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梶山国務大臣 ただいま
議題となりました
留置施設法案につきまして、その
提案理由及び
内容の
概要を御説明申し上げます。
現在、
都道府県警察が
管理運営している
留置場は、千二百五十六場あり、
年間延べ約二百五十万人の被
逮捕者、被
勾留者等が留置されているところであります。しかしながら、
留置場に留置される被
留置者の
処遇の
内容、
留置場の
設置根拠等は
法律上、必ずしも明確でなかったのであります。
この
法律案は、乙のような
留置場の現況及び
刑事施設に収容される被
収容者の
処遇の改善を主な
内容とする
刑事施設法案が
国会に提出されることにかんがみ、
都道府県警察の
留置施設に留置される被
逮捕者、被
勾留者等について、
刑事施設に収容される被
逮捕者、被
勾留者等の
処遇と均衡のとれた適切な
処遇を行うとともに、
留置施設の適正な
管理運営を図るため、被
留置者の
処遇に関し必要な事項を定め、あわせて
留置施設の
設置等に関する
規定を整備しようとするものであります。
次に、この
法律案の
内容について、その
概要を御説明いたします。
第一は、この
法律案の
目的についてであります。
この
法律案は、被
留置者の人権を尊重しつつ、被
留置者について適切な
処遇を行うとともに、
留置施設の適正な
管理運営を図ることを
目的とすることとしております。
第二は、
留置施設の
設置等に関する
規定についてであります。
その一は、
留置施設の
設置根拠に関する
規定でありますが、これは、
都道府県警察に
留置施設を設置することとし、
留置施設は
都道府県警察の警察官により逮捕される者等及びこれらの者で勾留状の執行により
刑事施設法の代替収容に関する
規定の適用を受けることとされるものを留置するほか、他の法令の
規定により
留置施設に留置すべきこととされる者等を留置する施設とすることをその
内容としております。
その二は、留置業務の捜査との分離に関する
規定でありますが、これは、
留置施設において留置業務に従事する警察官はその施設に留置されている被
留置者に係る犯罪の捜査に従事してはならないことをその
内容としております。
第三は、被
留置者の
処遇に関する
規定についてであります。
その一は、被
留置者の
処遇に関する通則としての
規定でありますが、これは、被
留置者は性別に従い区分して留置すること、被
留置者の
処遇は、昼夜、居室において行うことを原則とすること、留置業務管理者は被
留置者に対し留置開始時において一定の事項を書面で告知しなければならないこと、
留置施設の規律及び秩序は厳正に維持されなければならないこと等をその
内容としております。
その二は、被
逮捕者の
処遇に関する
規定でありますが、これは、彼
逮捕者の
処遇に当たっては、その地位を考慮し、逃走及び罪証の隠滅の防止並びに防御権の尊重に特に留意しなければならないこと、被
逮捕者には、寝具を貸与し、食事及び湯茶を支給するほか、原則として自弁の物品の使用を許すものとすること、被
逮捕者から留置開始時に健康状態につき事情を聴取すること、被
逮捕者に対し、医師による健康診断等の医療上の措置を受けさせるほか、指名医による診療を許すことができること、被
逮捕者の宗教上の行為及び書籍等の閲覧を制限する場合の要件等を明確にすること、被
逮捕者と弁護人等との面会については、面会の日時は
留置施設の執務時間内、面会の場所は
留置施設の面会室、同時に面会し得る弁護人等の人数は三人以内とするが、これによらない弁護人等の申し出があるときは、
管理運営上特に支障がある場合を除き、その申し出に応じなければならないこと、被
逮捕者の弁護人等との信書の発受に関し、その作成方法等について制限できる場合を
留置施設の
管理運営上必要な場合に限り、弁護人等から受ける信書についてはその弁護人等が発した信書である旨を確認するため必要な限度で検査すること、被
逮捕者の弁護人等以外の者との面会及び信書の発受について必要な定めを置くこと等をその
内容としております。
その三は、被勾留者の
処遇に関する
規定でありますが、被勾留者の
処遇については、原則として、
刑事施設法が適用されることを明らかにしております。
その四は、被
逮捕者及び被勾留者以外の被
留置者の
処遇に関する
規定でありますが、その
処遇については、その性質に反しない限り、被
逮捕者に関する
規定を準用することとしております。
以上の
規定のほか、警察本部長等の実地監査に関する
規定、
警察庁長官の巡視に関する
規定、警察本部長等に対する審査の申し立てに関する
規定、留置業務管理者及び警察本部長等に対する苦情の申し出に関する
規定、
留置施設の視察及び参観に関する
規定、罰則に関する
規定その他所要の
規定を置くとともに、この
法律の制定に伴い必要となる警察法その他の関係
法律についての所要の改廃を行うこととしております。
なお、この
法律は、
刑事施設法の施行の日から施行することとしております。
以上が、この
法律案の
提案理由及び
内容の
概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。