○岡田(正)
委員 矢野長官、三、四カ月前であったと思うのですが、私が実際にこういう火事がありましたよという実例をここで披露したことがあります。それはどういう火事であったかといいますと、ある市での
火災現場に私が立っておりまして実際に体験をしたことでありますが、四戸のアパートがぼんぼん火を噴いておるのに
消防車がなかなか来ない。
消防署との距離は道路延長にいたしまして約二百五十メートルくらい、直線距離にしたら百五十メートルくらいというような近距離でありましたけれども、その途中に建物が一つ挟まっておりますから、
消防署からは直接は見えません。見えませんが、その火事を見た付近の住民がそれぞれ一一九番をいたしました。一一九番をいたしましたところが、二人も三人もかけたのですけれども、いずれも話し中であります。話し中だから、かけたその人たちの受け取った印象は、これだけの火事だからもうだれかが一一九番をしてくれているのだ、
消防署へかけてくれているのだと、みんな善意にそう
解釈して電話を切ったというような人が二、三人もおるわけです。だけれども、待てど暮らせど
消防自動車は来ない。そのうちにほとんど手をつけられないようになってしまった。
これは、私が両方へ体を分けて見るわけにいきませんから、その片方、
消防署の前に立っておってその現場を見た人の言い分でありますが、その人が言うのには、火事になったということは後から知ったのだけれども、そのころの時間は一番先に
消防署から出たのは救急車であった。その救急車は火事ではない全然違う方へ行ったのですね。それでしばらくしておったら、その次にサイレンを鳴らして
消防自動車がばあっと飛んで出た。それでどこへ行くのかなと思ったら、もう火の手が見えていますから、ははあ、あそこへ行ったのだなということがわかった。そのころにはもう全巻終わり、こういう状態であった。これは一体どうなっているのだろうか。
それで、これは町の名誉がありますから名前も出しませんけれども、後から聞いたところによりますると、こういう現象があったそうですね。その
消防署の一一九番というのは一回線しかない。それで救急業務も
消防も皆同じ線に入ってくるわけですね。そうすると、受け取る方は一本でございますから、何かの運命のいたずらでしょう、その救急の方がちょこっと早く電話が入ったのでしょうね。急病になって一一九番をして救急車来てくれというようなときは、大抵の者は慌てていますよね。そうすると、あなたはどなたですか、何町の何番地ですか、どういう症状ですかということまで聞くそうですね。それから救急車を出すか出さぬかという
判断を決めて、それでは今から行きますからこういうふうにしておいてくださいと言って救急車が出動する、こういう段取りだそうです。その間に随分電話の
やりとりがあるわけですね。そうすると一一九番はふさがっているのですね。火事の現場から、火事です火事ですと言うて一一九番しておる者は、みんな話し中だからだれかがもう通知したわい、皆善意にこう思い込んで、結局通知はなかった、こういうことになるのですね。火の手が見えて初めて
消防車が飛んで出た、こういう運命のいたずらがあったのですよ。
これは困るじゃありませんかと言ってそのことを私が
質問しましたら、そのときの御回答は、一一九番というのは、実はNTTさんの御好意によりまして無料で
全国の
消防署につけていただいておるのであります、したがいまして
余り無理も言えませんのでというような調子のお話がありました。
〔
委員長退席、
片岡(武)
委員長代理着席〕
きのうの新聞を見てみると、何とこのごろはNTTの株はいいのですね。
日本でも一番高い株券でありますが、もうけもいい。政府もそれで随分助かった。それが今度はひょっとしたら減税財源にも回るかもしれぬというくらいのまことに景気のいい話です。とにかく、五年間にわたって売り出しますNTTの株が一年間で大体四兆円から五兆円近くの売り上げを示すのでありますから、これはもう実に景気のいい話であります。そのNTTが民間会社になった努力を大いにやられまして、何と六十二年度の利益は五千億円を超えた。今まで第一位を保っておりました野村証券を遂に超えたのであります。今やNTTはいわゆる
日本一の利益を挙げた会社になったわけですね。このごろはもう景気がようございまして、どうやって金を使おうかというような会社ですよ。遠慮することないじゃないですか。救急業務と火事とがどうしても同じ一一九番でなければいかぬのなら、例えば二回線入れてもらうとか、あるいは番号を別にするとか、公共的ないわゆる福祉に対してのNTTの営業努力を何か要請してもこれは罰が当たらないのじゃないかな、こう思うのでありますが、三カ月か四カ月前に
質問をしたのですけれども、その後どういう努力をなさいましたか。