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1988-02-17 第112回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    二月十六日  浜田幸一委員長辞任につき、その補欠として  奥田敬和君が議院において委員長に選任された  。 ────────────────────── 昭和六十三年二月十七日(水曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 奥田 敬和君    理事 近藤 元次君 理事 佐藤 信二君    理事 野田  毅君 理事 宮下 創平君    理事 山下 徳夫君 理事 上田  哲君    理事 村山 富市君 理事 池田 克也君    理事 吉田 之久君       井出 正一君    池田 行彦君       石破  茂君    石渡 照久君       稲村 利幸君    上村千一郎君      小此木彦三郎君    岡島 正之君       海部 俊樹君    倉成  正君       小坂徳三郎君    後藤田正晴君       佐藤 文生君    志賀  節君       鈴木 宗男君    砂田 重民君       田中 龍夫君    田中 直紀君       中村正三郎君    西岡 武夫君       林  義郎君    原田  憲君       細田 吉藏君    松田 九郎君      三ツ林弥太郎君    村田敬次郎君       村山 達雄君    渡部 恒三君       井上 一成君    井上 普方君       上原 康助君    川崎 寛治君       菅  直人君    佐藤 敬治君       辻  一彦君    坂口  力君       沼川 洋一君    水谷  弘君       宮地 正介君    神田  厚君       楢崎弥之助君    浦井  洋君       経塚 幸夫君    中島 武敏君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 中島源太郎君         厚 生 大 臣 藤本 孝雄君         農林水産大臣  佐藤  隆君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         郵 政 大 臣 中山 正暉君         労 働 大 臣 中村 太郎君         建 設 大 臣 越智 伊平君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      粕谷  茂君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 瓦   力君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 奥野 誠亮君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       的場 順三君         内閣官房内閣安         全保障室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障室         長       佐々 淳行君         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         警察庁警備局長 城内 康光君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  紀 嘉一郎君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  増島 俊之君         総務庁長官官房         会計課長    八木 俊道君         防衛庁参事官  小野寺龍二君         防衛庁参事官  福渡  靖君         防衛庁参事官  児玉 良雄君         防衛庁参事官  鈴木 輝雄君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 日吉  章君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁長官 友藤 一隆君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁建設         部長      田原 敬造君         防衛施設庁労務         部長      山崎 博司君         経済企画庁調整         局長      横溝 雅夫君         経済企画庁総合         計画局審議官  宮本 邦男君         環境庁企画調整         局長      森  幸男君         環境庁自然保護         局長      山内 徳衛君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         会計課長    佐々木 徹君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         法務省刑事局長 岡村 泰孝君         外務大臣官房長 藤井 宏昭君         外務大臣官房領         事移住部長   黒河内久美君         外務省アジア局         長       藤田 公郎君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         外務省欧亜局長 長谷川和年君         外務省中近東ア         フリカ局長   恩田  宗君         外務省経済局次         長       内田 勝久君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         外務省情報調査         局長      山下新太郎君         大蔵大臣官房会         計課長     佐藤 孝志君         大蔵大臣官房審         議官         兼内閣審議官  土居 信良君         大蔵省主計局長 西垣  昭君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 足立 和基君         大蔵省銀行局保         険部長     宮本 英利君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         国税庁次長   日向  隆君         文部大臣官房長 古村 澄一君         文部大臣官房総         務審議官    川村 恒明君         文部大臣官房会         計課長     野崎  弘君         文部省高等教育         局長      阿部 充夫君         文化庁次長   横瀬 庄次君         厚生大臣官房総         務審議官    黒木 武弘君         厚生省健康政策         局長      仲村 英一君         厚生省保健医療         局長      北川 定謙君         厚生省保険局長 下村  健君         厚生省年金局長 水田  努君         厚生省援護局長 木戸  脩君         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産大臣官         房予算課長   上野 博史君         農林水産省経済         局長      眞木 秀郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省畜産         局長      京谷 昭夫君         農林水産省食品         流通局長    谷野  陽君         水産庁長官   田中 宏尚君         通商産業省通商         政策局長    村岡 茂生君         通商産業省通商         政策局次長   吉田 文毅君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         運輸大臣官房審         議官      金田 好生君         運輸大臣官房会         計課長     黒野 匡彦君         運輸省航空局長 林  淳司君         海上保安庁長官 山田 隆英君         郵政省通信政策         局長      塩谷  稔君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         労働省職業安定         局長      岡部 晃三君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房審         議官         兼内閣審議官  福本 英三君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省住宅局長 片山 正夫君         自治大臣官房長 持永 堯民君         自治大臣官房審         議官         兼内閣審議官  前川 尚美君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省税務局長 渡辺  功君  委員外出席者         会計検査院長  辻  敬一君         参  考  人         (税制調査会会         長)      小倉 武一君         予算委員会調査         室長      右田健次郎君     ───────────── 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     岡島 正之君  小此木彦三郎君     鈴木 宗男君   志賀  節君     井出 正一君   砂田 重民君     石破  茂君   浜田 幸一君     松田 九郎君   林  義郎君     田中 直紀君   藤波 孝生君     石渡 照久君   細田 吉藏君     中村正三郎君   冬柴 鉄三君     沼川 洋一君   田中 慶秋君     神田  厚君   中路 雅弘君     藤原ひろ子君   正森 成二君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   井出 正一君     志賀  節君   石破  茂君     砂田 重民君   石渡 照久君     藤波 孝生君   岡島 正之君     愛野興一郎君  鈴木 宗男君     小此木彦三郎君   田中 直紀君     林  義郎君   中村正三郎君     細田 吉藏君   松田 九郎君     浜田 幸一君   沼川 洋一君     大久保直彦君   神田  厚君     田中 慶秋君   浦井  洋君     経塚 幸夫君 同日  理事奥田敬和君同月十六日委員長就任につき、  その補欠として佐藤信二君が理事に当選した。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)  昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)  昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)      ────◇─────
  2. 奥田敬和

    奥田委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちまして、一言ごあいさつ申し上げます。  このたび、皆様方の御推挙により、予算委員長の重責を担うことになりました。職責の重大さを痛感いたしております。  もとより微力ではございますが、練達堪能なる委員各位の御協力を賜り、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいりたいと存じます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ────◇─────
  3. 奥田敬和

    奥田委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 奥田敬和

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事佐藤信二君を指名いたします。      ────◇─────
  5. 奥田敬和

    奥田委員長 昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)、昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  6. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 まず、総理政治姿勢についてお尋ねをしたいと思います。  残念ながら、国会は十一日間、この大事な予算審議がとまっておりました。きのう予算委員長法務委員長辞任があったわけでありますが、予算というのは国の政治の顔でありますし、つまり、政治方針を金額であらわしたものが予算でございます。予算委員会というのは、その予算中心政治外交防衛教育安全保障、まあ外交防衛ですね、そういう全般の総括論議をいたすわけでございますが、その委員会がこういう状態になったということは大変残念なことであります。委員長責任でこうなったということは大変残念なことでありますし、また法務委員長は、今キャピタルゲインの問題が大変大きな課題になって国民論議の的になっておるわけでありますが、そのときに二億円の株式売買の益金の申告漏れ、こういうことで辞任をせざるを得なかった。私はこの二つ案件とも、三百議席というものを背景にしたおごりというものから生まれてきておる事件である、こういうふうに思います。  竹下総理はこれまで、行政の長は国会のことについては言えないんだ、こう言っておりますが、内閣総理大臣は日本の今日の政治の仕組みの中においては残念ながら自民党総裁総理大臣、こういうことになっておりますから、あなたの行政の長としての立場というのは自民党総裁というものを背景に、根本にしておるわけであります。そこで、この二つの問題について、自民党総裁としての、あなたの政治家としての見解を伺いたいと思います。
  7. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 せっかくの川崎さんのお尋ねでございますが、私は国会におきましては行政の長という立場だけはいつもそこにきちんとした区分だけはさしていただいてお答えすることにいたしておりますが、政治姿勢全体に関する御質問というふうにとらえてあえてお答えをすることをお許しいただきますならば、私は、国会の構成なりそして運営なり、それが国民の負託にこたえてそれぞれ各党間の話し合いの中で円滑に運営されていくというのを心から期待する者の一人であります。  そして今回の今特定されたお二方の問題につきましては、私は、本人自身がみずからを省み厳正にみずからの措置をとられたことである、このように私はこれに対してはお答えするのが限界ではなかろうかというふうに考えております。
  8. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 任命権者としてのあなたの姿勢については責任のある答弁ではない、こう思います。大変残念でございますが、あなたの答弁はそれ以上出ない、こういうふうに思います。そのことを繰り返していてはきょうの限られた時間の中で問題の議論ができませんので、大変不満であるということを申し上げておきたいと思います。  次には、三宅島の選挙でございますが、御承知のような結果で、NLP反対派が大勝利をいたしました。この四年間、政府側が札束をたたいてつぶそうといたしてまいりましたが、島民は命がけでこれに反対をいたしてきたわけであります。民主主義というのはその住民の意向を尊重する、それでなければ民主政治は行われないわけでございますので、私はこの結果というものを厳正に受けとめてこのNLP建設については中止すべきであると思います。いかがですか。
  9. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 選挙の結果はいかなる選挙でありましても厳正に対応すべきものであるという原則は、私もそのとおりに思っております。  政府といたしましては、今三宅島がいわば適地であるという判断の上に立って、その調査をすることに対して住民皆様方理解を得ていこうという方針で今日まで来ておりますので、その方針がその選挙の結果によって変わるものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  10. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 住民意思を無視をして政府方針だからといって押しつけてまいりますとするならば、安全保障あるいは日米安保条約、そういう問題等の根幹も問われる問題でございますが、住民代表がこの間社会党大会にも参りましてそのことを大変熱烈に訴えておりました。私たちはとれからもまたこの問題については住民意思を受けとめながら国会でも追及いたしてまいりたいということを申し上げておきたい、こう思います。  きょうは小倉会長、御苦労さまです。そこで、小倉会長の時間が大変制限がある、こういうふうに聞いておりますので、小倉会長中心にしながら税制改革の問題についてお尋ねをいたしたい、こう思います。  小倉会長は一月十日の朝日新聞の会見でもキャピタルゲインの問題については御発言にもなっておるわけでありますが、今回の相沢事件、あえて相沢事件、こういうふうに申し上げますならば、政治家の株の転がし、そういう問題等について小倉会長はどうお考えになるのか伺いたいと思います。
  11. 小倉武一

    小倉参考人 ただいまお尋ねのことでございますけれども、キャピタルゲインと言われるものにつきましての課税のあり方については従前から問題がございまして、これはすっきりすべきものであるという意見が無論多いわけですけれども、なかなかすっきりするという手だてが難しいということで今日に至っておるわけでありますが、今回税制抜本改正ということを引き続き検討しておる最中でこざいますから、その問題もできるだけ政府に対するいい提案ができるように努めてまいりたい、こう存じております。
  12. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 政府税制調査会は、二月五日の総会で納税者番号の小委員会を設置されました。これは導入を検討する専門小委員会の設置を決めたわけでありまして、第一回会合を二月下旬、こういうふうに伺っておるわけであります。  労働組合の、例えば全民労連代表、この間公聴会においでいただいて、山田事務局長からも意見の陳述があったわけでありますが、クリーンカード、そういうものを提案をしておる、こういうことでございました。そこで、今は政府提案したい、こういうお話でございました。  自民党渡辺政調会長は、乙女のつぶやきであるとか、これは大変な差別発言だと思うのですね、こう言うこと自体が差別発言だ、これは大変民主的じゃない発言だと思いますが、そういうことを言ったりしておる。  また、一般論でありますけれども、去年の売上税のときもそうでありますが、山中自民党税制調査会長は、政府税調が何をやろうが最後党税調が決めるんだ、こういうことを言っております。そうなりますと、あなたのところがこれをいろいろやっていかれる、しかし最後党税調からつぶされるということはありませんか。
  13. 小倉武一

    小倉参考人 ただいまお尋ねのことでありますけれども、御質問の中にございましたように納税者番号等についての小委員会を設けまして、これから幅広く、また専門的に討議してまいりたい、こう存じております。発足したばかりでございますので、まだ討議に入っておりませんけれども、その結果を待ちまして、それを税制上どう生かすかというようなことについても勉強してまいりたい、こう思っております。
  14. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 竹下総理にお伺いしますが、総理も検討しなければならぬというようなことをこれまで答弁もしておるわけでありますが、党の総裁として、つまり自民党税調が、これまでも政府税調党税調というものの間には大変おかしな関係がある、こういうふうに思います。この今の問題につきましても小倉会長はああいうふうに言われましたが、党税調がこれをつぶすというふうなことはさせないということについて、総裁として決意のほどを伺いたいと思います。
  15. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今政府立場といたしましては、いつも申し上げますように政府税調審議にゆだねておるというのが原則であろうと思っております。  そこで、党税調と今度は政府税調との従来の関係等を考えながらの御質疑でございましたが、特に党主導型と言われ、時に政府税調主導型、いろいろなマスコミ等における評価があったことは私も十分承知いたしておりますが、いずれにせよ、政府税調は今お答えがあったとおり、党税調におきましてもそれぞれの角度から、まず何々つぶすありきというようなことでなく審議に入っていかれるものであるというふうに私は期待をいたしております。
  16. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 では次に、地万公聴会の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  二月八日に始まっておるのでございますけれども、この地方公聴会というのは、実は私は各公聴会の行われました地域の現地版も、またローカル紙もそれぞれ取り寄せました。そして、ずっとこれを子細に見ておるのでありますけれども、大変これは問題があるなというふうに感じておるわけです。  まず、持ち方でありますけれども、これは公聴会というふうなものじゃなくて、要するに大蔵省のかわりに、大蔵省の隠れみのとして出ていって説明をする、そういう会に終わっておるわけでありますから、公述人も公募ではなくてこれは大蔵省が指名をしておる。それぞれの財務事務所なり財務局なりに聞けば、それは大蔵省の本省でやっているのです、こう言ってらちが明かぬわけです。でありますから、この持ち方が一つ問題ですね。しかも、例えば札幌の場合は大変問題が起きておるわけです。それは今の持ち方の問題、一つですね。  それからもう一つ札幌で、武田委員でございますけれども、公式の発言ではないのですがマイクを通して会場に流れておるわけですね。公述人質疑を交わしておるときに感想を漏らしているわけですけれども、それからさらに公聴会の終了後この武田さんは、改革案たたき台もできていない段階での公聴会は具体的な審議がしにくいということを言ったまでだ、こういうふうなことで弁明をいたしておりますけれども、要するに改革案たたき台なしに行って考え方を言っておる。  でありますから、何のためだ、これはもうあらゆる公聴会でそういうのが出てきておるわけですね。でありますから、この公聴会でこれはもう終わり、つまり三月の上旬までのこれで終わりなのか、これから公聴会というものを本当にどうして国民参加の税制改革論議にするのか、まずその点の見解を会長に伺いたいと思います。
  17. 小倉武一

    小倉参考人 公聴会の持ち方についてのお尋ねが第一点でございますが、これはいろいろ御批判があると思いますけれども、やはり財務局、国税局その他が、県庁もあると思いますが、地万の方々とも御相談の上、相談して御指名をお願いする。また、質問者はその公述人のほかに来会者の中から質問要旨を配りまして、そして意見を聞いて、それをまた簡単に説明してもらうというようなことをやっておりまして、持ち方としましては大過はないのではというふうに思っております。  また、次の御質問ですが、たたき台がないのに公聴会というのは変ではないかという御指摘、これはそういう御指摘が間々あります。公聴会に行きましてもそういう御指摘があるところがあるわけですが、しかし、たたき台がないままに公聴会をやるというのも、いろいろ自由な意見を聞き、また私どもが公聴会に出かけていっていろいろ自由な意見も言うことができるということで、それなりにメリットが私はあるような気がいたしております。まだ全部終わっておりませんけれども。今までのところ、私も一、二参ったところがありますが、それなりの成果は上がっているというふうに存じます。  今後、たたき台ができる――いつになるかまだわかりませんけれども、お話しのように、地方でもたたき台ができたらもう一度公聴会をやってくれ、こういう御要望もございますので、そういう要望は政府でもお考えのことと思いますので、これは私ここでどうこうするというふうには申し上げられませんが、政府もよくお考えに入れられた方がよろしかろう、こう思います。
  18. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 例えば岩手、これは一昨年の参議院選挙の岩手旋風のところでございますが、ここでも「肝心の改革案示されず「不公平」に不満続出 答弁なく一方通行 出席者は拍子抜け」、これが見出しでありますね。自由な論議をと、こう言っているけれども、大蔵省が指名をした人が公述人になっているわけです。公募をして自由な意見を聞くという聞き方ではないわけです。だから、そういう非民主的なことであるということを申し上げておきたい、こういうふうに思います。  埼玉県の越谷では、「新税で賛否激論」、こういうことになっておるわけです。あるいは岩手、鳥取の問題については「容易でない国民的合意」、こういうふうに批評をされておるわけであります。  そこで、会長自身の御発言について今度はお尋ねをいたしたいのでありますが、まあたたき台がないんだ、こういうお話でしたけれども、あなた自身はEC型付加価値税が一番いいんだ、こういう御発言をされ、きのうの政府税調の総会では大変問題になった。何で会長があんなことを言ったんだろうか、こういうことで。そうなりますと、つまりあなたの、例えば岩手県の宮守村公聴会でのあなたの発言は、「新型間接税について「EC型がいいに決まっている。いまは時間稼ぎをしているだけだ」」、そんならこれは隠れみのじゃないですか。衣のそでからよろいが出ているようなもので、それならこの公聴会というのは何ですか、これは。  そしてこの間接税部会の部会長から大変あなたにきついおしかりをすることになっておるようでございますけれども、あなたは、一般消費税、そして去年の売上税、今度新型間接税、それは議論するときはいつも新型ですけれども、二回失敗をして、つまり国民の批判の前につぶれた。その二回失敗をした、そして今、竹下首相が渾身の力を振り絞っている、これも問題だと思うのです。税制改革に渾身の力を振り絞っている。まあ三百議席を背景にやるぞということだと思いますけれども、これは後に小渕官房長官にもお尋ねしますから用意しておいてください。EC型付加価値税なんだ、時間稼ぎなんだ、そんならもう案ができて、そしてしゃにむに通すということの、あなたはお先棒を担いでいるということじゃないんですか、いかがですか。
  19. 小倉武一

    小倉参考人 EC型付加価値税がいいと申しますのは単なる私の私見じゃなくて、このしばらくの間税制調査会関係しておって、各委員の先生方の発言あるいは関係のいろいろな評論家等の意見を総合をしますと、どうしてもEC的な付加価値税がよろしい、こういうふうに結論せざるを得ないということを申し上げているのであります。恐らく、今度の税制調査会でも、EC的な付加価値税、ECの付加価値税的なものがよろしいということになる公算が多い、そういう見込みのことを言っているわけであります。  時間稼ぎというのは別な話でありまして、そんならEC付加価値税一本でいったらいいじゃないか、ところが、そうはいかない点があるわけです。なぜならば、そもそも何といいますか、一般消費税なりあるいは付加価値税なりあるいは売上‐税なり、そういうものの導入は困る、もっと先に考えたらどうかという意見もあるわけです。そちらの方があるいは時間稼ぎされておるのかもしれませんけれども、税制調査会税制調査会なりに審議を進めなければならぬ。しかし、あんまり慌てて拙速をとうとぶということになればまたそれなりの御批判を受けるということで、ある程度時間をかける、時間稼ぎというよりは時間をかける必要があるということで、第一案、第二案というようなものも場合によっては考えなければならぬ。  たたき台というのは一本に決めちゃって、これだということで普及宣伝するということもそれはいいかもしれませんが、どうも今のところの様子を見ますと、税制全体との関係があります。一般消費税といいますか、付加価値税といいますか、新しい名前はわかりませんが、新聞では新型間接税と称せられているものでありますけれども、それをどういう格好に持っていくかということは、他の所得税なり法人税なり先ほどの資産課税なりあるいは資産所得についての課税なりはどうするかということと多少ずつ皆関係があるわけです。だから、全体としてのある程度のイメージがあって、その中で新しい間接税をどう位置づけるかということが必要なわけで、そういう意味で時間がかかる、時間を稼がなければいかぬということを申し上げておるわけであります。
  20. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それは大変おかしな話でありまして、竹下首相は、予見を与えずに議論をしてもらおう、こう言っておるわけですね。それから加藤間接税部会長もきのうの委員発言に対してこう言っているのですね。「委員の間から「私見といっても、会長の発言であれば影響は大きい。われわれは何のために議論しているのかわからなくなる」」こう言っているのです。  あなたは一般消費税、売上税、こうやってきたから、ずっと頭の中にあるから、これは失礼ですけれども老いの一徹で――ごめんなさい。老いの一徹というのは取り下げますが、思いを込めてあなたは本音を言われたかしれない。しかし、あなたは会長なんですから。そして、公聴会国民意見を聞くんだ、あなたは、自由な意見を聞くんだ、こう言った。そうなら、これを持っていって説明をすればいいじゃないですか。だから、私は、会長としてこれは大変行き過ぎだ、こういうふうに思います。  そこで、二月五日の総会では、お決めになられたのは「税制改革の基本課題」。結局まとまらなかったから「基本課題」ということをお決めになって、そしてそれでいったわけですね。だから札幌なんかでも、何のためにやっておるかわからぬという議論も出てきておるわけです。会長だけが突っ走っている。私は、だからそうなると、まさにこれは大蔵省の隠れみのとしての役割を果たしているんじゃないか、そう言わざるを得ない、こう思うのです。いかがですか、会長。
  21. 小倉武一

    小倉参考人 ちょっと申し上げますけれども、先ほど申しましたように、またお尋ねがありましたように、案というものがあって、その案についての可否を問うという格好の公聴会でありませんのです。したがいまして、出かける者は自分の意見を自由に述べてよろしいというのが原則なんです。もっとも、先ほどお示しの、今のこの基本的なことを書いた課題がありますが、その課題自体も、中には例えば新型間接税については導入の可否というふうに書いてあるわけです。何も決めつけておるわけではないのです。決めつけてないことについては各委員が自由に自分の意見を述べるのは差し支えない、ただ、委員同士が余り激論にわたらぬようにという注意だけはお願いをしておるということであります。  議論の種をまくためにそういうことをいたしておるわけで、私が何を言おうとそれでもって税調が決まるわけでもないわけですから、余り微力過ぎて、私の一声でもって決まるような税調じゃないことを甚だむしろ残念に思うくらいです。
  22. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 加藤寛間接税部会長も、これは三、四年じっくり時間をかけなければいかぬ、こう言っておられるわけです。でありますから、あなたは、先ほど言いましたように、一般消費税からずっとあるから、ここに思いを込めておられるのはわかりますよ。しかし、それは何のための政府税調かという意味で大変行き過ぎている。この点についてはいずれ総会でも委員の皆さん方からあなたに対してそれぞれ御注文というか苦言というか、そういうものがあろうと思いますけれども、それは国民参加の税制改革税制改革というのは、まさに税法と民主主義という点でいいますならば、日本の税法改正というのは民主主義のルール、手だてというものをとっていない。売上税の問題を次にやりますけれども、そうした点ではアメリカ、イギリス、そういうものと比較をして、税制改革民主主義という政治の根本の問題を会長にはもう少しきちっと踏まえて、間違いのないようにしていただきたいということを、大変失礼ですけれども申し上げておきたい、こういうふうに思います。  竹下総理お尋ねをいたしますが、三百議席をもってしてもなお売上税が廃案、こういうことになりました。なぜなのか、挫折の原因というものを明らかにしていただきたいと思います。
  23. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 結論的に申し上げますならば、さまざまな御批判をいただき、結局廃案になったわけでございますから、これは国民の皆様の十分な理解を得るに至らなかったということに、整理してみれば尽きるのではないかというふうに考えております。
  24. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 なぜ国民の支持が得られなかったのですか。
  25. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これについてはいろいろな議論がございますが、国民代表していただいておるこの国会において、審議の実態にすら入れなかったということが、私は支持の得られなかった象徴的なものではないかなというふうに反省をいたしております。
  26. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 どうぞ会長。どうもありがとうございました。  私は、これはやはり税法改正と民主主義というものの問題だ、こういうふうに思います。  ここに、これは会館のそれぞれの部屋にほうり込まれておる雑誌でございますが、三宅さんという政治評論家が政府の税調の委員もしておるわけですね、こう言っているんですね。「私は税制調査会のメンバーですが、初めの頃は、売上税についても、まったく知識がありませんでした。最近ようやく解ってきたような状態です。」これは去年の七、八月のものですが、「マスコミも議員も、ろくに解っていないうちに売上税が俎上に乗った。未消化であることは事実ですよ。中曽根政権が三百四議席取って圧勝し、」云々、こうなっているんですね。「きわめて短時日のうちに、スルスルッと出てきた」「税調のほうでも非課税品目」云々、こういうふうに言っておるわけですが、要するに政府税調委員もわからぬものを、つまり大型間接税の見解ですね、そしてさらに一昨年の衆参同日選挙における大型間接税を導入しないという、そのときには大幅減税、そして間接税は入れない、この二つを公約してあの三百四議席、それがとれると同時に直ちに行動が起こされたわけであります。  しまった。政府税調会長帰っちゃった。きょうは本当は後の方にしておったのだけれども、会長が先にと言うものだから少し順序があれしているのですが、三百四議席を一昨年の七月六日にとった。そうしたら、七月十八日には政府税調の第三特別部会が「間接税に関する税制調査会専門小委員会報告」というものをもう出しているわけです。そして十月二十八日には「税制の抜本的見直しについての答申」というものを出して、だっと来たことは記憶に新たなところであろう、こういうふうに思います。  だから、「権力支配の構造」という本等によりますと、「大蔵省の主税局に対してウサギのように従順な政府税調」という表現もしておりました。会長の見解も少し聞きたいと思っておりましたが、お帰りいただいたものですから聞けませんけれども、そういう形で出してきた。  そしてしかも、売上税についてはベストだと中曽根首相は言われたのです。ベストだ。竹下幹事長もそのベストを支える、宮澤大蔵大臣もそのとおり、そして当時の安倍総務会長もそのとおり、そういうことで突っ走ってきたわけですね。ベスト、つまり一昨年の政府税調抜本改正ですよ。去年の十月にもまた抜本改革ですよ。毎年、抜本改革抜本改革という答申が出てきて、そしてそれでベストだという案を出してこられた。それがなぜ支持されなかったか。そのことを反省せずして、今三百四議席を背景に何が何でも税制改革だということは間違いだ、こう私は思うのです。もう一度、竹下首相の反省の弁を伺いたいと思います。
  27. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今立場こそ違え、川崎さんが一つ一つ指摘されたこと、これはみんな私どもの反省の重要なポイントであるであろうというふうに、私も問題意識を整理して持っております。したがって、また考えてみますと、それだけベストであると当時考えたものが廃案になったという、これは冷厳な事実でありますから、しかし、それを契機として国民全般に、十年来ではございますものの、さらに税制論議が高まってきたという現状認識の中で、そういう反省を踏まえながら、どうしたら今度は廃案にならぬようなものが御議論いただけるかということを一生懸命それこそ渾身の努力を奮って考えておるというのが現在の段階でございます。
  28. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私は、だからそれが税制改革の民主的な手続の問題だ、こう言うのですよ。  イギリスでは、一九七〇年六月の選挙、これは保守党が勝ちますね。そのときにも付加価値税の導入を公約しているわけでありますけれども勝つ。そうすると、グリーンペーパーという、つまりイギリスにおける税制の問題点というのを出してまいりましたのは翌年の七一年三月なのです。そのグリーンペーパーで国民に議論を起こす。そしてそれをさらに意見を入れてホワイトペーパーという、つまり税制改革の大綱、法案の形にしたものを出すのはさらに翌年の七二年三月二十一日ですね。  つまり一年グリーンペーパーでやって、さらにホワイトペーパーにする。そのホワイトペーパーを国会に提示するのが七二年八月。実際に法案が通り、実施されるというのは七三年四月。つまり三年かけているのですよ。それが国民参加ですよ。今竹下首相は十年、こう言われる。それは政府税調なり党税調なりを中心にした十年間だ。国民と一緒の十年間じゃないわけです。いかがですか。
  29. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私、あえて十年と申しましたのは、税制改革の議論が本当にこの国会で取り上げられるようになったのはもとより取引高税のとき、昭和二十三年等も事実であるにいたしましても、やはり五十三年の暮れに政府税調から答申をもらったとき以来ではないかな。ただ、その当時と今と国民のこれに対する関心の度合いというものは、これは年々違ってきて、今まさに国民総税調というぐらいなところへ来ておるというふうな認識で私はこれに対応しておるということでございます。
  30. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それはあなたの主観的な考え方なんですね。それで、やはり売上税が廃案になった。そうすると、包括的な税制改革ということについて取り組みますためには、基本理念、それから現行税制の問題点、新税制の内容、それから税制改革の影響、私はこうしたものが全部そろえられて国民論議に提供する、それが政府責任だ、こう思いますが、いかがですか。
  31. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今いみじくも四つに整理して、理念から影響に関してまで、そういう角度からまさに今議論が進みつつあるのではないかというふうに、私は今がまさにその時期ではないかというふうに、議論が進んでおるという時期そのものではないかという認識を持っております。
  32. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 では、アメリカと少し比較をしてみたいと思うのですけれども、アメリカの場合は、まず大統領の演説で、一九八四年の一月の一般教書で税制改革についての方向を打ち出すわけです。この税制改革の方向については大変明確に打ち出し、そして八四年の十二月までにリーガン財務長官に原案をつくらせる、そしてそれを報告させるのだという道筋を出すわけですね。そしてその出されたものを、今度は大統領のところで十分練ってまた議会に出してくる。議会に出されたものを、これは前に補正予算のときにも中曽根首相のころに私は取り上げたこともございますけれども、アメリカにおいては下院、上院で大変な時間をかけている。そして大変多くの人々に公聴会においでをいただいて議論をしておる。八千ページまでその議事録があるわけですね。そういう手続を経ているわけです。つまり手続が大事だと思うのです。ところが、この秋に成立させよう、そういうことが先行しておるわけです。  小渕官房長官お尋ねをいたします。この国会は五月の二十五日ですね、会期末が。その五月二十五日の会期末のこの国会に提出予定法案として税制改革関連法案というのが入っているわけです。そういたしますと、つまり政府としてはもう案を出すのだという構えになっている。しかし、国会国民の議論は全然そこまでいっていない。しかも納税者番号の問題であるとか不公平税制の問題について議論をしようとこうして進められている。そのときに、あなたは官房長官として提出予定法案の中に、五月の二十五日までの中で提出予定ということで出されておるのでありますが、どういうあれで出されるつもりか、伺いたいと思います。
  33. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 御指摘のありました税制関連の抜本改正法案につきましては、現在検討中ということでございまして、提出予定法案ということでは議院運営委員会に御説明申し上げておりませんで、政府といたしましては、税制調査会その他で、現在御諮問申し上げておりますそうした結果を待ちまして成案を得るべく努力をすることであろうと思いますので、現在は検討中ということに相なっておるわけでございます。
  34. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 この新聞も毎日宿舎に入れられている新聞でございますけれども、世界日報という新聞でございます。これもあなたの記者会見ですか、官房長官に聞くというのが入っておりますが、これを見ますと、「税制改革、今しかない」、これは要するに三百四議席、これでやる以外ないのだという考え方なのです。(発言する者あり)だから、そういう税制改革について手続を経ないということは、私は――権威のない新聞に記者会見しているわけだから。そこで、そういたしますと、初めに法案を出す、そして今しかないのだ、こういう形でくると、つまり手続を経た議論ではない、そういうことでは私はいけないと思うのです。  では、官房長官の方に、そういう政府税調を抜きにして党税調が動き出し、そして案を出してくる、こういうことを想定をしておるのか、あるいはきちっと手続を経るつもりなのか、その点伺いたいと思います。
  35. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 今お示しをされました新聞のインタビューを受けた中での記事かと存じますけれども、現在、税制改正に関しましては、現下の急務の最大の課題であるということを実はその中で申し上げておるところでございまして、このことにつきましては、私も、総理、大蔵大臣、後ろでこの質疑と応答をお聞きをいたしておりましても、渾身の努力を払って努力をされておられることは承知をいたしておることでございますので、私も、竹下内閣の一員といたしましては現下の重大問題として税制改正に取り組まなければならない時期であるという認識をいたしておることを申し述べたことでございます。
  36. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 宮澤副総理にお伺いしたいと思いますけれども、きのうですか、この公聴会で東京大学の貝塚啓明先生が税制改革について、やはり廃案になった後の手続というのが大変大事だということをお述べになり、さらに今条件が変わった。つまり八六年の税制抜本改革の基本方針が出た、八七年にまた出ました。しかし、この二つをめぐっての、今日と考えると違う。それは一 つは、貝塚先生が言っておられるのは、土地と株の異常な値上がり、そこからくる不公平感が大変増大をしておる、こういうことを言っているわけですね。それが一つ。クロヨンとかその他従来あったサラリーマンの不公平感という面もございます。と同時に、株と土地という問題の異常な値上がりからくる不公平感という国民的な問題。そしてもう一つは、財政事情が変わった。つまり自然増収がうんとふえているし、NTTの株は一時的でございますけれども自然増収がうんとふえている、こういう状況で客観情勢が違う、変わっておる。私もそう思います。  といたしますならば、この税制改革民主主義という観点からいたしますならば、スケジュールをつくって急ぐべきではない。政府税調を使ってやるようなやり方はいけない。その点は主税局がそういうコントロールをしておるわけでありますけれども、その責任者としての大蔵大臣はこの問題について慎重に、国民意見を十分、国民参加のもとに進めていくということについての方針を伺いたい、こう思います。
  37. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、資産、所得、あるいは資産そのもの、土地と株のことを仰せられましたが、そういうことからくるいわゆる課税上の不公平感というものがこの二年ほど相当大きくなっているということは私は事実であると考えます。したがいまして、それについてもしかるべく税法改正の上で対処いたさなければならない。一部は既に対処をいたしておりますけれども、今後とも考えていく問題であろうと思います。  次に、財政事情が多少よくなっておりますことは事実でございます。ただ、ここまでのところの自然増収は実は余り正常な形とばかり申せない点がございまして、すなわち、そういう資産、土地等から生じます譲渡所得であるとか、あるいは相続税であるとか、あるいは株式の高騰から生じますところの有価証券取引税でありますとか、あるいは法人税にいたしましても、本来の業務によるものよりはいわゆる財テクによる利益であるとか、多少そういう不正常なと申しますか、一過性のものが見られております。  しかし、こういうふうに経済がやや回復をいたしてまいりますと、今後はその自然増収がもう少し正常な形で出る可能性がある、また、それは望ましいことでありますが、それはどういうことであるかといいますと、所得税であるとか法人税であるとかいうことになりまして、たださえ高い直接税からの増収が非常に大きくなるということに正常化すればなるはずである。そのことは、実は今の税制にありますところの重税感、個人あるいは法人の重税感というものをさらに増す形で自然増収になってまいりますので、それは好ましくないことではないかというふうに思うわけでございます。  つまり、そのような重税感をなくして、私どもで申せば、広く薄く国民に負担をしてもらうような、いわゆる間接税の比重をもう少し上げるべきときだと考えているということをしばしば申し上げておりますが、このままほっておきますと、自然増収がもっともっと直接税のウエートが多くなる形で出てまいる可能性が高い。それはやはり考えなければならないことではないかと思っておるわけでございます。
  38. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 でありますから、そこの不公平をどう直すかというクロヨンの問題があるわけですし、その問題を抜きに入るわけにはいかないわけですね。そうすると、これをどうするか。あるいは土地の問題について言えば、土地税制というただ税制だけの問題ではない。こうなりますと、それらの問題が片づかなければ長期の展望はできないわけです。そういう中で、ただ広く薄くという、高齢化社会という先の問題を踏まえてやるというやり方は私は問題だと思う。でありますから、それだけに、時間をかけるということは今の宮澤さんのお答えからも当然出てくる。時間をかけなければならない問題だ。先にやらなければならぬものは何か、不公平税制の是正だ、そういうことを抜きにして入れないということをいみじくも言われた、私はこういうふうに思います。  そこで、もう時間が大変なくなりましたので、最後に、この税制の問題の最後奥田委員長お尋ねをいたしたいのです。  先般、上田理事が二月の六日、総理お尋ねをしましたときに、大型間接税の定義をやりたい、出しますと言明をしたわけです。これはただ単になかなか難しいからどうかなということではなくて、出しましょうと。だから、これは責任を持ってするわけでございますが、きのう理事会で奥田委員長は、この首相の答弁について保証する、こういうことを言っておられるわけでありますが、委員長お答えを伺いたいと思います。
  39. 奥田敬和

    奥田委員長 お答えします。  上田理事が、過日の質問において総理に、新型間接税の定義云々の御質問があったということは私もお聞きいたしております。  総理答弁としては、大変難しい問題だけれども取りまとめるために努力をしてみたいという趣旨の御答弁がありました。目下総理も、定義という言葉が那辺に、どういう、正確な形での解釈は別といたしまして、目下努力を継続されておることと存じます。当然、上田議員の質問に対しては何らかの見解表明があるということを確信いたしております。
  40. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、この時期がどうなるか、それは理事会でまた検討いただくことにして、保証するという委員長の見解を伺っておきたい。
  41. 奥田敬和

    奥田委員長 答弁の保証はいたします。
  42. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 はい、そのことを伺っておきます。  そこで次は、問題を変えまして、農産物の問題についてお尋ねしたいと思います。  十二品目のガット裁定の問題ですが、十品目受諾をした、でん粉と乳製品については自由化をしない、こういうことでいっておるわけでありますが、まず外務大臣にお尋ねしたいのです。  それは、二月の理事会の後、農水省が出しましたガット理事会の討議結果について、こういうのを読んでみますと、私、これは大変重要な問題があると思うのです。また、農水省の塩飽国際部長理事会から帰ってまいりまして記者会見をしておるのを読んでみますと、例えばフィンランドとかオーストリアとかスイスとかカナダとか、そういうところは非常にいろいろ発言しているわけです。採択賛成と言いながらも発言をしているわけです。特にオーストリアなどは、アメリカがウエーバーを根拠に乳製品などの輸入制限をしていることは、ガット締約国の間に不公平があるということを言っているのです。外務省として、昨年十二月の総会に至るまでの間、これらの食糧輸入国とどんな話をしたのか、日本の立場をどう説明をしたのか。  これは時間がないので、総理、また総括のときにもやりますけれども、つまり農産物の輸入という問題は、国際秩序というのは輸出国の優位の秩序なんですね。半導体などの工業製品について見ますと、日米間でいえば、これは通産大臣も関係しますが、輸入国であるアメリカ側。そうしますと、農産物輸出のアメリカ、半導体輸入のアメリカ、全部振り回されているのですね。これは全部振り回されている。だから、これをどうするかというのは今後の日本政府としての大変大きな課題でございまして、きょうはもう時間がないので予定しているものの中で入りませんから、これは次の総括でまたいたしますけれども、そういうガットの問題に関して言えば、つまり輸出国優位という今のガット体制、そしてやられたこの裁定についての解釈に、農水省は、日本政府の方はいろいろと文句を言っているわけだ。この文句がどうなるかというのは、解釈の仕方はこれから大変大事な問題になってくるわけでありますけれども、外務省として、その十二月の総会を迎えます前にどういう交渉をこれらの輸入国とやったか、明らかにしてほしいと思います。
  43. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 十二品目は、御承知のとおりアメリカ、日本、二国間問題がガット提訴という経緯を踏んだわけでございますから、今川崎委員が申されましたアメリカのウェーバーの問題とかあるいは輸出補助金の問題とか、そういう問題に関しましては、私自身も実のところは昨年ガット総会出席のときにアメリカの代表に抗議をしております。そして、十二分に日本の立場を明らかにするように申し上げております。それに対しましては、ウルグアイ・ラウンドで今度は農業問題を上げよう、そこでひとつ私たちは考えたいというような返事もございましたが、もちろん外務省といたしましては、農林省とともどもになりましていろいろな国々に対しまして十二品目の説明を行っております。
  44. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 事務局、具体的にお答えいただきたいと思います。
  45. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 お答えいたします。  十二月の前の時点におきまして三回このパネルの討議が行われておりますが、その機会を通じまして、あるいはその前後、直接関係各国に対しまして我が国の主張を開陳している次第でございます。  なお、十二月の会合の時点におきましては、各国とも一括してこのガットパネルの勧告を採択すべきであるということの重要性を主張いたしまして、二月の会合におきましては、二月の会合でこのパネルの結論が採択されました後に、先生御指摘のとおりガットの解釈の一部に異議があるとかあるいは米国はウエーバーによる輸入制限をしておるではないかということで留保をした国があることも事実でございます。
  46. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 つまり、採択すべきだという前提でやってきているわけですよ、外務省は。だから、事前にそういう輸入国の間で、つまりウルグアイ・ラウンドのそこまで当然延ばさにゃいかぬ。四十年前のアメリカが圧倒的な優位な態勢を持っておった、そのときの特権というのを今日もなおフルに使っているわけですが、そういうことに対してきちっと各国との間の話し合いは行われていない、ただ会合で言っているだけだというふうに私は思います。  外務大臣にお尋ねいたしますけれども、例えば沖縄のパイン、これは米軍基地で土地をとられて、山に追われて、酸性土壌のところでパインをつくっておるわけです。軍事基地との関係があるわけです。では、外務省はこれらの沖縄のパインの現地に視察に行かれましたか。あるいは、北海道の百年の農業がつぶれようとしておる、その北海道に行って現地を見、現地で話をしましたか。あるいは私の鹿児島も、これは芋は中国から沖縄を通ってまいりましたのが二百七十年前なのです。では、現地に行って外務省の諸君が現地の農民の悩みというものを聞いてやりましたか、伺いたいと思います。
  47. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 外務大臣就任以来非常に多忙をきわめておりますので、残念ながら行っておりませんが、今度は、特に北海道に関しましてはやはりガットで問題になった地域でございますから、今後自由化は反対という立場を貫きたいと思っておりますので、実は行く予定をいたしております。  なおかつ、沖縄に関しましても、今、川崎さんが申されたと同じことを私はアメリカの担当官にも申し上げておりまして、したがいまして、日本の農業の特殊性に関しましては、その都度相手国並びに関係各国に申し伝えてあります。
  48. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 このガット問題、農産物の問題、農政全般については辻委員が本格的にやられます。ただ、私は北海道並びに鹿児島という状況の中で取り上げざるを得ないわけでございます。  農林水産大臣お尋ねをいたしますけれども、裁定の問題、これは解釈をいろいろしております。解釈はいろいろしておりますが、これはもう牛肉、オレンジにも、米にもすぐ次にどんどん来る。つまり、解釈の食い違いからどんどん広がっていくということになると思いますね、今のところ。そういたしますと、今回、眞木経済局長がアメリカに参りまして日米農産物交渉をいたしておりますが、牛肉、オレンジの問題につきましても三月で切れるわけでありますが、自由化を明示しない限りだめ、こういうふうな形で、またガットに入れるぞ、こう来ておりますが、言語道断だ、こういうふうに思います。でありますから、この問題について農林水産大臣としての決意を向いたいと思います。
  49. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど外務大臣にお尋ねのあった、政府部内で何か違いがあるのではないかというようにもとれる御意見がございましたが、私に御指名ございませんでしたが、しかし、これは大事なところでございますから、一言それを先につけ加えさせていただきたいと思います。  ガット理事会、二月二日の前日でございましたが、当然のことながら政府・与党一体、こういう観点でまず政府部内においても真剣にやる。しかし、専門的に検討をするのは我が省でございますから、我が省で実はプロジェクトチームを二月一日付で設置いたしまして、真剣にその対応策を考えておるところでございます。これは八品目についてでございます。  しかし、こうしたことが海外から、特に米国からの一連のいろいろな言動によって、公式、非公式とを問わずいろいろなことが報道をされておりまして、私自身も多少のいら立ちを感ずることさえございますけれども、ことは冷静に、私どもは国際的に孤立をしてはならぬ、もちろんその前提としては国内の農政に大きな禍根を残す、地域農政に禍根を残すというようなことがあっては絶対にならぬ、こういうことで真剣に今努力をしておるところでございます。  もちろん牛肉、かんきつにつきましては、十二品目問題とよって来るゆえん、経緯は違いますけれども、しかし、これがまた直ちに十二品目の扱いによってどう影響するかということについては、多少の、若干の影響はないと断言はできません。しかし、先ほど申し上げましたように、我が国は我が国の方針があるわけでございますから、これを十二分に理解をしていただくように一日も早く牛肉、かんきつ等についてもテーブルに着いていただきたい、こういうことを今アメリカ側にアプローチをかけておる、そういう状況にございます。
  50. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 細かいことをお尋ねしますけれども、自由化を受け入れたブドウ糖とかあるいは牛肉調製品、こういう問題は、その解釈によってでん粉、さらには国内の肉生産というものに直接打撃を与える、こういうことになるわけでありますが、この点についての明確なお答えを伺いたいと思います。
  51. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今概括申し上げましたように、申し上げたような考え方で今、川崎委員申し述べられたことにつきましても真剣な対応を今検討しておるところである、こういうことでございます。しかも、地域農政が崩れたのではこれは元も子もございませんから、そういう意味で真剣である、こういうことでございます。
  52. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、あとガット並びに農政全体の問題は辻委員の方に、これは総括で取り上げてまいりますが、譲りたい、こう思います。  私の残り時間は少なくなってまいったのでありますが、南アフリカ問題についてお尋ねをいたしたい、こういうふうに思います。  日本が米国を抜いて対南ア最大の貿易国になったということについて、通産省は円高のためだ、こういうふうな言い方をしておりますけれども、決してそうではない、こう思います。一九八六年、レーガン大統領の拒否権を破って、アメリカの上下両院では三分の二で対南ア包括制裁法案を可決しておるわけですね。そしてそこから、つまりアメリカはIBMなどを初め百社以上の進出企業が撤退をしておるわけであります。その間隙を縫って、今度は日本が伸びていっている。  私は、日本は貿易立国でございますし、貿易を伸ばさなければいかぬということは大変大事な問題だと思います。しかし、これは日本の外交あるいは貿易、通商、そういうものの場合に、経済大国になっただけに大変大事なことは、基本的人権とか民主主義とか自由とかというものを守る原則があくまでも根底にあって、それで通商なりというものが進められなければならない。外交関係もそうだと思います。  そういたしますと、アメリカを抜いて日本が世界一になったということについて、今世界からもまた国連でもいろいろな非難を浴びております。そういたしますと、このことに対して、人類の犯罪を終結させるためにはどうすべきか。南アフリカにおけるそういう人類の犯罪を終結させるためには、南ア政府に対して経済的な打撃を加えるしかないという認識が国際的な潮流になっておる、こういうふうに思います。でありますから、そのことについての外務大臣の見解を伺いたい。また、私が今指摘しましたような立場に立って、通産大臣のお答えを次いで伺いたい、こう思います。
  53. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 南ア問題に関しましては、今、川崎委員のおっしゃるとおりの精神で我々も臨んでおります。特にアパルトヘイトに関しましては、やはりこれは重大なことでございますから、私も外交演説で冒頭に申し上げておきましたが、そういう姿勢を貫きたいと思います。  ただ、御指摘のように貿易面におきまして、ドル高・円安ならいいのでしょうが、円高・ドル安というようなことでございますから、結局そうしたことでドル換算をすると貿易額が前年対比一九%ぐらいはふえたということが指摘されておりまして、やはり日本はそうしたところで稼いでいるのかという非難は、国連においても一つの大きな決議となってあらわれたわけでございますから、より慎重にこの問題に対処していきたいと考えております。  今までアパルトヘイト反対立場を貫くためにやってまいりました幾つかの施策は、ここで申し述べますと時間がかかりますが、もう御承知のことだろうと思いますが、今後の新しい問題といたしまして、この間通産大臣も経済界に対して強い要請を発せられました。私も近く経済団体の方々とお目にかかりまして、これだけではありませんけれども、そのほかもろもろの問題の中の一つの重要な問題として、この問題に関してひとつ自制を促したい。また、国際協調の線というものを守ってほしいということを強く訴えたい、かように思っております。
  54. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ちょっと通産大臣、一言申し上げておきたいと思うのですが、福川通産次官は、日本の貿易界に一段と強く南アとの取引自粛を求めるなど新たな措置を考えない、こういうふうに記者会見をしておるわけでありますが、通産大臣の見解を伺いたいと思います。
  55. 田村元

    ○田村国務大臣 福川君がどういう発言をしたか実は私も存じませんが、恐らく会見でなく懇談か何かでしゃべったのじゃなかろうかと思います。それは、ちょっと報道がやや正確でなかったのか、あるいは本人の言ったことが舌足らずであったのか、私はそれは存じませんが、内容を具体的に聞いておりませんけれども、恐らくその趣旨としては、外務省と緊密な連絡をとりながら、日本の従来のアパルトヘイトに対する考え方を堅持しながら、国際協調のスキームの中で対応するという意味のことを言ったのではなかろうかというふうに思います。
  56. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それで、通産大臣どうする。
  57. 田村元

    ○田村国務大臣 私は、先ほど宇野外務大臣が申しましたとおりでありまして、率直に言って外務省と通政局が角突き合わせるばかりが能でもありますまい。こういう国際問題、特に人道上の問題でございますから、十分に連帯感を強めながらすべてにおいて相談してやっていくことが最善のことと思っておりますし、また次官以下にそれを強く申し渡してございます。
  58. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 竹下首相にお尋ねをいたしますが、昭和五十九年九月二十日の日本・南アフリカ共和国友好議員連盟、あなたがこのメンバーでありました。また、小渕官房長官もそうですね。それから、今いませんが山下徳夫筆頭理事、それから志賀節さん、こういう人たちがみんなこのメンバーになっておるわけですね。私は竹下総理に、このメンバーになられたお考えを伺いたいと思います。
  59. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 いわゆるアパルトヘイトに対する毅然たる態度ということは、政府の一貫した方針であります。  で、私自身役員にはなっていないと思うのでありますが、いろいろな国との友好議連に対しては、例外なくと言っていいように今日まで加盟しておることは事実でございます。
  60. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大変わからぬのですね。つまりあなたは、今総理ですけれども、総理を目指しておられたわけだ。その人が、この友好議員連盟の趣意書、これを見ますと「ボータ政権も最近、黒人の労働組合権を認め、さらにアジア人、カラードの国民議会への参加を認める新憲法草案の国民投票を行なうなど、歴史的変革に着手し始めました。」前向きに見ているわけです。そして、さらには「一例をあげると兵器と精密機械に不可欠の、クロームは全世界の埋蔵量の九八%まで南アフリカ共和国とジンバブエ」云々、こういうことで「重要な交易国でもあります。」「ひとり日本のみは未だに外交の正常化すら試みておりません。」だから友好議員連盟をというのが趣意書なんです。  石原運輸大臣は当時その幹事長をしておられたわけでありますが、その趣意書というものを考えますときに、人類の犯罪、こういうことでこのアパルトヘイトに対しては終始国際連合で厳しく指弾をされてきておるわけでありますが、私は石原運輸大臣のこの趣意書を見る限り、その反省というか認識は大変欠けているのではないか、こういうふうに思います。いかがですか。
  61. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 私たちは、いかなる人種差別にも原則的に反対をいたしております。これは閣僚としても、それ以前に政治家としてもその姿勢は変わりませんが、ただいろいろな関係で非常に重要な国でございますし、特に西側の中の非常に貴重な資源の供給国でもありまして、この国が政治的に安定しないと世界全体に大きな影響があるということで、むしろ孤立をするよりも私たちが踏み込んでいって説得なりあるいは情報を交換して、相手の新しい認識を促すということも必要であろうと思ったので、そういう会に参加したわけでございます。  ただ、その時点とその後大分また政情も変わってきたようでございまして、また、私たちが彼らにそういう会を通じ、あるいは個人的にも説得しましたことは、日本の中で非常に情報が枯渇しているので、いろいろジャーナリスト等の入国制限をしているようでありますけれども、それをもっと積極的にさせて内情を見せた方がよろしい。それから、あなた方は有色人種というものを差別しているようだけれども、日本人も紛れもなく有色人種の一人であるが、我々がこれだけのすばらしい国家をつくったそのゆえん、いろいろありますけれども、例えば非常に教育というものが普遍して高度に進んでおる、そういった投資をあなた方が指導力を持って黒人の方々のためにも行っていくべきではないか、そういった忠言も積極的にいたしました。  そういう意味で、私たちは南アの政情が安定するということを期待もしておりますし、またアパルトヘイトが解消されることを望むことは当然でございます。
  62. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 あなた自身が日本と南アとの間の航空機乗り入れを一生懸命やられたりしておるわけでありまして、また希少金属があるからということであれしておりますけれども、しかし政治的に安定をするという、そこが問題なんですね。政治的に安定をするということは、今のこのボタ政権のアパルトヘイトを進める、その中での安定なのか、そうじゃなくて黒人の人権が守られる、そうした方向なのかということは、今のあなたのでいくと、つまりボタ政権の安定ということを西側として大事だというふうに受け取れるわけでありまして、アフリカにおけるそうした民族独立という問題の中で、私はナミビアのこのSWA POの諸君ともかつていろいろ要請を受け話し合ったこともございますが、今武力で占領しているわけですね。そういう政権に対して、私は今のあなたの弁解というのは、決してこれは受け入れられるものじゃない、こういうふうに思います。
  63. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 繰り返して申しますが、私たちが南アに望んでいる政情の安定というのは、決して現政権が白人優勢のもとに安定するということではございません。あくまでも人類にとっての懸案であります人種差別というものが撤回されて、そして黒人の生活が向上し、白人と肩を並べた生活が保障される中での安定でございまして、そこがちょっと御認識が違うといいますか解釈が違うと思います。それを一つ念のために申させていただきます。  それから、私たちがいろいろ知りましたこと、日本で余り報道されないことの中に、例えば黒人問題を解消するための二十数人の委員会などが設置されましたけれども、調べてみますと、その中の二十人近くの方々がルムンバ大学の卒業者である。ルムンバ大学というのは、御存じのようにこれはモスクワにありますけれども、決して学術のための大学ではございませんで、あくまでも共産主義というものを普遍し、それを革命によって実現していくための要員を養成する大学と聞いております。そういった事実も踏まえながら、それでもなお私たちは、平和的に人種差別の問題が解消されて、黒人と白人が力を合わせた形で南アの政情が安定することを強く望んでいるわけでございます。
  64. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 経済制裁についてどう思うのですか。経済制裁をやる以外に解放はできないということで、今世界が進めているのです。あなたは違うのだ、それと。
  65. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 それはまた一つの方法であると思いますけれども、同時にやはり、制裁ということも並行しながら私たちは説得すべきものは説得し、彼らがその説得に応じて教育等の普遍で黒人の生活を向上する努力をやはり誘発していきたいと思っております。
  66. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 この問題は後ほど関連をして井上委員質問いたしますので、私はこれで終わっておきたいと思います。  大変大きな、事前協議の問題であるとか日米首脳外交等日本外交の問題あるいはココムの問題、これらがありますが、私の分け合った時間が大変短くなりましたので少し基本的な点をお尋ねをしておきたい、こういうふうに思います。  日米首脳会談であなたはレーガン大統領と胸襟を開いて話し合った、こういうことでございます。そこでお尋ねをしたいことは、このINFの全廃条約、これは大変大きな、大きいというか一歩前進であった、人類にとって。そのことをあなたはレーガン大統領と話し合われたし、また、この六月と言われておりますモスコーにおける今度は米ソの首脳会談というものが予定をされておるわけでありますけれども、戦略核の五〇%削減というのが次の課題になっているわけでありますが、そのことについてレーガン大統領がどういう決意あるいは方針というか抱負を述べられたのか、胸襟を開いたあなたの中でのレーガン大統領の考え方というものを伺いたいと思います。
  67. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私自身が感じましたのは、INF全廃条約の署名等に向けてのいわゆる苦労話とでも申しましょうか、その経過のお話は、素直に私はこれを承っておりました。そうして、ここまでこぎつけたからにおいては、この今後の戦略核の問題等について、事前にそれこそシュルツさん等いろいろな御苦労があるところでございますけれども、みずから相当な準備を行った上に決意を持ってそれに臨むという強い意志をうかがい取ることができたというふうに私は思っております。
  68. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで、INF全廃に至る世界各国、主に西側、こう言ってもいいでしょう、その場合にサッチャーさんは、ゴルバチョフさん、ワシントンに行く前にちょっと寄りなさいといって話し合いをしましたね。そしてさらには、ペレストロイカに対する金融という面についての約束をサッチャーさんはしているわけです。特に、一番ヨーロッパの中のかなめでございます西ドイツのコール首相は、大変厳しい、つまりヨーロッパの安全保障の中の今後も大きな中心になりますけれども、パーシングIaを撤去するということについて踏み切ったわけです。それからミッテラン大統領も、これまでの間に何遍も行ったり来たりしながらお互いの、ヨーロッパと東側との交流ということについては努力をしてきているわけです。  日本は何をしたか。私は、中曽根前首相の国際情勢の認識は大変ずれておった、こう思います。それは言うまでもなく、ボン・サミットではヨーロッパに核配備を中曽根さんは主張された。さらには、去年のベネチア・サミットではアラスカに核配備を主張された。つまり、核をいかに減らしていくかということを米ソは一生懸命議論をし合っている。そして世界も動いた。その中で、日本はひとり核配備を言ってきた。私は、大変な時代の認識のずれであった、こういうふうに思います。いかがですか。
  69. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 サッチャー・イギリス首相のいわゆる対ソ観、それからコール西ドイツ首相の対ソ観、それぞれ私どももかなり綿密に分析をしておるところでございますが、今おっしゃった問題を振り返ってみますと、ウィリアムズバーグ・サミットというものがあって、やはりこの核廃絶問題については、まずは西側自身が一致して行動をとってレーガン大統領の交渉をサポートしていくという基本認識がウィリアムズバーグ・サミットというものにおいて行われてきた、それが出発点であった。そのときの中曽根総理のイニシアというものが私は大きくこの交渉に影響をもたらしたというふうに、一番原点に返るとウィリアムズバーグ・サミットではなかったかな、こういう自分なりの認識をいたしております。
  70. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それはヨーロッパ側がどんどん減らそうということをやっているときに日本側からそういう配備をやっていくという抑止論、これはずれておったわけです。このことはもう時間がありませんから……。  次には、INFの後アメリカはべリティ商務長官が三月の十五日から十七日にかけて大型の、民間と政府代表団、通商代表団を派遣をしてやります。ところが日本は動けない。三十年ぶりとか二十何年ぶりとかという話もありますが、政府代表団が行こうとしておりますが、東芝問題やココムの問題等に縛られて動けないでおる。ところが、アメリカはINFと裏側でどんどん米ソの貿易を進めておる。ここに日本の動けないでおる今の日ソ間の問題がある。  で、米ソ間と日ソ間の基本的な対立はどっちが大きいかといえば、私は米ソ間の方がグローバルな意味において対立は大きいと、こう思います。その大きい対立をしておる米ソが大きく動いていっている。さらには、ソビエトがアメリカのIBMを買っているなどという問題も出てきておるわけですし、あるいはイタリーのファッションの合弁企業では、イタリーからIBMを、コンピューターを買っているとか、そういう問題もどんどん進んでおる。でありますから、東芝の機械をたたいておる。この問題は、私はもう今これをどう取り外すかということは外交の面においても通商の面においても大変大きな問題だろう、こう思います。  そこで、政府代表団というものがどういうものを出すのか、それが一つ。通産大臣に伺いますが、それからこの東芝機械、東芝問題等を通じて包括的な輸出法案であるとか、これは成立をしておりますね。それから、包括的な貿易法案、大型の東芝バッシングの条項を盛っておるわけでありますが、これはあなたは日本の主権にかかわる問題だ、こういうことも言っておられますけれども、このことについてどう対処しようとしておるのか伺いたいと思います。
  71. 田村元

    ○田村国務大臣 東芝制裁問題につきましてはいろいろと議論はあるかもしれませんけれども、下院の案が上院より相当緩やかであるようだというようなことで、私はそれで能事終われりとするものじゃないと思うんです。率直に言って、従来より下院がいささか対応に柔軟性が出たことはそれは喜ばしいことかもしれませんけれども、しかしココムの原則というものはあくまでも国内法によって対応するものであって、第三国から制裁を食らうものではありません。いわんやグループ制裁なるがごときものは断じて我々は承服できるものじゃありません。でございますから、私どもは一つの現象としては、それは率直に言って少し厳しさが緩んできたようだなという印象を持たないわけではありませんけれども、我々は基本的な考え方をそれによって薄くするわけにはまいらないということを申し上げたいと思います。私どもの基本的なこれは考え方でございます。  なお、ソ連への官民経済使節団の問題につきましては、これは担当の局長から詳しく御説明をいたさせたいと思います。
  72. 畠山襄

    ○畠山政府委員 ソ連へ官民経済合同ミッションを出すという話は、昨年の夏に政府間でまず話が出まして、七月ごろであったかと思いますけれども、その際にそういうものを出そうということについて基本的な合意を見ております。  また、ことしに入りましてから民間同士の会合もございましたが、その際にソ連側から官民の合同ミッションを出してほしいという話がございまして、政府とも打ち合わせの上、そういう方向でことしじゅうに出すような方向で検討しましょうという回答をいたしておるところでございまして、ココムの違反の貿易はぐあい悪いですけれども、それ以外の日ソ間の貿易を遠慮することはないという基本的な姿勢で対処いたしております。
  73. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わります。
  74. 奥田敬和

    奥田委員長 この際、井上一成君より関連質疑の申し出があります。川崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井上一成君。
  75. 井上一成

    井上(一)委員 まず、私は、六十二年度補正予算の編成に当たって、六十二年度の予算には支出官レートを幾らに決めて何を基準にしたか、さらに六十三年度は幾らで何を基準にしたか、この点を聞いておきたいと思います。
  76. 西垣昭

    ○西垣政府委員 技術的な問題でございますので、私からお答えいたします。  支出官レートにつきましては、一年間を通じて一つのレートを適用するということでございまして、六十二年度の補正予算では改めておりません。したがいまして、百六十三円ということでこざいます。  それから、六十三年度のレートにつきましては、その他の外貨関連予算と同じように百三十五円ということでセットをいたしております。
  77. 井上一成

    井上(一)委員 補正予算の組む時期も当初予算の組む時期も同じなんです。そして、補正予算は三月までの執行分、これが支出官レート百六十三円、そして六十三年度の当初予算で百三十五円、非常に矛盾するわけなんです。三月までは百六十三円だ、四月からは百三十五円だ。二十八円の差があるわけなんです。これは本来、補正というものはその時点で私は修正をする、補正の意義というのはそこにある。今、支出官レートは年間を通してだと。過去に年間を通して変更された、そういうことはないんですか。あるでしょう。そういう意味で私は、本来なら補正予算審議はやはり支出官レートを実勢に合わして修正をして国会に提出すべきだと、こういうふうに思うんです。
  78. 西垣昭

    ○西垣政府委員 外貨関連予算の中で支出官レートを適用しておりますものが約三割ございます。これは外国におります債権者に対して外貨建てで支払うというものでございまして、これにつきましては先ほど御指摘がありましたように、かつては年度途中で変えたことがございました。  しかし、この制度をつくりましたのは、会計事務を画一的に処理することによりまして、確実、明確に処理ができるようにする、こういうことでございまして、各庁からの要望も入れまして、たしか五十七年度か八年度に一年一回ということに変えたものでございまして、これによりまして先ほど申し上げましたように事務処理が非常に的確にやり得るようになったということでございまして、私どもは支出官レートにつきましては年間一本のレートが適当である、こういうふうに考えております。
  79. 井上一成

    井上(一)委員 いや、私はこれは当初予算でまた総括でやります。大蔵省としての対応は五十八年から確かに一年間一本。でも、ここ当面は、六十二年度も六十三年度も、その前年の十一月の平均値を出しているわけです。その前は例えば年二回の、上期、下期の平均値を出してやっている。私は、やはりそういう点では、これは特に大蔵省に、そういうことをしてはいけませんよ、一定の物差しをつくって、そしてもし――それならお尋ねをいたしますが、政府間ベースで取引をする防衛予算、瓦長官、FMSにかかわる六十二年度の私の指摘をした百六十三円あるいは百三十五円、いわゆる円高による支出がどれだけ少なくなるんだと、防衛庁長官、おわかりですか。そういうことは報告を受けていませんか。じゃ、経理局長答弁してください。
  80. 日吉章

    ○日吉政府委員 お答えいたします。  FMSに係ります外貨関連経費の執行につきましては、防衛庁としましては日本銀行に支出官レートで支払いまして、実勢レートが支出官レートより円高の場合には日本銀行において差益が生じまして、それが国の歳入に計上されるというようなことになっておりまして、防衛庁といたしましては、絶えず支出官レートで支払うものでございますから、その段階で実勢レートとの間でどれだけの差額が生じたかということは把握し得る態勢になってございません。
  81. 井上一成

    井上(一)委員 私は、総括で、これはあえてきょう要求をしておきます。  日本銀行に納入をされる。私の試算では少なくとも九十億から百二十億、それだけのFMSにかかわる円高による差益が日本銀行へ納付されている。しかし、日銀のドル買い支えによるいわゆる損失というか差損というものも莫大な額があるから、防衛予算についてはこの支出官レートで計算をされた。そういうものについて六十二年度、六十三年度の予算審議総括の中で、補正も絡めた中で私は尋ねていきたい、こういうふうに思います。  続いて、私は南アフリカ問題についてお尋ねをいたします。  先ほど同僚の川崎委員から南アフリカの問題については質問がありました。大蔵大臣に、南アフリカが現在とっているアパルトヘイト、人種隔離政策、このアパルトヘイトについての大蔵大臣の認識を伺っておきたいと思います。
  82. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほども外務大臣からお答えがございましたが、やはり人種差別ということは、これは許してはならないことである、早急に改善をされなければならないことである。  また、ナミビアの問題につきましても、これはキューバが撤兵する、しないという問題はございますけれども、やはり国連が従来言っております線で解決をしていくべき問題だと思っております。
  83. 井上一成

    井上(一)委員 私は、まだ十分な認識を大蔵大臣は持っていらっしゃらないと思います。  それで、外務省、外務大臣は先ほど見解を表明されましたので、条約局長に、条約局長のアパルトヘイトに対する認識を私はここで聞いておきたい、こう思います。
  84. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 私個人の認識ということをお尋ねかと存じますが、私の認識も先ほど外務大臣より御答弁いたしました外務省あるいは日本政府の認識と全く一致しております。アパルトヘイトというようなことは、これは決してあってはならないことでございまして、日本政府はそれに対して非常に厳格な立場をとっているというふうに承知しております。
  85. 井上一成

    井上(一)委員 あらゆる国際条約締結に当たっては、もちろん我が国の国益はもとより当然であります。しかし、人権を尊重するというその立場に立って締結されている、私はそう思うのです。そのことに、条約局長、間違いございませんか。
  86. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 国際法上の一般論として申し上げますと、条約を締結するということ自体は、その相手国との外交関係あるいは領事関係あるいは政治的な関係一般、これに直接の影響はないということになっております。  しかしながら、南アとの間に条約を締結するに際しましては、先ほど来政府側から御答弁申し上げております南ァの現在とっております政策に対する日本政府の基本的な立場、これと矛盾するようなことがあってはならないという見地から考えている次第でございます。
  87. 井上一成

    井上(一)委員 ここで非常にわかりやすく理解を求めるために私はパネルを用意したのですが、よろしいでしょうか。――条約局長に尋ねます。  ウォルビスベイというのがナミビアにありますね。ウォルビスベイはどこの領土だとあなたは思っていらっしゃいますか、まあ念のために。ウォルビスですね。  さらに、南アの代表的な都市ケープタウン、ケープタウンとウォルビス、ウォルビスは条約局長に答えていただきたい。
  88. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) 担当の近ァ局長からお答えする方が適当かとも存じますけれども、我が国のウォルビス湾に対する態度というものは、国連におきますウォルビス湾に関する決議、すなわち「ナミビアの領土保全及び一体性は、ウォルビス湾のナミビア領域への再編入を通じて保証されねばならない」というこの決議の考え方と同一でございます。
  89. 井上一成

    井上(一)委員 おっしゃるとおり、ウォルビス湾に関する国連決議はあるわけです。そして、我が国の高等学校の社会科の地図にもちゃんとナミビアの領土として明記されているわけです、ちゃんと教えているわけです、これは文部省検定のですね。今おっしゃったナミビアである。  ここでもう一点条約局長に聞いておきましょう。  国際電気通信条約、この精神は御存じでしょうね。
  90. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) ただいまの御質問の精神という言葉はよく理解したかどうか自信がございませんが、国際電気通信条約は、国際間におきます各種の通信事務、これを円滑に行うためにつくられている条約でございまして、非常に多数の国が加入しているというふうに理解しております。
  91. 井上一成

    井上(一)委員 諸国間の平和的な協力、協調関係というものも前文できっちりうたわれているわけなんです。あなたは日本のすべての条約、国際間の取り決めを決める総元締めなんですよ。  それじゃ、続いてお同いをします。  今、国と国との国際化の中で通信というのは非常に縮まったというかすぐに電話がかけられるわけです。国際電話をかけるときには、普通、国別番号があり、地域別番号があり、それぞれの固有の番号がある。ナミビアのウォルビスにかける電話番号の国別、国はどこなんですか。条約局長
  92. 遠藤實

    ○遠藤(實)政府委員 事実関係についての御質問でございますので、私の方からお答えさせていただきます。  ウォルビスベイにつきましては、カントリーコードといいますか、これは現在南アと同じコード番号が使われております。
  93. 井上一成

    井上(一)委員 私は先ほど資料として皆さんにお配りをお願いしたわけですが、ナミビアの国番号は二六四、そしてその中でのウォルビスベイの地域ですね、これは地域番号が六四二、この番号に限って南アの国番号二七を使いなさい、これはKDDのパンフの中でそういうふうに書かれているわけなのです。  アパルトヘイトに対する毅然たる対応をいたしますと政府自身が言い、そしてすべての大臣も恐らく答弁は一にされると私は思うのです。条約局長もその立場に立っていらっしゃるのです。これはどこでいつ決められて、そして外務省はこのときにどういう意見を吐いたのか。さらに今日、ナミビアのウォルビスベイにナミビアの国別番号を使ってコールのできる、いわゆる通信のできる、通信をしている、そういう国はあるのかないのか。
  94. 遠藤實

    ○遠藤(實)政府委員 国際電話のいわゆるカントリーコードと申しますのは、国際電気通信条約に基づいて設置されております国際電信電話諮問委員会、これの勧告に定められているのが通常でございます。ただ、ウォルビス湾地区のカントリーコードについては、特別にこの勧告上は明記されておりません。  他方、実際上の取り扱いといたしましては、先ほど先生御指摘のように、ウォルビス湾地区にこのカントリーコードとして南アと同じコードが使われていることは事実でございます。これは通常CCITT、先ほど申しました国際電信電話諮問委員会の勧告で決められるわけでございますけれども、これについては、さらに実質的に実際上の必要に基づきまして各国が決めている部分があるということでございます。
  95. 井上一成

    井上(一)委員 私は、いつどこでこの条約はお決めになったのですかと。答弁外れている。さらに、ナミビアの国番号でかけられる、かけている国があるのかないのか、そういうことも私は聞いているわけです。それも答えてほしいわけです。
  96. 奥田敬和

    奥田委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  97. 奥田敬和

    奥田委員長 速記を始めてください。  遠藤国連局長
  98. 遠藤實

    ○遠藤(實)政府委員 一九六四年のCCITTの第三回総会におきまして勧告が採択されまして、ことで国別番号の付与というのが行われたわけでございます。このときに南アが二七、それから南西アフリカは、現在のつまりナミビアでございますが、これが二六四ということになったわけでございます。ただ、ウォルビスベイにつきましては特別にその勧告で決まっているわけではございません。他方、ほかの国で、ここにどのようなコードを使ってかけられるかという点につきましては、後ほどまたお答えしたいと思います。
  99. 井上一成

    井上(一)委員 私は、今アメリカからも日本の経済姿勢並びに、やはり国際社会に貢献する日本という今度の竹下総理のキーワードですよ、そういうことを考えたら、なぜ南アの国番号を使わなければいけないのか、こういうこともすぐに直す、訂正します。そして、ほかの国ではいわゆるナミビアの国別番号でコールしている、通信をしている国もあるのです。だから早速、それこそさっき話があったCCITT、国際電信電話諮問委員会等に、いわゆる国際機関で我が国が率先してこういうことに対する発言をしていく、訂正を要求、問題を提起して、アパルトヘイトに対して、南アに対してただ貿易量が云々ということだけでなく、このような問題についても我が国が前向きにアンチアパルトヘイト、反アパルトヘイトの姿勢を貫いているということを示さなければいけない、私はこういうふうに思うのです。  そこで総理、これは事務当局あるいは、本来は外務省なんです、外務大臣に私は本当はお伺いをしたいのですけれども、ここはひとつ竹下総理、私のこの今の質問に対してここでお答えをいただきたい。具体的にそうすることがアパルトヘイトに対する日本の毅然たる姿勢だ、私はこういうふうに思うのですが、いかがですか。
  100. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まず、今の具体的な問題自体を問題提起するということも姿勢を明瞭に示す一つの具体的な手法だ、私もそう思いますが、ただし、技術的な問題については知識が今ございませんので、この問題そのものを今直ちにどういたしますと言うだけのお答えをする自信はございません。が、総じて申しますことは、このァパルトへィト問題についての井上委員の御主張というものは、私がこの問題に対して毅然たる態度を持つことが国際的にも、なかんずくアフリカ諸国、いや、やはり国際的にも信をつなぐゆえんのものであるという問題意識は等しくしておるつもりであります。
  101. 井上一成

    井上(一)委員 外務大臣、今こそ――あなたが経団連に申し入れをしたとか、貿易関係でいろいろ御苦労なさっていらっしゃいます。私は竹下総理の認識はまだまだだと思います、アパルトヘイトに対する認識は。これは決してことでその議論をするつもりもありませんが、やはりこれは外務省、国際電気通信条約ですからこれは外務省の所管なんですね。だから、外務省が問題を提起する、しっかりと私は約束をしてもらわなければいけない。そしてダイレクトでナミビアの国番号でコールできるように、外務省としては。これは経団連に言ったって経団連の自主的な判断もあるのです、行政としてやはり私はきっちりしてもらわなければいけない。外務大臣、ここでやはり外務大臣の考えを聞かせていただきたい。
  102. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 今御指摘の点は、南アに対するアパルトヘイト反対という我が国の政策から申し上げましても、やはり首尾一貫しなければならない問題だと考えております。直接には郵政省にも関係しましょうから、十二分に検討しまして前向きに対処するというふうに考えたいと思います。
  103. 井上一成

    井上(一)委員 総理が先に答弁をされた後だから、外務大臣お答えが何か――私の主張している、提起していることを真摯に受けとめて、その方向に努力するということですね。早速このKDDの案内も含めてですよ、この「ご案内」、こういうことを、我が国の国民の意識を変えていかなければいけないわけですから、そういうことについて、このことも含めて外務省は率先してやる、そういう決意でございましょうか、もう一度聞かせていただきたいと思います。
  104. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 今おっしゃったとおり私も努力するということであります。
  105. 井上一成

    井上(一)委員 私は、先日このアパルトヘイトの問題をとらえた「遠い夜明け」という映画、これは竹下総理も含めて、外務大臣も既にその映画は見られたかもわかりませんが、私は、できれば全閣僚がこの映画を見て南アの実態というものをぜひ知っていただきたい、そのことから始めなければいけないのではないか。浩宮殿下も御一緒でしたし、前外務大臣の倉成先生は御夫妻でいらっしゃっていた。そういうことから始めない限り、日米間の新たな摩擦を南アの問題で引き起こしますよ。  続いて総理、中曽根総理はちょうど一年前にタンボ議長、これはANC、アフリカ民族会議代表なんですが、その方が日本へ来られました。当時の中曽根総理と懇談を持って、中曽根総理は反アパルトヘイトの立場を表明し、ベネチア・サミットで議題としてタンボ議長の意を受けて表明する、そして国連でもアパルトヘイトについては強い決意を述べているのですよ。私はここで竹下総理にトロント・サミットあるいは国連、あらゆる場であなたが胸を張ってこの問題を、中曽根総理がサミットで提起したように竹下総理も先進国首脳会議の中で今の南アの問題について問題を提起するお考えを持ってくれているかどうか、ぜひ私は問題提起をしてほしいわけなんですが、ひとつここは総理からしっかりと聞いておきたい、こう思います。
  106. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まずこの問題が、私の経験では、一番最初にサミットの議題になったのはたしかウイリアムズバーグ・サミットではなかったかというふうに記憶しております。それから昨年のサミットは私は参加しておりませんけれども、いわゆるイギリスの総選挙のあるさなかで最終的にその問題提起があったが、いわば最終のコミュニケに入れるだけの時間的余裕がなかったというふうに承知いたしております。したがって、ことしのサミットはまさに昨年のサミットの際の主張者である国が主宰国になるわけでございますから、大いに関心を持ってこの問題の提起に当たらなければならないという考え方を今の御質問等を承りながら私なりに感じたところであります。
  107. 井上一成

    井上(一)委員 ぜひサミットでは問題提起をしていただき、国際社会に貢献する日本というあなたのいわば理念を明確にしていただきたい、こういうふうに思うわけです。  外務大臣に続いてお聞きをしたいのですが、タンボ議長が昨年来日された折に、倉成外務大臣との会談で、本年度、六十二年度に四十万ドルを南ア政府を介さずに援助する、これは私は画期的なことだと思いますし、我が国の現在の南ア政府に対する姿勢がこのことから非常にはっきりと表明されたと高く評価をしているわけなんです、私自身は。そのときにタンボ議長が、日本の皆さんにもより深い友好を通してアパルトヘイトの世界的な人類への犯罪であるという実態を一人でも多く知ってもらいたいという、そういうこともあって東京連絡事務所を設置したいという話があって、当時倉成外務大臣はその設置を認める方向を示されたわけなんです。  その後、当時としては小西六写真工業なんかはたしか去年の四月から撤退をしたのです。きょうは経済問題については触れないのですが、いわゆる南アの問題についての認識を深めるためにもANCのタンボ議長が倉成前外務大臣と約束をされた、そういうことについて、宇野外務大臣はその後この問題についてどのように受けとめられ、どのように今後協力をしようとなさっていらっしゃるのか、この点についてひとつ聞いておきたいと思います。
  108. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 外交は、もう言わずもがな、継続性が大切でございますから、前大臣のそうしたことに対しましては、私も真摯に対処していかなければならない、かように考えております。現在、御承知のとおり、在外公館問題に関しましては、途上国の国々からいろいろと東京の地代が高い、家賃が高い等々の問題もございますから、すべてそうした中においても今後慎重に考えなくちゃならない問題はございますが、前大臣のそうした約束は私としても当然守っていきたいと考えております。
  109. 井上一成

    井上(一)委員 念を押して大変恐縮ですが、タンボ議長と倉成前大臣との話で、東京連絡事務所設置を外務省が認められて、そしてその設置については協力をする、私はそういう受けとめ方をしたのでございますが、外務省がそういう立場をとっていただいていると理解してよろしいでしょうか。
  110. 恩田宗

    ○恩田政府委員 昨年タンボ議長がおいでになった際に、東京に事務所を設けたい、こういう御希望が表明されたことは事実でございまして、倉成大臣からも協力できることがあれば協力するというお答えをしております。ただ問題は、現実の問題として、ANCは外交特権等を付与された形での事務所の開設ということを希望しているようでございまして、それについては、諸外国また日本も含めましてそのような事務所を開設することについては私どもとしては同意できない、私的な形での事務所の開設については結構である、かような方針で臨んでおります。
  111. 井上一成

    井上(一)委員 外交特権は認められない、そのことの制約はあるでしょうけれども、私的な東京事務所設置については協力をする、こういうことでございましょうか。大臣からひとつお答えをいただきたい。
  112. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 そういうふうにお考えたまわって結構だと思います。
  113. 井上一成

    井上(一)委員 私は、政府全体ということを申し上げたいのですが、まだそこまではいかないと思うのです、外務省が今回アパルトヘイトの問題について、貿易量、貿易額が世界一になった、そういうことも手伝ったのかどうかわかりませんが、大変熱心な取り組みをなさっていらっしゃる。特に、本来なら自分の立身出世というか、何かポジションが上がっていくことを、何ら困難な問題にさわらぬで自分だけが出世をすればいいという、往々にして世の中はそういうのが通常でありますけれども、みずから人権を守るという立場に立ってその職責を一生懸命にやっている、そういう職員が外務省の職員の中にいる。こういう人こそ日本の外務省の職員として、外交官として立派である。外務大臣、そういうことは特に注視をしていただかなければいけない、たくさんいらっしゃると思いますけれどもね。  その反面、外務省がアパルトヘイトに対して反対立場をとり、厳しい姿勢を貫いているそういう状況の中で、むしろ逆な方向に、心ならずもか意識的にかそれはわかりませんけれども、そういうことがあったとしたら私は大変なことだ、こう思います。一昨々年も、その問題については外務省の職員の姿勢をただしました。今回は、ジェトロに外務省から出向をしている職員はいらっしゃるでしょう。
  114. 畠山襄

    ○畠山政府委員 お尋ねの趣旨は、ジェトロ全体に外務省から出向している人、こういうことであろうかと思いますが、外務省の方から答えていただくのが正確だと思います。
  115. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 正確なところはまた調べました上で改めて御報告いたしますが、ジェトロの理事の一人が外務省出身者になっているということは承知しております。
  116. 井上一成

    井上(一)委員 条約局長、僕はあなたに別に質問を集中するわけでも何でもないのです。後でまだ一問したいのですが、外務省のOBですか、私、ここにある六十二年十一月十五日現在の外務省の出した職員録、各庁省への出向者の中に、外務省から理事と総務部主査が日本貿易振興会、ジェトロに出向しているでしょう、出向職員として。何でもあなたはよく知っているんだから、条約局長といえば。一番よく知っているんだろう。
  117. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 総務部主事、主査でございますか、それは私念頭にございませんで、失礼いたしました。理事につきましてはただいま御指摘のとおりでございます。
  118. 井上一成

    井上(一)委員 理事といえば幹部です。外務省は、ジェトロへ出向してどんな仕事をやっているのですか。貿易を振興する、南アも含めてうんとうんと振興する、こういうことをやっているのですか。
  119. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) 外務省出身の理事がジェトロの中でどういう役割を分担しているかは、これはジェトロの中の話でございますので、ジェトロの担当官庁の方からお答えいただきたいと思います。
  120. 井上一成

    井上(一)委員 私は、そういうことが本当に日本政府の一貫性という形で、あるいは外務省としてそういうばかな答弁を、これこそ本当にばかな答弁だと僕はそう思うのですよ。そんなことで通りはせぬのですよ。国会というのはもっともっと真剣な議論を重ねた上で、アンチアパルトヘイトというものに対する意識を深めていかなければいけない。私はそんなことをジェトロに聞かなくても、ジェトロというのは貿易を振興するそういう機関でしょう、条約局長。答えてくださいよ。――斉藤条約局長委員長が言っているじゃないか。
  121. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) ジェトロという機関は、貿易の振興、それから情報の収集等を任務としていると承知しております。
  122. 井上一成

    井上(一)委員 条約局長、私が先ほどあなたに本当に真剣に議論をしようと言った、だからあなたと議論したいんだ、私はそう思っているんです。あなたと議論したい。だから、あなたが知らなければ知らない、わからなければわからないでいいですよ。わかってもらうことも、これは外務省に対して一つの警鐘になるか、あるいは私の問題提起になるか。だからそんなあほな話はやめておきましょう。ほかへ振るのならあなたを指名しませんよ、大変失礼だけれども。だからそれは私の言い過ぎだと受けとめられずに、ひとつしっかりとお互いに、この南アの問題には真剣に外務省がやっているのだから、その総元締めである条約局長がしっかりやらないと、事前協議のときだけでことで答弁するんじゃないよ、こういうことなんですよ。  私は、ウォルビス湾のさっきの南ア地域に番号がなっているということについて、条約局長は今まで何の疑問も持たなかったのか、もし疑問を持ったとしたらあなたはどうしていたか。ひょっとしたら知らなかったかと思う、そういうことを。知っていらっしゃったら疑問を持たなかったのだと思う、私は善意に解釈して。本当は、これは外務省が条約を締結しているのですよ。全権大使は外務省ですよ。そういう意味で、特に私はきょうは、郵政にかかわるから電信電話は郵政だとあなた方は思っているのだろうけれども、そうじゃない。外務省の姿勢を聞きたいので、時間もありませんが、条約局長もう一度、ウォルビス湾のその国別番号の取り扱いに疑問を持ったのか持たなかったのか、持ったとしたらあなたはどう受けとめたか。何か行動しなければいけない。今からでも遅くないから、外務大臣も総理も言っているのだから、あなたの見解を一回聞かしてくださいよ。あなたがそういうことを進言しなければいかぬのだ。
  123. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) ウォルビス湾の区域番号にそのような番号が使われているということは、私全く存じませんでした。御指摘がありまして、今後どうするべきかという点につきましては、外務大臣が先ほど御答弁したとおりでございます。
  124. 井上一成

    井上(一)委員 いや、これは余談かもわかりませんが、事前協議の問題については私の名前を出してもらって、そして私は、あなたが答弁をここでしたことは十分でない答弁をしているわけだし、私は正式に答えもいただいてないというか、ここでお答えもいただいてないのに、せっかく私の名前を出していただいたのだからひとつまたそれは事前協議は後でやりますが、きょうはとりあえず南アの問題について条約局長と議論をして、そして私は、外務省のアンチアパルトヘイトの姿勢をさらに強固なものにしてほしい、こういうむしろ願いがあったわけです。  それで外務大臣、さらに条約局長、あなたが今言われた理事に行かれた方は、もうキャリア組の大した立派な方なんですよ。ジェトロでどんなことをやっているか。これは私は少し読み上げます、正確を期するために。いろいろ問題があるのですけれども、「南アへの誘致、当地企業の保護・育成にも力を注いでいる。従って、今後、日本企業も、単にハードの輸出のみを考えていたのでは、結局は取り残されてしまう危険性が大きい。しかしながら南ア・メーカーとのタイアップあるいは企業進出に対しては日本の南アに対する投資の禁止ということが大きな足かせとなっている。」ジェトロでこんな会議をして議事録にちゃんと載っているのです。「足かせとなっている。このように南アのプラント需要は、中長期的に見れば、非常に大きいのであるが、問題点としては、」云々と。  外務省は一生懸命アンチアパルトヘイトに立っていますが、ジェトロでは「大きな足かせとなっている。」これは外務省から理事が出ていらっしゃるのですけれども、一体こんなことは報告を受けたのでしょうか。あるいは外務省から行っていらっしゃる理事きんはこのことについて何か意見を言われたのでしょうか。きょうは私は外務省にこれはひとつ聞いておきたい。こういうことをジェトロの会議の中で、議事録としてちゃんと残っているのですよ。いかがですか。何のために外務省はジェトロへ出向させているのですか。足かせとなって困るのだ、そんなことをジェトロでは言っているわけなんです。そこに外務省の職員が理事として出向している。これはとんでもない。私からいえば何かこっけいですよ。だから一本筋をぱんと外務省がまず通さないとこの問題は前進しない。大臣。
  125. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 今、私もジェトロのことは初耳でございます。仰せのとおりだろうと思いまして、それでは首尾一貫いたしません。その理事がだれであるか私まだ存じませんが、関係者を、外務省からの出向者が今申したとおりあるとのことでございますから、厳重忠告します。
  126. 井上一成

    井上(一)委員 時間が参りましたので私は最後に、竹下総理、さっきも申し上げました人種差別を描いた映画で「遠い夜明け」、これを見た小学生が、無差別に黒人に対して発砲する白人警官のそのシーンに対して、非常なショックだ、あんなことが。日本の子供がですよ、そういう感想を話しているわけなんです。南ア問題は、石原運輸大臣は資源の問題等も踏まえて少し見解を述べられました。これはきょうは議論をする時間がありません。私自身は、ひとつ総理にトロント・サミットでも問題を提起してもらう、国連でも。さらには、この映画を見て、あなたが本当に人種差別のこの人類の犯罪というものを十分認識をすることにおいて政府姿勢が変わっていく、こういうふうに思うのです。  最後に、まとめてひとつ、今までの質疑を通して総理としての新たな認識、こういう点については改めて認識をした、さらに今後、ただ努力しますとか、ただこうしますといった抽象論でなく、ひとつ具体的に行動をとってほしいという私の強い希望も伝えて、短い質疑の時間でしたけれども、具体的な事例をもって私は質問をしました。だから、あなたの具体的な行動をここでしっかりとお答えをいただきたい。そのお答えをいただいて、私の質問を終えます。
  127. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まず、今おっしゃった「遠い夜明け」というのは私は残念ながら見ておりません。話を聞きながら、我々の青年時代の島崎藤村の「夜明け前」というようなものを思いながら実はお話を承っておりました。したがって、見ておりませんので、その映画からくる認識そのものは、残念ながらお答えする立場にはございません。しかし、きょう一日のお話を聞きながら、いわゆる国民意識を転換さすためにもその先頭に立ち、政府として可能な範囲内のものをみずからどしどしやることによって実を示せということが一つの教訓ではなかったかなと思います。  それからいま一つの問題は、先ほどちょっと間違いをいたしましたのは、アパルトヘイト問題がサミットで取り上げられたのは東京サミットでございました、私も当時参加しておりましたが。その後、先般もトロントへ参ったわけでございますが、私の想像ではと申しましょうか、主催国が今までも最も熱心に唱えられておりましたので、当然そうしたものが議題になるであろうということを私も実は意識しております。したがって、それだけの意識を持っておりますので、今の一連したお話を聞きながら、私もきちんとした対応をすべきものである、このように感じた次第であります。
  128. 井上一成

    井上(一)委員 終わります。
  129. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて川崎井上君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  130. 奥田敬和

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。坂口力君。
  131. 坂口力

    ○坂口委員 昭和六十二年度補正予算につきまして、公明党・国民会議代表いたしまして質疑をさせていただきたいと存じます。  まず最初に、税制問題から入らせていただきたいと思いますが、最初に、竹下総理が今までこの予算委員会あるいは本会議でいろいろと御答弁になりましたその内容を整理をいたしまして、もう一度確認をさせていただきたいと思います。  総理は、税制につきまして、現在の税制には不公平感がある、それをなくするためには直間比率の見直しが必要である、間接税の内容については国民から理解の得られるものにしたい、それから国会決議、中曽根政権時代の統一見解それから公約は重いものと受けとめている、以上のようなことを御答弁になっているわけでございますが、少し省略をして申し上げた点もございますけれども、大体おっしゃいました意味、こういうことに受け取らせていただいてよろしゅうございますか。
  132. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 省略はございましても、大筋非常に整理しておっしゃいまして、そのとおりだと思います。
  133. 坂口力

    ○坂口委員 まず最初に、私たちとそして総理との間の認識が一番違っているのはどこか、これを整理をしてみたのですが、そのやはり第一番になりますのは、現在の税制についての不公平感あるいは不公平を持っているということに対する認識は同じでございますが、国民の中に不公平または不公平感を持っている人たちかたくさんいる、その不公平または不公平感を持っている皆さん方がたくさんおみえになるということから、その人たちに対して直接税内の是正というものをまずやらなければならない、こう私たちは言っているわけでございますし、それから総理の方は、不公平感を持っている人たちがいるから直間比率の見直しをやらなければならない、こうおっしゃっているわけです。この出発点におきまして総理と我々との考え方に差がある。  このことについてまず、もう少しお聞きをしたいと思うわけでありますが、不公平感あるいは不公平だと思っている人たち、その人たちは自分と周囲の人たちを比較をして、とりわけ勤労所得者、サラリーマンが、自分とは違った職種の人たちが自分と同じような所得、あるいは自分以上の所得を得ているにもかかわらずその人たちの税が非常に低い、すなわち横並びで見ましたときに非常に我々の税が高い、そういう意味からこの不公平を感じている、こういうふうに我々は理解をしているわけであります。したがいまして、現在直接税内にありますところのこの不公平をまず是正をしなければならない、こう我々は叫んでいるわけでございます。  総理がおっしゃいます不公平感を持っている人たちがいるから直間比率の見直しをしなければならない、ここには少し我々理解しかたい点があるわけでありますが、ここをひとつもう少し具体的にお示しをいただきたいと思います。
  134. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 いつも申し上げておるところでございますが、確かに不公平感がある。公平とは何ぞやといえば、垂直的公平と水平的公平がある。そういう議論は随分坂口さんと大蔵委員会予算委員会等を通じて今日までやってきましたが、いずれにしてもいま一つの問題は、いわば税務執行上の問題あるいはその捕捉率の問題ということがいわゆる所得税に関する不公平感の一つの大きなポイントじゃないかな、こういう感じは私も持っておりますので、これは大体共通認識なのかな。あえて私が不公平税制という言葉を使わないのは、いやしくも国会で議論していただいて通った法律が、法律そのものが不公平ですということは国会に対して非礼だから言わない、こういう姿勢も貫いてきたわけです。だが、捕捉の問題それから執行上の問題等で不公平感は存在しておる。  そこで、勤労所得を中心にして考えますと、自分の勤労によって物をつくり、その対価として得たものが税として着目され、それが消費される段階において着目されていない、個別消費税は別といたしまして。そうなれば当然のこととして直、間そのものに不公平があるというふうにこれはつながっていく論理ではなかろうか。そうして、これそのものも、終戦直後いわゆる五〇%対五〇%であった時代と今とおのずからの違いはございますけれども、やはりそこで直間比率そのものが不公平であるという論理に、勤労所得側からいえば当然のこととしてつながっていくものではないかという感じが一つあります。  それからもう一つの問題は、いわゆる間接税。消費に着目した税制の中では、個別消費税である限りにおいては、この品物とあの品物というところにおのずからなる不公平感というものがある。そういうふうに不公平感そのものを分析してきておるということを常がね申し上げておるところでございます。
  135. 坂口力

    ○坂口委員 この捕捉率の問題は私も同感でございます。  ただ、私が今お聞きをいたしましたのは、不公平感がある、だから直間比率の見直しというのには、そこには理論的飛躍がありはしないか。今御説明をしていただきましたけれども大変難解でございまして、シェークスピアと竹下総理は難解であるという言葉が最近ございますけれども、大変難解でございまして、いま少しわかりにくいわけですが、例えば総理がこういうふうにおっしゃるのならば理解できるんです。現在不公平感がある。それは垂直的に見て、そして所得の高い側の人が中低所得層と比較をして自分たちの累進度が非常に高過ぎる、だからもう少しこれを緩和をしてほしい、そういう意味での不公平感を持っている。そういうふうな意味からこの累進度を下げる、それによる財源を確保するために直間比率が必要である、こういうふうに総理がおっしゃるのであれば、賛成、反対は別にいたしまして、これは一つの筋は通ると思うわけであります。  しかし、そうではなくて、現在不公平感を持っている人たちがたくさんいる。この不公平感を持っている人たちが、直接税が高過ぎる、もっと直接税は下げて、そして物を買うときの消費税、そうしたもので間接税でもっと出したい、だから不公平感を持っているというふうには理解はしにくいわけでございます。私が初め申しましたようなことで総理が不公平感、そして直間比率の見直し、こういうふうに言われるならば理解はできるわけでございます。もう一言答弁いただきたい。
  136. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 いささか前職に返ったような感じがしながらの答弁でございますが、今坂口さんおっしゃった所得税の累進構造が高過ぎる、したがって、他の先進諸国と比べてこれほど給与所得の差が均衡した我が国においては、やはり間接税というものがあることが、特に累進度が高いだけに必要であるという論理も一つの論理だと私は思っております。  もう一つ私が前にかねがね言っておりましたのは、要するに勤労というものに対する対価に着目した税が相対して消費というものに着目した税に比して高過ぎる、こういうのもやはり不公平の原点に存在する問題ではなかろうか。だから、資産、所得、消費についてどのようなバランスがいいかということについて税制調査会へ諮問を申し上げよう、こういう考え方に立っておるわけでございます。  私が今日まで申しておった延長線上のお答えは大体そういうことになりますが、やはりあるいは専門家の大蔵大臣からお答えをすべきかなと思いますが、今までの坂口さんとの立場の違う際にいろいろ議論した延長線上のお答えを申し上げたということであります。
  137. 坂口力

    ○坂口委員 この議論をもう少し続けたいのですが、小倉会長、一時半まで御出席をいただくということでございますので、小倉会長にまず質問させていただきまして、続きをまたやらせていただきたいと思います。  小倉会長、今総理との間でやりとりをいたしましたが、私はどちらかと申しますと、水平的不公平というものを中心にして話をしているわけであります。それから、全部ではありませんけれども総理が肯定になりましたのは、垂直的不公平ということを言っておみえになるわけですが、小倉会長が考えておみえになります不公平感というのは、あるいは不公平というのは、これはどちらに重きを置いたものでございますか、ひとつまず最初にお聞きをしたいと思います。
  138. 小倉武一

    小倉参考人 お答えしますけれども、垂直的と水平的と両方面から見た公正さが必要であるということは、これはだれしも認めることだと思いますが、どちらに重きを置くべきかということは、私は余り議論したのを聞いたことが実はありません。その時代、時代によって違うのでしょうけれども、両方とも大事であるというように思っておるのでありまして、どちらがということを強いて言うことは難しいと思います。
  139. 坂口力

    ○坂口委員 引き続き小倉会長にお聞きをしたいと思いますが、総理はこの予算委員会等で予見を与えず、こう言われまして、そうしてこの委員会で余り税制の具体的なことをおっしゃらないで今日まで来たわけでございますが、総理税制について意見を言われるということは、これは政府税調の議論にそれほど予見を与えて影響を与えるものでございますか。
  140. 小倉武一

    小倉参考人 なかなか難しい御質問でありまして、一国の総理でございますから、税制改革について税制調査会等で審議していると否とにかかわらず、いろいろの御所見をお述べになるということは当然あり得ることで、もしそういうことがあり得るとすれば、私どもも総理発言関係の部分は念頭に置いて審議を進めるということは当然のことだと思いますが、今回昨年の十一月に総理から御諮問をいただきました件につきましては、所得課税とか法人課税とかあるいは資産課税等についてよく望ましい姿に持っていくようにというのが御諮問の内容でありまして、それ以上深く突っ込んで、こうしたらどうかとかああしたらいいというふうなことは、あらかじめおっしゃらないという御方針のように承っております。しかし、総理方針がございますれば、無論それは私どもも念頭に置いて審議を進めるということは当然かと思います。
  141. 坂口力

    ○坂口委員 済みません、続いてもう一問またお聞かせをいただきたいと思いますが、きょう午前中にもこの議論が出ましたが、小倉会長御自身が先日も岩手でございましたか、新型間接税といたしましてはEC型付加価値税が最も望ましい、こういう御発言がありましたね。これは総理がおっしゃることは、予見を与えるといって総理はおっしゃらないわけですが、ならば会長が公聴会等でこれから意見を聞こうというやさきにおいて、これが一番望ましい、こういうふうにおっしゃるのは予見を与えることにならないか。総理が気を使い過ぎるほど気を使っておっしゃらない。それに比較をして小倉会長は、もう少し控えておみえになったらいいのにと思うほどおっしゃる。そこで総理は予見を与えず、こう言って国会を乗り切られる。そしてその分小倉会長が予見を十分に与えられるという役割分担をしておみえになるのではないか、そういう議論が起こるほどここには大きな差があるわけであります。  私が小倉会長に申し上げたいと思うのは、小倉会長がこのEC型付加価値税というものを念頭に置いて、もうこれしかないと言わんばかりの発言をしておみえになるということは、これは今後の政府税調のあり方に影響を与えることにはならないのかということをひとつお聞きをしたい。  それから、何遍かお立ちをいただくのはあれでございますので引き続きお聞きをしたいと思いますが、全国各地で公聴会をしておみえになりますが、その結論というものはどのようにこれからの税制改革の議論に反映をさせられるのか。小倉会長がああいう発言をされますと、形式的にはあちらこちらで公聴会をやっているけれども、しかしそれはそれで形式的にやるだけであって、結論はもうこう決まっているんだというふうにも受け取られないことはないわけであります。それでは何のためにやっているのかわからないわけでございますし、これは全く国民に対して甚だ失礼なことだと私は思うわけであります。その辺のところを私は明確にひとつこの際に御答弁をいただきたいと思います。
  142. 小倉武一

    小倉参考人 付加価値税に言及いたしましたのは、議論をしていただくには何かよりどころがなくては意見がなかなか聞きにくいということがあるかと思います。特に政府税調が言っているような課税ベースの広い間接税、消費税と言っておるのでは、これは素人と言っては失礼に当たりますが、地方の人々は何のことだかよくわからぬということがございます。ところが、付加価値税になりますと、これはある程度言葉が熟しておって、恐らく字引を引けばちゃんと出ているような言葉だと思うのです。課税ベースの広い間接税なんというのは、字引引いたって恐らく出ていないと思います。だからそういうのが、長年議論した結果、どうやら一般の意見としては一致するところが多くはどうも付加価値税ということになるということを申し上げて、それでよろしいでしょうか、それで意見をいろいろ言っていただきたいということを述べているわけで、これだけだ、これで行くんだということをお話しをして、その上で意見を聞くというような方向ではございません。したがいまして、ほかの考え万も無論お聞きするし、また、そういう新型間接税はいけないという意見にも耳を傾けておる次第であります。  それから、公聴会の意味でございますけれども、この何日でしたか大阪でやりまして、それから三月三日までの一月ばかりの間二十カ所くらいやっていくわけですが、大体皆同じようにいろいろこれまでの経過を説明し、そして若干の選ばれた方々からそれぞれの業界、あるいは経済界あるいは労働界あるいは農業界の方々の関係ある人々の所見をお聞きしまして、そしてその所見に対して税調の委員の方々がまた意見を述べる、あるいはさらに質問をする、そして最後に、傍聴といいますか来られた方々の意見も要旨を紙に書いていただいて、それを進行係の方で整理して一人一人要旨を述べていただくというようなことでやっておりますので、いろいろな方面の意見が聞けていると思います。  私の参りましたところでもそうでありましたが、他の方面の公聴会をお聞きしてもさようなことで、全体が終わりますれば、そういう公聴会にそれぞれ行かれました委員の方々がそれぞれの所見を持ってお帰りになるはずでありますから、その委員の方々の所見、これからのお述べになる所見には公聴会で感得されたことも交えて論議をなされると思いますので、大いにこれからの税制のあり方に生かされるというふうに考えております。
  143. 坂口力

    ○坂口委員 もう一点だけお聞きをしたいと思いますが、今のお話をお伺いいたしますと、小倉会長は、税制の中でどんな間接税を導入をするかということを議論をしているんだ、こういうふうにおっしゃっているように聞こえるわけであります。我々の認識は、政府税調に諮問されているのは、どのような税体系をつくり上げるかというその大枠からの話ではないのだろうか、そう我々は思っておるわけです。ところが、それが小倉会長は、もうその段階を一つ飛び越えて、そしてその中の間接税の中身のあり方について今議論をしているんだ、こういうふうな感じに我々は受け取れてならない。その辺のところが非常に大きな国民の認識との間のずれだと私たちは思う。そういう間接税を入れなくて済む税体系はないのかどうかというようなことを今やっているわけでありまして、だからそこが小倉会長はちょっとお考えが偏り過ぎているのではないかというのが一つ。  それから、あるいは総理から、いや、そうではなくてもう間接税の導入ということは既定の路線なんだ、その中身を審議をしてくれと言われたというふうに理解をしておみえになるのか、その辺お聞きしたいと思います。
  144. 小倉武一

    小倉参考人 ただいま御質問にありましたように、何かいきなり付加価値税のことを申し上げたので、ほかのことはさておいて付加価値税を導入することが今回の税制改革の趣旨だというふうにあるいはおとりになったような御質問でありましたけれども、それは全くそうじゃございません。全体の税制改正、所得課税から法人課税、資産課税、消費課税全体を通じていかにすれば公正な税制になるかということを検討しておるわけであります。  それで、その中の一つに消費についての課税ということがございまして、例えばその一つのタイプとして付加価値税というようなものがある、それについて意見はどうだろうかというようなことも無論お聞きをしておるわけですが、内容的に言うと、もう少し抽象的、一般的に言いますと、さらに現在の物品税の体系は非常にぐあいが悪い点がたくさんある、これをいかにすれば是正できるか、さらにそれから発展して、課税ベースの広い間接税を導入することが一体是なのか非なのかということも踏み込んで意見はお聞きするということになっておりますので、全体としての税制の中での間接税の位置づけを考えておりますので、無論法人税、所得税等についても重要な問題がございまするので、それについて審議を尽くすことは当然かと思います。
  145. 坂口力

    ○坂口委員 これ以上会長にお聞きするのはやめたいと思いますが、会長が発言をされたという内容がマスコミ等で多く報道されるわけでありますけれども、それを拝見をいたしますと、常に売上税の中身あるいは大型間接税の中身、そうした間接税内の議論を流しておみえになる。これは、これから議論をしようというやさきにおいてこうした議論をされるということはいささか本末転倒ではないか、我々はそう感じているわけでございます。しかし、会長の時間的な御都合もございますので、これだけにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  引き続きまして総理にお伺いをしたいと思いますが、先ほどは不公平感、それに対する考え方についてお聞きをしたわけでありますけれども、もう一つ、この統一見解あるいは公約につきまして、非常に公約は重いものと受けとめている、重いものと理解をしている、こういう発言があるわけでございます。その重い、軽いと言われましても、我々は何が一体重いのやら何が軽いのやらよくわからないわけでありますが、この総理がおっしゃる重いというのはどういう意味なのかということをお聞きをしたいわけであります。守る責任が重いというのならばよくわかるわけでございますが、例えば守るということは気持ちが重いということになれば、これは全く反対のことになるわけであります。重いというのは、これは一体どういうお気持ちを言っておみえになるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  146. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 重い、軽いということになりますと、また大と小の相違というようなことになって、非常に比較対照論議になりがちなことでございますが、私は、政府統一見解であれ政府答弁であれ、やはりその論議の中で内閣の考え方を総理お答えになったものでございますから、それは重要な意味があるものだという、重要な意義があるということを重いというふうに表現しておるというわけでございます。
  147. 坂口力

    ○坂口委員 重要な意味があるというふうに理解をしているというお答えでございますから、これは今までよりも少しはわかりやすいわけでございますが、まだ十分とは申せません。  六十年の二月六日でございました、私の方の当時矢野書記長に対します統一見解といたしまして余りにも有名になりました、多段階、包括的、網羅的、普遍的、大規模な消費税を投網をかけるようなことはしない、こういう統一見解、これはその後に行われました選挙のときの公約の下敷きにもなったわけですね。その公約にもなりました。そしてその公約いたしました任期は今なお続いている。したがって、この統一見解をつくられますときに竹下総理当時大蔵大臣は直接に関与をされた、そしてそのことが公約にもなった、公約時には幹事長をしておみえになった、そしてその選挙の任期が今なお続いている、その中で信念の政治家として総理大臣になられた、こういう経緯があるわけでありますから、竹下総理は二重三重にこの統一見解というものにつきましては拘束があるというふうに我々は理解をせざるを得ないわけであります。したがいまして、この任期中におきます税制の改革につきましては、大きな拘束の中で総理は行動をされざるを得ないというふうに理解をいたしておりますが、もう一度先ほどのところを具体的にお話しをいただきたいと思います。
  148. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私が申しておりますのは、政府統一見解であれ政府答弁であれ、当時の税制論議の中において時の内閣の考え方を国民に明らかにしたものとして大変重要な意味を持つものであるということを十分認識して、そこでそれに基づいていろいろ工夫して、先般提出いたしました売上税法案を含む税制改革法案を提出したわけでございます。が、結果としてそれは廃案になった。したがって、その大変重い意味を持つものに基づいてつくったものが廃案になったという現実を踏まえて、それでは国民の皆さん方が、すなわち国会で廃案にならないような法律をつくるにはどうしたらいいか、そういうコンセンサスが那辺にあるかということを国会の議論を聞きながら税制調査会等に対して正確にそれをお伝えして今日に至っておる、こういうことでございます。
  149. 坂口力

    ○坂口委員 そこも違うのですね。総理は、公約どおりの売上税を上程したけれどもそれが廃案になった、前にもそうおっしゃいました。これは公約どおりのものをつくろうと努力をされたかもしれません、私たち百歩譲りまして善意に解釈をいたしまして。しかし、上程されました売上税は、よく見ると公約どおりではなかった、やはり公約違反であった、すべてのものに消費税というものはかかる、多段階にかかってくる、決してこれは公約どおりのものではなかったというので、あれは廃案になったわけであります。そこを総理は、公約どおりのものを出したけれどもそれが受け入れられずに廃案になった、こうおっしゃるのですが、そうではなくて、公約に違反をした形のものが上程されたから、これは廃案になったわけです。そこもどうも総理はお考え違いをしておみえになるのではないかな、そう思うわけでございます。ですから、そこがすべての議論の違いになってくる。だから私は、総理がそのことをよく認識をされて、あれは、この前出た売上税というのは公約に違反をしていたから廃案になったんだ、だからこれから議論をされるものの中にもああしたものはもう入れることができないんだという認識をやはりお持ちいただかなければならないと思うわけであります。いかがでございますか。
  150. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 公約であるかどうか、そこの議論を私は避けておりますのは、公約として発表したものの中に、多段階、網羅的、普遍的、包括的というようなかけ方は一般的にはできないな、あのときはそういう答えに確かになっておりますが、字引を引いてみますと、これは国語の辞典でございますけれども、それは、包括も網羅も普遍も全部、例外なく、こう書いてありますから、そういうことにすればやはり公約そのものは、税制改革をしますということが公約であったんだなというふうに私なりに整理しております。  したがって、重い意味を持つものである。が、それに基づいていろいろな工夫をして出したものが公約違反であったとは私は思わない。やはりいろいろ工夫して出したということでございます。公約違反じゃなかったか、こういう御批判も確かにそれはございました。が、いろいろな工夫をして出したものが結果として廃案になったわけでございますから、したがって、やはり国民の負託を受けて四年間という大事な大事な任期をお与えいただいておる我々としては、国民の合意が得られるようなものを一生懸命で考えていくというのが国民の皆さん方に対しても一番忠実なことではないかな、こういうふうに考えております。
  151. 坂口力

    ○坂口委員 どうも議論が横に流れてしまいまして、違う方向に行ってしまいました。  我々が申しておりますのは、中曽根前総理の意を受けて竹下総理御自身が参加をされて決定をされた統一見解、そしてそれを中心にしてまとめられた公約、そうしたものが二重三重に竹下内閣にはかかっている。さらに公約の任期中に現在ある。したがって、その公約は税制改革をするということが公約であって、そして多段階、包括的、網羅的というようなことは公約ではなかったのだというのは、これは余りにも私は総理の一方的な考え方ではないかと思うわけであります。ならば、そんな具体的なことはおっしゃらずにおけばよかったわけでありますけれども、そこまで明確に言い、しかもそうした大型間接税は導入いたしませんと明確に中曽根前総理がおっしゃったことであります。したがいまして私は、竹下総理といたしましてはこの統一見解、そしてこの公約、こうしたものの中でこれから税制というものを考えていただくべきものである、こういうふうに申し上げておきたいと思うわけであります。  時間もとってまいりますので、こればかりやっておりますと時間がなくなってしまいますから、一応これだけにしておきますが、引き続きこれからまたこの点につきましては我が方といたしましても議論をしていきたいと思います。  さて、話を少し進めたいと思いますが、この税制改革につきまして、高齢化社会を前にして、高齢化社会の到来ということを税制改革一つの大きな理由に挙げておみえになるわけでありますが、総理は高齢化社会を前にして、それまでに最も解決をしておかなければならないものは何であるというふうに理解をしておみえになるか、ひとつお聞きをしておきたいと思います。     〔委員長退席、野田委員長代理着席〕
  152. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 高齢化社会のピークを迎える前にやるべきこと、こういえば、やはり継続的にやるべきことというのは、引き続いて物価が落ちついた安定した経済成長をまず確実なものにするというのがベースにあるのじゃないかなというふうに考えます。その上で良質な国土とか居住環境づくりの観点からの社会資本の整備というようなものが基本的にあって、そうしてその土台の上に乗って安心した老後生活を営めるように、長期的に安定した社会保障制度、年金、医療等でございますが、そういうものを確かにしていくということを論じていくならば、そこにいわば安定的に支えるような公平で均衡のとれた負担の問題、すなわち税制改革の問題、まあ税財政制度と言った方がいいかもしれません、税と歳出がございますから、税財政制度というものがそこに必要になってくるという段階になるんじゃないかなと思っております。
  153. 坂口力

    ○坂口委員 大蔵大臣、仮定の問題をお聞きして非常に恐縮でございますが、昭和七十五年それから昭和百年と進んでいきますと、政府の方でおっしゃるとおり高齢化社会がさらに進んでまいりまして、年金でありますとか医療でありますとか、こうした方面に多額の財源が必要なことは私もそのとおりだと思うわけであります。昭和七十五年、ちょうど西暦二〇〇〇年に当たりますが、昭和七十五年は六十五歳以上の人の割合が大体一六・三%、統計のとり方によりまして少々違う数字もございますけれども、まあ一六%ぐらいになるわけです。この昭和七十五年が現在であると仮定をしました場合、そして人口構成が六十五歳以上は一六%なにがしぐらいになっていると仮定をいたしました場合に、年金と医療の負担率というのはことしの財政上で言えば大体どのぐらいの額になるとお考えになりますか。これは仮定のたくさんある問題でございますから非常に難しい質問であることは十分承知をしながら申し上げているわけですけれども。  もう少しわかりにくければ、比較をしていただくために、ことしの国債費約十一兆五千億。これと比較をして、もし昭和七十五年の人口構成が現在あると仮定をいたしましたならば、年金、医療はこの十一兆五千億よりも多いと思いますか、少ないと思いますか、大体このぐらいだと思いますか。  厚生大臣も後でお聞きしたい。
  154. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御質問がねらっておられるところの意味は私もよくわかりますのですが、どういうふうにお答えをしていいかちょっと迷っておりまして、今のように仮に六十五歳以上の老人が一六、七%になるといたしますと、ただいま生産年齢人口が六・六人で一人の老人を背負っておりますが、それは多分四人で一人を背負うような率になろうかと思います。それが今そういう社会になっておったらどうなるかということでございますが、現在、つまりそのお尋ねの意味は、負担と給付との割合を今のまま変えないでという仮定で答えろとおっしゃっておられると思います。  そういたしますと、現在のいわゆる租税負担率それから社会保障費、社会保険費を合わせますとほぼ二五プラス一一、三六でございますが、三六では支え切れないはずでございます。したがいまして、その三六が、ここのところは私も目の子算で物を申し上げてはなりませんので、三六というものが恐らく例えば四〇といったようなことには少なくともなっておるであろう、こういうふうに、ちょっと達観で申し上げるしかございませんが、感じがいたします。
  155. 坂口力

    ○坂口委員 厚生大臣、いかがでございます。お答えございますか。
  156. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 先般の予算委員会の永末委員の御質問お答えいたしましたことで御承知いただいていると思いますけれども、大蔵大臣とは協議の上、この予算委員会の終了までに二〇〇〇年及び二〇一〇年の社会保障の給付につきましては御報告申し上げるということで、現時点におきましては調整中でございますので、私の方からはお答えを差し控えさせていただきます。
  157. 坂口力

    ○坂口委員 これは仮定の多い問題でございますから一概に申せませんが、一応医療費は、そのぐらいになりますと国民所得の大体一〇%ぐらいにはいくのではないか。そういたしますと、現在国民所得、ことしで大体二百九十兆ぐらいでございましょうか、その一〇%でございますから二十九兆。国の方の医療費の国庫負担、ことしは大体二五%ですね。今まで三〇%でしたが二五%ぐらいに減らしてきております。もし二五%であったといたしますと、これで七兆二千五百億の数字が出るわけです。それから昭和七十五年の年金の額といたしましては、これは厚生省がはじき出しておみえになりますが四兆一千億という数字がございます。合計をいたしますと十一兆三千五百億になるわけでありまして、現在の国債費の額と大体よく似た額になるわけであります。  だから、高齢化社会、高齢化社会と申しましても、これが一体どれぐらいの額になるのかということもわからずじまいで税制の議論をしていてはならないわけであります。そういうふうな意味からいきますと、大体感じとして二〇〇〇年、いわゆる昭和七十五年の医療、年金の負担、そのほかに高齢化社会ですから負担もあるかもしれません。しかし、そのほか今度は逆に子供の数が減ってくるというようなことで教育費がどうなるのか、あるいは子供の数が減るということで児童手当がどうなるのか、そうした問題もありますから総合計いたしまして、やはり一番特徴的なのは年金、医療だと思うわけでありますが、そういたしますと大体このぐらいの額になるということになるわけであります。ですから、その辺のところをひとつ検討して我々は考えていく必要があるのではないか。どうも政府の方も高齢化社会に備えてとおっしゃる割にはこの高齢化社会に対する、大体どの辺のところかということに対する認識が非常に薄い、こう言わざるを得ないのであります。  労働大臣、この六十歳代の人の雇用がどうなるかということによりましても、これは年金、医療にも大きな影響が出るわけでございますが、これから先二十一世紀にかけましての六十歳代の皆さんの雇用はかなり改善すると申しますか、今よりももっと働く場を得ることができるというふうにお考えになりますかどうか。簡単で結構でございます。お答えいただきたいと思います。
  158. 中村太郎

    中村国務大臣 御指摘のように、六十歳代前半の高齢化は非常に進んでおります。現在の三百二十二万の数字が、七十五年におきまして四百五万というようなことに相なるわけでございます。これに対しましてこの層は、現状におきましても失業率五・三%、有効求人倍率〇・一〇倍、こういう状態でございますので、決してこの層の雇用確保が楽ではないということは私ども実感として感じておるわけでございまして、何としましてもこの層の就業、雇用の場の確保がこれからの重点的な施策であると考えております。  そのためには、御案内のような今いろいろな施策をやっておりますけれども、何といいましても御指摘ありましたような六十歳定年の定着、これが第一であろうと思っております。その上に立ちまして、それを基盤としておおむね六十五歳ぐらいまでは雇用の継続あるいは延長を図っていくようなことを推進してまいりたいと思っておりますし、さらにいろいろな補助金制度、助成金制度がありますけれども、これらを強化いたしまして最大限活用いたしまして、就業の場の確保、シルバー人材センターの活用等による短期、臨時的な雇用の確保、いずれにいたしましても、あらゆる総合的な施策を施していかなければ容易でないというふうに感じ取っているわけであります。
  159. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございます。  各省庁それぞれお聞きをしたいわけですが、時間がございませんからこれだけにしておきます。  総理、二十一世紀をにらんだどれだけの財政が要るのかということについて、今お聞きしましたように、皆さん方の頭の中に確たる具体的な形としてはあらわれていないと思わざるを得ません。  そこで、先日永末先生の発言もありまして、厚生省の方では御努力をされているようでございますが、厚生省の中だけで議論をしましてもこれはなかなか始まらないことでありまして、これは各省庁合わせた中での、もう少し幅広い形の中で高齢化社会に対する対応というものが必要ではないかな、こう思うわけでございます。もう少し各省庁が連携をとり合った中で、高齢化問題の意見をまとめるというような方向にこれはすべきではないかと思いますが、総理の御見解をお伺いをいたしまして、もう一度また税制に戻らせていただきたいと思います。
  160. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今まであるものといたしましては、一昨年長寿社会対策の指針として策定した長寿社会対策大綱ということであると思います。  それを分析しますと、たまたまきょうも御質問が示されたように、まず高齢者の雇用、就業対策の問題が一つ、二番目には公的年金と老人医療の安定的運営、三番目が保健、医療、福祉サービスの供給体制の整備、こういうようなことが三本柱で掲げられておる。ただ、それを読んでみましても、定量的とでも申しましょうか、数字的な見通しとでも申しましょうか、そういうものがこの大綱の中には盛り込まれていないということは、私も感じております。それらの問題が、先ほど来の答弁にもありましたように、永末さんの質問に対する資料として今整えておるというのが一つの数字的裏づけではないかなと思っておりますが、あの大綱を一昨年つくりましたときにどのような仕組みでありましたかも検討してみまして、おっしゃる趣旨は私も十分理解できる話でございますので、それで対応の仕方を決めるべきだろうなと、こういう感じで聞いておりました。
  161. 坂口力

    ○坂口委員 税制に戻ります前に、もう一つ厚生大臣にお聞きをしておきたいと思います。  将来社会保障の財源を確保いたしますのに、現在いわゆる社会保険料と租税と両方あるわけですが、これから社会保険料の方をさらに充実をするというお考えなのか、それとも租税の方を中心にお考えなのか、それとも現在の割合ぐらいで今後もいきたいというふうに思っておみえになるのか、その辺ひとつ厚生大臣のお考えをお聞かせをいただいて、税制の問題に戻りたいと思います。
  162. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 社会保険方式というのは、国民みんなでひとつ助け合おうという考え方のもとに保険の形式を整えて運営している制度でございまして、この制度でいきますと、給付、つまり受益と負担の関係がはっきりいたしてまいります。また同時に、効率的な運用が期待できる制度でもございますので、非常にすぐれた制度であると思っておりますし、また国民の間で既に定着をしておるわけでございます。  したがいまして、お尋ねの今後の問題につきましては、やはり社会保障の財源としては、社会保険を基本といたしまして、それに税による負担を適切に組み合わせていくべきものである。また具体的な組み合わせにつきましては、これはまさに国民皆様方の選択によるものであるというふうに考えております。
  163. 坂口力

    ○坂口委員 ちょっとはっきりいたしませんけれども、次に進ませていただきたいと思います。  これは総理からお答えをいただきましても、あるいは大蔵大臣からお答えをいただいてもいいわけでございますが、総理も大蔵大臣も、日本は裕福になり上下の所得格差というものがなくなった、戦後に比べますと非常に縮まった、こういうことを発言をしておみえになるわけでありますが、この上下の差がなくなっているのは、どういう理由によってなくなったとお思いになっているのか。それから、この上下の差のない社会というのはいい社会だというふうに位置づけておみえになるのかどうか、あわせて御答弁いただきたい。
  164. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、上下の差の少ない社会はいい社会であると考えております。  どのようなことで我が国の場合そういうことになってきたか。仮に昭和三十年ごろから後のことをずっと考えてまいりますと、やはり高い成長がありまして、それによりまして終戦後にありました失業人口がだんだん減ってまいります。そして昭和四十年代のある時期には、ほとんど完全雇用に一度達しかかったわけでございます。そういう形によりまして、いわば五分位階層で申せば、第一分位と第五分位との間の所得の差がだんだんだんだん縮まってまいりまして、最近ですと一対二・九ぐらいになっておるかと思いますが、アメリカでございますと九・五と言われております。そういう形で縮まってきた。  それから、同じことはジニ係数で申しましても、我が国のジニ係数がやはり一番小さいということでございますから、つまり雇用及び雇用を与える場がふえることによって、下の方という言葉は不適当かもしれませんが、低所得者が上へ上がってきた、そういうことが一番の原因であったと思います。もとより、それに加えまして所得税等々が所得の再配分機能をかなり持っておりますから、そういうことも寄与したであろうと存じますけれども、基本的には我が国の都会と農村とを通じましての経済成長が一番大きな原因であったと考えております。
  165. 坂口力

    ○坂口委員 この第五分位で、第一分位と第五分位を比較いたしますときに、やはり可処分所得における比較が大事だと思うわけでありますが、可処分所得がもし近づいてきたとするならば、それは曲がりなりにもシャウプ税制以来、所得税あるいは相続税等に累進性があったということが非常に大きく寄与をしておるのではないかと思うわけです。今大臣が御指摘になりました点も私はあったろうと思いますが、しかし先ほど最後におっしゃいましたように、所得再配分機能というものが税制にあり、そしてその累進性というものが大きくそうした格差をなくしてくるということにつきましても役割を果たしてきたと思うわけです。  そうした意味で、シャウプ税制が大きな三本柱を立てました。一つは、これは累進性であり、一つは総合課税であり、そしてもう一つは自主申告である。この三つの大きな大黒柱を掲げてシャウプ税制はスタートをいたしました。それから後、いろいろな形でこれが変化を遂げてまいりましたけれども、しかし今日まで少なくともこの三つは、曲がりなりではありますけれども維持されてきたというふうに思うわけであります。今、大きな税制改革をこれからやろうとしているときでありますが、これから先の税制改革というのは、この三つの柱は今後も維持しようとお考えになっているのか、それともこの柱も変えようと思っておみえになるのか、この辺についてはお考えいかがです。
  166. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘されましたように、私も先ほどお答え申し上げたと存じますが、所得格差が小さくなることについて、租税の所得再配分の役割があった、それは主として所得税の累進である、そのとおりであろうと思います。それがシャウプ税制一つの特色でありましたことも御指摘のとおりでございます。  そこで考えますと、その所得税の累進の果たしました機能というものが、シャウプ税制以後余り大きな改正をいたしませんでしたために、これだけ所得がふえてまいりますと非常に累進がやはりきつく当たってくるようになったというのが今の実情ではないであろうか。過去三十年余りの間に所得再配分の機能を果たしたことは確かでございますが、今となりますと、これだけ所得が上がってまいりましたので、かなり累進度がさつい、累進構造がきつい、しかもそれが非常に税率の高いところまであるということで、いわば勤労意欲を阻害したり、また一種の重税感というのがそこから出てくることが少なからずある、ちょっと所得が上がりますとすぐ次の累進の段階に行くというような意味ででございますが、今となっては私はそういう弊害がかなり目につくようになったと思っております。  したがいまして、最初のお尋ねでございますが、すべての所得を総合課税しようとすること、シャウプ税制方針を今後とも重視するか、答えはそのとおりでございます。次に、いわば自己申告制、これも重視するか、そのとおりでございます。  ただ、累進の問題につきましては、今になりますと、ただいま申し上げましたような問題があって、ある程度の再検討を必要とする。昨年お認めをいただきました所得税の改正で累進の刻みを少し少なくさせていただきましたが、なおそれを、できますことなら抜本改正ではもっと少なくして累進構造を緩めていきたいと考えておるところでございます。
  167. 坂口力

    ○坂口委員 累進構造を緩めていきたいということを今お聞きしましたけれども、しかし、累進性は今後も維持する、こういうふうな意味に理解してよろしゅうございますか。
  168. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 緩くはいたしますが、累進性そのものはもちろん全くなくすというフラットの所得税ということはただいま考えておりません。
  169. 坂口力

    ○坂口委員 今、皆さんのお手元にお配りいたしましたのは、これは総務庁から出ております家計調査年報六十一年度版をもとにいたしまして試算をしたものでございます。  これは、第一分位から第十分位に分けまして、一ページ目は月収に対する国民負担の割合を見たものでございますが、勤労所得と社会保障費、それに大型間接税、もし五%を食品も全部含めて導入をいたしました場合にどれぐらいになるかというものを出したものでございます。これは家計調査年報の数字をそのまま用いまして算出をしたものでございます。  二番目をごらんをいただきますと、これは現在の勤労所得税と、それからもし大型間接税一〇%、五%、三%のそれぞれのものを導入いたしましたときに現在の勤労所得税との割合がどうなるかを示したものでございまして、これは当然でございますが、所得の少ない層、そして所得税を納めていない層ほどより多くの割合になる、こういうことでございます。  そして、ごらんをいただきたいのはその三枚目でございまして、これは月収に対する国民負担の割合、第一ページ、最初にございましたものを三つ積み上げたものでございます。そういたしますと、第一分位から第十分位まで多少の差はございますけれども、所得税それから社会保障費――社会保障費というより社会保険料でございますね、社会保険料、それに大型間接税五%といたしますと、大体フラットになってくる。これは国の側から見たものではなくて、国民の一世帯当たりの財布の中から見ました場合に、その三つを合わせたら大体どうなるかということでございまして、実際の数字が、いわゆる所得税が何%でとこういう数字がございますが、そうした数字と合わせますと若干違うわけですけれども、これは家計調査の数字を見ますとそういうふうになっておりますので、そのまま用いさせてもらったわけであります。そういたしますと、大体三つを合わせますとどうもフラットになる。  ここで、今大蔵大臣がおっしゃいますように、直接税の所得税の方の累進性を将来これよりもさらに下げていく。間接税をもし導入するということを前提にしてこれを下げていくということになりますと、これよりも余計にフラットになると申しますか、さらにこれは逆進性になる可能性も出てくるわけであります。先ほど私は厚生大臣に社会保険料をどうしますかということをお聞きをいたしました。それに対しまして、厚生大臣のお答えがはっきりいたしませんでしたけれども、もし仮に将来社会保障に対しまして、年金よりも社会保険料としての額を多くしていくというようなことがありましたならば、あわせてもし大型間接税が導入されるというようなことがありましたならば、これは完全に逆進性になる可能性がある。可能性があるんじゃなくて、完全に逆進性になると言わざるを得ません。  私は、ここで申し上げたいのは、一つは、大型間接税というのはそれ自身逆進性がございますけれども、それだけではなくて、大型間接税の導入というのは、税体系全体を逆進性にする性格がある、こういうことを私は申し上げたいわけであります。この間接税の導入によって所得税の方は累進性をさらに下げる、そして社会保険料の方はふえてくる。そして、もしも仮にこの間接税が五%から一〇%、一五%というふうに将来上がったといたしましたならば、これは完全な逆進性になってしまう。先ほど大蔵大臣がお答えになりましたように、今後とも累進性というものは大事である、総合課税というものは大事である、これからも維持していく。ただ、現在までの累進性は少し高過ぎたから少し緩やかにしたいという御発言はございましたけれども、なおかつ累進性は維持をしたいというそのお考え、それは所得再配分においてやはり税には累進性というものが必要であるというお考えのもとに出ていると私は思うわけであります。  しかしながら、これをごらんをいただきますとわかりますとおりに、これは逆進性になってしまう可能性がある。ここをこの税制改革においてどう考えるかということは、税制改革の非常に大きなポイントであるというふうに思うわけです。その点についての、後で大蔵大臣なりあるいは総理大臣の御意見を伺いたいと思いますが、ついでにその後の表につきましても御説明だけ申し上げておきたいと思いますが、これは勤労者世帯と一般世帯の支出の構造比較でございます。  家計調査年報を拝見をいたしますと、これは勤労者世帯と全世帯という二種類しか実は出ておりませんが、この全世帯から勤労者世帯の分を引きまして、そしてここで一般世帯、こういうふうに名づけておりますが、これは自営業者というふうに思っていただいて間違いないと思いますが、それを割り出したものでございます。そういたしますと、どらんをいただきますように、すべての階層におきましてほとんどが食料費あたりでは同じ率でございますけれども、全体の消費支出は自営業者の方が低くてそして勤労者世帯の方が高い、こういう数字になっているわけでございます。  それでは、その中でどのところが一番格差が大きいかを見ますと、交通通信、教育、その他というところが大きいわけでございまして、一番大きい交通通信とその他を、どんなことかということを比較をしたものがその次にございます。  交通通信の中で一番大きいのは自動車関係費でございます。自動車関係費が最も大きな格差がございます。これは、勤労世帯に比べて自営業者あるいはその他が車を持っている率が少ないとは考えられません。恐らくこの格差というのは、自営業者の方は自分の事業と家庭といわゆる共有することができる、こういうことからこの格差が生まれたのではないかと思うわけであります。  さらに、小遣いにつきましてはさらに大きな差がございまして、勤労者は何事をするにしてもすべて自分の懐から出さなきゃなりませんけれども、自営業者その他はいわゆる事業というものと共有をして出すことができるということからではないかと思いますが、大きな格差がある。こういう格差をそのままにして、この上にこの間接税を導入をするということになれば、これは大きな格差になってくるのではないか、こういうことを示したいために出したものでございます。  以上、図表の説明を終わらせていただきますが、そうした私の先ほどから述べました考え方に対しましてどのようにお考えになりますか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  170. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、私が先ほど、累進が非常にきつくなってまいりましたのでこれを緩和したい、及び最高税率も引き下げる必要があるということを申し上げました。従来でございますと、所得税と地方税とを合わせました最高税率は八八でございますから、これはもう幾ら何でも高過ぎる。そういう人々に対しては、本当に勤労意欲を失わせるほどの高さであるということは私ども痛感をしておりましたので、一遍にいきませんが、それは何とか抜本改正のところまでで下げていきたいと思っておりますのは、そういうことを私ども政策的に考えております。したがいまして、そういう観点からいえば一分位から十分位、高い分位で所得税の減税割合が、減税額が大きくなるということは、やはり八八という税率はいかにも高いという観点からいたしまして、そういう結果になることはむしろ意図したところだというふうに申し上げるべきであろうと思います。  次に、いわゆる大型間接税がそれ自身が逆進的ではないかと言われました。そのことは私は否定はいたしません。間接税でございますから、所得税が累進的であるのに比べましたら逆進的であるということは、厳密な意味ではそうであろうと存じます。問題は、そういう間接税が片方である。しかし、その他の税制はどういうものであるかということによりまして、その逆進性のいわば持っております問題点は税制全体の中で総合的に判断をされなければならないだろう。及びもう一つ、そのような税収が歳出面で、国民経済でいかに使われているかということ。例えば、そのような税収がどのぐらい社会保障なり医療なりあるいは老人対策等々に使われているか、そのいかんによりまして全体の政策が社会的な公平、正義に合っておるかいないかを判断すべきであろう。  つまり、問題を限って、一般に消費税というものは所得税に比べれば逆進性があるということ、そのことを否定はいたしませんけれども、そのことが許されるか許されないかということは、やはり租税全体がどのような体系を持っておるかということと、そのような租税収入が国民経済の中でどのように使われておるかということによって判断をせらるべきものではないかと思います。
  171. 坂口力

    ○坂口委員 いつも歯切れのいい大蔵大臣にしては少しわかりにくかったですね。  八八%、決して私も低いとは申しません。これは高い数字であるということは私もそう思います。しかし、八八%と言いますと、ややもすると例えば一億円の課税所得に対して八千八百万円支払うかのごとき錯覚に陥る。そこを、大蔵省の皆さん方は意識的にそういう数字をおっしゃるわけでありますが、決してそうではないわけで、実際に払う額というのはもっと低いわけですね。だから、そこを意識的にいかにも八八%支払いをしなければならないかのごとき発言をされるものですから、国民は非常に混乱をするわけであります。  総合的にとおっしゃったわけでありまして、私も総合的に理解をしなければならないというふうに思っている一人であります。ですから、私は、この所得税と社会保険料と大型間接税の三つを一本の棒に継ぎ足して、一世帯の一つの財布の中から見ましたときにこういうふうになりますよということを総合的に示したわけです。その総合的に示したものが、累進性がなくなりフラットになり、逆に逆累進性になりかけている、将来なる可能性を多分に秘めた税制になる、こういうことを私は指摘をしているわけであります。  だから、私は、こういう税制でいいのかということをお聞きをしているわけであります。こうなっていいのかということを――いいとか悪いとかということの前に、皆さん方が、政府が意図しておみえになる税制はこれでいいのかということをお聞きをしているわけであります。  私は、その点についてのお答えをひとついただきたいと思いますし、それから、国民経済にどのようにそれが使われているかということも関係する。確かに大蔵大臣がおっしゃるとおりだと私思います。しかし、その使われ方も、最近の様子を見ておりますと、年金におきましても、年金における国庫負担あるいはまた全体の額というものはこれを抑えようという国の動きであり、そしてまた医療費におきましても、国庫負担を今まで三〇%しておりましたものを最近は二五%に抑えようとしている。使われ方も、国の方は出さないように出さないように現在流れている。  もし、私が今書きましたようなこういう形になったとすれば、これはその辺のところ、年金なり医療なり国庫負担というものをどんどんふやします、これは率をうんと高めますよ、だから中低所得者ほど見返りを多くしますよ、こういうことになるという約束は実は何もないわけであります。現在の方向というのはむしろその逆の方向を向いている。私は、いいとか悪いとかということではなくて、こういう方向なのですか、政府がおやりになるのはこういう方向なのですかということを今問うているわけであります。いいとか悪いとかはその後で私は申し上げたいわけであります。総理大臣、いかがでございますか。
  172. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 問題は、階層ごとに数字でお話を詰めていきませんと話は詰まらないわけでございますけれども、方向といたしまして私どもが考えておりますことは、先ほどから申し上げておりますように、累進構造を緩和したい。それは主たるところは中堅所得層に置きたいと思いますが、当然のことながら、非常に高い限界税率も下げていきたいと考えております。この点は、そういう意味で、今八八%の負担を限界的にしておられる方はその負担は軽減されるか、そのとおりでございます。それはしかし必要なことだと思って考えております。  次に、それと同じいわば税制改革の一環として広い薄い間接税を考えたいと政府は思っておるわけでございますが、それはしばしば申し上げておりますとおり、将来老齢社会が到着する、それに備えましてこのような社会の負担は広く薄くお願いをしたいということでございまして、このこと自身は、それを財源にしていわば八八%を払っておられる納税者の税金を下げよう、こう考えておるわけではございません。その間にそういう因果関係があるわけではない。方向として、したがいまして坂口委員が、例えば政府は所得税の累進構造を緩めたいと考えておるか、そのとおりでございます。  それからもう一つ、目的はともあれ、広く薄く社会の共通の費用を負担してもらうために間接税を考えたいと思っているか、それも方向としてそのとおりでございます。
  173. 坂口力

    ○坂口委員 意図される、されないは別にいたしまして、そういう税制をおやりになるということになれば、この表にありますように、上下の税制上の格差はなくなってくる、すなわちフラットないし逆進性になる可能性がある。ですから、この八八%のところをおろすために、そのために間接税を導入するのではないのだというふうにおっしゃいますけれども、結果としてはそうなるのです。結果としては高額所得者のところの税を軽くする、その財源として間接税を導入をして中低所得者のところにより多く負担をしてもらう、そういう税制にならざるを得ないのですね、これは。それを否定できるものが何かあればお示しをいただきたいと思いますが、これは私は否定できないだろうと思うのです。そういう意図はないとおっしゃいますけれども、結論はそうなるのです。どれほど言いわけをされようとそうなるのです。ここをどうされるおつもりなのか。  そして、こういうふうな税制をもしもおやりになるというのであるならば、この次にはもう一つ、それじゃ資産に対する課税は一体どうなるのか。皆さんの方も、所得、消費、資産、このバランスのとれた、こういうふうにおっしゃいますね。シャウプ税制のときに富裕税がございました。その富裕税をやめましたが、富裕税をやめましたときに所得の累進性をより高くして、あのとき七〇を七五にしたのでしたか、高めましたね。これは、富裕税、資産税をなくするかわりに累進は高くしますよ、こうしたわけです。  今度は累進を下げる、こういうわけです。これを下げるのならば資産課税を一体どうするのかという問題は、当然起こってくる問題であります。それはキャピタルゲインの問題が出ておりまして、キャピタルゲインだけに集中いたしておりますけれども、果たしてキャピタルゲインだけでいいのか、とりわけ株だけでいいのか、株だけでお茶を濁そうというようなことでは私は許されないと思うわけであります。これはそういうことになってまいりますと大改革になってくる。累進性を下げる、そしてこの間接税を導入をするということになれば、そのことは玉突き現象で税全体の構造を根本からやり直す必要がある。その辺のところを抜きにして、そしてこの大型間接税の中身はどれがいいかというような議論に矮小化することは許しがたいことであると私は言っているわけであります。そこを十分に御説明をいただかないと、我々はこの税制論議をすることはできません。ひとつもう一度御説明をいただきたいと思います。
  174. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず最初の点でございます。これは階層別に減税額、租税収入の減り万をお示しして議論を詰めませんといけないことでございますが、坂口委員が言われました、高額所得者の税率構造、累進構造を下げる、その歳入の減を間接税で埋める、こうするのではないかとおっしゃいますことは、それはそうではないと申し上げることができると思います。  確かに非常に高いところの税率は下がりますけれども、それから生じます歳入のロスというものは実はそれほど大きいものではございませんで、やはり一番大きいのは中のところが大きいわけでございます。それならば中堅所得層の累進構造を下げる、負担を小さくするという、それは確かに相当大きな歳入の減になります。それはそのとおりでございますが、それはやはり我々としてはしなければならないことではないかと考えておるわけでございます。  それから、間接税そのものは、先ほど申しましたように、これからの我が国のあるべき社会の姿を考えましてやらせていただきたいと考えておるわけで、それはいわば所得減税の見返りとしての財源ということで考えておる、それが主な目的ではないということは先ほども申し上げたとおりでございます。
  175. 坂口力

    ○坂口委員 御指摘になりますように、高額所得者のところの人数はそれほど多くありませんから、そこをたとえ落としたとしてもそれに対する財源がそんなにたくさん要るものではない、それは私もおっしゃるとおりだと思うわけです。ただし、その際に、この大型間接税を導入をするということにすれば、その財源は一体それならばどこへ使われるのかということでありますが、それは中堅サラリーマンのところに使われるというふうにおっしゃいますが、この二枚目の表を見ていただきますとわかりますとおり、大体五%でも現在払っていただいております所得税と大体同じくらいな額を消費税で出してもらわなければならなくなるわけでありまして、決してこの中堅サラリーマンのところに私は返ってくるとは思われない。そういたしますと、それは一体どこへいくのか、法人税を下げた分にそれはいくのかどうかということに一つはなります。     〔野田委員長代理退席、委員長着席〕  それから、先ほど申しました資産課税を一体どうするのか。相続税なんかで非常に課税最低限を上げなければならないという問題はありますから、その辺は加味をしなければならないと思いますが、例えば相続税あたりも累進性を将来なくしてくるというようなことになってまいりましたならば、富の再配分からいきまして、この格差は将来だんだんと大きくなっていく、その可能性がある、一つは、それを歯どめをするための所得再配分としての機能を果たす税制にならないではないかということを私は申し上げているわけであります。ですから、私は、この資産課税というものに対してどう対処されるのか、早急にこれは煮詰めていただく必要がある、こう一つは思います。  それから法人税に対しまして、現在の日本の法人税は非常に高いということを強調される。これも決して低くはないと私も思っているわけでありますが、ただ実効税率を比較をいたしまして、実効税率の比較で日本が非常に高いとおっしゃるのは、これは少し見当違いではないだろうか。政府税調の資料等を拝見をいたしましても、実効税率のところばかり強調されているわけでありまして、この実効税率では法人税が本当に多いかどうかは私はわからないと思うわけであります。いつか経団連とでございましたか、大蔵省とでございましたか、論争もございまして、そのときに大蔵省の方も実効税率だけではわからないということをおっしゃっておみえになる、私はそのとおりだと思うわけです。  それからこの法人税、例えばアメリカと日本とを比べました場合に、アメリカの法人税、この前の税制改革でアメリカは四六%から三四%に下げました。これは実効税率としては下げたことになりますけれども、しかし実際にアメリカの法人の税金が下がったのかというと、そうではなかったのですね。一千二百三億ドル法人税は増税になり、その分所得税の方が一千二百十九億ドル減税になったわけであります。法人の出さなければならない額としては上がったのですね。だけれども、実効税率としては四六%から三四%に下がった。この三四と日本の五二とを比較をしまして、これは日本の実効税率というのは非常に高い、こうおっしゃるのですが、しかしアメリカと日本を比較をいたします場合に、もっとほかに比較をし、検討をしなければならない点がたくさんありますね。  例えば、決算をいたしますときに、日本の場合は確定決算によっておりますけれども、アメリカは例えば損金経理でいいとか、あるいはまた八〇%以上の株を持った子会社あたりは、これは連結納税制度というのをアメリカはとっておりますけれども、日本はとらなくていいとか、そのときの、何と申しますか当期純利益ですか、当期純利益から、その後、損金の不算入額をどうするかあるいは算入額をどうするか、あるいは益金の不算入額をどうするかあるいは算入額をどうするか、そうしたことで非常に多くの違いがある。そうしたことを抜きにして、最後の課税所得金額に対する税率だけで比較をして高いとか低いということを論じることは早計に過ぎる。  これが一般国民の間で、それを見て高いじゃないか低いでないかということが言われているのならば、これは私は十分理解が得られていないということもあってやむを得ないというふうに思いますけれども、税制調査会においてあたかも実効税率が中心であるかのごとくにして議論をされているともし仮定をしたら、これは大変なことになる。少なくとも政府税調がお出しになりましたその資料を見せていただく限りにおきましては、その辺のところの分析したものは何も出てこないということを大変私は残念に思うわけであります。ですから、法人税の減税というのも、実効税率が高いからというだけでこれを減税するということは納得しかねるわけであります。  そうしますと、我々は政府が将来行おうとしているその税体系というのは、その大きいところ、法人税やあるいは高額所得者のところの減税をするために中低所得層のところに課税を強化をすることによって新しい税体系をつくり上げる、そして全体の税は、直接税、間接税、そして社会保険料を含めましたものは逆進性になる、こういう図柄のものにならざるを得ないということを指摘をしているわけでございまして、これに対する明確な答弁をひとつしていただく必要があるのではないか。もしその辺が答弁できないとおっしゃるのであるならば、そう軽々にことしの春とかあるいはことしの秋とか、二十一世紀に向かうべき税制というものを示そうとするのは余りにも拙速に過ぎると言わざるを得ないわけであります。もう一度この辺に対する大蔵大臣の答弁を得て、次に進みたいと思います。
  176. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 問題は二つでございまして、その資産課税のところは先ほど私がお答えを申し上げるべきところを怠りまして申しわけございませんでした。  御主張の趣旨は、要するに所得税等々を通じての所得再配分機能がシャウプ時代に比べれば小さくなってきたであろう、またそういう税改正を考えているという御指摘は、あのころに比べれば確かにあれほど大きな所得再配分機能を所得税が果たせなくなるということはある程度私は本当であると思いますが、それだけまた、我が国の所得格差が小さくなっているということを申し上げることができると思うのですが、しかし今度は、そのかわり資産課税をしっかりやらなければ、いわば今度世帯間の所得あるいは資産の格差が大きくなるということはそのとおりであると思います。  おっしゃいますように、土地価格の上昇等々で、相続税等で非常に苦労をしていらっしゃる方があるということが国会でしばしば御議論になりまして、そのことは対処しなければならない点ではございますけれども、しかし相続税というものがおっしゃるような機能を持たなければならないことは言われるとおりでございますから、私ども、今の相続税は昭和五十年に税率構造等が決まったままでございますから、抜本改正で、十年たっておりますので、直させていただきたいとは思いながら、しかし資産課税の持ちますそういう社会的な意味というものは、これは決して忘れないようにしていかなければならない、御指摘のとおりだと思います。  それから法人税の点は、前国会税制抜本改正を申し上げましたときに、ある階層の所得税の減税分と間接税の負担増とではむしろ増になるのではないか、いやそれはしかし法人税の減収というものがやがてどういう形かで個人に帰属されてくるんだということを申し上げまして、この点はなかなか御納得がいただけずに議論がありましたことは、私も記憶をいたしております。したがって、この点は次回、所得税等々の抜本改正をいたしますときにもう一遍よく気をつけて、そういう階層が出ませんようなやり方がないかということを気をつけて考えてみたいと思っております。私ども法人税が結局個人に減税が帰属するという理論を撤回するわけではございませんけれども、いかにもそれがわかりにくいという御批判を受けたことはよく留意をいたしておきたいと思います。  それから法人税そのものにつきましては、税率を下げたいと思っておりますが、これはかなりのものはやはり法人税体系が今持っておりますいわば税源の中で処理をある程度のことはいたしたい。つまり引当金のある種のものを縮めていきますとか、あるいは受取配当の益金不算入というのを改めていきますとか、あるいは支払い配当分の課税軽課を改めていきますとか、そういういわば特別措置ばかりではございませんが、そういう措置法的なものをやめていきまして、かなりの税収をそこから確保いたしたい。全部と申し上げられないかもしれませんが、法人税の問題は法人税の中である程度の財源を見つけていきたいというふうに考えております。
  177. 坂口力

    ○坂口委員 税金の問題、まだお聞きしたいこともございますが、時間も参っておりますので、これぐらいにして次に進みたいと思いますが、今までの総合的な議論を踏まえまして、竹下総理から最後に一言お伺いをして、次に進みたいと存じます。
  178. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 坂口さんと大蔵大臣との問答がずっと繰り返されてきたわけでございますが、私も間接税そのものの、いわゆる消費に着目した税制そのものの、一方、給与所得の中に累進構造がある限りにおいては逆進性がある、この議論は前々からも申しておるところでございます。したがって、総合的な組み立てをどうしていくか。すなわち、資産課税でも御議論があっておりましたが、利子、配当、不動産譲渡、そこのところまでが資産課税でございましょうか、それから給与の問題で事業所得、給与所得、まあ退職所得は別といたしまして、そういう十種類のいわゆる所得税に種類がありますが、その中の資産課税の分野で、例えば利子配当課税なんかは前回の改正においてやっていただいた。したがって、総合的な図柄がどうなるかというのが一番問題であろうというふうに今思っております。  したがって、そういうことを考えながら、これも売上税と一緒に廃案になりましたかつての六段階の所得税とか、あるいは法人税の場合におきましたならば、内部のもろもろの特別措置を含む措置を外すことによってかなりの財源に充当した形の法人税、こういうことにあの場合構築されたんではないかな、こういう感じがしておりますので、今の問答については私どもも十分参考にして、いよいよ税体系そのものの構築の際に大いに参考にすべきものだな、こういう感じで承らせていただいておりました。
  179. 坂口力

    ○坂口委員 最後に一言だけ大蔵大臣に、今議論をいたしましたように、資産課税あるいは法人税の問題等、これは総合的に見直しを行わなければならない問題でありますから、積極的にこれは取り組むという決意をひとつ表明していただきたいと思います。
  180. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどから坂口委員が御指摘をされました点は、私ども十分に考えていかなければならない幾つかの問題を含んでおりまして、税制抜本改正をいたしますときに、よくその辺は留意をさせていただきたいと思います。
  181. 坂口力

    ○坂口委員 じゃ、次の問題に進ませていただきますが、災害遺児の問題をここでひとつ取り上げさせていただきます。  六十一年二月の予算委員会で、当時の矢野書記長が災害遺児の高校進学を進めるために災害遺児育英制度を創設することを訴えたわけでありまして、以来党としても再三この実現を求めてまいりました。昨年末の党首会談でも、実はこのことを申し入れをさせていただいたところでございます。民間の交通遺児育英会におきましては、交通遺児の方々が災害遺児の方のためにボランティアで涙ぐましい募金活動を行ってこられまして、一日も早い育英制度の創設を訴えてきたところでございます。  そこで、先日竹下総理からも、山口書記長に対する御答弁でも、四月一日ということも念頭に置いて鋭意努力をしたいという旨の御発言もあったわけでございますが、もう四月一日も間もなくそこに迫ってきているわけでございまして、もう少し明確な御答弁をひとついただきたいと思うわけです。一つは制度の面であり、もう一つは財源の問題、両方あろうかと思います。  先に制度の面についてお伺いをしたいと思いますが、制度の面につきましては、これは文部省の方で引き受けていただいて、そして受け皿をつくっていただく、こういうふうに理解をさせていただいていいのかどうか。それから、もしもそういうふうに引き受けていただくということになれば、それはどんな形が望ましいのか、そしてそれは四月一日からスタートすることに間に合うような形になるのかどうか、文部大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
  182. 中島源太郎

    中島国務大臣 災害遺児の問題につきましては再三御指摘をいただいております。この点は文部省としては、全国の育英会によります育英事業がございますものですから、それと一方で、交通遺児その他海難遺児とか特定の者につきまして、民間の財団からそれぞれに育英事業対象とされておるわけでございまして、その間を、その他の災害遺児という範囲をどこに特定するかということが私ども非常に苦慮をいたしておった点でございまして、それを各省庁で話し合いをいたしながら詰めていく作業がまず前提にあるわけでございます。  その災害という範囲でございますけれども、例えば一家の柱になっていらっしゃる方が何かの形でお亡くなりになるとか、あるいは欠けるとかいうことで、進学、修学が非常にできにくい経済状態にあられるお子さんというのは、その他の理由の場合もあり得るわけでございますので、その範囲の特定をまずするということが問題でございまして、私ども文部省としてはその点を各省庁とすり合わせをいたしてきた点でございます。その間に各党首の方々との御会談がありまして、そこで竹下総理との間に災害遺児についてのお話し合いがあったということは私どもも承知をいたしておりますが、私ども文部省としてはそのすり合わせの最中ということを申し上げておきたいと思います。
  183. 坂口力

    ○坂口委員 事務当局でも結構でございますが、もう少し突っ込んだお話を聞きたいわけでございます。  それは、今までの経緯はそうでございますが、これから後四月一日を目指しまして、そして方法として公益信託だとか任意団体にするとか交通遺児育英会の中に入れるとか、いろいろ方法はあるのだろうと思うのですが、その受け皿としては文部省の方できちっとそれはやりますということにしていただかないと話は進まないわけでございます。そのふるい分けのことは、これまたふるい分けで進めていただいたらよろしゅうございますが、それと並行してこの受け皿をどうするかという問題をひとつ四月一日からスタートできるようにしていただけるかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  184. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  この問題につきましては、これまでその進める会というような方々と文部省も何回か話し合いを持ってまいりまして、ただいま先生の御指摘がありましたように、いろいろなやり方はあるだろうというような話はしてまいったわけでございますが、そういった中で関係者の方々が現在言っておられますのは、交通遺児育英会の制度の中で、この事業の一環としてやるという方向で考えたいということが関係者の御要望でございます。  ただ、これは制度的にはもちろん可能なわけでございますけれども、ただ具体の問題としてやはりその前に財源問題等が基本にございますので、その問題が解決をいたしませんと、なかなかこの仕組みをどうするかというところまでまいらないわけでございまして、現在文部省の段階といたしましては、文部省独自でも検討いたしておりますし、関係省にも種々御議論、御検討いただいているという状況でございます。
  185. 坂口力

    ○坂口委員 もう一つお聞きしたいと思いますが、それはよくわかるのですが、すべてが解決をしたら私のところはこうしますというのではいつまでたってもこれは進まないわけでありまして、そういうことで今日まで進んでこなかった。ですから、財源の問題は今からまたやりますけれども、受け皿としての文部省ではそれをつくっていただけますか、こういうことを申し上げているわけで、そしてそれは四月一日に間に合いますか、こういうことになっているわけでございます。――こちらの方からわかりましたという御意見がございますけれども、そちらの方、いかがでございますか。
  186. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 交通遺児育英会でございますけれども、これは文部省と総務庁の共管の財団法人でございます。したがいまして、文部省といたしましてはこの交通遺児育英会で理事会等の正規の手続等を経て災害遺児についての事業をやりたいという申請が出てくれば、もちろん前向きに検討する用意はあるわけでございますけれども、ただその場合にも、先ほど来申し上げておりますように交通遺児育英会の関係者も、財源問題が、とこう申しておりますので、そこまで現段階で話がまとまるところまでいっていない。(坂口委員「財源が解決すればそれはいいわけですね」と呼ぶ)はい、そういうことでございます。
  187. 坂口力

    ○坂口委員 財源の問題でございますが、これは総理大臣にお聞きをするのか、どこへお聞きをするのかちょっとわかりませんが、これは総理大臣、ひとつお答えをいただきたいと思います、今までの経緯もございますので。  昨年末の党首会談でも出た話でございまして、非常に前向きのお話をいただいたわけです。したがって、制度面では今お聞きのように文部省の方でそういう遺児の方の意見も聞きつつ四月一日スタートに向けて体制を整えていきたい、ただし財源がなければ、こういう話になるわけでございますが、この財源の方は交通遺児の方も、自分たちで街頭募金をして、そして二億円に上る額を災害遺児のために集めている、こういうことでございます。これからも彼らもまた努力をするというふうに思いますが、しかし、だからといって彼らにすべてを任せておくというわけにはまいりません。国の方もこれは努力をしなければならないことでございまして、したがって、その辺のところはひとつ四月一日に間に合うように何らかの結論を得ていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
  188. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今まで御議論いたしておりましたのは、日本育英会の育英奨学事業というのは学業成績が優秀で、かつ諸般の事情により経済的に進学が困難だ、だから一つのことを特定して、その中へ組み込むことから議論しなければなりません、こういう答弁をしておって、それできょうのお話の問答で、私も聞いておりましたが、日本育英会を監督しておられる文部省の方も、いわば申請があったら、こういう前提ではございますが、それなりの仕組みの問題のお話があった。今、本当を言いますと内政審議室が中心になって財源問題も含めて鋭意詰めておる段階でございます。きょうその詰めておる段階を、いみじくも坂口さんとの問答の中で文部省の方が経過をお話しされたな、こういう印象で私承っておりましたので、間に合うように財源も含めて今内政審議室が中心で鋭意検討をしておるということを申し上げておきます。
  189. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。  それではもう一つ、あと十分間でございますが、脳死の問題をお聞きしたいと思います。  この脳死でありますとかあるいは臓器移植の問題というのは、単なる医学、医療の領域を超えまして人間の生き方、さらには生命そのものの尊厳性といったところから、これにかかわる哲学的、宗教的内容をも含みながら今日まで議論をしてきたところでございます。医療関係者のみならず自然科学者、法律学者、社会科学者、哲学者等も大きな関心を示され、マスコミ界だとか一般国民の皆さん方も非常に大きな関心を示しておみえになるところでございます。  もう二年ほど前になりますか、私この予算委員会でこの脳死のことをやらせていただきまして、厚生省の局長さんの方から脳死は死である、こういう御回答があったわけでございます。問題は、脳死は死であるというところまではいきましても、これに対して異論を挟む人も中にはあるのですが、ここまでは大方の議論は問題なかろうと思うわけでありますが、その脳死であることをいかにして判断するか。脳死であることを十分に検査することができ得るかということが最大の問題になっているというふうに思うわけであります。それに対して、現在の医学水準等でこの脳死の認定ということはでき得るというふうにお考えになっているかどうか、ひとつ御答弁を簡単にいただきたいと思います。
  190. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 脳死を人間の死とするかどうかということは別問題といたしまして、医学上脳の死を判定するということにつきましては、厚生省がさきに脳死に関する研究班というものをつくりまして、そこで判定基準をつくってお示しをしております。これは医学界におきましても妥当なものだと言われておるわけでございまして、その判定基準に従って判定をすれば脳の死の判定はできる。  今御指摘の現在の医療水準でというお話でございますが、これを各県の基幹的病院、つまり県立病院等ということで考えてみますと、それらの脳死の判定をするために必要な施設、また医師を持っているわけでございますので、結論から申し上げますと判定はできる、こういうことだと思います。
  191. 坂口力

    ○坂口委員 脳死の判定はできるという御答弁をいただいたわけであります。その前に脳死が死であるかどうかは別にしてということでございましたが、これは脳死を死であると認めるためにその判定をやっておるわけでありますから、それはちょっと前提を認めていただかないと、何のために何をやっておるのかよくわからないわけでございます。だから、それはよろしゅうございますね、ちょっと言い間違われたということで。
  192. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 脳死をもって人間の死と認めるということにつきましては、まだ国民の間で理解と納得が得られているとは思いません。私が申し上げましたのは、脳の死を医学上判定することができるかどうかという御質問に対してそれはできる、こうお答え申し上げたわけでございます。
  193. 坂口力

    ○坂口委員 よくわかりました。  その次に、もう一つお聞きをしたいと思いますが、脳死を死と認めるための立法措置、これは国によりましてはかなりたくさんの国が立法措置をしているわけであります。立法措置までいかなくても、脳死を医学的に認定する国もたくさんございます。脳死を法的に認めております国には、フランス、イタリア、オランダ、アメリカ合衆国の中の三十三州、それからカナダ、こうした代表的な国がございます。それから法的にはしていないけれども脳死を医学的に認定だけをしております国には、イギリス、西ドイツ、アメリカ合衆国のその他の州を初めとしましてベルギーでありますとかスイス、スウェーデン、デンマーク、こうした国々がある。こういうことでございますが、これは法務省でございましょうか、これを法律的にきちっとするというお考えがあるかどうかということが一つ。  それから、文部省の方にもう一つお聞きをしたいと思いますが、各大学病院等で臓器移植の動きが非常に急でございます。最近でございますと臓器移植を行うことによりまして裁判ざたになった例もたくさんあるわけでございますが、これは大学の自主性に任せておかれるのか、それとも現状におきましては大学としてはこうあるべきだということを言われるのか、その辺をひとつお答えをいただきたいと思います。
  194. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 御指摘のように、死につきまして我が国におきましては法律の上で定義はございません。そこで、死の定義及び死の判定につきましては基本的には先ほど厚生大臣からお答えになりましたように医学の問題でありまして、医学的知見を基礎とすべきものと考えられまするが、国民感情あるいは生命観等とも深くかかわるものでございまして、そこで各般の法分野にも影響するところが大きいものでありまするので、法律で一義的に規定することの当否も含めまして諸般の角度から慎重に検討すべきものと考えております。法務省としましても、今後における各界の議論の動向などを見きわめながら、関係省庁とも意見を交換いたしまして検討を続けてまいりたいと存じます。
  195. 中島源太郎

    中島国務大臣 脳死と臓器移植の問題でございますが、先ほど厚生大臣言われましたように、六十年の十二月に判定基準がつくられまして、その後六十二年十月に日本学術会議におきまして脳死は個体死という見解を発表しております。また六十三年一月に日本医師会も同じく脳死は個体死という、そこまでの見解は出ておるわけでございます。ただ、それをもってその後各大学の附属病院ではどうするかということでございますが、それ以外に倫理委員会というのを設けまして、これは医学部以外の学識経験者を含めました倫理委員会でございまして、ここでよく慎重に検討していただく、こういうことを前提といたしまして指導しておるところでございます。  なお、その脳死の判定のあり方とか臓器移植の問題につきましては、さらに関係学界等において科学的な検討が進められることを期待をいたしておる、こういう形でございます。
  196. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。非常に難しい問題でございますから、この辺にさせていただきたいと思います。  最後に、もう一点だけ違う問題でございますがお聞きをして最後にしたいと思いますが、厚生年金基金のことにつきまして、最近大きな問題にもなっているわけでございます。これは大蔵省の方にお聞きをしたいと思いますが、魅力ある厚生年金基金をつくりますために財政運営というものは非常に今後に大きな影響を与えるわけでございます。  そこで、現行の非課税水準というのがあるわけですが、この水準が今後とも維持されるという方向で政府の方は対応しようとしておみえになるやに聞きますけれども、この厚生年金基金に対しても課税をしようという動きもあるわけでございます。そこで、これはこういう高齢化社会を前にしての話でございますので、ここはひとつ思いとどまりをいただいて、そしてこの厚生年金基金については非課税、このことを今後も持続していただくように我々は希望しているわけでございますが、これに対する御答弁をお聞きをしまして私の質問を終わりにしたいと思います。
  197. 水野勝

    ○水野政府委員 こうした基金につきましての課税の趣旨につきましては、先生御承知のところでございます。先般の年金制度改正に伴いまして、その点につきましての課税水準の問題はこの数年来議論されているところでございますが、この趣旨に沿うよう、具体的な課税水準について今後どのように詰めてまいりますか、現在関係省庁の手元でいろいろ検討がされているようでございます。そうした関係者の検討の結果を待ちまして、私どもお話を承りまして適切な方向に結論を出してまいりたい。まだ方向、具体的な点につきまして詰まっておるところではございません。しばらく検討の時間をいただきたいと思います。
  198. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。
  199. 奥田敬和

    奥田委員長 この際、水谷弘君より関連質疑の申し出があります。坂口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。水谷弘君。
  200. 水谷弘

    ○水谷委員 この補正の審議で、やはり私は冒頭に総理に、売上税が廃案になったその理由、なぜこれが廃案になったのか、このことについて総理に詳しくお尋ねをいたしたいと存じます。
  201. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 いつも申し上げておることでございますが、さらに念を入れてと申しましても特別な言葉が浮かんでくるわけではございませんけれども、やはり一つには、基本的には国民理解を得るに至らなかったということで位置づけるべきであろうと思っております。国会で廃案になったという厳粛な事実からするならば、そうお答えするのが一番適切であろうと思っております。
  202. 水谷弘

    ○水谷委員 なぜ理解を得ることができなかったのでしょうか。
  203. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 要するに、国会で法案が提出されてそれが議題となって審議していただけなかったというのは、その審議以前の問題がやはり存在しておったであろうというふうに私は反省をいたしております。
  204. 水谷弘

    ○水谷委員 では、その審議以前の問題は何だとお思いですか。
  205. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 政治的な意味におきましてそれまでの私どもを含むいわば発言とかいうような問題もあったでございましょうし、あのときの経過を、国会に限って経過を記憶いたしてみますと、それは私も悪夢を見るような感じかいたします。例えば、最初売上税という言葉がなかったからというようなところから議論がかまびすしく行われてまいりまして、結果的には、本当に十八年ぶりでございますか、哀れな経験として牛歩国会というようなことを、私にとっては非常に思い出としてはこれはいい思い出じゃございませんが、そういうことを体験したというようなことを思い出してみますと、そういうこと全体がやはり審議以前の問題に存在しておったではないかと言わざるを得ないと思います。
  206. 水谷弘

    ○水谷委員 総理が冒頭おっしゃったのは、国民理解を得ることができなかった。今度は、審議ができなかった、審議以前に問題があった。どうもこれは、国民が聞いておられても、売上税が廃案になったことに対して総理として的確な理由を把握しておられるとは私は思えないわけでございます。  そこのところをもう一度お尋ねをしますが、国会の運営上の問題、国会の流れの問題、十八年ぶりとかなんとかと言われても、私はそれだけが理由とは受けとめられません。あれだけの全国的な国民のお怒り、あらゆる業界の人たちの怒りの声。選挙にも結果があらわれた。統一地方選挙にもあれだけの国民のノーという選択があった。その背景国民は一体何を考えて売上税はノーという意思を表示されたのか。ここまで総理が突っ込んだその究明をなさることが、これからの税制改革に臨まれる原点にしておかなければいかぬと私は思うわけでございます。先ほどの答弁では全然納得できません。
  207. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今水谷さんがおっしゃったこと、それからもろもろの御批判が本委員会等においても行われておること、それが全部反省の原点に、私は存在しておる。したがって、今度はいわばコンセンサスが那辺にあるか、理解してもらえるような税制改革はどうすればいいかということを、一生懸命国会の議論等を通じながら、今税制調査会へ正確に伝え、審議いただいておるという段階であるという問題意識でございます。
  208. 水谷弘

    ○水谷委員 ということは、あの売上税のような、全く等しいとは言いませんけれども、あの売上税のようなものは、これからの税調の中でどんなに議論がされ、また政府としてこれから検討するその対象とは考えない、あれは悪かった、国民は悪いという判断をした、そういう悪いという判断をしたものはこれからの税制改革の中には考えない、こういうふうに受けとめられているわけですか。
  209. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 あらゆる予見を挟まずと言っておる限りにおいて私も言葉を選んでお答えしなければならぬわけです、率直なところが。が、あれが廃案になったという現実を踏まえて議論を展開して、廃案にならないようなものを出す、こういうことでございます。
  210. 水谷弘

    ○水谷委員 私も売上税国会から予算委員になりまして、この予算委これで二回目でございますが、竹下総理竹下弁証法でどうも話が私よく理解できません。  廃案にならないようなものを出すといういわゆる国会の手続上の問題を私は聞いているのではございませんで、国民があれだけ反対をしたあの売上税がはらんでおるもろもろの要素、そういうものについては同じく国民がまた反対をする、それはもうあのことで明確に国民の皆さん全部意思表示をなさっているわけです。そういうことになるわけでありまして、その点はひとつ総理よく明確にしておいていただきたい。  もう一つ、先ほどの御答弁の中でいわゆる公約違反の問題がございました。また、国会決議のことももちろん重要でございます。国会決議に反するような方向の税制改革は認めるわけにまいりません。さらには、国民に約束をされたあの公約を裏切るような税制改正、これもあってはならないと考えます。  そういうことを含めた上で、政府が我が党の当時の書記長に、中曽根総理が統一見解として、当時総理は大蔵大臣であられたわけでありますが、そこに明確におっしゃった「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしない」、これは政府の統一見解。先ほど来からいろいろな議論があります。重く受けとめておりますとかいろいろございますが、この政府の統一見解を竹下総理はきちっと守るのか守らないのかということをこの予算委員会の総括の間でも随分時間をかけて議論があった。  それとまたもう一つ、この矢野質問に対する中曽根総理答弁は、大変なこの予算委員会の貴重な時間を使い、国民の皆様の前で自民党政府総理国民に対しお約束をされたことである。こういうことが、重く受けとめますというようなやりとりだけで今国会が終わるようであれば、私は国民に対して大変申しわけない、こう思うわけで、守られるのか守られないのか。そしてまた、売上税がこのことに反していたから、国民売上税について、総理が約束していながらそれとは違う売上税を出したじやないか、約束違反じゃないか、公約違反もさることながら総理の約束が守られてはいないではないか、こういう国民の強いお声が厳しいお怒りの声となって国会が動かなくなるほどの大事態に至ったはずであります。そういう意味で、改めて総理にお伺いをしておきたいと思います。
  211. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 重く受けとめておりますということはたびたび申し上げておるところでございますが、私も今日まで、あの政府の統一見解であってもそれが総理答弁であっても同じものでございますと、したがってこれを重く受けとめることは当然と。ただ、ぎりぎり議論をしますと、多段階であって例外のないものは、私の中曽根内閣ではこれをとりませんと。ぎりぎり議論しますと、じゃ一品目でも外れておったらいわばセーフ、アウトじゃなくセーフになるのか、こういう議論になることは、私は不毛の論議だと思って実は今まで避けるように避けるようにしておりました。  そこで、やはりあの重い重い発言を考えていろいろ工夫して御提案申し上げるに至ったのが売上税だったわけでございますから、それについては党内の手続も終え、したがって、その先の見解として、水谷さんはそれそのものが言ってみれば多段階、網羅的、普遍的、包括的の範疇であったとおっしゃるし、我々は工夫して、それを多段階、網羅的、普遍的、包括的の範疇の中で工夫して出したものであるというところが見解の相違である。それから先、見解が一致するのは、結果として国権の最高機関たる国会において廃案になったという厳粛な事実。  そこからさればと、そういう経過を全部もう一度反省してみて、税制改革の必要性ということは共通認識になっておるわけでございますから、廃案というのも決して国会の手続の問題じゃなく、国会というところで廃案になるぐらい問題のものであっただけに、廃案にならぬような、本当に理解できるようなものをもう一遍、このようにして貴重な意見を聞きながら、これを吸収して、政府税調の知恵をかりながら、皆さん方の前で御審議をいただけるようにこの四年間の任期を大事に大事に守っていこうというのが偽らざる私の心境でございます。
  212. 水谷弘

    ○水谷委員 今総理の御答弁で、私たちと違うスタンスがこうあるというお話がございましたけれども、私はそうではないんで、やはりこの総理答弁売上税そのものの中身が余りにも反しているということが、これがやはり一番重大な問題であったはずであります。  総括質疑でまたこれは改めてお尋ねをいたしますが、もう一つは、いわゆるタックスミックス論、本格的に所得、消費、資産というものに課税をすることがいわゆる不公平感を是正するんだ、こういう本格的なような議論が出てきておるわけでございますが、いろいろな学者のいわゆる税に対する見解、そういうものも調べてみましても、この所得、消費、資産に対してかけるこういう税が本当にふさわしい、最も公平な税であるかというその論拠、いわゆる論点、これがまだまだ成熟しておらず、まだまだ煮詰まっておらない。こういう問題が前提にあり、さらに、先ほど来から議論がございましたように、直接税の中におけるいろいろな不公平が余りにも多過ぎる、収入の割に税負担が大き過ぎるという国民の税に対する不満、さらには、現在の税制度また徴税、そういうものにおける不公平があり過ぎる、いろいろな指摘が今出てきております。  そしてまた、直接税とは一体何か、間接税とは一体何か。現在、直間比率の問題のみを議論されておりますが、そこにおける間接税の踏み込んだ議論というのがまだまだ行われていない、こういう状況でありますが、総理、このタックスミックス論、いわゆる所得、消費、資産、ここにかける税が最も不公平感を払拭できるという、総理も所信表明の中でそのことをはっきり――不公平感を解消するためには、いわゆる所得、消費、資産の間で均衡がとれた安定的な税体系を早期に構築する必要があります、こうおっしゃっておりますけれども、本当に国民にわかるように、それが本当に公平な税制なのかという総理の御所見を承っておきたいと思います。
  213. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今までも政府税調のコンセンサスというものは、所得、消費、資産、それに均衡のとれた税制を構築することまでは予見以前の問題として既に私はオーソライズされておる問題だと思います。せんじ詰めて申しますならば、税というのは何に着目するかと申しますと、やはり資産と消費と所得しかないわけでございますから、それらに均衡のとれた構築の仕方はどういうものかということを、国民皆様方理解を得ながら構築していこうというのがやはり税制改革のまずベースに存在することではなかろうかな、このように考えております。
  214. 水谷弘

    ○水谷委員 先ほどは税調の会長、お忙しい中をお見えになられたわけでありますが、大変な御議論をいただいていることについては敬意を表するわけでございますが、これだけ抜本改正をするためのいろいろな問題点が現在あります。伝えられているところによりますと、この春にも政府は法案をと、または秋の臨時国会というようなお話でございますが、例えばキャピタルゲインの問題で、今、納税者番号に対する問題でさらに税調の中に委員会をおつくりになっている。また資産の課税については、今度は土地に対する課税の問題についてもいろいろな議論をなさるということでございます。現在の不公平感を醸し出している一番大きな土地税制、これを本当に本気になって手がけるのにわずか一カ月、二カ月や三カ月、まさかそんな拙速で私はでき上がるとは思っておりませんし、この納税者番号導入の問題についても、これはまた大変な国民的な御議論をいただかなければ、これは結論を見ることも不可能だろう。今税調でいろいろ御検討されている中身に余りにも重要問題が多過ぎる。こういう状況の中で、政府の法案が伝えられているような形で国会に提出されるというようなことは、私は考えられないわけであります。  総理御自身も、拙速は避ける、こうおっしゃっているわけでありまして、私たちはその税制の議論をしていく段階にほとんど今ございません、はっきり申し上げまして。よく言われます、お化けみたいなものを相手にしてどうやって議論をするんだと。そんな、国民の皆様からすれば、この国会における税制議論というのは、非常に期待をされておられながら、まだその片りんすらも明らかになっていない。ところが、党の首脳がまたいろいろな方向でいろいろなところでいろいろなことをおっしゃる、国民から見てさっぱりわからない、また我々としても、本気になって議論をしようとしても議論ができない、こういうふうな状況でございます。  しかし総理、いろいろなところから春とか秋とか伝えられてまいります。そのことについての総理の御見解を承りたいと思います。
  215. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 行政府責任者としてお答えいたしますならば、春とか秋とかということは、租税法定主義の建前でございますから、法律をいつ出すかというようなことが春とか秋とか、あるいはいつ成立せしめることを期待しておるかというようなことが春とか秋とかの表現につながっていくことであろうと思います。が、租税法定主義はもとよりでございますが、さて、法律をいつ提出するかということにつきましては、本日小渕官房長官からもお答えいたしておりましたが、政府としては、資産、消費、所得等に均衡のとれたあるべき税制の姿について、税制調査会の専門家の先生方、ひとつ諮問いたしますから答申を下さい。したがって、今度は諮問に対して、いつまでとかいう期限を付すべきものでもない。  がしかし、これだけ国民の間で十何年議論されてきた税制改革というものは、税制調査会の御熱心な討議によって答申をいただけるような状態になれば、それはまたそれを法文化して御提案申し上げなければいけない状態になったとすればということで、検討中のものとして税法につきましては議院運営委員会へ御説明を申し上げておるというのが現状でございますので、今いろいろな個人の発言は、これは自由でございますが、政府として言えることは、検討中のものという中に税法改正についての法律案は位置づけをしておりますというのが限界ではなかろうかと思います。
  216. 水谷弘

    ○水谷委員 まだまだお伺いをしたいのでございますが、次の問題に移らしていただきます。  十六日の閣議後の記者会見で、佐藤農林水産大臣は我が国の調査捕鯨の問題について記者会見をなさっておられるようでございます。既に私から申し上げるまでもなく、現在進めております調査捕鯨は、昨年のIWC総会に調査計画を我が国が提出をいたしましたが、反捕鯨国の中止勧告によって、それが採択をされたことによって、またさらにこの勧告そのもの、さらにはこのあり方そのものについても我が政府は明確な主張をいたしたわけであります。しかしながら、その内容をさらに今度は縮小といいますか、調査捕鯨のための調査をするという、こういう慎重な対応をしながら、アメリカとも非公式の協議を重ねながら、ミンク三百頭の捕獲ということにして、アメリカが示唆をしたIWCの中の科学委員会にこれを検討を依頼をした。その結果は賛否両論であった、科学委員会は。そういうことを踏まえながらこの調査捕獲に出航したわけです。  ところが、ここへ来て、二月九日アメリカはPM法の発動をいたしました。今、世界的に鯨資源が大変多くなり過ぎて、今後の漁業にも甚大な影響を与えるのではないかという、アメリカの漁業者の間にもそういう運動まで起きつつあると私も聞いております。資源は決してないわけではなくて、豊富な資源がある。そして、それを調査することによってさらにこの鯨資源を守るということが本格的にできるわけであります。こういう意味から、いわゆるIWCの精神にのっとったこのような我が国の調査捕鯨に対して、アメリカが一方的に制裁措置を加えてきた。かつてアイスランドが行った計画には何のPM法の発動等もなかった。非常に差別があるわけでございます。  その次に、またついこの間郵便投票の問題が出てまいりました。中止勧告の、いわゆる「日本の調査捕鯨実施について、中止勧告の是非を問うIWC加盟国の緊急郵便投票が十四日締め切られ、中止勧告賛成十九、反対六、棄権二で、日本に同捕鯨の中止を勧告することが決まった」このようにIWCは発表をしたと言われております。  それらのことを全部踏まえて、農林水産大臣は、しかしながらこの調査捕鯨は中止しない、このように明確に申されたのかどうなのか、また、現在もそのように明確に方針をお決めになっていらっしゃるのかどうか、お答えをいただきたい。
  217. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今水谷委員おっしゃるとおりの経緯でございます。  特に、最近に至っては郵便投票、その結果が出てまいりましたけれども、もともと両論併記の形で経緯してきたもののその中で、我が方調査捕鯨のために出航をさせたという経緯にございますので、私どもは、法的にも決して疑義を挟むものではない、こういうことで、方針を変えようと思っておりません。変えておりません。
  218. 水谷弘

    ○水谷委員 どうぞひとつそのままぴしっと方針を貫いていただきますように、お願いを申し上げます。  総理もそれでよろしゅうございますか。
  219. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 佐藤農水大臣からお答えしたとおりでございます。
  220. 水谷弘

    ○水谷委員 次に、牛肉問題。これも佐藤農林水産大臣、昨日お述べになっておられますね。あくまでも二国間の協議で決着を図る方針である、こういうふうにお話をなすっておられます。  総理、日米首脳会談の折にレーガン大統領それから総理が会談をされた、その要旨が新聞に報道をされております。レーガン大統領は「日本製品が米国市場で与えられているのと同様な日本市場へのアクセスを、米国の製品・サービスにも与えてもらいたい。日本に求めたいのは公共事業と農業に関してである。米製品へのアクセスは日本の消費者の選択にゆだね、輸入障壁を除去するようお願いする。その例として牛肉・かんきつ類、公共事業がある。」このように明確におっしゃったと伝えられております。それに対して総理は「日本は農産物の最大の輸入国ではあるが、同時に、消費者の立場をもっと考えることも重要だ。十二品目は二月の関税貿易一般協定(ガット)理事会できちんと対処する。公共事業参入は、二国間双方にとってよい結論が出ることを期待する。」これは、このとおりであるかどうかは要旨でございますからわかりませんけれども、このようにアメリカ・レーガン大統領は、首脳会談の中に牛肉、かんきつという個別名称まで挙げて、非常に明確な日本に対する要求をされておるわけなんです。竹下総理はそれに対しては特段お触れにはなっておられません。このときの、このことを伺っておられた総理の御心境はどんなふうでございましたでしょうか。
  221. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 心境と言われますと、いわば今回の訪米というものは相互の信頼関係を深めるということが一つの目的でありました。いま一つは、私もサミット等の場において何回かお会いしておりますけれども、首脳としては初めてであったわけでございますので、当面両国の基本的な問題と、そして個別問題については首脳会談でそれぞれが解決のつく問題じゃございませんけれども、それぞれ問題の所在をお互いが披露した、こういうことになるわけでございます。  したがって、今例示としておっしゃいました問題をちょっと整理をしてみますと、いわば今おっしゃった要旨は、私は決して間違っていないと思っております。日本の消費者が自由に選択できるよう輸入障壁を除去することが望ましいというような例示の中に牛肉が出たことは事実でございます。したがって、これに対して我が国が世界最大の輸入国であることを申し述べると同時に、やっぱり政治家同士の会談でございますから、消費者、まあ言ってみれば一億二千万最終的には皆消費者であるという自覚の上にも立たなきゃいかぬ、そういうことでもって、両国が可能な限り早くテーブルに着くことによってこれらの問題は解決に当たるべきであるという趣旨のお話をいたしたわけであります。  公共事業問題等につきましては、ある種の提案を、相互主義の基本に基づく提案をいたしておったさなかでございましたので、きょうから三日間でございますか、また日本でそれぞれ議論が、話し合いが行われておるということでございます。  総体的な感想としてお尋ねでございますが、感想としてあえて自分自身を顧みて申しますならば、当面する懸案と基本的な物の考え方は、私として私の意図することを十分に伝えたという気持ちは持っております。さらに具体的な問題については、外務大臣を初めそれぞれのつかさ、つかさでお互いのカウンターパートと話し合いをしてくれたというふうに、総合的に理解をしておるところでございます。
  222. 水谷弘

    ○水谷委員 佐藤農林水産大臣は、この前一部の報道で五年後には自由化をというような報道は、そんなことはとんでもない、こういうふうにおっしゃっておったわけでございますが、私も、ガットで十二品目問題で、本当にこれ、現場の農業に携わっておられる皆さん方にとってみれば激震のような、大変ないわゆる政府の政策転換、それは確かにガットという場における選択でそういうふうになったとはいうものの、今日までの自由化をしないということで政府が持ってきた政策を急激に転換をするということは、これは大変な一大事件でございます。そういうことが行われて、この問題についてはこの後でちょっと伺いますが、これから牛肉、かんきつの問題に本格的に入るわけでありますが、よく党、政府を挙げて一体となって、こうおっしゃいますが、どうかひとつ、これは断固とした対応をしていただきたい。  消費者も、長期的に見て、現時点における牛肉の自由化、本当に近い、わずか数年後の自由化などは、我が国の食糧の確保という面から見ても、安全性、安定供給、品質、あらゆる消費者の嗜好から見ても、現在でもアメリカからの牛肉の輸入量は相当なものになっているわけでありますから、完全自由化などということは、これは消費者のコンセンサスも得ることはできない、私はそう思っているわけであります。そういう意味で、断固たる対応をしていただきたい。最後まで貫き通していただきたい。最後までやります、頑張りますと言って、ばんと最後になると手を上げて、だめだ、孤立はできない、とういうことの決してないように、ぜひこれだけは、きょうは総理にもはっきりこれは伺っておきたい。  これは外交交渉でありますから、これから相手によっていろいろな方向で闘っていかなきゃならないのはよくわかります。私も昨年アメリカへ訪問する機会がございまして行ってまいりました。USTRへ参りましてスミス次席大使ともお会いをいたしました。いろいろアメリカ側の態度は知っております。リン農務長官も言われておりました。ブロック農務長官の時代で、既に四年前で枠の交渉はもうあれが終わりだ、文書にはないが口頭で明確に申し上げたはずだ、これから枠の交渉などはとんでもないというようなお話でございます。そういうことも知っております。しかし、我が国には我が国の明確な方針と、そしてそこに臨む基本的なことだけは明確にしていっていただきたい。どうかこのことをまず農林水産大臣にお伺いをいたします。
  223. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 ただいま一部報道のことについて触れられました。また私の先般の記者会見のことについても触れられました。そして一連の牛肉、かんきつ、この問題について触れられたわけでございます。  簡潔にお答えを申し上げたいと思いますが、一部報道による五年間で自由化をするという報道は根拠のないことでございます。先般の記者会見におきましてもそのような意味のことを私も申し上げておるわけでございます。国際化の時代というものがそういうものなのかなとつくづく思うことがございますけれども、ワシントンでの報道、ワシントンでの発言、これがまた直ちに日本の国内の報道に連動をするということについて、私自身報道に規制を加えるというような不満の意味を申し上げるのではございませんけれども、時として困惑をするような一部の報道には全く困惑をしておるということは、はっきり申し上げておきたいと思います。  公式、非公式ということは別に、大体非公式でございますけれども、昨年来、牛肉、かんきつ、このことについては自由化の時期を明示しなければ話し合いにはつけない、こういうことが言われてまいりました。このたび我が省の眞木経済局長を派遣をいたしまして、先ほどの首脳会談におけるその結果等も受けまして、何としてもテーブルに早く着いてほしい、テーブルに着いていただいた以上は我が国の現状、現実的なその状況というものを十分理解をしていただけるように努力をしよう、こういうことで、我が国には我が国のやはり牛肉、かんきつ等についての需給関係というものをもとにして、そして足らざるところを安定的な輸入体制をしいていく、こういう方針があるわけでございますから、そういう意味において私どもは考えておるわけでこざいます。しかし、このたび眞木経済局長を派遣しました結果は、今度は公式に、これまでも非公式に伝えられておるようなことを言ってまいりましたので、両国間の考え方には大きな隔たりがある、そして厳しさは依然として変わっていない、こういう認識の中でさらにテーブルに早く着いていただけるよう努力をしてまいりたい、こういう考え方で全力を挙げなければならぬ、こう思っております。  報道に関する点、あるいは不適切な言葉を使ったかもしれませんが、私の気持ち、率直に申し上げた次第でございます。
  224. 水谷弘

    ○水谷委員 大臣、ちょっと不適切なところがありましたよ。ワシントンで言われたことがその日に伝わっちゃう、これはちょっとおかしいですよ。言っていないことが言ったように伝わったというのならいいのですけれども。それは直しておいた方がいい。
  225. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 水谷委員御指摘の一部報道、五年間自由化、このことはワシントンにおける報道もしくは発言等がそのまま伝わって、私に率直に言わせれば間違いは間違いとして伝えられたことは甚だ遺憾であった、こういうことでございます。
  226. 水谷弘

    ○水谷委員 ワシントン、すなわち相手方から出た話、こういう意味ですね。ワシントンでも我が方の人が言ったことがそのまま伝えられたのではいかぬのでちょっと申し上げたのです。相手方ですね。――はい、よくわかりました。  どうかひとつ総理、これは十二品目問題で、今もうこれで大変なんです。そこへこの牛肉が腰砕けのような外交をされたのではこれは国民は納得できません。総理、一言。
  227. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今水谷さんの、誤解を招いてはいかぬという趣旨から農林水産大臣にお話があって、農林水産大臣がアイシーと答えておりました。そういう与野党間の温かい感情というものが大きな背景となって、これから交渉に当たる佐藤君そのものを大変エンカレッジするであろうと私も思っております。
  228. 水谷弘

    ○水谷委員 これは与野党どうのこうのの問題ではございませんで、本当に国民の等しい要求であると私は思っておりますので、お取り組みをいただきたい。  この間のガットにおける我が国の政府がとりましたその態度について、私は基本的に何度もいろいろなところで申し上げておりますけれども、これを私、認めることはできないわけであります。しかしながら、国際社会における政府が行ってきたこのことについて、これを今撤回するとかいろいろなことを、そういう手続はこれはとても許されるべきことではないことも知っております。また、ガットが今日まで国際経済社会の中にあって自由貿易という原則を貫くために、その中で最も恩恵を受けてきたのは我が国であるということもよくわかっております。  しかし一方、OECDの閣僚理事会、さらにはベネチア・サミット、農業の持つ経済外的役割ということが、これは国際社会の中でやはりその国、その国の農業の持つ役割というのは、いわゆる経済的な問題でカウントできるものだけではない、ほかに大きな役割を持っているというコンセンサス、これができ上がりつつある。と同時に、アメリカも我が国に提訴した十二品目のうち五品目をウエーバーで持っている。それ以外の制限品目を全部合わせると、いわゆる輸入に対する制限品目を十九品目持っている。ECは輸入に対する可変課徴金制度というものを持つなど、各国それぞれがいろいろな形でこの農産物輸入に対しては輸入制限措置を講じている。こういう状況の中、さらにまた、おとといからですか始まりましたウルグアイのニューラウンドにおける農業交渉、ここで新しい農産物貿易秩序についてはこれから時間をかけ真剣に検討を開始しよう、こういう状況の中、日本にだけ一方的にこのような形を押しつけられるということについては全く遺憾であります。  総理、ロン・ノボルとファーストネームで呼び合われるお二人、私は国民の感情としてはこういう全く不合理な――確かにガットのルールの上では手続は踏んである。パネルを設置した、そしてそこでパネル報告があった、これは全会一致制をもととする、国際紛争を処理するための大事な場である、我が国だけが孤立をできない、こういういわゆる筋書きの理屈は納得することは簡単でありますが、本当に国民として納得できない。ウエーバー品目をアメリカが持っていながら、そして常に三〇一条項をちらつかせながら、日本がアメリカにとって最大の農産物の輸入国、お客様でありながらこういう形で我が国の農業に対する切り込みをなさる、これはどうも理解しがたい。素朴な気持ちなんでございますが、このガットの一連の裁定の結論、決着について総理はどのように評価をされておられますか。
  229. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今おっしゃる意味は全部わかります。確かにウェーバー条項というものも、考えてみますともう三十年前でございますか、日本がアメリカの支持によりガットへ加盟をしたという年次と一緒の年にウエーバー条項というのはできておりますから、考えようによれば、私が個人的な表現をあえてお許しいただくならばいわば創業者が最初、物を話しておいて、その仲間に入れてもらって、その際既に存在しておったそういう考え方であったのかな。しかし、これだけ時期が移ってくるならば当然のこととしてこれに対して新たなる考え方が出るべきだ。これがやはりウルグアイ・ラウンドで全体を話そうやという空気になったんじゃないかなというふうに思っております。したがって、ウエーバー条項というものが存在しておるということ、それの歴史的事実等についても関係者の皆様方に、農民の皆様方にも話して、少しでも御理解を得るようにしなければ反感だけが募る問題じゃないかと私も思うわけでございます。  したがって、この問題につきましては、それから我々国会議員としてつい部分採択とか、あるいはこれはイエスこれはノーとか、そういう採択のしようがあるんじゃないかとか、というようなことも、先生も同じでございますが一緒にそんなことも議論し合ってみたこともあるわけでございますが、結果的に、慣例からすればまあそういう意見は述べるにしても採択方法そのものは一括採択だ。こういうような諸般の情勢を考えてみますときに、これからそれらの関係者の方々に対する国内対策を含めまさに政府国会一体となって対応していかなければならぬなという気持ちを一層強めますと同時に、ガットというものは、今水谷さんがいみじくもおっしゃったように、そういう経過の中で日本としてやむを得ざる措置ではなかったかというふうに私は考えております。
  230. 水谷弘

    ○水谷委員 時間が限られておりますのでまた総括のときに御質問をいたしますが、特に北海道、北洋漁業また石炭、鉄鋼、それこそ北海道を取り巻く今の環境は並み大抵のものではございません。よく御存じだと思います。外務大臣も北海道へおいでになるというお話ですから、これはぜひおいでいただいて、つぶさに皆さんのお声をお聞きいただきたいと思いますが、我が党はちょうどガット理事会における政府の最終的な態度が明確になる、それを挟んで調査団を北海道に派遣をいたしまして、国会議員三名参りまして、現地の状況についていろいろつぶさに、本当に悲痛な、このままでは町がもうどうにもならなくなる、将来に対する大変な不安とそれから政府に対して期待を裏切られたとか、本当にこんなふうになるなどとは考えてもみなかった、守ると言ったじゃないか、こういうお怒りの声を受けてまいったわけでございます。  さらに、御存じのとおり沖縄のパイン。この沖縄のパインにおいては、いろいろな歴史的な経過から考えても、特に重点的にこれは手を打っていかなければならない場所でございます。米軍基地のために優良な農地を追われて、そして山地を開墾をして、台風だとか干ばつだとかそれからまた大変な酸性土壌の中でパインしかつくれない、こういう状況の中で今日まで御苦労してこられた。それが今回自由化は絶対しないと言われたものが自由化になってしまった。一つの村、その耕地面積の八割がパイン栽培の面積である。本当に甚大な影響を与えるわけでございますが、こういう問題を考えますと、一つは自由化の時期というものを本当に対応できる時期までぴしっとその時期をとる。そしてもう一つは、関税だとかまた差額関税、さらには不足払い制度、いろいろな制度を国内、国境――まず国境措置としていろいろやらなければならないことがあります。  さらには国内対策としては、私は一番今大事なことは、一生懸命やっておられる方が倒れないように、あの円高で中小企業の皆さん方が大変な思いをされたときに、城下町法等をつくりながら円高緊急対策をやっていただいた、それに対するいろいろな評価がございます。大した効果がなかったとかいろいろおっしゃっていることもありますが、私はそれなりに効果はあったと思います。  今回のこの十二品目自由化の問題についても、私は特に融資さらには債務問題、当面本当に今目の前にぶら下がっているのは毎月毎月の返済、こういう問題が一番大きな問題でありますので、従来の考え方ではなくて、あの円高緊急対策に準ずるような、特に地域的な経済にも甚大な影響を与えるわけでございますので、そういう配慮までなさるべきである、こういうふうに考えるわけでございますが、農林水産大臣総理の御答弁をお伺いいたします。
  231. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 ただいまの御質問は、一口に言えば八品目、これについての対応、特に北海道、沖縄等、地域農政に与える打撃は大きい、そういう中にあってきちんとやれ、こういう意味のことだったろうと思います。  いろいろ先刻来申し上げておりますが、我が国農業に禍根を残さないように、まさにそのとおりの言葉になるように、この八品目のやむを得ざる措置、苦渋に満ちた措置として八品目の数量制限の撤廃、これを示したわけでございまして、これに対する国内措置あるいは国境措置、これにつきましては十二分なる対応をしたい。特に八品目を、一応数量制限の撤廃をせざるを得ないという状況の中で、従来とは変わった金融措置等も熱心に、実は水谷委員から過去におきましてもたび重ねて強い要請を受けている経緯も私自身よく承知をいたしておりますので、新たな対応ということで積極的に取り組んでまいる。なおまたこれも先刻来申し上げておることでございますけれども、我が省に設置したプロジェクトチーム、このまとめによってひとつ努力をしてまいりたい、こう思っております。
  232. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今佐藤農水大臣がお答えいたしましたとおり、国内措置、国境措置に対して、今申し上げたとおりの気持ちで私も対応させていただきます。
  233. 水谷弘

    ○水谷委員 しっかりお願いをいたします。  以上で終わります。
  234. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて坂口君、水谷君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと風邪で熱発しておりますから、最悪のコンディションでやらにゃいけませんので残念ですけれども、精いっぱいやりたいと思います。  環境庁長官にお伺いをいたしますが、一九六九年アメリカで成立をいたしました国家環境政策法、御存じですか。ザ・ナショナル・エンバイロンメンタル・ポリシー・アクト。――環境庁長官、おられますか。
  236. 堀内俊夫

    ○堀内国務大臣 アメリカで、現在の我が国の環境に関する法律のもとになるといっていいのか、最初の法律であったというふうに聞いております。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 後ほど質問を申し上げる点と関連をいたしますからお伺いをするのですが、その国家環境政策法の第百二条の趣旨について御存じですか。
  238. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 事前にその資料を用意してございませんので、また調べまして後ほど御報告させていただきます。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、同じくアメリカの絶滅のおそれのある種の法、USエンデンジャード・スピシーズ・アクト、これを環境庁長官、御存じですか。
  240. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 詳しくは承知しておりません。これも必要でございましたら、後ほど調べます。
  241. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なぜ私が、これを御存じですかと聞いておるのは、十四日に逗子の富野市長がアメリカに行かれました、池子弾薬庫の跡地利用の問題について。それから昨日は、富野市長の運動を応援する形で五十数人の市民団体の人がやはりワシントンに行かれたのです。この方々は何を頼りにして行っているかというと、今言った二つの法律があるからです。  つまり、どういうことかというと、さっき聞きました国家環境政策法の百二条というのはこういうことなんですね。「連邦政府のすべての機関は、可能な限り最大限に」途中略しますけれども、「利用可能な資源の利用方法の選択について未解決の争いがある場合には、提案されている行為方針にかわる適切な代替案を研究し開発し、説明しなければならない。」  それから先ほど言いました絶滅に瀕する種の法、これも海外活動について同じように規制をしておるのですね。つまりこれは海外にも及ぶわけでして、在日米軍にもこの法律は当てはまる。それで、池子のような未解決の、これにまさに言っておりますとおり、池子の弾薬庫跡の米軍人の住宅の建設計画の問題については争いがある、未解決の。だからそういうときには代替案を徹底的に検討しなさい、それがこの法律の趣旨なんです。  それで、その逗子の市民運動の人たちは代替案を八つ出しておりますね。御存じですか。施設庁長官でもいいです。
  242. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  「逗子池子問題を考える会」ワーキンググループ、そういうところからいろいろ代替地についてのお話というものが来ておることは承知をいたしております。
  243. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 検討されましたか。
  244. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  この池子の米軍家族住宅の問題でございますが、御案内のとおり、五十三年ごろから横須賀地区で米軍の家族住宅が大変不足をしておる、こういう事態にかんがみまして、五十七年の八月から私ども検討を開始をいたしまして、その際やはり対象の通勤場所である横須賀海軍施設に通勤できる場所、しかもまとめて千戸程度の住宅が建設できる場所という前提を置きまして、その際、既存の提供施設、区域内を私ども当たったわけです。  民有地についても検討をしたのか、今こういうお話でございますが、これにつきましては、新たに施設、区域を米軍に提供する、こういう問題につきましては、それまで御案内のとおり施設、区域の整理統合、こういった考え方のもとにいろいろ整理縮小等もやってきておりました経緯もございますし、やはり既設の施設、区域の中で有効に住宅建設等に活用できればということで、既存の提供施設、区域内を私どもとしてはまず検討対象といたしたものでございます。
  245. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 日本で問題なのは、日本には事業アセスメントしかない、アメリカのように計画アセスメントがないのです、これは。どうしてなんでしょうね。だからいきなり力で押しつけるという形になるのです、自治体に対して。アメリカの先ほど紹介をしました法律では、争いがある場合はそういう代替地を徹底的に検討しなさいということになっておるんです。これが計画アセスメントなんですよ。  それで、今から五年前ですから昭和五十八年になりますか、五月十九日に、そのときのワインバーガー国防長官が、いわゆる池子問題について問い合わせをされたスミソニアン協会のディロンという人に書簡を送っています。これは重要な書簡ですからちょっと紹介をしておきますけれども、   米海軍はもはや池子を弾薬庫として使っていない。また、現在逗子地区に弾薬庫を必要ともしていない。両国の条約に基づいて、必要ではなくなったら日本に返還するのだ。しかし、横須賀に近い個人住宅の需要増加は緊急かつ長期的であり、特に七三年、ミッドウェー母港化に伴う乗員の家族用住宅が必要になっている。池子には住宅用の余地はあるが、現在、日米とも、ブルドーザーを入れたり造成したりする計画はない。もし池子につくるとしても土地の八―一〇%を使うにすぎない。住宅をどこへつくるか、どのようにつくるかは思りやり予算による日本政府が決めることである。米海軍技術者は環境を十分配慮し、景観破壊を最小にする案、カリフォルニアスタイルを提示した。しかし日本政府は、環境保全は完全でなくとも開発地域を小さくすることで環境を守る案を採用したと聞いておる。 それでずっとありまして、   総じて日本政府が決めて実行することだから、これ以上我々が何か言えるとは思えない。非常に遠慮しているのです。これはさっき言った法律があるからです。そして思りやり予算でつくってもらう。それでアメリカの方がとやかく押しつけがましいことを言ったらばさっき言った国家環境政策法に触れるから、これはすべて日本政府が決めることだ、こう言っておるわけですね。これは後ほども出てきますが、非常に重要なところなんです。  ちょっと念のために聞いておきますが、大蔵大臣は英語が堪能のように聞いておりますけれども、思いやり予算とは向こうに紹介するときにどういう英語を使われるのですか。外務大臣でも結構です。
  246. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 お答え申し上げます。  通常二つに分けて英語を使っておりまして、一つは施設、区域の提供でございますが、これはFIP、ファシリティース・インプルーブメント・プログラムスと申しておりまして、もう一つは労務費についてでございますけれども、これはレーバー・コスト・シェアリング、LCS。
  247. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それで思いやりという言葉が出てきますか。出てこないでしょう。あなたの言ったのは施設整備計画だ。そうでしょう。だからワインバーガーさんの方がはっきりしていますよ、ワインバーガーさんの英語の方が。今さっき言った書簡でどう言っているかというと、ボランタリー・コスト・シェアリング・アレンジメント。これやったらわかりますよ、ボランタリーだから。こちらから進んでやるということですからね。だからこの辺も非常にあいまいな、あなた方は日本側に対しては思いやりとか言っていますが、英語ではこんな言葉を使っているから、これは適切じゃないと私は思うのです。このワインバーガーさんの方が適切です。それはいいですがね。  そこで、さっき言いましたとおり、きのう逗子の市民運動の方々がワシントンに行かれた。それから六十年にも行っておられるんですね。そしてアメリカの方の環境保全団体とかあるいは宗教団体と一緒になっていろんな運動をされておる。それでそのアメリカの方のそういう団体の一つにシェラクラブというのがありまして、有名です、会長のミシェール・マグロウスキーという方がいろんな運動をされている。ワインバーガーさんにも手紙等を出されて、あるいは上下院の関係の議員さんにも手紙の運動をされておるのです。こういうことを言っておるのですね。   池子はかけがえのない自然の聖域であり、合衆国政府はこのような貴重な生息環境を破壊することに加担するべきではない。とりわけ実現可能な代替地案、現地の自然保護を唱える人たちによって提案されておる八カ所以上の代替案、そういうものが存在する際にはこのようなことを行うべきではない。 つまり無理をするな。代替案を検討しなさいと言っておるのですよ、向こうのアメリカの方のそういう環境を守る団体が。  それで、ここで非常に適当な代替案があったのです。それに奇妙なことが起こっているから私はお伺いをしますが、防衛庁に共済組合がありますか、防衛庁長官。共済組合の代表はだれですか。
  248. 瓦力

    ○瓦国務大臣 長官たる私でございます。
  249. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この防衛庁の共済組合は、まさに代表者は長官ですね。本部長が事務次官。それから各支部がある、これはその部隊の部隊長、そういう人がなっておるのです。まさに防衛庁と一心同体なんですね、中身は。そして資金関係は、組合拠出が五〇%、国家負担が五〇%ですね。だから、国家負担が五〇%ある際には会計検査院の検査の対象になりますね。検査院はどうですか。
  250. 辻敬一

    ○辻会計検査院長 補助金が支出されておるとすれば検査対象になり得るわけでございます。
  251. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 五〇%、国の金をもらっているでしょう。防衛庁長官、どうですか。毎年もらっているでしょう、何億という金を。
  252. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 お答えいたします。  共済組合の運営でございますが、これは組合員が拠出する拠出金、これは短期、長期の両方がございます。短期は、御案内のとおり医療といいますか健康保険でございます。それから長期につきましては、これは年金財源ということでございます。このいずれにつきましても、国側、つまり雇用者側が半額負担し、組合員が半額負担するという、いわゆる折半負担の原則で運営されております。
  253. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まさにおっしゃったとおりで、五〇%出しているから、これは国の会計検査院の検査対象になるのですね。  そこで、昭和四十五年十月一日から、この防衛庁の共済組合は、北軽井沢ロイヤル観光、不動産屋です、これをダミーとして横須賀市の池田吉井地区に土地を買い出しましたね、どうですか。
  254. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 昭和四十五年に、組合員の分譲住宅用地にする目的で約九万六千平米の土地を、ただいま委員御指摘の会社から購入しております。
  255. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が、北軽井沢ロイヤル観光をダミーとして土地を買いあさった、なぜそれを言うかというと、四十五年十月一日から買い出して、二カ月後、四十五年十二月五日には、私が調べた範囲内では、まだたくさんあると思うのですけれども、時間がございませんでしたから、調べた範囲内でも約十カ所、二カ月後に共済組合がこのロイヤル観光から買っているのですよ。  それで、それをどうされましたか、今どうなっていますか。
  256. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 四十五年に北軽井沢ロイヤル観光から共済組合が買いましたいわゆる住宅用地として分譲する予定の土地でございますが、実は、これを開発すべく準備をしておったところ、四十九年七月でございますか、集中豪雨がございまして、近くの平作川という川がはんらんいたしました。そこで横須賀市の方で、この平作川の改修工事といいますか、災害防止工事を大々的に実施するということになりまして、この工事が終了するまでいわゆる開発を中止するように、見合わせるようにという申し出がございました。したがいまして、この工事が完了いたしますまでは開発について明確な見通しが立たなくなったわけでございます。  ところが一方、そのロイヤル観光がこの土地を買収といいますか、買いました際に、もとの地主の方とロイヤル観光の持っておる他の土地、この近くに持っておる土地がございますが、その土地の一部と交換するという条件で買っておったようでございまして、その辺は私ども詳しく存じなかったわけでございますが、すべて開発がストップしたということから、その元地主の方々の権利が阻害されるというようなおそれが出てきたということで、その地主の方々から防衛庁に対してその土地を返してほしいという要求が出てまいりました。  そこで、いろいろこれは細かいいきさつがございますが、ロイヤル観光の方と私の方と話し合いまして、これは瑕疵物件ではないかということで、防衛庁としてはその瑕疵を取り除くようにという要求をし、もし取り除けなければ買い取ってほしい、つまり買い戻してほしいという要求を繰り返しておったわけでございますが、ロイヤル観光の方で東京簡易裁判所の方に、これは昭和五十七年十月でございます、調停を申し出まして、その調停の結果、この土地をもとの所有者、つまりロイヤル観光に買い戻させるという結果が出て、つまりそういう形で和解をしろという結果が出たわけでございます。そこで、共済組合としてはそれに従って返したということでございます。
  257. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 登記は、あなたはどういうふうになっているか知っているのですか、登記簿は。
  258. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 登記につきましては、これは契約上はロイヤル観光に参りまして、その後、三井不動産にロイヤル観光はこれは資金がございませんから売り渡すということになっておったということは私、承知しております。したがいまして、本来ならば三井不動産に行く前にロイヤル観光が入るわけでございますが、中間登記の省略というのはよく行われることでございまして、これは省略されております。
  259. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 登記簿にはロイヤル観光が出てきておるのは、私がさっき言ったとおり、私が調べたところ約十カ所です。あとは全部共済組合が三井不動産に売っておるじゃないですか、全部。そして、今あなたの答弁を聞いたら、ロイヤル観光が中へ入っておるというのでしょう。口銭を稼がれておるわけです。何でそういうむだなことするのですか。国から国の予算が出ておるのでしょうが。  そして私が言いたいのは、実はこの池田吉井地区というのは池子よりも横須賀の軍港に近いのですよ、この池田町は。そして非常にその地形が似ているのです。そしてアセスメントからいえば、重要度が池子の方は、重要度が一から五まであって五は一番重要度が高いわけです、池子は五なんです。ところがこの池田町は一なんです。重要度が少ないのです。非常に見晴らしがいい。私、行きましたよ。それで、まだ手をつけてない。そして、五十八年に売っておるのですよ。何か途中で水害やらあったとかなんとか言っていますが、何と言っても、結果的には四十五年に買って五十八年まで寝かしておったわけですよ、十三年間。幾らで買って幾らで売りましたか。
  260. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 お答えいたします。  まず、寝かしておったというわけではございませんで、先ほどから御説明しておりますように開発できなかった……(楢崎委員「結果的にはと言っているのです」と呼ぶ)いや、結果的にではございませんで、要するに開発できなくて、あきらめて売ったということでございます。  それから、お尋ねの買収価格でございますが、買いました金額が七億二千五百万でございます。それから買い取らせた価格、つまり買い戻し価格、売り戻し価格ですね、これが調停によりまして二十三億円ということになっております。
  261. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今、委員長は口をとんがらせられましたが、七億で買って二十三億で売っておるのです。十三年間です。不動産屋ですか、共済組合は。こういうのを地上げと言うのですわ。そして、そのロイヤル観光を介在させているから転がしでしょうが。そこにも問題があるんですけれども、会計検査院はこれを検査してないんです、こんなむだなことをやって。そうでしょう、検査院長。
  262. 辻敬一

    ○辻会計検査院長 検査対象もほかにたくさんありまして、現在までのところ各省の共済組合につきまして検査をした実績はございません。
  263. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 忙しいから、人間が少ないし大変でしょうが、とにかく検査してないんだ、これは。  私が言いたいのは、その今の土地転がしの問題は別にして、この池子が問題になったのは、昭和五十三年の七月にもう閉鎖状態になったのですね、池子は。そして、五十五年の四月に米側から非公式に千戸ばかり住宅を建てたいという打診があった。そして、五十五年七月三十一日には、逗子の市議会は第二回の臨時会で反対の決議をしているんです。もうそのころから騒動が起こっているんですわ、富野さんになる前から。そのときに防衛庁はこういう土地を持っておったのです。私が言いたいのはそこなんだ。だから、代替地としては最適ではなかったか。どうして候補地としてこれが挙がらなかったんだろうか。市民団体が代替地として挙げている八つの代替地のうちにこれは入っているんです。しかも、さっき言ったとおり非常に地形が似ている。  こういうことになっていますね。   三井不動産が土地の半分を所有し、地主と土地区面整理事業によって八三haの宅地造成をすすめようとしているものです。具体的な土地利用計画は未定ですが、分譲宅地の場合は、丘の上部を削って谷戸を埋め、斜面緑地のみがかろうじて残るという形になることは目に見えています。マテバシィの植林地であるこんもりとした丘の森をそのま々残し、谷戸の部分に米軍向けオフ・ベースの高層賃貸住宅を建てることは、周辺の緑を保全する代りに、基準法上の高さ制限が緩和されるいわゆる「総合設計制度」を活用すれば、高層一〇階建住宅七八戸× 一一棟=八五八戸が可能です。現地の地形は、池子計画地とそっくりであり、面積も同じです。丘陵の森は植林で、自然度は池子より低く、谷戸部分は畑地で池子のような豊富な動物相はみられませんから、このような利用計画が適当でしょう。 これは市民団体が、こんなに適当ですと言っているのですよ。――まだ聞いておりませんから、ちょっとゆっくりしなさい。  それで、さっき言った、私が一番最初にアメリカの環境政策法を紹介したのは、代替地があったら代替地を検討しなさい、こうなっているのだから、だから私は勘ぐれば、これはいい土地だから代替地に持っていかれるかもしれぬと、さっさと五十八年に売ったのじゃないか。私は最初そう思いましたよ、とられぬうちに。  それで私は、もう一遍これは買い戻しなさいと言いたいのです。そうしたら立派に建つのですよ。そして、その自然環境度も池子より低いし。それで池子は、さっき紹介しましたとおり、もう返すと言っているのですから、だから池子は逗子市に返す。そうしたら円満解決ですよ。恐らく今、富野市長はそういう運動をしていると思うのですよ。  これは、私は何も防衛庁とけんかしようとは思っていないのです。住宅を思いやりでやるのは私は批判がありますけれども、それはしばらく別において、住宅が必要ならばこういう代替地もあるではないか、円満に解決するではないか。  竹下さん、総理。中曽根さんはそういう代替地があったら非常に問題の解決のきっかけになるとおっしゃったのです、長洲知事と会ったときに。総理はどう思われますか。
  264. 瓦力

    ○瓦国務大臣 総理答弁の前に私から委員お答えをさせていただきたいと思いますが、防衛庁共済組合の組合員の持ち家施策の一環として取り組んでおる仕事は、当組合の福祉事業目的でございまして、今委員から勘ぐりという言葉を添えながら御質問がございましたが、池子の問題と質を異にしておるわけでございます。  加えて、人事局長よりその経過の説明がございましたが、土地転がしというような表現をもってするということは、組合員に対しまして、その行為、極めて残念でございますので、今ほどの御質問の中にございます勘ぐりであるとか土地転がしというような点につきましては、これは当組合の福祉事業目的である、そしてそれを池子にどうするかという問題は別途の問題でございますので、かように御承知おきをいただきたいと思います。
  265. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はそういうことを言ってないのですよ、あなた。何を興奮しているのですか。池子の代替地の問題をやっているのですよ、今。この池田町は大変いい代替地だ、それを言っているのです。しかし、実際、結果的にはできなかったでしょうが、池田町に自衛隊のその施設は。結果的にはですよ。  だから、私が言っているのは、結果的には、何といっても二倍以上もうかったわけでしょう、現実には。三倍になりますか。だから私は結果的にそれを言っておるので、初めから言っているのじゃないのですよ。いろいろ事情があったろうけれども、結果的にはそうなっている。  それで私は、それはいいから、代替地を、池子の解決のためには代替地をまじめに検討すべきだ、これが私の結論なんです。やってください、この池田町というのはいいところですよと、防衛庁が買ったぐらいですから。もう一遍買い戻して、金を持っているのだから、二十三億も、あなた持っているのだから。
  266. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 お答えいたします。  買い戻しということでございますが、実は先ほども申し上げましたように、もとの地主の方といろいろトラブルがございまして、それで結局開発ができなくなったということで、買い取ってもらったというか買い戻しさせたわけでございます。したがいまして、これは改めて買い取って開発できるかどうかわかりませんし、共済組合といたしましては、貴重な年金財源を使って買うということになりますと、これは問題であろうと思います。したがって、買うわけにはまいらないかと思います。
  267. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは三井不動産が買うているとですよ、あなた。役に立たぬところを三井不動産がわざわざ買いますか。何を言っているのですか。  そして、もう一つ私は言っておきますが、約三万坪ですか。私が、一つ一つこうありますが、大変時間がかかるのですよ、横須賀の市役所へ行って、これをずっと、これは全部防衛庁になっておる登記簿です、これで一つ一つ面積を当たっていった。そうしたら四万坪ですわ。まだ私はあると思うのですが、時間がないから、今まで調べたところはそうです。疑問があるなら突き合わせましょうか。面積も私は疑問がある。  それで、総理、三井不動産からもう一度買い戻したらどうですか、こう言っているのですよ。あるいはこういう者え方もあるのですよ、地元には。三井不動産なら三井不動産でいいから、今現地へ行ったら、土地区画整理準備会と三井不動産と二つ名札がかかっている事務所がありますよ。それで、私は三井不動産がそこを開発して、そこへ建てて、国が借りてもいいと思うのですよ、そして米軍に提供してもいい。いろいろ工夫ができると思うのですね。そういう考え方も地元にはあるのです。だから、もう少し、池子でなくちゃいけぬというような考え方をお捨てにならないとなかなか解決できないのではないでしょうか。それを私は言いたいのです。  それで、総理にお願いしたいのは、もう一度よく話し合ってみろ、富野さんもやがて帰ってきますが、それを総理のお考えをちょっと聞いておきたいと思うのです。
  268. 奥田敬和

    奥田委員長 友藤防衛施設庁長官。(楢崎委員総理に聞いておるのですよ」と呼ぶ)ちょっとその前に。簡潔に答えてください。
  269. 友藤一隆

    友藤政府委員 総理の御答弁の前に実情をちょっと御説明を申し上げたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、やはり新たな施設、区域の提供と申しますのは、現在の提供施設に関する基本的な政府の考え方、できるだけ整理統合をしていきたいということでの方向に相反するわけでございますし、また、新たな提供ということになりますと、この場所でもまた基地問題というようなものも惹起する可能性もないわけではないと思います。  それからもう一つ、既存の提供施設の中ですと土地を新たに購入するという問題がございませんが、やはり新たに購入する、新規提供ということになりますとそのための大きな財源も要る、こういうこともございます。  それからもう一つ、私どもとしてぜひ聞いていただきたいのは、現在の池子の住宅建設につきましては、知事調停もいただきまして、地元の御意見等も十分伺いまして、緑を最大限保存できるように私どもとしてはぎりぎり計画を修正してきておりますので、その辺御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  270. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなことあなたに聞いてないんですよ、何も。もう時間がないのに。自分たちの都合のいいときは施設をなるだけ縮小したい。じや思いやり予算というのは何ですか、一体。自分たちの都合のいいときは思いやり予算とか言っていろいろ施設を提供していって、そんな勝手なことを言ってはいけませんよ。  それで、総理、ぜひ富野市長がお帰りになりましたら、総理の一番得意とされる話し合いのあれをやられてみませんか。中曽根総理も長洲さんと会ってそういうことをおっしゃったのですよ。どうでしょうか。
  271. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私が今日までの知識を整理してみますと、長洲さんに調停してもらって、それで修正したもので住民の皆さん万の理解を得よう、そういう進みぐあいから見まして、今楢崎さんから言われてすぐ私がそれじゃその精神でやってみましょうと言うのには少しやはりちゅうちょするな、余りにも実態を知らないだけにやはりちゅうちょせざるを得ないなという感じを率直に申し上げます。
  272. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実態をまだよくつかんでおられないなら、これはつかむと早いですから、総理は頭がいいし、ぜひそういう話し合いの方向でやってもらいたいと思います。  時間が余りありませんから、六十三年度の総括の質問につなぐ意味でちょっと前段の質問をしておきますが、防衛庁長官、あなたは一月にアメリカへ行かれて、アメリカの国防長官と会われて有事における来援の話をされましたね。あなたが有事におけると言うその有事は、戦時なんですか、その中には侵略されるおそれのあるときも含んであなたは国防長官に話されたのですか。長官が言ったのでしょう、あなたが。
  273. 瓦力

    ○瓦国務大臣 さきに訪米をいたしましてカールッチ長官に会いまして、我が国有事の際米軍の来援が確実にまた時宜を得て行われるかどうかということが日米安保体制の核心をなす部分でございますし、加えて、従来からもこの問題につきまして最大の関心を持ってまいったわけでございますし、加えて、ガイドラインに沿いまして作戦計画、共同訓練等々を積み重ねてまいりまして、有事の際に確実に来援を期待できるかどうかということをひとつ研究に取り組んでみるというようなことで、そのテーブルを設けることを提議したわけでございます。
  274. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、そういうことを聞いとらぬとですよ。あなたが有事とおっしゃった有事の中には、侵略されたときは有事ですわね、その侵略されるおそれのあるときも含んで来援の話を申し込まれたのですかと聞いておるのです。簡単なことを聞いているのです。――あなたが申し込んでおって、何で人が答えるのですか。
  275. 西廣整輝

    西廣政府委員 防衛庁長官お答えしたとおり、我が国有事というのは有事そのものであります。しかし、御承知のように、ガイドラインでは有事における日米の共同対処行動について研究することになっておりまして、それに関連しまして、有事行うことももちろんでありますが、そのおそれのある場合にどういうことをするかということも含めて研究等は行っていることもまた事実でございます。
  276. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はそうだと思うのです。なぜならば、西ドイツとアメリカのいわゆるHNSもクライシス・オア・ウオーになっているのですね。当然です。今おっしゃったとおり、ガイドラインでやっているのだから、ガイドラインにはおそれのあるときも含まれる。これは後々非常に問題が起きるのですね。これだけは確かめておきますが、時間が来ましたので、あとは次の質問に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  277. 奥田敬和

    奥田委員長 この際、神田厚君より関連質疑の申し出があります。楢崎君の持ち時間の範囲内で、これを許します。神田厚君。
  278. 神田厚

    神田委員 まず最初に、税制問題につきまして総理に御質問を申し上げたいと思うのであります。  先ごろの公聴会等々を拝聴しておりましても、この税制問題につきましては、まず第一に不公平税制の是正、それから所得税及び住民税等の減税、さらにはキャピタルゲイン課税等々の意見が強く出されております。  そのような中で、一方、政府税調は基本方針といたしまして検討項目を掲げておりますが、その中にはやはり不公平税制の是正、一層の所得税、住民税の減税、さらに資産に対する課税の適正化あるいは現行個別消費税体系の矛盾を是正する方策、これは間接税についてでありますが、このことについては幅広い議論をすべきであるというふうな形で政府税調が基本方針を出しました。  さらに、この税調の地方における意見の聴取におきましては、いろいろやはり意見が出ましたが、その中で、午前中からの質疑にもありましたが、小倉政府税調会長が間接税等について非常に具体的に記者会見等で言及をいたしております。このことについてまず総理の考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
  279. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私、ちょっと趣旨が明確につかめなかったわけでございますが、小倉税調会長さんが、間接税改革について今間接税特別部会において検討しておる、そこで、きょうもお述べになりましたように、その際税調の委員としては、お互いがやり合うことは避けながらお互いの意見はその都度申し述べてもいいではないか、こういう考え方で公聴会に参画しておる、こういうお話を承りましたので、なるほどそれも一つの考え方だなと思って聞いておったということが率直な感想でございます。
  280. 神田厚

    神田委員 そこで、間接税についてはこれは導入しないという一つの基本的な選挙公約がございますが、その中で政府税調に対する意見は十二分に尊重されるというふうに私ども考えておりますが、そこで小倉税調会長がEC型の間接税、これの導入ということを記者会見等で述べたというふうに書いておりますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  281. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これも先ほどの答弁の中に含まれるわけでございますが、小倉さんがきょうもお述べになっておりましたように、自分としていろいろ今日まで税調の会長を長らくやって、やってみると、いわゆる税論理的にはEC型付加価値税というのが大変いい仕組みだというふうに思っておることを率直に申し述べた、こういうような表現であったというふうに私は後ろで聞いておりました。
  282. 神田厚

    神田委員 それで、一方この予算委員会公聴会ではかなり減税についての意欲的な発言が相次いだわけでありますが、特に私は、大変時間がないので突っ込んだ議論にならないかもしれませんが、教育費の減税の問題について総理並びに関係の大臣の御所見を伺いたいと思っているのであります。  現在、学校教育費の問題が非常に国民の間で、大変その負担が多くなっているというふうなことでいろいろと問題になっております。  昭和六十二年四月の東海銀行の調査によりますと、幼稚園から高校までの学校教育費は、私立で七百六十三万円、公立で百五十九万円、私立に通う家庭の六八・六%、公立に通う家庭の四六・二%が負担を感じている、七割の家庭が教育資金を貯蓄しているということであります。  昭和六十二年四月の三和銀行の調査によりますと、家計に占める教育費の割合は平均一三・四%、これは三年前より約二ポイント増しになっております。六六%の家庭が教育費を意識して、小学校の四年生から貯蓄を始めている。  それから経済企画庁物価局の物価レポート八六年では、世帯主が四十五から五十四歳の家庭では教育関係費が月額三万ないし四万円、消費支出全体の約一割、これはちょっと低い数字でありますけれども消費されております。  六十二年の国民生活白書では、モデル世帯、男子が二十八歳、女子が二十六歳で結婚して、夫が三十歳で長子、三十三歳で第二子誕生、二人の子供を幼稚園から大学まで行かせる、こういう状況ですと、夫が五十二歳で長子と二子が大学生として重なる年には年間世帯主収入の三四%が教育費に充てられる、また下宿、間借りをしている大学生を持つ家庭はこれ以上になる、こういうことであります。  さらに昭和六十三年二月の大学生協東京事業連合会調査によりますと、地方から東京の大学へ入学した場合、入学時に私立で二百七万円、国立で百六十万円、東京の下宿生は月平均約十万円の仕送りを受けている、こういうことであります。  このような状況でありますから、こういう教育費の軽減というものについて考える必要があると思いますが、そのための政策手段としてはまず教育費の減税制度、これを創設することが適切ではないかというふうに考えております。いろいろやり方は広範囲にわたって難しい面がありますけれども、教育費減税について端緒をつけるというふうな意味におきまして、ひとつまず総理の考え方をお聞かせをいただき、さらに大蔵大臣、そして文部大臣の御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
  283. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 教育費が非常な負担になっておるという御指摘はそのとおりでございますけれども、ひとつ立場を変えて考えますと、世の中には義務教育だけで社会へ出て現に勤労し、所得税を納めておられる人々は少なからずおられますので、仮に高等学校、高等教育教育費を税から控除するとしますと、そういう働いている人々のいわば負担においてということになるわけでございます。あるいはまた、また別に、全然税金を納めていないという家庭も多うございますから、そういうところは今度はその教育費控除の恩典が及ばないといったような、立場を変えますといろいろな問題がございまして、結局しかし、そういう教育費が負担になりますのは、一番中堅のサラリーマン層が負担が大きいわけでございますので、むしろそれだけの財源があれば一般減税、つまり控除とか税率とかいう形でそういう層の減税を厚くすることの方が政策としては有効なのではないか。一つ一つの政策要請を減税に持ち込むということにも限度がございますし、教育の場合にはそれがかなり大きい減税になりますので、むしろ一般減税という形でやらせていただきたいと私どもは考えております。
  284. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今大蔵大臣からお答えがあったとおりでございまして、確かに教育減税問題、パート減税問題などというのは毎年出てくる税制論議でございますが、税の基本から、角度を変えて、いわば九四・五%の高校進学者、それ以外の方々が直ちに所得税を納めておる。その人たちに対する考え方とか、あるいは納めていない家庭には恩典が及ばないとか、そんな議論を毎年してきたところでございます。したがって、今大蔵大臣から言われた、たまたまその層に当たるような方々に減税の恩典が余計いくようにというのが、昨年の国会で御議論をいただいて、まずは第一段階として通りました減税案ではなかったかなというふうに考えます。  それから二つ目の議論は、教育というのは、税の面で面倒を見るという性格よりもやはり政策そのもので、どちらかといえば歳出とか、そういうところに政策の重点があるべきだという根本論が存在しておることも事実であります。
  285. 中島源太郎

    中島国務大臣 お尋ねの点につきましては、文部省としては従来重ね重ねお願いをしてまいったところでございます。特に四十年代五十年代、これを中心に要望してまいりました。ただ、今総理、大蔵大臣おっしゃいますように、それで恩恵を受けられない方々との整合性というのはやはり考えなければならぬわけでございますので、そうなりますと、文部省としては二つの点で、一つは育英奨学事業、これを充実していこうということと、もう一つは、今申したように父兄としてはやはり教育費が重く感じる年代がございます。今神田先生おっしゃったように、勤労者所帯ですと四十五歳から四十九歳あたりまでが一二%ぐらいになりますか、そのようなところへ所得減税をお願いする、一応所得税上その辺を少し税制上で見ていただいておりますが、その点を、教育費を重く感じる年代の所得減税をさらに進めてまいりたい、そのように考えております。
  286. 神田厚

    神田委員 議論がちょっと平行線でありますが、義務教育九四%というと大体ほとんどでありますね。しかも、年々教育費が家計を圧迫しているというのは統計ではっきりしているわけでありますから、どうかひとつ、いろいろな議論がありますが、この教育費減税についてもう一歩踏み込んでいただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  次に、外交関係につきまして二、三御質問を申し上げます。  まず最初に、総理の今後の約半年ぐらいの間にいろいろお出かけになったりあるいはいろいろな方とお会いになるという、そういうことがあるようでありますが、総理外交日程につきまして御説明をいただきたいと思います。
  287. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これからの外交日程と申しますと、私が外遊しますということを前提に置いて申し上げますならば、お許しをいただいてこの二十五日に行われます韓国大統領の就任式典に参加をしたいというのがまず第一でございます。  それから、これまた国会開会中になるわけでございますけれども、連休等を活用して、お許しがいただけるものならば、ヨーロッパの、選挙のあるところもございますので、数カ国とでも申しましょうか、そういうことを予定してみたらと思っております。  その後は国連の軍縮特別総会、それからサミットというものが一応今予定に上るものである。中国という問題につきましては、これもこれから外交チャネルで双方の都合がいいとき、こう言っておりますので、詰める課題であろうというふうなことが一連したことで今考えられることではなかろうかと思っております。その他、外相会議等で向こうからいらっしゃる人との会談等が行われるのは、これは当然のことでございます。
  288. 神田厚

    神田委員 最初に韓国にお出かけになるようでありますが、韓国は御案内のように大統領選挙が終わって新大統領の就任式ということでございます。そこで、日韓関係は日本にとりましても大変重要な関係を持っているわけでありますが、この韓国訪問について具体的にどのようなお考えをお持ちで御出席なさいますか、お話をいただきたいところであります。
  289. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まずは、やはり就任式典でございますので、お電話申し上げたり書状を差し上げたりしておりますものの、やはりその式典に参加いたしまして祝福を申し上げるということであろうと思っております。  その後考えられますことが、いわゆる首脳会談が考えられるわけでございますが、今直ちの問題というようなものにつきまして、当然のこととして双方の関心のある問題はオリンピックに対する成功をいかに導いていくかというようなこと等が、従来の友好裏の延長線上で大きな課題になるであろうというふうに考えておるところであります。
  290. 神田厚

    神田委員 このオリンピックの成功のために日本政府協力をする、日本国が協力をするということで、それは結構なことだと思うのでありますが、その他首相訪韓時に日韓賢人会議を発足をさせる、こういうふうなことが報道されております。さらには、韓国、中国との橋渡しを場合によっては努力をしたいというような意欲があったようでありますが、その辺のところはどういうふうになっておりますか。
  291. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 賢人会議の問題も、今週中にそういう具体的な問題については私なりのまとめをしようと思っておりますが、いまだ検討中の段階であるというふうにきょうの時点では申し上げた方が適切であろうかと思っております。  それから中韓関係の問題でございますが、韓中関係の改善が望ましいということはこれは言うまでもないことでございますが、これを側面的に我が国で協力できるものがあればその力をいたすことを惜しまないというのが率直な現状でございまして、ただ、いわばムードだけの先行というようなことではなく、現実的によくお話を伺ってみて対応をすべきことであろうというふうに考えております。
  292. 神田厚

    神田委員 韓国は現在オリンピックを成功させるということが最大の国家的な目標になっておりますが、その点につきましては、大韓航空機の事件がやはりかなりネック、問題になっております。  この点については、大統領との会談の中で、新しい大統領は、オリンピックを契機として北朝鮮との関係関係改善に積極的に動きたいというようなことをある報道機関の編集局長にはっきりと述べているようでありますが、そのためには関係諸国の協力をぜひとも必要としたいというふうなことも言っているようでありますが、この点についてはどういうふうなお考えでございますか。
  293. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これは原則として、両当事者間の対話の雰囲気が増進されていくことは好ましいということは原則的には言えると思うのでありますが、今私が神田さんの御意見に対して、原則は別として、個別の論評はまだその時期でないなという感じがしております。
  294. 神田厚

    神田委員 それでは、国連軍縮会議でありますが、これが久方ぶりに開かれる。また、米ソのINF条約の締結の後の大変大事な時期に開かれるわけでありますが、この国連軍縮会議における総理の演説その他は大変注目をされるところであります。この点について、世界的な軍縮ムードがある中での開催でもございますが、竹下総理としてはどういう考え方でこれに臨まれますか。
  295. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 御指摘のような雰囲気の中で開かれる特別総会でございますから、私も出席をしたいというふうに思っておるところでございます。そうして、我が国の考え方について演説する機会をお与えいただくわけでございますから、その機会を得たいと思っておりますが、内容につきまして今このようなことを考えておりますということにはまだ至っておりません。
  296. 神田厚

    神田委員 外務大臣は、この国連軍縮会議についての認識と、それに対しての日本国の対応といいますか、それについてどういうお考えでありますか。
  297. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 我が国は、準備段階から副議長国でございますから、大いにその目的がかなえられるよう努力をしたいと思います。軍縮は我が国といたしましても常にそれを志しておるそうした一つの問題でございますから、今総理がおっしゃいましたように、内容は、その当時、果たしてまだ各国がどのような軍縮観を持っておるか、そうしたことも十二分に勘案をして考えていかなければなりません。神田委員おっしゃるとおり、竹下総理の演説には全世界の注目がある、それだけの慎重さをもって臨みたいと思っております。
  298. 神田厚

    神田委員 次に、防衛関係につきまして防衛庁長官お尋ねをいたしたいと思っております。  防衛首脳会議が行われましていろいろと懸案事項が話し合われたようでありますが、要するに有事の日本に対する米軍の来援問題につきまして、こちらの方からガイドラインの線に沿って研究の申し入れを行ったということでありますが、事実でありますか。
  299. 瓦力

    ○瓦国務大臣 米長官にこちらの方から申し出たものでございます。
  300. 神田厚

    神田委員 このことは、国内での有事法制の整備等が非常にまだ不十分であるというような状況の中で、防衛庁がどういう考え方でこちらの方から米軍の来援の問題を持ち込んだのでありますか。
  301. 瓦力

    ○瓦国務大臣 先ほども答弁をさせていただきましたが、日本有事の際、米軍の来援が得られるかどうか、この問題は日米安保体制の核心の部分でございます。よって、ガイドラインに沿いましてこの研究を進めてまいりたい、かように申し出たわけでございます。  これらを今後ガイドラインに沿いまして研究が進められるということを踏まえてまいりますれば、段階的にいろいろその都度、またいわゆるシビリアンコントロールという手続がいろいろございますから、それらを踏まえて国会でも御議論をいただくというような形になろうと思いますが、まずはテーブルに着いて研究をしてみる、かようなことを提議したわけでございます。
  302. 神田厚

    神田委員 来援問題というのは、これは有事法制と切り離せないというのが我々の考え方であります。その点、防衛庁では、一部防衛関係者の話として伝わっておりますのは、この米軍の来援問題とそれから有事法制の整備は別問題だというふうに言われておりますが、長官はどのようにお考えでありますか。
  303. 瓦力

    ○瓦国務大臣 有事法制の問題とは別にこの有事来援の問題を研究するテーブルをまずつくるということでございます。有事来援の問題とは別と、かように考えております。
  304. 神田厚

    神田委員 有事法制が整備をされてないで有事来援の研究が果たして具体的にどういう形で、本当に進むというふうに思っておるのですか。
  305. 西廣整輝

    西廣政府委員 有事来援について、我々としては、御存じのようにガイドラインに基づきまして例えば有事における作戦計画の研究その他やっておりますけれども、米側の来援というものがどの時点であるかということは作戦計画そのものにも非常に響いてくる、そういうことで、そこの部分を研究しない限り先に進めないということで前々から申し込んでおったわけであります。  先生の御質問の有事法制の問題でございますが、来援する米軍なりあるいは日本に駐留しておる米軍、これらが行動する際の日本の法律等との関係、これは地位協定なりその関連取り決めの運用の問題でございまして、所掌としては外務省のお仕事でありますので、我々がそれまで首を突っ込むことはない、我々としては、実態的にまずどういう形で来援を仰ぐことができるかどうかということをまず勉強してみたいということであります。
  306. 神田厚

    神田委員 現在、有事法制の研究も第二段階ぐらいまではできておりますけれども、第三段階と言われております第三分類の研究がどの機関においてどういうふうな形でなされていつごろまでに結論が出る、こういうふうなことについてはどういうふうにお考えですか。
  307. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、防衛庁で行いました有事法制の研究は、たしか福田内閣のときだと思いますが、自衛隊の行動にかかわる有事法制ということで、あくまで自衛隊の行動に関連した法制面の研究を防衛庁としてやらしていただいたわけであります。そして今先生お話にありましたように、第一分類、つまり自衛隊そのものの所掌している法律をどう見直すか、それから現にもう既にある各省庁の法律、それとの関係について一応作業が終わりまして、現在、いずれの省庁の既存の法令にもないものについて自衛隊の行動に関連して新たな法律が要るか要らないか、どういうことを研究しなくてはいけないかということについて安保室の方で仕分けをしていただいておるということでございまして、我々今まで進んでおる有事法制の研究は、繰り返すようでございますけれども、自衛隊の行動にかかわるものについての研究ということでお墨つきをいただいてやっておるものでございます。
  308. 神田厚

    神田委員 ですから、自衛隊の方のものについてはかなり進んでいるのでありましょうが、例えばいろいろ民間の施設の提供とかそういうものについてはまだほとんど結論が出ていない。こういう結論が出ていない状況の中で米軍の来援問題を研究をするということ自体がやはり大変問題があるというふうに考えておりますが、どうでありますか。
  309. 西廣整輝

    西廣政府委員 自衛隊の行動にかかわる法制につきましては、今先生御指摘の土地の使用であるとかあるいは輸送その他医療とか、そういった関係の事業の従事命令といったような法律は既に自衛隊法としてできておりまして、そういう意味では自衛隊の行動にかかわる基本的部分、九十数%というものは私どもはできておるというふうに考えております。  御指摘のように、例えば土地の使用なりあるいはそういう輸送なり医療機関の事業従事について米軍にかかわるものはない、あるいは自衛隊の行動とか米軍の行動とかかわりのない国民全般の生存のために、例えば国民のためのエネルギーを運んでくるあるいは食糧を運んでくる、そのための輸送業務についての有事法制がない、そういったことはございますが、先ほど来申し上げているように、我々が現在研究しておりますのは自衛隊の行動にかかわるものでございまして、これらについては法制はほとんどのものができ上がっておるというように御理解いただきたいと思います。
  310. 神田厚

    神田委員 中期防の予算はもう既に決まっているわけでありますが、そういう中で例えば武器の事前集積というような問題一つ考えてみても、一体どのぐらいの予算を必要とし、それがいわゆる中期防の期間の中において達成をするようなことになっているのかどうか、研究のその一つの結論といいますか、それはどの辺で出そうというふうに考えていますか。防衛庁長官
  311. 瓦力

    ○瓦国務大臣 まず有事来援についての研究でございまして、ポンカスを含めてのお話でございますが、研究を始めればそういったものも含んで研究はなされると思うわけでございますが、まず有事来援について二、三年の期間を経てひとつ勉強もやってみようということでこの有事来援研究を始めるわけでございます。よって、その後の問題といいますか、その結論がどういうぐあいに展開されていくかということをまず見なければならぬ、かように考えておりますから、先々のことにつきまして今お答えする立場にない、かように申し上げておきます。
  312. 奥田敬和

    奥田委員長 西廣防衛局長。非常に大事なことだから。
  313. 西廣整輝

    西廣政府委員 今防衛庁長官お答え申し上げたとおりでございまして、実は先般の両長官会議ではポンカスというような言葉は出なかったわけであります。  我々事務レベルではそういった問題の話をしたわけでありますが、米側としては、例えば事前集積の問題、そういったことに問題を絞って研究するということであっては応じられない、もっと広い立場でどう来援するかということを話し合ってみないと、ポンカスそのものについては議会その他においてかなり消極的な意見もあるので、最初からそういうように問題を絞らないで勉強したいというような申し出があったのも事実であります。
  314. 神田厚

    神田委員 やってみなければわからない、先々のことは答えられないというようなことでは、それは困るわけでありまして、やはり一つの考え方を持ってその話し合いに入っているわけでありますから、そういう無責任答弁ではなくて、きちんと考え方について説明をいただきたいと思うのであります。
  315. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほどからお答え申し上げているように、この問題は我々にとって非常に重要で、我々としてはぜひ具体的な問題にまで進めていきたいと思っておりますけれども、何せ研究の相手方もあることでございますので、どこまで話が詰まっていくものかということについては相当時間をかけてやってみないとわからないというのが実情でございます。
  316. 神田厚

    神田委員 この問題は、日本の方からこのことについて持ちかけていったということについて、非常に重要であります。したがって、さらに話し合いの経過の中で、貿易黒字減らしというようなことも含めますと、アメリカ側の要求が非常に強くなってくるということも事実だろうと思うのであります。  ですから、そういうことを含めて、やはり日本の防衛予算の範囲の中で果たしてそういう受け答えができるのかどうかというふうな問題も非常に大事な問題になってくるというところをよく認識をして、話し合いについては慎重に運んでいただきたい、このように要望をしておきたいと思います。  そこで、アメリカの国防予算の中で日本の在日米軍関係予算がかなり削減されている、六十数%削減されている。こういうことになりますと、当然日本国に対しましてそれの肩がわりを要求されるという可能性が非常に強い。一体、日本はどこまで思いやり予算の増額に協力をしていくのか、今後この思いやり予算というものに対しての、あるいは米国の肩がわり要求に対しての考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  317. 瓦力

    ○瓦国務大臣 いわゆる日米安保体制が円滑にその効果を上げ得るようなその環境をつくってまいらなければならぬわけでございますので、ただいま委員御指摘のように、いわゆる思いやりということでございますが、財政経済事情の大きな変化もございますので、円滑な運営ということになりますと、思いやりという言葉は使いたくないわけでございますが、我が国といたしまして今後個々の施設、それらにつきまして自主的判断によりその措置をしてまいらなければならぬ。さらに、米側の要望につきまして、我が国の財政事情また社会経済環境、こういったものを踏まえながら、先般本委員会で今後の日米関係のいわゆる思いやり予算についての御指摘もいただいておりますので、そうしたことを踏まえながら慎重に対応してまいるということでございます。
  318. 神田厚

    神田委員 総理はこの思いやり予算の問題についてはどのように今後考えておりますか。
  319. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 基本的な問題については、今瓦防衛庁長官から施設関係についてはお話を申し上げました。  いま一つにつきましては、これはいわゆる労務費の関係について特別協定を結んで国会の御承認を得ようという考え方を持っておるということを申し上げておきます。
  320. 神田厚

    神田委員 次に、大韓航空機事件につきましてお尋ねをいたしますが、この問題について、いわゆる容疑者金賢姫から、日本から連れてこられた教育係の話がございまして、それらについていろいろと捜査当局で捜査をしておるようでありますが、捜査の状況と今後の見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
  321. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  大韓航空機八五八便事件につきまして、日本旅券が偽造されまして、偽造された旅券が大韓航空機爆破の犯人によって使われたという点、さらに金賢姫の日本人化教育にかかわった日本人女性が日本から拉致された疑いがあるという点、この両点につきまして現在鋭意捜査に取り組んでおるところでございます。  日本旅券の偽造に際しましては、蜂谷真一名義の偽造旅券は、北朝鮮工作員宮本明こと李京雨がその偽造に関与をしたことがわかっております。それから蜂谷真由美名義の旅券は、北朝鮮で作成されまして、一九八四年の八月に金賢姫がこの旅券を受け取ってこれに署名をした、そのとき既に成田出国、バンコク出入国のスタンプが押されていたというようなことがわかっております。  それから偽造旅券の行使につきましては、バハレーン及び韓国の情報によりおおむね確定しておるところであります。  一方、日本人化教育にかかわった日本人女性に関しましては、先般警察庁係官を韓国に派遣いたしまして韓国捜査当局と情報交換を行い、さらに二月四日には金賢姫とも面会して、問題の女性が日本人であること、日本から拉致された疑いが持たれることが明らかになっております。人定に関しまして若干情報も入手できましたし、またモンタージュ写真もつくることができましたので、そういうものに基づいて現在その女性の割り出しに力を注いでいるという状況でございます。
  322. 神田厚

    神田委員 かなり特定化が難しい、なかなか情報が入らないというような、いろいろな問題があるようでありますが、現在の状況ではどのようになっておりますか。
  323. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  いろいろと人定に関することについても聞いてきておるわけでございますが、まずこの金賢姫が一年六カ月ほど李恩恵なる人物と一緒に生活をしているわけでありますが、それが招待所、これが実は工作員訓練所でありまして、その工作員訓練所では余り相互の身の上話などについて聞かないというようなルールがございまして、したがって直接見聞のできる身体特徴とかあるいは食事の嗜好とか、そういった情報はたくさんあるわけでありますが、なかなか身元とかあるいは北朝鮮に来た事情などについては情報が少ないのはある程度当然でございます。しかし、そういったわずかなものをもとにして、現在日本で行方不明になった人たちの膨大なデータの中からある程度情報を、余り限定しないで少し幅を広げて現在捜査をしているということでございます。
  324. 神田厚

    神田委員 そうしますと、お尋ねをいたしますが、この教育係というのは日本から拉致されたのか、それとも北朝鮮の国内で帰国女性その他が当たったのか、その点の判断はどうでありますか。簡単で結構です。
  325. 城内康光

    ○城内政府委員 簡単にお答えいたします。  私どもいろいろな状況を総合的に判断しますと、これは日本人であることは間違いないというふうに思っております。(神田委員「拉致されたのか」と呼ぶ)拉致の点につきましては、本人の語っているところによりますと、やはり本人が同意して来たものではない。言葉としては、船で引っ張られてきたというような表現を使っております。
  326. 神田厚

    神田委員 なかなかデリケートな問題でございますが、真相の究明をひとつ一層お願いをしたいと思います。  最後農林水産大臣に。  ほとんど時間がございませんが、自由化の問題その他で大変日本の農業が危機に瀕しております。もう何度か大臣とはやりとりがしてありますので、この際、結論的にいわゆる十二品目問題の国内対策とそれから牛肉、オレンジ問題についての交渉に臨む決意と日本農業を守るという大臣の決意をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  327. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 簡潔に申し上げます。  十二品目問題は御存じのような経緯でございます。八品目につきましては、アメリカとも今後とも話し合いをしながらとにかく国内対策、これをどのようにするかということについてプロジェクトチームを発足させ、そして鋭意検討をさせておるところでございます。いささかも地域農業に禍根を残すというようなことがあってはならないということを考えておるわけでございます。  なおまた、牛肉、かんきつにもちょっとお触れになりましたが、このことは、先ほど来申し上げておりますように、非公式にはいろいろございました。公式にこのたび眞木経済局長に対して初めて、ガット提訴の問題等いろいろございましたので、一段と厳しさを認識はいたしておりますけれども、しかし、これは自由化は困難であるということに徹して交渉を進めなければならぬ。しかし、その交渉にはまずテーブルに着いてもらいたい、こういうことで粘り強く、といっても時間がそうあるわけではございません、三月末には一つの節目を迎えるわけでありますから、これに向かって全力を挙げてまいりたい、かように思っております。
  328. 神田厚

    神田委員 なお、質問通告をした関係の方々おりますが、時間の都合で大変失礼でありますが、これで終わらしていただきます。ありがとうございました。
  329. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて楢崎君、神田君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日午前十時より開会し、本日に引き続き昭和六十二年度補正予算の審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十三分散会