運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-04-22 第112回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十二日(金曜日)     午前九時四十一分開議  出席委員    委員長 松本 十郎君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 山下八洲夫君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石橋 一弥君    北村 直人君       鈴木 恒夫君    高橋 一郎君       谷  洋一君    友納 武人君       中山 利生君    松田 岩夫君       加藤 万吉君    佐藤 敬治君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       小谷 輝二君    柴田  弘君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官     新野  博君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治大臣官房審         議官      湯浅 利夫君         自治大臣官房審         議官      柿本 善也君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 渡辺  功君  委員外出席者         国土庁大都市圏         整備局総務課長 熊  新六君         大蔵省主計局主         計企画官    杉井  孝君         大蔵省主計局主         計官      水谷 英明君         厚生大臣官房政         策課長     清水 康之君         通商産業省立地         公害局立地指導         課地域振興室長 長田 直俊君         建設省都市局区         画整理課長   小川 裕章君         建設省住宅局市         街地建築課長  島崎  勉君         自治省財政局財         政課長     遠藤 安彦君         自治省財政局交         付税課長    小滝 敏之君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     ───────────── 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     田邊  誠君   中沢 健次君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     中沢 健次君   田邊  誠君     佐藤 敬治君     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第三四号)      ────◇─────
  2. 松本十郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 六十三年度の地方財政計画、これは六十二年度まではある意味では、適切でありませんけれどもめちゃくちゃ、こう言ってよかったのですけれども、六十三年度はややそのめちゃくちゃを脱出したのではないか、こう見ております。最初に、財政局長、どう見ていますか。
  4. 津田正

    津田政府委員 石油ショック以来の地方財政は、経済構造自体大きく変わっておりますし、特に我が国経済だけの問題ではなくて、海外の経済変動要因というものがもろに我が国経済にも影響してくる、こういうような状況でございまして、そういう意味におきまして、財政需要あるいは財政収入の面におきまして非常に不安定な状況でございます。  端的に申しまして、五十年代を通じて、また六十年代に入りましても、正直申しまして毎年やりくり財政、これは国の財政も同様と思うわけでございますが、やりくり地方財政を続けてまいったわけでございます。六十三年度におきましては、もちろん大問題としまして国民健康保険の問題あるいは補助率カット問題というものも抱えたわけでございますが、幸いなことに経済情勢上昇基調にある、こういうことで地方単独事業それなりに伸ばして、地方団体要請にもある程度おこたえすることができたのではないか、かように思うわけでございます。  しかし、基本的にまだ地方財政は安定しておるわけではない、それどころか多額の借金を抱えておる、こういうことでございますので、なお厳しい状況が続くかと思いますが、私どもとしましては、地方財政運営支障のないよう今後も最大限の努力をしてまいらなければならない、かょうに考えておる次第でございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 よく聞く言葉で、地方財政運営支障のないようにという言葉大臣からも出ますし、財政局長も常に言うわけだ。苦しくなるとそう言うわけだ、地方財政のその年の運営に困らないようにしますと。それは何かというと、借金するのだね。その運営支障のないということは、とにかく腹三寸、適当にやる、一定方針とかなんとか姿勢なしにやるという方針ですか、とにかく借金でもすればいいじゃないかという考えですか、どうなんですか。
  6. 津田正

    津田政府委員 きょうは大蔵省方々も来ておりますが、やはり地方財政というのは住民生活に密着した行政を賄う財政基盤でございます。そういう意味におきまして、国全体の立場としてはある程度弾力的な要素というものがあるかと思いますが、地方財政はそういう性格から、ともかく穴をあけるわけにはいかない、また三千数百の団体財政運営が一カ所でもとまるようなことがありますと、やはり国民生活が直接影響を受けるわけでございます。  そういう意味におきまして、必要な財政需要に対する財源というものにおきまして、もちろん恒久的、安定的な財源も欲しいわけでございますが、残念ながら五十年代におきましてはそれが不十分なため、正直申しまして地方債活用等、これは今後の財政負担を残すわけでございまして、余り過度の依存というものも抑制しなければならないわけでございますが、そういうような財源を使ってまでも国民生活の安定のために地方財政に穴をあげるわけにはいかない、地方財政運営支障のないよう措置をしなければならない、かような考え方でございます。したがいまして、財源問題につきましては、先生御指摘のとおり不安定なものを活用せざるを得なかったという状況にもございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 これは後で詳しく具体の数字で御質問をしたいと思っておるのですけれども、私はずばり言って、昭和五十五年くらいから、とりわけ五十七年、五十八年、五十九年から今日まで、今日までというのは六十二年度までは、一定方針なしにその都度適当に穴埋めをしてきた、そういう状況であったと思うのです。その一番大きな原因は、大蔵省からのいわゆる負担金補助金の削減、こういうことから起こっておるわけです。この辺を具体的に議論いたしますが、「都道府県展望」の二月、三月号がございます。これで大臣知事会会長とやりとりをしておるのですが、一、二紹介をしてみます。国庫補助負担金の引き上げについて鈴木知事会会長に対してこう言っているのですね。  国庫補助負担率の問題でありますが、自治省といたしましては、従来より単に国の財政上の都合によって引下げられるべきものではなく、国・地方間の役割分担費用負担あり方等と関連づけて検討されるべきものであることを強く主張してきたところであります。国庫補助負担率引下げ措置は、昭和六十三年度までの暫定措置としてあくまで国の極めて厳しい財政事情の下にやむを得ない措置として行われてきたところでありますが、昭和六十四年度以降の補助負担率あり方につきましては、地方財政の健全かつ、安定的な財政運営確保の見地から検討を進めていく考えであり、いずれにいたしましても国の財政負担を単に地方に転嫁するような措置は講じるべきではないと考えております。極めて明瞭であります。この基本的態度を貫く決意かどうか、これを質問に入る前に承っておきたいと思います。
  8. 梶山静六

    梶山国務大臣 再三お答えをいたしておりますように、いわゆる国庫補助負担率引き下げは、国の厳しい財政事情を背景として六十三年度までの暫定措置として行われているものであるということは御案内のとおりでありまして、六十四年度以降の補助負担率の取り扱いについては、原則としてもとの補助負担率に戻すべきものであると考えております。  具体的には六十四年度の予算編成時までに関係省庁と協議の上定めてまいりたいと思いますが、自治省としては、各事業性格国庫補助負担制度意義等を踏まえつつ、国としての責任が十二分に果たせるようにこれから検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省見えておるのですね。この問題、大臣態度は極めて明快でありますから、これを続けていただきたいと思います。  大蔵省への質問に入る前に、おとといですか、この席だったと思いますけれども、交付税についての参考人が招致されまして意見が述べられました。地方団体を代表して宇都宮の市長と福岡県の田川市長が公述されたわけです。非常に立派なことを言っておりました。私は、とりわけその言葉の中で重要なことは、国は地方に対して不信感を与えないようにやってほしい、こういうことでありました。そして、不信感を与え、今日の地方財政をいよいよ不透明にしているのは国の方じゃないか、これが両市長の言い分でありました。  具体的に言いますと、先行きが不透明な原因として、田川滝井市長滝井市長というのは衆議院に十五年近くおった方でありまして、国政のことは熟知しておる方ですが、まずその第一に挙げたのが国庫補助率カットだ。だからひとつ地方としては、国の信用を回復するために六十四年度以降やらないように方向を出してほしい、いや、むしろ確約してほしい、これが痛切な訴えでございました。そのほかにいろいろありますけれども、東京への一極集中あるいは農産物の問題、特に産炭地、今も産炭地の荒廃というのは進んでおりますけれども、それについての交付税措置、これも後で出したいと思っておるのですが、交付税措置が去年まではまあまあやってきたのですけれども、もう長くやったから経過措置だという形で、だんだんファクターがかかっていっております。何とか今の方式ではなくて新しい方式、いわゆる産炭地ばかりではなくて造船なりあるいは鉄鋼なり、そういうものは完全にゴーストタウン化していくのですから、そういうものに対する何かの振興策を講ぜられるような思い切った交付税措置をしていただきたい、こういう強い要請が出されました。私も、身を切られるような思いでこの参考人言葉を聞きました。  大臣はその席に見えておりませんでしたけれども、参考人の今の言葉、これはそのとおりだ、こう御理解になりますか。
  10. 梶山静六

    梶山国務大臣 地方財政に対する不透明さ、これは理由としては二つあろうかと思います。  一つは、経済社会の成り行き、先行きをだれしも完全に予見することはできないという意味での不安感、これは国も地方一般国民も抱いている将来に対する不安というのは漠然とあろうかと思います。それから、今委員指摘のように補助率カットやその他、年々歳々地方にとってみればいろいろな変化は決して好ましいことではないわけでございますから、そういうことをやられることに対する不透明さ、あるいは不信感、こういうものがあろうかということは想像するにかたくございません。そして、今お話がありましたように一極集中の問題あるいは農産物産炭地に対する意見、これもまさに御指摘のとおりであります。  しかし、考えてみますと、私もいわば地方主義者でございますから、地方のことを最優先に考えたいという気持ちは持っております。しかし、地方さえよければ中央はどうであってもよろしいという論理にはくみすることができません。それはなぜかといいますと、今確かに苦しい苦しいという中で、国も百六十兆の公債残高を持っているわけでございますし、我々地方自治体も六十七兆、約七十兆に及ぶ借金残高を持っているわけでありますから、どちらが多いか少ないかという問題ではなくて、両々相まって苦しんでいる、これは現実でございます。  それからもう一つ、確かに地方自治を中心として、住民の先端にある、住民と直接タッチをする行政でございますから、それぞれの切実な行政需要があらうかと思います。しかし、これは国にしても地方にしても、すぐ身につまされるかつまされないかは別といたしまして、それぞれ私は不要不急の政策をとっているとは思いません。ですから総トータルこれだけの財政需要があるとするならば、それなり財源確保をしなければ、これまた国も地方維持ができないわけであります。一元的には、一次的には国の責任においてなされるわけでありますし、地方自治体がみずから財源を、多少のことはできますけれども、大きな財源確保することはできないわけでございますから、国がその手配をとることは当然でございますが、我々が感じなければならないのは、行政水準維持向上あるいは新しい行政需要に対応するためには、それだけの知恵だけでは成り立たない財政的な負担があるわけでございますから、その財政需要をどうやって確保するかということに思いをいたさないと、私たちは往々にして、きのうも参議院で議論があったのですけれども、消防職員方々が四週六休に行くためには、どうしても普通の行政能率化という問題だけでは、これは受け身の仕事でございますから、できません。ですから、ほかの創意工夫によってそれがほかのことで賄い得れば別ですが、どこも最善努力をしているとするならば、それだけの人員増があればそれだけの財政需要が発生するわけでありますから、その財源をどこにか求めなければならない、このことも一つ考慮に入れなければならないという気がいたします。  産炭地問題等激変緩和措置は当然講じなければなりません。しかし、石炭自身外国石炭と競争し得るかどうかという問題になりますと、これは冷厳な自由経済原則でございますから、外国の炭の倍も高い炭を買って電気をつくれば電気料金が高くなる、高くなることによって北海道の電力は高くつく、そういう悪循環が進むわけでありますから、私はそういう現状是認の思想ではなくて、やはり改良していかなければならない。その改良をすること、改善をすることによって激変をする場合は、政治がこれに手助けをしなければならない。さりとてこの交付税なんかの特例も、確かに急激に減っていくことに対するうらみがあることはわかりますけれども、現状をずっと固定して維持することが果たしていいものかどうなのか、早く新しい体制に行き着くためにどうしなければならないか。その意味では、今委員指摘のように、一極集中を排除をして多極分散型の国土を形成する、そういう産業構造改善と多極分散と相まってこれからの次の展望を開いていかなければならない決意でございまして、参考人の言われた意見は全く同感でございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 参考人意見自治大臣同感、そして鈴木知事会会長との対談の際にも、それはきちんとしなければいかぬ、こう言っておりますから、私は、国はどうなってもいい地方さえよければいいとか、国がよければ地方はどうなってもいいんだ、そんなような考えは持たないのです。両々相まって調整していかなければならぬという認識、主張、そういう前提に立って物を言っているし、これから質問を展開したいと思うのですが、私の印象ですよ、今の大臣言葉、やや言語明瞭、結論不明瞭という印象を受けるのですが、いかがですか。
  12. 梶山静六

    梶山国務大臣 私の言葉の拙劣さがあることはお許しをいただきたいと思いますが、冒頭申し上げましたように、私は地方主義者でございます。みずからを是認をいたしております。ですから、今委員指摘のように、国と地方が両々相まってと申しますけれども、私のスタンスは、逆に国と地方ではやや地方に比重をかけて申し上げているつもりであります。と申しますのは、国と地方が両方、双方同等負担や配慮を行っていくべきということより、やはり法律は国でつくられ、そして財源も、いわゆる税財源等措置も国によって行うことができるわけでございますから、例えがいいかどうかわかりませんが、おやじ、おふくろが働いて子供を育てる、子供は一生懸命勉強して、働いて稼げば稼げないこともないけれども、多少学生のアルバイトはいたしますものの、今やることはそうではない、自分の知力や体力や気力を充実させるべき時期。ですから、親と子というと大変関係が、地方を小さく見過ぎるのか、あるいは地方が不利過ぎるのか、そういう嫌いがあるかもしれません。子供みずからはまだ稼ぐ能力がないわけでございますから、親は多少苦しくあっても子供には楽をさせたい、これが親心だと思いますし、親の子供に対する責任でもあろうかと思います。表現が果たしていいかどうかわかりませんが、国が一義的に地方健全化を図ることは、同等ではなく中央がややおくれても地方のために苦しむべきだ、こういう観点を持っていることを御理解を願いたいと思います。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣言葉、揚げ足をとるわけじゃありませんけれども、自治大臣としてあるいは本人自体として地方の方にウエートがかかっているのだという言葉がありますけれども、別に意識して言ったのじゃないと思いますが、国と地方との関係親子関係だという言葉は、大臣、これは初めての言葉ですよ。従来言われていることは、福田赳夫さんにしても、あるいは前の総理大臣にしても、今の竹下総理にしても、国と地方との関係は車の両輪のごとし、こう言っているわけです。親子関係ということは自治大臣が初めて言い出したのですが、何か違いがあるのですか。
  14. 梶山静六

    梶山国務大臣 それは行政水準維持とかそういうものについて、行政需要、この意味で私は、質は違うけれども車の両輪だと思うのです。ただ、親子という関係を私が申し上げたのは、国の権限、権能の方がはるかに高いということであります。それは、立法権を持っております。立法権というのは議会でございますけれども、内閣提案権を持っておりますし、そういう意味では、地方でみずから行うことのできないことを全部中央で行うことができるわけでございますから、その権限論においては親子ほどの違いがある。中身については車の両輪であろうという理解をいたしております。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 なおやはり気にかかる点があるのです。権限はそのとおりです。自治体の一番大切な自主税源、税は、地方税法はどこで決まるかというと国会で決まる。国の権限ですね。それから、国庫支出金というのは中央の方から支出補助なり負担という形でやっておるわけです。それからさらに地方債、これも重要な地方団体財源ですよ。これは原則は自由なんですが、現実には戦後今日まで一貫して許可制をとっているわけです。そして今地方分権地方に必要な権限は、あなたは選択的地方分権、こうおっしゃっておりますね。そのとおりだと思う。そうだとするならば、そういう権限について国と地方両輪であるような、お互いに助け合っていけるような体制をつくっていくことが、地方分権を確立する、あるいは大臣の言われる選択的な地方分権、こういうことにつながるのじゃないかと私は思うのです。  親子関係といいますと、あるいは昔の考えじゃないかと反論されるかもしらぬけれども、やはり親と子となりますと、これは国と地方の制度的、法律的な関係とは違った親子関係というのはありますから、そういう点ではやはり親子関係というのはやめて、そういう親子関係の変なものを直して、車の両輪であるような体系をつくりたい、国と地方との関係をつくりたい、こういうふうに自治大臣としておっしゃっていただかぬと気がかりだと思うのですが、いかがですか。
  16. 梶山静六

    梶山国務大臣 私も親子論にこだわるつもりはございません。ただ、現状今までの形からいいますと、権限、権能的には親子ほどの違いがある。そして、現実行政需要やその他は全く車の両輪、場合によっては地方自治体行政需要の方がいわば量的には多いわけですから、車の両輪としても、やや大き目の地方自治があるのかなという感じがいたします。  しかし、戦前社会はいざ知らず、戦後四十年たってようやく地方自治が完成をしつつあります。ですから、今まで中央の干渉と言うと言葉が悪いのですが、指導のもとに、いわば能率化画一化、こういうものが進むことによって大変仕事能率のいい地方自治が生まれたわけでありますが、ともすると画一的になりがちで創意工夫が生かされない、むしろ無味乾燥というか、全国津々浦々どこへ行っても同じような地方団体ができてしまった。できてしまったというより、これはできることが望ましいことでありますが、それで地方自治が完成したとは私は思いません。ある一面の基礎ができ上がれば、それぞれの地方思い思い創意工夫を生かして、それぞれの独自性を生かした地方自治体があってしかるべきだと思います。  ですから、親子論に戻るわけではございませんが、ようやく成人に達しつつあるわけでございますから、親離れもいたさなければなりません。そういうことで私は、これから地方権限を大幅に拡充するために中央も、今まで地方自治体はともすると、まあ都道府県は相当立派にもなりましたけれども、市町村に任せれば何をやるかわからないというかつてあった不信感、こういうものはもう払拭をして、いかでか親が手を離せば子供の方が立派にやる場合も多いわけでありますから、その意味では地方分権をさらに進め、あるいは今お話のあった脱財源の強化、こういう問題に努めてまいる時期が到来をした、そういう認識に立っております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 自治大臣の言う時期が確実に到来したという条件を、時代を、梶山自治大臣ひとつつくっていただくように、最善努力をしていただきたいということを要望しておきます。  そこで大蔵省質問したいのですが、日本経済新聞の四月十日号に「高率補助金補助率カット 六十四年度以降も継続」とあり、カットは続けますよ、五十九年度に比べますと一兆七千億程度カットが行われておりますが、これは六十四年度以降も続けますよ、「大蔵省、来月にも検討会」、こう書いてございます。これは何も日本経済新聞ばかりでなくて、ほかの新聞にも出ておったとおりであります。そしてその中身を読みますと、補助金問題懇談会を設けたい、大蔵省の構想であります。自治省建設省、厚生省、運輸省、農水省、文部省、こういうものが参加して検討会をつくりたい、しかしこの検討会は仮称です、こう書いてある。その中身をさらに読んでみますと、「今後の議論の中では、六十年度に補助率を八〇%から七〇%に下げたあと、水準を変えていない生活保護費について、大蔵省がさらに一〇—二〇%程度引き下げを求める」、こう書いてあります。  この生活保護については私もかつて予算委員会指摘をして、行革審等では、補助率カット研究会等意見では、生活保護だけは国の負担率を下げないでいいじゃないか、例外で扱おうと言っておったのを、最終的には七〇%に一〇%下げたわけですよ、そしてそのままになっておるのはおかしいぞと。今度は六十四年度以降は一〇%か二〇%ということは、国の負担率は今の七〇%から六〇%か五〇%くらいに下げよう、こういう意図だとこの新聞を読む以外にないわけです。  そうしますと大臣、お言葉にあったように、このカットは正常に戻さなきゃいかぬ。緊急避難ということで三年間の措置が行われましたけれども、これはやむを得ないものとして国会も認めたわけですね。ところがそれをさらにやるというのは、緊急避難が二度来るわけですから、緊急避難のまた避難ということは超緊急避難ですよ。こういうことが考えられておるようでありますけれども、大蔵省、どうなんですか。
  18. 杉井孝

    ○杉井説明員 先生御指摘新聞報道につきましては私どもも承知しておりますが、補助金等に係ります暫定措置の期間終了後におきます国庫補助負担率につきましては、これまでの経緯や措置性格等を踏まえまして、諸情勢の変化あるいは国、地方役割分担、あるいは財源配分のあり方等を総合的に勘案しながら、自治省初め関係省庁とも協議の上、適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 否定はしてない。やはりこの検討会はそういう動きがあるということは間違いない。  そこで、大臣の段階まで来てないと思うのですが、実は三月二十五日、補助金カット問題で「姿勢の違い浮き彫り」という見出しで毎日新聞が報道しております。申すまでもなく、宮澤大蔵大臣は「今後の諸情勢の推移、国と地方役割分担および財源配分のあり方等を勘案しながら、関係省庁とできるだけすみやかに協議を開始したい」ああいう検討会を設けたい、こういうことです。梶山自治大臣は「「原則として」と断りつつも、「国の責任を全うしたい」「地方財政が健全かつ安定的な運営が図れるよう検討する」」こうおっしゃっております。ですから、ちょっと灰色に近いあれですが、大蔵省は間違いなくやると言うのですよ。だから続けたいということ。そのまま続けるのじゃなくて、緊急避難のまた緊急避難をやりたいということであります。局長レベルあたりでそういう話をやっておりますか、検討会
  20. 津田正

    津田政府委員 まだやっておりません。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 厚生省は大蔵省からそういう話を受けておりますか。
  22. 清水康之

    ○清水説明員 現時点で特にいろいろな御相談を受けておりません。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 新聞に書いてあるのをちょっと申し上げます。金額の多いところは何といっても建設省ですので、建設省はどうなんですか、話を受けていますか。
  24. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 ただいままだ承っておりません。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、この運営について特に大蔵省に配慮していただきたいと思うのは、研究会を設ける、懇談会を設ける、そして大蔵省の主唱に基づいて各省が参加していく。そして何らかの報告が、シーリングができるとき、七月の末ぐらいから、あるいは予算編成の大蔵原案が出る二、三日前にぽこっと結論が出るのです。それまでは十回くらい検討会なり研究会をやっておりまして、突如として大蔵原案が出る二、三日前、シーリングが出る二、三日前にぽこっと報告書が出ます。その報告書が出て、大蔵原案をやる場合に、各省に対して、言うことを聞かなければ予算編成できないぞというように圧力がかかっておると言われておりますが、圧力をかけておりますか。
  26. 杉井孝

    ○杉井説明員 六十一年度の暫定的な補助率見直しの際件、補助金問題検討会というのが設置されまして、いろいろな角度から議論が行われたわけであります。その際には、幅広い角度から自由な発言、検討をいただいたところであるように聞いております。  なお、六十一年度は日程的に、確かに先生御指摘のように補助金問題検討会の報告というのが予算編成の少し前に出て、その趣旨を踏まえながら予算編成過程で対応していったという事情にあると出し上げられると思います。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、ごく最近の例で国民健康保険、これは国保問題懇談会というのが大蔵の主唱でできまして、厚生省なり自治省を中心にして十回くらいやったけれども、何にも結論が出なかった、懇談的に、文字どおり懇談的に。そして、大蔵原案の内示ができる直前、二、三日前なったら突如として話し合いの結果、懇談会の結諭が出ました。  私は、懇談会の結論は、大臣がある意味では自負しているように、今度の国保問題懇談会は苦労したかいがあったということで、私もあの結諭については、今後大きな問題が残されております、まだ進行過程でありますが、これは努力を評価するにやぶさかではありませんけれども、それ以外は、全く予算が編成できぬ、協力してくれということで押し切っていった財政当局はいささか強気過ぎるのじゃないか、これでは民主的じゃないんじゃないか、こういう印象を持っております。いかがですか。
  28. 杉井孝

    ○杉井説明員 先ほどもお答えしましたように、六十一年度の暫定的な補助率の見直しは、今先生御指摘のような補助金問題検討会の報告の趣旨を踏まえ、事務事業の見直しに努めながら、国の財政事情等を総合的に勘案しまして補助率の見直しを行ったというふうに理解しているところでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 最後には、何か知らぬが三大臣の覚書とか確約書とか毎年毎年やっておりまして、ここ十年ばかりの覚書といったら、このくらいのものですよ、大臣。いつこんな約束ができたか、皆忘れちゃうんだ。こういうことはなるべくやらぬで、やはり関係省庁もっと十分な打ち合わせをしてやっていただきたい。これをやっておったら切りがありませんから、この程度にして先へ進ましていただきます。  私は、いつも地方財政計画というのを見ていった場合に、地方財政計画というのは法律的根拠は何ですか。
  30. 津田正

    津田政府委員 地方交付税法の第七条に基づく書類、このように考えております。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 地方財政計画の七条に基づく。法律の七条を見ますと、「内閣は、毎年度左に掲げる事項を記載した翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類を作成し、これを国会に提出するとともに、一般に公表しなければならない。」その一号として「地方団体の歳入総額の見込額及び左の各号に掲げるその内訳」、二号として「地方団体の歳出総額の見込額及び左の各号に掲げるその内訳」、このとおりですね。地方財政計画という言葉一つもありませんが、どうなんですか。
  32. 津田正

    津田政府委員 法律の規定は、まさしく先生がお読みいただいたとおりでございます。これを一応私ども俗称地方財政計画ということでいたしまして、地方団体財政運営の指針にするとか、もっとも基本的には財源保障という大きな意味を持っておりますが、そういう意味での地方団体の一般的な翌年度の財政運営の指針にもなるように活用されておりまして、そういう意味で俗称地方財政計画と言い合っておるものでございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 法律に書いてあるように、歳入歳出総額の見込み額の提出及び公表の義務と法定してあるのであって、国会に出されておるのはこれですよ。  そこでお尋ねしたいんですけれども、地方財政計画と皆さん方がおっしゃっているし、私どももこんな長たらしい名前じゃいかぬから財政計画、地財計画と一口に言っておりますけれども、本当の意味の地財計画と信じ込んでおるのですか。これ以外に方法がないと思っているのですか。いかがですか。
  34. 津田正

    津田政府委員 この第七条はまさしく「翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類」、こういうことでございますが、内訳につきましても、これを全部網羅しておるものではございません、この条文自体からは。しかし、大体の地方団体財政運営の基本となる指標というものが掲げられる、こういうような意味で私どもは俗称地方財政計画と言っておるわけでございますが、この法文に書いてあることとそれ以外のものも含んで地方団体財政運営の指針になるような考え方でおるわけでございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、ずばり言って大変努力して、あなた方は徹夜状態でつくっているから敬意を表しますけれども、私は、何のことはない、地方財政計画と言われる現在のものは地方交付税配分計画だ、それにすぎないのだ、こう思うのです。随分頭をひねっておりますが、そう思いませんか。これはまだ地方財政計画とは言えませんよ。地方財政法を見てごらなさいよ。あれはもっと次元の高い書き方をしていますよ。     〔委員長退席、片岡(武)委員長代理着席〕
  36. 津田正

    津田政府委員 この地方交付税法第七条は、御承知のとおり歴史的にはいわゆる平衡交付金のときは、毎年度歳入歳出につきまして国庫当局とやり合って非常に不安定であるというようなことから、交付税率によりまして地方交付税確保しておるわけでございます。しかし、やはりそのときどきにおいて見直しをしなければならない。その見直しの一つの重要な書類というものが第七条、こういうようなことでございます。  地方交付税法にまさしく載っかっておるわけでございまして、地方交付税に大きく関係しておる、立法趣旨もそういうことかと思いますが、さらに国としての地方財政に対する財源保障の問題、そして地方団体財政運営の指針、こういうような機能も果たしておる、このように考えておる次第でございます。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 私の承知している範囲では、地方財政法という国と地方との財政関係を律しておる法体系、これは極めて重要な基本法と言っていいと思うのですね。これとは全く無関係に、地方交付税法七条に基づいて地方財政計画はつくられている。ですから、地方財政計画とはなかなか言えないものですから、昭和何年度地方団体の歳入歳出総額の見込額、こういうふうに書いております。  この法律を拝見いたしますと、その第七条の前の六条の三の第二項、しばしば問題になる六条の三の二項というのは、交付税の分配よりも、むしろこれは国と地方との関係を端的にあらわす条項じゃないですか。いかがですか。
  38. 津田正

    津田政府委員 財源保障、そして財源調整の機能を有する地方交付税についての国と地方との間の関係の規定だと思います。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 六条というのが「交付税の総額」、六条の二というのが「交付税の種類等」、普通交付税と特交があります。六条の三というのは、奇妙に「特別交付税の額の変更等」という見出しなんですよ。そして、一項には普通交付税の額、二項に問題の総額の決定の方法があるのですよね。これは六条に対して六条の二とか六条の三とかやったのですから、後で追加をしたものに相違ないですね。むしろこれこそ、地方債はどうするんだ、それから国庫支出金はどうするんだ、国庫支出金補助金はどこが違うんだ、こういうものをきちんと国と地方との間の境界線というか、きちんと責任を明らかにした地方財政法という基本の中に、こういう交付税の総額はこうやって決まるんだという、地方財政の中心ですから、そういうものにすべきであって、こんなにちょこっと押し込んでおるというのは問題があるのじゃないか。押し込んでおるからこの条項は生きておらぬでしょう。毎国会で六条の三の二項はどうした、こうおっしゃっておりますけれども、生きておらぬでしょう。死んだも同然じゃないですか。いかがですか。     〔片岡(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 津田正

    津田政府委員 確かに現時点におきまして先生のおっしゃられることは私も十分わかるわけでございます。  ただ、御承知のとおり、先ほども若干沿革を申し上げましたが、地方財政法があって、そしてその後平衡交付金法ができた、その平衡交付金法が地方交付税法に切りかわる、切りかわるときに六条の三の二項が挟まれた。要するに平衡交付金から交付税に変わるときの一つの担保措置と申しますか、地方交付税制度の担保措置として六条の三の二項が突っ込まれた、こういうようなことでございまして、基本的原点に返って考えれば、あるいは地方財政法という方がふさわしいとも考えられるわけでございますが、そのような沿革、それも相当議論をされて、たしか平衡交付金法の題名を改めるという格好で地方交付税法が二十九年にできたかと思いますが、そういうような非常に難しい経緯も踏まえての条文でございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 経緯については私も若干知っておりますけれども、この段階ではきちんと整理すべきじゃないか、私はそう思うのです。  法律論争をやりますとあなたたちにかなわぬからいいかげんで下がりますが、そこで大臣、私が申し上げた六条の三の二項、それから第七条、これはちょっと交付税法でやるのはそぐわないですから、体系をきちんとすべきじゃないかというのが私の意見なんですが、大臣はどうお考えになるか。私の意見にもっともな点があるというのならばそういう点で、もうできてからおおよそ三十年以上になるのですよ。よく見直し論というのがありますから、見直してはいかがでしょうか。どうでしょうか。
  42. 津田正

    津田政府委員 大臣からは後で答弁があるかと思いますが、経過ということ、そして六条の三の二項あるいは第七条というのは非常に重要な規定でございます。これは地方財政制度の根幹にかかわる問題でございます。先生御指摘のとおり、私ども検討課題とは考えますけれども、すぐ直せるような状況とも考えられないことも御承知おき願いたいと思います。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 自治大臣、あなたに質問があるのですが、この間エレベーターで大臣とばったり会ったとき、大臣委員会のやりとり、答弁は、原稿読まぬ方が生き生きとしていますよと私は言った。そうしたら大臣が、いや、そう思うのだけれども、周辺が書いたとおり読んでくれと言うからやむを得ずやっているんだ、こうおっしゃいましたよ、忘れたかもしれませんけれども。私の耳にそう残っているのです。そこで今、検討するけれども今は間に合わぬとおっしゃっておりますが、大臣、率直な意見を聞かせていただきたい。
  44. 梶山静六

    梶山国務大臣 残念ながら答弁の要旨に書いてございませんので何と答えていいかわかりませんけれども、それぞれの御意見を聞いていると、細谷委員の御意見ももっともだな、財政局長の言うのも、長い経緯を踏まえてそうだなという気がいたしますから、検討すべき事項であることは間違いございません。そして、やはり国と地方のいわば権限の分かれる論拠は明確にいたしておきませんと後々、もっとも弾力施行、弾力運用ができていいのかもしれませんけれども、ある程度截然とした分野がなければいけないという気もいたします。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 ぜひひとつ大臣、頭にきちんと入れて、これは財政局長としては、大蔵省との関係もありますし、何分予算編成の際には借金返しの元利償還金と交付税の枠というのが聖域だ聖域だと言われているものですから、聖域だからいじれないというようなことに財政局長とっているかもしれませんけれども、聖域を聖域でないようにするのも、あるいは何かするのも大臣権限ですね。ですから、ひとつ十分検討して対応をしていただきたいと思います。  もう一点、第七条の二号、「地方団体の歳出総額の見込額及び左の各号に掲げるその内訳」「歳出の種類ごとの総額及び前年度に対する増減額」「国庫支出金に基く経費の総額」「地方債の利子及び元金償還金」こうあります。これをまともに読みますと、三千三百地方団体がありますけれども、三千三百個々の数字は最終的には積み上げられなければいけませんけれども、少なくとも財政構造を異にする都道府県と市町村の計画は分けるのが法律の精神じゃないですか。二号に書いてあるでしょう、地方団体交付税の算入措置国庫支出金に基づく経費の総額、これがわかったら府県と市町村の区分はできるし、地方財政計画はもっと地方団体財政運営指針になると思うのです。今は財政運営指針になりませんよ。これが県と市町村が大体どういう割合にあるのだ、市町村にしても五千の市から二百万を超える市があるわけですから、おれのところはどれを頼りにしたらいいかわからぬですから、その辺はもっと親切に地方財政計画はつくらなければいかぬのじゃないかと思います。  ですから、私はそういう点からいっても、とにかく国会の審議が済むまで大まかにやっちゃえ、こういう形で都道府県も分けない、地方財政計画と言えないような書類を出さざるを得ないと思うのですが、一点、都道府県と市町村を分けたらいかがですか、これは私の従来からの主張であります。いわく、人間が足らぬ、そんなことをやったら殺されてしまう、こういうふうに私におどしをかけるのですよ。こんなことをやったら大変だ、そんなことを言ったら大変だといったって、この地方財政計画と言われるのを見ますと、地方税は県と市町村が最初から分かれている、そして県と市町村の間のやりとり、精算状態もちゃんと財政計画に書いてあるでしょう。それからもう一つは、地方団体に、県と市町村に交付税が配られるわけですが、交付税全体計画の中では県と市町村は分けてあるでしょう。きちんとわかっておらぬのは、国の支出金が県の方に来るか市町村の方に来るかわかっていない。これが大変だというのです。  交付税の計算というのは、国から補助金をもらって、負担金をもらって事業をやる。その裏負担をどうするのか、地方債で見てやるのか、需要額にどうするのか、これが問題でしょう。できないはずはないですよ。交付税の全体計画が出ているのに、県と市町村は分けることはできない。税は分けている。交付税でも分かれている。あとできないのは何もない。どうしてやらぬのですか。
  46. 津田正

    津田政府委員 最初に、私どもの職員が少ないなどという実情は十分御承知の上でおっしゃられておるわけでございますが、正直言って、そういうような作業をする時間あるいは体制ができていないということと、それから基本的にこの第七条というのは、歳入におきまして国庫支出金の内訳、歳出におきまして国庫支出金に基づく経費の総額の内訳を書かなければならない。これは都道府県、市町村合わせました全体の数字は予算編成が決まりまして各省若干の作業をしていただいてわかるわけでございますが、その上に都道府県、市町村までの分別ということが各省自体できない。また、これはさかのぼって言えば、予算がまだ通らないうちに要するに補助金の配分を決めていいのかどうかという問題にもつながるかと思うわけでございますが、それ以上に、現在のところは事実上都道府県、市町村の国庫支出金の配分は各省もできないような状況でございます。  それに対しまして、もう先生も十分御承知で困るわけでございますが、交付税計画におきましては、都道府県、市町村の区分けというのですか、財政需要財政収入の区分けをやっておるのは事実でございます。それでは、そのうち前提となります国庫支出金都道府県、市町村の配分がそれできっちり決まったのかというと、正直言ってあの場合でも決まっておらない。しかし、一つの救いと申しますか、こちらの第七条の国庫支出金に基づく経費の総額を県、市町村に私ども分けるということは、これはあくまで各省の配分がきっちり決まってからでないと書けないわけでございます。ところが、交付税計画の場合には、交付税自体は自治省の所管でございますので、それの算定基礎にある程度国庫支出金の県、市町村の配分を私どもの責任においてめどを置いて、それで交付税の見通しを立てる、こういうような格好でございます。まず物理的にはなかなか難しいということを申さなければならないわけでございますが、またその背景には、以上のように国庫支出金の配分の各省との関係考えて対処しなければならないわけでございます。  ただ、御指摘のとおり、地方財政計画地方団体財政運営の指針としましては一本では役に立たないじゃないかという御指摘はごもっともでございます。私どもとしましては、私どもの責任なりに、そういうような国庫支出金等の見込みも含めまして財政課長内簡とかああいうようなもので都道府県、市町村に十分の指導をしてまいりたい。指導というよりは、むしろ資料提供なり見込みというものにつきまして地方団体に御理解をいただくような努力は一層行ってまいりたいと考えております。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 残念ながら私の聞きたい点についての答弁になっていないのです。私は数年前に、もう十年くらいになりますか、県と市町村を分けてもらった方がいいですよ、それが財政運営の指針じゃないか、予算編成の基本じゃないか。古い話ですけれども私はかつてある市の市長をしておりました。それで予算編成をして市議会で予算編成の審議をするのです。その際に、一体交付税はどうなるのかい、国庫支出金はどうなるのかい、県と市町村だけではわからぬではないか、こういうことになりました。私は三十年から三十八年まで市長をしておりました。三十五、六年ぐらいまでは県と市町村をぴしゃっと分けていただいた。ですから市のその年度の税の伸びはこのくらいだろう、交付税の伸びはこのくらいだと大体わかりましたから、当市はこのくらいだろう。ところが三十五年ぐらいからそれが出なくなりました。そして今の財政局長の答弁では、それは財政課長内簡でぴしゃっとやっておる。財政課長内簡といってもあれは文章だけで間の数字が抜けてくるのですよ。そして抜いた税の伸びは何%だ、国庫支出金の伸びは何%だ、交付税の伸びは何%だ、財政課長が総務部長会議で説明して総務部長が書き込んでいって県や市町村におろしますから、これは抜けるんですよ。財政運営にならないですよ。そうでしょう、遠藤さん。これは秘密主義ですよ。知らしむべからずよらしむべしという過去の官僚の典型的なやり方だと思うのです。  ですから梶山さん、やはり親切に財政運営の指針になるように、そんなもの大したことはないのですよ。どうしてできないのかといったら、最初は五人人をふやしてくれればやり遂げますと言いました。遠藤さんでないですよ、あなたの二、三代前の財政課長がそう言った。遠藤さんの代になってから、遠藤さん直接ではなく、ある人が、財政交付税かのどっちかに所属する人が、やはり十人くらい要るでしょう、こう言っています。十人の職員が昭和三十八年までは県と市町村を分けておったのです。それを急にやめたのですよ。その人間はどこへ行っちゃったんですか。どこへ行ったか知りませんけれども、答えられないのならば、それをひとつ復元する。大臣、今大変うれしい悲鳴ですが、全国の県や市町村から、特に県より市町村ですが、自治本省に行って一年二年勉強させていただきたいと言っているのを断っているじゃないですか、助太刀しようと言っているのを断っているじゃないですか。あるいは質の問題があるかもしれませんけれども、全国の各市町村の方から、財政問題についてあるいは自治問題について興味を持ったそういう人が自治省に行って一年二年勉強したい。金をかけてやっているのですよ。それを断るくらいならそれを使って、その人はすぐ使い物にならないかもしらぬ。それならやはり人間の人事異動、官房長おらぬか、そのくらいにやって対応した方がいいと私は思っております。大臣、いかがですか。これ何とかしてくださいよ。私、国会に出てからこの問題だけを二十四年間、やがて二十五年、主張してきました。まだ実現しないのですよ。いかがですか。
  48. 津田正

    津田政府委員 三十八年までですか三十七年までですか、それまでは都道府県と市町村との区分ということもやっておったわけでございますが、当時と比べますと財政制度全体が複雑化し、国、県、市町村間の複雑な入り組みということが見られておるわけでございまして、各省庁の国庫支出金も当時以上に膨大になっております。地方財政計画策定の作業のペースで県、市町村間の割り振りというものは、各省自体もなかなか困難な状況かと思います。私ども、限られた人員でございますが、努力はするわけでございますが、基本的にそういうような特に問題でございます国庫支出金の割り振りというものが地方財政計画の中でできないという事情は御理解賜りたいと思います。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 大変でしょう。しかし、少なくとも税の方については都道府県と市町村ぴしゃっと分けて、大蔵省の政府予算案が決まるときにはもう大体税は固まっているのです。遅くともそれから十日ぐらいしたらもう税はほとんどリジッドになっております。変動しておりません。税務局長、来ていますか。そうですね。答えてください。ちょっと忘れたようなふりしているから。
  50. 津田正

    津田政府委員 税の方は、幸いなことに地方税については自治省権限であるということで、私どもの責任においての数字は出せる。それから、税制改正は予算内示前に固まります。それから、私ども財政計画というものは特に国庫支出金関係は予算が全部上がった後からの作業、こういうようなことで一週間ぐらいのずれでございますが、私ども十分努力しているわけでございますが、その一週間の期間というものがまたあの時点では非常に効果があって、税務局の方は何とか各税目見込みが立てられるわけでございますが、私どもの方の作業はまだそれに追いついていかない、こういう実情でございます。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 税はきちんと税務局の方でやっている。税務局というのはやはり四つの課があるのですからいいでしょう。しかし、それと同じような一つ交付税局なんかつくれなんて言っているわけではないのです。言ってみますと、交付税の全体計画、十兆何がしかの交付税を分ける、その基本になる全体計画については、都道府県については交付、不交付の別を、これは前年の八月を基準にして交付、不交付やっていますが、交付幾ら、不交付団体分幾ら、計幾ら、こうぴしゃっと出ていますね。需要額と収入額。収入額は税で決まりますから来ている。それから市町村の方も、三千二百ぐらいある市町村の交付、不交付に分けて需要額が決まるわけです。その市町村の数の多い需要を積み上げるということについて、これは並々ならぬ努力が要るだろう。恐らく二十日ぐらいかかっているのではないか、こう思うのです。二十日じゃ足らぬ、五、六カ月かかる。五、六カ月かかったら八月の算定に間に合わぬですから、そんなばかなことはないです。そこに交付税課長もやったし、地方債課長もやったし、財政課長もやっておるという人もおりますけれども、大体やろうとすればできるのです。  それと、五人が十人になった。それはひとつ検討していただいて、そしてそこまでを強行するのなら人殺しになりますよとおどかす自治省の人もおるのです。それをやらしたら人殺しだ。ばかげているじゃないですか。一生懸命仕事をして死ぬようなことはないのですよ。最近四十幾つぐらいの人が仕事一心で突然心不全か何かで死んでいますけれども、それはないのです。ですから大臣、これは自治体が渇望久しい問題なんです。どうしてもやってもらいたい、こう言っているわけですから、ひとつきちんと念頭におさめて、検討しますじゃなくて、できるだけ早くそういうことをやってみましょう、こういう晴れがましい御答弁をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  52. 梶山静六

    梶山国務大臣 お話のやりとりを聞いておりまして、大変うんちくの深い先生でございますから、私がとやかく申し上げるべきことではございませんけれども、確かに都道府県と市町村が分けられることが望ましいということだけは意味はわかりました。ただ、具体的に局長が言っているようになかなか人手が足りないとか、また国庫支出金のいわば内容が千差万別であるとか、そういうことで、交付税やあるいは税収と違って事務量が複雑多岐にわたるのだなということも意味としてはわかるのでございますが、どこの辺でそれができるのかどうなのか、私も不勉強でわかりませんので、まず私自身が少し専門的な勉強をさしていただいて、その後の検討を進めたいと思います。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 ぜひひとつ検討を進めて、具体的な対応をしていただきたいということを強く要望いたします。  次に進みます。ちょっと数字の議論になりますから、私の方で数字をつくってきました。その数字が正しいか正しくないのか、あるいは大蔵省の方も私の申し上げた数字が正しいかどうか、きちんと御回答をいただきたいと思います。  おおむね高度経済成長が済んだ四十年を基準として、四十年以降今日までの推移というものを地方財政計画を中心にしてながめてみました。その地方財政計画で毎年前年度の地方財政計画に対して総額の伸びがあります。その地方財政計画のもとになっておる地方の一般財源というのもしたがって伸びます。どういう仕事にどういうふうに伸ばしたということは、これは政府あるいは自治省の政策意図がきちんと出ておるわけですね。これは非常に重要な数字だと私は思うのです。  そこで、財政課長に聞いた方がいいでしょう。この白表紙の歳出の部分の二十一ページ、二十二ページですが、二十一ページに「歳出の種類ごとの総額及び前年度に対する増減額」という表がございます。それを受けて第十表に「歳出の増減事由」というのが詳しく出ております。この九表があるのに何だってまた丁寧に十表なんというのを出すのですか。この表を発表する理由を聞かしていただきたい。紙の節約にもなりますよ。
  54. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 御指名でございますのでお答え申し上げます。  地方財政計画の歳出におきまして、先ほどの地方交付税法の七条にありましたように、歳出の種類ごとの総額ということでございますので、二十一ページにおきましては歳出の種類ごとの総額、それにこれも法律の要件でございますが、前年度に対する増減額ということで掲げております。二十二ページにつきましては、その増減事由といたしまして歳出の総額の項目ごとの増減、そのうち地方一般財源でどれだけ伸びるかということを記しておるわけでございます。(細谷委員「わざわざこの表を掲げたあなたのねらいは」と呼ぶ)国費と地方費によりまして、地方団体の場合には両方合わせまして全体の事業を行うという意味でございますので、地方が自分の懐から出すお金の増減、全体の事業費の増減のうち、どのぐらい一般財源、税、交付税措置しなければならないかということで出したわけでございます。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 大変親切な表でございまして、ここにその一年間の、自治省考えている、政府が考えている政策の意図、どこに重点を置くのかということが如実に数字的にあらわれておると私は思っております。この表は非常に重要でありまして、私も財政計画をいただきますと一番最初にこれを見るのです。  そこで、六十三年度は、いわゆる地方財政計画、使いたくないのですけれども一番短い言葉ですからそれを使いますが、地方財政計画は総額が三兆四千四百二億円ふえておりますね。三兆四千四百二億円ふえたのに対して、地方費、一般財源は三兆二百二億円ふえたわけです。したがって、わかりやすくいいますと、地方財政計画がここまでふえたのに対し地方の一般財源も三兆円ふえている、食われた、つぎ込まなければならぬ、これは大変重要であります。  そこで、ずっと調べてみますと、昭和四十二年が、総額の増に対する地方の一般財源の増、これを分子として、分母を総額のふえにいたしますと七一・八%になります。四十五年が七八・五%、四十八年が六七・五%、五十一年が七五・一%、五十四年が七三・二%、こういうことになっている。ところが、驚くことに五十六年以降、五十六年が九一・七%、五十七年が九二・六%、五十八年も驚くなかれ計画の総額増に対して二倍以上の二二三・八%地方費がふえていっております。五十九年が一一七%、六十年が一一二%、六十一年が一一〇%、六十二年が一〇五%、そして六十三年度はどうかといいますと、計画の増に対して一般財源の増は、三兆四千億円に対して三兆円でありますから八八%であります。計画のふえたのに対して地方の持ち出し分、一般歳出というのも四十年代前半の数字に近寄ってきた。自治省の方が、六十三年の地財計画はやや立ち直ったでしょうと胸を張る点はこの一点でも言えると思うのです。私も最初に、六十三年度の計画はかなりめどが立ってきた、その努力については、自治省大分努力したということを評価するにやぶさかでありません。御苦労さんでした。しかし、問題はこれからだということであります。  そこで、まず最初に簡単なお尋ねですが、四十年代には七五か八〇程度だったわけです。今は八八になっておりますが、五十八年から六十二年まで一〇〇を超してしまった。言ってみますと、地方財政計画の総額がふえた以上に地方の一般財源が必要だ、いわゆる持ち出しが起こっている、過去の分まで埋めなければいかぬ、こういう事態になっておったということでありますが、大体どの程度がいいと思うのですか。
  56. 津田正

    津田政府委員 歳出の総額の伸びに対しての地方費の伸びとの関係でございます。御指摘のように五十六年度以降地方費の比率が非常に高くなってきておるわけでございます。先生に御指摘も受けまして、昨日からもいろいろ調べてずっと経緯を見ておるのですが、五十六年には北海道の道路の補助率引き下げ、公立文教施設の交付率の引き上げ等が行われておりますが、さらに五十七年に六分の一カット、そういうようなこと、やはり補助率の問題というものが一つの大きな要因かと思います。  それから、さらに国の財政やりくりの都合、都合というよりは制度の考え方としまして、特に先生御指摘の五十八年ですか、老人医療給付費等負担金につきましては、普通会計を通さないで地方団体特別会計に入れるということで、地方財政計画に載ってこない。そのためにその分だけ国費が消える、こういうようなこともございます。  このような傾向がいいのかどうかという判断でございますけれども、先ほど申しましたように、補助率の問題はやはり国と地方との機能分担、あるいは国と地方との財政事情を勘案して議論されるわけでございますが、まず一般論としましては、いわゆる国庫支出事業よりも地方単独事業というものを増加させることが地方団体の自主性、自立性を増すということが考えられます。  それから、社会資本等の整備の考え方も、従前は国土の基幹的な大規模工事というものが多かったわけでございますが、最近はやはり国民生活に密着しました下水道であるとか市町村の道路とか、そういうような生活密着型の社会資本整備ということになりますと、これは補助率引き下げとかそういう問題ではなくて、もともと補助率の低い事業の方にウエートがかかる。これは悪いことではございませんで、やはり国民生活の身近な方に事業の重点が置かれておる、このような経緯も考えられるわけでございます。  そういうことで、答弁にもならぬわけでございますが、ではこの四十年代の七〇%台がいいのかどうか。これはやはり国と地方との全般的な機能分担なり、あるいは国、地方を通じてどういうようなところに施策を置くのか、こういうような要素に絡んだ問題で、なかなか一概には申し上げられないと思います。  なお、先ほど財政課長が、地方費は一般財源というふうに申しましたが、御承知のとおり、これは地方債等も活用した部分も含んでおります。補足して答弁申し上げます。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、四十二年なり五十四年までの約十二年ばかりの間の数字はこの程度だと思います。これが標準とすべきだ、これが一つの重要な指標になるぞと言ったのであって、これを金科玉条としなさいなんということを言っているわけじゃありません、時代が変わっているのですから。しかし、六十三年の八八というのはまだ高さに失するのではないか、こう思っております。  大蔵省、今私が申し上げた数字は大体正しいと思っているか。どういうふうにしようとしているのか。先ほどの超カットをやりますと、これはもっとひどくなるのでしょう。いかがですか。
  58. 水谷英明

    ○水谷説明員 お答えいたします。  実は、きのう先生の質問関係でいろいろ勉強させていただいたわけですが、ちょっと連絡の手違いで、私ども先生のおっしゃる中身と違う二十年以降の補助金の数字などを見ておったわけでございます。  今ここで先生のやりとりを聞いておりまして、実は手元にその経年の数字を持っておりませんので、正確な確認はできないわけでございますが、ただいま自治省財政局長さんからの御答弁にあったような、いろいろな要因がこの数字の増減には重なっているんだろうと私どもも思うわけでございます。特に近年、補助率カットの影響がそこここに出ているということも、そのとおりだろうと思うわけでございます。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 今私が申し上げた数字というのは、ずっと毎年の財政期間を見て計算したのですから、計算が違っておらぬ限りは正しいはずです。大体自治省も正しいと見ているのですね。  そこで、これは財政計画全体ですが、財政計画の中の一般行政経費、これは生活保護とか児童保護とかそういうものが含まれておりますが、国庫支出金を伴う一般行政経費を見てみますと、大体五十五年までは三一から三五ぐらいの間、五十八年になりますと国庫支出金が三千二百五十六億円減りました。そして地方の方は八百八十六億円ふえました。これは大変なことですよね。三千二百五十六億円国の方は減った。地方の方は逆に八百八十六億円ふえた。これはパーセントを出そうとしても、片やふえ、片や減っているものですから、計算にならないわけですがね、そういう状況であります。  そこで、六十年度になりますとカットが始まったわけでありますから、これは物すごい状態になりまして、六十一年度には二千二百八億円の国の増に対して、地方の方は三千二百九十四億円ふえました。言ってみますと、一・五倍にふえているわけです。六十三年度はやや改善されておるわけでありますけれども、このとおりであります。  投資的経費はどうかといいますと、四十二年には四二%くらいでありました。あと五八%くらい国庫補助があったわけですね。六十三年度はどうかといいますと、五五%になっております。言ってみますと、国の支出金に対してほとんど同額、これを地方が出さなければ公共事業もやれないということになっておるわけですね。  ですから地方財政計画、六十三年度の特徴は、いわゆる自前の単独投資経費がふえておりますね、激増しておりますね。これはもう国の方もNTT等でふえているのですからいいにしても、その二、三年前は公共事業をやれない、景気は支えなければいかぬ、だからひとつ単独の地方財政の自前のものをやってくれという形でふえたと思われるような年もありました。今言ったようなこういうことで国の方は減ったんですけれども地方はふやした。ふやしたのはどうしたのかといったら、これはもう借金する以外にないのではないかと思うのですが、私の考えたとおりですか。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 津田正

    津田政府委員 景気対策と申しますか、フィスカルポリシーは本来国が中心でございまして、地方団体はそれに協力する立場にあるわけでございますが、やはり内需の振興ということが要請され、またそういうことによって地域経済が安定し、地方税源というものも充実できるという意味からしまして、全体的な国、地方を通じます投資規模というものはある程度確保しなければならない。その場合、国の方がそれをやる力がない、地方の方も同様な財政事情でございますので難しいわけでございますが、しかし最初申し上げましたように、地方団体事業というのは、まさしくその住民方々が日常生活に利用する社会資本の整備というようなことでございます。そういう内需振興の要請がある場合には、国民生活に身近な社会資本をその際整備することによって国全体の内需振興に立つことも非常に有益なことではないか。しかし、先生おっしゃるとおり財源がないものでございますので、地方債に大きく依存せざるを得ない、将来の財政負担というものも考えなければならないわけでございます。私どもとしましては、そのような意味で内需振興のために地方単独事業も実施していただいておるわけでございますが、また私どもなりには将来の財政負担について的確に措置をしていかなければならない、かような責任考えつつ地方団体にお願いしておるような状況でございます。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 地方財政現状、国の財政とのかかわり合いでどういう事態になっているかということを正しく数字的に把握しなければいかぬということで私は質問を展開してきたわけですけれども、時間がございませんので、投資的経費についての国との補助負担金関係については後へ送ります。  これに関連して、いわゆる国庫補助負担金カット以外に、これはひとつ地方団体が一般財源化してやったらいいではないか、こういうものがありますね。例えば学校の教材費は市町村が全部自分の税金でやりなさいということで一般財源化されました。学校の先生の旅費等は全部一般財源化されました。こういうような一般財源化されたもの。それから、交付金化されましたね。例えば協同農業改良事業。協同という字句がついているのはどういうことかというと、国と地方が同様に責任を持っているという意味でわざわざあの協同というのをつけたのです。その協同というのがどこに行ったかというと、定額交付金化したものですから、定額になると一定の額でありますから金額はふえないわけです。だんだん年とともに補助金が減ってしまいました。その減った額、いわゆる交付金化による地方財政へのしわ寄せ、一般財源化した金額ほどのくらいなのか、結果だけちょっと。
  62. 津田正

    津田政府委員 交付金化に伴います財源につきましては、資料がちょっと今ございません。職員数だけの資料を持ってまいってしまっておるわけでございます。恐縮ですが、ちょっと今資料がないので……。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 一般財源化。
  64. 津田正

    津田政府委員 交付金化の予算額の資料がありましたので申しますと、昭和五十八年ごろでは四百六十億四千三百万。五十八年は先ほどの協同農業改良普及事業の交付金化が行われたわけでございます。五十九年にはそれらとともにさらに保健所運営費の交付金化が行われまして七百七十八億四千五百万円でございます。六十三年ベースで見てまいりますと千百五十九億五千三百万円が交付金化になっております。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 かなりの金額でございますが、これについての財源は、自治団体の金が余っておったから出したのですか、あるいは借金か何かで全体として賄ったのですか。それが質問の一点、明らかにしていただきたい点。  もう一つ財源措置はなかったのでしょう。その辺をはっきりしてください。
  66. 津田正

    津田政府委員 普通補助負担金に係る人員及び事業に要する経費の交付金化、または一般財源化された後の財源措置でございますが、その必要経費を地方財政計画に計上して、総体として地方財政計画として補てんしておる、こういう格好になっております。個々の地方団体に対しましては、普通交付税の算定等を通じて必要な財政措置を行う、このような経緯でございます。  ただこの場合に、個別的にこのようなものについて財源措置をするかどうかという点がまさしく先生の質問の要点かと思います。  これは補助金整理の考え方として、いわゆる補助率引き下げというものは、国が権限を残したまま国の財政負担を軽減するということに対して、まさしく教材費の問題あるいは先生の旅費の問題、さらには協同事業、保健所等の職員費の問題等については、教材費等は御承知のとおり、補助金で残っておりますと、この学校のこの教室のどういうような理科器具を整備するか、そういうような膨大な表を出してこれを補助金で受けなければならない、こういうような事態でもあったわけでございます。  この場合には、むしろ地方団体が現地に即して必要な器具について必要な支出をする、そのために交付税一定措置をする。こういうような考え方から申しますと、補助金整理といいながら、いわゆる補助率引き下げの問題と一般財源化、交付金化というものは基本的に異なるのではないか。そういう意味において、引き下げのような個別的な財源措置というものは講じないで、地方財政全体としてそのような財政負担がある、それに対しての財政収入があるかどうか、このような判断で対策を講じたものでございます。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 一般財源化、交付金化で、現実地方団体で問題が起こっている点をぜひ知っていただきたいと思うのです。  例えば旅費、教材費等が一般財源化しました。それは全体としての財源措置であって特段の措置ではなかった、これはそうでしょう。それから、一般財源化は結構だというのは、自治省地方分権にのっとって原則的には賛成だ。原則的には賛成ですけれども銭はない。こういうことになって、どういう事態が起こっているかというと、出張して調べたいけれども旅費がないからだめだ、世界地図を買いたいけれども教材費がないからだめだというように市町村で格差が起こってきておるのですよ。  それからもう一つは、協同農業改良普及員あるいは林業とかいろいろありますけれども、これは言ってみると定額交付金化しましたから、だんだん減っていきます。年とともに減っていきます。だんだん人員の削減が起こってきているのですよ。こういう事実を御存じかどうか。きょうは農林省を呼んでおりませんけれども、そういう事態が起こっているのを自治省として全く存じませんか。そういう事実を知っているのかどうか。どうですか。
  68. 津田正

    津田政府委員 私どもとしましては、地方団体によってはそういうような状況にあることも承知しております。ただ、先生御承知のとおり、普通交付税の算定において一定水準が保てるような措置は十分いたしておるつもりでございまして、それぞれの地方団体の判断にもよるのではないか、かように考えております。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 一定努力はしている、一定交付税措置はしているということ、それは大臣にちょっと聞いたように、地方団体運営に困らないようにやっていると言っても、その中で、少なくとも格差の拡大というものが現実地方団体財政力いかんによって起こってきている、これだけは十分承知して対応をしていただきたいと思います。  余り時間がなくなって、交付税のところの議論で十分時間を使いたかったのでありますけれども、その前にちょっと申し上げておかなければいかぬ点は、直轄事業負担金、公共事業補助金カット、これはいわゆる補助金カット関係することでありますけれども、建設省おいでいただいていますから直轄事業の問題についてお聞きし、その上で善処をお願いしたいと思っております。  六十三年度の直轄事業は二兆六千七百二十六億円であります。これは特別会計と一般会計とがございます。そのうち地方団体負担分は、地方財政計画によりますと九千四百十四億円と莫大な金額になります。前年と比べますと千五百六十二億円ふえているわけですよ。六十二年と比べますと、六十三年度は事業の増大もありますけれども千五百六十二億円、これは容易ならぬ金額ですね。これはふえていっております。知る人は知っているかもしらぬけれども、知らぬ人が多いでしょう。いつの間にかそうなってきている。  ちょっと率を調べてみますと、直轄事業地方負担金、これは受益者負担でありますから、受益した地方が若干負担するのは、受益されないところもあるのですからやむを得ないでしょう、これはどこでもやっているのですから。私はこの根源から否定するわけじゃありませんけれども、この間中沢委員からこの点も指摘されましたが、五十九年度は一年間の地方負担の増は五十二億円だった。ところが六十年になりましたら千九十四億円にふえた。六十一年度六百七十三億円、六十二年が千百三億円、そして六十三年は驚くなかれ千五百六十二億円ふえました。そして地方負担率というのは三五%になりました。直轄事業と言っておりますけれども負担地方が三五%、国は六五%。くしくも補助金カットの率が高くなるに従って、あの大臣が判を押したあれに基づいて補助金カットが大きくなった、地方補助金は減ってきた、負担金は減ってきた。ところが、さらに追い打ちをかけて直轄事業は余計負担しろ、しかも二けたのものが四けたにもなるという事態になった。そしてこの間の中沢委員質問に対しては管理運営まで。少し恥ずかしい話でありますけれども、私はこのことについて十年くらい前に建設省に電話したら、建設省の職員だって退職金もらわなければいかぬですよ、仕事をやる以上その金は、地方負担仕事の量に合わせて持ってもらわなければいかぬよとけんつく食ったのですよ、怒られたのですよ。それでいいでしょうか。建設省、聞かせてください。
  70. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 ただいま先生から幾つかお話をちょうだいいたしました。数字の方は時間の問題もございましょうから省かせていただいていかがかと思っております。  仰せのとおり、地方の直轄負担につきまして大変な御協力もちょうだいをいたしてございます。ただ、近年負担額の増加は大きく二つほど事情があろうと思います。一つは、御指摘のとおり現下の厳しい財政事情のもとで公共事業費の事業確保、その方策の一環として補助負担率引き下げという措置が六十、六十二年度ございました。これが一つの事情であることも確かだろうというふうに認識をいたします。それからまた二つ目は、最近におきまして社会資本の計画的かつ着実な整備を図る、そしてまた内需を拡大するという要請がございます。こういうことで事業費を伸ばしてきたということ、これにもよろうかと思ってございます。ただ、もとより負担率引き下げというような措置に当たりましては、大蔵省自治省の方におきまして地方財政運営支障がないようにということで所要の措置を講じていただいたというふうに実は私ども理解をいたしてございます。  それからまた、ただいま事務費に関連をしてお話がございました。直轄事業に係る人件費等含めまして事務費の負担につきましては、現在一定の率を定めまして地方の御協力もいただいております。先生もいみじくもおっしゃっていただきましたとおり、直轄事業というのは地方方々の受益というものもあろうかということで、かねてから受益者負担のルールが決められてございます。その率に従って行ってまいっておるわけでございますけれども、冒頭申し上げましたとおり、負担率引き下げというようなことなどからいろいろ負担額がふえておりますが、現在その負担率が二分の一を超えるものにつきまして一律的に引き下げを、しかも暫定的にやらしていただくということで御了解をいただいているものと理解をいたしてございます。そういう特例的な扱いでございますので、ぜひお許しをいただきましてお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 建設省にお願いしたいことは、私どもわからなくて管理費のこういうところまで地方負担させているのはおかしいじゃないかと言ったら、当たり前じゃないか、食っていけないんだからやるのは当たり前だと怒らないで、丁寧に資料を出して教えてください。  それから、もう一つ局長、今の言葉の中に、これは暫定的な措置ですよ、これは急激に二けたのものが四けたになったわけですから。そうすると、こういう緊急避難的な補助金カット負担率カットが行われる場合には、それに伴う緊急措置だというのですから、これも直ると考えなきゃいかぬですよ。そういうことですね。緊急措置ですから、緊急措置は正常に直さなければいかぬですから、そういうことをおっしゃっていますから、忘れないでやってくださいよ。いいですか。  そこで、本題は交付税ですから、交付税で一時間ばかりやり合いたいと思っていたのですが、ちょっと時間がないものですから、最初にお尋ねしたいことは、六条の三の二項「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなつた場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」六条の三の二項の「著しく」「引き続き」ということについては有権解釈がぴしっとあるのですよ。自治省考えているのは、「引き続き」というのは二年続いてそういう事態にあり三年目も確実にそうなると見込まれるとき、「著しく」というのは大体一〇%です。こういった場合です。これは有権解釈です。これほどの本にも書いてある。  ところで、まず聞きたいことは、今はそういう事態にあるのかないのか、有権解釈は変わっておらぬのか、簡単に答えてください。
  72. 津田正

    津田政府委員 六十三年度におきましても一兆七千億ばかりの財源不足がございまして、先ほどの私どもの従来の解釈からすれば、六条の三の二項の事態、このように考えております。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 続いてお尋ねしたいのですが、「引き続き」「著しく」と有権解釈はありますし、今おっしゃったとおりですし、今もその事態にある、こういうお言葉でございます。交付税法第十条第二項本文の規定というのはどういうことか。「各地方団体に対して交付すべき普通交付税の額は、当該地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額をこえる額(以下本項中「財源不足額」という。)とする。」こう書いてあります。交付税で需要額はびしゃっと計算されておらなければいかぬわけですね。ぴしゃっと計算されておりますか。十条の第二項本文に基づいて計算されておりますか、おりませんか。
  74. 津田正

    津田政府委員 その議論は、交付税法第十条に規定する基準財政需要額が、あるべき財政需要として適切に算定されるということは当然の前提でございますし、私どもとしては適切に算定しての状態、このように考えております。
  75. 細谷治嘉

    細谷委員 私はこういう表をつくって、四十年以降毎年の基準財政需要額が経常的経費、投資的経費、その他の経費でどうなっているかということを追跡してみたのです。大変膨大な表になりましたが、追跡してみた。そうしたら、経常経費は、まあこれは議論がいろいろありますが、投資的経費は一貫していないですね。測定単位も一貫してないです。金額も一定してないんですよ。  例を申し上げますと、投資的経費において五十八年はどうなっているかというと、マイナス二六二%なんですよ、需要額が。大変なことですね。前の年はふやしておいて、今度は減らしておる。前の年はふえたかと思うと、減っておる。単位費用は上がったと思うと、需要額は逆に減っておる。単位費用が上がればほぼ一定して需要額が上がっておらなければならぬのが、そうじゃない。そうなっております、個々に拾ってみますと。どういうわけですか。
  76. 津田正

    津田政府委員 交付税の投資的経費の財政需要額の算定でございますが、要するに一般財源所要額というもので計算するわけでございます。ところが先生が御指摘のように、昭和五十年代になりますと、その一般財源というものが窮屈である、そのかわりに従来一般財源で算定しておったものを地方債を活用する。地方債を活用するといたしますと、それは特定財源でございますので財政需要から落ちていく。こういうようなことで、昭和五十年代、最初はいわゆる財源対策債の問題がございましたし、六十年度以降では国庫補助負担率引き下げに伴う調整債、こういうようなものが交付税の算定上特定財源として差っ引かれる、残ったもので需要額を算定するということで非常に年々大きな変動を見せておる、こういう状況でございます。
  77. 細谷治嘉

    細谷委員 各年度を洗ってみますと、ちょっと例を申し上げますと、昭和五十一年度、国会で審議いたしましたが、単位費用は前年度より四五・四%減であります。単位費用は半分になったんですね。そして需要額は六八%減りました。農業行政費は三七・八%減りました。これは、需要額も単位費用と同じように大体減っていっております。ところが、単位費用が七九・七%伸びたのに需要額は一九八%伸びたとか、単位費用は減ったかと思うと需要額はふえておる、単位費用が伸びているのに需要額が減っている、これはどうしてでしょうか。素人にはわからぬでしょう。恐らく忍術を使ったのではないかと思うのですよ。忍術というのは何ですか。
  78. 津田正

    津田政府委員 御指摘のような結果になっておりますのは、投資的経費の財源措置につきまして交付税措置から地方債に振りかえる、この場合の計算の仕方で、事業費補正部分から振りかえを行った場合には単位費用の伸びと需要の伸びが大きく異なる。単位費用は上がっても事業費補正の適用を相当部分カットいたしますので結果的な財政需要額はむしろ落ちる、こういうような場合も生じております。
  79. 細谷治嘉

    細谷委員 そのことはとりもなおさず、投資的経費の分として配分しなければならない交付税を、総額が足らないから投資的経費で調整したんでしょう。一番調整しやすいのは、簡単なその他の人口とか面積でやっておる。年じゅうこれはやられておるのです。総額が減った場合には、年じゅう単位費用がふえたような形で需要額が減ってしまう。それから今言ったように土木関係、道路はさすがにやりませんが、学校もやられている。それから厚生省いらっしゃっているが、社会福祉もやられているんですよ、交付税で。あなた、自治省におったでしょう。そういう状況にあるわけでありまして、これは総額が足らないから振りかえで工面しているんでしょう。認めてくださいよ、これは。
  80. 津田正

    津田政府委員 御指摘のとおり振りかえによりまして工面しておるわけでございます。ただ、その地方債で充てたものについて将来地方債の元利償還が生ずる、こういうような時点になりますと、その事業費補正等で措置しておったのと同様な措置を元利償還ベースで措置しておる、こういうことでございまして、後送りと言われればそうでございますが、ある程度の年度の幅を持っていただければ私どもとしましては必要な基準財政需要額を計算しておる、こういうふうに考えております。
  81. 細谷治嘉

    細谷委員 振りかえた、そして借金で埋めさせた、計算すべきものをカウントしなかった、そして後で交付税で見ている。後で交付税で見ていると言うけれども、今どれくらいか。その他の項目を拾ってみますと、それらしいものがおおよそ六%ありますよ。全体の需要額六%、県、市町村合わせて。六%といいますと、県、市町村の需要額は大体三十兆円ですから、三、六、十八、一兆七千億か一兆八千億円の財源交付税の総額の中からこっちへ持っていっておる。やらなかったので借金で賄わしたのを今度は埋めてやる。その埋めてやる分を先食いしているのでしょう。大臣、そういう状態なんですよ。とにかくやっとこさやりくりして生活している、交付税が。  そして、従来は地方交付税というのは三税の三二%ということでしたが、いろいろな加算がありました。私の記憶で、証拠を持ってきておりませんけれども、いろいろな加算がありました。大蔵省財政があったときにはいろいろな加算がありまして、ある年は三税をもとにして計算すると四○%に近くなったときがあるのです。四〇%近くあったところが現在三二%で、回りはどんどん裸にされちゃった。交付税そのもの、三二%は残っておりますけれども、六十三年度は恐らく三二%を割っているのですよ。例の借金を四千億返したりなんかすると実質的には三二%を割っちゃっているのですよ。四〇%ぐらい事情によってあったものが、だんだんだんだん素っ裸にされて、そしてさるまた、パンツ一つになったところのパンツまでがはがされようとしているわけです。それを一生懸命今頑張っております。私は思うのですが、そういう状態でいいのか。これは専ら大臣のお力に頼らざるを得ない。  私が言いたいことは、十条の二項本文で計算しているというけれども、十条二項の本文というのが前提で、それで計算したものと著しく低過ぎてあった場合に六条の三の二項が働く。その六条の三の二項が働いているんだけれども緊急避難、こうなっているけれども、一番大切なことは十条の二項に基づいてぴしゃっと本文のとおり計算していただくべきではないか、こう思います。  大臣、せんじ詰めますと、交付税の総額が少ないということなんですよ。それを何とかしてもらわぬと、税でいくのか地方債でいくのか国庫支出金でいくのか、私は端的に言いますと、地方交付税というのは財源の付与と財政調整ですけれども、財源付与はもちろんのこと、地方財政財源調整についても今日十分な機能を果たしておらぬと言わざるを得ません。これをひとつ大臣、認めていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  82. 梶山静六

    梶山国務大臣 御議論はそのとおりだと思うのでありますが、その前提条件が一つあると私は思うのです。それは、国と地方を通じた行政需要、これがいかがなものか、その配分をどうすべきかという理諭的な問題が一つあろうかと思います。確かに、まさにタケノコのように脱がされたと言いますけれども、国も恐らくニコヨンくらいの、という表現がいいかどうかわかりませんが、大変その日暮らしというか借金財政でやっていることも現実でございますから、このニコヨンの例えがいいかどうかわかりませんが、おやじからさらにどこか血肉を売り飛ばしてでも地方財政に回せというのも酷でございます。ただ、神様の配慮というか、最近経済情勢がよくなりまして、増収がふえ、交付税もそれに比例をしてふえてまいりました。確かに長い間の借金その他を将来のために補充をいたしておかなければなりませんから、現実に単年度の交付税の総額が減ったということにはなりますが、それは将来の地方財政のためでございますから、御寛容を願いたいと思います。  ただ一つ、私が一番、この問題と直接にさわるかどうかは別として、次元の違う問題でございますが、自民党もあるいは一般の社会も野党もひっくるめて減税減税と今草木もなびく時代でございます。ですから、国と地方の約束事、例えば補助率カットの問題は復元をしなければならない。暫定措置でございますから、暫定期限が切れればもとへ戻ることは当然でございますし、そういうことをやめたらば政治に対する信頼感がなくなってしまいます。ただ、財源というものを考えますと、どちらという色がついているわけじゃございませんから、増益、増収によるものもあるでしょうし、あるいは不公平税制の是正にもよるでしょうけれども、新たな財源を求めるその増税というか新鋭がない限り、同じパイを分け合って減税減税と言うと、私が胸を張って補助負担率カットをさせない、カットをさせなければようやく通常の収支は均衡を保つわけでございますから、地方財政は極めていい方向に展開をするわけであります。その地方財政好転の一番大きな、いわば手かせ足かせになっているのが目下補助率カットでございます。ですから、補助率カットの問題は何よりも大切なことでございますから、減税などということを前提にこの問題は考えないでほしい。特に私はこちらの方を向いて大きい声で言っているのですが、これができませんと何とも困りますので、どうか委員各位の格別の御理解と御支援をお願い申し上げる次第であります。
  83. 細谷治嘉

    細谷委員 最後ですが、大臣、大分そうは言ってもということです。ですから私は、国と地方との間が信頼関係が取り戻せるようにきちんとしなきゃいかぬ。それは地方財政法ではないか。その地方財政法に基づいて自治省が毎年つくっておる計画の末尾の方に「国庫支出金に基づく経費の総額」、こういうのがございます。これは六十三年度の総額を計算いたしますと相当な金額でございます。これを残念なことでありますけれども、私も予算委員会等でやりまして、大蔵省もかなり張り込んで、先ほど申し上げました経常経費、一般行政経費、生活保護とかそういうものについてはきちんと、国の負担金はこれです、補助金はこれです、これは地方財政法に基づいておきますよ、こういうことで整理していただきました。敬意を表します。敬意を表しますけれども、もう一つの投資的経費については負担金補助金というのが明確でありません。私は早く整理してくれと言っているんですけれども。それぞれの個々の法律を見ますと、なかなか御苦労だ。六十三年度の予算編成の際に、大蔵省の方から、やろうと思っているけれども容易ならぬことですから待ってください、一年とは言っていませんでした、待ってください、こう言っております。待ちますが、ぜひひとつ、これは大蔵省自治省共同して、国と地方との間の財政を律するものは地方財政法であります、そして交付税法の六条の三の二項でありますから、この辺のことを踏まえてきちんと整理して、信頼が持てるような、不透明にならないような措置を早急に講じていただきたい。これについて大臣の答弁を得て、私の質問を終わらせていただきます。
  84. 梶山静六

    梶山国務大臣 一生懸命努力をさせていただきます。
  85. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  86. 松本十郎

    松本委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ────◇─────     午後一時十九分開議
  87. 松本十郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田弘君。
  88. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣、御苦労さまでございます。きょう私は地方交付税に関連をいたしまして、一つ地方自治体の国際交流と留学生問題、そして二つ目には地方分権権限移譲の問題であります。特に大臣がおっしゃっております選択的分権化というのは一体何か、こういった二点について主にお伺いをしていきたい、こう思うわけでありますが、まずその前に二点お伺いをしたいことがあります。  その一点は、名古屋市北区の大曽根都市改造事業、区画整理事業と申しますが、これも自治省は、都市計画税の充当の問題とか地方債の配分という問題につきまして関連がある、私はこのように考えております。そういった観点で、大臣建設省にお聞きをしていきたいと思います。  この事業は、昭和六十四年のいわゆる名古屋市制百周年の記念事業としていよいよ本格化をいたします。そしてまた、ここ数年で終息を迎えるわけであります。説明をずっとしてまいりますと、正式な事業名は名古屋市部市計画事業大曽根土地区画整理事業であります。事業施行者は名古屋市長であります。施行期間は昭和三十八年度から昭和六十五年度までの二十七年間であります。施行地区の面積は名古屋市北区大曽根町を中心といたしまして、大曽根土地区画整理事業地区が六十一万一千六百平米、復興土地区画整理事業関連地区が十二万四千平米、合計七十三万五千六百平方メートルであります。  名古屋市といたしましては、将来この大曽根地区を、名古屋市が策定をいたしました二十一世紀を目指す名古屋市基本計画におきまして、名古屋市の北の玄関口にふさわしい副都心の交通の結節点として、商店街の近代化と地域の顔にふさわしい都市景観に配慮しつつ、調和のとれた商業、業務、娯楽の町づくりを目指そうといたしているわけであります。  本事業によりまして、大曽根商店街の中心道路である本通りの道路の拡幅が計画をされ、商店街の建物がすべて移転の対象となっておりまして、複雑な状況となっておりますために、集団的に取り壊し、移転を行い、新しく建物を建設し、新しい商店街を形成することになっております。地元では、合理的な建物移転と移転を契機にした商店街整備を進めるために、東と西の二つの協議会、東は大曽根近代化推進協議会、これは九十軒あるわけであります。西の方は大曽根街づくり協議会、これが七十四軒ございます。これをそれぞれ設立をいたしまして、今日まで町づくりを続けてまいりました。そしてその成果として、町づくりの基本計画を策定したわけであります。この計画に基づいて、いよいよ西の大曽根街づくり協議会七十四軒の商店街が本年の八月、一斉に取り壊し、移転をして、来年、六十四年九月の市制百周年記念の目玉事業としてオープンを目指して、今鋭意個別でビルの建築をして、新商店街をつくるために住宅金融公庫あるいは県、市の保証協会あるいはまた銀行などで借金をいたしまして建築しようとしているわけであります。まさにこの事業が成功するかどうか、その成否は当商店街にとりましては死活問題であります。決して失敗は許されない事業であります。国としても市と協力をして最大の支援をしていっていただきたい、私は心からお願いを申すわけでありますが、まず建設省にお尋ねいたします。  昨年の八月二十一日にも私は建設省の都市局の小川区画整理課長さんにお聞きをしたわけでありますが、本部業について建設省は基本的にどのような姿勢でこれと取り組んでいかれるのか、まず建設省の方からお伺いをしたい、このように思います。
  89. 小川裕章

    ○小川説明員 本事業は、名古屋府の北東に位置する大曽根駅を中心とした都市拠点の整備のために鋭意実施されているものでございます。  建設省といたしましては、このような都市再開発にかかわる土地区画整理事業を重点施策の一つとして取り組んでおりまして、本地区につきましてもこれまで同様積極的に事業の推進を図っていく所存でございます。
  90. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 具体的に数点お伺いいたしますが、先ほど申しましたように、三十八年度から六十五年度まで、こういうことであります。今日までの、六十二年度までで結構ですが、事業費は総額幾らであるのか、そのうち国、県、市の内訳はどうなっているか、その点お尋ねいたします。
  91. 小川裕章

    ○小川説明員 昭和三十八年度から六十二年度までの全体の総事業費は二百十億円でございます。その内訳は、国費が百三十五億円、県費が一億円、市費が七十四億円でございます。
  92. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで、お聞きいたしますと、昭和六十二年度の事業費は、当初予算が十三億三千二百万円でありましたね。これに五億円を追加をいたしまして、上乗せして十八億三千二百万円であったと思います。六十三年度事業費は幾らになるか。予算の関係、幾ら内示をしていらっしゃるか。このうち七十四軒分の商店街の一斉移転に関係する予算は幾らか。そして国の補助金はどうなっているか。先ほど申されましたように、事業質を十分に確保して積極的に取り組んでいくべきだと考えますが、その辺につきまして御質問をいたします。
  93. 小川裕章

    ○小川説明員 昭和六十三年度当初予算では、大曽根地区につきまして事業費で十九億五千万、国費で約九億九千万の予算措置をしてございます。  その主たる事業内容は西地区の一斉移転関係となっておりまして、約十五億円がこの一斉移転のための費用となってございます。
  94. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 西は、そういうことで先ほど申しましたように本年八月に一斉移転をして取り壊し、来年九月のオープン、こういうことになるわけでありますが、次に東の九十軒、これは共同ビルをつくって商店街づくりを行う、こういうように聞いておりますが、今後のスケジュールはどうなっておりますか、お伺いいたします。
  95. 島崎勉

    ○島崎説明員 大曽根の東地区につきましては、現在三地区で区画整理事業との合併施行によりまして市街地再開発事業によります共同ビルの建設を行う予定になってございます。このうち第一地区につきましては六十年度、また第二地区につきましては六十一年度に市街地再開発事業の実施に向けまして地元の地権者によります準備組合が設立されまして、この両組織ともに六十三年度に組合を設立するという予定でございます。  今後の見通しでございますが、第一地区につきましては六十六年度、第二地区につきましては六十五年度に再開発ビルが完成する予定と聞いてございます。また第三地区につきましては、今年度中に地権者の方々によります準備組合を設立する予定であるというふうに聞いてございます。
  96. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 第一地区、第二地区、第三地区とおっしゃいましたが、第三地区は今年度中に組合をつくるということですね。ところで、いつまでに共同ビルをつくるのですか。
  97. 島崎勉

    ○島崎説明員 第三地区の組合はこれから準備組合の段階でございまして、今具体的に何年度という形では正式には聞いてございませんが、区画整理事業の進捗等に合わせまして事業が進められるというふうに考えてございます。
  98. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そうしますと、区画整理は昭和六十五年度までなんですね。これは後で質問するわけですが、東の方はこれより一、二年延びる可能性があるのですか、どうなんですか。
  99. 島崎勉

    ○島崎説明員 私どもといたしましては、名古屋市の方とも御相談いたしますけれども、この区画整理事業の完成になるべく合わせるような形で指導してまいりたいというふうに考えてございます。
  100. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それから、根本的なことで恐縮ですが、この第一地区、第二地区、第三地区の店舗数はわかりますか。
  101. 島崎勉

    ○島崎説明員 先ほど先生がおっしゃいました九十店舗の内訳でございますが、第一地区につきましては三十名の方というふうに聞いてございます。それから第二地区につきましては十八名というふうに聞いております。それから第三地区につきましては十二名でございます。なお、区画整理事業というのとあわせました再開発事業というところまでいっておりませんが、そのほかに二つの街区がございまして、そこの街区がおのおの十六名の方、また十一名の方がおられまして、これらの方を合わせますと、私どもの方の聞いております数字では八十七名の方というふうに聞いてございます。
  102. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私は九十軒と言っておりましたが八十七名、こういうことで、私は店舗数で言っておったのでちょっと間違っておったかもしれません。  そこで、さらにお尋ねしてまいります。  先ほどから繰り返しておりますように、昭和六十五年度が事業の最終年度であるわけであります。今日までこの事業につきましては、幹線道路の整備、六差路の解消あるいは自転車、歩行者専用道路の整備、公園の整備、鉄道の高架化、大曽根駅前の整備を行ってきたわけでありますが、これは予定どおり六十五年には事業が終息するのかどうか。いろいろお話を聞いておりますとどうも一、二年延びるようであります。駅前の周辺のいろいろな整備ということが残事業で残っておるというふうに聞いておりますが、その辺についていつまでに終息し、なぜかという理由につきまして、これは区画整理課だと思いますが、区画整理課長にお尋ねをしていきたい。
  103. 小川裕章

    ○小川説明員 西地区の一斉移転につきましては、昭和六十四年度に完了することが確実と見込まれております。  また事業全体につきましても、今後の関係地権者等との調整の進みぐあいにもよるわけでございますが、おおむね目標のスケジュールで進むものと予想されてございます。
  104. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 では目標のスケジュールというのは、六十五年度まででこの事業は終息するというふうに考えていいのですね。
  105. 小川裕章

    ○小川説明員 そのように名古屋市の方からは聞いてございます。
  106. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 この問題について自治大臣に最後にお伺いしていきたいわけであります。  その前に委員長、作成をいたしましたパンフレットがありますので、自治大臣にちょっとお見せしたいと思います。
  107. 松本十郎

    松本委員長 はい、どうぞ。
  108. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それは差し上げますから、また後でゆっくり読んでいただき、それを見ながら批評していただきたいと思います。  今まで既に建設省の方から御答弁があったわけですが、重ねて申しますと、この名古屋市北区の大曽根都市改造事業は、昭和三十八年度から六十五年度まで二十七年間の、道路拡幅、鉄道高架あるいは公園事業を含む市施行の大規模区画整理事業でございます。特に地元の伝統ある商店街を名古屋の副都心とすべく、東西百六十数軒の商店を一斉に移転する、ビル化しようという名古屋市制百周年の目玉の事業であります。各商店にとってもその成否が死活問題であります。建設省としても今何とか事業費を確保して予定の年度に事業を終息したいという御答弁があったわけでございますが、自治省としても大臣、死活問題でありますので、ひとつ最大の御支援をいただきたい、このように考えるわけでございますが、その決意のほどの御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  109. 梶山静六

    梶山国務大臣 ただいまパンフレットも拝見させていただきましたけれども、この御指摘事業は長い年月をかけた名古屋市制百年の目玉事業というふうに聞いております。この事業にかかる地方負担につきましては、都市計画税の充当、地方債の配分などによって財源措置を講ずることとしておりますけれども、自治省としても、事業費の確保に関しては、その財源措置について最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
  110. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、先ごろ愛知県が発表いたしました二十一世紀を目指す研究レポートについて、自治大臣を初め通産省、国土庁等にお聞きをしていくわけであります。  もちろんこれは研究レポートでございまして、委員がまたこれに肉づけをし、そして六十三年度末に基本計画として策定をして公表されることになっている、いわゆる愛知県の第六次地方計画のもとになるものであります。この作成には全体で学識経験者が十九人、県職員十二人が加わりまして、一つは県民生活、二つ目には産業経済、三つ目には県土構想、この三部から成っておるわけであります。  その中で、産業経済について私は通産省にお伺いをしたいわけでありますが、製造業の一層の高度化、高付加価値化を図ることによって、ものづくりの得意な愛知の特性をさらに伸ばすべきであると提言をしておる。知識・サービス産業は着実な発展を見込めるわけであります。リード役は三つありまして、一つはメカトロニクス・材料技術、二つ目には航空宇宙関連技術、三つ目にはライフサイエンス関連技術、この三つが果たすと期待をされているわけであります。これらの技術で、自動車、機械、航空宇宙、ファインセラミックスなどの既存の集積を一層先端化するとともに、住宅、流通、繊維、シルバー産業といったソフト系の産業振興も図るべきであると提言をいたしております。  産業の発展に寄与する基盤整備では、あいち学術研究開発ゾーン、すなわち名古屋市東部の丘陵研究学園都市の形成、バイオや航空宇宙に関する国の研究機関の誘致、高度技術者の養成機関の充実、国際協力を進めるための機関の立地推進が望まれ、現状ではまだ十分でない研究開発機能などを高めるべきであると指摘をされているわけであります。  交通、通信網は重要で、中部新国際空港、中央新幹線、第二東名・名神自動車道の実現や高度情報通信拠点づくりが急がれる。産業を支えるのは人材で、より多くの人材を確保するためにも、質の高い生活環境づくりは欠かせないと指摘をしているわけであります。  この辺につきまして通産省の御見解と今後の対応につきましてお伺いをしたいと思います。
  111. 長田直俊

    ○長田説明員 お答えいたします。  愛知県を中心といたします中部地域は、従来から非常に特色のある地場産業の集積、それから非常に高い機械産業の工業集積といったことで私ども認識しております。第四次全国総合開発計画、四全総におきましても、名古屋圏、中部圏は我が国の代表的な産業技術集積地域を形成していくべき地域と非常に高く位置づけられております。また、特に名古屋圏につきましては、世界的水準の研究開発機能の集積等により、世界的な産業技術中枢圏域を形成すべきと位置づけられております。  御指摘の愛知県の二十一世紀計画・研究レポートにつきましては、愛知県において二十一世紀に向けての長期計画を策定するための各般の検討結果を取りまとめたものとお聞きしておりますが、四全総に位置づけられた産業技術集積地域の形成の方向にも沿うものと理解しております。  通産省といたしましても、従来より中部圏域を初めとする地域におきまして、技術先端型産業の育成や技術開発拠点の形成のため各種の施策を積極的に推進してきたところでございますが、今後とも四全総の考え方を踏まえつつ、中部地域の産業技術中枢圏の形成について種々の地域振興施策の活用を通じて対応してまいりたいと思います。
  112. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 次は、国土庁にお尋ねをしていきます。  東は浜名湖、浜松地域、南は伊勢志摩あたり、北は美濃地方までも視野に入れた名古屋から八十キロないし百キロ圏を新伊勢湾都市圏と位置づけ、隣接県でありますところの岐阜、三重、静岡とも協力をして総合的な発展を目指すべきだと指摘をしております。これが今回のこの研究レポートの一つの大きな目玉であります。  この新伊勢湾都市圏は、国土庁が昨年策定をいたしました四全総で名古屋圏を約四十キロ圏としたのに比べて倍以上の広がりを持つ一つ考え方であります。東京、大阪圏との機能面での一体化を進めれば、国土の中枢ゾーン化も可能になる。具体的な地域整備では、世界に直結する伊勢湾総合交通圏の構築を第一に挙げることができるわけであります。中部新国際空港を核にいたしまして名古屋都心と直結する交通システムを実現すべきであると言っております。さらに、圏域の人口二十万以上の中核都市から新空港まで一時間以内で行けるような道路網の建設が必要である、このように言っております。  圏域内の都市機能の相互補完、テレポートづくりは重要であります。名古屋駅近くの笹島・米野地区では岡際ビジネスエリアの建設も検討しなくてはなりません。水と緑に恵まれた県土の保全という観点では、三河湾、三河山間地、木曽三川などでレクリエーションネットワークを形成し、伊勢湾の総合浄化も推進すべきである。ビジョン型とされる愛知県の新地方計画の検討資料は、素案とはいいながら、二十一世紀のあるべき将来像の輪郭を浮かび上がらせたものであると私は考えております。  その中でも注目されるのは、先ほども申しましたように、新伊勢湾都市圏という従来になかった広域ゾーンを設定して総合整備の方向を打ち出したことであります。圏域拡大のねらいには、中央新幹線とかあるいは第二東名・名神という新たな東西交通軸の建設構想に加えて、三遠南信、東海環状両自動車道、名濃道路、名岐道路といった圏域内幹線道路の整備が具体化してきたのを背景に、東京のような過密都市圏の轍を踏まず、奥行きのある地域整備を目指そうという意図があるわけであります。豊橋市のサイエンスクリエート21構想や三河湾、三河山間地のリゾート整備まで含めまして絵がかける上に、渥美半島と三重県鳥羽を結ぶ伊勢湾口道路、さらには最近浮上いたしました浜名湖遷都論にも対応していけるような大きな器を広げたわけであります。この広域ゾーンの中核になるのが中部新国際空港である。新空港は中央日本国際空港の性格を持つとともに、地域発展の中枢拠点となると位置づけております。新伊勢湾都市圏をいわば巨大な臨空都市圏として描いているわけであります。  こうした方向づけは、産業界を初めといたしまして地域関係住民の大方の支持は得られそうであると私は思います。リポートがこのように提言をいたしております国土中枢ゾーン化を目指す新計画の具体的な実行が望まれると私は考えております。国土庁の率直な見解、そして対応を聞かせていただきたいと思います。     〔委員長退席、片岡(武)委員長代理着席〕
  113. 熊新六

    ○熊説明員 名古屋圏につきましては、先ほども通産省からお話がありましたが、第四次全国総合開発計画におきまして世界的な産業技術中枢圏域として位置づけておるわけでございます。そのため、現在名古屋市を中心といたしまして四日市市、岐阜市あるいは豊田市等の産業都市を連環いたします東海環状都市帯整備構想というのが進められておるわけでございます。今回の二十一世紀県土構想で提案されております新伊勢湾都市圏構想は、これよりもさらに広い圏域、八十キロ圏域あるいは百キロ圏域の広域を対象とした整備構想でございますが、国土庁といたしましても、長期的視点から検討を進めるべき課題であろうというふうに考えておるわけでございます。  それから、国土の中枢ゾーンとしての提案でございますが、これは先生御案内のとおり、昨年我我大都市圏整備局と地元の公共団体あるいは経済界一緒になって策定いたしました二十一世紀中部圏計画というものがございますが、そこでも同様の考え方が提唱されておるわけでございます。そこをさらに検討を深められているということに対しまして評価しておるわけでございます。  最後に、各種の魅力的な整備のためのプロジェクトでございますが、今ちょうど中部圏の基本開発整備計画の策定作業をしておるわけでございます。世界に開かれた交通体系、あるいは全国的、世界的な影響力を持つ高次都市機能の育成とか、あるいはレクリエーションのための地域整備というような観点から種々作業をしておるわけですが、今回の御提案の多くのプロジェクトが中部圏整備のための重要なプロジェクトだというふうに考えておりまして、今後関係省庁とも協議をして中部圏計画にも位置づけていきたい、そのように考えております。
  114. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 通産省、国土庁、どうもありがとうございました。よくわかりました。  そこで、大臣にお尋ねをいたします。先ほども申し上げましたとおり、愛知県では二十一世紀計画の策定に向けたレポートをまとめて、その目玉は、新伊勢湾都市圏という広域ゾーンを設定した総合整備を行おうとしているわけであります。愛知県という地方公共団体のこのような取り組みに対して、どうかひとつ自治省としても理解をして、支援をしていただきたいと私は考えるわけでありますが、御見解と対応につきましてお尋ねをいたしたいと思います。いかがでしょうか。
  115. 梶山静六

    梶山国務大臣 四全総に盛り込まれました多極分散型国土の形成を図るためには、地域特性を生かした個性豊かな地域づくりを進める必要があります。まず、地域の総合的な行政主体である地方公共団体の積極的な取り組みが求められるところでもございます。新伊勢湾都市圏構想を軸とした今回の愛知県の二十一世紀計画策定に向けたレポートも、そのような取り組みの一つであると考えられます。  自治省としても、今後とも地方公共団体の行財政基盤の強化、地方分権の推進等を図り、多極分散型国土の形成に向けた地方公共団体の取り組みを支援してまいる所存であり、この計画についてもできる限りの必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
  116. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どうもありがとうございました。今後ともどうかひとつでき得る限り最大限の御支援をよろしくお願いします。  以上二点終わりまして、いよいよきょうの議題、本番に入りたい、こう思うわけであります。  第一点は、地方交付税に関連をいたしました地方自治体の国際交流の推進の問題であります。  この問題については、実は本年に入りまして、二月十七日、大臣がお見えになりませんでしたので森田政務次官にもお尋ねをいたしました。きょうを入れますと五回目の質問になるわけであります。昭和六十年十一月八日、古屋自治大臣質問をして、そして六十一年四月十七日には当時の小沢自治大臣質問をいたしました。また六十二年八月二十一日には葉梨自治大臣にも質問をして、その促進についてお尋ねをしてきたわけであります。  おかげさまで、昭和六十二年度には初めて私どもが要求をいたしておりました交付税の基準財政需要額の算定基礎となる費目の中に国際交流推進費が措置、計上されました。お聞きをいたしますと、一人当たり四百八十万、標準団体一つの県八人分の所要額が三千八百三十二万三千円といたしまして、総額三十二億二千五百万、このように聞いております。そしてアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、この四カ国から八百四十八名の外人教師が来日をいたしました。当初目標の五百名を大幅に上回っているわけであります。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、今後、この外国青年招致事業を初めといたしまして、その他の地方自治体の国際交流推進についてはいかなる姿勢をもって対処されていくかという問題であります。忌憚のない御意見を賜りたいと思います。
  117. 梶山静六

    梶山国務大臣 我が国経済社会の国際化の進展に伴い、国レベルの国際交流だけではなく、地域レベルの国際交流を図っていくことが重要な課題というふうに認識をいたしております。地方公共団体は、当面、地域レベルの国際交流の先導的役割を果たしていくことが必要であると考えられます。この地域レベルの国際交流の推進により、我が国の地域社会を世界に開かれたものとし、地域の活性化が図られるものと期待をしております。  こうした意味から、今後とも地域レベルの国際交流の推進に資するような施策の展開に努力をしてまいりたいと思います。委員等の懸命な、地道な御努力が実を結びつつありまして、大きく地域間の国際交流が前進していることを感謝申し上げる次第であります。
  118. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 具体的に何点か、この問題を含めてお聞きをしてまいりたいと思います。  戦後のフルブライト留学生などによりアメリカへ我が国から多くの青年が留学をいたしました。これらの人々が日米関係を良好なものにするために果たした役割ははかり知れない、このように言われております。同様に、毎年多くの青年を外国から日本に招くこと、この意義は国際交流にとっても大きなものがあると私は評価をいたしております。  そこで、六十三年度以降どうするかという問題でありますが、とりあえず財政局長さんにお願いいたしますが、六十三年度予算はどうか。一人当たり五百二十万、標準一県十三人分、七千七百万という御答弁は先回お伺いして、約千五百名ということもお聞きをしたわけでございますが、総額幾らの交付税が基準財政需要額に算定をされているのか、まず六十三年度についてお伺いをしておきたいと思います。
  119. 津田正

    津田政府委員 国際交流の交付税財源措置でございますが、六十二年度は先生御指摘のとおり三十二億六千四百万円を措置しておるわけでございますが、現在御審議の交付税法、これによりまして算定いたしますと、全国ベースで六十三億円程度になる、約倍増近くになる、このように考えておるわけでございます。
  120. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 委員長にお願いしますが、人数の総トータルと各県の配分、そして六十二年度、六十三年度の人数の資料をちょっと作成したのがあるわけでございますが、各委員あるいは関係者の皆さん方にお配りをしたいと思いますが、よろしゅうございますか。—では、よろしくお願いいたします。これを見ながら、いろいろ質問させていただきたいと思います。  今、六十三年度の予算総額、地方交付税で約六十三億円、こういう御答弁をいただきました。各県の配置ですが、今資料で配付をさせていただきました。この最終目標は三千人、こういうふうに聞いております。六十三年度はこの資料にありますように、たしか千四百四十六人でありますね。六十四年度、六十五年度、六十六年度はどうする、三千名の目標は昭和何年度に達成できるか、この辺をひとつ、しかと答弁をいただきたいと思います。
  121. 小林実

    ○小林(実)政府委員 外国青年の招致事業でございますが、六十二年度は八百四十八名、六十三年度は千四百四十六名でございます。六十三年度からは、従来、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの四カ国でございましたが、さらにカナダ、アイルランドの二カ国を加えることにいたしておるわけでございます。各都道府県の配置につきましては、今先生の配付されました資料のとおりでございます。  今後の扱いでございますけれども、私どもといたしましては、三千人体制を最終目標といたしております。しかし、これにつきましては、各地方団体の受け入れの希望を聞いて、それから海外での要員の確保の見通しなどをつけなければいけないわけでございまして、でき得る限り早く拡充をしてまいりたいというふうに思っておりますが、いつ達成できるかというのは具体的に今申し上げられる段階ではございません。いずれにいたしましても、地方団体の要望を踏まえまして、その要望を満たすように最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  122. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 当初、六十三年度は千五百名となっておりまして、先回も答弁をいただきましたが、千五百名から五十四名減ったわけです。これは地方自治体の要望がこれだけしかなかったからこうなったのか、その辺はどうなんですか。
  123. 小林実

    ○小林(実)政府委員 この数字は、各地方団体の要望をそのまま達成するようにした結果でございます。
  124. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 つまり、自治体の要望即この配分表であり、合計千四百四十六名、こういうふうに理解してもよろしいわけですね。  そこで、六十二年度の八百四十八名から千四百四十六名に一・七倍ふえた。これをずっと見てまいりますと、兵庫県が七十一人、千葉県が七十人、埼玉県が六十二人、静岡県が五十二人、熊本県が四十八人、こうございますね。六十三年度と六十二年度の人数を見てまいりますと、四十七都道府県の中で愛媛県一県が十二名で変わらず。それから、政令都市の中で札幌が四名、川崎市が二名、京都市が三名、そして神戸が二名、こういうところが同じ人数になっているわけであります。しかし、すべての段階で増加をして、人数が減少をしている地方団体はないわけであります。  私もこの問題を何回か取り上げる中で、やはりこの事業が非常に好評を得ている。私の一番下の坊主もことし高校へ入学したわけでありますが、やはり中学生のときに外人教師が来て本当に生きた英語を学べた、よかった、このように言っておりまして、恐らく大幅増の埼玉県あるいは兵庫県、埼玉県が二十九人ふえております、兵庫県が二十六人ふえております、静岡県が二十二人、山梨県二十二人、千葉県二十一人と大幅にふえておりますが、非常に好評である、こういうふうに私は考えているわけでございます。  そして、今も御答弁がありましたように、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージランド、この四カ国にカナダ、アイルランドの二カ国を加えて六カ国とし、千四百四十六名が来日するわけでありますが、各自治体に配置されるまでのスケジュール、そしていつから中学校、高校等で語学指導を行うことができるか、この辺について御説明を賜りたいと思います。
  125. 小林実

    ○小林(実)政府委員 この事業は、昨年の夏から始めておるわけでございます。今後の具体的なスケジュールでございますけれども、七月末に各国から日本に来てもらいまして、八月上旬に一週間程度の研修を行います。その上で各県に配置する、こういう手続になるわけでございます。
  126. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 二月二十三日に全国市長会がまとめました全国六百五十四市の二十一世紀を展望した都市政策と対応、こういうアンケート調査の中でいろいろな問題が提言をされました。国際化への対応策では、七割の自治体から生きた外国語を学べるような学校教育がまず必要である。しかも、それは人口の少ない小都市ほどその比率が高かった、このように言われておるわけであります。六十三年度を含めまして六十四年度以降、三千名を目標にして行うわけでありますが、その時期はいつかわからぬ、このようにおっしゃっておりますが、私は、少なくとも六十六年度には達成をしていただきたい、こう思います。その辺が一つと、どうかこういった市長会のアンケート、実施をしていただきまして、そういった小都市に配分できるような対応を今後ともお願いをしたい、このように考えますが、いかがですか。
  127. 小林実

    ○小林(実)政府委員 外国から来た青年の配置につきましては、県の方とよく御相談をしておるわけでございます。県によりましては県庁に置くだけでなく、市町村の希望があるところには市町村にも回すということをしておるところも多いわけでございまして、そういう市町村からは大変好評であるというお話を聞いております。そういう希望がございます市町村におかれましては、よく検討お話をしていただきまして、来年、六十四年以降私どもの方に要望を上げていただければ、でき得る限りの範囲で最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  128. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 とにかく目標の三千名達成、そのお話が出ませんでしたが、どうかひとつ早急に達成をし、県あるいは市町村の、各自治体の要望を聞いていただきたい、お願いをしてまいります。  次の問題は、自治体の国際交流促進のための財団の設立の問題でございます。地方自治体の国際交流を推進するために新たな財団法人、自治体国際交流協会、これは仮称と聞いておりますが、設立されるということであるが、事実かということですね。これは自治省と全国知事会などの自治体団体が準備を進めておるもので、欧米主要都市に自治体が共同利用できる事務所を開設するほか、現地情報の収集や外国の自治体行政の研究などが目的とのことであります。自治省は、自治体の国際交流の核となる、このように期待をいたしておるそうでございますが、この発足の通しをお聞かせをいただきたいと思います。  それからもう一つは、財団は、自治体の海外共同事務所、これは既にそれぞれ大きな都市にはあるわけでありますが、この海外にあるH治体の事務所とも交流をして、姉妹都市提携などの情報収集や大使館との連絡、自治体の外債発行に関する調整などに当たるとも言われておる。財源は新たに国際交流推進宝くじを発行する益金で行う。欧米主要都市の拠点づくりを目指すが、まず米英両国で事務所開設を六十三、六十四年で予定していると聞いております。この辺のところはどうか。  また、財団は自治省検討している国際交流情報提供・交換システムの拠点になる見込みでありまして、このシステムは国や自治体、国際親善都市連盟などが持っている地域レベルの国際交流に関する情報も登録し、自治体が検索できるようにするものであるということでありますが、これが自治体の国際交流にどの程度の効果があると判断してみえるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  129. 小林実

    ○小林(実)政府委員 地方団体を中心といたしまして地域レベルの国際交流の一層の推進を図るために、自治体国際交流協会設置の話が持ち上がってきておるわけでございます。設置主体は全国知事会、全国市長会、全国町村会などが中心となりまして、地方団体の共通の機構といたしまして、夏ごろまでに新たな法人を設立するための準備を進めているというふうに聞いておるわけでございます。  海外事務所のお話でございますが、これは地域におきます国際交流の受け入れ態勢の整備とともに、外国にも拠点を設置して、国際化に対応するための積極的な施策をさらにきめ細かく行っていくために必要であるということから、関係団体の間で合意ができておるものでございます。海外に国際交流の推進拠点を設置いたしまして、ただいま御質問の中にございましたように、外国におきます地方財政の動向、特にイギリスその他におきましても制度改革が行われておりまして、そういったものの状況等を把握したい。さらには、地方団体外国での物産展等に参加する例が大変多いわけでございますが、現地での連絡調整を行いたい。外債発行につきましてもそういった事務があるわけでございます。さらには、海外勤務の体験を通じまして国際化に対応した人材の養成を図るということも目的といたしておるようでございます。当面は、六十四年四月にアメリカに北米事務所を設け、十月にヨーロッパ事務所を開設する予定であるというふうに伺っておるわけでございます。  それから、国際交流に関しましての宝くじのお話がございました。六十三年度に発行予定の年末のジャンボくじ、一千五十億円を予定しておるわけでございますが、そのうちの六十億円ほかかります収益、全体で言いますと四割でございますので収益金といたしましては二十四億程度になるわけでございますが、この発行につきまして全国自治宝くじ事務協議会におきまして決定されておりまして、その趣旨の事業計画書が自治大臣あてに提出されておるところでございます。  最後に、海外と地方団体を結ぶ国際交流の情報提供・交換システムについてのお話でございます。これは、自治省といたしまして、地方公共団体や地域の民間交流団体から、地方団体がたくさん行っております国際交流に関する情報交換の場がない、何とかしてくれないかというお話がございまして、そういうことを受けまして六十三年度におきまして各種の情報、友好都市その他いろいろあるわけでございますが、それらの情報あるいは各地方団体が行っております国際交流事業に関する情報等、これをデータをそろえましてどなたにも提供できるようにしたいということを考えておるわけでございます。これを具体的にどこでやっていただくかということはまだ決めておりませんけれども、六十三年度中には地方団体あるいは民間団体からの要望にこたえられるようにしてまいりたいと考えております。
  130. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 確認しておきますが、六十四年度にスタートする海外共同事務所、これは四月にアメリカとおっしゃいましたが、ワシントンでいいですね。それから十月はヨーロッパ、これはロンドンでいいですか。
  131. 小林実

    ○小林(実)政府委員 まだ具体的に決まっておるわけではないようでございますけれども、アメリカの場合はニューヨークになるかもしれません。それからヨーロッパにおきましてはロンドンを予定していると聞いております。
  132. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 次は国際交流の問題点ですが、これも先回森田政務次官にお聞きしましたが、きょうは大臣がお見えになりますので重ねてお聞きしてまいりたいと思います。  自治省は昨年の十二月十九日、地方自治体における国際交流事業に関する調査をまとめられました。都道府県、政令都市そして人口三十万以上の市など百四十の自治体における六十二年度中の国際交流事業をまとめたものであります。  これによりますと、国際会議場、国際見本市の会場あるいは国際交流センターなど、国際交流の中核となる大型施設の建設は十九団体で二十五件、事業費が四百三億円ということであります。これに対して交通機関、道路などにおける外国語での案内板の設置や外国人向けの生活相談サービスなどが立ちおくれているのが目立つというわけであります。生活相談サービスの実施は兵庫県と仙台市と福岡市の三団体が行っている、こういうことであります。いずれにいたしましても、お聞きのように国際交流といっても施設偏重ということがこの調査によって浮かび上がったわけでありますが、自治省としてはどのように分析され、今後この反省の上に立ってどのような施策をもって六十三年度以降対応されるか、お伺いしたいわけです。
  133. 小林実

    ○小林(実)政府委員 自治省では昨年、全都道府県、政令指定都市、県庁所在市等の百四十団体を対象といたしまして、国際交流施策の実態を調査いたしたわけでございます。  調査結果を見てまいりますと、地方団体の国際交流事業といたしましては、姉妹、友好団体との交流が依然主流とはなっておるわけでございますが、特徴のある傾向といたしましては、一つには国際交流施設の整備が進みつつあること、二つには地域の活性化を目指した国際交流行事の積極的な誘致、開催が図られていること、三つ目には外国人にとりまして暮らしやすい地域づくりへの対応が図られつつあること、四つ目には国際交流の担い手としての人材養成への積極的な取り組みが行われつつあること等がうかがわれるわけでございます。  こういう結果を踏まえまして、自治省独自の施策といたしまして、既に国際都市整備に関する財政支援措置といたしましてリーディングプロジェクトということでその推進を図っておりますけれども、さらにきめ細かく、心の交流といいますか、人と人との触れ合いというものを高めるという趣旨から、先ほど来御議論のありました外国青年招致事業を行っておりますし、六十三年度におきましては、外国人にも暮らしやすい町づくりを進めるために国際交流の町推進プロジェクトというものを実施いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  財政措置等におきましては、六十二年度に比べまして大幅に増額をしておるというようなことも行ってきているわけでございます。
  134. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 財政措置を大幅にされたと言うが、では、一体幾らされたのか。  それから、先ほどお話があった国際交流の町推進プロジェクト事業ですね、これはモデル市町村で十の市町村を選ぶわけですね。その基準は何によって選んでいくのですか。あるいはもう既に決まっているのですか。ひとつその辺をお伺いしたいわけです。
  135. 小林実

    ○小林(実)政府委員 財政措置につきましては、先ほど御説明いたしました交付税措置六十三億のことでございます。  それから「国際交流のまち推進モデル事業」でございますが、これは例えば各種の施設の表示あるいは資料等を整備する、それから外国方々の住宅とか教育とか医療等の情報提供、生活相談、その他市町村でいいますと窓口に外国語に堪能な職員を配置するという窓口サービスの充実を図る、あるいは外国人向けの広報紙などを発行する、こういうもろもろのサービスの充実を図るための事業をされる。そのほかに各種の交流活動のための施策が考えられるわけでございます。こういうサービス向上のための各種の施策を積極的に行っておる団体につきまして、十程度モデル市町村ということで選びまして、他の市町村の参考になるようにしたい。まだそれらの選定基準とかあるいはどこにするかということは決めてございませんで、これから地方団体から実情をお聞きいたしまして選定をしてまいりたいと考えております。
  136. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 先ごろ下関市で「都市と国際化—世界に開かれた町づくり」というものをテーマにいたしまして全国市長会が主催いたしまして全国都市問題会議が行われたと聞いております。  これは昨年九月一日現在でございますが、国際親善都市連盟の調査によりますと、外国の自治体と姉妹都市関係を結んでいる市町村はふえ続けてまいりまして、二百五十二市、六区、百二十四町村、提携先は四百二十三市、七区、百三十町村、こういうことであります。それからいま一つは、交流のあり方にもいろいろ注文があったわけでありますが、姉妹関係を結んでいる日本の都市の中でアジアの都市は全体のわずか二二%だということです。東南アジアに限定すれば二十件にすぎないと言われております。最近のこの辺の数字、自治省、わかっておればひとつ教えていただきたいのですが、わかっておりますか。わからなければ結構ですが。
  137. 小林実

    ○小林(実)政府委員 姉妹都市交流の提携先でございますけれども、全体の中で申し上げますと、北米が四割、それからヨーロッパが二割、アジアが二割、中南米が一割、こういうことでございます。アジアにおきましては中国、韓国、フィリピン、スリランカ、台湾、ベトナム、インドそれからインドネシアというところが相手国と承知をいたしております。     〔片岡(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  138. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで、大臣にお聞きをしていきたいのですが、地方自治体の姉妹都市関係、今自治省から報告がありましたようにアジアは二割なんですね。これは自治体のいろいろな意向等々もあろうかと思うわけでありますが、国際化だどうこう言いましても、結局それはイコール欧米化なんだということなんです。一番大事な東南アジアを中心とした近隣諸国であるアジアとの姉妹都市提携を結んできている自治体はわずか二割ということでありますね。それから共同事務所の設置もアメリカとヨーロッパなんだということです、これは随時今後拡大されてくるかもしれませんが。  あと留学生の問題を簡単に質問する予定なんですが、だから私は今後の地方自治体の国際化というのは極めて大きな課題を抱えているのではないかと思います。欧米化も大事かもしれませんが、アジア各国を忘れて日本の世界への貢献、平和はないと考えております。記憶に間違いがなければ、森田政務次官は、今後十分に検討して御報告するというふうに答弁されたと私は記憶いたしますが、大臣、いかがでしょうか。こういった考えについて今後どう地方自治体に対応されるお考えであるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  139. 梶山静六

    梶山国務大臣 地方団体が行う国際交流については、これまでは欧米の地域を相手とするものが多かったことは先生御指摘のとおりでございます。これは戦後四十年の歴史の中で欧米先進国に追いつけ追い越せという一つのテーマもございましたし、アジアは比較的近いけれども、欧米の文化、経済に触れる機会が少なかった、そういう一つのニーズもあってこういうことになったかと思いますけれども、近年、我が国とアジア諸国との結びつきが深まりつつあることを反映いたしまして、アジア地域、特に中国の都市を相手とする交流は急速に増加しつつあります。また、アジア地域に海外事務所を設置している地方団体も増加するなど、今後はアジア地域との結びつきがますます深まるものと考えられております。  自治省といたしましては、このような点に十分に留意をいたしまして、今後の国際交流の推進、施策の展開に当たってまいりたいと考えております。
  140. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 国際交流の関係で最後の質問になりますが、自治省の外郭団体、自治総合センターというのがございますが、この自治総合センターが地方都市の国際化の進め方を検討していたわけでありますが、この研究会が四月九日までに国際化のニーズに対応するために地方自治体は国の支援を得て空港、港湾などハード面の整備を積極的に進めるとともに、市民向けの生きた外国語教育の実施や外国人も使える大型規格化宅の普及といったソフト面の施策にも力を入れるべきであるとする報告書をまとめ、自治省に提言をしたと聞いております。  問題はこの提言をどう生かすかということでございます。特に重点を置いたソフト面の整備では、外国語教育や居住環境のほか、市役所などに各種の英文パンフレットを置いた外国人居住者のためのコーナーや、日本の文化、習慣などを理解してもらうための外国人向けの学習センターの設置などを提言いたしているわけであります。  また報告書は、国際化を地域活性化の有効な手段と位置づけ、各都市が地域の特性を考慮しながら目指す新しい都市として四つを挙げております。国際産業経済都市、国際文化都市、国際観光都市、そして国際政治都市、この四つであります。これらの新都市づくりに当たっては外国の研究機関や大学の分校、国際会議、国際機関などの積極誘致のほか、民間企業に対する国際情報の提供、地元で埋もれている日本文化の再興とそのPRなどが必要だと強調いたしております。また、個人間の交流も重要だと指摘し、特に日本の習慣や制度を地域の外国人に一方的に押しつけるのではなく、双方の違いを認め合いながらつき合う相互受容の交流を提唱しているわけであります。  この提言について、自治省は、聞くところによりますと、都市により国際化への対応に差が出るのは当然だ、報告書の提言をもとに各部市が魅力ある国際都市づくりを進めてほしい、こう言っているそうでありますが、私はやはり自治省がその音頭をとってこうした自治体を積極的に応援していくべきではないか、そしてその施策を具体化していくべきではないか、その提言を生かしていくべきではないか、こう考えておるわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
  141. 小林実

    ○小林(実)政府委員 地方団体におきます国際交流の現状というのは、地域によりまして大変差がございます。そういう観点から、昨年でございましたか、私どもの方で地方公共団体における国際交流のあり方につきましての指針というものを通知いたしたわけでございます。  基本的な国際交流のあり方というものについて考えてみますと、本来望まれる担い手というのは民間部門であるわけでございますが、しかし地域レベルの国際交流が急務とされておりまして、活発な展開が求められておりますので、当面は地方団体が先導的役割を果たしていく必要がある、こういうふうに考えております。何せ三千三百団体のことでございますので、私どもが旗を振るというのはある程度基盤ができてまいりませんとできない面もございます。私どものやれる範囲で御指摘のありましたようなことにつきまして努力をしてまいりたいと思います。
  142. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣、一言、今審議官からやれることがあればできるだけ、こういうお話があったわけですが、この辺についての決意をお聞かせいただきたいと思います。
  143. 梶山静六

    梶山国務大臣 この報告書は、自治総合センターの調査研究として取りまとめられたものであり、報告書で提言された事柄については、自治省としても今後地域レベルの国際交流施策の検討に当たって重要な参考としてまいりたいと考えております。
  144. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 続いて大臣質問いたしますが、在日留学生の問題です。たしかきのう関係閣僚会議の懇談会が開かれましたね。十省庁大臣自治大臣もそのお一人だ、このように思います。私も先日内閣委員会に参りまして宇野外務大臣あるいは小渕官房長官にいろいろとお聞きをしたわけでございますが、とにかく現在留学生問題、在日留学生、特に私費留学生です。これは、文部省の昨年五月一日現在の数字によりますと、総数が二万二千百五十四人、そのうち私費留学生が一万七千七百一人であります。中国、台湾、韓国がそのうちの七〇%を占めて、アジア全体では九〇%、こういう数字でございます。私の地元のことを申し上げて恐縮でございますが、愛知県は総員七百九十五名おるわけでございます。やはり三割が国費でありまして七割が私費、中国、韓国、台湾から五六%、アジア全体では九〇%、国立大学あるいはまた私立大学、二十三大学にそれぞれ留学をしているわけであります。  大臣も御承知かと思いますが、悲しいことに昨年の十月には、日本語学校もあり入学の準備を進めていたバングラデシュの青年が帰国の費用もないまま下宿で餓死するというまことに痛ましい衝撃的な事件が起きました。国際国家を目指す我が日本にとりまして、この事件の落差は余りにも大きいと言わざるを得ないと私は思います。外国人留学生は日本と彼らの母国を結ぶ平和のかけ橋であります。国民レベルでの国際交流の強化と深化なくしては成らない大切な宝であります。  政府は留学生十万人の受け入れ構想を発表しておりますが、その施策はまだこれからで不十分であります。留学生の熱意にこたえるだけの対応策を、単に政府レベルだけでなく自治体、住民、企業など多彩な国民レベルでも打ち立てることが必要ではないか、私どもはこのように考えております。本当に円高で苦しい生活をしております。高い部屋代、高い食料品、低賃金のアルバイト、特にアジアの留学生にとっては日本は決して生活しやすいところではないわけであります。宇野外務大臣は私に、今解決すべき最大の政治課題の一つがこの在日留学生問題である、このようにも御答弁をいただいたわけでありますが、自治大臣の御認識、そして自治省としてはどう具体的に対応されるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  145. 梶山静六

    梶山国務大臣 先生まさに御指摘のとおり、留学生問題はいわば日本の内政、外交上の大変大きな問題点でもございます。ですから、昨日関係閣僚懇談会が結成されてこれから統一的な取り組みをしてまいることになったわけでございますが、この背景には、特に昨年来各党共通のこの問題に対する認識が高まったことによって、こういうことをとり行うことができるような状態になったわけであります。  言うまでもなく、留学生を通じた国際交流は、教育、研究水準の向上、開発途上国への人材の協力という意義とともに、我が国と諸外国との相互理解あるいは相互協調の推進に大きく貢献をするものであります。ですから、今急速、大幅な円高によって留学生が大変苦況に陥っていることは御承知のとおりでございます。こういう状態が続きますと、せっかくの留学生が、逆に言うと反日感情を持ってお帰りになられることはむしろ留学生制度があることの方が弊害になってしまう。この場合は、留学生の量という問題よりもむしろ留学の中身の問題が一番大切でございますので、この留学生の量をふやすとともに質的な向上を図って、この方たちがやがてそれぞれの国の日本シンパになっていただけるようなことが一番望ましいわけでもございます。したがって、留学生等の受け入れに当たっては一人一人の留学生が学問研究等の面で十分な成果を上げることと並んで、日本社会の日常の交流の中での有意義な体験を通じて日本の理解者となって帰国してもらうことが大切だというふうに考えております。  留学生対策については、第一義的には受け入れの大学等で、さらには我が国全体にかかわる問題として国が対応すべき問題と考えているが、地方公共団体としては、地域レベルでの国際交流の一環として留学生の親善を深めるなど、いわば心の交流を中心として社会の一員として住民ぐるみで温かく迎えるための措置を講ずることが必要だと思いますし、そういう施策の展開にこれから当たってまいりたいと考えております。
  146. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 すばらしい決意で感銘をいたしますが、その一面、具体的に何を自治省としてやるかということがわからないわけです。我が党の調査あるいは新聞報道等々では自治体が相当な取り組みをしているわけなんです。  一例を申しますと、埼玉県では家賃の補助制度として全国初の月額五千円を支給する制度ができた。あるいは神戸市では、住居の問題が深刻だということで、神戸アジアセンターが住宅・都市整備公団の賃貸住宅を借り上げて低家賃でアジアからの留学生に貸している。また、兵庫県では県の住宅供給公社の社員用社宅を提供している。千葉県の松戸市でも市の職員寮の空き部屋を職員と同額で開放するという対策を講じている。東京都でも中国人留学生対象の寄宿舎を主体とした東京都日中交流会館、また名古屋でも県市区共同いたしまして十億四千万のお金で百名入居できる留学生会館を建設しようとしているわけです。  それから奨学資金の問題では、兵庫県では私費留学生のうち特に生活の厳しい百人に対して月額三万円という高水準の支給を予定している。大阪府の茨木市でも年額六万円を既に支給し、福岡市では市の外郭団体を通して無利子の留学生資金貸付制度を実施しているわけであります。その他宮城県、静岡県等々でも留学生の経済援助を決めておるわけであります。横浜もやっているそうでございます。  そういうような留学生が住みやすい町づくりをしていくという話は前にも出ましたが、自治体レベルでもこういうふうに頑張っているわけでありますが、こうした援助の輪がさらに広がっていく方策というものを自治省が中心になって音頭をとってやるべきではないか、これが一つあると思います。そして、先ほど来議論されておりますいわゆる外人そして留学生にとっても住みやすい町づくりを推進していく、これも大事であります。いずれにいたしましても、二十一世紀初頭とにかく十万人を受け入れる計画であるわけでありますが、自治省としても何らかの対策というものを立てていかなければならない、このように思います。また、財政力の弱い自治体等への支援も、十万人を受け入れるということになれば考えざるを得ないと思いますが、具体的な自治省としての取り組みがありましたらお答えをいただきたいと思います。
  147. 小林実

    ○小林(実)政府委員 留学生問題でございますが、先ほど大臣からもお話がございましたように、第一義的には受け入れ大学それから文部省を中心といたしまして各種の政策が展開されておるわけでございます。このたび関係閣僚懇談会ができまして、そこで意見交換も行われるということでございまして、留学生問題につきましてはその懇談会等の場で、地方としてどの程度協力できるかということにつきましても各省庁と協議を重ねてまいりたいと思っております。
  148. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 各省庁と協議をするということで、まだ具体的なものは何もないように思うのですが、今私が申しました点を十分ひとつ腹に置いて対応していただきたい、こう思います。  留学生問題の最後は、これは大臣にお聞きをしますが、日本国際教育協会の理事長である川野さんは、この留学生対策につきまして、宿舎の確保などはこれは末梢的なことである、思い切りて私立大学に助成金を出して地方へ移し、地域で留学生を受け入れるようにしていけば、国民一人一人が留学生を身近に感じるようになり、それがひいては日本の国際化にもつながっていく、こういうことで、金ばかりじゃないんだ、金も大事だけれども、やはり身近に感ぜられるような地方分散というものを大学が図って、助成金をしっかり出していきなさい、こういうことを言っておみえになるわけでありますが、これは宇野外務大臣も小渕官房長官も非常に賛成を賜ったことであります。大臣も賛成だと思いますが、いかがでございましょうか。
  149. 梶山静六

    梶山国務大臣 大学の地方分散という言葉がいいかどうかわかりませんが、地方進出というものは、いろいろな都市対策の上からもあるいは地方文化振興の上からも大変有意義なことでございます。ただ、大学にはそれぞれよって立つ基盤がございますから、それぞれの自主性があろうかと思います。そういう誘導策をお互いに研究し合いながら、またそれぞれの各自治体が大学誘致等に具体的な施策を掲げてやっている成功例も多いわけでございますので、これからもそういうものの展開を図るために努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  150. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間があと五分三十秒くらいになりました。また来週質問しますから、きょうはそのさわりだけやっておきます。  次は、地方分権の問題であります。  大臣、あなたは所信表明の中でこのようにおっしゃっております。「地方行政の充実と行政改革の推進」という中で、  国民に身近な行政は国民に身近な地方公共団体において自主的・自律的に処理することのできる体制を強化し、地方分権を一層推進することが必要であると考えております。   このため、かねてより、国と地方公共団体の間の事務・権限の再配分、地方公共団体に対する国の関与や必置規制の整理、機関委任事務の見直しなどに努めてきたところでありますが、今後、機関委任事務制度の改革、監査委員制度の整備等所要の地方自治制度の改革を進めるとともに、 この「とともに、」が大事ですね。その後です。  地方公共団体への権限移譲等を一層推進し、地方行政を充実させるために努力したいと考えております。 いわゆる地方公共団体への権限移譲等を一層推進するというその中身は一体何ですか。ひとつ具体的にお示しをいただきたいと思います。
  151. 梶山静六

    梶山国務大臣 地方の活性化と国土の均衡ある発展を図るためには、各地域がその創意工夫により自主的、主体的にそれぞれの特性を生かした地域づくりができるようにすることが必要でございますことは、もちろん言うをまちません。そのためには、住民に身近な事務は住民に身近なところで処理することができるよう、国から地方公共団体への権限移譲等をさらに進めるとともに、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保を図っていくことが極めて大切でございます。  さは言うものの、一般的に地方にとにかく権限を移譲しろと言うけれども、何と何という具体的なことがあるかといいますと、これは今までの長いしきたりというか、国と地方の役割が現在の形で行われているわけでございますから、これを新たに展開をするということにはそれぞれなかなかの弊害もあるわけでございます。ですから、地方制度調査会やあるいは地方団体等が絶えずいろいろな意味で提言をいたしております。そういうものはどこに調整権能があるかということになるわけでありますが、いわば地方団体の窓口とも言うべき自治省が各省庁に向かってその権限の移譲について強力な発言をしていかなければならない現状であるというふうに認識をいたしております。
  152. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣現状認識はよくわかりました。  私がお聞きしておるのは、この権限移譲の中身は何か。つまり地方分権といい、権限移譲といえば、一つ行政権、一つ財政権の移譲だと思うのです。これは間違いない事実だと思います。そしてまたあなたは、今月の十四日の本委員会において、新聞の書き方は「権限の一律移譲ではなく、地域の特性に応じて必要な権限を選択できる方法を検討したい」「選択地方分権を提唱」「許認可、規制、関与など国の権限移譲には、中央省庁の抵抗が強いため、「部分的な選択移譲で突破口を開きたい」(梶山自治相)というのが狙い。」こう書いてあります。それで「この日の委員会で梶山自治相は「地方自治の基盤が弱かった昔ならともかく、中央の画一的、統一的な指導、規制は改める時期。地方権限を奪い取るという気持ちでいかなければならない」と、権限移譲に強い決意でのぞむ姿勢を示した。 しかし、権限移譲には中央省庁の抵抗が強いため、」あなたは「まず、突破口として、地域の特性に応じて必要な権限を選択する方法を検討してみたい」とおっしゃって、「選択制の権限移譲について自治省内部で具体的検討に入っていることを明らかにした。」このようにある新聞は書いておるわけであります。  あなたがおっしゃるこの選択地方分権というのは具体的に何か。そしてどういった事務事業を、つまり行政地方に移されるのか。そしてまた、それに対するいわゆる財源措置地方税源の充実、財源の充実、これが伴っていかなければなりませんが、これを具体的にひとつお聞かせをいただきまして、時間が参りましたので、きょうの私の質問は終わりまして、来週やりたいと思いますが、一言御答弁をいただきたい。
  153. 梶山静六

    梶山国務大臣 御説のように、地方の振興のためには、地方に対する分権、権限移譲が極めて大切なことでございます。そういうことでございますから、この四十年来、地方自治体が脆弱な時代から今日の、ある意味では一人前に育つ時期に、確かに中央のいろいろな意味での指導や監督のもとになされる時代があってもやむを得なかったという感じがいたします。そのことによって、極めて高い、いわば全国均質な地方自治団体が誕生というか育成されたことも現実でございます。  そして、これからはようやく第二期と申しますか、地方自治体がそれぞれの特性に合ったこれからの進展を見るわけでございますから、画一的なものでなくてもいいはずだ、それぞれ地域の特性を生かした地方自治団体があってもよろしいということから見ますと、確かに普遍性のある権限原則として地方に全般的な移譲をしてもらいたいけれども、地方自治団体考えてみますと、三千三百を超えるわけでございますから、人口の規模やその他置かれている自然環境は非常に千差万別でございます。ですから、その自治体自治体は、地方制度審議会やその他地方団体がうたうように、例えば都市計画の権限を我が市に、我が村に、我が町にということがあろうかもしれませんが、極めて弱い山村部において都市計画の権限を移譲してもらっても、さほどありがたみがないという表現がいいかどうかはわかりませんが、必要がない場合も多うございます。  しかし、どうしても今までの言い方は画一的な言い方になりますから、例えば今お話が出た名古屋で都市計画はまさに身近な事業でありますから名古屋市にということがありますけれども、私の住む山村において都市計画はそれほど大きな関心ではないということになりますと、地方自治団体の足並みにある意味で強弱があることは当然でございます。私らの農村に行きますと、例えば農業規模の拡大のために土地の集約化をしなければならない。そのためには農地法のもうちょっと簡便な地方自治体における専決権があってもいいはずだという意見もあるわけでございますから、それぞれ行政の権能を全般にできることが一番望ましい理想論でございますけれども、それが画一的に中央に要求をして、できないということになれば、部分的にでも、選択的というのはまさにその意味で、名古屋市は都市計画が欲しい、私の村は農地法が欲しい、そういうものをお互いにメニュー化をして部分的な選択ができないかどうか、こういう問題も研究をいたしませんと、言うべくして地方分権というものが進むのかどうなのか。  私が言ういわば選択的な分権論がむしろ大きな意味での分権の妨げになるのかどうなのか、こういうものを挙げて、自治省のノーハウでひとつ研究をしてもらいたい。そしてそういうことを行うことが地方団体がそれぞれ異なった特性を生かすことができるもとにつながるものだ、こういう理解を私なりにいたしておりますので、こういう提言を行い、内部で今検討をお願いをしているところであります。
  154. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 あと一つ、時間が参りましたので、これは次の続きでぜひ聞いておきたいのですが、今大臣がおっしゃいましたね。私も大方その意見に反対じゃないのですよ。やはり都市は都市関係のいろいろな規制なり法律があります。都市計画をする、あるいはいろいろ町づくりをしていく。農村は農村で、大臣がおっしゃったような農地法という問題がありましょう。だからそれを選択的に分権、移譲、こう言うかもしれません、その意見には賛成でありますが、さて具体的に、今自治省検討されているということですが、ことしはともかくといたしまして六十四年度の予算に反映していくような、ただ単に自治省だけの案、悪く言えば梶山私案に終わらせないでやっていただきたいと思います。その辺の見通しはどうですか。
  155. 梶山静六

    梶山国務大臣 長い歴史と経緯のある問題でございますから、今それぞれの国と地方役割分担、こういうものはそれなりのバランスというか、そういう中に成立をしているわけでありますから、地方には地方の言い分がある。国には国の言い分がございます。しかし、これを今の時代認識と申しますか、地方自治体の置かれている立場、それから地方自治、地域振興をどうすれば行うことができるか、そういう観点に立って言うならば、私は、今一極集中からまさに国土の多極分散をしなければならない時代、その多極分散のために何と何と何の権限地方にあった方がよろしいかという突破口を求めて、これから一、二年をかけてこの問題に取り組んでいかなければならないと思います。  今、きょう言われて六十三年度の方式に何ができるかといいますと、残念ながら非力を嘆く以外にございません。
  156. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どうもありがとうございました。  この分権の問題、私なりの意見もあります。また来週時間をいただきましたので、この論議を進めていくことをお約束いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  157. 松本十郎

    松本委員長 経塚幸夫君。
  158. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最初に、固定資産の評価がえに関連いたしまして二、三お尋ねいたしたいと思います。  これは前回の固定資産の評価がえのときに、自治省の事務次官と建設省の事務次官連名でもって通達を出しておられますね。この通達の中身を見ますと、「この土地の評価替えに伴って、宅地等に対する税負担が増加することを理由として、借地人又は借家人に対し、地代又は家賃の不当な引上げを求める事例が生ずることも懸念されるが、今回の負担調整措置による固定資産税及び都市計画税の増加額は僅少な額であることにかんがみ、貴職におかれては、不当な便乗値上げが厳に抑止されるよう下記のような要領によって適切な措置を講じられたい。」こういう通達が出されたわけであります。  前回の評価がえと比べてみましても、今回の上げ幅は、特に東京、大阪など大都市においては大きいわけでありまして、もう既に地代、家賃の値上げが何割というようなことじゃなしに二倍とか三倍とか、所によっては五倍とかいうような引き上げが通知をされたというようなことで、これは大変問題になっておるわけであります。  ところで、今回の評価がえに伴って、これは自治省としてはどういうように措置されるのですか。前回同様、便乗値上げは抑制するような通達を関係団体に対して示すべきだ、こう考えておりますが、その点はいかがですか。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  159. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 ただいま御指摘がありましたように、固定資産税の評価がえ、三年ごとにいたしますが、三年の評価がえごとに、御指摘の評価がえに伴います地代、家賃の不当な引き上げを抑止するということにつきまして両次官名で通達をいたしております。  今回どうするんだというお話でございましたが、今回につきましても、ただいま建設省とその点につきまして相談をいたしておりまして、適切な措置をとるよう地方団体指導してまいりたい、こう考えておりまして、その旨の通達を早急に出すように協議中でございます。  なお、過去でも非常に早く出せたときもありますが、四十八年とか四十一年とかは、もう六月になって出したというようなこともございます。そんなことにならないように急いでやりたいということで協議中でございます。
  160. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今ちょうどもう引き上げがいろいろと通告をされて、紛争が次々と起こっておる最中でありますので、今御答弁がございましたが、時期を失しないように速やかにぜひひとつ通達を出して指導していただきたい、このことをお願いをいたしておきます。  それから次に農地の課税問題、特に市街化区域内の農地の宅地並み課税の問題についてお伺いをしたいと思うのです。  最初に大臣にちょっとお尋ねしたいと思うのです。これは前自治大臣にもお尋ねしたところなんですが、大臣として今日の都市農業の果たしておる役割についてどのようにお考えなのか。これは一つの事例でありますが、大阪の調査の結果を見てみますと、農地の役割について、新鮮な野菜などの供給に大きな役割を果たしておると答えられた方が実に六一・四%、それから自然環境の維持に役立っておるというふうに答えられた方も四八・三%に上っておるわけであります。  私どもは、今日都市砂漠などと言われておる状況のもとで、住民の台所を維持する上からも、それから都市の空間を保全してつり合いのとれた町づくりを進める上からも、さらに防災対策ですね、これは一定の空間がどうしても必要になってくると思うのですが、防災対策上からも、都市農業の果たす役割というものは大変大きいと見ておるわけでありますが、改めて大臣の見解を承りたいと思います。
  161. 梶山静六

    梶山国務大臣 都市計画法上「市街化区域は、すでに市街化を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされているところでありますが、これらの区域内にあっても、都市施設の整備や土地区画整理事業等の開発事業が当初予想したように進展していないため、農業経営を継続することが適切であると判断される農地が存在することは事実でございます。また、これらの農地を中心として営まれている都市農業が、今先生御指摘のとおり、生鮮食料品の安定供給にそれなりの役割を果たし、また自然環境あるいは空間と申しましょうか、そういうものの果たしている環境や防災上の役割、そういう社会的な役割を担っていることも現実でございます。  また個人的には職業選択の自由が保障されているわけでありますから、原則として私は、本人が農業を営みたい、そして自分が適正な農地を保有している以上、大きな都市計画上の観点があって私権は制限さるべきではあるけれども、それを全く無にしていいものかどうかというのは考慮は入れなければならない点だというふうに理解をいたしております。
  162. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大臣も都市農業の果たしておる役割については十分その重要性をお認めになっておられると思います。  そこでお尋ねをしたいのですが、総務庁来ていらっしゃいますね。これは新聞の報道で見たわけでございますが、四月七日付の新聞にこう書かれておるのですね。「長期営農地制は廃止 新行革審、基本答申に盛る」というようなことで、「六日開かれた土地対策検討委員会の基本答申案起草委員会で意見集約されたもので、営農を希望する優良な農地は逆線引きによって市街化調整区域に編入」「その他の農地はすべて宅地並み課税の対象にする」、こういうことが報道されておるわけでありますが、これは事実でしょうか。
  163. 新野博

    ○新野政府委員 新行革審においては、土地対策検討委員会というところで、これは昨年の八月につくったわけでございますけれども、ことしの三月まで各方面のヒアリングをやりまして、そしてフリーディスカッションをいろいろ続けてきており、今の段階ではその報告案を取りまとめるべく審議の真っ最中でございます。  それで、土地対策検討委員会での論議は、土地の需要と供給であるとか土地の計画的利用、また都市基盤施設の整備であるとか土地対策にかかわる各般の分野に及んでおりまして、その一つとして市街化区域内農地についても種々の観点から論議が交わされているところでございます。  それで現在、五月末の委員会報告という格好に向けて鋭意審議を進めてまいっておる段階でございまして、今後その論議の中には曲折も十分あり得ることでございまして、新聞報道にございますように現在委員会の結論が定まったという段階ではございません。  以上でございます。
  164. 経塚幸夫

    ○経塚委員 結論が定まったということではない。しかしどうなんですか。結論は定まったということではないけれども、一般紙に報道されておりますような長期営農継続農地制度については原則廃止だというような意見が大体主流になっている、こう判断してよろしいのですか。その点はいかがですか。
  165. 新野博

    ○新野政府委員 現在行われている論議の詳細を申し上げますことは、審議の真っ最中でもありますから差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、新聞に報道されましたような考え方も含めまして、さまざまな観点から広範な意見が交わされておるという状況でございます。
  166. 経塚幸夫

    ○経塚委員 微妙な御答弁なんで、最終の意見がまとまっておらない段階ではお答えしにくいということもよくわかるわけでありますし、大方の意見はそういう方向に傾いておるというふうに判断できるわけでありますが、スケジュールとしてこれはどういうふうになっていくのでしょうか。先ほどの話だと五月中に答申。そうすると、答申が出ました後、例えば法の改正など絡みます問題などの手順についてはどんなスケジュールになっていくのですか。
  167. 新野博

    ○新野政府委員 お尋ねの点が二点ございまして、審議会自体のスケジュールと、その答申が出た後の手順ということかと思います。  まず今後のスケジュールですが、土地対策検討委員会ではこの四月から報告案を取りまとめるための審議に入っておる段階でありまして、今後は五月末に委員会報告をつくりまして審議会に御報告を申し上げるという段取りで現在委員会での審議が続けられており、四月、五月その予定で審議が行われる見込みでございます。  それで、委員会の報告が審議会に上がりましてからは、今度審議会の方でさらに検討が加えられまして、本年六月中には答申をまとめて政府に提出するという見通しでございます。  それと、答申が提出された後の問題でございますけれども、答申がまだ提出されていない段階ですので確たることを申し上げることはできないわけでございますが、答申提出後にそれを受けまして政府として検討がいただけるものと考えております。  特にお尋ねの法律改正、あるいは六十三年度内は法律を改正して実施する、こういうようなものがあるかどうかということも、やはり答申を受けまして関係省庁において具体的な検討をいただくべき問題である、こういうふうに考えております。
  168. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、今の御説明だと六月に答申、それからその後閣議で協議、決定、こうなってくるわけでありますが、これは自治省の方へちょっとお尋ねをしたいのですけれども、長期営農継続農地制度はまだ実施途上ですね。この十年という期限以内に制度の改正というようなことは、仮に制度の改正に絡むような答申が出てきた場合に、実施途上でも改正というのはあり得るわけですか。その点はどうですか。
  169. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 長期営農継続農地についてのお尋ねでございますけれども、十年間ということで、営農を継続するという希望も持ち、また客観的にそういうことが認められるという者について今そういう徴収猶予制度をとっているということでございます。したがいまして、そういう前提も含めていろいろな議論がされていて、その中で偽装農地というような問題であるとかいろいろな議論がされて、そして審議会の答申も行われる、こういうことだと思います。  法律論といいますか制度論的に言いますと、いろいろな制度が仕組まれておりまして、その制度が仮に恒久的な措置として仕組まれておりましても、その途中で改革案が出てまいりますれば改革するわけでございますので、十年の途中だから絶対に改革できないという問題ではない、そういうふうには思われます。
  170. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、今の局長の答弁では、十年ということになりますとたしか昭和六十七年ですね、あと四年でありますが、十年を待たずに途中の制度改正もあり得る。これはほかの法令関係で、期限を限って施行されておる法律の中で、仮に五年間とかいうふうに定めてあったものが三年目に抜本改正されたとかいう事例はあるのですか。私はこれはないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  171. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 今直ちに例を出すことはできませんけれども、法律問題としてお答え申し上げたわけでございます。事柄をどう判断してどういう措置をするのが妥当かという議論とはまたちょっと別でございまして、実はこの問題につきましては今度の審議会におきます論議以前にも取り扱われたことがございます。しかし、ちょうど十年という期限でスタートした制度の途中五年目で一回見直しがございます。そこで徴収猶予制度を一回切りまして、そこまで営農していれば徴収猶予制度を解除するといいますかそこで一回切る、そういう制度があったものですから、そこで私どもとしましては厳正運用という通達によって今指導している、こういうことであります。結局問題はそういうことが適切であるかどうかという判断になるのであって、制度といたしましては、仮に恒久制度であっても途中で変えることはあり得るわけでございますから、法律論を申し上げた次第でございます。
  172. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私も法律論をお尋ねしておるわけでして、それでその五年を経過して、五年の経過の上に立って運用上の改善すべき措置については先般とられたわけですね。そうしますと、その五年を経過して、五年間の上に立って運用上改善すべき問題点についてはもう既に明らかにされておる。そうすると当然のこととして残る五年間は、当初の予定どおり十年は継続していくものだ、こう判断をするのは普通なんですね。これは来年がその五年目に当たるとかいう場合ですとこれまた別な問題になってくると思いますが、一応五年を経過して運用上の措置は講じられたわけでありますから、後の五年間は続いて当たり前だ。私どもは、もともと農地は農地並みの課税をすべきであって本則宅地並み課税というものに賛成しているものじゃありません。これ自体が間違いだという見解をとっておりますが、百歩譲った上に立ちましてもこれは続くのは当然だ、こう判断はできるわけですけれども、法律上十年と限っておっても途中でも必要があれば変えることも可能なんだということになってきますと、私はこれは大変重大な問題だというふうに考えております。  そこで、これは再度大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、もし一般に報道されておりますように市街化区域内の農地が宅地並みの課税を実施されるというようなことになりますと、仮に農業を続ける意思があったとしてもこれは事実上続けられなくなる。私、先般各農協の幹部の皆さん方にお会いをいたしましていろいろお伺いをしたわけであります。これは大阪府下の南河内地区の農業改良普及所の調査によるわけでありますが、米をつくった場合には、十アール当たり粗収益が十二万四千円、経営費が九万八千円、所得が二万六千円なんですね。それで大阪の場合は、これは六十一年度の固定資産税概要調書によりますと、平均税額が田んぼで十四万二千円余りになるのです。今度評価がえになりますとこれはさらに上がりますから、そうすると朝は朝星夜は夜星で一生懸命やって税金を払ってもなお追っつかない。それで息子のサラリーを宅地並み課税に入れなきゃ田んぼは持てぬというようなことになりかねぬわけですね。  何が一番もうかるかと聞きますと、これはイチジクが一番もうかるのだそうです。イチジクは何と十アール当たり粗収益で六十五万円、経営費が十八万七千円、所得が四十六万三千円、これが一番もうかる。そうしたらそればかりやったらどうだ、こう聞いたら、いやこんなものは二十アールが限度だ。市街化区域内で今日二十アールの農地を持っておるというような人はもう本当に減ってきました。もう平均大体十アールあるいは一反五畝ぐらい。いいところはみんなもう放したんですな。それで先祖代々の土地をこれ以上放したんでは仏に申しわけがないというようなことでしがみついてやっている。だからもうかるからといって広げるというわけにいかぬ。大体イチジクつくったらもうかるからといっても、イチジクつくるのにはどれだけ苦労が要りますか。朝市場へ出荷しなければ間に合いませんから、午前一時に起きなあきまへん、こういうわけですな。午前一時に起きてもぎ取って、それで新鮮なまま市場に出荷する。こんなこと、今日農業の跡を継ぐのは若いといってももう六十代、これは大変だっせ。こういうことでいろいろお話を聞いておりましたら、宅地並み課税が市街化区域の農地に適用されるというようなことになると、もう泣きの涙で農地を手放さなければならぬことになるな、こういう感じを深くしたのですね。  政府の方は農は国のもとなり、こうおっしゃっている。しかし、大臣御承知のようにだんだん自給率が下がっておりますやる。穀物が一昨年度ですか三一%ですよ、八〇%台だったのが。私この間テレビを見ておってびっくりしたのですが、日本人はそばをよく食べますけれども、そば粉は信州だとかなんだとか、そこらでももちろんとれておりますけれども、どこから来ているのかと思ったら、何と神戸の港へ陸揚げしているんですな。カナダから来ているんですってね。それで、一たんどこか産地と名のついたところへトラックで運ぶそうですね。天ぷらそばを食べたら、エビはインドだというんですな。揚げるゴマ油はメキシコだというんですな。そして七味は韓国だ、はしは台湾だ。そしたら日本のものは何だといったら、だしを出すところの水道の水ぐらいと違うかというようなことで、まあ何ともうら寂しい思いをしたわけでありますが、農は国のもとというけれども、もとがだんだんやせてきている。  そこへこの農産物の輸入自由化でもって、牛肉、オレンジに続いて、大阪の農民あたりは、昔は牛に引かれて善光寺参りだったけれども、今度は気をつけなければあきまへんで、牛に引かれて米が来まっせ、こういうことを言っているわけですね。いずれにいたしましても、私は、農は国のもとなりという以上は、特に最初大臣がお答えになりましたように、市街化区域の農地、農業については、いろんな角度から考えてみましてもこれはやはり保全すべきだ。  こういう観点から見ますと、農地の宅地並み課税というようなものは、先ほどの局長の御答弁では、十年間の年度途中でも必要があれば法令の改正はあり得るし、また可能だ、こうおっしゃいましたけれども、私は、真に農業を続けたいと願うものは、これは保全すべきだ、こう考えますが、改めてひとつお伺いいたします。
  173. 梶山静六

    梶山国務大臣 法的な専門知識を残念ながらこの分野で持ち合わせをいたしておりませんので、委員が今おもしろおかしくお話をしていたから、そうだそうだと言いたいのですが、また議事録にそうだそうだと載りますと、あのときこう言ったろう、こう言われても大変でございますから、この問題に正確に答えることにはまいりませんけれども、ただ私は、マクロで農業政策の中から見ますと、いわば都市農業の占める比重というものは極めて少ないものだという気がいたします。ただ、都市農業に頼らざるを得ないというか、生鮮野菜であるとかそういうものの分野、これは確かに先ほど私が申し上げたとおり大変な一つの比重を占めるわけでございますし、またいわば都市環境の中で空間を得るということがいかに大切かということも、もちろん都市政策上からも私は認めるわけでございます。ただ、農業全般でいいますと、例えばそれぞれ私たちの優良な農地が減反をし、そういう協力をし合っているわけでございますから、都市問題で十アール足らずの農地が農業と言えるのかどうなのかという問題が一つマクロで見ればあろうかと思います。  ただ、先ほど私が申しましたように、職業選択の自由が保障されているわけでありますから、農業をしたい。それから農地である以上宅地並み課税というのが果たしてできるのかどうなのか。現況を現況以外のものに置きかえてみることができるのかどうなのか。私は、恐らくそのころは都市農地における特例とでも言うべき制度を設けて、宅地並み課税などとは言わないでやることだと思うのですが、それが法律的にできるということになれば、今の状態でいうと、五年なり十年こうやって期待権が発生するわけでありますから、恐らくそういう法律をつくれば期待権の喪失になるわけでありますから、これは経塚委員の方が専門家でございますけれども、恐らく期待権を喪失させるためには何らかの公的な補償がそこには起きるのではないかなというドライな考え方も今私の心の中によぎったわけでございます。  いずれにしても、私はやはりこういうものが理解を得ないで強制されることがいいのかどうなのか。ただ単に、都市が膨張する、膨張するから宅地を供給しなければならない、そういう次元だけで物事を考えていいのかどうなのかという素朴な疑問を持っている段階でございますので、委員の御指摘になられた質問に対しては残念ながら的確に答弁する知能は私にはございません。
  174. 経塚幸夫

    ○経塚委員 知能がございませんと言われますと二の句が継げぬわけでありますが、いずれにいたしましても、これは総務庁から御答弁がございましたように、早晩改めて重大な問題になることは明らかな事実でございます。大臣も日本の米の主食論者だろうと思います。郷土を愛される気持ちは人一倍強いだろうと思いますが、ぜひひとつこれは農業保全のために力を尽くしていただきたいということを申し上げておきます。  次に、同じく固定資産との関連でありますが、基地交付金についてお伺いをいたします。  これは自治省税務局編の「地方税制の現状とその運営の実態」という中で「基地所在市町村に対し固定資産税に代わる安定した一般財源を賦与するため設けられた財政補給金的性格を有する交付金で、固定資産税に淵源を発する制度」、こういう解説があるわけでありますが、この解釈は今日も変わりないわけですか。
  175. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 ただいま御質問の基地交付金でございますが、これにつきましては、私どもは、基地交付金というのは固定資産税の代替的な性格とそれから財政補給金的な性格とあわせ持ったそういう補給金である、こういうふうに説明しております。  ただ、これは厳密に法律論としてやりますというと、基地交付金は法律的には予算で定めるものである、こういうふうになっておりますし、それからもう一つ、完全は交付税制度の外側にオンしている、そういう制度でございますから、その点は、基地交付金というものを固定資産税そのものになぞらえて物を言うのは、そこには完全な理論的な問題としてはあるいは少し問題があるかもわからない。しかし考え方といいますか、その基地が所在する市町村の側に立って考えますというと、やはり基地交付金というのは固定資産税の代替的な性格と、それからその基地が持っているもろもろの状況というものを踏まえた補給金ということである、こういうふうに理解されて今日に至っているものでございまして、私どもも財政当局に対してはそういう趣旨で主張をしてきている、こういう経過でございます。
  176. 経塚幸夫

    ○経塚委員 基地交付金、六十三年度は百九十九億五千方、調整交付金五十二億、これは数字は合っていますね。この額は、何年ぐらい前からこういう額なんですか。
  177. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 お答えいたします。  五十七年度から七年度間同額ということで、ただいまお示しの基地交付金百九十九億五千万円、調整交付金五十二億円ということになっております。
  178. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これはちょっとおかしいんじゃないでしょうかね。おかしいんじゃないでしょうかねといいますのは、確かに予算の枠内に縛られるという面があるとおっしゃる。それから、地方交付税の枠外だともおっしゃる。しかし、固定資産税にかわる性格的なものであるという点は、これは全く消されておらない。ところが、七年間額がそのまま据え置かれておるということは一体どういうことなのか。こうなってまいりますと固定資産税にかわる性格的なものは抹消されてしまう。その性格的なものが生きるなら、この間に固定資産の評価がえが何回かあるわけでありますから、当然これは額も変わってこなければならぬ。一方で予算に縛られるという面だけが生きてきている、こういうふうに解釈をせざるを得ぬと思うのですがね。  例えば対象資産価格、これは自治省の報告ですけれども、五十六年が一兆八千百二十二億でしょう。それから六十一年は二兆三千六百十五億でしょう。約一・三倍なんですね。五十六年を五十一年と比べてみますと、一兆一千三百六十七億が一兆八千百二十二億でありますから、幾らになりますか、約一・五九倍ですか。この五十六年は、五十一年と比べれば資産価格の一・五九倍に対して交付金、調整金は一・七九倍に伸びているのですね。ところが五十七年以降は、資産価格が一・三倍に伸びておるのに額はじっとして動かぬ、予算の枠で縛って動かぬ。これはちょっと納得がいかぬと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えなんですか。
  179. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 基地交付金の総額は、基地所在市町村の側から見ればその増額を図ってほしいということは、これはそうであろうと思いますし、私どももその点は同じ考えでございます。  しかしながら、これを法律的な理屈の分野で一回お答えをしなければならないわけでございますが、固定資産税の代替的と言っているところに大変な意味があるわけでございます。これは、私どもが財政当局に対して要求し、そしてそのときにどういう基準でその増額を図ってきたかという歴史的な経緯でもあるわけでございます。できた当時は、これは定額の、まさにそういう補給金でございました。そういう経緯のある問題でございます。これを本当に固定資産税と同じような性格のものであると言いますというと、基準財政収入額に算入しなければいけない、こういう問題になるわけでございまして、私どもは、そうではない、固定資産税の代替的というところに意味がございまして、そうなってまいりますと、財政補給金ということになればやはり補助金の枠の中でございますから、毎年毎年今のシーリング体制の中ではカットされる、こういう性質のものになってくるわけでございます。しかし、事柄が事柄でございますから、この額を何とか維持するということで今日に至ってきた、こういうことでございます。したがいまして、事柄といたしまして、その増額が図られることが望ましい、何とかそういうふうにしてもらいたい、こういう関係団体の意向、そのこと自体はそうでございますけれども、今日それがただいま御指摘のような状態になっていること自体が予算の扱いの上で非常に理論的に違っている、必ずしもそういう問題ではないということだけは申し上げさせていただきたいと思います。
  180. 経塚幸夫

    ○経塚委員 その代替的というところに深い意味があるのだ、それはよくわかります。固定資産税ということにすればこれは逆な結果になるということで、代替的。しかし、的にしろ何にしろその本質は固定資産税というものが頭につくわけでありますから、評価が変わってくればその評価の倍率どおりに予算をふやしていくかどうかということは、百歩譲って、それは的ということがついている以上は一〇〇%そうはいきませんよ、それは仮に認めたとしても、七年間も動かぬというようなことは、これは一体世間が通るだろうか。基地を抱えておる関係地方公共団体からは毎年のように要望があるわけでしょう。  私は、これは要望が出てくるのは当然だと思いました。例えば、これは大阪府の和泉市でありますが、六十二年度は二億四千百九十七万一千円の交付金総額、対象資産価格は三百八十一億九千百余方でありますから、大体三百八十二億近いのです。これは五十七年度の資産価格から見ますと二・四八倍なんです。福生市の場合を例にとりますと、これは資産価格は和泉市ほどの倍率ではございませんけれども、やはり交付金額よりは上回っております。宇治市の例もございますけれども、これも対象資産価格は五十八年から比べてみますと六十二年は一・九倍ですね。ところが交付金額は一・三倍にしかふえておりません。  こういうところを仮に民有地並みで試算いたしますと、これは一定の物差しでありますけれども、福生市の場合は、六十二年度の交付金が十一億六千万、ところが民有地並みにいたしますと十九億一千万ですから、差が七億五千万、こうなるのです。それから宇治市の場合には、交付金が四千万でありますが、民有地並みに試算いたしますと一億一千七百万ですから、差が七千七百万で、これはもう交付されておる額の大体倍近くになるわけですね。私の選挙区の八尾市、自衛隊の基地がありますが、六十二年の交付金三千三百十九万円が六十三年度は減ってしまっているのです。台帳価格は二割アップしておるのですが、交付金は七%減らされているのですね。固定資産税並みに計算をしますと八千九百七万円になるはずでありますが、実にこれは差が五千八百二十万円になるのですね。  だから、固定資産税並みに課税をするかどうかというようなことについては、自治省としては短絡にそうすべきではないという考え方がいろいろあったとしても、この七年間これだけ評価がえが行われて、それでことしもまた行われる。ところが額は七年間凍結だ。基地を抱えておるためにみんなそれぞれ予算が要るわけなんですよ。先ほど言いました和泉市の場合も一般会計からかなり道路建設の予算を持ち出ししているわけですよ。横須賀などもエイズ対策だとかいろいろ大変なんですよ。  ですから大臣、局長がおっしゃることはわかりますけれども、七年間予算の枠に縛られて動かぬというのはちょっとひどいと思いますね。少なくとも来年度の概算要求では、七年間も凍結するというのはこれだけ固定資産の評価がえをやってきておるのに一体どういうことなんだ、これは考えてもらわなければ困るということで、五十六年までは数年間でもってずっと一・七倍に引き上げてきたという実績があるわけですから、これは要望すべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  181. 梶山静六

    梶山国務大臣 御説のとおり基地交付金及び調整交付金については、国の厳しい財政事情のもとで昭和五十七年度以降前年度同額を何とか確保してきたことは御案内のとおりでございます。六十四年度においても引き続き厳しい予算編成方針になると思いますが、基地所在市町村の置かれている実情やその抱えているさまざまな課題を考えると、自治省としては、今委員指摘のような点を踏まえながら、これから最大限の努力をしてまいりたいという気持ちでございます。  ただ、これは自民党と政府の間のことでございますけれども、基地交付金というのはいわばゼロシーリングの枠内に置かれておるわけでありますから、マキシマムゼロというか伸び率ゼロということに今まで置かれていたということ、それがいわば論拠、基準になっているわけでございますが、今委員指摘のように、固定資産税的性格や市町村の置かれている立場を考えますと、私としてはやはりこれの一定の何らかの対策を講じていくことが基地所在市町村に対する責任でもないかというふうに考えております。
  182. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これはもうくどいようですが、七年間も凍結ですから、十分主張する論拠はあると思うのです。ぜひひとつ増額を要求していただきたい、こう考えております。  次に、合併特例法との関連で幾つかお尋ねをしたいと思っております。  これは合併特例法の審議でもない時期にお尋ねをするのはどうかとも思うのですが、しかし今合併問題は、仙台市との合併問題、それからつくばの合併問題などいろいろと政治的にも問題になっておりますので、今後予測される合併問題なども考慮に入れまして、あえてお尋ねをするわけであります。  仙台市と宮城町、泉市などとの合併問題でありますが、例えばこの仙台市と宮城町の合併、これは突如として出てきたものですから住民の中で大変問題になりまして、合併の是非は住民投票で決するべきだ、こういうことで条例制定の直接請求を行った。何と一週間でもって法定数の二・五倍の署名が集まった。さて、いよいよ署名を提出、こういうことになってきたわけですが、その提出の日に、事もあろうに合併の議決が強行されてしまった。何事だこれはというようなことになりまして、それなら、そんな住民の意向を無視するような議会はもうこの際解散をして信を住民に問いなさい、こういうようなことで議会の解散を求める署名運動が始まりました。これは法定数六千六百六十七でありますが、これを上回る七千三百九名の署名が集まった。そしてこれは九月の十八日に提出をされた。それであわや議会解散にまで行くか、こうなったのでありますが、そうはならずに十一月の一日に合併が発足をした。日にちにいたしますと、恐らくわずか何日という日にちの差があるかないかという際どいところで、もう対象になる町議会がないようになってしもうたんやからせっかくの署名ももうおしまいだっせ、こういうようなことになってしもうた。住民方々は、一度ならず二度三度、一体主権はどこにあるのだというようなことで大変激怒されて、自治省へも陳情に来られたという経緯があります。これは泉市の場合も同じような経緯なんですね。条例に基づきまして住民投票をやることはやりましたが、反対が四七%、賛成が五二%、ぎりぎりの賛成で、棄権をされた方を含めますと有権者の中では過半数に到底及んでおりません。この合併が強行されました。  それから、つくば市もそうで、これは副市長問題でもめておりましたね。何であんな妙なことをするのかとちょっと関係者に聞きますと、いや、合併になったら市長になりたい人が多くてねと言う。それで副市長というのをつくったわけでしょう。前代未聞でありますな。それじゃ何でその約束を守らぬのだと言えば、それは約束をほごにするかせぬかは市長権限だというようなことでこれがもめるというようなことになって、まあこういう状況が最近相次いでおるわけであります。  これは最初に大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、これはもう当然のことでありますが、境界の変更、市町村の合併等の実施に当たっては、地方自治の本旨はもとより、住民意見を十分尊重して対処すべきだ、こういうふうに考えるのですが、大臣、その点いかがですか。
  183. 梶山静六

    梶山国務大臣 御説のとおり、市町村の合併は関係市町村からの申請をまって決定されることからも明らかなとおり、基本的には関係市町村の自主的な判断を尊重して決定をすべき問題でございます。  また、合併の問題は、当該地域の自治のあり方の基本に関する事柄であり、住民生活にも大きな影響をもたらすものであるので、住民の意向を十分に踏まえて、議会において団体としての意思を決定することが肝要であるというふうに考えております。
  184. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は若干これの経過を申し上げたわけでありますが、これは大臣が就任されまして後になりますが、二月二日に泉市の関係者の方々自治省に陳情に来られて大臣に陳情書を出したという問題。いや、そんなところまで見ている暇はないとおっしゃるかもわかりませんが、これはちゃんと大臣あてに陳情書が出ております。ごらんになりましたか。
  185. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 陳情につきましては行政局の振興課長が対応いたしましたので、振興課長が承知をいたしております。
  186. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それじゃ、大臣はごらんになっていないようですから、改めてこれはぜひひとつごらんになっていただきたいと思うのです。  そこで幾つかの点をお尋ねしたいと思うのですが、先ほど経過で説明を申し上げましたが、憲法十五条では、公務員を選定し、これを罷免することは、国民固有の権利と認められているのですね。この固有の権利は、地方自治法上も保障されておる。それに基づいてこの権利を行使した。ところが、全くタッチの差でもってこの対象になる議会はなくなっておりますよというようなことで、これは本当にタッチの差なんです。選管事務を早めれば十分間に合った。だから大勢の方が自治省に来られて、私も立ち会いいたしましたが、あれは延々何時間に及びましたかね、自治省、何とか選管事務を早めるように指導助言できないのか、そして住民の意向が那辺にあるのか、これが明確になるようにということで指導を求めたという経緯もあるのです。だから、一方では憲法で保障されながら、一方ではこれを軽々といえば軽々に殺すこともできるというような今の法令の関連について、これは矛盾があるのじゃないかと思うのですが、その点は御研究になりましたか。
  187. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 憲法の規定に基づきまして地方自治法が制定されているわけでございますが、地方自治法では地方公共団体運営は代議制を大原則として構成されておりまして、それを補完する制度として直接請求制度がつくられているわけでございます。  御指摘のように、宮城町の案件につきましては手続が十分な日数の余裕を持って行われなかったために、法定の手続内では解散の投票が行われなかったということでございます。そういうことでありますから、現行制度上やむを得ないことではなかったかと承知いたしているわけでございます。
  188. 経塚幸夫

    ○経塚委員 現行制度上やむを得なかったことではないか、十分な日数を計算に入れた上でやらなかった住民の側に何か責任があるかのような今の御答弁なんですが、これは私は了承できないと思うのです。言いましたように、憲法を優先させて、国民の固有の権利として保障された権利をとにもかくにも生かしてみようという立場に立つのならば、選管の事務手続は間に合ったのです。そして、それが間に合うという前提でもってその署名運動が始まったのですよ。何でもっと早くやらなかったんだと、こうなりますと、それほど時間的ゆとりも与えない短兵急な合併が強行されたというところに、本来ならばそれは一考も二考もすべきでなかったのかと自治省の側としては言うべきですよ。  これは毎日新聞でありますが、「目立つ仙台市の”あせり”」大きな見出しで「住民意見くみとって 納得ずくの合併を」、私も現地へ行きましたけれども、いろいろな新聞がみんな同じような報道をやっておるのです。だから私は自治省としては、私どもはこれはいつも問題にしますけれども、こんなものに自治省としてそんなことを言うほどの権限がどこにあるのだ、こう言ったら、いや指導だ助言だ、自治法上もある、こういろいろとおっしゃる。そして肝心な指導助言をしてもらいたい、こう聞きますと、いやそれはあくまでも地方公共団体の固有の権限でございまして、と使い分けをされるのです。しかし私は、それは地方公共団体の立場であろうとも、住民の立場であろうとも、自治省の立場であろうとも、基本は一つだと思うのです。基本は何かと言えば、やはり国民主権、住民主権なんですから、この上に立脚した自治の振興と発展をどう図るか、そのために自治省としてできることは一体何なのか、ここの視点は立場、党派を超えて共通した問題だと私は思うのです。だから余り批判が出るような合併の推進については、自治省としては、最終的に自治大臣の目を通さなければならぬということになっておるわけですから、やはり助言できるものは助言すべきだと思うのですね。言うべき観点がちょっと違っておるんじゃないかと思っております。  さらにこれをお尋ねします。住民投票制度、これは五十年、六十年の合併特例法改正の際にも附帯決議として出されております。大臣はこの附帯決議が出ますといつも、決議の趣旨を尊重し、こうおっしゃるわけでございますが、五十年の合併特例法改正のときに、当時の林行政局長が、法の改正に当たっては十分配慮、検討を、こう答弁されていたのです。それで六十年の改正のときに、十年前の改正のときにはこれからの改正に当たっては十分配慮、検討、こうなっておるが一体十分配慮、検討したのか、こうお聞きしますと、大林現事務次官、当時の行政局長は、勉強は続けましたが、まだ結論を得ておりません、こうです。今後さらに勉強を続ける、こうなっています。これは三年前です。それでこれは今どうなっているのですか。六十年のときには、十年前に十分配慮、検討と言ったものだから、十年もたてば結論を出してもらえるものだと思ってそれで三年前に聞いたら、勉強しましたがまだ結論は得ていない、これからまだ検討します。もう結論が出ると思うのですが、これはどうなっていますか。
  189. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 同じような御答弁になりましてまことに申しわけないのでございますが、勉強を続けているわけでございますが、何分地方制度調査会第十六次の答申にもありますように、こういった政策あるいは市町村の廃置分合等について住民投票制度を導入してはどうかという提案をしつつ、しかしながら一方では代議制を基本として議会の権限等との調整を十分にとるようにという大変難しい注文もついているわけでございまして、また制度の抜本的な改正にも当たる分野でございますので、慎重に検討、研究をいたしている次第でございまして、現在のところまだ何らかの改革を行うまでの結論を得ていない次第でございます。
  190. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは十三年たって、そして二回も附帯決議をつけられている問題ですからね。これは私は決断をすればできない問題ではないと思いますよ。方法はどういう方法を講ずるか、それは方法論としては形式論としてはいろいろなやり方があるだろうと思うのですよ。しかし、基本は住民投票という手段を保障すること。これは私ちょっと申し上げましたけれども、泉市の場合はやったんです、いろいろと住民から要望が出たものですから、それじゃやりましょうということで、合併の賛否について意見を問うという形で。だから、これは現に関係自治体で先行的にやっているところもあるわけでありますから、これはもう結論を出してもいいと思うのですよ。これは次の法改正までには、次のときもまた勉強ということじゃなしに、こういう結論になりましたという御報告いただけますか。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 次の法律改正と申しますのは、地方自治法の改正でありますと日にちは決まっていないわけでありますが、合併特例法の改正等の意味だと存じますが、その時点までには何らかのより進んだ研究が行われますように努力をしてまいりたいと考えております。
  192. 経塚幸夫

    ○経塚委員 より進んだ結論が得られるようにということですが、中身は雲か霞か全く玉虫色でございます。ぜひこれは速急に結論を出していただくように要望いたしておきます。  それから議員の任期を定めた特例法の三条と四条でありますが、この解釈、これは四十年三月二十三日の当時の行政局長の答弁では、三条の方法によることの方がよろしいのではないかという御答弁があるわけですね。これは現在の自治省の判断はどうなんですか。三条の判断を優先させるという見解ですか。
  193. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 法律制定当時のやりとりにおきましてそういった感覚が述べられたかと存じますが、私どもは三条、四条の選択はあくまで地域において自主的に選択していくべきものであると考えております。
  194. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これも仙台市との合併問題では大論議になったところの一つなんです。税制の問題もそうでありますけれども、仙台市と宮城町、泉市などの合併問題では、前の選挙のときにだれ一人として仙台市との合併問題を選挙の公約として掲げた議員さんはおられなかった。それで今回合併をすれば仙台市の任期ということになるわけでありますから、宮城町の場合は三年三カ月任期が延びることになる、それから泉市の場合は三年延びることになる。それでこれは住民の直感は、すぐいいか悪いか、何だこの合併は、本当に住民本位の合併なのかどうなのかというような判断の基準として、議員の役得、特権じゃないか、給料は一遍に上がるわ、任期は三年余りも延びるわ、前の選挙のときには合併のガの字も言わないでおいて何だ急に、得手勝手もひどいじゃないか、これが反対の中で大きな理由になってきたわけなんです。だから私はこれは三条か四条か非常に重要な問題だと思うのです。これはそれぞれの地方公共団体の自主的選択とはおっしゃいますけれども、四条二項には「前項の規定は、前条第一項又は第二項の協議が成立した場合には適用しない。」こうなっている。それで佐久間行政局長の四十年当時の答弁もありますから、私はまず三条を優先すべきではないか、こう考えております。これは今後の検討課題として当時の答弁もひとつひもといていただきまして研究いただきたいと思っています。  次の問題でありますが、この合併の決議でありますが、これはどうなんですか。過半数で決まるわけでしょう。ところがその一方では庁舎、地方公共団体の事務所の設置または変更は、出席議員の三分の二以上の同意なんです。庁舎を移す場合には三分の二以上の賛成が要ります、町や市がないようになってしまうのは過半数で結構です。この解釈はどうしてもわからぬ。事務所、庁舎の移転よりもその町がなくなるということの方が軽いのですか。軽いから過半数で結構だということになったのですか。これはちょっと何ぼ考えてもわからぬ。
  195. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 事務所の位置の変更、設定は三分の二の多数決になっておりまして、市町村の廃置分合の議決は過半数ということになっているわけであります。御指摘のように庁舎の位置の問題も、また市町村合併の問題も地域にとっては極めて重要な問題でございますから、慎重な手続で進めるべきものというふうに理解をいたしております。  ただ問題は、どこでどういう形で慎重を期するかということでございますが、事務所の位置の場合には、議会が決めてしまいますとそこですなわち事務所が動くことになる。そうしますと過半数で決めて事務所がしょっちゅう動き回ったのでは住民も大変迷惑でありますし問題があるということで、三分の二の特別多数という形の慎重を期したのではないかと考えております。それに対しまして廃置分合の場合には、当該市町村の議会が決めればそれで決まってしまうわけではございませんで、それから長の意思決定があって知事に申請をいたしまして、そして知事はさらに都道府県議会の議決を経て処分をする。しかも、市が絡んでおります場合には自治大臣との協議がある。手続全体として大変慎重な手続になっているわけでございます。  そういった慎重さと三分の二の慎重さとどちらを選ぶんだといえば、恐らく私は地方自治法はできるだけ特別多数というのは使わないという考え方ではないかなと思います。と申しますのは、議員というのはみんな同じ資格で選ばれてきた方々でございますから、できるだけ投じる一票が同じ価値であった方がいいだろう。三分の二の多数にいたしますと、賛成議員二人に対して反対議員一人でイコールになるわけでありますから、逆算すれば票の重みが一対〇・五ということになってしまうわけでありますから、できるだけ特別多数というのは使わない、やむを得ない場合にだけ使うという形ではないかなというふうに考えるわけでございます。そうしますと、むしろ廃置分合については一連の大変慎重な手続をとって慎重を期していこうという立法趣旨ではないかなというふうに解釈をいたしております。
  196. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ちょっとそれはわからぬですね。合併の場合は自治大臣のところまでこれは上がっていく、こうおっしゃる。しかし基本は議会の議決でしょう、住民の意向を代表する機関の意思決定というのは。これは大臣、ちょっとお尋ねしますが、私が聞いていることおわかりだと思いますが、極めて単純なことなんです。町がないようになってしまうのです、それは議会の議決は半分以上でよろしいですよ。事務所や庁舎が変わるといったら三分の二以上です。商法でも三百四十三条ですか、解散、合併の際は三分の二以上になっているのです。これは過去においても論議されたところなんですが、今局長が答弁をされたような趣旨で今後も押し通すということになりますと、この疑問は解消できませんよ。  私は、やはり本当に住民の意思を尊重するということになりますと、住民投票制度の問題、三条優先の問題、それから少なくとも三分の二以上の議会の議決を必要とするというような法的措置を講すべきじゃないかというのも、最初からの質問は全部そうなんですが、これは住民の利害に直接かかわる重大な問題でありますから何らかの検討をしてしかるべき問題だと思うのです。これは自治省の方も、何で片方半分で片方三分の二なんだ、どっらが大事なんだ、こう問われたら内心はちょっと答弁に困っているのじゃないかなと思うのです。だけれども、困ってまんねんというようなことを言ったら答弁になりませんから、すらすら言うておるとしか思えないわけでありますが、ちょっと道理にかなうような筋道を、これは時間もあることでありますが、大臣もぜひ、今後合併問題はあちこちで起こってくるということが予測されますので、検討課題にしていただきたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  197. 梶山静六

    梶山国務大臣 お話を聞いておりまして、いわば住民の代表が議員でございますから、確かに議会の議決、地方自治法上過半数というのが大前提であるわけでございますから、通常の場合のことは過半数で決することができる。ただ、その他の場合のいろいろな事例と照らし合わせてみて整合性があるのかどうなのかという問題でございますが、私も過去の経緯をよく承知いたしておりませんので、検討してみたいと思います。
  198. 経塚幸夫

    ○経塚委員 次に、もう時間もなくなってまいりましたが、財政問題についてお尋ねしたいと思います。  最初にちょっと数字のことでお尋ねしたいのですが、公債費負担比率二〇%以上の団体の数、これは三年間でどういうふうに変わってきておりますか。
  199. 津田正

    津田政府委員 公債費負担比率が二〇%以上の団体数は、昭和五十九年度で千三十三団体、六十年度は千三十六団体、六十一年度はそれに四十六団体増加いたしまして千八十二団体、こういう状況でございます。
  200. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは五十九年四月十七日の当委員会での当時の財政局長石原さんの御答弁でありますが、「公債費比率が二〇%というのは財政運営上極めて危険な状態でありまして、それなるがゆえに地方債の発行についてこれを制限する一つのラインとしておるわけでありますから、地方団体の三分の一以上がそういう状況に陥るというような事態は何としても避けなければいけない。」こう答弁されていますね。どんなことがあってもこういう三分の一以上に達するということは避けなければならぬ、こう言明をされておったわけでありますが、今数字をお聞きいたしますと、五十九、六十、六十一年度とふえてきており、三分の一ということになってきておるわけであります。何としても避けなければならぬというこのかたい決意はちょっとやわらかくなりましたか。
  201. 津田正

    津田政府委員 二〇%以上を迎えるということは地方団体財政運営として非常に危険な状況にあるという認識は変わりないわけでございます。何としても避けるということは、私どもそういうような考え方でやっておるわけでございますが、いずれにしましても、先生御承知のとおり公債費負担比率、分母が一般財源、分子が公債費に充てます一般財源、こういうような算式の中におきまして、地方財政現状におきまして分母の一般財源の伸びというものが非常に限られている。一方、分子の方の公債費、そのもとは地方債でございますが、地方債の活用を余儀なくされている、こういうような非常に厳しい状況でございます。いずれにしましても、趣旨としましては、この公債費負担比率の上昇というものは避けていかなければならない、かように考えております。
  202. 経塚幸夫

    ○経塚委員 避けていかなければならぬ、こうおっしゃいますけれども、それじゃこれはどうなんですか。六十二年度決算、六十三年度、これはまだ予算が編成をされた段階でありますけれども、さらに六十四年、六十五年、これは三分の一以下に抑え込めるのですか。それともなおふえる見通しなんですか。その点はどうですか。
  203. 津田正

    津田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、公債費負担比率は一般財源の動向と地方債の動向、これにかかっておるわけでございます。平均的な比率で歳入全体に占めます地方債の割合は、昭和五十八年度九・八、昭和五十九年度が九・一と上がり、六十年度は七・八に下がった。しかし六十一年度は八・八、こう上がっています。公債費の原因でございます地方債状況でございます。そして六十二年度は残念ながら補助負担率引き下げ等の問題もございますし、若干上がるのではないか。ただ六十二年度は、先生御承知のとおり、補正予算の段階で内需拡大のための財源地方債だけではなくて地方交付税を充てるべきだ、要するに一般財源を充てるべきだ、こういうようなことで三千五百億円確保したわけでございます。六十三年度は地方債への依存率というものは若干下がっておるわけでございますが、いずれにしましても公債費の動向というものは危険な状況にある。私どもとしましては、一般財源の充実を図るとともに地方債の活用というものを図りながらも、それの抑制的な観点というものも十分配意してまいらなければならない、かように考えております。
  204. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは私の前の質問者の際にも論議があったところでありますが、確かに普通建設事業をとりましても単独事業はふえておる。これは大いに結構なこと、住民の生活に直結する単独事業がどんどんふえているということは。しかし、中身を見てみますと、普通建設事業に充てられる財源でありますが、国庫支出金は、自治省の資料によりますと五十九年度は二九・一%、六十年度は二七・三%、六十一年度は二六・三%、これはずっと下がってきておりますね。普通建設事業全体の中での単独事業はふえてきておりますが、国庫支出金の割合というものがこういうように年々低下をしてきておる。そこへ持ってきていわゆる経常費、六十年度からの国庫負担金削減問題等々もこれは絡んでくる。五十年以来の財源不足の地方債の発行のッヶが回ってきておるのに加えて、さらにこういう新たな要因も加わってきておる。だから石原さんが財政局長当時、何としても避けなければならぬ、こうおっしゃったことが逆な方向へ向かいつつあるこの根源は、経常費の問題を取り上げてみましても、建設事業の問題を取り上げてみましても、年々歳々国庫負担金だとか補助金財政全体に占める率が下がってきておるというところが主たる原因であることはいよいよ明らかなんですね。  そこで、これは大臣にもちょっとお尋ねをしたいのでありますが、六十年に国庫負担金補助金の削減を三年間延長する際の措置として、暫定措置期間内、三年間ですね、国、地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じないものとする、今の総理、当時の竹下大蔵大臣と古屋自治大臣との間で覚書が交わされておるわけでありますが、にもかかわらず六十二年二千百七十億、それから六十三年国保財政六百九十億、合わせて二千八百六十億ですか。ちょっとよくわかりませんのですけれども、国と地方財政関係を基本的に変更するような措置は講じないというのは、金額何ぼくらいまでをその範囲と見ておるのですか。何ぼくらいまでは許容される、そんなに大して影響ない、こう御判断されておるのですか。この覚書があるでしょう、そして物差しがあるはずだと思うのですよ。それはどうですか。
  205. 津田正

    津田政府委員 金額の問題、もちろんそれもあると思いますが、やはり事柄の性質上の問題ではないか。奨励的な補助金ならともかく、いわゆる国と地方との割り勘である、要するに責任分担である負担金等の問題、そういうようなものの性格にかんがみ考慮すべきものではないかと思います。  なお、国民健康保険の問題につきましては、先生もちろん御異論があるのは承知してございますが、私どもやはり現下の市町村国保の状況というものを考えまして、保険料と国費というものを基本としながらも、現段階におきまして道府県あるいは市町村の一般会計の負担やむなし、このような判断をしたものでございまして、国の責任転嫁、こういうような考え方には立っておりません。
  206. 経塚幸夫

    ○経塚委員 国保の財政地方負担することの性格論議を私はしているわけではないのです。この六十年の覚書で、今まで一年と約束しておったけれども、ちょっと済みません、三年間延ばしまっせ、しかしもう国と地方関係に影響を与えるようなことはやりません、こうおっしゃっていたのに、国保は、財政性格論議、地方負担性格論議でこれは意見は分かれるとしても、これは百歩譲って除いても構いません、しかしこれは除くわけにいきませんけれどもね。しかしそれでも二千億、こういうことになってくるわけですからね。参考人意見を聞かしていただいた中に、何だかんだ言っているうちにいつも大蔵省にやり込められてしまう、こういう参考人の御意見もあったわけでありますけれども、これはまさに政府と地方との信頼関係にかかわる重大な問題だと私は思うのです。  そこで、時間の関係もございますので、いずれにいたしましても、この公債費負担比率が上昇していく、何としても三分の一を超えるようなことがあってはならぬと言明をされたことが逆な方向に行っており、そして六十年の覚書にもかかわらず大きな削減がまた六十二年そして六十三年と続いてきておるこういう状況。そこで、これは大臣の答弁とも関連をするわけでございますが、交付税法六条の三の二項の解釈の問題なんですが、これはどうなんですか。六十四年度にもとへ戻すということはなればそれで財源不足は解消されることになるからという前提で大臣は御答弁をされておられる。しかし、従来の答弁から見ますと、引き続きというのは二年以上ずっと赤字、それからまた見通される三年以降も赤字、二年続いてそれで見通される三年以降も赤字、これは年度でいいますと六十三年度のことですね。そうすると、いや委員はいろいろおっしゃいますけれども、六十四年度国庫負担金補助金がもとへ戻るということになれば財源不足は解消されるんだからもう一年辛抱すればええじゃないか、そうおっしゃりたいところだろうと私は思いますが、そうもまたはっきりおっしゃらないのかもわかりません。これはどっちとも解釈できるわけでありますが、戻す戻さぬという話になりますと、従来の国会の答弁の関係上からいきますと、二年続いてそして三年目以降もということになりますと、国庫負担金補助金をもとへ戻すかあるいは制度の改正を行うか、これは六十四年度ではなく六十三年度からの仕事になる。私は素直にこれを解釈していると思うているのですが、それはいかがですか。
  207. 津田正

    津田政府委員 「引き続き」「著しく」は従来から自治省の見解として申し上げているように、一割程度以上という状態が二年度続き、また見通される三年度以降ということでございます。  そこで六十三年度の問題でございますが、はしょって若干結論というか縮めて申し上げますと、補助金カットというのが六十三年度でおしまい、そういうような暫定臨時措置、それから六条の三の方の地方交付税率あるいは財政制度の変更というものは恒久措置。そうすると、恒久措置の方が先へ走れば、暫定措置とする補助金カットというのを六十四年度以降も是認することにもなるのじゃないかと私ども思うのでございます。むしろそういう意味では、先生おっしゃるように一年間の我慢というような言葉が若干当たるかもわかりませんが、六十三年度の改正といたしまして六条の三を使ってやれば、補助率カットを永久に認めるということを先走って私どもが態度表明することにもなるのではないか。ここいらは大臣、時々申し上げているわけでございますが、端的にそういうような観点もお考え願いたい、かように思うわけでございます。
  208. 経塚幸夫

    ○経塚委員 六十三年度制度改正をやれば補助金カットの恒久化を認めることになるではないかという御答弁でありますが、私は、それはそういうことにはならないと思いますよ。その前に、三年目というのは六十三年度ということはお認めになっているわけです。素直に解釈すればそうなる。ちょうど六十三年度が二年続いて三年目以降も見通されるということに当たる年度になるとすれば、これは当然六十三年度。(梶山国務大臣「以降だから」と呼ぶ)そこが違うのですか。それは素直に色眼鏡をかけずに読んだらそういうふうになりますがな。引き続きというのは二年以上ずっと赤字。二年以上です。それで三年目、三年以降も赤字だということ。だから六十三年度がそうですがな。以降だから六十四年度からだとはなりはしませんがな。六十三年度が三年目なんですから、三年以降ということになりますと六十三年度になりますがな。そこが素直か素直でないかということなんです。私はひねくれて言っているわけじゃない。ちゃんと書いてあるとおり言っている。私は、当然これは六十三年度に制度の改正または補助金カットを、六十四年ではなしに六十三年度にもとへ戻すべきである、どちらかを選択すべきだというふうに解釈しているわけでありますから、その御意見だけは申し上げておきます。  そこで、時間が参りましたので、これは最後に大臣にお尋ねいたしますが、百歩譲りまして六十四年度補助金カットはもとへ戻す、こういうことであれば、毎年のように各省庁に自治省として概算要求について要望を出されるわけでありますが、この七月の概算要求に対する各省庁への自治省の要望として、六十四年度は国庫負担金補助金はもとへ戻す、こういうことを御要望なさいますか、それをお伺いしておきたいと思います。
  209. 津田正

    津田政府委員 先般の予算が成立した際の閣議におきましても、私どもの大臣は、切れるという問題を各省庁考えていただきたい、こういうような発言をしております。私ども、これから予算編成作業が行われるわけでございますが、各省庁にも、この法律が、補助率カットというものが六十三年度で切れる、もちろん予算補助等もございますが、そういうような認識というものは十分していただきたいということは申し上げるつもりでございます。
  210. 梶山静六

    梶山国務大臣 六十四年の予算編成時でございますから、ことしの恐らく七、八月ころにはそういうことが具体化をされて、そして原則前に戻ると申しますが、三年前と状況が違いますから、率直に言って原則三年前と全く同じとは申しません。財政規模もふえておりますし、いろいろなことがございますので、もろもろの補助状況を見ながら、今の状況を前以上によく復元できるように努力を払ってまいりたいと思っております。
  211. 経塚幸夫

    ○経塚委員 財政規模も違うし、完全にもとへ戻すというわけにはまいらぬとおっしゃいましたけれども、しかし、もとへ戻すという以上は三年前にちゃんと戻してもらわないと、何か未練がましいもとへ戻し方はちょっと困ると思いますので、そのことだけを申し添えまして、終わらせていただきます。
  212. 松本十郎

    松本委員長 山下八洲夫君
  213. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、まだしっかりと勉強していないのですが、ちょっと不思議に思ったものですから、若干本日触れさせていただきまして、また今後の私の課題としていきたいなと思っているわけですが、そのことについてまず最初に触れさせていただきたいと思います。  それは水価、水道料金の問題であるわけでございますが、水道には上水道と下水道があるのは当然でございますけれども、まだほかにもいろいろな公営企業があるわけでございますが、特に水道料金というのがどうも最近だんだんと不思議になってきているわけです。といいますのは、水道自身は県水もあればあるいは市営水道あるいは町営水道といろいろとあるわけでございますが、この料金体系が余りにもいろいろではないか。なぜこうなっているのか、この辺がさっぱりわからないわけでございます。  例えば電気料金にいたしましても、日本には九電力会社が民営であるわけでございますが、これは少なくともブロック別で一応料金は同じでございますし、あるいは例えば東電と中部電力とが大きな格差があるか、いや、これもほとんどない。東京に住んでいようと名古屋に住んでいようとあるいは鹿児島に住んでいようと、大変公平に体系はなっているわけでございますが、水道料金というのは住んでいる場所によって、上水道で四倍、五倍も違ったり、あるいは下水道にいたしましても三倍、四倍違ったり、このような状況になっているわけです。この辺、なぜそうなるのか、ちょっと教えていただきたいと思いまして、まず最初にお願いしたいと思います。
  214. 柿本善也

    ○柿本政府委員 お答えいたします。  これは御承知のことだと存じますが、市町村に水道を引かれる場合、当然水道の事業を始める時期がかなり地域によって異なります。あるいは立地条件が異なります。あるいは最近は水源確保につきまして大変難易度が差がございます。そういうようないろいろな要素によって原価に相当の差が出てまいりますので、どうしても今おっしゃったような料金に格差が生ずるというのが現状としてはやむを得ないという状況になっておることは事実でございます。
  215. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 確かに、埋設された時期によって違うのは理解できるわけでございます。特に水源の問題、水利権の問題というのは大変複雑怪奇で大変厄介な問題ですから、きょうは水利権の問題については触れませんが、例えば時期によって格差がある。これは例えば電話にいたしましても随分時期の違いはあるわけです。まず、過去の歴史を振り返っていただきますとわかると思うわけでございますが、大体都市部からできていく。だけれども、全国比較的公平になっている。あるいは電気にいたしましても、やはり都市部からだんだんと田舎の一軒家まで引いていったと思うわけです。だけれども、料金体系というのはほとんど一緒になっているわけです。これとは若干違うわけでございますが、都市ガスにいたしましても、まだLPガスを使っているところがたくさんあります。そのようなガスにいたしましても、例えば民生用の石油にいたしましても、北海道は雪国でたくさん石油を使うから、あるいは鹿児島は使わないから、では二分の一か三分の一安いか。決してそうはなっていませんし、比較的公平さが保たれているわけでございます。  同じ日本人であれば、これは東京に住んでいようと、あるいは北海道に住んでいようと、鹿児島に住んでいようと、全く一緒にしろとは言いませんけれども、ある程度公平感があっていいのではないか、そう思うわけでございますが、その辺はいかがでしょう。
  216. 柿本善也

    ○柿本政府委員 おっしゃるように、水道でございますので、人間の飲み水としてはおっしゃるようなことがあった方が望ましいということは十分理解できるのですが、これは一つは、水源のことは言わないとおっしゃいましたが、資本費についてかなりの差が出てまいります。それからもう一つは、電話とか今例を挙げられましたこととの違いとしては、経営主体が全国一本とか都道府県一本というような形で現実としても行いにくい、こういう点からいたしまして、どうしてもおっしゃるように望ましいように持っていくにはなかなか難しい、こういう現状のためにどうしてもそういう差が出てくるということではないかと思います。
  217. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 確かに資本費は大変かかりますし、早く上水道でも下水道でも完備さしたところの方が資本費が少ないですから、安いわけですね。  私は岐阜県の木曽略の入り口の中津川というところに住んでいるわけです。大体中央線で出ていきますと、まず名古屋へ行くわけですね。名古屋は大都市なものですから、随分早く上水道は完備していたわけです。これはちょっと資料が古いのですが、昭和六十一年度の地方公営企業年鑑によりますと、名古屋市が一カ月十立方メートルですと上水道は五百七十円なんです。私の住んでおります中津川市は二千百五十円なんです。これはざっと見ましても、名古屋と比べますと四倍になっていますね。  最近は名古屋は大都会なものですから、私の中央線筋へ名古屋からの転出者が随分あるわけです。よく知りませんけれども、名古屋はどうも二カ月に一回水道料金が行っているらしいのですが、こちらへ越してきました人が、まず水道料金の請求書が来る、ああこれは二カ月分か、また明くる月に請求が来る、本当に皆さんびっくりされるわけですね、何でこんなに高いのだと。それは、今お話があったとおり資本費の違いでこうなっていると思うわけです。だけれども、同じようなその続きにいまして、私のところで言いますと、県水といいますけれども、この県水が、私が住んでいます中津川市、隣の恵那市など五市にずっと同じ水道管で通っているわけですね。そこからそれぞれの市町村が買っているわけですけれども、同じ水道管から来てもその市町村によって全部また水道料金が違うのです。下の方が余分に設備費がかかっているじゃないか、その差が出てくるわけでございますけれども、そういうことも大変不思議なんです。それは何かといいますと、遅く上水道が完備してきたところほどますます資本費は高くなっていますから、それはみんな上水道の水道料金に転嫁されてくる、そういうことであろうと思うのです。今下水道の場合は多分全国的はまだ五〇%ぐらいしかありませんので、これからどんどん中小都市は下水道へまた事業拡大していくと思うわけですね。これは下水道だと今度はもっと格差がついてくるのじゃないか。住むところによって本当に随分違ってくる。  ですから、少なくとも、上水道にしましても下水道にしましても、これは生きるという意味では大変重要なポイントを持っている分野の公営企業だと思うわけでございます。民間企業ですら長年かかって全国同じようにしていくのですから、公営であればなおやりやすいと思うわけです。そういう意味では、そろそろこの格差を広げない、あるいは格差を縮めていく。特に下水道になってきましたら、今度、下水道はうちは要りませんよという人が、余り高ければ、負担が大きければ出てくると思うわけです。そういうことがないようにするためには、今から手だてを考えていった方がいいのじゃないか。  どうしたらいいか。これはパイが小さいからそうなってくると思うわけです。少なくとも、例えば私は岐阜県でございますが、岐阜県は上水道も下水道も一緒なんだ。あるいは東京都にいたしましても、二十三区と三多摩の水価が違うわけでございますが、少なくとも東京都民は同じなんだ。そのようなことをもう真剣になって考える時期に来ていると私は感じたわけでございますが、そういう点でのお考え方というのはどうお持ちでしょうか。
  218. 津田正

    津田政府委員 水道料金の格差、先ほど先生も若干おっしゃられましたが、私ども承知しておりますのは、全国平均が一トン当たり百十八円でございますが、愛媛県のある上水道企業団では四百三十七円ということで、三・七倍。それから、今後非常に考えなければならぬ問題として下水道をおっしゃられましたが、下水道は三・一倍、こういうような格差が出ておるわけでございます。  私どもといたしましても、この問題につきましてはいろいろな原因というのがあるわけでございますが、例えば資本費が高騰しておる、こういうような問題につきましては、ある程度一般会計が繰り出すのもやむを得ない。その一般会計の繰り出し経費につきまして財政計画でも計上し地方交付税措置する、こういうような手だて、あるいは資本費負担というのはどうしても初期にかかるものですからこれを長年月にならす、こういうような仕組みも設けておるわけでございます。それから、先生が御指摘になりましたいわゆる広域経営ということも今後の課題、このように私ども考えておる次第でございます。  いずれにしましても、現在の格差というものがこれでいいということではなくて、私どもなりの努力、もちろん市町村の効率的な経営ということも要請されるわけでございますが、基本的な問題としまして制度の仕組み自体に踏み込んで改善策を講じてまいりたい、私どもかように考えております。
  219. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 この問題につきましては、私もこれ以上とやかく今申し上げようとは思っておりませんが、いずれにしましても、例えばある市では、水道がせっかく来たから引いた、余り高いから、今まで井戸だったから水道をメーターのところでとめていただいて、後は今までどおり地下水、井戸にかえてしまった、そういう人がどんどんふえましてまた水道料金の見込みが狂ってくるものですから、では取水栓を引いてあれば今度は基本料金を取ろうじゃないか、そうやって自治体も条例を変えたりして一生懸命になっているのですね。これはやはりせっかくそのようなものが設備され、全家庭が喜んで引いて喜んで使っていただく、こういう形が望ましいわけですね。それには余りにも格差が出過ぎたという一つの大きな原因があろうと思いますので、私もこの問題についてはこれからもっと研究して今後の課題とさせていただきたいと思いますので、きょうはこの辺でこの問題は終わらせていただきたいと思うのです。  実は私のところに、これは料飲税が中心でありますが陳情が来まして、私もそのとおりだなと思ったものですから、きょう質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  陳情に見えましたのは全国温泉所在都市議会議長協議会というところで、二、三回私のところにも陳情をいただいているわけでございますが、「温泉所在都市に対する税財政措置に関する要望書」の内容を見てまいりますと、当然今申し上げました温泉所在都市には特に消防あるいは都市計画、上下水道、清掃事業等の緊急整備が要請されている、ですから温泉所在都市における特別財政需要に対する財源強化のため税財政措置をぜひしてほしいという陳情の中身であるわけです。その具体的な問題としまして三点ばかりあります。この三点ともきょうお尋ねしようとは思いませんが、その中のまず大きな柱の一つといたしまして、「温泉所在都市に対し、料理飲食等消費税の一部」、この要望書では「(三分の一)を」と書いてございますのでそのままちょっと読まさせていただきます。「(三分の一)を市町村交付金として交付されたい。」そのほかあと二点ばかりございますが、私はこのような要望書をちょうだいしたわけでございます。  確かに温泉所在地といいますと、どうしても高いホテルとかそういうもので、消防の問題にしましても普通の都市と違って必要以上の設備がまた必要であるでしょうし、特に下水といたしましても上水といたしましても宿泊客の多いときには一気にたくさん利用なさる。そういう意味住民だけの計算ではなく、それ以上のことを考えてまた喜んで来ていただける町づくりをしないといけないと思うわけでございます。そういう意味では、今料飲税が全部県税ということで行っておりますので、そういう中からぜひそういうところへ、多いほどいいと思うわけです、例えば二分の一の方が三分の一よりはいいと思うわけでございますが、そういう意味で交付してほしい、そういう陳情であるわけでございますが、私もこれにつきましては全く同感であるわけでございます。そういう意味で、ぜひそういう方向で取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございますが、いかがお考えでございますでしょうか。
  220. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 市町村におきますところの観光関係施設等に関連する財政需要の増高に伴いまして、その財源の一部として料理飲食等消費税の一部を市町村に移譲すべきだということが、特に温泉所在市町村などにあるということはよく承知をいたしております。  しかしながら、仮に市町村に移譲するというような場合には、観光関係施設を有しない市町村もございますから、かなりこの税金は税源が偏在している、そういう問題があります。さらに、県と市町村はそれぞれ独立税を課するということを原則とする現行の地方税制のあり方からいたしますと、これに非常に関連してくる問題になる。ただいま委員はたまたま温泉所在市町村のことをお話しになりましたけれども、そうでない税目につきましても、それぞれそういう税目に関連のある県税のあるところはではそれを交付してもらいたい、こういうことになるのかという問題でございますからそれはやはりそれぞれの独立税をそれぞれに付与するという税源配分のあり方にも関連する問題でありますことから、これは総合的な見地から慎重に検討する必要がございまして、現在のところそうした交付金を交付するというような措置は私どもは考えておらないわけでございます。  なお、市町村に対する財源措置あり方につきましては、特定の道府県税の移譲といった個々の税目にとらわれた考え方ではなくて、全体といたしましてこの市町村税財源をどういうふうに充実するか、地方財政制度全般を通じた総合的な見地から検討していくべきものである、こういうふうに考えているところでございます。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  221. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そうしますと、これは比較論になると思うわけでございますが、娯楽施設利用税、要するにゴルフ場の関係でございますね。これはどういうお考えですか。
  222. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 委員指摘のように、ゴルフ場所在の市町村には娯楽施設利用税の交付金があるじゃないか、それは今の答弁と違うじゃないか、こういう御趣旨だと思いますが、ゴルフ場所在市町村は、ゴルフ場の存在というのは非常にその市町村の中で広い面積を占めていて、その土地の利用ということを制約してきているというような状態が一つあるわけでございます。そこで、ゴルフ場周辺におきますいろいろな財政需要の問題は、先ほど温泉の場合には清掃事業とかいろいろな財政需要があるというお話がありましたが、財政需要の問題はさておきまして、そういった特別の状況がございまして、ゴルフ場所在の市町村に対する交付金ということが行われている。したがって、料理飲食等消費税とかあるいは不動産取得税とかいろいろほかの税金とはちょっとそこが趣が違う、こういうふうに私どもは考えているところでございます。
  223. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、ゴルフ場にいたしましても、後ほど触れたいと思うわけでございますが、偏在しておると思うわけです。特殊事情という言葉が述べられたが、ゴルフ場の場合どういう特殊事情ですか。
  224. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 その市町村の中におきまして非常に広い面積を占めておりまして、その都市の土地利用というものを制約しているというような状況の中でそのゴルフ場所在市町村の状況というものを考えますときに、そうした交付金制度というものが行われている、こういうふうに考えているところでございます。
  225. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私は、ゴルフ場も大変偏在をしていると思うわけです。特に温泉地といいますと、この辺で熱海は皆さん行ってみえると思いますから、熱海というのはよくわかると思うわけですが、ほとんど熱海の町は温泉の町だと思うわけですね。住宅はどこにあるのだろう、住民はどこに住んでいるのだろう、初めて行くとそんな感じがするくらいホテルといいますか旅館といいますか、もう密集しているところなわけですね。あれもそういう意味ではゴルフ場と同じように、違った意味での特殊な町だと思うわけです。  私の岐阜県も随分あちこち温泉地があります。例えば平湯温泉とか有名なのでは下呂温泉、こういうところは大変有名なところです。これは下呂町という小さいところなのですね。温泉の中に町があると言った方がいいんじゃないかというぐらいな状況です。例えば下呂町で申し上げますと、人口が六十三年の三月末で一万五千二百九十二名です。それから、旅館等の最大収容率は幾らかといいますと、一万四十四人です。そういたしますと、山の絶壁の方まで立派な旅館やらホテルが建っているわけですね。本当に初めて来られる方は、下呂町民はどこに住んでいらっしゃるんだろうという感じたと思うわけですよ。それぐらい町全体が温泉地になっているわけでございますから。  そういう意味では、ゴルフ場というのは、町全体ゴルフ場というのもぼちぼち私の選挙区にはできてきておりますけれども、全国的にぱっと見た場合まだ余りないと思うわけですね。そういう意味では、広大な土地を利用していて制限されてしまう、それは私は納得できないわけなんですよね。その辺をもう一度御答弁いただきたいと思います。
  226. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 まさに今委員が御指摘になったところが、私が申し上げておるところなのでございます。つまり、温泉の中に町があるというような状態はあり得るのですが、ゴルフ場の中に町があるというのはないわけなのでございます。つまり、温泉というものがその町の一つの存立の基幹なのでございまして、またゴルフ場というものを考えますと、ゴルフ場へ来た人はゴルフにはお金を払いますけれども、もうその外側では消費行為も行われなければ町に対する貢献ということもない。結局、温泉が出たということでそこに温泉町が生じて人が集まってきて、そこで経営する旅館とか商店とかおみやげを売る家とかそういうところに対して所得がふえる、そういうことでそこに住民税も付与されていますからふえるというようなことで、つまりその町の姿の中におきますゴルフ場と温泉というものは違うのじゃないかということを申し上げておるわけでございます。
  227. 津田正

    津田政府委員 交付税の問題も絡みますものでございますので私からも御答弁申し上げますが、先生御指摘のように、温泉地などは当該住んでいる人口だけじゃなくて、温泉客というものの清掃業務あるいはし尿業務というものがふえてくるわけでございます。そういう意味におきまして、交付税におきましては、通常は人口でござい…ますが、温泉地につきましては入湯税納税義務者数、入湯税というのはもともとあるわけですが、またそれの納税義務者数というのをカウントいたしまして、そういうような通常の市町村に見られない清掃費の増高には対処しておる、このような配慮を行っているところでございます。
  228. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 実はこの交付税の審議で、多分公明党の先生だったと思いますが、この料飲税の問題で若干質問がされているのを私もお聞きしたわけでございますけれども、そのとき答弁で、ゴルフ場がありますところは自動車の交通量が多いとかそういう関係で市町村道の整備なんかに随分お金がかかる、だから交付しているんだというような答弁を私はお聞きした記憶があるわけです。  たまたま十年前に、五十三年三月二十二日の地方行政委員会におきまして、我が党の小川委員がやはりこの問題で質問をしていらっしゃるわけです。そのときの答弁が、今ちょっと私が触れました、ゴルフ場の周辺では自動車の交通量も非常に多くなっている、「市町村道の整備にも相当な金がかかる、こういうふうなことを考え合わせまして、いわばゴルフ場の特殊な性格を頭に置いて、ああいう交付金制度があるというふうに御理解を賜りたいと思うのでございます。」このような答弁がなされているわけです。  私は逆に、温泉地の方がゴルフ場の周辺より自動車の量も多いし人も多い、そう思うわけですね。ゴルフ場に日曜日に千人も入ってきますと、これはゴルフ場は満杯でゴルフなんかできっこないと思うのですね。そういう意味ではゴルフ場というのはかなり制限をされているわけです。私はゴルフをやりたいのですけれども、できないものですからやったことがないですが、例えば三十六ホールあるゴルフ場にいたしましても、日曜日に千人くらい入ってきますと、これはゴルフをやる状況じゃないと思うわけです。かなり制限されていると思うわけですね。そうしますと、一人一台ずつ車に乗ってきましても、それほど道路関係というのは心配する必要はないんじゃないか。その点温泉地というのは、大体道が狭くてくにゃくにゃ山へ登ったり下がったりするようなところへ大型観光バスは入ってくる、マイカーは入ってくる、どんどん入ってきて、大体私は思いますけれども、岐阜県というのはゴルフ場もたくさんあるのですよ、ゴルフ場の周辺でマイカーのラッシュというのを見たことがないですけれども、温泉地周辺というのは本当に大混乱しているのをよく見かけるわけです。道路の面から見ましても、私はやはりゴルフ場の方が大変優遇されているのではないかと思うわけです。  特に、私のすぐ隣町でございますが、瑞浪市というところがあります。そこは人口が約四万弱の中小都市です。どちらかといいますと陶磁器産業が栄えているところです。最近ゴルフブームで、今九つゴルフ場があるわけでございますが、今一つ申請しておりますし、一つ工事中でございますし、そこへもうすぐ十一もできるわけですね。それこそさっきの話じゃないですけれども、ゴルフ場の中に町が出てくるという状況がそろそろ出始めたなというふうに思うわけです。岐阜県は九十九も団体がありますが、小さな町村の団体がたくさんあるわけです。そこへ行きますと、あそこは山の国でございますから、よく私は町長さんあるいは助役さんに申し上げるわけです。これからはゴルフ場をやった方がいいですよ、フルシーズン使えるような雪の降らない場所であれば、交通の便、高速道路から近ければ。それは何かというと、それこそ娯楽利用税が入ってきますし、それだけじゃなくて雇用の創出も百人ぐらいはやっていけますし、こんないいことはないじゃないですかと、よく半分冗談がてら勧めるわけです。これから温泉をやっても、資本投下の割に過当競争が激しいですから、私は温泉を勧めるよりゴルフ場を勧めた方がいいと思っているわけです。そういう状況になっていると思うわけです。  私は、これは逆に言えば、今の娯楽施設税が市町村に交付されているのは、それによってまた財政基盤が強くなるわけですから大変いいことなんです。同じようにやはり料飲税もしていく、このことが一番大事だと思うわけです。特に十年前の森岡税務局長さんは、「長期的に検討課題にさしていただきたい、かように思います。」という答弁をなさっています。十年一昔と申しますから、十年もたちましたから随分いろいろと今日までお考えもされたと思いますので、その辺を含めて御答弁いただきたいと思います。
  229. 津田正

    津田政府委員 料飲税の問題は、実はその淵源からたどりますと、いわゆる保健所やなにかの食品衛生あるいは環境衛生、そういうような県の事務ともある程度関連してあの税というものができておるわけでございます。そういうような行政とのつながりというもの、それから技術的に、娯楽施設利用税のゴルフ分と違いまして、温泉地というもの、それじゃ温泉地以外のいわゆる料飲街があるものをどうするのか、その仕切りというのは、私ども税におったときも研究したわけでございますが、なかなかその点が難しい。  もちろん市町村側の清掃であるとか消防であるとか、そういうような財政需要というものは考えなければならないわけでございます。そういう意味におきまして、税への対応ということも今後の研究課題かと存じますが、私ども普通交付税あるいは特別交付税におきましても観光地等については措置しておるわけでございますが、そういうような全般的な対策の中で温泉地の財政需要に対処してまいらなければならない、かように考えておるわけでございます。
  230. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そういたしますと、十年前の会議録では、市町村に二分の一の交付金をという質問がなされています。それに対しまして、今申し上げましたとおり「長期的に検討課題にさしていただきたい、かように思います。」このように御答弁なさっているわけでございますが、いずれにいたしましても、交付金制度をこういう形で検討をしていく、このことは確認しておいてよろしいのですね。
  231. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 当時の森岡税務局長の答弁も、その前段に「これはなかなか困難であろうという気持ちがいたすわけでございます」、こういうことを言っておるわけです。なぜ長期検討課題かといいますと、これは税源配分の問題、それは事務配分の問題と関連する。つまり、県から市町村にどういう形でか税源配分をするなら、逆に市町村から県にどういう税源配分をするのか、あるいはその間に、そうではなくて事務配分があったからそれだけふやすのか、こういう議論でございます。この問題は当時のそういう局長の答弁があっているわけですから、いろいろ中で議論したことも私ども課長時代ですけれども覚えておりますけれども、そうであれば、むしろその当時大都市に昼間たくさん人が集まってくる、そのために消防だの清掃事業だの下水道事業だのやらなければならぬ、こういったような問題は一体どういうことになるのだろうか。そのとき一つ一つ市町村が県の税金を見て、あれが欲しいという議論を始めたら、やはり税財源配分というものの基幹は崩れてしまうのじゃないか。そういう意味におきまして、今後いろいろな事務配分の問題とか、そういうことが関連してあるというときには、あるいはそういう問題もあるかもしれないという意味で、やはり長期的な検討課題ということで答弁があったというふうに私ども了解しておりまして、交付金をやる方向で検討というわけにはなかなかまいらない、こういうふうに考えております。
  232. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 今の答弁もわからないではないわけなんです。だけれども、正直申し上げまして、小さな町村に一つゴルフ場ができますと、ちょっといいところですと年間六千万円あるいは八千万円という確実な税収が見込まれてくるのですね。それで、正直言いまして、最近はわけのわからないちっぽけな工場が来るよりゴルフ場が来た方がよっぽどいいですよ。そういう状況になっておるのですね。雇用も百人くらい創出はいたしますしね。そこに町村がなぜ一生懸命になられるか。一つは、やはりきちっとした税収が確保できる。もう一つは、それにプラス雇用の創出ができる、これがあると思うわけですね。  こういうことを考えていきますと、これから観光リゾートですか、ふるさと財団ですか、そういうものを行おうとする。ふるさと財団というのは、特に観光リゾートなんかに対しまして、そういう計画を出せば、これからのものは、特交じゃないですよ、交付税で面倒見てもらえるのですよね。随分優遇されるのですよ。だけれども、今の温泉地というのは本当にお客さんの取り合い、必死になって今生活していると思うわけです。そういうことを考えましたら、そこの市財政あるいは町財政というのは温泉地のために逆に窮屈になってきている、そういう状況も出てきていると思うわけです。その辺を加味しまして、もうこれ以上時間がありませんからこの問題は終わりたいと思いますけれども、ぜひ大きな検討課題にして、それも長期的じゃなくて、過去に長期的になされたのだから今度は短期的と言いたいのですけれども、中期的ぐらいの検討課題としてはっきりとした結論を出していただきたいということを最後にもう一度お願いさせていただきたいと思います。
  233. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 私ども当時、中でいろいろ議論をしたことでございます。そしてただいま申し上げましたように、そういう大都市でない場合でも、それでは温泉でない観光地所在都市というものが同じような状態であったときどういうことになるか。そうするとこれはどういうことが必要かといえば、先ほど財政局長が御答弁申し上げましたように、やはり地方財政制度全体の中でどういう措置をするかということしかないのではないかということでございまして、検討の結果といたしましては、なかなかそういう面では検討課題にはならない。事務配分とか税源配分全体の姿に変動があるような場合に議論ということは絶対ないわけではない、こういうことでございます。
  234. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 時間の関係で次へ移らしていただきます。  NTTの株式の売却益についてですが、これも過去に何回も委員会で議論をされているわけでございますが、若干このことで質問をさせていただきたいと思います。  特に電電公社からNTTに移行した、その激変緩和ということで、固定資産税及び都市計画税で、出資に係る償却資産のうち一定の基幹的な設備に係る課税標準を取得後五年間その評価の二分の一の額とする、そういう法律と、もう一つ事業所税で、当該第一種電気通信事業の用に供する一定の施設については非課税とする。それから道路占用料、これは二〇%サービスというかカットする。そのようになっておるわけでございますが、この問題も若干もちろん関連するわけでございますが、要するに国がNTT株を売却をし、今日までで六十三年度予算計上額を含めますと八兆五百十五億円でございますか、八兆円強、これぐらいの売却益が入ってくる。これは最終的には国債整理基金特別会計に入っていくということになっていくわけでございます。  大蔵省、いらっしゃいますね。そういう中で、私はまず最初に大蔵省にお尋ねしたいと思うわけでございますが、電電公社をどんどん育成していった。これは地方自治体には随分犠牲を強いて、そして例えばここに電電公社を建てたい、電話局を建てたい、じゃ公有地だけれども譲ってやろうか、あるいは市町村も挙げて一生懸命土地を一緒になって探してやろうかとか、いろいろな面で協力をしたと思うのですね。ですから、そういう意味では大変大きな立派な企業になり、そして民間に移行していったと思うわけです。その売却益というのを最終的には全部国へ持っていく、これはどうも納得できないのですが、なぜ地方には配分しないのか、その辺のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  235. 杉井孝

    ○杉井説明員 NTTの株式売却益につきましては、これが国民共有の貴重な資産であるということにかんがみまして、国民共有の負債であるところの国債の償還財源に充てることとしているわけでございまして、このこと自体は昭和六十年におきまして制度的にも既に確立されておるところでございます。  この原則は、私ども六十二年度補正予算におきましてNTT無利子貸付制度というものを発足させたわけでございますが、この場合におきましても一貫しておりまして、貸し付けの償還金は将来の国債償還に充てるということになっているところでございます。
  236. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 貸してくれるのも、利子の面倒を見てもらうから、これはありがたいことはありがたいのですけれども、借りたものはやはり返さないといけませんのでね。  そこで、今固定資産税及び都市計画税、事業所税、激変緩和地方団体にも犠牲を強いているわけですね。簡単に言いますと、少なくとも激変緩和で償却資産に対する二分の一の税金しか入ってこないわけですから、残りの二分の一とかそういうものは当然そこのそれぞれの対象になっている地方団体に戻すべきじゃないですか。最小限そこだけはすべきじゃないですか。その辺はいかがですか。
  237. 杉井孝

    ○杉井説明員 先ほども御答弁申し上げましたようは、最終的には国民の共有の財産ですから、国民共通の負債である国債の償還財源に充てるという制度的なところは、なかなかこれを変更するというわけにはいかないと考えているところでございます。ただ、六十二年度補正予算から始まりましたNTTの株式売却益を活用した無利子貸付制度におきましては、そういう国債整理基金の円滑な運営支障を生じない範囲内におきまして、この一部を活用いたしまして社会資本の整備の促進を図ることとしておりますので、これを通じまして地域の活性化に貢献するものと私どもとしては期待しているところでございます。
  238. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 NTTが民営化された、それによる激変緩和のために固定資産税等を二分の一とする、これは私はいいと思うのです。だけれども、NTT株の売却益というのは優良株で国は大変もうかっているのですね。そうしましたら、それからいけばほんの微々たる金額ですね。五年間くらい、地方団体に転嫁させた分くらいは面倒見るべきだと思うのですが、いかがですか。
  239. 津田正

    津田政府委員 NTT資金の帰属は国債整理基金ということは、法律上きっちり書いてあるわけでございます。そういう意味で、それ自体を地方財源として活用するということは難しいと言わざるを得ないと思います。ただ、活用の仕方におきましてできる限り、先ほど大蔵省が申しておりましたように、社会資本の整備をするわけでございますが、その場合にできる限り地域の実情や地方団体の要望に沿った内容の活用、こういうことにつきましては十分配慮してもらいたい、かように考えております。
  240. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 では、そういう意味地方団体が犠牲になった分だけは、特にそういうところには着目をしていただいて活用をしていただきたい。これは大蔵省を含めて要望しておきたいと思います。  けさ細谷先生の質問はあったわけでございますが、私も若干補助金カットの問題で触れさせていただきたいと思います。けさ細谷先生の方で、新聞記事に出ました大蔵省考えに対しまして、たしか建設省、厚生省あるいは自治省あたりにも、この話は聞いていらっしゃるかということで、それぞれいいえ、まだ聞いておりませんというような答弁がなされたわけでございます。  私も全く考えは同じかもわかりませんが「大蔵省は六十四年度以降も社会保障、公共事業分野の高率補助金補助率カットを継続する方針を固めた。月内に関係省庁との協議に入る。」そして、「大蔵省は五月にも、自治、建設、厚生、運輸、農水、文部の各省OBや学識経験者による補助金問題検討会を設け、本格的な作業を始める。」今部分的に申し上げたわけでございますが、このような記事の流れになっているわけです。  大蔵省にお尋ねしたいと思いますが、特に今申し上げました、大蔵省は五月にもOBや学識経験者、現職とは書いてありませんが、これは現職の自治省建設省あるいは厚生省、そういうところにはある程度、こういう方法でいきたいんだとか、そういう相談等はなさっていらっしゃるんですか。
  241. 杉井孝

    ○杉井説明員 先生御指摘新聞報道につきましては私どもも承知しておるところでございますが、補助金等にかかります暫定措置の期間終了後における補助率負担率等につきましては、これまでの経緯やこの措置性格を踏まえまして、諸情勢の変化あるいは国、地方役割分担財源配分のあり方等を総合的に勘案しながら、自治省初め関係省庁とも協議の上、適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  242. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そういうことを今お尋ねしているわけじゃなくて、こういう問題で例えば大蔵省から建設省あるいは自治省に対して、そのようなことを検討したい、そんな相談とかいうことをなさっているんですか。打診と申しますか、そういうことを。
  243. 杉井孝

    ○杉井説明員 今お答え申し上げましたように、この取り扱いの問題につきましては、経済情勢等のもろもろの状況の変化とかあるいは国、地方財政状況あるいはその見通し、あるいはまた国、地方役割分担あるいは財源配分のあり方等検討しなければならない問題が数多くございます。現在のところ、大蔵省として確たることをお答えできるような状況にはないということで御理解を願いたいと思います。
  244. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そうしますと、まだ関係省庁には何もお話ししてない、そういうことですか。よくわからないですよ、今の答弁を聞いていましても。
  245. 杉井孝

    ○杉井説明員 今も御答弁申しましたように、大蔵省として現在のところ確たることをお答えをできるような状況にございませんので、大蔵省として関係省庁お話を進めるような状況ではございません。
  246. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 確たる状況ではない、これはどうも理解できないんですけれども、この新聞報道によりますと、くどいようですけれども「大蔵省は五月にも、自治、建設、厚生、運輸、農水、文部の各省OBや」OBとなっているんですね。現職じゃないんですよ。「OBや学識経験者による補助金問題検討会を設け、本格的な作業を始める。」この新聞記事が間違っているということになれば議論の余地はないわけでございますが、例えば補助金問題検討会、これは仮称になっておりますが、このようなことを今申し上げました関係省庁のOBの皆さんとは相談する、そういう考え方はお持ちなんですか。
  247. 杉井孝

    ○杉井説明員 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、いろいろ検討を進めなければいかぬ問題が多うございますので、現在のところ大蔵省として確たることをお答えできるような状況にはないものですから、先ほどお答えしたように、現在のところ大蔵省として何々を提案するというような段階にはなっておりません。ただ、いずれにいたしましても検討を進め、関係省庁とも協議の上、この問題について適切に対処してまいりたいという考え方には変わりはございません。
  248. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 ここで行ったり来たりしていますと時間がなくなってしまうので、これ以上行ったり来たりはやめたいと思いますが、いずれにしましても六十三年度中で補助金力ット問題は、当時古屋自治大臣だったと思いますけれども、六十一年から三年間とするという覚書になっているわけでございますから、私といたしましてはこれは必ず実行していただく、また実行していただかないと困る、そのように思うわけです。その考えも今のような答弁と全く一緒ですか。
  249. 杉井孝

    ○杉井説明員 先ほどもお答えいたしましたように、この補助金等に係る暫定措置の期間終了後におきます取り扱いにつきましては、これまでの経緯や措置性格を踏まえまして、各種の問題を勘案、検討しながら、関係省庁とも協議しながら適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  250. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 大臣、今お聞きしていたとおりなのですね、大蔵省というのは。余り行ったり来たりしていると時間がなくなってしまいますからやめてしまいますけれども、今のような考え方、今のようなあの体質が大蔵省、怖いですね。これはよほどしっかりしていただかないと大変なことになると思うのですね。  少なくともこの覚書で、六十年十二月二十一日、当時大蔵大臣竹下登、自治大臣古屋亨、その中で「この措置は、今後三年間の暫定措置とする。」ときちっと約束されているのですから、大臣、相当な決意で頑張ってこれを実行していただきたいと思うのです。そういう意味ではぜひ迫力ある答弁をいただきたいと思うのです。
  251. 梶山静六

    梶山国務大臣 昭和六十四年度以降の国庫補助負担率の取り扱いについては、補助負担率引き下げはあくまで暫定措置。当時の極めて厳しい財政事情あるいは貿易摩擦の回避等のために内需の振興をしなければならない、他方民活という問題もございましたけれども、そのためには公共事業の拡大を行わなければならないという特殊な事情のもとで行われているものでございまして、暫定期間が終われば原則としてもとの補助負担率に戻すべきものであると考えておることは変わりはございませんし、具体的には六十四年度の予算編成時までに関係省庁検討、協議の上定められることになろうかと思っております。  この方法論についてですけれども、私は自治省の中で言っているのですが、この暫定期間が終了いたせば自動的にもとに戻るというのが約束でございますから、もし自動的にもとに戻したくない、戻せない、あるいは別な新しい関係をつくるべきだという場合においては、これは契約当事者と言うと大変言葉が悪いわけでございますけれども、契約当事者いわゆる大蔵省大蔵省側から自治省に申し入れがあって、その納得が得られない限りはもとに復元すべきものだという大変厳しいというか強い意見を持っているわけでありますから、向こうが検討委員会をまだつくらないとか検討の機会をまだ持てないということは、自動的に復元するだろう、半分あなたの方とこっちの方を向いて言っているわけでございますが、ですから大蔵省がいつ私らの方へ申し込んでくるか戦々恐々として待っているのですけれども、幸いに連休前に来そうにありませんから、連休が終わった後からではとても時間的に間に合わなくなりますから、原則もう一回もとに戻って、その後もう一回土俵をつくり直そうということになるのかなという想像をいたしております。  ただ、私が一つ懸念事項があることは、自民党も政府も野党も挙げて減税減税と草木もなびくということで、増税は一切相まかりならぬということになりますと、その財源は自然増収。確かに景気の好転に伴う自然増収があるでしょう。それから不公平税制の是正、そういう問題で、果たして今言われている減税額と当然の約束事である一兆七千億に及ばんとする補助金カットのものを同時並行的に解決ができるのかどうか、この辺が、私の心配することではありませんけれども、賢明な議会が、そういう方々が勘案しながら、どちらに優先順位をつけるかは別として、次元が違う問題ですから、約束は守らなければ信が立ちません。しかし、国民のいわば減税に対する要望もこれあり、さりとて行政需要行政サービスを低下させるわけにはいかないとなれば新しい財源を求めなければならないという、大蔵省も大変ジレンマに陥っていると思いますけれども、その辺は賢明な回避をしていただきながら、両々相まつような方法がとれることを期待いたしております。
  252. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 大変いい答弁をいただきましたから、補助金カット問題はこの辺でおきたいと思いますが、いずれにしましても、もしこれが継続されるということは、今の大臣の答弁をお聞きいたしまして、間違ってもないということを私は確信いたしましたので、大蔵省はこれでいいです。帰っていただいても結構でございます。  それでは、もう時間がないものですから、違ったことにつきまして数点急いで質問させていただきたいと思います。  先ほど、二〇%以上の大変な危険ラインに自治体の三分の一があるような議論がなされたわけでございますが、私は不交付団体のことで一、二点お尋ねさせていただきたいと思います。ある意味では意地悪な質問をするわけでございますが、不交付団体というのは意図的につくられている面があるのじゃないかなという気もするわけです。と申しますのは、補助金カットなどの効果をねらい、そういう中で不交付団体いじめが進められているのじゃないか。昭和五十六年度では七十九の市町村が不交付団体であったわけでございますが、昭和六十二年度では百七十一市町村と増加いたしております。この間の収入額の伸びが四四%なのK需要額の伸びを三〇%は抑制しているわけです。地方財政計画でも、五十五年度より六十年度に一般財源が三二%増加したのに歳出を二二%に抑えたところにあるのじゃないか、そういう考えを持っているわけでございます。特に基準財政需要額の増加は、五十六年度二十一兆円より六十二年度二十七兆六千億円と三〇%増でありますが、うち公債費が一兆円から一兆七千億円と増加し、実質二九%増にすぎないわけです。各行政費目に含まれております事業費補正を含めましても、実質的に基準財政需要額は相当抑制されているのじゃないか、そのように思うわけです。  そういうことを全体的に考えていきますと、冒頭申し上げましたように、ちょっと皮肉かもわかりませんが、ある面では不交付団体だから大変いいような気もするわけでございますけれども、私は決してそうとはとれないと思うわけです。この辺のこと、私の言っていることが大きく間違っているでしょうか。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
  253. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 五十六年度以降不交付団体が増加傾向であるということは、御指摘のとおりでございます。それは、全体といたしましては、基準財政需要額の伸びに比べまして基準財政収入額の伸びの方が大きいということが原因で、不交付団体の数がふえてくるということになるわけでございます。  この場合の基準財政需要額の伸ばし方をどうするかということは、最終的には毎年度毎年度の地方財政計画を決める段階で、歳出をどのくらいに伸ばせるのか、これを五十六年度以降を考えてみますと、国と同一の基調によりまして歳出の規模を極力圧縮するというようなことがございまして、地方の歳出におきましても徹底した節減合理化というものも行われましたし、また財源不足の関係地方債への振りかえがあったというようなこともございまして、一般財源ベースでの歳出の伸びというものがかなり抑えられたということが、不交付団体の数がふえた大きな原因であるということはおっしゃるとおりでございます。  しかし、いろいろ地方債や何かで財源措置を受けた結果で、それぞれの団体地方財政運営支障なくやっておるわけでございまして、その地方債の元利償還金の一部につきましては、将来において元利償還金でまた交付税で算入されるという措置も講じられておりますので、長い目でこの問題を見ていただければというふうに考えるわけでございます。
  254. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私が間違ってなければの話ですが、最近不交付団体がふえているのは、大体大都市周辺の勤労者の多いベッドタウン、こういうところがふえているんじゃないですか。それは間違っていますか。
  255. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 基本的には市町村税の収入の多いところが不交付団体になるわけでございますから、そういう意味では大都市周辺の市町村というのは市町村税の収入が比較的伸びのいいところでございます。ですから、そういうところが不交付になる場合がかなりあることも事実でございますが、他方、例えば発電施設ができて、それで固定資産税がたくさん入るようになったとかいうようなことによりまして不交付になるようなところもございますので、必ずしも大都市周辺だけが不交付になるというようなことではないのじゃないかと思うわけでございます。
  256. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 発電所ができて固定資産税がどんと入る、これは不交付団体になってもある一定期間大変税財源が入りますからこれはいいと思うのです。そうではなく、結局は人口急増地、どっと住宅ができる、固定資産税がふえる、サラリーマンですから住民税がふえてくる、市の財政は弱いけれども結局は不交付団体になっていく、こういう状況がかなり生まれていると思うのです。そうしますと、不交付団体というのは、金持ちだから不交付団体なんですけれども、決してそうじゃないのですね。そういう意味では、不交付団体になって大変不利益をこうむることは随分多くあるのですよ。だから私は出申ているわけでございますが、これは間違っていますか。
  257. 津田正

    津田政府委員 いわゆる大都市周辺の人口急増団体それなり財政需要が伸びますので、それほど不交付団体になるというわけではございません。ただ、県庁所在地であるとかいうようなところは、恐らく事業所の人員配置等もあるのだろうと思いますけれども、法人税割やなんかは現在のように景気回復いたしますとかなり伸びる。特に証券、銀行等の立地を考えていただければ、そういうところが不交付団体になるということはあると思います。
  258. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私の危惧が間違っていれば大変いいことでございますので、もう一度私もこの問題についてはしかと調べてみまして、宿題に残しておきたいと思います。  時間がもう余りございませんので、急いで補正係数の問題について二点ばかりまとめてお尋ねしておきたいと思います。補正係数は年々複雑になってきているのではないか。特に種地区分による態容補正の問題と事業費補正の問題についてお尋ねしておきたいと思います。  まず最初に種地区分についてでございますが、行政の質、量の差によります種地に係る地域区分については、普通交付税に関する省令十一条によっているわけでございますが、かなり恣意的ないし国のペナルティー政策も見られます。例えば、例は悪いわけですが、かつて革新市政でございました横浜市に対しまして、昭和五十三年度の改正では種地点数を九百四十九点といたしまして九百五十点としなかったために、たったの一点でございますが、そのために甲の九に格付がなされまして、約五十億円の被害を受けた、そのように言われているわけでございます。その後、五十八年度改正では九百五十一点と、今度は二点ほどふやしていただいたことによって甲の十に回復されたわけです。特に六十三年度、ことしでございますが、五年に一回の種地区分の改正の年でございます。種地は市町村の行政機能、行政の質、量の差を単位費用に反映させるものでありますが、具体的には市町村の規模と都市化による行政コストの変化でもあると思うわけです。  昭和二十五年以前の配付税の時代では、大都市、都市、町村の配分税と区分していたわけでございますし、旧地方財政平衡交付金及びシャウプ勧告でも、大都市、都市、町村の区分を明確にすることとしていたのに、旧自治庁当時は作業で困難とこれを拒否してきた、こういう歴史があると思うわけです。このため、種地区分が必要以上に複雑になり、理解しがたいものとなって、先ほど申しましたように恣意的な傾向が強くなってきているのではないか。  今日はコンピューターの発達した時代でございますし、作業は困難ではないと思いますし、都市圏ないし経済圏の拡大及び都市、町村の自主性の充実から、中核都市を甲地とか周辺都市を乙地の区分を廃止しまして、従来の一種地から二十種地を簡素化するように改めてもいいのではないか。もしそうでないとすれば、評点方式をまた当然改めると思うのですが、どう改めるのか。その作業は五月か六月だと思うのですけれども、ぜひその辺の考え方を聞かせていただきたいと思います。
  259. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 普通交付税の基準財政需要額を算入する場合には、御指摘のように市町村の態様というものが非常にまちまちでございますので、それを都市的な形態の程度によりまして種地で分けて、普通態容補正というものをかけるわけでございます。この普通態容補正にかける地域というのを、ただいま御指摘のように従来は単純に十種地に分けていたわけでございますが、その中では、例えば地域の中核的なところとそうでないところとでは都市の財政需要を的確に捕捉できないというようなこともございまして、中核的な地域とそれ以外の地域をまず甲と乙に分けまして、そして人口集中地区でございますとか経済構造とか昼間流出入人口でございますとか宅地平均価格というようなものを使ってそれぞれ評点を決めまして、それに基づいて普通態容補正をやるということにしているわけでございます。  そういうことで、係数的にこの評点を案分しているわけでございますものですから、特定の都市あるいは特定の町村について恣意的に種地を決めるということはできないわけでございまして、あくまでも評点基準に基づいて出てきた評点に基づいて普通態容補正をやるわけでございます。特に最近におきましては、市町村の行政需要を捕捉するために、種地ごとに係数を決めますと段階的になってしまいますものですから、評点数によって係数を決めていく、連続的に係数が決まるというようなものをかなり多く採用いたしておりますので、その点の御心配も今では非常に少なくなっているのではないかというふうに考えております。  なお、この評点数を決める指標につきましては、人口集中地区人口とかあるいは経済構造とか流出入人口につきましては新しい国勢調査の結果が今度出ますので、この結果を使いまして六十三年度から算定を行いたいということで現在その作業に入っているわけでございます。
  260. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 この種地区分にいたしましても少しずつ、だんだんと整理はされてきていると思うんですね。昭和四十四年で言いますと甲乙丙とあったのが、五十三年度からは甲乙になっている、丙がなくなっている。それで今、評点の定め方、人口集中地域あるいは経済構造あるいは宅地平均価格、昼間の人口流入、今度乙種の方は人口の方が流出になっているんですね。確かに東京、この千代田区を中心とする都心部は昼間は周辺からどっと流入してくると思うんです。その周辺の千葉県でも、この辺の地名をよく知らないのですけれども、浦安とかそういう地域は昼間は減ると思うんですね、夜間がふえると思うのです。だけれども現実にはもうそういう意味では、その表からいきますと、じゃこの周辺の浦安なんかは乙地になるのですか、そういう意味からいきますと。
  261. 小滝敏之

    ○小滝説明員 甲地、乙地の区分につきましては、中核都市が甲地ということでございますが、特に東京周辺の場合に中心都市から衛星都市があって、また衛星都市の子供の都市というように中核の段階というのがいろいろございます。そこでそれぞれの市町村が自分に有利になるように最終的に計算をいたしまして、甲地の選択と乙地の選択と有利な方を選択できる、こういうことになっておりますが、具体的な浦安市につきましては現在乙地ということで算定しております。
  262. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 その上に、最近の五年間というのは大変長いサイクルなんですね。ですから、五年に一度でございますから、もうそろそろ今の時代では甲とか乙とか分けなくて、一本で評点を決めていけば十分やっていけると思うわけです。そういう考え方も検討をする時期に来ておりますから、この際ぜひ検討課題の中に含めておいていただきたいと思うわけでございます。これは答弁はいいです。  もうあと一分くらいしかありませんから、さっき一言触れました事業費補正の問題について簡単にお尋ねしておきたいと思います。  事業費補正は三十七年度に採用されたものでございますが、茨城県での利根川の洪水調整ダムの直轄事業負担をめぐって設けられたと私は理解しているわけです。交付税補助金化あるいは特定財源化するものとして批判されてきたものである。今具体的には次の四種あるが、どのように見直していくのか、その辺をぜひお尋ねしたいと思うわけです。公共事業費の地方負担額を算入する。地方行政水準の実態に基づく事業費の必要量を算入する。地方負担額のうち地方債で充当したものを元利償還費として算入する。財源不足額を振りかえた地方債の元利償還費を算入する。簡単に言いますと、交付税がどうも特定の団体補助金のように交付をされている、そういう印象をだんだんと持つものですからこういうことをお尋ねするわけでございますが、もう時間がありませんので、この質問が最後で追加質問をしなくていいようなきれいな答弁をぜひいただきたいと思います。
  263. 津田正

    津田政府委員 投資的経費の算入の問題につきましては、かつてはむしろ減価償却方式というような方式をとっておりました。これは確かに理論的にすぐれております。ただし、例えば港湾がもう百メートルできているところはそれの耐用年数の分がかかりますが、これからつくろうというところには基準財政需要額が全然出てこないということで後進県に非常に不満がございまして、むしろ実際かかった地方負担について措置すべきじゃないか、あるいは事業を執行していく上で地方債を活用した場合には地方債の何%かを見るべきじゃないか、こういうようなことで、社会資本が全部整備された段階では確かに理論的にも説明しやすい減価償却方式がいいわけですが、まだ社会資本の整備が急がれる段階においては、そういうような事業費補正あるいは地方債の元利償還に対する措置、そういうものをかみ合わせなければ均衡ある地域の発展というのができないのではないか、かように思います。
  264. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 社会資本の整備がまだまだだ、そういう意味で減価償却方式はだめだというような御答弁でございますが、ぜひこれを早く復活していただきたいということを強く要望しまして、時間になりましたから終わりたいと思います。ありがとうございました。
  265. 松本十郎

    松本委員長 次回は、来る二十五日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会