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1988-05-17 第112回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十七日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 竹中 修一君    理事 近岡理一郎君 理事 月原 茂皓君    理事 戸塚 進也君 理事 前田 武志君    理事 宮下 創平君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       江藤 隆美君    村井  仁君       森下 元晴君    谷津 義男君       上原 康助君    角屋堅次郎君       井上 和久君    鈴切 康雄君       川端 達夫君    浦井  洋君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 瓦   力君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長   佐々 淳行君         防衛庁参事官  小野寺龍二君         防衛庁参事官  福渡  靖君         防衛庁参事官  児玉 良雄君         防衛庁参事官  鈴木 輝雄君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 日吉  章君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁長官 友藤 一隆君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁建設         部長      田原 敬造君         防衛施設庁労務         部長      山崎 博司君         外務省北米局長 有馬 龍夫君  委員外出席者         警察庁刑事局国         際刑事課長   兼元 俊徳君         沖縄開発庁総務         局企画課長   嘉手川 勇君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         外務省国際連合         局科学課長   日向 精義君         通商産業省貿易         局輸出課長   村田 成二君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   今野 秀洋君         特許庁総務部工         業所有権制度改         正審議室長   山本 庸幸君         内閣委員会調査         室長      大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   内海 英男君     奥野 誠亮君 同月十七日  辞任         補欠選任   大出  俊君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     大出  俊君     ───────────── 五月十三日  行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報保護に関する法律案内閣提出第八二号)  統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案内閣提出第八三号) 同日  国家機密法制定反対に関する請願岡崎万寿秀紹介)(第二五九四号) 同月十六日  傷病恩給等改善に関する請願田中龍夫紹介)(第二七六二号)  同(谷垣禎一紹介)(第二七六三号)  同外一件(塚原俊平紹介)(第二七六四号)  同(月原茂皓紹介)(第二七六五号)  同(中村正三郎紹介)(第二七六六号)  同(増岡博之紹介)(第二七六七号)  同外二件(三ツ林弥太郎紹介)(第二七六八号)  同(持永和見紹介)(第二七六九号)  同(森喜朗紹介)(第二七七〇号)  厚木基地艦載機連続離着陸訓練に伴う被害防止に関する請願加藤万吉紹介)(第二七七一号)  スパイ防止法制定に関する請願天野公義紹介)(第二七七二号)  同(塚原俊平紹介)(第二七七三号)  国家機密法制定反対に関する請願岩佐恵美紹介)(第二七七四号)  同(児玉健次紹介)(第二七七五号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二七七六号)  同(寺前巖紹介)(第二七七七号)  同(中路雅弘紹介)(第二七七八号)  同(中島武敏紹介)(第二七七九号)  同(野間友一紹介)(第二七八〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二七八一号)  同(松本善明紹介)(第二七八二号) 同月十七日  スパイ防止法制定に関する請願葉梨信行紹介)(第二八七六号)  傷病恩給等改善に関する請願大坪健一郎紹介)(第二八七七号)  同(加藤紘一紹介)(第二八七八号)  同(鹿野道彦紹介)(第二八七九号)  同(鈴木宗男紹介)(第二八八〇号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第二八八一号)  同外二件(佐藤恵紹介)(第二九三〇号)  同(小宮山重四郎紹介)(第二九三一号)  同外一件(葉梨信行紹介)(第二九三二号)  同外一件(船田元紹介)(第二九三三号)  同(細田吉藏紹介)(第二九三四号)  同(山崎拓紹介)(第二九三五号)  旧治安維持法等による犠牲者の賠償に関する請願石井郁子紹介)(第二九二二号)  同(工藤晃紹介)(第二九二三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二九二四号)  同(中路雅弘紹介)(第二九二五号)  同(不破哲三紹介)(第二九二六号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二九二七号)  同(正森成二君紹介)(第二九二八号)  同(山原健二郎紹介)(第二九二九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 五月十七日  人事院勧告完全実施に関する陳情書外二件(第四七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第七号)      ────◇─────
  2. 竹中修一

    竹中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内勝彦君。
  3. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 先週の本委員会におきまして、外務省よりいわゆるGSOMIA、この問題に関して留保いただきまして、本日冒頭におきまして、その全翻訳、それから外務省としてのこのGSOMIAに対する御見解、そういったものを御答弁いただく約束になっておりましたので、何とぞわかりやすく、かといって余り時間もあれでございますので、簡潔に御答弁いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
  4. 岡本行夫

    岡本説明員 まず最初に申し上げます。  前回の当委員会におきまして竹内先生から御指摘のございました三種類GSOMIAでございますけれども、これは私どもといたしましてもワシントンにおいて我が方の大使館を通じて確認いたしまして、米国が確かにそれら三ヵ国すなわちルクセンブルグイスラエルフランスとの間で結んでおりますいわゆるGSOMIA協定であることを確認いたしました。  アメリカとルクセンブルグの間のGSOMIAについて特に先回お尋ねがございました。私どもが入手し、また、ワシントンにおいて確認いたしましたこの協定について、一言御要請に応じて御紹介いたします。  もとより、再三明らかにしておりますとおり、これは第三国間の協定でございますので、私どもとして立ち入って中を御説明ないしコメント申し上げる立場にはないわけでございますけれども、私ども承知いたします限り、この協定は、米国ルクセンブルグの両国の間でやりとりされます秘密軍事情報相互保護することを定めたものでございます。  この協定は、受領国提供国からもらった秘密情報は、提供国政府承認なしに第三国政府に開披してはならないこと、また、受領国政府提供国政府が行っているのと同程度の秘密保護を与えなければならないこと、また、情報を与えられた目的以外に使用してはならないこと、さらに、受領国政府特許著作権等私的権利を尊重すること等が規定されておりまして、それに続きまして、保護されるべき情報の定義、対象とされるべきもの、保護のための手続管理責任等について定めた協定と理解しております。
  5. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一つ抜けていますね。御見解ということを私申し上げましたけれども前回委員会におきましてもお約束いただいておりますね、外務省としての、政府としての御見解
  6. 岡本行夫

    岡本説明員 このGSOMIA協定につきます我が国としての態度というお尋ねでございますれば、これは私ども従来から明らかにしてきておりますとおり、日本としてはこのような協定というのを結ぶつもりも意図も全くないということに尽きるわけでございます。  なお、先回の委員会での御質問に対しまして、私どもとしてこの種類協定の全貌を正確に把握しておりませんでしたのは、私どもとしてこの種協定は公開されてないということを聞いておったためもございますけれども日本としてこのような協定を一切結ぶつもりがないということから、従来正確な状況を把握してなかったという次第でございます。
  7. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 日本としてこのようなものを結ぶ考えを従来から持っていなかった、ここに問題があるのだ。このような協定を従来から結ぶ考えがなかったというならば、従来わかっていたことじゃないか。おかしい、もう一度説明
  8. 岡本行夫

    岡本説明員 私ども一般的な知識といたしまして、米国NATO諸国等との間で軍事情報秘密保全に関する一般協定というものを結んでいることは承知しておりました。私が先ほど申し上げましたのは、我が国は、現在米国と結んでおります種々取り決め、その中には秘密保護体制について種々規定があるものもございます、それらを超えた枠組みを米国との間で結ぶつもりは全くない、このような御答弁を従来もほかの委員会等の場において私どもから申し上げている次第でございます。
  9. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 従来からこういうような協定があったことは知っていました、いつからですか。
  10. 岡本行夫

    岡本説明員 再三申し上げておりますとおり、一般的な知識としてこのような協定米国NATO諸国等との間で結んでいるということは私どもも知っていたわけでございます。これは、米国文書等にもそのような取り決めをほかの国と結んでいるということを紹介するものがございました。ただし、その内容については私ども承知をしておらなかった、こういうことでございます。
  11. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 私の質問にちゃんと答えてくれなきゃならぬ。  一般的なことでNATO諸国と結んでおることを知っておった、いつから知っておったのか。
  12. 岡本行夫

    岡本説明員 時点を正確に特定することはできませんが、米国との間で技術移転取り決め等交渉を行う際、秘密保護の問題は必ず米側との間で話題になるものでございます。  この秘密保護体制につきましては、御承知MDA第三条がございまして、それを受けまして種々のケース、プロジェクトに応じて細目取り決めがある、その細目取り決めあるいはそのもとの実施取り決め実施細則によって、秘密保護ということは我が国の現行の国内法制によって保護されているわけでございます。したがいまして、いつからそのような協定米国NATOとの間で結んでおったか、それは随分前からの話と思いますけれども、私どもは現在のやり方で十分である、我が国軍事情報保全のための一般的な協定米国と結ぶつもりは全くないという方針で首尾一貫しておったということでございます。
  13. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 すりかえちゃいかぬのだ。米国NATOとの間でいつから交渉が始まったとか、いつからこういう締結が始まったとかというようなことを聞いているのじゃない。そういう米国NATO諸国との間でこのGSOMIAなるものがあることを一般的な情報として外務省が従来から知っておった、それを知ったのはいつからか、こう言っているのだ。もう一度。  委員長、これは余り時間をとられるとちょっと困りますね。時間がないのだからよろしくお願いします。
  14. 岡本行夫

    岡本説明員 私どもがいつから一般的な知識とて知っておったかという時点は、特定することは不可能でございます。
  15. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それではMDA細目取り決め、この問題が俎上に上がってきたのは大体いつころでございますか。
  16. 岡本行夫

    岡本説明員 MDAは、はるか昭和二十年代にさかのぼる協定でございまして、そのもとでの細目取り決めというのは、例えばライセンス生産などが典型的な事例でございます。これがいつごろから結ばれておったかということについては、むしろ防衛庁の方からお答えいただくことが適当と存じます。
  17. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 私の聞いていることに答えてもらわないといかぬのだ。  四月十二日に政府は閣議で、日米相互防衛援助協定MDAに基づく交換公文秘密特許資料移転取り決めを決定して、そして宇野外務大臣マンスフィールド日米大使間で書簡を交換しましたね。そして実施のための細目取り決めを取り交わしていった。こういうものを四月十二日に行ったわけです。本委員会でも何回も論議しているのだから。やはり米国要望があったればこそ、この問題へと決着かついたのでしょう、本年四月十二日に。そういうものが俎上に上がってきたのはいつなのか。一番最初にできたことを聞いているのじゃないよ。
  18. 岡本行夫

    岡本説明員 御理解いただきたいのは、御指摘の四月十二日の細目取り決めというのは、MDA協定のもとの第一号のそのような取り決めではないということでございます。MDAができて以来、幾多のそのような細目取り決めができてきております。先ほど申し上げましたライセンス生産の諸取り決めはその例でございます。SDIの参加取り決めもその例でございます。  ただいま御指摘の四月十二日のいわゆる秘密特許に関します手続細則、これはMDAのもとの一九五六年協定の第三条の実施に関する手続細則でございます。したがいまして、この四月十二日の手続細則がいつから議論の場に上がってきたのかという御質問であれば、これは一九五六年からでございます。
  19. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、この手続細則に関して一九五六年から、本年は一九八八年、三十年以上この四月十二日宇野外務大臣マンスフィールド日米大使間で書簡を交換するために本当にこの問題を論議してきたのですね。これはいいのですね。大事な問題だよ。
  20. 岡本行夫

    岡本説明員 協定は一九五六年に国公の御承認を……
  21. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 協定を聞いていないのだよ。要望があったんでしょう。それで俎上に上ったからこそ論議をして、そして四月十二日に決着がついたんじゃないですか。何を言っているんですか。
  22. 岡本行夫

    岡本説明員 一九五六年の協定は国会におきまして承認されましたが、その手続細則がこれまで整備されてこなかったわけでございます。一九五六年以来、米側はこの手続細則整備ということを当然のことながら希望しておりました。ただ、最近になりましてこの手続細則整備というのが日米間で話題になりましたのは、時間がないので詳しくは申しませんけれども、近年における日米間の技術水準相互に拮抗し得る水準になってきた等の背景がございまして、それは最近米側からの知的所有権保護要請の一環として出てきた話でございます。  したがいまして、三十年間米国手続細則日本政府に強く要求し続けてきたのかという御質問であれば、それは必ずしもそうは言えないということでございます。
  23. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その最近というのはいつなんですか。大体でいいですよ。最近でもいろいろありますから、大体答えてもらえればいい。
  24. 岡本行夫

    岡本説明員 おおむね昨年の夏ごろからのことであったかと記憶しております。
  25. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、このGSOMIAに関しての一般的な情報として認識したのもほぼ同じような時期と考えてよろしいでしょうか。
  26. 岡本行夫

    岡本説明員 私どもGSOMIAというものの存在自体を知っておりましたのは、先ほど来申し上げておりますように、いつからだったかということは特定することはできません。ただ、昨年の夏以来、この手続細則整備をするに当たりまして、私どもが、いろいろな米国が結んでおります秘密保全体制ということに関心を持ち、そのようなものの存在を確認したということは事実でございます。
  27. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それではもう一度確認しておきます。先週の前回の本委員会におきまして、あなたはフランス、デンマーク、ルクセンブルグイスラエル、スウェーデンそのほか何ヵ国かを、この交換公文の取り交わしそれからGSOMIA締結、そういった形で年月を御発表いただきました。大体何ヵ国ぐらいございますか。
  28. 岡本行夫

    岡本説明員 GSOMIAには、米国がその締結を公表している国とそうでない国がございます。後者につきましては私ども知識を有していないわけでございます。前者、すなわち協定が何らかの形で公表されておりますのはおおむね二十ヵ国に上ります。
  29. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 では、先ほどこのルクセンブルグとの間の翻訳文の概略を御説明いだきました。そして、私どもは昨日外務省から正式にこの全文の翻訳の御回答をいただきました。本当にありがとうございました。私も、この前ここでも申し上げまして、前日は徹夜で翻訳したというような経緯がございましたけれども外務省さんはエリート中のエリートでございますから簡単に翻訳されたと思いますけれども、私が見させていただいた限り本当によい翻訳で、ありがとうございました。心より御礼申し上げます。  そこで、もう一度確認しておきます。今から申し上げますのでちょっとメモをするなりあるいはよく御認識いただきたい。  この翻訳の大事な点は、二国間の軍事秘密情報の包括的、あるいは総括的というのですか、包括的な行政協定である。これが第一番。  第二番は、情報だけでなく、人物行政機関秘密指定を規定しておる。  第三番は、その一部に情報に関する特許が述べられており、秘密扱いにする範囲は恐ろしく広い。外務省さんの翻訳の第三項のところの一部をここでちょっと読み上げさせていただきますが、「資料には、その物理的形状又は外観にかかわりなく、書類手書き文書、ハードウェア、設備、機械、機器、装置、模型、写真、録音、記録、複写、メモ、スケッチ、図表、原型、デザイン、形態地図及び書簡並びにその他のすべての製品、物資及び品目であって、それらから情報が導かれるものすべてを含むものとする。」これは大変なことだな。二十ヵ国が米国締結しておるあるいは取り交わしておることは、その秘密にする範囲は恐ろしく広い。  以上の三点がこのGSOMIAの大体の中身である、こういうように理解してよろしいでしょうか。
  30. 岡本行夫

    岡本説明員 私どもは、再三申し上げておりますように、これは第三国間の協定でございますから、この協定の特性はどうだ、本質はどうだというようなことに立ち至って申し上げることはできません。ただ、今先生がお読みになりました訳文は、私どもとして原文にできるだけ忠実に行ったものでございます。それは間違いございません。
  31. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それではあなたにお伺いいたしますけれども、ではあなたの翻訳どおりに進めましょう。  まず一ページ目の2、「秘密軍事情報及び資料は、政府間においてのみ移転され、かつ、当該情報及び資料を利用するための適切な秘密保全に関する適格性証明を得ている者に対してのみ移転されなければならない。」これはこのとおりでございますね。  そこで、ここに初めて「適格性証明」、私ども余りよくわからないのですけれども、要するに政府間で行ってはおるが、そこに今度は人物に対しても、米国が提携しておる第三国に対して適格性証明、あなたは適当な人だぞ、その証明が出るのかどうなのかわかりませんが、そのように、その人物、特定な人物まで指定してきておる、こういうふうに率直にこのとおり読んだわけでございますが、それでよろしいでしょうか。
  32. 岡本行夫

    岡本説明員 私が申し上げられるのはこの翻訳の当否についてだけでございます。「適格性証明」と申しますのは、英語の原文で「セキュリティー・クリアランス」という言葉がございました。つまり秘密情報に対してアクセスを持っている者、秘密情報を開披されてもよい者という意味で、適当な日本語訳が見つかりませんでしたもので「適格性証明を得ている者」と訳した次第でございます。
  33. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一点。その一つ上の1、abcdと四つに分かれておりますが、そのdの中に、「受領国政府は、当該情報に含まれる特許著作権又は商業上の秘密等私的権利を尊重しなければならない。」このようになってくると、この「著作権又は商業上の秘密等私的権利」、先ほど私が、書類手書き文書ハードウエア写真形態地図、あらゆるものを細かに申し上げましたが、そういうものが含まれてくる。そして、そこに「当該情報に含まれる特許、」とございますが、この「当該情報に含まれる特許」のみが、この四月十二日に宇野外務大臣マンスフィールド日米大使との間で書簡を交換した、先ほど御説明いただきました交換公文、それから秘密特許資料移転取り決め等MDAに基づくものと解釈してよろしいでしょうか。
  34. 岡本行夫

    岡本説明員 米国ルクセンブルグの間のGSOMIAにただいま御指摘のような条項が含まれておることは事実でございます。  他方、私どもが先般政府といたしまして受諾いたしました一九五六年協定実施に関する手続細則というものは、あくまでも五六年の協定、すなわち、米国政府から防衛目的のために提供されました技術上の知識米国秘密特許出願対象となっているときには、我が国も同等の保護を与えるという義務に基づいて締結したものでございまして、これと米国第三国との間で結んでおりますGSOMIAとの関係は全くございません。
  35. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 私は関係とかそういうことを言ているんじゃない。この文章上の解釈、あなたが翻訳した字句解釈、その意味を言っているだけであって、第三国との間の中身と今回のMDA実施細目とを比較して答弁せよなんということを、またそんなものはできるわけがない。  外務省翻訳していただきました、もちろんあなたがやっていただいたのだと思いますが、その外務省からいただきましたその1のdの中に、「受領国政府は、当該情報に合まれる特許、」これが一つ、「著作権」、これを一応二つとしておきましょう。「又は商業上の秘密等私的権利を尊重しなければならない。」とある。  この三つがありますから、そうすると、一番目に私が申し上げた「当該情報に含まれる特許」というのと、今回四月十二日に取り交わした、秘密特許資料移転取り決めを決定したわけでございますし交換公文を交わしたわけでございますので、そういうものと、意味上で、この字句の上にあらわれてくるものでは同じである、同じというとあれですけれども、同じようなものであると解釈してよろしいでしょうか。
  36. 岡本行夫

    岡本説明員 米国ルクセンブルグとの間で結んでおります協定文についての解釈についてのお尋ねでございますが、ここにございます「当該情報に含まれる特許著作権又は商業上の秘密等私的権利を尊重しなければならない。」という文章はこのとおりでございまして、米国から例えばルクセンブルグに対して情報が移転され、その中に知的所有権保護を要するような情報が含まれている場合には、受領国はそれを尊重しなければならないということでございます。  米国は、このような考えに基づきまして、西側先進国との間で、ちょうど一九五六年に我が国と結んだような協定を持っております。そして、そのような協定に従って、米国と例えばルクセンブルグであればルクセンブルグの間では知的所有権保護取り決めがあるわけでございます。  日本の場合には、これはあくまでも一九五六年協定だけでございまして、時間の関係からここで五六年協定文章を読み上げることはいたしませんけれども、私ども米国との間で行っております取り決めと、私どもが内容すら承知していなかったGSOMIAとの間の関連性は、字句上の問題としても私どもはないものと思っております。
  37. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、時間の関係で次の問題に移っていきます。  一般的情報として外務省としてはこのGSOMIAを認識しておった。そうでなくて、私は心配するのは、例えば日米装備・技術定期協議、それから安全保障事務レベル協議、安保運用協議会、そのほか幾つかございますね。そういう協議の中で、米国からこれに似たようなそういう話なり、言葉の端にちょいとこう──何もGSOMIAなんということは出てくるわけはない。しかし包括的な、もう全部なんですから、包括的なものとして出てきているような、言葉の端にでもちょっとでもそういうようなものが出てきたというようなことはございませんか。
  38. 岡本行夫

    岡本説明員 日米間にございます協議の場には種々のものがございます。それらの場におきます日米間のやりとりの一々を明らかにすることは御容赦いただきたいと思います。  ただ、私どもとしては重要と存じておりますのは、先般来御答弁申し上げておりますように、私どもとしてはこのような包括的な秘密保全のための取り決め米国と結ぶことは全く考えていない、米国も我が方のこのような立場を承知しているということでございます。     〔委員長退席、近岡委員長代理着席〕
  39. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうです。こんなものを取り決められたら動きがとれません。技術立国として日本が現在進んでおる中で、もう生きていく道はなくなってしまうと言っても過言ではないものでございますので、私は予算委員会におきましても、宮澤副総理にも、それから外務大臣にも防衛庁長官にも、それから通産大臣にも申し上げておきましたが、例えばこういう包括的なものとして網をかぶせてくるようなことがもしもあったとしても、絶対にそれをのんではいけない、このような要望をしておきました。各大臣そのように、こんなものは受けてはならないということは私と考え方が一緒でございます。もちろん日本の国民ならば、これはだれでも、今あなたが言われたとおり、こんなものを締結したら大変なことになりますので、考えはないというのはわかっている。それでいいんだ。それで現在までの努力を多といたします。  ただ、私が心配しているのは、そんな協議のことで、経過のことで申し上げられないなんということを言わないで──では、MDA実施細目、四月十二日に締結しましたね。取り交わしをしましたね。そのときの論議の俎上には包括的なことは一切出てきていませんか。米国からそういうようなことは一切、ちょっと言葉の端でもそんなことは何にもない、こう言えますか。
  40. 岡本行夫

    岡本説明員 米国とのやりとりの一々については明らかにできないとは申し上げたとおりでございますが、ただ、お尋ねが四月十二日の手続細則に限ってのお尋ねでございますので、お答えいたしますが、米側からこのような話が出てきたことは一切ございませんでした。
  41. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、現在科学技術協定の改定交渉を行っておりますが、これで同じく包括的な問題として何か出てきていないかというのが第一点。  それと科学技術協定の改定締結、これの見通し、今ここで明らかにできる面だけで結構でございますので、御答弁いただきたいと思います。
  42. 日向精義

    ○日向説明員 お答え申し上げます。  まず、新日米科技協定締結の見通しでございますが、先生御案内のように、現在日米双方で字句の詰め、条文の整備等の作業を進めているところでございます。その意味で、まだその協定の内容、案文が最終的に確定したわけではございません。私どもといたしましては、協定のテキストが確定してから、その次のステップでございます署名者の確定あるいは署名時期等について米側と相談していきたいと考えております。  次に、先生お尋ねの、包括的な何らかの仕組みがありやなしやというお尋ねでございますが、私、正確に御趣旨を理解しているか自信がございませんけれども、繰り返し御説明申し上げておりますように、新協定におきましては、情報の取り扱いにつきまして、まずもって科技情報の公開という大原則を確認しております。このことは明確に申し上げておきたいと思います。
  43. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一点。大体タイムリミットをどの辺に考えて、大体どんなふうになるのか、もう一度御答弁ください。
  44. 日向精義

    ○日向説明員 タイムリミットでございますが、私どもとしましては、一応の目安としまして、現行協定の期限が参ります六月末日までにこの協定のテキストの確定作業を終えて署名へと事を運んでまいりたいと考えております。
  45. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それは米側も合意しておりますか。
  46. 日向精義

    ○日向説明員 先生お尋ねの件でございますが、米側とはしょっちゅう外交ルートを通じてコンタクトをとっておるわけでございまして、まさに今申し上げましたように細かい詰めを行っているわけでございます。したがって、この詰めが終わり次第、そういう手続等について打ち合わせていくということになっております。
  47. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 タイムリミットのことだけ。米側は大体合意しているのですか。
  48. 日向精義

    ○日向説明員 タイムリミットでございますが、先ほど申し上げましたように、六月末日に現行協定の期限が参りますので、私どもとしては、できればそれまでに新協定についてこれを署名まで持っていきたいというふうに考えております。
  49. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、時間でございますので、もう一点だけお伺いして終わりにさせてもらいます。  防衛庁長官、どうもありがとうございます。  難航していた防衛庁の次期支援戦闘機FSXの日米共同開発細目取り決め締結交渉がいよいよまとまる見通しのようでございますし、六月上旬には東京で長官とカールーチ国防長官の会談の際に覚書を変換する運びのように伺っておりますが、このFSXの日米共同開発に当たっての開発費の負担であるとか、米側企業の参加比率であるとか、双方の技術の公開方法など、いろいろな問題があると思いますけれども、このFSXに対してどういうような気持ちで長官として取り組んでいくのか、その御見解を明らかにしていただければありがたいと思います。
  50. 瓦力

    ○瓦国務大臣 FSXにつきましては、日米双方の技術、そうしたものが交換されましてよりよきものができることを願っておるわけでございますが、目下、共同開発の枠組みにつきまして事務的に意見交換が順調に行われておるわけでありまして、今御指摘がございました三点、これらのことにつきまして、具体的状況、これは交渉中、今週程にございますので、米側の立場もありますからお答えをすることは差し控えますが、順調に交渉が進んでおる、かように承知をいたしております。早くまとまるというような形であってほしいと願っておるわけであります。
  51. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 じゃ長官でなくてもいいですよ。具体的にいろいろと防衛庁として進めておるわけでございますが、その順調にというのはどんなふうに順調に進んでおるのか、それからまた六月上旬の瓦長官とカールーチ国防長官の会談、こういったものはもう本決まりなのか、どういうふうになっていくのか、明らかにできる点だけで結構でございます、防衛庁、答弁してください。
  52. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 FSXの共同開発につきましては、今長官から答弁がありましたとおりでございます。  私どもといたしましては、これは初めての本格的な共同開発でございますし、できるだけ早く、と申しますのは、六十三年度予算も御承認いただきまして、できるだけ早くこれを実行に移したいというのが私どもの立場でございます。  ただ、具体的な枠組みをつくる段階におきましては、やはりいろいろ意見調整をしなければならない点が残っております。現在懸命にアメリカ側と意見調整をしておりまして、とにかくできるだけ早い機会に合意に達したいということでやっている状況でございます。したがいまして、現在のところまだ、いつこれが署名できるかというのは残念ながら申し上げられる段階にはございません。御容赦いただきたいと存じます。
  53. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 あなたが答弁するんだから、もうちょっと誠意持って答弁しなさいよ、局長。この内閣委員会の席でそんな答弁じゃしようがないよ。みんな国民は心配しているんだから、日本の国を守るために。  だから、順調にと言っている点は、例えば大体こういうような面が、例えば日本側の要望はあるいは方針はこういうことで、米側の方針は大体こういうことでというのが、明らかになる点だけでいい、こう言っているんだから。いつも記者会見したり、あるいはどこから漏れるのか知らぬが新聞情報だけで私どもに知らすというのはおかしいのや。こういうところで明らかになる点だけを述べなさい、こう言っているんだよ。もう一度御答弁ください。
  54. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私どもは誠意を持ってお答えをいたしているわけでございまして、目下米側交渉の過程にあるわけでございますので、具体的状況につきまして今申し上げる段階にはございませんと、ただ、その日米間の協議が順調に推移をいたしておりますと、かように御答弁を申し上げておるところでございます。
  55. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 だから、どういった点が順調にかわからないのですよ。どういった点が順調なのか、それを、明らかにできる点だけでいいですから、もう一度防衛庁、答弁してください。
  56. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 このFSXの開発につきまして、我々がアメリカ側とやる段階、私どもとしてぜひこういう点は確保したいということを実は申し上げたことがございます。  と申しますのは、一、二、例を申し上げますと、基本的にはこういう枠組みというのは政府間で合意しなければいけないから、そのためにはMDAに基づく細目取り決めということで交換公文とか了解覚書をつくろうということを申し上げたわけでございますが、これはアメリカ側と基本的にはそういう方向で今進めております。  それから、内容といたしましては、これは実は全体として一つのパッケージでございまして、まだ具体的にこれがこうなっているというのは申し上げられる段階にはないわけでございますが、例えば開発のプライムコントラクターというのは、これは日本が中心になってやるから日本の企業にしたいとか、あるいは経費といたしましては、これは今二年間の開発経費について予算で御承認いただきましたから、それにつきましては全額日本側が負担するとか、そういうような大まかなところは大体初めに私どもがやりたいと考えていた方向で話し合いが進んでいるわけでございます。  ただ、これが本当にまとまるかどうかは、先ほど申し上げましたように全体としてパッケージになるものですから、今これだけはもう決まったということを実は申し上げられないので先ほど申し上げたような状況になったわけでございまして、今申し上げたようなところは多分このような形でまとまるのではないかというように考えております。
  57. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。     〔近岡委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 竹中修一

  59. 上原康助

    上原委員 最初に、今度提出されております予備自衛官の増員問題と関連して若干お尋ねをいたします。  防衛庁は六十年の十月に、たしか業務、運営全般にわたって独自の立場で防衛行政というものを厳しく点検をする目的で、防衛庁内に業務・運営自主監査委員会を設置をしたと記憶をいたしております。そして六十一年五月、業務・運営自主監査委員会を発展的に拡大をして防衛改革委員会を設置をした。そのもとに業務監査小委員会あるいい洋上防空体制研究会、陸上防衛態勢研究会、自衛官人材育成・確保研究会などの小委員会を設置をして、まあ一般的には防衛行革とも言われてきたわけですが、こういう作業を進めてきたとひとまず理解をいたしております。  そこで、以上の機関はこれまでどういうことを検討し研究をしてきたのか、その成果はどうなっているのか。「自らの手で厳しく点検することを目的として」と言いながら、実際に防衛計画なり防衛予算その他の面、今回出された予備自衛官の増員等々を見てみると、皆さんが設置をした目的とは裏腹になっている、こう思わざるを得ませんが、まず、今私が指摘したことに対しての御説明、御答弁をいただきたいと存じます。
  60. 依田智治

    ○依田政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘の防衛改革委員会でございますが、業務監査小委員会、これは官房長を頭に検討しておりまして、昨年の六月に、三十二項目のうち他の委員会に譲りました二項目を除く三十項目について結論を得まして、現在その着実な実施に努めておる。統合運用ということで統合訓令等もつくりましたし、業務の各三幕等で共通するようないろいろな事項についてはこれをできるだけ一体化してやることはできないかとか、その三十二項目については時間の関係がありまして省略させていただきますが、先般も内部の小委員会を開きまして、現在、六十三年度予算で実際にもう既に動いているものとか今後検討すべきものを厳しく詰めて、内部の自主監査を推進しておるという状況でございます。  それから、洋上防空体制研究会、それに陸上防衛態勢研究会、これは防衛局長をヘッドとして研究しておるものでございますが、洋上防空につきましては、洋上防空のあり方について、近年の経空脅威の質的な変化、すなわち航空機の航続距離の増大や射程の長いミサイルの出現などにいかに効率的に対応するかというような観点から検討しておるものでございますが、昨年の八月、これまで行ってきた海上交通の安全確保の場合を中心とした検討成果について一応まとめたところでございまして、そういう成果に基づいてイージス艦等の要求というか、そういうものをその成果の中で生かしておるわけでございますが、さらに引き続き、本土防空の観点から現在検討を行っておるというところでございます。  また、陸上防衛態勢研究会は、日本の地理的な特性、将来の軍事科学技術・陸上兵器体系の趨勢、これらの陸上戦闘様相に与える影響等を踏まえまして、効率的な陸上防衛態勢のあり方ということで検討しておるわけでございます。その際、北部日本の防衛を重視して、師団のあり方等について諸外国の動向を含めた基礎的研究を現在行っておるということでございまして、これらの成果は、また今後まとまり次第これをいろいろな点で生かしていきたいと考えておるわけでございます。  最後に、自衛官人材育成・確保研究会、これは他の三つより後で追加的に設けられたものでございますが、これにつきましては、昨年六月、幹部自衛官に係る事項のうち、防衛大学校学生及び一般幹部候補生の採用、それから、防衛大学校及び幹部候補生学校における教育、幹部自衛官の教育のあり方、期別呼称というような点等について、これは人事局長を中心に検討を行いまして、昨年六月に結果をまとめたところでございます。それで今度は、曹士教育という問題につきましてもいろいろ総合的に検討をまとめておるところでございます。  これらの四つにつきましては、それぞれの立場で一応の検討をまとめ、なお継続的にやっているもの、まだこれから大いに検討して成果をさらに伸ばし防衛庁の全体に生かしていきたいものということでやっておるわけでございます。  先生お尋ねの今回の増員というような問題は、これは自衛官五百二十三人、予備自衛官千五百人という問題でございますが、自衛官の増員につきましては、陸上は十八万ということで決まっておりますが、海空につきましては、船舶、航空機等の就役、除籍等に伴いまして厳しく見直し、その定員等をいろいろスクラップ・アンド・ビルドでやって、多少の合理化等の問題も含め、例えば骨幹組織の合理化というところで五十数名の自衛官を減員するというような厳しい査定等も行った結果、どうしても五百二十三人は足らないということでお願いしておるものでございます。  また、予備自衛官千五百人につきましては、これは、いざという場合に自衛官が迅速的確に早期に行動できるように後方の守りをするためには、どうしてもこの予備自衛官というものがある程度後方の支えとして必要であるということで、年々お願いし、千五百をお願いしておるものでございまして、いずれにしても、すべてこれは私どもは厳しい合理化の動きの中でこれらのことをやっておるという点を御説明させていただきたいと思います。
  61. 上原康助

    上原委員 大体そんなお答えしかないだろうと思ってはおるわけですが、答弁や言葉の上では厳しい見直しとか合理化でやっているということを常々強調なさっているわけですが、実際にはそうなっていない、そこに問題があるということ。  そこで、これも議論をすればいろいろありますが、きょうはお尋ねしなければいけないことがたくさんありますから一つの問題に集中して議論できないのは残念ですが、今お答えのあった防衛改革委員会で検討なさって現段階までに結論を出したもの、あるいはこれからの見通し等々について、資料として出せるものは出しますね。
  62. 依田智治

    ○依田政府委員 これまで検討した中で、特に業務監査小委員会の三十項目、また人材確保研究会等で検討しました中間結果等公表しているものもございますので、資料として御提出いたします。
  63. 上原康助

    上原委員 公表しているものだけではだめだよ、あなた。全部出してよ、全部。  そこで、よく三軍統合運用とかいろいろ言っているわけですが、今回の自衛官の五百二十三人増員あるいは予備自衛官の千五百人。他の公務員はどんどん圧縮されているわけですね、ほとんどが増減員ゼロであります。むしろ全体的には二万数千名は年々減っているはずなんだ。その中で自衛官だけはどんどん膨らんでいる。これは、船がふえるから、飛行機がふえるから、兵器を新たに取得するからという理屈でしょうが、もう少しこういう面はどうにかならぬのか。  そこで私は、防衛庁一つの提言というか、これは防衛庁独自で幾ら防衛改革委員会をつくってスリムになるとか合理化をすると言ったって、それはそういうことは言ってみたって、結局は自分たちの陸海空の縄張りもあるし、あるいはそれぞれの、海がイージスなら空はFSXだ。陸はまた七四戦車よりもっとずっといいものだ、宝の持ちぐされという指摘もありますね、でっかいやつ、五十トン級のをつくって、橋はどう渡るんだ、道路は道路使用をどうのなんて、こんな要らぬことをやっているんだ、防衛庁は実際に。  したがって、防衛庁長官、今は聖域化している。ほかの方は、臨調行革とかいろんな面で国の行政改革全体についてスポットが当てられているんだが、防衛庁だけは聖域化して、独自でやろうとしたって一向できやしない。だから、そういう面で本当に今の防衛のあり方というものがどうなっているかということを、第三者的にも国民の目に映るように、新たな何らかの機関というものを設けて、今日の防衛行政全体あるいは防衛政策全体についての何らかの改革をする機関なり考え方が出てしかるべきだと私は思うのですね、これだけ一%問題がいろいろ出ている以上は。そういうお考えはないですか。あくまで独自の立場でやっていかれるのか。これは長官からお答えください。
  64. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま官房長からお答えをいたしましたが、自衛隊の業務の効率化、合理化を図る、こういう観点を踏まえまして防衛改革委員会の中で検討を行っておるところでございます。もちろん我が国を守ってまいる、そういう使命のもとで、自衛官の充足、さらに精強なる自衛官育成をしていかなければならぬわけでございますが、業務の省力化であるとか合理化、こうしたことに鋭意努めておるわけでありますし、また、艦艇、航空機等の就役、除籍に当たりましても、スクラップ・アンド・ビルド、こうしたことを厳格に実施をいたしまして、必要とする最小限の所要を確保してまいろうということで取り組んでおるわけでございます。  委員指摘のように、立場の違いはそれはあろうといたしましても、防衛の任務ということを心得ますと、今申し上げましたような観点に立ちまして私どもは努力をし、さらに防衛改革委員会等で、あり方さらに効率化等を十分に検討、研究しながら取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  65. 上原康助

    上原委員 そのお気持ちはなさそうなのが残念ですが、皆さんは、定員増のことを問題にしますと、絶えず、定員はふやしていないんだ、例えば陸上は十八万人体制はずっと維持されているじゃないかということをよく言うんでね。確かに、それは頭はふやしてないことはわかりますがね。しかし、非常に矛盾点があるわけで、陸上自衛隊の欠員数は昨年末でたしか二万六千人ですよ、十八万人体制の。あるいは海も空も、それぞれ二千五百人前後の欠員があるはずなんですよ。こういう欠員の充足ということは、ないがしろにはしていないでしょうが、そのままにしておいて、必要だから定員をふやすというような、これじゃあ納得しかねる。  したがって、今の防衛改革委員会というものを発展解消して、国民レベルでの防衛行革というものを直ちに実施すべく 少なくともそういうことをぜひ御検討をいただきたいと強く要求しておきます。  次に、せんだっての日米安保事務レベル協議のことについてお尋ねをしたいわけです。これはせんだっての本委員会でもいろいろお尋ねがあったようですが、もう少し私の方からも聞いておきたいと思います。  既にマスコミ等でいろいろ報道されておる範囲でしか理解できませんが、今回の第十八回日米安保事務レベル協議の特色として出てきているのは、いわゆる発展途上国への経済援助というものが、再びというか、非常に取り上げられたということだと思うのです。その観点からの日米の防衛の責任分担というものが、アメリカ側から強く要求というか提案があったというふうに報道されているわけですが、安保事務レベル協議で経済援助が殊さら取り上げられなければいけなかった背景なり、また、実際にはどういう議論であったのか、もう少し詳しくお答えを願いたい。
  66. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 今回の協議におきましては、国際情勢、それから日米防衛協力、我が国の防衛努力の現状、在日米軍駐留支援等につきまして、相互説明あるいは意見の交換が行われた次第でございます。  その過程におきまして、米側から、米国にあっては議会を中心にいわゆるバードンシェアリング、これは負担の分かち合いとでも訳されるのではないかと考えておりますけれども、これに関し、我が国を含む同盟国に対して防衛分野を中心に幅広く貢献を求めていく声が存在している、このような米側事情の説明がございました。したがいまして、それぞれの国が国際社会に行う貢献というものにはさまざまな姿があるではあろうけれども米国の国内には、議会を中心として、同盟諸国に対して努力が求められているということがありますという米側説明があったわけでございまして、経済協力そのものが主たる議題になったという場面はございませんでした。  それで、我が方からは、我が方としていかなる形で国際社会に貢献していくのかという話をいたしまして話が経済協力に及んだということもございますけれども、これもあくまでも私どもの主体的な決断によってなされるという前提で意見の交換が行われたということでございます。
  67. 上原康助

    上原委員 何を言っているのか要領を得ないお答えですが、私が聞いているのはそうではない。特徴点として経済問題が話題になったというか、議題になったということ、これは各紙が強調している点であります。確かに、協議内容として、国際情勢、日米防衛協力、これについては四項目を挙げられていますね。日本の防衛努力、在日米軍駐留支援など、こういうことが主に議題として、協議内容として出ているわけですが、ここに項目として挙げられている中で、特に経済問題についても今回出ている、このことが何を意味するかということを私はお尋ねしているわけです。  従来は確かにODAであるとか、そういう面で海外援助というものをやってきた。だが、一歩踏み込んで新たにアメリカの国際戦略に基づいて戦略援助までアメリカは求めてきたのじゃないのかというのが今度の十八回安保事務レベル協議における国民の関心事なんですよ。そのことについてはアメリカ側からどういう提案があって、日本側はそれに対してどういう考え方を述べたのか、そのことを明確にしてもらいたいということをお尋ねしているのです。
  68. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど外務省の方からお答えがありましたように、今回のハワイ会議、私自身この事務レベル会議に数度出ておりますけれども、議題なりあるいはそれぞれの配分時間なりというものが従来と変わった点はないというように私ども考えております。  御承知のように、この安保事務レベル会議というのは、防衛庁と国防省だけということでなくて、国務省、外務省もおられますから、応答の場でいろいろな意見が出るわけでございますけれども、従来からその基本は、初日には国際情勢関係についてのプレゼンテーションなり意見交換が行われる。そして二日目には過去一年間にわたる日米協力関係についての相互の意見交換といったものが中心になり、さらに三日目になりますと、日本自身がどういう防衛努力をしているかとか、あるいは駐留軍支援の問題であるとかということと、米側日本側に対する意見なり自分たちのやっていることというようなことで意見交換があるわけでございますが、その中で今回際立って、例えば経済協力の問題が具体的に論じられ、かつ提案をされたというように私は考えておりません。従来からと同じようなものでありまして、主題はあくまで防衛関係の問題が主題であります。  それに関連して、例えば日本が経済援助関係でよくやっていただいているとかそういう話は出ますけれども、特段の際立ったものではないというように私は考えております。ただ、御承知のように今回は我々防衛プロパーの問題というのは比較的主たる問題点がなかったという点で、従来報道されてなかった経済問題が際立って報道されたのではないかと私自身は想像いたしておりますけれども、実態的には変わりがなかったということを御理解いただきたいと思います。
  69. 上原康助

    上原委員 いつものことだが、余り表には出さないでも随時ぽろぽろ出てくる。既に一部報道によると、米軍は日本の防衛肩がわりで五十億ドルも節約できるという報道がなされているじゃないですか。米下院軍事委員会防衛分担特別委員会における公聴会において明らかにされている。だから、日米防衛首脳会議もそうなんだが、この安保事務レベル会議、何度持っても常に米側の要求に応じて我が方の防衛負担をふやしていく、これは一貫していますね。アメリカにはアメリカの議会の言い分があるとさっき北米局長おっしゃったが、日本の場合、日本の国会の議論はないのですか。我々がここでいろいろお尋ねしたり、アメリカの肩がわりをやめさせろという意見もあるということは皆さん一言も言わぬのか。与党だけが国民じゃないはずなんだよ、防衛問題にしても外交問題にしても。アメリカに言い分があるなら日本側にも言い分があるということをちゃんと言えばいいんじゃないですか。  そこで、具体的に後で聞きますけれども、しからば、経済問題は特に出なかったという認識ならば、日本側としてアメリカの戦略援助、アメリカの防衛戦略に基づいた、国防戦略に基づいたものまで経済援助をしていくという方針はとらないということを確約できますか、防衛庁長官
  70. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 先ほどもお話しいたしましたように、まず米側米側の事情を説明いたします。日本側も当然日本側の事情、考え方を説明いたしております。それから、先ほど防衛局長も申しましたように、今回具体的に経済協力の話が殊さらに取り上げられたということはございません。それから、戦略援助といった表現は聞きませんでした。それから、我が国が経済協力を行ってまいるに当たっては、従来どおり我が国みずからの政策、方針に基づいてのことであるということは米側も十分理解しておりますし、これは確かなことでございます。
  71. 上原康助

    上原委員 水かけ論的なことはいたしませんが、どのマスマミ報道を見ても、「経済援助、正面に」「米国の風向きが変わった安保協議」「経済が前面に出た安保協議」、こういうことを国民はある程度見て理解をするわけです。これは異口同音にこういう受けとめ方なんですよ。だから今私が指摘をしましたように、一説においては、日本の肩がわりによって一、二年ないし二、三年で米国の国防費は五十億ドルも削減できるのだ。しかも、これはアメリカの下院の軍事委員会の公聴会でそういうことが議論されている。問題のアーミテージ国防次官補がそういう証言をしている。  こうなりますとちゃんとドッキングするじゃないですか、符合するじゃないですか。だから、我が国の防衛費がアメリカの要求に基づいてどんどん拡大されエスカレートしていくんじゃないかという懸念を持つのは当たり前じゃないですか。こういうことにはどういうふうに歯どめをしていくのですか。
  72. 西廣整輝

    西廣政府委員 たびたび御説明申し上げておりますように、安保事務レベル協議というのは、決して交渉の場であるとかあるいはどちらかがどちらかに要求を出すといった場ではございませんで、それぞれの防衛について、特に日米安保、日本の防衛についての状況を説明をし、お互いに理解を深めるというのが最大の目的でございまして、もちろん長い歴史の中で相手方の責任者の性格によっては要求がましいことを言う人がいたこともなかったとは申しませんけれども、少なくとも現在のアーミテージ氏を初めとする米側考え方は、日本側に何か要求を突きつけるといったようなことは一切いたしません。  アメリカ側は、アメリカ側が現にやろうとしていることあるいは情勢等について、アメリカ側の考え方、あるいは日米安保、ひいては広い意味の国際的な安全保障についての米側考え方あるいは議会筋の考え方といったものについて説明がある。日本側についても同様、国際分析についての日本側の考え方なりあるいは日本自身がこの一年間どういうことをしているかといったような説明をする。それに応じてお互いにそれを確かめ合ったり意見を交換するというものでございまして、決して米側から何かやれという要求があってそれを実施しているという事実はございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
  73. 上原康助

    上原委員 私たちは決してそう受けとめていません。また、そういう理解はできません。たしかあれは八〇年の安保事務レベル協議でしたか、五六中業か五三のときでしょう。アメリカ側が具体的に提案をして、そのとおり防衛計画がつくられてきたじゃないですか、レールが敷かれてきたじゃないですか。そんな素人の答弁で納得できませんよ。そういう過去があるんだよ。だから、我々は絶えず問題にしている。  いまさっきの五十億ドル云々の証言は、アーミテージ次官補じゃないですね。証言に立ったのはサリバン元米国防次官補、計画、分析、評価担当、こういう方々がちゃんとやっているんだ、皆さんがやりとりをする経過を踏まえて、アメリカ国会においては。  じゃそれなら具体的にお尋ねしますが、日米防衛協力の協議の中で、「「指針」に基づく日米共同研究については、特に、通信面におけるインターオペラビリティの確保が重要であるので、」そういう前提で、「今後ともこの分野における研究作業を進めていくこと及び共同作戦計画の研究に係る後方支援面については、引き続き問題点の洗い出しを行っていくことで双方の認識が一致した。 」こうなっているんじゃないですか。これはどういうことを計画で進めてやっていこうということを認識を一致させたのか。交渉の場でないとか問題提起をする場でないといっても、重要なことをどんどんやっているじゃないですか。ここがまさに今、日米防衛協力の中枢なんですよ。それを説明してみてください。
  74. 西廣整輝

    西廣政府委員 このインターオペラビリティーの問題は、実は栗原前長官が最初防衛庁長官をやられたときですから加藤長官のもう一つ前の時代でございますが、当時ワインバーガー長官との間にインターオペラビリティーの研究をやろうという合意がなされまして、その後、我が方の統合幕僚会議、それから在日米軍というものが中心になりまして、もちろん内局も参加をいたして、どういう面から研究をしていくかという研究を始め、一昨年から、まず通信問題をやろう、やはり通信といいますかこういうコミュニケーションの問題がインターオペラビリティーにとっては最も重要であるということで研究が始められたわけであります。  この通信の問題というのは、現にあるお互いの通信手段というものをどう連接するかということも重要でございますが、通信機材については日々進歩しており、米側日本側もこれをいろいろ発展させ改革していく計画を持っております。その段階において日米間のコミュニケーションというものをどう連接させていくかというのが非常に重要な問題でありまして、これを過去一年間研究をした。そして、今回は特に防空関係についての通信連接をどうするかということについての研究の中間報告をハワイ会議日米双方から研究者が行ったわけであります。それをそれぞれの参加の責任者たちが聞きまして、これは非常にいい研究である、引き続きこの研究を進めていこうということについて合意を見たということであります。
  75. 上原康助

    上原委員 この研究は非常にいい研究であると日米双方でそう確認した、どういう研究がいい研究なのか国民がわからぬじゃないですか。どういう日米防空についての通信機能の研究がなされておって、何がそれほど貴重な研究であるということを相互認識したのですか。内容を聞いているのです。
  76. 西廣整輝

    西廣政府委員 通信というのはオペレーションの内容そのものの骨幹を占める部分でありますから、具体的な内容というものについては御容赦いただきたいと思いますが、御理解いただけると思いますのは、例えば日本の防空作戦を行うというときに、まず早期に我が方が情報をキャッチをする、そしてそれに対して日米がそれぞれ共同対処するわけでありますが、その際の目標の配分であるとかさらには要撃機と防空ミサイル部隊との分担、そういったものについて適時適切な任務配分が行われませんと、同士打ちになったりむだが出たりということが起こるわけであります。そういった通信連接について、どのレベルでどの種のものをやるかというような詰めをやっているというように御理解いただきたいと思います。
  77. 上原康助

    上原委員 そこは単なるコミュニケーション、通信のあれだけでないわけでしょう。当然それには装備の問題も含むわけでしょう。だから皆さんは次期防において空中給油機であるとかAWACSであるとか、そういうものを取得をしたい、あるいは計画を立てようとしている。同時に、かねて問題になっている洋上防空体制におけるイージス艦の導入問題、こうこういう新たな防衛の体制をつくっていくための新装備の取得ということも当然この中には含まれているわけでしょう。そうじゃないのですか。このインターオペラビリティーという面から、かねて国会でも問題になったHNSであるとかWHNSであるとか、そういう問題も出てきているわけでしょう。また、今度の安保事務レベル協議で一番の問題になっているこの物品・役務相互融通協定というものが出てきているんじゃないですか。  私がただ断片的に聞いているんじゃないですよ。防衛局長、あなたもそのくらいはとっくにおわかりでしょう。そういうトータルの問題として日米間でどのように認識をすり合わせて、また我が方はどういう計画を立ててやろうとしているのか、そこを明らかにしてもらいたいと言っているのですよ。
  78. 西廣整輝

    西廣政府委員 コミュニケーションのインターオペラビリティー、C3についてのインターオペラビリティーというのは、先生の今おっしゃられた後方支援、相互融通とか、そういった問題とは比較的というかほとんどかかわりのない問題だと私は考えておりますが、いずれにしましても、その種、C3Iと申しますかそういったことについてはアメリカはアメリカなりの近代化計画というのを持っております。我が方は我が方なりに持っておりまして、双方が日米安保のためにということで、アメリカが日本防衛のための新たな通信体系なりあるいは通信機材を持つということはなかなか困難であります。  一方、日本としても日本なりの通信体系というものを現に持っておりますし、それ自身の近代化計画等を持っておるわけであります。そしてその中で、例えばディジタル化を進めるとかあるいは統合回線がどうであるかとか衛星通信がどうであるかとかという研究を逐次自分たちで進めておるわけでありますが、そういう将来を見通しながら、なおかつ日米が共同対処するためにどういう形で連接を保つかというところにこの研究の意味合いがあるというように御理解をいただきたいと思います。
  79. 上原康助

    上原委員 そんなら日米で共同対処できる通信体系というのはどういうものがあるのですか。どういうものが今研究されているのですか。
  80. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほども説明したと思いますが、現在やっておりますのは防空についての通信の連接をどうするかという問題でありまして、早期警戒段階から要撃戦闘に至る段階に、各段階にわたりまして日米間の任務配分なり情報提供なりの通信連接をどうするかという問題を研究しておるわけであります。
  81. 上原康助

    上原委員 まさにそのことが今出ている新たな通信施設の建設問題につながっていると思うのですね。これは今までは盾の役割を果たすとかいろいろ言われてきたけれども、まさに日米対等の立場で防衛体制というものを確立をしていく、そのための通信体系の一体化、こう断ぜざるを得ませんね。  それともう一つ日米共同訓練に関してもいろいろやりとりがなされたようですが、最近の日米共同統合演習の積極性というか激化というのは目に余るものがあります。こういうことも、これからはどういう共同訓練をやろうと計画して、その面で合意を見たのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  82. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 この統合訓練につきましては、日米の事務レベル協議において話題になりましたけれども、今後もそれをさらに前進させていくということであります。その際に、中期の統合訓練構想というものを自衛隊の方でつくりました際に、六十四年度から六十八年度までを対象として、従来各自衛隊ごとに実施していましたものも徐々に統合レベルに吸収していくようにしたいというふうなことで、所要の指揮所演習及び実動演習を実施することとしている、こういうことを報告されたわけであります。
  83. 上原康助

    上原委員 現に海上自衛隊が今いろいろ訓練を、訓練というか演習をやっています。こういった日米防衛協力というものは、余りにも米側要求に基づいた演習であるとか訓練であるとか、こういう実態に今なりつつあるということです。  そこで、これとのかかわりもあると思うのですが、次に、この安保事務レベル協議で特に米側からどういう新たな提案がなされたのですか、皆さん提案なんかないと言うけれども
  84. 西廣整輝

    西廣政府委員 恐らく今先生がお考えになっておるのは、物品・役務融通協定、いわゆるNATO相互支援法に基づく共同訓練等に際しての相互の役務なり物品の融通についての話ではないかと思うのですが、米側からは、NATO法という米国内法が改正をされて、その種共同訓練等に際しての物品なり役務の相互の融通というものが日本等についても可能になった、そういうことについて、日米間においてもそれは有益かもしれませんよという意味のサゼストといいますか、そういうものがありましたので、これは外務省の方から、その種のものが有用なものかどうかも含めてそれではこれからひとつ勉強してみましょうという御返事をしてあるという点はございます。
  85. 上原康助

    上原委員 防衛局長、決してそんな簡単な問題ではないです、これは認識としては。皆さん国会で何か聞かれると、どうもそんなことは大したことないよというようなことの御答弁をしていますが、「米側から、NATO相互支援法に基づく米国NATO諸国間の共同訓練等の際の物品、役務の融通の仕組みについて説明がなされるとともに、日米間にも同種のものがあることが有用である旨の発言があった。」これを受けて、今あなたが言ったようなことを外務省防衛庁が言ったわけでしょう。アメリカ側の提案は、NATO相互支援法に基づく米国NATO諸国間の共同訓練等の際の物品、役務の融通を日米間でもやろう、こういう提案なんでしょう。これは極めて重要な安保体制下における新たな日米の共同訓練体制ではないですか。いとも簡単に受けとめる程度の問題ですか。
  86. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 趣旨は先ほど防衛局長が申されたとおりでございますけれども、「NATO相互支援法に基づく」という、そのNATO相互支援法というのは米国の国内法でございます。この米国の国内法に基づいて米国NATO諸国等と物品、役務等の融通をお互いにし合う仕組みをつくってきて、これは大変に便利なものであるから日本側でも考えてもらえないだろうかという話がありまして、私どもの方からは、それが必要であるか否か、結論は全く予断しない、白紙である、しかし勉強させていただきたい、米側は、それで結構であるというやりとりでございます。
  87. 上原康助

    上原委員 あなたの答弁を聞いていると何か気抜けしますね。アメリカ側の便利なものは日本側にとっても便利とは限らないでしょう。予断を挟まないでとか予断しないで検討を進めていくということを言いながら、一月でしたか、防衛首脳会議においてHNS、ホスト・ネーション・サポートとかWHNSの問題が、今、国会で大問題になっているでしょう。何か新聞に大きく出る目玉がなかったからそんなものを何とかしようと考えたんだというような報道もなされていますが、これは余りにも、考えざるを得ませんね。  そこで、言うところのNATO相互支援法に基づく物品・役務相互融通協定なるものなんですが、これはどういう範囲の物品、役務を相互に融通することになるのですか、具体的に説明をしてください。
  88. 西廣整輝

    西廣政府委員 実はハワイ会議の場ではそう詳しい説明がありませんでしたので、私自身まだこれから勉強しなくてはいかぬわけですが、これは共同訓練等に対して、例えば油をお互いに融通し合う、あるいは装備の修理をする際の部品をお互いに融通し合うというようなことであろうと思いますが、少なくとも主要兵器を除く、装備を除くというふうに書いてありますので、完成品としての例えば戦車であるとか航空機であるとか、そういったものを貸し借りするということはないのではないかというふうに考えておりますが、細部についてはまだこれから勉強する必要があるというふうに考えております。
  89. 上原康助

    上原委員 時間の都合もありますので、私もまだ詳しくは勉強しておりませんが、米国NATO諸国との取り決めをざっと見てみますと、これは主要装備、もちろん戦車であるとか航空機であるとか艦船艦艇というか、そういう主要装備まで含むかどうかは恐らくこれからの相互の研究課題だと思うのですが、しかし、これとて全く排除されるというふうに私たちは見ておりません。進展いかんによってはあり得るのではないか。予備部品であるとか食料、それから今おっしゃった潤滑油、衣服、弾薬などの部品や、修理、貯蔵、医療などの役務は含むのではないですか。どうなんですか。さらに、主要装備については絶対含まないということが断言できるのかどうか。
  90. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 米国側の根拠としておるその国内法でありますNATO相互支援法によれば、完成された装備は含まれておりません。したがいまして、そのようなものは考えていかれないと思います。
  91. 上原康助

    上原委員 完成装備は今のところ含まれていない。しかし私が指摘をした、ここに今挙げたものは含むのじゃないですか。どうなんですか。それは対象になるのですか、ならないのですか。
  92. 西廣整輝

    西廣政府委員 NATO相互支援法の第二千三百五十条というところの定義というのがあるわけですが、本章において後方支援、補給品及び役務とは、食料、宿舎、輸送、燃料、油脂、潤滑油、衣服、通信役務、医療役務、弾薬、基地運用支援及び右に関連する建設、貯蔵役務、施設の使用、訓練役務、予備部品、修理・メンテナンス役務及び港湾役務をいうというふうに書かれておりますので、その種のものが含まれているのではないかというふうに思っております。
  93. 上原康助

    上原委員 ほとんどすべてじゃないですか。わずかに主要装備だけが今ペンディングというか研究課題です。こういうのができれば、港湾施設に至るまで、いわゆる米軍施設だけじゃなくして民間施設をすべて含むのは当然じゃないですか。  そこで、あえて日米間でそういうことをやらなければいかない理由があるのですか。これは日米安保条約、あるいはそれに伴う地位協定、関連取り決めでも、今言ったようなものの相互融通性というか、そこまでは言っていないにしても、使用できるようなこともあります、範囲も。なぜあえてこういうことを、今お述べになった二千三百五十条、これに基づくこれらのことを日米間で新たに取り決めなければいかないのですか、理由、根拠は何ですか。
  94. 西廣整輝

    西廣政府委員 これは先生のおっしゃっているように、例えば地位協定上新たに提供するとかそういうことではなくて、その種のものは米側米側の負担で当然使用したり購入をしたりするわけでございますが、その間、例えば共同訓練等やっているに際して、一時的に片方が融通して片方が四半期なら四半期ごとにそれを清算をする、そういう相互融通が一時的にできるようにするということに意味があるのではないかと思っております。例えば共同訓練をやる際に、米側米側の部隊を動かす費用というものは米側が全部持つわけでございますけれども、例えば油その他、日本国内において施設が十分ないとすれば、そういったタンクローリー等、全部持ってこなければいけない。そういうむだを省いて、日本側から一時的に油の融通を受けてそれを後ほど清算をするということが可能になるという意味で、より手軽に訓練が効率的に行われるということで、新たに日本側が余分な負担をするという問題ではないということを御理解いただきたいと思います。
  95. 上原康助

    上原委員 私は地位協定に基づいて新たに提供するとか、そういうことを言っているんじゃないのです。地位協定でそういう面での使用権というものは今現在でもあるのに、新たにそういう協定を結ばなければいかない理由は何かと聞いているのです。そこで今でも給油とかそういう面の日米間の融通はやっているのでしょう。それはどうですか。
  96. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 ただいま硫黄島それから南鳥島におきまして必要とします燃料につきましては、防衛施設庁の方で日米間で協定を結びまして援用しております。
  97. 上原康助

    上原委員 日米の共同訓練の場合、共同演習の場合の燃料、そういった面は現在はどうなっているのですか。
  98. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 日米の共同訓練に際しまして、例えばアメリカ側が油が非常に足りなくなる、ほかに入手の道がないというような限られた条件のもとで油の融通を行っております。
  99. 上原康助

    上原委員 それはどういうことを根拠にやっているのですか。
  100. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 この艦艇用の油の融通につきましては、物品管理法に基づきまして、その解釈として融通をしている、こういう実態でございます。
  101. 上原康助

    上原委員 そこで、それも問題だと思いますが、今防衛局長がお述べになった相当広範囲な物品、役務相互融通に係る協定になると思うのです。またそこがアメリカのねらいだと思う。  もう一つ大事なことは、そこで相互に融通し合うのは一体平時なのか、それとも戦時にも行うのかということです。何かこの間の委員会では、いや平時に限るということを答弁なさったという報道もあるわけですが、これは正直言って、平時ならこんなのをやったってさほど意味がないと思う。防衛論、軍事戦略論からいうと、こんなのを平時にやったって大したことない。あくまで有事というか戦時を想定しているからアメリカ側はこういう提案を今日の時点でやってきたと私は思う。その点はぜひ明確に改めて御答弁を願いたいと思います。
  102. 西廣整輝

    西廣政府委員 戦時に際して、有事の際に両国間でどういう相互支援を行うか、その清算をどうするかという問題は、別途考えなくちゃいけない重要な問題であろうと考えております。特に、支援を受け入れる国として我が方が負担すべきものはどういうものがあるかということも十分考えなくちゃいけない。いずれにしましても、今回提案があるものはそれぞれがその経費を負担するという前提になっておりまして、それをある限度額の中で融通し合うことができる、そして、限度額を超えない範囲で融通し合って四半期ごとなりに清算をしていくということでありますので、その種取り決めが戦時にすぐ適用できるかというと、これは戦時状況を考えると、逆に言えば、私はとてもそういった事務的処理というものは戦時中は難しい。例えば、帳じりを見ながら、もうおまえのところに貸せるのはこの範囲であるというようなことで戦争をしていくということでは、かえって難しいのではないか、それはそれで、やはり戦時に必要な相互支援のあり方というものは必要であろうというように考えておる次第であります。
  103. 上原康助

    上原委員 そうしますと、一応戦時も想定できるということになりますか。
  104. 西廣整輝

    西廣政府委員 私は逆に、この種平時にしか適用できないような協定なりやり方というものを戦時まで適用することは、戦時への日米の有効な共同対処行動の手足を縛ってしまうことになるのではないかということを申し上げたわけであります。
  105. 上原康助

    上原委員 それはなかなか意味深ですね。  そこでもう一つの問題点は、今盛んに、経費の負担を相互でできるようになるから、何かそこを一つの逃げ道にしようと思うような御答弁ですが、先ほど来私が指摘をしましたようにいわゆる肩がわり論、もっと日本の経済力に応じて防衛分担をやりなさい、これがアメリカの大前提にあるわけです。そういう面から考えて、経費負担を日本側が新たに強いられないという保証は私はないと思うのです。  伝えられるところによりますと、日米間で出し合った物品、役務の差額は年間一千万ドル以内にしたい、ということは、逆に言うと差額一千万ドルは日本側が負担することにならないのですか、あるいは、一千万ドルの差額の役務融通ということになると、差額は一千万ドル、上限までは青天井ということにもなりかねない、ここいらの経費分担の問題がどうなっていくのか、この点もぜひ明確にしてください。
  106. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 米国の国内法でございますので、有権的な解釈はできませんけれども、その千万ドルと申しますのは、一年間に米国がこの仕組みによりまして負うことのできる債務の上限でございます。したがいまして、この取り決めに関する限り、いずれか一方がより大きな財政的負担を負うということはございません。
  107. 上原康助

    上原委員 もう一点、この物品・役務相互融通協定というものはいつごろまでに結論を出すかということが一つ、もう一点は、そういう協定ができるとすると国会の承認案件になるのかどうか、この点を明確にしてください。
  108. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 先般来お答えいたしておりますように、これからまさに勉強を始めるところでございまして、かつそれも結論を予断していない、結論は白紙であるということでございます。したがいまして、今先生の取り上げられましたような問題は、さらにその後に検討していく問題だと思います。
  109. 上原康助

    上原委員 そこいらが危ないんだよ、皆さんがやろうとすることは。  それともう一つ確かめておきたいことは、実際に締結される場合に、さっきもありましたが、我が国の物品管理法あるいは国有財産の管理に関する法律とか自衛隊法等とのかかわりもいろいろ出てくると思うのですが、こういう面はどのようにお考えなのか。
  110. 西廣整輝

    西廣政府委員 これから勉強してみなければわかりませんが、おっしゃるとおり、物品の借り出しということになりますと、当然物品管理法等とどういうかかわり合いになるかというようなことも含めて研究をいたさねばいかぬというように思っております。  いずれにしましても、この種の相互融通というようなものが日米間の共同訓練等にとってどうしても必要なものであるかどうかという必要性をまずある程度検討し、それ以後、そのためにどういう国内法なり協定が必要かというようなことを検討いたした上で、最終的にこの種のものが必要であるかないかという判定をいたしたいというように考えている次第であります。
  111. 上原康助

    上原委員 有事法制問題とも十分これは関連してくることだと思うので、新たな負担を強いられたり、あるいは共同対処を強化をしていくような協定はおやめなさいということを強く主張しておきたいと思います。  もう一点確かめておきたいことは、このSSCで話題になったかどうかわかりませんが、最近の米軍機関紙いわゆる「星条旗」によりますと、B52の任務が変更になったということが報道されておりますが、この件について政府として事実関係を御認識しておられるのかどうか、また、安保事務レベル協議でも話題になったのかどうか、ひとつ明らかにしてください。
  112. 西廣整輝

    西廣政府委員 まず、ハワイ会議ではその種のことは全く出ませんでした。  今先生お尋ねになりました件につきましては、私も新聞報道等で見ましたけれども、その具体的な内容なり、あるいはそれが事実かどうかということについての確認は現在まだいたしておりません。
  113. 上原康助

    上原委員 外務省になるか防衛庁か、両方かと思うのですが、これは我々としては非常に重要な関心を持たざるを得ませんね。特に沖縄は、御承知のようにグアム島のアンダーソン基地にあるB52が、これまで再三台風避難を口実に沖縄に飛来をしてきている。この任務変更ということは、同基地所属のB52戦略爆撃機の核搭載任務が五月一日から廃止をされたという重要な変更なんですね。五月一日から核搭載任務が廃止をされた。そうしますと、これまで台風避難を口実に沖縄に飛来をしてきておったB52、特にG型か知りませんが、沖縄への核持ち込みが逆に証明されたということにもなるのですね。この点は政府として米側に確認をとる必要がある、これが一つです。  さらに、米軍は核攻撃任務をB52から最新鋭のB1Bへ引き継ぐことになるようです。そうしますと、グアム島のB52もB1Bへと更新される可能性が強いと思うのですね。これはどういう見通しなのか。  三点目に、そうなるとB1Bの沖縄飛来ということもあり得るのかどうか。これは断じて許せるものではない。これは新たな核搭載機であり、核戦略の一つの柱になるわけですから、この点についてはどういう認識を持ち、また、もし現段階で確かな情報米側からとっていないとするならば、照会をするに値する重要な問題だと私たちは思うのですが、どうぞ御見解をお示しください。
  114. 西廣整輝

    西廣政府委員 まずお断り申し上げておきますが、例えばB52が核搭載可能な航空機であり、この種の任務も持っておるとしましても、搭載する核ミサイルなりあるいは核爆弾、そういったものとB52というものが一体不可分のものではないというように私ども考えておりますので、B52の飛来すなわち核持ち込みにはならないというように考えております。  また、今回の報道そのものを私も、先ほど申し上げたように確認をいたしておるわけではございませんが、グアムにある核貯蔵庫の移転というようなことから、絡み合わせてB52の任務が変わったのではなかろうかというふうに記載されたと記憶しております。いずれにしましても、その種の内容については我々としてもできるだけ調査をいたしたいと考えております。
  115. 上原康助

    上原委員 これは外務省は確かめますか、今私が指摘したこと。また、アメリカがこういう報道をしている、これは事実だと思うのですね。現にB52の任務が変更になった、じゃその補てんはどうするかということが新たな問題なんで、米側に照会をする。B1Bの新たな沖縄飛来ということは私は絶対に許せない。こういうことは確かめますね。外交事項でしょう。どっちなの、はっきりさせなさい。
  116. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 今、防衛局長が言われましたように、どのような変更があったのかということにつきましては、可能な限り米側から情報を得ることはいたしたいと思います。
  117. 上原康助

    上原委員 特に、新たなB1Bの配置になるのかどうかを含めて、ぜひ早急に確かめていただきたいと思いますし、同時に、いかなる理由があろうとB1Bの飛来というもの、あるいはB52ももちろんですよ、グアムになくたって飛んでくるかもしらぬ。  もう一つSSCの中で確かめておきたいことは、在日米軍従業員の解雇問題についても議題になったようですが、昨年は特別協定が改定をされた直後に大量解雇が出たんですね。よもや今度はそういうことはないとは思うのですが、この点については明確に新たな解雇問題はないということが日米間で確認できたのかどうか、また、新たに協定が改定されたことによって在沖米海兵隊クラブの運営問題ほどのように好転するのか、この二点、明確にお答えください。
  118. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  在日米軍駐留支援について、私どもから、経費負担の現状でございますとか労務費特別協定の改正について米側説明をいたしました後で、四月の中旬に在沖海兵隊クラブ従業員の人員整理の撤回がございましたので、私どもから、米側のこれまでの努力に謝意を表明いたしますとともに、今後とも、こういった駐留支援について私ども努力をいたしております経緯から、従業員の雇用の安定には最大限配慮していただくように要望をいたしております。これに対しまして米側からは、今後ともできるだけ解雇というようなことがないように努力をしていきたいという旨の発言がございました。  それから、先ほどお尋ねがございました在沖の海兵隊クラブでございますが、既に先ほどお答えしましたように撤回になっておりますが、経営状況は御案内のとおり非常に厳しいものがございまして、価格の改定等行いまして、現在経営の立て直しと申しますか改善に努めておるというふうに聞いております。米側としても、そういった今までの日本側の努力を踏まえて今後解雇措置が出ないように努力をする、こういうことでございます。
  119. 上原康助

    上原委員 この点は、施設庁長官から今答弁があったんですが、瓦長官、あなたが最高責任者ですからね。日本側がこれだけ努力をしておるにもかかわらず、去年のように、国会で法案なりそういった協定が成立をすれば、またぬけぬけと合理化をするとか解雇をするとか、こういう理不尽なことは私は絶対させてはいかぬと思うのです。我々、そのものを非常に問題視しているわけですよ。今回は昨年のようなことが起こらないという確かな心証を防衛庁長官としてお持ちなのかどうか、ぜひ一言御見解を聞いておきたいと思います。
  120. 瓦力

    ○瓦国務大臣 沖縄の海兵隊の解雇問題というのは、実は私どもといたしまして、雇用の安定、そしてまたうまくいってくれればいいということで、さきの特別協定のとき以来米側にいろいろ協力方を要請してきたわけであります。上原委員、内閣委員会等、また予算委員会におきましてもこれらの問題につきましては常々御質問のあるところでございましたし、私もこの問題になりますと上原委員の顔が浮かぶくらいに実は雇用の安定の問題というのは常々あるわけであります。  米側の事情もあることは承知をしなければなりませんが、私どもといたしましては、全力を挙げて雇用の安定のために今後とも努力を続けていかなければならぬ、かように心得ておるわけでございますので、この点を踏まえて御了解いただくと同時に、私どもも細心の注意を払ってまいりたい、かように申し上げておきたいと思います。
  121. 上原康助

    上原委員 次に、基地被害についてと基地の縮小問題をお尋ねします。  最初に、せんだって沖縄・北方対策委員会お尋ねしたのですが、最近、全国的に米軍演習であるとか日米の共同訓練であるとかで起きていることなんですが、時間の都合で沖縄に限ります。警察庁もおいでのようですから、せんだって私が問題視をした、四月二十三日、キャンプ・フォスターから発射というか、投げられたと思う金属ナットのことなんですが、あのときは、米軍の基地からの投てきというか、発射されたものだと思われる、鋭意捜査をして対策を講じていくということを警察庁も施設庁も明らかにしたのですが、その後、経過がどうなってどういう対策を立て、また犯人がわかったら強制送還も辞さないとたしか外務省はおっしゃった、ぜひそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  122. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 五月の九日に沖縄・北方特別委員会において先生から御質問がございました。その直後に、私の方から再度沖縄県警に対しては捜査の強化と事犯の再発防止について指示をいたしております。事件が発生した直後に二度にわたって宜野湾警察署長から米軍に対しては事件の再発防止とか犯人の早期検挙等について申し入れておりますが、五月十日に再度同様の申し入れをしております。  事件については、五月九日に申し上げたとおり、犯人については今のところ判明しておりませんが、事件の評価については変わっておりません。その後、まだ残念ながら犯人が挙がったとかという成果についてここで申し上げる段階ではございませんが、米軍の側も大変事犯の重大性を認識しておりまして、共同捜査、それから沖縄県警の側では犯罪捜査の継続と事犯の再発防止を現在鋭意続けているところでございます。
  123. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 防衛施設庁那覇防衛施設局としましては、先般もお答え申しましたとおり、まだ犯人が特定されてない段階でありましたけれども、事故防止のための申し入れをいたしました。  米側は、海兵隊の機関紙に事故の状況を掲載しまして、そしてこの種の事件は非常に許しがたいことであるという厳しい内容の報道をしております。それから同時にFENの英語の放送の中でも、ゴールデンアワーといいますか、夕方の非常に皆様お聞きになる可能性の高い時間に同種の報道をいたしまして自粛を呼びかけております。それから、憲兵隊が事件発生周辺の住宅地区を戸別訪問いたしまして同様の趣旨を徹底し、何かこの事件についての情報が得られるならば協力をしろということで、米側としても、この事件、事故の防止、犯罪捜査を熱心にやっているというふうに承知しております。
  124. 上原康助

    上原委員 四月二十三日ですからかれこれ一月になんなんとしているのですね。この種のことは、あのときも私は強く指摘をしたのですが、日米の友好という面からも許せない悪質行為なのですね。あるまじき行為。こういうことをやっていてはアメリカの恥です。基地内から、何かゴム管みたいなやつをつくって、走っているバスあるいは乗用車に対してやっているという話もあります。いまだに犯人が明らかにならないということは、やはり基地だから捜査権の制限というのはいろいろあると思うのだが、少し生ぬるいのではないか。いつまでにどうするのか、もう少し明確なお答えをいただきたいと思いますし、同時にこの点は外務省も答えてください。  さらにもう一つ、施設庁に明らかにしてもらいたいことは、キャンプ瑞慶覧の地すべりで民家五軒が非常な損失を受けている。これはアメリカの工事によるものであることは認めた。今ちょうど梅雨どきですよね。再発防止をしないとまた起きますよ。この対策等はどうなるのか。今の事件の点と被害の面、警察庁それから外務省、明確にしてください。
  125. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 この事件が日米の友好にマイナスだという評価、それから事件の悪質性については我々も先生と全く同意見でございます。前回質問の際も、我々は捜査に対してこれは大変な激励だと考えて、沖縄には再度督励をいたしました。  事件は捜査でございますから、いつまでにホシを挙げる、挙げないということは申し上げられませんが、今後も全力を挙げてアメリカ側と協力して捜査を続けてまいりたいと思います。
  126. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 米側もこの捜査には最善の努力を払っていると申しておりまして、このことは警察庁、施設庁からお答えしたとおりでございます。これがもし本当に米軍の関係者による行為であるとするならば、まことに残念遺憾のきわみでございます。  それから、再発防止につきましては、そこの瑞慶覧交差点地域においてこれが米軍の関係者によってなされたか否かということでございますけれども、それとは別に、その前提に立って米側としては再発防止に努力しているということを申している由でございます。
  127. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 キャンプ瑞慶覧のがけ崩れの問題についてお答え申し上げます。  御承知のとおり、このがけ崩れは二度にわたって起こっておりますが、第一回のがけ崩れが起こりました後、応急措置といたしまして上砂の撤去等を行っております。  さらに、五月一日に未曾有の豪雨がありました際のがけ崩れに対しまして、さらに徹底した防護措置をやるということで、土のう積みとか排水溝の設置等のほかに、とりあえず斜面にビニールシートをかぶせるとか、あるいはH形鋼を危険な場所にずっと打ち込むという工事をしております。  現在のところ、約七十本ほどのH形鋼を打ち込む予定のところ、大部分が完了してございますが、もう少し残っております。さらに、H形鋼を打ち込んだ後に鋼矢板を打ち込みまして地すべりの被害を防止することに今全力を尽くしておるところでございます。その後、さらに斜面の土砂を若干排除いたしまして、芝の種を吹きつける等のことを考えておるところでございます。いずれにいたしましても、本件地すべりの拡大防止のために現在全力を尽くしておるところでございます。
  128. 上原康助

    上原委員 もう一点は、五月九日の段階では、このことだけじゃないのですが、事故なり何かそういった基地被害が起きると、すぐ再発防止をやりますとか、あるいは補償については云々と言うわけです。余りそういうことがないことがまず前提でやられなければいけないわけですが、これは米側の工事作業によって起きたことであるならば、損害を受けた人々、家屋に対しては当然補償の問題も出てくると思うのですが、その点も的確に進めますね。
  129. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 地すべりの原因等について現在なお調査中でございまして、その結論が出ておりませんので最終的なことは申し上げかねますけれども、本件の地すべりが米軍の過去において行っていた工事の現場あたりから出ておるという事実もございます。そして、この地すべりが米側の施設の管理の瑕疵によるものであるということが明らかになった場合には、当然のことながら、十八条に基づきまして補償の措置をとるということになります。
  130. 上原康助

    上原委員 当面はやはり再発防止、これ以上の被害が、二次災害、三次災害が起こらないような対策を、しかも梅雨どきであるということを篤と念頭に置かれて講じていただきたい、さらに、補償問題も十分お考えになっていただきたいということを強く要望しておきます。  警察庁はもう結構ですから、早目に犯人捜しをやってください。  次に、基地の整理縮小問題についてお尋ねをいたします。  まず、せんだっての四月十五日の外務委員会で、私は、日米安保協、昭和四十八年それから四十九年、五十一年でしたか、十四、十五、十六回の安保協で合意を見た沖縄の基地の整理縮小が遅々として進んでいない、これを全般的に取り上げて、条件つきで返還をするということが十年たってもできない今日においては、もう一遍日米安保協を持つなり再点検をして全般的な基地整理縮小というものを検討すべきであろう、してもらいたいということを外務大臣初め外務省当局あるいは沖縄開発庁にも要請をしたわけですが、沖縄の基地の実態を視察をする、在任中に行かれるということを外務大臣は約束をいたしました。しかし、安保協を開いて再点検をするということまでは至らなかった。  しかし、今指摘をしたようないろいろな問題が起きているときでありますので、この沖縄の基地の整理縮小問題を今後どう進めていかれようとするのか、きょうは外務大臣はいませんが、せっかく北米局長がいらっしゃるし、また施設庁長官もいるし、瓦大臣もいるわけですから、改めて御見解を聞かせてください。
  131. 友藤一隆

    友藤政府委員 沖縄県におきます米軍基地の整理縮小問題については、かねてから先生初めいろいろな関係の方から強い御要望をいただいております。  私どもといたしましても、沖縄県に所在する米軍の施設、区域は大変数が多いし、県の発展の観点からのいろいろな問題というような点の御要望もよく承っているわけでございますが、一方におきまして、安保条約の目的達成のためにこういった施設、区域というものが必要であり、かつ役に立っておるというような事実もございまして、双方の要請をいかに調和させるかということで、実は先生指摘の安保協議会において、安保条約の目的達成それから沖縄の振興開発計画の推進、この二つの目的を調和させるということでいろいろ御検討いただいて了承されておるのが現在の計画ということでございます。多くの関係者にいろいろ調整をいたしまして、当時大変御苦労いただいてこういった結論を得ております。  その後、先生の方から御指摘ございましたように、移設先の選定の問題あるいは土地所有者の意向の問題、いろいろ出ておるわけでございますが、私どもとしましては、こういった合意をいただいたところから逐次基地の整理縮小、統合問題というようなものを片づけていくことがまず第一ではなかろうかということで努力をさせていただいておるわけでございます。現在四五・六%という返還割合になってございますが、最近におきましても少しずつ、テンポは大変遅うございますけれども、着実に私どもとしては進めてまいりたい、かように考えておりますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  132. 上原康助

    上原委員 きょうは余りぎすぎすしたやりとりはしたくない、というよりも時間の都合もありますのでやりませんが、着実に進んでいないからいつも議論になっているのです。しかも、その目玉である那覇軍港であるとか伊江島であるとか、重要な返還を、移設するということが遅々として進まない問題が現に起きているからいつも指摘をしているわけで、皆さんが言うように日米安保条約の目的達成ということを優先する限りにおいてはこれは不可能です。  しかし、そのことはさておいても、いま少しは、地元要望との調和をとりながら、移設先の選定であるとか、縮小整理であるとか、私は可能だと思う。だから、現時点でもう一度、外務省、施設庁を含めて政府の立場での点検をしてみたらどうですか、これを私はせんだってから提案をしているわけです。あえてそれさえもやらないというところに皆さんの消極的な立場があると思う。まず基本的な問題として、この点はいかがお考えですか。
  133. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 先般外務大臣が申しましたとおり、私どもといたしましては、特に沖縄におきます米軍施設、区域の密度が高くて、その整理統合について地元の方々から強い要望があるということは十分承知いたしております。  先ほど施設庁長官が申されましたように、そのような御要望と、他方、安保条約の目的を達成するに当たって、あるいはそれを達成するに当たっての我が国にあります、沖縄にございます施設、区域の役割という二つの調和を図っていかなければならない。そのときにまず私どもも達成しなければならないのは、何分まだ四五・六%という水準にしか達してはおりませんけれども、第十四回から第十六回までにかけてせっかく合意されております整理統合をまず実現するために最善の努力をしていくことが課題ではないかと考えております。
  134. 上原康助

    上原委員 それでは聞いておきますが、盛んに四五・六%云々と言うわけですが、昭和で言うと五十一年でしょう。今もう六十三年ですよ。十二年たっている。四十八年からするともう十五年。これはいつまでたてばできるのだ、皆さんが合意したことは。着実に推進していくと言う。いつまでならできるのですか。見通しはあるの。
  135. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  見通しの点でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、移設先の問題、それから土地所有者の意向、こういったものとの兼ね合いというようなものもございまして、私どもだけの考え方だけで強力に推し進めるというわけにもなかなかまいらない点をひとつ御理解いただきたいわけでございますけれども、こういった話し合いについてはやはり地道に努力をしていくという必要もございますし、いろいろな状況の変化等を踏まえまして、私どもとしては粘り強く交渉を続けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  136. 上原康助

    上原委員 お言葉を返すようですが、粘り強く努力するのは結構、地道にやらなければいけないことも結構です。しかし、十年たってもできないことで、いつまで粘り強く足踏みだけしているの。同時に、相手のあることと言うが、日本だけでこちらへ返してもらいたいと言ったわけじゃないです。日米間で合意をしたわけでしょう。しかも安保協で相手も合意したのでしょう。  だから、できない原因があるのだから、私がかねてから言っているように、日米間で現段階でもう一遍再点検してみたらどうか。これさえもやろうという意思がないのはどういうことですか、外務省外務省がブレーキになっているのか、施設庁が怠けているのか消極的なのかよくわからぬですがね。それとも両方のコミュニケーションがこの件で十分とれていないんじゃないの。今の点はそう簡単に引き下がれる問題じゃないですよ。どうですか。
  137. 友藤一隆

    友藤政府委員 この問題については米側とは常時現地レベルあるいはその上のレベルでも話し合いを続けておりますので、決して棚に上がってしまっておるということではございませんで、私どもとしては地道に努力を続けていくということでございますので、御理解を賜りたいと思うのでございます。
  138. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 このことにつきましては、外務省と施設庁との間、防衛庁との間で常に密接な話し合い、意見の交換を行っております。それから、施設、区域の整理統合につきましては、米側との間に合意ができておりますけれども、移転先の選定が難しいとか、土地利用のめどが立たないとか、地主の方々にもさまざまな御意向があるとかいう複雑な、にわかには解決の見出されないような実態があるということがございまして、それゆえになかなかすぐに答えが出せないという事情があるわけでございます。
  139. 上原康助

    上原委員 それを知っているから聞いているんじゃないですか。皆さんあの当時は沖縄の基地の整理縮小ということで大きな政治課題だったから、国民向けにPRするためにああいう合意を見て、ある面ではできないことをできるかのように約束をして、その後遅々として進まないというのが今日の実態なんですよ。これは西銘知事だって政府の姿勢が弱いとこの間アメリカへ行かれて感想を率直に述べておられるじゃないですか。  これは立場の違いだけの問題じゃないですよ、本当に。真剣味が足りない。そういう、簡単に今後見過ごせるような問題じゃないということは、ここで改めて僕は指摘をしておきますよ。力づくで何でもできると思ったら大間違い。  そこで、具体的にお尋ねしますが、読谷補助飛行場の使用目的、使用条件はどういうふうになっているのですか。
  140. 友藤一隆

    友藤政府委員 最後は担当の部長から申し上げたいと思いますけれども、現在、落下傘降下訓練場としての機能がございますほか、一般訓練場及び隣接する楚辺通信所の電波障害緩衝地帯としての機能を有しております。
  141. 上原康助

    上原委員 それはどこで取り決めて、どこにこういう規定がなされているの。
  142. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 昭和四十七年五月十五日の提供の際の合意では、この機能は訓練場となっておりまして、ただ一つ条件として、パラシュートによる重量物投下訓練は認められないということになっております。
  143. 上原康助

    上原委員 そこが問題なんです。そこが問題というより、今訓練場でしょう。しかし、これは五・一五メモには明らかにされていませんね、読谷補助飛行場というのは。恐らくパラシュート降下訓練とも書いてないのです。もしそういうのが書いてあるとするなら、それは皆さんの日米間の秘密だ。それは一応その程度にとめておきます。五・一五メモにも明確にされていない。  当時は、これはたしか陸軍管理だったはずなんです。陸軍管理、そうですか。使用する米軍はどこになっているの、五・一五では。
  144. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 お答えいたします。  提供条件ではどこの軍が管理するということは明示されておりませんけれども昭和四十七年当時は空軍の管理であったと承知しております。
  145. 上原康助

    上原委員 空軍の管理から、たしかその後の変化ということは、私はきょうはいつだったか明らかにいたしかねますが、その後も使用目的の変更があったかどうかも何遍かお尋ねしてきた。だが、そういうことは一切明らかにしてこなかったのですね。最近になって、一般訓練であるとか電波障害というのは皆さんがつけ足しをしてきたことなんです、明らかに。これは、五・一五メモでは今おっしゃったように訓練場になっている。現在はもう各軍が使用しているという状態。こういう変化もあるということを私たちは事実として指摘をしておきたいし、こういう拡大解釈をした使用条件を米側に合わすことについては、納得いきかねるということも強く指摘をしておきたいと思います。  そこで、もう一点確かめておきたいことは、皆さんがここでの降下訓練の機能移設を米側と合意をしたのはいつですか。
  146. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 お答えいたします。  降下訓練の機能移設を合意したということではございませんで、昭和五十五年に、この降下訓練の機能移設問題を検討するために施設特別委員会の下に特別作業班を設置した、そこで検討することを合意したということでございます。
  147. 上原康助

    上原委員 これも話は長くなりますが、一九七九年ですから昭和五十四年になるのかな、いわゆる読谷飛行場内でのパラシュート降下演習は不適切であり、移設をするということを防衛施設庁はたしか明らかにしたはずなんです。これまでのいろいろな経過があるということはわかるわけですか。認識しているわけですか。理解というよりも、国会でのやりとりを含めて、そういうことは地元の意向を含めて皆さんはどういう御理解をしているの。
  148. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 この読谷飛行場のパラシュート訓練機能の移設の問題は、昭和五十四年、御指摘のとおりでございますが、米軍のテストパラシュートが場外に落下したという事故を契機といたしまして、地元から強い要望がなされ、当時那覇防衛施設局長と読谷村長との間でこの移設について検討するという話し合いがなされたということは御指摘のとおりでございます。  その後、先ほど申し上げました特別作業班で検討すると同時に、防衛施設庁といたしましても、移設先についての調査等を行って努力を続けてきたということでございます。
  149. 上原康助

    上原委員 実にこれも相当の期間が経過をしている。いまさっき答弁ありましたように、昭和五十五年、一九八〇年の十月九日に、第四百四十五回の日米合同委員会で、パラシュート降下訓練場の移設を検討するための特別作業班を施設特別委の下部機関として設置するとの承認を求めて、これは合意されたのでしょう。
  150. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 御指摘のように、合意されまして特別作業班が設置されたということでございます。
  151. 上原康助

    上原委員 こういう機関を設置するということの合意を見て移設のための作業を進めるということは、機能を移設するという前提でのことでしょう。
  152. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 機能を移設する必要性があることを認めて設置されたものと考えております。
  153. 上原康助

    上原委員 そうであれば、明らかに、地元なりこれまでたびたび問題になってきたように、ここでパラドロ訓練をするということは非常に問題がある、地域住民への影響性が強い、こういう認識においては外務省も施設庁も共通いたしていますか。
  154. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 さようでございます。
  155. 上原康助

    上原委員 そこで、さらに私も、なぜこれが問題になるかというと、この読谷飛行場が国有地になったいきさつからもう一遍、一度どこかで徹底論議しなければいかないのかなという残念な気持ちもするのですが、それはさておいて、一九八四年三月三十一日、昭和五十九年ですね、当時の塩田長官も私のお尋ねに対して、いまさっきもありましたように、既定方針どおり移設を進めていきたい、現在三カ所に絞って調査検討しており、三月中には報告書がまとまる、あるいは六月ごろまでには本庁に上がってくると思うので、それまでに場所の特定ができるかもしれない、こういう答弁までやってきた経緯があるわけですよね。これも確認できますね。
  156. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 御指摘のとおりの答弁があったことは承知しております。防衛施設庁といたしましては、昭和六十二年度におきましても複数の候補地について調査を行っております。
  157. 上原康助

    上原委員 なぜこういう経過を一々確認をするかといいますと、どうも国会もだんだん人もかわり、いろいろな重要なことについて答弁を引き出しておっても、いつの間にかどこかで突然何もなかったように言われても困るのですよ、これは事実関係ですからね。  さらにもう一つ、せんだって私は十五日にもこれを指摘しましたが、当時沖縄開発庁長官であった三原長官が、これは五十四年の六月、参議院の沖特での答弁があるということもおわかりですね。
  158. 嘉手川勇

    嘉手川説明員 ただいま先生のおっしゃいました当時の三原大臣の御発言があったということは承知いたしております。
  159. 上原康助

    上原委員 これは一々はここで引用しませんが、それは施設庁も外務省も否定はしないと思いますので、その点は確認をしておきたいと思います。もしお答えがあれば次に立つときにお答えください。  それともう一つ昭和六十年三月二十六日、決算委員会における議決があることもおわかりと思うのです。この四項で、「沖縄県読谷村内の国有地問題はいまだ解決していない。政府は、沖縄県の国有地の現状に配慮し、早急にその利活用が図られるよう努めるべきである。」これがあるということもわかりますね、外務省防衛庁、施設庁。
  160. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 御指摘の一連の政府答弁はもちろん私ども承知いたしております。  しかし、これは戦前の旧日本陸軍によって取得された土地、これは現在国有地となっておりますけれども、これの所有権に関する問題との関係で述べられたものでございまして、そのようなものとして理解いたしております。
  161. 上原康助

    上原委員 あなた、聞いていることに答えなさいよ。  これに対して当時の河本長官が、「ただいま御決議のありました沖縄県読谷村内の国有地問題については、早急にその利活用が図られるよう努めたいと存じます。」こういう答弁をやっているわけですね。これは単なる附帯決議の問題というよりは、決算委員会のこの議決というのは重みがあるはずなんだ。  それで、これを受けて六十一年の二月七日、内閣総理大臣中曽根康弘から衆議院議長坂田道太殿に、昭和五十六年度決算に関する衆議院の議決について講じた措置を別紙のとおり報告する、この第四項で内閣総理大臣から坂田議長にどうなされているか、施設庁答弁してください。
  162. 嘉手川勇

    嘉手川説明員 御説明を申し上げます。  ただいま先生の御指摘の点は次のようなところかと存じます。「沖縄県読谷村内の国有地については、沖縄振興開発にとって貴重な財産と考えられるので、その利活用に当たっては、地元の土地利用構想を尊重しつつ沖縄振興開発特別措置法の趣旨を踏まえて、対処してまいる所存である。」というような内容だと承知いたしております。
  163. 上原康助

    上原委員 今の点は、外務省、防衛施設庁もそのとおり理解をしておりますね。それがあったということと、その趣旨を理解していますね。
  164. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 承知いたしております。
  165. 上原康助

    上原委員 ここまでこの問題についてはいろいろな経緯がある。だから、結論として申し上げてお尋ねしたいことは、こういう経過を踏まえて読谷村は基本計画をつくり、当面まずパラドロの機能移設をやることがこの問題の解決を促進していく、一つ一つステップを踏んでいきながら日米間なりあるいは県なり関係省庁との理解を深めてやっていこうというのが今の立場なんですね。  それが、せんだっての、恐らくそういった経過はある程度理解はしておられたと私は思うのですが、十三日の沖特における北米局長の答弁というものが大変現地の関係者にショックを与えている、これは政治的には極めて重い意味を持つ姿勢と言わざるを得ないわけですよね。ですから、これまでの経緯を踏まえてあくまでもパラドロの機能移設を進めていく、それは日米間で合意を見ている、またその作業も進められている、このことは双方とも進めていくということは確認できますね。
  166. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 先日の私の答弁に対する御質問でございますので私からお答えいたしますけれども、私が申し上げましたことは、今先生がおっしゃられました一連の事実を背景として念頭に置いてのものでございます。私がその際申しましたことは、次のことでございます。  一つは、読谷の補助飛行場につきましては、昭和五十一年七月の第十六回日米安全保障協議委員会において補助飛行場の滑走路の東側部分は返還が合意された……
  167. 上原康助

    上原委員 もう時間もありませんので、そのことを重ねて聞いているのではないのですよ。  これは、こういう経過があって、あくまでも読谷補助飛行場の皆さんの使用条件からいってもいろいろ問題がある、日米間で確かにまだ全体を返還するという合意まではなされていないかもしれないが、地元にそういった強い要望があって、国会でも何回かやりとりをして、地元の基本計画を尊重しながらその跡利用については進めていくということまで内閣総理大臣が衆議院議長に対して報告をしている、その事実を尊重して、これからのパラドロ機能移転の問題、その返還全体の問題を政府で検討してもらいたいということなんですよ。  そのことはぜひひとつ、外務省も、施設庁としても認識を改めてもらいたい。間違いないですね。そういうことで進めますね。
  168. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 先ほど申し上げましたように、先生が引用されました一連の政府側の答弁等は読谷にございます国有地についてのものでございます。そして他方、本日答弁いたしておりますここにおける落下傘降下訓練の施設の移転先を検討しようということとは別のことでございまして、たとえこの訓練のための施設の代替の場所が見つかったといたしましても、読谷補助飛行場は現在のところその他の、これも本日取り上げられましたけれども、役割を果たしているのでございまして、返還を当然視するのは難しいであろう、そういうことでございます。
  169. 上原康助

    上原委員 それは、例の象のおりがあるとか、いろいろ通信施設というのがありますよ。だから、そうしますとあなたは、今、国有地の部分になっていることについて、現在、これまでの経緯とその返還について強い地元の要求なり国会のこれまでの経過、やりとりがある、そういうことはお認めになりますね。
  170. 竹中修一

    竹中委員長 簡明に答えてください。
  171. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 それは存じております。
  172. 上原康助

    上原委員 国有地の部分を特に問題にしているわけです。  そこで結論として、施設庁長官、これまでの経過があります。今、国有地の部分についてのこれまでのやりとりはよく理解できる、承知しているということですので、地元の意向を尊重し、あなたが言うように、粘り強く、パラドロ機能移転、読谷飛行場の跡地利用ということについて施設庁として努力いたしますね。
  173. 竹中修一

    竹中委員長 一言で。
  174. 友藤一隆

    友藤政府委員 先ほど来御議論いただいております機能移設につきましては、現在私ども一生懸命努力をいたしておるわけでございます。返還の問題について地元の御要望が大変きついということについても、私ども先ほどの議論を通じてもよく承知をいたしております。  過去の事例もございますが、ただ、現在の使用している状況等から見まして、従来から御答弁申し上げておりますとおり、現在こういった訓練場としての使用というような現状がございまして、返還の見通し等については現在立っていない、こういう状況でございますので、その辺については御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  175. 上原康助

    上原委員 終わります。
  176. 竹中修一

    竹中委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ────◇─────     午後三時二十分開議
  177. 竹中修一

    竹中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上和久君。
  178. 井上和久

    ○井上(和)委員 初めに、五月三日からハワイで開かれました第十八回の日米安全保障事務レベル協議についてお伺いをしたいと思います。  先ほど来の御議論を伺っておりまして、新聞等で発表されまして、また大きな見出しになっておることというのが、どうも聞いておりますとそんなではなかったという雰囲気のお話になっておるような感じがいたしますが、国民の皆さんはどうしてもそちらの方を受けとめる方が強いんじゃないかと思います。そういうふうな意味から、ぜひ今回の会合においての目的並びに協議の概要等につきまして、少々時間をとっても結構ですから、しっかりと言うてもらいたいと思います。
  179. 西廣整輝

    西廣政府委員 先般のホノルルにおいて行われました日米安保事務レベル協議の概要を申し上げます。  まず協議事項でございますが、第一日目に国際情勢等、そして第二日目に日米防衛協力、第三日目に我が国の防衛努力等を中心にそれぞれ日米双方から説明を行い、意見を交換するという形で進められたわけであります。  次に、協議内容を申し上げます。  最初に国際情勢でございますが、米側からは、米国の見た世界情勢について、アジア、中東、中米、アフリカの各地域別に説明がございました。特に、ゴルバチョフ政権になってからもソ連の軍事態勢には変化が見られないという見方が示されたほかに、アメリカの国防費というものは抑制はされているけれども米国のコミットメントには今後とも変わりがないといったような発言がございました。  これに対しまして、日本側からは、これは外務省からでございますが、長期的にはアジアは安定化の方向にあるというような観測、さらにアジアの現状についての我が国の認識について説明をしたわけであります。  二日目の日米防衛協力関係でございますが、前回の会合、これは昨年一月にあったわけでございますが、それ以降の共同研究、共同訓練あるいは在日駐留米軍支援等、各般の分野におきます日米防衛協力の現状についての説明日米双方からこもごもあったわけであります。いずれにしましても、双方が、この日米防衛協力の状況というものが逐次進展をし、実りある状況にあるということを確認したわけであります。  そして、指針に基づく日米共同研究につきまして、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、通信面におけるインターオペラビリティーの確保が重要であるので、今後ともこの分野における研究作業を進めていくこと、並びに共同作戦に係る後方支援面の問題につきまして、引き続き問題点の洗い出しをしていくということについて双方の考え方が一致をいたしたわけでございます。  また、共同訓練の関係でございますが、これにつきましては、逐年、共同訓練というものが内容的にも向上しておるという認識が示されまして、今後とも積極的かつ継続的にやっていくということ、それから、先ほど教育訓練局長から申し上げましたように、従来、陸海空各サービス間の共同訓練というものが主体でありましたものを、統合共同訓練、そういったものの拡充によって各サービス間のものを逐次そちらに吸収していくといったような方向が示されたわけでございます。  さらに、米側から、これまた先ほどちょっと申し上げましたが、NATO相互支援法に基づく米国NATO諸国間の共同訓練等の際の物品、役務の融通の仕組みについての説明がございまして、それに対して、先ほどお答えしたように、外務省の外務審議官の方から、その必要性その他も含めてこれから研究してみようということになったわけでございます。  それから、三日目でございますが、三日目はまず日本側から、昭和六十三年度の防衛予算というものが、中期防というものを踏まえまして、この三年度目として着実に進捗しておるという状況、そして、中期防そのものが三年をこれで予算化されたわけでございますが、平準的なペースといいますか、このペースを維持していければ、中期防そのものが目標の達成が可能であろうというようなことを説明をいたしたわけであります。  さらに、昭和六十六年度以降のいわゆる次期中期計画でございますが、この問題につきまして、今後中期防の終了までの間に、改めて国際情勢であるとかあるいは経済財政事情、そういったものを十分勘案しながら決定するということになっているのだけれども、現在、どういう計画方式にするか、どのようなスケジュールでやっていくかというようなことについては、まだ安全保障会議等で論議をしていないので決まっていない、しかし、防衛庁としては、引き続きこの種政府計画である中期計画というものがつくられることが、防衛力の効率的なあるいは計画的な整備のために必要であると思っておりますということを申し上げたわけであります。  これに対しまして、米側の方からは、日本の防衛努力というもの、特に中期防というものが着実に実施をされているという現状について、これを評価するといったような発言があったわけでございます。  さらにアメリカ側から、米議会内にいろんな議論があるということを前提にしまして、あるけれども、米政府としては日本のこれまでの各種の防衛努力というものを評価をいたしておりますということを言うと同時に、日本の経済的な地位というものが逐年向上しておる、そういったことにかんがみまして、国際社会の平和と安定のために国連等の平和維持活動への協力であるとかあるいは経済協力の拡充を期待するといったような発言が、先ほど来北米局長、私が申し上げたような形で出てまいったわけでございます。  これに対しましては、日本側から、日本が国際社会の平和と安定に貢献しなければならないということは当然のことでありまして、このことについては、総理がロンドンの演説で述べたように、ODAの拡充であるとかあるいは平和維持活動への文官の派遣といったようなことを考えているというようなお答えがあったわけであります。  最後に、在日米軍駐留支援の問題でございますが、この件につきまして、日本側から、在日米軍駐留支援についての経費負担の現状及び労務費特別協定の改正、これは外務委員会の方で御審議いただき参議院を先般通過しましたけれども、そういったものの状況を説明をいたしました。  これに対して、米側としては、日本側の努力というものを非常に高く評価する、ひとつ今後とも御支援をよろしくといったような話があったわけであります。  次に米側の方から、空母艦載機の着陸訓練場確保の問題及び池子の米軍住宅建設問題につきまして、これからこれらの事業というものが着実に進展をしていくということを希望するといったような発言があったのに対しまして、日本側の方から、現地の情勢それぞれいろいろ厳しい問題がございますということを現状を御説明すると同時に、日本政府としては最大限の努力をしていくというようなやりとりがあったわけであります。  さらに、在沖縄海兵隊クラブ従業員の人員整理の撤回問題につきまして、日本側から、米側のそういった措置について謝意を表明するとともに、今後とも、従業員の雇用の安定に極力配慮してほしいといったような要望をいたしまして、米側からも、今後ともできるだけそういった点で努力してまいりたいという返答を得た次第であります。  大体以上が概要でございます。
  180. 井上和久

    ○井上(和)委員 それでは、ただいまの御答弁を中心にしながらお伺いをいたしたいと思います。  まずこのSSCですね、この協議で国際情勢についてお話し合いがなされた、そういうお話でございました。その中で米国側は、ゴルバチョフ政権は従来の政権とはやり方は違うけれども、ソ連の長期的目標、軍事態勢等は変化がない、こういうふうに述べたというお話でございました。これにつきまして、防衛庁長官は、このゴルバチョフ政権の防衛政策、なかんずく極東における軍事政策についてどのように認識をしておられるのか、長官の御所見を伺いたいと思います。
  181. 小野寺龍二

    ○小野寺政府委員 SSCで出てまいりました議論でございますので、私の方から説明させていただきたいと存じます。  アメリカ側は、ゴルバチョフは外交政策において非常に活発で、かつ従来のソ連の指導者と異なったアプローチをいろいろやっているということ、これは事実ではありますけれども、それだからといって、ソ連の長期的な目標というのが変わっているかどうかという、そういう証拠は全くないということを非常に強調しておりました。  それからまた、ゴルバチョフのもとで、例えば軍事ドクトリンでございますね、合理的な十分性とか防衛的な態勢というようなことがいろいろ言われているけれども、実際にソ連の軍事態勢というものを現在見た場合に、全く変化というものは見られないんじゃないかということをアメリカ側は言っておりました。それで、現実に戦略核兵器それから非戦略核兵器、通常兵器、各兵器分野について、依然として開発、生産というものが従来と同じようなピッチで進んでいて、そういうものが同じような速さで配備をされているということで、現実においては変化というものは見られていないということを言っておりました。  我が方からも、ウラジオストク演説というような注目すべき演説があるということ、それからまたINFの合意、それからアフガニスタン撤退というような非常に注目すべき、しかも歓迎すべき動きはあるけれども、やはりソ連が何をやるかということを注目していかなければいけないということを我が方からも発言いたしております。  それから、極東につきましても、ソ連全体の動きと同様、極東におけるソ連軍の増強、それから活動というものも従来の趨勢と特段変わったところはない。したがって、ソ連のゴルバチョフになってからいろいろ言われていること、その言われていることに注目するだけではなくて、やはり我々としては何が行われているかということをはっきり見なければいけないという点では、米側それから日本側、一致していたと言うことができるのではないかと思います。
  182. 井上和久

    ○井上(和)委員 それで特に、やり方は違うがというふうな認識を持っておるというお話だったのですが、やり方が違うというのは具体的にはどういうふうなことを指すのでしょうね。
  183. 小野寺龍二

    ○小野寺政府委員 やり方が違うというのは、例えば軍縮交渉等において、あらゆる分野の軍縮交渉というものに乗ってきているというようなこと、それから、アジアでも注目されるところでございますけれども、二国間の関係というものを従来以上に非常に熱心に行っているというようなこと、それから、ウラジオストク演説がございますけれども、そのほかにもムルマンスク演説とか、それから先般のベルグラードにおける演説というような、少なくとも新しいように見えるような提案を盛んに行うというようなことで、スタイルは非常に変化しているということは事実でございまして、その点が指摘されたわけでございます。
  184. 井上和久

    ○井上(和)委員 国際情勢の件につきまして、日本側の発言の中で、今、西廣局長がお話しをいただいたんですが、アジアは安定化の勢力というものがきちっとあって、そして不安定の勢力よりも強い、そういう意味で、アジアの国際情勢的なものとしては楽観的であるという考え方でよろしいですね。
  185. 小野寺龍二

    ○小野寺政府委員 アジア情勢についての分析は実は外務省の方から行いまして、私が答えるのはちょっと適当かどうか存じませんですけれども、私の記憶いたしておりますところでは、アジアにおける安定的な力というのは、まず第一に、日米安保体制が非常にしっかりしているということ。それからアジアのいわゆるNICSでございますね、それが非常にダイナミックな経済発展をいたして、それがアジアにおけるそういう国々の社会的な安定に寄与しているということ。それから三番目に、韓国でございますね、韓国において、もちろん経済の非常にダイナミックな発展とともに、政治的な民主化の過程というものが進んでいるということ、それによって韓国の情勢が非常に安定化の方に向かっている、こういったようなことが安定化の方の動きであるということでございます。  逆の不安定的な要因といたしましては、例えばソ連の極東における軍事力の増強が継続しているということ。それから、朝鮮半島におきましては、北鮮の動きというものが非常に見通しにくい状態にあって、かつ北朝鮮とソ連との協力が進んでいるということ。それから、そのほかにもカンボジア情勢というようなものが不安定材料であるということでございます。  ただ、こういったものを総合して見ますと、もちろんそういう不安定材料はございますけれども、全体としてアジアはそういう安定的な要素の方がまさっている。したがって、不安定的なものをできるだけうまく抑えていくということによって、アジアについては比較的楽観的な見通しができるのではないかという、そういう報告をいたしたわけでございます。
  186. 井上和久

    ○井上(和)委員 特に朝鮮半島の情勢等につきましても若干の御答弁をいただきまして、改めて私これを聞こうと思っておったのですが、それでやめたいと思います。  この会合におきまして、ソ連の軍事力の増大等種々の問題がある、こういう認識をお持ちであるというふうに伺っております。そこで、ソ連の軍事力の実情並びに先ほどからの御答弁もございましたが、着々ととかいう話でありますが、具体的にこのことについて示していただきたいと思います。
  187. 小野寺龍二

    ○小野寺政府委員 ソ連の軍事力が依然として強化の方向にあると申しますのは、例えば戦略核の分野におきましては、SS25という新しい移動式の戦略ミサイルが配備され、さらに加えてSS24というような鉄道移動式の核ミサイルがこれまた配備を開始されたということ。潜水艦発射ミサイルの面でも、タイフーン型とかそれからデルタⅣ型というような非常に強力なものがどんどん就航しているわけでございます。新しく完成して就航しているということ。  そのほかの兵器分野で、例えば航空母艦、従来の日本の付近にもございます二隻の空母と同じような形の小型空母でございますね、これの四隻目が昨年やはり就航したという事実もございますし、それから、現在本格的な大型空母というものがもう完成に近づいていて、恐らく間もなく試験を開始するというふうに言われておりますし、その二隻目の造船というものも続けられておるというようなこと、これは幾つかの例でございますけれども、全体として、ソ連の軍事力はそういうように兵器の面でも進んでいるわけでございます。  それから、極東一つとりましても、一九八五年、すなわちゴルバチョフ書記長が就任いたしまして以後も、これは以前にも当院において御説明いたしたことがございますけれども、八五年と比べましても、例えば地上兵力については極東で二個師団、約二万人が増強されております。それから、海上兵力につきましても七万トンぐらい増強されております。その中には、ゴルバチョフ書記長就任以後に、例えばキーロフ級の原子力ミサイル巡洋艦、これはフルンゼでございますけれども、そのほかにソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦、ウダロイ級ミサイル駆逐艦、これはごく最近でも三隻、極東に回航されてきたという事実がございます。それから航空兵力については、作戦機が約百九十機ほどふえております。その中には第三世代以降の非常に新しい形のものがございます。スホーイ25、スホーイ27といったような飛行機でございます。  こういったような状況でございまして、ソ連全体といたしましても、それから極東をとりましても、ソ連の軍事態勢というものは依然として強化の方向にあると見ざるを得ないということでございます。
  188. 井上和久

    ○井上(和)委員 どうもお伺いしておりますと、一般の認識では、ゴルバチョフになってINFを中心といたしましていろいろな意味で平和に向かう姿勢が非常に強いというふうに受けとめるのが一般的な受けとめ方だろうと思います。また、先ほどの御説明を聞きますと、今ぐらいソ連が特に極東に対して配備に力を入れて増強しているときはないように感じるわけでありまして、これはおかしな話だなと聞きながら思うわけでございます。現実というものは一つでございましょうし、今後の対策というものが非常に大事だというふうに思うわけでございます。  特に、増強の状況につきましての御説明は御丁寧でございましたが、この資料ですと、ソ連の軍事力の増大等種々の問題があるというふうにもお書きになった文章が見えるわけなのですが、種々の問題があるというのは、このほかにどんなことがございましょう。
  189. 小野寺龍二

    ○小野寺政府委員 ソ連以外の種々の問題といたしましては、例えば朝鮮半島における不安定状態が依然として続いているということ、それからカンボジア問題について依然としてまだ解決の見通しがついていない、そういったようなものがソ連の軍事的な増強以外の不安定状況として述べているものでございます。
  190. 井上和久

    ○井上(和)委員 次に、中期防以後のこと、ポスト中期防というのですか、次期防衛力整備計画についてでございますが、防衛庁は次期防について基本的方針としてはどういうふうにお考えになっておるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  191. 瓦力

    ○瓦国務大臣 まず初めに、私から井上委員に、委員会にちょっとおくれてまいりまして熱心にお待ちをいただきまして御迷惑をおかけいたしました。おわびをいたします。  ただいま中期防、ポスト中期防につきましての御質問でございます。今、中期防のちょうど半ばにあるわけでございますが、この先々考えてまいりますと、この中期防が終わりますのは昭和六十五年ということになるわけでございますので、その後、昭和六十六年度以降の防衛力整備のあり方につきまして、現在の中期防終了までに、改めて国際情勢であるとか経済財政事情等勘案いたしまして、我が国の基本方針でございます専守防衛等の基本方針のもとで決定を行うべきである、かように考えておるわけでございます。  現在、具体的な内容につきまして述べられる段階、こういうことにないわけでございますが、私といたしましては、長期的な視点に立ちまして計画的に防衛政策というのは進めてまいるべきだ、かような観点に立ちまして、現在の中期防のような中期的な防衛力整備計画、かような計画が策定されることが望ましいと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、安全保障会議等にお諮りをいたしまして、その上で検討に着手ということになるわけでございますが、年内にも作業に着手したいと実は考えておるわけでございます。ポスト中期防につきまして、やはり現在も堅持しております節度ある防衛力の整備、こういう精神は引き続いて尊重していくべきものと考えるわけでございますが、これは言うまでもないことではございますが、さような心得を持ってポスト中期防に臨みたいと考えておるわけでございます。
  192. 井上和久

    ○井上(和)委員 年内に着手をされようかということだそうでございます。これは具体的にこれからだということでございますが、具体的にやる前に、基本的なことというのはしっかりしてなければならぬと思うのです。その上でもって具体的な話が出てくるのだと思うのですが、そういう意味から、まずはっきりとお答えをいただきたいなと思うのは、次期防においては五年方式をとるかどうか、これがポイントだと思いますので。
  193. 西廣整輝

    西廣政府委員 ただいま防衛庁長官からお答え申し上げたように、そういった方式も含めて安全保障会議で御審議いただかなければいかぬと思っております。  したがいまして、これから次期防の作業に取りかかる、そういう基本的な枠組みを決めるに際しましては、やはり安全保障会議で、今後十年あるいは十数年先を見通して軍事技術がどうなるだろうか、あるいは周辺諸国の軍備の動向がどうなるだろうかということについてのある程度の見通しについて御説明をし、御認識をいただく。一方、現在遂行しております五カ年計画、これができ上がっていくわけでございますが、それらができ上がった段階で我が防衛力はどうなるかというものがございます。  そういった防衛力を前提とすると、今後見通し得る十年なり十数年先の状況に対して大綱水準というものが維持できているのかどうかといったようなまず認識、現状分析なり能力判定をいたした上で、やはり今後とも引き続き中期的な防衛力整備というものが必要であるということをまずお決めいただかなければいかぬのかなというように考えております。  そういう段取りが済んだ後で、今先生お尋ねのそれでは次の計画はどういう計画にするのか、何カ年計画にするかという問題が出てまいろうと思います。この問題につきましては、まだ私どもも十分検討はいたしておりませんが、従来の経験から申し上げまして、やはり防衛力整備のように、一つの船をつくる、あるいは航空機をつくるのにも三年、四年かかります計画でございますので、余り短い計画ではもう既に着手したものができてくるだけというような格好になりまして、この数カ年でどういう形で防衛力整備をするか、どういう点の手直しをするかというようなことがある程度描けるものということになると、五年ぐらいの年限は必要かなという気がいたしております。  一方、四年先、五年先ということになりますと、かなり周辺の情勢も変わってきたりあるいは技術的にも進んだ問題が出てくるということで、必ずしも計画段階で全部読み切れないという問題もありまして、計画の中身をできるだけきっちりしたものにするということになると、三年先ぐらいの方がよりやりやすいということがあるわけでございます。  その辺なかなか悩みの多いところでございますけれども、それらを比較考量して、それぞれの利害得失等を整理してみて、やはり安全保障会議で御審議いただいて御決定いただくということになるんではなかろうかと思っております。
  194. 井上和久

    ○井上(和)委員 現在のものが参考になるというか、こういう形態であろうというふうなお話だと思いますし、大体五年くらいということですから、確認しておきたいのは、単年度方式ということはないということははっきりしていますか、これをちょっと確認しておきたいと思います。
  195. 西廣整輝

    西廣政府委員 少なくとも防衛庁の立場といたしましては、やはり防衛力整備というのは先ほど申しましたように一つ一つの装備にも相当生産に時間がかかるというようなことでございますので、中期的な計画は欲しいな、それがあってこそ初めて計画的あるいは効率的な整備ができるというように考えております。
  196. 井上和久

    ○井上(和)委員 それともう一つは、総額明示方式ですね、現在そういうふうに言われておるのですが、この総額明示方式というものを踏襲するかどうか、これについて。
  197. 西廣整輝

    西廣政府委員 これまた安全保障会議で十分御審議いただかねばならぬ点だと思いますが、御承知のように、昨年の一月の閣議で、現在行われている防衛力整備というものは、計画というものを重視をして、それの裏づけとなる経費総額、いわゆる総額明示方式と言われておりますが、そういったもので防衛費についての節度ある防衛力整備というものを行っていくのだという閣議決定がなされて、まだ一年ほどしかたっていないわけでございます。そういう意味で、私どもとしてはやはりこの考え方というものは踏襲すべきものであろうというように考えております。  つまり、ただ金額でどうこうということじゃなくて、やはりまず計画というものをできるだけきっちりつくって、その中身でまず必要なものかどうかということができるだけ御審議いただけるようにする、そしてそれに必要な経費というものをきっちりと定めて、総額的に定めて、その中で防衛力整備を行っていくという方式、これを今後も定着さしていくというのが今後の方向ではないかなと思っておりますが、これそのものがもう少し御審議いただかないと結論は出ないということは御理解いただきたいと思います。
  198. 井上和久

    ○井上(和)委員 いわゆる、三年ごとに見直しをするローリング方式ですね、これは今のお話では考えてない方に入ると思うのですが、これはどんなものですか。
  199. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、現在実施されつつあります五カ年計画というものは、計画は五カ年である、しかも経費総額も五カ年全体として総額が決まっておったわけでございます。ただ、三カ年でローリングする、しないを決めないまま、する場合もあるということで決定はされておったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、昨年の閣議決定で、計画とそれの裏づけになる経費というものを一致させるということで、経費的な枠組みというものもはっきりさせようではないかという御決定がありましたので、ローリングはやらないことにした。五カ年計画と五カ年間の経費というものを密着させて、コインの裏表のような形で一致させるということで、ローリングさせないことに決めたわけでございます。  されば今後どうするかということになりますと、これまたいろいろな案があろうかと思います。例えば、先生のおっしゃられるように五カ年計画をつくって五カ年間の経費を定めるという総額方式、あるいは三カ年で同じようなことをやるというやり方もあろうかと思います。例えば、先ほど私も申しましたように、五カ年の計画と三カ年計画というのにそれぞれ利害があるとすれば、五カ年計画はつくるけれども、三カ年と残る二カ年というものを区切って、そのうち三カ年分だけの経費を確定するというような考え方もあろうかと思います。いろいろなバリエーションはあろうと思いますが、いずれにしろ経費総額と計画というものを一致した形にする、その中身がわかるようにするということが大事であろう、そして、その部分は動かさないような形にするというのが総額明示方式のいわば防衛力を節度あるものとするためのゆえんであろうというように考えておる次第であります。
  200. 井上和久

    ○井上(和)委員 よく聞くとわからなくなるのですが、端的に言いましてローリング方式はやろうと思っていませんということでいいんですか。そうやって答えてください。その方がわかりやすいです。
  201. 西廣整輝

    西廣政府委員 実はその辺まだ結論が出てないので申しわけないのですが、ローリング方式で、計画なりお金の総額というものがずるずると次の方に送り込まれてしまってわからなくなってしまうということはないようにするということを申し上げているわけであります。  仮に、五年計画をつくります。そこで三年でどうしてもローリングしたいということであれば、その五年計画というものを三年分と二年分というものに仕切りをはっきりつくっておいて、経費については三年分ということで決める方法もあろうかと思うのです。それはある意味では経費は三年固定、計画も三年分については固定したものをつくりますけれども、四年目、五年目の、その計画作成段階ではやや見通し得ないものについては、大まかな計画はつくるけれども、それは経費の裏づけなしで、この分は経費の仕切りをしておく、三年分と二年分と。そういうことで、三年後にはつくり直すけれども、いわゆる経費とリンクする部分については固定をしていくという考え方もあるのかなと、これは一つの思いつきでありますけれども、そんないろいろな案を考えてみて、一番よさそうな案、あるいは安全保障会議で御審議いただいて、やっぱりこれがいいだろうという案を選択したいというように考えております。
  202. 井上和久

    ○井上(和)委員 それはむしろローリング方式になるんじゃないですか、今の説明のとおりだったら。そんな気がするのです。むしろやらないんじゃなくて、やるという話じゃないかという気がするのです。これは本当に大事な問題だと思いますので、局長、この辺ひとつやる方向ならやる方向だということをはっきりしてもらいたい。
  203. 西廣整輝

    西廣政府委員 私が申し上げているのは、ローリング方式にもそれなりの計画の弾力性を持たせるという意味、あるいは時代の変化というものに適応させる点でいい点がある、そういったものを取り入れる余地がないかあるかという問題が一つあろうと思います。と同時に、経費については、やはり計画と一致して、計画との裏表の関係で、それが弾力的に動いたのでは経費的な枠組みをせっかくつくった意味合いがなくなりますので、それはそれで固定する必要があるだろうという、二つの要請を満たす幾つかの案をつくってやる方法もございますということを申し上げているだけであります。
  204. 井上和久

    ○井上(和)委員 実は四月二十二日の外務委員会だったと思うのですが、我が党の神崎委員が竹下総理に対して質問をいたしまして、ローリング方式とするかどうか検討する、こういうふうな総理の答弁がございました。そういうふうになりまして、ローリング方式ということが導入されることにもしなってきますと、総額明示も何も意味を持たないわけでございまして、そういう意味から、昨年一月二十四日の閣議決定というのはこのローリング方式というのは凍結してやらないというふうに決まっておるわけなんです。  そういうふうな意味からいいまして非常に歯どめが必要だというのは、私が申し上げるだけじゃなく、国民の皆さん方、多くの方々も歯どめというのは必要だというふうにお考えだと私は思うわけなんです。そういうふうな意味で、防衛費が増大をしていくということに対して歯どめがきちっとあるということ、総額明示自体は私の意見としては非常にあいまいというか基本になりにくい、歯どめにはならないという考え方を持っておるのでありますが、ましてローリング方式なんというようになりますと、これは歯どめとしては全然意味がなくなるわけであります。こういうふうな点で、ぜひしっかりした歯どめをやってもらいたいと思うのですが、歯どめとしてはこういうことをしたいと思っていることがありましたら、ぜひそのことを答えていただきたいと思います。
  205. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほどからの御答弁の繰り返しになると思いますが、いずれにしましても、昨年、まず計画があり、それに対する総額明示というものがあるということが決められたところでございますので、我々としては、いわゆる総額明示方式というものは厳守すべきものである、それが防衛力整備を節度あるものとするための手だてであるというふうに考えております。
  206. 井上和久

    ○井上(和)委員 それでお伺いしておきたいのですが、次期防では少なくとも防衛費はGNPの一%枠を守るという考えは全然ございませんか。
  207. 西廣整輝

    西廣政府委員 これまた先ほど来申し上げているように、今後の問題でございますが、やはりあくまで防衛力整備のための大綱というのがございまして、その水準を維持する、そういうための中身がまず大事ではなかろうか。そのための必要整備としてどういうものが計画として上がってくるか、そういったものをまず洗い出し、計画をつくってみて、それがどうしても必要なものであるかどうかということでおのずから金額が決まってくるというようにお考えいただいた方がいいのではないか。  まず計画ありき、そしてお金はできるだけ少なく済めば済むほどよろしいという考えではなかろうかというふうに考えております。
  208. 井上和久

    ○井上(和)委員 GNPの一%粋突破ということにつきましてかなり議論もされたと思いますけれども、事の重要さにかんがみますと、私はもっともっとこのことについて国会での議論が行われてよかったんじゃないのかというふうな気が実はするわけでありまして、このGNPの一%枠という問題は、非常に国民の皆さん方の認識もあるすばらしい歯どもであるというふうに思うわけなんです。  それで、これがGNP比でございますから、いろいろ分母が変動しますよね。それが変動するわけでありますから、いろいろ今後変化をしたときに、例えばGNPの一%枠以内であるということも理論的にはあり得ると私は思うのですが、これはどうでしょうね。
  209. 西廣整輝

    西廣政府委員 計画と、その計画を執行するための総額明示方式というのは、まさに先生のおっしゃるとおり、その計画そのものについてできるだけの精査がなされまして、それに必要な経費というものを決めて、その範囲内で泳いでいくということでございますから、計画の中身が将来を見通してさほどの事業量がなかった場合であるとか、あるいはGNPの方が、分母の方が大きくなるというようなことで、一%以内におさまるということも十分あり得るということに考えております。
  210. 井上和久

    ○井上(和)委員 それでは、次に中期防の進捗状況について、SSCでも話し合いが行われておるわけでありますが、今年度、六十三年度末で中期防の達成率というのはどのくらいになっておるか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  211. 西廣整輝

    西廣政府委員 達成率につきましては、いろいろな言い方がありましてなかなか難しゅうございますが、一番単純に言えますのがいわゆる防衛関係費ベース、お金の進捗率というとらえ方があろうかと思います。つまり、中期防の五カ年の総額十八兆四千億、これは六十年度価格でございますが、それに対して六十一年以降、例えば円高で安くなるものもあればあるいはベースアップ等で上がるものもある、そういうノミナルな部分を除いて六十年度ベースに引き直してみて、そして進捗率を比べるということになりますが、そういう形で比べてみますと、六十三年度予算まで、決算ではございませんで予算ベースでございますが、防衛関係費の進捗率は五七%程度というように考えております。  またその中で、正面装備については計画においてもある程度数字がはっきり出ておりますので、その部分を比較してみますとおおむね五五%程度ではなかろうかというように考えております。
  212. 井上和久

    ○井上(和)委員 次に、「防衛計画の大綱」の件でございますが、中期防で「防衛計画の大綱」は達成されるという見通しなのか、あるいは次期防までかかる、そういうふうにお考えなんでしょうか、この点について。
  213. 西廣整輝

    西廣政府委員 現在の中期防は大綱水準の達成を期するということでそもそも作業が始まりました。ただ、中には、例えば支援戦闘機のように、現在のものをそのままつくっていったのではこれが活躍する時代には役に立たないというものもございまして、これは研究開発をしようということで最近決まって、新たに開発をするということになりましたが、そういったものについては水準が達成できない 一部穴があいたまま、それらが就役してくるまで、開発されたものが実際に量産され整備されるまでは下回った数字のまま推移するといったものがございます。大まかに申し上げて、そういった一部のものを除きますと大綱水準が達成できるというように私ども考えております。
  214. 井上和久

    ○井上(和)委員 それでは、一応中期防で達成ができるということになってまいりますと、では逆に言えば、達成をされたということになったときに大綱自体の持つ意味というものはどういうふうなことになるのでしょうか。
  215. 西廣整輝

    西廣政府委員 私は、現在ございます五十一年当時つくられた大綱というものは、その前提となる国際情勢、国際的な特に軍事的な枠組みといったものが大きく変化をしないということである限り、引き続き維持されてしかるべきものではなかろうかというように考えております。  したがいまして、今先生の御質問にありましたように、仮にこれが水準が達成されたということになりますと、まず一つ考えられますのは、そこで周辺の軍事態勢にしろ軍事技術にしろ動かないという前提になれば、そこで達成された水準というものを維持し続けるということでいいんだろうと思うのです。つまり、寿命が来たものをつくりかえていくということにとどまることになると思います。  一方、大綱水準というのは、何度か御説明申し上げているように、小規模・限定的な侵略に独力で対応できるものというのが一つの物差しになっておりますけれども、小規模侵攻というものが、周辺の軍備の動向なりあるいは軍事技術の進歩というもので変動をいたしております。そういった変動に対してこちらも質的に向上するなりあるいは一部のものを新たなものに入れかえるというようなことで対応していくということが必要になってくる面もございます。したがって、そういった将来の状況というものを十分見通して、その水準というものが相対的に維持できるということのための整備というものもまた出てくるであろうというように考えております。
  216. 井上和久

    ○井上(和)委員 次期防の策定に当たって重点的にお考えになっておる重要な整備目標、例えば洋上防空構想というもの、それもあろうかと思うのですが、これを次期防で完結させるというか、やっていこうというようなことについてはどうでしょう。
  217. 瓦力

    ○瓦国務大臣 次期防につきましては、先ほど以来お答えいたしておりますように、具体的に申し上げる、まだそういう段階にないわけでございますが、今井上委員指摘のように、次期防策定について整備目標についてのお尋ねでございますが、まさに庁内それぞれの分野で行われております各種の検討、これらも勘案しつつ、我が国の地理的特性、これらを踏まえまして、なお、先ほど以来防衛局長がお答えいたしておりますが、国際軍事情勢であるとかあるいは諸外国の技術水準、こうした動向に対しまして有効に対応し得る効率的な防衛力のあり方というものを追求してまいる、こういう考え方を持って臨むことになろうかと思うわけでございます。
  218. 井上和久

    ○井上(和)委員 整備はそれぞれの分野でもって研究しているということでございますが、整備目標というものは、やはり重点的なものもあるでしょうし、特に基本的なものというものがあると思います。  それから、私は、洋上防空構想というものが次期防で完結するかどうかということについてもお伺いをしたのです。
  219. 西廣整輝

    西廣政府委員 この洋上防空構想といいますか、洋上防空の研究というのは、一つは、洋上にある艦艇等の防空をどうするかということについて、従来と違って、攻撃する側の兵器体系なり兵器の性能なりが変わってきた、これにどう対応するかという問題が一つございます。  同時に、本土防空と申しますか、我が国土そのものを防空する際にも、今申し上げたような相手方の使用する兵器の性能なり種類が変わってくるということで、国土上空だけで守っておったのでは対応できない問題が出てくる、洋上においてこれに対応せざるを得ないものが出てくるといった空からの脅威が変わってきている、質的に変化してきている、そういったものにどう対応するかという問題であります。  御承知のように、船舶の防空につきましてはある段階までの研究が終わりました。一つは早期監視の態勢であり、もう一つは、あえて攻撃してくる相手方の母機対処、航空機そのものに対してどう対応するかということ、それから、それが発射したミサイル等にどう終末的に対応するかという点について、それぞれこの種の対応策がベストではなかろうかという検討は終わっております。  引き続き、現在、国土防空に関連して、同様に、例えば陸地から五十キロなり百キロなり少し離れたところからミサイルでレーダーサイト等が攻撃をされるという事態が今の兵器体系の中では十分予想されるわけであります。としますと、現在の日本の防空体制というのは、レーダーサイトというものに、初期の発見段階から最終的な要撃戦闘段階まで非常に多くの部分を依存いたしております。それに対して今言ったような攻撃が加えられると、レーダーサイトは非常に脆弱でございますので、それにどう対応して、それをどう補強して、引き続き従来から考えておった大綱水準の防空能力を維持するかという問題がクローズアップされておるわけであります。  こういった問題について今後まだ研究を進めなければいけませんし、そのうちの一部について次期防で手当てをしていくことになろうと思いますが、内容的にはまだ今後の研究課題であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  220. 井上和久

    ○井上(和)委員 次に、物品・役務相互融通協定につきましては先ほど来お話がありました。簡単に伺いたいと思うのでありますが、その融通協定についての対応と、具体的にいつごろまでにそれの結論を出して、そしてどこが窓口になるのかを教えてください。
  221. 西廣整輝

    西廣政府委員 本件の検討につきましては、幾つかの段階があろうと思っております。  私どもとして急がなければいけないのは、まず、米側の、それもユニホームの人から簡単な説明を聞いたわけでございますけれども、彼らは何せそういった法律なり協定の専門家ではございませんので、NATO支援法なり、あるいはこういったよその国と結ばれている物品なり役務の融通協定というものがどのようなものであるかという中身についてもう少し知る必要があろう、これは主として外務省を通じていろいろな資料をお願いしてそういったものを調べる、あるいは向こうの専門家の話を聞くということで、どういうものかということをまず知る必要があるのではないかというのが第一段階であります。  第二段階は、これは主として制服サイドの作業になろうと思いますが、日米の制服間で、今後やっていく共同訓練等に際してこの種相互に融通するといったようなことが極めて必要なことであるかどうかということについての詰めが必要ではなかろうか。現在、曲がりなりにも共同訓練等は支障なく行われてきているわけでございますが、今後の共同訓練の見通し等も踏まえて、今後どうしてもこういったものが必要かどうかという、いわばユーザー側といいますか、そちら側からのニーズというものについて検討する必要があるだろう、そしてそれが出てきた段階で、改めて今度は、それをそれでは協定化するというようなことになれば協定上どういうものが必要になるのか、あるいはそういう協定が結ばれた場合に国内法的にどういう問題点が出てくるのかといった、いわば我々行政官の方の、背広の方の仕事というものが出てきて、そこでもう一度ユニホームの側のニーズというものとすり合わせをして、なおかつ、こういう協定が必要であるかどうかという最終的な決心に進んでいくということになるのではなかろうかというふうに思っております。
  222. 井上和久

    ○井上(和)委員 大変まとめて御答弁をいただきまして、いろいろお伺いしようかなと思った話がどんどんあれするのですが、外務省関係でこれをお伺いしておきたいと思います。  一つは、アメリカがNATO諸国の中でこのACSAを結んでいる国というのはどこか、また、どのような法律に基づいて締結をされておるか。それから、これらの国々がアメリカと相互に融通し得る物品、役務というのはどのようなものか、これは先ほど話がございましたが、これについて私からももう一度確認をしてお伺いをしたいと思います。
  223. 岡本行夫

    岡本説明員 私ども承知しております限り、米国が物品・役務融通協定を結んでいる国は次の十カ国でございます。西独、イギリス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、デンマーク、ノルウェー、イタリア、カナダ、スペインで、それぞれの国の国内法上の根拠につきましては、これは第三国の問題でございますし、私どもその詳細は承知しておりません。  それから、それぞれの国が結んでいる内容でございますけれども、これまた私どもテキストを入手しているわけではございませんで正確なことは申し上げかねますが、おおむね米国NATO相互支援法の規定にのっとった約束、取り決めになっているものと承知いたしております。すなわち、米国NATO相互支援法は、兵たん支援、補給品及び役務と称しまして、次のような項目を掲げております。食料、宿舎、輸送、燃料、通信役務、医療役務、弾薬、基地運用支援、予備部品、修理・メンテナンス役務等々でございます。このような事項につきまして、米国とこれら十カ国の国は、それぞれ物品及び役務につきまして債権債務を積み立てておきまして、これを事後的に清算するという形の取り決めを結んでいるものと承知しております。
  224. 井上和久

    ○井上(和)委員 もう一点だけ伺っておきたいと思います。  この融通協定と、それから戦時受け入れ国支援、WHNSとがあるわけなんですが、大体こういう話が審議されていくということは、戦時受け入れ国支援協定への布石にこれはなり得るのではないかなと思います。そういうふうな点で、この二つの協定関係について答弁をしてもらいたいと思います。
  225. 西廣整輝

    西廣政府委員 私どもまだ十分勉強しておりませんのであやふやな点があるかもしれませんが、外務省の方から必要であれば補足していただきます。  まず、今回向こうから提案された相互融通協定みたいなものですが、NATO支援法そのものを見ますと、平時の訓練の場合もあるし、有事を除くというような書き方をしておりますから、有事を除いて限度額はこれだけだというような書き方もしてありますので、それ自身が全く有事に適応できないものでもないというようには考えております。しかし、それが協定になった段階で、平時のための協定と有事のための協定が二本立てになっているのか一本で行われるのかというのは、これはまた協定のつくり方の問題もあろうと思います。  それから、先ほど本委員会でも私お答え申し上げたように、基本的にはこれは共同訓練等のためのもので、それぞれ債権債務の限度額を設けて清算をしていくという考え方でございますので、それが有事にそのまま適用されたのでは、有事に十分な行動なり有効な対応行動がとれないといった限界も十分あろうかと思います。もちろん、有事の場合はそれを除くと書いてありますから、どうなるかという問題がございますけれども、そういうことで、直ちにこれが有事に使われるものというふうにも考えておりません。  一方、今先生お尋ねのHNS、いわゆる支援を受け入れている国の援助というのは、自分たちの使用したものについてそれぞれが本協定によるような負担をする、そういうものと違って、受け入れ国が支援を受ける代償として何をしてあげるかというような、どちらかといえば受け入れ国の負担において行う問題とは別個の問題ではなかろうかというようにまず私は考えております。  したがって、本融通協定というものが、お尋ねの例えば戦時の受け入れ国支援、WHNSと同質のものである、あるいはそれにつながるものであるという認識は持っていないわけでございまして、日本有事の際に支援してくれる米軍、これに対して我が方が受け入れ国としていろいろな支援をするということは、当然日本の負担においてやってしかるべきいろいろな問題がございますので、それと、平時においてそれぞれが自分で使ったものは自分で負担するというたぐいのものとは少し質が違うのではなかろうかというように考えております。
  226. 井上和久

    ○井上(和)委員 では次の問題ですが、一月二十日に防衛庁長官が訪米をされまして日米首脳協議に臨んで、その際に、次期支援戦闘機、いわゆるFSXの共同開発だけでなく、他の武器技術についても共同開発を推進するというふうなことを提案されました。アメリカ側もこれに対して同意をしたということでございますが、日本政府として、アメリカと武器技術の共同開発を推進する必要性、それから同時に、他の武器技術については一体どういう武器を想定しておられるのか、これについてお伺いをしたいと思います。
  227. 瓦力

    ○瓦国務大臣 御指摘のように、本年一月の日米防衛首脳会談でFSXの問題につきましても話し合ったわけでございますが、日米間の装備の共同開発につきまして、FSXの共同開発が初めてのケースでございます。これは日米の武器技術交流に新しい道を開くもの、かように評価しておるわけでございますし、今後FSXにとどまらず各種の装備について日米間で共同開発を推進していくことは、両国のすぐれた技術を結集して効果的な装備品を開発するのみならず、より健全な日米の協力関係を発展させる観点からも重要である、かような考え方を述べながら同意をしておるわけでございます。  それでは今後その他のものについてどうかという御質問もございましたが、現在FSX以外に共同開発に関する具体的なプロジェクトを日米間で検討しておるというものはないわけでございます。適切な対象、そういったものは今後日米間で話し合っていくことになろう、かように思うわけでございます。
  228. 井上和久

    ○井上(和)委員 これは長官、他の武器技術についてもというふうなお話を提案されたのですが、今のお話ですと何も具体的なものはない、考えておるものも今のところはない、もしあったらというような意味ですか。
  229. 瓦力

    ○瓦国務大臣 大変な技術の進歩、また先端技術分野におきましての我が国技術、そういったものも踏まえてみますと、まさに日米間で取り組んでいく、そういう共同開発のまず初めての仕事になるわけでございますが、FSXがある。今後さらにどういう課題について共同開発に取り組むかというようなことは、今後また日米双方で検討されていくものと思うわけでございますが、今具体的にどういうものがある、こういうようなことは目下あるわけではございません。
  230. 井上和久

    ○井上(和)委員 長官が言われたときに、何かを考えながらほかのものでもとかいうふうに言われたのか、それとも、それは何もないのだけれども、もしあったらやりましょうというふうな意味で言われたのか、そこのところが私ちょっと聞きたかったわけなんです。
  231. 瓦力

    ○瓦国務大臣 まずはFSXを成功させるということは大変大きなエネルギーを必要とするわけでございますから、まずこのFSXに共同開発の実を上げることが大切なことだ、かように考えておるわけでございます。
  232. 井上和久

    ○井上(和)委員 次は、一九八三年の十一月八日に対米武器輸出に関する交換公文が取り交わされておるわけでありまして、我が国は、アメリカ以外の第三国への開発技術の移転は事前の同意が必要であるということになっておるわけでありますが、日本の武器輸出の三原則から見るならば、こういうときに当事者国の同意というか、常にノーと言い続けることになろうと私は思うわけでございますが、これについて通産省の見解を聞いておきたいと思います。
  233. 村田成二

    ○村田説明員 御説明申し上げます。  FSXそれ自体につきましては、現在日米両国政府間で事務的な話し合いが行われているところと承知しておりますものですから、一般論で大変恐縮でございますが、一般的に申し上げますと、仮に、我が国からアメリカに武器技術を供与する、そういうふうな事態に至りました場合には、先生指摘のように、対米武器技術供与の枠組みで処理されるわけでございます。この枠組みの中で供与された武器技術をアメリカが第三国に移転したいというような場合には、アメリカから日本に対しまして事前同意を求めるということになっておるところも先生指摘のとおりでございます。  ただ、この事前同意を求められた際の判断でございますが、これはあくまでも個々の具体的事例に即しまして、当該技術日本からアメリカに供与した趣旨、これは日米安保体制の効果的運用というそもそもの趣旨、それからまた、あくまでも我が国として、平和国家として守っていかなければならない武器輸出三原則等ございますものですから、それらを総合勘案いたしまして、さらにアメリカからの要請の背景ですとかそれぞれの事情ですとかいうあたりも勘案して慎重に検討しなければいけないというふうに考えております。  個々具体的に判断するということで、一般論としてなかなか御答弁申し上げにくいところを御勘弁願いたいと思います。
  234. 井上和久

    ○井上(和)委員 ということは、ノーと言い切れない面があるということなんですね。その内容によって、また状況によっては、いいですよと、それを同意を与えるということもあるということなんですか、もう一回確認してください。
  235. 村田成二

    ○村田説明員 重複して恐縮でございますが、先ほど来申し上げておりますように、我が国は武器輸出三原則、それからまた累次にわたる国会答弁というのがございます。これはあくまでも我が国の基本方針でございますから、これを国是として我が国としては守っていかなければならないというふうに私ども考えております。ただその際に、片や日米武器技術供与取り決めというのがございまして、これは日米安保体制の効果的運用ということを終局的な目標として、交換といいますかアメリカ側と合意したものでございますから、そういった両方を総合勘案して決めていくということでございます。
  236. 井上和久

    ○井上(和)委員 だから、そういうふうに勘案して効果的な運用というものを考えたときには、同意を求められたときに同意をするということもあるのですかと聞いているのです。
  237. 村田成二

    ○村田説明員 あくまでも仮定の御質問でございますので、一般論としてお答え申し上げた次第でございます。あり得るかあり得ないかというあたりは、個々具体的に判断をした上で決めていった結果としてどういうことになるかという話かと思っております。
  238. 井上和久

    ○井上(和)委員 日米間におきまして武器の共同開発というのは可能であると思うのですが、共同生産というのはできないと思います。それで、大変難しい問題だと思うのですが、共同開発か共同生産かというところにはやはり一つの境目というものが存在すると思うのです。これはどういうところに置いてあるか。
  239. 今野秀洋

    ○今野説明員 お答え申し上げます。  武器の共同開発、それから共同生産、こういったお言葉につきましては法令上の定義は特にあるわけではございません。したがいまして、一般的に申し上げるしかないのでございますけれども、まず考えられますことは、共同開発というのは、その武器の研究開発の段階、これに着目した行為のことであろうと思います。共同生産、これは生産の段階に移行したときの活動、これに着目した話であろうかと思います。  それで、共同開発の一般的な概念ということを少しパラフレーズしてみますと、次のようなことを申し上げてよろしいかと思うのでございますけれども、共同開発とは、二以上のものが特定の武器の研究開発につきまして、それに必要な構想、技術あるいは運用者、資金、研究設備といったような面で協力をいたしまして、それで実施する活動を言うということでございまして、その協力の態様によりまして種々の形があり得るというふうに考えております。具体的には、例えば双方の技術を全くプールしまして、責任分担を調整しまして、かつ必要資金も分担する、こういった非常に本格的とも言えるものから、あるいはごく一部だけの協力に限られるといったもの、いろいろなものがあろうかと存じます。
  240. 井上和久

    ○井上(和)委員 FSXにつきましては、世界にF16が約二千機売却をされておる、こういうふうな状況下にありまして、新しく開発をされますと──だからF16の改造されたのがFSXだというふうに私も思うわけでありますが、そうやって言われておるわけなんですが、ただ言えますことは、アメリカがこの膨大な開発経費をかけて日本の次期支援戦闘機を百三十機なら百三十機をつくる、そのためだけに共同開発をして、これが百三十機配備が終わったからもう終わろうというふうなことは、私は考えられないと思うわけなんです。ということは、同じ戦闘機をもっともっとつくるのじゃないかと考えるのが自然だと思います。そうなると、それが結局はよそのというか第三国へ行く可能性もあろうという気が私はするのです。  そうなりますと、この日本とアメリカとの間で決めてある事柄というものが非常に大事になってくると思うのですが、こういうふうな意味も含めまして、先ほどの開発と生産、これなんかにつきましてもやはりアメリカもそのことに対して日本と同じ認識を持っておるのかどうか、こういうことについても大切だと思いますが、この点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  241. 西廣整輝

    西廣政府委員 共同開発につきましては先ほど通産省の方からお答えがありましたとおりでありますが、今回のFSXの共同開発というのは、この資金というものは日本が負担をして日本に必要な支援戦闘機を開発するというものであります。そして、この日本に必要な支援戦闘機というものは、やはり日本の置かれた地理的な条件であるとかその任務、そういったものを加味しまして日本特有のものであるということをまず御理解いただきたいと思うのです。  と申しますのは、我が国の場合ご承知のように島国であって、相手方が航空攻撃を加えようと思えばどうしても海を隔てて攻撃してこざるを得ないということで、船舶による上着陸侵攻というものが当然予想されるわけでございますので、そういった船舶を海上で阻止するための能力を持ちたいということと同時に、大綱にありますように、我が方の戦闘機部隊というのは、支援戦闘機といえども地域の防空に携わる必要があるといったようなことで非常に多用途になっておるわけでございます。つまり、例えば米側でいえば海軍機と空軍機、それらがそれぞれが任務分担しているものを一つの航空機で兼ね備えなくちゃいけない、そういったようにマルチロールの航空機を持ちたいということで我々としては要求というのを出しているわけでございます。  したがいまして、現に存在をしておるF16であるとかあるいはF18であるとか、その種の既存の戦闘機では我が方の要求を満たさないということで、新しいものを開発しようということになったわけであります。  したがいまして、この種航空機をそれではアメリカなりあるいはよその国が必要とするかどうかということになると、かなり疑問がある。まず私はこの種航空機を持つところはないのではなかろうかというふうに思っております。そういう点で、今回日米が共同開発する支援戦闘機というものが、アメリカにおいても生産をされ、それが他国に売られるというようなことはまずないだろうと思っております。  それから、製造についての共同生産といいますか、そういう点についてですが、これも先ほど通産省の方から話がありましたように、共同生産というのは定義がなかなか難しいと思います。例えば我が国でF15なりをライセンス生産をいたしておりますけれども、これは日本で単独で生産しておるようでありますけれども、相当部分の部品等についてはアメリカで生産をしておる、そしてそれを我が方で完成機として仕立てる段階に組み込んでおるわけでありますから、その種のものまで共同生産と言うのかどうかとか、いろいろな定義があろうと思いますので、共同開発まではできるけれども共同生産はできないとか、その辺の仕切りが大変難しい。要は共同生産とは何ぞやということをもう少し明確にしないと仕切れないのかなというように考えております。
  242. 井上和久

    ○井上(和)委員 F16は二千機も売られて、大変最新式であるということで一時世界の中で大変な役割を果たしてきた飛行機であります。そういうのがもっと改良されてよくなったものですから、それを他国がこれは要るとは言わぬだろうというのは私はちょっとどうかと思うのですが、それはそれといたしまして、次に特許の問題についてちょっと伺っておきたいと思うのです。  端的に言いまして、今後アメリカは防衛秘密を理由にいたしまして日本側に秘密特許制度というものを求めてくるのじゃないか、こういうふうに心配がされるわけです。御承知のように日本は公開の特許制度でありまして、秘密特許制度はやってないわけですが、今後いかなる場合であっても秘密特許制度というものはやらない方向であると言ってもらいたいと私は思うのですが、どうでしょう。
  243. 山本庸幸

    山本説明員 特許庁といたしましては、いわゆる一般的秘密特許制度の創設というようなことは現在全く考えておりません。
  244. 井上和久

    ○井上(和)委員 いや、私が聞いたのは、今後そういうふうになりませんかということを聞いたのですから、その見通しについて言うてもらいたいと思うのですね。
  245. 山本庸幸

    山本説明員 やはり制度と申しますものは、それを必要とするいわば時代的な背景というものがあると思います。かつて日本には一般的秘密特許制度がございまして、戦前、特許出願につきましては、要するにすべて軍事の網がかぶっていたわけでございます。しかしながら、この制度は戦後になりまして昭和二十三年に廃止されました。それ以来、我が国の制度といいますのはいわゆる民生技術を中心に発達してまいりまして、特許制度はそれを支える基盤として機能してきたものだと考えております。  そういう現在の特許制度の役割があるわけでございますので、こういう状況は現在も、また近い将来も変わらないという理解のもとに、今一般的秘密特許制度は設ける考えはないというふうに御答弁申し上げた次第でございます。
  246. 井上和久

    ○井上(和)委員 未来もないということなら結構でございます。  それから、在日米軍の横須賀基地の司令部が、横須賀基地の艦船の修理部で働く基地の従業員に対して、うそ発見器による調査への同意署名を求めている、こういう問題がございまして話題になりました。この問題について防衛施設庁はどういうふうに承知をされて、基本的にどういうふうに考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
  247. 山崎博司

    山崎政府委員 お答え申し上げます。  今般の在日米海軍がとっております措置というのは、ここ数年来、ウォーカー事件を初め相当数の秘密漏えいの事案が米海軍で起こっております。そういうようなことを踏まえまして、米海軍といたしましては、全世界に展開する部隊等を含めた秘密保全体制の見直し、検討を行いました。それを踏まえまして、昨年の九月でございますけれども秘密保全に関する通達を出しております。その通達に従いまして、今まではセキュリティー・クリアランス、こういったものを日本人の従業員にも与えておりましたけれども、そういった制度を廃止いたしまして、いわゆる秘密事項について限定的に取り扱う、こういう資格に切りかえるわけでございます。  これは、実は今申し上げたように秘密を取り扱う者を極力制限しよう、原則は現地雇用の従業員については秘密にさわらせないという大原則を置いた上で、やむを得ざる場合にそのような取り扱いをしようということでございます。その手続一つとして、事前に、いわゆる具体的な漏えい事案が起こったときに本人の同意を得た上でポリグラフによる調査を実施することも了解する、こういう趣旨の同意書を取りつけるという内容のものでございます。今御指摘がございましたように、その対象になりますのは大部分が横須賀にございます艦船修理部の従業員でございます。
  248. 井上和久

    ○井上(和)委員 これはアメリカ海軍自体の決めたことだとは思いますけれども日本の国内法上、私は問題じゃないかと思うのですが、これは問題ございませんか。
  249. 山崎博司

    山崎政府委員 ただいまのお話は人権問題についての配慮という点を御指摘になったものと思いますので、そのように考えてお答え申し上げます。  まず、この同意書の取りつけでございますが、これは今申し上げたように、あくまでも特に限定された秘密事項を取り扱う従業員を対象にするというものでございます。と同時に、この同意書の取りつけというのは、これは署名は決して強制されるという趣旨のものではございません。  それからさらに、取りつけます同意書の内容でございますけれども、これについては、ポリグラフによる調査をあくまでもみずからの自由意思で受けるという内容、さらには、例えば個人の経済状況であるとかあるいは信条であるとか犯罪歴といったようなプライバシーにわたることは含まれないといったようなこと等々、十分人権上の配慮はなされている、このように理解いたしております。
  250. 井上和久

    ○井上(和)委員 いや、人権上の配慮がいたされてないと私は思うのです。だからポリグラフにかけるということだと思います。そのこと自体が基本的な人権に対する思いがいたされてないというふうに思うわけなんですね。こういうことに対して、施設庁としまして、そういうことは問題じゃないのか、皆さん方、本人たちが、大方の人たちが反対をしておるわけです。そういう声を聞いたときに、まあ自由だとは言うらしいのですけれども、拒否をするとそれに対するものがあるのじゃないかというふうに世の中では思うわけであります。現実に何かあったかということは私つかんでおりませんけれども、そういうふうなことを考えますときに、日本人従業員の皆さんをしっかりと支えてあげるという大事な仕事の上からも、しっかりした申し入れなり異議なりを言う、こういうことができるのでしょうし、また、やってもらいたいと思うのです。
  251. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えを申し上げます。  確かに先生指摘のように、日本人にとってポリグラフと申しますかうそ発見器という言葉の響きが何となくそぐわないという感情があるのではないか、これは私どももよくわかるわけでございます。ただ、一つ承知いただきたいのは、在日米軍にとりましても、我が国の安全、極東の安全を含めまして条約上の義務を持って我が国に駐留しておるわけでございますし、そこにおける秘密保全というのは任務遂行上極めて重要なことであることは事実でございます。また一方、御指摘の米軍基地に勤務する従業員の人権保護といった面も、これまた重要なことだと私ども承知をいたしております。  今回の措置は、先ほど説明がございましたように米海軍が秘密保全のために全世界的に実施をいたしておるわけでございますが、その対象も極めて限定をいたしておるわけでございますし、自由意思によってこういった秘密事項についてのポリグラフの事前の了解をとるということでございますが、現実にポリグラフにかかるかどうかについては、そういった不祥事件が起こりましたときに、極めて限定された範囲で、しかも本人の自由意思によって了解をとって、内容についても極めて限定をしてやります、こういうことを米側としては私ども説明をいたしておりまして、施設庁としましても、米軍基地という特質あるいはその任務遂行上の必要、こういった面から見まして合理的な範囲内にあると考えておるわけでございます。  ただ、先生指摘のように日本人の特殊な感情もございますし、こういった措置が乱用されるというようなことになりますれば、御指摘のような人権侵害というようなことの疑いも出てくるのではないかという心配もございますので、私どもとしては、米軍当局に対しましては適切な運用の確保、こういうことについて慎重な配慮をお願いするということで要請をしておるところでございます。今後ともこういった問題については関心を持って見守っていきたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  252. 井上和久

    ○井上(和)委員 確かに米軍の任務の遂行上必要であるということ、これは意味のないことだとは決して言いません。けれども、何といいましてもやはり日本人従業員の人権というもの、私はこれにまさるものはないと判断をいたします。そういうふうな意味から、慎重な配慮というよりも、もう一歩進んでしっかりとそれを守るという姿勢をぜひともとってもらいたいと思いますし、これは長官に最後でございますので伺いたいと思うのですが、このことについてしっかり軍の司令部に対して再考を求める、こういうものをぜひ行動を起こしていただきたいと思います。いかがでしょう。
  253. 友藤一隆

    友藤政府委員 繰り返しになるようでございますけれども、私どもとしましては、任務遂行上の必要性というようなものも勘案せざるを得ませんし、適切な運用というようなものが確保される場合には人権の保護といった面からも侵害のおそれはないというふうに私ども考えておりますので、そういった慎重な今後の運用の配慮ということについて要請をしてまいりたいということでございますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  254. 井上和久

    ○井上(和)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  255. 竹中修一

    竹中委員長 和田一仁君。
  256. 和田一仁

    ○和田委員 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、御質問させていただきます。  今回のこの設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律ですが、この中に航空自衛隊の組織の整備をやり直そう、編成をやり直そうという提案がございます。骨幹組織を整備する、こういう改正点がございますけれども、これは、どこをどう改めることによってどのように効率化、機能向上があるのか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
  257. 西廣整輝

    西廣政府委員 今回お願いしております自衛隊法の改正において、航空自衛隊の改組といいますか改編をお願いいたしておりますが、大きく分けて三つの分野がございます。  一つは、作戦支援部隊と申しますか、作戦主動部隊につきましては御承知のように総隊司令部というのがございまして、その隷下に戦闘機部隊あるいは対空誘導弾部隊といったような実戦部隊が一元的に運営をされているという状況になっております。一方、こういった戦闘を直接支援する部隊、例えば輸送部隊であるとか航空保安管制部隊であるとか気象部隊であるとか救難部隊、そういったものはそれぞれ輸送航空団なりあるいは保安管制気象団、救難団といったような格好で、それぞれが独立した形で長官直轄部隊として存在をいたしておるわけであります。  ところが、実際に戦闘作戦をやるということになりますと、総隊を中心とした戦闘主動部隊、これらが作戦をするためには当然のことながら各種のその種支援部隊の支援を得なければいかぬわけですが、その際に、今申したような多くの部隊、今申し上げた三つございますが、それらの部隊とそれぞれ作戦のための調整をしなければいけない、そういったことになるわけでございます。これが今回お願いしておりますように中間司令部を廃止して支援集団というような格好で一本化いたしますと、支援集団と総隊の中でその種調整を行えばそれですべてが終わるという格好になりますので、今申し上げた各種作戦部隊が行動する際の弾力性なり効率性というものが向上するというねらいでお願いをいたしておるものであります。  二番目は教育部隊、教育関係の部隊でございますが、これまた現在は飛行教育集団であるとか航空教育隊、教材整備隊であるとか幹部候補生学校、さらには各種の学校を統括しておる術科教育本部といったものがそれぞれ長官の直轄の部隊あるいは機関として存在しておるという格好になっております。これらを統合することによって、各種の教育の連携なり一貫教育といったものをより効率的に行えるためには、今回お願いしておるような形で航空教育集団という格好で一本化した方がより効率的かつ計画的な教育訓練が行えるであろうというように考えた次第であります。  さらに三番目のねらいとして、現在ございます航空実験団、これは主として航空機等の装備の実験を行う部隊でございますが、それと航空医学実験隊という、どちらかといいますと人間の方の、人間工学なり衛生的な問題といったことを実験する部隊がございます。こういった装備と人間というものは切っても切れないものでございまして、そういったものもこれを統合して、両者の連携というものを密にして今後の開発なりに資するということで一本化した方がよかろうということで、それぞれの仕事の能率なり弾力的な運用、効率的な運用を図るための統合を行いたいというのが今回の趣旨でございます。  なお、そのことによりまして各種の中間司令部なり部隊が整理されまして、若干ではございますが人間の省力化も可能になったということでございます。
  258. 和田一仁

    ○和田委員 この改正で骨幹組織が新たに整備されて、そして自衛隊の運営等についても、隊務の遂行について効率的な結果が出る、こういうことで改正がされるので、それはそれなりに必要ならばしなければならないと思うわけでございます。  正面装備も次第に拡充更新をされておるし、それからまた同時に、組織もこういうふうに整備されていく、一見、防衛能力はこれで大変効率的に向上していく、こういうふうにとらえたいところでございますけれども、姿かたちは整いつつあるけれども、しかしながら中身はどうか、やはりこれが非常に大事ではないかと思うのです。  それで、きょうは航空自衛隊のこういう組織整備が議題になっているので、航空自衛隊に関して若干気になることがございますので、これをひとついろいろと詰めていきたいと思っております。  そこでまず第一に、航空自衛隊の過去に起こした航空事故、どういうものがございますか。そんなに長い期間では必要ないのですけれども、過去五年ぐらいの間にどのような事故が起きたのかをまずお知らせいただきたいと思います。事前に私もそういったもろもろの資料の提出をお願いしてまいっておりますので、簡単で結構でございますからお答えをいただきたいと思います。
  259. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 御説明いたします。  自衛隊におきます航空事故といたしましては、六十年度に四件、六十一年度に三件、六十二年度に四件という、これは重大な影響を与えた事故が発生しております。
  260. 和田一仁

    ○和田委員 お手元にもし資料がございましたら、航空自衛隊は今お知らせいただきましたが、航空自衛隊以外、陸海合わせて過去五年ぐらいのデータはございますか。
  261. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 艦船の事故につきましては……(和田委員「いや、飛行機だけ」と呼ぶ)
  262. 竹中修一

    竹中委員長 資料はありますか。
  263. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 ただいま航空自衛隊のものだけを持ってまいりましたので……。
  264. 竹中修一

    竹中委員長 資料はないそうです。いいですか。──和田君。
  265. 和田一仁

    ○和田委員 お手元に資料がなければ、私がこの間お願いしていただいた資料がここにございますので、確認だけしていただければいいと思うのです。  過去五年間で、航空だけでなく自衛隊機が起こした事故をちょっと教えていただきたいとお願いいたしましたら、いただいた資料は、五十八年四月十九日の第一輸送航空隊、小牧ですね、この事故から、六十二年十一月十七日の第三航空団、三沢での事故まで、二十件の件数で報告をいただいております。これで間違いありませんね。──この中で、私数えたのですが、二十件の中で空が十三件、陸が二件、海が五件、こういう件数でございます。  これは、やはりそれぞれ任務の性格も違うと思うのですが、非常に厳しい環境と訓練の中でいろいろなケースで事故が起きていると思うのです。一つ一つ私拝見いたしておりますが、このために、重傷、軽傷、あるいは死亡、こういった犠牲もたくさん出ておるわけでございます。ですから私は、訓練は厳しくとも安全についてはやはり慎重に対応して、訓練の過程では安全にやっていただかないといけないなと思います。  しかしながら、自衛隊の持つ任務を考えますと、これはやはり民間の飛行機とは違った意味で相当厳しい環境下での訓練というものも求められる、また、緊急に行動をしなければならない、こういう性格も民間とは違って与えられている、こう思うわけなんで、事故があることは大変残念でございますが、しかし、事故を恐れて訓練をないがしろにするというのもいけないことであって、やはりそれは相当厳しい訓練をされているのだ、こういうふうに理解をしております。過去において亡くなった方や重傷を負った方に対しては、本当に御苦労さまであり、また、遺族の方には弔意を表する次第でございます。  そういう意味で、今回、航空自衛隊の骨幹組織が改定されて訓練もまた一元化される、また研究開発等も一元化される、こういう新しい機構の中で、こういう事故はなるべく少なく、しかし訓練の成果は上げていただくようにぜひ御努力をいただきたいな、こう思っております。  そこで、これらのいろいろな事故の中で、表の中にございますが、たくさん事故があるのですが、こういう事故の中で、刑事事件になったという事故が何件あるかをお知らせいただきたいと思います。
  266. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 お答えいたします。  今先生のお手元にございます資料の、いわゆる航空事故にかかわりまして起訴された事案は一件でございます。
  267. 和田一仁

    ○和田委員 私が今申し上げた中では一件、それはいつの事故でございましょうか。
  268. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 その一件と申しますのは、昭和六十年五月二十八日、航空自衛隊那覇救難隊所属のMU2型機が那覇空港におきまして救難訓練のために滑走路へ進入しようといたしましたときに、たまたま着陸滑走中の全日空機と接触いたしまして、自衛隊機及び全日空機の双方に損害が生じたというものでございます。  事故調査の結果、この事故原因は、自衛隊機操縦者の管制指示に関する錯誤等いわゆる安全確認が不十分であったというぐあいにみなされております。
  269. 和田一仁

    ○和田委員 その事故の結果について、補償その他はどういう対処をされましたでしょうか。
  270. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 この双方の航空機に小破という関係が生じたわけでありますが、本件につきましては、全日空機のジャンボ機の方の破壊の分につきましては既に一千万余りで和解が成立しておるわけでございます。
  271. 和田一仁

    ○和田委員 自衛隊内部に対する処置は何もなかったわけですか。
  272. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 自衛隊の問題といたしましては、これは航空交通に関する指示の確認ということが不十分だったからこれを励行することとか、滑走路進入時におきます安全確認が不十分でありましたからこれを励行するというふうな再発防止策を部隊に指示いたしますとともに、自衛隊航空機の運航に関する違反等としまして関係者の処分が行われたわけであります。  なお、本件につきましては、三月二十六日に当該パイロット二名が航空危険罪で那覇地方検察庁により起訴されたものと承知しております。
  273. 和田一仁

    ○和田委員 その注意を怠った、誤認した、安全確認をしなかったのをもっとしっかりやれと操縦者に注意を与えたのが処置ですか、内部における処置というのは。
  274. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 これは、部隊全体に対して行いました。
  275. 和田一仁

    ○和田委員 長谷川さんから、三月二十六日に起訴された、こういう御答弁を今いただいたわけですけれども、起訴されたこととは関係なく、自衛隊としてそういった部隊に対して安全確認を今後行えということを指示しただけで、操縦していた本人、起訴されたというのはどなたか知りませんが、起訴された方には何の処置もないわけですか。
  276. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 部隊に対しまする処置と個人に対しまする処分につきまして所掌が分かれておりまして、若干混乱いたしまして申しわけございません。  関係者の処置につきましては、行政処分といたしまして航空機の運航に関する違反ということで、当該航空機を運航しておりました機長、一等空尉でございますが停職五日、操縦者、これも一等空尉でございますが停職三日ということで処分をいたしております。  また、指揮監督上の義務違反ということで、那覇救難隊長、那覇救難隊飛行班長、飛行群司令、航空救難団司令等、これは訓戒ないし注意の処分をいたしております。
  277. 和田一仁

    ○和田委員 機長が五日で、操縦していた副操縦士が三日ですか、そうですね。
  278. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 そのとおりでございます。
  279. 和田一仁

    ○和田委員 長谷川さんの、三月二十六日に起訴をされたというのはどなたでしょうか。
  280. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 航空機を運航しておりましたパイロット二名でございます。
  281. 和田一仁

    ○和田委員 起訴をされたということが新聞に出ておりましたので、私はこのことが非常に気になるものですから、どういうことで起訴されたか知りたいと思って、事前に起訴状のコピーで結構だからいただけないかと言ったら、防衛庁としてはお答えすべき立場でないと文書でお答えをいただいたわけなんですが、そのとおりでしょうか。
  282. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 それは起訴理由のお尋ねであったものですから、防衛庁としてはそれはわからないというふうに申し上げたわけでございます。
  283. 和田一仁

    ○和田委員 いや、私が欲しいと言ったのはコピーが欲しいということで、起訴理由を皆さん方に聞くわけはないのです。起訴理由を聞くなら検察に聞くわけなので、どういう案件で起訴をされたのか、起訴状を見ればわかるからそのコピーが欲しい、こういうことはくどいぐらいに言ってお願いしたところが、回答していただいたのは、防衛庁としてはお答えすべき立場にない、こういうお答えだったので今確認を求めたわけですが、そうではないわけですね。
  284. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えします。  起訴状、そのコピーにしましても、私どもの方から差し上げるというふうなことではないと思います。
  285. 和田一仁

    ○和田委員 自衛隊の皆さんの組織の中の人が、業務上、命令で行動をしていた中で事故を起こした。当人には過失があり、前方不注意とか安全確認が不注意であったとか誤認をして出たとかいう、そういう要因はあったかもしれません。しかしながら、起訴をされた、刑事事件に問われたというからには、それは十分報告も受け承知もしているはずですよね。そのことについて私が気になるからちょっとお尋ねしたい、起訴の理由は何かを知りたいために起訴状の写しでもいいから欲しいということに対して、どうして出せないのですか。余りに冷たいじゃないですか。自分らの組織の中のそういう人の問題については、これはそういう意味では全然出すべき筋じゃないということなんでしょうか。
  286. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えします。  私どもの方では航空危険罪によって那覇地検により起訴されたということを承ったということでありまして、その先のことになりますると、若干私どもの権限外ではないかと思うのですが……。
  287. 和田一仁

    ○和田委員 ですから私は、なぜ起訴したんだという理由を皆さんに聞きたくて言っているのではないのです。起訴されたのですから、どういう理由で起訴されたか、それは起訴状を見ればわかることなので、もちろん公開なんですから別のところへ尋ねればわかるのですが、一番身内で心配されているはずの皆さんにその資料を出せと言って、なぜ出せないのか、私はその辺がわからない。これはいいです。  先ほど事故の発生の中身をお聞きしたときに、これは那覇救難隊が救難訓練のために行動を起こしていた、こういうことでございます。御答弁の中で、起訴の理由は、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律ですか、いわゆる航空危険法で起訴されたと今おっしゃったのですが、これの何条で起訴されたのでしょうか。おわかりでしたら教えてください。
  288. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えします。  航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の六条「過失犯」、その規定の二項での業務上のそれであると承知しております。
  289. 和田一仁

    ○和田委員 航空危険法というのは、民間機の航空の安全、特にハイジャックだとかテロだとか、こういうものを何としても防止しなければいかぬという国際的な取り決めの中からつくられた法律でございますけれども、そういう法律も、全くいわゆる故意犯ではなくて過失についても相当厳しく責任が問われておるわけですね。  この危険法が制定されましたのがたしか四十九年六月ですね、さらに五十二年には改正されております。こういう法律が制定されあるいは改正される経過の中で、今回のようなこういう事故が起こったときのことを予想して、何か特別な、いわゆる航空自衛隊が持つ任務から特別な考慮をしてもらいたいというような法改正のときの動きはあったんでしょうか、それは全然なかったのでしょうか。
  290. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えします。  それはなかったと思います。
  291. 和田一仁

    ○和田委員 そうしますと、もう現行法規では、これは今おっしゃったように刑事事件として起訴をされれば、そこでその当否を争うしかございませんね。  これは、先ほども申し上げましたように、自衛隊の訓練で、任務で、命令で出動をした隊員が過失で起こした事故です。もちろん、過失であろうと何であろうと一回間違えば大きな事故につながるのが航空事故ですから、それはあってはならない、何としても安全に運航してもらわなければいけない、特に民間の飛行機と一緒に使っている飛行場、こういうところでは余計その点は慎重に安全を十分確認した訓練をしてもらわなければいけません。  しかしながら、これは命令で訓練に出動をしておった、その間での事故でございます。先ほど五日と三日の処分、それから隊長以下司令等に対する処分もあった、こう聞いております。やはり組織としての責任をお感じになったからそういう処分をされたと思うのですね。特に操縦桿を実際に握っていた人よりも、機長としてそばにいた人の処分の方が重い、五日と三日の違いがある。組織としての責任をお認めになったと思うのですが、いかがでしょうか。
  292. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 機長と操縦士の関係でございますが、内部の規定によりまして、航空機の運航に関しまして機長が全責任を負うということになっております。したがいまして機長の処分を重くしておるということでございます。
  293. 和田一仁

    ○和田委員 訴状を見てないのでわかりませんけれども、刑事責任を問われるのも、同じような問われ方をしているのか、あるいは直接操縦桿を握っていた、操縦していた人の方に余計その責任が問われているのか、私は見ておりませんからよくわかりません。しかしながら、やはり隊として行動していて、複数ですから、そして責任が問われた場合に上の人が譴責される、処分されるのは重い、これは常識でございますね。そういう意味で、航空自衛隊の中での処分が間違っているとは私は思いません。  しかし、そうであるならば、これはやはりこういう危険法等が改正されるようなときには、命令権者が責任をとるというような姿勢がもっと出てもよかったのではないか、そういう感じがしたので私はお聞きしたわけです。そのことについては全く法改正のときには何の考慮もなかった、こういう御答弁でございましたので、よく肝に銘じて私はとどめさせていただきます。  この起訴された人は今どこにいらっしゃるのですか。
  294. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 現在、機長の方が浜松の救難隊におります。また、パイロットの方は新田原の救難隊におります。
  295. 和田一仁

    ○和田委員 沖縄で起訴されて、これから公判が開かれるわけですけれども、この裁判のための費用、これは私が伺いますと、とても今航空自衛隊の機長さんと副操縦士の方、一尉だったと思いますけれども、大変な負担になると思うのですね。大変な負担になることがわかるものですから、仲間が裁判費用をカンパしてカバーしよう、こういう動きがあるというのは御存じでしょうか。
  296. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 私どもの方ではまだ具体的にそういう動きがあるということは掌握しておりません。
  297. 和田一仁

    ○和田委員 これはもう松本さん、防衛庁としてはしようがないのですか。全くもう本人と、まあ仲間がカンパでもして、それも知らないけれども、そういうことでやってくれ、こういうことでしょうか。
  298. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 起訴自体はパイロット個人が起訴されておるということでございまして、隊員は訓練等に従事いたします際にも当然各種の法令を遵守しなければならない。その法令に違反した場合には、部隊の規律上の責任を問われると同時に、やはりその法令による責任を問われるということもあり得るわけでございます。  ただ、どのような事故の場合に責任を問われるかというようなことにつきましては、個々の事故によりまして違ってまいるわけでございますけれども、少なくとも個人として刑事責任を問われたということになりますと、これは防衛庁といたしましては、現在の行政組織上、これに対して何らかの形で対処していくといいますか援助していくといいますか、そういう措置はとり得ないというのが実情でございます。
  299. 和田一仁

    ○和田委員 とり得るように何か努力をする気があるかどうかも含めてお聞きしたいと思いますけれども、同じ公の機関でもやっているところがあるのですね。バックアップしているところがある。公務執行中にそういう過失があった、それがとんでもない本人の重大なミスで起こした過失でない限り、訴訟費用等についてはその公の機関がバックアップしている、そういうケースを私は聞きました。後でお調べください。警察庁には訟務係というのがおって、こういうことをきちっとバックアップしている。同じ公の機関でそういうことをやろうという気もないかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  300. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 いろいろ検討はさせていただきたいと思いますが、現在のところやれないというのが実情でございます。
  301. 和田一仁

    ○和田委員 長官、検討させていただきたいという答弁が出ました。これはぜひ長官の時代に検討課題にしていただきたい。今の制度ではできないとおっしゃっているのですから、ではそれをどうすればいいかをぜひ検討していただきたい。長官、いかがでしょう。
  302. 瓦力

    ○瓦国務大臣 和田先生、自衛隊につきましても大変いろいろ御理解をいただいておりまして、私まず、いろいろの機会に先生と出会いを持つわけでございますが、ただいまの御質問も隊員に対する思いやりを持っていただきまして大変感謝をいたします。  実は本件につきまして人事局長、教訓局長、答弁をいたしておりますが、この問題、今後の課題も考えてみますと、いろいろ困難な問題もあろうと思いますが、人事局長が答弁いたしましたように、どういう方法がとり得るのか検討をしてまいりたい、かように考えております。
  303. 和田一仁

    ○和田委員 もう一つお聞きいたします。  そうやってOBや仲間がカンパをして、とにかく過失であったのだから少しでもその点を認めてもらいたいということで裁判をやろうということですが、同時に、仲間から、あるいは上官から、今度のこの刑事訴訟については、日常の勤務を非常にまじめに勤勉にやっているんだからその辺を酌量してもらいたいという意味合いのいわゆる嘆願書が出ているとも私は聞きました。  その嘆願書の写しもあったら見せてくれ、こう申し上げたのですが、防衛庁として提出すべき立場にないことを御了解いただきたい、こういう回答を得ました。嘆願書は見たこともないのでしょうか。
  304. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 お答えします。  嘆願書は見ておりますが、嘆願書は個人のベースで同僚や友人のためにという、そういう自然の人情から書かれているものでありまして、これを防衛庁が組織上知ったからと申しましても、すぐに外に公にすることは適当でないと考えたわけであります。
  305. 和田一仁

    ○和田委員 これも、そういう報告は受けている、見たこともある、しかし国会でそういうことを聞かれたときに資料として出すわけにいかない、こういう、私の感じとしては非常に冷たいお答えだと思うのですね。  長官、今の制度上、今のような答弁が出てくる。同じ仲間が、こういうことになった仲間を少しでもかばおう、自分の身にいつ起こるかわからないんだ、こういう思いを持ちながら毎日の訓練をやっていると私は思うのです。そういう中で、こういうことを起こしてはならないと思うし、起こしたときに、ただ個人の責任だけで済む問題でないという気もするからこそこうやってお尋ねをするにもかかわらず、それに関する資料は出てこない。大変組織として冷たい組織だ、こう私は思うのです。  幾ら正面装備を立派にして指揮命令系統を骨幹を整備するなんて言っても、中で動く実際の隊員に士気がなくなったら大変なことだ。そういう意味で、この事件の扱いというのは大変大事だと私は思うのです。制度上できないのならカンパをやったらいい。空幕長もカンパするかもしれない。長官、どうですか。長官もカンパに応じませんか。もちろんポケットマネーですよ。そして、嘆願書にも同じような意味で書いていただきたい。それぐらいの血の通った組織にしてもらわないと、日本の防衛力というものは正面装備や指揮命令系統をいじるだけではだめだ、こう思うからお聞きしているのです。いかがでしょう。
  306. 長谷川宏

    ○長谷川(宏)政府委員 長官のお答えの前に一言御説明します。  先ほど人事局長の話にありましたけれども、一般的に、訓練等公務中のものでありましても、過失等のある隊員につきまして刑事責任が問われるような場合があり得ることは、現行の法体系のもとではやむを得ないところであります。個人の責任を問う刑事手続に関しまして防衛庁として直接支援を与えることは、行政機関としての権限を越えるものであります。先ほど申し上げましたとおりでありますが、また、現に進行中の公正をたっとばなければならない刑事手続に影響を与えると申しますか、介入することとなるおそれもありますので、差し控えざるを得ないのであります。  いずれにいたしましても、防衛庁としましては、安全確保につきましては常に厳しく指導いたしますとともに、万一事故が発生いたしました場合には、単に当事者の個人的責任のみを問題とすることなく、組織としての再発防止に努めてきたのでありまして、今後も各種事故防止に努力をしてまいりたい、そういうふうに考えているわけであります。
  307. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私に対しましての質問でもございましたが、本件は、任務遂行中のものとはいえ隊員に過失があったため行政処分を行ったわけでございますし、また、刑事裁判に係る事案でもございますので、現に防衛庁長官の立場にある私が積極的に支援を行うということは差し控えなければならぬ。しかし、防衛庁として組織を挙げて事故の未然防止に努めるということは大事なことでございまして、また、隊員諸君には練度の向上も含めて確かに委員指摘のとおり厳しい訓練もいたしておるわけでございますが、こうした中にありましての長官の立場、このことも御理解をいただけようかと思うわけでございます。  なお、温かい思いやりのある気持ちで対応してまいらなければならぬという御指摘、私の長官としての立場ということもございますが、どういう形で隊員諸君のこうした問題に対応できるか、そのことは、先ほど申し上げましたとおりいろいろ難しい関係もあると思いますが、研究をしてみなければならぬと思っておるわけでございます。隊の規律とかそうしたことを勘案いたしますと、長官の立場といいますか、それもひとつ御理解をいただきまして、こうした事故が二度と起こらないように私どもあらゆる検討を重ねてまいりたい、かように考えるものでございます。
  308. 和田一仁

    ○和田委員 自衛隊の最高の責任者、この改正によって三十二万一千七百一人の自衛隊員を統括される長官です。あの栄誉礼を受けるときの責任感というものは大変なものだと思うのです。三十二万一千人を超える隊員が士気を奮い立たせるかどうか、これは長官、ぜひ常に頭に置いていただきたい。  昔、日本の青年は、本当に赤紙一枚で国家の平和と安全のために身命を賭した、一身を挺したのです。今回はそうではないのですからね。自分がやっている仕事にそういった温かい組織としての思いやりがあるかどうか、同時に自分が誇りを持って防衛任務につけるかどうか、これは本当に大事なことだと思うのです。そういう意味から私はこういう対処をきちっと考えていただきたいと思ってお尋ねをしておるわけなんです。ぜひひとつこれからもそういう点に留意をしていただきたいと思うのです。  それで、私はもう一つ気になるのです。こういうケースが出てくるためかどうか、パイロットの退職者が非常に気になるわけなんです。去年、おととし、その前と、三年間の退職者のリストをお願いして、いただきました。ずっと見させていただくと、パイロットが退職したのが六十年で三十一名、六十一年で四十八名、六十二年で六十名とふえております。  これは陸と海と空とそれぞれ内訳がございます。陸の場合は七名、五名、そして七名、こういう数字です。海の場合は、六十年が十四名、六十一年で三十一名、六十二年で三十四名。空、航空自衛隊の場合は、六十年が十人、六十一年で十二人、六十二年で十九人、こういう数字にふえております。  もちろんこういう集団ですから、定年近くというかある年齢に達すればパイロットとしての搭乗から外れる方もおります。外れれば、自分は飛行機が好きだからというので民間に転出される、そういう制度のあることも知っております。民間航空機へいわゆる割愛の協定の中で出ていった数字も教えていただいたのですが、これは空だけで申し上げます。六十年には三人で、七人が任意退職。六十一年は、二人割愛で十人が自己都合でおやめになった。六十二年は、割愛は一人、あと十八人がおやめになっている。やはりふえていますよ。  先ほど冒頭に申し上げたように、死傷者も含め仲間が犠牲になっている激しい訓練の中で一生懸命やっている、しかし何かあったときに何にもカバーしてもらえないんだということで、自分でみずから生命保険に入っておかないと不安だというような体制の中でやっていた限りでは、こういう数字になってくると思うのです。  六十二年の十九名、ジェットパイロットだったら一人前になるのに五億円も訓練費用がかかるということも聞いておりますが、これは大変な数字だと思うのです。誇りを持って航空自衛隊に入ってきて、国の費用も十分使いながら一番難しいジェットパイロットで自分らは一人前になったという自覚をみんな持っているわけです。そういう人たちがぽろぽろやめていかざるを得ない、この背景はどうお考えですか。これと関連があるかどうかだけでも結構です、お答えいただきたいと思います。
  309. 松本宗和

    松本(宗)政府委員 確かに先生ただいま御指摘のとおり、ここ数年パイロットの任意退職者といいますか依願退職者数がふえてきております。  この理由でございますけれども、実は申し出ておる理由は家庭の事情でありますとかいうのが大部分でございまして、ほかのパイロット、民間のパイロットになるというような理由は余りないのでございます。  いずれにいたしましても、このように増加してきておるという事実は、私どもよくその実際の原因というものを掌握しなければならぬと考えております。  ただ、現在のところ、何がこういう数字になってあらわれてきておるかという点につきまして、ここではっきりと御答弁できるものを持っていないということを御理解賜りたいと思います。
  310. 和田一仁

    ○和田委員 そういう現象をお認めいただいた上で、どういうことでそうなっていくかをもう少し研究して、検討して、こういうことの少なくなるように、ひとつ御努力をいただきたいと思います。  きょうは、お久しぶりに佐々さんおいでをいただいてお顔が見えておりますが、けさ、安全保障会議議員懇談会が持たれたというふうに承知しておりますが、この会議でどういうテーマでお話しになられたのか、お漏らしいただけるところで結構でございますが、お答えいただきたいと思います。
  311. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  御承知のように、一昨年の七月一日に国防会議が廃止されまして、安全保障会議が設置され、従来の国防会議の事務がこの安全保障会議に移って、国防事項をやると同時に、国の安全にかかわる重大緊急事態対処という問題がその任務に加わったことは御承知のとおりでございます。自来、安全保障会議は今日まで十一回、安全保障会議議員懇談会が七回開かれてまいりましたが、すべて国防事項でございまして、幸いにして今日まで重大緊急事態、すなわちハイジャックであるとか人質誘拐事件であるとか、ミグ25事件であるとか、こういう重大な、不法行為を犯して国に対して不当な要求をするというケース、あるいは国際的な重大な事件、事項は発生せずにまいっておりました。  なお、総合安全保障関係閣僚会議に関する事務についても、安全保障室の事務となり、同会議は、当室設置以来二回開催されております。  しかしながら、近年、御承知のように海外の赤軍の動きがにわかに活発化いたしまして、「よど号」の犯人の一人である柴田が日本に戻っておる、あるいはかつてオランダにおいて爆発物所持者として逮捕され強制送還されましたところの菊村憂がニュージャージーにおいて逮捕される、丸岡修というダッカ・ハイジャックの犯人がまた日本において逮捕される、さらに、ナポリにおきまして米軍のクラブに爆弾が仕掛けられまして五名の死者を出すというような事件が起こり、イタリア警察が捜査を遂げた結果、かつての日本赤軍、奥平純三、そして重信房子、これを犯人として指名手配する、かなり楽観を許さない情勢となってまいってきたわけでございます。  御承知のように、六月十九日からはカナダのトロントにおいてサミットが開かれます。そして、ソウル・オリンピックがこの秋に開かれるわけでございますので、最近とみに活発化いたしました海外における日本赤軍等の動向を中心といたしまして、国際テロ情勢について、警察庁及び外務省からそれぞれ最近の情報並びに情勢の報告が行われたところでございます。
  312. 和田一仁

    ○和田委員 今お話がありましたように、大変名前もお挙げになりましたけれども日本赤軍の幹部をめぐって予断を許さないような、テロが出てきそうな気配が相当感ぜられるわけでございますけれども、そういう情報交換だけで終わったのか、対策は何か御相談になられたのでしょうか。
  313. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  安保会議懇談会の性格でございますけれども、安保会議そのものと違いまして、これはそのときどきの問題について政府側が報告を行い、それに対して出席議員が自由に意見交換を行うということで、具体的に何か決定をするという性格の会議ではございません。本日は、特に時間が限られておりました関係で、警察庁並びに外務省からの情報並びに情勢の報告が主でございまして、具体的な対策は決定されるには至っておりません。
  314. 和田一仁

    ○和田委員 目の前のサミットやら九月のソウル・オリンピック、こういうものも控えているだけに、きょうのは懇談会ということでそういう対策を協議する場ではないのかもしれませんけれども、危機管理についての政府の最高の意思を決定する機関だと私は思うので、そういう意味で正規の会議は近々お開きになるのでしょうね。目の前のサミットとかオリンピックの対策を、きょうは情報交換をされたわけですから、その対策については急がれると思うのですが、近々お開きになりますか。
  315. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  本来、安保会議の任務は、重大緊急事態が起こった場合のこれに対する的確な政府の意思決定、こういう調整機能が主でございます。既存の行政組織において、例えば入国管理の問題であるとか旅券の管理の問題であるとか赤軍の活動の捜査であるとか、それぞれのつかさつかさによりまして行われる仕事は、安保会議において一々これを審議する、こういう性格のものではございません。御指摘のように、既にこういう状況が出ておりまして、各省庁それぞれこれに対する対策本部等を設置いたしまして適切なる処置をとっておるところでございます。最大の目的はやはり予防、防止ということでございまして、これにそれぞれの省庁が全力を挙げてやっていただく、それの連絡調整を行うというのが私どもの仕事であろうかと存じます。  近く正式な会議を開くかという御質問でございますが、きょうはそういうことで情勢の報告ということで、それぞれ関係閣僚及び関係省庁の理解と認識を深めていただく、こういうものでございまして、今後この種の会議をどういうふうに持っていくかということは、各省庁の対策の進捗状況あるいは情勢の変化によって、その段階でまた、これは議長は総理でいらっしゃいますので、総理の御諮問をいただいて審議をする、こういう性格のもので、現時点、次はいつというような計画は持っておりません。
  316. 和田一仁

    ○和田委員 それではまた関連して、私どもは有事法制の問題について何回も御質問をさせていただいておりますけれども、有事法制の中で第一分類、第二分数、第三分類、それぞれ研究が進んでおることは承知しておりますが、そのうちの第三分類、いわゆる所管省庁がどこということがはっきりしない分類、ここに関する法令の研究については安全保障会議が担当というふうにも聞いているのですが、その辺の進行状況、問題のテーマの分け方等、研究がどこら辺まで進んでいるのか、おわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。
  317. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、どこの省庁にも属さざる、しかしながら防衛出動があった場合には起こり得るであろう諸問題、この問題を第三分類というふうに表現をいたしておりますが、この問題につきましては、各省庁、担当しておりませんので、政府全体で取り組むべき問題である、こういうところから、この個々の具体的な問題を防衛庁においていろいろ御研究をいただきまして、その研究成果を、第三分類につきましては昨年の十月から本年の三月まで問題点のヒアリングを行い、三月の末にはそのヒアリングを終了した段階でございます。  私ども、安保室といたしましては、これから、一昨年の当室設立の際の前後藤田官房長官の御答弁のとおり、どこの省庁にどの仕事をやっていただくかという仕分けをするのが私どもの仕事でございます。その仕分けの勉強を防衛庁の御協力も得ながら開始をした、こういう段階でございます。
  318. 和田一仁

    ○和田委員 仕分けがお済みになれば、それぞれの省庁に移管して、そこでさらにその対策を立てられるわけですね。その三月にヒアリングが終わったというふうなお話で、これで仕分けが終了するのはいつごろになるのでしょうか。中間報告というか、そういうものをお考えになっているのかどうか。
  319. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  当然、この問題は国民の権利義務にかかわる重要な問題でございますので、国権の最高機関である国会に、第一分類のときはそうであり、第二分類のときはそうであったように、中間報告をいたす日が来るであろうと存じます。  現時点、率直に申し上げまして、どこの省庁にも属さざる仕事をどこかの省庁に割り当てるというのはなかなか難しい仕事でございます。納得のいく合理的な根拠を持って分類をいたしませんとなかなか御協力を得られませんので、もう少し時間を拝借してしっかり理屈づけをしてから各省庁にお願いをしたい、かように考えておりまして、申しわけございませんが、現時点いつごろできるかということを申し上げる状況にございませんことをお許しいただきたいと存じます。
  320. 和田一仁

    ○和田委員 大変なことはわかるわけなんですけれども、第一分類等と違って、第三分類というのは、これも国民に非常に関係の深い問題、何かあったときの住民の保護だとか避難だとか、あるいはどうしたらいいかというような、国民にとっては部隊がどう動くかということよりも一番大事で身近な問題ですね。それから、国際法上も人道的ないろいろな問題、こういうところに分類されていると思う。そういう意味で、私は、これは難しいけれども急がないといけないテーマだと思うわけなんでお聞きしたわけです。  それで、テロが起きるとか非常に緊迫している、いろいろな報告がけさの議員懇談会でおありになったということだと思いますけれども、そういう予測できないいわゆる重大緊急事態というもの、起こっては困りますけれども、これが、起こることが予想されて起こるよりは、むしろ突然起こることの方が多いわけなんです。ですから、そういう意味でも、これは一刻も早く対策を立てておくべきテーマだと思うのでお聞きをしたわけでございます。  いろいろな国際行事、ある周辺でテロが行われそうな情勢判断の中で、やはりそういうことも含めながら緊急事態に対処する、何か有事の際に対処できるようにきちっとした法的な整備が急がれると思うからお聞きをしたわけでございます。どこへ分類していいかわからないような、所管省庁のはっきりしないような大変な問題を対象に進めるわけですから、大変なことはわかっておりますけれども、ぜひひとつこれは急いでいただきたいと思います。  それで、そんなことを見ているうちに、一つまた気になった問題がありますが、自衛隊法の八十条では、有事の場合に総理大臣は、海上保安庁を自衛隊の統制下に入れて防衛庁長官に指揮させることになっているのですね。これは自衛隊法ではそう決められておるのですけれども、これについて、これもまあ普通の場合にはないことですが、有事の場合にそういうことになっている。このことについて、防衛庁と海上保安庁との間で具体的な連絡とか、実際になったときにはどういうふうにやるのか、そういうことが機関として行われているかどうかをお聞きしたいと思うのです。  これはどっちに聞いていいのかよくわからないのですけれども、海上保安庁の方は余りいい話じゃないという気がするかもしれませんが、そう決められているので何かあったときにはそうなるのですが、有事の場合にこういう規定があるが、そのときはどうするということについてどこで御相談になっているか、お答えいただきたいのですけれども
  321. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生指摘のとおり、有事には防衛庁長官が海上保安庁長官を指揮下に入れることができるようになっておりますが、海上保安庁の仕事そのものが、今おやりになっている権限なり所掌の範囲内のことと別のことをおやりになるということではございません。したがいまして、防衛庁長官は海上保安庁長官を指揮されることになるわけでございますけれども、全体の指揮系統としては、海上保安庁長官が引き続き海上保安庁全体を指揮統制されるということになりますので、さほど細部の調整事項とかそういったものは必要ない。  ただ、例えば有事の状況でございますので、わが方にいろんな情報が集中してくる、そういった際に、海上保安庁の海上におけるいろんな国民の安全保護とか、そういった活動の重点をどこに置いていただくかとか、そういったことについて情報をお渡しし、その範囲内でまた海上保安庁が従来と同じような格好で海上保安庁としての指揮命令権の中でおやりになるということで、今先生お尋ねのような非常に細部の事務調整、そういったものは必要ないのではないかというふうに考えておる次第であります。
  322. 和田一仁

    ○和田委員 有事の場合というのは、出動が下令されたときだと思うので、そうでないときはこういう指揮命令の関係というのは出てこないと思うのですが、さっき安全保障室長は、何か重大緊急事態のときには調整機能を果たすのがこの安保室の仕事だ、こういうことでしたね。私は、例えば今度ソウルのオリンピックに対して協力して、何とかいろんなシージャックだとかハイジャックだとかテロだとかないように、各国が連絡をして安全にオリンピックが終わるように協力し合う、こういうことで海上保安庁も大変だと思うのですね。  海上保安庁も、各港で工作船やら不審船があれば、これを追っかけたりつかまえたり尋問したりしなければいけないわけだけれども、そういうときに、これは有事でも何でもない、緊急事態でもない、がしかし、そういう有事の場合には指揮命令系統に入るというような、そういう関係のある省庁間ならば、有事ではなくても、海上保安庁の船が一生懸命追っかけたが逃げられそうだ、しかし向こうには自衛艦が訓練している、そこに連絡をとり合ったらまあ何とか捕まるというようなときにも、これは全く仕事が違う、片っ方はいわゆる警察行動、警備行動、自衛隊の方は全くそんな任務は与えられていないから、おれは知らぬよと言って、目の前を海上保安庁が追いかけていく船が逃げていっても手も出せない。これは安全保障室長、どういうふうにお考えですか。そういう連絡調整というのは全然できないものなんですか。
  323. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  海上自衛隊の場合には、御承知のように自衛隊法八十二条で海上警備行動についての長官命令が発出されますと、海上保安庁に御協力をして海上における警察権の行使が可能となります。ある一定の階級の者以上が司法警察職員になり、逮捕権、捜査権あるいは武器の使用権、これを持つわけでございますが、この八十二条発令がない場合には、海上警察権は現時点においては一義的に海上保安庁でございます。  御指摘のような状況の場合において、安保室としてそれではああせい、こうせいという指示命令権がございませんで、私どもあくまで内閣官房長官の持っております内閣法に基づくところの調整権の行使でございますので、八十二条発令というような事態に相なれば、当然先生指摘のような協力関係が出てくると思いますが、現行法規におきましては海上保安庁の専管事項と相なっております。
  324. 和田一仁

    ○和田委員 安全保障会議の議長は内閣総理大臣、防衛庁も保安庁も内閣総理大臣のもとにある省庁でございまして、そういう意味で、安全保障会議が連絡調整をやるという機能を与えられているならば、大げさでなくていいのですが、同じ日本の公の機関で警察権が八十二条でやれるのですから、その内閣の最高責任者は議長でもあり総理大臣でもある、こういうことですから、何かのときに八十二条というこの条項でそこら辺が弾力的にいかないものか、その辺をちょっとお聞きしたかったのですが、いかがでしょうか。
  325. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  海上自衛隊の海上警備行動発令には要件がございまして、海上保安庁では海上の治安の維持がどうしても困難である、海賊が横行し、どうにもならぬ、こういう状態のときに、その要件を満たしたときに初めて防衛庁長官に与えられておる権限で発令となるものでございまして、内閣官房が横から、八十二条を発令したらどうかということを申すのはいかがであろうか。  御指摘のいわゆるスパイ船でございますね、この問題については、海上保安庁が鋭意努力をいたしておるところで、それによって海上の治安が麻のごとく乱れるというほどの八十二条発令の条件にはならないのではないか。したがいまして、海上保安庁、今一生懸命また新しいスピードの出る巡視艇を予算要求し、これからつくろうとしていらっしゃいますので、これに追いつくだけの巡視艇を海上保安庁に供与する、予算をつける、こういう解決の方法もあるのではないかと考えております。
  326. 和田一仁

    ○和田委員 任務が与えられればできるが、しかしそれには要件があるし、なかなかその要件を満たすような状況というのではない、むしろ海上保安庁の今の持っている能力を高めて任務が遂行できるようにした方がいい、これは安全保障室長としての御見解、大変結構な御見解だと思う。そのようにこれから私ども政府に努力を要求していきたいと思います。ありがとうございました。  まだ若干時間がありますが、きょうは余り遅くまでやるなよということでございましたので、もう簡単にやります。  先ほどもお話が出ておりましたけれども、中期防の整備計画がだんだんと進んでおるわけでございますけれども、この進んでいる中にあって、ポスト中期防とでも言うのですか、中期防後の新たな計画の策定についてもそろそろ検討されているというふうにお聞きをするわけですけれども、どういう発想と基本的なお考えのもとに取り組もうとされているのかをお聞きしたいわけです。
  327. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ポスト中期防でございますが、この中期防が六十五年に終わりますと、六十六年度以降の防衛力整備のあり方について答えを導いていかなければならぬわけでありまして、中期防終了までに、国際情勢、経済財政事情等を勘案いたしまして、我が国の防衛の基本方針たる専守防衛、このことを踏まえながら決定を行うべき、かように考えておるわけでございます。  たびたび予算委員会等でもこのことにつきましての御質問がございましたが、今具体的な方針について述べられる段階ではございませんが、私としては、現在の中期防のような中期的な防衛力整備計画を策定されることが望ましい、かように考えておるわけでございます。安全保障会議にお諮りをいただく、こういう上で年内にもその検討に着手してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  328. 和田一仁

    ○和田委員 中期防は「防衛計画の大綱」をもとにしまして、この定める防衛力の水準を早く達成しよう、こういうことで今努力されていると思います。先ほども、しかしさりながら支援戦闘機等、こういうものについては研究開発が進んでいくので、なかなかこれはほかのものと同じようなわけにいかない、あるいは水準に達しないかもしれないというお話もありましたが、押しなべて大綱で求めている水準達成、こういうことではないかと思います。  そうなりますと、その後のいわゆるポスト中期防衛計画というものを大綱を前提としてさらに作成するということになると、これはもうやることがない、全く新しい正面装備の中で古くなったものを取っかえていればいいということに終わるのでしょうけれども、そうでないということであれば、大綱を見直すのか、それとも別表でいこうとしているのか、その辺はいかがでございましょうか。
  329. 西廣整輝

    西廣政府委員 本件に関しましては、もう防衛庁長官から再々申し上げているように、国際情勢その他大綱の前提となっております枠組みそのものが大幅に変化をしない限りは、やはり大綱というものの基本的枠組みは堅持すべきものであろうというように考えております。  ただ、さらにつけ加えて申し上げますと、大綱水準の維持というのはそれ自体が非常に大変な仕事である、先生がおっしゃられたように、古くなったものを取りかえていくというだけでもなかなか大変でございますが、さらに加えて、少なくとも私どもここ十数年の流れを見ておりますと、世界といいますか、我が国周辺の諸国の軍備というものがどんどん近代化をしていく、あるいは量的増大が行われている、そういう状況下で、大綱の枠組みの中でいわゆる小規模・限定的な事態に対応できる防衛力というもの、そういった相対的な力というものを維持していくということはなかなかもって大変なことであるというように考えておりますので、大綱の枠組みを厳守する限り、もうすることがなくなってというようなことは全くないというように考えております。
  330. 和田一仁

    ○和田委員 防衛についてはいろいろのことを勘案しながらやらなければいけないと思いますが、国民にとりましては、膨れ上がっていく防衛の中でやはり防衛費というものは非常に気になることではないかと思うのですね。ですから、そういう意味で防衛策の歯どめについて、要するに十八兆四千億、この中期防の達成が今歯どめと思いますが、その後の次期中期防というかポスト中期防、これを策定されるときに、その防衛費の歯どめというものをどんなふうにお考えになるのか。年限を切るのか、また総額で歯どめをするのか、そういうことを両方あわせながら何か歯どめを考えられるのか、そこをお聞きしたいのです。
  331. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生十分御案内のように、昨年いわゆる防衛力整備に関する経費的な枠組みについての閣議決定があったわけでございます。その際、当時の内閣としては、次の次期防について必ずしもこれは拘束するものではなくて、それはそのときの内閣に考えてもらうということになっておりますけれども、私どもとしましては、いわゆる計画というものをまず前提に置いて、それの総額を明示していくという方式が昨年閣議決定されたといった状況でございますので、この閣議決定の重みというのは大変重いというように考えておりますので、やはり総額明示主義といいますか、計画があり、それに対する総経費というものの裏づけできちっとした経費の枠組みがあるという形は、今後とも尊重されていくのではないかというように考えております。  いずれにいたしましても、これらの問題はいずれ安全保障会議で十分な御審議があって御決定になるというように考えております。
  332. 和田一仁

    ○和田委員 時間もたちましたが、最後にもう一つだけ。  今度予備自衛官を千五百人増員するわけでございますね、それで四万七千九百人にしよう。最終的にはどこら辺まで増員する計画か。また、今OBを予備自衛官にしているわけですが、OBだけではなくて、「業務運営に関する改善検討事項」の中で、自衛官の経験のない人、いわゆる民間の人もその予備自衛官に入れようという構想がいっときあったように思うのです。  全体でどこら辺までふやそうとされているのかまた、民間の人を対象に予備自衛官をという構想はどうなったのか、両方お聞きしたいのです。
  333. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、現在予備自衛官というものは、有事において臨時緊急に編成される部隊要員に充てる、あるいは有事にどうしても拡張しなくてはいけない要員に充てる、さらには戦闘損耗等に充てるといったような、既定の枠組みの中で予備自衛官の増員を現在お願いしておるわけでございます。そういった同じ考えの中でまいりますと、この中期計画中に最終的には五万数千人程度まで持っていきたいというように考えております。  一方、今先生からお尋ねがありましたように、予備自衛官制度について、さらにその職域といいますか、その使用方法といいますか、そういったものについての拡大という問題を研究いたしております。  これは大きく分けまして二つの分野がございまして、一つは、現在自衛隊の現役の者がやっております後方支援業務、例えば装備の修理であるとか補給であるとかそういった仕事がございます。そういったものについて、これを平時から常に自衛隊というものがみずから行うことが合理的であろうかどうか、これを民間に委託するようなことができないだろうかという、ある意味の業務の合理化の面からの検討がございます。  そのようにして仮にある仕事を民間に委託するといった場合に、今度は有事の場合にどうなるだろうか。有事それが離散されてしまうということになると整備も何もできなくなってしまうことになりますので、そういう仕事をされる方に、あわせて予備自衛官の資格といいますか身分というのを持っていただいて、有事には自衛官という身分で引き続き同種の業務をしていただきたいという面が一つございます。  もう一点は、現在、例えば陸上自衛隊で申し上げますと、大きく分けて、人員構成からいいますと三つあると思うのです。  一つは、定員があって、しかも平時から実員がおるというものがございます。それからもう一つは、定員はあるけれども、平時からそれを埋めておくにはややぜいたく過ぎるといいますか、そういうことで予算上欠員にしてあるというものがございます。それからもう一つは、先ほど申したように予備自衛官で充てるべきものというように、三つの人員的な裏づけがされておる姿があろうかと思います。  これにつきまして、特にその二番目の、定員はある、しかし、部隊の維持運用から考えて、平時からそれを一〇〇%充足しておくのはいかにももったいな過ぎるではないか、もう少し状況が緊迫してから充足したらいいではないかということで、予算的な裏づけがなくて欠員になっている部分というものがございます。それについては、そういう三本立てでいいのかどうか、その部分については予備自衛官にかえることは可能かどうかというようなことを一方で研究いたしております。  ただ、予備自衛官にしますと、現行制度では例えば防衛出動命令が出ないと招集できないので、状況が緊迫した段階で充足できないとかいろいろな問題がございます。  それともう一つは、今申し上げた定員がありながら平時欠員にしてある部分というのは、大部分が一線部隊の要員でございますので、当然のことながら若くて十分戦闘能力のある人たちでなければいかぬ、ということになりますと、いわゆる自衛官を終わってから採用された予備自衛官ということになるとどうしても平均年齢が上がってまいりますので、そういった方たちでは有事十分な役に立たないかもしれない、それに対してどういうことが対応策として考え得るか、そういうようなことを含めて現在研究をしておるということで、予備自衛官というものが現行のままでいいかどうかということと、これは両方の兼ね合いでいかなる案があり得るかということで、目下研究を続けておるというのが現状でございます。
  334. 和田一仁

    ○和田委員 予備自衛官の問題もなかなか大変だと思います。民間のそういう後方支援業務も、有事のときにこれが活用されなければ何にもならないことでございますし、定員がありながら実員が少なく欠員のままでいるとして、これがまた急速に充足できないこともわかっておりますし、なかなか大変だと思うので、やはり順当に退職者の中から予備自衛官をふやすということは大事なのかなと思います。  時間が来てしまいましたのでもう終わりますけれども、今度のこの防衛二法の改正を含めまして、防衛庁という役所として、その目的である自衛力の整備に対して一層の充実を図っていこう、そのために必要な正面装備だとか自衛隊の系統、編成を変えるということ、改善するというようなことも、必要であるならそれはそれでよろしいと思います。  しかし、こうした正面装備や指揮命令系統、そういうものの改善があっても、それを運用するのはやはり人でございますから、そのためにただ人をふやすというだけでなくて、防衛庁長官のもとに先ほども申し上げました三十二万一千七百一人という自衛官が予備も含めておるわけでございますから、この自衛隊員の士気が本当に充実をして、そして誇りと自信を持って国防の任に当たる、世界の平和と日本の防衛のために自分たちは役に立っているんだという意識を十分持てるような環境づくりを防衛庁として努力していただきたい。  そういうことがなくて、自衛隊員の士気が低下するようなことであって、国民に防衛意識をもっと高めろとかあるいはもっとしっかりみずからの分野を守ることによって世界平和へ貢献するんだというようなお題目を何ぼ唱えてもなかなかいかない、こう思うわけでございまして、ぜひそのことを十分御留意して長官は指揮をしていただきたいと思うので、最後にそういう私の気持ちに対して長官の御意見を聞いて、質問を終わりたいと思います。いかがでしょう。
  335. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今、和田委員から誇りを持ってその任務につける、そしてまた日ごろからの練度向上にも努める、そのためには正面装備のみならず後方の問題、そういったことに対する努力もさらに重ねてまいるようにという激励もちょうだいいたしまして、私も長官就任以来、先ほど和田委員からお話がありましたが、あの栄誉礼を受けまして大変緊張をしながら取り組んでおるわけでございますが、一層その責務の重さというものを肝に銘じまして取り組んでまいりたい、かように考えております。また、いろいろ御指導いただくことも多かろうと思いますが、委員会を通じ、また鞭撻賜りますこともお願いをいたしまして、私の答えとさせていただきます。
  336. 和田一仁

    ○和田委員 ありがとうございました。終わります。
  337. 竹中修一

    竹中委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前十時十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十三分散会