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1988-03-31 第112回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十一日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 竹中 修一君    理事 近岡理一郎君 理事 月原 茂皓君    理事 戸塚 進也君 理事 前田 武志君    理事 宮下 創平君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       阿部 文男君    石川 要三君       内海 英男君    大村 襄治君       河野 洋平君    宮里 松正君       武藤 嘉文君    村井  仁君       森下 元晴君    谷津 義男君       五十嵐広三君    角屋堅次郎君       早川  勝君    広瀬 秀吉君       井上 和久君    鈴切 康雄君       川端 達夫君    浦井  洋君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    中島 忠能君         人事院事務総局         職員局長    川崎 正道君         内閣総理大臣官         房参事官    平野 治生君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁恩給局長 石川 雅嗣君  委員外出席者         大蔵省主計局共         済課長     山口 公生君         厚生省年金局年         金課長         兼内閣官房内閣         審議官     松本 省藏君         厚生省援護局援         護課長     山岸 親雄君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部再就職対策室         長       深谷 憲一君         内閣委員会調査         室長      大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 三月三十一日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     阿部 文男君   大出  俊君     早川  勝君 同日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     有馬 元治君   早川  勝君     大出  俊君     ───────────── 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第九号)      ────◇─────
  2. 竹中修一

    竹中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田睦夫君。
  3. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 最初に、恩給指標問題であります。  恩給改善指標総合勘案方式にされまして二年目を迎えておりますが、この総合勘案方式については、根拠が薄弱といいましょうか、不明朗な点が出てきております。この恩給改善指標というのは、戦後いろいろと変わってまいりました。給与基準にしたり、あるいは物価であったりしました。しかし、それらには少なくとも数字で示される根拠があったわけであります。また、一定計算様式もありました。今回のような数字的な根拠を明らかにしない方式は今までなかったと思うのですが、そういうことでよろしいですか。     〔委員長退席宮下委員長代理着席
  4. 石川雅嗣

    石川政府委員 従来の恩給年額改定方式につきましては、ただいま先生からもお話がございましたように、まず昭和三十七年以前は公務員給与に追随する公務員給与追随方式昭和四十年から昭和四十三年までは消費水準または消費者物価上昇基礎とする消費水準及び物価方式昭和四十四年から昭和四十七年までは物価上昇率物価を超える給与改善分の六割相当分を加えたものを基礎といたします恩給審議会方式昭和四十八年から昭和五十年までは公務員給与平均改善率による一律アップ方式昭和五十一年から昭和六十一年までは公務員給与改善回帰分析方式という一定方式によって恩給年額の増額を行ってきたところでございます。
  5. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 だから、聞いているのは、それらは全部数字的な根拠で説明できる、数字的な根拠を示してきたのではないか、この総合勘案方式に移る以前は数字的な根拠をみんな示してきたではないかという質問です。
  6. 石川雅嗣

    石川政府委員 いずれも今申しましたような方式で計算してきたということでございます。
  7. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 要するに、数字で示されるものを根拠としてきたということですね。
  8. 石川雅嗣

    石川政府委員 そのとおりでございます。
  9. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これまで数字的な根拠を示してきたというのは、これは恩給だけではなくて公的年金でもみんなそうであったわけであります。数字を示さなくなったのは、今度の総合勘案方式ということをやった恩給が初めてであります。  恩給について聞きますけれども、これまでの恩給改善措置一定計算方式なり数字的な根拠を明らかにしてきましたその理由は何であるかということをお尋ねいたします。
  10. 石川雅嗣

    石川政府委員 昭和四十一年の法改正によりまして、恩給法に第二条ノ二という規定ができたわけでございます。この規定によりまして年額調整に関する基本的なものが示されたわけでございますが、それ以後は、この規定具体的運用といたしまして、いわゆる恩給審議会方式でありますとか公務員給与平均改善率による一律アップ方式でありますとか回帰分析方式等改定方式をとってきたわけでございます。  このように、従来は調整規定具体的運用として何が適切であるかというような議論の結果、そのときどきの情勢に適合した方式をとってまいったということであるわけでございますが、昭和六十二年度以降は、恩給法第二条ノ二の規定趣旨にのっとりまして、やはりそのときどきにおける諸情勢総合勘案して妥当な改定率を決めていく、こういうことで切りかえたわけでございます。
  11. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 長い間数字的根拠を示してこられた、それにはそれだけの理由があった。公務員給与根拠にするというようなことが、この「総合勘案シ」と書いてある恩給法の中でもそれによるのが一番正しいというような根拠があってされたと思うのですけれども、いずれにしろ、数字で示されるということにはその根拠があるからそれを示したのではないですか。
  12. 石川雅嗣

    石川政府委員 ただいま申しましたように、いろいろな方式が従来とられてきたわけでございますけれども、今回とっております総合勘案というものにいたしましても、物価水準でありますとか公務員給与でありますとか、まさに恩給法第二条ノ二に書いてございますようなものを総合勘案してやるということでございまして、その根っこには公務員給与改善率なり消費者物価の変動なり、そういった数字があるということであろうかと思います。
  13. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 だから、根っこには数字があると言われますけれども、結局、総合勘案という名前によって数字ではなくて大まかなものに去年からしたという問題であるわけですが、今まで数字で示されるものを根拠にしてきたその理由を聞いているわけです。
  14. 石川雅嗣

    石川政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、これまで恩給審議会方式あるいは公務員給与平均改善率による一律アップ方式あるいは回帰分析方式等、いろいろな改定方式をとってまいりましたけれども、これは、先ほど申しましたように、従来から、恩給法にございます調整規定の具体的な運用といたしまして何が適切かといういろいろな議論の上で、そのときの情勢に適合した方法ということでとってまいったものでございます。
  15. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そのときの状況に応じて数字で示すのが適切であると考えたということのようですが、そうなりますと、結局、数字で示すことにはそれだけの理由があったわけですから、この数字で示さない総合勘案方式総合勘案するというやり方というのは、ぴしゃっとした根拠というものがなくなって大まかにやるということになりはしませんか。
  16. 石川雅嗣

    石川政府委員 先ほどからお答えしておりますように、そのときの情勢によりまして何が一番適正であるかということをいろいろ考えた上でこれまでいろいろな方式をとってまいったわけでございます。  総合勘案方式におきましても、先ほど申し上げましたような物価とか公務員給与、そのときのさまざまなものを勘案いたしました上で、六十三年度におきましては一・二五%という具体的な数字を定めて改善を図っていく、こういうことにしているわけでございます。
  17. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 なかなか端的に答えてもらえないんですけれども、この指標をどこにとるかということは別にいたしまして、恩給改善根拠数字国民の前に示すということは行政として大切なことであると考えるわけであります。  何となれば、行政運営というのはこれは一定基準に従って行われなければなりませんし、それをあいまいにしたままで、物価公務員給与の間の数字をどこをとってもいいんだというようなことになりますと、それはもう行政に対する政治力の介入、そうしたものが働いてくる、この余地を大きくしてしまうわけであります。特に、この委員会でもおっしゃっておりますように、恩給というのが国家補償である、そして、一定年限まじめに勤務した人が退職したときにはこれこれの支給をするというわけで、その支給がどういうものであるかということをやはりちゃんと示しておくということが行政上は当然だと思うわけであります。  そこで、長官にお伺いしたいと思いますが、行政の公正な運営という問題、それからまた主権者である国民納得と理解というものを得て行政を進めるという民主的運営の問題、こういう点から考えてみまして、恩給改善指標をそのときどきによって変えるのでなくて、国民にもこれが基準であるとすぱっとわかる、そういうものにする、一昨年までやっておりましたように、数字的根拠を明らかにする必要があるのではないかと思いますが、長官、いかがお考えですか。
  18. 高鳥修

    高鳥国務大臣 恩給共済年金等については本質的に違うものであるというふうに私どもは考えておりまして、恩給はいわば国家補償的性格のものである、このように御答弁を申し上げてきたところであります。 ただ、委員御承知のとおり、官民格差の是正ということがしきりに叫ばれまして、共済年金については大改正が行われたところであります。やはりそうした面も全く考慮に入れないわけにはいかぬということで、いわゆる総合勘案方式というところに踏み込んでまいったわけであります。  ただ、これは実施しまして二回目でございますので、したがって、その間にいろいろと実は財政当局と私どもやりとりをいたしております。最終的には政治折衝によってこの数字でということで決着しておるわけでありますが、後で政治折衝で決着した金額を計算してみればこういう数値になるのかなというような、後で当てはめたものは全く絶無ではございませんが、今ここで二回目でございますので、それは必ずしもフィックスしたものではない。それから、給与のベアもいろいろ変わってまいりましょうし、物価は今非常に安定した状況にございますが、これもどのような変動があるかもわからない。したがって、そのフィックスした数字でこうだというふうなことを申し上げられるようになるにはもうちょっと実績を積む必要があるんではないか、このように今のところ考えております。  したがって、まことに申しわけありませんが、いわば総合勘案である、このようにお答えするよりやむを得ないという状況にあることを御理解いただきたいと思います。
  19. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 理解するわけにもいかないのですけれども長官答弁がそういうことであった、これに対して私は、あいまいな基準改善指標根拠にしておきますと、今日のもろもろの状況のもとにおきましては物価水準に限りなく抑えられていく危険があるというふうに思うわけであります。改善指標をあいまいなものにするのではなくて、従来やっておりましたように公務員給与人事院勧告基準にする方が、国家補償の内容を明確にし、行政運営上からも問題が起こらないということを指摘しておきたいと思います。  次は、地域調整手当の問題についてお伺いいたします。  まず、地域調整手当制度趣旨を説明いただきたいと思います。
  20. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生御存じのように、この調整手当は、勤務地手当暫定手当、そして現在の調整手当に至っているわけですが、非常に長い歴史のある手当でございます。  この調整手当が生まれた当時の背景とかその当時の資料というものをよくよくかみしめてその性格を御説明申し上げますと、地域によって給与官民較差がある、その官民較差というものによって公務への人材の確保が困難になっておる、それにこたえるためにこの調整手当というものを設けたというふうに御説明できるかと思います。  ただ、その場合、法律では民間給与物価生計費、このように記してありますけれども、その当時の背景とかその当時の資料というものをよくかみしめて御説明申し上げますと、主として民間賃金というものに基づきまして公務部内給与配分を調整していこうというようなねらいがあったというふうに理解しております。
  21. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 現在の調整手当というのは、一九六七年、昭和四十二年ですが、当時の暫定手当調整手当名前を変えて今日に至っております。この後、支給率変更だとか一部の官署指定などの措置はとられてまいりましたけれども支給地区分につきましては一切変更がありません。一九六七年の当時の支給地区分は、一九五一年、昭和二十六年の分類を踏襲したもののように私調べてまいりましたが、そういうことでしょうか。
  22. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今先生お話しになりましたように、昭和四十二年、一九六七年ですか、そのときに調整手当が生まれましたが、そのときの支給地域区分が現在もそのまま適用されております。これは後ほど先生からお話があるかもわかりませんけれども、その調整手当が創設されたときの国会附帯決議におきまして、地域区分については変更せざるようということになっておりますので、その趣旨を踏まえて現在まで地域区分変更を行っていない、このように御理解いただきたいと思います。
  23. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 昭和四十二年に調整手当という名称に変えたその以前にも、やはり暫定手当というのがあって、これが昭和二十六年、一九五一年にその区分をしておりますけれども、その段階から変わっていないのではないでしょうか。
  24. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 さかのぼって申し上げますと、今先生お話しになりましたように、昭和二十七年でしたか、その当時から変わっていないというふうに記憶いたしております。
  25. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ということになりますと、現行の調整手当は、手当名称調整手当となりましたのは二十一年前ということになりますし、その支給地区分基本的枠組みは、今から三十六年前の一九五二年、昭和二十七年と言われましたので、そういうことになります。  そうすると、三十六年間にわたってこの状況を見てまいりますと、地域生活環境というのは大きく変わっております。これはもうだれでも認めることだと思うのです。ですから、この区分は当時は妥当であったといたしましても、三十六年の間にそれぞれの地域経済指標、こうしたものはそれぞれ独自に変わってきております。そしてまた、調整手当支給基準になっております民間給与物価生計費、こうしたものも地域によって非常に変わってきているわけであります。そのために支給地区分についての矛盾がいろいろと出てきているということは人事院も十分承知しておられることだと思うのですが、支給地間にどのような矛盾が出ているのか、また、そのために最初に言われましたような人事行政にどのような影響が出ているのか、この点についてお伺いします。
  26. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 お話しになりましたように、非常に長い期間、支給地域区分変更していない。その間、社会経済情勢というのが変わっておる。したがって、現在の支給地の中でも、法律上の要件から見ると法律要件を満たしていないという地域もございます。あるいはまた、現在の非支給地でも法律上の要件を満たしているところもございましょう。そういうところにつきましては、やはり法の趣旨に従って是正していく必要があるというふうに私たちは基本的に認識いたしております。  それとともに、やはりこの制度というものが主として官民間給与較差というものを埋めるということでございますので、やはり地域民間給与と比べまして乖離があるということならば、調整手当支給しない、あるいはまた支給するようにするということを行っていかなければ、非常に多くの民間企業従業者納得も得られないだろうというふうに思います。  また、性格に関連して申し上げましたように、この制度公務部内における給与配分の一つの手法でもございますので、公務部内における他の公務員皆様方からもこの制度というものが納得されるためには、適切に是正していく必要があるというふうに私たちは考えております。
  27. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 人事行政についての影響問題もお聞きしたのですが、答弁がなかったのですが、それはいかがですか。
  28. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 私が最後に申し上げましたように、やはり公務部内における給与配分を適正にしていくという機能も持っておりますので、それが適正に行われていないというならば、やはり公務部内における不平というものも出てくるだろう、そのように認識せざるを得ないわけでございます。
  29. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 公務員新規採用の問題について、調整手当が出ているところと差があるところ、そういうところで希望者あるいは採用問題について障害が生じる、そういうことも起きているのじゃありませんか。
  30. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 一般的な話を申し上げますと、今先生お話しになりましたようなことは頭の中では考えられるでしょうけれども、私たち現実にそれがどういう地域でどういうように採用に影響しているかということをこの場でお答えできるほど資料を持っておりません。非常に残念でございますけれども、現在そういう状況でございます。
  31. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 千葉県などからもちゃんと要望書が出ておりますから、当然知っていなくちゃならぬと思うのですが、それを把握していないということでは極めて遺憾であります。  千葉市の例を申し上げますが、千葉市は現在調整手当支給地区分が三%地域になっております。総務庁家計調査で、八五年の千葉市の勤め先月平均収入というのは三十九万八千円となっております。ですから、調整手当一〇%、また六%地域の中に含まれる一部の都市よりもこれは高くなっているわけであります。物価消費支出、こういう点を見てみましてもやはり同じような状態が見られます。それから、千葉市の周辺のいわゆる京葉地帯、こうしたところも同じような傾向であります。  人事行政への影響問題も、新規採用者が一〇%地域の東京に流れる、これは千葉県の官署から共同して出された要望書でもちゃんと言っているところです。  それから、千葉県内には成田空港や国立病院官署指定されております。それが一〇%の支給になっておりまして、そういうところで職員の間におきましてもやはり問題が生じておりますから、この一〇%地域への引き上げ要望というのは、労働組合だけではなくて、千葉県にある国の行政機関責任者も連名して要望を出しているところであります。  これらの要求は、これは千葉県だけではなくて、矛盾を持つ該当地域からも出ているわけですが、こうした要求が出てくるというのはもう今の状況を見れば当然であります。人事院はこの問題についてどう改善しようとしているのか、ちょっと中身をお聞きしたいと思います。
  32. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 千葉県内市町村民間賃金状況が、今先生お話しになりましたように、三%地域として不適切かどうかということにつきましては、実はもう少し数字を精査してみる必要があると思いますけれども、私たちの現在までの状況から申し上げますと、千葉市及びその周辺の市というのは三%地域になっておりますが、民間賃金の指数から申し上げますとおおむね妥当ではないかというふうに考えております。  先生は一〇%地域とか六%地域地域と比較して申されましたけれども、私が最初に御答弁申し上げましたように、現在の六%地域あるいは一〇%地域の一部の中にも、現在の六%とかー〇%が適切かどうかということをも見直さなければならない地域があるという前提でお考えいただきたいというふうに思います。     〔宮下委員長代理退席戸塚委員長代理着席
  33. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これはまた公務員の利益を守るという立場から別の角度で論議しなくちゃならない問題でありますが、何しろ千葉市は総務庁家計調査での勤め先収入が一〇%地域都市よりも高くなっている、そういう状況があるわけでありますから、人事院調査がまだ極めて不十分な状況にあるというように思うわけであります。  そこで、給与局長は去年の八月のこの委員会で、調整手当の見直しの準備について、市町村単位資料の収集、民間人事管理担当者からヒアリングをしているということなど、本格的な検討をしたいとの意向を示されております。それから半年過ぎておりますが、その後の準備状況の進展はどの程度のところまで来ておるのか、お伺いします。
  34. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 昨年の八月にやはり当委員会で御質問がございました。そこで私は「本格的に検討いたしたい」ということを御答弁申し上げますとともに、私たちが検討するためには、やはり四十二年十二月の附帯決議というのがございますので、その附帯決議を見直すような国会における意思決定というものをしていただきたいというお願いを申し上げております。今日におきましても、やはりそのお願い柴田議員に改めて申し上げたいと思います。なお、先ほど先生の方から人事院調査が不十分だというようなお話がございましたけれども、そういうことはございません。私たちは、民間賃金につきましても給与勧告をする際に調査をいたしておりますし、また、労働省の調査というものもよく調べております。あるいは物価生計費につきましても、総務庁調査というものをよく見た上で私たちは判断をいたしておりますので、先生の方とともに、またこういう資料につきましても時が来れば議論いたしたいというふうに思います。
  35. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 盛んに附帯決議が出てきますが、これは後にいたしまして、じゃちょっともう一つ突っ込んでお聞きしますが、調整手当支給地区分改善というものはことしの人事院勧告に盛り込むこともあり得るのかどうか、このことをお伺いします。
  36. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 白紙でございます。ただ、私たちはこの問題につきまして、関係者納得協力を得ましてできるだけ成案が得られればというふうに考えております。
  37. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それは成案が得られれば盛り込むということがあり得るということでありますか。
  38. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、私たちがこの問題について正式にスタートするためには、その環境が整わなければならない。そのためには、第一番目にやはり国会附帯決議がございますので、その附帯決議を見直すための意思決定というものをお願いを申し上げたいというふうに思います。そうしますと私たちも非常に動きやすくなりますので、そういうもとにおきまして、関係者納得協力を得た上で成案を得るように努力いたしたいということを考えておるわけでございます。
  39. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それじゃ附帯決議の問題ですが、この附帯決議が出された当時、提案者に我が党は加わっておりませんので、その点、附帯決議についてはフリーに物が言えるし、あるいは客観的にこの附帯決議を見ることができるというように思います。  当時の議事録を読んでみましたけれども、当時審議された給与法には、調整手当支給地区分につきまして人事院が三年間で調査研究して国会と内閣に報告することを附則で規定しておりました。したがって、三年後に支給地の切り下げなどが心配されたために、それを防ぐために、さしあたり現状を変更せざるよう配慮すべきであるということで附帯決議は提案されたものであるというように理解しております。  この附帯決議から二十一年たった今日でも、この附帯決議調整手当改善に妨げになるという御理解なのでしょうか。
  40. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 柴田先生の御意見は御意見として私たちも理解をいたしますけれども、やはり国会という場で決定された附帯決議でございますので、執行機関の側にある我々としては、重々しくこれを受けとめなければならないだろうというふうに考えざるを得ないわけでございます。  それから、今四十二年の法改正の附則の話もございましたけれども、その附則の趣旨に従いまして、私たちも時の経過とともに必要な手当てといいますか、措置というものを調整手当については行ってきたと考えております。
  41. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今もこの附帯決議の見直し決議をしてほしいというようなことをおっしゃいましたけれども人事院とすれば、この附帯決議がある限り調整手当支給地区分変更はしないという立場でおられるのですか。
  42. 内海倫

    内海(倫)政府委員 調整手当の問題は、ただいま給与局長から御答弁申し上げたようなことでございまして、私ども調整手当というものの問題は十分に意識しておりますが、さればそれの答えを出すということは、いろいろな問題を含んでおるわけでございます。  まず何よりも厳密な調査もいたさなければなりませんし、また、先ほど局長からも申しましたように、国会におかれましてもそういうふうな御決議がございます。したがって、そういうふうなものを改めて変更する場合におきましては、調査も厳密にするとともに、国会の御意向も十分承らなければいけないと思います。  だから、国会委員会の御決議があるから人事院はやらないのだろうというふうな御理解ではなくて、人事院もまたそういうふうなものの検討、是正ということの必要性は感じておりますけれども、それを実現するためにはどのような道程を踏み、どのような手段、措置をとる必要があるかということを考えなければならないと思います。そうするのであれば、やはりこの委員会において御決議がありました点についても私どもは重大な責任を持つわけでございますから、そういう面からもいろいろと御理解をいただかなければならない、こういう意味で局長からも申し上げておるわけでございます。
  43. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 総裁から御答弁をいただきましたが、この附帯決議があっても、調整手当支給地区分改正問題はやはり時の状況の中で改正はあり得るということを言っておられるように理解いたしましたが、この点を確認したいのです。
  44. 内海倫

    内海(倫)政府委員 先ほどもたびたび局長及び私から申し上げておりますように、御決議があるからやれないというわけではございませんが、しかしその御決議というものは極めて私どもは大事なものである、したがって、そういうふうな御協力あるいは御支持というものがなければそういうものの実現は容易に期しがたい、こういうふうに思っております。
  45. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この附帯決議の内容に含まれていることは、ただ単純に支給地区分変更するなというものではないわけであります。この附帯決議趣旨を述べた議事録では「暫定手当支給地域区分が今日まで十数年間引き続いてきているという現状を十分考慮していただいて、規則制定の際混乱が生じないように」と言っておりまして、その後続いて、「さしあたってはこの序列を変更しないよう配慮していただく、」こうなっております。この「序列を変更しない」というのは、さきに述べたような「混乱が生じないように」という前提があるからであります。つまり、十数年も手当を出してきたところですから、ここにはいわば既得権といいますかそういう問題が出てまいりますし、支給地を現状より低めると混乱が生じるからそういう点は変更するなということであるわけです。  この支給地区分改善するという場合に、人事院は三十六年間にわたってこの区分の手直しはしてこなかったわけですから、この長い間にわたって調整手当がついてきたという事実、それから勤務条件の一つである調整手当という性格から、職員団体との十分な話し合いが必要でありますし、また、国公法三条、人事院の任務であります職員の利益の保護という立場でこの改善問題には取り組むことが重要であると考えております。  そういう点から、検討されております改善の問題、この点について職員団体との十分な話し合いをするということ、それから職員の利益の保護の立場で問題に取り組むということについての決意をお伺いしたいと思います。
  46. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 見直しをする場合には職員団体の意見も聞いてまいりたいと思います。  なお、職員の利益の保護といいますか、既得権というような話がございましたけれども、やはりこれは法の要件に合致していないということになりますと、大都市圏であろうと地方の市町村であろうと支給地から外していかなければならない。しかし、その場合にはやはりできるだけ経過措置というものを丁寧に考える必要があるだろうというふうには一般的に考えております。
  47. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 だんだん局長の本音が出てきているわけでありますけれども、結局、政府が進めております人件費の総抑制の立場で進めることになっていく危険というものがあるわけであります。そういう点から、この附帯決議背景、そしてそれがどういうことを意味するのか、これは十分検討していかなければならないわけであります。要するに、勤務条件を悪くして、職員の利益の保護という人事院の任務を全うすることはできないわけであります。  そういう点で、この職員の利益の保護ということについて人事院がどういう態度で取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
  48. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 この調整手当といいますのは、官民給与を比較いたしまして、その較差配分というものの中でこの額を決めたり、それを支給する、支給しないということを行っておりますので、総人件費を抑制するとか、あるいはよく言われます行政改革路線の一つだというようなことではございませんで、調整手当支給率を仮に落とすとかあるいはまた支給地域を非支給地域にすることによって余りました財源は他の方の給与に振り向けるということになりますので、先生、その点はひとつ誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。  また、私が先ほど申し上げましたように、この手当の見直しを行うことができるようになりました場合には、経過措置をつくりまして激変が起こらないように配慮をしていくのが一般的ではないだろうかと考える次第でございます。
  49. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 附帯決議ということをいろいろと言われておりますし、いわば人事院附帯決議を厳守する、そういう姿勢が強いように聞こえますので、附帯決議の問題で言いますと、一九七〇年十二月十七日の参議院内閣委員会での附帯決議ですが、ここでは、「人事院は、その性格の特性にかんがみ、制度改正等に当つては慎重に配意し、国家公務員の利益保護のため一層の努力を払われるよう要望する。」というのがあります。この附帯決議趣旨地域調整手当支給地区分改善に当たるべきだと思いますが、この問題の最後でありますので、総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
  50. 内海倫

    内海(倫)政府委員 人事院としましては、国家公務員の勤務条件の改善あるいは給与条件の改善につきましては、常時検討を加え、その必要な対策をとるように勧告をしあるいは意見を提出しておるわけでございます。ただいまお話しの決議の趣旨におきましても、私どもは努力を続けておるところでございます。
  51. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次は、人事院の勤務時間問題研究会についてお伺いいたします。  職員局長のもとに昨年の十一月にこの勤務時間問題研究会が設けられました。この研究会の組織の性格はいわゆる私的諮問機関ということになるのでしょうか。
  52. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 今お尋ねの勤務時間問題研究会でございますが、これは、社会の変化に対応して公務員の勤務時間のあり方もいろいろ考えなければならない時期に来ているのではないか、こういうような問題意識を持ちまして、有識者の御意見をいろいろお伺いしたいということで、昨年の十一月、職員局長が主宰する勉強会という形で設けたものでございます。  主要検討項目といたしましては、勤務時間の短縮あるいは週休二日制のあり方あるいは勤務時間の割り振りの基準、休暇制度のあり方、こういったことを予定しております。
  53. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今言われたのが結局検討事項になるのですか。もっと具体的に検討事項を言えれば言ってほしいと思います。
  54. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 今申し上げたような項目でございますが、具体的に申し上げてまいりますと、週休二日制につきましては、公務員の週休二日制を基本的にどのように考えたらいいのか、あるいは今後どのように進めていったらいいのか。それから、勤務時間の割り振り基準につきましても、今はかなり画一的に行っているわけでございますが、今日のようにいろいろな職場、いろいろな職種が多様化してまいりますと、そういう画一的な扱いでいいのかどうか。休暇制度につきましても、いろいろな民間における休暇制度もございます、そういったものをどういうふうに公務の世界にも取り入れていったらいいのか、こういったようなことを具体的に検討していただこうと思っております。
  55. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 研究会のこれまでの審議状況、今後の審議予定はどういうふうになっておるでしょうか。
  56. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 昨年の十一月以来、四回ばかり勉強会を開催していただいております。先ほど申し上げましたような週休二日制の問題あるいは勤務時間の割り振り基準の問題等々について検討をしていただいております。  今後の予定といたしましては、休暇制度につきましてまたいろいろと御検討を願いたいと考えております。
  57. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 報道によりますと、この六月には中間報告を出して、二年後に最終報告を出す予定だというように報道されておりますが、そういうことになるのでしょうか。
  58. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 議論がある程度まとまってまいりますれば、できればその取りまとめをお願いしたいということを考えておりまして、私たちの希望といたしましては、できれば、今委員からもお話ございましたような六月ごろに取りまとめをという気持ちは持っておりますが、勉強会そのものといたしましては、どのような形でどのような時期にそういう意見の取りまとめをするかはまだ決まっておりません。
  59. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 報道によりますと、六月の中間報告をことしの人事院勧告に反映させる予定だというようにありますけれども、研究会報告を、もちろん取りまとめができてからのことでありましょうけれども、ことしの人事院勧告に反映することもあり得るんでしょうか。
  60. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 冒頭にも申し上げましたように、この研究会は勉強会でございますので、その勉強会の成果そのものが直ちに人事院勧告に反映するというものではないというふうに認識しております。ただ、有識者の方々に集まっていただいていろいろな貴重な御意見をいただくものですから、その御意見というものは十分に参考にはさせていただきたい、このように考えております。
  61. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そういう点で最初に私的諮問機関の問題をお伺いしたのですが、この運営、それから報告の取り扱い、これにつきましては、これまでの政府の方針で、行政機関意思決定の場ではないということ、それから行政機関の政策の方向づけをしてはならないということを取り決めているわけであります。  人事院は研究会の運営などについて、これらの私的諮問機関の運営方針を厳守して運営するという立場でやっておられる、このことについては、やられることについては異論はないと思うのですが、確認したいと思います。
  62. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 この研究会は職員局長が主宰する勉強会という性格のものでございますので、いろいろ有益な御意見はいただけるものと期待いたしておりますが、それはあくまでそういう我々が仕事をしていく上での参考意見として使わせていただこう、このように考えております。
  63. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 研究会の目的をお話しいただきました。また、検討テーマについてもお話しをいただきました。これはみんな国家公務員の勤務条件にかかわってくる問題であります。国家公務員の勤務条件の変更につきましては、国家公務員法で関係職員団体との交渉のテーマになるわけであります。  問題は、この研究機関は私的諮問機関でありますから、この研究会の報告が出たその段階で、それがあったということで、関係職員団体との十分な協議もないままに勤務条件が一方的に変更されるということは決してあってはならない問題だと思うわけであります。そういう点で、この研究会、勉強会でいろいろと意見が出てくる、そして人事院としてもこの人事院勧告の参考に資する、そういう中でこの関係職員団体と、そこにあらわれた勤務条件、これについての協議を十分にされるということであるかどうか、お伺いしたいと思います。
  64. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 人事院といたしましては、従来からも職員団体のみならず関係各方面からの御意見を十分にお聞きした上でいろいろな措置をしてきておるわけでございますが、今後ともその点においては変わりはございません。
  65. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうしますと、この勉強会でいろいろの問題が討議をされて、人事院としてもそれを参考にして方向を出していく、そういう場合に、この職員団体の方から適当な申し出があれば、これはそのたびごとに話をしてその意見を聞くということになるわけですか。
  66. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 従来からも職員団体からの御意見は十分に聞いておるところでございますが、今後ともそういうことでしてまいりたいと思っております。
  67. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 職員団体からの意見を十分に聞いて、その結果というものはどのような扱いをなさるわけですか。
  68. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 従来からもそうでございますが、関係方面からの御意見は十分に検討させていただいた上で人事院としての態度を決めておるわけでございます。
  69. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そういう原則的な立場というのは、言っておられることはわかるのでありますけれども、私的諮問機関あるいは研究会といっても、一応研究会のまとめが出る、そうしますとこれが何か至上なものとなって、特に勤務条件が法律事項であるというようなことからそれを至上なものにする、そういう扱いが行われることをたびたび今まで経験してきておりますので、その点について繰り返し言っているわけですけれども、そういう扱いではなくて、やはりちゃんとこの勤務条件の問題で職員団体の意見を、今までと同じように、あるいは今まで以上に尊重していくという立場であるかどうか、お伺いしたいと思います。
  70. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 先ほどからも繰り返し申し上げておりますように、研究会の成果そのものは十分に参考にさせていただこうと思っておりますが、同時に、関係諸方面からの御意見も十分にお聞きした上で人事院としての意思決定をしてまいりたいと思っております。
  71. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 終わります。
  72. 戸塚進也

    戸塚委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二十八分休憩      ────◇─────     午後一時五十五分開議
  73. 近岡理一郎

    ○近岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
  74. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 まず冒頭、高鳥総務庁長官にお伺いをいたしますが、これはもう何回もこの委員会でほかの委員にも答弁されたかと思うのでありますが、恩給法恩給制度恩給年金制度、こういうものの本質と申しますか、趣旨と申しますか、そしてまたその持つ社会的な意義、こういうものについてまずお伺いをいたしたいと思います。
  75. 高鳥修

    高鳥国務大臣 しばしば御答弁申し上げているところでございますが、恩給制度は、国家にその生涯の大部分をささげて尽くされた方々に対しまして、その生活を保障するという意味で国家補償的性格を持つものであるというふうに考えております。その生涯をささげて定年を迎えられた方、あるいはまた、途中、病のために退職された方、それからまた、特に軍人の場合などあるわけでありますが、そうした方々に対しまして、法律的に国家補償的な性格を持ってその生活を保障するという意味合いがあるものと考えております。したがいまして、おのずから共済年金とは性格が若干異なるものであるというふうに考えております。
  76. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 国家補償的性格を持つ、それはまさにそのとおりであろうと思うのですが、生活のホショウというものが、ホショウと日本語で通常言いますと補い償うという補償もありますし、それから社会保障の保障、その二つがありますが、どちらでございますか。
  77. 石川雅嗣

    石川政府委員 国の国家ホショウ的性格を有するという場合のホショウにつきましては、補いあがなうといいますか、そういう意味での補償であるというふうに理解しております。
  78. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 そのとおりであろうと思うのですが、生活の保障という場合に、その補い償うという意味で、今回も共済関係の年金の引き上げ、こういうようなものとは異なった措置をいたしまして、それよりはやや上回る引き上げ措置も講じておる、こういうことになっているわけですけれども、現状の恩給を、今度大体一・二五%ですか引き上げるということですけれども、その引き上げによって皆さんが考えておられる生活保障というものは十分達せられるという見通しと確信を持っておられるのでしょうか、その辺のところをお伺いします。
  79. 石川雅嗣

    石川政府委員 恩給は、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、長年公務に従事した者あるいは戦没者遺族、戦傷病者等に対します国の補償として支給するものでございますが、一方、共済年金制度などは、一定の拠出を行い、保険数理の原則によって運営される社会保険の一つというふうに理解されるわけでございまして、恩給制度とはその基本的な性格制度の仕組みが異なるということは先生も十分御承知の点でございます。  それでは恩給の年金が十分なものであるかどうかということでございますけれども恩給の場合には平均在職年が共済等と異なりまして若干短くなっている、それからまた給与制度改正の影響といったようなものもございますので、恩給と他の公的年金、この両者を年金額の多寡だけでもって比較するということは必ずしも適当ではないのではないかと考えているわけでございます。  ところで、普通恩給などの年功によります恩給と申しますのは勤務年数と退職当時の俸給等によってその額が決定されているわけでございまして、勤務年数が短い方、あるいは退職当時の俸給が低額である方、こういう方の場合にはその恩給年額も相対的に低額になるということはある程度やむを得ないことではないか、このように考えているところであります。
  80. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 今おっしゃったことは私もわからぬではないわけであります。ただ、国の責任という問題、これは、太平洋戦争が一九四五年に終わったわけでありますが、私どももそれまでの日本の明治以来の戦争に次ぐ戦争という不幸な時代のある部分を生きてきた一人としまして、少なくとも恩給法は、長く文官として勤務をして一定の年限を経たというような条件もございます、さらにまた軍人の場合は、これはもう言わでもがなのことですけれども、天皇の命令のもとに死をいとわずどんなところへでも命令一下行って、上官の命は朕の命と心得よ、そういう中で矢弾の中に身をさらして命がけの勤務をするという、まさに命がけの勤務というのは、言うべくして——我々今日の平和憲法のもとで平和の中で四十数年も住んでいる者にとっては、当時の軍人の気持ちというようなものもまた覚悟というようなものも、これはまさに異常な時代であった。  そういう中で過ごした人たちの老後の生活を保障する。ちょっぴりでも出しさえすればいいんだ、何らかの一定の額を与えればそれは生活の補い償いにはなるのではないかという軽い考えであってはいけない。そういう者に対して老後の生活まで見てやろう、こういうのが天皇制国家における国家の意思であったろうと思うのです。  その後民主改革が行われ、平和憲法が制定されているわけですけれども、しかし国家の責任というものは新憲法下にあっても、国家がかつてそういうようなことを国民に命令をして、絶対服従の命令で死地に赴かせ、命がけの仕事に携わらせたという者に対して、私は今日の社会保障として行われている社会保険の共済組合なりあるいは厚生年金なりというものと全く同じにしろということを言うつもりはないわけでありまするけれども、そういう人たち。  そしてまた、戦前におきまして文官であっても、日本の戦前の官僚制、官吏服務紀律というようなものを私も改めて今度質問するに当たって勉強したわけですけれども、まさに天皇の忠実なる使用人、隷属的な使用人として、ほとんどの自由、人間的自由というようなものを全く奪われた形において、今日の国家公務員法による服務義務といいますか、そういうようなものとはまた違ったそういう制度の中で、極めて不自由な、そしてまた清貧に甘んじた苦しい生活を送らざるを得なかった。  そういうことを考えまして、今日その人たちの老後が、この程度の恩給年金で果たして国の責任というものは達成されるのであろうかという疑問を抱かざるを得ないわけであります。余りにも乖離が激しくなっておりはせぬか、こういうように思うのでございますが、いかがでございますか。
  81. 石川雅嗣

    石川政府委員 先ほど恩給の年金の額につきましては、勤務年数それから退職時の俸給が基礎になって計算されるということを申し上げたわけでございます。しかし、恩給が退職または死亡後におきます適当な生活の支えとしての機能を果たすためには、やはり先生おっしゃいますように余りにも低額の恩給であっては好ましいということにはならないわけでございます。  恩給制度におきましても、昭和四十一年度に普通恩給や普通扶助料に最低保障の制度を導入したところでございまして、そのほか、仮定俸給の引き上げとかあるいは恩給算出率の特例等の措置を講じまして、その給付水準の改善にこれまで努力をしてきたところでございます。  今後とも、長年公務に従事した者に対する恩給上の処遇につきましては、公的年金とのバランス等もいろいろ考慮しながら適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  82. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 総務庁長官、普通恩給だけを問題にして議論してみたいと思いますが、一番多いところだと思いますけれども、普通恩給受給者の総数の平均、これは月額にいたしまして四万四千三百八十六円という数字が提出をされております。文官の総数の平均、これは辛うじて九万九千四百四十四円。旧軍人の総体、これは大将から兵まであるわけでありますが、四万二千二百八十六円、こういうわけであります。  実は私も旧帝国陸軍の中尉であったものですから、中少尉クラスというところがやはり一番人数としては多いのじゃなかろうかということで、中少尉クラスのところをちょっと平均を出してみてくれ、こう言うたのです。これは実勤続年数の関係等で、少尉は、兵から上がって准士官を経て少尉になるという人が終戦のときにばあっと少尉になったということもありまして、勤続年数のかげんだろうと推定をしておるわけでありますが、中尉のところで六万三千百九十三円、こういうことであり、それから少尉のところで七万円という、階級は下でもこれはそういう勤務年数の関係が響いていると思いますが、そういうことである。こういうようなことで、これは生活の保障と果たして言えるのだろうか。下士官のところでは四万一千円。兵のところでは三万七千九百九十一円。普通恩給の程度ではそういうことだというのですね。  こういうことを一応置いて、これは社会保険とは違いますと言いますけれども、今日厚生年金の場合には、三十二年勤続というとかなり長期で、まだこういうところはそうは出ていない、該当者が余りいないかもしれませんけれども、これからどんどんそうなってくる、間もなく、今明年あたりからなってくるのだろうと思いますが、これは十八万四千円ですよね。文官の平均の大体倍と見てよろしい。それから、国民年金の場合は、これは基礎年金制度で大改革があったばかりでありますから、まだ、十年年金で三万二千四百五十円とかということになるわけでありますが、老齢基礎年金でも数字としては五万二千二百八円、これはまだ仮定の数字というか、五万円というものを一昨年決めて、ベースアップをしてもう五万二千円まで改定をしているということになっておるわけであります。また、共済組合の年金などでも、これは現に既裁定年金額でも年額にして二百万あるいは二百二十万ぐらいまでいっておるところもある。これは十八、九万のところまでいっておるということだろうと思うわけであります。  そういうことになりますと、今引用しました、皆さんから提出していただいた資料でございますけれども、余りにも乖離が激し過ぎないかという点にやはり疑問を持たざるを得ない。そのために、公務員等共済制度、ほかにも地方公務員共済もありますし、あるいは農林漁業団体職員共済組合だとか私学共済がございますが、それらはむしろ国家公務員以上の給付額をいただいているというようなこともあるわけでありまして、そういうものとの比較においてこれは余りにも乖離し過ぎてはいないか。これは長官、あなたの率直な気持ちを聞かせてください。
  83. 高鳥修

    高鳥国務大臣 委員御承知のことではございますが、恩給法そのものがあのような長期、苛烈な戦争が継続するということを前提にして考えていなかったというふうに思うのであります。でありますから、軍人の場合においても一般文官と同様に、いわば職業軍人、表現が適切かどうかわかりませんが、職業軍人として長期在職するものとして本来ならば恩給を受けるというような形のものであったと思うのでございます。  ところが、あのような戦争が継続いたしましたために、いわば徴兵によって出陣をされた方々についても、これは戦時加算等いろいろな方法を講じまして恩給の対象になるようになっていったというふうに思うのでございまして、したがって平均在職年数というものが、文官の場合で申しまして十七・六年でありますが、旧軍人の場合においては五・七年ということで、その期間に非常に差がございます。  したがいまして、戦争が終結いたしましてから後、いわば他の職につかれて、主たる生計を他の職によって立てられておるというケースが非常に多いわけでございます。したがって、恩給に全部それをかぶせてしまうというわけにはなかなかいかないのではないだろうかというふうに考えておりますが、なおしかし、委員御指摘のように額としては極めて最低額は少ないわけでございますので、私どもといたしましてはできるだけこの改善に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  84. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 答弁答弁としてそのとおり承りますが、恩給法の成り立ちというものは、保険数理あるいは社会保険の考えというものとは全く違う成り立ちなんであるということが国家補償という性格規定づけられている。そうなりますと、なるほど勤続年数は、実在職年なり、あるいは非常に高度な身の危険のある戦地とそれから内地の場合とか、そういうような面で同じ立場の人たちの間に若干のそういう年限での差があるということは受け入れてもよろしい。しかしながら、理念的な立場で、国家補償の精神、しかもそれは文官の場合ならば天皇の絶対服従の使用人という形において、いろいろな制約のもとに薄給に甘んじて、官吏服務紀律を見ますと、十数条にわたって何をやってはいけない、かにをやってはいけないというようなあらゆる縛りをかけて、非常に窮屈な立場に身を置かされた。もう軍人の問題はあえて言いません、まさに命がけの仕事。そういうものを国家の意思として、国家の命令として絶対服従の立場で強制をしてきた。そういうようなもので、なるほどそれは年限の差というものも、そしてまた無事にお帰りになって恩給を受ける、そしてほかに職業に第二の就職をするという場合もあったでありましょう、そういうようなものを考慮してもまだまだ低いと言わざるを得ないだろうと私は思うのです。そして、国の責任としての立場というもので、これは好ましいことではないと私も思っているわけです。  言うなれば、これはまさに戦争の後始末の経費で、戦後の広い意味での戦後処理の問題という、言うならば後ろ向きの経費的性格を持たざるを得ない。そういうようなことですから、昭和二十八年あたりですか、恩給亡国論などというものまで出た例があるということが、この「恩給百年」の中にも、これは皆さんが編集されたわけですけれどもその中にもちゃんと書いてあるのだが、そういう点も私もわからぬではない。  しかしながら、今や日本はどうやらピークを乗り越えて、恩給亡国という声が出るようなピークを乗り越えられる経済力を持ってきた。まさに世界一の国民一人当たりのGNPを数えるという状態まで来ている。そういう状態の中でこの程度の、若干でも引き上げるということはいいことですけれども、そういう面では余りにも何か遠慮をし過ぎた形でやっているのではないか。国の責任というものはだんだん先細りになっていくんだ、そういうことであってはならない。  私は戦争に対しては絶対反対の立場を強く信念として持っておる人間でございまして、したがって、後でこういう恩恵があるんだからもう一遍皆さん軍人になってくださいよ、戦争に参加してくださいよというような社会は断じてあってはならないという信念を持ちつつも、一たん犯した過ち、そしてその中で国がこれだけのことはやりますよ、生活を保障するという、その保障の意味は、いろいろとりようで、そのときそのときの政府の立場で中身が変わるというようなことであっては、それが無原則に政府の御都合次第で時に有利になったり非常に不利な扱いになったりというようなことであっては、国家としての永続性といいますか、そういう中での国家の責任、責務というようなものでは非常に残念なことではないか。  したがって、ことしも幾分でも引き上げるということ、これは結構であるけれども、まだまだそういう意味で国家補償として生活を保障する——幾らかでも生活の足しになることは事実だと思いますよ、先ほど文官のところで九万九千円いただけるということでは。しかし、そういう人たちというのは、もう今新しい国家公務員共済に移行し、国家公務員の場合は三十四年、公企体の場合は三十一年でありますけれども、それ以来の人たちがもうどんどん高い年金もいただけるようになってきているというものとの差で、それ以前のそういう恩給法の適用を受ける人たち、まだまだ現在生きておられる方々、現に老後の生活を送っておられる方々は相当の年齢にも達している、この前の質問で総体の平均年齢が七十一・六歳というようなこともお聞きしましたけれども、そういう状態の中で非常に低いのではないかという感じがせざるを得ないのです。  人事院給与の問題と関連してやったことしの生計費調査の中でも、十八歳の男子は食料費だけでも平均二万八千三十円という数字が出ているのです。夫婦二人ということで、これは若い年齢層かもしれませんけれども、四万九千幾らというような数字も出ておるのです。それは食料費だけですよ。これは昨年の九月号か十月号ぐらいの人事院の報告書の中に出ておりました。十八歳と平均年齢七十一歳をそのまま比較するというのもどうかとは思うけれども、それにしてもやはり生活費に満たない程度のもの、総体の平均が四万四千円ということになれば食料費にも満たない状況であるということを考えますと、やはり永続性を持つ国の責任、責務、そしてまた国民から本当に信頼される、国は一たん約束したことはちゃんとやるのだ、そういう気持ちというものがあってしかるべきだろう、こういうような感じを持つわけですけれども、再度長官にお伺いいたします。
  85. 高鳥修

    高鳥国務大臣 大変御理解のある御鞭撻をいただきまして、まことにありがとうございます。  ただ、委員御承知のとおり、恩給は今や大部分が軍人恩給でございます。そして、ただいま申し上げましたように実質上の勤務期間が五、六年であるということでございまして、戦後四十数年たちまして、その間その人生のうちの大部分をほかのところで所得を得て生活をしてこられたという方も非常に多いわけでございます。したがいまして、五、六年の勤務をされた方に生涯ちゃんと食べていけるように全部保障をしろと言われてもなかなか難しいのではないか、率直に申しますとそう感ずるのであります。  しかし、ただいまお話のございましたように、それは一たん緩急あれば義勇公に奉ずるのは国民の義務であったわけでございます。しかし大変な御苦労をなさったことも事実でございますので、それに対する補償につきましては私どもとして最善を尽くして今後とも努力してまいりたい、このように考えております。
  86. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 私は、この恩給年金は前向き、後ろ向きの経費という二つに分けて考えれば、言うならば後ろ向きの経費だ、これは戦後処理の一環であるというように理解をするわけですが、戦後今日まで大体どのぐらいの恩給年金が支払われてきたか。この総額はたしか二十四兆ぐらいになるのではないかという資料をいただいておりますが、どの程度の恩給年金の支払いがございましたか。これは事務局で結構です。
  87. 石川雅嗣

    石川政府委員 大変申しわけございません。私どもの方で戦後支払いました恩給の総額について足し算をしたことはないのでございますけれども昭和五十二年度に合計で初めて一兆という額を超えたわけでございまして、その後今日まで来ているという点から考えますと、戦後全体としては相当な額に上るであろうということは先生のおっしゃったとおりだと思います。
  88. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 調査室の方から配られた資料の中に一般会計の予算と恩給費の対比が年次別にずっと載っているわけでありますが、今おっしゃられましたように、昭和五十二年度に恩給費が初めて一兆円の大台に乗った、その後一兆二千億、一兆三千億、一兆四千億、一兆六千億、一兆七千億、一兆七千億、一兆七千億、一兆七千億、一兆六千八百億、一兆七千二百八十億、ことしはやや対象者が減って一兆七千百六十億というようになっておるわけですね。対象者の数が昭和四十四年が一番多かったということで二百八十二万四千八百六十八人、恩給支給額でピークに達したのは五十八年で一兆七千三百五十八億、こういう数字が私の手元にあるわけでありますが、先ほど申し上げたように、戦後これを累計しますと大体二十数兆円になるということであります。  そのほかに、太平洋戦争に至るまでの軍人あるいは軍属あるいは準軍属というような人たちに対して、厚生省所管の戦傷病者戦没者遺族等援護法ですか、こういう法律ども別にありまして、やはりこれでも相当な経費がかかっているということを伺っておりますが、厚生省、ことしの予算額はその面では幾らになっておりますか。
  89. 山岸親雄

    ○山岸説明員 お尋ねの戦傷病者戦没者遺族等援護法によります年金の予算額でございますが、六十三年度で千四百五十九億円でございます。これは昭和二十七年にできた法律でございますが、ただいままでの予算の累計額を申しますと一兆九千四百六十八億円でございます。  それから、ただいま申し上げました戦傷病者戦没者遺族等援護法のほかにそれぞれ法律がございまして、戦没者の奥様でありますとか父母でありますとか、あるいは戦傷病者の奥様でありますとか、あるいは先ほど来御議論ございます恩給法公務扶助料、それから、私どもの戦傷病者戦没者遺族等援護法によります遺族年金を受給する方がいなくなった場合に、戦没者のそれ以外の遺族に対しまして弔慰金などを差し上げるというものがございます。これはいずれも国債で交付されるものでございますが、二十七年から六十三年、ことしの一月までに発行されました国債の累計額を申し上げますと、一兆四千八億円でございます。  以上でございます。
  90. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 具体的な数字をありがとうございました。  恩給法関係だけではなしに、戦後の後始末、戦後処理、戦争によって傷ついた人たちあるいは病気にかかられた方々、そしてその遺族の方々等に対するものとして、先ほど申し上げたような数字の上にそういうものも加わるし、交付国債で弔慰金を出しておるというものなども加えますと、さらに三兆三千億円ぐらいの上積みが恩給の上に行われるというように、膨大な金もかかるわけであります。国民の中から一時期、本当に恩給亡国なんということすら言われたということも先ほど申し上げたとおりでありますが、このように戦争というものは、戦後の処理というものが常につきまとうといいますか、継続して処理を行わなければならない大変なツケを後代に残していくということを、この際特に閣僚の一人として総務庁長官もしっかり腹に置いて今後の施策をやっていただきたいなという気持ちが私は強くするわけであります。  さらに、そういう面はあってもこれは国家の責任としてやるべきことはきちんとやるという立場、それからもう一つは、後始末が後代にツケとなって残って、後の世代にこれほど大変な負担をもたらすような戦争は、私は二度と再びやってもらいたくないという気持ち、しかしそのためにも戦後の後始末というものは、そういう立場を前提にしながら後始末だけはきちんとやるという姿が私は必要ではないか、政策の選択として、国の行く末を考えながらそういう方向の政治というものを必要とするのではないかというように考えていきたいと私は思うわけであります。  そういうような立場で、この委員会でも今まで戦後処理問題としてたくさんの附帯決議等もつけてまいっておるわけであります。恩給の最低保障額、現実には最低保障額適用の人たちが一番多いだろうと思うのですが、さらにこれの引き上げを図っていく、あるいは扶助料も同様でありますが、給付水準の実質的向上を図る、こういうことが必要だということを衆参両院で昨年もつけました。さらに、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃しろというようなこともつけられております。また、「恩給欠格者等の処遇について検討すること。」すべきであるというよりももっと強い形で「すること。」ということも附帯決議になっております。参議院でもほぼ同趣旨のことを言っております。  さらにまた、参議院では衆議院につけ加えまして、「戦地勤務に服した旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金の増額について適切な措置をとること。」ということなど、そのほかにもございますが、この附帯決議趣旨について、全体的に総務庁長官は——昨年はまだ高鳥さんは総務庁長官になっておられないと思いますが、この委員会でつけた附帯決議でありますから、前の総務庁長官は、全会一致でこの附帯決議は通るわけでありますから、その際に、御趣旨を体して誠心誠意政府としても努力しますということを答えたに違いないわけです。  私、今議事録を持ってきておりませんが、これは国会の慣例になっておりますからまず間違いないだろうと思いますが、そういう気持ちでこの問題にすべて対処なさる、こういうお気持ちでございますか。
  91. 高鳥修

    高鳥国務大臣 附帯決議に対するお答えとして政府がやっておりますのは大体いつも同じ言葉だと思いますので、恐らく、今後慎重に検討させていただきますというお答えをしておったのではないかと思います。私自身も今ここに議事録を持っておりませんので、前の長官がどのようなお答えをしたかについてはつまびらかにいたしておりません。  ただ、政府といたしましては、委員会における全会一致の御決議というものは非常に重いものである、このように受けとめておりまして、いろいろと附帯決議されましたことにつきまして、今回の予算編成の際にも慎重に検討いたしまして、別途御審議をいただくことになろうかと思いますが、基金設置などをもって対応していく方策なども検討いたしているところでございます。
  92. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 全体的にさらに検討しつつ努力をしたいという御返事でありますから、そのことを確認しながら先に進みます。  これは多くの皆さんがお触れになった問題だろうと思いますが、「恩給欠格者等の処遇について検討すること。」私もずっと前から、既に大蔵委員会時代に、旧軍人恩給の通算の問題、そしてまた外国政府あるいは満鉄のごとき外国の特殊法人、こういうようなものの共済年金への通算ということを必死にやったわけであります。これは長官も大蔵委員会におられたことがありますから覚えておられると思いますが、そういうことを随分やって実現をしてきておるわけであります。  なるほどそれは、そういう期間を通算するに当たりましても、全期間をそのままというのは、軍人恩給納金といいますか、そういうようなものは下士官兵の階級は全部免除されたりというようなことなんかも軍人期間でも確かにありました。そしてまた、現在の共済掛金の掛金率から見れば非常に低い、せいぜい二%、時には一%であったりというような、そういう恩給納金というものがありました。  それも、これは恩給制度が廃止されて国家公務員共済に移ったあの戦後の公務員法改正公務員等共済組合法の改正のときに、そういう恩給納金をしておった人たちの、整理資源と専門用語で言っておりますけれども、それは一切新しくできた共済年金に資源として加えないで、全くゼロで出発した。年限だけ、その勤務期間だけ通算をしていく、新しい共済の中に取り込んでいく、こういうつなぎをやったわけですね。ですから、そういう点では、これは共済組合にも入っていないけれども恩給納金はその支払い財源の一助になる、社会保険の関係からいえば当然そういうものも引き継がなければならぬのですけれども、それは一切引き継がなかった。追加費用というような形で今日ずっと問題になってきておるわけですけれども、そういう関係もあるわけです。  しかしながら、それは通算をしている。そして、その期間中本人の掛金というものはないのだから、国の、あるいは使用者としての国の責任分だけ年金にも影響させて通算をして支払いもするというようなシステムになっていると思うのですね。それは官公庁関係、それから私立学校共済、農林漁業団体共済もちゃんと踏襲していると思うのです。地方共済もそうであります。  しかしながら、戦後どこかの会社にお入りになって厚生年金に入った、あるいは自営業者で国民年金に入ったというような場合に、それを全く通算しない、これは国の関知せざるところということで行ってしまうということは、やはり官民格差ということが言われても仕方のない問題だろうと思います。  そしてまた国は、共済組合にもその整理資源は入ってないけれども、したがって、その部分は本人も掛金は掛けてないのだから厚生年金の財源にプラスしてない、しかし、使用者の分に見合うものを、これは当時国が使用者だったわけですから、その点は国が払ったと思って厚生年金にもその分については一定の財源として拠出を、公経済負担というか国庫負担というか、その辺のところは皆さん知恵のあるところで出してもらいたいけれども、やりようはないわけではない。したがって、その部分、掛金を掛けなかった部分は計算上差し引くということがあってもよろしいけれども、そういう平仄を合わすような形での通算というようなものを国民年金にも厚生年金にもやはりやるべきだろうと私は思うのですが、これは総務庁長官だけではなしに、厚生省にもそういう方向がとれないものかどうかということについてお伺いをいたしたい。
  93. 松本省藏

    ○松本説明員 委員長の方から内閣審議官の肩書での御指名でございますけれども、一方で私は厚生省の年金課長をいたしておりますので、今の御趣旨は厚生年金ないしは国民年金の制度の問題というふうに理解をいたしまして、お答えをさせていただきたいと思います。  既に本内閣委員会におきましても、国民年金制度あるいは厚生年金制度においても軍歴期間を通算すべきではないかという御指摘がございまして、それにつきましてはるる事情を御説明申し上げまして、なかなか通算というのは難しいという事情についてお答えを申し上げてきたところでございます。  さらに、先生の御質問趣旨と申しますのは、過去の期間について何らかの形で拠出をしたというような仕組みをとればいいのではないかということでございますが、厚生年金ないしは国民年金制度、厚生年金はもともと昭和十七年からでございます、あるいは国民年金は昭和三十六年からでございますが、それ以前の制度創設前のものについては、基本的には他の自営業者の方々あるいはサラリーマンの方々を含めまして、何らの対応をとっていないというのが仕組みでございます。それはどうしてかと申しますと、軍歴期間をお持ちになって非常に御苦労された方々がおられることは十分承知しておるわけでございますが、では日本国内で制度創設前にサラリーマンとして現実に働いていた我々も同じように拠出をするから、制度創設前についてもひとつ厚生年金に乗せてくれあるいは国民年金にも加えてくれというような話になりますと、実際上それぞれの方が制度創設前にどういう事態でいろいろな仕事を持っておられたかということの証明もできません。そういうような事情もございますので、今まで国民年金、厚生年金ともにそれぞれの制度のスタート前の期間につきましてはなかなか通算が難しいということをお答え申し上げてきたということでございます。御理解を賜りたいと思います。
  94. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 どうもあなたのお答えはおかしいので、その期間を証明できないというのですけれども、恩欠者と言われる人たちが今二百七十四万人ですか、そのくらいいるということですが、旧軍人としてのあれは厚生省だってちゃんとつかんでいるはずですよ。あなた方の下部機関である各都道府県の援護課とかそういうようなところでは、自分のところの人たちがどれだけ、何年の兵役期間があったかというようなことなんかはみんなつかまえているはずですよ。  それで、厚生年金ができたのは昭和十七年だと私は記憶しているのですが、それ以前の分、法律がない前からというのはちょっと問題でしょうけれども、大体がそれ以降ですよ。特に太平洋戦争での問題が非常に大きいだろうと思いますから、その辺のところは知恵を出せばやれない問題ではないのではないか。そしてまた、その問題がいつまでもくすぶっている。平和祈念事業特別基金法等この委員会に提出しているんだからということもありますけれども、それでは余りにも均衡を失しているし、予想されるところの金額、見舞い金というようなことなんかにしても、余りにもそれは不合理じゃないか。また、不平等であり、格差があり過ぎる。取り扱いとして、公務員関係はよかったけれども、それ以外はだめだ、一切拒否されているということはどうも腹に落ちない。そういうことがありますから、何とかひとつ考える余地はないかどうか。  その辺のところを、今度は恩給欠格者の問題ですから、これは本来恩給法で特例を設けるなら設けるというようなことで救済できないこともないという立場もある総務庁長官からお答えをいただきたいと思います。
  95. 高鳥修

    高鳥国務大臣 恩欠者の問題につきましては、私も非常にお気の毒な立場にあることをよく承知をいたしております。  ただ、恩給法は、先刻来お話がございますように、自分のほとんどの生涯をかけて国のために尽くした方々ないしそれと同等の方々に対しまして国が補償するという性格のものでありますので、極めて短期の方々に対してはこれは非常事態でやむを得ないという建前になっておるわけでありまして、しかも戦後四十年を経た今日でありますので、今さら恩給法改正してということは、法の本来の建前からいっても極めて難しいのではないだろうか。  ただ、現実には、公務員として勤務された方と民間に戻られた方とでは明らかにその処遇について官民格差があるということは私も痛切に感じておりますので、これからも一生懸命勉強してまいりたいと存じますが、広瀬委員におかれましても、多年の御経験でいろいろいいお知恵があったらお教えいただきたいと思います。
  96. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 非常に難しいが勉強してみたいということで、きょうは時間もございませんのでこれ以上申し上げません。これはひとつ大いに、総務庁長官これからどのくらい在任するかわかりませんけれども、在任中に一生懸命勉強して、何らかのいい知恵を出してこの問題にもこたえていただきたいという要望を申し上げておきます。  人事院総裁、大変お忙しい中をおいでいただきましてありがとうございました。人事院総裁質問を行いたいと思います。  昨年八月六日に給与勧告をなさりました。これは昨年給与法が成立いたしまして実施されているところであります。  その際、昨年の人事院月報九月号のトップのところに、「給与及び週休二日制の勧告にあたって」ということであなたの談話が載っておるわけですが、今、春闘真っ盛りという中で、もう四月になりますとその結果も出て、調査をして勧告をなさるという段取りになろうと思いますが、去年おっしゃられているこの部分のあなたの考え方というものは、ことしもそのとおり踏襲して勧告をしていきたい、そういうように、官民較差、そして民間準拠というような方向を給与の場合でもやられる、去年と同じ気持ちで、そういうスタンスで人事院としては勧告を出していく、このお気持ちは変わりませんね。
  97. 内海倫

    内海(倫)政府委員 そこに述べておりますのは、基本的な私の、あるいは人事院の考え方でございますから、この考え方は、今も、また恐らくはよほど大きな事情の変化がない限り今後におきましてもそういう考え方でまいりたいと思っております。
  98. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 そのことを確認していただければ結構でございます。  総務庁長官、週休二日制の問題、これは四週六休制ということでございまして、これはけさほど参議院の方でも野田委員質問にお答えいただいたようでございますが、やはり衆議院の内閣委員会議事録にも長官答弁を残しておきたいという気持ちで質問をいたしますので、これからこの四週六休制度をやるに当たってのあなたの考えというものをここできちっと示しておいていただきたい。  あなたがこの委員会でほかの委員質問に対して答弁されたことを中心に、私はそれは非常に前向きに積極的に受けとめられているなということで評価をいたしておるわけでありますが、今後その取り扱いについては、国会の問題もあったりあるいは地方公務員の問題もあったりいろいろあるだろうと思いますが、その辺のところ、参議院でお答えになったとおりの御答弁がいただければ幸いである、そういうように思います。
  99. 高鳥修

    高鳥国務大臣 四週六休制度につきましては、試行段階を経まして本格実施というところにこぎつけてまいったところであります。これに至りますにつきましても各省庁ともいろいろと御苦心をいただいたわけでありますが、ようやく円滑に実施できる段階になったと考えております。  なお、閉庁方式による四週六休につきましては、中曽根内閣のときに昭和六十三年度中に導入することを目途として検討してまいるということを決めておられたわけでありますが、竹下内閣になりましてから関係閣僚会議を開きましたところ、労働大臣あるいは経済企画庁長官、通産大臣などから、今や閉庁方式導入の時期に来ているのではないか、竹下内閣として前向きに取り組むべきであるという趣旨の御発言がありまして、総務庁といたしましても積極的にこれの推進方を考えているところであります。  ただ、閉庁方式ということになりますと、従来お役所というのは土曜日は半ドンで半日は開いておるというのが定着しておったわけでありますので、これを変更するということになれば、国民皆様方の幅広い御理解をいただかなければなりませんし、かつまた職員団体の方にも御協力いただき、御理解をいただいていかなければならないと考えております。ただいま総務庁並びに各省庁におきまして各方面の御意見を承っておるところであり、職員団体につきましても、私自身が要望をいただいておりますし、人事局でもいろいろと御意見を伺っておるところであります。十分御理解をいただき、御協力をいただきながら推進してまいりたいと考えておるところであります。
  100. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 今お答えされたとおり、ひとつしっかりやって、できるだけ早く実現するように諸般の条件を整えていただかれんことを望んでおきます。  人事院総裁、きょうはこれでお引き取りいただいて結構でございます。  あと二十五分くらいしか時間がないようでございますので、次は、昨年日本国有鉄道から法律改正によりましてJR各社に分割・民営という形で移行したわけでありますが、そこで、随分前からこれは問題になっておった点なんでありますが、この成熟度が、成り立ちからいっても、公共企業体職員等共済組合法、これは三十一年にできたわけでありますが、その前の恩給期間を受け継いだりあるいは旧令共済を受け継いだりというようなことで成熟度が飛び抜けて高い。そういうようなこともございまして財政が非常に逼迫をしておりまして、既に五十九年改正で六十年度から六十四年度まで他の共済から資金の援助を仰ぐというような状況になってきたわけであります。  もう十数年前に私も大蔵委員時代に、やがて国鉄の共済組合はそういう状態になって、追加費用も公経済主体としての国鉄当局では賄い切れない、あるいは公経済負担分も国鉄当局の負担になっておったわけでありますが、その部分等についても経営の逼迫の中でなかなか出せなくなっていくのではないか、言うならば年金給付に要する費用を賄う財源が足りないという財政破綻が来るであろうということをいろいろ警告も発しながら議論をしたわけでありますが、もう現在そういうようなところに来ておる、こういう非常に深刻な事態だと思うのであります。  そういう中で、六十五年度以降どうするかという点では、官房長官、厚生大臣、大蔵大臣そして公企体共済の担当大臣であった運輸大臣、こういう人たちで財源をどうするかという点について相談をする、こういうことが閣議決定になっておるはずでありますが、その後この六十五年度以降の財源問題について、特にJR、旅客鉄道株式会社に移行しましたけれども、清算事業団も含めて、貨物会社も含めて、新幹線保有機構も含めて、JR関係の各社の共済組合の財政破綻に対してどういう対処を財源的にするか、こういう点でどういう相談をし、どういう状況に今日なっておるのかということについて、これは先ほど審議官ですか、お聞きしたいと思うのです。     〔近岡委員長代理退席、宮下委員長代理着席
  101. 山口公生

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  先生従来よりいろいろ御心配をいただいております鉄道共済年金問題、大変な難しい局面に立ち至っているわけでございます。  実は六十年から六十四年度までは、今御指摘いただきましたように国家公務員のグループが財政支援をしているという形で何とかしのぐめどが立ったわけでございます。それも実は昨年まではめどが立っておりませんでしたので、さらにそれに追加的に六十四年度対策ということで若干の対策をまた打ち出しまして、ようやく六十四年度までは給付ができるというめどが立ちました。その後の六十五年度以降の問題が先生御指摘のとおり大変な問題でございまして、私どもの見込みでは年平均約三千億ぐらいの赤字が見込まれるということで、その財源をどうするかというのが非常に難しい問題でございます。  そこで、今お述べになりました四大臣で構成いただいております閣僚懇談会で検討をしていくということにしていただいておるわけでございますが、何せ金額も膨大でございますし、また、そのやり方いかんによっては非常に利害関係が錯綜しましてなかなか難しい。ばさっばさっとうまく解決策が出てこないという局面でございますので、実はこの問題の検討に資するため、広く各界の有識者の方々に御参集いただきまして、鉄道共済年金問題懇談会ということで有識者の方々の御意見を聞いてみようじゃないかということになったわけでございます。  この懇談会は既に二回開きまして、近く三回目を考えておりますが、いろいろ各界の、直接この問題にタッチしておられなかった方々も含まれておりますので、私どもがいろいろな問題を説明し、御理解を今深めていただいている段階ではございますが、本年の秋ごろまでを目途に六十五年度以降の対策の大まかな方向を出していただければということでお願いをしているのが現状でございます。
  102. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 その四閣僚懇談会を持って六十五年度以降の財源問題を検討するということは閣議決定になっているわけですね。ところが、そこで何回かやったけれども結論が出ていない。そこで有識者懇談会ということで、いわゆる政府外の人たちがメンバーであろうと思いますが、その人たちが相談をして答申をしていただく。  さて、その設置の根拠と権威といいますか、内閣なりその四閣僚懇談会の諮問機関なのかどうなのか。その辺のところは、まあいろいろ相談をして一つの構想なりをまとめて、どこへ向かって答申をすることになるのですか。大蔵省に答申されるのですか、厚生省に答申されるのですか。厚生大臣は年金担当大臣といつでもくっつくわけでありますが、財布を握っているのは常に大蔵省である。大蔵大臣なのか、それとも総理官邸の官房長官なのか。JRのことなんだからこれは直接の担当、そして公企体共済以来法案提出は運輸省の責任で出すということになって運輸大臣もその中に入っておるわけだけれども、どこに向かって責任を持って、どういう権威を持ってその答申が尊重されるのだ、そういう保証というものはどこにあるのですか。その点、何とも疑問にたえないわけですけれども
  103. 山口公生

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  私が今御説明申し上げました有識者の懇談会は、閣僚懇談会、すなわち四大臣の会合を運営していく中で、我々だけではなかなかいい知恵も浮かばないし、いろいろ利害が錯綜している問題なので、有識者の方々にちょっと御意見をお聞きしようということで設けたものでございます。したがって、余りはっきりだれがだれという形にはなっておりませんが、一応その四大臣全部がそろいましてひとつお知恵をおかしいただきたいということで、諮問というと法律用語になるかもしれませんが、そういうことで御相談申し上げているということでございまして、その大まかな方向を仮にお示しいただくとしますと、それを四大臣会合が真剣に受けとめまして具体的な対策を政府として決めていく、こういうプロセスになるわけでございますので、今の御質問に対しては四大臣会合に意見を聞かせていただく、こういうことでございます。
  104. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 運輸省、来ておりますか。——清算事業団ももちろん含むわけですけれども、JR関係の共済組合の財政の現況、そして六十五年以降の財政収支の見通し、こういうものを端的に数字で示してみてください。
  105. 深谷憲一

    ○深谷説明員 お答え申し上げます。  現在の日本鉄道共済年金の収支見通しの状況でございますけれども、六十年度から六十四年度、見通しも入っておりますけれども、六十年度で収支残と申しますか、収支の差し引きの結果でございますが、マイナスの二百億円、それから六十一年度が六百億円、六十二年度が八百億円の見通し、六十三年度が七百億円、六十四年度が五百億円ぐらいの見通しになっております。  先ほども大蔵省の方から答弁ございましたけれども、六十五年度以降対策、今先生からも御指摘いただきましたが、おおむね年間三百億円程度のマイナスが立つという見通しでございます。(広瀬委員「三百億円ですか」と呼ぶ)失礼しました、三千億円のマイナスが立つという見通しでございます。
  106. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 今けたを間違えたぐらいの程度ならばまあまあなんですけれども、年間三千億円の財源不足が見込まれるということであります。これは総務庁長官もまるっきり無縁のことではないわけです。公共企業体共済組合法、今、国家公務員と統合されまして国家公務員等共済組合法の適用を受けておりますが、いわゆる恩給公務員期間というものを持った人たちをみんな受け入れて、しかもその恩給納金というのは、さっきも言いましたけれども、財源は一つも引き継がれないで全部年限を引き継いだ、その期間を通算して引き継いでおるわけです。したがって、整理資源とか追加費用というような形で今日でも尾を引っ張っておるということで、この負担も大変である。特に、企業的に行き詰まったような国鉄が一番成熟度が高いという点からそういうことにもなったわけですけれども、これはやはりそういうことで何らか早く対策を立てなければ、公的年金制度がやがてたどり着く運命になる、七十年社会保険制度の一元化、年金制度の一元化というようなものが言われておりますが、そこに向かって非常に大きな問題点だろうと思うのです。  これは総務庁長官にあえて聞こうとは思いませんけれども、やはり閣僚の一人でございますから、連帯して内閣の一員として責任を負われるわけですから、ちょっと辛抱していただいてよく聞いておいていただきたい、頭に入れておいていただきたい、胸に畳んでいただきたいということで、ちょっと本体から外れた質問になりましたけれども、御了解いただきたいと思うのですが、そういうことでこれは大変な事態であるということであります。  御承知のように、国会で民営・分割の法律をつくっていや応なしにそういうように切りかえて、成熟度も一挙に二〇〇%を超える、年金受給者が二百に対して現職者は百しかいないというような状況にまで至っておる、こういうようなことでありますから、自助努力といいましても、JR各社、それはことしの営業収益は昨年に比べて大変よかった、来年の計画もかなり強気ないい数字も出ておるということでありますが、あの程度のものでは全くその解決にほど遠いものであるし、あれを全部追加費用につぎ込むというようなことだってなかなかできないだろう、それからまた、公経済負担分もどうだというようなことでも金も足らなくなる、そしてまた、何よりも収支の絶対額が六十五年度で二千九百億、六十六年度以降は三千億台でずっと五年も六年もいく、こういうようなことにもなるわけであります。  これをどう処置するのかということでは、私は、政府の財布を持っている大蔵省もそれなりの——このような事態になったのは職員の責任でもないと思うのです。そしてまたJRの経営だけの関係ではないだろうと思うのです。職員はもう既に、この種の年金制度、厚生年金も含めましてその他の共済、こういうような制度からいっても、相当格差のある高い負担を個人個人いたしておるわけであります。そして、その上にNTTの共済あるいはたばこ共済から、たばこ共済なんかもなかなか苦しいところに来ておるわけであります、成熟度がどんどん高まっているわけですが、こういうような点もあります。それから、国家公務員の皆さんから月額で千二百円ずつ補助してもらっている。それで辛うじてこの五年間、六十年から六十四年までの間はしのげるけれども、それ以上はしのげないというところに来ている。  自助努力といっても、本人の負担ももう八・四五%ぐらいですか、それだけ個人が負担をする。また、JR各社もそれと同額だけは負担をしなければならぬということにもなっている。ほかの共済では五%台、六%台あるいは七%台、いろいろありますけれども、その中でもダントツに高い拠出を個人も強いられておるわけでありますから、これ以上の負担能力はない。年金だけでそういう状態。その上に短期給付の分の掛金率も重なるということになればもう負担の限界だ、こういうような状態にもあるわけです。そして、JR各社の経理もその三千億というものを賄うような力はないということになれば、やはり公的年金制度の成熟度の高揚に伴ってこれだけの財政破綻状況を迎えたという場合には、国の責任というものも、これは当然行われるべきである、こういうように思うのですが、いかがでございますか。
  107. 山口公生

    ○山口説明員 先生の御指摘のように、大変難しい重大な問題でございますので、政府といたしましてはこれに全力を挙げまして、関係者、特に受給者の方々等に不安を与えることのないように、一生懸命六十五年度対策に取り組んでいきたいというふうに考えて今努力しておるところでございます。
  108. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 大蔵省には大蔵省なりの言い分もあるのでしょうけれども、とにかく現実に対象者、該当者の人たちは非常に先行きに不安を感じておるわけですから、この辺のところはしっかり財政当局としても筋の通る金は出すという立場をとっていただきたいし、また、追加費用の問題等につきましては、段々の話もしてきましたけれども、それらの問題についてはしかるべき配慮もするというようなことで、この問題をひとつ不安のないように、そして公的年金制度の信頼というものを確保する、しっかり固めておく、こういう状態になっても国はちゃんと処置をつけます、それで特段の不利益を与えるというようなことはしないんだ、そういう立場でこれからも全力を挙げて御奮闘をいただきたい、こういうように要望を申し上げておきます。  まだ若干時間がございますので、最後になりますがあと一つだけ、これは厚生省になろうと思います。  先ほど申し上げましたが、七十年に向けて、こういう問題を抱えながら年金の統合、社会保険の一元化を目指す段取り、そういうようなものについての準備、これは大変なことだろうと思うのです。ある程度のステップは国民基礎年金というようなことで芽を出しておりまするけれども、一体我々の年金制度の先行き、七十年に向かってどういうような変化を来し、どういうような統合、そしてまた、それは悪い方にだけしわ寄せして、整合性を低いところに持っていこう、有利な部分がどんどん切り捨てられていくのではないかという不安もあります。そういうような方向に向かって、厚生省として、あるいは内閣としてどういうお考えを持っておられるのか。その辺の段取り、どういうような段階を経てそういう方向に向かっていくんだ、そして、その際の理念はどういうところに置いて、到達目標はどういうと、年金水準の問題なんかを含めて、極端に不利になることなどは絶対ないようにということだろうと思うけれども、その辺のところを含めてお聞かせをいただきたい、こういうように思います。
  109. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  先生既に御承知のとおり、昭和七十年を目途にいたしまして公的年金制度を一元化するということが政府の基本的な方針になっているわけでございます。  その第一段階と申しますか、先般の年金改革におきまして基礎年金制度が全国民共通の制度として導入されたわけでございまして、いわゆる一階部分につきましては給付面、負担面の両面におきまして公平化が図られたということでございますし、また、二階部分につきましても将来にわたりまして各共済年金の給付水準を厚生年金に合わせていくというような改正が行われまして、将来にわたっては二階部分の給付面につきましても公平化が進められた、図られたという状態になってございます。  したがいまして、今後の一元化に向けての課題というのは、被用者年金につきまして負担面での公平化をいかように図っていくか、これが課題になっているわけでございます。  その場合でございますけれども、被用者年金各制度いろいろございまして、それぞれの歴史あるいは沿革、非常に異にいたしておりますので、七十年に一遍に一元化というのを達成するというのもなかなか段取りとして難しゅうございます。したがいまして、その中間時点と申しますか六十四年、来年でございますけれども、厚生年金あるいは国民年金その他幾つかの共済年金制度の財政再計算期というのに当たるわけでございます。これは将来に向かって保険料等がどういうふうになっていくかというのを改めて計算、見直しをしていくという時期なんでございますが、それに合わせまして、七十年の公的年金一元化に向けて地ならしできるものについてはまず地ならしをしようということでございます。  そういう基本的な考え方に立ちまして、現在、関係各省庁の局長クラスで構成されます公的年金制度調整連絡会議というのがございますが、その場で具体的な検討作業が進められているということでございまして、来年六十四年に中間時点での地ならし作業を行う、こういうふうに段取りとしては進んでいるわけでございます。  いずれにいたしましても、公的年金制度の一元化というのは、基本的には長寿社会と申しますか高齢化社会が到来しましたときの国民の方々の老後の生活保障の柱になるのが公的年金制度ということでございますので、公的年金制度が長期的に安定していくこと、それから給付あるいは負担の両面におきまして公平化が図られていくこと、こういうようなことを基本的なねらいにいたしまして、七十年を目途に一元化を進めていくということで作業が進められておる、かような状況にございます。
  110. 広瀬秀吉

    ○広瀬委員 以上で終わります。
  111. 宮下創平

    宮下委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  112. 宮下創平

    宮下委員長代理 この際、本案に対し、前田武志君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。前田武志君。     ─────────────  恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  113. 前田武志

    ○前田委員 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  原案は「昭和六十三年四月一日」から施行することといたしておりますが、これを「公布の日」から施行し、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  114. 宮下創平

    宮下委員長代理 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  115. 宮下創平

    宮下委員長代理 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、前田武志君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 宮下創平

    宮下委員長代理 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  117. 宮下創平

    宮下委員長代理 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  118. 宮下創平

    宮下委員長代理 ただいま議決いたしました本案に対し、近岡理一郎君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。田口健二君。
  119. 田口健二

    ○田口委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。  一 恩給年額の改定については、国家補償としての恩給性格恩給受給者の高齢化等に配意し、今後とも現職公務員給与水準との均衡を維持するよう努めること。  一 恩給の改定実施時期については、現職公務員給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。  一 恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。  一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。  一 外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。  一 戦地勤務に服した旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金の増額について適切な措置をとること。  一 公務員共済年金の職域相当部分の根拠、水準等に関する人事院調査研究は、民間企業年金の状況等を勘案し、慎重に行うこと。  一 恩給欠格者等の処遇について検討すること。  一 旧満洲国軍内の日本人軍官の処遇問題について検討すること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっておることと存じます。  以上、御説明申し上げます。
  120. 宮下創平

    宮下委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  121. 宮下創平

    宮下委員長代理 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。高鳥総務庁長官
  122. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。     ─────────────
  123. 宮下創平

    宮下委員長代理 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 宮下創平

    宮下委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  125. 宮下創平

    宮下委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十八分散会