○
鍛冶委員 なぜ私が改めてこういうことをお尋ねしたかといいますと、五十八年でございましたけれ
ども、IPUの会合がソウルでありました。それに私が
日本国を代表して出席させていただいたときに、例のラングーンにおける
事故が——ちょうど私
たちと入れかわりに
韓国から前の大統領を
中心にあちらの方に行かれたのですね。その直後に私
たちは空港に着陸をして入国したわけですけれ
ども、すぐにああいう事件が起こりまして、そして、
韓国の
中心で動いていらっしゃる
方々がああいう悲惨な
事故にお遭いになった。我々も大変悲しい思いだったわけでございますけれ
ども、そのときにいろいろと大使館の
方々と
お話をする機会がございまして、私もいろいろと突っ込んでお聞きをいたしました。そうしましたら、
留学生対策、また特に
留学生を
東南アジアの
方々を
受け入れてやるときにはよっぽどの
心構えでやらないと、これは
日本自体が将来生きていく上にも、また世界平和に貢献するためにも大変だということを実は痛感したことがあるのです。それは何かといいますと、そのとき出た話で、
日本に来る
東南アジアからの
留学生は、いわばその国々において
一流といいますか一番
トップクラスの方がどうも
日本に留学してこない、そういう話が実はありました。結局、
一流という
トップクラスの
人たちは、やはりアメリカでいえばハーバード、イギリスでいえばオックスフォード、ケンブリッジ、こういったところに、
欧米の方の一番よりよき伝統のあるいい
学校にどうしてもみんな留学してしまう。そういう
方々がそこで
教育を受けて帰ってきて、そしてその国の
中心になって
いろいろ国を動かしておる。そういう仕事をしておる方が多いわけですね。それで聞いてみましたら、そのとき急逝せられた、不幸にも亡くなられたのですが、そういう
方々の中で、本当に
日本へ留学して
教育を受けたという方はどうもいらっしゃらなかったようです。結局
日本の国に留学してくる
方々はトップの
方々ではない。そう言うと
留学生の
方々に失礼かもわかりませんが、そのとき出た
お話をそのままお伝えしているわけですが、私がなるほどと思ったことでございまして、
日本が
留学生を
受け入れる数だけの態勢はつくっても、本当にそういう
人たちが
日本に来て
教育を受けて、また自分の国へ帰ってそれを役立たせて国を動かしていく
立場であるという方がどうも少ないような話をお聞きいたしまして、やはり
我が国の
留学生対策、
受け入れる数もさることながら、その中身の問題を含めていろいろと我々が反省をしないと、これからの
日本が世界のために生きていく、また
日本自体が生きていくためにもこれは大変まずいのじゃないかな、こういう気がしているわけです。
この前もちょっと
質問の中でも申し上げたように、
欧米でも
日本の
教育、特に
義務教育段階では高い評価があるというふうに申し上げましたが、そういうことで喜んでおるというわけにもいかないわけでございまして、そういう高い
水準に
日本が来ておるのならば、そしてまた、経済の裏には
日本の
教育のすばらしさがあるという認識ができつつあるのならば、この点については、ともすれば
マスコミ報道を見ますと
留学生が
日本に来てかえって
反日感情を持って帰るというような
お話もありますので、それはいろいろなことが理由でありましょうけれ
ども、やはり根本は、我々がそういう
方々を温かく迎え入れ、そして本気になって、その
人自身にもまたその人の所属する国のためにも、その方が
人材になっていただきたいという本当に厚い心からの願いが
留学生の
皆さんの心にしみ込んで、またそれが長い長い
日本との
友好関係のきずなになっていくのではないかなというふうに思うのでありまして、日中の
友好回復もやはり
周恩来元首相が
日本におられたということが非常によかったのではないか。合理的に
考えるといいながら諸
外国もやはり浪花節的なところがあるのだろうと私は思います。あそこの国には同級生がたくさんいる、その中で
日本は本当にいい
教育をしてくれた、周囲の人もきちっとした
対応をしてくれた、忘れられない国だと。ですから、私がこういうふうに申し上げるまでもないのかもわかりませんけれ
ども、
大臣に
お答えいただいたそれはそのとおりであると思いますけれ
ども、もう
一つ深いところから、そういう切り口で
留学生問題というものは見ていかなければならないのではないだろうか。そうしないと結局いろいろな
留学生対策をやったことがかえってマイナスで、
反日感情で帰ってしまうということではどうにもならない。そういう
意味で、
個々の細かいこと、また大切なこと等については先ほど申し上げましたように各
委員会で
相当論議をされておるようでございますので、細かいことは申し上げずにこういう御
質問を申し上げたわけでございます。この点についてもう一度
大臣の
お答えをお聞きしたいと思います。