○坂口
委員 御指摘になりますように、高額所得者のところの人数はそれほど多くありませんから、そこをたとえ落としたとしてもそれに対する財源がそんなにたくさん要るものではない、それは私もおっしゃるとおりだと思うわけです。ただし、その際に、この大型間接税を導入をするということにすれば、その財源は一体それならばどこへ使われるのかということでありますが、それは中堅サラリーマンのところに使われるというふうにおっしゃいますが、この二枚目の表を見ていただきますとわかりますとおり、大体五%でも現在払っていただいております所得税と大体同じくらいな額を消費税で出してもらわなければならなくなるわけでありまして、決してこの中堅サラリーマンのところに私は返ってくるとは思われない。そういたしますと、それは一体どこへいくのか、法人税を下げた分にそれはいくのかどうかということに
一つはなります。
〔野田
委員長代理退席、
委員長着席〕
それから、先ほど申しました資産課税を一体どうするのか。相続税なんかで非常に課税最低限を上げなければならないという問題はありますから、その辺は加味をしなければならないと思いますが、例えば相続税あたりも累進性を将来なくしてくるというようなことになってまいりましたならば、富の再配分からいきまして、この格差は将来だんだんと大きくなっていく、その可能性がある、
一つは、それを歯どめをするための所得再配分としての機能を果たす
税制にならないではないかということを私は申し上げているわけであります。ですから、私は、この資産課税というものに対してどう対処されるのか、早急にこれは煮詰めていただく必要がある、こう
一つは思います。
それから法人税に対しまして、現在の日本の法人税は非常に高いということを強調される。これも決して低くはないと私も思っているわけでありますが、ただ実効税率を比較をいたしまして、実効税率の比較で日本が非常に高いとおっしゃるのは、これは少し見当違いではないだろうか。
政府税調の資料等を拝見をいたしましても、実効税率のところばかり強調されているわけでありまして、この実効税率では法人税が本当に多いかどうかは私はわからないと思うわけであります。いつか経団連とでございましたか、
大蔵省とでございましたか、論争もございまして、そのときに
大蔵省の方も実効税率だけではわからないということをおっしゃっておみえになる、私はそのとおりだと思うわけです。
それからこの法人税、例えばアメリカと日本とを比べました場合に、アメリカの法人税、この前の
税制改革でアメリカは四六%から三四%に下げました。これは実効税率としては下げたことになりますけれども、しかし実際にアメリカの法人の税金が下がったのかというと、そうではなかったのですね。一千二百三億ドル法人税は増税になり、その分所得税の方が一千二百十九億ドル減税になったわけであります。法人の出さなければならない額としては上がったのですね。だけれども、実効税率としては四六%から三四%に下がった。この三四と日本の五二とを比較をしまして、これは日本の実効税率というのは非常に高い、こうおっしゃるのですが、しかしアメリカと日本を比較をいたします場合に、もっとほかに比較をし、検討をしなければならない点がたくさんありますね。
例えば、決算をいたしますときに、日本の場合は確定決算によっておりますけれども、アメリカは例えば損金経理でいいとか、あるいはまた八〇%以上の株を持った子会社あたりは、これは連結納
税制度というのをアメリカはとっておりますけれども、日本はとらなくていいとか、そのときの、何と申しますか当期純利益ですか、当期純利益から、その後、損金の不算入額をどうするかあるいは算入額をどうするか、あるいは益金の不算入額をどうするかあるいは算入額をどうするか、そうしたことで非常に多くの違いがある。そうしたことを抜きにして、
最後の課税所得金額に対する税率だけで比較をして高いとか低いということを論じることは早計に過ぎる。
これが一般
国民の間で、それを見て高いじゃないか低いでないかということが言われているのならば、これは私は十分
理解が得られていないということもあってやむを得ないというふうに思いますけれども、
税制調査会においてあたかも実効税率が
中心であるかのごとくにして議論をされているともし仮定をしたら、これは大変なことになる。少なくとも
政府税調がお出しになりましたその資料を見せていただく限りにおきましては、その辺のところの分析したものは何も出てこないということを大変私は残念に思うわけであります。ですから、法人税の減税というのも、実効税率が高いからというだけでこれを減税するということは納得しかねるわけであります。
そうしますと、我々は
政府が将来行おうとしているその税体系というのは、その大きいところ、法人税やあるいは高額所得者のところの減税をするために中低所得層のところに課税を強化をすることによって新しい税体系をつくり上げる、そして全体の税は、直接税、間接税、そして社会保険料を含めましたものは逆進性になる、こういう図柄のものにならざるを得ないということを指摘をしているわけでございまして、これに対する明確な
答弁をひとつしていただく必要があるのではないか。もしその辺が
答弁できないとおっしゃるのであるならば、そう軽々にことしの春とかあるいはことしの秋とか、二十一世紀に向かうべき
税制というものを示そうとするのは余りにも拙速に過ぎると言わざるを得ないわけであります。もう一度この辺に対する大蔵大臣の
答弁を得て、次に進みたいと思います。