○正森
委員 そういうやりとりもありましたが、私がさらに
議論を発展させて買い入れ償還ということになりますと、それは八%もの利回りのものは、当然額面の百円を上回りまして百十五円、百二十円というようになっておりますから、そんなもので買い入れ償還をしたのでは国のもうけにはならない。けれ
ども、調べてみますと、国債規則には繰り上げ償還という規定もある。それから国債整理基金の第五条には、国債の整理のためにはこれは償還できるという規定がある。また、国債自体の発行の場合にも額面に一応期限は書いてありますが、いつ何どきなりとも繰り上げ償還できるという文言がある。それは結局発行者である国と、あるいは引き受けた国債保有者との一応の約束事になっておるということを挙げまして、これは必ずしも時価による買い入れ償還をやらなくてもいいんだ、額面で償還をする、あるいは額面で時の金利あるいはそれに若干のプレミアムをつけて、低利借りかえが可能なのであるという見解を私が申し上げたのですね。
今、速記録が出てまいりました。そういうことを私が申し上げたのに対して当時の窪田さんが、「来年も恐らく借換債を含めて二十兆円以上の国債を発行することになると思いますので、ちょっとそういう乱暴なことはできかねる。」という
意味のことを言われて、それを受けて
宮澤大蔵大臣が、「今、理財
局長が乱暴だと申し上げましたことは、それは全く
金融秩序を壊してしまうことになるわけでございますね。そういう
意味で私
どもは、やはりそういうことは考えない。」こういういきさつになっております。だから、
宮澤大蔵大臣が言われましたことは、ここへ来る前の段階の
議論ですね。
そこで、ここからがきょうの本論なんです。ここまでは去年もう既にやっていることですから、復習しませんと
議論が発展しませんのでここを申し上げたのです。しかし、「
金融秩序を壊してしまうことになる」というのは、去年の前半の段階なら、それはそうおっしゃることも多少理由があったのかなと思うわけであります。本当はそうではないのですね。去年も多少申し上げたかと思いますが、
我が国で前例があるのです、低利借りかえとか繰り上げ償還という。それは資料も持ってまいりましたけれ
ども、日露戦争のときに金利の高い国債を相当出しまして、それを三分五厘で
昭和四十三年に借りかえるということをやりまして一挙に二十数億円の、当時の二十数億円はものすごい金ですね。五%の高い金利のもののほぼ半額を借りかえているのです。(
宮澤国務大臣「
昭和ですか」と呼ぶ)明治四十三年、日露戦争の後でございますから。
それから、
昭和と言われましたので
昭和の例をもう
一つ出しますと、これは
昭和十一年でございますけれ
ども、
昭和十一年に馬場財政、そのときに、これはいよいよ戦争に突入しようというときでしたから五分というような高いものではだめだということで、明治四十三年の故事に学んだのでしょう、三分五厘でこれも相当な額を借りかえるということをやっているのです。このことは、
我が国だけではなしに外国でもやっておりまして、例えばイギリスでは一九三二年だったと思いますけれ
ども六%から三%ということで、これは若干のプレミアムなんかをつけておりますけれ
ども、借りかえるということをやっております。ですから、これは決して共産党だけが言っていることではないんで、時期は戦争が終わった後の整理のときとかいうような時期ではございますけれ
ども、前例がないことではないのです。
ですから、去年私が
質問しましたときも、そんな乱暴なことはできませんという答弁をされましたけれ
ども、決して乱暴なことではない。多少勇気は要ったかもしれませんけれ
ども、
我が国の財政当局あるいはイギリスの財政当局が現にやったことであります。
それにかてて加えて、私は、去年の
宮澤大蔵大臣の「それは全く
金融秩序を壊してしまうことになるわけでございますね。」という答弁は、
昭和六十三年の今になってみるといよいよいただけないと思うのです。といいますのは、マル優の場合には、今まで税金が全くなかったのを二〇%いただいているのですね。これは金利を二〇%低下させたのと、預金者にとっては同じ効果があるわけであります。それによって国は、平年度はもっとふえると思いますが、一兆六千億円余り税収を得るということになっておるのです。他方、これまで三五%払わなければならない利子配当分離課税という
制度をとっております大口の預金者は、逆に二〇%に四割も金利を下げてもらって数千億円の利益を得るという、言ってみれば数十年続いた
金融秩序を崩すことを
政府は、一兆六千億円平年度で財政を得るためにはやっておられるわけです。これは、あるグループには金利を二割切り下げ、あるグループには金利を四割切り上げるということと同じことを、全国的規模で大規模にやっておられるわけであります。
そうだとすれば、
我が国が財政で国債費の負担が非常に大きい場合に、全体の利益になるために八%とか七%とかいう今の金利
水準では非常に高い金利を、どれくらいにするかはまた国会で御相談しなければならないでしょうけれ
ども、一定の合理的な金利で借りかえる、あるいは償還をして、その償還
財源は現在の金利の国債発行によって賄うということをして、それがなぜ乱暴であるとか
金融秩序を乱すと言われるのか、私には不敏にしてわからないのです。もし、そういうことが乱暴であり、
金融秩序を乱すなら、マル優廃止などは乱暴も乱暴、言語道断であると言わなければならないのじゃないですか。御
意見をお伺いしたいと思います。