○有島
委員 指導教員は今の問いに対して三五・九%ですね。それから、対象
教員の方々がむしろ三四・七%ですね。これは積極的な答えをしているわけですね。あとはちょっと消極的なんですね。
それから、その上の欄を見ますと、aというのとbとの関係が、aというのは後から何か取ってつけたみたいに見えるわけです。それで書き方も違うのですね。ほかのは全部どのように考えている、考えている、考える、こうなっているんだけれ
ども、ここのところだけはちょっと言いっ放しみたいなことで、aを読んでみますと「新任
教員の資質・力量等を高め、実践的
指導力等の向上に役立つ」、と考えているというふうにはなっていない。それは別に
言葉じりをつかむわけじゃないのですよ。こういったところで馬脚をあらわすということがあるんだから。僕たちも、こういったアンケートでも随分苦労してやったから、こういうのがよく見えるわけです。この欄は校長
先生六八%、同じような問いで。ところがbの方は、もっと詳しく聞いてみるとこれが二八・九%に減っちゃっているわけです。この減り方が、初めは六八%あったのが二八・九%に減る。これは何だか間違いだったんじゃないかなと思うのですね。もう一遍よく検討し直してください。だれが見てもおかしいなと、ちょっとした統計をやっている、あるいはアンケートをとっている玄人に見せてごらんなさい、ぱっと見てそう言いますよ。
それから、二枚目の問いの三、「
初任者研修において、どのような
研修内容を特に重視すべきだと思いますか」という問いなんですね。この中では、
学級経営とか
教育技術、
指導方法等、こういったものについて
研修してもらいたい、ここのところに大体ピークが集まっているわけだ。校長
先生にしても大体二七%、三〇%。それから
指導教員についても二六%、三〇%。対象
教員についても二七%、二七%。これが一番集まっていて、あとは何だか〇・幾つだとか一・四だとかいろいろ書いてある。一般教養に期待します、という人は校長さんで一・四、
指導教員で〇・六、対象
教員では〇・七。だから、さっき
大臣がおっしゃった中で、これはちょっと一般教養については余り本気にしておらぬ、むしろ技術的なことを期待しておる。bとcは足せば二七%と三〇%だから五七%になる、そういうわけにいかないのですよ。これはきっと、僕はそのアンケート用紙を見ていないけれ
ども、重複した人が答えています、そんなふうな答えがここには出ておりますね。それから、こっちが考えていることと一年間
研修をやった人が考えていることと、大分ズレがあるなということは認識しなければならぬと思うのですね。
それから、四ページ目の校外
研修の
期間を年間三十五日とすることについてどうだということですね。七十日にすることについてどうだというのもありますけれ
ども、三十五日の方でやりましょう。そうすると、これはbで適当な
期間であると思っている人が、校長
先生で五五・九%、
指導教員が五〇%、対象
教員では四一%、約半数の人たちは適当だなというふうに思っておる。ところが、もっと短縮すべきだという人も随分いるんですね。校長
先生で三九・二%ですか。これも相当参考になるものでしょうね。
それから、五ページ目の問い六の「
初任者研修制度は、
初任者の実践的
指導力等の向上にどのように役立っていると思いますか」、これが一番大変なところだ。このaの「教科
指導力等の力量が向上した」あるいは2の「
学級経営等の力量が向上した」、これが先ほどの問い三の一番期待されている項目に相対応している答えになるわけでしょう。それから、
教師としての使命感を増したとか、視野が広くなったとかいろいろな問いがあるんだけれ
ども、それははかばかしくないんですね。それから、
指導力の力量向上というのが一番あるわけなんだけれ
ども、これが校長
先生で二一・二%、十人に二人くらい、五人に一人くらいの校長
先生が、ああ確かに効果があったな、こう思っていらっしゃる。それから
指導教員もやはり二一%です。
この試行のアンケート、後の方に、
児童生徒との触れ合いについてという、何か随分問題になっているのも出ておりますね。
時間がありませんからこの程度にしておきますけれ
ども、この試行はやはりもう少しやってみないとだめなんじゃないかなという感じがしませんか。私は、これは一年だけじゃまだちょっと不足だと思う。カンフル注射とかそういった頓服薬じゃないから、これは
教育のことだから、漢方薬みたいなものだから、そんなに結果が早く出てくるとは思いませんということがあるかもしれませんよ。ですから、もう少し試行をしっかりやって、それで、このアンケートなんかももう少し考えておやりになった方がいいのじゃないか。これを拝見して、そういうような感想を持ちました。
それから
大臣、今回、一番最初の
大臣の所信表明に対する質疑というところで、わずかな時間をいただいたので私が
大臣にお尋ねした問題でございますけれ
ども、この
教育改革全般というのが三つの柱に支えられている。その第一番目が生涯学習社会の建設ということでしょうね。それから二番目が個性、それから三番目が新しい時代への対応、こんなことになっているわけですね。
それで、この生涯学習社会への転換、こういった大きな枠の中にあっての新しい
教育技術あるいは教室も、今までのトイメンに向かい合っているだけのやり方、それは随分いろいろな工夫がされているわけですけれ
ども、そういったこと等
教育の方法の「バラエティーも随分これからも変わっていくだろう、そういうことをみんな含んでやっていくわけでしょう。そうしてその中での生涯学習ということでございますけれ
ども、従来は、
教師みずからの自覚といい、あるいは親たちの期待といい、あるいは
行政府の皆さん方からの期待といい、
教師たるものは完全無欠であってもらいたい、文句をつけられないようにしてもらいたい、そして、この
指導要領によってちゃんと決まっていることはきちんと教え込んでもらいたい、こういういわば完全主義であり、また権威主義であったものが、これからはその権威がなくなっちゃう、なくなるというわけじゃないけれ
ども、従来の権威主義とはちょっと違ったふうに踏み出さなければならなくなってきたわけですね。
教師だからといって完全ではない。それで、このアンケートの中でもって僕が一番感心したのは、
指導教員になっていらっしゃる方々の大部分の方々が、この
指導をやったことによって自分の勉強になりました、という項目があるんですね。これはもう非常に胸を打たれる。これはよかったなと評価をするのです。ですから、今度新しい
教員の方々もそういった生涯学習の人なんだ、それから教えている人たちも、
指導教員になったのはおれはそのキャリアがあるからだ、わしのとおりにやれば今後間違いないぞというわけにはいかぬというところ、これが非常にいいところだ、それは評価していきたいと思うんですね。
その問題と並行して、もちろん
教員はそうなんだけれ
ども、教わる
子供たちも、自分たちは不完全、未熟なんだから教わる一方というんじゃなしに、不完全で未熟でもその子たちなりに歳下の
子供たちの世話を見てあげる、人間性の中にはそういった本性をみんな持っているんだし、それは後後の生涯学習、こういったことを支えていくもとにもなるんだし、道徳のもとにもなるんだから、なかなかやりにくいでしょうけれ
ども、異年齢児混成の
教育実践の場をなるべくたくさんおつくりなされる、これが並行していかないと、僕はこの
教育研修も片手落ちになっていくんじゃないか、こういうふうに思う。
そこで、あのときにはそのお答えをいただけないではしょっちゃったのですけれ
ども、文部当局におかれましても、異年齢混成の
教育実践ということを奨励もし推進もしたいというような御意図であったけれ
ども、どんな形でもってやっていらっしゃるのか、御報告をいただきたいと思うのです。