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永末委員 竹下内閣が成立をいたしまして最初の通常
国会、あなたは「調和と活力」というのをキャッチフレーズにしておられるようでございまして、調和というのは、
総理が方向をちゃんと示して、そしてその方向へ向けて、いろいろな説がございましょうがこれを調整をし、そして同じ方向に向けていくというのが私は調和だと思います。
ところでやっておられることを見ますと、つかさ、つかさに任しておるんだとか、ともかく何でもかんでも言わしておる。あなたが一体どっちを向いておるかが
国民にはよくわからない。方向がはっきりしておれば
国民全部が一緒に行こうというので活力も生まれましょうが、それでは活力の生まれようがございませんね。したがって、あなたの方向感覚が不明確であればあるほど、この「調和と活力」というのは混迷と無力ということに
国民には映る。これは
国民に非常に不安を与えておるわけでございます。
今、我々の周辺にはいろいろなことが起こっております。INF、中距離核弾頭の発射機の全廃条約はできましたが、核弾頭は残っておるわけでございまして、一体これで核はどうなるんだろう、今までの米ソ両国を中心とする核兵器は九割以上が残っておるわけでございまして、また我が国がアメリカとともにいろいろなことをやっておりますけれ
ども、アメリカ経済自体が一体どうなるだろうか、いや、世界経済はどうなるだろうか、その中で
日本は経済的に一体どうなっていくんだろうという非常な不安が我々の、
国民の気持ちの中に入り込んでおります。
かてて加えて、円はどんどん上がるし、また株はああやってブラックマンデーと称する大暴落を昨年十月にやりました。これから一体どうなるだろう。好景気だと言われながら、円高の打撃を受けた企業また地域は壊滅的な状態でございます。失業率も、上がってはおりませんけれ
ども今までよりは高率の横ばい状態である。片一方、金余り、財テクというので金が乱れ飛んでおるようです。これが
東京の地価を高騰せしめ、地方に伝染をいたしまして路線価の高騰を招いておる。このままでは固定
資産税を払えないのじゃないか、あるいはまた事業の継承はできないのじゃないか、相続をしなくちゃならぬ場合には土地を売らなければならない、自分の住んでおる土地から離れなければならないのではないか、これが庶民の痛切な不安であります。また、受験勉強ばかりをやらされておる子供さんを持っておる家庭では、どうなるだろうという不安がある。かと思いますと、あっちこっちに、銃砲は持ってはならぬという法律があるのに鉄砲の音がしていますね。一体治安はどうなっておるのだろう、こういう不安があります。
この不安解消というのは、私は、
日本の政治のリーダーとしてのあなたに課せられた重要な任務であると思うのです。そのためには、あなたが行こうとする
政策の中身を明確にやはり
国民に示す必要がある。この前の所信表明では、どうもそれがうかがえない。この
予算委員会の場を通して、明確にあなたの中身を示していただきたい。そういう意味でこれから
お尋ねをいたしますので、それは認識のうちにありますとか、そういう問題意識を持っておりますとかというようなことではなくて、おれはこっちへ行きたいんだ、こういう角度でぜひひとつ御
答弁を願いたいと思います。
その意味合いで、まず第一に
議員定数の問題をお伺いをいたしたい。
昭和六十一年五月二十一日に本院がこの件について
決議をいたしました。要するに、いろんないきさつがございましたが、八名を増員し、七名を減員するということで、あれは暫定措置だと。そして、抜本改正はあのときの国勢調査の数値の確定をもってやるんだということが本院の
決議の意思でございました。
そして、昨年の九月二日の公職
選挙法による
選挙人名簿の登録者数の概要も発表されました。それによりますと、例えば神奈川四区という
最高の
選挙人を持つところと長野三区という最低の
選挙人を持つところとの
比率は、一に対して三・〇一である。従来、
最高裁の判決でも、本院がかつてやった二・九二は、本院がやったんだから憲法違反とは言えないという、合憲とは言っていませんよね、そういう
立場の判決が下されました。しかも、これらにつきまして、この前やりました
選挙後、既に三つの違憲訴訟が出され、そして三つ判決が下りました。その
一つは、違憲だという大阪高裁の判決があるわけでございます。
したがって、これらの問題について、議会政治を重く見ておるという
竹下総理にとっては重大な問題だ。しかし、あなたのこれまでの態度は、それは各政党と相談をしてやるんだと、こう言う。私が伺いたいのは、あなたは
自民党総裁である。
総理としての
立場ではなくて、
自民党総裁、第一党の総裁としてこの定数是正の問題を、この
国会で各党に相談してやりますということをぴしっと言って方向を示すべきではないか。うやむやのうちにやって、またあちらこちらの裁判所で違憲訴訟ができてくる。これじゃ
国権の
最高機関なんて胸を張って我々が
議員としての活動ができないじゃないですか。しっかりとお答え願いたい。