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1988-02-17 第112回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十二年十二月二十八日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 松本 十郎君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 安田 修三君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石橋 一弥君    金子 一義君       北村 直人君    熊谷  弘君       鈴木 恒夫君    染谷  誠君       高橋 一郎君    谷  洋一君       友納 武人君    中山 利生君       渡部 恒三君    渡辺 省一君       加藤 万吉君    佐藤 敬治君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       山下洲夫君    小谷 輝二君       柴田  弘君    経塚 幸夫君       寺前  巖君 ────────────────────── 昭和六十三年二月十七日(水曜日)     午前九時五十三分開議  出席委員    委員長 松本 十郎君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 安田 修三君    理事 山下洲夫君 理事 草野  威君    理事 岡田 正勝君       甘利  明君    江口 一雄君       金子 一義君    北村 直人君       佐藤 静雄君    自見庄三郎君       鈴木 恒夫君    武部  勤君       友納 武人君    中山 利生君       松田 岩夫君    五十嵐広三君       加藤 万吉君    佐藤 敬治君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       小谷 輝二君    柴田  弘君       岡崎万寿秀君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         警察庁刑事局保         安部長     漆間 英治君         警察庁警備局長 城内 康光君         自治政務次官  森田  一君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 渡辺  功君         消防庁長官   矢野浩一郎君  委員外出席者         法務省人権擁護         局調査課長   落合 紹之君         厚生省健康政策         局指導課長   松村 明仁君         厚生省社会局施         設課長     矢野 朝水君         通商産業省貿易         局検査デザイン         行政室長    長尾梅太郎君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     ───────────── 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     江口 一雄君   熊谷  弘君     松田 岩夫君   高橋 一郎君     佐藤 静雄君   谷  洋一君     自見庄三郎君   渡部 恒三君     甘利  明君   渡辺 省一君     武部  勤君   細谷 治嘉君     五十嵐広三君   寺前  巖君     岡崎万寿秀君 同日  辞任         補欠選任   甘利  明君     渡部 恒三君   江口 一雄君     石橋 一弥君   佐藤 静雄君     高橋 一郎君   自見庄三郎君     谷  洋一君   武部  勤君     渡辺 省一君   五十嵐広三君     細谷 治嘉君   岡崎万寿秀君     寺前  巖君 同日  理事安田修三君同日理事辞任につき、その補欠  として山下洲夫君理事に当選した。     ───────────── 昭和六十二年十二月二十八日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出、第百八回国会閣法第八五号)  留置施設法案内閣提出、第百八回国会閣法第九八号) 昭和六十三年二月三日  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号) 同月十二日  地方交付税総額確保及び財政調整機能強化に関する請願園田博之紹介)(第一一七号) 同月十七日  地方自治に関する請願安藤巖紹介)(第一五八号)  同(岩佐恵美紹介)(第一五九号)  同(田中美智子紹介)(第一六〇号)  同(寺前巖紹介)(第一六一号)  同(中路雅弘紹介)(第一六二号)  同(東中光雄紹介)(第一六三号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一六四号)  同(正森成二君紹介)(第一六五号)  同(村上弘紹介)(第一六六号)  同(左近正男紹介)(第二一〇号)  同(安田修三紹介)(第二一一号)  同(中沢健次紹介)(第三〇四号)  留置施設法案の廃案に関する請願安藤巖紹介)(第二七三号)  同(石井郁子紹介)(第二七四号)  同(岩佐恵美紹介)(第二七五号)  同(浦井洋紹介)(第二七六号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二七七号)  同(金子満広紹介)(第二七八号)  同(経塚幸夫紹介)(第二七九号)  同(工藤晃紹介)(第二八〇号)  同(児玉健次紹介)(第二八一号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二八二号)  同(柴田睦夫紹介)(第二八三号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二八四号)  同(田中美智子紹介)(第二八五号)  同(寺前巖紹介)(第二八六号)  同(中路雅弘紹介)(第二八七号)  同(中島武敏紹介)(第二八八号)  同(野間友一紹介)(第二八九号)  同(不破哲三紹介)(第二九〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二九一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二九二号)  同(正森成二君紹介)(第二九三号)  同(松本善明紹介)(第二九四号)  同(村上弘紹介)(第二九五号)  同(矢島恒夫紹介)(第二九六号)  同(山原健二郎紹介)(第二九七号)  留置施設法案反対に関する請願(辻第一君紹介)(第二九八号)  同(東中光雄紹介)(第二九九号)  農地の宅地並み課税強化反対に関する請願石井郁子紹介)(第三〇〇号)  同(藤田スミ紹介)(第三〇一号)  同外一件(正森成二君紹介)(第三〇二号)  同(村上弘紹介)(第三〇三号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二号)      ────◇─────
  2. 松本十郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事安田修三君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本十郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松本十郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。  それでは、山下洲夫君理事に指名いたします。      ────◇─────
  5. 松本十郎

    松本委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中  地方自治に関する事項  地方財政に関する事項  警察に関する事項  消防に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松本十郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  7. 松本十郎

    松本委員長 内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。梶山自治大臣。     ─────────────  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  8. 梶山静六

    梶山国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明を申し上げます。  今回の補正予算により昭和六十二年度分の地方交付税交付金交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れが増額されることとなっております。地方財政状況にかんがみ、本年度においては既に交付することといたしました追加公共事業等実施のための一般財源所要額三千五百億円に加えて、普通交付税調整額復活に要する額百九十三億円、財源対策債縮減に伴う普通交付税増額に要する額二千八百三十億円及び特別交付税増額に要する額百九十三億円、合わせて三千二百十六億円を地方公共団体に交付するほか、同特別会計における借入金を二千三百四億円減額することといたしたいのであります。  また、昭和六十六年度分から昭和六十八年度分までの地方交付税総額につきましては、昭和六十六年度及び昭和六十七年度にあってはそれぞれ千三百三十億円を、昭和六十八年度にあっては千三百三十五億円を加算した額といたしたいのであります。  次に、財源対策債縮減に伴い必要となる財源措置するため、昭和六十二年度分の普通交付税の額の算定に用いる単位費用の一部を改定することといたしたいのであります。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げます。
  9. 松本十郎

    松本委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  10. 松本十郎

    松本委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君。
  11. 安田修三

    安田委員 それでは、まず大臣にお尋ねいたしますが、私はそれに先立ちまして、補正予算審議が今行われているわけでありますが、それに並行して大事な地方交付税法の一部改正、まあ法ができなければ、幾ら予算を組んだって予算案が成立したってこれは執行するわけにはいかないわけですから、そういう点では大事な審議の場ですが、予算委員会大臣の時間がダブって、結局ここではほんの十分程度という。これは議会運営上も従来の慣行等もあっていろいろな問題はありますが、政府側としても、大事な法案審議大臣がちょっと顔を出していいということはおかしいと私は思うのですね。そういう点で、せっかく今度は張り切った大臣でございますから、おれがおらなければ法案審議ならぬぞと、ぜひひとつ閣議の場でも、時間配分等について政府側もそういう心得を今後やってもらいたい、こう思います。  さて、まず第一点ですが、地方振興には具体的な施策が必要であります。ところが、方法論をめぐりましていろいろ意見が分かれます。例えば、地方に新幹線をつくれ、こう言いますと、財界筋からはそれはメリットが少ないといって反対論が出てくるとか、あるいはまたいろいろな問題点が出てまいります。しかし、産業や人口の少ないところに新たな施設交通機関等をつくれば採算の合わないのは当然であります。採算だけをいうなら、これは東京近畿周辺集中すればいいのでございます。しかし、国土の均衡ある発展を図るには採算を超えた投資がなければならないことは論をまちません。そこで、地方住民の要望にこたえまして地方団体はいろいろな方策をやっておりますけれども、今日の財政、起債の枠組みでは、しょせんはコップの中でもがいているようなことになってまいります。そこで自治省として、これを打開し、地方団体が生き生きとして仕事ができるようにするにはどういうぐあいにしたらいいだろうか、こういう点でまず大臣にひとつ考えをお聞きしておきたいと思います。
  12. 梶山静六

    梶山国務大臣 安田委員にお答えを申し上げます。  まず、冒頭の議事外のことでございますが、できるだけ大臣が出席するようにということでございますが、これからも努めてまいりたいと思いますので、政府側配慮をいたしますが、どうか議会側でも御配慮をちょうだいいたしまして、できるだけ実のある審議ができますように御協力をこの際お願い申し上げます。  ただいま地方振興に対する所見ということでございますが、恒久的な基礎的な条件としては、制度権限論、それから財源、税源の安定的ないわば自主財源確保論、こういうものが地方自治振興のためには不可欠の要素でございます。  なお、今言われました地方振興対策、これはもう私が申し上げるまでもなく、最近特に一極集中が進行いたしております。それは今までの重厚長大の産業から軽薄短小に移り、あるいはハードからソフト化をするという現実を見ますと、必ずしも広い面積や数多くの人間を必要としない場合が多うございますから、どうしても民間の経済の原則からいいますと、集中メリットの方がはるかに強くなっております。そういうことから考えますと、過去十年、十五年の長期的な経緯から見て、現在は一極集中が加速をし、さらに深まるという態勢にあります。これは私は経済の原理としては当然であろうかと思いますし、また一極集中をすることによって東京が、あるいは再開発を行い、いろいろな役資を行うことによって住むにたえ得る場所になり得る可能性は当然あると私は思います。  しかしながら、公の責任として、地方行政水準の維持すらできないような状態になって果たしていいのかどうなのか。国土の均衡ある発展を願うことはこれは公の責任でもございます。そういう意味で、今安田委員指摘のとおり、地方振興のために大きな力をいたさなければならないという感じがいたします。ですから、この地方振興国土の均衡ある発展を図るためには、ちょうど四全総に言われている多極分散型国土の形成をすることが何よりも肝要であります。そういうことを考えて、政府がこれから一体となって努力する必要があり、現内閣においてはこれが内政上の最重要課題の一つとして取り上げられているゆえんでもございます。  そういうことを考えまして、自治省といたしましても、健全な地方自治振興発展を図る上からも、地域社会振興が不可欠であると考えており、従来からそのための施策をもろもろ講じてきておりますけれども、残念ながらまだ不足でございます。ですから、特に六十三年度においては、地方の自主的な創意工夫を生かした事業を支援するために、ふるさとづくり特別対策事業等を創設をいたしながら、これから地域振興に懸命な努力を払ってまいりたいと思います。  そのためには、まあ地方という言葉がいいかどうかわかりませんが、中央の我々の施策が適正を得、地方自治体の受け皿が立派に、あるいは創意工夫が完全に生かされることによって、両々相まってそういう展開ができると思いますので、自治省といたしましても全力を振るってその実現のために努力してまいりたいと思います。
  13. 安田修三

    安田委員 私の時間がございますれば、後ほどこの続きは局長にお尋ねすることにいたしまして、大臣にもう一点。  実は、今暫定措置である補助負担率実施が、六十三年度でいよいよ三年間の期限が切れることになります。そこで、今年は見直しについていよいよ作業が始まるということになりますが、大体皆さんのやられるのは夏から秋ごろかな、こう思ったりするのでありますが、さて、今度は自治省としましていよいよ大事な正念場を迎えるわけであります。ひとつ大臣考えをお聞きしておきたいと思います。
  14. 梶山静六

    梶山国務大臣 国庫補助負担率引き下げは、あくまでも国の厳しい財政事情のもとに暫定的に行われているものでございますことは御承知のとおりであります。ただ、内需の振興をしなければならないために、事業の増大を求めるために、どうしても補助負担率引き下げるという暫定措置を講じたことは御案内のとおりであります。  終了後における補助負担率のあり方については、地方財政の健全かつ安定的な財政運営確保の見地から検討を進めてまいる考えでございますし、いずれにしても、国の財政負担を単に地方に転嫁をするような措置は講ずべきでないと考え、これからの対策をしてまいりたい、このように考えております。
  15. 安田修三

    安田委員 大臣はこれで、向こうの時間がありますから、どうぞ。  それでは、当局の方にお尋ねいたしますが、今年度は第一次、第二次と二回にわたりまして地方交付税の増収による補正になりました。その地方交付税は、本来地方団体固有財源でありますから、まずは全額地方団体に配分するのが建前ではないかと思うのでありますが、その点どうでしょうか。
  16. 津田正

    津田政府委員 本年度は二回の補正措置が行われることになり、それぞれの法案審議をお願いする、このような形になったわけでございます。  ただ、この場合に、六十二年度地方財政を見てみますと、例えば今回の国の補正予算に関連して必要となります給与改定に要する財源が約千八百億程度要るわけでございますが、これは既に当初におきまして追加財政需要額として約五千億のいわば予備枠を持っておるわけでございまして、この中で対応できること、あるいは災害復旧費等に係る地方負担についても全額地方債で賄う、あるいは国庫補助金も入ってまいりますが、そういうようなことで対応できるというような格好になっておるわけでございます。  ところで、地方財政の現状は、非常に大幅な財源不足状況で大幅な借金を抱えておる。やはりこれは中長期的に地方財政の安定を図るというような考え方もとってまいらなければならない。そこで、今回の補正におきましては、普通交付税調整額復活、あるいは本年度発行を予定しておりました財源対策債縮減というようなことで、新たな借金がふえるのを減らすというようなこと、さらには所要特別交付税増額というようなことで補正増によりまして措置をし、残ります額が約二千三百億円程度ございますが、これは先ほど申しました中長期的な観点での地方財政健全化に資するため、いわば地方団体共同借金でございます約六兆円に上ります交付税特別会計におきます借入金を繰り上げ返済するというような措置をいたしたい。このようにいたしまして、本年度地方財政運営が円滑にでき、また中長期的な地方財政安定化にもつながるのではないか、このように考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  17. 安田修三

    安田委員 そういう財源対策債等を返す、あるいは発行しようとするのをしないということではそれは結構なんでございますけれども、問題は、全部国の方で操作してしまうというのがいいのか、あるいはまた地方団体が自主的に運用しながら年度間調整をみずからやっていくというやり方がいいのかということになりますと、地方団体にそれだけの自主性というものがあるのが当然ではないだろうか。そういう点で、どうも国の方で余り地方団体を信頼してないというとおかしいのでございますけれども、どうも全部財布の方は握ってしまって、いいようにやるというような行き方が目につき過ぎるのではないか、こういう点を今度の補正を通じてつくづく感ずるところです。  そこで、地方団体の側からしますと、何か国の御都合によって振り回されているような傾向を感じておるのではないかと私は思います。財源問題になりますと、どうしても国の方にお愛想を振りまいて財源確保をしていかなければならぬ。ところが、都合の悪いときにはいろんなものを押しつけられるし、それからこういう財源が出てきたときには、まあまあ地方の方もいきますけれども、いろんな点で国の方からあらかじめ枠組みをつくられる、こういう点が出てきたりしておるのではないかと思います。  また、特に最近は国庫補助負担率の先ほど問題になりました引き下げや、あるいはまた今度埋めることになりましたが、退職者医療制度加入者見込み違いによる負担、それからまた補助金削減による地方財源不足額地方債で補うというやり方、今度は交付金がふえるからといって地方全額は配分されない。そこで、じゃ財源対策債の返還に充てるといっても、地方債が既に市場に回っておりますから、それを全部返していくということはこれまた不可能ということにもなってまいりますし、何か国の枠組みによって地方が荷物だけをしょわされるような感を免れないと私は思うのです。  そういう点で財政局長の方では、それは建前がありますから皆さんもそういうことをおっしゃるのでありましょうが、本来それでいいのだろうかという疑問を持つわけでありますけれども、その点どうでございましょうか。
  18. 津田正

    津田政府委員 地方団体財政運営を自主的にやるというような趣旨におきまして、年度間におきます財源調整の問題につきましては、御承知のとおり地方財政法におきまして、基本地方団体でやる、こういうような考え方になっておるわけでございます。  ただ、先生承知のとおり、昭和五十年以来の国、地方を通じます大幅な財源不足という中で、国民生活あるいは経済の安定というために必要な歳出を組まなければならない。それに対応する財源がないために、地方財政におきましても、個々地方団体借金でございます地方債の増発、あるいは共通借金でございます地方交付税特別会計におきます借り入れということでしのいでまいったわけでございます。  基本的にこのような財政状況を脱するためには、今後におきます税制改革問題等にもつながるわけでございますが、当面本年度補正増で出てきました財源につきましては、今申しましたような地方団体借金が新たにふえることを抑制するために、財源対策債縮減あるいは共通借金でございます交付税特会借入金縮減、こういうような形で調整をいたさなければならない、このような状況でございます。  基本論といたしましては、先生指摘のとおり、個々地方団体財源というものを十分付与し、その自主性自律性というものをまたなければならない、今後の税制改革等の問題におきましても、このような点を十分考えて対処してまいらなければならない、私どもかように考えておる次第でございます。
  19. 安田修三

    安田委員 今度の補正で、今局長が触れられております交付税特別会計借入金返済でございますが、二千三百四億円が使われます。そこでこの借入金返済は、当然これは返すのは、あらかじめ将来の負担を軽くしていくというのはいいことですけれども、しかしこの特別会計借入金返済を先送りして、実はあらかじめ五十九年のときに設定されたわけでありますので、これを殊さら今返すという必要はないのじゃなかろうか。この場合は、長期にあらかじめそういうプランが立っておるわけですから、殊さら返す必要はないのじゃないだろうか。いかにも地方団体がお金があるからあらかじめ返しているというような印象も与えるし、また地方団体そのものも、今やらなければならぬいろいろな事業を、こういう先の金を返すことによって詰められるというのも変ではなかろうかと思うのです。どうでしょうか。
  20. 津田正

    津田政府委員 今回の補正増のうち二千三百四億円は特会借入金返済を行うことにしておるわけでございます。これは、法律では六十六年度以降返済すればいいというものを繰り上げ償還する形になるわけでございます。  ところが、今回の補正というのが、現時点かなり年度末になってきております。それから地方財政におきます本年度財政需要につきましては、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、追加財政需要額ということの五千億の中で何とか泳げる、こういうようなことでございます。それから、考え方としまして、国におきましては今年度の国債の発行縮減というものに充てておるわけでございまして、でき得るならば、個々地方団体借金の重みというものを考えますと、本年度財源対策債にいたしましてもまだ六、七千億あるわけでございますので、その中で縮減するということも考えられるわけでございます。  ただ、個々地方団体財政運営考えますと、当初の交付税の算定と地方債発行の仕組みと、今回このような補正増に伴います交付税とそれから残された地方債と整合性を持たなければならない。そういたしますと、やはり事業補正等を中心といたしましたものでやりませんと、個々の団体にとりましてこの年度末に従来行われてきた財源措置と変わったものになりますと、これは個々の団体としましても非常に財政運営が混乱するというようなことにもなるわけでございます。  さらに、昭和六十三年度地方財政、今後御審議いただくわけでございますが、幸いなことに通常収支におきます財源不足が解消される、こういうような状況の中で、何と申しましても六兆円に達します、確かに返還は六十六年度以降でございますが、この分の負担の軽減ということも必要ではないか。また、地方債縮減をこれ以上やりますと地方団体個々財政運営を混乱させる。こういうような点を総合的に勘案いたしまして、このような案にしておるわけでございます。
  21. 安田修三

    安田委員 それは局長は、地方財政運営を混乱させるということよりも、一つは、既に先に発行したものは市場に出回っている、そういう点で市場に混乱が起きるということが一つ。もう一つは、そもそも経常経費の補助負担率の削減によって削減された後の穴埋め、その財源地方債措置している、それを今度は交付税のやりくりでまた投資的経費の方から財源を持ってきて埋めておる、そういう地方交付税の算定の仕組みに不合理が生じていることが、今回こういう場合に大変皆さん方ではやりくりが困難になってしまっている、言うなればもつれ込んでしまっている、こういうことになっているのではないでしょうか。したがって、こういう交付税増額されても、それを財源対策債に回そうとしても、交付税の算定が絡んでなかなかできない。だから河川費、港湾費等の事業補正で部分的に、いわゆる費目によってその部分だけですっきりやりくりできるものは今度の場合にやりくるが、しかしその他の措置された部分はなかなかできがたい、こういうことに実はなっておるのではないかと思うのです。  その点やはり、そもそも地方財政法上も、こういう経常経費の穴埋めを地方債のやりくりでやる、皆さんからすればそれは一般財源をもって穴埋めをしておるのだからいいということになるんだが、しかし、もともとは地方債でやりくりして措置しているわけでありますから、私は地方財政法上、これは五条の一項五号に重大な疑義がある、違反しておるのではなかろうかという疑義があると思っているわけです。しかし皆さんは、そういうことがあるからこれは技術上投資的経費の関係をカットして、そして一般財源を浮かして経常経費の方に穴埋めしてくるというやり方をし、そしてこちらは調整債で埋めておる、こういうことをしておりますけれども、本来は地方財政法上そういうことは原理からいったらできないのではないか。しかし、皆さんはそれをあえてつじつまを合わせるためにやっておる。しかし、それも政府の要請だから自治省はやむなくやっているのではないか、私はこう思うのです。  したがって、今のように財源が出てきた場合には、もう絡み合ってどうしようもできない。結局は先の借金を今から返す、本来は今年借金するものを返せばいいんだけれども、それは絡み合ってしまってできがたいという矛盾点があるのではないですか。
  22. 津田正

    津田政府委員 仕組みにつきましては、先生指摘のとおりでございます。  ただ、法的問題と申しますと、私どもとしましては、経常経費系統に係ります財源不足というものに対しましては、個々の団体については基準財政需要額に算入する、そして算入した結果さらに投資的経費の方の地方債措置で送っておるということが実情でございまして、法的にはそういうようなことで処理をいたしておるわけでございます。  基本論に立ちまして、このようなやり方が無理があるのではないかという御指摘でございますが、確かに基本論としまして、経常経費におきます財源不足の穴埋めは地方税なり地方交付税で補てんするということが原則でなければならない。本年度の問題におきましても、御承知のとおり経常経費系統のカット額が六千五百七十億でございますが、たばこ消費税の特例税率の延長、あるいは交付税、それに見合いのものを補てんしてもらうというような最大限の努力をしつつ、なお足らざる部分につきましては御指摘のようなことでやったわけでございます。基本論としましてはまさしく先生指摘のとおりで、私ども現時点におきます努力というものはいたしたわけでございますが、国、地方を通じます財政事情の中において、一部投資的経費の方の調整というものにもまたなければならなかったということが実情でございます。
  23. 安田修三

    安田委員 そこでちょっと借金の方に入りますが、地方借入金残高は補正前の現行では六十二年度末で六十四兆五千億円。このうち交付税特別会計分が、今度は補正でこれが少なくなりますけれども六兆一千億円、一般地方債が四十七兆七千億円、こういうことになります。  そこで、地方債地方財政計画に占める構成というのは、六十年度が七・八%、六十一年度が八・四%、六十二年度が九・九%、そして来年度は、地方財政計画は健全化されたといいましても九%を占めるということになっております。地方が仕事をするために、地方債発行というのは、適切な水準で地域住民の生活を向上させるために発行されるのは私は当然だと思っております。しかし、最近は国の財政再建のために踏み台として地方債が増発される。これは私は非常に残念だと思うのです。  例えば、六十二年度の投資的経費の直轄、補助合計額が地方財政計画の当初の計画で八兆四千二百七十四億円、このうち国費が四兆三百六十六億円、地方費が四兆三千九百八億円、地方費の占める割合は五二・一%です。さて現在、六十二年度、今度は第一次補正等によってこれらの経費はふえましたので、どの程度になっておるかといいますと、その数字が出ておりません。現計からしますと六十三年度の計画とほぼ似たようなものではないかと私は思っているのですが、そこで六十三年度の計画を見ますと、地方費が四千三百九億円増ということになってまいります。これは構成比が五二・四%。比率からしますとそんなにふえておりませんが、とにかく昨年の緊急経済対策地方単独事業費が約八千億円の上積み、それからまた内需拡大ということで地方単独事業がふやされる。その財源調達はほとんど、約半分以上地方債で行ってきた。今度の場合また来年に向かって地方債がふえていくということで、先ほど言いましたように地方が踏み台にされておるような感を免れない。  そこで、結果的に地方財政が大変苦しくなってきておる。この窮迫状態というのは、例えば公債費負担比率、これが一五%以上、皆さんがこれは大変だぞ、こういって昨年も公債費負担比率の高いところは指導するということで内簡も出ておりますが、その団体が非常にふえてきた。六十年度は一五%以上の団体が九百六十八、二〇%以上の団体が一千三十六、この三千三百団体に占める割合が三一・四%でございましたが、先般市町村の六十一年度の決算も発表されました。これによりまして、都道府県と市町村を合わせますと一五%以上が九百五十ということに減りましたが、二〇%以上が一千八十二ということで構成比が三二・七八%。要するに公債費負担比率の高いところがだんだんふえてきたということで、これは十年前から比べると物すごい比率になってしまうことは局長が一番御存じのとおりであります。  こうしますと、先ほどの地方債の増高といい、それから最も端的にあらわす公債費負担比率の高いものがだんだんふえてくることといい、地方財政は大変だということ、このことを今ともども認識しながら対処をしていって、政府は今、去年もことしも金が大変入りましたからちょっと浮かれ気分で、国債の返還も先にするなどとちょっとお祭り気分のところがありますが、地方の方がどうも今度は、それでもおまえのところはまだ裕福だぞという印象は免れないところがあります。その点局長は一番よく御存じでありますし、自治体のこの窮迫した現状をぜひひとつ政府部内で一生懸命頑張ってもらいたいと思うのです。主張して頑張ってもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  24. 津田正

    津田政府委員 地方財政は巨額な借入金残高を抱えておりまして、極めて厳しい状況に置かれておるわけでございます。今後その償還にたえ得るような財政構造の健全化を図っていかなければならない、かように考えております。  個々の団体におきます公債費負担比率の増大というようなことで、団体におきます財政の硬直化というものも進んでおるわけでございまして、これはこれなりに、先生もお述べになりました公債費負担の適正化促進措置というものを個別対策として講じてまいりたい、かように考えております。  そして同時に、地方財政全体の健全化というものも考えていかなければならないということでございます。基本的におきましては、今後の税制改正あるいは行政の守備範囲の見直し、こういうような基本的な問題を抱え、これに適切に対処してまいらなければならない、かように思うわけでございますが、今回の補正措置に伴います地方交付税のあり方につきましても、財源対策債縮減あるいは交付税特別会計借入金の一部返還というようなことで、中長期的な観点での地方財政健全化を図ってまいりたい、このような趣旨でございますので、御理解賜りたいと思います。
  25. 安田修三

    安田委員 そこで、六十二年度は五十九年度以来三年ぶりに通常収支に不足が生じたわけであります。ところが、地方税収入が大変好調のようでございます。計画上は、当初二十四兆二千二百二十九億円でありましたが、どうも見込みでは二十六兆二千億円程度いくのじゃなかろうかというようなことにも伺っておるわけでありますが、今年度地方税収入等の見通しはどうでございましょう。
  26. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 六十二年度地方税収の見通しについてのお尋ねでございますが、私ども、道府県分につきまして徴収実績調べというのをやっております。現在判明した最新のところは、六十二年、この十二月末現在における道府県税の状態でございますが、その税収の伸びを見ますと、対前年同月比一一二・六%、つまり一二・六%の伸びということになってございます。これは道府県税の基幹税目でありますところの法人住民税及び法人事業税がいずれも好調に推移しているということでございます。また、その他のほとんどの税目につきましても、程度の差はございまして、法人のような大きな伸びはありませんが、地財計画を上回る伸びとなっていることによるものでございます。  お尋ねの全体ということになりますと、市町村税の方なんでございますが、これにつきましては、何せ多数の団体でございまして、徴収実績の調査を従来からもしておりませんし、正確なデータが把握できないのでございますが、好調な伸びを示している法人関係税のウエートは道府県税よりは少ないということがございます。また、固定資産税なんかは、景気の動向に左右されずに伸びは大体一定の姿に想定されるところにいくであろうということが予想されますから、道府県税の収入の伸びよりは若干低くなるだろう、こういうふうに見ております。  そこで、御指摘の決算見込みですが、これは確定的なことは到底申し上げられないのでございますが、あえて見込みといいますか推計といいますか、現段階で私どもの見ておるところによりますと、地財計画の二十四兆二千二百二十九億円というところを、委員指摘のように二兆円程度上回るのではないだろうかという希望も含めて、そういうことを私どもとしては見込んで今推計しているという段階でございます。
  27. 安田修三

    安田委員 さて、六十六年度から六十八年度までの地方交付税総額に加算されることになりました補正の五百億円でありますが、このように先送りになった分が三千九百九十五億円あります。このほかに自治・大蔵大臣の協議によって決めることとされております六十六年度以降加算の暫定措置が八千四百四十億円、集計するとこういうことになるわけです。地方の場合は起債を行えば利息を払うわけです。それから、補助負担率引き下げ分の地方債措置では、交付税の算定に入れて五〇%の国の負担を行っておるのもありますが、しかし大方は国は無利子で先送りするわけでありまして、そういう点では地方の方は余り割が合いません。  さて、問題はこの先送りになった分、六十六年度分から年度割りに今度の五百億円の補正のように先送りになった分については、これは確実に地方の方に入ってくるということは言えるのでしょうが、自治・大蔵大臣の協議によって暫定加算というのは、さて先にいったら入るのかどうかという、まことに不透明な感じを受けるわけです。場合によったら、ないそでは振れぬということでもらえぬのじゃないかといううわさも聞きますし、そのときにいってみなければわからぬということも聞こえるような場合もあります。この点、局長の方でどのようにお考えになっておるか。まあ局長にお考えと言っても、それは当然地方にもらえます、こういう答えになるのでしょうが、先ほど言いましたように、地方の方は先送りになっても余り利息がつくわけでもない、メリットがない。何かもう少し割の合うような方法はないものでしょうか。
  28. 津田正

    津田政府委員 御承知のとおり、昭和五十九年度地方財政対策の見直しに伴いまして、地方財源不足の補てん策としましては、従来の交付税特会借入金、これは利息がかかるわけでございますが、そういうようなものでのやりくりということをやめまして、まさしく国の一般財源地方の一般財源をどうするかというような観点での特例措置の方式によることとされたわけでございます。そういう意味におきまして、この見直しに伴いまして交付税特会に特例加算された額につきましては利子は付さない、また反面、先送りにした部分につきましては地方団体も利子をもらわない、こういうような形にしておるわけでございます。そういう意味では国、地方相対のものというような形でございます。  それから、さらに暫定加算の問題につきましても、法定加算ともう一ランク若干の調整あり得べし、このような考え方でございますが、私どもとしましては、やはり補助金カットに伴う基本的な問題としまして、その確保に努めてまいらなければならない。大きくは、今後におきます税制改正あるいはその間におきます国と地方との税財源配分の問題にもつながるわけでございますが、いずれにしましても、必要な額というものを確保いたしまして地方財政運営に支障のないよう処理してまいりたい、かように考えております。
  29. 安田修三

    安田委員 そこで、地方財政運営に支障のないようにというのは、これは皆さんのいつも決まった文句なんです。例えば六十六年度からの交付税特別会計の償還の場合でも、今度は先ほどの二千三百数億円返しますから六兆円を切りますけれども、この場合でも現行の計画からすれば六十六年度は三千五百四十一億円、ピークが七十三年度で七千二百三十二億七千万円返す。毎年これに今利子を払っております。  今度、先ほど言ったように今年度返すという。今年度返すというのは、私も悪く考えると、六十六年度以降の償還について地方財政運営に支障のないようにいたしますというのはちゃんと書いてありますし、今までもそう答弁しておるわけですが、さて地方財政運営、いろいろの見方はあるのですけれども、ことし、去年のように大変増収に恵まれたこともありますが、将来的な展望からして地方財政運営に支障がないんじゃなく、陰りがさらに見えてきておるのじゃないだろうか。だから何か皆さんは先の借金返済に大変慌てていらっしゃるような……。私はさっき言ったように、いわゆる短期じゃない長期のあらかじめ組み込まれたものに今からばたばた返すというところに、何か先のことに大変不安感があるのじゃないか。例えば自治・大蔵大臣の協議のこの点についても不安あり、それから将来の特会の償還時に入ったときに不安あり。だから、先のことを一生懸命手当てを、長期の手当てを考えるということはいいのですが、現時点でばたばたされるような感じを受けざるを得ない、こう思うのです。そういう点で地方財政運営に支障は局長さんはないとおっしゃるのですが、その点どうでしょう。将来的にはその点大丈夫ですか。
  30. 津田正

    津田政府委員 我が国におきまして地方自治体の役割というものは非常に重要でございますし、今後におきましても地域に密着した種々の施策というものをやってまいらなければならないわけでございます。こういうような中におきまして交付税特会借入金地方債、巨額の借金を抱えておるわけでございます。やはり中長期的な観点で今後の地方団体の役割が十分果たせるような見通しというものを考えながら毎年毎年の地方財政運営対策を講じてまいらなければならない、かように考えております。  もとより、地方財政におきましても、今後とも効率化というような推進を図ってまいらなければならないと同時に、地方財源の充実確保ということもあわせて努力してまいりたい、かように考えております。
  31. 安田修三

    安田委員 そこで自治省の方は、ふるさとづくり財団とかそれから地域振興のプロジェクト、約百数十あるわけですが、これらのことを聞きたいわけでありますけれども、後ほど時間の関係を見て尋ねるということにいたしまして、次は警察庁の方にお尋ねいたします。  まず、大韓航空機事件に関連した質問でございますが、大韓航空機が行方不明になって、蜂谷真由美がバーレーンで日本の偽造旅券を携帯していたことが判明したときに、なぜ日本として捜査を行えなかったか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
  32. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問がございましたけれども、十一月二十九日に大韓航空機八五八便がベンガル湾上で消息不明になったわけでございます。そして、その後のいろいろな調べで、アブダビで二人の人間がおりたというようなこともわかりまして、そういったような状況につきましては、私ども外務省を通じましていろいろ情報、それから資料など入手に努めたわけでございます。何せ遠いところのことでございますので、なかなか当初把握できない事情もございましたが、次第にいろいろな事情が判明してまいりまして、その段階で迅速な捜査活動を行ったつもりでございます。  例えば十二月一日には、死んだ男の所持している旅券に、これは発給の事実がございまして、それから都内の恵比寿に住む人を割り出しまして、早速同人から事情聴取をいたしまして、その方がかつて、北朝鮮工作員と我々が断定しております宮本という人に旅券を十日ほど貸した事実、そういったようなことについてつかんでおるわけでございます。  それからまた、十二月五日には警察の係官をバーレーンに直接派遣いたしまして、バーレーン当局あるいは在バーレーンの日本大使館との連絡に当たったという、こういう状況にございます。
  33. 安田修三

    安田委員 そこで次にお尋ねするのですけれども、昭和五十三年八月十五日午後六時三十分ごろ、富山県高岡市太田の海岸で、若い二人の男女が四人の男たちに襲われ袋をかぶせられた事件があったわけです。八月十五日の午後六時三十分というのは、まだ明るいとき、しかも旧盆で人の散策しがちなときにこのような事件があったわけです。警察は当初、逮捕監禁、傷害事件として捜査しました。しかし、遺留品である猿ぐつわは日本製でない、手錠は日本の警察の使っているものと違い製造元は不明だ、手ぬぐいは大阪での製造ということなどから、海外工作員による拉致未遂事件という見方に変わったと言われております。警察の公式の見解はどういうぐあいになっておるのでしょうか。
  34. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  ただいま昭和五十三年八月十五日の富山県の事件についてお尋ねでございますが、それに先立ちまして、同年の七月七日に福井県でアベックの蒸発事件が発生しております。それからさらに、七月の三十一日に新潟県で同じくアベックの蒸発事件が発生しております。それから、八月の十二日に鹿児島県でアベックの蒸発事件が発生しております。これら三件のアベックの蒸発事件があったわけでございますが、いずれを調べましても行方不明の原因なり動機が見当たりません。かつまた、沿岸部から突如消息不明になっておるというような状況がございまして、私どもはこれについては拉致された疑いを持っていたわけでございますが、ただいまお尋ねのように、その後、富山県におきまして八月十五日にアベック拉致の未遂が発生したわけでございます。  状況は、ただいま先生が御質問のとおりでございますが、この事件が発生いたしまして、現場からゴム製の猿ぐつわとか手錠とかタオル等の遺留品があったわけでございますが、その中のタオル一本は、これは大阪府下で製造された品物であるということが判明いたしましたけれども、他の遺留品につきましては、いずれも粗悪なものでございまして、製造場所とかあるいは販売ルートなど不明であったわけでございます。私どもは、これらの事件については拉致された疑いを持っておるわけでございます。
  35. 安田修三

    安田委員 今のやつは拉致された。そこで今度の事件の拉致と関係ありというようなみんなの見方のようでありますが、さてそこで、恩恵は、いろいろと報道によりますと、先ほど説明のあった三組の拉致と見られておるそれらの中の一人でなかったろうかという捜査があったということが新聞で報道されました。さて、恩恵という人、金賢姫の言っている恩恵という人は拉致されたという見方は、どの程度の確信を持っていらっしゃるのでしょうか。
  36. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  二月の二日から七日まで警察庁係官を韓国に派遣いたしまして、この警察庁係官立ち会いのもとで韓国の捜査当局が金賢姫に対して面接するというようなことが二月の四日に行われたわけでございます。  その事情聴取から見ますと、この恩恵なる人物は船で引っ張られてきたというようなことを金賢姫は言っております。それからまた、恩恵は酒に酔うとぼんやり座って引っ張られてきた身の上を嘆いているというようなことを言っております。さらに、恩恵は自分の意思で来たようではないということを金賢姫は述べておるわけでございます。また、船酔いで御飯も食べられなかったというような状況も金賢姫は聞いておるわけでございます。また、恩恵が最初に招待所に来たときは泣いていたというようなことを金賢姫は聞いておる。こういった状況がわかっておるわけでございます。  そういったものを総合いたしますと、やはり自発的に来たという状況はどうしても出てこない。やはり自分の意思に反して拉致されてきたというような疑いが強く持たれるわけでございます。
  37. 安田修三

    安田委員 そこで、今日までこの恩恵ではなかろうかという人の捜査をやられたわけでありますが、その対象人員や内容等をひとつお伺いしたいと思います。
  38. 城内康光

    ○城内政府委員 現在、李恩恵を割り出すために、身元に関する情報を集めたりあるいは似顔絵を配布したりして、幅広く行方不明者について調べておるわけでございますが、ただいま数についてお尋ねでございますが、警察庁保管の家出人手配登録票というものがございまして、その中で女性の行方不明者で捜索願の出ている者の数は、本年の二月一日現在で約一万四千件ございます。そのうちで昭和五十二年から五十六年、これは一つの幅を持って見ているわけでございますが、その間に行方不明となった者で、昭和二十九年から三十四年の間の生まれで、これも幅を持っておりますが、それからさらに身長百五十五センチメートル以上の女性のデータの数、状況によると一メートル六十五センチだろうというようなことが言われておりますが、ここも幅を持って見ておりますが、これが二千七百ございます。これについていろいろ精査をしているということでございます。  それから、今後ともポスターとかチラシを全国に配って、広く情報の提供方について呼びかけを行いたいというふうに考えております。
  39. 安田修三

    安田委員 それから、法務省の方、ひとつお伺いいたします。  世界基督教統一神霊協会、ここへ子供が入ったということで被害者の会や父母の会がつくられております。私の方にも子供の救出を訴えてきておる方が最近何人も来ていらっしゃるわけですが、宗教団体に入会しているということで、なかなか容易なことではございません。私の方に訴えた人たちのうち、昨年の四月、富山地方法務局に調査申し出をした方もございます。  そこで、全国的にこのようなケースというのは大体どの程度あるのか、また人権擁護局、それから地方では人権擁護課、ここら辺ではどういうような受けとめ方をして措置しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  40. 落合紹之

    ○落合説明員 お答えします。  統一協会に関します相談は非常に多岐にわたっておるわけでございますが、先生も御指摘のとおり、この問題は信教の自由とか居住、移転の自由とか婚姻の自由というふうな他の権利、自由と関係する問題でございまして、啓発機関である人権擁護機関がどこまで入れるか、極めて難しい問題を含んでおるわけでございます。  法務省の人権擁護機関といたしましては、全国の法務局におきまして人権相談の際に、入信者の父母の方から入信者の所在を確認したい、あるいは入信者と連絡をとりたいというふうな相談がございました際には、人道上の見地から、私の方の出先であります東京法務局を窓口として仲介を行っておるところでございます。  このような相談は、昭和六十二年におきまして五十九件となっております。私どもとしましては、今後ともこの種の相談についてはできる限りの努力をしていきたいというふうに考えております。
  41. 安田修三

    安田委員 そこで、なかなか困った問題でございまして、本人が入信しているからということなんでございますが、親の方にしますと、他の宗教の場合と違って、全く親子断絶というような形になっているケースが多いものだから、このように被害者の会をつくったりして訴えてこられる。それから、ここでもいろいろ問題になりましたが、悪徳商法のうちの霊感商法、こういうことに従事して、私の方に訴えている方でも、子供さんがそういう霊感商法に従事して、そのために、子供は悪いことをしておるといって親として大変悩んで訴えてきておられる方もございます。  問題は、相手が宗教団体でありますから、突っ込めばまたいろいろと当局も問題になるのでございましょうが、要はしかし人権擁護という問題で、親の方の訴え、子供はそうじゃない、こう言い張るといろいろ問題になりましてややこしいことになるのでございますが、法務局の方はもう少し突っ込んで話し合う、例えば親御さんも、それから向こうの人も、法務局の方が立ち会っていろいろな話をするとかということで実情調査をされるというようなことができないものでしょうか。
  42. 落合紹之

    ○落合説明員 お答えします。  先生指摘のとおり、確かに入信者の父母の方等お困りの方は多いかと思いますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、信教の自由と非常に密接にかかわる問題でございますので、現在我々がやっております方法以上に立ち入ることは困難であろうかというふうに考えております。
  43. 安田修三

    安田委員 そこで警察庁の方にお尋ねするのですけれども、私の方へ来ている人たちは、警察署の困りごと相談にも実は行っておる、こう言っておるわけでございます。さて、全国的にどのような状況にあるのか。  それから、身柄が拘束されておればもちろんこれは警察権力によって救出ということになるのでありますが、そこまでいっていないものですから、警察権力の行使というわけにはまいりません。しかし、中にはそういう枠の中に入ってなかなか出ることが、出ることに対して一種の脅迫をされておるというようなケースもあるのじゃなかろうかという親御さんからの訴えもございます。警察の方でどのように把握しておられるか、お尋ねいたします。
  44. 漆間英治

    ○漆間政府委員 前段の方の問題につきましては、私から御答弁申し上げたいと思います。  警察に持ち込まれる相談事のうち、防犯関係の困りごと相談として取り扱いましたものは、昭和六十一年中約二十三万件でございます。六十二年はまだ結果が出てございませんが、大体毎年この程度の数で推移をいたしております。その内容につきましては、身上に関する問題が最も多くて約三万件、その他契約、取引に関する問題でありますとか、あるいは犯罪予防に関する問題等の項目で統計をとっておりますけれども、それ以上の細かい内容について分類をいたしておりませんので、先生御質問の件がどの程度あるかということについては私ども存じておりません。御了承いただきたいと存じます。
  45. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 後段の関係についてお答えいたしたいと思います。  拘束された状態と申しましても、それが刑罰法令に触れるものかどうか、なかなか微妙なものがございます。もし刑罰法令に触れるようであれば、検挙措置を含め厳正に対処する方針でございます。
  46. 安田修三

    安田委員 警察庁の方に私要望しておくのですけれども、困りごと相談はそのように随分あるわけですが、分類が非常に大まかだ。やはり警察に困りごと相談に行くということはよくよくのことだと私は思うのですね。あそこはちょっと敷居の高いところでございましてね。それが行くのだから、やはり私はそれが社会のいろいろな、将来犯罪等の情報収集のもとにもなるのじゃなかろうか。ですからそういうのは、こういうコンピューターの時代に、家庭相談やらなんやらという大ざっぱなことではなくて、そういうのは細かく予算をつけてもらって、科学的に平生整理された方が、犯罪予防なりあるいは犯罪が起きた場合に大変情報としては参考になるのじゃないか。よく盗聴事件やらなんやらというのが前にもありました。そういうことよりも今のようなことが私は大切なのじゃなかろうかと思いますので、要望しておきます。  時間が来たのでしょうか。
  47. 松本十郎

    松本委員長 そうですね。
  48. 安田修三

    安田委員 それでは、時間が参りましたので以上で終わります。
  49. 松本十郎

    松本委員長 柴田弘君。
  50. 柴田弘

    柴田(弘)委員 私は、法案の中身に入ります前に、数点にわたりまして政務次官初め自治省当局の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  それは地方税の抜本改革についてであります。御案内のとおり、住民税につきましては昨年の法律改正によって昭和六十三年度五千七十二億円、平年度で六千五百八十九億円、このような住民税減税がなされたわけでありますが、これは所得税減税に比べて一年おくれておるし、また金額的に申しても極めて中途半端なものである、私はこのように考えますが、いかがなものでございましょうか。
  51. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 昨年九月の地方税法の改正によりまして、委員指摘のような減税の法律案をお認めいただきまして、それによりまして今地方団体ではことしの賦課についてそういう準備が行われているところでございます。  しかし、御指摘のように税制改革につきましてはなお現在いろいろな議論が行われているところでございますし、また、昨年九月の改正案の前段に提案されました住民税の減税では、約七千五百億の減税ということで提示をされていたような経緯もございます。現在税制調査会におきましては、所得、法人、資産及び消費等につきまして、望ましい税制のあり方ということにつきまして具体的な方策をどうするかという審議が行われておりますので、住民税のあり方につきましても所得課税の一環として審議がされておりますので、その審議の結果をまちまして御指摘の減税問題も含めまして適切に対処したい、こう考えております。  約六千六百億の減税幅が所得税と比べてというお話になりますと、いろいろな見方があると思いますけれども、住民税所得割は六十二年度の計画額でも約七兆円の税金でございます。そういうことからいきますと、昨年九月の改正で行われました住民税の減税というのは所得税と対比いたしまして遜色ないといいますか、そういう規模になっているというふうに御理解いただきたいと思います。
  52. 柴田弘

    柴田(弘)委員 くどくどと御説明をいただきましたが、税調で今抜本改革についての審議が行われている、三月中旬ごろに国税を含めて地方税についても抜本改革案が答申されるということは私もよく承知の上で質問をしているわけであります。そこで、そんな税調云々というのを隠れみのにしないで、私は自治省としてのはっきりとした考え方をお聞かせをいただきたいと思います。  先ほど申しました個人住民税でありますが、昭和六十三年度は自然増収が地方税で九・四%ぐらいある、あるいは不公平税制の是正ということによって三千億円程度の個人住民税の減税は十分行われる、実行できる、私はこのように試算をいたしております。一つは、基礎控除、配偶者控除あるいは扶養控除、この三控除の引き上げ、そしてまたもう一つは給与所得控除の一律の引き上げによって、私どもの試算によれば千八百五十億円。これは課税最低限が御承知のように今標準世帯で二百二十六万一千円になっておりますが、これを二百四十万四千円にする。そして二つ目には、昨年十四段階から七段階になりましたね。この七段階のいわゆる税率構造の緩和というものを四段階にした。これによって、試算によりますと一千億。そしてもう一つ、いわゆる特別人的控除の引き上げ、例えば障害者等の引き上げ、これによって百五十億。合計三千億になりますが、私は十分に対応できる、上乗せができる、このように考えております。  それから二つ目には、もう時間がないからばっと言ってまいりますが、キャピタルゲイン課税について、これは今相当税調においても突っ込んだ議論がなされております。国税においてこのキャピタルゲイン課税が原則課税になった場合、あるいは課税ベースの拡大がなされた場合、例えば昨年は利子所得が二〇%のうち五%地方に配分をされました。このように地方へ配分する、していかなければならないという考え自治省にあるのかどうか、不公平税制の是正の一環としてお聞きをしておきたい。  それから第三点は、社会保険診療報酬にかかわる事業税の特例の見直しであります。これは不公平税制の象徴的なものである。これはもう本委員会においてもしばしば議論をされております。この特例による減収額は、昭和六十二年度におきましては五百六十億円に達する、こう言われておる。この見直しについても政府税調においてはしばしば指摘をされておる。しかも、昭和六十三年度における税制改革改正答申においては、速やかにこれを改革をすべきである、そして収入金額に応じて五二%から七二%までの五段階による概算控除制度に準じたものにするように指摘をしている。これはもうはっきりと、不公平税制の是正をやっていくのかどうか、第三点目にこれをお聞きをしたい。  それから第四点目は、事業所税における課税団体の範囲の拡大の問題であります。これは、御案内のように、昭和五十一年改正で人口三十万以上の都市までとされました。この問題は、人口三十万未満の都市の中でも、三十万以上の都市と同様に都市施設の整備の必要性が生じておるわけであります。都市財源の充実は、かねてから課題の一つであります。この問題についていろいろな意見もあると私は思っておりますが、早急に検討をすべきであると思います。ちなみに、現行課税団体数は六十四団体、しかも県庁所在の市で現在課税をしていない市が十七市もある、こういった問題でありますが、この問題について税調の論議は関係なく、自治省当局は一体どう考えておるのか。  以上四点について、簡潔で結構です、くどくどしなくてもいいです、時間がありませんから。ひとつ簡潔に答弁をお願いいたします。
  53. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 住民税の減税問題につきましては、いろいろな、どういう項目で幾らという御指摘がありました。それは恐らく委員指摘のような内容になるのだろうと思いますが、これはやはり私どもとしましては、所得課税全体で考えなければいかぬことなので、住民税だけでは考えられませんので、総合的に検討していきたい、こういうふうに考えていきたいと思います。  それからキャピタルゲインの問題でございますが、現在は所得税と同じように、総合課税になっておるものは住民税でも総合課税ということになっておるわけですが、今後の改革につきましてはどういうふうに行われるか、私どもとしては、できるだけ技術的な面でも地方税において同様の措置がとれるようなことが行われるように期待しております。しかし、これについてはもう委員指摘のようにいろいろな問題がありますので、私どもの思うような形で技術的な問題が詰められるかどうか、この辺が一つございます。  それから社会保険診療報酬の特例の問題でございますが、これはもう何度も税制調査会でも議論がされております。ただし、この問題につきましてはやはりいろいろな議論があって、この議論については必ずしも、残念ながらコンセンサスを得るに至ってない。そのために今回、ことしの税制改正におきましても、これを結論づけることはできなかったという問題でございます。機会あるごとに私どもとしましては、従来の姿勢を堅持してそのコンセンサスを得るように努力をしてまいりたい、こう考えております。  それから事業所税の問題でございますが、これは御指摘のような面で私ども従来から問題提起をしておりますが、同時に、一方では地域分散といいますか、地域一極集中排除といいますか、そういったこととの関連でどう考えるかという問題がやはりあるようでございます。これについては、地方団体の間でもやはりそういう議論がないわけではない。この辺は私どもとしては両方理屈があると思っておりますから、十分にそれらを踏まえながら、今後慎重に検討をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。    〔委員長退席、西田委員長代理着席〕
  54. 柴田弘

    柴田(弘)委員 じゃ、この問題の最後の一点、このような聞き方をいたします。  住民税減税でありますが、もちろんこれは所得税減税いかんということはわかります。竹下総理も、本会議あるいはまた予算委員会等々で、所得税減税はやってまいります、このように言っております。もし所得税減税が行われれば、それに準じて当然住民税減税は行うべきである、上乗せをすべきである、私はそう考えますが、やるのかやらぬか、それだけです。イエスかノーかでお答えください。
  55. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 なかなかイエスかノーかではお答えしにくいのでございますが、しかし委員のおっしゃっている意味は私どもよく理解をしておるところでございます。つまり、住民負担ということを総合的に考えるとすれば、やはり所得税、住民税を通じて問題を考えなければいけない、こういうふうに私ども考えておるところでございます。
  56. 柴田弘

    柴田(弘)委員 この税制抜本改革の問題は、また今後大臣を交えて議論する場もありますから、この辺でやめます。住民税減税三千億円の上乗せを強く要望して次に移りたいと思います。  私は、今回の地方交付税法改正法案に関連をいたしまして、地方自治体の国際交流の推進問題についてお聞きをしていきたいと思います。  この問題は、私は機会あるごとにその推進について本委員会において質問をしてまいりました。昭和六十年の十一月八日は当時の古屋自治大臣昭和六十一年四月十七日は小沢自治大臣、そして昨年、昭和六十二年の八月二十一日は葉梨自治大臣と三回も質問をしてまいりました。当局もよく御承知であります。そこで、そういったおかげでと申しますか、昭和六十二年度には初めて交付税の基準財政需要額の算定基礎となる費目の中に国際交流推進費が措置をされました。私の主張が実ったと心から当局に対して感謝をいたしております。  いろいろお聞きしてまいりますと、外人教師の招致の問題は、昭和六十二年度は一人当たり四百八十万、標準団体、一つの県で八人分の所要額が三千八百三十二万三千円として総計三十二億二千五百万が計上されまして、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドから八百四十八名の外人教師が来日をいたしました。当初の五百名よりも多くふえた。それで、昭和六十三年度は千五百名も要望がある、そしてカナダとアイルランドを加えて六カ国とする、千名を超える、このように思います。これは自治省から答弁をしてもらうのが本当かもしれませんが、時間がありませんから私から言いますが、一人当たり五百二十万、標準県一県当たり十三人分として六千七百六十一万、こうなるわけであります。つまり拡大されるわけでありますが、地方交付税における総額は六十三年度は一体幾らになるのか。そしてこれは政務次官にお聞きしたいのですが、昭和六十三年度を含めてそれ以降、外人教師の招致を含めたこの地方自治体の国際交流の推進という問題については基本的にどのような取り組みをされるのか。この二点についてお聞きをしていきたい、このように思います。    〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
  57. 津田正

    津田政府委員 国際交流の御質問の前段の点につきまして御答弁申し上げます。  先生指摘のとおり、昭和六十二年度交付税の算定におきましては、標準団体で八人分、三千八百万円を基準財政需要額に算入しておるわけでございます。来年度におきましては、ことしの八百五十一人から約千五百人程度まで拡大するというような状況でございまして、交付税におきます基準財政需要額の算定におきましても、十三人分で金額は三千八百万円から七千七百万円、約倍増する考え方でございます。したがいまして、今後の具体的な算定によって若干数字が変わってまいるかと存じますが、六十二年度で全国ベース三十二億円措置しておるわけでございますので、来年度におきましては全国総額におきましても倍増する、このような状況でございます。  国際交流につきましては、各地方団体におきましても真剣に取り組み、また語学指導等におきましても相当な効果を上げておるわけでございまして、今後におきましても財政措置としては十分対処してまいりたい、かように考えております。
  58. 森田一

    ○森田(一)政府委員 現在、この外国青年招致事業につきまして八百四十八人という状況でございますが、これは先ほど委員の御指摘のありましたように千五百名程度の要望が出ておるところでございます。しかし、将来にわたりましては三千人を目標にして、柴田先生の御指摘のような国際交流の問題について積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  59. 柴田弘

    柴田(弘)委員 時間がないから、こっちからみんなずっと言っていきますけれども、今政務次官と財政局長から御答弁いただきました。それは了といたします。  六十三年度に国際交流事業として自治省はいろいろ取り組んでおります。また六十二年度調査もしております。例えば六十三年度事業としては、国際交流のまち推進プロジェクト事業、あるいはまた海外で地方自治体が共同事務所を設置する、こういうことですね。六十三年度にスタートして、まず十月はアメリカのワシントン、六十四年の四月はヨーロッパのロンドンへ、そしてこれを随時拡大していこう、このプロジェクト事業もそして共同事務所も新たに発行する国際交流推進宝くじの収益の一部を充てる、こういうことでございますな。そうですね。——うなずいておみえになりますから、そうだと思って次に入りますけれども、いろいろ問題がある、私はこう思っておるのですね。  おたくの方が昨年の十二月の十九日に調査されましたいわゆる国際交流事業に関する調査、これによりましても、地方自治体は大型施設ばかりつくっているわけですね。そうですね。それで、どちらへ行ったらどこへ行けるかという外国人のための細かい標示が歩道にない、こういった調査結果も出ているわけであります。そのために国際交流のまち推進プロジェクト事業を行って、きめ細かな国際交流をしていこう、こういうことであると私は思っております。その点が一つ。  それからもう一つは、共同事務所にありますように、国際化と言ってもイコール欧米化じゃないかと私は思います。文部省の調査によりましても、現在滞在中の外国人留学生約一万八千余人のうち八七%がアジアからの留学生なんです。これは御承知ですよね。ところが、日本の都市が姉妹都市を結んでいるアジアの都市は全体のわずか二二%、東南アジアに限ればわずか二十件にすぎない。国際化国際化と言いましても、すなわちそれはイコール欧米化である、アジア軽視である、私はそのように断言せざるを得ない、こう思うわけであります。  そこで、この点についても、今後の地方自治体の国際化は極めて大きな課題であるわけですね。自治省としてはどう取り組んでいくか、何点か指摘しましたが、政務次官、いかがですか。
  60. 森田一

    ○森田(一)政府委員 現在はアメリカとイギリスと豪州、ニュージーランドという範囲になっておりますが、本年はこの四カ国にカナダ、アイルランドを加えることといたしております。この外国青年招致事業について今後どのような範囲にしてまいるかという点については、十分に研究をいたし、柴田先生にもまた御報告申し上げたいと思う次第でございます。
  61. 小林実

    ○小林(実)政府委員 補足して御説明いたします。  国際交流、地方レベルの国際交流が非常に望まれてまいりまして、その中で今御指摘がございましたように、きめの細かな行政を行うことが望まれております。私どもは、来年度は外国人にとりまして暮らしやすい地域づくりをしてもらおうということで、国際交流のまち推進モデル事業実施したい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、各団体が国際交流をいろいろやっておりますが、それらのデータがわかりません。そこで来年度は、国際交流を三千三百団体、いろいろやっておりますが、そのうち必要なものにつきましてはデータベースをつくりましてサービス提供をしてまいりたい、こういうようなことも行ってまいりたいと考えております。  それから共同事務所のお話でございますが、地方団体の間でお話がまとまりまして、海外に共同事務所をつくろうというお話になってきたわけでございます。現在のところはアメリカ、イギリスというような話になっておりますが、今後お話がございました点も含めまして、恐らく地方団体の方でもいろいろ議論が出てくると思います。その中で御指摘の点もよくお伝え申したいと考えております。
  62. 柴田弘

    柴田(弘)委員 私の指摘した点を地方団体に伝えるということで了としましたが、政務次官の答弁の中にはそれはありませんでした。要するに、国際化イコール欧米化ということでなくて、やはりアジア重視の方向への、もちろん欧米も大事でありますが、しかしアジア軽視でなくて、アジアも欧米と同じような国際交流が地方自治体で行われるような御配慮というものを今後とも私はお願い申し上げたい。またこれも今度大臣に一遍質問しますから、ひとつよろしくお願いいたします。  これに関連しまして、私の地元の問題で恐縮でございますが、名古屋市における世界デザイン博覧会について質問をしたいと思います。  これはもう名古屋市が、地方自治法の規定に基づきまして、既に昨年に自治大臣にもこの世界デザイン博覧会等についての支援を要望いたしております。ここで説明するまでもないかと思いますが、「デザインの振興は二十一世紀をめざす新しい生活文化の創造に果たす役割が大きく、第四次全国総合開発計画においても、名古屋圏は世界的な産業技術中枢圏域をめざす中で、デザインの研究開発機能の集積を高めると明記されております。つきましては、昭和六十四年をデザインイヤーに指定し、全国的な事業の展開を図り、その中核事業として世界デザイン博覧会等を位置づけられるとともに、さらに、この地域が国際的なデザイン機能の集積の場となるよう格段のご配慮を要望します。」  デザイン博覧会は、テーマ「ひと・夢・デザイン——都市が奏でるシンフォニー」。会期は昭和六十四年七月十五日から十一月二十六日までの百三十五日間。会場は名古屋市内、白鳥会場、名古屋城会場、名古屋港会場。目標入場者六百万人以上。主催は財団法人世界デザイン博覧会協会。  そしていま一つ世界デザイン会議というものがありまして、テーマは「かたちの新風景——情報化時代のデザイン」。期間は昭和六十四年十月十八日から二十三日まで。参加予定は四十カ国、六十団体、三千名、うち海外から千名。  このように大きな国際化へ向かって、まあ名古屋市は昭和六十四年は市制百周年記念であります。その他市制百周年記念を迎える自治体は全国で三十八市あると私は聞いておりますが、これ等を含めまして、とりあえずこのデザイン博覧会については自治省は具体的にどのような支援をされていくのかというのが聞きたい第一点。  そして通産省にお聞きします。  先ほど申しました昭和六十四年をデザインイヤーに指定をするということでございますが、私、西尾市長とお話をいたしましたら、これはもう既に通産省の内諾を得ているというようなことでありますが、これはいつ指定をされるのか、いかなる方法によって指定をされるかという問題が一点。  それから第二点は、「この地域が国際的なデザイン機能の集積の場となるよう格段のご配慮を要望します。」というのは、このデザイン博覧会というものを一過性にしなくて、この跡地を利用して国家規模のいわゆるデザインセンターの設置を通産省に要望している、こういうことであるわけであります。聞くところによりますと、昭和六十三年度は愛知県五百万、名古屋市五百万、そして名古屋商工会議所が三百万、千三百万をデザイン研究開発調査費のために予算計上して着々と進行しておりますが、通産省としてはいかなる対応をされるのか。その二点についてお聞きします。
  63. 小林実

    ○小林(実)政府委員 博覧会等のイベントは、新しい技術や文化の開発、地域の活性化に大きく貢献することが期待されるわけでございます。  御指摘の世界デザイン博覧会、名古屋で開催されますけれども、地域活性化センターにおきまして市制施行百年共同記念事業に対して支援をしております。私どもといたしましても、市の方から事業内容についてよくお聞きいたしまして、でき得る限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
  64. 長尾梅太郎

    ○長尾説明員 お答え申し上げます。  二点御質問いただきましたけれども、まずデザインイヤーの指定の時期及び方法についてでございますが、通産省といたしましては、昭和六十四年度をデザインイヤーとして関係者の御協力を得て全国的なデザインの振興運動を展開しようと考えておるわけでございます。そのために現在、デザインイヤーの基本構想の検討、それからデザインイヤーを実施する、参加するデザイン関係団体、企業さらには地方自治体等の関係者にデザインイヤーの周知を図る等準備を進めているところでございます。今後のスケジュールでございますけれども、本年度中にも、通産省さらにはデザイン振興機関でございます日本産業デザイン振興会におきまして全国に呼びかけるための推進母体づくりの準備を進めたいと考えております。さらに、これを踏まえまして、六十四年度がデザインイヤーであることを全国に明確にして、これへの参加を呼びかけたいと考えているところでございます。  第二点目の御質問でございますけれども、名古屋市の要望の中で、名古屋地域をデザイン機能の集積の場とするという要望でございますけれども、これにつきましては、かねがね名古屋市からそういう話を詳しく伺っておるところでございます。世界デザイン博覧会、それから世界デザイン会議を一過性のものとせず、その趣旨を名古屋に定着させるための構想ということで、先生の御説明のように名古屋市、愛知県それから名古屋商工会議所が真剣に取り組んでおるところでございまして、通産省といたしましては、名古屋市その他の関係者と協議しつつ対応してまいりたいと考えておるところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  65. 柴田弘

    柴田(弘)委員 政務次官どうですか、今事務局の方から答弁があったが、支援はどうですか。
  66. 森田一

    ○森田(一)政府委員 支援の問題につきましては、市当局から御要望があり、また自治省としてもいろいろ知恵を絞って全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
  67. 柴田弘

    柴田(弘)委員 わかりました。よろしくひとつお願いいたします。  あと時間がなくなってまいりましたが、いよいよ本題に入りたいと思うわけでございます。ずっと言っていきます。  私は、今回の法改正の問題の一つ、交付税特会借入金返済の不当性、つまり二千三百四億円の問題についてお伺いをしたいと思います。昭和六十三年の一月、交付税特会借入金は六兆一千四百四十三億五千五百万、そのほとんどすべてが六十六年度以降に返済すればよいことになっている。ところが、今回の措置では、そのうち二千三百四億円を繰り上げ返済することになっているわけであります。  六点にわたって私は不当性を述べたいと思います。  まず第一点は、御案内のように交付税というのは国税三税の三二%でこそあれ、それが地方自治体の固有財源であるということはもう政府も再三再四認められているし、本委員会においても再三再四委員の質問に答えられておる。でありますから、交付税全額地方自治体に配分するのが原則である。地方自治体は福祉、教育、生活環境整備と、地域づくりのための財政需要が大きいと考えられる。配分すべきであると思うがどうか、これが第一点であります。  それから第二点は、昭和五十年度以来の地方財政対策地方財源不足地方債の増発でカバーしてきたために、地方自治体の公債費の増加は著しい。六十年度末で公債費負担比率が一五%、これは要警戒水準でありますが、これを超える自治体が、都道府県で二十一、市町村で千九百八十三、合計二千四、全体の六〇・七%あります。また、危険水準と言われる二〇%以上の団体が合計千三十六、これは全体の三一・四%であります。  このように、公債費負担比率の高い団体が急増しており、これを是正する交付税措置をすべきである。交付税特会借入金返済に充てるよりも、交付税地方の固有財源でありますから、地方交付税に交付して、これら公債費負担の軽減に充てるようにすべきではないか、こういった疑問を持っております。今地方財政は、交付税特会借入金の繰り上げ返済をするだけの余裕がある財政状態であるかどうか、この問題が第二点。  第三点は、この借入金返済額を二千三百四億円とした根拠は一体何かということであります。まあ一歩譲ったといたしましても、地方自治体への配分が困難なら、まずできる限り六十二年度財政対策債の縮減に充てるべきではないか。本来これは交付税特会に返すのでなく、地方交付税は自治体の固有財源でありますから、先ほど申しましたようにまず配分するものである、そして地方自治体が独自に既発債を繰り上げ償還すべきではないかと考えております。そして、それができない場合には、せめて六十二年度の財対債の縮減に使うべきではないか、こういった持論を持っておりますが、いかがなものか。  次は第四点でありますが、地方の固有財源という交付税の性格に反し、地方に配分をせず、また財源対策債縮減をできる限り図ることもせずに、返済期限の到来していない交付税特会借入金返済に充てるのはなぜかということであります。この繰り上げ返済は、昭和六十六年に返還すればいいものなんですね。これは法定化されている。交付税及び譲与税配付金特別会計法附則第五条、これに法定化されておりますよ、政務次官。この第五条を今度いわゆる改正をしてまで、なぜ六十六年から返済すればいいものをするのか。私は極めて地方自治体の財政考えない自治省措置である、このように言いたいわけであります。  第五点は、不況地域の特別な財政需要に対処すべきである。  第六点は、昭和四十九年度以降、交付税補正増により借入金返済は十数年間行ったことがないわけであります。それをなぜ今回するか。  以上六点、時間がもう過ぎましたから簡潔にひとつ答弁をいただきたいと思うものであります。
  68. 津田正

    津田政府委員 今回の補正措置に伴います交付税の配分の仕方についての各般の御意見でございますが、基本論としましては、地方交付税地方団体共通、固有の財源として地方団体財政需要に充てる、このような基本的な考え方であり、また年度間調整等の問題につきましても個々の団体の自主性自律性にまつべきもの、かように考えております。  しかし、昭和五十年代以来の巨額な地方財政収支の不足ということで、個々地方団体におきます地方債残高の増大、また、共通借金でございます交付税特別会計借入金というものも六兆円に上りまして、昭和六十六年度以降どのようにそのような償還負担に耐えて地方財政運営が円滑に行えるようにするかということが大きな問題であるわけでございます。  そこで、先生の御質問の中で、まず個々の団体の公債費負担の軽減の問題が第一点でございます。これにつきましては、総額約六十兆円ぐらいの借金を抱えておるわけでございまして、地方財政全体としての地方税、地方交付税等の財源の充実も必要でございますが、それと同時に、個々の団体におきます公債費負担の軽減措置というものも考えていかなければならない。そのために、六十二年度から公債費負担の軽減対策、このような措置を講じておりまして、個々の団体におきます財政運営の努力というものに相まちまして、私どもとしましては、いわゆる将来の元利償還につきまして交付税措置がついてございます地域総合整備債あるいは過疎債等の配分について考慮いたしまして、公債費負担の軽減というものを図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから、今回の補正措置におきまして二千三百四億円の交付税特会の借り入れを繰り上げ償還するのはおかしいではないか、このような御指摘でございます。五千五百二十億円の増収が見込まれるわけでございますが、これも考え方としまして、当初算定におきます調整額復活、それから特交あるいは本年度に出す予定でございました財源対策債、こういうものに充ててまいるのが基本でございますが、しかし個々地方団体財政運営を考慮いたしますときに、当初におきます地方交付税の配分と地方債措置というものと見合った形で補正段階でもやらなければならない。当初の交付税措置地方債の許可に見合うような補正考える場合には、やはり事業補正を中心といたします財源対策債の縮小、交付税措置というようなことが一番地方団体財政運営に支障を与えないのじゃないか、かように考えておるわけでございまして、その額が二千八百三十億円になるわけでございます。これ以上財源対策債縮減をいたしますと、地方団体財政運営個々の団体におきます運営に支障が生じてまいる、こういうような状況でございます。  さらに過去の地方債の繰り上げ償還ということも考えられるわけでございますが、御承知のとおり地方債の現状というものは流通市場に相当部分が流れておるわけでございます。これを繰り上げ償還いたしますと、現在の市場価格で取引されております地方債に対して市場の不信というものが生まれるわけでございまして、これは、地方債のみならず今後の地方債発行におきましても発行条件等が難しくなるというようなことでございます。  それから、不況地域対策でございますが、不況地域におきましては、企業経営あるいは雇用の安定のため各種の努力をしておるわけでございます。基本的には国際的な経済情勢等も絡む問題で、国の施策によるべきものでございますが、地方団体の個別の財政需要におきましては既に地方債措置でも措置したわけでございますが、特別交付税配分等においても考慮してまいりたい、かように考えております。
  69. 柴田弘

    柴田(弘)委員 いずれにしても不満足であります。答弁、納得できません。すれ違いであります。  そして二つ目の問題は、財政対策臨時特例交付金、これは今回の改正はなぜ五百億なんですか。昭和六十六年度から六十八年度まで五百億円を一般会計から特会に繰り入れることになる。この金額は非常に少ないのじゃないか、こう思いますよ。それでずっと、これは五十九年度以降五百億に据え置かれたままなんですね。それ以前は一千億を超えておった。地方税で利子所得等に対する課税が行われてないことによる減収額は約二千億円程度にも達しておると言われておるわけでありまして、このいわゆる財対臨特の金額というものは一千億を今までは超えていたわけであります。やはり私は増額をすべきではないか、このように考えます。これが一点。  そして二点は、財対臨特は昭和六十二年度限りで廃止されるものである、であるならば本年度交付税に加算すべきものである、私はそのように考えますが、いかがか。簡単に答弁してください。
  70. 津田正

    津田政府委員 財対臨特につきましては、一つの要素は、源泉分離課税が選択された利子所得等について住民税が課されないことということでございますが、もう一つは、地方財政全体の状況を勘案して行うというようなことでございます。そういうようなことで、五十九年度以来五百億円、このような金額になっておるわけでございます。  それから、今回補正に伴いまして、大蔵省と協議いたしまして従前どおり五百億円確保することにいたしたわけでございますが、具体的な措置は六十六年度以降に送っておるという問題でございます。  六十二年度の今回の補正増によります五千五百二十億円につきましては、先ほどのような趣旨に伴いまして本年度地方財政運営に支障がない、むしろ昭和六十六年度以降交付税特会の借り入れ償還という重荷を少しでも軽減しよう、このような趣旨でございます。
  71. 柴田弘

    柴田(弘)委員 最後に私の方から一言申し上げまして終わります。いずれにいたしましても、私の考え方と大きなずれがありまして、不満足な答弁しか得られませんでした。  第一点は、六十二年度地方財政というのは、当初、財源不足が生ずるため財源対策債発行をするなど地方債重点の対策であり、今回の補正でも財源対策債縮減が十分に行われていない、これが第一点。第二点は、今六点にわたって御指摘を申し上げましたが、交付税特別会計借入金返済の不当性を御指摘をいたしました。第三点は、財対臨特増額の必要性、これもすれ違いで残念であります。それから最後に第四点に申し上げたいのは、今回の、あるいは今日の政府地方財政対策というものは、国庫補助率の再々引き下げによる国の財政負担地方転嫁を行っておるわけでありまして、これは国、地方間の財政秩序を乱すものであり、また同時に、財政の先送りにすぎないわけであります。  残念でありますが、私どもは本法案に反対せざるを得ないわけであります。もしこれについての御意見があれば承って、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 津田正

    津田政府委員 今回の交付税補正措置につきましては、本年度地方団体個々財政運営につきましても配慮し、また中長期的に地方財政健全化を図ろう、このような趣旨でございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  73. 柴田弘

    柴田(弘)委員 御理解できません。  以上で終わります。
  74. 松本十郎

  75. 岡田正勝

    岡田(正)委員 まず冒頭に、森田政務次官に気分を伺いたいと思うのです。御気分はいかがですかというところを伺いたいのでありますが、何と私が調べてみますと、森田さんは同じ不況地域の香川県の坂出市の御出身。当年とって五十四歳。東大を出られて大蔵省へ直ちに入られて、とんとん拍子に進まれて、外務大臣の秘書官、そして大蔵大臣の秘書官、そして最後は総理大臣の首席秘書官。まさに華やかな道を通ってこられたのでありますが、今度は衆議院に転身をされまして三回連続当選。しかも、あと二カ月たったら、先生が大変御苦労なさいました本四架橋、鉄道併用橋のあの瀬戸大橋が開通をいたします。地元の皆さんは大変喜んでおられまして、これはもう次期当選疑いなしという呼び声が非常に高い。  しかも、そこへもってきて、先生のお人柄でしょうか、今地元では、今の調子なら「十年たったら竹下さん」じゃなくて「十年たったら森田さん」という声さえ出始めておるという。今最高の御気分ではないかと思うのでありますが、そうなりますと、吉田、三木、大平に続く御出世でございまして、もう最高の気分ではないかと思うのですね。不況の風いずこに吹くやという御気分ですか、いかがですか。
  76. 森田一

    ○森田(一)政府委員 全国にまだ非常に厳しい地域がありますが、四国におきましても同様でございまして、大変厳しい状態が続いておるわけであります。ただ救いは、香川県の場合は、四月十日に瀬戸大橋が完成する、また五月には全国植樹祭が行われて天皇陛下の行幸を待つ、このような明るい面もございます。  そのようなことで、私もこれから政治家として、全国の問題、また地元の問題に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  77. 岡田正勝

    岡田(正)委員 大変まじめな心構えを聞きまして、ありがとうございました。その意気込みで、ひとつぜひ他の全国の不況地域に対して十分な心配りをお願いをしたいと思います。  それでは当局の方にお尋ねをしますが、我が国の経済は、全国的には景気が回復をするという状態にあることは間違いございませんけれども、輸出の産地とかあるいは造船業などの不況業種を中心といたしました地域にとりましては、依然として厳しい経済あるいは雇用の情勢が続いておるのであります。このような地域経済状況について自治省としてはどの程度把握をしていらっしゃいますか、お尋ねいたします。
  78. 小林実

    ○小林(実)政府委員 御指摘がございましたように、最近の我が国経済は、全国的には個人消費が堅調に推移いたしておりますし、それから民間投資も増加するなど、内需を中心とした景気の着実な拡大が見られるところでございます。しかし、産業構造の転換等、構造変化が地域経済に大きな影響を及ぼしております。造船、鉄鋼、石炭、非鉄金属などの構造不況業種を抱えているところなどにおきましては、雇用問題が深刻化するなど、厳しい状況が見られます。  私どもといたしましても、地域経済の動向につきましては、財政状況につきましては予算編成が終わりますとヒアリングを行う、それから、私ども独自の調査もいたしまして、地域経済対策の推進に際しましての参考にさせていただいているところでございます。
  79. 岡田正勝

    岡田(正)委員 時間の関係がありますから、あの程度の御答弁になるかと思いますが、これは了解いたします。  それでは、個々具体の問題に入らせていただきたいと思います。  地方交付税の基準財政需要額の算定の基礎となる住民の数、これは五年に一回行われる国勢調査に基づいて行われているはずでありますが、そのとおりでありますか。
  80. 津田正

    津田政府委員 そのとおりでございます。
  81. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、続いてお尋ねをいたしますが、そういうことでは、今日のような急激な円高や産業構造の変化に伴う地域間の人口の流動化に対しまして地方交付税が適切に対応できないのではないかと私は心配をするのでありますが、このような情勢のとき、どういう対応をなされる方針でありますか。
  82. 津田正

    津田政府委員 基本的には、先ほどお答え申しましたとおり、国勢調査人口というものを基礎としてございますが、人口急増地域におきましては、学校等の施設を急速に整備しなければならない、あるいは人口が減少する地域におきましては、人口が減少してもなお諸対策を講じなければならない、こういうような財政需要があるわけでございます。  したがいまして、基礎的には国勢調査人口をとりながら、個々具体的な問題に対処するために、住民登録人口というものを使いまして、必要な人口急増補正あるいは急減に伴う財政需要の算定を行っておるところでございます。したがいまして、基本的と同時にまた個々具体的な問題にも対処してまいる所存でございます。
  83. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そうすると、住民登録等も重要な参考資料にしておられるということでありますが、自治省が行っておる市町村分投資的経費、これはその他の諸費、人口分という分でありますが、その投資補正、いわゆる短期人口急減補正の内容とその実績は一体どのようになっておりますか。
  84. 津田正

    津田政府委員 最近の炭鉱の閉山や有力企業の生産規模の縮小等、経済社会環境の変動というものによりまして人口が急激に減少した市町村というものは、非常に財政において困っておるわけでございます。そういうようなことに対処いたしまして、昭和六十二年度の算定におきまして、御指摘のその他の諸費の投資的経費につきまして、いわゆる短期人口急減補正というものを行ったわけでございます。  その内容は、短期間、二年間でございますが、二年間に人口が五%以上減少した市町村に必要な財政需要を算定するということでございまして、具体的には、炭鉱が閉山されました高島町であるとか、鉄鋼不況の室蘭市、造船不況の因島市等十七市町村に対し、総額約三億円の基準財政需要額の増額を図ったところでございます。
  85. 岡田正勝

    岡田(正)委員 そこで、私が住んでおります隣の町が因島でございますが、高島町、室蘭市あるいは因島市等にその補正を行った総額は約三億円ということでございますが、因島に対するパーセンテージとその金額はどのくらいだったのでございますか。おわかりなら発表してください。
  86. 津田正

    津田政府委員 因島市におきましては、先ほど申しましたような算定結果によりまして六百十五万六千円増額措置をされております。
  87. 岡田正勝

    岡田(正)委員 私は、大変不満なのであります。  実情をちょっと申し上げておきますが、今人口の問題でありますから人口のことで申し上げますと、六十年の十月に三万八千百八十五名おられた住民が、六十一年十月には九百四十七名も減って三万七千二百三十八人、そして六十二年十月にはさらに千六百二十三名減って三万五千六百十五人、六十三年二月にはさらに百五十七名減って三万五千四百五十八名というような状況でありまして、月当たり平均大体百三十五人から七十五人ずつ減っていくのであります。大変な人口減でありますが、にもかかわりませず、今の補正をやってもその金額が六百十五万六千円というのでは、甚だもって頼りない補正だと思うのでありますが、自治省はこれをもって満足していらっしゃるのでありますか。
  88. 津田正

    津田政府委員 私ども、六十二年度の因島市の交付税算定で使いました人口は、六十年三月三十一日の住民基本台帳人口、それと六十二年三月三十一日の住民基本台帳の人口でございまして、この間で二千六十一人の減、このような客観的な数字に基づきまして算定したわけでございます。  そして、先ほど申しましたような財源措置になったわけでございますが、私ども、このような不況地域に対しましては、普通交付税の算定のみならず、地方債の配分、あるいは現在作業中でございますが特別交付税の配分というものでこれから十分考慮してまいらなければならない、かように考えておるわけでございますが、関係団体からは一応の評価を受けておるわけでございます。省令上は、六十二年度限りの先ほどのような普通交付税の特例の算定ということでございますが、私どもとしましても、今後におきましても関係方面の御意見等を十分踏まえて対処してまいりたい、かように考えております。
  89. 岡田正勝

    岡田(正)委員 全然もらわぬよりはもらった方がいいのでありまして、地元の市長などといたしましては、六百十五万円でも、ないと思っておったものが入るのでありますから、本当にありがとうございましたとお礼を申し上げるのが当然であります。私も言葉を注意して言わなければなりません。だがしかし、余りにも少ないですね。この三つの町をとってみましても物すごい荒廃ぶりでありまして、それに対する補正が、一年間に十兆円くらいの交付税を扱う自治省としては、十兆円からの予算の中で三億円とは、私から言わせたら、いやまあぶったまげたなという感じがいたしますね。物すごく少ないです。そのほかの面で配慮しておりますからということですから、質問を先へ進ませていただきます。  今お話がありましたように、これは六十二年度限りということになっておりますが、この制度はこれからも継続をしていくお考えでありますかどうか。
  90. 津田正

    津田政府委員 先生の御意見、また関係地方団体の御意見等を承りながら、この六十二年度の特別措置というものを今後とも継続するかどうかにつきましては十分検討してまいりたい、かように考えております。
  91. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それじゃ質問をもう一遍後戻りさせますが、この制度の期限はいつだったですか。
  92. 津田正

    津田政府委員 交付税の算定省令におきまして、六十二年度交付税の算定の特例、このような格好で措置しておるわけでございます。
  93. 岡田正勝

    岡田(正)委員 きょうこの場では、なるほど六十二年度補正予算を私どもは審議をいたしております。しかし、この国会は六十三年度の予算を審査する国会でございます。言うなら私どもは、きょうの委員会はサービスぐらいのつもりなんですよ。六十三年度の予算を審議しなければならぬこの国会に、いまだにこのいわゆる補正措置の特例を延長することの覚悟が決まっていないとは何ということですか。これは大臣に言わなければいかぬのだけれども、しようがないですな。局長さん、答えてください。
  94. 津田正

    津田政府委員 先生の御意見でございますが、私どもとしますと、六十二年度交付税法の審議の際に、六十三年度まで踏み込んで言うのもまた難しいということも御理解賜りたいと思います。
  95. 岡田正勝

    岡田(正)委員 今のように言われると、どうも私は、へそが曲がっておるのかもしらぬが、気に入らぬのであります。なるほど今六十二年度補正予算審議しておるのでありますけれども、事は不況地域の問題です。それに対して特別の手当てをしようというので特例までつけて、二年間の期間を定めて、六十二年度限りというのでこの措置をしていらっしゃるのでございますが、この措置が延びるのか延びないのかということは当該市町村にとっては大変な問題なんですよ。今この場では補正予算をやっておるので六十二年度のこと以外のことは言いたくないとおっしゃるのですが、本当にそれは性根を定めて言わないつもりですか。
  96. 津田正

    津田政府委員 先ほどのような趣旨で私御答弁申し上げたわけでございますが、もうちょっと踏み込んで答弁させていただくならば、私は十分六十三年度にも考えてまいりたい、このように考えております。
  97. 岡田正勝

    岡田(正)委員 はい、ありがとうございました。まあ非常に局長さんが考えていくと言うのだから、これはもう実現することは疑いなしと私は考えて、次の質問に入らせていただきます。  さて、こういう問題につきまして、不況地域においては各地方公共団体が労働者の雇用から生活の安全のために各面の必死の努力をしておる最中であります。このような地方の努力をバックアップするために、これから算定が行われる、これは六十三年度のことも含めてですよ、局長さん。これから算定が行われる特別交付税の配分に当たって特別に配慮をするべきではないかと考えておりますが、いかがでございますか。
  98. 津田正

    津田政府委員 現在問題となっております地域の不況問題というのは、多分に国際経済の中におきます我が国の立場というような問題も含んでおりますので、基本的には国により対応すべき部分というものが多いかと存じます。しかし、地方団体地域住民の雇用の安定、生活の安定のために各種の対策をやっておるわけでございまして、昭和六十二年度におきましても自治省としましては地域経済活性化緊急プロジェクトというような措置を講じましてやっております。今後におきまして、特別交付税の算定におきましても各団体の実情をよく聞きながら、中小企業に対する金融措置に伴う財政負担等に対する措置等、財政運営に支障がないよう適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  99. 岡田正勝

    岡田(正)委員 さらに理解を深めていただくために、広島県因島市の、造船で不況地域に陥ったところとしては日本一最悪の地域のことをちょっと申し上げておきますが、先ほど人口の減のことについては申し上げました。  それで、ここの島におきましては日立造船という会社が大会社でありますが、大変な合理化を行いまして、六十年の十一月には三千四百三十二名おりましたものが、六十二年の四月、昨年の春には二百人に減ってしまいました。十七分の一の減り方であります。これは激変も激変、大変な減り方であります。そして、今求人倍率の関係は、六十年に〇・一六でありましたものが〇・〇三という状況であります。  今、この特異な現象として六十二年の十二月には求人倍率が〇・二四に上がったことがありますけれども、これはいわゆるアルバイトしようにもアルバイトするところがない。そして御主人も働く場所がない。それで、遠いところへ行って働こうといたしますと世帯が二重世帯になります。そこでいただける給与はどのくらいのものかというと、手取りで十三万円というのが一番待遇されておる口であります。一月に十三万円の手取りで二重世帯が張っていけるでありましょうか。これは考えるだけでも、とても不可能な話であります。したがいまして、家を売って一世帯にまとまろうといたします。その家を売ろうとすると、今度はそういう不況の島でございますから、その家がなかなか買い手がつきません。住宅ローンの支払いが済んでおりませんので、この支払いをするために四苦八苦しておるものですから、何とかして売りたいというので、しまいには不動産屋さんまで頼んで、実に四十軒ほどの人が一つの不動産屋に売却をお願いをしました。しかし一年半、いまだ一軒も売れておりません。こういう状況でありまして、二重世帯を余儀なくされるわけであります。これでは持ち出しばかりでありまして、働いても赤字がどんどん出るばかりであります。  しからばアルバイトに行くかということになりますと、奥さんがアルバイトに行くにいたしましても、今便利になったと言われる因島大橋を渡るのに千二百円、そして尾道大橋を渡ってやっと本土に着くのでありますが、その橋が八百円、一回片道を行くだけで両方で二千円です。往復したら四千円であります。ところが、アルバイトの金額というものは何ぼかといえば、次官も御承知のとおり、今最低が時間六百円です。大体五時間が普通でございますから三千円。三千円の収入で四千円の橋賃といったのでは、これはガソリン代も出ない。それなら働かぬ方がましというので地元にじっとすることになります。  見るに見かねて、私どもや市当局の努力によって縫製工場という服を縫う工場が奥さんたちを相手にしてその島にやってきてくれました。そのおかげで〇・二四というふうに求人倍率が上がったという一時的な現象があるだけでございまして、決して数字の上で、はあはあよくなったなというふうには考えないようにしていただきたいと思います。  さらに、いま一つ市税の問題であります。大変恐ろしい状況になっておりまして、ここにその資料を私は市長から預かってきたのでございますが、恐らく自治省にも届いておると思いますけれども、まあ聞いてください。  とにかく法人市民税は六十年に早くも四〇%ダウンです。六十一年に一九・二%ダウンです。落ちっ放しで、さらにまた落ちて六十三年はまたマイナスの一・七%という状況でありまして、全盛期の時代に比べたら全く話にも何もならない数字でございます。  個人市民税の関係にいたしましても、市民がどんどん減っていくのですから、六十一年にはマイナス三%、六十二年にマイナス一四・一、六十三年にマイナス二三・八。これは六十三年度ですよ。新年度予算ですよ。新年度予算でも個人市民税はマイナス二三・八%であります。  市税総計でマイナス六・三%でございまして、本当に何とも物の言いようがないような状況に立ち至っておりますので、今の室蘭市や高島町と同じように特段の配慮特別交付税あるいは地方交付税の上においてお願いをしたいと思うのでありますが、当局の御意見はいかがでありますか。
  100. 津田正

    津田政府委員 私どもといたしましても、不況地域におきます地域財政需要をどのようにとらえるかということで、最初先生御質問ございました短期人口急減補正というようなものを行ったり、そのほか有効求人倍率を考慮する、こういうような格好で普通交付税においての傾斜配分を行っておるところでございます。  そのほか地方債、また今後算定されます特別交付税におきましてもその点十分配慮してまいりたい所存でございますが、算定方法、算定内容につきましても今後地域の実態に即して、不況地域というものの住民の生活の安定が図られるよう努力してまいりたいと考えております。
  101. 岡田正勝

    岡田(正)委員 特に理解を深めていただきたいと思いますが、今市当局は必死になって何とかしてこの不況地域から脱しなければいかぬというので、ここに持ってきておりますけれども、昭和六十二年度だけでも二十五の市の単独事業を挙げまして、造船不況対策に対する諸事業ですが、二十五カ所あります。二十五カ所でもそれを締めて幾らかと言えば三億六千万円を切るのですよ。二十五で三億六千万円を切るのです。本当に涙が出るような小さな金額でしょう。  しかもその財源を見てみますと、地方債借金ですね。これは自治省が後押しをしてくれておることは間違いありませんが、そのうちの一億九千四百万が借金です。そして一般財源が一億六百万です。国庫支出金などというものは一つもないのです。これは自治省考えることではないかもしれませんが、こういう不況地域が起債と単独市費だけをもってやっておることを考えたら、黙って見逃しにはできないと思うのです。何とかしてこういう事業に対して国庫補助金、国庫支出金がつくように、自治省としても側面から、あるいは後ろから、強大な力をもって各省に援助の手を伸べていただきませんと、一市町村ではどうしようもありません。三万五千人ぐらいのちっぽけな人口の町が、どんなにあがいてみたところでどうしようもないという現実を見ていただきたいのであります。  その点について、自治省といたしましては、今後こういうような本当に気の毒な不況地域に対して、企業城下町に対して、特段の力を入れていくおつもりがあるかどうか、お考えを伺っておきたいと思うのであります。
  102. 津田正

    津田政府委員 国庫支出金の配分におきましても、先般決定されました緊急経済対策において、「事業費の追加に当たっては、円高による影響等各地域経済の実情に配慮する」、このように決定されておるわけでございまして、各省におきましてもそのような方向に沿って配分されておる、かように存じます。今後におきましても、そのような配分の仕方につきまして、地域経済の実情に的確に沿うような配分ということにつきまして私どもも注目してまいりたい、かように考えます。  また、単独事業におきましても、地域経済活性化プログラム、こういうようにプログラム化いたしまして総体的な対策を講ずる。その中におきまして、地方債あるいは特別交付税あるいは普通交付税配分等におきまして十分支援をしてまいりたい、かように考えております。
  103. 岡田正勝

    岡田(正)委員 それでは最後にだめ押しをしておきたいと思います。  これは二月十一日の各紙に載った記事でございますが、地方交付税の配分について、窮乏自治体に傾斜配分を強化するという大きな見出しをいたしまして、この中で特に注目をすることは、改正案では交付税の新たな配分対象に地域産業の育成や地域経済の活性化を目指す事業を加えることにしたというのが一つと、円高不況や構造不況対策事業財源交付税を充てることができるようにしようというものである、これが傾斜配分の強化ということである、こういうふうに書いてありますが、これは間違いなくこのとおり実行するという意思であるかどうか、最後に当局の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  104. 津田正

    津田政府委員 来年度地方交付税法を今後審議していただくわけでございますが、私どもとしましても、ふるさとづくり特別対策事業というような事業の設定を新たにするというほかに、交付税の配分におきましても産業構造等を十分勘案した傾斜配分を行ってまいりたい、かように考えております。
  105. 岡田正勝

    岡田(正)委員 不況地域に対する特段の配慮、今の御回答のとおり、ひとつ地元の市町村が期待してもいいような政策をとっていただけるよう重ねてお願いをして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  106. 松本十郎

  107. 経塚幸夫

    経塚委員 最初に、交付税補正についてお伺いをしたいと思うのです。  財政局長の答弁を聞いておりましても、これは今までの質問者も見解を明らかにしておりますように、これは理解ができない。私は確かにそのとおりだと思うのです。それで改めて財政局長にお尋ねをしたいのですが、年度途中に交付税増額が生じた場合には、その年度内に地方全額配分をする。これは本来はそうであるべきなんじゃないですか。
  108. 津田正

    津田政府委員 本来的にはそのようなものでございます。
  109. 経塚幸夫

    経塚委員 そうすると、本来的にそうあるべきなのに、なぜそういう措置をとらないのか。理由としては、いわゆる事業補正など、当初地方団体が計画を立てて執行すべき事業もいろいろ執行しておる等々の理由で混乱が生じる、こうもおっしゃった。それから、特会借り入れの償還をやるということは、これは共同の借金を減らせるという意味からも重要なことだ、こうもおっしゃった。本来的にあるべき姿をなぜとらないのか、その主たる理由は一体どれなんですか、とらないというその主たる理由は。
  110. 津田正

    津田政府委員 主たる理由と申しますと何点かあるわけでございますが、基本的には、現在の地方財政が多額の地方債の増発というものでやらざるを得ない、そしてその地方債の残高というのは累積している。そのほか交付税特別会計の約六兆円に上る残高を抱えておる。こういうような本年度個々地方財政運営と、それから中長期的な地方財政健全化とを図る趣旨から、今回のような措置が一番ベストだ、このように考えておる次第でございます。
  111. 経塚幸夫

    経塚委員 これは何回も聞かれておりますように、その特会借り入れの償還をなぜ今やらなければならぬのか。もう何回も繰り返す必要もありませんけれども、地方は大変な財政危機の状況なんでしょう。それで起債の発行につきましても、起債制限比率にかかわらず地方債許可ができるという、これは昨年の七月十日、自治省財政局長通知を出されたわけなんでしょう。つまり、起債制限比率にひっかかっておるからというので起債を制限しておったのでは地方事業が思うように進まないというようなことで、わざわざ財政局長の通知を出さなければならぬほどの状況だったのでしょう。しかも、これは適用を受けておる団体が百を超しているのでしょう。一方ではかつてない財政危機に追い込まれ、一方では今の起債制限比率を適用していくというようなことになれば、地方は思うように事業が進まないというような事態にまで立ち至っているのでしょう。  そういう状況の中で、六十六年度以降の特会借り入れの償還よりも、どうして地方の固有財源であるべき地方交付税全額配分してやらないのか。もっと地方優先の立場に立って今回の補正考えるべきだ。本来的には財政局長も、それは年度途中で生じた増収分につきましては全額地方に配分をするのが本来的なたてまえだとおっしゃるのだ。たてまえどおりやったらいいんじゃないですか。なぜやらないのですか。
  112. 津田正

    津田政府委員 今年度の九月、交付税を算定した以降出てまいりました財政需要給与改定等の問題につきましては、当初考えておりました追加財政需要額の範囲内で賄える、こういうようなことで新たな財政需要というものはその中で処理できる。  それならば、個々地方団体の公債費負担をどう軽減するかということでございますが、一つは過去に蓄積されました公債費負担をどうするかという問題でございます。これは、先生指摘の公債費負担健全化計画というようなものに基づきまして個々の団体に御努力いただくと同時に、私どもいわば交付税つきの地方債配分等で軽減を図ってまいりたいということをやっております。  さらに一般的に、既に発行いたしました地方債を繰り上げ償還する、このようなことも考えられるわけでございますが、これは流通市場に与える影響というのは非常に大きくて、その地方債のみならず、今後出します地方債発行条件にも影響するような問題でございます。  そういうことで、まずは本年度発行を予定しておりました財源対策債縮減に充てる。その縮減も、それぞれの地方団体におきましては、この九月の交付税算定時の配分、そして地方債の配分というものに基づいて事業を進めておるわけでございまして、トータルとしてのそれらの措置と変わるような格好の今回の補正交付税財源を使うわけにはいかないということで、その限度におきまして財源対策債縮減個々地方団体財政運営に混乱を与えない、さらに残った金につきましては中長期的に地方団体共通借金でございます交付税特会借入金の償還に充てる、こういうような本年度財政運営と中長期的な地方財政健全化というものを考えました措置でございますので、御理解賜りたいと思います。
  113. 経塚幸夫

    経塚委員 これは何回お尋ねをいたしましても、つぶれたレコードのように同じ答弁ばかり繰り返しております。これは本来的に地方に配分すべきだということは百も承知の上で、わかっていて特会借り入れの償還を前倒ししてやろうというわけでありますから、それほど地方は豊かでないということは、そんなことはるる申し上げるまでもないことなんです。  第一、特会借り入れというのは何のためにこれだけ膨れ上がってきたのですか。五十年以来の財源不足を、本来交付税法に基づいて交付税率を引き上げて措置すべきであるにもかかわらず、国の責任において措置すべきものを地方負担を転嫁するという措置としてとられてきたものでしょう。したがって、そんな国の責任を、六十六年度以降でいいというものをわざわざ六十二年度へ持ってきて償還をするというようなことは、二重の意味からいっても地方の立場から反するものなんですよ。この点ははっきり申し上げておきたいと思います。  続きまして、幾つかの問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  最初に、消防防災体制についてお尋ねをいたします。  熱川温泉の大東館の火災問題、二年ぶりに逮捕者を出すという事態に至りましたが、たくさんの人が集合する施設についての消防防災体制が改めて問われております。  そこで最初に厚生省にお尋ねしたいのですが、去年の六月六日、東京の東村山市の松寿園の火災で、事故発生直後、私どもは消防庁長官と厚生大臣に幾つか申し入れをいたしましたが、特別に重要な点についてどうなったかお尋ねをしたいのです。スプリンクラーと緊急通報システム、これは設置義務施設の数は一体どれくらいあるのか、そのうち三カ年計画というが内容は一体どうなっておるのか、緊急通報システムの設置についてはどうなっておるのか。お答えをいただきたいと思います。
  114. 矢野朝水

    矢野説明員 昨年六月ですけれども、松寿園火災が起きまして、これを教訓に鋭意対策を進めておるところでございます。特に、この事故の直後に消防庁との間で委員会を設置いたしまして、いろいろ御検討をお願いし、その結果に基づいて対策を進めておる、こういうことでございます。  それで、特にスプリンクラーが初期消火に非常に有効だということで、これの設置義務が、従来六千平米以上だったのですけれども、自力で避難することが困難な施設について、十五種類でございますけれども、これは千平米以上ということで基準が厳しくなったわけです。これを踏まえまして、この規制というのは実は八年間の猶予期間があるのですけれども、三年間で実施しようということで進めております。こういう施設がどのくらいあるかということでございますけれども、この中で義務設置分が千四百四十カ所ということを私ども考えております。これを三年でやろうということでございまして、六十二年度は国庫補助で四十七億、箇所数で三百八十カ所でございます。それから来年度、これは予算案でございますけれども、これは国庫補助ベースで九十億予定しておりまして、箇所数で見ますと七百三十カ所整備できる、こう思っております。したがいまして、これをトータルいたしますと二年間で七〇%くらいは整備できるのじゃないか、こう考えておるわけです。  それから二つ目のホットライン、緊急通報装置でございますけれども、これは来年度予算で一挙に全部やってしまおうということでございまして、これはすべての入所施設、それから保育所の中で夜間保育、延長保育をやっているところ、これが対象でございまして、七千百カ所でございます。これを六十三年度にやるということで、国庫補助金額としまして十八億円予定しておるところでございます。
  115. 経塚幸夫

    経塚委員 病院も設置義務施設として指定をされることになると思うのですが、病院は設置義務の対象になる施設はどれくらいあるのですか。そしてそれに対してはどういう措置を講じられるのですか。
  116. 松村明仁

    ○松村説明員 病院につきまして今回設置義務が課せられますのは、三千平米以上の病院でございます。これは消防庁の調査によりますと約二千五百カ所ある、このように考えております。  病院のこういった施設の整備につきましては、社会福祉施設と若干違いまして、診療報酬の中で対応していくという基本的な考えがございますので、私どもといたしましては、特に民間病院につきましては社会福祉・医療事業団の貸し付けで融資、これで対応していきたい、このように考えております。貸付利率につきましては五・二%の利率を適用いたしまして、融資枠、これは全体の整備の枠でございますけれども、八百三十億円の資金を用意しております。  以上でございます。
  117. 経塚幸夫

    経塚委員 病院外の福祉施設などについては二カ年で七〇%ということでありますが、これはその実態に合うような補助制度になっておるのかどうなのか、大変これは疑問に思っておりますのでお尋ねをしたいと思うのです。  例えば大阪市内の重度の精薄児施設の場合でありますけれども、厚生省の補助対象額が千八百四十万なんですね、今度補正で申請を出しました中身を見ますと。ところが実際の工事価格は二千三百九十八万円なんですよ。財源は国が九百二十一万円、設置者が四百五十七万円、大阪市が五百三十四万円、こうなっておるのです。国の補助対象額と実際の工事に要する経費とは大変な格差があるわけなんです。  そこで、その不足はどうするかといえば、大阪市の場合、特別助成で四百八十五万円。特別助成制度をとっておる。これは東京とか大阪市などのように特別助成制度をとっているところは施設の方も大変助かりますから、国庫補助対象額と実際の経費との差額はそれで埋め合わせをすることができるわけでありますが、北九州市など、もうこれは特別助成制度がないところの方が多いわけなんですね。そうすると、これは借り入れをやらなければならぬ。借り入れも八割に抑えられているでしょう。そうすると施設負担が大変な負担になってくる。借り入れだったら償還しなければならぬ、こうなっているんです。これは実態に合うように再検討する余地があると考えるのですが、その点についてはどうですか。
  118. 矢野朝水

    矢野説明員 補助単価が低いんじゃないかというお話でございますけれども、この単価を設定するに際しましては、私どもは業者の見積もり、これは三社からとったわけでございますし、それから既に設置しているところ、こういったところをいろいろ調べまして、それで単価を設定したわけでございます。そういうことで、これは私どもといたしましては、おおむねこの単価で十分やれると考えておりまして、これを改める考えはございません。  ただ、償還につきましては、これはいろいろ私どももなるべく施設負担にならないように、こういうことで考えておりまして、借入金につきましては、社会福祉・医療事業団から借りる場合は無利子にする、こういうことにしておりますし、それからこの維持管理費ということで管理費に上乗せしまして、手厚くそういった施設整備をやったところには支給する、こういうことをやっておりまして、なるべくそういうことで負担にならないようにということでいろいろ工夫をしておるところでございます。
  119. 経塚幸夫

    経塚委員 負担にならないように工夫しておるところでございますとおっしゃいますけれども、事実上国の補助対象、これは額もそうですが、面積もそうなんですね。東京都の文京区の場合は全体の七三・三%しか補助対象の面積として基準に当てはまらない、こういうような状況も出ているわけですから、せっかくの助成制度が有効に生かされるためには、改めてこれは検討すべきだということを申し上げておきたいと思います。  消防庁の方にお尋ねをしたいと思うのですが、消防の予算は、これはどういうことなんですか。年々これは減っているじゃないですか。五十六年二百二十四億でしょう。六十二年百五十六億でしょう。来年度は百五十三億でありますから、五十六年と比べると六八・七%じゃないですか。もうこれで事足りると思っているんですか。消防力の設置基準に対する職員の充足率、これは矢野長官は大阪府にいらっしゃったからよく御存じだと思うんですけれども、大阪府の六十二年度の実態から見ますと、国の基準が職員一万六千人ですよ。実員は八千六百七十人ですよ。五三・五%じゃないですか。それで一方では消防予算がどんどん減っているんですね。消防力設置基準はもう改めたんですか。生きているんでしょう、これは。生きている以上は充足するのは当然じゃないですか。いかがですか。
  120. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 御指摘のように、消防の予算、五十六年度をピークといたしまして、その後いわゆるマイナスシーリングという厳しい財政状況のもとで年々減ってまいってきております。その中でも特に中心になっておりますのが、やはり消防の施設整備費の補助金、これがただいま御指摘の百五十数億の予算の大部分を占めておるわけでございますが、こちらの方が減ってきておるわけでございます。私どもの方としては、そういった厳しい財政事情の中でできるだけの努力をしてまいったわけでございますが、残念ながら昭和六十二年度の時点では、こういった施設整備の補助金関係でも、ピーク時五十六年の約三分の二、六六%程度にまで落ちております。ただ、昭和六十三年度の予算につきましては、こういった傾向にかんがみまして、同じく予算の要求は減額基準の対象ではございますけれども、最大限の努力をいたしまして、対前年度約九九%にとどめるということで、ここのところ続いてまいりました低落の傾向に何とか歯どめをかけることができたのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。  ただ、問題は中身もあるわけでございまして、特に予算の中でも補助金でございますから、補助金をもって施設整備を大いに促進するという必要のあるものをやはり重点に考えていきたい。例えば、いわゆる消防の科学力の増強分でございますとか、あるいは整備がおくれております市町村の防災無線でありますとか、あるいは消防団の活性化、こういった面に特に重点を置いてまいっております。  そして一方におきまして、こういった補助金の減をカバーするというと若干語弊がありますが、これとあわせて、いわゆる防災まちづくり事業、これは地方債とその地方債の一部につきまして交付税上元利償還費を算入するという仕組みでございますが、この事業を併用いたしまして、こちらの方で可能なもの、例えば防火水槽、こういったようなものについてはそちらの方で施設整備を図っていく、こういうぐあいに努力をしておるところでございます。この点につきましては御理解を賜りたいと存じます。  また、消防力基準と職員の充足との関係でございますが、消防力基準は、これはしばしば御指摘ございますが、大変高い基準ではないかということも言われております。しかし、私どもとしては、現在の消防力基準を実態がそこまでいかないからといって落とすということは考えておりません。もちろん消防力基準も時代の趨勢に伴って見直しの必要はあろうかと思いますが、基本的にはこの消防力基準の水準というものは今後とも目標として掲げていきたい。  特に職員数の方におきましては、全国平均で申しますと大体七六、七%ぐらいでございます。大阪の場合、私もちょっと記憶をいたしておりませんが、ちょっと率が低いようでございますけれども、この点については、一方において消防の施設を充実をしていく、他方においてそれに伴う職員が同様にふえてくれば、あるいはそれ以上にふえてくれば、この数字は上がってまいるわけでございますが、行政改革という状況のもとでできるだけ職員数の増加を抑えるということから、一方でできるだけ装備の方の省力化というものを図りながら考えてまいりたい。  それからもう一つは、もちろんこの基準が一〇〇%になれば、すべて専任を配置するということになるわけでございますけれども、実はなかなかそうはまいりません。そういう意味では、相互応援協定とかあるいは広域応援協定で、必要な場合には直ちに応援を求めてこれをカバーしていくというようなことも進めておるわけでございまして、いろいろな厳しい条件の中で私どもも今後とも最大限の努力をしてまいりたいと存じますので、御理解を賜りたいと存じます。
  121. 経塚幸夫

    経塚委員 いろいろなことをおっしゃいましたけれども、しかし結果的には消防予算は減ってきているわけです。前年度比九九%に食いとめた、こうおっしゃいますけれども、そしてまた消防力設置基準は非常に高いものだ、こうおっしゃるけれども、昔つくった基準なんですよ。今の災害の状況はこの設置基準がつくられた当時よりもはるかに複雑になり、高度な消防力が求められておるという時代なんですから、見直すということであればもっと高度なものに見直すべきであるのに、どうも聞いておりますと、これはつくったけれどもちょっと高過ぎるから見直して低いものにしようというような、低いところへ基準を引き下げるという見直しをやろうと考えているんじゃないかと受け取られる節もございます。  これは長官一つ言っておきますけれども、これも東大阪市でありますが、九百九十五人に対して四百八十五人ですよ。これは四八・七%。大阪府下平均よりまだ低い。去年の事故の際に、対象物件の立入調査をしたらどうや、やりますと言った。ところが立入調査対象が二万件ある。これを全部立入調査をやるということになりますと、年一回やるとしても三人で三百六十五日で千件しかできない。これなら対象物件全部調査するのに、年一回やっても二十年かかりますのや。こんな状況で事前の対策が講じられますか。実態をよく見て、ぜひひとつ職員の増員それから配置基準の充足のために、予算の増額のために、もうちょっと頑張っていただきたい。これだけお願いしておきます。  時間の関係がございますので、最後に警察にお尋ねをいたします。  これは静岡県の浜松市の暴力団一力一家の問題でありますが、御承知のように襲撃事件が相次いでおりますね。六十一年九月、自治会長が襲撃されたんでしょう。六十二年六月には、住民側の弁護団長が刺されて重傷なんでしょう。それで、このときに、このような事件が再び起これば警察のかなえの軽重が問われる、署長がこう言明された。そうして警察庁も現地視察をされた。ところが、にもかかわらず、六十三年の一月二日には住民運動のリーダーのタクシーの運転手が切られて重傷でしょう。そうして同じ一月のいわゆる三日から四日には市役所の玄関が割られたんでしょう。そして三日後の六日には市民生活課長の宅が放火騒ぎ、こういう状況なんでしょう。一体、これはどうなっているのかと言いたいのであります。  そこで、大阪府警が一月二十八日から二十九日、青野組長に対して、またほか二人の幹部に対して銃刀法違反容疑で逮捕状を出した。しかし、さて逮捕状をとって行ってみると行方不明だというじゃないですか。どないなってまんねん、これ。一月の十八日には、静岡地裁の浜松支部訴訟の第一回口頭弁論が開かれたんでしょう。ここに青野組長が出ておったのでしょう。それで、大勢のテレビカメラの前で堂々と胸を張って言っておったわけでしょう。一体銃刀法違反容疑の事実を知ったのはいつなのか。なぜ早く逮捕状が執行できなかったのか。十八日には堂々と公衆の面前で青野組長が言っておったわけでありますから、トップ作戦でもって早く組長を逮捕しておれば、こういうような悲惨な事件が起こらなくても済んだのではないかと地元の住民の方々が疑問に思っていらっしゃる。その点はいかがなんですか。
  122. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 浜松市における暴力団排除活動につきましては、住民、市などと一体になりまして、警察としても全力を挙げて取り組んでいるところでございまして、現在は静岡県警の全警察官の四割に当たります約二千名を投入いたしますとともに、管区機動隊約二百名の応援派遣を受けまして、一力一家の壊滅に向けた取り締まり等、住民の安全確保に努めているところでございます。  ただいま御指摘の、一力一家組長に対する銃刀法違反容疑事件の関係でございますが、大阪府警におきまして逮捕状の発付を得ましたのが一月二十八日でございます。この一力一家の組長が所在しておるのを警察として確認いたしておりますのは、たしか二十四、五日が最後でございますので、逮捕状発付の時点におきましては、所在は確認できなかったわけでございます。そういう事情でございますが、現在は関係府県と緊密な連携をとりまして、一日も早く逮捕すべく鋭意追跡捜査中でございます。
  123. 経塚幸夫

    経塚委員 これだけ相次いで襲撃事件が起きていて、そして十八日には組長が静岡地裁に出頭しておる。警察が最後に状況をつかんだのは二十四、二十五日ぐらいまでだ、それで二十八日逮捕状をとったときにはもう行方不明だ、こうおっしゃいますが、これはちょっと合点がいかぬですよ。これだけの襲撃事件を起こしておる組頭でしょう。二十四、五日でもうその所在がわからなくなったということ自体がどうも不思議ですね。マークしておったはずなんでしょう。今日の警察力で、マークしておって、それで二十四、五日でぷっつり状況がつかめなくなったということは、これはどうも理解できませんね。それで、行方が、状況がつかめなくなった三日後に逮捕状が出ているのでしょう。これはどないなっているんですか。  それで事件は、新聞報道によりますと、五十九年九月ごろ、組事務所で短銃二十丁と実弾百発あったという容疑なんでしょう。五十九年九月ごろですね。それですから、この事実をつかまれたのは一体いつなんですか。五十九年九月ごろの時点なんですか。その点はいかがですか。
  124. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 容疑情報を入手いたしましても、その事実についての証拠を集めまして逮捕状の発付を得るところまで持っていくのにはなかなか大変な作業が必要なわけでございます。今回の事案につきましては、関係者からの供述等ようやく入手いたしまして、二十八日になってようやく逮捕状の発付を得る段階に至ったということでございます。  それから、組長の所在を常時把握できなかったのは遺憾ではないかという御指摘でございますが、これにつきましても鋭意努力いたしておったわけでございまして、最後の確認がたしか一月二十四、五日ごろということでございます。これは、一〇〇%完全に一人の人間について尾行を続けるというようなことは、現在の法制のもとにおいては不可能に近いことでございまして、警察としては最善の努力をしておったということで御理解いただきたいと思います。
  125. 経塚幸夫

    経塚委員 時間が参りましたので終わりますが、今の御答弁は納得がいきません。一方では共産党の情報をつかむために盗聴まで仕掛けておいて、片一方ではこれだけ事件を起こしておる組の組長を、さて逮捕状をとって行ってみると行方不明で捕まらぬというようなことでは、これは住民の疑惑と不安は消えませんよ、率直に申し上げて。しかも、五十九年ですから三年も前の事件でありますから、恐らくこの当時既に警察は銃刀法違反の事実をつかんでおったんじゃないか。したがって、この一力一家の問題が出たときに早く手を打っておれば、もっと犠牲者を出さずに住民の不安を解消することは可能であったという疑惑をぬぐい去ることはできません。このことだけを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  126. 松本十郎

    松本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  127. 松本十郎

    松本委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  128. 松本十郎

    松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 松本十郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  130. 松本十郎

    松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十八分散会