○宮下
委員 税制改正の必要について今お言葉がございました。私はやはり二つの側面があると思うのですね。
一つは、財政の現状が、公債依存度が非常に高いとか、あるいは長期債務残高が率として
国際的に非常に高い、あるいは百五十九兆円の国債残高もある、あるいは国債の利払費が一般会計に占める割合が二〇%というようなことは、これは残念ながら先進国で第一位でございます。こうしたいろいろの財政の要請が片やございます。
また歳出面では、いろいろ議論のございますように、財政需要拡大の要因が多々あります。
総理の言われる
国際国家日本としての責務を果たすためのODAでございますとか累積債務問題あるいは防衛問題等々、いろいろ
国際的な責務を果たすべき支出がこれからさらに増大が予想されます。それからまた国内的には、いろいろ議論がございますように、高齢化社会を迎えておる。それからまた同時に、アメリカの双子の赤字を解消していただいて貿易収支のアンバランスを解消する。同時に、我が国内において構造調整をやるということは、アメリカがある程度デフレ的な要因になった場合に、日本がそれを受けて立ってその需要を賄っていく。構造改革をやりながら投資的な、日本としても
国際的な視点も踏まえながらやっていかなきゃいかぬ。いろいろこういうことがございますから、背景としては、私は、そういう点をまず考えていかなければならないと思います。
私が申し上げたい点は、
税制改正はそういう事情だけからではない、
税制改革の体系面からして本来的にこの際改革を要する諸点があるように思うわけであります。財政のあり方として抜本改正をやらなくちゃいけない。すなわちそれは、シャウプ
税制以来四十年を経過しておりまして、我が国の社会経済の急激な変化がいろいろの面であらわれておりまして、既存の
税制の手直しということだけではこれは対応し切れないというのが、我我、ここ三、四年
税制改革にも一応携わってまいりまして、党としてもやってまいりましたが、そういう実感でございます。
そして同時に、税の不公平感の高まり、これはこの
国会でもいろいろ不公平
税制の問題について言われておりますが、捕捉率が低いとかあるいはクロヨンでございますとかそういう捕捉率の問題、あるいは不公平
税制と言っていいかどうか、不公平感というようなことが正しいという御意見もございましたが、私もそうだと思いますが、こうした不公平
税制というものは何であるか。言われているように、キャピタルゲイン課税がああいう形では不十分ではないかとか、あるいは公益法人等の収益事業に対する課税がどうだとか、あるいは中小企業のみなし法人課税は、私は、それなりの歴史的な沿革を持って今日まで来ていると思うのですね。だけれ
ども、これを不公平だと感ずる人たちもございます。そしてまた、現に昨年の八月の改正では、事業者所得について、過去三年の平均をとって、それを超えるものは八掛けで頭打ちにするよというような改正もやっておるわけですから、制度的な改正もやっている。しかし、これをさらに個人と同じようにしていいものかどうか、あるいは法人成りとの
関係はどうかというようないろいろな議論がございますが、こういうみなし法人課税の問題もあります。
また一部には、法人所有の土地、株式等の資産再評価について、税金を課すべきであるというような本
委員会における議論もあります。それからまた、赤字法人もいろいろ社会的な利便は享受しているのだから、当然税を負担すべきであるという議論もあります。事ほどさように、不公平
税制というものは、私は、これは避けて通れない、直していかなきゃいけませんけれ
ども、その共通の
認識が必ずしも得られていないと思うのであります。
そこで、例えば株式のキャピタルゲイン課税につきましても、これはやはり株が暴落するのでまずいとかいうようなこと、あるいは捕捉が非常に困難だということを今まで言われている向きがございますけれ
ども、私は、結論的に言いますと、キャピタルゲイン課税というのは大変難しいと思います。そして同時に、二十八年に、シャウプ
税制のときは二分の一総合課税でありましたけれ
ども、これは捕捉が困難であるということによって、外形的な売買に着目した有価証券取引税というものが今日一兆七千億弱にも達しようとしております。したがって、できないからそういうことになってきているのですが、今これだけ問題になっておれば、当然議論をして、そしてどこに問題があるのか、あるいは、理論上はそういうことであっても、やはり税というものはコストその他の問題を考えてやらなければなりません。したがって、それを全体として考えて、キャピタルゲイン課税はこうあるべきであるというような議論は、当然私は避けて通れないと思います。したがって、そういうことを含めて、不公平
税制についてはひとつ大いにやっていただかなきゃいかぬ。
しかし、仄聞するところによると、野党、またこの
委員会における
質疑を通じても、不公平
税制のこういうことができなければ、新しい税の全体の、例えば間接税の問題について議論に入れないというのはこれはおかしいのでありまして、税は一つのシステムであり体系でございますから、同時並行的にそれは議論すべきであると私は考えます。そういう
意味で、キャピタルゲイン課税は、私も、結果は非常に困難だと思います。しかし、結果は困難であっても、そのプロセスを明らかにして、問題点はこうある、費用対効果を考えるとお金がかかり過ぎてかえってまずいよとか、あるいは有価証券取引税を見返りにやめなくちゃいけないけれ
ども、税収としてはかえってマイナスになるとかいろいろのことを明確にしていく必要があるのではないか、こう思うわけであります。
それから、抜本改正については、所得税の減税につきましては昨年幾つかの改正が行われました。配偶者の特別控除の創設でございますとか、サラリーマンの申告制度を
導入するとか、それからまた累進税率につきましても、これはサラリーマンの最大の不公平感を抱く原因になっておりますが、十五段階あるのを十二段階にした。昨年の売上税のときは六段階ということでございますから、さらなるそういう減税が予想されるわけでございますが、そういう点は私は当然考えていかなきゃいかぬと思います。
それから法人税についても、今は四二%ですが、
国際化時代に、やはり私は、租税原則の中に
国際性というのは、これは欠くことのできない原則であろうと思うのです。そういう原則に立った場合に、法人税についてやはり
国際的なレベル、日本は西ドイツに次いで高いわけでございますけれ
ども、完全に均一にできないにしても、それとの均衡を持ってやはり減税をすべきではないかと思います。
なお、相続税についても本
委員会でいろいろ議論がございますけれ
ども、これも、かつて相続人のうち二%くらいが相続税を納めていたのが今七%くらいになっておりますから、何としてもこれも減税しなければいかぬ。そういうことで減税面は今いろいろ議論されております。私は、その点一々今の段階で、税調に御諮問なさっている段階で
大蔵大臣に一応結論をお聞きするということではございませんが、いろいろの義諭を通じておりますと、
大蔵大臣もそのようなことで方向づけをなされておるというように理解しております。
そういうことになりますと、どうしてもそれだけ歳入の方が穴があくわけですね。したがって、今言った所得税、法人税、相続税の減税をやりますと、レベニュー・ニュートラルということで考えたにいたしましても、これはもう、税は大きく分けまして直接税と間接税しかないわけでありますから、間接税の分野の問題というものをどうしても取り上げざるを得ないと思うのであります。したがって、私は今本
委員会の議論を聞いておりますと、直接税の中だけの話が非常に多いわけでございますけれ
ども、やはりそれは鉄のカーテンをおろすべきではなくて、そこは取り上げて中へ突っ込んだ議論をすべきだ、こう私は思うわけであります。まず、この全体の取り組みについて
大蔵大臣、簡単に御姿勢を伺えればありがたいと思います。