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1988-03-22 第112回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十二日(火曜日)     午前九時五十一分開議  出席委員    委員長 松本 十郎君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 山下八洲夫君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石橋 一弥君    金子 一義君       北村 直人君    鈴木 恒夫君       高橋 一郎君    谷  洋一君       中山 利生君    松田 岩夫君       渡辺 省一君    五十嵐広三君       加藤 万吉君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    安田 修三君       小谷 輝二君    柴田  弘君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       森田 雄二君         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         警察庁刑事局保         安部長     漆間 英治君         警察庁交通局長 内田 文夫君         警察庁警備局長 城内 康光君         自治大臣官房長 持永 堯民君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治大臣官房審         議官      湯浅 利夫君         自治大臣官房審         議官      前川 尚美君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省行政局公         務員部長    芦尾 長司君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 渡辺  功君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局宇宙企画         課長      青江  茂君         国土庁大都市圏         整備局計画課長 中野 和義君         法務省刑事局青         少年課長    飯田 英男君         大蔵省主計局主         計企画官    杉井  孝君         厚生大臣官房政         策課長     清水 康之君         厚生省保険局国         民健康保険課長 加納 正弘君         労働大臣官房政         策調査部労働経         済課長     澤田陽太郎君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     畠中 信夫君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     ───────────── 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   金子 一義君     倉成  正君   高橋 一郎君     小坂徳三郎君   中山 利生君     砂田 重民君   松田 岩夫君     細田 吉藏君 同日  辞任         補欠選任   倉成  正君     金子 一義君   小坂徳三郎君     高橋 一郎君   砂田 重民君     中山 利生君   細田 吉藏君     松田 岩夫君 同月八日  辞任         補欠選任  金子 一義君     小此木彦三郎君   高橋 一郎君     砂田 重民君   中山 利生君     原田  憲君   松田 岩夫君     細田 吉藏君 同月十日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     金子 一義君   砂田 重民君     高橋 一郎君   原田  憲君     中山 利生君   細田 吉藏君     松田 岩夫君 同月十六日  辞任         補欠選任   柴田  弘君     森田 景一君 同日  辞任         補欠選任   森田 景一君     柴田  弘君 同月二十二日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     佐藤 敬治君     ───────────── 三月八日  公有地の拡大の推進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四九号)  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)(予) 同月三日  留置施設法案反対に関する請願寺前巖紹介)(第五五五号) 同月十一日  交差点の事故防止に関する請願安藤巖紹介)(第六九五号)  同(石井郁子紹介)(第六九六号)  同(岩佐恵美紹介)(第六九七号)  同(浦井洋紹介)(第六九八号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第六九九号)  同(金子満広紹介)(第七〇〇号)  同(経塚幸夫紹介)(第七〇一号)  同(工藤晃紹介)(第七〇二号)  同(児玉健次紹介)(第七〇三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第七〇四号)  同(柴田睦夫紹介)(第七〇五号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第七〇六号)  同(田中美智子紹介)(第七〇七号)  同(辻第一君紹介)(第七〇八号)  同(寺前巖紹介)(第七〇九号)  同(中路雅弘紹介)(第七一〇号)  同(中島武敏紹介)(第七一一号)  同(野間友一紹介)(第七一二号)  同(東中光雄紹介)(第七一三号)  同(不破哲三紹介)(第七一四号)  同(藤田スミ紹介)(第七一五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第七一六号)  同(正森成二君紹介)(第七一七号)  同(松本善明紹介)(第七一八号)  同(村上弘紹介)(第七一九号)  同(矢島恒夫紹介)(第七二〇号)  同(山原健二郎紹介)(第七二一号)  固定資産税引き上げ反対等に関する請願工藤晃紹介)(第七八九号)  農地宅地並み課税強化反対に関する請願経塚幸夫紹介)(第七九〇号) 同月十六日  地方自治に関する請願柴田弘紹介)(第八七八号)  固定資産税都市計画税引き上げ反対に関する請願中路雅弘紹介)(第八九〇号)  同(松本善明紹介)(第八九一号)  留置施設法案の廃案に関する請願安藤巖紹介)(第八九二号)  同(石井郁子紹介)(第八九三号)  同(岩佐恵美紹介)(第八九四号)  同(浦井洋紹介)(第八九五号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第八九六号)  同(金子満広紹介)(第八九七号)  同外一件(経塚幸夫紹介)(第八九八号)  同(工藤晃紹介)(第八九九号)  同(児玉健次紹介)(第九〇〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第九〇一号)  同(柴田睦夫紹介)(第九〇二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第九〇三号)  同(田中美智子紹介)(第九〇四号)  同(辻第一君紹介)(第九〇五号)  同(寺前巖紹介)(第九〇六号)  同(中路雅弘紹介)(第九〇七号)  同(中島武敏紹介)(第九〇八号)  同(野間友一紹介)(第九〇九号)  同(東中光雄紹介)(第九一〇号)  同(不破哲三紹介)(第九一一号)  同(藤田スミ紹介)(第九一二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第九一三号)  同(正森成二君紹介)(第九一四号)  同(松本善明紹介)(第九一五号)  同(村上弘紹介)(第九一六号)  同(矢島恒夫紹介)(第九一七号)  同(山原健二郎紹介)(第九一八号)  農地宅地並み課税強化反対に関する請願東中光雄紹介)(第九一九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第三四号)  地方財政に関する件(昭和六十三年度地方財政計画)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ────◇─────
  2. 松本十郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松田岩夫君。
  3. 松田岩夫

    松田(岩)委員 大臣所信に対します質疑機会をいただきまして、ありがとうございました。  御就任以来、梶山自治大臣におかれましては大変な御活躍で、本当に心から敬意を表するわけであります。とりわけ大臣の「愛郷無限」という言葉に私自身も大変強い感激といいますか、政治家としての一つの大変な生きがいを感じておられる、そういう方がまさに自治大臣になられたということで、大臣在任中に日本地方行政が大きく進展することを心から期待するものであります。  そうした意味で、大臣所信に対しまして、本当に時宜を得たそれぞれ内容が述べられておるわけでございます。特に私自身に異存があるというわけではございませんで、むしろ、それぞれの論点についてなお一層御尽力を賜れたらという趣旨で御質問させていただこうと思います。  竹下内閣ができまして、まさに竹下総理みずから、総理・総裁たらんとするときに発表されましたあの「素晴らしい国・日本ふるさと創生論」」、私も一読をさせていただきましたが、大変すばらしい考え方が述べられておる。まさに我々政治家として、二十一世紀を目前に控えた今日、日本政治家が考えねばならない日本政治の原点は何か、そういったことが実によく整理された書物だと感服して読ませていただいたわけでございますが、まさに竹下内閣というものは、そういう意味では「ふるさと創生内閣」とも言われるわけであります。  今日日本の抱えておる問題、幾つもございますが、二十一世紀を展望し、今我々が手がけねばならないことは何か。やはり国内的には、この東京一極に過剰に依存しておる姿、大臣所信表明の中で述べておられますけれども、一極集中から多極分散型の社会へと、いかに個性豊かで活力ある地域社会実現を期していくか、これが今我々の抱えておる非常に大きな問題だと思うのです。一地方行政委員会の問題に限らず、日本政治が抱えた最も大きな問題の一つだ、私はそう考えておる一人であります。  そうした意味で何をやるべきか。いろいろあります。その一つが、今竹下内閣で手がけておられる各省一機関地方移転政府機能を何とか少しでも地方移転させよう、こういうことだろうと思います。今、またお聞きするところによれば、内閣の中では多極分散型の国土を形成するための法案審議であるとか、あるいは国の中でも都そのものをどうしていこうかといったことが議論されているということをお聞きしておりますが、党の中でも、御案内のように首都機能移転に関する調査会とか、あるいは超党派でかねてからあります新首都問題懇談会といった各種の団体といいますか、党派を超えて、あるいは政治行政そしてまた国会議員の側、両サイドでこの首都機能をどうしていったらいいかということが問われております。私は、こうした政治機能地方への分散ということも大変大事なことである、そういう考え方の持ち主の一人であります。  そういう意味から、先般、私自身の考えをまとめて一つ構想として御提案を、これは自民党の首都機能移転に関する調査会というところで発表させていただいたものでございますが、せっかくの機会でございますので、この地方行政委員会の先輩の諸先生方にもぜひごらんをいただき、今東京一極に集中した政治機能を、これから二十一世紀を展望し、我々の日本の国が求める新しい社会にふさわしい仕組みにどうしていったらいいのかということを御一緒に真剣に考えていくべき時期ではないか。そのためにも自分は一体どう考えるのかということを一生懸命取りまとめてみた。浅学非才ですから大したことは書いてありませんが、私なりに都を移すということがぜひ必要な時期だ、移すとしたらどこかへ、また一括遷都するというのではなくして、まさに都そのものも多極分散型に配置すべきではないか。北は北海道から九州に至るまでそれぞれ特色を持った役所づくりをしていく。そしてもちろん全体として一つ取りまとめが要りますので、その取りまとめをする機能日本中心部に置いてはどうか。一つ政治首都五つブロックに分ける。関東、関西は既に過密状態でございますので、この二ブロックだけ除いて六つのブロックに分ける。一つは、もちろん中心機能が要りますので、その中心機能は人口の分布の状況から見て中京圏に置くのがよかろう。そしてあと五つブロックにそれぞれ特色ある副首都としての行政都市をつくっていく。これらの都市が連なって一つの都としての機能を果たしていく、そんな構想での提案をいたしたわけでございます。御参考までにきょうお配りいたさせていただきましたけれども、こうした政治機能移転の問題と同時に、まさに今度は民間機能をどう移転させていくのかということが、もう一つの大きな問題でございます。  私は、その点に関して、きょう実は自治大臣の、これは自治大臣としての構想なのかあるいは個人としての構想であるのか、そこのところは必ずしも私もつまびらかでありませんけれども、しかし一政治家として、とりわけ今地方行政を御担当の自治大臣をしておられる梶山先生が、みずから「多極分散型国土の形成のための措置について」ということで、事務局の方からメモをいただいたわけでございますが、私はまことに時宜を得た、本当に政治家として一生懸命地方自治地方のこれからのあり方といったことを考えておられるなということをしみじみ感じさせていただいたわけでございます。  そうした意味で、この中で取り上げておられますふるさとづくり特別対策事業については、幸いにも、この所信表明にも具体的に述べてありますが、六十三年度から実行に移していただけるということでございます。もうあと二つ提案があって、三位一体の提案になっておろうかと思うのでございます。地方における民間経済活動地方公共団体が資金的にも支援していくための体制としてふるさとづくり財団をつくりたい、あるいはまた首都圏から地方民間企業が出ていきやすいように特に土地譲渡所得について課税特例を設けるべきではないか、今の資産譲渡所得買いかえ特例があるけれども、あれだけではとても不十分だ、こういう御提案でございます。  私は一つ一つ勉強させていただいて、まことにごもっともな提案だと心からしみじみ敬服いたすと同時に、もちろんそれ自身についても私自身もいろいろな方の御意見を伺いましたが、問題は簡単ではございません。いろいろ御議論もございますが、しかしこうした今までの考え方を打ち破る新しい努力が次から次へなされるということが、今のこの東京一極集中といった国土構造を切りかえる上でとても大事なことだと私は思うのであります。まさにほっておいたから、自然の流れに、経済流れに、もっと言えば経済の見えざる手にゆだねておいたから今日のこの東京の姿があるのだと思うのです。日本のこのいびつな国土構造があるのだと思うのです。その意味で、まさに政治が、今こそ政治の見える手によって、我々の手によって、この東京一極集中を多極分散型の国土構造への切りかえというものを思い切ってなし遂げていく。そうした意味で、大臣が、個人的であるのか大臣としてであるのかわかりませんが所信を述べられ、そのことも新聞その他で大きく報道されておられます。最初にその点につきまして大臣の御所見を承り、ぜひひとつ力強く御推進を賜りたく思うわけであります。
  4. 梶山静六

    梶山国務大臣 まず、竹下総理の「ふるさと創生論」を御推賞賜りまして心から感謝を申し上げます。恐らくこの「ふるさと創生」というのは、私はやはり、中央から地方を眺める、あるいは地方をどうするという発想ではなくて、いわゆる民主主義の源泉である地方自治体ないしは地方というものがいかにして主体的、自主的に自分ふるさとづくりを進めていくかという一つの哲学だと思います。そして私たちが言ういわば具体論一極集中から多極分散へというのは一つの手法であろう、そういう感じで今までこの地方振興をどう取り扱えばいいかということを考えてまいったわけであります。私も過日松田委員の「連都構想」を一読させていただきました。御卓見すばらしいものでございますし、私が批判を加えるというかこれにイエス、ノーを言えるほどの見識をまた持っておりません。大変すばらしい構想だというふうに拝見をさせていただきました。  今、一極集中から多極分散へといういわば中央省庁的な発想からの意見を私も展開いたしました。それは一自治大臣としてより、あるいは国務大臣としてと言った方がいいか一政治家としてと言った方がいいかわかりませんけれども。いろいろな指数を見ますと、昭和三十五年からつい最近まで、いわゆる地方税シェアを見ますと、かつて二三%くらいまでに上った東京都税収入というのはここ二十年間あるいは二十五年間で約三%、四%、低下をいたしたわけであります。それだけに地方経済的に、必ずしも税収だけで見きわめをすることはできませんけれども、そういうことで地方のウエートが上がってまいったことは現実であります。ところが、この二年ないし三年の間東京都の税収は急速に伸びております。二十数年かかって東京シェアが減った分を二年間でその半分を戻しておりますし、ことしから来年にかけてその加速はもっともっと深まるというふうに私は理解をいたしております。経済全般としては内需振興型がとられながらも、まさに一極集中というか大都会集中の現象が顕著でございます。それはなぜかといいますと、やはり民間エネルギー、これはまさに集中のメリットがあるわけであります。そして、今までのように重厚長大の産業でなくなりますと、必ずしも大きな土地を要さない。そういうことになりますと、日本の地位が世界の中で高まるにつれて東京集中することは経済の原則ですから当たり前でございます。  そして私は、一極集中という言葉がいいかどうかわかりませんが、東京が大きくなることがいいか悪いかということは実はまだ判断がつきません。そして、大きい意味で防災だとか治安もひっくるめて、そういう意味で完全なものであるかどうかはわかりませんが、東京が多少大きくなることは、交通や通信や産業生活活動に必要な水や電気というものは何とか供給ができるのではないか。人間、一戸建てさえ望まなければ住宅事情も解決するであろう。ですから、東京が大きくなることは悪だということには私は評価をいたしておりません。東京が大きくなり、なおかつ、それよりもスピードを上げて環境整備ができれば、東京東京なりの価値があると私は思います。ただ、日本全体の伸びる力、そのうちの大半が東京集中して、地方がこれによって働く場所を失い、地域間のアンバランスが強くなるということはいかがなものか。これは私も地方主義者として一番心配をし、これから地方がそれぞれ希望を持ち得るような地域政策を展開しなければならない、これが私が私見で申し上げている、いわば地方振興の一方策でございます。  しかし残念ながら、私どもいわば地方自治体を所管する、もちろん東京地方自治体一つでございますが、いわゆる集中のところと過疎地帯と両極端がありますと、このバランスをとらなければならないという理論から考えますと、私どもはむしろ受け皿論をやらなければならない。そのためには、地方にいろいろな意味首都機能産業機能あるいは文化機能生活機能のいわば確立をしなければならない。そのためには、それを受けて立つゆえんのものは、そういう環境整備をしなければなりませんから、産業的にも社会的にも生活的にも成り立ち得るような環境整備のための特別な厚みを加えようということで対策事業的なものも考えているわけであります。  それから、地方自治体地方民間方々、あるいは進出をしよう、あるいは撤退をしようという企業方々が、それぞれ自分の思いをそこに寄せ合えるような何らかの団体があればなおさらにいいのではないか。これはあえて私が所信の中では申し上げませんでそういう私見の中で申し上げているゆえんのものは、むしろこれは地方自治体みずからが選ぶべき道であるから、自治大臣としての公的な表現は私は抜かしておりますけれども、そういうものが混然一体になってやらなければならない。しかし、それは受け皿論だ。  もう一つ私は、東京というものを率直に考えますと、都知事さんを初め都議会の方々は、東京にある企業東京に住む人々を大切にしようとする自治体のみずからの使命がございますから、東京から出ていってよろしいということは言えないと思うのです。ですから、それはやはり国全般を眺めて、東京がある意味で過密というか一極集中が進み、地方がいろいろな意味で雇用の場すら失うようになりつつあるということになれば、そのバランスをとるための事業を行っていかなければならない、私の私見でございますけれども。ですから、東京でなければならない機能とか産業とか、東京であることが望ましい企業とか機能というものはますます東京集中すると私は思うのです。ただ、東京でなくともよい機能産業もありますし、また地方で栄え得る基盤もあるわけでありますから、そういう方々機能団体、こういうものが地方進出しやすい誘導策を講ずるべきだということが、私がある意味で、東京のある会社が地方に出よぅとするならばひとつ地方進出準備金制度的なものを設けることによって、今東京で、買いかえ制度というものがあったというのは、かつて一倍から五倍ぐらいの土地価格の差のときに買いかえ制度というのは有効に作動すると私は思うのです。今のように百倍も千倍も違ってしまいますと、幾ら地方買いかえてみましても、私の友達の持っている企業でも、百億の土地を私の地方で買おうとすると五千万ぐらいで買えるのです。幾ら買いかえ資産といってもこれは税の恩典に浴しません。半分のものが譲渡益課税で取られてしまうわけでありますから、二度と東京に戻ってくるエネルギーはなくなってしまうわけであります。ですから、地方に出ていくものが丸裸になって出ていって、二度と東京に戻ってこれない。こういう名誉も実利も何も得ない地方進出というのはあり得ない、こういうものを何とか是正ができればという私見を書いたのが多分松田委員のお目にとまったかと思いますが、両々相まつ施策が講じられて初めてそういうことが可能かと思います。  いずれにいたしましても、これから国際の連帯、あるいは国際的な責任を果たすために、日本産業構造の改善や内需主導型の経済に大きく転換していかなければなりません。そして、それはひとり外国のことを思うだけではなくて、日本に住むすべての人たち、すべての地域が均衡ある、それぞれ誇りを持ち得る地域づくりをするためには、そういうことを今こそ行わなければならない大切な時期だと思っております。気負って申し上げるわけではありません。そういうものはなかなか言うべくしてできません。長い間にでき上がった機構であり慣行でございますから、何遍か手が砕けるほど岩をたたくならば、みんなの手が一緒になってそれをたたくならば、いずれの日かその窓が開かれるということを期待しながら、一生懸命お互いに努力をしてまいりたいと思います。  残余の件に関しては政府委員から答弁をさせます。
  5. 松田岩夫

    松田(岩)委員 大臣個人の御私見とおっしゃったようでございますけれども、ぜひ今のそのお気持ちで力強くこれを政府政策として実現をしていただきますよう心からお願いをいたします。  私、それと同時に、これからの東京ももちろん含めまして、それぞれの地域が、大臣がおっしゃるように個性豊かな活力ある、それぞれの本当に住んでよかったなというふるさとにしていきますためには、やはり何といってももう一つは、地方自身がどんなふるさとをつくっていくことができるのか、どんなふるさとをつくったらいいのだろうかといった、そういうみずから創意と工夫を凝らして知恵を出していける自治体、あるいはそれぞれの地方にそういう方々がたくさん出てくる、そしてそういう力を地方自治体が結集して、東京からではない、それぞれの地方から、それぞれの地方の過去の伝統や文化や歴史に根づいたそれぞれの地域づくりが行われていくということが最も大事なことだと思うわけであります。  そうした意味で、私はまず何といってもその中心になるのは地方公共団体だと思うのでございます。その地方公共団体政策立案あるいはこうした企画立案能力をいかに高めていくか、これも現実問題として非常に大事な問題だと思います。これまでよく地方の権限をふやそう、あるいは地方の財源をふやそうということも言われます。これも非常に大事でございます。と同時に私は、いろいろ考えてまいりますと、結局地方公共団体における企画立案能力、そういったものをどう高めていくか、これもまた大変大事な点だと思います。そうした意味でも、私は、あのふるさとづくり財団のお話を聞きましたときに、そういった点にも大変なお力、気配りをされておられる、ああ同じ思いだなと思いましたことをあわせ述べさせていただくわけでございます。  さて、そのためにも、まさに今申しました地方公共団体への財源配分といいますか、財政がしっかりしていることが大事であります。と同時に、私は実はこの「連都構想」にも書きましたけれども、書いて、実はみずから公務員であったのによくこんなこと書いたなと怒られたのです。四ページに書いておきましたけれども、「中央と地方の権限の見直しを図り、各省庁における地方出先機関は、原則として廃止する。」とまで実は思い切って書いたのでございます。つまり、各自治体がもっと自主性を持って創意と工夫に満ちたアイデアでどんどんふるさとづくりを進めてまいりますためには、権限のあり方といったものをまさに今や抜本的に考え直す必要がある、つまりこれは歴史的な意味で考え直す必要がある。日本社会というものが、これからはそれぞれ本当に各個人が選択の幅を広げ、それぞれの地域が本当に多様性と創造性に富んだ地域社会になっていく、各地域がそういう社会づくりができる、そのためには、自分で判断できるという能力を持つと同時に、自分でできるという権限体制にしてあげる必要があると同時に、また自分でできるという財政基盤をつくってあげる必要があるわけでございます。  そうした意味で、なすべきことは多うございますが、この所信表明でもお述べになっておられます。とりわけ私気にいたしておりますのは、国の財政事情の方も今なお非常に予断を許しません。幸いにも景気の状況がよくなり、税の自然増収も予想を超えて見通せる状況になっております、現段階では。しかし、これから先のことを思えば簡単ではないと思います。そういう意味でも、税制の抜本改革といったものにも本格的に取り組んでいかねばなりません。税制の抜本改革の問題は、また地方財政のあり方、地方税源のあり方ということも含めて、まさに抜本的な、地方の財源をしっかりさせる、そういう税制改革も当然にして含まれるべき税制改革でなければなりません。  時間が余りありませんので全部申し上げますが、そういった意味で、これからの豊かな、まさにここで大臣のおっしゃっておられる活力ある地域づくりをいたしますためには、国と地方の権限のあり方、もちろん国の権限を大幅に地方に移譲する、これはもう議論の余地がない問題であります。ただ私、そこで一つだけ思いますのは、今の四十七都道府県の体制でいいのかどうか。最も基本的な問題でございます。私自身も、例えば我がふるさとにどんなことをしたらいいだろうかといろいろ構想を練ってまいりますと、私の選挙区は岐阜県でございますが、お隣の愛知県、三重県あるいは北陸側の各県が当然に関係してまいります。ふるさとづくりのために大きな構想を描こうとすればするほど、県の領域を超えてくるわけであります。そういったことを思いますと、今の四十七都道府県の建前で大幅に権限を移譲するということだけを考えるのではなくて、本当の意味でこれからの地方の時代をつくり上げていく。日本のそれぞれの地域が個性豊かな地域社会をつくり上げていっていただく。まさにそれが現在の政治家がなさねばならぬ歴史的な役割だということを思いますときに、権限配分をただしろしろと言うだけではなしに、地方自治体のあり方、一体今の四十七都道府県体制ということでいいのかどうかといったことも含めまして権限のあり方。  そしてまた、今回の税制の抜本改革の際にも、ぜひ地方税財源を安定的に確保するということも含めまして、そしてまた、とりわけ当面の問題であります、六十一年度から三年間暫定措置といたしまして国庫補助負担率の引き下げを図りました。国家の財政事情の上からやむを得ない措置であったと思いますが、しかし、もう六十四年度はすぐ参ります。六十四年度の予算編成もすぐ目の前に参るわけでございます。この点についても、国の財政事情もありましょうが、しかし今優先すべきことは地方の財政をいかに豊かにするかということだと思われます。そうした意味では、この暫定措置をどうするのか、引き下げたままにしておくのかどうかといった点についても、ひとつ十分な御検討を煩わしたいと思うわけであります。  地方財源の問題、権限の問題、あわせて大臣所信を承りたく思います。
  6. 梶山静六

    梶山国務大臣 大変貴重な御意見をちょうだいいたしました。  道州制の問題については、長い間見えつ隠れつしながら何遍か議論がなされていることは御案内のとおりであります。ただ、それぞれの経緯がございますので、今直ちにどうこうということは申し上げられませんけれども、少なくとも今言われている幾つかのブロック別に何らかの協議会的なことがとられて、各道府県がそれぞれ別個な形ではなくて、有機的な一体感が保てるような方式を考えなければならないと思います。  それから、もちろん税制の抜本改正にもつながるわけでございますけれども、地方財源の充実、拡大ということはこれから大変大切な問題でございますから真剣な取り組みをしてまいりたいと思います。その中で特に地方財政を大変圧迫をしておりますいわゆる補助率カットの問題でございますけれども、暫定措置として行われておるものでありますから、原則としては六十四年度にはもとの補助率負担に戻すべきものであると考えております。こういうものをめぐりまして、皆さん方の御協力をちょうだいしながら主張してまいりたいと思います。
  7. 松田岩夫

    松田(岩)委員 残り時間わずかになりましたが、国家公安委員長としての所信に対しまして、あるいはお答えをいただく時間がないかもしれませんが、最後に所見を述べさせていただきます。  御案内のように日本の治安状況は、警察当局の大変な御尽力のたまもので、まさに世界に誇るべき我が国の治安状態であります。私も海外に何度か滞在させていただいた経験を持っております。日本の国が、とりわけ今申しましたこれだけ過密な東京においてすら、女性の方一人でもいかに夜遅くてもほぼ安心して歩ける、こういったすばらしい治安状況に現在ありますことを国民の一人としてとても誇りに思うわけでございます。  しかし、まさに今すべてのことが国際化であります。経済はもちろん、文化、学術、あらゆるものが国際化し、犯罪、治安まで今や国際社会の中で考えねばならない、そういう状況になってまいりました。そういう意味で、私、これまでの警察御当局の大変な御尽力に心から敬意を表しておるわけでございます。  一つは、こうした新しい情勢の中で、とりわけ犯罪の国際化、例えば日本へ来られる外国人の方方の数一つとりましても大変な増加であります。こうした来日外国人の方々の犯罪というものも、お聞きいたしますれば過去十年間で約六倍だ。国内で日本人がいかに一生懸命頑張っておりましても、まさに国際化の波の中で外からこうした問題が起こってくる。これにいかにうまく対応していくか。ほんの一つの例を申し上げたわけでございますが、そんなことを思いますと、これからの警察のあり方、とりわけこうした犯罪の国際化に対して、しっかりとした対応が要るなということをしみじみ感じさせていただくわけであります。  と同時に、日本ではまだまだ少のうございますが、覚せい剤を初めといたします薬物乱用の問題でございます。私はアメリカにおりましたときに、アメリカではこの薬物の乱用というのが、まさに国の前途を危うくするような大きな問題になっておりました。日本の場合にはまだそんな状況にはありません。しかし、今の動きを見ておりますと、所信表明にもございましたように、押収量はここ十年間で十倍にもふえ、昨年の麻薬、覚せい剤の押収量でございますが、史上最高を記録したということでございます。外国、とりわけアメリカやヨーロッパの文明を受けております我が日本社会が、あのアメリカやヨーロッパと同じような状態にならないという保証はないわけでございます。今から、覚せい剤を中心といたします薬物事犯につきましても、ひとつ大いにしっかりとした対応を心からお願いしたいと思うわけであります。そうしたことももちろん所信の中にはっきり述べられております。その線に沿って力強く、これまで先輩の方々の御努力で保たれてまいりました我が国の世界に誇る治安状況が、なお一層これからも続いてまいりますことを心から願う一人として、ひとつ今後一層の御努力をお願いをいたしまして、時間が参りましたので私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  8. 梶山静六

    梶山国務大臣 御趣旨まことに同感でございます。国際化に備えて懸命な努力を払ってまいりたいと思いますし、国を滅ぼすことがあればむしろこの覚せい剤、麻薬事件ではないかとすら懸念するわけでございますので、これまた対策に万全を期してまいりたいと思います。
  9. 松本十郎

    松本委員長 加藤万吉君。
  10. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 梶山大臣、改めて御就任おめでとうございます。  いよいよ本格的な議論に入るわけでありますから、ぜひ我々野党側の主張も十分酌んでいただきまして、大臣、できれば次の内閣改造の段階でも自治大臣をぜひみずから進んでおやりになるように、また私どももそういう意味大臣のこれからのさまざまな施策に期待をいたしますし、またその位置が確保できるような御協力をぜひしたいものだ、こう思っております。  最初に、昨晩大変な事件が発生しましたので、本筋とは少し離れますが、昨晩の日比谷における爆発事件、東京都内二カ所にあったわけですが、この事件の経過と現在の措置について、警察庁からお聞きをしたいと思います。
  11. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  昨夜七時過ぎでございますが、都内の千代田区有楽町にあります三信ビルの前の路上、それとやはり千代田区二番町に所在いたします番町ロイヤル駐車場二カ所におきまして、時限式の爆発物が爆発しております。  その爆発によりまして付近の建物のガラスが壊れたり、あるいは駐車中の車両が破損しておりますが、幸い、いずれも人的被害はございませんでした。直ちに所轄の丸の内警察署と麹町警察署にそれぞれ捜査本部を置きまして、現在鋭意捜査をしておるところでございます。  この事件は、三月二十七日に成田現地で大規模な闘争が組まれることになっておりますので、それに向けての前段ゲリラであろうというふうに考えて現在捜査しておるところでございます。
  12. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 最近、そういう新左翼と思われる事件が多発しておりますね。例えば新宿のリムジンバスの事件。どうなんですか、第二次成田工事に対するそういう意味での牽制的なものとして、今こういう事件が多発しているというように見てよろしいのでしょうか。  それからいま一つ。これは自民党の本部に対する放火事件がございました。その後、幾つかの事件があるのですが、どうもすっきりした解明がないのですね。例えば皇居に対する例の事件もございました。長距離ロケット弾というのですか、そういう事件も解明が不鮮明。リムジン事件もそうです。労働運動の方では、御案内のように高崎の国鉄職員、労働組合の幹部でもありますが、死に至るような事件が、これまた新左翼と思われるセクト間の事件としてございました。  どうも最近、警察庁の新左翼、なかんずくそういう暴力事件に対しての結果が国民の目に見えてない。私は、実は当委員会でこういう質問をするのは余り好ましくないと思っているのです。なぜかといいますと、グリコ事件もそうですが、先般競艇事件に絡んで我が党やあるいは町田の大下市長を誹謗するような文書が国会にばらまかれたり、どうも国会のこういう舞台で取り上げることを彼らは期待をしているような感なきにしもあらずなんです。したがいまして、こういう事件を国会の舞台で取り上げることが必ずしも今の治安を守る上で適切かどうか、実は私どうも時折判断に迷うことがあるのです。  しかし、今回の場合には幸いにして休日でありましたから、事件があっても死傷者がなかったわけですが、もし休日でない平日であったならば、あの三信ビルの前にいたしましても、あるいはいま一つ起きました事件にいたしましても、通勤者、歩行者はたくさんいるところですから、恐らく人身事故が必ずあったと私は思うのですね。それだけに、今回の事件に限って見ますならば、早く捜査の内容を、全貌を明らかにして、同時に犯人逮捕に対して積極的な報道、しかもそれができる限り国民の目の前に見えるようにぜひ展開をしていただきたいものだ。  今、事件の発生そのものは聞きましたし、昨晩の事件ですから今直ちにどうという答えは出ないでしょうけれども、私どものそういう期待があるということと、どうも委員会で取り上げないことが何か消極的だという立場で受けとめられずに、やはりそういう犯人が期待をするであろうものに対して我々もそれなりの自重した形で問題を取り上げている、これは委員長、ぜひそういう角度で当委員会での論議が行われるということをひとつしかと腹に据えておいていただきたい、こう思うのです。いま一遍警察庁から。
  13. 梶山静六

    梶山国務大臣 恐らく極左暴力集団が成田闘争の一環として行ったものであろうという推定をするわけでございますけれども、今委員御指摘のとおり、まさに同時ゲリラであり、最近の動向は無差別ということになってきております。ですから、恐らく戦術転換をしたのか、あるいは新しい勢力がその中で生まれたのか、あるいは別個な集団が参加をしているのか、予見を持たないで、こういうものにはひとつ徹底した解明をしなければならない。そしてこの憎むべき犯行に対して断固たる態度で撲滅を期していかなければならないと私は思いますので、一体になってこれからも頑張ってまいりたいと思いますし、警察庁を動員してこの対策に真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  14. 城内康光

    ○城内政府委員 ただいま御質問ございましたけれども、この三月十一日には福島県下で、効果的な検問によりまして中核派の非公然の要員三名を逮捕しております。大量の火薬を持っておりまして、それを押収しております。  確かに御質問にありましたようになかなか検挙がはかばかしくないということでございますが、極左暴力集団は非公然組織をつくりまして、先ほどもお答えしましたように時限式発火物を使って、事件が発生したときには犯人たちは遠くへ遁走しているというような状況で事件を行っておるわけでございます。最近爆弾事件が起きたということは大変重大なことだと私どもは受けとめておりますが、もともとテロ、ゲリラというのは弱者の兵法でございますので、組織が弱くなるとそれだけ過激になるということでございます。ミクロで見ると大変重要なことでございますが、マクロで見ると大変取り締まりの効果が奏している、それだけ弱くなって過激な手段に頼らざるを得なくなっているというふうに考えることもできるわけでございます。ただいま大臣からお答えしましたように、私どもまなじりを決してこれについて取り組んでまいりたいというように考えております。
  15. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 一層の捜査上の強化、国民の治安の維持に対する期待を全うしていただきたい、こう思います。  さて大臣、三月八日に減税問題に対して与野党間の話し合いがつきまして、今実務者の協議の段階に入っています。今の時期に減税額がどうなるのか、あるいは減税の方式、中身がどうなるのか、これは実務者会議の結論などをまたなければなりませんが、少なくとも与野党の国対委員長会談で決まりました合意事項、これだけは明確であります。  そこで、この合意事項の中身は大臣お読みでしょうが、法人税、所得税、そして資産課税と言われる相続税等と、こう書いてあるわけですね。この合意事項に基づいて実務の会議が行われつつあるわけですが、大臣、この合意事項を見られて、所得税、法人税、こう書いてあります。これは国の減税問題だから、最初に等と書いてある以上は当然地方税の減税も含まれているわけです。所管大臣自治大臣としてこの合意事項についてどういう所感をお持ちですか、お聞きしたいと思います。
  16. 梶山静六

    梶山国務大臣 各党国対委員長間の合意でございますから、政府としてこれにコメントすべき立場ではございませんけれども、大きい方向として、減税がなされることは好ましい方向でございます。そして今委員御指摘のとおり、どちらかというと国税を中心にして話し合いが進められ、国税あるいは地方税一体のものでありますけれども、当然この中に住民税が含まれることは御高承のとおりでございますし、その中に、多いか少ないかは別にして、ちゃんとのせてあるということも現実に了解いたしております。そういうものが恒久的な、あるいは単年度的な、あるいは後年度的な財源を踏まえて立派に実を結ばれることを期待するわけであります。  多くを申し上げませんが、過日参議院の予算委員会で私は補助率カットの問題の質問を受けたわけでありますが、原則として廃止さるべきだ、前回もここで胸を張って衆議院の段階ではお答えしたのでございます。一方、次元が違うとはいうものの、この減税問題、理論的には全く別個な問題でございますが、分配をすべきパイというか原資、財源というものはある意味で共通をいたしますので、これによって補助率カットがどんなふうになるのかなという別な心配をいたしているということを付言をして、そんなことは心配をしないで、胸を痛めないで、胸を張って頑張れと激励を受けたわけでありますが、心の中によぎるものは、この一兆七千億近い財源をどうするのかな。これは三兆円の減税というけれども、その前段階、既に地方自治体との間に約束したことでありますので、約束はまず守ってもらう。ですから、この補助率カットはいわば必要条件であり、減税は十分条件であるという理解を私はいたしておりますから、減税をすることは好ましいことであるけれども、補助率カットをやめることは、これはいい悪いにかかわらずやってもらわなければならないことだ。そういうことを担当大臣として考えますと、この問題には、複雑な思いと言っては大変表現がおかしいのですが、果たして財源をどこに求めて、我々、この減税が成立をいたして、ことしの夏以降に行われる明年度の予算編成は、補助率カットをどこに手を突っ込めるものかなということに今思いをいたしているのが偽らざる心境でございます。
  17. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 補助率カットも減税もという、今労働組合でも雇用か賃金かではなくて雇用も賃金もという時代ですから、ひとつそういうスタンスでこれから折衝していただきたいと思います。  そこで税務局長にお聞きをしますが、これは地方税がどういう減税になるかわかりませんが、自治省として、この減税が国税、地方税両方にまたがる場合に、政策減税はちょっと除きますが、いわゆる住民税減税、所得税減税に限って問題点を絞って幾つかお答えをいただきたいと思います。 これからいろいろ与野党間の折衝で総額が決まります。決まってまいりますと、税率構造を含めてそれぞれ中身が検討されてくるわけですが、自治省は六十二年度の国税と地方税減税、地方税は六十三年度から実施でありますけれども、あの税制改正のときのスタンスを大体お守りになりますか。
  18. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、これから減税問題についてはいろいろ折衝事になると思います。その場合に、恒久的な財源問題も含めてどうするかということが一つでございます。  それからもう一つは、ただいま委員御指摘の所得税、住民税を通じてどういう姿でこの問題が検討されるのかという問題だと思います。従前から、個人所得課税という見地からは、所得税、住民税というものはそれぞれ、国の財政需要それから個々の特に基礎的自治団体である市町村の財政需要を賄う住民税という面からは非常な違いがあります。課税最低限問題とか税率構造とかいうところには違いがありますけれども、今度は納める側から見ますと、個人所得課税として全体としてどういう姿でこれが減税されるか、あるいは税制として組み立てられるかという問題でございますので、そういう見地で今後検討がされなければならないし、されるだろうと思うことが一つ。  それからもう一つは、そういう中において従前から減税のたびに、必ずしもぴったりそうではありませんけれども、長い傾向としては所得税と住民税の税金の大きさの問題もあります。そういう問題も片側でにらみながら、負担軽減を図っていくという大きな枠組みの中で議論が行われるということを私どもも想定をしているわけでございます。
  19. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、去年の減税の際にも私申し上げたのですが、所得税減税と地方税減税が、例えば減税率など大体去年は同じだったのです。当時の津田税務局長から言わせれば、国税よりも踏み込んで地方税は減税をした。例えば去年は、一兆三千億の所得減税に対して国の所得税総額の割合は一〇%ちょっと切れたんです。そのときに地方税は一〇・一%、いわゆる国税よりも地方税の減税額が多かったのですね。そうしているうちに一兆五千億になってしまいましたから、一兆五千億なら六十三年度やらずに六十四年度のを前倒ししなさい、私はこういう議論をしたのですが、いやそれは財源がございません、その他の理由でこれはなりませんでした。  さて、今これから行う減税ですが、これから行う減税は総額が決まりませんから今幾らとは言いません。しかし、所得税減税が行われる減税率と地方税の減税率が大体等しい減税率になりませんと、どうしても市民、住民側から見ると、国税の方は軽くなったけれども住民税は重い、いわゆる住民税に対する重圧感が非常に強くなるのですね。言葉じゃ、これは大臣きょう初めてですから申し上げますけれども、国税は涙で払え、こう言うのですね。地方税は怒りで払え、こう言うのですよ。去年この話もしたのですが、大臣おかわりになったから、大臣はやはり連続的にしてまいりませんと、こういう話を二度しなければいけませんからね。  そこで私は、今度の与野党の合意事項から来る結論は、できる限り住民税に対する重圧感を与えない、このことが必要だと思うのです。例えばまず第一に、どうですか税務局長、実施時期をいつにされますか。あれは、今与野党の合意の減税は全部六十三年度ですね。地方税は六十三年度やりますか。これが第一。  第二は、税率構造をどうされますか。例えば去年の例を申し上げますと、税率構造では国税は最低を上げて最高を縮小しましたから、これで格差が大変縮まったのですね。地方税も最低を上げました。その御説明があったときは、税率構造の上でも大体同じです、むしろ地方税の方が踏み込んでいます、例えば所得でいけば五百万前後のところでしたら地方税の方が減税率が高いですなどなど含めまして大体同じ構造である。それから全体の減税額、例えば幾らになるかわかりませんけれども、住民税の総額は対する減税額が決まります。国税全体に、所得税に対する減税額が決まります。この額が、例えば片一方が一〇%で片一方が五%なら、大変な重圧感を地方税は持つわけですね。時期、税率構造、減税額、いずれについても、私が最初に申し上げたのは、国税が決めてくるであろうそのスタンスを凌駕することはあっても、超えることはあっても下に下がることはない、そういう方式で自治省はこれから内面的な事務折衝その他やるのでしょうから、そういうスタンスでおやりになりますかということを実は聞きたいわけです。どうですか。
  20. 梶山静六

    梶山国務大臣 具体的な例については政府委員から御答弁を申し上げますが、まず第一のスタンスでございますが、減税は望ましいもの、しかも身近な地方税が減税をされることは住民はとっては大変うれしいことでございます。  ただ反面、地方行政のいわば行政サービスと申しますか、行政需要と申しますか、これに対応する税源、財源、これは最小限度確保をいたさなければなりません。ですから、今回の減税のいわば原資になるべきものが自然増収もあるとすれば、自然増収が国税に偏っているものかどうか、あるいは不公平税制やその他の是正をすることによって財源を生み出そうというときに、それがほとんど国税的なものであるかどうか、こういうものをもろもろ考えませんと、私は与野党間の合意に基づくものの中身も実は承知をいたしておりませんので、今すぐに右、左がいいということは言いかねると思いますが、政府税調なんかの討議のあれを踏まえてみても、その意味で見直しによって税収のふえる部門、これは国税が多いのではないのかなという感じがいたします。  ですから、委員御指摘のように地方税に減税の厚みを加えることは理論的には私も大賛成でございます。ただ、これをそれでは補完をする意味で、交付税をふやすかあるいは別個の財源措置ができるものなのかどうなのか、こういう全般の両両相まった考え方を前提に立てて考えませんと、なかなかうまくいかないと思います。ですから、所得税が減税をされれば当然比例をするもの、地方税の中での特に住民税、恐らく今までも二対一か七対三ぐらいの比率でこういうものがずっと行われてきていると思います。これは国税と地方税の収入の割合を見てもそういうものになるのかなという気がいたしますが、おおよその原則そういうもので、これから全般でいかに財源、税源を確保するかということと減税というものの整合性を何とかとるように我々は奮闘してまいりたいと思います。
  21. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、今の財源問題ですけれども、これも実は大臣、頑張ってもらいたいのですよ。というのは、去年の減税のときに利子課税の問題がございましたね。利子課税の財源が、地方税の場合には御案内のように利子課税を平年度一〇〇%にするには四、五年かかると言われたのです。そのときに、じゃ六十三年度はどのくらいですかと言いましたら、一千億か一千五百億前後、したがって、あと二千億前後は内部で努力をして財源を確保します。しかし、これは実は私の方の意見が正しかったので、私は、自然増収があるから大丈夫だ、六十四年度の前倒しをしなさい、こう言ったのですが、税務局長や大蔵省はどうしても、いやそんなことはございません。去年の八月ですよ。私は、例えば大蔵省の毎月ごとの統計月報を見ても法人税はこう伸びているじゃないか、事業税はこう伸びているじゃないか、大丈夫だ、こう言ったのですが、いやそんなことはございません、内部で一生懸命努力しなければこれだけの財源は確保できませんというのが答弁だったのです。これは議事録にあります。実は私の方の見解が正しかった。いわゆる利子課税についてもどのような分配を地方に与えるか、これは大臣大臣の力量ですよ。これからキャピタルゲインがどういうふうになるかわかりません。大臣は今、事によったら国の財源の方が多くて地方の方が少ないから交付税なんて、そんな消極的な姿勢ではだめですよ。キャピタルゲインを取ったら地方にも分配させろ、なぜなら、こうだというぐらいの姿勢になってもらいたい。交付税で考えようなんというのじゃ、それは交付税を考えるときには補助金カットの問題を考えてもらえばいいですよ。ひとつそういう姿勢をぜひとってもらいたい。  それから税務局長、さっきの答弁をいただきますが、去年の答弁で自治省は、国の税とは大分違います、地方税は分任分担という制度といいますか考え方があり、地方税と国税とは違います、こういう答弁もあったのです。しかし、ずっと去年の六十二年度の法改正の中身を見ますと、分任分担ではなくて、結果的にはやはり国税の減税に対しては大体のところは同じような減税の方向性をとったわけです。それは多少ありますよ、税率構造も違いますし、道府県民税は二段階ですから全然違いますけれども、しかし、大体の方向性としてはそういう方向をとったのです。したがって、私がさっき言いましたように、まず時期の問題、税率構造の問題、それから全体の減税の問題、次に、もしあえて言えば大臣が今御答弁ありました財源の問題を含めて、基本的には国税と地方税に重圧感を与えないようなスタンスでこれから努力をされ、また各省との折衝を行うべきだ、こう私は思うのですが、税務局長、担当局長としてひとつ明快な答弁を求めます。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  22. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 まず実施の年度の問題ですが、これはかなり技術的な問題を含んだ御議論でございますので、それを先に申し上げます。  住民税だけではありませんで、地方税はそういう税金が多いのでございますが、賦課課税でございます。住民税もそうでございます。そこで、仮に年度途中におきまして住民税減税ということをやるといたしますとどういうことになるかといいますと、住民税の仕組み上、課税事務を全面的にやり直す、こういう問題があります。所得税は課税当局が税金を計算するという作業は一切ありません。全部源泉徴収で給与の支払いをする者が天引きをしていく、そして年末調整という仕掛けになります。そこで、そこの違いがありますから全面的にやり直す必要がある、こういうことでございます。この辺はよくおわかりいただいている方方にはもう当然のことなんでございますが、何で違うのかということをよく言われるところでございます。これによりまして市町村当局に非常に事務的な負担がかかる。負担がかかるだけじゃありませんで、非常に困難な状況になるということなんでございますが、単に課税当局が難しいとか大変だというだけじゃありませんで、給与を支払う方の事業主の事務処理が非常に膨大になりまして、実は六十三年度の住民税減税ということを議論される場合に、非常にそういう問題、困難があると思います。このことは昨年の減税の場合にもそういうことが生じましたものですから、六十三年、六十四年の二年に分けてということになりましたが、とにかく六十三年に減税をスタートするということで法律を決めていただいた、こういう経緯でございます。  それから、税率構造をどうするのだ、こういうことでございますが、これはやはり先ほど委員御指摘の、住民税は負担分任という性質を所得税より持っている、これは私ども理屈としてきっちり踏まえていかなければならない事柄だと思っております。つまり、所得再分配という機能を所得税は非常に強く持っております。住民税ももちろん持っておりますけれども、しかし非常に狭い地域の中で所得再分配を完結するというようなことは所得再分配自体の論理矛盾でございますから、むしろ住民税はどららかといえば負担分任的なそういう性質を強く持っている、所得再分配機能は所得税がより多くその機能を分担する、こういうことではないかと思います。そうなりますと、税率構造も勢い住民税につきましてはよりフラットになりますし、またより広い納税義務者が地域の基礎的自治団体である市町村の財政需要を賄う、それを支えていく、こういう仕掛けになると思います。  そういうことが実は減税額をどうするかという問題にも続くわけでございまして、これは委員御指摘のように実績値としましてはかなりパラレルな姿できています。しかしながら、所得税と住民税は、考えようによりましては、納税者の負担ということの側面からいいますと、所得税で大幅な減税をしてもらうということで個人所得課税全体としての負担軽減になるわけですから、そこで地方税源の確保という観点とかみ合わせますと、必ずしも絶対パラレルでなければいかぬということにはならない。むしろ、地方税源の充実ということを考えますと、そこのところはより所得税に分担してもらっても理屈としてはいいという場合があると私は思います。  そこで、したがいまして大臣から申し上げましたように財源問題になるわけでございまして、財源の問題、それから自然増収というものが仮にあったとしましても、それは地方自治体の重要な財源そのものでございますから、その中で減税とそういう行政需要に振り向ける分とはどういう姿になるべきかというような議論がございまして、そういったことを考えながらやりますというと、どういうふうに減税をやっていくかはこれからのやはり総合的な課題ではないか。もちろん今委員が御指摘のようなところも御意見として踏まえまして、そういったいろんな議論がありますから、そういうことを総合的に検討していただくということではないかと思います。  そういう観点から申し上げまして、私どもとしましては、前回の状態を見ますというと、抜本改革では所得税は約二兆円弱の減税を企図していました。その結果が、上積みといいますか、後で加えたものも含めまして一兆五千億ちょっとであったわけですが、平年度といたしましてはたしか一兆五千億を若干切るくらいの規模になっていると思います。住民税は七千五百億円余りの抜本改革に対して六千六百億の減税が既になされておりますので、そういう意味におきましては、今後行われる減税が従前の姿と必ずしも並行的になるというふうには私は考えなくていいのではないか。いいのではないかと言うとちょっと表現が十分ではありませんけれども、そこは地方税源としての立場、あるいは市町村の財政需要というものをどうやって賄うかという立場も加味しながら、同時にどういう程度に調和させるか、こういう問題ではないかというふうに考えているところでございます。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 いずれ法案が出る段階で、その中でぎっちりお互いに討論していい案をつくりたいと思いますが、しかし問題は原案ですからね。原案が曲がっちゃいますと、その幹まで我々が直すことはなかなかできない。枝葉を曲げるぐらいはできますけれども、幹が曲がっちゃうといげませんから、自治省もいま少しきちっとして、所得税が減税になればそれは全体の所得としての減税ですからというような発想は、いやいや住民の側が先に減税をしてもらわなければ困るんです、これぐらいの主張をしてもらいたいと思うのですね。  時期などについても、私は去年、御案内のように税制の委員会のときにもやや誘導的に、八月に仮に法案が通っても時期は六十二年度実施は難しいだろうという意見を提言をした方です。時期などは、これは法案がいつ成立するかによって決まることですから。いずれにしても、野党の要求しています六十三年度地方税減税をともに含めてやる。そうなりますと、六十二年度に決めた法律の減税、それと今度は六十四年度の二段階になっていますから、これと一緒に合わせたものになってきますから、相当今から準備をされる必要があると私は思いますよ。ただ、事務的な問題については、またいずれ皆さんの御意見なども聞きながら勉強はしたいと思っております。  大臣、私は今度の与野党の話を見ましても、率直に言って、なぜ住民税減税という言葉が入ってこなかったのか、私は多少不満なんですよ。地方税に対して、国もそれからそれぞれの折衝の過程でも、もっと十分な配慮というものが先になされていかなければいかぬのじゃないでしょうか。でありませんと、地方自治体がそれこそ胸を張って物を言うことができない。大臣、今お聞き及びのとおりです。自治省としては、今の段階、非常に重要な時期ですから、ぜひ大臣の目配り、それこそ竹下総理じゃございませんが気配りをひとつしっかりとしていただいて、地方税を所管する大臣として地方自治体を所管する大臣として、十分な活躍を私は期待をし、その結論がなければ期待外れということになるわけですから、ぜひひとつ御健闘をお願いいたしたいと思います。  四全総のお話が前にちょっと出ていました。大臣からも幾つかの答弁がありまして、私も大変興味深く聞いておりました。地方と国との一極構造の新しい手直しといいましょうか、地方分極化の問題をそれぞれが政治家の立場でお考えになり提言をされる、すばらしいことですね。その中身のいかんにかかわらず、私はすばらしいことだと思うのです。実は前段その話をしようと思ったのですが、もう前の方が大臣とやりとりをやられましたから、私はこの際一点に絞って申し上げてみたいと思うのです。  産業構造の変化という問題ですが、私は大変な変化だと思うのですね。特に日本の場合には第三次産業と言われる情報分野が非常に活発になりました。その結果として東京への集中という問題が起きているわけですね。情報集積度が東京は三八%ぐらい。私神奈川ですが、神奈川でも一七、八%、こう言われておりますから、いわんや地方ではもっと情報の集積度というのは低いでしょう。したがって、情報を中心としてこれからの産業をどう経営していくかなどということを考えれば、どうしても東京に本社をという発想はぬぐい去れないものがあろうと私は思うのです。その結果として、大臣が御指摘ありましたようは東京に財政が集中しているわけですね。  私は昔よく言ったのですが、大臣、例えば一万人の機械製作の工場がある敷地と、私がやっている時分は化学工場ですね、いわゆるコンビナート、石油化学工業、ここに人が千人働いている敷地と、敷地面積が大体同じなんですよ。多くて十分の一、少なくても五分の一の雇用で実は敷地としては化学工業の場合は五倍必要だ。今度の場合にはそれと全く逆の傾向なんですね。いわゆる情報産業の集積度が高ければ高いほど小さな、コンパクトな中で仕事ができる。そして、そこに人が集中してくる。したがって、それに伴って、それぞれの集中した都市における財政構造が非常に豊かになる。この構造を直すためには、さっき御指摘ありました大臣の新聞における例の産業地方移転するためには都市における譲渡所得の問題を考えよう、これも一つ発想なんですね。  同時にいま一つは、その都市から出たものが受け入れられる条件というものを地方につくらなければだめです。つくるためには、地方の財政力を豊かにしなければならないのですね。いわゆる産業基盤あるいはそういうものが入ってくる基盤形成というものをせなければいかぬわけです。そこに地方の財政力というものに対する新しい見方、あるいは税率構造というものを変えなければいかぬという問題が出てくるのだろうと思うのですね。日本産業構造に見合った地方税制ないしは国の税制、この改正という問題が意外と論議をされてないんです。売上税の問題は大変論議をされておりますけれども、どうも売上税あるいは一般消費税と言われるそういう長期的な年金財源あるいは医療財源とかいう問題をめぐって、売上税という議論は非常に政治的にも豊かにといいましょうか、あるいはけんけんがくがくといいましょうか、あるいは税調でもやられておりますけれども、では産業構造の変化に伴ってどういう形で今の税制構造を変えていかなくちゃならぬのかという議論が少ないんですね。ないとは言いませんけれども、少ないんです。そこにメスを入れる必要がある。税制改正はさまざまありますよ。ありますが、私は特に地方自治体というものを主体とする所管の自治省としては、この今の日本産業構造の大きな変革というものに対してどういう研究、討論をされるのか、これが非常に重要ではないかと思うのです。  そこで、今自治省で検討されております法人事業税の分割基準の問題、これは大臣、もっと早くおやりになったらどうですか。もう言うまでもありませんが、先ほど大臣が、東京都はかつては全国シェアの中での税収率が一七、八%、今二二、三%ですかね、今は二十何%、こうおっしゃいましたが、二、三年の現象というのは実は産業構造の現象なんですよ。ですから、首都東京における集中という問題は何から起きているかということを見れば、金融の集中化であり、同時は情報産業集中化でしょう。それに伴って、今東京都の税収が非常に豊かになっておりますね。その構造変化にもかかわらず、実は分割基準でやっているわけです。ですから、東京に法人の住民税関係あるいは法人事業税関係が集中しちゃっているんですね。 ちなみにどのくらいあるか、これはもう数字を申し上げるまでもないと思いますけれども、東京都の法人都民税、六十三年度は六十二年度比一三五・七%です。三六%近く伸びているわけですね。法人事業税は一四二ですよ。そして、額だけとってみますと約四千億円東京都の法人事業税は伸びている。ですから、東京が今度は新宿に都庁を移す、これはいわゆる法人事業税の税収だけで十分賄えるなんというばかな現象が起きてしまっているのですね。大臣は茨城ですから、ちょっと失礼ですけれども調べさせていただきました。東京の都民税が六十三年度九千五百五十六億円です。茨城の場合には百五十二億円ですよ。茨城の人口は今は大体二百七十万ぐらいでしょう。仮に十倍にしたって千五百二十億円でしょう。東京は九千五百五十六億円。法人事業税では東京は一兆二千九百十二億円ですよ。同じことを今度は茨城で、事業税でいきますと七百四億円ですね。茨城なんかは日立があったりして割合と法人は優秀なところ、大きいところですよ。鹿児島なんかに至っては法人の住民税が六十四億円ですね。そして、法人の事業税が二百九十四億円ですよ。これじゃひど過ぎますよ。  その手がかりとして分割基準の見直しを早急にやられる必要がある。懇談会が持たれているのは去年の六月からですか、もう一年十カ月近くかかるでしょう。早急にやらなければならぬ問題が何でこんなに時間がかかるのですか。大臣の言っていることを現実に引き直すには、まず自治省が所管している税制構造の見直しを早急にやられるべきじゃないですか、どうですか。これは財政局長ですか税務局長ですか、大臣でもどちらでも結構です。
  24. 梶山静六

    梶山国務大臣 産業構造の変化に伴うそれぞれの地域間の格差のあらわれについては御指摘のとおりでございます。茨城一県の予算額と東京の増収分がちょうど匹敵をいたします。大変な事態になったわけでございまして、冒頭松田委員の質問にも答えましたように、過去二十年、二十五年かかって東京都税収入シェアが低下した分の半分をこの二年間で戻してしまった。そういうことになりますと、これから先さらにそういうことがあろうかと思います。その一番大きな原因は、やはり一極集中の原因をもたらした、重厚長大な産業から三次産業あるいは情報産業等をひっくるめたサービス産業、こういうものにウエートが高まり、特に金融や証券等の、いわば我々の言う、物をつくることの力の方が大切だと思ったのですが、そうではなくて、物をつくらなくても、物を動かすとか価値観の変化だけで所得が高まるという、私にはなかなか理解のできない状態が生まれているから今日を迎えてしまったわけであります。先ほど私が申し上げました、これまた多極分散の方式として譲渡益課税を減らしたらどうかというのも実は苦肉の策というか、もろもろ具体的に何らか一つ突破口にしてやってみたいということであるわけであります。  ただ、私が一番懸念をするのは、地方税収をふやしていかなければならないわけでありますが、何かこの地方税を見ますと、どうも全国的に普遍的な、均質的な財源がないような気がいたします。例えば法人事業税を見ましても、確かに工場や物をつくる、あるいは事業所のあるところに偏在をする。わずかに普遍的にあるとするならば住民税であるとかそういうものしかないわけでございまして、これも差がございます。それでも人間の住むところ住民税はあるわけでございますから、その意味ではむしろ普遍的な税源と言われるかもしれませんが、それ以外にはなかなかございません。ですから、むしろ私は、これは私見でございますけれども、国税の収入がふえる、先ほどのあれと同じで、地方の税金は減らす、国税がふえることによって、国税の三税であるか四税であるかは別として交付税として、我々が普遍的に調整能力を持ち得るような交付税制度の方がより望ましいのではないかという私の個人的な私見も持っております。  さはいうものの、最近急速に法人事業税、まさに一極集中が深まっておりますから、これも公的な席上で言っていいかどうかわかりませんが、自治省のしりをたたきと言うと大変言葉が拙劣なんでございますが、今見直しを懸命に急げということを言っておりますが、言うべくしてなかなかこれも、いざとなれば利害相反する問題が出てまいりますから、議論は余り長くやらないで、慎重にやって、公表される段階では一瀉千里にそういうものができることを期待しながら今督励をいたしておりますので、御賢察を願いたいと思います。
  25. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 分割基準の見直し問題は後で税務局長、大体いつごろをめどにされるのか。懇談会でもいいですが、結論をいつ出されるか。  そして、今大臣意見、私は大変力強く思ったのですが、梶山大臣自治大臣の間にぜひその分割基準の見直し、同時にそれに伴う法改正を、行う考えがあればする、そのくらいをタイムリミットにしてほしいと、思うのです。いろいろ意見があることは知っていますよ、中身が。それは東京都にとってみれば減ってくるわけですから。あるいは府県の段階でも格差があることは事実ですね。大臣、四全総にしても「ふるさと創生論」にしましても、あるいは多極分散型で遷都の問題にしましても、地方団体が言っているのはそういう条件を受け入れる基盤造成でしょう。基盤造成がなければ受け入れ先がないですよ。新聞で、大臣が行脚されて、譲渡税の関係で東京企業地方に、これはいい発想ですね。  同時にいま一つは、受け入れ側をどうするのか、なかんずく当面自治省で所管できるのは分割基準の見直しによる平衡交付的な要素を持った財源の再配分の問題というのがあると思うのです。ぜひひとつ、この間に積極的にその結論が得られるようにしていただきたい、こう思います。  税務局長、タイムリミットの問題だけちょっと教えてください。
  26. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 法人事業税の分割基準の問題につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、大臣からも急げというふうに督励をいただきまして、私どもも研究会の委員方々にできるだけ早く進められるようにお願いをしているところでございます。鋭意やっていただいていまして、ただ何せアンケート調査などの件数だけでも非常に多いし、企業にもいろいろ御迷惑をかけることなものですから、その答えの集まりぐあいというようなものも従来の部分を含めましておくれぎみだったというようなところもありますけれども、できるだけ急いでこれを進めたいと考えているわけでございます。当初は、大臣の御指示もありまして三月中くらいには何とか研究をまとめたいものだと思ってかかったのでございますけれども、ちょっとそれはかなわない、なかなかそうはまいらないとは思いますが、そういう覚悟で進めているところでございます。  それからこの問題は、もちろんその検討を踏まえまして、税制調査会等におきましても御議論もいただいて、そして税制改正ということになると思いますので、またどこかの年度改正という区切りのところでやらなければならない課題でございます。年度途中ということにはまいらないと思います。そういう意味におきまして、答えが出ましたらできるだけ早急にその対応を考えていきたい、こう考えているところであります。  それからもう一点、ちょっとつけ加えさせていただきますが、法人事業税についてはまさにそういうことでございます。先ほど御指摘の点は法人住民税の問題もあったのでございますが、法人住民税の問題はちょっと観点が違うのだろうと思います。これは委員御承知のとおりなのでございますが、こちらは応能的な負担である。しかも個人住民税は住所地で課税する、それから法人住民税の方は従業者数で案分するというような仕掛けになっているところに、地方団体の非常に納得がいっているという点もあります。それからもう一つ、法人住民税の方は都市的態様を持つ市町村の税金としてのウエートが非常に高い。これが事業税の場合は県と県との間の話でございますので、割合偏在論というようなことで納得のいきやすいところもあるのですが、都市的な税源充実ということは市町村の年来の主張であって、そういう側面も考えなければならない。いろいろな問題がございます。性質的にも違うということで、私どもは法人事業税の問題として鋭意取り組んでいる、こういうことが現状でございます。
  27. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 法人住民税の問題、いずれこの問題は交付税の議論のときに恐らく各委員からも出ることでしょうから、私はきょうは全体を通しまして基本的なスタンスのところだけ確認しておきたいと思うのです。  それから住民税の場合は、先ほど言いましたように、地方事業所が重厚長大と違いまして勤労者の数が減っていますから、そして本社機能というものが集中的になっていきますから、事業税の例の本社人口の二分の一をとるという制度のところなんかも、同時にいま一つは住民税の問題も、その辺も多少議論する余地があるな、私はこういう意見を持っております。  いずれにしましても、大臣、これは自治大臣の所管の中で早急に行うことですから、百万遍すばらしいことを言われても一つの事実行為がなければ国民は信頼いたしませんから、ぜひひとつお願いをいたしたいと思うのです。  さてそこで、次の問題は単独事業ですが、今年度予算の単独事業、直轄総事業費が二兆六千七百二十六億円、公共が八兆一千八百二十八億円ですね。そこで単独事業がことしも大変大きく張りついているわけです。ふるさと事業との関係は後で申し上げます。どうですか財政局長、ことしの単独事業、決算との乖離をどのくらい見ますか。推定でいいですよ。  例えば五十九年度の単独事業、修正額ですが八兆二千三百四十六億円、そして五十九年度の再修正決算額は六兆三千百七十一億円、マイナス一兆九千百七十五億円、七六%の乖離ですね。六十年度同じような計算をしますと、マイナス一兆七千五百六十五億円、七九%ですね。今年度、NTTの株の売り払い益が入りましたね。そうしますと、ことしの単独事業はいわゆる直轄ないしは補助事業と言われるその辺に勢い傾斜するのじゃないでしょうか。六十三年度の事業計画、地方の単独事業計画とそれを遂行される決算、もし決算があった場合はどのくらいの乖離を見込んでいらっしゃいますか。あるいは推定されますか。
  28. 津田正

    ○津田政府委員 財政計画と決算との乖離でございますが、六十年度まで整理されておりますが、委員御指摘のように、約一兆七千億ばかりまだ実績の方が下回る、こういうような状況でございます。この問題につきましては、地域振興、地域づくりという観点から単独事業を積極的に進めてもらいたいということで地方団体に指導しておるわけでございます。そういう意味で、過去に比べますとこの比率は、例えば五十八年では約二兆三千七百億程度の乖離があったわけでございますが、六十年度は一兆七千億まで縮まってきておる、こういうような状況でございます。  それで、六十三年度の問題としましては、地方財政計画では単独事業を一応一一一・六%伸ばしております。現在私ども承知しております都道府県の地方単独事業の当初予算におきます計上状況でございますが、東京を含めますと三三%程度当初予算で伸ばしております。先ほど来いろいろ御意見ございますように、東京がかなり特色的でございますが、東京を除きましても一九・八%、各県の予算では単独事業を伸ばしておる。やはりこれは、各県におきましても内需主導型の経済構造への転換、あるいは多極分散型国土の形成のための地域づくりというようなことの重要性を十分認識しておることかと思います。  そこで、反面におきましてNTT資金の活用による直轄公共事業ということもかなり行われるわけでございますが、この公共事業関係も消化し、かつ各都道府県は単独事業への意欲というものが非常に強い、うまくこなせるのではないか、そういうようなことを考えますと、この財政計画と決算との乖離の問題も、なお縮小の方向に向かうのではないか。また、反面から申しますと、都道府県は計画以上に単独事業を計上しておりますので、その財源問題につきまして、私ども個々の団体の財政事情を配慮いたしまして適切に対処してまいらなければならない、かように考えております。
  29. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、直轄事業は九・二%の伸びなんですよ。単独事業は、今お話がありましたように一二・六%の伸びですね。地方のいわゆる借金が相当重なっていますから、しかもNTTの株が事実上の補助金化されてくるということになりますとやはりそれに伴う事業に傾斜すると私は思うのです。  そこで先ほどの話と関係があるわけですが、地域の基盤整備というところに重心を置いて多極分散型の国土づくりをしよう、それに一番かかわり合いを持っているのは市町村ないしは地方団体です、都道府県を含めまして。そこの単独事業が必要なんだ、この事業はどうしてもやらなければうちはこういう企業を誘致できないという問題があると思うのです。もちろん私は補助事業の中にそれがないとは言いませんよ。しかし地方団体として見て最もやりたいと思うのは単独事業です。私は、単独事業の伸びが一二・六%であるがゆえに余計そこを心配するのです。今財政局長は、いや六十三年度の地方団体の計上額を見るとそれぞれ単独の公共事業関係を伸ばしておる、こういうお話ですが、これは予算で伸びても事実上やらなければ何にもならないわけです。決算で最終的には出てくるわけです。そういう意味では、その単独事業ができやすい条件、例えば起債の問題にいたしましてもぜひひとつ配慮すべきだ、考えていくべきだ、私はこう思うのです。  例のふるさとづくりに建設省が横やりを入れたという話を聞きまして、十兆のうちの千五百億ですからね。ふるさとづくりで六十三年度千五百億でしょう、あとずっと足していけば五千億になるわけですけれども。こんなところに、いやそれは交付税と対象事業の比率から見たら国がやる補助事業よりも多くなってそれは困るんだ、自治省からは建設省の方に召し上げなければいかぬなんてけちな話は余り乗らぬ方がいいですよ。それよりも本当の意味大臣がおっしゃるようにふるさとづくりをするなら、今単独事業をどう確保してやるのか。そしてその中にそれぞれの固有のふるさとづくりをどう位置づけてやるのか。そうでしょう。そしてそれを大きくカバーする意味で直轄事業と補助事業をどうするのか。こういう発想にならなければ多極分散型の具体的な実施になりませんよ。ひとつ単独事業は、この次の六十三年度の決算では私は期待いたしますが、八五%どうですか。そこで首をかしげなくていいよ、だめだよ。大臣、予算に対して、財政計画に対して八五%くらいの遂行率になる、決算額になる、決算の内容が国の公共事業ととり方が少し違いますけれども、そのくらいの率に上げるくらいの財政的な手当てをすべきだと思います。どうですか。財政局長でもどちらでもいいです。
  30. 梶山静六

    梶山国務大臣 具体的な問題に関しましては政府委員からお答えをさせますけれども、確かに漠然とした単独事業、これも受ける側というか地方自治団体側としてはやればやるにこしたことはないけれども、今すぐのこれによって誘導策なり具体的な効果が出ないということになりますと、国の補助事業に勢い傾斜をするということも今まで否めない事実であったのではないかなという気がいたしますし、このように公共事業を伸ばしてまいりますと財源のしわ寄せその他があろうかと思います。ですから、これから地方自治団体は意欲的に単独事業を、それは与えられるものではなくて自分ふるさとをどうすれば立派にできるか、いろいろな環境の変化を呼び起こすことができるかという意味での単独事業の選択をしなければならない。そしてそれができる問題に関しては間違いなく地方債その他で対策を講じていきますから、そういうものに本気になっていただきたい。  そして今御指摘がありましたように、このふるさとづくり特別対策事業、決して大きい金額ではございません。ただ財政指数の弱い市町村に対しては補助率を高めるというか償還のあれを面倒を見るということでございますから、一部の省庁に、あるいはひょっとすると私のところの事業が侵されるのではないかというような誤解もあろうかと思いますが、ここにもうなずいておる方もおいでになります。あるいは本当に知っている人は反対はしないのです。ただ何となくやみくもに、おれのところより補助率がちょっと高くなってとられるのではないかという、げすの勘ぐりという言葉はちょっと速記に載りますからあえて使いませんけれども、よくお考えを願えれば、どれとどれが国の補助事業で、その対象はどことどこに限定すべきだ、そして単独事業としてはどうすればいいか。これはあくまでも受ける側の地方自治団体が選択できる制度をつくればいい。上から与えるものでなければだめだとか、私の方、自治省が言うもの以外ではだめだというようなことではなくて、どうすれば本当に地方自治の振興がなされるか、受け皿づくりができるかという観点に立てば、おのずとこの帰趨ははっきりすると思いますので、その意味でもひとつお遍路さんのようなつもりで行脚をして、これから説得をしてまいりたいと思います。
  31. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、本音の話をしましょうよ。何か箱口令が自民党さんの方からしかれておるというが、やはり本音の話をした方がいいですよ。そうでないと、本当に地方団体を考える議論というのはここしかないのですから。  ふるさとづくりでも交付税の補正をやるでしょう。これは交付税のときに議論しますが、交付税の事業費補正を行いますね。その際なんかも十分吟味してもらって、できる限りできる条件をつくってやるということが必要だと思うのです。きょうは粗っぽい議論ですから、実は大臣と私は粗っぽい議論のところでは一致してしまうので困っているのですが、細かい議論になれば大分意見が違うのです。ここのところは明確にしておきます。しかし、いずれにしてもそういう気概を持ってやっていただきたい、こう思います。  次に、例の法定加算及び暫定加算、国側から見て地方財政が多少ゆとりがあるということも含めてでございましょうが、六十年度から暫定加算、法定加算それぞれ六十六年度以降に処理をするということになって法案が提出されてまいりました。私は、前回もこの交付税の議論の際にもありましたが、どうも本来地方に配分すべき額を国が勝手に調整財源に使ってはいけない、いわゆる交付税特会の借り入れの償還財源に充てるのはけしからぬという議論をしました。東京なんかもそうでしょう。この前、東京の場合の例の交通特別会計の返済三千億やりましたね。やはり東京都の交通特別会計は利子も高いし借金もあるし、したがって東京は比較的財源が先ほどの話で余裕といいましょうか、借金を返す余力ができたということでお返しになったわけです。地方だってそれぞれの高い利子で借りている縁故債などをこの際返したいというのもあるのです。それを国が先取りして、いやそれは交付税の特会の借金に入れます、こういう話は納得しませんよ。今度額がそれほど大きくなかったから、それでも大きいのですが、そういうことはなるべくひとつ避けていただきたいと思うのです。  そこで、法定加算と暫定加算、六十三年度は額でどのぐらいになりますか。時間の関係がありますから私が言いますが、法定加算額は六十三年度末計で五千二百六十九億円、それから暫定加算が八千四百四十億円、合計一兆三千七百九億円、そうですね。これはどうなりますか。法定加算はまさか削ることはないですね。暫定加算はどうなりますか。きょうは大蔵省は見えていませんか、大蔵省に先に聞きましょうか、わかりますか。――わかりませんか、それでは財政局長。
  32. 津田正

    ○津田政府委員 補助率カット等の問題に絡みます法定加算、暫定加算の数字は委員御指摘のとおりでございます。この問題は、これも予算委員会等でも議論がございますが、補助率カットの内容で投資的経費と経常経費それぞれその性格にかんがみて補てん措置ということも考えるべきじゃないか、基本的にはこの問題から出発しておるわけでございます。経常経費の補てんにつきましては、私どもも地方一般財源の増額によって補てんいたしたい、こういうような考え方、そして大蔵省と私ども、そして国会の法律におきましてもその半分だけは手当てができておるわけでございます。残り半分がいわゆる暫定加算という形で残っておりまして、これが今後の課題でございます。一応約束としましては、暫定期間終了後において自治、大蔵両省で調整することとしておるわけでございまして、私どもとしては最大限の努力をしましてこの問題を処理し、地方財政の運営に支障がないよう努力しなければならない、かように考えておるわけでございます。
  33. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、お聞きのように暫定加算については自治、大蔵の調整による、こうなっているのですね。これは何回かの覚書でそうなっているわけです。六十六年度以降、地方財政は、御案内のように交付税特会への借り入れの償還を含めまして膨大な返済計画があるわけです。したがって、そこまでにいわゆる腰だめをしておく、それも一つの方法でしょう。そして余裕があれば多少でも、例えば本年度の交付税で見られましたように返済をしていくというのも一つの方法としてうなずけないわけではないのです。問題は、暫定加算はその時期は調整をするという言葉ですよ。調整をするたびにその暫定加算は結局地方には返しません、いわゆる地方の借金財源に充てませんということになりがちなんです、今までここ十数年間。例えば補助金の一律カットでもそうですね。大臣、来年度からは期限が切れたわけですから恐らく補助金カットはないと私は思いますよ。思いますけれども、国の財政云々で再びそういう話が出てくる可能性というのは十分にあるわけですね。この暫定加算だってそうですよ。法定加算はまさか、これはもう法律上決まっていることですから、あったにしても、六十六年度以降ですか、それぞれ返ってくる金、償還する金との差し引き勘定になるかもしれませんけれども、暫定加算はその段階で調整をする。この中身を今から相当詰めておきませんと、その時期になってまさに暫定加算は暫定加算にならない、こういう現象が生まれるのじゃないでしょうか。  ここはこれから起きる現象ですから、これに対する大臣の決意をひとつここで聞いておきたいと思います。
  34. 梶山静六

    梶山国務大臣 暫定加算については各大臣の覚書も入っております。そして、まさに暫定加算と言われるだけで問題を先送りしていることは御指摘のとおりでございます。ですから、この暫定加算の問題をひっくるめ、あるいは国保の二年後以降をどうするか、あるいはこの補助率カットをどういうふうにことしの夏対処をするか、そういうもろもろの問題について、今それぞれ問題点の整理とそれは対応すべき方式、こういうものを内々自治省の内部で詰めさせております。私も不退転の意思で、地方財政計画に影響のないような方式、この暫定加算をしなければならなかった当時の状況をもう一回生々しく呼び起こしをし、その時代を再現をしてこの時期に対処をするような準備を整えてまいりたいと思います。
  35. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政局長もひとつ見解を述べていただきましょうか。
  36. 津田正

    ○津田政府委員 大臣が今御答弁申し上げたことに尽きるわけでございますが、若干個別的な私どもなりの問題意識というものを申し上げてみますと、例えば経常経費の財源としておりましたたばこ消費税の特例税率の延長というものも今後難しいわけでございます。もちろん補助率カットが戻ればよし、その場合どうするんだ。たばこ消費税の問題の特例税率の処理あるいは、このたばこ消費税は消費税の中でございますので、新しい消費税というものが生まれたときにどういうような取り組み方と申しますか、たばこ消費税との調整をやるのかどうか、そういうような財源の問題。そして、生活保護費とその他の経常経費の差というものがあるのかないのかとか、そういうような個個の問題点にも踏み込みまして現在勉強中でございまして、いずれにしましてもこの暫定加算の問題につきましても適切な結論が得られるよう努力してまいりたいと思います。
  37. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 適切なという言葉大臣の前向きなという答弁によく似通うわけでして、それは地方財源として確保する、そういう決意のもとに適切な措置をぜひひとつ講じてもらいたい、こう思います。  次に国保の問題。たまたま大臣から御答弁の過程でも出ましたが、国保の改定は厚生省といろいろ話をした結果今度の法案としてつくられたわけですが、厚生省の方に先にお聞きをいたしましょうか。この改定は厚生省が当初考えておったいわゆる国保制度の改革とは大変違うのですか。一言でいいです。大変違いますなら違いますでいいし、あるいは基本的なスタンスは同じですけれども中身が違うのです、こういう答弁でもいいのですが、御答弁いただきましょう。
  38. 加納正弘

    ○加納説明員 当初の案と基本的な問題認識は共通をいたしておると思いますが、具体的な葉の中身は相当異なってきておるというふうに考えております。
  39. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 基本的な考え方は大体同じです、しかし中身は違います、こういう答弁でした。それではこの中身の中で、これは大蔵省は先に聞きますが、例の交付税に加算される五百億というのがありますね。これは暫定期間中ですか、それともこれからは地方団体が負担する分の額はそれぞれ交付税に加算をするということを含めてこの内容は形成されたのですか。大蔵省、この問題ではいませんか。
  40. 津田正

    ○津田政府委員 今回の国保の見直しの措置は来年度と六十四年度二カ年間の暫定措置、このような格好になっております。そして、さしあたって金額の確定がしております昭和六十三年度におきまして五百五十億円ですか、交付税の措置をしておるわけでございます。このような方式で六十四年度も措置をしたい。ただし六十五年度以降の問題につきましては今後の検討課題、このように理解しております。
  41. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それでは基本的なところを一つお聞きだけしておきますが、この暫定という意味はどういう意味ですか。六十三年度、六十四年度の、例えば今言った五百五十億の加算額、これも暫定、あるいは新しい例えば保険基盤安定制度そのものも暫定、あるいは五項目ぐらい改正案がありますけれどもこれ全部含めて暫定、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。なぜかといえば、御案内のように六十五年度以降、健保から拠出しております例の老人保健法の改正がございますね。按分率がちょうど一〇〇%に到達した段階で保険医療関係全般の見直しをしよう、こういうものがあります。この一環としてこれはやるのですか。
  42. 津田正

    ○津田政府委員 今回の措置を六十三年度と六十四年度の二年間に限っております。ただし医療費適正化の問題につきましてはその後も続くというような形でございますが、基本的に六十三年度、六十四年度の措置としておりますのは、まさしく先生御指摘の老人保健按分率が一〇〇%になったときの事態、そして昭和六十年代後半のなるべく早い時期にという医療保険の一元化の問題、ここいらの展望を踏まえて六十五年度以降の措置は検討されるべきものである、こういうことで、今回の措置は六十三、六十四年度の二年間に限っておるわけでございます。
  43. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 時間がありませんから、まとめて私の意見を述べたいと思うのです。  この国保の改正は、国会でいえば社会労働委員会で議論をされる課題のようです。しかし、かつての自治、大蔵両大臣の覚書にありますように、補助金カットの際に、これからの地方と国との財政負担の見直しについては行わないというその覚書から見ましても、今度の場合、交付税で五百五十億円見たから云々という額の問題ではないと私は思うのです。いわゆる国と地方との財政負担の基本的な部面にかかわる問題でありますから。この部面から見ましても、当委員会でこの問題を議論しないわけにはまいりません。もし何でしたら、私は我が党を通しまして、できれば社労あるいは関係する委員会と連合審査を求めてまいりたい、実はこう思います。細かい内容はこれからいろいろ議論がありますから議論はいたしませんが、していただきたいものだ、こう私は思います。  二つ目に、今度の国保の改正の根幹あるいは必然性というものは、どうも私は希薄だと思うのです。確かに国の国保財政に対する拠出金あるいは地方団体の市町村の負担が多くなることを都道府県まで拡大する云々はありましょう。ありましょうが、もしそれをおやりになるならば、医療制度の全般的な改革をどうするかというときに行うべきであって、この時期は、何か財政のつじつま合わせのような形で問題提起をされるべきではないと思いますよ。  それから三つ目には、都道府県が今度はお金を出しますけれども、都道府県がそれでは医療制度に対してどのような提言ができるのか、ないしは改革についてどのような意見を表明する、それは諮問委員会とか何かはあるでしょうけれども、厚生省が所管する医療制度そのものの根幹にかかわる問題について、都道府県団体が物を言う機会というのはないですよ。したがって、やがては、例えば福祉医療制度などにつきましてもこの制度で足りるのかどうか、これは省令が出なければわかりませんけれども、もし平均医療費をとりまして、それから積み上げる部分をさまざま変えていくことによって都道府県の負担額は変わってくるわけでしょう。実際に負担が起きるのは五十五年度からで、今度のこの案では負担額は出ておりません。あるいは福祉医療制度もそうですし、それから高額医療の問題についてもどうなりますか。高額医療の問題は先ほど言ったことですね。平均医療費プラス加算されるものを省令でどう決めるかによって医療費負担額は変わってきますね。それから、今言いました地域差調整もそうです。さらに、今御説明がありましたように、交付税にカウントする、こう言いますけれども、百四十億円は不交付団体はそのままかぶるわけでしょう、などなどを考えてまいりますと、この国保の改定問題は、単に今自治省と大蔵省が決めた範囲内で話を詰める問題ではない。基本的なスタンスは厚生省が当初掲げておりました地方団体の負担が大体三千億円ないしは三千二百億円とも言われておりますけれども、その中を縮小してある部分だけが今度出ているわけですね。それは三千何百億円になる可能性も秘められているわけですから。したがって、そういう点から見ますと、今度の国保の改定問題というのはまさに国民総医療体制にかかわる問題として問題の審議をしていかなければならないと思うのです。  時間が参りましたのでこれ以上申し上げませんが、やがて細かな問題については交付税の問題やあるいは地方税審議の過程で出てくるでありましょうけれども、しかし、私は今度の国保の改定問題は単なるこれだけの範囲内での議論としておさめるのではなくして、国保の体制、健保の体制あるいは老人医療の体制、退職者医療制度の問題、さまざまな課題をひっくるめて議論をした中で結論を得られる問題、そういう位置づけをしませんと、あるいはそういう議論を私どもはしなければ、単なる今度の問題だけで負担転嫁が少なくなりましたでは済まされない問題ですよ。したがって、当初申し上げましたように、この問題は各委員会との連合審査をぜひ私どもは要請をしたい、こういう気持ちであります。これは委員会の問題ですから、委員長の方にぜひまた我が党を通しましてお願いすることと思いますけれども、よろしく御配慮をいただきたい、こう思います。
  44. 津田正

    ○津田政府委員 今回の国保問題の取り組み方でございますが、まさしく国保というものが、被用者保険や何かで救い切れない方々に対する最後の医療保険の支える場所、こういうような性格を持っておる関係上、老人の構成比が高い、また無職あるいは低所得者というものの階層を多く抱えておる、そのために医療費水準が高い、あるいは保険料水準がもうほぼ限界に来ているのではないか、こういうような観点からの議論でございます。したがいまして、今回の措置というものはやはり暫定的、当面のことでございまして、基本的問題というものは残されたもの、このように考えております。  今後におきまして、国保制度、それだけじゃなくて医療保険制度全般的なあり方につきましては、地方団体意見というものを十分反映するような仕組みという議論の場も考えておるわけでございまして、基本的、抜本的な改革という問題は今後の課題としてさらに取り組んでまいりたい、かように考えております。
  45. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 終わります。ありがとうございました。
  46. 松本十郎

    松本委員長 中沢健次君。
  47. 中沢健次

    ○中沢委員 きょう私の質問時間は大体三十分ぐらいでございまして、短時間でございますので、二つぐらいのテーマに絞りまして質問をしたいと思います。  その前に、三月一日の衆議院の本会議におきまして、我が党を代表いたしまして質問をいたしまして、とりわけ大臣の方からいろいろな御答弁もいただいたのでありますけれども、率直に申し上げて、本会議、極めて慎重な御答弁に終始をしておりました。先ほど来いろいろ答弁を聞いておりますと、うわさのように非常に率直な梶山節と言っていいと思うのでありますが、そういう答弁が出ておりますので、私は、先ほどの加藤委員と違いまして新人でございまして、当委員会の質問は二回目でございます。当を得ているかどうかわからない質問もあると思うのでありますが、ひとつ率直な御答弁をまずお願いをしたいと思います。  あわせまして、私自身は北海道の夕張の出身でございまして、かねてからそういう構造不況に悩む自治体の財政問題につきまして、そのてこ入れについていろいろな立場で御要請をしてまいりました。先般、特別交付税六十二年度の配分が決定をされたわけでございますが、内容的には産炭地あるいは構造不況の自治体にとりまして一〇〇%満足はしていないと思うのでありますけれども、いろいろな配慮の跡が数字の中にもあらわれておりまして、関係の首長からいろいろ、大変助かった、こんな話なんかも寄せられておりますので、かわりまして大臣あるいは関係者の御配慮に改めてお礼を申し上げておきたいと思います。  さて、第一の問題でありますが、まず大臣にお尋ねをしたいのであります。本会議でも申し上げましたが、産炭地や鉄鋼や造船、いずれにしても国際競争力の問題でありますとか、あるいは円高等々の問題がありまして、構造的に大変な不況が押し寄せておる。私の夕張もそうでありますが、実は昨年一年間で炭鉱から失業した方が全国でおよそ七千名に上っております。一人一人の住民にとりまして、長く働いていた職場から人員整理という名のもとで退職をする。大変せつない思いをする。再就職もままにならない。関係の自治体にとりましては、そういう人たちの福祉の問題や生活の問題について当然責任があるわけでありまして、一方では歳入が具体的な形で大幅に削減されてくる。しかし行政サービスでいいますと、なかなか思うように行政サービスを縮小するということにもなっていかない。こういう非常に構造的な問題があると思うのですね。  ひとつ基本的に大臣の見解をお尋ねしたいのでありますが、この種の構造不況の自治体について言いますと、基本的にはやはり国の産業構造転換という政策の犠牲をこうむっているのではないか。ですから、かねてから申し上げておりますように、そういう市町村についてはやはり自治体の財政について今まで以上の、相当程度の具体的なてこ入れが必要ではないか、このように私は考えておりますが、大臣の基本的な所見をまずお伺いしたいと思います。
  48. 梶山静六

    梶山国務大臣 党の用務でございましたけれども、夕張の爆発の事件では実は私も夕張を訪問いたしまして御慰労を申し上げたことがございます。そして私の選挙区も実は常磐炭鉱と言われる高萩、北茨城を含む地域でございますので、産炭地の御苦労はよく承知をしているわけであります。ですから、お答えをする前に、石炭というのは果たしてこれから日本の中で中枢的なエネルギーを占めることができるのかどうなのか。これだけ円高になる前でも外国炭と比べてみますと大変高い、ですからエネルギー政策は転換をすべきだということで大分私は党内の反感を受けたことがございますけれども、これは避けて通れないことだ。世の中で自然の経済の原則を無視して幾ら保護政策をとってみても、いずれの日か流されてしまう、そういうことを考えますと、好むと否とにかかわらずそういう転換は自然のうちに行われるべきだという持論を展開をしていたのでございますが、残念ながらというか、急速、大幅な円高のために石炭産業が押し流されつつあることは御案内のとおりであります。  ただ、行政的に言えることは、この激変をどうやって緩和するか。いい悪いじゃない、政治のあるゆえんのものは、そういう急速、大幅な変化に地域社会をどう順応させてあがるか、これは大切なことでございます。ですから、産業構造転換の犠牲と言うとやや大げさではないかという冷静な議論を私は申し上げるわけでありますが、世の中で、世界の中の産業構造の中で、どうしても耐えられないものを政治の力や行政の力で抑えることが果たしていいのかどうなのか、こういう問題がございます。これは苦しいけれどもひとつ委員御是認を願いませんと、これからの政策展開が場合によっては封建社会に戻ってしまうのではないかなという気が私はいたします。  ただ、そういう転換のさなかにあって、この激変をどうやって緩和し、新しいものに対応していくためのつなぎを行政的にも、特に財政その他の問題を通じて対応しなければならないという感じがいたします。御指摘の石炭や造船、鉄鋼、それぞれの地域で大変な構造不況を招いていることは私もよく承知をいたしております。そういうものが新たな転換ができるように、産業政策の上からも努力をしなければならないし、いわゆる行政という我々の持てる権能の中でこの激変緩和の措置を最大限は講じて、住民の不安をなくし、将来に展望を持っていけるようにしてまいりたいと思います。
  49. 中沢健次

    ○中沢委員 今大臣の方から基本的な考え方が示されまして、私の持論であります産業構造転換の犠牲論については少しく見解が違うようでありますが、これは、私は衆議院の石炭対策特別委員会にも所属をしておりまして、そちらで今までもやってきましたが、また改めて通産大臣などとも議論をしてみたいと思います。ただ、現実問題としていろいろな問題はついての情勢が急激に変化をしておる、そういう中で自治大臣としては激変緩和の大臣としてのとるべき措置はついてはひとつ万全にやりたい、こういうお答えでございますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  そのことを前提にいたしまして、具体的な問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、実は私は昨年の七月二十八日に、議事録も持ってきておりますけれども、初めてこの委員会で質問させていただきました。あの当時は産炭地の補正問題について取り上げて、当時の大臣や財政局長の方からもいろいろ御答弁をいただきました。その際に私は産炭地の実態をいろいろ申し上げまして、その補正について見直しをしてはどうかということと、あわせまして、北海道に限らず全国的に造船、鉄鋼が構造的な不況に陥っている、産炭地と同じように人口が急速に減少している、そういうところについても何らかの財政的な措置が必要ではないか、こういう質問を行いまして、それなりの検討をするという御答弁をいただきました。  その後、自治省の方としては、九月に省令が改正になりまして、既にこの前の委員会でほかの委員の方も質問されておりますけれども、いわゆる地方交付税の投資補正のナンバー四ということで、人口急減の自治体は対する全体的な交付税の算定の補正を行いました。改めて六十二年度のこの補正の内容について、具体的にどういうことをやったのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  50. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 人口急減地区の財政措置につきまして、ただいま御指摘の点を含めまして種々検討したわけでございますが、その結果、六十二年度はおきまして最近年次の国調人口がそれ以前の国調人口よりも減少している団体につきまして、その減少数の一定割合を復元しようということはいたしまして、従来からそれら人口減少団体の基準財政需要額が急減しないように緩和措置を講じているわけでございます。  それを具体的に申し上げますと、国勢調査の時点以後急激は人口の減ったところに対しまして投資補正の四というのをその他の諸費の人口でつくりまして、それで具体的な基準財政需要額の算定をしたわけでございます。
  51. 中沢健次

    ○中沢委員 具体的にということでは余り具体的でなかったのでありますが、以前に私がいただきました資料によりますと、この補正の第四におきましてやった中身というのは、全国で六十年の三月の住民登録人口と六十二年の三月と比較いたしまして五%以上減少する、それで人口に対して一人四万円という単価をもって補正をした。全国的な規模でいいますと、十七市町村が対象になりまして、金額でいいますと三億一千二百五万円、このような現実だというふうに聞いております。しかも、残念ながらこの中で北海道が十七市町村のうちに八市町村対象になっておる。そして金額では、約三九%に該当いたしますが一億ちょっと対象になっている。この現実を私は見まして、せっかく補正の第四でやっていただいた、ある意味での自治省の誠意はわからぬわけじゃないのですけれども、余りにも補正の数字が小さいのではないか、率直にそういう感じがするわけなのであります。  そこで具体的に聞いておきたいのは、人口減五%という線引きあるいは一人当たり四万円という算定の根拠、これは特別な理論といいましょうか理由というのがあるのですか。それともおよそこの程度の規模にナンバー四の補正を抑え込む、そのためには技術的に五%だとか四万円だとかという数字になったのかどうか、率直にお尋ねをしたいと思います。
  52. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 五%という数字は、人口減少の市町村の中でも特に著しいのではないかということで一定の線を引いたところが五%という数字になったわけでございます。また四万円という数字につきましては、これらの市町村におきまして人口急減によって不要となる公共施設の除却でございますとか、あるいはその施設に係る起債の繰り上げ償還などの財政需要等が生じるわけでございますが、そういうものを勘案をいたしまして四万円という数字を決めたわけでございます。
  53. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、六十二年度は既にそういう措置がされておりますから、今さらこの段階で修正をするということはできないというふうに私は現実的に思います。問題は六十三年度、つまり来年度どのような形で展開をするか、これが非常に大事ではないかというふうに考えるわけでございまして、実は三月一日の本会議の代表質問にもそういう趣旨でお伺いをいたしまして、大臣からは、六十三年度は内容の充実について各方面からいろいろな意見を聞いて検討したい、こういうことでございました。そこで、実は私は北海道の実態をいま少しく申し上げて、六十三年度のこの制度の具体的な充実についてぜひお願いをしたい、このように考えるわけです。  実は二月十七日に全国市長会が全国の都市の人口動態の発表を行っておりまして、新聞ではベストテンというふうに言っておりますが、私はあえてワーストテンというふうに言わざるを得ないというふうに思うのです。人口が減ってベストだというふうにはだれしも思わないと思うのです。ところが、残念ながらこの数字を見ますと、ワーストテンの中で私の出身の北海道が七市含まれている。つまり、それだけ石炭や鉄鋼や造船やあるいは農林水産、そういう産業でいかに北海道がいろいろ政治的な犠牲をこうむって、結果的に人口が急激に落ち込んでいるか、数字は雄弁でありまして、そのことを端的に示していると思うのです。あるいは他の都府県でも造船の瀬戸内あるいは九州産炭地、同じような傾向でございまして、これはやはり産炭地補正でありますとかあるいは投資補正のナンバー四程度の規模であれば、非常にまだ多くの問題を残すのではないか。したがって、一人当たり四万円なんという単価ではなしに、もっと言いますと交付税では十兆の交付税の配分をするわけでありまして、仮に三億というのはわずかに〇・〇〇三%しか枠としては持っていないわけですね。余りにも少ないのではないか、そのことを強調しておきたいと思うのです。  六十三年度をどうするのか、具体的に見解をお示しいただきたいと思います。
  54. 津田正

    ○津田政府委員 六十二年度の交付税措置につきましては、先生方の御意見も含めまして検討しました結果、あのような急減補正というものを設けたわけでございます。六十三年度はおきましてもとのような措置はやはり必要ではないか、かように考えております。その場合、いわゆる統計数値のとり方、人口の急減率というのをどの程度は押さえるか、あるいは算入額自体の見直しということを当然考えてまいらなければならない、かように考えます。ただ、この急減補正というもののほかに一般的な交付税措置をとっております。そこいらと、際立って重要緊急の課題でございます産業構造転換に必要な地域、そういうものを取り上げておるわけでございまして、一般的な急減補正と今回の投資補正四、そこいらの連結と申しますかその点も十分考えなければならない、かように考えております。  いずれにしましても、六十三年度の交付税の算定は今後検討課題となるわけでございますが、御指摘の補正の問題につきましても十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  55. 中沢健次

    ○中沢委員 大臣からも決意のほどを聞きたいのでありますが、時間がございません。もし時間があれば一番最後のところでまた大臣の方からも所見を聞いておきたいと思います。  テーマの第二に移りますが、労働時間短縮の問題、とりわけ地方公務員の週休二日制の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に大臣にお伺いをしたいのでありますが、日本の労働時間は国際的に見まして、とりわけ先進諸国と言われている国に比べますと異常と言っていいほど長時間労働である。具体的な内容は一々申し上げませんが、そのように国際的にも非難を受けている、こういう事実。それからもう一つは、同じように公務員の労働時間について言いますと、国際的な比較というのは地方公務員の場合は残念ながらデータがございません。国家公務員の場合のデータがございまして、人事院の調査によりましても、全体の労働者と同じように国家公務員の労働時間も世界的に見ると非常に長時間である、こういう事実が既に把握をされ公表もされている。こういう事実についてどういう認識をお持ちか。  そして、最近はいわゆる外圧というか国際的な摩擦がいろいろなところで発生をしている、その犠牲が石炭であり、最近は北海道の農業、貿易の自由化、このように私はつながってくると思うのでありますが、そういう国際摩擦を回避する意味でも、これからどのように自治大臣としては国内の労働者の労働時間あるいは公務員の労働時間を短縮される考え方をお持ちか、基本的にその所見をお伺いをしたいと思います。
  56. 梶山静六

    梶山国務大臣 中沢委員御指摘のとおり、日本の勤務時間が先進諸国に比べて長いことは官民ともに共通をいたしておりますし、また外圧と言っては大変言い方がオーバーかもしれませんけれども、こういうものの改革をめぐって貿易収支やその他にも、あるいは内需の振興にも役立つ方式を考えるべきだというふうに思っております。  現在の日本の国家公務員の勤務時間は、四週五休制の実施により週四十八時間となっており、地方公務員についても国との均衡を失しないように定めることとなっております。一方、諸外国は完全週休二日制の実施等により週四十時間を下回る国が多く、これらの国に比べて我が国の公務員の勤務時間は長くなっているとの認識を持っております。ただ、このような事情は民間労働者についても先ほど申しましたように同じであり、今後官民一体となって時間の短縮を進めなければならないというふうに考えております。
  57. 中沢健次

    ○中沢委員 次に、労働省の方からも関係者がお見えでございますので、労働省の方にお尋ねをいたします。  さきの国会で労働基準法が成立をいたしまして、この四月から全体的な時間短縮にずっと入っていくわけなのでありますけれども、実は労働省が六十年の白書で公表されておりますが、一つの想定として、完全週休二日制が日本全国の全労働者は制度として適用されたということを前提にいたしますと、約五兆円の内需の拡大につながる、あるいは雇用創出は五十万人だ、このように言われております。それについて、六十年の公表についてはそれなりによくわかるのでありますが、最近の、六十二年ないし六十三年の傾向がもしわかればそのことを、わからなければ、六十年に発表されたこういう想定が間違いない内容なのかどうか、これが一つ。  それともう一つは、いろいろ聞きますと、労働時間短縮推進政策会議、これはいろいろな関係者を全体的に網羅をして既に発足をしている。本格的な労働時間の短縮に向けて、労働省としてはこれを一つ審議の場としていろいろ関係者の意見を聞いて、できるだけ早く結論を受けて労働省としての時間短縮の労働行政を展開をする、こういう話を聞いておりますが、この二つにつきまして事実関係を教えていただきたいと思います。
  58. 澤田陽太郎

    ○澤田説明員 お尋ねの前段につきまして私の方から御説明申し上げます。  一昨年の労働白書で試算いたしました基本的な考え方をまずお話ししたいと思います。  週休二日制の推進が余暇関連の活動時間をふやす、これを家計面から見ますと、余暇関連の消費支出の増大をもたらすという関係がございます。これを統計的に見ましても、余暇関連支出は勤労者の所得と休日、休暇日数と大変相関が高いということになっております。こうした関係をベースにいたしまして、先生御指摘のように、現在完全週休二日制の適用を受けていない勤労者がすべて完全週休二日制に移行した場合にどれぐらい消費支出がふえるか、これを計算いたしましたところ約二兆八千七百億円になります。この二兆八千七百億円が国民経済計算ベースで最終需要として生じた場合、どれぐらいの各種産業への生産増加効果あるいはそれに伴う雇用増加効果があるかを産業連関表ではじきましたところ、御指摘のように生産額で約五兆でございます。それから雇用増加ベースで五十万人という数字が出ました。これは一つ前提がございまして、完全週休二日制に移行しても勤労者所得は同じであるという前提でございますから、余暇関連支出がふえた分、他の消費支出が削減されているという可能性がございます。ということで、若干この数字は幅を持って見た方がよかろうと思いますが、間違いなく言えますことは、時間短縮により消費関連支出が相当ふえるということは間違いございません。  その後、近年時点でこうした推計は行っておりませんが、ほぼ同様の結果が、最新時点でやっても出るものと想定されます。
  59. 畠中信夫

    ○畠中説明員 先生御質問の後段の部分でございますが、労働時間短縮政策会議につきましては、今月の三十日でございますが、第一回の会合を持ちたいと考えております。先ほど先生御指摘がございましたように、労働時間の問題と申しますのは単に労働条件だけの問題ではございませんで、やはり広く家庭生活、国民生活一般に及ぼす影響というのは非常に多うございますので、労使のトップを初めといたしまして各界の有識者を集めてそのような会議を持ち、広く国民的なコンセンサスを形成いたしたいということをねらいといたしております。約一年をかけまして、来年の春ごろにはそのような趣旨の、骨太の提言をいただきたいと考えておる次第でございます。
  60. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、自治省の方にお尋ねをいたします。現在、地方公務員の場合はいわゆる四週六休という、月二回休日、こういう制度が試行ないし具体的な本格実施に入っているのでございますけれども、私がいろいろ聞きましたところ、四週六休の試行以前に、かつての四週五休も実施されていない、そういう自治体がかなりある、このように聞いておりますけれども、その事実について簡単に御答弁願います。
  61. 芦尾長司

    芦尾政府委員 三月一日現在で私ども速報をとっておるわけでございますけれども、四週五休制の試行にまで至っていないという団体が現在では六・二%ぐらいに縮まってきております。それから、先ほどお話がございました四週六休制の試行状況でございますけれども、本年の三月一日現在でございますが四九・二%、約半分ぐらいになってきておる、都道府県はもう既に一〇〇%実施をしている、そういう状況でございます。
  62. 中沢健次

    ○中沢委員 余り時間がありませんのではしよりますが、大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  今労働省の方からも、来年の三月をめどに労働省として責任ある骨格的な一つのものをまとめたい、国際的な問題は先ほど指摘をしたとおりです。ところが、肝心の地方公務員の場合は、全体的に非常にテンポがおくれているというふうに指摘をしたいわけです。といいますのは、既に大臣御承知のように、四月十七日から国家公務員については四週六休制を本格的に全国的に実施をする、これはもう確定済みの話なのですね。それから見ますと、四週六休の試行、本格実施を含めてまだ半分程度と、非常におくれているというふうに率直に思うわけです。しかも、つい最近の新聞によりますと、六十四年の二月から金融関係、銀行関係あるいは郵政省を含めまして完全土曜休日、こういう方針を、トップの段階でありますが固めている、そういう状況もあるわけです。  私が聞いておりますのは、自治省の公務員部の内部に週休二日制問題の研究会を設置している、こういう話なんでありますけれども、どうもこの動きが私どもとしてはよく見えない。つまり、せっかく国家公務員が四月十七日から具体的にスタートをする。全体的には来年の二月、民間の金融部門が郵政省も含めてやる、こういう状況の中で、このままのテンポであれば地方公務員の週休二日制は実態的には非常に大幅な立ちおくれになるのではないか。ふだん民間準拠だとか国公準拠を言っている自治省にしてはこの辺がちょっと片手落ち過ぎないか、こういう感じを率直に持っておりますので、その辺についての大臣としての決意。  それから、先ほどもう一度聞きたいということで、例の六十三年度の人口急減自治体に対する財政的な補正の問題について大臣の決意、あわせてお願いをしたいと思います。
  63. 梶山静六

    梶山国務大臣 まず冒頭に労働時間の短縮の問題でございますけれども、御案内のとおり、地方自治体は住民との窓口業務、窓口行政というものが一番大きなネックになろうかと思います。国との均衡あるいは民間との均衡を失しないようにやらなければならないわけでございますが、まずもって住民の理解を得ることが大切でございますので、住民の理解が得られるならば制度改正をひっくるめて前向きに検討しなければならない。そしてそれが貿易摩擦の解消や内需の振興に役立つ、先生御指摘のとおりの効果もあるわけでございますから、検討を重ねていかなければならないと思います。  なお、先ほどの交付税の算定基準の問題でございますけれども、政策課題のいわば重点傾斜配分については、これからも前向きに勉強をして結論を得たいと思っております。  それから、お許しをちょうだいしますが、先ほどお答えをした中で、四週五休制の実施により週四十三時間と申し上げるべきところを、四十八時間と申し上げましたので、訂正をさせていただきます。
  64. 中沢健次

    ○中沢委員 時間が参りましたので終わります。
  65. 松本十郎

  66. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 遷都論だとか分都論だとか、きょうは連都論というのをいただきました。さまざまな議論が花盛りであります。しかし、一体なぜ東京一極集中をしたのか、こういう深い分析と反省といいますか、そういうものに立ってこれからの対策を立てていかなければいけないと思うわけです。  三全総で地方定住構想というものが出た、あるいは自治省でもさまざまな地域振興策をおとりになられた、あるいは地方自身も最近で言うと一村一品であるとか、みずからもいろいろと努力をしてきた。しかし、そういう構想の意図と反して、結局は東京一極集中というものが依然としてやまない。やまないどころか、加速されてきている。一体なぜそういうことなんだろうか。それはさまざまな産業構造の変革だとかいろいろなことがあるには違いないが、私なんかが感ずるのは、やはり一番大事なのは地方分権の思想でないか。これはいつでも言われるのでありますけれども、実際にはなかなか思うように進んでいかない。私は、この辺のところに今の国土の計画における非常に重大な欠陥といいますか、忘れられている点があるのではないかというふうに思うわけなんです。臨調の場合もいろいろな御苦労をなされて、国鉄だとかNTTだとかさまざまなことが議論され、成果を上げたとされているが、どうも地方分権という点については、これは総論では言われるのだけれども、実際にはちっとも手が打たれてきていない。  この間、細川熊本県知事が経済審議会で、彼も委員のようでありますが、このような趣旨のことを言っているのですね。経済審議会の検討課題に、地方での居住環境の向上、農林水産業の活性化があげられているが、「はっきりいわせてもらえば、よけいなおせっかいだ、そんなことは一生懸命それぞれの地方でやっている。それより、五八年の行革審でいわれたように、教育とか社会保障とか、身近な行政はできる限り地方公共団体に任せることをぜひ具体的に進めてほしい」「一言でいえば、地方への権限の委譲、財源の適正な配分。これに尽きる話です。遷都とか分都、一省庁一機関もいいですがそんなことよりも思い切った地方への権限の委譲、財源の配分こそが実質的な遷都につながるはずです。」こう言っているのですね。私は同感なんです。これは私の方の北海道の横路知事なんかも同じようなことを、時間がありませんから読むのは省略いたしますが、いずれも知事なんかはそういう気持ちを持っておられる。  まさに地方分権こそ実質的な遷都だ、地方分権こそ多極分散の道だというふうに私どもは思うのでありますが、この点についての大臣の見解をお伺いしたい。
  67. 梶山静六

    梶山国務大臣 冒頭、一極集中の原因は何かということがございましたけれども、長い経緯は別といたしまして、江戸時代の参勤交代制度に始まった、いわば江戸、東京経済的あるいは政治的な優位性、こういうものに大きな起源があろうかと思います。  しかし戦後、先輩の政治家方々行政官の方方が一生懸命それぞれの地域を立派にしようという努力を払ってきたことは二全総でも三全総でも見られるとおりでありますから、先ほどお話を申し上げましたように、東京自身は膨張を続けながらも、東京税収自身は過去二十年、三十年平均してそのシェア地方に譲ってまいったわけでありますから、その意味での多極分散というか、地方分権というのはある意味経済的に成功しつつあったのではないかと思います。  しかし、ここへ来て急速に一極集中の波が深まったことは何があるかといいますと、やはり一つは、貿易摩擦に象徴されて何とか内需振興をしなければならない、ところが財政が硬直化し財政出動することができない、よって規制緩和をして民活、民間の活力を応用しようということでありますと、民間の活力の応用できるのは経済の原則に従います。ですから、どうしても東京のように経済性のある、集中のメリットの生ずるところ、ここにいわば民活と言われるものの力が集中をした。そのことによって多少貿易摩擦の解消や内需の振興には役立ったけれども、結果として残ったのは一極集中という弊害が今顕著にあらわれている。そして地方が雇用の場すら失うような産業構造の大きな変化によって今社会問題になっている。こういう冷厳な現実は直視をしなければならないと思いますし、今までも公は懸命な努力をして一極集中を排撃しながら地方の振興を図ってきたことは現実であります。  ただ、その流れの力が、一極集中民間の力の方がはるかに大きかった。それに比べてみると公の努力がやや、というよりははるかに足りなかったたために一極集中という弊害が出たわけであります。細川知事の日本経済におけるあの投書も読ませていただきました。まさに胸のすくような快論でございます。  しかし、確かにこの一極集中というか、なぜ起きたかというと、やはり戦前の富国強兵策あるいは戦後も早く諸外国に追いついて日本行政水準を高めてまいりたい、それには画一的な均質した行政サービスを行うことで、言葉の表現がいいかどうかは別として、中央集権がずっと強くなってきた。この現実によって、確かに日本はある一面で、日本全国どこへ行ってもおおむね均質化をされた行政サービスを受けられるような、均質化した能率化のある、国も地方も通じての行政サービスを受けられるようになったわけでありますが、ここまで参りますと大きな曲がり角だ。それはやはり民主政治の根幹は地方自治にあるのだ、そうすればその能率化、効率化という反面に、むしろ多少非能率であっても手づくりの、もうちょっと独自のカラーのある地方自治体の形成を目指すべき時期に来た。  それと、今まで観念的に地方分権とか地方分散という言葉が言われましたけれども、これは原則論であります。今こうやって一極集中が深まって地方に雇用の場やその他で大変むなしい思いをさせるような事態がありますと、これは今度は手法論として、手段論として分権をしなければやっていけなくなった。  ですから私は、今までそれぞれの先輩の方々地方分権やいろいろなことを叫んでこられたわけでありますが、効果がなかったとは思いませんし、これからちょうどそういう意味社会的な需要というか変革の時期に差しかかったわけでありますから、政治家もあるいは民間もひっくるめてそういう声が大きくなれば、その方向のきっかけができるのではないかという期待を持っておりますので、これから一生懸命になっていわば地方振興、多極分散という言葉、私は余り好きな言葉じゃないのですが、中央から眺めた表現で多極分散と言われるかもしれませんが、いかに地方を立派にするかということのためにお互いの知恵を出し合ってまいりたいと思います。
  68. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 地方分権、これは今も大臣のお言葉にもありました。観念的にはそういうお話をしてきた。しかし実際には、機関委任事務の問題を一つ見ても、なかなかそれは思うようには進んでいかぬ。大臣所信表明でも、私も正月の市長会の機関誌の「市政」なんかも読ませていただいて、大変そういう点では力説なさっていて結構なんですが、しかしどうも見たところ、歴代の総理もそうでありますし、自治大臣もまさに観念的には総論ではそうおっしゃるんだけれども、具体的にはなかなか進んでいかぬ。それの具体化を図るなんというお言葉も実は「市政」なんかの中には出てきているのですが、では一体今年どういうような具体的な分権策をとろうとしているのかということになると、どうもお伺いしている中では思うようなものが出てきてない。ぜひひとつ今の大臣のお話のように頑張ってほしいというふうに思うのですね。そうでなければ何ぼ遷都論を言っても一極集中はとまらない。今の大臣のお話のとおり、そういう勢い、それを上回るようなエネルギー地方分権の側で持たなければそれは抗し得ないのでありますから、どうぞ今までのような概念的なお話ではなくて、ひとつ頑張ってほしい。心からお願いを申し上げたいと思うわけです。  そこで、その一つなのでありますが、よくこれもおっしゃられることで、国と地方というのは車の両輪だ、歴代おっしゃられるわけだけれども、僕もそのとおりだと思う。しかし問題は両輪をつなぐ車軸の問題。国側から見て地方に対してはさまざまな国の意思を貫徹する仕組みというものはあるのだけれども、しかし地方の方からその考えを国に一体どう反映させていくか、そういう国政に参加するシステムということになると、これはほとんどないわけですね。これがいつでも地方側では議論になる。今のようにまた実際の仕事を地方が大きく担当していかなきゃだめな時代になってきますと、これはやはり国におかれても、地方の言い分というものをよく聞くような、そういう制度というものを持つ必要が出てきているのではないかというふうに思うわけなんです。  そういう点では、例えば地方制度調査会でいうと、第十七次と第二十次に答申の中でそれが述べられている。これは時間がありませんからちょっと読むのは省きますけれども、具体的に地方制度調査会総理に対して答申をしているわけですね。それに基づいて、過去でいうと昭和五十六年に一遍自治省はそういう国政参加に関するシステムというものを考えた、提案権のようなもの、それからその提案を受けると国側はそれをやらなければいけないという一つの義務のようなものまで入れて当時まとめたわけですね。我々も非常に期待した。ところが、いよいよということになりますと各省庁が反対をいたしまして、結局は日の目を見なかったわけです。非常に残念なことだ。この当時の議論、本委員会でもいろいろな議論があったわけですが、当時も自治大臣は、しかしひとつこれから必ずやっていきたいと思う、今回は残念だけれども近くやりたいと思う、こういうようなお話があったわけなのでありますが、しかしその後第二十次の地方制度調査会の答申にもかかわらず、これが日の目を見ていない。今回、自治法の一部改正案が出ているわけでありますが、しかしこの中にも出てきていない。どうもわからないのですよ。十七次、二十次で答申を受けて自治省はやる気になっている。なぜ一体出なかったのか。事前に各省への十分な根回しをして議論をして、そういう作業をしたのかどうか。これらの経過については、以前五十六年のときには随分我々の耳に入ったのでありますが、今回の場合には余り耳に入らない。どんな作業と努力をなさって、そして結局は実現することができなかったのか、そこのところを聞かせてください。
  69. 梶山静六

    梶山国務大臣 具体的なことについては政府委員から答弁をさせますけれども、一つはやはり地方分権なり地方の財政の拡充がストレートにいかないというのは、国も縦割り行政の中で必ずしも総合一体性が完全にできているとは申しませんけれども、地方自治体、各都道府県あるいは市町村、それぞれよって立つ基盤が千差万別であります。それだけに自分の要求事項を絞り上げることができないといううらみを持ちます。  ですから、むしろやるならば、これからは選択的な分権論、私の県はこれが欲しい、私の県はこの権限が欲しい、私の町は、私の市はといって、それぞれ違った権限の要求があってしかるべし。ですから、選択的な分権論に立たない限り、原則的な全般分権論というのは、言うべくして、私のところでは実は欲しくないんだということもあるわけでありますから、そういう意味でもうちょっと地方自治体が勇気を持って、よく私は知事会でも市長会でも町村長会でも申し上げるのですけれども、表現が悪ければこれまた訂正をいたしますが、いわば土民軍が中央に押し寄せるような思いで、何とかその団結を強固にして中央に要求を突きつけるぐらいの思いにならないと、言うべくしてでき上がりませんよ、いわば両輪の真ん中を結ぶものが自治省であるかもしれませんが、自治省は残念ながらそれだけの力がない、ねじれてしまう、だから皆さん方が補強をしなければなかなかそうはまいりませんよという話をよく申し上げるわけでございます。これは中央から全部やるといっても、今の縦割り行政の中では自分の権限を縮小することには残念ながら消極的であります。長く先輩が築き上げてきた一つの伝統でありますが、そういう思いがございます。  今回の地方自治法の改正でもそれぞれやりますけれども、各省庁との合議をしなければ各省庁に関連をすることは残念ながらできません。ですから、横並びでは私は残念ながらそういうことはできないと思うのです。内々私は竹下総理にも、これから内閣の調整権能、統合権能をもっと強めなければいけない、場合によっては行き過ぎだと思われるようなことを考えなければ地方と中央との分権やその他の問題もうまくまいりませんし、各省庁間の縦割り行政の弊害も矯めることができない、そういうことを今提言をしておるのですが、荷重く道遠き感がいたします。
  70. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 お尋ねの地方公共団体の連合組織の意見提出権につきましては、おおむね五十嵐先生が御指摘になりましたような内容の原案をつくり、各省庁と折衝いたしたのでございますが、残念ながら今回も成案を得るに至らなかったのでございます。しかし、私どもまだあきらめておりませんので、今後いろいろな機会努力をして実現のために精進してまいりたいと考えております。
  71. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、それじゃ今回どれだけのエネルギーを実際にこれに費やしたかということになると、我々の仄聞しているところでは、どうも五十六年のときのような情熱を持ってこれに各省庁と取り組んだというようなことは聞いていませんよ。どうも忘れてしまったのではないかという感じたね。ぜひひとつなるべく早い機会にお取り組みいただきたい。これは大臣、後でちょっと見解をお聞きしたいと思います。  それから、関連してひとつ要望しておきたいと思うのです。これはちょっと古い私の調査なんですが、政府関係の審議会、私が調査したときには二百十七。何年か前です。今回聞いてみたら二百十二だというから、当時から見ると五つ減った。これも二百何ぼあるものですから、それこそ行革で減らしていかなければという議論もあったようですが、なかなか減っていないですね。しかし、このうち自治体に関係の深いものが、私の見たところ三十二ある。この三十二の審議会の構成は、七百六十四人の委員はよってつくられているわけです。このうち自治体関係者はわずかに三十七人、五%ですよ。つまり二十人に一人しかいない。これは地方に非常に関係の深い審議会ですよ。私はかねがね思うのですが、どうも審議会の委員構成について地方軽視だ。中央の官僚のOBだとか企業だとか、企業も入れることは結構ですが、やはりもっと地方を入れなければならぬ。そして地方意見を、殊に地方にかかわりの深い審議会では十分に聞いて、それを盛り込んだ答申をそれぞれ大臣等に提出することができるようにしてほしい。これもぜひ大臣、閣議等で一遍提案してほしい。昔のままでこんなことを続けていてはうまくないと思うのです。御意見があれば……。
  72. 梶山静六

    梶山国務大臣 私も審議会の中身については実は精査をいたしておりません。まだそれだけの勉強もいたしておりませんが、お聞きをするともっともだなという感じもいたしますが、必ずしも地方自治体方々だけがいいということでもございますまいし、それぞれの観点の中で地方自治に対する理解を深めていくことがよろしいかと思います。それから、地方自治体関係者の定数が決まっているわけでもございませんので、閣議で申し上げるというより、それぞれ任命をすべき時期に、人選について、例えば自治省が関係をすれば自治省が意欲的にその方々の人選を申し上げる、そういう努力を払うことによって審議会の構成メンバーをかえることができると思いますので、これから先生の御提案をひっくるめて地方重視ができるような努力を払ってまいりたいと思います。
  73. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 大臣、こういうところに僕が指摘をしたいのは、総論では言うけれども各論になったらだめだということですよ。これはだれが考えたって、こういうことじゃおかしいなということになるわけですよ。今まで、僕もほかの機会でもこういう議論をちょっとしたことがあるのですが、もう少し各論について、これは一つの現象ですが、しかしこういう一つ一つの面についてやはりちゃんと直していくということを、殊に大変エネルギッシュな梶山大臣にそれを期待したいということで申し上げているので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。  時間がなくなってしまいまして恐縮なんですが、ことしも財源不足額は大変なものだ。もちろんそれぞれ特例的な措置はしているけれども、三年間、過去二年と六十三年度の予算案を含めて財源不足額は、六十一年が一兆四百二十八億円、六十二年が二兆二千三百二十八億円、六十三年が一兆五千九百三十六億円、三年間合計すると四兆八千六百九十二億円であります。これの財源不足率、つまり普通交付税総額に対する不足額の率、これはそれぞれ何%で、合計すると一年平均幾らになるか、その数字だけちょっと言ってください。
  74. 津田正

    ○津田政府委員 地方財源不足額の比率でございますが、六十一年度が一一・四%、六十二年度が二五%、六十三年度が一六・三%、加重平均をいたしますとこの三年間で一七・五%の財源不足になる、このように考えております。
  75. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 地方交付税法の第六条の三の二項、ここで御承知のように「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」こういうぐあいになっているわけですね。いつも議論になるところでありますが、この場合の「引き続き」ということ、それから「著しく」というところ、これも解釈はきちんと出ておるところではありますが、改めて端的に、どういう意味であるか述べていただきたいと思います。
  76. 津田正

    ○津田政府委員 地方交付税法六条の三第二項に該当する事態ということにつきましては、昭和二十九年以来国会等で応答がされておるわけでございまして、財源不足額が普通交付税総額におおむね一割程度以上という状態が二年度続き、また迎える三年度というもの以降も同様な状況である、このような場合が六条の三第二項の事態と解釈しております。
  77. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 にもかかわらず、過去三年間こういうことになっている。もうちょっと先を見てみる。過去五年で見るとどうなる。昭和五十九年の不足額は一兆五千百億円、六十年が五千八百億円。今のような計算で不足率を計算しますと、五十九年が一八%の不足率、それから六十年は六%の不足率、こうなりますね。ですから、過去五年間という長さで見てみましても一五%を超える不足率になる。さっきの地方交付税法六条の三の二で言うと一割を超える場合でしょう。しかも過去二年で、三年以降もどうもそういう見通しになりそうだというときは制度の改正もしくは率を変えなきゃいかぬ、こう言っているわけです。これは明らかにそういう状況じゃないですか。そうではないなんて言える状況じゃないでしょう。どうですか。
  78. 梶山静六

    梶山国務大臣 御指摘のようにこれから続くであろうという想定をされるかもしれませんけれども、通常収支は均衡しており、暫定措置とされているいわば補助金カット、このことによって起きている現象でございますから、これをてこに、ことしの夏、何とか国庫補助負担率のカットをはね返そうと思っているやさきでございますので、今これを私の口から言うことは戦術的にも失敗をいたしますので、ぜひひとつ御理解を願いたいと思います。
  79. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 その前に、これはやはり明らかにそういう状況の極限に来ている。まあ、そういう状況でありますとはなかなか言いづらいのかもしれませんが、しかし明らかにそういう極限の状況にあるということは言えるでしょう。どうですか。
  80. 津田正

    ○津田政府委員 確かに先生御指摘のとおり、この三年間で一割程度以上というものは超えておるわけでございますが、その中身は補助率カットというものが大部分でございまして、これを外せば一割にも達しない。この補助率カットが六十三年度限りとしておるわけでございますので、六十四年度以降なくなれば地方財政は健全化の道を歩めるだろうと考えております。
  81. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そこなんですね。補助率の一律一括カットというものが続けられてきている。これが六十三年で終わることになっているわけですね。これは終わればお話しのように、我々は極限を超えておると思うけれども、終われば変わってくるのかもしれぬ。しかし、終わらないでこの補助率カットが継続されるような状況になれば、基本的に制度の改正あるいは率を変えるというような措置は必要になる。そういう状況だということについて大臣も異論はありませんね。
  82. 梶山静六

    梶山国務大臣 原則としてそのように理解をいたしております。
  83. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 もう時間が超えました。大変厳しい状況でありますし、どうか大臣初めひとつ頑張って地方分権を進めていかれますように心から期待をいたしまして、質問を終えたいと思います。どうもありがとうございました。
  84. 松本十郎

    松本委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ────◇─────     午後四時四分開議
  85. 松本十郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草野威君。
  86. 草野威

    ○草野委員 初めに竹下総理の「ふるさと創生論」と地方自治の問題につきまして大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  総理の「ふるさと創生論」を拝見いたしますと、このような一節がございます。「まず国のほうが発想を変えなければならない。一つの基準や前例にあわせて地方の計画を審査するのではなく、個性ある計画、独自の特色を持った地域開発のほうを優先的に取り上げる」このように述べられております。しかし、実態はもう大臣も御承知のとおりでございまして、必ずしもそうではないわけでございます。あくまでも国が主体であって、独創的な計画があれば国から金をつけてあげよう、こういう従来どおりの中央集権型であろうかと思います。しかし、憲法が宣明する地方自治の本旨という思想はそうではないと思います。地域政策地域固有の歴史、習俗、人情等を重んじ、住民の知恵で住民の手により住民のために行うものでなければならないと考えます。このためにも「ふるさと創生」はまさに権限、財源の地方移譲を思い切って実施することから始めなければならない、このように考えるわけでございますが、大臣の御所見をまずもってお尋ねをしたいと思います。
  87. 梶山静六

    梶山国務大臣 総理の「ふるさと創生論」、実は一読はさせていただきましたけれども、残念ながらまだ総理と突き詰めた討論を率直に言っていたしておりません。恐らくこれをいたしますと三日も一週間もかかることかもしれませんが、私が読んだり、あるいは総理とお話をしている間に感じますことは、今委員御指摘のとおり、やはり中央から与えるものではなくて、地方のいわばわき出るがごとき意欲と発想それに努力、そういうものと中央があるいは権限や財源をそれに向かってどう移譲しながらお手伝いをするか。そういうものが両々相まって「ふるさと創生」というものはでき上がると私は思いますし、今までのどちらかというと中央集権から地方の画一化を求めた潮の流れ、これに対して別な流れがこれからつくり上げられなければ本当の意味での「ふるさと創生」というのはございませんし、そういうものがこれから浮かび上がってくることを我々も期待し、そういうものを誘導するために我々が何をなすべきか、地方はまたどう思いをいたすべきかというふうにこれから検討を重ね、苦吟を重ねなければならない問題だと理解をいたしております。
  88. 草野威

    ○草野委員 竹下内閣誕生に当たりまして大きな役割を果たされたと言われる大臣でございますので、その理念、考え方、行動、もう一心同体、このように私も考えておりましたので、以上のような質問をさせていただいたわけでございます。  引き続きまして、今度は大臣自身の「多極分散型国土の形成のための措置について」、いわゆる梶山大臣地方誘導法私案なるものが新聞等で出ておりますけれども、これにつきまして私もまだ中身を見たわけではございませんけれども、このポイントだとか、これの構想実現に向かっての大臣のお考え、こういうものをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  89. 梶山静六

    梶山国務大臣 私個人でもろもろの考えがあることは否定をいたしませんが、自治省としてこれを取りまとめてその構想をつくり上げたわけでもございません。ですから、一政治家として、あるいは総理を助ける国務大臣として、今の一極集中から多極分散型の国土形成にはいかなる手法を用いるべきか。まず自治省として所管の中で取り組み得るものは、きょう前段も質問がございましたけれども、いかに立派な受け皿をつくるか。それには今前段で言われた権限や財政力をつける、自主財源をいかに付与するか、こういう全般的な問題が大切でございますけれども、それにも増して地方のいわば創意工夫を生かせるような、率直に言うと単独事業をどこまでやれるか、そういうことでございますから、いわゆるふるさとづくりの特別対策事業というものがきっかけになって一つ地方の意欲というか具体的な、何をどうするかというために、手段としてそういうものが使えるかどうか。  それから、まだ確然たる思いは恐らくでき上がってないと思うけれども、これは自治省の計画でもあり、地方自治団体の切なる願いででき上がろうという過程にあるわけでありますが、いわゆるふるさと財団的なもの、これが地方自治体の財源を持ち寄る形で、これに国が何らかの対応をすることによってノーハウを蓄積をし、そこで企業あるいは事業あるいは団体、そういうもろもろの構想をいかに地方に誘導するか、こういうものができればいいなという感じがいたします。ただ、やってやれないことはないという気がいたしますけれども、総合行政でございますから、各省庁が全部反対の中にそういうものを行うことが果たして得策かどうか、こういう問題も考えなければなりません。そして、地方がそういう受け皿をつくったとしても、やはり中央から大きな押し出しの力がなければこれも実を結ばないわけでございますから、例えがいいかどうかわかりませんが、幾らクモが糸を張ってやがてかかるのを待ってみてもなかなかうまくまいりませんから、そこにはにおいづけもしなければならないし風も回さなければならないし、またそういう具体的なキャッチできる企業団体機能をどうすればその地方に持っていくことができるか。いわば極端なことを言いますと、東京でなくてもいい機能あるいは東京からこれから分椎をしようというか分割をしようとする機能企業、あるいは行政機能もひっくるめてでございますが、どうやればそれが地方に出ることができるか。  ですから、公の分野でいえば、その出す機能には二つあると私は思います。一省庁一機関というものに象徴されるように、中央の機関が地方に出ることによって、一つ地方というものに対する自治体にはない地域的な分権ができるかどうか、あるいはこれをさらに推し進めて遷都論、分都論、展都論、連都論が展開をされるものかどうか。それからもう一つは内容上の問題で、先ほどからお話があるいわゆる権限をいかに地方に移譲するか、自主財源をどれだけ移譲ができるかという内容的な問題、これが公の方でございます。  また民間側でも、先ほどこれも加藤委員の質問にお答えをいたしたわけでありますが、今企業東京でなくてもいいと思っても、私のある友達の企業土地を売れば黙って百億になる。私の地元へ帰って買えば、五千万も出せば優に何倍も広い土地を買えるわけであります。今東京にあって手狭になった、建物は古くなった、新しい機械の展開を図りたいという企業もあるわけであります。残念ながら、そういうものが地方に出ていくという現実のことを考えますと、今私たち地方からは東京に何とか出張所を持ちたい、支店を持ちたい、情報のキャッチをするだけでもいいからといって地方からどんどん東京へ集まることが常態でありますから、東京から地方へ出ていくというのはいわば都落ちであります。しかも、現実的な利害を考えてみますと、およそ土地なんかの譲渡をいたしますと、過半のものが譲渡益課税でもって取られてしまう。やがて東京に舞い戻ることすらできない。そういうことを考えてみますと、もうちょっとそういうもので誘導策ができないものかどうか。  これは自治省の権限ではできません。ですから、総理にも、あるいは内閣の調整権能を生かした官房長官にも、あるいは大蔵大臣やそういう取りまとめをやっている国土庁やその他にも、私は自治大臣としての立場を離れていろいろな御提言を申し上げたり、これからの展開についての御協力を申し上げている段階でございますが、残念ながら政治家個人としては御理解をいただけるのですが、長い長いしきたりというか縦割り行政の中では、権限を移譲することはその役所にとっては致命的なことがございます。ここに役人の方もおいででございますからそうは言いませんけれども、優秀な官僚でございますが、たった二つ民間と違うことは、一つは時間の概念、金利の概念がどちらかというと薄い。それからもう一つは、我我民間人は予算を減らし、人を減らし、効率を上げれば立派な職員、社員と言われて出世をするわけでありますが、役所で一局、一課をつぶし、定数を減らした局長や課長は、恐らく未来永劫にあのやろうの時代はとそしりを受けるような習慣があるわけであります。  ですから、そういう心構え、よって立つ基盤から直しませんと、なかなか言うべくしてできないなということがありますけれども、とにかくさいの河原の石積みかもしれませんが、懸命にやることによってそういう成果を得たいと思いますし、今まではこれまた原則論であったわけでありますが、さらに一極集中が深まって我々の地域にそれぞれの危機感がある、それから中央行政の中でも、このままでいいのかという反省はおよそだれしも理解をし共感を得るところであろうと私は思いますので、思い切ってここで、まさに与野党一体になってそういう行動を起こすならば、その実現も不可能ではないという気がいたしますので、御協力のほどを心からお願いを申し上げる次第でございます。
  90. 草野威

    ○草野委員 大変すばらしい大臣の御構想を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。ただいまのお話を伺っておりまして、いずれにいたしましても、地方の意欲、それから創意工夫、こういうものを大臣としても積極的にバックアップしていきたい、こういう大臣の熱意というものは非常に感じたわけでございます。  そこで、もう一点伺っておきたいわけでございますが、今度は地方から東京など大都市を見た場合の点でございます。先日の朝日新聞の社説にこういう記事が紹介されておりました。これは日本海沿岸の市町村の住民意識調査というものでございます。簡単です。まず第一は、現在住んでいるところを住みやすい、このように感じている人が八一%いらっしゃる。それから東京、大阪等の大都市、こういうところに住みたくないという人は八八%いらっしゃる。それから太平洋側との格差を感じる、こういう人は八一%。その理由は何かというと、これという企業が少なく働き口がないというのが三五%ございました。私もこの調査を読みまして、これは本当にいわゆる裏日本日本海沿岸に住む方々の思いが端的に表明をされているんじゃないかな、このように率直に感じました。  そこで大臣に伺いますけれども、こういう地方の活性化にとって最も必要なことは今何だろうか、端的にひとつお答えいただきたいと思います。
  91. 梶山静六

    梶山国務大臣 それぞれの観点というか側面によって違うかもしれませんが、委員御指摘のとおり、予算委員会の冒頭でも与党質問にございましたけれども、東京は働きやすいけれども住みづらい、そして地方は住みやすいけれども働きづらいというか生活しづらい。それは両面があろうかと私は思います。ですから、地方という表現がいいかどうかわかりませんが、東京を除くその他の地帯、それぞれ純風美俗がございまして、美しい自然もある、麗しい人情もありますから、住んでは住みやすいけれども、今御指摘のように雇用の場が少ない、あるいは若い者が魅力を持って勤め得る場所がない、やむを得ず中高年齢層が愛するふるさとに懸命な努力を払っているという状況でもございますから、ただ一つを挙げろと言われますと、私はやはり雇用の場、そういうものをつくり上げることが、地方に定着をし、希望を持たせる第一の原因になるのではないかな、平板的なことを申し上げましたけれども、そういう思いがいたしております。
  92. 草野威

    ○草野委員 今度はふるさとづくり財団の問題でございますけれども、自治省は現在構想をしておりますが、この財団の構想とか、それから新規事業ふるさとづくり特別対策事業、これは先ほどの「ふるさと創生論」を資金的にまた融資面的に支援をする制度、このように考えてよろしいわけでございますか。
  93. 梶山静六

    梶山国務大臣 先ほど、大臣としてというか政治家としてはふるさと財団的な構想があることが望ましい、しかし各省庁の御理解も得なければならないということでございますので、いまだ公的な場所で発表いたしておりませんが、私個人としては、ふるさと財団的な構想はぜひ実現をしてみたい地方振興の大きな柱であるというふうに理解をいたしております。  四全総の基本である東京一極集中の是正と多極分散型国土の形成を図るためには、このままでは東京一極集中がますます加速をされるおそれがあるので、東京集中をしている機能や、これからも東京集中しがちな機能をできるだけ地方分散するよう、地方においては地場産業の振興や雇用の場の確保、土地等の資源の有効活用等の総合的な施策を官民一体になって進めることが肝要だと思っております。そのためには、国の縦割り施策とあわせて、地方地域を単位とした横断的な施策、いわば縦軸に対して横軸の施策が必要だというふうに感じておりますので、地方公共団体の創意工夫のもとに実施できるような積極的な支援体制を組みたい、このような考えのもとに誘導策を講じてまいる必要がある。その一環として、民間事業活動等の積極的な展開を図るために地方公共団体地域振興の必要性またはその可能性を主体性を持って判断し、諸般の支援措置を講ずることができるようにするのがいわば今回のふるさと財団の構想でもあるわけであります。地域の主体性と創意工夫を主軸とした地域づくりを進めるという、これは四全総の思想にもかなったものでありますので、多方面の御理解が得られるように目下懸命な努力を払っているところでございます。
  94. 草野威

    ○草野委員 今大臣がおっしゃったように、この財団構想についてはぜひとも実現をしてみたい、その意欲については我々も大変買っているわけでございます。  そこで、我々が最近伺っているところによりますと、非常に強い反対論がある。それを要約しますと、こんなようなところですね。一つは、議会制民主主義との関係ほどうなっているのか。それから国の政策金融体系を乱す。それから既存の政策金融と重複し、屋上屋を架すものだ。また制度上、起債や利子に対する交付税措置に問題なしや、こんなようなところにどうも集約されるようでございますけれども、こういうようなことに対しまして、大臣として何か反論がございましたらひとつこの場でお聞かせをいただきたいと思います。
  95. 梶山静六

    梶山国務大臣 行政的な反論につきましては後で政府委員から答弁をさせますけれども、確かに今お述べになられましたような反論、これは今までの発想からいえば当然出てくることだと思うのです。そして今までの行政の仕組みからいえば、そういう批判をする方は、そういうものがある意味で基準を変えるというか、破壊をするようなおそれを持っていると思うのです。  先ほど私が申し上げましたように、私は今までの縦軸社会というか、中央省庁から各縦軸で地方自治体にいろいろな意味での関与や助成や援助や補助、そういうものが行われてきたことを否認するものではございません。しかし、こういう縦軸社会地域社会というのを見ますと、あるいは通産省も、あるいは農林省も建設省も、各省庁が思い思いの自分の得手とする分野で権限の許される範囲内で地方の振興を図っているわけでありますから、総合的な全般の計画を組むことは残念ながらできておりません。ですから、いわばクレーターのように穴があいた中央の施策をどうやって埋めていくか、あるいはそれを連帯させていくかというのは横軸的な発想がなければできないわけでございますから、横軸社会地方自治体がみずから考える権能についてはみずから発想していいはずだ。そういうことを考えれば、自治省が発想するということではなく、地方自治体がその問題を本当に発想し具体化すれば、その願うところに向かって中央省庁はいかに協力をするかという手法があってしかるべきだ。  ですから発想の転換をしませんと、なかなかこの問題、割り切ってくれといってもいわば権限、縄張りの争いではないかとすら、今までの批判を聞きますとそういうことすら言われるわけでございますから、この横軸社会地方社会のあるべき姿というものをもう一回各省庁に御理解を願い、それこそまさに政党政治でございますから、政治家がその先頭に立ってそういうものの蒙を開いていく努力をこれから払ってまいれば、必ずそういうことが実現できるのではないかなという期待をいたしております。
  96. 津田正

    ○津田政府委員 ふるさと特別事業あるいはふるさと財団の構想につきましては、各省庁いろいろな意見がございまして、先生御指摘の点もあるわけでございます。議会制民主主義に反するのではないか、何か法律制度を定めなければならないか、こういうような議論もございます。  ただ、私どもは今回の構想自体が、地方団体が自主的な努力、自主的な知恵というものを出していく、しかもいわゆる草の根の民主主義と申しますか、地域住民に一番近い地方議会で予算の審議あるいは起債を起こすことについての審議がなされるわけでございまして、むしろ地元住民に密着した議会制民主主義考え方という趣旨が強いのではないか、かように考えております。  それから、国の政策金融体系を乱すのではないか、あるいは既存の政策金融と重複するのではないか、こういうような観点でございますが、国の面では確かに国土政策的な意味あるいは産業構造的な意味でのそれぞれの課題を抱えて、それぞれの金融体制というものも組まれておるわけでございます。ただ残念なところ各省庁縦割りというようなことで、地域の側に立ってみますと、いわば地域に即した、地域の実情にぴったり合ったような格好での施策の連携というものがなかなかできない。これをむしろ横軸の観点におきまして、こういうようなふるさと財団というような構想での低利資金の融資というものが必要と考えておるわけでございます。私ども、国の政策金融を妨害するとか、あるいはその役割を無視するということではございませんで、国の政策金融と相協力し合いまして地域の活性化に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから地方債につきまして、民間資金に貸す部分の利子を地方交付税で補てんするというのはおかしいではないか、こういう議論も確かにございます。実は、このような考え方制度というものは、既にまちづくり特別対策事業あるいは地域経済活性化事業等におきまして地方団体地方債を起こして事業を行う、それに後追いで交付税措置をするというようなことはやっておるわけでございます。これはいわば公共施設部門の整備でございます。このふるさと財団の方は、地方民間活力を生かすために低利資金を準備する、それの財政負担を地方交付税の措置によりまして財政力の弱い団体でも地方民間資金を導入できる、こういうような趣旨を盛っておるわけでございまして、決して交付税措置として邪道なものではない、このように考えております。
  97. 草野威

    ○草野委員 では次に、政府機関の移転問題についてお尋ねをしたいと思います。  この問題につきましては、現在官邸主導、こういう形で進められているというふうに伺っておりますが、伺うところによりますと、四月には締め切りをして七月には閣議決定をするんだ、こういうようなことを新聞報道で聞いております。そこで、この移転候補の第二弾選定作業、各省庁の調査票なるものの締め切り日、これが実はきょうになっておるんだというふうに出ておりました。したがって自治省におかれましても、政府機関の移転問題につきまして、この調査票をきょうは提出をされたのかどうか。もし提出をされたのなら、どのような機関を候補に挙げているのか、ここら辺のところをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  98. 持永堯民

    ○持永政府委員 いわゆる省庁移転の問題でございますけれども、初めのころは一省庁一機関というようなことも言われておりましたけれども、今の時点におきましては、今先生御指摘ございました調査票なるものは、いわゆる地方支分部局、それから研修機関、試験研究機関、大学、特殊法人、これらに該当するものは全部の機関について調査票を書いてくれというような話になっておりまして、したがって一応全部の機関について検討の対象にはしていく、最終的に果たして全機関が移転するかどうかというのは今後の検討課題だと私どもは思っております。といいますのは、移転の財源の問題もございましょうし、あるいは機関によっては移転できない、業務上できないという問題もございましょうし、あるいは移転の効果という問題もありますから、そういった総合的な観点から七月ごろまでの間に種々検討して、実際に移転していくものをその中から選んでいく、こういうことになろうと思います。  そこで、該当するものを全部出せということでございますので、自治省といたしましては該当するものは三つございまして、自治大学校が一つございます。それから特殊法人で公営企業金融公庫がございます。もう一つ、同じく特殊法人で消防団員等公務災害補償等共済基金というものがございます。この三つが対象になっておるわけでございますので、この三つについて調査票を提出いたしたわけでございます。
  99. 草野威

    ○草野委員 官房長のお話を伺っておりますと、調査票についてはきょうまでに提出をされた、候補については自治大学校を初め三つの機関について提出をした、こういうことですね。とりあえずはこの三つだけで終わりですね。話を伺っておりますと、確かにいろいろ難しいと思うのですけれども、この移転ということにつきまして余り積極的じゃないんじゃないかなという感じもなきにしもあらずなのです。  そこで、それはそれとしてちょっと大臣に伺いたいのですが、これも新聞記事で読んだもので大変恐縮でございますけれども、この省庁の地方移転という問題について大臣が閣議の席上でこういうように発言をされていらっしゃる。「国会や行政機構全体をどうあるべきかという大方針をまず明確にすべきだとして、現在のやり方を「本末転倒」として、省庁の地方移転を批判する意見を述べた。」こういうような記事が出ておるのですね。どうも我々としては、竹下総理が先頭に立ってこの省庁移転という問題を今積極的に進めておられる中で、まさか梶山大臣がこれを批判するようなことをおっしゃるわけはないとは思ったのですけれども、実は新聞にはこういう記事がちゃんと出ておるものですから、きょうはぜひとも大臣の真意を伺っておきたい、このように思ったわけでございます。  それで、これもひとつお答えいただきたいと思うのですけれども、省庁移転の問題と、それからもう一つ、今もいろいろ言われている首都移転の問題、この問題については別個に離して検討する問題なのか、あわせて検討しなければならない問題なのか、大臣はどのようにお考えになりますか。
  100. 梶山静六

    梶山国務大臣 過般の閣議のものが新聞に出ておったことでございますが、内容的には大分話が違います。私が記者にコメントしたわけではございません。  ただ、今の一省庁一機関、これはまさに象徴的に、東京になくてもいい、あるいは窓口業務を完全に持ってない、そういう分野のもの、今一省庁一機関というものに言われる地方移転のものはそういうものですから、積極的に進めることがまず政府の姿勢を示すもとであろう。それから第二弾、第三弾というものを考えるのには、第二弾ぐらいまでは、そういうことですから東京になくてもいい、あるいは東京で窓口業務を持たない、あるいはそれほど深いあれがないところのものは第二弾でも私は出せると思うのですが、それ以上のものを大きく考えるのには、私はまずもって行政機関の移転を図らなければ本当に東京一極集中が抑制できないのかどうか。  それから権限論でもそうでありますが、例えば建設省で言うと、他の省庁のことを言ってはいけませんけれども、関東地建は東京にあることが望ましいのかどうなのか。あるいは中部地建や東北地建がございますけれども、それに思い切った予算の配分権、そういうものを全部、国と地方ということではなくて、国の出先機関に中央が分権をしていくことによって事実上建設省の機能を小さくすることができる。ですから、総合的ないわば立法権であるとか予算要求権だとかそういうものを中央省庁が把握をして、やがてできれば今本省で行っている河川の細目にわたるまで河川局がやるということではない、道路局がやるということではない、あるいは東北地建が、そういうものの総合的なおよその調整は本省でいたすとしても、そのままアセンブリーで渡せば、その中で予算分配ができる、事業の執行ができるということになりますと、機関の、建物の移転よりもはるかにそういうものが能率的に作動するであろう。ですから、ある時点になれば、あるところまで私は行けると思うのですが、ある時点にまで行けばそういうものを考えないと、実際の多極分散なり機能分散というのはうまくいかないのではないか。  ですから、いずれかの機会、きょう私が申し上げることが適当かどうかは別としてと、こういうまくら言葉を添えて言ったのでございますけれども、やがてはそういうものを考えないと、明年度以降どうすればいいか。今線香花火的に一省庁一機関移転をすれば終わってしまうのかという懸念があるので、大きな方針をお互いにこれから考えなければなるまい、こういうことを申し上げたので、そういう記事が、聞き方あるいは発表の仕方、言葉というのはお互いにこれは誤解を招くもとでございますけれども、さりとて言わなければならないという気持ちに駆られて発言をしたことは事実でございます。
  101. 草野威

    ○草野委員 大臣がおっしゃったように、単なる建物の移転よりも権限を地方に移譲することが大事である、このことは非常に大事なことでございますので、私も心にとめておきたいと思います。  そこで、省庁移転問題が出てから各地方団体から誘致合戦といいますか、これが非常に華やかでございます。こういうことが無原則に行われるようなことになりますと、これはまた非常に混乱を来すようなこともあって、要らぬ心配をしているわけでございますけれども、やはり自治省が地方の立場に立って何らかの原則の上に立って交通整理的なことを考えるべきではないかな、こんなことも頭にあるわけですが、いかがでしょうか。
  102. 持永堯民

    ○持永政府委員 御指摘のように省庁移転問題が出ましてから、いろいろなところから誘致合戦のようなことが行われておるわけでございますが、これは現在の段階では移転先等についてもまだ全く未定でございますし、まずは各機関の持っている性格からしてどういうところに行けるかということもございますし、個別の機関ごとにその性格を判断しながら検討していくべきものだと思っております。  この問題について、今関係各省集まって相談しておりますけれども、中心は総務庁、大蔵省あるいは内閣国土庁というところでございまして、ここらが中心になって移転先も含めて検討いたしておるわけでございます。自治省が調整役になったらどうかという御指摘でございますが、現実問題として移転先の土地もおのずから限度がございますので、いずれにしてもその中心になっておる四省庁でもって地方団体の誘致合戦といいましょうか、そういったことが余り問題にならないような円滑な形で移転先についても決定がなされていくであろうと考えておる次第でございます。
  103. 草野威

    ○草野委員 いずれにしてもよく研究をしていただきたいと思います。  次に、警察行政につきましてお尋ねをしたいと思います。  これは、非常に残念なことでございますけれども、総務庁の行政監察局が昨年行った、印象の悪い公共機関、こういうアンケート調査によりますと、最も悪いのは警察署、これが新聞に出ておりました。第二番目は登記所、三番目が陸運支局、これがワーストスリーとして挙げられていたわけでございます。警察庁、法務省、それから運輸省、こういう順番でございまして、まことにこれは残念なわけでございます。警察署につきましては、同じ調査昭和五十六年がワースト五位であったのが、五十九年にはワースト二位になって、そして昨年はついにワースト一位になったわけでございます。国民の生命財産保護に当たる警察が国民に信頼されなくなるというのは、これは大変大きな問題であろうかと思います。  警察庁はかねて、我が国の検挙率は六〇%を超えるのだ、治安は先進国の中でも最良である、このように説明をされておられました。その理由の一つに市民の協力を挙げていたわけでございますが、こういう検挙率の高さの基盤が崩されつつあることを、今のアンケートの結果によっても示しているのではないかね、こういう感じがしてならないわけでございます。事実、国民を恐怖のどん底に陥れたグリコ・森永事件、この三月十八日で満四年を経過したわけでございますが、未解決でございます。また、朝日新聞襲撃事件、高崎市幼稚園児誘拐事件も未解決のままでございます。こうした事件を解決することこそが、国民の警察に対する信頼回復の道であろうと思います。  また、ここ数年冤罪事件が相次いで起きているわけでございます。先日の富山・長野連続女性誘拐殺人事件で冤罪が明らかになりました。この冤罪事件の多発も国民の警察に対する信頼確保の上で見逃すことができない問題であろうかと私は思います。捜査の上での偏重と予断による思い込みが冤罪を生む土壌であることは事件のたびに指摘されているのに、この種の事件が繰り返されるのは一体どういうことなのか。深刻な反省の上に立って具体的な防止策を考え、自白依存の捜査方法の改善に努めるべきであろうと思います。大臣の所見を伺いたいと思います。
  104. 梶山静六

    梶山国務大臣 御指摘のように、総務庁のアンケートで大変不名誉なワーストワンをちょうだいしたわけであります。多分昨年までは国鉄ではなかったかと思いますが、国鉄が民営化されて頭がとれて、大変残念なことであります。  警察が国民の信頼と期待にこたえていくためには、常に国民のニーズを的確に把握し、国民の立場に立った警察活動を積極的に推進していくことが必要であります。国民が期待する未解決重要事件の解決については、警察として事件捜査に全力を挙げており、私も早期解決を図るよう督励しているところであります。また、無罪事件等の裁判結果についてはこれを真剣に受けとめ、一層的確、適正な捜査を推進していくべきものと考えております。また、警察では、現在国民の立場に立った警察の確立を目指し、全国挙げて市民との応接を向上させる運動を展開しており、私としてもこの運動が浸透して成果が上がるように指導してまいる所存であります。  いずれにしても、委員御指摘のように、国民に信頼され愛される警察でなければ未解決の犯罪の解決もできないわけでございますので、これからも督励をして頑張ってまいりたいと思います。
  105. 草野威

    ○草野委員 今大臣がお話しされましたように、警察が国民から敬遠されるようになることは治安維持のためにも絶対にあってはならないことだと思います。個々の警察官の中には市民から愛される謙虚な警察官も大勢いらっしゃることは私もよく知っているわけでございますが、どうかひとつ、真の市民警察をつくるためにも今後一層の努力を望むものでございます。  続きまして、交通安全の問題はつきましてお尋ねをしたいと思います。  大臣所信の中で、「我が国における交通事故の現状を見ますと、昨年も依然として九千人を超えるとうとい人命が失われており、まことに憂慮にたえないところであります。」このように述べていらっしゃいます。確かに昨年は九千三百四十七人が交通事故で亡くなっております。これは、この十年間で見ますと昭和五十八年の九千五百二十人に次いで二番目に多い数でございます。ことしも交通安全施設の整備とか交通安全教育とか駐車対策等の総合的な推進に努め、安全で快適な交通社会実現を目指します、こういうような毎年似たような所信を我々も伺っているわけですが、交通事故による死亡事故はなかなか思うように減らないのです。関係当局の方々もこの交通事故の問題についてはいろいろと努力をされていることは私も十分に知っております。しかし、今申し上げました警察の数字、また厚生省の統計によりますと恐らく一万人を上回っていると思います。一万人以上の方が毎年毎年交通事故で亡くなっているのです。私の記憶によりますと、かつてのあのベトナム戦争で米軍の死者が年間で一番多かったのが七千人と聞いております。それをはるかに上回る人たちが、この日本においては交通戦争のために毎年毎年、十年も二十年も続いて亡くなっているわけです。  国としてこの交通安全対策についてほっておいているか。決してほっておいてはおりません。あらゆる努力をされていると思います。例えば陸上交通安全対策関係予算、これを見ますと、昭和五十二年には六千二百四十一億円を投じております。昨年の予算は一兆五百三十六億円です。一兆円の予算を交通安全対策の予算として投じているわけです。これだけの巨費を投じておりながら、いまだは一万人の交通事故による死者が減らない。私は、交通安全対策上の問題として考え方、取り組み方に何か根本的な問題があるのではなかろうか、こういう感じがするわけでございます。人命にかかわる非常に重大な問題でございますので、大臣に国家公安委員長としての立場で御答弁をいただきたいと思います。
  106. 梶山静六

    梶山国務大臣 交通事故による死者数は、御指摘のとおり六年連続九千人を超え、本年に入っても前年度対比で増加しており、まことに憂慮すべき状態であります。警察としては、交通事故防止は国民的課題であるとの認識に立って、関係機関・団体ともよく連携を保ち、道路交通環境の整備、交通安全教育、交通指導取り締まり等の総合的な交通安全対策の推進にさらに強力に取り組んでまいる所存であります。これは恐らく前回も前前回も、昨年も一昨年も、大体一生懸命やっている、表現はこれ以外にないと私は思うのですが、今草野議員御指摘のように、根本的に何か取り組み方に問題があるのではないかと言われますけれども、なかなかしかし、それを考えつければだれしもそれに取り組むわけでございますが、懸命に努力をしながら、なおかつそういう数値が出ているという現実を大変残念に思っております。  具体的には、当面、交通事故の増加要因となっている若者の二輪車、乗用車乗車中の事故及び高齢者を中心とする歩行者の事故防止に最重点を置いて、交通安全教育の推進、街頭における違反防止活動の展開をするほか、シートベルト着用の定着化を図るなどによって、交通事故抑止に実効を期してまいりたいということで今鋭意努力を払っているところであります。特にこれから四月に行われる春の全国交通安全運動に向けて、交通安全に関する世論の盛り上げを図り、関係機関・団体と協力の上、引き続きこれらの施策をより一層推進して、交通事故の増加傾向にとにもかくにも歯どめをかけることに全力を尽くしてまいりたいと思います。
  107. 草野威

    ○草野委員 警察庁初め関係当局の御努力をさらに期待しております。  次に、地方税の問題につきまして若干お尋ねをしたいと思います。  まず固定資産税の問題についてお尋ねをしたいと思います。  東京都心部を中心とする異常な地価高騰の中で、ことしは固定資産税の評価がえが行われることになっているわけでございます。この異常な地価上昇によりまして、これがストレートに税額に反映されていく、こういう問題があるわけでございますが、自治省は昨年の九月にその基礎となる宅地の基準地価格というものを発表されました。これによりますと、全国の平均は一六%増、前回は六十年度でございますが一九・九%でございまして、下回っているわけでございます。  しかし、内容的に見ますと、例えば東京の中央区は五〇%上昇ということになっております。また横浜市の場合は三四・三%、他の指定都市について見ましてもそのほとんどが三〇%台の上昇率になっているわけでございます。しかし、東京の銀座の三年間の地価公示価格、これは三倍近くも上がっております。そういう中で自治省の方のこの基準地価格というのは五〇%にとどまっているわけでございます。これはその基準地価格の調査期間の問題が一つあろうと思いますし、もう一つは固定資産の評価基準、評価方法の問題、こういうものがあろうかと思います。幾つかの問題がこの固定資産税の中に含まれているわけでございますが、そういう中でまず第一にお尋ねをしたい問題は、国の行政責任と固定資産税の増税の関係でございます。  今回の地価の異常な上昇は国の責任が大きい、このように言われているわけでございますが、例えば対米関係の配慮による低金利政策、それから内需不振による余裕資金が土地投機へ向かって過熱をした、また国有地の競争入札等いろいろあるわけでございます。こういうものにつきまして国は有効な地価抑制の手だてを講ずることなく後手後手に回ってしまった、したがって今回のような事態を招いたのではないか、このように言われているわけであります。その結果我々の国民生活にどういう影響が出てきたか。例えばもう御存じのように多くのサラリーマンの人たちはマイホームを断念せざるを得なくなった。また、地価が非常に高くなったために地方団体においても公共事業をなかなか思うように進めることができない、そのために生活環境の面の改善が図られないで住民生活に大きな影響を与えている、こういう問題も出ております。  また税金の面におきましても、地価高騰のッヶが税額に反映をして追い打ちをかけられている、こういう数々の問題が出ているわけでございます。こういう急激な地価の高騰が固定資産税の税額にストレートに反映してくる、こういう固定資産税のあり方について、大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  108. 梶山静六

    梶山国務大臣 確かに最近土地価格の急騰によってもろもろの悪影響が出ていることは私も承知をいたしております。しかし固定資産税というものを見る場合、今委員御指摘のとおり、見直しのことしは一・一六倍、前回は一・一九九倍でございますから、その意味においてはむしろ上昇率は低まっているという感じがいたします。御指摘のように商業地は上がっておりますが、この一・一六倍というのは都道府県のいわゆる県庁所在地の平均的なものでございますから、むしろ実勢は一・一六倍よりも低いという判断をいたしております。  それから固定資産税というのは、先ほども加藤委員のときに、なかなか地方財源で普遍的、一般的な財源はないと申し上げたのですが、その意味で、それぞれの地価のばらつきはございますけれども、どの市町村にもあるいわば普遍的、均質的な財源でございますから、地方行政を行う地方団体にとっては実は極めて大切な財源でもございます。そして、特に地価高騰によって悪影響が出ると思われる小規模住宅地のいわば減免措置によって、アバウトでございますが、今固定資産税土地税収が約二兆円であります。本来は三兆円であるべきところが一兆円実は固定資産税の宅地の減免を行っているわけでございますので、既に平均的なもので五割の減免を行って今日を迎えているわけでございますから、私は固定資産税をどうこうしろということは大変な問題があろうかと思います。ただ、その負担調整措置はことしも一段階ふやしてなだらかなものにしよう。  本質的に地価が高騰することが是か非かという問題、これは大変な問題でございますので、今大都市を中心にして地価抑制の問題に内閣を挙げて取り組んでいるところでございます。しばらくその推移を見守りながら、商品としての土地ではなく、我々が不可増の祖先から受け継いできた資産だという考え方に立って、これからもこの地価問題には取り組んでまいらなければならないと思います。  残余の固定資産税の中身の問題については、政府委員からお答えをさせます。
  109. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 委員御指摘のとおり、異常とも言えるような地価高騰の状況がストレートに固定資産税に反映してくることになる場合には、固定資産税の税としての本質論からいってもいろいろ議論があるということは御指摘のとおりでございます。そういう点もございまして、固定資産税につきましては、その評価方法につきましては、買い急ぎとか将来における期待価格というようなものを排除して、いわばそういう特異な地価形成要因というものは排除して、正常な価格というものを把握して、それによって資産価値に応じた負担を、それぞれの地域資産を持っておられる方々に市町村の財源として負担をしていただく、こういうことにしているわけでございます。そうした調整も行うことによりまして、ただいま大臣からもお答えしましたような平均上昇割合になっているわけでございます。私どもといたしましては、評価に当たります市町村ともども、そうした固定資産税のあり方というものについては、今後も十分その本質を理解しながら制度の運用に当たっていく必要がある、こういうふうに考えているところでございます。
  110. 草野威

    ○草野委員 一つは一六%という上昇率ですね。これは今大臣からもお話がございましたけれども、やはり調査期間の問題ですね。我々一六%という数字を聞きますと随分低かったな、率直にそういうふうに思いました。しかし、これは調査期間が五十八年七月二日から六十一年七月一日まで、こういう期間のために上昇率が抑えられている。したがって、その後の一年間の上昇率というのは、東京の宅地の場合二倍に上がっているわけです。こういうところから見ると、一六%という数字は今回の急激な、異常な上昇率をあらわしてない、こういうふうにとれると思うのですね。  それからもう一つは、きょうは時間がないから申し上げませんが、評価方法にもいろいろあろうかと思います。  それからもう一つ、今局長の御答弁がございましたけれども、資産価値が上がるからというお話でございますけれども、確かに固定資産税というのは財産税でございますので、地価が上がれば税金の方も上がるのは当然だろうと思います。しかし、地価の高騰がそのままストレートに反映するような税制が果たして妥当かどうか、これはひとつ考えていただきたいと思うのです。なぜかと申しますと、固定資産税というのは、固定資産税がかかってきた場合に、土地を売却してその税金を払うということは通常ないと思います。自分の収入の中から固定資産税を払うと思います。すなわち、通常の形は所得の中から税金を払う、こういうものですね。しかし、その所得というのは地価の上昇と比例して上がっているものかというと、必ずしも比例して上がっているものじゃありません。したがって、この地価上昇のみがストレートに反映されるような今のこの税制のあり方、これは果たして適切かどうか検討しなければならない問題じゃないかな、このように思いますので申し上げたわけでございますので、これについての御見解をもう一度いただきたいと思います。  それからもう一点申し上げたいと思います。小規模宅地に対する評価額の軽減措置、今四分の一というふうになっていますね。これはどうして四分の一になったかといいますと、あの昭和四十年代の列島改造ブームのとき、やはり地価は上昇いたしました。そのときに、税額も上がってくるということで納税者の所得要素というものを考慮した結果このような措置がとられた、こういうことを聞いております。今回も前回の列島改造ブームのときと比べますと、この土地の異常な上昇ぶりについては決して負けるものじゃないと思うのですね。したがって、財産税という性格にこだわることなく、今回も思い切って所得要素だとか、また人的な要素だとか、こういうものを考慮した固定資産税の軽減賠償を考えるべきじゃないかな、このように思うのです。ということは、例えば年金の生活者はことしはわずか○・一%しか上がらないのです。それに対して固定資産税の方はどれくらい上がっているか、平均でも一〇%は上がるわけです。したがって、住宅ローンを返済している人だとか小規模の小売業者、こういう方々にとっては今回の税額アップの衝撃というものは非常に大きいのではないか、こういうように思います。そういうことで固定資産税のあり方について見直しをすべきじゃないか、このように思いますが、御所見を伺いたいと思います。
  111. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 まず、地価高騰というものがそのまま反映するかどうかということにつきましては、やはり財産価値に応じた負担をしていただくという意味でいきますと、固定資産税の場合は先ほど申し上げましたような買い急ぎとか将来の期待価格というようなものは厳密に排除していかなければいけない、こういうことでございます。また、そこのところを外れますと、資産価値に応じて負担の公平ということは図られないということになっていくだろうと考えるものでございます。  そこで、委員御指摘のように、その評価方法というものが何か別なもっと合理的なものがあるのじゃないだろうかという御指摘でございます。私どももそうした何かいい方法があればということは常に考えるのでございますが、かつて地租時代からの経緯をたどりまして、例えば賃貸価格による課税というようなことを一つ考えてみましても、これは現在のいろいろな資産運用の実態が従来よりもさらに複雑になっているということを考えますと、当時持っていた矛盾以上に現在そういう方式をとるとすれば矛盾が増大する。これによって、不公平論とかそういったものはもっと難しくなっていく、市町村が時価というものをつかまえてくるというより以上に難しい問題が生じてくるというようなことがございまして、現在の方式に変わるほど有力な手段にはなり得ないと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、先ほど時点のずれの話もございましたが、確かに昨年の夏過ぎくらいまで非常に上がったわけでございます。ところが、それ以降停滞的になり、あるいは場所によっては下がる。つまり、当時時価というものは非常に上がった、市場価値というかそういったものが非常に上がったと皆さんが懸念されたところから見れば、むしろ随分下がっているところもあるわけでございます。そうしたことを三年間のスパンで考えますと、従来の経験からいいましても、かなり冷静に評価がえをやっていくことができる条件ができてくるのじゃないか、こういうふうに考えるところでございます。したがいまして、委員御指摘のとおりでございまして、この固定資産税負担というのは、結局全体としてどれくらいの負担を固定資産税として負担すべきかという議論に逢着するわけでございます。  私どもは、いろいろな観点から見ておりますが、マクロ的な見方としましては、国民所得に対してどれくらいの固定資産税負担になっているだろうかというようなことも見ております。これで見ますと、昭和三十年代といいますか、そうしたころと今は国民所得対比では大体同じくらいの水準になっているところでありまして、そうしたことが片方に把握できるわけでございます。  一方、市町村の税金の中でどれくらい固定資産税が占めているだろうかということになりますと、これは当時半分くらい占めておりましたけれども、現在は三割ちょっとということになっておりまして、長期低落というか低下傾向にあります。  固定資産税にどの程度市町村の財政需要を担いでいただくかということになりますと、この点については中長期的に見れば若干固定資産税に負担をお願いしなければならないのじゃないだろうかということがございます。この辺が税制調査会の答申にもあるのでございますが、結局、中長期的に見て固定資産税の充実を図る必要があるのじゃないか、それは評価がえを通じて均衡化、適正化を進めることによってそうした方向に進むべきではないかという御示唆もいただいておるわけでございまして、私どもとしましては、地価の高騰をどんどん追い続けて、それによって極端に固定資産税負担が高くなるということ、それが固定資産税として適正であるかということは考えませんけれども、全体としての見方としてはそんな見方をしている、そういうふうに考えられるのではないだろうかと思っているところでございます。
  112. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、大臣に一言だけお答えいただきたいと思います。  今局長の方から三年間のスパンで土地の価格上昇を見なければならないというお話がございました。どうでしょうか、端的に言って、これから三年間、土地の価格の上昇でございますけれども、上がるか下がるかということなんですが、いろいろな説があります。かなり長期低落傾向に入ったのじゃないかという説もあります。また、高値安定が続くのではないかという説もありますけれども、これは昭和六十六年の評価がえのときにつながる。また、今局長も言ったように、地方財政にとっては非常に重要な固定資産税でございますので、六十六年を念頭に置いて、土地の上昇率といいますか、そこら辺の見通しと大臣のお考えを伺いたいと思います。
  113. 梶山静六

    梶山国務大臣 率直に言って、地価に関してはなかなか予断を許さない問題がございますけれども、現内閣は地価高騰に全力を挙げて取り組んでおりますので、長期低落傾向にあることを期待し、そのための施策の展開を図りてまいりたいと思いますし、固定資産税問題については確かに委員御指摘のとおりでございますけれども、いわば大都市の問題であって地方では、そういう言い方をするとあれですが、今まではさしたる問題ではない。ただ今後、それが地方に波及をいたしますとこれまた重要な問題でございます。と同時に、今局長から申し述べましたように、地方財源としても重要なものでございますので、普遍的、平均的に痛みの感じないいわば物税であってほしい、こういうふうに感じております。
  114. 草野威

    ○草野委員 終わります。
  115. 松本十郎

  116. 柴田弘

    柴田(弘)委員 私は時間をわずか三十分しかもらえませんので、ひとつ簡潔な御答弁をお願いいたします。  まず遷都問題についてお聞きをしたいわけでありますが、国土庁にお聞きをしたいと思います。  既に四全総では検討課題として位置づけられているわけであります。自民党が首都機能移転調査会を発足したわけであります。遷都論議が急速に高まってきたことを受けまして、国土庁としても行政レベルで対応して検討していこうと初の首都機能に関する実態調査を新年度から実施することになったとお聞きをいたしているわけであります。国会や中央官庁と地方経済界の結びつきを具体的につかむことにより、首都機能地方移転する場合に、一括遷都方式がいいのか、幾つかに機能を分けて行う分都方式がいいかなど、実態面から明らかにするというねらいなどでありますが、この辺が事実かどうか。事実とすればこれは初めてのことであるわけであります。  そこで、新年度六十三年度予算に計上されております三千万円の中から一部をこの調査に充てるという予定だとお聞きしております。調査はかなり大がかりになるため六十四年度以降も継続して行われることになる、こういうふうに仄聞をいたしておりますが、お聞きしたい第一点は、具体的な調査内容、第二点は、いつをめどに結論を出すのかどうか、第三点は、遷都の場所の選定までも決定するかどうか、簡潔にひとつ三点について御答弁をいただきたいと思います。
  117. 中野和義

    ○中野説明員 お答えいたします。  首都機能移転問題についての御質問でございました。  先生御質問でございます点は、私ども従来からこの移転問題につきましては長らく調査研究をしてまいったわけでございますが、従来主として諸外国の事例ないしはモデル的な首都機能移転のケース等につきまして調査してまいったわけでございます。最近の首都機能移転論議の高まりを念頭に置きまして、やはり今後は四全総でもってこの問題につきましては政治行政機能等々のいろいろなかかわりにつきまして深く論議を詰める必要があるという指摘でございましたので、御質問がありました点に即しまして、主として日本におきます経済政治行政機能とのかかわりといった機能面につきまして調査を進めてみたいというふうに思っているところでございます。  この調査は非常に多方面にわたるような調査でございまして、具体的な項目につきましては今後詰めていくところでございますが、経済機能東京とのかかわり一つとりましても非常に大きな問題、また多方面に影響する問題でございまして、単年度ではなかなか終わり得ないというふうに認識しているところでございます。具体的にいつまでという目標を立てるまでにまだ至っておりませんが、できるだけこの機能面から見た調査検討が進みますことを私どもとしては予算の範囲内で十分に取り組んでいきたいと思っておるところでございます。こうした調査の過程におきまして、御質問がございましたような具体的な移転先地の問題等についてどのように結びついていくのかという側面につきましても調査項目に逐次取り入れていきたいというふうに思っておるところでございます。
  118. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そこで大臣にお尋ねをいたすわけでございますが、御案内のようにこの遷都問題、首都機能移転の問題は、新行革審では今年六月の基本答申に向けて検討の作業を進めておるわけであります。一つ政治行政機能の中枢機関の移転の問題。これは中央省庁の出先機関ではなくて、政治行政機能の中枢的機関、あるいはまた立法・司法機能についても移転、再配置の検討対象となるよう明記する、これは東京一極集中を是正するための方策を盛り込んでいこう、こういうことで打ち出しているわけでありますし、ただいま国土庁からお話がありましたように、行政レベルでもこの問題について調査を進めていこう。あるいはまた先ほど私が申しましたように、自民党も首都機能移転調査会を発足させた、三年後をめどに新しい首都の候補地を選定をする、 こういうことであります。  まさしく竹下内閣の「ふるさと創生論」の本当の目玉というのは、もちろん省庁移転ということもありますが、やはり遷都であり、首都機能移転問題がこの目玉になってこなければならない、私はこのように確信をいたしているわけでありますが、大臣としてはこの首都機能移転問題については具体的にどのような御認識をお持ちになっているのか、お尋ねをしておきたいわけです。
  119. 梶山静六

    梶山国務大臣 大変難しい御質問でございまして、私の頭も整理をされておりませんし、恐らくそういうものの整理ができる能力を持ち合わせていないという感じもいたしますが、いずれにしても現在、一極集中というか、その反語として多極分散国土形成、これは何よりも大切な行政的なあるいは政治的な目標であるというふうに認識をいたしております。そのためには何と何を行わなければならないか、目下そういうものの考え方を詰めている段階でもあろうかと思います。  今お話がございましたように、行革審などでも現在土地問題、やがてその問題にも長期的には触れてまいろう。ですから、いずれにしても多極分散をするためには公が何と何をなし得るか。一つは、形の上で建物を、あるいはその機能を、あるいは地方分権と言われるように権限をどこまで地方に分権をすれば、あるいは今のままでもいいのかどうなのか、そういう問題とあわせて、現在百余年東京首都機能集中をしたわけでございますけれども、その前も、集中とは申しませんが半分の機能は江戸幕府にあったわけでございますから、長い江戸、東京という歴史があるわけであります。それなりに日本の国内の体制がそういうものに順応をしている。これをどうやって大きな障害もなく移転ができるのかどうなのか。そういう具体論まで考えますと、なかなか確たる考えがわいてまいりませんけれども、少なくとも今の一極集中の方式ではだめだ、何とか多極分散型の国土形成をしようではないか、その一環として遷都問題や分権問題をこれから真剣に検討していく段階ではないかというふうに認識をいたしております。
  120. 柴田弘

    柴田(弘)委員 大変な御関心をお持ちになっているということはよくわかりました。  そこで、今まで遷都論は昭和三十五年には富士山ろくへ、それから昭和三十九年には浜名湖付近へ、昭和四十六年には岩手北上地方、最近になりまして昭和六十二年、建策家の黒川紀章氏らのグループ二〇二五が東京湾新島、あるいは昭和六十二年の秋には東海銀行が名古屋近郊へ、あるいはまた関西経済連合会も関西、大阪への首都移転が希望である、いろいろ議論がありました。昭和三十年代の後半あるいは五十年代初め、二回、今と同様に首都圏の地価高騰などを背景として活発な議論が行われましたが、結局は立ち消えになってしまったということなのですね。そういった点を私はまず反省をしなければならぬと思います。  具体的に私お聞きしたいのは、これはある新聞に報道された記者とのインタビューです。東海銀行の取締役調査部長である水谷研治君というのがおります。あえて君づけをするのは、大臣、これは私と名大の経済学部の同級生でございまして、同じゼミナールに属しておりまして、ケインズの一般理論を勉強してきて、机を並べてきた同期の桜なものでございますから。御承知のように彼は、円が一ドル二百五十円前後だった昭和六十年に、百五十円に来るぞ、こういうことを予想して、一躍売れっ子のエコノミストになって、大したものになったなと僕も思っているわけでありますけれども、この東海銀行の調査部が試算をして、名古屋遷都を打ち出しました。御承知かも知れません。  それで、ある新聞社の記者とのインタビューにこう言っているわけです。東京一極集中をどうすればいいかという問いに対して、「いま東京にいる人に東京から出て行け、といっても無理です。政治経済のどちらかの機能を移し、集中を緩和する以外にない。東京経済、金融の中心地としてますます大きくなるでしょう。しかし、政治は何も東京になくてもいい。世界的にみても、経済政治が別の所にある国が多い。それで遷都を考えてみました。」  ではなぜ名古屋か、こういう問いに対しまして、「日本首都としては、日本の真ん中、人口分布の重心点がいい。それは岐阜県郡上郡なのですが、山の中ですから、その南にある名古屋を選んだわけです。既存の都市基盤を使えるので、遷都の費用も安くてすみます」「それに名古屋は条件がいいですね。交通の要衝だし、東京の致命的な水問題も心配ありません。中部山岳、伊勢湾、志摩半島といった観光資源もある。」こういうふうに言っているわけです。  そして積算をしました。ここで詳しいことは申しませんが、富士山ろくと名古屋市のケースの二つの点を想定して試算をいたしました。富士山ろくに延べ床面積で二百ヘクタールのオフィス、移転者と家族など五十万人分の住宅と道路を新たに建設して首都を移す場合には、土地代と建設費で合計六兆五千億円になる。これに対して名古屋の東部の丘陵地帯、これは国公有地が随分あるわけでありますが、そこに遷都する場合は、富士山ろくの場合と比べて、オフィスなどは同じ床面積でありますが、既存の設備が使えるために費用は二兆八千億円で済む、こういうふうに試算しているわけです。  だから、私が申し上げたいのは、遷都問題にしろ省庁移転にしても、まず一つのビジョンといいますかマスタープランをつくり、そしてその全体像を明らかにし、費用が幾らかかるか、効果はどうか、こういうことをある程度めどを立てないと説得力がない、このように思います。その点、自画自賛ではございませんが、この東海銀行の試算というのは非常に評価されてしかるべきであろう、私はこういうふうに考えますが、その点、大臣の御所見を伺いたい。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕
  121. 梶山静六

    梶山国務大臣 先ほど申し上げましたように、私も遷都問題については関心を持っているつもりであります。そして、今委員御指摘の水谷東海銀行調査部長の御提言、内容的には費用や効果の分析まで行っている。恐らくこういうものは今までそう出ていないのではないかなと思いますが、そういう意味では大変立派な資料であるという評価をいたしております。  恐らく今後とも国民的な視野、規模で議論がされて検討されることが望ましいし、その意味で、ここで新聞に載っているように各地が名のりを上げて議論しよう、これは大きな夢と希望を持つわけでありますから、具体論としてそれぞれの地域が名のりを上げて議論をすること、これによってそれぞれの土地地域の振興の願いを、よそ目というか、本心そうであるかは別として、そういうものをにらみ合わせながらそういう機能分散の問題が論じられることは大変有意義だと思いますし、その嚆矢であった水谷調査部長に敬意を表する次第でありますし、評価をいたしているわけであります。
  122. 柴田弘

    柴田(弘)委員 それで、ずばりと名古屋遷都いかがですかとお尋ねしたいところなんですが、その答弁は無理ですからね。私、大臣の今の答弁を受けまして、この水谷君が言っておりますように、こうした一つの議論を、費用計算等をしまして候補地の選定についてはやはり最終は国民的なコンセンサスを得ていかなければならぬ、一つの突破口がこの東海銀行の発表である、私はこのように考えております。その点、高く評価いたします。  そういった意味において、そういった点も踏まえて名古屋遷都も一つの大きな課題として、今度は政府としても大いに国民世論を喚起をしていく、また我々もどんどんと議論をしていかなければならない、このように思います。一言でよろしいから御答弁をいただきたい。
  123. 梶山静六

    梶山国務大臣 先ほどの新聞に載っている、各地が名のりを上げて議論しよう、まずここに私は最大の評価をいたします。そしてそれぞれの地域がやはり地域振興の願望も込めて懸命な議論を挑み、それが国民的な規模、国民的な視野に立ってやがて何らかの結論があるということを期待をいたしております。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
  124. 柴田弘

    柴田(弘)委員 今度は科学技術庁に簡潔にお尋ねします。  航空宇宙研究施設の設置の問題で、専門的ですから言うまでもないと思いますが、スペースプレーン、マッハ五以上で飛んでいく、何といいますかいわゆる超音速機ですね。これの今後の我が国の研究の方向あるいは実情、これについて御説明を受けたいと思いますし、同時に、先般愛知県知事が竹下総理に、このスペースプレーンの開発には大型風洞実験が必要である、それには広大な土地と一千億からのお金が要る、やはりこういう研究施設の立地は愛知県が条件的にベスト、このように言明して、竹下総理からもそうだなと、まあ同意を得た、こういうことであります。  名古屋市の西尾市長も、去る三月四日の本会議で、航空宇宙の分野でこのスペースプレーンの開発が重要課題となってくる、その研究開発のために新しい風洞実験施設がクローズアップされてくることは承知しているということを述べまして、このスペースプレーンの開発の核となる実験用大型風洞施設を名古屋港臨海部に誘致したいとの考えを公式に表明をいたしました。それではその場所はどこかというと、大体名古屋港八号地が候補地の一つであるということでございますが、この八号地は貯木場になっておりまして、今県有地であります。二十五ヘクタールある。名港管理組合の将来構想では、これを埋め立て、隣接地の九号地とともに航空宇宙関係の研究開発ゾーンに予定をしておるということであります。  このスペースプレーンが離発着できるのは、聞くところによりますと現在の日本の空港にはないわけです。今議論されております、建設促進に向けて我々も運動しておりますが、中部新国際空港しかないであろう、このようにも言われておりますが、このスペースプレーンの開発のための大型風洞実験の予定地として、知事や市長が言っておりますように愛知県名古屋市の八号地、九号地は候補地の一つとして有力なところではないかと私は思います。科学技術庁としても前向きに検討される意思があるかどうか、お伺いしておきます。二点です。
  125. 青江茂

    ○青江説明員 お答え申し上げます。  まず第一点、スペースプレーンについてでございますけれども、これにつきましては、来世紀までを展望いたしましての宇宙開発を考えます場合、これは大変重要な課題ということで、私どもといたしましてもその推進を図ってきておるというところでございます。現在のところは、航空宇宙技術研究所等におきまして基礎的、先行的な研究を進めておる、そういう段階にあるわけでございますけれども、ただいま先生御指摘のございましたスペースプレーン関係の大型の施設ないし発着場といったものの施設整備につきましては、今後の問題としましてぜひ考えていかなけれはならないのではないか。私どもスペースプレーンの研究を大いに進めたいと考えておる者にとりましては、大変光栄なお話であり、かつありがたいお話ということなんでございますけれども、当面の問題としましては、そういう施設につきまして、新たな立地点を求めるといったことを云々する段階には今のところないわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、本研究の重要性といったことをかんがみますれば、そういった問題の施設の充実につきましても長期的な問題として取り組んでいかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  126. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そうすると、長期的な問題として考えることはいいですが、私の質問は、そういって研究する段階になった場合は、この愛知県名古屋市も有力な候補の一つとして考えていただけますかどうか、あなたはありがたいとおっしゃったのだが、それはどうなんですか。はっきり答弁してください。
  127. 青江茂

    ○青江説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘の点、率直に申し上げまして、名古屋のみならず、北海道でございますとか諸般のところからのそういう御同様なお話もございまして、その意味におきまして私ども大変ありがたいと思っておるわけでございますが、それを具体的にどのような展開をしていくのかということにつきましては、例えばそのスペースプレーンというものの概念というものをはっきりさせつつ、その技術的な要件というものも詰めつつ、場所といったことにつきましても検討していかなければならないのではないか。その意味におきましては、先生御指摘の今の地点といったものも一つの候補といたしまして、すべての可能性というものを追求いたしたいというのが今の段階での私どもの考えでございます。
  128. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そういうふうに初めに答弁してもらうとよかったのです。  次は厚生省に聞きますが、長寿科学研究センターの設置、これも二月十九日にやはり愛知県知事が竹下総理に要請をいたしました。総理は、何か核があるといいな、こういうことでございますが、たまたま愛知県の大府市の周辺にはマンモス老人総合施設群「あいち健康の森」、こういうものがありまして、竹下総理もよく知っておみえになりまして、前向きに検討していくということを約束されたと私も聞いております。私自身も最適の場所ではないか、このように思います。  お聞きしたいのは、一つは、この長寿科学研究センターの基本構想、今後どのような方針でこの基本構想というものを具体化していくのか、六十三年度、六十四年度以降の予算を含めての取り組みの状況。そして二つ目には、九日の衆議院予算委員会の第四分科会で、我が党国民会議の草川昭三代議士が藤本厚生大臣に質問をいたしました。初めて陳情をいただいたのは愛知県であると厚生大臣がおっしゃいまして、候補地選定のときには前向きに検討していきたいという積極姿勢を示されたわけであります。この点、重ねて厚生省の考えをお聞かせいただきたい。有力な候補地の一つとして考えていいかどうかということであります。簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。
  129. 清水康之

    ○清水説明員 お答えいたします。  長寿科学研究センターにつきましては、昨年、学識経験者から成る検討会で御報告をいただきまして、その基本構想が昨年九月にまとめられたということになっております。  この構想でございますが、基礎医学とか臨床医学あるいは人文社会科学を総合的に取り組みまして、学際的、総合的な研究を進めていくということでございます。類似の構想は、既に学術会議その他からも同様の提言もございまして、厚生省としては、これからこれをどう具体化していくかということに取り組むことになっております。省内でいろいろな検討のためのチームをつくって進めていくつもりでございますが、設置運営主体をどうするか、規模とか立地とか、あるいは当面研究を急ぐべき長寿科学のテーマとは何であるか等々について、これから具体的に研究、検討しなければならない項目がたくさんございますので、まだ現在、どこに立地するというふうなことをいろいろ申し上げる段階にはなっていないわけでございます。私どもは、単にハードの建物、研究センターをつくるということだけではなくて、ソフト面、特に研究費を確保して、研究所の中あるいは所外、所内を含めて総合的に進めていくということが大変重要だと考えておりまして、実は六十三年度予算でもシルバーサイエンス研究報というものを四億五千万計上して御審議をお願いしている段階でございます。  この長寿科学研究センターの設置については、実は多くの地方団体から誘致の御要望をいただいておりまして、愛知県もその一つであるわけでございますけれども、愛知県の場合、先生御指摘のように「あいち健康の森」構想というものを進めておられまして、その中で、非常に早い段階からこの長寿科学センターの問題も取り上げていただいております。また、知事さんを先頭に熱心な御陳情も受けております。先ほどお話しのように、大臣初め省内の幹部もこの愛知県の意向につきましては十分承知をしているところでございます。今後愛知県も含めて、具体的な検討に当ってさまざまな角度から年月をかけて検討したい、こう考えております。
  130. 柴田弘

    柴田(弘)委員 持ち時間があと五分になりましたので、最後に大臣に要請をしてまいりますが、余り地域ェゴだと言われてもいけませんから、御答弁は、できなければいただかなくても結構でございます。  それで、今科学技術庁と厚生省にそれぞれ航空宇宙研究施設の設置の問題、スペースプレーンの問題、これは御承知のように名古屋というのはいわゆる航空産業の一番集積した地域なんです。四全総の中でもそれははっきりと、将来の航空宇宙等の先導的産業の展開を図るというふうに位置づけられている。三菱重工とか川崎重工という航空機メーカーが生産拠点を抱えておりまして、また富士重工も半田市へ航空機の組み立て工場の建設を決定いたしておりまして、もう全国シェアは七〇%であります。生産シェアはあっても研究施設がない。やはり研究施設とそうした生産の集積があれば、これは鬼に金棒である。これは何も地域エゴということでなくて、だれが考えてもそういうところへ将来の、マッハ五以上で飛ぶスペースプレーンの研究施設を設置するというのは当然なことではないか、このように私は考えます。この点で、ひとつ大臣のお力もおかりしたいし、また長寿科学研究センターにつきましても、愛知県の大府市には既に「あいち健康の森」ということで、いつそれが来ていただいてもいいようにもう条件整備ができておるわけでありまして、そういう点でひとつ自治大臣として今後とも御協力をいただきたい。心からお願いをしたいと思います。もしそれに対する御答弁があればお聞かせをいただきまして、私の質問を終わりたい、このように思っております。ありますか。――ないですか。それじゃそういうことで要望しておきます。
  131. 松本十郎

    松本委員長 岡田正勝君。
  132. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣大臣はかねてから国会きっての熱血漢、正義漢という呼び名が非常に高い人であります。そのことに期待をかけて、国家公安委員長というお立場でこれから御答弁をいただきたいと思うのでありますが、その前に、関係当局の方に質問をしてまいりますので、最後にひとつ大臣の国家公安委員長としての所信を表明していただくように冒頭にお願いを申し上げておきます。  さて、当局の方に質問をいたしますが、実は私「週刊民社」の「論壇」というところに、新聞の報道を見て、これはけしからぬ、こんなことがあっていいんだろうかということを感じたままにいろいろと書きました。その書きましたことは、一月十四日の横浜市内のバス停において善良な少年が仲裁に入ったことが裏目に出た問題、いま一つは淡路島で起きた問題でありますが、何回も何回も空き巣にねらわれて、おのれこのやろうというので用意しておったバットで殴ったところがとんでもないことになったという問題、それからJRの西船橋駅であの有名な、非常にきれいな御婦人が酔っぱらいに絡まれた、嫌なことをするというので突き飛ばしたら線路に落ちてひかれて死んだというような事件等がありまして、それに対して私は所感を書きましたところが、えらい反響が多くて投書がどんどん参ります、電話がどんどん入りますというような状態で、私の書き方も悪かったのでありますが、一番最後のところで「こんなことでは「さわらぬ神に、たたりなし」「かかわり合うのは、まっぴらごめん」という風潮が、益々ひどくなりはしないか、私はそのことをなによりも恐れる。」こう締めくくったのです。その締めくくりに因縁つけられまして、まことに締めくくりが弱い、だからどうするというんだということについてもっとはっきりしたことを書くべきではないかというおしかりを受けるやら励ましを受けるやら、大変な反響をいただきましたので、この機会に国家公安委員長所信をぜひ伺っておきたい。したがって、今から質問を申し上げることについては、相当多くの国民が関心を持って聞いたり見たりしてくれていると思いますので、そのおつもりでお答えをいただきたいと思います。  まず、一月十四日の午後十時ごろ、横浜市内のバス停留所で、飲酒運転でやってまいりました不動産業者四十三歳が乗用車をバス停留所にとめようとしたので、バスの誘導員が、六十二歳の人ですが、ここはバスが発着をいたしますので車を動かしていただけませんかと頼みました。ところが、その不動産業者は、生意気を言うなと言って約十分間にわたって誘導員を殴るけるの暴行を加えて半死半生の状態にしたというのであります。その間無人であったかといいますと、これは新聞の報道でありますが、約五百人近くの人が見ていたが、だれもとめに入る者はいなかった。見るに見かねた十九歳のアルバイトの少年が、このままでは死んでしまうと、とめに入った。ところが不動産業者は、近くにあった鉄製の四角い、高さが五十センチ、幅が四十センチ、重さが約三キロの駐車禁止の標識を取り上げて、それを振り上げて少年の胸をたたいたというのですね。少年はたまらぬものですから、もみ合ってその標識を取り上げた。奪ったその拍子に振りかぶってたたいたものですから頭をたたいてしまったというので、一カ月の重傷を負わせてしまったという事件があります。そのときの問題でありますが、この少年はその場で現行犯逮捕、こういうことになりましたと書いてあります。本当なんでしょうかということも聞きたいのです。  それから逮捕された後、半死半生に殴られた六十二歳の誘導員の方は全治一週間で済んだそうでありますが、現行犯逮捕された少年はそのまま引っ張っていかれて、どういうふうな手続になるかよくわかりません、後で質問いたしますが、横浜地検において拘置期限ぎりぎりの二十六日の晩まで十二日間とめ置いた。そして十二日ぶりにこの少年を処分保留のまま釈放したというのであります。何でそんなに長いこととめなきゃならなかったのかということも聞きたいところでございます。そしてさらに聞いてみますと、その少年はことしの二月、都内の私立大学を受験する身分でございました、アルバイトしながら。やむにやまれず仲裁に入ったその正義が裏目に出てしまって、大学入学試験というこんな大事なときに逮捕されて十二日間も拘置された。そしてしかも処分保留のまま出された。この少年は果たして入学試験はうまくいったのだろうか。私はその後を知りません。一体どうなったのだろうかと本当に心配な気がいたします。  それで私は、この少年はもうこのことに懲りてしまって、今後他人がどんな災難に遭っているのを見てももう二度と再び仲裁に入ろうなんということは考えないだろう、本当に悲しいことじゃないか。重傷を負わしたことはまことに不幸な出来事でありますけれども、しかし、この正義がこんな裏目に出て、それで町に芽生えたいわゆる正義の魂というのが、ここでまた一つぽつっと消えていくということが何よりも寂しいということを実は私は書いたのであります。このことについて、以下当局にお尋ねをいたしたいと思います。  今申し上げたとおり、いずれも新聞報道でありますから、実地を私が見たわけではございません。したがってお尋ねをするのでありますが、現行犯逮捕をしたというのは事実でありますか。
  133. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 事実でございます。
  134. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 事実といたしますと、いわゆるその正義の少年を現行犯逮捕したときの状況は、群衆の目の前で手錠をかけて腰縄を打って引っ張っていったのでありますか、どうなんでありますか。
  135. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 逮捕の状況でございますが、現場におきまして少年本人が少年である旨を申し立てましたこと、それから公衆の面前でありましたこと等を考慮いたしまして、手錠はかけずにパトカーで警察署に連行したものでございます。
  136. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 少年であることと公衆の面前であるということを配慮して手錠はかけないでパトカーで連行したということでございますが、連行してから後はどういう処置をなさったのでございすか。例えば我々がもっと聞きたいことは、まさか署長室の応接間でというようなことはなかったのでありましょうが、さりとて、それでは一応の取り調べが済むまでということで留置場の中へぶち込むというようなことがあったのでございますか。
  137. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 この事件につきましては、今先生御指摘のように、少年に対してはいろいろ同情すべき点があったのは私どもよく承知しておるわけでございますが、何分にも被害者が頭部陥没骨折、それから左眼球破裂という重傷を負っておりまして失明のおそれもあったということで、まず被害が大変重大であったということでございます。また、この事件につきましては目撃者等も多数おるわけでございますが、これら関係者の供述にかなりの食い違いがあったということ、それから、被害者が重傷を負いまして事情聴取できなかったというような状況にあったものですから、やむを得ず逮捕に至ったわけでございます。  また、逮捕後の措置につきましては、ただいま申し上げましたような諸事情もございましたので、十日間勾留いたしまして取り調べを行い、一月二十六日に釈放になったわけでございます。そういうことで、少年の立場というものも十分考慮した上で警察といたしましては必要な捜査を遂げたということでございます。
  138. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、勾留したのは留置場でございますか。どこですか。
  139. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 留置場でございます。
  140. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、私が非常に不審に思うのでありますが、なるほど、物のはずみというものは恐ろしいものであります。ですから、その取り上げた約三キログラムの交通標識、自分が殴られたのですから、殴られても殴られても、イエス・キリストのように右のほおを打たれたら左のほおを出しなさいということが徹底しておれば結構でありますが、しかしそのままだったらあるいは殺されているかもわかりませんね。したがいまして、自分を防衛するためにはそれを奪う、奪ったらはずみで殴る、それがとんでもない重傷を負わせてしまったということで、事件は大変不幸な展開を示したのでございます。  しかし、事がそれほど明確であるのに、いわゆる目撃者の供述等が食い違いがある、あるいは被害者の事情聴取がなかなかできない、そういう点も事情はよくわかります。事情はよくわかりますが、しかし、そういう大学入試を控えておる十八歳の少年を十日間も十二日間も、そんなに長くどうして勾留しなければならぬのですかね。もっとほかにやりようがあるのじゃないでしょうか。そこらが、一般の大衆が新聞を読んで、おかしいな、何をやっているのだろうか、そんなに長くどうして引っ張らなければいかぬのだろうかという気持ちが、やはり市民の小さな正義感の中にあるのですよ。その点、なぜ十日間もとめ置かなければならなかったのでございますか。
  141. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 答弁を繰り返すようでございますが、やはり関係者の供述に食い違いがありましたものですから、これを詰めるためにそれだけの日数を要したということでございます。できるだけ早く捜査を終了するように私どもの方も指導をいたしたわけでございますが、検察等とも十分協議しての結果でございますが、こういうふうに相なったということでございます。
  142. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 その少年は、釈放をいたしまして家に帰したならば逃亡するおそれがあるとか、そういうような人ではなかったはずですね。ということになりますと、これが大人で、ちょっと表現が悪いのですが、見るからに憎らしい御面相をしておるとかなんとかいう、あるいは前科があるとか、この男なら過ってじゃない、正当防衛どころじゃない、過剰防衛だというようなことがすぐ推断できるような人ではない、本当に純真無垢な、アルバイトをやっている、大学入試を控えて一生懸命の少年であるということ、そのぐらいのことは警察で、あるいは検察で見抜けないはずはないと思うのですね、多くの事案を取り扱ってきていらっしゃるのに。一たんパトカーで警察まで連れていったという事情はわかりますけれども、その日の晩にはすぐ家に帰してやるというくらいの温情を示してもだれも怒る者はおらぬ。捜査にも不都合は生じないと思うのですよ。その点がどう考えてみても残念で残念でならないのです。まさに凶悪犯を相手にしての取り調べに必要な手段を講じたのではないかなと勘ぐりたいのです。そういう気持ちを何か払拭できるような、もうちょっとぱしっとした言いわけがございませんか。
  143. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 勾留は御承知のように十日間ということになっておりますので、通常の扱いでございますと勾留期間をいっぱい使うという運用をしていると思うわけでございますが、私どもはこういった事件を契機にして、仮に十日間の勾留を認められましても、できるだけ早く捜査を遂げて、勾留いっぱいにならない段階におきましても釈放するようにという指導をしているところでございます。
  144. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 現地の責任者ではないわけですから、ちょっと質問をするのにも酷だなあと私は思いながら質問をしておるのでありますが、しかし中央で指導に当たられる立場からということを考えていただきまして、本当にはずみでたたき返したのがそういう重傷を負ったということは容易に想像できる事案であり、少年であるにもかかわらず、勾留期限は十日間許されておるのだからというので勾留期限ぎりぎりいっぱいまで何で引っ張らなければいかぬのか、余りにも情がなさ過ぎるのじゃないかと私は体が震えるような気がするのですよ。あんまりむごいですよ、やり方が。どこへ消えて隠れるわけでもないのに。  これは答弁者に今申し上げても無理だと思いますけれども、私が言っていることが無理なことだろうかなと思うのですが、大臣、どう思われますか。
  145. 梶山静六

    梶山国務大臣 今岡田委員の御指摘になった事犯を聞いておりまして、正義感に燃える岡田委員のことでございますから、うそ偽りがあるはずはないし、利害もないわけでありますからそういうことだと思いますし、また、私の信頼する警察庁の幹部の方々が御答弁になられて、さてどちらに身を置くべきかということを一瞬迷うわけでございますが、私もどちらかというと直情径行な人間でございます。ですから、その具体的な取り扱いはケース・バイ・ケースであろうけれども、私はやはり人の災難を見て見過ごせない、見逃しはしないという正義感、あるいは世の中の不正は許さないという正義感、こういうものを助長する手段がとられなければ世の中は大変なことになってしまう。ですから、世の中で災害を受けている人あるいは妨害を受けている人、その場に全部警察がいるわけじゃございません。せめてその間、集団でみんなが声をかけ合ってそいつを防衛する、抗議をする、そういう世相が生まれることが望ましい。また、見て見ぬふりをする、これも私は一概に言えないと思うのです。その中へとめに入って殴られて、よくよくになった人間を私も聞いておりますから。ただしかし、どうも自分では出ていく勇気がなくても、せめてその場で警察に電話で届け出るくらいの社会的な最低限度の正義感、これは持っていたたかなければ世の中の秩序は保っていけません。  ですから、すべてこういう犯罪に対しては、警察が対処をするという以前に、我々それぞれ市民生活を営んでいる者がそういうものに対して適切な対応ができる心構えを助長する世の中の環境であってほしいと思いますし、警察もそういう対応をしなければならないと思います。  ただ、岡田委員一つお考え願いたいのは、確かにその場の雰囲気が今冷静に考えるほど一〇〇%的確に判断できたのかどうか、これにも問題がありますし、世の中に一人でもそういうことがあってはいけませんけれども、警察官も二十五万人おります。二十五万人だから、確率からいって何人と何人はタカ派で何人と何人はハト派だなどということは決して申しません。しかし、現実にそれだけの方がいれば判断能力も違うことも現実であろうかと思います。私はこういう問題を直接指揮する権能を持っておりませんが、近い機会国家公安委員会でも開かれれば、この事象も取り上げて、警察方々が正義を愛する風潮を世の中にもっともっと助長する手段を講じられるように督励をしてまいりたいと思います。
  146. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 質問者の私が拍手を思わずするくらい実に的を射た、しかも本当は心の底から出てくるような御答弁でありました。本当にありがたいと思います。  では、次に進ませていただきますが、処分保留のまま釈放をされたわけでございますが、一体その処分保留は現在どういう処置になったのか、その後の経過をお知らせください。
  147. 飯田英男

    ○飯田説明員 この事件につきましては、二月十日に横浜家庭裁判所に送致いたしまして、現在横浜家庭裁判所において審理中であるというふうに聞いております。
  148. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 もう一つお尋ねします。  これは法務省の方か警察庁の方か、どちらかで調査が行き届いておればお知らせをいただきたいと思いますが、この少年は大学入試の結果は一体どうなったんだろうかと私本当に心配しておるのですが、知っておられれば教えてください。
  149. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 警察としても、捜査の段階で少年の大学入試につきましては心配しておったわけでございますが、少年本人及び関係者の話によりますと、大学受験は希望しておらず、願書も提出しておらなかったということでございます。
  150. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、これは新聞報道が間違っておったわけですね。大学入試の希望もしてないで願書も出しておらぬということですから、この質問はそれで取りやめをさせていただきます。  ただ、これから後のことで、家庭裁判所のことですからお答えがしにくいのではないかと思いますけれども、二月十日、家庭裁判所で現在そのまま審理中である、こういうことでありますが、この少年は一体どういうことになりそうですかね。
  151. 飯田英男

    ○飯田説明員 現在家庭裁判所で審理中でございまして、その審理の結果どうなるかということは私どもとしては何ともお答えいたしかねるところでございますが、当然捜査資料等はすべて家庭裁判所に引き継がれておりますので、さらに少年の身上等をも家庭裁判所において調査されまして、その上で適切な判断が下されるものと考えております。
  152. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは話題を変えて、いま一件お尋ねします。  兵庫県の津名郡、これは淡路島にあるそうですが、ここにおきまして本年の一月十一日、銀行員が自分の家に侵入してきました空き巣を、用意をしておったバットでポンと殴ったらころっと死んだんだそうです。これもまた不幸ですね。何でそんなバットを用意しておったかといいますと、これが理由があるのでありまして、これはこの家に去年の八月から十二月の間に数回空き巣が入ったというのです。それで何でおれのうちがこんなに空き巣にねらわれるんだろうか、やはりそういう家相があるんですかね。それで、ようし、今度もし入ってきてみい、今度は懲らしめてやるというので、懲らしめるつもりで置いておったバット、そこへまた空き巣がたまたまそれに引きずられたように入ってきた。それでおのれというのでコンとやったら、ぼこっと死んだんですね。これは一体どういうふうになりましたか。
  153. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 この事案は、本年一月十一日午前零時五十分ころ、御指摘のように兵庫県津名郡津名町の銀行員宅におきまして、銀行員が飼い犬がほえている声等で目を覚ましました。間もなく寝室の外に人影が映るのを認めましたので、窃盗犯人が侵入しておるのではないかと判断いたしまして、備えつけの野球バットを持って飛び出しまして、逃走する犯人を約五十メートル追跡いたしまして所携の野球バットで犯人の頭頂部を殴打しましたところ、死亡したというものでございます。  事件直後、当該銀行員から一一〇番通報が入りましたので、現場に急行いたしました警察官が同人を殺人罪の現行犯人と認めまして、現行犯逮捕をいたしたものであります。その後、勾留の上、所要の捜査を行ったわけでございますが、一月二十六日に処分保留、釈放となり、現在に至っておるものでございます。
  154. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この方も全く不幸なことでありまして、自分の家族を守る、自分の家の財産を守るというつもりで、五回も六回もこういう目に遭っておれば、大分頭に来ておるんですから、思わずけがが大きくなって死に至らしめた。これは自分で一一〇番いたしまして、殺人罪で現行犯逮捕、こういうことですね。それで、一月二十六日に処分保留のまま今のところ釈放されていらっしゃる、こういうことでありますが、この人の処分はこれから一体どういうふうに動いていくのでございましょうか。専門家としてのその予想はいかがですか。いまさっきの少年は二月十日、家裁で審理中ということですね。この人は一月二十六日、処分保留のまま釈放ということでありますが、一体どういうことになりそうですか。
  155. 飯田英男

    ○飯田説明員 ただいま先生の御質問で、殺人罪で送致ということでございましたが、私ども受理いたしました罪名は傷害致死で受理いたしておりますので、その点、一点申し上げさせていただきます。  なお、この事件につきましては現在検察庁において捜査中でございますので、まだ現段階ではどうなるかということまでちょっと申し上げかねるところでございます。
  156. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 こういうことにつきましても、これは大臣、本当に不幸なことですね。大臣のような大変偉いお方になりますと、SPさんが常時ついておりまして身柄を守っていただけるのでありますが、我々一般国民なんていうのはみんな一人一人無防備ですよ。全く無防備。だから、事件が起きたら一一〇番して警察のお世話になればいいじゃないかというけれども、そういうことでは間尺に合わぬ場合が随分あるわけですね。そうなった場合にはやはり自己防衛しますよ。その自己防衛が、警察官の方でも、よく防衛をいたしまして、それが過剰防衛だなんだって、大変気の毒な事柄が年間随分あるようでございます。それと同じように、民間の人は全く無防備のままで、自分を守るためにやったことがつい過剰になったというようなことなんかが出てくるわけであります。  こういうようなのでも、先ほど報告がありましたのを二つとってみても、片方は殺人罪で逮捕とこうなる、片方では傷害致死で今送られてきておる、こういうことでございまして、現在捜査中であるからそこから先は言えない、これは当然でございます。当然でございますが、しかし、自分の家と家族を守るために勇敢に立ったその銀行員は、私はそういう行為に出ることの芽を摘んでしまうようなことがないようにしてもらいたい。庶民は何もできなくなりますね。何もできなくなる。  正直なところ言いますと、こういう事件がどんどんあるものですから、私は小さな、三十坪に満たない二十九・八坪の二階建ての家に住んでおりますけれども、大分山の端に近いものでございますので、後ろに家がないものですから、私でさえこういう事件を聞いたら木刀を新しく買ってきましたよ。木刀を買ってきてテレビの横に置いてありますよ。わざわざ立てかけてあります、いつでもぱっと手に取れるように。しかし、待てよ、この木刀を握ったら相手がけがをしないようにしなければいかぬということを考えると、さてそれも使えぬな。すると、やはりキリスト様のように、たたかれたらこっちが残っております、切られたらこっちがまだ残っております、まだ命があります、もう一つとめてくださいということを言わなければいかぬのでしょうか。私はそういうところがどうも合点がいかぬのです。まあこれはこの程度にさせていただきます。  いま一つ、もう一昨年のことになってしまいましたけれども、JR西船橋駅におきまして妙齢の美人が酔っぱらいの人に絡まれた。絡まれたものですから、嫌ですよとかなんとか言って突き放したのでしょう。それで突き放したところが、本人は自分を防衛するためですから相当の力があったと思いますね。例えが悪いかもわかりませんが、火事場のくそ力というぐらいでございまして、人間、身に危害が及んでくると思ったら何か抵抗しますね。そのはずみで不幸にして相手が線路へ落ちてひかれて死んだ。これも随分長い間勾留されておった事件でありますが、後では無罪になったということを聞いております。聞いておりますが、これなんかも勾留期間が一体どのくらいに及んだのか。ついでに、今のバットで殴り殺したという方の勾留期間もどのくらいであったのか、二つあわせてお答えいただけませんか。
  157. 飯田英男

    ○飯田説明員 まず先生御質問の第一の事件でございますが、これは六十一年一月十四日に逮捕されまして、一月十六日に勾留請求がなされまして、即日勾留状が発付されております。同年二月七日に保釈で釈放されております。  それから、先ほどの事件は、六十三年一月十一日に現行犯で逮捕されまして、翌十二日に勾留されております。そして六十三年一月二十六日に釈放ということになっております。
  158. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣、今三つの事案につきましてお尋ねをしたのでございますが、いずれも逮捕、勾留という手続を経ております。これは法の建前上やむを得ないところもあると思いますけれども、三つが三つとも、まさに自分を防衛するために殴られた標識を奪い返して殴り返したはずみに全治一カ月の重傷を負わせた。片方は、何回も何回も空き巣に入られているので、今度入ってきてみろ、承知せぬぞというので用意しておったバットで殴ったら死んでしまった。そして今の西船橋駅の女性の問題なんかでも、酔っぱらいに絡まれたから抵抗した、ところが相手が死んだ。いずれも原因者は別の人なのですね。原因者は別なのですよ。自分は被害者なのですよ。その被害者がいずれも逮捕されて長い間勾留されなければならぬ。最後の女性の場合は無罪になりましたけれども、余りにも勾留が長過ぎる。善意の市民ですよ。何でもない人ですよ。絡まれただけですよ。こういうような事柄が次から次へと起きてまいりますと、私が心配することは、こういうことなのです。  善良な市民というのは、大臣一緒だと思いますが、私も一緒ですけれども、人が災難に適っておったら、先ほどお話がありましたように、何とかして仲裁に入ってやりたいとみんな思うのですよ。思っているけれども、ようしない。それはなぜかといったら、一番大きな原因というのは、自分が仲裁に入ってひょっとして自分が逆に危険な立場に陥りはせぬかな、要らぬことをするなといって逆にやられてしまうのじゃないかなという心配があるからこそ、その不安のために見て見ぬふりをするのじゃないかと思うのですよ。大臣が先ほどいろいろと所信を述べられましたように、何でもっとみんな協力せぬのだろうか、どうしてみんなでわあぁといってやらぬのだろうか、どうして気のついた者が一一〇番せぬのだろうか、みんながそういうふうに勇気を出してくれれば世の中はもっと明るくなる、非常にうれしいことを聞かせてもらいました。だが、本当に善良な市民というものは、私は疑いたくないのでありますが、我さえよければいい、人の災難を見ても知らぬ顔をして通り抜ける人というのはごくわずかである。本当はみんなとめに入りたい。とめに入りたいが、とめに入って自分が逆にやられたら大ごとだ、だからさわらぬ神にたたりなしだといって見て見ぬふりをするという傾向が多いのじゃないか、私はそう見ておるのでありますが、その点をどう思われますか。  そしていま一つは、勇気を出してとめに入った。とめに入ったら今度はそれに対して危害が加えられた。危害が加えられたらその危害をはねのけようとするのは、人間当然の行為じゃないかと思うのですね。そのことについてどう思われるかということについて所信を伺いたいと思います。
  159. 梶山静六

    梶山国務大臣 大変深刻な三つの問題を提起されまして御意見をちょうだいしたわけでありますが、事件の処理はケース・バイ・ケースであり、その状況に応じて適法かつ妥当な処置が講ぜられるべきでありますが、治安維持というものが国民の理解と協力を得て初めて可能であるということから、最近事件にかかわりたくないという風潮が強くなっていることはまことに憂慮すべきことであると考えております。したがって、治安に協力する市民の行動が社会的にも評価されますように、警察の処置についても十分に配慮していかなければならないと考えております。  なお、今過剰防衛というか、その話がございましたけれども、実は話を聞きながら、私も自宅に鹿島神社の鹿島新當流と彫ってあるカシの木の木刀を持っております。いつでも家族を守ろうという気持ちではおりますが、これからその取り扱いはもう一回検討しなければならないという気がいたします。いずれにしても、大げさに言えば戦争心理と同じであります。この程度までは正当防衛だ、これ以上になれば過剰防衛になるなどという判断がそのときにできるものではございません、倒されるか倒すかですから。そういうことを考えますと、相手が素手であっても首を締められるのではないかとか、その場にいろいろなあれがあると思いますから、その辺の情状酌量は十分にされてしかるべきだと思いますが、特に他人の危難に対して勇敢にあれしたものは、むしろそういう気風を助長していかなければならない、そういう感じもいたしますので、大変教訓に富んだお話をちょうだいいたしましたので、これからもそういうものは実効が上がるように検討してまいりたいと思います。
  160. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣の答弁にまことに満足をいたしましたので、私は時間を五分残して終わらせていただきます。ありがとうございました。
  161. 松本十郎

  162. 経塚幸夫

    経塚委員 最初に警察庁にお伺いをいたしますが、昨晩の爆破事件に関連してでございます。  いわゆるにせ左翼暴力集団の放火だとか暴行事件等々でありますが、これは過去十年間どれくらい事件が発生をして、このうち検挙した数は幾らで、検挙率はどういう状況になっておりますか。
  163. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  昭和五十三年から六十二年までのゲリラ事件の検挙率を申し上げますと、約一〇%でございます。
  164. 経塚幸夫

    経塚委員 一〇%ということですが、この間に発生しました件数はどれくらいあるのですか。
  165. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  同じく五十三年から六十二年までということでございますが、五百三十一件認知しておりまして、五十四件を検挙しておるわけでございます。
  166. 経塚幸夫

    経塚委員 性質的に似たような一般の刑事事件の場合、例えば殺人とか放火だとか凶器準備集合だとかいうようなものの検挙率は平均どういう状況になっておりますか、同じく十年間で。
  167. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  過去十年間の罪種別に見た検挙率でございますが、殺人は九七%、小数点以下を省略しますが、放火八八%、凶器準備集合罪九九%、暴行九三%、傷害九三%という状況でございます。
  168. 経塚幸夫

    経塚委員 公安委員長、ちょっとお尋ねしたいのですが、私どもは、これはもう破壊、暴力を目的としたいわゆる暴力集団であって、左翼などというのは偽りの看板であって、全く破壊集団、暴力集団という位置づけをしておるわけでありますが、こういう大きな事件が起こるたびにお尋ねをしてきたのですが、その都度公安委員長の方も警察庁の方も、これは社会正義の立場から見ても人道上も許しがたい、こういうことで毅然たる所信の表明があるわけであります。  今お聞き及びのとおり、過去十年間の統計を見ますと、検挙率が一〇%なんですね。それで、一般の刑事事件の場合は大体九〇%、凶器準備集合など九九%、一〇〇%近いのですね。警察が事件の発生のたびにかたい決意を表明されるが、これでは泳がせをしておるのではないかというような世間からの批判が出るのも根拠があるなどと諭評などもされたことも幾つかの新聞であるわけなんですね。やはり一般国民から見ればこれは解せぬことだと思うのですね。この点について公安委員長としてはどういうようにお考えですか。
  169. 梶山静六

    梶山国務大臣 確かに、極左という言葉がいいかどうかは別でございますが、極左暴力集団と通常呼んでおりますから申し上げますけれども、計画的、組織的な、しかも凶悪、無差別の犯行を繰り返していることはまさに憤り以外の何物でもございません。ただ、検挙率が悪いという問題については、確かにそういう背景を考えますと、今の人権が最高に擁護をされておる日本において、こういう検挙率を果たして高めることができるかどうかという技術的な問題もございますけれども、警察は全力を挙げてこれに取り組んでいるわけであります。  しかし、今経塚委員御指摘のように、あるいは泳がせというようなことが、前回も予算委員会で私も質問を正森委員からお聞きをいたしましてそんなことはないということを言ったわけでありますが、泳がせるなどという余裕は全くございません。このことは、過去の極左暴力集団取り締まりに当たって数多いとうとい殉職者あるいは数多くの負傷者を出しながら壊滅を目指してきている警察の断固たる姿勢からも御理解をちょうだいしたいと思います。  警察といたしましては、今後とも国民各位の御理解と協力を得ながら、総力を挙げてその極左暴力集団の違法行為を断固として取り締まっていく所存であります。
  170. 経塚幸夫

    経塚委員 泳がせなどという余裕は全くない、こういう御答弁でありますが、しかしこの事実の数字を見ていけば、やはりこれは解せぬということになってくるのですね。  昭和六十二年中の主なゲリラ事件の一覧表をいただきましたけれども、これは警察が相次いで襲撃をされているわけでしょう。一月十九日、警察署に向けて爆発物が発射、東京、これは未検挙ですね。九月二十三日、派出所が放火された事案、沖縄、これは未検挙。警察施設内で車両が爆破された事案、神奈川県、これは十月二十六日、これも未検挙ですね。公安委員長の方から断じて許さないという所信の表明があったわけでありますが、こういうのはまさに社会正義に反し、人道上も許しがたい、増長、野放しにさせるようなことになってはならぬと私どもも考えておりますので、再びこういう指摘を私どもがする必要のないように断固たる姿勢で対処をしていただきたいとお願いをいたしておきます。警察関係は結構でございます。――もう大臣から答弁いただきましたから結構です。委員長、時間の関係もありますから結構です。いや、もうそれはいいです。言いたいでしょうけれども、また機会を改めてします。  それでは次に、これもちょっと大臣にお尋ねをいたしますが、直間比率の見直し、新大型間接税についてでありますが、これは一九八七年二月二十日付の朝日ジャーナル、大臣、これをごらんになりましたか。大型間接税に関する自民党の議員さんの態度につきまして一覧表があるのですね。日本百貨店協会など十一団体で組織する大型間接税反対中央連絡会議のアンケート調査、こういうことで、同会議への大型間接税反対の誓約書を提出した人は丸、それから同会議主催の大会や懇談会への本人出席は丸、代理出席は三角、こう書いてあるのですね。私、興味がありましたから、梶山先生大臣に就任をされましたときにこれをちょっと振り返って見ましたら、大臣のところは三については丸となっておりますね、誓約書を入れたということになっておりますね。それで同会議主催の会議には三角ですから代理出席、こうなっておるのですが、これは事実でしょうか。
  171. 梶山静六

    梶山国務大臣 これは今ここで指摘をされてなぜ思い出し得るかといいますと、私が大臣就任早早参議院の決算委員会で共産党の委員から御指摘をちょうだいいたしました。そして私は、実はそういう記憶がないのであります。私は直間比率の見直しをすることに賛成でございます。そういうことで前回の選挙には私も選挙公報に入れようかと思いましたが、何も税制議論をする必要もないではないかという我が参謀の意見がございまして、その問題にはあえて触れませんでした。ですから私の選挙公報にはその問題については記載がございません。それから、百貨店協会とか何とかというところから出されて、その問題に関しては誓約書を入れたということを言われたので、私はその場で、そういう覚えは全く私にはない、どんなに記憶をたどってみても、そういう私は政治姿勢でおりますから、秘書といえどもそれを出すはずがない、改めて私に時間を下さいということで時間をちょうだいいたしまして、三日間ほど調べまして、百貨店協会やその他のもろもろの団体に全部照会をいたしましたところ、梶山代議士からはそういう返答はもらっておりません。そしておたくの橋本敦先生に私から電話でお伝えをいたしましたら、そうですか、これは「赤旗」に書いてあったので私はそう申し上げました、こういう御返答が参ったわけでございますし、傍聴いたしまして私の秘書も来ておりますが、私の命令で秘書を出した覚えは全くございませんので、何もここで目くじらを立ててあった、ないということを言うわけじゃございませんが、実は私の頭の中に大変大きくあった問題でございますので、そういう措置をとったことでございますし、「赤旗」に間違って記載がされておったとするならば御訂正をお願いいたし、今初めて聞く朝日ジャーナルでもございますから、この問題については私からも拝見をいたしまして、どこがニュースソースになっておるのか調査をしてまいりたいと思います。恐らくそれぞれ選挙ですから、選挙公約というと大変はがれやすい公約かもしれませんが、それでも私は意識をしてあの選挙公約にはそういうことを申し上げておりますので、どこかでもう一回御指摘があればそのことを正確に申し上げようと思っておりましたので、かつて参議院の決算委員会で、私には残念ながらその記憶がない、調査をする時間的余裕を下さいというところまでで終わりになっておりますので、きょうは幸いに衆議院の権威ある地行委員会でこの問題が取り上げられましたので、その私の調査の結果について御報告を申し上げる次第であります。
  172. 経塚幸夫

    経塚委員 公約ははがれやすいということでありますが、大臣は今、私は直間比率の見直しに賛成なんだ、こういうことも御答弁の中でおっしゃったわけでありますが、それが公約だったとすればその公約はひとつはがしてもらっておいた方がいい、こう思っております。  そして「赤旗」の記事云々ございましたが、私が読み上げましたのは、今朝日ジャーナルを持ってきているのですね。朝日ジャーナルの記事に載っておったから、こういうことでお尋ねをしておるわけでございます。そこで、反対だという誓約書を入れた覚えもないし、代理を反対の集会に出席をさせた覚えもない、むしろ大臣自身は直間比率の見直しに賛成なんだ、こういうことであります。  そこで、これは自治省にお尋ねをしたいと思っておりますが、六十二年度の予算の審議の際に、自治省の方から提出された資料だと思いますが、売上税法案が仮に成立をしてこれが導入をされた場合に地方の負担が一体どうなるのか、この資料が出ております。これによりますと、一般行政経費五百三億円、維持補修費二百四十九億円、投資的経費が六千二百七十三億円等々合わせまして、いわゆる一般会計の歳出で合計額が七千三百五十五億円、公営企業関係で二千七百五十四億円、こう出ておるわけでありますが、これは六十二年度の地財計画ベースであります。六十三年度の地財計画ベースに換算をいたしますとどういう額になりますか。
  173. 津田正

    ○津田政府委員 六十二年度の抜本税制改革案におきます売上税の影響額につきましては、先生御指摘のとおり、いろいろな仮定条件がついておるわけでありますが一応はじいたわけでございます。  六十三年度どうかということでございますが、御承知のとおり売上税問題はあのような政治的な大きな課題といたしまして廃案になっておる。今後直間比率の見直し等も含めましてどのような税制改革案になるのか。消費税につきましても課税方式の問題あるいは税率の問題、さらには現行消費税との調整というような問題もございまして、その具体像が出てまいりませんと的確な推計というものは困難な状況でございます。
  174. 経塚幸夫

    経塚委員 私がお尋ねしておりますのは、六十二年度の地財計画ベースで売上税、これは五%で計算をした場合に今申し上げた数字、若干の控除額などを引きまして〇・四七%という計算で自治省の方は計算の根拠を出されておったと思いますが、これを六十三年度の地財計画ベースにするとどうなるか、それをお尋ねしているわけです。それは計算が出るでしょう。
  175. 津田正

    ○津田政府委員 確かに六十三年度の地財計画、それぞれの諸経費の積み上げ、一定の伸び率があるわけでございます。そういう意味におきまして、六十二年度の推計というものからそれらの伸び率等を勘案して出ることは出るかと思いますが、基本論といたしまして、売上税は一応廃案という格好になっておりますので、私どもとしてはそのような計数を出すのは差し控えなければならない、かように考えております。
  176. 経塚幸夫

    経塚委員 それでは、もう一つ事務的なことでお尋ねいたします。  この六十二年度の地財計画ベースで計算をいたしましたのは、いわゆる売上税が成立した場合の純増分として企業会計を含めて約一兆円負担増になる、こういう計算ですか、それとも総額で見た場合の換算でこういう計算になるのですか。純増分が二兆円台でしょう、総額で五兆六千億でしょう、だから純増分と見ての計算になるのですか。
  177. 津田正

    ○津田政府委員 考え方といたしまして、六十二年度施行時期がずっとおくれておりましたけれども、そういうようなものを純増分、そして平年度の約七千三百五十五億、地財計画ベースの数字というものは年間の純増分と、このような考え方でございます。  なお、公営企業も一応数字を出しましたが、あのときの計算でもお断りしたわけでありますが、公営企業の形態いろいろ非常に種々雑多でございますし、物品税等の影響等も考えますと、正直申しまして非常にラフな数字であったかと記憶しております。
  178. 経塚幸夫

    経塚委員 そこで、大臣お帰りになったのでちょっとお尋ねしますが、直間比率の見直しに大いに賛成だということであります。大いにかどうかはわかりませんが、まあ賛成であることは間違いないわけでありますが、今自治省の方から御答弁をいただきました六十二年度の地財計画ベースで純増分だけで売上税のいわゆる五%、いろいろな要因を非課税品目だとか引いていってどうも〇・四七%の計算のようでありますが、これで企業会計と一般会計合わすと一兆円になるんですね。それで、言っておりますとおり直間比率の見直しを五対五というふうに変えていきますと十兆円を超える、こう言われておるのです。そうしますと大体三倍近くの額になってくるのです。そうすると、三兆円近い企業会計を含めまして地方公共団体の負担増になってくるわけなんです。大変な負担増になると思うのです。これは決して地方財源を潤すどころか逆に地方に対して重い負担をかけるということになってきますよ。したがって、これは直間比率の見直しなど、地方の立場から見れば安易に新型間接税の導入はやるべきでないと私は考えるのですが、その点はいかがですか。
  179. 梶山静六

    梶山国務大臣 前提条件でございますが、五対五というような答申が出ているか、あるいはやろうかというようなことは全く未確定の問題でございますから、その問題に基づいての推論、計算というものは成り立たないという気がいたします。具体的な問題は政府委員から答弁をさせますけれども、地方の方が負担増になるということは、経塚委員が言うのは、結局税負担が重くなるということをこの直間比率の見直しあるいは大型間接税ないしはそういうことで主張したいところだというふうに推定をするわけでございますが、取るお金より負担の方が多くなるというのは私は残念ながら理解できません。山より大きいイノシシはいないんだという気になります。これは国税と地方税という差はあるのかもしれませんが、確かに間接税をかけることによって物品購入やその他で税金がかかるようになるかもしれませんが、税金は国庫に行くかあるいは地方税に入ってくるわけであります。いいか悪いかは別でございます。しかし、それが国税に入れば国税三税か四税か知りませんが交付税として返ってくるのでありますから、総体のパイは、私は増税になった場合は国も地方も財源がふえるというふうな一般的な判断をするわけでありますが、残念ながら経塚委員が指摘をする増税をすれば地方の負担は増税よりもふえるんですよという理論は残念ながら理解ができません。具体的な問題ではなくて抽象的な理解度で申し上げた次第であります。
  180. 経塚幸夫

    経塚委員 賢明な大臣、ちょっと何か誤解したのかどこかで解釈が間違ったのか、その徴収する税よりも負担がふえるということを私は言っているのではない。地方の負担が、建設事業費についても一般経常費についても新型間接税というものが導入されてくると地方の歳出の負担がふえるのです。このふえる額が、売上税法案が成立した場合ですと、六十二年度地財計画ベースで合わせて一兆円になる。これが直間比率の見直しということで五対五というような状況になってきますと、二倍とか三倍とか地方の負担増が六十二年度地財計画ベースで出した額よりもふえてくるのではないか。そうすると、二兆円とか三兆円とかいう地方の負担増が出てくるのではないか、こう言っているわけなんです。何も山より大きいイノシシが出るというような話をしているわけではありません。それは大臣が勝手におっしゃっていることであります。だから、そういう地方の負担増になるようなことを直間比率の見直しだなどといって導入することは、国民一般の負担、逆累進制をやることにもなると同時に地方の負担増にもなるから、地方の立場から見ればこれはやるべきでない、私はこう言っているわけであります。時間の関係で前へ進みますけれども、そういう意味ですから、ちょっと大臣は誤解していたのではないか、ヨンカイかゴカイかわかりませんけれども。  そこで、国庫負担金、補助金のカットをもとへ戻すという話との関連でちょっとお尋ねしたいのです。これは私は本会議でもお尋ねしたのですが、ちょっと政府側の御答弁がなかったもので、いやわしはそんなことは言うておらぬ、それは竹下さんが言うていることだ、こう言われると困るわけでありますが、この国庫負担金、補助金のカット問題でこの地行の委員会竹下総理が大蔵大臣のとき、私は何で三年間としたんだとお尋ねした。そのときの答弁は会議録を見ますと、六十一年四月十四日の地方行政委員会で「税制改正のことを考えますと、まあ六十三年ぐらいにしますと、税制改正との平仄も」つじつまですね「大体合ってくるなということで、三年とさせていただいたわけでございます。」だから、六十三年度税制改正が前提条件で三年間とした、こういう意味の答弁なんですね。これははっきり言うておるわけです。  そこで、けさほどからいろいろと論議をされておりますが、自治大臣の見解としては、国庫負担金と補助金カットをもとへ戻すことについては竹下総理が大蔵大臣当時御答弁なさった税制改正との関連を前提とするのか、全くそれと切り離して国庫負担金、補助金は約束どおりもとに戻すべきだ、こうお考えなのか。その点はいかがですか。
  181. 梶山静六

    梶山国務大臣 私も経塚委員の御指摘の、竹下当時の大蔵大臣がそういう話をしたということを間接的に聞いております。ですから、前提条件として税制改正があるから、税制改正ができるから六十四年度からは大丈夫だということで懸念をされるわけでございましょうけれども、当時の大蔵大臣が言ったことは、少なくとも六十三年度いっぱいにでき上がれば六十四年度からは大丈夫なんだという前提でございますが、それは前提条件という約束事には入っていないわけであります。そして六十三年度までの暫定措置だということが言われているわけでありますから、そのまくら言葉に税制改正通りせばということは全く文言に入っておりません。ですから原則論で言いますと、この暫定期間が切れれば原則としてもとに戻るべきだ、そういうことで、ことしの夏に行われるかいつ行われるかわかりませんが、六十四年度の予算編成に向かっては補助金カットは復元する、もとに戻るという前提でこれから交渉を進めてまいるつもりでございます。
  182. 経塚幸夫

    経塚委員 そうすると、竹下総理が大蔵大臣のときに、これは私が申し上げましたように、この答弁は明確に税制改正との関連を前提条件としているのですね、三年とさせていただいた理由としてそれを挙げているのですから。しかし自治大臣としては、そうではない、税制改正の問題とは別個の問題だ、こう御判断をいただいてよろしいですか。
  183. 梶山静六

    梶山国務大臣 一〇〇%関係がないと言えばこれまたうそになります、それは財源という問題があるわけでありますから。ですから、先ほどもお話を申し上げましたけれども、私はこの補助率カットの復元問題というのはいわば必要条件だ。約束したことであるから、たとえ対国民ではなくて省庁間の約束であっても、これはそういうふうに復元されることが義務的な役割を果たすはずだ。もっともっと国民には大切な減税であっても、減税はやればやるにこしたことがないという十分条件であるというふうに私は理解をいたしますので、どちらが国民的に重いか軽いかは別問題として、私はまずもって補助金の復元、補助率のカットがもとに戻される、これが当然あってしかるべきだ。  しかし、今与野党間で合意をして減税問題が進んでおりますが、減税をいたしますと自然増収がそれに食われる、あるいはこれから不公平的税制やその他の問題のもろもろの改善をすることによってその財源を生み出そうといたしますと、私が目の子で考えているこの補助率カットの復元のいわば財源もその辺にはオーバーラップしてダブって見える分野があるわけでございますから、もとは胸を張って大丈夫だと言ったけれども、今小さい胸を痛めながら、この減税案が目いっぱいの財源を全部使ってしまってこういうものに回らない場合に自治大臣としてはいかなる対策を講ずべきかということを頭の中で、できない頭でございますが、苦労をしながら、しかしまずはなりふり構わずもとへ戻せという主張を行うつもりであります。
  184. 経塚幸夫

    経塚委員 小さな胸を痛めておるというのはどうも本当かなあと思うわけでありますが、税制改正の問題を前提として、税制改正の人質に補助金カットをもとへ戻すという問題を取り込むようなことはやるべきでない。それだったらそれで、三年間とするときにその旨を文章の中へ明文化すべきなんでしょう、大臣相互間の覚書の中に。しかし、そんなことは全然入ってないで、国会の答弁の中で三年間の説明として当時の大蔵大臣竹下総理の方からそういう話が出てきたわけなんですから、私はこれは、胸を張って主張するとおっしゃいますが、まだ臭いなというにおいがいたします。  といいますのは、これはもう一つあるからなんです。国保の問題なんです。これは六十二年八月二十一日の地行委員会におきます前自治大臣の答弁でありますが、こうおっしゃっていたんですね。「自治省といたしましては、国民健康保険につきまして医療費の国庫負担の一部を地方に負担させるということはすべきではない」これは幾つか理由を挙げております。「国の責任を地方に転嫁するものである」、おまけに私は聞いておりもしませんのに「国民健康保険も他の医療保険と同じように、国費と保険料及び事業主負担によって支えられるべきものでございますが、国民健康保険の被保険者に対してのみ地域の住民の税金を支出するということは、住民相互間の負担の公平を欠くことになるわけでございます。」絶対受け入れぬ、こう言っていたのです。  そして梶山自治大臣が出現をいたしまして、なかなか気骨のある人だとは聞いておりましたから、これは国保の地方への負担問題についても断固として拒否されるのだろう、こう考えておりましたら、何ですか、貸し借りとかわけのわからぬ話が出てまいりまして、いやそんなもの、借りは絶対にないというようなことで新聞で紙面をにぎわしたわけでありますが、しかし結果から見ますと、これは六百九十億円のいわゆる地方負担を受け入れた、こうなるのですね。理由はいろいろおっしゃりたいことはあろうかと思いますが、しかし結果としてはやはり地方負担なんですね。そうすると、あの言っていた貸し借りという話はほんまにあったんかいなということを言う人がおるんです、私が言っておるわけじゃありませんけれども。なるほどそこがそうだりたのかなと、周りでそういう声が上がりますと私もほんまかいなと、人がいいものですから信用しがちになるわけですけれども、そんな話は横へ置くとしましても、これは絶対受け入れぬと言っていたのですね。まだ半年ちょっとなんですよ。国会での前大臣の答弁が覆ったのかどうなのか、こう疑いたくなるわけでありますが、これは一体何で受け入れたんですか。
  185. 津田正

    ○津田政府委員 国民健康保険問題は数年来大蔵省、自治省あるいは厚生省、いろいろな議論がされてきておったわけでございます。先生も御承知のとおり、六十二年度の予算編成の際には、国庫負担の五〇%のうちの一〇%の調整交付金を一五%にしてその半分は地方に持て、こういう案が出されたこともございました。そういうものはまさしく国庫の負担転嫁ではないか。その結果、懇談会等が設けられましていろいろな議論がされたわけでございますが、懇談会の議論も、やはり現在の国保財政あるいは国保経営の非常に厳しい状況というものの中で、その安定化というものをどのように国あるいは地方が協力して取り組んでいくべきか、こういう観点で議論されました。国保自体老人が多いあるいは低所得者階層が多い、それぞれの原因究明と同時に、それぞれの対策を行い、さらに多年懸案でございました退職者医療の見込み違いというものの処理というようなものも含めまして、全体的に暫定的な措置でございますが、二年間の措置としまして国保財政の安定化というものを図ったのが今回の案でございます。決して地方への負担転嫁、このような観点での議論でやってきたわけではございません。
  186. 経塚幸夫

    経塚委員 地方への負担転嫁ではないと、これは決まったらそう説明をされるわけですが、去年ははっきりと国保財政に対しては国の責任は明確になっている、だから受け入れない、それでおまけに地方の財政は地方税で賄われておる、これを国保という特別な事業にだけ入れるということは不公平だ、こういうことまでわざわざ答弁されているのですが、それは筋は通りはしません。  それで、これは大臣にお尋ねしたいのですが、今地方はこういう負担を受け入れられるほどゆとりがある状況なんですか。これは既に一般会計からの繰り入れが五十六年千三百二十億が六十一年決算だけでも二千二百六十七億円ですよ。一・七倍なんですよ。六十三年度は一体どうなるのか。大臣は先ほどの本会議での私ども共産党の質問に対する御答弁の中で、保険料の引き上げなどというような原因になるとは考えておりません、こうおっしゃったわけであります。しかし実情は、六十三年度は大変ですよ、地方は国保の予算を組んでおりますが。  例えば大阪の例を一、二挙げておきましょう。大阪市の場合は、六十一年度一般会計からの繰り入れでありますけれども、一人平均いたしますと一万四千五百円だったのが六十三年度一万七千七百二十二円、これは一二二%ふえておるのです。吹田市は六十一年度六千七百二十二円、なんと六十三年度一挙に一万八千二百十円、一人当たりの一般会計からの繰り入れが二・七倍です。私の住んでおります東大阪市は、六十一年度三千三百九十五円が六十三年度七千百八十六円でこれまた二・一一倍なんです。これは大変なんです。  六十三年度、これだけ一般会計の繰り入れを二倍、三倍とふやしながら、それでは保険料の値上げなしで済むのかといいますと、そうじゃないのです。札幌は、五十九年から六十三年を比較いたしますと、繰り入れが四十一億円が百十六億円でありますから三倍近いのですね。六十三年度国保料の値上げが札幌は一挙に前年度比三〇・一%ですよ。名古屋はこれまた百五十一億円が百八十三億円ですが、これも国保料の値上げが一二・九%ですね。川崎一二・七%。先ほど言いました東大阪市などは一般会計繰り入れが二・一一倍になりますが、国保料の値上げはなんと平均三〇%。名古屋市では、特に所得が三十万、五十万と低いところが四割から五割の引き上げになるのですよ。東大阪市では、六十二年度末の赤字見込みが百億円でありますから、被保険者の保険料の二年分に匹敵する赤字が累積される、こうなってきているのです。  こういう状況で、果たしてこれでもなお地方への負担転嫁ではないと言い切れるのか、地方は負担転嫁を受け入れるだけの余地があるとお考えなのかどうか、これでなお保険料の引き上げの誘因にはならないとお考えなのか、この点はいかがですか。
  187. 梶山静六

    梶山国務大臣 まさに経塚委員御指摘のとおり、今回国保制度の改善、改革をいたしませんと、ますますこの地方自治体からのいわば繰り入れをふやしていかなければならない。現在赤字であるから繰り入れをふやす問題と今回の国保の改正問題は直接連動いたしません。むしろそういうものを直すためにやっているわけであります。ですから、今のままでいって全く地方財政から繰り入れをしないで済むということであれば、これまた画期的なことになろうかもしれませんけれども、御承知のように国保の抱えている問題点、確かに高齢者が多い、あるいは無収入者、低額所得者が多いということを考えますと、保険は原則として国半分、被保険者半分ということで成り立つわけでありますが、被保険者の所得が低ければ担税能力がないわけでございますから、これを何とかしてカバーをしていかなければならない。  ほかの保険制度と違いまして国民健康保険は地域保険でございます。まさに地域問題そのものでありますから、幾ら被保険者が苦しんでもいいということで地方自治団体が手をこまねいていていいはずがございません。ですから、都道府県は関係がないと言うけれども、地方自治体、市町村に極めて密接な関係を負っている都道府県がこの問題に全く無関心、関係がなくていいというわけにはまいりません。ですから、原則としては当然、国の制度として創設をされたものであり一義的には国の責任において処理されるべきものでありますが、今国保会計の置かれている現況、こういうものを考えますと、地方自治体の関与権、何とか中央に対してこの国保問題を直すというためにも国保問題に手を触れざるを得ない、私は大変な決心をしながら今回の問題に手を染めたわけであります。ですから、二年間のいわば暫定措置でございますけれども、この二年間懸命な検討をすることによって国保運営全般の、受診や会計をひっくるめた運営がスムーズにいくような努力をしてまいりたい、こういうことで今回踏み切ったわけでございます。  もろもろのことがあろうかと思いますが、今一年二年これを看過することができない現況であります。そういうことであれば、国がもっともっと金を持てばそれでいいではないかという議論も反面にあろうかと思いますけれども、国保問題の改善で財政措置については十二分に地方財政計画でこの問題のマイナス分をカバーすることをいたしておりますので、直接的な財政の負担は現象として起きてまいらない、むしろこのことがやがて保険税率を上げないで済む基本につながるように努力をしてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
  188. 経塚幸夫

    経塚委員 それは大臣、国庫負担を減らさずにおいて、そして国保財政については地方も分任の責任があるから、国はここまでの努力はしておるんだから地方も考えたらどうかという話なら筋が通らぬこともないですよ。しかし、国庫の負担がどんどん減ってきているじゃないですか。例えば五十六年それから六十一年それぞれ決算を比較いたしますと、五十六年当時は国庫の負担割合は保険財政の中で占めるのは五八%だったのですよ。これは六十一年度決算で何ぼになっていますか。四四・五%じゃないですか。一三・五%減っているのですよ。下がっているのですよ。総額にいたしますと、つまり六十一年度決算で五十六年度並みの国庫負担率を換算すれば、七千億前後の金になるでしょう。保険料の二八%に該当するのですよ。  だから、国庫の負担を五十六年度並みを維持してきておって、そして国保財政がなお大変だと――私どもも一般的に地方が負担の責任を負うことは否定しておりはしませんよ。むしろ去年の地方行政委員会での質問の中で自治大臣が、地方税を国保財政に注ぎ込むことについては税の配分の公平上からいって問題があると言ってわざわざ答弁をされたことについては、ありゃ妙なこと言うなというぐらいの感じを持っておったくらいでありますよ。しかし、わざわざそこまで答弁をして、それを地方負担を認めないという一つの重要な理由にしてきたわけでしょう。そうしたら、今の答弁を聞いてみますと、わずか六カ月、七カ月前の自治大臣の答弁はそれならひっくり返ってしまったのか。大臣がかわって、いや今度は地方も大いに負担して当たり前だということになるのか。葉梨自治大臣の答弁は全く話にもならぬというようなことになりかねないわけであります。六カ月か七カ月でひっくり返ってしまうということになりますと、それじゃ大臣がかわると方針も皆変わってくるのかな、こういうことになりかねませんよ。だから私が言っておりますのは、国庫負担は減らさずにきておいて、そしてなお保険財政はもう大変だということになれば、大臣の御答弁もそれは筋が通るかもわかりませんが、何と七千億円も減額をするほど国庫負担率を減らしておいて、そうして地方へ新たに六百九十億円も負担を転嫁させる、こういうようなことになってきますと、これは地方から見たら納得いきませんよ。だから私はこれをお尋ねしているのですよ。負担転嫁は受け入れないと言っていたのは一体いつひっくり返ったのか、今の御答弁では御答弁になっておりませんじゃないか、こう言っているのですが、私の言っている方が筋が曲がっておりますか、大臣の方が筋が通っておりますか、どっちでしょう。
  189. 梶山静六

    梶山国務大臣 数字については政府委員から答弁をさせますけれども、葉梨前大臣から引き継ぎを受けまして、なおかつ国保の現況にかんがみ、いわば都道府県、市町村が関係をする分野を広げたわけでございますけれども、その減額分というか負担分を丸々地方財政計画の中で対応いたしておりますので、財政負担がふえるという理解はいたしておりません。
  190. 津田正

    ○津田政府委員 国保財政におきます国庫負担の問題につきましては、御承知のとおり、老健法の関係あるいは退職者医療というような仕組みによりまして分立しております医療保険間の給付と負担の公平を図る、その一環でやられたわけでございます。その途中経過におきましては見込み違い等の問題があったわけでございますが、これも今回の見直しにおきまして解決を図った問題でございます。  それから、負担転嫁かどうかという問題でございますが、これはまさしく先生御承知のとおり、今度の内容は六割、四割軽減しなければならない、それをだれが持つんだ、ほかの被保険者に持たせていいかどうか、そういうような吟味をいたしまして、公費負担もやむを得ない、そういうような議論を詰めた結果の処理でございます。もちろん国保財政、基本的な問題、まだまだ多くの課題を抱えておるわけでございますが、そのような構造的な問題を吟味しながら今回の措置をとりまして、暫定的でございますが国保財政の安定化を図ったものと御理解いただきたいと思います。
  191. 経塚幸夫

    経塚委員 今御答弁がございましたけれども、退職者医療の見込み違い千八億、これは補てんはもう済んだ、そして老健法の拠出金の改正に伴ってこれはもう収支とんとんだ、こういうようなこともおっしゃっていますけれども、これはまた地方税審議のときにお尋ねをするといたしまして、何といったってそんなものは当然第一義的に負うべき国がその責任を負わずにおいて、国庫負担をどんどん減らしてきておいて、そして地方に負担をかぶせたところでこれは筋が通りませんよ。ですからこれは、改めてこんなものは撤回すべきであるということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。      ────◇─────
  192. 松本十郎

    松本委員長 この際、昭和六十三年度地方財政計画について説明を聴取いたします。梶山自治大臣
  193. 梶山静六

    梶山国務大臣 昭和六十三年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。  昭和六十三年度の地方財政につきましては、巨額の借入金残高を抱えるなど引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方債の抑制に努めるとともに、地方一般財源の所要額の確保を図り、歳出面においては、経費全般について節減合理化を図るとともに、個性豊かで魅力ある地域づくり推進するため必要な地方単独事業費の確保に配意する等限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹することを基本といたしております。  以下昭和六十三年度の地方財政計画の策定方針はついて御説明申し上げます。  第一に、土地の評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の負担調整措置を講ずるとともに、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税等の税率等の特例の適用期限の延長等を行うこととしております。  第二に、国庫補助負担率の引き下げ等を行わない前提では収支が均衡する見通しとなり、地方財政の中期的な健全化を図る観点から昭和六十三年度に一般会計が臨時特例交付金として交付税特別会計に繰り入れることを予定していた額はついて、昭和六十六年度以降の地方交付税総額に加算する等の措置を講ずることといたしております。  また、国民健康保険制度の見直し並びに昭和六十一年度及び昭和六十二年度の国庫補助負担率の引き下げに伴う昭和六十三年度の地方財政への影響額を合わせた一兆七千二百五十九億円の財源不足につきましては、地方たばこ消費税の税率引き上げ措置の継続、地方交付税の増額及び建設地方債の増発により補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生ずることのないよう措置しております。  第三に、厳しい財政環境のもとはおいても、地方団体の創意工夫はよる個性豊かで魅力あるふるさとづくりや住民生活に身近な生活関連施設の整備等の積極的な推進を図るため地方単独事業費の確保に配意するとともに、福祉施策、教育・文化振興対策等の推進、過疎地域の振興等に対する所要の財政措置を講ずることとしております。  第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともは、国庫補助負担金について補助負担単価の適正化等の改善合理化を進めることといたしております。  以上の方針のもとに、昭和六十三年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は五十七兆八千百九十八億円となり、前年度に比し、三兆四千四百二億円、六・三%の増加となっております。  以上が昭和六十三年度の地方財政計画の概要であります。
  194. 松本十郎

    松本委員長 以上で説明は終わりました。      ────◇─────
  195. 松本十郎

    松本委員長 内閣提出地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。梶山自治大臣。     ─────────────  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  196. 梶山静六

    梶山国務大臣 ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨はつきまして御説明申し上げます。  明年度の地方税制につきましては、最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化等を図るため、個人住民税の優良住宅地の造成等に係る長期譲渡所得の軽減税率の引き下げ等並びに三大都市圏の特定市の市街化区域における特別土地保有税の特例の適用期限の延長及び免税点の引き下げを行うとともに、土地の評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の負担調整措置を講ずることとし、あわせて、道府県たばこ消費税、市町村たばこ消費税、自動車取得税及び軽油引取税の税率等の特例の適用期限の延長等を行うほか、国有資産等所在市町村交付金等について所要の規定の整備を図る必要があります。  以上が、この法律案提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法の改正は関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得について税率の一部を引き下げて一律とし、他の長期譲渡所得と分離して課税するとともに、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得について一定の場合を除き、他の所得と分離して軽課する特例を設けることといたしております。  また、法人の道府県民税及び市町村民税につきましては、基盤技術開発研究用資産等に係る特例措置の適用期限を昭和六十五年三月三十一日まで延長することといたしております。  その二は、事業税についての改正であります。  事業税につきましては、新聞業等七事業に係る非課税措置の廃止に伴う経過措置を二年度間延長することといたしております。  その三は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税はつきましては、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用して民間都市開発事業として第三セクターが取得する公共施設用地はついて、一定の要件のもとに非課税とする等の措置を講ずるとともに、特定産業構造改善臨時措置法に基づく営業の譲渡により取得する不動産に係る税額の減額措置等の特例措置について整理合理化を行うことといたしております。  その四は、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税についての改正であります。  道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税につきましては、昭和六十一年度における地方財政対策の一環として講じられた税率等の特例措置の適用期限を昭和六十四年三月三十一日まで延長することといたしております。  その五は、自動車税についての改正であります。  自動車税につきましては、昭和六十四年十月一日以降に適用される自動車排出ガスに係る保安基準に適合する自動車に係る税率の軽減措置等を講ずることといたしております。  その六は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  宅地等及び農地に係る昭和六十三年度から昭和六十五年度までの各年度分の固定資産税及び都市計画税の額につきましては、評価がえに伴う税負担の調整を図るため、昭和六十三年度評価額の昭和六十二年度分の課税標準額に対する上昇率の区分に応じて定める負担調整率を前年度の税額に乗じて求めた額を限度とするとともに、評価額の上昇割合の実態に応じ負担調整率の区分を細分化することといたしております。  また、日本障害者雇用促進協会が職業センターの設置運営業務の用に供する一定の固定資産に係る固定資産税を非課税とする等の措置を講ずるとともに、新築住宅に係る税額の減額措置等の適用期限を延長するほか、無公害化生産設備に係る固定資産税課税標準の特例措置等の整理合理化を行うことといたしております。  その七は、電気税についての改正であります。  電気税はつきましては、産業用電気に係る非課税品目の縮減を行うことといたしております。  その八は、特別土地保有税についての改正であります。  三大都市圏の特定市の市街化区域内において収得される一定規模以上の土地に係る特別土地保有税の課税特例措置の適用期限を二年間延長するとともに、免税点の引ぎ下げを行うことといたしております。  また、筑波研究学園都市において整備された一定の研究所の敷地の用に供する土地またはその取得について非課税とする等の措置を講ずることといたしております。  その九は、自動車取得税についての改正であります。  自動車取得税につきましては、地方道路財源の確保を図るため、軽自動車以外の自家用自動車に係る税率の特例措置等の適用期限を昭和六十八年三月三十一日まで延長すること等の改正を行うことといたしております。  その十は、軽油引取税についての改正であります。  軽油引取税につきましても、地方道路財源の確保を図るため、税率の特例措置の適用期限を昭和六十八年三月三十一日まで延長することといたしております。  その十一は、事業所税についての改正であります。  事業所税につきましては、公害防止事業団から譲渡を受けた共同利用建物に係る資産割及び新増設に係る事業新鋭の非課税措置の対象に共同利用建物以外の集団設置建物を加えるとともに、資産割の非課税措置についてその適用期限を二年延長する等の措置を講ずることといたしております。  その十二は、国民健康保険税にっぃての改正であります。  国民健康保険税につきましては、課税限度額を現行の三十九万円から四十万円に引き上げることといたしております。  その十三は、国際花と緑の博覧会の開催に伴う特例措置についてであります。  昭和六十五年四月から国際花と緑の博覧会が開催されることに伴い、国際花と緑の博覧会協会等に対する住民税及び事業税、旅館における外客の宿泊及びこれに伴う飲食に対する料理飲食等消費税、国際花と緑の博覧会の用に供する家屋等に対する固定資産税等を非課税とする特例措置を講ずることといたしております。  第二は、国有資産等所在市町村交付金法の改正に関する事項であります。  昭和六十四年度から昭和六十六年度までの各年度分の市町村交付金につきまして、固定資産の価格の修正通知または修正の申し出をする場合に比較すべき類似の土地の価格に係る特例措置を引き続き講ずること等所要の改正を行うことといたしております。  以上が、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げます。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政の現状にかんがみ、地方公共団体の財源の充実・確保を図るため、昭和六十三年度分の地方交付税の総額について、所要の加算を行うとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。  まず、昭和六十三年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に同法附則第三条の特例措置額二千二百七十五億円を加算した額から、昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例により確保された額のうち返済すべき額の一部返済額二百三十億円及び交付税特別会計における借入金等の利子の支払いに充てるため必要な額二千七百八十億円を控除した額とすることとしております。  また、昭和六十六年度分から昭和六十八年度分までの地方交付税の総額につきましては、昭和六十六年度及び昭和六十七年度にあってはそれぞれ千七百五十億円を、昭和六十八年度にあっては千七百六十九億円を加算した額とすることとしております。  次に、昭和六十三年度分の普通交付税の算定につきましては、地域産業の育成・地域経済の活性化の促進等地域振興に要する経費道路・街路・公園・清掃施設・下水道等住民の生活に直結する公共施設の整備及び維持管理に要する経費、教職員定数の改善・教育施設の整備・私学助成・生涯学習の推進等教育施策に要する経費、老人保健施策の推進・長寿社会対策の充実等高齢化への対応・生活保護基準の引き上げ等福祉施策に要する経費、消防救急対策・土地対策等に要する経費、地域社会における国際化への対応に要する経費、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げに伴う所要経費の財源を措置し、あわせて、投資的経費について地方債への振りかえ措置を縮減することに伴う所要経費の財源を措置することとしております。  このほか、国民健康保険制度の見直しその他制度の改正等に伴って必要となる経費の財源を措置することとしており、これに伴い、地方財政法の一部を改正し、昭和六十三年度及び昭和六十四年度において、国民健康保険の療養の給付等に要する経費について、地方交付税の額の算定に用いる財政需要額に算入し得るよう措置することとしております。  以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  197. 松本十郎

    松本委員長 以上で両案についての趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十四分散