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1988-04-19 第112回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十九日(火曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 竹中 修一君    理事 近岡理一郎君 理事 月原 茂皓君    理事 戸塚 進也君 理事 前田 武志君    理事 宮下 創平君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       有馬 元治君    石川 要三君       内海 英男君    江藤 隆美君       鈴木 恒夫君    宮里 松正君       武藤 嘉文君    村井  仁君       森下 元晴君    谷津 義男君       角屋堅次郎君    広瀬 秀吉君       柴田  弘君    鈴切 康雄君       川端 達夫君    浦井  洋君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長   的場 順三君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         外務大臣官房長 藤井 宏昭君         外務大臣官房外         務報道官    松田 慶文君         外務大臣官房審         議官      遠藤 哲也君         外務大臣官房領         事移住部長   黒河内久美君         外務省アジア局         長       藤田 公郎君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         外務省欧亜局長         事務代理    兵藤 長雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   恩田  宗君         外務省経済局長 佐藤 嘉恭君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         外務省情報調査         局長      山下新太郎君         文部省学術国際         局長      植木  浩君         工業技術院総務         部長      山本 貞一君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  中田 唯之君         科学技術庁科学         技術振興局国際         課長      宮林 正恭君         通商産業省通商         政策局経済協力         部経済協力課長 武田 邦靖君         特許庁総務部工         業所有権制度改         正審議室長   山本 庸幸君         海上保安庁警備         救難部救難課長 河端 春夏君         内閣委員会調査         室長      大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   井上 和久君     大野  潔君 同日  辞任         補欠選任   大野  潔君     井上 和久君 同月十九日  辞任         補欠選任   河野 洋平君     鈴木 恒夫君   井上 和久君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 恒夫君     河野 洋平君   柴田  弘君     井上 和久君     ───────────── 四月十四日  国家機密法制定反対に関する請願瀬長亀次郎紹介)(第一三七六号)  同(野間友一紹介)(第一三七七号)  同(安藤巖紹介)(第一四七二号)  同(児玉健次紹介)(第一四七三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一四七四号)  同(柴田睦夫紹介)(第一四七五号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一四七六号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一五一五号)  国家秘密法案の再提出反対に関する請願菅直人紹介)(第一四七七号)  スパイ防止法制定に関する請願原田昇左右紹介)(第一五一四号) 同月十八日  国家機密法制定反対に関する請願江田五月紹介)(第一五四七号)  同(辻第一君紹介)(第一五四八号)  厚木基地における米軍艦載機の離着陸に伴う騒音解消等に関する請願戸沢政方紹介)(第一六〇四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)      ────◇─────
  2. 竹中修一

    竹中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内勝彦君。
  3. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 最初に、外務大臣、一昨日ですか十七日に大臣北方領土歯舞群島などを視察され、そのほかのことも含めて記者会見におきましてもいろいろ発言されております。  まずお伺いしておきたいのですが、歯舞群島などこの北方領土は本来我が国領土であり、そこがふるさとの人々の気持ちを思うと胸に迫るものがある、一日も早くソ連不法占拠をやめてもらうよう外交を強力に推し進めたい、このような趣旨のことを述べられたやに伺っておりますけれども、一日も早く北方領土返還をしてもらわなきゃならぬわけでございますので、どういうように具体的に進めようと外務大臣としては考えておるのか。  そのほかまた、この二十五日再開される日ソサケ・マス交渉には、漁業者の利益を踏まえ最大限の努力をしていきたいというような趣旨のことも言われておりますが、具体的にはどんなことを念頭に置いておるのか。  それからまた、日ソ外相会談というような形で、これはもう早期にやっていきたい、あるいはシェワルナゼ外相早期来日も要請しておるというようなことでございますけれども大臣自身は向こうへ行かれるのか、どういうように考えておるのか。  それから、竹下総理北方領土視察を実現するよう首相に進言したいんだということもございましたが、そういった面も含めて、大臣のコメント、余り長い時間じゃなくて、概略よろしくお願いしたいと思います。
  4. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 お答えいたします。  きのう、おととい視察に参りましたが、これは、北方領土我が国固有領土である、よって四島一括返還、この方針不変方針であり、内閣としても不動の姿勢を示すために私が参ったという次第でございます。  当然、北方領土問題に関しましてはあらゆる機会にこのことをソビエトに伝えております。同時にまた、国論、これを盛り上げていただくことも必要である。国論盛り上げのことに関しましては、北対協初め北海道にあります協議会等々を通じまして、全国的に今日この問題に多くの国民の方々が一致、そして大いにその運動を推進しようという態勢になっております。  そこで、具体的にはやはりシェワルナゼ外相に来てもらってお話をする、そのほかにももろもろお話がありますが、これが大切でございます。今度はソ連外相日本にやってきて、そこで外相会談を開くというのが順番でございますから、このことは、ソ連からも二名外務次官が来られましたが、この外務次官がともどもに、シェワルナゼ外相はことしは東京で定期外相協議をするということをきちっと覚えておられますからその旨お伝えしますということでございますので、速やかに来てもらうことを私は期待いたしております。  なおかつ、北方領土視察に関しましては、ちょうど安倍外務大臣がお行きになられましてから五年目ということでございました。それだけに非常に地元方々の熱意もまた再び再燃したというふうに私は見受けた次第でございますが、鈴木総理が行っておられますから、できるならば竹下総理もお越し願いたいという強い要望がありまして、私からも機会を得て総理にそのことを御報告申し上げ、またお勧め申し上げようと思っております。  サケマス交渉でございますが、この月の末から再び再開されることになっております。それで、量は昨年どおりならばよろしい、これがソビエト側回答でございますが、いかんせん、御承知のとおりアメリカの領海二百海里の中でもやはりとる場所がございますが、累次御説明いたしましたとおり、オットセイなどがサケマスと一緒に混獲されますから、そうした問題に対するアメリカ民間団体が、動物愛護建前からアメリカ政府を相手取って訴訟を起こして、一回目は政府が負けた、だからただいま係争中である、そういう問題もございます。したがいまして、アメリカがだめだからソ連はその分だけふやしてくれというのが我が方の主張になるわけでございますが、ソ連といたしましても、おいそれと、じゃそうしましょうというような理解を示すか示さないか、甚だ難しい問題ではあるが、ひとつ漁業交渉を通じまして地元皆さん方のそうしたお声を実現するよう努力いたしましょうというのが、私の北海道地元における発言でございます。
  5. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一点、外務省にお伺いしておきますけれども、この五月十五日から第九回アジア卓球選手権大会が新潟市で行われることになっております。これに関しまして朝鮮民主主義人民共和国、今後の問題でございますけれども、この委員会におきましても、法務省見解として、法務省としては純粋なスポーツなら北朝鮮制裁措置以前の対応をとることになるのではないかというような趣旨のことも言われておりますし、そういった面も踏まえて、この問題に関して外務省としてどのような考え方でいくのか、もう一度ここではっきりさせておいてもらった方がいいのじゃないかと思いまして、外務省の御見解をお願いしたいと思います。
  6. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま委員が御言及なさいました五月十五日から開催されますアジア卓球選手権大会北朝鮮参加申し込みをしているということは、私ども承知いたしております。  本十九日現在、選手団入国申請はまだ行われていないというふうに承知いたしておりまして、入国の可否につきましては、具体的な申請を待って、法務省中心といたしまして、関係各省の意見なども法務省側が徴されながら審査をされるということになっておりますので、現段階で私どもとしてコメントするのは適当ではないと存じます。  一般論として申しますと、北朝鮮からの本邦入国につきましては、一月二十六日に官房長官談話で発表されました対北朝鮮措置ということで、公務員につきましては原則としてこれを認めず、その他の者についても審査をより厳格に行うものというふうにされておりまして、本件につきましても、この官房長官談話で発表されました考え方に沿いまして、入国申請が行われた段階で慎重かつ厳格に審査をされるというふうになるものと見込まれております。
  7. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、日米科学技術研究開発協力協定に関してお伺いしておきたいと思います。  この協定は、一九八〇年に大平・カーターさんの間で調印されて、そうしてその後一九八五年四月に二年延長、こういう形になりまして、昨年四月末にはいろいろ改定交渉が続けられましたけれども、それ以後も三度の暫定延長が行われた形で、本年の三月末に期限切れになる直前に、小沢官一房長官ホワイトヘッド国務長官との間の政治会談改定交渉が大筋合意した、こういうように認識しておりますけれども、まず、最後まで残った争点、これは安全保障にかかわる技術成果の第三国への流出防止問題であると聞いておりますけれども、その点はその後どういうように経過としてなったのか、明らかにしていただければありがたいと思います。
  8. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 先生今御質問のとおりの日米科学技術協力協定につきましては、私自身七回ばかり交渉関係いたしました者としまして、私の方からお答え申し上げたいと思います。  実は、七回の交渉を通じまして次第次第に論点が煮詰まってまいりましたわけでございますけれども、確かにその後煮詰まってきた幾つかの論点のうち、非常に大きな論点一つといたしましては、科学技術協力成果を、つまり情報取り扱い成果取り扱いをどういうふうにするかということであったわけでございます。  それは大きな問題の一つでございますが、そこで、どういうふうに本件につきまして決着を見たかというわけでございますけれども、これにつきましては、科学技術協力の結果出てくる情報はなるべく広範囲に公開しよう、自由にしよう、自由に公開しよう、こういう原則がまず確認されたわけでございます。  同時に、科学技術情報公開問題に関しまして、安全保障という条項が今度恐らく入ることになると思いますけれども、この言葉は、アメリカの方の事情からぜひとも入れてほしいということでございまして入ったわけでございまして、アメリカ自身安全保障という観点からの一般的な情報規制体制を持っておるわけでございますけれども日本につきましてはそういうふうな一般的な規制体制を持っていないということで、日本につきましては現状のままということ、何ら日本国内法なり制度なりを変えることを求めるものではない、したがいまして、従来どおりということで決着というか了解がついたわけでございます。
  9. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 科学技術庁に伺っておきますけれども、この安保条項が入ると、研究公開原則、そういったものを崩すおそれはないでしょうか。
  10. 宮林正恭

    宮林説明員 お答えさせていただきます。  安保条項という表現につきましては、いろいろな表現の仕方があると思いますけれども、私ども承知をしておりますところは、本協定における情報取り扱いにつきましては、情報を可能な限り広範に普及するということが原則になっているわけでございまして、また、我が国現状法制度を何ら変えるものではない、こういうことでございますので、日米両国共同研究なり、そういうふうなことに何ら影響を与えるものではないし、それから、情報公開につきましても十分確保されているというふうに思っております。
  11. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一点確認しておきたいのでございますけれども、例えば、日本西ドイツ共同で計画している沖縄近海での大がかりな海底構造探査実験がありますけれども、これは海中で爆発を起こして人工地震を発生させ、フィリピン海プレートを透視するねらいで、北海道大学と西ドイツハンブルク大学中心となって、それも両国間の科学技術協力協定に基づいて調査実験をする、こういうふうになっておりますね。  これに対して、報道で私ども知ったものでは、防衛庁が、防衛上の理由からということで、沖縄南東海域での実験はすべて中止し、あるいは北西海域実験も日程を大幅に短縮してほしい、こういうようなことを言ってきておるというようなことも伺っておりますが、この辺はどんなふうになっておりますか。
  12. 兵藤長雄

    兵藤政府委員 お答えいたします。  先生仰せのとおりの科学的な調査許可申請が、三月の中旬に在京オーストリア大使館から出てまいりました。それを受けまして関係省庁で詳細な検討を続けてまいりましたが、検討の結果、この調査で予定されております正確な位置爆発物使用方法等が詳細にわかりまして、我が方のいろいろな施設に直接害を及ぼすことはないという結論を得ましたので、昨十八日それを受けまして、在京オーストリア大使館に対して、申請どおり実験を行うのであればこれを許可するという正式回答をいたしたところでございます。
  13. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは防衛庁に聞いておきましょう。防衛庁としては、何がどう心配になってどのように申し入れたというか、どのようなアクションを起こしたのですか。
  14. 兵藤長雄

    兵藤政府委員 防衛庁から見えておりませんので、お許しを得て私から答弁をさせていただきます。  私ども関係省庁一つとして防衛庁にも協議をしていたわけでございますが、私ども承知いたしますところでは、防衛庁下にございます海洋観測所の持っております施設に危害があるかどうかという点から検討を行っていたと承知しております。  なお、前回の答弁オーストリアと申しましたが、これは西独の誤りでございましたので、おわびかたがた訂正させていただきます。
  15. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 防衛庁、お願いしておいたのですが、ちょっと行き違いで装備局長しか見えていないようでございますので、防衛庁、ちょっとまだ時間があるから、今のでよいのか、防衛庁のお考えもはっきりしておいた方がいいと思いますので、後で、この時間内に間に合えば防衛庁答弁を求めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  委員長、その辺のお計らい、よろしぐお願いします。
  16. 竹中修一

    竹中委員長 事務当局、しかるべく取り計らってください。
  17. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、外務大臣一言見解を求めておきますけれども、私はこういった面が出てきておること自身がやはり心配でございます。安保条項科学技術協定の中に盛り込まれてくると、今後は軍事優先考えが先行し、学問の自由というものが軍事優先によって侵されてくるというような、そういったものになってはなりませんので、ぜひ外務大臣としての御所見を、今回進められておるわけでございますけれども科学技術協定改定交渉の中で、外務大臣として、学問の自由、むしろ優先ですね、そういった面での大臣の御所見一言お伺いしておきたいと思います。
  18. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先ほど政府委員からお答えいたしましたように、科学技術は今後人類発達のためにも必要欠くべからざる分野であって、この面で日米協力をするということは大切なことだと私は考えます。  そこで、我々としてはあくまでも科学技術に関しましても情報公開原則を貫くべしということでございますから、これは今回の協定改定によりましても貫いたと思っております。なおかつ、やはり安全保障という字は入ったけれども日本においては何ら法令の改正なり新設、そうしたことは考えておらない、またそういう義務も負っておらないということがはっきりいたしておりますので、この点におきましても、今懸念なさいました軍事優先とかそういうようなことは我が国においてはあり得ない。  常に私たちは申し上げますが、やはり経済大国となっても軍事大国とはなりません。ただし、防衛に関しましては、我が国は分相応の節度ある防衛というものは自主的努力によってやっていきます、これが不変方針でございますので、そうしたことによりまして、今後も科学技術発達ということを我々といたしましても希望してこの問題に取り組んでいきたい、これが私の考え方でございます。
  19. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 四月十二日に政府は閣議で、日米相互防衛援助協定、MDAに基づく交換公文秘密特許資料移転取り決めを決定し、宇野外務大臣とマンスフィールド駐日米大使間で書簡を交換しました。同時に、実施のための細目取り決め、MOUが防衛庁米国防総省担当者間で取り交わされた上、米軍事特許日本でも秘密扱いとするための手続細目も両政府口上書で受諾、四月十二日付で発効したわけでございます。  この手続細目は、防衛目的特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための協定の三条の、米国秘密特許軍事技術日本でも類似扱いとする、この手続を定めたものであると伺っておりますけれども科学技術協力協定安保条項、先ほど私が申し上げましたけれども、そういったものとの関連はないのか、あるいは安全保障という面で科学技術協力協定安保条項とのこの面での違いというものはどんなふうになっておるのか、もうちょっとわかりやすく御答弁いただきたいと思います。  いろいろ私どもが知っておる中におきましては、どうもこの二つが、先ほど私が懸念した軍事というものがどんどん学問の自由やあるいはほかの民生用のそういったものに対していろいろと影響が出てくるのではないか、こういうようなことを懸念するわけでございますので、この辺の違いというもの、あるいは関連はどうなっておるのか、そういった面でわかりやすく御答弁いただきたいと思います。
  20. 有馬龍夫

    有馬政府委員 今般、いわゆる一九五六年協定実施するための手続細目が成立したわけでございますけれども、これは、先生がおっしゃられましたとおり、米国におきまして防衛上の目的を持って非公開扱いをされている特許出願が、一定の条件のもとで我が国でもその当該の人あるいはその承継人から出されました場合には、我が方も類似取り扱いをしよう、こういうことでございまして、その手続を決めたわけでございます。これはあくまでも一九五六年の協定、これは国会の御承認を得ているものでございますけれども、これに基づいて実施をするということでございます。  他方、科学技術協力協定交渉と申しますのは、先般来、政府側で御説明しておりますとおり、科学技術分野における協力拡充強化を図るための新たな法的枠組みの作成が目的でございまして、この協定において安全保障という文字は用いられておりますけれども、一九五六年協定実施の問題、最初に私が御説明申し上げました実施の問題とこの交渉とは全く別個の問題でございまして、相互には関連ございません。     〔委員長退席宮下委員長代理着席
  21. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 まあ建前上はそういうことになるでしょうが、こちらの民生用でどんどん発展してきた日本の国の技術、そういった面で考えていきますと、今後ちょっと論議を深めていきますけれども、いろいろと問題点が出てくるのではないか、こういうように私は考えます。  そこで、もう一度外務大臣にお伺いしておきたいのは、現在、日米通商摩擦、これは科学技術摩擦と不可分の関係にあることはもう御承知のとおりでございます。例えば半導体摩擦における米国の対日制裁東芝機械ココム違反に対する米国東芝制裁の根底には、日本半導体工作機械の優位が米国兵器産業を支える軍事技術を損なうおそれがあるのではないかという危機感があり、あるいはまた、対米武器技術協力は、日本米国基礎研究秘密に接近する機会をつくるおそれがあるため、そのような危機感を増幅することになり、FSX共同開発やイージスシステムの対日供与に対して米議会で批判が出ておるということは御承知のとおりですね。  そこで、米国としては、個々の問題の対症療法だけでなく、積極的にこの問題の発生を未然に防ぐために、そして米国がハイテクの競争力強化に役立つような法的、行政的なメカニズムを日米間に確立していくことを要求しているのではないか、こういうように考えるわけでございます。  今回のこの日米特許技術協定、これは昭和三十一年に締結したわけですよね。それが三十二年後の今日、改めて取り交わされた、実施細目に関して取り決めが行われたということ自身、それによっても今私が申し上げたことがはっきりしてくるのではないか。それからまた、日米科学技術協力協定安保条項など強く迫ってきた背景、そういったものもあるわけでございます。  ここで外務大臣に御答弁いただきたいのは、日米科学技術が深い依存関係にあることは間違いないですよね。そうありながら摩擦の激化というのが次第に強くなってきておるというこの現実、こういったものを外務大臣としてどのように理解しておるのか、御見解を述べていただきたいと思います。
  22. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今回の日米科学技術協定に関しましては、先ほどお答えいたしましたが、五六年協定とは全く無関係だと今局長からお答えいたしましたとおりでございます。  五六年と申せば、一九四五年、戦後十一年目でございますから、その当時はまだ日本科学技術もさしたるものではなかったんじゃないか。まだ原子力発電すらしておらないような状態であったわけでございますが、既に原子力発電におきましても今日では総需要電力の二八%くらいは賄うというふうな状態になっておりまするし、そのほか超LSIを初めIC問題等々は本当にすばらしい発展を遂げております。  先ほどの科学技術協定一つ考えますと、大平・カーター間において昭和五十五年に結ばれたわけですが、五年の期限を経てまた二年間自動延長した。その間に東芝問題が起こったことも事実でございましょう、あるいは半導体戦争が起こったことも事実でございましょう。そうしたことが米国にとりましてやはり安全という面から見た場合に非常に気がかりな面である。こんなことから、主として米国の主張によって安全保障という言葉が入れられたのですが、我が国は御承知のとおりにあくまでも情報公開原則である、こういう主張を貫きましたし、特に特許の面におきましては、その配分に関してあるいは日本の方が今までよりは多少ましになったのじゃないか、こういうふうになっておりまするから、それぞれ一つ一つ法律法律目的を持っておりますが、確かに我が国科学技術の進歩というものは偉大なものでございまして、そうした面におきましても、米国日本がより一層緊密にやらなくちゃいけないということは事実でございます。  特に今までは、日本といたしましても、米国が国内において秘密扱いにしている特許、登録、そうしたこともなかったものですから今までそれでよかったのですが、これから、米国から日本にいち早く特許申請をしたい、出願をしたいという申し入れが多々あるだろうと思います。そのときには、向こうは御承知の属地主義ですから、こちらは出願順序ということですから、いろいろ利害相反するところがありますが、その面におきましてもやはり米国におけるところの手続類似した手続をとりましょうというふうに片一方の五六年協定では言っておりまするし、いろいろそういう面においてそれぞれの協定はそれぞれの目的でつくられております。  私は、決してそうしたことが米国からの圧力であるとか米国側が我が国科学技術を抑えつけようとか、そういう意図ではない、またそうしたものは両国間の親善の面においてできるものではない、こういう確信で、お互いの信頼と親善をもとにして今後大いに科学技術発達を望みたいし、また、特許出願等々に関しましても、やはりその期限中、日本としてもよろしゅうございますよ、こちらはこちらのきちっとした手続がございますから、それは米国に限りますよと、私はこのようにきれいに整理整とんできておるから、その点に関しましては私たちも責任を持って今後に備えていきますので、さように御理解を賜りたい、かように思います。
  23. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この安保条項は、情報公開原則を確認した上、両国が現行の法体系を変更する必要がないとの条件つきで協定安全保障という表現を盛り込むことになったと伺っております。それから属地主義については、両国の貢献度を反映させる形でケース・バイ・ケースに協議することになった。そういう中で、我が国の現行法を変えたり新規立法は必要ない、こういうようにもう一度理解しておきたいと思いますが、簡単でいいです、一言答えてください。
  24. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 必要ございません。
  25. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 官房長官、おいでいただきましてありがとうございます。  竹下総理は四月八日、ビル・ブラッドレー米上院議員らと懇談し、この中で、日米科学技術協力協定安全保障条項が盛り込まれる形で大筋合意に達したことに関連して、「私自身科学技術が有する安全保障の意味合いについて今後、国民の理解を深める必要があると考えている」と述べて、そして、科学技術研究の結果生じる高度先端技術の第三国への流出防止に関して、新規立法などの国内措置も含めて将来検討することを示唆したやに伺っておりますが、この辺の真意はどうなっておりますか。官房長官、御答弁いただきたいと思います。
  26. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 お答えいたします。  ビル・ブラッドレー上院議員との懇談には、私、陪席をいたしておりませんでしたので、新聞の記事を拝見して、そのことに関して竹内委員から御質問があるということでこの真意をお聞きしたわけでございますが、総理はこの高度技術の持つ安全保障上の意味合いに関しまして、去る四月四日にもココム違反のケースが摘発されたこと、昨年の臨時国会において外為法の改正が国会の御協力を得まして迅速に成立したことを指摘しつつ、この問題は重要な問題でありますので、引き続き国民の理解を求めていくことが重要であるという認識を示したものと思っておりまして、今度の科学技術協定関連いたしまして何か法的な措置を講ずる必要があるというふうに述べたのではなく、むしろ今までのココム違反その他の問題について高度技術の移転その他の問題が出ておりましたので、そのことが念頭にあってこの議員との懇談の席で発言されたやに私ども承知をいたしておるところでございます。
  27. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、高度先端技術の第三国への流出防止に関しては、新規立法などの国内措置を含めて将来の検討というようなことは一切言ってない、こういうことですか。
  28. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 そのように理解いたしております。
  29. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 防衛庁にお伺いしておきますが、米国から、SDI研究参加、こういったものにも関連して、CDI、非核防衛構想の通常兵器のハイテク化への協力に関しては、何らかの働きかけが日本に対してはあるのでしょうか。
  30. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 CDIに関連いたしましては、いまだアメリカ政府から話は参っておりません。
  31. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 防衛庁としては、そういうことが今後予想されるというようなお考えはございませんか。
  32. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 日米防衛技術協力に関しましては、今までも各種交流を続けてまいりました。  御案内のように、ことしの一月に瓦防衛庁長官が訪米いたしまして、カールーチ国防長官と会談をいたしました。その際、装備品に関する共同開発というのは非常に重要な案件である、将来いいプロジェクトが見つかれば双方いろいろ検討してやっていこうではないかという基本的な合意を見たところでございます。  ただいま日米共同開発につきましては、FSXにつきまして細目を詰めている段階でございまして、将来も本当に日本のためになる共同開発プロジェクト、さらにそれがひいてはアメリカのためにもなると考えられますが、そういう適当なプロジェクトが見つかりますれば、日米共同開発をやっていきたいという基本的な線は私ども考えているところでございます。
  33. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 竹下総理が本年二月米国の要請に応じたものの中に、この米国軍事関連技術特許権保護問題、米側が秘密と指定した技術情報のときは日本国内でも非公開とする、それから第三国への流出防止などのチェック機構として技術財産委員会日米双方で発足させる、こういうことがございますけれども、この日米の特許技術協定第六条に、「各政府は、技術財産委員会を構成する委員各一人(各二人以上とすることができる。)を指名するものとする。」と規定されている。この技術財産委員会のことで八項目の任務が与えられているわけですけれども、しかしその中には第三国への技術情報流出を監視する任務はなかった、こういうように理解するが、その辺はどのように認識しておるか。  それから、技術財産委員会というのはどういうメンバーが担当するのか、もしもこういったものができ上がっていくとどういうふうになっていくのか、その面もあわせて外務省答弁ください。
  34. 有馬龍夫

    有馬政府委員 技術財産委員会には、おっしゃられますように第三国への情報の移転について云云というものは、協定そのものには確かに取り上げられておりません。  それから、委員会の構成でございますけれども、現在は、外務省の北米局長防衛庁装備局長、それから特許庁の総務部長の三名でございます。
  35. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこでお伺いしておきますが、去る四月十二日、日米政府は、米国軍事上の必要から秘密指定された特許を日本でも秘密扱いするための手続に合意したわけでございます。この日米特許技術交流を容易にするための日米政府協定は、その第三条と議定書第三項(a)で、米国秘密特許日本でも出願された場合は、米国での秘密が解除されるまで日本で出願を非公開とするように定めており、その具体的な手続実施細目が決まったということでありまして、これは我が国公開原則とした特許制度に、米国秘密特許に関するものと限定されているとはいいながらも例外措置が設けられることになるわけでございますが、戦後廃止された秘密特許制度、この復活を含むというか、大きな問題と考えられるわけです。産業界でも相当心配しておることは御承知のとおりでございます。  そこで、今回の合意に至るまでの交渉の経過を伺っておきます。途中の内容については、条約交渉のことでございますので公表できないでしょうが、いつごろからこの三十年間眠っていた五六年協定の細目取り決めの話がアメリカ側から要請があったのか、また再開したのか、あるいは何回交渉したのか、明らかにできる点、ここで御答弁いただきたいと思います。
  36. 有馬龍夫

    有馬政府委員 一九五六年以降、この実施細目をどうしようかということは日米間において折に触れて話し合われていたわけでございますけれども、最近来、二つの理由をもちまして、一つ我が国技術水準が高くなってきたこと、それから知的所有権保護の機運が国際的にも強くなってきたということがございまして、かつ、米国における特許権出願者の権利をも保護しなければならぬということで、その課題がより具体性を持つに至りまして、今回の合意に達しました話し合いは去年の夏ごろから始まりました。回数については的碓に計算するということは難しゅうございます。
  37. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、特許庁にお伺いしておきますけれども米国から秘密指定にされた特許出願が今後実際に出てきた際の審査手続というものは、これはどうなりますか、御説明をいただきたいと思います。
  38. 山本庸幸

    山本説明員 特許庁といたしましては、今回合意されましたその手続細目の中に米国政府が発行する外国出願許可書がありまして、その中で協定出願であることの証明がございますので、これによりその出願が協定出願と認定し、それを受け付けた後は、以降の処理を米国における秘密解除まで行わないということにしております。
  39. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 議定書第三項の(a)の協定出願というのはどういうものですか。
  40. 有馬龍夫

    有馬政府委員 協定出願と申しますのは、先般来申し上げておりますように、米国におきまして軍事上の理由によって非公開扱いをされております特許出願の案件であって、これが当該人またはその承継者によって我が国において出願された場合、それを協定出願と申しております。
  41. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 議定書第三項(b)の「特許出願又は実用新案登録出願」というものは、これはどういうものでしょうか。
  42. 山本庸幸

    山本説明員 ただいま御指摘の五六年協定議定書第三項(b)と申しますのは、私どもで準協定出願と言いならわされておるものでございまして、これは私どもは次の三点のすべてに該当するものと考えております。  第一は、協定出願以外の特許出願または実用新案登録出願で協定出願の出願日の翌日以降にされたものでありまして、第二は、協定出願の対象に係る発明の提供を受けた政府関係職員あるいは政府からその発明の内容を知らされた方が行う出願に限り、第三として、協定出願の対象たる発明または考案を公にするものに限るというふうに考えております。
  43. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この準協定出願の対象者は限定されると思いますが、対象者の所属する企業、団体はどうなりますか。
  44. 山本庸幸

    山本説明員 ただいま御指摘をいただいた点でございますが、先ほどの第二の点、すなわち、この準協定出願の対象者たり得るのは、協定出願の対象たる発明の提供を受けた政府関係職員または政府からその発明の内容を知らされた方に限られるわけでございますので、この場合、政府からその発明の内容を知らされるのは、例えて言いますと装備品等のライセンス生産を行う企業の担当技術者でございましょうが、こういう方の発明についての出願に限って準協定出願になり得るわけでございます。  したがいまして、これを逆に申しますと、ある企業や団体の中でそのような政府から内容を知らされた対象者がいたといたしましても、それ以外の研究者など、つまりこの対象者以外の方が発明してその企業や団体が出願してきたようなものは、準協定出願ではなくて通常の出願として取り扱います。
  45. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その面でちょっともう一度確認します。  この準協定出願の対象者以外の者、独自の、独立のというんですか、その者あるいは企業等から、米国秘密特許と全く類似した独自の発明というか特許出願がされたら、今ありましたけれども、これはどういう扱いになるのですか。
  46. 山本庸幸

    山本説明員 その準協定出願に該当しない出願につきましては、たとえ同じ発明でございましても、すべて通常の出願として公開等の処理を行ってまいります。
  47. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ちょっとこんがらがって、頭がよくないもので、その点ちょっと委員長にお断りして、私ここに整理をしてきた図面があるのですが、ちょっとこれを大臣初め、特許庁その他関係者の皆さんに見ていただいて質問を進めたいと思いますが、委員長、よろしいでしょうか。
  48. 宮下創平

    宮下委員長代理 はい、結構です。
  49. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 まず見ていただいて、私こういうように整理してみました。一番上に、米国政府からMDAに基づく技術の供与が日本政府防衛庁)にございます。これは大前提ですよね。そして、日本におきまして特許庁に特許出願し受理されるというものは、今の御説明でいきますと、(A)(B)(C)に分けましたが、(A)としては、「米国政府許可米出願人」になりまして協定出願、これが受理される。だが、今も御答弁があったとおり、非公開ですよね、秘密解除になるまでは。それから(B)は準協定出願、こういうようにしましたが、「日本政府関係職員(米国秘密特許を知る者)」、それから「日本政府から当該発明内容を知らされた企業の技術者等」、こういうようにここに書きましたが、これが準協定出願。これも同じように出願受理され、米国政府より秘密解除があるまで非公開ですね。そして、今御答弁いただいた「独立の発明・開発者」、(C)ですが、これはもう、今も御答弁いただいたとおりこのように一般出願となって、全く関係なく、通常でいきますと一年半後に今までどおり公開されていく、こういうように理解してよろしいでしょうか。
  50. 山本庸幸

    山本説明員 そのとおりでございます。
  51. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 重ねてお伺いしますが、準協定出願の対象者の所属する企業または子会社等から同様の出願がされた場合は、どのようになりますか。
  52. 山本庸幸

    山本説明員 協定出願とは無関係な、いわば先生のお言葉によりますと、独立発明でございますならば、たとえその企業や団体に準協定出願の対象となる方がおられましても、それは通常の出願として取り扱われるものと考えております。
  53. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この(A)もしくは(B)、この場合(B)の準協定出願のことに関してお伺いしますが、準協定出願の特許なり実用新案登録が非公開となっておるわけでございますけれども、これが公開される場合ほどのような場合でございますか、また、どのような手順になりますか、御説明ください。
  54. 山本庸幸

    山本説明員 お尋ねの準協定出願につきましては、これも協定出願と同様に、米国におきます秘密保持が終止したことの通告を受けた後速やかに処理を再開することにしております。この時点で出願から一年半経過しておりますと、速やかにこれを公開することになります。
  55. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 速やかというところがちょっとまだひっかかりますが、また御答弁いただくことにして、いわゆるこの秘密指定の解除された後、準協定出願人に特許なり実用新案登録の権利は確保できるのか。確保できるのはどういう場合でございましょうか。
  56. 山本庸幸

    山本説明員 米国からそういう秘密解除の通告があった場合には、処理が今申しましたように再開されます。それで、これ以降通常の手続に従って処理されますので、審査の結果、特許要件に該当するということになりますと特許が与えられます。そして、その特許が与えられた場合には、その権利者は特許法で言います業としてその特許発明を実施する一般の特許権の権利が専有できるわけでございます。
  57. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、大事なことをちょっとお伺いしておきますが、(A)(B)でなくて(C)ですね、独立の、独自の発明・開発者ですね。この独自の発明・開発者が、もちろんここで今論じておるのは軍事秘密特許類似したものでございますから、それが出願した、一年半後に公開される。その特許や実用新案を持っている者は、これまで秘密特許指定となっていた特許や実用新案が解除され、一年半たっている場合は速やかに公開される、あるいは必ず公開されますよね、公開され、協定出願者や準協定出願者の権利となった場合。今、要するに(C)の人がこれは公開されて権利を持ってますね、それが(B)の人あるいはまあ(A)の人、これが秘密特許が解除されて公開され、そして準協定出願者の権利となった場合、その特許や実用新案はどうなりますか。
  58. 山本庸幸

    山本説明員 甚だ複雑なケースでございますが、協定出願とたまたま同じ発明が後願として出願されまして、先ほど申しましたようにそれが順調に手続が済むわけでございますが、通常の場合ですと、協定出願の方が秘密が解除されて、それが日本に通告されて、協定出願などと同時に審査手続に入るということが考えられますので、現実には御指摘のような件は非常にまれではあろうとは考えますけれども、仮にそのようなことがあった場合には、先ほどおっしゃられました(C)のケースにつきましてそちらが特許になるということでございますと、当然先願である協定出願の方も恐らく特許になるものと考えられます。  そして、こういう場合、いわば同一発明につきまして二以上の特許が存在することになりますので、後願である先ほどの(C)の権利者といたしましては、利害関係人から無効審判を提起されるという立場になります。
  59. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ここが大事なところでございまして、今までこれは考えられないことなんですね。(C)の人たちは、これは一年半後には公開されて、そして特許である、こういうことでいろいろとそこで商売も成り立っていくだろうし、いろんなものが進展していきますが、さて、ここで(A)(B)の人たちが秘密解除になって特許がおりた。この時点で、もしも(A)(B)が先願ならば、先願主義ですから、先願ならば(C)の人は直ちにそこで権利を失うわけですね。これは相当影響が出てくるんじゃないでしょうか。
  60. 山本庸幸

    山本説明員 先ほど申しましたように、(C)の方はいつでもその利害関係人から無効審判を請求される立場になるということでございまして、仮に(A)(B)の方から(C)の方が無効審判を提起されて、それでそちらの方がいわば後願として無効になったということにつきましては、実は無効とされた(C)の特許権者たる後願者は、特許法の八十条に基づきまして、先願者に相当の対価を支払うことを条件に、その事業の実施あるいはその準備中の範囲内におきまして通常実施権を有することが法的に保証されております。  さらに、先ほど申しましたように、このようなケースは現実には比較的まれであろうというふうに考えられますので、そういう意味での無用な混乱というものはまずないものと考えております。
  61. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 いや、それは甘い。今回これは三十二年ぶりに初めてそれを活性化させていこうという、こういうものでございまして、これが、(C)の人はこの秘密特許がわかっていればいいですよ。だけれども、非公開なんだから何にも知らされていない、何にも知らない。ところが、これが秘密が解除されて、ある日突如として公開になるわけだ。そのときに、今までいろんなところでの取引もあるでしょうし、特許だし、あるいは実用新案でございますし、いろんなそこには商取引が進んでいますよね。そういう中で今の八十条を持ってきて、これで今までのものを、何がしかのものを(C)の人が対応していかなきゃならない。これは(C)の人が知っていれば別ですよ。知らされていないのにもかかわらず突如としてこういう問題が出てくるということは、これは大問題です。  官房長官、今までのことを聞いてわかっていると思いますけれども、それから外務大臣、これは非常に大事な問題でございます。これは、日本技術立国としていろいろとやってきた中でここまで発展してきた。それを何とか米国としては、今までの経緯の中から、今までならばまだ米国優位で来たものが、民生用、汎用製品、そういったものに関しての日本技術というものがどんどん進んだ。そういう中でこの秘密特許というものが三十二年ぶりに出てきた。こういうことになってくると、今後この(C)の人、いわゆる一般の人、うんといるわけだ。この(C)の人たちは特許出願なりあるいは今後の対応なりが非常に困難になってくると思うのです。  これは大問題です。この点を知った上で進めてきたのか、外務大臣とそれから官房長官、今後どう対応するのか、御答弁ください。
  62. 山本庸幸

    山本説明員 まず私の方から事実関係を申し上げますと、冒頭、政府委員の方から御説明がありましたように、この条約といいますものは昭和三十一年に国会の承認を得て成立した条約でございまして、この条約の規定というものはそのまま国内法としての効力を有しております。  そういうことで、私ども特許庁といたしましては、これはいわゆる特許法で言います公開原則に対する一部の例外になるものでございますが、一つには、そういう国会承認の条約による例外であること、二つには、これはいわゆる一般的特許制度ではございません。米国あるいはNATO諸国など欧米の主要国におきましては、いわば自国の出願に対してすべて網をかぶせるようないわゆる秘密特許制度、そういう一般的な制度を有しておりますけれども、これは先ほど申し上げましたように、この(A)と(B)に関係ない(C)の方、これが私どもの出願のほとんどでございますが、そういうものは通常どおり出願できるわけでございまして、そういうことを考えますと、私どもとしてはこの実施ということは条約の実施ということで考えております。
  63. 有馬龍夫

    有馬政府委員 今、通産省の方から答弁がございましたのと同様でございます。  この協定は、一九五六年、昭和三十一年に国会の御承認をいただきまして、特定の、米国において非公開扱いとされている特許出願我が国にも移転可能ならしめる措置として考えているものでございまして、この結果、我が国に対する防衛分野における関連技術の供与が、これなかりせば供与されなかったであろうところの関連技術が供与されることとなって、その結果、我が国防衛分野における関連技術の水準が向上し我が国防衛に資するという実体的な目的があって、その目的について既に昭和三十一年、国会の御了承をいただいていた、それに基づいての細目手続の合意が今般できたということで、御了解いただきたいと思います。
  64. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ちょっとこれ、質問のとおりに答弁してもらわなきゃだめだよ。そういうおそれがあると答弁しているんだから。全然ないなら別ですよ。ほとんどまれだ、しかし、まれでもこちらは何にも知らされてないんだから。知らされてないものが、今までならば普通に特許出願ができて、そしていろいろ商取引でも何でもうまくできた、ところが突如として、あなたの特許は今まで実は秘密特許の網をかぶせられたものであって、これは(B)の人のものなんですよ、あるいは(A)の人のものなんです、あなたは権利ないんですよと言われたらどうなりますか。これは大変なことじゃないですか。今後の商取引あるいはいろいろとこういう開発という面に関して大変な支障になる。その件の大臣と官房長官考え方を述べよと、こう言っているんだ。今までの経過とか条約のことを言っているんじゃないんだよ。そんなの答弁ができないんじゃしようがないじゃないか。答弁してください。
  65. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 特許庁の方からもその手続またケースに関しましてお答えしたとおりでございまして、要は、今回は米国と同じような類似取り扱いをしようというその手続に関しての話をしようということですから、協定そのものは五六年にでき上がってしまっていて、そして国会の御承認も仰いでおる次第でございますので、そうしたものを改定するに際してこうだというんだったら話は別でございますが、その協定を改定せずに、協定実施である、こういうふうに思いますと、多少そういう面も出てくるというふうに今特許庁は答えましたが、多少はそれはあるかもしれません。しかしながら、既にいたしましてこの協定をずっと長らく日米両国において守ってきておる次第でございますから、その後の問題はどうするか、また新しい問題であるかもしれませんが、現在といたしましては、特許庁が答えたとおりである、私もそう思わざるを得ない、こう思います。
  66. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ただいま外務大臣が御答弁申し上げたと同じ考え方でございます。
  67. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これは大問題になりますよ、皆さん。そんな答弁でいいのですか。  私はなぜこの問題を取り上げるかというと、これは交渉の経過においては私ども知らされておりません。しかし、いろいろなところから情報なりそういった形でいろいろなものが入ってきておる中で、産業界はぴりぴりしておる。そういう中で、今回、これは特許庁のすごい働きだと思いますよ。こういうように一般の独自の発明者が今までと何ら変わりなく出願できるのだ、受理できて一年半後に公開できる、これはすごい成果ですよ。すごいことです。だがしかし、突如として(A)なり(B)なりのものが生きてくるということはあり得るのですから、しかも、これは(C)の人は知らされてないんだ、何もわからぬわけなんだ。もうそこで大きなハンディだよ、これは。  こういうことから考えると、非常に問題点が出てくるということを、今ここで官房長官あるいは大臣、ぜひこの認識を知った上で御検討をお願いしたいと思います。  もう一度特許庁にお伺いしておきますが、先願主義で先に出した出願者に権利を与える制度である、こういうことでございますから、今後、この協定によって、一度許可された特許権が、後日秘密が解除され、協定出願や準協定出願により取り消される、こういう事態になるわけですが、それが具体的にどういうふうに進むのか。例えば、準協定出願が特許庁に出された場合、その審査はどのようになるのか。それから、これはもちろん防衛庁も絡んでくると思うんですね、防衛秘密特許の問題でございますから。それはどういうようになっていくのか。それから、米国軍事秘密特許の指定はどのように行われておるのか。そういった面をもうちょっとわかりやすく、もう一度整理して御答弁いただけませんか。
  68. 山本庸幸

    山本説明員 まず、準協定出願であるかどうかの認定につきましては、私ども特許庁としては、出願人等から、その発明の名称なり出願人及び代理人の住所、氏名なり、さらにはその準協定出願と主張する者によって公になる協定出願について記載した資料の提供を受けます。さらに、必要な協力防衛庁等から得て、そして私どもとして準協定出願かどうかの認定をしたいと考えております。  これを私どもとして準協定出願だと認定した後では、要するに私どもがそれを受け付けて、それを、私どもの言葉で言いますと方式審査というものを行うわけですけれども、その段階でこの処理をいわば凍結するということになるわけでございます。そして、先ほど御説明申し上げたとおり、米国からその協定出願自体の秘密が解除されたという通告を受けましたら、こちらの準協定出願についてもその処理を凍結する扱いをやめまして、処理を再開するということになるわけでございます。  米国のいわば秘密特許の指定はどうかという話につきましては、外務省から御答弁いただきたいと思います。
  69. 有馬龍夫

    有馬政府委員 米国の特許制度につきまして有権的に私ども解釈する立場にはありませんけれども米国特許法の第百八十一条によれば、おおむね次のとおりであると承知いたしております。  ある発明について米国特許出願がなされており、これを特許することにより当該発明が明らかにされることが国家安全保障上有害であると認められるときは、米国特許商標庁長官は、その発明を秘密に保持する命令を発して、右命令が解除されるまでは特許付与をしてはならない。  秘密命令は、通常一年間を超えないこととされているが、必要と判断される場合には更新することができる。
  70. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 時間でございますのでもう一問で終わりますが、私は、特許庁として事務量が相当ふえてくるのではないか、煩雑になるのではないか、こういったことが考えられると思います。そういった面での特許庁としての考え方ですね、対応できるのかどうなのか。  それから、防衛庁にお伺いしておきますが、防衛技術米国から受けた場合、防衛庁にどのように任せてくるのか。もちろん特許庁との連携ではないかと思いますけれども防衛庁としてはどうかかわり合ってくるのか。  特許庁とそれから防衛庁と、御答弁をよろしくお願いしたいと思います。
  71. 山本庸幸

    山本説明員 まず、準協定出願であることの認定というのは、これは私どもとして特許手続としての作業であると考えておりますので、私ども特許庁が責任を持って行います。  そして、今回の実施に当たりまして、私どもとしてはその準協定出願の認定のための内部体制の整備を行ったところでございます。したがいまして、万が一そういった準協定出願の判断等にいろいろ作業の負荷がかかったり、あるいはその疑義が生じたというときにつきましては、私どもとして随時いろいろな対策をとることにしておりまして、例えば、その判断そのものの問題につきましては、出願人等に対していろいろな資料の提供とかあるいは説明を受けて十分慎重に判断していきたいと思っております。
  72. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 防衛庁といたしましては、今回の秘密特許資料はアメリカからの援助という形で受け取るわけでございまして、特許資料というのは非常に貴重な技術資料でございますから、その内容はできるだけ利用したいと考えております。したがいまして、私どもといたしましては技術研究本部というのがございますから、ここでアメリカから来た秘密特許資料につきましては最大限の学術的な研究の対象として調査をいたします。  さらに、その中で本当に意味のある、利用できるものにつきましては、防衛庁としても利用する道はございますし、さらに必要があれば民間の企業の関係者にもこれを開示することにいたしたいと考えております。ただし、開示する場合にも、これは何分秘密特許資料でございますから、その秘密の保持については万全を期したいということでございます。  なお、先ほど委員の方から、それを知った人が特許出願をする場合に準協定出願になるのではないかという御指摘でございましたが、確かにそのとおりでございまして、この秘密特許資料を開示を受けた者がそれに基づいて同じような特許出願をする場合には、これは準協定出願になるということで、私どもが開示した先からその出願をする場合には話を聞くという形にはなるかと考えております。  いずれにいたしましても非常な貴重な資料ということで、私どもといたしましては最大限に活用したい、こういうように考えておるところでございます。
  73. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。関連で同僚委員によろしくお願いしたいと思います。
  74. 宮下創平

    宮下委員長代理 関連して、柴田弘君。     〔宮下委員長代理退席、近岡委員長代理着席〕
  75. 柴田弘

    柴田(弘)委員 最初に、私は外務大臣にお伺いをしたいと思います。  きょうは、在日留学生問題で主にやりますが、ちょっと通告がなくて突然のことで申しわけないと思いますが、ペルシャ湾情勢について、三点についてお伺いをしたいと思います。  御承知のように、昨日アメリカが、ペルシャ湾内でアメリカの軍艦が機雷に触雷したことへの報復として、イランの石油基地を破壊をいたしました。爆破いたしました。イラン・イラク戦争が米軍を絡める形で新たな展開を見せ始めたのではないかということを危惧するわけであります。願わくはこれは一過性のもので終わってもらいたい、このように考えるわけでありますが、この戦火が拡大する懸念はないかどうか、お伺いしたい第一点はそれであります。  それから第二点は、日本は、これまで戦争の即時終結を求めた国連安全保障理事会の決議を両国が無条件で受諾するよう機会あるごとに訴えてまいりましたね。そこで、今回の戦火がたとえ限定的なものであるにせよ、米軍がイラン・イラク戦争に新たにかかわっていることで、国連の場の協議が複雑な展開が予想されるのではないか。デクエヤル事務総長らによる調停工作も根底から見直しが迫られる可能性もあるやもしれない、私はその点を危惧するわけですが、いかがなものでしょうかということ。  第三点は、御案内のように日本が輸入原油の六割を依存するペルシャ湾が再び戦火に包まれる事態となったことで、タンカーを初め日本の船舶の安全航行確保策も再検討を迫られるかもしれません。日本政府は、米国の求めに応じて、昨年の十月に船舶安全航行システムの設置などペルシャ湾での安全航行策をまとめましたが、さらに緊張が高まることになれば、アメリカから重ねて貢献策を迫られることも予想されるのではないか、この点を私は心配をいたしておりますが、以上三点につきまして簡潔に御答弁をお願いをいたします。
  76. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 イランの施設に対する米国の攻撃は、我が国にも、命令をしたという通報がございました。そして、そのときには、やはり国連憲章にのっとり自衛という目的を持ってやったのである。なぜかならば、せっかく紛争終結のために国連の安保理としても五九八決議によって努力をしているにもかかわらず、再び両国のミサイル合戦が始まって、なおかつイランが機雷を敷設した、それに米国の船舶が多大の被害をこうむった、その機雷はイランのものかどうかも確認しました、証拠も出しましょう。本当にイランが、せっかくペルシャ湾の安全航行を国連としても強くしておるときに、そのような機雷を敷設したことが事実とすれば、これは私は残念なことだと思いますし、したがいまして、そうした意味合いにおいて、その事情で米国が自衛のためにこのような措置をとったということには、日本政府といたしましても理解を示すという今日の立場でございます。  しかし、五九八をデクエヤル事務総長が両国に示しまして、昨年の七月のことでございます、イラクはオーケーというふうになっておりますが、イランの方はなかなかそのオーケーを出しません。昨年の十一月、イランの外務大臣が私に来てくれというので、外務大臣を招きまして、速やかに五九八決議を受諾してほしい、簡単に言えば停戦、撤兵、お互いにそうしたことをやってほしい、そのために事務総長が狂奔しておる、これは私たちは支援したい、こういうふうに申し入れました。しかしながら、なかなかその場におきましてもうんと言われませんので、やはり国連に従ってもらわないと、日本としても現在はイラク、イラン等距離で交際を願っておるが、かばい切れないようなときもあるよと、こう申し上げておきました。  その後も、今おっしゃったとおりに安全航行システム等々が先決だということで、湾岸六カ国すべて了解をとりまして、いよいよ安全航行システムで万一のときには備えなくちゃならない、こう思っておりましたが、そうしたやさきの出来事でございます。恐らくまた詳細に情報を得たり、また詳細に国連の動き等々もキャッチしなければなりませんが、国連憲章に従えば、当然自衛ということで実力を行使した場合にはそのことは国連に通報するというふうになっておりましょうし、そういうようなこともございましょうから、今後の問題に関しましてはもう少しく推移を眺めたい。  ただ、イランが余りにも時間稼ぎをしておるんじゃないかということを私も申し上げたんです。もう七月から随分たっておるよ、去年の十一月で四カ月ぶりでございますから。それからまた五カ月たっておるわけですから。そうしたこともありますが、我が国といたしましては、今後国連におきましてもやはりこうした紛争が一過性のものであるということをこいねがいたい、かように思っております。  同時にまた、我が国にとりましてもう五〇%以上の石油資源がペルシャ湾を通じて運ばれてくるわけでございますから、これは当然重要な関心を持って眺めていかなければならない。  大体今の御質問に対しましてはそういう考え方でございます。
  77. 柴田弘

    柴田(弘)委員 とにかく一過性に終わって早急に解決されることを要望します。  二つ目の問題は、六月にトロント・サミットが行われますが、外交問題についてどのようなことが議題になるかということです。  私が考えるには、一つはやはり今年のソウル・オリンピックを控えまして、国際テロ防止のための諸問題が議題になるべきである、やはりこの特別声明も出すべきであろうと考えますが、その点はどうかという点。  それからもう一つ、やはりこのサミットにおいていわゆるアフガンの戦後処理の問題、これも私は重要な議題になってくるだろうと思います。具体的に難民帰還に必要な食糧やあるいは医療、輸送確保のための支援策をどうするか、あるいはソ連軍撤兵の監視などの和平協定の履行を支援するための国連に対しての特別拠出金、我が国として五百万ドル支出をするということでありますが、この辺。あるいは国連履行支援グループに初めて外務省職員一人を派遣することを決めているということですね。北欧諸国においてはこの職員派遣については国内法があるわけです。今度初めて我が国も職員を派遣するわけでありますが、やっぱり彼らの、その行っていただく方の待遇問題、保障問題を決めた国内立法というものが私は必要ではないかと思いますが、その辺はどうかということ。  それからもう一つは、この問題につきまして、アフガンの戦後処理問題として日米両国は事前に協議をしたのか、あるいは今後する予定であるのか、その辺三点、簡潔で結構ですから御答弁をいただきたいと思います。
  78. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 サミットにおきましては、当然東西問題あるいは南北問題、やはりそうしたことがグローバルに議論されるであろうと思います。なかんずく東西におきましては、米ソが第二次のいわゆるSTART交渉等々含めまして戦略核の五〇%削減なり地域紛争なり人権なり、いろんな話し合いをされた後の会議でございますから、当然米国からそういうような報告もありましょうし、我が国といたしましてもこの問題には十分関心を持って臨まなければならないと思います。  そんなことで、地域紛争の一つとしてアフガンがある、こういうふうに考えました場合に、当然我が国も、既に御承知のとおりに国連の監視団というものを派遣されるという予定になっておりますから、今までお金だけで済ましておったのが日本じゃないかというようなことも言われておりますので、やはり汗を流さなくちゃいけない、こういうことでございますから、たとえ一人でございましょうとも文民を派遣して大いに世界の平和に貢献したい、これが私たちの考え方でございます。  当然そうしたことは国連においても我が方の代表からいろいろと主張もし、また打ち合わせもしておることでございますが、特にアフガンに関しましては、御承知のとおり米ソ並びにアフガン当局とパキスタンと、この関係四者によって先般合意がなされたわけであります。パキスタンに関しましては、我が方はもうつとに外務審議官を派遣しまして、そしてソ連が五月に撤兵をする、来年二月までかかって約十万人撤兵する、こういう話がありました当座から、我々といたしましてはそうした紛争処理のアフターケアに関してパキスタン政府とも十分に話し合いをしまして、そういうときには日本としてどのような貢献し得る道があるか、このことはまあ十分話し合っておる中でございます。  もちろん国際紛争、地域紛争の問題では常に米国とは随時協議を通じまして話し合っておるということでございまして、今度は難民が相当たくさん帰らなければならぬ、またゲリラも七つに分かれてパキスタンに現在居住しておる、イランにもおる、こういうことでございますから、相当スケールの大きな紛争処理ということが考えられますので、我々はもちろん海外派兵なんというようなことはできないわけでございますから、したがって経済の面で大いに御支援申し上げましょう、なお、そうした撤兵に関しましても、監視団には文民を派遣し、さらにはまた我々としていろんな分野で貢献をしなければならない分野があるならば当然これは貢献いたしましょう、こういう姿勢で今日臨んでおる次第であります。
  79. 柴田弘

    柴田(弘)委員 次は在日留学生の問題についてお伺いをしていきます。  文部省のデータによりますと、昭和六十二年五月一日現在でありますが、留学生総数が二万二千百五十四人であります。そのうち私費留学生が一万七千七百一人を占めます。中国や台湾や韓国からそのうち七〇%、アジア全体では九〇%に達するわけであります。私は愛知県でありますが、愛知県の留学生総数は七百九十五名であります。国費留学生が三〇%、私費留学生が七〇%、二十三大学、名大を初めとして各大学に散らばっているわけであります。  今さら言うまでもなく、彼らの生活は円高のために決して容易なものではない。悲しいことには、昭和六十二年の十月に、日本語学校を回り入学の準備を進めていましたバングラデシュの青年が、帰国の費用もないままに下宿で餓死をいたしました。まことに痛ましい衝撃的な事件であります。国際国家を目指す日本とこの事件の落差は余りにも大きいと言わざるを得ないと思います。今、政府が本腰を入れてこの在日留学生問題に取り組むことが急務であると私は考えておるわけであります。  そこで、まず第一に、外務大臣に、今日のこの留学生問題をどのように認識され、情報提供等帰国学生へのアフターケアの改善など、来日前及び帰国後の政策を所管する外務省としてはどのように対応されるのか。  そして官房長官には、関係閣僚会議の設置でありますが、十五日、円高に苦しむ在日留学生の支援対策を検討するために、外務、文部など十閣僚による留学生等の交流推進に関する閣僚懇談会、これは座長が官房長官でありますが、を設置し、二十一日に竹下総理も出席をして初会合を開くことを決めたとあります。十九日の閣議で正式に決定するということであるが、事実かどうか。  また、構成メンバーは、外務、文部のほか、法務、大蔵、通産、労働、自治、総務、経企、官房の十閣僚であるとも聞いているが、事実かどうか、お伺いをしたいわけであります。
  80. 松田慶文

    ○松田(慶)政府委員 お答え申し上げます。  留学生に関します事務は各省庁に分かれますけれども、御指摘のとおり、外務省といたしましては、留学生が日本へ来る前、そして帰った後の外国に関連する部分を所掌しております。  そして、在外公館におきましては、国費留学生の募集、選考を初め、その他留学生情報の一般的な提供、留学相談または日本語教育の実施等を積極的に実施しております。また、留学生各位が帰国後は、何らかの形で我が国へのきずなを保ってもらうように、留学生の集い、同窓会の援護等々のアフターケアも実施しているところでございます。
  81. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 留学生問題につきましては、前中曽根内閣のときに、総理の諮問に答えまして、二十一世紀への留学生政策懇談会というところで、二十一世紀には十万人受け入れという構想を打ち出して諮問に答えているわけでございまして、高らかにこういうものをうたい上げております。  竹下内閣としても、国際国家として国際社会に貢献するという意味合いからもこの留学生問題を重大な課題として取り組んでまいりたい、こう考えております。  そこで、さはさりながら、今日の受け入れ状況を見ますると、もちろん十分国費留学生等、対応はいたしておるものの、委員御指摘のように、マスメディアを通じましていろいろ円高に苦しむ留学生の問題等が取り上げられておりまして、確かに困窮の度合いの多い私費留学生その他多々あることは十分承知をいたしております。  そういった意味で、先般総理からも御指示がございまして、緊急にこの留学生問題に対応すべく、関係閣僚でひとつ懇談会をつくったらどうかということでございまして、今先生御指摘のように、実は本日の閣議におきまして、留学生等の交流推進に関する閣僚懇談会を開催することになった次第でございます。ここでは、先ほど申し上げましたように、喫緊の課題に対応いたしますと同時に、先般、外務大臣も韓国で日韓外相会談等でも八千人の規模での交流というような問題もお取り上げになられたようでございますので、そうした中長期的な問題もぜひこの懇談会で対応して、冒頭申し上げました二十一世紀十万人の受け入れ態勢ができるような考え方をこれからまとめ上げてまいりたい、こう考えております。
  82. 柴田弘

    柴田(弘)委員 関係閣僚は十閣僚でいいかということの確認が一点と、この留学生問題は緊急に解決をされなければならない問題があります。それから、今官房長官、確かにおっしゃいましたように、五十九年に策定をいたしました二十一世紀初頭を目標にしたいわゆる十万人受け入れ構想の具体化ですね、この問題。  具体的に申しますと、やはり住居問題の解決、留学生宿舎あるいは会館等の建設の問題。あるいはもう既に家賃補助や住宅公団の賃貸住宅を借り上げて低家賃でアジアの留学生に貸している自治体、あるいはまた奨学資金の一部支給や無利子の貸付制度を行っている自治体のさらなる助成と、財政力の弱い自治体に対する助成の問題、この問題をどうされるかということ。それから、授業料減免措置を行っている私立大学への補助の拡充、学位授与、日本語教育の不備といった問題の解決。  そして何よりもこの財源問題でありますが、六十三年度のODA予算で賄われております文部省の留学生予算は百七十一億であります。私は、このODA予算を拡充するか別枠にして拡大すべきであると考えております。そして、授業料減免の措置の対象人員の増加を図っていく、あるいは学習援助費、現在大学院生が六万円、それから大学生が四万円、これは月額でありますが、これは六十三年度で五百人、これを少なくとも一万人以上に拡充をしていく問題があります。  それから、医療費八割補助の制度、これが今実施をされておれば、これをより一層拡充する問題。そして、留学生事業の中心的機関である日本国際教育協会、これは財団法人でありますが、その予算拡充の問題、組織の充実の問題、こういった問題が緊急の課題になると思いますが、いかがなものか。  そしていま一つは、この十万人受け入れ態勢について今後具体的にどう対応していかれるのか、その受け入れ態勢の整備、環境整備等についての具体的なスケジュールをお伺いをしたいと思います。  それから、通産省にお伺いしますが、やはり冠奨学金を初め民間奨学金など民間の協力を得ることがこれからいろいろ必要になってくると私は思いますし、企業などのあいた宿舎の活用、こういったものにはしっかりとした対応をしていかなければならない、このように思います。  それから最後に、文部省が今持っているデータは先ほども私が申しました六十二年五月一日のものであります。改めて実態調査をすべきではないか。それはただ単に数の調査ではなくて、彼らの生活が一体どうなっているのか、勉学の状態がどうなっているか、その実態調査をしての対策であると私は思いますので、ぜひお願いをしたい。  そして、これは官房長官法務省とも連携をとってお願いをしたいわけでありますが、留学生予備軍といいまして、日本語学校など各種学校で学ぶ留学生予備軍の就学生は、聞くところによると昨年一年間で一万四千人も入国しているということであります。これを悪用した形で東南アジアなどの不法就労者が増加する可能性もあります。こうした面の実態調査法務省とも協議をしてしっかりやっていただきたい、このように思います。官房長年あるいは外務大臣答弁を求めるものであります。  以上であります。
  83. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 御質問が多岐にわたりますので、私から御答弁申し上げ、なお残余の点についてはそれぞれ担当の者から御答弁願いたいと存じます。  そこで、まず閣僚懇談会の件でございますが、委員御指摘のように、現在十閣僚によりましてまず最初に二十一日に開催をいたしたいというふうに考えております。これには内閣総理大臣にも御出席を願って所信をお述べいただきたいというふうに考えておりますが、今後は随時関係の閣僚にも御参加いただき、あるいはそれぞれ党の政調関係の皆さんにも御参加いただいて、万全を期していきたいというふうに考えております。  それから、宿舎の問題も御指摘ありました。今度この留学生問題がマスメディアを通じまして広く国民の皆さんの耳目をそばだてておる折から、各企業体におきましてもこの問題につきまして積極的に協力しようというようなところもありまして、現在、通産省を通じて調べていただいていまして、東京あるいは関西の周辺の五十社を対象にいたしまして調査いたしましたところ、東京周辺で二千二百室、関西方面で千五百室、いわゆる企業体の寄宿舎等が空き部屋になっておる、こういうものを何らかの意味で活用させていただけないかということで、この点についてはかなり前向きのお取り組みを企業体でもお考えいただいているようでございます。  なお、こうした点を通じて、国あるいはそれぞれ公共機関がいろいろな点でこの問題に取り組むことは当然でございますけれども、やはり民間の皆さんの、あるいはそれぞれのボランティアの皆さんの御協力があって、また留学生にとりましては、物質的な面のみならず心の問題も支えられるという点もありますので、ぜひそういう点で御協力もいただきたいというふうに思っておるところでございます。  それから、留学生関係の予算といたしましては、これは外務省あるいは文部省からお答えすべきことかもしれませんが、百八十三億円で、対前年度比二六%増でございます。このうち、国費留学生の奨学金、私費留学生に対する授業料の減免補助など九割以上がODAの予算になっておりますので、外務省だと思いますが、今後とも各方面の協力を得つつ留学生施策の充実に努めていきたいというふうに思っております。  それから、最後にお話しされましたいわゆる留学生でない在日で勉学にいそしんでいる方々、何かこれは就学生という用語を使用しておるようでございますが、日本語研修というような形で入ってこられる方々もおられるわけでございます。さらに、そういう目的を持ちながらあるいはその他の労働に従事するというような面もある人も間々聞こえてきておるわけでございまして、いわゆる外国人労働者の問題との絡みもなきにしもあらずということでございます。この点、法務省と十分連絡を密にしろという御指摘でございますので、この点も今後の勉強の課題でございますし、関係省庁と十分連絡をとって対処いたしていきたいと思っております。
  84. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 外務省といたしましては、先ほど担当官が申しましたとおり前後の問題ですが、しかし、外交におきましてはこれは今一番重大な問題になっております。同時に、この国会におきましても衆参両院を通じ、さらには与野党を通じまして一番大きな関心事である、こういうことでございますので、今官房長官お答えになられましたとおり、総理が先頭に立って今後に対処しようではないかというふうなことでございます。もちろん住居の問題も一つ問題点でございますが、極力民間にもこうした点をよく理解をしていただきまして、そして民間の協力も得たい、こういうことも外務省としては今後考えていきたいと存じます。  なおかつ、これはもう第一義的には文部省の分野でございますが、諸国と比較すると日本は博士号をくれるのが非常に厳格である、なかんずく人文科学、この面の博士号なんていうのはなかなか難しいというふうないろいろな意見もございます。そうした意見等と、民間に協力してもらうためにはどうしたらいいか、またそういうような声に対してはどうしたらいいか、今後閣僚協におきましても十分外務省の立場からいろいろとお話を進めたい、かように思っております。
  85. 植木浩

    ○植木(浩)政府委員 補足して具体的な点を若干申し上げたいと思います。  まず留学生宿舎の建設でございますけれども、文部省といたしましては、大学の留学生宿舎を増設をしたり、あるいは最近は一般の学生寮に留学生の入居を促進をしたり、さらには、先ほども先生からお名前の出ました留学生事業の中心的な世話事業機関でございます日本国際教育協会、ここで新留学生会館などを建設中でございます。先ほど来お話がございますように、企業が社員寮を開放してくださったり、あるいは地方公共団体による公営住宅等への入居も進みつつあるということで、各方面の御協力を得ながら宿舎の施策を進めてまいりたいと思っております。  それから、私費留学生の、特に円高等に伴う支援方策でございますが、これも先生からお話がございましたような授業料減免措置、これは六十二年の秋から進めたわけでございます。六十三年度におきましては、さらに対象数を八千四百人ということで大幅に拡充をしたり、あるいは学習奨励制度の拡充を図ることといたしております。なお最近は、民間の留学生奨学団体もふえてまいりまして、現在、六十四団体ほどが千八百人に対しましてスカラシップを提供しておるという状況もございます。  さらに学位の問題、ただいまも外務大臣からお話がございましたが、文部省では、従来から新しい学位制度趣旨に沿って適切な学位授与が行われるようにということを大学関係にもお願いをしておるわけでございますし、また、留学生につきましては外国語による論文作成を認めたり、いろいろ留学生の特性に応じた指導も実施いたしております。現在、修士課程の学位では、既に文科系九六%、理科系九八%、ほとんど問題はなくなってきつつあります。また、博士課程につきましても、理科系では八四%ということでございますが、文科系が二六%ということで、博士課程の文科系だけが少し落ち込んでおる。しかしながら、これも日本人学生等の率と比べますと、一般では四%ということに対して留学生二六%で、留学生の方がまだ率は高いわけでございます。いずれにいたしましても、御指摘がございましたように、文科系の博士課程の学位の問題は、今後さらに大学の御理解を得て進めていかなければいけないということで、文部省としても積極的に対応してまいりたいと思っております。  それから、日本語教育につきましては、やはり海外で日本語を相当程度勉強してから日本の大学に来るというのがいわばノーマルな状態でございますが、日本の場合まだまだ日本語の普及というのはこれからでございます。いろいろ外務省の方でも御尽力いただいておりますが、文部省関係では、特に日本の国内におきます留学生を受け入れた場合の日本語教育、大学等に付設されております日本語教育の充実整備あるいは日本関係先生方の増員、日本語の教材の開発等を年々行っているわけでございます。  それから、最近は留学生問題は、国だけではなく、地方公共団体、地域社会においても、外国の青年が地域社会の人々と一緒にまじり合って生活をするという角度から、いろいろな御支援をいただいておりまして、近年特に活発になっております。
  86. 近岡理一郎

    ○近岡委員長代理 答弁を簡潔にしてください。
  87. 植木浩

    ○植木(浩)政府委員 はい。  文部省といたしましても、こういった官民一体となった総合的な施策を進めることにいたしております。  なお、紀元二〇〇〇年に十万人を受け入れるということにつきましては、今申し上げたような諸施策を総合的に進めながら推進をするということでございます。  留学生以外に、先ほどもお話がございました日本語学校等で学ぶいわゆる就学生につきましても、文部省としては、日本語学校の教員の水準向上あるいは日本語学校の質的な向上等に対しまして施策を進めております。  いずれにいたしましても、こういった留学生の施策につきましては、先ほど申し上げました日本国際教育協会の充実を図り、さらに予算面ではODAの活用を積極的に図るということで対応してまいりたいと思います。  項目が多くて時間を食いまして、大変失礼申し上げました。
  88. 武田邦靖

    ○武田説明員 通産省といたしましては、留学生問題に関しまして産業界の協力の促進という観点から取り組ませていただいておりまして、既に先生御指摘のような企業寮の提供でございますとか冠奨学金の創設といったような動きが企業の方に出てきております。これを積極的に今後支援していくという考えでございます。  かかる観点から、去る四月十一日に同友会等経済四団体の主催によります留学生受け入れに対する企業協力に関する懇談会というような場をおかりいたしまして、文部省とともに企業の協力勧奨を行ったところでございます。  今後こういった企業協力をより一層円滑に進めてまいるために、政府としてとるべき施策につきましては、関係省庁ともよく相談をしながら検討を進めていきたいというふうに考えております。
  89. 柴田弘

    柴田(弘)委員 時間が参りましたが、外務大臣、今のODA予算を拡充して、あるいは別枠でも結構でありますが、学習援助費、大学院生六万円、それから大学生四万円、これは六十三年度は五百人ですが、これを一万人以上にせよ、拡充したらどうか、こう申しているわけであります。この点はどうか。  それからもう一つ、川野日本国際教育協会理事長は、宿舎の確保などは末梢的なことである、思い切って私大に助成金を出して地方へ移し、地域で留学生を受け入れるようにしていけば、国民一人一人が留学生を身近に感じるようになり、それがひいては日本の国際化につながっていくと、金の援助に偏りがちな政府の姿勢に注文をつけているわけでありますが、この点についてもお考えがあればお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。予算面と二つ、お願いいたします。
  90. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 既に御承知のとおり、ODAの中におきましては文部省予算もついておるわけですが、十万人体制ということは大変なことでございます。したがいまして、関係閣僚懇談会においていろいろ議論しなければならないと思いますが、外務省自体といたしましては、留学生を含めまして、ODAの内容なり量なりいろいろと検討をしなければならない時期が来た、かように思っております。特にODAでは、援助に対しましては無償がいいよというような声も高くなってまいりましたし、いろいろとございますが、特に留学生に関しましては、さらにそうした体質に合うようなことを考えていかなければならぬ。いずれにいたしましても、そういう意味で現在閣僚懇談会ができた、私はこういうふうに思います。  二番目、地方分散。これは文部省自体のことでございましたが、私も外務省から申し上げますと、極力やはり地方で引き受けてもらうということになれば、住宅問題は非常に緩和する。もう一つは、留学生だけが住まうのではなくして、極力日本人と一緒に住んでほしい、そして日本人の生活というものを十二分に体験して帰ってもらいたい、こういうふうに考える次第でございますから、今柴田委員が申されました地方分散ということも、当然これはいいお話ではないか、ひとつ参考にさせていただいて、懇談会等でそうした主張もやっていきたい、かように思います。
  91. 近岡理一郎

    ○近岡委員長代理 相当時間が経過しておりますので、外務大臣答弁で、あとは打ち切らせていただきたいと思います。――では、簡潔に答弁してください。
  92. 植木浩

    ○植木(浩)政府委員 授業料減免措置を講じた私立大学援助を昨年の秋から始めたわけでございますが、これらにつきましては、今先生がおっしゃいましたように、さらに私費対策ということでその充実に努めてまいりたいと思います。  また、大都市圏以外の大学への留学生の受け入れをさらに進めるべきであるという点につきましては、外務大臣からお話がございましたように、国費留学生等につきましては積極的にそういう方向でやっておりますが、私費留学生等につきましても、もちろん留学生の希望を尊重すべきではございますが、地域の大学もきめ細かくお世話をしてくださるということを十分にPRをいたしたいと思います。
  93. 柴田弘

    柴田(弘)委員 終わります。ありがとうございました。
  94. 近岡理一郎

    ○近岡委員長代理 浦井洋君。
  95. 浦井洋

    ○浦井委員 今審議されております改正案というのは、これは言うまでもなく在外職員の子女教育手当の加算限度額を上げるというもので、私はそれはそれとしてよいことだと思うのです。  しかし、問題は自己負担が完全に解消されるのかどうか。この間の質疑を聞いておりましても、自己負担のある子供さんの数が改正後も六・六%ある、こういうことでございまして、私は、本来在外職員の子供さんの教育費の自己負担というのはゼロにせよと言うところでありますが、限りなくゼロに近づけるべきだというふうに思うわけでありますけれども、ひとつ冒頭に大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  96. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘、確かにそういう面があるかと存じます。今回の改正を御承認いただきますれば、自己負担が八・一%から御指摘のように六・六%に下がるわけでございますが、なお六・六%があるということでございます。他方、子女教育というものは個人的な事情によってかなり実費額に差を生じるというような性質を持っておりますので、このような費用について国としてどの程度まで果たして負担するのが適当であるかというような問題もございます。したがいまして、全額国が直ちに持つべきだということまでも言えないかと存じますけれども外務省としては、御理解を得まして、できるだけ今後とも自己負担率を下げていくというふうに努力したいと存じておる次第でございます。
  97. 浦井洋

    ○浦井委員 教育の問題そのものが大事でありますし、それから、特に在外公館の職員の子女の教育ということになりますと士気にかかわりますから、大臣としてもひとつその点は十分に配慮をしてやっていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。  そこで、せっかくの機会でありますから、沖縄県の米軍基地の返還問題、特に北部四ダムの返還の問題について質問をさせていただきたいと思うわけであります。  大臣も御承知のように、沖縄県には全国の米軍基地の七五%が集中しておる。だから、米軍基地の返還問題というのは、これはそれぞれの自治体にとって非常に大事な問題ですよね。産業の振興開発であるとか、分断されたり何かしておりますから、都市を形成していく問題、それから地域開発の推進というようなことをやっていこうと思っても米軍基地が邪魔になっていく。自治体にとっても非常に重要な課題になっている。  そこでお聞きをしたいのでありますけれども、現在までの沖縄県の米軍基地の返還状況がどうなっておるかということであります。具体的にお聞きしますけれども、第十四回、十五回、十六回の安保協で返還が合意された米軍施設の中で、現在どれだけ返還されたのか。一つ返還が完了した施設とその面積、それから一部返還された施設とその面積、それからもう一つ、当初の返還予定の総面積、この三つをお聞きしたいと思うのです。
  98. 中田唯之

    ○中田説明員 お答えいたします。  返還が完全に完了いたしました施設、区域が四十四、返還面積が二千百七十四万六千平方メートル、部分的に返還が完了いたしましたのが十一施設、四百八万七千平方メートル、当初計画しておりました面積が五千六百六十五万四千平方メートルになっております。
  99. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣、お聞きになったように、沖縄県が復帰してからもう既に十六年たつわけです。その十六年前に合意したものが、十六年たって今のお話のように僅々わずかに、一〇〇%であるべきものが四四あるいは四五%ということになると、これは歴代の政府の責任が問われるわけであります。だから、そういう点で大臣にひとつこの面でもアメリカに遠慮をせずに精力的な返還の仕事を進めていっていただきたいということを要求をしておきたいと思います。  そこで、具体的に北部四ダムの問題でありますけれども、北部四ダム、御承知だと思いますけれども、福地ダム、新川ダム、安波ダム、普久川ダム、これは昭和四十七年の沖縄復帰のときに、いわゆる五・一五メモでダム用地は工事完了後返還されるというふうになっておるわけです。その後の第十五回の安保協、これは四十九年一月三十日でありますけれども、貯水池部分とその周辺地域についての返還が合意をされておるわけなんです。  この四ダムというのは、沖縄県民の大多数が飲料水として、大臣は滋賀県で琵琶湖でお詳しいと思いますけれども、県民の非常に貴重な水がめであるわけです。調べてみますと、北部四ダムは五十八年三月で工事が完了しておるわけでありますけれども、これは現在までに返還されているのかどうか、このことをお伺いしたい。
  100. 有馬龍夫

    有馬政府委員 返還されております。
  101. 浦井洋

    ○浦井委員 返還されておるということでありますけれども、そうすると、いつ返還されたのか、あるいはもう一つは、どれだけの面積が返還されたのか、お伺いしたい。
  102. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先生おっしゃられましたとおり、五十八年三月、四ダムの工事が終了いたしまして、その後、所要の手続事務を経て昭和六十二年十一月二十六日に当該土地は返還されたわけでございます。
  103. 浦井洋

    ○浦井委員 五十八年の三月に工事が完了したわけでしょう。それで六十二年十一月二十六日に返還ということで、五年足らずかかっているわけです。これは何でですか。米軍から圧力がかかったのですか。  我が党の瀨長議員の質問主意書に対する答弁によりますと、これは五十九年十二月ですからまだ返還されておらなかった。その答弁は、「現在、米側との間において細部の調整を行っているところであり、この調整が整い次第、所要の手続を経て返還される」。今、外務省のお答えでは、所要の手続で五年間かかったわけですか、それとも主な五年間の内容は米側との間における細部の調整なんですか、どっちなんですか。
  104. 中田唯之

    ○中田説明員 お答えいたします。  北部四ダムの工事につきましては、五十八年三月に一応完了いたしましたが、その後、返還する区域、それから二4(b)で提供する区域とその数量の確定のための作業や、それから一部追加工事がありましたし、それに、当該地が林野庁の所管の行政財産でございましたので、これを建設省の所管の行政財産に所管がえする、こういうふうな事務がありまして御指摘の期間かかったということでございます。
  105. 浦井洋

    ○浦井委員 もう一遍聞きますけれども、米側の圧力というようなものはなかったわけですね。
  106. 中田唯之

    ○中田説明員 ございません。
  107. 浦井洋

    ○浦井委員 えらい勢いよく断言されましたけれども、そこで、今言われたようにダムの貯水池部分というのは二4(b)に当たるわけですね。それが適用される。これは十一月二十七日に適用された、こういうことになるわけですね。  その二4(b)に基づく米軍の使用形態がいろいろあると思うのです。例えば、ちょっと例を挙げてみますと、年間に何回以内というふうに日数を限定して使用を認めるのか、今度は日本側に権限があるわけですから、日本側と調整の上、その都度期限を区切って使用を認めるのか、米軍の施設、区域への出入りの都度使用を認めるのか、あるいはその他の方法があるのか、どれに当たるわけですか。
  108. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これは、その都度になっております。
  109. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、私が申し上げた三番目に当たるわけですね。そういうことですね。
  110. 有馬龍夫

    有馬政府委員 さようでございます。
  111. 浦井洋

    ○浦井委員 もう一つの問題は、その訓練の実態でありますけれども、これも先ほど申し上げた我が党の瀨長議員の質問主意書で、北部四ダムを使用しての米軍の訓練の実態は、「昭和五十五年から昭和五十六年にかけて、月一回程度の割合で」実施しておる、こういう答弁が返ってきておるわけであります。そうしますと、昭和五十六年以後去年の十一月二十六日まで、あるいは去年の十一月二十七日から今日現在まで、その両方に分けて、一体訓練が行われたのか、行われたとすればどういう演習訓練が行われたのか。
  112. 中田唯之

    ○中田説明員 昭和五十六年の夏以降は訓練は行われていないというふうに承知しております。
  113. 浦井洋

    ○浦井委員 私は、何で訓練をしないのかという点につきましては、仄聞するところ、三者協で水質汚染の懸念があるというふうに聞いておるわけでありますが、そういう事実はないわけですか。それで訓練が行われないのか。何で行われないのか。
  114. 有馬龍夫

    有馬政府委員 米国の運用上の必要性がいかなるものであるかということは私ども詳細に捕捉いたしておりませんけれども、なぜその後行われていないかということについては、私ども承知いたしておりません。
  115. 浦井洋

    ○浦井委員 承知をする努力日本外務省としてしないわけですか、どうですか。
  116. 有馬龍夫

    有馬政府委員 本件につきましては、それを改めて照会するという必要性はないと考えているからでございます。
  117. 浦井洋

    ○浦井委員 日本政府というのは、そういう点では非常に消極的、ある面では変なところで非常に積極的でありますけれども、こういう点では消極的であると言わざるを得ないわけであります。  今度は日本の方に管理権が北部四ダムについて移ったわけですね。返還以前は、米軍の管理下にあったときは、日本側はダム工事についても一々立ち入りの許可をとって、何かパスを発行してもらって工事を実施しておったというように聞いておるのですけれども、今度は日本の管理下に移ったわけでありますから、これは私尋ねたいのですけれども、改めて米軍に二4(b)に基いて共同施設として提供するのだから、ダムの使用条件あるいは米軍の訓練に対する制限というようなことを、当然県民感情なりあるいは地方自治体の意向なりを尊重すれば、そういうことを日本側から提起してしかるべきではないかというふうに私は思うのですが、どうですか。――わかりませんか。
  118. 中田唯之

    ○中田説明員 例えばダムの管理用道路を使用する場合には、これは日本側の管理下にございますので、米軍は地位協定の二条四項(b)によって使用することができる。あるいは貯水池の区域を海兵隊が使用する場合には、沖縄総合事務局と海兵隊との現地協定によりまして、事前に那覇防衛施設局を経由して総合事務局に使用計画を提出させるとか、事実上の制限といいますか、そういうようなものを設けております。
  119. 浦井洋

    ○浦井委員 それは北部四ダムが返還をされる前もそういう実態であったわけでしょう。そうじゃないですか。
  120. 中田唯之

    ○中田説明員 これは北部四ダム返還後のことでございます。
  121. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、返還後、新たにそういう申し合わせ、そういうルールをつくったわけですか、去年の十一月二十六日か二十七日に。
  122. 中田唯之

    ○中田説明員 そのとおりでございます。
  123. 浦井洋

    ○浦井委員 そのとおりでございますということでありますが、どうも怪しいのですが、具体的にこういうケースはどうなのですか。日本に管理権がある、そうすると、ダムの安全性であるとか水質汚染のおそれがあるとかいろいろなことで、たとえ米軍の訓練中であってもそういう必要に応じて立入検査は今度はできるようになったわけですね。
  124. 中田唯之

    ○中田説明員 沖縄総合事務局と現地の海兵隊との間でいろいろ取り決めておりますが、例えば水質の汚染というふうなものにつきましては、米軍の訓練に際しまして、これは前と後と両方でございますが、現地におきまして所要の調整をすることができる、こういうふうに定められておると私の方は承知しております。
  125. 浦井洋

    ○浦井委員 どうもはっきりせぬのですが、そうすると、ちょっと角度を変えまして、この北部四ダム返還以前に米軍がやれるということになっておった八項目の訓練というのがありますね。ちょっと読み上げてみますと、浮き橋の建設と使用、水質浄化訓練、渡河訓練、小型舟艇操作訓練、いそ波訓練、水陸両用車の使用による訓練、ヘリによる消火訓練、ヘリによる空海救助訓練、この八項目の訓練は、返還後も引き続いて米側が、アメリカ軍がやろうとすれば、この訓練、演習はダムでできるわけですか。
  126. 有馬龍夫

    有馬政府委員 今、簡単に御説明いたしますと、昭和四十九年の段階で、米側に対しまして日本側としてはこの四つのダムを多目的ダムとして建設したいということを申しまして、その段階で米側は、二4(b)で当該地域を訓練場として日本側が提供してくれるのであれば次の条件でお返しいたしますと言った中に、その八つの項目が載っているわけでございます。したがいまして、昨年これが返還されましたときに、まさにこれが浮上してまいりまして、この訓練をすることができるということでございます。
  127. 浦井洋

    ○浦井委員 要するに、訓練がやれるということでしょう。  そこで私は大臣に御意見をお聞きしたいわけなんです。本当にこういう水を汚濁させるような訓練はやれる。やれないのは、水中爆破は行わない、恒久建築物はつくらない、仮設の建造物は使用後直ちに撤去する、それから、貯水池の汚染防止では万全の措置を講ずるとかいうようなことは、これは努力をしなければならないし、やれないしということになっておると思うのですけれども、肝心の訓練は八項目やれるわけなんです。  そうしますと、このダムの返還を県民は前から非常に強く要望しておったし、しかも水がめであるから、県民の大部分が使っておるわけでありますから、これは米軍の訓練を禁止してほしいというのが県民の大多数の意見だろうと私は思うのですよ。だから、それをそのまま認めた形で返還されたということは、返還前と何も変わっておらぬというふうに言っても過言ではないと思うわけであります。  これは前にも質疑があったと思うのでありますけれども、飲料水用のダムで米軍が自由に訓練を実施できるというようなところはほかにありますか、沖縄県のこの北部四ダムを除いて。
  128. 有馬龍夫

    有馬政府委員 まず、変わっていないのではないかということでございますけれども、管理の権能が我が方に去年の十一月の段階で参ったということに加えて、今先生が御指摘になりました八つの型の訓練ができるということ、さらには彼らが次のことは行わないということも言っております。水中爆破の禁止、恒久建造物の建設の禁止、仮設建造物の使用後の撤去、それに汚染防止のための万全の措置をとることの四つの条件が適用される、こういうことでございます。  ちなみに、これらのことは、米国が一方で権利として他方において義務として負っておることでございますけれども、権利は引き続き持っておりますけれども、現地限りにおきまして、いわゆる三者協の場面で米側の司令官が、この八つの中で米側が多分行うであろうところのものは、すべてではなくて、水質浄化訓練、小型舟艇訓練、ヘリコプターによる消火訓練等であろうという自主的な規制ということをも申しております。  繰り返して申しますが、これは現地限りの合意でございまして、いわゆる合同委員会による合意で向こうを規制しているというものではございませんが、実態として申し上げさせていただきます。
  129. 浦井洋

    ○浦井委員 アメリカもうまいことを言うものでありまして、水質浄化訓練と小型舟艇操作訓練とヘリによる消火訓練、これはやり得る可能性がある、こういうことですね。だから、これで水質汚染が起こらないという保証はないわけなんですよ。  それともう一つは、こういうようなことをやっておるダムがほかに日本の国にあるのかないのかという点ではお答えがなかったわけです。
  130. 有馬龍夫

    有馬政府委員 いずれにつきましても、御指摘のような事例はございません。
  131. 浦井洋

    ○浦井委員 だから大臣、こういうことは日本でも、琵琶湖でもないわけですね。沖縄北部ダムだけでこういうことが許されているわけです、三項目という格好で縮小したと称しておりますけれども。  しかも、先ほど答弁がありましたように、昭和五十六年以後は実際には訓練を実施しておらぬわけでしょう。だから、この際やはり北部ダムにおける米軍の訓練、演習というものは、もう一遍政府が乗り出して、アメリカ交渉して禁止させる。それから、米軍の演習実施の権限を撤回させるように政府が乗り出す、外務大臣としてはそのために米軍と積極的に交渉すべきではないかというふうに私は思うわけでありますが、大臣どうですか。
  132. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先ほども申し上げましたけれども、そもそもこれが二4(b)として米側に提供されました際に、我が方といたしましては米側に水質汚染については十分な配慮を払うということを約束させているわけでございます。  それから、確かにこの合意の中に盛られているほどの訓練というものは実態的には行われていないという経緯はございますけれども、私ども承知している限りでは、この北部訓練場というのは米国にとりまして大変重要な場所でございまして、今の合意を含めました形でこの部分をも二4(b)として米側に提供しているということは大切なことだと考えております。
  133. 浦井洋

    ○浦井委員 政治論として大臣どうですか。やはり県民の水がめになっておるようなダムの軍隊による使用は禁止すべきではないのですか。そのために、相手がアメリカ軍でありますから、大臣が乗り出して、そして積極的に、完全に返してもらう、県民感情としても禁止を強く要求しておるわけでありますから、そういう方向で大臣がひとつ乗り出していただくことを私は期待したいのですが、どうですか。
  134. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私は、政治家として常に日米間の問題は大きな問題からとらえていかなければならないと考えておりますし、日米安保体制というものは締結されてから非常に大きな役目を果たしてきた。そのためにはやはり抑止と均衡というものが常に大切なんだ。そのためには、万一のときに日本を守ってくれる米国の軍人が、常に練習をして練度を高めておいてもらうということも一つの抑止であると考えております。  沖縄は、確かに浦井さん申されまするとおりに基地の密度においては全国最高で、住民の方々にもいろいろと御理解を得、また御協力を得ている地域であるだけに、そうした問題につきましても政府といたしましては常日ごろ米軍に対して格別の配慮なり考慮を求めているわけであります。  また、この四ダムの返還という問題につきましても、そのときのお互いの認識もございますから、使わないからやめたらどうだというわけにいくのかいかないのか、非常にデリケートな問題で、それぞれ日米合同委員会であらゆることを想定してその結論を得て今日に至っておるわけでございます。そうした点においては、現在使っておらぬが、いざ使うというときには、先ほど来申し上げておるようなことは米軍としても格別の考慮を払い、御迷惑をかけないと言っておるわけでございますので、今私がすぐに、使っておらぬから返してしまえよというようなことを言うことがいいか悪いか、私としてはこれはなかなか難しい問題である。  現在の私としては、そういうことを米軍に求めることは、過去の経緯から申し上げましても余り合理的でない、かように考えておる次第であります。
  135. 浦井洋

    ○浦井委員 終わりますけれども宇野外務大臣日本の国の外務大臣でありますから、沖縄県民の命とその安全を何よりも最優先させるという立場に立って、これからも米軍に遠慮せずにずばずばと交渉をやっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  以上であります。
  136. 近岡理一郎

    ○近岡委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ────◇─────     午後三時一分開議
  137. 戸塚進也

    ○戸塚委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田睦夫君。
  138. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 プランジャーの急病人を救出した問題についてまずお伺いいたします。  四月八日に、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦プランジャーの中で生じました急病人を海上保安庁のヘリ搭載巡視船の「つがる」が救出したのですが、まず、海上保安庁に救出経過について述べていただきたいと思います。
  139. 河端春夏

    ○河端説明員 お答えいたします。  四月七日午後三時十五分ころ、外務省から当庁に対しまして、米国原子力潜水艦プランジャー号に腹痛の救急患者一名が発生したので、津軽海峡付近において同患者を救助し、米軍三沢基地まで輸送してほしい旨の要請がございました。  当庁は、外務省とも協議し、行動中の函館海上保安部所属の巡視船「つがる」を同海峡中央部付近の北緯四十一度二十八分、東経百四十度三十二分の地点に急行させ、待機させていましたが、八日午後においては当該海域付近は海上模様が悪く、救助作業が困難であったため、外務省とも協議の結果、同海峡中央部南側の北緯四十一度十分、東経百四十度四十三分の地点において救助することとしまして、午後四時三十二分ころまでにプランジャー号から患者を収容いたしまして米軍三沢基地まで輸送し、救助を完了いたしました。  なお、プランジャー号から当庁に対して最初に通報のありました位置は、陸奥湾湾口付近の北緯四十一度六分、東経百四十度四十五分でありました。  以上でございます。
  140. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと確認しておきますが、プランジャー号のいた位置、それから救出場所、これは我が領海内に入るわけですね。
  141. 河端春夏

    ○河端説明員 救助いたしました場所は我が国領域内でございます。
  142. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 外務省は海上保安庁と連絡して、津軽海峡の中央部で「つがる」がプランジャー号と会合をする、そこで救援をする、このことを原潜側に伝えたということになると思いますが、どのような連絡をなさったのですか。
  143. 有馬龍夫

    有馬政府委員 この要請は、四月七日の午後、米国の大使館から外務省に対して、先ほど海上保安庁から御紹介がありましたように、プランジャー号の乗組員が急病となったので三沢の米軍施設、区域内の病院に緊急入院する必要があるから、救助活動等日本協力をしてほしいと要請してまいりまして、我が方としては最大の協力をいたそうということで、海上保安庁の巡視船による救助の活動を行うこととしたものでございます。  具体的な救助活動につきましては、患者を三沢の米軍施設、区域内の病院へ搬送したいとの米側要請をも踏まえ、津軽海峡中央部付近で原潜と巡視船が会合した後、現場の海面の静穏状況等を勘案しつつ、安全な救助活動を行うために最も適当な地点で行うこととしていたものであります。なお、実際にも当該原潜と巡視船との間等で適宜連絡をとり、現場の海上模様を勘案して海峡中央部南側において救助が行われたものと承知しております。
  144. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 プランジャー号は、外務省が指定した津軽海峡中央部ではなくて、平館海峡、それもずっと奥に入った陸奥湾の中、そういうところにいたわけですけれども、これはどうしてでしょうか。
  145. 有馬龍夫

    有馬政府委員 私ども承知しております限りでは、事前連絡が十分に伝わっていなかったようで、同日午後、津軽海峡内にて米海軍原子力潜水艦が海上保安庁の巡視船と合流することができませんで、一度陸奥湾内に入ったようでございますが、その後、両者が迅速に会合するため当該潜水艦が北上いたしまして、安全な救助活動を行うために最も適当な地点、今先生がおっしゃられました平館海峡の北側で実際の救助活動が行われたものと承知いたしております。御指摘のように、当初から陸奥湾内で救出することを予定したというような事実はございません。
  146. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 報道によりますと、アメリカ軍側は陸奥湾内で原潜を浮上させて、そして救助することを要請したけれども、青森県の方はホタテ漁業などへの影響が出るおそれがあるといって陸奥湾内での浮上を断ったという報道がありますけれども外務省はこのことを知っておりますか。
  147. 有馬龍夫

    有馬政府委員 青森県の立場としては、漁業関係者等との関係もございまして可能な限り陸奥湾内に立ち入ることは避けてほしいという要望があったことは承知しております。  本件が人命救助といった人道上の問題でもございますし、具体的救助地点については、当日の海上静穏状況を勘案して救助活動が安全に実施し得る海域で行うこととするとの方針に、県側も基本的に理解は示していてくれたものと承知いたしております。
  148. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 県側に連絡したのは外務省の方ではないのですか。
  149. 有馬龍夫

    有馬政府委員 県側との連絡は外務省がいたしました。
  150. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、外務省の方が青森県に連絡をして青森県の返事を聞いて、そしてこれはプランジャーに伝えるわけでしょうね、間接かもしれませんけれども。  そういう中で、津軽海峡の中じゃまずいという青森県の意向があったけれども、結局プランジャーの方はそういうことは考えずに陸奥湾の中に入っていったということになるのでしょうか。
  151. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先ほども申し上げましたけれども、連絡が十分ではなかったようで、陸奥湾に一時期入ってきたということでございます。
  152. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 しかし、結局津軽海峡の中央部が会合場所として指定されているわけですから、その前に陸奥湾の中に入ったということは、結局外務省の意思も無視して入ったということになるというふうに考えるわけであります。
  153. 有馬龍夫

    有馬政府委員 繰り返しになりますけれども外務省の意向あるいは青森県の御意向を無視してということではありませんで、その連絡がきちっとできなくて陸奥湾の中に一時期入り込んでいたことがあったということでございます。
  154. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 だから結局、外務省や青森県も知らないうちに陸奥湾の中に入った、こういうことになるわけですか。
  155. 有馬龍夫

    有馬政府委員 事後的に承知したということは事実でございます。
  156. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それは事実上認められたわけですが、そこで、アメリカの原潜というのは我が国の領海内に自由に立ち入ることができるのか、法的にそういう内容になっているのか、ひとつ説明していただきたいと思います。
  157. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 一般に軍艦は外国の領海を無害通航する権利を有しております。ただし、潜水艦の場合は、その無害通航権を行使する場合は海上に浮上して通航するということになっております。したがいまして、米国の潜水艦も、原則として我が国の領海を通航するときは浮上して通航しているものと理解しております。
  158. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、このプランジャーの場合は浮上して陸奥湾に入ったというお考えですか、旗を立てて。
  159. 有馬龍夫

    有馬政府委員 旗を立てて浮上して入っていたそうでございます。
  160. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、七日に連絡があって、それから次に発見するのが陸奥湾なわけですけれども、我が領海に入るときはちゃんと浮上して旗を立てて、正式の無害通航として入ったのですか。発見したときに旗を立てて浮上していたということだけではなくて、そこに入るまではどうであったかということです。
  161. 有馬龍夫

    有馬政府委員 米側から開いているところによりますと、そのような態様で入ってきたというふうに聞いております。
  162. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと聞いておきますが、昭和三十九年八月十七日付のエードメモワールというのがありまして、ここで、「通常の原子力潜水艦は、慣行に従い、通常は、港へ直接進入し又は港から直接出航する場合に限り日本国の領海を通過し、その際は、通常の航路及び航行補助施設を利用することが留意される。」こういうことが書いてあるのですが、この約束というのは今でも生きている、効力のあるものでありますか。
  163. 有馬龍夫

    有馬政府委員 そのエードメモワールに盛られておるものは生きております。
  164. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ところで、このプランジャーは、我が国に寄港したことは何回ありますか。
  165. 有馬龍夫

    有馬政府委員 今までに十八回ございます。
  166. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 陸奥湾で発見される、救助される、その直前に我が国に寄港し、そして出港したというのはいつになりますか。
  167. 有馬龍夫

    有馬政府委員 直近は、昭和六十三年二月二十七日に横須賀に入ってまいりまして、三月十四日に出発いたしております。
  168. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと済みませんが、さっき確認を忘れたのですが、アメリカの原子力潜水艦も我が国領海において無害通航権がある、それで浮上して領海を通航することができる、それ以上のことはできないわけですか。
  169. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) それ以上という御質問の趣旨を必ずしも理解したかどうか自信がございませんが、無害通航権の行使という角度でとらえる限り、通航は無害でなければいけませんし、潜水艦は浮上して通航する義務がございます。  ただし、日米間には安全保障条約及び地位協定がございますので、米軍の艦船はその安保条約及び関連取り決めに従いまして一定の特別の権利を持っておりますので、例えば領海内の施設、区域内で演習をするとか、そういう他国の軍艦には認められない権利は有しております。ただし、無害通航に関してのお尋ねということであれば、今御質問なさったとおりでございます。
  170. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、無害通航ということでお話がありましたけれども、実際は、領海の中もアメリカの原子力潜水艦は潜航して入ってくることができるということにもなるのですか。
  171. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 例えば、領海をただ通過したりあるいは内水に入ってくるために領海を通ってくる場合は、無害通航権の行使としてそういう行為をするというのが通常と考えられますので、我が国といたしましても、米国の潜水艦も原則として浮上して通航していると理解しております。  ただし、先ほど私が御説明申し上げましたような日米安保条約及びその関連取り決めに従って米艦船が特別の行動をる場合、これはその限りでございませんので、潜航する場合もあり得ると存じます。
  172. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その特別の行動というのは何でしょうか。演習なんかの場合ですか、あるいは日本協議をして決めたというような場合でしょうか。
  173. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 例示でございますけれども、米軍が我が国領海内の施設、区域において演習を行うような場合、あるいは我が国との合意に基づく演習を隣接公海水域において実施することと関連して、米軍がその演習水域への移動の一環として、無害通航の態様によることなしに我が国領海の一定区域を潜航して通航するということもあり得ると考えられます。
  174. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは、アメリカの原子力潜水艦が日本の港を出て今度はアメリカの計画している作戦行動に入っていく、こういうような場合も、先ほどエードメモワールを読みましたけれども、そのとき領海を通るというだけではなくて、自分たちの作戦行動として潜水したまま日本の領海のところを潜航していくということも認められるのですか。
  175. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 作戦行動という意味がどういう意味で使われているかちょっとわかりかねますけれども、例えば私が申し上げた演習に参加するような場合、これは特別の事情によりまして潜航することもあり得るということでございます。他方、作戦行動とおっしゃいました意味が戦闘作戦行動ということであるとすれば、御存じのとおりの別途の取り決めというのがございます。
  176. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 現在は戦闘状態ではないのですが、要するに、潜水艦というのは日常平時の場合においてもちゃんと相手方の艦船を監視するとかそういう任務を遂行しているわけです。そういうアメリカの軍の任務を果たしていく、そのために必要だということで日本の領海を潜航して進むことができるか、こういう質問です。
  177. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) その場合も、無害通航権の行使として日本の領海を内水から公海に向けて通航する場合は、これは原則として浮上して通航していると理解しておりますけれども、何らかの事情によりまして日本の領海を潜航して内水から公海へ向けて通航する必要がある場合、これは米軍といたしましては、安保条約及び地位協定に基づきましてそのような行動をとる権利を与えられているというふうに考えられます。
  178. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、日本に来た原子力潜水艦というのは、日本の周辺でアメリカの軍としての任務を果たすという場合は領海も自由に使えるというような解釈なんですか、潜航して、無害通航ではなくて。
  179. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 自由にという表現をお使いになりましたけれども、もちろん米軍が日本周辺におきまして行動する場合に考慮を払うべき要素というのは、公共の安全を含めましていろいろございますけれども、そういう当然の事項を捨象してお答えするとすれば、安保条約及び地位協定の条件に合致する限りにおきまして、ただいま御質問のような行動をとることは、これは許されていると考えられます。
  180. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、日本の領海は、安保条約、地位協定という立場において、米原子力潜水艦はその条件に合致すれば領海を潜航できる、こういう答弁だと理解しておきます。  そこで、このプランジャーというのは、対潜水艦用の核爆雷サブロックの装備能力を持つ原潜であるということは理解していらっしゃるわけですか。
  181. 有馬龍夫

    有馬政府委員 米国海軍は、個々の艦船の具体的装備については対外的に明らかにしないという方針を維持しておりまして、当方といたしましては、プランジャーがいかなる武器の搭載能力を有するか等につきましては確認する立場にはございません。
  182. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 アメリカの原潜が昭和三十九年から我が国に寄港するようになるのですけれども、今まで何回寄港しておりますか。これは軍港別にお教え願いたいと思います。
  183. 有馬龍夫

    有馬政府委員 昭和三十九年以降現在までの米原潜の我が国への寄港状況は、合計三百五十七回でございます。
  184. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 横須賀とか佐世保とか区別したものはわかりますか。
  185. 有馬龍夫

    有馬政府委員 横須賀が二百八十一回、佐世保が四十二回、沖縄のホワイトビーチが三十四回でございます。
  186. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、それだけの寄港がありましたけれどもアメリカ側からは事前協議の申し出がなかった、だからこれをもって入港してきた原潜には核兵器は搭載されていない、そういう見解外務省は貫いておられるわけですね。
  187. 有馬龍夫

    有馬政府委員 さようでございます。
  188. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今度はソ連の原潜の場合について聞きますが、ソ連の原潜が日本の領海を航行することができるのはどんな場合でしょうか。
  189. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 一般的に軍艦は他国の領海を無害通航する権利を有しておりますので、ソ連の軍艦も日本の領海を無害通航することができます。潜水艦の場合は、これも一般国際法に従いまして、浮上して旗を掲げて航行する必要がございます。
  190. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 原子力潜水艦の場合でも、浮上して旗を掲げて進めば領海を通ってよろしいということになりますか。
  191. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 原子力推進の潜水艦につきましても同様でございます。
  192. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これは昭和五十五年、八〇年八月二十三日ですけれどもソ連原子力潜水艦が二十三日の午後に、ソ連のタグボートに引かれて鹿児島県沖永良部島南東海域から日本領海内に入り、同島と与論島間の海域を通り東シナ海の公海上に抜けたことがあったわけですが、この場合は政府はどういう態度をとりましたか。
  193. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 申しわけございませんが、当時のその具体的な事件についての記憶がございませんけれども、もしそのソ連の原子力潜水艦が何らかの事情によりまして航行不能に陥っていた場合であったとすれば、それはいわゆる不可抗力の場合の措置としてそういう措置がとられたのではないかと思います。
  194. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これは、先ほどソ連の潜水艦も無害通航権を有するということを言われましたので、あえて開いているのです。この場合には、結局、事故になってタグボートで引かれなければ動けないというような状況になっているわけですけれども外務省の態度は、放射能汚染がない、それから核兵器を積んでいないことの保証を求めた、それで、その保証をしないうちに通航したので抗議をした、こういうふうになっているのですけれども、その点はどうですか。
  195. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 担当の政府委員がおりませんので、申しわけございませんが、事実関係につきましては調査の上、後日御報告させていただきたいと思います。
  196. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これは八月二十四日の新聞を見れば各紙に出ているわけです。結局、核兵器の不装備と放射能汚染がない保証が得られない限り領海通航は認めない、外務省最初そういう態度をとった。そして、その後、ソ連政府から正式にそういうことがないという回答があったので無害通航ということを認めた、こうなるわけですけれども、そういう態度は今でもとりますか。最初段階ソ連の原子力潜水艦が日本の領侮を浮上して旗を立て通航するという場合に、やはり核汚染のおそれがない保証あるいは核兵器を搭載していないという保証、このことを要求されるわけですか。
  197. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 一般的な政府考え方として御答弁いたしますけれども我が国は、核搭載艦につきましてはその無害通航を認めないという立場に立っております。  それからもう一つ、無害通航というのは、一般に、沿岸国に対して汚染等の被害を与える場合は、これは無害通航と認められないということになっておりますので、個々のケースに対処いたします場合、政府といたしましてはそのような考え方に立って対処することになると考えられます。
  198. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、結局、アメリカの方の原子力潜水艦は、日本の領海においても、安保条約上、核兵器の事前協議を申し出なかったものについてはそのまま領海の使用もできる、ほかの国の原子力潜水艦というのは二つの保証がなければならない、こういうことになるわけですが、現実に津軽海峡あるいは日本海などで米ソの潜水艦が火花を散らしているというように言われております。そういう中で、核兵器を搭載していないという証明をしろとソ連に要求するのは、結局ソ連の原子力潜水艦は核兵器を搭載している疑いがあるという立場でありますし、また、アメリカの原子力潜水艦で日本に寄港したものが出港して、日本近海で、あるいは日本海などで任務を果たす、そういう場合には、結局核兵器は搭載していない。ソ連の側は核兵器を搭載している、アメリカ側は搭載していない、こういう見方になってくると思うのであります。  作戦行動中、戦闘状態ではないです、平時のときにおいても、軍の任務について活動している原子力潜水艦が核兵器を装備しているということは、軍事専門家の間においては常識であると言われております。それにもかかわらず、結局日本に事前協議の申し出がなかったからアメリカの原子力潜水艦は核兵器を積んでいない、それが日本の周辺で軍の任務についているということになれば、端的に言えばソ連の場合は核兵器を積んでやっているという見方でしょうが、片一方は積んで行動している、片一方は積まないで行動している、こういうことになると思います。  そういう見方の違いによって、本来同じような活動をしている双方の潜水艦、それが片一方は持っている、片一方は持っていない、こういう見方になるのは矛盾ではないかと思うのですが、この点についていかがですか。
  199. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 米国の潜水艦につきましては安保条約の適用がございますので、核を搭載して日本の領海に入ってくる場合には、これは米国として事前協議の義務がございます。したがいまして、事前協議がない限り、日本の領海に入ってくる米国の軍艦、潜水艦を含めまして米国の軍艦は核を搭載していないということが明らかになるわけでございます。  他方、ソ連の潜水艦につきまして、我が国政府といたしましてソ連の潜水艦は当然核を搭載していると考えているわけではございませんで、核を搭載する能力のある艦船が実際に核を搭載するか否かということは、それはそれぞれの国の戦略的考慮から決定されることと考えられますので、我が国があらかじめソ連は積んでいるに違いないというふうに考えているわけではないということは御理解いただきたいと思います。
  200. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いずれにしろ、日常からお互いの監視あるいはいろんな活動をしておりますけれども、それは平時の作戦活動においても核兵器を積んで活動するというのは軍事常識であるわけです。  そういう中で、日本に寄港した原子力潜水艦、核兵器搭載能力を持っている原子力潜水艦がどういう行動をとっているか、このプランジャーの場合はその行動の一端が見えたということになるわけですけれども、やはりこれはちゃんと調査をしなければ、事前協議ということだけで解決する問題ではないということを強く主張したいと思います。  次に、日米科学技術協力協定の改定の交渉の問題について質問いたします。去年からこの改定交渉が進められてきましたが、この三月の末に大筋で合意に達したと言われます。その大筋合意の内容をまず伺いたいと思います。
  201. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 委員御指摘のとおり、三月三十一日、大筋の合意に達したわけでございます。大筋の合意の概要につきまして、以下に御説明申し上げたいと思います。  まず一つは、日米間の科学技術協力というものが平和のために行われるんだということをしっかりと確認してございます。それで、そういうもとで日米間の科学技術協力を拡充するためにはどういうふうな基本原則が必要であるかということをこの中には盛り込んでございます。  それから次に、協力活動をどうやって拡充していくべきか、つまり研究者の交流とかあるいは情報の交流をどのようにして拡大していくかという点も盛り込まれることになろうと思います。  それからさらに、協力活動に関しまして知的所有権の発生というのが考えられると思いますけれども、その知的所有権をどういうふうに効果的にあるいは適正に配分していくべきかという点も盛り込まれることになろうかと思います。  さらに、この協力活動の結果生まれてくる情報あるいは協力成果というものは公開されるべきだという、この原則の確認も盛り込まれることになろうかと思います。  最後に、この協定を今後運用していくためにどういうふうな運営メカニズムが必要か、こういうことも盛り込まれることになろうと思います。  いずれにしましても、委員御指摘のとおり大筋の合意はできたわけでございますけれども、まだその詳細等々につきましては目下詰めているところでございます。
  202. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今、四番目ですか、情報公開原則を言われましたが、この点についてお伺いします。  一九八〇年五月一日にこの協定の効力が発生しまして、日米科学技術協定実施してきたわけですけれども、この実施に当たりまして、今回の交渉に至るまで七年間がたっているわけですが、この間に情報公開ということについて日米間で今までに問題になったことはあったでしょうか。
  203. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 今委員御指摘の現在の協定でございますが、これはできましたのが昭和五十五年でございますからちょうど八年ぐらいになったわけでございますが、その間約五十近い協力活動といいますか協力プロジェクトが行われているわけでございます。そのいずれにつきましても情報というか協力活動の結果というのは公開されておりまして、その点につきまして何らかの問題があったということは承知いたしておりません。
  204. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今度この協定を改定するについて合意された点を項目ごとに今お話しになりましたけれども、その中で情報公開原則の確認があるわけですけれども、特にこれを入れる必要があるとした理由は何でしょうか。
  205. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、この協定は平和の目的ということであり、したがいまして、本来成果というものが自由に公開されるべきである、こういうことから、情報公開原則の確認というのはいわば言わずもがなというか、念のために確認した、こういうことでございます。
  206. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私も情報公開というのはこういう研究の場合は民主主義の態度をとれば当然だというように考えますし、今までそういうことが問題になることもなかった、しかし、ここで情報公開ということを特に入れなければならないということで疑問を感じたのでお伺いしたのですが、ただいま答弁で、当然のことを確認したんだ、こういうことでありますから、それはそれとして、午前中にも問題になりました安全保障条項、これはまず、どういう意味でしょうか。そしてまた、これはどういうふうになるのでしょうか。
  207. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 いわゆる安全保障条項につきましては、私はむしろ言葉の使い方といたしましては、情報取り扱い条項というふうに理解した方がいいのではないかと思うわけでございますが、いずれにしましても、この情報公開原則という大前提のもとに、確かに今度の新協定、まだ案でございますけれども、新協定の中には安全保障という言葉が入ることになろうかと思います。  しかしながら、これは主としてアメリカ側の事情によって入ることになるのでございます。したがいまして、この安全保障という言葉を入れることによりまして、日本のいわゆる研究開発、研究体制あるいは研究情報公開体制というものにつきましては、何ら変更なりなんなりを要求されているものではございません。
  208. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それはそれとして、科学技術分野安全保障条項を新設するということになりますと、その中身というものは、結局は科学技術分野での共同研究内容は非公開にする、研究内容をまず非公開にする、それから、どんな研究をしているか、これも非公開にする、あるいは研究から生じた成果を公表することも規制する、これが一般的に言われる安全保障条項というものであろうかとは思うのですが、この安全保障という点でこのように解してよろしいのでしょうか。
  209. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 委員御指摘の点につきましは、現在アメリカにおきましては安全保障という理由でいわゆる情報の規制をするという一般的な体制があるということを承知しておりますけれども日本につきましては、そういう一般的な規制の体制あるいは法というのはございません。したがいまして、日本に関します限りそういうようなことは今後とも、今後というか、この協定のもとで何ら事態を変えておるものではございません。
  210. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 体制を変えていない。それでは、今言いましたように、科学技術分野での共同研究内容を非公開にするとか、あるいはどんな研究をしているかを非公開にするとか、あるいは研究成果の発表を非公開にするとかそこに規制がかかるとか、そういうことはないということでしょうか。日本では、ないということですか。
  211. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 今委員の御質問が日本につきましてはということでございましたら、日本の現体制を変えることをこの新協定案は要求しているものではございませんので、そういうことはございません。
  212. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 きょうは遠藤議官が、この安全保障条項が、アメリカの主張、そしてまたアメリカのためのものである、こう言っておられます。外務大臣自身も四月一日の参議院の予算委員会で、安全保障の字句が入ったことについて、これは主にアメリカの主張によって入れた、これはアメリカについての字句であって、日本国内法を改定する意思はない、現行国内法の枠組みの中で実施されるんだ、そういう趣旨答弁をされております。それで、このアメリカについての字句というのは大臣、どういう趣旨で使われたんでしょうか。
  213. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そのときにも申し上げたと思いますが、昭和五十五年以来ずっとこの協定がありまして、日米両国科学技術に関するいろいろな協定を結んで、そしてお互いに国民のため、広くは人類のために貢献することはいいことだ。  その後に、やはり日本の科学の著しい発達もございますし、同時にまた、アメリカといたしましては、ココム等いろいろな国際的な問題が起こりました。だから、日本に対しましては言うならば非常に神経質になったんではなかろうか、はっきり申し上げまして。そういうことから、アメリカの立場としては、日本には情報公開原則はあるだろうけれども、我々としてはぜひともそうした中に安全保障という言葉を入れてほしいんだというのがアメリカの立場でございます。  だから日本も同様にしなさいというんだったらこれは大騒ぎになりますが、日本におきましては現行法令の協定の枠内において少しも、将来に向かってそうしたことを法律で定めるという義務も何も負っておりません。現行の協定、また国内法を改定する必要も何もございません。こういうことでございますから、我が国におきましては、あくまでも情報公開原則を貫いたということでございます。
  214. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 我が国の方が情報公開原則を貫いたということであれば、非常にいいことだと思います。  ちょっとくどいようですけれども日本には安全保障という点からの制約はない、情報公開原則だ、こう言われますが、そうすると、これから案文がつくられていく、そこででき上がる改定協定の条文では、アメリカ日本の立場が違うということが表現されることになるわけでしょうか。
  215. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 今の先生の御質問につきましては、まだどういうふうな協定案、協定をつくるかという協定体系というものがよくわかりませんので、今の時点で何とも申し上げかねると思います。しかしながら、今私どもが御説明申し上げていますような考え方、立場というのは損なわれないように配慮をしてまいりたいと思っております。
  216. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 じゃ、ちょっと具体的に聞きますけれども日米共同研究プロジェクトの同じ研究成果について、日米が違う態度をとるということであれば、アメリカでは秘密扱いにされているものが日本では公表できるということになるでしょうか。
  217. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 理論的な可能性の問題としてはそういうこともあろうかと思います。
  218. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 理論的な可能性と言われましたけれども、そうすると、実際上の実務的な可能性ではどうですか。
  219. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 実際上、例えばどういうふうな分野、プロジェクトにつきまして協力するのかがよくわからない仮定の御質問なので、何ともお答えしかねるのでございます。したがいまして、今の時点では、まことに申しわけないのですけれども、理論的には可能性があるということで御理解いただきたいと思います。
  220. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 現在、四十九ですかのプロジェクトでこの日米科学技術協定に基づいて共同研究情報交換が行われております。日米関係から見ますと、大臣が今言われましたような経過から考えてみましても、こうした共同研究というのはさらにふえていく、そういう可能性が多いと思います。  安全保障条項がこの協定に新たに加えられても、日米共同研究プロジェクトに基づく研究レポートの公表や情報交換は原則自由だ、理論的にそうだ、この公表は自由だ、日本では自由に行うことができる、このように解してよろしいんですね。
  221. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 冒頭に御説明申し上げましたように、研究成果というのは原則として公開されるべきだという、この大原則のもとでの協力活動でございます。
  222. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 外務省の方も言われますように、この大原則、それがあって、科学技術の開発、研究、応用、そうしたものが発展していくものであります。  今いろいろなところで問題になっているのは、自由な交流が規制されるのではないか、科学技術研究秘密保護の網がかぶせられ、発展を阻害されるのではないか、安全保障条項ということが出てから一斉にマスコミなどもその危惧を述べております。この点につきまして、例えば日本学術会議の近藤次郎会長も、「研究軍事、非軍事という境界はない。数学の基礎研究だといっても、それがコンピューター技術や人工知能につながり、さらに軍事技術につながる、という論理で、機密の網がかがさるようなことになっては大変だ」、こういう懸念を表明されたことが報道されておりました。  こういう中において本当に今までのようにちゃんとできるのかということをみんなが心配しているわけであります。その点は、もう規制はないんだ、この大原則に従って、この研究成果の発表もそういうことはないんだ、これは断言できるわけですか。
  223. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 私どもはこの新しい協定がむしろ日米間の協力活動の拡充なり強化につながるようにということを目的としまして交渉してまいりましたので、私どもはこの協定のもとでより一層の日米科学技術協力が行われることを期待いたしております。
  224. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そういう中で、アメリカから得た情報につきましてこの公開というものが制約を受ける可能性はいかがですか。
  225. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 先生の御質問の意味を必ずしも正確に理解しているかどうかあれでございますけれども、この科学技術協力活動と申しますのは、この協定下の協力と申しますのは、そういうものを材料なり基礎にしての協力活動ではなくて、オープンなもの、情報を基礎にしての協力活動であるので、先生御指摘のことはちょっと私どもは想定できないのでございます。
  226. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 じゃ、それはそれでいいでしょう。  結局、日本科学技術の発展、これは民主、自主、そして公開、この原則に立って進められているわけであります。この原則から離れれば真の科学技術の発展というものが阻害されるということになります。結局この安保条項というものが入ることによってそういう阻害がされるのではないかということでありますし、安保条項は絶対に入れるべきではないという意見が非常に強いように思うわけであります。科学技術研究の立場からいってこの安保条項を、確かにきょう大臣を初め心配ないんだというような趣旨お話でありますけれども、やはり多くの人が危惧をしているというのが現実であろうと思うわけであります。  これは結局政府協定ですから、国会でもその中身について審議されないまま決まるわけですから、大臣の方でこれを進めていく中において、この公開原則日本においては侵すものではないということについて確実なものにするようにしなければならないと思いますし、また、安全保障条項の新設によってこの自由を阻害するようなことになってはならないと思います。そういう点で、ひとつ大臣に、これからの協定の締結に向かっての決意をお伺いしたいと思います。
  227. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 経緯を考えますと、先ほども申しましたとおりに、我が国からもアメリカへどんどん技術者が参ります。アメリカからも我が国技術者が参りますが、やはりどういたしましてもアメリカへ行く人の方が多い。そういうような経緯もございまして、要は、アメリカの中からジャパン・パッシングの一部として、科学技術ただ乗りじゃないか、よく安保ただ乗りと言う人もいますが、そう言う人もあるわけであります。     〔戸塚委員長代理退席、前田委員長代理着席〕 決して我が国はそうじゃございません。だから、アメリカ我が国科学技術者も行くでしょうし、あなたの方もどうぞお越しください、こういうことで今後とも両国の間は親密にやっていきたい。  ましてや、今後人類のために、例えばライフサイエンスであるとか超電導であるとか、いろいろな科学の分野はそのすそ野も広げていくと思います。そうした面におきまして私たちは、やはりお互いに協力をしてやっていきましょう、決して日本はただ乗りじゃございません、大いに積極的にやりましょう、日本におきましてはあくまでも情報公開原則を守っていきます、こういうことでやっておるわけでございますから、我々といたしましてはその主義主張というものは守っていきたい、かように思っております。
  228. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 終わります。
  229. 前田武志

    ○前田委員長代理 角屋堅次郎君。
  230. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 同僚議員の質問に引き続きまして、御提案になっております在外公館名称及び位置は並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案関連をいたしまして、当面の重点的な外交諸問題について簡潔にお尋ねをしてまいりたいと思っております。  きょうは、冒頭に小渕官房長官の御出席をお願いして三点ばかりお伺いをしてから、外務大臣と外交問題について質疑を交わしたいというふうに考えておりましたが、新聞記者会見等の関係で少しくおくれるようでありますので、若干シナリオを変えまして、外務大臣から御質問を展開いたしたいと考えております。  この法案は、基本的に我々も在外公館に勤務する外務公務員の子女の教育手当の増額という点には賛成でございまして、同僚議員からも質問がございましたので、この点には深く触れません。  第一点は日ソ関係の問題から入らせていただきたいと思います。  私は、たまたま日ソ友好議員連盟の事務局長を十一年前に仰せつかりまして、同僚議員の大変な御協力を得て、石田会長に仕え、今は櫻内会長にお仕えして議員会合を一生懸命やらせていただいて、政府の外交展開というものにできるだけタイアップしながら進めるということでやっておるわけでございます。来週の二十七日に日ソ友好議員連盟の総会をやることになっておりますが、今回は、ソ日議員団会長であり、日本で言えば労働大臣に相当いたしますグラツキーさんを団長とする四名の方々が二十五日から参られまして三十日帰国されるということで、その具体的な受け入れ態勢というのを準備を進めておるわけでございます。したがって、私もソ連の方には役目柄十数回訪ソをいたしまして、いろいろ単独で参りましたりあるいは複数で参りましたり、ささやかながらも努力をしてきておるわけであります。  何といっても日本外交は、外務大臣もお述べになっておりますように、あるいは外交青書でもお触れになっておりますように、日米外交が基軸であるということについては私どもも格別に異議はございません。ただ、日米外交の展開の中身ということになると、これは当然議論が存するわけでございますけれども、国際情勢全体の中で、やはり太平洋の相向かっております、やがて来る太平洋時代ということを展望いたしましても、日米外交を基軸にして国際外交を展開するということは私ども異議のないところだと考えております。  しかし同時に、アジアに位置しております中国あるいは東南アジアの諸国、あるいは欧亜にまたがって北側に存在しておりますソ連ソ連の場合は、我が国の面積からすれば六十倍、人口からすれば約二倍、百二十六の民族から成り立っておる多民族国家である。政治体制あるいは経済体制というものに基本的な違いはありましても、やはり国際的な平和やあるいはまた国際的な政治の展開の場合には欠くことのできない重要な国であることは申し上げるまでもございません。  ことしは、いわゆる核の軍縮問題をめぐって米ソ首脳会談が八五年十一月に第一回目が行われ、八六年十月に第二回目が行われ、八七年の十二月八日から十日までホワイトハウスで第三回目の会談が行われて、INFの全廃条約というのが調印されるという画期的なことがあったわけでございますし、第四回目は、今度はモスクワで五月二十九日から六月二日までの予定で米ソ首脳会談が行われる。ここでは、予想されておりますように戦略核半減問題を中心に会談が行われる。  それが成功の方向にいくことを我々としては期待するという情勢の中で、日ソ関係の問題をどうしていくべきか。私ども秋には百五十名くらいの代表団でモスクワに行くことを想定いたしておりますし、また、日本の経済代表団も秋には相当な規模でモスクワに行くのではないか。過般アメリカの経済代表団が訪ソをしたことも御案内のとおりでありまして、そういう点で、日ソの国交改善というものに向けて、新しくベテランの宇野外務大臣が御就任になったわけでありますから、精力的な御努力が期待されるところだというふうに思っておるわけであります。  そこで、過般北海道の方へ北方領土視察にも行かれていろいろお話をされておるわけでありますが、そのお話は別として、これから日ソ外交の展開について外務大臣としてはどういう御方針で進められるのか、それをお話しを願いたいと思います。
  231. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今、角屋委員が申されましたとおり、我が国のスタンスはあくまでも西側陣営に寄ります。同時にアジア・太平洋諸国の一員でございます。こういうことでございますが、しかしやはりソ連は大切な隣人であるということだけは常に私たちは考えておかなければなりません。本来ならば、さらに経済協力、文化協力、スポーツ協力、いろいろな協力があると思いますが、それを深めるためには平和条約が一番適切であろう。残念にしてその前に私たちは、四島のまだ不法占拠がある、これだけは解決したい、こういうふうな前提を有しております。  しかしながら、いろいろな問題におきまして日ソ間には改善すべき点は多々ございます。そうしたことを一つ一つ両国努力によって改善しようではないか、これが私たちの考え方でございまして、現に経済界におきましても、ことしの一月、日ソ、ソ日の会議が行われました。そのときも来られました方々の一部と私たちもお目にかかったりいろいろと会話をしつつ改善を図っておるところでございます。  したがいまして、現在は米ソ間におきまして既に、米国の非常な努力ソ連努力されたと思いますが、直接レーガンさんにお目にかかりシュルツさんにお目にかかりますと、米ソ間の緊張緩和というふうな意味で努力しました、ブレジネフに始まってアンドロポフ、チェルネンコといった指導者とも話をして、やっとゴルバチョフさんの時代に対話ができるようになってほっとしているのだよというふうなことでございます。去る十二月八日には一応INFのグローバル・ゼロというものの全面的な合意ができまして、今後お互いに査察をしながらひとつ世界の平和の第一歩を踏み出そう、これは私たちは核軍縮の第一歩として高く評価いたしておりますが、続いて、今いろいろと御指摘になられましたような面で、モスクワで首脳間同士としては第四回目の会談が行われます。  私たちはひたすらその成功をお祈りしておるわけですが、成功するもせぬも、アメリカ努力というものを西側陣営が支援いたしまして、結束を固めて、そしてソ連に対しましても、私たちはこれだけ結束をしてこういう問題の解決に当たっておるのだ、あなたもひとつ頑張ってくださいよという意味の交渉が続いてなされるということでございますから、そうした面におきましても、私たちは、米ソ両国に対するところの御努力に敬意を表しつつ、よき結果を得られるように期待しておる、そうしたことで両国関係をひたすらよい方向に持っていきたいと思っております。  もちろんその中には、私といたしましては、議員の先生方もソ連側における最高会議の首脳の方方との交流も深めていただきたいし、また、シュワルナゼ外相の来日ということを期待いたしまして、そうした外相定期会談を通じて日ソ間の改善を図っていきたい。  今のところ、これが私たちの対ソ外交の大体のあらましであります。
  232. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 米ソ首脳会談というもののINF条約の成功、あるいは最近におきます米ソがバックアップした形のアフガン、パキスタン、この両国を含めたいわゆるアフガン問題の平和合意というものを通じて、国際的にも、あるいは外務大臣も御同感の面があろうかと思いますが、新たに登場いたしましたゴルバチョフ書記長というのは、歴代のソ連側のリーダーとは少し違いまして、国際政治の舞台でも、従来の基本的性格というものに変更があるかどうかという論議よりも、具体的な平和や安全や、あるいは人種問題や経済問題やいろいろな問題で積極的に東西の扉を開いていこう、緊急の問題の解決をやろう、こういう積極的な姿勢を持っておるというふうに私は受けとめておるわけでありますが、外務大臣はいかがでござしましょうか。
  233. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先ほど米首脳の話をしましたが、いろいろな問題がゴルバチョフ書記長の出現によって話ができるようになった、これは一つの感想でございます。私も、ゴルバチョフ書記長という人は、そうした面では、政策面では非常にダイナミックな政策を持っている人ではなかろうか、こういうふうに考えております。  現にソ連内におきましては、グラスノスチ、いわゆる情報公開であるとか、あるいはまたペレストロイカ、つまり世直しであるとか、いろいろなことを国内において行って、いろいろ問題が出ておりますが、やはりこの間のアフガンのソ連軍の撤兵、恐らくオーソドックスな保守派の人たちがある程度これに対して批判的であるのではないかなと思っておりましたが、断固として自分の主張を曲げずに、そして米国との合意を得た、またアフガンさらにはパキスタンとの合意を得た等々のことを考えますと、ゴルバチョフ書記長は確かに今までの指導者とは異なるところあり、よって私たちもそのような見方において対ソ問題は対処していきたいものである、こう考えています。
  234. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 米ソ首脳会談が五月の末にモスクワで行われるわけです。レーガン大統領は二選で終わり、だんだん国内政治の舞台では力量は低下せざるを得ぬ、こういう状況に置かれている。ソ連のゴルバチョフ書記長の場合は五十七歳ということでありますから、政局が安定しておりますれば相当長期にわたって政権を担当していくという、そういうゆとりを持っておられるわけであります。アメリカでは大統領選挙が行われて、その帰趨いかんということを外務大臣にお尋ねするわけにはまいりませんけれども、そういった状況から見ますと、やはり腰を据えて日ソ問題に取り組んでいくという姿勢は、外務省としても必要でありましょうし、また、議員外交を展開する我々としても、そういう視点から構えて努力をしていかなければならぬという判断をいたしておるわけであります。  ゴルバチョフ書記長になってから、ペレストロイカとかあるいは情報公開ということを積極的に言っています。去年、櫻内代表団でソ連の首脳部に会ったときに、どなたにお会いしても話の半分以上はペレストロイカの話。私は、ソ連の政治局員のウォートロニコフとお会いしたときに、北方領土問題について話をしなければならぬ、こう思っておりましたら、延々ペレストロイカ問題が続くものだから、外交的には非礼でありましたけれども、その話は適当なところで打ち切ってもらいたい、話の時間のゆとりをもらいたいというふうなことを我々から言って、北方領土問題の話を展開したことがございます。  しかほどさように、やはりソ連経済の立て直しというところで、ヨーロッパあるいは日本等も含めて、合弁等の協力も得ながら経済改革をやりたいという熱意は非常なものだというふうに受けとめておるわけであります。ヨーロッパ諸国のこれらに対する対応から見ると日本は極めて消極的である。二、三のものについては非常に苦労しながら既にスタートしたところもございますけれども日本政府あるいは通産省、外務省というところの構えが慎重かつ消極的ということも恐らく大きく影響しておるかと思うのであります。その点ではもっと積極的に取り組んでいいのではないか、こういうふうに私自身考えるわけでありまして、やはり日ソの関係においては有無相通じた形でお互いの経済の発展を図っていくという姿勢が基本的にあっていいのではないか、それは政治体制の問題とは違うであろうというふうに思うのでありますが、いかがでございますか。
  235. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そうした角屋委員の評価というものも私たちは当然あってしかるべきだ、かように感じますが、今まで日ソ間におきましては、ややもいたしますると言葉だけで終わったというふうなことが間々ございますから、こうした面に関しましても、今度は体制が変わっただろう、恐らくシェワルナゼ外相の思考も、あるいはまたゴルバチョフ書記長の思考も同じであって、変わった、ソ連は本当に変わりましたよというような体制になろうとしておられる努力はよくわかります。だから私たちも機敏にそうしたダイナミックな政策に対応するよう努力をいたしたい、こういうことでございます。  そこはもう間違いないわけでございますが、さらに積極的ということになりますと、経済等々におきましてはややもすれば政経分離でどうだというような話なんかになってまいりますが、やはり我が国といたしましては無原則な政経分離というものには賛成しかねますよ、そうなりますと、ちょっと紙一枚隔てるようなところがあるかもしれませんが、我が国我が国といたしまして十二分にそうした面における理解を深めながら対ソ外交というものは積極的に推進していきますよ、私はこの間も申し上げたところであります。
  236. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私も国会に出てきてからこれで三十年を迎えるわけですけれども、歴代内閣、あるいは私が出てくる以前からの戦後内閣というものを見ておりますと、対アメリカ関係は非常に大切にして、随分無理な注文だなと思うようなことでも、ひざを屈する姿勢でと私は言いたいのだけれども、大体そういうことでこれを受け入れるという形が対アメリカ関係の外交ではあったと私は思うのであります。ところが対ソ外交を進めるときには、一面では、アメリカとの関係あるいはアメリカの意向からはみ出さないだろうかといったような気持ちが絶えず潜在的意識の中にあるというふうに私は見ておるのであります。  ソ連に限りません。私は、歴史的検証はできないと思うのでありますけれども、いわゆる石橋内閣が登場したとき、数カ月後に石橋さんは病気になった。本来ならば総理大臣代理を置いて、そして病気が回復してからさらに政治を続けられたらいいと思うのだけれども、非常に模範的な政権のバトンタッチというふうに言われたが、石橋内閣はあの当時としては政治的にアメリカとの関係では熟していなかった。日中の国交回復を積極的にやるということを石橋さんは打ち出した、アメリカはそれに対して歓迎しないというふうな報道その他が出てきた。それがやはり関連をしているのじゃないかという感じがする。  ロッキード問題で結局政治的に挫折をすることになりました田中元総理の問題を考えても、日中の問題を解決してさらに日ソ問題へということで乗り出す、あるいは資源外交で東南アジアその他に乗り出していく。アメリカの政治判断からすれば、田中総理の外交展開というものは、勇み足というよりも少しく先に行き過ぎていっているのじゃないか。何もロッキード事件をもって政治的に刺したとまでは言いませんけれども、そういう感じを持つわけであります。  鈴木総理は、二期目はまだやれるんだろうというふうに思っておりましたら、突如引退をされるということで、中曽根さんにすれば待ちに待った政権のバトンタッチということになったのです。鈴木さん自身から聞いておりませんけれども、伊東外務大臣の罷免というところまでに発展したいわゆる日米の首脳会談を通じての取り扱いというものについてアメリカとのきしみがあった、なかなかこれが打開できないといったようなことがみずから辞任をすることになる背景の一つにあったんじゃないかという感じがするわけであります。  中曽根さんが登場したとき、これは非常に危険な性格の一面がある人物じゃないか、アメリカがこう受けとめたんじゃないかという感じがしておるわけです。ところが中曽根さんはそういう点では政治に非常に鋭敏なところがありますから、我々から見たら問題発言でありますけれども、レ―ガンさんが歓迎するような日本列島不沈空母論、日米運命共同体、三海峡封鎖というようなことを言うものだから、アメリカとしてはこれはなかなかいい総理が登場したということでロン・ヤス関係というふうなことを言うような形になってしまったのじゃないか。  これは歴史的な検証をもって言っているわけではございません。日米外交は我が国の外交の基軸であるということは私自身も認めていいことだと思いますけれども、一から十まで日本の主体的な外交というものを喪失する形でアメリカの御意向を中心にしながら行くということでは、これは日本の外交の主体的な展開はないはずである、そういうふうに私は思うのです。  竹下さん、私と国会同期生でありますけれども、内政は非常に得意である、外交は不得手である、そんなことを言われてはいかぬというので盛んに今動いておる。これからも総理日程で動こうとしておる。ところが、冒頭に取り上げました日ソの国交改善の問題というようなことは、これは西側をまず固めて、来年の問題にしようかというようなことを竹下さん自身考えているんじゃないか。先ほどお話のありましたように、ゴルバチョフ書記長の訪日というのは中曽根さんは非常な熱意を持って、そして倉成さんを使って早く来るようにということで盛んにやられた。中曽根さんの五年間の政治としては功罪相半ばすると思うのでありますけれども、ゴルバチョフ書記長と中曽根総理が渡り合ったら問題の打開に少しプラスになったかなという期待もないことはなかった。  そういう点で、今事務レベル協議を日ソでこれからやっていく、あるいはさらにシェワルナゼ外相日本に来てもらって定期協議をやる、そういう点で、もっと竹下総理にも望みたいのだけれども宇野外務大臣自身も、相手は大体長期政権のゴルバチョフ書記長が存在しておる、じっくり構えた形で懸案の領土問題も解決していくという積極的な姿勢が望まれるのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  237. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 石橋内閣、不幸にして六十九日目に倒れたわけですが、前任者の鳩山内閣で日ソ間における戦争状態終結というふうなことが、画期的に、歴史的になされまして、そして今日に至っておることは事実でございます。また、鈴木総理の時代に共同コミュニケを通じまして日米間にいろいろときしみが出たということも事実ですが、中曽根総理のときにその日米間をうまく調整をされたということも事実であります。竹下総理と中曽根総理との性格も、あるいはまたあらゆる面におきましてもそれぞれ特色があってよいと思っておりますが、竹下総理は、総理としての竹下・レーガン会談は成功した、再び日米基軸という大きな基盤はでき上がった、私はこう見ております。  しからば当然ソ連に対しましても、やはり東西間の問題として日本はもっと積極的に動け、今角屋委員のお説も非常に大切な御意見だ、私はこういうふうに拝聴いたしておりました。私も、できることなら竹下・ゴルバチョフ会談というものを早急に実現さしたい、かように思っておる次第でございます。  外交というものはやはりいろいろしきたり等々もこれあり、これは単に日本だけではなくして東西においてもさようでございますが、我が国総理は、鳩山総理、田中総理鈴木総理並びに中曽根総理が訪ソされたという一つの歴史がございます。  特に中曽根総理の場合には、御承知の、チェルネンコ書記長が亡くなられたときにお行きになって、そのときにゴルバチョフ書記長が誕生というような歴史的な幕だった。しかし弔意を表する日本の順番は非常に後ろの方だった。これもまた、社会主義の国ですから社会主義から順番にどうぞということになるのでしょうが、持ち前の心臓によりまして、単に弔意を表するだけではなく、ゴルバチョフ書記長の手をしっかりと握り締めて、ゴルバチョフさんも英語ができますから、そこで、お互いにあしたぜひとも二人の会談をやりたい、どうですか、イエスかノーかぐらいの、四分間握っていたといいますよ、それぐらいの心臓において中曽根・ゴルバチョフ会談は実現した。  こういう行為を考えてまいりますと、私もゴルバチョフ書記長に、四回も我が国は行っているのですから、あなたも一回いらっしゃい、口先だけで日ソは仲よくしましょうと言ってもらったって、私はここを実は言うわけで、そのためにぜひとも日本へやってきてください、これも就任以来やかましく言っております。そのおぜん立てはやはり外務大臣同士がしなくてはならないでございましょう、だから外務大臣のシェワルナゼさんも早く来なさい、ということは外相定期協議はことしは東京でやる番だ、こういうふうになっておるわけでございます。これに関しましては、ソ連からロガチョフさんというのとアダミシンという二人のバイスミニスターが来ておりますが、この方々が、ソ連外相は東京で日ソ外相協議をするということをきちっと知っておりますから、ことしじゅうには来られましょうが、現在は米ソの首脳が会うことで精いっぱいでございますのでというお話ですから、米ソ会談も大切な会談でありますから私は静かに待たしておりますが、しかしそれでは到底積極外交ということになりませんから、ことしの前半に外相定期協議が開かれるように前もって次官クラスの協議を開かせていただきたい、開きたい、こういうような意思表示をしておるというのが現状であります。
  238. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 竹下総理の本年の日程を見ましても、あるいは宇野外務大臣のこれからの日程を見ましても、サミットその他の同行は別として、いろいろプログラムを組んでおられる。  アフガン問題が和平合意になったわけですけれどもマスコミを通じての外務大臣談話の報道によれば、とにかくパキスタンに国際会議のあるときを契機に飛びたい、できればアフガンにも行きたい、こういう対話をされておりますね。これは報道承知しておるわけでありまして、外務大臣がそういうお話をされたかどうかというのはつまびらかにいたしませんけれども
  239. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 御承知のウルグアイ・ラウンドというものが始まっております。そしてここでは、きのうも田村通産大臣が四極でいろいろと話をしておられるような問題が議論され、またその分野に加えられる、こう思っております。中間レビューは恐らく年末、カナダにおいて開きましょうということは去年私が行ったときに決まっておりますからカナダで年末に行われると思いますが、その中間においてパキスタンにおいてぜひともいろいろと協議をしようじゃございませんか、ついては外務大臣、お越しくださいというふうな招請を受けておるわけでございます。  当然ウルグアイ・ラウンドは、農業問題なりサービスなり知的所有権なり、いっぱいございますから、やはり出まして、九十五カ国参加国があるわけで、ガットは総会とかあるいはまた理事会というような、もう全部が理事会でございまして、だれでも参加したら理事会だ、こういうことでございますので、国連のように、いや何カ国が理事国だということはありません。そんなことでございますから、ぜひとも出まして、大いに我が国の立場も主張いたしたい。そのときに記者会見でそういう話を申しましたら、記者の方々から、パキスタンとアフガン問題とは切っても切れないから、アフガンへお入りになるのか、こういうお話でございました。  しかし、そのときのアフガンのいわゆる国内情勢がどうなっておるか、難民がスムーズに帰っておられるか、ゲリラもほこをおさめて帰っておるか、ソ連もまたほこをおさめて整々と撤兵しておるか、さらに一番問題は、アフガンの国民が民族自決として自分たちの好む政権がそのとき誕生しているか、しておらないか、そういうことによっていろいろまた情勢が変わるだろう。だから、今から私が、パキスタンへ行ったからアフガンに必ず入らなければならぬと言うと、ちょっと見通しとしては困難な事情があるので、パキスタンに行くということだけでひとつ御理解を賜りたいというのが、この間の記者会見趣旨であります。
  240. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 宇野外務大臣は、今までに通産大臣もやられ、あるいは防衛庁長官もやられ、科学技術庁長官もやられ、政治の舞台では練達の士なんですね。同期の安倍外務大臣は非常に行動派で随分各国を回られた。同じく同期だけれども、倉成さんは非常に学究肌の人だから、必要なところへ行かれたけれども着実な外交展開というのをやられておったですね。  宇野さんは、口八丁手八丁で、口が一言二言多い、そういう批判もありますけれども、やはり行動的な外交展開ということを考える必要があるのじゃないか。アメリカのシュルツ国務長官というのは何歳の人か知りませんけれども、あの老体をひっ提げて随分危険なところへも飛び込んでいって、そして地域紛争問題、なかなか解いても解けないような難しい問題の現地に飛び込んで、そしてやっておられますね。こういうシュルツ外交という点に宇野外務大臣としては学んだ行動というのをとる必要があるのじゃないか、こういうふうに思います。  中曽根さんのときでも、官邸外交なんというようなことで、安倍さんは迂回戦術も時にはやりながらやっていましたけれども、今の竹下さんも、とにかく建設関係の参入問題では、官邸外交で小沢さん派遣というので、結構外務大臣で十分こなせると思うのだけれども。中国問題になると、これは、中国で鄧小平さんに今度が六回目、訪中が今度で十一回目という、同じ古巣の農林畑の伊東総務会長が行っておられますね。何か、宇野さんは非常に有能であり行動的なんだけれども、時には少しずつ戦列から外される、そういう状態に置かれているのじゃないかという感じが率直に言ってしなくもないですね。  これは、外交権を持っておる直接責任の外務大臣だから、必要なところへは積極的に飛び込んで問題を推進するとか打開を図る、そういう姿勢が基本的に必要だと思いますね。そういう点ではシュルツさんの外交展開というのに学ぶ必要があるのではないですか。
  241. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 非常に激励のお言葉を賜りまして、ありがとうございます。一言多いとちょいちょい人が言いますが、多かったら失言ということになりますが、私は失言したことありませんので、堅実過ぎると言われて、もっと冒険的な話をせよと言う人の方が最近多くなってまいりました。今の角屋委員の、一期先輩でございますから、先輩として私に与えられた言葉は非常に大切な言葉だと思います。  アメリカは、シュルツさん一生懸命やっております。日本経済大国でございますから、軍事大国にはなりませんが、やはり外交面では、「世界に開かれ、貢献する日本」というだけではなくして、やはり平和に貢献するという意味で、アフガン問題にも相当、もう既にして栗山外審なんかを派遣したのです。本来ならば私が行きたいのでございますが、我が国はやはり国会という大切な場がございますから、したがいまして体を拘束されている面が多々ございます。  しかしながら、中国はもう既に新しい陣容ができまして、向こうからぜひとも早く来てほしいということですべて日程は整っておりまして、五月の初旬に私は中国に参ります。続きまして、NICSという問題もございますから、韓国へ行きましたし、あるいはまた、香港、さらにはシンガポールにも参ります。ASEANが大変でございますから、したがいまして、フィリピンが終わりましたが、マレーシアとかインドネシアとかブルネイとか、そうしたところを回りまして、一応東南アジアは大体終わるのじゃなかろうか、かように思いますので、あとは、もし議会がスムーズにすべてが終わりましてひとつ休会というようなことが来ましたならば、安倍さんとか倉成さんもそういうときを利用して地球を走り回ったというわけでございますので、私もOECDを初め、さらには南米、もういっぱい会議がございますから、ほとんど顔を出して、そして我が国の期待にこたえていきたい、かように思っております。
  242. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 小渕官房長官、御苦労さんでございます。記者会見でおくれましたので、冒頭に小渕官房長官から済まして、それから外務大臣の方にいくと話が非常に進みやすかったのですけれども、この際、小渕官房長官が御出席になりましたので、御連絡申し上げてあると思いますが、三点の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  その一つは、ガットにかかわる牛肉、オレンジ問題であります。それから二番目は、日本にあります外国大使館の所有地等の売却、あるいは地価高騰に対応します、大使館をみずから持たない国国が連合して外務大臣に去年の暮れに御要請をして、いまだ必ずしも解決策かくかくしかじかということの見えていない、そういう問題。それから、これから二十一世紀を展望しながら我が国の外交を展開していくためには、人材の養成ということはもちろん必要でございますけれども、やはり我が国外交実施体制を強化するといったような諸問題について、小渕官房長官にお尋ねをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  まず第一は、大詰めに来ております牛肉、オレンジ問題であります。これは、総理自身が四月二十九日からヨーロッパに飛ばれる、その前にはっきりした、内閣として与党も加えた一体の方針を決めたい、そして、その方針に基づいて恐らく佐藤農林水産大臣が訪米してやろうというのが、政府の、官邸筋の御方針ではなかろうかというふうに思うわけであります。官邸筋というのは表現が少しまずいのですが、政府首脳部の考え方ではなかろうか。私は、基本的にはこの考え方に必ずしも同調しないのであります。しかし、時間の関係もありまして、それについていろいろ並べるという時間的なゆとりはございません。  過般来、農林水産省の機構改革で新しく審議官になられました眞木さんを初め農林水産省の三局長が行って、その状況は政府にも伝えられ、与党にも伝えられ、しからば大詰めこれでどうするかというところへ来ておることは私どもとしても承知しておるわけであります。しかし、冷静に考えてみて、我が国農業は、小渕官房長官あるいは外務大臣も十分御認識のように、米、畜産、果樹そして蔬菜園芸といったようなものを柱として成り立っておるわけです。このうちの果樹のうちでオレンジ、あるいは畜産のうちの柱になる牛肉、さらにヤイター・アメリカ通商代表部代表はカナダの四極通商会議においては、牛肉、オレンジどころか、報道の伝えるところでは次は米だというようなことまで言ってくるという状態なんですね。  外交上のことがありまして、ヤイターさんに私はちょっと一言皮肉って言いたい言葉があるのだけれども、これは控えます。これを言うと中曽根総理の知的水準発言に関連して言われてもどうかと思いますし、非常に重要な時期でありますから、そういうマイナス的なことは控えた方がいいと思いますので言いませんけれども、どうでございましょう、今週中にもいわゆる自由化を受け入れるという前提で政府・与党をまとめられて、佐藤農林水産大臣訪米ということになるのでございましょうか、その辺のところのただいまの情勢について、あるいはお考えについてお伺いをいたしたいと思います。
  243. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 まず、遅参をいたしましたことを深くおわび申し上げます。  それから、いわゆるこの牛肉、オレンジ問題につきまして、議会側におかれましても種々御心配をいただいておりますし、また御激励もちょうだいいたしておりますこと、直接の二国間の交渉を担当いたしております政府といたしましてもありがたくちょうだいをいたしておるところでございます。  そこで、今、角屋委員御指摘の、政府として現時点でどういうことを考えているかということでございますが、いろいろ報道もされておりますが、基本的には政府といたしましては、現下、この問題について佐藤農水大臣がせっかく二国間の話し合いの総責任者として非常な決意を持って対応しておるところでございまして、残念ながら先月末のワシントンでの交渉は成立をいたしませんでしたが、その後我が方から三局長が再度訪米をいたしまして話し合いを進めてまいりました。昨晩はアメリカ側からスミスUSTRの次席が参りまして、今日なお政府間の話し合いを継続中でございます。よって、いろいろ日程も報道機関を通じましてお話にありましたように官邸筋その他ということで出てはおりますが、現在は二国間の話し合いによって何としてもこの問題は決着を見たいということで、全力を挙げて今その打開に相努めておるというのが現在の状況でありまして、巷間言われておりますようないろいろ日程上の問題につきましては、まだ決定しておるとかなんとかいう問題ではありません。  ただ、昨日政府・与党の定例の会議がございました折、この問題については与党としても重大な問題として取り組んでおるということで安倍幹事長からお話があり、また政府側といたしましても、総裁であり総理である竹下総理から、官房長官政府側としてせっかくの農水大臣交渉事に対してバックアップせよ、こういう御指示がございましたので、今、党とも御相談をしながら佐藤農水大臣交渉を見守っておる、こういう状況でございます。
  244. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今日国民の前にも大きくクローズアップしておりますガットという問題、これは本来は、私、法制的には専門家でありませんけれども、いろいろ勉強してみると、何のことはない、アメリカは議会ではガットを条約としては批准してないということなんですね。行政府がいわば行政協定的に取り扱っておるのであって、アメリカのヤイター通商代表部代表はガットの舞台でもあるいは四極通商会議でも大きな顔をしてしゃべっているけれども、ガットはアメリカ議会では反対があって批准してないのですね。こういう状態で来ている。  そして、アメリカの憲法と条約との関係、こういうものをいろいろ調べてみると、調べ上げてはおりませんけれども、合衆国憲法第六条二項に、条約は各州の憲法及び法律優先する旨の規定がある。しかし、条約と連邦法律との関係については同格、あるいはその後の判例からいうと、後から出てきた国内法優先をする、そういう判例も出ておるというようなことなんです。  だから、包括通商法案とかスーパー三〇一条とか四極でも、日本のみならずほかでもいろいろ文句が出る、あるいはガットの舞台でも言いたいことは山ほどあると日本も思うだろうしあるいは諸外国も思うのだろうけれども日本のこの間の十二品目の問題については、これは日本の問題としては了承する、ただこれが我々の側にまで関連してくる場合にはその態度は留保すると言っておることがたくさんあるのですね。  一体我々がガット体制という中で、日本は経済的には一番恩恵を受けてきたと政府はよく言うのだけれども、しかし一体ガット体制というのは盤石か、ニューラウンドに向けての新しいガットの行き方をどうすべきかということが議論されておる。むしろ、今十二品目の問題とかあるいは牛肉、オレンジ問題というのは、それぞれの国の農業の実態というものに配慮しながら、一体どういう自由化をやるかという態度が農業サイドにおいては必要であるというのが私の基本認識だけれども、そういう問題も含めて、ニューラウンドで本来日本の重要な問題については議論を回すべきだ。  それをアメリカが突っ込んできて突っ込んできて、もうニューラウンドどころでないという事態になっておる。アメリカ自身はガットは議会では批准をしてない。したがって、条約と連邦議会の法律関係においては同格である、国内法が新しく生まれてくれば優先するという考え方で、これでは国際貿易の関係のルールに相反するような行動が出てきても、アメリカの趨勢としてはそういうことが出てくるわけですね。各国の反対を招いている。今度の半導体のいわゆるガットでクロに出た問題、ヤイターさんは、私の方にはガット上問題はない、日本の方が知恵を働かせて考えろというようなことを言っておる。全く何というのか、高圧的な態度というのか、高飛車的な態度というのか、あるいは不遜な態度というのか、これは憲法と条約の問題にも関連してくる。  議会を考えれば、今レーガン大統領自身は、民主党の方が上院、下院とも多くて与党勢力は少数である、しかもやがてやめていかなければならぬ時期を迎えておる、だから本来大統領自身の権限のあるものを、包括通商法案等では通商代表部代表に渡そうかというような議論さえ出ているという状況である、これを一体どう考えますか。
  245. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ガットが戦後四十年ちょうどたちまして、昨年その四十周年記念をやりました。しかしながら、最初は物と貿易と関税だけだったのですが、物の移動ということについてはサービスがあるとかあるいは知的所有権があるとか、だんだんとその分野が広がったことは事実でございます。そうした中において、科学技術の進展なり商品の新開発なりというようなことで、それぞれECはECでぶつかる、ECとアメリカがぶつかる、日本アメリカがぶつかる、そういうふうなことがもう世界の全地域において出ておるわけでございます。したがいまして、ニューラウンドにおいてそうしたガットの基本的な問題もぜひとも各国が意見を出し合って整理整とんをするべきときが来た、これが今御指摘のニューラウンドということでございますから、私たちもそれでひとつ頑張らなくてはならないと思っております。  なおかつ、アメリカの議会と政府は今おっしゃるような関係にあります。我が国におきましては議院内閣制でございますから、私も閣僚をやめたら皆さん方の方に座るわけで、そうしたようなことで言うならば議会と内閣が激しく対決するということはございません。しかし、大統領制になりますと、行政府と立法府の対決というものは各国におきましても間々見られるところでございます。  しかし、現在のレーガン政権そのものとしましては非常に慎重に、我が国に対しましても、日米の基軸であるということと、貿易摩擦等々においても変なところでがたがたしておっては、縮小均衡では何にもならない、拡大均衡だと竹下総理がおっしゃいましたが、もっとも、そうだということで現在進んでおります。したがいまして、三〇一条だとか包括貿易法案だとか、これはしばしば私たちも国会で申し上げまするとおりに、甚だもってこうした法案は世界の自由貿易主義に逆行するところの方途ではないか。たとえ包括貿易法案そのものが議会においては成立したとしましても、大統領は拒否権をもって臨むのだ、こう言っていただいておるということもございます。  だから、アメリカのいろいろな話の中にはそうした行政府対議会という問題もございますし、行政府の中におきましても、大統領府におられるところのUSTRの話し方と、省なら省の責任者の話し方はまた違う面もあります。一人一人顔が変われば発言も変わる、考え方も変わるんだなと言いながら、私たちは今日いろいろな問題を一つ一つ固めていきたい、こういうことでございますから、ひとつそういうふうに御理解賜りたいと思います。
  246. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 当面の牛肉、オレンジ問題あるいはヤイターさんの言っておる米の問題、あるいは我が国の農政の基本から一体どう考えるか、ガット体制とは何ぞやという問題も含めて議論したいことは山ほどございますけれども、ただ、こいねがわくは、この問題についても、日本の主体的条件においてい関係の農林漁業者も含めて、なるほどそうせざるを得ないかという、そういう上に立った措置が強く望まれるものであって、日米関係においては貿易黒字が六百億ドルぐらいある、日米安保条約でアメリカとは関係が深い、この二つを念頭に置いて、農業や、あるいは場合によると漁業や林業を犠牲にするような対応は断じてあってはいけないというふうに強く要請しておきたいと思います。  第二点は、これも官房長官の方にお伺いしたいわけでありますけれども、外国公館の用地の一部売り出しということですが、中国大使館の話が出たりオーストラリア大使館の話が出たりしておるわけです。既に大使館を閉じて北京の方に行った国もある。この点については、外国公館建設推進協議会というのが去年の十二月二十二日に「外務大臣宇野宗佑閣下」ということで、「会員」「援助」「会議参加国」を含めて五十九カ国になりますか、その方から、日本の地価高騰の中でとてもじゃないが大使館の運営上に重大な支障を来しておる、考えてもらいたいということで強い要請が来ております。  その要請の一部を見ますと、   東京は世界一物価の高い国とされていますが、外交団維持運営費用の急増は、近年、在本邦大使館にとって、批判の対象どころか、限界の域にさえ達しております。   東京に於いて事務所・住居及び関連施設を賃貸する大使館の約三分の二は、不動産価格の急騰による家賃の高騰に苦しんでいます。これは、USドルに対する円高、さらには多くの関連大使館の通貨に対する急激な円高によるもので、その率が一〇〇%に達した例すらあります。   このような背景の中で、外交団としての基本的機能を果たし、日本との関係を促進することが極めて難しくなっている大使館は少なくありません。外交及び事務要員を大幅に削減し、外交団の予算を切り詰めた大使館もあれば、又、近隣諸国への移転を検討中の大使館もあります。実際、東京の大使館を全面的に閉鎖せざるを得なかった国が少なくとも一つはありました。   こうした事態の悪化を防ぎ、ウィーン条約における外交関係につき謳っている第二十一条の精神に基づいて、この深刻な問題を解決すべく、゛外国公館建設推進協議会″が、在京の多数の大使館によって、最近結成されました。当協議会は、日本政府並びに東京都に対し、都内に於いて、外国公館等関連施設建設用地を格安に提供するよう、要望するものであります。 以下云々というふうに、非常に深刻な事態にあって、この打開を日本政府に求めてきておるわけであります。  私は先ほどちょっと田中元総理の話を引用しましたが、恐らく田中元総理とかかつての河野一郎さんという方だったら――河野一郎さんは東京の水不足のときに建設大臣でばりっとやりましたね。国際的に日本経済大国だとか最大の債権国だとか口では威張っておるのだけれども、こういう問題は、外交展開のためには、他国ではお世話になるのだから、日本で非常に悪条件にあればこれをてきぱきとやっていく具体的措置が出てこなければならぬはずなんです。外務大臣も非常に苦労してやっておられるし、国土庁もいろいろやっておられるが、これは内閣全体としてどうするかということだと思うのだけれども、小渕官房長官、いかがですか。
  247. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ただいまの御指摘のように、外国公館がそれを維持運営していく上でまことに危機的状況であるということにつきましては、十分承知をいたしておるつもりでございます。そういう意味で、政府といたしましても極めて緊急かつ重大な問題との認識のもとで、現在、外務省においていかなる協力を行うことができるか具体的な研究を行っておることを承知いたしております。  本件の重要性にかんがみまして、その研究結果が得られました際には、同成果を踏まえ、適切かつ可能な解決に向けて政府全体として最善の努力を払ってまいる所存でございます。御指摘にありましたように、以前の政治家のお名前をお挙げいただきましたが、事は慎重に対処しておりますが、事を行うことにおいては、研究結果が生まれました以上、果敢に政府全体として対処してまいりたいと思っております。
  248. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほどの質問展開の中で、留学生問題に対する閣僚懇談会ができるというお話がございましたが、これも外交面では非常に重要な問題ですよ。だから、そういう議論をするときに、留学生問題だけではなしに、今緊急の問題になっておるこの問題を外務大臣から提起して、全体的にどうするか。奥野国土庁長官は土地対策特別委員会の国会審議の中で、東京首都圏にある出先が移転していったらその後、そんな悠長なこと言っておられませんよ。まず国有地なりなんなりでできるところから具体的に着手するぐらい積極果敢なプログラムでやってくださいよ。これを強く望んでおきます。  それから、次は三番目の問題で、我が国外交実施体制の強化についてでありますが、これは広瀬さんもやられたし、各委員それぞれやってこられました。それから、従来もこの法案が議論されるときに我々もやってまいりました。そして当内閣委員会にはちゃんと在外公館問題で小委員会がございまして、この点では党派を超えて大体共通項があって、我々もやってきておるつもりなんです。  昭和五十四年から外務省我が国外交実施体制の強化ということで、いわゆるインド並み、イタリア並みでということで五千人体制と言ってきました。各国の人数は詳しくは申し上げませんけれども昭和六十二年九月の場合にアメリカが一万六千三百二、英国が八千二百二十二、フランスが七千三百五十、西独が六千三百六十二、イタリアが四千九百六十六、この時点では日本は四千六十、五十四年から六十二年までの間に六百六十名ようやく増員したのです。これは行革の関連もあって、いろいろそれなりの理由はあると私も思うのだけれども、二十一世紀を展望して我が国の外交実施体制というものを強化するためには――行革で減員があるものだから、定員増はあるけれども三けた台にならないのです。だからこの九年間で六百六十ということになる。  私から言わせれば、百五十の純増で二十一世紀の初頭には六千人体制というのをつくる新たなプログラムを外務省としては出して、広瀬さんが言っておったけれども西ドイツは六千三百だからそこにはちょっと及ばぬけれども、六千人体制というものを二十一世紀の初頭にはきちっと確立する必要がある。  これは、外交案件が増大する、国際的な外交展開が極めて多いということがある。経済協力面でもやはり日本が果たすべき政府開発援助とかいうものを増大しなければならない、そういうものの件数もふえている、関係機関もあるけれども、やはり外務省としてやらなければならぬ役割も多い。そこへ海外に進出する企業というのはどんどんふえていくという傾向にある、それの対応も考えなければならぬだろう。それから、海外に対する渡航者というのもどんどんふえてくるということがある。また同時に、二十一世紀初頭には日本に対する留学生は十万人体制をとろうと言う。外務省は出すときと帰ってくるときと言うけれども、ここにおるときだって、文部省が責任だけれども関連はありますよ。  そういうことをいろいろ考えてまいりますと、五千人体制のプログラムは二十一世紀初頭には六千人体制ということに当然やらなければならぬ、これは与野党に余り大きな懸隔はないと私は思うのであります。それをやって体制をつくる。人材もその中に投入する。そしてしっかりした体制我が国の外交を展開する。官邸外交なんというのは要らぬくらいの体制をつくってぜひやってもらいたいと思います。いかがですか、小渕官房長官。まず外務大臣から。
  249. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今、少数精鋭で頑張らせておりますが、しかし角屋委員から激励をしていただいたようなことが、本来の外交の姿から申せば一番望ましいことではないか、私はかように考えております。  ただ、御承知のとおりに財政再建中とか行革中とかいうふうな手かせ足かせがございます。そうした中で、担当関係省はいろいろ面倒を見ていてくれるということもございますので、今後私は今仰せられたような線でやっていきたいと思います。ただ、今五千名体制ではどうかなと私も思いますが、一応立てた方針でございます。それは充実するのにまだ千名足りないというような状態であります。私の体験からすれば、かつて外務省の定員が少ないというときに、行管庁長官のときに、米の検査員が二万人余っておられました。だからそこから回したらどうだというので若干回しました。そういうふうにして、政府部内で余ったところと足りないところ、そういうふうな知恵も今後も働かせていきたい、さように思っております。
  250. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 委員の御所説に反論するもの何物もありません。今外務大臣が申されましたが、歴代の外務大臣もこの問題につきましては非常に熱心にその増員のためにも御苦労いただいてまいりました。お話にありましたように、行政改革という大きな枠組みの中で定数増を行うということは甚だ難しい状況でありましたにもかかわりませず、御満足いく数字ではありませんけれども外務省の定員については増加してきたことでございます。  満足というところの数字はなかなか判断できかねますけれども、趨勢としてはそうあらなければならないのは国際国家日本の宿命だろうと思います。五千人体制あるいは六千人体制というお話もございましたが、この問題につきましては、現下の状況を十分踏まえながら、政府としても国民の理解を得つつ、特に外交分野においての日本の今の立場を認識して、しかるべき定数を確保していくということは必要なことだというふうに考えております。     〔前田委員長代理退席、宮下委員長代理着席
  251. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私はもう時間が迫っておりますから引用いたしませんけれども、約五年間アメリカの特命全権大使をやっておりました大河原良雄さんの「大使の直言 孤立化を避けるために」、そういうのが出ていますね。  これはアメリカ全土を講演その他で駆けめぐり、議会対策や政府対策やいろいろなことをやってこられた苦労話から、あるいはカーター大統領からレーガン政権へのいろいろな難問題、こういうところがそれぞれ要点触れておりまして非常に勉強になったわけですけれども、この中にも、七十八ページのところに、「ますます必要なアメリカ議会との接触」ということで、「かつて五〇年代、六〇年代の初め頃までは、ワシントン大使館の仕事は国務省に代表される行政府との関係を固めることで十分と思われていた。」「しかし、七〇年代から八〇年代になると、(中略)議会指導者の同僚議員に対する掌握力が落ち、議会内の力の分散化現象が強まった。こうした情勢のもとで、大使館としては、国務省はもとより、大統領補佐官、国家安全保障会議事務局、行政府各省と緊密な連絡をとるだけでなく、議会に対しても関係議員、議員スタッフに常時直接接触し、情報の提供など意思の疎通を図ることが大変多くなった」と書いている。これはアメリカ大使館の現状だろうと思うのです。  これは単にアメリカ大使館だけではなしに、ヨ―ロッパにおけるイギリスとかフランスあるいはドイツとかソ連、中国の場合もそうですし、そういうことがいろいろなところでだんだん出てくると思うのです。手不足のままで重要な問題の処理を第一線の総合部隊としての出先でできるわけがないのです。五千人体制から六千人体制へというのは、そういう意味でも言っておるわけです。「朝日新聞の視点」ということで「日米新時代」の中では、アメリカ大使館の中で各省のセクショナリズムが働いておるという批判的なこともあるけれども、そこは深く触れませんが、総合戦力の発揮は出先としてやらなければならぬことは当然なのです。いずれにしてもそういう点で積極的に取り組んでもらいたい。  兼館の問題もある、不健康地公館の問題、いろいろな問題がある、そういうものも、かつて安倍外務大臣が六十年三月二十八日の衆議院内閣委員会で、アフリカの大使館をずっと回ったときの実感に基づいて、これはいろいろな不備があるから私の責任において先頭に立ってやると言っておったが、今どれくらいできておるのだろうかという問題もないわけじゃない。そういう点で、単に人間を六千人にふやすということを私は言っているのではない、外交体制全般について整備をすることが必要であるということを言っておるのであります。  これに関連をして、これは外務大臣で結構であります。いわゆる臨時教育審議会の問題できょう本会議でいろいろ議論がありましたね。今度の手当の増額の問題に関連して、いわゆる海外子女の教育の問題で、日本人学校か現地校かという問題が臨教審でもいろいろ議論されましたね。どちらかというと現地校に足場を置いた形に答申はうかがえるのですけれども、私はそれぞれの地域の実情によって、必要な地域には日本語学校をつくる、補習学校をつくる、こういうことがこれからもやられていかなければならぬというふうに思うのです。これはケース・バイ・ケースの問題であります。そういう点で、外務省としてはことしスイスのチューリッヒに日本人学校をつくっていくわけですね。これからは、日本人学校か現地校かという二者択一の問題ではなしに、在外公館の職員も含めて相当数の在留邦人がおってそういう必要性のあるところにおいては、日本語学校をつくっていくあるいは補習学校をつくっていく、こういう方針でいくべきだと思いますが、いかがでございますか。
  252. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 外交方針に関しまして先ほど来非常に積極的なアドバイスをいろいろとちょうだいいたしまして、私もありがたく存じております。  日本人学校に関しましても、当然のこととして、今後さらにそうした面の努力を払いたい、かように思います。
  253. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  254. 宮下創平

    宮下委員長代理 次に、村井仁君。
  255. 村井仁

    ○村井委員 同僚議員から大所高所からの日本外交の大方針につきましていろいろ御質疑がございましたが、私はいささか趣を異にいたしまして、本日議題となっております在勤法そのものに即しました質問を中心にお伺いをさせていただきたいと思います。  国際化の進展につれまして、外国に旅行いたします日本人の数も飛躍的に増加してまいっておりまして、また、世界各地に滞在する在留法人の数も非常に大幅に増加しておる、一方、これら在留邦人や旅行者がその安全を脅かされる、こういう事例が非常に急速に増大しておるわけでございます。これは、外国にいる邦人の数が増大したというだけのことではございませんで、同時に日本の国際的な地位が向上して、日本人、日本企業も豊かになり、国際的に見ても目立つ存在になってきた、これが大きく関係していると思うわけでございます。  私、ここで目立つという言葉を使いましたが、これは日本がよく言われますアロガントだとか、あるいは現地に貢献してないだとか、あるいは日本の利益だけ考えているとか、そんな問題だけではございません。そういう、よく言われる在外日本企業や日本人に対する批判を私ここで繰り返そうというわけではございません。例えば、農業技術であれ通信技術であれ、現地に役に立つ援助をしようということで働いている人たちが、御自分ではここでよいことをしているのだと思っていても、それが現地の人々の生活のシステムというものを何らかの意味で変化させる、そしてそれによって現地のある階層の人たちの恨みを買うということもなきにしもあらず。それから、単に金を持っているからというだけのことで襲われるというようなことも当然にあるわけでございます。  先進諸国が長いこと対発展途上国援助やいろいろなことを努力してまいったわけでございますけれども、世界の治安情勢というのは必ずしも好転していない、否、どちらかというと悪化しているというふうに私は感じているわけでございます。強盗だとか海賊行為だとか、いろいろ規模が大きくなっているような話もこのごろ聞くわけでございまして、例えば、西アフリカで強盗なんといいましても、昔は二人、三人で武装してあらわれた、これがこのごろは二十人、三十人で徒党を組んであらわれる、それは大変な規模になっておる。あるいは海賊、これは昔も出たわけでございますが、このごろは高速艇で商売をやる、こういうようなこともあるようでございまして、日本人もあるいは日本企業もこういう危険にさらされる、こういう場合が多くなっているようでございます。  一昨年発生しました三井物産の若王子とおっしゃいましたか、マニラ支店長の誘拐事件、これが解決しましてもう一年余りになるわけでございます。また、ちょっと内容は違うわけでございますけれども、安全なはずだと考えて選びました旅行手段が裏目に出まして、最近の上海の近郊における列車事故でございますけれども、ああいう痛ましい犠牲を生じた。これはいずれも日本の常識というものがおよそ世界では通用しない、海外におけるいわゆる安全問題というものにつきまして国民の関心が非常に高まった、こういうことが言えるのじゃないかと思うわけでございます。  そもそも日本人は外国に対しましてある種のあこがれのような感情を持っておりまして、さらにとりわけて、戦後長きにわたりまして、外国ではこのようにいろいろ行き届いておる、生活もよい、それに引きかえ日本ではということで、外国出羽守、日本のこととなりますと憮然としてみせる、これは豊前守でございますが、外国出羽守と日本豊前守、我々よく冗談にこう言うわけでございますけれども、これは一つのパターンでございまして、しょっちゅうやってきた。  その結果、やれ物価が高い、最近でしたら、土地がどうだ、住みにくい。住みにくいというのは、日本はずっと住みにくいということになっておるわけでございまして、それでこうやって出羽守、豊前守で日本のいろいろな批判をする、これは一つの常識になっている。これは強い批判をすることが流行になってきた、こう言えるのじゃないかと思うわけでございますが、幸いに、国民のたゆまぬ努力と、私はこの点も非常に強調したいところでございますが、政策の長きにわたる安定、それに幸運もございましたでしょう。こういうものが相まって、今や日本は世界で最も豊かで安全で、平和で自由な国になった、私はこう思うわけでございます。  そのことに気がついていないのは当の日本人だけでございまして、外国へ出かけまして日本と同様の態度で行動する傾向が間々あるわけでございます。特に、水と空気と安全というのはただだと思い込んでいるとはこのごろよく言われることで、こういうことを指摘されることは大変幸いなことでございます。しかし、女性が夜一人で町を歩けるなどということは、日本を除いて世界にまれだというこのこと、それから、地下鉄とかああいう大都市の公共交通機関が犯罪の温床である都市などというのは、世界で枚挙にいとまがないわけでございまして、旅行をしていてどこの写真を撮ろうがとがめられない、こんな国もまれでございます。  外務大臣が発行される旅券には、「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。」こういう文言がございます。外務省の最も大切な仕事の一つが在留邦人あるいは旅行者の保護を図ることであろうと私は思うわけでございますが、海外安全問題に関する現状についての大臣の御認識、これを冒頭承知したいと存じます。
  256. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 非常に大切な問題の質問をしていただきまして、感謝申し上げます。  日本人の海外進出は本当に大変な勢いでございまして、また、進出をしてもらわなければならない、かように私たちは考えております。したがいまして、各国に派遣される方々あるいは旅行される方々、そうやっていろいろと分類があるであろうと思いますが、海外における邦人の生命財産、そうしたものは外務省が守るという第一義的な大使命がございます。  したがいまして、いろいろ問題が起こっておりますけれども、安全ガイドブック等々を発行いたしまして、駐在員であれあるいは旅行者であれ、行かれる以上は一通り目を通してください、こうしたことを、各都道府県におきましてもそれぞれ旅券の交付等の仕事をしてもらっておりますので、そうしたところを通じましてお願いいたしておる次第でございます。  特に私たちがお互いに一番心しなければならないのは、世界で経済大国と言われる日本になった次第でございますが、東洋で孤立してその生活を営んでいたものですから、ヨーロッパに行ったりあるいはアメリカに行きますと、やや孤立感というものもなきにしもあらずでございます。そうしたことが行儀作法の面におきまして非常に侮べつを相手から覚えられるというふうなこともなきにしもあらずでございますので、そうしたことは、国民全部の問題として、何省が担当だとかいうようなことじゃなくして、やはり市町村を初めすべてがそうしたことに関しましても心得なければならぬ。だからエチケット集と申しましょうか、そうしたことにも今後は十二分に私たちは配慮をして――特にこの間の修学旅行のごとく大変お気の毒なことが起こりました。したがいまして、今後は、この国とあの国、そうしたところにはどういう制度があるか、どういう仕組みになっておるか、これなんかもやはり外務省が先駆けて旅行会社なりいろいろなところにお教え申し上げなければならない、かように思っております。
  257. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  この連休には、若い人たちを中心にたくさんの方が外国に出かけて、とりわけて円高のメリットを大いに享受することになるのだろうと思うのでございますが、例えば、発展途上国の最も貧しい地域にある観光地で、現地の人の半年、一年の給与に相当するような現金を懐に入れて、ハンドバッグに入れて、しかも男性のエスコートなしに若い女の方が海岸をぶらぶらするなどというようなことがいかに危険で非常識なことかということが、日本では余りにも今まで言われなさ過ぎたと私はいつも思っているのでございます。日本のように治安がよくて、行動、言論の自由が保障されて、また安全で豊かなところは少ないのだという事実は、私先ほど強調いたしましたが、必ずしも日本人によく理解されていない、そのことが海外におけるいろいろなトラブルを増加させているということが言えるのではないだろうか。  私は、そういう意味で、ただいま大臣お触れになられましたが、外務省がこのごろいろいろな意味でそういう情報を的確にお出しになっておられることに非常に敬意を表しておるわけでございます。外交上の配慮をこれまではどちらかというと優先させまして、諸外国の実情につきまして必ずしも的確な情報を提供せずに、きれいごとに済ませていたといううらみが今まではなきにしもあらずだったという感じがするわけでございます。「海外安全ハンドブック」でございますか、ああいうものを昨年からでございましたでしょうか、監修という形ではありますが、いろいろ情報をお出しになっている、相当思い切ったことも情報として出しておられまして、例えば制服を着た官憲まで必ずしも信用できないんだというようなことまでずばっと書いておられる、私は大変結構なことだと思うわけでございます。さらには運輸省も、海外旅行者を近々年間一千万人までふやしていきたいというようなテンミリオン計画とか大変野心的な計画を持っておられる、外務省もこれに対応していろいろな体制整備をしていかれるのだと思うわけでございますが、やはり一番大切なのは啓蒙活動だと私は思うわけでございます。  これは政府委員に特にお伺いしたいわけでございますが、海外に在留する邦人がその在留届を出すことになっておるわけでございますけれども、これも、大使館になんか世話になるものかというムードがありましてなかなか出してくれない、こういう実態がある。これは出さなければ、いざというときになかなか保護してもらえないんだぞというPRもしっかりやってもらわなければいかぬと私は思うわけでございます。先ほど来申し上げておりますような意味合いの周知も含めまして、安全問題に対する啓蒙活動は私は非常に重要だと思うのでございますが、政府委員の御説明をちょうだいできればありがたいと思います。
  258. 黒河内久美

    ○黒河内政府委員 お答え申し上げます。  安全対策につきましては、委員御指摘のとおり、大変重要な問題として私ども認識いたしておりまして、先ほど大臣の御答弁にございましたようにいろいろ対策を講じているわけでございますが、先生御指摘の今の「海外安全ハンドブック」を刊行するのに加えまして、外務省領事移住部内に海外安全相談センターというものを設けておりまして、これから海外に渡航される方々に対する情報提供を図っております。ただ待っていて差し上げるというだけでなしに、もう少し積極的に各方面に系統的に情報を提供できるような体制考えていきたいと今考えているところでございます。  それから、御指摘の在留届、大変貴重な御意見をいただきまして私どもありがたく存じておりますが、御指摘のとおり、法律的にはそういうことになっておりながらなかなか実行されていないということがございますので、私どもいろいろな形の啓発を考えておりまして、例えばポスターを各都道府県の旅券の発行窓口などに出す、あるいは在外公館にそういうものを出すことによりまして一層の皆さんの協力を得るように考えていきたいと思っております。
  259. 村井仁

    ○村井委員 ひとつよろしくお願いします。  昭和六十一年の一月でございましたか、南イエメンでクーデターが発生しまして、三十余名の邦人が内乱の真っただ中に取り残された事件がございます。その折に、企業を通ずる通信手段はもとよりのこと、外務省在外公館の間の通信も思うに任せない。結局、PLOとかソ連経由で情報収集さらには連絡をとるようなことになったという事件がございます。邦人の救出も、ソ連船、イギリス船、フランス船を使ったというような記憶がございます。  それから、これは私事になりますが、もう二十年も昔のことでございますが、私自身実はナイジェリア大使館の書記官をしていたことがございます。そのときにビアフラ戦争という内戦が起こりまして、それで万一のときに在留邦人をどうやって避難させたらいいかいろいろ考えたわけでございますけれども、結局、当時アフリカ航路に貨物船を配船しておりましたのが三井OSKと川崎汽船の二社でございます。この二社にお願いしましてラゴスの港に停泊する時期を調整していただきまして、二社がそれぞれ別々の時期に入っていただくようにやってもらった。それで、できるだけ長く日本船が港にいれば、いざというときに在留邦人をそれに乗せて逃げていただけるのじゃないか、こんな工夫を現地ベースでしたことがございます。  世界各地の通信事情はいろいろでございますし、経費の問題もございますのでなかなか容易なことじゃないと思うのでございますが、緊急事態が発生したときの邦人保護のための対応を円滑にするためのいろいろな措置、これは最近どんな措置がとられているか。例えば通信施設の改善とか避難、救援の手段の整備あるいは要員の確保、こういった点についてどのような措置が最近とられておるか、お伺いしたいと存じます。
  260. 黒河内久美

    ○黒河内政府委員 ただいま御指摘のとおり、緊急事態における連絡体制が一番肝要な点でございますので、私ども従来からこれに真剣に取り組んできているわけでございます。昭和六十二年度におきましては、それまでに既に設置されておりました三十六年公館に加えまして九公館に無線設備がさらに設置されております。また、六十三年度予算におきましても、さらに十公館に新規に無線設備を設置するための経費を計上いたしております。また、緊急時におきましては現地で大使館や総領事館と在留邦人との間の連絡が非常に困難になることが多いため、昭和六十二年度から在外公館と在留邦人との間の無線連絡網の整備に着手いたしております。さらに、昭和六十三年度予算にもこのための経費を計上いたしております。  また、実際に安全対策の確保のためには、このような通信体制の強化、いわばハードウエアの面での施策では不十分でございますので、要員の拡充の点でも従来から努力いたしておるわけでございます。かかる観点から領事担当官を含め在外公館の定員の拡充に努めておりますけれども、実際に緊急の事態が起こったときには当該公館の人手不足ということも非常にございますので、そういうときには、近隣公館あるいは本省から応援要員を派遣することによって遺漏なきを期するように努力しているところでございます。
  261. 村井仁

    ○村井委員 どうもありがとうございました。  先般、上海の事故のときも、大臣の御指揮のもとに、中島中国大使、吉田上海総領事初め現地の在外公館の職員が文字どおり不眠不休の努力で救援活動をなすったことに私ども非常に深い敬意を表する次第でございますが、在留邦人、邦人旅行者の保護といいましても、結局のところすべてこれら在外職員の努力にまつほかないわけでございます。  私は、先ほどちょっと申し上げましたように、世界で最も、昔も今もかなりそうだと思うのでございますが、瘴癘の地と呼ばれておりましたアフリカのナイジェリアのラゴスの大使館に三年ほど勤務したことがあるのでございますが、実はその当時できたばかりの休暇帰国制度というものの恩典に浴しまして、任地を丸々六十日離れて日本に帰りまして英気を養うことができました。おかげさまで健康も損なうことなく三年の任期を無事全うすることができた、こういう経験を自分自身持っております。私の経験でも、不健康地や緊張を強いられる任地、こういったところにはこのような休暇は絶対に必要だと思うのでございます。  とりわけて、さきにも述べましたように、日本が豊かになりまして昔と違って外国勤務の魅力というものがだんだん乏しくなってきている、これは紛れもない事実だと思うのでございます。しかも、特に不健康地に勤務しなければならないということになりますと、結局今のところは外務省員の非常に強い使命感、責任感、何かこれだけに頼ってやっておるということでございまして、どうもインセンティブという点で非常に乏しいものがあるのではないか、こういう懸念を私自身感じるわけでございます。  さような意味で、この休暇帰国制度、それからそれと類似制度で健康管理休暇制度というのがございますが、これが制度が発足しましてかなりになるわけでございますけれども、現在の実施状況はいかがでございましょうか。
  262. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 休暇帰国制度及び健康管理休暇につきましては、ただいま委員御指摘のとおりの趣旨でございまして、外務省といたしましてはこれは極めて重要な制度であるというふうに感じております。  恩典に浴し得る権利の生じた者につきましてはすべて実行させるようにということを奨励しておりますけれども、現在のところ完全にそれが実施されているというわけではございませんで、例えば昭和六十二年度の実績につきましては、稟請者が五百七十三人、それに対して実施者数が四百十三人ということでございます。これは館務の都合等いろいろな事情があるということでございます。それから、健康管理休暇制度につきましては、昭和六十二年度でございますけれども、稟請者数が三百七十二人、全員についてこれは実施しているという状況でございます。
  263. 村井仁

    ○村井委員 今のこの数字をパーセンテージで見ますとかなりよい数字に見えるのでございますけれども、現実には、これはどこの世界でもそうでございましょうけれども、忙しさというのは大変偏っているのでございます。ですから、基幹的な職員はほとんど休暇がとれないというのが実情だろうと私は思うのでございます。  実は私自身ラゴスにいましたときに、イギリスの商務参事官が交代したのでございます。私は商務官でございましたので、旧宗主国の商務官のことでもあり私も早く会いたいと思いまして、アポイントメントを申し入れましたところがなかなかつかまらない、何遍アプローチしてもつかまらない。何していたんだと言いますと、今まで有給休暇がたまりにたまって七カ月半、これをまとめてバーミューダへ行って甲羅干ししてきたんだというのです。それでラゴスにいないのです。何でこんなことができるかといいますと、これはやはりイギリスには大変見事な交代要員制度というのがございまして、こういう不健康地勤務をカバーするために交代要員が出せる体制というのがきっちりできているわけでございまして、それがないと休暇をとれとれといっても無理なのでございます。  私は、今の日本というのはやろうと思えば昔のイギリスがやってきたことができる程度の国力を備えるに至っていると思うのでございます。もちろん、行政改革とかいろいろ難しい局面のあることはよく承知の上でございますけれども、大物外務大臣をいただいておる現在でございます。ぜひ御努力をいただきたいとお願いを申し上げておく次第でございます。  さて、ちょっと別の主題に移りまして、昨年のこれと同じ法律、在勤法の改正で、妻加俸を四割から二割に変更いたしております。そもそも外交官夫人の仕事というものはかなり過酷なものでございまして、あれは、こう言ってはなんでございますが、文字どおり夫婦共稼ぎを地でいっているようなもので、優雅な外交官夫人の話なんというのはおよそ時代錯誤の認識でございます。しかも、奥さんを連れていきますと、衣類から客をもてなすためのさまざまのしつらい、食器、任地によっては家具類まで買って、それでまた帰るときに売り払わなければならない、大変な負担。それもある水準のものでなければならぬ、その負担は単身赴任の場合に比べてけた違いに大きいわけでございます。  当節奥様方は、自分で自宅で客をもてなすだけではなくて、大使の公邸ですとか総領事の公邸ですとか、いわゆるお手伝いというのに駆り出されるわけでございますね、駆り出されると言っては申しわけないかもしれませんが。そういう負担まで考慮しまして、それで、民間の生活給的な加俸と異なりまして、比較的高い比率で支給されてきたのが四割という妻加俸の制度であったと私は思うのでございます。もとより単身赴任を余儀なくされるというのはそれなりの同情すべき事情があると思うのでございますけれども、やはり四割という高い比率には、明らかに同伴赴任に対するインセンティブの要素があったと私は思うのでございます。  さまざまの事情を考慮して改定されたことでございますから私は大丈夫だと思うのでございますけれども、最近、夫人を同伴して赴任されている比率がこの制度改定によって何らか影響を受けたというようなことはないのでしょうなと、この点ちょっと確認をさせていただきたいと思うわけでございます。去年以来ちょっと気になっていた点でございます。
  264. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 先生御指摘の点は、まさに昨年の改正の際に外務省内部でもいろいろ議論がございまして、確かにそういう先生御指摘の側面があるのではないかという危惧もあったわけでございます。しかしながら、夫人が同伴しないという事情は、やはりどうしても子女の教育の関係とか肉親の病気とかそういう特殊な状況であるという事情がほとんどでございまして、いやしくも外交官の夫人であれば、夫がいかなる任地にあってもそれに随伴していくというのが外交官夫人の役目であるということはかなり浸透しておるということでこの制度実施されたわけでございます。  現実にその状況を現在まで見ますと、単身赴任者の率が六十一年七月では一四%であったものが六十二年七月には一三・五%、さらに同十月には一三%というふうに、若干ながらむしろ減ってきておるということでございまして、ただいまの御指摘の点、我々も非常に危惧した点でございますけれども、現在までのところはその悪影響は出ていないということでございます。
  265. 村井仁

    ○村井委員 大変心強いことでございますが、やはりそういう妻加俸という制度の特殊性ということにかんがみまして、今後とも十分な御配慮をお願いしたいと思う次第でございます。  最後に、在勤法の審議に際しましてぜひもう一つだけ触れておきたいことがございます。それは実は防衛駐在官、防衛庁から出向しております制服の方々でございますが、これの格付の問題でございます。  非常に具体的な例をちょっととりましてお話を申し上げたいと思うわけでございますが、私は十年余り前に、再度外務省のお世話になりまして在外勤務に出まして、豪州の大使館に勤務したわけでございます。その折に私の同僚の防衛駐在官として出向していた制服の自衛官は、その処遇でございますが、約六年若い他省庁出向の一等書記官の下にランクづけされていたということでございまして、実に気の毒な状況だったと思うわけでございます。大変立派な人物でございましたから、いささかも不満を漏らすこともなく夫婦とも職務に大変精励されましたし、また、まさに館員の模範という方であったと私も思うわけでございます。大使もまたほかの館員も十分な敬意を払って交際しておりましたし、現地の活動もすばらしかった。ただ、今考えてもこれが非常に不当な扱いだったと思いますのは、今この防衛駐在官の方は、防衛庁へ帰りまして栄進して指定職八号俸という高いランクでいらっしゃる。このときに彼よりも高く格付されていた参事官も含めましてその職員、この中で一番高い人で指定の五号、相当数はまだ十一級、こういうようなことである。逆転しているわけでございます。  異なる俸給表の職員を一時的に任用する場合に、いろいろ難しい問題があるということは私もよく理解いたします。それから念のため、防衛駐在官というのは昔の駐在武官とは全然違った存在だということも私も百も承知の上で申し上げているつもりでございますが、これは何とかならないものかと思うわけでございます。昔から「武士は食わねど高楊枝」、こう決まっておりまして、制服の方々からこの問題について余り表向き提起されることはないと思うのでございますが、しかし、だからといってほっておいていいという問題ではないと思います。  在勤法の整備、これは我々も精いっぱい力を尽くしますが、その適用の面で問題があってはやはり私はまずいのではないかと思うわけでございまして、駐在武官とは違うとはいいましても、防衛駐在官というのは各省から出向しておりますアタッシェの中で最も多忙でつき合いも広い、そういうポストでございます。そういう意味で、処遇に遺憾なきを期していただきたい、御検討をお願いしたい。ただし、私が申し上げましたのは十年も前の古い経験でございますので、もはや改善されてそんなようなことはないのかもしれませんが、そういう問題提起だけ申し上げておきたいと存じます。  その点につきまして、ちょっと一言コメントをいただきたいと思います。
  266. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 先生がオーストラリアに在勤なさいまして後だと思いますが、昭和五十三年から五十五年にかけまして、ただいまの点については、外務省防衛庁初め関係省庁協議いたしまして改善を行ったわけでございますけれども先生の御指摘もございますので、さらに今後とも検討していきたいと思います。
  267. 村井仁

    ○村井委員 終わります。どうもありがとうございました。
  268. 宮下創平

    宮下委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  269. 宮下創平

    宮下委員長代理 この際、本案に対し、近岡理一郎君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。近岡理一郎君。     ─────────────  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  270. 近岡理一郎

    ○近岡委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  原案は「昭和六十三年四月一日」から施行することといたしておりますが、既にその日が経過いたしておりますので、これを「公布の日」から施行し、本年四月一日から適用することに改めるものであります。  以上であります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  271. 宮下創平

    宮下委員長代理 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  272. 宮下創平

    宮下委員長代理 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、近岡理一郎君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  273. 宮下創平

    宮下委員長代理 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  274. 宮下創平

    宮下委員長代理 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  275. 宮下創平

    宮下委員長代理 ただいま議決いたしました本案に対し、近岡理一郎君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。竹内勝彦君。
  276. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について引き続き検討の上、適切な措置を講ずべきである。  一 我が国が世界の平和と繁栄に積極的な外交をもって貢献していくため、外交実施体制、特に在外公館の基盤の整備・強化に努めること。  一 在外職員、特に自然環境等の厳しい地域に在勤する職員が、活発な外交領事活動を展開しうるよう、勤務環境の整備・処遇の改善等に努めること。  一 我が国外交の第一線拠点にふさわしい在外公館事務所及び公邸の確保に努めるとともにその国有化を推進し、併せて在外職員宿舎の整備に努めること。  一 在外公館における外交活動の能率促進のために通信施設・事務機器等の近代化に努めること。  一 治安状況の悪い地域に勤務する在外職員がその職務と責任を十分果たせるよう警備対策の強化に努めること。  一 在外邦人の医療対策に配慮するとともに、緊急事態における邦人の救援保護を含む安全確保に努めること。  一 海外子女教育の一層の充実を期するため、在外日本人学校及び補習授業校の拡充強化、子女教育費の負担軽減、帰国子女教育の制度の改善及び施設の整備等の対策を総合的に推進すること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  277. 宮下創平

    宮下委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  278. 宮下創平

    宮下委員長代理 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宇野外務大臣
  279. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ただいま、在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、本法案の御審議の過程におきましては、外交活動の基礎強化につき深い御理解と貴重な御提案を賜ったことに対し、厚く御礼を申し上げます。  法律案と同時に可決されました附帯決議の内容につきましては、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存でございます。  まことにありがとうございました。     ─────────────
  280. 宮下創平

    宮下委員長代理 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 宮下創平

    宮下委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  282. 宮下創平

    宮下委員長代理 次回は、来る二十一日木曜日午前十時十分理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会