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1988-03-09 第112回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十三年三月八日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月八日  本分科員委員会において、次のとおり選任さ  れた。       愛野興一郎君    奥田 敬和君       後藤田正晴君    田中 直紀君       上田  哲君    佐藤 敬治君       坂口  力君    楢崎弥之助君       中島 武敏君 三月八日  愛野興一郎君が委員会において、主査選任さ  れた。 ────────────────────── 昭和六十三年三月九日(水曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 愛野興一郎君       奥田 敬和君    後藤田正晴君       田中 直紀君    五十嵐広三君       上田  哲君    加藤 万吉君       佐藤 敬治君    竹内  猛君       馬場  昇君    水田  稔君       山花 貞夫君    渡部 行雄君       坂口  力君    鈴切 康雄君       冬柴 鉄三君    吉井 光照君       滝沢 幸助君    楢崎弥之助君       中島 武敏君    兼務 上田 利正君 兼務 上原 康助君    兼務 坂上 富男君 兼務 近江巳記夫君    兼務 柴田  弘君 兼師 岡田 正勝君    兼務 小渕 正義君 兼務 石井 郁子君    兼務 経塚 幸夫君 兼務 田中美智子君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 瓦   力君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  河原崎守彦君         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         職員局長    川崎 正道君         内閣総理大臣官         房管理室長   文田 久雄君         内閣総理大臣官         房参事官    平野 治生君         警察庁長官官房         会計課長    半田 嘉弘君         宮内庁次長   山本  悟君         皇室経済主管  井関 英男君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  紀 嘉一郎君         総務庁長官官房         会計課長    八木 俊道君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政管理         局長      佐々木晴夫君         総務庁行政管理         局行政情報シス         テム参事官   重富吉之助君         総務庁行政監察         局長      山本 貞雄君         北海道開発庁計         画監理官    大串 国弘君         北海道開発庁予         算課長     筑紫 勝麿君         防衛庁参事官  小野寺龍二君         防衛庁参事官  福渡  靖君         防衛庁参事官  児玉 良雄君         防衛庁参事官  鈴木 輝雄君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 日吉  章君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁長官 友藤 一隆君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁建設         部長      田原 敬造君         防衛施設庁労務         部長      山崎 博司君         科学技術庁長官         官房会計課長  武田  昭君         科学技術庁科学         技術振興局長  吉村 晴光君         科学技術庁原子         力局長     松井  隆君         沖縄開発庁総務         局会計課長  五郎丸日出昇君         外務大臣官房外         務参事官    時野谷 敦君         外務省北米局長 有馬 龍夫君  分科員外出席者         衆議院事務総長 弥富啓之助君         参議院事務総長 加藤木理勝君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   金村 博晴君         裁判官訴追委員         会事務局長   龍前 三郎君         国立国会図書館         長       指宿 清秀君         人事院事務総局         管理局会計課長 樋口 英昭君         人事院事務総局         給与局給与第一         課長      山崎宏一郎君         公正取引委員会         事務局庶務課長 植松  勲君         宮内庁書陵部長 勝山  亮君         総務庁長官官房         地域改善対策室         長       瀬田 公和君         総務庁人事局参         事官      河野  昭君         総務庁恩給局恩         給問題審議室長 鳥山 郁男君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     野村 信之君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         大蔵省主計局主         計官      若林 勝三君         大蔵省主計局主         計官      岡田 康彦君         大蔵省主計局主         計官      伏屋 和彦君         大蔵省関税局総         務課長     冨沢  宏君         国税庁長官官房         総務課長    龍宝 惟男君         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      森  正直君         文部省初等中等         教育局小学校課         長       熱海 則夫君         文部省初等中等         教育局教科書検         定課長     御手洗 康君         文部省初等中等         教育局教科書管         理課長     福島 忠彦君         厚生省社会局生         活課長     和田  勝君         厚生省年金局年         金課長     松本 省藏君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     畠中 信夫君         労働省婦人局婦         人福祉課長   藤井紀代子君         建設大臣官房官         庁営繕部営繕計         画課長     清水令一郎君         建設省住宅局住         環境整備室長  羽生 洋治君         自治省行政局行         政課長     秋本 敏文君         自治省行政局振         興課長     谷口 恒夫君         会計検査院事務         総長      西川 和行君         会計検査院事務         総長官房上席審         議室調査官   五十嵐清人君         会計検査院事務         総長官房会計課         長       天野  進君         会計検査院事務         総局第三局建設         検査第一課長  阿部 杉人君         最高裁判所事務         総長      大西 勝也君         参 考 人         (動力炉・核燃         料開発事業団理         事)      植松 邦彦君         予算委員会調査         室長      右田健次郎君     ───────────── 分科員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   上田  哲君     渡部 行雄君   佐藤 敬治君     山花 貞夫君   坂口  力君     冬柴 鉄三君   楢崎弥之助君     滝沢 幸助君   中島 武敏君     藤原ひろ子君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     馬場  昇君   渡部 行雄君     五十嵐広三君   冬柴 鉄三君     鈴切 康雄君   滝沢 幸助君     河村  勝君   藤原ひろ子君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     渡部 行雄君   馬場  昇君     加藤 万吉君   鈴切 康雄君     冬柴 鉄三君   河村  勝君     楢崎弥之助君   安藤  巖君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     沢田  広君   渡部 行雄君     小澤 克介君   冬柴 鉄三君     吉井 光照君   楢崎弥之助君     滝沢 幸助君   中路 雅弘君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   小澤 克介君     五十嵐広三君   沢田  広君     水田  稔君   吉井 光照君     長田 武士君   滝沢 幸助君     青山  丘君   岩佐 恵美君     藤原ひろ子君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     竹内  猛君   水田  稔君     佐藤 敬治君   長田 武士君     坂口  力君   青山  丘君     楢崎弥之助君   藤原ひろ子君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     上田  哲君   中島 武敏君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   岩佐 恵美君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   辻  第一君     中島 武敏君 同日  第二分科員坂上富男君、第三分科員小渕正義君  、第四分科員上田利正君、第五分科員近江巳記  夫君、石井郁子君、第六分科員経塚幸夫君、田  中美智子君、第七分科員柴田弘君、第八分科員  上原康助君及び岡田正勝君が本分科兼務となっ  た。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十三年度一般会計予算  昭和六十三年度特別会計予算  昭和六十三年度政府関係機関予算  〔皇室費国会裁判所会計検査院内閣及び総理府所管総理府本府、総務庁防衛庁科学技術庁)〕      ────◇─────
  2. 愛野興一郎

    愛野主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  本分科会は、皇室費国会裁判所会計検査院内閣及び総理府並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁、環境庁及び国土庁を除く所管についての審査を行うことになっております。  昭和六十三年度一般会計予算昭和六十三年度特別会計予算及び昭和六十三年度政府関係機関予算中、まず衆議院関係予算説明を聴取いたします。弥富衆議院事務総長
  3. 弥富啓之助

    弥富事務総長 昭和六士二年度衆議院関係歳出予算について御説明を申し上げます。  昭和六十三年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、四百六十六億九千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十億九千七百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして四百五十三億四百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十五億八千七百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、議員文書通信交通費月額六十五万円から七十五万円に増額計上したこと、その他人件費等増加によるものであります。  なお、議員会館整備等調査費を計上いたしております。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十三億八千五百万円余を計上いたしております。これは、第一議員会館昇降機改修費、第二議員会館外装改修費、その他庁舎の諸整備に要する経費でございます。  また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億円計上することといたしております。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 愛野興一郎

    愛野主査 次に、参議院関係予算説明を聴取いたします。加藤木参議院事務総長
  5. 加藤木理勝

    加藤木参議院事務総長 昭和六十三年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和六十三年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、二百七十九億二千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、約十五億四千万円の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費でありまして、二百六十二億二百万円余を計上いたしております。  この経費は、職員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でございまして、前年度に比し約八億九千万円の増加となっております。これは主として、文書通信交通費月額六十五万円から七十五万円への増額のほか、職員歳費及び議員秘書職員人件費増加等によるものであります。  第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、十七億一千五百万円余を計上いたしております。これは、六十二年度から引き続いております議事堂中央塔改修費議員会館外装改修費本館その他庁舎等整備に要する経費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  6. 愛野興一郎

  7. 指宿清秀

    指宿国立国会図書館長 昭和六十三年度国立国会図書館歳出予算について御説明申し上げます。  昭和六十三年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は、百十五億一千百万円余でありまして、これを前年度予算額百三十五億六千七百万円余と比較いたしますと、二十億五千五百万円余の減額となっております。これは主として、国立国会図書館車庫外構工事が完了することに伴って工事費が減少したことと、前年度補正予算(第一号)におきまして、緊急経済対策一環として輸入の拡大等に資するために追加補正されました図書館資料購入費及び科学技術関係資料費増加額相当分が減少したことによるものでございます。  要求額の主なものについて、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は、九十四億四千四百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、六億七千五百万円余の減額となっております。その主たる理由は、ただいま御説明いたしました図書館資料購入費の減であります。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、五億一千七百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、二億五千七百万円余の減額となっております。その理由は冒頭に御説明いたしましたとおり、当該経費の前年度の追加補正分の減によるものであります。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、新館の整備本館改修及びその他庁舎整備に必要な経費十五億四千九百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、十一億二千二百万円余の減額となっております。その理由は、車庫外構工事が完了することに伴う工事費の減によるものであります。  なお、本館改修に関しましては、昭和六十三年度を初年度とする二カ年の国庫債務負担行為十二億三千六百万円余を要求いたしております。  以上簡単でありますが、国立国会図書館歳出予算概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  8. 愛野興一郎

  9. 金村博晴

    金村裁判官弾劾裁判所参事 昭和六十三年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和六十三年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は、八千九百五十八万五千円でありまして、これを前年度予算額八千八百八十三万四千円に比較いたしますと、七十五万一千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費裁判員旅費事務局職員給与に関する経費その他の経常事務費及び裁判官弾劾法に基づく裁判に必要な事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、主として職員給与関係経費増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  10. 愛野興一郎

  11. 龍前三郎

    龍前裁判官訴追委員会参事 昭和六十三年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和六十三年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は、一億二百六十三万円でありまして、これを前年度予算額一億八十四万二千円に比較いたしますと、百七十八万八千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比較いたしまして増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  12. 愛野興一郎

    愛野主査 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  13. 愛野興一郎

    愛野主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山花貞夫君。
  14. 山花貞夫

    山花分科員 私は、国会に働く職員労働条件に関しまして、婦人問題と労働時間短縮、そして週休二日制にテーマを絞りましてお伺いをいたしたいと思います。  まず、人事院伺いたいと思います。  私が申すまでもなく、最近働く現場におきましては、婦人労働者役割が非常にクローズアップされているところであります。労働省の六十年女子保護実施状況調査によりましても、三十人以上規模事業所女子常用労働者は三二・七%を占めている、こうした状況にあります。また、こうした女子常用労働者に占める有夫割合は五六・七%。ところが、こうした皆さんが妊娠または出産によって退職する割合というものは三〇%を超しているわけでありまして、産前産後の休暇の問題につきましては、改めてその問題点というものが議論されなければならないと思っているところであります。  六十一年四月から産後の休暇につきましては、六週間が八週間に延長されましたが、婦人労働者は長年産休八・八の制度化要求してまいりました。産前休暇につきましても、母性保護の観点から現行六週間を八週間に延長すべきであるという声が大変強いわけでありますが、この点について人事院に御見解を承りたいと思います。  とりわけ一言つけ加えておきたいと思いますことは、実はこの際、各県の職員の場合あるいは市町村の職員の場合、調べてみたわけでありますけれども、半数以上が既に産前も八週間という実態にありまして、公務員につきましてはこうした状況に照らしてみるならば、改めて問題点が浮かび上がってくると思うのですけれども、その点も踏まえてひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  15. 川崎正道

    川崎(正)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、六十一年の四月に産後の期間を八週間にいたしましたときに、産前につきましても検討いたしました。そのときに専門家の御意見を伺ったわけでございますが、専門家の御意見によりますと、医学的に見まして、現在の期間は決して不適切な期間ではない、こういう御意見をいただいております。したがいまして、当面この期間につきまして延長することは考えておりませんが、今後民間動向等も考慮いたしまして検討は進めてまいりたい、このように考えております。
  16. 山花貞夫

    山花分科員 民間動向だけではなく、先ほど申し上げました各自治体の状況ということについても状況を改めて御検討いただいた上で検討を進めていただきたい、こういうように思います。  各県について見ると、六週間という制度はわずか十三の県しか残っていないわけでありまして、ほとんどの県が既に産前産後八週間という現状になっているところであります。ヨーロッパの各国における状況を取り上げるまでもなく、日本の国内においてもそういう状況にあるということを踏まえてぜひ御検討を進めていただきたいと思います。  次に、労働省伺いたいと思います。  共働きの雇用労働者世帯が一般化している現状におきまして、家事、育児、病人、親の介護等を主に女性が個人で負っている現在のあり方につきまして、問題が提起されております。そのためには、固定的な男女役割分担意識の解消を図るとともに、男女を含めた社会環境整備というものを進めなければならない、当然の結論ではなかろうかと思っておりますが、労働省では育児休業制度女子の再雇用制度普及のための措置を講じてきておりますけれども、民間における普及率はなお余り高くないという現状ではなかろうかと思います。さらにこれらの制度普及促進のための具体的な施策が必要だと思いますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。  また、高齢化社会の進展、核家族化に伴いまして、親の介護家族が病気になった際の看護休暇というものが、今や労働者の間でも切実な要求となってきております。これについては労働省でも財団法人婦人少年協会に委託して学識経験者による看護休暇制度研究会を発足させたと伺っておりますけれども、ここでの検討状況と今後どのような形で進めていくかということについて、労働省にお伺いいたしたいと思います。
  17. 藤井紀代子

    藤井説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の育児休業制度及び女子雇用制度のことについてお答え申し上げます。  労働省では、育児休業制度普及促進を図るため、昭和五十年度から雇用保険法に基づきます雇用改善事業一環としまして、一定の条件を備えました育児休業制度を実施することとなった企業に対しまして、奨励金の支給を行ってきたところでございます。六十年度からは奨励金の大幅拡充をいたしたところでございます。また、六十三年度の予算案が認められました際には、さらに奨励金の充実を図るということを予定しておりますので、このようなことによりまして育児休業制度の一層の普及促進に努めてまいりたいと思っております。  また、育児休業制度普及を図るため、私ども育児休業制度普及促進旬間というのを毎年五月に設けて普及を図っておるところでございますし、また、五十五年度からは育児休業制度に関します相談指導を行うための育児休業制度普及指導員というのを婦人少年室に配置しておるわけでございますけれども、六十二年度に全室に配置を終えてございますので、このような指導員の活用をいたしましてさらに積極的に普及を図ってまいりたいと思っております。  次に、女子雇用制度についてでございますけれども、六十一年度から制度ができたわけでございますけれども、女子再雇用促進給付金というものを設けたところでございますので、この給付金の活用によりまして制度普及促進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  その次に、第二点の先生の御指摘の看護休暇のことでございます。  先生の御指摘のように、高齢化、核家族化を背景といたしまして、老親介護の負担が勤労者家族にとって大きな問題となってきているわけでございます。看護休暇制度というのは、そのような問題に対応する制度の一つでございますが、その普及率はいろいろな形で行われているものを含めましても一割程度という状況でございます。行政としては、この問題にどのように対応するかにつきましては、現在実施されている制度の内容、効果、問題点等を十分勘案することが必要であると考えております。先生もおっしゃいましたように、昭和六十二年度から、長寿社会における女子労働者等福祉に関する研究会というのを財団法人婦人少年協会に設けまして、職業生活と家庭生活の調和の観点から労働者家族福祉制度のあり方を研究しておりまして、その一環としまして、企業で実施しております看護休暇制度の実態把握を行っているところでございます。
  18. 山花貞夫

    山花分科員 今の労働省の具体的な施策についての御答弁を踏まえまして人事院伺いたいと思います。  現在、義務教育諸学校の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設の看護婦、保母につきましては育児休業制度が法制化されております。ヨーロッパ諸国においては既に多数の国におきまして、全労働者を対象とした育児休暇制度が確立しているところであります。いろいろ調べてみると、まだかなりバラエティーがあるようですけれども、そうした状況にありますし、また、人事院月報の十二月十二日号の「昭和六十、六十一年度育児休業の概況」などを拝見いたしますと、育児休業率というものが制度発足以来初めて六割を超えたというような状況にもなっているところであります。  そこで、この制度を教員、看護婦、保母にとどめないで、一般公務員にも拡大すべきではないかということでありますけれども、この点いかがでしょうか。同時に、既に自治体でもかなり実施され始めました看護休暇について、公務員の特別休暇制度の中に取り入れていくお考えはないかどうか、この点についても伺いたいと思います。  また、現在、生後一年に達しない子供を育てる女子職員につきましては、一日二回それぞれ三十分以内の保育時間が認められているところでありますけれども、民間や地方自治体においては、この育児時間を男女いずれもとれるようにしている例も出てきているわけであります。この点についてもお考えをお伺いしたいと思います。
  19. 川崎正道

    川崎(正)政府委員 まず、育児休業の関係からお答えいたしたいと思いますが、先生も御承知のように育児休業の制度と申しますのは、一定の資格を要し、かつ業務に習熟するのに相当の年限を必要とする女子職員あるいは看護婦等の人材確保という観点から設けられた制度でございます。この制度を一般の職員にまで広げていくということになりますと本来の趣旨から離れてまいりますので、いわゆる公務員の勤務条件の一環として考えなければならないということになってまいります。そうなりますと民間との均衡ということが問題になりまして、我々といたしましては民間での普及率等を考慮しながら今後検討してまいりたい、このように考えております。  それから二番目にお尋ねの看護休暇でございますが、家族の病気の看護のために職務を離れて休暇をとるといういわゆる看護休暇、これにつきましては、最近高齢化社会の到来というようなこともございましてかなり要望は強くなってきておりますが、これにつきましてもやはり民間普及率、こういうものを考慮しながら今後検討を続けていかなければいけないのかな、このように考えております。  それから保育時間の問題でございますが、保育時間につきまして運用上、今日、赤ん坊にお乳を与えるいわゆる授乳ということ以外に、例えば保育所の送り迎えにその時間を使っていただくというようなことでがなりの配慮をしておるところでございますが、時間の問題あるいはそれを男子にまで広げるかどうかということにつきまして、やはり民間での普及率等々の関係を考慮しなければなりませんので、当面のところ考えておりません。
  20. 山花貞夫

    山花分科員 勤務条件の立場から物を考えるということが大変大事だと思うわけでありまして、もっともお話でも人材確保という観点だけではなく民間動向を踏まえてというお話がありましたから、男女がともに働ける社会環境整備という観点についても御検討をしていただけるというように考えるわけでありますけれども、その点につきましてはなお、単に人材確保という観点だけではない今日の社会的な要請にこたえていただきたいということをつけ加えておきたいと思います。  実は、以上の議論を踏まえまして事務総長にお伺いしたいと思うわけでありますけれども、昨年五月に婦人問題企画推進本部が発表いたしました「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」の中に「婦人の政策・方針決定への参加の促進」ということが目標として掲げられております。その基本的施策の一つとして「女子公務員の採用、登用及び職域の拡大並びに研修・訓練の機会の積極的活用による能力の開発を促進する」ということが挙げられております。  衆議院におきましても、ここ数年、議事運営への女子職員の配置、女子の調査員、女子衛視の採用など女子職員の職域の拡大が図られまして、職能育成の面においても、昨年から始められました階層別の研修では女性の参加者もかなりの人数に上っておりまして、また本年一月には二人目の女性の出向者も出たと伺っているところであります。私もいろいろ資料を拝見いたしましたけれども、かなり御努力の様子について評価すべき状況があるのではなかろうかと事務総長の御努力には敬意を表する次第でございます。  このような努力につきましては今申し上げましたとおり大変努力を多とするところでありますけれども、職域の拡大ということについて見ますと、まだまだ伸ばす余地があるのではなかろうかとも思われますし、女子職員の多くは特定の職場に置かれているという状況がなお残っていると言わなければならないと思います。今後なお一層の御努力をお願いしたいと思うところでありますけれども、仕事に意欲を持っている女性がその意欲をそがれることなく仕事を続けていけるような職務の配置、職能育成をさらに進めていただきたいという気持ちを含めまして、この点につきましての今後の長期的ビジョンもあわせて事務総長の御見解を承りたいと思います。
  21. 弥富啓之助

    弥富事務総長 先生御指摘のとおり、本院では従来から、女子職員の職能育成や職域拡大については積極的に取り組んでまいっております。一昨年から施行されましたいわゆる男女雇用均等法、これに従いまして本院でも、例えば、今まで女性が進出しなかった、今言われました衛視等におきましても、御承知のとおりに女性の衛視を採用いたしております。昨年に引き続きまして本年も採用する予定でございます。  それから、部内研修だけでなく外部でも研修の機会を女性に与えるためにいろいろと我々も努力をいたしておりますが、女性の方におきましてもふだんから自己研修をしていただく、それに努めていただきたいということも申し上げておるところでございます。  それから女子職員の登用の問題でございますが、現在本院には三百六十九名の女子職員がおりまして、そのうち二百十二名でございましたか係長相当以上の職についておりまして、実に――実にというほどでもございませんが、五七%の数に上っております。まあ国会の特殊事情から開会中においては勤務密度というのは非常に密なものがありますけれども、これらの女子職員は、その職に応じて立派に業務を果たしておるところでございます。  ただいま仰せになりました各部署とも、確かに女性につきましては庶務要員的な業務が必要とされる面がございますけれども、この方々についても、職能育成は当然のことでございます。その機会を与えなければならないと存じております。このためにも、偏った職務配置というものを避けるようにして適正な異動を行う等、十分に配慮をいたしていきたいと思っております。
  22. 山花貞夫

    山花分科員 今大変積極的な姿勢もお示しいただいたわけでありますけれども、お話にもあったところですが、女子につきましても各ランクごとにその到達目標を設定できるような職務配置が行われるということが望まれているところであります。今自己の研修もというお話がありましたけれども、女子で意欲を持って前向きに仕事をしている姿勢が具体的に評価されるという形が出てくれば、今事務総長のお話がありました自己の研修の努力、また後に続く者の意欲の向上にもつながってくるのではなかろうか、こういうように考えているところでございます。  今、係長の問題についてお話がございましたけれども、実は私も全体の状況について、まだ不十分と思いますけれども、女子職員の役職別人数と分布の状況について調べてみました。係長以上について五七%、こうした状況についてお話がありまして、これは非常に進んだ面というように受けとめているところでありますけれども、課長とか課長補佐ということになりますと、いろいろな資格の問題とかさまざまな要因があると思いますけれども、まだその意味におきましてはかなりおくれている。女子職員割合から比べるとおくれているところもあるわけでありまして、さまざまな要因があると思いますけれども、今お話しになりました方向で今後とも、女子の職域の拡大、職能の育成について御努力をいただきたい、こういうように思います。  なお、前段にお話がありましたけれども、衛視さんをことしもまた採用するというあたりは目に見える形での動きということにもなってくると思いますけれども、その点につきまして重ねて、今申し上げました意欲ある、能力ある女子職員の意欲にこたえるような御努力をお願い申し上げる次第でございます。時間の関係がありますので、この点については期待にこたえていただけるのではなかろうかということで、次の質問の方に入ってまいりたいと思います。  引き続きまして、労働時間と週休二日の問題についてお伺いをしていきたい、こういうように思います。  まず労働省伺いたいと思います。  経済審議会経済構造調整特別部会報告、いわゆる新前川レポートの中にも、労働時間短縮は私たちは大変注目しておったところでございますが、そこでは、懸案の我が国における長時間労働問題について極めて明確な方向が示されているわけでありまして、二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に一千八百時間を目指すことが必要である、思い切った提言をされております。そしてまた特に注目すべきは、とりわけ波及効果の大きい公務員、金融機関等の週休二日制をこれまで以上に積極的に進めていく必要がある、このように指摘しているところであります。また内需拡大等のさまざまな要請もありまして、昨年九月には労働基準法が改正され、本年四月施行ということになりました。三年後にはまた見直すという状況もあり、今後週四十時間、完全週休二日制を実現するためには、官民相携えて施策を推進する必要があると思います。労基法改正に当たっての附帯決議また質疑におきましても、政府は公務員の閉庁方式による完全週休二日制の早期実現に努めるために適切な措置を講ずべきであるとしているところであります。  労働省は、こうした社会の要請、労基法の附帯決議等を踏まえまして、週休二日制の実現についていかにお努めになるつもりか、具体的な施策について見解をお伺いいたしたいと思います。
  23. 畠中信夫

    ○畠中説明員 労働時間の短縮は我が国の経済的地位にふさわしい豊かなゆとりある勤労者生活を実現するために必要不可欠な課題であると認識しておりまして、労働省といたしましては、従来から労働時間短縮に向けての国民的コンセンサスの形成、労使の自主的努力に対する指導援助などを積極的に推進しておるところでございます。また、来月からでございますけれども、完全週休二日制に相当いたします週四十時間労働制を目標といたしまして、法定労働時間を段階的に短縮すること  などを内容といたします改正労働基準法も施行されることとなっておりまして、労働省といたしましては、これを踏まえまして、週休二日制の普及促進を基本といたしまして、労働時間短縮のより一層の推進に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  24. 山花貞夫

    山花分科員 一般論として労働省から伺ったわけですけれども、次に、総務庁に土曜閉庁問題につきましてお伺いいたしたいと思います。  労働時間は賃金と並ぶ重要な労働条件であって、労働時間を短縮することが労働者の福祉の向上を初めとする生活の質にかかわる問題であることは言うまでもありません。土曜閉庁問題は昨年人勧でも提言されました。また週休二日制・閉庁問題関係閣僚会議が設置されまして、昨年十月二十三日には六十三年度実施を目標として取り組むことが閣議決定されております。その後新聞報道によりますと、六十四年一月実施、法案は次の国会に出されるということでありますけれども、そう理解してよろしいかどうかということについてお伺いをしたいと思います。  実は、一言で申しますと、なお新聞辞令といったところもあるわけでありまして、総務庁から直接お話を伺いたいと思うところなんですが、二月十五日の報道によりますと、「国会が土曜日も行われれば、結局、それに関連する役所は閉庁できず、国民に対する土曜閉庁の象徴的な効果も薄れる」として、総務庁では強く閉庁を働きかける方針であると総務庁の幹部が話されたと伝えられております。また、一月十九日の読売によりますと、総務庁長官が「竹下内閣では前向きに取り組む。六十四年一月の閉庁導入を考えていると明言した。総務庁長官が公式の場で導入時期を明らかにしたのは初めて。」である、こういうように伝えております。また、二月十七日の東京新聞ですけれども、長官が「十七日までに、来年一月から導入する官公庁の土曜閉庁を第二、第四週に実施する方針を固めた。」とされまして、実はそこでは、今月中にも閉庁問題関係閣僚会議を開催して「この方針を正式決定するとともに、閉庁対象機関の選定を急ぐ。」こういうように伝えられているわけでありますけれども、この問題につきまして総務庁のお考えを承りたいと思います。
  25. 河野昭

    ○河野説明員 まず第一点でございますが、第一点は、閉庁方式の導入時期と国会への法案提出の時期でございます。  先生先ほどおっしゃいましたように、昨年の十月に、六十三年度中を目途に導入という閣議決定はしております。その後十二月に関係閣僚会議が開催されまして、この関係閣僚会議では、閉庁方式の導入というのは国民生活への大変大きな影響がある問題である、したがって、当面は鋭意民意の反映をするようにという御指示があったわけでございます。そういうことで現在私ども総務庁では、経済団体あるいは労働団体、消費者団体等民意の反映をやっておりまして、各省庁に対しては、それぞれの団体についての意向把握ということをお願いしておるわけでございます。  同時に、現在そういう意向に基づきまして各省庁がそれぞれ具体的にどの範囲を閉庁するのか、あるいは閉庁した場合緊急時の対応策をどうするのかということを検討している段階でございます。私ども、そういう検討を取りまとめた段階で改めて閣僚会議の開催をお願いしまして結論を得たいと考えておりますので、現在の段階でいつ実施とか導入とか、あるいはいつ法案を提出とかということは決定されてないということでございます。  それから、二点目は国会との関係でございますが、行政府が閉庁方式を導入した場合、国会との関係では、例えば土曜日における委員会審議というような問題があるわけでございます。ここら辺の問題につきまして、私ども、国会の院の運営という問題について政府側がとやかく申す筋ではないと思ってはおりますが、ただ私どもの気持ちとしては、国会側におかれましても、行政府におきます閉庁方式導入の趣旨というものを御理解いただいて御検討いただければ大変ありがたいというふうに考えているわけでございます。  それから第三点目に、どの土曜を閉庁日とするかということでございますが、実は、当初昨年の夏ごろ私どもが検討していた段階では、月二回とすれば第二、第三土曜日が適当ではないか、というのは、御存じのように金融機関の閉店日が第二、第三でございまして、それと合わせることが国民に対してわかりやすいという面で望ましいと考えておったわけでございます。ただ、先生も御存じのように、昨年の十一月に全銀協が金融機関の完全土曜閉店制という検討宣言をされておりますので、そうなりますと必ずしも二、三にこだわる必要はないのかな、行政サービスという点を考えますと場合によっては隔週の方がいいかな、その選択肢としては第一、第三週あるいは第二、第四週ということもあるわけでございます。そこら辺につきましても現在各団体ごとに、どの土曜日が一番仕事が多いのか少ないのかというようなことも調査をしておりますので、そこら辺の調査結果を取りまとめた段階で、これにつきましても閣僚会議で御議論をいただくということでございます。  なお、今の段階で次回の閣僚会議をいつ開催するかということは予定はしておりません。
  26. 山花貞夫

    山花分科員 総務庁に確認しておきたいと思いますが、ちょっとまた話がぼけてきたところもあると思うのですけれども、長官が先ほど私が指摘したような方向、法案提出について決意を記者団に話した、あるいはその他かに話した、こういう新聞報道については、これは御存じだと思いますし、これは間違いないですね。
  27. 河野昭

    ○河野説明員 私どもの長官もこの問題には大変御熱心でございまして、長官のお考えとして私はこう考える、ああ考えるということを記者にお話しになっているということは承知しております。
  28. 山花貞夫

    山花分科員 次に、人事院について伺いたいと思うのですけれども、今の議論とも絡みますけれども、人勧におきまして、時期の問題、完全週休二日制について、従来もかなり重要なポイントとして含まれているわけでありますけれども、ことしは一体どうなるかということについて簡単に一言伺いたいと思います。
  29. 内海倫

    ○内海(倫)政府委員 御存じのように、昨年度は四週六休を勧告いたしました。その前に四週五休を継続してきたわけです。そういうふうな経験と、いろいろな資料あるいは民間動向、そういうふうなものを考えてこの次の問題を考えなければいけないと思います。  私どもは、四週六休というものが実現して、どういうふうに推移するかも考えながら、最終目標はやはり完全週休二日というものを実現するという非常に厳しい考え方で対応しております。あわせて、そういうものの実現の裏づけをするのはやはり土曜閉庁の問題にかかわってまいりますから、そういうことに対しても重要な関心を持って今後臨みたい。ただ、今年の勧告で直ちにどうするかということは今まだ申し上げかねます。
  30. 山花貞夫

    山花分科員 総裁の決意を伺ったわけで、最後にいたします。  総長には日ごろ年休の消化等について御努力をいただいておるところでありますけれども、また、時短につきましてもいろいろ理解を示していただいておると伺っております。土曜閉庁問題、難しい問題ですけれども、大変期待の大きいところでありまして、国会が取り残されないように、総長の決意を伺いたいと思います。
  31. 弥富啓之助

    弥富事務総長 土曜閉庁と国会との関連につきまして問題となりますのは、ただいまお話のございましたとおりに、土曜日に国会審議、特に委員会審議等をどうするかということでございます。これにつきましては議会運営全体の立場から立法活動をどのようにすべきであるかということでございまして、今後、議院運営委員会あるいは本院におきましては議長のもとにあります議会制度協議会においていろいろと御議論がみるところであろうと思います。いずれにいたしましても、その結論を待ちまして、事務当局といたしましては結論に沿って適正に処置をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  32. 山花貞夫

    山花分科員 以上です。
  33. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて山花貞夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  34. 愛野興一郎

    愛野主査 次に、皇室費について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。山本宮内庁次長
  35. 山本悟

    山本(悟)政府委員 昭和六十三年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和六十三年度における歳出予算要求額は、三十億一千五百九十一万九千円でありまして、これを前年度予算額二十九億三千七百六十二万八千円に比較いたしますと、七千八百二十九万一千円の増加となっております。  皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億五千七百万円、宮廷に必要な経費二十五億四千百五十六万三千円、皇族に必要な経費二億一千七百三十五万六千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費四億三千百九十三万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十一億九百六十三万一千円でありまして、前年度に比較して、七千三百五十七万一千円の増加となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、四百七十二万円の増加となっております。  これは、宜仁親王殿下の御独立等によるものであります。  以上をもちまして、昭和六十三年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  36. 愛野興一郎

    愛野主査 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  37. 愛野興一郎

    愛野主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝沢幸助君。
  38. 滝沢幸助

    滝沢分科員 委員長、御苦労さまです。長官、御苦労さまです。  今、内廷費の御説明がありましたが、実は皇室につきましては戦後長きにわたりまして国民ひとしくこれを尊敬し、この御繁栄をお祈りしているところでありますが、最近、浩宮様の御結婚ということが世上いろいろと御うわさもあり、かつは週刊誌等に報道されるものですから、国民皆これを喜びつつも、果たしてどなたがお選びいただくものであろうかというような興味もあるところでありますが、近いうちに御発表の御予定と週刊誌等は書いておりますが、そのとおりと理解してよろしいか、いつ御発表であるのか、どの程度までそのことは進んでおるのか、お伺いさせていただきます。
  39. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいまの御質問の浩宮殿下の御結婚問題でございますが、世上いろいろとうわさされ、かつ週刊誌等にいろいろなことが書かれているのは御指摘のとおりでございます。ただ、私どもといたしましては、事柄でございますので、ただいまどういう段階であるというようなことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。かつまた、週刊誌等で例えば三月にどうのこうのというようなところまで書かれているのを私どもも拝見をいたしておるわけでございますが、さようなような状況になっているとは全く考えておりませんので、この点だけは申し上げておきます。
  40. 滝沢幸助

    滝沢分科員 三月中にはない、そういうふうにお聞きしますが、ただ私は、全体として申し上げたいことは、皇室というものが、いわば戦前の皇室像、天皇像というものは神秘の扉に覆われたものであった。しかし国民は連綿、伝統これを尊敬し、その前には命をささげるというのが日本道徳の基本でございました。しかし私は、今日の皇室像というものは、国民の前に開かれた、国民とともにある皇室というものでなくてはならぬと思うのであります。それであってこそ初めて私は、真に国民がこれを尊敬、尊愛申し上げるというものになろうと信じて疑いません。  かかる観点に立ちますれば、この浩宮様の御婚儀のことについては、これはまた申すまでもございませんが、その他、かつて私が質問主意書を申し上げ、また先般のこの委員会でも御質問申し上げました、いわゆる皇位継承に関することにつきましても、私はやはりもっともっと国民に開かれた態度でこれをいろいろと御準備、御苦労されることこそが、真に皇室が国民の尊敬を得られるということでその基礎であろう、こういふうに思うものでありますから、このことを先に私の思想を申し上げさせていただきます。  ところで、浩宮様の御婚儀ということを想定しながらつぶさに我々の眼底に浮かびまするのは、昭和三十四年四月の十日、今の皇太子様の御婚礼でございました。これにつきましては時の岸内閣が一月の十六日の閣議でこれを国家の公事として行うということを決定されました。そして三月の十三日に及びまして、参議院におきまして時の次官がこれに対して同様趣旨の答えをいたしているわけであります。したがって、四月の十日には国家の公事として賢所におきまする成婚の儀というものが、結婚の御儀というものがとり行われました。今回、浩宮様の御慶事があるとするならば、前例に従って、いわゆる先般の私の皇位継承に関する質問に対するお答えの中にありまするとおり、憲法と皇室典範との趣旨を尊重し、かつ前例に従うという趣旨からいいまして、極めて近い前例としてこのとおり今回も行われるというふうに理解してよろしいかどうか。そう信じて疑いません。いかがですか。
  41. 山本悟

    山本(悟)政府委員 皇太子殿下の御成婚の際の事柄がさように取り計らわれましたことは御指摘のとおりでございます。基本的には皇族の婚姻、結婚というものにつきましては、これは公的なことだというように心得ております。皇太子殿下という御身位のお方と親王という方とのいろいろな取り扱いの多少の違いというようなことはございますにいたしましても、いずれ公事であるというように心得ております。
  42. 滝沢幸助

    滝沢分科員 わかりました。公事として浩宮様の御婚儀がそう遠くない将来に行われるというふうに答弁を承りまして、このことは国民あまねく喜びに満ちて承ることと存じます。敬意を表する次第でございます。  そこで、イギリスの第二王子様かの御婚儀に浩宮様も御出席あそばしたと承っております。かかる意味で、浩宮様の御婚儀が行われるならば、世界じゅうから元首あるいはまた大統領、総理、またそれにかわる方々がおいであそばすことと存じますので、いわば世界注目の中に行われるものでありますから、今のお答えの趣旨によって、ひとつこれは滞りなく盛大にとり行われますように希望してやみません。  さて、せんだっての委員会でも承りました、即位の礼を皇室典範によって行うことができる、しかし、かっ前例を重んずるというたびたびのお答えの趣旨にかんがみまするときに、どうでありましょう、即位の礼というものは、これは大宝令あるいはまたそれ以前のいわば伝統から申しましても、まず践祚、そして即位、そして大嘗祭、この大嘗祭につきましては、これは天武天皇以来の伝統と承っております。そういう意味で、この三つのことが欠かしてはならないことというふうに理解しておりますが、いずれもこれ、公事として行われてしかるべきというふうに理解してよろしいかどうか。
  43. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御即位につきましていろいろな歴史があることは御指摘のとおりと存じます。ただ、現在の国の制度といたしましては、大喪の礼及び即位の礼を行うということが皇室典範に規定をされているというのみでございまして、この両社が国事行為として行われるであろうということは私どももさように存じている次第でございます。  その他のことにつきましては書かれていないというのが現状であることは御案内のとおりでございまして、しかしながら、私ども皇室の関係の補佐を申し上げている者としては、それぞれのことが皇室の行事として必ず行われるであろうというように存じております。
  44. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そこまではたれしもわかっていることなんですね。だから、その次はいかがなものか。  そこで私は、さきに、皇室がいわゆる紫のカーテンの陰に隠れて国民の相知るべからざるところという理念は、これこそがいわゆる旧憲法的皇室の概念である。新憲法におきまする象徴としての天皇陛下という、いわば天皇像は、先ほど申し上げましたとおり国民の前にあまねく開かれたるものであり、国民とともにおわします天皇陛下というところにあるわけでありますから、私は、国民が皇室に対して尊愛の念少なからざるものがある。これは昨年のあの御不例に当たりまして平癒をお祈りするいわゆる記帳ないしは年々多くなってきておりまする年賀のあの参賀の人々というようなことを見てもわかることでありますが、そうじゃありませんか。いかがなものでありますか。
  45. 山本悟

    山本(悟)政府委員 参賀に多数の国民の方が宮殿にまでいらしていただけるというようなこと、そのこと自体の判断といいますか、そのことを拝見しての考え方、まさに先生のおっしゃるとおりであろうと存じます。そういうような状況にある、そしてなるべく世の中の方々に皇室のことも知っていただく必要がある、それも御指摘のとおりであると存じますが、事柄としてまだ定まっていないこと、あるいは研究中のことというようなことにつきましてまだ申し上げる段階でない、こういうぐあいに御答弁をさせていただいているわけでありまして、そのときの事柄の性格というようなものからしましての御判断も賜りたいと存じます。
  46. 滝沢幸助

    滝沢分科員 我が国は憲法に定められて民主主義の国、民主主義はすなわち議会制をもって国の事の大道を決するところ、これすなわち公開の理念ということでございまするから、陛下のお心は宮内庁の諸君が考えているものではないのではないかと私は思いますよ。陛下が国民とともに御苦労あそばしている、国民ひとしく陛下を御尊敬申し上げているということの間に、紫のカーテンと先ほど申しました、宮内庁がカーテンじゃありませんか。私は、民主主義の手法というものは物事を決定する場合に、いつ、だれが、どこで、どのような手続において決定し、いつまでに決定していかなる機会にいかなる発表があるかということであろうと存じますよ。国がなさることは、最近すべて議会のほかに諮問委員会のようなものをつくりまして、そこでいろいろと議論させまして、そして私たちはこれに対して、政府が大体賛成しそうな学者やそういう者を任命しまして政府の言うとおりの結論が出るでしょう。いわばこれは議会バイパス的、議会軽視の一つだというような非難もいたしまするけれども、このことにつましては手法が違いますね。どこで、だれが、いつ研究していらっしゃるのかわからない。そして少なくとも戦後四十年あるいはまた皇室典範等が議論されて以来の二十数年間同じ答えをなさっているわけですが、ここでこういう人々がこういう研究をしております、そしてこのことだけはここまではわかりました、あとこの部分だけが今後の検討課題でございますというふうに事あるごとに中間報告があってこそ国民はこれを、ああよかったな、そこまでわかったか、次はどうあるべきものかというふうなことになるのじゃありませんか。そういう意味で国会がこれを承ることあらずしてどこが聞くことができましょうか。大体こう手順はできているのだけれども発表できないということなのか、全然作業が進んでいないということなのか、いずれですか。
  47. 山本悟

    山本(悟)政府委員 たびたび申し上げておりますように、やはり長い間かけまして研究を続けてきているわけでございます。その研究の基礎になります考え方というのは、この間の先生の御質問に対しまして内閣がお答えをいたしましたように、基本原則として憲法の趣旨に従い、かつ皇室の伝統等を尊重した方向で研究しているということを申しておるわけでございまして、基本的にはこういった諸儀式、伝統を踏まえなければならないことは十分踏まえているわけでございます。それと同時に、やはり現在の日本国の象徴たる天皇にふさわしいやり方あるいはその時代時代に合ったふさわしいやり方というようなことを模索している段階であるというようなことでございまして、まだ詰まった段階になっていないということを申し上げている次第でございます。
  48. 滝沢幸助

    滝沢分科員 せんだって発表はいつかというふうにきちんとなにしましたら、必要なときまでに間に合わせますというわけであります。必要が生じた瞬間に今わからぬものがすべてわかるものであろうかどうか。今のような御答弁で二十年間も過ごされるということは、かつての大本営といえどもそのようなことはしませんでしたな。これは陛下を守るがごとくして実は陛下を傷つけ申し上げていると私はせんだってから申し上げているわけであります。そのような意味で、どうしても一切合財全部ノーだ、一切言えない。皇室典範の二十四条、二十五条に書いてあることなんかは、私はそらんずるほどによく存じておりますよ。それ以外のことがわからぬから聞いておるんじゃありませんか。国会にこれほど発表できないという存在がありますか。  今、御説明ありました内廷費、これはどこの予算ですか。公費ですか、私費ですか。私費であるならば税金はいかがなるものであるか。もちろん天皇には納税の義務はございません。公費でしょう。だからここへ発表したんでしょう。そうしたら皇室のなさることすべて公事ではありませんか。天皇に私なしとこの前は申し上げました。これは世界の概念だと私は思いますよ。イギリスにおきまする戴冠式、アメリカにおきまする、アメリカはまだ建国二百年の国でありますが、この大統領の宣誓といえども御存じのごとく神父様のお立ち会いのもとで聖書に宣誓されるわけですね。これが宗教議論があったということは私は聞きません。お断りしておきますが、決して私は神道に対してどうこうとか、あるいはまたその他の宗教に対してどうこうとかいう立場ではない。ただ、皇室の、国の古い伝統は事実そのまま受け継がれて何ら宗教論争の中に入るべきものではないということが私の思想でございますが、もう一度だけ、あとは聞きません。  その必要が生ずるまで、その必要は、つまり何も陛下のおかくれになりますことを想定した議論だというふうに、これを盾にとって拒否することは通じませんよ。浩宮様の御結婚のことについては相当程度おっしゃったじゃありませんか。最後に一つ、これを答えていただいたらお帰りいただいて結構でありますが、いわゆるその必要が生ずるまで一切合財、だれがどこで研究して、いかなる過程においてこのようになりましたか、その決定の論理についても発表せずに、直ちにこれを発表即実行の段階に持っていかれる、これが宮内庁の方針、即これは官房長官、内閣総理大臣の方針というふうに理解してよろしいか。それが国会に対する説明というふうに理解してよろしいか。御両氏、どうぞ。
  49. 山本悟

    山本(悟)政府委員 大変厳しい御質問でございますが、私はただいまの段階ということを前提に置きましてお答えを申し上げている次第でございまして、ただいまのところはいつそれを言うという結論になるということを申し上げかねる状況でございますので、ただいままでのような御答弁をさしていただいている次第でございます。
  50. 小渕恵三

    小渕国務大臣 国事に関する行為につきましては、当然内閣においてその責任を持って事に当たらなければならぬと思っております。具体的な事柄につきましては、先ほど来山本次長お答えのとおり、現在その具体的内容につきましては鋭意検討いたしておることでございますので、事に当たりまして万遺漏なきを期するために全力を尽くしていきたいと思っております。
  51. 滝沢幸助

    滝沢分科員 なかなか扉は開かれないようでありますが、総理大臣官邸の扉というのはいつも開いているみたいな、とても感じがいいのでありますが、そこで、文部省から見えていていただくと思うのでありますが、小中学校、高校におきまする皇室についての教育のあり方はどのようにされておりますか。これは抽象的過ぎる質問であります。しかし、このことは実は抽象的であらずして、一々ここで申し上げませんが、相当に具体的な例として、これは象徴天皇と申しまするか、国の少なくとも精神的、またある意味におきましては国民統合の中心というものにつきましてふさわしからざる教育も行われ、かつ、教科書はこのことにつきましていかに記載されているか、こういうことについて一言まずおっしゃっていただきたいと思います。
  52. 熱海則夫

    ○熱海説明員 お答え申し上げます。  天皇に関する学習は小学校、中学校、高等学校を通じて社会科で、憲法で天皇が日本国の象徴であること、それから国民統合の象徴であるということの学習の中で、いろいろそういうような発達段階に応じて学習することになっているわけであります。ただその際、天皇に対する敬愛の念を育てるということもあわせて学習することになっておるわけであります。また、教科書については、そういう天皇の国事行為、そういったものに対するいろいろ学習ができるような教材が中に盛り込まれておるところであります。
  53. 滝沢幸助

    滝沢分科員 官房長官、お忙しいところ御苦労さまでした。一言で大変御無礼でありましたが、どうかひとつお仕事ございましょうからお引き取りください。  さてそこで、今、憲法の勉強の中でとおっしゃいました。今のところ、いわゆる社会科、これを分けるというようでありますが、大変結構なことであります。教育の中の一番大事なものは、その国の歴史を学ぶ国史の教育、同時に国語の教育だと私は信じて疑いませんが、歴史の中では今の趣旨は完全に生きておりますか、さらに教科書の記載において完全でありますか、お伺いします。
  54. 森正直

    ○森説明員 御説明申し上げます。  現在の小中高等学校の社会科におきまして、特に小学校の六年生から中学校にかけては社会科の歴史的分野におきまして日本史が必修になっているわけでごさいます。それで、その中におきまして天皇に関しましても、先ほどのお答えの中に憲法という面からのという御説明を申し上げましたけれども、歴史事象としての面から天皇に関しまして必要な記述をして、教壇においでもそれを教えているという実情でございます。
  55. 滝沢幸助

    滝沢分科員 課長、アメリカの教科書を多分何冊か手にされたことがあろうと思います。ございますか。
  56. 森正直

    ○森説明員 私自身は無学にしてまだ読んでおりません。
  57. 滝沢幸助

    滝沢分科員 高千穂大学に名越二荒之助先生と申し上げる教授がおられまして、この方が、きょうはあと五分というメモが来ましたから省略いたしますが、詳細な資料を持っておいででありますから、ひとつ課長、勉強していただきたいと思います。  と申しまするのは、しかし、日本の教科書のいわゆる検定の制度におきましては著者が書いてこないものはどうにもならぬということでありまするから、そこの検定制度にそもそも問題がありまするけれども、アメリカの教科書におきましては神武天皇のお話からアマテラスオオミカミのお話から歴代天皇の業績等が、本によっては多少の差異はありましてもこれが書いてある。我が国におきましてはそれはほとんどない。いわゆる神話というものはそれぞれの国にございます。学問としての、学説としての面からいいますと、それは、今の皇室はユダヤ民族の末裔であるとかということがございます。学問としてはそれはいろいろとあるでしょう。しかし、国の伝統と神話というものはいずれの国もこれを重んじている。古い国になれば古い国になるほどそのようでありますが、我が国の教科書においては、いわゆる神話、神代の記録ないしは歴代天皇の業績、まあ昔小学校で神武、綏靖、安寧、懿徳と天皇陛下の御名をそらんじさせたものでありますが、そのことの教育効果のいかんは別として、余りにも極端な変化であろう、こう思いますが、検定制度はこのままでよいか、検定制度をもう一回基本的に検討される用意があるかないか、とともに、私が申し上げたような意味で皇室のこと、国の建国の由来というものが記載されている教科書が果たしてございまするかどうか、ひとつ承りたい。
  58. 御手洗康

    ○御手洗説明員 お答え申し上げます。  現在小中学校の教科書におきましては、神話、伝承等につきましては、我が国の建国の由来といったようなものを扱う場所で、いずれの教科書におきましても国の形成に関する神話、伝承というものについてそれなりの記述をしているという現状でございまして、例えば具体的な事例といたしましても、ヤマトタケルノミコトの事績あるいは国引き神話等を触れた教科書もあるというのが実情でございます。  なお、教科書検定制につきましては、臨時教育審議会の答申を受けまして、その改革を図るということで、六十三年度中を目途に成案を得たいということで、現在教科用図書検定調査審議会におきまして鋭意検討中ということでございます。
  59. 滝沢幸助

    滝沢分科員 これは課長に聞いていいことかどうかわかりませんけれども、新編日本史というものを高等学校の教科書として、検定が辛うじて通りました。しかし、この採用につきまして、これを採用してはけしからぬといういろいろの圧力ないしは妨害というようなものが全国至るところに行われておるという事実を御存じですか。
  60. 福島忠彦

    ○福島説明員 そのようなことは私どもで聞いております。
  61. 滝沢幸助

    滝沢分科員 これに対して指導とかないしは対策とかいうものをなさいますか。
  62. 福島忠彦

    ○福島説明員 採択につきましては、採択の権限のあるものが適正にそれを行使するということが必要だと私どもは考えております。そのような理由によりまして、先般、全国の教育委員会の教科書採択について権限を持っております指導部課長を集めました折、私どもの初等中等教育局長から、最近の事例にかんがみて適正な採択権限を行使するように指導したわけでございます。  また、臨教審におきまして採択問題について研究するように言われておりますので、この四月から私どもの方で研究してみたい、そういうふうに思っております。
  63. 滝沢幸助

    滝沢分科員 まだまだ満たされないものがございますが、次の機会に譲らせていただきます。委員長、ありがとうございました。政府委員の皆さん御苦労さんでした。
  64. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  次に、田中美智子君。
  65. 田中美智子

    田中(美)分科員 大臣の出席がないのですけれども……
  66. 愛野興一郎

    愛野主査 今すぐ入りますから。
  67. 田中美智子

    田中(美)分科員 それでは、時間をちょっとあれしていただきたいのです。最初から聞いていただかないとわかりませんから、大臣が出席してから……。
  68. 愛野興一郎

    愛野主査 今政府委員室からこっちに向かっておりますから。全部大臣が聞いておかなければいかぬわけですね。  田中美智子君。
  69. 田中美智子

    田中(美)分科員 天皇の陵墓の問題について、日本の古墳のことについてお話を聞きたいというふうに思います。  まず、陵と墓について皇室典範二十七条に規定されていますけれども、陵墓参考地についてはどのような法令で定められているのでしょうか。
  70. 勝山亮

    ○勝山説明員 お答えをいたします。  陵墓参考地についての法的根拠でございますが、陵墓参考地の制度といいますのは、沿革かち申し上げますと、明治十五年に御陵墓見込地の制度というものを設けまして、明治十六年から順次陵墓の見込みのある箇所を宮内省の所管として管理し、保護をするということとしております。その後、明治十八年に御陵墓見込地の名称を御陵墓伝説地と改めるとともに、御陵墓伝説参考地なる区分を宮内省の命令で設けまして、その後大正十五年、両者を陵墓参考地に統一して今日に至っております。  法的な根拠という御質問でございますが、したがいまして、陵墓と同じく皇室の祭祀を行っており、現在は陵墓に準ずる皇室用財産、国有財産法の第三条第二項第三号の皇室用財産として宮内庁が管理しているということでございます。
  71. 田中美智子

    田中(美)分科員 法律ではきちっと決められないで、何となく慣例という形で名前が変わり、今参考地になっているということですね。  そうすると、法令上きちっとした根拠がないものを、今までの慣例とかいろいろなもので宮内庁が管理している、そういうものまで研究者が立ち入れない、全然見ることもできないということはやはりどうかと思うのですけれども、長官はどのようにお考えになるでしょうか。
  72. 勝山亮

    ○勝山説明員 お答えをいたします。  宮内庁法に、宮内庁は陵墓に関することを管掌する、こういうことになっておりまして、この陵墓に関することの中に陵墓参考地を含めて解釈をしているというのが現状でございます。
  73. 田中美智子

    田中(美)分科員 やはりそれは拡大解釈をしているだけであって、実際に皇室典範では陵墓というふうになっているわけですから、陵墓とまだ決まっていない、その見込みがあるとか、そういうものまでも全く立ち入りはできないということ、考古学者や研究者が立ち入りできないというのはちょっとおかしいのではないかと思うのですけれども、長官いかがでしょうか。その点、研究者がやはり立ち入りして見るということぐらい、別に掘り返すとかいじくるということじゃないのですから、中へ入って見ることぐらいはできるんじゃないですか。法的にきちっと決まったものではなくて、宮内庁が拡大解釈し、今までずっと、明治、大正から引き続かれて何となくそんなふうになっているというものですから、それを見るということだけは――今非常に考古学の愛好者というのはふえています。考古学は、研究者や学者が非常に進んで、進歩しているわけですね。それに伴って愛好者が非常にふえているわけです。それがまだ陵とも墓とも決められないもの、それさえも見ることもできないというのはやはりちょっと問題ではないかと思うのですけれども、長官、どう思われますか。長官の御意見をお聞かせください。
  74. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御指摘のように陵墓については法的に定められているものですが、その参考地も、やはり同類の陵墓になるものも今後研究の結果あるのかもしれませんが、同様のものである、こう考えられるわけでございますので、したがって研究者に対しては陵墓と同様の対象として考えておる、こういうことでございます。
  75. 田中美智子

    田中(美)分科員 非常に歯切れが悪くて、法的外のものを拡大解釈しているわけですから、それを研究者が一切見ることもできないというようなことは大変おかしいと思うのですね、陵墓であるということはわかってないわけですから。もしほかの人のものであった場合、これはやはりちょっと問題が起きるのではないか。だからこそ、宮内庁は研究機関じゃないわけですから、やはり専門家に見てもらうという必要はあるんじゃないですか。掘り返すのじゃないのですよ、今私の言っているのは。全部立入禁止になっているのですね。ですから、見ることもできないわけですね。これではおかしいのではないか、法に規定されてないものまで。そう思うのですけれども、いかがですか。
  76. 勝山亮

    ○勝山説明員 事実関係でちょっと御説明をいたします。  先ほど先生拡大解釈とおっしゃいましたが、陵墓参考地と申しますのは、これから陵とか墓になるのが、日本の歴史、長い歴史の中で未定のものが大変数多くございます。それですから、先ほど見込地と申し上げましたのは、陵墓になる見込みということで大変蓋然性の高い、可能性の高いものを陵墓参考地として明治以後長い期間かけて検討しているというところでございます。その中には、先ほど申し上げましたが伝説地というのもございまして、これはまさに先ほど先生のおっしゃった古墳とかそういう考古学の対象とは全くかけ離れた、例えば安徳天皇の御陵というのは、まさに安徳天皇はどこでお亡くなりになったかもわからないわけでございますので、全国には十カ所とか何カ所とかありまして、そのうち皇室でもやはり五カ所程度そういう安徳天皇の御遺品を祭ったようなものを伝承地として、陵墓参考地としてお祭りをしまして、これを尊崇の対象としている、こういうことでございます。
  77. 田中美智子

    田中(美)分科員 いかにも参考地というものは明らかに陵墓になるものだというふうな御意見ですので、もうそれ以上は――本当はそう思っていらっしゃらないと思うのですけれども、そうおっしゃいますので、私は、やはりこれには当然考古学者を入れるべきだというふうに思います。それを要求しておきます。  その前に、数をちょっと教えていただきたいのです。陵と墓と、それから参考地です。簡単に話してください。
  78. 勝山亮

    ○勝山説明員 お答えいたします。  陵墓は近畿地方が中心でございまして、箇所数は四百五十五カ所でございまして、一カ所に幾つもございますので、数から申し上げますと八百九十三カ所でございます。面積は六百五十二ヘクタールぐらいということでございます、それから陵墓参考地は約五十五ヘクタールぐらいでございまして、箇所数は四十六カ所でございますが、先ほど申し上げましたのはその中にいろいろ入っている、こういうことでございます。
  79. 田中美智子

    田中(美)分科員 そうすると、この八百九十三という中には、陵墓の周りにあります陪塚も入っているわけですか。
  80. 勝山亮

    ○勝山説明員 御説のとおり入っております。
  81. 田中美智子

    田中(美)分科員 そうしますと、八百九十三、それから陵墓参考地が四十六というのは、やはり陪塚がこれにはちょっと入ってないんじゃないかというふうに思いますので、その数は千に近いようなものがあるわけですね。ここにだれか、天皇なり天皇に関係する人かその従者かが埋められているというものがある。この面積は、今おっしゃったようにこれは坪数に直しますと約二百万坪弱ぐらいになると思うのですけれども、後楽園の元の野球場が一万坪でしたから二百倍ぐらいの広さですね。こういうところに貴重な文化財がぎっしり詰まっているんですね。それが広いからいけないと言っているのじゃないのですよ。それだけ広いところに貴重なものがぎっしり詰まっている。これは日本の歴史を解明する上でもまた日本の古代国家の建設についても非常に大事なものがたくさん詰まっている。文学的な表現をすれば、我々の祖先が我々に呼びかけている。私たちはこういう生活をしていた、こういうものを使っていたんだ、こういう権力構造であった、こういう政治形態であったということを呼びかけているわけですね。それが全く、全くとは言いませんけれども、改修のときなどはほんのわずかな考古学者も立ち会うというようなことに考古学者の御努力で踏み切った、入るということができるようになっているようですけれども、今この中に入って見ることさえできない。お間違えないように。私は発掘調査をせよと言っているのではないのですね、きょうは。せめて墳丘の中に入れて、見るだけ。別にさわるわけでも何でもないわけです。考古学者は非常に進んでいますので、見るだけでも相当なことがわかるというふうに思いますので、重ねて、考古学者が参考地だけじゃなくて陵墓の墳丘にも入るということを踏み切っていただきたいというふうにお願いいたします。  それで質問しますが、これだけたくさんある陵墓ですね、八百九十三、この中で宮内庁の考え方とそれから考古学者の大体一致した意見のもの、いろいろ考古学者の中にも意見が違いますのですが、両方の意見が一致しているものというのは幾つありますか。
  82. 勝山亮

    ○勝山説明員 お答えいたします。  考古学者の考え方、学者の考え方と宮内庁の考え方とが一致している御陵は幾つあるか、こういうことでございますが、学者がたくさんいらっしゃいまして、特に考古学の先生方、最近、戦後長足の進歩を遂げておりますので、数が大変多いわけでございます。古代の高塚式の墳墓については、考古学としてもまだ編年によってその時代を順番をつけていくという段階でございまして、この墳墓、墳丘が何年にできて、どなたをお祭りしてあるかということまではなかなか現在の考古学のレベルではわからないというふうに聞いております。だから、今まで確定した定説というものはないのだろうと思います。  したがって、数多くの学者によっていろいろの意見があるというのが現状でございますので、当方もいろいろな御意見が出ているということは承知はしておりますけれども、御見解がいろいろ分かれている現状でございますので、陵墓の治定について一概に、学者の考え方と宮内庁の考え方を突きわせるということはなかなか難しいので、この場ではちょっと言えないということでございます。
  83. 田中美智子

    田中(美)分科員 先ほど参考地でさえその見込みは十分にあるものなんだというふうに言ってらしたのに、今度は陵墓でさえ今たくさんの意見があって統一見解が出ないんだ、それは言えないんだ、こう言っていらっしゃいますけれども、考古学者は今言われました八百九十三、この中で宮内庁が天智天皇の御陵だ、天武天皇の御陵だ、持統天皇は天武天皇の次の天皇ですから、奥さんだった方ですが、一緒に埋葬されていますね、この二つしかない。ですから、八百九十三のうち、陪塚も入ったとしても、陵墓と決められたものさえ二つしかない。まして参考地に至っては、見込みがあってもうすぐこれは陵墓になるんだというふうな感じてお答えいただきましたけれども、決まった陵墓でさえこんな状態だということですので、やはりこれを解明していくということは――どこが間違っていたとか、だれの説がいけないとか、宮内庁の考えが違うとか、そういうことを言っているのではないのですね。これだけ明らかになってないということなんです。考古学が今長足の進歩を遂げられているというので、勝山さんは十分御存じだと思うのですよね。ですから、それがこんなに、千近くあるものを過去にさかのぼって、千年以上もさかのぼって調べるわけですからなかなか一致するのは難しいにしても、それがたった二つぐらいしかないというのでは、もうちょっと努力をしていく必要があるんじゃないかと思うのです。  それで、時間の許す限りですけれども、大体考古学者もまた宮内庁も内々に一致して考えられている疑問点、疑問点ですからこれは確かにそうだということではないかもわかりませんけれども、たくさんあるのです。無数にあるのですけれども、その中で大体宮内庁の方もある程度そう認めざるを得ないんじゃないか、考古学者もこうじゃないかと言っているものがあります。それをちょっとお話ししたいと思うのです。  最近、研究者や考古学者は、例えば崇神天皇陵というふうな言葉を使わないのですね。かつては使っていたんです。どうもおかしいというので使わなくなって、柳本行燈山古墳などというような言葉を使うのです。ですから、名前が二つあるわけなんですね。この宮内庁の崇神天皇陵と言われる陪塚は横穴式石室なんですね。この横穴式の石室というのは五世紀以後に出たものですが、崇神天皇は四世紀の方だということになっているのですね。そうしますと、その陪塚から出てきたような須恵器などは六世紀のものなんですね。そうすると、この崇神天皇陵、柳本行燈山古墳というのは六世紀のものではないかというふうに考えますと、崇神天皇と二百年の差がある。それは十年、二十年というのは、これはもう古くなりましたら五十年ぐらいでもわからないかもしれませんけれども、二百年も差がある。こういうのをどう考えられるかということですが、一つ一つ伺っていますと時間がありませんので、幾つか言ってみたいと思います。  もう一つの問題は、継体天皇陵、これは太田茶臼山古墳というふうに考古学者は言っておりますけれども、一九八六年に調査が行われまして、そこから埴輪などが出てきているんです。これを見ても、天皇の没年とこの埴輪のつくられた時代で数十年違いがあるんじゃないかということで、これは小さいことかどうか、考古学者にすれば重大な問題かもわかりませんけれども。私が言いたいのは、この継体天皇の奥さん、皇后の手白香皇后陵、これは古墳としては西殿塚古墳と言われているわけですが、ここから出た埴輪というのは特殊円筒埴輪というのが出てきています。これは四世紀前半のものなんですね。そうしますと、継体天皇と手白香皇后というのは夫婦であったということになっているわけですから、これで計算しますと大体奥さんの方が二百歳年上ということになる。私も夫より六歳年上ですけれども、それぐらいならあるのですけれども、二百歳年上の奥さんがいるということになるのですね。これはやはり考古学者はどうしてもおかしいのではないか。宮内庁でも公式には認めていないのですけれども、大体中ではおかしいんではないかというふうに言われているわけです。  それからもう一つは、仁賢天皇陵、これは野中ボケ山古墳というふうに言われているのですが、これの陪塚が一九八五年に調査されています。そのときに出た埴輪とこの陵がつくられた年代が、やはり百年も違う。そうすると、陪塚は大体従者が祭られているわけですから、百年前の従者が先に埋められて、後から天皇がそこに埋葬されたということにならないか。幾ら何でも百年も従者が年上だというのは、これはおかしいんじゃないかという事例もあります。  それからもう一つ事例を申し上げますと、これは東百舌鳥陵墓参考地です。土師ニサンザイ古墳というふうに言われていますけれども、これとそのすぐそばにあります反正天皇陵、これは田出井山古墳というふうに言われています。これはみんな堺市にあるのですけれども、考古学者の調査では設計も時期も全く同じなんですね。これはもう勝山さんも御存じだと思います。ところが反正天皇陵の方は、長さが土師ニサンザイ古墳の二分の一、相似形みたいにできているわけですから体積は八分の一というように、小さいのですね。天皇の陵が小さくて、これは陪塚であるか何であるかわかりませんけれども、そっちの方が体積が八倍も大きい。これもやはりちょっとおかしいんではないかというふうに言われています。  これは読売新聞なんかでもずっと連載されていますので、それを読みますと頭が混乱するぐらいたくさんおかしいものが出てくるわけです。だから一致するのは二つくらいしかない、それが少ないから悪いとは言いませんけれども、なかなか大変な作業ですからそれは全然作業ができない、研究ができないという状態は非常に困ることではないか、科学的な見方ではないんじゃないか。先ほども言いましたように、貴重な文化財があるわけですので、やはりこういうものをちゃんと考古学者の力をかりて宮内庁が明らかにしていくということは大事じゃないかと思いますので、そういうある程度考古学者が解明し、宮内庁もそうじゃないかというふうに思われるものというのは積極的に改定するつもりはないでしょうか。
  84. 勝山亮

    ○勝山説明員 お答えをいたします。  先生のお話をいろいろ承りまして、そういう年代の相違というものは、やはり長い歴史上いろいろつくられました巨大なる建設物でございますので、昔のことがなかなかよくわからないので、なぜそのように若干の食い違いがあるかということもこれまた研究の対象であろうとは思います。  先生の御趣旨から申し上げますと、そういうのが研究できないのは困るというお話でございますが、宮内庁はやはりこれだけ多くの陵墓を抱えまして毎年二億程度の陵墓の修復の費用を使っておりますので、その修復をする都度、調査、立会調査、事前調査をやっておるわけでございます。そのときには、考古学の研究者もそれぞれ立ち会いに参加をしていただいて調査をしているわけでございます。そういうことで、うちには陵墓調査室という組織が陵墓課の中にございまして、六、七名の考古学者、歴史家もおりまして、それぞれ研究の中心となって調査をしているのが現状でございます。さらに、陵墓管理委員会という委員会で、考古学、日本史の先生方等に毎年一回程度御意見を承っていろいろそういったものの調査をする。そういったものといいますのは、そういう修復とかいう場合のやり方とか、その結果についての御意見を聞くとか、そういうようなことはやっておりまして、決して研究できないのは困るということを――宮内庁としては十分に研究をしておる、このように考えております。
  85. 田中美智子

    田中(美)分科員 私の言っていますのは、研究に困ることは、第一、立ち入りさせないのですから絶対困るということはわかっていることですけれども、このように明らかなものはこれを改定する意思がないか、こう言っているのです。時間がありませんので簡単に答えてください。思い切って改定すべきことだと思う。
  86. 勝山亮

    ○勝山説明員 文献上の陵墓のあれについては、いろいろな年代が仮に異なるということを想定したといたしましても、現在の陵墓の治定を再検討するという考えは現在宮内庁にはございません。それは、将来の学術の進歩ということもあり、現在考古学上の知見では編年上若干のずれがあるということがあるかもしれません。しかし、考古学というのは、先ほど申し上げましたように相当な進歩を遂げておりまして、日進月歩でございます。現在の知見が覆される可能性も十分にあるというふうに考えられますし、また今後、そういう陵墓を破壊しないで調査する手法が当然のことながら発見できるだろうということも考えられます。そういうことで陵墓の治定がそう簡単に覆されるということも非常に困る。それから、陵墓が治定されてから祭祀が連綿と、今まで数百年ないし千年続いてきているわけでございますので、そういう時の経過の積み重ねられた精神的な意義というものも皇室としては大変大事にしなければいけないことだろうと思いますので、これらの点からそう簡単に陵墓の治定を改定するということは考えてない、こういうことでございます。
  87. 田中美智子

    田中(美)分科員 宮内庁は、二百年奥さんが年上の人がいるということでも若干の違いだ、こういうふうにおっしゃるのではもう話にならないというふうに思うのですね。墓誌というのが出ていないわけですから、やはり考古学で調べてもらう以外にはない。それをやらないで、あくまでもこれは皇室の大事なものだというふうにおっしゃいましたけれども、皇室にとっても大事かもしれませんけれども、日本の国民にとって大事なものだと私は思うのですね。ですから、それを宮内庁が、おれのものだ、一切ほかの人は入るな、修復するときだけ考古学者をほんのわずか入れるということでは、今のように二百年でも若干の差というような形でこれを改定しようとしないというそういう姿勢は、やはりだんだん考古学が進歩し、そして愛好者が非常にふえているわけですので、朝日カルチャーセンターなどでもこの一年間にわたって講座を持つというふうにもなって一般の人が押し寄せているというときですね、そういうのを見ますと、宮内庁が裸の王様みたいになっていくのではないかということの御忠告だけひとつ申し上げておきます。  それで、これは古田武彦という先生が書かれた「ここに古代王朝ありき」という本なんですけれども、その中で、この古田先生が宮内庁に手紙を出しているのですね。この手紙の中にこういうふうなことが書いてあるのです。「”天皇家の「権威」を守るために「頑冥な人々」」と書いて、括弧して(宮内庁の役人)と書いておるのですが、それが「科学的調査を忌避している。”といった感じで、ことあるごとに語り合われているのです。」というのは、これは考古学者が、愛好者が語られているのだ。これについていろいろ質問をするというふうな手紙を出しているのですね。勝山さんは御存じだと思います。その中にこういうところがあります。なかなか返事が来ないのですね。電話を何遍もやりとりしているとこの本に書いてあるわけです。その相手は書陵部の陵墓課長なんですね。お互いに顔は知らない相手だが、電話でいろいろ話している間に、同じ研究をしている人ですからあれしているうちに意思が――このような状態にしておいては、こう書いてある。「日本の将来を思うと、この問題がいつになってもこのままでいい、とは思わないでしょう」こう古田先生が言いましたら、その陵墓課長が「それは、そうです」と、こう言っているのですね。その次に古田先生が「世論がもりあがり、どうしてもこれに応じざるをえぬ、という情勢になったら、あなた方も、かえって動きやすいでしょう」こういうふうに電話で言ったら「そうです」と答えたというふうにこの古田先生の本に書かれているのですね。今は非常に世論が盛り上がって応ぜざるを得ないところに来ているのじゃないかと思います。ですから、この古田先生は科学的な調査をさせろ、こう言っているのですね。「天皇陵の科学的調査は、周辺の国々の古代史に対し大きな解明の比較史料となるので、これを拒否することは不当である。」こういうふうに言っていましたが、「私としてはお答えの仕様も御ざいません。」こういう意見を言っているわけです。  ですから、私が要求しますのは、ここまで来て――結局盗掘なんかされているのですね。ただ、立ち入り禁止、こうなっている。すると、考古学者は入れない。そうすると、ほかの人が入って盗掘をしている。それから、もう時間がありませんので、例えば仁徳陵と言われている大山古墳ですね、あそこのお堀なんかは、もう臭くて臭くて周りの人は困っているというような状態がある。私は、御陵としても古墳として見ても、そんなに臭い古墳にしておいてはいけないと思うのです。やはりこれは金をかけて大事にしていかなければならないものだと思うのです、文化財ですから。それを今のような頑迷な形で、変えるつもりもないとあれだというふうに思いますので、その点をきっちりと直していただき、これに対する予算が必要ならばそれを要求し、そして考古学者が、私は掘り返せと言っているのじゃないですから、中へ入って見るだけ、さわらないのですから、それをぜひ踏み切っていただきたい。長官、その点を長官が何とか御指導をいただきたいと思います。最後にお願いいたします。
  88. 勝山亮

    ○勝山説明員 一言事実関係の御説明をいたしますが、仁徳陵のお堀が臭くて困るというのは私ども十分に了知しておりまして、予算をかけて近くいろいろ改修をしていく、このようなつもりでおります。  それから、先ほど陵墓課長のお手紙の話がありましたが、いつごろの話か、今の陵墓課長はそこに来ておりますけれども、そういう事実は余り知らない、相当昔の話ではないかなと、このように……。私はもちろん知りません。
  89. 小渕恵三

    小渕国務大臣 研究させていただきます。
  90. 田中美智子

    田中(美)分科員 質問を終わります。
  91. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて田中美智子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして皇室費についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  92. 愛野興一郎

    愛野主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。  最高裁判所当局から説明を聴取いたします。大西事務総長
  93. 大西勝也

    ○大西最高裁判所長官代理者 昭和六十三年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。  昭和六十三年度裁判所所管歳出予算要求額の総額は二千四百八億四千七百三万二千円でありまして、これを前年度予算額二千三百七十一億二千九百五十八万六千円に比較いたしますと、差し引き三十七億一千七百四十四万六千円の増加となっております。  これは、人件費において三十七億五千九万四千円、裁判費において六百二万四千円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において一億三千七十一万六千円が増加し、施設費において一億六千九百三十八万八千円が減少した結果であります。  次に、昭和六十三年度歳出予算要求額のうち、主な事項について説明申し上げます。  まず、人的機構の充実、すなわち増員であります。  民事執行法に基づく執行事件、破産事件、簡易裁判所の民事訴訟事件等の適正迅速な処理を図るため、簡易裁判所判事五人、裁判所書記官十人、裁判所事務官五十二人、合計六十七人の増員をすることとしております。  他方、定員削減計画に基づく昭和六十三年度削減分として裁判所事務官等三十七人が減員されることになりますので、差し引き三十人の定員増となるわけであります。  次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。  裁判運営の効率化及び近代化のため、庁用図書等裁判資料の整備に要する経費として五億四千四百八十九万円、複写機、計算機等裁判事務能率化器具の整備に要する経費として五億二千四百六十八万三千円、調停委員に支給する手当として四十六億九千四百八十六万三千円、裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として二十八億六千七百八十八万八千円、証人、司法委員、参与員等旅費として七億一千百十三万五千円を計上しております。また、裁判所施設の整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として九十五億三千五百十三万八千円を計上しております。  以上が、昭和六十三年度裁判所所管歳出予算要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願いします。
  94. 愛野興一郎

    愛野主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑の申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。     ─────────────
  95. 愛野興一郎

    愛野主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。  会計検査院当局から予算の説明を聴取いたします。西川事務総長
  96. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 昭和六十三年度会計検査院所管の歳出予算案について説明いたします。  会計検査院昭和六十三年度予定経費要求額は百十一億七千九十八万九千円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、  人件費として九十九億千三百二十四万六千円を計上いたしましたが、これは総額の八九%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため、一般職員十一人を増置する経費も含まれております。  旅費として六億三千百七十六万六千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が六億三百五十一万二千円、外国旅費が千九百三十五万八千円であります。  施設整備費として一億四千二百七十万九千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎電気配線設備等改修工事費六千四百四十四万円、宿舎関係修繕費六千九十四万五千円であります。  その他の経費として四億八千三百二十六万八千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費五千八百一万千円、検査業務の効率化を図るための会計検査情報処理業務庁費五千八百五十四万八千円及び電子計算機等借料六千三百三十四万二千円、並びに会計検査の充実強化のための経費二千百四万二千円及び検査手法開発のための経費九百八十三万六千円が含まれております。  次に、ただいま申し上げました昭和六十三年度予定経費要求額百十一億七千九十八万九千円を前年度予算額百十億二千九百二十二万八千円に比較いたしますと、一億四千百七十六万千円の増加となっておりますが、これは、人件費において一億五千三十六万千円増加したことなどによるものであります。  以上、甚だ簡単でありますが、本院の昭和六十三年度予定経費要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  97. 愛野興一郎

    愛野主査 以上で説明は終わりました。  別に質疑の申し出もありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。     ─────────────
  98. 愛野興一郎

    愛野主査 内閣及び総理府、ただし経済企画庁、環境庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  政府からの説明を聴取いたします。小渕内閣官房長官
  99. 小渕恵三

    小渕国務大臣 昭和六十三年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額につきまして、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和六十三年度における歳出予算要求額は百十九億三千八百万円でありまして、これを前年度歳出予算額百十八億九千六百万円に比較いたしますと四千二百万円の増額となっております。  次に、総理府所管昭和六十三年度における歳出予算要求額は七兆二千六百六十九億一千万円でありまして、これを前年度蔵出子算権七兆二千七百四十億四百万円に比較いたしますと七十億九千四百万円の減額となっております。  このうち、経済企画庁、環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について御説明いたします。  以下、順を追って主なものを申し上げますと、総理本府に必要な経費二百九十九億五千百万円、警察庁に必要な経費一千七百九十四億一千百万円、総務庁に必要な経費一兆七千七百七十四億一千五百万円、北海道開発庁に必要な経費六千八百七十九億三千九百万円、防衛本庁に必要な経費三兆三千二百八十七億七千五百万円、防衛施設庁に必要な経費三千七百十三億七千六百万円、科学技術庁に必要な経費三千四百四億一千万円、沖縄開発庁に必要な経費二千百四十五億四千八百万円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、政府公報、栄典関係、平和祈念事業特別基金(仮称)の設立、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律に基づく弔慰金等の支給及び航空機の購入等のための経費でありまして、前年度に比較して二十三億六千九百万円の増額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費でありまして、前年度に比較して四十六億九千八百万円の減額となっております。  総務庁に必要な経費は、総務庁一般行政、恩給の支給、統計調査等のための経費でありまして、前年度に比較して百八億二千六百万円の減額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸、漁港、住宅、公園、下水道、農業基盤整備、造林、林道、沿岸漁場整備等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備、農業基盤整備のうち国営土地改良の事業に充てるための  財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して九百九十九億五千八百万円の減額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して一千七百四十五億二千万円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺整備事業、提供施設の整備、補償経費、基地従業員対策、提供施設の移設等のための経費でありまして、前年度に比較して百二十五億一千万円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、科学技術振興調整費の拡充、国際フロンティア研究の拡充及び創造科学技術推進制度の拡充による創造的、基礎的な研究の推進、国際協力の推進、研究開発基盤の整備、並びに原子力、宇宙、海洋、物質・材料系科学技術、ライフサイエンス、地球科学技術等の研究開発の推進等のための経費でありまして、前年度に比較して百九十億七百万円の減額となっております。  沖縄開発庁に必要な経費は、沖縄における教育振興、保健衛生対策、農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する海岸、漁港、住宅、環境衛生施設、都市計画、農業基盤整備、造林等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備、農業基盤整備のうち国営土地改良の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して三百三億八千百万円の減額となっております。  また、以上のほか新規継続費として防衛本庁において一千六百二億二千二百万円、国庫債務負担行為として警察庁において二十七億九千七百万円、総務庁において五百万円、北海道開発庁において二百四十一億七千九百万円、防衛本庁において一兆三千五億四千百万円、防衛施設庁において七百六十三億九千六百万円、科学技術庁において一千四百九億二千五百万円、沖縄開発庁において七十五億七千七百万円を計上いたしております。  以上をもって昭和六十三年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
  100. 愛野興一郎

    愛野主査 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  101. 愛野興一郎

    愛野主査 防衛庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  102. 馬場昇

    馬場分科員 非常に時間がございませんので、答弁はひとつ簡潔にお願いいたしたいと思います。  宮崎県のえびの市にある国有林に、海上自衛隊が潜航中の潜水艦に情報を送るあるいは指令を送るための超長波送信所の建設を今準備しておるわけでございますが、防衛庁昭和五十六年に、最も適地だといって福岡県の岡垣町というところに環境調査の申し出をして調査しているのですね。それから五年たって突如えびのにある国有林に建設地を変更しておる。なぜ変更したのかということをまず聞いておきたいと思います。
  103. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 お答えいたします。  五十年代の前半に超長波送信所の建設場所として岡垣を候補地にしておりましたが、岡垣につきましては環境問題あるいは海岸に近いということで塩害があるとか種々の問題がありますので、岡垣は現在でも候補地と考えておりますけれども、それとは別に候補地を選定いたしまして、宮崎県のえびの市の国有林が候補地になり得ると考えましたので、えびの市についてこれまで種々の調査をしてまいったところでございます。
  104. 馬場昇

    馬場分科員 全国で岡垣、えびのといろいろ候補地を挙げたのですが、最初何カ所ぐらい候補地を挙げておったのですか。
  105. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 候補地としましては、送信所をつくるために必要な面積があることとか、それが比較的平たんな場所であるとか、電波環境がいいとか、いろいろな要件がございます。これらの要件に該当する場所を全国各地で選定をいたしまして、その数はそれぞれの段階において違いますけれども、数十カ所の中から建設場所として適当なところを絞っていって、今えびのが一番有力な候補地ということに至っているわけでございます。
  106. 馬場昇

    馬場分科員 最初からえびの市は候補地に挙がっておったのですか。
  107. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 白紙的に選定をしている際には、候補地になり得ると考えていたわけであります。
  108. 馬場昇

    馬場分科員 最初岡垣を調査するときには、ここが候補地としては最適だということで岡垣町に調査の申し入れをやっているわけですね。それから五年たってえびのに変更しておるわけですけれども、この問題につきまして五十六年に議員が質問主意書を出しています。それに対しまして時の鈴木総理大臣が衆議院議長に対して答弁書を出しておるのですが、候補地としては、中国地方、九州の北部に数カ所を挙げている、こういう公式な答弁書が出ております。えびののこの国有林は九州の北部ではございません。総理大臣が衆議院議長に対しまして、候補地をちゃんとはっきり特定しておるわけですよ。それなのに防衛庁は、総理大臣の特定したその場所以外のところを適地として今作業を進めておる。これはシビリアンコントロールといいますか、文民がこうだということを決めているのに、自衛隊がそこにないところを候補地として今やっているということはちょっと問題があるのではないかと思いますが、長官、どうですか。
  109. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 今お尋ねのとおり、五十六年に質問主意書に対して中国地方とか九州北部とかいうことをお答えしておりますが、その時点ではそういうふうに考えておりましたが、先ほど申し上げましたようなことで、潜水艦を運用する上で欠くことのできない施設でございますので、一カ所、二カ所にこだわらずに建設可能なところで建設を進める、こういうことで今えびのでしているわけでございます、
  110. 馬場昇

    馬場分科員 鈴木総理大臣はこういうことをはっきり答えているわけですよ。VLF送信所の候補地として、中国地方及び九州北部地区において数カ所を考えておるということをはっきり答弁書に書いておるわけです。宮崎のえびのは北部ではないのですよ。そういう点この食い違いについて問題を感じませんか、長官。
  111. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま児玉参事官から答弁がございましたように、潜水艦との交信、命令等を行うわけでございますが、技術的な問題もございますから適地がおのずから絞られるわけでございますが、それらの地域につきまして研究を進める過程で、今ほど説明のとおりえびのを選択した、かような経緯は御理解いただけると思うわけでございまして、当時の鈴木総理の国会に対する答弁書等の問題を意に踏まえて、シビリアンコントロール云々というお話がございますが、極めて技術的な問題もございますからこれは御理解いただける、かように存ずる次第でございます。
  112. 馬場昇

    馬場分科員 絶対御理解はできないのですが、少なくとも候補地をどこに考えているかという質問に対して、中国地方と九州北部を考えているのだということを鈴木さんは答弁しているのですよ。これは議論したって時間が余りありませんけれども、少なくとも総理が国会答弁して、こういう場所だと言ったのを違うところを勝手に防衛庁かなんかがやるということは、まさにシビリアンコントロールを逸脱していると言わざるを得ないわけです。岡垣は何でやめたかということはもう言いませんけれども、いろいろ聞いてみると反対があるからなんですよ。えびの市は市が反対をしない、政治的にここは納得しやすい、それからメリット論とか何か言ってえさに乗りやすいとか、はっきり言えばだましやすい、そういう政治的な配慮からここを選んだということははっきりしているわけです。そういうことをまず申し上げておきたいと思うのです。  次に自治省に質問しますけれども、長官も聞いていただきたいのですが、例えばえびのの中の国有林にこれを設置したいということを、児玉さんが福岡の施設局長だったのですが、申し入れたのが昭和六十一年の一月二十五日です。それから中に五日間しかないのに、一月三十一日に臨時市議会を開いている。この臨時市議会というのは、市長の辞任外四件を議題に出して臨時市議会を開いている。その臨時市議会の中で一人の議員が、もちろん議題にも出してないのに、VLF送信所をえびのに建設することに同意するという緊急動議を出して、そして議論もせずにそれを可決している。そこにはもう既に警察官も導入して、機動隊も待機させておる。こういう中で、申し込んでわずか五日のうちにこういう議員緊急提案で誘致を決定している、こういう事実がございます。  いま一つは、そういう中でこのえびの市が、送信所の設置に賛成するから見返りをくださいといって要望書を市長とか議会がたくさん出している。そういうことでいろいろ議論して、これについて防衛施設庁福岡施設局とえびの市長が覚書をつくっているのです。この覚書をつくったのに対しましても、昭和六十二年八月三日にこれまた臨時市議会を開いて、議題は陳情第四十三号、えびの市議会議員の定員削減外二件です。こういう議題で臨時議会を招集しておきながら、また福岡防衛施設局長とえびの市長のVLF設置に伴う覚書、これを承認するという議員の緊急動議を出して、これを可決しておるわけでございます。住民は二万数千の人口ですけれども、一万人ぐらいの反対署名があるわけです。そういう賛成、反対のある中で、しかも市長が議案を提案しないわけです。緊急動議で議員に出させるわけです。そして全く趣旨の説明なんかもしていない。そういう中で可決するということは、これはまさに地方自治というか地方議会のあり方というものに非常に問題がある、私はこういうぐあいに考えるわけですけれども、地方自治を担当しておる自治省のこれに対する御見解を伺っておきたいと思います。
  113. 秋本敏文

    ○秋本説明員 地方公共団体の議会が機関としての、議会としての意思決定をされる、そういうことがあることはもう御存じのとおりでございますけれども、そういう場合にその方法として、議員の方から提出された動議を議決をする、そういう形をとるということ、これも可能であることは御承知のとおりでございます。議会に提出されました動議をどのように取り扱うか、釈迦に説法みたいなことで恐縮でございますけれども、議会としての自律的な判断、自主的な判断で決定をされるというようなことになりますので、お尋ねのありましたような動議をもとにして議会としての機関意思の決定をする、そういうこともあり得ることであろうというふうに存じます。
  114. 馬場昇

    馬場分科員 まさに地方自治のあり方とか民主主義とか、こういうことに対して今の答弁なんかは、これが果たして民主主義の議会のあり方かということについては、指導理念もなければ、いや勝手にやっていいんだ、こういうような自治省の態度だから、このえびのみたいなことが起こるのですよ。全くこれは許しがたい行為だ、民主主義を破壊するファッショ的行為だと私は思います。こういうことをやっておったら、民主主義とか地方議会とか地方自治は死んでしまいますよ。そういうなりふり構わず強行しようという姿勢がまた防衛庁の中にあるということをまず指摘をしておきたいと思います。  そこで、具体的にこのVLFの通信施設は防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、この法律が適用される施設であるかどうかということを、されるされない、イエス、ノーで答えてくたさい。
  115. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 イエス、ノーということでございましたら、イエスでございます。
  116. 馬場昇

    馬場分科員 では、どういうところが適用されるかということを答えてください。
  117. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 超長波送信所の設置、運用に伴いまして周辺住民の生活または事業活動が阻害されると認められる場合、防衛施設周辺環境整備法によって関係市当局と協議の上、対処していくことになるわけでございますけれども、この超長波送信所に限って言いますと、この運用で周辺に障害が起こることはないと考えております。しかしながら、広大な面積を占めるということで何らかの影響が生ずる可能性があるということ、さらにはえびの市内に霧島演習場、えびの駐屯地という施設が既にございます。これらの事情を総合的に勘案していく必要もあると存じております。
  118. 馬場昇

    馬場分科員 そのような考え方で法律を施行されてもらっては非常に困るわけです。  では具体的にもう一つ質問しますと、このVLF送信所は、この法律の第九条に言うところの特定防衛施設に当たるのか当たらないのか。もう一つは、えびの市はこのVLFによる特定防衛施設関連市町村に当たるのか当たらないのか。もう一つは、特定防衛施設周辺整備調整交付金の対象になる施設であるかどうか。端的に答えてください。
  119. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 特定防衛施設の指定につきましては、演習場、飛行場、港湾、弾薬庫その他市街地にあって大きな面積を占める施設ということが法令で定まっておりまして、この超長波送信所はそれには該当いたしません。  それから、えびの市が関連市町村になっておるかということでありましたら、現在はもちろんなっておりません。なり得るかという点につきましては将来の問題でございますけれども、霧島演習場をどのように考えるかということで、検討の対象にはなり得るかとも考えられます。
  120. 馬場昇

    馬場分科員 私が質問しているのは、霧島演習場のことは一言も言っていない。このVLF通信所にかかわってえびの市が関連市町村になるかということですよ。それから特定防衛施設、それにならないと思うのですけれども、特定防衛施設周辺整備調整交付金の対象になるか、はっきり言ってください。VLFにかかわっているのですよ。
  121. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 現在の制度ではなりません。     〔主査退席、佐藤敬治主査代理着席〕
  122. 馬場昇

    馬場分科員 実際この法律は、結局この施設をつくることによって障害がある、だから周辺を整備するのだという法律ですけれども、ちゃんとあなた方も調査して、自然環境及び社会環境に及ぼす影響はほとんどないということを言って設置してくれということを言っているわけですし、今言いましたようにこの法律の九条にも該当しない。にもかかわらず、えびの市はこの通信所をつくる見返りとしてこういうこともしてくれ、こういうこともしてくれとたくさんの要望書を出しているのですが、それに対してあなた方は、全然関係のない、先ほどから出ております霧島演習場の中にある市有地を買い上げてあげましょう、それから周辺整備については、全然関係ないのに体育施設をつくりましょう、福祉施設をつくりましょう、教育施設をやりましょう、公園もつくります、コミュニティー施設の周辺整備もやります、そういうことをこのVLFをつくることを念頭に置いてやります、さらには私企業の立地についても、この自衛隊の関連企業を誘致してくれ、それに側面的に努力します、それから将来えびの中央線、いわゆる道路の改修もやります、それから特定防衛施設に指定されるようにも頑張ります、国有提供施設等所在市町村助成交付金も出れるようにも頑張ります、こういうことで覚書をつくって、えびのの人たちはこんなにたくさんメリットがあるのだったら誘致しましょう、そういうことで今決定をしておるのですが、これは全部権限がないわけです。努力目標、検討目標で書いておるし、ここに書かれましたことについて、中身は時間がありませんが、あなた方は、防衛庁は、実現に拘束される覚書であるのかということ、今度の予算にこの中の霧島はあるようですけれども、そのほかのところに予算をどれだけつけたのかということをお聞きしたい。
  123. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 覚書の各条項、努力する、検討するということが述べられておりますが、これについて国は道義的な責任を持っていると考えております。
  124. 馬場昇

    馬場分科員 これは見てみれば、みんな検討する、努力する、協力するとかなっておるわけでございまして、これは道義的責任があるというのだから法的責任は全然ないわけですよね。     〔佐藤敬治主査代理退席、主査着席〕  ところが、こういうことをやってもらったからこれを誘致しようというようになっておるのですけれども、まだ予算案なんかにもほとんど見えていない。だから地元では、やると言っておいてやらぬじゃないか、これはだまされたというようなことを言っている人も少なくないわけでございまして、これは一口で言うと、こういうことをやりますよということを言って、このえさで誘致をさせた、賛成させておる、だれでもそういうぐあいに考えている、こういう事情があるわけです。  ところが、全然迷惑は与えないのだから、障害を与えない施設だということははっきりしておるわけだから、そしたら私の県なんかにも矢部というところに演習場がありますが、この間演習の弾頭が国有林の林道に落ちてきました。あるいはここで大水害が起こりますと、この水害は全部熊本の人吉市の方に水系上水が流れてくるのですよ。では、矢部とか人吉市とかがここと同じような覚書をあなた方につくろうと言ったときに、あなた方はつくりますか。
  125. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 人吉市などから具体的に御要望があれば、検討いたしたいと思っております。
  126. 馬場昇

    馬場分科員 全然法的にも根拠がない。そして本当にこの施設は全然迷惑を与えないのだから。ここにつくりたいということから、こういうこともしましょう、こういうこともしましょうということ、こんな行政とかえさでつるというようなこと、法的根拠のないようなことをやると一言ったら、それは許しがたいことだと私は思います。長官、こんな見苦しい、えさでつるようなやり方というのを防衛庁がして、国民の信頼を受けると思われますか。どうですか。
  127. 瓦力

    ○瓦国務大臣 防衛関係の施設等につきましても、地域住民の理解を得ながらその事業を進めてまいるということは当然でございまして、えびの市におきましてもさような努力をいたしておるわけでございますし、周辺地域の住民の方々の生活または事業活動が阻害されると認められる場合は、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、これに基づいて防衛施設庁としてでき得ること、なすべきことをやってまいるという姿勢で誠意を持って取り組んでまいる、我が国の平和を維持していく、安全を守っていく上でかような施設は極めて重要な施設と心得ておりますので、先ほど以来委員に申しておりますとおり、御理解を賜りたいと思うわけでございます。  なお、今御指摘の地域の水害等に対する手だて、大変雨量の多い地域でもございますし、災害も極めて多い地域であることも承知いたしておりますから、それらの保全対策につきましてももちろん十分配慮しながら、地域の協力をいただくような努力は今後も続けてまいることは当然のことでございまして、施設庁といたしましても全力を挙げて理解を得べく努力をしてまいりたいと考えております。
  128. 馬場昇

    馬場分科員 少なくとも総理大臣が答弁したのにも逸脱しておる、基地周辺整備の法律にも逸脱した約束をして覚書をつくっておる。大臣、少なくともきちんと法律があるんだから、防衛庁というのは法律を遵守して、法律の範囲内で、政府の統一見解の範囲内で仕事をするということをきちんとやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  さらに次に移りますが、このVLFの通信所は日米共同利用の施設にするのかしないのか、これを伺っておきたいと思います。
  129. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 この点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、海上自衛隊の潜水艦に対して必要な命令であるとか情報を伝達するために欠くことのできない施設でございまして、海上自衛隊の潜水艦に対する命令、情報を伝達する施設として考えておりまして、共同使用は考えておりません。
  130. 馬場昇

    馬場分科員 法律的には、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定によりまして、その第二条四項(b)に基づいて、法的には共同使用しようと思えばできるということですか。
  131. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 法律的にどのような施設ができるとかできないとかいう規定はございませんので、法律上は不可能ではないと思います。
  132. 馬場昇

    馬場分科員 これはできるという規定が二条四項(b)にあるじゃないですか。だから、この地位協定ができましてからイの一番に共同利用したのは通信施設でしょう。これはまず最初、この協定ができましてから、四十三年に東京都の小笠原村、硫黄島の通信所、南鳥島の通信所が共同利用の一号、そして北海道の稚内通信所も直ちに共同利用した。また、これは合同委員会にかけて閣議で決定すればすぐ共同利用できるわけです。  去年の十一月に大分県の日出生台、十文字原で日米合同演習をした。そのときこの演習地は自衛隊のもの、日米共同使用ではなかった。それをあなた方はきちんと十一月に合同演習しようというものだから、九月四日に閣議で決定して共同利用施設にしておるわけです。だから、この通信所もできてすぐアメリカから申し込みがあって、そしてあなた方が合同委員会で話をして閣議で決めれば、あしたでも共同利用はできる、こういう施設であることはもう間違いないわけですから、先ほど言われたように法的には共同使用が可能である、こういうことです。長官、地元は共同利用したら、もし核戦争が起きたら核の標的になるから反対だということを言っているのです。絶対日米共同使用にはならないということを言っているわけです。ところが、今これは法的にはできるわけですよ。では、今やらないと言うのだから、例えばここは絶対に日米共同使用はしませんというような約束というものを、防衛庁はえびの市なんかといろいろ覚書をつくるのが好きだから、長官がえびの市長と日米共同使用は絶対にいたしませんという覚書を書けますか。どうですか。
  133. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 共同使用の法律的な制度につきましては先ほど来申し上げているとおりでございますが、日出生台演習場の例を先ほどお引きになりました。日出生台演習場は共同使用に必要な手続をとって十一月に共同使用にし、共同訓練をしたわけでございますが、地元にそのことはその段階で十分御説明をしてから共同使用しておるわけで、あしたにでもできるというような話ではないと思っております。
  134. 馬場昇

    馬場分科員 長官、共同使用はしないという約束ができますかと具体的に言ったのです。えびの市長と共同使用はしませんという覚書を書けますかということを聞いているのです。――長官に聞いているのですよ。はっきり言いなさい、それを。
  135. 愛野興一郎

    愛野主査 まず事務的に児玉参事官
  136. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 今までそういう話が地元との間ではございませんでしたので、特に考えておりませんが、地元に対してはそういうことを今まで再々言っておりまして、それが文章になっているかなっていないかには関係がないと私は思っております。
  137. 馬場昇

    馬場分科員 全然違うじゃないか、あなた。最初は確かに日出生台だって共同使用をしていないんだから、これも共同使用はしませんよ。ところがアメリカが申し込んできて、それで合同委員会で話をして、閣議決定したら使われるということに法律的になっているんだから、みんな心配していますよ。しかし、そういうような法律があっても、日本国政府の方針としては共同使用はしませんということを大臣、約束されますかというのですよ。
  138. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま児玉参事官からも答弁をいたしておりますが、VLFの利用につきましては、我が国の主体的な運用ということで今回その建設に努力をしておるわけでございますが、運用の面につきましては、安保条約六条に基づく地位協定第二条第四項(b)も踏まえましてその施設、区域内の使用が許される。このことは日米両国にとりまして基本的に守ってまいらなければならない、条約を遵守するという精神に立ちますと許容しておかなければならぬ、かような問題である、かように私は考えております。
  139. 馬場昇

    馬場分科員 今のお話のように、少なくとも今INF条約なんかで地上のものは削減の方向にありますけれども、アメリカ軍の核弾頭の半分以上は潜水艦に搭載されていると言われておるわけですが、共同使用いたしますと、その核弾頭を積んでいる潜水艦に対して情報とか指令をえびのの通信所から出せるということになるわけですから、地元の者は大変な心配をしているわけです。そういうことで、今の話ではそれができるとおっしゃるものですから、できないということで、しないということで地元を説得していますから、問題が非常に多いと思います。  最後になりましたけれども、林野庁来ていますけれども、実は環境保全調査を防衛施設庁が林野庁に出して、今それを審査しておるのです。ところがこれは二百四十三ヘクタールという、いまだかつてこんなたくさんの面積の国有林を自衛隊に売り渡したことはないのです。そしてここは本当に二十五万立米とかたくさんの捨て土なんかをするわけでございまして、大変な山を荒らすことになるし、災害の危険も先ほど言ったようにあるのです。国有林の治山治水その他の使命からいっても、山をつくるという使命からいっても、こういう国有林は絶対に自衛隊に使用させてはならぬということを考えておるわけでございます。今林野庁は精いっぱいこのことについて審査をしているわけですから、はっきり林野庁に申し上げておきたいと思いますけれども、保全調査を十分にして防衛施設庁から申し出てきた二百四十三ヘクタールを使用さしてくれということを拒否してもらいたい。そして本当に今いろいろ調査をしておるならば、住民の意向を十分に反映し、意見も聞いてやりなさいということを林野庁に申し上げて、私の時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。
  140. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて馬場昇君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴切康雄君。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 瓦防衛庁長官、御苦労さまです。  大変短い時間でお聞きしたいことがたくさんございますので、端的にいろいろとお伺いをしていきます。  まず初めに、三宅島のNLP基地建設問題についてお伺いしたいと思います。  三宅島にNLP空港建設の問題が表面に出てもう足かけ五年になります。この間リコールを含め村長、村議会選挙が四、五回あったわけでございますが、大多数の村民は一貫してNLP空港を受け入れる意思のないことを明らかにし、この旨を防衛庁にずっと陳情し続けてまいりました。しかしながら、村民の声は全く無視をされて、ために村民は大変に苦労に苦労を重ねているのが現状であります。御承知のように、美しい自然に恵まれた静かで平和な島にNLP空港がどれほどふさわしくないものか。まして天然記念物を含む数多くの動植物が生育し、海には北限のサンゴ礁を有し、しかも日本三大漁場を抱えております。村民はいかなる困難に耐えても、基地に頼らぬふるさとづくりを心から願っているわけであります。  去る二月十日の村議会議員選挙の結果も、村民のNLP空港に反対する確固たる意思をあらわしたものでありますけれども、防衛庁長官は今回の三宅島村議会選挙の結果をどう評価されておるか、お伺いいたします。
  142. 瓦力

    ○瓦国務大臣 三宅村議選の結果は承知をいたしておりまして、この事実は受けとめておるわけでございます。  今御指摘のように、米空母艦載機の離着陸訓練、NLPの基地といたしまして、今日まで三宅村に対しましていろいろ御協力をお願いしてまいっております。これは日米安保体制の効果的運用ということを考えてまいりますときに欠くことのできない施設である、かようなことで村民に協力を依頼してきたわけでございますが、この過程で私どもは理解を得べくその努力が十分であったかということになりますと、実はこの調査の過程におきましていろいろ反対に出くわしたりした経緯もございまして、率直のところ三宅島の皆さんの自然を守るとか環境を守るとかということを踏まえつつ、また利便に供することもこれまたあり得るわけでございますので、できるだけ御協力を得たいという姿勢に変わりないわけでございます。この周辺で他にこれほどの適地がないということもございまして、実は今後も努力をさせていただきたい、かように考えております。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 今回の三宅島の村議会選挙の結果は、十四議席に対して反対派が十一名、そして賛成派が二名、中間派が一名、こういう結果であります。選挙というのは、これはもう議会制民主主義、いわゆる民主主義の鉄則でございまして、その結果は尊重せざるを得ないと私は思います。  そこで、今までと違った一つの問題は、賛成というのは賛成ではっきりわかるわけでありますけれども、中間派というのは三名立ったのですが、実際には一名しか当選しなかった。その三名の中間派は何を言ったかといいますと、三宅島の将来を考えたときに、いわゆる防衛庁の方の意見と、それからまた言うならば島民との間に対話を設けて話し合ったらどうか、こういうことを一つの選挙の公約として戦ったわけであります。ところが今回の選挙の結果というものは、わずか一名しか当選しない。しかも反対派が十一名当選した。これまで実際にはリコールを含めて四、五回選挙があったわけです。その間終始変わらないような状態で、反対派が選挙民の約七三%から七五%を占めている。これは変わりません。となると、そのこと自体が選挙の一つの大きな課題となって公約として問われたにもかかわらず、ノーなんだ、こういうことが明確になったわけですね。だから国とお話しすることすらノーなんですよ、こうはっきり選挙の結果が出たわけですから、これは尊重していただかなくてはなりません。この間のように、鉄柱を立てるために官憲を入れ込んで村じゅうが大騒動を起こした、ああいうことが二度とあってはならない、私はそう思うのです。鉄柱は立ったのですが、地質調査だって防衛庁は考えておられるというのですが、ノーなので、ノーのところへ土足で上がり込んでやろうとするようなことがあればこれまた大変なことになるのです。地質調査はどういうふうにされるつもりですか。
  144. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  先ほど大臣から御答弁ございましたようにこれほどの適地はございませんし、ただ反対が強いということは私どもよく承知しておりますが、いろいろ誤解等がございまして、私どもの説明も十分聞いていただけないという厳しい環境にございますので、そういった点を踏まえまして十分御理解をいただけるような措置を、私どもとしては対話の努力を積み重ねていきたいというふうに考えております。  今お尋ねのボーリング調査でございますが、これは気象調査と同じ形の事前の調査でございますので、事務的に実施をしたいというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。ただ、先般のような混乱を引き起こすということは私どもも本意でございませんし、平穏な環境の中で御理解をいただきながら調査を行いたいという意思は従前から変わっておりません。したがいまして、現在そういったための努力も必要と考えておりますが、諸般の準備がございますので、そういった準備を整えた上で調査はやらせていただきたいということでございますので、御理解を賜りとうございます。ただ、調査の時期については、今準備等の関係で申し上げられる段階ではございません。
  145. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 施設庁長官が苦し紛れにそうおっしゃったのですけれども、実際には地質調査についてはノーなんだ、三宅にはNLPは必要ないんだ、島づくりは我々がやるんだ、こういうことではっきりしているわけですから、そういうことを強行すればこれまた混乱が起こるということは目に見えて明らかですから、ぜひその点については留意していただきたいなと思っています。  ところで、六十二年十二月二十五日、選挙を二月に控えて間近のときに、防衛施設庁は「艦載機着陸訓練場確保の一方策としての浮体飛行場案に対する当庁の考え方」、これを記者会見したわけですね。私はこの内容についてお伺いしたいわけです。この時期になぜ防衛施設庁が浮体飛行場案に対する考え方を発表したか、その真意というものを聞かせていただきたい。
  146. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 防衛施設庁の記者クラブから、浮体飛行場に対する考え方についてまとめて説明してもらえないかと要望がございまして、私の定例記者会見の席をかりて資料を配付して説明したということでございます。
  147. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 「浮体飛行場案について関係資料の収集を行ってきた。」どういう資料を収集されたのですか、具体的に言ってください。
  148. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 資料は昭和五十八年から収集を行ってきておるわけでございますが、こういう問題を研究しておられる民間の機関あるいは公の機関から資料をいただいたり、話を聞いたりということをしてきたわけでございます。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 実は五十八年の古い資料しかないのですよ。具体的に言ってくださいと言ったって全然出ない。ここにあります「浮体飛行場案について関係資料の収集を行ってきた。」大げさなことを言っているのですよ。何にもやっちゃいない。三宅、三宅と言っているのですから、資料なんて集まるはずがないじゃないですか。具体的なものがあったら全部出してください。五十八年のときに検討したことは知っていますよ。それから全然角度は違うのですよ。日進月歩の科学の中にあって、もはや浮体構造工法というものがどれぐらいすばらしい進展をしているということについて、何にも研究もしなければ資料も集まっていない。集まったとするならつい最近のこの資料でしょう。これは運輸省の船舶技術研究所へ行ってもらったんじゃないですか。あなたたちが行ったのですから、だれとだれが行ってどういう話をしたんだ。
  150. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 当庁の職員が五名、昨年の十一月十一日に船舶技術研究所を訪問いたしまして、担当の方からこの研究所で実施されております浮遊式海洋構造物の開発研究の実情についていろいろ説明を受け、また資料もいただいたということでございます。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 だれとだれとだれでしょう。はっきり言ってください。
  152. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 私は艦載機着陸訓練場対策本部の本部長をしておりますけれども、副本部長それから技術室長以下担当者三名、計五名が行ったということでございます。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 おたくの方で船舶技術研究所の方に申し入れて三鷹にお行きになったのでしょう。ちょっと答弁してください。
  154. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 三鷹にございます船舶技術研究所に赴いたということでございます。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 あなたたちは話を聞いたということなんですけれども、どういう話をされたのですか、正直なことを言ってくださいよ。私は調べた。だから正直なことを言ってくださいよ。
  156. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 浮体飛行場についての資料の収集の一環としまして、運輸省で行われております研究のことを知ったものですから、その研究機関で実施されております開発研究の実情を承知することが目的であるということでお話を伺ったということでございまして、こちらから何か申し入れたとか、そういうことはいたしておりません。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 防衛庁長官、よく聞いてください。防衛施設庁は向こうへ行かれたのです。私は調べた。NLPは技術的に難しいという趣旨の文書を船舶技術研究所から出してほしいということを何回も言われたのだ。ところが、さすが運輸省の船舶技術研究所は、こういう浮体構造工法については、六十一年度末現在の実証研究課題に基づいて、五分野に大別して六十二項目について詳細なデータを集めているわけです。ですから、防衛庁が言うならば五十八年ごろの状態の資料をもとにして、いきなりNLPは技術的には難しいということをおたくの方で発表してくれればと言っても、これは向こうの方にしてみれば、これだけの資料があるのです、それはできませんよ、防衛施設庁、あなたの方で何を記者会見されようがそれは御勝手ですから、こういうことになった。そこで六十二年十二月二十五日にこの見解が出されたわけです。だから全くことしの二月の選挙というものを十分意識して、賛成派に有利になるように、浮体構造工法はだめだよ、我々はいろいろ研究したけれどもだめだ、こういうことまで全部盛り込んで、いわゆる利益誘導的な行為としてこういうものを出したとしか言いようがない、実際には。断られた、はっきり言って。それで施設庁はこういうのを出して記者会見をされたんですよ。いいですか。  だから、私は考えてみると本当に何をやっているかというような感じがするんですよ。例えば沖縄の伊江島に数名ずつ数組をお連れして、お連れしてというか御案内して、その場所を見せて、三宅島がもし受け入れてくれるならこういう立派な施設ができますよというのですよね。ところが大事な騒音とかそういうものについては、まるっきり飛行形態が違うのです。片一方はNLPの騒音で百三十ホンもあるというような轟音を出すところと、全然飛行形態が違うところを三宅島の人に見せる。これは一つは利益誘導的な行為としか私どもは受け入れられないわけ、実際には。こういうようなことをするというのは私は非常に問題があるだろう。すなわち、今やその浮体構造工法も多目的に研究が進んでいるわけです。都市も洋上につくろうか、飛行場もつくろうか、あるいはもちろん石油の掘削のためにつくろうか、これはいろいろもう研究されている。そういう時代的に進歩があるのにもかかわらず、NLPは三宅島というふうなことに固執するということは、ちょっと私はナンセンスじゃないかというような感じがして実はならぬわけでございます。  私がさらに聞きたい問題は、実はこの浮体構造工法について防衛施設庁の方がさらに言っていることがありますね。言っていることがあるのは、段階的というのがありますね。「現段階では、浮体飛行場案を採用することはできない。」こうなっていますね。現段階ではということは要するに自信がないという証拠。だからこれから将来、場合によってはいわゆる浮体構造工法ということも否定をしていないということじゃないですか、現段階というのは。その点どうなんでしょうか。
  158. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  先ほどいろいろお話しございましたが、私どもでそういう何か文書を出してほしいというようなことはどうもなかったように聞いておりますが、この辺はいろいろ御見解もあろうかと思います。  ただ、今お話しの浮体飛行場の問題につきましては、今確かに開発中の問題でございますので、私どもとしてその開発の将来について予断を持つようなことはやりたくないということでそういう表現をとっておるわけでございまして、確かに開発の緒にはついておりますし、いろいろ進行中であるということも承知をいたしております。ただ現実に実用、しかも相当シビアな実用ということで長大なランウエーをつくるというような、しかも太平洋にそういったものを浮かべるということを検討いたしました場合に、やはり現段階においては私どもとしてはこのNLPの訓練場としての対策としてはとり得ない、かように結論をいたしたわけでございます。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 だから「現段階では」とあえて前提条件をつけているということは、将来的には浮体飛行場案が採用される可能性を否定したことにはならない、こういうことになりますねと申し上げているわけです。そうでしょう、現段階はということですから。
  160. 友藤一隆

    友藤政府委員 この訓練場の建設は現在の課題でございますので、そのように認識をしておるわけでございます。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 現段階といって、いっそのNLP基地が三宅島にできるのですか。アメリカはこう言っていますよ。防衛施設庁は約束をしてもちっともやってくれない、防衛施設庁は約束はするけれどもちっともやってくれない。これから三宅島、三宅島ということで固執すれば、それこそ日米関係の信頼にかかわる問題である、私はそう思っております。私は、本来ならば基地というものはない方がいいと実は思っています。思っていますけれども、日米安保条約ということから、日米安保条約そのものに対しても私どもは評価する点もあるでしょうから、どうしてもNLP基地を欲しいというならば何も固執する必要はない。第三の道だってあるはずだ。そうでしょう。  だから、例えば浮体飛行場案を採用できない第二の理由というのがありますね。浮体構造物に関する研究を行っている運輸省の意見を求めたところ、「実用化にあたっては、使用目的に応じた実用化開発を行う必要があり、現段階ではその技術的な可否について断定的な結論を下せない」ということを挙げているが、いいですか、これは確かにまだ未開発の問題ですから、あなたの方がアメリカの方に実際にどういうふうな要求諸元が必要なのかということを求めて、そしてそれが実際に浮体構造工法にも適用されるということになれば、それはそれなりに一歩前進した別の方向に進んでいくことができるわけです。ところがそれもできない。三宅島、三宅島だけなんだ。実際何の資料も集めていない状況の中にあって、三宅島だけ言っていたんじゃ何にもならない。そこで、要するに防衛庁は、いまだに陸上でなければだめだということをアメリカの方では言っているようなことをどこかに書いてありますね。だれが、いつ、どういうふうに言ったのですか。
  162. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 浮体飛行場につきましては何度か米軍の意見を聞いてきたわけでございますが、その採用の是非を問われれば、答えはノーであるという旨の答弁があったわけでございます。  さきの国会で先生からこの浮体飛行場についてのお話がありましたので、改めて在日米軍の見解をまた昨年ただしました。米側の見解は、浮体飛行場については技術開発の緒についたばかりであって、陸上飛行場案ほど見込みのあるものではない。また経済的にも実行不可能であるように思われる。したがいまして、米側としては、日本政府ができる限り海軍の必要を最もよく満たすと思う陸上飛行場の案を積極的に進めることを望むというものでございました。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 公式にそんな話が一度もあったことはないと言っているよ。そんなことは一度もない。こういうふうな問題は、アメリカの方でこうせいああせいと言うことは内政干渉にかかわる問題だから我々は言わないんだ、私どもは思っていることはいろいろあるけれども言わないので、防衛庁が三宅島、三宅島と言っているけれども、三宅島の方はそれはなかなかできるものではない、こういうふうに言っているのであって、あなたがここで答弁したことは、当然NLPについてはアメリカの方だって相当関心がありますから、あなたが何を言ったかということは――よくうそを言われるということで有名だね、実際には。それはまずいよ、そんなことは。いいですか。  ですから防衛庁長官、先ほどもお聞きしました。浮体構造工事、資料を集めたといって、それじゃどういう資料を集めてやったのですか。五十八年ころのとそのほかはどうなっておる。これはこの間もらってきて、ようやっとなるほど進んでいるなということは気づいたと思うのですよね。だから余りにも一つだけに集中してやるということは、これは非常にまずいだろう。少なくとも多角的に、もっと政治家というものは、これはできるかできないかくらいはそれなりの見通しというものはつくはずですから。アメリカがNLPの訓練をしたいという。それはもう高度な練習なんですから、当然そういう意味においては必要だろうと私は思うのです。そういう立場から私は理解をしてこの質問をしているわけですよ。何でもかんでもだめだと言っているわけじゃない。ただ、厚木の問題にしたって三宅島の問題にしたって、もうデッドロックに上がって動きようがないでしょう。実際そういうものをこれからやっていくには、少なくとももう少し目を向けて研究した結果、あるゆる資料を分析した結果、どうしても使用に耐えないというなら使用に耐えないで、それはまたそのときの問題だろうと私は思うのよ。  それで私は三宅島について、もう時間が余りないようですから申し上げたいと思いますけれども、一つは今回の選挙、これは厳粛に受けとめていただかなくちゃならない。やはり民意は、それを問うて選挙をやったわけですから、ノーという結果になったって、これは厳粛に受けとめていただかなければならない問題だ。それからもう一つは、確かに三宅島に対して防衛施設庁は、何でも三宅につくりたいので、今まで資料をずっと調べてみたところが、そのつくった後、塀もつくらなければフェンスも基地には設けない、そう言っているのです。答弁の中で言っておる。おまけにだれもその施設には住まないとおっしゃっている。しかしそんなことは考えられない、実は。基地をつくれば当然事故だってあるでしょうよ。事故があったときに消防車だって飛ばさなくちゃいけない。そういう消火作業もしなくちゃならない。いろいろあるわけ。だからそういうふうなことを考えたときに、三宅島の後方支援の問題とか、これから貯蔵をされるという貯蔵庫の問題、施設とかそういうものは、この訓練基地ができたときにはそういうふうなものの後になって出てくる問題だけれども、軍事的な常識からいえば、そういうものもまるっきり何にもつくりませんよ、何にもしませんよ、人も三宅島にはやりませんよというわけにはいかないはずです。これはもう常識だ。  私はそういうことから、先ほど申し上げましたように、一つは、三宅島というところは国立公園の中にあって、都民一千二百万の憩いの場所でもありますし、そういうふうなところにあえてつくる必要があるか。あるいはまたイギリスのエジンバラ公が中曽根総理に、NLPの基地を三宅につくるということについては考えてもらいたいという申し出が出ている等、そういうふうないろいろな問題を考えたときに、ぜひ政治家、いわゆる瓦長官がこの問題について高い見地に立って、ただ三宅島、三宅島ということでなくして、やはり多角的にもっとできることもあったらその可能性も探ってみよう。確かにお金はかかる。それからまたいろいろ調査をした結果、これに対する管理費とか運用費とかいうものは、陸上でやるよりも一・三倍か一・五倍かかる。これも全部調べてきた。そういうことはあるにしても、全く迷惑がどこにもかからないという第三の道というものもこれから考えて対象にすべきじゃないだろうか、こういうことを私は申し上げて、ちょうど時間になりましたのでこれで質問を終わりますけれども、最後に、そういうことまで考えた上においてどうしたらいいかということを、これから考えるということの御答弁をいただければそれでいいと思っております。
  164. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま施設庁長官並びに当局から答弁をいたしましたが、三宅島の問題につきましては、いろいろ反対運動で私どもが想像を超えるような理由づけといいますか、そういったこともあったことも承知をいたしておりまして、でき得れば静かな村民との対話の中で理解を得る努力をしたい、そういう機会を求めたいという努力は実は逸しておったような感がいたしますので、これからもさせていただきたいと思っておるわけでございます。  なお三宅島につきましては、村民の方々に迷惑ができる限りかからないようなことで、ランウエーにつきましても海岸線へ持っていくとか、あるいはこれは常時使うものでありませんので、その間この空港の使い方につきましては三宅村の発展に寄与することも十分あり得る。また、施設といいましても、従来の施設と性格は異にすることも委員御案内のとおりだと思うのです。御指摘のように、日米の関係においての信義を守ることにつきましても私どもは大事にしていかなければならぬ。さすれば、浮体工事等はどうだ。二千メートルにも及ぶ非常に長い浮体でございますし、航路も非常に多くのものは東京周辺、船が通るわけでございますし、台風もありますし、また工費もあります。しかし、いろいろな道を探りながらこのNLPの問題につきましては研究もいたしますが、委員に御協力を賜りたい、理解を賜りたいという点におきましてさらにお願いをいたしますと、三宅の将来ということを踏まえながら、また日本の安全とそういう問題は共存しなければならぬ。その道を求めて理解を得べき努力を、あったかなかったか、そういうことも踏まえて研究をさせていただきたいと考えております。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 以上で質問を終わるわけですけれども、防衛庁長官、ただ固執するということでなくして、やはり多角的にいろいろ研究された上において結論は出すべきじゃないだろうかということだけ御提言を申し上げておきたいと思います。  以上です。
  166. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて鈴切康雄君の質疑は終了いたしました。  次に、上田利正君。     〔主査退席、田中(直)主査代理着席〕
  167. 上田利正

    上田(利)分科員 北富士の演習場の使用協定にかかわる問題点につきましてお尋ねをしたいと思います。  御案内のように、地元山梨と防衛庁との間で昭和四十八年の四月に第一次使用協定が締結されました。そして引き続いて第二次使用協定は五十三年の四月、そして第三次が五十八年四月ということで、ことしの四月十日をもちまして第三次使用協定の期限が切れるわけでございますけれども、防衛施設庁友藤長官にお尋ねしたいのでございますが、長官が去る先月の十三日に山梨県庁を訪れまして望月知事に対し、北富士演習場の四千六百九十ヘクタールの使用協定が、先ほど申しましたように四月十日に期限切れになるので、四月十一日以降引き続き使用したいということで文書で第四次協定の更新を申し入れたと聞いておりますが、これは事実でございますか。
  168. 友藤一隆

    友藤政府委員 そのように申し入れをいたしております。
  169. 上田利正

    上田(利)分科員 御承知のとおり、山梨県は終始一貫いたしまして北富士演習場につきましては全面返還、平和利用、これを基本といたしまして段階的な解消を県是といたしまして実施をしておりますけれども、施設庁長官、御存じでございますか。
  170. 友藤一隆

    友藤政府委員 地元におきましてそのような御要望もあることは十分承知いたしておりますが、私どもとしましては、やはり日本の防衛と安保体制の確保というような面を御考慮いただきまして、両面相並び立つように何とか工夫をいたしたいということで現在までお話をいろいろしておるところでございます。
  171. 上田利正

    上田(利)分科員 演習場の部分的な返還が、五十二年の九月に山梨県が国有地二百十四ヘクタールの払い下げを国から受けて以来今日まで十年以上経過をいたしておりますけれども、五十八年四月の第三次使用協定を締結した際、防衛庁は五十三年の第二次使用協定締結の際の民公有地百ヘクタールとあわせましてさらに約百ヘクタール、合計二百ヘクタールの民公有地を演習場から除外をして地元に返還する、こういう覚書を結びながら、約束をいたしましたけれども、もう足かけ十年になります。十年一昔ということが言われますけれども、この一昔もの長い間、除外すると言いながら除外をしていない。この理由は、施設庁長官、何ですか。
  172. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 御指摘のように、昭和五十三年の第二次使用協定、それから五十八年の第三次使用協定の締結に際しまして、それぞれ約百ヘクタールの民公有地について地元との調整が整った時点で演習場から除外するという約束ができているわけでございます。  このうち第二次使用協定の約百ヘクタールにつきまして、昭和五十八年二月に地元から中ノ茶屋地区約七十二ヘクタール、もう場所を特定して返還の要請がありまして、米側と折衝を行ってきたわけでございます。で、米海兵隊におきましては、この部隊の訓練の所要の面、さらに返還した場合安全が確保できるか、また射撃が周辺地域に及ぼす影響など、専門のスタッフによりましていろいろな面から検討をしてきて長期間を要したというふうに承知しております。  昭和六十三年一月二十二日に横浜防衛施設局長から山梨県知事に対しまして、本年三月末までには返還の合意がなされる目途がついたという通知を行ったところでございます。
  173. 上田利正

    上田(利)分科員 今答弁をいただきましたけれども、私が申し上げておりますのは、いわゆる七十二ヘクタールの問題は後で申し上げますけれども、この十年間で二百ヘクタールを除外をしよう、こういうことで使用協定締結後第三次協定までで十五年かかっているわけですね。そして、十年間に二百ヘクタールを除外しようとして今日まだ二百ヘクタールが返還がされていない。  御案内のように、六十一年の三月の本院の分科会におきまして、実は私どもの先輩でございます、前の本院議員でございます鈴木強氏が質問をいたしました。当時の佐々防衛施設庁長官は、中ノ茶屋の県有地七十二ヘクタール、今御答弁いただきましたけれども、七十二ヘクタールは除外できる見通しだ、間もなく除外できる見通しだ。これは二年前です。ちょうど二年前のこの予算委員会分科会でございます。こう答弁をされました。二年経過した今日、その間県は再三再四にわたりまして除外促進の要請、これを行ってきたにもかかわらず、防衛庁は、米軍との折衝中であるとか、あるいは早期除外に今一生懸命努力していますという、言うならば繰り返しだけで今日に至ってしまっている。十年間放置をして、そして二年前に二百ヘクタールのうちのいわゆる七十二ヘクタール、通称中ノ茶屋でございます、これはすぐにでも返還しますと言いながら、これができなかった。  先ほどの答弁は、横浜施設局との状況から見ると、日米合同委員会を経ながら、三月中にはこの除外ができ得る、こういう答弁でございますけれども、大臣、その辺、三月末までには必ずやるということでよろしゅうございますか。
  174. 友藤一隆

    友藤政府委員 先ほど施設部長から御答弁申し上げましたとおり、私どもとしては、最大限努力をしてそのようにいたしたいというふうに考えております。
  175. 上田利正

    上田(利)分科員 最大限努力というそんな答弁で、いわゆる第四次協定を四月十日までに結論をつけて、そして十一日からでしょう。はっきりしてくださいよ。それができなければとても四次協定なんかできるわけがないのであります、十年間も放置しておって。はっきり答弁してください。
  176. 友藤一隆

    友藤政府委員 これは日米間の合意事項でもございますので、そういう点を踏まえてそのように申し上げたわけでございますが、私どもとしましては相当の確信を持って今申し上げておるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  177. 上田利正

    上田(利)分科員 中ノ茶屋の七十二ヘクタールについてはそのような御答弁を信用し、早期にこの除外ができるように重ねて要望しておきます。  次に、ここに地図がございます。もう御存じだと思いますけれども、ちょっと小さいのですが、五万分の一の地図、コピーで拡大しましたが、この黄色いところが国有地でございます。演習場の国有地。緑色のところが県有地で演習場になっているところ。さらにだいだい色になっているところが二つございます。これが民有地でございます。それで、この赤色のところは既にいわゆる返還された土地の二百十四ヘクタールでございます。これが今の北富士の演習場です。  そこで、ここに、六十一年八月に東富士五湖有料道路ができました。これが須走に向かっていって一部開通して、トンネル工事でこれを今やっています。この中でいわゆる、特にここの七十二ヘクタールの県有地がございます。これについては除外だということで、第三次協定の中でこれは回答をいただいております。まだ除外されておりませんけれども、除外地でございます。これについて地元も、ここを有効に活用しようということで、県も含めまして、早くこれを除外をということを言っておりますが、この七十二ヘクタール、これは除外はどうでしょうか。四次協定の前に除外できましょうか。
  178. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 御指摘の、有料道路で分断された土地でございますが……(上田(利)分科員「有料道路じゃないですよ、県有地のここです、七十二ヘクタール」と呼ぶ)七十二ヘクタールにつきましては、先ほど施設庁長官から御答弁申し上げましたように、この三月中に日米間で返還の合意を見るということで進めているわけでございます。
  179. 上田利正

    上田(利)分科員 私の方がちょっと申しわけございませんでした。  それで、あとの民有地が今有料道路のところにございますが、ここの七十八ヘクタール、一応除外予定地ということになっております。実は、ここに有料道路が、中央道が大月インターから富士へ向かって走りまして、そしてさらにこれが東富士五湖道路へ入っておるわけです。これがいわゆる演習場外、道路の外側にあるのですけれども、これはどうなんですか、お使いになっているのですか。有料道路を挟んで鉄砲玉が飛んでいくのですか、戦車が走っていくのですか、どうなんでしょうか。
  180. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 演習場の安全上あるいは保安上必要な土地だと考えております。
  181. 上田利正

    上田(利)分科員 安全上必要だと言っても、安全も何もないでしょう。もうここは車が本当に高速道路で通っているわけです、有料道路で。それを越えてこっちの方にあるのですよ。安全もへったくれも、使うにも使わないにも、やるとしたらこの道路を通っている人はやられてしまう、死んでしまいますよ。これはどうなんですか。これは今日なぜこんなところにあるのですか。
  182. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 東富士有料道路がつくられましたことによって演習場が分断された結果、そのような土地が生じたということでございます。この北側部分の土地は約七十八ヘクタールございますが、これにつきましては、地元との調整が整いまして具体的に返還要請を受け次第米側と折衝を行いたいと考えております。
  183. 上田利正

    上田(利)分科員 わかりました。地元が使用計画を立てて、県が申請をしますと、米軍と話をしてこれは返還する、こういうことですね。  そこで、参考に聞きますけれども、防衛庁はこの二つの賃貸借料を一年間で幾らここへ払っておるのですか。この七十八ヘクタール、賃貸料を大きい方と小さい方と個々に言ってください。
  184. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 実は、一つの団地として借料を計算しておりますので、的確にはお答えできかねますが、面積比で案分してみますと、両方合わせて年間約二億円というふうに考えております。
  185. 上田利正

    上田(利)分科員 二億円も一年間に道路の向こう側で支払っている。防衛庁というのは非常に金があるところだと思うのですね。本当に金があるのじゃないか。ぜひ一刻も早くここは返還をする、こういうことでお願いをしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、この道路を通りましてすぐ内側が黄色いところで演習場、ばら線が張ってあるのです。これは危険はないのでございますか。着弾地でございます、危険はございませんか。
  186. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 着弾地と演習場との、外部との境界の間には必要な保安距離をとっておりますので、危険はないと承知しております。
  187. 上田利正

    上田(利)分科員 保安距離といっても何メートルございますか、この有料道路から、側溝から。私は毎日常に通りますけれども、すぐ下がばら線ですよ、演習場ですよ。百メートル、二百メートル離れていればいいのですけれども離れてはいないです。弾はどんどんここへ飛んでくるのですよ。ちょっと間違えばこの道路へばあんと来ちゃうんですけれども、これは安全でございますか。
  188. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 先ほど答弁申し上げました保安距離というのは、演習場の境界の中にとってあるということで、したがいまして、演習場の境界外には危険はない、そういう意味で申し上げた次第でございます。
  189. 上田利正

    上田(利)分科員 それならば、県が県是としていわゆる段階的な平和利用ということを言っておるわけです。ここを百メートルくらいずっと、この四次協定に当たりましていわゆるこの除外適用地にしたらどうでしょうか、今使っていないのですから。
  190. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 北富士演習場を維持していくこと、また、これを使用していくことに関しましては、県それから地元と利害関係を調整して相互の便宜を図りつつ対処してまいりたいと考えております。しかしながら、国としましては、演習場の機能それから安全性、これらを確保するためには現状の範囲が必要かつ最小限のものと考えておりますので、新たな返還は極めて困難であると考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  191. 上田利正

    上田(利)分科員 新たな返還につきまして、今見れば、ここは言うならば実質的には安全地帯を設けて使用していないということございますから、やはり私どもとしては新たに返還をすべくぜひ検討をしてほしい、こう思います。  それから、後先になりましたけれども、二百ヘクタールのうちの残りの七十二ヘクタール、それから七十八ヘクタール、これで百五十ヘクタール、二百ヘクタール除外のうちのあとの五十ヘクタールはどうでございますか。第三次協定までの間で二百ヘクタールのうちの五十ヘクタールが残るわけでございますが、これはどうでしょうか。
  192. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 返還するべき具体的な場所の特定につきまして地元と調整が整い、御要望があれば返還について米側と折衝してまいりたいと考えております。
  193. 上田利正

    上田(利)分科員 今の施設部長の御答弁を確認しておきます。  それから、入会協定の問題についてお尋ねしたいのでございますけれども、今まで十年間、入会協定が締結されていないわけでございます。いろいろと難しい問題もあることも私も承知いたしておりますけれども、入会協定はどこと締結する予定でございますか。
  194. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 北富士演習場にかかわります入会協定の締結につきましては、地元と専門部会を設けて検討を重ねまして、現在、素案がまとまりまして地元でこの調整を実施されているところでございます。したがいまして、協定当事者がだれになるかということも今後の検討の問題だというふうに考えております。
  195. 上田利正

    上田(利)分科員 協定締結者はまだわからないということのようでございますけれども、聞くところによりますと、恩賜林保護組合長を当事者として締結しようというふうなことではないか、私はこう聞いておるわけでございますけれども、これをめぐって地元にはさまざまな意見がございます。国としてはどのように考えておりますか。
  196. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 御指摘のように恩賜林組合長を当事者とするという案があることも承知しておりますし、また、地元でいろいろな御意見があることも承知しております。これは地元の調整の問題でもございますけれども、防衛施設庁といたしましても十分地元と調整しまして、皆様が御納得いくような案をつくりたいと考えているわけでございます。
  197. 上田利正

    上田(利)分科員 そこで、入会協定はいつ締結されますか。
  198. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 現在の使用協定期間はことしの四月十日まででございます。これを目標としてできるだけ早期に締結すべく努力をしたいと考えております。
  199. 上田利正

    上田(利)分科員 確認しておきますけれども、第四次使用協定締結前に入会協定は締結するという考え方で進めるということでよろしゅうございますか。
  200. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 地元との調整事項がありますので、私どもの意思で一方的に決めるわけにはまいりません。国としましては、使用協定期間中なるべく早く締結したいと考えておるわけでございます。
  201. 上田利正

    上田(利)分科員 くどいようですが聞きますけれども、地元との合意が得られましたら四次協定の締結の前に使用協定を結ぶ、こういうことで確認できますね。
  202. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 御指摘のとこりでございます。
  203. 上田利正

    上田(利)分科員 もう時間がございません。瓦防衛庁長官に最後にお願いをしたいのでございますけれども、御案内のように世界は軍縮の方向に向かって動いております。この平和のシンボルの富士山の北ろく一帯、これは富士箱根国立公園の指定地でもあります。そして、国際観光都市あるいは広域のリゾートさらには、どうなるかわかりませんけれども、リニアのモデル実験線の候補予定通過地域というようなことも実は考えられますし、合いろいろと遷都論問題も出てまいっておりますが、遷都論などこういう問題も一緒になっております。そういう中で、十年前と比較いたしまして価値観に大きな変化があらわれてきております。  一方、今申しましたように核兵器廃絶を中心とした言うなれば軍縮の時代、デタント時代というものを迎えておるわけでございますが、先ほども申しましたように県是である北富士全面返還、平和利用は現実的な課題になってきておるわけでございますけれども、このことは山梨県に住んでいる人たちは当然将来は全面返還、平和利用なんだ、こういう考え方を持っております。二十一世紀まであと十二年、瓦防衛庁長官、二十一世紀までに段階的に解消をして、西暦二〇〇〇年には全面平和利用とする方向について長官の所見を賜りたいと思うわけでございます。
  204. 瓦力

    ○瓦国務大臣 上田委員にお答えいたします。  北富士演習場は自衛隊並びに米軍にとって重要な演習場でございます。今委員が富士山ろく、いろいろな地元のお考え、また将来の展望をお持ちである、そういうことにつきましては私どもも承知をしておるわけでございますが、演習場の使用そしてまた周辺地域の方々の理解を得ながらこの演習場の継続をさせていただくということにつきまして施設庁長官並びに鈴木部長から誠意を持ってお答えをしておるところでございまして、今後も周辺地域の発展というものと両立を図りながら安定的使用を確保してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  先々の問題につきましての長官の見解いかんということでございますが、今申し上げましたように、この演習場の確保は日本の安全、安定という問題につきまして極めて重要な演習場でもございますので、御理解をいただきながら、さらに今後の課題につきまして長官並びに施設部長答弁のとおり誠意を持って事に当たらせていただくということで御理解をいただきたいと思います。
  205. 上田利正

    上田(利)分科員 時間が来ました。全面返還、平和利用を重ねて強く要望しまして、終わります。
  206. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて上田利正君の質疑は終了いたしました。  次に小渕正義君。
  207. 小渕正義

    小渕(正)分科員 私は、NLP建設問題で揺れている三宅島のこの建設問題を中心に質問をしたいと思います。  現在三宅島は、村会議員選挙等で見られますように、依然としてNLP建設については住民の大半、四分の三の人たちが反対しているわけでありますが、こういう状況の中で今後のこの建設問題に対して、スケジュール的にどのようなスケジュールを考えて進められようとしているのか、まずその点をお尋ねいたしたいと思います。
  208. 友藤一隆

    友藤政府委員 先般行われました三宅村議会議員の選挙の結果につきましては、私どもも事実として受けとめております。大変厳しい状況でございますが、御案内のとおり米空母艦載機の着陸訓練と申しますのは、日米安保体制を今後効果的に運用していきますためには欠かすことのできない機能でございますし、現在の厚木飛行場において実施をされておるこの訓練の実情等を見ますと、米側も十分な訓練が、灯火とか高度制限とかいろいろな面がございまして難しい、一方また騒音も相当な被害を多くの住民に与えておる、こういう現状を見ました場合に、早期に代替訓練場を考慮していかなければいけない、こういうことで現在三宅島にお願いをいたしておるわけでございます。  三宅島の立地条件は、御案内のとおり海に面しておりまして、海岸側にランウエーをとりますと騒音被害その他も相当軽減をされますし、適地であるということでかねてから住民の方々にもお願いをいたしておったわけでございますけれども、先ほど御指摘のとおり地元の住民の方々の反対が強いということでございます。しかしながら、ほかにこれほどの適地が現在のところ見当たりません。したがいまして、現在こういった反対論というものも、いろいろな誤解に基づいて反対をなさるという面も相当程度ございますので、私どもといたしましては、私どもが考えておることあるいはNLPについての実情あるいは三宅島に仮に設置した場合にどういう状況でこういうものが行われるのか、その際の対策はどうか、こういった点について十分地元の御理解、御協力をいただけるような説得をこれからも最大限行っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、今後の段取りでございますが、気象観測柱の設置を昨年実施をいたしまして、現在気象観測を実施いたしております。引き続いて地質調査を予定いたしておるわけでございますが、この件につきましては、先般の気象調査の際の混乱というものもございますし、関係官庁への許可と申しますか、国立公園内での工事でございますので、そういった手続等もございますので、できるだけ平穏に私どもといたしましてはこういった調査を事務的に進めさせていただきたいということで今後諸般の努力をいたしていきたいと考えておりますが、準備が整えば私どもといたしましては地質調査もできるだけ早く実施をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  209. 小渕正義

    小渕(正)分科員 まず、お尋ねしますが、なぜ三宅島が最適地なのか。島はまだいろいろあるわけですが、まずそういう意味での候補地、最適地と判断した主な理由だけ、簡単で結構です。  それとあわせて、先ほどの御答弁ですが、反対は依然としてある中でも準備が整い次第逐次進めていくというようなお話でありますが、住民の理解と協力はなくても、現状のような反対が続いても、依然そういった形であくまでも強行しようとされておるのかどうか、その点のお考えをお尋ねします。
  210. 友藤一隆

    友藤政府委員 初めに、三宅島を適地として選定をいたしました理由を申し上げたいと思いますが、まず距離的な面からいきますと、やはり現在ミッドウェーの艦載機の基地になっております厚木からの距離が近くなければなりませんので、厚木から出まして訓練を行いまして帰ってくる、こういうことで百八十キロ以内というふうに私ども考えておりますが、その範囲内にここがございます。  それから、騒音でございますが、現在厚木は相当ひどい騒音のところで訓練を実施しておるという状況もございますし、騒音の影響というものが最小限になるような場所が理想でございます。したがいまして、そういう面から見ますと、先ほどちょっと申し上げましたが、海岸地区に滑走路を建設いたしまして、NLPの周回コースを海上にとってまいりますと、騒音区域と申しますのは海上に分布をするのがほとんどでございまして、一部滑走路上にかかる部分もございますが、そこはある程度の防音措置を講ずれば相当程度、騒音の影響というものが最小限にとどめられる、こういう点が第二番目でございます。  それから、今申し上げましたように、周回コースを海上にとりますために住宅の上を飛ぶということがございませんので、万一の墜落等の事故に際しましても被害の心配がない、こういう点が第三点でございます。  それからもう一つは、やはり訓練効率と申しますか、そういった面から、現在の厚木は非常に住宅も密集しておりますし、夜間の照明が相当きつうございまして訓練の障害になっております。こういう点から、三宅島の場合は、海上を周回コースにとりますし、周辺も相当暗うございますので訓練の障害がないということで、これらを総合的に勘案をいたしまして、立地条件は極めてすぐれておるというふうに考えて、適地といたしまして現在調査を行っておるわけでございます。  それから、第二番目の強行して調査をやるのか、こういう御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、私どもとしましては、この調査は飛行場が可能かどうかということを事務的に、予備的に調査をするという前段階のものでございまして、最終的に建設を決めて工事をするというような段階ではございませんので、その点を十分地元の方々にも御理解をいただいて平穏に進めたいというふうに考えておるわけでございます。何とか平穏にこういった調査工事が実施できるようにいたしたいというふうに考えておりまして、その努力もいたしたいというふうに考えております。
  211. 小渕正義

    小渕(正)分科員 今、適地の条件としてのいろいろな理由を挙げられましたが、確かに今の厚木基地よりもそういう意味では騒音の影響度、事故のあった場合における被害度、そういったものは理解できるといたしましても、やはり無人島じゃない。ここにそれぞれ人が住んでいるわけでありまして、そういう人が住んでいるところで、今日厚木で起こっているようなああいった物すごいジェット機による騒音公害、これはそこにおられる人しかわからないと思いますが、そういう状態であることは、若干地域的に位置が変わったとしましても、受けるそういったものは、そこに住んでおられる人たちにとっては程度の差はあるとしてもやはり受忍しがたい内容になるのではないかと思うのは、これは当然だと私は思うのですね。そういう意味でこれだけの、まあ防衛庁当局は何か誤解に基づくものもあったがと、反対運動的な物の見方もされておるようでありますが、そういうものが一部あるかもしれませんが、しかし、やはり全体的に住民自身が拒絶、拒否反応をしておるわけでありますから、そういう中において、日米安保条約に基づく一つの基地としての機能をどこに備えるかということについては、そういう住民の理解が得られるものと得られないものとがあるわけでありますので、そういう点では私は非常にこの問題で、調査だから実際に着工していくことではないんだと言われておりますが、今のペースで考えますならば、恐らく調査から次の建設という方向までいきますならば、まさにこれは十年戦争、戦争と言っては悪いですが、いよいよそういう状態になっていくのではないかという感じがするわけであります。  そういう意味で、私は何も基地反対のそういった考え方ではございませんが、少なくとも日米安保条約に基づいた日本としての立場の中でそういったものをつくりながら、そして住民の皆さん方にも余りいろいろな問題を与えないような別途のそういった方法をもっと考えていくべきではないか。防衛庁としては何か一たん候補地を決めるともう非常にメンツにこだわられてか、その方針でしゃにむにやられるような感じが我々第三者的に見るとするわけであります。なぜ代替ということでもう少しほかのものを考えられないのか、その点について、これはもう時間がありませんので先を申し上げますが、あの場所でなくして、あれだけの広い海があるわけですから、そういう海を活用しての別途の代替案が十分可能だ、こういう案も出ておるわけであります。そういう意味で、この問題についてはもっとそういう立場、角度からの検討が必要ではないかと思うのであります。  防衛施設庁がそういった代替案としての海上浮体工法的な対案についてはたしか、公式的には採用できないという表明を、昨年の暮れ、十二月ですか、やられているわけであります、これは、実際に防衛施設庁のどのような会議の中でこのような結論が出されたのか、そういった正式の検討の内容、検討の主体である会議体はどういう会議の中で、どのようなメンバーの構成の中で、このような公式表明がなされたのか、その点についての状況をお示しいただきたいと思います。
  212. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 昨年の十二月二十五日の発表は、たまたま防衛施設庁の記者クラブから浮体について説明してほしいという御要望があったのにこたえて、定例記者会見の席で資料を配付して説明したというものでございます。  防衛施設庁といたしましては、昭和五十八年から浮体飛行場に関します資料の収集を行ってきたわけでございますけれども、まずこれは未来の技術開発の方向として否定するものではございませんけれども、現段階では種々の理由により採用することができないと考えておるわけでございます。  その理由でございますけれども、まずNLPを実際に行います米軍が浮体飛行場を希望していないということ、さらに太平洋の外海に長さが二千メートル以上という大きな浮体構造物を設置すること、それをどういう構造のものをつくったらいいか、あるいはそれを維持していくのにどういう問題があるか、これらの技術につきまして従来から基礎的な研究は行われておりますけれども、まだ世界に実用例がございませんし、実用性を十分評価するだけの技術的実証がさらに必要であるということでございます。さらにはこれをつくります経費あるいは維持保守に要します経費が陸上飛行場に比べまして著しく高くなるということ。それからこのようなものを海上に設置するにつきましては、海の深さ等にもおのずから制約がございます。そういうところは船舶の航行であるとか、それから漁船の操業であるとか、こういう面の調整がまた必要になってくる。このような困難な面があるということでございます。
  213. 小渕正義

    小渕(正)分科員 その理由はもう発表になっているのでわかっておるわけでありますが、そういう判断をした主体はどこなのかということを聞いておるわけです。担当者のレベルでそういう判断をしてこういうことをしたのか、施設庁内部できちっとこの問題に対する会議構成体を何かつくって、それぞれ各関係者の中でいろいろ検討された結果としてこういう判断を示されたのか、その点の内容はどうなのかということを聞いている。
  214. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 これは防衛施設庁の内部で担当がいろいろ検討した結果、トップまで上げまして防衛施設庁としてこういう考え方を決めたということでございます。
  215. 小渕正義

    小渕(正)分科員 要するに担当者レベルの中で検討された結果としてこういった今も申された四つぐらいの主な理由で採用できないということを判断されたわけですね。私どもがいろいろと調べている範囲の中では、これは議論になりますので余り申し上げませんが、やはり防衛庁内部でも関係者、そういう海洋土木技術の関係者、しかもこういう問題提起をしている、対案を出している技術者、そういう者も入れた中で、入れたというか参考に十分聞くような中で、きちっとした中でやられるならいざ知らず、初めから単なる担当者レベルの中で頭から、頭からと言ったら悪いけれども、ともかく何か初めから採用できないような形の中でこういう判断をされるということは、私は、先ほど言うように、三宅島問題がこれだけ大きな社会問題になっている中においては、もう少しそういう意味においても慎重さを持って対案の可能性についてもっと社会的に納得できるようなやり方をしないことにはいかぬのじゃないかという気がするわけですね。  そういう意味で今も申し上げておるのですが、特に先ほどから米軍のことをいろいろ言われているが、私どもがいろいろ聞いて調べた範囲では、米軍が必ずしもこれについてどうのこうのという判断を示していない。それは最終的には日本の問題だということで、それが好ましいとか好ましくないとかいうことは、そういう判断は米軍の関係者の中では示されていないということを我々聞いているわけです。したがって、この問題で防衛庁が絶えず言われるのは、まず米軍が同意しない。米軍のことをにしきの御旗みたいに理由にされておるけれども、実際にこの問題で正式に防衛庁として米軍に検討を求めたということがあるのかどうか。実際にはそういったものはない中で、ただ感触的なことで言われているのではないかと思いますが、そこらあたりについてはいかがですか。
  216. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 防衛施設庁といたしましては、浮体飛行場案を昭和五十八年から資料収集などを行う際から始まりましてこれまで何度か米軍の意見を聞いております。また最近では昨年の十一月に私自身が米軍の施設担当の責任者にメモを渡しましてメモの往復という形で米側の意思を確認しております。いずれにいたしましても米軍の見解は否定的だったということでございます。
  217. 小渕正義

    小渕(正)分科員 米軍といってもいろいろな人がおられるでしょうから、そういう意味では防衛施設庁が言われるのも間違いないだろうし、私どもが調査した範囲の中で、いろいろわかった範囲の中における責任者の方の発言もまた私は間違いないと思うのですね。だから、そういう点では、先ほど申しますようにこれだけ大きな社会問題になって、しかも住民は絶対これは最後まで拒絶反応で抵抗すると思うのです。そういう中でこういった強引な手法というのが日本の防衛問題、日米安保条約の根底まで結果的には国民の理解を得られないようなことで崩していく結果になるのじゃないか。そういう意味で私は非常にこの問題を懸念しているわけでありまして、そういう意味では防衛庁も余りメンツにこだわらず、もう一回白紙に戻していろいろな案を検討するということも必要じゃないかと思う。そういう意味で、長官がおられるから、長官はまだ就任後余りないと思いますが、長官はセミサブ式滑走路の資料というのは見られましたか。この方式、こういうもの。初めから一部の担当者の人たちの単なる頭からのあれじゃなしに、長官自身もいま少しこういった問題に十分に目を通していただいていろいろ検討してみるということが必要じゃないでしょうか。とにかく今までの防衛庁のレベルでは、初めから、それはだめだ、どちらかというとそういう中で今まで話が進んでいるというふうな感じを我々は受けるわけです。しかも、私、これは関係者から資料を見せてもらったのですが、もちろん分厚いもので技術的な問題もありますが、かなり具体的なものが検討されておるわけでありまして、私も今の日本の海洋構造の技術からいくならば、前例がない、実例がない、技術的にまだそういう意味での不確かさがあるとか言われているが、少なくとも前向きな形でこの問題を見てみますなら、必ずしもそういった、ただノーという結論にはならぬじゃないかという気がするのです。そういう意味で、どうですか、長官、日米安保条約の、こういうことで無理して住民の反対を強引に抑えつけたりして強行するようなことを繰り返すようなことがあれば、これは国民自身が防衛問題に対してまた拒絶反応をするような傾向にだんだんなっていくんだと思うのですよ。そういう意味から考えても、私が聞くところでは、東京都庁も真剣に何かほかに対案がないものかということで現在そういった方向に移りつつあるような話も聞いておりますし、余り三宅島がこういう問題になって今反対運動があるから、じゃ防衛庁、引いてしまったということでは困るということかもしれませんが、そういう目先の問題じゃなしに大局的な我が日本の防衛政策のあり方という問題からも、もう一度見直してみるということが必要じゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうかね。
  218. 友藤一隆

    友藤政府委員 先生御提言の趣旨、大変ありがたいと思うわけでございますが、私どももこのNLPの問題が起こりましてから常時いろいろな代替案について検討はずっと続けてきておるわけでございまして、話題に上っております浮体の問題についても、新しい情報が出ますとすぐ担当者をやりましてその状況等について聴取をさせ、検討をしておる、こういう状況でございます。ただ、現在まで運輸省とかいろいろなところからも資料をいただきましたが、開発の可能性としては、先生御提言のとおり、確かに将来の問題としてはあろうかと思いますし、そういった方向でのいろいろな実験等も行われておるわけでございますが、私どもの現下の訓練場の建設は急を要することでもございますし、先ほど部長から御答弁申し上げましたとおり、諸般の状況を勘案いたしますと、現在の解決策としてはやはり陸上における訓練場の設置というものが最適のものであろう、私どもとしてはこういう判断でやっておるわけでございますが、諸情報等新しいものが出ました段階におきまして、そういったものを収集して常に検討をするという姿勢においては変わりないことをつけ加えておきたいと思います。
  219. 小渕正義

    小渕(正)分科員 これは神奈川新聞の本年一月一日号で、注目集める浮体空港問題について特集しているのですね。これはもう時間がありませんので多くは申し上げませんけれども、この中でも「防衛施設庁は、依然、「在日米軍は、現時点では、浮体は適当ではないと明言している」というが、具体的な資料を添えて、この是非を米側に正式に提案したことはない。」こういうことが書いてあるのですね。  そういったことをいろいろ考えますならば、実は水深二百メーターまでのところであれば何も三宅島の周辺じゃなくても、このセミサブ方式はどこの地域の海域でもいいわけですよ。ただ問題は、十時ごろまでに訓練が終わって自宅に帰るための範囲からいくと、厚木周辺から二百キロの範囲だということで線を引いてありますが、その範囲の中で水深二百メーターの地域というのは、調べてみますともう幾らでもあるのです。だから、何も三宅島の横にそれをやれというのではなしに、そういう意味では、その気になって検討すれば海上の立地はいろいろあるのですよ。  だから、そういうことをいろいろ考えますならば、別に私どもも、三宅島の皆さんが反対しているからこれに便乗してやろうという気持ちはいささかもありませんけれども、少なくとも何とか打開の道はないものかと考えるならば、私たちとしても、もう少しこういった問題で防衛庁が本当に社会的に信頼されて理解できるような方式、そういうやり方というものをもっと考えなければいかぬのじゃないかと思うのですが、そういう意味でどうなんですか、反対の人の心にまでくいは打たれぬということはもう皆さん知っているわけですから、防衛庁の中でこの問題に対する正式な委員会でも設置して、各種の専門委員でも入れて、そしてきちっと検討していく、そういうこと等の中でやらぬと、ただ、今の防衛庁関係者だけでやって、これはだめだということでは社会的な理解は得られないのじゃないかと思うのですが、そういった点についての長官のお考えはいかがでしょうか。
  220. 瓦力

    ○瓦国務大臣 先ほど施設庁長官もお答えしておることに尽きるわけでございますが、たしか私は建設委員長を務めておりましたときに、小渕先生に何人かの同僚議員をお連れいただいて、浮体工法についてこういう工法があるぞというお話を伺ったことがあったかと思うわけでございます。一つは造船の問題もありましたし、一つは新しい工法としてどうだというような課題も含めてお話をいただきまして、私も興味を持っておった件でございます。  ただ、三宅の問題につきましての答弁、さらに、この件につきましてのNLPに関係いたしましては、私どもは三宅の地域の発展ということも踏まえながら、そしてまた騒音等につきましても、なるべく海寄りにつくるとか、実はできるだけ御協力をしながら静かな話し合いをさせていただきまして理解を得たい、振り返ってみて、そういうことに関してまだ努力することがあったのではないかということもございます。  それはそれといたしまして、今ほど御提議の件につきましては、今委員会を設けるということでなくても、常々どういった方法がいいかということについて研究を旺盛にしてまいる、そういうことで取り組みをしていく、防衛関係の問題につきましてそうしたことを施設庁でも常々心がけていくということは大切なことだ、かように考えております。  以上、お答えいたします。
  221. 小渕正義

    小渕(正)分科員 慎重な御発言から一歩も出ないわけでありますが、確かに地域の発展、開発を含めてのあれでしょうけれども、これだけ新しい今の飛行技術の中でのああいうジェット噴射の騒音というのはますます、従来のプロペラ機ではないわけですから、もし、いかに住民の人たちがやむを得ないと思って理解したとしても、現実にそこでこれが行われるようになったときに、私は物すごい反対運動がまた出てくるのではないかというおそれさえなきにしもあらずというふうに思うわけでありますが、いずれにいたしましても、この問題は簡単に、一朝一夕に解決する問題ではないと思います。まだまだ時間がかかる内容じゃないかと思います。いろいろ考えていろいろやってみたけれども、どうしてもこれしかできないということについての、社会的にももう少し皆さんから理解を得られるようなやり方を防衛庁としてはやっていただきたい。今のように、ただ担当者レベルの中で、これはだめだ、あれはだめだ、米軍はだめだとかいうことですが、突き詰めていけば、米軍だって正式にきちっとした話じゃないわけでありますので、そういうことをいろいろ考えますならば、そういう意味では柔軟な形でこの問題をもう一度いろいろと、必要によっては再検討していただく、防衛庁としてはそういう姿勢だけはぜひ持っていてほしいということを特に要望いたしまして、私の質問時間が来ましたので終わります。どうもありがとうございました。
  222. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて小渕正義君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  223. 上原康助

    上原分科員 リムパックの件についてお尋ねしたいわけですが、その前に二点ほどまずお尋ねしておきたいと思います。  一つは、米軍機の騒音規制協定の問題ですが、厚木、横田両飛行場の騒音規制については、御承知のように昭和三十八年九月厚木基地、横田基地が三十九年四月、特にアクロバット飛行の禁止を明確にした日米合同委員会での取り決めがございますね。まずそれを確認したいと思います。
  224. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 ございます。
  225. 上原康助

    上原分科員 こういう取り決めがあるのに、復帰の時点で沖縄の嘉手納米軍基地あるいは普天間基地等に適用しなかったのはどういう理由ですか。
  226. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 米側は沖縄における騒音問題を十分認識いたしておりまして、復帰の際には、先生御指摘のとおりいわゆる合同委員会の取り決めというようなものはつくられませんでしたけれども、他方、嘉手納飛行場につきましては昭和五十四年十二月に、また普天間飛行場につきましては昭和四十九年十月にそれぞれ、日米合同委員会の下部機関でございます航空機騒音対策分科委員会に対しまして騒音防止のためにどのような措置がとられているかということを報告してきているという経緯がございまして、米側は、従来、先生が御指摘になりました厚木海軍飛行場、横田飛行場においてとられるのとほぼ同様の措置をとるように努力をしていると申してきていることはございます。
  227. 上原康助

    上原分科員 きょう多くを議論するゆとりがないのですが、そうしますと、防衛施設庁、ほぼ同様の騒音規制が加えられているのですか、沖縄の場合。
  228. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 沖縄の嘉手納及び普天間飛行場の騒音問題につきましては、現地に設けられました三者協議会の下部機関、幹事会におきまして話し合われまして、それぞれ米側が自主的に行っている騒音規制について話し合われた経緯がございます。先ほど御答弁がありましたように、ほぼ同様の騒音規制が行われていると承知しております。
  229. 上原康助

    上原分科員 実態を聞いているのです、実態を。米側が自主的に規制をしていて、実態は本当に同等の規制になっておりますか。三者協はあくまで紳士協定でしょう。  そこで、これは外務省と防衛施設庁に要望を加えて言っておきますが、中身については皆さんもよくおわかりだと思うのです。厚木の場合も横田の場合も危険きわまりない曲技飛行を、いわゆるアクロバットを、横田の協定では「禁止する。」と明記していますね。厚木のそれでは「曲技飛行及び空中戦闘訓練を実施しない。ただし、年間行事のデモンストレーションは、その限りではない。」というふうにこれは明確になっているのですね。あなたはそれはあると言った。取り決めはある。一方は紳士協定だから米側が自主的に規制をする以外ない。だからアクロバット飛行を今どんどんやっているんじゃないですか。そういうことで、これは早急に嘉手納並びに普天間についてもこの厚木、横田と同等の、日米合同委員会で話し合って協定を取り交わす、そしてアクロバット飛行を規制をする、そういう方向で善処いたしますね。
  230. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 米側は、いわゆる曲技的な飛行というのはパイロットの練度を維持するために大変に大切な訓練であるということを申してきておりまして、先ほど申し上げました厚木飛行場あるいは横田飛行場におきましては、いわゆる曲技飛行についてそれぞれ規制が行われておりますけれども、嘉手納につきましてそれと類似の規制をすると申しておりますが、それはその当該施設、区域の運用の必要性、それの範囲内ということも申しておりまして、先生のおっしゃられたことは私念頭に置きますけれども、いわゆる曲技飛行については今最初に申し上げましたようなことがあることを御理解いただければと思います。
  231. 上原康助

    上原分科員 それは理解できないのだよ。差別なんだ。区別なんです。返還時に日米安保条約並びに関連取り決めを同等に適用する、これが本土並み返還という基本だったでしょう。だから、厚木や横田でなされているような同等の取り扱いをやるというのは政府のやらなければいけない義務なんだ、沖縄返還について。これを善処いたしますね。
  232. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 先生おっしゃられましたとおり、本土並みということでございまして、他方、施設、区域が提供されます場合に、その施設、区域の使用目的というものは一つ一つ異なるわけでございまして、すべてにおいて同様でなければならないということを全うするのもこれまた難しいことだと思います。少なくとも安保条約、地位協定、その他関連の取り決めが同じように適用されているということはあるわけでございますから。
  233. 上原康助

    上原分科員 あなた、そんな矛盾した指導で、またそういうことできょうは時間を食いたくないですが、だれが聞いたって強弁じゃないですか。いつまでそんなことをやっているのだ、本当に、外務省も防衛庁も。これは明らかに同等の取り扱いでないわけだからね。一方は日米合同委員会で正式機関で決められたもの、一方は単なる三者協議会で紳士協定。ですから、この件については検討いたしますね。
  234. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 騒音の問題が沖縄におきまして大変に深刻になってきているということは十分私ども認識してきている次第でありまして、これはつとにアメリカ側に話しているわけでございます。その脈絡の中でこれも考えていける問題かと思いますが、最初に申し上げましたように、米国のパイロットの訓練、その中で何が必要とされているかということがあることもおわかりいただきたいと思います。
  235. 上原康助

    上原分科員 それを聞いているんじゃないのですよ、あなた。これは非常に重要な問題なので、外務省、防衛庁、今あなたはそういう協定があるということは認めたわけですからね。それを差別、区別するというのは断じて許せない。早急に日米間で話し合うように強く要求しておきます。  次に、ASWOCの件についてちょっとだけお尋ねしておきたいわけですが、六十三年度予算にもこのASWOCの施設を、那覇基地にセンターをつくるということがはっきりしているわけです。送信所用地、受信所用地についてはどうするのか、その計画について明らかにしてもらいたい。
  236. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 六十五年度に那覇基地にありますP2JにかえましてP3Cを配備したいと考えておりまして、この配備に伴って必要になる送受信施設を沖縄県内に整備したいと考えております。  送信所、受信所の用地につきましては、現在選定作業をしておるところでございまして、まだどこにするか決まっておりません。
  237. 上原康助

    上原分科員 これも強く防衛庁に猛省を促しておきますが、皆さんはいつもそういう逃げの答弁だけをやって、既にいろいろな形で土地取得の暗躍というか行動をやっていながら、聞くと、まだ選定をやっていないなんて、そんなしらを切ったようなことを言いますが、それでは納得できませんよ。  金武町のギンバル訓練場あるいは旧本部の補助飛行場、マイクロ中継基地はキャンプ・ハンセンということで進んでいるわけでしょう。しかも金武町もこのギンバルを使うということには全会一致で町議会において反対をしている。先ほどの三宅の問題もそうなんですが、このことを念頭に置いてこの問題は進めていただきたい。ごり押しはしませんね。これは施設庁長官か防衛庁長官でお答えください。――何のために長官二人いるのだ。
  238. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 送受信所の用地につきましては現在選定作業中でございまして、地元にいろいろな御意向があることも承知しております。これは二カ所が一つのセットになるものでございますので、片方だけを決めるとかいうようなこともできないということで、選定にはちょっと時間がかかる問題であると思っています。
  239. 上原康助

    上原分科員 では、今私が特定した地域は該当していませんね。
  240. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 候補地になり得る場所としてそういうところがあることは承知しておりますけれども、一つ一つの場所について候補地であるとかないとかいうことをお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  241. 上原康助

    上原分科員 いつ決めるのですか。
  242. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 六十三年度予算からこの関係の経費を今御審議をお願いをしておりますので、防衛庁、防衛施設庁としましてはできるだけ早く決めたいと思っております。
  243. 上原康助

    上原分科員 少なくとも地域住民の意向を無視する、予算がついたから強引にやるということをやれば、また国頭村におけるハリアーパッドの問題と同様な反対闘争が起きるということだけは強く忠告をしておきたいと思います。  次は、88リムパックについてお尋ねをしたいと思います。  まず、自衛隊の集団行動で、訓練と演習はどう違うのですか。
  244. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えいたします。  自衛隊の部隊訓練の中で、総合的で規模の大きなものを演習というふうに言っております。ただ、その定義につきましては陸海空の教育訓練に関する訓令において定めております。
  245. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、リムパックは演習ですか訓練ですか。
  246. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 リムパックにつきましては、数年前から御答弁申し上げておりますが、部隊訓練である。訓練である。なぜかと申しますと、海上自衛隊の場合には、先ほど申し上げました海上自衛隊の教育訓練に関する訓令におきまして、演習というのは自衛隊法の六章の規定に定める行動にかかわるもの、つまり、防衛出動あるいは海上における警備行動等の場合における行動の仕方を演練するものを演習というと特に定めておりまするために、海上自衛隊の本件訓練は部隊訓練である、演習ではありませんと御答弁申し上げてきている次第であります。
  247. 上原康助

    上原分科員 訓練局長、今あなたは、総合的で規模の大きいものは演習であるとおっしゃったでしょう。このリムパックというのは、総合的で規模の大きい派遣じゃないの。余りにも子供だましの答弁をしないでくださいよ。
  248. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 御説明します。  総合的で規模の大きなものといいますのも、これは政府の答弁書の中で累次繰り返し御説明しておるところでございまして、私の思いつきで申し上げたわけではございません。  ただ、今の演習の定義につきましては、海上自衛隊の訓令で特別に規定がございまするために、リムパックはいわゆる自衛隊の防衛出動あるいは海上における警備行動を直接念頭に置いた訓練ではございませんから、戦術技量の向上のために汎用的な目的のために行う部隊訓練であるというふうに定義しておるわけであります。
  249. 上原康助

    上原分科員 そんな矛盾だらけの答弁じゃ納得できませんね。もちろんこれは海上自衛隊の教育訓練に関する訓令の中にありますね。その四十六条に「演習」というのがある。  そこで、今年の88リムパックに海上自衛隊は参加するのかしないのか。どういう準備をしているのでしょうか。
  250. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 リムパック88につきましては、昨年の四月でございますが、太平洋艦隊司令官から海幕長にあてまして招待状が届いております。その六月に海幕長の方から、長官の御承認を得まして予算がお認めいただけまするならばリムパックに参加する意向があるということを回答した次第であります。現在予算を審議していただいているというのが段取りであります。
  251. 上原康助

    上原分科員 どのくらいの規模で参加するのですか。
  252. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 海上自衛隊につきましては、護衛艦は八隻、それから潜水艦が一隻、それから補給艦が一隻ということを考えており、また対潜哨戒機、大型のP3Cの八機を、これも去年と同じでございますが、派遣したいと考えております。ただ、その八機のうちの一機につきましては事前に派遣をいたしまして、情報の伝達上の訓練の効率化を図りたい、こういうふうに考えております。一遍派遣しまして、帰ってきた、それが一緒になって八機となって行くという格好になります。
  253. 上原康助

    上原分科員 補給艦の派遣というのは初めてですね。どうしてですか。
  254. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 補給艦は、訓練に際しまして必要な武器、需品あるいは燃料等の補給を行うものでございまするけれども、これまではそれは米艦艇に依存しておったわけであります。昨年の防衛自書あるいは三年前の白書にも写真が載っておりますが、これはアメリカの補給艦でございます。洋上補給は、我々にも補給艦がございますので、作戦に随伴できる能力のある補給艦を今いただいておりますから、それを出すことにしたい、こういうふうに考えただけでございまして、特別の意図があるわけではありません。
  255. 上原康助

    上原分科員 特別に理由がなければ何も補給艦まで派遣する必要はないじゃないですか。  防衛庁長官にお尋ねをいたします。  海上自衛隊がこの種の演習をやる場合は当然大綱を長官に報告する義務があると思うのですが、既に報告は受けたのですか。
  256. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 これは当然大臣にもお話し申し上げております。
  257. 上原康助

    上原分科員 大臣、どういう報告を受けたのですか。いつ、どういう報告を受けたのですか。いや、今大臣に聞いている。あなた、いいや。
  258. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 リムパックというものについての御説明をしてあるということを私は申し上げたわけでございます。細部が決まりまして、これから出港するという場合にはもちろんまた別途大臣に、こういうことで決まりましたのでこういう参加をいたしますということで申し上げるということでございます。
  259. 上原康助

    上原分科員 訓令はそうはなっていないのじゃないですか。四十五条、部隊訓練の二項の後段は「海上幕僚長は、あらかじめ訓練の大綱を長官に報告しなければならない。」なんです。だから私は、この間からシビリアンコントロールの問題を指摘している。  さらにもう一つ、四項でも「海上幕僚長は、アメリカ合衆国軍隊と協同して部隊訓練を実施し、又は特殊な部隊訓練を実施しようとする場合には、あらかじめ訓練の大綱を長官に報告し、」というふうになっているのです。長官は、大綱を知らないんじゃないですか。これだけの、しかも四護衛艦群、一機動部隊が行くんです、一護衛隊が。
  260. 瓦力

    ○瓦国務大臣 長谷川局長から答弁いたしましたが、四月十七日、太平洋艦隊司令官からその招待状が届き、六十二年六月十二日、長官の承諾を得て米太平洋司令官に対して、六十三年度予算が認められればリムパックに参加する意向がある旨回答した、かようなことを含めて報告をいただいておりますが、参加につきましてあらかじめ長官に報告ということになっておりまして、具体的にリムパックの概要につきまして、参加国等の関係もございますから、その時期が至れば、局長よりまた海幕長より報告がなされる、まだその機に至っていない、私はかように理解をいたしております。
  261. 上原康助

    上原分科員 リムパックの時期はいつなんですか。
  262. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 時期は夏ごろということでございますが、まだ正確にきちんと確定したわけではございません。
  263. 上原康助

    上原分科員 昨年の四月に招待状が来たわけでしょう。六月に参加するということ、予算が通ればという前提はあるのかもしらぬが、いつやるかということはアメリカ側は恐らく皆さんには言っているはずなんです。なぜそれさえも明らかにしないのですか。  それともう一つ、第三艦隊の任務は最近変わったの。どうなっているのですか。それも明らかにしてください。
  264. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 第三艦隊は、東経百六十度以東でございますか、太平洋の東半分の担任区域を持つ艦隊でありまして、主たる目的は教育訓練だ、変わってはおらないと考えております。
  265. 上原康助

    上原分科員 本当に防衛庁はそういう御認識ですか。第三艦隊は、少なくとも84リムパック以降変わっているはずなんです。明らかに攻撃機動部隊になっているはずなんです。違いますか。はっきりさせてください。
  266. 小野寺龍二

    ○小野寺政府委員 第三艦隊の基本的な任務は変わっていないと承知いたしております。
  267. 上原康助

    上原分科員 それは非常に疑問がありますね。私がなぜこのことを聞くかといいますと、集中審議でお尋ねできるかと思って若干準備をしたのですが、時間が非常に足りないので、第三艦隊の空母カールビンソン、それから空母レンジャー、二隻の空母を相手にした護衛艦八隻を送る。しかも補給艦も派遣をする。人員も倍々でもう第一回目からはほぼ三倍以上に膨れ上がっている。しかも、この空母は明らかに核弾頭を搭載しているということ。そして、なぜ防衛庁が最近にわかにイージス艦を購入したいということを言い出すかというと、86リムパックからビンセンス、九千六百トンというのが参加をし、この機動能力が86リムパックで非常に評価をされた。だから、海上自衛隊もイージス艦システムを購入するという計画を急いで中期防以降に登場させているということ、しかも、この88リムパックの参加艦艇には明らかにトマホーク搭載の可能性のある艦艇、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦が参加するということ、そうしますと、核機動部隊と我が方の自衛隊が合同で大規模な演習をするということは、従来政府が言ってきた個別的自衛権を逸脱した集団的自衛権への海外派兵であることは間違いないですよ。核機動部隊と一緒に自衛隊は合同演習できるのですか。これも明確にしてください。
  268. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えします。  私どものリムパックは、米側の公表もそうですが、最初から徹頭徹尾、通常兵器による海上戦闘の主要な局面について演練するものである、コンベンショナルのものである、こういうことなんであります。それからまた、集団的自衛権の行使を前提とするものではない、これがはっきりしましたので80リムパックから参加した、こういう経緯であることを念のために申し上げます。
  269. 上原康助

    上原分科員 いつまでもそういう答弁でごまかせる時代ではなくなっているんですよ、あなた。  時間がありませんからもう一点確認しておきたいのは、では、リムパックとチームスピリットはどう違うのですか。簡単に言ってください。
  270. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 リムパックは、特定の勢力を敵対勢力として想定するようなことをいたしておりません。他方、チームスピリットの方は、米韓の集団安保条約に基づいて行われるものであります。
  271. 上原康助

    上原分科員 全く対応は同じなんですよ。明らかにソ連を敵視をした合同演習であるということ。  そこで、もう時間がありませんが、こういう見方があるわけですよ。防衛庁長官も聞いておいていただきたいのですね、こういうものの中身を。「同盟諸国を全面的に動員する海軍の演習は、「太平洋の周辺」、つまりリムパック演習である。一九七一年にはじまったリムパックは二年ごとにハワイ州のカホオラヘ島、サンジエゴ、パールハーバーでおこなわれ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、」なぜニュージーランドが去年参加しなかったのか聞きたいですね、時間があれば。「米国が参加していた。アメリカからの圧力と日本国内の再軍備圧力を反映して、日本は一九八〇年にこの演習にはじめて参加した。」これが私は正しい見方だと思うのです。皆さんが幾ら個別的自衛権の範囲内と言ってみても、あるいは専守防衛の範囲内と言ってみても、これだけのアメリカの第三艦隊が従来の訓練機動から核攻撃機動に編成がえをした中で一緒に合同訓練、合同演習をやるということは、明らかに集団的自衛権の行使である。しかも、トマホークを初め核装備をしているということ、この問題はこれからポンカスの問題を含めて大きな防衛問題になっていくであろうということを指摘をして、時間ですから、きょうはおいておきたいと思います。
  272. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、冬柴鉄三君。
  273. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 私は、昨年九月にオスロ市においてノルウェーのブルントラント首相及びホルスト国防相によるノルウェーの安全保障政策に関する講演を聞く機会に恵まれました。周知のとおり、ノルウェーの地理的、戦略的位置というものは、ソ連と百九十六キロメートルにわたって国境を接しておりまして、ゼベロモスクを基地とするソ連最強の北洋艦隊及びコラ半島並びにレニングラード地区に配備された核基地による脅威が存在しておりまして、その上米国とソ連の間の最短飛行経路上に位置する、このような特異性がございます。  ブルントラント首相というのは女性の首相でございますけれども、この講演は非常に興味のあるものでございまして、ノルウェーは地理的にユニークであるがゆえに安全保障と軍事戦略においてもユニークなものを進めなければならないのですと切り出して述べられました安全保障は、まさにユニークなものでございました。そして何よりも主体的である点に深い感銘を覚えたのでございます。そこで語られたノルウェーの安全保障政策の根幹というのは、NATOに加盟し、集団安全保障により戦争を抑止しつつ、出過ぎない、目立たないということを配慮いたしまして、対ソ信頼醸成措置を何よりも重視する、このようなものでございました。具体的には、平時には同盟国軍隊の駐留は認めない、二つ目に、核はテストせず生産せず平時は持ち込ませない、三つ目に、ソ連国境に接するフィンマルク県及び東経二十四度以東海空域での軍事演習及び航空機の飛行は認めない、それから四番目に、NATO軍との共同軍事演習はあらかじめソ連に通告をして、また見学の機会を与えた上で行う、最後に、武器、弾薬、資材の集積はソ連国境から引き離してノルウェーの中部とする等々のことでございました。そして、平時に同盟国の軍隊の駐留を許さない、その理由といたしまして、有事に際しどの程度の増援を必要とするかということはノルウェー国民自身が決定すべき事項だと信ずるからだと述べ、これは政治的にノルウェー国自身のアイデンティティーを確立するために不可欠であるからだと信ずる、このように述べていられました。  さて、日本はどうかというふうに考えますと、地形的には我が国も太平洋に弓形に張り出した列島でありまして、四面環海の島国でございますが、北海道はサハリン、いわゆる樺太、あるいはソ連が占領している北方四島というところに非常に近接をしております。また、ウラジオストク、ナホトカ、サハリンスキー等々、強大なソ連の極東艦隊が近接して存在している。そしてこの艦隊が太平洋に進出する最も重要な経路の上に我が国の領土が位置している。そしてまさに米ソ軍事的対峙の関係において極めて重要な戦略的位置を我が国は占めている、このような点でノルウェーと非常に類似して共通するな、このように私は感じたわけでございます。  我が国にも非核三原則、もちろん憲法による専守防衛、それから防衛費のGNP比一%枠、あるいは憲法解釈に基づくもろもろの国会決議等々、周辺諸国に対する信頼醸成措置、すぐれた政策が積み上げられてきたと私は思うわけでございます。しかし、このGNP比一%枠ということが崩れ、非常に残念に思うわけでございますけれども、長官に抽象的なことをお伺いして申しわけないのですが、安全保障政策というものの中における信頼醸成措置の重要性、長々と述べましたけれども、これをどのように認識されるかお答えをいただきたい、このように思います。
  274. 瓦力

    ○瓦国務大臣 信頼醸成措置という国際的定義といいますか、定かではございませんが、我が国も平和国家といたしまして、憲法のもとに、外交の分野であれまた各般にわたって日本の平和国家としての活動を続けておるわけでございますし、また我が国の防衛政策におきましても、大綱を踏まえ中期防衛力整備計画、かようなことで国の安全を確保してまいる、さような努力をしておるわけでございます。  かような立場に立ちまして考えてみますと、いわゆるソ連とのかかわりにおきましては、極東におきましての核戦力を含めて強大な軍事力を有しておるソ連と我が国の防衛力、これは客観的公平に見ましても日本がソ連に対して脅威を与えるというようなことでないことは委員も御承知のとおりでございます。私は、我が国の防衛議論でも開かれた中で議論されておる国、このようなことを考えてみましても、私どもは軍事大国とはならない、さらに専守防衛、こういうことを踏まえてまいりますと、なすべきことはソ連側にある、かように申し上げたいわけでございますが、我が国の外交路線を踏まえながら防衛は防衛という限られた中で努力をしてまいる、このことで日本という国が他から見て信頼が得られる、かような国であるべきだ、かように考えておるわけでございます。
  275. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 私は、ここで従来行われたような一%の枠を超えるか超えないかという議論でなしに、それももちろん大事な議論だと思います、これからもやっていかなければいけない議論だと思いますけれども、このGNP比一%の枠内で防衛費を賄っていくという政策というのは、長官が挙げられました大綱と相まって周辺諸国に対する信頼醸成措置の上でも最も大切な政策であったのではないか、このように非常に重く見ているわけなんです。この点について若干長官に、ことしの予算でも超えるわけですけれども、信頼醸成措置という観点から見てどのようにお考えになられるか御答弁をいただきたい、このように思うわけでございます。
  276. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生の御質問の趣旨というのは、我が国がずっと取り続けております防衛政策というものにほとんど同じ考え方ではなかろうかと思うわけでございますけれども、先ほど防衛庁長官から申し上げたように、我が国の防衛というのは、他国に脅威を与えるといいますか、ある得意わざ、相手を震え上がらせるといいますか、そういうものを持って自分のところに対する攻撃を抑止しようというものではなくて、ともかく降りかかってくる火の粉は払おうという、一言で言えば専守防衛という方針をとっておるわけでございます。  そこで、この専守防衛という基本方針というものはある意味では非常に難しい選択でございまして、こちらから何も仕掛けるわけでございませんので、相手方の出方に応じて行わなくてはいけないという意味で、どこかがこういう攻められ方であれば守れるけれどもこちらではだめだとか、そういうことではありませんので、やはりすき間のないオールラウンドのものでなくてはいけない。ただし、それはすべて防御的なものであるという点で、何か一つだけ得意わざを持つということに比べてかえって経済的でないではないかとか、いろいろそういった御意見がございますけれども、何度も申し上げているように、私どもとしてはともかく防ぐ、防御をするということを中心に防衛力をやっていこうということになりますと、それなりの経費がかかるということもまたお認めいただきたいと思います。もちろん、我々としては常に必要にして最小限のものにとどめる、できるだけ経費の効率的な使用に努めることに努力はいたしておりますが、その点、今年度の予算についても計画なりあるいは年度の予算編成においてできる限りの削減努力というのはしてあるつもりでございますが、先生のおっしゃる一%を若干超えたという状況になったということを御理解いただきたいと思います。
  277. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 専守防衛に徹する、これでなければならない、このように思うわけでございますが、六十三年度予算に防衛費は三兆七千三億円、百三十五円で計算していいのかどうか知りませんけれども、換算をしますと二百七十四億ドル。これは先ほどのノルウェーの首相の言葉を比喩的に使えば出過ぎ、目立ち過ぎというような感じを私は受けるわけです。竹下総理大臣は、施政方針演説におきまして「平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならず、」云々、このように演説されました。この二百七十四億ドルの防衛予算どこの演説の中の「軍事大国とならず」という部分の整合性、これは総理に聞かなければならないのかもわかりませんけれども、長官、二百七十四億ドルでも軍事大国ではないんだ、こうおっしゃるんだろうと思うのですけれども、我々国民にもわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
  278. 西廣整輝

    西廣政府委員 軍事大国という意味は必ずしも定義して使われているわけではございませんが、私ども承知している限りでは二つの側面があろうと思います。一つは、まさに軍事力そのものの大きさというもの、あるいは持っている軍事力の質という点に着目した軍事大国という点もございますし、もう一点、我が国で軍事大国と言う場合にはかつての旧軍時代のことも含めて軍国主義的な物の考え方というのと、両方含めて従来政府では軍事大国にならないという意味を申し上げていると思います。  後者の点について言えば、御承知のように現在の日本は議会制民主主義という中で十分コントロールされた防衛政策というものをとっておると思いますが、小国といえども、軍事力が小さくてもそういう軍国主義的な国は存在しようと思います。もう一点の軍事力の大小なりあるいはその質という点について言いますと、これはその国の置かれている地理的条件なり人口なり産業、国力というものに応じて、小さな国といえども過大なものを持っておったりということで、必ずしも絶対値で比較できるものではないと思っております。ただ、いわゆる軍事大国ということになりますと、そういったものを乗り越えて、防御面から戦略核戦力まで含めて完結した軍事力を一国で持っておるというのが一つの条件であろうと思います。  そういうことで考えますと、現在軍事力について大国と言えるのはアメリカでありソ連である。あるいはその可能性を持っておるとすれば中国であろうかというように私どもは考えております。と申しますのは、例えば軍事力の中である一方の片隅にといいますか、最も他にぬきんでているものとしては戦略核戦力というのがあると思います。戦略核戦力というのはどの程度相手に被害を与え得るかという破壊力そのものが問題になろうと思います。例えば、日本のような土地が狭くてしかも人口なり産業がある地域に集中しているそういう国が一発の戦略ミサイルを持つ、一方、ソ連なりアメリカなり、そういった非常に広大な領土を持っており人口なり産業が分散している国が同じように一発の核ミサイルを持つというのと、それでは日本とソ連ならソ連とが一発ずつ持っておればパリティかということになりますと、そうではないのではないか。日本が一発のミサイル攻撃で受ける被害と、ソ連が同じ程度の被害を受けるということになると、一対何十とかそういう比率にならないと戦略核戦力についてパリティにはなり得ない、そういうものを追求することが日本にとっては不可能であるし、また全く合理的でないという軍事技術的なこともあろうと思いますが、いずれにしましても、日本が軍事大国になり得る素質といいますか、そういう素地すら私はないと思っておりますけれども、政府としましては、そういった他国に脅威を与えるあるいは他国を恐れさして自分に対する侵略を抑止しようという選択は放棄をしてしまっているということで、防衛力の組成そのものが極めて防御的なもので、それ自身について他国が恐れを抱くというものではないというように確信をいたしております。
  279. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 大国かどうかというのは比較概念ですけれども、やはりこういう場合には意思と能力というものが二つの要素になると思います。意思はいつでも変わり得るものであります。我々の方は専守防衛だからこれだけ持っても攻めていく意思がないのだから他国には脅威を与えない、これは理屈にならないのでありまして、一つのメルクマールとして、軍事に対する支出絶対額がどうかというのも一つの要素であることは間違いないであろうと私は思っております。  そのような観点から見まして、先ほど挙げましたドル換算二百七十四億ドルの防衛予算というのは、これにはもちろん海上保安庁経費あるいは軍人恩給等々が含まれていないわけでございまして、こういうものを含めて、これが防衛費だと言われるような基準がもうひとつはっきりしないのですけれども、NATO方式、このように言われているものがあると私は理解しております。現に防衛庁が出していらっしゃいます「日本の防衛」六十二年版の百八十三ページの脚注4にも「NATO諸国の国防費は、NATO定義により統一された概念のものである(但し、スペインを除く)」このように書かれていますから、防衛庁自身がNATO方式というものの存在を意識をしていらっしゃる。NATO方式がどんなものかについてはいろいろ文献もありはっきりしないのですけれども、学者の言うのでは、関東学院大学教授の富山和夫さんは、「わが国では、第二次世界大戦での敗北ということもあって、軍人恩給等を防衛費とか軍事費とは全く別枠として考える風潮があり、財政上の取り扱いも別となっている。だが、NATO方式での軍事費の計算では、この分を含めて考えられており、財政負担の面からは当然な取り扱いである。また、沿岸警備隊のような任務を遂行するための費用は、かなりの部分を防衛関係費ないしは軍事支出に含めて考えるのが一般的である。わが国では海上保安庁の行っている業務が、ほぼこれに相当するとみてよいであろう。」このように言っておられるわけです。  そうしますと、これはそのとおりはいきませんけれども、防衛費として三兆七千三億円、それから、そのパラミリタリーと考えられる海上保安庁費用として今年度一千二百五億円、恩給法に基づく旧軍人及びその遺族に対する恩給支給予算として一兆五千九百八十九億円が計上されていると思います。そうすると、これらを足してこれを全部防衛予算と言えるかどうかは問題はありますけれども、足し算をすれば五兆四千百九十七億円に達しますので、ドル換算百三十五円でいたしますと、四百一億ドルということに計算上なります。これは絶対額では米ソを除けば我が国は第一位ということになりかねません。  これは荒唐無稽なことを言っているのではなしに、イギリスの「エコノミスト」という雑誌ですね、そこに「強くなったサムライ」というふうに、これはことしの一月二十三日号ですけれども、その中には、「一九八八年度の日本の防衛支出の公式数字は国民総生産(GNP一の一・〇一%に相当する。非公式の防衛分析家は、北大西洋条約機構(NATO)の定義に従えば(最も大きな相違点は軍人年金を含むことである)日本はGNPの一・五%、四百億ドル前後を支出することになり、米ソ両国に次いで世界第三位の防衛支出を行なっている勘定となる。」ラフな書き方ですけれども、そういうものもあります。また、六十三年、ことしの二月三日の読売新聞夕刊紙によれば、二日にアメリカの下院軍事委員会の同盟国の責任分担に関する専門部会で証言に立ったハロルド・ブラウン元国防長官は、日本はNATOの基準からいえば防衛費の対国民総生産比は一・五%近くのはずだと最近の日本の防衛努力を評価する姿勢を示した、このようにも書かれています。一・〇〇四とか一・〇一三とかいろいろやっていますけれども、こういう見方もありまして、こんな見方になりますと、日本は絶対額においては米ソに次いで大きな軍事支出をしているという見方が行われているという事実、こういうものがあります。これに対してどう答えられますか。
  280. 日吉章

    ○日吉政府委員 委員御指摘のように、国防費の国際比較というのは非常に難しいものでございます。それで、ただいま委員が二、三御指摘されましたような議論が海外でも行われていることは承知いたしておりますが、それはいずれも日本国内におきますいろいろな分析が逆に逆輸入されてきているのではないかと思います。それで、国際比較の一つの統一的な方法といたしまして、委員ただいま御指摘のようにNATO定義というものがございますが、これがそもそもNATO国内において秘扱いになっておりますので定かにわからないという点がございますが、いろいろ御議論がされておりますので私どもなりに何年もかけまして検討してきておりまして、多分当たらずといえども遠からずという検討ができているのではないかと思いますが、そういう感じで申し上げますと、委員ただいま御指摘のように、問題になりますのは旧軍人遺族等恩給費と海上保安庁の予算をどう取り扱うかということだと思います。  この旧軍人遺族等恩給費でございますけれども、NATOは確かに軍人恩給が含まれておりますけれども、それも職業軍人に係るものに限られてございます。なお、戦争被害の補償に係るものは除かれております。そういう点から申しますと、委員ただいま御指摘になられました我が国の旧軍人遺族等恩給費の一兆五千億の中で戦争被害に係るものを除いたとしますと、多分普通恩給あるいは普通扶助料を考えればよろしいんだと思いますが、大体その半分の七千億程度のオーダーになります。その中からさらに職業軍人の部分だけを抽出するわけでございますが、これは残念ながら我が国の恩給費の中ではその区分がなされておりません。したがいまして、これは非常に大胆でございますけれども、敗戦当時におきます階級別の区分けがございますので、それで見まして、下士官以上がすべて職業軍人であった、徴兵に係る者はすべて下士官に達していない、これは私は職業軍人に係る部分を多目に見ているんだと思いますが、そういうふうに見ますと、そのうちの六割程度でございますでしょうか、金額にいたしますと四千億程度がそれになるのではないかと思われます。さらに、海上保安庁の経費でございますが、この点につきましては、NATO諸国の中でもいろいろ取り扱いが分かれているようでございまして、こうなりますと、我が海上保安庁法におきます任務等から考えまして、これが準軍隊というものに言えるかどうかという判断だと思いますが、私は、現行の海上保安庁法の趣旨から考えまして、これを準軍隊と取り扱うことはいかがなものかと思われます。  そういうことからお考えいただきますと、仮に旧職業軍人等に係る戦争災害の補償に係るようなものを除いた恩給費を加算したとしましても、米ソに次ぐ、あるいは英国、西独、フランスに比肩する、あるいはそれを凌駕するような金額になるとは考えられません。
  281. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 時間が参りましたので、あと一つだけ申し上げて終わりたいと思います。  防衛庁はそのようにおっしゃいますけれども、昭和五十五年三月、当時の大来外務大臣は、訪米時に我が国の防衛予算をNATO方式で計算すればGNPの一・五%になる、こういうことを当時も説明をされたという報道があります。それからまた、昭和五十六年十一月、園田外務大臣も、防衛費の概念に旧軍人恩給費等を含めることを研究する旨の国会答弁をされている。これは参議院です。それから、五十九年十月には西堀前国連大使が第三回国連平和の集い、平和シンポジウムで基調報告を行って、防衛費の対GNP比は七年前、一九七七年の時点でNATO基準方式によると一・五六%に達しているというふうに述べていられるようでございます。それは恐らく旧軍人恩給費と海上保安庁経費をすべて防衛関係費に足し算をされた結果であろうと推定できるわけですけれども、そのような考え方もあります。  時間がありませんので、長官、日本はもちろん専守防衛です、よそに攻めていくという意思はありませんけれども、その能力において、その金額、防衛支出額等におきまして周辺諸国に脅威を与えかねないものがある、そういう点から考えても、信頼醸成という点については非常に重く見てほしい。一%をちょっと超えることによって得るところよりも失うことの方が物すごく大きい、こういうことを申し上げまして、私の質問は終わらせていただきたいと思いますが、その点について一言だけ長官、御感想で結構ですが、お願いしたいと思います。
  282. 瓦力

    ○瓦国務大臣 冬柴委員も我が国の防衛政策につきまして御理解をいただいておるわけでございまして、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないということで、その防衛政策を進めておるわけでございます。問題は、金額もさることながら、地勢上どういう防衛力を持たなければならないかというようなことも検討してまいらなければなりませんし、また周辺国におきまして常々理解を得る努力もしてまいらなければならぬ、かように心得ております。  以上を申し上げて、我が国の防衛政策の誤りなきを、また周辺国の信頼を得られるよう、一層の努力をしたいと考えておるわけでございます。
  283. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて冬柴鉄三君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  284. 中島武敏

    中島(武)分科員 私は、きょうは防衛本庁の移転に伴って自衛隊の東京北区における十条駐屯地、十条基地がどうなるかという問題についてお伺いしたいと思うのです。  まず最初にお伺いしたいのは、防衛本庁舎が市ケ谷に移転することによって北区の十条基地はどういうふうになるか。十条地区、赤羽地区それぞれめ利用計画についてまず御説明をいただきたいと思います。
  285. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 現在防衛庁本庁がございます檜町駐屯地の周辺の環境の変化に伴いまして、これを市ケ谷駐屯地内に移転をさせるという計画を立てておりまして、この計画の一環で市ケ谷が狭隘になる。それから、現在檜町駐屯地にありましても、防衛庁本庁と必ずしも同一の場所でなくてもいい機関、これらをそのほかの駐屯地に再配置をするというものでございます。  十条駐屯地について申し上げますと、現在檜町駐屯地におります調達実施本部東京支部、防衛施設庁の東京防衛施設局、これが檜町駐屯地の移転に伴って十条に配置がえになる、これが第一点であります。  それから次に、現在市ケ谷駐屯地内にあります陸海空の補給統制部隊、陸上自衛隊資材統制隊、海上自衛隊需給統制隊、航空自衛隊補給本部、装備品の部品などの補給管理などをしている機関でありますが、これを十条駐屯地に配置がえをする。  それからもう一つ、現在目黒におります第一補給処の東京支処、これも装備品の調達関係の業務をしておりますが、これを十条駐屯地に配備するということで、現在十条駐屯地におります武器補給処十条支処は、十条駐屯地周辺の環境からいいまして整備工場などを置くのに適当でないと考えますので、本処のあります霞ケ浦駐屯地、それから部隊の整備補給を担当しております部隊につきましては、その部隊がある朝霞駐屯地などに配置がえをするという計画になっております。
  286. 中島武敏

    中島(武)分科員 赤羽地区についての説明がありませんが。
  287. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 赤羽地区につきましては、公務員宿舎用地として利用したいというのが現在の計画でございます。
  288. 中島武敏

    中島(武)分科員 確かめておきたいのですけれども、赤羽地区は自衛隊の基地としては廃止をする、全部あるいは一部も残らないということですか。
  289. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 赤羽地区には現在部隊を配置しておりますが、この移転計画の中では公務員宿舎用地にするということで、部隊は残りません。
  290. 中島武敏

    中島(武)分科員 これは今お話があったのですけれども、公務員住宅に予定をしているというお話でした。この公務員住宅の中には自衛隊の官舎を含んでおりますか。
  291. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 当面公務員宿舎用地ということで考えておりますけれども、現在この用地の使い方につきまして、自衛隊の官舎用地にするか各省庁の合同の宿舎居地にするか、そこまでまだ具体的には決まっていないという段階にございます。
  292. 中島武敏

    中島(武)分科員 これは全部が自衛隊の官舎になるということもあるわけですか。
  293. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 繰り返しになりますけれども、赤羽地区につきましては、現在の部隊が出ていった後、公務員宿舎用地として使いたいという考え方で、その使い方が自衛隊の宿舎用地なのか各省庁の合同の宿舎用地にするのか、そこまではまだ決まっていないということでございます。
  294. 中島武敏

    中島(武)分科員 財産、つまり土地の管理は防衛庁でしょうか、それとも大蔵省に移管をするということになるのでしょうか。
  295. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 これは今申し上げましたように、その使い方につきまして具体的にどういう形になるのかまだ決まっておりませんので、そこまでまだ決っていないということになります。
  296. 中島武敏

    中島(武)分科員 これは決まっていないのですから言えないのですけれども、公務員宿舎というふうに私どもはあらかじめ聞いておりますと、何か一般公務の方々が全部入るような感じを持っていたのですが、私、確かめてよかったと思うのです。必ずしもそうじゃない、決まっていない、自衛隊の宿舎になるかもしれない、こういうことを含むということでございますね。  それから、もう一つ今の答弁にあったことで伺っておきたいのですけれども、十条駐屯地に移動してくる部隊の人数は一体何名になるのかという点について伺います。
  297. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 移動してきます部隊は先ほど申し上げましたような部隊、機関等でございまして、二千人弱になります。
  298. 中島武敏

    中島(武)分科員 これは実は私がこの移転計画が決まった当時にお尋ねをしましたところ、約二千五百名、こういうお話でした。今約二千名と言われるのですけれども、約五百名の違いがあるのですが、これはどういうことでございますか。
  299. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 檜町、市ケ谷などから十条駐屯地に配置がえになる部隊、機関の人数がおよそ二千人でございまして、現在おります部隊は霞ケ浦であるとか朝霞に出ていくことになりますけれども、補給統制という任務を持っている補給統制部隊につきましては、その統制業務、事務的な部門につきましては残留するのがありますので、その二つの数字にそれだけの差が出てくるわけでございます。
  300. 中島武敏

    中島(武)分科員 現在いますのは約九百名ぐらいでしょうか。すると五百名ぐらい残るということになりますと、霞ケ浦とかあるいは朝霞に移動するよりももっと多くの部隊が残る。事務部門と言われましたか、残るということになりますけれども、そういう理解でいいのですね。
  301. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 現在約八百数十人が十条駐屯地に配備されておりますが、そのうちの武器補給処十条支処につきましては、そういう機能を持っているもの、それから武器補給処の本処でしている部門もございます。そういうことで、現在の武器補給処十条支処の人数の約半分程度を十条駐屯地にそのまま残させていただきたいというのが今の計画でございます。
  302. 中島武敏

    中島(武)分科員 次に補給統制部隊ですね、この問題について伺いたいのですけれども、一体補給統制というのはどういう任務なんでございますか。
  303. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 補給統制部隊として陸海空のそれぞれの部隊がございますけれども、陸海空によって多少内容は違うところがありますが、一般的に申し上げますと、艦船だとか航空機、武器などの部品の管理、それらのデータの電算機による処理であるとかあるいは保管業務、調達、そういうことをやっておりまして、現在十条支処でしておりますような具体的な装備品の整備というような工場的な、工場でやるような業務でない業務をしておる部隊でございます。
  304. 中島武敏

    中島(武)分科員 ちょっと細かいことですけれども、それぞれの部隊の責任者というのは階級はどういう人がやっているのですか。
  305. 西廣整輝

    西廣政府委員 私、間違っておったら後で訂正いたしますが、航空自衛隊と海上自衛隊については将。いわゆる補給本部という名前で航空自衛隊にございますが、これは将、それから海の場合は需統隊司令という格好だと思いますが、これも将がなっている。陸の場合は将補ではないかというふうに私は記憶しておりますが、間違っておりましたら後ほど訂正させていただきます。
  306. 中島武敏

    中島(武)分科員 この部隊が何をやる部隊なのかということを理解するために伺うのですけれども、こういう物品が必要だということはだれが決めるわけですか。
  307. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど参事官からお答え申し上げたように、陸海空で若干違いますけれども、例えば航空自衛隊の補給本部のやり方で言いますと、補給本部の任務というのは、まず各デポがございますが、そのデポを管理をしている。そしてデポでそれぞれの部品等について、これはもうそろそろある補給ラインを割ってくるというようなことについて逐一コンピューターで連絡が来るわけでございますね。そういったコンピューターで管理をしておって、あるラインを切ればそれを調達をする。その調達については、一つ一つの金額なり全体の量によって、調達実施本部で調達するものもございますし、補給本部そのものが調達する、細々したものは自分のところでやるという形である一定の補給水準というものを維持し、補給できなくならないような事態になるように常に管理をしておるという仕事が中心になっております。
  308. 中島武敏

    中島(武)分科員 もう一つ伺いたいのですけれども、これは十条駐屯地に移動してくる部隊なんですけれども、なぜ十条駐屯地でなければならないのかということを伺いたいのです。軍事的な理由というのは一体何があるのかということですね。
  309. 西廣整輝

    西廣政府委員 今申し上げたように、補給処というのは各地域なりに機能ごとに分散をしておるわけでございます。それは実際に部隊等に物品を補給する、あるいは整備をする仕事を持っているわけですが、それに対してこういう統制部門というのは中央に一つございまして、全国の全体の状況を把握し、かつ中央で物品の調達をしなければいけないということで、できる限り中央にあってそういう業者とのネゴ等もしなければいけませんので、そういうことのできる地域である必要があるというふうに考えております。
  310. 中島武敏

    中島(武)分科員 もう一つ関連して伺いたいのですけれども、調達実施本部東京支部それから東京防衛施設局、これもなぜ十条でなければならないのですか。
  311. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 調達実施本部につきましては装備品の調達業務をしておるわけでございますが、東京支部が管轄しておりますのが東京都以北の県を対象にしております。したがいまして、現在東京都内にございますけれども、調達の相手方になる業者の大半が東京都内にいるというようなことから、必ずしも檜町駐屯地にいなければならないわけではございませんが、東京都内にいる方がいいということになります。それから東京防衛施設局につきましても、東京都以北の関東信越地方を管轄区域にしておりますので、これも同様な理由によりまして東京都内に配置がえするというものでございます。
  312. 中島武敏

    中島(武)分科員 もう一つ伺います。  防衛庁が檜町から市ケ谷へ移る、玉突きで十条にある二つの部隊、武器補給処十条支処の部隊とそれから一〇三高射直接支援隊、これがよそへ移ったのですね。玉突きで移ることができるのだったら、もっと早く移ることができたのではないか。つまり、霞ケ浦なんかも広々しているわけだし、それから朝霞も前からあるわけです。朝霞へ早く移れという意味じゃないですよ。そういう意味じゃないですけれども、何で今まで移らなかったのか。これはよそへ行ってもらいたいという声が随分あったのですけれども、そこはどういうことなんですか。
  313. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほどの御答弁の修正等を含めてお答えします。  先ほど私、海空は将と申し上げました。それはそのままで結構でございますが、陸は一佐でございます。陸の資材統制隊長というのは、将補ではなくて一佐だということに御訂正をさせていただきます。  先ほど来参事官がお答え申し上げているように、本来であれば情報その他を含めて都心の一カ所にあった方が便利であるということは否めない。しかしながら十条まで移っても、先ほど申し上げたような仕事の内容でございますので、致命的に不便ではないということで、補給本部等は十条に移すということでございます。一方、先生御指摘のように、従来十条なり赤羽なりにあったいわゆる現場部門について言えば、おっしゃるとおり実戦部隊に近いものでございますから、以前から霞ケ浦なりに移すことは可能であったと思います。しかし、それをやるためにはそれなりの費用がかかるということで、これを新たな予算でやるということはなかなか難しい。今回のようにたまたま全体の移動計画があり、特特会計の中でやれるという段階で初めてできたということでありまして、決して従来からできなかったものではないということは事実であります。
  314. 中島武敏

    中島(武)分科員 今局長も認められているとおりなんですが、しかもこの部隊があるところというのは東京の北区なんです。大変な過密都市のど真ん中に基地があるわけなんです。もう既に御存じだとは思うのですけれども、昭和三十八年の三月に「旧TOD第二地区に総合運動場建設に関する決議」というのが行われて、これが皮切りでありまして、四十七年、四十八年、五十年、いずれも全会一致で北区議会においては基地の解放を求める意見書や決議が行われているわけです。そして昨年、六十二年の三月には「国有施設地の解放を求める意見書」が同じく全会一致で内閣総理大臣それから大蔵大臣、防衛庁長官も御存じだと思うのですけれども、長官あてに提出をされているわけです。  それで、北区は非常に過密なところであって、そこに二十四万平方メートルという広大な地域があるわけです。周辺の人たちはそれが何に使われているのか、どの程度なものなのか、もう全部朝晩これを見て生活をしている。そしてここをぜひ解放してほしいというのが区民のたっての願いであるし、また同時に区民の総意として意見書も上げられてきているわけです。過密なところですから、当然それに伴ういろいろな都市問題を抱えている。したがって、福祉施設をつくれ、教育施設をつくれ、緑と広場を確保しろ、あるいは震災のときにはそこへ避難すれば安全だ、そういうところにしてもらいたい、こういう声は北区の中に非常に強いのです。だからこそ五回にもわたって決議が今日までされておるわけであります。私はこの問題についての質問をするのは今回が初めてではありません。前にもこの問題を質問したことがあります。また私だけじゃなくて、他の議員の諸君も何回かこの問題について解放を求める質問を行っているわけですけれども、私はやはり率直に言ってこういう区民の声、こういう点を長官は聞かなければいけないんじゃないかというふうに思うのですね。今防衛局長も言われたけれども、また参事官答弁していらっしゃったと思うのですけれども、ここへ来るものは、必ずしも十条でなければならないという部隊や機関ばかりじゃないのですね。霞ケ浦へ行ったとかあるいは朝霞へ行ったとかいう実戦部隊、何というんですか、現場の部隊、これは動こうと思ったら動けた。私はやはり区民の声というものを大事にする、都民の声、国民の声を大事にしないといかぬと思うのですね。そういう点で今まで歴代の長官も答弁は必ずしも後ろ向きじゃない答弁を行っているわけなんです。前向きな答弁なんだけれども、なかなかそれが実践には移されないのですよ。これが問題なんですけれども、長官のきちっとした答弁をいただきたいと思います。
  315. 西廣整輝

    西廣政府委員 念のためにお答え申し上げますが、私先ほど申し上げたのは、今回十条に参ります機関等は、本来であれば従来六本木にいたあるいは市ケ谷にいた、要するに都心にあってほかの調達機関なりそういったものと一緒の方がよりいいことは間違いないわけでございますが、六本木をいろいろな事情で市ケ谷に移す段階でやむを得ず切り離さざるを得ない。しかしながら、少なくとも中央に近いところに置いておかなければいかぬということで十条ということを考えておるわけでございまして、十条に今回移転するあるいは残る部隊、機関等が外に行ってもいいというふうに申し上げておるわけではございません。一方、従来赤羽なり十条におったものについて、地方に行ってしかるべきものについては、今回それらはすべて外に移すというように御理解いただきたいと思います。  なお、従来から先生が言われたように、地元北区等のいろいろな御要望については我々十分承知をいたして、そういったものも含めていろいろ考えております。
  316. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま防衛局長から丁寧に答弁がございました。十条駐屯地は補給処として重要な任務を果たしてきたわけでございまして、必ずしも過密な都心に置く必要はないのではないか、かような観点からそういう御議論があったことも承知をいたしております。今回の移転計画の実施により、いわゆるオフィス地区として高度の利用を考えておるわけでございます。  なお、委員が軍事力とかいう言葉をお使いでございますが、我々は防衛力でございます。  また、都心が過密であるからということもさることながら、やはり今局長が申し上げてきたところでございますが、オフィス地区として高度利用も考えてまいらなければならぬと考えておりますので、どうぞ中島議員には選挙区でもございますから、歓迎をいただきますようにお願いをする次第でございます。
  317. 中島武敏

    中島(武)分科員 今長官から答弁があったんですけれども、高度利用を考えるということもその答弁の中の一つにございました。あの地域は高度利用をするというと、どういう高度利用をおやりになろうとお考えになっているんですか。
  318. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 十条駐屯地の十条地区の方に先ほど申し上げましたような部隊、機関を配備することにしておりますけれども、まだ具体的にどういう建物にするかというところまで現在の段階では計画がまとまっておりませんので、具体的には申し上げられませんが、限られた敷地でございますので、その敷地を有効に使うように今検討しているところでございます。
  319. 中島武敏

    中島(武)分科員 念のために申し上げますけれども、あそこの地域は容積率一五〇%だということは御存じなんでしょうね。現在ある建物は、全部そういう点からいうと違反建築なんです。新しく建てかえるということになったら一五〇%しか建てられない、こういう地域なんですよ。これからだと言われる。長官は高度利用というお話をされるが、具体的にはこれからだ、こういうふうに言われるんです。だけれども、ここは今言ったように一五〇%の地区なんです。ですから、これはどういうことでしょうか、これからの計画ですから詰めても答弁は出てこないかもしれないのだけれども、都市計画をやはり変えるというふうに考えていらっしゃるのか。ちょっと答弁があったものですから、私もそこを聞かなければならなくなった。
  320. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 十条駐屯地の十条地区につきましては、今御指摘のように、容積率が一五〇%であるとか建ぺい率が幾らであるというような制約があることは承知しております。私どもが現在考えておりますのは、この制約がございますけれども、公益に供するものであるとか特別な研究機関であるとかいうようなものについては、所定の手続を経て三階以上の建物を建てることができるとかいうようにもなっていると承知しておりますので、この辺のところは北区や東京都とこれから話をしていきたいと思っているところでございます。
  321. 中島武敏

    中島(武)分科員 それは全然よろしくないわ。なぜ一五〇%になっているかといえば、それは先ほどから私が申し上げているとおりなんです。大変過密なところなんです。過密の中に都市計画されて、そこは一五〇%と、こうなっているのです。意味があるんです。この意味を十分やはり考えて、基地の移転問題というものもはっきりさせなければならないということなんですね。  それから、残されている時間で防衛局長にちょっと簡単に幾つか伺いたいのです。ガイドラインとのかかわりあるいは有事来援とのかかわりという問題について、補給部隊の問題との関係を伺います。  まず一つは、ガイドラインによりますと補給も相互支援をとるということが書かれているのですけれども、それは間違いありませんね。
  322. 西廣整輝

    西廣政府委員 補給、輸送あるいは施設等について日米相互支援をするということで、この研究をいずれは行うべく、そういう研究をするということがガイドラインに定められております。ただ、ガイドラインの中に書いてございますように、それら具体的にどういう項目をやるかということについては、例えば作戦計画研究とかいろいろな研究がございますが、そういうものをやって、そういう後方支援関係について何を相互支援しなくてはいけないかというものが明らかになった段階でやるというように書いておりますので、いずれはやることになろうと思っております。
  323. 中島武敏

    中島(武)分科員 この予算委員会でもずっとこの有事来援問題、それからポンカス、事前集積ですね、これがいろいろと問題になってきました。これが具体化されていく、研究が具体化されていくというような場合に、私は二つ聞きたいのですけれども、十条基地にいろいろな物資を運び込むということはあるのかということが一つ、それからもう一つは、そのときに十条の補給統制部隊はどういう役割を果たすことになるのかという点を端的に伺います。
  324. 西廣整輝

    西廣政府委員 補給統制機関というのは、そこに物を保管をするとか実際に補給をする、そういう実務をやるところではございませんで、先ほど申し上げたように、どういったものをどのくらい調達しなければいかぬかとかそういうことに使いますので、十条が今おっしゃられたような形で使われるというようには私どもは思いません。補給部隊について言えば、例えば仮に自衛隊の部品等の補給でアメリカのものと共通のものがあるとします。そしてそういった共通部品について相互に余っているときは補給し合うというようなことが仮に決められたということになりますと、我が方の補給統制処のコンピューターで、これは余裕があるからあっちに回してやろうじゃないかとか、そういった判断のときにあそこの機関のデータというものが使われることになるというようにお考えいただいたらいいと思います。
  325. 中島武敏

    中島(武)分科員 これで終わりますが、そういう大変危険な研究はおやめになることを大いに主張して、質問を終わります。
  326. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤万吉君。
  327. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 在日合衆国軍施設の整備について、昭和六十三年一月二十八日、これらの施設の整備について各基地ごとに整備案件を提起をされました。それぞれ所在市町村あるいは県を含めてでありますが、この内容について大変な意見が提起をされております。  私は、きょうはこのうちの五項「厚木海軍飛行場における家族住宅、汚水処理施設等の整備」この問題を中心にして御質問申し上げます。この中で「家族住宅、汚水処理施設」これはわかるのですが、「等」という言葉は何を指しているのですか。
  328. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 昭和六十三年度におきます厚木海軍飛行場の施設整備の内容でございますが、この発表の第五項目の「等」の内容は、整備用格納庫、倉庫、それから貯油施設でございます。
  329. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 この汚水処理場というのは何に付随した汚水処理場ですか。
  330. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 航空機の洗浄水を処理する施設でございます。
  331. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 今格納庫整備というのがありましたが、この格納庫は既存の格納庫の改修といいますか修理ですか、それとも新しいものですか。
  332. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 新しく整備するもの、すなわち新築でございます。
  333. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 それは何に使用されるのですか。
  334. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 厚木飛行場におきます既存の航空機整備用の施設が狭いあるいは老朽化しているということで、航空機の整備に支障を来しているので、これを解消する必要があるというところから、大型機が二機収容できる整備用格納庫を建設しようとしております。
  335. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 大型機というのはP3Cのことじゃないですか。同時に、今の汚水処理施設というのは、その新築される格納庫の油汚染を処理する施設として私ども新聞報道等で伺っているのですが、間違いないでしょうか。
  336. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 この整備用格納庫は、多目的というか多くの機種が使えるということですが、厚木には米軍のP3Cが飛来してくることもありますので、当然P3Cも使えるということでございます。  それから汚水処理施設でございますが、これはこの新設の格納庫も含めまして、その他の航空機洗浄水も一括して処理しようとするものでございます。
  337. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 施設庁は大変神経を使っておられるのかあるいは故意なのかわかりませんが、例えば嘉手納の飛行場は「格納庫」と書いてあるわけでしょう。何でこの厚木だけは格納庫を外されたのですか。「家族住宅、汚水処理施設等」などということでくくらずに、嘉手納の飛行場のように格納庫もつくるのです、新築するのですということをここに記載されたらどうなのですか。なぜかと申し上げますと、御案内のように沖縄に次いで神奈川県は基地が非常に多い。第二の基地県でありますから、それだけに新しい格納庫がつくられることに対しては住民は大変神経をとがらしているわけです。特に厚木の場合には、例の三宅島の騒音問題を含めまして大変な騒音状況にあるわけです。したがって、基地の恒久化という問題については大変神経敏感でございまして、その面を配慮してかあるいは故意か、そういうふうな意図に受けとめられてならないわけです。もっと親切に書くべきだと私は思います。  貯油施設についてもそうですよ。小柴の爆発がありまして、その後厚木の自衛隊の燃料タンクの移設がありました。その際に施設庁としては、地元の自治体に対してはいずれ米軍の燃料タンクもというお話があったことは私は承知しております。同時に私どもとしては、とにもかくにも貯油施設が民間の住宅に隣接しているわけですから、できる限り遠距離に置いて、あそこに蓼川というところがありますけれども、できればその谷戸あたりに移転するように、そうすれば燃料タンクの小柴のような事件が再発することがないということ等を含めまして、常々要請しておったところであります。それだけに米軍住宅と汚水処理だけでは、住民側としてはそれじゃ今まで要望しておったことはどうなったのだということになりまして、「等」というくくり方では住民を説得する材料にはなりませんね。これからは十分配慮していただきたい。もっときめの細かな対応というものを常に心がけていただきたい、こう思うのです。  さてそこで今話に出ましたP3Cですが、米軍機の機体を修理したりあるいは格納したりという新設の設備でございますね。P3Cは、これは外務省にお聞きした方がよいかもしれませんが、自衛隊が持っているP3Cはおおむね三十一機ないしは三十二機と聞いております。米軍のP3Cは、今度は厚木基地に配備をされる機体の格納、同時にまたそれに対するいわゆる補修を含めた処理としてこの格納庫が必要になったのですか。それともあなたの今の御説明では飛来をする、こういうお話ですから、厚木基地には米軍のP3Cは今常駐はしてないのですか。
  338. 岡本行夫

    ○岡本説明員 海軍の厚木飛行場はいわゆる後方支援の性格を持った飛行場でございまして、その意味におきましてP3C等の飛行機は厚木飛行場には配備されておりません。常駐しているという意味では、小型の飛行機が数機あそこに常時駐在している程度と承知しております。
  339. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと、今度の新築の格納庫は、米軍の常備的な配備をされたP3Cの格納庫ないしはそれに伴う施設ではなくして、時折飛来するために必要な施設として整備をされる、こう理解してよろしいですか。
  340. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 今回整備します格納庫の対象の機種はP3Cだけではございませんで、輸送機等の整備にも使うということを聞いております。したがいまして、今先生がおっしゃったように、飛来する飛行機の整備というふうに考えられます。
  341. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 防衛庁長官、厚木基地についての騒音問題は前の長官からお引き継ぎで御案内のとおりと思いますが、前の加藤防衛庁長官は現地を視察をしていただきまして、大変な騒音、したがって三宅島への移転が政府側では考えられておるわけですが、いずれにしてもこのような状況下で都市の真ん中に飛行場、しかもそこが飛行訓練に使われるということは決して好ましい条件ではないと私は思います、それをどういう形で米軍側に要請するかという課題は残りますけれども。加えてもしP3Cなどという飛行機が、騒音についてはジェット戦闘機ほどではございませんけれども、いずれにしても軍機能として常置をされる、常にそこに配備をされるということについては大変神経をとがらせているわけであります。自衛隊のP3Cもあそこは三十数機所在しているということになっておりますから、こうなりますと日米間の対潜水艦哨戒機としての機能は恐らく相互の連携をとりながらの行動だろう。たまたま飛来するというようにはならないと思うのです。したがって、私は米軍のそういう機種、機能を含めまして、厚木基地がより住民の顔を逆なでするような基地強化につながることは絶対に避けていただきたい。また避けなければ基地機能として、住民の支持がないわけですから基地としての役割も果たせない、こう私は思うのです。したがって、今の格納庫の設置に伴いましてより強まるでありましょう米軍の厚木基地の機能強化という問題については、ひとつ十分な配慮を行っていただきたい、こう思うのです。長官、所信をお聞きしたいなと思います。
  342. 瓦力

    ○瓦国務大臣 日米間におきまして機能的な運営ということは大切でございまして、また厚木の地域の方々にはいろいろ御迷惑をおかけいたしておりますが、さらに理解をいただきながら運営してまいるということを考えますと、基地そのものが地域の理解を得つつやっていくことは極めて大切だ、かように考えております。よって、さような努力をしながらこの厚木の問題に対処してまいりたい、かように考えております。
  343. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 米軍住宅が今度の日米合同委員会によって各所につくられるという項目があります。これは総戸数何戸ですか。
  344. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 昭和六十三年度において整備を計画しておる住宅は七百二十四戸でございます。
  345. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 七百二十四戸ですが、これは昭和六十三年度ですね。この計画、例えばこの中で池子がありますけれども、池子は今年度の創設じゃございませんね、長年にわたってやるわけですから。ここで整備の用意をされている全戸数、そういう意味での全戸数は何戸でございますか。六十三年度に限らず、これからこの中に計画されている全戸数は何戸になりますか。例えば今の池子がありましょうし相模原もありますし、あるいは沖縄の嘉手納もありますしキャンプ瑞慶覧もありますが、総戸数は何戸ですか。
  346. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 ただいま答弁申し上げました七百二十四戸と申しますのは、私ども本体着工ベースと呼んでおりますけれども、六十三年度に建築工事に着手する戸数という数え方をしているわけでございます。したがいまして、池子に言及なさいましたけれども、これはまだ宅地造成をやっている段階なので、これに入っていないということでございます。
  347. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 池子問題は大変重要なテーマでありますから、これはまた一項を起こしまして、いずれかの機会に防衛施設庁側あるいは日米間の話し合いの経過、地元意見などを申し述べてみたいと思います。  六十三年度に着工ないしは計画されるのは七百二十四戸。私の聞いているところでは、米軍から我が国に要請されている戸数は千三百戸というように聞いているのです。千三百戸のうちで池子があるいはどこどこが、こういう式になっているかのように報道され、また私どもの耳に入っているのですが、これは間違いですか。
  348. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 米軍は、横須賀地区におきまして住宅が千三百戸不足しておるということを言っておるわけでございます。全国では数千戸というふうに聞いております。
  349. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 防衛施設庁が池子で計画されている戸数は、長洲知事との間でいろいろ話し合った結果なども踏まえて減りましたね。今度厚木あるいは相模原につくられるのはその減った分の入れかえですか。いわゆる分散計画ですか。
  350. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 厚木海軍飛行場におきましては、昭和六十二年度に九十八戸の住宅の整備を計画しているわけでございます。昭和五十三年ごろから、先ほど申し上げましたように米海軍が横須賀地区におきまして千三百戸不足しておる、それで横須賀海軍施設へ通勤できる範囲に家族住宅をまとめて千戸程度建設してほしいという要望があったわけでございます。このために防衛施設庁といたしましては昭和五十七年度以来調査を進めまして、横須賀海軍施設に通勤可能な池子住宅地区及び海軍補助施設の一部に米軍住宅約千戸を建設することを決定したわけでございます。一方、厚木飛行場はこの問題とは別に、厚木海軍飛行場における家族住宅の不足が深刻な状態にあるとして米側から要望があったものでございまして、その不足を緩和するべく昭和六十三年度において九十八戸の住宅を厚木海軍飛行場に建設することを計画しているわけでございます。  それで、池子住宅は既に着工しておりますけれども、当初約千戸程度計画したものが最終的に八百五十四戸という数字になったわけでございますが、この差の百五十戸について、これを厚木に持っていくというようなことを考えているわけではございません。これはまた別途検討しなければならない問題になっているということでございます。したがいまして、厚木の住宅の建設は池子の不足を補うものではございません。
  351. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 米軍の要請は横須賀基地周辺に約千戸でしょう。池子がこれからどうなりますか、私ども池子にはつくってもらいたくないと思いますけれども、仮に防衛施設庁が考えておられる八百五十四戸、それから相模原六十四戸、厚木九十八戸、横須賀が六戸ですか、足しますと千二十二戸になるのじゃないですか。要するに横須賀米軍基地を中心として約千戸の要請、これにこたえたということになるのじゃないですか。裏から返せば分散の計画じゃないですか。
  352. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 たまたま似た数が出てきたということでありますが、例えば横須賀に建てます住宅は、老朽した住宅の建てかえということで計画しております。それから相模原につきましては、米海軍の横須賀地区の住宅不足と別に、これは米陸軍の需要を満たすものだということで、いずれもこれは横須賀地区の米海軍の住宅不足を緩和するためのものではない。したがいまして、池子の代替という意味はございません。
  353. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 横須賀六戸、それから相模原六十四戸ですね。大体千戸ですよ、どっちにしても。先ほど言いましたのは千二十二戸、今度は九百七十戸ですか六十何戸になったということでしょう。米軍基地は、厚木基地にいたしましても相模原にいたしましても今日でもあります。これは先ほど長官に御質問したと同じことになるのです。基地の恒久化という問題、特に居住施設を含めて米軍住宅が大都市のど真ん中につくられる。かつてはジェット戦闘機が墜落して被害者、被災者がたくさん出た状況の中での都市に再びこういう米軍住宅の建設、さらにはP3Cの格納庫と言われる格納庫の設置、まさに今の住民の感情からいけば逆なでの状況です。同時に私どもからいえば、基地を早くなくしてもらいたい、ああいう騒音を一日でも早くなくしてもらいたい等々の状況からいえば、このような建設計画を提起をされることについては承服できません。  同時に、先ほど言いましたように、本来住民が求めている、基地の中で優先的にやらなければならない問題が先ほどの指摘のように「等」に囲まれて、「等」という括弧の中に入って、米軍住宅や格納庫の場合には今度は逆な意味も持っているのでしょうが、こういう形で提起をされるのは何としても承服できません。燃料タンクは一体何基移設をされるのですか。そして住宅からの距離はどのくらいのところに置かれるのですか。ついでにお聞きしますが、何年度までに全部移設をされる計画ですか。
  354. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 厚木飛行場の貯油タンクの移設の問題につきましては、昭和六十一年度、六十二年度、移設先あるいは老朽タンクの調査、設計ということで予算計上してきたわけでございます。昭和六十三年度につきましては、移設予定地に埋設しておりますバイブ等をほかへ移す、切り回す工事を計画しているわけでございます。今厚木飛行場の境界周辺に七基の貯油タンクがございます。これを全体的にどうするかということはまだ最終的に米軍と協議が調っておりませんけれども、まず境界に近い、あるいは構造上問題が多いものから順次移設していきたいと考えているところでございます。
  355. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 何年度までですか。
  356. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 全体がいつまでに完成するかというのは、まだちょっとお答えできる段階ではございません。
  357. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 厚木基地内のいわゆる古いと言っていいでしょうが、米軍の貯油タンクは七基ですか。九基ではないですか。仮に七基としましょう。六基と一基だ。たしか配置の図面からいうとこう分かれていると思うのですが、今の御説明では六十三年度はそのうちのパイプライン、パイプの移設。どこへ移動するためにどういうパイプをつくったらいいのか、埋設したらいいのか、そういうことをおやりになるわけですね。この予算は幾らですか。同時に、パイプが埋設されるわけですから貯油タンクの距離がわかるわけです。小柴のようないわゆる民家に極めて近い、消防法上定めている火災の予防といいましょうか防止距離がございます。それよりも離れていますか。
  358. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 さっきの私の答弁が不十分だったために誤解を生じたとすればおわびいたさなければなりませんけれども、昭和六十三年度で予定しておりますのは、今あるタンクを奥の方に移設する、移設する予定地に別の目的の給水管等が埋設されている、それを切り回す工事だということでございます。  それで移設の方法につきましては、七基あるものを七基のまま移設するのか、あるいは何基かにまとめるのかとかいろいろな問題があります。現在は地元消防当局とどんな形式のタンクがいいかとか、そういう消防法関係の調整がまたありますので、その調整を開始している段階でございます。まだ具体的には決まっておりません。
  359. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと、パイプラインではなくて、移設する次のタンクのいろいろなものをつくるための条件整備について今やっているということですね。ということは、大体ここに移設をするけれども消防法上の問題がないか、住宅の火災その他の距離がないかなどというのは、大体ここに移設するということがわからなければ折衝にならぬでしょう。したがって、まずどのくらいの距離にあるのか。それからいま一つ、消防法上定められておるすべての規則には必ず合致をする。自衛隊のタンク移設の場合には、私も大変綿密に話をさせていただきました。そういう意味では地元の消防関係、いわゆる防災関係に対するきめの細かい配慮があったと思うのですが、今回の米軍のタンク移設についてはどうなんですか。
  360. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 米軍に提供するための施設を整備するわけでございますけれども、国が工事を実施する際には国内法の手続をとります。したがいまして、消防法に基づいて市長の設置許可を得る、そのための事前の調整を今しているということで、国内法にのっとって措置いたします。
  361. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 時間がありませんからやりとりはその辺にしますが、大体防衛施設庁が考えている移設の完了時期というのはどのぐらいですか。さらに六十三年度、タンク移設だけでもいいのですが、当該年度予算は幾らですか。
  362. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 まず完成年度でございますけれども、これはまだ全体計画について調整中でございますので、現在のところ明確にお答えすることはできません。  それから予算でございますけれども、これは今後契約する必要があるということで契約事務に支障があるので、金額の御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  363. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 施設庁長官、国家予算を見ますと、例の思いやり予算を含めまして今年度は千二百三億ですね。そのうちで思いやり予算分が四百十億円、さらに今言った諸施設にかかるお金が七百九十一億円、こう出ています。この範囲で予算を見て私どもわかるのですよ。まあそういうお金がかかるのかなとわかりますよ。ただ、地元に行けばより具体的ですから、七百九十一億のうちで幾らが移設タンクにかかるのだ。当該年度は例えば言われているように五千万かな、五千万とするとそれを年度で割っていくとあのタンクが移設するには何年かかるな、今度は推測しか生まれてこないのですね。いわゆる住民のそういうタンクがあることによって起きる危険、それを避けようとする意思と防衛施設庁の計画がクロスをしない。確かに契約もあるでしょう。あるいは今のところ目標年次も提示ができません。これでは先ほど申し上げました当初の日米合同委員会で決められた住民が望んでいる分野に対するぴしゃっとした答えが出てこない。これは予算委員会でいろいろ審議されても細かい審議ができませんから、そういう内容では困るということだけ私は申し上げておきたいと思うのですよ。この次の問題が出るときには、施設庁長官、きめ細かい答弁ができるくらいぜひひとつ私どもに明らかにしてもらいたい。でなければ地元に基づいた予算の審議が前へ進みませんから、施設庁長官の決意だけちょっとお聞きしておきたいと思うのですよ。
  364. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  私ども基地周辺の住民の皆様の御理解をいただきながら、適切に基地を維持し運用していただくということでずっと留意してまいっておりまして、そのためのいろいろな予算等についてもそれなりの配慮を行い、地元にもいろいろ御説明を申し上げておるわけでございますが、タンクの件、従来から厚木の周辺住民の皆さん、危険防止の観点からいろいろ御要望のあることも私ども十分承知をいたしております。そういうことで、そういう御要望を踏まえて今一生懸命米側とも交渉して、この関係の事業を早くできるように、いろいろ米側も運用上の制約があると伺っておりますが、その中でいろいろやりくりをしていただいて着手を今着々とやりつつある、こういう状況でございますので、ひとつその辺の事情をよくお酌み取りをいただきまして、私どもといたしましても業務遂行上支障のない範囲でいろいろ情報等については地元にも差し上げる努力をいたしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  365. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 終わります。
  366. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて加藤万吉君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井光照君。     〔田中(直)主査代理退席、主査着席〕
  367. 吉井光照

    吉井分科員 私は、まず初めに自衛隊基地とコミューター空港の併設について、若干お尋ねしておきたいと思います。  先日国土庁が発表いたしました第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総を見ますと、その重点は、大都市一極集中を是正して地方へ人口やそれから諸機能を分散させる、いわゆる多極分散型国土の形成、これを目標としておるわけですが、その具体的施策の一つとして、地方圏においては主要都市間また近隣各県を結ぶコミューター航空の導入の推進、これをうたっておりますが、これについては私も同感でございます。特に、私がおります山口県のような地方における活性化対策としては、陸の交通網整備と、そして空の輸送網整備は、これはもう双壁をなす緊急かつ重大な施策であると思います。現在のスピード化時代を迎えるときに、近い将来においてこのコミューター航空が地方の活性化にとってはなくてはならない存在になるということは、これは間違いないと思います。  ただ、問題は、こうしたコミューター航空に必要とされる用地、この用地が最近の地価の高騰の中で果たして確保できるかどうかという問題、また、利便性ということを考えれば当然都市部に近い場所でなくてはならないということがあります。そこで、既存の適地があり、それを有効利用できるならば、このコミューター航空計画も大いに促進されるのではないか、このようにも思うわけであります。例えば、現在三沢基地が民間航空との併設がなされております。これはいろいろと歴史的な経過もあるやに聞いておりますが、私は、航空自衛隊の基地の中、またそのそばに民間等によるいわゆるコミューター空港が併設できないかどうか、また、この点に関する可能性と将来の見通しについて、ひとつ長官の率直な御意見を承りたいと思います。
  368. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 自衛隊の飛行場をコミューターなどの民間空港で使えるかというお尋ねかと思いますが、飛行場によりましてそこに配備されております部隊の運用方法、あるいは施設の規模とか機材の内容とか違いますので一概には申し上げられませんけれども、一般的に申し上げますと、自衛隊の任務の遂行との間で競合が起こるということなので必ずしも好ましいことではないと思っておりますけれども、地元にはそれぞれいろいろなお考えで計画など立てられていることが各地にあるということは承知をしております。そのような場合には防衛庁としても今のような物理的あるいは部隊の運用上との関係で検討いたしまして、できるとかできないとか、また協力できる範囲であるとかいうようなことを決めるのがいいのではないか、そういう考え方でおります。
  369. 吉井光照

    吉井分科員 わかりました。それでは、頭からもう絶対できないというんではなくして、いろいろとその場所場所等に応じて検討してもよろしいということと理解をいたします。  個別的なケースとして、山口県の防府市に防府北基地という基地があるわけですが、この基地は昭和三十八年の山口国体の折に民間航空が併設をされて利用されていたという経緯があります。その後、採算がとれないということで間もなく廃止をされたわけですが、市の真ん中にこの飛行場が約二百五十五ヘクタール、そしてその飛行場の真ん中に千四百メートル、幅四十五メートルの滑走路が一本ある。ところが、見れば周辺に広い空き地があるわけですね、二百五十五ヘクタールあるわけですから。したがって、やはり市としては市の活性化のためにもその広大な飛行場の片隅だけでもコミューター空港として、これは滑走路が千八百も二千もは必要ないわけですから、せめてその片隅だけでも使わしていただけないだろうかという、これは率直な皆さん方の意見ではないかと思います。過去に併設利用が可能であったという事実、また二十四年間経過をして産業構造また社会的にも大きく変化を来しているという問題、そういったものをいろいろ勘案するときに、この防府北基地とコミューターとの併設ということは考えられないかどうか、この点いかがですか。
  370. 児玉良雄

    ○児玉(良)政府委員 防府北基地を民間のコミューターと共用するという話を私今まで具体的に伺っておりませんので何とも申し上げられませんが、感じで申し上げて失礼でございますけれども、防府北基地はパイロットになるべき者の初級の操縦教育をしておるところでございまして、航空の安全であるとかいうようなことからいって果たして両立し得るものかどうか、これは検討してからでないと何とも申し上げられないということでお許しをいただきたいと思います。
  371. 吉井光照

    吉井分科員 今、検討してからという御答弁がございましたけれども、こうした要望はもう防衛庁の方でも御承知と思いますけれども、岐阜県の各務原の基地におきましてもこういう問題が提起されております。ここでは現に九万名近くの署名も集められた、このようにも聞いておりますが、全国各地でこうした問題も起きてくるのではないかという気もいたします。したがって、今後の課題としてぜひともひとつ積極的に御検討をいただきたい。このことを強く要望しておきたいと思います。  では次に、米軍岩国基地の問題についてお尋ねしたいと思います。  まず、国防上の岩国基地の位置づけといった点についてお尋ねをしたいと思うのですが、御承知のように岩国の飛行場は日米安全保障条約の締結に伴って在日米軍海兵隊岩国航空基地として現在使用されているわけです。また、昭和二十九年十二月に自衛隊が一部米軍との共同使用を始めて以来今日に至っております。我が国におけるこうした米軍基地は、防衛白書によりますと全国で十七カ所、それぞれ使用目的や訓練内容も異なってはおりますけれども、それは各基地の国防上の役割が相違するからだと思います。  政府関係者にお尋ねしますと、岩国基地は国防上大変重要な基地である、このような返事が繰り返されてきておりますけれども、岩国基地は国防上どのような重要な役割を担っているのか、まず伺っておきたいと思います。
  372. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  今御指摘ございましたように、これは在日米軍それから自衛隊、両方で使用いたしておるわけでございますが、防衛庁にとりまして、防衛上、日米安保遂行上も、先生御指摘のとおり非常に重要な飛行場であるという認識でございまして、今後とも安定的使用を確保してまいりたい、このように考えております。
  373. 吉井光照

    吉井分科員 そこで基地の沖合移設の問題ですが、この問題は市民と県民の大きな理解の上に成り立っていることを決して忘れてはならないと思うわけであります。すなわち、国防という国家目的のために、みずからの生命、身体、財産及び日常生活の安全などの保障をあくまで前提に基地の存続に理解を示しておるということでございまして、この前提を満たす最善の方法が沖合移設である、このように思うわけでございます。  そこで、昭和四十七年十一月、この沖合移設早期実現のために、民間組織である岩国基地沖合移設期成同盟会が設立をされてから、今日まで数々の運動が展開されてまいりました。そして、はや十六年の歳月が流れたわけでございます。この間におきましても航空機事故が二十五件、その他騒音問題、また犯罪問題等々数限りなく発生しておるわけです。その一方で沖合移設実施の目途がいまだ立ってない状況。したがって、住民の不安はますます募る一方ということでございます。そうした中で、昨年九月突然実施された米空母ミッドウェー艦載機の着艦訓練、これは地域住民に多大な苦痛と不安を与えたわけでありますが、我が党はこの点を重視して、現地を視察した上で関係省庁に対してこの着艦訓練の即時中止と、また代替基地化反対の緊急申し入れを行ったわけでありますが、もしこうしたことが再び繰り返されるというと、基地撤去運動というものにますます拍車がかかることになります。したがって、ここで改めて、岩国基地におけるところの着艦訓練の代替基地化は今後ない、このように断言できるかどうか、ひとつ長官のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  374. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたしたいと思います。  昨年の九月、十月、大変濃度の濃い着艦訓練が岩国で行われたということで、地元に大変御迷惑をおかけしたわけでございますが、これはちょうど、いつでも行っておりました三沢の飛行場の運用上の制限等もございまして、たまたまそういう回り合わせになったわけでございますが、私どもといたしましては、現在厚木飛行場で実施をいたしておりますNLPの訓練、これが市街地の上空で騒音もひどい、あるいは米軍の訓練所要も十分満たし得ない、こういうことで、現在、立地条件のすぐれておる三宅島ということでお願いをしておる最中でございまして、代替に岩国でやるというようなことは現在考えておりません。
  375. 吉井光照

    吉井分科員 そこで、岩国基地沖合移設対策について、政府は昭和四十八年度の技術的な調査を皮切りにして一連の諸調査を実施されて、その結果をもとに昭和五十七年の七月、十年の歳月を経てようやく出した結論が「飛行場東側海面を埋め立て、滑走路を約千メートル移設する方法が適当である」これは防衛施設中央審議会の答申ということになっております。しかしながら政府は、財政事情を理由にこの結論の実施には踏み切らずに、相変わらず調査に次ぐ調査が続きまして、結局十五年間調査に明け暮れて今日に至っておるわけでございます。その間費した時間、労力もさることながら、この間の調査費だけでも実に十一億六千万を超えておるわけですが、昭和六十一年度から実施されている埋立工法試験も六十三年度で終了するということで、市民はもとより県民の皆さん方も、いよいよ決断のときが来た、天王山だというふうな大きな期待がかつてない高まりを見せつつあることもこれは事実でございます。こうした状況下で、私は今こそ、実施に踏み切るかどうか、その決断が問われる時期に直面したと思うけれども、この認識で間違いがないか、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  376. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 先生御指摘のように、昭和六十一年度から六十三年度まで工法試験、いわゆる試験埋め立てを実施することとして、昭和六十三年度予算もお願いしているわけでございます。昭和六十四年度以降いかなる措置をとるかということにつきましては、技術面あるいは財政面、これらあらゆる方面から現在検討を行っているところでございます。
  377. 吉井光照

    吉井分科員 今検討を行っていると答弁があったわけですが、現在実施されておる埋立工法試験の進捗状況はどうなっておるのか。三カ年計画の最終年度であるところの六十三年度までにこれが終了するのかどうか、また、予定どおり埋め立て工法試験が終了しても、その分析結果が出てくるまでにはまた日にちを要するかもしれませんが、その結果がいつごろになったら発表できる見通しなのか。また、その試験の結果次第では実施が不可能ということも場合によってはあり得るのかどうか、この点についてはいかがですか。
  378. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 いわゆる試験埋め立てにつきましては、現在、昭和六十一年度、六十二年度に予算が計上されております、進入路の整備、仮設の橋をかける、それから護岸の工事が終了しておりまして、これから埋立工にかかろうという段階でございます。地元調整その他の関係で着工が予定よりおくれたことは事実でございますけれども、埋め立てそのものは六十三年度中に完了する計画で進めております。  ただ、誤解のないように申し上げておきたいことは、この埋め立て試験といいますのは、埋め立てた土が沈下する、その沈下の度合いを調べまして、全体の埋め立て土量がどれくらい必要であるかということを調べる、あるいは海底が軟弱な地盤でありますので、どういう改良の工法が適当であるかということを調査する、そういった目的のものでありますので、この試験埋め立ての工事が完了した後、観測機械を取りつけまして、数年間観測が必要ということになるわけでございます。以上のような目的でございますので、調査結果を公表するとかいったような性質のものではなくて、技術的な資料を得るためのものでございます。  ただ、御指摘のように、この試験の結果埋め立てが技術的に不可能になるというようなことは全く考えておりません。
  379. 吉井光照

    吉井分科員 今ここで一番問題になるのが、やはり経費の問題ですね。いわゆる千メートル沖合移設計画に要するところの所要経費につきまして、政府は昭和五十六年十月の評価で約三千億、このようにおっしゃっているわけですが、これは当然それなりの積算根拠があってのことだと思います。このように実施に当たっては多額の経費を要するわけですが、この予算というのはあくまでも防衛費というものの枠の中で行われるものか、それともやはり別途に特別会計とかそういう別途会計を設けて行われるのか、その点はどうでしょう。
  380. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 お答えを申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、現在技術面、財政面、先生が御指摘になられたようなことも含めましてあらゆる方面から検討を行っているところでございます。したがいまして、仮にこれを実施するとして予算措置の方法かどういうふうになるかというのも今後の検討課題と考えております。
  381. 吉井光照

    吉井分科員 この沖合移設計画の実施に当たって、先ほどからるる言っておりますけれども、どうしても一番大きいネックは経費的な問題ではないかと思います。したがって、年次計画、年次計画と言ってはちょっと語弊があるかもしれませんが、経費的にもう一挙に仕上げてしまうというのではなくして、段階的な整備の方向性、こうしたものもひとつ検討の要素になるのではないかと思うのです。例えば、第一次計画として滑走路をつくり上げる、そして今度は第二次計画にその周辺、そして第三次計画としていわゆる上屋、箱物をつくっていくというふうな考え方も出てくるのではないかというような気がしますけれども、この点はどうでしょう。
  382. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 御指摘の点は結局、一時に多額の経費が要ることを避けるために段階的に工事をしたらどうかということだと思います。今私どもが技術的あるいは財政的に検討しているということの中には、そのような検討も含まれているというふうに御理解いただきたいと思います。
  383. 吉井光照

    吉井分科員 最後に、防衛庁長官にお尋ねをしておきたいと思うのですが、昭和六十年の本委員会分科会で私が質問をいたしました。そのときに佐々防衛施設庁長官は、この岩国基地沖合移設について、「リロケーションの作業の中では最優先課題と位置づけをしておる、」また、「早期実現という市民の皆様の御要望に沿うように、できる限りの努力をいたしたいと考えております。」このような非常に力強い御答弁をいただいたわけでございます。さらに、そのときに加藤防衛庁長官からは「施設庁を中心としまして、防衛庁といたしましてもできる限り住民の皆さんの要望にこたえられるように今後とも全力を挙げてまいりたい、こう思っております。」との、これまた非常に力強い御答弁をいただきました。  確かに、六十年度以降、順調に調査費等の予算確保ができて、また、地元住民の期待を担ったところの岩国飛行場沖合移設対策室、こうしたものも岩国防衛施設事務所内に設置をされたわけです。しかし、調査の段階は終了している今日、早速やらなければならないことはただ一つ、まさに政治決断、決着のみである、このように思うわけでございます。さきの答弁が政府の真意であるとするならば、また住民の悲願を真剣に受けとめていらっしゃるのであるならば、今こそここで政府の方針を明確に示すべきときである、私はこのように思うわけでございますが、ひとつ長官の御決意をお尋ねしておきたいと思います。
  384. 瓦力

    ○瓦国務大臣 お答えいたします。  岩国飛行場周辺の安全の確保、騒音の緩和を図るため滑走路沖合移転計画の早期実現を求める、この運動は歴史を通じながら、地元の御要望は大変強いことも認識をいたしております。また、今ほど政府委員から答弁がございましたが、調査費をつけながら各種の調査に取り組み、なお技術的な問題もまだあるようでございますが、財政事情等も勘案してまいらなければならぬという課題もあるわけでございまして、これらの調査をしっかり見守ってまいりたいと思っております。御要望、御要請また運動、さらに前長官が答えられておる点もございますが、先ほど申し上げましたように、技術的な問題、財政上の問題を勘案しながら見守ってまいりたい。  なお、決断を求められるわけでございますが、これらの状況を勘案の上、決断すべき問題であろう、かように考えております。
  385. 吉井光照

    吉井分科員 以上で終わります。
  386. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて吉井光照君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  387. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、有事来援の問題について質問を続行したいと思います。今まで細切れでございましたので、きょうは三十分間一貫してお伺いをしたい。  まず、今年一月に長官がペンタゴンの長官に有事来援の申し込みをされましたが、実は今までその種の研究はユニホーム同士あるいは事務担当者同士でやっていたのですね。それなのに今なぜ政府首脳同士でそういうレベルにこの問題を引き上げたかということについて私は大変疑問を持っておったわけです。  それで、順次それをお伺いいたしますけれども、まず確認しておきますが、西廣局長も御答弁になったとおり、あの申し込みはガイドラインの第二分類に属する問題である。ところが、このガイドラインの第二分類の中には「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」そうなっておりますね。その中に「輸送」という項目がある。それは「日本及び米国は、米国から日本への補給品の航空輸送及び海上輸送を含む輸送活動を緊密に協力して実施する。」となっておりますね。これはまさに有事来援の一つの問題点である。これは既に共同研究している。そして、その共同研究の成果は五十九年の十月に中間報告がなされて、五十九年十一月二十一日日米間で正式署名されているはずでありますが、そうですか。
  388. 西廣整輝

    西廣政府委員 お答えいたします。  有事来援の問題が従来事務的に検討なされておったのではないかということで申し上げますと、まず、ガイドラインに基づく研究の中に作戦計画の研究というのがございますが、この中では当然、どの時点でどの程度の米側の来援があるかということが作戦計画以後の作戦について非常に大きな影響を及ぼすわけであります。したがって、その問題は作戦計画の中の一環としてあるいは延長線上の問題として非常に重要な問題だということはたびたび申し上げておりますが、実は作戦計画の研究においては、この点について米側といいますか我が方の研究の相手方である在日米軍が独自に、この時点でこれだけの援軍を送り込めるということを決め得る立場にありませんものですから、そういった数字等については仮置きをして作戦計画については研究を実施した、そういうことでございます。  なお、輸送等の問題について過去研究したのではないかというお尋ねでございますが、我々が今まで米側と研究をし、成果を得たものとしては、作戦計画の研究の一つのケースとシーレーン防衛研究についての成果を得ておりますが、輸送問題について研究が終わったということはございません。
  389. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 五十九年十一月二十一日にこの第二分類の中間報告について署名されたという事実はないのですか。
  390. 西廣整輝

    西廣政府委員 今、私手元の資料を調べましたが、五十九年十一月に研究が終わり、総理にも中間報告したのは作戦計画の研究についてではないかと思っております。
  391. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 正式に署名しているのではないですかと聞いておるのですよ。
  392. 西廣整輝

    西廣政府委員 繰り返すようでございますが、五十九年に終了いたしましたのは、作戦計画の研究についての一つのケースについて研究を終わりまして、日米間で研究の成果について署名をし、それぞれの政府に御報告をしたということになっております。
  393. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 初めからそうおっしゃれば時間がかからないのですよ。私はそれを聞いているのです。正式に署名しているのですね。長官、聞いておってくださいね。  それから、シーレーンの防衛共同研究、これは六十一年十二月十五日に署名していますね。
  394. 西廣整輝

    西廣政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  395. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これも共同署名が終わっておる。それから六十一年一月、ハワイで日米の安保事務レベル協議がありましたね。これはもう新聞に報道されている。このときも後方支援、補給、輸送、それの相互運用性、つまりインターオペラビリティー、これの共同研究も推進しようということで合意していますね。
  396. 西廣整輝

    西廣政府委員 インターオペラビリティーと申しますのは非常に幅広い概念でございますが、この件については、たしか栗原長官が最初に防衛庁長官に御就任のときの首脳会談でインターオペラビリティーの研究をやろうということになりまして、以後、おっしゃるようにハワイ会議でインターオペラビリティーの研究を推進しようということになっておりますが、内容的にはまず通信問題をやろうということになっていたと記憶しております。
  397. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 すべて私が指摘しているとおりですね。  それから、六十二年度の日米共同統合指揮所演習、これは相当大規模なものであったはずであります。これは想定としては、北方有事を戦略的に想定した画期的なものであった。どういう内容になっておるかというと、統合指揮所演習ですよ、実際の演習じゃなしに。まず第一に米国から日本までの海上輸送路の安全をどう守るか、二番目に米軍の着上陸地点をどこに定め、その地域の安全をいかに確保するか、三番目、来援した米軍への輸送、補給、通信、宿泊施設の提供などの面で日本がどれだけの努力ができるか、まさに有事来援の内容ですね。こういう想定でもって昨年度の日米共同統合指揮所演習は行われた。間違いありませんね。
  398. 西廣整輝

    西廣政府委員 ただいま担当の局長がおらないようでございますから、私からお答えさせていただきますが、日米間で各種の共同訓練が行われている中で、統合の指揮所訓練というものが行われたということは承知いたしております。
  399. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは私が言ったことで間違いないのですよ。防衛庁としては当然だと思うのですね。それで、今幾つか指摘した事実は全部事実と判明をいたしております。  つまり私が言いたいのは、既に冒頭申し上げたとおり、ユニホーム同士あるいは事務レベルではこの有事来援の研究はやっておったんです。しかも一部は正式署名までしている。それがなぜことしの一月の段階で政府首脳レベルまで引き上げられたかという問題です。これを私は、なぜだろうか、これはいよいよ来るところまで来たな、今まではユニホーム同士あるいは事務担当者レベルであったけれども、いよいよ政府首脳レベルになったな、僕はびっくりしました。どうしてびっくりしたかというと、これも何回も言いましたけれども、昨年の八月までは、ポンカスだけではありませんけれども、ポンカスも含めてそんなこと日本から申し出るのじゃないと言われたときに、栗原さんも西廣局長も、いや、こっちから申し出るあれはないんだと言い続けておったのに、四カ月とちょっとの間に、これはいきなり日米の長官同士の話し合いになった。しかも瓦長官が申し出るという形になった。私は唐突に思います、昨年八月の答弁から見ると。だから、この四カ月の間にどうして長官が申し込むようになったのか。これは非常に重大である。だから、どの時点でどういう会合で申し入れを向こうにしようと決まったのか、それを明らかにしてください。
  400. 西廣整輝

    西廣政府委員 この問題についてはかなり長いいきさつがあります。  御承知のように、安全保障条約というのがございますから、仮に日本に対して侵略が行われた場合には当然のことながら在日米軍が自衛隊を支援して戦う、さらにはそれで不足する場合にはアメリカ側から増加来援があるということは当然のことでありますが、それではそういった問題についてアメリカがどの時点でどれだけの規模の部隊、どの種の部隊を送り込むかということについて具体的にこれを決めるということはアメリカ側にとってもなかなか難しいことだと思います。  と申しますのは、日本に実際に侵略が行われる時点で世界情勢がどうなっているかということが一つあろうかと思います。日本だけであればアメリカとしては相当の余力があるかもしれないし、世界じゅうでいろいろなところで火がついておるという状況下であれば日本に対する支援余力というものはそれだけ少ないということも当然想定されるわけですが、そういった問題もあって今まで作戦計画、先生のおっしゃるとおり、作戦計画あるいはシーレーン防衛計画、その種の計画研究をやった際に、我々としては常に日本側の最大関心事というのはアメリカ側がどの時点でどれだけ来てくれるかということによって事後の作戦のやり方が非常に変わってまいりますので、最大の関心事であるということはずっと引き続いて我々の最大の関心事であったわけですが、その問題については米側は明確には必ずしもできなかった、少なくとも我々の研究相手方にとっては。ということで我々としてはもう少しこの問題を上に持ち上げて研究するようにしたいという意向はかねがね持っておりました。そして、事あるごとに作戦計画研究なり、あるいはシーレーン防衛研究に際してそういう意向は漏らしております。  そして、具体的に申し上げますと、加藤長官のときにはそういった問題をひとつ勉強したいなということで、実は具体的に首脳会談の場でも持ち出したことがございます。ただ、ポンカスというような具体的な施策、そういったことについては、何か日本からおねだりをするというような格好になりますと、それに対応して、それじゃ何かするかというような問題が起きますので、そういうことではなくて有事来援をいかにタイムリーにしてもらうかという問題についてというふうにぼかした形で常に話を進めておりました。ただ、米側としてはそれについてまだ応ずるという返事が事前の折衝段階で得られませんでしたので、表立って出さなかった。そして今回初めて米側においても恐らく現地のこちら側と研究をやっていた機関等から上に上がっておって、これをやる時期に来ているという話が行っていたのだと思いますが、やろうという返事を初めて得られたということでございます。
  401. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が聞いていることに簡単に答えていただけばいいのです。長官がことし一月訪米されたときに申し出をするというふうに具体的に決まったのは、いつ、どういう会合で決まったか。つまり、例えば長官を含めた防衛庁の内部で決まったのか、あるいは外務省も含めて決まったのか、あるいは安保会議での議題として出されて決まったのか、それを聞いているのです。
  402. 西廣整輝

    西廣政府委員 この種の問題を首脳会談に上げるという議題としては、そういうことを議題として用意しておりますということを防衛庁長官、もちろん防衛庁内で決め、総理にも御報告をし、そこで持ち出して向こう側が応じようという返事を、事前折衝で向こう側が応じるということが大体わかった段階で正式議題として決めました。(楢崎分科員「何月何日に申し出しようと決まったのですか」と呼ぶ)申し出というか、この問題を議題とするということは長官の訪米が決まった段階であります。長官の訪米を決めた段階、一月の初めでありまして、そして、それが正式議題に上がるということが決まったのは、米側の返事を受けた首脳会談の直前でございます。
  403. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、外務省はその相談には入っていなかったのですか。それから安保会議にかける必要はなかったのですか。その二つだけ。
  404. 西廣整輝

    西廣政府委員 ガイドラインをお決めいただいたときに、日米安保協議委員会でお決めいただいた際に、それぞれの研究についてはガイドラインに書いでございますが、これは防衛庁長官の責任において行うということで御了承をいただいておりますので、本来防衛庁長官の責任においてやるべきものだというように考えております。  なお、外務省についてはどうかということになりますと、外務省は私どもとアメリカ側と最終折衝する段階に当然立ち会っておりますし、そういう段階で一緒に承知をしておるということであります。
  405. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この前、上田委員の質問に対して統一見解的なものを出され、これはあるいは有事立法問題へ発展していくかもしれない、それほどの重要な問題ですから、事務レベルあるいはユニホーム同士の研究はガイドラインでいいですよ。そしてこのガイドライン問題については防衛庁長官が責任を持つということも私は承知しています。しかし、いよいよ政府間同士で話をするという段階になれば、幾ら防衛庁長官がこの問題は責任を持つと言われても、政治的には非常に重要ですから、国会もあることだし、安保会議にかけるべき議題であった。それで非常に防衛庁の独走ではないかという印象を私は深くするのです。この種の問題は相談をするにこしたことはないのです。  じゃ、竹下総理大臣にいつ報告されましたか。こういうふうに長官がいよいよ政府間レベルでこの問題を取り扱うという申し出をすることについて、竹下総理には、安保会議の議長ですけれども、いつ報告をなさいましたか。竹下安保会議議長、総理大臣はどういう返事をそのときなされましたか。
  406. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま防衛局長から有事来援につきまして経緯等も踏まえながら答弁がなされたわけでございますが、ガイドラインに沿う研究でございますし、防衛庁長官の責任においてなせることでございます。また、作戦計画の延長線上においてなす研究でございますが、出発前に議題につきましてまだ最終段階の米側とのすり合わせが残っておりますから、議題として想定されるものとしての御報告は総理に申し上げ、出かけたわけでございます。また、それらの問題につきまして帰国後、時間の関係もありましたから総理の私邸に訪ねまして報告をいたしたわけでございます。  この問題につきましては、先ほど来お話がありますとおりガイドラインに沿う研究でございますから、防衛庁長官の責任においてなすということ、さらに、委員から有事法制に及ぶ問題についての御指摘がございますが、御承知のとおりガイドラインにおいての研究等をまず行うことは立法、予算、さらに行政措置とは別途に行える。さらに、もう御承知のとおり憲法であるとかそういう一つの枠はございますが、そこで研究をしていただくことでございます。これは研究の問題です。また、現在既に在日米軍が日本におるわけでございますから、私は、今御指摘のような有事法制の問題につきましては常々これは研究をしておくということは大切な問題だ、かように申しておるわけでございまして、今有事来援という問題は在日米軍も……(楢崎委員委員長、注意してください。質問に答えてない。総理にいつ報告されたか」と呼ぶ。)私は、出発前に総理に、議題として想定される議題はかようなものであるということは御報告はいたしました。
  407. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのとき総理はどう言われましたか。
  408. 瓦力

    ○瓦国務大臣 総理は、防衛当局者同士で間断なき意見交換をするように、かようなお話がございましたが、具体的な御指示というものはございません。
  409. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もうわかっていることはここで長々言わぬでください、時間がないから。  それで、ガイドラインで研究する場合に、法制化の問題、予算化の問題、行政措置の問題は別だと書いてありますね。ところが、僕は冒頭に指摘したでしょう、第二分類の中間報告を正式署名しているじゃないですか。行政措置でしょう、これは。しているでしょう。シーレーン防衛も署名しているでしょう。行政措置でしょう、これは。どうですか。ちょっとお待ちください。あなたに言うことがある。行政措置でしょう。しているのでしょう。だから、そのガイドラインではそういうものは触れないなんというような答弁だけじゃだめなんですよ、現実にしているのだから。そして、その内容は発表していない。先ほど御答弁になりました五十九年十一月二十一日、このガイドライン第二分類の中間報告、研究の共同成果を署名した、この内容及び六十一年十二月十五日、シーレーン防衛共同研究の署名もやった、これをシビリアンコントロールの立場からぜひ資料として当委員会に出してもらいたい、委員長にお願いをいたしておきます。どうでしょうか。
  410. 西廣整輝

    西廣政府委員 ガイドラインに基づく作戦計画の研究については、従来たびたびお答えしていると思いますが、これは行政措置ではない、日米相互で研究をいたして、これで研究は終わりました、これでそれぞれの政府に報告しますという確認のための調印をしたというように申し上げていると思います。  なお、作戦計画研究等の中身につきましては、事柄の性質上出せないということで、いろいろな委員会で累次お答え申し上げている点を御了解いただきたいと思います。
  411. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そういう答弁があっていることも知っていますよ、私は。それではシビリアンコントロールにならないではないか、審議のしようがないではないか、それを私は言っているのです。だから、これは予算委員会の理事会で一度問題にしてください、シビリアンコントロールは大事だという竹下総理の答弁もあるのですから。  委員長にお願いします。委員長のお考えを聞いておきます。ちょっと待ってください、委員長のお考えを聞いているのですから。もう時間がありませんから、またほかに言うことがありますから。
  412. 愛野興一郎

    愛野主査 委員長より楢崎委員に申し上げます。  既に過去において防衛上の秘密であるから資料としては出せないという当委員会答弁が……(楢崎分科員委員長、当委員会じゃないですよ、その委員会は」と呼ぶ)委員会答弁があっておるということでありますから、そういう御質問があったということだけ、この理事会に報告をいたしておきます。
  413. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それじゃシビリアンコントロールはできないから、もう一度、それは外へ出せないなら秘密会でもいいからシビリアンコントロールが及ぶような形で資料提出なり、あるいはその内容の概要について、本委員会でぐあいが悪いならば理事会でひとつこれを明確にしてもらいたい。それを要望しておるのですから、委員長はそのまま理事会にお伝えになったらいかがでしょうか。
  414. 西廣整輝

    西廣政府委員 これらの研究があるいは予算を必要とする実際の何かの行政行為に及ぶ、あるいはアメリカ側と行政協定といいますか協定等を結ぶ、さらには何らかの立法措置をするという段階には当然のことながらその理由等を付して国会の御審議をいただくということになりますが、現在はあくまで研究の成果ということで置いてあるわけでございまして、研究の段階にとどまっているものについて、しかも軍事的な作戦計画といったような内容について明らかにするということは御容赦いただきたいという点を御理解いただきたいと思います。
  415. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、納得できませんから一応理事会に諮ってください。
  416. 愛野興一郎

    愛野主査 楢崎君に申し上げます。  当分科会で楢崎君の御発言、それから政府側の御発言があったということを理事会に報告をいたします。
  417. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 資料要求を私はしたということを含めてですね。
  418. 愛野興一郎

    愛野主査 それも含めて。
  419. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ぜひお願いします。  それから、私の二月二十三日の質問に、この有事来援の問題は安保条約五条に限っての来援の問題だと宇野外務大臣は御答弁になりました。間違いありませんね、外務省。
  420. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 五条にかかわる事態についての研究であるというふうに承知をいたしております。
  421. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そう答弁なさったんですね。五条には外部からの武力攻撃のおそれは含んでないのです。西廣局長は含んでいる。私は含んでいるという答弁が正確だと思います。なぜならば、ガイドラインでは御説明のとおり第二分類の中にはおそれが入っておりますから。それから、これも私が指摘したとおり西ドイツとアメリカのその種の協定にはクリシス・オア・ウォー、緊急時、おそれですね、それと、戦時となっているから当然だと思いますが、この外務大臣の御答弁とちょっと食い違うのではないですか、西廣局長の御答弁は。ちょっと待ってください。外務省に聞いている。せっかく来ていただいているのですから。安保条約五条にはおそれは含んでいない。
  422. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 安保条約の五条ということについて申し上げれば、おそれということは入っておりません。
  423. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから外務大臣の答弁西廣局長答弁は違っているじゃないですか。重大なところで違っているんですよ、これは。なぜ私がそれを指摘するかというと、いいですか、おそれがあるという場合には第六条に関係するんですね、安保条約の解釈としては。それでわざわざ宇野さんは、六条とは関係ないんだ、五条だと言っているんだ。どうしてそれが重大かというと、例えば朝鮮有事の場合はおそれがある場合です、一番例を挙げれば。そうすると、事前協議の問題が非常に重大になってくる。これが恐らく私は、これから研究が進められようが、恐らくおそれを含む場合は、例えば朝鮮有事の場合は事前協議は包括承認になるはずだ。わかり切っている、これは。それが日本の場合の国内の有事法制の研究は進められておるけれども、米軍が来援したときの有事法制についてはまだ手をつけてないという答弁でしたが、米軍の有事法制の場合に米軍の問題と関連さしたときには、当然米軍の行動の自由は保障されなくちゃいけない。だから、第六条の場合もおそれがある場合は恐らく、これは私の想定です、恐らく、事前協議は包括承認になるはずです。だから、私はこの問題を西廣さんに非常に神経質に質問したのはそれなんです。しかも、ガイドラインの研究では事前協議条項にかかわるものは研究しないことになっているんでしょう。ところが、実際にかかわってくる、おそれが入ってくると。だから、私は重大だと言っているんです。  外務省その食い違いをどうします。第五条に限ると答弁はっきりしたんだから。これは外務省の考えを聞いているんです。西廣さんの考えはわかっていますから、あなたが外務省の考えをそんたくする必要はない。外務省に聞いておるのですよ、外務省、わざわざ来てもらっているのですから。質問者の希望を聞いてくださいよ。あなたの考えはもうわかり切っているんだ。もう一言言うておきますけれども、あなた、答弁が政治的な判断の場合もあなたがかわってなさるのはわかるけれども、ちょっと発言が多過ぎるんじゃありませんか、政治的な問題についても。長官がまだなられたばかりだからわかりますけれども。同情しているんですよ。それは外務省です。明らかに安保条約五条に限ると答弁しているでしょう。訂正しますか。もしあれならば、宇野大臣呼んでくださいよ、本人が言っているんだから。あなた方はわからぬだろう。大臣の考えは、恐らくこうでしょうと言ったってだめですよ。他人が、言った本人の考えをそんたくするなんという答弁はだめです。
  424. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 いわゆる安保条約第五条に関連する日米協力のあり方につきましては、日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合と日本に武力攻撃がなされた場合について研究を行うこととなっておりまして、またいわゆる六条の事態における日米間の協力のあり方につきましては、日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力について研究を行うことになっているというふうに承知をいたしております。
  425. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、有事来援は安保条約五条に限るんだ、そう答弁なさっているでしょう。答弁を変えますか、議事録を。わざわざ安保条約五条に限る、参議院でも質問があって、六条と関係するんじゃないかと言われたから、特に私はそう答弁しましたとここでも言われたんだ。有事来援は安保条約五条に限るんだ、はっきりそうおっしゃっているんです。――それじゃ、時間が来ましたから、これは外務省が答弁できない、だから理事会でこの食い違いをはっきりさしてください。それをちょっとお願いしておきます。どうですか。防衛庁と外務省の食い違いについて、重要なところですから。
  426. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 米軍の来援が行われますのは、日本に対する武力攻撃が行われた場合というわけでございますけれども、現在、日米間でやろうとしております研究の中において、日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合ということが話題になることはあろうかというふうに思っております。
  427. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だめですよ、そんな答弁は。
  428. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。
  429. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だめですよ、あなた。そんな、食い違っているのにだめですよ。だから委員長、理事会でこの食い違いをはっきりさしてくださいと私はお願いしているんですよ。
  430. 愛野興一郎

    愛野主査 もう時間が切れておるから。
  431. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 切れておるから、それをお願いしているんですよ。理事会でこの食い違いをはっきりさしてくださいと言っているんですよ。委員長にお願いしているんです。
  432. 愛野興一郎

    愛野主査 それじゃ、委員長から楢崎君に発言いたします。  ただいまの状況を理事会に詳細報告をいたします。
  433. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 お願いします。  やめます。
  434. 愛野興一郎

    愛野主査 以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  435. 愛野興一郎

    愛野主査 次に、総理本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。     〔主査退席、佐藤敬治主査代理着席〕
  436. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは内閣官房長官にお尋ねしますが、今度、平和祈念事業特別基金等に関する法律案が今国会に提出されましたが、この内容を見ますと、一つはシベリア抑留者、もう一つは在外財産のいわゆる引揚者、もう一つは軍人恩給欠格者、この三者を対象にして考えられておるようですが、この三者に限るということで間違いありませんか。
  437. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいま国会に提出さしていただいております法案の内容についてのお尋ねでございますけれども、平和祈念事業特別基金のいわば対象者と申しますか、それの関係者と申しますのは、今先生から御指摘がございました方を中心とするものでございまして、その辺の周辺の者も若干入ってくるんではないかというふうに考えております。例えて言うならば、「戦後強制抑留者」という法律上の定義につきましては、実は本邦に帰ってきた人というふうにやや限定しておりますが、現地で亡くなった方々も実はその基金の対象になるのではないかというようなことでございます。
  438. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、この法案は、つまり戦後処理ということで解釈していいでしょうか。戦後処理の法律というふうに解釈して差し支えありませんか。
  439. 平野治生

    ○平野政府委員 戦後処理という意味をどういうふうにとるかということが一つの問題になろうかと思っておりますが、今私どもいわゆる戦後処理といった場合には、ただいま先生から御指摘ございましたとおりに、いわゆる恩給欠格者の問題とかシベリア抑留者の問題とか、あるいは在外財産関係の問題もあるわけでございます。ただ、いわゆる戦後処理といった場合に、例えて言うならば台湾元住民の方々の問題も入るかもしれない。そういう意味におきますと、この法案は、先ほど先生も御指摘がございましたとおりに三問題を中心とした戦後処理問題というふうに御理解をいただきたいと思っております。
  440. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 戦後処理というのは今まで歴史的にも大分議論のされてきたところでございまして、かつては自民党と政府の申し合わせ事項とかそういうのがいろいろあって今日に及び、戦後処理問題懇談会が戦後処理問題について検討をしてその報告書が出た、そしてその報告に基づいてこの法律案が出たと解釈していいのでしょうか。
  441. 平野治生

    ○平野政府委員 そのとおりでございます。
  442. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、前の戦後処理はこれで終わったというのは、実は終わってなかったということですね。
  443. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいま先生からお話がございましたとおりに、確かに昭和四十二年に政府といたしましては、引揚者に対する特別交付金を出した時点におきまして、いわゆる戦後処理はこれで終わったということを一たんは決めたわけでございます。しかしその後、先ほど先生のお話がございました恩欠の問題やら、シベリアの問題やら在外財産の問題がまた出てきた、出てきたという言葉はあるいは不適切かと思いますけれども、またいろいろな各方面で論議がされてきたということでございます。そこで、政府としてはもう一度こういう問題を考えてみようではないかと考えまして、これも先生の御引用になりました戦後処理問題懇談会を五十七年六月につくっていろいろ御議論をいただいた、こういう経緯があるわけでございます。
  444. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 私はここが非常に重要だと思うのです。戦後処理は終わった終わったと主張しながら次から次に出してきて、そしてこれが戦後処理だというふうな言い方は、非常に確信のない政府の態度をそのまま示していると思うのです。本当に終わったなら、その後は何もないはずなんです。終わっていないからこういう問題が出てくるわけで、だから戦後処理というのは今あなたが言われましたように三つの対象以外にも若干出てくる可能性があるというお話です。そうなると、これで完全に終わったとは言い切れないのではないでしょうか。
  445. 平野治生

    ○平野政府委員 戦後処理問題をどういうふうに受けとめるかということも一つあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、今回のこの特別基金の創設並びにこれに関連する諸措置をもっていわゆる戦後処理問題については一応終結したと考えております。
  446. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 だから、あなたの方では終結した終結したと言いながら次から次へと出してくるから、それは終結にならぬではないかと私は聞いているのです。そして今でもこの三つの問題に対する考え方がここに総括されているだろうと言ったら、その三つのほかに若干風鈴みたいなのがついてくるようなお話があったから、そこで私はまだこれは継続する可能性が残っているんだな、こういう認識なんですが、どうでしょうか。
  447. 平野治生

    ○平野政府委員 あるいは私の御説明が若干言葉足らずだった面もあろうかと思っておりますが、実は戦後処理問題懇談会の報告の趣旨に沿って今回特別基金をつくるわけでございますが、その特別基金の主な目的の一つといたしまして、さきの大戦における関係者の方々の御労苦というものをきちっと後世に伝えよう、こういうことが大きな基金の仕事になっているわけでございます。そういう観点から見ますと、私どもは、今回できます基金あるいは戦後処理懇の報告というものが、いわゆるシベリアとか恩欠とか在外財産という方々をいわば直接の対象としていることは事実でございますが、同時に、それに関連して、さきの大戦でのいろいろな方々の御苦労というものもあわせていろいろな形で後世に伝えていく必要があるのではないか、そういう意味におきまして、三問題を中心とした基金であるというふうに申し上げたわけでございまして、それ以外に何か似たような大きな問題が出るようなこと、そういう意味でございましたら、私の言葉足らずであったかと思っております。
  448. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、この三問題が中心にとなっているけれども、確かにこの中でシベリア抑留者については明確に明記されておりますが、軍恩欠格者についてはどこを読んでも、軍恩欠格者そのものに対する対策は具体的に出ていませんが、どの辺にこれは含まれているのでしょうか。
  449. 平野治生

    ○平野政府委員 法案についてのお尋ねでございますので、若干それに即して申し上げたいと思います。  この法律自体の総則に、ここに書いてございますとおりに、冒頭でございますが、「旧軍人軍属であつて年金たる恩給又は旧軍人軍属としての在職に関連する年金たる給付を受ける権利を有しない者、」すなわちいわゆる恩給欠格者の方々、こういう方々の「戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う平和祈念事業特別基金の制度を確立し、」こう書いてございまして、そういう意味におきまして、これはいわゆる恩給欠格者の方々もこの基金の対象となっているわけでございます。  それでは、その基金においてどんな業務を行うかということにつきましては、また別の二十七条というところに書いてあるわけでございますけれども、基金におきまして、関係者の労苦に関する資料の収集とかあるいは調査研究、出版物その他の記録の作成、あるいはその他目的を達成するための業務、こういうふうに法律上明記してございまして、いわゆる恩給欠格者の方々についてもこの法律の条文において明らかにその対象となっているということが明確になっているかと思っております。
  450. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この軍恩欠格者というものをこういう祈念事業として、なるほど軍恩欠格者というものはこういう苦労があったのだなというようなことをしのばせる具体的な行事というと、例えばどういうことが想定されますか。
  451. 平野治生

    ○平野政府委員 基金が行う事業の内容につきましては、これから基金を創設いたしまして、そしてその中の運営委員会とかあるいはもちろん理事会とか、そういう間でいろいろ御議論いただかなければいけないと思っておりますが、例えばさきの大戦におけるそういう関係の方々の御労苦を記録にしっかりとどめるというようなことも一つ考えられるのではないかと思っております。
  452. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 結局この軍恩欠格者の問題にしても、不公平があるからこれは問題になってきているので、不公平がなければ何も問題ないのですよ。そして、いつも逃げるのは、あの最高裁の判決を引用して、戦争は多かれ少なかれ国民の犠牲によるものだ、だから甘んじなさいと。多かれ少なかれということは、多いのも少ないのも一緒にするということなんで、これがあるから問題なんですよ。その問題を多かれ少なかれで皆丸めて、ふろしきに包んで一緒くたにするから、こんがらがってしまうのです。だから、こういう問題をやはりはっきりと、苦労のうんと多いところとそれほど苦労しなかったところと明確にして、それに対する対策を講ずれば、こんなふうに長い間問題にならなかったのじゃないかと私は思うのですよ。そういう点が一つは問題にある。  時間がありませんので先に移りますが、そこで、この法案の内容の「地域」という中に例えば色丹、択捉というようなところが含まれるのか、あるいは旅順というようなところが含まれるのかどうか、この辺についてお伺いいたします。
  453. 平野治生

    ○平野政府委員 法律の第二条に「定義」というところがございまして、いわゆる戦後強制抑留者の置かれている地域の限定がございます。ここには、ちょっと読み上げさせていただきますと「昭和二十年八月九日以来の戦争の結果、同年九月二日以後ソヴィエト社会主義共和国連邦又はモンゴル人民共和国の地域において強制抑留された者で本邦に帰還したものをいう。」という定義がございます。ここに書いてございますとおりに、いわゆるソ連の地域とモンゴルの地域でございます。  今先生のお尋ねがございました色丹とか歯舞というのは、いわゆる北方四島に属する島々でございまして、これは我が国固有の領土ということになっておりますので、いわゆるソ連邦の地域とは異なっております。また旅順につきましても、これは中国本土の地域かと思っておりますので、ここで言うソ連邦の地域とは違っている、入っていないというふうに考えております。
  454. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、色丹、択捉は日本の領土であるという主張があるからこれは当然考えられますけれども、しかし現実には日本の領土として機能していないのですね。日本の領土として主張し、そのためにそこにおった人たちの権利を奪うほどの力を政府が発揮するならば、なぜこれを現実に日本の所有にしないのか。その責任を負いもしないで一方的に、ただ名目だけで、日本の国土だから、そこにいた人はソ連軍に捕虜になっても直接帰ってきた者は日本の国から帰ってきたから対象にならないというのは、余りにもこれは三百代言的な言い方じゃないでしょうか。
  455. 平野治生

    ○平野政府委員 私ども今回戦後強制抑留者、いわゆるシベリアで強制抑留された方々に対して措置を講ずる、こういうことにいたしましたのは、既に御承知のとおりに、そういう方々が戦後酷寒の地で強制労働に服したという、そういう特別の事情と申しますか状況を考慮したものでございます。今先生のお話がございました色丹とか歯舞とか、あるいは択捉ということもおっしゃいましたけれども、そういうところでも確かに一時的にはソ連の占領という事態がございまして、そういう事態もあるいはあったかと思いますけれども、いわゆるシベリア抑留、そういうようなところで言われるような強制労働というものはあるいはなかったのではないかというふうに私ども考えております。私どもは、そういったいわゆるシベリア抑留という特別な事情を考慮して今回こういう措置をしたということについて、ひとつ御理解をいただきたいと思っております。
  456. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは余り議論すると時間がなくなりますから。しかし話によれば、抑留されて苦しくなかったなんというところはないのですよ。もうこれは生き地獄なんですから、ひとつその点はお忘れなく。  それから次は、恩給受給者と現地死亡者が慰労金の対象から外されておりますが、これはどういう趣旨で外したのでしょうか。
  457. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいま御指摘のございましたとおりに、そういうシベリアに抑留された方々、いわゆる私どもで言う戦後強制抑留者の方々に対しまして、書状と慰労の品あるいは、そのうち恩給を受給していない方々にはさらに慰労金十万円を差し上げるということにしたわけでございます。その慰労金十万円を差し上げる方々の範囲から、まずおっしゃるように恩給受給者を除いでございます。これは既に御承知のことかと思いますけれども、もちろんそういう方々にいろいろするというお考えも当然あるかと思いますが、私どもこういった財政状況の中でこういう方々の御苦労をいろいろ考えて措置をする際にこういう方々、こういう方々と申しますのはシベリアで御苦労された方々でございますけれども、そういう方々は恩給法あるいは援護法その他いろいろ法律ございますけれども、そういった援護法、恩給法のいわば法の対象となりまして、それらのシベリアに抑留された期間が、例えば普通の人でございますと、その在職期間の計算の基礎になっている、あるいはシベリアでけがをされた場合にはそういう方々が、いわばそういうことで障害年金なり、あるいは恩給でいう増加恩給とか傷病年金をもらっている。つまりシベリア抑留に関連して何らかの給付を受けていらっしゃる方については、考え方はいろいろあるかと思いますけれども、この際除こうというふうに考えたわけでございます。つまり、国として何らかの措置を今まで講じてない方々に対してそういう措置をしたらどうかということで、恩給受給者をまず除くといたしたわけでございます。  ところで、話は前後いたしますけれども、シベリアに抑留された方々のうち本邦に帰還された方だけを処遇することにしているわけでございますけれども、この点についても確かに、おっしゃるとおりいろいろ御議論もあろうかと思っております。私ども一昨年の暮れでございましたけれども、いわゆる戦後処理問題に対する党合意というのを、これは先生既に御承知でございますけれども、そのときに考えました時点におきまして、政府といたしましては、いわゆる関係生存者の方々に、今までの御苦労というものを考えて、個別に慰労の気持ちをあらわすため書状と慰労の品、そして先ほど申しました若干の条件、恩給受給者を除くという条件がございましたけれども、そういう方々に慰労金を差し上げよう、こういうことにしたわけでございます。ただその場合、生存者という考え方につきましていろいろございました。そのときの考え方は、せめて生きて日本に帰ってきた方々にはそのくらいのことを差し上げるのは当然ではないか、こういうような考え方でさせていただいたわけでございます。したがいまして、その時点におきまして、現地で亡くなられた方々にまでその気持ちを及ぼすまでにはまだ至らなかったというのが率直なところでございます。  ただ、生存者に対する考え方といたしまして、その当時は、その当時と申しますのは六十一年十二月にいわゆる合意ができた時点という意味でございますけれども、私ども、その生存の時点と申しますか、日本にせめて帰ってきた方々で今生きている方というふうにも考えたときもあったわけでございますけれども、いろいろな関係者の方々の御要望やら私どもも改めていろいろ考えてみた場合に、やはり日本に帰ってきた方々には全員そういう処遇をすべきじゃないかということで、昨年暮れ改めてそういうことを決めまして今回予算案に計上させていただいた、こういう経緯がございます。
  458. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 私は、感情論でなくて法律論として、こういうことができるだろうかと考えるのですよ。つまり、恩給をいただいておる者に対して、あなたは恩給をいただいているから今度の交付金からは除外しますよというなら、恩給法の中でそういうことをやるなら私は当然だと思うのです。これは特別立法で、法の体系が全然違うのです。法の性格が違うのです。ですから、昭和四十二年の引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律が施行されて実施されたときは、これは併給などということは全然問題にならないで、全員が対象になったのです。この法律と今のこの法律、性格としてどこが違いますか。同じじゃないですか。
  459. 平野治生

    ○平野政府委員 同じという意味がちょっと私理解が違っているのかもしれませんけれども、私ども今回いわゆるシベリア抑留者の方々にこういう措置をした、そういう一つの政策的な判断がございまして、その判断に基づいて立法化を図って、法律案として国会で御審議をいただこう、こういうことをしているわけでございますので、法律的にこういうことをするのはおかしいということではないのじゃないかと私は思っております。
  460. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 あなた先ほど予算の都合というようなことを言いましたけれども、それでは、慰労品の方は恩給受給者も対象になっていますね。ところが、慰労品と慰労金、どう違うのでしょうか。慰労品というのは金でつくった物でしょう、お金で、予算をつけて。慰労金というのはそのまま、これも国債で出すわけですから、どこが違うのですか。何にも本質的に変わりないですよ。それをなぜ片一方にはくれて片っ方にはくれないかということは、ただ懐ぐあいだけでしょう。ざっくばらんに言えば、国の懐ぐあい。ところが、そういうことだけで法律というものを勝手に解釈されたら、私は、法体系というのは崩れていくのじゃないか、こういうふうに考えるのです。その点はどうでしょうか。官房長官ひとつお願いします。
  461. 平野治生

    ○平野政府委員 先ほど私の御説明がやや逆に申しましたので申しわけなかったのでございますけれども、確かにただいま先生から御指摘ございましたとおりに、我が国に帰還されましたシベリア抑留者の方々全員に対しまして、遺族もいらっしゃいますから全員に対しまして、まず書状と慰労の品を差し上げる、こういうことが原則でございます。その上で、先ほど申しましたとおりにシベリアに抑留された期間がこれまで何らかの形で国から金銭的な対象となっている、先ほど申しましたとおりに、例えばその期間が在職年に通算されてそれが恩給に反映しているとか、そういう方々については御遠慮いただいて、その他の方々、国から何もしていない方々について十万円を差し上げよう、こういうふうに考えたわけでございます。これは一つの政策的な物の考え方ではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
  462. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間がありませんから先に進みます。  それから、この運営委員会というものによってこの基金が運用されるということが書いてありますが、この運営委員会というものの運営委員選任とその運用についてはどのように考えておられるのですか。
  463. 平野治生

    ○平野政府委員 法律上基金に運営委員会を設けることが書いでございます。運営委員会は基金の運営に関する重要事項を審議する機関であるということでございまして、委員は基金の業務に関し学識経験を有する者のうちから任命する、こういうふうに法律上なっております。すなわち、その運営委員会におきましては、基金が行う諸般の事業等につきまして一種の諮問的機関でございますので、そこでいろいろな御意見を承りながら、当事者側、執行者側がそれを自分たちの業務執行に誤りなきを期したい、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、委員の方々にはいわゆる戦後処理問題について幅広い見識のある方、こういう方々を任命するということになるのではないかというふうに考えております。
  464. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、こういうものが今出回っているんです、「戦後強制抑留者事業に関する決議」というのが。これは自民党の決議かと思ったらそうでもないですね。「戦後強制抑留者の処遇改善に関する議員連盟会長 衆議院議員 齋藤邦吉」という名前で出ているんです。ところが、その三項に「被抑留者に支給する書状、慰労の品及び慰労金の支給等に関する事務を全抑協(財団法人設立準備中)に委任すること。」と出ているんですね。公的な行政機関が不偏不党でやろうとする事務にこういう決議をもって介入しようとするような、みずからを推薦しようとするようなこういう行為をかつて大臣をした者がやっていいだろうか、これは官房長官どうですか。私はこういうことは絶対に許されないと思いますが、その点について官房長官一つくらいしゃべってください。
  465. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど平野参事官からお答えいたしましたように、基金としてはお答えのとおりに進めておるわけでございますので、幅広い見識を持った方々に集まっていただいて進めていきたいということでございます。したがいまして、関係者から出ました委員、この方にお集まりをいただきまして御審議をいただく、そしてまたそうした方々を中心にしてこの基金を運営していくということでございますので、今先生が御指摘されましたことにつきましてはまだ拝見しておりませんけれども、政府といたしましては申し上げたような基金の運営で公正を期していきたいと思っております。
  466. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、今の決議とこの基金の運営委員等の問題、あるいはその事務の執行の問題等についてはこの決議とは全然関係ない、こう断言したというふうに受けとっていいんですか。
  467. 平野治生

    ○平野政府委員 今官房長官申し上げたとおりに基金の運営を図っていきたいというふうに考えておりまして、ただいま先生の御質問がございましたそのいわゆる議連からの決議書でございますか、そこに書いてあるようなこと、先生がおっしゃったその決議の内容は、恐らくいわゆる戦後強制抑留者、シベリアの方々に慰労金を支給するような事務をかわりにやりたいという意味ではないかというふうに考えておりますけれども、私ども現在、シベリアの抑留者の方々に対するいろいろな事務をどのように行うべきかについて、今具体的にいろいろ検討いたしております。しかし、いずれにいたしましても……(渡部(行)分科員「だからこれと関係あるのかないのかということ、この決議に拘束されるのかされないのかということだけはっきり言えばいいですよ」と呼ぶ)決議に拘束されるということはもちろんないわけでございます。私ども政府としては、いずれにいたしましても関係者の方々の御理解と御協力というのは必要なわけでございますから、そういう観点から公正にやってまいりたい、このように考えております。
  468. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、いよいよこの基金事業が実施される場合、例えば抑留者の健康診断等を実施して、後遺症の人には抑留者手帳というようなものを交付してこのアフターケアを図っていく、こういうこともぜひ考えていただきたいと思うのです。今、いろいろ抑留当時の非健康的な強制労働によって健康を害して、もとにならない人が相当大勢いるんですよ。そういう人たちについてやはりこの平和基金事業で救済していくというようなことも考える必要があるのじゃないか。あるいは、そのほかこれからのいろいろな資料の収集や、そしてこういう問題は二度と繰り返さないように各学校や社会の相当の機関に対して宣伝や閲覧やそういうものに供していく、こういうようなこともぜひ考えていただきたい、こう思いますが、どんなものでしょうか。
  469. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいま先生から貴重な御意見をちょうだいいたしたかと思っております。いずれにいたしましても基金ができましたら、そこで運営委員会の御意見も聞きながら公正な運営を図っていきたいと考えておりますので、そういう先生のきょうのお話についても検討させていただくように考えていきたいと思っております。
  470. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これで終わります。  これは時間、間違っているよ。三分ばかりあなたサバを読んで、だめだよ。
  471. 佐藤敬治

    佐藤敬治主査代理 これにて渡部行雄君の質疑は終了いましました。
  472. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 いや、まだまだまだ。いま一つ。時間が、この書いているのが三分ばかりサバを読んで書いているんだよ。そんなに早く始まらないよ。  まあそれはいいとして、ぜひこの運営委員会のあれについては公正を期していただくこと、それからそういういわゆる雑音には耳を余りとらわれないで、やはり不偏不党の公正な立場でやっていただきたい。  今大変な問題が中にあるのですよ。軍恩欠格者の問題にしても、既に社団法人をつくって、そして会員から金を集めて、今にもこの事業の下請ができるような話をどんどんとやって、そして中には自民党の入党書を入れて、おかげさまで今度金をもらえるようになりましたから自民党に入党させてください、そういう指導までやっている団体があるんですから、よくその辺耳をそばだてて国民の方を見てください。  これで終わります。どうもありがとうございました。
  473. 佐藤敬治

    佐藤敬治主査代理 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、近江巳記夫君。
  474. 近江巳記夫

    ○近江分科員 きょうは非常に限られた時間でございますが、その中で戦後処理の問題についてお伺いしたいと思います。  官房長官が総理と一体となって政府を代表されておる、そういう非常に重い立場にいらっしゃるわけでありますが、戦後処理問題といたしまして政府が深くその胸中にとどめておられる、そういう対象の人というのはどういう方があるのですか。
  475. 平野治生

    ○平野政府委員 私ども平和祈念事業特別基金の対象といたしまして考えておりますいわゆる戦後処理問題といった場合の関係者の方々でございますけれども、一つには、ただいま渡部先生からも御質問がございましたいわゆるシベリア抑留者の方々、あるいはいわゆる恩給欠格者の方々、あるいは在外財産の引揚者の方々、こういうような方々をいわゆる戦後処理問題として私ども考えているところでございます。     〔佐藤敬治主査代理退席、主査着席〕
  476. 近江巳記夫

    ○近江分科員 先ほどもこの法案のことが出たわけでございますが、そういう対象の方々が一番強く望んでおられるのは何かと言えば、個人補償なのです。それは御承知だと思いますが、今までこの経過を見てまいりますると、看護婦の方々につきましては給付金が実現いたしました。額はこれは別問題としまして、不満は非常に多いと思いますけれども、そういうことはございました。それから、今度、元台湾出身の日本兵の方々、この補償ですね。これも実現するわけでございます。  そうしますと、今度のこの法案の中で、個人補償というのはシベリアの方ということになるわけですが、シベリアの方にはどういう補償をするのですか。
  477. 平野治生

    ○平野政府委員 個人補償という意味がちょっと私あれなんでございますが、要するに、個別に措置をするという観点でこの法案を眺めてみますと、いわゆるシベリアに抑留された方々で本邦に帰還された方々、こういう方々に対しましては書状と慰労の品を差し上げる、さらにそのうちで恩給などを受給されていない方々には慰労金十万円、これは二年償還の国債でございますけれども、こういうものを差し上げようというのが個別の措置としてこの法律案に明記されているわけでございます。
  478. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そうしますと、いわゆる個別で支給される、そうなってきますと、個別に支給を受けない、こういう方は、一つは一番多い方は恩欠者の方々です。それからまた在外財産、こういう方がおられると思います。五十九年の十二月二十一日戦後処理問題懇談会、ここで報告を出されまして個人補償は非常に厳しい、こういうような中身でございました。私は当委員会におきましても何回もこの問題を取り上げてまいりました。元官房長官の後藤田先生もこの席においででございまして、当時官房長官でございました。私はこれは単なる諮問機関である、ですからそれはあくまでも参考になさるとして、政府の決意としてそのままうのみにしてもらったのでは困る、あくまでも皆さん方は個人補償、これを強く希望されている、このことを何回も申し上げて、当時その予算の中に調査費というのがございまして、この調査費というのはあくまでも個々のそういう補償につながるそのためのいわゆる調査ということに力点を置くべきである、このことを申し上げたわけでございます。そのときの長官の答弁は明確には言われなかったわけでございますけれども、政府委員答弁はいろいろ包含しておる、こういうようなお話でございました。そういうことで一縷の望みをそこにかけたわけでございます。  今回こういう法案が提出されたわけでございますが、恩欠者の方を初めとしてこれは完全に漏れておるわけですね、個々的なそういう支給という点からいきますると。そうしますと、このシベリアの方々に対するそういう支給というのは額は非常に少ない。少ないけれども、これはないよりもあった方がいいのに決まっておるわけでございます。その点はいいわけでございますが、そういう片手落ちのこの点が、それは財源の問題もあろうかもしれませんけれども、これは非常に片手落ちである、このように思うわけでございます。政府としてその点どのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
  479. 平野治生

    ○平野政府委員 先ほど先生から御指摘がございましたとおりに、五十九年の十二月にいわゆる戦後処理問題懇談会の報告というものが官房長官に提出されました。それを受けまして六十一年の十二月に「戦後処理問題に関する政府・党合意」というのがございます。この合意に基づきまして、いわゆる戦後処理問題については、さきの戦後処理懇の報告の趣旨に沿って、特別基金をつくって関係者の労苦を慰藉する等の事業を行うことですべて終結させるとともに、シベリアのいわゆる抑留者に対しましては、先ほど私からも御答弁させていただきましたような個別の措置をするということにいたしたわけでございます。その理由といたしましては、シベリアの方々、あの戦後という特別な時期に酷寒の地でいわゆるシベリアに連行されて強制労働に服した、こういう特別な事情というものについてやはり国として何らかの措置を講ずべきではないか、戦後処理懇報告を受けながらもなおかつこういう合意を見た、これがこういうふうに政府が決意をし今回法律案を提出させていただいている理由であろうかというふうに思っているわけでございます。  したがいまして、恩給欠格者に対してしないのは少しいかがなものかというお話がございますが、やはり恩給欠格者の方々が置かれた立場といわゆるシベリア抑留者の方々が置かれた立場というのはおのずから違うというところが、今回政府の法案として出された一つの理由ではなかったのだろうか。少なくとも一昨年の政府・党の合意におきましては、そのような考え方に基づいて今回法律案を提出するに至った経緯、こういうものがあるということでございます。
  480. 近江巳記夫

    ○近江分科員 シベリア抑留等で苦労された方々のそうした大変な苦労話、本当に身につまされるような話が多いわけでございまして、確かに過酷な条件のもとで抑留、それはよくわかるわけでございます。同時に、それじゃいわゆる軍人として赤紙一枚で、一銭五厘とよく言っておりましたけれども、一銭五厘の赤紙で引っ張られた方々、それこそ本当に食糧もない、弾丸の飛び交う中で生死の境をくぐり抜けてこられたわけですね。ですから、そういう方々のそういう苦労が比べて低いということは、それは言えないと私は思うのです。その点とうなんですか。あなたは差をつけてお考えなんですか。
  481. 平野治生

    ○平野政府委員 私は、そういう方々の御苦労というのも若干いろいろな面で違う面はあるかと思いますけれども、大変御苦労されたという点は、全く先生おっしゃるとおり同感でございます。ただ、いわゆる恩給欠格者の方々と申し上げるのは、言ってみれば、戦地に行ったけれども、当時ございました恩給法、今も恩給法はあるわけでございますけれども、当時の恩給法の恩給の受給年限、兵隊の場合は加算年も含めて十二年になっていたかと思いますけれども、その年限に足らなかった、そういうことで恩給をもらえなかった。いわば当時の制度の仕組みとして、同じように兵隊に行って御苦労された中で一定年限以上、兵隊で申しますと十二年以上行かれた方々に対しては恩給法上の処遇を受ける、それ以外の方々はいわば一時恩給と申しますか一時金と申しますか、そういったもので処遇をされるので終わってしまった、こういう点は確かにあろうかというふうに思っておりますが、それはその当時の制度ということでやむを得ないのではないか。ただし、もちろん御苦労が大変だったという点については私も先生と全く変わるものではございません。
  482. 近江巳記夫

    ○近江分科員 政府として、いわゆる戦後処理問題としてどういう対象の方があったか、これをお尋ねしましたら、法案に盛られているそういう対象の方を言われたわけです。戦後一貫していわゆる戦後処理問題として対象になった方々というのは、どういう方々なんですか。
  483. 平野治生

    ○平野政府委員 これは申し上げるまでもないかと思いますけれども、終戦直後と申しますか、あの混乱期から一貫してと申しますか、すべての方が一貫してなのでございますけれども、非常に顕著なことで、そして政府としても取り組んでまいりましたのは、いわゆる引揚者の方々の問題でございます。
  484. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それは特に重点としてお考えになっておられる方であるわけでございますけれども、私は、政府が考えてこられたすべての対象の方を聞いているのです。ですから、それはいわゆる従軍看護婦の方であり台湾兵であり、恩給未受給者であり海外財産であり、シベリア抑留者である。そういう方々を私は言っているのです。違いますか。ほかにまだそういう対象の方がありますか。
  485. 平野治生

    ○平野政府委員 いわゆる戦後処理という問題のとらえ方をどうするかということなんだろうというふうに思っております。今先生が御指摘なさった方々をいわゆる戦後処理として総理府としていろいろ扱ってきたことは事実でございます。しかしながら、ほかの面から見れば、ほかの省から見れば、またあるいは違った側面の方々もいらっしゃったのだろうというふうに思っております。総理府の中でも、例えば農地補償という問題がございまして、かつていわばその業務室ができた経緯等もございます。私どもそういう意味でいわゆる戦後処理と非常に幅広く使っておりますが、私どもが考えております対象としては、先ほど先生も御指摘をいただきましたとおりに、三問題を中心とした方々、あるいは総理府といたしましてはそれに若干プラスアルファ、つまり従軍看護婦の方々とかあるいは台湾元住民の方々というふうに考えております。
  486. 近江巳記夫

    ○近江分科員 恩給未受給者の人も当然入っているわけですね。再度重ねてお伺いします。
  487. 平野治生

    ○平野政府委員 そのとおりでございます。
  488. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そうしますと、政府としては戦後処理問題の解決の中に恩給未受給者の方々のことが深く入っているということを今ここで再確認したわけでございます。  中曽根総理から竹下総理にかわられたわけでございますが、両氏ともいわゆる戦後処理問題の解決ということを非常に力説して、あらゆるところでこれをおっしゃっております。選挙のときなどは特にそういう点も意識をされて強く発言されてきたように私は思うわけでございます。また前回、六十一年の同日選におきましても、自民党の衆参国会議員、私の資料でも五十名の方が選挙公報にはっきりと戦後処理問題の解決に全力を尽くします、差し支えなければ五十名の名前を私申し上げてもよろしいですよ、はっきりとこれは公約しておられるわけです。総理はあらゆるところで公約もなさっている。そうでしょう。政府の皆さん方がその解決の中で、恩給未受給者の皆さんというものが深く入っているわけです、それを、こういう一つの法律によって、今回はシベリアの方に対してはそういう支給があるわけですけれども落としておるということは、まことに片手落ちである、私はこのように思うわけでございます。  そういう点で、この法案はそういう平和祈念事業を主として、またシベリア抑留者に対するそういう支給であるとかいろいろ中身はあるわけでございますけれども、今申し上げましたように、政府は、全く同列の本当に厳しい状況の中で戦ってこられた方々である、そういう認識をお持ちであるわけでございますから、処遇にいたしましても全く同列でこれはやっていくのが当然のことである、片手落ちであってはならぬ、このように考えるわけでございます。  それでこの予算を見ますと五億百万の予算措置をしておられるわけでございますが、その中で六千万円のいわゆる調査事業というものがここにあるわけでございます。これは当然政府としまして、全く同じ立場の苦労なさった方々である――当初この懇談会の答申は個人補償はしないというような方向にあったわけでございますけれども、現実にこういうシベリアの方々に対する支給が行われた。これは非常に結構なことでございます。したがいまして、これは同列にやっていくのは当然のことである、国民だれしもそのように理解をいたします。この調査事業の六千万円というのはあくまでもそういう方々に対する綿密な調査のための調査費である、これは間違いございませんね。
  489. 平野治生

    ○平野政府委員 六十三年度予算案、先ほどお話がございましたとおり六千万円の調査事業費が計上されでございます。この調査内容をどうするかというお尋ねかと思っておりますが、御承知のように基金がどういう事業を行うかということ等に関しましては、基金内に設けられます運営委員会等におきまして今後議論もされていくだろうというふうに私ども考えております。したがいまして、その運営委員会の協議、そういう結果を見てまた何らかの調査をしなければいけないということもあろうかと思っておりますので、そういう動向等を見ながらこの調査内容を具体的に考えていきたい、このように考えております。
  490. 近江巳記夫

    ○近江分科員 私の申し上げたその点を十分しんしゃくされた答弁であろうかと思います。したがいまして、基金事業運営費五億百万というのがここに計上してございますし、これは人件費であるとか資料の収集であるとか、講演会等の開催であるとか機関誌の発行であるとか、広報活動であるとかまた調査事業であるとかあるわけでございますが、必ずしもまだ予算の配分もできておらないと思います。したがいまして、こういう五億百万の予算があるわけでございますから、予算が通過するならば、この恩給未受給者の方々のそういう調査あるいはまた在外財産、こういう方々につきましても十分力を入れて調査をやっていただきたい、これを強く要望いたします。  今回はこういう片手落ちの姿の法案ということになっておりますけれども、早い機会にどうかひとつそういう未受給者の方々に対しても本当に政治の温かみというものが琴線に触れるような具体的な姿というものを示していただきたい、このように思うわけでございます。長官、その件につきましてひとつ決意をお伺いしたいと思います。
  491. 小渕恵三

    小渕国務大臣 近江委員御主張されておられます趣旨は理解されますが、このいわゆる戦後処理問題というのは、段々の質疑でも御説明申し上げておりましたとおり、政府としては昭和四十二年、たしか当時塚原総務長官であったと思いますけれども、もうその問題は一応終止符を打つものだ、こういうことであったわけでございますが、その後、委員も御案内のとおり、陸海軍従軍看護婦や旧日赤の看護婦さんの処置が戦後の処理問題としてはもう少し手厚いものがあってしかるべきではないか、こういうことでまたこの問題を処理問題として扱ったわけでございます。その後の経緯についてはもう御存じのとおりでございますが、そういうことで政府としてはいろいろ各方面からのいわゆる戦後処理問題として問題の提起をされましたものについて、何とかこれに再度終止符を打つことができないかということで、懇談会の御意見も拝聴しながら今回この法案を提案した、こういうことでございます。  したがいまして、御主張の筋はいろいろありますが、政府といたしましても予算の編成過程におきまして、六十一年から与党との話し合いの上でこの了解をされましたことをベースにいたしまして、特に昨年末、与党との申し合わせによりまして法案化いたしましたのが今回御提出いたしておりますことでございますので、この法律案につきまして、今時点におきましては政府としては精いっぱい考えた案であるということで、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  492. 近江巳記夫

    ○近江分科員 案自体は片手落ちがあったけれども、今後調査費の中でまた検討すると先ほど政府委員答弁もございましたし、長官もよくおわかりの、またあなたも心の温かい方でございますので、どうかひとつしっかり頑張っていただきたい、このように思うわけでございます。  それから、官民格差の問題でございますけれども、御承知のように公務員の皆さん方はいわゆる軍歴加算、これが民間へ参りますと厚生年金等には加算されない。年金制度の非常に難しい問題があろうかと思いますが、かつて後藤田長官のときに何回もそのことを私申し上げたわけでございます。ですから、非常に難しいとかそういうことだけではなく、ぜひともひとつ政府、関係各省寄り集まって、何らかの形で、そういう年金の中でいわゆる官民格差の是正の何らかの方法がないかということをひとつ真剣に検討していただきたい、このように思うわけでございます。それに対しまして、大分時間もありませんので急ぎたいと思いますが、お伺いしたいと思います。
  493. 平野治生

    ○平野政府委員 いわゆる共済制度に恩給法に基づくと申しますか軍人期間を通算いたしておりますのは、これはもう先生も御承知のとおり、戦前と申しますか、戦前から恩給法というのは文官等のいわゆる公務員と軍人を通算したという経緯があるわけでございます。その恩給法が国家公務員で申しますと昭和三十四年に共済年金に変わった、制度的に変わった、こういう歴史的な経緯があるわけでございます。したがいまして、その軍人期間というのは戦前から恩給法上言ってみれば、文官や警察監獄職員もそうでございますが、それと軍人が通算されていたというそういういわば経緯的なものを踏まえて今日に至っているわけでございます。一方、いわゆる厚生年金とか国民年金、これは厚生省の問題でございますので厚生省の方がお答えすべきかと思っておりますけれども、そういう年金というのはいわば社会保険方式に基づくもので掛金もしているとかあるいは、それをもし先生がおっしゃっているとおりに官民格差だということでやろうとしたならば、それは言ってみればその制度ができた後、さかのぼって軍人期間だけ通算しようということになりますと、今度逆にその制度ができる前の例えば民間の方々、自営業者の方々、こういう方々も通算しなければいけないではないか、こういう声が出てくるというようなことがございまして、厚生省といたしましては今まで極めて難しいという御答弁をされてきたのだろうというふうに私ども承知いたしております。したがいまして、こういうものを官民格差というのかなという点について私ちょっと若干疑問を持っております。  いずれにいたしましても、そういう恩欠の方々の御要望というものはそれなりに私どもも考えているわけでございますけれども、そういう官民格差の観点から、当然厚生年金あるいは国民年金にも通算すべきだということになりますと、これは厚生省のしかるべき方からお答えいただく方が適当ではないか、このように思っております。
  494. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  今、平野参事官の方からお話があったとおりでございまして、国民年金あるいは厚生年金の制度におきましては軍歴期間の通算はいたしておりません。  その考え方と申しますのは、国民年金制度、厚生年金保険制度、これは加入者が保険料を納めた実績に応じまして年金給付を行うという社会保険方式をとっておりますので、軍歴期間のように保険料を納めなかった期間につきましては、加入者の保険料負担によって年金給付を行うというのはなかなか難しいのではないかというのが一つ。  それからもう一つは、国民年金あるいは厚生年金の制度発足前から既に民間の自営業あるいはサラリーマンをやっておられた方、こういう方々に対しましては制度発足前の期間について何らの配慮も当然していないわけでございます。そういうような事態でございますので、仮に軍歴期間のような制度発足前の保険料を納めていなかった期間につきまして、特別に国民年金あるいは厚生年金で年金を支給することとなりますと、今申し上げましたような制度発足前からの民間サラリーマンあるいは自営業者等の方々との不公平が生じてしまう、こんなことで、なかなか軍歴の通算は難しいのではなかろうか、かように考えているところでございます。
  495. 近江巳記夫

    ○近江分科員 難しいからこそ今日までその格差があるわけでございますが、ひとつここでまた新たに私がこのように提言しておるわけでございますから、しっかりと関係各省寄って検討していただきますように強く要望いたしておきます。  それから次に、この基金の中にいわゆる運営委員会ができるわけでございますね。その中に、先ほど私が申し上げております恩給未受給者の方々を初め、そういう方々の代表を必ずぜひ入れるべきである、これを強く主張したいと思います。これをぜひひとつ実現していただきたいと思います。いかがでございますか。
  496. 平野治生

    ○平野政府委員 運営委員会委員には、戦後処理問題等に関しまして学識経験のある方というふうに考えております。関係者の方々から推薦を受けるような方はきっとそれにふさわしい方だろうと思っておりますので、これは基金の理事長が任命することになるわけでございますけれども、今のことにつきまして十分考えてまいりたい、このように思っております。
  497. 近江巳記夫

    ○近江分科員 恩給未受給者が二百九十五万とも三百万人とも言われているわけでございますが、シベリアの方々に今回十万円の国債ということになっていますね。単純計算しますと、これは幾らになるのですか、もし三百万ということになりますと。同じように支給した場合には。
  498. 平野治生

    ○平野政府委員 もし三百万といたしますと、それに仮に十万円というお話でございますと、掛ける十万でございますから三千億でございますか、そういうようになっております。
  499. 近江巳記夫

    ○近江分科員 今お答えありましたように、同じ扱いをした場合には、これは単純計算ですけれども、恩欠者の中にも、十二年に一日欠ける人でも未受給者なんですから、そこにはいろいろなばらつきがあると思いますけれども、平均して十万円とした場合には三千億ですね。そうなってきますと、今まで政府が抵抗してなかなかそれを支給しようとしなかったのは、財源がない、これが一番大きな原因であったわけでございます。ところが、御承知のように、自然増収も数兆円見込まれておるわけでございまして、そういう中で本気になってやろうと思えばできない額でもないわけでございます。したがいまして、調査費の中におきましても真剣にひとつ、政府としてはもう総理以下、いわゆる党の最高幹部こぞって戦後処理問題を解決するということは公約されているわけでございますし、その中で最も重いウエートを占めておられるのが、この恩欠者の皆さんでございます。したがいまして、十分それを検討していただきますように強く重ねて申し上げ、最後に長官の決意をお伺いしまして、終わりたいと思います。
  500. 小渕恵三

    小渕国務大臣 再三申し上げるようですが、御主張の存するところはよく理解しておるところでございますし、また与党の議員の先生方の中にもこのことを強く御主張される方々もおられます。しかし政府としては、諸般の情勢を判断し、このような法律案を提案したわけでございます。その中で恩欠の問題を強く御指摘されましたが、その点につきましては、先ほど参事官が御答弁申し上げましたように、今回この法律を通していただくことに相なりますれば、その中で調査費もございますので、万般にわたりまして調査をいたしますことは当然のことだろうと思います。要は国民の皆さんのそれに対する、戦後処理問題としてそれだけの財源を御苦労された方々にお分けすることが望ましいか、または別途、先ほど自然増収のお話もございましたが、そうした財源を他に振り向けることが望ましいかという選択の問題に最終的にはなろうかと思いますが、いずれにいたしましても、御主張がございましたので勉強をいたしていきたいと思っております。
  501. 近江巳記夫

    ○近江分科員 終わります。
  502. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田正勝君。
  503. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 小渕官房長官、長官には当選九回、しかも御年五十歳、大変な若さで大変な経歴をお持ちでございます。総理府総務長官、また沖縄開発庁長官を経て、今回はかみそり後藤田さんの後を受けられまして、竹下内閣の番頭役の官房長官としてひのき舞台に立たれたわけでございます。才気煥発、縦横に腕を振るう長官に今回質問できるチャンスに恵まれましたことを私は非常に喜んでおるものであります。  本日は、満州事変、シナ事変、大東亜戦争等に従軍いたしまして、祖国のために、国民のために命をささげて戦ってこられました元軍人の皆さんの恩給欠格者の皆さんに対してだけに問題を絞りまして質問させていただきますので、どうぞ私の知らない戦争だということをおっしゃらないように、温かい答弁を期待するものであります。  以下、順次質問をいたしますが、約三万人の台湾元日本兵の戦没者の遺族に対して、二百万円の特定弔慰金等を交付公債で支給の実施に関する法律案を提出されましたことを、大東亜戦争に従軍いたしました私、元軍人として、また一日本人として、ようやく国際的な責任が、戦後処理の一端が果たせるなという思いで、ありがたく感謝をしているものであります。この際、冒頭に官房長官に心からお礼を申し上げておきます。  さて、次の問題でありますが、シベリア抑留者生存の四十七万三千人のうち軍恩受給者を除く二十八万人に対して慰労金十万円、それにプラス四十七万三千人全員に銀杯と感謝状を支給するという法律案が出ています。これは官房長官にちょっと耳の痛い話ですが、自民党の皆さんは選挙中に、五十万から百万まで四段階に分けて三年払いの国債を出しますと公約しておられた方が数多くおります。それに比べて一人当たり十万円、恩給をもらっていらっしゃる人についてはすべての人に銀杯と感謝状、これは一体どういうふうに受け取ったらよろしゅうございますか。他の方でも結構です。
  504. 平野治生

    ○平野政府委員 今回、先生御指摘がございましたとおりに法案を出させていただきまして、その中で、いわゆるシベリア抑留者の方々にただいま御指摘がございました処遇をさせていただこうというふうに思っておるわけでございます。これはやはりそういうシベリア抑留者の方々が戦後あの酷寒の地で、言ってみれば自分の意思に反して強制抑留され、しかもそこに強制労働もあったというふうに言われておりますけれども、いずれにいたしましてもそういうような特別な事情を考慮して、戦後我が国にお帰りになった方々に対しまして、書状と慰労品を差し上げようということをまず考えたわけでございます。あわせて、恩給などを受給されていない方々に対しましては、さらに十万円という国としての気持ちを示したわけでございます。これは申し上げるまでもないわけでございますけれども、補償とかそういう問題ではなしに、国としてそういう方々の御労苦に対していささかとも報いたい、こういうような気持ちから決めたと申しますか、そういうふうにさせていただいたことでございます。よろしく御理解を賜りたいと思っております。
  505. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、選挙中にいろいろとそういうお約束をなさいまして、そのことを大変期待して待っておられました四十七万三千人の抑留者の方々はこの法案で納得しておられますか、そうお聞きになっていますか。
  506. 平野治生

    ○平野政府委員 もちろんそういうお考えがございまして、そういうようなことをそういう関係者の方が言われたことは私ども承知いたしております。そしてまた、それがなぜ十万かということも私ども伺っております。ただ、私ども現時点で伺っておりますのは、まあ十万というのは確かに安いけれども、国としてそこまで踏み切っていただいたことはやはりありがたい、こういうお気持ちであろうかと思っております。もちろんその額が低いということについての御意見もあることは承知いたしてはおりますけれども、国としては今回いろいろ苦しい中でこうさせていただいた、こういうことについてはぜひ先生の御理解もちょうだいしたい、このように思っております。
  507. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 あれだけ選挙中に五十万から百万までを四段階に分けて、三年間の国債払いということまで明瞭に約束をなさいましたことが今日十万円にぽしゃって、銀杯と感謝状というのでは、ありがたいなとおっしゃっている方があるというのがちょっと不思議な気がして、私は納得ができません。だが、時間がありませんので次の問題に進ませていただきます。  また同じ法案の中で、二百億円の特別基金を五年間で積み立てて、その利子で一般事業や恩欠者の戦後処理問題を解決しようと考えられておりますが、戦後処理をするというのなら、今こそ全額を軍恩欠格者の調査費に充当して、個人補償を実施することが国民を犠牲にした政府の戦争責任であり、とりもなおさず義務ではないのでありましょうか。先ほどのお答えの中に調査費六千百万、六千百万円では調査できませんよ、こんな小さな金では。そういうことを考えてみますと、まことに無責任と言わざるを得ないのであります。今回のこの二百億円の措置につきまして、いろいろと自民党の皆さんからの大変結構なお約束を信じて長年の間ついてきた二百八十万とも三百万とも言われるような軍恩欠格者の皆さんは、今回のこの法律案で、これで一切片がついたと納得をしておられますか。
  508. 平野治生

    ○平野政府委員 先生がおっしゃっている軍恩未受給者、恩給欠格者という言葉もございますが、そういう方々の中にはいろいろな方がいらっしゃいます。ただいま先生が御指摘なさいましたように何らかの個別的な補償が欲しいという方もいらっしゃいまして、そういう方々からは、これでは何だというお話を承っております。また反面そういう方々の中には、国として、例えば総理から書状一枚でもいただければ自分たちの胸のつかえが取れるから、それだけはやってくれ、こういう団体も実はあるわけでございます。ですから総じて言えば、今回二百億円。といういわば政府が出資いたします、それは五年後目途という条件がついているわけでございますけれども、この基金において何がしかの獲得がされるだろうという意味においては、期待を持っていらっしゃる方もいらっしゃると思います。ただこれは、確かに個別の補償を直接望んでいた方々から見れば、何だというお気持ちがあることも私、否定するつもりは毛頭ございません。
  509. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ということをお聞きいたしますると、五年間で二百億円の基金を積み立てるのでありますが、その積み立てた基金をどういうふうに利用しようとしておるのかという骨格は、まだ現在のところ公表の域に達していないのですね。
  510. 平野治生

    ○平野政府委員 この基金をどのように運営していくかということにつきましては、法律にも明記しでございます基金の中に運営委員会を設けまして、そこでそういうことについて御協議もいただこうというようになっておりますので、そこの段階、現在のところ私どもがこういうふうに基金はなるではないかということは、少し早いのではないかというふうに思っております。
  511. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それでは今の御答弁に関連してお伺いをいたしますが、この二百億円の基金運営委員というのがどうせできると思います。この一月の二十六日ぐらいに結成されました二十六都道府県にまたがっております全国軍人恩給欠格者個人給付実現推進連絡協議会というところから」も、物すごい人員ですから、そういうところからも運営委員を出されるものと判断をいたしますが、そのように受け取ってよろしいですか。
  512. 平野治生

    ○平野政府委員 運営委員をお願いする方につきましては、法律上これらの問題につきまして学識経験を有する者というふうになっているわけでございます。いわゆる戦後処理問題について学識経験を有する者の中には、そういう関係者の方々も当然入っていただいた方がベターであろうというふうには思っているわけでございますが、今先生の御指摘のとおり、恩給未受給者の団体から採るという意味じゃなしに、むしろいわゆる恩給未受給者と申しますか、恩給欠格者の問題についてお詳しい方に入っていただく、こういうことであろうというふうに思っております。
  513. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 くどいようでありますが、こういう欠格者の問題について詳しい方に出てもらうことが適当であろうと思うということは、その団体に入っておられる、いわゆるその世話をしていらっしゃるような方々が一番詳しゅうございますね。そういうふうに受け取るのですが、いかがですか。
  514. 平野治生

    ○平野政府委員 もとよりそういう団体に属している方々はお詳しい方かと思いますけれども、幅広い見地からこの基金の適正な運営について御判断いただけるという見地から見ますと、その団体に属しているからということじゃなしに、その人がそういういわば識見をお持ちかどうか、そういう点にあるのではないか、私はこのように考えております。
  515. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それでは、個人を対象に運営委員を選ばれるようでございますが、その際に、先ほど私が申し上げましたような観点からも特段の配慮をしていただきまして、差別的なことがないように、後で運営に問題が起きないように強く要望をさせていただきます。  次の問題でありますが、日赤の従軍看護婦というのはまことにお気の毒であるというので、恩給には関係がありませんけれども、厚生省の方で特別に、実役三年以上であれば、内地と戦地を問わず昭和五十四年から給付金名目で終身年金がついておると承っております。また昭和五十六年よりは陸海軍従軍看護婦の皆さんにも同様に日赤が窓口となって支給していると承っておりますが、それぞれの人員と支給金額を説明してください。
  516. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答え申し上げます。  日本赤十字社が昭和六十二年度において慰労給付金を支給した人員は、旧日本赤十字社救護看護婦については一千九十五人、旧陸海軍従軍看護婦につきましては千百十六人、計二千二百十一名であります。慰労給付金の支給額は、実勤務期間の長短に応じ、年額十一万円から三十四万円までの六段階に分けて支給してございます。
  517. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 今お答えいただきましたが、恩給の関係には全く欠格者であります看護婦の皆さんに、年額十一万から三十四万までの間で支給をさせていただいておりますということを伺いました。  そこで、私は支給していることを悪いと申し上げるのではありません、誤解のないように。片やそういう実績があるということを目の前に置きまして、恩給法の改正なんかには関係なしに、そういう特別の取り扱いを受けていただいた人たちがあるかと思えば、この看護婦の皆さん方は銃を持って戦ったことはないですね。そういう軍属の皆さんでも三年実役に服しておれば給付金を支給して、実際に命を的に銃を持って戦った軍人は、十二年に一日足らぬでも十五日足らぬでも、それは無残にも欠格者という取り扱いをしてそのまま放置するということは、これは一体どういうことですか。納得のいかない話ですね。
  518. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいまお話がございました中で、従軍看護婦の方は実役三年で何らかもらえる、軍人の方々は十二年ということですが、そういうのじゃなくて、いわゆる日赤の従軍看護婦の方々も、いわば恩給法に準じて加算年なんかを含めてやれば三年の方でももらえる方があるという意味だろうと思っております。したがいまして、軍人の方々でも、十二年ではなしに実役三年の方でも、もし仮に激戦地に三年そのままいらっしゃれば、それで恩給がもらえるということになっているわけでございます。つまりこれは、先生も既に御承知のとおりに、恩給欠格者の方々というのは、戦前軍人としてまさに国家のために私を犠牲にして働かれたわけでございます。そして一定年限以上あればそれに応じた恩給法に基づく何らかの給付がもらえる、こういうことになっているわけでございます。いわばそれの最低受給年限というのが加算年も含めて十二年、したがって激戦地であれば三年でももらえる、こういう意味でございます。
  519. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それでは、時間がありませんので、それに関連した問題で次に行かせていただきます。  これは官民格差の一つの例でありますが、元国鉄の職員さんで軍歴は十カ月という方は、十カ月分が年間約五万円ぐらいになるそうでありますが、公務員なるがゆえに共済年金にその五万円が加算をして支給されているのであります。片や民間人は厚生年金や国民年金への加算はゼロ査定と聞いておりますが、本当でありますか。
  520. 松本省藏

    松本説明員 お答えをいたします。  具体的な国鉄職員の例を挙げられた金額については、ちょっと私も定かではございませんけれども、現在の共済組合の場合には過去の軍歴期間を通算をする、一方厚生年金保険あるいは国民年金制度、こちらの方では過去の軍歴期間を通算していないというのは事実でございます。
  521. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そこで私は思うのでありますが、例えばこういうのがありますね。私は非常に不公平ではないかと思うのでありますが、公務員の皆さんは、共済年金制度に入っていらっしゃいますからその加算ができるのです。片や厚生年金や国民年金の方々は、会社員ばかりとは限りません、自営業者もおありになることでありますからなかなかその調査は難しいのでありまして、掛金を掛けていらっしゃるいわゆる社会保険の制度でありますから、これに対する加算というのは適当ではないというような御説明が先ほどありました。それを伺っておりましたが、私が思いますのに、公務員の皆さんは共済年金の制度に入っておるから、軍歴加算がたとえ十カ月であろうとそれがプラスされる。ところが民間の人は、共済年金ではないから掛金を掛けてもらわなければいかぬので、その調査がなかなか難しいのでそう簡単にはいかない、だからやってない、こうおっしゃるんでありますが、これは努力をすればできることじゃございませんか。厚生年金に入っていらっしゃる方、いわゆる会社から出征をして戦地に行かれた、その人が戻ってきた、軍歴加算は厚生年金にはしないというのを、すればいいじゃないですか。その前のいわゆる厚生年金に相当するだけの掛金を一時払いで取ればいいじゃないですか。一時払いで取れば何らおかしいことはないですよ、制度上。それはいかがでございますか。
  522. 松本省藏

    松本説明員 先ほどの近江委員からの御質問と基本的には同趣旨だと理解させていただきましたけれども、既に先生御承知のとおりの理由から、厚生年金あるいは国民年金制度につきましては過去の軍歴期間を通算してないわけでございます。基本的には厚生年金制度あるいは国民年金制度の立て方そのものは、もう先生御承知のとおり社会保険方式ということになっておりまして、制度がスタートいたしました、具体的に申しますと厚生年金保険制度については昭和十七年、国民年金制度については昭和三十六年、これ以降の制度でございまして、これ以降の期間につきまして加入者の方々から保険料の負担をいただきまして、それに見合う給付をやるという仕組みで立てているわけでございまして、御質問あるいは御指摘のようなやり方は、いささか社会保険方式の建前からして難しいのではなかろうかと考えているところでございます。
  523. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それではこのことについてはどうお答えになりますか。公務員の方でありますが、戦後になって、戦争が終わって初めて公務員に就職をした人、この人にも軍歴加算をしておる事実がありますが、これは一体どういうことですか。
  524. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 戦後お帰りになりまして、恩給法の適用を受ける公務員として再就職なすった場合には、これは戦前から恩給制度の中に文官も軍人も一つの制度として取り込んでおりましたために、それは通算をいたしております。しかしながら、帰ってこられて恩給法の適用を受けない公務員、例えば市町村の吏員になられたというような場合には、これは無条件には通算をいたしておりません。
  525. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 それから、これは余分な質問になるかと思いますが、下士官以上の方々は給料の百分の一というのをほとんどの者が知らない間に天引きをされておったという事実がありますが、あれは一体何だったのですか。
  526. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 これは恩給におきます納金と申しますか納付金と申しますか、これは掛金的な性格は持っておりませんで、退職したならば全額国庫から恩給をもらえるということから、在職中幾らかでも国庫に資するようにという考え方で、一般の文官の場合は昭和八年以降は百分の二でございます。それから軍人も下士官以上の方々につきましては百分の一、ただし戦時給与令の適用をお受けになる、つまり戦地にいらしたという場合には、それも免除いたしておりました。
  527. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そうすると、下士官以上の方々で百分の一を天引きされておった、いわゆる言うならば納金をしておられました方々が、あいやまことに残念、あなたは何日足らぬから恩欠者でございます、こういった場合にそういう納金は一体どこへ行ったのですか。
  528. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 年金年限に達しないでおやめになったという場合には、一時恩給という制度がございました。これは先ほど申し上げました納金の返還という色彩のものでは必ずしもございませんけれども、一時金が出ておりました。
  529. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 時間がありませんので次に進ましてもらいます。  これは民間の一例でありますが、昨年の二月、八十二歳で恩欠者のまま万斛の恨みをのんで亡くなられた大阪の榊原種雄さんという方がおります。この方は通算十二年にわずか十五日間不足しておったのであります。そのために軍恩欠格者となりました。私がこれを思いますのに、十五日ぐらいの不足というのは筆先で何とでもなったんじゃないかなと思うのですよ。無責任なことを言うなと聞かれる人があるかもわかりませんが、十五日ですよ、十二年間の十五日ですよ。これこそ配慮するということが血の通った政治と言えるのじゃないですか。私はそう思うのでありますが、余りにもお気の毒ですよ。何とこの問題を考えておるか、お答えいただきたいと思います。
  530. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私どものところにもそうした方々からお手紙をちょうだいすることもしばしばでございます。全く気持ちとしては、岡田委員御指摘のようなこととして処理いたしてまいりたいということは政治家の一人としては思いますが、しかしやはり定められた法に基づいて執行していくことがこれまた国民に対する責任であるという立場から、今お話しのような方々についてもその制度の中で処理をしなければならないということでありまして、この点についてはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  531. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 長官御存じないかもしれませんが、今私が十五日ぐらいのことなんというものは筆先で何とでもなったはずでしょう、こう言ったら皆さんがどっと笑いましたね。岡田のやつめ無責任なことを言うなあという笑いであったと思うのです。だが笑い事じゃありませんよ。本当にあるのですよ。これは本当にあったことであります。御存じかどうか知りませんが、例えばこういう規則がある。準士官以上の者は通算十三年以上ないと軍恩資格者になりません。下士官以下の人は十二年以上あれば軍恩の資格者になります。一年差があるのです。すると準士官以上の人が十三年にあと十五日足らない、そういうときにはどうしたと思います。階級を下士官に落として軍恩資格者にしておるではありませんか。私はそれは悪いと追及するのじゃないですよ。悪いとは言っておりません、御苦労は一緒なんですから。そういう手当てができるのなら、この十二年間の通算の期間でたった十五日足らぬなんてこと、四捨五入したってこれは一カ月じゃないですか。一カ月になれば丸々十二年になるのですよ。そういうところに私はもっと血の通った温かいことをやってもらいたいというふうに考えておるのであります。  はや時間が参りましたので、これをもって終わらせていただこうと思いますが、長官、今まで私は台湾元日本兵の弔慰金の問題、それからシベリア抑留者の慰労金の問題、従軍看護婦の皆さんの給付金の問題、これは恩給法には関係ありません。恩給法に関係ないのに今申し上げたような三つの措置をとっております。そして現実に公務員の皆さんは共済の年金制度に支えられて、軍歴が長がろうと短かろうと、それは通算をして加算されております。まことにうらやましい立場であります、こういうのを称してまさに官民格差と言うべきではないのでしょうか。私はこの問題について、以上そのことをお尋ねをしてきたのであります。この際、いわれなきお気の毒な軍恩欠格者の救済のために、官房長官はそれぞれの関係省と協議をされまして、再調査の上、故人の望みをかなえてやっていただきたい、遺族の期待にこたえてやっていただきたいと思うのでありますが、小渕長官の御所見を承りまして、私の質問を終わらせていただきます。
  532. 小渕恵三

    小渕国務大臣 恩給欠格者に対しての措置でございますが、私どももかねて全国多数のこうした立場におられる方々から御要請も御陳情もちょうだいをいたしておりまして、私自身も若干過去関与した立場でもございました。しかしながら政府としては、そうしたいろいろの過去のいきさつを総合的に判断し、結論とするところは今回お出しいたしました法律において措置させていただくということになったわけでございます。そこで、基金の中で、それこそ学識経験者も含めましてこの基金のあり方については十分御相談をしていくことでございますので、こうした方々に今後基金の運営の中でいかなる措置が講ぜられるかどうか十分検討いたしていただくことを政府としては期待をいたしておるところでございます。
  533. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。ぜひひとつ本当に快刀乱麻、本当に麻を切るように、なかなかのすご腕を持っておられる小渕長官であります。これはもう大変期待をしておりますので、ぜひこういう問題を放置しないで、世の中の人が納得するように、命をささげた諸君たちはもうみんな年をとって、この先どうなるかわからぬという状態です。そういう人たちに対して、さすがに立派な戦後処理をやっていただいたわいと、せめて最後に感謝をしてもらえるぐらいのことをぜひひとつ取り上げていただきますよう再度繰り返してお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  534. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理本府についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  535. 愛野興一郎

    愛野主査 次に、総務庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  536. 坂上富男

    坂上分科員 私は、同和行政に対して御質問を申し上げさせていただきたいと思います。  まず高鳥長官にお聞きをいたすわけでございますが、長官御就任以来まことに精力的にかつ的確に、そして毅然とした総務庁の行政をやっておられることに大変な敬意を表している次第であります。そんなような観点から、同和行政、部落差別についてどのような心構えてこの行政に当たっておられるのか、まず冒頭にお聞きをいたしたいのであります。
  537. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 坂上委員のお尋ねの同和行政と申しますか地域改善対策でありますが、これは過去におけるいろいろな積み重ねがあるわけでございまして、それを踏まえて私どもとしては対処していかなければならない立場にございます。特に、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づきはして地域改善対策特定事業というのが実施されておるところでありまして、心理的差別を解消し、行政の主体性の確立、同和関係者の自立、向上の精神の涵養、えせ同和行為の排除、同和問題について自由な意見の交換のできる環境づくり等を積極的に行うことが同和問題解決のために極めて重要な課題であると考えているところであります。
  538. 坂上富男

    坂上分科員 長官の心構えを一言でお聞きをしたかったわけでありますが、大変詳細な御答弁でいささか恐縮いたしております。それでは、各関係法律に出てまいりまするところの同和地区ということについて、大臣はどのようなお考えをお持ちでございますか。
  539. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 同和対策事業特別措置法に指定をされている、歴史的社会的理由によりまして生活環境等の安定向上が阻害されている地域を言うと心得ております。
  540. 坂上富男

    坂上分科員 御指摘のとおりでございます。同和地区というのは今大臣が御答弁になったようなことを指すわけであります。  そこで、これに関して本年一月二十六日、新潟地方裁判所で神林村の同和行政に対する行政処分取り消しの判決がありました。私らにとりましては目からうろこが落ちたような鮮やかな判決でございます。判決はもう確定したようでございますが、判決の趣旨は結構でございますから、中に書かれておりまするところの理由づけについてポイントになるところを、大臣以外の方で結構ですから、どうぞお答えをいただきたいと思います。
  541. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 ただいま先生お話しになったのは新潟県の神林村の関係の訴訟の問題でございますが、事案の概要は、新潟県は県単独事業をやっております。神林村の住民がこの事業に対して村に申し込みをしたところ、村が受理をしなかったことに対してこれを受理すべきだ、こういうふうに判決を下されたわけでございます。  以上でございます。
  542. 坂上富男

    坂上分科員 大変失礼でありますが、まだ神林村の判決を熟読玩味をなさっておりませんので今のような程度の答弁だろうと思います。私の方から申し上げますから、ひとつ今度きちっとお答えをいただきたいと思います。  まず同和地区については、大臣が御答弁になりましたとおり「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域」を言う、こう言っておるわけであります。それから、これに関連する地対法等は「すべての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり」これが解釈がなされなければならない、こう言っておるわけであります。そこで、地域の指定というのは形式的なものであって、指定がないからといってその対策事業を拒否することはできないと判決が言っておるわけであります。いわば未指定地区であろうと指定地区であろうと憲法のもとにおいては平等であるから、平等の取り扱いをしなさいというまさに日本国憲法が再現をされた判決でございます。  さてそこで、地区指定という意味をどう解釈するかといいますと、「これがあれば対象地区であることが推定され、逆になければ対象地区でないことが推定される程度の意味はあるものの、それ以上の効力があるとは解し難い。」でありまするから、実態を調べて、そして過去の歴史的社会的な事情を調べて同和地区であるかどうかということを判定をするんだ、したがって、そういうような意味において同和行政は行われなければならない、こう判決が言っておるわけであります。さてそこで、いかがでございますか、今までの同和行政の中に、地区指定がない、よって事業ができません、こういう態度で同和行政の対策事業が行われてきたのではありませんか。いかがです。
  543. 愛野興一郎

    愛野主査 簡潔、的確にお願いいたします。紀審議官
  544. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 同和対策事業あるいは地域改善対策事業は、法の趣旨に沿って実行されてきたと信じております。
  545. 坂上富男

    坂上分科員 もうちょっと具体的に答えていただきたいのです。今私が挙げた数点にわたりまして一つ一つ的確にしていただきたい。どうですか、今御答弁なさった審議官、神林村の判決はどういうことが理由でした。地区指定がないから融資はできませんという判決ですよ。
  546. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 神林村の判決そのものについて私が細かく読んでおるわけではありませんが、その要旨とするところは、そういうものが現にある場合に、県単事業について差別なく適用すべきであるという趣旨の判決であろうと思いますが、ただそれは県単事業に対する判決であって、私どもが今講じております事業に対する考え方というのはおのずから過去の累積の上に立ってやっておるものでありますから、したがって別のものであるというふうに考えております。
  547. 坂上富男

    坂上分科員 だからよく判決を勉強してくれと言っているわけであります。判決の中にはっきり書いてある。県が実施しておるこの「要綱が同対法に基づく同和対策事業を実施するため制定され、地対法施行後はこれに基づく地域改善対策事業を実施するため存続していることは当事者間に争いがない」と判決しておる。どうですか。どうぞ審議官
  548. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 事案の対象となる事業はあくまで県単事業でございまして、その県単事業に対する判断でございます。
  549. 坂上富男

    坂上分科員 判決は県単事業などと言ってないのです。この要綱はいわゆる地対法に基づく地域改善対策の事業の一つである、こう言っているのです。判決をお読みになりましたか。これは判決を全然読んでない答弁だ。
  550. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 法律の専門家である先生に対しては釈迦に説法のようなことでありますが、これはあくまでもその事件に対する判決であって、私どもが進めております事業についての判決ではございませんので、したがって私どもの見解が否定されたものとは考えておりません。
  551. 坂上富男

    坂上分科員 そうだといたしますと、いわゆる憲法の精神にのっとった同和行政が行われているとは思われないのであります。ましてやこの神林判決は県単事業に対する判決であって、いわば地対法に基づいて事業の一環として要綱がつくられた、その要綱にのっとって手続をしているんだということをはっきりと言っているわけでございます。でございますから、まさに例外とするのかあるいは原則とするのかという問題なんです。もうちょっと十分な御検討をいただきたい。実はこの判決が出てきてから、総務庁の関係の皆様方に私は強く説明を申し上げたわけであります。きょうこんな程度の答弁ではとてもじゃないが満足できません。  じゃ、未指定地域について皆さんどのようにお考えになっていますか。法律上の評価ですよ。
  552. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 私どもは今日までのこの制度の経緯にかんがみまして、未指定地域はないというふうに心得ております。
  553. 坂上富男

    坂上分科員 同和地区についてもう全部地域指定をしたんだ、こういうことでございましょうか。
  554. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 政府といたしましては既に十八年間にわたりましてこの問題についてやってまいっておりまして、その間に地方公共団体等の意見も十分しんしゃくをしながら進めてきたところでございますので、したがって今さら未指定地域はないというふうに考えております。
  555. 坂上富男

    坂上分科員 市町村の十八年間にわたる申し出等によって指定をしてきているものだからもう未指定地域はない、こういうふうな長官の御答弁でございます。  さてそこで「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域」、同和地区は未指定地域の中で今ありませんか。
  556. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 お答えいたします。  大臣が御説明いたしましたように、旧同対法及び旧地対法に基づきます事業と申しますのは、旧同対法の施行から十八年間にわたりまして行われております。そして昭和六十一年の地域改善対策協議会の意見具申におきましても、同和地区と一般地域との格差は平均的に見れば相当是正されたというふうな指摘がございます。この意見具申を踏まえまして新しく制定いたしました地対財特法におきましては、一般対策事業への円滑な移行を進めるための経過的な立法措置として、既に確認されております対象地域について昭和六十二年以降も引き続き実施することが特に必要と認められる事業につきまして、最終の特別法として立法いたしたものでございます。したがいまして、現在の地対財特法に基づいて行う地域改善対策特定事業というものは、旧地対法に基づく地域改善対策事業が実施された地域についてのみ行うこと、こういうことにいたしておるところでございます。
  557. 坂上富男

    坂上分科員 だれが仕事のことを聞いていますか。同和地区で未指定地区がないと大臣がおっしゃったから、本当にそうですか、こう聞いている。それだけなんです。そんな長々現在の地対財特法の話なんか聞かぬたっていいんです。どうですか。今大臣は十八年間にわたる歴史的な状況から見て、もう未指定地区はないとおっしゃった。判決は、神林村のこの地区は同和地区であって未指定である、差別しちゃいかぬ、こう言っている。判決がはっきりしているのに何で行政庁がこれを否定するのですか。
  558. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 今地対財特法に基づいて行われる事業の地区の問題についてお答えを申し上げてございますけれども、先生がおっしゃいましたいわゆる同和地区につきましても何回も調査を行いました結果、現在の四千六百三という地区を確定いたしまして事業をいたしておるわけでございます。
  559. 坂上富男

    坂上分科員 だから神林村はどうですかと聞いておる。
  560. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 神林村については確かに同和の方々が存在していらっしゃる、そういう地区ではございますけれども、いわゆる未指定地区という形では私たちは把握はいたしておりません。
  561. 坂上富男

    坂上分科員 じゃ指定地区ですか。
  562. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 お答えいたします。  同和の方が現に存在して住んでいらっしゃるということだけで地区に指定されるというわけでは法律上ございません。
  563. 坂上富男

    坂上分科員 だから指定があるかないか、こういうことを聞いているのです。
  564. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 もちろん指定された地区ではございません。
  565. 坂上富男

    坂上分科員 そうですね。それを未指定地区というのではないですか、いかがですか。どうです、未指定地区というのではないですか。
  566. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 お答えいたします。  それは未指定地区ということではなくて、同和の方が何人か住んでいらっしゃる地域ではございますけれども、いわゆる未指定地区ということではございません。
  567. 坂上富男

    坂上分科員 これを聞いておっても物笑いだわ。もうちゃんと判決で書いてあるんだよ。地区指定は、これがあれば対象地区であるかどうか、事業の対象地区であるかどうかということが推定されるというのです。だから指定というのはそういう意味でしかありませんよ、こう言っている。その根本は、同和地区というのは大臣冒頭申し上げられましたとおり「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域」と言っているわけです。これを同和地区として指定すれば、今までこの法律の対象になったわけです。事業の対象地になったわけです。だけれども、たまたま神林村は指定の申請もなかった。だからこれはおかしいじゃないか、差別じゃないかということで行政訴訟になったわけです。そこで、神林村のこの地域はまさに同和地域である、同和地区である、未指定である、しかし他と同じような同和関係の法律の適用をしなさい、こう言っているわけです。これは憲法の要請だ、こう言っているわけです。どうです、もう一遍御答弁ください。
  568. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 お答えいたします。  いわゆる地区指定と申しますものは、旧同対法または旧地対法に基づく事業の実施に伴って行われたものでございまして、先生おっしゃった論点につきましても、旧地対法がまだ生きている間はそういう御議論もできるかと思いますけれども、これらの法律はいずれも既に御承知のように失効をしておりまして、現在の地対財特法に基づいて行われておりますいわゆる地域改善対策特定事業というものは、過去に旧地対法の第一条に規定いたします地域改善対策事業が実施された同条に規定する対象地域について引き続き実施することが特に必要と認められる事業を実施するということになっているわけでございまして、現行の地対財特法に基づく地域改善対策特定事業を実施するための対象地域として、新たに地区を追加するためのいわゆる地区指定というものは現在の法律ではできない、こういうことになっております。
  569. 坂上富男

    坂上分科員 だれがそういうことを聞いているのですか。それはあなたの前に言ったところの地対法、確かにもう法律は今の地対特例法ですか地対財特法にかわっていることはわかっていますよ。そこで今まであなた方は、未指定地域だから同和地区であっても同和対策の事業はやれません、こう言ってきた。新潟の裁判所は地域の形式にこだわってはいかぬ、こういう判決をしているわけです。したがって、旧法のとき、あなたたちはいわゆる同和行政をそういう解釈の間違い、解釈の間違いはどこからくるかというと、真に憲法の中から同和行政をやってこなかったところからそういう解釈が出てきていると私は思うのです。したがって、冒頭申し上げましたとおり、目からうろこが落ちたような判決だと言ったのはそういうことなんです。皆様方からもっと見直して、この同和行政というものを真に民主主義と平和のために憲法を実施する以上は、この差別をなくすることが国の最高の責任だ、私は実はこう思っておるわけです。だから神林判決というのは、これからの同和行政の中で最も重要に皆様方が熟読玩味をいたして、それを政治の中で、行政の中で生かしてもらわなければならないと思っておるわけであります。でありますから、きょうは三十分しかありませんので私はこの議論をしませんが、あらゆる交渉やいろいろの折衝の中で明確にしていただかなければならないと思っておるわけであります。  さてそこで、長官も同和地区というのは今ないというような御理解のようでございますが、実際は大変な差別で苦しんでおる諸君たちがいっぱいいるわけであります。地域の人たちがいっぱいあるわけであります。いかがですか、長官。もしないとすれば御案内を申し上げ、その差別の実態をお見せいたしたいと思うのでありますが、部落差別という問題は大変な問題でございますので、ひとつ調査、御視察などこの際決意をしていただくわけにはまいりませんでしょうか。
  570. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 地区の指定につきましては国の方が勝手にやったものではございませんで、それぞれ地方自治体の御意向を十分尊重しながら進めてきた行政でございますので、それぞれの地域の御判断が、地方自治体の御判断があってやっておることでございます。したがって、私の方で今日まで十八年間この問題を扱ってきた間において、その歴史の積み上げにおいて行われてきたことを十分踏まえて対処していきたいというふうに考えております。
  571. 坂上富男

    坂上分科員 長官、もう一つ御答弁いただきたいのでございますが、今私が御指摘を申し上げたような問題があるわけでございます。そこでひとつ長官のお立場で、新潟県にも相当あると思います。差別の地域をごらんになる御決意はございませんか、こう聞いているわけでございます。
  572. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 必要があればそういうところを見ることにはやぶさかではございませんが、ただ、今だんだんに解消されつつあるそういうところへ長官がわざわざ行って、そこを視察するということがかえって一般の人に、ああ、あそこは地域改善の指定地区なんだなということを、何と申しましょうか、かき立てるといいましょうか、それだけにかえって色目で見させるというようなことになることをむしろ私はおそれているのでありまして、もう既にそういう時代はだんだんになくしていかなければならない。だから実際上いろいろな配慮はしていかなければならないと思いますが、事改めて国務大臣たる高鳥修がそうした実情を視察するということが、果たしてその地域の人たちにとってどういうことなんだろうかということも十分考えてみなければならないことではないだろうかというふうに私は思っております。
  573. 坂上富男

    坂上分科員 確かにこの問題は、寝た子を起こすなというような言葉があるようでございますが、一つ私が申し上げたいことは、いわば長官がこの差別をなくするために、今後の同和行政にどうやって生かされるかということをお聞きする一環で聞いたわけでございます。もちろんそういう配慮がありながら、そして実際に同和行政をこの判決を生かしながらやっていくということの姿勢においては、ぜひとも頑張っていただかなければならない、こう思っておるわけであります。  そこで、最後でございますが、もう法律は地対財特法ですか、これで終わりになるんだというような概念がまだあるのでございましょうか。いかがですか。
  574. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 地対財特法は五年間の時限立法として施行されているものでありますが、私どもといたしましては、この法律の制定の経緯にかんがみまして、この法律が期限の来たときにはなくなるものというふうに考えておりまして、その後はいわば一般的な施策の中で十分考えていかなければならないものである、このように心得ております。
  575. 坂上富男

    坂上分科員 最後に御意見申し上げますが、一つは新潟の判決をよくひとつお読みをいただきまして、判決が言っておりますことは、新潟の要綱というものはいわばこの関係法律をもとにしてできたものである、そして指定地域と未指定地域は差別をしてはならない、これが憲法の精神であるとはっきり明言しているわけであります。したがって、もう前の法律は廃止になって、今は残存の仕事しかしていないんだという御概念のようでございますが、この判決によりまして、どうも皆様方のやってきた行政について、明らかに今までやってきた行政は間違いてあったという御指摘だろうと私は思うのであります、この判決の趣旨は。ぜひひとつそういう意味で熟読玩味をしていただきまして、そしてまた同和の実態というものをひとつ見ていただきまして、今後の同和行政を関係者が少しでも満足いくように御努力していただきますことを期待をいたしまして、時間が参ったようでございまするから、私の質問を終わりたいと思います。
  576. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。     〔主査退席、田中(直)主査代理着席〕
  577. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 高鳥長官、長官御就任どうもおめでとうございます。数年前、長官は地方行政委員会委員長でありました。私が理事をやっておりまして、そのときにいろいろと御指導、御鞭撻をいただきまして、感謝をいたしております。また、きょうは大変に御苦労さまでございます。  私は、日夜頑張っていらっしゃる国税職員の皆さん、あるいはまた税関職員の皆様方の定員の増員問題あるいは待遇改善の問題を、きょうわずか三十分でございますが取り上げさしていただきたいと思いますが、その前に、長官に数点お尋ねをしたいと思います。  まず第一点は、昨日午後の与野党の国会対策委員長会談におきまして、六十三年度予算修正に絡む減税問題が決着をいたしました。きょうからまた国会がこうして正常化されて分科会が開かれているわけでありますが、きのうの与野党合意の内容は、既に御案内のように、第一点は「社公民三会派の要求する所得税、法人税、相続税等の減税は実施する。」ということ、第二点は「その財源については、社公民三会派の要求する「不公平税制等の是正」及び「その他の項目」を含め各党政策担当者で協議する。予算成立までに結論を得るものとする。この二点であります。  そこでお尋ねしたいのは、長官も竹下内閣の閣僚の一員として、この与野党合意をどう受けとめられ、そしてどのように実行、遵守されるか、その決意と御見解のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  578. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 減税の額ないし財源等の問題については、所管事項ではございませんので言及することは差し控えさしていただきたいと存じますが、与野党間で合意をされたことにつきましては、これを最大限尊重して遵守してまいらなければならない、このように心得ております。
  579. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 続いて長官、国家公務員の四週六休制度につきましてお尋ねをしたいと思います。  仄聞するところによりますと、長官は第二、第四土曜日を閉庁したいという意向のようであります。政府は、二月十五日の事務次官会議で、現在試験的に実施をしている国家公務員の四週六休制を四月十七日から本格実施する改正給与法の施行期日についての政令を承認いたしました。これを十六日の閣議で決定をした。国家公務員の四週六休制は、四週間に六日間休む制度でございます。交代制職場以外の一般の公務員は、日曜四回と土曜二回を休むことになる。四月十七日の施行でありますけれども、実際は四月二十三日の土曜日から適用になる、こういうことでありますが、このとおりでよろしゅうございますか。
  580. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 そのとおりでございます。
  581. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 続きまして、政府機関の土曜閉庁についてお尋ねいたします。  この問題は、欧米から日本人は働き過ぎると批判をされた、これにこたえまして新前川レポートが初めて取り上げました。これを受けて昨年五月の緊急経済対策に盛り込まれ、人事院も八月に勧告を説明し、補完する報告の形で土曜閉庁の導入を要請、政府は週休二日制・閉庁問題関係閣僚会議を設置し、中曽根内閣末期の十月二十三日に六十三年度中の実施を目標に取り組むことを閣議決定いたしました。総務庁が地方自治体や民間企業の意見を聞きながら各省庁と調整を進めているわけでありますが、現在のところ、小中高等学校や病院、郵便局は閉庁の対象から外すが、地方法務局や税務署などは閉庁する方針であるということでありますがどうかという問題が一点。  続きまして第二点は、問題は行政府以外の関係、国会裁判所が開いていれば関係職員の出勤も必要になります。でありますから、土曜閉庁の実を上げるには国会裁判所の同調が大事ではないか、これが第二点。  第三点は、政府は土曜閉庁が民間企業の週休二日制導入の誘い水になればというわけでございますが、逆に日経連は総務庁への意見書の中で、公務員の先行で企業に無理な対応を迫るべきではない、このように注文をつけております。そしてまた、日商会頭の石川さんも、これは中小企業などにしわ寄せがいく、官公庁の事務合理化で職員がローテーション的に休みをとる方法もあるわけであって、そうすれば閉庁しないでもいいじゃないか、このようにも言っているわけであります。しかも、ことしに入って週休二日制を先行しておりました金融機関も、政府の土曜閉庁を先行させるべきである、こういうふうに様子を見よう、こう転じたため、どうも総務庁としてははしごを外された格好ではないか、このように思います。  それから最後に、政府は今後、六十四年の一月導入を目指して今国会あるいは次の国会にこの改正法案を提出する用意があるかどうか。  以上の点について簡潔に長官から御答弁をいただきたいと思います。
  582. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 政府が週休二日制、四週六休を推進してまいりましたことにつきましては、公務員の勤務時間を時間短縮しながら効率よく働いてもらうという観点から進めてきたところでありまして、とりあえずは開庁方式で四週六休をやっておるところでありますが、ただ、半分交代休みというのは、事務能率上からいっても非常に不都合なことがいろいろあるわけであります。したがいまして、できるならば仕事の能率の上からいって閉庁方式の導入の方が望ましいというふうに考えておるところであります。  ただ、国はやはり先憂後楽ということでなければならないと思いまして、民間動向等も調査をしておるところでありますが、人事院の調査によりますと、少なくとも企業規模百人以上で、かつ事業所規模五十人以上の事業所の管理部門について調べてみますと、隔週または月二回以上休んでおるというところが昭和六十二年度においては既に六二・八%に達している、六割以上がそのような状況になっているということを踏まえまして、国もこの辺で週休二日制を本格的にかつ効率よく実施するためには閉庁方式の導入が望ましいのではないだろうか。既に中曽根内閣におきまして六十三年度導入ということを決定しているところでありますが、竹下内閣におきましては、閉庁方式についても前向きに取り組むということを関係閣僚会議において申し合わせをいたしております。したがって、その前向きに取り組むとは、年度末になって前向きではないだろう、そういうことになれば年の変わり日あたりが適当なのではないだろうかということで、一応一月実施ということを考えておるところでありますが、ただ、国会あるいは裁判所等から同一歩調をとっていただかないとやはりなかなかやりにくい面があるのではないだろうか。  それから御指摘がございましたが、病院あるいは税関等の現業でどうしても休めないところについては交代勤務、学校につきましては、教育の特殊性というものがございますので、これは文部省の御判断あるいは学校、教育委員会等の御判断にまつべきものであって、私どもがそれを決めるわけにはいかないだろうということで除外いたしておるところであります。また、郵政関係につきましては、郵便部門についてはやはりこれを除外して、配達はしていただくことになるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、事務能率の向上あるいはサービスの改善等を通じまして、閉庁いたしましてもできるだけ支障のないように努力をしていきたいというふうに考えております。
  583. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 六十四年一月から実施されるわけですね。その改正法案提出というのはどのように考えられておりますか。
  584. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 本来ならば今国会に提出をして御審議を仰ぐことが筋かと思いますが、現在まだ国民世論の動向等についていろいろと承っておるところでございますし、また各省庁間あるいは国会との調整等の問題も残っておりますので、したがって、今国会にはちょっと提出いたしかねるというふうに考えております。ただ、一月実施ということを考えました場合には、もし次の国会がしかるべき機会に開かれますならばそこで提出をさせていただけるのかなあというふうに考えておりますが、次の国会がどうなるかについては今軽々に私がここで申し上げるべきことではございませんので、とりあえずできるだけ早い機会に実施できるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  585. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 今長官からくしくもお話がありましたように、やはり国民の動向というものが大事だと思います。私が指摘いたしましたが、日経連あるいは商工会議所等々、もちろんこの国会の問題あるいは裁判所の問題等々があるわけでありますが、何にしてもこの問題は国民的なコンセンサスを得られて実施しなければならない、このように考えております。それだけ注文をつけてまいりたいと思います。  いよいよ本題に入りたいと思いますが、税務職員の増員の問題について国税庁にお聞きをいたします。  国税庁が発表されました首都圏の自営業、自由業の重点的税務調査、そのうち、六十一年分確定申告の内容に疑問があった対象者のうち九六・二%も所得のごまがしあるいは確定申告の漏れがあった。今、まさしく確定申告のシーズンたけなわでございますが、こうした徴税上の不公平是正の必要性というものを私はまず訴えたいわけであります。税金から逃れるための納税者の納税意識やモラルを戒めていかなければならないのは当然でありますが、背景として脱税をしやすくしている税の構造というものが存在していることも事実ではないかと私は思います。例えば所得の捕捉率の格差について、クロヨンとかトーゴーサンピン、このピンというのは政治家のことでありますが、というものがあるわけであります。しかし、サラリーマンなどの給与所得者に比較をしまして他の所得の捕捉率が著しく低いという、この税の不公平の構造は一向に改善をされておりません。税のアンバランスを改めるために徴税上の所得捕捉を徹底する納税環境の整備、あるいは制度的にも不公平を是正する抜本的な税制改革が必要であると私は思います。この点どうかという問題。  いま一つの問題は、シャウプ勧告の税の本質というのは、累進、申告、総合課税にあったはずであります。しかし、これが四十年たちまして、政府が行ってきた税制改革が改悪であったために、この累進、申告、総合課税という三つの柱がゆがめられた。応能負担を徹底する累進、総合課税は有名無実化をし、勤労所得者が事業資産所得者に比べて不利をこうむっている。その上、申告に際しても今回の調査のようにごまかしがまかり通るというのは、決して見過ごすことができないわけであります。税制上配慮が必要なまじめな個人事業者や小規模企業に対しては大幅な税負担軽減を図る一方で、税のごまかしには徴税、つまり執行面における不公平の是正、制度面のこの両面からその温床構造に鋭いメスを入れていくべきではないか、このように考えるわけですが、この二点につきまして国税庁の御意見を簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
  586. 龍宝惟男

    龍宝説明員 先生御指摘のように、所得の種類の間で所得捕捉の格差についてよくクロヨンとかいろいろ言われております。したがいまして、そういうことを十把一からげに言うのはどうかと思いますけれども、しかし、実際問題そういう形で表現されるような不公平感あるいは不満感というのが存在することは、執行当局としても十分に認識して適正な税務行政を進めなければいけないというふうに考えております。  私ども執行を預かる立場でございますので、制度からやや離れるわけでございますけれども、執行面から申しますと、やはり限られた人員のもとでどういうふうな方法をとれば課税の公平というものが確保できるか、これだけ執行面での公平な課税というものに対する要請がますます強くなっておりますので、十分に心してやってまいりたいというふうに常日ごろ考えて対策を講じているところでございます。
  587. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 続いて、国税庁にお尋ねします。  今や税制全般にわたる抜本的な見直しというのは国民が求める課題であると私は思います。国民の多くがなぜ税に対する不公平感を抱くようになったのか、その要因というのは大きく分けて三点あると思います。第一点は、大幅な減税措置を適宜的確に行っていったかどうか、これはノーと言わざるを得ません。第二点は、税制全般の制度上の不公平を是正する努力を行ってきているかどうか、これも残念ながらノーと言わざるを得ない。第三点は、法人や事業所得者と勤労所得者の間における所得の捕捉率の不公平感解消に向けて改善を行ってきたか、これも、努力はされておみえになりますが、ノーと言わざるを得ない。  そして、ここにそれを裏づけるデータがあります。つまり、昭和六十一年二月総理府広報室が実施いたしました税金に関する世論調査、これを見てまいりますと、不公平があると思う、税金の不公平感、そして、ある程度不公平があると思うと答えた人は調査者数の八一・三%に達している。その中で、自営業者はその平均よりも低い七九%。ところがサラリーマンは平均より高い八八・五%である。それから、同じく総理府の調査でありますが、自分の収入に比べて負担額が大きいと答えたのが四七・六%、税金の仕組みや徴収の仕方に不公平があると答えたのが三一・二%であります。それから、三つ目の資料でありますが、最も負担に感じている税金の種類、これは所得税が六三・三%、それから住民税が一四・四%であります。そして、この不公平があると思う、あるいはある程度あると思うと答えた人、これが三千百七十五人あったわけでございますが、その不公平があると思う理由を聞いたところ、サラリーマンと商工業、農業等の自営業者の間の納税方法に違いがある、五二・四%で最も高い。以下脱税がある、あるいは脱税が摘発されていないというのが三七・四%、このようにあるわけであります。  このように考えてまいりますと、このデータを見まして、いわゆる所得捕捉問題についてどう考えるかという問題でありますが、申告納税制度は定着したと考えられているわけでありますが、この実地調査を見る限り、所得を過少に申告し納税している者が大半である。これはまた後から申しますが、そういうことが言えます。そして二つ目には、実地調査は直接的には税の脱漏を補正し、間接的には適正な申告を促すための牽制効果を持ち、公平確保の面から重要な手段ではないか、私はそのように評価をいたします。  具体的に各税目の実地調査状況を見てまいりますと、例えば昭和六十二年、法人税、申告件数が二百六万四千件、このうちの調査件数が十九万二千件、実地調査割合、つまり実調率がわずか九・三%であります。そして更正決定件数が何と驚くなかれ十六万件もある。その割合は八三・三%、申告漏れ所得金額は一兆二千二百五十六億円であります。そのとおりですね。それから所得税、更正決定割合が九五・三%、実調率がわずか四・〇%です。しかも申告漏れ所得金額が五千七百六十二億円。譲渡所得、これは更正決定割合が七〇・八%、申告漏れ所得金額が五千三百十二億。相続税、九八・四%の更正決定割合、そして申告漏れ所得金額が三千百十億円。各税合計で二兆六千四百四十億円の申告漏れ所得があったわけであります。  先ほど申し上げましたように、現在の実調率が法人で九・三%、所得で四・〇%、こう言われておりますが、このことが公平さを喪失している原因になっている。これは僕は断言してもいいと思いますね。しかも国税の時効は国税通則法第七十条、国税の更正、決定等の期間制限の五項によりまして七年であります。最長の除斥期間である七年以内に調査を一巡するには、実調率を年間一四・三%に持っていく必要があるわけであります。だから、実調率が今の法人で九・三、所得で四・〇でありますから、毎年積み残しがあるわけですね。  一方、申告納税者はどうなっているかというと、昭和五十年から六十年の十年間に申告納税者数は一・六倍、還付申告者数が二・二倍、法人数が一・四倍、源泉徴収義務者数が一・四倍、このようにこの十年間に増加をしている。ところが一方、国税職員は微増です。昭和五十年度は五万二千四百四十人でありましたが、昭和六十年度は五万二千八百五十二人、四百十二人しか増加していない。最近、六十一年度では六十四名、六十二年度は百九十九名、六十三年度、今年度はがばっとやったと言われておりますが、三百七十四。全国に税務署が幾つあるかといえば、長官、五百十五あるのですよ。一つの税務署に一人増員できないわけなんです。配置ができない。それでやったやった、六十三年度は大幅にやりましたと言って胸を張っていただくのもいかがかと私は思います。結果、急増する納税者数、事務量の増加に対応できず、内部事務の切り捨て、機械化処理に努力をしているわけでありますが、また、一件当たりの調査日数も極端に減らして税務執行を行っているため、新たなる不公平が生じつつあるわけであります。  結局、私は、この不公平を執行面で是正するためには、定員を増加することが不可欠である、このように考えるわけであります。今の一四・三%の実調率をやろうとしますと、あと一万五千七百六十六人ふやさなければならない。これを控え目に見て五年間で一万人と言っているのです。一年間で二千人。だから、なかなか大変な数でありますけれども、とにかく私は、制度面も大事でありますが、執行面の不公平税制の是正という観点から国税職員の増員ということは大事なことである、このように思います。ひとつ国税庁の方から、もう時間がありませんので簡潔にお答えいただきたい、このように思います。簡単で結構です。
  588. 龍宝惟男

    龍宝説明員 御指摘のように、ただいま私どもを取り巻く環境というのは非常に厳しくなっております。事務量もふえております。一方で税務執行面における公平確保の要請が非常に高まっているということでございます。  私どもといたしましては、従来から事務運営の合理化、効率化を図ってこれに対応しているわけでありますけれども、しかし、そういう努力をしてもなお限られた人員ということでございますので、なお足りない要員につきましては関係方面の御理解を得ながら定員の確保に努めております。今後とも私どもそういう方向で御理解を得ながら要員の確保ということに努めてまいりたいと思います。
  589. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 国税職員の問題はまた長官からお尋ねしたいのですが、時間があと五分でありますので、最後に税関職員の問題についてお尋ねをしていきたいわけであります。  大変なんですね。いろいろ実情を見て、あるいはまたお聞きしたり、ここにパンフレットがありますから後で長官にお渡しをいたしますが、行政改革は必要だと僕は思います。しかし、人員が要るところにはやはりきちっと人員を配分しなければならないと僕は思います。  その一番いい例が税関の職場ではないかと思います。国際社会において我が国の役割はますます重要になってくる。出入国者、貿易量が増大する、あるいは商品の高度技術化、さらに貿易摩擦問題、ワシントン条約、こういったことで通関体制の確立というのは非常に厳しいわけでありますね。ところが、六十三年度は前年に比べ五名増員されたということでありますが、これは九年ぶりであって、この十年程度を見ても逆に人員は減っている。また逆に、業務量を見てまいりますと、全体的に一・五倍から二倍をさらに超えているわけであります。こういった観点で、あるいは麻薬、覚せい剤の乱用、持ち込みあるいは銃砲等の持ち込み、これは本当に必死の思いで日夜頑張っているわけでありますね。しかも、税関という職場は簡素化になじみにくい点が多いわけであります。今後の運輸省の計画である海外旅行者倍増計画、これも実行されようとしているわけでありますから、ますます税関の仕事は複雑多岐にわたってくるわけでありまして、私はぜひとも税関職員の定員の増加をひとつお願いをしたいわけであります。  それから、最後に人事院に二点聞いておきます。  給与法第十条で職務の複雑性、困難性等を考慮し、その特殊性に基づき適正な調整額を定めることができるとなっている。ところが、現在、税関職員はいわゆる一般の事務として行政職(一)俸給表が適用されている。今まで申しましたように、職務内容等複雑性、困難性など相当高いと思われる。これについて人事院は六十年度に見直そうとしたのですが、見直さなかった。この俸給表を見直すときが来たのではないか、私はこのように思います。  それから二つ目は、人事院でありますが、同じく今日勤務時間の短縮は緊急な問題でもある。人事院としても相当研究されたようでありますけれども、税関の二十四時間交代で勤務をしている職員についても通常の勤務者と同一の勤務時間となっているわけです。また、船舶職員については四十八時間と給与法で定める最高の勤務時間となっているわけであります。これらについて時間短縮など適当な措置を講ずる必要がある、このように私は思いますが、どうでしょうか。  まず、税務職員の問題、増員の問題それから税関職員の増員の問題、これは昨年十二月にも私ども党といたしまして長官に申し入れをいたしました。この問題をお聞かせをいただきたいし、それから関税局の方からもその点お伺いし、最後に人事院にお尋ねをいたします。
  590. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今の国税職員並びに税関職員につきまして、これは数字、事実等の問題がありますから、最初に私からちょっとお答えをいたします。  御説のとおり、税務職員それから税関職員につきまして業務量の増があるということについては、私どもも十分認識をいたしています。そこで、六十二年度二百二十九名純増、それから六十三年度三百七十四名純増、これは国税であります。ただし、これは実は一般職員につきましてある程度削減をかけているから、したがって純増減、こういう形で今先生の言った数字が出てまいった。増員そのものからいいますと、国税の場合には五百九十三、六十三年度が七百三十七であります。それから、税関職員につきましてもことしネット五プラス。ただし、これにつきましても削減七十四をかけているからそういうことになっておる。いろいろと内部努力をやっていただきまして一般職員については極力節減をする、そのかわり税務職員にはこれを伸ばすというふうなことで今までやってまいっておりますので、おっしゃるとおり、簡素化を極力進めつつ業務量増には対応しつつあるというふうなことでひとつ御理解いただきたいと思います。
  591. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 委員御承知のとおり、私も税務職員の増員には大変一生懸命取り組んできたつもりでございまして、委員からも御鞭撻をいただいておりますので、私の方でも最大限の努力をしたつもりでございますし、今後ともまた配慮をしてまいりたいと思います。  それから、税関職員のことについても御指摘がございましたが、税関職員については、これからやはりいろいろな規制緩和というようなことも考えなければならないと思います。それらの中で合理的な配置を進めながら必要なものは確保するように配慮をしていきたい、このように思っております。
  592. 山崎宏一郎

    山崎説明員 税関職員につきましては、非常に重要な仕事を鋭意努力されておりまして、俸給表の運用面におきまして、職務の級の決定等に当たりましては、その実態を十分考慮しまして格付あるいは定数の決定等をしております。さらに、特殊勤務手当等につきましても種々配慮しまして、適正な給与処遇に努力しております。ただ、特殊な俸給表につきましてはなかなか考えがたいと思っておりますけれども、引き続き適正な給与処遇について努力してまいりたいと思っております。
  593. 冨沢宏

    ○冨沢説明員 税関業務をめぐります業務の量的な増加あるいは質的な複雑化につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、私どもこれに対しまして内部的に事務の重点化、効率化あるいは機械化、できるところは機械化を進めておりますけれども、なお足りないところにつきましては要員の確保につきまして関係当局の御理解を得るべく従来最大限の努力をしておるところでございますし、今後ともその努力を続けてまいりたいと存じております。
  594. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 時間が超過しましたので、最後に長官に心から税務職員と税関職員の増員並びに待遇改善をお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  595. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて柴田弘君の質疑は終了いたしました。  次に、石井郁子君。
  596. 石井郁子

    石井(郁)分科員 地域改善対策協議会の意見具申、八六年十二月十一日、それを踏まえた「地域改善対策啓発推進指針」八七年三月十八日など、同和行政の今後のあり方に関する見解、方針が出されています。これらの文書は当然のことながら部落差別を解消するためのものであると思いますが、最初にこの点を確認しておきます。
  597. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 五十九年あるいは六十一年の意見具申、それに基づきまして地域改善対策に関する大綱が政府で決定されて、それに基づきましてまた新法が昨年施行されました。また、お話しの啓発推進指針、昨年地方公共団体に示しております。現在の地域改善対策の方針でございます。
  598. 石井郁子

    石井(郁)分科員 部落差別解消を進める上で大阪の動向は全国にも与える影響が大きいと思われるだけに、同和行政の実態がどうなっているのか、真に差別是正に向かっているのかどうか、幾つかの問題で政府の対応を伺いたいと思います。  私は、今日重大な問題として、この意見具申と啓発指針が、新たな差別意識を生むさまざまな新しい要因が存在していると指摘していることを重視せざるを得ません。これは具体的にどういうことを指しているのでしょうか。
  599. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 地対協六十一年意見具申の中では、同和地区の生活環境や生活実態の改善は相当程度進んでいるが、特に心理的差別については解消が進んできているものの現在なお十分な状況とは言えない、こういうふうに指摘しております。また差別意識の解消を阻害している新しい要因として、行政の主体性の欠如、同和関係者の自立、向上の精神の涵養の視点の軽視、それからえせ同和行為の横行、それから同和問題についての自由な意見の潜在化傾向を指摘しております。地域改善対策啓発推進指針においては、この意見具申の指摘を踏まえまして、行政の主体性の確立、えせ同和行為の排除、自由な意見交換のできる環境づくりを進めるように提言しております。
  600. 石井郁子

    石井(郁)分科員 それらはこの意見具申と啓発指針を読むと書かれているわけでありますけれども、もう少し具体的な事例でちょっとお示し願えないでしょうか。
  601. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 今審議官の方から新たな差別の要因が生じてきているということで、四つほど具体的にお答えをしたわけでございますけれども、行政の主体性の欠如という問題につきましては、やはり地方公共団体の中に主体性の欠如しやすい部分といいますか、長い間の同和行政の中で主体性の欠如というものが見られているということが一つございます。それからえせ同和行為の横行でございますけれども、これにつきましても、最近はややえせ同和問題というのは少なくなってまいっておりますけれども、やはり数年前には非常に多くのえせ同和行為が全国を騒がしたような記憶がございます。また、えせ同和問題の横行と関連をいたしまして、同和問題というものが非常に怖い問題だという意識を一般の国民の中に生み出しまして、いわゆる同和問題の解決につきまして自由な意見の交換といったものを阻害するような傾向が出てきているというふうな幾つかの点が指摘できるのじゃないかと思います。そういった点をやはりできるだけ早く払拭して同和問題の解決の方向に進んでいきたいというふうに考えております。
  602. 石井郁子

    石井(郁)分科員 なかなか具体的なことには話が進まないようですけれども、この啓発指針の第三章に、啓発の具体例を別冊で示すということになっておりますが、これはいっまでに作成される予定でしょうか。また、なぜ今なお出されていないのかについてお答えいただきたいと思います。
  603. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 先生御承知のように、啓発推進指針につきましては、第三章といたしましては、啓発活動の具体的な事例というものを紹介することになっているわけでございます。これらの啓発活動の具体的な事例につきましては、地方公共団体等がそれぞれの事情に応じまして活用できるよう具体的で幅広い内容のものが必要であると私たちは考えておりまして、現在各都道府県等に協力を依頼いたしまして、これまで各都道府県等において実施してきました啓発活動の具体例の実は収集を行わせていただいているという段階でございます。先生御承知のように、余り端的な例が少ないので苦慮しているわけでございますけれども、できるだけ速やかに編集整理を行いまして、公表する段階まで持っていきたいというふうに考えております。
  604. 石井郁子

    石井(郁)分科員 新たな差別意識という問題に関連して、以下具体的に話を進めていきたいと思うわけですが、私どもは、こういう問題について逆差別、こういうふうに言っているわけですけれども、こういう点でどういう認識をされているでしょうか。
  605. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 地域改善対策の適正な実施につきましては昭和六十一年十二月に各省の合意を得まして総務庁が定めました「今後の地域改善対策に関する大綱」というのがございますが、この中で適正化に関する考え方を述べております。それから昨年の新法、地対財特法の施行時に通知を出しまして、この中で「法施行に当たっての配慮事項」というところで特に行政の主体性の問題と、例えば物的施設についても周辺地域との間に格差のないものを整備し、その運営に当たっては周辺地域の人々の利用にも供するように配慮するというような具体的な指摘をもちまして、適正に実施されるように指示しているところでございます。これらの問題につきましては、啓発指針の趣旨に照らして、ただいま申し上げましたような大綱あるいは通知の趣旨に沿いまして、各省庁と連携をとって指導の徹底を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  606. 石井郁子

    石井(郁)分科員 私は、この逆差別という存在が非常に大きな問題になっていると考えるわけですが、差別の解消を困難にしていますし、この差別を固定化する大きな要因になっているわけです。  例えば大阪市の例で少し申し上げたいと思いますが、大阪市の浪速区に栄小学校というのがございす。この学校は、児童数は現在三百三十九人ですけれども、教職員数は六十七人、教室の数が八十四室。設備として、体育館が実は二つあるわけですね。二層式の体育館になているわけです。プールは二面あります。テレビが十二台つきの千人が入る食堂がございます。これは当初千人児童数を予定していたのでこういう食堂になっているわけですが、あります。それからスタジオ並みの放送室がある。プラネタリウムが設置されている。それから市民ホール並みの大講堂、これは座席が固定しておりまして、そういうホールです。建設費は七十七億円、一般校の大体十校分というものでございます。こういう非常に至れり尽くせりのデラックスな学校ということですけれども、このことを承知されているでしょうか。
  607. 熱海則夫

    ○熱海説明員 五十年の話でございまして、その当時の資料を見ますと、大阪府の栄小学校、矢田小学校の校舎の建設について大阪府から理由を聞いた経緯が載った書類がありました。それによりますと、この栄小学校については大阪市の話として、大阪市の同和対策の方針を十分に尊重しつつ、浪速地区の実態を踏まえ同和教育を推進するために必要な施設を追求していく中で成案を得たものである、また施設の内容については学校教育面のほか、地区の中核的な役割を果たしていくにふさわしい学校であること、それからPTAを初めとする地区住民の学校とのつながりを密にすることを目的として計画したものである、こういう御説明が大阪市の教育委員会からあったようであります。  これは、国としてはもちろんこのときは助成の対象にはしなかったものであります。国の立場としては、小中学校の建物の建築については市町村教育委員会が責任を持って、また、その予算については市町村長が議会の議決を得ているものであるので、国としてはよほどの事情がない限り軽々しく関与すべきではない、当時こういう判断で対処したようであります。そういう記録があります。
  608. 石井郁子

    石井(郁)分科員 同じような規模の一般校の場合ですと、教職員の数は約三分の一なんですね。教室の数もそういうものです。ですから、栄小学校の場合は一般校の三倍の教職員と教室、設備をもっている。設備については一般校と比較になりませんけれども、そういう実態になっているわけです。現在なおこういう学校の格差があるという問題について、どのようにお考えでしょうか。
  609. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 地域改善対策事業につきましては、改めて申すこともないわけでございますけれども、いわゆる行政の公平性というもの、それから周辺地域との一体性といったものを確保する必要があるだろうというふうに私たちは考えております。  先生が御指摘になった件につきましても、このような見地に立った建設または運営が行われるものだろうというふうに考えております。
  610. 石井郁子

    石井(郁)分科員 同じような問題がいろいろなケースにあるわけですけれども、住宅についてもそうなわけです。  大阪市の場合、同和住宅が九百戸も空き住宅がある、そういう中でなおかつ同和向けの住宅が建設されようとしています。一般向けの市営住宅では毎回十倍の競争率ですけれども、そういう中でこういう事態がまかり通っているわけですね。今御答弁のように公正さを欠いている、こういう同和行政は許されないという点では明確な御答弁をお願いしたいと思うのです。
  611. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 現在の地対財特法の施行通知の中におきましても、物的施設につきましては今後とも周辺地域との間に格差のないものを整備してほしいということを明確に指示しておるわけでございまして、国の方針としてははっきりしたものが出ているというふうに私たちは考えております。
  612. 石井郁子

    石井(郁)分科員 もう一点。  同和地区には今申し上げたような大変デラックスな施設などがあるわけですが、この施設の利用や開放という問題が市民の間で大きく課題になっているというふうに思います。  例えば、私のところで平野区という行政区がありますけれども、この平野区は六万六千八百世帯がありますけれども、同和地区の世帯は百三十世帯なんですね。この百三十世帯の中に解放会館が十二億で建てられている。青少年会館は十億かけられています。この会館には二つの体育館、柔道施設やその他がいろいろあるわけですけれども、この青少年会館を利用する子供たちは二十人くらいだということになっています。老人福祉センターは五億五千万かけてでき上がっているわけです。約二十万の人口の平野区に老人福祉センターは一カ所だという点でも、先ほど来申し上げている逆差別が歴然としているわけですけれども、こういう問題について、同和地区の施設が一般には使われない、まさに特定団体の専有物になっているという点で、すぐできることは一般へ開放する、市民のための施設にすべきだということが考えられるわけですけれども、いかがでしょうか。
  613. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 国といたしましては、いろいろ物的な施設があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、その運営に当たりましては周辺地域の人々の利用にも供するように配慮してほしいということをはっきりお願い申し上げております。
  614. 石井郁子

    石井(郁)分科員 大阪府や市へのその辺の対応については後で問題にしたいと思います。  次に、文部省に伺います。  「にんげん」という本があることは御存じだと思いますけれども、この本の作成者あるいは内容について、文部省はどのように把握されていますか。
  615. 熱海則夫

    ○熱海説明員 大阪府教育委員会が御指摘のように、同和教育の副読本として昭和四十五年以来「にんげん」という副読本を市町村の希望に応じて管区の市町村に無償配付している、こういうことが行われていることは存じております。  市町村の教育委員会が副読本として使用を決定して府が無償配付をする、そして、それを学校で使わせるということについては手続的には特段、問題はないと思います。ただ、その内容については、もちろん教育委員会がその内容の適否を判断する立場にありまして、それを判断して適正であればこれは使わせるというのが教育委員会の立場であります。  文部省としては、従来から、教育委員会を指導する立場として次の三点を強調しているわけであります。一つは、内容が教育基本法、学校教育法あるいは学習指導要領等の趣旨に従っていること、二つ目には、児童生徒の発達段階に合っているものであること、三つ目には、政治や宗教について特定の政党とか宗派に偏った思想、題材によっているなど不公正な立場のものでないこと、この三つを教育委員会の方に指導指針として示しているわけであります。  「にんげん」については、もちろん、大阪府が昭和四十五年以来もう二十年近く使用しているものでありますから、この内容についてはいろいろ検討されていると思います。そういう意味で、我々としてはそこは詳細に見ておりませんけれども、府の教育委員会としては適切なものという判断のもとに使用させているものだろう、こういうふうに理解しております。
  616. 石井郁子

    石井(郁)分科員 府の教育委員会が適切だという判断をしているということでしょうけれども、実際、この内容には、ただいま御答弁されたような点から見て逸脱するものが非常にございます。  今時間がありませんので、私は二点申し上げたいのですけれども、一つは、狭山裁判が教材として取り上げられております。これは狭山事件の被疑者の手記ということで載っております。五年生です。それを指導の手引という中では、これをどのように扱うかという点では、この裁判それ自体が誤判だ、冤罪だという立場で指導しているということがございます。  もう一点は、随所に解放運動のことが述べられております。この中では、特に部落子供会の位置づけが非常に高く評価をされている。部落子供会というのは解放運動のいわば下請的な組織でありまして、子供たちを解放運動の担い手に育てるということを掲げている子供の組織です。校外の児童組織です。指導の手引ではこの点でも、解放教育全体が三つの目標の一つに、子供たちに部落解放の、解放の自覚を持たせることであるというふうに言い切っているわけですね。これはとりもなおさずこの意見具申の中で言われていますように、教育と政治、社会運動とを区別しなければいけない、教育の中立性の確立のために徹底的な指導を行うことが必要であるというふうに書かれていますけれども、こういう点で大きく反する内容だ、今課長の御答弁のように、教育基本法に反する偏向教育そのものだと言わざるを得ないと思うわけですが、どうでしょうか。
  617. 熱海則夫

    ○熱海説明員 今お伺いしたことで詳しくは見ておりませんけれども、一般論として、例えば従来から解放運動の一環として狭山のゼッケン闘争とかいろいろな形で狭山を象徴的に扱っているケースがございます。これが学校教育に持ち込まれることについては極めて不適切だということで、従来から我々は指導しております。  それから、よく狭山裁判の、狭山事件の教材化ということが一時行われましたけれども、これによって裁判を批判するとかあるいは司法制度を批判するとか、こういったことに対しては、それは極めて不適切な教材だということは、我々の立場として常に申し上げているところであります。  今御指摘のものがこの「にんげん」の中に含まれているとするなら、あるいはそれがどういう形で取り上げられているかはまた具体的に我々も検討させていただいて、不適切であればこれも大阪府の教育委員会を指導したいと思います。
  618. 石井郁子

    石井(郁)分科員 御存じのように、この本を大阪府教育委員会が買い上げています。それで、数年にわたって学校に押しつけている、押しつけているというか、というわけでありますけれども、ぜひともこの点では実態をもっと明確につかんで御指導いただきたいというふうに思います。  御答弁のように、狭山裁判を教材とするのが不適切だということでありますから、そういう教育行政は即刻改めるという点では明確な指導を強化していただきたいというふうに思います。  それで、先ほど来逆差別の実態について申し上げてきましたけれども、そういう公正を欠いたような同和行政については、この意見具申や啓発指針に沿って改めていかなければならないという点が出されたと思うわけですが、大阪市と大阪府におきましてはなお改められていないという点があるわけです。そういう点で、意見具申が指摘しているように、特定団体、また部落解放同盟でありますけれども、それと癒着して行政の主体性が放棄されている問題が非常にございます。そういう点で、このことを解決しなければ本当の意味で部落差別の解消に向かって前進することができないという点で、大阪市と大阪府が啓発指針に対してどういう態度をとっているのかという点ではいかがですか。
  619. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 大阪府及び大阪市におきましても、啓発推進指針につきましてはそれぞれ府及び市の啓発のための参考資料として勉強させていただき、そして必要に応じて使わせていただきますという態度でございます。
  620. 石井郁子

    石井(郁)分科員 例えば最も重大な問題では確認や糾弾という問題がありますけれども、こういう点では大阪市の場合ははっきりとこれを認める立場ですね。これまでの糾弾闘争が差別解消に役立ってきたということをはっきり言っているわけですから、この点はどうですか。啓発指針に反するのではありませんか。
  621. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 それぞれの地方公共団体におきましては、やはり自治体でございますから、それぞれの意見というものはそれはあってしかるべきだろうというふうに私思います。しかし、先生もおっしゃいましたように、啓発指針といったものは昭和五十九年の地対協の意見具申の中において、国において啓発推進のための指針の策定を行うべきであるという提言をいただきまして、特に啓発推進策定委員会というものを学識経験者をもって発足させ、その専門的意見を参考としながら総務庁において取りまとめたものでございます。いろいろ地方公共団体その他におきまして御意見がある部分もあることは承知しておりますけれども、この指針が各地方公共団体等におきましてそれぞれの地域の実情に応じまして適切かつ効果的に活用され啓発の推進に役立つように、今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
  622. 石井郁子

    石井(郁)分科員 意見具申と啓発指針に沿って同和行政を進めるという点では、やはり確固としてこういう逸脱した行政を改めるという点で御指導していただきたいというふうに思うわけです。  時間が来ましたので、以上全体を通して大臣の所見を伺って終わりにしたいと思います。
  623. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 ただいま御指摘のありましたようなさまざまの問題を抱えておるわけでありますが、私どもは、私どもがやっております対処の仕方というものは適切なものであると考えまして、地方自治体とも十分連絡をとりながら確固たる信念を持って進めてまいりたいと考えております。
  624. 石井郁子

    石井(郁)分科員 以上で終わります。
  625. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて石井郁子君の質疑は終了いたしました。  次に、経塚幸夫
  626. 経塚幸夫

    経塚分科員 私も石井議員に引き続きまして同和問題についてお尋ねをいたしたいと思っております。  この問題を私どもが大変重視いたしておりますのは、申し上げるまでもなく十八年間にわたって同和行政が進められてまいりました。意見具申で御指摘がありますように、いわゆる同和地区の環境というものは大幅に改善をされて、そして古い因襲的な差別が解消の方向に向かいつつある状況の中で新しい差別が生まれてきておるという御指摘がございます。したがって、今日、改めて憲法の理念から申し上げましても、古い因襲的な差別はもとより新しい差別も許さない、こういうことがとりわけ重要になってきておるときだ、こう考えております。そういうことで改めてお尋ねをしたいわけであります。  最初に長官にお伺いをしたいと思っておるわけでありますが、この六十一年の十二月の十一日に出されました意見具申でありますが、これはあては内閣総理大臣と各大臣あてになっておるわけでありますが、当然この意見具申でも言われておりますように、政府が挙げて尊重、実施すべき性格のものだ、こう判断をできるのですが、その点はいかがですか。
  627. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 御指摘のように理解いたしております。
  628. 経塚幸夫

    経塚分科員 そういたしますと、当然これを受けての啓発推進指針も、これは政府が挙げて啓発の指針として守り実行すべき性格のものだ、こう解釈してよろしいですか。
  629. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 啓発推進指針は、昭和五十九年の地域改善対策協議会の意見具申の中で、国において啓発推進のための指針の策定を行うべきであるとの提言がなされたわけでございますが、そこで啓発推進指針策定委員会を設置いたしまして、その専門的な意見を参考としつつ昭和六十一年意見具申の精神に基づきまして総務庁で取りまとめたものでございます。この指針を各地方公共団体においてそれぞれの地域の実情に応じて適切、効果的に活用してほしいということで、推進に役立つように指導してまいりたいと考えております。
  630. 経塚幸夫

    経塚分科員 私が聞いていることに答えてほしいのですよ、そんなこと問いとりゃしまへんがな。  意見具申は、長官がお答えになりましたように、これは政府が挙げて尊重し実施すべきものか、こうお尋ねしたら、そのとおりだと。そしたら、これを受けて啓発推進指針ができたんでしょう。だから総務庁の方針でありまして、私がお尋ねしたのは、それである以上は、啓発推進指針も政府が挙げて啓発の指針として実施すべき性格のものじゃないか、これを聞いておりますのや。その点はいかがですか。
  631. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 そのとおりでございます。
  632. 経塚幸夫

    経塚分科員 もう一点お尋ねをいたしますが、根本的に見直しをすべきだなどという意見もあるやに聞いておりますが、啓発推進指針は出されてまだ間もないし、また実施途上でありますが、根本的見直しなど当面あり得るのですか。
  633. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 先般もこの問題について他の委員から御質問がございましたが、私どもは、現在、この指針につきましては適切なものと考えておりますので、見直しをする考えはございません。
  634. 経塚幸夫

    経塚分科員 関連をしてお尋ねいたしますが、これはある団体の昨年の十月二十六日付の機関紙でありますが、この団体と政府との交渉の中で、文部省の回答としては、指針の認識と相違しておる、それから建設省は、啓発推進指針について詳細に検討したこともないし、どこにも流しておらない、全く白紙の状態だ、厚生省などに至っては、指針に沿ってやるつもりはない、こう答えたと報道されておるわけでありますが、こういう事実は御承知なんですか。
  635. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 政府の同和行政につきましては、各省庁との間で連絡会議を定期的に持っておりまして、関係省庁と連携しながら施策を進めている、こういう実情にございます。それぞれ各省庁に独立した意見があることも事実でございますけれども、基本的な問題についてはすべて一致して同和行政を進めているというのが現実でございます。
  636. 経塚幸夫

    経塚分科員 各省庁それぞれの意見がある、しかし基本的には一致して進めておる、こういうことでありますが、今私が報道されておる事例として挙げましたのは基本的に違う見解を出しておる。全く基本的に違う見解でしょう。部分的に違うとかいうような性格のものじゃないでしょう。この機関紙はごらんになったんですか。
  637. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 もちろん各運動団体の機関紙を私たちも関係各省庁も読ませていただいております。ただし、基本的な方向につきまして各省庁で異なっているという事実はございませんので、そのように御認識いただきたいと思います。
  638. 経塚幸夫

    経塚分科員 各省庁に基本的には意見の違いはない、啓発推進指針、これはあくまでも指針として実施すべきだ、これは政府の見解だ、こう解釈をいたしておきます。  そこで、先ほどもちょっと問題になりましたが、隣保館だとか同和地区内の公的施設の利用問題なんですね。長官、これは私が前にも分科会で取り上げて、一体どないなってまんねや、こんなことでは地方自治法の二百四十四条にも反するし、政府の通達にも反するし、同和地区内で居住をしておる人にさえ特定の団体に加入をしておらないと使用させないというようなことは即刻改めるべきだ、それで、やりますと、こういう話だったんですよ。これは一つも改まっておりゃしませんので、またこれを分科会で取り上げざるを得ないのであります。  ちょっと具体的にお尋ねをいたします。  これは事例を挙げた方がわかりやすいと思うのですが、東大阪市の蛇草という同和地区の解放会館の例であります。これは厚生省にお尋ねしたいのですが、昨年の十一月六日に、政府の啓発推進指針の学習会をやりたい、こういうことで使用願を出したのです。ところが、市の当局の回答は、今は貸し館業務をやっておらない、だから使わせるわけにいかぬという回答が出たのですね。貸し館業務をやっておらぬと一言いますけれども、六十二年の運営経費が千五百二十八万支出されている。貸し館業務をやっていなかったらこんなに職員は要らぬはずですが、二十人職員がおる。人件費だけで一億三千万。しかも、このうち国庫補助は七人分支出をしているのです。ほかに貸している例が幾らでもあるのですよ。隣保館を使用するからみんな集まれということで張り出されたポスターの写しを私は持ってきたのですが、これは枚挙にいとまがないのです。現に特定の団体だったら何ぼでも使わせているのですよ。  それで、これはもう初めて私はお尋ねする話と違いますのでね。前にも、これはどないしまんねん、はっきりしなはれ、こんなことだったら、あんた同和地区内で新しい差別をつくっていることになるじゃないか、差別を解消するために役立つべきはずの同和行政が新たな差別をつくるために悪用される結果になっておるじゃないか、十八年間も金をほうり込んできて一体どういうことなんだ、こう言いたくなるわけでありますが、これは何で正されないのですか。具体的に現地を調査するとかいうようなことをやられたんですか。  私は今、一つの事例だけを申し上げましたけれども、随所にこんなことが起きているのです。吹田市の場合は一月九日に、これも同和地区内の団体が使用願を出した。そうすると、ピケを張って使わせないぞというビラがまかれた。そうしたら市の方が、混乱が生ずるからと言うて使用を断ってきた。大阪府下で隣保館と称するものが大体四十数館。団体のいかんを問わず、それから同和地区内外を問わず使用を認めておるというのはもうわずかに一、二館しかない。こんなむちゃな話がありますかいな。一体具体的にどんな指導をされたのか、現地調査もされたのか、どうなんですか。
  639. 和田勝

    ○和田説明員 隣保館の運営の問題でございますが、最近の大阪府下におきます実態の詳細につきましては十分承知いたしておりませんが、先ほど先生から御指摘のありましたような批判がありますことはかねてから承知いたしております。正当な理由がないのにもかかわらず広く地域住民の利用が妨げられるとか、あるいは特定団体などの独占的な利用が行われているといったような実態があれば、それは公の施設であります隣保館の設置の目的などに照らしましてやはり残念な事態、非常に遺憾な事態かと思っております。隣保館は公の施設でありますし、地方公共団体が設置しております施設でありますから、その利用規定といいますか管理規定、あるいはまた各市町村で設置されております運営審議会といったものに基づきまして、先ほど申し上げましたことのないような、中立公正なといいますか、広く地域住民に利用される、開放される施設として運営されるように私どもとしてもこれまで指導してきております。隣保館運営要綱におきまして、あるいはまた昨年の四月には社会局長通知をもちまして重ねてその趣旨を明確に申し上げておりますし、つい先般全国の課長会議があったのでありますが、その際にも重ねてこのようなことのないように適正運営ということを強く各府県に対してお願いをしているというところでございます。
  640. 経塚幸夫

    経塚分科員 私は今大阪の例を挙げたわけですが、京都もそうなんですね。壬生の体育館で部落問題を語る夕べ、これを開こうということで実行委員会をつくって、それで同和地区の団体が使用申請をした。ところが、京都市の民生局長名でことしの二月十三日付で不許可の通知書が来た。理由が、全くこれは理由になっておらぬですね。地区住民自身による十分な活用がなされておらぬ、まだその地区の住民でさえ十分使っておらぬ、だから使わせるわけにいかぬ。もう一つは、周辺地区の住民を多数加えた集会に施設を利用することは、まだその時期には至っておらない、これが二つ目の理由なのです。地区の住民もまだ使うておらぬから地区外のあんたらには使わせるわけにはいかぬ。多数周辺地区の住民が参加するような集会は、これはまだそんな時期ではない。その時期だということで依命通知も去年の四月一日出したのでしょう。それでその前の意見具申も出たわけでしょう。それで社会局長名の通達も出たわけでしょう。まさに古い因襲的差別と同時に新しい差別を引き起こしてはならない、いわゆる同和地区と地区外との壁を取り払う、お互いに融合と連帯、交わり、これが差別解消に役立つ同和行政なんですから、これは全く逆行する態度でしょう、京都の態度は。  樂只というところの隣保館、これは同和地区内の人であっても使用ができないという状況が出てきている。  京都市議会は、同和行政見直しの決議をしてその中で明確に、これは十二月二十一日付の本会議でありますけれども、「体育館など施設の共同利用 など本市の同和行政見直しを早急に推進すべきである。」という決議までやっているのです。  今の答弁では、いや、もうちゃんとするようにということで課長会議もやりいろいろやっている、こうおっしゃいますけれども、そんなこと言うてたかて直っていまへんがな。そうしたら、また来年の分科会で同じようなことを取り上げないけまへんがな。それで、市の単費でやっている事業の場合はまだそれでも言いわけは成り立つかもわかりませんが、全部国の補助で建設されて国の補助で運営されている。これは重大な責任ですよ。意見具申にも指摘されているように、何回も言ったのにいまだに直されないことはまことに遺憾であるということで改めて地方公共団体の指導の強化が叫ばれておるわけなんでしょう。これは具体的に一体どないしまんのや。そんなもの、ここでユウばかりで風呂屋の看板みたいな答弁じゃおさまりつきまへんで。
  641. 和田勝

    ○和田説明員 隣保館は、先ほど申し上げましたようにやはり市町村が設置しておる施設であります。自治体の施設でありまして、基本的にはその設置しておられる自治体の中で適切な運営が図られるような体制を講じていただく。私どもとしても、やはりそういう方向になるように府県を通じて今いろいろ指導といいますかお願いをしておるというところであります。  今、隣保館の運営費に対する補助の話が出て御指摘をいただいたわけでありますが、隣保館の運営費の補助というのは、基本的にはそこに配置されております人の人件費、あるいはまたそこで行っております相談事業なり調査事業、一連の隣保館の本来の事業といいますか、そういったものの費用に充てていただくべき費用ということで交付をしておるという性格のものでございます。
  642. 経塚幸夫

    経塚分科員 これはいつまでもこんなことを繰り返しておったのでは、何のための同和行政なのか、国民の税金を投資して一体十八年間何をやってきておるのか、こう言いたくなるわけでありますから、これはしかと正してほしい。結局、こういう特定団体による独占的な利用というものは必ず不正を生むのですよ。  これは会計検査院にお尋ねしたいのですが、六十一年度の建設所管の補助事業について、昨年の五月二十一日から二十二日、八尾市の同和向け公営住宅、改良住宅の管理状況について調査をされたことがありますか。
  643. 阿部杉人

    ○阿部会計検査院説明員 昨年の大阪府管内建設所管国庫補助事業会計実地検査の一環としまして、検査いたしました。
  644. 経塚幸夫

    経塚分科員 検査の結果についてでありますが、ここの地区は公営住宅、改良住宅、同和向け住宅が千百戸ほどあるわけでありますが、何といわゆる不正入居、これが百二十九件、一割を超しておる、いわゆる三親等以外のものが入居しているとか、こういうような状況の中で返還請求をしている件も何件かある、こう言われておるわけでありますが、その点は間違いございませんか。
  645. 阿部杉人

    ○阿部会計検査院説明員 私どもが検査いたしました段階で、一部につきまして適切を欠くと思われる事態がございましたので、八尾市に対しまして詳細な入居状況の調査報告を求めることとしております。しかしながら、現在までのところ事態の全体を明らかにするような報告は受けるに至っておりません。
  646. 経塚幸夫

    経塚分科員 おかしいですね。会計検査院が検査に入られたのは去年の五月でしょう。そうすると、何カ月たっているのですか。もう十カ月近くになろうとしているわけでしょう。市当局からまだ何の報告もないというのは一体どういうことなのですか。会検の方ではそのまま放置されているのですか。
  647. 阿部杉人

    ○阿部会計検査院説明員 事が個人の入居状況等の調査に係る問題でございますので、日時を要する面もあるものかと思います。いずれにしましても、現在、八尾市では八尾市営住宅入居適正化委員会を組織いたしまして鋭意調査を進めているところであります。調査が終了次第速やかに報告をいただくことになっております。
  648. 経塚幸夫

    経塚分科員 調査が済み次第速やかに報告をいただくことになっていると言いますけれども、聞くところによりますと、もう三回上京した、それで毎月報告している、こういうことも言われておるわけですね。これはいつまでも放置してはならぬと思うのです。  建設省にお伺いをしたいのですが、こういう状況は御承知ですか。御承知ならどんな指導をされているのですか。
  649. 羽生洋治

    ○羽生説明員 今のことにつきましては、私どもは、八尾市の公営、改良について一部に不適切なおそれのあるものがあるということで、会計検査院から先ほど御答弁ございましたように実態調査の実施を求められた旨の報告を受けました。建設省といたしましても、的確に実態を把握するように指導いたしました。現在まだ調査が継続中だというふうに聞いております。その最終結果について私どもの方ではまだ報告を受けてはおりません。いずれにしましても、早急にその実態を究明して、その結果等を踏まえまして、建設省としましても適正な管理が行われるための適切な措置を講ずるように指導してまいりたいと思っております。
  650. 経塚幸夫

    経塚分科員 最終の結果が全部出てくるまで待っているというような状況では、それはあきまへんで。ここの入居問題についてはかねがね不正入居がある、暴力団も入っているじゃないか、入居資格のないような者がよそから入ってきてというような住民からの不信が大変起きているところなんですよ。だから最終の総合的な調査結果を待つまでもなく、不正入居だということがわかっておれば、市が退去を求めておるのも七件からあるというわけでありますから、もう次から次へと手を打っていって行政に対する住民の不信感情を取り除くべきですよ。その先頭に国が立たなきゃならぬ問題だと思うのですよ。  そこで、引き続き会検の方へお尋ねをしたいわけでありますが、先ほど隣保館の使用問題等々お尋ねをいたしましたけれども、御承知のようなことで、同和地区内の公共施設の利用問題については、地区内はもとより地区外にも広く共同利用させる、そして壁を取り除いて国民的融合でもって新しい差別解消のそういう役に立てるように、こういうことが指摘をされておるわけであります。いろいろなそういう施設仁ついて意見具申でも指摘されておるところであります。検査を実施すべきだと考えますが、その点はいかがですか。
  651. 五十嵐清人

    ○五十嵐会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、社会福祉事業の実施及び経理につきまして従来から十分意を用いて厳正に検査してきているところでございますけれども、ただいま御指摘のありました地域改善対策事業、これにつきましても事業の実施状況、それから施設の管理運営状況等について十分留意して検査してまいりたい、このように考えております。
  652. 経塚幸夫

    経塚分科員 長官お聞きだと思いますが、私は今施設の利用問題についてこれは新しい差別の要因になるじゃないかということでお尋ねしましたが、これは施設の利用問題だけじゃないのですね。いろいろな個人給付の問題も実態はそういうことなのです。  例えばこれは意見具申で税の問題が指摘をされております。私はこれは改めて自治省へもお尋ねをしたいとは思っておるわけでありますが、こういう税の問題から、いわゆる揺りかごから墓場までのいろいろな個人給付、大阪の例で申し上げますと、財団法人で大阪府同和事業促進協議会というのがあるのですね。この協会が指定する地区のいわゆる世話人というのがあります。この指定する地区の世話人の経由を得てきたものでないと、市町村へ直接いろいろな個人給付の受給の申請を出したとしましても、それは認められない。それで、地区の世話人の経由を得るためにはそれぞれの個人給付の団体があります、何々会と称するものが。その会に入会をしないと地区の世話人の推薦を受けられない。地区の世話人の推薦を受けられないと財団法人の同促協を経由することができない。できなければ、せっかくの個人給付や税の減免も、せっかく規則、要綱などで決められておりながら、同和地区内の同じ人間でありながら受けられない。これはまさに行政の主体性が失われた典型的な事例なのですね。これは、私、今持ってきておりますのは固定資産税の減免の要綱なのですが、ここにはっきり書いているのです。「財団法人大阪府同和事業促進協議会を通じて申請のあったものについて、固定資産税の減免を行う。」これを通じないで出したのは却下されておる例がたくさんあるのです。これも困ったことですね。施設の利用と同じことなのですよ。これは施設の共同利用の問題、それから個人給付の問題を含めまして特別に地方公共団体への指導を強化しなければならぬ、地方独自の施策であっても不公正なものは改めなきゃならぬ、こう指摘をされておるのですが、この点について総務庁としての見解をお伺いしたいわけです。
  653. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 総務庁といたしましては、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、昨年施行されたわけでございますが、この際に法の施行通知を出しておりまして、この中で法施行に当たっての配意事項を細かく書いております。この通知の趣旨、それからいわゆる大綱の方針に従いまして、各関係省庁と連携を図って指導の徹底に努めたいと考えております。
  654. 経塚幸夫

    経塚分科員 私、具体的に例を挙げてお尋ねしたのですよ。財団法人、いわば一団体なんでしょう、こういうようなものを経由しなければ行政の個人給付なりの恩典を受けることができない、こういうようなことが許されていいのかどうなのか。内容にはそれはいろいろ問題があります、個人給付は。一般施策への移行を図るべきだとかいろいろなことが言われております。しかし私どもは、ある一定の段階までは所得制限を導入するなりして、同和地区内の低所得者に対しては、自立に役立つようなものについては個人給付は当然行うべきであるというような見解を持っております。問題はその内容ということよりも、手続上の問題として、一財団法人の組織を経由しなければ受けられないというようなことが許されていいのかどうなのか、これは当然改めるよう指導すべきじゃないか、その点はいかがなのですか。
  655. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 今、紀審議官からお答えしたとおりでございますけれども、個人給付施策の取り扱い等に関する適正化の問題につきましても、各省庁の合意を得まして総務庁が定めました今後の地域改善対策に関する大綱、それから地対財特法の施行通知に沿って指導の徹底に努めるつもりでございます。  今先生から御指摘がございました大阪の問題につきましても、現在大阪府とも話し合いをしております。ただ、各自治体には今までの長い間の歴史的な環境というものもございますし、どうすれば迅速に個人を確定し、速やかに個人給付を行うことができるかというふうな問題もございまして、それぞれの自治体におきまして便宜的な方式をとっているというところもございますけれども、それぞれさっき申し上げましたような大綱の線に沿いまして逐次指導の徹底に努めてまいるつもりでございます。
  656. 経塚幸夫

    経塚分科員 時間が参りましたので最後に長官に一言お尋ねいたしますが、幾つかの例を申し上げましたけれども、これは意見具申の趣旨から見ても、それから新法の精神から見ても、それから四月一日付の依命通知、これから見ましても全く反すると思うのですね。何よりも重大なことは、差別の解消に役立たないどころか逆行する。私どもは、いわれなき差別を憎むがゆえに、人が人を差別するようなことがあってはならないと願うなればこそ、国が率先して姿勢を堅持して、地方公共団体に対しても強く公正化のために指導すべきだ、こう考えますが、最後に見解をお伺いいたしたい。
  657. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 ただいまも御答弁申し上げておりますように、地域改善対策の大綱等におきましても、行政機関と民間運動団体との適切な関係の確立等を積極的に推進するということが指摘をされておるところでありますし、また、税にかかわる問題点の是正及び公営住宅等の家賃の適正化を図ることなども指摘をされているところであります。これにつきましては、政府においてこの趣旨に沿って実施することといたしておりますので、関係各省庁と緊密な連絡をとりながら推進してまいりたいと存じます。
  658. 経塚幸夫

    経塚分科員 終わります。
  659. 田中直紀

    田中(直)主査代理 これにて経塚幸夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総務庁についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  660. 田中直紀

    田中(直)主査代理 次に、科学技術庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  661. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 きょうは幌延の貯蔵工学センター、この問題でいろいろ御意見をお伺いしたい、こういうぐあいに思うわけであります。  幌延における高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設、いわゆる貯蔵工学センターですね、これの問題は、経過についてはよく大臣もお聞きになっておられるというふうに思いますので省略をいたしますが、五年ぐらい前からこのために北海道は大揺れに揺れているところであります。科学技術委員会等でも私ども再三御意向をお聞きした経過があるわけでありますが、歴代の科学技術庁長官はこの計画を進めるに当たってはどうであるとか、あるいは周辺市町村を含めていわゆる地元の理解あるいは協力を得て進めていくのだ、知事などの地元の意思を無視してやるなんてことは考えてない、今日まで再三このことを歴代の長官にもあるいは動燃事業団の理事長等にも確認をしてきたところであります。それで、スポット的ではありますが、一、二ちょっとその答弁を御紹介申し上げておきたいと思います。     〔田中(直)主査代理退席、主査着席〕  問題の一番最初のころは中川一郎長官のころで、「いずれにしても地元の完全な納得の上に成り立つものであって、地元の反対を押し切って、国益だけを考えてやるような気持ちはもちろんありません。」こういうぐあいに答えておるわけであります。  あるいは安田長官のころ、「われわれは地元の了解なしにこれを推進していくということはございません。御了解の上でということは、本当に先生仰せのとおりでございます。」質問者の言うとおりである、こういうお答えてあります。  あるいは竹内長官のころ、「あえて貯蔵工学センターの立地に限らず他の原子力施設の場合も同様だと思いますけれども、私は何よりも地元の理解と協力を得て進むことを基本に考えております。」こう申しているのであります。  あるいは岩動国務大臣のとき、このときは、「近隣の市町村と申しましても、なかなか限定がしにくいとは思います。隣の町村のつい目の先でやるから隣はいいんだ、こういうことにはならないだろうと思います。そしてまた、例えばこういうような相当の規模のセンターをつくるということになりますと、港の問題でありますとか、道路の問題でありますとか輸送の問題でありますとか、いろいろ関係する問題が出てまいりますので、当然これらに関係する市町村というものは十分に御理解をいただいていかなければいけない、かように考えております。」知事につきましても、「もちろんその自治体の全体を見ていく立場にございまするから、当然それらの御意見伺い、また御理解もちょうだいしていかなければいけないと考えるわけであります。」  あるいは中村原子力局長なんかもかつてこういうぐあいに言っていますね。「周辺の市町村の皆様方の御理解については、これはもう当然のことでございまして、そういう皆様方の御理解を得ながら進めていかなければならないものと心得ております。それから、当然のことながらこれは北海道の行政全般にかかわる問題でございますので、単に幌延町だけがいいと言っても、道自身いろいろな権限もお持ちでございますし、当然、幌延町がいいからといってそこで強行するようなことはできませんので、十分地域の方々のコンセンサスを得ながら進めていかなければならない問題であると考えております。」というように、どこか一、二字違うところがあるかもしれませんが、私の記録ではそういうぐあいになっております。  若干御紹介いたしましたが、歴代そういうお考えの中でお進めいただいておる。地元もそれぞれの自治体のレベルで真剣な議論もまたなされているのは御承知のとおりであります。この前、長官室で伊藤新長官の御意向も承りましたからこういう考えと変わってはいないというふうに思っておりますが、改めて知事など地元の理解と協力というものを前提として考えておるという点についての大臣の御意向を承りたいと思います。
  662. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 まず、先生がこの問題で終始御熱心にフォローされておることにつきまして、心から敬意を表し上げたいと思います。  ただいま歴代の科学技術庁長官のその時点その時点での答弁を御披露いただきましたけれども、私もそれらを就任以来勉強させていただいておりますし、また、先生とお目にかかったときも申し上げたわけでございますけれども、歴代科学技術庁長官答弁をしてきたとおり、貯蔵工学センターの立地に当たりましては、他の原子力施設の場合と同様、地元の理解と協力を得て進めることが基本と認識しているということについては、歴代科学技術庁長官といささかも変わっておりません。
  663. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 そこで、この問題の最近の道内の動向というようなものを若干御紹介しておきたいと思うのでありますが、例えば全道の漁業協同組合長会議で反対決議が行われた。あるいは、もう少し前でありますが、北海道農民連盟、これは道内のほとんどの農家が網羅された組織でありますが、ここでも反対決議がなされている。周辺の市町村自治体におきましても、大半が反対もしくは極めて慎重な態度、最近でいいますと、新たに、近いところなんでありますが、割合大きな町で羽幌町というところがありますが、ここでも町議会で反対の議決をしているのであります。知事はもとより再三明快にこれに対する反対の意思を表明している。知事の考えは、殊に北海道の幌延周辺、あの辺を天北地域というのでありますが、ここは食糧基地として豊かな未来の開発を考えているわけで、したがいまして、そういうことと幌延の貯蔵工学センター計画は全く相入れない。あるいは、あそこは御承知のように国立公園と接近しているところでありまして、クリーンな開発とは全くイメージの逆行するような本計画の受け入れは何としても承知できない、こういう立場であります。  六十年十二月の北海道新聞の道民世論調査でございますが、ここで高レベル施設に抵抗している知事の姿勢について道民の世論を問うたわけであります。非常によい、まあよい、これが合わせて六七・八%、つまり高レベル施設に抵抗する知事の姿勢がいいというのが六七・八%。どうもそういう知事の姿勢は余りよくない、全然よくないというのは合わせて二二・一%。これによりましても明らかなわけでありますが、横路知事が昨年四月の北海道知事選挙で、高レベルの問題、これに反対することを公約の第一に掲げて戦って圧勝したのも御承知のとおりであります。あわせて行われた道議会議員選挙におきましても、推進候補はかなり各地で敗れ去って、道議会の構成も非常に大きく変わってまいりました。この道議会で道の新長期計画がこの前策定を見たのでありますが、ここでも議論はありましたが、幌延計画は一切入れないということについて中道各派も含めて議会の了承を得て仕上がっているところであります。  こういうようなことをずっと見てみますと、北海道における幌延計画を否定する道民全体の世論というのは明白であろうというぐあいに思うのであります。繰り返すようでありますが、こういう知事の反対等の中で本計画を強行するというようなことは万一にもあってはならぬわけですが、一言長官の御意向を承っておきたいと思います。
  664. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先般、先生を代表とする社会党の陳情団の方々とお会いしたときにも申し上げたわけでございますけれども、また今もお触れがございましたけれども、先般の統一地方選挙で大量得票を得られた横路知事の政治的立場というものは、ぜひ尊重しなければならないと考えております。したがいまして、知事の御理解を得られるように今後最大限の努力をしなければならないということを申し上げたのでございまして、今後も知事の御意見も十分にお伺いしながら本計画を着実に進めてまいりたい、このように考えております。
  665. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 くれぐれもひとつ地元の意思を尊重して慎重に対応してほしい、こういうぐあいに思うのであります。  引き続いて、動燃事業団であります。  実際の仕事は動燃側で進めているわけでありますが、動燃事業団の理事長等にもかつて何回か御意見を聞いたことがございまして、きょうはその方の担当をし実際にこれを取り仕切っておられる植松理事さんのことでありますから、全く理事長と同じ重さで我々はお聞きすることができると思うのであります。今大臣からそれぞれお話があったわけでありますが、動燃といたしましても、申すまでもなく知事などの地元の理解と協力を前提としてこの仕事は進めるものだというふうに思いますが、いかがですか。
  666. 植松邦彦

    植松参考人 今、五十嵐先生から御指摘もありましたとおりでございまして、先ほど長官からもお答えをしたとおりだというふうに思っております。また、従前から前理事長、現理事長からも何度かにわたって御答弁申し上げてきておりますが、その内容を見ましても全く同じでございまして、貯蔵工学センターの立地に当たりましては、他の原子力施設の場合と同様に、地元の理解と協力を得て進めることが基本だというふうに動燃は考えております。そのためにも、知事さん及び隣接の町村等の御理解が得られるように努力を続けていきたいと考えております。
  667. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 ぜひそういう考えで事を進めていただきたいと思うのでありますが、ただ、隣接町村の理解を得ようという熱心の余り、我々が見てときどき踏み外すような感じがすることもないわけではない。  この間、天塩町の町議会でヨーロッパの視察をしたようですね。この際、慎重にいろいろなところを視察しようということであったろうと思うのでありますが、議員の一部の皆さんが議会の経費も得て視察に行って帰ってこられた。これなんかについては動燃は手をかしたりいろいろしているものですか、どうなんですか。
  668. 植松邦彦

    植松参考人 先般、天塩町の方々がヨーロッパの施設をごらんいただいたことは事実でございます。こういう原子力の施設でございますと、御見学をいただくためにはいろいろの手続が必要でございますので、そういう手続問題についていろいろと御協力をさせていただきましたし、また非常に専門的な中身でございますので、単に普通の通訳だけではなかなか本当のことを間違いなく伝えるということが難しゅうございますので、そういった点について専門家の支援をさせたということもございます。
  669. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 しかし、これにつきましてもいろいろ我々の耳に入るところが多うございまして、今はこの問題をこれ以上どうこう申し上げようとは思いませんが、どうか全体に現地の事務所でも慎重に対応していただくようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、実はかねがねお聞きしたいと思っていたところなんでありますが、去年、千代田区の東商ホールで科学技術庁主催のウェイスト・フォーラム87というのが行われた。廃棄物に関する各界の権威者がそれぞれ勉強なさっているところをお話しになられたようなんであります。ここできょうお見えの植松さんが御発言なさっている。お聞きしようとする点は、つまり、現在の幌延におけるいわゆる粘土質のところ以外に結晶質岩のところで同じような深地層試験場をつくらなければいかぬ、こういうことをおっしゃっていることなんであります。  ちょっと読みますと、「地下研究所をつくるというのはなかなか容易ではありません。日本としては堆積岩の中に一つ、それは一つは幌延の例ですが、それともう一種類結晶質岩の中につくってはどうかという考え方があります。それ以上にたくさんあちこちに深地層試験場というのをつくるのは容易なことではありませんので、深地層試験場の数は限られても、いろんな地層、いろんな岩石を模擬したような試験をできる場所も必要だというふうに思っております。」こういうぐあいに堆積岩とそれからもう一種類結晶質岩の地下研究所が必要だ、こうおっしゃっておるわけですね。  実はそのほかの東大の木村名誉教授もこのときに同様の趣旨のことを言っておられる。これは木村先生の場合にもっと率直なお話がございますね。これはおっしゃったとおり言いますからあれですが、「幌延であれなのは、泥質岩であります。非常にやわらかい岩石で、やわらかいと言ったら語弊がありますが、そんなにやわらかくはないのですが、とにかく断層でズレても癒着しているような、そういう岩石でありまして、それは強度が結晶質岩と比べてうんと小さいですね。ですから、坑道があったのがだんだん縮んできたり変形したりする。ですから、そういうものに本当に耐えられるようなものなのか、それとも、そういうものに耐えられるような設計ができるのかどうなのか。先ほども千年間管理をしてとか何とかというのですが、そういう泥質岩みたいなのだと、千年間そのまま置いておくということはほとんど不可能に近い。とにかくそういうことが問題であります。こういうことをおっしゃられて、そしてさらに、「結晶質岩と堆積岩というのは一長一短がありますから、どうしても二つの種類の試験場がないと、いろいろな特質がありますから、その判定ができないだろう、そういうふうに考えております。」こうも木村先生は述べておられるわけであります。  去年の八月ですか、原子力安全委員会がまとめた高レベル放射性廃棄物等安全研究年次計画でも、結晶質岩、堆積岩の両方における深地層試験実施の方向が示されていたというふうに思うのでありますが、このフォーラムにおけるお二人の先生の発言もそういう方向のものであろう、私はこういうぐあいに思うのであります。そういう考えでおられるのだろうというふうに思いますが、この際、御発言いただきました植松さんの御意見をいただきたいと思います。
  670. 植松邦彦

    植松参考人 先ほど五十嵐先生からお読み上げいただいた議事録は、今私の手元に持っております。これはウェイスト・フォーラムという非常に一般的な会議での模様でございますので、ここに述べられてあることは比較的一般論としてお取り上げいただきたいというふうにまず考えております。  先ほど先生御指摘のように、六十年八月の安全研究年次計画では、我が国では堆積岩系と結晶岩系のこの岩種について深地層での試験研究を実施することが重要であるというふうに述べられております。したがいまして、地層処分システムの基本的な明確化を図る上では、この両岩種について調査研究をすることが必要ではないかと私は考えておりましたので、そのように申し上げたわけでございます。しかしながら、それがすべて同じようなタイプ、同じような規模の試験の場が必要であるかどうかについては、これからいろいろと議論をしていかないといけない問題ではないかと考えております。  一つは、堆積岩につきましては、先生よく御存じのように、幌延におきましてそういう試験の場をつくろうと考えております。花崗岩のような結晶岩系の岩石につきましては、諸外国で非常にいろいろと研究が進んでおります。そこが堆積岩と少し違うところだと理解をしております。したがいまして、諸外国と我が国との花崗岩、岩石における違いというものを中心にまずは研究を進めるというのが必要なのではないかと考えております。  現在、動燃といたしましても、スウェーデンのストリパそれからカナダの研究所などと国際共同研究を進めておりまして、そういうところから花崗岩系の岩石についてのデータはいろいろと得られるようになっておりますので、どういう規模でどの程度のことをやるかについてはこれから検討する必要があるというふうに私は考えております。
  671. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 もう時間がありませんから余り深く入れませんけれども、「エネルギーフォーラム」の一九八六年四月号であります。ここで話をなさっておられて、それは悪いことを言っているんじゃないからあれですが、例えばやはり今の問題に関連して、「一方の軟らかい堆積岩系統について、深地層試験場を幌延でやろうということを考えております。花崗岩も、外国の岩と日本の岩では違いますから、できれば日本でも花崗岩タイプの研究施設を考える必要があるのではないか、」こう言っているのですね。これはここにありますから、後で……。  ですから、外国であればいいということではなくて、こんなことはもう専門家に私どもごときが言う必要もないことでありますが、やはりそうお思いになっておられるのだろうと思うのであります。そうだとすれば、その新たな結晶質岩の試験場の選定の作業に入っているのだろうと思われるし、それを示唆するような多少の文献もあるわけでありますが、一体いつごろまでに結晶質岩側の試験場について決めようと思っておられるのか、それをお伺いしたいと思います。  それからもう一つ、もう時間でありますからついでに聞いておきますが、動燃の渡辺昌介環境資源部長さん、渡辺さんも非常な権威者です、これがやはりそのフォーラムで、我が国の高レベル廃棄物の最終処分場は花崗岩か泥岩から成る岩体層のある地域に設ける方向で研究を進めるとの考えを明らかにした。さらに、花崗岩、泥岩とも昭和六十六年度末までに処分場の概念設計をつくりたい、こういう考えも示しているようでありますが、これについての御説明もあわせていただきたいと思います。
  672. 松井隆

    ○松井政府委員 まず最初の先生の、いつごろまでに花崗岩等の結晶岩質でのそういった処分の研究のための施設をつくるべきかという御議論でございますけれども、先ほどの植松理事からも御答弁がありましたとおり、私ども、先生も御案内のとおり、昨年の八月に原子力安全委員会の専門部会で高レベル放射性廃棄物処分のための安全研究と申します年次計画がつくられております。そこでおっしゃっている点、すなわち、花崗岩等の結晶質岩系と泥質岩等の堆積岩関係と申しますか、その水理機構が基本的に異なるのであるから、したがってその両方の岩質系について深地層での試験研究を実施し、それぞれの地質環境特性等についての評価のバロメーターを得ることが重要である、こういうことを申しております。したがいまして、私どもといたしましてもそういった両方の岩石系と申しますかについて試験研究を行いまして、それぞれのデータを得るということが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。  それで、その片方の堆積岩系につきましては、私どもできれば幌延に、非常にいい岩質のようでございますものですから、そこにお願いして深地層試験をそこでやりたいというふうに考えておるわけでございます。もう一つの結晶岩質系の方でございますけれども、それにつきましては、今動燃の植松理事からも御説明ありましたとおり、今動燃は海外との協力を進めておりまして、例えばスウェーデンのストリパ計画に参加してそこでのいろいろデータを得ておる、あるいはカナダのホワイトシェル研究所に参加していろいろと研究データを得ている、そういうものもございます。しかし、それだけで十分とは思いませんけれども、一般論といたしまして、そういった結晶質岩系についても条件が整えば深地層での試験研究を行うための試験場と申しますか、幌延の試験場で一緒にすると少し話がややこしくなりますけれども、そういった何らかの試験研究を行う試験場、そういうものができれば望ましいということを考えているのは事実でございます。ただ、その時期につきましては、今そういった動燃のデータ等もございますから、そういうものも含めてどういう時期にどういうふうにしたらよろしいか、そういうものもこれから検討していく事項であろうというふうに考えておるわけでございます。  それから、もう一点の件につきましては、私ちょっと詳細については承知しておりませんけれども、いずれにしろこの処分場につきましてもまだ少し先の話とは思っておりますけれども、やはりこの問題についてなるべく早目に準備をしておくということが望ましいわけでございます。ただ、先生御案内のとおり、それをするためにはまだこれから今申しましたようないろいろな岩質における研究も必要でございますし、それからさらに今動燃が全国各地を調査しているわけでございまして、そういうものの結果を踏まえてからやるわけでございますから、まだ今の時点でいつということは申し上げる段階ではないというふうに思っております。
  673. 植松邦彦

    植松参考人 結晶岩質系の研究の中身につきましては、局長から今御答弁申し上げたとおりでございますので繰り返したくないと思います。  ただ、御指摘の当方の渡辺部長が六十六年度末を目指して概念設計をやりたいということを申したことにつきましては、こういう時期を動燃の内部で一応のめどにしましていろいろなデーターを集め、そして概念的に設計を進めてみようという希望を申し述べたのだというふうに思っております。これでなければならないということではございませんで、これを一つのめどとして考える方が研究開発の進め方により希望が持てますので、そういう考えに基づいて六十六年という数字を申し上げたのだというふうに思っております。
  674. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 以上で質問を終えたいと思いますが、お聞きしますと、どうもちょっと焦りがあるようで、事柄が事柄でありますから動燃さんもどうか慎重にお考えいただきたい。ちょっと時間がないから後は申し上げるあれがありませんので改めてやりますが、六十六年までにどうこうなんということは、だれが考えたってそんなことはできるわけのものでないのでありまして、そんなむちゃなことを、これは従前の科学技術庁における、あるいは原子力委員会等の計画から見ても、僕はなかなかできる仕掛けのものじゃないと思うわけであります。どうか慎重に御配慮いただきたい。どうもありがとうございました。
  675. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて五十嵐広三君の質疑は終了いたしました。  次に竹内猛君。
  676. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、筑波研究学園都市の問題について若干の質問をいたします。  まず最初に、三十八年に計画を立てられて、ことしはちょうど建設が始まってから学園都市が二十五年目を迎えております。そして昨年、六つの町村に分かれていたこの学園の一つの町を残して、五つの町村が合併をして茨城県で第三の市になりました。この間には科学博覧会があり、これも国際的にかなりアピールをしたわけであります。  そこで、ここには我が国の学者、研究者、こういう者が、これはかなり古い統計を見ただけでも全国の三〇%の研究機関と、研究者の数で言えば四〇%、研究費にして四七%の研究費を使っており、ここには二千五百名の博士がおる。こういうように大変世界的にもまれに見る学者と研究所の密集したところであるだけに、今度行政が一元化をしていき、そして新たな出発をするという形について、科学技術庁長官としてこれからの課題はどういうものが課題となり、それをどのように克服して何をここに期待するか、こういう点についてお伺いをしたいと思います。
  677. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先生お話しのとおりでございまして、それを繰り返すわけでございますけれども、筑波研究学園都市は我が国で初めての大規模な研究学園都市でもございます。また、お話しのとおり産学官の多くの研究機関が集中立地をしております。いわば研究者の町でございます。そしてまた科学万博等成功した開催地でもございます。  しからば、こういう立派な研究都市、日本だけではなしに世界の研究センターの一つとなっておるわけでございまして、このような集中立地の効果を最大限に発揮させるためには、これら機関の間の連携を強化していくことが重要と考えております。このため科学技術庁では、御存じのとおり研究交流センターを設置をして、いろいろの連携促進のための活動を行っているところでございます。また、これも先生地元で篤と御存じのことでございますけれども、近年は諸外国から国際的な研究交流に対しての要請が高まっておりまして、この面で筑波研究学園都市の研究機関の果たすべき役割は極めて大きいわけでございます。こういった点も踏まえまして、今後筑波研究学園都市が一層集積効果を生かしながら国際的な研究学園都市として発展することを期待をしており、科学技術庁としてもこのためのできるだけの御支援を申し上げてまいりたい、このように考えております。
  678. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そこで、今度は自治省に伺いたいわけですが、もとより一つの研究施設となるところに行政が、現在は統一したから一市一町という形になりましたが、まだ一つ合併しない町がありますから、その間には学区の問題や市町村民税や職員給与等々の問題もありますが、何よりも大事なことは行政の一元化、財政の一本化、そして効率化ということが必要であり、住民の意思を尊重して手順を十分に踏んで、合併ができるだけスムーズにいくようにということで期待をしてまいりました。国会でも私はしばしば質問をしてきたわけですが、特にいわき市の調査をしたときに、いわき市が合併をするときには三年間の日程を使って懇談をし、住民の意思をまとめて合併をした。ところが、つくばの場合にはわずか六カ月でこれを仕上げようということでありますから、非常に無理な合併の方式をとってきたわけです。だからいろいろな思惑や問題が発生をしております。  今日、日本の歴史にあるかどうかわかりませんが、副市長というものがある。あるいは参事というものがあって、そしてこれに対しては相当な手当が出されている。もとの町村長あるいは助役、教育長、こういうものに対して参与というような資格を与えている。こういうことが合併の前提条件として使われているし、筑波町のようなところではついに市長選挙に投票権を失ってしまっている。いろいろな面で合併については大変無理があったと思っておりますが、自治省はそういう指導を是として認めているのか、それともこれは今後どういうふうに指導されるつもりか、この点について伺いたい。
  679. 谷口恒夫

    ○谷口説明員 先生御指摘のように、つくばにつきましては茎崎町の合併の問題がございます。御承知のとおり筑波研究学園都市の区域が存在しているわけでございまして、つくば市と筑波町の合併協定書にも、合併の最終目標は筑波研究学園都市関係六町村の一体化であるということをうたってございます。したがいまして、残る茎崎町の合併の問題は、今後地元において十分検討がなされていくというふうに考えております。自治省といたしましては、合併はあくまで関係地方公共団体が、地域住民の便益でありますとか計画的な環境整備でありますとか先生おっしゃいました行財政の効率化というような観点から、住民の意向を十分踏まえながら、それぞれ自主的な判断により行われるべきものというふうに考えておりまして、今後の茎崎町との合併の問題は、地元の検討を見守ってまいりたいというふうに考えております。  また御指摘の副市長等の問題でございます。私どもお聞きしておりますのは、つくば市の副市長は助役が選任されるまでの間の臨時特例的な職であるというふうに聞いておりますし、本来市長の行使すべき権限を合併前の旧町の区域について広範に有するようなこの副市長という制度、これは合併後の新市の一体的発展の見地から見ますと、必ずしも適当な制度ではないというふうに我々考えております。新聞報道によりますと、近くつくば市の定例会が開かれまして助役定数条例案あるいは選任同意案件、そういうものが出される準備が進められているように聞いておりますが、こういう機会にこの副市長制が十分見直されるということがあってしかるべきと私どもは考えるところでございます。
  680. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この際自治省に要請をしておきますが、ともかくこのつくばの合併に際して、新しいつくば市を誕生する上において何が問題になっているのかということが一つも議論をされないで、人事の問題その他、つまり政策以前の問題だけが問題になっていて、ここに移転をされた学者や多くの方々から大変ひんしゅくを買ったという事実だけはあります。そういう中で、地位を与え、いろいろなものを与えながらともかく合併にこぎつけた。今後こういうことに対しては逐一ひとつ指導を、これは上から指導するということは必ずしもいいとは言いませんが、行政的に目を光らせるというか注目をしていただいて、ともかく今までのいろいろなしこり等々については、できるだけ取り除いていくようにしてもらいたいということを要請をいたします。  続いて国土庁伺います。  国土庁は今日まで研究学園を進めてくる中心の仕事をしてきたことは御承知のとおりですが、ここで新たな市が誕生したわけでありますから、これに基づいてこれからが実は大事だと思います。二十二万の都市を目標にして移転機関は移ったけれども、なお依然として未合併の茎崎を加えても十五万を超したくらいの人口であります。なぜ二十二万にならないのかということが実は問題なんです。これは交通の問題もありましょうし教育の内容の問題もあるだろうし、いろいろなことがあると思いますけれども、そういうことを考えながらなお問題になっているのは、今まであの地元の大体の考え方は、移転機関を受け入れるという受け皿的考え方、あるいは中央から物をもらってきて仕事をするという他力本願の考え方、こういう面が多かったと思います。そういう点でこれからはやはり一本立ちでいく。そして世界に誇る筑波研究学園というものを、住民の意思とそれぞれの機関を大事にしながら、これを盛り上げていくということが大事だと思うのです。既に一兆数千億の金を使って立派な建物ができておりますが、その中で問題なのは、何といっても茨城県で人口においては第三番目、面積においては第二番目であります。周辺地区を加えたその面積は二万五千七百六十一ヘクタール、その中で学園の区域は二千五百四十八、これは全面積の九・八九%であり、約一〇%が学園の地区でありますが、その学園地区については国が中心になってあらゆる施設をつくってまいりました。しかしながら、今度はつくば市になったわけでありますが、残り九〇%のその周辺地区というものは、道路、下水、公園、集会所、あらゆるものが大変格差があります。一体学園の区域内のそれと区域外の格差というものをどこでだれがどういう責任で埋めていくのか、直していくのか、この点についてはどのようにお考えになりますか。
  681. 野村信之

    ○野村説明員 筑波研究学園都市は、先生から今お話ございましたように、約一割の研究学園地区と周辺開発地区とで構成されておりますが、この両方が一体となりまして、均衡のとれた都市として整備されていくことが肝要であるというふうに考えております。筑波研究学園都市建設法によりますと、茨城県知事が内閣総理大臣の承認を得まして、その九割に相当します周辺開発地区の整備計画を定めるということになっておりまして、既にこの計画が定められております。周辺開発地区におきます充実といいますか整備といいますか、そういった点につきましては民間の研究機関等を導入するための新市街地の開発でございますとか、あるいは各種の基盤の整備でありますとか、あるいは生活環境施設の整備といったことがさらに検討されるべきかというふうに思うところでございますが、今般のつくば市の合併、誕生に伴います新市の建設計画におきましても、それらの点が積極的に盛り込まれているというふうに承知しております。茨城県もこれらを踏まえまして、周辺開発地区整備計画の変更をするということになろうかと思われますので、国土庁といたしましても茨城県の計画づくりを適切に指導してまいりたいというふうに存じております。
  682. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それではその九〇%の周辺地区は、茨城県が責任を持ってやるという形に理解をしていいかどうか。
  683. 野村信之

    ○野村説明員 筑波研究学園都市建設法におきます計画としては、茨城県知事が策定するということになってございますが、その計画に基づきました各種施設の整備等につきましては、必ずしも全面的に茨城県が行うというふうには考えておりません。当該つくば市あるいは茎崎町といったところが主体的に行うべきものはもちろんございますし、また施設によりましては茨城県、場合によっては国がお手伝いをするというものがあろうかと思います。それはそれぞれの施設の地域としての必要性あるいは公益としての必要性にかかってくるのではないかというふうに考えております。
  684. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 四十五年の五月に筑波研究学園都市建設法という法律ができて、その中で既に区域外の問題については今のようなことがうたい込まれているにもかかわらず、依然としてこれが進んでおらないというところに実は問題がある。こういう問題があるから、やがては当然そこには在来の住民と新しく移ってきた研究者、学者との間においてはいろいろな意味で問題が生じないとは限らない。こういうことを考えると、これは国がプロジェクトをつくって進めてきたんだから、やはり国の責任というものは免れない。大きなプロジェクトとして進めてきたから、やはりこの点については何としても努力をしてもらわなければ困る、こういうことを要請します。  それから次には、四十六の機関が移ってきて、もう一つは現在建設中でありまして四十七になりますが、ここには高校を卒業した若い職員がおります。これが東京におるならば夜間の大学や専門学校に行ってそれぞれの勉強ができるわけですけれども、筑波の学園においてはそれは不可能です。だから何とかして夜間大学や専門学校を誘致してほしいという希望が非常に強い。最近、筑波の専門学校やあるいは女子短大、こういうものができるようにはなったけれども、しかしそれは夜間ではない。昼でありますから、夜間のそれをつくってほしいということについては、これは本来文部省の仕事だと思いますけれども、これも今日推進室の責任でもあるし、もしそうでないとすれば科学技術庁長官、文部大臣にこのことだけは閣議の中でもぜひ話をしてもらいたい。いずれにしても、そのことについては緊急を要するような気がします。
  685. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 これからの青少年の教育等について貴重な御意見を承りましたので、文部大臣その他と十分協議さしていただきます。
  686. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 続いて、六十年までは六カ町村に対して五億円の交付金が出されていた。その後はかなり減りまして、本年は二億一千七百万円という形になっております。これは合併をして、一つの町が残っていますが、それにしてもこういう金については毎年毎年の要請に基づくそれではなしに、もう少しわかりやすい形で出せないかどうかという点については、国土庁どうですか。
  687. 野村信之

    ○野村説明員 現在地元に交付しております筑波研究学園都市対策交付金につきましては、この国家的プロジェクトとして建設してまいりました本都市の科学技術の振興、高等教育の充実といった目的あるいは東京からの模範的な過密対策としての都市づくりといった観点から、それにふさわしい都市環境の整備をいたしてまいったつもりでございます。中でも都市施設の根幹をなします公園につきましては、先行的に高水準で整備されたという経緯もございまして、維持管理面で通常の負担を大きく超えます財政負担が関係町村に生じていたものでございますので、こういった措置をしてまいってきているところでございます。先生、わかりやすいというふうにおっしゃいましたが、次年度六十三年度の政府予算案におきましても、この観点から、本年度六十二年度と同じ額を計上して御審議をお願いしているところでございます。予算の性質上、毎年毎年の検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  688. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 大変難しいことではあるが、ひとつわかりやすく、毎年毎年でなしに一定の期間を区切ってちゃんと出してもらいたい、こういうふうに要求をしたいと思います。  さて問題は、日本住宅公団が現在まで土地の整備をして、そしてそこに研究所が移ってきております。そのために住宅公団は、その市に対して、町に対して固定資産税を払っているわけですが、もうかなりたっていますから、これは払い下げをして大学なり研究所にすれば固定資産税にはならない。そうなると財政収入はかなり減るわけですが、そのときにその減った分だけを、仮に民間の企業であればどれくらいの固定資産税になるのかということを逆算をして、それを交付するという形はできないかどうか、この点について国土庁はどうですか。
  689. 野村信之

    ○野村説明員 行政施設でございます国有財産につきましては、筑波研究学園都市の国立の施設に限りませず共通の点でございますが、そのような交付の措置がとられないということになっております。  今の先生の御質問、ちょっと先走ってお答えすることになるのかもしれませんが、私どもとしましては、国立研究所等の用地につきましては早期に国が公団から買い上げて国有地化を図るように努力してきておりますが、六十一年度までに国有地化すべき土地のおよそ三〇%を国有地化したところでございまして、まだ七〇%が住宅・都市整備公団の保有という状態になっておるところでございます。そして将来におきまして非課税の国有地が多く存在することとなるということを踏まえまして、昭和五十一年度以降、筑波研究学園都市町村財政負担特別措置という措置を講じまして、特別交付金の交付あるいは立てかえ支弁の措置を講じてきて、その間の地元公共団体の財政の成長といったものを見守ってきたところでございます。具体的なその計算をして交付ということでございますが、なかなかそういうふうにもまいりませんものですから、本都市の都市活動の活発化といったような都市の熟成のためもございますが、ただいまの財政の健全化という観点も踏まえまして、本都市における民間企業等の立地の促進ということを図っていくことが必要ではないかというふうに考えております。このため本年、民間研究所立地の促進のための税制上の措置について、地方税法の改正案をお願いして努力しているところでございますので、よろしくお願いいたします。
  690. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この問題を長くやっていると時間がもうありませんから、最後の質問になると思いますが、建設省に質問をします。  移転機関の多くの部分について最近は大変傷んでまいりまして、雨が漏ったりいろいろなことがあります。そういう点で、まず機関の建物が傷んでいるということと、それから内部の機械が古くなり故障しているという問題、この二つがあります。建物の方だけでも一応二千億くらいの額に上るのではないかと言われている。それは計算のしようによると思いますけれども、この問題について建設省はどのような営繕措置を講ぜられるかあるいは講じつつあるのか、その点をお伺いします。
  691. 清水令一郎

    ○清水説明員 筑波の研究施設は世界的にも最高水準の研究施設でございまして、その研究機能を維持するために建物の維持管理、それから修繕、それから先生の御指摘の設備の更新等は非常に重要なことと十分理解しております。それで私どもの方、一どきにたくさんの量の研究所がつくられまして、しかも高水準であるということから、それをできるだけ計画的に、しかも効率的に維持管理をしていきたいということでいろいろ工夫しているところでございますが、完成しましてから十年を経過いたしまして、やや傷んできたものがございます。建設省としては、今年度補正予算をもちまして当面修繕すべきものにつきましての予算をいただきました。これの予算を使いまして現在鋭意修繕をしているところでございます。今後も大量の経費を要することでございますので、関係の各省とも十分連携をしまして協議いたしまして、計画的にかつ効率的に維持管理し、施設が更新できるように努めてまいりたいと思っております。
  692. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 今のお答えは建物の問題であって、中身については各省庁がやるというふうに理解してよろしいか。
  693. 清水令一郎

    ○清水説明員 建物と建物についております電気であるとか空気調和機というようなものが建物設備でございまして、その建物設備につきましては建設省の方で担当しております。研究器材、機器というものが非常に大型化してございますが、そういうものについてはその所管をしております各省で担当しております。
  694. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 時間が来たからこれで終わりますけれども、後で科学技術庁長官の方にお伺いしたかったものは、研究体制と研究費の問題でしたけれども、これはまた別な機会にお伺いします。  これで終わります。
  695. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  696. 水田稔

    水田分科員 今、科学技術庁や動燃事業団で放射性廃棄物の処分についての調査研究が行われております。文献調査とかあるいは基礎的な研究であるとか概念研究が昭和五十九年には既に終わりまして、今第二段階の研究調査が行われておるということでございますが、これはどの程度現在進んで、第二段階の最終では処分地を選定する、そういう計画になっておるようでありますが、それはいつごろになるのか、また今のところはその処分について実施主体が何になるのかということについては明らかでないわけでありますが、どういう構成でこの実施主体を考えておるのか、まずお伺いしたいと思います。
  697. 松井隆

    ○松井政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますけれども、高レベル放射性廃棄物の処分に関する案件であろうというふうに理解いたしまして、その線でお答えいたしたいと思います。  御案内のとおり、高レベル放射性廃棄物の処分をどういうふうにするかということについては、大きな方針は決まってございます。具体的に申し上げますと、まず高レベル放射性廃棄物、これは廃液になってございますけれども、これをガラスの中に固めるということをして、安定な形態にするということがまず一つでございます。それからその次に、そのものを大体三十年から五十年間ぐらい冷却する。これは放射能が少しレベルが高いものでございますから、熱が出ます。その熱を冷ますために大体百度くらいまでに持っていこうと思っておりますけれども、それで三十年から五十年間ぐらい冷却する。その間貯蔵するわけでございます。それで、その後地下数百メートルの深い地層にそういうものを処分する。これは地層処分と我々言っておりますけれども、そういった大きな考え方で進んでおるわけでございます。  それにつきましていろいろな研究調査を行っているわけでございますけれども、まず先生御指摘の第一段階につきましては既に終了いたしました。このステップはどういうことかと申し上げますと、地層処分をする場合に一体日本ではどういった地層で処分できるのだろうかという研究でございまして、それにつきましては未固結岩等の特殊な岩体を除きましては、地質条件さえよければ先ほどありました例えば花崗岩系でもよろしいですし、堆積岩系でも結構であろう、これが第一段階の結論でございます。  それで、現在第二段階の研究に入っているわけでございまして、具体的に申し上げますと、ここでは処分予定地の選定というところを最終的な目標にしているわけでございます。そのために何をしたらいいかということで研究をしているわけでございますけれども、大きく分けまして具体的に二つございます。まず一つは、地層に処分するというためには、やはり地層のことをもっといろいろ勉強する必要があろうかと思います。そういった地層処分技術の確立を目指した研究開発という問題と、もう一つは、そういった研究開発と並行して走るわけでございますけれども、地質環境等の適性を全国規模で調査して、どういうところがいいかというものを選んでいこう、こういう二つの研究調査が走っているわけでございます。それでまず二番目の方から申し上げますと、動燃事業団が全国のいろいろな地層等について例えばいろいろな文献で調査する、場合によっては人工衛星からのデータをいろいろ集めまして解析するとか、そういったデータベースの整備を今している段階でございます。それからもう一点の地層処分技術の確立につきましては、先ほどもちょっと御答弁申しましたけれども、日本の中あるいは外国との協力によりましていろいろと地層についての勉強を進めている、こういう段階でございまして、最終的にいつその処分地を選定するのかということについては未定でございます。  それからもう一つの御質問の処分の実施主体をどういうふうに決めるかということでございますけれども、昨年できました原子力委員会の長計におきましては、現在まだ決めてございません。先ほど申しました二つの大きな研究調査は、動燃事業団がこれを中核的にやりなさいということを決めてございまして、そういう成果を踏まえて適切な時期に処分の実施主体を決めましょうということになっております。ただ、処分の実施主体を決める場合には、当然のことながらその責任の所在とかが必要でございますし、それから長期にわたって継続されるということ、研究開発の成果が十分生かされること、そういった問題がありますものですから、そういう問題を考慮しながらしかるべき適切な時期に国が決める、こういうふうになっているわけでございます。
  698. 水田稔

    水田分科員 第二段階が昭和六十年からで、その終期というのは入ってないわけですね。例えば昭和六十何年ということじゃなくて、中間目標の最後の実施主体が決まり、予定地選定をされるのが十年とか二十年とか、実際に処分をするのは相当先になりますが、そこらあたりはどのくらいのレンジで見ているか、それを聞きたかったわけです。
  699. 松井隆

    ○松井政府委員 先ほど申しましたとおり、具体的にどのくらいというのは決めてございませんけれども、私の簡単な目の子を申しますと、これから十年ぐらいはかかるのではないだろうか、こういうふうに思っておるわけです。
  700. 水田稔

    水田分科員 原子力関係で日本原子力産業会議というのがあります。俗に原産会議と言われておりますが、これはどういう組織で、どういう仕事をされておるのか、伺いたいと思うのです。
  701. 松井隆

    ○松井政府委員 日本原子力産業会議というのは社団法人でございます。この設立は昭和三十一年でございまして、その定款に書いてございますけれども、目的は、国民的立場に立った原子力開発利用を旨とする産業界の総意に基づいて設立されたものというふうに理解してございます。本法人につきましては、各界の協力を得て、原子力に関する総合的な調査研究あるいは知識の交流あるいは意見の調整、統一等を図るということを目的として、広く原子力の開発利用に関する各界各層との連絡とか連携とか相談、そういうことを業務としてやっている団体というふうに承知しております。
  702. 水田稔

    水田分科員 動燃事業団との関係はどうなんですか。
  703. 松井隆

    ○松井政府委員 動燃事業団につきましては、動燃事業団法で設立されました特殊法人でございます。片方は社団法人でございます。ただ、実際の関係につきましては、動燃は原子力に関する中核的な研究開発機関でございますし、いろいろと関連はある、いろいろな形での連絡調整、そういうことはあり得るというふうに考えております。
  704. 水田稔

    水田分科員 別法人であるけれども、仕事の関係からいって大変関係が深い、密接な連絡をとっておるというか連携をとっておる、そういう団体である、こういうぐあいに見たらよろしゅうございますね。  そこで、これは既に六十一年の予算分科会でもある委員から質問されているわけでございますが、岡山県阿哲郡に哲多町、哲西町というのがありますが、哲西町に荒戸山というのがありまして、そのときにも電力タイムスの「エネルギー 動静」というのに哲多町に建設の腹を固める、そういう報道がありまして、それで質問をされておるのですが、これに対して科学技術庁の方は、全く白紙である、こういう答弁をされておるわけです。ところが現実にはこういうことが起こっております。  一つは、原産会議との関係で言いますと、六十年五月になりますが、東海村の再処理工場へこの哲多町、哲西町の町会議員を含めて、町会議員が半分以上おりますが、十二名が東海村を訪問しておるわけです。案内をしたのが原産会議の専務理事で森一久という人なんですね。この人が、恐らく東海村の中ででしょう、荒戸山は地質がよい、高レベル放射性廃棄物の地下貯蔵タンクをつくらせてほしい、ボーリングをさせてほしい、こういう話をされておるわけです。また一面これとの関連で、現地では、現実にはここに写しがありますが、株式会社棟方というのが町に対して総合企画申合書というのを持ってきまして、この中に「核廃棄物の格納による電力界よりの多大なる投資」ここへつくるので、町長、判を押してもらいたい、こういう要請があったわけです。それだけではなくて、六十二年になりますとこの荒戸山の周辺で公簿で一・三ヘクタール、実測では恐らく三ヘクタールになると思いますが、そういう用地を買収しておるわけでございます。一方では動燃事業団の施設の中で、原産会議の専務理事が町会議員を含めて、現地の山を持っておる人たちを含めてそういうお話をされておる。一方現地ではこういう用地の買収がどんどん進んでいく。こうなりますと地域の住民にとりましては、今お話のありました予定地を選定するのも十年以上のサイトで考えているということとどうも大変なそごがあるわけですね。今の答弁で、十年先と言えば、現実には既に動燃事業団が原産会議を使ってこういうことを進めておるのではないかというのが今この地域住民全体の感じなんですね。その二つの点についてお答えいただきたいと思います。
  705. 松井隆

    ○松井政府委員 まず第一点でございますけれども、前にも一回そういう御質問がありましたけれども、政府といたしましてはこの動きについては一切関知しておりません。先ほど申しましたとおり、これから動燃事業団が長い時間をかけて全国の処分に適した地質を調査していく段階でございまして、具体的にどこがいいとかどこをどうするとまだ決まった段階ではございません。そういう意味では私ども一切関知している話ではございません。  なお、私も動燃事業団にそういう人たちが一回見学に行ったという話は知っていますけれども、動燃事業団としては広く施設を見ていただくという趣旨から、そういう希望があった場合にはお見せするのが当然であろうと思っております。なお、本件につきまして、私の記憶では前に岡山県の方から部長さんが私どもを訪ねてきたことがございます。それで私どもはそういうことは一切関知しないという説明をして、御納得して帰ったということもございます。
  706. 水田稔

    水田分科員 これは例が悪いかもしれませんけれども、会館を使ってかご抜けというのが時々ありまして、議員が大変迷惑することもあるのです。動燃事業団と原産会議の関係は、別の法人ではありますけれども、今答弁ありましたように非常に密接な関係です。原産会議を言えばどんな人でも中を見せてくれるという仕組みになっていると思えるのです。そしてその場所でさっきの森専務理事が言ったようなことを言われれば、まさに動燃事業団がそういう計画を持っておると思うのは当然だと思うのです。  私はことしの二月五日、現地に参りまして、哲西町の現職の町会議長、その当時は議長ではありませんが、この十二名の中で来ておるわけです。私は旅費も一銭も払いません、宿泊費も一銭も払いません、全部どこが持ったのかわかりませんという形なんです。それは原産会議が世話をしたので動燃事業団は関係ない、言ってきたから見せたと言っても、受け取る側としては動燃事業団も関与しておると思わせるようなことが現実に行われておるわけです。それは、言ってくれば広く国民に知ってもらうためにということでは済まない問題だと思うのですが、その点いかがですか。
  707. 松井隆

    ○松井政府委員 おっしゃる点でございますけれども、動燃事業団につきましてはもともとそういった国の目的でできた法人でございまして、業務に支障がない限りは原則的に施設をお見せすることは当然やっているわけでございます。そういう意味では動燃事業団は当然のことをしたと私ども思っておるわけでございまして、先生のおっしゃるような事実につきまして私ども承知していないものでございますから、ちょっといかようにも答えかねるので、申しわけないのでございますけれども……。
  708. 水田稔

    水田分科員 私はうそを言っているわけではない。現実に現地へ参りまして、町長とも町会議長とも全部会いました。私どもは科学技術の村山喜一さんを団長にして、国会議員が五人行ってこの事実を確認してきた。それを今ここで申し上げているのです。現実にそういうことがあそこの中で行われたことによって起こっていることは十分認識してもらわなければならぬし、これが迷惑なのなら迷惑と本当は言ってほしいのです。  そこで我々が疑うのは、五十九年までに行ったところの概念調査とか、どの程度の調査を言っているのかわかりませんけれども文献調査、広域調査等、そういういわば情報が動燃事業団からそういうところに流れておるのじゃないですか。流れておるからこそ、私から言わせれば、資本金百万円の会社が大変な用地を買って、こういう町当局を相手にやるというのはどう考えてもおかしいと思うのです。先行投資にしてもこれはおかしいのです、大変な山の中ですから。とするならば、そういう情報が漏れて、それに基づいて先に土地を手当てしておくということになっておるのじゃないかという疑念を持つのですが、そういうことはありませんか、中の情報が漏れて。
  709. 松井隆

    ○松井政府委員 基本的に動燃事業団につきましては、それの研究開発等の成果につきましては、例えば学会で発表するとかそういうところの刊行物で出すとかいうことは、一般に公表していることは事実でございますけれども、本件のような問題につきまして、特にまだ現在調査を実施しているものでございますから、そういう途中段階の情報が漏れるというようなことはあり得ないと私どもは考えております。
  710. 水田稔

    水田分科員 今までの答弁を総合しますと、これは株式会社棟方というのです、貴金属を販売するのを本業にしておるのです。それがいろいろ定款を変えてこういう用地取得をやっておる。今また今までの一・三ヘクタールのほかに、町がいわゆる工業団地を造成したそれの相当面積を分譲してほしい、こういうことにもなってまいりました。だから現実には、この流れを見ると動燃事業団も絡み、原産会議が旗を振って棟方を支援して、この地域に将来の予定地として進めていこうという具体的なことが起こっておるわけですね。このことは、動燃事業団あるいは科学技術庁いずれもですが、事実無根である、こういうぐあいに確認してよろしゅうございますか。
  711. 植松邦彦

    植松参考人 私は技術屋でございまして、地層処分についての研究開発を進める責任を持っている立場でございますが、残念ながら先生御指摘の棟方という会社の方にも一度もお目にかかったことございませんし、哲多の町の方々ともお話を交わしたという事実も全くございませんで、そういう点については動燃としては全く関係がないというふうに断言することができると私は思っております。
  712. 水田稔

    水田分科員 もう一つは、これは証人を引っ張ってくるというと、皆おるわけですから、十二名行っておるわけですから、原産会議のさっき言った森専務理事が言っておるというのは証人が幾らでもおるのですが、そういうことを言われることは動燃事業団の施設の中としか考えられぬわけですね。そういうことがあっていいのかどうか。事業団は迷惑です、しかしまあそれは仕方がない、裏で何かつながりがあって、うちは知りません、役所なり動燃事業団は知らぬ、しかし原産会議は別の団体だから勝手にやっておるのでしょうでは済まない問題なんですね。だからその点は原産会議に対して、これは国民も大変関心を持っておるし、それから科学技術庁や動燃事業団にしても、やるにしても大変慎重にやらなければならぬ問題がこんな軽々しく、こういうだれが旅費を出したかわからぬような団体を引っ張ってきて、動燃事業団の施設の中で、関係は全くないことはない原産会議の責任ある立場の人がこういうことを言われたのでは迷惑だということは、動燃事業団、言うべきじゃないですか。それはどうですか。
  713. 植松邦彦

    植松参考人 我々としましては、先ほども申し上げましたように、岡山県の哲多におきましてそういう場所を設定したい、処分場にしたいということを全く考えておるわけではございませんし、原子力局長からお話しいたしましたように、現在も全国を含めて調査をしておる段階でございます。したがいまして、ここだというところをどこも決めておるわけではございません。全く白紙の状態でございます。したがいまして、ここだというようなことを外部から言われることについては、動燃としては決めたことではございませんので、遺憾なことだというふうに私は思います。
  714. 水田稔

    水田分科員 現実にはこれだけ相当広い範囲、一市四町ですか、大変な迷惑をこうむっておるわけですね、事実でないのなら。それを原産会議という動燃事業団として一番PRしてもらいたいと思っておる団体の責任者にこういう迷惑なことをされて、自分が遺憾に思っておるだけでは済まぬと思いますね。そういう行動はとめなければ、さらに誤解を招くと思うのです。その点は、私は時間がありませんから、ぜひそのようにやってもらいたいと要望しておきます。  それからもう一つは、そうは言いながら、予定としては考えてないと言いながら、例えば地質的に広域調査、文献的な調査で花崗岩地帯というのが結晶性の岩としては一応候補に上り得る。そういうことから、全体的に何か岩質によって丸をしたようなものはやっておられるのですか。やっておられるとすると、そういうものが情報として流れておるのじゃないかという疑いがあるのです。その点はいかがですか。そういう広域的な作業はやっておられますか。
  715. 植松邦彦

    植松参考人 原子力局長からもお話がございましたように、また私も先ほど申し上げましたように、地層処分という観点から、現在は文献調査それからサテライトを使いました衛星写真解析などの地図データを全国的にわたって収集しておるわけでございまして、哲多、哲西、こういった地域というものについて、特定の地点について非常に限定した調査を行ったことはございませんので、そういう情報が流れておるというふうには考えられません。
  716. 水田稔

    水田分科員 そうじゃなくて、例えば岩質によって、こういう岩質は候補地たり得るというようなデータは既にとっていると思うのですね。そういうものの中にあの地区は入れておって、その情報が漏れたということはないかと。だから、学術的な調査をしたことは公表すると言われたのですが、そういうものが当然公表されておるならそれでもいいですし、されてないものであればそれが漏れておるのじゃないかという疑いがあるのですが、そういう調査そのものはもうされておるわけですか。
  717. 植松邦彦

    植松参考人 これも第一段階の調査が終了しておるというふうに申し上げておきましたが、第一段階の調査におきましては、我が国における有効な地層としては、未固結岩という、花崗岩なんかはこの未固結岩には当たりませんが、未固結岩等の明らかに適性の劣るものは別としまして、岩石の種類を特定することなく、むしろ広く考えるんだというのがこの第一段階の結論になっておりまして、例えば花崗岩でなければならないというようなことを発表しておるわけでは決してございません。また、岩石の種類を特定するのではなくて、むしろその地質条件に対応するに必要な人工バリアを設計することによって地層処分システムというものを完全に確保したい。また、そうすることで安全を確保できる見通しがあるというのが第一段階の結論でございまして、どこ一つの特定点についてこうという結論をまとめておるわけではございませんので、そういうものが流れておる事実はないというふうに思います。
  718. 水田稔

    水田分科員 最後になりますが、先ほどの五十嵐議員の質問に対する答弁の中でありましたね、もう一カ所結晶性の岩のところを試験をしたい。その場所としてこの哲多町あるいは哲西町、ここの花崗岩地帯を、もう一つというのは、いわゆる釜石が、これは余りにも亀裂が多いということで、あそこも花崗岩ですが、恐らくあそこをやめて、それで別ということなんだと思いますが、その場所としてこの場所を考えておるということはありませんか。
  719. 植松邦彦

    植松参考人 先生、釜石をやめてというおっしゃり方をなさいましたが、まだ釜石もやめたわけでは決してございませんで、先ほど五十嵐先生の御質問にもお答えしておきましたが、いわゆる結晶質岩の場所における試験というものについてはもう少し慎重にやるべき中身をこれから討議して考えていきたいという段階でございますので、まだここだというふうに決心をしておるわけでは決してございません。
  720. 水田稔

    水田分科員 決心はしてないけれども、ここになるかもしれぬというので、今は決めてないだけだというのでは困るのです。その点は候補地に入っておらないというぐあいに理解してよろしいですか。
  721. 植松邦彦

    植松参考人 その点につきましてはまだ白紙でございまして、まだどこも決めておりませんし、どこも除外もしていないというのが事実でございます。
  722. 水田稔

    水田分科員 時間ですから、終わります。
  723. 愛野興一郎

    愛野主査 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして科学技術庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後九時三十五分散会