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野田委員 先ほど申し上げましたクロヨンの是正、これはなかなか一概に言えないと思います。実際にこの不公平が存在するのか、本当にサラリーマンが九割で事業者が六割で農業者が四割だ、本当に九と六と四というぐらいひどいのかということは、一概には言えないと思います。
特に個人事業主は、原則として自分の面倒は何もかも自分で見なければいけないということも事実です。そういう点でサラリーマンの場合は、あるいは福利厚生とかいろいろな名目で
会社が相当従業員に対する金を支出をしておるという、これは現物給与で換算すると
かなりの額に上るのではないか、こういう側面もある、だから十ではない、こう言われておるわけでもあります。それに
給与所得控除も認められておるわけであります。
さらにまた、最近非常にコンピューター会計も発達してきておりますから、経営者が従業員に命令をして脱税をいろいろ操作させるというようなことになりますと、脱税のメリット以上に、その企業の組織管理、経営管理というか、そっちの面でより大きなデメリットが発生をしてくるわけでありますから、言われているほどそんなに脱税の天国であるということではないと私は思っております。
しかし、残念ながら、毎年国税庁から発表されておる調査の結果を見てみますと、やはりこの氷山の下には相当の取り漏れがあるのではないか、こういう実感を抱いておることも
現実であります。また、先ほど来申し上げておりますように、残念ながらサラリーマンの間に非常に不公平意識が強いということも、これは
現実の問題である。こういった
事柄は政治としては放置はできない、どうやったらそれならこれを是正できるのか、こういう問題であります。
クロヨンを是正しようということは九、九、九にしろということになるわけであります。どうやったらいいのか。そうしたら、税務職員が今までサボっておったのかというとそうではない、これはもう御
案内のとおり、
昭和二十五年と今日とでは世の中は何もかんも変わってきております。
所得税の納税人員にしても物すごくふえてきておるし。
これをちなみに職員一人
当たりの
税収の額で見ると、
昭和二十五年は税務職員一人
当たり約七百十万円であった、それが
昭和六十一年度では約七億五千二百万、百六倍。これは税務職員、よく頑張っておると思います。あるいは法人の数、これが二十五年は約二十九万です、こ十八万八千、これが六十一年は二百七万三千、約七倍強であります。こういう中で国税庁の職員がどれだけふえたかということで見てみると、
昭和二十五年は約六万二千人、
昭和六十一年は約五万三千人、一万人減っておるということであります。よくこういう中で
対応ができてきておると思います。
もちろん、いろいろ
努力をしておられるのでしょう。しかし、いずれにしても、調査をもっとやれということであるならば、職員を相当ふやしていかなければしようがない。ちなみに、
ドイツは人口
当たりの税務職員の数でいくと
日本の五倍おると言われております。それならば
日本ももっともっとふやして、あと二十万人税務職員をふやして、毎年毎年中小企業に調査をしろということで果たしていいのかどうか。私は、そうなるとこれはマルサの女だらけになって、苛斂誅求大国になる。政治としてはそういう強制的な暗いやり方でこのクロヨン是正ということは考えるべき方向ではないような気もいたします。
しからばどうするか。しからばどうするか、これなんです。これは、サラリーマンについては一応
所得が入る段階でガラス張りになっている。できれば事業をする
人たちにも、その取引がある
程度わかりやすい形、こういうような形になることはできないものだろうか。しかも、それが一々税務署が全部監視しておるんだということでは困るでしょうから、少なくともお互いの取引そのものが相互にチェックできるんだという、税務署ではなくて取引先同士でチェックができるんだ、そういうようなソフトなシステムを考えることはできないか、それによって自主的な申告水準というものを上げることができないのか、こういうことも一方では考える必要があるわけであります。
この点で、昨年の売上税騒ぎの中でいわゆる税額票という言葉が出た途端に現金問屋の
人たちが猛烈な反対運動に回ったということは、ある意味では大変参考になるのではなかろうか、こういう気もするわけであります。この
角度からの間接税も検討する余地があるのではないかという気もいたします。
野党の
人たちも、労働者の味方を自認しておられる、自認しておられるなら、このクロヨン問題についてぜひ具体的な提案を出すべきだと私は思う。
政府を追及するだけでなくて、ぜひこれはお互いに真剣に与
野党協議の中で私はやっていかなきゃならぬ問題だ、こう思うのです。
しかし、それはそれとして、
政府もこの点を放置してはなかなか進んではいけない。この点は今までどういう
対応をしてこられたのか、クロヨン問題について。そしてまた、今後さらに一層検討を進めていただきたいと思うわけでありますけれ
ども、この点はいかがでありましょうか。