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1988-03-22 第112回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十二日(火曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 竹中 修一君    理事 近岡理一郎君 理事 月原 茂皓君    理事 戸塚 進也君 理事 前田 武志君    理事 宮下 創平君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       有馬 元治君    石川 要三君       江藤 隆美君    大村 襄治君       宮里 松正君    武藤 嘉文君       村井  仁君    森下 元晴君       谷津 義男君    五十嵐広三君       角屋堅次郎君    広瀬 秀吉君       井上 和久君    鈴切 康雄君       川端 達夫君    浦井  洋君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    中島 忠能君         人事院事務総局         職員局長    川崎 正道君         内閣総理大臣官         房広報室長   宮脇 磊介君         内閣総理大臣官         房管理室長   文田 久雄君         内閣総理大臣官         房参事官    平野 治生君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁恩給局長 石川 雅嗣君  委員外出席者         総務庁恩給局恩         給問題審議室長 鳥山 郁男君         大蔵省主税局調         査課長     長野 厖士君         厚生省年金局年         金課長     松本 省藏君         郵政大臣官房人         事部給与課長  磯井 正義君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     柘植 一郎君         自治省行政局公         務員部福利課長 鈴木 正明君         内閣委員会調査         室長      大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   大久保直彦君     井上 和久君     ───────────── 三月十一日  国家秘密法案の再提出反対に関する請願田邊誠紹介)(第七八八号) 同月十六日  スパイ防止法制定に関する請願鳩山邦夫紹介)(第八八九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第九号)      ────◇─────
  2. 宮下創平

    宮下委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、指名によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。高鳥総務庁長官。     ─────────────  恩給法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和六十二年における公務員給与改定消費者物価上昇その他の諸事情総合勘案し、恩給年額及び各種最低保障額を、昭和六十三年四月から、一・二五%増額し、恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図ろうとするものであります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 宮下創平

    宮下委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 宮下創平

    宮下委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口健二君。
  6. 田口健二

    田口委員 私は、ただいま議題になっております恩給法等の一部を改正する法律案を中心にして、幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  まず初めに、所管大臣であります高鳥総務庁長官お尋ねをいたしますが、恩給制度我が国で最も古い年金制度でありまして、関係者恩給国家補償であるというふうに言っておりますが、大臣恩給性格をどのように理解をしておられますか、その所見をまず伺いたいと思います。
  7. 高鳥修

    高鳥国務大臣 恩給の意義及び性格につきましては、恩給法特段規定をいたしてはございません。学説はいろいろあるようでありますけれども、私どもといたしましては、恩給は、相当年限忠実に勤務して退職した場合、二番目として、公務による傷病のために退職した場合、または三番目といたしまして、公務のために死亡した場合において、国がその者との特殊な関係に基づき、使用者としてその公務員またはその遺族給付するものであり、その意味において国家補償的性格を有する年金制度であると考えているところでございます。
  8. 田口健二

    田口委員 これまで恩給制度国家補償精神に基づいてその改善が行ってこられたというふうに思っておるわけでありますが、今後の恩給改善の基本的な考え方について、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  9. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま御指摘のように、長年公務に従事した者、戦没者遺族戦傷病者等に対する国の補償として支給するものでございますので、それにふさわしい処遇がなされるべきであるという基本的考え方に立ちまして、今後とも最善を尽くして対処をしてまいりたいと考えております。
  10. 田口健二

    田口委員 今回の法律改正案におきましては、六十三年四月から恩給年額を一・二五%増額をする、こういうことになっておるわけでありますが、この改定方式と、恩給法第二条ノ二に定めておりますこの規定についてどういうふうに考えておられるのか。たしか昨年は約二%のアップだというふうに私も承知をいたしておるわけでありますが、今回は一・二五%となる、こういうことになっておるわけでありますが、今申し上げました恩給法第二条ノ二との関連について考え方をお伺いをいたしたいと思いますし、同時に、総合勘案方式と申しますか、こういうやり方というものを今後も続けていこうとなされるのか、その辺についてもお伺いをいたしたいと思います。     〔宮下委員長代理退席委員長着席
  11. 石川雅嗣

    石川政府委員 昭和六十三年度の恩給年額改定に当たりましては、先ほど大臣お答え申しましたように、恩給国家補償的性格を有するものであること、また、対象者がすべて既裁定者でありまして新規の参入者がない、このため対象者が極めて高齢化してきている、それから、過去相当長期間にわたりまして給与スライドを続けてきている、こういったような特殊性を考慮しつつ恩給年額実質価値維持を図る、こういう観点から、恩給法第二条ノ二の規定にのっとりまして、諸般事情総合勘案して一・二五%の改定を行うこととしたものでございます。  具体的には、昭和六十二年におきます公務員給与改定率一・四六%、これは国家公務員の基本的な俸給表考えられます行(一)の本俸の改定率でございますが、この一・四六%という数字、それからまた消費者物価上昇率、これは予算編成時の見込みでは〇・二%というふうに見込まれていたわけでございます。確定値は〇・一%になったわけでございますが、こういった諸般事情総合勘案して定めたものでございます。  今後とも、恩給年額改定を行うに当たりましては、基本的にこうした考え方に沿うことが適当であろうというふうに考えております。
  12. 田口健二

    田口委員 今お答えがありましたが、昨年の場合はたしか二%のアップ、今回は一・二五%で、今御説明がありましたように、公務員給与引き上げが実質的に本給で一・四六%あるいは消費者物価の動向が〇・一%という数字はわかるのでありますが、そういう状況の中でなぜこの一・二五%という数字が出てくるか、なかなか理解ができないのです。昨年も同じようなことがあったと思うのであります。総合勘案だからと言われればそれまでなんでありますが。  ちなみに、昨年の二%の引き上げ、それから今回の一・二五%の引き上げ、これは公務員の基本給の引き上げ率から換算をいたしますと大体同じぐらいの率になっておるんじゃないかなというふうに思っておるわけです。  そうしますと、今お答えがありましたように、今後も大体そういうふうな方向でもって恩給改定が行われるというふうに考えてよろしいのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  13. 石川雅嗣

    石川政府委員 恩給年額改定に当たりましては、先ほどもお答え申し上げましたけれども恩給国家補償的性格を有するものである等、恩給の持っておりますさまざまな特殊性を考慮しつつ実質的な価値維持を図る、こういう観点から、恩給法二条ノ二の規定にのっとりまして、諸般事情総合勘案して改定していくということでございまして、今後とも私どもとしましてはこうした考え方に基本的に沿うことが適当であろうというふうにお答え申し上げたいと存じます。
  14. 田口健二

    田口委員 基本的な考え方というのはそういうことだろうと思うのでありますが、私が今お尋ねをしておるのは、今回の一・二五%、昨年は二%、これは昨年並びに一昨年になりますか、公務員給与引き上げ率から勘案をいたしますとたしか〇・八幾らという数字が出てくるんじゃないかと思うのですが、大体そういう考え方でもっていわゆる総合勘案方式の中で年金改定をしていく、額を決めていく、これは基本的には大体変わらないというふうにお考えなんでしょうか。
  15. 石川雅嗣

    石川政府委員 ただいま申し上げましたようなことでもって、そのときどきにおきます公務員給与改定あるいは物価その他もろもろの事情総合勘案して決めていくということでございまして、六十二年度の改定率、六十三年度の改定率、たまたま数字としては非常に近い数字であるということは事実でございます。
  16. 田口健二

    田口委員 それでは、六十三年度の恩給予算並びに今日の受給者実態について、おわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  17. 石川雅嗣

    石川政府委員 昭和六十三年度の恩給費予算は一兆七千百六十六億円でございまして、年金恩給受給者数は二百八万四千人と見込んでおります。  また、これを文官と旧軍人に分けて見ますと、昭和六十三年度の文官等恩給費につきましては、予算額は一千百七十六億円、受給者数は十一万二千人、旧軍人遺族等恩給費につきましては、予算額は一兆五千九百九十億円、受給者数は百九十七万二千人と、それぞれ見込んでおります。
  18. 田口健二

    田口委員 今御説明がありました恩給受給者約二百八万四千人ということでありますが、先ほどの最初の御答弁の中にも、恩給の場合には既裁定者だけだというふうに言われておるわけでありますが、一体この人数、二百八万四千人の方は今後どういうふうな推移をたどっていくとお考えになっておるのか、おわかりでしたら説明をいただきたいと思います。
  19. 石川雅嗣

    石川政府委員 年金恩給受給者数につきましては、昭和四十四年度の二百八十二万五千人をピークに年々減少しているわけでございますが、昭和六十三年度の予算で見込みました受給者数は、先ほど申しましたとおり二百八万四千人でございます。これはピーク時の七三・八%に当たります。  恩給受給者の今後の見通しでございますけれども受給者の失権による減少をどのように見込むか、その推計が大変困難な問題であるわけでございます。仮に、昭和六十三年度予算において見込みました受給者数基礎といたしまして、厚生省人口問題研究所が作成いたしました簡速静止人口表というのがございます、これは昭和六十年度のデータに基づいて作成されたものでございますけれども、この表の年齢別死亡率などを用いて推計いたしますと、恩給受給者全体では、五年後の昭和六十八年度には約八十三万人で、六十三年度の恩給受給者数の八八%、十年後の昭和七十三年度には約百五十二万人で、六十三年度の受給者数の七三%、二十年後の昭和八十三年度には約六十九万人でございまして、六十三年度の受給者数の三三%になるものと見込んでおります。
  20. 田口健二

    田口委員 昨年もこの恩給改正審議をいたしました場合に、当委員会全会一致附帯決議というものがつけられておるわけでありますが、この附帯決議に対する政府としての姿勢について、まず基本的な点をお伺いをいたしたいと思います。
  21. 高鳥修

    高鳥国務大臣 附帯決議は国権の最高機関たる国会の御意思でございますので、政府といたしましてはこれを十分尊重いたしましてその実現にできる限りの努力を払いますことは当然のことであると考えております。  御決議の中にはなかなか難しい問題を含んでいるところもございますが、今後とも国会附帯決議の御趣旨を踏まえつつ検討してまいりたいと存じます。     〔委員長退席宮下委員長代理着席
  22. 田口健二

    田口委員 ただいま大臣の方から、附帯決議については十分に尊重し実施ができるように努力をしていきたいという御回答がございましたが、それでは、昨年当委員会決議をいたしました附帯決議実施状況というのは一体どういう状況になっておるのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  23. 石川雅嗣

    石川政府委員 お答えする前に、先ほど私がお答えしました数字をちょっと違えたようでございますので、訂正させていただきます。  先ほど、五年後の昭和六十八年度には約八十三万人と申し上げたようでございますが、これは約百八十三万人の誤りでございます。謹んで訂正させていただきます。  ただいまの御質問でございますが、衆議院の当委員会におきます附帯決議のその後の実施状況についてでございますけれども、まず、附帯決議の中に恩給実施時期に関するものがございました。これは、「恩給改定実施時期については、現職公務員給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。」こういうことでございます。  この点につきましては、恩給年額改定社会経済の諸事情変動に対応しまして恩給実質的価値維持することを目的とするものでございます。このような変動状況をあらわす指標として、前年度の公務員給与改善等にそのよりどころを求めているわけでありまして、恩給年額水準そのものがいわゆる一年おくれになっているというふうには私ども考えていないところでございます。  また、各種改善実施時期の一本化につきましては、厳しい財政事情等種々の制約もございますので、今後慎重に検討させていただきたいというふうに存じております。  それから次に、「恩給最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準実質的向上を図ること。」こういう附帯決議がございます。  この点に関しまして、最低保障額改善については、公務員給与改定、他の公的年金給付水準との均衡等勘案してその額を決めてきたところでございまして、昭和六十三年度におきましても各種最低保障額を同年四月から一・二五%引き上げることといたしているところでございます。  また、普通扶助料給付水準改善につきましては、基礎俸給の格上げ、加算年金額計算への算入、寡婦加算制度導入等優遇措置を講じてきておりまして、昭和五十二年度以降は特にその最低保障額改善に努めてきたところでございます。  次に、「外国特殊法人及び外国特殊機関の末指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。」という附帯決議がございます。  この点につきまして、未指定外国特殊法人及び外国特殊機関につきましては、組織の沿革、機関性格人事交流実態等を総合的に勘案しても、また、内地における同種の国策会社等について通算を認めていないというようなことの均衡から見ましても、通算対象とすることは適当ではないと考えているところでございます。  また、「旧満洲国軍内の日本人軍官処遇問題について検討すること。」という附帯決議がございました。  この点につきまして、旧満州国軍人等外国政府職員期間通算は、旧満州国等特殊性、それから我が国公務員との人事交流等やむを得ない場合に限り特例措置として認めているものでございまして、これをさらに拡大するということは適当ではない、こういうふうに考えているところでございます。
  24. 田口健二

    田口委員 今のお答えの中で、一つ入ってないのでありますが、例年附帯決議において「恩給受給者に対する老齢福祉年金支給制限を撤廃すること。」これがずっと決議としてついておるわけですね。私ども考えてみますと、老齢福祉年金、実質的には七十歳以上から支給をされる、それが現在五十六万九千円、新しい法案では六十三年から五十七万六千円というふうに変わってきておるようでありますが、非常に高齢者であるということと五十六万九千円というこの金額から見て、恩給受給者に対する老齢福祉年金併給制限というのは撤廃をするかあるいはもう少し大幅に引き上げていく、そういうお考えは持たないものかどうか、まずお伺いをしたいと思うのであります。
  25. 松本省藏

    松本説明員 お答えをさせていただきます。  恩給受給者に対する老齢福祉年金支給制限を撤廃せよという附帯決議が本委員会で昨年ついておることにつきましては十分承知をしているわけでございますが、先生承知のとおり、老齢福祉年金と申しますのは、国民年金制度がスタートいたしましたときに既に高齢で、当時、昭和三十六年でございますけれども、五十歳以上で国民年金制度に加入できないという方々に対しまして、老後生活を支えるための公的な給付をいささかも受けることができないというような方々対象といたしまして、全額国庫負担で、また無拠出、いわゆる保険料負担なしというようなことで、そういう方に対しまして支給をするというようなことでスタートをした制度でございます。したがいまして、他の公的な年金あるいは恩給というような老後生活を支えることができるような要素を持った公的な給付が受けられる方々に対しましては、従来より老齢福祉年金受給を御遠慮願っていただくというようなことになっているわけでございます。  しかしながら、現実には非常に額の低い公的な給付というものがございますので、そういう方々に対しましてそういう要素勘案して一定の額までは老齢福祉年金支給する、併給するという仕組みになっているわけでございまして、こういう老齢福祉年金の基本的な仕組みからいたしまして、併給制限を撤廃するというのはなかなか難しい問題ではなかろうかと承知をいたしているわけでございます。  さらに、先生指摘のように、現在の併給制限限度額、五十六万九千円という額でございますが、これが低過ぎるというお話でございます。いろいろな見方があろうかと思いますけれども、先ほど申しましたように、老齢福祉年金と申しますのは全額国庫負担、無拠出制度でございます。国民年金制度の中には、拠出を前提といたしまして五年年金あるいは十年年金というような本来の年金制度がいろいろございまして、そういうような年金との額のバランス等の問題もございまして、大幅に引き上げをするというようなこともなかなか難しいのではなかろうかと考えているわけでございます。  今先生から御指摘がございましたように、六十三年度の予算が成立いたしましたならば、六十三年度におきましてはこの併給限度額五十六万九千円を五十七万六千円という形で引き上げをさせていただきたいと考えているところでございます。
  26. 田口健二

    田口委員 続いて、これも附帯決議関係をする問題でありますが、さきの参議院内閣委員会における附帯決議戦地勤務に服しました旧日赤看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金増額について適切な措置をとるように、こういう附帯決議が行われておるわけであります。今申し上げました慰労給付金増額についてどのように政府はお考えになっておるのか、これを増額する意思があるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  27. 文田久雄

    文田政府委員 お答え申し上げます。  先生案内のとおり、旧日本赤十字社の救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦に対します慰労給付金は、女性の身でありながら、赤紙召集あるいは陸海軍命令によりまして今次大戦の過酷な戦時衛生勤務に服した、また、引き続きまして海外に抑留された、こういう御労苦に対しまして、国として御苦労に報いようということでもって講じられた措置でございます。  しかしながら、この給付金性格は、これでもって所得の保障をしようといういわば年金性格を有するものでございませんので、従来からその増額は困難であるということで対処してきたところでございますけれども昭和六十年度、先生承知のとおりこの給付措置が講ぜられて相当期間経過している、あわせて消費者物価相当に上っている、こういう次第もありまして、一二・三%の増額措置を講じてきたところでございます。  ところで、今後の措置でございますけれども、この六十年度の増額措置を講じましたときの経緯等を踏まえまして十分慎重に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 田口健二

    田口委員 今最後に、十分慎重に検討してまいりたいというお話でありますが、確かにこの慰労給付金が設けられた趣旨というのは先ほどあなたの言われたとおりなんですね。そういうことになりますと確かに恩給性格は持たないとは思いますよ。しかし、六十年の改正によっても一番最低で十一万円、最高で三十四万円、これは年額ですからやはり極端に低いと思うのですよ。今申し上げました十一万から三十四万といいますけれども、これは実際に平均どのくらいのところで支給されているのですか。
  29. 文田久雄

    文田政府委員 平均年額は十三万七千円となってございます。
  30. 田口健二

    田口委員 今お答えがあったように、十一万から三十四万という幅がありますけれども平均が十三万、一番下の方におるわけですね。やはりそういう実情を考えていくならば、冒頭あなたの言われたこの慰労給付金の設けられた趣旨というものを考えれば、余りにもこれは低過ぎるのではないか、兵役の義務のない女性の身でありながら、軍の命令によって長年にわたって戦地事変地に派遣をされてそこで軍人と同じような苦労をされてきた方々で、既に今日から考えますと多くの対象者の方が高齢化をしておると思うのですね。ですから、そういう点を考えますと、ぜひともひとつ増額をしていただきたい。  それからもう一つ、これは念のためにお尋ねしておきますが、今の現状からいうとこれは予算措置でしょう。法律的に制度化をするお考えはないのかどうか、最後お尋ねしておきたいと思います。
  31. 文田久雄

    文田政府委員 お答えいたします。  先生案内のとおり、旧日赤救護看護婦につきましては昭和五十四年度から、陸海軍従軍看護婦につきましては五十六年度からそれぞれ措置されてきておるところでございまして、既に九年間、日赤におきまして円滑に事務処理が講ぜられてきておるという次第もありまして、先生御提示の法制化ということは非常に困難であると考えておる次第でございます。
  32. 田口健二

    田口委員 それでは次に、昭和六十一年に共済年金制度あるいは厚生年金制度が大改革をされました。これに関連をして、恩給制度の部分についてもいわゆる行革審の方からこの見直しについて実は答申が出ておるわけですね。  これについては一体政府としてはどのようにお考えになっておるのか。この答申に基づいて見直しをしていこうというふうにお考えになっておるのか、そのことをまずお伺いをいたしたいと思います。
  33. 石川雅嗣

    石川政府委員 お答えいたします。  公的年金制度改革関連いたしました恩給制度見直しにつきましては、鋭意検討を行ってきたところでございますが、恩給は先ほど来申し上げておりますように国家補償的性格を有する制度であり、公的年金制度改革との関連において見直しを行うに当たりましては、恩給制度は、まず相互扶助精神に基づき保険数理の原則によって運営される公的年金とはその基本的性格を異にするということ、それから次に、その対象者がすべて既裁定者であり新規参入者がないということ、それから、対象者の大部分が旧軍人という特殊な職務に服した者やその遺族でありまして極めて高齢であること、こういった特殊性を考慮する必要がございまして、制度の基本的枠組みを変更することは適当ではない、こういうふうに考えているわけでございます。  しかしながら、恩給年金としての機能という点から見ますれば公的年金と共通する面があるわけでございまして、これとの公平を図るためのバランスという見地から、私どもといたしましては、スライド方式のあり方、多額所得による普通恩給の停止制度等を中心的な課題として検討を行ってきたところでございます。  その検討結果を踏まえまして、昭和六十二年度の恩給年額改定に当たりましては、従来の公務員給与スライド方式にかえて、物価変動公務員給与改善その他の諸事情総合勘案する方式を採用してまいったわけでございまして、それと同時に、また公的年金改革の趣旨を考慮し、社会的要請にこたえるために、多額所得による普通恩給の停止制度の一部を強化する改正を行ったところでございます。
  34. 田口健二

    田口委員 そうすると、行革審から他の公的年金制度の改革に伴って恩給制度についても見直すようにという答申が出ておりまして、先ほど冒頭の方で今後の恩給改善の方法、基本的なあり方についてお答えがありましたけれども、今のお答えでは今後もやはりそういう方向で進めていきたい、こういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  35. 石川雅嗣

    石川政府委員 昭和六十三年度の恩給年額改定におきましても、今申し上げましたのと同様の考え方で、同じような方式によりまして一・二五%の改定を行うこととしたわけでございますが、今後の恩給年額改定に当たりましても基本的にはこうした考え方に沿ってやってまいりたい、このように考えております。
  36. 田口健二

    田口委員 事務的なことになりますが、この法律案が成立をいたしますと、増額改定後の恩給証書の受給者に対する交付、あるいは増額分の恩給というのは現実的にいつごろから支給をされていくことになるのか、その手続についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  37. 石川雅嗣

    石川政府委員 お答え申し上げます。  恩給年額増額に伴います改定事務の処理につきましては、その迅速化を図るため、従来から私ども事務的にいろいろ努力をいたしているところでございますが、現在御審議いただいております今回の恩給改善につきましても、増額改定後の恩給支給されるのは七月の支給期でございますので、法案が成立した後、これに間に合うように一日も早く新しい証書を受給者の手元にお届けすべく、改定についての事務処理計画を立てて準備作業をしているところでございます。  改定作業の日程では、法案成立後速やかに郵政省の貯金事務センターへ新証書の発送を開始いたしまして、増額改定後の最初の恩給支給される七月六日までには、支給郵便局長から新証書を受給者に交付するとともに、新額により支給できるように努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  38. 田口健二

    田口委員 次に、関連をしてお尋ねをしますが、さきの公的年金改革に関連をいたしまして、地方公務員関係労働組合共闘会議などの関係団体から陳情が出ております。  地方公務員共済年金制度において、一般方式適用の既裁定者については年金実質価値維持するためのスライドまでも停止をされるという措置がとられておるわけであります。このスライドの趣旨から見てこの停止措置は解除すべきではないかというふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。
  39. 宮下創平

    宮下委員長代理 ちょっと順序を変えてください。
  40. 田口健二

    田口委員 それでは、今の問題はちょっと保留いたしまして、後ほどお尋ねをさせていただきます。  そこで、関連でありますが、人事院の方にちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  六十年の十一月二十九日でありますが、衆議院大蔵委員会におきまして、公務員の共済年金の水準等について人事院の意見を踏まえて引き続き研究、検討を行う旨の附帯決議が行われています。この附帯決議の後、我が党でも幾たびかこの問題について質問をしてまいりましたが、現在、人事院の調査の進展状況はどのようになっておるか、ひとつ御報告をいただきたいと思います。
  41. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 当該附帯決議におこたえしていくために、人事院としては三つの事項について調査をする必要があるだろうと考えております。  一つは、やはり何といいましても民間の企業年金実態でございます。その企業年金につきましては、制度調査と実額調査をそれぞれ分けて調査をいたしておりますが、制度調査の方はほぼ調査が終わりまして、集計も近いうちにできると思います。実額調査の方は、現在企業から調査を回収いたしまして集計中でございますが、双方とも集計が終わりましたら、他の公的機関においても同様な調査も見られますので、そういうものもあわせまして分析調査をいたしたいと考えております。  その二は外国の公務員年金制度でございますが、これにつきましても既に二度調査に出かけておりまして、その調査の結果につきましてもほぼ終了しております。  三番目は退職公務員の生活実態調査でございますが、この生活実態というものを調査いたしまして、できるならば民間企業にお勤めになりまして退職された方の生活実態をも調査し、それとあわせて集計、分析いたしたいと考えております。いずれにいたしましても、それぞれの調査をできるだけ早く終了いたしたいと考えております。
  42. 田口健二

    田口委員 状況としてはわかりました。  そこで、具体的にちょっとお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、わかる範囲で結構であります。  まず第一は、企業年金の普及状況というのは一体どういう状況になっておるのでしょうか、おわかりでしたら御説明をいただきたいと思います。
  43. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 企業規模百人以上の企業についての調査の結果でございますが、六十一年春の時点において人事院で調査いたしましたところによりますと、五〇%を少し超えるところの企業が企業年金を導入しております。六十二年春の時点、一年後の時点の調査ではそれが少しふえまして、ほぼ六〇%程度の企業において企業年金を導入しておるというふうに私たちは把握いたしております。  人事院の調査の結果においてそういうことでございますが、この企業年金につきましては厚生省を初めといたしましてそれぞれ調査がございます。そういうものを見ましても毎年その数がふえておるというのが実情でございまして、私たち、客観的な数字で見る限りにおきましては企業年金は現在普及の途上にあると考えております。
  44. 田口健二

    田口委員 企業年金と一口に言いましても、税制適格年金であるとかあるいは調整年金、さらには自社年金、こういう大きく三つに分類ができるのではないかと思っておりますが、それぞれは別にして、総体的に見ましてこの企業年金の原資というのが一体どういうものから構成をされておるのか、この辺がおわかりであればひとつ御説明をいただきたいと思います。
  45. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 私たちが把握いたしましたところによりましてお答え申し上げますと、やはり一つは従業員負担がございます。それから第二番目におきましては事業主負担、企業負担といいますか、それがございます。それから第三番目は退職一時金を振りかえまして企業年金の原資に充てておる。大まかに申し上げまして以上三つかというふうに考えております。
  46. 田口健二

    田口委員 前二者の場合はわかるのですが、三番目の、退職一時金を企業年金の原資に振りかえておる、こういうお答えでありますけれども、どのぐらいの企業で、どの程度いわゆる退職一時金から企業年金の原資に振りかえられていっておるのか、その辺もわかればひとつお知らせをいただきたいと思います。
  47. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 私たち、調査をいたしまして現在集計中でございますが、私が記憶いたしておりますところでは、現在五〇%を超える企業におきまして退職一時金を企業年金原資に振り当てておる。そして、どれくらいの退職金を振りかえておるかということでございますが、手元に数字を持っておりませんので定かでございませんが、これもたしか五〇%を超えておったと記憶いたしております。
  48. 田口健二

    田口委員 五〇%と言われたわけでありますが、私の予想した数字よりもかなり高い数字を今言われたような感じがするわけでありますが、間違いないでしょうね。
  49. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 恐らく間違いないと思いますが、ただ、つけ加えて御説明申し上げますと、そういうような企業年金を持っておる企業におきましては、退職一時金で受け取るか、あるいは企業年金で受け取るか、選択制をとっておる企業がほとんどだと記憶しております。
  50. 田口健二

    田口委員 その選択制の問題も一つあるわけですが、五〇%程度の企業で、企業年金の原資がいわゆる退職一時金から振りかえられていっておる、この辺について、将来的な推移というのはどうなんでしょう。やはりこういう程度の形で推移をしていくのか、あるいはさらに将来的には少しまた変わった形をとっていくのであろうか、その辺の判断というのを一体どのように給与局長はお考えでしょうか。
  51. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 私たちは、企業年金調査を行います場合に、いろいろな項目についてもあわせて調査をいたしております。その中で、企業年金についての企業側の責任者といいますか、その人たちがこれについて将来どういうふうに考えておるかということについても調査をいたしておりますが、ほとんどのというか、非常に多くの責任者が、従業員の老後保障ということを考えて企業年金を将来充実させたいというふうに考えております。  その考えがどういう項目についてどのように実現されていくかについては私たちもしかと申し上げかねますけれども、やはりいろいろな要素から企業年金が成り立っておる、その要素につきまして、もう少し従業員の福利厚生のために充実させていきたいというふうに受け取るのが自然かと思いますが、退職一時金がどのように企業年金に使われていくかということにつきましても、今後変化はしていくだろう、流動的だと考えた方が素直じゃないかと思います。
  52. 田口健二

    田口委員 そうしますと今のお答えでは、企業年金の特に中身について現状で言うならばかなり流動的である、現状のまま固定化をした方向をとるのではない、こう人事院としては理解をしておる、このように考えてよろしいわけでしょうか。     〔宮下委員長代理退席、戸塚委員長代理着席〕
  53. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 先ほど企業年金の普及状況についてお尋ねがございました。私たちの調査の結果によりましてもあるいはまた厚生省その他の公的な機関の調査の結果によりましても、企業年金を導入する企業が毎年ふえておるということを一つ御答弁申し上げました。また、企業年金の原資を初めといたしまして、企業年金のそれぞれの構成項目につきましても将来充実させていきたいと考えている、そのように答えた企業年金の責任者が多いということをあわせ考えますと、企業年金の姿が現在の時点において相当固まっておるというふうに受け取るわけにはいかぬだろう、やはり現在一つの経過的な時点じゃないかというふうに私たちは受けとるべきだと思います。
  54. 田口健二

    田口委員 企業年金は恐らく今後充実、拡大の方向はたどっていくであろうというふうに私も予測をいたしておりますが、同時にまた、現状の姿で固定化していくというものでもなかろう、このようにも思うわけであります。  ここに新聞記事があるのですが、六十二年十一月四日の日本経済新聞のコピーであります。この見出しの中にも企業年金制度の定着というのにはかなり時間がかかっていくだろう、こういうふうに見出しとしてございますし、その中身についても、原資の問題、資産運用の問題、いろいろなものが書かれておるわけですから、これから拡大をされていくにしても内容的にはかなり将来変わってくるのではなかろうかという認識を私は持っておるわけであります。  そういう点で、冒頭に申し上げました、人事院が今調査研究をなされておる問題についていつごろどういう形で意見を発表されるのか、その辺について予定がありましたらお知らせをいただきたいと思います。
  55. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 六十年秋に新しい共済年金制度というものが国会で可決成立し、翌年四月から施行された。現在施行後二年を経過しようとしておるときであります。法律というもので制度が確立してそれが施行されて二年だということを考え、また、私たちがこの際意見を申し上げることはその制度改正のきっかけというものを提供することになるということをあわせ考えますと、先ほど御答弁申し上げましたように、企業年金制度というのが人事院の認識といたしまして定着はしていないのじゃないかということを考えますと、どのように人事院として附帯決議に対応していくかということにつきましては、正直なところ実際は現在苦悶しておるところでございます。  ただ苦悶するばかりでもしようがございませんが、いろいろなことを御答弁申し上げましたけれども、そういう御答弁に対する議員先生方の反応、国会側の意思というものもよく把握して私たちは集計し、意見を取りまとめる時期というものを考えていきたいと思います。
  56. 田口健二

    田口委員 私どもも、この附帯決議にありましたいわば共済年金の職域年金部分、それから関連をして企業年金、このことに非常に関心を持って今日まで見詰めてきたわけであります。今人事院の方からいろいろと御答弁がありまして、率直に幾つかいろいろな問題を抱えておるという認識をしておるわけでありますが、今御答弁がありましたように、今後の運びについてはこの点については慎重に扱っていただきたい、このことを最後に要望を申し上げておきたいと思います。  それから、自治省お見えになったようですから、前に戻ってお尋ねをしたいと思います。  さきの公的年金改革に関連をしまして、地方公務員関係労働組合共闘会議などの団体から陳情がございまして、地方公務員共済年金制度において、一般方式適用の既裁定者については年金実質価値維持するためのスライドまでも停止をされるという措置が現在とられておるわけでありますが、スライドの趣旨からいいましてこの停止措置を解除するお考えはないのか、まずその辺からお伺いいたしたいと思います。
  57. 鈴木正明

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  六十年の制度改正のときにおきまして、新しい制度での年金とのバランスということで、既裁定の年金につきましても裁定がえということが行われたわけでございますが、その際に、これまでの既得権を保障するという意味で、従前得ていた年金額についてはこれを保障する、こういう仕組みをとったわけでございます。  先生指摘のとおり、年金改定が行われた場合には、裁定後の額に対しまして年金改定措置を講じまして、その額とこれまでもらっていた従前の額とを見まして、従前額が高い場合にはその額まで保障するということにいたしたわけでございます。結果といたしましては、高い従前額をいただいている年金の方は、その改定後なお裁定がえ後の額が下回っている場合にはスライドが働かないということになっておりますが、これは新制度のもとでの年金水準とのバランスを図る、あるいは若い世代と年金受給する世代とのバランスを図るということでとられているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  58. 田口健二

    田口委員 ちょっと私の理解が間違っておるかどうかわかりませんが、先ほどから恩給制度についてその基本的な考え方性格というものをずっとお尋ねしてまいったわけですけれども既裁定者の中で、私自身もそうなんですが、年金受給資格期間の中で旧恩給部分と共済部分とがあるわけですよ。今停止になっているというのはほとんどこういうケースの方でしょう。  確かに共済年金という一つの制度から見れば今お話しのようなことは理解できるのですけれども恩給部分というのがある、そうすると、これは共済年金とはかなり性格が違うということは先ほどからずっと政府の方からも御答弁があったので、恩給部分というのはやはり生かしていくのが当然の姿ではなかろうかという気がするのですが、その辺はどうなんでしょうか。
  59. 鈴木正明

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  その点につきましても六十年の制度改正のときに議論がなされたわけでございますが、既裁定の年金につきましても、そういったものはすべて共済年金という形で裁定がえを行うということにいたしまして、おっしゃるとおりに共済部分と旧法部分がございますが、それにつきましても新しいいわゆる通年ルールという形で裁定がえを行う、一つの性格のものとしてとらえる、それで、改定に当たりましても同じように改定措置を講じて従前額との比較をする、こういう考え方をとった次第でございます。
  60. 田口健二

    田口委員 続いてお尋ねをいたしますが、十大都市退職職員団体連絡協議会からも今申し上げましたような陳情が出ておるわけでありますが、さらに、再就職による年金支給停止措置というのが出てくるわけですね。これは退職後の生活安定あるいは再就職の妨げとなる、こういうことで皆さん大変心配をしておるわけですが、これは緩和をしていただくべきじゃないかと思うのですが、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
  61. 鈴木正明

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  今御指摘のとおりに、年金受給されておる方が、国家公務員あるいは地方公務員の各共済制度において年金を受けている方が、民間サラリーマン等に再就職した場合には、お話しのように一定の給与所得を得ている方につきましては年金の一部停止という制度がとられております。これは、退職や障害によりまして稼得能力を喪失するという方々に対しまして所得保障を行うということで年金というものができているわけでございますので、所得のある方については年金の一部の停止を行うということでございます。しかし、停止率等を決める場合には、やはり激変緩和の措置も必要ということで、急激な変化を来さないように十年くらいかけての経過措置を設けているところでございます。
  62. 田口健二

    田口委員 それではここで一応年金恩給関係につきましては終わりまして、時間短縮、土曜閉庁のことについてこの機会に少しお尋ねをしてみたいと思います。  まず最初に、三月十五日にたしか郵政省では、郵便局の窓口閉庁というのでしょうか、こういうことについて一定の決定をなされて発表されたことがかなり新聞などにも大きく取り上げられておるわけでありますが、この内容についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  63. 磯井正義

    磯井説明員 去る十五日に私ども考えをお示ししたわけでございますが、今日の諸情勢を踏まえまして、あるいはまた今日の時代的な趨勢というようなものを認識いたしまして、あるいは一方民間の金融機関の動向にも留意しつつ考えるわけでございますが、現在第二土曜日と第三土曜日を閉庁しておる郵便局がございますが、貯金、保険業務を中心としての郵便局の業務でございますが、この窓口について、六十四年二月をめどにいたしまして毎週土曜日には窓口を閉じるという方向での具体的な検討をこのたび取り進めることとしたものでございます。
  64. 田口健二

    田口委員 ちょっと抽象的でよくわからなかったのですが、一口で言うと、すべての窓口といいますか、すべての土曜日に窓口を閉ざす、こういうお考えだろうというふうに思うのですが……。
  65. 磯井正義

    磯井説明員 もう少し具体的に申し上げますと、普通郵便局、それから集配特定局、これは郡部の集配部門を持っている郵便局でございますが、これにつきましては貯金、保険の窓口はすべての土曜日閉庁。それから無集配特定局、これは窓口だけの郵便局でございます、それから簡易郵便局というのがまた別にございます、これにつきましては原則として郵便、貯金、保険、三業務とも窓口閉庁、こういうことで考えております。
  66. 田口健二

    田口委員 私ちょっと聞き漏らしたかもわかりませんが、これの実施時期でございますが、六十四年の二月、こういうことで理解していいですか。
  67. 磯井正義

    磯井説明員 これから具体的な詰めの検討に入るわけでございますが、約一年後の六十四年二月をめどにということで頭に置いております。
  68. 田口健二

    田口委員 今回の郵政省の決定は、当然人事院の方からも報告などが出されております公務員の週休二日制、これに向けての、移行への準備的な一つの経過措置である、このように理解をしてよろしいでしょうか。
  69. 磯井正義

    磯井説明員 今日の諸情勢、一つには既に労働基準法が四十時間ということで改正されました。それから、今おっしゃられましたとおり昨年人事院におきまして、これは報告でございますが、「完全週休二日制を目標に掲げ、具体的な課題として取り組む必要がある」、このような報告もなされました。そういった情勢を踏まえまして私ども今日の判断をしたというような状況にございます。
  70. 田口健二

    田口委員 私は、今回の郵政省の決定というのは、公務員、あるいは特に郵政省の関係でいいますならば金融機関等との間で非常に密接な関係があるというふうに言われてきたわけでありますからそれはもちろんでありますが、同時に今回の郵政省の決定というものは、日本のいわば週休二日制へ向けて、マスコミなども指摘をしているのですが、今回のこの決定が非常に大きな弾みになるだろうというふうに指摘をしておるわけですね。  私はそういう意味で大変評価をしておるわけでありますが、こういう状況を見ながら、総務庁の方は、たしか昨年十二月の九日だったと思うのですが私も当委員会で幾つかお尋ねをいたしましたが、その後の土曜閉庁の問題、四週六休は四月十七日から本格実施をするというふうに前回も長官の方からもお答えをいただいたのでありますが、その後の土曜閉庁の問題について、経過とそれから今後どのような手続でそれを進めていこうとされておるのか、ひとつ詳しくお尋ねをしておきたいと思います。
  71. 高鳥修

    高鳥国務大臣 さきに委員から御質疑がございまして、私の方からそのときまでの経過並びに今後の方針につきまして若干御答弁を申し上げた経緯がございます。  そうした経緯を踏まえまして、ただいま鋭意国会あるいは地方公共団体ほかの機関との関係などにつきまして検討を深めておるところでございます。さらにまた、マスコミとか経済団体あるいは労働団体、消費者団体等から幅広く意見を聴取いたしているところでございますが、この意見にはいろいろございまして、積極的に賛成という御意見もあれば、あるいは中には役所というところは先憂後楽であるべきである、まずそのサービスをもっと向上させるべきであって、極端なのになりますと土曜、日曜も開くように努力しろなどという御意見の開陳をされた向きもありますが、おおむね趨勢としては週休二日制を、ただし国家公務員の場合におきましては四週六休ではございますが、閉庁方式で導入できるところについては導入すべき時期に来ているのではないだろうか、そのことについて原則的にはかなり御了解がいただけるような状況になっているのではないだろうか、このように思っておるところであります。  私ども総務庁がやっておるだけではありませんで、関係各省庁におきましてそれぞれ関係団体から意見を聴取していただいておるという段階でございまして、これらの御意向を踏まえながら、具体的に閉庁できる官署は一体どの範囲になるかということについてもこれは決めなければならないわけでございます。  問題がありますのは、当然日曜日でも通常業務を行っている交代制の官署、これについては従来どおり交代制でやるべきであろうというふうに考えておりますし、また、公共施設であって土曜、日曜などの利用率が極めて高いところ、これは土日に閉めるというわけにはまいりません。例えば博物館でありますとか美術館でありますとか、青年の家とか少年自然の家など、むしろ土日に利用率が非常に高いところについては、やはりこれはその日に休むというわけにはまいらないだろうというふうに考えております。  さらにまた、教育の面で小中高校、これが二日続けて休むことが教育上どういうものであるかという問題がございまして、これらについては別途御検討いただくべきであろうというふうに考えております。  あるいはまた、病院とか療養所の外来部門などについても、これを当面閉庁の対象としない方向で検討が進められておるものと承知しているところでございます。  その他、緊急時の対応等についても検討してまいらなければならないということでございまして、ただいまこれらの問題を検討しながら、できるだけ早期に閉庁方式の導入についての政府の具体的な方針を決定したいということで鋭意準備を進めているところでございます。
  72. 田口健二

    田口委員 現状については今大臣お答え理解はできるわけでありますが、ただ一つ、先ほど郵政省の方にもお尋ねをいたしましたが、来年二月には実施ができるように、めどでありますが取り組んでいきたいという話があるわけですね。そうしますと、全体的な公務員の場合には四週六休でありますから、それの土曜閉庁でありますから、大体いつごろになるんだという見通しはまだ立っていないものかどうなのか、その辺はどうでしょうか。
  73. 高鳥修

    高鳥国務大臣 委員承知のように、中曽根内閣のときに六十三年度中に導入ということを決定いたしております。そして竹下内閣になりましてから、関係閣僚会議において、ひとつ前向きに取り組むべきであろうということで関係大臣から積極的な発言がございました。これを受けまして総務庁としては検討を進めているところでございますが、国会の対応、どのようにしていただけるのかなどの問題についてもまだ未調整のところがございます。  その辺を踏まえながら、私どもとしてはできるだけ早期にということを考えておりまして、一部マスコミ等に報じられているように、前向きの姿勢でということであるならば年度末というのは前向きではなかろうということになれば、年のかわり目あたりがいいのかなと思いますが、具体的な法案提出の時期というものが一つ問題がございます。今国会には残念ながらいろいろな調整が間に合わないということでございますので、したがって、次の国会にぜひまとめてお出しできるように私どもとしては努力してまいりたいというふうに考えております。次の国会がいつになるかということについて私が申し上げる立場にございませんので、その点についてはぜひ御容赦を賜りたいと思いますが、できるだけ前向きにということで、年のかわり目が一つのやはりポイントではないのだろうかというふうに思います。  そういうことになりますと、ただいま郵政省からお話のございました、金融機関が二月に全面的に窓口を閉めるというクローズドショップ・システムを取り入れるということでございますと、仮に一月実施ということを考えますとその間に一月ずれができてくるわけでありますが、金融機関は既に月二回、第二、第三を休んでおられるわけでありますから、私どもが仮に一月導入をしたといたしましてもそう矛盾したことではないのではないかなというようなことを今考えている最中でございます。
  74. 田口健二

    田口委員 今、大臣の方から法案の問題にお触れになりましたが、提出時期の問題は別にいたしまして、前回も私ちょっとお尋ねしたのですが、今総務庁の方では、土曜閉庁に向けての法案というものはどういう形の法案になるのか、給与法の一部を改正すればいいのか、別個に単独の法律を出さなければいけないのか、その辺の検討状況についてわかっておれば教えていただきたいと思います。
  75. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 確かにこれまで四週五休それから昨年御審議いただきました四週六休の法案、これはすべて給与法で取り扱ってまいりました。ただ、政府部内で今度閉庁問題を考えるに当たりましては、やはり明治九年以来続いてきた慣行を大きく変えるものでございますので、対国民の関係では給与法だけで十分なのかどうかという議論がございました。そういう観点からは、やはり国民に官庁についても土曜の閉庁があるということをはっきり認識、理解していただくためには、そのための法律が必要ではないかという方に傾いております。  ただその場合に、その法律だけで足りるわけではないだろう、片や職員が閉庁に伴って実際にどういう勤務条件になるか、勤務条件の変更がございます。そういった点はやはり給与法で対応していかざるを得ないのではないか。したがって、現時点では二本立てになるのではないかというふうに考えているところでございます。
  76. 田口健二

    田口委員 続いて自治省の方にお尋ねをいたします。  前回も私、地方公務員の四週五休、四週六休等の状況については、国家公務員に比べると全体的に取り組みがおくれておるのではないかということで幾つかお尋ねをしたのであります。今総務庁の方からは、現在の状況なり今後の手続を含めて考え方が出されたのですが、自治省としては、地方公務員の四週六休あるいは土曜閉庁の問題については、どのように現状を認識され、あるいは今後どのような方向で指導していかれようとしておるのか、このことをまずお伺いをしたいと思います。
  77. 柘植一郎

    ○柘植説明員 まず現状でございますが、地方公共団体におきます四週六休制の試行状況につきましては、本年三月一日現在で全団体の四九・二%、都道府県は一〇〇%、指定都市は四〇%、市区町村は四八・五%が試行に入っておる状況でございます。  今後の指導でございますが、四週六休制につきましては住民の理解を得ながらこれを進めていくという原則に立ちまして、試行に入っていない団体につきましては試行に入るよう、また、試行に入っております団体につきましては制度化検討するように指導してまいりたいというふうに考えております。  次に閉庁についてでございますが、地方公共団体は窓口事務等住民に密着した業務を多く抱えておりますので検討すべき課題も多いというふうに存じますが、この閉庁問題は国全体としての労働時間の短縮の観点から検討されているものでございますので、国が閉庁いたしました場合、地方についてもできるだけおくれることのないよう閉庁を導入することが望ましいと考えております。したがいまして、国における準備状況勘案しつつその地方におきます閉庁の方策を検討してまいりたい。また、その検討を踏まえまして適切な指導をしてまいりたいと考えております。
  78. 田口健二

    田口委員 現状はお答えのとおりだと思いますし、国におくれることのないようというのが私も基本であろうと思うのですが、全体的におくれているわけですから、試行からいわゆる制度化へ向けてのこの期間というのは、一体どのようにお考えになっておられるのか。きちっと一定のこれこれの期間は試行の期間として経過をしなければ制度化をしてはならない、このようにお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  79. 柘植一郎

    ○柘植説明員 試行は、目的といたしましてやはり年間を通じて四週六休制が円滑に進むということを確認するものでございますので、原則的には一年間の試行をした上でその確認を願いたいというように考えておりますが、試行をいたしました期間、時期あるいはその試行の状況を見まして、これは制度化いたしましても大丈夫だと地方公共団体が判断されます場合には、必ずしも一年にこだわらなくてもいいのじゃないか、こう考えております。
  80. 田口健二

    田口委員 時間も余りなくなりましたので、人事院の方にひとつお尋ねをしたいと思うのです。  これは職員局長の、何というのでしょうか、主宰をしている会だと思いますが、勤務時間問題研究会、新聞報道などによれば、この六月にも中間報告を出すというようなことが報道されておるわけですが、今日までの論議の状況と、やはりどういうことが一番問題になっておるか、その辺のあらましについてお知らせいただきたいと思います。
  81. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 先ほどからいろいろ御議論が出ておりますように、公務員の勤務時間をめぐる諸問題がございます。例えば、勤務時間の短縮をどのようにしていくかとか、完全週休二日制をいつ公務の部門で実施するかとか、あるいは目前の問題といたしましては土曜閉庁方式をどのように実施していくか、あるいは労働基準法がこの四月一日から施行されますが、それとのバランスで公務の部内でのそういう労働時間問題、勤務時間問題をどう取り扱うか、あるいは休暇の問題についてどうするか、いろいろな問題がございます。  そこで、職員局といたしましては、そういった問題につきまして、いろいろ勉強をして我々なりの一つの目安、めどを得たい、こういうことで昨年の十一月からこの研究会を始めたわけでございます。現在のところ、四回ばかり会議を開いていただきまして議論をしておりますが、いつ、どのような形で答えを出していただくかということについては、まだ今ここで明らかにできるような段階ではございませんが、今委員お話しのように、できることならばこの六月ぐらいにも中間の段階での議論の取りまとめをしていただければ、このように考えております。
  82. 田口健二

    田口委員 今の職員局長お話でも六月に一定のまとめをしてもらいたいということがあるのですが、新聞報道などによりましても、六月に中間報告を受けて、できればことしの夏の勧告の中に反映をさせたいなどという表現が出てきておるわけですね。そうすると、どうも今の職員局長お答えではまだ余り具体的なものがないので、そうなるとちょっと私も問題を今感じておるのですが、国会は常識的に言うと五月二十五日で終わるわけですね。きょうは時間がありませんから私はもうこれでやめたいと思うのですが、もう少し早目に具体的にその中身について説明なりができるようなことにはならないのかどうなのか、その辺ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  83. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 先ほども申し上げましたように、まだ議論の途中でございますので具体的にどのような答申をいただけるかということをここで申し上げる段階ではございませんが、この四回の議論で私たちが感じておりますことは、研究会の委員先生方の御意見は、前向きと申しましょうか、かなり積極的な御意見が多いように受けとめております。
  84. 田口健二

    田口委員 ちょっと時間がありますけれども、以上で私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  85. 戸塚進也

    ○戸塚委員長代理 次に、川端達夫君。
  86. 川端達夫

    ○川端委員 よろしくお願いします。  恩給法等の一部を改正する法律案が付託をされたわけですので、まずそれについて何点かお伺いしたいと思います。  今回の法案は、恩給年額及び最低保障額を一・二五%引き上げるという内容ですが、昨年から、いわゆる総合勘案方式というのですか、それまでの給与スライド方式から変えられたわけです。それからいうと二年目になるわけですが、恩給改定に対する基本的な考え方をまず冒頭お伺いをしたいと思います。
  87. 高鳥修

    高鳥国務大臣 昭和六十三年度の恩給年額改定に当たりましては、先ほど申し上げましたが、恩給国家補償的な性格を有するものである等の特殊性を考慮しながら、今お話ございましたように、恩給法第二条ノ二にのっとりまして、諸般事情総合勘案し、つまり給与改定あるいは物価状況勘案をいたしまして一・二五%の改定を行うこととした次第でございます。
  88. 川端達夫

    ○川端委員 去年も議論になったのですが、総合的に勘案するということでは非常に漠とし過ぎて、どうでもなるんじゃないかということがありまして、そういう意味で、具体的に今年度一・二五%になったわけですけれども、六十二年度の場合ですと二%、このときの公務員給与改定は二・三%であった、あるいは消費者物価は〇・七%上昇したというふうな今まで参考にしてきた指標というものがあって、それに基づいて総合的にということで、どうなのかよくわからないけれども二%になった。ことし一・二五という数字自体はどうお考えになったのか、準拠した数字というものをもう少しわかりやすくお話しいただけないかなと思うのです。
  89. 石川雅嗣

    石川政府委員 昭和六十三年度の恩給年額改定率は、ただいまお話がございましたように一・二五%ということでお願いしているわけでございますけれども、この算定につきましては、恩給国家補償的性格を踏まえ、公務員給与改定率、これは国家公務員の基本的な俸給表考えられます行(一)の俸給表の本俸の改定率が一・四六%でございました。この公務員給与改定率一・四六%という数字、それから消費者物価上昇率、これは予算編成時の見込みでは〇・二%という見通しでございました。実際にはその後確定値として〇・一%という数字になっているわけでございますけれども、こうした国家公務員給与改定率あるいは消費者物価上昇率、これらの諸般事情総合勘案して一・二五%という数字を算定したわけでございます。
  90. 川端達夫

    ○川端委員 私もいろいろと数字を、今おっしゃったのをもとにして去年とことし相関性があるのかなと思ってやってみたのですけれども、よくわからないのですね。国家補償的な意味がある、これはもちろんなんですが、これが非常に重要な性格であるということと同時に、国家公務員給与改定率、それから消費者物価の見通しというものを考えられたときに、ずっと今までは、一昨年の場合ですと給与回帰分析方式ということで公務員給与を基準として算定をされる、それからその前は給与スライド方式、もっと前になりますと恩給ベア率=物価+(給与物価)×0.6というふうな式等々で、今言われた数字をもとにしていわゆる数学的に出てくる数字をお使いになった。去年から総合的に勘案する、法の趣旨、条文そのままであるということであるわけですが、実際に恩給を受けられる方にとっては、こういう決まり方をしていくと非常に不安になってくる。  最近のように物価が非常に安定をしているあるいは給与改定率も低いというときには、一・四六が一・二五であった、まあまあ近かったなということなんですが、物価がこのままずっと安定してくれればいいですが、それが保証されていない、あるいは給与改定というものがどういう動向になるか、今年はもう少し高いのじゃないかというふうに予想しているわけですけれども、そういうときに、どうも二年間で公務員給与改定率を上回ることはなさそうだということは何となく想像できる。それから、物価を足すんだろうか引くんだろうか。そういうふうな中では、こういうままの状態でお聞きをすると総合的に勘案するんだということ、あるいはそのときの政府の財政事情によって鉛筆のなめ方がかなりフリーハンドになっているということ自体は非常に問題があるのではないかというふうに不安を抱くのではないかと思うのです。  そういう部分であるのに国家補償的機能があるんだというふうにおっしゃる。国家補償的な機能を満足するのであれば、もう少し数字的に納得できる、裁量幅というか、どうでもなりますよということでないようにすべきだと思うのですが、その点は来年度以降にかかわってくることだと思いますが、どういうふうにお考えなんでしょうか。
  91. 石川雅嗣

    石川政府委員 来年度以降の恩給年額改定にかかわることだけれども、どういうふうに考えるのか、こういう御質問でございますが、私どもといたしましては、今後とも恩給年額改定を行うに当たりましては、恩給がただいま申し上げましたような国家補償的な性格を有するものだというようなこと等の特殊性を十分考慮しながら恩給年額実質的価値維持を図る、こういう観点から、恩給法第二条ノ二にのっとりまして諸般事情を総合的に勘案して行ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  92. 川端達夫

    ○川端委員 何かそういうお話を聞いていると、余り頭がよくないので余計わからなくなってきたのですが、実質的保障実質的価値維持するというふうにおっしゃいますと、また考え方が若干違うと思うのですよ。  実質的価値保障するということになるときに、生活をしていくという消費というものを考えていくというのであれば物価スライドにするのかという御議論も出てきましょうし、あるいは実際もらっていた価値公務員等の給与ということでいえば、公務員給与と同じようにスライドしていくのだというふうなのにウエートを置くのかということにもなりますし、そういう部分を言葉では非常に抽象的に幾らでも言えると思うのですが、それでは本当にはわからないということを申し上げているので、これ以上くどくど言いませんけれども、去年、おととしのように、公務員給与改定も低い、物価も非常に安定をしているという状態では、だからこういう変更がそう問題にならないということだと思いますけれども、これからそういう計算をする準拠、参考とする数字自体が大きな数字になってきたときに乖離が起こってくるということを懸念するわけです。そういうことがないようにひとつ御検討いただきたいというふうに思います。  今まで御答弁のあった公務員給与あるいは消費者物価の見通し以外に、以外にというか、そういうものを使って何か算式的なものをつくっていこうというお考えはないのですか。
  93. 石川雅嗣

    石川政府委員 今のお話は何かその辺に算式みたいなものができないかということでございますけれども、過去の物価公務員給与のあれを見てみますと、大体物価上昇率が非常に高い時代、例えば昭和四十八年ころの狂乱物価のころにはそれに合わせて公務員給与改定率相当高い数字が出ている、そういうような点から申しますと、変動の激しいときにはそれなりの数字恩給改定率としても出てまいる可能性が十分にあるというふうに私ども考えているわけでございまして、そうした観点から今のような総合勘案方式でもって今後とも考えてまいりたい、このように考えているところでございます。
  94. 川端達夫

    ○川端委員 ぜひともそうお願いをしたいと思います。  もう一つ、こういう一律アップ方式というものをとりますと、今は非常に低い一・二五%ということでそう目立たないですけれども、今までの方式と違って、最低保障額といわゆる最高額との間の格差というものがそのアップ率に比例して拡大していくということに実質的にはなるわけですね。一昨年までの方式では、給与スライドするということでは、給与自体がそういうことに関しては上ほど上がりにくいというシステムになっていますので一応格差がどんどん大きくなるということは防げる制度になっていたと思うのですが、これからずっと、率は別にしまして、一律に上げるということでの格差、たまたま今回は一・二五%というので少ないとはいえ、非常に格差がついていくという方向を持ってしまうわけですけれども、こういう金額面での上下格差というものに関してはどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
  95. 石川雅嗣

    石川政府委員 昭和六十三年度の恩給年額改定は、公務員給与改善率、物価上昇率等を総合勘案する方式によりまして一律一・二五%の増額改定をするということは先ほど来お話しのとおりでございますけれども、これは、ベースアップにおける回帰分析方式を過去に導入いたしましたが、それと同時にまた低額恩給改善を図るための最低保障制度も導入してまいったわけでございます。こういった措置によりまして、上下格差が縮小されてきたということが一つございます。それからまた、昭和六十一年度及び六十二年度の公務員給与改善率は比較的低率でございまして、しかも上薄下厚的な色彩が薄かったというようなことを考慮いたしまして、一律の増額改定を行うこととしたものでございます。  今後とも一律アップ方式を続けていくかどうかということにつきましては、社会経済情勢の推移あるいは公務員給与改善の傾向といったものを見ながら検討してまいりたいと考えております。
  96. 川端達夫

    ○川端委員 ということは、一律アップ方式自体も、諸般の情勢を見ながら、格差も見ながら、そういう方式をとるかどうかというのも含めてその都度総合的に勘案される、こういうふうに理解してよろしいですか。
  97. 石川雅嗣

    石川政府委員 そういうことでございます。
  98. 川端達夫

    ○川端委員 それから次に、六十三年度予算案で見ますと、恩給費あるいは受給者人数ともに六十二年度、前年度に比べて減少してきているわけです。この制度自体が新規の受給者を発生するという制度でございませんので、減少していくのは当然だと思いますが、今後どういうふうに推移していくのか。人員的なもの、総額的なものを含めて、将来的な恩給というものについて、今の人がだんだん受給資格が失権していくというふうになっていくわけですが、見込みとして長期的にどういうふうに考えておられるのか、いつごろまで続くというか、額的な部分で目安としてどういうふうに考えておられるのかということと、現在受給者平均年齢がどれぐらいか、ちょっとお教えをいただきたいと思います。
  99. 石川雅嗣

    石川政府委員 年金恩給受給者数につきましては、昭和四十四年度の二百八十二万五千人をピークに年々減少しているところでございますが、昭和六十三年度の予算で見込みました受給者数は二百八万四千人ということになっているわけでございます。  恩給受給者の今後の見通しにつきましては、受給者の失権による減少をどのように見ていくかというような大変推計の困難な問題がございますけれども、仮に、昭和六十三年度予算において見込みました受給者数基礎といたしまして、厚生省人口問題研究所作成の簡速静止人口表年齢別死亡率などを用いて推計いたしますと、恩給受給者全体で、五年後の昭和六十八年度には約百八十三万人、これは昭和六十三年度の数字に比べますと八八%という数字になります。それから十年後の昭和七十三年度には約百五十二万人、対六十三年度比で七三%、二十年後の昭和八十三年度には約六十九万人、対六十三年度比で三三%、こういう数字になるものと見込んでいるところでございます。  また、受給者平均年齢は、昭和六十二年三月末の恩給統計によりますと、受給者全体の総平均年齢が七十一・六歳というふうになっております。
  100. 川端達夫

    ○川端委員 今お示しいただいた数字でも随分高齢化をしてきている、そして死亡による失権者が非常にふえてくると思うのですが、実際、恩給支払いのシステムとして三カ月ごとに支給をされる、このような数で失権者が出てくるということになると、支給をしている間にお亡くなりになって、その後も手続的な問題でどうしても、どう呼んでいいのかよくわからないのですが、過払いのことが出てくるわけです。  失権者を速やかに把握するという意味で、現在二年ごとに受給権調査というのを行っておられると思いますが、ほかの公的年金などは毎年行っておられるわけですけれども、こういう面での受給権調査というものをこれからどういうふうに考えておられるのかをお伺いしたいと思います。
  101. 石川雅嗣

    石川政府委員 受給権調査は、ただいまお話がございましたように、受給権の存否を的確に把握し適正な支給を確保するというためのものでございますが、恩給受給権調査は、先生お話しのように現在年金恩給の種類ごとに一年置きに調査をしているわけでございます。具体的に申し上げますと、旧軍人遺族恩給は、昭和の年号でございますが、偶数年、その他の恩給につきましては奇数年のそれぞれ九月ということで、郵便局を通じましてこの受給権調査を実施しているわけでございますが、今お話しのような事情もございますので、その改善について検討を重ねてきているところでございます。  その結果、恩給局といたしましても、失権恩給を迅速に捕捉いたしまして恩給の適正な支給を確保するために、現行の隔年調査を他の公的年金と同じように全受給者対象に毎年誕生月に行うという方針を定めまして、これを本年の十月から実施することとしているところでございます。
  102. 川端達夫

    ○川端委員 毎年誕生月に分けておやりになるということで、非常に前向きにお取り上げいただいているというのはよくわかったのですが、調査する場合、現在は戸籍謄本ないし戸籍抄本というようなものを添えて出しなさいと。これでいくと、かなり高齢な方が、御家族と一緒にお住みの場合はいいのですけれども、実際お年寄りだけでお住みになっているという場合に、毎年戸籍までつけて出せというのはちょっと大変じゃないかな。公的年金の場合はもう少し簡便な方法をおとりになっているようですけれども、これから毎年やる場合、ことしの十月から改定されるということですが、手続的にはどういうふうに工夫をされているのか、お伺いしたいと思います。
  103. 石川雅嗣

    石川政府委員 受給権調査を毎年誕生月に円滑に実施いたしますためには、受給者の御理解と御協力を得ることが最も肝要なことだというふうに存じているわけでございますけれども、そのためにも受給者負担を軽減することが御指摘のように必要であろうと考えているところでございます。  このため恩給局といたしましては、申立書に現在本籍地の市区町村長が発行いたします戸籍抄本等を添付する方式をとっているわけでございますが、従来からやってまいりました調査方式を改めまして、現住地の市区町村長の住民票記載事項証明に変えるなど、手続の簡素化を図ることとしているところでございます。     〔戸塚委員長代理退席、前田委員長代理着席〕
  104. 川端達夫

    ○川端委員 いろいろと前向きに改善されることになっているようで、ありがたく思います。  しかし、この恩給制度、今までもそうなんですが、先ほどの数字にも出てきますように、これからもっとペースを上げて失権者がふえてくる。そういう中で、一つとしてそういう受給権調査というものを効率よく、そして時期的にも把握が早くできるようにされるということは非常に結構なことだと思うのですが、それでも現実にシステム的にどうしても失権者というのが出てきた場合に過払いになってしまう。  例えばひとり暮らしの御老人である、あるいは御家族も恩給のことはおじいちゃんのお小遣いだからということで余り関与していなくてお亡くなりになったというときに、手続も何もしないというふうなことでのいわゆる過払いというのが、今度の改定で、極端に言えば何も手続しなかったときに一番長くて二年後にしかわからなかったのが一年後にわかるようになるということでは、前進は前進なのですが、いろいろなケースで、本来権利がなくなっているのに、あれは郵政が担当しておられると思うのですが、どんどん振り込んでいったというケースは起こっているだろうし、これからも起こり得るだろうと思うのです。  こういう部分の過払いということに関して恩給局としてはどういうふうにお考えになっているのか。それから、その実態というふうなものをどのように認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  105. 石川雅嗣

    石川政府委員 私どもといたしましては、ただいま御指摘のございましたような過払いというような事態も極力避けなければならない、そのために、受給権調査につきましても今回方法を改めて隔年実施を毎年実施に変えさせていただく、こういう方針をとっているわけでございますけれども、今後ともそうした事態が生じないように郵政省とも緊密な連携をとりながらやってまいりたい、このように考えております。
  106. 川端達夫

    ○川端委員 現実には、例えばひとり暮らしの御老人がおられて、お亡くなりになって全然手続をしなかった、どんどん振り込まれていく。その場合はだれも出していないわけですから、調査をして、ああこの人は失権をしていたというときに、手続をとって返していただくということはそれでいいと思うのですけれども、それでもシステム的には必ず起こってくる問題。逆に、手続をしなければいけないというのがよくわかっていなくて、どんどん振り込まれてきて、周りの御家族が、別に悪意があるわけじゃなくて使ってしまった。しばらくどんどん使っていったら郵政の方からお手紙が来て、実は払い過ぎていましたので返してくださいと言われてびっくりするというふうなケースもあるようであります。そういう部分では焦げついてしまうという可能性もあるというふうに認識をするのです。  だから、そういう意味では、制度的に可能な限り早くそういう実態を把握できるということを考えられると同時に、その実態が今どういうふうになっているんだろうかということはどういうふうに認識されているか、もう少しお聞かせいただきたいと思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  107. 石川雅嗣

    石川政府委員 ただいまお話しのように、今のような支払いの制度をとっておりますと、こうした過払いを皆無にするということは、制度の上でこれを十分担保するということは大変難しい問題かというふうにも考えるわけでございます。  私ども恩給局といたしましては、ことしの十月から隔年のものを毎年誕生月の調査に改めるということを機会に、受給者の皆様方にも必要な手続その他について十分周知徹底を図るように努力をいたしたいというふうに考えております。  また同時に、これまで隔年実施でやってまいりましたけれども、そうはいいながら、毎年、調査年に当たっておらない方の中で特に御高齢の方を対象にいたしまして補助的な調査を私ども行ってまいっておるわけでございますが、そうした形でも何とかそうした事態にならないように早急に受給権の存否の実態を把握したいということで、これまでも努力してきているところでございます。  そういうようなことを今回毎年実施ということでやることによりまして、より正確を期していくように努力をさせていただきたい、またPRも十分にやってそうした事態を未然に防止することにつきましても努力をさせていただきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  108. 川端達夫

    ○川端委員 これからの部分ということはいいんですが、実情としてはどんなふうにお考えになっているのかということなんです。  制度的に非常にそういうものを発生してしまいがちであるということは事実だと思います。だから、可能な限りそういうことの起こらないような手を打っていく。これは難しいでしょうけれども、一番簡単というか、システム的に簡単であるけれども実際には多分できないであろうなと私、予想するのは、区役所なり市役所にお亡くなりになったということで届け出に行ったときに自動的にそれが横に伝達をされるということに、各種年金等々も全部なれば一番いいんだろうと思うのです。これはいろいろな問題があると思うのですが、そういうことも考えていただきたいなと思うのです。  現実にそういうことで発生は可能な限り抑えていくけれども発生はする。そうしたときに、それが今現実にはほとんど問題なく、払い過ぎました、ああそうですかということで回収ができて、そう手もかからずに問題がないのであればそういうことをそう細かくやる必要もないだろうし、現実にそういう過払いというものが発生したときに、どういう事態で、何とかしなければいけないということなのかどうなのか、その認識をお聞かせをいただきたいと思うのです。
  109. 石川雅嗣

    石川政府委員 恩給の過払いにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、死亡等の受給権の異動事由の発生時期と届け出の提出の時期がずれるというようなことによりまして一時的に過払いが発生するというような事態はあり得るわけでございますが、こうした場合には国の特定の支払金に係る返還金債権の管理の特例等に関する法律という法律によりまして、支給官庁でございます郵政官署におきまして適正な債権管理がなされているものというふうに私ども考えているところでございます。  現実の問題として、どのような過払い金がどの程度発生しているかということについては、恩給局としては具体的には今つかんでおりません。
  110. 川端達夫

    ○川端委員 この件はこのぐらいにしておきますが、今、支払い自体を郵政に委託をされるというシステムになっているわけです。それはそれで結構なんですけれども、そういうときに、予算を立て、これだけという、これは当然見込みですね、当然これより減額してくるわけですけれども、その分がどういうふうになるか。例えば焦げつきがゼロだとは思えないんですけれども。ということは、こういう恩給をもらっている人はできるだけ届け出ない方がいいというふうなうわさを小耳に挟んだことがありまして、そういうようなことを思わせるというのは実にけしからぬことだと思うのです。  やはり最終的には恩給局ということで管理をされているわけですから、その分は郵政との連携という部分で実態を把握され、問題があれば手を打っていかれるということの姿勢が非常に必要じゃないか。だからその部分で、担当に任してあるから関与しないということではないのじゃないか。今度受給権調査をされるのも実際には恩給局でおやりになるわけですから、そういう観点でまたひとつ御検討いただきたいというふうに思います。  それと、いつもこの恩給法案が出てきますと、一番初めに払う時期、この法案改定される四月分から六月分というのは七月六日にお支払いになるというふうに理解してよろしいのかということと、そういう部分でいえば、こういう法案のタイムリミットというふうな事務処理等々は、特に今の時期で問題がないのかということだけ確認をしておきたいと思います。
  111. 石川雅嗣

    石川政府委員 恩給年額改定は四月分から実施させていただくという内容になっているわけでございますけれども支給実態から申し上げますと、四月分から六月分の三カ月分につきましては七月に支給する、こういう形になっておりますので、今回法改正をお願いしております四月から六月の分につきましては最初の支給月が七月に参る、こういうことで御理解をいただきたいと存じます。
  112. 川端達夫

    ○川端委員 恩給関連をして、昨年の恩給法等の一部を改正する法律案のときに当委員会附帯決議を幾つかしているわけです。ほとんど同じですが、若干違いも含めて参議院の内閣委員会でも附帯決議をされているわけです。これらの附帯決議について、ちょうど一年間たったわけです。いろいろ善処をしていただきたいこと、検討していただきたいこと等々の決議があります。その一年間の総括をしていただきたいと思います。
  113. 石川雅嗣

    石川政府委員 附帯決議実施状況ということでございますが、昨年当委員会恩給法審議関連いたしまして付せられました附帯決議のうち、「恩給改定実施時期については、現職公務員給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。」という項目がございます。  これにつきましては、恩給年額改定社会経済の諸事情変動に対応いたしまして恩給実質的価値維持することを目的とするものであります。このような変動状況をあらわす指標として、前年度の公務員給与改善等にそのよりどころを求めているわけでございまして、恩給年額水準そのものがいわゆる一年おくれになっているというふうには考えていないところでございます。  各種改善実施時期の一本化につきましては、厳しい財政事情等種々の制約もございますので、今後慎重に検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。  それからまた、「恩給最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準実質的向上を図ること。」こういう附帯決議がございます。  これにつきましては、最低保障額改善については、公務員給与改定、他の公的年金給付水準との均衡等勘案してその額を定めてきたところでありまして、昭和六十三年度においても各種最低保障額を同年四月から一・二五%引き上げることとしているところでございます。  また、普通扶助料給付水準改善につきましては、基礎俸給の格上げ、加算年金額計算への算入、寡婦加算制度導入等優遇措置を講じてきておりまして、昭和五十二年度以降は特にその最低保障額改善に努めてきたところでございます。  それから次に、「外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。」という点でございます。  未指定外国特殊法人及び外国特殊機関につきましては、組織の沿革、機関性格人事交流実態等を総合的に勘案いたしましても、また、内地における同種の国策会社等について通算を認めていないということとの均衡から見ましても、通算対象とすることは適当ではないというふうに考えているところでございます。  次に、「旧満洲国軍内の日本人軍官処遇問題について検討すること。」という点についてでございます。  旧満州国軍人等外国政府職員期間通算は、旧満州国等特殊性、それから我が国公務員との人事交流等やむを得ない場合に限りまして特例措置として認めているものでございまして、これまでいろいろなケースについて検討し、入れるべきものは取り入れてきたという点から、今後これをさらに拡大するということは適当ではないというふうに考えているところでございます。
  114. 川端達夫

    ○川端委員 当委員会でなくて参議院の附帯決議の中に、旧日赤救護看護婦等に対する慰労給付金見直してほしいというふうなことが載っているわけですが、この従軍看護婦慰労給付金は、昭和六十年六月に増額をされてからこれでもう二年、もうじき三年間据え置きになっているわけです。この分に関して恩給あるいは各種年金あるいは公務員給与等々引き上げられてきた中で据え置かれているということなんですが、参議院の決議もあるのですが、この点に関してはどういうふうにお考えでしょうか。
  115. 文田久雄

    文田政府委員 お答え申し上げます。  先生案内のとおり、本措置はこれらの方々の戦時中の特段の御労苦を慰労するということでもって措置されたものでございまして、ただいま先生お示しのとおり、昭和六十年度に所要の措置を講じたところでございます。ただ、先生承知のとおり近時の消費者物価指数の上がりというのは極めて低率という次第もありまして、御趣旨に沿い得ないという状態になっておるところでございます。  今後の取り扱いでございますけれども昭和六十年度の増額等の経緯も踏まえまして十分慎重に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  116. 川端達夫

    ○川端委員 ぜひとも特段の御配慮をお願いしたいと思います。  それから、両院の委員会附帯決議の中に、「恩給欠格者等の処遇について検討すること。」この件に関して長年触れられているわけです。近々またこの場で審議があると思うので詳しくはその場に譲りたいと思うのですが、特にお伺いしておきたいと思うのは、恩給欠格者問題ということで長年いろいろな問題について御要望を申し上げてきたところなんですが、平和祈念事業特別基金等に関する法律案というのが二月十二日に付託をされているわけです。恩給欠格者等の処遇というものもいわゆる戦後処理問題の大きな一つの問題なんです。そういうものも含めてこういうものが出てきたのかなというふうにも考えるのですが、この平和祈念事業特別基金等に関する法律案というものの考え方、恩欠者の問題、戦後強制抑留者の問題、それから在外資産の問題、いわゆるそういう大きな三つの戦後処理問題というものと今回考えておられる平和祈念事業特別基金等に関する法律案というものの関係といいますか、基本的なお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  117. 平野治生

    ○平野政府委員 いわゆる戦後処理問題、ただいま先生も御指摘ございましたとおりに、私ども大きく分けて三つと思っております。一つは、今御議論もございました、あるいは附帯決議でございましたいわゆる恩給欠格者の問題、それからもう一つはシベリアに抑留されたいわゆる戦後強制抑留者の問題、さらには引揚者の在外財産の問題、この三つの問題を私どもいわゆる戦後処理問題として取り扱っているわけでございます。  これらの問題につきましては、これも御承知のとおりに、昭和五十七年六月に戦後処理問題懇談会というものを、有識者の方々にお集まりいただきましてお願いをした経緯がございます。そしてその戦後処理懇の報告が五十九年十二月に出たわけでございますけれども、その処理懇の報告によりますと、そういったいわゆる戦後処理三問題を中心としたいわゆる戦後処理問題につきましては、国としていわゆる補償をすることはないけれども、そういう方々の御苦労というものは大変であった、そういう方々の心情に思いをいたして、いわゆる戦後処理のために特別基金をつくったらどうかということの御報告があったわけでございます。  そこで、私どもそのことを中心といたしましていろいろ論議を重ね、また検討も続けてきたわけでございます。率直に申し上げれば、私が所属しております特別基金の検討調査室というのもその処理懇を受けてできた部局であるということも言えるかと思っております。そこで、そういった処理懇の報告を踏まえて、それを基本方針としながら私ども今日まで至ってきているわけでございます。  そういう戦後処理懇のことを基本方針として私ども政府等とも十分検討した結果出てまいりましたのが、ただいま御指摘がございましたいわゆる平和祈念事業特別基金等に関する法律案ということになるわけでございます。  したがいまして、この平和祈念事業特別基金等に関する法律案、この法律の趣旨というのはこの一条にも書いてあるわけで、また別途御議論、御審議がいただけるものと思っておりますけれども、いわゆる恩欠者の問題あるいは戦後強制抑留者、シベリア抑留者の問題、さらには引揚者と申しますかの在外財産に関する問題、こういう方々の「戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」、こういう形で平和祈念事業特別基金というものをつくらせていただきたい、設置していただきたい、こういうことでございますので、いわゆる恩欠者の問題もその問題の中に含まれている、その基金の対象に含まれている、このようにお考えいただきたいと思っているわけでございます。
  118. 川端達夫

    ○川端委員 昨年もこの問題で御議論がありまして、本番がまた控えているのできょうは詳しくは避けたいと思いますが、今お述べになりましたように、五十九年十二月に戦後処理問題懇談会の意見といいますか答申が出た。その時点からの部分では、今おっしゃったようにその三つに関して個別に補償するというふうなものはもうないんだ、なしで全体的な慰藉をするということ、基金をつくってやるべきであるというふうな方向が示唆された。ところが六十一年の選挙の直前になりますと、そんなことじゃなくてもっとみんな頑張ろうといろいろな方が、そういう対象になる方が頑張られたということ、逆に言うと、選挙に際しては、いやいやもっとちゃんとしましょうというふうな公約をされたところがある。そういう中で六十二年に、シベリアを中心として、意識、実態調査という名のもとでありますけれども、いろいろな調査をされ、シベリアに関して何とか一つの方向が出てくるのではないかというふうな動きになってきた。  そして、今回の平和祈念事業というものは、答申を受けてやるとはいえ、結果的にはこれは恩欠者だけということでいろいろまた物議を醸すことになると思いますが、シベリア強制抑留者に対しては何らかの処置をしようというふうな中で、恩欠者に関してはいわゆる平和祈念事業で、具体的にはどういうものかはまだそうはっきりわからないですけれども、祈念事業としてトータル的に慰藉をしようというふうなことでは、とてもじゃないが気持ちとしては恩欠という人たちの慰藉にはならないのではないだろうか、あるいは私たちがそういう人たちに、本当に戦役御苦労さまでございましたというふうにはならないのじゃないだろうかと今思っているわけです。  そういう部分で、平和祈念事業の部分にすべて含まれてやるというには、恩欠者の対策もこれなんですよということはちょっと無理じゃないかな。今まで答申というものを踏まえてやられると言いながら、シベリアの一部の抑留者に対してはという動きだけがまた出てきて、そうするとこれはどう説明したらいいのだろうかというふうに矛盾をしてくることになると思いますけれども、総合的に戦後処理問題、それから個別の恩欠者問題に関して、長官はどういうふうに御認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  119. 高鳥修

    高鳥国務大臣 シベリア抑留者の問題にいたしましてもあるいは恩欠の問題にいたしましても、大変難しい従来の経緯があるわけであります。それらの経緯を踏まえて基金構想というものが出てまいりまして、それによって何らかの対応をしようということで、現在これは総理府の担当で詰めておるところでございますので、したがって、私の立場から他省庁に関することについて積極的な発言をすることは差し控えなければならないと思います。  ただ、恩欠などの問題についてこういうふうになってきたのは、いわば恩給制度というものがあのような長期かつ苛烈な戦争を本来予想してつくられておったものではないわけであります。したがって、戦時加算等でいろいろ工夫はいたしてはおりますけれども、もう異常事態の中で発生してきたものでありますから、制度的には必ずしも十分でないところがある。そういうところを何とか御理解を得ながらその処理をしていこうという発想に基づいてやっておるものと思うわけでありまして、犠牲者ということになればこれはもう切りがございません。切りがございませんが、そういう中でベストを尽くしたいというふうに政府としては考えておるところでございます。
  120. 川端達夫

    ○川端委員 この件はまた後日、本格的な法案の審査のときに譲りたいと思います。  最後に、附帯決議の中で、きょうおいでいただいていると思うのですが、厚生省の方、これは毎年出てくるのですが、老齢福祉年金支給制限関連附帯決議、「恩給受給者に対する老齢福祉年金支給制限を撤廃すること。」これも去年の附帯決議で出てきて一年経過したのですが、大体のお考えはわかっておるのですが、こういうふうに附帯決議が出たのを受けて一年間たったということでの御答弁をお願いしたいと思います。
  121. 松本省藏

    松本説明員 お答えをいたします。  昨年の本内閣委員会におきまして「恩給受給者に対する老齢福祉年金支給制限を撤廃すること。」という附帯決議がついていることは重々承知いたしております。  先ほど田口先生の方からの御質問もあったわけでございますけれども老齢福祉年金制度は、国民の皆年金制度昭和三十六年にスタートいたしましたときに既にもう高齢に達しておられまして、具体的に申しますと五十歳を超えておられるということでございますが、そういう方々年金制度に加入できないという方々に対しまして、そういう方々老後生活を支える公的な給付が受けられないわけでございますので、そういう方々に対しまして、全額国庫負担で、また無拠出仕組み老齢福祉年金支給するということで制度ができたわけでございます。したがいまして、老齢福祉年金制度と申しますのは、基本的には、他の老後生活の支えとなるような機能を有する給付を得られる場合には受給を御遠慮願うというのが立て方でございます。  しかしながら、各種の公的年金制度の中には、恩給の中にもあるわけでございますけれども、非常に低い額の公的年金給付がございます。そういうものにつきましては一定の額まで老齢福祉年金を併給するという仕組みになっているわけでございまして、附帯決議趣旨、重々承知はしておるわけでございますが、このような老齢福祉年金趣旨からいたしまして、恩給について支給制限を撤廃するということはなかなか難しい問題ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。  なお、現在の支給制限限度額につきましては五十六万九千円でございますけれども予算案が通りますれば、六十三年度におきましては、これを普通恩給の短期在職者の最低保障額引き上げ幅に見合いまして五十七万六千円に引き上げるということを予定しているところでございます。何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  122. 川端達夫

    ○川端委員 特にきょうの部分であれなのは、恩欠者の問題に関して平和祈念事業というもので包含をしていくというのは、今までの経緯からしてちょっと筋が通っていないような印象を受けております。戦後処理問題懇談会の答申が出ているというふうにおっしゃるけれども、それだけでそれが筋として整合性があるかというとそうでもない。中身としては極めて政治的であるということはわかるのですが、それによって、高齢に達してきている恩欠者の人たちを結果的には振り回したような部分に政治もかかわっているということは、非常にゆゆしきことではないかなというふうに認識しております。そういう面で、特に今回の平和祈念事業特別基金等に関する法律案が出たときにまたいろいろと御質疑をさせていただきたいと思います。その点、よろしくお願いしたいと思います。  時間が来てしまいましたので、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
  123. 前田武志

    ○前田委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ────◇─────     午後四時三分開議
  124. 近岡理一郎

    ○近岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  125. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まず、恩給法審議に当たりまして原則的な考えを確認しておきます。  恩給というものの性格、意義、恩給法そのものにはどうやら規定がないようでございますけれども恩給の本質的な意義、すなわち恩給というものは、恩給制度というものは一体どういうものなのか、まず最初に御答弁をいただきたいと思います。
  126. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま竹内委員指摘のように、恩給法には恩給の意義及び性格について別段の規定はございません。学説もいろいろとあるようでございますが、私どもといたしましては、公務員相当年限忠実に勤務して退職した場合、また、公務による傷病のため退職した場合、または、公務のために死亡した場合におきまして、国がその者との特殊な関係に基づき、使用者としてその公務員またはその遺族給付するものであり、その意味において国家補償的性格を有する年金制度である、このように考えております。
  127. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いわゆる恩給制度そのものは、ここにも書かれておりますけれども、「「我が国恩給制度は、明治八年の旧軍人恩給制度に始まる。」とは、しばしば解説書等にみられるところであるが、」こういうように言われております。戦前、戦中、戦後、いろいろな変遷をたどってきておるところでございます。  そこで、公的年金制度とそれから恩給制度の違いはどこにあるのでございましょうか。
  128. 石川雅嗣

    石川政府委員 恩給は、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、国が公務員との特殊な関係に基づきまして、長年公務に従事した者あるいは戦没者遺族戦傷病者等に対しまして国の補償として給付するものであるわけでございます。  こういうことで、相互扶助精神に基づき、一定の拠出を行い、保険数理の原則によって運営される社会保険制度というものとは、そういう点において違うということであろうかと思います。
  129. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、恩給法適用の場合、その大部分が旧軍人あるいはその遺族方々でございます。また、高齢化しておることも事実でございますが、現在の恩給法適用者の内訳はどういうようになっておりますか。
  130. 石川雅嗣

    石川政府委員 昭和六十三年度予算でもって一応想定しております受給者数は、総数で二百八万四千人ということでございます。このうち文官が約十一万二千人という数字で、あとは軍人等でございます。
  131. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 平均年齢は大体どの辺になっておりますか。どのようにつかんでおりますか、わかっている分を御答弁ください。
  132. 石川雅嗣

    石川政府委員 平均年齢でございますが、昭和六十二年三月末の恩給統計によりますと、総平均年齢が七十一・六歳、それから文官等の平均年齢が七十八・九歳、旧軍人等の平均年齢が七十一・一歳、このようになっております。
  133. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、臨時行政改革推進審議会あるいは行革審等々で見直しがいろいろと言われてまいりました。公的年金制度と同様に検討を要請されておるわけでございます。そのねらいは、制度の基本的な枠組みを変更せずに行うということでございますが、どのような観点からいろいろと見直し、それから恩給適用という問題に関してどのような観点から検討をしたのか、改めてお伺いしておきたいと思います。
  134. 石川雅嗣

    石川政府委員 公的年金制度改革関連いたしました恩給制度見直しにつきましては、鋭意検討を行ってきたところでございますが、先ほども申しましたように恩給国家補償的性格を有する制度であり、公的年金制度改革との関連において見直しを行うに当たりましては、まず、恩給制度は、相互扶助精神に基づき、保険数理の原則によって運営される公的年金とはその基本的性格を異にしているという点、それから、その対象者がすべて既裁定者であって新規参入者がないこと、それから三つ目に、対象者の大部分が旧軍人という特殊な職務に服した者やその家族であって極めて高齢であること、こういった特殊性を考慮する必要があるわけでございまして、これらの点から制度の基本的枠組みを変更することは適当ではないということを考えているわけでございます。
  135. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今、恩給制度国家補償制度であるから基本的な枠組みの変更は適当ではない、したがってスライド方式から総合勘案方式により今回の増額改定をした、こういうことでございますが、もう一度その事情を詳しく、なぜこのようになって一・二五になったのか、そういった面ももうちょっとわかりやすく、今のままではちょっとわかりません。昨年が二%あるいは一昨年が五%、そういうものが本年一・二五というような形というものはちょっと理解に苦しむわけでございますが、どういうものなのかの事情をもう一度御答弁していただきたいと思います。
  136. 石川雅嗣

    石川政府委員 恩給年額改定につきましては、恩給国家補償的性格を有するものであること等の特殊性を考慮しつつ恩給年額実質価値維持を図る、こういう観点から、恩給法第二条ノ二にのっとりまして、諸般事情総合勘案して恩給改定を行うこととしているところでございます。今後も基本的にこうした考え方に沿うことが適当である、こういうふうに考えているところでございます。
  137. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もうちょっと詳しく、なぜ本年、六十三年度といたしまして一律一・二五%の増額改定を行おうとしているのか、その点が私はわからないわけです。もう一度答弁してください。何しろこの状況というものは、みんなもう年齢も、先ほど平均年齢をお聞きしました、七十一・六歳、こういうような状況で、いよいよ高齢化社会へ突入して、そういう中で皆さんいろいろ御苦労な立場におることは間違いないわけですよね。そして円高不況、こういう中で、いろいろと生活が大変な中でなぜ一・二五%の増額改定にとどまったのかということは、今の御答弁では国民の皆さんわからぬと思うのですよ。もう一度御答弁ください。
  138. 石川雅嗣

    石川政府委員 昭和六十三年度の恩給年額改定率一・二五%の算定につきましては、恩給国家補償的性格を有するというようなことを踏まえまして、また、公務員給与改定率、これは国家公務員の基本的な俸給表であります行(一)俸給表の本俸の改定率によっておりますが、これが一・四六%、それから消費者物価上昇率予算編成時の見込みでは〇・二%程度でございました。こうした諸般事情総合勘案いたしまして一・二五%という率をとったということでございます。
  139. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは逆の方から申し上げますが、昭和六十二年からは総合勘案方式、五十一年から六十一年は給与回帰分析方式、四十八年から五十年は給与スライド方式、四十四年から四十七年は恩給審議会方式、いろいろあります。その上もありますが、どういう事情からこういうような経緯になったのか、もう一度御答弁ください。
  140. 石川雅嗣

    石川政府委員 それらのいろいろな方式についてはそれぞれそのときどきの事情があったわけでございますけれども、しかし基本的には、恩給改定率について国家公務員給与ベース、給与改定を基本に置きながら改定をしてきているという点においてはそれほど大きな違いがない、過去の経緯はそういうことでございます。
  141. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、五十一年から六十一年は給与回帰分析方式、六十二年から現在は総合勘案方式になった、その前は給与スライド方式から給与回帰分析方式になった、これはただ言葉がちょっと変わっただけで基本的には全然違わないんだということで、これは何ら意味のないことなんですか、今の答弁では。そんな意味のないことでやたらに言葉をいろいろと複雑に変えたりするのは問題だと思うのです。もう一度答弁してください。なぜこういうようになったのか、その経緯を御答弁いただきたい。
  142. 石川雅嗣

    石川政府委員 ただいまの改定方法の経緯についてということでございますが、いろいろ細かい点もございますので、説明員から答弁させていただきたいと思います。
  143. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 過去の経緯に関する御質問でございますので、私からお答えさせていただきます。  ただいま先生指摘のとおり、過去、恩給改定につきましてはいろいろな方法をとってまいったことは事実でございます。特に、昭和三十七年までは公務員給与改定率と申しますか、公務員給与の行(一)俸給表をそのままなぞりまして恩給の仮定俸給表をつくってきたということがございます。ところが、当時公務員年金制度恩給から共済制度に移った、さらに公務員給与制度がそれまでとっておりました通し号俸制というのをやめたというようなこともございまして、何か給与以外の指標をとるべきではなかろうかということでいろいろ検討をいたしまして、一時、消費水準あるいは物価というようなものをとった時代がございましたけれども、結局、四十四年から四十七年までは恩給審議会というところで検討してもらいましたその結果を踏まえまして、物価給与物価の差の六割を加えた恩給審議会方式というものでやることにいたしたわけでございます。  ところが、四十八年の例の石油ショック以来急激に物価上昇いたしまして、それと同時に厚生年金等も大幅な給付アップをいたしました関係上、四十八年からは公務員給与そのものに準拠するという方法をとってまいりました。四十九年、五十年では、過去その恩給審議会方式で外してまいりました部分につきましても追いつかせたというような経緯がございます。さらに、五十一年からは公務員給与平均アップ率だけではなくて公務員給与改善傾向まで反映させるというような方式をとってまいって、そういうことで六十一年まで推移してまいったというのが過去の経緯でございます。
  144. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこでお伺いいたしますが、この論議は毎年本委員会におきまして行っております。そして昨年は私もただいま申し上げましたように二%アップ、あるいは一昨年は五%アップ、そういう中でこの衆議院内閣委員会におきまして採決が行われ施行されていったわけでございますけれども、その都度本委員会附帯決議をつけております。昨年と一昨年の附帯決議の、全部でなくてもいいです、主なものを、どのように受けとめて、そしてどのような措置をしたか、その点を御答弁いただきたいと思います。
  145. 石川雅嗣

    石川政府委員 昨年の本委員会におきます附帯決議についてでございますが、まず一点、恩給実施時期に関する附帯決議につきましては、恩給年額改定社会経済の諸事情変動に対応いたしまして恩給実質的価値維持するということを目的とするものでございますから、このような変動状況をあらわす指標として、前年度の公務員給与改善等によりどころを求めているわけでございます。しかし、恩給年額水準そのものがいわゆる一年おくれになっているというようなものではないというふうに考えているわけでございます。また、各種改善実施時期の一本化につきましては、厳しい財政事情等種々の制約もございますので、今後慎重に検討させていただきたい、このように考えているところでございます。  それから次に、恩給最低保障額についての附帯決議がございます。最低保障額改善につきましては、公務員給与改定、他の公的年金給付水準との均衡等勘案してその額を定めてきたところでございまして、昭和六十三年度におきましても、各種最低保障額を同年四月から一・二五%引き上げることといたしているところであります。また、普通扶助料給付水準改善につきましては、基礎俸給の格上げ、加算年金額計算への算入、寡婦加算制度導入等優遇措置を講じてきておりまして、昭和五十二年度以降は特にその最低保障額改善に努めてきたところでございます。  それから、外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の問題がございます。この未指定外国特殊法人及び外国特殊機関につきましては、組織の沿革、機関性格人事交流実態等を総合的に勘案しても、また、内地における同じ種類の国策会社等について通算を認めていないというようなこととの均衡から見ましても、通算対象とすることは適当ではないと考えているところでございます。  また、旧満州国軍内の日本人軍官処遇問題についての附帯決議でございますが、この点につきましては、旧満州国軍人等外国政府職員期間通算につきましては、旧満州国等特殊性我が国公務員との人事交流等やむを得ない場合に限りましてこれまでいろいろ特例措置として認めてきているわけでございますが、これをさらに拡大するということについては適当ではないのではないか、このように考えているところでございます。
  146. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今のは昨年のものですね。全部でなくて結構でございますが、一昨年の分に関しても。
  147. 石川雅嗣

    石川政府委員 大変申しわけございません。一昨年の附帯決議を私は今手元に持っていないのでございますけれども、記憶によりますとほとんど同じような事項であったかというふうに思っております。
  148. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今のは昨年の五月十四日、私の手元に附帯決議の内容がございます。  そこで、私の聞き漏らしか、説明に漏れておったと思うのですが、「恩給欠格者等の処遇について検討すること。」これに関してもう一度御説明いただきたいと思います。
  149. 平野治生

    ○平野政府委員 昨年の恩給法改正法案のときの附帯決議の一つとして、「恩給欠格者等の処遇について検討すること。」というのがあったかと思います。  恩給欠格者の問題、この問題は、既に御承知のとおり私どもいわゆる戦後処理問題として大きく三つの問題としてとらえているものの一つでございます。御承知のとおりに、いわゆる戦後処理問題とは、今御指摘のございました恩給欠格者の問題、あるいはシベリアの抑留者、戦後強制抑留者の問題、あるいは引揚者在外財産の問題、こういう三つの問題をいわゆる戦後処理問題としてとらえておるわけでございます。  こういう問題につきましては、五十七年六月に戦後処理問題懇談会というものをつくりまして、そこで大所高所から、いろいろな角度から御議論をいただいたわけでございます。そして五十九年十二月にその報告が出されたわけです。既に御承知かと思いますけれども、その趣旨と申しますのは、いわゆる戦後処理問題につきましては、これ以上国において措置すべきものはないけれども関係者の心情に深く思いをいたせば、「今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する意味において、政府において相当額を出捐し、事業を行うための特別の基金を創設することを提唱する。」こういう趣旨の報告がなされました。  政府におきましては、この戦後処理問題懇談会の報告を基本方針とし、種々議論を重ね、調査検討を行いました。その結果、別途御審議をいただくわけでございますけれども恩給欠格者の問題も含めたいわゆる戦後処理問題につきまして平和祈念事業特別基金というものをつくる、そこの事業としていろいろなことをやっていこう、こういうことを政府として考えまして、別途御審議をいただくことになっております法案を出させていただいたという経緯があるわけでございます。
  150. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ここが大事なところでございまして、先ほど恩給対象者の人数をお聞きしました。文官と武官とに分けてお聞きいたしましたが、二百八万四千人。そこで、いわゆる軍恩未受給者恩給を受けていない人、このメンバーはどれぐらいおりますか。そしてまたその内訳がわかりましたら説明してください。それから、その人たちの平均年齢はどういうような形になっておりますか。同じようにこの日本の国のために頑張った人たちですね。ところが、私の知っておる限りでは未受給者の方が恩給を受けている数よりもずっと多いようですね。その辺の状況を総務庁としてどのようにつかんでおるのか、その実態をまず最初に明らかにしてください。
  151. 平野治生

    ○平野政府委員 私ども承知いたしておりますいわゆる恩給欠格者に該当する方々の数は、六十一年度に調査をいたしまして、現在生存している方が二百七十五万人程度ではないかと推定いたしております。ただ、ただいま先生が御指摘になりましたそれの年齢別とかそういったものについては、私ども十分に把握いたしておるわけではございません。
  152. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 内訳を説明してください。
  153. 平野治生

    ○平野政府委員 ただいま私が申しましたとおりに、私ども承知いたしておりますのはいわゆる旧軍人方々で現在生きていらっしゃる方の数、これはどういうふうに調査いたしたかと申しますと、全国的に何万人かの方々をサンプル調査いたしまして、それに基づいて生存者の数を推定したという数字でございまして、先生がおっしゃるような年齢別その他のことについての内訳を私ども承知いたしておるわけではございません。
  154. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、今御説明のございました平和祈念事業特別基金、これはまた今後本委員会相当論議していかなければならぬ問題でございますけれども、そのうちシベリア関連の人たちというものはどのように掌握しておりますか。
  155. 平野治生

    ○平野政府委員 シベリアのいわゆる戦後強制抑留者、シベリアに抑留された方々の数、これは厚生省でかつてナホトカから我が国にお帰りになった方々を初めといたしまして数を把握したことがございます。私どもは、その厚生省の調査をもとにいたしまして、今年度、今月末で終わりますけれども、そこで現在実態を把握しておるところでございます。私ども承知している限りにおきましては、シベリアの強制労働に服した方々の数はおよそ五十七万五千人というふうに承知いたしております。そして、そのうち我が国にお帰りになった方々は四十七万三千人程度と承知いたしております。
  156. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、年齢の件で掌握してないという御答弁でございますが、恩給を受けている人たちのところから推定しても、先ほどの御答弁で文官の人たちが七十八・九歳、全体平均が七十一・六歳、旧軍人が七十一・一歳、こういうふうに平均年齢をはじいておられますね、間違いないと思いますが。そうなると、この未受給者恩給を既に受けておられる人たちとほぼ同じような平均年齢ではないか、だれが見てもそうなるのじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  157. 平野治生

    ○平野政府委員 先ほど申しましたとおりに、私どもしっかりと年齢階層を把握しておるわけではございませんが、私どもなりにサンプル調査と申しますか幾らかを調べた限りでは、おおむね先生からお話がございましたとおりの年齢となっておりますので、恩給受給者方々よりはあるいは若干若いかなという感じはしなくもございませんけれども、おおむね同じような年齢になるのではないかと考えております。
  158. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、総務庁長官に御答弁いただきたいのですが、二百七十五万人の人たちは、とにかくこの日本の国のために頑張ってお帰りになって、そうして御苦労をいただいた。ところがこの受給者文官も入れて二百八万四千人ですからね、今までの経緯からだんだん減ってきていることは確かでございますが。これだけの多くの人たちが、しかも平均年齢ももう七十歳を超えた、晩年ですよ、もういよいよ総仕上げだ、そういうところにおられる人たちが今どういう気持ちでいるか。今回また恩給も上がります、若干でございますがね。しかしこれはいまだにゼロだ。未受給の人たちに対して、総務庁長官、どんなお考えを持っていますか。
  159. 高鳥修

    高鳥国務大臣 恩給制度そのものにつきましては、先ほど申し上げましたように、初めから、相当年月を国家のために専心勤めた人に対しまして、またはその遺族に対して支給するという建前でできております。したがいまして、どこかで線が引かれることはやむを得ないところであります。この恩給制度そのものは、いわゆる前大戦のような非常に苛烈かつ長期にわたる戦争があるということを予想して制定されてはおりませんので、したがいましてこれを救済するために戦時加算等いろいろと工夫をいたしておるところであります。それでもなおかつ年限に達しないという者につきましては、これはもう恩給制度そのものの性格からいってやむを得ないところでございます。  しかしながら、御指摘のような国家のために大変御苦労いただいた抑留者あるいは恩欠の皆様方がいらっしゃることは当然わかっておるわけでありますので、それに対して何らかの方法で考えていただこうというのが今回の基金の設立をしようという趣旨であろうかと思うのであります。この基金そのものにつきましては、これからなお検討していかれるものと思いますし、かつまた総理府の所管でありますので、私からそれをどうこうするということはいわば権限外のことでございますからこれ以上言及することは差し控えさせていただきますが、恩給制度そのものがやはりそういう一定の限界があるということをひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  160. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 官房長官もお見えのようでございますので、若干この問題を官房長官にお聞きしておきたいと思います。  まず、この戦後処理問題懇談会報告の趣旨に沿って、本年、平和祈念事業特別基金を設立しようとしておる、そして所要の事業を行おうとしておりますが、この基金の設立で軍人恩給受給者等に対してどのようなことを行おうとしておるのか、まず最初にこの面を答弁してください。
  161. 平野治生

    ○平野政府委員 平和祈念事業特別基金でございますが、これは法案のことにも若干入るわけでございますけれども、先ほど私が申し上げましたいわゆる三問題の方々を中心とする方々恩給欠格者の方々も当然入るわけでございますが、そういう方々の「戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」ということでございます。  具体的には、若干法律に触れて申しわけございませんけれども、二十七条というところがございまして、そこにその基金が行う具体的な業務の内容が記されてございます。例えて申し上げれば、さきの大戦における御苦労についての記録を整備したり、出版物を出したり、調査研究をしたり、あるいはその基金の目的を達成するために必要な事業を行う、このようになっておるわけでございます。
  162. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 三問題にかかわる方々というのは、先ほど私くどいように答弁を求めましたが、この二百七十五万人のうちどういう人たちですか。要するに、この未受給者は二百七十五万人いますね、そのうちのどういう人たちが、何人がこの三問題にかかわる人たちになるのですか。
  163. 平野治生

    ○平野政府委員 この基金の対象という言葉を使わせていただきたいと思いますけれども、この基金の対象といたしますのは、私先ほど申しましたとおりに恩給欠格者の方々の問題、あるいは戦後強制抑留者の方々の問題、あるいは引揚者在外財産の問題の方々の問題、こういうことでございまして、例えば二百七十五万人のうちだれかということになれば、その二百七十五万人全員ということになろうかと思います。つまりこの基金というのは、さきの大戦において多くの方がいろいろ御苦労されましたけれども、特にそういった三問題に関係する方々の「労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」ということでございます。
  164. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私の聞いているのはそんなことじゃない。あなたの説明で、記録の整備だとか調査だとかそういうことをやるのだ、それは大事なことですよ。しかし、そんなことを今未受給の人たちが望んでいるのじゃないのです。受給をしておる人たち、現在受けておられる人たち、文官を入れて二百八万四千人、それ以外に未受給の人が二百七十五万人おるのです。この人たちに対してどうするのか。例えば個人給付の方法があるのか、例えばこの部分にはこういうような方法があるのだというようなものがあるのか、それを、内訳を聞いているのです。もう一度御答弁ください。
  165. 平野治生

    ○平野政府委員 個別的な給付があるのかというお尋ねかと思っておりますけれども、この問題につきましては、基金が個別な給付をやるという形にはなっていないことは御承知のとおりでございます。  この基金が、先ほど例示的に法律に書いてあること等につきまして私がこういうこともやるということを申し上げたと同時に、この基金の目的を達成するために必要な業務も行うということもあわせて申し上げたところでございますが、その具体的な内容につきましては、実は法律的にもその点は書いてあるわけでございますけれども、基金に設けられます運営委員会、ここにおいて基金がどういうことを行うかということについて御審議をいただくということになっているわけでございますので、私どもといたしましてはその審議の経過を見守ってまいりたい、このように考えております。
  166. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 官房長官、お忙しいのに恐縮でございます。  先ほど私は総務庁長官にお伺いいたしました。二百七十五万人も未受給の人たちがおられる。この人たちは同じように日本の国のために頑張ってこられた、その年限が足りない、どこかで線を引かれた。私はこの線を引くことには問題があると思いますよ。片や恩給を受けておられる、ところが、その線を引かれたところで片や二百七十五万人の人たちがゼロであるということに関して、官房長官、何らかの措置というもの、個別給付というのですか、そういうことを含めて考えなければならないときに来ているのではないか。先ほど平均年齢のことも言いました。受けておる人がもう既に七十一・六歳ですか、そういう平均年齢ですよ。そうするともう後がないのだ。早く、今官房長官が決断をしてもらわないと、これは本当に申しわけない段階ではないか、こう思いますので、官房長官の御所見をここでお伺いしておきたいと思います。
  167. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 竹内委員案内のとおりに、戦後未処理問題ということにつきましては、かつて塚原総務長官時代に一応政府としてなすべきことはなしました、こういうことになったわけでございますけれども、その後いろいろ旧陸海軍の看護婦の問題その他出てまいりまして、こうした問題の取り扱いについてはそのときそのときで政府としても対応してきたわけでございますが、その後今お話しの恩欠の問題その他お話がありまして、こうした問題をどう取り扱ったらいいかということで御承知のようにこの懇談会ができまして、その結果今御提案申し上げておる基金の法律、こういうことになったわけでございます。  そこで、いろいろ御指摘されたことをお聞きしますと、恩給受給者も極端に言えば一日の差でその権利を失うというようなことで、そうした方々が今、年齢的にも皆お年を召されてくるというような状況でありまして、心情的には、こうした状況にあられる方々の気持ちを思いますと大変つらい気持ちでございますが、さはさりながら、政府としてはもう既に何回かにわたって戦後の処理すべき問題については一応の結論を経てきたという結果の総決算が実は今度の基金に相なっておるわけでございます。  そこで、平野参事官から御答弁申し上げておりますとおり、この基金につきましては、その中で運営委員会委員を選定いたしまして、そうした方々のお考えも拝聴しながら最終的な結論を得たいというふうに思っておるところでございますので、基金の設立とあわせましてこの運営委員会の今後の適正な運び方に我々としてはすべてゆだねていきたいというふうに思っておるところでございます。
  168. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 官房長官、もうちょっと補足していただきたいのですが、それは個別給付も含めて検討したい、こういうことでよろしいのですか。
  169. 平野治生

    ○平野政府委員 広い意味で個別給付も含めてというふうに考えております。
  170. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一度。広い意味――私、頭が悪いからよくわからない。最初の御答弁では記録の整備だとか調査だとかいろいろやるのだということでございますが、この二百七十五万人、それは確かにどういう形になっていくか、段階的になっていくのかどうなのかわかりません。しかし、その人たちのどれくらいの、数はわからないにしても、例えば大半だとかあるいは八〇%だとかあるいは九〇%だとかいろいろな表現の方法はあると思いますが、どういうような人たち、どれくらいの人たちが、例えばさっき話がありましたシベリア関連四十七万三千人、これだけ個別給付も含めて考えていくんだというのでは、これはちょっと問題が多いと思います。二百七十五万人もおるのですからね。四十七万三千人のシベリアの関連の人たち以外の人たちも、広い意味でと今答弁されたのですから、広い意味で個別給付も含めて検討されるのかどうか、それをもう一度御答弁ください。
  171. 平野治生

    ○平野政府委員 既に御承知のとおり、シベリアにつきましては、同じ法案の別の章ということになりますけれども、個別の慰労の気持ちをあらわすための処遇を四十七万三千人の方々を中心に行うということが書いてあるわけでございます。  ところで、私先ほどそう申しましたのは、実は運営委員会でございますが、基金に運営に関する重要事項を審議する機関として置くと書いてございますので、その内容を今から私どもの方からこういうものだというふうにちょっと申し上げるわけにいかないということもございましてややあいまいな言い方になったかと思いますが、恐らくそういう問題も含めて論議されるのではないかなということまでは申し上げられますけれども、こういうことを審議していただくのだという、政府審議機関じゃございませんのでそこまでは申し上げるわけにいかないということでございます。
  172. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 よくわかりました。ぜひ私の趣旨を踏まえて広く、よろしくお願いしたいと思います。  そこでもう一点、この問題に関して質問させていただきます。軍人恩給の不公平というかそういう問題に関して若干申し述べさせていただきますが、戦争中元軍人の貢献度の評価格差、そういった形で、実役三年で甲という地区出征者は、加算軍歴、そういうもので十二年以上となって、これが軍人恩給受給中である、これは御承知のとおりですね。ところがこれに反して、召集三回、実役八年の人でも、乙という地域、丙という地区への出征者は加算軍歴が十二年に不足する、そして軍恩未受給である。もう官房長官も総務庁長官も御承知のとおり、そもそもこの出征地は軍命令という絶対至上命令により定められたものですよね。そういうもので、その責任は軍当局すなわち政府にある、そういった面が明白ではないか、こういうように思います。  したがいまして、この加算軍歴が十二年に不足して軍人恩給が未受給、そういった人たちに、先ほど官房長官もいみじくも申しましたが、一日の差で、線をどこで引くかということでございましたけれども、例えば今私が申し上げましたこの十二年以上と、十一年十一カ月二十九日ですか三十日ですか、その一日の違いで未受給という不公平がございます。そういったものに関してどうですか、どのように考えておりますか。  今私が申し上げましたとおり、もうこのように年齢も召してきておる、後がないんだ。そういうときに、広く検討する、今こういうふうに官房長官に御答弁いただいたわけですが、また、政府はそういう答弁をされたわけでございますが、もっとほかの意味で、これは今のこの平和祈念事業特別基金の今後出てくるであろう法案でございますけれども、そうではなくして、もっとほかに慰労年金なり、軍歴期間に応じて段階的に、一括でというのは難しいと思います、段階的に何らかのものを支給すべきではないか、こういうように考えますが、官房長官、総務庁長官のお二人に御答弁いただきたい。
  173. 石川雅嗣

    石川政府委員 ただいま加算年お話が出たわけでございますが、加算年は、御案内のとおり戦地勤務等勤務の危険性、特殊性、こういった実態に着目いたしましてその在職年の評価を高める、こういう性格を持ったものでございます。  したがいまして、この加算制度の枠組みにつきましては戦前から恩給法についてきめ細かく決められていたものでございまして、いわゆる戦務加算年等の加算の程度、それから加算の認められる期間及びその地域、こういったものにつきましては勅裁で定めることとされておりまして、戦時または事変の都度内閣告示で公示されたものであります。したがいまして、その内容は実質的に戦時、事変の状況を掌握しておりました旧陸海軍省を中心に加算事由の生じた当時において種々検討の上決定されたものでございます。  こうしたものでありますので、今日の時点におきまして改めてこれを再検討するというようなことは、こうした加算制度を前提としている恩給制度の中では制度の基本に触れることになりますので、また制度内部の均衡というような問題もございますので、恩給制度の中でこれを考えるということは適当ではない、こういうふうに考えているところでございます。
  174. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 勘違いしてはいかぬですよ。私は今例を言っただけであって、私があくまでも今議題にしておるのは、二百七十五万人の未受給者に対して何らかの措置考えろ、それにはこの平和祈念事業特別基金の問題だけではなくて、それ以外に、これだけ年齢を召してきておるのだから何らかの給付ということを考える段階へ来ているじゃないかということで、官房長官と総務庁長官の所見を伺いたいと思う、こう言っているわけです。
  175. 高鳥修

    高鳥国務大臣 先ほどもお答えをしたところでございますが、恩給制度そのものがそもそも国家に対して長期間公務員として勤めた者に対するいわば国家補償的な性格のものであるということを最初にまさに御指摘があって御答弁を申し上げたところでございまして、したがって、相当長期間というものを前提条件として一定の線が引かれたというものでございますので、私のところにも、実は戦地のおったところがわずかな違いで、実際は長いこといたけれども対象にならない、非常に不公平ではないかというようないろいろな御要請がございます。個別のことにつきましても、私の方に申し出のありましたものについては一々恩給局に全部再検討、点検をさせておりますが、なかなか該当させることができない。  非常に残念なことではありますが、制度仕組みそのものがそういう性格のものでございますので、したがって、事実誤認等があればできるだけ訂正はさせるように努力をいたしてまいりますが、恩給制度としてこれ以上今後これから改正をしてそういうものを入れるということは不可能であるというふうに考えております。
  176. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、政府といたしましてはだんだんのいろいろな経緯の中で、今委員が御指摘になりました問題も極めて重要な問題だという考え方をいたしてまいりましたけれども、しかしこの解決を見るためには、戦後の未処理問題の処理、こういう形で基金を創設をして、その中で有識者によるところの委員会でお決めをいただきたいというのが考え方でございまして、今新たにほかの方法で救済する道がないか、こうお尋ねでございますけれども、残念ながらその道は私ども今考慮しておらない。したがって、繰り返しますが、基金の中で有識者による委員の皆さんの御判断にゆだねたい、こう考えておるところでございます。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は重ねて要望しておきますが、これでは本当にオール・オア・ナッシングですからね。片や恩給をずっといただいておる、それがこちらは、二百七十五万の人たちはゼロだという実態というものを重ねて申し上げて、ぜひひとつ何らかのこの皆様方が納得できるような対処をすることを重ねて要望しておきます。  そこで、もう一度この官民の格差という問題に関して若干質問しておきますが、戦後各種公務員や公共企業体の職員で退職した人たちは、その公的勤務年数に、そのわずかの軍歴期間をも評価されて、国家の生涯補償の恩典に浴しているとされておりますね。具体的には、例えば軍歴六カ月で年間五万円、軍歴二・五年で年間三十万円から五十万円を共済年金に加給されている。これに対して民間人は、厚生年金、国民年金等ではこれはゼ口です。だからこれは官民格差ではないか、こういうふうに言えると思います。つまり厚生年金、国民年金に、この軍歴期間をそういったところに通算すべきではないか、こういうように考えるわけでございますけれども厚生省来ていただいておりますが、この官民格差の問題に関してぜひこれを是正していただくことを要望いたしますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  178. 松本省藏

    松本説明員 お答えをいたします。  先生指摘のように、国民年金制度あるいは厚生年金保険制度におきましては、軍歴期間を通算するというような取り扱いをいたしておりません。  なぜかと申しますと、まず第一に、国民年金制度あるいは厚生年金保険制度におきましては、制度の加入者が保険料を納めた実績に応じまして年金給付を行う、こういういわゆる社会保険方式をとっているわけでございます。軍歴期間におきましてはこのような保険料の納付がないということでございまして、そういうような期間につきまして制度加入者の保険料負担によって年金給付を行うというのは、なかなかできないのではないかというのが一つ問題としてございます。  また、国民年金あるいは厚生年金保険の制度がスタートする前から民間のサラリーマンであられる方あるいは自営業を営んでおられる方、当然おられるわけでございますけれども、このような方々に対して、その制度発足前については何らの配慮といいますか特別の取り扱いをしているわけでもございません。したがいまして、仮に軍歴期間のようなこういう国民年金あるいは厚生年金保険制度の発足前の期間につきまして、保険料を納めていない期間でございますが、国民年金あるいは厚生年金年金支給するということになりますと、今申しましたような民間サラリーマンの方あるいは自営業者の方々、そういう方々との間に逆に著しい不公平が生じてしまう、こういうような問題がございまして、軍歴期間を通算することはなかなか難しい問題ではないか、こういうふうに考えているところでございます。  なお、この問題につきましては、昭和五十七年に提出されました総理府の軍歴通算問題に関する報告におきましても、「恩給受給資格年限に満たない軍歴期間を厚生年金保険及び国民年金通算することは適当でない」というような報告がなされておりますし、また、このことにつきましては昭和五十九年十二月の戦後処理問題懇談会報告においても確認をされているところでございまして、ひとつ御理解を賜りたいということでございます。
  179. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 認識が不足ですよ、厚生省。私が言っているのは、各種公務員や公共企業体の職員で退職した旧軍人、こういった人たちは評価をされるわけだ。軍歴六カ月でも年間五万円、軍歴二・五年で年間三十万から五十万円が共済年金に加給される。しかし、同じように国のために頑張ってきた人で民間におる人は、民間人はこれがゼ口だ。これはもうそのこと自体が大きな不公平じゃないですか。それから、そうでない民間の人たちとの格差が生ずると言うが、私は国のために頑張った人のことを言っているんだよ。いいですか。ほかのことを言っているんじゃないのだ。同じように国のために頑張った人たちの間に格差があるのだから、それを是正することが必要ではないかという要望をしているのです。もう一度御答弁してください。
  180. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  軍歴期間、御承知のとおりでございます。恩給制度対象となっておりました期間でございまして、現行の共済年金制度恩給制度を引き継いだいわば一本の制度であるというふうに理解しておりまして、そういう意味からも共済年金制度におきましては軍歴期間も通算されているというふうに私ども承知しているところでございます。  一方、国民年金制度あるいは厚生年金保険制度におきましては、制度発足の当初から一定期間の保険料負担というようなものを給付の要件といたします社会保険の方式をとっているわけでございまして、基本的にその制度と異なります他の制度との通算というようなものは予定をしていないわけでございまして、国民年金あるいは厚生年金保険に対して、拠出のない軍歴期間を通算してはいないわけでございます。先ほども申しましたけれども、仮に国民年金制度あるいは厚生年金保険制度におきまして軍歴期間を通算する、その期間にかかわる年金給付を行うというようなことになりますと、制度発足前の他の民間被用者、自営業者等とのアンバランスというようなこともございますので、なかなか通算は難しいと考えているところでございます。
  181. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 役人の答弁というのはそういう答弁なんだよ。私は、前の制度をどうせいとか言っているんじゃないんだ。  官房長官、せっかくおいでで本当に申しわけございません。もうしばらくお願いします。  官房長官、今の論議わかりますね。私が言っているのは、旧軍人で日本のために一生懸命に頑張ってくれた人が、たまたま公務員や公共企業体の職員の人はそれが加算されて余計もらえるわけですが、そうでなくて民間の人、公務員じゃない人、公共企業体の職員でない人は加算はゼロなんだ。そこにうんと差がある。聞くところによれば、この官民格差は平均一千万円前後ぐらいあるのじゃないか、こういうように言っておる人もございますね。そういった面を考えて、これも何とか、過去の制度をどうとかということを言っているんじゃないのです、この点もまた何か考慮に入れる必要があるんじゃないか、こういうことで官房長官の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  182. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 政府の正式な見解は先ほど厚生省から申し上げたとおりでございますが、かねて、この問題もいわゆる官民格差論という考え方からして、共済年金に引き継いだ場合あるいは国民年金、厚生年金に引き継いだ場合ということでそういう問題があるのではないかという指摘のあることも承知をいたしておりますが、現在、政府といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたような立論によりまして一貫をしてこの問題については処理をしてきておるところでございまして、御理解をいただきたいと存じます。
  183. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は、この問題に関しては今の答弁ではなお不服でございます。官房長官、先ほどの二百七十五万人もおる未受給者、それからそれ以外に今の官民格差の問題、そういった面を踏まえて、とにかく戦前、戦中、戦後と苦労して頑張ってこられた人たちに対する措置として、ぜひ心温まる政府措置というものをよろしくお願いしたい。そのことを重ねて要望しておきます。  時間の関係であと十分間ぐらい、官房長官、次の問題で、恐縮でございます。  去る二十日に、「税制改革に関する有識者調査」、総理府が発表いたしましたね。これは大蔵省の要請によって行ったと言われておりますけれども、今回のこのアンケートは、国民全体が影響を受ける税制改革について、六十一年二月でございましたか、前回は二十歳以上の男女を対象にして無作為、そういった形でのものであったように伺っておりますが、本来そういった一般世論調査という形で行ってきたわけです。それが今回有識者を対象にしたんだということで、その内訳等はまた後で御答弁いただきたいと思いますが、こういうふうに方式を変えて行った理由は何ですか。
  184. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 御指摘の調査につきましては、ちょうど政府税調の地方公聴会を実施しておりましたことしの二月の初めから三月の初めにかけまして実施をいたしたものでございますが、これは一般の世論調査と異なりまして、一般の世論調査の場合には、国民の意識のトータルはどこら辺にあるか、それを探るのがねらいでございますけれども、今回の調査につきましては、広く国民全体が関心を持っている税制改革が、国民各界でそれぞれ一歩踏み込んでどういう御意見の相違があるであろうかということを掌握するということからいたしまして、学識者二百人、報道、経済界、労働関係、農林水産・自営業、中小企業経営者、婦人・青年、サラリーマン、税の実務家各百人、合計千人を対象といたしまして実施をいたしたものでございます。  申しましたように、今回の調査は国民の各界でそれぞれ持っている御意見というものを個別に把握していくということがねらいでございまして、したがいましてこの調査結果をごらんになりましてもおわかりのように、トータルでの平均などはいたしておりません。個々のそれぞれの、例えば報道関係ですとか労働界ですとか経済界、そういうものが中心で考えた調査でございます。
  185. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そういう国民各界のものならなおさらこれは大問題だな。その問題は後でまた言いましょう。  まず官房長官にお伺いしておきますが、この設問の仕方は、公平に考えて、まず現行税制の問題点、これでは、不公平である、負担が重過ぎる、複雑でわかりにくいなどの七項目の中から不公平感を選んだ人が、全体平均で、報道されているところによると八四・五%、一番多かったというが、調査はこの不公平感が現行の直接税から来ていると決めつけて、次の設問を、直接税のどの点が不公平か、こう設定し、そして今度は、医者や宗教法人などが制度上優遇されている、これは八三・四%の人がこのように答えている。サラリーマンの税負担が重い、これは七一・八%の人から回答を得ておる。  この不公平感の解消策として今度は、間接税のウエートを高める、これでは七七・四%の高い回答を得たとしておる。これには、あくまでも直接税の中で改善を図る、あるいは間接税のウエートを高めるなどで課税のバランスをとった方が公平になる。ここは大事なところですが、これを解消するには、あくまでも直接税の中で改善を図る、それから間接税のウエートを高めるなどで課税のバランスをとった方が公平になる、この二つしか、二者択一の道しか与えていないなど、こういった設問の仕方、これは各界の意見を聞く、これは私は異論があるところです。各界ならなおさら、国民みんなが税を一生懸命国のためにやっておるんですよ。有識者が日本の税体系を賄っておるんですか、そうじゃないでしょう。  それは後で問題にしたいと思いますけれども、官房長官、この設問の仕方は新型間接税導入への環境づくりとなる意図的な設問と思わざるを得ない。そういう今回の調査というのは、この設問の仕方というのは、これは客観性に欠けるのではないか。今回のこの世論調査に関して、官房長官のお考えを御答弁ください。
  186. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 私どもといたしましては、客観性を欠くものというふうには考えておりません。
  187. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 今回の有識者調査につきまして、発表と同時に早速各党からも談話が発表されておりますが、先ほど室長が申し上げましたように、今回の調査は、実は同じようなものを昭和五十八年に厚生年金関係で「二十一世紀の年金」ということでやられまして、その二回目ということでございまして、この内容につきましても、あらかじめ公表いたしますよということで、公開の原則でこの調査をいたしておるところでございます。  そこで、御指摘ありましたように、この設問について極めて誘導的ではないかということでございますが、今室長が申し上げましたように、政府としては、これからの望ましい税制改正はいかにあるべきかというところに原点を置きながら、国民の中で、特に前回も有識者一千名ということをやっておりますので、同様の方を大体対象にしながらお答えを求めておるところでございますので、政府としては意図的にある結論を導くための誘導的設問をしたというふうには理解をいたしておりませんで、できる限り今後の税制改正に役立つようなものの結論を得たいということで御質問を申し上げたということでございます。
  188. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 設問内容でも、不公平を解消するためには、直接税だけでは限界があり、間接税で補完した方が公平になるという、御丁寧にもそういう意見まで設問の中に紹介してあるのです。官房長官、あなたはよくそれを知った上で今答弁しているのですか。官房長官、もう一度、先ほどの答弁にあった、広く各界の世論を知っていく上においての世論調査とは私は思いませんが、そんな答弁で、それでいいのですか。
  189. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 ほかの質問のところにも、例えば十五問では、負担を薄く広く分かち合っていくためとか、そのほか所々方々にそれぞれの結果となるところなどを説明している質問がございますが、それは決して誘導したりしようとするものではございません。
  190. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 官房長官、こういう設問は、何か説明文を加えて、そして私が今申し上げましたように、解消するためには、直接税だけでは限界があり、間接税で補完した方が公平になる、そういう意見を述べた上で、しかもまたその中から二者択一のような形で選ばなければならぬというような、そういう三段論法、例えば、現行制度は不公平か、そして直接税のどの点か、それから間接税比率の高目改善、こういうような三段論法で誘導してくるというようにとられて仕方がないのです。  官房長官、もう一度、広く各界の意見を調査していくという考え方の上であって、今回のこの調査をどうとらえ、そして今後どうするのか、今回なぜ今の時期にこれを総理府として、総理府を管轄する官房長官が当然許可されたと思いますけれども、その総理府が大蔵省からの要請があってなぜこういうような世論調査を実施したのか、その点をあわせて御答弁ください。
  191. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 御質問の趣旨は、誘導したかどうか、誘導を目的にしていたかどうか、こういうことでございますが、そういうために設問に当たってその前提をいろいろ資料として提示をしながは答えを求めていくこのやり方は不当である、こういう御主張のようでございますが、政府としては、先ほど三段論法が出ましたが、今の税制改正は是か非かという前提からいえば、政府としては今税制改正に取り組まなきゃならぬという前提を置いていることは事実なんでありまして、それをそこへ誘導を企図しているかということにつきましては、それぞれ見方があるかと思いますが、我々としては、政府基本的考え方考え方として一応資料として述べることは、これはお許しを願えるのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。  それからもう一点、どうしてこの時期に、こういうことでございますが、このことにつきましては、大蔵省からの御依頼もありまして、時たまたま政府税調の各地での公聴会等が開かれておりましたので、それと軌を一にして、できる限り今の時点でこのそれぞれの方々の御意見を拝聴するいい機会だということでこれを執行させていただいたということでございます。ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  192. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後どうしますか、これは。広く各界の意見をと先ほど御答弁ですが、今後どのように考えておりますか。
  193. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 まず、この調査の分析なり取り扱いにつきましては大蔵省の方でおやりになることであろうかと思います。  それからまた、国民の民意を問うというようなことにつきましては、今後世論調査をするかどうか等について検討、研究をいたしてまいりたい、かように考えております。
  194. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後、そうすると前回行ったような二十歳以上の男女を対象にした通常の無作為の世論調査、こういうようなことを考えておりますか。
  195. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 ただいま申し上げましたように、今後の状況を見まして世論調査という方法でやるかどうか研究、検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  196. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 官房長官、先ほど広く各界の意見を知っていく上で、まず今回このような学者それから評論家、新聞、テレビ各社の論説委員、報道関係、一部上場企業の役員、労組や農業団体役員云々ですよね。これでは私は、非常に上層階級と言ったら語弊があるか知りませんが、一部だと思いますよ。広くとは言えないと思いますので、官房長官、今の御答弁では私ちょっとよくわかりません。どのようなお考えですか。
  197. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 今回のこの調査は、実は世論調査ではないのですね。要するに、それぞれ各界の方々を分類をいたしまして、その中から抽出で千名の方にお願いをしておるわけで、いわば言ってみますと、税制に関してかなり専門的な方も含めまして意見を拝聴した、こういうことでございます。  したがいまして、今御指摘のように、これを広く広げて、世論調査の結果でその数字を出して、そのことによってまた政治の動向を考えるか、こう言われますと、やはり現在のところでは総理府としてはそうした規模のいわゆる世論調査のような形での国民世論の吸収ということについては考えておらない、こういうことでございます。
  198. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大蔵省来ておりますので、大蔵省どんな考えを持っていますか。
  199. 長野厖士

    ○長野説明員 お答え申し上げます。  私ども、いろいろな角度から税制に関しますいろいろな方々の御意見を伺うことが大切だと考えておりまして、その一環といたしまして、ただいま御指摘の調査の結果も十分に研究してみたいと考えておるところでございます。  一般的な世論調査についてどうかというお尋ねでございますが、私どもが今回の調査を通じて関心を持っておりましたのは、いろいろ税に関する知識でありますとか御理解の程度によって意見が分かれたりすることがございますので、一般的な世論調査につきましては六十一年一月にも結果をちょうだいして勉強いたしておりますけれども、税に関する知識がどのくらいおありかということが一緒にかぶさりませんとなかなか分析が難しいような点も多々ございますので、いろいろな形の、六十一年一月の一般的な世論調査、今回の有識者調査、いろいろな形のものを重ねまして、その中から私どもとして勉強すべき事項を酌み取っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  200. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、今官房長官は総理府としては考えていないということでございますが、今の大蔵省の答弁では、まだこれは未定でございます、どういうふうになっていくのか、今後の、六十一年のものもございますし、いろいろ検討、こう言っておりますが、それによってはあるいは広く一般の人たちの、この前のような二十歳以上の男女無作為というようなやり方での税制改革に関する調査というものは行われる可能性はあるのかどうなのか、いや総理府としては絶対やらないんだという答弁なのか、そこだけはっきりしておいてください。
  201. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今後の状況を見て、いろいろな形で調査を行っていくことを研究、検討は、これは税制改革に限らず各省庁の諸般の行政にわたってそうでございますけれども、その一つとして研究、検討はいたしてまいりますが、当面のところは考えてはおらないということでございます。
  202. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 以上をもって終わります。ありがとうございました。
  203. 近岡理一郎

    ○近岡委員長代理 次回は、来る二十四日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会