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1988-04-26 第112回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十六日(火曜日)     午前九時四十一分開議  出席委員    委員長 松本 十郎君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 山下八洲夫君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石橋 一弥君    遠藤 武彦君       金子 一義君    北村 直人君       鈴木 恒夫君    高橋 一郎君       谷  洋一君    友納 武人君       中山 利生君    松田 岩夫君       渡辺 省一君    緒方 克陽君       加藤 万吉君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    安田 修三君       小谷 輝二君    柴田  弘君       経塚 幸夫君    寺前  巖君  出席国務大臣         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治大臣官房審         議官      湯浅 利夫君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省行政局公         務員部長    芦尾 長司君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 渡辺  功君         消防庁長官   矢野浩一郎君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部施設取得第二         課長      西田 壽快君         防衛施設庁施設         部施設対策第一         課長      宮島 辰一君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  芥川 哲士君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         大蔵省主計局主         計企画官    杉井  孝君         大蔵省主計局主         計官      水谷 英明君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   小林 康彦君         厚生省保険局国         民健康保険課長 加納 正弘君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   東   諄君         農林水産省農蚕         園芸局普及教育         課長      杉本 忠利君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      小島  襄君         建設省都市局街         路課長     深水 正元君         建設省河川局治         水課長     齋藤 尚久君         建設省河川局開         発課長     山内  彪君         建設省住宅局市         街地建築課長  島崎  勉君         自治省財政局財         政課長     遠藤 安彦君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     ───────────── 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   渡部 恒三君     遠藤 武彦君   中沢 健次君     緒方 克陽君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     渡部 恒三君   緒方 克陽君     中沢 健次君     ───────────── 四月二十六日  留置施設法案の廃案に関する請願細谷治嘉紹介)(第一八五六号)  同(江田五月紹介)(第一八九二号)  同(加藤万吉紹介)(第一八九三号)  同(経塚幸夫紹介)(第一八九四号)  同外一件(児玉健次紹介)(第一八九五号)  同(中沢健次紹介)(第一八九六号)  同(中路雅弘紹介)(第一八九七号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一八九八号)  同(矢島恒夫紹介)(第一八九九号)  固定資産税都市計画税引き上げ反対に関する請願小渕正義紹介)(第一九四三号)  同(田中慶秋紹介)(第一九四四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第三四号)      ────◇─────
  2. 松本十郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草野威君。
  3. 草野威

    草野委員 初めに、軽油引取税の問題につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。  灯油などの混入によりまして安い軽油が全国的に転売されまして巨額な脱税が行われている、こういうことが最近新聞等でも大きく報道されているわけでございます。例えば、トラック業界やバスの業界など大口の需要家軽油輸入価格よりも安い値段で軽油を引き取っている、またその背後には相当程度灯油とか重油をまぜた脱税軽油が流れている、こういうようなことが言われているわけでございますが、自治省はこういうような脱税の事実を御存じになっておられますか。また、そうであれば脱税額はどのぐらいになっているか。既に調査をされておられると思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  4. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 後の方からお答えいたしますが、脱税額というのは私ども承知をいたしておりません。といいますのは、脱税というものが生じているということがわかれば、直ちにまたそれは課税当局課税するわけでございます。  そこで、脱税実態はどうなっておるかということでございますが、軽油引取税につきましては、制度を悪用いたしまして税の逋脱を行っていると見られる事例が発生している、これは承知をいたしております。  典型的な事例といいますのは、特約業者が、自分が未課税軽油を取り扱い得る、これは特約業者特別徴収義務者ですからそういう立場に立つわけですが、そこで販売業者に対し未課税のまま軽油を販売した上で税額の納入が行われる前に倒産する、こういうような形態のもの、それから、ただいま委員指摘軽油以外の炭化水素油等混和することによりまして増量をする、そしてこれを販売する、こういうような形態のものがあるようでございます。課税当局であります県からそういった問題についていろいろ聴取をしているところでございます。
  5. 草野威

    草野委員 脱税の手口については御存じのようでございますけれども、実際に脱税があったかどうかということについてはまだ報告も受けていない、調査中であるということでございます。これは、新聞報道等とあわせまして客観的な事実、こういうものを調べてみますと、かなり巨額な脱税が行われているのではないか、このように推定をされるわけでございます。  そこで申し上げますけれども、例えば、昭和六十一年度の軽油取引量につきまして自治省が発表された数字をいただいております。これによりますと、昭和六十一年度の軽油販売実績は三千十九万六千六十二キロリットル、その税収は五千八百八十三億六千七百万円、このようになっているわけでございます。一方、通産省の同じく六十一年度の軽油流通状況報告によりますと、二千七百三十七万八千キロリットル、その内訳を見ますと、道路貨物運送業関係三〇%、道路旅客運送業五%、一般乗用車七%、その他の輸送用が二九%、輸送用として合計で七一%消費されておりまして、その残りの二九%、これは免税の分でございますが、建設業だとか農林漁業関係、こういうような数字報告されております。  この二つの数字もとに推察してみますと、こういうようなことが出てまいります。自治省報告によりますと三千十九万六千キロリットル、それから通産省の方の報告によりますと二千七百七十四万八千キロリットル、その差が二百四十五万キロリットル、こういう差が出ているわけでございます。この通産省自治省の差の二百四十五万キロリットル、この数字は何を物語っているのだろうか。事実はわかりません。わかりませんけれども、この二百四十五万キロリットルという数量は非常に莫大な数量になるわけでございます。恐らくこの差が、先ほど申し上げました灯油等の混合による油増しといいますか水増し等によるものではないか、このように推察されるわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  6. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 課税当局としての統計数値につきましては、ただいま先生指摘のとおりでございます。  通産省数字につきまして御指摘ありまして、それがどういう関係になるか、ちょっと突き合わせをしておりませんのでにわかにはお答えしがたいのでございますが、私どもの方の数量というものが多い場合には先生の御指摘のようなことになりますけれども通産省統計というのは恐らく軽油そのもの石油会社からの出荷量というようなものが全体としてとらえられているのではないかということを考えますと、その差というものが直ちにそういう灯油とか重油水増しということになるのかどうか、にわかに判断しがたいものでございますので、通産省からもよくその数字も聞きまして内容を私どもなりに考えてみたい、こう思っております。
  7. 草野威

    草野委員 これはぜひとも御調査をお願いしたいと思います。私どもの方は通産省の方から報告を受けた六十一年度の数字でございますので、この数字もとにして今お伺いしているわけでございます。  それで、もしこの二百四十五万キロリットルが水増しされた量だとしますと、現在軽油引取税が一リットル当たり二十四円三十銭でございますので、これを掛けますと五百九十五億三千五百万円、約六百億円、こういう数字がはじき出されるわけでございます。世上数百億という数字も出ておりましたけれども、私どももどうしてそんなに巨額な脱税が行われるのだろうか、いろいろ数字を追ってみました。その結果、このような約六百億という数字が出てきておるわけでございまして、非常にこれは驚いているわけでございます。  この面につきまして、この六百億という金額は大変巨額です。これはぜひとも早急に自治省としても調査をしていただきたい。大臣、いかがでしょうか。
  8. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 数字突き合わせにつきましては、通産省からその数字をいただきまして私どもとしてもよく検討したいと思いますが、先ほど御指摘もあり、お答えいたしましたように、この軽油引取税逋脱問題というのは事例としては私ども報告を受けて承知をいたしております。  そこで、その対策でございますが、かねてから各県連絡を密にいたしまして税務調査の徹底、その体制強化というようなことを図るということで指導してきておるわけですが、十四都府県実務担当者をメンバーとします研究会を設置して、主に脱税防止して課税適正化を図るという観点からいろいろ検討を続けてまいりまして、つい先ほどそれがまとまったところでございます。元売業者及び特約業者要件混和による脱税防止策、それから消費地納税地との関係等について検討を行いまして、先般、悪質な業者の排除を図るための元売業者あるいは特約業者の指定及び取り消し要件厳格化であるとか、あるいは混和による脱税防止を図るための臨店調査路上調査実施強化であるとか、あるいは軽油流通状況を全国的に把握するという方法はないか、そういうシステムはないかというような点であるとか、あるいは計画的な税の逋脱防止するとともに早期にこれを摘発するというための広域調査体制あるいは情報の交換の体制、そういったようなものを内容とする報告書がまとまったところでございます。  自治省といたしましては、こうした報告の中から可能な限り手のつけられるところからその防止策早期摘発のための対策というようなことにつきまして検討いたしまして指導もしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  9. 草野威

    草野委員 ぜひとも早急に実施をしていただきたいと思います。  そこで、もう一つお尋ねをしたいと思いますけれども、この問題に関しまして都道府県業者免税証明書、こういうものを発行するということを聞いておりますが、この免税証明書の本物じゃなくてコピーが実際には出回っている、しかもこれが悪用されている、こういうような事実もあるようでございますので、そういう点につきましても使用禁止をするとかそういうことを含めてひとつ調査をしていただきたい、このように思います。  それから交付金の問題です。都道府県特別徴収義務者交付する交付金の率が現在は都道府県ごとにばらばらになっていますね。交付金の率の高いところに業者の方は営業所を移して、その分だけ値引き競争をしている、こういうような事実もあるようでございます。その結果、業者間に不公平、不平等が生じたり過当な値引き競争を行ったりして流通秩序が混乱をしておる、こういう一面も見られるようでございます。そういう交付金交付というものは果たして必要であるのかどうか、これもひとつぜひとも御検討をしていただきたい一点でございます。もしどうしてもその交付金交付が必要であるというならば、その交付金は全国一律にしてもいいのじゃないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  10. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 まず、そうした交付金が必要かどうかということでございますけれども、これは一般特別徴収義務をやっているから交付金交付するということにはなっておりません。ただ、普通の特別徴収と違いまして、軽油の場合には、ただいまもちょっと御指摘がありましたけれども免税証受取義務ということが課せられております。これは正しい免税証の運用ということからいえば、その義務がきちっと履行されることが大切であるわけです。あるいは軽油課税済み証明承認申請であるとか、それから石油業界の慣行としてはほとんどの商取引掛け売りであって、申告納入よりも代金回収時期がおくれるとかいういろいろな問題がありまして、通常の特別徴収と異なる事情があるということでこうした交付金という形がとられているわけでございまして、それはそういう必要性から出ております。これをなくするということは適当ではないのではないか。したがいまして、一般事務経費を超えるような経費の一部を補助する、そういう趣旨でございます。  そこで、この基準でございますけれども基準を設けて指導はしておりますが、この基準と異なる交付率を設定している県につきましては、若干そういう財政事情等を考慮しながら、やはり県によって少しばらつきがあります。指導によって実効を上げていくということが大切でありまして、この交付金というものは予算に組みまして補助金的な性格を持っておりますから、一律に法定化するということは適当ではないのではないかというふうに考えておりまして、できるだけこれがそろっていくように指導をしてまいりたい、こう考えております。
  11. 草野威

    草野委員 今掛け売りみたいな形でやっているので交付金交付が必要だ、こういう意味お話でございましたけれども、これはいろいろな業界にあることでございまして、この軽油業界だけではないわけでございますので、そういう意味では果たして交付金交付というものが必要であるかどうか、これは検討を要する問題ではないかと思います。  それからもう一つ業者の方は税務当局に対しまして、掛けで買っている関係抵当として山林等抵当に入れている、こういうような事例も通常あるわけでございますけれども、この問題についても、果たしてその抵当が妥当な価額になっているかどうかという問題等も実際問題としてはあるようでございますので、調査をひとつぜひともお願いをしたいと思います。  そこで、今の交付金の問題でございますけれども、これは必要である、こういうようなお話でございますが、その交付金が一律になったとしても、例えば裏金を交付して特約業者自分の県に誘致する、そういう県と県の間の競争といいますか、こういうようなことが依然として残るのじゃないかという懸念があるわけでございます。そしてそれが、こういうことはないと思いますけれども都道府県の職員の汚職につながる可能性も残されているわけでございます。したがって、こういう軽仙引取税課税県を業者が勝手に選択できないようにガソリンスタンド所在の県とすべきではないか、こういうような意見もあるわけでございますけれども、こういう点はいかがでございましょうか。
  12. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいま最後に理由をおっしゃいまして、ガソリンスタンド等所在県課税団体となるべきではないかという御指摘でございますが、そういう御指摘になりましたような理由からいきますと、おっしゃるとおりなんでございます。ただ、その場合に、この軽油引取税課税実態といいますか、税務行政の現場で一体どういうふうになるだろうかということを考えますというと、消費税全体がそうでございますけれども、それぞれ課税技術上、これを非常に分散していきましてそうした末端の課税ということになっていきますと、これはなかなか課税が難しい。確かに現状より軽油消費地により近い都府県軽油引取税納入されるということにはなりますけれども、反面、納税義務者は非常に数が多くなる、特別徴収義務者となる者の経済的な条件が比較的小さな人たちになりますから、現在悪質な事例はございますけれども、全体として考えれば、担保に応じて保全担保を提供したりしてやっていっている元売とか特約業者のランクよりは、そういった点がさらに小さな業者を今度は課税の相手にするわけでございますから、この完全執行ということはまたかえってその面では期待できなくなるのではないかという懸念がございまして、負担の公平を欠くことになりまして、むしろ適切を欠くのではないか、この心配の方が私どもあるいは課税団体である県の段階におきましても大きいわけでございます。慎重にならざるを得ない点でございます。
  13. 草野威

    草野委員 いずれにいたしましても数百億円という脱税指摘されているわけでございますので、この点については十分に調査をしていただきたい、このことを要望しておきます。  次に移ります。次は留学生援助対策の問題について若干お尋ねをしたいと思います。  急激な円高によりまして留学生生活が非常に厳しくなっておる、こういう中で、留学生援助につきまして関係閣僚懇談会が去る四月二十一日行われた。その席上、竹下総理が、二十一世紀の初頭までに十万人の学生受け入れるためその対策に全力を挙げるよう関係閣僚に要請をした、このように伝えられているわけでございます。そして、さらに新聞報道によりますと、当面の問題といたしまして、授業料減免措置対象人員増加とか、それから私費留学生に対しまして学習援助費対象人員増加を図るとか、直接補助とか、また下宿代補助とか、こういうようなことも検討対象に挙げられた、こういうことが報道されているわけでございます。  確かに、現在日本留学を希望する青年たちは非常に多いということを聞いております。数字で見ましても、この十年間に約四倍近くの留学生がふえているわけでございまして、現地の日本大使館国費留学生選考状況を聞いてみますと、約十倍から二十倍の応募状況がある、こういうような状況になっておるようでございます。その難関を突破して日本にやってきた留学生が現在約二万二千人、その中で国費留学生が約三千五百人、こういう現状になっているわけでございます。  そこで、この問題につきまして、従来はというか現在は地方自治体とか民間団体がボランティアとして行ってきたものを、これからは国としてかなり力を入れて取り組んでいこう、こういうことなんでしょうか。もしそういうことであれば、先ほど私が幾つか当面の問題ということで申し上げましたけれども、こういうような対策というのは具体的にいつごろまでにその方針が決まる予定になっているのでしょうか。
  14. 小林実

    小林(実)政府委員 留学生受け入れに当たりましては、留学生一人一人がその本来の目的を達成しますとともに、日本での生活、体験を通じまして真の日本理解者となって帰っていただくことが必要でございます。この留学生に関する問題というのは、実は留学生日本へ来る前にまず情報を提供する、来てからの日本語教育、それから大学等での受け入れ態勢整備宿舎等々いろいろな問題がございます。また、留学後のアフターケアというような問題もあるわけでございます。この問題につきましては、従来受け入れをしていただきました大学あるいは企業、それから国のべースでいいますと、役所では文部省外務省中心となって対応してきたわけでございます。  自治省といたしましては、地域としてどの程度のことができるかということが問題になるわけでございますけれども地域レベル国際交流の一環といたしまして、留学生との人的交流中心にして、地域ぐるみ住民ぐるみで温かく迎えるというような措置を講じていくのが重要ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、留学生をめぐる問題は地方から見ますと模索段階でございまして、関係閣僚懇談会ができまして、いろいろの問題につきまして協議を重ねるということになっております。その時期等は別に決まっておるわけではございませんけれども、その協議の中で地方として対応すべきことが出てきましたら、その点につきましては地方の方に協力も求めたいという気持ちでおります。
  15. 草野威

    草野委員 具体的な方針、時期等については今後の問題、このようなことでございますけれども、確かに現在政府としていろいろと援助をされておりますが、これは御存じのようにどちらかといえば非常にわずかな内容でございまして、国費留学生はわずか三千五百人、私費留学生に対しては授業料の三〇%程度が減免されているとか、ごく限られているわけでございます。文部省予算を見ましても、留学生関係では百八十二億、このうちの九三%はODA予算、このように言われているわけでございまして、これから政府として相当の力を入れて取り組んでいこう、このようになったということを伺いまして、我々も非常に期待をしているわけでございます。  そこで、今もちょっとお話がございましたけれども、一部の自治体が現在でも取り組んでいるわけでございますが、例えば横浜市の場合などは今年度から百五十人の学生に対して月額一万円、これを横浜市と民間団体で共同で生活補助というようなことで援助をしているようでございます。全国的に見ましても、約千人の学生地方公共団体が何らかの形で奨学金だとか生活補助金とかいう形で補助しております。また、一番問題になっております住宅あっせん等につきましても、公営住宅、それから企業の社宅、大学宿舎留学生の寮、民間住宅、こういうところに約五千人くらいの学生を、これは地方公共団体が今あっせんをしている。そのほかの学生については高い民間アパート等に住んでおる、こういうような実情になっているわけでございます。  そこでお尋ねするわけでございますけれども、今後国としてこういう問題に取り組んでいかれる、そしてまた地方自治体としてもいずれかはこういう留学生援助一つ制度として取り組んでいくようなことになろうかと思います。当然そこに財政問題が出てくるわけでございますけれども、現在は文部省ODA関係予算でほとんど賄っている。今後地方自治体がそのうちの一部を取り組むようになった場合に、こういう予算の面ではどのような形になっていくか、その点をお尋ねしているわけでございます。現在ODA予算が約七千億と聞いておりますけれども、そのうちの半分近くが外務省関係になっております。この留学生関係が約百八十二億ということでございますけれども、年々約二〇%ずつ現在でも留学生の数はふえている。しかも二十一世紀までに十万人にまでふやそうということでございますので、毎年かなりの数の留学生がふえてくるわけでございまして、国とともに地方自治体の果たす役割も非常に大きくなってくる。予算の面についてもどうするかは今からきちっと決めておかなければならないと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  16. 小林実

    小林(実)政府委員 今宿舎問題、それから奨学金問題を中心にしてのお尋ねでございまして、この面につきましては、先ほども申し上げたわけでございますが、我々からいたしますと、地方団体が主となるというよりも、むしろ従来から国なりあるいは文部省外務省でやっていただいておることでございますので、やはりそちらが中心になってやっていただくことが適当であると考えております。今の段階で取り組んでおります団体もそう多くはないわけでございまして、私どもといたしましては、閣僚懇談会の場で、地方側に期待されるものが何であるか、そしてまた地方団体の意向として協力できるものは何であるかを協議しまして決めていただきまして、その範囲での措置、必要があれば財政措置ということも入ってくるのかもしれませんけれども、その段階で考えさせていただく、こういうことであろうかと思うわけでございます。
  17. 草野威

    草野委員 確かにおっしゃるように、この問題は国のレベルでいろいろと考えることだ、こういうお話でございますけれども、ある部分においてはそのとおりだと思います。現在は一部の自治体が個別に生活補助だとか住宅あっせんに取り組んでおるわけでございますけれども、今も申し上げましたように、今後留学生増加によりましていろいろな問題が予想されるわけでございます。したがって、財政面だとか国が責任を持ってやってもらうこと、そしてまた地方自治体がなすべきこと、こういうことを今から明確にしておく必要があるのではないか、このように思うのです。そういうことで、地域におけるさまざまな交流とかボランティア活動、そしてまた住宅あっせん、こういうことは特に重要な地方自治体の仕事になってくるのではないかな、こういうふうに思いましたので申し上げたわけでございます。したがって、これを国が主に取り組んでいく仕事なんだ、結論が出るまで任しておけばいいということではなくて、地方自治体としても自治省としても今のうちからこの問題についてはひとつ十分に考えておいていただきたい、このように思います。  大分古いのですが、昭和六十一年の、東京の私立大学に通っている学生は年間にどのくらいの費用がかかるか、これは文部省調査でございますけれども、年間一人当たり百九十六万円かかるというのですね。大変な費用がかかっておるわけでございます。そういう中で、留学生たちが、六十年以来急激な円高によって本国の家から送ってくる送金額が見る見る減ってしまっている。そういう中から、よく報道されておりますように、三度の食事をカップラーメンで済ましているとか、女子学生が八百屋で菜っぱをもらっておかずにしているとか、多くの学生たちが深夜までアルバイトをしてそのためにもう肉体の疲労が大変だとか、こういうようなことが言われているわけでございます。  私も実際に日本語学校へ行ってみました。その授業の風景等も参観させてもらいましたけれども、実に真剣になって勉強しております。また、寮の食堂で一緒に学生たちと食事もして懇談をしてみました。しかし、その学生たちを見ておりますと、実にまじめですし、非常に意欲的です。日本語を一日も早く覚えよう、そして一日も早く大学に入ろう、そういう気持ちでこの日本語学校で学んでいる学生たち、そういう姿に私も驚きを感じました。  したがって、いろいろ申し上げましたけれども、この対策につきましては、国とともに地方自治体としても、こういうことは地方自治体の分野で何とかひとつ面倒を見るべきだ、こういうようなことを今のうちからひとついろいろと御検討をいただければ、このように思いますが、いかがでしょうか。
  18. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 留学生問題に対して大変深い御理解をちょうだいしておりましてありがとうございます。  ここ数年来、日本の地位というか、産業あるいは科学、文化の面での活動が活発になるにつれまして留学生も急増をいたしております。しかし、御案内のとおり急速な円高のために留学生が大変苦労をされていることは私もよく承知をいたしております。ぜひひとつ留学生が、いろいろな意味で教育研究水準を高めてそれを修得され、それだけではなくて我が国との相互理解や相互協調を推進する大きな糧になってもらいたいという願いもあるわけでございます。  そういうことを考えますと、今御指摘になられましたように、一義的には外務省文部省が今懸命に取り組んでおりますけれども地方自治体としても取り組まなければならない諸課題があるわけであります。特に名指しで来る学校、それぞれの地域の優秀な学校には当然出てまいるわけでございますから、東京といえどもこれは一地方の問題でございます。受け入れ側はその他方にあるわけでございますから、国と地方のある意味での役割分担的なもの。幸いに皆さん方の御熱意が功を奏して関係閣僚会議も持たれるようになりましたし、この問題に大きく取り組んでまいる時期でございますので、それぞれの分野で財政的な裏づけやらあるいは善意の民間の協力をいかにすればちょうだいできるか、組織的な研究を進めて実効あらしめたいと考えております。
  19. 草野威

    草野委員 今大臣お話にもございましたように、この留学生問題というのは非常に重要な問題であろうと思います。多くの国の青年たちが我が国での勉学を目指しておりますけれども、こういう青年たちはやがてその国の指導的立場につく人も決して少なくないのではないか、このように私は思っております。そういうときに、青春時代を過ごした日本が楽しい夢のある日本であったか、つらい苦い思い出の日本であったか、こういうことは非常に重要なことだと私は思っております。さらに、その留学生日本にとって平和のかけ橋である、こういうこともよく言われるわけでございますけれども、全くそのとおりだと思います。したがって、私ども日本人が少しでも経済的におごり高ぶったような姿勢でこの問題に取り組むようなことになったならば、全く逆効果になってしまうわけでございます。  ともあれ、総理がこの問題につきまして非常な熱意を示されていることに対しましては私も率直に敬意を表しておりますし、今大臣お話を伺いましても非常に力強い姿勢で取り組みをされようとしている。本当に私も期待をしておりますので、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げます。  では、次の問題に移らせていただきます。この委員会で毎回問題になっております補助率の引き下げ措置の廃止問題につきまして、初めに大蔵省にお尋ねをしたいと思います。  この補助率カットの問題でございますけれども、六十三年度が最終年度でありまして、このまま何もしなければ法律上も五十九年度までの補助率に戻るはずでございます。しかし、過日大蔵省が発表いたしました「財政の中期展望」、この中でも補助率引き下げの継続が国の財政再建にとって必要とされており、大蔵大臣もそのような答弁をしているようでございますが、今でもその考え方というものは変わってないのでしょうか、これが第一点でございます。
  20. 杉井孝

    ○杉井説明員 補助金等に係ります暫定措置の期間終了後におきます補助率等につきましては、これまでの経緯やこの措置の性格を踏まえまして、諸情勢の変化、国、地方の役割分担や財源配分のあり方等を総合的に勘案しながら、自治省初め関係省庁とも協議の上、適切に対処してまいりたいということでございます。
  21. 草野威

    草野委員 昨日もこの委員会で大蔵大伍に対しましていろいろと議論があったわけでございます。伺っておりますと、その中で、この補助率カットの問題につきましては検討委員会検討された形跡はいまだかつて全然ない、また、関係省庁と協議して云々、こういうお話も繰り返してございましたけれども、その協議についてもいつから協議するか言えないけれどもなるべく早く、こういうような大蔵大臣の御答弁でございました。そのようなことで、伺っておりまして、一体いつになったらこの問題について決着がつくのか、我々はそういうことにつきまして非常に気をもんでいるわけでございます。  六十四年度予算の概算要求も間もなく来るわけでございますけれども、このままいきますと、各省庁は当然カット前の補助率で要求することになると思います。大蔵省は、この点についてどういうお考えを持っておりますか。
  22. 杉井孝

    ○杉井説明員 ただいま申し上げましたように、補助金等の暫定措置の終了期間後における補助負担率の取り扱いにつきましては、経済情勢などもろもろの状況の変化でありますとか、国、地方の財政状況あるいはその見通し、国、地方の役割分担と財源配分のあり方といった種々検討をしなければならない問題が多うございまして、現在のところ確たることをお話しできるような状況にないわけでございます。  なお、六十四年度予算編成に向けての概算要求基準につきましては、いずれ検討を始めることになろうかと思いますが、現在のところ確たることを申し上げるような状況にないことを御理解いただきたいと思います。
  23. 草野威

    草野委員 概算要求の時期というのはもう目前に来ているわけですね。現在のところ確たることを申し上げるわけにいかない、そのことをきのうから繰り返し、きょうまた同じようなことをおっしゃっているわけですね。これは大蔵省としては実に不誠意な答弁だと私は思うのですよ。  この地方行政委員会では、各委員がこの問題に対して真剣になって毎回お尋ねしているわけです。時期がここまで来ておっても、なおかつ今のような答弁の繰り返し。私は、そのような答弁を聞いてもう実に不愉快でならないわけです。この問題については、もう少しきちっとした答弁をしていただきたいと思いますが、これ以上の答弁はできないのですか。
  24. 杉井孝

    ○杉井説明員 概算要求基準につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、現段階で確たることを申し上げる状況にはございませんが、いずれにいたしましても、昨今の経済情勢あるいは財政状況からいきまして、前年度と同じような厳しいものになろうかと存じます。  なお、補助金の暫定期間終了後における取り扱いにつきましては、繰り返しになってまことに恐縮でございますが、現在のところ確たることをお話しできるような状況じゃございませんが、そういった意味から各省庁に対して大蔵省としての御相談はまだしていないわけでございますが、いずれにせよ、できる限り早く検討を開始したいと考えておりまして、関係省庁とも協議の上、適切に対応してまいりたいということで考えておるところでございます。
  25. 草野威

    草野委員 きのうこの席上で、梶山大臣はこのようにおっしゃっていますね。約束事を守らないということは国の信用にかかわることだ。また、新しい方式が見定まらなければカットを廃止するのは当然である、このようにおっしゃっていますね。この問題についてどう考えますか。
  26. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 昨日お答えをしたとおりでございますが、大蔵側としてはなかなか確たる答弁ができない事情もあろうかと思います。しかし、先生が今御指摘になった国の財政再建に補助率カットが必要だということは、私にはなかなか理解ができません。と申しますのは、この補助率カットの暫定措置を決めた大きな原因は、極めて厳しい国の財政事情、それからいわゆる財政出動ができない中にも貿易摩擦の解消その他でもって内需の振興をしなければならないという二つの要因。それからもう一つには、六十五年度を目途にいわば財政再建というか赤字国債の発行をなくしたい。この条件三つは、それぞれ最近悪化をしているかというと、悪化をしている条件はないわけであります。  極めて厳しい財政判情、確かに私は緩やかだとは思っておりませんが、三年前、二年前、一年前から見ますと、財政事情は好転をいたしておるということは明白なことでございます。それから内需の振興も、苦しい中で一生懸命やってきたために、ようやくその緒について立派な成果を上げつつある。なかなか難しいと言われた六十五年度赤字体質の脱却というのも、ようやく目安がついたと胸を張るようになったわけでございますから、この三つの、いわば緊急退避的な暫定措置をしなければならなかった要因はとられつつある、そういう理解を私はいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても暫定措置でございますから、何らかの新しい対策が開発されない限り、もと補助率に戻すべきことが原則であるというふうに理解をいたすことは、言葉を読んでみましてもおわかりになろうかと思います。  そして国の財政再建のために必要だという理由があるならば、国の財政再建をするためには、それでは地方に別個な知恵を出させることができるのかどうなのか。ただ単に補助率をカットするということは、地方の財政を悪化させるだけで、いわば国の赤字要因を地方に転嫁するだけで、国と地方を通じての新しい創意工夫は何ら見当たらないということになりますから、この問題に関しても理論的にはおかしい。ですから、私が大蔵と打ち合わせをしたわけではございませんけれども、もろもろの状況から見てもとに戻るということは、国と地方の信頼関係からいっても大切だという認識は今でも変わっておりません。
  27. 草野威

    草野委員 大蔵省にもう一回お尋ねします。  今の大臣の御答弁を伺っておりまして、大臣は非常に国の事情というものについて同情をしているといいますか、国の立場に立ちながら、その上でなおかつ現在の状況から見て、もうここで暫定措置は終わりにしてもいいんじゃないか、こういうことを今もおっしゃっておられたわけですね。  それに対して、やはり大蔵省としても、三年という暫定期限がことしでもう終わるわけでございますので、そういう時期まで今来ているわけです。三年目に入っているわけですから、ここで何らかきちっとした態度を表明されるのが本来の姿じゃないかと思うのですね。しかし今の答弁は、ともかく今の時点ではきちんとしたことを言うことはできない、その繰り返しをおっしゃっているだけなんですね。  では伺いますけれども、いつになったらこの問題についてはっきりした大蔵省の態度を示すことができるのですか、いつになったら。
  28. 杉井孝

    ○杉井説明員 先ほども申し上げましたように、経済情勢等のもろもろの状況でありますとか、国、地方の財政状況あるいはその見通し、国、地方の役割分担と財源配分のあり方等検討しなければならない問題が多々ございまして、これは恐縮ではございますが、どの時点までいけば固まってくるというような性格のものではございませんで、その時点時点におきます情勢を見ながら、なお引き続き検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 草野威

    草野委員 今のお話を伺っておりますと、例えば概算要求の時点だとか予算編成の直前になって、そういう時期までこの問題を引っ張っておいて、その時点になってから、もう時間的余裕がないからというようなことで再び継続に持ち込む、こういうことじゃないのですか。
  30. 杉井孝

    ○杉井説明員 今御答弁申しましたように、その時点時点で判断を要する問題ではございますが、いずれにいたしましても、暫定期間終了後の取り扱いにつきましては、そういった問題も詰めながら、できる限り早く検討を開始したいと考えているところでございます。
  31. 草野威

    草野委員 大臣お尋ねします。  この問題につきまして、大臣補助率カットについて、これが復元されれば五十九年度の線までの引き上げを無条件で考えているわけですか。それとも、この復元に当たって国、地方間の何か事務権限のあり方、こういうことともあわせて検討するような考えをお持ちになっていらっしゃるわけですか、どうなんでしょうか。
  32. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 協議が全く調わなければもとに復元をするのが原則でございますけれども、同じ政府内のことで地方財政のことも大変御配慮をちょうだいしている大蔵のことでもこれあり、現在の時点で、例えば生活保護というものはどこに責任があるのか、そういう権限論、責任論というのを踏まえてもう一回見直しをする。そして我々もその場合は、もとの率がこうであるからといって、地方自治が今どんどん分権をしろと言っているさなかに、この問題だけは別ですよという言い方をかたくなにいたそうという気は持っておりません。そういう中で全般を見直すことができ、地方財政に大きな悪い影響を与えない新しい取り組み方ができることが実は一番望ましいわけでございます。昔の形が一番いいということではなかろうと私は思います。  そういう意味で私は、見直しが当然行われて、国、地方を通ずるいろいろな責任や権限が明確化をして、それに基づく補助のあり方、こういうものが再構築されることが一番望ましいと考えております。
  33. 草野威

    草野委員 大臣お尋ねしますけれども、今の権限の見直し等というお話がございましたけれども、権限の見直し等につきまして、これは到底一年ぐらいでは結論の出る問題ではありませんね。したがって、この結論が出るまで現行の補助率引き下げを継続するというおつもりではないと思いますが、これは確認をさせていただきたいと思います。  それからもう一点、あわせて確認をさせていただきたいと思います。例えば自治省は、この補助率復元を税制改革と絡めて、補助率引き下げの継続を認めるかわりに新型間接税の地方への配分をふやそう、こういうことが一部に報道されたことがございますけれども補助率の復元と税制改革とは全く別個の問題でございまして、税制改革がどうなるか、全く今未知の問題でございますので、これはもし事実とすれば全くおかしい話なわけでございます。まずそういうことはないと思っておりますけれども、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  34. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 第一の御質問でございますけれども、結論が出なければそのまま補助率カットが継続をされるということではなくて、結論が出なければ暫定措置は切れる、ですから原則に戻る、こういう理解を当然しなければならないというふうに考えております。そういう意味で、先ほどさらに新しい結論が出るならばと言いましたけれども、新しい結論が出なければもとに返るという大原則があるわけであります。  それから税制改正と、どういう意味か私もよく承知はいたしませんが、この補助率のカット問題は税制改正があるいほぼやっと前途にあった時代に取り決めをされたということもあろうかもしれませんけれども、今回言われている税制改正とは連動はしない、一義的な連動はないというふうに理解をいたしております。それは補助率カットをする時期にそういう約束事があったわけではないからでございまして、質的には全く違う問題であります。  しかし、私が絶えず委員会でも皆さん方に懸念を表明しているのは、やはり今国民的な課題である減税、税制改正の大きな柱でございます。この減税というものを与党も野党も政府も大きな方向として打ち出しをいたしておる。そうなりますと、いわゆる自然増収分やあるいは不公平税制の是正その他によって得る原資とそれから減税額、それに加えて、なおかつ補助率のカット分の復元というものがどういうふうに絡まってくるかということは、現実の政治手法、財政手法としてはこれは頭に入れないわけにはまいりません。ですから私は、やはり適正な財源確保——税制の議論というものは本質的にもっとその以前に歳出論がなければいけないはずだと私は思うのです。  国、地方が必要最小限度の行政水準、行政サービスを維持するためにはこれこれこれだけの財源が必要である、その財源をどう調達するかというのがいわば税制改正の議論でございますから、まず歳出論ありさ。ですから地方財政が、決して裕福ではないけれども、必要最小限度住民福祉のために必要であるサービスはこれこれだ、現員、現給、現制度のままでもこれだけ必要だということになれば、それはまさに車の両輪というか、私が親子と言ったのは、親が子に対する理解と愛情を示さなければ子供は育っていかないわけでございますから、この意味で私は税制改正というのは極めて大きな影響を持っている。一義的な連動ではなくて、大変大きな影響力を持っているという理解をいたしますので、質的には違うかもしれないけれども、私はこの量的な問題でどうしても減税額と補助率のカット問題を絡められることを一番おそれるわけでございますから、私は、減税よりも何よりも補助率カット復元がまず第一にありき、こういう理解をしながらこれから交渉をしてまいりたいと思っております。
  35. 草野威

    草野委員 絡めないということがはっきりいたしました。  では、次の問題に移らせていただきます。  交付税の暫定加算の取り扱いの問題でございますが、これは昭和六十一年度の国庫補助負担率の引き下げ措置が三年間の暫定措置であることにかんがみ、その取り扱いについては暫定期間終了後自治、大蔵両省間で調整するとされているわけでございます。これがいわゆる暫定加算と言われるものでありますけれども、暫定的とはいえ、昭和六十六年度以降に加算するのであれば、地方交付税法上もその旨を規定し、六十六年度以降に加算することを明らかにしておくべきではないか、このように思います。これも何回も議論されてきたわけでございますけれども、暫定的な措置とはいえ、地方交付税法上にきちっとその旨を規定すべきではないか、私はこのように考えます。この点について自治省並びに大蔵省の御見解を承りたいと思います。
  36. 津田正

    ○津田政府委員 補助率カットの中身といたしまして経常経費と投資的経費があるわけでございます。そして法定加算、暫定加算で問題になりますのは特に経常経費の部分でございまして、暫定加算の覚書自体は先生承知のとおり、今回の補助率の引き下げ措置等が昭和六十一年度から六十三年度までの暫定措置であることにかんがみ、暫定的に昭和六十六年度以降に加算されるものとし、その取り扱いについては、暫定期間終了後両省間で調整するものとする、こういうような書き方になっておるわけでございます。  この問題の本質は、当時から要するに経常経費に対する補てんについては地方一般財源の増額によって補てんすることが望ましいというような自治省側の主張があったわけでございます。そこの結論が、その半分までは法律ではっきり書きましょう、残り半分はその点に若干ゆとりと申しますか、文章上ゆとりを持って書いておるというような経緯を経てまいったわけでございます。  したがいまして、私どもの立場からいたしますと、この調整、協議ということは具体的に何年度にどういう額を加算する、こういうような協議、これはまだ全然ないわけでございますが、いずれにしてもその協議がある。そして基本的な観点は、先ほど申しましたように経常経費に対する措置としては基本的に地方一般財源の増額で対応すべきである、こういうようなスタンスでございます。  しかし、これは大蔵省との協議の結果、先ほどのような文書で取りまとめておるわけでございまして、今後の協議結果に基づくわけでございますが、そもそもの経緯等から御説叩いたしますと、また私どものスタンスというものを申し上げますと、以上のとおりでございます。
  37. 水谷英明

    ○水谷説明員 お答えいたします。  補助率カットに伴う交付税のいわゆる暫定加算措置について、経緯、概要等については今財政局長からも御説明があったところでございますが、この経常経費に係る暫定措置につきましては、私ども聞いておりますところでも、当時の関係者が真剣に当時の極めて厳しい状況の中で議論をした結果、文字どおり暫定的に六十六年度以降に精算すべき地方交付交付金の額に加算されるものとして、その取り扱いについては暫定期間終了後、大蔵、自治両省間で調整するということになったと聞いております。それで、その旨が先生指摘のように大臣覚書で取り決められておりますので、この趣旨に沿って当方といたしましても自治省と今後調整してまいりたいというように考えております。
  38. 草野威

    草野委員 大蔵省にお尋ねしますけれども、ただいまのお話によりますと、これは自治省も含めてでございますけれども交付税法上にきちっと規定するのをどちらかというと否定しているわけですね。両省間でその時点までに調整をする、こういうようなお話でございますけれども、この覚書というのは本当に余り当てにならない証文でございまして、どうなるかわかりません。そこで、六十六年になって地方の税収状況いかんによっては暫定加算を見送る、こういうこともあり得るわけですか。
  39. 水谷英明

    ○水谷説明員 ただいまの御質問でございますが、暫定期間終了後どうするのだということにつきまして、このいわゆる経常経費に係る加算措置につきましては、要するに二分の一までは法定で加算する、法律できちっと加算を決めるという話にきちっとなったわけでございまして、その余のいわゆる暫定措置分については、その当時の関係者の真剣な協議によりまして、この暫定期間終了後、補助率の今後の取り扱いや国と地方財政事情等事情を踏まえて、改めてまたその時点で協議しようではないかというようになったものと理解しております。そういう事情でございますので、当時の経緯等な踏まえまして、また最近の経済情勢、財政状況を踏まえまして今後真剣に調整してまいりたいと考えております。
  40. 草野威

    草野委員 大蔵省に伺いますけれども、六十年度から六十三年度までの合計八千四百四十億円、暫定加算分ですが、これにつきまして三月十二日の参議院の予算委員会におきまして、大蔵省は財政再建のための歳出削減として行ったいわゆる後年度への国の借金のツケ回しの内容を明らかにしております。それによりますと、地方財政対策に伴う繰り延べとして昭和六十三年度に三千七百九十四億円、五十七年度から六十三年度まで一兆二千三百十四億円が挙げられております。その中にこの暫定加算の二千五百二十億円、八千四百四十億円がそれぞれ含まれているわけでございます。大蔵省はこの暫定加算の額を後年度への負担繰り延べ、つまり国の借金と認めているのでございますか、どうなのでしょうか。
  41. 水谷英明

    ○水谷説明員 御指摘の資料についてお答えいたしますと、この資料につきましては、参議院の和田先生の方から実は項目の御指定がございまして、歳出削減に伴う後年度への負担の繰り延べというふうに先生が御指摘なさった事項についてどのような状況になっているかというお求めに応じて出した資料でございます。  なお、繰り返しでございますけれども、この中に触れられております暫定加算の措置の性格の理解はただいま繰り返し御答弁したとおりのように理解しております。
  42. 草野威

    草野委員 借金として認めるのですか、認めないのですか。
  43. 水谷英明

    ○水谷説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、暫定期間終了後その取り扱いを大蔵、自治両省間で調整するとされているものでございまして、その暫定措置とすることに至った経緯、その性格等は今まで申し上げたとおりでございます。
  44. 草野威

    草野委員 では、次の問題に移ります。  補助金の整理合理化の問題につきまして大蔵省にお尋ねをいたします。六十三年度予算補助金の整理合理化状況につきましてお尋ねをしたいと思います。その総額は五年ぶりに対前年度比でふえている、このように伺っておりますが、事実でしょうか。
  45. 杉井孝

    ○杉井説明員 六十三年度の補助金等の整理合理化につきましては、累次にわたります臨調答申あるいは行革春答申等の指摘を踏まえまして、公的部門の分野に属する施策のあり方や国、地方を通ずる行財政のあり方等の観点から補助金等のすべてにつきまして洗い直しを行い、既存の制度、施策の見直しを行う等積極的に整理合理化を推進してきたところでございます。  この結果、補助金等の件数におきましては延べ千二十九件、金額におきまして約千五百億円の整理合理化を行っております。これは前年度に対しまして、件数は三十一件の純減であります。ただ、補助金等の総額につきましては、社会保障関係費等真にやむを得ない増加予想がございましたので、千二百二十四億円の増となっておりますが、これは対前年度で申し上げますと〇・九%の増ということで、増加にはなりましたが極めて抑制された形になっているというふうに私どもは考えておるところでございます。
  46. 草野威

    草野委員 〇・九%、千二百二十四億円の増、このようになっているそうでございますが、補助金につきましては五十七年度以降原則一割削減、こういうことが定められているわけでございまして六十三年度はこれが逆になったわけでございます。そこで、六十四年度概算要求ではこの補助金の取り扱いはどういう方向になるでしょうか。
  47. 杉井孝

    ○杉井説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、六十四年度予算編成に向けての概算要求基準につきましては、現段階では確たることを申し上げるような状況にございませんが、いずれにいたしましても補助金の性格もあわせ考えながら、先ほど申し上げたような臨調答申あるいは行革審答申等の指摘を踏まえまして、引き続き今後とも補助金等の整理合理化については積極的に推進していく必要があると考えているところでございます。
  48. 草野威

    草野委員 農水省は見えておりますか。農水省の予算に計上されております協同農業普及事業交付金を初めとする七種類の普及事業交付金、これは昭和五十八年度に当時の臨調答申の人件費補助の整理合理化方針を受けまして、従来の定率助成の負担金から定額の交付金に切りかえられたものであります。これは、積算の使途制約の多い負担金から弾力的使用を認める交付金になったとして地方自治体から歓迎されたわけでございます。しかし、これらの交付金につきましては、交付金に切りかえられて以降毎年その人件費、物件費の上昇があるにもかかわらず予算上は増額されておりません。これでは地方財政を圧迫するものではないか、このように思うわけでございますけれども、この点についてお尋ねをしたいと思います。  この協同農業普及事業交付金につきましては、この資料によりますと、昭和五十八年度から六十三年度まで七種類の交付金につきましてはそのほとんどが額が変わってないわけでございまして、この点につきましても地方財政を圧迫する要因になっているのではないか、このように思いますが、いかがでございましょうか。
  49. 杉本忠利

    ○杉本説明員 ただいまの七つの交付金につきましてのお尋ねでございますが、農業改良普及事業で、おおむね考え方は同じでございますので、御説明をさせていただきたいというふうに思います。  協同農業普及事業につきましては、都道府県の自主性を尊重するという見地、あるいは農業をめぐる諸情勢の変化に即応した事業の効率的、弾力的運営を図るといったような見地から、ただいま先生お話にありましたように五十八年度に農業改良助長法の一部を改正いたしまして、従来の個別経費の積み上げによる定率の負担金から標準定額の交付金として交付する方式に改めたところでございます。  そこで、この交付金につきましては、制度の趣旨等にかんがみまして、物価等の変動によって普及事業の推進に著しい支障が生じない限り毎年当然改定されるべきものではないというふうに考えておりまして、五十八年度以降同額としてきたところでございます。  なお、協同農業普及事業に要する事業費につきましては、その事業費を増額する要因といたしまして、御指摘にもありましたように、普及職員の人件費のベースアップあるいは運営費、活動費、施設費等の物価上昇があるわけでございますけれども、一方減額をすべき要因といたしまして、普及職員の設置数の減少あるいは普及職員の年齢構成の若返りによる人件費の縮小といったようなものがありまして、これらを総合的に勘案いたしますと、普及事業に関する限り、過去五年間につきまして都道府県の負担を大幅に増加させているといったような結果にはなっていないというふうに考えております。
  50. 草野威

    草野委員 当時この交付金は、人件費補助金の整理合理化としては甚だ不徹底なので、将来的には交付税に吸収して一般財源化することになっていたはずであります。既に六年を経過しているにもかかわらず交付金のままであるのは一体どうしてか。交付税に吸収した方が人件費、物件費の上昇にも反映できるし、また一般財源として地方自治の観点からも望ましい、このように私は思うわけでございます。この点を強く要望しておきます。  時間が過ぎてしまいましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  51. 松本十郎

    松本委員長 柴田弘君。
  52. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 先日私、地方への権限移譲という問題につきまして質問をいたしました。大臣からも、選択的地方分権を提唱している、例えば都市部の自治体については都市計画関係、あるいは農村部の自治体については農林水産関係、こういった許認可事務をおろして権限移譲の幅を徐々に拡大をしていく、こうおっしゃった。私はそのときにも申したわけでありますが、地方分権といい、権限移譲といい、やはり行政権とともに財政権を移譲していくべきである、このような考え方に立っているわけでございますが、こういった大臣の提唱については私は賛成であります。そこで、既に自治省内部でその検討は始まったと聞いておりますが、具体的な検討状況、結論を得るまでのスケジュールについてお尋ねをいたしたいと思います。  これに関連をして、たまたまお聞きするところによりますと、五月二十日には地方制度調査会の委員の任期が切れる、こういうことで、その答申をいただいてやっていくんだ、こういうお話も聞いておるのですが、その地方制度調査会の答申との関係をあわせてお伺いをしておきたいわけであります。どうでしょうか。     〔委員長退席、片岡(武)委員長代理着席〕
  53. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 地方公共団体への権限移譲等について、先般、私といたしましてはその推進方策の一つといたしまして、地域の実情に応じた権限移譲の方式等について検討する必要があるのではないか、そういうことを考えている旨を申し上げたところでございます。  権限移譲を進めていくためには、何よりもまず各省庁間の理解と協力が必要であり、政府の行革大綱においても機関委任事務等の見直しについて、政府全体として推進するといたしております。これらを踏まえて、今後地方制度調査会の御意見を承りながら、あらゆる機会をとらえて地方公共団体への権限移譲を推進していくように努力をしてまいりたいと思います。  なお、冒頭お触れになりました地方税、地方交付税等、地方一般財源についても、これらの状況に応じ、引き続きその充実確保に努めてまいりたいと思います。  なお、具体的な問題については政府委員から答弁させます。
  54. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣竹下総理地方自治体の活性化を図るために国の事務の地方への大幅な権限移譲が必要であるという観点から、九月に新行革審の新しいテーマとして国の権限移譲を諮問する決意を固められたと聞いております。これに関連をして、総理は四月七日の参議院の予算委員会で、新行革審で審議をしてもらっている規制緩和、さらに地方への権限移譲について本気を出し、政府としても国民にわかってもらうような努力をしていかなければならないという強い決意を示されているわけであります。やはり何と申しましても、自治体が魅力ある地方都市づくりへ向けて独自の事業を企画しても、国の許可を得るためにはさまざまな手続や指導などがネックとなって思うように進まない、結果的には計画倒れに終わるケースも多いと私は思います。これが地方の発展を妨げる面もあるわけでございまして、「ふるさと創生」を進める政府としては、その元凶となっている国の権限を地方に移譲する、それによって自治体の事業の活性化を図る、こういうふうに行かなければならない、私はこういう意見を持っているわけでありますが、簡単に一言、大臣の所見をお伺いをさせていただいて、何か御用があるそうですから、三、四分どうぞ中座していただいて結構でございます。     〔片岡(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 先生指摘のとおり、ようやく地方に力がついてまいり、国の画一的な行政指導よりはむしろ地方それぞれの特性に合った独自性の持てる地方自治の振興が一番望ましい、そういう時期に逢着をいたしておりますから、それには何よりも住民に身近な事務は身近なところで行えるように地方分権をどんどん行っていかなければならない、これは原則論として今日まで長い間叫ばれてきたところでございます。  しかし、ちょうど今、機を同じゅういたしてというか、新しい事態が生まれたことは、今一極集中の弊害が大変騒がれ、そして多極分散型の国土形成をしようという機運が内政上の一番大きな問題になってまいったわけであります。この多極分散型の国土形成のいわば目玉をなすものは何かというと、これは国が地方に対して権限を移譲し財源を移譲することによって、地方みずからが奮い立つ力を得ることによってその目的が達成されるわけでございます。今まで観念的に地方分権と言っていたものが、この多極分散型の国土形成のためには何と何と何の権限がなければそれができないかという、いわば具体的なテーマを我々は持つに至ったわけでございますから、これをてこにいたしまして、今まで再三再四大変難しいけれども分権論が言われてきたわけでありますが、この多極分散型国土形成を推し進めるためにどうしても必要な権限の地方分権を強力に推し進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  56. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣、三、四分どうぞ。  私は、地方への権限移譲に関連をいたしまして、地元の名古屋市の堀川の問題を取り上げてみたいと思います。  今大臣もおっしゃいましたように、地方自治体も力がついてきたのだから地方自治体でできることはどんどん財源を移譲し権限を移譲してやっていくんだ、これは私はそうだと思います。ところが、堀川の再生の問題、特に流況調整河川木曽川導水事業、これは国の直轄事業でありますが、今日まで遅々として進んでいないわけであります。それで、きょうはいろいろと建設省あるいは農水省、通産省、厚生省、自治省等々に聞いてまいりたいし、最後に大臣の所見も伺っていきたいわけであります。  この堀川は、名古屋市の中心を流れる川でありまして、名古屋城の築材や生活物資輸送のために人工的に開削された川であります。古くから経済活動や交通に利用されていたほか、名古屋市民の憩いの場として親しまれてまいりました。今をさかのぼること三百七十年前の慶長十五年、一六一〇年に、当時の武将でありました福島正則によって開削されたと伝えられております。その後、半世紀を経ました寛文三年、一六六三年の夏には御用水が開削をされ、守山区竜泉寺下の庄内川から取水した水が矢田川の下をくぐり名古屋城のお堀まで引かれ、お堀から堀川にも入るようになったと伝えられております。明治九年から十年、一八七六年から七七年でありますが、矢田川の下を伏越して堀川に注ぐ川がつくられた。この川を担当した技師の名前からこの堀川は黒川とも呼ばれているわけであります。延長は名古屋市内だけで十六・二キロの今の姿がほぼ完成したわけであります。  最近、愛知県が行いました堀川のヘドロ固化実験工事の際に明らかになったのでありますが、護岸が予想以上に老朽化をしていて、早急に抜本的な改修事業が必要であるわけであります。  こうした中で、堀川の清流化や親水性、治水機能の向上を図るために、建設省では昭和六十一年度から堀川を都市小河川改修事業に採択したわけであります。地元の名古屋市でも、一つは河川改修による治水機能の向上、第二番目には水辺環境の改善による都市魅力の向上、三つ目には沿岸市街地の整備活性化、この三つを柱に総合的に整備を推進すべく現在構想づくりを進めているわけであります。その前段階といたしまして、本年一月には、地元の学識経験者や有識者で構成する堀川懇談会から名古屋市長に対しまして「堀川総合整備構想策定のための提言」がなされています。これによりますと、堀川再生のタイムスケジュールとして、名古屋市制施行百周年に当たる来年の昭和六十四年に本格的な工事に着手し、昭和八十五年、西暦二〇一〇年でございますが、このときには堀川の浄化を果たすとともに、名古屋市の都心に当たる納屋橋地区を初めとした拠点的な市街地の整備を行うことなどを構想の中に盛り込むように提言をいたしました。  ところで、名古屋市ではこの提言を受けまして、河川管理者である愛知県とも協力しながら、建設省の提唱しておりますところのマイタウン・マイリバー構想のモデルともなる堀川総合整備構想づくりを精力的に進めているわけでございます。一方、堀川沿岸の納屋橋地区では、商業業務の中心地として町の活性化を図るため、民間再開発の動きも出るなど、堀川再生の動きは民活事業を含めて官民共同のプロジェクトになろうとしているわけでございます。  そこで、まず私は建設省にお尋ねいたすわけでありますが、この官民共同のプロジェクト、民間再開発というのは、具体的に申しますと納屋橋を中心といたしました堀川左岸の北は錦橋、南は天王崎橋の四百メーターの間で商業業務を行っている方たちが現在広小路セントラルエリヤ活性化協議会を結成し、昭和六十四年までには市街地の再開発組合を結成し、青写真をつくってスタートする、こういう構想を持っているわけであります。お聞きいたしますと、建設省では昭和六十二年度には既にこの調査費が国費として六百万、事業費は千八百万でありますからその三分の一、昭和六十三年度には四百万、事業費は千二百万ですからその三分の一でありますが、これを地区の現況あるいはつくるべき施設の概要等々の基本計画策定のための調査費として名古屋市の方に出しているわけでございます。その辺の事実関係と、事業費は七百億と聞いておりますがそれはどうか。そして今後六十四年以降、そのうちの一、二割の補助対象基本額、これについて三分の一を補助するということであります。設計費とかビルのエレベーター等が補助対象になるわけでありますが、そこら辺の事実関係につきましてまず建設省にお聞きをしておきたいと思います。
  57. 島崎勉

    ○島崎説明員 堀川納屋橋地区の再開発の調査でございますが、今お話がございましたように現況調査とか再開発の概要の検討を行います基本計画の調査、これが千八百万円の事業費でございまして、六十二年度に行われております。また、これに引き続きまして推進計画というような調査がございますが、この推進計画の調査を今年度千二百万円の事業費で名古屋市で実施する予定でございます。  そういう段階でございますので、事業の内容はまだ具体的には詰まってございませんが、基本計画の段階での試算によりますと、今後事業が成熟しつつある地域につきましておおむね七百億円程度の事業費が見込まれているというふうに聞いてございます。  この事業費に対しましては、主として共同化によりまして必要となります調査設計費ですとか、公共的な区域の整備費ですとか、共用通行部分の整備費、こういうものが再開発事業の補助対象になるわけでございます。まだ設計が具体的に積み上がってございませんが、通例の場合ですと全体の事業費の約一〇%から二〇%がこのような補助対象になるというふうになっております。これに対しまして国費といたしましてはその三分の一が国庫補助ということでございます。
  58. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 わかりました。  自治省お尋ねします。これは財政局長からで結構でありますが、先ほど堀川の経緯につきましてはるる説明をいたしました。こうした市街地再開発事業について、地元名古屋市の負担も予想されるわけであります。このような民間の再開発組合が行う市街地再開発事業に対して地方団体への財源措置をどうするかということであります。七百億事業費がかかるということでありますが、この市街地再開発事業につきましては財政状況等を勘案して必要に応じた地方債による財源措置が必要だと私は思うのでありますが、当局はどう考えておられますか。
  59. 津田正

    ○津田政府委員 事業自体は再開発組合がやるわけでございますが、それに対して地方団体が補助をいたします場合におきましては、当該団体の財政状況等にかんがみ、必要に応じ地方債による財源措置を講ずることとしております。
  60. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 引き続きまして建設省にお聞きいたします。  先ほどの堀川懇談会の提言の中にありましたように、堀川再生の当面の目標を昭和八十五年にするという考え方が示されておりますが、この目標を達成するには巨額な事業費が見込まれるわけであります。当然国の補助が必要になってくるわけであります。総合整備の観点から国のいろいろな立場からの援助が必要であると私は考えております。  そこでお尋ねいたしますが、都市小河川事業は先ほど申しましたように昭和六十一年度に採択されております。昭和六十一年度は事業費が千五百万、六十二年度が四千四百七十万、六十三年度が四億二千九百万、これは白鳥地区の開発等で急にふえたわけでありますが、その三分の一が国の補助、三分の一が県、三分の一が市、そういうふうに聞いておるわけであります。その辺は事実かどうか。  そして、巨額な事業費がかかると言われております。私が聞くところによりますと、概算で千数百億円の事業費がかかる、こう言われております。これに対する建設省の補助三分の一、県三分の一、市三分の一、三分の一の補助がつくのかどうかお伺いをしておきたいわけであります。
  61. 齋藤尚久

    ○齋藤説明員 御説明申し上げます。  ただいまの堀川の改修でございますが、先生指摘のとおり昭和六十一年度から都市小河川改修事業として事業に着手しております。六十一年度は千五百万、六十二年度は四千四百七十万、それから六十三年度につきましては、都市小河川改修事業といたしまして一億九千八百万、それから特定住宅市街地総合整備促進事業といたしまして二億三千百万、これは白鳥地区でございますが、合計で四億二千九百万の事業を実施することにいたしております。  それから第二点目でございますが、堀川の改修の全体の事業費でございますけれども、ただいま愛知県それから名古屋市等において検討中でございます。したがいまして、まだ固まった数字は持っておらないわけでございますが、オーダー的に申し上げますと、先生がおっしゃるとおり千数百億から二千億程度の規模になるのじゃなかろうかと考えております。これらの割業費に対しましては、ただいま申し上げましたように県、市が詰めておりますが、我々といたしましてはできるだけの御協力を惜しまないつもりでございます。具体的に申し上げますと、都市小河川ということで三分の一の補助事業で実施していきたいと考えておるところでございます。
  62. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 事業費は千数百億かかる。そのうち国が三分の一の補助、県が三分の一、市が三分の一であります。  自治省お尋ねいたしますが、今後の全体事業規模から見て、地元県、市は多額の財源を要するわけであります。こうした地方団体の経費については、やはり自治省としても財源措置を考えるべきであります。都市小河川改修事業に関する地方団体の経費地方交付税の交付措置されるということであるわけでありますが、そのように考えてよろしいのかどうか。
  63. 津田正

    ○津田政府委員 この堀川の整備事業は、都市小河川改修事業という形で国で採択されてまいりますと、それに伴います地方団体の負担につきましては、交付税の基準財政需要額において算入して措置をしてまいるものでございます。
  64. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 では、問題の木曽川導水事業についてお尋ねしておきます。  この事業は、尾張地域新川流域の水害の軽減、新川諸支川及び堀川への維持用水導入、さらには水不足の解消を図る等、多目的な事業であると私は聞いております。特に堀川浄化にとっては先ほども述べましたようなかなめとなる事業であり、堀川総合整備事業の着工に向けても木曽川導水事業の早期実現が望まれるわけであります。私も地元の一員として非常に今日まで関心が深いわけであります。名古屋市二百十万市民の関心も非常に大きいわけであります。  この件につきましては、私は昭和六十一年の三月六日の予算委員会で時の建設大臣である江藤大臣にいろいろ質問をいたしました。当時の建設大臣は、堀川浄化と木曽川導水事業については、これは非常に大切なことである、積極的に取り組んでいく、このように決意を示された。そしてまた、六十一年度を初年度として直ちに着工できるように進めていく。当時の河川局長も、六十一年には計画策定を行います、同時に事業の実施であります、こういったお答えにもなっておるわけであります。あれからちょうど二年有余たったわけでありますが、いまだ工事の着手に至っていないのが現状であります。  まず第一点お尋ねをしたいのは、この事業費は九百九十億かかると言われておりますが、事実かどうか。そして、そのおくれている理由は何か。建設省にこの二点、まずお尋ねをしておきます。
  65. 山内彪

    ○山内説明員 初めに事業費の件でございますが、五十八年度に私どもが原案として考えておりましたのは九百九十億でございます。  それから、いわゆるおくれている理由ということでございますが、この事業に着手するための法手続といたしまして河川法の第七十条の二の二項という規定がございまして、これに基づきまして、関係行政機関の長を初めとする関係者に対しまして協議、あるいは意見聴取、あるいは同意といったものを得ることになっております。このため、昭和五十八年以降、関係者との事前の協議を鋭意進めてきているところでございますが、事業に関係する行政機関、また利水者、さらには地権者等が非常に多く上っておりまして、この関係者間の調整に長時間を要している状況でございまして、それが現時点においても合意に至っておりませんので、建設がおくれているという理由でございます。
  66. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今おっしゃった事業計画の決定のために、この事業主体である建設省は河川法第七十条の二項に定める手続が必要でありますね。それで、一つ関係行政機関との協議であります。農水省、通産省、厚生省、大蔵省、自治省、それぞれどうなっているのか。それから第二点は、関係県からの意見聴取、愛知県、岐阜県、これは実質的には地元の土地改良区の同意ということになるわけでありますが、これはどうか。第三点は、特別水利使用者の同意、これは愛知県、名古屋市でありますね。飲み水、工水の関係であります。この同意はどうなっているか、具体的にお聞かせをいただきたい。
  67. 山内彪

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  現在、この計画に対する協議は正式な協議ではございませんで、事前の協議ということで地元の出先の関係行政機関、県等に対しましていろいろな形で説明申し上げて、事前の調整を進めている段階でございますが、今のところ一番大きな関係でございます、最終的には土地改良区になるかと思いますが、各県の行政機関との調整あるいは農林水産省の出先との調整といったものを現在行っているところでございます。その出先での調整が終わりました後、関係各省というふうになっていくかと思っております。
  68. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 農水省とのいろいろな協議については問題がありますから後でいろいろお聞きすることとして、二番目に申しました関係県からの意見聴取は、今言ったように実質的には愛知県、岐阜県でございますが、岐阜県とはおおむね合意がとれた、こういうことをお聞きしております、これはレクチャーの段階で。もう答弁する必要はない。そうなっておりますね。それから、特別水利使用者の同意は、これは愛知県、名古屋市の飲み水と工水、工業用水でありますが、正式な協議はしてないがおおむね了解をしている。私は愛知県、名古屋市へ聞きました。おおむね了解しています。問題は、いわゆる関係各省との関係であるわけであります。  通産省お尋ねいたしますが、通産省は正式に協議にまだ入っておりませんね。ところが、予算昭和六十一年度に五千五百八十万、昭和六十二年度には二千八百七十万、六十三年度にはちょっと少なくなって千二百二十万、これは工業用水道の水源とする導水のための費用の予算計上でありますが、どうのこうの申しましてもいわゆる木曽川導水事業に対する関連予算であると私は思う。積極的にやろうという姿勢はわかるわけでありますが、その辺はどうなんでしょうか。御説明を願いたいわけであります。
  69. 小島襄

    ○小島説明員 お答えいたします。  木曽川導水事業につきましては、先生が御指摘のとおり、愛知県及び名古屋市が工業用水として参加するということになっておりまして、当省といたしましては、その計画内容につきましては非常に妥当なものというふうに考えておりまして、六十一年度以降、今先生が御指摘になりましたような予算措置を行いまして、いわばいつでも事業開始に対応できるような準備を進めているところでございます。
  70. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 おかしいというべきか、積極的というべきか、私にはわかりません。まだ協議に入っていないのに先走って予算をつける、そして今まで六十一年度、六十二年度は、不用額ではないにしても、この予算は留保されているわけです。六十三年度も恐らくそうでしょう。今建設省は、まず農水省から事前協議をしっかりやって、そしてそれがきらっとしたら、あと通産省や厚生省や大蔵省や自治省、こういうところとやる、こう言った。これが私が指摘したい一つの点であります。  続いて厚生省にお尋ねしますが、厚生省は上水の関係でありますが、これはお聞きしますと、協議には応ずるが補助対象事業にはなっていない、こういうことでありますが、それでよろしゅうございますか。
  71. 小林康彦

    小林説明員 お答えいたします。  木曽川導水事業につきましては、現在までのところまだ建設省から協議は受けておりません。したがいまして、事業として厚生省がどういう態度をとるかにつきましても、まだ結論に至っておりません。
  72. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 わかりました。今建設省は、地元の各局で協議をしている、こういうことです。六十一年に私が質問して以来、東海農政局と中部地建の間では七回程度協議がされたと私は聞いている。そして、東海農政局はどう言っているかといいますと、改良区の組合員一人一人の同意を得る必要がある、こう言っております。ここで地元改良区というものの御説明をしていかなければなりませんが、とにかくこれは実質的な同意の条件となる土地改良区でありますが、一つは犬山頭首工を農業用水の取水口とする濃尾第一地区、いわゆる濃尾用水地区があります。これには宮田用水、農耕地面積が九千八百ヘクタールで二万九千人、木津用水二千六百ヘクタールで一万二千百人、羽島用水千四百ヘクタールで七千二百人、昭和六十二年度のそれぞれの耕地面積と組合員であります。それからもう一つは、ずっと南の方に参りまして、馬飼頭首工を取水口とする濃尾第二地区があります。これは海部土地改良区の地域でありまして、木曽川総合用水地区とも申します。ここは六千三百ヘクタールの農耕地がありまして、九千人のいわゆる改良区組合員がいらっしゃるわけであります。  それで、東海農政局の方は、組合員一人一人の同意を得る必要があるから、中部地建に対して、基本的な事項であるこのいわゆる頭首工の管理というものを一体どういう形でやるのか。この頭首工は農水省がつくって現在管理をしている。これを建設省が使うとすれば一体どういうふうにやっていくのか。建設省が管理するのか、農水省が今までのようにやるのか、その管理の形態をどうするかという問題が一つ。二つ目には、その費用負担をどうするか。三つ目には、現在のこの水利権というのはどうなっていくんだ。改良区の組合員一人一人がいろいろな面で不安感を持っている。まずこういった基本的な事項はきちっと説明をして、そして改良区へ説明できるようにしてくれ、こういうふうに言っておるということであります。そしてまた、こういうことも申しておりました。これは国の直轄事業だから、改良区との折衝というのは直接建設省がやるべき問題だ、このようにも申しているわけでございます。これはきちっと私が東海農政局の担当者と話し合った事実でありますが、農水省いかがですか。
  73. 東諄

    ○東説明員 先生指摘のとおり、木曽川の導水事業につきましては、犬山頭首工など農業用水の取水のための施設でございますので、その管理がどうあるべきなのか、その費用負担はどうあるべきなのか、それから農業用水に及ぼす影響はどうなのかということで、いろいろと調整しておるところでございまして、現在、御指摘のとおり東海農政局と中部地方建設局との間で鋭意調整、協議を進めておるところでございます。
  74. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 また一方、中部地建はどう言っておるかというと、犬山頭首工、これは河川法十七条によって規定をされておりますが、河川管理施設と別の目的、つまり河川管理施設というのは治水の目的であります。それから別の目的というのは農業用、これは利水でありますね。この両方の機能を持つ兼用工作物という形でやっていくが、どうでしょうか、こういうことであります。費用負担は建設省もやりますよ。  ところが農水省、改良区の方は水利権の形態が変わったので、いわゆる水をとるパターンが変わった。つまり、今まで水田であったのがだんだん畑作になってきた。ビニールハウスの畑地かんがいが多くなってきた。だから四月、五月に多目にとり、冬が今まで水をとらなくてよいものをとらなきゃならない、こういった要望がまた逆に出てきた。だから建設省は犬山頭首工に対して、こういった点は馬飼頭首工の人たちにも同意を求めてくださいよ、こう言っているがまだやっていない。しかも、この下流の海部改良区は水利権の許可の手続すらなされていない。申請書が出されていない。既得権ということで取水をしているということであります。これは事実かどうか。だから、そういったいわゆるいろいろな水利権の形態といいますか、営農形態が変わったから水をとるパターンが変わったので、ひとつ水を増量してくださいよ、こう言っても建設省の方は、犬山頭首工も海部改良区もやるべきことをちゃんとやらぬものだから、物には順序があるんだ、だからこれはできませんよ、こう言っておるわけですよね。  それで、今農水省からお話があったように、東海農政局は東海農政局、中部地建は中部地建、お互いにこう言い合って、七、八回協議をされたそうだが、二年間たってきたということなんですね。建設省、どうですか。
  75. 山内彪

    ○山内説明員 お答えいたします。  ただいまの件につきましては、先生指摘のとおりいろいろな問題がございます。犬山頭首工のこともございますし、また既設の水路をどうするかということもございます。それから、そこの水利権の要望に対してどうするか、またその要望どおりする場合には下流の水利権者の承諾も要るわけです。このように各関係者間の問題点が非常に入り組んでおりまして、どれか一つ片づいたから次が片づくとも簡単にはいきませんし、それぞれいろいろな意見、要望等集約しながら、その中で最大公約数みたいなものを見つけながら調整していかなければならない、こういう事業でございまして、これが二年間も調整にまだかかっているという状況でございます。
  76. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 しからば建設省と農水省にお聞きしたい。打開策はあるかということであります。調整がつくのか、簡単に両省からお聞きをしたい。
  77. 山内彪

    ○山内説明員 私ども、この事業は治水、利水上非常に重要な事業と解釈しております。そういうことで、いろいろ困難な問題点があるのは承知しておりますが、今後ともこのそれぞれの関係者間の調整に最大限の努力をいたしまして、早期に計画が策定され、事業に着手できるよう努めてまいる所存でございます。
  78. 東諄

    ○東説明員 御指摘の事業につきましては、調整ができるだけ早期に整いますよう、今後とも建設省と協議、調整等努力をいたしてまいるつもりでございます。
  79. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 農水省、あなたの方から資料をいただきました。先ほど私がちょっと申しましたが、土地改良区の面積の資料であります。これは羽島用水、宮田用水、木津用水、そして海部の木曽川総合用水、この四地区、昭和五十年には改良区の面積が二万二千二百ヘクタールで、組合員数は五万八千人である。昭和六十二年には、これが一割弱減りまして二万百ヘクタール、人員も五万七千三百人に減っているわけであります。このとおりですね。  それで、この木曽川導水というのは、木曽川に余剰水があった場合、その余剰水の余った範囲内で最大限毎秒三トンを堀川へ導入するという一つ基準、歯どめがあるわけなんですね。この余った水最大限一秒間三トンを堀川へ導入することで、こうした改良区の組合員が農業経営ができなくなる、死活問題になるとあなたは考えているのかどうか、率直に御答弁をいただきたい。
  80. 東諄

    ○東説明員 お答え申し上げます。  農業基盤の整備事業の実施によりまして、用排水分離などに伴います減水深の増加とか、それから都市化によります生活雑排水の流入に伴います水質の悪化などがございまして、地区内の反復利用ができなくなっております。さらに、地下水くみ上げなどによりまして冬季の地下水位の低下をかんがい初期に回復させる水田初期用水の必要性などから見まして、より多くの農業用水を必要としてきておりますような事情もございます。したがいまして、御指摘の点ではございますけれども、そういう面もあるということでございます。
  81. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 死活問題になるのか。
  82. 東諄

    ○東説明員 そういう難しい問題が生じてまいるということであります。
  83. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 建設省はどう考えているのですか。死活問題になりますか。余った水を最大限毎秒三トンなんですよ。なりますか。
  84. 山内彪

    ○山内説明員 私どもにおきましては、先生おっしゃいますとおり、木曽川の流況がよいときに限って、その当該水量を侵さない範囲内の余剰水を導水するということで、直接関係農業に悪影響を与えるものではないとは考えておりますが、それぞれの立場になりますとそれぞれの要望もあるかと思いますので、なおよくその辺の調整、説明も図ってまいりたいと思っております。
  85. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 もうはっきり、農水省の方は死活問題だと言うし、建設省の方はそのようなことはない、大体そこから違っておるわけだ。根本的な問題はここにある。  それで、二年間今までやってきた、そしてまたこれから一生懸命調整します、こう言っても、このままいけば、百年河清を待つの例えどおり、我が二百十万待望のいわゆる堀川再生、木曽川導水事業というのはできない、私はそのように考えておるわけなんです。その見通しはあるのですか。例えば昭和六十三年度、今年度一生懸命に両省が調整を図って、改良区の人たちの同意も得、そして二百十万名古屋市民のためにこの木曽川導水事業をやっていく、こういう決意というか確信というか、昭和六十四年度から着手できるようなそういった決意を持って取り組んでいくのかどうか、ひとつ両省から一遍聞かしてもらいたい。
  86. 山内彪

    ○山内説明員 先ほどもお答えいたしましたとおり、私どもはこの事業の重要性は極めて高いと思っております。今申し上げましたようにいろいろな各種の要望がございまして、入り組んでおります。その辺を一つずつ解きほぐしていくことによって調整ができるものと思っております。そういうことで最大限の努力をして早期に着手したいというふうに思っております。(柴田(弘)委員「六十四年度を目途に頑張るかね」と呼ぶ)常にそういう気持ちでやっております。
  87. 東諄

    ○東説明員 先ほども御答弁申し上げましたように、建設省と同様、私どもも鋭意調整、協議を進めてまいりたいと存じております。(柴田(弘)委員「六十四年度」と呼ぶ)努力をいたしますけれども協議、調整の問題でございますので、気持ちはそのつもりでございますが……。
  88. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 その気持ちというか決意で、今建設省が言いましたように六十四年度から工事が着手できるように鋭意調整を進めるかどうか、もう一遍はっきりと答弁をしてください。
  89. 東諄

    ○東説明員 御指摘のとおり、鋭意調整、協議を進めてまいりたいと存じます。
  90. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 では、鋭意調整して六十四年度に事業に着手できるように、二百十万市民を代表いたしまして心から御要望申し上げておきますから、よろしくお願いいたします。  その次に自治省お尋ねしてまいりますので、財政局長さんにお願いいたしますが、今の導水事業は建設省の直轄事業であります。これが本格化した場合に地元の愛知県は極めて多額な負担を必要とするものでありますが、この地方団体の経費についての財源措置、やはり直轄事業に対する県の負担金というのは交付税あるいは地方債によって措置されるべきものであると私は考えるのでありますが、いかがですか。
  91. 津田正

    ○津田政府委員 国直轄事業でございますので、その県負担金につきましては交付税の基準財政需要額、そして地方債により措置される、このように考えております。
  92. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 この問題について大臣に最後にお願いいたします。  いろいろと今聞いてまいりましたが、この名古屋市域を流れる堀川については、河川浄化及び周辺の商業地区の再開発等総合的な整備が進められております。これは今私が説明いたしました。これらに関連して行われる民間の再開発組合の行う市街地再開発事業あるいは都市小河川改修事業、流況調整河川事業についての地方団体への財源措置及び地方団体の財政を所管する自治省の今後の対応、今財政局長からるる御説明をいただきましたが、自治大臣としての決意をお尋ねしたいわけであります。  その前に、先日もパンフレットを渡しましたが、これは名古屋市がつくりましたパンフレットでありますが、きょうは一部差し上げますので、御参考にしていただきまして、ひとつ前向きの御答弁をお願いいたします。
  93. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 御指摘の各事業の地方財政措置といたしましては、今局長からも御答弁をいたしましたように、交付税や地方債により所要の財源措置を講じているところでございますが、自治省といたしましても、今後の財源措置についても地元の県や市からよく事情を聞き、当該公共団体が財政運営上支障を来すことのないように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  94. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 その決意やまことによしと私は心から感謝をいたします。  どうかひとつ、建設省、農水省、先ほどはくどいように申しましたが、何とか六十三年度中には調整をし、そして基本計画を建設省が作成して、六十四年度から実施をできるように、私はくどいようですがくれぐれも要望してまいりたいと思いますし、また自治省においても、先ほど来答弁がありましたような地方債あるいはまた交付税の交付等によっての財源措置を万全にしていただきますことをお願いいたしまして、時間がまだあと五分ございますが、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
  95. 松本十郎

  96. 加藤万吉

    加藤(万)委員 昨日、大蔵大臣と自治大臣にそれぞれ御質問をさせていただきました。  大臣、けさの新聞をお読みになったでしょう。多分秘書官の方からきのうのやりとりについての記事が届けられてお読みになったと思うのですが、大蔵大臣と自治大臣とにずれ、こう書いてありました。さらに、大蔵大臣補助金の削減については継続という見出しでございました。言葉のニュアンスはいろいろあるのでしょうが、大蔵大臣と自治大臣との答弁にずれというのはどうも私は納得がいきません。確かに自治大臣補助金の率の引き下げに対して相当強い決意で意見を表明されたことはそれなりに私は評価をいたしますが、さて、これから概算要求をめぐりまして大蔵省と自治省との間でやりとりをするわけであります。したがって、大臣の決意は決意としてお伺いはしますが、現実にそれでは大蔵省と折衝するその態度といいますかあるいは具体的な削減問題をめぐる大臣の意思、概算要求なりで大蔵省と具体的に折衝するそういう一歩進んだ大臣の決意、あるいはこれは財政局長がその任に当たるのでしょうか、当然主計局との間でこれから具体的な詰めが起きてくると思うのです。御意見の表明は私ども聞いているのです。問題はそれから一歩突っ込んで、さてそれではこの概算要求に至る段階でどういう決意、これは大臣にお聞きしますが、具体的な折衝については財政局長がどういう道筋を通して大臣の意思あるいは私ども委員会の意思を予算として六十四年度に実現されていくということになるのか、お聞きしたいと思う。     〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
  97. 津田正

    ○津田政府委員 この問題につきましては、現在の措置は六十三年度までの暫定措置、こういうことが基本的な原則でございます。そういうような前提に立って今後、六十四年度以降どのようにするか、この検討あるいは協議の方式等についてはさまざまなやり方があるわけでございまして、先ほど来大蔵省が答弁しておるように、まだ具体的にどういう格好でやるかということの話がないわけでございます。  ただ、いずれにしましても、この問題は六十年度あるいは六十一年度との事情の相違というようなことをよく確かめなければならないわけでございまして、したがって六十四年度以降の国の財政の見通しがどうなのかというようなこと、そして税制改革の、まあ中身自体は絡まないわけでございますが、抜本的税制改革というものがなされた場合の国の財政事情の変化、ここいらの見通しというものも得なければならないのではないか。  また、投資的経費関係におきましても、いわゆる内需振興のためということで事業量の拡大をしたわけでございますが、現在あるいは今後予想されます経済事情の中で財政の果たすべき役割がどの程度のものか、そして当時、六十年度あるいは六十一年度になかったNTT資金の活用というものの範囲をこの内需振興のためにどの程度使うのか、そういうような点につきまして、もちろん最終的な見通しというのはなかなか難しいわけでしょうが、大方の見通しを大蔵省から聞かなければならないのではないか、かように考えておる次第でございます。  その上で個々の補助金の性格、取り扱い、国と地方との役割、こういうような観点の詰めを行っていくべきもの、このように考えておる次第でございますが、いずれにしましても、具体的には今後大蔵省から何らかの話し合いがあるのではないか、かように考えております。
  98. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣の意見は後でお聞きしますが、主計局、今前段でもやりとりがありましたし、きのうの私と大蔵大臣のやりとり、お話を聞いておられると思うのです。  さて、具体的な詰めということになりますと、これは率直にいって、お互いの各省間の事務レベルでの相当の突っ込みがなされていかなければならぬ。調整し、検討しますという答えだけではどうも不満足です。今財政局長は減税問題と言いましたけれども、減税問題をやるのは恐らく七月、漏れ承る報道では七月臨時国会、こういうことですから、概算要求の段階では間に合いませんね。七月の末、きのう大蔵大臣がそう言っておったのですから。そうしますと、その過程で大蔵省側としては当然、今言った補助金の削減問題を含め、地方財政の財源不足額を含めて、どうするかという話題が少なくとも官僚間では話し合いが出てこなくちゃいかぬわけですね。大蔵省の主計局としては、その時期における自治省側へのアプローチといいましょうか、それは一体いつごろで、さらにその内容についてはどういう内容になってくるのですか。
  99. 水谷英明

    ○水谷説明員 お答えいたします。  補助金等に係る六十三年度までの暫定措置というものの期間終了後における扱いというのは、先生昨日から御指摘のように極めて重要な問題でございますので、関係者も多く、また検討すべき問題も非常に多いと思っております。そういうことでございますので、実はまだこれから六十四年度予算のシーリング問題、シーリング問題というのはすなわち六十四年度以降の財政運営につながっていく問題でございますので、こういうシーリング問題、あるいは今後の景気情勢の変化をどう見るかということ、また補助金に直接関係することといたしましては、国、地方の役割分担あるいは財源配分のあり方といったこともございますし、また間接的ではございますが、現在検討が進められております税制改革の推移といったようなことを鋭意検討して、できるだけ速やかに関係省庁と御相談をしてまいりたいということでございます。
  100. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ガードが大変かたいですから、これ以上やりとりしても時間のむだです。  そこで自治大臣、いろいろ要素はあるでしょう。しかし、私は法律の建前を申し上げるわけじゃございませんが、交付税法六条の三の二項、これはきちっとこの際位置づけるべきだ。財源不足額が三年以上続く、しかも大臣は佐藤議員の質問に対して予算委員会で、今年度でもうなくなるから、六十四年度の財源不足額はもしなくなれば出ないのですから、その相談あるいは答弁はできませんというお話でした。それはそれで決意としてよろしいでしょう。しかし、きのうのやりとりをお聞きになっておってもわかると思いますが、六十四年度、大蔵大臣補助金のカット分は必ずしももとに復するとは言っておりませんね。中身の若干の点については考慮する余地があるような話はありましたけれども、しかしどう見ても、答弁のやりとりから見ても財源不足額が六十四年度出ることが想定されるわけです。こうなりますと、原則に戻るという話は、さらに詰めていけばやはり交付税法六条の三の二項に戻る。戻るとすれば、これは制度の改正をするかあるいは交付税率の改正をするか、いずれかを選択をしなければならぬことになるわけですね。したがって、前段として行われるのは、大蔵省と自治省との省間の折衝、これは事務レベルに任せましょう。さらに、その事務レベルの問題を政治的にまとめていくという視点は、一体大臣はどういう御決意をお持ちですか。  さらに、きのう暫定加算額の問題についているいるやりとりをいたしました。今も御質問がありましたが、これは覚書条項。そして、覚書条項は極めて不鮮明であります。いわゆるこの暫定加算額が必ずしも六十六年度以降に加算されるかどうかという問題については極めて、言語は明瞭ですけれどもまさに意味不明、回答としてはゼロなのか一〇〇なのかわからないという回答であります。したがって、暫定加算額の問題も含めて、六十四年度の予算編成は大臣は大変厳しい条件を迫られるし、また厳しい態度で臨まなければいかぬような気がするのですね。これは国民年金の厚生大臣とのやりとり以上ですよ、借り貸しの問題じゃないですから。大臣、ひとつ御決意をお聞きしたいと思うのです。
  101. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 御指摘のように、大変重要な問題でございます。ただ、昨日もお答えを申し上げましたように、国と地方の約束事でございます。ですから、これはあくまでも緊急避難的な状況もとでなされた取り決めでございますから、その期限が終わればもとに戻ることは当然でございますし、けさの新聞を拝見をいたしまして、「蔵相は継続の意向」というふうに書いておりますが、私はそんなふうに実は聞いてはおりません。あるいは私の欲目もあるかもしれませんけれども、この問題について何もかも終わったから三年前の昔に返してあげますよ、そういう意向で大蔵大臣が話をしたというふうにはもちろん理解をいたしませんけれども、少なくとも新しい六十四年の状況を今の補助制度のあり方やそれぞれの事業の性格論あるいは権限論、責任論、そういうものを踏まえて早急に話をしなければならないという意向が十分にあるというふうにきのうお聞きをしたわけでありますので、新しい見直しを行って、その結果どうなるかという問題については、今委員指摘のとおり六条の三の二項に該当するような状況にまでまた下がるのかどうなのかという問題はあろうかと思いますが、少なくともそういう暫定措置が取りやめられて新しい体制を見直すということに当然ならなければ国の責任も果たせませんし、お互いに不信感で交渉というかこういうものが決裂すればどうなるのか、私には中身はわかりませんけれども、そういう感じだと思います。  また、六十四年の予算編成に六十六年度以降の暫定加算額の問題、まさに玉虫色でございますが、それは私は六十六年に限りなく近い時期においてそれぞれ国や地方の財政事情がどうであろうか、こういうものも見定めながら要求すべきものを要求をし、あるいは国と地方の車の両輪論に立ってどうお互いの責任を分担し合うか、こういう問題が後々起きようかと思いますが、もちろんそれを六十四年度の予算案編成には、概算要求には横目でにらみながら当然やらなければなりませんけれども、そういうふうに六十四年度の問題にこれが截然と割り切れるというふうに考えてはおりません。いずれにいたしましても、私も言葉が勇み足で、この問題は安易に原則もとに戻るべきだという状況にあるとは本当のところを言うと思いません。ですから、私はみずからのあるいは自治省の身を縛るために原則もとに戻るべきだという発言を、いまだかつて自治省側の答弁要旨にはそう書いてなかったのです。しかし、責任を果たすというのは、自治省自治省単独でできることではない。三千三百の地方自治団体に対する責任でございますから、私は文言どおりに読み、正しく理解をし、正しく主張をしなければ国の政治が曲がってしまう、そういう決意で、多くを申し上げませんが、これからも重大な決意でこの問題には臨んでまいりたいと考えております。
  102. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵省の方も聞いていらっしゃるわけですから、ぜひその実現を大蔵省側でもサポートするといいましょうか、あるいは意向を酌み入れて、当委員会での皆さんの発言の七割方はこの問題にあったと私は理解をしております。それだけやはり心配をしているのです。  それから暫定加算の問題は、大臣昭和六十五年度における国の財政というのは大変な時期に来ると私は見ているのです。これは、当委員会関係でいえば、交付税特別会計の地方団体、国からの借入金の返済が起きる時期、しかも国鉄共済なども昭和六十六年度でしょう。私は大蔵委員会の話をちょっとまた聞きしたのですが、昭和六十六年度になりますと、郵貯の金、いわゆる高利の金が大体三十五兆円ぐらい返還をされる時期なんだそうです。そうなりますとこの金がどこへ行くのか。今の低利回りでは郵貯に戻ってこないだろう。こうなってまいりますと財政投融資資金が欠乏するという問題が起きる。きのう私は宮澤大臣には申し上げましたが、大蔵省はたくさん証文を書かれておるわけです。この証文が六十五年度ないしは六十六年度を時期にして出されているわけです。そうなりますと、その中に暫定加算額をどうするかという話は埋没するのです。ですから暫定加算額については、先ほどの質問にもありましたように、本来法定加算にきちっと法制化しておく、このことが必要だと私は思うのです。しかし、今のところは覚書で来ているわけですから、この覚書が、今言いました六十五年度、六十六年度に至る我が国の、特に国の貸借関係の清算時期、あるいはまたそういう日本の経済の切れ目の時期に来ますから、それだけにそこに埋没される危険性を強く感ずるわけです。  ぜひこれは財政局長、今大臣の答弁では、その時期において暫定加算額についても当然のこと、こういうお話ですけれども、今言ったような情勢をよく見きわめておきませんと、暫定加算については、地方の財政が少し豊かになったのではないか、少し好転している状況ではないかということで、いわゆるきのう私は、言葉としては余りよくなかったと思うのですが、やらずぶったくりの話になってしまう。この辺は十分ひとつ考えて六十五年度以降の考え方を確立していただきたい、こう思っておるのです。  ついででございますが、七十年度に、後で御質問申し上げます国民年金の、いわゆる年金の一元化の問題が実は出てくるわけです。これも、年金一元化の問題なども展望いたしますと、どうも七十年度における年金一元化よりもう少し前倒しをしてやるべきではないかという意見が私どもに実はあるのです。なぜかといいますと、それまでの間の日本の、特に政府が貸借関係を起こしている状況、経済状況などを見ますると、それまでの時期に年金の一元化が待てるのだろうか、むしろもっと早目に前倒しをして年金一元化の状況をとらなければ、国鉄年金がパンクをする、たばこ年金がパンクをする、地方公務員年金がパンクをする。さてそれで、ばんそうこうを張ったような形であっちからこっちからと金を集めて年金の始末をするわけにいかぬだろう。とすれば、六十五年度から六十六年度に至る時期にどうすべきかという、日本の経済構造に戦略的な構想を持つべきだなどということが私どもの中では議論されているわけです。  こういうことなどを見てまいりますと、まさにこの暫定加算額という問題は、大蔵省にとってみれば、これ自身だけを追求するという経済情勢、財政情勢ではない。それだけに、そこの部分を自治省がよほど頑張って踏ん張ってもらわないと、暫定加算額そのものが地方に対する背信行為になってしまう、こう思いますから、きのうのやりとりに引き続いての質問で恐縮ですけれども、ぜひこれは財政局長あるいは大臣の方は心得て対処していただきたい、こう思います。     〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 津田正

    ○津田政府委員 先生指摘のとおり、国の財政事情は六十五年特例公債脱却、こういうようなことで、恐らく地方財政関係のみならず各種やりくりをしておると思います。そういう意味におきまして、国の財政事情、決して楽観視できる状況ではない。また、その影響というものが各般の、地方財政も含めまして影響することは十分注意してまいらなければならないと思います。  そして暫定加算の問題でございますが、これは先生予算委員会等でも御指摘あったように、経常経費の影響額について、本来一般財源として措置すべきところを、たばこ消費税等で若干の措置はできましたが、調整債という起債措置によらざるを得ない、こういうような格好なわけでございます。私ども当初の主張につきましては、少なくとも交付団体は全額について調整債を使うこともやむを得ないとしても、後年度の負担については国の責任を持つべきだというような折衝を重ねてまいって、そのぎりぎりの結論が先ほど来議論がございますように、二分の一は法定加算、残りは暫定加算ということでぎりぎり折り合っておるような状況でございます。  私ども、基本的にそのような経常経費補助率カットという性格論も踏まえ、また六十五年度以降の国の財政事情、いろいろな難しい点もあるわけでございますが、地方団体に所期の財源措置ができるよう努力してまいるつもりでございます。
  104. 加藤万吉

    加藤(万)委員 少しおさらいになりますが、財源不足額という問題について、実は今度の委員会で私の先輩細谷先生を初め安田議員それから中沢議員がそれぞれいろいろな角度で質問させていただきました。  昭和五十六年度の基準財政収入額、県、市町村分でありますが、これは十三兆二千四百二十九億円、昭和六十二年度、昨年度が十九兆四百十四億円、伸び率は五四・五%でございました。需要額は同年度を見ますと、五十六年度が二十一兆八百六十五億円、六十二年度が二十七兆五千五百五十一億円、三四・二%なんですね。いわゆる基準財政収入額と需要額との差が二〇%近くあるわけです。同じように一般財源で見てまいりますと、五十六年度が二十六兆四千八百八十一億円、六十二年度が三十五兆九千八百九十六億円、三五・九%です。基準財政収入額なり一般財源がふえたからそれらが即需要額としてパラレルになるというふうには思いませんが、しかし、これはちょっとひど過ぎるのではないですか。というのは、基準財政需要額を相当抑え込んでいるという結果ではないでしょうか。  その例として、せんだって細谷議員の方からは、単位費用が上がっているにもかかわらずその支出額は前年度よりも低い。あるいは中沢議員からは清掃車の問題を取り上げまして、厚生省の一台当たりの乗車人員が三人にもかかわらず二・六人に抑えている。あるいは安田議員からは、開発公社の問題をひっくるめて、他に出向している職員を百七十万人という都道府県基準単位で抑え込んでいく、ないしはその中に包含される、これは他の事業として拡大しているにもかかわらず職員数が全体として伸びないのではないか、そういう面で需要額としての算入が足らないのではないか。こういうお話等々がございました。  どうなんですか。標準行政とは一体何か、この際見直すべき時期に来ているのではないか、私はこう思うのです。なぜかといえば、これから起きる状況としては、まず職員給与費の面でいきますと週休二日制が今度出てまいりますね。勤務時間の変更が出てまいりますね。それから消防職員などの拡大問題が出てまいります。すなわち標準行政とは何か、同時にまた行政水準というものをこの際相当シビアに、しかも新しい視点で検討を加える必要が出てきているんではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  105. 津田正

    ○津田政府委員 交付税の基準財政需要額のもとになります標準行政費あるいは標準行政水準の考え方でございますが、私ども従来から具体的な積算に当たりましては国の予算と整合性を持った地方財政計画を踏まえ、また地方団体におきます決算等の実情あるいは新しい施策の動向、展開、そのほか各省が定めております基準、そういうようなものを参考にしておるわけでございます。もちろん今後におきましても社会情勢の変化、また住民要望というものの実態を踏まえてこの標準行政水準というものにつきまして十分検討し、それによりまして的確な交付税算定を行いたい、かように考えております。
  106. 加藤万吉

    加藤(万)委員 議論にもありましたように、交付税の措置がやや恣意的と言っては失礼かもしれませんが、そういう算定の方向というものが非常に強められているような感じがしてならぬのですよ。言うまでもありませんけれども交付税というのは何といっても一般財源、しかもおっしゃいましたように標準行政なりそれぞれの行政水準を維持する、その前提の上で単位費用なり積算をされてくるわけですから、そういう面から見て交付税そのものが一般財源として、ないしは地方と国との中立性を阻害するような条件をつくってはならないと思うのですね。同時に交付措置のいかんによっては、恣意的にその事業なりあるいはその行政が中央に集権化されるという状況をつくり出してはいけないと私は思っているのです。最近そういうことが、例えばラスパイレスの問題一つをとってみましてもありますし、先ほどの清掃車の問題、これは下水道事業が一方で拡大したからという意見もありましょうけれども、しかし厚生省が言っているように、三人乗車しなければならないものを二・五人ないしは二・六人で計算するということ自身も、単に下水道が普及したからというだけではない要素というものが恣意的に組まれていく、どうもこういうものもあるような気がしてなりません。  一つ一つを申し上げれば時間がとてもありませんから言いませんが、したがって私は財源不足額、六十三年度の地方財政計画にも見られますように補助金のカットがなければ財源不足額はプラス・マイナス・ゼロですということへの疑問を最近だんだん強めているわけです。財政需要額に対する自治省側の抑え込みがどうも少しきつ過ぎるのではないか、こんな気がしてなりません。  したがって、交付税に対する総括的な意見になってしまうわけですが、中立性、そして恣意的な判断をぜひ排除してほしい、そして地方団体がそれなりに行政水準が保たれる、その財政需要額をはじき出した結果として一体財源のつじつまが合うのか、もし合わなければこれは財源不足額として出してくる、こういう形を六十四年度の編成に当たってはぜひとってもらいたい、強くそういう指導をしていただきたい、こう思いますが、財政局長いかがでしょうか。
  107. 津田正

    ○津田政府委員 地方交付税の算定の性格は、一つは国の予算等との整合性というものを考えながら、一方地方団体の自主性、自立性が発揮できるような財源付与でなければならないと思うわけでございます。そういう意味におきまして、現在の厳しい財政事情の中でございますので、地方財政におきましても節度ある財政運営をやらなければならない、あるいは効率的、重点的な事業の推進、こういうような格好でやらなければならないわけでございますが、反面におきまして、先ほど申しましたように地方団体が自主的創意工夫によって事業ができるよう、また行政水準等につきましていろいろな面で工夫ができるような仕組みというものを考えていかなければならない、かように考えておるわけでございます。  個別的な清掃等の問題、もし時間があればまた審議官から答弁していただきますが、基本的な考え方として私はそのように考えて今後も基準財政需要額の算定等に当たりたい、かように考えております。
  108. 加藤万吉

    加藤(万)委員 各都道府県あるいは市町村の財政能力といいましょうか、大変格差が出てきましたね。私はこの前は地方税問題の際に、東京都の財政力指数と各都道府県との財政力指数、したがって分割基準ども見直せという話をしたわけです。ところが事業計画を見ますと、公共にいたしましても単独にいたしましても相当拡大をいたしていますから、それに伴って公債費負担が非常に強くしかも格差を設けて各市町村に出てきています。一五%以上の市町村やあるいは二〇%以上、いわゆる危険信号と言われる負担比率のところも相当数多く見えてくるようになりましたね。したがって、公債費の負担に対する地方交付税の措置を事業計画ごとにもっと強化される必要があるのではなかろうか、なかんずく補助率の極めて低い直轄ないしは補助事業、そういうものに対する公債費が地方団体によっては非常に拡大をしている、この負担の格差を軽減する、縮小するという意味でも交付税に対する措置をこの際そういう面から再検討される必要があるのではなかろうか、私はこう思うのですが、いかがでしょうか。
  109. 津田正

    ○津田政府委員 まず前段の交付団体、不交付団体間の財政力格差というものは、東京を中心としましてかなり大きなものになっておることは事実でございます。ただ、その不交付団体におきましても決して財源が余っているということではございませんで、用地費等の問題もございますし、地方団体全体の立場といたしましても、不交付団体がそのような財源を使ってパイロット的な事業をやって、それが広く地方団体に展開する、こういう先導的意義というものを不交付団体にも担っていただかなければならない。もちろん乱費だとかいうようなことは避けるべきでございますが、そういうようなことで不交付団体の財源も使っていただきたい、かように考えております。  それから、特に交付団体の中におきましてもまた格差が出ておるわけでございまして、その基本的に大きなものは、特に小さい市町村におきます公債費負担等の問題でございます。もともと地方税源というのがなくて地方交付税に頼らざるを得ない、その地方交付税も残念ながら総額におきましてはかなり限られて地方債の活用をしなければならない、こういうような事態を昭和五十年度以来続けておるわけでございまして、公債費負担は相当なものになっておるわけでございます。私どもとしましては、個々の団体におきまして将来の財政負担を考えた効率的な財政運営というものをお願いすると同時に、現在ある公債費負担の軽減のため計画的な軽減方策というものをお考えいただきたい、それに対しまして私どもは重点的にいわゆる元利償還がつくような地方債の配分であるとか特別交付税の配分、こういうようなもので個別的な対応もしてまいらなければならない、かように考えております。
  110. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そのとおりだと思うのです。きょうは時間がありませんから個別的にこの事業債あるいはこの償還計画、額についてはという問題は申し上げませんが、今言ったように財政力格差がもっと厳しくなりますと、やはり単独事業の計画と決算との乖離がどうしても生まれてまいります。何回か私は御指摘申し上げましたが、普通、通常ですと七五%くらいですが、今年度はNTTの株の売却益をどう事業計画に繰り込むのか、あるいはふるさとづくりの事業計画をどう取り込んでいくのかなどなど考えてまいりますと、当初求めておった十兆円以上の地方単独事業がなかなか執行困難になってくる。しかもそれらが交付措置がないということになりますと、これは地方自治体としてはもう事業執行ができない、計画の遂行ができない、こういう大変なことになるわけです。個別のことは言いませんが、ぜひ今おっしゃられた角度で地方団体個別の検討をしていただきたいと思うのです。  おっしゃいますように、不交付団体はそれなりの財政力があるから不交付になっているわけですが、これとても財政需要額をどう積算をされたかというところに問題があると私は思うのです。例えば、先ほどの数字ではございませんが、昭和五十六年に不交付団体は七十九団体でしたが、昭和六十二年度には百七十一団体ですよ。なぜこんなにふえたのだろうか。それはやはり財政需要額を一方で抑え込んできたのではなかろうか。給与費などはその典型的な例でございましょうけれども、それにしても七十九団体が百七十一にもふえるということ自体が不自然さをどうしても覚えますね。したがって、財政需要額、さらに交付団体の中における財政力格差、そういうものを交付税の算定の中における償還の条件として個別にしっかりと見ていただく、このことを強く要望しておきたいと思うのです。  今まで我が党の議員が個別問題として提起をしたことをややおさらい的に総括的に私の意見として申し上げましたので、六十四年度の財政計画の立案に当たっては、十分な配慮を強く求めていきたいと思います。  次に、特交についてひとつ御質問をしたいと思うのです。特別交付税は、今年度は交付税が全体で十兆円を超えましたから、それの六%ですから六千億ですね。特別交付税は、いわゆる特別事業や災害その他含めてそういうものに対応するものとして配賦をするわけでありますが、六十二年度の配賦の状況などはどうなっていますか。大筋でいいですよ。
  111. 遠藤安彦

    遠藤説明員 お答えを申し上げます。  六十二年度の特別交付税につきましては、十二月交付分と三月交付分があるわけでございますが、総額六千三百四十億円につきまして十二月に千二百九十九億、三月に五千四十一億を交付いたしたところでございます。  なお、十二月、三月分のトータルで申し上げますと、道府県分と市町村分の配分額は、道府県分が千二百六十二億、市町村分が五千七十八億、合計六千三百四十億円、このような状況になっております。
  112. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣は県会議員をやっていらっしゃいましたから御存じのとおりですが、特別交付税はややつかみ金的要素が率直に言ってあるのですね。実は、私は前に特別交付税の配分について表をお示ししまして、なぜここでこんなに多くなったのですか。例えば新潟県の場合には大変多かったのです。神奈川県なんかは少ないのですね。これはやはり田中角榮さんがいらっしゃって、片方は長洲知事ですから、こんな質問をやりとりしたことがあるのです。これは一つの例でございますけれども、そういう意味ではどうも特別交付税の性格そのものが、つかみ金的要素が非常に強いですね。どうなんですか、最近、病院関係とか、例えば伝染病が起きたとかいう場合に特別交付税の対象になっておりますか。
  113. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 御指摘の公立病院の運営費でございますとかあるいは流行病と申しますか、伝染病などが発生した場合の特別の財政需要につきましては特別交付税で算入をしておるわけでございます。現在もやっております。
  114. 加藤万吉

    加藤(万)委員 例えばエイズ対策なんかをやっておられますと、愛媛県、兵庫県、これは特別交付税で措置していますね。ところが、従来特別交付税で処理すべきそういう衛生関係あるいは病院関係といいましょうか、こういうものは一般会計にだんだんと追い出しているのじゃないですか。特別交付税と基準財政需要額との交通整理をされる必要がこの際あるのではなかろうか、こう私は思うのですが、これはいかがでしょうか。
  115. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 普通交付税の基準財政需要額に算入するものは、できるだけ全国普遍的にある行政を算入するということを主たる目的にしているわけでございます。そのような関係で、当初は一部の自治体でしか行政が行われていなかったものがだんだんと普遍化するということによりまして、特別交付税で当初は措置していたものを普遍化したことに伴いまして普通交付税の方に移していくということは毎年やっているわけでございます。特にルール化できるものにつきましては普通交付税で算入する方がむしろわかりやすいというような御意見もありますものですから、普遍的な行政で、しかも算入についてルール化できるようなものは普通交付税の方に移していくということを、毎年度見直しながらやっているわけでございます。
  116. 加藤万吉

    加藤(万)委員 本当は後で質問しようと思ったのですが、特別交付税に関連しますから申し上げておきますが、今度国保の財政に対して交付税で加算いたしますね。大臣、これなどはどうも交付税で見るというのはおかしいと私は見ているのですよ。あれは二年間の暫定措置でしょう。暫定措置をなぜ交付税で見ているのですか。私は、国保の今度の制度改正に伴う財源を、一般会計に入るべき交付税で見るというのはどうも合点がいかないのです。暫定なら暫定で特別交付税で加算するという方法もあるんじゃないですか。原則的に言えば、本来これは国が負担すべきものですから、交付税で見るなんということ自身がおかしいと思うのです。これは二年間の暫定的な措置ならば暫定措置として、まさに特別交付税で見るべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
  117. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 国民健康保険の本来的な姿では、御案内のとおり保険料と国庫負担によって運営が賄われるべきでございますけれども、今回の見直しによりまして、六十三年度、六十四年度につきましては都道府県、市町村の普通会計が国保の安定化のための条件整備に協力するということで、一部地方負担をすることにしたわけでございます。その結果、六十三年度、六十四年度におきましては、暫定措置とはいえ、全国の都道府県、市町村がこの見直しによりまして経費を負担することになるわけでございますので、これはその年度だけの行政としては普遍的なものでございますので、むしろ普通交付税で算入するという方が望ましいのではないかということで、普通交付税で算入することにしたものでございます。
  118. 加藤万吉

    加藤(万)委員 市町村が一般会計から国保会計に繰り出しているお金がありますね。これは今までどういう措置をされておったのですか。
  119. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 従来市町村が国保会計に財政援助的に支出をしているものは、制度的なものというより、むしろそれぞれの市町村の事情によりまして自主的に補助をしていたものでございますので、これは具体的な財源措置はいたしておりません。
  120. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうでしょう。一般会計から国保会計に繰り出している金は何ら財源的な措置がないわけですね。今度この制度の改正があった、したがって交付税を加算をして一般会計に繰り込んで、それを今度は特別会計に入れる、こういう措置ですよね。交付税の運用の乱用という言葉がいいかどうかわかりませんか、どう見てもこれはおかしいですよ。  私は、本来暫定的なものであれば暫定的なものとして、例えば特別交付税で加算をするという制度なら、それなりにまだ了承できますよ。しかし、六十三年度は確かに普遍的な財源だ、こうおっしゃいますけれども、六十五年度になったらやるのですか。わからぬでしょう、制度がどうなるか。そんなものをいわゆる一般財源と言われる交付税に加算されるというのは筋としておかしいじゃないですか、どう見たって。  ついでに、話がそこまでいきましたから厚生省にちょっとお聞きをしますが、これは、国保会計に地方団体が四分の一、国が二分の一、それぞれつぎ込んでやる安定制度がございますね。この安定制度に伴いまして、その財源を将来はどう見られるのですか。あるいは、それは六十三年度、六十四年度の措置です、けれども六十五年度以降はこれから別の面で考えるのです、こういう意見ですか。これは厚生省に聞きましょう。
  121. 加納正弘

    ○加納説明員 将来の問題につきましては、今回の措置は二年間の暫定措置ということになっておりますので、二年後に見直しを行いまして、その時点で所要の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  122. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度の改正で、高額医療費の市町村における運営の安定化のための改革案がございますね。これは六十三年度の実績を六十四年度に積み上げて六十五年度に実施をする、いわゆる財政負担を伴って各県、市町村が負担をする、この制度は六十三年度、六十四年度の暫定措置ですか。
  123. 加納正弘

    ○加納説明員 御指摘の高医療費市町村におきます安定化措置につきましては、恒久措置という考え方でございます。
  124. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、このやりとりをお聞きになったらおわかりだと思うのですが、制度として、保険料の低額所得者の分を市町村と都道府県と国がお金を持ち寄って新しい保険基盤安定制度をつくる。市町村が持ち寄り、都道府県が持ち寄り、国がお金を出してやるというのは六十三年度、四年度の暫定措置なんですよ。  しかし、今言いました各団体が持ち寄って新しい制度をつくるといういま一つ制度である高額医療に対する負担制度は、これは恒久措置なんですよ。私は、交付税で措置をしました五百五十億が、これは全部にかかわる問題ですから、それだけとは言いませんよ。しかし少なくともそこにおける都道府県の負担額が相当多くなる。結果として交付税で措置をする。措置をしますけれども、後段述べました新しい高額医療制度は恒久的な措置なんだ。このときも交付税の問題は出ますよ。逆に言うならば、六十三年度、六十四年度は交付税で措置はするけれども、六十五年度以降はその段階で考えますということは、一方における高額医療市町村の運営安定化の制度と同じように、都道府県の持ち寄り分は一般会計で将来は始末をしていく、こういう方向になるんじゃないですか。そういう疑いを持ちますよ、この制度は。  したがって、もしも暫定的にやるならば、交付税加算は特別交付税で加算額を決めて加算をして、措置をされて、さらに今言ったように都道府県、市町村を含めての持ち出しによる新しい制度をつくるという問題は、別個の問題として、高額医療の負担の問題、あるいは高医療費の標準以上のものに対する負担額の確定の問題、これは別途の問題として話をされるべきではなかったかと思うのです。財政局長、どうですか。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕
  125. 津田正

    ○津田政府委員 ちょっと問題を整理させていただきますと、今回の二年間の暫定措置は、いわゆる低所得者の保険料が難しいための保険基盤安定事業、これも二年間。それから小さな市町村が集まって国保経営をやっておるわけですが、非常に高額な医療費が一時的に出る、これのいわば保険のための高額医療費共同事業、これを二年間にしておるわけでございます。それからもう一つ地域差調整システムと言われる医療費に非常に地域的に格差があるというような問題。そして基本的には医療費の増高というのがとめどなく続きますと保険自体が成り立たない、これをどうするかというような地域差医療調整システムの問題がございます。これは恒久措置にしておるわけでございます。  そこで、この二つをどのようにして分けたかということでございますが、この地域差調整システムは、現実の問題は、先生も御指摘のように六十三年度、六十四年度医療費の適正化というものを種々工夫した上、その結論を見てやるわけでございますので、これはもともと財政問題としては六十五年以降の問題、こういうようにまず財政面でも基本的に違います。  それから考え方といたしまして、この医療費の地域差調整システムというものは、許容範囲を超える著しく高い医療費の一定部分というものについて国、都道府県、市町村、また保険も負担もするわけでございますが、新たなそういう制度を設けたわけでございます。その趣旨自体は、適正化というものに的確に取り組めばそのような事態が起こらない。むしろそういう新しい財政負担の問題が起こらないことが本道でございまして、そのためには都道府県、市町村のみならず国におきましても適切な指針等を出してもらう。また国民健康保険だけの問題ではございませんので、政管健保等におきます医療費水準というものについての見直し、適正化というものもやっていただくわけでございます。  この制度そのものはああいうような財政負担の仕組みができておりますが、実際問題としてはこの制度の対象となるのは極めて少数かつ少額になると考えられますし、財政措置の問題といたしますと、いわば正直にまじめに適正化努力したものはそういう問題が起こらない。そこいらが、やれるにもかかわらず手を抜いたと言うとちょっと言い方が悪いわけでございますが、やらないようなところは財政負担をするということでございますと、まじめにやったところとそうでないものとの公平という観点からは、具体的な財源措置をするのもおかしい。いわばこれは行政問題がほとんどでございまして、財政問題というものはレアケース、こういうような考え方でございます。したがいまして、軽減保険料あるいは共同事業とは別の観点で恒久化した、このように御理解をいただきたいと思います。
  126. 加藤万吉

    加藤(万)委員 制度の改正についてそういう視点というのは僕は理解しているつもりなんです。だがしかし、それでもなお標準医療費以上のもの、平均的医療費以上のものが出たら都道府県や市町村が負担をするという制度になっておるわけです。ですから、それは行政上の問題ですといっても、所によっては出る可能性は十分あるわけです。制度がある以上は、それはあるという前提で考えていかなければならぬわけですから。私は制度上の違いはそれぞれ認めます。認めますが、市町村、都道府県が財政負担をするという段階では共通項ではないか。共通項とするならば、この財源をどこで負担をするのか。片方については交付税で当面は措置をしました、しかし片方については、これから六十五年度ですから、これから先ないかもしれません、あるかもしれませんという話ではなくて、制度がある以上は、もし起きた場合には何かの財政措置をしなければならぬのです。市町村の一般財源で出すか、あるいは交付税で、あるいは需要額で見るか、これはいろいろ方法があるでしょう。しかしそれならなおさらのこと、私は、一方の保険基盤安定制度と言われている今度から発足する財源措置は、まさに暫定的なものとして特別交付税で加算されるべきであると思うのです。  本来この議論をするのは少し厚生省寄りの議論でございまして、大臣もいろいろやりとりになったけれども、大体こんなものは市町村であるいは都道府県で負担をさせるのはけしからぬのです。まあ百歩譲っても私はそうすべきだと思う。そうでなければ、この制度ができたために不交付団体はどうなるのですか。不交付団体は金が来ないわけでしょう。交付団体は来ますよ。しかし不交付団体は全然来なくて結局持ち出しですよ、この制度ができた場合。特別交付税でやれば不交付団体もおりるわけです。国保の特別会計に対する負担措置というものが、制度の改正によって不交付団体ではなおさらきつくなってくるということになるのです。こんなばかな扱い方はないのではないですか。制度の改正があるならば、その被害と言っては悪いですけれども、特別会計の財政支出は不交付団体であれ交付団体であれ同一にその条件に浴さなければいけないと私は思います。特別交付税ならばその措置がとられる、とる方法がある。にもかかわらず、交付税で加算した結果不交付団体にはこの財源拠出に対しては何らの手当てが講じられていかない。こういう結果になってしまったのでしょう。さらにもっと進めていけば、これは事によるといずれは交付税で見ないで一般財源の方で見なさいよということになるのかな、こんなことまで推測されますよ。  さらに、先ほど出ました六十五年度から実行されるであろう片方の高額医療に対する問題も、やがては一般財源の中でこの面倒を見なさいよ、市町村や都道府県が見なさいよという方向になってくるのか。いわゆる負担転嫁の一つの先鞭をつける、次の布石のために先鞭をつけているという以外には何にもない、そういうように感じられるわけです。したがって、私は特別交付税の中で本来は始末をすべきだと思う。百歩譲ってもそこで始末をすべきだと思うのです。しかし、これは議論でありますから、ひとつ頭の中に入れておいていただきたいと思います。  いま一つ大臣、特別交付税の三月交付を、どうでしょうか、もっと先にやられたらどうですか。第一回目十月ですか、それから十二月第二次分。なぜかというと、確かに雪害があってその算定ができませんから三月です、これはわかります。しかし市町村にしてみれば、これはもう大臣、議会をおやりになって御経験のとおり、二月から三月で地方議会は終わりですよ。そのときに特交の配分額が決まってくるのですね。そうしますと、市長さんにしてみれば専決処分ですよ。ないしは先に決めたものに対する専決処分をして特交で穴埋めをしていく、こういう措置です。もし十二月になれば、十二月に第二次分なりが決定すれば、年度末の地方議会に間に合います。雪害その他があって三月でなければわかりませんというのならば、これは四月になったって同じことなんです、ことしみたいに四月になって雪が降るときがあるのですから。だとするならば、それは後年度で精算すればよい措置であって、特交の配分額の決定は十二月にすることはできませんか。
  127. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 特別交付税の交付時期をできるだけ早くすれば、地方団体が財政運営をやる上には非常にいいわけでございますが、ただいまも御指摘のとおり、それぞれの財政需要、特殊な財政需要を捕捉していく上で、ある程度の期間が経過しておりませんとその財政需要額が十分捕捉できないというような問題がございます。特に十二月に配分するものにつきましてはできるだけルール化できるもの、ルール分を配分しているわけでございますが、そのルール分を配分するにいたしましても、その基礎数値というものが一定の年限、期間が経過いたしませんと財政需要として確定してこないという問題がございますので、その辺は御理解いただきたいと思うわけでございます。  また、三月に決定するという点につきましても、雪害の問題が一番大きな問題として出てこようかと思います。雪の経費というのはその年で相当の違いがございますので、その違いをできるだけその年に解決をしておくという方がそれぞれの自治体にとってもいいのではないかということで、現在そのようなことをやらせていただいているわけでございます。
  128. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地方議会における予算措置予算の年度末最後の決定をする時期でもありますから、その辺は地方のことも十分考えてやって、いわゆる市長さんが専決処分で措置をするよりも、議会できちっと確認をしながら執行する、そのことがいいわけですから、ぜひ再検討していただいて、地方団体の意に沿うような方向にできる限り近づけていただきたい。ひとつ大臣、ぜひお願いをしておきたいと思います。  それでは最後の質問に入ります。厚生省の方、結構です。  国有提供施設市町村助成交付金と施設等所在市町村調整交付金についてお聞きしますが、いずれも前年同額でありますが、そう確認してよろしゅうございますか。
  129. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 通常、基地交付金及び調整交付金と呼んでおります。いずれも前年どおりでございます。
  130. 加藤万吉

    加藤(万)委員 言うまでもありませんけれども、助成交付金は国有提供施設の固定資産の価格を考慮して交付されているわけですね。それから施設等所在市町村調整交付金は、米軍自身でつくった資産に対する固定資産価格として交付をされているわけですね。今お聞きしますと、前年同額。算定基礎が、時間の関係で私の方から申し上げますが、六十一年三月三十一日、そして五年ごとの資産の見直しで、六十六年三月三十一日に資産の見直しをし、それぞれ助成交付金が変わってくるわけであります。  さてそこで、防衛施設庁をきょうはお呼びをいたしておりますが、防衛施設庁にお聞きをいたしますけれども、私の選挙区でもあります厚木基地、これは綾瀬と大和、座間、これは一部分でありますがあります。この基地内の施設は六十一年度まで、あるいは六十一年度以降今日まで、今言った固定資産にかかわる分野で施設として拡大はしておりますか。
  131. 西田壽快

    西田説明員 お答えいたします。  厚木海軍飛行場、さらにキャンプ座間というところで、今大和、綾瀬というふうな市町村が挙げられましたが、その地域にあります提供施設で、提供施設整備費をもちまして米軍のために建設、提供しているものがございます。
  132. 加藤万吉

    加藤(万)委員 拡大していますか、どうですか。
  133. 西田壽快

    西田説明員 従来よりも新しく追加提供しているものがございます。
  134. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実は、例えばそこにおける米軍住宅の戸数は、昭和六十年度三百二十五戸、それから六十二年度まで三百二十五戸でございます。それからそのほかに米軍自身が支弁して家族住宅をつくっているのは不明と防衛施設庁の方からは資料としていただきました。さらに防衛庁関係、自衛隊関係、これは六十年度が八百五十人で六十一年度が九百人、いわゆる入居隊員数がふえております。ところが、どうなのでしょう、その助成交付金が前年度同額にあるにもかかわらず、これらの基地の市の調整交付金あるいは今言った基地交付金、両方含めて基地交付金、こう呼びますが、減額されているのですね、これはどういう理由ですか。
  135. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 基地交付金及び調整交付金とも総額は前年同額となっているわけでございます。そこで、基地交付金及び調整交付金の基礎となります資産全体の動きということを見ますと、六十二年度で申し上げますと、全体といたしまして配分の基準となります対象資産価格は基地交付金関係で約三%の増加となっております。したがいまして計算上は、全体の額が一定しておりますと、対象資産が三%以上増加していなければ前年度に比べれば必ず減になるという問題があるわけでございますが、これは基地所在市町村の財政状況等にかんがみまして、対象資産が増加している市町村については増加分が三%未満であっても減額をしないということで前年同額とするというようなことをいたしております。したがいまして、もっと増額しなければならないところはそれだけ増額が図られていないというようなことがあるわけでございます。恐らく、今委員が御指摘の点は、この基地交付金固定資産税の代替的性格を基本としながらも、同時に財政補給金としての性格を持っておりまして、これにつきましては、したがいまして特別の財政補給金としての性質上、予算をより効率的に配分をするために財源超過団体に対しましては一定の割合の限度を設けるということが定められております。その関係での減額ということがございます。したがいまして、そうした事情にあるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  136. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政補給金という性格は、それは総体で二〇%のアローアンスを持ちながら調整してもよろしいというふうに法律上はなっていますね。しかし、基本は資産に対する交付金でしょう。それが、その都市が財政力が豊かになったからということでこれで調整するのはおかしいですよ。  私は回ってみまして、大臣大臣のところは余り基地がないからよくおわかりにならないかもしれませんが、地域の条件格差は物すごいですね。例えば藤沢は財政力が豊かですから比較的道路でも何でもよくできておりますが、お隣の座間、座間も交付金をもらっていますが、大和は道路の舗装率、下水道の普及率その他等々含めまして非常にひどいです。なぜかといいますと、基地面積が非常に多いということですよ。それに対する本来あるべき資産課税としてのものが相対的に少ない。それだけならまだしも、今言いましたようないわゆる財政補給金だというような考え方が一方にもあるものですから、どんどん減額されているのですね。厚木基地の騒音問題では第一次訴訟、第二次訴訟という裁判闘争が起きていることは御案内のとおり。それに対する市民に対する思いやり的な予算が減額されているのですよ。一方で防衛庁関係予算は、いわゆる思いやり予算が千二百億も膨らんでくるわけでしょう。住民の目から見れば違和感を持つのは当然でしょう。当然ですよ。例えば今、財政調整で三%の云々ということがございましたが、大和市が五十九年度にもらっておった交付金は、端数はちょっと省きますが一億六千六百四十一万円です。今一億二千二百五十二万円ですよ。何とその差は四千三百八十八万円強ですね。削減額が三五・八%ですよ。なぜそんなになるのですか。三割五分も、おかしいじゃないですか。これは座間市についても同じことが言われます。年々前年度に比べてマイナス二、マイナス三と積み重ねてまいりますと、今言ったような大和市の場合で言いますと三五・八%、三割五分以上基地交付金が削減をされるのですね。  しかも大和、座間、綾瀬、この都市は東京圏五十キロ範囲内の都市ですから、地価が物すごく高いのですね。我々住民の資産課税固定資産税のことしの評価がえで上がるのですよ。これは六十六年度ですから、今度の基地関係の資産再評価は六十六年度に改定の時期ですから、ことしとは言いません。しかし、もし同一になった場合には、これは地方議会などでは、一方で都市計画税が上がり固定資産税が上がって、一方で基地交付金はこうして資産課税がどんどん減っていく、説明がつかぬでしょう。しかも、先ほど防衛施設庁側に聞きましたように、防衛施設庁にはまだたくさんお聞きしたいことがあるのですが、時間の関係でこれ以上聞きませんけれども、基地機能としてはどんどんふえているのですよ。今度は米軍住宅がまた思いやり予算で大和に八十戸ですかつくられる、防衛庁の自衛隊の宿舎も拡大をされる、P3Cの格納庫はつくられる。どんどん基地機能が強化されて、資産課税とも言うべき交付金がこんなに下がるのはどうしてなんですか。理解ができませんね。もう一遍答弁願います。
  137. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 固定資産税の代替的な性格を持っているものであるというのは、私どもがかねてから財政当局に対する主張の仕方でもあるわけでございます。しかしながら、法律そのものはやはり予算で定めるところにより配分する補助金的な性格のものである、この位置づけは間違いなくそうでございます。ですから基準財政収入額にも算入しない、そういう補給金として、一般財源の交付金として交付されているという性格のものでございます。したがいまして、その法律に定めるところによりまして、財源超過団体、これは五億円超の場合でございますが、資産割の配分方法といたしまして、配分さるべき資産割額から一定割合を控除した額を配分額とするということが定められております。一定割合はどういうやり方をするかといいますと、五億円を超える財源超過額の十分の一といたします。ただ、そうしますと財源超過額が非常に大きいところはなくなってしまうということになるものですから、配分さるべき資産割額の十分の七を超える場合は十分の七で打ちどめとする、つまり三割は保障するというような制度でやっております。  したがいまして、そういったルールによってやっているところでございますが、しかし現実は、こういう予算は市町村の財政運営にも非常に影響が大きいものですから必ずしもそれだけ大幅な減額をしない、その減額を調整いたしております。とすると、その減額を調整した分だけ、いろいろなところで本当は資産がもっとふえて、ふえる部分の増加割合を圧縮するというような形でできるだけ関係団体に大きな変化がそれでも生じないように努めている、こういうことに現実はなっているわけでございます。
  138. 加藤万吉

    加藤(万)委員 前提になる総額が前年同額というのは私はうなずけないのです。なぜかといえば、先ほど防衛施設庁からもお話がありましたように、基地機能としては全体として強化されているわけですね。何も兵隊さんがふえただけではないのですよ。住宅があれば排水問題は出てきますし、米軍の家族が住んでおればそれに対するさまざまな社会的なサービスというのはやらなければいかぬわけですね。今形式的に数字的に並べられましたけれども、積算の基礎ですからそれは私は否定しません。だがしかし、思いやり予算で一千億、これは人件費も入りますから全額とは言いませんけれども、米軍住宅の戸数がふえてくる。自衛隊関係の官舎がつくられる。にもかかわらず基地交付金が相対として減ってくる。しかも三五%も減るなんということは常識外じゃないですか。それは積算の仕方がどうなっているか、今度一遍細かに、計算機を持ってきてたたいてみたいと思いますけれども、そんなばかなことは承知ができないじゃないですか。住民の側から見てそう思いますよ。いわんや地方議会から見れば、専門家が見ていくわけですから、さまざまそこに違和感を感ずるのは当然だと思いますよ。そういう意味では、この基地交付金に関する前年同額からもう一遍見直して、来年度予算には少なくともこういう状況指摘されないように、しかも六十六年度という資産を再評価する時期が近いわけですから、ぜひ考えていただきたいと思うのです。  続いて施設庁関係にちょっとお聞きしますが、施設庁で扱うさまざまなお金がありますね。三条関係、八条関係、九条関係、基地所在市町村に交付ないしは補助されますが、そのお金と、今私が自治省とのやりとりでやりましたいわゆる市町村交付金、基地交付金との兼ね合いで物を決めるということはありますか。例えばミッドウェーの艦載機で騒音が大変激しくなった。一方では今度は騒音のための防音工事をやる。今度は厚木基地では御案内のように防音のために使ったアスベストのために校舎の改築が起きている。この金を三条、八条、九条関係で見ていきますから、結果として片方の基地交付金関係をあんばいする、バランスをとるというようなことはありますか。どうでしょう。
  139. 宮島辰一

    ○宮島説明員 お答えいたします。  特にバランスとかいうことを考えておりません。
  140. 加藤万吉

    加藤(万)委員 税務局長、今特にバランスは考えてないというのですね。財政需要額に例えば校舎の改築が入りますね。その場合に、アスベストで校舎の改築を一方の防衛施設周辺整備法の関係で資金を投入したといった場合に、片一方を落とす、財政需要額として算入を落とすことがありますか。
  141. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 この基地交付金は財政補給金でございますから、基準財政収入額にも算入しておりません。したがいまして、一般的に言えば基地所在市町村の置かれておる事情に基づいて一般的な財政需要があるということで配分をしている。そのときにどういう配分基準をとるかというと、やはりそこにある資産というものを中心に考えなければいけないわけです。そこに七五%はそういう資産に応じて配分をする、こういう考え方であるということでありまして、それは固定資産税と並び、あるいは需要額、収入額というような形できちっと算入するというような仕組みでなく、むしろそれよりはもっとプラスアルファというような考え方でつくられている予算でございます。そういう趣旨の交付金でございます。
  142. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ちょっと理解が違ったようですが、私の言っているのは、基地周辺整備法によって防音工事をやる、あるいはアスベストの校舎の改築をやりました。これは施設庁関係予算で出るわけですが、一般財政需要額として校舎の改築なんかが入ってきますね、その場合にこの部分だけをカットしますかという意味なんです。基地交付金とは関係ないのです。それはありますか。私の言いたいのは、防衛施設周辺整備法に基づく一方の補助金があります。片一方には基地交付金があります。いま一つは通常の都市として財政需要額として算入されるものがあります。これらをこっちが多ければこっちを少なくする、あるいはこの真ん中で一般需要として算入したからこっちの方は減る、そういうことはないんですねということを確認したかったわけです。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
  143. 津田正

    ○津田政府委員 それぞれ別個に算定されておる、かように思います。  なお、ついでに申し上げますと、特別交付税の方におきましては、防衛施設周辺整備法に基づきます事業の地方負担、これにつきましては一部特交で措置をしている、これはこれでまた措置をしているということでございます。
  144. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政局長、大臣、私のところは沖縄に次ぐ第二の基地県でございます。基地問題については極めて敏感です。一方で防衛庁が思いやり予算で人件費の面あるいは米軍住宅の面、さまざまな施設、最近ではあんなゴルフ場の隅まで何も思いやり予算でやる必要はないのじゃないかという意見も率直に言ってあります。にもかかわらず住民の側の思いやり予算が削られている。これじゃ基地を持っている県民は踏んだりけったりですよ。来年度予算の編成に当たってはひとつ十分留意をしていただきたいと思います。  施設庁にこれはお願いをしておきます。今たまたま財政局長からも出ましたけれども、基地周辺のさまざまな事業に対して特交で補助金を出しているのです。特交で見ているわけですね。私調べてみましたら、大変項目が多いです。受け皿は一つなんですよ。三条のお金であろうと八条のお金であろうと、防音工事であろうとあるいは基地周辺の何とかであろうと、九条であろうと、受け皿は一つなんですね。そして基地交付金も入れて市としては財政計画を組むわけです。一方、今言った特別交付税でも基地の事業に対する加算がされる場合もある。受け皿の市にしてみれば、どういう金がどういう形で来るのだろうかということはその時期にならなければわかりません。しかもそれをひっくるめて市の財政計画、予算をつくるわけですね。私は、いま少し簡素化されるというか、あるいはメニュー化されるというか、そういう方法をお考えいただけないかなと思っているのです。これはこの金ですよ、これはこの金ですよ、単位でいきますと百万単位のお金もつくってあるんですね。ちょうど補助金の陳情のために要った金が補助金よりも多かったなんという、これは笑い事であるのですけれども、少し細かに分け過ぎちゃって、結果として地方の団体として基地周辺の整備ができない、生活環境ができない。それはうまく使っていますよ、もらっているお金ですから。決してあだやおろそかに使ってはおりませんけれども、いま少しメニュー化をして、基地周辺の少なくとも今被害を受けている住民に対するまさに思いやり的な全体の配慮というものが必要ではないか。防衛施設庁の方にはきょうは申し上げませんが、防衛施設庁の関係予算をずっと見てみましたら、余りたくさんあるものですから、覚え切れないほどあるので実は困っているのですが、ぜひそういう配慮をひとつしていただきたい。これは学校の防音の関係、これは学校のアスベスト関係というものを一緒にすることができるならば、これは一つ予算で各市町村に交付をすることも決して不可能ではない、こう思います。  大臣、最後に、基地周辺におけるそういうさまざまな課題に対して大臣の見解と、来年度地方財政計画、特に今言いましたようなものを判断に入れながらどういう指導を官庁にしていただけるか、大臣の決意をひとつお聞きして、終わりたいと思います。
  145. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 率直に申し上げますけれども、昨年の予算折衝、予算編成の段階で、いわゆる基地交付金に私も疑いというか、これでいいのかという率直な疑問を持ったことは事実でございます。果たして自治省でやるべきものなのかどうなのか。今御説のように固定資産税的性格を持っておりますから当然自治省の所管であるわけでございますが、考えてみますと、この六、七年全く横ばいであるわけでございますが、その間に固定資産税は約一五〇%値上がりをいたしておりますし、それから防衛費も約三〇%ぐらい値上がりをしております。基地の中の資産増加も二十数%。あの当時私も資料を見た覚えがございます。ですから、総トータル日本全国で私はプラマイ・ゼロと言っているのですけれども、基地によってはマイナスのところがあることも承知をいたしております。  そういうことを考えますと、固定資産税的性格と基地内の資産の増加、こういうものが今までの予算編成のいわばゼロシーリングの中に入っておりましたから今苦しい答弁を自治省側もいたしておりますけれども、これは当時、私率直に申し上げますけれども、防衛庁長官にも外務大臣にも、こういうことであれば基地に対する協力体制がとれなくなってしまいますよ、自治省予算の中で懸命なやりくりをしながら前年度対比プラマイ・ゼロということをいたしておりますが、それによって逆にほかの分野のマイナスすらあるんだ、こういうことではこれからやっていけないということを申し上げたことを思い出すわけでございます。  きのうも宮澤大蔵大臣がここで御答弁に立たれまして、そういう経緯を踏まえてだと思うのですが、これから検討しなければなるまい、そういう発言もあったわけでございますが、確かにこの基地交付金、もろもろの予算の整合性やあるいは基地の置かれている現況、こういうものを見れば、この問題に当然検討を加えなければならない時期に来ているということを考えますので、明年度の予算編成に当たっては重点的にこの問題を取り上げてまいりたいと思っております。
  146. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ぜひ前向きな御検討をお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  147. 松本十郎

    松本委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時十四分休憩      ────◇─────     午後三時七分開議
  148. 松本十郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田正勝君。
  149. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 先般、参考人の皆さんからいろいろと貴重な御意見をちょうだいいたしました。そのことに基づいて、これから質問をさせていただきます。  政府は、今秋に、新型間接税を含む抜本的税制改革により大幅な所得税減税を実施しようとしておられますが、これに伴う地方財政の減収補てんをどのように措置するのか、また、一部を地方債の発行にゆだねると言われるのか、その点についてお答えください。
  150. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 所得税の減税がなされますれば地方交付税の減収が生ずることとなりますが、このような場合においては、地方交付制度が国と地方の間の最も基本的な財源配分にかかわる問題であることを踏まえ、地方財政の自主性、自立性の向上及び地方財政の健全化を図る観点から、必要な地方交付税総額の確保が図られるよう、格段の努力をしてまいる所存でございます。
  151. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 国において所得税、法人税及び酒税の地方交付税の対象税目にかかわる税金の減税がなされました場合、地方交付税に対する影響は実に甚大なものがあると思います。  そこで、先ほどお答えになりました地方交付税の総額の安定的な確保を図るためには、交付税率の引き上げかあるいは交付税対象税目の拡大が必要であると思われますが、自治省はいかなる方針で臨まれますか。
  152. 津田正

    ○津田政府委員 先ほど大臣が申し上げたように、地方交付制度の趣旨を踏まえて、地方財政の自主性、自立性の向上、地方財政の健全化を図る観点から、必要な地方交付税総額の確保が図られますよう、御指摘交付税対象税目の拡大や交付税率の問題も含め、格段の努力をしてまいらなければならない、かように存じます。  具体論としましては、もちろん細部はわからぬわけでございますが、いわゆる平年度化の状況とそれに至るまでの経緯と各年度の問題というふうに分かれてまいるかと思いますけれども、基本的には今申し上げましたような趣旨で対応を考えていかなければならない、かように考えております。     〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
  153. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 地方交付制度は全国の平準化を前提とした制度でありまして、国民の選好度も変わり、地域間の経済格差も拡大をしておる今日、特に財政力水準の低い団体には交付税を厚く配分する方式を確立するなど交付制度を今日的視点から見直すべきであるという御意見がございましたが、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。
  154. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 御指摘のとおり、地方交付制度地方団体間の財源の均衡化を図ることを大きな目的としており、毎年度の地方交付税の算定に当たって、これまでも地域における行政需要の変化や経済社会情勢の変化に対応して算定方法等の改善を行ってきたところでございます。今後とも国土の均衡ある発展が図られるよう、地方交付税の算定方法の一層の改善を図ってまいりたいと考えております。
  155. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 国庫補助金につきましては、国と地方との二重、三重行政の存在という最大のむだを生じているとともに、地方自治の根幹である住民の自治意識を阻害しているとの重要な指摘がなされました。補助率カット以上に補助金そのものの縮減が必要であるとの御意見がありましたが、我が党はこの観点から従来より第二交付制度の創設などを求めてまいりました。  自治省はこの構想にどのように取り組んでおいでになりましたか。ネックがあるとするならばそれは何であったかということをお答えください。
  156. 津田正

    ○津田政府委員 自治省補助金整理の考え方は、今お話ございますように、補助率カットというような資金的な問題というよりは、補助金そのものの縮減ということが、もちろん財政的な問題もあると存じますが、国、地方を通じて行政改革につながるのではないか、かように考えておるわけでございます。従前より地方に同化定着しました補助金や人件費補助の廃止等、国庫補助負担金の整理合理化に努めてきておるところでございますし、零細補助金につきましても、その限度額と申しますかそういうものの引き上げが行われておるわけでございます。  そこで、かねてから御主張の第二交付税の問題でございます。まさしくこのような考え方は国、地方との役割分担というような問題につながることかと存じますが、同時に、一定の行政水準の維持ないし特定の施策の奨励のための政策手段というような意味でのいわゆる特に負担金と言われているもの、国土政策的な観点で行われている負担金というものにつきましては、第二交付税というような扱いにはまだなかなか検討を要する問題があるのではないか、かように考えておるところでございます。
  157. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 自治省が今回対策を講じようとしておりますふるさとづくり特別対策事業については、各参考人の先生方も一様に高い評価を示しておられましたが、地方交付税を財政対策の主要な柱とし、その事業のため発行した地方債の元利償還を交付税で補てんするということは、地方交付税に補助金的性格を持たせるということにはならぬのでしょうか。
  158. 津田正

    ○津田政府委員 ふるさとづくり特別対策事業は、地方団体の自主的な企画によりまして単独で行う事業に対して支援しよう、こういうことでございまして、多極分散型国土の形成を進める上で非常に有効ではないか、かように考えておるわけでございます。補助金と違いまして、そもそもが地方団体がみずから企画、立案してその地域地域に本当に必要な事業を行う、こういうものに対する支援措置、なお、さらに申し上げますと、この交付税等の措置におきましては財政力の弱い団体に対してその算入額をふやす、こういうような仕組みで、財政力の弱い団体、経済力もない団体、そういうものの事業がより有効に進められるよう、これが均衡ある国土の発展にもつながるのではないか、このように考えておる次第でございまして、補助金のようなものとは性格が異なるのではないかと考えております。
  159. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 財政力の乏しい地方団体が地域経済活性化のための各種の事業が遂行できるようにするためには、地方交付税の基準財政需要額の算定において、ふるさと補正といった措置が必要ではないかという御意見がございましたが、私もこれには全く同意見であります。自治省といたしましてはこれを具体化されるお考えはございませんか。
  160. 津田正

    ○津田政府委員 実は先般先生から余り評価も受けなかったわけでございますが、いわゆる産業構造の急激な変化に対応するための特別な補正などを六十二年度から始めております。私どもといたしましては、そういうような雇用状況あるいは産業構造等の変革によりまして打撃を受けるところ、またもともと経済力がないところに対して傾斜配分ということをさらに考えていかなければならない。先ほどちょっと申し上げましたが、ふるさとづくり特別対策事業の交付措置におきましても、財政力の低い団体には手厚い交付措置を考えておるわけでございまして、参考人の御指摘の、いわゆるふるさと補正というような名称がいいかどうかは別といたしまして、趣旨としましては私どもそのように努力しておるつもりでございます。
  161. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 民間企業誘致のためには、ふるさとづくり財団の設立が必要であるという御意見がございました。現在の地方団体における予算措置をされている団体の状況、これはどのようになっていますか。
  162. 津田正

    ○津田政府委員 民活ということが叫ばれながら、実際民活が現在の体制で使えるところはやはり大都市中心、こういうようなことでございまして、それを補完すると申しますか。地方の民活を果たすためにふるさとづくり財団の構想というものを私ども出したわけでございます。この趣旨につきましては、各団体も評価していただいておると思います。  具体的な予算措置状況で見ますと、すべての都道府県が当初予算でこの財団に対する出捐金の予算計上をしておる状況でございます。
  163. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この財団の設立については、大蔵、通産両省の強い反対があると聞いております。両省の反対の理由、それに対する自治省の考え方はいかがですか。
  164. 津田正

    ○津田政府委員 各省庁の御意見は私ども今までも伺い、意見調整ということもやっておるわけでございますが、まあいろいろな御意見があると思います。  大きな点は二点でございまして、国の政策金融の体系を乱し、または屋上屋を架するものではないか、いわゆる開発銀行等との関係でございます。もう一点は、同じような趣旨でございますが、開発銀行等は法律制度に基づいておるもの、これに対してふるさと財団というものはいわゆる財団法人の認可という形でつくれるもの、こういう大きな地域政策金融を行うならば、やはり法律で定めることが適切ではないか、これが議会制民主主義に即するのではないか、こういうような御意見が中心かと思います。  私どもこのような御意見、今後なお調整しなければならないわけでございますが、国の地域政策金融というものはあってしかるべきものと思います。しかし、それが十分でないもの、あるいはその間にどうしても縦割り行政的な発想というものが国は強いものでございますから、そのすき間であるとか、全国的に見ては必要がないけれどもその地域にとっては死活にかかわるようなプロジェクトをどうするかというような意味におきまして、国の地域政策金融とは別個に地方団体の独自の政策金融があってしかるべきではないか、このように考えておるわけでございます。いずれにしましても、国の政策金融を排除するとか矛盾しないように十分協調しまして、地域の振興、活性化両々相まって行っていくべきもの、このような観点で今後も調整いたしたいと思います。  それから、法律によらないのはおかしいという議論もあるわけでございますが、実はこの財団をつくる、あるいは財団を通じて民間に対して金融支援措置をするということは、まさしく住民に一番身近な地方議会で、その必要性とか緊急性とか、むだがないかとかいうような審議が行われて、予算措置がされ、あるいは起債を起こすかどうかの審議がなされる、こういうことで国政レベルの議論よりもむしろ地方に密着したレベルで考えれば、地方議会を通るということによりまして民主主義は十分守られているのではないか、こういうふうにも考えるわけでございます。  今後さらに各省庁と細部も詰め、地域におきます民間活力振興のための有効な施策をつくり上げてまいりたい、かように思います。
  165. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今の問題につきまして重ねてお尋ねをいたしますが、今お答えがありましたような強烈な反対が両省においてある。各都道府県では既に財政措置を講じておるということでございますが、実際に事業が執行できるようになるのかならぬのか、ちょっと心配をしておるところがあるのでございますが、実行できぬとなったら自治省としては大変困った立場にお立ちになるようなことになると思うのです。その点の自信のほどはいかがでございますか。     〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
  166. 津田正

    ○津田政府委員 地方におきます民活の必要性というのは今後いよいよ高まるのではないか、各県の予算措置状況を見ましても、その期待が大きいのだと思います。各省いろいろな意見があるかと思いますが、私どもそれらの意見の調整に十分努めまして、先ほど申しましたように国の政策金融と相反するようなものではございませんで、むしろ国の政策金融は活用していただく、それと同時にこの構想というものでさらに地方民活が進むように、この点は各省庁とも反対はないのだと思います。そういうような基本的な観点に立って意見調整をすればまとまるのではないか、また私どもまとめなければならない、かように考えております。
  167. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今のお答えを一〇〇%信用いたします。どうぞひとつ成功いたしますように、せっかくの御努力をお願いいたします。  次に、今度は参考人と違いまして、県と市町村との関係について以下質問をさせていただきます。  これまで地方分権という場合、国と地方との関係が主として論じられてきたわけでございますが、都道府県と市町村との関係の見直しについては余り触れられておりません。地方自治の健全な発展を考える場合、基礎的自治体であり住民が身近に接することのできる市町村への、都道府県の権限、財源の移譲も今日の重要な課題であると私は考えておりますが、自治省はどのような方針をお持ちでございますか。
  168. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 お答えいたします。  我が国の地方自治制度は、基礎的地方公共団体としての市町村と、これを包含する広域の地方公共団体としての都道府県の二階層で構成されておるわけでございまして、都道府県と市町村がそれぞれの持ち味を生かした機能を果たしてまいりますことが期待されているわけでございます。特に基礎的地方公共団体としての市町村の行政の充実を図ってまいりますことは極めて重要でございまして、御指摘のとおりでございます。  このため、国と地方との役割分担を見直し、地方公共団体への権限移譲を進めていくに当たりましては、市町村の規模に応じた権限の移譲を検討すること等によりまして、できる限り市町村への移譲を行うことが必要かと存じます。また、都道府県が自主的に市町村長へ事務移譲を行うということを進めてきておりますが、これらも大いに奨励してまいる必要があろうかと存ずるのでございます。こうした市町村への権限移譲に対応して財政需要が増大いたします場合には、これに見合った財源の配分を措置すべきものと自治省としては考えている次第でございます。
  169. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、今度はちょっと意地の悪いことを質問いたしますが、しからばどういうものを、今そこで思い当たるものだけで結構ですから、どういうものをやらなければいかぬと思っていらっしゃいますか。ちょっと休憩しますか。
  170. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 どういうものというような具体的なことはなかなか順序立って思い出さないので申しわけないのでございますが、少し古くて申しわけございませんが、ここに昭和六十年五月に調査いたしました都道府県が市町村へ現実に事務移譲を行っているものの統計がございます。それによりますと、大体法律の種類にして百ほどございます。権限の数にして五百ほどございますが、例えば動物の保護及び管理に関する法律、災害救助法、大気汚染防止法、悪臭防止法等の公害関係の法律、それから食品衛生法、狂犬病予防法、薬事法、児童福祉法等各般の法律について権限の移譲が進められているわけでございます。したがいまして、かなり広範に及んで権限移譲が可能であるように存じますが、先生も恐らく頭におありなんだろうと思いますが、特に幾つか重要なものがございますが、ちょっとこれはまた後ほどにさせていただきます。
  171. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それ以上は質問しないことにいたします。  そこで今度は具体的な問題に入らせていただきますが、例えば自分の町の都市計画を立てるのにどうして知事の許可が必要なんでございましょうか。また、その地域の農用地の転用ということについてなぜ知事の許可が必要なんでありましょうか。素朴な質問であります。
  172. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 おただしの都市計画に関する都道府県知事の承認制度のことでございますが、所管省の解説等を参照いたしますと次のようなことのようでございます。  都市計画が直接国民に土地利用上の制限を課するというようなことになりますので、都道府県知事が監督をすることによりまして適正かつ合理的な都市計画を定められるようにする必要がある。それから、都道府県知事が定める都市計画との一体性を確保する必要がある。こういうことを理由として承認制度が設けられているのでございます。  しかしながら、都市計画は住民の日常生活の場である市町村の町づくりの基本でございますので、これらを市町村の権限中心に構成していくことが適当ではないかという観点から、第十次の地方制度調査会におきまして、都市計画の権限は原則として市町村の権限とし、承認制度は見直して、せめて協議してつくることにしてはどうかというような指摘があるところでございます。  それから、農用地の転用許可につきましては、権利移転等につきましては市町村の権限でございますが、農用地の転用につきましては、二ヘクタール以上の農地の転用は農水大臣の権限とされ、それ以下のものが都道府県知事の権限とされているわけでございますが、これは優良な農地の確保等を目的として行う農地行政の統一性を広域の地方公共団体である都道府県の区域を単位として確保しようとしていることによるものというふうに考えられるのでございます。  なお、これにつきましては、従来地方公共団体といたしましては、土地利用に関する都道府県の広域性とともに、また総合性を確保することが必要でございますので、まず国に留保されている二ヘクタール以上の農地の転用に係る権限を都道府県に移譲するよう要望してまいりましたし、地方制度調査会の答申でもそのように指摘されているところでございまして、まずこの分野では広域団体でございます都道府県にすべて移譲してほしいということを要望している次第でございます。
  173. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私はこれを一歩進めて、例えば都市計画なんかにしましても、実際に県の方へ申請をいたしましても年に二回ぐらいしか審査を開いてくれませんね、実態は。物すごく事業がおくれちゃうのですよ。こういうところに事務の渋滞が起きてくるのでありまして、私はそういう点からいっても、その町の都市計画、私も市会議員を二十年やっておって、県会議員も八年やって、全く不思議に思ったのであります、何で我が町の都市計画をやるのに県が一々物を言わなきゃならぬのかなと。その町を通り抜けていく例えば国道とかあるいは高速道とか、こういうようなものになると話は別でございますけれども、町づくりをやるのに何で一々県の許可が要るのかな、ばかげた時間を食ってるなということを常々思っているのですが、こういう点については、今の農用地の転用の問題につきまして二ヘクタール以上の国の権限というやつをまず県に移しなさい、それについてまず第一段階の働きかけをしていらっしゃるんだと思いますが、これなんかにいたしましても、その町の中の農用地なんというのは、そんなもの国がわかるわけがないし、それから県がわかるわけがないのでありまして、その市町村の行政に携わっておる者こそ、あの土地は眠らしているとか、あの土地は不正利用されているとか、いろんなことに目が行き届いておるのでありまして、この農用地の転用の問題についても全部市町村へその権限を一括移譲すべきである、都市計画の策定につきましても市町村にそれは任したらいいじゃないか、そんなことを一々県や国が物を言わなくてもいいじゃないかというふうに私は考えておるのでありますが、もう一回、自治省としてどう思うか。うん、全く岡田君の言うとおりですと言われるなら、そのとおりと答えてください。
  174. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 自治省としては、基本的には岡田先生のおっしゃられるとおりだと考えておりますが、何分御承知のとおり権限移譲ということは非常に難しい問題でございまして、時の経過の大切さということもあろうかと思います。次第にその方向に持っていくべきものと考えております。
  175. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは大臣、ちょっと予定外で申しわけありませんが、今のやりとりをお聞きになりまして、率直なところ、都市計画の問題、農用地の転用の問題、本当にばかげたことをいつまでやっているんだろうかという感じがいたします。これはやはりせっかく大臣のときに、ふるさと財団づくり、こういうような新しい企画を生み出された大臣のときでございますので、願わくは自治大臣梶山先生がいらっしゃるときに、こういうようなつまらぬことは全面市町村へ権限を移譲したらどうだというようなことを、思い切って先生の例の威勢のいいたんかを切っていただきたいと思うのでありますが、どのように思われますか。
  176. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 通常、私ども国と地方のいわば分権を今まで取り上げて話をしてまいったわけでございますけれども、もちろん住民の身近な問題は住民の身近な機関で処理をされることが望ましいわけでありますから、国の権限がストレートに市町村にいかれることも、あるいは国の権限が都道府県にいかれることも、そして都道府県の権限が市町村にいくことも、いずれも重要でございますから、多くの都道府県では都道府県の事務の市町村長への自主的な移譲が行われているというふうに聞いておりますが、実は私が選択的分権論を申し上げているのも、大体都道府県は均質化をいたしましたので、どのものどのものでなければ処理できない、どれとどれが得手であるというようなことがないとは言いませんけれども、大体都道府県は消化ができると思います。やがてその消化のできた都道府県のものが市町村にいく場合は、これはまさに千差万別でございますから、それぞれの末端の市町村が、私の町はこれが欲しい、私の村はこれが欲しいという画一的でない分権がこの後には望ましいという、そういうものをおぼろげににらみながら、国と地方の間、都道府県の間もそうでありますが、あるいは国と市町村の間というのは特に選択的な分権が必要になるのではないかなというようなことを考えておりますので、そういうことを申し上げている次第であります。
  177. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。  実際に事務を進めます局長さんの方に再度お願い申し上げておきますが、岡田君の言うことは基本的には賛成であるということでありますので、私大分気分がよくなったのです。これで時間を短くせないかぬなと思っておるのでありますが、サービスをしたいと思いますけれども、ぜひこういうことが実現するようにひとつ大臣を補佐いたしまして、せっかくの努力を強く強く望んでおきます。  それから次の問題でありますが、市町村自体がやりたくても県の機関を通らなければできない仕事がたくさんありますね。少なくともその市町村の地域の中で処理し得る事務はその権限を都道府県から市町村へ移譲すべきではないかというふうに思うのでありますが、今お答えをいただきましたところと重複をいたすところがありますが、私どもが知っておるだけでも物すごいたくさんの事務がありますので、そういう点の関係について御意見を伺いたいと思います。
  178. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、都道府県と市町村がそれぞれの持ち味を生かして、機能を分担しながら住民福祉の向上のために協力する関係をつくっていくことが必要であると思いますが、特に住民に身近な事務は住民に身近な地方公共団体で処理するという考え方に立ちまして、多くの都道府県におきましても現在、先ほどお答え申しましたように、市町村長へ自主的な権限移譲を行っているところでございます。今後ともそういった観点から都道府県の権限の市町村への移譲を積極的に進めていく必要があると考えております。
  179. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この問題についてもひとつ当局の方にお願いをしておきたいと思いますが、広域的な事務ならこれはやむを得ないと思います。だが広域的でない事務であるならば、思い切ってどんどん権限移譲をさせるようにぜひお願いをしておきたいと思います。これはだれかがアクションを起こしませんと、県は県で、ちょっと言い方が乱暴かもしれませんが、持っている事務というのはなかなか放したがらないのですよ。そういう点がありますので、そういうことについてはやはり中央の方から常々目を光らし、口を出していただきたいと思います。  それから次でありますが、財源についても、国の補助金と同様、都道府県の市町村への補助金、交付金のいわゆる根本的な見直しを行いまして、市町村への財源移譲、さっきは事務移譲のことを申し上げましたが、財源移譲を図るべきではないのか。少なくとも、県税である不動産取得税、料理飲食等消費税等は市町村に対して大幅に譲与を考えてもいいのではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  180. 津田正

    ○津田政府委員 税金の問題は税務局長からお答えすることといたしまして、前段の問題でございます都道府県から市町村へ交付されております補助金、これは大方国庫支出金を伴うものが多いわけでございまして、これは国の方の補助要綱等で決まってくるわけでございます。しかし、全体の補助金の中で四割程度都道府県単独の補助金というものもございまして、内容も、土木、農林関係の建設事業費に対する補助、社会福祉に対するもの、さらに最近は地域活性化に対する補助金がございます。  今後、住民に身近な事務はやはりできるだけ市町村におろす、それの権限の移譲、事務の見直し、これに対応する財源関係も考えなければならないわけでございますが、現在でも地方団体間、要するに都道府県と市町村の間におきましては、補助金の関係におきましても、かなり包括的な補助金であるとかメニュー補助金であるとか、実際に事業を行います市町村がかなり自主的な工夫で事業が行えるような補助金に改めてきておりますし、先ほど申しましたように事務事業の見直しあるいは地域活性化という新しい行政需要に対応する補助金への見直しということが行われております。  そういうような都道府県、市町村間におきます補助金の見直しと同時に、やはり国としても制度的にこの点を今後改善していかなければならないと思いますし、また強いて申しますと、都道府県の事務が市町村に移れば、都道府県交付税の財政需要額からその部分は落として市町村の財政需要に入れて交付税自体を市町村に手厚く持っていく、こういうような方途も考えてまいらなければならない、かように思います。
  181. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 補助金の整理といいますか見直しに伴って税源の移譲についてのお話がございましたが、税源の移譲につきましては地方行財政制度全般を通じた総合的な見地から検討すべきだ、こういうふうに考えております。特定の道府県税の移譲といった個々の税目にとらわれずに、市町村税源全体として見ていくことが大切ではないかと考えております。したがいまして、不動産取得税、料理飲食等消費税というような税目を市町村に移譲するということは考えておらないところでございます。
  182. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今局長さん、財源の移譲は考えておらぬ、いわゆる不動産取得税あるいは料理飲食等消費税の移譲、こういうようなことは考えていない、まことにあっさりした御答弁でありまして、これはもう一遍時間を戻さなければいかぬかなと思うのでありますが、私はこう思うのですよ。  不動産取得税、これは我々庶民でいいますならば、家を建てようかな、そのためには土地が要る。土地を買います、それで家を建てます。そうすると、当然その人は一月一日付で評価をされまして、一日一日に入っておれば来年からの課税だし、一月一日に入っておらぬ、その前十二月三十一日に建っておれば明くる年から直ちに課税、こういうことに仕掛けがなっておるわけですが、そういう固定資産税なんかを市町村に払っておるのに、不動産取得税を、おまえさん財産を取得したからといって県が取っていくというのはいかがなものかな。それこそ市町村が取るべきものじゃないのかな。取り方がどうもスマートでないという感じがいたします。  それから料理飲食等消費税関係にいたしましても、これはまさにその町でその町の食べ物を食べるのでありますから、そこで食べたものを何で県が料理飲食等の消費税として取っていかなければいかぬのか、なぜその町へ落ちぬのだろうか。我が町で食べたものの税金が県の方へいってしまう。これはまことに適当ではないなということを感じましたので、私はここでわざわざその項目として二つ、不動産取得税と料理飲食等消費税というのを挙げたのですが、局長さん、それはどう思われますか。
  183. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 まず不動産取得税でございますが、これは二十九年に創設されたときにまさに市町村と県の事務配分に伴いましてできた税金でございまして、そういった経緯があって分けておるわけでございます。  それから料理飲食等消費税お話は、まさにそういう観点から言えばお気持ちはわかります。そういう御議論があることも私ども承知いたしております。しかし同時に、この税金をまた考えますと、非常に偏在度の大きい税金でございます。ですからそこの市町村から見れば魅力がある、こういうことになるのだろうと思いますけれども。例えば温泉町でたくさん泊まる人がいる町がある。隣には観光の町がある。そうすると、両方セットでお客さんは来る。観光の町の方には料理飲食等消費税は実は来ないわけですね、税源移譲がありましても。つまり偏在度のあるという性質の税金でございます。そういったことを考えますと、先ほどお話がありました補助金等の整理に伴ってもし税源移譲をするとすれば、もっと均てん化する税金しか考えられないのじゃないだろうか。それからまた、そういう税金を私どもいろいろ頭に置きましても、最近の税というのは非常に偏在度が高くなっておりますので、前段で財政局長が御答弁申し上げましたように、地方交付制度などによってそういった財源調整が行われることの方がより適切ではないかということも考えられます。  以上のようなことも考え、経緯も考えまして、不動産取得税とか料理飲食等消費税、そこの町の要望は別としまして、大局的な見地からいうと問題点が多いというふうに考えております。
  184. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうしますと、ちょっと私は合点ができないのでありますが、不動産取得税というのは昭和二十九年からできた制度でありまして、事務配分の関係で県が取る、こういうことになっている、こういうお答えだったと思いますね。そこの住民が自分で土地を買い、家を建てたものが何で事務配分の関係で要るんでしょうかね。建築申請の許可を、いわゆる三十万人以下の都市であったら県の職員が審査して判こを押しますからね、その手数料のつもりですか。
  185. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 税金は手数料ということではないわけでございまして、もしそこに住んでいる人の税金すべて市町村にいくべしという議論であれば、例えば相続税なんかも全部市町村にいかなければならないかもしれません。しかしそうではなくて、やはり国民としてそこにいる、県民としてそこにいるという部分もございます。またそういう意識と同時に、全体として国とか県とかというものをどうやって維持していくかという、その分担の問題でもあります。そういった観点だろうと思います。
  186. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 重ねてお尋ねします。  そうすると、今の局長さんのお答えをじっと静かに聞いておりますと、偏在度があっては困るのでやはり均てん化すべきである、そのためには県で徴収する方がいいのではないかという思想が貫かれておるように思えるのですね。そうでありますか。
  187. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 一般的に地方税はどういう税金がふさわしいかというところがまず出発点でございます。  国と地方税との違いというのは、国税というのはどこで税金が徴収されても国全体の財源に帰着します。問題はないわけでございますが、地方税は地域にできるだけ偏在度のない税金を地方税として付与、配分すべきだ、その中でも今度は県と市町村の税金を比べると、より市町村の方に偏在度の少ない税目が付与されるべきだ、こういうことは一般論として言えると思います。しかし、そういうことを極端に言いますと、例えば法人税割なんというものは市町村に配らなくていいのかということになりますと、それはそうはいきません。やはりある程度は伸長性のある税目も付与しなければなりませんから、それはございます。しかしながら一般論としては、ただいま委員御質問のような趣旨で税源を配分するときに税目はどういう税目がどこに帰属すべきかということは一つ考え方としてあると思います。
  188. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは次に参らせていただきます。  市町村への税源移譲を図るとするならば、仮に市町村の自主財源強化のため市町村民税の充実強化が図られるとしても県税は大幅な減税が可能となり、地方税全体として負担の軽減が図られることになるのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  189. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 御質問の趣旨は、あるいは取り違いかどうかわかりませんが、県から市町村へ事務や権限をまず移譲する、そうした上で道府県から市町村へ税源移譲をする、そういうことにして財政上の裏づけを行えば市町村は全体として税収がふえる、しかしそこで効率的な運営をやることによって県と市町村と合わせて余裕が出てそれが減税に回るであろう、こういうことではないかと思います。  逆に市町村の側からいいますと、具体的な問題としては事務は渡されたけれどもそれに見合うだけの財源は来なかったということになるような問題でございます。どういう問題になるかといいますと、事務自体については、委員指摘のように県でも市町村でもそれぞれそれにふさわしい事務、広域的なものは県にそれから身近なものはできるだけ市町村にということで整理して効率化を図って財政を節約していく、こういうことなのでございますが、同時に現状はそういうことで減が図られるというよりも、県も市町村も高齢化とか国際化社会への対応というようなことで地域社会を築き上げるために財政需要はふえてくる、それから人ももっと欲しいということに迫られておりますから、そういったことをカバーするために一生懸命になって片方では人員を削減したり効率化を図ったり行政改革をやったりいたしております。したがいまして、ただいまのような事務配分などをよくやって効率化を図るべきである、そこまではまさにそうだと思いますけれども、それによって財政負担も、必ずしもそう大幅な税負担の軽減ということにつながるということにはならないのではないかというふうに考えているところでございます。
  190. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは次に地方行革の問題についてお尋ねをいたしますが、地方団体の行革の推進状況はどうなっていますか。
  191. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 御承知のように、自治省では昭和六十年一月に地方公共団体の行政改革の指針といたしまして地方行革大綱を策定いたしまして、各地方公共団体において行政改革の推進体制整備するとともに、自主的、総合的な行政改革に取り組むように要請をいたしたところでございます。その結果、全国のほとんどの都道府県、市町村で行政改革大綱が策定されまして、これをもとに事務事業の見直し、組織機構の簡素合理化、民間委託の推進あるいは定数管理の合理化、給与適正化等が行われてきたところでございます。  その結果でございますが、数字でわかりやすいもので申しますと、地方公務員の数は、教職員あるいは警察官等の増加要因があります中で、少しではございますが減少をいたしておりますし、給与水準につきましても逐年低下をするなど着実な成果が上げられてきていると考えております。地域のさまざまな課題に機動的に対応していきますためには、簡素かつ効率的な地方公共団体の行政運営を確保していく必要がございますので、引き続き地方公共団体の行政改革への努力を促してまいりたいと考えております。
  192. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今お答えのありました、給与水準も着実に低下しつつあるということでありますが、そのことについてお尋ねをします。  給与水準はラスパイレス指数で見れば年々改善の傾向にあることは事実であります。しかしながら、問題のラスパイレス指数にあらわれない、わたり、昇短など運用面での問題があるのではないでしょうか。自治省はこれらの点についてどこまでフォローをしておられますか。
  193. 芦尾長司

    芦尾政府委員 委員指摘のとおりに、いわゆるわたり、運用昇短などは、それ自体違法または極めて不適当なものでありますとともに、これらの運用の結果といたしまして給与水準も引き上げられることになって、これがまたラスパイレス指数を上昇させる、こういうことになるわけでございます。  自治省といたしましては、これら運用面の諸問題につきまして、毎年行っております給与実態調査などを通じまして実態把握に努めてまいりますとともに、所要の適正化措置を講じるように指導を行っておるところでございまして、地方公共団体におきましても年々適正化が図られてきておりまして、六十一年で見ますと、わたり是正が六十六団体、一斉昇短も六十三団体において是正も図られてきておるといったような状況にもなってきております。  いずれにいたしましても、地方公務員の給与につきましては、給与水準の適正化を図ることはもとよりでございますが、その制度運用の適正化につきましても今後とも一層鋭意指導してまいりたいというふうに思っております。
  194. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 年々努力を重ねてきておる、その効果は上がっておるというお話でございますが、ここに新聞がございます。これは御承知だと思いますけれども、これはどういう問題かといいますと、この三年間に東京都の全職員の給与を三カ月昇短させる、短く言うたらそういうことです。この昇短を三カ年で全員に実施するということは、これはまさに特別昇給ですね。自治省はこの問題についてどのような方針で臨まれるのでありますか。それから、財源が東京都は豊かでございますが、幾ら豊かであるからといっても、このようなことが許されていいのでありましょうか、お尋ねいたします。
  195. 芦尾長司

    芦尾政府委員 東京都は今回特別昇給の枠を一〇%程度拡大いたしまして、三〇%以内で運用する意向であるというふうには聞いておるわけでありますが、勤務評定に基づきましてきちっと運用されまして、かつ制度の趣旨を損なうことのない範囲内で国と異なる特昇枠を設定するということは、直ちに違法とまでは言えないと思います。また、財源的にいいましても国と同様の特昇、国の場合は原則として一五%で十二月短縮、こういうことになっておるわけでございますが、そういう方式によります原資の中で、東京都といたしましては今回三〇%で三月ないし六月の短縮でやっていこうということであるようでございます。しかしながら、特昇制度本来の趣旨からいいますと、広く薄くということになってはならないということになると思います。この点につきましては好ましいものとは言えないというふうに存じております。  いずれにいたしましても、勤務評定を厳格に行いまして、特別昇給者を適切に、いやしくも今おっしゃいましたように全職員に順番で特別昇給が行われるというような運用があってはならないというふうに存じておりまして、職員の勤務意欲を高めて公務能率の向上を図るという特昇制度の趣旨にもとることのないように、適正な運用がなされるように指導してまいりたいというふうに思っております。
  196. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは民間の方々から大変な不満が出ておる問題でございまして、三短だ六短だ、東京の場合は三短ですね、三短だ六短だ、わたりだというて、何か花札打っておるみたいな言葉がいまだに消えないですね。それで広く薄くなんていうことは、特昇なんてそんなものじゃない、好ましいものではありませんというような非常に模範回答をしていらっしゃるのですよ。しかしながら、実態はどうかといったら、ほとんど全国の市町村がみんな広く薄くでやっているんじゃないでしょうか。だから、いわゆるベースアップで給料を上げるということ以外に、こういうことが恒常化してしまって、民間では考えられぬような、ずっと全員に特昇があるというようなことが行われておるということは、国民が随分批判をしているのですよ。そういう点、具体的に指導というのは非常に難しいと思いますけれども、国民の批判のあることも十分お考えをいただきまして、適切な指導を続けていかれるよう強く望んでおきます。  次に、地方行革を進める場合、問題は、給与面に限らずすべての勤務条件において、住民には公表されない形で、理事者側と職員組合との間で各種の取り決めがなされております。これからいよいよ四週六休制への移行ということになるのでありますが、これらの協定の総点検運動を自治省は強力に指導を進めるべきではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  197. 芦尾長司

    芦尾政府委員 委員の御指摘もございましたが、地方公務員法によりまして、地方公共団体と職員団体の間で勤務条件に関しまして適法な交渉を得て法令、条例等に抵触しない限りで書面による協定を締結することができるということにはなっておるわけでございます。したがいまして、私どもも、これに反した書面協定を締結をしてはならないということは言うまでもないわけでございまして、この趣旨は、日ごろから地方公共団体に対しましても指導をいたしておるところでございます。書面協定の改定を要する、必要があるという場合には、地方公務員法の趣旨を踏まえまして地方公共団体の当局と職員団体との間で、労使間で自主的にこれは解決すべき問題であるというふうに思っております。  しかし、いずれにいたしましても、自治省といたしましては、ただいまお話ございましたように、これから住民の理解と納得を得ながら四週六休制というものを進めていかなければならぬという非常に重要な時期に来ておるわけでございますので、勤務時間といったような問題も含めまして勤務条件の不適正な団体につきましては引き続き是正を指導していきたい、特に今重要な時期であるというふうに認識いたしております。
  198. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 こういう四週六休制に移行するという非常に大きな変化が生じてくる今日、これは一番大事なときだと私は思うのですよ。だから、こういうときに手を抜いてしまったら何にもならぬ。これはもとのもくあみというよりはむしろ悪くなってしまう。それで住民の批判を必ず買うであろうと思っておりますので、これらのたくさんある理事者と組合との間における協定、これの総点検をしたものが住民の目にどうやって触れるでありましょうか、あるいはどうやって議会の認知を受けるでありましょうか。ほとんど一〇〇%議会の方にもわからない、住民にもわからないということになってしまうのではないかと私は心配をしておりますが、いかがですか。
  199. 芦尾長司

    芦尾政府委員 この書面協定でありますけれども、労使間の交渉に基づいてなされるわけでありますが、法令からいいましたら、その公表というものは一応は義務づけられてはいないわけでございます。したがいまして、それが義務づけられていないということでございますから、住民の方々に何もかも全部見せなければならぬということにならぬと思います。思いますが、重要なものにつきましてはやはり議会等にもいろいろ話をしたりといったようなことがなされるべきでもあるとは思います。しかし、いずれにいたしましても、それらの問題は勤務条件として出てまいるわけでございますから、そういう点につきまして、私どもとして是正すべきものにつきましては是正をするように指導をしていかなければならぬと思っております。
  200. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、再確認をいたしますが、四週六休制度に移行するこういうときこそ絶好のチャンスなんですから、いわゆる総点検を行うについて、かくかくこういう点に留意をして総点検を十分にやるべきであるというような、何か通達といいますか、そういうようなものはもう既に出しておると考えていいんですね。四月十七日か、あれは過ぎていますから。
  201. 芦尾長司

    芦尾政府委員 四週六休制の実施をするに際しまして次官通達も出しておるわけでございますが、そこで勤務時間等につきまして適正化を図るべきであるというような通達は既に出しております。細かい一々の書面協定まで私どもなかなか把握できませんけれども、勤務条件そのものを適正化すべきであるということにつきましては既に出しておりますし、私どももそれに基づきまして今指導をしておる最中でございます。
  202. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それじゃ要望しておきますが、その次官通達をまた後で結構ですから、お送りください。  最後に大臣にお願いがあるのであります。大蔵大臣をお招きしまして、お二人がお座りになってお答えをされました。その中で一番気になることは、社会党の加藤先生委員を代表するような形でお述べになりましたけれども、六十年に一年限り、今度は六十一年、六十二年、六十三年の三年限りというようなことで補助金カットという問題が今日まで続いておるのでございますが、これは六十四年度からは平常に、もとに戻るんでしょうなというような御質問に対しまして、大蔵大臣のお答えは、そのように努力しますというぐらいの程度にいくかなと思っておりましたら、もう一歩足を踏み込んじゃって、六十五年に赤字国債の発行ゼロというところに持っていくまではひとつ地方の皆さんにも御協力を願いたいのでありますというような意味のことをおっしゃいまして、ちょっと聞いておって愕然としたんですよ。ははあ、これは大蔵大臣は六十四年も六十五年も、少なくとも補助金カットという問題を延長する気だなというふうに、私どもひょっと受け取ったんです。それに対して、私ども恐らく全委員がそういう心配を抱いておると思うのでありますが、梶山自治大臣としましては、何をぬかすかというようなお立場にあるわけでございますが、ひとつ歯切れのいいたんかを最後に聞かしていただきまして、私の質問を終わらしていただきます。
  203. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 加藤議員、そしてまた岡田議員から大変な激励をちょうだいしたという気持ちでおります。私が言っても相手があることでございますから、きょうはもうそこにおりませんから率直に申しますけれども、私の頭の中の過半を占めるのは、この補助金カットのいわば復元でございます。どうか皆さん方の御協力をちょうだいしながら、懸命に頑張ってまいりたいと思っております。
  204. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。
  205. 松本十郎

    松本委員長 寺前巖君。
  206. 寺前巖

    ○寺前委員 お疲れですが、なお一時間ほど御協力を願いたいと思います。  国民健康保険の法改正の問題については、衆議院では通りまして、もう既に参議院の審議の段階に至っていますが、この間も連合審査を聞かせてもらったのですが、どうももう一つ納得がいきませんので、基本的な点について少しお伺いをしたいと思うのです。  きょう私の出身の京都市の市会議員さんが厚生省なりあるいは自治省なりにお伺いをしておられましたが、京都市では今度保険料が一割近くも上げられるのです。最高限度額が二万円上がって三十九万円。三十九万円払わなければならぬ人はどんな人だと聞いたら、年の所得が三人の世帯で二百七十一万円以上の人がそうなります、こう言うのですね。そうすると、これは十二で割ってみたら二十万そこそこでしょう、二百七十一万の年の所得というたら低いものです。その人が年間三十九万円も払わなければならぬというのは物すごくこたえます。それを詰められていくものだから、保険証の更新はこの三月末で五百六十八世帯の人ができなかった。短期保険証というのが発行されて千七十世帯がそれになっていく。そんなことで、赤字が大変だからといって保険証発行がずっと抑えられてきて、去年の暮れもそうだったけれども、ことしの二月にも一人の方がお亡くなりになるという問題が出てきたのです。  これは鉄工所を経営しておられる零細なお方です。それが三月七日のNHKで放映されたのです。あの写真を写しておられたときにはその人は生きておられたわけです。たまたまその人がしばらくして亡くなられた、その記録が残ってしまっておったのですね。私もあれを見ておって、正直言ってえらいことやなと思いました。商売がうまくいかず、借金もふえ、二年分の保険料を滞納する、そのために保険証が昨年の四月から未交付、二月に亡くなる半年ほど前に血便が出たが我慢していたら、最後には御飯も通らないようになったというてやっておられました。この人は、一度友達や親戚に借りて保険料の一部を納めに行ったら、それはあなた足らぬよ、だから月々にちゃんと二万円ずつ返す誓約書を入れなさい、これに違反すると土地、家屋、道具を差し押さえますよという納付誓約書まで入れさせる。えらいえげつないことまでやるようになっておるのだなと私は思いました。それで、このインタビューで、あなた何を一番気にしているのかと聞かれたときに、誓約した保険料の支払いができるだろうか、それを気にしながらついにお亡くなりになっていかれた。京都市に言わせれば、それは決算が累積で七十億も赤字があるのだからとおっしゃるのかもしらないけれども、人の命というのは金にはかえられないとうといもの、地球よりも重い人権というものを考えなければいかぬと思うのです。私はこのことを通じて情けない思いがします。  そこで、悪質な滞納者だというレッテルを気安く張ったりすることなく、原則として国保事業は本人の保険料と国の事業でやることになっているはずですから、NHKであそこまで事前のキャッチがあった人が亡くなっていく姿を見るにつけても、一体どこに問題があったのだろうかということを反省する調査を、縦割り行政だけではなくして自治省としても研究してもらう必要がある。そこから何を学んだらいいだろうか、私が大臣にお願いしたいのはそれなんです。あくまでも国と本人の掛金によってやっていくのがこの保険なんだから、国としてこの問題について自治体の報告どまりにするわけにはいかぬ、教訓を学ぶ必要があるというふうにお考えになるのかどうかが一つです。  それからもう一つは、これは京都市に限りませんけれども、先ほど言いましたように、低い所得の人でもこれだけの金を出さなければならぬというのだったら、国保料の水準はもう限界に来ているのではないだろうか。大臣は、もうこれが限界だなというところに来ているという認識をお持ちなのかどうか。とすると、その結論というのは国庫負担の拡大しかないと思うのです、どんどん減る話ばかりになってきているのですが。私は基本を考え直す必要があると思うのですが、ちょっと基本的姿勢として大臣にお間きしたいと思うのです。
  207. 津田正

    ○津田政府委員 国民健康保険は、医療保険の中でもいわば国民皆保険の最後のよりどころというように位置づけられるべきものでございます。そして国保事業の特色と申しますのは、老人世帯が多い、それから低所得者層が増加してきているということであります。昔は農林水産業あるいは中小企業ということでございましたが、最近は、無職者、特に年金生活者が多い、こういう実態にありまして、国保財政は厳しい状況にあると認識しておるわけでございます。  今回の国保制度の見直しにつきましても、国庫負担金と保険料で賄うべきものという基本的スタンスをとりながら、やはり低所得者を抱えて国民健康保険という保険の仕組みでやるのは限界があるのではないか、そのために県あるいは市町村の公費を国の公費と同様にある程度入れなければ国保基盤の安定というものはできないのではないか、このような点。また、小規模な経営主体でございます市町村がやっておるわけでございますから、一件何百万というような高額の医療費が出たら国保財政はめちゃくちゃになるわけでございます。そういう意味におきまして、共同事業というようなものに対して都道府県が助成する、こういうような観点が立ったわけでございます。  しかし、今回の見直しにおきましても、これは国保制度の中長期的な安定化のための第一歩と認識しておりまして、そういう意味で六十三年度及び六十四年度の暫定的な措置をしたわけでございますが、今後医療保険制度の一元化の具体的な方策、国民医療費というものはどういうふうにあるべきか、そういうような総合的な取り組みと同時に、今委員指摘のとおり、保険料負担水準のあり方、これは絶対的な水準が高いということと同時に地域的な格差というものもある、その基本は医療費の地域格差ということにも由来しておるわけでございますが、そのような保険料負担水準というものがどのようにあるべきか、なお大きな課題を抱えておる、このように考えておりまして、さしあたっての二年間の暫定措置というものでございますが、今後基本的な検討を続けていかなければならない、かように存じておる次第でございます。
  208. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 委員指摘の、発見がおくれ、治療がおくれることによってお亡くなりになった大変不幸なことに対してお悔やみを申し上げる次第でございます。その原因がいずれにあったかというその原因究明ということよりも、それぞれの国保団体の方々が懸命な努力をしている善意は信じつつも、そういう事例が起きたという現実、これを冷厳に受けとめてその対策をしていかなければならないというふうに感じております。  それから、既に負担の限度でないかという御指摘がございましたけれども、そのようなこともひっくるめまして、もともと国の責任において保険制度が創設されたわけでございますが、特に国民健康保険、地域医療の問題でありますし、地域問題でもございます。そういう市町村あるいは国保組合の置かれている苦しい状態を地方自治体として見過ごすわけにはいかないという切実感から、今回の国保のあり方に対する見直しの暫定期間二年を通じて、この問題に県や都道府県が、国と同じ立場ではございませんけれども関与しながら、これからの負担やその他のあり方について我々も積極的な発言をし、意見の開陳を行いながら適正なものをつくり上げるための努力をしていかなければならないというふうに考えております。     〔委員長退席、片岡(武)委員長代理着席〕
  209. 寺前巖

    ○寺前委員 お亡くなりになったという事実は冷厳たる事実であって、本当に二度とこのようなことをなさないようにするためには、その教訓というのは十分に生かして、重ねて調査してほしいということをもう一回申し上げたいと思うのです。  それから、大体京都市で言うと三分の一の人が国保に入っているわけです。さきほど言った水準の状態だから全体として限界に来ている。それを画一的な、全体としての統一の方向で考えるとか、いろいろな御意見はありましたが、それは見解は別にしまして、京都市議会の全会派一致で重大なる決意を持って国庫支出金の増額を実行させるという、ここに地方自治体としては、今までも我々は金を持ってきたけれども、それだけでは、私らのやり方だけでは限界だ、こう言っているのだから、基本的に国が出すということをもう一度考えるべきではないだろうか。かつてのように国庫補助四五%に戻してもらったら六十三年度分だけで約二十五億円の収入増になる。累積赤字七十億円の三分の一は解消できる。まして事務費の超過負担を前からのものを計算したら百三十億にも上っているのだから、国の責任の方が多いのと違うか。だから、自治大臣に、厚生大臣に、国庫負担を四五%にぜひ戻すように議会挙げてそのことを要求するから要望してくれぬかと私はきょう言われたのです。真剣に、この問題は命にかかわる問題であるだけに、重ねて要望しておきたいと思います。  次に、私は、行政機関というのは住民から疑惑を持たれるようなことをしてはならないということを最近都市計画の問題をめぐって感じましたので、建設省お見えでございますね。  京都府の宇治市というところがございますが、里尻大久保線という路線をつくろう。今部分的にやっておりますが、この道路は、昭和三十二年に都市計画決定がなされて、五十七年一月に事業認可が出て、昨年十一月から部分的な事業に入ったわけですが、その都市計画決定時の図面では道路にかからないということで、昭和四十八年に天王レジデンスというマンションをつくっているのですね。確認がおりて四十九年に建築をしているわけです。ところが、計画道路にひっかからないと言っておったのに、五十七年の事業認可の段階では一・七メートルひっかかりますよということで、それを買収する、三億からの金をかけてやる、こういう事態が起こっておるのです。  その天王レジデンスの道路を置いて西側、要するに新しい路線を引く同じ側のところにクリーニング屋さんがあるのですが、そのクリーニング屋さんのところへ行ったら、そこのおじいさんが、私は二十年前にここに家を建てるときにはそんなものは都市計画道路にひっかかりませんよという話でつくったんや、三十二年に都市計画がなされておったらこんな家の建て方しませんわ、しかし道路が通りますいうてそこのところ、角地を削られてしまった、そのために自動車も置くわけにいかぬようになったのでクリーニング屋も店扱いだけにしてしまって自動車も売ってしまいましたよと言うて、ひっかかった経過について納得できぬなと言いながら補償金をもらって削られた、こう言うのですね。私も現地を見に行って、そこに大きな道路、都市計画道路を引いておられるのだが、都市計画路線というものが家を建てるときにひっかかりますよという話が何で出ないのだろうかと疑問に思ったのです。  ところが、市議会の議事録を見ると、市の建設部長は、建築確認の申請の段階では縮尺二千五百分の一で審査する、実測による区域設定とは誤差が生じることは図面の精度や許容範囲から避けられない、縮尺二千五百分の一では一ミリ違うと二・五メートル変わることになる、こんな説明をしているわけですね。そんなことになったら、都市計画路線の決定があってから家を建てて、後から、いやあれはひっかかりますのやといってつぶされる、補償して買収される。そこらじゅうにこんなことが起こってくることになってきたら、これはえらいこっちゃな。二千五百分の一という縮図だからしようがないのだ、こういうふうにおっしゃっているというこのやり方は本当なのだろうか。私は、こんなことを許しておいたら大変なことになると思うのですが、建設省、この問題は一体どんなふうに思っておられますか。     〔片岡(武)委員長代理退席、委員長着席)
  210. 深水正元

    ○深水説明員 お答えいたします。  都市計画決定の計画図は、土地所有者がみずからの所有しております土地が都市計画施設の区域に含まれているかどうかの判断ができるものであることが必要でございまして、そういう意味で二千五百分の一の図面が使用されております。しかし、建築確認におきましては、より縮尺の大きな図面に基づいて都市計画施設の区域がどこまで及ぶかを精査して建築を認める場合が大半でございまして、今回のような事例は極めて例外的なものであると考えております。
  211. 寺前巖

    ○寺前委員 例外的というのは何ですか。ずさんだったということなのですか。道路をつくっていくということになったら建設省も、国も補助金を出しますよ。ちゃんと知った上で道路をつくって買収しているわけでしょう。そうしたらああいう路線の引き方は当然だ、こういうことになるのですか。  ところが、まだ疑問が出てくるのですよ。今度はその天王レジデンスというマンション。これを持っている辻さんという人は、あの地方における自治体でつくっている衛生管理組合の助役さんをやっているお方なのです。ところが、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱を見ると、借家人の補償とか動産移転料とか移転雑費の支払いなど、そういうものをしなければならぬことになっていますけれども、個別払いが原則だというんですがね、ところがここは辻さんという人が一括してやっているのですね。補償金をもらうんです。ところが、一括して補償金をもらっておるのだけれども、委任した覚えがないという人が出てきよるわけです。ところが、委任した覚えがないというのに、府の方が補償金を払うわけですよ。これまたどういうことなんだろうか。現に辻さんが代理してもらったところには、住んでいる人と違う人の名前でもらっているのも出てくるわけですよ。ともかくこの支払いの方法も異常ですわ。都市計画路線にひっかかってないと言っておったものがひっかかるということが後から出てくることも異常なれば、支払いの方法もまた異常だ。こんなずさんな行政というのがあっていいんだろうか。世帯構成や家財調査など全然やらぬままにやったとしか言いようがないじゃありませんか。こんなことがあり得るんですか。お答えいただきたい。
  212. 深水正元

    ○深水説明員 お答えいたします。  街路事業の用地補償におきましては、委任状を提出し、直接本人以外の者が本人にかわって補償金を受領する場合には、その委任をめぐりまして後日問題が発生しないよう、その委任が真正なものであるか等を十分審査するよう指導しておるところでございます。御指摘の問題につきましては、このような観点から今後十分調査して適正な処理を指導してまいる所存でございます。
  213. 寺前巖

    ○寺前委員 いや本当に、これは国も補助金を出しておるんだけれども、五割近くになるんですよね、補助金は。こんなものでずっと通ってきておるんだから、こんな行政機関というのはあっていいんだろうか。今大臣は出ていっておるからだれが答えてくださるのか知りませんけれども、建設省の直接の所管か知らぬけれども、自治体としても、こんな行政が平然と行われておるといったら、住民は不安で不安でしようがないですよ。何かうまいこと談合して、うまいことやっておるのと違うかなということになりますから、これは大臣がおらぬさかい、だれがかわって答えますか。この指導をどうします。自治省としてもちゃんと指導しなければいかぬのと違いますか。
  214. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 自治省としても大変関心を持つ点でございますが、何分街路事業及び建築確認に係る事務でございますので、所管省におかれまして十分御指導いただくよう要望いたす次第でございます。
  215. 寺前巖

    ○寺前委員 行政機関は縦割りでそうならざるを得ないんだろうと思いますけれども、特別な注目をして、行政機関が正しく行政執行をやれるように御指導いただきたいと思うのです。  次に移りますが、この間、いつでしたか、十日の日でしたか、パキスタンで陸軍の武器貯蔵施設が大爆発をした。これは世界じゅうのニュースになりました。それで弾薬類、ミサイル、どんどんどんどん十キロも離れた首都イスラマバードの市街地まで降り注いで、数千人の死傷者が出ている。そういう意味では弾薬庫の管理、米軍と自衛隊その他がありますけれども、この管理が本当に適切に行われているのかどうか、あの事故を見るにつけても心配をしておったわけです。  そこで、ちょっとお聞きしたいのですが、米軍の岩国基地弾薬庫の問題なんですね。岩国基地には弾薬庫はいろいろありますが、外からでも見ることができるのは、弾薬庫にアメリカ軍のマークがついておるのですよ。それは危険度標識というものがあるのですね。アメリカの本を見ると、こういうものにはこういうマークをつけるというものがありまして、危険度一とか、ちゃんと数字が書いてあります。ちょっと外から見ているだけでも、危険度一の標識が十一個、危険度二の標識が三個、危険度三が三個、危険度四が一個となっている。  アメリカ合衆国国防省の弾薬爆発物類安全基準というのを見ますと、消火活動に関係ない人間は安全な距離まで避難させ、立ち入らせてはならないというあれがありまして、それで危険度一の標識のもとにおいては立ち入らせてはならないというのは二千フィート、約六百メートルとされているわけなんです。これは爆発したときの最小限です。内蔵量が多ければ多いほど距離はもっと離れたところでなければならぬ、こうなる。しかし、最小の状況においても六百メートルは離れておらなかったらあかんで、こうなる。  ところが、この米軍の十一ある危険度一の標識から六百メートル離れていないところに人家がある。二百メートルのところに岩国市のし尿処理場や民家が一戸あります。半径六百メートルという距離ではもう岩国市の行政がすっぽり入るという重大な状況にあるわけなんです。岩国自身が前から核の疑惑がありましたけれども、核の疑惑は横へ置いても、危険度一という標識が立っているところから最低六百メートル、中の量のいかんを問わず離れなければならぬと言われている範疇にたくさんの家があるままで、この弾薬庫を許しておるということはいかがなものだろうかなということが私は気になって仕方がないわけなんです。これはどこになるのです、施設庁になるのですか。
  216. 岡本行夫

    ○岡本説明員 具体的な施設の問題になりますと施設庁の方の管轄にもなりますけれども、私どもから一言、米軍の爆発物安全の基準について申し述べさせていただきます。  ただいま先生も御指摘になりましたような米軍の爆発物処理、管理につきましては非常に厳格な規則がございまして、米側としては、この基準にのっとりまして厳格な運用をやっているところでございます。我が国のように非常に人口の稠密な区域にあります米軍の施設、区域は、周辺の公共の安全、特に人家がございますところは最大限の配慮をしなければいけないことは当然でございまして、現在も私ども米側と安全の取り扱いについては累次話し合っているところでございますけれども、米側としてこれは非常に厳格な運用を行って、安全措置に遺漏なきを期しておるところと理解しております。
  217. 寺前巖

    ○寺前委員 基地の中では米側は、最小限六百メートルのところに家があったり仕事をしたら危ないさかい、最小限六百メートル離す、量によってはどれだけ離すかという基地の中における米軍対策はやっておるのや。ところが、基地周辺はもちろん我々日本人の土地なんだから、日本人の方にはどうかというたら、その危険度一から二百メートルのところにし尿処理場や家や、こうなっておるのや。六百メートル範疇というたら家がいっぱいあるわけだ。米軍は十分やっていますと言うけれども、それは米軍の話であって、日本人の方はどうしてくれているんや、こういう話なんやで。これはえらい話だが、施設庁知っていますか、そんなことになっているの。知りませんか。それはどう対処をしていくのか。
  218. 芥川哲士

    ○芥川説明員 お答えいたします。  施設庁といたしましては、先生からの御質問の通告を受けておりませんでしたので、現在のところその実態については承知しておりません。
  219. 寺前巖

    ○寺前委員 これは岩国で前から問題になっておるのや、物騒なところに生活しておるのやというて。アメリカ軍がちゃんとしていますというだけでは済まぬじゃないか。  それで、核の疑惑もさることながら、危険度一という中には弾薬、爆薬が一体どれだけ入っているんだろうか。嘉手納の場合だったら二十万トンと言われておる。川上だったら七万三千五百トンと言われておる。岩国だったら何ぼやろうか。アメリカの資料によると、一万トンにもいかない六千八百トンの重量の場合でも住居は三千七百四十八メートル離しなさいというものが危険度一の場合にはあるんや。これは一万トンにもならへんのでっせ。川上の七万三千五百トンとか嘉手納の二十万トンやらいうたらどれだけ離れておらにゃならぬのやろうか。ところが、たった六百メートルの範疇に家がいっぱいある。日本人の命を何と心得てくれているんだろうか。私はこれは知らぬでは済まない話やと思うのやけれどもな。事前に説明がなかったら知らぬというようなことでは、米軍に責任を持った対処をすべき施設庁の姿じゃないと私は思いますよ。  そこへもってきて、米国の一九八八年度軍事建設予算を見ると、アーミング・アンド・ディアーミングという高性能弾薬庫が、危険度一の弾薬庫の奥に今度また建設するというのだよ。ますます物騒になるんや。  大臣、米軍基地のあるところの周辺の安全ということを考えたら、こういう問題について研究しなければいかぬのと違うやろうか。こんなままで住民の安全を保障することができるか。米軍の側から見たら、日本人の存在というのは、ようあいつらはおるなあという存在になるんですよ。そんな基地の提供の仕方はあるか。大臣、いかがでしょう。
  220. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 消防法の所管の立場からでございますので私も十分なお答えはできないかもしれませんが、もとより御指摘のように地域住民の安全を確保するということは大変大事なことでございます。  自衛隊の場合あるいはもちろん一般の事業所の場合、これらにつきましては消防関係におきましても国内法が適用されますし、その他の危険物なり火薬の規制等につきましてもそれぞれ規制の法律があるわけでございますが、米軍基地の場合には御承知のように国際法上の原則によりまして国内法が適用されないということでございますので、そういった観点からの直接の規制なり安全確保のための規制の手段はないわけでございます。しかしながら、米軍におきましても日本の公共の安全に配慮しなければならない、そういう国際法上の義務があるわけでございますので、そういう観点から外交所管官庁その他関係官庁におきましてもそういう点に十分配慮した安全の確保が保たれなければならない、もちろんその必要があるというぐあいに考えておるところでございます。
  221. 寺前巖

    ○寺前委員 私、別に難しいことを言うとるわけやあらへん。もう一回言いまっせ。米軍の方は最低六百メートルは離さなければいかぬ。量によっては、危険度一の場合何千メートルも離さなければいかぬ、そうでなかったら何が起こるかわからぬから。弾薬庫というのは大変なものなんだ。危険度一、危険度二、三、四というものを設けている。ところが、基地内で米軍はそういうふうにやっているか知らぬけれども、基地の周辺部におるのは我が日本人だ。日本人は最低の六百メートルどころかもっともっと近いところにいっぱいおるんや。その危険度一のものをまた新しくつくる。こんな物騒な基地提供が許されるんだろうか。一番基本原則上の日本人の安全のために、不安で不安で仕方がない生活を毎日送っているという事実に対して、政府として、自治体を管轄される大臣として、これはこのままに置いておいていいんだろうか。新しくこういう弾薬庫をつくっていくことについて、待てよという研究をしなくてもいいんだろうか。自治大臣、改めてお聞きをします。いかがなものですか。
  222. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 事実関係をよく承知をいたしておりませんが、協定やその他の内容検討して早急に対策を立てなければならないという感じで今話を伺っております。
  223. 寺前巖

    ○寺前委員 すぐにひとつぜひ調べてください。  そこで、今消防庁の方からお話がございました。米軍基地に消防法は適用されないというような話だったのですが、日米地位協定で米軍に消防に関する特権を与える特例法で外されるんやということになっているんだろうか。外務省、これはいかがなんですか。
  224. 岡本行夫

    ○岡本説明員 在日米軍は、安保条約第六条に基づきます地位協定によりまして我が国はその駐留を認めているものでございますが、このような外国の軍隊を条約をもちまして認めております以上、国際法上の一般原則といたしまして、米軍に対しまして我が国の法令がそのまま適用されることはない。したがいまして、消防法も適用されないこととなっております。
  225. 寺前巖

    ○寺前委員 そうするとますますもって物騒なことになるんだね。  しかし、歴史的に振り返ってみると、昭和五十一年の米軍の鶴見貯油施設火災のときに、米軍側は鶴見貯油施設の国内法による立入検査を認めるという事態が生まれた。危のうてしようがないから日本の消防の皆さんにぜひ見てください、ぜひあなたたちの力もかりぬと横へ波及したときには困るんじゃないかという問題が出ているのですよ。  それから、昭和五十六年十月の小柴米軍タンク爆発火災に関連して、当時の防衛施設庁長官は記者会見でこう言っていますよ。米軍は日本にある施設の安全について確信があるのか、米軍側の安全基準はどういうものなのか、日本の消防法をどう位置づけているのかただすつもりだ。ここは日本の土地なんだぞ、日本の国民が住んでいるんだぞという立場から、一体どうなっているのだということを聞かざるを得ないということを、当時吉野防衛施設庁長官は言っていますよ。これは消防の問題として、僕は当たり前だと思うのです。  それで特別に、例えば地位協定によっても「日米衛生関係者間における情報交換について」という覚書をやって、米軍内の伝染病を所轄の保健所に定期的に報告する義務があるとか、そういうのかずっときちっとあるけれども、そういう意味では消防法に関しては日米間の協定なんてないのですよ。地位協定に基づくところの諸協定が消防についてはないと私は思う。  ドイツの場合には、ドイツ連邦共和国に駐留する外国軍隊に関して北大西洋条約当事間の軍隊の地位に関する協定を補足する協定というのがありまして、そしてドイツ連邦国内法が適用されて、消防業務も連邦国防軍と同じ範囲で提供されるとちゃんと書いてあるがな。同じように基地を提供している西ドイツと日本で扱いがこうも違うのは何でだろう。これは私の読み違いですか。  ですから、この消防の問題については、それはあなた、日本の安全にかかわる問題だから、日常生活にかかわる問題だから、はっきりと向こうに——火災が発生した場合に日本の消防も出るのでしょう。この間横田のところで火事が起こったときにも東京都の消防庁が出ていったわけでしょう。協力する以上は、どこに何があるかということを知らんかったら、危のうて行けませんがな。そう思ったら、消防というのは治外法権で、あそこは絶対に何やわかりませんのや、体だけ協力させられますのや、金まで持たされますのやということでは、これはひどい話やということになると私は思いまっせ。違いますか。  特にさっきの岩国でもそうだけれども、横田でも、あそこに核があるのと違うかと住民が思っているところなんかがありますわ。それで一方、アメリカ軍の方はそういうことに対するところの対策をする部隊が、核爆発物処理部隊、EODというのですか、ちゃんとおるのや。ところが我が消防の方にはそんな部隊ありませんやろ。核についての研究をしている部隊ありますか。そんなものありませんやろ。そうしたら、そんなもの、これは絶対やと言うて気安く行くけれども、向こうはちゃんといろいろな装具を持っている、応援に行った方は持ってへん、それで何が起こっているのかわからへんということになったら、協力もくそもあったものじゃない。  東京都と横田の基地との間に何か協定を結んでいるようですけれども、こんな協定といったって、一番基本は何かといったら、何があるのか知らなんだら協力しようがないやないか。しかもそれはこっちも影響を受けるさかいに協力しに行くものだ。とするならば、何といったって僕は立入検査をやらなんだらあかん。日本の国内法の消防をどう見ているのや。かつて施設庁の長官が、これはアメリカに聞きたい、こうおっしゃった問題というのは僕は当然だろうと思う。  ちょっとこの際に聞きたいのやけれども、吉野施設庁長官がその当時そんなことを言うとるのやけれども、アメリカと話をして、どんな話になっていますのや。ちょっと説明してください。
  226. 芥川哲士

    ○芥川説明員 お答えいたします。  小柴貯油施設の事故に関するお尋ねでございますが、この事故は五十六年十月に発生したと記憶しております。事故発生の直後、防衛施設庁といたしましては、先ほど先生指摘のとおり、吉野防衛施設庁長官より、日米合同委員会におきまして、米側に対し、事故の原因究明と今後の安全の確保について強く申し入れた次第でございます。これに対しまして米側からは、安全に関する所要の措置をとる旨の回答を得たところでございます。  その後米側より入手いたしました情報によりますと、米側がみずから実施しました調査の結果、爆発原因を特定することはできなかったということでございます。爆発原因の可能性があることといたしましては、可燃性の混合気化物が滞留していたことと契約工事業者が当時使用しておりました電気用具とが関連したのではないかということも考えられたわけでございますけれども、結論といたしましては、契約工事業者に火災の責任はないということでございます。  このように爆発の原因を特定することができなかったということのために、米軍がその後再発防止のためにとりました策は大変多岐にわたりまして、これを一つ一つ申し上げる時間的余裕はないわけでございますけれども、例えばタンクの修理・維持工事の際には、防爆型、これは爆発を防止するタイプのものでございますが、防爆型の電気器具を使用することでありますとか、小柴貯油所にございますところの他のタンクを検査したということでございますとか、あるいは横須賀の海軍補給所が管轄しておりますところの大型燃料タンクに関連する設備を検査するとか、予防的整備システムを見直すとか、あるいはさらに隣接しておりますタンクには防爆型の換気扇を設置するというような再発防止策をとったというふうに承知しております。  以上、お答えいたしました。
  227. 寺前巖

    ○寺前委員 いろいろな処置をやったと言うけれども、一番大事なのは、日本の消防の側で立入調査をすることがされていない、僕はこれがあかんと思うのや。それと、今後も何が起こるかわからないのに、どういうふうなものがどういうふうに配置されているかということも知らないというのがあかんと思うのや。だから、そういう立入調査、すなわち日本の国内法に基づくところの消防に関する執行ができるようにしなかったならば不安で不安で仕方がない、ここが一番の問題だろうと僕は思うのです。  横田基地と東京消防庁との間の消防相互応援協定というのを見ますと、いかなる地点へも派遣するものとするとか、要請者側の指示に従うとかと書いてある。向こうの言いなりになりなさいというだけや。こちらもやはり調べることができるということを明確にしておかないとあかん。そういうふうに思いませんか、消防の所管をしておられるところでは。一番中心問題はこれやと思う。  そこでちょっと聞きます。米軍の場合にはどうなっているのか、自衛隊の場合にはどうなっているのか、ちょっと説明してください。
  228. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 まず自衛隊の場合からお答え申し上げますが、自衛隊につきましては、他の一般の事業所と同じように国内法が適用されますので、消防法の規定が適用されます。したがいまして、消防法並びにその関係法規によるところの立入調査、これはもちろん行い得るし、行われておるところでございます。  在日米軍の場合でございますけれども、これは先ほどお答え申し上げましたように、国内法そのものが適用されない。これは外務省からもお答えのあったところでございますので、消防の立場としては、その点に関してはどうにもならないわけでございますが、しかし基地内において火災その他の事故がある、そういったような場合に、これは地域社会に大きく影響もする問題でございます。したがいまして、そういう観点から国内法は適用になりませんけれども、米軍の基地の責任者との間に相互応援協定を締結いたしました。これはあくまでもお互いに応援をし合うという中身をもちろん持つものでございますが、現実問題として、消防機関側からの基地への応援というケースが今までもしばしば見られておるところでございますので、そういった場合におきましては、まさに御指摘のように、その基地の中の状況を十分把握しておく必要があるということは申すまでもないところだと思います。  神奈川県の場合におきましては、そういった立入調査ということ、すなわち基地内の水利であるとか道路の状況だとかあるいは危険物がどういうところにあるか、そういったことを現地の案内つきで立入調査をする、そういう形をとっており、そのことが協定の中に含まれておるわけでございます。横田基地の場合におきましては、現在の協定におきましてはそういった立入調査の規定がございません。ただ事実上話し合いで行われておると聞いておりますが、東京消防庁と横田基地の責任者との間のこの相互応援協定は近々改定されるということでございますが、その改定に際しまして、いわば附属文書と申しますか細目の中で、覚書の形でそういった立入調査に関する事項をも盛り込むようにするということを私どもの方としては東京消防庁からも聞いておるわけでございます。  いずれにいたしましても、現実に日本の消防機関が基地内に応援に駆けつけた場合、出動した場合におきまして、その状況を把握するということは、消火、消防活動の面からも、また出動いたします消防隊員の安全面、指揮の面からも必要なことであると思いますので、そういった状況把握ができるだけできるように努めてまいる必要があると考えております。
  229. 寺前巖

    ○寺前委員 自衛隊の基地は国内法の適用は当たり前のことですけれども、ところが、私現に例えば舞鶴の消防に電話をかけてみたのです。舞鶴に海上自衛隊の基地がありますね。消防にかけてみた。そうすると、石油タンクの方はちゃんとしておるのです。調べるのです。しかし、弾薬庫の方はあれは京都府に聞いてくださいと言うのです。何やら通産省所管の関係になるのですか。消防では直接見ようとしない。そんなばかな話はないので、弾薬庫であろうとタンクであろうと、消防としてはちゃんと全部どこにどれだけのものがあってどういうふうな対策が組まれているか、何ぼ自衛隊であろうと全部知ってなかったらうそと違いますか。現実にはそういうことが起こっておるのです。だから、私は改めて自衛隊に対する消防活動のあり方についてもきちんとしておかなかったら、あれは自衛隊がやってくれているだろうだけで物を見ておったら全体の責任をとることにならないと思うので、この際改めて提起しておきたいのですが、いかがですか。
  230. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 いわゆる危険物の中で、消防法に言う危険物でないほかの法令で所管をされておるものがあることは事実でございまして、特に火薬につきましては火薬類取締法ということで法体系は別になっておるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、現実に火災事故が起こった場合に出動いたしますのは消防機関でございます。したがって、消防機関が消防活動を行う場合におきまして、その状況を熟知しておくということは大事なことだと思います。自衛隊に関しましても、国内法の適用対象である限りその例外ではないと考えております。自衛隊自身も管理はきちっとやっていらっしゃるとは思いますけれども、消防機関の責任上、その点につきましては私どももよく指導に努めてまいりたいと思います。
  231. 寺前巖

    ○寺前委員 お約束の時間が来ましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  232. 松本十郎

    松本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  233. 松本十郎

    松本委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。渡海紀三朗君。
  234. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 私は、自由民主党を代表して、政府提出の地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行うものであります。  今回提出された地方交付税法の一部を改正する法律案は、昭和六十三年度分の地方交付税の総額について所要の加算を行うとともに、地方交付税の単位費用を改正することなどを内容とするものであります。  まず、昭和六十三年度分の地方交付税の総額については、国庫補助負担率の引き下げ及び国民健康保険制度の見直しに伴う地方負担の増加額を補てんするなどのため、二千二百七十五億円を加算することとしております。  また、昭和六十三年度の普通交付税の算定については、地域振興に要する経費、教育施策に要する経費、福祉施策に要する経費地域社会における国際化への対応に要する経費、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げに伴う所要経費の財源を措置するほか、投資的経費について地方債への振りかえ措置を縮減することに伴う所要経費の財源を措置するとともに、国民健康保険制度の見直しに伴って必要となる経費の財源を措置することとしております。  これらの措置内容とする政府提出の地方交付税法の一部を改正する法律案は、現下の経済情勢、国及び地方の財政状況等を考慮するとともに、地方財政の円滑な運営を図る見地から適切なものであると認められますので、本案に賛成するものであります。  なお、地方財政は引き続き巨額の借入金残高を抱え、今後とも厳しい財政運営を余儀なくされるものと見込まれますが、政府におきましては、地域社会の健全な発展と地域住民の福祉の向上に果たす地方団体の重要な役割にかんがみ、今後とも地域振興の積極的な推進を図るとともに、地方団体に対する財源措置の一層の充実に努めるよう強く希望するものであります。  以上をもちまして、政府提出の地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成の討論を終わります。(拍手)
  235. 松本十郎

    松本委員長 山下八洲夫君
  236. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして反対の討論を行います  以下、時間の関係から簡潔に反対理由を述べます。  第一には、六十三年度の地方財政計画及び地方交付税法改正案の最大の特徴として、国民健康保険制度の改悪に基づく財源対策が挙げられます。国民健康保険制度は、国庫負担と保険料をもってその費用を賄うことが制度の根幹でありますが、政府は、近年、国庫負担率の引き下げ、さらに退職者医療制度創設における加入者見積もりの誤りなど地方自治体に多大な財政負担をもたらし、なおかつ今国会において提出、審議されている国民健康保険法改正案において都道府県負担制度の創設及び市町村負担の強化を図ろうといたしております。国保制度、ひいては国民の医療保障に対する国の責任を放棄し、自治体に負担のみを負わせようとするかかる姿勢は断じて許されず、これを容認した自治省の態度も言語道断と言わざるを得ません。  第二に、国庫補助負担率の特例の問題であります。六十三年度政府予算案においては、特例国債発行を計画以上に減額し、竹下総理を初め政府は財政再建に自信があるとしております。もともと国庫補助負担率の特例は国の財政再建、縮小均衡財政を根拠として実施されてきたものであり、国の財政に余裕が出てきたときはまず地方への財政転嫁の縮小、中止を行うべきであります。ところが、政府はみずからの赤字を減らすことのみに専念し、地方財政への負担転嫁を続行しております。これは極めて遺憾なことであり、容認することはできません。なお、六十四年度においては約束どおりこの特例は廃止し、国庫補助負担率を復元させることをことしの夏の概算要求時において明確にするよう強く要求いたします。  第三に、以上のような国による打ち続く財政転嫁の帰結でもありますが、地方財政計画も地方交付制度も大きく変質していることを挙げなければなりません。地方財政計画は、地方財政の財源保障のための計画から、地方への財政負担転嫁の穴埋めのためのつじつま合わせの計画に堕落し、財政の単年度主義は根底から崩壊し、地方財政は継ぎはぎだらけとなっております。地方交付税法第六条三の二項の規定も死文化していると言っても過言ではありません。  こうした結果、六十三年度末における地方の借金は、約六十七兆円にも膨らみ、六十三年度交付交付総額もその実額は既往の借金の利子充当などにより法定税率に基づく金額を割っております。  以上、六十三年度における地方交付税法の一部を改正する法律案の問題点の骨格のみを指摘いたしまして、反対の討論を終わります。(拍手)
  237. 松本十郎

    松本委員長 小谷輝二君。
  238. 小谷輝二

    ○小谷委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして反対討論を行います。  以下、反対理由の主な点を申し述べます。  六十三年度の地方財政は、一兆六千六百億円に上る財源不足を生じており、これに対する財源措置として、その大半を地方債の増発によっているなど、地方は相変わらずの借金財政を強いられております。  昭和五十年度以降とり続けてきた借金財政によって、地方財政はますます硬直化しております。このため、六十一年度決算における公債費比率を見ると全地方自治体の三分の一に当たる千八十一団体が危険信号と言われる二〇%を超えております。このような地方自治体は新規事業の制限を受けるため、地方自治体は住民生活の向上、地域の活性化という重要な役割を十分に発揮できない状況に置かれております。  こうしたことは、地方自治体の責任というよりも補助金カットなど国の地方財政対策によるものであり、いわば制度の不備と国の施策によって地方自治体が制約を受けるというものであり、まことに不合理と言わざるを得ません。  さて、本年度は、国の補助金カットが行われなければ収支が均衡しており、財源不足は補助率カットによるものであります。しかもこれに加え、六十三年度は国民健康保険について都道府県に新たに負担させることとしており、地方の負担は一層強化されております。その他にも、国立病院の再編合理化による地方の肩がわりや各種施策の財源の削減などにより地方の実質的な負担増はますます強化されているために、住民サービスや多様化する住民の要求に十分対応できないのが実情でありますが、これに対する十分な対策がなされていないのであります。  また、地方財政対策は、その年度ごとに国の都合によって変更されるため、地方の自主的、計画的財政運営はほとんど不可能な状態に置かれているのであります。今後、地方は、住民サービスの向上や特色ある地域づくりのために計画的事業推進が望まれておりますが、こうした実態を考えたとき、確固たる財政制度を築くべきでありますが、現在の政府にはその姿勢すら見受けられません。また、国の地方負担転嫁によって、地方財政は、六十一年度に一兆七千億円、六十二年度に二兆七百八十五億円、六十三年度に一兆七千二百五十九億円と巨額の財源不足を生じております。このように普通交付税総額の一割以上の財源不足を生じた場合は、地方交付税法六条の三の第二項により、当然交付税率の変更ないしは地方財政制度の改革を行うべきでありますが、こうした措置が見られないのであります。  また、最近の経済の地域的偏在により地域間の格差が拡大しており、これが財政面においても富裕団体と弱小団体の差はますます拡大しております。十分な財政の均衡、財源保障を図るためには、弱小団体に対して交付税の傾斜配分を強めるなどの措置をとるべきでありますが、これに対して十分な対策が講じられていないのであります。  以上、主な理由を申し上げ、政府案に対する反対討論といたします。(拍手)
  239. 松本十郎

    松本委員長 岡田正勝君。
  240. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  地方自治法施行後四十年を経た今日、地方行財政をめぐる環境は一段と厳しさを増しております。行政、経済、情報等の中核的機能の東京圏への一極集中が進み、地域間の経済格差、所得格差を著しく増大させております。また、鉄鋼や造船業など構造不況業種を抱えておる地域や輸出産地においては、公共投資の拡大で一息ついているとはいえ、将来への自力発展への展望を持てないという厳しい状況に置かれております。  さらに、今後の本格的な高齢化社会の到来を控え、高齢者個々の実態に応じたきめ細かな行政サービスの展開を要請され、そのための財政需要が著しく増大することが予想されるにもかかわらず、地方財政は公債費負担比率が二〇%以上に及ぶ団体が全地方団体の三一・四%を占めるなど、国以上に厳しい財政状態に悩まされておるのであります。  地方行財政に課せられた最大の使命は、今日の地方団体を取り巻くこれら諸問題を克服し、地方団体が今後物心ともに豊かな福祉国家建設の主要な担い手としてその責任と役割を十分に果たすことができるよう、国政に重点が置かれている今日の地方行財政制度を根本的に見直し、地方自治の健全な発展と国土の均衡ある発展を図ることにあります。  地方交付制度についてもかかる視点からの見直しが不可欠であります。国に偏った税源、財源の地方への移譲、権限の地方分権の促進、国庫補助負担金の整理合理化に伴う地方一般財源の強化など、地方交付制度についても時代の要請に沿った総合的視点からの見直しが必要であります。  しかるに、今回提出されている地方交付税法の改正案は、交付税総額の確保は図っているものの、その内容においては従来の発想を踏襲しているにとどまっております。この点が、私が本法案に反対する主たる理由であり、政府に対し、地方交付制度の時代の要請に応じた見直しの早急な検討を求めるものであります。  その他、本法案には、国の補助率のカットに伴う地方財政対策が、大衆増税である国のたばこ消費税の増税措置の延長という形で補てんされていること、地方交付税に振り向けられている国庫補助金が極めて不十分なこと、地方交付税の補助金化的傾向がますます進んでいることなど、問題が多過ぎます。これらも、私が本法案に反対をする理由なのであります。  以上、本法案に対する反対の理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
  241. 松本十郎

  242. 経塚幸夫

    経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の地方交付税法案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、国庫補助負担率の引き下げに伴う地方財政の財源不足を自治体の借金と住民負担で補てんしようとしておるからであります。国庫補助負担率の引き下げによる六十三年度の影響額は一兆六千五百六十九億円にも上り、地方財政はもとより、住民の暮らし、とりわけ福祉に重大な影響を及ぼしているのであります。  六十三年度の老人ホーム事業の財源内訳を五十六年度と比較をすれば、国庫負担の割合は七七・五%から四四・四%へと大幅に切り下げられたため、地方負担は三・九倍、入所者の負担は実に四・五倍にも引き上げられ、耐えがたい負担となっておるのであります。  六十三年度の地方財政計画を五十八年度と比べてみましても、国庫支出金はマイナス五・六%、構成比は二一・九%から一七%に引き下げられており、一方、地方税は一三八・九%、使用料等は一二七%と歳入の伸びを上回り、地方と住民の負担増は明らかであります。政府は、財政運営に支障のないよう補てん措置を講じたといいますが、六十三年度、交付税の特例措置は財源不足のわずか二%、残り九八%は地方債とたばこ消費税の引き上げではありませんか。  自治省は、かつて、公債費負担比率二〇%を超す団体が三分の一にもなるような事態は避けなければならないと言明していたのでありますが、言明とは逆に千八十二団体にも達しているのであります。その主要な原因が、巨額の財源不足に対して交付税率の引き上げなど必要な措置を講じなかったばかりか、逆に国庫負担金を削減、地方債を増発、国の責任を地方に転嫁してきた政府にあることは明白であり、国庫負担金、補助金の削減をやめ、もとに戻すよう強く求めるものであります。  第二の反対の理由は、国民健康保険制度に対して負うべき国の責任を放棄、地方と被保険者にその責任を転嫁しようとしているからであります。  国民健康保険事業の六十一年度決算では、赤字となった団体数は九百二十七団体、赤字団体の赤字額は二千八百十二億円となり、過去最高となっているのであります。政府は、国保財政に対して国は負うべき責任を果たしている、こう弁明をしておりますが、国保事業の六十一年度決算を五十六年度と比べてみますと、歳入合計決算額は五十六年度に対し六十一年度は一・三三倍の伸びを示す中で、国庫支出金は一・〇二倍と全体の伸びを大きく下回る一方、保険料は一・五一倍と歳入全体の伸びを大きく上回っており、滞納額の急増に見られるように、負担の限界を超えているのであります。  しかも政府は、国保財政の安定と保険料の負担増抑制を理由として六百九十億円に上る新たな地方負担を押しつけようとしておりますが、何ら保険料の負担抑制にならないことは、全国で六割以上の団体が大幅な引き上げを余儀なくされていることを見ても明らかであります。  さらに政府は、給付と負担の公平化を口実に、医療費の地域差調整、保険料の標準化を初めとする医療保険制度の一元化を推し進めようとしておりますが、これは国庫負担を一層削減、被保険者と地方の負担を増大、社会保障としての国民皆保険制度の存立そのものを脅かすものであり、絶対に容認できないものであります。  日本共産党・革新共同は、六十三年度予算に対しまして、軍拡、国民犠牲の予算を、一兆六千億円の自治体独自の事業を初め、真の内需拡大と暮らし、軍縮予算に改めるよう要求いたしましたが、この道こそ住民本位の地方自治確立の保障であるということを申し添えまして、討論を終わります。(拍手)
  243. 松本十郎

    松本委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  244. 松本十郎

    松本委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  245. 松本十郎

    松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  246. 松本十郎

    松本委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、岡島正之君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。山下八洲夫君
  247. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党を代表し、地方交付税法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨の説明にかえさせていただきます。     地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方公共団体における行政需要増による地方財源不足を打開し、地方自治の拡充強化を図るため、以下の各項について善処すべきである。  一 地方交付税総額の長期的安定確保のため、地方交付税法第六条の三第二項の主旨にかんがみ、地方交付税の対象税目の拡大等を含め、一般財源の安定充実を図ること。  二 構造不況地域等財政基盤の脆弱な地方公共団体に対しては、公債費負担比率の上昇に対処できる財源措置の充実等を図るとともに、産業の振興と雇用創出について特段の援助に努めること。  三 国民健康保険事業の長期的安定を図るため、保険制度に対する国の責任の明確化、医療費対策の推進、給付と負担の公平化等医療保険制度全般にわたり幅広く検討し、その抜本的改革を図ること。  四 国庫補助負担率の特例については、昭和六十三年度までの暫定措置であることにかんがみ、昭和六十四年度以降においては、国庫補助負担制度の意義等を踏まえて検討を進め、制度の見直しなしにその基本的な変更を行わないこととし、国庫補助負担率の復元に努めること。  五 地方公営企業の健全化と経営基盤の確立を図るため、経費負担区分の原則に基づき一般会計からの的確な繰り入れに努めること。  六 地方公務員の週休二日制の推進を図るとともに、土曜閉庁方式導入の準備を進めること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  248. 松本十郎

    松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  249. 松本十郎

    松本委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、梶山自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。梶山自治大臣
  250. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。     ─────────────
  251. 松本十郎

    松本委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 松本十郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  253. 松本十郎

    松本委員長 次回は、来る二十八日木曜日正午理事会、午後零時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会