○正森小
委員 平澤さん、
労働省なんかが言っておりますのも、あるいは通産省が言っておりますのも、休日をふやすと余暇の関係のレジャー産業などがふえて
GNPの増加につながるというような説もありますけれども、結局
労働時間を
短縮した場合に、従来より忙しくなる、あるいは仕事が時間単位当たりふえるというのは当然なんで、それが一定の
機械の導入などの
合理化によってなされない場合は、これは常識的に言えば一定の人員の増加というのはやむを得ないので、そのことによって雇用がふえるということにもなるわけですから、それを
機械も導入せず、雇用もふやさず、平日の時間を十分ないし十五分ふやすことによって賄うというのでは、これは
完全週休二日制の目的を達しないと思うのですね。我々が調べたら、始業時間がこれまで九時だったのが、大部分は八時四十五分とか八時五十分から始めることによってその時間を調節しているということですから、それについてはぜひとも考慮していただきたいというように申し上げておきたいと思うのです。
それから、もう
一つ労働時間の関係で
お話ししておきたいのは、これは六月六日ですか、新潟の第四
銀行の判決がありましたね。あるいは御存じないかもしれませんけれども、これは五十五歳が
銀行の定年でしょう。普通はやめるんだけれども、五十八歳まで勤めさせてもらうというのが、六十年定年ということで六十年まで定年を延長してもらうのですけれども、そのかわり五十五歳からずっと賃金が下がりまして、だからこの訴えた第四
銀行の
労働者の場合には、五十五歳から五十八歳まで三年間働いた分と、延長してもらって六十年まで五年働いた分と、判決によりますと、賃金総額及び退職金の合計額は利息相当分を考慮すると総体として減少する。つまり、こういうぐあいに減るわけですから、こうなって、それから定年が二年間延びるということで逆に総額は減少する、それで利息だとか退職金を入れないで給料分だけを見ましても、三年間働いた分と五年間働いた分で大体百六十万か百七十万しか違わない、だから二年間ただ働きしたことになるということで裁判を起こしたのですね。
私は弁護士なものですから、少しかた苦しくなって申しわけありませんが、そういうぐあいに変更した就業規則というのは、既得権を侵害するもので無効であるというように判決は言っているのです。ただ、ほかの
労働組合で
労働協約を結んで、その後そういうことを一般の従業員に決めていますので、そうすると労組法十七条で、四分の三以上の多数の場合には、それが他の従業員にも効力が及ぶという規定がありますので、それを援用して
銀行側を勝たしているという結果になっているのですね。これは六日の新聞に一斉に出ています。そういうことになりますと、結局
労働時間を
短縮したりあるいは定年を延長しても、土曜完全休日にした場合は平日の
労働時間を長くする、定年を延長した場合は五十五歳からぐっと賃金を下げて、三年働くのも五年働くのも総額では変わらないようにするというのでは、これは
労働者にメリットがないと思うのですね。そういう点について、これは
週休二日制とは直接関係ありませんが、多少関連する考え方の問題ですから、
銀行協会はどういうぐあいに思いますか。
第四
銀行は、当然だなんて言っていますよ。
労働法の学者なんかは、
労働協約をほかの
労働組合が結んでいなければ、就業規則だけでこんなことを変えたら無効だと判決が言ったのは非常に大きい。判決は、
労働者に不利益な変更だから無効だというのですね。だから、多少は
労働力が減少するから上がりが鈍くなるとか、あるいは三年働くより五年働く方がいいのですけれども、とどのつまりそろばんはじいてみたら三年働くのと五年働くのともらう金は変わらぬ、退職金に利息を加えたらかえって損だったというようなのでは、幾ら
銀行がそろばん勘定うまいといったって、ちょっとそれはうま過ぎるのじゃないですか。