○正森
委員 今言っていることは理屈にも何にもなっておらぬですね。十二月のときはまだ
大型間接税というものが内容も姿も何もわからなかった。そうしたら、そのときの
調査結果こそ余り報道する値打ちがないものじゃないですか。値打ちがないとは言いませんよ。姿も形もわからないものについて賛成だとか反対だとか言ってみても仕方がないじゃないですか。だんだんと姿がはっきりしてこそ賛成なり反対なりの
意見が明らかになってくるのじゃないですか。衆議院の逓信
委員会でも言われたように、誤解を招くとかなんとか言っても、これは三月二十五日の素案の発表よりも二週間前に調べたものだということを言えば
国民に十分に
理解されることなので、あなた方、今までしばしば世論
調査を行ったときでも、これは何月の何日に行ったものでありますとか、
選挙の世論
調査でも、これは何日前に行ったものだから変動があり得るとか、そう言って新聞だってテレビだってやっているじゃないですか。
ここに毎日新聞の五月十日の社説があります。「NHKはだれのものなのか」という社説で、
しかし、NHKの説明をそのまま受け入れた上でもこの措置には疑問がある。第一は、視聴者の
判断力を不当に低く見ていることである。
調査の
時点についてきちんと説明すれば、素案への賛否と誤解する視聴者がそれほど多いとは
考えられない。事実、新聞では同じ時期に同じ条件の
調査を行い、報道しているのである。納得できる理由とはいえないだろう。
こう言っているのです。これはいつの
調査です、素案に対する賛否ではありませんと言えば、これは十分に
理解できることなのに、初めからなかったように扱うなどというのはそもそもおかしいではないですか。
しかも、あなた方は法律でそのことをある
意味では義務づけられているのですよ。それは知っているでしょう。放送法四十四条の二項では、「協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論
調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」こうなっているじゃないですか。公表というのは、あなた方は「放送研究と
調査」というのに載せればそれでいいと思っているかもしれないけれ
ども、こんなものに載せるのとNHKのテレビに乗せるのでは、公に知られる
程度がそれこそ月とスッポンくらい違うということはあなた方も知っているでしょう。
三項にはどう書いてありますか。「左の各号の定めるところによらなければならない。」こうなって、二号では、「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「
意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」こういうぐあいになっており、国内番組の基準を定めたということであなた方はこういうものを出していますが、その中でも同じことを再度言っているじゃないですか。
しかも、言いますと、この放送法では、第三章で「一般放送事
業者」というのがあります。これはTBSだとかいろいろないわゆる広告をとって放送してもいいところですね。こういうところも、第五十一条で第四十四条第三項から第五項までは準用されております。つまり、今私が言った「政治的に公平であること。」とか「
意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」などは、一般のテレビメディアも準用されて守らなければならなぃのです。ところが、条文を見ると一項と二項は除外されているのですよ、一般のTBSとかなんとかいうのは。あなた方だけが、「協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論
調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」とか、「豊かで、かつ、よい放送番組を放送することによって公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の
努力を払うこと。」一般のテレビは、「文化水準の向上に寄与するように、」というようなことは除外されているのです。NHKだけが、
国民から直接、広告料じゃなしにNHKの受信料を取っているから、その見返りにこういう一項と二項というのを義務づけられているのじゃないですか。
その義務づけられていることを、一方的な
判断で、一方は
政府に都合のよい賛成というのは何回も何回もやる。しかも、そのときには
大型間接税が姿をあらわしていないと言うなら、賛否を聞く基礎がそもそもないじゃないか。みずからそのことを今認めたじゃないか。それは放送し、ある
程度姿をあらわしてきたら、今度は
政府税調の素案の直前あるいは重なるからいけないという。素案に対する賛否じゃないと言えばそれでいいじゃないですか。あるいは放送日を若干ずらせばそれでいいじゃないですか。
そうすると、あなた方は、そんな態度をとるのなら、六月に仮に税率が明らかになり、非
課税品目が明らかになり、ますます明らかになっても、これは
政府案に誤解を与えるからということで世論
調査はしないつもりですか。四十四条の二項だからするけれ
ども、これはやはり放送しないつもりですか。それとも、賛成が多数のときには誤解が生ずるおそれがないからやるけれ
ども、また反対多数になったら誤解を生ずるおそれがある、
政府案に対するリアクションと思われたらいかぬということで放送しないのですか。こんなことでどうして「政治的に公平」だと言えますか。対立する
意見について「できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」ということになりますか。全く放送法に違反しているじゃないですか。