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1988-04-20 第112回国会 衆議院 法務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十日(水曜日)     午後一時四分開議  出席委員    委員長 戸沢 政方君    理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君    理事 今枝 敬雄君 理事 太田 誠一君    理事 保岡 興治君 理事 坂上 富男君    理事 中村  巖君 理事 安倍 基雄君       上村千一郎君    佐藤 一郎君       松野 幸泰君    宮里 松正君       村上誠一郎君    稲葉 誠一君       山田 英介君    安藤  巖君  出席国務大臣         法 務 大 臣 林田悠紀夫君  出席政府委員         法務大臣官房長 根來 泰周君         法務省刑事局長 岡村 泰孝君         法務省矯正局長 河上 和雄君         法務省入国管理         局長      熊谷 直博君  委員外出席者         警察庁刑事局暴         力団対策室長  深山 健男君         警察庁刑事局国         際刑事課長   兼元 俊徳君         警察庁保安部薬         物対策課長   島田 尚武君         外務大臣官房外         務参事官    渋谷 治彦君         国税庁税部法         人税課長    買手屋孝一君         国税庁調査査察         部調査課長   川端 健司君         文部省体育局ス         ポーツ課長   向井 正剛君         文化庁文化部宗         務課長     根木  昭君         最高裁判所事務         総局総務局長  金谷 利廣君         最高裁判所事務         総局民事局長  泉  徳治君         最高裁判所事務         総局刑事局長  吉丸  眞君         法務委員会調査         室長      乙部 二郎君     ───────────── 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   清水  勇君     加藤 万吉君 同日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     清水  勇君 同月二十日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     村上誠一郎君 同日  辞任         補欠選任   村上誠一郎君     赤城 宗徳君     ───────────── 四月十八日  刑事施設法案の廃案に関する請願外一件(江田五月紹介)(第一五五〇号)  刑事施設法案早期成立に関する請願加藤六月紹介)(第一五五一号)  同外一件(金丸信紹介)(第一五五二号)  同(中山利生紹介)(第一五五三号)  同(浜田幸一紹介)(第一五五四号)  同(水野清紹介)(第一五五五号)  同(武藤嘉文紹介)(第一五五六号)  同(村岡兼造君紹介)(第一五五七号)  同(井上喜一紹介)(第一六〇五号)  同(稲村利幸紹介)(第一六〇六号)  同(上草義輝紹介)(第一六〇七号)  同(高橋辰夫紹介)(第一六〇八号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第一六〇九号)  同(橋本龍太郎紹介)(第一六一〇号)  同(林大幹君紹介)(第一六一一号)  同(村岡兼造君紹介)(第一六一二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  裁判所司法行政法務行政検察行政及び人権擁護に関する件      ────◇─────
  2. 戸沢政方

    戸沢委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所金谷総務局長泉民事局長吉丸刑事局長から出席説明要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 戸沢政方

    戸沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  4. 戸沢政方

    戸沢委員長 裁判所司法行政法務行政検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  5. 坂上富男

    坂上委員 まず第一問は、アジア卓球選手権大会について御質問申し上げたい、こう思います。  アジア卓球選手権大会というのが新潟で開かれることになっておるわけでございますが、一体この大会というのは大体どういうような大会なのか、概要だけまずお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 向井正剛

    向井説明員 アジア卓球選手権大会は、国際卓球連盟傘下にあるアジア大陸連合主催するものでありまして、アジア大陸における選手権大会でありまして、二年ごとに開催されておる大会でございます。
  7. 坂上富男

    坂上委員 どれくらいの国がこの大会構成員になっているのか。それから、今回この申し込みをしたのは何カ国ぐらいあるのか。そこで、このアジア卓球選手権大会は、世界卓球機構卓球連盟の、世界的にはどのような機構に位置をしているのか、ちょっと概念的にわからないのですが、把握したいので御答弁いただきたいと思います。
  8. 向井正剛

    向井説明員 最初の件でございますが、アジア卓球連合登録団体は三十五カ国と地域がございます。  今回の新潟で行われます大会参加申し込みをしている国につきましては、ちょっと詳しい数は今のところ承知しておりませんが、案内状はその全部のところへ出されていると聞いております。  それから位置づけでございますが、IF、国際卓球連盟、その下に各大陸連盟がございます。アジア卓球連合あるいはアフリカ、南米、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、そういう大陸連盟がそれぞれ国際卓球連盟傘下に加盟をいたしておるところでございます。
  9. 坂上富男

    坂上委員 卓球国際試合というのは大体どんなような形で行われておりますか、大会は。
  10. 向井正剛

    向井説明員 主とした国際大会でございますが、世界選手権大会、これは主催者国際卓球連盟でございまして、隔年に開催をされております。それからワールドカップ、これも国際卓球連盟主催をいたしまして毎年開催をいたしております。その下に、先ほど申し上げましたように各大陸選手権が行われておりまして、各大陸連盟主催をいたしまして隔年に開催をいたしております。そのほかにオープンの国際選手権というのがございまして、これは各国卓球協会主催をいたしましていろいろな国で毎年行われているところでございます。
  11. 坂上富男

    坂上委員 それでは、アジア卓球連合というのでしょうか、これの会長はどこのどなたでございますか。それから、副会長はどこのどなたでありますか。そうして、こういう連合会議というのは大体、持ち回りとかいろいろあると思うのですが、普通どんなような形で開かれておるのか、概略でいいですから、おわかりなら……。
  12. 向井正剛

    向井説明員 国際卓球連盟会長日本荻村会長でございまして、アジア卓球連合会長日本後藤会長、名古屋の方でございます。  それから、この大会アジア各国持ち回りといいますか、開催をされておりますし、会議につきましては、これも各国で、必ずしもその会長国で常時行われるということではなしに、いろいろな大会等が行われたときに、そういう折等をつかまえて行われておるように承知いたしております。
  13. 坂上富男

    坂上委員 会長はわかりましたが、副会長なりあるいはその会長代理、この人は、北朝鮮リ・ジョンホ北朝鮮卓球協会会長がこのアジア卓球連合会長代理にあると言われているのですが、事実ですか。
  14. 向井正剛

    向井説明員 ちょっとその資料を今手元に持っておりませんので、正確なお答えができかねます。
  15. 坂上富男

    坂上委員 大事な問題に影響しますから、すぐ照会して準備してください。  スポーツというのは参加するところにも意義があるのでしょうし、そしてまた競い合うというところに意義があって、願わくはおのおの優勝したいという念願があって参加するのだろう、こう思うわけでございます。  そこで、通常アジア卓球選手権大会において四強、四つの強い国がある、こう言われておりますが、どんなふうに知っておられますか。
  16. 向井正剛

    向井説明員 過去の大会実績等から申し上げまして、アジアにおける四強と申しますのは、日本、韓国、中国、北朝鮮であろうかと思います。
  17. 坂上富男

    坂上委員 お話のありました四つの国がいわゆるアジア選手権大会においてその覇を競うであろうという四強だ、こう言われておるわけでございます。まさにそのとおりだと思うのでありますが、そうだといたしますと、やはりこの四つの国がお互いに実力を発揮をして戦うところにまたスポーツのおもしろみ、それからスポーツ意味もあるのだろうと私は思っておるわけでございます。  さてそこで、スポーツ関連をいたしまして体育及びスポーツにおける国際憲章というのがありますが、これは一体どういうものなのか。それからオリンピック憲章がありますが、これも一体どういうことをうたっているのか、この二つの憲章アジア卓球選手権大会規則といいましょうか、あるいはその規約といいましょうか、こういう関係はどういうふうになるのか、おわかりならお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 向井正剛

    向井説明員 体育スポーツにおける国際憲章は、一九七八年にパリのユネスコ本部開催された第二十回ユネスコ総会において全会一致で採択された宣言でございまして、「体育スポーツの実践は、すべての人にとっての基本的権利である。」等々をうたっているものでございます。それから、オリンピック憲章及びアジアオリンピック評議会憲章は、それぞれスポーツに関する国際的組織である国際オリンピック委員会及びアジアオリンピック評議会の定める基本的な規則でございまして、オリンピック憲章においては、「どのような国、あるいは個人についてであれ、人種宗教もしくは政治理由として差別をしてはならない。」等々が規定をされております。  また、これらの憲章におきまして、オリンピック競技大会あるいはアジア競技大会に関する規定が設けられておりますが、アジア卓球選手権は、アジア卓球連合がこれらの精神を受けてそれぞれの競技を行うための規定アジア競技連盟で設けているところでございます。
  19. 坂上富男

    坂上委員 そのとおりだと思うのでありますが、念のためにお聞きをいたしたいのであります。  オリンピック憲章第一章「根本原則」第一条以下の中で、特に第三条後段にこういう規定があるのは御存じでしょうか。この意味はどういう意味かもお聞きをしたいのであります。「国際オリンピック委員会オリンピック競技大会の観客をできる限りの広範囲にわたって確保するものとする。 どのような国、あるいは個人についてであれ、人種宗教もしくは政治理由として差別をしてはならない。」こうあるわけでございます。これは間違いないでございましょうか。それで、この意味はどういう意味でございましょうか。
  20. 向井正剛

    向井説明員 IOC憲章は、今先生御指摘のとおりIOC憲章にはそのように書かれておりますが、IOCに加盟している各国スポーツ団体に対して、今IOC憲章にございましたように、その憲章を遵守するようにということを義務づけているということでございます。
  21. 坂上富男

    坂上委員 外務省に来いと言ったのですが、お見えになりませんか。  そこで入国管理局、大変恐縮でございますが、北朝鮮皆様方入国関連いたしまして、いろいろ制裁規定があると聞いておるわけでございます。これは後で聞きます。この制裁というのは政治ですか。——外務省来ているのですか。外務省答弁できるかな。それでは外務省、どうぞ御答弁してください。
  22. 渋谷治彦

    渋谷説明員 政治の一部でもあると思います。
  23. 坂上富男

    坂上委員 私はそのとおりだと思うのです。文部省憲章にこういうふうに書かれているわけであります。  そこで、今アジア卓球連盟もこのオリンピック憲章にのっとってやる、これがいわゆるオリンピック憲章精神であり、スポーツ精神であることはユネスコ憲章によっても明らかなわけでございます。そうだといたしますと、どうなんでしょうかね、これは。第三条のこの条文から見てみまして、今外務省がおっしゃいましたとおり、政治理由として差別してはならぬ、こう書いてあるわけでございます。外務省は、今回の制裁政治の一部だとおっしゃった。いわば北朝鮮皆様方入国制裁問題があるわけでございますが、しかしこれはどう解釈したらいいのですか、こういう場合。
  24. 向井正剛

    向井説明員 今回のアジア大会の件での御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、各国スポーツ団体等IOCとかあるいはOCAの憲章精神を受けて、あるいはそれの規定が設けられているわけですが、今回の大会主催者でございますアジア卓球連合あるいは主管いたします日本卓球協会等が、現在のところ特定の選手に対し他の選手と異なる取り扱いをするという問題では今回はないので、専ら入国管理上の問題である、私どもはそのように承知いたしております。
  25. 坂上富男

    坂上委員 ストレートに聞いているんだ。文部省の方がどうも悪いじゃないの。スポーツ憲章精神は、オリンピック憲章によっても、そしてその精神を受けていろいろの競技会が行われている、こう言っているわけです。外務省みずから、この制裁政治の一部である、こう言っているわけです。どうしてそれがこの憲章に相反するということが言えないのですか。趣旨が違うなんてとんでもないです。オリンピックというのはまさに思想、信条、民族の差別政治差別、あらゆるものを乗り越えて、全世界人たちが手を結ぼうじゃないかという、だから五輪の輪があるのです。そうだとすると、これはやはり今度これと衝突をした場合どうするかという議論なんですよ。今から警戒しないでひとつやはりストレートに、オリンピック憲章と今の制裁問題は相接する場所にあることぐらいは言えるのじゃないですか。いかがですか。
  26. 向井正剛

    向井説明員 ただいま申し上げましたように、ユネスコ憲章あるいはオリンピック憲章精神に基づいてそれぞれの団体はやっておるわけですが、今回は日本卓球協会等もぜひ入国さしてほしいというようなことを申しておりますので、そこのところは、いわゆるそれを受けておる競技団体政治的な理由でいろいろと異なる扱いをしているものではないと、先ほども申し上げたように私どもは承知しているところでございます。
  27. 坂上富男

    坂上委員 文部省をこれ以上追及してもいささかいかがかと思いますので、あなたへお聞きするのはこれでやめますけれども、もうちょっと今度は議論を聞いていただきまして、いわばオリンピック憲章あるいはユネスコ憲章あるいはアジア卓球選手権規則、こういうものを見ても、いわゆる政治的な差別をしてはならない、こう言っているわけです。「どのような国、」と、こう書いてあるのです。そうして「あるいは個人についであれ、人種宗教もしくは政治理由として差別をしてはならない。」政治だと、こう言っているわけです。  まさにアジア連盟の会員であるところの北朝鮮入国をしようとしているわけです。今まで一度もだれも入ってこないならいいですよ。だけれども、今までの歴史を調べてみると、北朝鮮皆様方日本スポーツ競技のためにいっぱい来ているわけであります。しかも、こういったようなアジアあるいはオリンピックユネスコ憲章、いずれを見ても政治的な差別をしてはならないというのでありまして、やはりスポーツ関係者が強く要求をしておるのは、スポーツマンシップ、スポーツ精神にのっとってやっているのだろう、僕はこう思いますよ。日本がこういう差別をしてオリンピックに勝とうなんて、これは無理ですよ。文部大臣が諮問をしたのでしょう。オリンピックへ行ったらちょっとでも日章旗を上げるにはどうしたらいいだろう、こう言っているわけです。それを文部省が、あなたに言ってもしようがないのですが、やはり逃げ腰にならないで、文部省ももっと堂々と乗り出して、あとは今度は外務省とか法務省に聞きますよ。ひとつ頑張っていただかぬと、本当にオリンピック憲章が泣きますわな。でありますから、もう少しそこにいて、最後にもう一遍聞かしていただきますので、ひとつ御回答をいただきたい、こう思います。  さてそこで外務省北朝鮮に対する制裁項目、これは何でございますか。
  28. 渋谷治彦

    渋谷説明員 第一項目は「我が国外交官北朝鮮職員との第三国における接触を厳しく制限する。」第二項「国家公務員北朝鮮渡航原則として見合わせる。」第三項「北朝鮮からの公務員入国原則として認めないこととし、その外の北朝鮮からの入国については、その審査をより厳格に行うこととする。また、北朝鮮籍の船舶が我が国港湾に入港する場合であっても、その乗員の上陸については、その審査をより厳格に行うこととする。」第四項「我が国北朝鮮との間を航行することとなる特別機については、第三国のものであっても我が国への乗り入れを認めない。」  以上でございます。
  29. 坂上富男

    坂上委員 外務省、いま一つこれに相対するものといたしましてラングーン制裁があるわけでございます。ラングーン制裁項目を言ってみていただけますか。これはいつからいつまでだったのかも聞かしてください。
  30. 渋谷治彦

    渋谷説明員 ラングーン事件関連の対北朝鮮措置の発表は、昭和五十八年十一月七日でございます。これが五十九年の末日まで続いております。  第一項「わが国外交官北朝鮮職員との第三国における接触を厳しく制限する。」第二項「国家公務員北朝鮮渡航原則として見合わせる。」第三項「北朝鮮からの公務員入国原則として認めないこととし、その他の北朝鮮からの入国については、その審査をより厳格に行うこととする。」第四項「わが国北朝鮮との間を航行することとなる特別機については、第三国のものであってもわが国への乗り入れを認めない。」  以上でございます。
  31. 坂上富男

    坂上委員 そうすると、今回の北朝鮮制裁ラングーン制裁はほぼ同じ内容だと聞いていいでしょうかな。  そこで、ラングーン制裁期間中、スポーツ選手あるいは北朝鮮公務員の方、相当入国されていると思うのでございますが、その事例はいかがになっていますか。
  32. 渋谷治彦

    渋谷説明員 昭和五十七年に二百四十六人、五十八年中、この十一月七日に措置が発表されたわけですけれども、四百三十四人が北から入国しております。措置が有効であった昭和五十九年中には百六十五人の入国となっております。その翌年には、措置が解除されました翌年には四百三人……
  33. 坂上富男

    坂上委員 解除はいいです。  人数はわかりましたけれども、大体どういうスポーツ団体なりスポーツ人たちが来ているのか、それをちょっと言うてください。     〔委員長退席今枝委員長代理着席
  34. 渋谷治彦

    渋谷説明員 措置期間中にどのようなスポーツ選手団入国してまいりましたかにつきましては、私ども現在のところ完全には把握し切れておりませんけれども、一件、五十九年の十一月十四日に役員二名、選手一名、これはマラソンの代表でございますけれども入国申請をし、これが許可をされております。
  35. 坂上富男

    坂上委員 その場合の役員というのは、いわゆる北朝鮮で言うところの国家公務員の方でございましょう。
  36. 渋谷治彦

    渋谷説明員 申しわけございませんけれども、私、その資料を持ち合わせておりませんので、後刻御報告さしていただきます。
  37. 坂上富男

    坂上委員 これは委員部を通じて、外務省が私のところに質問とりにもお見えにならぬから、わざわざ言ってあることでございます。すぐ調査しているはずでございます。そうだろう、委員部。でありますから、結果をすぐ報告をとるようにしておいてくださいよ。  これは重要な問題で、特に私の郷里でアジア選手権大会が開かれるわけです。特に私はそういう立場からもお聞きをしなければならぬ問題ですから。やはり物事の判断の基準というのは、先例というのがあるのです。特に法務省なんというのは先例、判例を大事にするところでございますから、きちっと用意をして、制裁事項はこうでありました、しかしこれだけの人たちが入ってきました、こういう人でございましたということを、やはり事実をきちっと出していただきたい。  管理局の方、わかりますか。御答弁どうぞ。
  38. 熊谷直博

    熊谷政府委員 現在わかりかねますけれども、これは調査を私どもの方でいたしますとわかるものであろうかと思います。
  39. 坂上富男

    坂上委員 それでは、外務省なりあるいは入管の方でも、時間までにひとつわかる範囲でお答えをいただきたいと思います。これがやっぱり論争する重要な事実だろう、私はこう思いまするから、お答えくださいよ。  さて今度は、北朝鮮入国申し込み代表団選手団役員団、これらはきょうの新聞によりますと日本卓球協会代理をして申し込んだというふうな話を聞いているわけでありますが、これは事実ですか。  それで重立った選手それから役員、もし名前がわかったらお聞かせをいただきたい、こう思います。
  40. 熊谷直博

    熊谷政府委員 昨日午後三時半ごろだったと思いますが、入国管理局日本卓球協会から、第九回アジア卓球選手権大会に参加する北朝鮮選手団入国申請という形で提出がなされました。提出されました選手団構成は、入国申請によりますと、役員八名、審判一名、選手九名、計十八名となっております。  氏名は、十八名おりますので、そういう構成になっているということでよろしいでしょうか。
  41. 坂上富男

    坂上委員 はい。まあその程度で……。  さてそこで管理局長にお聞きをするわけでございますが、さきの衆議院内閣委員会局長が大変前向きな答弁をしたと私たちは理解をしているのですが、衆議院内閣委員会で御答弁になった論旨をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  42. 熊谷直博

    熊谷政府委員 まだ議事録が届いていない状況でございますので、私の記憶に基づきまして御説明申し上げますと、いろいろな質問委員からなされまして、それにいろいろお答え申し上げたわけでございますが、一月二十六日のいわゆる対北朝鮮措置に基づいて、入国申請がなされました場合には審査いたしますということを二度にわたり私はお答え申し上げました。その趣旨は、詳しくその措置内容まで御答弁しなかったわけでございますけれども、それは先ほど読み上げられましたとおり、公務員については許可しない、その他については従来よりもより厳格に審査するという趣旨で私は答えたつもりでございます。
  43. 坂上富男

    坂上委員 これはいかがですか。熊谷局長は、純粋なスポーツなら北朝鮮制裁措置以前の対応をとることになろう、こういう御答弁があったという。これまた質問者であるところのうちの広瀬委員からも聞いたわけでございます。確認をしたわけでございます。これは間違いない答弁なんじゃございませんか。
  44. 熊谷直博

    熊谷政府委員 これも議事録をよく見て記憶を呼び戻さなければいけないわけでございますが、私が答弁申し上げましたのは、対北朝鮮措置関連の御答弁と、それから一般論としてそれ以前の取り扱いにつきましてスポーツ文化等については認めてまいったという趣旨で御答弁させていただいたわけでございます。
  45. 坂上富男

    坂上委員 局長さん、大変苦しいような御答弁でございますから少しお休みくださって、じゃ、もうちょっと別の方からお聞きをいたしましょうか。  まず、外務省の方もきのう申請のあった役員選手団の名簿はごらんになっておるわけですか。
  46. 渋谷治彦

    渋谷説明員 とりあえずさっと拝見いたしました。
  47. 坂上富男

    坂上委員 そうですか。  さてそこで、熊谷局長がおっしゃったことを外務省が随分反発と書いてある。猛反発をしまして軌道修正をさせた、こう世間では言われているわけでございます。外務省いかがです。
  48. 渋谷治彦

    渋谷説明員 北朝鮮からの入国につきましては、一月二十六日の対北朝鮮措置に沿って、公務員については原則としてこれを認めない、そのほかの者の入国については、審査をより厳格に行うということになっております。したがって卓球選手団につきましても、一月二十六日の措置に従って厳格に、かつ慎重に審査するという趣旨でこれまでの政府答弁は行われたというぐあいに私どもは理解しております。
  49. 坂上富男

    坂上委員 ここでちょっと法律の専門家にお聞きしますが、刑事局長でも官房長でもいいですけれども原則として認めないということの意味はどういう意味でしょうか。原則として認めないという意味、これをひとつ純粋な法律の専門家からお聞きしたい。公務員原則として認めない、原則の次は例外があるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  50. 根來泰周

    根來政府委員 突然のお尋ねで、原則として認めないというのは、そういうことならば本当に文字どおり原則はだめで、しかし特殊な事情があれば例外はいいという場合もあると思います。
  51. 坂上富男

    坂上委員 そうでしょうね。  外務省、どうですか。原則はやっぱり今おっしゃったとおりだと思います。それから、例外はそういうことだと思います。この制裁規定の中でも、確かに原則はそう書いてあるわけです。そこで、この原則を例外の中に当てはめるにはどうするかという問題になるわけです。そこで、今さっき言ったように長々とスポーツ憲章を言ったわけでございます。それとの関係から見てみると、どっちに当たるのです。原則かね、例外かね。
  52. 渋谷治彦

    渋谷説明員 本件につきましては、昨日入国申請が行われたばかりでございます。外務省の方でも審査を始めたばかりでございますので、今の段階でどうなるかということはちょっと申し上げることができかねます。
  53. 坂上富男

    坂上委員 おっしゃるとおりです。私は、具体的には聞いていないのです。いわば北朝鮮項目制裁条項の解釈について聞いているわけです。これをきのう申請のあった人たちに当てはめてみていかがかということは、まだ私の質問じゃない。よく聞いて答えてください。この解釈の前提が間違いますととんでもないことになるから言っているのです。  私は、この原則は承認できない立場にあるのです。仮にこれを適用する場合も、どうも世上言われておる、公務員原則として入れないと書いてあることは間違いないのです。だけれども、それは原則なんです。例外があることはあるわけです。例外の一つの例はラングーン制裁だ。これはもう調べてみれば、北朝鮮公務員の人が入ってきているわけです。したがって、この例外という場合は一体どういうことを指すのかと、こう実は私は聞いているのです。いいですか。例えばスポーツについてくるような人たち公務員であっても例外はありますと、こうなるわけです。だから、その例外はどういう場合を例外と言うのか、こう聞いているわけです。もっと抽象的でいいのです、解釈ですから。
  54. 渋谷治彦

    渋谷説明員 北朝鮮からの入国につきましては、個々の事例が出された場合に、その都度審査して結論を出すということになっておりますので、具体的な事例に即した形でないと、ちょっと私もお答えすることができないということでございます。
  55. 坂上富男

    坂上委員 この条文はどういう解釈ですかということは、皆さんが専門にわかっているでしょう。制裁条項も条文の一つだ、制裁条項という。これはこう解釈するのです、解釈方法はこうですと言わなければこれはだめじゃないですか。そこで、これを具体的な例に当てはめたらこうなりますと、こうお答えいただかなければならぬ。突然じゃないのだ、きのうから私が言っておるわけでございますから。一般的な抽象的な解釈を聞いているのです。これ以上あなたにお聞きするのは無理のようですから、やめます。  さてそこで大臣、お出かけいただいて大変恐縮でございますが、大臣はこの間、閣議の結果、大変強い言明をなさったわけであります。私は、外務省法務省の、北朝鮮の、特にアジア卓球選手権入国問題について、さっき申しましたとおり私の新潟市で行われるだけに、まず興味深く見ております。それから県民の感情といたしまして、四強、四つの強い国は日本、韓国、中国、北朝鮮、こう言われているから、この四強が来て卓越した卓球の技術を私たち県民あるいは国民に見せていただけるということを実は期待をしているわけであります。でありまするのに、外務省法務省の意見がいささか違うように新聞では書いてあるわけです。管理局長のお話を聞くと、真意でもなさそうなような御答弁でございます。最後のとどめを刺すのが林田法務大臣の記者会見での発表でございまして、「北朝鮮への制裁措置に照らして、公務員もそれ以外も厳格に入国審査する」、こう大臣がおっしゃったという話でございますが、さっきからいろいろ議論をしてみますると、スポーツ団の入国ということは、スポーツ選手そのものは公務員でなければ何とかしていただけるのかもしれません。しかし、これを監督をする、これを引率してくる役員、こういう皆様方はやはり国の仕事にかかわる人たちが多いのだろうと思うのです。国体がそうでしょう。新潟代表、東京都代表、みんな大体副知事が団長になって行っているじゃないですか。県会議員団が役員になって行っているじゃないですか。大体地方自治体でもそうなんです。ましてや、国と国とのスポーツでございます。  こういうようなものを考えてみますと、あなた方が制裁をしておるところの条項から見て、どうも例外に当たるのじゃなかろうかなと私は実は解釈をしておるわけであります。その積み重ねは今までの解釈、それからラングーン制裁の実態、それから日本競技会の形態、世界競技会の形態を見てみましても、やはり純粋なるスポーツであればこの適用外になってしかるべきなんだろうと私は思っておるわけであります。  大臣、極めてきつい言葉をおっしゃっておるわけでございますが、そういうような経過があるものでございまするから、私は、今回の大臣のきのうの新聞に出ておりまするところの記者会見の模様もなかなか承服いたしかねます。しかも、法務省はきちっとやっていただくと思うのでありますが、法務省が本当に条文の解釈に忠実にやろうとすると、どうも外務省がけつから何かはたいているような感じかいたしておるわけであります。でありますから、ひとつこの問題について、まずいつごろまでに審査が決定するのか。それから、今言われました制裁条項の解釈をどのように考えながら審査なさるのか。今私が申し上げましたことは一体頭の中に入れていただけるのか、そんなことを踏まえながら、まず局長さんからお答えいただきましょうか。
  56. 熊谷直博

    熊谷政府委員 いつごろまでにという御質問にまず答えさせていただきますが、申請が出されますと、法務省だけで判断することができませんので、関係省庁に意見を求めるという手続がございます。関係省庁というのはどこかということはケース・バイ・ケースでケースごとに異なりますが、幾つかということになろうかと思います。そういう関係省庁からの御意見が全部集まりましたところで総合的に検討さしていただいて、それで決めるということでございますので、いつまでということは申しかねますけれども、事がこういうことでございますので、許可するにしてもしないにしても、あるいは部分的にするにしてもしないにしても、競技大会が行われるのに十分な時間的な余裕を見てお答えをさしていただかなければいけないというふうに考えております。  それから第二の、実質的に今御議論のあったようなことを全部踏まえてやってくれるのだなという御確認の御質問だと思いますけれども、私ども審査するに当たってはすべての要因、問題点を考慮しながら審査さしていただきたいというふうに思っております。
  57. 坂上富男

    坂上委員 外務省はどうですか。
  58. 渋谷治彦

    渋谷説明員 この件につきましては、外務省法務省から協議にあずかることになりますので、法務省と協力しながら外務省なりの審査を進めていきたいと思います。
  59. 坂上富男

    坂上委員 さて、この問題の最後でございます。  大臣、やはり法務省が相当重要なかぎを握っておられるわけでございますので、ぜひ今申し上げましたことも御考慮の上で、大体間に合うようにということでありますが、世間では慎重審議に名をかりて間に合わないようにするのじゃなかろうかという心配も実は言われておるわけでございます。間に合うというのは一体どれぐらいの期間を見ておられるのかわかりませんが、わかればまた教えていただきたいのです。  そこで大臣、そんなような状況でございますから、まさに文部大臣オリンピックに勝つにはどうするかといってこの間諮問したと、きのうの新聞に出ていたばかりです。自分らのことだけやらないで、外国の優秀な選手を勉強して、さらにオリンピックに勝つようなことはやはりすべきことなんでございますからね、文部省。ですから、オリンピックに勝つといったって、やはり優秀選手のを見るように、特に北朝鮮選手団は四強の一つと言われているわけです。しかも、卓球は今度オリンピック種目の中に入るのじゃないの。そうだといたしますと、ましてや優秀な諸君に来てもらって見せてもらいながらオリンピックに備えるというのは僕は大事だろうとも思っているわけです。そんなような意味におきまして、大臣のひとつ率直な現段階における所信を承りましょうか。
  60. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 私が昨日記者会見で申し述べましたことは、強いとか弱いとかいうことはないのでございます。まず、一月二十六日に官房長官談話で発表いたしましたように、北朝鮮対策といたしまして新しい措置をいたしたい、こういうことで、その決まりました措置そのままを申し述べておるわけでありまして、それよりも強くしておるとか弱くしておるとか、そういうことはないわけで、きのう初めて北朝鮮選手団入国申請が出たわけでありまするから、法務省としましては、こういう入国につきましてはまず関係各省の意見を徴するということが先決問題でございます。  したがって、今事務当局におきましてそういうことをもうやっておりますか、あるいはきょうあたりやりますか、まだそういう段階にあるわけでありまして、私のところへはどういう申請が来たかということにつきましても、まだ何ら申し出がありません。したがって、まずそういう事務当局の段階におきまして、各省と相談いたしまして、どういうふうにしようという一応の成案を得ましたならば、私のところにおきまして考えていく、こういうことになるわけでありまして、事は急を要しまするので、試合の期日までに入国してもらうなら入国してもらうということが必要でありまするから、それに間に合うようにそういう問題は片づけていきたい、かように考えておるところでございます。
  61. 坂上富男

    坂上委員 入国差しとめということになりますとどういうことが起きるかといいますと、全員についてする場合があると思います。それから、役員だけストップという場合がある。そういうような場合も、役員だけストップしたのでは、来るのには子供たちもいるわけです、学生もおるわけでございます、団の編成が成らなくて、結局不参加になるおそれがあるのじゃなかろうか、こう思うわけです。しかも、私が申しましたのは、私は法律家として申し上げておるわけです。でありまするから、万一の場合は裁判所へ提起するだけの期間を与えていただきたいと実は思っているわけです。これは、今言ったようにこの四原則の解釈はあなたたちから聞いておってもはっきりしない、歯切れがまことによくないわけであります。やはりこの制裁条項というのは、入国管理の上のビザの対象の要件になろう、こう思っているわけです。だから慎重に審議をしているのであって、必要以上に慎重審議をしてもらって、まかり間違いまして審査中に大会が開かれることのないようなことはもうはっきりしたようでありますが、どうせやるならばきちっと正確にやっていただきまして、もっと司法機関にも判断できるだけの余裕をいただきたいと私は思います。  もう少し満足のいく答弁があれば、こういうことは私は言わないのです。具体的なものを出してもらわなければちょっと条文解釈はできませんという皆様方の態度には実は承服しかねている。ぜひ大臣から、一歩前進の御答弁ではありませんけれども、今私が申し上げたもろもろのことをひとつ御検討していただきまして、少なくとも新潟県民の願いをひとつかなえてやって、オリンピックに勝つにはどうするかといって、おとといか諮問したばかりでございますから、文部省もひとつ頑張っていただきまして、いや、制裁賛成だから入国反対ですなどというようなことのないように、中島文部大臣以下頑張っていただきますことも課長からお伝えください。そんなことを要望いたしまして、この部分は終わります。  さて、今度は司法試験についてでございますが、司法試験改革試案が法務省から実は出されたわけでございます。そこで、第一次試験というのはいわば受験する資格、この人の認定が第一次試験、それから第二次試験というのは短答式、論文式、口述、この三つのようなんでございますが、今も変わりはないですか。
  62. 根來泰周

    根來政府委員 仰せのとおりでございます。
  63. 坂上富男

    坂上委員 きてそこで、皆様方から発表になりましたところの司法試験改革案の法務省案を見せていただきましたが、まず、このうち短答式を各大学の推薦にする、こう書いてあるわけでございますけれども、もう少しこれを具体的にお聞かせをいただいて、推薦方式をどういうふうになさるのか、まず一般的なお話としてお聞きをしたいと思います。
  64. 根來泰周

    根來政府委員 最初に、誤解のないように御説明いたしますけれども、この司法試験改革試案というのは法務省の案ではございませんで、要するに法曹懇の事務当局をいたしておりました法務大臣官房の人事課が一応の試案ということで出したものでございます。したがいまして、これから法曹三者、裁判所、弁護士、それからただいま話題になっております、大学の推薦ということでございますので、大学の方の意見も聞きまして徐々に成案をつくっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。  そのいわゆる試案によりますと、大学の推薦制というのは、推薦対象といたしまして、「大学入学後五年以内の者であって、大学に三年を超える間在学し、法学部又はこれに相当する組織において法学を履修している者又はこれを履修した者。なお、これらの条件を満たす限り、同一人が引き続き推薦されることを妨げない。」ということでございまして、(二)として、推薦基準といたしまして、「大学における憲法、民法及び刑法の科目、並びに、その他の科目であって当該大学が相当と認めてその成績を考慮することとしたものについて、それらの成績が優秀であること。」ということでございます。それから三番目としまして、大学ごとの推薦数といたしまして、「当該大学の在学生及び卒業生の最終合格者数を基準とし、被推薦者の数の合計が論文式試験受験者の五分の一名程度となるようにする。」そういうことになりますと推薦者数の上限が百五十人でありまして、合計して大体千人程度というふうに見込まれるわけでございます。それから「法学部又はこれに相当する組織を持つ大学は、最低二名を推薦できる。」ということでございます。それから、推薦の効果でございますけれども、推薦された年の第二次試験の、先ほどお話にありました短答式試験を免除するということで、推薦の時期としては四月の中旬をめどに推薦をしてもらって、司法試験管理委員会がこれを認める、こういうことに一応試案としてはなっておるわけでございます。
  65. 坂上富男

    坂上委員 まず、「法学部又はこれに相当する組織を持つ大学は、最低二名を推薦できる。」こうあるわけです。「法学部又はこれに相当する組織を持つ大学」、もうちょっと具体的にはどういうことでしょうか。
  66. 根來泰周

    根來政府委員 大学によりまして法学部という名前を使っているところもありますし、例えば政経学部とかその他の人文学部とか、そういう名前を使っているところがございます。しかし、その実質を見まして、要するに法学部に相当するような履修内容をしておる大学ならばということになると思います。
  67. 坂上富男

    坂上委員 こういう大学はどれくらいあると予想していますか。
  68. 根來泰周

    根來政府委員 これは予測というよりも、先ほど申しましたように、これから各大学と一回協議いたしまして、それから考えていくという段階でございます。
  69. 坂上富男

    坂上委員 さてそこで、一番大事なことは推薦の基準でございますが、これはどういう学生をやるのですか。例えば法学部という学生ですか、あるいは法文学部という学生ですか、どういうことが対象になるのです、推薦の基準というのは。
  70. 根來泰周

    根來政府委員 これは、現在頭に置いているのは、先ほど申しました法学部、それから法学部に相当するような法文学部とか政経学部とか、そういうものを含めたものを対象に考えているわけでございます。
  71. 坂上富男

    坂上委員 そうしますと、今度は概略でいいですけれども、ある程度大学別に入れる推薦の基準はできているのでしょうか。あるいはできていなくても、いわゆる推薦対象あるいはその他を見ると大体算定できるのだろうと思います。でありまするから、東京大学はどれくらい推薦するのか、京都大学はどれくらい推薦するのか、早稲田はどれくらい推薦するのか、そういう具体的な御答弁をちょっといただきたいのであります、ある程度わかる限りに。
  72. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど申し上げましたように、先ほどの案はあくまでも試案でございまして、どの大学がどうだということを申し上げると非常に反響も大きく、これから各大学の意見を承るわけでございますが、せっかくの御質問でございますし、全く私の個人の推測ということでお聞きいただければ結構でございますけれども、この基準、数は全部で千人、そして上限が百五十人ということになっております。それから、最終合格者数を基準とする。「当該大学の在学生及び卒業生の最終合格者数を基準とし、」こういうことになっております。そうしますと、これも非常に平たい言葉で言いますと、今司法試験の最終合格者の多い大学というのは、御三家というのがございまして、東京大学と早稲田大学と中央大学でございます。その三つの大学は百五十人に近い、あるいは百五十人というような数になるんじゃないかというふうに、これは私の推測でございますが、そういうことでございます。     〔今枝委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 坂上富男

    坂上委員 そういう今言った早稲田、中央、東大というのは一番合格者数が多いということはわかっております。最低でも二人、こういうことでございますから、それによって計算をすればほぼ出るのでしょうかね。
  74. 根來泰周

    根來政府委員 机上の計算では出てくることになります。
  75. 坂上富男

    坂上委員 これからの協議でございますが、やはりこれは大学間でいろいろ格差がついて、ますます大学の格差をこういう推薦制度によってはつけるんじゃないかと私は思って、教育的な立場に立ちますと、果たしてこういう推薦のとり方というのは一体いいんだろうかということを、いささか実は私は疑問に感ずるわけであります。やはり東大へ入れば推薦を受けられる、中央へ行けば推薦を受けられる、どうしても入らなければならぬ。今大変激烈な問題が大学入試の問題である中に、しかもこの大学に入れば特権的に御推薦をいただくということになりますと、相当の問題だろうと思うのです。そういうことを議論してほしいというのが法務省の御意見だろうと思うのでございますが、その辺はなぜそんなことになるのでしょうかね。今までの実績からいってこうなんだというやり方が果たしていいかどうか、私もこれは本当に迷いながら実は質問しているのです。
  76. 根來泰周

    根來政府委員 委員の御心配な点は私も実は心配しておるわけでございまして、これは先ほども申しましたように、これから大学と御相談する、こういうことでございます。  また、過日の法曹基本問題懇談会では、推薦制を導入したらいいんじゃないかという意見もございましたが、反面、それは非常に理論的には結構だけれども技術的に難しいんじゃないかという御意見もあったわけでございます。大学の方も、賛成の大学と反対の大学があるようでございます。それから、おっしゃったように、大学に格差をつけると言うと語弊がございますけれども、そういうにおいを若干持ち込むところがあって、若干内心じくじたるところもあるのでございます。  ただ、大学の推薦制を持ち込むに至った理由といたしましては、今は司法試験を受けるためには大学の授業を受けておるだけでは到底通らないという風潮にございまして、御視察いただければわかりますけれども、受験予備校というものが極めてたくさんございまして、そこでとにかく朝から晩まで試験の勉強をする、そしてようやく五回、六回受けて合格するということでございまして、大学をそっちのけにして予備校に通っていると言いますと非常に語弊がございますけれども、極端に言えばそういう風潮がございます。ですから、大学教育と司法試験の受険、合格というのを何か一つの線の上に置きたいというのが希望でございまして、そういう希望からこういう大学の推薦制というのを持ち込んだところでございます。したがいまして、これからいろいろ大学等の意見を聞きまして、また、ただいま御心配のあるような点についても十分意見を交換しまして、成案を得たいものと考えております。
  77. 坂上富男

    坂上委員 私も一概に言えないのですが、格差是正するのだったら平等にしてやればいいのです。その中から優秀な者が出てくるかもしれませんからね。実績による推薦制度にするというのは、会社でもあるまいに、殊に司法試験というところですから、一体何でそんなことになっているのかということは想像しがたい問題。こんなことになんてなるはずがないだろうと実は思ったのでありますが、堂々と試案として出てくるところに問題があって、ますます格差になってくるのではなかろうか、私はこう思っておるわけです。  そもそも一体、司法試験改革の必要性というものをもう一遍お聞きしましょうか。それとの関係においてどうなりますかな、これは。
  78. 根來泰周

    根來政府委員 この点につきましては、大臣からも再々御説明、言明がありましたし、私たち事務当局の方からも御説明申し上げておりますように、昔はいざ知らず、今は司法試験を受けるというのは相当な決意が要るわけでございます。要するに、長い青春期間を浪費すると言うとこれまたしかられるかもわかりませんけれども、浪費する覚悟と、それから経済的な大きな負担、そういうものを覚悟して受けないと司法試験は受けられないという風潮がございます。一方、大学でもいろいろの楽しい活動があるのですけれども、そういうのをそっちのけにしまして、予備校へ毎日せっせと通って灰色の生活を送らなければならないというのが、一つのイメージとしてあるわけでございます。  そして、要するに平均的には六回受け、年齢が二十八歳ぐらいになってようやく受かってくる。古い方々、年長の方は、ほかの職業を選択して途中から司法試験を受け、法曹に進んだ方が多いわけでございますけれども、最近はそうではなくて、要するに六年、七年を無職のままで過ごして司法試験を受けてくるという傾向があるわけでございます。これも、個々に見れば立派な方もおるわけでございますけれども、一般的にはそういうのはよくない風潮でございます。そういうことになりますと、大学の卒業生でも、いい人は法曹界を避けて民間会社なり国家公務員あるいは地方公務員に行ってしまう。要するに、法曹界に来るのは余りよくない人物じゃないかというような意見もあるわけでございます。そういう傾向に何とか歯どめをかけたいというのが私どもの希望でございまして、そういう希望については、法曹基本問題懇談会の委員の先生方も全面的に支持していただいておるものと私どもは信じておるわけでございます。
  79. 坂上富男

    坂上委員 お話を聞いていますと、短答式を推薦にするというのは、短答式に問題があるからなんじゃないですか。これは非常に俗の言葉でございますが、大変意地悪い質問が出るのだ。したがって、素直な者については意地悪い質問には答えなくてもいい、おまえは推薦で筆記試験を受けろ、だめな連中は意地悪い質問を出してできるだけたたき落とすようにやるというような感じがしてならぬわけでございます。しかも、学校に格差をつけるということになりますと、短答式の意味というのは否定なさるのですか。今まで短答式の試験をした。短答式の試験というのはどういう意味を持ったのですか。そして、今の司法試験の改革の場合どういう関係になるのですか。
  80. 根來泰周

    根來政府委員 この短答式の試験というのは昭和三十一年に始まったのでございまして、それから法律改正をしまして、三十六年に法律にのっとった短答式試験というのを行っております。これは、当時受験者の数が非常に多くて、とても論文式ではその合否は判定できないという事情がありまして、要するに足切りということで制定されたいきさつにございます。これが何回も試験を重ねてきますと、短答式という言葉からもわかりますように、非常に知識偏重の試験になってくる傾向がございます。これは初めはいいのですけれども、毎年やっておりますとそろそろ試験の種が尽きまして、これも非常に悪い言葉ですけれども、おっしゃるような非常に技術的な話にはまり込んでしまう。そうしますと、在学生はとてもそういう試験についていけないというような形になりまして、短答式試験に合格するには長らく試験を受けておってそういうコツをのみ込んだ者が合格して、在学生でフレッシュな感覚を持った者はむしろ非常に苦手であるという傾向がございます。むしろ、初めから論文式試験を受けさせると、非常にいい発想でいい成績をとるという学生もおるわけでございます。  そういうことで、おっしゃるように、短答式試験というのは一つのがんでございます。そういうことで、この短答式試験を維持しながら、要するに足切り試験としての性格を維持しながら、一方では在学生、大学におる者につきましていい人を短答式にパスさせて、そして論文式に直接行ってもらうという発想で推薦制なりを考えたいきさつにございます。
  81. 坂上富男

    坂上委員 聞けば聞くほどおかしいなと私は思うわけであります。短答式というのは、ふるい落とすための一つの手段でもある。結局、意地悪い試験問題を出して、その意地悪いのを突破するには相当の時間と準備を必要とするのだ。そういうことは君たちはせぬだっていい、推薦者だから、推薦されたのだから。こうなりますと、これは甚だしい差別にも通じるのじゃなかろうかと思います。ですから、もしやるとすれば短答式そのものを見直すことが大事なんであって、これを推薦でして短答式から逃れるなどというやり方は、私は賛成しがたいと思っているわけです。いずれ議論になるでしょうから、御指摘だけ申し上げたいのです。  そういうようなことでございますから、この推薦制度というのは慎重の上にも慎重にやっていただかないといかぬと思っておるわけであります。しかも、仮にこの法律が二年後、三年後にできた場合の受験者、これは推薦を受けられるのは浪人じゃだめなのかどうか、それから二年も三年も、毎年この推薦というのは受けられるのかどうか、その辺どういう考えなんですか。
  82. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど申しましたように、推薦の条件というのがございまして、大学に五年以内在学する者、そして大学に三年を超える間在学する者ということでございますので、普通の学生ならば二回推薦を受けられる、こういうことになります。
  83. 坂上富男

    坂上委員 司法試験最後の質問ですが、合格者を増加させるという必要性についてお聞かせください。
  84. 根來泰周

    根來政府委員 これは弁護士さん方も十分御存じだと思いますけれども、今は社会情勢が非常に複雑化しております。その複雑化した社会に法曹が果たしてその使命を全うしておるかという点については、極めて疑問が投げかけられている意見がございます。  法曹基本問題懇談会でも、例えば暴力団が事件に介入しておる、あるいは示談屋が入っておるとか、普通ならば法曹の担うべき仕事にほかのものが介入してくるということがたくさんあるわけでございます。また、それだけ国民の需要もあるわけでございますけれども、その需要が顕在化していないということも一方では事実でございますが、そういうことからいうと、諸外国の例に比しましても法曹の数が少ないのではないか、もう少しふやした方がいいのじゃないかという御意見が法曹基本問題懇談会でございました。そういうことを踏まえまして、合格者をふやす方向で検討したいということで試案がまとまっている状況にございます。
  85. 坂上富男

    坂上委員 これは弁護士をふやそうというのですか、それとも検察官をふやそうというのか、あるいは裁判官をふやそうというのか。私の知る限り、新潟県などというのは弁護士さんが多過ぎて、できるだけ兼職などという話もお互いに出るのです。弁護士なんて新潟県では余っていますよ。ほかの県はどうなんですか。
  86. 根來泰周

    根來政府委員 新潟県の実情についてはよく知りませんけれども、弁護士さんだけの話ではなくて、検察官も裁判官も少ないのではないかという問題の提起であります。  この委員会でも言われておりますけれども、御承知のように訴訟遅延というのがございます。訴訟遅延というのは、裁判所は裁判官が少ないから訴訟遅延とは言わないと思いますし、弁護士さんも、少ないからおくれているとは言わないと思いますが、全体的に法曹の数が少ないために訴訟遅延があるのじゃないか。それから、検察官についても副検事が担当している事件の率が高うございます。それから、裁判所ももう少し合議事件をふやしたらどうかというような意見もございます。そういうふうなことで、これは全体的に、裁判官も検察官も弁護士さんもすべてふやした方がいいじゃないかということでございまして、そういう地域的なことについては余り検討したことはございませんけれども、そういう考えで法曹全体をふやしたい、こういう希望であります。
  87. 坂上富男

    坂上委員 この点について意見を申し述べますが、この間私はマレーシアに行きまして、外交をやっておる皆さん方に大変お世話になったわけです。あなたたち、ここでやめたらどうなりますか、こうお聞きしましたら、先生、やめたら飯の食い上げでございますから、どんな山奥、どんな奥地にやられても外交官は行きますよ、ああそれは感心だ、よろしくお願いしますよ、こう言ったわけです。検察庁は、この間からも議論になっておるわけですが、率直な話、若いうちから相当退任をされるわけです。何のために退任なさるかといいますと、いろいろの事情があって、弁護士ができるから退任なさるというのが多いようでございます。でありますから、検事をやったのを弁護士にするなというわけじゃありませんが、検察官の仕事に対するいろいろの問題があっておやめになる方が多いのじゃなかろうか。子供の教育からいったら、外交官でも検察官以上に大変なんですね、あの皆さん方は。それでも自分はこれ以外にやるべき職はないということで、どんな奥でも、どんな危険なところにでも参ります、こう言っておるわけであります。  検事さんの場合は、確かに子供が適齢期になって学校を転々とするのもかわいそうだ、こうは言っておりますけれども、ほかの官庁の方々は全部そういうふうな苦悩をしながら行政を支えておられるのだろうと実は思っておるわけであります。でありまするから、やはり検察の中にもっともっと検討すべきところがあるのであって、確かにやめる原因はないかもしれません、子供たちの生活のためかもしれません。しかし、根本は仕事の中にあるのじゃなかろうかと実は私は思っておるわけでございまして、ただ合格者をふやせば検事さんがいっぱいになる、裁判官の不足分が充足されるというようなことだけではどうも解決できないのじゃなかろうか。ますます弁護士ばかりいっぱいふやして、おまえたち弁護士になってもあのざまだからやめない方がいいよ、こんなようなことの手段に使われたのでは大変だと私は思っておるわけでございます。でありまするから、一体那辺にこれを増加させるのかということはいささかまだわからぬわけでありまするから、私の意見ですが、私は、やはり検察の組織の中で、検察の仕事の中に優秀な、有能な検察官がどうも退任をなさる理由の方が多いのじゃなかろうかと思っているのですが、いかがですか、大臣、ひとつ。
  88. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 身近なことを申し上げて恐縮なんですが、私の友人にも弁護士事務所を開いておる者が相当おります。そして、娘さんを検事になったばかりの人にお嫁にやるわけですね。そうしますると、これは検事さんでずっとやっていくのだろうと思っておりましたら、しばらくして検事をやめてしまって親の法律事務所に入っておる、こういうような者が相当おりまして、やはり弁護士事務所はなかなかいいのだなと思っておったのですけれども法務省へ入ってみまして、弁護士の仕事と検事の仕事あるいは判事の仕事を比較してみますると、判事、検事は若いときには給与はちょっとほかの公務員よりもよくしておりますけれども、しかし、ある年限が来ますると同じになっておるわけですね。そういうようなことで、どうも給与の差があるような感じがしております。  したがって、検事、判事をずっとそのままやってもらおうと思いますると、弁護士さんとまではいきませんけれども、ある程度給与をよくして待遇もよくしていくということが絶対必要なんじゃないだろうか、そういう感じを今持っておるのですが、先ほどの先生のお話をお伺いいたしながら、もう少し法曹の人数をふやしていくということは、一方におきましてはもっともっと弁護士さんに頼みたい、そういう気持ちを持っておりましても、なかなか弁護士さんのところへは行けない人が相当おる。したがって、そういう人が行けるようにしてやることも国として考えていかなければならぬ。そうすると、弁護士さんの需要もまだまだ多いということになるのじゃないだろうかと思っておるわけですが、いろいろなことを総合的に考えますると、やはりある程度法曹人口をふやしていくということが急務じゃないか、そういうことを考えておる次第でございます。
  89. 根來泰周

    根來政府委員 先ほどからいろいろ検察庁内部についても御批判がございましたけれども、そういう点はいろいろ改善していく必要があると思います。ほかの公務員といろいろお比べになった点がございますけれども、法曹三者というのは同じような資格で、同じような修習をして、そして三つに分かれたというようなことでございまして、ルーツが一緒である。ルーツが一緒であるが、自分の身を弁護士さんと比較した場合に、弁護士さんは一ヵ所に定着して、自分は転勤しておるというふうに、自分と同じような立場で対照できる者がおるものですから、やはりそういう者と対照してやめる人が多いのだろうと思います。しかし、やめる者が多いといいましても、全体から見ますと本当に数は少ないわけでございまして、その他の者は非常に検察に意欲を持って仕事をしているのでございまして、そういう点については十分御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。
  90. 坂上富男

    坂上委員 司法試験問題は今後もまた議論が続くと思いますので、だきるだけ誤りのないようにお互いに頑張りたいと思っておりますので、これまたよろしくお願いします。  北朝鮮からの入国に関する調査がわかったそうでございますが、お答えいただきたいと思います。
  91. 熊谷直博

    熊谷政府委員 ラングーン事件の関連措置がとられました期間内に北朝鮮から百三十九名の入国があったということで先ほど答弁があったようでございますが、そのうちスポーツ交流として四名が入っております。これは施設の視察ということで入っておるようでございます。団員四名でございまして、そのうちの団長が朝鮮体育指導委員会委員長という肩書を持っております。
  92. 坂上富男

    坂上委員 大変ありがとうございました。その問題が私は今回の場合適用されてしかるべきだと思うのであります。その団長さんは北朝鮮における公務員の方のはずでございます。でありますから、今回それもきちっと先例の基準にしてぜひ全員の入国を認めていただきまして、本当に立派な競技会ができますことを外務、文部、法務、関係の大臣さんにお願いいたしまして、この質問は終わりたいと思います。  それでは、今度は豊田商事の所得税還付に関連して聞きたいのでありますが、最近、豊田商事元社員の高額報酬について不当利得に当たるとして返還請求がなされているそうでございますが、最高裁、概要だけでもお話しいただけますか。
  93. 泉徳治

    ○泉最高裁判所長官代理者 ついせんだっての四月十四日に豊田商事の破産管財人から元従業員約四百二十名に対しまして、豊田商事とその従業員との間の歩合報酬契約が公序良俗に反して無効であるということで、その歩合給の返還を求める不当利得返還請求が起こされました。請求総額は約七十一億円でございます。
  94. 坂上富男

    坂上委員 国税庁の方にお伺いしますが、まず不当利得である、公序良俗に違反するといって返還命令が判決で出た場合は、当然源泉は管財人の方に還付になるのでございましょうか。
  95. 買手屋孝一

    ○買手屋説明員 お答えいたします。  今委員御指摘のとおり、今回管財人の方から豊田商事の元役員、それから外交員に対しまして特定の期間の報酬が公序良俗に違反し不当利得であるということで返還請求が行われたわけでございますが、今回の返還請求訴訟におきまして、裁判の結果その報酬が不当利得に当たるということの司法判断が下され、それが確定した場合には、その裁判の内容を十分検討して、そこで示されました権利義務関係あるいは経済的な事実に基づきまして処理するのが適当であろうと考えておりまして、現段階ではこの裁判の結果をまたなければ確たることは申し上げられませんが、ただ御指摘のように外交員報酬について申し上げれば、この裁判の結果が昨年の四月に行われました二十名の外交員に対する裁判の結果と同様に、外交員報酬契約が公序良俗に違反いたしまして無効であるから、その報酬は不当利得に当たり返還すべきである、そういうことで強制執行つきのものであれば、私どもといたしましても、その報酬に係る既に納付済みの源泉所得税につきましては還付してまいりたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今般第二次の訴訟が提起されておりますので、これの推移を見守りながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  96. 坂上富男

    坂上委員 通告していなかった問題ですから大ざっぱで結構ですが、この訴訟を皆さんごらんになって、今あなたがおっしゃったような公序良俗違反で判決が出た場合、大体源泉でどれぐらいの金額の還付額になるのですか、丸々請求が認容された場合。大体でいいです。
  97. 買手屋孝一

    ○買手屋説明員 私ども、まだその訴状内容を確認できておりませんので、確たることは申し上げられませんけれども、新聞報道によりますと、返還請求の対象期間が五十九年の七月から六十年の四月までで、請求額が、元役員三十二名に対して約四億五千万円、それから元社員三百九十五名に対して約六十七億二千万円、合わせて総額七十一億七千万円とされておりまして、こういうことで、これに係る源泉所得税は約十一億ということで新聞報道されております。それで、確たることは申し上げられませんけれども、大体そういう報道内容にそれほどの違和感を持っていないというようなことで御理解いただきたいと思います。
  98. 坂上富男

    坂上委員 これも要望でございますが、こうやって一々裁判を起こして勝たなければもらえないというのはちょっと容易なことでございません。でありまするから、この二番目のものも今回の提訴があったのですから、最初の提訴と今回の判決とをにらみ合わせていただきまして、裁判しなくとも、こういう類型に当たるのだからといって、管財人の方に源泉を返還できるような検討もひとつ本当にしていただきたいと思っておるわけであります。ここへ来られるのは皆さん方であって、最高の責任者が来ないものだから私は要望できないわけでございますが、ぜひそれもお伝えくださいまして、判決でなければだめだなんというようなことのないようにお願いしたい、こう思っております。これは答弁要りません、どうせ今は難しいという答弁でございましょうから。  それから、最後でございますが、ひとつ刑事局長にお聞きをしたいのでございます。  この間大阪タクシーの、国会議員に対する贈収賄の成立要件について幅広く認めたという判決があったわけでございます。それはそれで私は大変結構だと思うし、当然だと思っているわけです。たとえ自分が所属していない委員会であっても、それに関連して報酬を受けるということは贈収賄に当たるというのは、これは職務と対価的関係に立つと私は思っているのです。  そこで、私はたまたま大阪で国会議員がこの間起訴されたときも新聞社に聞かれて答えたのですが、委員会所属だけの法案の審議のあれもそうでございますが、各政党には、いわば法務部会とかあるいは税務部会とか、いろいろ部会があります。いわば政策審議会というのでしょうか、その中に部会があるわけでございます。一々業界の諸君が行って、税制について説明なり意見を聴取しているわけです。こういう場合、お金を差し上げますと、これは贈収賄になるのでしょうか、ならぬでしょうか。刑事局長、どうでずか。
  99. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 要するに、職務に関しましてわいろを供与いたしますと贈賄、もらいますと収賄ということになるわけでございます。職務に関するものであるかどうかといいますことは、要するに具体的事実関係のもとにおいて決せられるわけでありまして、一般的、抽象的には、なかなかこうだということは申し上げにくいわけであります。
  100. 坂上富男

    坂上委員 確かにこの点、私はやはり一番の大きな問題だろうと思っているわけです。タクシー事件については、政治献金の届けをしたんだ、けれども、いろいろ調べてみるとどうもわいろ性が高いということで有罪になったわけでございます。でありまするから、やはり類型別に判示してもらいませんと、法律の専門家は少のうございますから、これが汚職になるんだ、汚職にならないんだということはなかなかわかりません。  私は常に思っているのです。本当に政治献金であるか、あるいは贈賄であるかということは大変あいまいです。これはなかなかずばっと言えません。確かに、具体的事実でなければ言えないのはごもっともです。けれども、私はやはり国政に携わる者が、政治献金というのはどういうものであり、わいろ性のあるわいろというのはどういうものだということは明確にしておきませんと、なかなか国民の信頼にこたえることはできないのだろう、こう思っておるわけでございます。でありまするから、国会における常任委員会に所属をしてなくとも、本会議で具体的な法案について採決をする権能があるから、私はそれで十分職務との対価的関係があると見ているわけであります。でありまするから、今税調が一生懸命やっておるわけでございます。それからまた、いろいろの法案をやっておるわけでございます。それにもらえば、少なくとも本会議でそういうふうにできた法案の審査をやって採決をするわけでございますから、そのもの自体がやはり違法になるのだろう、わいろ性を持つのだろう、私は実はこう思っておるわけであります。国会議員の本会議の採決権というものは、直接的に委員会とかかわりなく、各党の政調会の委員に所属しておりましてもその法案と関連があれば出てくるのではなかろうか、私はこう思っておるのでございますが、もう少しお答えいただきたいと思います。
  101. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 一般的にこういう場合が汚職になる、こういう場合はならないということを申し上げることは非常に難しいわけでございますが、これまで国会議員の職務に関しまして、最高裁等の判例もあるところであります。  これを若干御説明いたしますと、一つの形といたしましては、委員会におきます法案の質疑、表決に関することが職務であるというふうに認められました造船事件等の判決がございます。また、委員会における質疑、質問に関することが職務であるという判断をいたしました共和製糖事件がございます。また、他の議員に対する働きかけというものについて職務権限を認めましたものとしては、日通事件あるいは大阪タクシー事件があるわけでございます。こういった判例にぴったり合う事案につきましてはやはり贈収賄が成立する、これは極めて明らかであるというふうに言わざるを得ないと思います。
  102. 坂上富男

    坂上委員 時間ですから。どうもありがとうございました。
  103. 戸沢政方

    戸沢委員長 中村巖君。
  104. 中村巖

    ○中村(巖)委員 最近我が国におきましても、国際関係が緊密化をしたというか、世界が狭くなって国の内外の壁が非常に薄くなったといいますか、そういう状態にあるわけでございまして、これに伴いまして犯罪も国際的になってくるという状況がございます。具体的に言えば、外国から来られた人が我が国において犯罪を犯すというようなことも多くあるわけでございますし、あるいは日本人が外国へ行きまして、そこで犯罪を犯すというようなことも多々見られるようになったわけであります。あるいはまた、国境の壁を越えましてある国からある国へ品物や人間等を運ぶということが、それ自体犯罪になるということもあるわけでございます。  そこで、現今の情勢について、まず警察の方からお尋ねをしてまいりたいと思います。  第一に、日本に来る外国人、定着している外国人は別でございますけれども、来日外国人犯罪の増加の状況がどういうふうになっているのかということ、さらに、その犯罪の顕著な傾向が最近何かあるのかということについてお教えをいただきたいと思います。
  105. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 お答えいたします。  お尋ねの第一点は、来日外国人による犯罪の発生状況と傾向でございます。来日外国人の犯罪と申しましても、犯人を捕まえないと、それが外国人によるものなのかあるいは日本人によるものなのかがわかりませんので、厳密な意味の発生状況というのは統計上ございません。したがって、来日外国人犯罪の検挙から見た発生状況というのを御説明いたしたいと思います。  まず、昭和六十二年中の来日外国人の刑法犯の検挙は、件数で二千五百六十七件、検挙人員で千八百七十一人と、ちょうど十年前の昭和五十二年と比べまして件数で約六倍、人員で約五・四倍ということになっております。  それから、件数の増加に加えまして、こうした来日外国人犯罪の傾向といいますか、特徴について申し上げますと、一つは、国際犯罪組織を背景に持つ窃盗あるいは詐欺のようなプロの犯罪集団の犯行が目立っております。二番目に、凶悪犯の数が過去最高になっております。それから、いわゆるジャパゆきさん絡みの事犯の多発ということが注目されるほか、罪種を問わず、来日外国人の犯罪に偽造旅券あるいは別名旅券が非常に多く使われているところが特色でございます。それから最後でございますが、大都市部から地方への拡大。国際犯罪は昔は大都市部が中心であったのでございますが、やはりもう今は全国津々浦々にまで発生が見られる、検挙が見られるということでございます。
  106. 中村巖

    ○中村(巖)委員 このような来日外国人の犯罪が増大をしているという顕著な傾向に対しまして、それはそれなりに警察の方でも対応をしなければならない、従来の警察の体制と大きく変わった体制を組んで対処していかなければならない、こういうふうに思われるわけでありますけれども、警察庁としてはこの問題について最近どういうような取り組みをされておるのでしょうか。
  107. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 こうした状況に対する警察としての対策は、三点ほどございます。  まず一つは、国際捜査体制の強化、もう少し具体的に申しますと、組織づくりと人づくりとでも申しましょうか、そういう面の対策でございます。組織づくりにおきましては、各都道府県警察における国際捜査課、国際捜査を担当する課ないし係を増強、新設をしていく。それから人づくりの面におきましては、外国語ができて、しかもこういった国際捜査に堪能な捜査官を育成していくということで、警察庁にございます国際捜査研修所における研修を拡大し、あるいは管区都道府県レベルでの実務教養の充実を図っております。  二点目は、外国の捜査機関との緊密な捜査協力の推進でございます。国際犯罪の解決のためには日本だけでは十分ではございませんので、各国の警察との情報交換を初めとする捜査協力がかぎでございます。個々の事犯における緊密な協力に心がけることはもちろんでございますが、警察官の協力の主要ルートであるICPOに対して、人的にもあるいは財政的にも積極的に貢献をしているところでございます。  第三には、外国、特に日本の近隣諸国に対する犯罪捜査の面における各種の技術協力の推進でございます。そういうことで、アジア諸国の捜査官を主として対象といたしました国際犯罪捜査セミナーあるいは日本の捜査の専門家を海外に派遣しましていろいろな技術を供与していくという、この種の技術協力を今後も一層推進してまいりたいと考えております。
  108. 中村巖

    ○中村(巖)委員 来日外国人の犯罪、最近では不法就労者が日本にたくさんおって、その人たちの相互の間で犯罪が起こる。そのブローカーを殺したとかあるいはまた同じ仲間の者の金銭を窃取あるいは強取したというような事件も起こっているわけで、このことについて、言ってみれば外国人が日本人に被害を与えるだけでなくて、外国人同士の犯罪すら日本の国内で起こっているという状況。これに対して警察としては万全の捜査体制をもって臨まなくてはいけない、こういうふうに思っております。  次に、日本人が外国に行ってまた犯罪を犯すというようなことも、最近、ここ何年間か非常に起こっているわけです。例えば外国へ日本人が日本人を連れていって保険金を取る目的で殺害したとか、あるいはまたそれ以外にも、外国において外国人に対しても犯罪を犯すということがあるようでありますけれども、最近における外国での日本人の犯罪、これは日本で発覚をしているものもありましょうし、あるいはまたICPOあたりから通報を受けた、こういう事案もあるわけでしょうけれども、どういうふうな状況になっているでしょうか。
  109. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 お答えいたします。  日本人が外国で犯罪を犯して、それがICPOあるいは外務省その他のルートで警察が認知した事件の数を見てみますと、ここ十年間件数でほぼ百件前後、人員で百名から百五十名前後で推移しておりまして、数の上から見ますと、そう大きな増減はございません。ちなみに六十二年を見ますと、件数が八十七件、人員が九十五人という数字でございます。  内容を見ますと、外国における出入国の管理関係の違反、関税あるいは為替関係の違反、それから薬物関係の事犯が非常に多く見られます。  それから国別に見ますと、韓国、アメリカ、フィリピン等の国が多ぅございます。  委員御指摘のように、最近、事前に周到な計画を立てた上で被害者を国外に連れ出しまして、保険金目的の殺人を犯すなどの悪質な事案の発生が目立っております。国情の違いあるいは法律制度の違い、言葉の違い等もございまして、捜査に多大の困難を伴っておりますが、事案の悪質性にかんがみて、警察として積極的な捜査、検挙に努めておるところでございます。
  110. 中村巖

    ○中村(巖)委員 それと、外国における日本人の犯罪としては、いろいろ外国でも指摘をされているようでございますけれども、やくざが外国の、そういうマフィアとか非合法組織と提携していろいろやっているんじゃないかというようなこと、それからもう一つは、国際テロに対して日本赤軍とかなんとかという形で日本人が、この間もナポリの問題がありましたけれども、そういうようなことで日本人が外国でそういったテロを起こすというようなこともあるわけでございまして、こういうような問題については警察としては何らかの対処というのがあり得るわけでございましょうか。
  111. 深山健男

    ○深山説明員 お答えいたします。  私の方からは、暴力団の海外進出状況についてお答えいたしたいと思います。  暴力団は、けん銃とか覚せい剤といった禁制品を我が国に密輸入する、あるいは日本人観光客に対して合法、非合法のサービスを提供するといったような新たな資金源活動を求めまして、フィリピンとかタイなどの東南アジア諸国あるいはアメリカ西海岸、ハワイ、サイパン、グァムといったようなところに進出が顕著になってきておりまして、関係国の捜査機関におきましても、その動向につきまして相当の関心が高まっておるところでございます。しかしながら、これらの実態につきましては、必ずしも私どもとしても明確につかんでいるとは言い切れない現状にございます。このため、昨年の五月に警察庁刑事局捜査第二課に暴力団海外情報センターというものを設置いたしまして、各国の捜査機関及び国内関係機関との関連情報の交換など、取り締まり体制を強化してきているところでございます。  特に暴力団の進出につきましては、アメリカの捜査機関との間で昭和五十五年以来五回にわたりまして日米暴力団対策会議というものを東京とハワイで交互に開いておりまして、具体的な情報を交換することによって取り締まりの徹底を図ってきたところでございますし、また、東南アジアの諸国につきましても、捜査員を積極的に派遣するとか各種セミナーの開催等を通じまして連携の強化に努めているところでございます。
  112. 中村巖

    ○中村(巖)委員 暴力団、やくざに限らず、そういう外国におけるそのほかの犯罪についても、何か警察の方では対処方針というものがございますか。
  113. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 テロにつきましては私は直接所管しておりませんので、一般的に申し上げて、先ほどお答えをいたしましたようにICPOあるいはその他の多国間の組織を通じた協力と、もう一つは個別の事件を通じまして二国間の積極的な情報交換ということを推進してまいりましたし、これからもさらに積極的に推進してまいりたいと思っております。
  114. 中村巖

    ○中村(巖)委員 外国における犯罪というのか日本における犯罪というのかわかりませんけれども、最近新聞紙上によると、麻薬、覚せい剤というものの日本への持ち込みというものが量が物すごくふえておる、こういうことでございまして、さらにまた、けん銃等につきましても相当数のものが日本に持ち込まれているように報ぜられておりますけれども、こういう最近の実態についてはどういうふうに把握しておられますでしょうか。
  115. 島田尚武

    ○島田説明員 薬物の関係につきましては、現在我が国で最も大きな問題となっているものは、御質問ありましたように覚せい剤であります。覚せい剤の供給源は、戦争直後、第二次大戦直後は国内で密造されて、いわゆるヒロポンということで乱用されていたわけでございますけれども、ここ十年ほどはすべて供給源が海外に移っております。昨年、昭和六十二年中の警察による押収量はおよそ六百二十キログラムであります。これは十年間で十倍という急増ぶりであります。これらのものの日本への仕出し国と申しますか、これはパーセントで申しまして台湾がおよそ七八%、韓国がおよそ一一%ということで、最近では台湾ルートが主流となっております。  また、最近ちょっと注意すべきこととしては、フィリピンあるいはタイ、こういったところでも相当な密造が日本向けに行われるようになってきております。したがって、相当警戒を要する。また、ヘロイン、それからアメリカで大きな問題になっているコカイン、大麻、こういうものについても密輸入量が増大しております。これらにつきましては、フィリピン、アメリカ、タイあるいはインド等々から持ち込まれております。  次に、けん銃につきましては、昨年、六十二年中に千五百九十二丁押収しております。御質問は、全体としては相当入っておるのではないかということで、私どももそのような危惧を持っておるところでございますが、押収量としては今申し上げました数字で、ここ数年横ばいという状況です。このうち、密輸入罪が立件できたものに関しては三百四丁ということでございます。なお、これらのけん銃は、判明したもので見ると、フィリピン、アメリカ、ブラジル、こういうところが主な仕出し国というふうになっております。
  116. 中村巖

    ○中村(巖)委員 こういう犯罪というのは巧妙にやるわけですから、なかなか難しいわけですけれども、例えを覚せい剤について言いますれば、覚せい剤などというものが大量に日本に入ってくる、そして覚せい剤犯罪が多発をしている、こういう状況に対して、一般の素朴な国民からすれば、何でそんなに入ってくるんだ、それを抑えることができないのか。そういう覚せい剤を日本でつくるというのもなきにしもあらずでしょうけれども、それは微々たるもので、みんなそれは外国から来るんだ、そういうものを何で阻止ができないのか、こういうふうに思うわけですが、その辺について警察としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  117. 島田尚武

    ○島田説明員 昨年の十一月末から十二月の初めにかけまして、東京において初めて国連の薬物取り締まり機関長を集めた会議開催したところでございますが、そういう会議、あるいは最近のボン、東京、ベネチアと、サミットにおいてもこの薬物の問題というのはテーマとして取り上げられておる。こういう一連の中で出てきておりますことは、特にアメリカ、ヨーロッパでは大きな問題、被害も大きいわけですが、各国共通してこの薬物の問題に悩んでおります。いずれも何とかして流入は阻止できないのかということで、各国とも最大限の努力をしておる。なぜ阻止できないのかと言われると、大変な困難、その中で最大の努力をしていくということ以外に明確にお答えできませんが、いずれにしても非常に微量な隠しやすいものでありながら、百倍にも二百倍にも価格が上がり非常なマージンがあるということで、完全に根絶することが非常に難しい性質のものだろう、しかし頑張っていかなければならぬ、こういうふうに思っているところでございます。
  118. 中村巖

    ○中村(巖)委員 この問題について言えば、流入の阻止ができれば覚せい剤犯罪を抑制することができるわけで、そうすれば裁判所も助かり捜査当局も助かり刑務所も助かる、こういうことになるわけですけれども、それでいろいろ御努力はされていると思いますけれども、一生懸命に対策をお進めをいただきたいというふうに思います。  次に、やはり警察関係でICPOの問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  インターポール、ICPOというものがあって、国際的犯罪について情報交換というか、通報あるいは手配というようなことをやっておることは私どもも聞いておるし、その本部がジュネーブにあるということも聞いておるわけですけれども、ICPOというのは具体的に、概要で結構ですけれども、どういう組織で、日本としてはそれにどういうふうにかかわり合っているのか、その辺をまず御説明をいただきたいと思います。
  119. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 お答えいたします。  ICPO、国際刑事警察機構と呼んでおりますが、この組織は実は前身がございまして、大正十二年に国際刑事警察委員会というのがウィーンに本拠を置きましてできております。これが戦後、昭和三十一年までそのまま続いておりまして、昭和三十一年に現在の国際刑事警察機構に改組になっております。当初はどちらかと申しますとヨーロッパの警察中心の組織だったわけですが、その後加盟国がどんどんふえまして、現在百四十六カ国の警察が加盟しております。  組織的には、最高の意思決定機関である総会、それから執行委員会、それから事務総局、それから国家中央事務局、国家中央事務局というのは日本の場合ですと警察庁になりますが、そういう四つの部門から構成されておりまして、本部はパリにございます。この活動に必要な経費は、主として構成員各国の分担金によっております。  この目的は、犯罪の国際化に対処するために刑事警察相互の国際協力、もう少し具体的に申しますと、刑事事件に関する情報と資料の迅速的確な交換ということを目的に活動しております。  それから日本の関与の状況でございますが、国際刑事警察委員会当時の昭和二十七年に国家地方警察本部長官がこの国際刑事警察委員会に加盟をしまして、その後昭和三十一年に国際刑事警察機構に改組されたことに伴いまして警察庁が構成員、つまり国家中央事務局となって現在に至っております。この間に、警察庁の担当の課長が前後四回にわたりましてアジア地域を代表して執行委員に選出されております。執行委員会と申しますと、やや比喩的でございますが役員会、総会が株主総会であれば役員会のようなものと御理解いただいてよろしいかと思いますが、この執行委員会の執行委員に選ばれております。昭和四十二年には、第三十六回ICPO総会を京都で開催をしております。さらに、現在は事務総局に警察局長を含みまして三名の警察職員を派遣しております。  それからお金の面でございますが、イギリス、フランス、ドイツ等のヨーロッパの主要国と同額の分担金を毎年予算計上して納めております。
  120. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そこはそういう機構があって、それに対して情報交換というふうに言われましたけれども、いろいろ向こうから情報が来て、日本で受信をし、日本からいろいろな情報を向こうへ送っている、こういうことなんだろうと思いますけれども、その情報というのは大体どういう情報を送ったり受けたりしているわけですか。
  121. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 非常に多様な情報でございます。まず情報のルートあるいはネットワークを申し上げますと、ICPO独自に無線のネットワークを持っております。それに加えて、加盟国によりますが、テレックスあるいは電話あるいは国際郵便、各種の連絡方法を通じて二国間あるいは多国間の情報交換をやっておるわけでございます。日本サイドから見る限りでは、やはり一番多い情報は個別の事件に関する情報交換でございます。  数字をちょっと申し上げますと、昭和六十二年中に警察庁が発信をしたり受けたICPOルートの情報数は全体で七千三百五十件、十年前に比べまして約一・六倍に増加しております。ちなみに、警察庁から出た数が千五百九十件、警察庁が受けた数が四千八百七十二件、大体一対三くらいの割合でございます。
  122. 中村巖

    ○中村(巖)委員 個別の事件の情報といいましてもよくわからないのですが、具体的な例を挙げていただくと、どういうことをこっちから送り、どういうことが向こうから入ってくるのか、いかがですか。
  123. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 例として適当かどうかわかりませんが、それでは、日本人が特定の国で犯罪を行ったといたしますと、まずその相手の国からその人間の持つパスポートは本物かどうか、あるいは身元はどうかという、その人の人定に関する質問がございます。あるいは当然のことながら、日本が犯罪に関係してまいりますと、日本においてその人の外国における訴追に必要な各種の情報の提供を依頼してまいります。  今度逆に、先ほどの話にございました来日外国人の犯罪、殺人でも窃盗でもよろしいのですが、そういう事件を検挙した場合、同じように日本側からその人の本国と思われる国へ、身元あるいはこういう犯歴があるかどうか、国内でその者を訴追して有罪にするために必要な各種の情報の提供を求めるというのが基本でございます。
  124. 中村巖

    ○中村(巖)委員 もう一点だけちょっとそこのところを聞かしていただきたいのですが、結局そういうものは全部各国の中央警察と連絡するのではなしに、インターポール経由でみんな連絡する、こういうことになるわけですか。
  125. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 個別の事件につきましては、基本的には日本と相手の、仮にフィリピンといたしましょうか、日本とフィリピンとの間の情報交換が中心になります。ただ、ほかの国にも関係があると思われる情報、あるいは全体が知っておいた方がいいと思われる情報につきましては、ICPOの事務総局にも参考情報として流すというのが基本的な情報の流れでございます。
  126. 中村巖

    ○中村(巖)委員 その関係で、インターポールというのはただ情報交換だけでなしに、いろいろな犯人に関する手配というようなこともやるのだということでありますけれども、私が知る限りではいろいろな手配の仕方があって、赤手配とか青手配とか、さらにまた別の色の手配とか、こういうことがあるらしいのですけれども、どういう手配があって、それぞれについてはどういうことをしてくれという要請になるわけでしょうか。
  127. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 手配書は、対象となる事案が人と物と申しましょうか、人と人以外のものと二種類に分かれます。  人に対する手配は通常赤手配、手配書に色がついておりまして、その色に応じて赤手配、青手配、緑手配、黄色手配、黒手配と五種類ございます。簡単に御説明いたしますと、赤手配は、特定の手配された者に関してこれを発見した国は逮捕してください、逮捕してくだされば逃亡犯罪人の身柄の引き渡しを要求いたしますというような趣旨でございます。青手配は、一種の所在確認あるいは情報手配とも申しまして、こういう人間の所在を確認してほしい、見つけたら教えてくださいという手配でございます。緑は防犯手配と申しまして、一定の条件で詐欺とか、繰り返して犯罪を行う犯罪者に関する情報でございまして、こういうのがいますよという通報でございます。それから、黄色は行方不明者の手配です。それから、黒は身元不明の死体。この五種類でございます。  あとは、人以外の手配につきましては、白の手配の盗難品と申しましょうか贓品手配と、紫は特殊な手口、非常に変わった手口の犯罪があった場合には、こういう手口の犯罪がありますよというお知らせでございます。
  128. 中村巖

    ○中村(巖)委員 日本がその赤手配というものを受けて、犯人をその手配に基づいて国内において逮捕する、身柄を拘束する、こういったことは従来までございますのでしょうか。
  129. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 日本の現行法制では、赤手配書に基づきまして当該外国人を拘束することはできません。したがって、この赤手配書に基づいて仮に発見をいたしましても、身柄を拘束することは、他に国内法でその者を拘束する根拠があればともかく、これだけでは身柄を拘束しておりません。
  130. 中村巖

    ○中村(巖)委員 逆に、日本が赤手配をして外国に捕まえてもらったということはあるのですか。
  131. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 日本は、現在まで赤手配書の発行をしておりません。
  132. 中村巖

    ○中村(巖)委員 これは、やはりそういうようなことによって相互に逮捕し合うということは国内法制上の問題からできない、あるいは外国で捕まえてもらうということは外国との間に条約がないからできない、こういうことになるわけですか。
  133. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 問題は二つあると思います。  赤手配書の発行を日本が行ってない、つまり日本からICPOの事務総局に対して赤手配書の発行の請求をしていないという問題が一つ。それから、仮に赤手配書をそれぞれの国が受け取った場合にどういう根拠でその者の身柄を拘束できるのかという、二点問題があると思います。  第一点につきましては、先ほど申しましたように、日本は外国から赤手配書を現実に受け取っておりますが、国内法制上身柄の拘束はそれ自体ではできませんので、逆に日本が相手国に赤手配書を発行してくれと事務総局に要求して出した場合に、相手国との関係で、相手国が仮にその国の法制によって逮捕、身柄を拘束してくれた場合、日本が同じことはできませんので、いわば相互主義とでも申しましょうか、そういう理由で赤手配書の発行の請求をしておらないわけです。制度上そういうことなんでございますが、現在の情勢にかんがみて何とか赤手配書を発行したいなという希望を持っておりまして、現在外国の制度の調査、それから関係省庁と検討を進めているところでございます。  それから二番目の問題でございますが、赤手配書の制度は別に条約に基づいてやっているわけではございませんので、それぞれの国がその赤手配書を受け取った場合に、それぞれの国の独自の法制でできることが決まっているわけで、国によってそれはばらばらでございます。したがって、一般的に条約がないからできない、条約があるからできるという問題ではないと私は考えております。
  134. 中村巖

    ○中村(巖)委員 日本で犯罪を犯して外国へ逃亡してしまったというような場合も多々あるでしょうし、外国で犯罪を犯したけれどもそれは日本で裁判ができるというような事案もあるわけですから、外国におってもそれは日本で身柄を確保しなくちゃならないというためには、まず向こうの国へ身柄を確保してくれということが言えるような状況というものをつくらなければこれはしようがないんじゃないかというふうに思っておるわけで、その辺については警察庁としてもいろいろ検討されておるんだと思いますけれども、結局今後の検討課題、こういうことになりますか。
  135. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 現在、必要な調査研究を進めているところでございます。
  136. 中村巖

    ○中村(巖)委員 今度は法務省に伺いますけれども、今申しましたように、日本で犯罪を犯しても外国へ逃亡してしまう、あるいはまた日本で公判中に逃亡してしまう、あるいは確定判決があっても逃亡してしまう、こういうような事例というものが相当あるんじゃないかと思いますけれども、この実態はどうなっておりますでしょうか。
  137. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 国外に逃亡していると見られる被告人でありますが、昭和六十二年におきまして五十五名でございます。刑を受けました者はそんなにたくさんはいないだろうと思っております。
  138. 中村巖

    ○中村(巖)委員 こういうものについて、法務省としては何らかの手だてというのはあるのですか。
  139. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 手だてと申しますか、要するに所在を確認するということがまず先決でございます。この所在の確認につきましては、それぞれの検察庁におきまして必要な調査と申しますか、捜査を行っているところであります。
  140. 中村巖

    ○中村(巖)委員 では、ある被告人が某国にいるということが明らかにわかっている場合、どういうふうな措置が可能なんでしょうか。
  141. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 逃亡犯罪人の引き渡しを求めるという道があるわけでございます。ただ、これにつきましては条約の前置主義などをとっている国もありまして、スムーズにいくかどうかということは相手方いかんという面もあるわけであります。
  142. 中村巖

    ○中村(巖)委員 逃亡犯罪人の引き渡しにつきましては、日本の国内法としては昭和二十八年に逃亡犯罪人引渡法というものができておりますけれども、これはどちらかといえば日本に逃亡してきた人間についてある国から請求があったという場合にどうするかというような国内法的なものであるわけでありますけれども、外国との間では、外国から逃亡犯罪人を引き渡してもらうということになると、それはそれなりの条約というものが締結されないとだめだというふうに思うのですけれども、今日本としてはどの国との間にそういった条約を締結しているのでしょうか。
  143. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 犯罪人の引き渡しに関します条約は、我が国といたしましてはアメリカとの間で結んでおります。
  144. 中村巖

    ○中村(巖)委員 なぜ他の外国との間にそういう条約を結ばないのでしょう。
  145. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 我が国の逃亡犯罪人引渡法によりますと、我が国といたしましては条約前置主義はとっておらないわけであります。ただ、相互主義の保証が必要になってまいりますので、我が国が逃亡犯罪人の引き渡しを求められました場合、逆に我が国から相手方に対して引き渡しを求めた場合にも応じてくれるという保証が必要になってくるわけであります。その場合に相手国が条約前置主義をとっておりますと、条約がなければ引き渡してもらえませんので、相互主義の保証がないということになるわけでございます。国際交流が活発化いたしまして、逃亡犯罪人の引き渡しという問題も重要な問題になってきているわけであります。したがいまして、現在のところはアメリカだけとの間に引き渡し条約を結んでいるわけでありますけれども、その辺につきましては、いろいろ各国の法制等の研究も含めまして検討をいたしてはいるところであります。
  146. 中村巖

    ○中村(巖)委員 実際に逃亡犯罪人引渡法に基づいて日本が外国に犯罪人を引き渡したというような事例、具体例、あるいは外国から逃亡犯罪人の引き渡しを受けたというような事例というのは、数の上でどうなっておりますでしょうか。
  147. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 我が国が身柄を引き渡した事例でありますが、これはいずれもアメリカでありまして、昭和五十六年以降でございますけれども、全体で六件、人数にいたしますと七名でございます。逆に外国から犯罪人の引き渡しを受けた事例でありますけれども、これはスイス、フランス、アメリカでありまして、全部で六件、七名でございます。
  148. 中村巖

    ○中村(巖)委員 アメリカの場合は、条約が締結されておりますから構わないわけです。構わないというか、問題がないわけでしょうけれども、スイス等の国から引き渡しを受けるというのは、大体どういうことに基づいて引き渡しの請求をし、どういうことに基づいて引き渡しを受けるということになるわけですか。
  149. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 スイス、フランスの例でございますが、スイスの例はいずれも日本人でございます。フランスの例でございますが、これは在日韓国人でございます。
  150. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そこで、先般フランス人が有楽町の銀行から金を強奪した、その人間は一面においては日本に盗んだ絵画を持ってきて売ろうとしておった、そういう一味であったということであります。警察に伺いますけれども、この事件の捜査はどうなっておりましょうか。一味の一部がフランスで逮捕されているというようなこともあるようですけれども、その辺はどうでございましょうか。
  151. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 お尋ねの事件につきまして、現在警視庁で犯人三名を指名手配中でございます。そのうち二名がフランス国籍の犯人、もう一人がアルジェリア国籍の犯人ということまで判明しております。その後捜査をしておりますと、その二名のフランス人、恐らくフランス国内に潜伏しているのではないかと判断しておりますが、そのうち一名がことしの一月十五日にフランス当局によって逮捕されております。  フランスでは逃亡犯罪人の引き渡しにつきまして、自国民、フランス国民を渡さないという原則をとっておりまして、仮にフランス国でフランス人の被疑者が発見された場合でも日本に対して身柄の引き渡しをしてほしいと要求することができないために、ことしの一月十三日に外交ルートを通じて警察庁の刑事局長名による両名の告発の手続をとっております。一月十五日の逮捕は、この告発の手続に基づく逮捕と理解しております。
  152. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そうなりますと、結局被疑者がそれぞれに外国、殊にフランスにいる限りにおいては、日本でそれらの身柄を確保して裁判にかける、あるいは身柄を確保した上で事件を捜査するということは今後とも不可能、こういうことになりますか。
  153. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 フランス人の被疑者二名につきまして、この者がフランス内にいる限り、フランス当局が日本に逃亡犯罪人としてその者たちを渡すことはフランスの国内法上ございません。  ただ、もう一人のアルジェリア国籍の男につきましては、これはフランスにいた場合でも、フランス国民ではございませんので、渡してくれる可能性はあるわけです。
  154. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そこで法務省に聞くわけですけれども、フランスにそういうような、例えばアルジェリア人の場合であったらフランスで捕まったといった場合に引き渡しを求めることが法的に可能なんでしょうか。
  155. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 それはフランス側の引き渡しの法制がどうなっておるかということにかかわってくるわけでございますけれども、フランスでは自国民は引き渡さないという原則はとっております。しかし、自国民ではありませんので可能ではなかろうかと思います。
  156. 中村巖

    ○中村(巖)委員 時間がだんだんなくなりますので、次へ進んでいきます。  狭い意味での刑事司法共助の関係でございますけれども、刑事司法共助につきましても、国際捜査共助法というものが昭和五十五年にでき上がっているわけでございます。外国から捜査の共助の申し出があった場合に日本国内においてはこういうふうにするんだということはこの法律で決まっているわけでありますけれども、この関係では諸外国との間の捜査司法共助に関する条約というものがないように思いますけれども、その点はどうなっておりましょうか。
  157. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 捜査の共助に関しましては、我が国では国際捜査共助法を設けまして、捜査の共助を受けましたときにこの法律に従いまして必要な捜査を行っているところでございます。  ところで、我が国の国際捜査共助法によりますと条約の前置ということを要件とはいたしておりませんので、相手国との間の条約の有無にかかわらず共助に応ずることができるわけでございます。ただ、これも先ほど申し上げましたように、相互主義の保証ということがございますので、もし相手国が条約が必要であって、条約を結ばない限り日本から共助を頼まれても応じないという場合には、相互主義の保証がないということになるわけでございます。ただ、いずれにしましても、この国際捜査共助法に基づきまして共助を受けております数は各年十件を超えているところでありまして、いろいろな国から捜査の共助を受けておるところであります。
  158. 中村巖

    ○中村(巖)委員 それは次に伺おうと思っておったのですけれども、具体的にどういう国からどういった捜査内容を請求されておるかという点はいかがでしょう。
  159. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 例えば昭和六十二年について申し上げますと、全部で十四件を受けております。国別に申しますと、アメリカ、西ドイツ、フランス、アルジェリア、フィリピンなどであります。  捜査共助の内容でございますが、これは要するに具体的な刑事事件に関する事柄でございまして、著名なものといたしましては、フランスにおける名画事件につきまして捜査の共助を受けたことなどがございます。
  160. 中村巖

    ○中村(巖)委員 具体的事件の内容ではなくて、例えば供述調書をとってほしいとか、物件を捜索、差し押さえしてほしいとか、どういうような要請があるわけですか。
  161. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 それは御指摘のありましたとおりのようなものでございまして、参考人等の供述調書を送ってもらいたいというようなもの、あるいはフランスの名画事件のように、盗難されました名画を差し押さえてもらいたいというようなもの、あるいは必要な資料を送ってもらいたいというようなものなどでございます。
  162. 中村巖

    ○中村(巖)委員 裁判所の証人尋問についてはいまだないように聞いているのですけれども、こういうものは、国際捜査共助法ができて以来、外国から要請をされて裁判所に証人尋問を請求して証人尋問をやったということはございますか。
  163. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 どうも私、今の段階は余りそういう例はなかったように思うのでございますけれども、正確なところはちょっと申し上げにくいところであります。
  164. 中村巖

    ○中村(巖)委員 それではそのぐらいにして、時間がないものですからあと一つだけ伺いますけれども、刑務所の関係ですね。  今、外国人の日本での受刑ということ、それは大体何人ぐらいの人がどういうふうに受刑しているか、刑の執行を受けているか、その状況はいかがでしょう。
  165. 河上和雄

    ○河上政府委員 昨年末現在の数字でございますが、外国籍を有する受刑者の総数が千五百六十五人でございます。ただ、この中にはいわゆる在日韓国人が入っておりますので、生活習慣を異にして、ちょっと日本人の受刑者とは違う処遇をしなければいけない外国人、これを私どもはF級と言っておりますが、このF級の受刑者が、本日現在でございますが、百九十六人でございます。  どういうふうな処遇の違いがあるかと申しますと、結局食事、それから寝具がベッドになるといったようなのが主な処遇の違いでございまして、それ以外、作業その他は普通に行わせております。  なお、この百九十六人の中には、行政協定の関係でもって別の刑務所に入れている二十五人の米軍人の受刑者がございます。
  166. 中村巖

    ○中村(巖)委員 処遇が日本人と違うのだと思いますけれども、例えば食事と今言われましたけれども、食事などについても、日本人の受刑者の一日の主食あるいは副食費というものは決まっている。そうすると、それを今度外国人の場合は金額的にオーバーしても処遇をする、こういうことになるわけですか。
  167. 河上和雄

    ○河上政府委員 予算的には、日本人も外国人も全く一律でございます。ただ、どうしても外国人の関係ですと主食はパンにしております。それから、若干肉が多くなるというようなことで、運用上若干高い食費がかかっているのが実情でございます。
  168. 中村巖

    ○中村(巖)委員 もう時間がないので、最後に一点だけ聞きますけれども法務省アジア極東犯罪防止研修所というものを設けているわけですけれども、これはどういう組織でどういうことをやっているのか、この点だけ伺って終わりにしたいと思います。
  169. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまお尋ねのアジア極東犯罪防止研修所は、昭和三十六年に国際連合日本政府との間に締結された、犯罪の防止及び犯罪者の処遇並びに少年非行の防止及び非行少年の処遇の分野に関し研修、研究及び調査を行うことを目的とする研修所を日本国に設置することに関する条約という長い名前の条約があるのですが、それに基づきまして設置されて現在に至っております。組織的には法務総合研究所の一部門ということでございますし、また、ただいま申し上げました国際連合の一部門を兼ねているところでございます。  人員でございますが、所長以下十九人でございまして、その研修内容は、国際連合日本政府との交換公文に基づき国際連合との共同運営下に実施するアジア極東地域における犯罪の防止、犯罪者の処遇、少年非行の防止、非行少年の処遇に関する研修、研究及び調査を行っているところでございます。
  170. 中村巖

    ○中村(巖)委員 終わります。
  171. 戸沢政方

    戸沢委員長 安倍基雄君。
  172. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 きょうは、非常にデリケートな質問をしたいと思っております。  実は、私は一度聞いてみたいなと思っていた質問なんですが、聞くのにはなかなか勇気を要する質問でございまして、と申しますのは、御承知のようについ最近、国会議員のタクシー汚職の問題で、国会議員がどの程度権限を持っているか、権限の範囲の問題が問われたわけでございますが、私の前任者の横手君というのは、御承知と思いますが、撚糸工連事件で政治的生命を絶たれた。私は彼を非常によく知っておりまして、もともと私は浜松が今選挙区ですけれども、彼はその静岡西部地区で繊維関係の組合の責任者をしていまして、その後請われて福井に行って、福井県全体の責任者をした。私がたまたま法務委員会に来たときに、恐らく彼が引っ張ったのだろうと思いますけれども、自分は余り法律がよくわからぬからというわけで、私が連れてこられたような形になってきているわけでございます。  私は個人的に、彼は非常にまじめな男だったし、彼の家などの写真を見ると、まるでトタンぶきか何かの屋根の、普通の代議士が住むような家ではないような家に住んでおった人間、しかも奥さんは「週刊民社」というか、そういう新聞を配って、それは一つは選挙運動もありましょうけれども、一つはアルバイトみたいな形で、いわばそういう夫婦だったわけですね。それが撚糸工連事件で、百万円でしたかで政治生命を絶った。  もちろん、それは庶民の感覚から言えば、請託を受けて、百万円受けて質問をしたというのは非常にけしからぬことには違いないのですけれども、この辺が一体、私が今疑問に思っているのは、余りこれは自民党を目の前にして言ったら悪いけれども、自民党税調で去年の売上税のときにどの業種がいわば免税になるとか非課税になるとか、そういうことが大分論議されまして、結局幾つかの業種が要するに非課税になった。今回も恐らくこれからの売上税の問題のときに方々の業界から、私のところを非課税にしてくれ、私のところをどうにか見てくれというような陳情が必ずあるに違いない。     〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕 それが自民党税調の中で論議されているときには十分わからないわけですね。こういったものも筋からいえば、もし自民党税調の委員が何らかの請託を受けて金品をもらって自民党税調内で発言して、その結果自民党税調の原案の中にそういった業界のいわば免税措置が生じてきた、そういう原案ができたとするならば、当然同じように涜職の罪になるのではないかなと思われますが、法的に考えていかがでございましょうか。
  173. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 国会議員がその職務に関しましてわいろを収受いたしましたときに収賄罪が成立するわけであります。どのような場合に職務に関したものであるかということになりますと、やはり金品授受の具体的状況なりその前後の状況、背景の状況等、具体的な事実関係が明らかでございませんとその辺のところの具体的なことは申し上げにくいわけでございまして、一般的にこういう場合はどうかという問題につきましては、冒頭申しましたように、要するに職務に関した金品の収受であるかどうかという判断に帰着すると言わざるを得ないわけであります。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
  174. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 でございますから、本当に金品の授受があったということがわかったとしますね。そこで、彼が自民党税調の委員であるということもわかった。彼がそういう発言をしたこともわかった。しかもその場合、請託を受けてというか、そういった事実がわかったら、当然これは同じケースでございますね。これは本当にわかったときには完全に起訴されるのでしょうけれども、その場合は起訴されますね。
  175. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 先ほど来申し上げましたように、具体的な事実関係がわかった場合に、それではそれが国会議員のどのような職務に関してくるのかというそこの判断が必要になってくるわけでございまして、やはりこの問題は事実関係を証拠に基づきまして確実に把握いたしませんと、抽象的、一般的にはお答えいたしにくいところであります。
  176. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は権限問題について聞いているので、例えばたしかこのタクシー汚職のときには何かその当該委員会委員でもなかったと私は理解していますけれども、それが自分の同僚議員にいろいろ頼んでそうしてもらった。自民党税調なんかというのはまさに原案をつくる場所ですから、原案ができたらそのまますぱっと通ってしまう、一番重要な決定機関なわけですね。野党が委員会質問するという話は、実態的には言うだけ言って、結果的にはうまくいなされて終わることが多いわけですけれども、自民党税調内で、そこではっきりと発言してはっきりとそういう結果が出てきた、その前に金品の授受があったとなればまさに権限内、自民党税調の委員としての権限がまさに国会議員としての権限そのものじゃないかな、要するに原案作成者の一人でございますからね。私は何も個々の問題を言っているのじゃないのですよ。そういうケースが起こったときに自民党税調の委員であって、その原案をつくるときにタッチする、それは明らかに国会議員としてのあるいは立案者としてのいわば権限でもあり、一番影響力の大きいことだと私は思いますけれども、いかがでございますか。
  177. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、要するに自民党税調ということじゃなしに国会議員の職務に関するかという、そこに問題があるわけでございまして、これはやはり具体的な事実関係のもとでございませんと、一般的、抽象的にこうだということは申し上げにくいところであります。
  178. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、何も抽象的なことを言っていませんよ。自民党の国会議員だから、自民党税調に出席しているわけでしょう。そこでまさに政府案と自民党案とをぶつけて、最終的な原案をつくっているのですよ。まさに自民党の国会議員としての職務じゃないですか。
  179. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 先ほど来申し上げているとおりでありまして、やはり具体的事実関係に即しませんと何とも申し上げにくいところでございます。特に、国会議員の職務がどうかということは委員の方が一番よく御承知のことではないかと思いますが、どの辺までが国会議員の職務になるのかという問題、いろいろ難しい問題もあろうかと思います。
  180. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 仮定の問題でも何でもないのですよ。個々のケースで、だれがいつ受け取ってどう発言したということの具体的ケースではなくて、そういうケースは十分あり得る。そのときに、その個人は国会議員としての権限のまさに範囲内であると思いますね。野党が質問してそれを答弁を受けてというようなインフルエンスよりは、原案作成のときにはっきり発言してはっきりそういった結果を得る、まさに国会議員の権限内じゃないですか。自民党の国会議員であるからこそ、自民党税調の一員になっているわけでしょう。それをあくまで国会議員の権限内と言えませんか。
  181. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 要するに、職務に関したわいろであるかどうかということに帰着するのでありまして、何回も申し上げておりますけれども、どういう行為が具体的な職務に関するのかということにつきましては、なかなかここで明確にこうだということも申し上げにくいところであります。
  182. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私に与えられた時間は短いから、水かけ論というか、押し合いへし合いだけれども、まさに自民党の国会議員であるからこそ自民党税調の役員になっておる。しかも、政府・自民党原案をつくるのに最もインフルエンスのある立場にあるその人間が、要するにその前に金をもらって発言していればまさに国会議員の権限そのものじゃないですか。その意味で、私は自民党税調は議論を公開すべきだと思います、だれがどう言って、彼がこう言ったということを。たまたま委員会で我々が発言したということが国会議員としての職務として罰せられるのであれば、まさに自民党税調の議論はそのまま公にして公開すべきじゃないですか。どう思いますか。
  183. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 どうも自民党税調の中での発言を公開にするかどうかにつきまして、私お答えする立場にございませんので、そこの辺はひとつ御容赦いただきたいと思います。
  184. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 だから、公開するしないは党の問題かもしれないけれども、ただ、現にそういう事実があれば当然罪になるというべきですね、横手君の百万円が罪になるのであれば。それは国会議員の権限外とおっしゃいますか、その点をお聞きしたい。
  185. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 国会議員の職務権限の外とも内ともあるいは密接関連行為とも、そこのところが私にはなかなか明確にお答えいたしがたいと言っておるところであります。これまで判例にあらわれました国会議員の汚職事件といたしましては、要するに法案の成立に尽力したということ、そのことに関して金品を収受した場合にそれは収賄になるのだという判例がございます。また、委員会におきます質疑、質問に関することが職務であるという判例もございます。また、他の議員に対する働きかけに関することが職務であるという判例もございます。こういう判例がありますれば、この判例にぴたりと当てはまる場合はいずれも職務権限ありということになると考えられます。
  186. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 法案の成立に関与したというか、そうすると法案の原案を作成することに最も力があれば、これは法案の成立に関与したと言ってもいいのじゃないですか、成立という意味、概念ですけれども。法案の原案作成に最も力があった、一遍原案ができれば、その原案というものは多数でもって大体通るのですよ。まさに法案の成立そのものにインフルエンスがあったというべきじゃないでしょうか。
  187. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 法案の成立に尽力したということを職務と見ました判例は造船事件でございまして、これは、既に運輸委員会に改正法案が出ておりまして、その質疑、表決に関するなどして同法案の成立に尽力したということを職務と見たわけでございます。  ただいま委員御指摘の場合は若干違うわけでございまして、この場合に職務に関するかどうかということでございますけれども、この件につきましては、やはり具体的な事実関係を前提にいたしませずに私が抽象的、一般的に申し上げることは妥当でないと思っております。
  188. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 具体的事実関係と言うが、私は個々の案件じゃなくて、今政府原案と自民党の話で、自民党の中で、じゃこの問題を免税にしよう、この業種を免税にしよう、具体的な詰めを行うわけですね。これを免税にすべきだ、すべきじゃないという発言をしてそういう原案をつくるというのは、まさに法案の成立——成立をどう見るか、原案ができてから可決するところを成立と見るのか、原案をつくる段階の方が一番問題なわけですよ。それはあくまでもこういった法案をつくるための、成立にインフルエンスを与えたということは、まさに該当すると思います。  あなたは具体的案件がないとおっしゃるけれども、抽象的にこういうことと言えば、それでもって十分一つのケースはわかるわけですよ、だれがどうこうしたじゃなくて。言うことはわかりますか。具体的にこの業種を免税にするというような議論をするわけですね。政府原案からその部分を落として免税にさせた、明らかにそれは、私は具体的に指摘しているわけです。政府が出した原案には免税がなかった、ところが自民党の方に行ってある業種が免税になった。それは、ある人の発言、ある人の強い主張によってなったというのは、まさに法案の成立のときに関与しているわけですね。要するに、単に委員会議論して手を挙げる挙げないというのは余り大して影響力はないので、どういう法案に最終的にするかという、それは法案の成立のための一つの行為ですね。  刑事局長はいろいろ議論する人だと私も思っておるけれども、私はきょう本当に時間がないものだから残念だけれども、そういう成立という概念のところで、それが実際成立に全然関係していないとは言えないですよ。じゃ、原案の作成に関与するときには全然国会議員のあれじゃないのですか、インフルエンスを行使したことにはならないのですか。原案ができてからの話ですか、成立というのは。原案をつくる段階が一番大事じゃないですか。政府の原案に対して自民党税調で修正を行えば、まさに成立に関与したというべきじゃないですか。何も抽象的なことは言っていませんよ。具体的なことを言っていますよ。
  189. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 国会議員の職務権限には、いろいろな場合があるわけであります。職務に関してわいろを収受すれば、それがわいろ罪になるわけでありまして、その場合、私がここで申し上げられますことは、これまでの判例の中では国会議員のこういう職務に関してわいろが行われた場合に収賄罪が成立しているということ、これは私もここで責任を持って申し上げられるわけであります。その中の一つとして、先ほど来申し上げておりますように、委員会におきます法案の質疑、表決に関与するなどして法案の成立に尽力したということ、これがやはり国会議員の職務であり、その職務に関してわいろを収受すれば収賄罪になる、こういう判例はある、これは私としても申し上げることができるわけでございます。
  190. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この問題、どうなんですか。裁判所に聞いてみても、裁判所は裁判官じゃないのだな、事務局なんですね。この点は、裁判所の見解をちょっと承ってみましょうかね。これは、本当にこれからしょっちゅう起こり得るケースなんですよ。私、野党ですけれども、野党の質問権、それがすぐ収賄にひっかかるならば、原案作成のときにタッチして、政府原案をつくるときにある業種をドロップさせるとか、ある業種を要するに免税の方へ持っていくとか、そういうことで積極的に発言をして、それを実行する。そのときに収受がなければ別ですけれども、収受があったならば、私は当然より重い罪になるのじゃないかなと思います。いかがですか。
  191. 吉丸眞

    吉丸最高裁判所長官代理者 先ほど来いろいろ御意見を伺っておりますが、事実認定も関連する大変難しい法律解釈の問題であろうと思います。私ども裁判所の立場といたしましては、そのような一般的な法律の解釈につきましては意見を差し控えさせていただきたいと思います。
  192. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ちょっときょうは限られた時間で、これを繰り返し言ってもどうも水かけ論になるようですけれども、これは大きな問題なんですね、国会議員の職務権限。今までの判例はあるかもしれませんけれども、私は一番国会議員が、特に政府原案と自民党原案でぶつけ合うときに、政府原案に自民党が、この前の話でも、要するに横手君の場合は政府の担当官に影響を与えて、そういう発言を引き出して、行政措置をさせた、それでもって罪になった。それよりも、例えば一つの業界から献金を受けて、それでその業界が本来は政府原案では課税対象だったのを非課税業種に持っていった。これは、そこの行政官にちょっと話をしてどうやってもらうより以上の非常に大きなあれですよ。  だから逆に、国会議員の権限ということについて解釈をすれば、横手君的なものが本当に国会議員の権限となれば、まさに自民党が政府税調や自民党税調である業種を免税に持っていく、そのために献金を受けて発言をした、これはもう抽象論じゃないのですよ。現実的にあり得る問題。それが全く罪にならないというと、それはおかしいのだな。今の場合、なかなか証明しづらいという面があるわけだけれども、もし万が一証明されたらどうですか。実際上、A議員があるところからお金をもらって、この業界はどうしても免税にすべきだと発言をして、その結果免税になった、政府原案がそうなった、そういう具体的なケースの場合に、どうなんですか、国会議員の職務権限と言えないのですか。さっきの、政府委員から答弁を引っ張り出してそういう行政措置をさせた以上のいわばインフルエンスを与えているじゃないですか。国会議員の地位でもって、権限でもってやっているじゃないですか。いかがですか。
  193. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 先ほど来いろいろ申し上げているところでありまして、国会議員の職務は広い面もあるわけでございます。それで、私として一般的と言いますとまたおしかりを受けるかもわかりませんけれども、具体的な事実関係のもとで、こういう事件についてこういうふうに処理をしたとか、こういう判例があるということは申し上げられるわけでございますけれども、そうでない一般的な事実を前提といたしましてこの場合どうだというふうに質問を受けましても、私としても非常にお答えをいたしにくいわけでございまして、その辺のところは御理解をいただきたいと思います。
  194. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 きょうは残念ながらあと四、五分しかないので質問主意書の形にするか、ともかくこれは国会議員の権限を広く解釈すれば本当に何でも入ってしまうのですよ。確かに汚職なんというのはよくないことに決まっている。けれども、こういう密室で行われる政策決定、そこにおいて一番大きな汚職があり得るのですね。トタン板の屋根に住んでいる横手君が本当に気の毒、気の毒なんと言っては、こういう発言は非常に注意しなければいかぬだろうけれども、国会議員の職務権限というのは何だと、もう一遍突き詰めていかないと非常な不公平が起こるのですよ。私はきょうは本当に惜しいのだな。あと一時間ぐらい延々とやりたいのだけれども、水かけ論だからこの問題はまた改めて聞きますよ。  もう一つこの問題に関連して、この前の議論のときに、定期的に後援会としてもらっていれば多額でもいいのだ。ところが、その前にぽんともらって発言したのだから悪いのだという議論もあったと思うのですよ。しかし、定期的に巨額の金をもらう場合と、たまたまこの発言のためにというのとどちらがどうなのかな。それじゃ、定期的に後援会としてもらっていればいいのかどうか、その辺はどうなんでしょう。
  195. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 これまたおしかりを受けるかもわかりませんが、要するに定期的に金を受け取っているとか、あるいは政治献金であるとかいう、そういう名目とかといったものとは別にいたしまして、実質的に見ましてどうかということであろうかと思うわけでありまして、要するに証拠を収集いたしまして、証拠を総合いたしまして、実質的に見てどうかという判断になってくるわけであります。
  196. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 きょうはこの辺でやめておきます。もう一遍、もう少し長い時間のときによく具体的に、ともかくこの問題は今後よほど考えていかないと、私どもこういうことを発言するのは非常に危険なんですよ、おまえ後ろ暗いところがあるなんて思われてしまうから。けれども、これは国会議員としてどこまでが権限であるのか。国会議員の権限を非常に広く解釈されると、これは国会議員はみんなこう手が回ってしまうのですよ。だから、司法によって全部国会議員が縛られてしまう。今言った密室でやった連中だけがわからなくて、こういうところでやった連中はみんな手を縛られてしまう。とんでもない話ですよ。裁判中かもしれないので、裁判にインフルエンスを与えるつもりで言ったのじゃないけれども、一つの問題点として取り上げて議論すべきだと思いますね。  ちょっと時間を残しておりますけれども、きょうはここでやめておきます。
  197. 戸沢政方

    戸沢委員長 安藤巖君。
  198. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、過去二回にわたりまして当法務委員会でいわゆる統一協会なるものの悪徳商法に対する措置の問題を取り上げてまいりました。  具体的には、幸世商事株式会社、それが株式会社世界のしあわせというふうに商号変更、それがさらに株式会社ハッピーワールドというふうに商号変更しておるが、これは実体的には全く同じもので、全く違法、不当な悪徳商法あるいは詐欺まがいの商法、さらには霊感商法というのをやってきておるということ、それからこの悪徳商法が、統一協会が背後にあってこういう会社を偽装してやっておるのだ、だからここにメスを入れなければ徹底的な追及はできない、根絶させることはできないということを申してきたわけです。  ところで、このたび、先月の十八日でありますが、日本弁護士連合会が「霊感商法被害実態とその対策について」、これは二回目でありますが、こういう文書を発表いたしました。これは新聞にも大きく報道されておるところであります。これには、今申し上げましたような幸世商事、あるいは世界のしあわせ、あるいはハッピーワールドという販売組織の内部資料をもとにしまして、この商法が全国的に統一的に組織的に行われておる。もちろん全部は紹介する時間的な余裕はありませんが、例えば四十三ページを見ますと、結論だけ申し上げれば「霊感商法にかかわる販売業者群の背後に統一協会の存在が推認される。」ここまで言い切っておられるわけであります。こういうような日弁連の意見書と言った方がいいのですか、これが出されておるということは刑事局長は御存じですか。
  199. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 承知いたしております。
  200. 安藤巖

    ○安藤委員 この日弁連の指摘は、私が先ほど言いましたように、過去に指摘してまいりましたことをそのまま裏づけていただいていると思うのです。  そこで、文化庁に来ていただいておるのですが、文化庁は、三月三十一日付で各都道府県知事あてに文化庁次長の名前で「宗教法人に関する認証事務等の取扱いについて」という通達を出しておられるわけです。これもまた全部紹介する余裕はありませんが、その冒頭の部分を見ますと、「かねてから宗教法人の認証事務等の適切な執行について御配意いただいているところであります。」とあって、「しかしながら、最近宗教法人の脱税その他その運営が不適正と思われる事例等が見受けられる」これでは「社会的な信頼が失われかねないことが憂慮されておる」、こういうような書き出しで四点にわたっていろいろな指導措置をとることということが述べられておるわけですが、こういうような通達を出されるきっかけには一体どういうものがあったのでしょうか。
  201. 根木昭

    ○根木説明員 先生もあるいは最近の新聞等の報道で御承知かと思われるわけでございますけれども、特に最近宗教法人による税の申告漏れ、そういった事例あるいは積極的な脱税といったような事例が頻々と報道されておるわけでございます。また、収益事業につきましての適切でないような運営、さらには不活動の宗教法人を活用というのですか、悪用といいますか、これをもとにいたしまして一種の税対策に利用しようといったような動きが背景にあるわけでございます。そういった事情がございますので、宗教法人をめぐりましての社会的な批判というものが最近とみに高まってきておるという一般的な状況があるわけでございます。  もとよりその背景には宗教法人の側のいわゆる法人の意識と申しますか、そういった意識の欠如といったようなこともあるわけでございますけれども、最近の際立った特徴といたしまして、宗教の外部の者が宗教法人を通じまして、宗教法人等にのみといいますか、宗教法人に限定されて認められておりますいろいろな事業を実施しようといったようなケースとか、あるいは税の優遇的な措置、そういったものを利用しようといったような動きが背景にあるわけでございます。そういったことから、先ほども申し上げましたように宗教法人を見る社会一般の目というものが非常に厳しいものになっているという状況がございます。  したがいまして、宗教法人は全国に約十八万三千余あるわけでございまして、その大半のものにつきましては適正な運営がなされているというふうに私どもの方では理解しているところでございますけれども、そういったケースが新聞報道されることによりまして、宗教法人一般に対する信頼性が失われかねないといったような懸念もあるわけでございます。そのようなことから、去る三月三十一日付をもちまして、私ども文化庁次長名で各都道府県知事に対しまして、先ほど先生のお読みになりましたような通達を出したということでございます。
  202. 安藤巖

    ○安藤委員 今文化庁の方からは新聞の報道で知っておられるだろうというお話だったのですが、例えばこれは秋葉原のミナミグループというのが秋田へ進出しようとしたということだとか、それから宗教法人が申告漏れ、日本聖道教団というのですか、これが載っておるのですが、こういうことを言われたのだというふうに私は理解するわけです。  それからごく最近、これも私は新聞の報道で知ったのですが、いわゆる天地正教、これは霊感商法をやってきておるということで知られておるところですが、この天地正教といいますのは、先ほど私が申し上げました日本弁護士連合会が指摘しておる霊石愛好会、これもよく新聞に出てくる名前ですが、これも宗教団体、これがことしの二月一日に名前だけ変えたのが天地正教だというふうに言われておるのですが、そういう事実がそのとおりかどうかということと、この天地正数に対して、この前は東京地方裁判所が脅迫的に百万円献金させられた女性の訴えを認めて天地正教の不動産を仮差し押さえをする、こういうことがなされたわけですが、この天地正教という宗教団体に対して文化庁はどういうような態度をおとりになっておられるのか、あるいはとろうとしておられるのか、お伺いします。
  203. 根木昭

    ○根木説明員 天地正数につきましては、これは北海道知事所轄の宗教法人でございまして、昨年の十一月、当初天運教という名称のもとに認証をされております。それがことしに入りまして、一月になりまして天地正数というふうに名称を変更して現在に至っておるという状況でございます。  先ほど先生おっしゃいましたように、特に二月末以降天地正数に係りますいろいろな新聞報道があるわけでございます。その中に霊石愛好会との関連を云々されるといったような向きもあるわけでございますし、先ほどもおっしゃいましたような献金に係る被害ということも新聞記事の中には看取できるところがあるわけでございまして、特に東京地裁によりまして本部の土地の仮差し押さえの決定がなされたといったような事実も一方ではございました。  そのようなことがあるものですから、所轄庁としての立場から、北海道におきましても近々天地正敷の責任者に、おいでいただくかどうか、そのやり方、方法は別といたしまして、事情をいろいろお伺いしたいということで、今先方とコンタクトをとっている最中であるというふうに北海道の方からは報告を受けておるところでございます。ただ、代表役員の方が、女性でございますけれども、体調が余り芳しくないというようなこともございまして、まだ具体的な聴取にまでは至っていないというのが現在の段階ということでございます。
  204. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、先ほど申し上げました日本弁護士連合会の意見書の中に、神戸地方裁判所昭和五十二年一月二十一日の判決の内容を引用しておるのですが、神戸地方裁判所が認定した事実を日弁連の意見書の内容からかいつまんで紹介をしますと、「幸世商事は、」これは今ハッピーワールドになっているわけですが、「もとより法的には統一協会と別個の法人ではあるが、いずれも統一協会の信者等で組織され、経営されている会社であって、統一協会から出資や事業資金の貸付をうけ、他方統一協会の信者たる右各会社の役員や、従業員等はその報酬、給料の殆どを統一協会に献金しており、」中略しますが、「少なくとも以上の限りでは、右各会社と統一協会との間にも人的及び金銭的な関連のあることが認められる。」こういうふうに神戸地裁は認定をしておるわけです。  そこで、これは国税庁にお尋ねしたいわけであります。  今の神戸地方裁判所の認定にありますように、幸世商事、あるいは世界のしあわせ、あるいはハッピーワールド、この役員あるいは従業員とここには指摘されておるのですが、ほとんどは販売員でありますが、その収入をほとんど統一協会に献金してしまっているというようなこと。それから、具体的に被害に遭った人たちの話を聞くと、そしていろいろな事実関係から見ますと、例えば幸世商事からつぼを、大理石のつぼと称するものがよく商品として扱われるのですが、それを八千円で仕入れる。幸世商事が卸すわけです。それを一万円で売れば二千円の利益。それがいろいろな霊感商法をやって、一万円ではなくて五十万円あるいは百万円、二百万円と、こういうふうな暴利をむさぼるということになってくるわけですね。そして、きのうも我が党の藤原議員が衆議院の商工委員会でお尋ねをしたときに、経済企画庁の調査でも、昭和五十九年からことしの一月にかけて約一万件の被害があって、百五十億円になっている。経済企画庁の調査でもそうなっている。となると、これは相当莫大な利益を上げておきながら、所得を隠す、収入を隠す、こういうことをやっているのじゃないか、いわゆる脱税をやっているのじゃないかというふうに思われるのですが、こういう点については国税庁の方は何か対策を考えておられるのか、そんなことわしは知らぬということなのか、お尋ねしたいと思います。
  205. 川端健司

    ○川端説明員 お話の中には非常に個別的なお話もございますけれども、私ども、個別の事柄についてはちょっとお話を差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げましても、宗教法人につきましては法人税法に収益事業を営む場合に限って法人税の納税義務があるということになっておりますし、それから一般法人あるいは個人でございますね、これにつきましては、日ごろから私どもあらゆる機会を通じまして納税者の課税に有効な資料、情報の収集に努めまして、課税上問題があるという場合には実地調査を行うということでもって適正な処理に努めてきております。  先生御指摘の問題につきましても、以上のような観点から適正な処理に努めておりますし、また、努めてまいりたいというふうに思っております。
  206. 安藤巖

    ○安藤委員 何か一般論みたいな話ですが、今私が具体的に幸世商事、世界のしあわせ、ハッピーワールド、幸世商事を代表的に言うたのですが、現在は商号はハッピーワールドですが、具体的にそういうようなものに対しても、あるいはその従業員の収入等についても適正に対処するよう努めていきたい、こういうふうにお聞きしていいですか。
  207. 川端健司

    ○川端説明員 先ほど申し上げましたとおりに、私どもの方は絶えずそのような有効な資料収集に努めまして、それが課税上問題があるという場合にはどのようなものでありましても調査対象に取り上げて、極力適正な課税の実現に努めるという責務を負わされているわけでございますし、そのために努力してきているわけでございます。今後とも先生御指摘のお話につきましても、新聞あるいは雑誌等について私ども承知しておりますが、その辺の情報等を十分に念頭に入れながら、やはり問題があるというものにつきましては課税の適正に努めていくというような立場にあるということを御理解願いたいと思います。
  208. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、日本弁護士連合会が引用している神戸地方裁判所の指摘、それから日本弁護士連合会が、最初に申し上げましたようにこういう「業者群の背後に統一協会の存在が推認される。」と言っておるわけですね。となると、そのもとの統一協会をねらわないと、対象にしないといけないのじゃないかなと思うのですが、その辺はどうですか。
  209. 川端健司

    ○川端説明員 個別にわたる事柄でございますから、答弁は基本的には差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先生御指摘のとおりにこの統一協会は宗教法人でございます。 したがいまして、宗教法人につきましては、法人税法に定めるところの収益事業を行っているという場合には納税義務があるわけでございますけれども、実際そういうようなことであるかどうか、一般論的には私どもの方はそういう目で物を見、また、それに従って対応してきているわけでございますので、そのための一般的な資料収集、納税者あるいはこの場合一般的な話として宗教法人として課税に有効な資料情報の収集には日ごろから努めているわけでございますから、そういう意味では、一般論でございますけれども、本件につきましてもそのらち外ではない。そういうことでもって、私どもは適正な課税に努めていくということでいつも仕事をしていると御理解願いたいと思います。
  210. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、刑事局長にお尋ねをしたいのですが、最初に申し上げましたように幸世商事とかハッピーワールドは統一協会の関連企業であり、その商売のやり方が、この前にいろいろ指摘をさせていただいたときには、これは前田刑事局長さんのときですが、いわゆる薬事法違反とかあるいは詐欺、恐喝に当たることをやっているというふうに指摘をさせていただいたわけです。それはいろいろそういう商事とか別の会社の名前を使っておりますけれども、実際は統一協会がこれをやっている、やらせておるんだということを指摘しまして、そこへメスを入れなければいけないということも主張してきたところです。  ところが、議事録も持ってきておりますけれども、前田前刑事局長は違法行為があれば厳正に対処するということは言っておられるわけですが、さらには「捜査の過程で御指摘のようないわゆる統一協会の関係者ではないかということも一応問題にされたようでございますけれども、」ということで、なかなか煮え切らぬ御答弁ばかりいただいておったわけです。しかし、先ほど言いましたように日本弁護士連合会が向こうの内部の資料に基づいていろいろ調査をした結果、「霊感商法にかかわる販売業者群の背後に統一協会の存在が推認される。」こういうふうに言っているわけです。そして、これは第百九回国会、昭和六十二年九月十六日の当法務委員会議事録でありますが、ここで岡村刑事局長さんは私のこういう統一協会についての一連の質問に対して、「こういう犯罪が組織的な犯罪である、あるいは会社ぐるみの犯罪であるといったような場合には、捜査といたしましては、そこが明確になるならばそういった組織あるいは会社と申しますか、そういったものにさかのぼっていくような捜査をいたさなければいけないことは事実だと思っております。」こういうふうに答弁しておられるわけです。  大体の御記憶はおありだろうと思いますが、そうしますと、先ほど来私が言うておりますように、日弁連がいろいろ調査をした結果、背後には統一協会があることが推認されるのだ、統一協会があるのだ。これは、今紹介しました刑事局長の御答弁によると「そういったものにさかのぼっていくような捜査をいたさなければいけない」というふうにおっしゃってみえておるのですね。となれば、まさに今いろいろ世上で問題になっております霊感商法、違法、不当なこういう商法を取り締まる、被害者を出さないということのためには、さかのぼっていく、統一協会まで追い詰めていくことが必要じゃないのかなと思うのですが、どうお考えですか。
  211. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 検察当局といたしましても、いわゆる霊感商法ということにつきましていろいろ報道もされ、社会的関心が高いという事実は承知いたしているところでございます。具体的に刑罰法令に触れるような刑事事件を担当いたします場合には、もしそれが組織的な犯罪、会社ぐるみの犯罪でありますならば、検察といたしましてもその上部にさかのぼった、根源を突くような捜査に努めるというふうに承知いたしているところであります。
  212. 安藤巖

    ○安藤委員 今おっしゃったことは、先ほど私が引用したこととほとんど変わらない。ちっとも進んでいないのですよ。だから、私があえて前の答弁を引用しましたのは、そうおっしゃってみえておる、今おっしゃったようなことをおっしゃっておるわけです。日弁連のこういう指摘もある。それから、私がこれまで何回かにわたって指摘したこと、統一協会が完全にあるのだ、だから統一協会まで手を伸ばさなければこの根っこは断ち切れないと思うのですが、もうちょっと前向きに答弁してください。
  213. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 統一協会と申しますと、先ほど御指摘のありました神戸地裁の裁判判決でございますが、これは要するに外為法違反で起訴いたしまして無罪になりました事件につきまして、無罪理由の中で述べられたところであるわけでございます。いわゆる霊感商法と言われます事件につきまして、統一協会が明白にその背後にあってこれが組織的に犯した事件である、そういう実態が解明されたことはこれまでにないと私は思っておるわけでございます。そういう意味におきまして、統一協会が背後にあるということまで刑事事件の立場においては申し上げにくいところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、こういった事件を検察が捜査いたします場合には、その背後関係等にさかのぼった捜査は必要な捜査として当然に行うものであると思っておるところであります。
  214. 安藤巖

    ○安藤委員 時間がもうほとんどなくなりかかっておりますので、最後に大臣にお尋ねしたいのです。  今いろいろお聞きいただいておって、刑事局長にも御答弁をいただいたのですけれども、こういう霊感商法あるいは詐欺まがいの商法、あるいは脅迫的なことを言って、とにかく献金をしないと、あるいはこれを買わないと先祖の霊が慰められないのだ、恨んでいるのだ、こういうようなことでもって多額の献金をさせたり、あるいは多額の品物を、本来は安いものを何百倍にも値段をつり上げて売りつける、こういうようなのを根絶しなければならぬと思うのです。だから、そういう点につきましては、先ほど来私が指摘いたしておりますように、刑事局長も根源までということは力説しておられるのですが、そういうような姿勢をきっちり持っていただく必要があると思うのですが、その点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  215. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 この事件が刑事犯に該当するものでありましたならば、検察の方で十分捜査をいたし、そしてまたそれが組織的であるということになりましたならば、組織にさかのぼりまして必ず捜査をするということで努力をしてまいります。
  216. 安藤巖

    ○安藤委員 最後に文化庁にお尋ねしたいのですが、天地正教の関係につきましては先ほどのような御答弁をいただきました。今ずっといろいろお話を申し上げていて、天地正教も背後に統一協会がある、霊石愛好会が名前を変えたというのははっきりした事実です。日弁連の指摘も、統一協会が背後にあると推認されると言っている。統一協会という団体にまでさかのぼっていろいろ宗教法人のあり方に関して調査をするとか、こういうようなことはお考えになりませんか。
  217. 根木昭

    ○根木説明員 統一協会につきましては、これは東京都知事所轄の法人でございまして、実は昨年の四月でございますけれども、所轄庁としての立場から、東京都におきましても霊感商法に関して新聞紙上等で統一協会が取りざたされているけれどもどうなんだということをお聞きいたしております。それに対しまして、統一協会の関係者からはああいった事業はやっていないというふうな回答を得たという旨の報告を私どもはいただいておるところでございます。
  218. 安藤巖

    ○安藤委員 いろいろ指摘をいたしましたので、今後も十分その点についての監視、指導を怠らないようにやっていただきたいということを要望いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらさしていただきます。
  219. 戸沢政方

    戸沢委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会