どういうことでこういう法律があるのか、これをちょっと御答弁ください。
  43. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 訪問販売と申しますのは、消費者が自分で自発的に何かを買おうと発想をして、その結果売買が行われるというものでないというところにその特性があります。買おうかどうか考えていないところに受け身で話が持ち込まれまして、そこで自発性といいますか、自主性というものが不十分なまま契約が行われる可能性がある、かつ相手はプロでありまして、一方は素人でございますから、そこに不公正、不当なことが起こりやすい、その不利性を是正するというのが立法の趣旨でございます。
  44. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 私も全く立法趣旨はそういうものだというふうに理解いたしております。この訪問販売取引というのは、消費者が全く予想しないときに不意打ち的にセールスマン、セールスウーマンが訪ねてこられまして、そしてくつろぎの場である家庭というところが突然取引の場所とされてしまう。今も御答弁がありましたように、売る方はプロでございます。私が扱った取引でも、原野商法ですけれども、名刺の出し方、相手が言ったときにこのように答える、こう言われたときにはこういうふうに答えるというマニュアルがありまして、それを社員同士で訓練をやります。相手の目を見なければならない、にこやかでなければならない、お仏壇があれば上がっていってまず鈴をたたいて合掌しなければならない、非常に細かい行き届いた配慮がしてあります。しかもお年寄り、そしておひとり暮らしという方が多いわけです。そういうところでやられるものですから、私も後で時間があれば扱った事例をちょっと挙げたいと思うのですけれども、消費者の購入意思が十分形成されてない間に強引に契約の申し込みあるいは承諾をさせられてしまうという、いわば訪問取引という販売手段の仕組み自体に消費者が被害に遭う定型性というものがあるから、そういう点に着目してこのような訪販法といういわゆる規制法ができていると思うのですね。だから、商品が悪いとかいいとかという問題ではない。粗悪商品を規制するためにこの訪販法があるわけではない。  そうすると、今おっしゃったように、金というのは日常的に使われる商品でないから規制しないのだというのと売り方がおかしいということとは必ずしも一致しないんじゃないですか。その点、商品や役務の種類によって法の適用を左右されることは、立法趣旨に照らしたら合理的ではないんじゃないですか。その点、どう考えますか。
  45. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 指定商品制をとるかどうかということにつきましては、先生おっしゃいますように確かに二つの考え方がございます。私どもも、基本的に、ただいま御説明いたしましたように、これは商品の一つ一つの特性に基づく立法ではなくて売り方の特性に基づくものだというのは御指摘のとおりだと思いますが、そういった考え方のもとにおきましてもなおかつ二つの考え方がございまして、これは民法で特則を定めたりあるいは特別の制裁を定めたりしているわけでございますので、規制を最小限にするという原則から指定商品制をとるか否かという議論があるわけでございます。現行法は、そういう意味で広く一般に問題があるものに限るという、いわば規制を最小限にとどめるという原則のもとに指定商品制をとっている。先生御指摘のように、売り方に問題があるという考え方で、なおかつそういう考え方を重ねてとっているわけでございます。
  46. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 その点については今回の改正には非常に消極的なようで、指定商品制というのは維持されるようですけれども、これをやる限りは絶対後追い行政になります。ある商品が売れ筋になりますとわっとやります。そして被害が拡大します。告訴が出ます。民事事件が起こります。そうすると、これもやはり指定商品に入れなければいけないかな、こうなります。そのやるまでの間に何年かの期間がたってしまいます。その間に、今申し上げたように、豊田商事のように大体こういうのは御高齢者の被害が多いのです。もうたくさんの人たち、中には自殺した人もありますけれども、そういう被害が起こって初めて指定されるわけです。金の場合だってそうでしょう。豊田商事が何もかも終わって二年半、そして今、金を入れようかな。  私も法律家の端くれですから、いろいろ仕組みが難しいことはわかっていますよ。だけれども、これはいかにもいかぬ。だから、全体的な商品、これはもう指定せずに全部の訪問販売という形をとる。そのような形態の商取引行為自身を規制するというのが法律ですから、指定商品制というのは近い将来全部廃止をしまして、すべての有償契約へこれを適用すべきである。もちろん、不必要なものについてはむしろ例外的に除外する、こういう立場であるべきだと思いますけれども、その点についていかがですか。
  47. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 先生御指摘のような立法のあり方も、私ども十分あり得ることとして勉強いたしました。今回準備をしております改正案につきましては、勉強いたしましたけれども、指定商品制を維持するという方向で実は考えております。これはなぜそうなったかということでございますが、五十一年から今日までの間に、実は今カテゴリーで四十三指定をしておりまして、現実問題としてほとんど指定は出尽くした。一方、この指定を外しまして適用除外制にいたしますとかなり膨大な作業を要します。そういう現実的な観点もございまして、指定商品制を維持する方向で考えております。
  48. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 余り詳しいことは要りませんけれども、しからば、主要先進国で指定商品制をとっている国と適用除外の法制をとっている国がどういうふうにあるか、もし答えられれば御答弁をいただきたい。
  49. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 ただいま私が手元で承知しております限りでは、立法をしている国は指定商品制ではなくて、すべての商品を対象としております。
  50. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 大臣、一言で結構ですけれども、こういう四十三品目に分野を指定しているのは日本の国だけなんですよ。四十四番目、四十五番目で被害が出れば、やはり一年、二年、それを指定するまでの間規制がかからない。これは今お答えがありましたように、先進国から見れば異例な立法趣旨だと私は思っているわけです。将来でいいですよ、前向きに考えていただけますか。
  51. 田村元

    田村国務大臣 御趣旨のほどは十分にお伺いいたしました。ただ、今まさにこの法案を審議しようというときでございますので、私がもし仮にお気持ちに沿うような答弁をしますとこの法案の審議ができなくなります。でございますから、あなたも著名な法律家でございますから、そこいらは立法の作業中、これから審議が始まるということで、私が明確なお答えができないことはひとつ御了承いただきとうございますが、しかし、御趣旨のほどは十分頭に入れたいと思っております。
  52. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 では、次にいきます。  この訪問販売取引というのは、買い物の時間が節約できるとか、あるいは新しい商品とか役務についての最新の情報がマン・ツー・マンで詳しく教えていただけるとか、あるいはこれから高齢化社会になりますけれども、お買い物に出るのにも不自由な高齢者のためにとっても便利であるとかいうようないろいろな利点があることは否めませんし、これは私も認めます。そして、これがアメリカを抜いて我が国は年間二兆一千億というような取引高になっているという厳然たる事実もございます。ところが、一方では、警察庁の生活経済犯罪白書によりますと、昨年一年間に摘発をされた先物取引などの利殖商法、これの大部分が訪問販売という形態によってやられていると言われておりますけれども、この被害総額が四百五十一億一千七百八十万円に達しました。それからまた、その他の訪問取引の被害が百三十五億三千万円にも達したという報告がございますね。しかも、これは被害総額から見れば大体一%ぐらいだろうと言われていますけれども、そんなにひどくないとしましても、被害が深刻で、相当な高額に達しているということは察するに余りあると思うのです。  そこでお尋ねしたいのですけれども、今この訪販業者というのは一体何社ぐらいあるのか、そのうち、業者団体に加盟しているところは問題ないと思うのですが、これは何社ぐらい加盟していて、それからアウトサイダーですね、加盟していない業者はどのぐらいあるのか、これを教えていただきたいと思います。
  53. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 大変膨大な数でございまして正確には把握しにくい点がございますが、社団法人日本訪問販売協会という全国団体がございます。ここに加盟している企業が約千五百社でございます。アウトサイダーは、推定でございますけれども同数ぐらいあると言われております。ただ、これは企業の形をとっているものがそのくらいでございまして、個人営業のものを含めますと数十万に達すると思います。
  54. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 時間がありませんので先を急ぎますけれども、これが二兆円の業界になったというのは国民にも大きなニーズがあると思うのです。それで、そういう優良な業者を育て、その中から悪質なものを排除する、こういう作業が必要だと私は思うのですね。そのためにはやはり開業規制をして、どうしても業者登録という方法をとらなければ仕方がないと思うのです。御存じのように、サラ金が一時非常に問題になりました。これもたくさんな数がありましたけれども、業者登録をしましてから被害が激減をいたしまして、やはりいい業者は残っている、こういうような実態があります。  それから、私、この衆議院に当選させていただいて一番最初に法務委員会で質問させていただいたのが、当時ようやく目立ちかけた抵当証券に関する質問でありました。そして、いわゆる業者登録制をぜひ実現してほしいということを強く訴えました。当時の議事録にも明らかですけれども、大蔵省は消極的でした。遠藤法務大臣には割合前向きな答弁をいただきまして、大蔵、法務で抵当証券研究会などをすぐつくっていただいて研究をされまして、つい先ごろの立法によって業者登録が実現いたしました。これも玉石混交の業界でございますけれども、今や被害というのは影を潜めていると私は見ているわけでございます。  その意味から、今回の改正法で登録制度がとられなかったということは非常に残念なのですけれども、これについても、このように二兆円産業に伸びた反面、非常に大きな悲惨な被害がこれとともにふえているというこの実態から、将来で結構ですが、大臣、今法律を出さんとしているのにそれは殺生だと言われるかわかりませんけれども、これは将来ぜひ前向きに考えていただきたい点なんですけれども、この点についていかがでございますか。
  55. 田村元

    田村国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、御意見を十分頭に入れさせていただくということしかちょっとお答えのしようがないので、予算審議の最中に補正予算案を論ずるようなことになりますので、これは私としてはちょっと答弁いたしかねますが、大変いい勉強になりました。
  56. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 最後に、この答申でちょっと気になることがあります。それは、業者団体による自主規制というものをちょっと重視し過ぎているのではないかという点です。登録されている千五百社の業者というのは問題ないのです。問題を起こすのはそれの外側にいられる業者団体に入っていない人たちなんですから、その点、業者団体を通じての指導を余り過大に期待されるということはいかがなものであろうか、このように考えていることが一つです。  それからもう一つは、消費者の教育ということ、啓発ですね。非常に大事なことだし、私はこれはどんどん進めてもらわなければいけないと思います。しかし、これも余り過大に期待してはいかぬと思います。いろいろな点で豊田商事のことばかり言いますけれども、先ほども言いましたが、豊田商事は約四年間営業をやって、そして千百億の被害が出たわけですね。一番被害が大きかったのは何月か知っていますか。わからなければいいです。大臣、あの永野さんが刺し殺される三カ月前、六十年三月が一カ月で九十八億、そして六十年四月が九十四億、これが一番と二番なんです。そして六月に刺し殺されて、破産宣告の申し立てがあって七月一日に破産なんです。ですから、この九十八億円とか九十四億円の被害が生じていた月というのが内部的には完全に破産状態だったわけです。国会でも豊田商事は何だとどんどん追及されていました。連日、新聞にも載っています。テレビでもやっています。ラジオでも報道されている。このさなかに御老人は新聞を読んでないのですね。この人たちが一カ月に実に九十八億円、九十四億円という被害に遭っているという実態があります。  したがいまして、消費者の教育に余り期待を大きくしますと、これは被害を未然に防ぐという方法では適当ではない、このように私は思うわけです。これは答申とは若干違うと思いますけれども、その点について最後に大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。大臣、簡単で結構ですから。
  57. 田村元

    田村国務大臣 今貴重な御忠言があったわけですが、御提言といいますか、早速局長審議官あたりに一遍その当時のことを読み直させてみたいと思います。
  58. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  59. 自見庄三郎

    ○自見主査代理 これにて冬柴鉄三君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。
  60. 山田英介

    山田分科員 私は、日本の原子力発電所にかかわる事故といいますか、この関係で一、二質問させていただき、時間が許せばプルトニウムの空輸問題につきまして、現時点における御当局の見解を伺いたいと存じております。  大臣はすぐ戻られる由でございますが、最初に、今月の四日に福井県の敦賀原子力発電所におきまして、作業員の操作ミスというふうに伺っておりますけれども、原子炉が自動的に停止をしてしまった、こういう事故が起こりました。それで最初に、この敦賀発電所の原子炉の自動停止事故の事実確認、それからその原因につきましてまず御報告をいただければと存じます。
  61. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 敦賀発電所二号機につきまして調整運転中に、三月四日二十三時三十三分、原子炉が自動停止いたしました。これは出力が八十七万キロ、七五%の状態でございましたが、出力領域計測装置の校正を行って、メーターの校正中起こった自動停止でございます。出ました信号は、出力領域の中性子束減少という、中性子の数が急に減ったという表示でもって停止したわけでございます。この原因につきましては、いろいろ調査の結果、原子炉停止前の原子炉の出力は一定でございまして、炉の中身は全く変化がなかった。同日二十一時三十分から出力領域の計装の校正作業を実施しておりまして、それでその制御室の炉外計装盤から検出器の信号ケーブルを外した、こういう事実がありまして、そのために起こったのであるということがわかったわけでございます。  それで、もう少し詳しく申し上げますと、原子炉の計測をいたしまして停止するためには、四つのチャンネルがございまして、そのうちの二つがゼロになりますと原子炉がとまるという状態なわけでございますが、校正を一つやっていますので三つが残っておりまして、その三つのうちの一つが外れますと四分の二がなくなるということで自動停止になるわけでございます。それで、ではどうしてそういうことが起こったかといいますと、その計装の盤をケーブルを外して校正をやるわけでございますが、四つのうちの一つをやっておりまして、それを外すべきところをその隣の方を外してしまったというふうな作業の単純ミス、こういう事実関係でございます。
  62. 山田英介

    山田分科員 私の伺っておりますところによりますと、敦賀発電所の社員というのでしょうか、職員がお二方、それから社外に委託をいたしました作業責任者と作業員、合計四名でこの操作に当たっていた。その中で、今単純ミスとおっしゃいましたけれども、いずれにいたしましても操作ミスが発生をしたことは事実でございます。特に私がお伺いしたいのは社外に委託をされておるという点でございますが、これは、どの程度原子力発電所の操作に熟練をして、そういう知識をそれなりに豊富に持っておられるそういう人たちに委託がされているのかどうか。といいますのは、操作についてこの部分を委託しただけで、どういう人たちがこの操作に実際に当たるのか、そこのところがしっかりとチェックできているのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  63. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 敦賀の二号のこの状態は、先ほど申し上げましたように定期検査終了後の調整運転中、七五%立ち上げ、さらにそれぞれメーターをチェックしてそれで一〇〇%にいって、またそれぞれの点検項目をチェックしてそれで最終的に運転に入っていく、こういうことでございまして、通常の運転中の操作というのと違いまして、定期検査後の計器の調整をやっているということでございます。ですから、このやっている作業員は、これをつくっておりますメーカーの人がそこの定期検査の期間中来て専門的知識に基づいてやる、こういうことでございますが、その外し方をミスをしたというのは事実でございまして、この関係につきましては、本来、これの責任を持っております日本原子力発電の方が作業員とペアになりまして、それで確認しながらやらなければいけない、そういう作業だと思います。そういう意味で作業をする人はかなりベテランの方でございますが、それの番号確認といいますか、こちらを外すという表と裏があるわけですが、表の方でヒューズを外し、後ろでケーブルを取り外す、こういう作業でございますけれども、その表のヒューズを外した方と違うところのケーブルを外してしまった。単純ミスというのはそういう意味でございまして、技能そのものは問題ないのでございますが、その確認のやり方に不十分な点があった、こういうことだと思います。
  64. 山田英介

    山田分科員 熟練の作業員が操作に当たった、しかし単純なミスを犯してしまった、こういう御見解のようでございますが、実はそこにまた問題があるわけで、なれといいますか、熟練であるがゆえにまたそういう思わぬミスを犯してしまう、そういうことなのだろうと思いますけれども、それだけにもう一度この際、操作などを委託をしておる外部機関に当局としてしかるべき指導なり対応をなさらなければ、また同じような形で起きてくる危険性がある。実際の被害といいますか、そういうものはなかったようでございますけれども、実はこの自動停止というのは、六十二年度だけをとらえてみても、毎年減少傾向にあるとはいえ、この敦賀発電所の今度の事故で四件目と言われておりますけれども、その点はどのように対応なさっておられるのか伺います。
  65. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、今後原子力の安全問題を考えます際に、機器でございますとか技術の問題のほかにヒューマンエラーといいますか、人為的ミスの問題というものを一段と重視しなければいけないという点は私どもも強く認識いたしております。また国際原子力機関、IAEAにおきましても、ヒューマンエラーの問題は非常に大きな課題として取り上げられておりまして、先般も東京で大きな国際会議が開かれたようなわけでございます。  私どもは二つのポイントがあると思っております。一つは、やはり何といいましても優秀な作業員を確保するということだろうと思います。それからもう一つは、作業管理体制充実するといいますか、整備をするということではないかと思っております。第一のポイントにつきましては、作業員に対します教育訓練の充実でございますとか、なかんずく関連企業、下請企業の技術力の向上といったことが必要不可欠かと思っております。また第二のポイントにつきましては、今回まさに痛感させられるわけでございますけれども、明確な作業手順を作成しておくこと、事前の打ち合わせをきちんとやっておくこと、それから誤認を防ぐためのチェックを充実すること。今回はまさに裏と表の話でございますから、声さえかけ合っていればというような思いもしないわけではないわけでございまして、こういったマニュアルの充実といったことも非常に大事なことかと思っております。この二点にまたがりまして、今までも多面的に体制づくりをやり、関係企業の指導強化をやってきておりますけれども、今後とも一段とこれを充実していかなければいけないというぐあいに考えております。
  66. 山田英介

    山田分科員 田村大臣、今福井県の敦賀発電所の原子炉の自動停止問題でやりとりをさせていただいたわけでございますが、今御答弁にもございましたが、この際、安全を確保するあるいは安全な操作というものを確実なものにするために、一定以上の原発の操作、作業経験がない者には操作させないとか、あるいはまた安全操作のための特別訓練を義務づけるとか、あるいはまた社内、社外を含めました日常的な教育、それから委託基準というものもこの際しっかりとひとつ御検討なさって取りまとめ、そして全国の原子力発電所に従事をする関係者の皆さんにそれを示していくということが必要なのではないかと私は存じますが、通産大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  67. 田村元

    田村国務大臣 先ほど来の質疑応答を段々と承っておりまして、今の御提言に対して、とにかくこれは勉強しなければなるまいなという気持ちでおります。十分検討いたしたいと思います。
  68. 山田英介

    山田分科員 それでは、今アメリカの議会でも大変大きな問題になっておりますが、日本の原子力発電所から出てまいります使用済み核燃料をイギリスあるいはフランスに再処理の委託をいたしまして、その再処理されて取り出された、原水爆が製造できるというプルトニウムを我が国に飛行機で輸送しよう、こういう新しい日米原子力協定が昨年の十一月四日に調印されまして、アメリカ議会でこれが承認されるのかどうかということで今大変な事情にあるわけでございます。そして、現時点でどこまでお答えをいただけるのかと私も存じましたけれども、事は極めて重大な種々の問題、課題を内包していると理解をいたしておりますので、あえてこの分科会で御当局の御所見を伺いたい、こういうことでございます。  それで、御案内のとおりでございますが、プルトニウムというのは、わずか一グラムで数千人の人命を奪うことができる物すごい毒を持った物質である。一マイクログラム、百万分の一グラムでも、それが人体に入れば確実にがんを誘発し、死に至らしめるとまで言われている大変な物質ということでございます。  まず、昨年十一月四日調印をされました新日米原子力協定の主要な中身、柱として、返還プルトニウムの空輸の問題が含まれているわけでございます。一言で結構でございますが、この調印のねらい、目的は何かということについてお願いします。
  69. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 やや平たい御説明になって恐縮でございますが、現在日本が使っております濃縮ウラン、これは濃縮役務が必要でございますけれども、その約九〇%をアメリカに依存いたしております。米国は、先生御指摘のような観点もありまして核不拡散政策をとっておりまして、自分の国で濃縮をいたしましたウラン、途中でプルトニウムに変わるものもあるわけでございますが、その行方を詳細にきちんとトレースするといういわば国是を持っておりまして、それを実施いたしますために、従来から日米間に原子力協定というものがございます。この原子力協定では行方のチェックを全部個別に協議することになっておりまして、例えば、日本で再処理工場をつくるとかあるいは廃棄物の蓄積をやるとかあるいは輸送するという場合に全部個別に協議することになっておりまして、先生も御承知のとおり、東海村に第一番目の再処理工場をつくりますときに、それをめぐる個別協議は大変な時間を要しました。このままでは将来、日本の原子力政策を円滑に進めるためには大きな支障になるのではないかというようなことで、いわゆる包括同意方式を導入しようということで七、八年かけまして交渉を続けてまいりまして、今回、包括同意というものを導入するというポイントを中心に新しい原子力協定がまとまったわけでございます。  その中で、日本で一度使用してヨーロッパで再処理をいたしましてプルトニウムを抽出した場合、輸送の問題があるわけでございます。この輸送につきまして、常識的には飛行機による方法と船による方法と考えられるわけでございます。従来、少量ではございますけれども、個別協議で船で運んだことがございます。そのときのエスコート等につきまして大変時間がかかる、コストもかかるということで、やはり飛行機がいいのではないかという考え方が強くなりまして、今回の協定では、飛行機による輸送は包括的に同意をされているということになっております。船によります輸送は、いわば個別協議で従来どおり方法は残されているということになると理解をいたしております。  今回、アメリカ議会では、そういうことでいわば航空機輸送が第一、船による輸送等が第二というような位置づけになりましたものですから、航空機による輸送方法が米国議会での審議過程で非常に大きな焦点になっているというような経緯でございます。
  70. 山田英介

    山田分科員 あと十分ほどしかございませんので、虫食い的になってはなんですから足りない部分はまた別の機会にじっくりやらせていただきたいと思いますけれども、これはどういうことなのでしょうか。  空輸でございますと、イギリス、フランスから例えばアラスカの上空を通って日本へ持ってくる。そうするとアラスカの人たちは、約七キログラムぐらいのプルトニウムを入れるキャスク、容器を一回に四十箱も飛行機に積んで年間二十数回空輸するということになると、アメリカの核管理研究所等のレポートにもそういう記事が出ているということになると、一万メートルも上空から仮に飛行機が墜落をする。これは可能性としてないわけではない。そうすると、それだけ多くの量のプルトニウムが落下をする、キャスクが破壊されるということになれば、これは冒頭申し上げましたとおり大変な毒性を持つ物質ですから、アラスカ州の人たちが上空通過に反対するのは当然だなというふうに思えます。それを今度、アリューシャン列島の方へずっと回して航空路で日本のどこか空港におろさなければならないわけですが、その空港はどこかというのは別問題ですけれども、これは墜落という危険性、それに伴う被害、あるいはまたハイジャックならぬ核ジャック、プルトニウムジャックみたいな極めて安定性に欠ける輸送の方法ではないのかな。むしろ船の方が、まあ誤解があってはなりませんが、大量にしかも日数はかかるか知れませんけれども、空輸と比較した場合、船による輸送の方が安全なのではないか、私などはそんなふうに感じるのですが、なぜ飛行機でなければならないのですか。
  71. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 まず基本的に、飛行機でなければならないということにはなっておりません。先ほど申し上げましたように、飛行機で運ぶことについては包括同意、それ以外の方法については個別同意ということでございますので、先生のおっしゃる船で運ぶという道は閉ざされておりません。個別に協議すればいいわけでございます。
  72. 山田英介

    山田分科員 四国の松山にございます伊方発電所で、最近、出力の調整実験をなさっておられますね。これはどういう意味なんですか。済みません。時間がありませんので、こういう目的で出力調整の実験をやったと一言。
  73. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 現在、年間の電力需要は非常に大きな変動がございまして、真夏の八月の昼間を一〇〇といたしますと、年末年始の夜中というのは大体二五ぐらいまで下がるわけでございまして、非常に大きな変動がございます。原子力のウエートが上がってまいりますと、一番ボトムのところと原子力発電の能力がほぼ見合うという時期が、まだ大分先ではございますけれども、いずれの日にか来る可能性があるということがあるわけでございます。それへの対応というのは実はいろいろな方法があります。季節間の需要をならすとか夜、昼の需要をならすという方法もありますし、あるいは揚水発電、将来は超電導技術を使った大規模蓄電というような方法もあるわけでございますけれども、一つの選択肢といたしまして、原子力の出力をそういうボトムの時期に調整をするということは考えられるわけでございまして、海外諸国ではかなり一般的に行われております。それを、安全審査上許容されている範囲内で日本の炉でやった場合の挙動を確認し、データを集積しておくという観点から行ったものでございます。
  74. 山田英介

    山田分科員 僕は専門家でないのでよくわからないのですが、ボトムのときに調整をするということは電力需要が落ち込んだときに出力を落とすのだ、こう理解してよろしいわけですね。
  75. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 全くそのとおりでございまして、八月のお昼過ぎというような時期には、原子力発電がカバーしておりますウエートは多分二〇%にもならないという状況でございまして、それ以上の部分につきましては火力発電で全部カバーをしていくというような状況でして、まさにボトムの領域をどうするかという将来の課題にこたえるための試験を念のためやってみたということでございます。
  76. 山田英介

    山田分科員 私が少し疑問に思いますことは、我が国における電力の供給というのはかなり大きな余力を持っておる。御答弁では将来の一つの対策としてということでございますが、そしてまた、世界の複数の国ではそういう出力の調整というものはやっておるということですが、私の理解では、さきのチェルノブイリ原発の事故はまさにこの出力調整実験をしている最中ではなかったのか、こういうことが指摘をされておるわけでございます。ですから、決して安易なお考えでやっているなどと思っているわけではないのでございますけれども、この重大さというものは指摘を重ねても、そういう自覚を強く持たれてよろしい、それほど重要な重大な実験であるな、私はそのように受けとめておるわけでございます。  そういう中で、一九九〇年代のある時点から向こう三十年間、包括同意方式ということで、空輸でも海運でもよろしいということでございますけれども、大量にプルトニウムを我が国に運んでくる、そういう道をここで開いたということになるわけですが、そんなに大量に、しかも緊急に入れなければならない、しかも飛行機に積んで輸送しようとする。その場合に、それは現時点においても安全基準というものが我が国においては当然ないわけですし、それから国際原子力機関の基準でしたか、高さ九メートルのところからキャスクを自由落下させる、あるいは八百度の温度の中に三十分間置いて容器が溶けないかどうか、あるいは水深十五メートルのところへ八時間キャスクを置いて漏れたりつぶれたりにじみ出たりしないかというような基準はありますが、あくまでもその安全基準というのは、いわゆる陸運といいますか、陸上輸送に係る基準ということでございまして、高度一万メートルみたいなところを飛んでいる飛行機に積んだプルトニウム入りの容器が、仮に墜落したときにキャスクが堅牢にして壊れないのかどうかということについては、それを実験してみるというのも非常に大変なことだろうと思います。実際に飛行機が落ちるということはいろいろな条件下で起こるわけですから、その墜落の態様というのでしょうか、これもいろいろな条件のもとで全部違うということになると、実際にプルトニウムを入れたキャスクを積んだ飛行機を落としてみて実験結果を得たとしても、そういうことが果たして可能かどうかという問題、一回やったから壊れなかったというのでは、そういう墜落の一条件下で壊れなかったというだけではないかという、またそこにも問題は残るわけでございますね。  質疑時間が終了いたしましたから、最後に大臣に伺いたいと思っておりますが、そういうことで、これはこれからスタートをするということですが、既に昨年中に新日米原子力協定は調印されてしまっている。アメリカの議会でもけんけんがくがくやっている。マコウスキー法案なんというのも、上院の本会議で全会一致で、空輸の場合にはこういうことを義務づけろというようなことまで決まっている。日本でも、これからまた核ジャック防止条約に加盟するとかということで、関連国内法案の改正等が出てくるわけでございます。そのときにまたいろいろと議論されるのでしょうが、既に調印はされている、今そういう時点であるということから考えましても、これには、いわゆる原子力の利用という部分からいけば通産大臣ということになるし、それから、例えば空輸の場合にどこの空港に着陸させるのかということになれば運輸省も関係してくるでしょうし、核ジャック、プルトニウムジャックを防ごうと思えば防衛庁とか治安当局も関係してくる。あるいは当然科学技術庁、そのほかいろいろな省庁にまたがることは事実でございますし、またそれほど大きな課題、問題であるということで、大臣、最後に一言御答弁をいただきたいのです。  私は、この新協定に調印したことがいいとか悪いとかということではなくて、いずれにしても、政府部内にプルトニウムの安全輸送のためのタスクフォースといいますか、あるいはまたプロジェクトといいますか、それを早急にスタートをさせて、そして国民の抱く不安にこたえていく、解消させていく、あるいは理解を求めていくということが非常に大事だと思います。最終的には、電事連の幹部が訪米されて言っておりますように、将来の我が国の電力事情というものを安定化させるためにというか、そこに大きなポイントを置いて、表面上と言ったら語弊がございますが、いずれにしてもそれが表に出ているわけでございますので、むしろ田村通産大臣に音頭をとっていただいて、そういうプルトニウムの安全輸送のためのプロジェクトあるいはタスクフォースというようなものを政府部内にぜひ設置をすべきだと私は存じますが、大臣の御決意を伺いたいと存じます。
  77. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 大変恐縮ですが、事実関係について三点ばかりちょっとお答えをさせていただければと思います。  チェルノブイリと伊方のケースにつきましては、状況が全然違っているということは先生十分御承知と思いますし、また改めて御説明をさせていただきたいと思います。  それからキャスクにつきましては、米国のNRCにおきまして基準を設けておりますし、また、先生御指摘のようなマコウスキー議員による立法等もございますので、改めて基準というものは国際的なものが十分確立をされていくと思っております。  それから第三に、飛行機によりますプルトニウム輸送というものが現実になってまいりますまでにはまだかなり時間がございまして、日本では軽水炉時代がまだかなり長く続きますので、いろいろと検討してみる時間的余裕は十分にあるということでございます。関係省庁間の緊密な連絡が必要なことは御指摘のとおりでございまして、今までもやってきておりますが、今後とも大変重要なことだと私どもも認識いたしております。
  78. 山田英介

    山田分科員 大臣から一言。
  79. 田村元

    田村国務大臣 今のお話は少し長官からも説明があったと思いますが、原子力安全委員会の示す基準に基づいて各省庁で相談をしておるということでございます。いずれにいたしましても、率直に言って事が事でございますから、十分の対応をするように改めてもう一回私からよく申しておきたいと思います。
  80. 山田英介

    山田分科員 ありがとうございました。終わります。
  81. 自見庄三郎

    ○自見主査代理 これにて山田英介君の質疑は終了いたしました。  次に、緒方克陽君。
  82. 緒方克陽

    緒方分科員 私は、石炭鉱害関係の問題について質問をしたいと思います。  具体的な鉱害復旧の作業の中で、政府の失敗といいますか、あるいはミスといいますか、そういうもので出ました具体的な例を指摘しながら、政府としての具体的な対応といいますか、そういうものをただしたいというふうに思っておりますが、大臣がどうしても所用だということで、私も途中で抜けられるということを了承しましたので、最初に全般的な問題について大臣の方から一言お答えをお願いしたいと思うのです。  石炭の鉱害関係の二法が五十七年に延長になりましてもう六年でありまして、もう半ばを過ぎたということで、七年になろうというのはもうすぐ駆け足でやってくるということであろうというふうに思うわけですが、しかし延長されましても、それぞれの旧産炭地あるいは産炭地など鉱害を抱えている地域は、まだ非常に大きな問題を抱えているわけでございます。特に炭鉱閉山後の大変な城下町的な町の厳しい状況などを考える場合に、鉱害復旧の問題も放置できない問題であると思いますし、政府の責任は重大であろうというふうに思うわけでございます。もちろん、このためには予算が必要でございまして、いろんなことが必要なわけでございますし、大臣もそれなりに努力をされているということは重々承知をしているわけでありますが、しかし特に未認定といいますか、そういう作業のおくれといいますか、そういうものがあって非常に進んでいない、遅々としている状況にあるという地域も多いこともまた事実でございます。  そういう意味で、この六年間といいますか、石炭鉱害関係の二法が延長されて以降六年間の経過といいますかどこまで進んだかということと、問題点と、それからこれを解消するために大臣としてはどういう決意で臨みたいということがあろうかと思いますので、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  83. 田村元

    田村国務大臣 具体的なことは政府委員から答弁をいたさせるようにいたしますが、私からは、いわゆる鉱害二法の法期限内に鉱害復旧が完了するようにということの心構えといいますか、私の決意だけを申し上げておきたいと思います。  昭和五十七年度に策定いたしました鉱害復旧長期計画、この進捗状況はおおむね順調に進んでおると思います。率直に言って、厳しい財政事情のもとではございますけれども、今後とも必要な予算額を確保して、六十七年七月の期限内に復旧を完了させますように最大限の努力を払っていく所存でございます。
  84. 緒方克陽

    緒方分科員 それでは、そういう決意で臨んでいただくということでありますので、そういうことを希望いたしまして、最初に言いましたように、政府の鉱害復旧の施策で国民が大変な苦労をしている、農民が苦労をしている、そういう問題があるわけであります。  具体的に言いますと、当時の通産省としては、一石二鳥ということで、鉱害復旧のために炭鉱から掘り出しました生ボタを使用いたしまして鉱害復旧をしたわけでございますが、これが生でありますために非常にいろいろな化学的な変化を起こしまして、結局また家屋は大変な状態になって住めないというような状況の問題が今日まで放置されてきております。昨年の十二月の商工委員会でありますが、私は質問いたしまして、このことについては早急に解決をしなければならぬということで、十二月八日の委員会では、年度内、三月末までに、これはほかのところもあると思いますが、佐賀県なり地元に救済策を提示したいというふうに回答をされているわけであります。いよいよ年度末も間近でございまして、三月も中旬に入ろうとしておりますが、その後の状況についてお答えを願いたいというふうに思います。
  85. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生ただいま御指摘のいわゆる効用未回復家屋の救済につきましてでございますけれども、昨年十二月、商工委員会におきまして御答弁申し上げましたとおり、極力年度内に救済策を提示できるようにただいま努力しておりまして、そのときにも申し上げましたけれども、この問題はなかなか法律的あるいは技術的な問題あるいは費用の負担の問題あるいは受忍の限度の問題等いろいろ複雑な問題がございまして、その辺を含めまして救済の方法でありますとかあるいは対象となります家屋の採択基準となりますところの受忍限度の基準、こういうものについて鋭意作業を行っておりまして、今大詰めの段階にあると申し上げてよろしいかと思います。  まず、この問題につきましては県とも打ち合わせる必要があるということでございまして、近々県に対しまして案をお示し申し上げて打ち合わせできるというような状態になっておるというふうに理解しておりますので、この方向でさらに努力をさせていただきたいと思います。
  86. 緒方克陽

    緒方分科員 近々県に具体的な内容を示して話し合いをしたいということのようですが、その近々というのは、例えばここ一週間とか十日、一応年度内ということでございましたからそのぐらいの間にされるということで理解してよろしゅうございますか。
  87. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま県で県議会を開催しておられまして、十八日ごろそれが終了する予定であるというふうなことも伺っておりますので、それ以降できるだけ早く時間の調整をいたしまして、県との打ち合わせに入らせていただきたいというふうに考えております。
  88. 緒方克陽

    緒方分科員 それでは、今日までいろいろ地元から要望されてきました長い間の懸案事項でありますから、誠意を持って早急に解決をされるように強くこの際申し入れをしておきたいと思います。  ところで、同じような問題で質問したいわけでございます。これは入口から変な議論で申しわけないですが、長官にお尋ねしたいのです。私どもは、水は高いところから低いところに流れるというふうに学んできましたし、実際そうであるわけでありますけれども、そういうことについてはどうお考えでしょうか。
  89. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 特定地域で起きております問題が先生の御念頭にあるだろうと思いながらお答えを申し上げなければならないのでございますが、基本的には、先生おっしゃるように、水は高きから低きに流れるわけでございますので、いろいろな事業、いろいろなプロジェクトを推進するに当たりましては、そういった面も十分考慮に入れながら従来からやってきているものだと思っております。
  90. 緒方克陽

    緒方分科員 ですから、私が質問しておりますのは、水は高いところから低いところに流れるということだと思うが、そのことについてどうでしょうかというふうにお尋ねをしているわけであります。
  91. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 その点につきましては、私もそのとおりだと思っております。
  92. 緒方克陽

    緒方分科員 私もそういうふうに思うわけで、ございますが、佐賀県の多久市の納所というところでは、これは有明海に近いわけでありまして、非常に堆積土もあります軟弱な地帯でもあるわけです。そこで、多久市の納所では、昭和四十九年から五十二年度にかけて、生産性の向上と農業の近代化を目的として百十ヘクタールの圃場整備実施をされたわけですね。これが終わった後、すぐ隣に鉱害地区があるわけでありますけれども、ここは牛津町、牛津川地区の両新村というところですが、三十七・八ヘクタールの鉱害復旧、そして圃場整備がされたわけで、切り盛り均平といいますか、高いところを削って低いところにやるということで工事がされたわけでありまして、昭和五十四年に終わっているわけですね。それで、こういう場合は農水省と通産省が連携をされて仕事をされるというのは当然のことであると思いますが、結果として、鉱害復旧がされた後、納所地区の圃場整備百十ヘクタールされたところが水害が出るようになった、湛水被害が鉱害復旧をすることによって起きるようになってきたわけですね。  具体的な例で言いますと、例えば、復旧前では水につかっている田んぼの時間が平均で二十一時間半であったのが二十四時間半に延びたし、また、水につかる田んぼの面積も二十六・五ヘクタールから四十六・八ヘクタールということで、鉱害復旧の結果田んぼが冠水、湛水をするようになったということでございまして、五十五年からいいますともう八年間ひどい雨が降るときにはつかる。もちろん、ここは割と低いところですから、昔から水害地帯ではありましたけれども、いわゆる湛水時間も長くなる、そして面積も広がるということですね。そして、その内容を検討してみますと、いわゆる鉱害復旧じゃなくて圃場整備された上流のところの高さが、平均で堤防側では海面から二・七九メートルであるのに対して三・〇一ということで高くなる。結局、水がつかるように鉱害復旧がなされたということでございまして、関係住民の嘆きは大変なものでありまして、特にハウスなどをつくっている人は、なるべくつからないところをということで、今までも割と水害地帯でしたからつからないところにということでつくったわけですが、結局鉱害復旧工事のためにそこもつかる、浸水、湛水するということになって、本当に農民としてはもうとてもじゃないがやりきれないという現状にあるわけですね。  それで私、農水省の方にいろいろ調べてみましたら、例えば稲が何時間水につかったらいわゆる米のとれぐあいが下がるかという表を実績で幾つか見ておりますけれども、やはりわずか四時間か五時間でも何%か、三、四%の影響を受ける時期があるわけですね、もちろんこれは稲の成長、育成時期にもよりますけれども。そういう意味で、とにかくこれは八年間も放置されている問題だから、何とかして解決してもらわなければならぬ、冠水しないような設備をつくってもらわなければならぬという声があるわけでございますが、本当にこれは県議会挙げての、国の施策における失敗の問題ですので何とかしてもらいたいという声であります。この問題についての対応についてお答えを願いたいと思います。
  93. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 御指摘の納所地区の湛水の問題でございますが、確かに牛津川地区におきまして、鉱害事業団が昭和五十四年度からたしか五十五年度ぐらいまでかけて鉱害復旧に着手しました後、湛水被害が発生し始めたという地元からの申し出がございまして、その後、鉱害事業団あるいは農政局あるいは佐賀県等も含めました関係機関におきまして対応策の検討が開始されたわけでございます。特に五十九年からは鉱害事業団におきましても、湛水被害の程度でありますとかあるいは被害発生の原因等の事実関係もいろいろな調査をすることによりまして解明に努めておるところでございます。  この点につきましては、当初事業団といたしましては、この牛津地区の復旧の際に、この地域の地盤の状況等から見まして当然切り盛りの圧縮沈下が起こるというふうに想定をいたしまして、将来のためも考えまして、将来圧縮沈下が起こりましても効用が確保できるようにということで土盛り等を行ったというふうに理解をしております。したがいまして、この問題につきましては、まず復旧工事の施行者であります鉱害事業団におきまして事実関係の解明あるいは対処方針の検討を行う必要があるというふうに私ども認識をいたしておりまして、私どもといたしましては、この事業団の検討結果が明らかになった段階で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  94. 緒方克陽

    緒方分科員 そうしますと、確かに鉱害復旧の場合、時間がたちますと沈下するということで、一定の高さは保たれているようですが、しかし下がらなかったということは事実ですね。五十九年からは鉱害事業団に調査をさせているということでありますけれども、農民としては八年間現実につかっているわけですよ。そういうことに対しての農民の怒りとか苦しみとか、そういうものについては一体政府はどういうふうにお考えになっているのですか。
  95. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この問題につきまして、先ほど御説明申し上げましたように、この鉱害復旧をなるべくよくしようということで当時衆知を集めまして復旧をいたしたものでございまして、そういう意味でこれが一部その湛水に影響しているという疑いもあるわけでございますので、その辺の先ほど申し上げました事実関係の解明等を行いまして、復旧法の対象として取り上げることが可能であるかどうかということについて慎重に検討する必要があるのではないかというふうに考えておりますので、今後そういう方向で検討させていただきたいと思っております。
  96. 緒方克陽

    緒方分科員 私が質問したのは、そういう事実経過はもうわかっているわけですよ。しかし、毎年毎年水につかるということで農民は苦しんでいる。五十九年から調査を始めて、六十、六十一、六十三年、もう四年ですよ。調査に四年もかけている間、その苦しんでいる農民については一体どういうふうに責任を政府はお感じになっているかということを聞いているのですよ。
  97. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この被害の程度等につきましても、私ども慎重に調査をする範囲ということで考えておりまして、実際に湛水被害が起こっていることについては、私ども大変お気の毒な事態であるというふうに考えております。  ただ、この問題について復旧法の適用が可能かどうか、国としてやれる範囲はどこであるかということについては、やはり法制上の問題、技術的な問題あるいは受忍の範囲の問題等慎重に検討することが必要であるというふうに考えておりますので、そういう点で若干の時間を要しておりますことはまことに残念でございますけれども、なお一層努力をいたしまして、具体的な解決策について検討を進めたいというふうに考えております。
  98. 緒方克陽

    緒方分科員 もう四年たっているわけですよ。慎重に検討したいと言うけれども、実際に苦しんでいる人のことを言えば、それは確かに調査は必要でしょう、それは必要だけれども、やはり一定の時間がなければ、三年も四年も五年も六年もこれはほっぽらかされたんじゃ大変ですよ。そういう意味で、四年たっているわけですよ、一体いつになったら結論が出るのですか。
  99. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 石炭鉱害事業団において、ただいま先ほど申し上げました事実関係の解明あるいは対処方針の検討を鋭意行っておりまして、この検討結果が出されました段階で、当省としては適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  100. 緒方克陽

    緒方分科員 その鋭意検討を行っているというのは、いつ結論が出るのですか。
  101. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 いろいろと複雑な問題が絡んでおりまして、具体的に私今いつというめどは申し上げにくい状況にございますけれども、当省といたしましても、極力早期解決が図られるように努力をしてまいりたいと考えております。
  102. 緒方克陽

    緒方分科員 それで、極力早期解決を図るということですが、極力解決が五十九年から四年たっているわけですよ。極力というのはあと一年ですか、半年ですか。どういうことでしょうか。     〔自見主査代理退席、主査着席〕
  103. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 技術的な問題あるいは法制的な問題あるいは受忍の限度、その辺が非常に複雑に絡んでおりまして、まことに恐縮でございますが、私今ここで、いろいろな予見が不可能な検討材料というのも幾つかあるものですから、具体的にいつまでということは申し上げにくいことを御理解賜りたいと思うのですけれども、極力早期に解決を図ってまいりたいというふうに考えております。
  104. 緒方克陽

    緒方分科員 同じことの繰り返しですが、五十九年から石炭事業団が調査を始めて、受忍の限度とかそれからいろいろなことを今三つほど条件を言われましたけれども、今の回答では納得できないわけですよ。既に四年たっているわけです。そして、あといつになるかというのはいろいろ慎重に検討しなければならぬ、その間農民はもう八年ほったらかされているわけですね。そういうことについては簡単に済まされる問題ではないですよ。
  105. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 担当部におきましては、また事業団においても大変苦心をしているという報告を受けておるわけでございますが、先生御指摘のような時間の経過もあるわけでございますので、私自身が改めまして担当部あるいは事業団から作業の進捗状況をチェックをいたしまして、一層作業をスピードアップするよう指示をいたしたいと思いますし、改めましてその結果を御報告をさせていただきたいと思います。
  106. 緒方克陽

    緒方分科員 幾ら押し問答してもしようがないということのようですけれども、今長官言われましたように、大臣もいらっしゃいますが、もう長官が御答弁になりましたから言いませんけれども、やはり政治というのは、それは確かに慎重にやらなければならぬ問題もある、しかし八年も十年もたつというのはやはり問題ですから、そういう政治不信といいますか行政不信というものを解消するためにも、それは内容は、解決の仕方はいろいろあるでしょう、しかしそこを詰めて整理をしていかないと政治というものは進んでいかないということですので、今長官言われましたように、改めてその作業の進捗状況なりを調べ、そして一層作業をスピードアップするということで指示をしてもらって、その経過については報告をしてもらうということで、またその後については、私はこの問題を非常に大きな問題だと思っておりますから、引き続き政府の方に働きかけ、あるいは解決に向けて努力してもらうようにしてもらいたいというふうに思います。  時間があと四分しかありませんので、最後に、同じようなことですが、佐賀県、軟弱地盤でいろいろな問題があるわけですけれども、六角川II地区の家屋の鉱害認定の問題です。これは五十二年に農地などについては鉱害認定がなされているわけですが、家屋等については被害がありながらまだ認定がされていないという問題があるわけです。これも非常に地元としては、農地はあって家はされないということについては問題ではないか、それは率直な気持ちですよね。だから、それぞれの状態によってできるところ、できないところは仮にあるかもしれない。しかし、認定は早急にされるべきではないかというふうに思いますが、この問題についての前向きの回答といいますか、現状、早急に解決をしていただきたいわけですが、このことについてのお答えをしていただきたいと思います。
  107. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 御指摘のいわゆる六角川II地域と私ども言っておりますけれども、このII地区内の家屋の取り扱いにつきましては、この地区内で農地、道路、水路等の復旧工事は既に認定をいたしまして行うことになっておりますけれども、その施工の際に、連携被害を生じると認められるものにつきましては鉱害認定を行って、復旧工事を実施したいというふうに考えております。
  108. 緒方克陽

    緒方分科員 関連ということでは問題ですので、これはぜひ問題のないように地域からの要望に十分こたえられるような認定になるように強く要請をいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  109. 林大幹

    林主査 これにて緒方克陽君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一弥君。
  110. 玉置一弥

    玉置分科員 きょうは一点に絞ってお聞きをしていきたいと思います。  実は通産省の方で、今特に貿易摩擦解消のため、一つは国際化を迎えてそれぞれの産業の構造調整と変革への対応、こういうことをいろいろ考えられているようでございますが、どうも言葉が先行してなかなか体制がついていかないのではないか、ちょっとそういう心配がございます。そういう面から、きょうは特に構造変革、この辺についてどういうふうな進め方をなさっていくのかということをお聞きをいたしていきたい、かように思います。  そのベースになるのは、昭和六十二年十二月に発表されました産業構造審議会の「構造調整の進展と産業構造の展望」、こういうのがございます。ここにいろいろ考え方なりあるいは中長期の展望というものが出ております。これを見てまいりますと、一つは、産業そのものが今までは第二次産業が主体でございましたけれども、これが第三次産業にどんどんと移行している。いわゆる生産効率が上がってまいりまして、余った労働力がそれぞれサービス部門へ流出をする、こういうところから非常に変化が出ていくのではないか、こういうふうな感じがいたします。  それから、経済企画庁の方から発表されました二十一世紀に向かっての消費というところの中にもございますけれども、今現在の消費動向をとらえてみて、三つの大きな要因でこれが拡大をされていくだろう、こういうふうに見られております。その三つの要因と申しますのは、一つは日常の生活を広げるための消費、二つ目が生涯の生き方を広げるための消費、それから安心のための消費、こういうふうな方向があるだろう、こういうふうに思われるわけでございます。  通産省の方の構造調整の目標というのがございまして、これはもう御存じであろうと思いますけれども、これも大まかに分けると三つございます。一つは、低い居住水準の解消があると思います。それからもう一つは、高い生計費の解消。これもまた経済企画庁が発表されましたけれども、生計費の費目別に比較をした場合に、アメリカより高い生計費で日本が今やっているということもございますし、ましてドイツあるいはイギリス、フランスと比較をしても高い、こういうことが出ております。それから三つ目が、長い労働時間の解消。これは今回の貿易摩擦で諸外国からいろいろ日本に対する苦情が来ておりますけれども、その中に、これだけ働いたら安くなるのは当たり前だ、こういうような言い方がございました。この辺から見ていきますと、まさに今通産省が柱として目標としてつくっておられますこの三つについて十分な対策をとっていかなければいけない、かように思うわけでございます。  そういう面から見ていきますと、産業構造調整につきましては、通産省が柱となっていろいろな政策を打ち出しながらそれぞれの分野を押さえていくぐらいの積極性がなければ、これからの産業構造の調整というのは難しいのではないか、またなかなか進展をしていかない。  今現在の貿易、諸外国、特に先進諸国との関係から見ていきますと、そういつまでも待っているような状態ではないわけでございまして、ガットにいろいろ提訴をされたりあるいは逆に保護主義に火をつけたり、こういうようなことが続いているわけでございまして、そこでまず具体的な質問をしてまいりたいと思います。  今特に対外直接投資というものが非常に盛んでございます。六十二年、六十一年を比較いたしますと七〇%も増加している、こういう状況でございます。これはそれぞれの企業が円高のために損益が非常に悪化をする、そういう状況の中で何とか対応していきたいし、また海外市場の確保という面から海外との協調というものを進めていかなければいかぬ。協調のやり方はいろいろございますけれども、特に相手の国に対する開発援助とか、あるいは技術援助とか、そういう面での投資も非常にはやっているようでございますが、独自でやはりこの時代を乗り切っていくというふうな対応のあらわれではないか、こういうふうに思うわけでございまして、これは各企業が個別にそれぞれ走り始めておりますけれども、通産省としてこの構造調整の面から見てどういうふうな受けとめ方をされているのか、このことをまず第一点としてお伺いしたいと思います。
  111. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいまお話にございましたように、日本の海外直接投資というのはこのところ円高の影響もございまして急ピッチで進んできておりまして、製造業だけとりましても、六十一年度は六十年度に比べまして六二%ぐらいの増加でございますし、恐らく六十二年度に入りましてからも、上半期ではやはり六五%ぐらいふえているかと思います。  こういった問題につきましては、やはり日本の輸出をモデレートにするという効果もございます。これまでのように商品を国内でつくって輸出をするということではなくて、現地で生産をして現地で消費をするという面で日本の輸出をモデレートにいたしますし、また、現地で生産されたものが日本国内に入ってくるという意味で輸入の拡大効果もございます。したがって私どもは、これは円高のもとでのいわば市場機能によりまして進められるということにつきましては、その動きを進めてまいりたいと思っているわけでございます。  ただ、こういう海外直接投資の活動といいますのは、国内におきます産業活動が、そうでなかった場合に比べますとその分だけ削限をされるということにもなりますし、雇用機会がそれだけ失われるということにもなりますので、こういった面については、国内で内需拡大することによって新しい産業活動の機会をふやし、また雇用の場を提供するというような対応が必要かと考えております。主としてその後者の点について私どもとしては政策の力点を置いていく、こういうふうに考えておるところでございます。
  112. 玉置一弥

    玉置分科員 今の日本の使命といいますのは、やはり内需拡大によって、アメリカにかわるほどは力はないと思いますが、アメリカが若干緩んだ分だけ機関車的な部分を引き受けていかなきゃいけない、こういうことにあるかと思います。  そういう面からいきますと、今もお話にございましたように内需拡大、これが非常に大きなポイントになりますし、日本の消費形態から見ていきますと、どうも貯蓄性が非常に高いというようなこともございますし、非常に物を大事にする、そういう面から考えていきますと、なかなか消費拡大につながることが少ないのではないか。そういうことからいきますと、この経済企画庁の資料の中にもございましたように、やはり消費拡大の三つの要素、これを推進をしていくということも必要でございますし、消費構造そのものを変えていかない限りは日本としては消費大国にはとてもなり得ない、こういうふうにも思うわけでございます。  そういう面で、現在ある産業構造の中での消費拡大というのが一つと、ポイントは要するに個人消費の拡大にやはり力点を置いてやっていかなきゃならないと思いますけれども、産業全体の中でも消費は行われるわけでございますし、その辺についてやはりやっていかなければならない。それからもう一つは、現在での状態の中から新しく出てくる消費というもの、これはいろいろなサービス化、いわゆるソフト化というのですか、そういう動きの中で生じてくる消費だというふうに思います。あるいは今の話の三つの消費ですね、拡大の過程の中で増大をしてくる消費というふうに考えるわけでございますが、少なくとも消費構造の変換をやはりやっていかないと、日本としては幾らやってもかけ声だけで終わってしまう、こういうように思うわけでございますが、その辺についてどういうようにお考えになりますか。
  113. 杉山弘

    ○杉山政府委員 私どもは、日本の経済構造転換または産業構造の転換というものは、一方では需要面におきましては国民生活のより一層の充実高度化という面に向けられてしかるべきものというふうに考えております。そういうことから申しましても、GNPの過半を占めます個人消費につきましては、これをふやしていくことが、今後の日本経済内需拡大型に持っていき、また国民生活充実高度化を図っていくという観点からも必要であろうかと思っております。  先生御指摘のレポートの中では、幾つかそれについて提言もしているわけでございます。  一つは、やはり何と申しましても、このところ可処分所得の伸びが鈍っているということが消費拡大の妨げになっているのではないか、そういう観点から申しますと、今、国会でも御議論になっておられますが、減税の問題もございましょうし、また、生産性の向上の成果というものを賃金の上昇という面にしかるべく配分をしていただくということも必要であろうかと思っております。  またそれ以外に、企画庁あたりも指摘をしておりますが、最近は消費の中でも時間型の消費というものが大きなウエートを持ってきておりますので、その消費をふやしますためにはむしろ余暇の時間というものがふえていかなければいけない。そうなってまいりますと、労働時間の短縮といったような問題も必要になってまいりますでしょう。また、先生先ほど御指摘になりましたような居住水準の向上ということで住宅対策等に力を入れますと、それがまた消費の拡大につながってくるというような問題もございます。  一方、消費者の方に消費の意欲はありながら、施設が整備されていないという面で潜在的な消費意欲というものが顕在化しないという面もございますから、こういった点につきましては、総合保養地域整備法等に基づきますレジャー施設の整備等々の問題も対策として講じていく必要があるのではないかということで、内需の各重要項目について検討いたしておりますが、その中で大きな重点は、やはり消費の拡大ということに重点を置くべきものというふうにレポートの中では指摘をされているところでございます。
  114. 玉置一弥

    玉置分科員 先ほどの最初の話に戻りますけれども、今お聞きをいたしますと、各分野にわたっているわけですね。労働時間の短縮は、どちらかというと労働省の管轄でありますし、いろいろなレジャー施設等の整備となりますと、建設省なりあるいは国土庁ということになってまいります。政府としてこの産業構造変革、特に今の消費部門の拡大とかを含めて考えていく場合に、どこが窓口でどういうやり方をしていくのか、この辺についてお聞きをしたいと思います。
  115. 杉山弘

    ○杉山政府委員 政府部内では、各省にまたがる問題も多うございますので、私どもも各省と連携をとりながら、今御指摘のありました点につきましてはこれから努力をしてまいりますが、やはり政府部内でこれの取りまとめということになりますと、恐らく経済企画庁がその任に当たられるということになるのだと思います。  経済企画庁では、御案内のように、現在新しい中期の経済計画の策定作業を進められておりまして、それは四つの部会で検討されておりますが、その中で国民生活に関する部会も設けて、国民生活充実向上のための方策の議論もしておられます。恐らく、計画ができましたら政府は各省力を合わせてその実現に向けて努力をしていくということになると思いますが、その過程でのいろいろな問題の調整は経済企画庁が窓口となって行われるもの、そういうふうに私どもは考えております。
  116. 玉置一弥

    玉置分科員 経済企画庁に聞きますと、経済企画庁経済調整だけで、産業構造調整等につきましては通産省の所管でございまして、具体的なことは通産省にぜひお聞きをください、いつも必ずこういう話がついてくるのです。だから、何となく産業経済の一つですし、本当は統括して具体的なこともどこかで窓口としてやっていかなければ進まないというふうに思うわけです。いろいろな相談事を持ち込んでも、それぞれあれはあちら、これはこちらということで振られてしまう、だからやはり事務局をつくっていただいて、その中でより具体的なことが進展していくような体制をとらないと、これはもう逆に言えば、企業なりあるいはそれぞれ個人が、産業という面あるいは消費という面で自分たちが独自で対応せざるを得ない。その結果を見て政府がやりました、こういうふうなことになりかねない。それについて大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  117. 田村元

    田村国務大臣 所管というのはなかなか難しい問題でございまして、私も一年半余りこの仕事をしておりますが、例えば通商貿易問題で非常に際どい、外務省なのか通政局なのかわからないようなところもあります。それから企画庁との間でも、時々どちらが答弁に立つかということで相談をするような場面もあります。でございますから、明確にしなければならぬのでしょうけれども、また余り明確にしてしまうとそれぞれが、無責任とは言いませんけれども、もたれかかってしまうということも起こるかもしれません。でございますから、そういう点でなるべく一つ一つの問題でけじめをつけるようにということを私は申しております。そういう考え方の上に立って、今後もこういう問題についても遅滞なく効率的に進めることができますように取り計らっていきたいと思っております。
  118. 玉置一弥

    玉置分科員 確かに分野の話もありますけれども、ぜひ両方が積極的になるような形でこれからの進め方を御指導いただきたい。  消費の話に関連いたしますけれども、円高差益の還元がなかなか思ったようにいってないというような状況でございまして、これも経済企画庁調査でございますが、昭和六十一年度末に還元額が約四三%、それから六十二年、これは間でとってみますと大体六七%ぐらい、大分状況はよくなってまいりますけれども、並行輸入の方が行われた場合にはまだまだ非常に価格が安くなって入ってくるというような問題がございます。  これを調べてまいりますと、総代理店制度というのがございます。総代理店制度が逆に輸入品の価格引き下げに大変なネックになっている、こういうふうに思われるわけでございます。つい先日の報道等にもございましたように、特にブランド名の高い製品、この辺についてはもうほとんど値段が変わってないというような状況でもございますし、私が担当しております大蔵委員会等におきましては、例えば一万円の洋酒がございますと、そのうち五五%が輸入マージンである。実際の製品というのは千二百円ぐらいです。千二百円ぐらいに九百円ぐらいの税金がかかりまして、四三%ですからそんなにかかりませんが、大体元値が二千円ぐらいです。だから通関費とかいろいろ含めても二千百円ぐらいになってしまう。ところが、残りが流通マージンで、ほとんどがその分野でとられてしまう。ですから、輸入品のコストが下がっても、例えば千二百円ぐらいのところが下がるだけであとの部分は下がらない、こういうふうな状況になっております。  そういうのを見ても、やはり輸入総代理店制度そのものに問題がある。まして日本は流通段階が非常に多いと言われておりますけれども、この辺の問題点があるのではないかというように思うわけでございますが、輸入品の円高差益の還元ができない大きな要因として、私は輸入総代理店制度というものに問題があるというように思うわけでございます。  通産省としては、まず全体の円高差益還元をどういうふうに考えており、やっておられるのかというのと、個々の問題点、大まかで結構でございますから、お答えをいただきたいと思います。
  119. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 円高差益の還元は、大変に重要な問題でございます。通産省といたしましては、まず政府として直接関与できるものにつきましては、先生既に御承知のとおり、電力、ガスを中心に直接の値下げを指導してまいりましたし、その他の自由価格商品につきましては、これは一つ一つの価格に直接政府が指示するという性格のものではございませんけれども、価格メカニズムが的確に働くことによって、競争を通じてできるだけ速やかにかつできるだけ大幅に還元されるようにいろいろな手を打ってきておるわけでございます。  具体的には、輸入品につきまして価格動向調査を行いましてこれを発表する。それから大手の流通業者、大手百貨店、チェーンストア、大手スーパーとも言っておりますが、それらに対しまして格別の努力を要請いたします。あるいはさらに、ただ従来扱っている品物の値下げをするだけではなくて、積極的に海外に商品を開発をして、それを円高を利用して安く消費者に提供する。これは流通業者による開発輸入と言っておりますが、そういったことも要請をしてやってもらっております。さらに、今日まで輸入品について取扱業者が必ずしも多くない。これが競争を活発にしない原因の一つになるかと思いますので、できるだけ多くの企業に輸入品を扱っていただく、こういう観点から、中堅卸業者を対象にいたしまして全国十二カ所で、ちょうどただいまやっておりますが、この一月から三月にかけて輸入品の取り扱いについてのセミナーを開く等々の施策を講じてきております。
  120. 玉置一弥

    玉置分科員 確かに、ブランド製品なんかは高くすればするほど売れるというのがございまして、商品ごとに一概に円高差益を還元した方が売れるというふうには思えないのですけれども、しかしいずれにしても、総代理店制度というのが逆に言えば製品に対して寡占状態をつくってしまっているということがございますし、また日本の流通制度そのものがかなり複雑になっているというところに問題があるのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味でぜひいろいろなPRをしていただいて、逆に言えば消費者に、円高メリットを自分たちが還元させるぐらいの力がなければいけないと思うのです。物というのは、大体売れないと下がるのが自然の原理でございまして、高くても買うから下がらないわけですから、そういう意味では消費拡大にちょっとつながりませんけれども、多少とも消費者もそういう点を勉強していかなければいけないのかなという感じがするわけでございます。  しかし、ここにも書いてありますけれども、例えば革製品とか繊維、腕時計、化粧品、こういうふうにありまして、その中で一番CIF価格の安いものが、安いものというか割合の低いもの、これが化粧品です。それから革製品、繊維、腕時計なんかまあまあそこそこの値段になってきますけれども、それにしても輸入マージンが非常に大きいという点がございます。この辺はやはり寡占状態であるということが一つの大きな問題点ではないかというふうに思いますので、まず限定して総代理店制度、これは公取も指摘をしたと思いますけれども、この辺について通産省はどういうふうなお考えを持っておられるかをお聞きしたいと思います。
  121. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 輸入総代理店制度には、競争の促進という観点から、プラスの面とマイナスの面、両面あると思っております。  プラスの面といいますのは、自分が一手に扱うという地位を得るわけでございますから、それなら今まで日本に入っていなかった商品をひとつ自分が扱ってみようか、いわばうまみがあるわけでございますから、新しい商品を市場に持ち込む動機になる、そういう意味で競争促進につながる要素がございます。そのほか、消費者にとってはアフターサービスを安心して受けられる等メリットが幾つかあるわけでございます。  しかし一方、本質的に一手販売でございますから、おっしゃるように独占の上にあぐらをかくということで高いマージンをむさぼりがちだというデメリットもございます。  この点につきましては、公取が昨年四月に並行輸入に関する考え方というのを発表しておりますが、この中でもただいま私が申し上げましたようなことと同趣旨のことを言っております。  そこで問題は、デメリットの方をどう少くするかということでございますが、私どもはブランド間競争の促進ということではないかと思います。つまり、例えば同じ革製品でもネクタイでもお財布でも、世の中に一種類のブランドしかないわけではありませんで、いろいろなブランドがあるわけですから、いろいろなブランドがそれぞれ総代理店制度のもとであっても競争するということは大いにあり得るわけでございますし、さらに進んで申せば、いわゆるブランド品でなくても輸入品の中にはいいものがあるということを消費者が認識すれば、そういうものも競争相手になるわけですから、基本的に輸入品をふやし取扱業者をふやすということで競争の促進を図る、それを通じて余分なマージンが削られていくというふうになるべきだと思っております。
  122. 玉置一弥

    玉置分科員 まだまだ公取の方もどういう扱いをするかというのは苦慮されているようでございますから、その辺をぜひ詰めていっていただきたいと思います。  また産業変革に戻りますけれども、構造調整の中の問題点としまして通産省の方でいろいろお考えになっておりますのは、構造の変化と雇用問題、いわゆるミスマッチの問題、これがあります。それから地域経済、国土利用との関係、これは特に中小零細都市の方が生き方が難しくなってくる、こういうことを言われております。それから、受益あるいは負担の枠組みが明確でないとこれから対応できない、こういうお話でございます。  それで我々が大変心配いたしますのは、各企業独自でこれからの対応を考えていくということになりますと、やはり行き過ぎた空洞化ということが一つ出てくるのではないか。それから、我々の方もございますけれども、例えば舞鶴市というところがございまして、そこは造船、板ガラス、それから化学、そういう三つの企業で成り立っているわけでございますが、板ガラスを除きましてほかが今もうめためた不況でございまして、町としての存立が非常に難しくなるというようなことがございます。ですから、空洞化あるいは企業がその地域から出ていくということで考えてまいりますと、新しいこの流れに沿った産業構造変革のために新しい意味での雇用不安というものが出てくると思いますが、こういう面をどういうふうに見て、どういう対応をされていくのか、特に大臣としての姿勢ですね、通産省の姿勢をお伺いして、終わりたいと思います。
  123. 杉山弘

    ○杉山政府委員 これからの産業構造転換を考えてまいりますと、私どもの見ておりますところでは、製造業それ自体というのは、実質的な生産額の面ではこれからも日本経済において現在と同じくらいのウェートを占めていくものというふうに考えております。ただ、製造業の場合には生産性向上の余地が非常に高いものでございますから、名目生産額でございますとか就業構造という面でまいりますと、これまでよりはそのウエートを落とさざるを得ないということになってくるのではないかと思います。したがいまして、そういった観点から申しますと、新しい雇用機会の場というのはどうしても三次産業を中心とした分野でということになってまいりますが、私ども考えますと、恐らく中程度、四%前後の成長が実現できますと、マクロとしての労働のバランスというのはとれていくのではないかと思いますが、問題は、やはり年齢別、職種別、地域別の雇用のミスマッチというのが非常に大きな問題でございます。  先生お触れになりました舞鶴市の問題は、地域的な問題の一つの例かと思います。こういった点につきましては、私ども従来から、日本の経済構造の調整、産業構造の転換を進めるためにはこういった構造調整に伴うひずみ、摩擦というものをうまく解決していかないと、全体としてかなり大きなきしみが出てきてしまうということでかなり力を入れておりまして、中小企業の関係でまいりますと、特定中小企業対策臨時措置法というものを国会でつくっていただきましたし、また、大企業を中心とした構造転換を円滑にするためには、昨年の国会で産業構造転換円滑化臨時措置法を成立させていただきまして、地域対策、それから各業種ごとの事業転換という点に力を入れてきておりますが、こういった点につきましてはこれからもますます心していかなければならないというふうに考えております。
  124. 田村元

    田村国務大臣 今産政局長が申したとおりでございまして、これに尽きるわけでございますが、あえて私から申し上げますならば、まず、為替レートの安定ということは何よりも必要であろうと思います。もちろん、それが高値安定では困りますけれども適切な姿での安定、それから内需拡大策というものはやはり政策の継続性を必要とするということで、そういうマクロ経済運営というものをこれから適切に進めていかなければならぬだろう、このように思います。そのような考え方の上に立って、先ほど局長が申しましたように、技術開発あるいは情報関連施策等いろいろな問題、あるいはまた新転換法あるいは中小企業の特定地域法等々の適用も図っていくということであろうかと思います。  いずれにいたしましても、一つは、より新しい産業分野で雇用を創出していく必要がある、と同時に、内需という面で、何といってもこれから外需で成長への寄与率はやはりマイナス一%程度は足を引っ張るでしょうから、そういう点も考えて、安定的な内需拡大を、やや高目の経済政策をとっていく必要があろうというふうに思います。
  125. 玉置一弥

    玉置分科員 終わります。
  126. 林大幹

    林主査 これにて玉置一弥君の質疑は終了いたしました。  次に、坂上富男君。
  127. 坂上富男

    坂上分科員 私は、商業用原子力発電所について集中的な質問をさせていただきたいと思います。  まず、本年一月三日付で「原子力に関する世論調査」の結果が発表されております。それによりますと、原発に不安が八六%でございます。そしてこれは調査のたびごとに大幅な増加をしておる、こういうふうに言われておるわけなんです。昭和四十三年に初めて原子力に対する調査をいたしました。自来九回目でございます。そして原発に不安を覚える国民の皆さんは、五十六年が五八・八%、五十九年が六九・八%、そして今回は八六%もの方が不安を感じておられるわけでございます。原発担当の通産省といたしまして、大臣、これに対する御所感をまず賜りたいと思っております。
  128. 田村元

    田村国務大臣 率直に言いまして、国民は原子力発電に対して二つの考え方の流れを持っておると思います。その一つは、先般一月に発表されました総理府実施の「原子力に関する世論調査」の結果を見てみますと、全体の約六〇・六%の回答者が今後の電力の主力として原子力発電を挙げている。そしてまた、全体の五六・八%が今後とも原子力発電をふやしていく方がよいだろうというふうに答えております。ところが、また反面、今おっしゃったように、全体の八六%の人々が原子力発電の安全性に不安を感じていることは事実でございます。そういうわけでございますから、通産省としましては、原子力発電の推進につきましては今後とも安全を最優先に取り組みますとともに、国民の不安解消に努めてまいりたいと思っております。  先般、私は、予算委員会の一般質問でございましたかでお答えをいたしましたが、やはり通産省にしても政府にしてもそうでございます。通産省だけじゃありませんが、科技庁もありましょうし、政府と言った方がいいかもしれませんが、政府、それからまた電力会社等々で、いささか広報活動に欠けるものがあるのじゃなかろうか、いろいろな面で、国民にわかりやすく知っていただくための懸命の努力をしなければいけないと私は思います。そういう点で、今後とも大いに督励をいたしたいと思っております。  同時に、安全性の問題につきましては、私自身も非常に神経質に取り組んでいきたいと思っております。と申しますのは、私は原爆被爆者手帳を持っている男なんです。でございまするから、特にこういう問題については一層神経質に取り組んで、不安解消のための努力をしていきたい。しかし、一方において必要性があることはまた否めない事実で、先般のIEAの閣僚会議におきましても、その点は世界各国の大臣たちの指摘するところでございました。
  129. 坂上富男

    坂上分科員 大臣は宣伝の方法にも問題があるなどとおっしゃっておりまするけれども、これは大変な誤りでございまして、この世論調査の中で、積極的にふやすというのはわずか六・七%ですよ。この事実をどういうふうに御理解になりますか。
  130. 田村元

    田村国務大臣 今、広報活動ということをどういう意味でお受けとめいただいたか私もしっかりわかりませんが、いわゆるいいかげんな宣伝という意味じゃないので、国民に知っていただくための広報活動を十分にすべきである、残念ながらその活動に欠けるものがあるということを申し上げたわけであります。これは非常にまじめな気持ちを申し上げているわけです。  同時に、先ほども申し上げましたように、原子力発電というものの位置づけにおいては肯定者が過半数ではあるけれども、不安感を持っている者は八六%という現実もまた我々は無視することはできない、こういうことを申し上げたわけであります。
  131. 坂上富男

    坂上分科員 これ以上になりますと水かけ論争になってもいけませんから、また別の角度からお聞きをいたしましょう。  今度は、チェルノブイリ・ソ連原発事故の影響かどうかわかりませんが、原発の建設が世界から見ると大変見直しをされております。日本原子力産業会議が発表いたしましたこの動向についてちょっと申し上げますと、エジプトで六基、イタリアで四基、アルゼンチンで三基、デンマークで二基、中国で二基、西ドイツで一基、ギリシャで一基、スペインで一基、ソビエトで四基、こういうふうに建設の見直しが行われておるわけでございます。これについて大臣はどのようなお考えですか。
  132. 田村元

    田村国務大臣 これは何新聞ですか。
  133. 坂上富男

    坂上分科員 これはもう全部に出ていますよ。
  134. 田村元

    田村国務大臣 大変申しわけありません。私、まだこれを読んでおりませんが、ただ、私がブリックス事務局長の話を聞いたりあるいは内田さんの話を聞いたり、また専門家の話を聞くところによれば、我が国の原子力発電を進めることについて、安全性というものには自信を持たれたらよかろう、こういうことでございます。先送りというのがどういう理由でそうなっておりますのか、私、実は読んでおらぬものですから、今ちょっと読む時間を与えていただけぬでしょうか。
  135. 坂上富男

    坂上分科員 ええ、どうぞ。  さて、そこで、今度は大臣に対してじゃなく別の方へ質問しますが、今、私は二つの実例を挙げたわけでございます。それは国民が、世界の人がいずれも原発に対して大変な不安を持っておるからだ。そこで、私は今度は、私の郷里におきまするところの柏崎刈羽原発について、今、第一号機について原子炉の設置許可を取り消せという裁判が行われておるわけでありますが、この裁判の中にあらわれた安全性審査のずさん性について、私はずさんと申し上げたいのですが、この問題についてひとつ御指摘を申し上げまして御見解を賜りたいと思っております。  これは今、三号機と四号機の許可が出たのですな、これが百メートル離れておるわけであります。その間、もう一基分が入るわけでございますが、離れてつくられたわけであります。この原因について、裁判所で去年の九月と十二月に、これは国側から出された証人なのか、あるいはこちらの原告側が出した証人なのかわかりませんけれども、この方は原子炉安全審査会の審査委員になっておられる方でございまして、垣見俊弘という方が原発の地盤について証言をなさっておるわけです。この証言の中で、審査の中の資料に間違いがあるということをとうとう認められたという部分があります。これについて御指摘を申し上げまするからお答えをいただきたいのであります。  まず、こういう答弁がございます。おわかりだと思うのでありますが、これはボーリングと図面と申請書の関係についてでありますが、こういう証言をなさっておるわけであります。「そうですね。どちらが間違っているか知りませんが、I―4のボーリングの位置と、このボーリングの柱状図が正しいとすれば、このポンターは、ちょっと、ボーリングのデータと合っていないということになりますね。」こういうふうに言っておるのです。さらに、私たちの方でこういう質問をしておるわけであります。「証人は、日本最高の地質学者の一人として、専門家として、おっしゃっていることの間違いよりは、この上限面図の作り方のときに、プラスマイナスを間違ったという可能性が極めて高いんじゃないんですか。」と、うちの方で質問しております。これにこう答えているわけです。「まあ、いろんな見方があると思いますが、そういう見方は確かにできるということですが、ただ、I―4というものと、22というものとをボーリングのやった主体が違うということから、東電というか、申請者がこれを全然参考にしなかったならば、また別の解釈ができると思いますけれども、このデータを信用する限り、こういう形で、約二〇メートルくらいの間違いが生じているという可能性はあると思います。」こう言っているわけです。そこへ二、三やりとりがありまして、「そういうことでしょう。」ということになりまして、「この二点だけで比べると、そこでは、間違っている可能性が大きいということは言えると思います。」こう言っておるわけです。これはどういう議論に対するどういう答弁か、ちょっと素人的な解説をひとつ専門官やってください。
  136. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 今お尋ねの件はただいま裁判所で議論されているものでございまして、先生突然のお話で、私、本日、資料を持ち合わせしておりません。したがって、どういう事実関係かということを今お答えするわけにはまいらないわけでございます。御質問のことで、地質の調査の件について、ボーリングが少ない、その後減ってきているのはどうかというような御質問があるというように聞いておりましたので、その関係の資料はございますが、今おっしゃいました証言の中身で専門家がどういうふうに証言して、それが事実関係はどうなんだというようなことは、ただいま裁判所の方で議論されていることでございます。私どもは見解を述べる立場でもございませんし、もう少しその事実関係を調べろということであれば、お時間をいただければ十分お調べしてお答えしたいと思います。
  137. 坂上富男

    坂上分科員 裁判所で論争しているんじゃないのです。裁判しているのです、おまえたちは間違いだから取り消せと言って私たちは。議論なんかしていません。議論しているのは国会だ。  さて、そこで、今言ったようにあなた方の審査委員の垣見さんが法廷で間違いを指摘したわけであります。そのことで、どうも申請書と実態調査に間違いがあるんじゃなかろうかということを確認をしているのです。もうちょっと申し上げましょうか。三号機と四号機の間が百メーター離れた点についてどういうふうに皆さん理解しているのですか。
  138. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 今の議論の、先生は専門家が間違いだというふうに指摘したというお話でございますが、その件につきまして私は確認しておりませんので、お答えできないわけであります。  それから、今のお尋ねの件でございますが、百メーターというのは間違いだと思いますが、三号機と四号機の間は二百二十五メーター離れております。それから二号と三号は百四十七メーター離れておりますので、先生の御指摘は、あるいはそのほかのものに比べて間隔が広いのではないか、百メーターより短いですけれども、百メーターぐらいほかより離れているではないか、こういう御質問であればそのとおりでございますが、これは、地点を選ぶ場合には詳細な調査をいたします。したがいまして、その間に弱層がございますればそこを避けるということはやりますし、本件の場合、安全審査の過程でのいろいろな議論は、もちろん断層というか弱層を避けて立地したということもございますが、それに加えまして施工上の問題もあるので、施工のやりやすさも考えて、普通ですと二、三号は百五十メーターぐらいですが、二百二十五メーター離した、こういうふうに申請者は言っておるわけであります。
  139. 坂上富男

    坂上分科員 ちょっと専門的な質問を皆さんと展開をしておるわけでございますから、距離が百メーターでなくて二百数メーター、それはそれで結構です。なぜ離れたかということを聞いているわけです。おっしゃるとおり、断層があったから離れざるを得なかったのじゃないんですか。どうです。
  140. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 断層があれば、その場合の断層がどういう性格の断層であるかということを詳細にやります。断層の種類によって離すか離さないかという問題もあるわけでございまして、小さなもので地震なんかのときに全く影響のないものもあるわけでございます。そういうときは避けないということでございます。この場合は、炉の間にそういう弱層があるので離しているということはございます。そのほかに私が申し上げたのは、施工上の問題で、そういう理由で離れているのであって、断層があるからというそれだけの理由でやっているわけじゃございません。いろいろな問題を考えて設計をするわけでございますので、そこは御理解いただきたいと思います。
  141. 坂上富男

    坂上分科員 断層は、地すべり性の断層にすぎないかあるいはそうでないかということによって分類ができるのだろうと私は思うのです。そこで、立地の申請書を見ますと、三号機から離れれば離れるほど基盤が浅いからこれを選択したのだというふうに言われておるわけでございます。しかし、実際に申請書を調べてみますると、離れれば離れるほど基盤が深くなって傾斜が急傾斜になっていることが申請書の図面によって出ているわけでございます。したがって、この垣見さんがおっしゃいますところの、断層があって基盤が深くなっているために動いたんじゃなくして、いわゆる断層があって、その断層が極めて危険だから動かなければならなかったのじゃなかろうか。かつ、それは、ボーリングとその申請書を合わせてみると計算上の違いがあるんじゃなかろうか、こういうことをおっしゃっているんじゃなかろうかと私は思います。ただ、専門的な立場で皆様方がどのような御理解をなさったのか、こう聞いているわけです。  いま一つ、柏崎の議会で長野という助役さんは、事実と申請書と違うことをおっしゃっている。基盤の浅いところを選択した結果離れた、こう言っているわけです。それから刈羽村会で近藤村長は、基盤が傾斜しているので離れた、こう言っているわけです。しかし三号機から見れば、さっき申したとおり、離れれば離れるほど基盤が深く急傾斜になっていることが申請書や図面によって明らかなのでございまして、どうも三号機と四号機の間の断層の問題というのは、私たちは安全性の立場からもっともっと検討しなければならない問題でないか、こう言っておるわけです。いかがですか。
  142. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 私どもの立場からいいますと、申請がありまして、その申請に基づく立地の場所があらゆる技術的検討から見て大丈夫かどうかということで判断するわけでございまして、今ある場所の断層なりあるいは付近の断層の影響なり、地耐力なり地すべりに対する対応策なり、そういうところが十分な強度を持っているかどうかということを判断しているわけでございます。先生御指摘のような、それはどういう理由でそこへ行ったかという問題よりも、その立地したところがいいか悪いか、これを判断しているわけでございまして、その専門家の見解というのは、私どもとしてはそれ以上のことはないわけでございます。
  143. 坂上富男

    坂上分科員 それではこれを別の角度から申し上げますが、七四年までの地質調査資料というものは公開してあります。約六百本のボーリングの結果でございますが、七五年以降実施した資料というのは全く私たちに公開されておりません。約百本から二百本ボーリングしたようでございますが、これは何で発表しないのですか。
  144. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 まず、ボーリングは何のためにやるかということから御説明しないと御理解いただけないかと思うのでございますが、原子力発電所の場合には、まず全体の地勢、地質を判断する、あるいは場所内に断層があれば、どういう方向に走ってどれくらいの規模のものであるかということをやるわけでございます。また海についても、海の近いところでボーリングをやるわけでございまして、御指摘の八百本というのは、第一号の申請のときに敷地全体も含めまして八百本をボーリングした、ですから八百本ございます。しかし、二号機以降は、全体のものは大体わかっておりますから参考的に追加してやるのはございますが、設置するその炉の場所ごとに詳細にやるわけでございますので、追加したボーリングの数はふえないわけでございます。今の状況ではその後約二百本追加してございますが、それにつきましては安全審査の申請の資料に入っておりまして、それは公開されております。
  145. 坂上富男

    坂上分科員 資料の中で公開されているわけですか。これは何も公開されてないですよ。
  146. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 ボーリングの結果を申請書にはつけることになっておりまして、申請書は公開しておりますので、その結果は出ているわけでございます。
  147. 坂上富男

    坂上分科員 私たちの調査があるいは悪いのかどうかわかりませんが、七四年までは地質調査資料は公開されています。それ以降の約二百本は公開されてないと理解しているわけです。でありまするから、私の方の発言が事実誤認であれば、いつでもこれを見ることができるわけですからひとつお聞かせをいただくということで、この質問はそれはそれでよろしゅうございます。  さて、次に、各電力会社の電源別の発電単価を御答弁いただけますか。
  148. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 各企業ごとの電源別ということになりますと、それぞれいつの時点に立地が行われたか、また設備の規模がどんなものであるか、さまざまのばらつきがございますので、これを基本に判断をすることは適切ではないのではないかということで、先生御承知のように、私どもの方で、今新しい時点で運転開始をする標準的な大きさの、標準的な稼働状態の発電所のコストが、耐用年数期間中ならしましてどれぐらいになるかという試算を発表いたしているわけでございまして、個々の数字というのはいろいろな判断をするのに必ずしも適当でないのではないかと考えております。
  149. 坂上富男

    坂上分科員 電力料金というのは、そういうような原価の計算というものがきちっと出て初めて計算ができるわけでございます。これはやはり各社別、電源別に明確にしておくということは必要なんじゃないですか。どうですか。
  150. 植松敏

    ○植松政府委員 電気料金の申請がございますと査定をいたしますけれども、先生御案内のとおり、総括原価をはじきまして、それを各需要種別等の料金に分けるわけでございますが、その場合に個々の発電所の、例えば原子力発電所あるいは石炭火力発電所の発電原価がどうなるかということについての査定はいたしておりませんで、総括原価を積み上げる、さらにそれぞれ需要種別あるいは契約種別について、それぞれの需要家が結果的にどのようなコスト負担になるかという観点から電気料金の査定をいたしておるものでありますから、個別の発電所ごとあるいは電源別のコストの計算というのは実際に出されておりませんし、また出すことも現状では不可能でございます。
  151. 坂上富男

    坂上分科員 もう時間が参りましたから、最後にまとめをいたしたいと思うのであります。  原発は単価が安い、経済的だ、こう言われておりますが、もうこの段階に参りまするとかえって割高なんじゃないかと思われるわけでございます。これは新聞報道によるものでございますが、発電コストは、原子力が九円程度、石炭が十円から十一円、石油が十一円から十二円と原子力の方が安いけれども、六十年度と比べると五円前後その差が縮まってきた。これは一キロワット時当たりのことでしょうか、そういうことが書いてあるわけでございます。これをどう見ますか。安い安いと言っていながらどうも原発のコストは、このままいきますともう経済的には安いなんという状態になっていないのじゃなかろうか、こう思われますが、いかがですか。
  152. 植松敏

    ○植松政府委員 今お示しの数字は、モデルプラントを想定いたしまして六十二年度に運転を開始した場合、石油火力あるいは原子力発電がキロワットアワー当たりどのぐらいになるかということで試算した数字であろうかと思います。  確かに最近、原子力発電コストとその他の電源のコストとの差が数年前よりも縮まってきております。ただ、私どもで昨年末に試算いたしました六十二年度近辺で運転開始したモデルプラントで申しますと、原子力がキロワットアワー当たり九円程度、石炭火力が十なしい十一円程度ということで、なお原子力発電の場合の方がキロワットアワー当たりコストが安いという結果になっておりますが、相対的に経済優位性が薄れてきておることは、これは国際的なエネルギー需給関係が、御案内のとおり石油石炭等価格が下がってまいっております。一方、原子力発電の方は、固定費のウエートが高い、燃料費のウエートが小さいということからそういう趨勢を示してきておりますけれども、なお経済優位性は依然としてあるというふうに考えております。
  153. 坂上富男

    坂上分科員 もう時間がなくなったのですが、今柏崎原発をやったのですが、新潟には巻原発という申請があるわけです。これは十年だか二十年も申請しっ放しで全然審査が行われていないわけです。というのは土地の取得ができない、こう聞いているわけです。もうこれぐらいになりましたら取り下げを指導するとか何かすべき段階に入ったのじゃないかと思いますが、この点、いかがでございますか。  そこで、もう時間がありませんからまとめて申し上げますが、浜岡原発でもまた事故が起きました。敦賀原発でもまた事故が起きました。それから、コスト低減のために十五カ月長時間運転しようというようなことが計画されておるようでございます。それからまた、出力調整で伊方原発が住民の大変な不安を駆り立てたわけでございます。そんなようなことから、法務省、おられるでしょうか、これはどうも法律違反じゃないかというようなことで告発がなされておる、こういう騒ぎでございます。そんなような状況を踏まえまして、原発は決して経済的ではないんだ、かつまた電力は余っているんじゃなかろうか、しかも経費が高いものだから今言ったような状態がある、反面、事故がこうやって起きている。しかも、さっき申しましたとおり世界は原発依存から脱却しようとして検討がなされておるというようなことから考えてみますると、日本ばかりが安全だ、心配ない、もっと宣伝すれば国民の支持率が上がるであろうなどというような発言はいただきかねるわけでございます。そんなようなことで、巻原発、それから法務省、最後に大臣の御所感を賜りまして、質問を終わりたいと思います。
  154. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 巻につきましては、現在安全審査を中断いたしておりますけれども、土地利用計画の見直しが終わり次第、安全審査を再開するというのが関係者の基本的な認識でございまして、私どもといたしましては、もう少し土地問題の調整が終わるまで待つのが適当であろうと考えております。  なお、原子力の今後のあり方につきましては、先ほど来御論議のございましたコストの問題もあるわけでございますけれども、ほかの電源と比べましたときの燃料の絶対の輸送量の差異でございますとか、さらには二十一世紀を考えますと、CO2によります温室効果というような議論もございまして、炭化水素を燃焼させることの是非についても息の長い議論があるわけでございますので、多面的、総合的な判断が必要なのではないかというぐあいに考えているわけでございます。
  155. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 ただいま、いろいろトラブルがあってという御指摘でございます。確かに最近報道が行われておりますが、事実だけを報告させていただきますと、六十二年度の事故件数は十八件ございまして、六十年度十九件、六十一年度十九件でございますので、決して例年に比べて事故が多発しておるということではございません。それから、我が国の原子力発電所につきましては非常に稼働率がいいし、自動停止回数も欧米のそれに比べますと十分の一ぐらいで少ないというようなことで、総体的に見ますればかなり高い評価を得ていると私どもは思っております。ですが、安全の問題につきましては、先ほど大臣からの御答弁もございましたように、念には念を入れて安全確保のために十分な監督、対策をとっていきたいと思っております。
  156. 田村元

    田村国務大臣 まず、先ほどの新聞のことですが、これは拝見しました。先送りした国は八カ国で、「このうちイタリアとエジプト、デンマーク三国はチェルノブイリ事故を背景としたもの」「この三国以外は、財政難や需要の低迷などが理由という。」というふうに書いてございます。「チェルノブイリ事故が欧州諸国の多くの国で原子力に対する国民の信頼に少なからず動揺を与えたことは否めない」と書いてあります。  それから、これは私が受け取っているものでございますけれども、六十二年五月の原子力安全委員会「ソ連原子力発電所事故調査報告書」というものの一部を申しますと、我が国原子力発電所の安全性を確認ということで、詳細な事故状況の検討を踏まえ、我が国の原子力発電所の安全確保対策の現状について評価した結果、我が国の原子力発電所の安全性は十分確保されており、現行の安全規制及び防災対策を改める必要性は見出されなかった、安全性の一層の向上のための努力を今後とも充実、継続していくことが重要である。私は率直に言って、ちょっと御趣旨に沿わないかもしれませんが、原子力の科学者じゃないものですから、安全委員会の専門家たちがこういうふうに調査報告を出してくれば、私は信ずる以外にないということでございます。ただ、先ほど来くどく申し上げておりますように、事故については十分に神経質にこれを防御しなければならない、これは当然のことでございます。  それから、後段のお話でございますが、率直に言いまして、もういいかげんにやめないかというような問題につきましては、今ここで私が簡単に御答弁申し上げるには余りにも事が大き過ぎますから、この場では、私は従来どおりの答弁ということにいたしたいと思います。
  157. 日野正晴

    ○日野説明員 先生お尋ねの伊方原発の件につきましては、松山地方検察庁で本年二月二十六日に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律違反で告発を受理いたしまして、現在捜査中でございます。
  158. 坂上富男

    坂上分科員 終わります。
  159. 林大幹

    林主査 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。  次に、東中光雄君。
  160. 東中光雄

    東中分科員 SDI秘密とその秘密保護体制についてお伺いしたいと思うのです。  昨年の七月二十一日に日米SDI研究参加協定が結ばれまして、日本企業のSDI研究への参加のための体制づくりが今着々と進められております。通産省は昨年の十一月二日に、「戦略防衛構想における研究に参加する企業の秘密保護能力の確認について」という公示をされました。  それで、最初にお伺いしておきたいのですが、このSDI秘密保護能力の確認を通産大臣に受けなければ、日本の企業はSDI研究に事実上参加できないということかどうか、それから、国等の研究機関の場合もそういう確認を受けるのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  161. 畠山襄

    ○畠山政府委員 SDIの研究企業が参加いたします際には、一応通産大臣の確認をとってもらうというのがこのSDIの枠組みにのった場合の手続ということになっているわけでございます。  それから、政府機関の点に関しましては、政府機関のSDIへの参加という問題はまだ現時点でそういうことが想定されておりませんけれども、無論、政府機関の仕事の忙しさでございますとか性格でございますとか、いろいろなことでケース・バイ・ケースで判断してまいると思いますけれども、現時点では、政府機関が参加するという状況になっていないということでございます。また、確認という問題につきましては、通産省が個々の政府機関のそういう確認をするというような手続には相なっておりません。
  162. 東中光雄

    東中分科員 通産省は去年の十一月に、このSDIの秘密保護に関する訓令を少なくとも二つ出されているのですが、その内容概要をお伺いしたいと思います。
  163. 畠山襄

    ○畠山政府委員 昨年の秋にそういう訓令を出したことは事実でございます。一つは防衛秘密に関するものでございます。それから、もう一つは防衛秘密以外の、私どもの言葉では特定秘密と呼んでおりますけれども、そういうものに関するものでございます。内容は似通っておりまして、秘密をどういう区分にするか、それからどういう表示をするか、責任者はできるだけ限定をするとか、責任者の範囲だとか、それから保管の方法でございますとか複製の制限でございますとか、そういったような事柄が決められているわけでございます。
  164. 東中光雄

    東中分科員 公示によりますと、秘密保護能力の確認をする対象になる秘密というものは何かということが書いてあるわけですが、それによりますと、いわゆる背景情報は、アメリカ政府から提供された情報であって、通産省において秘密に指定された情報、成果情報は、研究の作業の実施の過程において創出された情報であって、背景情報に準じて保護する必要があるもの、こう書いてあります。要するに、アメリカから情報が送られてくる、それで、アメリカの方で秘密と言ってくるのかこないかは別として、アメリカから提供された情報であって通産省が秘密に指定したものが保護される秘密なんだ、こうですね。また、通産省がアメリカの情報について秘密であるかないかを決めるということになっているのですね。そうでしょう。そうすると、アメリカから送ってくる情報を、通産省が独自にこれは秘密であるとか秘密でないとか、あるいは極秘であるとか機密であるとか、そういうことを決めるというのはちょっと考えられないのですが、これはどういう仕組みになっているのですか。
  165. 畠山襄

    ○畠山政府委員 先ほど申し上げましたように、秘密には二つございまして、防衛秘密に属しますものと、防衛秘密に属さないけれども秘密にする特定秘密のものとあるわけでございますけれども、それについて、今御指摘のように防衛秘密の場合は、例えば通産大臣がその秘密区分を決めるわけでございます。防衛秘密の場合でございますと、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法というのがございまして、その施行令に定めてあるところでございますから、それは委員御案内のとおりだと思いますけれども、内容といたしましては、防衛秘密は「機密」と「極秘」それから「秘」、こういうことに分かれまして、それぞれのランクに応じて通産大臣が判断するわけでございます。その際に、今御指摘の背景情報、これはアメリカからもたらされるものでございますから、アメリカで秘密の指定がございますれば、無論その情報も参考にしながら通産大臣が判断をしていかれるということになるわけでございます。
  166. 東中光雄

    東中分科員 あなたの言う特定秘密の場合、SDI秘密は何を基準にして秘密あるいは機密あるいは極秘というふうに区分するのか。防衛秘密の場合は、今言われたようにちゃんと細則で決まっているわけですから基準があるわけです。ところで、SDI秘密、特定秘密というのは、その基準は何ですか。
  167. 畠山襄

    ○畠山政府委員 特定秘密の場合にも訓令を出したという御指摘が先ほどございましたけれども、昨年の秋に出しました訓令の中で、防衛秘密に準じた秘密、機密区分を決めております。そういうことで、例えば、高度に秘密の保護が必要なもので、そして重大な損害を我が国の安全に与えそうなものというようなことでずっと基準が決まっておりまして、それに従ってやってまいるわけでございますが、ただ、SDIの技術でございますから、元がアメリカからお金も来てやるということでございますので、アメリカの方で、こういうようなぐあいに秘密基準をつくってくれたらどうかなというガイドラインをよこすことになっております。そのガイドラインも参考にしながらそういった秘密区分を指定していきたいと考えております。
  168. 東中光雄

    東中分科員 今おっしゃったのは、ガイドラインをその都度送ってくるという意味ですか。
  169. 畠山襄

    ○畠山政府委員 これは、私どもの理解ではその都度ではなくて、前もって一応一回最初に送ってくるのだろうと思っております。追加が後であるかもしれませんけれども、原則としては最初に送ってくるであろうと思っております。
  170. 東中光雄

    東中分科員 そのガイドラインは送ってくることになっているとおっしゃいましたね。何によってそうなっているのですか。それは日米間でその実施取り決めがあるからじゃないですか。
  171. 畠山襄

    ○畠山政府委員 あるいは外務省にお答えいただいた方が正確かもしれませんが、日米間のSDIに関する話し合いの過程でそういう了解になっているというふうに私どもは理解をいたしております。
  172. 東中光雄

    東中分科員 外務省、実施取り決めはあるわけでしょう。秘密保護に関する日米間のSDI協定の第六項による実施取り決めがあるはずですが、その内容を明らかにしてください。
  173. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、実施取り決めは不公表の扱いということにさせていただいておりますけれども、その中におきまして、情報の保護につきましては、SDIプロジェクト契約のもとで提供され、あるいは生み出されました秘密の情報が許可なく公開されないように、これらの情報を保護するための必要な細目の規程を置いておる次第でございます。
  174. 東中光雄

    東中分科員 その規程が置かれているというのはどこでつくったのですか。許可なく公開してはいかぬということの内容、また、どういうものが秘密なんだということのガイドラインをつくるのだという話がありましたが、そういうものはその実施取り決めの中にあるのじゃないですか。
  175. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 ちょっともとへ戻って申し上げた方がいいと思いますけれども、SDI研究に関しまして作業のためにアメリカから提供される情報あるいは作業の実施の過程で創出されます情報の秘密の指定は、アメリカによりまして、アメリカの基準において行われるということでございます。その基本になるアメリカの体制というのは米国の大統領令にある、こういうことでございまして、アメリカがその大統領令に基づき、アメリカの基準において秘密であるか秘密でないかという指定を行う体制になっている次第でございます。
  176. 東中光雄

    東中分科員 そうすると、アメリカの大統領令というのは、一九八二年の四月二日に出された大統領令一二三五六号ですね。いわゆる国家安全保障情報についての大統領命令ということだと思うのですが、アメリカがそれで決めた秘密を送ってきて、それを守るという趣旨のことがアメリカとの間の取り決めの中で決まっておるということですね、今おっしゃったのは。
  177. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 委員御指摘のとおりでございまして、アメリカにおいてそういう秘密の指定、秘密の区分が行われるということでございますけれども、SDI研究を進めていく上で、委員御案内のとおり協定の三項におきまして、「作業の実施のために提供され又は実施の過程において創出された秘密の情報を保護することを目的として、」云々といきまして、「すべての必要かつ適当な措置をとる。」ということを両政府間で合意しておるわけでございまして、それに基づきまして日本としましても必要な措置をとる、こういうことでございます。
  178. 東中光雄

    東中分科員 そうすると、今の畠山局長の話とちょっとずれているのですね。アメリカの方で決めてきた秘密指定、その基準を守るために「必要かつ適当な措置をとる。」ということになっておるのだというのが外務省の説明です。ところが、通産省は、アメリカから言うてくるガイドラインを参考にして通産省が決めるのだ、こう言われているのです。それは日本のことだから日本の通産省が決めるのでしょうけれども、実態はアメリカから言うてきたことに反するようなことはしないのでしょう。結局下請になるのでしょう。そういう協定でしょう。その取り決めを明らかにしないというのはそういうことでしょう。
  179. 畠山襄

    ○畠山政府委員 SDIに限らないと思いますけれども、防衛秘密万般につきましても、保護法の施行令にございますように、国の行政機関の長が秘密区分の指定を行うということになっておるわけでございます。それで、その際にどうやって行うかというのが委員御指摘の点でございますけれども、そこは先ほど御答弁申し上げましたように、アメリカの秘密区分も、送られてくればそれを参考にしながら指定を行う、こういうことでございます。
  180. 東中光雄

    東中分科員 参考にしてとあなたは言うし、外務省は参考じゃなくて、向こうの決めた細目基準に従ってやるという協定になっておるということで食い違いがあるけれども、実質的にはそういう建前で、外務省の言うているようにやっておるというふうに私は聞きました。
  181. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 私が申し上げましたのは、アメリカから提供される情報でございますので、アメリカ側が秘密の指定を、あるいは指定をする、指定をしない、どういう区分であるかということを行うわけでございますけれども、それが日本にもたらされました場合の扱いをどうするかということは、日本側においてこれを措置するという次第でございます。
  182. 東中光雄

    東中分科員 だから、アメリカが指定をしてそれを持ってくる、そうすると日本は独自の立場から見て、アメリカは機密だと言うているけれどもこれは機密に当たらない、極秘にしておく、あるいは、アメリカは秘密だと言うているけれども、日本の通産省の立場から言うたらこれはフリーの、秘密に当たらないというふうにするというようなことはあり得るのですか。
  183. 畠山襄

    ○畠山政府委員 今御審議願っている情報というのが二つございまして、アメリカから来るさっきの背景情報と、それからこちらで生み出される成果情報とがあるわけでございます。背景情報はアメリカで生み出されたものでございますから、これはアメリカのものを非常に参考にするということは全くリーズナブルだと思うのでございますけれども、成果情報につきましては日本で生み出したものでございます。ですから、当面どういう情報があるのかというのは直ちにはアメリカにはわからないわけですし、アメリカのそのガイドラインを参考にしながら日本で話し合って決めていくという性格のものであるというふうに考えております。
  184. 東中光雄

    東中分科員 それで、アメリカが先ほど言われた大統領命令一二三五六号によって秘密指定をしているアメリカの国防総省の秘密指定件数と指定点数、日本の防衛庁の防衛秘密とそれから庁秘の秘密指定件数と点数を知っておられたらお答えください。
  185. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 先生の御質問の第一点についてお答え申し上げますが、アメリカにおきまして何件の秘密指定の件数があるかということについては、私ども承知いたしておりません。
  186. 東中光雄

    東中分科員 通産省、わかりませんか。
  187. 畠山襄

    ○畠山政府委員 通産省に関連いたしますSDI関連の防衛秘密及び特定秘密は、現在はまだ存在いたしておりません。
  188. 東中光雄

    東中分科員 一般的に申し上げておきますが、アメリカでレーガン大統領になってココムが強化されていって、一九八二年段階で先ほど言った「情報秘密保護について」という大統領命令一二三五六号が出た。それに基づいて、アメリカでは大統領の命令で設置された情報秘密保護監督事務所、ISOOというのがあるのです。そこがこの命令の運用状況等を毎年調べて、そして大統領に年次報告することになっております。大統領への一九八五年度年次報告書というのによりますと、この大統領命令によって指定された秘密数は、国防省は三十四万五千九百十九件、点数にしまして何と千六百二十六万四千三十八点。日本の防衛庁も秘密、秘密と言うけれども、とにかくけたが違うのですな。これは八四年九月の報告なんですが、ついでに防衛庁の八四年末のものを見ますと、防衛秘密と庁秘合わせて十二万七千四百八十一件、点数にしまして百四十六万八千九百五点、アメリカはこの十倍以上なんですね。まだアメリカの場合は、CIAの秘密というものがこれまた二百二十九万点ぐらいあるということがこの報告書の中に出ております。  そういう状態で、とにかくアメリカが秘密指定しているものは物すごくたくさんあるんだ。それが来るわけですよ。ということで、背景情報についてはアメリカの指定してきたことを参考にしてそれと違ったことはしないということになってしまうというふうに思うのですが、それはそれとしまして、アメリカの方でさっきの大統領命令とあわせて、「産業における秘密保護に関する規則」ISRに基づいて秘密保護確認体制というものをつくっているわけですね。外務省が先ほど言われた協定によると、「両政府は、それぞれの国の国内法及び」MDA「協定の枠内において、すべての必要かつ適当な措置をとる。」こうなっているわけですから、それぞれの国内法、アメリカの国内法でどういう体制措置をとっているかということについては外務省は当然知っていらっしゃると思うのですが、概要説明してほしい。
  189. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 先ほども申し上げましたとおり、アメリカ側の体制の基本は大統領命令にございますが、ここに書かかれておりますことの概要は、秘密指定の分類、秘密指定を行う者、つまり秘密指定権者、それから秘密指定の対象となり得る情報、秘密指定の期間、そういった種類のことを定めております。  SDI研究計画との関連におきましては、これに基づきまして国防省におきまして措置がとられているというふうに承知をいたしておりまして、今申し上げました大統領令は、国防省の通達によって国防総省内において実施をされているというふうに承知をしております。その内容の中には、秘密の情報政府以外の活動に供する場合に、契約あるいはその他の手段によりまして利用可能なものとする、それからアメリカの企業に関しましては、国防総省は秘密情報へのアクセスを含む契約という形でこの種の情報の保護を図るというような、そういう事項につきましての細目の規程を置いておるというふうに承知いたしております。委員御指摘のインダストリーマニュアルと申しますものは、その国防省通達を受けまして、さらに細かい手続細目を置いているものというふうに承知をいたしております。
  190. 東中光雄

    東中分科員 そのマニュアルが非常に問題だと思っているのですが、要するに規則ですね。ISRの規則を実施する細目として、「産業における秘密情報の保障措置に関するマニュアル」というのが非常に細かく書いてあります。その中に、通産省が今確認措置でやろうとしているような内容のものが出ておると思うのです。例えば、「国防省書式48」というのがあります。これは最も基本的なもので、米国市民が、日本でいえば「極秘」「秘」の秘密情報にアクセスする秘密保護能力のクリアランスを申請するときに書いて出す調査書であります。私、ここへ持ってきましたけれども、これはすごいものですね。申請を出す場合の、みずからつけて出す調査書なんです。その一番最後のところに、「私は、私の知識、信念、良心にもとずき、真実、完全、正確に記入したことを証明します。私は、この書式の故意及び意図的な虚偽の記述は罰金または投獄または両者の刑罰を受けるものであることを了解します。」こういうてサインをするようになっているわけですね。  その中身は何かといったら、これはちょっとした身上調書というようなものじゃないのですね。氏名それから変名、性、人種、社会保障番号、生年月日、それから出生地、米国市民、二重市民権があるかないか、あるいは「軍歴(予備役、州軍を含む)」これは部隊、階級、認識番号、国。その他、親族それから居住地。職歴なんかは、自家営業、パートタイム、失業を含んで書け、何年何月から何年何月まで、こう書いていますね。それから外国旅行をやったか、外国関係はどうなっているか、外国の企業と関係があったかとか、そういうことを全部書け。それから逮捕、これも「逮捕、告訴、召喚または拘留されたこと――召喚が中断、却下または無罪とされたものを含め」、こういう式の細かいことを全部書けというのですね。それからさらに病歴というのがあります。麻薬を使ったことがあるかとかあるいは神経抑制剤や刺激剤を使ったことがあるかとか、精神、情緒、心理、人格障害で治療を受けているか、または受けたことはあるか、破産宣告を受けたことはあるか、さらに、所属団体は労働組合を除くすべての団体を記入する、それから共産党または共産主義団体に所属しているか、またはかつて所属したことがあるか、軍による処分を受けたことはあるかとか、そういうことを全部書けということですね。こういう調書を出させている。  それからさらに、この「国防省書式48」というのに添付されている書類がありますけれども、これは「指紋カード」です。十本の指全部について指紋を押して、それをちゃんと使用者が本人が押したことを立ち会いして確認して、封筒へ入れるのにも立ち会いをして確認する、そういうふうにしろということまで書いてあるのですね。これは徹底した管理体制ですよ。こういう形で秘密保護体制というものをつくることになって、それが一九八二年から進み出した、それが今SDIを通じて日本へ伝わってきている、こういうことなんです。  それで、通産省の出している公示によって出ている四項目がありますね。秘密情報の保護のための施設、設備及び備品等の状況を説明する書面、それから秘密情報の保護のための警備体制説明する書面、それから秘密情報を取り扱う組織を説明する書面及び秘密情報を取り扱う者の名簿、この四つを申請するときに出せというのですね。そうするとアメリカでやっているものと基本的には同じ柱だと思うのですが、そこで私が聞きたいのは、通産省はこれを出させて設備とか施設というものへの立入調査、保護体制ができたということについて確認するについてはそういう立入調査までやるのかやらぬのかということがまず一つ。それから、人の名簿という場合にだれが取り扱うのかということについての基準。アメリカ側はこういう形で非常に厳格にやっておるわけですが、それはどの程度にやるのか。それから、秘密情報保護の警備体制というのは一体何なのか。この四項目についてお伺いをして、時間でありますから終わりたいと思います。
  191. 畠山襄

    ○畠山政府委員 まず、この確認に当たって立入検査をするかどうかという点でございますが、それは立入検査を行った方がいいのではないか、行おうというふうに考えております。  それから、名簿についてだれが取り扱うのかということでございますけれども、名簿は、向こうの企業の中で秘密を取り扱う人がだれかということがこっち側にもわかりませんと問い合わせその他で苦労を感じますので、そういう意味でこの名簿を出してもらおうというふうに考えておりまして、後段のお尋ねにも関連するかもしれませんけれども、ここにありますようなこういう詳細な調査をいたそうというつもりは今のところございません。  それから、警備体制といいますのは、秘密漏えいが起きないためにどういう組織になっておるかというようなところを主として見ていくということになっております。
  192. 東中光雄

    東中分科員 聞き落としたので、もう一点だけ。  そういうことを調査する通産省の体制、アメリカの場合で言えば国防省のDIS、国防調査局というのでしょうか、ここがいろいろ調査する。その人員は三千六百九十三人。そして他の政府機関、FBI、CIA、財務省、国務省などと連携をとって調査する、その資料をもらうというようにやっているようです。通産省はどういうふうにやりますか。
  193. 畠山襄

    ○畠山政府委員 これは貿易局の輸出課の中に安全保障貿易管理室というのがございまして、その中に特殊技術管理班というのがございますが、そこで主として処理をしていこうというふうに考えております。それで、その特定技術交流管理室の室員は今のところ五名でございます。
  194. 東中光雄

    東中分科員 終わります。
  195. 林大幹

    林主査 これにて東中光雄君の質疑は終了いたしました。  次に、江田五月君。
  196. 江田五月

    江田分科員 ドクターストップでもないのでしょうが、通産大臣ちょっとぐあいが悪いようなので、大臣なしで質問させていただきますが、お戻りになったら大臣に質問いたしますので、ひとつよろしくお取り計らいを願いたいと思います。  きょう二つ問題を聞いてみたいのですが、第一点は、これはちょっと地方の問題ではありますが、しかしこういう情報化といった時代あるいは無体財産権が非常に重要になってくるといった時代に、全国的にも影響がある問題だと思うので聞くのです。瀬戸大橋の商標権との関係のことです。第二点は、もう少し大きな話題で、情報通信機器に対する障害者の利用可能性という問題でございます。  そこで、第一点なんですが、今岡山県はことしの春はちょっとしたフィーバーぶりでして、既に山陽自動車道が一部供用が開始されまして、先日は開通式があったわけです。国道のバイパスも二カ所ほど開通式をしたりこれから迎えたり、あるいは明後十一日には今度は新岡山空港が開港になる、県立美術館も間もなく開くとか、労働団体などが努力をされて中国の三大珍獣展という展覧会がある、あるいはもちろん瀬戸大橋博覧会、そして四月十日には待望の瀬戸大橋の開通、こういうことになりまして、このフィーバーは岡山だけでありませんで、香川の方も同じだと思いますが、すべてこの瀬戸大橋に起因をしているわけで、世紀の大事業。しかし、瀬戸大橋ができたらすぐに地域住民の生活がよくなるとか福祉が増すのだとか、そうはなかなかならないわけで、これには瀬戸大橋ができたという状況を踏まえた行政が要るし、あるいはまた地域の住民も、瀬戸大橋というものをみんなの財産として大切にし、これを愛し、努力をしていかなければならぬと思うのです。そういう状況のもとで、瀬戸大橋という名前をめぐっていろいろな紛争が今起きておりまして、瀬戸大橋をみんなで大切にしていこうというのに、その名前自体が何かふらふらしておるということで、けしからぬという気がするのです。  まず、瀬戸大橋関連でいろいろな商標登録が行われておりまして、これはもう皆さん御存じのとおりなんですが、瀬戸大橋という商標登録がなされているからといって、あの瀬戸大橋の道路あるいは鉄道に瀬戸大橋という名前をつけることができないということにはならないでしょう。その点を確認しておきたいと思います。
  197. 小川邦夫

    小川政府委員 今の御指摘の瀬戸大橋という名称での商標権は、いろいろな商品分野につきまして現在商標として登録されているわけでございます。これは商品の分野分野で違いますので、個別に商標登録されておる商品とは違った商品で、商品という言い方を商標法上使わせていただきますが、使われている限りでは問題はないということでございます。  今具体的な橋そのものについてどうかという御指摘の点につきましての事実関係を私は承知しませんが、担当の審査第一部長が参っておりますので、そちらから申し上げることにいたします。
  198. 竹澤正格

    竹澤政府委員 お答えをいたします。瀬戸大橋という登録商標がございますのが既に十五件ございます……
  199. 江田五月

    江田分科員 そういうことはいいです。結論だけ言ってください。商標上瀬戸大橋といういろいろな登録があるが、それがあっても道路とか橋とかに瀬戸大橋という名前をつけることの妨げにはならないでしょう、その点を確認しますという質問ですから、その質問に端的に答えてください。
  200. 竹澤正格

    竹澤政府委員 妨げにはなりません。
  201. 江田五月

    江田分科員 建設省の方お見えだと思いますが、この道路は瀬戸大橋という名前ではありませんね。正式には中国四国連絡橋児島・坂出ルートというのですか。これは今なぜ瀬戸大橋という名前にならないのか、あるいは名前がどういう経緯をたどっているのか、その辺を簡単に説明してください。
  202. 小松原茂郎

    ○小松原説明員 瀬戸大橋の正式な名前は、児島―坂出ルートの路線名といたしましては一般国道三十号ということになっておりまして、一般国道三十号の一部でございます。その自動車専用道路の一部を本四公団の中で正式に決めまして、瀬戸中央自動車道と命名いたしております。それが名前でございます。
  203. 江田五月

    江田分科員 瀬戸大橋という名前になぜしないのですか。
  204. 小松原茂郎

    ○小松原説明員 大橋という名前は、あそこの本州の道路は大橋だけではなくて、陸上部もずっと含んだ区域が本四の道路になっておりまして、それを全体として瀬戸中央自動車道と命名いたしておるわけでございます。
  205. 江田五月

    江田分科員 橋の部分は、例えば建設省の国土地理院とかあるいは国道のいろいろな道路標示とかで瀬戸大橋という名前を使うということになっておって、これは国道ならばもちろん建設省、国土地理院も建設省ですから建設省が、行政上の正式な名前はいろいろあるにしても、愛称としてそういうものを公用の文書の中などでも瀬戸大橋というものを使うということになっている、これはこう理解していいんでしょうね。
  206. 小松原茂郎

    ○小松原説明員 瀬戸大橋という名称は、従来地元から広く使われておりまして、先生御指摘のとおりでございますが、それからまた、地元からこの名前を積極的に使ってほしいという要望が我々の方に参っております。したがいまして、先生お話しの国土地理院の地図ですとかあるいは公に発行いたしますパンフレット等で、瀬戸大橋という名称を積極的に用いることにいたしております。
  207. 江田五月

    江田分科員 時間がないのでどんどん進みますが、運輸省の方に伺いますけれども、JRが走っているわけですが、これは茶屋町―宇多津間は本四備讃線、岡山から茶屋町間は宇野線、そして宇多津―高松間は予讃本線、こんなことになっておるが、愛称としては岡山―高松間は瀬戸大橋線という愛称を使うんだ、こう決めておられる。それでよろしいですか。
  208. 羽生次郎

    ○羽生説明員 先生おっしゃるとおりでございます。
  209. 江田五月

    江田分科員 橋の上が鉄道の方は本四備讃線、道路の方は本州四国連絡橋児島・坂出ルートあるいは瀬戸中央自動車道。役所が違えば名前ががらがら違うというのもまことにおかしな話で、その辺をもう少しかたくならずに、地元の皆さんが日ごろ使っている名前をそのまま使って行政を行っていくという行政の弾力性というものをひとつぜひ実現をしていただきたいと思います。  いずれにしても、こうやって瀬戸大橋というのは地域住民が親しんでこれに愛情を持ってつけている名前なんで、瀬戸大橋自体は公共の建造物ですね。名前も公共性が非常に高い名前だ。建造物だけじゃなくて、名前も込みで瀬戸大橋という一つの公共財産、法律上の意味ではなくて公共のものになっているわけであります。こういう名前に対して、商標登録というものがあるからといって、直ちに私人がその使用権について排他的な権利を設定してしまうというのは、何か住民感情、地域感情からするとおかしいんじゃないか。そういう排他的権利が成立をすると、せっかくの瀬戸内新時代、瀬戸大橋で新たな時代が開けるとかいってやっていこうとしているときに、新たな産業活動の意欲をそがれるようなことになるんじゃないかという気がするのですね。果たしてこういう隘路を打開する道は一体ないのかどうかという点、これは特許庁ですか、伺います。
  210. 小川邦夫

    小川政府委員 まず、これまでの運用では、先ほど申し上げましたように、商標として瀬戸大橋を認めておった。その考え方は、やはり登録要件、先生御専門で御案内のように、書いてあるその各項目に当たらなければ登録を認めるという運用でありまして、その場合に、今まで登録を認めてきた背景には、産地とか販売地というものであれば、これは一般に使われるものだから登録は認めないということでしたが、建造物となるとそういう産地、販売地とは言いがたいということで、これまでのプラクティスでは登録を認めざるを得ないという判断のもとに、瀬戸大橋についても他の建造物と同様認めてきたところでございます。それ自体は一つの考え方として誤りということではないと私どもは認識しております。  ただ、委員が御指摘のように、それが公共建造物で非常に周知性が高いものについて従来どおりそういった運用で本当にいいのかどうかという御指摘と理解いたしますが、この問題につきましては、確かにそういう普遍性の高くなった公共建造物というものについてはいま一度その登録要件の運用のあり方をよく検討してみる必要がある、このように考えている次第でございます。
  211. 江田五月

    江田分科員 ぜひ積極的に検討してほしいと思うのです。  商標法の三条あるいは二十六条の産地、販売地という解釈の問題ですが、法解釈を余り融通無碍にするわけにもいきませんでしょうが、しかし法解釈というものも目的合理的に解釈をしていかなければならぬわけで、この産地、販売地に著名な建造物、土地の名称的性格を非常に強く持った建造物は入れてもいいんではないか。  例えば、それでは日本橋というのは、これは建造物ですかそれとも場所ですか、数寄屋橋というのは一体どうですか、思案橋というのはどうですか、戎橋というのはどうですかといろいろあるわけで、特許庁の正式回答で大鳴門橋についての回答がございまして、大鳴門橋土産と関連して瀬戸大橋土産、こういうものは商標権侵害に当たらないという回答をされているようですが、それはそれでよろしいですね。
  212. 小川邦夫

    小川政府委員 今の御指摘の点は、実は鳴門大橋についてそのような指導といいますか考え方を示した経緯はあります。ただし、これは御専門の先生には御理解いただけるところと思いますが、この考え方が正しいかどうかというのは本来司法の世界で最終的に確定するのが当然であるが特許庁としての解釈はこうである、こういう断り書きのもとでの方針でございますが、その意味合いにおいて、瀬戸大橋についても同様に、土産品という名称を付するということであれば商標権侵害にはならないという特許庁としての解釈をとっておるということでございます。
  213. 江田五月

    江田分科員 瀬戸大橋土産というような言い方であれば侵害にならない。その場合の瀬戸大橋土産と言っている瀬戸大橋というのは、建造物を指しているのか産地、販売地を指しているのか、どっちでしょうね。
  214. 竹澤正格

    竹澤政府委員 産地、販売地を指してございます。
  215. 江田五月

    江田分科員 瀬戸大橋というものが産地、販売地を指す場合がある、こういうわけでございまして、最終的には司法判断ですが、しかし特許庁の行政実務というものがやはり直接に産業活動に影響するわけですから、その点でぜひ今後とも十分配慮の行き届いた行政運営をやっていただきたい、この点を要望しておきます。  時間がありませんので、次に移ります。  次は、情報通信機器に対する障害者の皆さんの利用可能性という問題なんです。  国際障害者年以来、障害者の完全参加と平等、障害者も健常者と同じようにこの世の中で生きていける、健常者と同じように社会参加ができる、これが今我々が直面している課題なんです。道路などにつきましては、障害者も随分町を歩けるようになってまいりました。しかし、まだまだいろいろな問題がたくさんある。  今私が問題にしているのは情報通信機器、例えば典型的な例でいえばパソコンです。パソコンというものができて、字を書くだけの運動機能のない障害者も字を書くことができるようになる、通信をすることができるようになる。パソコンが障害者の皆さんにとって大変大きな福音であったことは言うまでもないと思うのですが、しかしせっかくそこまで来ながら、もうちょっと工夫をすればもっとこの情報通信機器、パソコンが障害者にも使えるという、そういう可能性があるのですね。一方でまた、高齢化ということが今どんどん進んでおりまして、お年寄りの皆さんにもパソコンがもっと使えるようにいろんな工夫があるのじゃないか。  こういう問題は、情報化とかあるいは高齢化とかいう新しい時代の商品の性能の問題ですので、こういう新しい時代にどういう性能をこれこれの商品は備えていかなきゃならぬかという、こういう基本的な問題ですのでこれは通産省マターであって、単に厚生省あるいは労働省のマターだというふうにして済ますことは決してできないと思うのですが、まず基本的にそういう問題点についてどういう意識を持っておられるか、お伺いします。
  216. 児玉幸治

    児玉(幸)政府委員 今、先生たまたまパソコンの名前をお挙げになったわけでございますけれども、我が国情報化も大変なスピードで進んでおりまして、かつては専門家の扱う機械でありましたものが、今では日常ほとんどだれでもがその機械に接するというふうな状況になっていると私どもも認識しております。それだけに、その機械ができるだけいろいろな方々に容易に使っていただけるような形にならなければいかぬと思っておりまして、今先生は障害者の問題と高齢者の問題、二つをお挙げになったわけでございますけれども、そのいずれの分野におきましても、現在の機械が率直に申し上げまして十分であるとは到底思えないわけでございまして、これらにつきましては、今後どういうニーズがあるかを正確に把握しながら技術開発に積極的に努めてまいりたいと思いますし、また業界もその方向で指導してまいりたいと思っております。
  217. 江田五月

    江田分科員 アメリカのリハビリテーション法というのがありまして、一九八六年にこれが修正されて五百八条というものができているのですが、これは御存じですか。
  218. 児玉幸治

    児玉(幸)政府委員 存じております。
  219. 江田五月

    江田分科員 この五百八条によれば、まず関係の政府部局に対して、電子通信機器、電子事務機器ですか、パソコンとかそういうものですね、こういう機器について障害者が健常者と同じように、あるいはそれ以上にというのですか、データベースとか制御プログラムとか応用プログラムとかを利用できるようにどういうことをしなきゃならぬかということを定めなさい、そういう指針をつくりなさい、そして政府調達はこの指針に従うようにしなさい、こういうリハビリテーション法になっているのですね。  私もちょっと調べてみたのですが、これは大変なもので、この指針の中には三つのことが書いてある。一つは、今の情報通信機器の性能、こういう性能を備えていかなきゃならぬ、その性能を備えさせるためにこういう責任体制、管理体制をしきなさい、さらに進んで、そういう性能を備えた情報通信機器が備わっていないからという理由で障害者を雇用することを拒否してはいけないよ、こういうことまで書いてある、こういう指針。政府調達のことなどは八八年九月から実施をされるということです。  念のため多少申し上げますと、例えば入力については、キーを一定の場合に二つの指で同時に押して、そうするとシフトして大文字になるとかなんとかなりますね。障害者の場合二つ押すということは同時にできない、そういう人が非常に多い、だからこれを順次押すことによってそういうシフトの作用が起こるというようなことをしなければいけない、備えていなければいけないとか、非常に細かなことで見ますと、カーソルが点滅しますね、そうするとある一定の点滅に特異的に反応して発作を起こす、そういう障害があるのだそうですね。ですから、カーソルの点滅の間隔を調整できるようなそういう装置まで備えていなければならぬとか、そういうことまでこの指針に書いてある。  あるいは出力については、例えばディスプレーに画像で出てまいりますね。画像だったら、これは目が見えない人はアクセスできないわけですから、音声でアウトプットできるような装置を備えなければならぬとか、あるいは高齢化の問題と関係すると思うのですが、ディスプレーに出てくる画面情報を部分拡大する、そういう装置をつけなければならぬとか、例えて言えばの話ですが、そうした細かなことがいろいろ指針の中にあるというのですが、この指針は手に入れられていますか。
  220. 児玉幸治

    児玉(幸)政府委員 手に入れております。
  221. 江田五月

    江田分科員 英語ですから、翻訳はもうされていますか。
  222. 児玉幸治

    児玉(幸)政府委員 どれほど正確かはあれでございますけれども、さしあたり一応翻訳したものを手に入れております。
  223. 江田五月

    江田分科員 それをお読みになってどういう感想をお持ちか、ちょっと聞かせてください。
  224. 児玉幸治

    児玉(幸)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、情報化というものが非常に幅広く進んできておりまして、それに伴ってこの機器に接する人の層が非常に広くなっておるわけでございます。そういった中で、障害者の問題についてアメリカでこういう形での配慮が行われてきておるということにつきましては、私ども自身も障害者の社会参加を支援するという基本的な立場を持っておりますので、大変示唆に富むものだなというのが率直な印象でございます。
  225. 江田五月

    江田分科員 日本はアメリカに負けない先進国になっているわけです。ところが、これだけ経済発展して経済大国と言われるようになって、しかし生活の方はどうもまだそこまでいかないじゃないか、経済大国だけでなくて生活大国をつくらねばいかぬとか、大国という言葉がどうもちょっと気にはなりますけれども、いずれにしても国民の生活というものの水準がもっといろいろな意味で上がってこなければならぬということが鋭く外国からも指摘をされ、また国内でも問題になっている。そういう時代ですので、ぜひひとつこの情報通信機器の問題というものは本腰を入れて取り組んでいただきたいと思うのです。  さらに、そのことによって今の電機産業もまた新たな展開を示してくるかとも思うのですが、一つ問題は、それぞれの会社がそれぞれに大いに努力をして頑張るということもさることながら、先ほど言いましたようないろいろなアクセスについての工夫というものがそれぞれの会社ごとでばらばらに行われたら、同じ機能について、ある障害者にとってある機器は自分が扱えるけれども他の機器は扱えない。自分が持って自分でやるのだったら、それは自分の持っている機械を扱えればいいのだけれども、雇用ということになりますとそうはいかないのですね。ある職場に入っていろいろな種類の機器がある、あるいは職場が変わる、そういうときに、やはりその機器ごとに個別性が強いというのじゃ困るので、汎用性がなかったら困ると思うのですが、そういう機器の標準化ということ、これはそれぞれの会社ごとにやらせるということでは達成できないわけで、業界全体を指導する立場の通産省がぜひ取り組まなければならぬ課題だと思いますが、いかがでしょう。
  226. 飯塚幸三

    ○飯塚政府委員 障害者関連機器の標準化につきましては、私ども従来から積極的に対応しているわけでございまして、既に電動車いすあるいは義手、義足等のJISの規格を制定しておるわけでございます。  御指摘の事務情報機器等につきましては、互換性の確保の観点から、キーボードの配列とか試験方法の標準化等を推進してきておるわけでございますが、現在JIS規格の鍵盤配列に基づく障害者の方々用のキーボードも販売されておるわけでございます。今後とも障害者の方々の情報事務機器へのアクセスを促進するために私ども標準化に努めてまいりたいと考えております。
  227. 江田五月

    江田分科員 それから、政府機関、公共機関が備える情報通信機器というのは、やはりそういう性能を備えたものでなければならぬというぐらいのことはやってもいいんじゃないかという気がするのですが、いかがですか。
  228. 児玉幸治

    児玉(幸)政府委員 先ほどアメリカの例をお引きになりましたけれども、私どもも、今の技術の開発の実態とそれから実際に障害者の皆さん方が必要とされるものとが的確にマッチしているかどうかという点につきましては、なお十分にチェックしてみなければならない点があると思っておりますが、いずれにしましても一方で技術開発をどんどん促進していくわけでございまして、公共関係の機関等におきましてそういったものが使い得るような環境をできるだけ早く整備しなければならないというふうに、認識は全く同じでございます。
  229. 江田五月

    江田分科員 その点、このぐらいにいたしまして、大臣がお戻りになればと思ってちょっと初めの方急いだのですが、もう一度瀬戸大橋関係のことに戻らしていただきたいと思うのです。  先ほどの答弁を伺っておりまして大変に心強いのですが、瀬戸大橋関係のいろいろな商標登録はあっても、それで直ちに司法判断を待たずに権利が確定的に発生しているというものではないので、紛争が起きれば最終的には司法が判断するわけだけれども、商標登録があっても、瀬戸大橋という名前を使うとすべてがひっかかってしまう、だから経済活動というのはよくよく慎重に憶病にやらなければならぬということはないので、それだけで商標侵害になるわけじゃないのだから、大いに瀬戸大橋という名前を上手に活用しながら地域経済活動を活発にやっていただきたい、そういう希望を持っておるのだというそのあたりのことまでは言えるわけですか。
  230. 小川邦夫

    小川政府委員 社会経済的あるいは地域政策的配慮という観点で商標権の設定をどうこうというわけではございません。ただ、商標権という権利と公益というものの調和というのが、そのときどきの時代の要請によって古来不滅のものというわけじゃございません。そういう意味で、先ほど御答弁申し上げましたように、商標権登録のあり方についても検討をいたすという所存でございます。
  231. 江田五月

    江田分科員 だから、それは今までの産地、販売地に建造物を含まないという扱いはいささか現状においてそぐわない感があるのでということが前提になっているわけでしょう。
  232. 小川邦夫

    小川政府委員 クリアカットに建造物がすべて販売地、産地というわけではございません。しかし、含まれる場合もあるであろうという観点を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
  233. 江田五月

    江田分科員 最後に、そうした紛争がいろいろあるので、特許庁として地域の住民の皆さんの要望にこたえて十分にどんなことでも相談に乗ってあげる、こういう方法があるよといろいろ教えてあげる、そういう体制をぜひつくっていただきたいと思いますが、その点、いかがですか。
  234. 小川邦夫

    小川政府委員 御指摘のような姿勢でまいりたいと考えております。
  235. 江田五月

    江田分科員 終わります。
  236. 林大幹

    林主査 これにて江田五月君の質疑は終了いたしました。  速記をとめてください。     〔速記中止〕     〔主査退席、自見主査代理着席〕
  237. 自見庄三郎

    ○自見主査代理 速記を起こしてください。  次に、藤田スミ君。
  238. 藤田スミ

    藤田分科員 私は、きょうは、田村通産大臣が日ごろ御自身が中小企業大臣である、こういうふうに言っておられますので、きょうの質問、大変楽しみに参りましたけれども、お疲れが過ぎたというようなことでございますので、仕方がございません。どうぞお大事にとお伝えください。  私の地元泉州地方というのは、御承知だと思いますが、円高不況のもとで大変危機的な状況になっております。八五年以降この二年の間に、地場産業の転休廃業者、これは大阪全体では四百三十三なんですが、その中で実に七二%の三百二十二社が泉州織物、綿スフ織物関係の業者であった。こういうことで、非常にこういう数字を見ても深刻なわけですが、この問題についてどういうふうに認識をしておられるのか、お伺いをしたいわけです。
  239. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 泉州地区は、先生ただいま御指摘ございましたように、綿織物業あるいはタオル製造業等の主要な産地の一つでございます。近年の発展途上国の追い上げ、特に大幅な円高のもとで輸入の増加等により大変厳しい状況に立たされておるわけでございます。こういった実態を踏まえまして、通産省といたしましても、構造改善事業推進のほか、転廃業を円滑に進めるため、設備共同廃棄の実施等々を進めているわけでございますが、特に当面の不況対策として、泉州地区を特定地域中小企業対策臨時措置法に基づく特定地域に指定しまして、当該地区の中小企業の経営の安定化と地域活性化のための措置を講じているところでございます。
  240. 藤田スミ

    藤田分科員 そういう泉州の情勢というものを背景にして、私は二つの柱で質問をしていきたいと思います。  まず最初は、全国で唯一の産地を形成している石綿紡織業者の問題であります。八六年の十一月二十七日、大阪の石綿紡織工業組合は大臣あての要望書を提出しています。これを見ますと、公害問題があり、韓国からの逆輸入があり、そしてこの間の円高不況を致命的な一撃として、「このままでは泉州から石綿紡織工業が消えて無くなる公算も出てまいりました」、こういうふうに言って、設備共同廃棄とそのための融資約三十億円を要望しています。  要望書の資料によりますと、泉南の石綿は明治四十三年来の伝統を持ち、大阪の有力な地場産業として八〇年には石綿製品生産量六千七百四十五トン、売上額八十九億円を記録していたが、これが八六年には三千五百トンと三十五億円へ半減している、こういうふうになっているわけです。工場数は三十社、従業員延べ三百七十一人、機械は各種大小ひっくるめて千三十九台というふうになっているわけですが、これも今日では日に日にこの数字が減っていっております。こういう石綿紡織業界の現状の認識、それから要望書に対して私は改めてここで御意見をお伺いしておきたいわけです。
  241. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 泉南地区の石綿紡織業者でございますが、現在約二十数社あるわけでございます。先生御指摘のとおり、従来から日本における石綿紡織品の主要な産地を形成いたしておるわけでございます。その企業規模は、ただいまお話しございましたように大変零細であり、最近の石綿公害問題や円高による輸入増加等によりまして生産額も減少し、その経営状況、大変厳しい状況になっているというふうに承知いたしております。こういった認識のもとに通産省といたしましては、泉南地区の石綿布糸製造業を特定中小企業事業転換対策等臨時措置法の地域業種に指定いたしまして、事業者の事業転換円滑化のための助成措置等を講じているところでございます。  また、ただいま先生から御指摘ございました昭和六十一年の十一月に地元の大阪石綿紡織工業組合から設備共同廃棄の実施について確かに御要望をいただいております。この要望に対しまして、当時担当課長から設備共同廃棄事業の要件、手続等につきまして詳細に御説明申し上げたところでございます。私どもの承知している限りでは、その説明を踏まえまして、同組合としても内部でこのような要件、手続等について十分検討を進められた上、同組合の実情等から見て共同廃棄事業にはなじまないという結論に達したというふうに承知しておる次第でございます。
  242. 藤田スミ

    藤田分科員 いろいろおっしゃいますが、現場を私は知っておりますので、やはり人ごとみたいなことを言っておられるというふうに言わざるを得ないわけです。まさに悲鳴にも似た切実な要求ではなかったか、共同廃棄の要求は。それをいわばゼロ回答に退けたままではないのかというふうに思うのですね。  おっしゃるように、今日の業界の問題は、競争力とか構造改善とかというような面とあわせて、やはり国民の健康を守るために事実上規制が加えられたことによって起こっている問題とは言えないか。これは環境庁の「アスベスト排出抑制マニュアル」というのを読んでみてもそういうことが言えるというふうに思うのです。だから、吹きつけ石綿の学校などからの大々的な撤去だとか、あるいはまた自動車メーカーも数年以内に代替品へ転換をするんだというような宣言が行われるとか、こういうことになっているわけです。  だから、全国唯一の産地で、しかもたかだか二十数社というような対象のものに対して、これはもう制度論以前の特別な手だてというものを求めたいと思うのですね。代替品の可能性というものをつかみながら設備の共同廃棄にしろ代替原料などへの事業転換にしろ、やはり国自身が産地の苦境に救済策をもっと積極的に示して当然じゃないかというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
  243. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 先ほど申し上げたとおりでございまして、私ども、先生御指摘の地元の業界の苦境については十分承知しているところでございます。そういったこともございまして、先ほど申し上げましたように中小企業転換促進対策の対象地域に指定いたしまして、低利融資あるいは技術開発のための補助金等々助成の道を開いた、こういうことでございます。この辺、十分御理解を賜りたいと思います。
  244. 藤田スミ

    藤田分科員 もう一度聞いておきたいのですが、その事業転換のために、例えば今現実は、大阪府は八七年に百万円の補助金を出して府の産業技術総合研究所と業者とで研究に取り組んでいる。今この業界が受けている補助金というのはまさにそれだけなんですね。そしてこの業者に言わせれば、百万円というのはちょっと一けた間違っているんじゃないか、こう言うわけです。実際に個々の業者がまさに片手、片隅で試験織りを細々とやっているのです。だから現場では、例えば石綿紡織の機の横で炭素繊維の試験織りをやっているのですが、黒い粉じんがそこから出てきて、製品にするべき石綿紡織の製品の方が黒ずんでしまうというような泣くに泣けない状態があるわけです。私は、だから待ちの姿勢ではなしに、国が責任を持ってもっと進んで事業転換の共同研究に援助をするべきじゃないかというふうに申し上げたいわけですが、いかがでしょうか。
  245. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 事業転換につきましては、先生御指摘ございましたように、石綿にかわる代替品の開発あるいはそういったものを使いました新しい商品の開発というのは、大変大切なことだろうというふうに考えておる次第でございます。  ただいま府からの助成につきましてお話があったわけでございますが、特定中小企業事業転換対策等臨時措置法のもとにおきましては、組合が事業転換円滑化計画をつくりまして、この場合大阪府でございますが、大阪府の承認を受けますと、ただいま申し上げました事業転換のために必要な技術の開発あるいは新商品の開発につきまして、最高限千六百万円まで補助金が交付される、そういう道が開かれておるわけでございます。そういった点につきまして組合の中で必要があれば御検討いただきたい、かように考える次第でございます。
  246. 藤田スミ

    藤田分科員 押し問答していても、この問題は時間がもう限られておりますので終わりますが、私はこのことだけは約束しておいてほしいと思うのです。国が進んで業界との相談相手になって、そして積極的にやはりそういう組合の積極性を引き出していくように対応をしていく。そういう点では、一番関係するのはやはり具体的には局になると思いますが、そのこちらの方の担当の方もそういう立場でこれから取り組んでいくんだということだけは約束していただけますか。
  247. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 業界の構造改善の進め方につきましては、まず企業あるいは組合サイドで御検討いただくというのが本筋ではないかと思うわけでございますが、通産省としては地元の業者や組合の窓口となる大阪通産局もございますし、それから大阪府もあるわけでございます。地元の業者の方や組合からアイデアの提示や相談があれば、親身になって対応を行うということにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  248. 藤田スミ

    藤田分科員 それでは、次に和泉市の大型店の問題についてお伺いをしたいと思います。  JR和泉府中駅の周辺にダイエーとニチイが一九八〇年に出店の意向を表明しました。これが最近になって地元への説明の動きが出て、今小売業者の営業やあるいは交通、環境への影響が大変心配されるようになってきているわけです。説明の資料によりますと、ダイエーが二万三千三百五十平米、ニチイが二万二千平米という店舗面積になっております。  そこで、まず交通アクセスの問題についてですが、私は七年前の分科会の質問で、実は建設省でここの大型店の問題、交通アクセスの面から取り上げたことがございます。その当時でも大変でしたので、あえてここで取り上げたわけですが、この両スーパーとも最も関係のあるのは、大阪の府道十三号線なんです。この十三号線は、大阪府下の主要地方道の中でも混雑度がトップクラスにありまして、当時私が質問したときは時速十五キロだったのが一向に改善されないで、スーパーがまだできていませんが、十キロというようなひどい状態が促進されているわけであります。しかも、この十三号線から今度はJR阪和線を通り抜けて第二阪和国道へ結ぶ東西線、これも大変混雑しておりまして、実はJRの踏切が大混雑で、駅前に南海バスというような営業所もあるのですが、ここのバス営業にも今支障が出て、間引きが出てきているというような状態なんです。深刻度はそれでわかっていただけると思います。  さらにダイエーについては、その上に買い物客が車で出たり入ったりする道さえ全くないわけです。したがって、元紡績工場で、十三号線としか隣接しない、あとは生活道に近いような道路に挟まれた中で、いっそ住宅を大引っ越しさせたりあるいは川をどうにかしたりして改造しないと、まともな出入りの道路さえ確保できないというような状態なんです。  そこでお伺いしますが、通産省はこういう大型店の進出は、大前提として、そういうふうな立地に際しての地域の物理的条件というものについてどう考えていらっしゃるのか。私はこれは見逃すことのできない大前提の問題だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  249. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 大型店の出店によりまして交通上の問題が生ずることがあるだろうという御指摘については、そういうことは大いにあり得ると私どもも思います。  ただ、法律上の体制といたしましては、大店法は、消費者利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店とその周辺の中小小売業の事業活動のその間の調整を行う、それによって周辺中小小売商の事業活動の機会の確保を図る法律でございまして、したがいまして、交通問題等商業問題以外の諸問題につきましては、それぞれ所管の行政機関において適切な指導措置が講ぜられているものだと考えております。
  250. 藤田スミ

    藤田分科員 七年前に質問をしたときは、建設大臣は、やはり総合的に判断しなければいかぬ、こういう問題が起こったらぐあいが悪い、だからこのスーパーの立地上の問題というのは総合的な判断の一つだというふうに答えられているわけですが、そんなふうにおっしゃって、単にいわゆる商業環境という面だけで言われても、商業環境そのものもいわば少し言葉のあれがありますが、とにかく商業活動そのものがもうそこで阻害されるわけですから、これは大前提の問題として配慮すべき問題ではないか。それは常識の問題として聞いているのですが、そんなふうにえらく常識を外れたみたいな言い方をしないで、もうちょっと常識的なところで答えてください。
  251. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 国会でございますので、プライベートな常識でお答えするのはむしろ遠慮をしているわけでございまして、そういう問題が起こり得ることを否定するつもりはないと最初に申し上げたところでお酌みいただきたいと思うわけでございます。  それから、商業問題自体としても交通問題があるだろうという御指摘で、それは商業問題としての範囲では、当然調整のときにいろいろ議論されると思います。例えば具体的に申しますと、その辺に高速道路があることによって距離的には遠いところのお客さんを誘引するか否か、これはその商業施設の評価をするときに交通事情を考えないでは評価できないという意味において大いに関係がございます。そういう例はもちろんございますが、交通問題そのものを取り上げて大店法で調整するという仕組みにはなっていないわけでございます。
  252. 藤田スミ

    藤田分科員 私は、やはり通産省としては、そういうところは指導上の問題としてももう少しはっきりなさらないと、ほかにも例えば吹田のジャスコなんというのも、道路問題でひっかかって長いこと、ちゃんとスーパーを開設できるような建物までありながら、結局はできなかったというような、これは物すごいマイナスですからね。そういう点では、私はやはりはっきり前提の問題として物を言うべきだというふうに思うのですよ。  ところで、事前説明の問題ですが、現在和泉市の小売販売額は五百七十六億なんです。この二つのスーパーによって予想売上額は二百四十億とも三百億とも言われているわけですが、これは和泉市だけではなしに、周辺の泉大津、岸和田両市、それから忠岡町の中小小売業者が大変脅威に感ずるのは当然のことであります。  そこで、忠岡町も含めて現地では十分な事前説明を行うようにぜひ通産省に指導していただきたいということを言っておりますが、この点はどうなんでしょうか。
  253. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 大店法の具体的な運用は、全国各地の地方通産局に任されております。本件につきましては、大阪通産局が担当しております。そういうことで、本省では個別の案件につきまして一つ一つ承知していないのでございますけれども、本件につきましては御通告がありましたので聞いてみました。大阪に聞いてみましたところが、忠岡町というところの取り扱いが問題になっていたということはあったようでございますけれども、忠岡町につきましても事前説明の対象になっているというふうに地元から聞いております。
  254. 藤田スミ

    藤田分科員 事前説明の問題とあわせて、私は最近出された大店審の会長の談話というものが、非常に実態に合わないことを言っていらっしゃるというふうに考えるものであります。しかし、関係者の理解なしに物事がうまく進むはずはありませんので、ぜひ納得のいく説明がつくように今後とも指導をしていただきたいと思います。  ところで、地元業者が大型店への不信を強調している一つに売り上げ予想の問題があるわけですが、お伺いいたしますが、ダイエー、ニチイ、ライフストア、西友、この平米当たりの売上高、これはどういうふうになっておりますでしょうか。
  255. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 ただいま手元に御指摘の数字は持っておりません。また、個別企業のことでございますので、どの程度正確に調べ得るかどうか、ちょっと今自信がないのですけれども、発表されている数字からある程度推計は可能な分もあると思いますので、調査いたしまして後ほど御報告させていただきたいと思います。
  256. 藤田スミ

    藤田分科員 ちょっと申しわけないのですが、おたくの方からもらった数字なんです。私ここに持っております。これによりますと、平米当たりの売上高はダイエーで一カ月に九・六万円、ニチイが六・五万円、ライフストアが十一・一万円、西友が八・九万円、こうなっております。ところが、両スーパーとも平米当たりの説明によりますと、ダイエーの場合は、販売実績では九・六万円なのに説明書では三・九五万円、それからニチイの場合は、実績では六・五万円という通産省からの数字をいただいておりますのに、届け出ているここの説明書では三・七五万円と非常に大きな違いがあるのですね。これはもうわざわざ売り上げを小さく見せかけて、逆にみずから中小業者に大きな脅威になることを認めているようなものじゃないか、この点はなかなかスーパーの方も説明しないわけです。こういう疑問を投げかけても、説明会でなかなか説明を十分納得のいくようにしようとしないわけです。これはぜひ指導をしていただきたいわけです。
  257. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 内部の連絡が悪くて、大変申しわけございません。  先生が今おっしゃった数字も、同じような大手スーパーでもかなり数字の開きがあるようでございますし、恐らく若干推計が入った数字かと思います。したがいまして、その数字自体についてここで具体的にコメントをすることはできませんけれども、一つ申し上げたいのは、同じ大手スーパーでもどういう店をつくるか、つまり俗にスーパーと言われている企業でも、百貨店型の店をつくる場合がありますし、純粋スーパー型の店をつくる場合もあります。それぞれ店にかける設備費の額が相当違います。したがって、販売効率なんかも幅があるわけでございます。これはそういう前提を置きまして、しかしいずれにしましても、もし正しい推計よりも低目の数字を言うことによって地元に間違った理解をさせるというようなことはあってはならないことでございますので、いい悪いということの以前に、具体的な数値が一体どうなっているのかをまず調査をさせていただきたいと思います。
  258. 藤田スミ

    藤田分科員 最後になりますが、中小企業庁の商店街調査でも、停滞及び衰退している商店街が八八・九%にも達しておりまして、その問題点の一つとして、やはり大型店との競合を挙げているところが半分近くになっているわけです。まして、最初にお伺いしましたように、この関係市町村はいずれも不況地域に指定をされているわけでして、最も関係の深い和泉市は、皮肉なことに不況地域指定の関係自治体の近畿連絡協の事務局も務めるというようなことであります。したがって、購買力が低下した地域住民を相手に小売業者は非常に苦労しているわけですが、一層打撃を受けるようなことになるのは明らかではないか。  そういう中で、地元の和泉府中の駅前商店街は六、七年ぐらい前から高度化事業で五億五千万円、それから駅前広場等をつくる活性化対策で五千万円というようなお金を使って、一生懸命活性化対策に取り組んでいるわけです。こういうような不況地域の問題や現在の商店街のこの活性化対策を踏まえ、これと逆行しないような配慮が要るのじゃないかと考えますが、通産省のお考えをお聞かせください。
  259. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 いろいろな地元の努力がなされているようでございます。そういった具体的な状況を勘案して、今後商調協で十分審議が行われるものと思っております。
  260. 藤田スミ

    藤田分科員 商調協で審議されるのは当然だと、私は通産省の御意見を聞いているのです。
  261. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 通産省としても、そういったものを十分勘案した議論が行われるべきであると思います。
  262. 藤田スミ

    藤田分科員 時間が参りましたので、これで終わります。  ありがとうございました。
  263. 自見庄三郎

    ○自見主査代理 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次に、川端達夫君。
  264. 川端達夫

    川端分科員 限られた時間ですので、繊維問題について御質問を申し上げたいと思います。  御承知のように、日本の繊維産業というのは、明治以来日本の基幹的な産業として日本の経済発展、国力の増強のために重大な使命を果たし、しかもそれは、輸出立国というふうな観点の中で、輸出産業として重要な位置を占めてきたというふうに認識をしているわけですけれども、特に昨今の円高でそういう環境が非常に変わってきている。そういう意味で、繊維輸出国であるというふうに位置づけられてきた繊維産業のそのポジションがどうも変わってきているんじゃないかというふうに思いますし、その実態があらわれてきているように思います。いろいろな業界なんかの話を伺いますと、将来的にも輸出依存に非常に厳しい見方をしているわけですけれども、政府としては、ごく最近の繊維の輸出状況をどう把握されているか、それから、これからの輸出の見通しをどういうふうに認識されているのかということをまずお伺いしたいと思います。
  265. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 繊維産業についての認識でございますが、ただいま先生御指摘がございましたように、従業員の数だけ取り上げましても全製造業の約一割というような多数の雇用を持っているわけでございまして、我が国の大変重要な産業であるというふうに認識しておる次第でございます。御案内のとおり、繊維産業を取り巻く環境は、大幅な円高あるいは発展途上国の追い上げ等によりまして大変厳しい状況にあるわけでございます。そういった中で昨年、これはある意味では歴史的な年ではなかったかと思うわけでございますが、繊維製品につきまして初めて輸出が輸入を下回る、初めて輸入超過国になったということでございます。そういった意味で、日本の繊維産業は大変大きな転機に来ているというように認識いたしておる次第でございます。  そこで、輸出の見通しでございますが、六十年秋以降の大幅な円高の中で繊維製品の輸出は、数量ベースで申し上げますと、一昨年、六十一年が対前年比約三%減でございます。昨六十二年が対前年比約一〇%減でございます。ただ、ドルベースで見ますと、六十一年、対前年比約一〇%増、昨年もほぼ横ばいということでございまして、厳しい環境の中では健闘しているという印象を持っている次第でございます。  問題は今後のことでございますが、我が国の繊維産業の価格競争力ということを考えますと、いわゆるボリュームゾーンと言うのでございますか、大量消費向けの分野では、我が国の繊維製品輸出はやはり後退を余儀なくされるのじゃないかというふうに見ておるわけでございます。他方、非価格競争力が比較的大きなウエートを占めます高級品の分野、差別化商品といった分野におきましては、内需ほどではございませんけれども、世界的にも多品種少ロット、短サイクルというような新しい需要傾向が出ているわけでございますが、こういった新しい動きに産地を初めとして関係者が努力を積み重ねまして適切に対応するということがもしできれば、繊維輸出国との競争の中でも、今後とも相当の輸出を確保することができるというふうに考えておる次第でございます。いずれにいたしましても、数量ベースでの減少は総体としてはやむを得ないということでございまして、量から質への転換ということが本格的に要請される時代になってきたというふうに考えております。
  266. 川端達夫

    川端分科員 今まさにおっしゃいましたように、横ばいないし低下傾向というのは避けられない、日本の繊維産業が非常に重大な構造転換を迫られているというふうに私も認識をしているわけです。六十年九月以降の異常とも言える急激な円高の中で逆にいわゆる輸入国に転換をしたということなんですけれども、輸入の実態として六十年はトータル的に輸出を上回ったということもありますし、それから、多種多様な繊維製品がいろいろあるわけですけれども、特に主要な製品である綿、その中には綿糸、綿織物、二次製品、いろいろあります。そのような綿あるいはニット製品なんかを中心にして輸入が急増しているのではないかというふうに受けとめているわけですが、これらの輸入動向、輸入の伸び率、あるいは内需に対する輸入比率というものをどういうふうに把握をされ、どういうふうに認識をされているか、お伺いをしたいと思います。
  267. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 輸入の実績でございますが、昨六十二年の実績で申し上げますと、ドルベースでは対前年比約五〇%の増加でございます。数量ベースでも二六・七%の増ということになっているわけでございます。このうち、特に増加が目立ちますのは二次製品でございますが、中でもニット製品でございまして、ニット製の外衣あるいはニット製の下着、こういったものは前年に比べて六割以上数量ベースでふえているということでございます。それから綿関係でございますが、綿糸は数量ベースで約二割輸入がふえております。綿織物は約一割の増加、こういう格好になっておるわけでございます。  こういったことで輸入がふえているわけでございますが、御質問のございました輸入浸透率でございます。これは日本の国内の需要に占める輸入品の比率ということでございますが、輸入急増の著しいニットにつきましては、例えばニット外衣で申し上げますと内需の四六%が輸入品ということでございまして、特にそのうちのセーターだけを取り上げますと五五%ぐらい、それからアウターシャツでも五一%、内需の半分を超えるような状況になってきておるわけでございます。それから綿関係でございますが、手元にございますのは昨年の十一月までを数量ベースにしたものでございますが、綿糸が二八・四%、綿織物が二八・七%ということで、大体三割弱ぐらいの輸入浸透率になっておるということでございます。
  268. 川端達夫

    川端分科員 今まで輸入、輸出に関して数字的なことをお伺いしたのですが、総括的に言えることは輸入国に変化をした、その中でも、品目によっては一年間に例えば六〇%も輸入がふえるというふうな異常なふえ方である。しかも、それが国内のトータル需要の中で微々たるものが倍になった、三倍になったということではなくて、国内需要の過半を占めるに至るようなところにまでなってきている。すなわち、国内生産の市場コントロール機能を失うのではないだろうかというふうな事態になっている、このように現状を認識しているわけです。  一方、そういう環境の中で、先ほど局長も触れられましたけれども、何とか国際的な競争力をつけて生き残らなければならないということで、コストダウンあるいは差別化、高付加価値化、高品質化、それからファッション大国になろう、そういうふうにいろいろな形で必死の努力をして、構造転換に耐えようということで政府の御指導もいただきながら努力をし、頑張っているわけですけれども、いかんせん余りにも急激なために雇用が随分影響を受けている。通産省の繊維統計月報による繊維雇用労働者数も、トータルでいいますと、六十年十月、いわゆるG5以降五十八万四千名強が五十三万六千名、約四万八千名も離職を余儀なくされている。あるいは合理化の発生件数も非常にふえている、しかも一件当たりの離職者数も随分大きくなっているというふうに、雇用構造の面で非常に深刻な影響を受けていると思うのですが、その面の御認識はいかがでざいましょうか。
  269. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 先ほど申し上げましたように、特に六十年秋以降の大幅な円高のもとで、輸入の増加あるいは輸出の減少、こういったことで産業構造の改善を一層推進することは当然でございますが、それと同時に、量的な減少があるわけでございますので、各産地を中心にしまして産業調整と申しますか、円滑な転廃業対策というようなこともあわせてやっていく必要があると思うわけでございまして、こういった認識のもとに、現在、例えば設備共同廃棄を繊維関係の七業種について実施いたしまして、円滑な転廃業の実現ということについて努力をいたしておるところでございます。
  270. 川端達夫

    川端分科員 参考のために、こういうG5以降のいろいろな業界、各種産業でこのようなドラスチックな影響を受けているという部門はほかではどういうところがあるか。これは一番ひどいのじゃないかなというふうに思っているのですけれども、その辺の認識としてはどうでしょうか。
  271. 杉山弘

    ○杉山政府委員 円高によりまして国内で甚大な影響を受けている産業はほかにどういうものがあるか、こういうお尋ねでございますが、例えばということで申し上げてみますと非鉄金属鉱山、これは御案内のように、国内の建て値が国際市場の外貨建ての価格をそのままレートで円に換算したもので決まっているということで、非常に円高の影響を受けておりまして、鉱山数にいたしまして、私の手元に正確な数字は持っていないので恐縮でございますが、一昨年の四月ぐらいで五十二ぐらいございました鉱山が、昨年の四月ぐらいでたしか三十二ぐらいに減っているはずでございます。そのほか、例えば鉄鋼関係で申し上げましても、一昨年の秋以降、大手の高炉メーカーが相当積極的な合理化計画をお出しになっておられまして、六十五年度ぐらいには粗鋼生産ベースで大体九千万トン前後というところを目標にし、そのために大手五社で合計四万人強の雇用調整を迫られる、こういうような状況でございましょうか。申し上げるまでもございませんが、石炭産業その他も既にかなり大きな影響をこうむっていると思います。
  272. 川端達夫

    川端分科員 今までいろいろな数字等の認識をお示しいただいたわけでございますけれども、先ほどおっしゃいました中にもありましたけれども、例えばニットですともう二年間に輸入量が二・三倍になった、あるいはアウターシャツは一年間で二倍以上輸入がふえた、あるいは製品によっては輸入浸透率が五〇%を超すというようなことで、これは集中豪雨的に輸入が急増した結果だというふうに思います。こういう現象はまさに市場を破壊し、あるいは短期間であるがゆえにその対応として構造改革をしなければならないと理屈ではわかっているわけですけれども、そう容易なことではない。とてもじゃないが、一年、二年で二倍になってくるというふうなことではどうしたらいいのだろうか。ことしなんて暖冬ですから急にセーターを着る人がそんなにふえたわけではないのに輸入量が非常にふえている。これが経済大国となってこれからまたそのローブローがどんどん効いてくるのじゃないかということで非常に危機感を持っているし、現に危機的な状況になってきているわけですけれども、構造改革の時間的余裕もないということで、結果的に失業を発生させているというのも事実だと思います。そういう意味で、輸入の増加率を緩和していく、その量的な乱高下を抑えて安定した秩序ある輸入体制を確立するということが非常に重要な要素である、産業を守り、雇用を守っていくという安定的な産業政策としてどうしても必要ではないかというふうに考えるわけです。  いろいろな意見の中に、そういう秩序ある輸入体制と言うと締め出すのじゃないかということで批判をする向きもあるのですけれども、結果的にいえば、このように急激にふえたり、あるいはどかっと減ったりということは輸出国にとっても決して好ましいことではないし、買う方にとってももちろん大変なことであるし、流通の部門でもそうだと思うのです。だから、いわゆる安定的に輸出あるいは受ける側であれば輸入が推移するということが非常に大事なことであるというふうに考えるわけです。トータル的に今日本は非常に貿易黒字である、何としてもこの黒字を少しでも減らさなければいけないという大命題があるということで、政府は、貿易収支のインバランスの是正のためにトータル的には輸入を拡大しようという姿勢を持っておられる。ところが、先ほどのように、余りにも急激に大量に雪崩的、集中豪雨的な部分で輸入品と直接競合しておるような繊維産業が非常に苦境に陥っている。そういう意味では、輸入拡大という一般の総合的な施策と、それからその中にある特定の業界あるいは産業、品物というものに対しての施策とは区別をするべきではないか。ややトータル的にはとにかくふやさなければいかぬのだから、そういうところもお構いなしよということはいかがかなと思うのですけれども、その部分の御認識、トータル的な施策と個別の施策というものとの調和を図るべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  273. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 個別の政策を考える場合にも、もちろん我が国全体の立場というものが当然考慮要因に入るわけでございますけれども、確かに先生御指摘の問題点は問題点としてあるように思っております。具体的に申し上げますと、ニット製の外衣と一部の製品は、先ほど申し上げましたように相当急激に輸入がふえているわけでございまして、関連業界を中心にいたしまして懸念の声が高まっているということも私ども承知いたしておるわけでございます。ただ、通産省としては、開放市場下での構造改善推進産業調整の実施が、やはり長い目で見て立派な繊維産業をつくるために繊維産業政策の基本的な立場ではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、輸入規制などのような保護主義的な措置はできる限り差し控えるというのが本筋ではないかと考えている次第でございます。  ただ、一方、ただいま先生お話ございましたように、特定の分野でいわば集中豪雨的に急激な輸入増加が起こる、その結果、日本のマーケットが混乱いたしまして、結果として国内の産業界のみならず、やや中長期的に見ますと、輸出国側にとっても不利益を生み出すようなことが十分考えられるわけでございます。そういったこともございまして、そういう事態のないよう、あらゆる機会をとらえまして関係国に対しまして日本の国内事情を説明し理解を求める、あるいは注意を喚起するといった努力を従来から進めてきているわけでございまして、今後ともこういった努力に全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  274. 川端達夫

    川端分科員 局長おっしゃるように、長い目で見たときに市場開放をしていってタフになるということは私も同感です。しかし、余りにもこれは急激過ぎるのではないかということで打つべき手があるのではなかろうか。おっしゃるように、秩序ある輸入体制を何とか維持しようというのは、これもまたトータル的には非常にメリットがあることだ、国民生活にとっても業界、輸出国にとってもメリットがあることだと信じておるわけですけれども、そういった状態の中で現状がどういった情勢にあるかという現状分析がまずある。それから、おっしゃったように政府間でいろいろ意見の交換をし、実情の理解を求めていく、あるいはこれは業界間でもそうでしょうし、国際的な労使間においてもそういうことが必要である。あるいは輸入業者、これはアウトサイダー的なものも幾つかあるようですし、そういう部分への行政指導をやっていかなければならない。いろいろな手段があると思うのですけれども、そういう部分で六十年九月のG5以降いろいろな手をお打ちになったと思うのです。その点について、例えばどういう手を打ちましたということと、結果的にそういういろいろ考えられる手段の効果についてどういうふうに評価をされているのか。集中豪雨が普通の雨ぐらいになって見通しとしては間もなく晴れるでしょうというのか、どんどんどしゃ降りが続いていくのか、どういうふうに認識をされますか。
  275. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 私どもといたしましては、この数年、特定の繊維分野におきまして集中豪雨的な輸入増加が起きて市場が混乱することがないよう、いろいろな機会をとらえまして関係国に対する注意喚起、あるいは先生が今お話しになったようなことをいろいろやってきているわけでございます。これをどういうふうに評価するかということでございますけれども、必ずしもこれは一概に言いにくいと思うのでございますが、分野によっては相当の成果を挙げているものもございますし、分野によっては、少なくとも繊維業界が期待したほどの成果は挙げていないという分野もあろうかと思います。この辺、私どもの努力の積み上げがもう一歩必要な分野もあるということかもしれませんので、その辺は十分頭に置いて今後対応していきたいというふうに考えている次第でございます。
  276. 川端達夫

    川端分科員 こういう経済原理の働くところで相互理解を求め、話し合いをしていくというのはなかなか難しいと思います。御苦労されているのは十分に理解をするわけですけれども、昭和五十八年に策定された繊維ビジョンの中でまさにこの通商問題への対応というのが五番目にありまして、その中の「2.輸入への機動的対応」の(2)として、「政府のとるべき措置としては、」ということで先ほども述べましたようないろいろな段階を挙げられて、基本的な考え方として、「特定品目の輸入急増によって国内産業に重大な被害を生じるような場合にはMFAを適用した措置をとる」、ただし、あくまで「最終的かつ一時的な緊急避難であり、その発動期間は厳しく限定されるべきである。」こうただし書きはついていますけれども、明確にMFAの発動について考え方を述べておられるわけです。  MFAはガットでも認められた貿易秩序化の正当な方策であって、我が国が自由貿易の原則を貫いていくという立場に何ら抵触するものではないというふうに理解をしているわけですけれども、確かに伝家の宝刀であり、安易に、むやみに抜くものではないということは、その相手国あるいは日本のトータル的な国際的な立場という部分では十分承知をしておりますが、ずっと見ていますと、刀はあるけれども抜く気がないという感じが見え見えになってきているのではないか。これは私の誤解であれば幸いでありますけれども、もし抜く気がないという姿勢であれば、それがわかってしまうようであれば伝家の宝刀たり得ないし、何の力もないなまくら刀でしかない、ない方がましだということになってしまう。先進国でも、MFAを発動していないのは我が国を含めてごく少数の国でありますし、しかも、欧米がそういうことで非常に規制をしている、日本はないということで、逆に加速度的に、NICSを中心とするいわゆる近隣の繊維大国と称する国が日本に集中的に輸出攻勢をかけてくる、こういうふうになってきているのではないか。政府のMFA発動に対する認識というものをお聞かせいただきたい。  それから、五十八年の繊維ビジョンの基本的な考え方を踏まえたときに今の事態をどういうふうに認識されているのか。こういう状態は、MFAを今すぐ発動するということじゃなくても発動する状況にあるのではないだろうか。発動するとしたらというふうな姿勢でとらえておられるのか、全然縁がないことだというふうにお考えなのか、そこら辺も含めてMFAに対する御見解をお伺いしたいと思います。
  277. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 昭和五十八年に策定されました繊維産業ビジョン、これは繊維工業審議会、産業構造審議会の合同部会の答申でございますが、その中では、先生御指摘ございましたように「我が国繊維産業が新たな発展を期すためには、その創造性と活力を減退させる輸入規制等の保護的措置は差し控えるべきである。」という前提を置きながらも、「しかし、このことは、如何なる事態においても輸入を放置せよということではなく、輸入急増に伴う過度の影響を緩和するためには、事態に即して機動的に対応することも必要である。」ということで、アンチダンピング関税の発動等々と並びまして、MFAの適用についても言及していることはそのとおりでございます。  ただ、申し上げましたように、MFAの適用につきましては、MFA発動の前提となる輸入の急増、そしてそれが国内生産に与える重大な影響、重大な損害またはそのおそれの存在等各種の要因をめぐっての議論ももちろんあるわけでございますけれども、それはさておきまして、ただいま先生お話があったわけでございますが、我が国の大幅な貿易黒字あるいは輸入促進という基本的政策等々我が国の置かれた国際的立場を考えますと、やはりMFA発動に至るまでにできることはとにかくやってみる、さまざまな措置を講じて何とか実効を上げる、そうして真にやむを得ない場合にどうするかということで、そういう意味で私ども最終的手段というふうに言っているわけでございますけれども、何とかそういう最終的手段に至らぬ段階で、その他のさまざまな方策あるいは努力によりまして何とか実効を上げるように努力してまいりたい、これが私どもの偽らざる心境でございます。
  278. 川端達夫

    川端分科員 恐らくそういう御答弁だろうということで、その前段に、個別の問題とトータルの問題は別として考えるべきではないかということ、それから、あらゆる手段を講じてという部分が実効としてどうなのかということですね。それで、できることもいろいろやってという部分も含めて今、事ここに至った状況というのは、条件的にこれ以上放置をして許される状態ではないのではないかと私は認識をしているわけです。確かにおっしゃるように発動したときのメリットもありますが、デメリットもいろいろな部分であるわけですけれども、今のような姿勢を続ける限り、まさに各国からの見方として伝家の宝刀でなくなる。あれは絶対抜かなければ伝家の宝刀であり得ないわけですが、伝家の宝刀というのは抜くだけが効果を発揮するものではないと思いますので、ぜひとも前向きに、具体的に、環境整備といいますか条件整備というものを定義づけていくという作業をおやりになるだけでも随分違うと思う。そういうふうなこともぜひとも御討議をお願いしたいと思いますし、また、昨年十二月から繊工審の総合部会あるいは産構審の繊維部会でいろいろ新繊維ビジョンというのを御討議されて、今まさにそういう議論が恐らく出ているのじゃないかと思いますけれども、そういう中にも含めてMFA問題というのを前向きにお取り組みいただきたい、これはお願いをしておきたいと思います。  時間が来てしまいましたので、要望も含めてですけれども、ガットのウルグアイ・ラウンドにおいてもまたMFA問題が出てくると思いますが、トータル的に繊維貿易で世界各国においてMFAの果たしてきた役割というのは、秩序化という意味では非常に大きいと思いますし、今後も果たしていかねばならないというふうに思いますので、ぜひとも政府の対応として、ウルグアイ・ラウンド繊維グループにおいてもMFA存続の立場を貫いていただきたいということをお願いしたいと思います。  もう一つは、日本の経済が非常に急激に発展をした、これは事実だと思います。その中で先進国から、日本が低賃金、長時間労働という国際的な競争条件において不公平な状況の中で経済進出をしているのはけしからぬという強いおしかりを受けたのも事実でございます。それで制度をつくり、ともに力を合わせてそれを向上させる、賃金も上げよう、労働時間も短縮しよう等々を進める中で国際的な地位を築いてきたと思うのです。逆に、今度は開発途上国といいますか発展途上国からは、まさにその部分を武器にして、賃金でいえば五分の一ないし十分の一、労働時間でも倍ぐらいの労働時間というふうな低賃金、長時間労働で攻勢をかけてきているのは事実だと思います。この部分は単に内政干渉だということではなくて、そこに従事している人はそういう労働条件で働かされているわけですから、これは人道的な部分も含めて、政府としてもあらゆるチャンネルを通じてそういうふうな国際世論を喚起すべきだというふうに思います。ガットのウルグアイ・ラウンドの部分と今のことに関して簡単に御見解を伺って、終わりにしたいと思います。
  279. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 MFA問題につきましては、ただいま繊工審で新しい繊維産業ビジョンを議論していただいているわけでございます。学識経験者を含めまして関係者の意見を集めまして、十分御論議していただくということにしたいと思います。  それから、ウルグアイ・ラウンドでございますが、ウルグアイ・ラウンドの交渉開始に当たりまして発表されましたプンタデルエステ宣言におきましては、繊維の分野がガットヘ究極的に統合されることを目指すこととされているわけでございまして、その背景には、発展途上諸国から、ガットの特例でございますMFAについてガット原則の完全適用が必要であるとの意見が出されていることは承知いたしておるわけでございます。ただ、これは米国やEC等の先進国は輸入規制の継続を主張しているわけでございますし、発展途上国との意見調整というのも極めて厳しいものがある、したがって、今後も平行線の議論が続くということも考えられているのが大方の見方のようでございます。  いずれにいたしましても、ウルグアイ・ラウンドにおける議論は開始されたばかりでございます。私どもとしても、今後の事態を十分注視いたしまして、適正な繊維通商関係の構築という観点から現実的に対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  280. 川端達夫

    川端分科員 どうもありがとうございました。
  281. 自見庄三郎

    ○自見主査代理 これにて川端達夫君の質疑は終了いたしました。  次に、児玉健次君。
  282. 児玉健次

    児玉分科員 きょうおいでくださった皆さん方、ちょうど三月なんですが、積雪寒冷の地帯ではそろそろ雪が解けて舗装面が露出をする、そこに依然としてスパイクタイヤを装着した車が走り抜けることによってもうもうたる車粉を巻き上げる、一年間で最も厳しい時期でもあります。それから、きょう三月九日は、国の公害等調整委員会で申立人と被申立人が午後一時から集まって、大体そろそろ終わろうとしているのではないか、こういうときでもあります。  それで、まず最初に通産省に御質問したいのですが、通産省は、この間、脱スパイクの推進ということでいろいろ御努力をなさってきました。脱スパイクというのは、スタッドレスタイヤを普及促進していくということとほとんど同義語だと私は思うのです。この点で通産省はどのような努力をなさってきたか、そしてどんな効果をあらわしたか。きょう、私はタイヤの問題に絞って御質問したいと思っておりますので、まず、その点からお答えいただきたいと思います。
  283. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 お話ございましたように、積雪地域が中心でございますけれども、春になりますとスパイクタイヤに基づきますいろいろな社会問題の議論が非常に多くなってまいります。スパイクタイヤは、先生御存じのとおり、利用面で制動性能が非常に高いというようなことで、凍結路面におきます制動性能が高いあるいはチェーンを使わなくてもいいという利便性等から、北海道、東北地方等々で急速に普及したタイヤでございますけれども、一方におきまして、おっしゃいましたように粉じんの問題、それ以外にも道路の損傷とかあるいはまた表面に書いてございます道路標識の損失とか、いろいろな問題が起こってきたわけでございます。私どもといたしましても、その問題の重大性をかねてから認識しておりまして、おっしゃったように、スパイクタイヤにかわるいいタイヤの普及が非常に大きな解決策ではないかということで、スタッドレスタイヤの普及ということを積極的にやってきているわけでございます。  スタッドレスタイヤは、先生御存じのとおり、非常に温度が下がりましてもゴムの柔軟性は落ちないという特殊なタイヤでございまして、各メーカーにその性能の向上につきましても強いお願いをしつつ、その積極的な普及をお願いしてきているわけでございます。どのような実態になっているかというお話でございますが、昨今、徐々にスタッドレスタイヤの普及が進んでいると存じております。例えば、六十二年におきます特に補修用のスノータイヤにおきますスタッドレスの伸び率は約六割というようなことでございまして、一方のスパイクタイヤが約一二%減少しておりますので、全国的に見ましてスタッドレスタイヤの普及は相当進みつつある、かように私ども考えております。
  284. 児玉健次

    児玉分科員 簡単に聞きますから、簡単にお答えいただきたい。私も運転免許を取ってもう三十年超していまして、そして私の関係するすべての車はスタッドレスを使っておりますから、タイヤそのものについては少しは承知しております。  そこで、今のお話なんですが、通産省はメーカーに対して、このスパイクタイヤの販売量を対前年比一〇%ずつ減らしていく、こういう点での御指導をなさっている。その結果が、今局長からお話があったようなスタッドレスタイヤのある意味では激増といっても差し支えないようなかなりドラスチックな増加にもつながっている、こう思うのですね。そこで、皆さんからいただいた資料にもありますが、軽自動車を含む乗用車のスパイクタイヤの販売量は、昭和六十年が五百十六万七千本、六十一年が四百五十六万六千本、昭和六十二年、昨年が四百万六千本、六十一年は前の年に比べてマイナス一一・四%、六十二年はマイナス一二・三%、これはそのとおりですね。
  285. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 私ども今手元にございます統計によりますと補修用のスノータイヤの実績でございまして、おっしゃるパーセンテージ、伸び率についてはほぼおっしゃるとおりでございます。実数についてはちょっと違っておりますけれども、まあ、傾向としては同じような方向だと思っております。
  286. 児玉健次

    児玉分科員 そこで、乗用車は軽乗用車も含めてスタッドレスタイヤの装着が進んでいる、脱スパイクが相対的に進んでいる、これは全国的な傾向だ、好ましい傾向だと私たちは考えております。さて、その中でバス、トラック、大型車のスパイクタイヤの部分がどうなっているのか、ここが今最も問われていると思います。  一九八三年、北海道開発局の土木試験所月報、ナンバー三五六に、久保宏さんと小笠原章さんというお二人の研究者が「舗装路面形状と大型車の摩耗影響度について」という非常にコンパクトな論文をお書きになっています。その中で、北海道の国道十二カ所において調査をなさった。ちなみに、調査地点における自動車通行量の中で大型車がまじっている率は二四%、舗装路面の摩耗に与える大型車の影響度は三五%である。この二人の研究者はそれをこういうふうに言い直して、大型車は小型車の約二倍道路を摩耗する、そしてもし大型車のスパイクタイヤ使用禁止が実現されたら四割近くの道路の摩耗を防げる、こういうふうに指摘をされている。これは既に多くの研究者から支持されている安定した一つの知見になっております。  そういった状況の中で、日本におけるトラック、バス、要するに大型自動車におけるスパイクタイヤの販売量はどうなっているか、その点をお伺いします。
  287. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 私どもが知っている限りにおきましては、一般的に、大型車の中でトラックの装備率は会社によって相当進みつつあると思いますけれども、バスに関しましては、とまったり動いたり、あるいは路肩に寄るとか非常に走行の特殊性がございまして、スパイクタイヤを脱スパイクにするというのはなかなか難しい、かようなことを聞いております。非常に大きな問題点は、御指摘の一部にもございましたけれども、スパイクタイヤにかわるべきいわゆるスタッドレスタイヤにつきましては、いろいろな技術的な面から大型車用の開発がまだ進んでいないというのが一つの問題点だと私ども思っております。
  288. 児玉健次

    児玉分科員 昭和五十九年からのトラック、バス用のスパイクタイヤ国内補修用の販売量ですが、私たちの調べているところによると、昭和五十九年が二十万三千本です。昭和六十年が二十一万九千本、六十一年が二十万三千本、昨年が二十二万七千本、全体として言えば二十万前後であるということは言えますが、先ほど指摘した乗用車に比べると残念ながらこれは減っていない。六十二年について言えば前年度に比べて二万七千本ふえている。ここは非常に残念なことで、脱スパイクを促進されている通産省の御努力と逆行するものだと思うのですが、この点についての対策を今どんなふうにお考えになっているか聞かせてください。
  289. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 トラック、バス用のタイヤの最近の動向でございますけれども、例えば最近の内需拡大、それに伴います景気回復ということで一般的に荷動きが非常に進んでいるようでございまして、一般的な冬用のバス、トラック用タイヤは全体的に二割も伸びております。その中で、おっしゃるようにトラック、バス用のスパイクタイヤが三万本弱ふえているわけでございまして、伸び率からいきますと確かにやや増加をしたというのは事実だと思いますけれども、全般的なトラック、バス用の冬用タイヤの販売動向からいきますとシェア、ウェートは減少しておりまして、六十一年一七%でございましたのが六十二年一六%、一%ではございますけれども方向としてはウエートは下がってきつつある、かように認識しております。
  290. 児玉健次

    児玉分科員 そこがポイントだと思うのです。この点を通産省にしっかり認識していただきたいのです。既に皆さんよく御存じだと思いますが、例えばヨーロッパにおいては、まず大型車のスパイクタイヤの禁止ないしは制限が先行していますね。それはもう当然のことですよ。ところが、日本では乗用車、軽乗用車の脱スパイクが先行して、それに比べて大型車が大きく立ちおくれている。私たちの通産省に対する努力の具体的要請については後から述べますが、今局長がおっしゃった大型のスタッドレスタイヤの開発が幾らかおくれているという問題、それは事実ですが、最近こういう努力が始まっております。  例えば、北海道の札幌に中村運送という会社があります。ここでは、営業開始以来二十年ですが、二トンから十トン車三十四台のトラックを使用しています。最近と私言ったけれども、それは正確でないのです。この中村運送は創業以来一度もスパイクタイヤを使ったことがございません。そして、タイヤに起因する事故はいまだに経験していないのです。札幌だけでなくてかなり温度の下がる北海道東部まで回っているのですが、スノータイヤで冬季間十分過ごせる、更生タイヤを使用するため経費節減にもなる、経営上も好ましい、それが私たちに対する経営者の直接のお話です。  それから、御存じだと思いますが、例えばJR北海道におけるバス部門で、岩見沢支所の路線バスに新しいスノータイヤ、ニュースノータイヤと言っておりますが、これは五台について現在試験運行中です。大体支障なく運行されている、こう私たちは聞いているのです。  さらに、脱スパイクのことで苦労している札幌市の場合、指名登録業者の五トン以上のトラック、バスについて調査してみましたら、調査台数は千八百九十二台ですが、ともかく脱スパイクを完全に行っている車両が一昨年は三百四十一台、一八・〇%です。昨年はそれが五百五十八台、二九・〇%、一〇ポイント上がっているのですね。だから大型のタイヤについての開発がおくれているというのは、もしかしたらそれは先ほど局長がおっしゃった、文字どおり日本の創造であるゴム質のやわらかいタイヤの単なる大型化ではないかもしれません。別の選択肢もあるかもしれませんね。要するに、現行のスノータイヤないしはそれに若干改良を加えたものでこれだけの努力が現実に進んでいる。この点、通産省はどうごらんになりますか。
  291. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 お話ございましたように、バス、トラック、特にトラックの分野で脱スパイクの御努力がいろいろ行われていることにつきましては、お話のようなことはあちらこちらで努力されていると存じます。問題は、大型車の場合には当然大変多くの荷物を積みますので、タイヤはそれに耐えられなければいけないわけでございますし、特に空車で走る場合、荷物を載せた場合、その際タイヤに与える重さの影響は大変多うございます。いずれの場合にも期待される性能を発揮しなくてはならない、こういうことでございますので、ゴムにつきましても特殊性の要求が非常に強いわけでございます。そういう面からいきまして現在私どもはいろいろな苦労をしておるわけでございますが、先ほどお話ございました、ヨーロッパでは大型車に対する脱スパイクが実態として相当進んでいるのではないかという点はお説のとおりでございます。  ただ、これはやや言いわけめいているのかもしれませんけれども、例えば雪が降りましても、日本の場合大変どか雪が降りますが、ヨーロッパの場合は降りましてもそう多くはないというその降雪量の違いがございますし、またその除雪能力といいますか、道路があちらは大変広くて真っすぐであるというような面がございますので、普通のスノータイヤで運行ができるように直ちに除雪をするというような面の努力もございます。かつまた、地理的な条件で日本の場合は御存じのように山国でございますので、郡部から都市部に入る場合に急な坂を下ってくるというような面がございまして、タイヤに期待される性能の中でそういう坂というのは非常に難しい条件でございます。ヨーロッパの場合は御存じのとおり非常に平たんでございます。いろいろな意味で、脱スパイクにつきましての与えられた条件が日本の場合は非常に厳しいという面があるわけでございまして、その辺にいかに対応するかという点でございます。  お話がございました例えば運送会社の例は、これは会社の御努力という面が非常に寄与していると思いますけれども、大変面倒ではございますが、積極的にその都度チェーンに取りかえる、あるいは運転に際しましても、お聞きするところによりますと積雪がある場合には相当スピードを落として走るとか、そういう運転ないしチェーンの取りかえ等々についていろいろな意味の御努力をなさりながらこういう難しい問題に積極的に対応されているという面がございます。我々もそういうことを高く評価するわけでございますし、今後我々の方の努力といたしましても、今申し上げましたようないろいろな難しい条件に耐えられる大型車用のタイヤの開発はぜひ進めなくてはいけないというふうには思っております。
  292. 児玉健次

    児玉分科員 難しい条件ばかり並べられるのだけれども、その中でどういう努力をしなければいけないか、そこが肝心なところですね。チェーンを必要な条件では装着するというのは積雪寒冷地域では常識的なことでして、プロのドライバーならもう当たり前の話で、特にそこだけの努力というわけではありません。  そこで、通産省の努力も私は見ないわけではないのだけれども、私たちがこの問題を前に進めていこうとするとき、一つ見逃すことのできない問題があるのです。それは、韓国、台湾からのタイヤの輸入の問題です。これがどのようになっているか。昭和六十年、六十一年、六十二年について私たちが承知している資料によれば、タイヤの輸入量がふえています。二輪車も含めた数字ですが、例えば韓国でいえば、六十年が十四万二千本、六十一年が二十九万五千本、去年は七十五万四千本に激増しています。昨年についていえば、七十五万四千本のうち二輪車の数は四十九万本ですから、残りが四輪車のタイヤです。このタイヤが日本に輸入された後、その中で約三分の一と推定されるスノータイヤについてどのような処理がなされているか、この点、通産省御存じでしょうか。
  293. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のように、近年タイヤの輸入は大変大きな伸び率でございまして、御指摘の数字はそのとおりでございます。これは韓国ばかりではございませんで、世界各地からのタイヤの輸入が激増しているわけでございますが、おっしゃった地域からの輸入につきましても、確かに六十二年に二・五倍でございますので、おっしゃったような数字に拡大しております。その中でどの程度がスパイクタイヤに向けられたかという点につきましては、私どもの業界団体の調査によりましても、確かに二十五万六千本の中でおっしゃったような比率がスパイクタイヤとして売られているのではないか、かように私どもも想定しております。
  294. 児玉健次

    児玉分科員 そこで、私の質問の後半に答えていただけなかったのですけれども、輸入されたスノータイヤにはまだピンは打ってありません。ところが輸入した商社が国内の業者に依頼して、ないしはその商社自身が日本製のピンを打ち込んでいますね。しかも、そのピンは、最近タイヤ業界が可能な限り車粉公害を軽減させようというので何回か新しい基準を打ち出されています。フランジの径その他についていろいろ工夫があります。最悪のマカロニタイヤをできるだけ減らそうという努力がされています。ところが、韓国から輸入されるこのスノータイヤに打ち込まれるピンは古い基準のものであって、国内のメーカーの努力がそこには一切反映していません。言ってみればアウトサイダーなんですよ。通産省がせっかく努力をされ、環境庁も努力をなさっている。その中でこういう抜け道を放置しておいていいのかどうか。もし実態をまだお調べでないとすれば、速やかに調査して適切な手を打っていただきたい。この点、どうでしょうか。
  295. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 確かに輸入タイヤに打たれるピンにつきましては、どうも私どもが指導しております基準以前の古いタイプのピンが多いように私どもも最近聞いております。これはおっしゃるように、実態としてどういう分野でどういう形で実施されているかにつきましてはさらに調査をしてみたいと思いますけれども、我々といたしましては、業界団体同士で、むしろ韓国の工業会にも御協力を得なければならないのではないかということで、一昨年ミッションが出た際にも新基準への協力ということについてのお願いもしてきている、こういうように聞いております。
  296. 児玉健次

    児玉分科員 この点は、大臣がちょっと健康を損ねられたそうで伺えないのは残念ですが、せっかく国内におけるコンセンサスが進む中で明らかな抜け道ができている。実態は調べると今おっしゃいましたけれども、やはり適切な対応策を機敏にとっていただきたい。これは強く求めておきます。  それと、先ほどからお話があった大型タイヤについてどのような研究を加えるか。この点では、最近業界では大型スタッドレスタイヤ研究開発委員会が昨年の十一月に発足をしまして、ことしの四月あたりから具体的な事業に入る、こう聞いております。この結果を待ってという立場に私たちは全然立たないのですが、この研究会が国民の期待にこたえる成果が挙げられるように、通産省として必要な激励と援助を加えていただきたいというふうに思うのですが、その点、どうでしょうか。
  297. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のように、大型車用のスタッドレスタイヤの開発というのは私どもとしても大変関心の高い分野でございまして、基本的には、個々の企業に精いっぱい努力していただくということが非常に重要だと思っております。おっしゃったように、業界間、業界の中で相互に協力し得る分野でもないか、かように考えておりますので、おっしゃったような組織を有効に活用して、ぜひ期待にこたえられるような方向で努力をしてもらいたい、かように思っております。
  298. 児玉健次

    児玉分科員 環境庁に来ていただいているのですが、去年は残念ながらこの分科会がありませんでした。一昨年の環境委員会で当時の森長官が、「ともかく一刻も早くスパイクタイヤというものを世の中からなくしたいというのが私どもの悲願でございます。」こういうふうに述べておられる。核廃絶じゃないけれども、スパイクタイヤの廃絶ですよ。御承知ですね。  それで、最近脱スパイクという点で各方面での努力が進んでいます。そういう中で、例えば北海道が昨年、「スパイクタイヤ問題に関する道民意識調査」というのをやって、この一月に発表されました。有効回収数は五千九百二十四。その中で私たちが注目しているのは、現にスパイクタイヤを使っている人たちに聞いているのですが、あなたはどういう場合スパイクをやめるか。これに対して、今シーズンからスタッドレスを使いたい、スパイクをやめたいが三・五%、車やタイヤの買いかえのときからそのようにしたい、一〇・四%、もう少し性能が向上したら使いたい、四五・六%、みんなが使うようになったら使うが五・八です。しかし、以上で六五・三%ですから、現にスパイクタイヤを使っている人たちの中でそういう合意が形成されつつある。  そういう背景をもとに、この三月一日から北海道の中央部を中心とした日産自動車系ディーラー五社が、新車については全車種をスタッドレス標準装備とする、スパイクタイヤはオプションとする、こういうことに踏み切りました。こういった意識の前進とかディーラーの努力について、環境庁はどうお考えですか。
  299. 南戸義博

    ○南戸説明員 ただいま先生から御説明ありました状況は、私どもも北海道等から事情を聞いてほぼ承知しておるところでございます。  このスパイクタイヤによる粉じんの問題というのは、私ども、環境上の問題としても受けとめて対応しておるところでございます。このスパイクタイヤの問題は、積雪寒冷地域地域ごとの地形とか、積雪、凍結などの気象状況及び交通実態を踏まえて、道路環境の整備、スタッドレスタイヤの性能向上等幅広い観点からの対応が必要であると考えております。環境庁といたしましても、従来から、可能な限りスパイクタイヤの使用を抑制すべきであるとの観点から、地方公共団体に対して、使用自粛要綱の制定、自動車関係業界への協力要請、環境の監視などを行うよう指導するとともに、関係者に対する関係業界への指導方の依頼及びタイヤメーカーに対するスタッドレスタイヤの性能向上の要請を行ってきたところであります。今後ともスタッドレスタイヤの普及促進を図るとともに、関係省庁、地方公共団体等々と十分連携をとりつつ、総合的な施策推進を図ってまいりたいと考えております。
  300. 児玉健次

    児玉分科員 環境庁が今まで進めてこられた車粉じんによる健康被害についての調査ですね、昭和五十九年から生態影響調査をなさってきたのですが、私たちは早くその結果を見たい、そう思っているのです。いつこれを公表されますか。
  301. 南戸義博

    ○南戸説明員 環境庁では、スパイクタイヤ粉じんの生態影響について、先生御指摘のとおり昭和五十九年度から取り組んでおります。小動物を使いまして長期の暴露実験を行ってきたわけでございます。現在、専門家によって実験結果の評価検討をいただいている最中でございまして、できれば本年の夏ごろまでには最終的な取りまとめが終わるよう、検討の促進をお願いしているところでございます。
  302. 児玉健次

    児玉分科員 では、時間が来たから最後に。これは環境庁に強くお願いしたいのでお答えいただきたいのですが、おととし八月の北海道公害審査会で、タイヤをつくっている側と申し立てをした側とでこの点についていろいろ論議があって、基本的事項がまとまりました。社会的合意が形成されたら速やかに販売を中止する。きょう開かれている国の公害等調整委員会でもこのことが主題になっています。そこで、先ほどいろいろお話がありましたが、社会的合意という点で、地域別にそれが醸し出されるのを待っているのでなく、そろそろ国の行政的措置としてイニシアチブをとる時期だ、そう思うのですよ。六関係省庁の連絡会議の係を環境庁がなさっているわけですから、その面での積極的なイニシアチブの発揮ですね。法律というと、私たちはやがてそこに必ずいかなければいけないと思いますけれども、今の段階は、コンセンサスを先行させるという点でいえば、ある地域地域の問題じゃなくて全国的な行政的措置に踏み切る時期に来ている、そう思うのですが、どうでしょうか。
  303. 南戸義博

    ○南戸説明員 先生から北海道の調停のお話ございましたけれども、将来、路面管理等の条件が整備され、スタッドレスタイヤの使用が相当程度普及するなど社会的合意が得られた場合には、速やかに北海道におけるスパイクタイヤの販売を停止するという内容でございまして、この内容については、現実的な対応をする方向として妥当な内容と受けとめております。調停の中に含まれておりますスタッドレスタイヤの普及について、環境庁といたしましてもモニター調査などを行いましてその普及に努めておるわけでございます。政府全体としても、先生御指摘のございましたように、関係省庁連絡会議等で情報交換等を行い、政府全体として総合的な対策というような形が形成されるように努力をしてまいっておるわけでございますが、今後とも、先生御指摘のような点も十分踏まえながら、スパイクタイヤの使用の抑制、スタッドレスタイヤの普及が促進されるよう努力してまいりたいと思います。
  304. 児玉健次

    児玉分科員 終わります。
  305. 自見庄三郎

    ○自見主査代理 これにて児玉健次君の質疑は終了いたしました。  次に、木内良明君。
  306. 木内良明

    木内分科員 先ほど自見副主査から御連絡をいただきまして、にわかに田村通産大臣が体調をお崩しになったということで私も大変心配をいたしまして、先ほどお見舞いに行ってまいりましたところ、思ったよりお元気な御様子で、一刻も早い御回復をお祈り申し上げたい。まず、質疑の冒頭に当たってこのことを申し上げたいと思います。  また、きょうは通産省の村岡通商政策局長、また答弁担当の通産省の枢軸たる方がおいででございますので、短時間でございますが、実のある質疑を行ってまいりたい、こういうふうに思っております。  まず、日米貿易問題、経済関係についてお尋ねをいたします。  日米関係は極めて重要な二国間関係であると思っているわけでありまして、米国側に貿易インバランスを背景としたいら立ちが今なお根強くあり、それがいろいろな面で二国間の摩擦を生じさせている。半導体あるいは関西新空港、また日本の公共事業への米国企業の参入問題、自動車輸出自主規制、日米科学技術協力協定のテーマなどなど、大変累積をしているわけであります。  実はアメリカの大統領選挙に向かっている今日的状況の中で、きのうがいわゆるスーパーチューズデー、このスーパーチューズデーの中身、結果のあり方というものが、後ほど触れるゲッパート条項等を含んでいるところのいわゆる包括貿易法案の行方にも大きな影響を与えるであろう、こういう観測が我が国でも行われている、こういう状況下であります。  まずそこで初めに、通産省当局としては、最近の日米間の貿易動向をどのようにとらえておられるのか、簡潔に御答弁願いたいと思います。
  307. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 お尋ねの日米貿易動向でございますが、私ども今までドルというものを世界の基軸通貨といたしまして信認してまいりました。これを物差しとしてはかってきたのでございますが、この物差しが二、三年の間に二百四十二円から百二十円台と半分に縮まってしまった。これで物をはかることが非常に難しくなりつつあります。そこで本日は円ベースで簡潔に申し上げたいと思いますが、一言で言いますと、八五年、日米の不均衡の問題はピークを越えまして、基調が明確に変化しているのではないかと私ども思うのでございます。八六年四月以降二十二カ月連続で対米の不均衡というものが減少を続けております。八七年におきましては七兆六千億円ということで、一兆円減少いたしました。率にして一二・四%でございます。特に最近、去年の十一月、十二月、これは非常に改善したと理解しております。
  308. 木内良明

    木内分科員 関連して、米国自身のいら立ちといいますかこうした姿というものは、米国自身の経済動向に大きく左右されるものである、こうした米国内の内政的な要因というものもかなり大きな部分を占める、こう承知するわけでありまして、八八年度の米国経済についてはどのように観測をされておられるか、お尋ねします。
  309. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 八八年のアメリカの経済でございますが、GNPの伸び率にいたしますと、前の二年間と同様二・九%伸びると予測しておりますが、しかしながらその内容は非常にさま変わりだと思います。  八七年におきまして、実は七年ぶりに外需がアメリカ経済を引っ張っていくという傾向が出てまいりました。二・九%の伸び率の寄与率でございますが、外需が〇・三%寄与している。今までずっとマイナスに寄与していただけでございます。非常にさま変わりでございます。八八年におきましてもこれはさらにウエートを増してくる、外需の成長に対する寄与がウエートを増してくるという状況になるのではないかと思います。そのためにアメリカ自身が果たさなければならないポイントが三つあるのではないかと思います。  第一は、財政赤字の縮減、これは大幅にやらなければならないと思っております。  第二に、エクスポートマインドを持つということでございましょうか。非常に大きなマーケットに安住しておりましたアメリカの企業のことでございますから、比較的海を越えて物を輸出するということになじんでない方が非常に大勢おられる。今大統領並びにベリティ商務長官を中心にエクスポートナウというエクスポートマインドを植えつけようというキャンペーンを始めようとしております。これは非常に評価すべきことだろうと思います。  第三点は、設備投資をもっとやらなければならないということです。現在アメリカの設備平均稼働率は八二・二%、もうほとんどこれ以上つくれないというようなところまで参っておりますが、アメリカの企業が生産増強的な設備投資をやる、これは非常に重要なポイントだろうと思っております。
  310. 木内良明

    木内分科員 今実態については答弁があったわけでありますけれども、日米間の経済摩擦問題というものが改善されつつあるといっても、なお二国間の貿易インバランスというものは非常に大きい。ここへ来てまた新たな摩擦というものが起こってきている。あえて名前まで申し上げませんけれども、米国の首都圏交通局が、ある日本の企業の子会社と米企業の共同事業体が獲得したワシントンの地下鉄工事の一番札を云々といったようなことですとか、いろいろあるわけですけれども、やはり我が国としては日米貿易摩擦を解消するための精力的な努力をされなければならない、このように私は訴えるわけでありまして、今後具体的にどのようなそうした施策というものを講じていかれるおつもりか、お尋ねします。
  311. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 日米間の貿易摩擦あるいはそこに横たわる貿易不均衡というものを解消するためには、先生御指摘のとおり、日米双方の努力が必要であるということは言うまでもないわけであります。  我が国のサイドにおきましてやらなければならないこと、これは基本的に四点あるのではないかと私どもは考えております。第一点は、内需拡大するということでございます。これは非常にうまく動いているというぐあいに私どもは理解しております。第二点は、そういう内需拡大という背景のもとに、日本の構造調整、経済構造をいかに国際経済と調和あるものにするかという調整の問題というものが非常に大きな問題として横たわっていると思います。第三番目に輸入拡大、第四番目に御指摘の個別案件の適切な処理、このような問題に鋭意邁進しなければならない、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
  312. 木内良明

    木内分科員 そうした具体的な施策というものが考えられているわけでありまして、ぜひ効率的な実行効果を生み出す前進を図っていただきたい、こう要望いたしたいと思います。  次に、アメリカの政府はともかくとして、米国議会の中で、例えば先ほど申し上げたゲッパート条項のように極端なものを含めて、数多くの保護主義的な条項が入ったいわゆる包括貿易法案の成立が図られようとしている。こうした法案の審議の現状及び今後の見通しと、これに対する我が国政府としての対策のあり方についてどういうお考えを持っておられるかという点についてお尋ねをするわけであります。限定された時間でありますので細かな点に触れられないのは極めて残念でありますけれども、まずこの点をお聞きします。
  313. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 御指摘の包括貿易法案、私どもの最大の懸念の一つでございます。現在、先月の十七日からこの中核をなします両院協議会の第一分科会というのが作業を開始している状況にございます。二つの段階に分けまして、割合と両院間で合意を得られやすいことをフェーズIということでやっておりますが、その作業をほぼ終了しつつあります。多分来週からはフェーズIIということで、御指摘の最も保護色の強いスーパー三〇一とかあるいはゲップハート修正条項であるとか、あるいは二〇一条の修正であるとかダンピングの条項の修正、非常に影響の大きな保護主義的な色彩の強い条項について審議が両院協議会で開催される、こういう状況になっております。今、議長あるいは関係の委員長は、イースターのお休みの前に協議会を了したいということで、かなりの活躍をしていると伺っております。  私ども、アメリカにおいていろいろな方がおられるとは思いますけれども、それでもなおかつ良識のある方はかなりたくさんおられるんじゃないかと期待をしております。特に昨年十月のブラックマンデーの経験、保護主義的条項が世界経済を破滅させるという認識が一方ではあり、かつ、同時にまた去年の十一月、十二月、アメリカの貿易収支自体非常に大きな改善を見たという実績、これらを踏まえて良識のある行動をとってくれるのではないかと私どもは大変期待しております。  私ども政府といたしましては、アメリカの行政府を通じて、不幸な保護主義的な色彩の強い法案が通過しないように最大の働きかけをやってきておるわけでございまして、あらゆる機会を通じまして米政府に申し入れているところであります。この間訪米いたしました竹下総理大臣もレーガン大統領との間で懸念を表明し、大統領からは、保護主義的な法律が通過するのであれば拒否権を行使するという非常に力強い保証をいただいております。このようなアメリカ政府の立場を今後とも評価してまいりたいと私どもは思っております。
  314. 木内良明

    木内分科員 日米経済の問題につきましては以上にしたいのですけれども、特に横並びで各種の法案というものの見通しをしっかり立てなければいかぬだろうと思います。いわゆる反ダンピング法関連ということでは、上下両院案にそろってEC並みの部品ダンピング課税案が入っているということで、大部分は成立する公算が大きい、またこうしたようなことも言われておりまして、ぜひ答弁のような最大限の努力をされるなり政府としての対応をお願いしたい、こういうふうに思います。  次に、通産省の工業技術院の方で昭和五十一年に発足をさせましたところの医療福祉機器技術開発委託制度の問題であります。  私は、かねてより商工委員会を初め各場面でこの問題を取り上げてまいりました。すなわち、近年における科学技術の進展、これは単に産業界に貢献するあるいは消費面における利便を増大させるということのみならず、いわば大変に御苦労をされ、大変な思いをされている身体障害者の方々、こうした方々は例えば視覚障害者の三十七万七千人、あるいは聴覚・言語障害者の方三十五万四千人、肢体不自由百四十六万人など、総数にして約二百四十万以上の方が我が国におられるわけでございまして、こうした方々の日常的な生活あるいは治療、リハビリ、各部面におけるそうしたいわば大事な点にむしろ生かされなければならない、こう思っているわけでございます。  今日までの五十一年以来のこの本院における取り組みについては、私はかねてから一定の評価をしてきたところでございます。しかしながら、この制度につきましては、例えば開発委託費の推移を見てまいりますと、五十六年をトップと申しますか、九億八百万円をピークにいたしまして年々減少傾向にある、私はこのことに大変重大な問題意識を持たざるを得ないのであります。やはり医療福祉機器の開発というものは大変多くの業界、業際にまたがるものでございますし、あるいはまた学術的な分野から申しましても、人間工学であるとかあるいはバイオの問題でございますとかあるいは電子工学であるとか、各学際を糾合して開発研究されなければならないテーマであるということでありました。それがまたなおかつ、開発されたところで今度は直接人体にこれが接点を持ったり、あるいは内臓器官にまで及ぶということになれば、治験でありますとか臨床実験等で、単に通産省のいわば範囲、所管業務だけにはとどまらないという重要な面をも持っているということであります。  そこで、まずお聞きをするわけでありますけれども、この委託費の予算の減少傾向とどまるところを知らず、落ち込んできている。これは、通産省としてはこの制度の位置づけというものが低下してきたのか。通産省だけがしっかりこの制度を持っていてこういうような扱いをするのであれば、あるいは私は違う局面での医療福祉機器開発あるいは利用促進のための展開というものが行政の中で行われなければならないのではないか、こういう懸念さえ持つわけであります。  そこで、時間が余りありませんから簡潔に御答弁をお願いいたしますけれども、この委託費の推移、どうした意識の上からこのような減少傾向を見ているのか、答弁を願います。     〔自見主査代理退席、主査着席〕
  315. 飯塚幸三

    ○飯塚政府委員 先生よく御理解をいただいております医療福祉機器開発につきましては、私ども重要性を十分認識しておる次第でございまして、昭和五十一年度から新規テーマの着手を順次しておりまして、研究開発促進に努めてまいったわけでございます。昭和六十三年度におきましても、新たに動脈内のレーザー手術装置であるとか、あるいは医療診断用立体システムの研究開発に着手をすることにしておりまして、国による開発が求められている医療福祉機器の開発促進に必要な予算を確保し、かつ効率的な研究管理等によりまして一層有効な研究開発を図りたいということに日ごろ努めているつもりでございます。
  316. 木内良明

    木内分科員 今の答弁とは裏腹に、この委託費の推移を見るまでもなく、研究開発に十分な予算措置がとられているかというと、そうではないというところが私の指摘する問題なのであります。  先日も私は、視覚障害者の方々のグループと懇談をいたしました。そこで、盲人用読書器の問題、今政府がこの制度の中で研究開発をし、私もこれを一生懸命応援しているから、皆さんが文庫文を自由に読めるように、音声発語装置までがコンパクトになって一般の家庭、在宅で使えるようになるからぜひもう少し待ってほしいというふうに伝えたところ、見えない目から涙を流して喜んでいるというところがある。ところが、実際には当初計画よりも大変なおくれを見せている、あるいは期待したほどの成果が出ていない。一体どこに欠陥があるのだろう。申し上げた予算の面もある、あるいはまた各省における協力体制というものあるいは学術関係からのそうした知恵の出し方というものが制度の中でどうしてもゆがめられてしまっているのではないか、こういう懸念。  今私は象徴的に盲人用読書器のことを申し上げておるわけでありますけれども、そのほか例えばモジュール型の補装具であるとか、さらにまたセンサーつきの歩行補助器であるとか、これらは多品種少量であるためにいわば企業にとってはリスクが大きい、開発費がかかる、市場も限定されている、したがって採算ベースで考えるとなかなか開発に着手できない、こういう隘路があるからそのために制度がある、この制度が今先細りになっている、こういう指摘をしているわけでありまして、まずその問題意識だけはしっかり持っていただきたい、こう思います。  そこで、本通常国会に提出をされた産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案でNEDO、新エネルギー総合開発機構を改組し、そこで医療福祉機器の研究開発を行わせようとしているようでありますけれども、私が今申し上げたような点を踏まえ、研究開発に当たって今後厚生省を初め他省との連絡調整をどのように図っていかれるのか、簡略にお答え願いたいと思います。
  317. 飯塚幸三

    ○飯塚政府委員 これまでも私どもの医療福祉機器開発につきましては、厚生省等関係省庁の御協力を得つつ、私どもの産業技術審議研究開発部会のもとにあります医療福祉機器分科会におきまして、民間大学、研究機関あるいは病院等の有識者の方々の助言を得ながら、関係各省の意見も反映しつつ、研究開発実施してまいったところでございます。今後一層厚生省等とも十分連絡をとりまして、機器の開発に努めてまいりたいというふうに考えております。
  318. 木内良明

    木内分科員 いわば省際、学際、業際にわたる開発への努力が必要であるということを私は申し上げました。例えば研究開発テーマ設定のための調査会、委員会等もあるわけでありますが、これへの他省庁あるいは専門分野からのかみ方の問題もこれあると思います。どうもこうした医療福祉機器の開発ということになりますと、私ども国民から見ますと、イメージは、やはりさっきも申し上げたように人体、生命、健康にかかわることであり、またそうした開発された機具の利用のされ方というものは、やはり治験であるとか十分な臨床実験というものが行われて、そして有効な活用が行われるだろう、したがって厚生省のイメージが大変に強いわけであります。  そこで、厚生省にもきょうはおいでいただいておるのでありますけれども、申し上げたような制度が既に五十一年に発足して今日までこれあり、言ってみれば、その制度というものが今私にとっては十分ではないような存続のされ方をしている。今後国民の医療と福祉の普及向上を図る観点から、通産省の今日までのこの制度の歴史も私は十分承知しながら、なおかつ厚生省もさらに積極的にこうした医療福祉機器の開発を行うべきではないか、このように考えるのですね。いわゆるNEDOからの出資に今回切りかわる、そしてまた、今日的には大変に委託費というものが縮小傾向にある、こういう現状を踏まえて厚生省の積極的な取り組みを私は期待をしたいわけでありまして、御決意とそれから今後への対応についてお尋ねをいたします。
  319. 澤宏紀

    ○澤説明員 厚生省でございますけれども、本格的な長寿社会の到来に伴いまして、福祉や医療に対するニーズが高度化、多様化してきつつあるという現状があるわけでございます。これに対応した適切な医療福祉機器の緊急開発充実が強く求められているわけでございます。先生御指摘ございますように、国民の健康や福祉の向上を担当する厚生省といたしましては、高齢者や障害者の方々のニーズを的確に反映した医療福祉機器の研究開発に今後とも積極的に努力したいと考えておるわけでございます。
  320. 木内良明

    木内分科員 厚生省の大変な御決意をお聞きできたわけであります。イメージとして、この医療福祉機器開発委託制度の骨組みと誕生の経緯からいきまして、通産省が柱になっている、そこに若干の形で厚生省がかんでいる。ところが実際に開発された機器というものは、仮に盲人用読書器であれば文部省管轄の図書館にこれが使われたり、あるいはまた科学技術庁のノーハウというものを生かしたりということで、各省庁にまたがってこなければならず、またこの詳細にわたる機能というものが有機的に生きてこなければならない、私はこう考えるわけであります。  したがって、今後政府部内に各省を束ね、あるいは通産省中心あるいは厚生省中心、これも国民の目から見ればどちらからでも結構でありますけれども、私が申し上げたような趣旨に基づいた総合調整機関というものが政府部内に必要なのではないか、こう思うわけであります。これについて、まず通産省の方からお聞きし、それから厚生省からもお聞きしたい、こう思います。
  321. 飯塚幸三

    ○飯塚政府委員 医療福祉向上のための対策につきましては、政府全体としての取り組みが御指摘のように不可欠でございまして、昭和五十七年三月に総理府に障害者対策推進本部が設置され、また六十年七月には長寿社会対策関係閣僚会議が設置されておりまして、私どもとしては、私どもの研究開発状況につきましてそれらに報告をしているところでございます。
  322. 澤宏紀

    ○澤説明員 医療福祉機器の研究開発を総合的に推進することの必要性は認識しておるわけでございます。厚生省といたしましては、今後必要な施策について研究したいと考えておるわけでございます。
  323. 木内良明

    木内分科員 今両省からの答弁があったのでありますが、通産省としては既存のそうした機関に報告をし、作業の収れんを行っていきたいという意向、厚生省としてはまた違った角度からの対応ということで受けとめました。いずれにいたしましても、この問題は今後引き続いて私は各委員会等で取り上げてまいりたいし、ぜひ総合調整機関の設置というものを要望をしておきたい、こういうふうに思います。  なお、若干時間がございますけれども、審議協力をするという意味から早く終わります。ありがとうございました。
  324. 林大幹

    林主査 これにて木内良明君の質疑は終了いたしました。  次に、小渕正義君。
  325. 小渕正義

    小渕(正)分科員 私は、国家石油備蓄問題を中心に四、五点お尋ねしたいと思います。  IEAで、一九九〇年代になると石油供給の不安定化が進展する、そういうことでそれぞれの欧米諸国においては国家備蓄量の拡大ということを確認されて、そういう方向に進んでおるというふうに聞いております。我が国の場合も、そういうことでは現在はIEAの加盟国の中における国家備蓄の量の比較をすると、平均を下回っているというふうに資料で見ておるわけでありますが、国家備蓄を将来的には、一九九〇年代の半ばごろですか、五千万キロリッターにして、相当量を達成していこうというような目標を立てられておるようでありますが、この目標が達成された場合に、IEAの加盟国の中での備蓄量の比較をした場合にどの程度の位置づけになるのか。この辺はいかがでしょうか。
  326. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 御指摘のとおり、現在日本の石油備蓄は、民間九十日備蓄と国家備蓄の二本立てで推進をいたしております。前者につきましては、既に一月末現在では九十九日分を持っておりまして、いわば目標を達成していると申し上げていいのではないかと思います。国家備蓄につきましては、現段階で約二千六百万キロリッターのレベルに達しておりまして、製品に換算をいたしますと約四十六日分ということになるわけでございます。両方足しますと百四十六日ということになります。  なお、国家備蓄につきましては、今年度中に二千七百万キロリッターのレベルに到着する予定でございます。現在審議をいただいております六十三年度予算におきましては、さらに三百万キロリッターを上積みするということが予定をされておりまして、そのとおりに実現をされますと六十三年度末に三千万キロリッターに到着をいたしまして、従来の目標が一応達成できるということでございます。  そこから先につきましては、ただいま先生御指摘いただきましたような、国家備蓄を五千万キロリッターに引き上げていく、他方民間備蓄につきましてはその軽減を行うというような目標を考えているわけでございます。  ただいま申し上げました数字は、日本の備蓄法ベースの計算の仕方でございます。IEAにおきましては、例えばナフサを数えないとかあるいはベースにございますランニングストック分を除去するとか、そういう計算方法の違いがございます。  IEA加盟国平均で百六十八日に対しまして、去年の十月一日現在の数字でございますけれども、日本は百二十日程度でございます。ただいま申し上げました五千万キロリッターに引き上げていくというような施策実現をされていくということにいたしますと、民間備蓄を七十日分まで負担軽減を行うというような考え方と組み合わせてチェックをいたしてみますと、大体百四十日分ぐらいに達するのではないかというぐあいに試算をいたしております。なおIEA全体の平均水準には達しないわけでございますけれども、IEAで非常に重視をいたしております九十日の備蓄義務量というものをすべて国家備蓄で持つことができるようになるというところが極めて重要なポイントではなかろうかと考えている次第でございます。
  327. 小渕正義

    小渕(正)分科員 ただいまの説明によりますと、五千万キロリッターの目標を達成した場合に大体百四十日ですか。それでも考えられますのは、この石油委員会の資料に出ておりましたが、一九九〇年代の半ばということになりますと、これからその期間そこまでやって初めて現状のIEAの加盟国の平均と肩を並べる、若干まだ下回る程度だということになりますと、欧米諸国のこういう加盟国はなお先ほどの認識をお持ちですからもっと備蓄量をどんどんふやしていくという方向から考えますれば、やはりまだかなりそこらに対してのずれというかまた格差が出てくるのではないか、そういう想定もされるわけでありますが、その辺の見方はいかがお持ちですか。
  328. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 御指摘のように、量的な拡充につきましては多々ますます弁ずといいますか、量的な引き上げということが可能ならば好ましいことだというぐあいに考えておりますが、他方では御高承のとおり、当然それに見合う財源問題というようなものもあるわけでございまして、先ほどちょっと申し上げましたが、国家管理といいますか、国のリーダーシップを発揮できる量というものを十分確保するというような質的な側面というものもあるわけでございますので、私どもといたしましては、やはりこの量と質の適正なバランスを追求をしていくということではないかと考えておりまして、現在の段階では、まず今新たに掲げられつつあります目標をコンセンサスとして政府部内で確立をしていただき、それを実現していくということに力を注いでまいりたいと思っております。
  329. 小渕正義

    小渕(正)分科員 将来の一九九〇年代半ばころの五千万キロリッターというのは、これも今のところ単なるエネ庁部内の一つの目標程度であるということで、まだ国のエネルギー政策の中のきちっとした方向づけとして位置づけられているという意味ではないわけですね。その点いかがなんですか。
  330. 内藤正久

    ○内藤(正)政府委員 五千万キロリットルの目標は、昨年十一月の総合エネルギー調査会、石油審議会、両審議会の合同小委員会で決定いたしたものでございます。したがいまして、通産省としてはその審議を踏まえてぜひ実行していきたいと思っておりますが、それに伴いまして当然財源措置が必要になりますが、それについて大蔵省当局と合意をしておるわけではございませんので、少なくとも審議会の意見を踏まえた通産省の方針というふうにお受けとめいただければと思います。
  331. 小渕正義

    小渕(正)分科員 それでは、そういう一つの目標に向かって、もちろんこれはかなり資金も投入されることになるわけでありますが、そういう目標達成の場合に備蓄計画としての新たな建設ですか、そういうものをどの程度そのためにはやらなければいかぬようになるのか、そこらあたりはどのような状況になりますか、その点ひとつお伺いいたします。
  332. 内藤正久

    ○内藤(正)政府委員 現在、三千万キロリットルの国家備蓄を保有いたしますために、全国十地点で四千万キロリットルの施設容量のタンクを建設中でございます。それで、一番遅いもので六十九年度末に完成するものと思っております。と申しますことは、貯油率として七五%ということで、開放点検等がございますので、四千万キロリットルの施設をつくっても三千万キロリットルの現実の使用になるという見通しでございます。  それで、先生のお尋ねの、では三千万キロリットルを五千万キロリットルにあと二千万キロリットル追加するについて、タンクをどう建設していくのかということにつきましては、審議会の答申では、既に民間に余剰タンクが相当に発生しておるものでございますから、それを有効活用していくということが基本であって、かつ、現在既に有効活用いたしておりますけれども、三千万キロリットルの積み上げの段階でもその経過的措置として民間タンクを借り上げておりますほかに、それが完了しました後積み上げる場合には民間タンクを利用するということで、結論としては、現在の建設中の計画以上にタンクをつくるという計画はございません。
  333. 小渕正義

    小渕(正)分科員 そうすると、三千万キロリッターを五千万キロリッターに目標を設定しながらやるにしても、あとはもう現在のそれぞれの計画の上にあえて新設は必要ない。問題は、今持っておる民間備蓄のそういう能力の中でそれを活用する、こういうことですね。  ところが、ちょっと私も疑問に思うのですが、どうして民間備蓄のものがこんな余力といいますか、そういうようなあれになってしまったのか。今石油は比較的安定した価格になっておるわけでありますから、これがまだ下落していくという見通しであれば余り備蓄を考えないでいいかもしれぬけれども、将来的に今のようなことで安定していくのかどうか、極めて困難とされるような見方もあるわけでありまして、そういう関係からいくならば、今持っているそういう能力を大いに活用するというのもまた民間としても当たり前ではないかという気もするわけですが、何で今ごろになって民間がかなり余力があって余ってしまったということになったのか、そこらあたりはどういう状況なんですか。
  334. 内藤正久

    ○内藤(正)政府委員 民間のタンクは、現在総量で六千六百万キロリットル程度のタンクがございます。それで、そのうちで千六百万キロリットル見当は逆止弁と申しまして積み出しができないあるいは将来廃棄を予定しておるということで、有効なものは五千万キロリットル程度かと思っております。それで、その中で現在三千万キロリットル程度を民間で使っておりまして、残りの差額の二千万キロリットルの相当部分を国備で借り上げておるということで、現状では割と円滑な利用が行われておるという実態でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、さらに二千万キロリットルを恒常的に借り入れるということになりました場合には、国全体としては非常に効率的なタンクの利用ができます。  それで御質問の、では二千万キロリットル相当のものがなぜ余剰として生じてきたかということでございますけれども、五十三年の当時にそういう備蓄計画を検討いたしましたときには、一日の消費量を大体百万キロリットル程度というふうな想定をいたしておりましたし、現実に石油の消費量も非常に多かったわけでございますけれども、先生御案内のとおりのその後の省エネルギーあるいは代替エネルギーへの転換という中で石油の需要が著しく鈍化してきたということの結果、現在で申しますと一日五十二、三万キロリットルの消費量でございますので、そのときの建設と現在の需要との間にギャップが出てきた、それが余剰タンクになって現存しておる、それを有効活用したいということでございます。
  335. 小渕正義

    小渕(正)分科員 当初、石油ショック後、我が国での原油の使用量等の目標が、今振り返ってみると結果的には半減したような状況になっておるわけでありますので、そういう意味では非常に省エネが徹底してその影響がいろんなところに出てきて、いい面と、悪いと言えばおかしいが、海運界なんかそのために大不況に陥るとか、いろいろな状態が出ておるわけでありますが、実は私がこういうことをいろいろ聞いているのは、御承知のように今、計画でそれぞれ十カ所の地点で六十九年完成まででそれぞれ各地域で備蓄基地の建設が進んでいるわけですね。  御承知のように、上五島の一期工事が大体ことしで終わってしまうということになっているわけでありますが、これは順調に一応スタートしながら、順調なら工事を終わりつつあるわけであります。これは地元も、長崎県ですが、当初の計画のときにタンク七基の計画でスタートして、それが結果的には第一期分として五基、五つのタンク、二期として分けた場合に二つのタンクということで、二つの一期、二期に分かれて、現在第一期工事が進捗中ということになったわけでありますが、この計画を推進するときにおける地元を中心にいたしました漁協関係者、町議会、その他あらゆるところでのものが、そういう七基を貯油タンクとして推進するということを前提にいろいろ話がされて、そしてそれがずっと進んできて、今は一部漁業権問題で訴訟関係があっておりますけれども、非常に長い間現地で関係者、県当局も含めて苦労して、やっととりあえず第一期、次二期という形の中でスタートしたという大きな期待感があるものですから、確かに現実はいろいろ変化しておりますけれども、関係者の皆さんから見れば、二期工事に対する期待が非常に大きいわけですね。  たまたま今、現実の事情がこういうように非常に変化してきたということもありまして、当局としてはそういう立場での御関係の考えを持っておられるわけでありますが、やはりそういう大きなプロジェクトを実際に着工して完成するまでの関係者、地元の協力その他考えるならば、そういう期待に何とかこたえられないのかというのが、またこれは政治として、関係する者として、やはりそういった期待を非常に持たざるを得ないし、またそういう地元の人たちの言い分も十分わかるわけでありますので、そういうこと等考えますと、絶対的に、もうあとは民間のそういった能力があるので、そういうもので活用するから、新設の設備投資的なお金は資金的にかなりいくので、要らないということだけで、むげにただもうぽいと、だめだということでこういう期待を断ってしまうことができるのかどうかという、非常にそういう疑問を持っているわけですね。  そういう点で、石油の今の原油事情の変化は当分余りそう変化はないかもしれませんが、やはり将来的に考えるならば、せっかく当初の計画としては一期、二期分けなくて、七基のタンクの計画で、そういうことを前提に皆さん協力してきたという、漁業権その他いろいろな問題があるわけでありますので、そこらあたりの兼ね合いについてはどのようにお考えになっておるのか。特にこれはエネ庁の当局、担当者として、ひとつそこらあたりの御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  336. 内藤正久

    ○内藤(正)政府委員 今御指摘の上五島の洋上石油備蓄基地でありますけれども、御案内のとおり現在五基で建設いたしておりますが、四基は既に据えつけが終わり、第五基目を先月造船所で進水をいたしましたので、五月には据えつける予定ということで、その周りの防波堤工事あるいは陸上工事を行っておりまして、ことしの十月には完成し、十一月以降オイルインをしていくということで、順調な工事が進んでおるものと理解をいたしております。  それで、今御指摘の七基か五基かという問題でございますけれども、これはいろいろ御案内のとおりの経過のある問題でございまして、当初、五十三、四年のころに議論をされましたときには七基を想定をして、全国で所要の施設をつくりたいという計画であったわけでございますけれども、漁業補償の交渉に当たってそれが拒否されたということで、一年間のブランクがございました。したがいまして、その当初は七基を想定いたしましたけれども、その一年間に他の地点において計画がいろいろ実ってまいりまして、したがって、決定いたしました段階ではもう三千万キロリットルに相当した施設が十分に固まっておったということで、上五島の立地決定といたしましては五基で決定をし、それで実行をしていくということでずっと進んできておるわけでございます。  したがいまして、そういう経緯でございますので、三千万キロリットルという体系及び五千万キロリットルまで首を上げていくという中では、余剰タンクをさらにつくるというのは国としてはやるべきではないと思っておりますけれども、それはさらに長期的な観点で五千を七千にするとかそういう段階では、またいろいろ改めて御議論をさせていただくという趣旨のものかと思っております。
  337. 小渕正義

    小渕(正)分科員 それでは、ちょうどこちらに地元の自見さんもおられますけれども、北九州の白島基地がああいう関係で現在もう工事が一とんざというか、今のところ原因究明その他いろいろな形でそのままとまっておりますね。だから、あの白島基地が幾らの容量だったかということは、私は数字は覚えていませんけれども、あれは計画どおり、たとえ先に延びてもずっとやるつもりなのか。恐らくいろいろ土木関係者その他テレビ、マスコミ等でかなり報道されて全国的に知れわたったわけでありますが、かなりあの地点では困難じゃないかという見方もありますが、現在原因究明中でありますが、とやかく言うことはいたしませんが、この計画だけは、たとえ三年おくれ四年おくれてからやるにしても、やるということになるんですかね。そのあたりはいかがですか。
  338. 内藤正久

    ○内藤(正)政府委員 今御指摘の白島石油備蓄基地でございますけれども、御指摘のとおり昨年の二月に被災をいたしまして、その後昨年は、被災原因の究明をいたしますとともに、復旧工事を行ってきたものでございます。それで、近くその原因を解明しました会社側の報告書が北九州市にも報告され、そこで検討の結果、原因が確定していくものだと思っております。  我々といたしましては、その原因を踏まえまして、それを克服するためにはどういう対策が必要なのか、その対策を実行することが経済性の観点から見てどういうことなのかということを、今後皆さんの英知を結集して検討し、その結果に従って対応を決めていきたいということでございます。したがって、今の段階で何が何でも四年かかっても五年かかってもというような予断を持っておりませんで、まさにそういう結果を踏まえまして、客観的、技術的に、資料を見て判断をしていきたいという実態でございます。
  339. 小渕正義

    小渕(正)分科員 これはかなり技術的な問題ですから、とやかく我々素人が言う問題じゃないと思いますが、これも仮定のことでお聞きするのはちょっと恐縮ですけれども、結果的にもうこの計画は無理だということで判断された場合に、その分の備蓄の部分はもう現在は民間備蓄としての中で吸収できるから、一切やめるというふうにするのか、その場合はやはりその分だけ、足りなかった分だけは別なところにまた新たに考えるということになるのか、これは仮定の話で大変恐縮ですが、その辺はいかがですか。
  340. 内藤正久

    ○内藤(正)政府委員 仮定の御質問で非常にお答え申し上げにくいわけですが、我々の今の心境は、白島備蓄基地、我々責任を持っていろいろ今まで設計のあり方等を含めて決めてきた問題でございますので、それを、問題点をいかに克服するかということを今全力を挙げておりまして、それがうまくいかなかった場合にはどうこうというところには、まだ全然頭をめぐらせていないという実態でございます。
  341. 小渕正義

    小渕(正)分科員 時間が来ましたのでなんですが、エネ庁長官は上五島の現地を見られましたか。まだ見ておらぬでしょう。
  342. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 申しわけございませんが、まだ拝見をしておりません。
  343. 小渕正義

    小渕(正)分科員 ともかく、当初予想されておったいろいろなことを抜きにしてあの現地の実情を見れば、いかにこれが大変な仕事であったかと。それとあわせて、今のお話ではもうあれがないようでありますが、海洋土木の関係で、これが一たん打ち切られてしまうと、もしまたエネルギー事情が変化して、では次やろうかといったときに、また今度そういう工事をするというそのために、海洋土木のクレーン船その他全国からいろいろ集めてきてそれをやろうということになると、金、金、金、お金がもう二重にかかってくるということもあって、そういう経済性の問題を考えたら、今せっかく工事がずっと来ているのだから、もうそのまま何とか基礎的なものだけでもできないかという期待もあるわけですね。  そういう意味では、ひとつぜひ現地を見ていただいて、まあ余りエネルギー事情の今の状況の中では強く言えぬにしても、やはり将来的なことを考えながら、ぜひひとつこの二期工事の問題は、そういう意味で非常に地元としてはまだまだ期待しているという状況であることだけは頭に入れておいてほしいと思います。その点はいかがでしょう。
  344. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 現地には伺っておりませんが、現在までの工事の進捗状況等は大変たくさんの写真を見ておりまして、ただいまの先生の御質問の背後にございますプロジェクトの実態なり地域の意識というものは私といたしましても重く受けとめているわけでございますが、基本的には今も石油部長からるる御説明申し上げましたような状況でございます。しかし、あの写真の姿というものは決して忘れてはいないわけでございます。
  345. 小渕正義

    小渕(正)分科員 では一つだけ、もう時間が来ましたので。  実は商工会議所関係の、余り多く言いませんが、長崎で自民党の政経パーティー、それのパーティー券を売る実行委員会委員長に長崎の商工会議所会頭がなっておるわけです。心情的には、いろいろお世話になっておるから協力するということは余りわからぬでもないけれども、堂々とそんなことをすることになれば、ちょっとこれは見過ごすわけにはいかぬ。そうでしょう。国からのいろいろな補助金をもらっておる、しかも法律的にもきちっとしておかなければならぬようなところがそんなことをするということについて、そういう意味でのもう少しああいう経済団体に対する関係業界の監督官庁としての指導をもっときちっとしてもらいたい。  もちろん長崎の場合は、今回は非常に問題がありまして、県当局もかなり県のルートを通じてやったとか、それぞれ首長あたりに割り当ててやったとか、かなり強引なことをやって、今回非常に物議を醸しておるわけであります。少なくとも経済のそういう団体が表面に出てそんなことをするということだけは、ちょっと行き過ぎとりゃせぬかと思うわけです。そういう意味で、もう少しここらあたりのけじめだけはきちっとするような指導はやってほしいと思うのです。その点はいかがですか。
  346. 杉山弘

    ○杉山政府委員 きょう先生からそういう趣旨の御質問があるということを伺いまして、早速現地にも事実の確認をいたしてみました。確かに、長崎の商工会議所の会頭をやっておられます清島さん、十八銀行の代表取締役会長でいらっしゃるようですが、この実行委員会の会長をお務めになったようでございます。  ただ私ども、商工会議所法におきましては、商工会議所というのは特定の政治目的のために利用してはならないという厳重な法文上の制限がございますので、この点については特に念を入れて確認をいたしたわけでございますが、これはあくまでも十八銀行の代表取締役会長としての清島さん個人の資格においてやられた、こういうことのようでございまして、商工会議所の会頭という立場でこれに参加されたということではないようでございます。  急なことでございますから、あるいは事実の確認について若干問題があるやもしれませんけれども、とりあえず私どもが把握いたしました段階ではそういう状況でございます。特にこの点につきましては、私ども従来から事あるごとに中小企業庁長官と連名で通達を出しておりまして、こういうことのないようにということでやっておりますので、この点はこれからも十分注意をしてまいりたいと思っております。
  347. 小渕正義

    小渕(正)分科員 どうせそういう使い分けを言うだろうと思ったのですけれども、新聞に堂々と商工会議所会頭という形で出ておるわけです、肩書としては。だから、もしそういう事実があるならば、そういうことをすぐ新聞に過ちだと訂正をさせなければいかぬ。そういうこともされてないわけだから、そういう使い分けをするかもしらぬけれども、やはりここらあたりはもう少しきちんとしていただかないと、ちょっと目に余ることがあっては困るということを申し上げました。  以上、よろしく。
  348. 林大幹

    林主査 これにて小渕正義君の質疑は終了いたしました。  次に、坂口力君。
  349. 坂口力

    坂口分科員 きょうは、産業廃棄物のことを少しお聞きをしたいと存じます。産業廃棄物にはいろいろ問題がございますが、その中でハイテク産業にかかわりますものの処理の問題と、それからフロンガスの問題と二つちょっとお聞きをしたいと思います。  産業廃棄物をこれからどう処理していくかということは非常に大きな問題でございまして、年々歳々その廃棄物の量は多くなりますし、また非常に多様化していることも事実でございます。地方都市、とりわけ自治体は、その処理の場所をどこに求めるかということで非常に困惑しているわけでございます。そうした中で、これからさらに発展するであろうハイテク産業、ICにまつわりますところの問題は非常に大きな問題でありますので、通産省あるいは環境庁の方でも十分にお考えをいただきたい、こういうふうな趣旨で申し上げたいわけでございます。  まず最初に、ハイテク産業の方でございますが、このハイテク産業の廃棄物の中で問題になりますのは、IC、集積回路ですね、このICをつくりますときの過程におきます洗浄用の有機溶剤をどうするかという問題と、でき上がりました製品の中に有害ないろいろの金属その他が含まれているわけでございますが、これが一定の期間たちますとその製品そのものが廃棄処分にされる、その廃棄処分になりましたときにそれをどうするかという二つの大きな問題が含まれているというふうに思うわけでございます。  その中で、まず洗浄用の有機溶剤でございますが、これはかつてアメリカにおきましてもシリコンバレーあたりで大きな問題になりましたし、日本でも一度騒がれたこともございます。そのときにもいろいろ議論をされたわけでございますが、それからしばらく経過いたしておりまして、それが現在どんなふうになっているのか、どこまでその問題が決着をし、そして今検討中なのかということをまず知りたいわけでございます。  そして、洗浄用の水をどう浄化するかということは、これは環境庁の方でございますが、水質汚濁防止法との絡みもあるわけでございますけれども、現在の水質汚濁防止法の中でこれが十分にでき得るものなのか、それとも、現在の水質汚濁防止法では十分にでき得ないので今後どのようにしなければならないのか、その辺のところもあわせて御答弁をいただきたいと思います。通産省と環境庁、随時ひとつお願いいたします。
  350. 安楽隆二

    ○安楽政府委員 今先生、IC産業等のハイテク産業の中での特に有機溶剤の処理の問題を御指摘になりましたが、通産省といたしましては、このトリクロロエチレン等の有機溶剤がハイテク産業等において使用されていることにかんがみまして、これまで産業公害防止の観点から幾つかの施策をやってまいりました。特に、五十九年の二月でございますけれども、このトリクロロエチレン等の生産、貯蔵、使用についての取り扱いが極めて重要であるということで、その取り扱いをこのように注意すべきであるという通達を関係業界の方にまず出しました。そして同じ年の八月には、さらに環境庁あるいは厚生省と御一緒にいろいろ検討した指針に基づきまして、通産省としてもトリクロロエチレン等の暫定排水濃度目標を設定いたしまして、これも関係業界の方に周知徹底を図ってきたところでございます。  さらに、IC産業も含めました使用業界に対しまして、こうしたトリクロロエチレン等の有機溶剤の使用の実態調査をいたしまして、それに基づいて、六十年の七月でございますが、トリクロロエチレン等の有機溶剤の廃棄物を関係法令に準拠して適正に処理するための適正利用マニュアルを作成いたしまして、これを関係業界に配付して周知徹底を図っているわけでございます。このマニュアルに即しまして回収されたトリクロロエチレン等を含む使用済みの溶剤につきましては、事業所内において再生利用される、あるいは焼却処理をする、また産業廃棄物処理業者の方へ処理を委託するということがこのマニュアル等によって適正に行われるように事業者を指導してきているところでございまして、こうした対策を今後もさらに徹底していきたいというのが現在の方針でございます。
  351. 小澤三宜

    ○小澤説明員 トリクロロエチレン等によります環境汚染の問題の関係でございますけれども、私どもは、五十九年度以来、トリクロロエチレン等の環境の汚染状況ということで全国的な取りまとめを行っているわけでございます。  公共用水域につきましては、これまでのところ特に問題となるようなケースはございませんけれども、地下水につきましてその汚染状況を見てみますと、五十九年度、六十年度、六十一年度三カ年間で合計一万二千本ほどの井戸を調査いたしておりますけれども、その結果、トリクロロエチレンについて申しますと、その濃度が暫定水質基準を超えた井戸が約三%ほど見られておるという状況でございます。地下水は一度汚染されますとその回復が非常に難しいということもございますので、私どもは関係省庁協力いたしまして、当面、特に問題のありますトリクロロエチレン等の三物質につきまして、行政指導によります汚染の防止ということを目指しまして、五十九年の八月二十二日付で、これらの物質を取り扱います工場あるいは事業場からの排出抑制ということで暫定指導指針を設定して、都道府県等に通知したわけでございます。各地方公共団体におきましては、これに基づいて工場あるいは事業場に対して指導が行われております。五十九年度以降実施されました実態調査におきまして今申しましたような汚染が引き続いて見られているということで、六十一年及び昨年、六十二年の暮れに、重ねまして工場、事業場等に対します指導の強化ということで都道府県に通知を行っているところでございます。
  352. 坂口力

    坂口分科員 今お聞きをいたしましたが、通産省の方で通達、指導強化、そして環境庁の方ではその中の一部調査を行って、そしてトリクロロエチレンについては基準を超えているものが約三%、こういうお話でございます。  それで、暫定指導指針というものも出されているわけですが、これは現状でいいのか。今もお話しになりましたように、一度これを超えてしまいますとなかなかもとに戻りにくいという性質もあるわけでありますので、これはどうしても防ぐ以外にないわけでありますが、現状でいいのか。それとも、例えば水質汚濁防止法あたりを少し改正をして、その中でもう少し取り扱い等についても強化する、ただ暫定指導指針の状態ではなくてもう少しきちっとする必要がありはしないのかという疑問を持ちますが、それに対してどうですか。
  353. 小澤三宜

    ○小澤説明員 先ほど申し上げましたように、工場あるいは事業場から環境にトリクロロエチレン等が出ていくわけでございますけれども、特に問題となっております地下水ということで考えますと、どういう経路といいますか、汚染のメカニズムが地下ということですぐにわからないというようなこともございまして、私どもといたしましても、そのメカニズムの解明ということで従来努力しているところでございます。そういうことで、今直ちに水質汚濁防止法におきましてトリクロロエチレン等の規制をするという状況になっておらないわけでございますけれども、今後とも、引き続きまして汚染機構の解明あるいは地下水質の管理のあり方ということの検討を進めていきたいと思っております。
  354. 坂口力

    坂口分科員 努力をしていただいていることには敬意を表しますが、いずれにいたしましても、初めに申しましたとおり、これからこの種の企業はふえていく、しかも零細な企業、零細といいますとちょっと言葉は悪うございますが、大きい企業ではなくて中小の企業でもこうした問題に直面するわけであります。そういたしますと、大きい企業でありますとそれなりの施設というようなものもきちっとできますが、中小の企業ではなかなかできにくいというような問題もあると思うのです。ですから、ただ単に処罰すればいいという問題ではなくて、そうしたところにどういうふうな指導をする、あるいはどういうふうな施設をつくらしめるかというふうなこともあわせて緊急を要する問題であろうと思います。しかし、法律的にもきちっとしておかなければ、見つかって、それでお許しくださいで済むというだけではこれはやはり改善されない。指導どおりにやらなかったらそれ相応の処罰は受ける、こういうことでなければ改善はされていかないのではないか、こう思うわけでございます。その点について通産省の方にもう一度お答えいただきたいと思います。  そして環境庁の方にですが、今はそんなに多くはないかもわかりませんが、そのうちにできました製品がだんだんと廃棄処分される時代が来るだろうと思うのです。そういたしますと、その中にはかなり有害なものも含まれていたりいたしますが、これを一体どうするかということ、これも考えておかなければならない。先ほどの洗浄の場合にも、砒素でありますとか非常に有害なものも含まれるわけでございますからこちらも大事でございますが、でき上がりました製品の廃棄物につきましてどうされるか、簡単に御説明ください。
  355. 安楽隆二

    ○安楽政府委員 先ほど申し上げましたように、指導の徹底と申しましても、マニュアル等もつくって今一生懸命やっているところでございます。例えば、先ほどの環境庁の調査した結果に基づきまして何%か目標値をオーバーしているというのが私どもの所管の事業でもございまして、そういうものについては早速環境庁の調査結果も見せていただきまして、通産局を通じて個別に指導する。その結果、これまでに集計したところによりますと、それについては大部分の事業場で処理施設なんかをきちんとつくりまして改善しているということもございますので、先ほど申しましたような線に沿って指導の徹底を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  356. 岡澤和好

    岡澤説明員 廃棄物の問題でございますが、先生御指摘のとおり、先端技術の進展に伴いまして新しい製品が開発され、それが最終的には廃棄物として環境中に排出されることになるわけでございます。こうした廃棄物の処理処分に伴って新たな環境汚染を引き起こす可能性があるのではないかというようなことについては、環境庁といたしましても重大な関心を持っているところでございます。  廃棄物の処理処分に伴う環境汚染の未然防止を図るためには、従来から、廃棄物の種別とか性状に応じまして処理処分の基準を設定するなど、これに対処してまいったわけでございますが、特に環境との接点となります最終処分の方法につきましては、廃棄物の中に含まれる化学物質等に着目いたしまして、環境汚染防止の観点から特別な処分方法の規制を行うことも含め、処分方法について調査検討を行っているところでございます。したがいまして、そういう結果を踏まえまして、必要に応じて対策を検討してまいりたいというふうに考えております。
  357. 坂口力

    坂口分科員 ひとつ早くやってください、遅いですから。実際に作業の方はどんどんと進んでおりますから、ひとつ早急に検討していただきたいと思います。  それからもう一つ、フロンガスの方でございます。これは法案作成中ということだろうと思うのですが、本来ならばこのフロンガスの法律は環境庁から出るものじゃないかな、こう思っていたわけであります。通産省の方からお出しになるということで、これは別にどちらでも構わないわけですが、通産省がお出しになるというと、何となく大丈夫かな、環境庁がおやりになるのだったら少々厳しくおやりになるだろうけれども、通産省はどうも身内のことだけに手が緩むのではないか、そういう不安みたいなものが何となくみんなの気持ちの中にあることも事実でございます。法案ができます前にそんなことを申し上げて大変失礼であることをお許しいただきたいと思いますけれども、何となくそんな雰囲気があるわけであります。そんなこともございますので、やはりそうだったかと言われないようなものをぜひつくっていただきたいというのがきょうの趣旨でございまして、ぜひひとつきちっとした態度でこのフロンガスの法案をつくっていただきたいと思うわけです。  それで、言うまでもありませんが、昨年九月にカナダで国連の環境計画会議が行われまして、一九八九年七月の段階で凍結、そして十年後に消費量を半分にする、こういうことでございますが、日本の場合には生産量並びに消費量というのは非常に多い。消費も、大体世界の十分の一ぐらいはこの日本で消費されているのではないかというようなことも言われておりますが、それだけ生産並びに消費が多いだけに、この国際会議で決められたスケジュールどおりで果たしていいのか、先進国としてその範を示すという意味でより強力にこのフロンガスの問題に対処すべきではないか、こういう意見を持つわけです。その点のお話をひとつ伺いたいと思います。
  358. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 フロンの問題につきましては、かねてから、オゾン層を破壊する可能性があるのではないかというようなことで国連の場で議論が進んでまいりまして、その結論みたいな形で昨年の九月、いわゆる議定書というものができたわけでございます。これは我が国はもちろんのこと、世界主要先進国が協力し合って本件について対応していこうということでございまして、基本的考え方は、現在の科学的な知見、科学的にどのような因果関係があるのかという点を、いろいろな議論はございますけれども、それを前提にいたしまして、各国が事前防止という観点で思い切った規制をしていこうということでございます。今御指摘ございました今後十年間にわたりまして生産量を削減していくという内容は、私どもは相当厳しい内容だと存じておりますが、さらにまた今後の科学的な知見に応じまして恐らく国際会議の場で必要な見直し等は行われていくだろうと思いますが、その際、もちろん我が国もそれに積極的に対応していくことだと存じております。  今おっしゃいました今後の削減の内容そのものは段階的な削減でございまして、来年仮に法律を施行すると、これは本国会でお認めいただくことが前提になりますけれども、そうなりますと、一昨年、八六年の水準にまず抑えるわけでございます。特に我が国の場合、需要量が各国に比較いたしまして非常に伸びておりますので、仮に八六年の水準に抑えるということでありましても、それは実質的には削減という形になるわけでございまして、我が国にとりまして恐らく二割弱の削減は実質的に行わざるを得ないということでございますので、我々といたしましてはやはり極めて厳しい内容だろうと思っております。したがって、我々といたしましては、今国会に法案をお願いいたしましてなるべく速やかに御審議いただきまして、まずは世界の中で日本が率先して規制を実施していくということにぜひしたいと思っておりますと同時に、それをいかに円滑に実施するかという点につきましても、技術の面、例えばユーザー段階におきまして排出の抑制とか使用の合理化をいかに積極的にしていただくかということも今後の一つの大きな必要な点でございますし、さらにまた代替品の開発という大きなテーマにも積極的に対応しつつ、世界的に協力していくテーマにおっしゃるように積極的な面をいろいろな形で見せてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  359. 坂口力

    坂口分科員 これに対する環境庁の方の御意見を聞きたいと思いますが、環境庁の方は科学的な調査等もやらなければならないと思いますし、そして、一つは製造の規制ということをやらなければならないと思いますが、そのほか環境庁としてはどういうことを手がけていこうというふうに思っておいでになるか、簡単で結構ですからお答え願いたいと思います。
  360. 後藤博俊

    ○後藤説明員 現在検討しております法案の中では、環境庁長官通商産業大臣とともに、オゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の的確かつ円滑な実施のために、我が国が遵守しなければならない特定のフロンまたは特定のハロンの生産量及び消費量の基準限度とか、それから各種対策の重要事項などを内容とします基本的事項を定めて公表する。それから、特定のフロンまたは特定のハロンを業として使用する者の排出抑制とか使用合理化のために講ずべき措置を示す指針をつくります。そういうことのほか、環境庁長官は、特定のフロンまたは特定のハロンによるオゾン層の破壊の状況や大気中のこれらの物質の濃度変化の状況につきまして監視して公表する、それからまた、オゾン層の保護のための科学的研究推進する。そういうように、この制度の基本的な枠組みとなる部分の役割を果たしていく予定でございます。
  361. 坂口力

    坂口分科員 そうしますと、もう一度通産省の方に返らせていただきますが、八六年水準に戻すということは二割ぐらい削減しなければならないということですから、代替の製品をいかにつくるかということとも関係をしてまいりますし、かなり厳しいことであることは私もよくわかるわけですが、さらにその後十年間で半減をさせるということは、これははっきりとその法律の中でうたうのですか、それともそれは大体の一つの目標として掲げるのにとどまるのですか、どうですか。
  362. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 私どもといたしましては、条約あるいは議定書の的確あるいはまた円滑な実施をぜひやりたいと思っております。今おっしゃいました今後の削減目標につきましては、今環境庁から御紹介いたしました基本的事項の中で明示いたしまして、ぜひそれは大前提として実現をしていく、こういう覚悟で今回は法案を作成しておるわけでございます。
  363. 坂口力

    坂口分科員 フロン11,12、113でございますか、こうした種類がいろいろございますし、通産省の方から統計が出されております。その中で細かく、どういった種類のものがどれだけ生産されているのかということは通産省から出されました数字ではなかなかわかりにくいわけですが、昨年あたりもかなりこの生産量が伸びていると考えなければなりません。したがいまして、代替の製品をどうしてもつくっていかなければならないわけでありますが、フロン22あたりが代替品になるのではないかというようなことでいろいろ議論もされているようでございます。その代替品のことについてどの程度今現在進んでいるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  364. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 現在、規制の対象としようとしておりますフロンは、安定性がございまして余り変化をしないというものでございます。この中には、むしろいろいろな反応がありまして、実際上オゾン層の破壊には関係がないだろうと思われているフロンがございますので、今御指摘ございましたように、規制対象外のフロンの中で今後代替品になり得べきものにつきまして世界的に開発の努力が進められております。問題はそのようなもの、例えばフロン134aとか、今おっしゃいましたフロン22もそうでございますが、そういう代替品の可能性のあるものが実際上例えば毒性があるのかないのか、この辺が今後の非常に大きな課題でございます。この一月でございましたけれども、アメリカに世界の有力な化学メーカー、特にフロン関係の企業が集まりましてその辺の毒性試験等を協力してやる、こういう具体的な動きがあります。日本の企業も積極的にそれに参加するということで、代替品の開発及びその毒性検査等につきましては、現在非常に大きな形で国際協力が進もうとしておりますので、私どもとしてもそれを支援してまいりたいと考えております。
  365. 坂口力

    坂口分科員 先ほどの地下水の問題にいたしましても、このフロンの問題にいたしましても、直接我々が目で感じる、あるいはにおいで感じる、あるいはまた色で感じるという、そういう公害ではないわけです。それだけに非常に処理のしにくいものだと思います。したがって、ややもいたしますとそのままに放置されるという嫌いもあるわけでありますので、それだけにぜひひとつきちっとした法律をつくっていただく必要があると思います。  最後になりますが、その新しい法案では罰則規定はどうなりますか。つきますか、つきませんか、それだけお聞きをして終わりにしたい。
  366. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 今回の法律の主たる大きな点は、議定書でいわゆる生産制限ということが中心になっておりますので私どもが担当させていただくわけでございますけれども、冒頭ちょっと御指摘ございましたようでございますが、我々としては法律の番人といたしまして厳正にやるのが当然でございますし、かつまた、今御指摘ございました製造規制につきましては当然に罰則規定がついておりまして、他の法令、例えばいわゆる化学品の審査、製造等に関する法律にございます罰則と同種の罰則がつくというふうに私ども考えておりますので、ぜひ御審査をいただきたいと思っております。
  367. 坂口力

    坂口分科員 ありがとうございました。
  368. 林大幹

    林主査 これにて坂口力君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美君。
  369. 岩佐恵美

    岩佐分科員 家庭用LPガスについて伺いたいと思います。  今大変問題になっています家庭用LPガスは為替差益が十分還元をされていないということでありますが、輸入CIF価格は現在トン当たり二万二千円、この三年間で三分の一に下がっているわけであります。この家庭用のプロパンというのは、確かにCIFが下がったからといって末端価格がそのまますぐ下がるということではないと思うのです。コストに占める販売価格、流通経費が大変かかっていますからそういうふうにはならないとは思いますけれども、しかし、それにしても末端価格はわずか九%しか下がっていない。これは非常に大きな問題だと思います。今、プロパンガスを利用している世帯は二千百八十四万世帯でありますから、家計に大変大きな影響があるわけであります。ちなみに十キログラム当たりで計算をしてみますと、輸入CIF価格は三百八十六円下がっているわけでありますが、末端価格はまだ百九十三円しか下がっていないという状況であります。通産省はいろいろと手だてをとっておられるようでありますけれども、簡単にその概況についてお話しいただきたいと思います。
  370. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 御指摘のとおり、輸入価格は六十年以降大幅に下がっているわけでございます。末端価格につきましては先生御指摘のような動きがございます。またその原因につきましても、いみじくも先生御指摘のとおり、人件費がかさむとか、あるいはまた特定の供給者と特定の家庭の間に供給継続というような関係があるとか、いろいろな事情があるわけでございますけれども、確かに末端価格についてはもっと下がっていいのではないかと私どもも考えております。御高承のとおりでございますけれども、六十一年の五月と十二月に引き下げ要請を行いまして、今御指摘のとおり九%程度下がっております。しかし、最近の輸入価格あるいは為替レート動向等に照らしてみますと、私どものチェックをしてみましたところでは、六十一年四月の販売価格に対しまして少なくとも一三%程度は下げられるはずだ、少なくともという意味でございますけれども、そういうぐあいに認識いたしておりまして、この二月の十五日に、関係業界に対しまして引き下げ要請を重ねて行ったところでございます。今後、この考え方といいますか要請が各事業者に浸透してまいりますよう、その動きを十分に注視をしていきたいと考えております。
  371. 岩佐恵美

    岩佐分科員 一昨年にプロパン業界の独禁法違反事件が何件かあったと思いますが、簡単に概略を述べていただきたいと思います。
  372. 植木邦之

    ○植木(邦)政府委員 お答えいたします。  私ども公正取引委員会は、先生御指摘のように、六十一年の十二月十六日に、神奈川県のプロパンガス協会の相模原支部ほか三支部、それから鳥取県のLPガス協会、それに福岡県のLPガス協会に対しまして、それぞれ違反事件で調査いたしまして警告を行いました。  概要を申し上げますと、神奈川県のプロパンガス協会の相模原支部、それに座間支部、厚木支部、県中央支部でございますが、これは、そのそれぞれの支部が支部員の間でお客様、顧客の移動を原則として禁止するという決定をした疑いが認められたということでございまして、我々の所管しております独占禁止法の八条一項四号に違反するおそれがあるということでございます。  それから、鳥取県のLPガス協会と福岡県のLPガス協会の事件は同じタイプの事件でございまして、先ほど長官が御説明いたしましたように、資源エネルギー庁さんの方で円高差益の還元の指導を行われたときに、会員の小売価格の値下げ幅を一定の範囲内にとどめるということを決定した疑いが認められたということで、いずれも警告したわけでございます。
  373. 岩佐恵美

    岩佐分科員 つまり、公正取引委員会調査では二つの問題が明らかにされたと思います。一つは、一九七三年からLPガスの販売方法がボンベ売りからメーター売りに変わりました。その結果、設備を取りつけた業者と消費者の関係が固定的になって、業者間での価格競争が起こりにくい状態がつくり出された。もう一つは、通産省の値下げ指導を逆にとって、その上限、もうこれが最大限という、例えば、先ほどの一三%なら一三%まで下げればいいんだ、それ以上下げなくてもいいんだ、あるいはそれをまた一〇%ぐらいにするとか、そういう形で幅をとらえて、そしてその下げ幅について業者間で談合するというような二つの問題が明らかになったと思います。  このようなことが繰り返されたのじゃ、これはもう価格は下がりようがないわけであります。その点について、まず公正取引委員会は今後どういうふうに対応されていかれるのか、それから通産省の指導の中身について伺いたいと思います。
  374. 植木邦之

    ○植木(邦)政府委員 私どもは、事業者団体が、つまり今のLPガス協会とか支部でございますけれども、そのようなところが競争を制限するというようなことで円高差益の還元を妨げることがないように、常時監視して情報収集に努めておるところでございますけれども、もし独占禁止法違反のおそれがあるということが私どもわかりましたら、現在でも調査を行っているところであります。今後とも、そのようなことがありまして円高差益の還元を妨げているというようなことがありましたら、違反行為として厳正に対処していきたい、このように考えております。
  375. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 第一の類型の問題につきましては、先生いみじくも御指摘いただいたわけでございますが、メーター販売になりまして、いろいろなメリットもございますけれども、結果としまして競争がやや不活発になるかもしれない点があるというあらわれでございまして、せっかくのメーター販売のメリットといったようなものがこういう形で減殺されるのは大変悲しいことでございますので、私どもとしましても、こういうことがないように厳正に関係業界を指導したいと思います。  それから、第二の類型につきましては、これも今先生いみじくもおっしゃいましたように、せっかく値下げ要請をしたわけでございますけれども、この程度でとどめておこうというような話し合いが行われるということは全く私どもの真意でございません。六十一年の十月に各個別業者に対しまして一〇%程度は下げられるはずだといういわば追い打ちをいたしましたのも、こういった状況が背景にあったと申し上げていいと思います。今回の要請につきましても再びこんなことがあってはならないと考えておりまして、値下げ要請につきましても、値下げしてほしい、できるはずだという意思は関係業界を通じて伝えておりますけれども、実際の値下げにつきましては、個々の業者に対しまして通産省から直接アピールするという方式をとっておりますし、また、各通産局から影響力の大きい個別業者に対しましていわばさしで話し合いをするというようなことで、この間にせっかくのこの指導にいわゆるカルテル的な要素が介在をしないように、前回の経験に照らしまして念には念を入れてやっているつもりでございます。
  376. 岩佐恵美

    岩佐分科員 LPガスの小売価格について見てみますと、高いところと低いところの差が非常に大きいわけです。通産省のモニター調査価格によると、十立米で最低が三千二百円から三千三百九十九円、最高が五千六百円から五千七百九十九円で差が二千四百円、これは平均価格四千六百円の五〇%に当たるわけであります。また、利用者の九割以上が固まっている価格帯を見てみますとやはり千円の開きがあります。この千円は、平均価格四千六百円の一三%に当たる開きであります。業務用の場合は、一般家庭用と違って業者間の競争が激しいせいか、一般家庭用より三割以上も安くなっているという現状ですし、それから、これは都区内のタクシー業界の資料ですが、やはりタクシー燃料用のLPガスは三年前に比べて三割安くなっている、こういう状況になっています。  いずれにしろ、一般家庭の消費者が非常に高い状況に甘んじなければならないのは非常に不合理だというふうに思います。一つは、こういう状況に置かれているのは消費者に価格について十分な情報がない、こういうようなことがあると思います。ですから、こうした消費者の判断に役に立つような情報を的確に提供すべきだというふうに思いますけれども、具体的にどういう策をおとりになられるのか、お示しをいただきたいと思います。
  377. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 ただいま御指摘いただきましたいわゆる消費者価格モニター制度、約七百名の消費者に御協力をいただいているわけでございまして、こうした制度をスタートさせましたこと自体が私どもの姿勢のあらわれと御理解いただきたいと思うのですが、そのモニターの結果御指摘のような状況がわかったわけでございますので、さらに工夫をする必要があると考えております。  一つは、現在の状況というのはモニターサイドから把握されておるわけでございますので、やはり小売店あるいは卸売段階での価格を私どもが直接把握するということが必要だろうというぐあいに考えておりまして、そういった点に六十三年度から取り組みたいと考えております。また、せっかく調べました情報を的確に提供していくということが必要不可欠と考えておりますので、そうした情報の提供、さらには販売業者選択につきましての相談窓口を設けるとか、こういった点も必要ではないかと思っております。これらの点は、昨年十月の液化石油ガスビジョン検討委員会中間報告でも指摘されておるところでございまして、既に御審議いただいております六十三年度予算の中にもその関係の予算を組み込んでおりまして、ぜひ実現させていただきたいと思っております。
  378. 岩佐恵美

    岩佐分科員 もう少し詳しく聞きたいのですが、例えば情報の提供ですね。新聞とかラジオとかテレビとか、そういうメディアを通じての方法もあると思うのですけれども、そんなことも考えておられるのでしょうか。
  379. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 詳細につきましては、今後各方面の御意見を承りながらより適切な仕組みを考えていきたいと思っております。
  380. 岩佐恵美

    岩佐分科員 それから、LPガスの末端価格の引き下げについてはそれでいいのですけれども、今一番問題になっているのは、元売が去年の八月から十月にかけてトン当たり四千円、約一〇%の値上げをしている、値上げの動きが強まっているということです。通産省が小売に対して値下げしなさい、元売は値上げを認めるというふうになりますと、これじゃ小売の方はたまったものではないということになってしまうわけです。昨年の十二月十二日付の日経新聞によりますと、昨年秋の液化石油ガスビジョン検討委員会が出した中間報告が元売の値上げにはずみをつけた、そういう指摘もあるわけであります。いずれにしろこういう事態は大変な事態だと思いますので、元売に対してもきちんと値下げを指導すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  381. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 今の御指摘の点につきましては、実態的にはどうもなかなか難しい面があると考えているわけでございます。もともと相当企業数が多いということもございまして過当競争体質があるわけでございますけれども、輸入価格が下がってくるという流れの中で、いわば思惑的な値下げというようなものが急速に進行しているというのが実態でございます。元売の経常収支の状態を見ますと、昭和五十九年度も昭和六十年度も連続して赤字でございますし、六十一年度の数字を見ますとさらに悪化しているというような状況でございまして、このステップにつきましては、私どもが価格引き下げというようなことで介入をするような実態ではないのではないかと考えております。むしろ、この元売段階におきまして、LPGの備蓄でございますとか、あるいはコジェネレーションでございますとか、さらには安全問題について積極的にリーダーシップを発揮してもらいたいとか、いろいろな課題といいますか要請を私どもも本業界に対して持っているわけでございますが、赤字体質になってしまうというのはさまざまの課題に取り組んでいくいわば経営基盤を失うということになるわけでございますので、そこのところはやはり十分認識をしてやる必要があるのではないかと思っておるわけでございます。
  382. 岩佐恵美

    岩佐分科員 ただ、問題は、元売は値上げをする、小売は厳しく値下げをしなさい、これでは小売が悲鳴を上げてつぶれてしまう。元売も赤字体質になったら大変でしょうけれども、これは小売だって同じだと思うのですね。その点についてちゃんと考えていかなければいけないんじゃないですか。
  383. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 おっしゃるとおり、LPガスに限りませんけれども、取引の各段階におきまして、もうけ過ぎはいけませんけれども、それぞれの段階での適正な利益が形成をされ、同時に合理的な価格が形成されるということが望ましいのではないかと思っております。どうもこの業界につきましては、流通の各段階での利益の配分というものに相当ひずみといいますか、隔たりがあるような気がするわけでございまして、もちろん末端の小売段階には中小企業も多いわけでございますので、その辺の目配りが必要不可欠なことは御指摘のとおりでございますけれども、同時に、各段階の間でどう利益が配分されているかということもにらみながら対応していきたいと考えております。
  384. 岩佐恵美

    岩佐分科員 次に、安全性の問題をちょっと伺いたいと思いますが、昨年十二月の物価問題特別委員会東京ガスのガス漏れ安全装置マイセーフについてお伺いをして、ことしからこの料金は無料になったということで大変よかったというふうに思っています。  マイセーフのついている家庭は、東京ガスで今百四十九万戸、残りが五百二十一万戸あるそうであります。これは十年計画でつけていかれるということだそうですけれども、消防白書を見ると、火災による死者のうち六十一歳以上のお年寄りが五五・五%、乳幼児や病気、身体不自由者を含めると五八・三%にもなります。人口十万人当たりの火災での死亡数は、お年寄りが若い人の七倍以上であります。これは逃げおくれるということが主要な原因ですけれども、ガス事故の場合は、ガスを使っている間に病気の発作で倒れてしまったりとかガス器具を消し忘れるとか、お年を召されるとそういうことも起こってくるわけです。そういう点から考えて、集合住宅とか、あるいはお年寄りとか障害者のひとり暮らしの世帯の方々にはやはり優先的に取りつけていくという配慮も必要なのではないかというふうに思います。その点について端的に伺いたいと思います。
  385. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 実態は御指摘のとおりでございます。十年ぐらいの間に、ガスメーターの新設時さらには取りかえ時に順次これを取りつけていくというぐあいに考えているわけでございます。ただいま先生御指摘の点でございますけれども、そういうことで基本的なプランは持っているわけでございますけれども、需要家サイドから、特別の事情があるのでそういう基本的なプランの中で個々の事情に対応してほしいというような御要望があった場合には、それにおこたえすることは不可能ではないのじゃないかと思っておりますので、今後そういう要望に適切にこたえていくように、関係業界にも指導してまいりたいと思っております。
  386. 岩佐恵美

    岩佐分科員 大手三社のほかにも、中小の都市ガス三十六社も既にこのマイコンメーターをつける方針だというふうに伺っておりますけれども、全体が早くつくようにするための手だてを講じていくべきではないかというふうに思います。  それから同時に、簡易ガスは全国に千六百社以上あるというふうに聞いていますが、簡易ガスではマイコンメーターをつけているのはまだ一社のみということであります。事故統計を見ると、一般の都市ガスより簡易ガスの方が事故が起きる率は高いわけです。しかも、簡易ガスの場合はほとんどが団地についているといいますか、集合住宅についているという形態ですから、この点、ぜひ考えていかなければいけないというふうに思います。
  387. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 中小の都市ガス事業者につきましては、既に動きが始まっておりますことは先生御承知のとおりでございまして、既に取りつけを始めているところ、さらには実施のスケジュールを決めたところが三十六社あるわけでございまして、今後こういう動きは逐次広がっていくと思っております。  簡易ガス業者につきましては、これは業態が大変小さくなってまいりますので、だんだんと問題が簡単ではなくなってくるわけでございますけれども、現在、社団法人日本簡易ガス協会の中に委員会を設けまして、いかに対応していくかということで検討をいたしているわけでございます。御承知のとおり、各エネルギーの間の競争が非常に活発になっている時代でございますので、うっかり立ちおくれますと結局自分がお客を失うというような認識も関係業界に広がっているわけでございます。私どもとしましても、そういった認識をベースにしながら、積極的に努力をしていくように要請をしていこうと考えております。
  388. 岩佐恵美

    岩佐分科員 その他の家庭用LPガスの安全性、安全装置についてはどういうふうになっているのでしょうか。
  389. 安楽隆二

    ○安楽政府委員 LPガスによる事故防止のためにいろいろ努力はしてきているわけでございますが、特にこの事故を抜本的に減少させるために、六十一年の五月に、通産省でLPガス器具普及の懇談会というのをつくりまして、安全器具の普及計画を取りまとめたわけであります。これに基づいて、LPガスの販売事業者の団体である日本エルピーガス連合会というものがLPガスの安全機器普及要綱というものを決定しまして、六十一年の十月から、業界挙げてこの普及運動を展開しているところでございます。  この計画の中身でございますけれども、安全器具を業務用施設や集合住宅については五年以内に一〇〇%普及させる、一般住宅については十年以内に一〇〇%普及させるということによりまして、全体として現在の事故件数を五年間で五分の一に、十年間で十分の一に減少させようとするものでございます。
  390. 岩佐恵美

    岩佐分科員 そうすると、都市ガスよりもちょっと条件が厳しいといいますか、そういうことだと思いますが、都市ガス、簡易ガスは事業者負担でマイコンメーターをつけていこうということですけれども、LPガスの場合には小さい業者が多いわけですね。だから、LPガスの業界が負うとか、あるいはそれができなければ消費者が負うとか、どっちにしても大変困難な状況なのではないかというふうに思います。LPガスのマイコンメーターの価格というのは幾らぐらいなのか、それからこの価格をだれがどう負担をしていくというふうに考えているのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。
  391. 安楽隆二

    ○安楽政府委員 LPガス用のマイコンメーターの価格でございますけれども、現在、工事費を除きまして、一応一万五千円から二万円程度で取引されているというふうに聞いております。  この負担の問題でございますけれども、料金に算入して回収する方法とかリース方式で回収する方法とか、販売事業者のケースによって違いますけれども、いずれの方法をとるかは、消費者の理解が得られやすく、しかも安全器具が普及しやすいような方法を販売事業者の判断で選択されるということになるのではないかと思います。  ただ、いずれにしましても負担額が大きいわけでございますので、私どもといたしましても、低利融資等の制度によりまして資金面から助成措置を講じたいということで、実は六十二年度から新たに、中小企業金融公庫とか国民金融公庫あるいは日本開発銀行によるマイコンメーターの取りつけに伴う資金負担を軽減するための融資制度というものを創設したところでございます。
  392. 岩佐恵美

    岩佐分科員 今の低利の融資と言われても、なかなか業界にとってはそれが低利であるというふうには言いがたい、非常に負担が大変なんだという声が出ているわけです。今言われたように、量産で安くなって一個一万五千円、それをもし二千万戸につけるとすると全体で三千億ですか、十年ですから一年間で三百億、どっちにしてもこれは大変な額であります。業者の間では、通産省は安全対策の名目で小売業者をつぶそうとしているのじゃないかという声もかなりあるわけです。  現に先ほどの中間報告の中では、小売販売店当たりの消費者軒数を現在の五百七十から千に、それから月間取扱量は現在の十トンから二十トンにするのが望ましい、こういうふうに明記をされているわけであります。さらに、もしマイコンIIをつけてこれを管理していくということになると、ガス漏れが発見されてガスがストップをすると、利用者が小売業者にまず知らせるわけですね。夜中であっても飛んで行かなければならない。マイコンIIと電話回線を接続しての集中監視システムも現在開発中だ、もうすぐそれもできるのじゃないかということになると、ますます業者は四六時中これを監視していなければならない。一般的には週休二日制という時代に、LPガス業者にこれだけの負担を押しつけるのは非常に問題なんじゃないかというようなことも言われているわけであります。  ですから、機械さえつければいいのだというふうにはならない。やはり機械をつけるに当たっては、もっともっと低利の融資、あるいは安全面でも集中監視のそういう問題をどう解決していくのか、総合的にしなかったら、先ほどの価格面でも元は上げますよ、末端は下げなさい、しかも安全装置についてまたそれを負担しなさいということになると、これはまさに中間報告が指摘をしている、今の末端小売店三万八千を半分にしますというようなところにつながっていくのじゃないか、これはまさに小売業者つぶしだと言われても仕方のない実態になると思うのです。そういうことがないようにちゃんとやっていくのが通産省の仕事だというふうに思います。その点の基本的な姿勢をお伺いをしておきたいと思います。
  393. 安楽隆二

    ○安楽政府委員 先生の御指摘のように、保安対策というのは保安問題の重要性ということからやるわけでございまして、それによって事業についてのいろいろな問題が出てくるというようなことはまずいわけでございまして、この安全器具の普及によって安全なLPガスというものにいたしまして、消費者の利益を向上させるということが基本にあるということは言うまでもございません。  それで、私どもといたしましては、安全器具の普及に関しまして先ほど申しましたような資金負担の資金援助政策、これも財政当局といろいろ議論してやっとつくったわけでございまして、これをぜひ活用してもらいたいと思っております。さらに、技術開発とかあるいは販売業者の従業員に対する研修、消費者の啓蒙運動等々総合的な施策によりまして、安全器具が円滑な形で普及されるように努力していきたいというふうに考えております。
  394. 岩佐恵美

    岩佐分科員 最後に、そういう小売いじめにならないように、きょうは大臣がおられないので残念でございますけれども、通産省挙げてやっていただきますように重ねて念を押させていただきまして、終わりたいと思います。
  395. 林大幹

    林主査 これにて岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の特段の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後五時三十三分散会