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西廣政府委員 先般のホノルルにおいて行われました
日米安保事務レベル協議の概要を申し上げます。
まず協議事項でございますが、第一日目に国際情勢等、そして第二日目に
日米防衛協力、第三日目に
我が国の防衛努力等を中心にそれぞれ
日米双方から
説明を行い、意見を交換するという形で進められたわけであります。
次に、協議内容を申し上げます。
最初に国際情勢でございますが、
米側からは、
米国の見た世界情勢について、アジア、中東、中米、アフリカの各地域別に
説明がございました。特に、ゴルバチョフ政権になってからもソ連の軍事態勢には変化が見られないという見方が示されたほかに、アメリカの国防費というものは抑制はされているけれ
ども、
米国のコミットメントには今後とも変わりがないといったような発言がございました。
これに対しまして、
日本側からは、これは
外務省からでございますが、長期的にはアジアは安定化の方向にあるというような観測、さらにアジアの現状についての
我が国の認識について
説明をしたわけであります。
二日目の
日米防衛協力
関係でございますが、
前回の会合、これは昨年一月にあったわけでございますが、それ以降の共同研究、共同訓練あるいは在日駐留米軍支援等、各般の分野におきます
日米防衛協力の現状についての
説明が
日米双方からこもごもあったわけであります。いずれにしましても、双方が、この
日米防衛協力の状況というものが逐次進展をし、実りある状況にあるということを確認したわけであります。
そして、指針に基づく
日米共同研究につきまして、先ほ
どもちょっとお答え申し上げましたが、通信面におけるインターオペラビリティーの確保が重要であるので、今後ともこの分野における研究作業を進めていくこと、並びに共同作戦に係る後方支援面の問題につきまして、引き続き問題点の洗い出しをしていくということについて双方の
考え方が一致をいたしたわけでございます。
また、共同訓練の
関係でございますが、これにつきましては、逐年、共同訓練というものが内容的にも向上しておるという認識が示されまして、今後とも積極的かつ継続的にやっていくということ、それから、先ほど教育訓練
局長から申し上げましたように、従来、陸海空各サービス間の共同訓練というものが主体でありましたものを、統合共同訓練、そういったものの拡充によって各サービス間のものを逐次そちらに吸収していくといったような方向が示されたわけでございます。
さらに、
米側から、これまた先ほどちょっと申し上げましたが、
NATO相互支援法に基づく
米国と
NATO諸国間の共同訓練等の際の物品、役務の融通の仕組みについての
説明がございまして、それに対して、先ほどお答えしたように、
外務省の外務審議官の方から、その必要性その他も含めてこれから研究してみようということになったわけでございます。
それから、三日目でございますが、三日目はまず
日本側から、
昭和六十三年度の防衛予算というものが、中期防というものを踏まえまして、この三年度目として着実に進捗しておるという状況、そして、中期防そのものが三年をこれで予算化されたわけでございますが、平準的なペースといいますか、このペースを維持していければ、中期防そのものが目標の達成が可能であろうというようなことを
説明をいたしたわけであります。
さらに、
昭和六十六年度以降のいわゆる次期中期計画でございますが、この問題につきまして、今後中期防の終了までの間に、改めて国際情勢であるとかあるいは経済財政事情、そういったものを十分勘案しながら決定するということになっているのだけれ
ども、現在、どういう計画方式にするか、どのようなスケジュールでやっていくかというようなことについては、まだ安全保障
会議等で論議をしていないので決まっていない、しかし、
防衛庁としては、引き続きこの種
政府計画である中期計画というものがつくられることが、防衛力の効率的なあるいは計画的な
整備のために必要であると思っておりますということを申し上げたわけであります。
これに対しまして、
米側の方からは、
日本の防衛努力というもの、特に中期防というものが着実に
実施をされているという現状について、これを評価するといったような発言があったわけでございます。
さらにアメリカ側から、米議会内にいろんな議論があるということを前提にしまして、あるけれ
ども、米
政府としては
日本のこれまでの各種の防衛努力というものを評価をいたしておりますということを言うと同時に、
日本の経済的な地位というものが逐年向上しておる、そういったことにかんがみまして、国際社会の平和と安定のために国連等の平和維持活動への協力であるとかあるいは経済協力の拡充を期待するといったような発言が、先ほど来北米
局長、私が申し上げたような形で出てまいったわけでございます。
これに対しましては、
日本側から、
日本が国際社会の平和と安定に貢献しなければならないということは当然のことでありまして、このことについては、総理がロンドンの演説で述べたように、ODAの拡充であるとかあるいは平和維持活動への文官の派遣といったようなことを
考えているというようなお答えがあったわけであります。
最後に、在
日米軍駐留支援の問題でございますが、この件につきまして、
日本側から、在
日米軍駐留支援についての経費負担の現状及び労務費特別
協定の改正、これは外務
委員会の方で御審議いただき参議院を先般通過しましたけれ
ども、そういったものの状況を
説明をいたしました。
これに対して、
米側としては、
日本側の努力というものを非常に高く評価する、ひとつ今後とも御支援をよろしくといったような話があったわけであります。
次に
米側の方から、空母艦載機の着陸訓練場確保の問題及び池子の米軍住宅建設問題につきまして、これからこれらの事業というものが着実に進展をしていくということを希望するといったような発言があったのに対しまして、
日本側の方から、現地の情勢それぞれいろいろ厳しい問題がございますということを現状を御
説明すると同時に、
日本政府としては最大限の努力をしていくというようなやりとりがあったわけであります。
さらに、在沖縄海兵隊クラブ従業員の人員整理の撤回問題につきまして、
日本側から、
米側のそういった措置について謝意を表明するとともに、今後とも、従業員の雇用の安定に極力配慮してほしいといったような
要望をいたしまして、
米側からも、今後ともできるだけそういった点で努力してまいりたいという返答を得た次第であります。
大体以上が概要でございます。