○広瀬
委員 今くしくも
大臣の口からバランス論が出ました。バランスも、フィフティー・フィフティーのバランスもあるし、十対ゼロというバランスもあるかもしれません、これはバランスと言える範疇ではないと
思いますが。
朝鮮との場合に、やはり
朝鮮民主主義人民共和国に対してはバランス論を持ち出すということ自体に全く私は抵抗を感ずる。十対ゼロなのですから、バランスなどと言える問題ではないだろうと思うのです。
そういう点では、クロス承認だとか国連同時加盟だとかというようなことも最近ではちらほら出ておりますが、まず
日本政府、
日本の外交の本当に正しい路線を踏まえて、戦後処理を四十三年たってもまだできていないんだ、そしてその人
たちに戦争時代、戦前を通じて与えた被害についてすら何もしていない、こういうことが許されていいのかどうか、これがやはり問題だと私は思うのです。ですから、結果としてクロス承認のような形、そういう現象が起きるかもわからぬ。しかしながら、まず
日本政府としてやるべきこと、まず
日本の外交としてやるべきことは、北との
関係について戦後処理をまずやる。
そういうような形で北に対する経済的な援助等も、これはまさに貿易量なんかを比較しましても、輸出の面でも輸入の面でも何十倍と開いているのです。輸出の面では、
朝鮮から
日本に輸出されるものと
韓国から
日本に輸出されるものを額で比較しますと、一番新しい資料で今日では
韓国の方が六十倍に達しているのです。また輸入の場合だと、一番新しい数字では
朝鮮の場合少し余計になっている、入超になっておりまして、また、
韓国から
日本に輸入するものが少なく、いつでも
日本の出超である、五十億ドル台の
日本の出超だということが今でも問題になっている。これも三十数倍になっていると思うのです。そういうような状態になっている。
日本が
韓国と、一衣帯水の隣の国との友好を進める、これは結構なことで、私は何も反
韓国の
立場で言っているわけではない。
韓国は
韓国として、一衣帯水の隣の国ですから、
日本の戦前のああいう支配体制から脱して、そして今日まで軍事政権であったけれ
ども、今度は新しい憲法もでき、盧泰愚大統領も民選で出てきた、これは大変結構なことだと私は思っている。そういうような方向に向かっていくことは結構なんだけれ
ども、北に対して余りにも何もしなさ過ぎるのではないか、バランスなんて言えるものじゃないだろうということを若干数字を挙げて言ったわけです。
これはもうそういう点でも統一ということが我々の願いである。そして
日本の歴代
政府も、統一の方向に向かって環境整備ができるようにできるだけ協力してあげたいということをきちんと言っているはずですよ。そういう
立場を貫徹するならば、
日本は何としても
朝鮮との
関係正常化、国交正常化というようなことをまずなし遂げる、これが先行しなければいけないだろう。まずクロス承認ありきでは絶対にいけないと私は思うのです。あるいは国連同時加盟というようなことは、二国の分断を固定化するということで両国ともこれは反対しているのです。これはもう賢明な
大臣は十分御承知のことです。
そういうような中で、今ここで本当に問題の解決を図るためには、何としても
日本政府が一歩踏み出して日朝国交回復あるいは
関係正常化、どっちでも結構ですけれ
ども、お互いに
政府同士で話し合える体制をつくっていかなければならぬだろうと思うのです。
私もそういう状態の中で日朝議連の
事務局長として十何年もやっているわけですけれ
ども、七二年の貿易合意書以来六回も
朝鮮に行きました。そういうことで、今日も、中断しておったものを昨年十二月十六日に協定をいたしまして、最近ではスケソウダラの問題あるいはまたはえ縄、流し網漁業、これはサケ・マスでありますが、そういうものもこちらから申請したのはみな向こうは順調に出してくれております。
こういう制裁措置の出し合いの中でちゃんと出しておりますし、一昨日ですか、イカ釣り漁船に対する許可もちゃんと参っております。これは書類不備、船の無線の呼び出し符号を書いてなかったとか、あるいは長期にわたりながら一部、これは福井県だけの問題ですけれ
ども、福井県の漁船二十七隻については期間を長く申請しながら漁獲量を非常に少なく書類に書いてあるというようなことで、それじゃ漁期をもっと少なく許可してもいいじゃないかというような検討な
どもあるというので、それだけ留保されたのですけれ
ども、これも是正されればすぐにおりるだろう、こういうようなことで、
朝鮮民主主義人民共和国でも非常に態度の変化といいますか、そういうものもあらわれてきている。
やはり
日本と国交回復をしたい。いつかザンビアの特使が
朝鮮を訪れまして、その帰りにあなたのところへ寄ってあなたに伝えたという
新聞記事が出たのですけれ
ども、
日本と
関係正常化を
朝鮮民主主義人民共和国が望んでいる、そういう言づてを持ってきたということが
新聞にずっと大きく出たのですけれ
ども、そういう問題も含めて、そういう
考えに踏み出すように、オリンピックを成功させるというその前になかなか言いにくいかもしれないけれ
ども、やはりこの際前向きの姿勢というものがぜひとも必要である、そのように私は思うのですが、いかがでございますか。