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1988-02-18 第112回国会 衆議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年二月十八日(木曜日)     ─────────────  議事日程 第六号   昭和六十三年二月十八日     午後二時開議  第一 漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出)  第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出)     ───────────── ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)  昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)  昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)  日程第一 漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出)  日程第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後三時三十二分開議
  2. 原健三郎

    議長原健三郎君) これより会議を開きます。      ────◇─────  議員請暇の件
  3. 原健三郎

    議長原健三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  高橋辰夫君から、海外旅行のため、二月二十一日から三月二日まで十一日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ────◇─────
  5. 自見庄三郎

    ○自見庄三郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)、昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)、右三案を一括議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  6. 原健三郎

    議長原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程追加されました。     ─────────────  昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)  昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)  昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)
  8. 原健三郎

    議長原健三郎君) 昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)、昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)、右三案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。予算委員長奥田敬和君。     ─────────────  昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)及び同報告書  昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)及び同報告書  昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔奥田敬和登壇
  9. 奥田敬和

    奥田敬和君 ただいま議題となりました昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  この補正予算三案は、去る一月二十五日本委員会に付託され、同月二十九日宮澤大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、昨二月十七日及び本十八日の両日質疑を行い、本日質疑終了後、討論採決をいたしたものであります。  まず、補正予算の概要について申し上げます。  一般会計につきましては、歳出において、給与改善費国民健康保険特別交付金義務的経費追加等、特に緊要となった事項について措置を講ずるため、合計二兆六千百十四億円を計上いたしておりますが、他方、既定経費節減及び予備費減額により、合計五千七百七十五億円の修正減少を行うことといたしております。  歳入においては、租税及び印紙収入増加、前年度剰余金受け入れ合計三兆八千二百七十億円を計上するとともに、税外収入の減収を見込むほか、特例公債を一兆三千二百二十億円減額することといたしております。  なお、昨年不成立となりました売上税法案関連歳入歳出につきましても所要補正を行うことといたしております。  この結果、昭和六十二年度第二次補正予算総額は、歳入歳出とも、第一次補正予算に対し二兆三百三十九億円増加して、五十八兆二千百四十二億円となっております。  特別会計につきましては、一般会計予算補正等に関連して、国立学校特別会計など二十七特別会計について所要補正を行うことといたしております。  また、政府関係機関につきましては、国民金融公庫など三公庫について所要補正を行うことといたしております。  なお、一般会計及び特別会計において、所要国庫債務負担行為修正減少を行うことといたしております。  次に、質疑について申し上げます。  質疑は、国政全般にわたって極めて熱心に行われたのでありますが、そのうち主な項目を申し上げますと、  まず、税制改革問題では、政府統一見解選挙公約の遵守、売上税廃案理由政府税調あり方税制改革の手順、不公平感の払拭と間接税導入必然性高齢化社会到来税制改革関連性などについて、  外交関係では、南アフリカへの我が国対応大韓航空機爆破事件に関連する問題などについて、  防衛関係では、三宅島の夜間着陸訓練場建設計画池子弾薬庫跡地利用有事来援研究などについて、  農林水産関係では、農産物の輸入自由化調査捕鯨などについて、  厚生関係では、国民健康保険及び退職者医療制度、脳死の判定と臓器移植などについて、  このほか、首相の政治姿勢災害遺児育英制度の創設、補正予算支出官レートあり方、地方財政問題、地価高騰にかかわる諸問題、オートマチック車欠陥問題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  かくて、本日質疑終了後、三案を一括して討論に付しましたところ、政府原案に対し、自由民主党を代表して宮下創平君から賛成日本社会党護憲共同を代表して辻一彦君から反対公明党国民会議を代表して池田克也君から反対、民社党・民主連合を代表して田中慶秋君から反対日本共産党革新共同を代表して中島武敏君から反対の意見が述べられました。  討論終局後、引き続き採決を行いました結果、昭和六十二年度補正予算三案は、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  10. 原健三郎

    議長原健三郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。辻一彦君。     〔辻一彦登壇
  11. 辻一彦

    辻一彦君 私は、日本社会党護憲共同を代表しまして、ただいま議題となりました昭和六十二年度第二次補正予算案に対し、反対討論を行うものであります。(拍手)  ここ一年ほどの我が国経済を振り返りますと、世界経済、とりわけ米国経済のありようの影響を直接に受け、大変な激動をこうむってきたと申せましょう。米国経済を見ますと、一千五百億ドルを優に超える膨大な経常赤字財政赤字の継続、昨年十月の株価の暴落などに象徴されるように不安定をきわめております。いまだ国際取引における基軸通貨ドルであり、米国経済が現在置かている重要な位置にかんがみれば、その不安定が我が国経済をも揺り動かすのは当然なのであります。そして、この不安定さを少しでも緩和をし、世界経済日米経済安定的発展を確保していくためには、米国経常収支貿易収支を漸進的に改善していくことが急務であり、そのためには消費を縮小し、とりわけ財政赤字計画的に縮減していかなければならないと強調され、それに伴って我が国輸出主導から内需拡大による経済成長を目指さなければならないと言われて久しいのであります。  この我が国内需積極的拡大による経済成長必要性については、我が党が以前から主張してきたところでありますが、この間政府はそれに真剣にこたえてこなかったのであります。それが今日の事態を招来した最大要因と申せましょう。積極的な財政運営が必要とされていながら、六十二年度予算も当初の段階では、一般会計一般歳出の対前年度当初予算比伸び率がともにマイナスという歴史的な超緊縮予算だったわけであります。こうした当初予算を編成しておいて、財政再建を最優先させ、その数字合わせのための一般会計経常的経費節減を基本とした財政運営を変更させないままに補正予算内外からの内需積極的拡大の要請にこたえようとしても、どだい無理なことと言わなければなりません。  以下、本補正予算案反対する具体的理由の主なものを指摘いたしたいと思います。  六十年九月G5合意以降、アメリカ赤字財政ドル安政策の放任、我が国内需拡大政策の立ちおくれにより急激な円高を招き、日銀収入低下日銀納付金激減させました。すなわち、急激な円高による為替介入などにより運用資金利回り低下によって、日銀納付金は、六十二年度当初予算八千百五十億円を見込んだにもかかわらず、二次補正減額二千六百四十億円となり、差し引き五千五百十億円となったのであります。これは六十年日銀納付金決算額一兆六千三百二十三億円に比べれば実に一兆八百十三億円の激減であります。六十二年度のみでも一兆一千億円の損失を国民に与えたことになります。これは、まさしく経済運営の失敗と言わなくてはなりません。日銀納付金にこのような激減がなかったならば、第二次補正予算の中身はもっと変わったものになっていたのであります。この矛盾を糊塗するために本補正予算が編成されていることは明らかであります。これが反対の第一の理由であります。  次に指摘しなければならないことは、租税及び印紙収入が当初予定を大幅に上回っていることに関してであります。三兆六千億円近くの税収等の増が計上されておりますが、これは予定を超えて納税者等国民から徴収したものでありますから、国民に還元するのが本筋と言えます。確かに六十二年度税制改正によって一兆六千億円余り減税されておりますが、なお不十分であったと言わざるを得ません。もちろん、膨大な国債の累積という財政状況にかんがみれば、国債発行減額も重要であり、全額を減税すべきだと主張する考えはありませんが、我が党などが要求した数千億円の中低所得者中心とした所得減税の上乗せは十分に可能であったと言えます。政府があえてそれを実施しなかったのは、税制改革口実に、所得減税などの減税と抱き合わせで新大型間接税による増税を予定しているからにほかなりません。今国会代表質問予算委員会での質疑を通じまして、税制改革と称し、新型間接税導入を企てる政府態度がかなり明確になってまいりました。こうした事態を容認することはできないのであります。これが反対の第二の理由であります。  第三に、防衛費の対GNP比一%枠の突破が強行されていることであります。防衛関係費は、第一次の補正削減され、今回、売上税歳出計上分削減されており、さらに為替レートの変動などを考慮すれば、百数十億円の削減は十分に可能であったわけで、政府にその考えさえあれば一%枠を守ることはできたはずであります。政府がそれをなさなかったのは、一%枠を守ろうとする考えが全くなかった証左であると断ぜざるを得ません。政府は、十八兆四千億円の中期防衛力整備計画による防衛費の歯どめを強調しますが、思いやり予算の取り扱いや後年度負担増大によってその歯どめはますます不明確なものになってきており、その計画自体が初めから軍備増強計画であったことは明らかなことであります。米ソ核軍縮合意を踏まえ、率先して軍縮、平和のために貢献するのが我が国の責務であるにもかかわらず、あえて防衛費の対GNP比一%枠の突破を図り、軍備増強への道を切り開こうとする政府姿勢に強く反対するものであります。  第四に、本来、公務員給与改善費は当初予算に計上すべきでありますが、それが計上されず、本補正予算によって処理されているのであります。公務員給与民間給与に準じて改善されるとの建前があり、政府責任人事院勧告は完全実施されなければならないことからすれば、当初予算にある程度その経費を計上するのが当然であります。政府は、公務員給与引き上げ実施を当初予算に計上することによって内需拡大への姿勢を示すべきときであります。我が国内需拡大のためには、貯蓄率を減少させ、消費拡大を図らなければなりませんが、我が国貯蓄率の高さは、老後や病気、そして教育住宅などに対する備えによるものであり、これは我が国社会保障公教育などの貧弱さに原因しており、政府行財政改革内需を冷えさせ、高貯蓄率を維持させ、輸出を加速させた大きな要因であったと言えるのであります。  最後に、国民生活向上を目指し、このような財政運営を抜本的に転換させるよう強く要求し、私の討論を終わります。(拍手
  12. 原健三郎

    議長原健三郎君) 宮下創平君。     〔宮下創平登壇
  13. 宮下創平

    宮下創平君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)外二案に対し、賛成討論を行うものであります。(拍手)  御承知のとおり、大幅な対外均衡等背景に諸外国との間に種々の摩擦が激化する中で我が国の取り組むべき最重要政策課題は、内需中心景気の積極的な拡大を図ることでありました。このため、政府は、一昨年九月の総合経済対策に引き続き、昨年五月には総額六兆円規模緊急経済対策を決定し、七月にはその予算措置として公共投資追加中心に二兆円を超える大型補正予算を成立させるなど、内需拡大に向け最大限の努力を払ってまいったところであります。  これら一連の経済対策によって、我が国経済円高の進展にもかかわらず昨年の中ごろから大きく好転し、景気は、個人消費住宅建設といった国内需要中心に急速に回復を見せ、今や拡大局面に移行するまでに至っているのであります。また、円高背景産業構造調整が進展する中で雇用情勢の悪化が懸念されたのでありますが、これも政府のきめ細かな雇用対策あるいは適切な景気対策によりまして、完全失業率が一時の高水準を脱して低下に向かうなど、緩やかであるとはいえ改善を見せておるのであります。私は、このような政府の的確でしかも機動的な政策対応に敬意を表するとともに、このことは、責任政党たる我が自由民主党の適切な政策選択の結果であると確信するものであります。(拍手)  以下、本補正予算の内容について賛成理由を申し述べます。  まず、賛成の第一は、緊要となった事項及び剰余金処理について適切な措置が講ぜられていることであります。  幾つか例を挙げて申し上げますと、まず、公務員給与改善についてでありますが、本年度も前年度に引き続き、人事院勧告どおり率、時期ともに完全実施され、公務員生活の安定に対し十分な配慮が払われているのであります。また、国民健康保険特別交付金として一千億円余が計上されているなど、厳しい財政事情のもとで極めて適切な措置を講じているものであります。さらに、前年度剰余金処理につきまして、本年度財政法の規定に従いその二分の一が国債整理基金特別会計に繰り入れられており、これもまた極めて妥当な措置であると考えます。  以上のごとく、緊要となった事項及び剰余金処理について極めて適切な措置が講ぜられており、まことに当を得た措置として高く評価するものであります。  賛成の第二は、財政改革が着実に前進を見ていることであります。  今後急速に進展する人口の高齢化国際社会における我が国責任増大などを考えた場合、このような変化に伴う行政需要増加に十分対応し得るためには、一刻も早く財政がその対応力を回復することが何よりも必要であります。そのためには、昭和六十五年度までに特例公債依存体質から脱却し、公債依存度を引き下げるという努力目標を何としても達成しなければならないのであります。  この目標については、かねてより野党等から、目標は完全に破綻している、六十五年度特例公債脱却の旗はおろすべきであるなどのさまざまな批判を浴びてきたのであります。しかしながら、本補正予算において一兆三千億円余の公債金減額した結果、六十二年度公債依存度は、当初の一九・四%から一八・一%に引き下げられることになるのであります。また、提出中の六十三年度予算におきましても、本年度の当初予算に比べて特例公債について一兆八千三百億円の減額予定されておりまして、財政再建目標達成に向けて着実に前進しているのであります。しかしながら、むしろこれからがまさに胸突き八丁、正念場でございまして、このような重要な時期を迎えている今こそ、財政改革の旗をより一層高く掲げて、着実にこれを推進していくことが肝要であると考えます。政府におきましては、引き続き経費の徹底した節減合理化に努めるなど、目標達成に向けてより一層の努力を傾注されんことを強く望む次第であります。  終わりに当たり、一言申し上げたいと思います。  高齢化社会到来を控え、また、変転きわまりない国際情勢の中で、我が国経済、なかんずく財政に対する内外の期待はますます大きなものとなっております。こうした中で、税制抜本的見直し財政改革は避けて通れない課題であります。私ども自由民主党は、政府と一体となってこれらの課題解決に向かって積極果敢に事に当たり、難局を乗り切り、国民の負託にこたえるとの決意をここに改めて表明し、本補正予算に対する私の賛成討論を終わらせていただきます。(拍手
  14. 原健三郎

    議長原健三郎君) 森本晃司君。     〔森本晃司登壇
  15. 森本晃司

    森本晃司君 私は、公明党国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和六十二年度第二次補正予算三案について、反対討論を行います。(拍手)  本予算案は、表面的には税収増加に伴う災害復旧費給与改善費義務的経費追加等財源措置を行うこととしておりますが、一歩踏み込んで考えてみるならば、財政危機を誇大に宣伝するために、意図的と言わざるを得ない当初予算における税収過小見積もりが暴露されたものであります。しかも、積極的な施策を盛り込むのではなくして、余剰予算金余りのつけかえのための補正でしかなく、我々はこうした政府態度を認めることはできません。  以下、補正予算三案に反対する具体的な理由を申し述べます。  本補正予算案反対する第一の理由は、税収見積もりの誤りにより多額自然増収を得ながら、所得税減税が極めて不十分であるという点であります。  我々は、六十二年度において実現した一兆五千四百億円の所得税減税では、持続的な内需拡大を図り、かつ、重税と不公平にあえぐ中堅サラリーマン層税負担を軽減するには不十分であるとして、二兆円規模所得税減税実施をこれまで強く一貫して要求してまいりました。しかし、政府自民党は、我々の主張に耳を傾けず、逆に、マル優制度の廃止などに象徴されるよう、庶民、弱い者いじめを強行したのであります。しかも、せっかく実現した減税効果はと見れば、社会保険料等増大などから、ことどとく帳消しにされた形となってしまっているのが実情であります。中途半端な施策は、その効果激減するのみであります。それだけにとどまらず、政府自民党は、今や、税制抜本改革と称し、不公平税制の是正を放置したまま、国会での政府統一見解に反し、国民に対する選挙公約に違反し、国権の最高機関である立法府の国会決議に違反するところの大型間接税導入を画策しようとしているのであります。  本補正予算案で、所得税法人税などの減税分一兆八千三百億円、売上税削除分一兆千三十億円を差し引いた上で、なおかつ一兆八千九百三十億円に及ぶ自然増収を計上するのであれば、我々が当初から要求していた二兆円規模所得税減税実施は十分に可能であったはずであります。したがって、現在が年度末にあるとはいえ、私はこの際、六十二年度内において、相当規模追加所得税減税実施することを、ここに改めて要求するものであります。そして、さらには、財政再建のためとか、高齢化社会到来のためとか、そのたびに口実を巧みに使い分ける姑息な手段による大型間接税導入を画策すべきではありません。そうした画策に対し我々は断固として反対するものであります。  さて、その第二の理由は、歳出面で本来六十三年度予算で計上すべきものを、便宜的に前倒しで本補正予算案に計上している点であります。  本補正予算案自賠責特会食管特会への繰り入れ、外航船舶利子補給金などを計上しておりますが、これらは、過去の借金の返済であり、本来六十三年度予算案に計上し、処理すべきものであります。にもかかわらず、六十二年度において多額自然増収を得て財政に余裕ができたからといって、本補正予算案に計上し、借金を返済しようとする手法は、財政法第二十九条の趣旨からいって、補正予算の性格を逸脱するものであると言わざるを得ません。一兆円を超える規模赤字国債減額しているとはいえ、特別会計への移管や後年度への繰り延べというつじつま合わせ歳出削減策による見かけ倒しの財政再建策を従来どおり繰り返している政府財政運営姿勢には、やはり基本的かつ重大な問題があるのであります。  第三には、内需拡大を持続させる施策が盛り込まれていないことであります。  我々は、本年度当初予算審議に際して、日本経済が直面している最大課題は、いかにして中長期的かつ持続的な内需型成長を図るか、そして産業構造転換日本経済構造転換をいかにして実現するか、この一点に集中していることを繰り返し繰り返し申し上げてまいりました。  円高が一段と進み、日本たたきが露骨に繰り返された昨年を振り返るとき、我が国が迫られているのは対外経済政策修正生産合理化ではなくして、物事に対する考え方を変えることにあると痛感させられます。現状のままで我が国景気が回復したとしても、それで問題は解決いたしません。そのためにも、この六十二年度において政治責任において、行政府責任において講じられるべきことが多々あったはずであります。例えば、国民生活に密着する生活関連社会資本整備は、今なお大幅におくれたままであります。その原因の一端が予算配分と各省庁の縄張り意識にあり、ここを改革し、国民意識多様化高度化対応しつつ、国民のニーズを踏まえた生活関連資本整備計画を策定し、予算配分の大胆な転換必要性を我々は機会あるたびに申し上げてまいりました。すなわち、生産重視外需志向からの脱却でありました。そのためには、個人消費の問題から金余り現象効果的吸収方法企業投資民間と地方自治体の独創性を発揮させての活性化などに至るまで、まさしく広範な分野にわたる政策誘導的施策の組み合わせが求められていたのであります。  そうした政治要求に対して、昨今の政府施策がもたらしたものは何かといえば、地価の狂乱を挙げざるを得ません。これは極めて遺憾なことであります。予算配分硬直化によって、本当に必要で有効な事業に十分な資金が配分されておりません。これでは、公的融資による国民生活水準引き上げという政策目標達成されません。もって本補正予算案では、何ら内需拡大を持続させるための具体的施策が講ぜられていないばかりか、公共事業の円滑な執行とその効果的配分についての改善が全く行われておりません。これでは、せっかく上向きつつある我が国経済が今後とも持続的に安定成長できるかどうか、極めて不安であります。  第四に、防衛費減額修正が極めて不十分な点であります。  本補正予算案では、廃案となった売上税分不用分などを差し引いておりますが、防衛関係費については、対GNP比一・〇〇七%と依然としてGNP比一%枠を突破したままであります。こうした背景には、経済摩擦でのアメリカからの批判と攻撃を防衛問題にすりかえてかわし、解決を図ろうとする意図が強く働いているようでありますが、これは見当違いも甚だしいものがあると言わざるを得ません。円高差益分の適正な還元や在日米軍の駐留経費負担における無原則な思いやり予算等の適正化を図ることでGNP比一%枠内におさめることが十分に可能であることは、さきの総括質問における質疑の中で明らかにしてきたところであります。  今、世界の趨勢は軍拡から軍縮へと、その流れの変化が日を追うごとに強まってきております。軍拡よりも経済改革、軍事費を削れないものかと叫んだとされるソ連のゴルバチョフ書記長、私たちは歴史をつくったと自画自賛したというアメリカのレーガン大統領によって、昨年INF条約が調印されたのであります。ソ連が軍事費を据え置きにし、アメリカが実質削減を行うという状況の中で、ひとり我が日本が、防衛力増強への歯どめであり、世界平和政策の一つである防衛費GNP比一%枠の突破を行ったことは断じて容認することはできません。改めて一%枠突出分の削減を強く要求するものであります。  以上、反対の主な理由を申し述べまして、私の反対討論を終えます。(拍手
  16. 原健三郎

    議長原健三郎君) 滝沢幸助君。     〔滝沢幸助君登壇
  17. 滝沢幸助

    ○滝沢幸助君 ここに議題に供されました昭和六十二年度補正三案につき、民社党・民主連合を代表いたしまして、反対の意見を表明するものでございます。  さて、反対理由の第一は、この補正予算案は、我が国が今日直面いたしております緊急かつ不可欠なる国民的要請に全くこたえていないからであります。  すなわち、我が国は今やその国民生産におきましてはついにアメリカに追いつき、これを追い越し、まさに世界一の経済大国とはなりましたものの、しかし、国民生活実感におきましては、何人もみずから経済大国の国民たるにふさわしい生活とは思っていないのであります。すなわち、その身大都市に住む者にとりましては、一生涯、働けど働けどなお我が暮らし楽にならずとして、ついに自分の家と名のつくものも持つことができず、あるいはウサギ小屋と侮られて甘んじなければなりません。また、農山村僻地に住む者にとりましては、竹下総理の「ふるさと創生論」とは裏腹に、過疎、荒廃のふるさとを嘆き悲しみ、政治の貧困と時代の変転を恨み終わるのであります。ここに我々は、当初予算の編成に当たりましては、経済大国たるよりはむしろ生活先進国であるべしといたしまして政策の一大転換を要求したことであります。  さらに、さきの百九国会におきまして、その補正には、五兆円に及ぶ公共事業費などを一応評価をしながらも、その内容におきまして、いわゆる社会資本の固定的、硬直的分配率をかたくなに踏襲しておりまする態度を強く戒めたのであります。かくて、今ここに第二次補正を組むとするならば、今こそこれら公共事業配分の枠組みを大胆に改革、改善すべきであるにかかわらず、この思想の転換はついぞなされなかったのであります。  今、国策として真に内需拡大を進めるためには、何よりもまず必要なることは大幅なる減税であります。すなわち、さきに一兆五千四百億の減税は辛うじて成立いたしましたものの、もちろんこれは不十分であります。しかし、もっていささかの改善と思いましたその矢先にマル優が廃止され、まさに槿花一朝の夢、減税はことごとく相殺され終わったのであります。かてて加えて、もしもそれ伝えられるがごとく、昨年の売上税廃案の教訓をかえってこれをさかしまに学んで、異名同体の新型間接税を今国会に、もしくは秋の臨時国会に安易に提案されるならば、国民大衆はこれを断じて許さないでありましょう。政府は再び断腸の苦杯を喫することは火を見るよりも明らかであります。  すなわち、今必要なるものは増税にあらずして不公平の解消であります。売上税的間接税にあらずして、実に所得税法人税等の大幅なる減税であります。よってもって、内需主導型の経済運営を確立し、内に民生を安んじ、外に外圧を解消して国際協力の実を上げなければなりません。もしも総理がその心国民とともにあるならば、三歳の幼子といえどもよく理解できるこの道理をわきまえて再考されまするように希望いたします。  さて、第二の反対理由は、行政改革の思想と手はずが全く見られないことであります。  すなわち、NTT株の売却益あるいはいささかの税収の伸びをいいことにして行政改革を中途半端にして忘れ去り、怠けているとするならば、竹下内閣はその無責任、無能を歴史の上にさらすことになりましょう。今、政府みずからが、みずからの肥満病弱の体質をみずからの反省と努力によって改善し、まさに肉を切り骨を削る行政改革のうちに、簡素化、官庁の縮小、小さな政府の実現をなさなければ悔いを千載にとどめることになりましょう。土地対策から思いついた一省庁一機関の移転などと逃げたり、問題をすりかえてはいけないのでありまして、竹下総理の勇断を促す次第であります。  さらに、反対の第三の理由は、財政の再建がまるで忘れられていることであります。  すなわち、のど元過ぎれば熱さ忘れるの例えのごとく、税収の伸びを理由国債費を大幅に減額し恥ずるところがありません。この無節操にして無反省なるいわゆる官僚的やりくりは、まさに場当たりであります。私は、ここに、竹下総理の国家財政再建に対する信念と気迫を知りたいのであります。  以上は、補正三案に対します具体的、事象的、政策批判と反省でありますが、私はこの機会に、予算案の数字の陰、政策の裏、すなわち、行間紙背ににじみ出るところのいかにも官僚の小手先料理、小細工に対し、国民の信託にこたえるべき政府が一体何を加え、何を削らんとしているか、何をなさんとしているか、何をなし得るか、少なくともその志を知りたいのでございます。  思うに、今日の我が国政治には、その国家的、国民的理想というものがありません。一体理想なき人物のその人生は暗黒にして堕落し、理想なき国家とその民族は、内、ことごとく不満と不平、対立に満ち、道義は乱れ、経済もまたついには凋落し、外、外国の侮りと侵略を招きあえなくも滅び去ることは、ローマにおいて、エジプトにおいて、また帝政ロシアに、かつての中国に、世界史上その例を挙げるにいとまがございません。しかも、それら繁栄のうちに国家的理想を失いましたがゆえに滅び去った国々と今日の我が国とは余りにもよく似ているじゃありませんか。  さきに述べましたごとく、今や世界最大の経済大国として繁栄と平和をほしいままにしております我が日本が、ここに戦後四十年、失った古きよきものは民族の伝統としこれを勇気を持って回復し、再生しなければなりません。また反面、学ぶべき新しきものがあるならば、これを正しくみずからの力に消化する、そしてその歴史を見る上においてそのような健康なる史観が必要であると私は思うのであります。まさに緊急必須のこれは政治課題であります。しかるに、政府が多数にいささかなりともおごり高ぶり、あるいは野党がこれに建設的助言と批判を怠るならば、国民政治不信はますます高まり、国家存亡の危機は四十年前の敗戦にあらずして、実に今日ただいまにありと申さなければなりません。  星は移り時は流れ、世界の情勢は刻々と変わりつつあります。いつまでもアメリカが世界の安全を保障し、経済をリードし続けると思うことは誤りであります。今こそ我が国がアジアの諸民族とともに、これを武力によらずして徳と愛を持って同和し、加えて経済援助と技術、学術の協力において一体的平和を確立し、アメリカにかわって世界に貢献すべきこの国家的大理想を国民の前に高く掲げる必要がございましょう。しかも、このことは予算に当然表現されなければならないことであります。  私は、ここに補正三案に対し反対討論を試みるとともに、善良にして営々たる国民大衆の名において、竹下総理の反省と奮起を促す次第でございます。  終わります。(拍手
  18. 原健三郎

    議長原健三郎君) 児玉健次君。     〔児玉健次君登壇
  19. 児玉健次

    ○児玉健次君 私は、日本共産党革新共同を代表して、政府提出昭和六十二年度第二次補正予算案に対する反対討論を行います。  今、世界の大勢は、米ソ首脳のINF合意に見られるように、核軍縮の方向に動き始めています。また、世界株式市場の暴落を引き起こしたブラックマンデーに象徴されるように、レーガン政権の大軍拡がつくり出したアメリカ財政赤字は、資本主義諸国の経済を重大な困難に直面させています。現在求められているのは、我が国が国際的平和に貢献し、自主的な経済、国民のための真の内需拡大を実現する上でも、軍事費を大幅に削減し、国民が願う平和、軍縮の方向に抜本的に転換することであります。  六十二年度予算は、軍事費のGNP一%枠を突破させ、歯どめなき大軍拡の道を公然と突き進み、軍拡の財源確保を目的として公約違反の売上税、マル優廃止の二大増税の強行に打って出るとともに、福祉切り捨てを図るものでした。このように六十二年度予算は、平和と軍縮の実現、暮らし、福祉の充実を求める国民の声に真っ向から挑戦するものであり、当然我が党は強く反対いたしました。本補正予算案は、当初予算の性格を何ら変えるものではありません。  以下、具体的に反対理由を述べます。  第一に、軍事費は当初予算で三兆五千億円に達し、P3C対潜哨戒機、F15戦闘機などの正面装備を大幅に削減することが国民の要求であるにもかかわらず、これに何ら手をつけていないことです。さらに、六十二年度予算上のレートは一ドルが百六十三円、その後百二十円台まで円高が進行しているもとで、軍事費の減額売上税分など五十四億円程度にとどまり、円高に伴う差額は削減されていません。こうした政府姿勢は、GNP一%枠の突破を一つの既成事実としてあくまで固守したいという政治的意図に基づくものと言わなければなりません。加えて、外為特別会計を膨らませ、日銀券の大量発行でドル買い介入を進めることによって、米国財政赤字最大の原因であるレーガン政権の大軍拡を支えていることは極めて重大です。  第二は、昨年の五月、国民の総反撃を受けて廃案となった売上税による増税の削減を今日まで棚上げにしてきたことです。これは竹下内閣の増税強行の執念をあらわに示すものです。今、国民税制に求めているのは、増税なしの大幅減税を実現することです。政府が性懲りもなく公約違反の大型間接税導入を企図していることは断じて許せません。この際指摘しておきたいのは、いわゆる直間比率の見直しとは、すなわち大型間接税導入のことであるという点です。直間比率見直しのための税制改革協議会は、公約違反である大型間接税を強行するための画策の場所となることが明らかであり、直ちに解散すべきであります。  第三は、生活保護費を九十五億円、私学助成費十二億円、国立学校運営費二十二億円などを削減していることです。生活保護受給者がこの三年間で実に二十万人も減らされております。これは保護の適正化という名のもとに、強力な支給制限、締めつけが進められているからです。昨年の一月、札幌の母子家庭の母親が、生活保護を窓口で拒否され、三人の子供を残したまま飢え死にした痛ましい事件を初め、東京の荒川区では、生活保護を一方的に打ち切られた老婦人が抗議の遺書を残して自殺するなど、次々と悲劇を生み出しています。日本国憲法において、国は社会福祉、社会保障の増進に努めなければならないと明記されております。このような不当な支給制限を直ちに取り払うべきであります。また、国民健康保険への特別交付金千八億円は、政府の見込み違いによって生じたものであり、見込み違いが判明した時点で即刻手当てすべきものでありました。政府は、この交付金と引きかえに国保の国庫負担を削減し、地方自治体に新たな負担を押しつける制度改悪を強行しようとしております。国保加入者の保険料は、今や耐えがたいものになっています。この際、国の負担率をもとの四五%に戻し、保険料の減免補助を十割にすることこそ、国民健康保険再生の道であることを私は強調するものです。  第四の理由は、大企業には技術開発補助金の拡充など手厚い助成を行いながら、円高で苦しむ中小企業、農業に対しては何ら有効な援助措置を行っていないことです。大企業のための民活プロジェクトの助成措置であるNTT株売却益による無利子貸付金五百八十億円及び五%補助金四十八億円はほとんど未交付の状態であり、これは当然削減すべきです。前川リポートに基づく構造調整政策は、大企業の海外進出を促進し、日本の石炭、農業、中小企業を切り捨て、大量の失業者をつくり出し、労働者に塗炭の苦しみを強いるものです。竹下総理が訪米のお土産として農産物の十二品目自由化を約束したことは、絶対に許せません。  我が党は、国民の苦しみの根源になっている日米軍事同盟を断ち切り、今こそ国民の貴重な税金を軍事費ではなく、暮らし、福祉、教育の充実に振り向け、核兵器廃絶と軍縮を進める政治に抜本的に転換するために全力を挙げる決意を表明し、反対討論を終わります。(拍手
  20. 原健三郎

    議長原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  21. 原健三郎

    議長原健三郎君) 三案を一括して採決いたします。  三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  22. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      ────◇─────  日程第一 漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出
  23. 原健三郎

    議長原健三郎君) 日程第一、漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長越智通雄君。     ─────────────  漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔越智通雄君登壇
  24. 越智通雄

    ○越智通雄君 ただいま議題となりました漁船保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、昭和六十二年度における異常な赤潮による養殖ハマチの大量死亡等に伴い、漁船保険及漁業共済保険特別会計漁業共済保険勘定における漁業共済に係る保険金の支払い財源の不足に充てるため、昭和六十二年度において、一般会計から、六十七億五千八十七万円を限り、同勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。  なお、この一般会計からの繰入金につきましては、後日、同勘定におきまして決算上の剰余を生じた場合には、この繰入金に相当する金額に達するまでの金額を一般会計に繰り戻さなければならないこととしております。  本案につきましては、二月十六日宮澤大蔵大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、質疑終了後、直ちに採決いたしました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  25. 原健三郎

    議長原健三郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────  日程第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出
  27. 原健三郎

    議長原健三郎君) 日程第二、地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長松本十郎君。     ─────────────  地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔松本十郎君登壇
  28. 松本十郎

    ○松本十郎君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、第一に、今回の第二次補正予算により昭和六十二年度分の地方交付税交付金の交付税及び譲与税配付金持別会計への繰り入れが増額されることに伴い、同特別会計における借入金を二千三百四億二千万円減額することとしております。  また、昭和六十六年度分から昭和六十八年度分までの地方交付税の総額に五百億円を加算することに伴い、当該各年度分の地方交付税の総額に加算することとされる額を改めることとしております。  第二に、財源対策債の縮減に伴い必要となる財源を措置するため、昭和六十二年度分の普通交付税の額の算定に用いる単位費用の一部を改定することとしております。  本案は、二月三日当委員会に付託され、昨日梶山自治大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑に入り、交付税特別会計借入金の繰り上げ償還の適否、公債費負担の軽減合理化、不況地域対策等について質疑応答が行われましたが、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  29. 原健三郎

    議長原健三郎君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  30. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  31. 原健三郎

    議長原健三郎君) この際、内閣提出租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。大蔵大臣宮澤喜一君。     〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  32. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  租税特別措置につきましては、税制の抜本的改革との関連に留意しつつ、最近の社会経済情勢等に即応して、当面早急に実施すべき措置を講ずることとし、土地住宅税制について見直しを行うとともに、石油税について増収措置を講ずる等所要の改正を行うことといたしております。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、土地税制につきましては、土地供給の促進、地価対策等に資するため、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得について、その負担を軽減し、一律二〇%の税率による分離課税を行うこととするほか、所有期間が十年を超える居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得について、買いかえの特例を原則として廃止し、軽減税率による分離課税を行うこととする等の措置を講ずることといたしております。  第二に、住宅取得促進税制につきましては、国民の持ち家取得を一層促進する見地から、現行の控除対象限度額二千万円の範囲内で、公的な借入金等に係る控除対象額をその年末残高の二分の一から全額に引き上げることとするほか、適用対象者の所得要件を緩和するとともに、適用対象となる借入金等の範囲に一定の増改築等のための借入金等を加えるなどの拡充を行い、あわせてその適用期限の延長を行うことといたしております。  第三に、石油税につきましては、昭和六十三年度における税負担の安定を図りつつ、石油及び石油代替エネルギー対策財源を安定的に確保するため、昭和六十三年八月一日から昭和六十四年三月三十一日までの間の特例措置として、課税方式を従量税化するとともに、所要の増収措置を講ずることといたしております。  第四に、企業関係租税特別措置等につきましては、連年厳しい見直しを行ってきておりますが、昭和六十三年度におきましても、既存の租税特別措置の整理合理化を図る一方、地域産業の活性化事業分野を異にする中小企業者の知識融合化による新分野の開拓の促進に資するため、特別償却等の措置を新たに講ずる等必要な改正を行うことといたしております。  その他、欠損金の繰越控除の一部停止措置及び欠損金の繰り戻しによる還付の不適用措置を適用期限の到来をもって廃止するほか、住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例、たばこ消費税の税率等の特例措置、揮発油税及び地方道路税の税率の特例措置等適用期限の到来する租税特別措置について実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。  以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ────◇─────  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  33. 原健三郎

    議長原健三郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。石橋大吉君。     〔石橋大吉君登壇
  34. 石橋大吉

    ○石橋大吉君 私は、日本社会党護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。  まず初めに、総理、昨日は、女性は衆議院議員に不向きなどの発言をめぐって、我が党の土井委員長からきついおしかりを受けられたようでありますが、本日は、私にとりまして竹下内閣のもとで初めての代表質問でございますので、冒頭、同郷のよしみをもちまして、このたびの総理大臣御就任に対しまして、改めて心からのお祝いを申し上げる次第であります。総理大臣、大変おめでとうございました。(拍手)  思えば、郷里島根県選出の初の総理大臣、若槻禮次郎先生が第一次若槻内閣を組閣されたのは大正十五年一月三十日から昭和二年四月十七日までの一年二カ月余、第二次若槻内閣が組閣されたのが昭和六年四月十四日から同年十二月十一日までの八カ月間であります。短期間といえば短期間でありますが、この二回にわたる若槻内閣の時代は、大正天皇の崩御、東京渡辺銀行の休業を皮切りとする銀行の取りつけ騒動、鈴木商店の倒産と台湾銀行救済問題などに揺れた泥濘の金融恐慌の時代であり、また、東北六県を襲った冷害をきっかけとする深刻な農村恐慌に加えて満州事変の勃発、橋本欣五郎中佐を中心とする陸軍桜会の中堅将校らによるクーデター未遂事件など、政党政治の終えん、大正デモクラシーの崩壊から軍部独裁体制の成立、ひいては第二次大戦への序曲ともなった狂乱怒濤の激動の時代でありました。  直面する状況こそ異なれ、今次竹下政権の時代は、戦後四十年にして世界の経済大国となった我が国をめぐる内外の諸情勢は極めて厳しく、一方でまた基軸通貨ドルの暴落や途上国の債務問題などの動向いかんによっては、世界経済の大破局の可能性もあるという歴史的な危機と大転換の時代であります。願わくは、この激動する内外情勢の中で、国家と国民のために難局を切り開き、ふるさと島根県人の期待にこたえ、歴史に名をとどめる名宰相としての業績を残されんことを切に期待するものであります。(拍手)  あわせて、念のために、心して一層女性を大切にされ、再び女性は衆議院議員に不向きなどという発言をして、土井委員長など世の女性の怒りを買わないように自重をお願いする次第であります。  さて、本論に入ります。  既に御承知のとおり、我が国は今日世界のGNPの一割を占める経済大国になりました。一人当たりGNPも、昨年に入りまして一段と進行した円高ドル安によりまして、一ドル百四十円で一万九千四百五十ドルアメリカの水準を超えました。一九八六年末現在の日本の対外純資産残高は千八百四億ドル。同年、対外純資産残高で約二千六百三十六億ドルの債務超過を抱え、世界最大借金国となったアメリカとは逆に、今や世界一の金持ち大国となったのであります。  しかし、国民生活のレベルでこのような金持ち大国の実感はほとんどありません。なぜかといえば、生産性の伸び率に対して著しく低い実質賃金の伸び率、先進国では群を抜く長時間労働、世界一高い生活費、アメリカの百倍以上と言われる地価税負担の社会的不公平、社会資本の不足、余りにも過大な教育費負担などが、国民生活の上に重圧となり覆いかぶさっているからであります。  結果、世界各国の厳しい批判を浴びながら稼いだ金は、ほとんど国民生活を素通りして、アメリカ財政赤字の穴埋めに利用されるか、国内的には株式や土地の投機に集中され、空前の財テクブームの中で株価や土地の暴騰を招き、それが再び国民生活や社会資本整備の足を引っ張るという悪循環に陥っているわけであります。このような悪循環を断ち切るためには、地価対策や労働政策上の個々の対症療法を施すとともに、何といっても税制における社会的不公平をなくし、税の所得再分配機能を利用しつつ、金の流れを変えることが今日最も重要だと思うのであります。  さて、本日議題として提案されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に使われております租税特別措置とは、特定の政策目的を実現するために税制上の例外規定、特別規定をもって行われる税の軽減措置、優遇措置であります。したがって、租税特別措置は、租税特別措置法に規定されている範囲内に限定されるべきものでないことは当然であります。租税特別措置法中心であることは当然としても、それ以外の規定についても、同様のものとみなし得るものについては特別措置に含めて考えられなければなりません。  そこで、まず初めに、租税特別措置法に関連して、基本的な事項を二、三お伺いしたいと思います。  御承知のとおり、一九七〇年代以降、税制改革最大の論議は不公平税制をめぐる問題に置かれ、その不公平税制中心に置かれたのが租税特別措置であります。そして、昭和五十年の税調答申が租税特別措置の整理合理化を筆頭に挙げて以来、毎年のようにこの特別措置の整理合理化が行われてきたのであります。しかし、整理されたとはいっても、政府の資料によりますと、昨年三月末現在で、国税関係で百六十八項目、地方税関係で百八十項目もの特別措置事項があると言われているのであります。  そこで、第一にお伺いしたいと思いますのは、毎年各省庁から大蔵省、自治省に対し租税特別措置の要求が出されているわけでありますが、この要求の査定基準、手続等を明確にし、その減収状況、期限を示す租税支出制度を確立すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。  第二に、期限が到来したものはもちろん、途中で目的を達成したり、状況の変化によって意義を失ったものなど、かなりそういう事例が出てくると思いますが、そういうものを含めて全体の整理をどうするのか、関係者の恣意的な判断に任せるのではなく、合理的な整理計画に基づいて逐次改廃整理していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  第三に、国税と地方税を含めまして特別措置全体の利用状況をわかりやすく公表すべきではないか。そのために税金白書というようなものを公表すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  以上三点につきまして、総理大臣並びに大蔵大臣の御見解をお伺いをいたします。  次に、法人税関係の特別措置について若干お尋ねをいたします。  まず第一は、最近問題になっております外国税額控除制度についてであります。  日本を代表する九大商社のうち三菱商事など七社が昭和六十年度法人税納税額がゼロと言われております。赤字ならともかく、巨額の利益を上げながら外国税額控除制度を利用したり、拡大解釈したりして、法人税を納めていない。個人の場合には税務当局は税額を公表するが、法人の場合には課税所得だけが公表される。それによって、国民法人税が所得に応じて納められているというふうに思い込まされているが、実際には納められていない。そして、その実態は、税務署の守秘義務、会社の企業秘密でしっかりガードされているというわけであります。このような国民を欺く外国税額控除制度は適切に見直すべきではないかと考えますが、総理の御所見を承りたいと思います。(拍手)  第二は、受取配当益金不算入制度と支払い配当軽課制度についてであります。  本論に入る前に、この問題に関連して、所得課税上のいわゆるキャピタルゲイン課税についてお伺いをいたします。  個人の場合、株式の売却によるもうけである譲渡所得については、幾ら大きくとも原則として所得税が課されていない、株式の売却益が原則非課税となっていることは、個人所得課税に大きな空洞化をもたらし、極めて大きな不公平をもたらしていることは言うまでもありません。株式保有が機関、法人に集中しているといっても、個人保有の株式の時価総額昭和六十一年三月末で七十一兆三千億円に上り、個人の売却益は三兆円を超えるとも言われております。膨大な所得が課税外に放置されているわけであります。このような実態から、株式売却益二億円申告漏れ事件なども起こってくると考えられるわけであります。この際、公平を期するために、個人の株式の売却益については、原則課税の方向に所得税法の抜本改正を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。総理の御見解を承りたいと思います。  本論に返りまして、法人税の関係ですが、法人が他社の株式を保有し配当金を受け取る場合、受取配当益金不算入制度により、法人間配当は原則非課税となっており、また、配当軽課制度により、不算入額を超える支払い配当については低率課税となっています。さきの政府税制改革案では、法人間の受取配当についてはその二〇%を益金に算入するとしていますが、これでは不十分であります。もっと思い切った是正を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。総理並びに大蔵大臣の御答弁を承りたいと思います。  第三は、賞与引当金、貸倒引当金、退職給与引当金など、各種引当金の是正問題であります。  これらの引当金については、全体の額が巨額であること、主として大企業に偏っていることなどから、不公平税制の最たるものの一つとして世の批判を浴びてきたところであり、若干の是正措置はとられてきたものの、まだ不十分であります。合理的、必要最小限度にとどめるよう早急な是正が必要であると考えますが、大蔵大臣の答弁を求めます。  最後に、今国会におけるこれまでの税制改革に関する答弁を伺っておりますと、総理は、中曽根前内閣の大型間接税導入しないとの政府統一見解や衆参同日選挙の公約には拘束されないとして、新型間接税導入に非常に意欲的のようでありますが、民意の方向は、その後の政府税調の公聴会でも明らかなように、不公平税制の是正が第一であります。このような民意に沿って、大胆に不公平税制の是正を図り、新型間接税導入を断念されるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。重ねて総理の御見解を承りたいと思います。  言語明瞭、意味鮮明なる御答弁をお願いいたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇
  35. 竹下登

    ○内閣総理大臣(竹下登君) まず、ただいま石橋議員より、同郷人としてお祝いの言葉と御激励、御叱正を賜りましたことに対しまして、心よりお礼を申し上げます。  石橋議員におかれましても、不撓不屈の精神と庶民性をもって本院の議席を獲得されたことに対しまして、謹んで祝意を表します。(拍手)今後の御健闘を心より期待をいたします。  さて、次に答弁に移ります。  まず、租税特別措置の問題でございますが、仰せられておりましたように、税負担の公平その他の税制上の基本原則をある程度犠牲にして講じられているものでありまして、おっしゃるような税制上の補助金あるいは租税歳出、そういう言葉もあるのは御指摘のとおりであります。だからこそ、常時吟味を行う必要があるわけであります。こうした考え方に基づきまして、企業関係租税特別措置については、昭和五十一年以降、その目的、政策効果に照らした厳しい見直しを進めてきておりまして、昭和六十三年度におきましても、相当程度の縮減合理化を図ることとしておるところであります。今後とも、税負担の公平確保の観点から、社会経済情勢の変化に対応して必要な見直しを行ってまいります。特別措置によります減収額の試算は、毎年国会提出いたしております。六十三年度分は、提出すべく目下鋭意準備中、このようなことであります。  次に御指摘のありましたのが、外国税額控除制度の問題であります。  国際的な二重課税を排除するための国際的に確立した制度であることは事実であります。本来の趣旨を超えた控除が行われる等の問題がございますので、早い機会に見直しを始めなければならぬと考えております。  その次が、有価証券譲渡益課税の問題でございます。  今回の税制改正は、まさに所得、消費、資産の間で均衡がとれた安定的な税体系の構築を目指しておりますだけに、有価証券譲渡益課税、これは資産課税そのものでございますので、この適正化も重要な課題であると問題意識を持っております。  それから、受取配当益金不算入と配当軽課措置の問題でございますが、六十一年度の抜本答申でもこのことはちょうだいをいたしております。したがって、抜本的税制改革の一環として検討する課題であるというふうに考えます。  各種引当金につきましては大蔵大臣からお答えがございます。  不公平税制の是正ということに対する御意見を交えた御質疑でございましたが、そもそも税制改革をどうしてやらなければならぬかというのは、いわば不公平感というのが存在するところから起こった国民課題であると、私もそう考えております。したがって、税負担の公平確保は税制に対する国民の理解と協力を確保する上での不可欠の前提でありまして、これは絶えず努力を続けていかなければならない課題であります。今回の税制改革は、まさにそういう不公平感をぬぐい去るというところから、されば所得、消費、資産の間でどのようなものが均衡のとれたものであるか、これを構築しようということが目的であるというふうに考えております。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  36. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 租税特別措置の関連につきましては、総理大臣がお答えになられましたので、省略いたします。  次に、外国税額控除の問題でございますが、商社などは海外における事業活動が大きいものでございますから、国際的な二重課税防止の条約によりましてその部分が引かれてしまうということになるわけでございますが、最近どうも本来の趣旨を超えた控除が行われているような問題点もございますので、是正する必要があると考えまして、昨年の通常国会に実は是正案を御提案をいたしたところでございます。これは廃案となりましたが、政府としてはそのような方向で今後も考えてまいります。  それから、キャピタルゲインにつきましては、総理も御答弁になりましたが、結局キャピタルゲインもキャピタルロスも、まんべんなく整合的な行政をどうやって行えるかというところが問題の焦点でございまして、ただいまその方法等について税制調査会で御検討を願っております。  それから、受取配当の益金不算入、支払い配当の軽課の問題でございますが、法人間の配当につきまして、親会社と子会社、実態上はいわば企業の内部取引のような場合の持ち株関係は、これは課税をいたしますと、それならばもう支店にしてしまったらいいじゃないかというような、税制がその企業形態に中立的でない影響を与えるという問題がございますので、こういういわば親子関係のときには課税をしない方がいいだろうということなのでございますが、そうでない場合、つまり法人が投資対象としてよその会社の株を持っている場合に、その配当が益金不算入だというのは、これは確かにどうであろうかという問題意識は以前からございまして、昨年、これも税制改正のときに、この益金不算入については段階的に縮小をしたいということで御提案をいたしておったわけでございます。それから、配当軽課につきましては、これは確かに、いわば法人税所得税の負担調整の方式としては配当軽課をやめまして個人の段階で調整をする方法もあると考えましたので、配当軽課はこれは段階的に廃止をするということで昨年御提案をいたしたわけでございます。すなわち、益金不算入については段階的に縮小、配当軽課については段階的に廃止ということで私どもも一度考えを決めておりましたので、今後ともこの方向で考えていくべきかと思います。  最後に、引当金の問題は、これは法人の費用と収益とがいわば対応するという考え方でございますから、その費用を期間配分を適正にして企業会計の安定化をしようという考え方でございますから、制度自体が政策税制だとは必ずしも思いませんけれども、しかし引当金の中には実態的に見て見直しを行った方がいいと思うものもございまして、例えば賞与引当金でございますが、前国会でこれは段階的に廃止をしようということで御提案をいたしておりました。この点も今後この方向で考えていきたいと思っておるところでございます。(拍手)     ─────────────
  37. 原健三郎

    議長原健三郎君) 森田景一君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔森田景一君登壇
  38. 森田景一

    ○森田景一君 私は、公明党国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。  六十三年度税制改正案では、懸案の相続税減税、酒税改正は見送られ、特に酒税については改正の基本方針を示すことのみにとどまり、租税特別措置法の手直しを中心としたものとなっております。これは新型間接税導入を盛り込んだ抜本改革を本年秋までに成立させることを念頭に置いたがためであると思いますが、このような姿勢は、政治戦略を優先させ、国民生活を全く無視するもので断じて許されるべきものではありません。  政府が企図する税制抜本改革では、国民世論に逆行した大型間接税をあえて強行しようとしております。このような中で大型間接税導入を強行すれば、相続税減税、酒税改正についても関連法案として廃案ということになりかねず、まさに売上税と同じ轍を踏むことになります。相続税減税、酒税改正については、緊急性、ガット勧告の速やかな履行という観点から、抜本的税制改革と切り離すべきであると思います。相続税、酒税法案は大型間接税の関連法案として一括して提出されるのか、あるいは切り離して提出されるのか、総理の御所見を伺いたい。  さて、政府自民党が強行しようとしている新型間接税の問題について伺います。  大型間接税導入をめぐって議論の争点となっているのは、選挙公約違反問題、政府統一見解白紙撤回問題であります。売上税導入は紛れもなく大型間接税導入しないとした公約に違反するものであり、そのために第百八国会において廃案になったという厳粛な事実があります。総理は、売上税廃案となったのは制度、仕組みが複雑で国民に十分な理解を得られなかったためであると答弁されておりますが、制度、仕組みの問題だけではなく、国民大型間接税を拒否したという厳然たる事実に目を向けなければなりません。したがって政府は、まず大型間接税導入ありきという立場ではなく、我が国税制はいかにあるべきかという根本的な問題から再検討を加えるべきであると思いますが、総理の所見を伺うものであります。  統一見解問題について総理は、売上税廃案となった事実を踏まえてとか、重みを承知しているというような答弁をされておりますが、これはあくまで総理の主観的認識にすぎないのであります。これに対して統一見解は、大型間接税の定義という客観的基準の問題でありますから、総理の主観的認識により破棄されるという性質のものではありません。この統一見解は、国会における大型間接税の定義として共通認識となっており、さらに国民の間でも、大型間接税であるかどうか判断のよりどころとして広く認められております。問題があるとすれば、この定義に反した法案を提出した政府にあるのであって、統一見解を破棄しようとすることは断じて許されることではありません。したがって、先日の衆院予算委員会で総理が大型間接税について新見解を示すと約束されておりますが、政府統一見解が重みを持つという以上、竹下総理の立場からいってもあくまでも遵守されるべきものであります。総理の決意を伺いたいのであります。  次に、税制改革あり方について伺いたいと思います。  政府は、抜本的な税制改革に当たって、所得、消費、資産の間で均衡のとれた安定的な税体系の構築、広く薄く等の考えを示しております。所得課税は総合課税、累進構造を原則としており、応能負担の原則によって所得再配分機能を果たしており、公平の理念に合致しているものです。消費課税については、我が国においては所得課税を補完するものとして課税されております。こうした現行税体系を形骸化し、逆進性の強い大型間接税導入を行うとすれば、結果的には所得再配分機能は極めて弱くなると考えられます。不公平税制を温存したままで所得再配分機能を低下させるならば、社会的不公平が拡大し、税に対する国民の信頼を著しく失墜させるものと言わざるを得ないのであります。  高齢化社会に備えるとか国際化に対応するためという名分だけが先行して、現在の不公平税制の是正は行わず、しかも高齢化社会における負担や給付のあり方を検討しないで安定的な税収確保だけを図ろうというのは、まさに本末転倒であります。広く薄くという考え方は、一見もっともらしく聞こえますが、所得の多い少ないにかかわらず、さらに所得のあるなしにかかわらず負担しなければならぬ大型間接税導入には、結局、弱い者いじめと言わざるを得ないのであります。さらに、将来財政の需要を賄うために大型間接税の税率を上げるということになれば、二重、三重に負担の不公平を招くと思いますが、このことについて総理の御見解を伺いたいものであります。  近年、土地を持つ者と持たざる者との間に顕著な格差があらわれ、資産については社会の平準化とはとても言えない状況であります。所得、消費、資産の間の均衡のとれた税体系の構築と言われておりますが、資産についてはどのように抜本的な改革を行っていくおつもりか、総理の所見を伺いたいものであります。  今回の住宅税制の改正案では、買いかえ特例を原則廃止するものの、相続による居住用財産で三十年にわたって居住していたものは認めるとされております。相続で得た居住用財産に認められて、自力で得た居住用財産で三十年居住しているものは、同じ三十年なのになぜ買いかえ特例が認められないのかという素朴な疑問に対し、何とお答えになるでしょうか、総理並びに大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。  土地税制については場当たり的な改革が多く、今回も根本的な土地対策については何ら手を打たずに、税制で繕おうとする従来の発想を出ておりません。土地問題の根本である地価の引き下げをどのように行うつもりなのか、総理の所見を伺いたいものであります。  国民合意の得られる税制改革を行おうとするならば、まず直接税、中でも所得税の中に存在する不公平を是正すべきで、その際、分離課税や特例措置によって狭められている課税ベースを拡大し、累進構造の緩和を図るべきです。大型間接税導入によって実質的な公平を図るというような強弁をするのではなく、総合課税の再構築を行うことに積極的に取り組むべきであると主張するものであります。  第三に、財政再建決議に関連して質問します。  総理は、五十四年の「財政再建に関する決議」を安定的な税収を確保するために間接税を導入する決議と読まれているようでありますが、全くのすりかえでありまして、これは「増税なき財政再建」を決議したものであります。すなわち、財政再建にあっては、行財政改革の徹底、税負担の公平の確保、既存税制の見直し等を推進し、一般消費税などの大型間接税導入を行わないとしたものであることを確認しておきます。行政改革はまだ中途の段階、既存税制における不公平税制の是正もされないまま、決議の趣旨を曲げてまで、なぜ大型間接税導入しようと固執されるのか、総理の所見を伺いたいものであります。(拍手)  高齢化社会に備えて、あらゆる面で対応していかなければならないことは当然でありますが、まず取り組まなければならないことは、どのような高齢化社会を目指すのか、さらには、給付や負担のあり方をどのようにしていくのか等の問題について、国民の前に明らかにすることであります。そうでなければ、水膨れの行政、肥大化する行政に陥ることは必至であります。アメリカにおいても大型間接税導入を見送った理由の一つとして、大きな政府に陥ることが懸念されたからであると聞いております。大きな政府を招かないためには、行政改革の徹底が是が非でも必要であり、安易な財源対策を講じることのないようにしなければなりません。総理の御見解を伺いたいものであります。  また、税収が好調であるにもかかわらず、六十二年三月限りのたばこ消費税の増税は、今回これで三度目の期限引き延ばしを図ろうとしており、また石油税についても、円高税収が減ったことを理由に従価税から従量税に切りかえるなど、こうした財源あさり的な朝令暮改が税に対する国民の不信を増幅させているのではないでしょうか。あわせて総理並びに大蔵大臣の御見解をお伺いするものであります。  最後に、現在我が国は、著しい貿易不均衡がこれ以上拡大しないよう、また世界経済成長の牽引力としての役割を果たすため、内需拡大が要請されています。その原動力となるものは個人消費であり、逆に消費を冷やすような大型間接税導入すべきではなく、むしろ所得税減税を行って、消費の一層の喚起を図るべきであります。サラリーマンの中堅所得者層を中心に一兆円規模所得税減税を行うとともに、三千五百億円程度の相続税減税を速やかに実施することを強く要求して、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇
  39. 竹下登

    ○内閣総理大臣(竹下登君) 相続税の改正それから酒税の問題は切り離してやったらどうだ、こういう御意見でございました。  相続税の改正は、確かに早くやれという考え方がありますことは承知しております。しかし、抜本的な税制改革というのは、いつも申し上げますように、所得と消費と資産、この間で均衡がとれた安定的な税体系を構築する、そうなれば、資産課税の中心税目である相続税は他の税目と一体として検討していくというのが筋であろう、このような考え方であります。また、酒税の抜本的見直しにつきましては、ガット勧告への誠実な対応であると、こういう御意見でございました。この問題につきましては、六十三年度税制改正要綱におきまして方向を内外に明らかにしたというところでございます。  次が、売上税廃案、前総理発言等に関する御質疑でございました。  たびたび申し上げますように、中曽根前総理の発言は、当時の税制論議の中において時の内閣の考え方を国民に明らかにしたものとして重要な意味を持つものであることは私も十分承知しております。昨年二月には、この考え方に基づいていろいろ検討して売上税法案を提出した次第であります。この法案は、さまざまな御批判があって結局審議未了のまま廃案となったところでありますが、国民の皆様の十分な理解を得るに至らなかったというふうに私は思っております。しかし、このような論議を通じて国民の皆様方に、また国会におきましても、まさに所得、消費、資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築することの緊要性、これは大変に理解が盛り上がってきたわけでございます。したがって、こうした経緯を踏まえまして、国民の理解を得られるような税制の確立という観点に立って、間接税の問題につきましてもまず税制調査会の審議、そして特に国会での議論、これらを通じて成案を得るべく努力をしなければならない、これが我々の四年間に与えられた大きな仕事である、このように考えております。  それから、不公平税制の問題でございますが、国民の理解と協力を確保する上で公平確保というのがなかったらそれはできないわけでございます。だから、今回の税制改革というのもひっきょうどこから起こってきたかといえば、やはり不公平感ということが基本にあると思います。これをなくす、そうなれば当然のこととして、所得、消費、資産の間で均衡のとれた税制の構築、これが出てくるわけであります。そういう面、そのほかにまたやはり制度面、執行面、この努力を続けていくことも当然のことでございます。  それから、間接税の逆進性の問題でございますが、一般的に間接税の性格の一つとして負担の逆進性があることは、これは学問的にもだれも否定する者はおりません。本来、税制の所得再分配機能は、一つの税目のみを取り上げて議論すべきものではなくして、税制全体と、さらにどういうふうに歳出がその裏づけになっていくかということを総合的に考えるべき課題であると思っております。  それから、次が資産課税の抜本改正の問題でございます。  これも、「税制改革の基本課題」というペーパーによってみましても、資産課税の中で、特に有価証券譲渡益に対する課税と公平な執行を担保する方策、相続税についての軽減措置、土地に関連する税制の見直し、これらがまず指摘されておるところでございますから、これから鋭意検討すべき課題であると思います。  それから、居住用財産の買いかえ特例の問題につきましては、大蔵大臣からお答えがございます。  地価問題についても御意見が述べられましたが、地価の高騰の抑制を図るために、本院におきましても特別委員会ができていろいろそういう環境をつくっていただいておりますので、もろもろの施策を総合的に実施していきたい、このように思います。  それから、いつもおっしゃいますところのいわゆる総合課税の原則徹底の問題でございますが、個人所得課税は、個人のすべての所得を総合してこれに累進税率を適用することによっていわゆる負担能力に応じた負担を求める応能主義、これを基本とするものでありますし、このような考え方は、基本的には今後とも維持すべきである、このように考えております。そこで、いわゆる実質的課税の公平を実現するためと、いま一つは政策的要請、こういうことについて例外的に総合課税によらない課税方式を採用することもある、このようにお考えいただきたいと思います。  それから、財政再建決議にお触れになりましたが、昭和五十四年十二月、当時私は大蔵大臣でありました、財政再建に関する決議、これはまさに、いわゆる一般消費税(仮称)によることなく、まず行政改革をやれ、そして経費節減歳出節減合理化、そして税負担の公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に進めろ、こういう決議でございます。この決議に沿って今日まで一生懸命やってまいりました。他方、いま一方、抜本的税制改革、これはまた国民の税に対する不公平感を払拭いたしますとともに、たびたび申し上げます所得、消費、資産の間で均衡のとれた安定的な税体系の構築、こういうものがあるわけでございますので、引き続き検討を進めることであろうと思っております。したがって、財政再建を進めていくため、あのときのいわば行革をしっかりやれ、あるいは歳出削減合理化もなお気を緩めるな、そして税制改正をやれ、これは、私はそういう意見に向かって今後とも努力をしていくべきであると思っております。  それから、行政改革の徹底が必要だ、申すまでもありません。何だかこの行政改革が、国鉄あるいは電電、専売、これが民営化したというとやれやれという考え方になるのが一番危険であります。せっかく押し上げてきた荷車でございますから、これががらがらと落ちないようにこれからも頑張ります。御協力をお願いをいたします。  それから、消費拡大のための所得税減税の問題でございますが、昨年九月、それこそ税制協議会あるいは幹事長・書記長会談等で積み上げてまいりました所得減税、来年度はさらにこれに地方税が加わってくるわけでございますが、そういう二兆円ということが消費拡大に役立つものであるというふうに私は期待をいたしておるところでございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  40. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 酒税、相続税を抜本改正の一部としたいということにつきましては総理大臣がお答えになられたとおりでございますが、御指摘のように、酒税につきましてはガット等で各国からの関心が表明されておりますので、一月十二日に閣議決定をいたしましたときに、酒税につきましては今後の基本方針を閣議で決定をいたしまして、関係諸国に通報をいたしてございます。それから、相続税につきましては、抜本の一部にお願いをしたいと思っておりますが、東京等において土地価格のかなりの上昇がございましたこともありまして、新しい改正をいたしますときにその改正を何かの形で遡及させる方法を検討させていただきたいというふうに考えております。  それから、大型間接税の逆進性につきましては総理の御答弁がありました。  資産についての課税は、税制調査会で今検討中の主たる項目としては、有価証券譲渡益等に対する課税及びその公平な執行を担保する方法はどうあるべきか、あるいは相続税、土地に関連する税制等が検討の対象でございます。これに関連いたしまして、居住用財産の買いかえ特例で、どうして相続で得たものは三十年たてば特例を認め、そうでないものは認めないかというお尋ねがございまして、これは実は私どもの党内でも、政府部内でもいろいろ議論がございました。もともとこの買いかえの特例というのは、沿革的には非常にいい制度だと言われてきた時代があるのでございますが、今回は、これが地価高騰を郊外へ伝染させるという批判がありまして変えさせていただくことになったのでありますが、議論としましては、親から受け継いで住んでいるところをそれでも売らなければならないというのはよほどの事情があるんだろう、資産運用的な動機ではないだろう、こういう見方が強うございまして、相続については今までの制度も残そう、こういうことにいたしました経緯がございます。  それから、たばこの消費税をまた延ばしたことについておしかりがございました。これはまことにやむを得ない事情であったのでございまして、地方財政、殊に補助金等の整理合理化をいたしましたときに、地方財政の対策が必要であったということがございまして、適用期限を来年の三月三十一日まで延長することをお認め願いたいという私どものお願いでございます。  石油税につきましては、御承知のように、これは石油代替エネルギー対策等々の財源に使われておるわけでございますが、石油価格が非常に下がってきた、あるいは円高であるということで、どうも財源としていろいろ問題が出てまいりましたから一遍考え直さなければならないところに来ておるのでございますが、それには時間を要しますので、さしずめ今回、一応暫定的に財源を確保する必要があるということから、暫定的な措置をとらせていただぎまして、従量税化をいたしまして所要税収を確保しよう、かように考えたわけでございます。御理解をお願いいたしたいと思います。(拍手)     ─────────────
  41. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 川端達夫君。     〔川端達夫君登壇
  42. 川端達夫

    ○川端達夫君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、竹下総理大臣並びに関係大臣に質問を行うものであります。  第一は、税制改革の手順についてであります。  中曽根前内閣による税制改革は、公約違反、天下の悪税売上税の強引な導入をもくろみ、国民の猛反対によりこれに失敗したにもかかわらず、マル優制度の廃止を強行し、結果として、重税感、不公平を一層拡大し、国民の期待を裏切るものとなりました。税制改革を進めるのであるなら、まず不公平税制の是正、中堅所得者層に重点を置いた所得税減税等を出発点にすべきだと考えております。しかるに、竹下内閣は、国民各界各層の意見を十分に取り入れ、国民の納得のいく税体系を構築すると口ではおっしゃりながら、初めに大型間接税ありき、秋の法案成立ありきという意図がありありと見えております。このようなやり方は、国民合意の形成を認めない拙速なものであると批判せざるを得ません。  現在、全国各地で税調の地方公聴会が開かれております。参加したほとんどすべての人が異口同音に、イの一番に、そして切実に訴えていることは、不公平税制の是正ではありませんか。間接税の導入ではありません。本当に国民各界各層の意見を十分に取り入れるのならば、なぜ、不公平税制の是正を税制改革の出発点としないのか、間接税の議論が先行するのか、理解に苦しむものであります。一体竹下内閣が持っている税制改革の哲学とはいかなるものなのか、そして手順はどうあるべきとお考えなのか、明確な御所見を総理にお尋ねいたします。  第二は、新型間接税についてであります。  既に、政府税制調査会において、その骨格は着々とつくられておるように伺っております。総理は、高齢化社会到来にふさわしい安定財源の確保という、あいまいかつ不明確な考えを持ち出して、新型間接税導入を正当化しようとしておられます。しかし、具体的に肝心なことを何一つ明らかにされず、間接税導入というゴールだけを押しつけるこのやり方は、本末転倒と批判せざるを得ません。高齢化社会というならば、将来の福祉ビジョンを明示し、国民負担率についてもきちんした試算を示すのが順序だと考えます。財政再建計画も、赤字公債発行脱却は途中過程であり、返却計画も含めた総合的な財政指標に基づいたものにつくり直すべきではありませんか。行政改革も道半ばであり、五カ年計画を策定して実施すべきだと考えます。  また、昭和五十四年の国会決議においては、一般消費税によらず行政改革を先行させるとうたわれていますが、最近、財政再建のためでなかったら関係がないとか、直間比率の見直しのためであればいいという、詭弁とも言える論法で国会決議をじゅうりんしようとする働きがあります。この際、政府はこのような動きに対して断固たる姿勢で反省を求め、国会決議を守り、一般消費税は導入しないと明言されることを強く求めます。  これらの実行を骨抜きにした拙速な新型間接税導入論は断じて容認できません。どうしても新鋭で国民に負担を求めようとするのであれば、国民に信を問うことが不可欠であると考えます。  以上の諸点につき総理及び大蔵大臣の答弁を求めます。  第三は、本法案の内容についてであります。  この法案は、国民の求める所得減税、相続税減税を見送り、中途半端な土地税制改革を盛り込んでいるにすぎず、極めて遺憾であります。安易な財源探しの増税措置が盛り込まれているのも問題であります。本来一年限りとして導入されたたばこ消費税の増税延長、あるいは揮発油税、地方道路税、自動車重量税等の増税延長は、時限措置としての是非も含めた抜本論議を経ずして、惰性的に追認されたものであります。石油税のあり方も、税収確保の観点からなし崩しに従量税に改めることは、ずさんの批判を免れるものではありません。また、各種の特別措置あり方についての論議も先送りされております。こうした場当たり的、財源探し的な税制改革の手法を現実に提示しながら、一方で広く国民の声を聞いて公平な税制改革を行いますと口で言われても、信用しろというのが無理というものではないでしょうか。十分に時間をかけてきちんとした論議を尽くしてやるべきだと考えますが、総理及び大蔵大臣の御所見を求めます。  第四に、所得税減税について質問いたします。  中堅所得者に重点を置いた大幅減税は、一刻の猶予もならない緊急の課題であります。我が党は、働き盛りの勤労者の生活向上を目指し、一兆三千億の所得減税、六千億の政策減税の早急な実現を求めるものであります。現行十二段階の所得税率の六段階程度への簡素化、扶養控除に重点を置いた人的控除の引き上げを提唱いたします。さらに、寝たきり老人などに対する家族介護者の諸控除の引き上げ住宅、パート、内職減税の拡充など、政策減税実施を求めるものであります。  昨年、サラリーマンの必要経費申告制度が成立いたしました。しかし、要望の強かった通勤に用いる自動車の維持管理経費、ガソリン代、背広、靴の代金や職場内の交際費等々はすべて対象外としただけでなく、対象となる支出についても厳しい条件をつけ、実際にこの制度を利用できるサラリーマンはほとんどなく、かえって期待を踏みにじる結果になっております。一日も早く多くのサラリーマンが申告納税を行える措置導入するよう求めるものであります。中堅所得者に厚い大幅所得減税を早期に実現すると、総理並びに大蔵大臣にこの場でお約束していただきたいと思います。  第五に、法人税減税についてであります。  先進諸国の中で、我が国法人税実効税率は五一・五五%と著しく高くなっており、産業の国際競争力の低下と空洞化の加速の要因となっております。我が党は、四二%の基本税率を最終的に三七%に引き下げ、同時に、法定耐用年数の短縮、中小企業の投資減税の拡充を図るよう提唱しております。また、企業経営、経理の実態、実務を無視した賞与引当金の廃止や退職金引当金の圧縮により財源を確保しようとするやり方は、単なる数字のつじつま合わせであり、強く反対するものであります。法人税減税に臨む姿勢を総理、大蔵大臣に明らかにしていただくよう求めます。  第六は、相続税減税についてであります。  政府の土地及び経済政策の無為無策により、大都市圏を中心地価が異常に上昇いたしております。緊急を要する課題であるにもかかわらず、土地政策の基本方針を確立することもなく、単に土地譲渡益課税の仕組みを少々いじっただけでは、ほとんど効果は期待できないのではないでしょうか。また、地価の高騰によって、相続税の支払いを通じて庶民の居住権、中小零細企業の事業継承権が侵害されています。相続税のために先祖代々受け継がれてきた零細企業がつぶれていく、ささやかなマイホームから一家が出ていかなければならない、こんなことを傍観することは決して許されるものではありません。昭和五十年以来据え置かれている相続税の基礎控除額、配偶者控除額の引き上げは当然のこと、居住権と事業継承権を確立するため一定面積以下は非課税とするなど、抜本的な検討を早急に行うべきだと考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。  最後に、税制改革最大課題である不公平税制の是正についてお尋ねをいたします。  我が国は世界に誇る平等社会を築き上げてきました。しかし、今やこの平等社会も崩壊寸前にあります。懸命に汗を流しても豊かな生活を送ることができない勤労者がいる反面、株式取引や土地取引によって法外な収入を得ている人もいます。持つ者と持たざる者の格差、すなわち資産格差はますます拡大しています。このような不公平が拡大してきたのも歴代内閣が資産課税を骨抜きにしてきたからではありませんか。我々は、資産課税の適正化を柱に、不公平税制の抜本是正を求めるものであります。不公平の最たるものは、株式のキャピタルゲインが原則非課税となっていることであります。国民のプライバシーに最大の配慮をしつつ、欧米諸国で実施されている納税者背番号制を研究して、キャピタルゲイン課税のためカード制を導入すべきではありませんか。また、庶民の感覚から見て非常識な土地保有、土地売買については、重税を課すべきだと考えるものであります。  税制は社会の鏡であり、不公平な税制が是正されなければ、社会の不公平はますます大きくなるものです。不公平税制是正に真剣に取り組まない内閣は、国民に敵対するものと断ぜざるを得ません。竹下総理並びに宮澤大蔵大臣不公平税制是正にかける決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇
  43. 竹下登

    ○内閣総理大臣(竹下登君) まず、抜本的税制改革の哲学と手順、こういうことでございました。  まさに私がいつも申し上げておりますように、国民の税に対する不公平感、そこから出発すれば、当然所得、消費、資産等の間で均衡のとれた税体系の構築、こういう結論に達していくわけでございます。これらの問題について、なかんずく国会等の論議を得ながら、鋭意成案を得るべく努めてまいりたい、このような考え方であります。  それから、高齢化社会到来税制改革の問題につきまして、予算委員会等でも申し述べておりますが、長寿社会対策大綱というものを閣議決定しておる。この大綱につきましては貴党の永末委員の御質問等がございまして、厚生大臣が答弁を行いました。そして、言ってみれば社会保障の展望、こういうことについて今、厚生、大蔵両省が鋭意検討を進めておるということであります。  それから、国民負担率の問題でございますが、租税負担率と社会保障負担率を合わせたものは、究極的にはこれは国民が必要とする社会保障給付等公共支出の水準と裏腹になるものでございますので、したがって最終的には国民が選択すべき問題である。あらかじめ固定的にアプリオリに決めてかかるべきものではないというふうに私は考えておるところでございます。  それから、財政再建計画の問題につきましても、まず申しましておることは、特例公債依存体質からの脱却が一つ、次が公債依存度の引き下げ、こういう順番で進めておるところでございますので、まずはこの目標達成ということで努めてまいりたいと思います。  それから、行革道半ばである、私もそう思います。したがって、この点については、たびたび申し上げますように、それこそ一瞬の気も緩めてはならない。それが、昨年末にも六三行革大綱を決定したゆえんのものもそこにあるというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから、財政再建決議と税制改革の問題につきましては、これは、とにかくあの決議がございましたから一生懸命行政改革をやり、歳出削減合理化をやり、そして、さて税制の抜本改正、まさにその手順が今そこに来ておる問題であるというふうに御理解をいただきたいと思う次第であります。  それから、租税特別措置の改正案でございますが、これは、要するに基本的には、現在進めておる税制の抜本的改革との関連に留意しながらこのたびの問題を提案したものであるわけでございます。  中堅所得者への所得減税、この問題はたびたび御議論のある問題でありますが、昨年九月、いろいろ相談をいたしましてとにかく一兆五千四百億、そしてことしが地方税が加わりますから二兆円、こういう規模所得減税というものを実施した。したがって、このことが私は消費拡大に役立つであろうということを期待をいたしておるところであります。この税制問題というのは、絶えずおっしゃるとおりあるべき税制の姿というものをまず念頭に置いて、そこに減税あれば財源またなしの議論というものは、やはり私は実を結ばないことになるではないかという感じをいつも持っておるところでございます。  それから法人税についてのお考え方、よく聞かしていただいているお考え方でございます。これは税制調査会の抜本答申の中でも、課税ベースの思い切った拡大を図りながら、税率水準を引き下げる方向で検討を進めるべきである、こういう指摘を既に受けておるところでございます。  相続税の問題等につきましては、いつも申し上げておりますように、いわば資産課税の大きな分野をなすものでございますので、抜本改正とともに審議すべき問題であると思います。  それから、資産課税というものについての御言及から不公平税制についての御論及がございました。私も御指摘の意味は理解をいたします。だからこそ所得、消費、資産等の間で均衡のとれた安定的財源が必要である、このように考えております。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  44. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 高齢化社会に関する問題でございますが、私ども、現在六・六人の生産年齢人口が六十五歳以上の人を背負っておるわけでございますが、高齢化社会になりますと、それが三人に一人になるということはしばしば申し上げてまいりました。しかし、予算委員会におきまして、どうもそのような政府のビジョンというのはもう少し具体的なものでないと信憑性がないという御指摘がございまして、総理が言われましたように、ただいま二〇〇〇年及び二〇一〇年の時点における老齢人口、勤労者数、あるいは社会保障の給付費等の見通しにつきまして政府部内で作業をいたしておりまして、それにつきまして、国会に、作業ができましたらごらんをいただきたいというふうに考えております。  それから、国民負担率がどのぐらいであるかということ、どのぐらいが好ましいかということは、結局、給付と負担との関連、選択の問題になるわけでございますし、政府部内で将来どのぐらいの負担が望ましい、あるいはそれ以上は望ましくないというようなことを正式に議論をいたしたことはございません。  ただ、先般、ことしになりましてから、「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」という中では、今後、租税負担社会保障負担とを合わせた国民の負担が長期的にある程度上昇することは、高齢化社会への移行、国際的責任増大等により、ある程度はやむを得ないと考えられるが、その上昇は極力抑制するように努めるということを申しております。一般的に、現在ヨーロッパ各国が到達した水準はやや高過ぎるのではないか、それより低く抑えるべきではないかというのが多くの人の考え方のようでございますけれども、私も個人的にはそう考えておりますが、政府で正式に決定をしたことはございません。  財政再建につきましては、先般、財政演説の際にも申し上げたことでございますが、いろいろな事情から、昭和六十五年度には特例公債依存の体質から脱却したいという目標がやや現実の問題として射程に入りつつあると考えておりまして、そのように努力を続けたいと思っております。  その他の問題につきまして、総理が大部分お答えになられましたが、たばこ消費税、自動車関連諸税、石油税等の増税あるいは据え置きはどういうものかということで、たばこ消費税は、地方財政との関連で、先ほど申し上げましたような事情から、まことにどうも申しわけないことでありますが、六十四年の三月三十一日まで延長させていただきたいということでございます。  それから、揮発油税、地方道路税、自動車重量税は、これは御承知のように、道路整備五カ年計画、第十次の計画がスタートをいたします。それとの関連で適用期限をそれぞれ五年間延ばさせていただきたいと考えております。  石油税につきましては、これは石油及び石油代替エネルギー対策の財源でございますが、近年、石油の価格が非常に最近下がっております。また、円高であるということから税収に大幅な狂いを生じておりまして、再検討が必要なわけでございますが、今回はとりあえず従量税という形にさせていただきまして増収を図らせていただきたい、このようにさせていただきたいと考えておるわけでございます。  それから、サラリーマンにつきまして、いわゆる実額控除制度というものをもっとちゃんとやるべきではないかという御指摘でございました。今回、我が国所得税始まって以来初めてのことでございますが、何かやってみたいと考えまして、いろいろいろいろ議論をしておりまして、当初考えたよりは実は構想としては少し縮んだ嫌いはございますが、とにかく限られた範囲で特定の支出控除について、これはそういうことが証明できればそういうことを認めようではないかという初めてな制度を取り入れたというところを、ひとつある程度の前進であるというふうに御評価をいただけないかと思います。  それから、法人税減税につきましては、軽減の必要性は私どもまことに同感でございますが、それに関連して、いわゆる引当金等々をむやみに落とすのはどうも問題があるぞという御指摘でございました。これは費用の期間配分でございますから、それ自身は政策税制ではないことは確かでございますけれども、中には見直していいものもあるのではないかと考えまして、先般、賞与引当金についてある程度の見直しをさせていただこうと提案をいたしたところでございますが、全体につきまして、これ自身は政策税制だとは考えておりませんので、実態を見ながら見直しをしてまいりたいと思います。  それから、相続税につきまして、これも先ほど申し上げましたが、抜本改正をいたしたいと存じますが、土地価格等の問題もございますから何か遡及の方法がないものかということと、それから小規模住宅地につきましては、現在御承知のように削減の特例がございます。三〇%ないし四〇%の特例がございますから、これは御指摘のように残してまいりたいと思っております。  それから、不公平税制につきましては、結局キャピタルゲイン等々についてまんべんなく、行き当たりばったりでない行政を、どうやればキャタルゲイン、キャピタルロスを把握できるかとうことに尽きるわけでございまして、そのためにどのような方法が可能であるかということについて、把握の方法につきましてただいま政府税制調査会で鋭意御検討を願っておるところでございます。(拍手)     ─────────────
  45. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 失島恒夫君。     〔矢島恒夫君登壇
  46. 矢島恒夫

    ○矢島恒夫君 私は、日本共産党革新共同を代表し、ただいま議題となりました租税特別措置法改正案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。  今、竹下内閣は、対米公約最優先、軍事費の増大、大企業奉仕を貫く税制を抜本的改革と称して大型間接税による大増税を国民に押しつけようとしています。  そこで私は、まず第一に、新大型間接税導入問題について質問いたします。  本法案は、石油税を一年限りの臨時的措置として従量税に転換して約二・五倍の増税を行い、また、たばこ消費税の増税の一年延長など国民に増税を強制しようとしていますが、これらは明らかに六十四年度大型間接税導入を見込んでの布石ではありませんか。総理の明快な答弁を求めます。このような大型間接税導入の地ならしをしながら、今、自民党・竹下内閣は、国民に十分説明することなく、新大型間接税導入法案をこの秋までに成立、六十四年度実施というゴールを先に決め、その準備を着々と進めていることは極めて重大であります。  しかし、総理、さきの同時選挙で自民党衆議院議員の八五%に当たる二百五十七名、あなたを含めた閣僚の十六名までが大型間接税反対という公約や誓約書を出し、また反対集会にも列席しておられたではありませんか。だからこそ、自民党は三百余の議席を得たのであります。選挙のときに掲げた公約は、守り続けるのが当然の義務であります。ところが、竹下内閣は、政策の選択権は新しく指名された新内閣にあると言い、新大型間接税導入に向けて竹下流の渾身の努力を傾けています。しかし、総理、こぞってやらないと言っていたことをやる選択権は、新内閣といえどもありません。問題は明瞭であります。竹下内閣は公約を守るのか、それともあえてその導入をするというのなら、その前に国会を解散し総選挙で正々堂々と国民に信を問うか、どちらかであります。総理、どちらを選択するのですか。言語、意味ともに明瞭に答弁していただきたいと思います。(拍手)  また、自民党・竹下内閣は、歴代自民党内閣がみずからつくってきた不公平税制責任を棚に上げ、直間比率の見直しの緊急性をしきりに説いていますが、一体大多数の国民が今大型間接税導入を求めているというのでしょうか。  さらに、盛んに振りまいている高齢化社会対応論も、我が党議員が予算委員会で追及し、宮澤大蔵大臣がそれについていみじくも老齢のことのみを申し過ぎている嫌いがあると認めたように、極めて一方的な宣伝がなされているのではありませんか。竹下内閣がそれでもなお新大型間接税導入に固執しているのは、どう理屈づけようとその本当のねらいが軍拡財源と大企業減税のためにあることは明らかであります。私は、売上税法案を粉砕した国民は、竹下内閣がどのような名称や仕組みにしようと、国民に多大の犠牲を強いる新大型間接税導入を絶対認めないし、我が党はその先頭に立って闘うことをここに表明するものであります。(拍手)  第二は、国民の切実な要求である所得税減税、相続税減税の見送りの問題であります。  本改正案は、「当面早急に実施すべき措置」として提案されていますが、それが本心であるなら、まずなすべきことは所得税減税、相続税減税ではありませんか。特に、六十二年度税収は予想を大幅に上回り、一兆九千億円の増収になる見込みになっています。また、六十三年度税収も、六十二年度当初予算より四兆円近くふえ、四十五兆円台に上る見通しになっているではありませんか。国民の期待にこたえるまさに好機であります。しかるに、竹下内閣は、秋の大型間接税導入と抱き合わせにすることをねらい、この所得税減税地価暴騰の中で緊急に必要な相続税減税までも先送りにしてしまったのであります。これは、減税を人質に新大型間接税導入しようとする竹下内閣のこうかつな政治手法にほかならず、我が党は断じてこれを許すことはできません。総理の明確な答弁を求めるものであります。  我が党は、税の総合制、累進制、生計費非課税の原則を貫き、来年度四人世帯の課税最低限を三百万円以上に引き上げる、所得税二兆二千億円、住民税八千億円、増税なしの合計三兆円の大衆減税マル優制度の復活を強く求めるものであります。  労働省の老後生活に関する調査報告で、高齢者夫婦世帯のあるべき生計費は、税金などを除いて月額二十二万円とされています。年額では二百六十四万円となります。これから考えれば、標準四人世帯の課税最低限を三百万円以上とすることは、生計費非課税の原則からいっても十分論拠があり、当然ではないでしょうか。総理の答弁を求めます。  さらに、パート、内職や業者、農家の家族専従者を含めすべての婦人の非課税限度額を百二十万円にする主婦減税、固定資産税の軽減、教育費控除、単身赴任控除など、国民生活の実態に応じたきめ細かな減税措置が必要であります。これらの措置は、消費が落ち込んでいるもとで、真の内需拡大のためにも不可欠であります。米軍への思いやりの何分の一かを勤労者に示す考えがあるのかどうか、総理の姿勢をただすものでございます。(拍手)  第三は、またまた大企業に対する特権的な減免税を温存、拡大しようとすることであります。  地域活性化内需拡大の名で、民活法による整備支援策の対象拡大と期限延長、地域産業高度化集積促進法に基づく法人への特別償却制度の拡充、海外投資等損失準備金制度の延長等々、専ら大企業に対する減免税拡大をさらに図ろうとしています。これらは政府自身が嫌う税のゆがみ、ひずみの拡大そのものではありませんか。大蔵大臣の明確な答弁を求めるものであります。  また、世界に名立たる総合商社、三菱商事や日商岩井など七大商社合計で年間売上高五十七兆二千億円、経常利益二千億円もあるのに、これら七社が払った法人税は、外国税額控除という仕組みで、六十年度はゼロ、六十一年度はわずか百三十三億円であります。我が党はこうした外国税額控除制度の抜本的縮小を早くから要求してきました。竹下首相はただいま、本来の趣旨を超えた控除があり是正すると答弁されましたが、どの部分についていつ是正するのか、答弁を求めます。  さらに、前法務委員長相沢自民党議員の株売買益二億円脱税事件に見られるように、政治家の裏金づくりとしてのうわさが絶えず、大金持ち優遇で不公平税制の象徴であるキャピタルゲインの原則課税化を実現すべきであります。  さらに、今日、大企業や大銀行などは、あり余った金を財テク資金として転がし、大もうけをしております。国債や社債、株などの売買の総額は一兆円の一万倍、すなわち一京円にも達しようとしています。この売買にかかる有価証券取引税の税率をわずか〇一%上乗せするだけで数兆円の財源が確保できるではありませんか。去る一月二十九日の参議院本会議での我が党の小笠原議員のこの指摘に対し、宮澤大蔵大臣は、「その増収はほぼ三千億円ぐらい」と述べ、あたかも小笠原議員の指摘が過大であるかのように答弁しました。しかし、大蔵大臣は、あえて有価証券取引税の課税対象全体の一部分にすぎない株式を取り出して過小に言ったのであります。そこで改めて伺います。昭和六十一年度で約二兆円、六十二、六十三年度では数兆円になるのではないですか。お答えいただきたい。  今日問題にすべきことは、税制改革の焦点が直間比率の見直し、すなわち新大型間接税導入にあるのではなく、これら大企業、大資産家優遇の不公平税制の是正による真の大幅減税の実現という国民本位の税制改革にこそその焦点があるのであります。総理の明確な答弁を求めます。  第四は土地税制の問題であります。  政府が本改正案で最大の目玉とする土地税制は、今日の狂乱地価の原因と責任を明確にせず、地価引き下げの抜本的対策も何ら明示しないまま、土地譲渡所得課税を昨年に引き続き緩和しようとしています。竹下内閣は、宅地の供給促進策を進めれば地価は下がるとの見地に立っておりますが、この見地は当たりません。政府は、高度成長期から現在まで、大都市周辺の農地を宅地化して都市のスプロール化を図ってきましたが、この間地価は一貫して上がってきた事実一つとってもそれは明らかではありませんか。また、昨年の土地譲渡所得課税の長短期区分の基準の短縮措置は、所得税の税率引き下げと相乗して、高所得者に大幅な減税をもたらしました。この措置が果たして地価引き下げに効果があったのでしょうか。このことを検証せず、今回優良住宅地等について課税対象範囲を拡大し課税軽減することは、土地供給促進の名のもとに専ら大土地所有者、資産家を優遇する改悪措置ではありませんか。のみならず、都心の地価高騰によって大もうけした大手不動産会社やデベロッパーの再開発、宅地開発を一層促し、地価の高騰に拍車をかけるものではありませんか。  また、居住用財産の買いかえ特例について、この制度が都心から周辺地域の地価暴騰の輪を広げた元凶のように宣伝し、このたび原則課税にしようとしていますが、その論拠を具体的に明示すべきであります。政府は、地価暴騰下で経営と生活が困難になり、あるいは地上げ屋の圧力などでやむなく郊外へ転居せざるを得なかった人々が多数あることを無視するのですか。しかも税率を譲渡益七千万円超何億円であっても低率の一五%とすることは、庶民を都心から追い出し、他方で高額所得者優遇という不公平の拡大そのものではありませんか。かかる土地税制の改悪をなぜあえて「当面早急に実施すべき措置」というのか、明確に御説明いただきたいのであります。(拍手)  最後に私は、直間比率の見直し、すなわち大型間接税導入に道を開き、議会制民主主義を踏みにじる私的協議機関、税制脇の即時解散を強く要求するものでございます。日本共産党は、今全国津々浦々で急速に広がっている、竹下内閣は公約を守れ、さもなくば国民の信を問えという国民の先頭に立ち、自民党・竹下内閣が企てる新大型間接税導入を断固阻止し、国民本位の税制改革実現のために奮闘する決意であることを表明して、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇
  47. 竹下登

    ○内閣総理大臣(竹下登君) 最初に、選挙公約の問題と最後の選挙の問題とからお答えをいたします。  私どもといたしましては、いろいろな経過を経て一生懸命法律案をつくった、しかし、これが結果として廃案になった。そうなれば、与えられた大事な大事な四年という任期の中で、国民がいかにしたら理解してくれるか、それの税制を一生懸命で構築していくというのがまず一番大事なことであるというふうに私は考えております。それが哲学でございます。したがいまして、不公平感というような問題が出てきたからこそ、いわば消費と資産と所得の間でどう均衡をとるか、こういう議論になっていくわけでございます。  それから、所得税減税問題というのは、たびたび申し上げましたように、九月に税制協議会でいろいろな御議論をいただき、また幹事長・書記長会談等も行いまして成案を得たものが、六十三年度には今度は平年度化すると申しますか、いわゆる住民税が加わってくる、こういう経過を経ておるということを御理解をいただきたいと思っております。  それから、利子課税制度の見直しという問題につきましては、これも昨年九月の税制改正で制度としては行われたということに尽きると思います。  それから、課税最低限の問題からいろいろ御議論のありました問題、これらは特に国会等で御議論をいただければ結構な課題だと思っております。  いずれにせよ、国民本位の税制改革というものを目標といたしまして、やはり何回も何回も申し上げた方が徹底いたしますが、それこそ消費、所得、資産、ここにいかに均衡のとれた税制をつくるか、これは大事な大事なことであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  48. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 租税特別措置の中でいろいろ毎年見直しをいたしておりますが、このたびは、御指摘のように地域の振興あるいは民間活力の推進等の場合に一定の特別措置を講じよう、こういうことをいたしております。それは、私どもは、地域の振興や民活が大事だと考えておりますからでありまして、大企業の利益を図るということではございません。  それから、外国税額控除でございますが、これは前国会に実は是正部分を御提出いたしておりました、廃案になりましたが。大体ああいう線で考えたいと思っております。  それから、私が参議院で、有価証券取引の際に税率を〇・一%上乗せすると数兆円の財源があるというお尋ねがあって、株式についてならば三千億円ぐらいではないかということを申し上げました。いや、ほかのものがあるだろうという今お尋ねでございますが、それは、例えば公社債でございますが、実は〇・一%上乗せするとおっしゃいましたが、公社債の負担は〇・〇一ないし〇・〇三でございますから、〇・一とおっしゃいますと十倍にするということになります。これは流通税としてはいかにも現実的でございません。  それから、居住用財産の買いかえにつきましては、三千万円の控除があり、その後の譲渡益四千万円までの部分が一〇%、四千万円超は一五%、従来この制度は非常にいい役割も果たしてまいりましたのですが、地価上昇を伝染させるという問題が起こりましたので、今度こういうふうに改めました。長く持っておりました土地でございますから、現実に買いかえが起こりましたときにこの程度の課税はちょうど適当なところであろうと思います。(拍手)     〔国務大臣奥野誠亮君登壇
  49. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 地価対策もやはり需要と供給の関係に大きく支配されると考えますので、仮需要を抑制し、実需要を分散させ、土地の供給を増加していく、そのことを通じて地価の安定、ひいては地価の引き下げを図っていきたい、こう考えておるわけでございます。  そういうような意味合いで、長期保有の土地の譲渡所得課税につきましてさらに軽減をする、さらに対象範囲を広げることを通じまして土地の供給の増加を図ろうとするわけでございます。軽減するわけでございますから、土地所有者の利益がふえることは、これはやむを得ないことだと考えるわけでございまして、そのような誘導政策を通じて土地の供給をさらに増加させたいと考えている点について御理解をいただきたいと思います。  居住用資産の買いかえの問題につきましては、都心で居住用資産を売却して莫大な金を得る、それをもって郊外において全部土地の購入に充ててしまう。実需を超えて大きな土地の購入を図られるものでございますから地価高騰に拍車をかける、また、そういう需要を当て込んで不動産業者があらかじめ土地を買いあさっていく、こういう傾向もあったことから今回のような改正にさせていただいたわけでございます。  昨年秋、不動産鑑定士が一億円以上の土地の売買で調査いたしましたら、八割が不動産業者間の売買でございました。いわゆる土地転がしを通じて地価が上がっていくわけでございますので、監視区域を指定して、土地の高額の売買につきましては引き下げを求めてまいったわけでございますし、そういう面についての融資を規制してもらうように大蔵省の御協力をいただいているところでございます。(拍手
  50. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  51. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。     午後六時十八分散会