○水谷
委員 大変厳しい状況であることはもちろんであります。日米首脳会談の折でも、レーガン大統領は牛肉を挙げて竹下総理に話をされるという状況がございました。また、今大統領選挙の真っ最中、さらには経済的に見ればアメリカの
我が国に対する対日赤字の問題、日本がますます国際競争力を持ってくる、それに対するいら立ち。もう総合的に、アメリカの代表が
我が国に対して自由化を要請するという
環境が余りにも整い過ぎている中での
我が国農業を守れるか守れないかというぎりぎりの交渉でありますから、これは並み大抵の交渉ではないことは十分
承知しているわけであります。今大臣がおっしゃいましたお気持ちで、どうかひとつ最後まで
基本方針をしっかり守って、
我が国の農業が二十一世紀において大きな禍根を残したと言われないように、全力で取り組んでいただきたいと思います。
改めて私が申し上げるまでもございませんが、今
生産者の中、また自由化のいろいろな議論の中で言われていることは、アメリカみずからが食肉輸入法といういわゆる実質的な輸入数量制限措置を持っていながら、
我が国に対する一方的な自由化要請というのは全く理不尽である、筋が通らぬ、こういう怒りの声というのはもう
生産者だけではなくて、今
消費者団体とかいろいろな方々もそのことをおっしゃっているわけであります。これから先のことですからどういう形になっていくかわかりません。ガットの
理事会にそれが提訴されパネルが設置されそこでいろいろな議論が行われるということがあったとしても、このアメリカの三〇一条項をかざしながら、非常に一方的に自由化を迫ってくるこの手法を許すということは、本来のガットの精神から完全に外れる。いわゆる公平な自由貿易、国際秩序を保つ上からも、これは許されてはならないことであるはずなのです。
そういう
意味では、加盟国また
理事国各国に対する本当のあるべき姿というものを、この前の十二品目の問題ではいろいろ反省もなさっている上に、農水省だけではなく外務省も
政府ももっともっと努力をすべき点はあったはずであります。しかし、努力をしなかったと申し上げているのでは決してございません。一生懸命努力をされたのでしょうがああいう形になりました。今回のこの牛肉、オレンジについては、仮定の論理でありますが、そのような場合には、
政府・与党一体というふうに常におっしゃっているわけでありますから、各省庁総力を挙げてこれは取り組み、国際世論を形成するぐらいな闘いをしていただかなければ国民の皆様方に御納得をしていただくことはできない、このように思うわけであります。
ECの世論
調査結果が二月に出ております。十二カ国で一万五千人、うち農業者が約四分の一、これを
対象にして行ったECの世論
調査の中では、十人に七人は世界第二位の農産物輸出国たる地位を守るべきだ、このように指摘をし、そのうちの半分は、たとえ
消費者負担が幾らかふえても輸入農産物から域内農業を保護すべきだ、いわゆるEC全体の世論がそれを支持をしている。御存じのとおり、EC
予算の六七%を農業に費やしている。それにもかかわらず農業を支持すべきだ、こういう世論形成が行われている。また、欧州農業団体
委員会のハリスカ事務
局長も、永久の友はあり得ない、食糧を外に依存するのは危険だ、このようにも明確に言っておられる。どんなに国際化という状況の中でも、完全なる単一国家になっているわけではございません。確かに、経済は国際化の中で一国だけが孤立はできない。完全に連動して経済は動きます。しかしながら、将来の人類の人口増の問題やら異常気象の問題やらいろいろ考えて、FAOであれ、すべてが自国において少しでも食糧の自給率を高めるべきである、そのような方向を各国にいわば義務
規定のようにして打ち出してきているわけであります。
そういう中にあって、この間行われた
我が国における総理府の世論
調査でも、どんなに高い農産物でも構わないというお声では決してございません。コストの低減を図り、
生産性の向上を実現し、本当に納得できる価格で、その上で国内自給を高めるべきである、安易な輸入は避けるべきであるというのが、この間の総理府の
我が国における世論
調査の結果でもあるわけであります。この牛肉、オレンジは、前の十二品目と同様、本当に今日まで
我が国の基幹として据えられてきた大切なものであります。どうか、再三申し上げるわけでございますけれども、もちろん国際化された
社会の中で
我が国が孤立をすることはできない。孤立はできないけれども、国民経済並びに国民
生活を犠牲にしてまでその道を選ぶ必要は決してない、ここを
一つ明確に認識し、守っていただかなければならない大事なところであろうと思うわけ、であります。眞木経済
局長、現場で何度も何度も本当に一方的なその問題の中で大変御苦労してこられましたが、これからもいろいろな形で交渉の場にお出になると思いますけれども、私が今申し上げましたことを踏まえて御
見解を承っておきたいと思います。