○村上弘君 私は、
日本共産党・革新共同を代表して、
竹下総理に
質問いたします。
総理は、
さきの日米
首脳会談でも
施政方針演説でも、「
世界に貢献する
日本」なるものを強調いたしました。では、
日本はどのような
立場で
世界の何に貢献をするのか、これが問題であります。
私は、まず第一に、それは、
日本が過去の侵略戦争に対して誠実な反省の
立場に立つことであり、これを大前提に据えることだと思います。昨年の
臨時国会で
総理は、あの十五年戦争について、回避されるべきものであったと答えました。十五年戦争が侵略戦争だったからやるべきではなかったと言われるのか、それとも、負けた戦争だから結果として回避すべきであったと
考えておられるのか、どちらなのでありますか。
日本が
世界に貢献するためには、過去の侵略戦争をきっぱりと反省し、再び侵略戦争の発火点にはならないという決意をこそまず内外に明らかにすべきではありませんか。(
拍手)
第二に、
日本は
世界で唯一の被爆国として、非核の
立場にはっきりと立つべきであります。昨年十二月、
米ソ両国間で結ばれたINF、中距離核戦力全廃条約は、極めて限られた分野であるとはいえ、歴史上初めて実際に核兵器を
削減することを取り決めたものであり、重要な意義を持つものであります。
世界の大勢が核兵器廃絶、核兵器の大幅
削減に向かいつつある今こそ、
日本政府は全
世界に向かって、核戦争阻止、核兵器廃絶を訴えるべきであります。しかし、
総理は、
さきの日米
首脳会談では、
国民のこの切なる願いについては一言も触れませんでした。なぜ
レーガン大統領に対して、核兵器全廃、核兵器大幅
削減への努力を具体的に求めなかったのでありますか。
施政方針演説で述べたように、
総理はただ
アメリカのやることを支持するだけなのでありますか。私は、人類の悲願である核戦争阻止、核兵器全廃の
実現の先頭に立つことこそ、被爆国
日本が真に
世界に貢献する道であると
考えますが、以上の根本問題について、まず
総理の所信をはっきりとお聞きしたいと思います。(
拍手)
あわせて、先日の
自民党大会が採択した活動
方針は、またもや非核都市宣言運動はまやかしだと述べています。これは重大であります。今日、非核自治体宣言をしている
地方自治体は千二百を超え、そこに住む住民の合計は全人口の五八%を超えています。これらの自治体の意思と行動は、
日本と
世界の非核化への道に積極的に貢献するものであります。
自民党は何をもってまやかしと言うのでしょうか。これに賛成した
自民党議員はまやかしに手をかしたことになるのですか、お聞きをしたい。
総理は外に向かっては言うべきことも言わず、内に向かっては被爆国
日本国民の貴重な国際的貢献を敵視さえする。これは、あなたの言う
世界への貢献なるものこそがまやかしであることをみずから暴露するものではありませんか。
総理及び
自民党総裁として真剣な
答弁を求めます。(
拍手)
ところで
総理、
米ソ間でINF全廃条約が合意されたとはいえ、
日本列島全域は日米軍事同盟のもとで、
アメリカの
アジア・太平洋における核戦争
計画の最前線拠点としてますます強化されています。核空母ミッドウェーの母港横須賀は、ニミッツ級核空母の母港としてさらに強化され、また、米核空母護衛のためのイージス艦
導入や、ソ連沿海州まで探知範囲に入るOTHレーダーの設置など、次々と強化されつつあります。三宅島や逗子では、圧倒的多数の住民の意思に反して米軍基地建設が強行されようとしていますが、我が党は、これらを直ちに中止することを強く
要求します。(
拍手)
総理は、
アメリカのペルシャ湾軍事分担
要求に応じて、在日米軍駐留経費を大幅に増額することまで
訪米の手土産にしました。
アメリカに加担して国際紛争に事実上介入することは、憲法が明確に禁じている集団自衛権行使の
立場に立つものではありませんか。それぞれ明確な
答弁を求めます。
今多くの
国民は、戦争開始に備える米軍の有事来援や事前集積など日米共同作戦
計画具体化の進行のもとで、
日本が
アメリカの戦争に巻き込まれる危険を強く感じています。しかし、歴代
総理の
訪米は、こうした
国民の声や不安とはますます縁遠いものになり、
アメリカと
レーガン大統領の意向への迎合と先取りにきゅうきゅうたる観を呈するまでに立ち至っています。新聞も、日米
首脳会談で首相は
日本として言うべきことをほとんど言っておらず、今後に大きな禍根を残した、
訪米で成果があったという
政府の発表は戦前の大本営発表と同じだという批判の声を
報道しています。
総理、あなたの言う
世界とは西側
世界のことであり、貢献とは
レーガン政権の
要求にこたえることではありませんか。私は、
日本が西側の一員としてではなく
世界の一員として、今こそ核兵器廃絶と軍縮という
世界の大勢を進める先頭に立ち、軍事ブロック解消の道に進むこと、これこそ被爆国
日本が真に
世界に貢献する道であると
考えますが、
総理の真剣な
答弁を求めます。(
拍手)
ところで
総理、今、西側は経済の面でも大きな矛盾に直面しています。その
最大の要因が
アメリカの膨大な財政赤字と貿易赤字、いわゆる双子の赤字にあることは、今や
世界の
常識であります。ところが、
レーガン政権はこの根本
原因には何ら手をつけず、異常
円高の押しつけを初め、専ら他国に犠牲を転嫁することで困難を回避しようとしているのであります。
総理、西側経済の当面する矛盾を打開するためには、まず第一に、
アメリカに対して膨大な財政赤字の
削減、とりわけその主因となっている
国家予算の三割近い軍事費の大幅
削減を強く求めるべきであります。
首脳会談で、なぜあなたは軍事費の大幅
削減を
アメリカに
要求しなかったのですか。恐れ多くて言えないのですか。納得できるようにお答えをいただきたい。(
拍手)
周知のように、戦後の
日本経済が比較的速いテンポで
発展してきた大きな要因の一つは、戦後憲法の恒久平和
原則によって、
国民世論が非生産的な浪費である軍事費の増大を抑えてきたことにあります。
日本が経済の面でも
世界に貢献するためには、この教訓をこそ
世界に向かって推し広げるべきではありませんか。ところが、逆に今や
日本の軍事費は、日米軍事同盟強化のもとで、NATO並み計算では
世界第三位にまでなり、
国民総生産の一%を超え続けておりますが、このようなやり方を続けるなら、福祉や
教育を後退させるだけではなく、
日本経済もいずれ
アメリカ同様の状況に陥ることは明らかではありませんか。我が党は、この軍事費を少なくとも半減することを強く
要求します。(
拍手)
総理はまた、経済援助の名のもとに、米軍事戦略を補完するための莫大な
政府開発援助まで
訪米の手土産にしました。我が党は、飢餓に苦しむアフリカ人民の救済を初め、
発展途上国の
国民生活と経済の
発展に真に役立つものにする
立場から、これも抜本的に見直すべきであることを
主張します。以上、
答弁を求めます。
西側経済の矛盾の第二の焦点になっている
アメリカの貿易赤字の問題について言えば、まず、
アメリカ企業の多国籍企業化による米国経済の
空洞化をこそ問題にすべきであります。日米貿易摩擦についてよく
アメリカは、
日本が閉鎖的だからとか、輸入をもっとふやすべきだとか言っています。しかし、関
税負担率の国際比較でも、
我が国は
世界で最も
市場開放の進んだ国であります。日米双方の多国籍企業が相手国で行っている生産と販売高をそれぞれの輸出輸入とあわせて計算するならば、
日本人一人当たりの
アメリカ商品購入額は、
アメリカ人の
日本商品購入額の二倍近くにもなっているのであります。これでも
総理は、
アメリカが言うように、
日本市場は閉鎖的だと思われますか。米国経済の
空洞化をこそ批判すべきではありませんか。明確な
答弁を求めます。(
拍手)
さらに、竹下内閣は、日米貿易摩擦打開のためとして、内需拡大の声を大にしています。もし竹下内閣が
国民本位の内需拡大に真剣に取り組むのであるならば、これは日米摩擦の
国内的要因を取り除く上でも重要な意義を持つでしょう。なぜなら、内需の第一は、その六割を占める
国民の
消費購買力を引き上げることにあり、何よりもそれは、
日本の労働者の低賃金、長時間過密労働、下請企業の低単価の引き上げに向けられなければならないからであります。しかも、ここにメスを入れることこそ、
世界に冠たる
日本企業の国際競争力の秘密を暴くことにもなるのであります。
しかし、
総理、先日の日経連の総会は、ことしの春闘は定昇だけで賃上げはやめるべきだと公言していますが、これはあなたが約束した内需拡大にも全く逆行するものではありませんか。
また、あなたが実行を約束した前川リポートなるものは、専ら大企業の海外進出を促進し、それと引きかえに
日本の
市場開放を進め、石炭、
日本農業、
中小企業を無残に切り捨て、
国内経済の
空洞化とも相まって膨大な失業者を製造し、
国民生活を苦境に追い込み、内需を一層冷え込ませることにしかならないのであります。(
拍手)
特に許しがたいことは、農産物十品目の輸入自由化を約束したことであり、これが実施されれば、三十万戸近い
農家に七千億円を超える被害を及ぼすのであります。それだけではなく、今後
アメリカは、これをきっかけに、
我が国に対してこれまで以上に牛肉、米の自由化を迫ってくることは確実であります。農業は、一国の経済、
国民生活安定の基礎であり、
世界広しといえども自国の農業を保護育成する政策をとっていない国はありません。現に
アメリカは、
日本に対して輸入自由化を
要求した十二品目のうち、六品目についてはみずから輸入制限をしているではありませんか。
北海道や沖縄を初めとする
日本の農業、酪農を崩壊させないためにも、何よりも
日本農業の自主的基盤の確立を国の最優先課題とする見地からも、農産物十品目輸入自由化の約束は撤回すべきであります。また、
日本の内需を冷え込ませ、
アメリカ同様
国内経済の
空洞化を加速する前川リポートの撤回を強く
要求します。
答弁を求めます。(
拍手)
内需拡大を
国民本位で進める積極的方向は、言うまでもなく国の経済を対米従属、大企業本位ではなく、
国民本位の方向に転換し、
減税、福祉の充実、
生活密着型公共
事業等を優先的に行うことにあります。
ところが
政府は、
減税どころか、性懲りもなく公約
違反の大型
間接税の
導入をあくまで企図しているのであります。その
最大の動機が、福祉
目的などではなく、ますますふえ続ける膨大な軍事費の財源を安定的に確保する仕組みをつくるためであることは明らかであります。
自民党の国対委員長がこの本音を隠すために、ある会合で、どうしても五十歳で死にたいという人は共産党に投票するなどと暴言を吐いていますが、
総理、約百五十兆円を超える国債発行残高のある中で、さしあたりでさえ十八兆四千億円にも上る大軍備拡大
計画を遂行する軍事費を
政府は一体どこから調達するつもりでありますか。三%の
税率としても四人
家族で年十万円もの
負担を強いる最悪の大衆課税である大型
間接税導入の準備や
計画は、平和のためにも暮らしのためにも真の内需拡大のためにも直ちに取りやめるよう強く
要求するものであります。(
拍手)
言うまでもなく、大型
間接税はやらないというのは中曽根前内閣の公約であります。今竹下内閣が掲げている
税制の抜本
改革なるものの中軸は直間比率の見直しであり、それは
間接税を抜本的にふやすことであり、
売上税であれ付加価値税であれ、いかなる形になるにせよ、大型
間接税となることは明瞭であります。直間比率の見直しということは
自民党の一昨年の
選挙公約の中には全くありません。このことは確認をしておきたいと思います。したがって、直間比率の見直しによる大型
間接税の
導入は、大型
間接税はやらないという中曽根前内閣の公約にも反するものであることは明瞭であります。
答弁を求めます。(
拍手)
また、このような直間比率の見直しを行うための
税制協
議会は、公約
違反を強行するための画策の場となることは明らかであり、しかも
国会の正規の
機関でもありません。
自民党であれ何党であれ公約
違反の大型
間接税に
反対する政党であるならば、直ちに
税制協の解散を
要求すべきでありますが、
自民党総裁としての
答弁を求めます。(
拍手)
ところが竹下内閣は、口では前内閣の公約を守ると言いながら、
税制改革法案なるものの提出時期を事もなげに語っていますが、これは言語道断であります。もし既に明らかなこの公約
違反の大型
間接税を内容とする
法案提出を
考えているのであれば、まず
国会を解散し、主権者
国民の意思をこそ問うべきであります。我が党は、
政府は公約を守れ、さもなくば
国会解散・総
選挙を断行し、
国民にこそその信を問えということを強く
要求するものであります。民主
政治の名において真剣な
答弁を求めます。(
拍手)
我が党は、
政府が大型
間接税導入をきっぱりと放棄し、増税なしの三兆円
減税とマル優制度の復活を断行することを強く
要求します。これは、
政府が
国民の
立場に立つ決意さえ持てば
実現できないことではありません。さしあたり軍事費を半減させることによって一兆九千億円の財源をつくることができます。さらに一京円、つまり一兆円の一万倍に達する大企業、大銀行の有価証券取引にかかる税金に対し、現行
税率にわずか〇・一%上乗せするだけで数兆円の財源が得られるのであります。問題は、こうした大企業、大金持ち優遇の不公平
税制に手をつけるかどうかであります。
答弁を求めます。(
拍手)
次に、緊急に打開が求められている若干の問題について、
政府の見解を伺います。
まず第一に、
国民健康保険の問題です。全国の市町村の国保財政は破局的状況にあり、保険料の値上げが相次いでいます。国保加入者の六割を超える
年間所得百五十万円以下の世帯では、保険料
負担は
所得の一割を上回る過酷なものとなっているのであります。月収十万円のお
年寄り夫婦に、月一万円もの保険料が払えますか。今や命と健康を守るはずの国保制度は、逆に命を削る凶器となっているのであります。これは憲法に明記された国の社会
保障責任の放棄ではありませんか。中曽根前内閣が大幅に削り込んだ国保への国庫
負担率を、少なくとももとの四五%に直ちに戻すべきであります。また、
生活保護費二百五十億円の
削減、この三
年間に十五万人も切り捨て、さらに新たに五万人も
削減するような無慈悲な施策は直ちに取りやめるべきであります。
答弁を求めます。
第二に、地価高騰問題であります。
この問題の責任の所在は、
東京の国際金融都市化等をうたい、過大なオフィスビル需要見通しを発表することによって、大企業、大銀行の都心買い占めをあおってきた
政府自身にあります。それは、
総理みずからがニューズウイークのインタビューに答えて、この問題は私にも責任があると語っているとおりであります。ところが
政府は、需要と供給のバランスなるものを振りかざし、
政府自身があおり立ててつくり上げた需要に供給を合わせるために、低さ制限とか私権制限などを持ち出して、勤労市民、近郊農民を追い出そうとしているのであります。まことに言語道断であります。まず、
政府は地価高騰の責任を認めるべきです。そして、直ちに大都市圏の地価凍結と引き下げ、大企業、大銀行の無法な買い占めと融資の規制を行い、固定資産税評価がえの中止、
相続税軽減など土地
税制の
改革などをこそ断行すべきであります。
答弁を求めます。(
拍手)
第三は、国鉄の分割・民営化の強行と整備新幹線をめぐる問題です。
JR各社における国労、全動労に対する差別、不当労働行為などは目に余るものがあります。営利優先で安全
対策も大きく後退していますが、中でも今日の整備新幹線問題は、国鉄の分割・民営化がいかに
国民の
要求に反するものであったかを集中的に示しています。
政府は、一日数億円の黒字を出していた旧国鉄に対し、新幹線建設を
中心とする膨大な設備投資の借金と利子
負担を押しつけ、そのために生まれた莫大な赤字の
原因があたかも旧国鉄の
経営形態にあるかのごとくすりかえて分割・民営化を強行したのであります。しかし、旧国鉄同様に民営JRにも莫大な整備新幹線建設財源の
負担能力がないことは明白であります。整備新幹線建設費を何らかの形で国が
負担するのであるなら、なぜ国鉄を民営化したのかが当然問われなければなりません。
政府は、国鉄分割・民営化のときに押しつけた赤字
原因、国鉄
経営形態論と整備新幹線財源をだれが
負担するかという問題で自己矛盾に陥っているではありませんか。しかも、整備新幹線を求める
国民の当然の
要求の前に無責任な約束を乱発し、
国民と
関係自治体の不信と反発を買っているのであります。
政府は、
国民が納得できる責任ある建設
計画と
財源対策を示すためにも、莫大な赤字は国鉄の
経営形態に
原因があったとして強行した分割・民営化の口実は誤りであったし欺瞞であったということを認めるべきであります。
答弁を求めます。(
拍手)
第四に、大企業の横暴を許さず、身勝手な行動を規制し、その社会的責任を果たさせる問題です。
今大企業は
円高を口実に工場閉鎖を含む人減らし合理化、工場の海外移転などを進め、各地で
国内経済を
空洞化させています。例えば造船の町、因島の現状は企業城下町の苦境を典型的に示しています。日立造船が撤退した今、因島では失業者があふれ、求職者四人に対して一人の求人しかない状況であります。国や自治体の
税制、財政などにわたる多大の援助を受けてきた大企業が、
円高不況を口実に住民を足げにして恥じない態度は厳しく糾弾されなければなりません。大企業には大企業としての社会的責任があるはずであります。
政府は、大企業が人減らしや工場撤退を一方的に強行することを許さず、
関係自治体などとの事前協議を含む厳しい規制
措置を実施すべきであります。官公需の特別発注や
生活密着型公共
事業などを起こし、失業の救済、雇用の拡大を図ること、大企業にではなく
中小企業にこそ休業補償や無利子融資制度などを実施すべきであります。
全国の不況
地域の困難は、逃げ場のない
子供たちにしわ寄せされています。高校では授業料の滞納が急増し、中高校生の進学断念者がふえています。因島の
教育関係者は、巨大な資本の身勝手のために
子供たちの未来まで犠牲にしてはならないとは思うが、何をしたらよいのか方策が見出せないと嘆いています。最小限の緊急
対策の一つとして、特別奨学金制度の創設など必要な財政的援助をすべきであります。
あわせて、
各党が合意しているはずの交通遺児のための育英制度を災害遺児にまで直ちに拡大適用できるようにすることを強く求めます。
以上について誠意ある
答弁を求めます。(
拍手)
最後に、民主主義の根本にかかわる問題に関連して
質問いたします。
我が党は、百十五人の痛ましい犠牲者を出した
大韓航空機爆破事件は、一連の
中心的事実から見て
北朝鮮の
工作員による犯行であると判断しています。そもそもテロリズムは、多数の人民の団結の力による社会の変革と
発展を目指す科学的社会主義とは全く相反するものであり、我が党はこのような蛮行を強く糾弾するものであります。
今回の
大韓航空機爆破事件は、どういう理由によっても絶対に正当化できるものではありませんが、その根本的背景には朝鮮が南北二つに分断されているという事情があります。
自民党政府は、一九六五年の日韓条約で、一方の
韓国だけを唯一の合法
政府だとし、朝鮮民主主義人民共和国とは国としての
関係を持たないという対韓一辺倒政策をとってきたのであります。
政府のこのような朝鮮政策では、朝鮮の平和的統一という問題の根本的解決は絶対に不可能であると思うが、
政府の見解を求めます。
政府は、一昨日発表の
制裁措置の中で、ソウル・オリンピックの安全
対策のために万全の
措置をとるとも述べています。我が党は、オリンピックを分断
国家の一方の側で開催するのは好ましくないと
主張してまいりました。今回のテロ
事件は、オリンピックのソウル開催への反発をも一つの口実として引き起こされたものでありますが、我が党は、これまでIOC、国際オリンピック委員会などが続けてきた南北の分散開催への努力を今後とも続けるべきだと
考えますが、
総理の見解を求めます。
テロ根絶の問題について言えば、かつて中曽根康弘氏が、暴力学生集団の暴走が反射的に市民層を
反対に回し、
自民党の支持につながるなどと述べたように、
政府・
自民党がテロや暴力を泳がせてきたことを改めて厳しく指摘しなければなりません。このような泳がせ政策こそテロをはびこらせる
政治的背景となっていることは明らかであります。
総理は、
施政方針演説でテロ防止をうたっています。しかし、一九六〇年の安保条約
改正に
反対する闘争のときも、警察当局と暴力集団が、裏では談合してやった事実も明らかにされております。かつて中曽根氏が述べたようなテロ、暴力の泳がせ政策を、
総理は一体どう
考えているのですか。これを引き続き継承していくのか、それともさっぱりとやめるのか、はっきりとお答えをいただきたい。
さらに、
韓国の金大中氏が一九七三年八月、
東京のホテル・グランドパレスから白昼公然と拉致された
事件はいまだに真相が解明されておらず、両国
政府の
政治決着なるものでうやむやにされたままであります。中央公論の昨年十一月号は、「金大中拉致はすべて私がやった」という「元KCIA部長李厚洛証言全訳」を載せています。金大中
事件は、
韓国の公権力が犯した犯行であるとの証言が直接の当事者によってされている以上、
政府は
政治決着を撤回し、
我が国の主権を侵害した国際的テロ
事件として改めて徹底的に真相を究明すべきであると
考えるが、明確な
答弁を求めます。
警察による我が党の緒方国際部長宅、上田副委員長宅の電話盗聴については、
総理も
国会で
再発防止を約束していたにもかかわらず、またもや町田市の党市
会議員宅に電話盗聴器が仕掛けられていることが発見されました。しかもNTTは、現場の保全に同意していたにもかかわらず、盗聴器を町田暑に任意提出しています。私は、
政府が本気で実効ある
再発防止措置をとっているのかどうか、疑わざるを得ません。
政府、とりわけ検察当局は、
再発防止策及び一連の盗聴
事件の厳正な
捜査、処罰を行うよう、改めて強く
要求します。
さらに、前公明党参議院議員田代富士男氏にかかわる収賄疑惑
事件についても、この
事件を徹底的に究明することを
政府に求めるとともに、我が党が一貫して
主張してきたように、
政治資金規正法を直ちに
改正して、企業、団体、労働組合などすべての団体献金を禁止し、献金は個人に限るなど実効ある
再発防止策を講ずるよう、改めて
要求するものであります。(
拍手)
総理が述べた衆議院の
定数是正は、今
国会の緊急課題であります。格差を少なくとも一対二未満に抑え、二人区を解消する
抜本是正を行うよう、強く
主張するものであります。
自民党は、逆に
国家機密法の
国会再提出をねらっています。
国民の目、耳、口をふさぎ、戦時体制の復活をねらうこのような策動は即刻中止すべきであります。あわせて、日米科学技術協定に安保条項を持ち込もうとする
アメリカの
要求は拒否すべきであります。
以上、各項について、責任ある
答弁を求めます。
私は、
世界と
日本があらゆる面で歴史的転機に立っている今日、
日本は今こそ諸悪の根源となっている日米軍事同盟を断ち切り、西側の一員としてではなく
世界の一員として、核兵器全廃と軍縮を堂々と
主張し、真に
世界に貢献する道を胸を張って進むべきであるということを重ねて強調し、
日本共産党はその先頭に立つという決意を表明して、
質問を終わります。(
拍手)
〔内閣
総理大臣竹下登君登壇〕