○草川
委員 私、今度はこういう質問をしたいと思うのですが、中央酪農
会議というのがございますが、そこの内部に乳価・
取引等対策
委員会というのがあります。中央酪農
会議というのは、農林省の先輩の方々も随分いろいろと関連をしておみえになりますから十分承知をしてみえる団体だと思うのですが、この文章を見ますと、非常に強い調子でいろいろなことを言っておみえになります。
一つ紹介をしますと、これはことしの二月九日の「昭和六十三年度生乳
取引に当っての基本的考え方」という文書になっておるわけですが、「昨年度は、多くの指定団体において生乳
取引交渉の早期妥結を急ぐあまり、販売乳量に重点を置き、大幅な値下げとなったことを反省し、今年度は需給改善の実態を踏まえ、安易に妥協することなく、ねばり強く対応」したい。そして二番目にも、メーカーの利益は生産者にも還元すべきではなかろうかという趣旨の問題提起。それから四番目には、「乳業者側の整合性を欠く要求や、乳業者だけの利益を目的とした、一方的な不当要求に対しては、乳業者の駆け引きに惑わされることなく、毅然とした態度で拒否」をしたい。それからまた、各地区で「情報交換を密にして生乳
取引交渉を円滑に行うものとする。」というような趣旨のことが書いてあります。
こういう非常に強い
言葉で「基本的考え方(メモ)」というのが出ておるわけでございますが、これは先ほどから
課長が、各地区で自主的に
交渉しておるのですよ、どちらが強いとか弱いとかいうことではない、そして
交渉もそれぞれの条件でうまくいくのではないだろうかという、非常に楽観的な御答弁をなすっておみえになりますけれ
ども、私は事態は非常に深刻ではないだろうかと思うのです。
課長の三月二十四日の酪農部会での記者会見の大人げないことをしないようにという発言は、乳業メーカーに対して牽制球を投げた、その
課長のスタンスというのは、明らかに今申し上げたような中酪からの問題提起あるいは生産者の
立場というのをそれなりに理解をしたからこそ、このような発言になったと私は思うのです。でありますから、それならばなぜもっとメーカー側と生産者団体との話し合いというのを、中央でいろいろなことを話すような機会をなぜつくらないのか、こういう不満があるわけであります。
ちなみに、中小企業協同組合法には、大手メーカーに対して下請等の会社が団体
交渉の申し入れをした場合には、応諾義務というのが明確に書かれております。労働組合は言うまでもないことですけれ
ども、使用者側に対して
交渉したい、そして団体
交渉の申し入れをした場合に使用者側が断れば、不当労働行為という処分を受けることになるわけです。あるいは労働
委員会は、話し合いをしなさい、
交渉しなさいということが言えるわけであります。今の生産者団体とメーカー側との
関係は、明らかにそういう状況に来ておるのではないだろうか。
だから、実際上の乳価
交渉ということになりますと、「その他向け」ということで非常に安く買いたたかれてしまって手取りが少なくなるというような問題があったり、あるいは先ほ
ども触れておりますように、今なおきちっとした文書契約というのがなされていない。こういうことがずるずるとここ数年来続いておるわけですから、私は、酪農家の方々の
立場というのは非常に苦しいという状況に陥っているのではないかと思うのです。だから、酪農家の若い青年なんかと、後継ぎの方とお話をしますと、本当に将来が不安だということを何回か言われるわけであります。少なくとも物を売る場合には、きちっとした契約書があって物を売るわけです。そして、その保証があったからこそ支払いがあるわけであります。
農家の方々は指定団体というものを信用して牛乳を納入する。指定団体は一生懸命になってメーカーと
交渉する。しかし、メーカー側の方の力が強いために、残念ながら
最後になって拒否をされると困るから、泣く泣く「その他向け」という条項を認めて安い生乳というものを納入せざるを得ない。だから私は、そういう問題を解決するには、中小企業等協同組合法で認められたような応諾義務というのをきちっとメーカー側にも与えてやるような配慮をすることが、指導官庁である
農水省の大人げないことをするなという
言葉につながっていくと思うのです。だから、
言葉の問題ではなくて、そういう
交渉に対する応諾義務をきちっとしてあげるようなことがなぜできないのだろうか、これを私
どもは繰り返し申し上げておるところであります。
そこで、全国生乳連という組織がございますけれ
ども、これが一番なじむ組織ではないだろうか。細かい
価格交渉は各県段階で結構だけれ
ども、メーカーとの話し合いの基本的な条件等については、全国生乳連という農業協同組合をせっかく
農水省も認めたわけですから、それに与えてあげたらどうだろうということを私は申し上げたいわけであります。しかし、これは生乳の販売事業を行っていないからだめだというような非常に冷たい態度を
農水省は持っておみえになるようでございますが、そういう時期ではない。全国の中央酪農
会議の方でも、ことしの生乳
取引については厳しいぞ、こういう非常に強い指示を出しておるわけですから、せっかく全国生乳連というような農業協同組合を
農水省は認めたんだから、そこでメーカーとの話し合いの場を提供するという
気持ちはないのかどうか。
労働組合的に言うならば、総評、同盟というものがある、新しく連合というのが生まれたわけですが、この連合だって
政府と
幾らでも話し合いをしておるじゃないですか。あるいは、日経連という経営者団体と
一般的な話し合いをしております。賃金を
幾らにするのかという話を連合という組織は日経連としておるわけではありませんよ。
政府と話し合いをしておるわけではありませんけれ
ども、大きくことしの賃上げについては基本的に我々の考え方はこうだから
政府よろしく、あるいは日経連どうだ、あるいは日経連の方からは、そうは言うけれ
ども国際
経済に対応するにはしかじかかくかくというような話が出る。そういう話が末端に流れてきて、それぞれの各県の段階における指定団体とメーカーで、我が県はこうやりましょう、隣の県はこうやりましょう、こういう
交渉になっていくと思うのですが、根本のところが、いわゆる基本的なスタンスの理解がメーカー側と酪農団体との間にないものですから非常に条件が悪くなる、買いたたかれるという状況が生まれるのではないかと思うのですが、その点はどうお考えになられますか。