○加藤(万)
委員 いずれ
法案が出る段階で、その中でぎっちりお互いに討論していい案をつくりたいと思いますが、しかし問題は原案ですからね。原案が曲がっちゃいますと、その幹まで我々が直すことはなかなかできない。枝葉を曲げるぐらいはできますけれども、幹が曲がっちゃうといげませんから、自治省もいま少しきちっとして、所得税が減税になればそれは全体の所得としての減税ですからというような
発想は、いやいや住民の側が先に減税をしてもらわなければ困るんです、これぐらいの主張をしてもらいたいと思うのですね。
時期などについても、私は去年、御案内のように税制の
委員会のときにもやや誘導的に、八月に仮に
法案が通っても時期は六十二年度実施は難しいだろうという
意見を提言をした方です。時期などは、これは
法案がいつ成立するかによって決まることですから。いずれにしても、野党の要求しています六十三年度
地方税減税をともに含めてやる。そうなりますと、六十二年度に決めた
法律の減税、それと今度は六十四年度の二段階になっていますから、これと
一緒に合わせたものになってきますから、相当今から準備をされる必要があると私は思いますよ。ただ、事務的な問題については、またいずれ皆さんの御
意見なども聞きながら勉強はしたいと思っております。
大臣、私は今度の与野党の話を見ましても、率直に言って、なぜ住民税減税という
言葉が入ってこなかったのか、私は多少不満なんですよ。
地方税に対して、国もそれからそれぞれの折衝の過程でも、もっと十分な配慮というものが先になされていかなければいかぬのじゃないでしょうか。でありませんと、
地方自治体がそれこそ胸を張って物を言うことができない。
大臣、今お聞き及びのとおりです。自治省としては、今の段階、非常に重要な時期ですから、ぜひ
大臣の目配り、それこそ
竹下総理じゃございませんが気配りをひとつしっかりとしていただいて、
地方税を所管する
大臣として
地方自治体を所管する
大臣として、十分な活躍を私は期待をし、その結論がなければ期待外れということになるわけですから、ぜひひとつ御健闘をお願いいたしたいと思います。
四全総のお話が前にちょっと出ていました。
大臣からも幾つかの答弁がありまして、私も大変興味深く聞いておりました。
地方と国との一極構造の新しい手直しといいましょうか、
地方分極化の問題をそれぞれが
政治家の立場でお考えになり提言をされる、すばらしいことですね。その中身のいかんにかかわらず、私はすばらしいことだと思うのです。実は前段その話をしようと思ったのですが、もう前の方が
大臣とやりとりをやられましたから、私はこの際一点に絞って申し上げてみたいと思うのです。
産業構造の変化という問題ですが、私は大変な変化だと思うのですね。特に
日本の場合には第三次
産業と言われる情報分野が非常に活発になりました。その結果として
東京への
集中という問題が起きているわけですね。情報集積度が
東京は三八%ぐらい。私神奈川ですが、神奈川でも一七、八%、こう言われておりますから、いわんや
地方ではもっと情報の集積度というのは低いでしょう。したがって、情報を中心としてこれからの
産業をどう経営していくかなどということを考えれば、どうしても
東京に本社をという
発想はぬぐい去れないものがあろうと私は思うのです。その結果として、
大臣が御指摘ありましたようは
東京に財政が
集中しているわけですね。
私は昔よく言ったのですが、
大臣、例えば一万人の機械製作の工場がある敷地と、私がやっている時分は化学工場ですね、いわゆるコンビナート、石油化学工業、ここに人が千人働いている敷地と、敷地面積が大体同じなんですよ。多くて十分の一、少なくても五分の一の雇用で実は敷地としては化学工業の場合は五倍必要だ。今度の場合にはそれと全く逆の傾向なんですね。いわゆる情報
産業の集積度が高ければ高いほど小さな、コンパクトな中で仕事ができる。そして、そこに人が
集中してくる。したがって、それに伴って、それぞれの
集中した
都市における財政構造が非常に豊かになる。この構造を直すためには、さっき御指摘ありました
大臣の新聞における例の
産業を
地方に
移転するためには
都市における
譲渡所得の問題を考えよう、これも
一つの
発想なんですね。
同時にいま
一つは、その
都市から出たものが受け入れられる条件というものを
地方につくらなければだめです。つくるためには、
地方の財政力を豊かにしなければならないのですね。いわゆる
産業基盤あるいはそういうものが入ってくる基盤形成というものをせなければいかぬわけです。そこに
地方の財政力というものに対する新しい見方、あるいは税率構造というものを変えなければいかぬという問題が出てくるのだろうと思うのですね。
日本の
産業構造に見合った
地方税制ないしは国の税制、この改正という問題が意外と論議をされてないんです。売上税の問題は大変論議をされておりますけれども、どうも売上税あるいは一般消費税と言われるそういう長期的な年金財源あるいは医療財源とかいう問題をめぐって、売上税という議論は非常に
政治的にも豊かにといいましょうか、あるいはけんけんがくがくといいましょうか、あるいは税調でもやられておりますけれども、では
産業構造の変化に伴ってどういう形で今の税制構造を変えていかなくちゃならぬのかという議論が少ないんですね。ないとは言いませんけれども、少ないんです。そこにメスを入れる必要がある。税制改正はさまざまありますよ。ありますが、私は特に
地方自治体というものを主体とする所管の自治省としては、この今の
日本の
産業構造の大きな変革というものに対してどういう研究、討論をされるのか、これが非常に重要ではないかと思うのです。
そこで、今自治省で検討されております法人
事業税の分割基準の問題、これは
大臣、もっと早くおやりになったらどうですか。もう言うまでもありませんが、先ほど
大臣が、
東京都はかつては全国
シェアの中での
税収率が一七、八%、今二二、三%ですかね、今は二十何%、こうおっしゃいましたが、二、三年の現象というのは実は
産業構造の現象なんですよ。ですから、
首都東京における
集中という問題は何から起きているかということを見れば、金融の
集中化であり、同時は情報
産業集中化でしょう。それに伴って、今
東京都の
税収が非常に豊かになっておりますね。その構造変化にもかかわらず、実は分割基準でやっているわけです。ですから、
東京に法人の住民税関係あるいは法人
事業税関係が
集中しちゃっているんですね。 ちなみにどのくらいあるか、これはもう数字を申し上げるまでもないと思いますけれども、
東京都の法人都民税、六十三年度は六十二年度比一三五・七%です。三六%近く伸びているわけですね。法人
事業税は一四二ですよ。そして、額だけとってみますと約四千億円
東京都の法人
事業税は伸びている。ですから、
東京が今度は新宿に都庁を移す、これはいわゆる法人
事業税の
税収だけで十分賄えるなんというばかな現象が起きてしまっているのですね。
大臣は茨城ですから、ちょっと失礼ですけれども調べさせていただきました。
東京の都民税が六十三年度九千五百五十六億円です。茨城の場合には百五十二億円ですよ。茨城の人口は今は大体二百七十万ぐらいでしょう。仮に十倍にしたって千五百二十億円でしょう。
東京は九千五百五十六億円。法人
事業税では
東京は一兆二千九百十二億円ですよ。同じことを今度は茨城で、
事業税でいきますと七百四億円ですね。茨城なんかは日立があったりして割合と法人は優秀なところ、大きいところですよ。鹿児島なんかに至っては法人の住民税が六十四億円ですね。そして、法人の
事業税が二百九十四億円ですよ。これじゃひど過ぎますよ。
その手がかりとして分割基準の見直しを早急にやられる必要がある。懇談会が持たれているのは去年の六月からですか、もう一年十カ月近くかかるでしょう。早急にやらなければならぬ問題が何でこんなに時間がかかるのですか。
大臣の言っていることを現実に引き直すには、まず自治省が所管している税制構造の見直しを早急にやられるべきじゃないですか、どうですか。これは財政局長ですか税務局長ですか、
大臣でもどちらでも結構です。