○
保岡委員 これは今度の
法案の
共同提案者になっている、もう一人は大統領候補者にもなったサイモン議員が
共同提案者になって、民主、共和両党での非常に主要な人物が共同提案に加わっているわけですが、このハッチ議員から我々の同僚議員である参議院の加藤武徳
先生への手紙で、こういうことが書いてあるわけです。
法廷通訳法制定は連邦
裁判所において、英語を話せない人々に対し、施される司法の質を実質的に向上させることになったが、法はその全ての目標を達成することができない一定の欠陥を含んでいたのです。これらの中で最も問題なのは、法が連邦大陪審での資格認定
通訳の使用を保障する上での失敗です。
日本国民である神山威氏の場合、資格認定されていない
通訳により、英語に
通訳されたところの大陪審での
日本語による証言を
根拠として、
政府は偽証起訴、及び
合衆国での有罪判決を勝ち取ったのです。しかし、神山氏が刑期を全うしたずっと後になって、その
通訳は私の小
委員会での証言で、実質的な
通訳上の過ちを犯したことを認めたのです。
私の
法案は、資格認定された大陪審
通訳を、
日本語を含む追加言語における、
通訳の資格認定とともに保障するものです。
これは当初の案にはそうなっていた。
残念ながら、今日まで法のもとでは、
スペイン語の
通訳しか、資格認定されていません。私の
法案は前会期
議会により、通過しませんでしたが、私はこの
動きを進めてゆくつもりです。なぜならば、「法のもとの司法の平等」は我々の立憲政体の礎石であり、この
法案は欠陥を是正し、
合衆国連邦
裁判所での
合衆国の言語的少数派の
権利を保障するからです。
これだけ強くこの事件に
関心を払って、当時の
委員長であるハッチ議員から我々の
国会議員の同僚に手紙が来ている。しかも、
私は、あなたとあなたの同輩の
方々がこの言語的少数派の
権利へのコミットメントを分かち合うと信じています。我が両国間の増大し続ける文化、経済、政治における結び付きから考えて、私はこの時に、
日本の
国会が
「
日本の
国会が」ですよ。
同様の
法案の
制定を考慮するのが適切であると提案したいと思います。
こういうような手紙を送ってきているわけです。
私はこれを受けてこの間の質問をして、さらに、この間の私の質問をハッチさんに加藤
先生が送ったわけです。そうしたら、それに対してこう言ってきているのです。「お手紙と同封資料、ありがとうございました。
合衆国上院において、
サイモン上院議員と私により共同で提案された
法廷通訳改正法案に類似した
法案を
成立させることに対し、非常に多くの
日本の
国会議員が
関心を持っているのを知り、私は心を動かされています。」「あなたの手紙と衆議院法務
委員会議録からの抜すいは、この
法案を通そうとする私達の
努力に助けとなります。」
日本の
国会議員の皆さんによろしくお伝えください。こういうことで返事が来ているわけです。ですから、私としても、まず
政府がそういったことにきちっと対応してもらうということが大事だと思うのです。
それと同時に、
我が国の法
制度も相互主義といったら厳密な
意味ではすぐには対応できないかもしれませんけれ
ども、
法廷通訳制度あるいは
捜査段階の
通訳の
正確性に対する
制度的担保、こういったものをもっと真剣に考えなければいけない。第一、この間質問したときに、
裁判所で例えば
被告人が
外国語で発言する。そうするとそれは、
通訳がそこについていて、調書には
通訳した
日本語が載るわけなんです。あるいは
外国の証人が証言をしたその
外国語は消えて、そのとき
通訳した
通訳の言葉が載るわけです。だから、
外国語で黒と言ったものを白と訳したら調書には白と載るわけです。ところが白と訳した
通訳の言葉は、そのまま白と載っているのだから調書の間違いにはならないわけです。一体どういう救済方法があるのかということすら、今の
日本の
制度では明確になっていないわけです。
これは往々にして録音されていることが多いから後からチェックできるでしょうと言われるのですけれ
ども、私が聞く限りでは、
法廷における
通訳というのは非常に専門用語が出てくるし、
被告人もあっちへ行きこっちへ行き、あるいは証人もあっちへ行きこっちへ行き、場合によっては支離滅裂な証言をする。そういうものを自分で要約してまとめて、意を体して
通訳するということは、これはなじまないわけなんです。そういうことで非常に
通訳も苦労するし、またそういう言葉をそのまま即時に
裁判所に、
関係者に翻訳してみせるということ自体非常に難しいわけですけれ
ども、しかしながら一方でまた同時に、
通訳がいろいろな
手続を
説明してあげるということも必要ですね。そういうことで、場合によってはその国の
制度と比較して
説明してあげなければよくわからぬということもある。
そうなると、
通訳というのは、
我が国の法制では鑑定
制度が準用されているのです。しかしながら鑑定というのは、あらかじめ与えられた資料を十分検討して、その経験則による判断過程を理由書にきちっと書いて、そして文書で
提出する。鑑定自身が証拠調べになるし、鑑定人というのは証拠方法だ。しかしながら、
通訳というのは証拠方法でもないわけですから、証拠調べでもないわけですから、それに付随してついてくるという特殊な立場もありますし、またその場でぱっと聞いて、瞬時に資料を与えられて、そうして通常鑑定でなされる経験則の判断の理由などは抜かして、結果だけをそこで伝えるわけです。ところが言葉というのは機械的にただ置きかえるというわけじゃなくて、
背景事情やいろいろなこと、センテンスの並びなどから、ハウスという言葉が
国会になったり家になったり家庭になったりするわけでしょう。
こういったいろいろな判断をしているわけで、それに加えて私は何よりも重要だと思うのは、
通訳というのは、
法廷に出ていても当事者としては全く暗やみの中に置かれるわけですね。そういう暗やみの中に置かれている人に
基本的人権を保障する
制度の
意味をわからして、それに対する攻撃、防御の機会を正確に与える、そういう役割もあるとすれば、これは
被告人の補佐人的な役割を担っているのじゃないですか。言葉の通じないものはだれも、
裁判官といえ
ども検事といえ
ども弁護士といえ
ども、それを保障することが
法廷でできないわけです。それを本当に
被告人の立場に立ってきちっとできるのは
通訳だけだということになれば、これはもう
通訳の地位というのは単なる証拠調べに関連して出てくるだけじゃない、あるいは当事者の尋問に関連してくるだけじゃない、極めて地位の特殊性があるんじゃないかと思う。
裁判そのものは、私は人間社会全部、コミュニケーションが前提で、コミュニケーションは言葉が大前提になるわけですが、
裁判においてだってまさに特殊なコミュニケーションの中で厳格に
実体的真実発見、
基本的人権擁護という二つの
要請をきちっと満たせるように構築していくものだ。そのコミュニケーションの基礎に言葉があるとすれば、言葉が、
日本語が解せない、話せないという
外国人や身障者の場合はその
通訳をつける、手話人をつける。こういうものの
正確性を担保するということは、これは
基本的人権上非常に重要だ。身障者の問題はさることながら、それも同じレベルで大事ですが、
国際化がどんどん進んでいく。
外国からもどんどん
日本に入ってくる。
外国に
日本人がたくさん出ていく。そういう公平な公正な
裁判を確保する上で、この
通訳というものの持つ
意味を改めて考えてみなければいけないのじゃないか。
録音テープを
我が国の
制度では義務化されてもいないし、事実上やっているだけだ。問題がないから、今まで
通訳とそれから録音とを比較してどんな過ちが起こり得るのか、実際に正しく行われているのか、これから新しく
通訳を養成するときにはマニュアルを与えて専門用語やいろいろな
制度や仕組みを
説明していくのにもっといい工夫はないかとか、そんなことが全く今まで問題にされていないためになされておりませんというのがこの間の
裁判所の答弁だったと思います。私は、そういった
意味で後で
通訳の会社に聞いたら、自分たちでいろいろマニュアルをつくって、「公判
手続」「裁 ○○さん、
通訳人の宣誓をお願いします。」「通 宣誓、良心に従って誠実に
通訳することを誓います。」とか、いろいろな人定質問から始まってずっと大体モデルみたいなものをつくって、自分たちで一生懸命教えているわけです。これは、判決や起訴状とかいろいろなことになるとなかなか難しいわけなんですよ。そういうことで
裁判所も
捜査当局もその後、この間私が
指摘した点について、
努力をきちっとしている。そして
法廷通訳制度あるいは
捜査における
通訳の
正確性の確保、こういったものについて非常に重要であるということは認識したということでありますし、今後研究します、勉強しますというお答えだったのですが、具体的にどういうことをその後始められたか、これを簡潔に、時間ももうありませんので、
裁判所、
法務省、警察、この三者にちょっとお答えをいただきたい。