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梶山国務大臣 大変切実で難しい問題でございますが、まず、今回の連休中にも遷都問題あるいは
地方分権についてのいろいろな
地方の要望や中央の主張、それから補助率カットの問題、いわば
自治省をめぐる幾つかの問題が大きくクローズアップされていることは御案内のとおりでございます。
今
草野委員が御
指摘の遷都問題、これは四全総でも「政治・行政機能と経済機能の相互
関係の在り方を含め、国民的規模での
議論を踏まえ、引き続き
検討する。」とされているところでございますし、なお、多極分散型の国土形成のためという大きな流れの中でこれから
検討を進められなければなりません。けさの新聞でも、遷都問題の
検討が新行革審で取り上げられるというふうに、新聞情報でございますからよくわかりませんが、これも土地需要の抑制という
一つの目的を持ってそういうことがなされるというふうに聞いておりますが、私は東京への集中を必ずしも悪だとは考えておりません。むしろ、ある意味では東京にそれだけの集中のメリットがあるから集中をすることでございまして、いつかも東京都知事と話をしたのでございますが、東京都を快適に、住みやすい環境を必ずつくってみせるという
地方自治体東京都の意気込みもまた盛んなものがございます。
〔岡島
委員長代理退席、
委員長着席〕
ただ私が、東京の一極集中をやめなければならないというか、
一つの大きなあれは、果たして災害に耐えられる東京であるのかどうなのかということを考えますと、野方図に恐怖心をあおるわけではございませんけれ
ども、地震エネルギーの蓄積が間違いなく行われているという学者の定説がございます。こういうものを考えてみますと、あとう限り一日も早く東京の防災という面から、災害対策という面から、東京の機能あるいは住民の移動、こういうものを、あるいはそのときの安全さを確保するためにどれほど空間を確保できるか、こういう問題に
政府も
地方自治体も本気にならなければならないというのが第一点であります。
それから第二点は、東京に集中することは悪ではありません、むしろいいことかもしれませんけれ
ども、それによって東京以外の地域の疲弊があってはいけない。雇用の場や生活の場が、行政
水準の維持すらできないような状態になってしまってはいけないというこの二つの
観点から、私は、東京の一極集中は弊害がある、こういう
観点を持っているわけでございます。ですから、大きく分けて公と民間の二つの分野で多極分散型の国土形成のために一極集中を避けなければならない。その問題で遷都という問題も、これは極めて大きな問題でございます。
ただ、私が考えますことは、何もかも行政機能を移動する、それによって東京の過密というか一極集中を強引にとめればいいという乱暴な論陣を張ればそれでいいのでございますけれ
ども、しかし政治や行政というのは何のためにあるかというと国民のためでございます。国民の不便さを助長するような方向で果たしてやれるのかどうなのか、それからどの程度我慢をすればいいのかどうなのか、こういう問題を考慮に入れないで遷都とか分都とか展都とかという問題を論ずることは、総論賛成であっても各論に至っては残念ながら国民の
皆さん方が御不便になる、大変な出費を要する、こういうことになればなかなか言うべくしてできない問題ではないかという気が私はいたします。しかも、民間のエネルギーは集中のメリットを求めて東京に集中をする。確かに東京の場所がいいから集中をするわけでございますので、経済的な効率性や能率性、この問題を否定することは自由社会を否定することにもなりますので、この問題はこの問題として押さえなければならない。
ただ、東京でなければならない機能以外のものがあるはずだ。これは公の分野でも民間の分野でもあるはずでございます。ですから今言われているように、
地方分権、いわゆる箱物の移転、機関の移転もさることながら、権限を移譲することによって
地方分散ができるのではないかという
議論が多うございます。現実そうでございますが、新聞に見られるように
省庁の縄張り、縄張りという言葉がいいかどうかわかりませんが、それぞれの長い歴史と経緯を持った今までの仕組みでございますから、一朝一夕にしてこれを変えることはなかなか困難がございます。しかし、何と何を分権すればいいかというと、
地方側も象徴的に
地方分権と言っておりますが、何と何を欲しいのだ、これが実は
地方自治体は千差万別でございます。市街地にあっては都市
計画とか、あるいは市街化の進む地域の農地をどうするかという意味で農地問題とか、あるいは本当に専業農家を育てるための農地の
あり方であるとか、そういう個々の要望があることは私も
承知をいたしておりますので、私がよく申し上げます選択的分権論というのは、いわば
地方画一的なものではなくて、それぞれの地域の抱える必要性に応じて分権ができないものかどうか、この問題を
自治省にも勉強してくれ、各自治体にも何と何があるかメニューを出してくれということを今呼びかけしているさかなでございます。
なかなか言うべくして進みません。いら立ちを感ずるわけでございますが、長い間
地方分権、いわゆる
地方自治を育てるという原則論からの分権論と、もう
一つ今この一極集中の弊害から多極分散型の国土を形成しなければならないこの緊急性のある問題、この二点から何とか必要な分権を行っていきたい。その必要な分権とは何と何であるか、早くそういうものの
結論を見出してそのための
努力をしてまいらなければならないと思っております。なかなか言うべくして難しい問題であります。
なお、この機会でございますから申しますが、確かに新聞を読んで私も腹を立てたこともございます。例えば
地方分権で、国土庁は
自治省おまえもかと、
自治省すら分権論に反対であるというふうに書かれているのを見まして、私の今までの
自治省の中で当たった感覚の中では、国土庁のつくった多極分散型国土形成法においてもっともっと
地方分権を、
努力規定、精神
規定ではなくて具体的なものを織り込もうという
努力を
自治省がしたことも現実でございますから、ここに新聞記者の方もおいでになりますけれ
ども、新聞記事というのは当てにならないものだなということも、ただ問題
指摘は正しいのでございますが、その中の
一つ一つについては残念ながらそういうものが精査をされないで書かれているという嫌いもございますので、これは
自治省のために弁解をしておきたいと思います。
それから補助率カットの問題でも、
先ほども御提言をちょうだいしましたけれ
ども、大蔵省からやり込められるのではないか。しかし考えてみますと、
前回補助率の暫定措置を決めたのは
法律事項でございますので、四十四の補助をこうやってカットする場合、
法律によって決めたものでございますから、暫定期間が終了すれば自動的にこの
法律をもう一回延長しない限りできないわけでございますので、
地方自治を守る国
会議員あるいは
地方の関心の高まりを考えるならば、私の考え方と違って全く高まりがなければこれはまた別な問題でございますけれ
ども、こういう問題の一歩前進の解決ができるのではないかという期待を持ちながら大きい壁に向かって挑戦するような思いでこの問題に取り組んでまいりたいと思いますので、御協力のほどをお願いいたし、
答弁になったかどうかわかりませんが、
お答えにいたしたいと思います。